説明

4−アリールピペリジン

【課題】4−アリールピペリジン
【解決手段】本発明は、4−アリールピペリジンに関し、また、メラニン凝縮ホルモン-1(MCH1)受容体に対する選択的アンタゴニストである複素環式化合物に関する。本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアを含有する薬学的組成物を提供する。本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアとを混合することによって製造された薬学的組成物を提供する。本発明はさらに、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアとを混合することを含む、薬学的組成物の製造方法を提供する。また本発明は、被検者の体重を減少する方法を提供し、該方法は、該被検者の体重を減少させるのに有効な量の本発明の化合物を、該被検者に投与することを含む。本発明はさらに、うつ病及び/又は不安を患っている被検者を治療する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-アリール-ピペリジンに関し、また、これらに限定されないが、うつ病及び不安を含むある種の精神医学的状態のような生理学的な病気の治療のための治療剤としての複素環式化合物に関する。さらに、本発明の治療剤は、肥満症又は切迫性尿失禁の治療のために用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
メラニン凝集ホルモン(MCH)は、最初にサケ科(硬骨類魚(teleost fish))下垂体から単離された環状の神経ペプチドである(Kawauchi et al., 1983)。MCHのためのG-タンパク質結合受容体の同定は公開されている(Chambers et al., 1999; Saito et al., 1999)。これらのグループは、MCHをヒトオーファンG-タンパク質結合受容体SLC-1のための内在性リガンドとして同定した(Lakaye et al.,1998)。この発見から、哺乳類のMCH(19アミノ酸)は、ラット、マウス及びヒトの間で100%のアミノ酸同一性を示し高度に保存されていることが発見された。この受容体(現在MCH1と呼ばれている)のラット相同体は、ラットの脳の領域に局在化していると報告された。
【0003】
我々自身の研究では、MCH1アンタゴニストを、ヒトでの化合物の有効性について予測的であるような周知の幾つかの動物モデルで評価した。「Borowsky, B., et al. (2002)」を参照されたい。これらの実験は、MCH1アンタゴニストがうつ病及び/又は不安の治療に有用である可能性を示唆している。ラットの脳における、[(3)H]SNAP-7941、選択的及び潜在的なMCH1アンタゴニスト、の結合サイトのマッピングの後、我々は、一連の行動モデルにおけるその効果を評価した。SNAP-7941は、うつ病/不安の3つの動物モデル(ラットの強制水泳試験、ラットの社会的相互作用及びモルモットの母性分離発声試験)において、臨床的に用いられている抗うつ剤及び抗不安薬と類似した効果を生じた。それらの観察から、MCH1アンタゴニストがうつ病及び/又は不安の治療に用いられ得ることが示唆された。
【0004】
さらに、MCH1と、摂食に及ぼすMCHの影響との間の関連は、MCH1ノックアウトマウスの表現型についての最近の報告により示唆されている。二つのグループが独自に、マウスにおけるMCH-1受容体遺伝子を標的とした破壊(MCH1ノックアウト)が、動物に食欲過剰をもたらすが、野生型の同腹仔と比較してやせており、減少した体重を有することを示している(Marsh et al、2002; Chen et al, 2002)。体重の減少は、代謝の上昇に起因する。各グループは、MCH-1ノックアウトマウスは食事制限(diet)が誘導する肥満症に抵抗性であり、また、一般に、定期的な固形飼料で維持された同腹仔と同様の体重を示すことを証明している。
【0005】
MCH-1受容体のための合成アンタゴニスト分子は文献に開示されている。「Bednarek et al. (2002)」は、MCH-1の高親和性ペプチドアンタゴニストの合成を報告している。MCH-1の小分子アンタゴニストは、タケカワら(2002)によって開示されている。
【0006】
我々の研究室において、MCH1受容体のアンタゴニストである小分子が発見された。従って、本発明の化合物は、上記にリストされた適応症の治療に用いられることができる。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明は、次式の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する:
【化5】

【0008】
式中、各 X は独立して、CR1又はNであり、但し、一つの X が N である場合、残りのX はCR1である;
式中、各 R1は独立して、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、直鎖又は分枝鎖のC1-C7アルキル、アルキルオキシ、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキル、又はC3-C6シクロアルキル-C1-C7アルキルである;
式中、各R2は独立して、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2又は直鎖又は分枝鎖のC1-C7 アルキル、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキルである;
式中 n は、2から6までの整数である;
式中 B は、CH2、CHOH、O又はCOである;
式中 Y は、C又はNである;
式中 Z は、O、S、SO、SO2、CH2、CO、CHOH又は無しである;及び、
式中 A は、フェニル又はヘテロアリールであり、ここで該フェニル又はヘテロアリールは、3以下のR2で任意に置換される。
【0009】
本発明の一つの態様において、該化合物は、本発明の詳細な説明において開示された具体的な化合物の一つから選択される。
本発明の一つの態様において、該化合物は鏡像異性的に純粋である。
本発明の他の態様において、該化合物は、ジアステレオ異性的に純粋である。さらなる態様において、該化合物は、鏡像異性的に及びジアステレオ異性的に純粋である。
【0010】
本発明はさらに、本発明の化合物の治療的有効量及び薬学的に許容されるキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
本発明はさらに、本発明の化合物と薬学的に許容されるキャリアを混合することによって製造された薬学的組成物を提供する。
また、本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを混合することを含む、薬学的組成物の製造方法を提供する。
【0011】
本発明はさらに、うつ病、大鬱病、双極性障害、広場恐怖、特異的な恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害及び不安から成る群から選択される情動障害を患っている被検者を治療する方法であって、本発明の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法を提供する。本発明の異なる態様において、前記障害はうつ病又は不安である。
【0012】
さらに、本発明は、尿失禁、切迫性尿失禁、頻尿(urinary frequency)、尿意切迫(urinary urgency)、夜尿症、及び遺尿症から成る群から選択される泌尿器障害を患っている被検者を治療する方法であって、本発明の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法をさらに提供する。本発明の異なる態様において、前記障害は切迫性尿失禁である。
【0013】
本発明はさらに、肥満症、過食症(bulimia)、神経性過食症(bulimia nervosa)及び神経性食欲不振症(anorexia nervosa)から成る群から選択される摂食障害を患っている被検者の治療方法であって、本発明の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法を提供する。本発明の異なる態様において、前記障害は肥満症である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
本発明において、直鎖又は分枝鎖のC1-C7アルキルという用語は、1から7までの炭素原子を有する飽和した炭化水素を指す。そのような置換基の例は、これらに限定されないが、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、及び2-メチル-1-プロピルを含む。直鎖又は分枝鎖のC1-C7アルキルオキシという用語は、酸素上で開放原子価(open balency)を有し、1から7までの炭素原子を有する飽和したアルコキシ基を指す。そのような置換基の例は、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n-ブトキシ等を含む。C3-C6シクロアルキル-C1-C7アルキルという用語は、C1-C7アルキル部分によって結合された、3〜7の炭素原子を有する単環式の炭素環で置換された飽和したアルキル炭化水素を示す。そのような置換基の例は、これらに限定されないが、シクロプロピル-メチル、シクロペンチル-エチル、シクロヘキシル-n-プロピル等を含む。
【0015】
本発明において使用されるように、「ヘテロアリール」という用語は、一以上の酸素、硫黄、又は窒素原子を含む、5〜6員の不飽和環を含むように用いられる。ヘテロアリール基の例は、これらに限定されないが、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾニル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びトリアジニルを含む。
【0016】
本発明は、ここで説明される任意の化合物のそれぞれの純粋な立体異性体を提供する。そのような立体異性体は、鏡像異性体、ジアステレオマー、又はE又はZアルケン又はイミン異性体を含み得る。また本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物、又はE/Z異性体混合物を含む、立体異性体混合物を提供する。立体異性体は、純粋な形態で合成されることもでき(Nogradi、M.;Stereoselective Synthesis, (1987) VCH Editor Ebel、H. and Asymmetric Synthesis, Volumes 3 B 5, (1983) Academic Press、Editor Morrison, J. )、或いは、それらは、結晶化及びクロマトグラフィー技術のような種々の方法によって分離されることもできる(Jaques、J.; Collet、A.; Wilen、S.; Enantiomer, Racemates, and Resolutions, 1981、John Wiley and Sons and Asymmetric Synthesis, Vol. 2, 1983、Academic Press, Editor Morrson, J)。さらに、本発明の化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー又は異性体の混合物として存在しても良い。さらにその上、二以上の化合物が、ラセミ混合物又はジアステレオマーの混合物の形態で存在しても良い。
【0017】
本発明の化合物は、好ましくは80%純粋であり、より好ましくは90%純粋であり、最も好ましくは95%純粋である。本発明に含まれるものは、薬学的に許容される塩及び本明細書で開示された化合物の全ての複合体である。それらの塩が調製される酸及び塩基は、これらに限定されないが、本明細書にリストされた酸及び塩基を含む。酸は、これらに限定されないが、以下の無機酸を含む:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸及びホウ酸。酸は、これらに限定されないが、以下の有機酸を含む:酢酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸及びマンデル酸。塩基は、これらに限定されないが、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ヒドロキシエチルアミン、モルフォリン、ピペラジン及びグアニジンを含む。本発明はさらに、本明細書に開示された化合物の全ての水和物及び多形を提供する。
【0018】
本発明は、その範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、そのようなプロドラッグは、インビボで所望の化合物に容易に転換可能な、本発明の化合物の機能的誘導体である。従って、本発明において、「投与する」という用語は、具体的に開示された化合物による、或いは具体的には開示されていないが、患者に投与された後にインビボで該具体的な化合物に転換する化合物による、記載された種々の状態の治療を包含する。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の方法は、例えば、「Design of Prodrugs、ed. H. Bundgaard、Elsevier、1985」に開示されている。本発明はさらに、本発明の化合物の代謝産物を含む。代謝産物は、本発明の化合物の生物学的環境への導入において生成される活性種を含む。
【0019】
発明の概要で言及したように、本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアを含む薬学的組成物を提供する。一つの態様において、該化合物の量は、約0.01 mg〜約800 mgである。他の態様において、該化合物の量は約0.01 mg〜約500 mgである。さらに他の態様において、該化合物の量は約0.1 mg〜約250 mgである。他の態様において、該化合物の量は、約 0.1 mg〜約60 mgである。さらに他の態様において、該化合物の量は約1 mg 〜約20 mgである。さらなる態様において、前記キャリアは液体であり、前記組成物は溶液である。他の態様において、前記キャリアは固体であり、前記組成物は錠剤である。他の態様において、前記キャリアはゲルであり、前記組成物はカプセル、坐薬又はクリームである。さらなる態様において、前記化合物は、薬学的に許容される経皮パッチの一部として処方されてよい。さらに他の態様において、前記化合物は、スプレー又は吸入薬によって被検者に送達され得る。また、本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアを混合することによって製造された薬学的組成物を提供する。本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と薬学的に許容されるキャリアを混合することを含む、薬学的組成物の製造方法を提供する。
【0020】
固体キャリアは、内在性キャリア(例えば、栄養分又は微量栄養素キャリア)、調味剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、賦形剤、潤沢剤(glidants)、圧縮酸(compression aids)、結合剤又は錠剤崩壊剤として作用し得る一以上の物質を含むことができる:それは被包された物質であることもできる。粉末中では、キャリアは、微細活性成分との混合物中の微細固体である。錠剤中では、活性成分は、適切な割合で必要な圧縮性質を有するキャリアと混合され、所望の形状及びサイズに固められる。粉末及び錠剤は、好ましくは99%までの活性成分を含む。適切な固体キャリアは、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、スターチ、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融解ワックス及びイオン交換樹脂を含む。
【0021】
液体キャリアは、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル剤及び加圧組成物(pressurized compositions)の調製に用いられる。活性成分は、水、有機溶媒、両者の混合物又は薬学的に許容されるオイル又は脂肪のような薬学的に許容される液体キャリア中に溶解されるか又は懸濁されることができる。液体キャリアは、可溶化剤、乳化剤、バッファー、保存剤、甘味料、調味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度制御剤、安定剤又は浸透圧調節剤のような他の適切な薬学的添加剤を含むことができる。経口及び非経口的な投与のための液体キャリアの適切な例は、水(部分的に、上記のような添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含む)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、及びオイル(例えば、分画されたココナッツオイル及びピーナッツオイル)を含む。非経口投与のためのキャリアは、オレイン酸エチル又はミリスチン酸イソプロピルのような油性エステルであることもできる。滅菌液キャリアは、非経口投与のための滅菌液状形態組成物においても有用である。加圧された組成物のための液体キャリアは、ハロゲン化された炭化水素又は他の薬学的に許容されるプロペレント(propellent)であることができる。
【0022】
滅菌溶液又は懸濁液である液体薬学的組成物は、例えば、筋肉内注射、くも膜下腔内注射、硬膜外注射、腹腔内注射又は皮下注射によって利用することができる。滅菌溶液は、静脈内に投与することもできる。組成物は、滅菌水、生理食塩水又は他の適切な滅菌注射媒体を用いて投与の時に溶解又は懸濁され得る滅菌固体組成物として調製されてもよい。キャリアは、必要な、不活性の結合剤、懸濁剤、潤滑剤、調味剤、甘味料、保存剤、染料、及びコーティングを含むよう意図される。組成物は、他の溶質又は懸濁剤(例えば、等張溶液を作るのに十分な生理食塩水又はグルコース)、胆汁酸塩、アカシア、ゼラチン、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート80(ソルビトールのオレイン酸エステル及びエチレンオキシドと共重合したその無水物)等を含む滅菌溶液又は懸濁液の形態で経口的に投与されることができる。
【0023】
化合物は、液体又は固体の組成物形態のいずれでも経口的に投与されることができる。経口投与に適した組成物は、例えばピル、カプセル、顆粒、錠剤及び粉末のような固体形態、並びに、例えば溶液、シロップ、エリキシル剤、及び懸濁液のような液体形態を含む。非経口投与のために有用な形態は、滅菌溶液、エマルジョン及び懸濁液を含む。投与される至摘用量は、当該分野の技術者によって決定されることができ、使用する具体的な化合物、製剤の強度、投与の様式、及び疾患状態の発達によって変動する。被検者の年齢、体重、性別、食事制限、及び投与の時間を含む、治療される特定の被検者に依存するさらなる要因は、結果として用量の調整を必要とする。被検者適用における「治療的有効量」は、任意の量の化合物であり、これは、その化合物が有効である疾患を患っている被検者に投与したとき、該疾患の減少、緩解、又は退行をもたらす。被検者適用において、「被検者」は、脊椎動物、哺乳類又はヒトである。
【0024】
本発明は、被検者における切迫性尿失禁(urge urinary incontinence)、尿意切迫(urgency)及び/又は頻尿(frequency)の症状を伴う過敏性膀胱の治療方法を提供し、これは、該被検者の過敏性膀胱の治療に有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。また、本発明は、過敏性膀胱を患っている被検者における切迫性尿失禁を緩和する方法を提供し、これは、該被検者の切迫性尿失禁を緩和するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。さらに本発明は、過敏性膀胱を患っている被検者における尿意切迫(urinary urgency)を緩和する方法を提供し、これは、該被検者の尿意切迫の緩和に有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。さらに、本発明は、過敏性膀胱を患っている被検者における頻尿を緩和する方法を提供し、これは、該被検者の頻尿を緩和するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。また、本発明は、泌尿器障害を患っている被検者を治療する方法を提供し、これは、該被検者の泌尿器障害の治療に有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。ある態様において、該泌尿器障害は、尿失禁、過敏性膀胱、切迫性尿失禁、頻尿、尿意切迫、夜尿症又は遺尿症である。過敏性膀胱及び尿意切迫は、前立腺肥大症に付随するものであってもよく、又は付随しないものであってもよい。本発明は、被検者において、MCH1受容体による拮抗作用による治療に感受性の高い障害の症状を緩和する方法を提供し、これは、その症状を緩和するのに有効な量のMCH1アンタゴニストを該被検者に投与することを含み、ここにおいて、MCH1アンタゴニストは、本発明の化合物のいずれかである。
【0025】
本発明の一つの態様において、前記被検者は、脊椎動物、哺乳類、ヒト又はイヌである。他の態様において、前記化合物は経口的に投与される。さらに他の態様において、前記化合物は食物と組み合わせて投与される。本発明は、被検者の食事行動を改変する方法を提供し、これは、該被検者による食物の消費を減少するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。また本発明は、被検者における摂食障害を治療する方法を提供し、これは、該被検者による食物の消費を減少するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。本発明の一つの態様において、前記摂食障害は、過食症、肥満症又は神経性過食症である。本発明の一つの態様において、前記被検者は、脊椎動物、哺乳動物、ヒト又はイヌである。さらなる態様において、前記化合物は、食物と組み合わせて投与される。本発明はさらに、被検者の体重を減少させる方法を提供し、これは、該被検者の体重を減少させるのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。
【0026】
本発明はまた、大鬱病障害、情緒異常障害、双極性I及びII障害、分裂情動性障害、うつ病の気分を伴う認知性障害、人格障害、不眠症、過眠症、ナルコレプシー、日周性リズム睡眠障害、悪夢障害、睡眠恐怖症、夢遊症、強迫性障害、広場恐怖に伴うか又は伴わないパニック障害、心的外傷後ストレス障害、社会性不安障害、社会性恐怖症及び全身性不安障害を患っている被検者を治療する方法を提供する。本発明は、うつ病の被検者を治療する方法を提供し、これは、該被検者のうつ病を治療するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。本発明はさらに、不安を患っている被検者を治療する方法を提供し、これは、該被検者の不安を治療するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。また、本発明は、うつ病及び不安を患っている被検者を治療する方法を提供し、これは、該被検者のうつ病及び不安を治療するのに有効な量の本発明の化合物を該被検者に投与することを含む。
【0027】
さらに、本発明は、本発明のある態様を提供する。
一つの態様において、nは2から5までの整数である。他の態様において、nは2又は3である。
一つの態様において、各R1 は独立して、-H、-F、-Cl、直鎖又は分枝鎖のC1-C4アルキル又はアルコキシ、又はC3-C6シクロアルキル-C1-C4アルキルである。
一つの態様において、各R2は独立して、-H、-F、-Cl、又は直鎖又は分枝鎖のC1-C4アルキル、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキルである。
【0028】
一つの態様において、一つのX はNである。
一つの態様において、各X はCである。
【0029】
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたピリジニルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたチエニルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたフラニルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたチアゾリルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたイミダゾリルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたピラゾリルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたオキサゾリルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたトリアジニルである。
一つの態様において、Aは3以下のR2で任意に置換されたフェニルである。
【0030】
一つの態様において、Z はS、SO又はSO2である。
一つの態様において、Z はCH2、CO又はCHOHである。
一つの態様において、Z はO又は無しである。
一つの態様において、B はCH2である。
一つの態様において、Z はOである。
一つの態様において、Z は無しである。
一つの態様において、COである。
一つの態様において、無しである。
【0031】
本発明は、後述の実験の詳細からより理解されよう。しかしながら、当該分野の技術者には、ここで論じられた具体的な方法及び結果が、特許請求の範囲中でより完全に記載されているような本発明を単に説明するためのものであるということが理解されるであろう。
【0032】
I.合成スキーム
スキーム1
【化6】

【0033】
(a)LDA/PhNTf2/THF/-78℃その後0℃ 一晩。(b)アミノフェニルホウ素酸/ Pd (PPh)4/LiCl/Na2CO3/DME-H2O/還流 3時間。(c)10%Pd/C/H2/EtOH/室温 24-48時間。
【0034】
スキーム2
【化7】

【0035】
(a)ビス(ピナコレート(pinacolato))二ホウ素/ KOAc/ PdCl2dppf/ dppf/ 80℃ 一晩。(b)K2CO3/ PdCl2dppf/ DMF/ 80℃ 一晩。(c)10%Pd/C/H2/EtOH/室温 24時間-72時間。
【0036】
スキーム3
【化8】

【0037】
(a)K2CO3/PdCl2dppf/ DMF/ 80 C 一晩。(b) 10% Pd/C / H2/ HOAc/ 室温 24時間-72時間。
【0038】
スキーム4
【化9】

【0039】
(a)DPPA/Et3N/BnOH/トルエン 還流 一晩。(b)K2CO3/PdCl2dppf/DMF/80℃ 一晩。(c)10%Pd/C/H2/EtOAc/室温24h-72h。
【0040】
スキーム5
【化10】

【0041】
(a)塩基/DMF/加熱。(b)パラジウム又はCuカップリング。
【0042】
ビフェニル、ジアリールエーテル及びジアリールチオエーテル合成のための出発物質は商業的供給源から入手可能であり、又は当業者には既知の種々の中間体から調製可能である。さらなる情報は、以下の参考文献中に見られる:「Suzuki, 1995, Chem. Rev. 95, 2457」;「Suzuki, 1999, J.Organomet. Chem. 576 (1-2), 147-168; Schopfer, 2001, Tetrahedron, 57, 3069-3073」;「Venkataraman, 2002, Org. Lett. 16, 2803-2806; Hartwig, 1998, Angew. Chem. Int. Ed. 37, 2046-2067」及び本明細書に挙げられた参考文献。
【0043】
スキーム6
【化11】

【0044】
有機亜鉛試薬のための出発物質は、商業的供給源から入手可能であり、又は当業者には既知の種々の中間体から調製可能である。さらなる情報は、以下の参考文献中に見られる:「Rieke, 1991, J. Org. Chem. 56, 1445 」;「Rieke, 1997, Tetrahedron 53, 1925」及び本明細書に挙げられた参考文献。
【0045】
ウィッティヒタイプの反応のための出発物質は、商業的な供給源から入手可能であり、又は当業者には既知の種々の中間体から調製可能である。さらなる情報は、以下の参考文献中に見られる:「Fesik, 1997, J. Med. Chem. 40, 3144-3150」及び本明細書に挙げられた参考文献。
【0046】
スキーム7
【化12】

【0047】
(a)CuCl/Cs2CO3/ 2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン。(b)HBr/CH3COOH 又はBBr3/CH2Cl2
【0048】
ビフェニル、ジアリールエーテル及びジアリールチオエーテル合成のための出発物質は商業的供給源から入手可能であり、又は当業者には既知の種々の中間体から調製可能である。さらなる情報は、以下の参考文献中に見られる:「Suzuki, 1995, Chem. Rev. 95, 2457」;「Suzuki, 1999, J.Organomet. Chem. 576 (1-2), 147-168; Schopfer, 2001, Tetrahedron, 57, 3069-3073」;「Venkataraman, 2002, Org. Lett. 16, 2803-2806; Hartwig, 1998, Angew. Chem. Int. Ed. 37, 2046-2067」及び本明細書に挙げられた参考文献。
【0049】
ウルマンカップリング合成のための出発物質は、商業的供給源から入手可能であり、又は当業者には既知の種々の中間体から調製可能である。さらなる情報は、以下の参考文献中に見られる:「Song, 2002, Org. Lett. 4, 1623-1626」及び本明細書に挙げられた参考文献。
【0050】
スキーム8
【化13】

【0051】
スキーム9
【化14】

【0052】
(a)EDC/DMAP/CH2Cl2/DMF/室温24時間。(b) 1,4-ジオキサン中4M HCl /室温1時間又はTFA/CH2Cl2/室温1-2時間。
【0053】
スキーム10
【化15】

【0054】
スキーム9で用いたビアリール中間体は或いは、スキーム10に示すように活性化カルボン酸及びビアリール系を用いるフリーデル・クラフツ経路を介して合成することができる。
【0055】
スキーム11
【化16】

【0056】
スキーム11に示したビアリールは、スキーム11に記載したようにホウ素酸/ボロネート及びハロゲン化アリール/トリフレートを用いるスズキ経路を介して合成することができる。
【0057】
II.詳細な合成の例
以下の例は、本発明の化合物の製造のために有用な方法を説明するためのものである。
【0058】
一般方法:全ての反応は窒素雰囲気下で行い、試薬(生(ニート)又は適切な溶媒中)は、シリンジ及びカニューレ技術によって反応容器に導入した。無水溶媒を「Aldrich Chemical Company」から購入し、受け取ったように用いた。特許に開示された例は、ACD/ネームプログラム(version 4.01, Advanced Chemistry Development Inc., Toronto, Ontario, M5H2L3, Canada)を用いて命名した。1H NMR及び13C NMRスペクトルを、他に述べない限り内部標準としてテトラメチルシランを用い、溶媒CDCl3中、それぞれ300及び75 MHz(GE QE Plus)で、或いはそれぞれ400及び100 MHz(Bruker Avance)で記録した。ケミカルシフト(δ)はppmで表し、カップリング定数(J)はHzで表し、開裂パターンは次のように記載する:s = 一重項; d = 二重項; t =三重項; q = 四重項; 五重項;六重項;七重項; br = 広域; m = 多重項; dd = 二重項の二重項; ddd=二重項の二重項の二重項; dt = 三重項の二重項; td =二重項の三重項;dm = 多重項の二重項。元素分析は、「Robertson Microlit Laboratories, Inc.」によって行った。他に記載しない限り、マススペクトルはエレクトロスプレーイオン化(ESMS、Micromass Platform II or Quattro Micro)を用いて取得し、(M + H)+又は(M-H)-が報告される。薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲル60 F254 (0.25 mm、EM Separations Tech.)で予め被覆されたガラスプレート上で行った。調製用TLCは、シリカゲルGF (2 mm, Analtech)で予め被覆されたガラスシート上で行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merck シリカゲル 60 (230-400 mesh)上で行った。融点(mp)はMel-Temp 装置での開口キャピラリーチューブで測定し、逆修正(uncorrected)される。マイクロ波実験を、Biotage Emyrs OptimizerTM又はSmithcreatorを用いて行った。結合溶離(bond elute)カートリッジ:シリカ粒子の表面上のシラノール基を具備するイソルート(Isolute)シリカ固相抽出カートリッジはArgonaut Technologiesによって供給される。
【化17】

【0059】
TERT-ブチル 4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート:n-ブチルリチウム (17.6 mL、44.2 mmol、ヘキサン中2.5 M)を、無水THF(40.0 mL)中のジイソプロピルアミン (96.2 m L、44.2mmol)の0℃の溶液に加え、得られた混合物を20分間攪拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、THF (40.0 mL)中のtert-ブチル4-オキソ-1-ピペリジンカルボキシレート (Aldrich Chemical Company、7.97 g、40.0mmol)を該反応混合物に滴下して加え、次いで30分間攪拌した。THF (40.0 mL)中のTf2NPh (42.0 mmol、15.0 g)を該反応混合物に滴下して加え、この反応混合物を0℃で一晩攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、ヘキサン:EtOAc(9:1)中に再溶解し、アルミナのプラグを通過させ、そして該アルミナプラグをヘキサン:EtOAc(9:1)で洗浄した。混合性抽出物を真空下で濃縮し、所望の生成物(16.5 g)を得た。これは、いくらかの出発物質Tf2NPhが混入していた:1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 5.77 (s,1H)、4.05 (dm、2H、J = 3.0 Hz)、3.63 (t、2H、J = 5.7 Hz)、2.45 (m, 2H)、1.47 (s, 9H)。
【化18】

【0060】
TERT-ブチル 4-(3-アミノフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート:
ジメトキシエタン(5.00 mL)中の、2.0 M 水性Na2CO3溶液(4.20 mL)、tert-ブチル 4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(0.500 g、1.51 mmol)、3-アミノフェニルホウ素酸ヘミスルフェート(0.393 g、2.11 mmol)、塩化リチウム(0.191 g、4.50 mmol)及びテトラキス-トリフェニルホスフィンパラジウム(0.080 g、0.075 mmol)の脱気された混合物を、アルゴン下に還流温度で3時間熱した。冷却された反応混合物の有機層を分離し、水層を酢酸エチル(3 x 50 mL)で洗浄した。混合性有機溶液を乾燥し、真空下で濃縮した。粗製産物をクロマトグラフ(シリカ、ヘキサン: EtOAc:ジクロロメタン 6:1:1 1%イソプロピルアミン)に供し、所望の産物(0.330 g, 81%)を得た。1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 7.12 (t, 1H, J = 7.60 Hz)、6.78 (d, 1H, J = 8.4 Hz)、6.69 (t, 1H, J = 2.0 Hz)、6.59 (dd, 1H, J = 2.2, 8.0 Hz)、6.01 (br, 1H)、4.10-4.01 (d, 2H, J = 2.4 Hz)、3.61 (t, 2H, J = 5.6 Hz)、2.52-2.46 (m, 2H)、1.49(s, 9H); ESMS m/e : 275.2 (M+H)+. Anal. Calc. for C16H24N2O 2: C, 70.04; H, 8.08; N, 10.21。検出: C, 69.78 ; H, 7.80 ; N, 9.92。
【化19】

【0061】
TERT-ブチル 4-[3-(アミノ)フェニル]-1-ピペリジンカルボキシレート:
エタノール (100 mL)中のtert-ブチル 4-(3-アミノフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(3.10 g、11.3 mmol)及び10% Pd/C (1.00 g)の混合物を、バルーン方法を用いて2日間、室温で水素付加した。反応混合物をセライトを通して濾過し、エタノールで洗浄した。混合性エタノール抽出物を真空下で濃縮し、残渣をシリカでのクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール:イソプロピルアミン 95:5:1)に供し、所望の産物(2.63 g、84%)を得た。1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ 7.10 (t、1H、J = 7.6 Hz)、6.62 (d、1H、J = 8.4 Hz)、6.60-6.59 (m, 2H)、4.27-4.18 (m, 2H)、3.62-3.58 (m, 2H)、2.80-2.72 (m, 2H)、2.62-2.59 (m, 1H)、1.89-1.52 (m, 4H)、1.49 (s, 9H); ESMS m/e : 277.2 (M + H)+。
【化20】

【0062】
1-ブロモ-2,4-ジフルオロ-5-ニトロベンゼン:1-ブロモ-2,4-ジフルオロベンゼン (20.0 g; 11.7 mL; 0.100 mol)及びH2SO4 (76.8 mL)の0℃の混合物に、内部温度が<7℃であるような速度で、45分に渡ってHNO3 (68.0 mL)を添加した。得られた混合物を0℃で1時間攪拌し、氷水(400 mL)中に注ぎ、2〜3分間強く攪拌し、CH2Cl2 (400 mL)で抽出した。CH2Cl2 抽出物を鹹水(1 X 500 mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過及び蒸発し、黄色油として産物を得た(23.5 g、95%)。
【0063】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.14 (ddd、J = 0.3, 7.8, 9.9 Hz, 1H)、8.39 (t, J = 7.2 Hz, 1H)。
【化21】

【0064】
2-ブロモ-5-フルオロ-4-ニトロトルエン: ニトロニウムテトラフルオロボラート(11.6 g; 87.0 mmol)及びCH2Cl2 (60.0 mL)の還流混合物に、2-ブロモ-5-フルオロトルエン(15.0 g、10.0 mL、79.0 mmol)を5 分に渡り加えた。この混合物を還流で4.5時間攪拌し、冷却し、氷水(150 mL)中に注いだ。水性部分をCH2Cl2 (1 X 150 mL)で抽出した。混合性CH2Cl2抽出物を鹹水(100 mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過及び蒸発して18.3 gの粗製産物を得、結晶が出現するまでヘキサンで処理し蒸発させた。該混合物を-70℃に冷却し、得られた固体からヘキサンをデカントで分離した。残留ヘキサンを蒸発して除去し、9.77 g の産物を半固体として得た(53%)。母液を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、2% EtOAc ヘキサン中)で精製した。適切な画分の蒸発により1.0 gの産物が得られた(59% トータルで(intotal))。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.48 (s, 3H)、7.20 (d、J = 11.7 Hz、1H)、8.26 (d、J= 6.9 Hz,1 H)。
【化22】

【0065】
TERT-ブチル 4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート:ビス(ピナコレート)二ホウ素(422 mg、1.66 mmol)、KOAc(444 mg、4.53 mmol)、PdCl2dppf (37.0 mg、3.00 mol%)及びdppf (25.0 mg、3.00 mol%)を充填された50-mLのRB-フラスコに、室温、アルゴン下で、1,4-ジオキサン (10.0 mL)中のtert-ブチル4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(500 mg、1.51 mmol)を加えた。混合物を80℃で一晩熱した。室温まで冷却した後、該混合物をセライトを通して濾過し、該セライトをEtOAc(3 x 20 mL)で洗浄した。濾液を真空下で濃縮した。得られた残渣を、EtOAcに溶解し、H2O及び鹹水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過して真空下で濃縮した。粗製産物をフラッシュクロマトグラフィー(1:9 EtOAc:ヘキサン)で精製し、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(355 mg、76%)を得た: 1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 6.60-6.34 (br、1H)、4.06-3.86 (br、2H)、3.55-3.34 (br、2H)、2.35-2.09 (br、2H)、1.46 (s, 9H)、1.26 (s, 12H); ESMS m/e : 310.4 (M + H)+
【化23】

【0066】
TERT-ブチル4-(5-ニトロ-2-メチルフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート: 2-ブロモ-1-メチル-4-ニトロベンゼン (14.0 g、64.8 mmol)及びDMF (400 mL)の溶液に、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(20.0 g; 64.8 mmol)、K2CO3 (27.0 g; 194 mmol)及びPdCl2dppfCH2Cl2 (3.20 g; 3.90 mmol; 6 mol % 触媒添加)を加えた。得られた混合物を窒素下、80℃で6時間熱し、室温まで冷却し、18時間静置し、次いで4℃に冷却した。温度が<35℃であるような速度で、水 (400 mL)を10分に渡って加えた。EtOAc (400 mL)を加え、混合物を15分攪拌し、EtOAc層を除去した。この抽出手順をEtOAc (2 X 400 mL)で繰り返した。有機抽出物を併せ、水(800 mL)及び飽和したNaCl水溶液(320 mL)で洗浄し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、MgSO4で乾燥し、濾過して蒸発させ、暗色の残渣を得た。これはカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、70:30 ヘキサン/EtOAc)で精製した。適切な画分を蒸発させて22.0 gの産物を固体として得た。これは次の工程で使用した。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.50 (s, 9H)、2.30-2.39 (m, 5H)、3.64 (t、J = 5.7 Hz、2H)、4.03-4.08 (m, 2H)、5.60-5.66 (m,1H)、7.31 (d、J = 8.4 Hz, 1H)、7.95 (d、J = 2.7 Hz, 1H)、8.01 (dd、J = 2.7、8.4Hz、1 H)。
【化24】

【0067】
TERT-ブチル4-(5-ニトロ-2,4-ジフルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート: 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.50 (s, 9H)、2.44-2.52 (m, 2H)、3.63 (t、J = 5.7 Hz、2H)、4.07-4.12 (m, 2H)、6.01-6.07 (m,1H)、7.02 (t、J = 10.2 Hz, 1H)、8.05 (t、J = 8.1 Hz、1H)。
【化25】

【0068】
TERT-ブチル4-(5-ニトロ-2-フルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート: 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.49 (s, 9H)、2.48-2.55 (m, 2H)、3.64 (t、J = 5.4 Hz、2H)、4.08-4.13 (m, 2H)、6.07 (br s、1H)、7.18 (dd、J = 9.2、9.9 Hz、1H)、8.09-8.20 (m, 2H)。
【化26】

【0069】
TERT-ブチル4-(5-ニトロ-4-フルオロ-2-メチルフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート: 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.50 (s, 9H)、2.57-2.74 (m, 5H)、3.63 (t、J = 6.3 Hz、2H)、4.03-4.08 (m, 2H)、5.61-5.68 (m, 1H)、7.09 (d、J = 11.7 Hz、1 H)、7.80 (d、J = 7.8 Hz、1 H)。
【化27】

【0070】
TERT-ブチル4-(3-ニトロ-4-フルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート : 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.50 (s, 9H)、2.48-2.56 (m, 2H)、3.63-3.69 (m, 2H)、4.08-4.14 (m, 2H)、6.10-6.16 (m, 1H)、7.22-7.30 (m, 1H (溶媒によって不明瞭))、7.60-7.65 (m, 1 H)、8.03 (dd、J = 2.4、6.9 Hz、1 H)。
【化28】

【0071】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-2-メチルフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート:tert-ブチル4-(5-ニトロ-2-メチルフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート (22.0 g)、エタノール (無水、300 mL)及び10% Pd-C (2.00 g)の混合物を、水素雰囲気下で66時間、55〜60 psiに保持した。この混合物を濾過して濃縮し、粗製緑色油(1H NMRによって55% 転換)を得た。この油とエタノール(300 mL)の溶液に、10% Pd-C (2.00 g)を加え、得られた混合物を水素雰囲気下、20時間15分、55-60 psiに保持した。この混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、ケークをエタノール(200 mL)及びEtOAc (100 mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、EtOAc (500 mL)で希釈し、MgSO4で乾燥し、濾過及び蒸発させて、18.4 gの油を得た。これは、EtOAc (10 mL)及びヘキサン(350 mL)に溶解し、5℃で18時間静置させた。得られた混合物を濾過し、13.4 gの産物を固体(2工程にわたって71% 収率)として得た。 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.49 (s, 9H)、1.50-1.63 (m, 2H)、1.68-1.77 (m, 2H)、2.23 (s, 3H)、2.51-2.86 (m, 3H)、3.53 (bs、2H)、4.18-4.30 (m, 2H)、6.47 (dd、J = 2.4、8.1 Hz, 1H)、6.53 (d,J = 2.4 Hz、1H)、6.93 (d, J = 8.1 Hz、1H)。
【化29】

【0072】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-2,4-ジフルオロフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート: tert-ブチル4-(5-ニトロ-2,4-ジフルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート(128.0 g、53.0 mmol)、エタノール (720 mL)及び10% Pd-C (50重量%の水、3.20 g)の混合物を、水素雰囲気下で16時間、60 psiに保持した。該混合物を、セライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、該セライト(登録商標)パッドをエタノール(4 X 25 mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、17.0 g の濃い油を得た。これはさらに高真空下で数時間乾燥させた。ヘキサン(125 mL)を加え、該混合物を5℃に30分間、強く攪拌しながら冷却した。得られた固体を濾過により集め、該固体ケークを母液で洗浄し、次いで冷ヘキサン(50 mL)で洗浄し、乾燥させて15.5 g の産物をベージュの固体(94% 収率)として得た。1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.48 (s, 9H)、1.49-1.63 (m, 2H)、1.70-1.79 (m, 2H)、2.73-2.81 (m, 3H)、3.30-3.80 (br s、2H)、4.14-4.30 (m, 2H)、6.58 (dd、J = 7.5、9.9 Hz,1 H)、6.73 (t、J = 9.9 Hz, 1H) ; 19F NMR (282 MHz, CDCl3) δ-134.55,-134.52、-134.48, -129.51 (t、J = 8.5 Hz)。
【化30】

【0073】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-2-フルオロフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート : 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.48 (s, 9H)、1.50-1.66 (m, 2H)、1.73-1.82 (m, 2H)、2.73-2.98 (m, 3H)、3.51 (br s、2H)、4.15-4.30 (m, 2H)、6.44-6.51 (m, 2H)、6.76-6.85 (m, 1H) ; 19F NMR (282 MHz; CDCl3) δ -133.11、-133.09、-133.07、-133.05、-133.04。
【化31】

【0074】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート : 1H NMR (300 MHz; CDCl3) δ 1.43-1.60 (m, 11H)、1.69 (m, 2H)、2.22 (s, 3H)、2.67-2.86 (m, 3H)、3.52-3.86 (br s, 2H)、4.16-4.32 (m, 2H)、6.60 (d、J = 9.0 Hz、1H)、6.77 (d、J = 12.0 Hz, 1H); 19F NMR (282 MHz; CDCl3) δ -139.28、-139.24、-139.23、-139.20。
【化32】

【0075】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-4-フルオロフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート: 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.49 (s, 9H)、1.50-1.62 (m, 2H)、1.72-1.81 (m, 2H)、2.45-2.58 (m, 1H)、2.70-2.83 (m, 2H)、3.68 (br s、2H)、4.16-4.28 (m, 2H)、6.47-6.53 (m, 1H)、6.61 (dd、J = 2.1、8.7 Hz、1H)、6.89 (dd、J = 8.4、10.8 Hz、1H) ; 19F NMR (282 MHz; CDCl3) δ -139.01から-139.10。
【化33】

【0076】
1-ブロモ-3-ニトロ-2,4,6,-トリフルオロベンゼン : 1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼン (30.0 g; 142mmol)及びH2SO4 (115 mL)の冷却された(1.3 ℃)混合物に、HNO3 (68%; 102 mL)を1時間25分に渡って、内部温度が<8℃であるような速度で加えた。得られた混合物を0℃で1時間50分攪拌し(1時間50分での温度=4.6 ℃)、氷(1200 mL)及び水(650 mL)に注ぎ、30分間強く攪拌し、CH2Cl2 (3 X 600 mL)で抽出した。CH2Cl2抽出物を併せ、水 (2 X 600 mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過及び蒸発させて、清澄な黄色油 (35.0 g、99% 収率)として産物を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.01 (ddd、J = 2.4、7.8、9.3 Hz、1H) ; 19F NMR (282 MHz; CDCl3) δ-116.20から-116.10、-107.73から-107.71、-93.80から-93.70。
【化34】

【0077】
3-アミノ-1-ブロモ-2,4,6-トリフルオロベンゼン : 1-ブロモ-3-ニトロ-2,4,6-トリフルオロベンゼン (15.1 g; 59.0 mmol)、エタノール (590 mL)、シクロヘキサン (177 mL)及びPd(OH)2 (5.90 g)の混合物を、窒素下で2時間5分、80-85 ℃ (外部温度)(Tinternal=70℃)に熱した。この混合物を30℃まで冷却し、セライト(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAc (200 mL)及びエタノール (200 mL)で洗浄した。黄色濾液を濃縮し、60℃の高真空下で乾燥させ、11 gの産物を固体として得た(83% 収率)。 1H NMR (300 MHz; CDCl3) δ 3.60-3.80 (br s、2H)、6.76 (ddd、J = 2.4、8.4、10.2 Hz, 1H) ; 19F NMR (282 MHz, CDCl3) δ -120.44から-120.49、-131.20から-131.28、-124.72から-124.78。
【化35】

【0078】
TERT-ブチル4-(3-アミノ-2,4,6-トリフルオロフェニル)-3,6-ジヒドロ-1(2H)-ピリジンカルボキシレート : 1H NMR (300 MHz、CDCl3) δ 1.49 (s, 9H)、2.33-2.41 (m, 2H)、3.61 (t, J = 5.5 Hz, 2H)、4.03-4.O7 (m, 2H)、5.74-5.81 (m, 1H)、6.63 (ddd, J = 2.4, 9.6, 10.5 Hz, 1H)。
【化36】

【0079】
TERT-ブチル4-(3-アミノ-2,4,6-トリフルオロフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H)、1.60-1.70 (m, 2H)、1.88-2.06 (m, 2H)、2.68-2.84 (m, 2H)、2.97-3.10 (m, 1H)、3.48-3.60 (m, 2H)、4.15-4.32 (m, 2H)、6.54-6.67 (m, 1H); 19F NMR (282 MHz; CDCl3) δ -133.53から-133.52、-127.48 (d, J = 10.7 Hz)。
【化37】

【0080】
ベンジル5-ブロモ-3-ピリジニルカルバメート:トルエン(200 mL)中の5-ブロモニコチン酸 (20.0 g, 99.0 mmol)の懸濁液に、ジフェニルホスホリルアジド(25.6 mL, 118.8 mmol)及びEt3N (16.6 mL, 118.6 mmol)を加えた。室温で30分攪拌した後、ベンジルアルコール(15.4 mL, 148.5 mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、一晩還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をH2O、NaHCO3及び鹹水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(15-50% EtOAc/ ヘキサン)による精製で、22.2 g(72.5 mmol, 73 %)のベンジル5-ブロモ-3-ピリジニルカルバメートが得られた: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.39-8.32 (m, 2H), 8.29 (s, 1H), 7.45-7.32 (m, 5H), 6.94 (s, 1H), 5.22 (s, 2H) ; ESMS m/e: 307.0(M + H)+
【化38】

【0081】
TERT-ブチル4-{5-[(フェニルメトキシ)カルボニルアミノ]-3-ピリジル}-1,2,5,6-テトラヒドロピリジンカルボキシレート : 1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ 8.38-8.30 (m, 2 H)、8.10-7.97 (m, 1 H)、7.47-7.31 (m, 5 H)、7.14 (s, 1 H)、6.10 (s, 1 H)、5.22 (s, 2 H)、4.16-4.03 (m, 2 H)、3.71-3.57 (m, 2 H)、2.57-2.42 (m, 2 H)、1.49 (s, 9 H); ESMS m/e : 410.2 (M + H)+。
【化39】

【0082】
TERT-ブチル4-(5-アミノ-3-ピリジニル-1-ピペリジンカルボキシレート : 1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ 8.01-7.95 (m, 1 H)、7.89 (s, 1 H)、6.83 (s, 1 H)、4.39-4.09 (br、2 H)、3.90-3.50 (br、2 H)、2.88-2.68 (m, 2 H)、2.67-2.52 (m, 1 H)、1.88-1.71 (m, 2 H)、1.68-1.49 (m, 2 H)、1.48 (s, 9 H); ESMS m/e: 278.3 (M + H)+
【化40】

【0083】
5-(2-フェノキシフェニル)-吉草酸: 室温の酢酸 (4 mL)中の5-(2-フェノキシフェニル)-5-オキソ-吉草酸 (Rieke Metals、Inc.) (500 mg、1.8 mmol)の溶液に、Pd/C (10%、50 mg)及び0.2 mLのHCl(conc.)を加えた。次いで、得られた混合物を水素化した(室温、100 psi、一晩)。この反応混合物をセライトを通して濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣を一晩、高真空に曝露し、微量の酢酸を除去した。粗製産物をさらなる精製をすることなしに次の工程に用いた (500 mg、1.8 mmol、定量的収量)。 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35-7.21 (m, 3H)、7.19-7.12 (m, 1H)、7.11-7.01 (m, 2H)、6.96-6.83 (m, 3H)、2.65 (t、2H、J = 7.2 Hz)、2.34 (t、2H、J = 7.2 Hz)、1.73-1.59 (m, 4H); ESI-MS m/e : 269.4 (M-H)-
【化41】

【0084】
5-(4-ビフェニルイル)吉草酸: 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.63-7.06 (m, 9H)、2.75-2.62 (m, 2H)、2.48-2.32 (m, 2H)、1.79-1.62 (m, 4H)。
【化42】

【0085】
4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタン酸:ジメチルスルホキシド (1.50 mL)中の、4-(4-ロドフェニル)ブタン酸 (40.0 mg、0.130 mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル(1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル))-1,3,2-ジオキサボロラン(ビス(ピノコレート)二ホウ素) (33.3 mg、0.150 mmol)、酢酸カリウム (54.1 mg、0.550 mmol)及び1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム (5.60 mg、5 mol%)を、100℃に18時間熱した。この反応混合物を真空下で濃縮し、暗色の油が残った。残渣をEtOAcで希釈し、濾過し、濾液を真空下で濃縮し、粗製酸 (38.0 mg、95%)が残った。ESMS m/e: 291.2 (M-H)-
【化43】

【0086】
4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタン酸 : 4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノール、(2.00 g、10.0 mmol)、エチル4-ブロモブタノエート、(2.00 mL、14.9 mmol)、K2CO3 (2.40 g、17.0 mmol)、NH4I (1.00 g、7.00 mmol)及びアセトニトリル (14 mL)の混合物を、定期的にモニタリングしながら、合わせて合計90分間140℃で熱した。反応混合物を、水 (100 mL)とジエチルエーテル (50 mL)との間で分配し、分離し、ジエチルエーテル (50 mL)で洗浄した。混合性有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下で濃縮し、黄色油が残った。粗製産物を、結合溶離カートリッジ(70 g、二回実行)で、ペンタン、続いてペンタン:ジエチルエーテル、4:1次いで1:1で溶出して精製し、エチル4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタノエートを無色の油(1.17 g, 35%)として得た。 1H NMR (CDCl3) δ 7.73 (m, 2H)、6.87 (m, 2H)、4.14 (q、J=7.1 Hz、2H)、4.03 (t、J=6.1 Hz、2H)、2.51 (t、J=7.3 Hz、2H)、2.11 (m, 2H)、1.33 (s, 12H)、1.25 (t、J=7.1 Hz、3H)。エチル4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタノエート(1.17 g、3.50 mmol)をエタノール (10 mL)に溶解し、水酸化リチウム(1M、10 mL)を加えた。得られた混合物を環境温度で1時間攪拌し、次いで、塩酸(1M、25.0 mL)で酸性化した。水性混合物をEtOAc(3x20 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタン酸が白色固体(0.906 g,96%)として残った。 1H NMR(CDCl3)、 δ 7.65 (m, 2H)、6.89 (m, 2H)、4.04 (t、J=6.2 Hz、2H)、2.48 (t、J=7.3 Hz、2H)、2.06 (m, 2H)、1.32 (s, 12H)。
【化44】

【0087】
4-(4-ヨードフェノキシ)酪酸は、4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ]ブタン酸を調製するために用いる同じ方法によって、4-ヨードフェノール及びエチル4-ブロモブタノエートから、調製した。1H NMR (CD3OD)、δ 7.54 (m, 2H)、6.73 (m, 2H)、3.99 (t、J=6.3 Hz、2H)、2.47 (t、J= 7.3 Hz、2H)、2.04 (m, 2H)。
【化45】

【0088】
6-(4-フェニルフェニル)ヘキサン酸:メチル5-(クロロカルボニル)ペンタノエート(2.00 g、11.2 mmol)を、ニトロベンゼン (15 mL)中のフェニルベンゼン (ビフェニル) (0.580 g、3.73 mmol)の冷却溶液(-5 ℃)に加えた。三塩化アルミニウム(2.99 g、22.4 mmol) を該反応混合物に滴下して(portionwise)加え、環境温度で16時間攪拌を続け、次いで、該混合物を粉砕された氷(50 mL)に注いだ。反応混合物を1時間静置し、二相性混合物を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。混合性有機抽出物を塩酸 (2 x、0.1 M)で、次いで炭酸ナトリウム溶液(2 x、5%)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、淡黄褐色固体が残った。粗製産物をテトラヒドロフラン (10 mL)に溶解し、水酸化リチウム (0.82 M、5 mL)を加え、該混合物を2時間攪拌した。該反応混合物を真空下で濃縮し、水性残渣をジクロロメタンで、次いでEtOAcで抽出し、次に、塩酸 (0.1 M)で酸性化した。水相をさらにEtOAc (3x)で抽出し、混合性有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して、6-オキソ-6-(4-フェニルフェニル)ヘキサン酸をクリーム色の固体として得た(0.220 g、21%)。ESMS m/e : 283.2(M-H)- ; 1H NMR (CDCl3), δ 8.03 (m, 2H), 7.68 (m, 2H), 7.63 (m, 2H), 7.47 (m, 2H) 7.40 (m, 1H), 3.04 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.44 (t, J=7.2 Hz, 2H), 1.84 (m, 2H), 1.77 (m, 2H)。6-オキソ-6-(4-フェニルフェニル)ヘキサン酸(0.220 g, 0.780 mmol)を、トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解し、トリエチルシラン(0.310 mL, 1.25 mmol)を滴下して加えた。反応混合物を窒素下で72時間、55℃に熱し、次いで環境温度に冷却し、真空下で濃縮して油性固体が残った。粗製産物を、飽和した重炭酸ナトリウム溶液及びジエチルエーテルの間で分配した。水層を塩酸で酸性化し、ジエチルエーテル(3x10 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、6-(4-フェニルフェニル)ヘキサン酸を淡黄褐色固体として残した (105 mg, 50%)。ESMS m/e: 267.0 (M-H)-1H NMR (CDCl3), δ 7.58 (m, 2H), 7.51 (m, 2H), 7.42 (m, 2H), 7.32 (m, 1H) 7.24 (m, 2H), 2.66 (t, J=7.7 Hz, 2H), 2.37 (t, J=7.5 Hz, 2H), 1.68 (m, 4H), 1.43 (m, 2H)。
【化46】

【0089】
5-{4-(4-(トリフルオロメチル)フェニル]フェニル}ペンタン酸:5-(4-ブロモフェニル)ペンタン酸(300 mg, 1.17 mmol)、4-(トリフルオロメチル)-ベンゼンホウ素酸(243 mg, 1.28 mmol)、炭酸ナトリウム(154 mg, 1.41 mmol)、水(1.55 mL)及びイソプロパノール(0.220 mL)の混合物を、150℃で10分間加熱した。反応混合物を、水とEtOAcの間で分配し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮し、5-{4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]フェニル}ペンタン酸を固体として得た(120 mg, 32%)。ESMS m/e: 321.3 (M-H)-1H NMR (CDCl3), δ 7.67 (s, 4H), 7.51 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.27 (d, J=8.2 Hz, 2H), 2.70 (m, 2H), 2.41 (m, 2H), 1.72 (m, 4H)。
【化47】

【0090】
N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド:2 mLのCH2Cl2/DMF (10:1)中の、5-(4-ビフェニルイル)吉草酸 (0.20 mmol、50 mg)、EDC (100 mg、0.52 mmol)、DMAP (15 mg、0.12 mmol)を、15 分攪拌し、続いて、tert-ブチル4-(5-アミノ-2-フルオロフェニル)-1-ピペリジンカルボキシレート(0.17 mmol、50 mg)を加えた。該反応混合物を室温で24時間攪拌した。該反応混合物を調製用TLC(何らの作業(work up)もなしで)(シリカゲル、1:1 ヘキサン/EtOAc)に直接アプライし、tert-ブチル4-{2-フルオロ-5-[5-(4-フェニルフェニル)ペンタノイルアミノ]フェニル}ピペリジンカルボキシレートを得た。1H NMR (400 MHz、CDCl3) δ 7.60-7.55 (m, 2H)、7.54-7.48 (m, 2H)、7.45-7.39 (m, 2H)、7.39-7.28 (m, 4H)、7.27-7.22 (m, 2H)、6.98-6.91 (m,1H)、4.33-4.13 (br、2H)、3.01-2.90 (m, 1H)、2.89-2.60 (m, 2H)、2.69 (t、2H、J = 7.2 Hz)、2.37 (t、2H、J = 7.2Hz)、1.85-1.04 (m, 9H); ESI-MS m/e: 529.5 (M-H)-。先の工程からのtert-ブチル4-{2-フルオロ-5-[5-(4-フェニルフェニル)ペンタノイルアミノ]フェニル}ピペリジンカルボキシレートは、室温で2時間、ジオキサン(1 mL)中の4 M HClで処理した。真空下で溶媒を除去し、シリカTLC(シリカゲル、2M NH3/MeOH : EtOAc、1:4) (11.6 mg、2工程で15% )で精製し、N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミドを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.51 (s, 1H)、7.76-7.69 (m, 1H)、7.58-7.52 (m, 2H)、7.51-7.45 (m, 2H)、7.45-7.36 (m, 2H)、7.35-7.27 (m, 1H)、7.25-7.18 (m, 3H)、6.97-6.89 (m,1H)、3.55-3.44 (m, 2H)、3.08-2.97 (m,1H)、2.97-2.86 (m, 2H)。2.66 (t、2H、J = 7.2 Hz)、2.46 (t、2H、J = 7.2Hz)、2.00-1.83 (m, 4H)、1.83-1.65 (m, 4H); ESI-MS m/e : 431.3 (M + H)+
【0091】
以下の化合物は、同様に調製した:
【化48】

【0092】
5-(2-フェノキシフェニル)-N-(3-(4-ピペリジル)フェニル)ペンタンアミド:スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 429.4 (M + H)+
【化49】

【0093】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド:スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 443.4 (M + H)+
【化50】

【0094】
N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド:スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 447.3 (M + H)+
【化51】

【0095】
N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 447.3 (M + H)+
【化52】

【0096】
N-(2-フルオロ-4-メチル-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 461.3 (M + H)+
【化53】

【0097】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 427.3 (M + H)+
【化54】

【0098】
N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 431.3 (M + H)+
【化55】

【0099】
N-(2-フルオロ-4-メチル-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 445.3 (M + H)+
【化56】

【0100】
N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 431.3 (M + H)+
【化57】

【0101】
N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 431.3 (M + H)+
【化58】

【0102】
N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 445.3 (M + H)+
【化59】

【0103】
5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)-N-(3-(4-ピペリジル)フェニル)ペンタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 427.3 (M + H)+。
【化60】

【0104】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 441.3 (M + H)+。
【化61】

【0105】
N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド: スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 445.2 (M + H)+。
【化62】

【0106】
N-(2,4-ジフルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 449.2 (M + H)+。
【化63】

【0107】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-6-(4-フェニルフェニル)ヘキサンアミド:スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e: 441.3 (M + H)+。
【化64】

【0108】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-{4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]フェニル}ペンタンアミド : スキーム9で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 495.1 (M + H)+。
【化65】

【0109】
4-[4-(3-フルオロフェニル)フェニル]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド :ジメチルホルムアミド (2 mL)中の、tert-ブチル4-(3-アミノ-6-メチルフェニル)ピペリジンカルボキシレート (39.6 mg、0.130 mmol)、4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ブタン酸、(38.0 mg、0.130 mmol)、[ジメチルアミノ-([1,2,3]トリアゾール[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシ)-メチレン]-ジメチル-アンモニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、54.3 mg、0.140 mmol)及びジイソプロピルエチルアミン (68.0μL、0.390 mmol)の混合物を、環境温度で18時間攪拌した。該反応混合物を真空下で濃縮し、EtOAc (20 mL)に溶解し、重炭酸ナトリウム (飽和、10 mL)及び水(2x10 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、ゴムを得た。シリカゲル(シリカゲル 60, 40 mL)上で、シクロヘキサン:EtOAc、8:1、次いで4:1での溶出による精製で、tert-ブチル4-(2-メチル-5-{4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル(1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル))フェニル]ブタノイルアミノ}フェニル)ピペリジンカルボキシレートを黄色油 (39.0 mg、53%)として得た。ESI-MS m/e: 563.3(M+H)+。ジメチルホルムアミド (0.8 mL)中の、tert-ブチル4-(2-メチル-5-{4-[4-(4,4,5,5-テトラメチル(1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル))フェニル]ブタノイルアミノ}フェニル)ピペリジンカルボキシレート (19.0 mg、0.033 mmol)の脱気された溶液を、3-フルオロブロモベンゼン (6.55 mg、0.370 mmol)、1,1'-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-フェロセンジクロロパラジウム (3.30 mg、8 mol%)及び炭酸セシウム溶液、(2M、50 μL)の混合物に加え、得られた混合物を110℃で25分、マイクロ波中で熱した。この反応混合物を真空下で濃縮し、次いで、水 (20 mL)及びEtOAc(2x10 mL)の間で分配した。有機相を分離し、水(2x20 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮してゴムが残った。粗製産物を、シリカゲル (シリカゲル 60, 20 mL)上で、シクロヘキサン:EtOAc、85:15で、次いで4:1で溶出して精製し、tert-ブチル4-(5-{4-[4-(3-フルオロフェニル)フェニル]ブタノイルアミノ}-2-メチルフェニル)ピペリジンカルボキシレート (13.0 mg、73%)を得た。ESI-MS m/e: 431.3 (M-C5H8O2+H)+。得られたtert-ブチル4-(5-{4-[4-(3-フルオロフェニル)フェニル]ブタノイルアミノ}-2-メチルフェニル)ピペリジンカルボキシレートを、ジクロロメタン (0.8 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸 (95%、0.8 mL)を加え、反応混合物を2時間攪拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をアセトニトリル (1 mL)に再溶解し、塩酸(1M、1 mL)を加え、該反応混合物を真空中で濃縮し、4-[4-(3-フルオロフェニル)フェニル]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド塩酸塩を白色固体として得た(11.2 mg、98%)。 ESMS m/e: 431.2 (M+H)+; 1H NMR (CD3OD) δ 7.59 (m,1H)、7.53 (d、J=8.0 Hz、2H)、7.40 (m, 2H) 7.30 (m, 3H)、7.17 (m,1H)、7.10 (d、J=8.4 Hz, 1H)、7.03 (m, 1H)、3.49 (d、J=12.6 Hz、2H)、3.17 (td、J=12.7、2.8 Hz、2H)、3.11 (tt、J=12.0、3.5 Hz, 1H)、2.75 (t、J=7.5 Hz、2H)、2.41 (t、J=7.5 Hz、2H)、2.32 (s, 3H)、2.05 (四重項、J=7.5 Hz、2H)、1.93 (m, 4H)。
【化66】

【0110】
4-[4-(2-フルオロフェニル)フェノキシ]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド: ジメチルホルムアミド (10 mL)中の、tert-ブチル4-(3-アミノ-6-メチルフェニル)ピペリジンカルボキシレート (436 mg、1.50 mmol)、4-(4-ヨードフェノキシ)ブタン酸 (460 mg、1.50 mmol)、1-[3-ジメチルアミノプロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩 (370 mg、1.90 mmol)、及びHOBt (320 mg、2.30 mmol)の混合物を、環境温度で2時間熱した。反応混合物を、水 (80 mL)とジエチルエーテル(3x20 mL)の間で分配した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮し、黄色油を残った。粗製産物を、SPEカートリッジ(5 g)で、ペンタンに続いてペンタン:ジエチルエーテル、1:1、次に1:4、次に100% ジエチルエーテルによる溶出によって精製し、tert-ブチル4-{5-[4-(4-ヨードフェノキシ)ブタノイルアミノ]-2-メチルフェニル}ピペリジンカルボキシレートをクリーム色の泡として得た(514 mg、59%)。ESMS m/e: 579.2(M+H)+ ; 1H NMR(CDCl3) δ 7.54 (m, 2H)、7.30 (d、J = 2.1 Hz、1H)、7.23 (dd、J = 8.2、2.1 Hz, 1H)、7.17 (br s、1H)、7.09 (d、J = 8.2 Hz, 1H)、6.67 (m, 2H)、4.26 (br s、2H)、4.03 (t、J = 5.9 Hz、2H)、2.80 (m, 3H)、2.55 (t、J = 7.1 Hz、2H)、2.30 (s, 3H)、2.20 (m, 2H)、1.73 (br d、J = 13.6 Hz、2H)、1.58 (m, 2H)、1.49 (s, 9H)。tert-ブチル4-{5-[4-(4-ヨードフェノキシ)ブタノイルアミノ]-2-メチルフェニル}ピペリジンカルボキシレート及び2-フルオロベンゼンホウ素酸 (35 mg、0.250 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム (0) (12.0 mg、10 mol%)、水性炭酸ナトリウム (2 M, 1 mL)及びジメトキシエタン (2 mL)を、120℃で15分、マイクロ波中で熱した。該反応混合物を水 (2 mL)で希釈し、酢酸エチル (3x 0.5 mL)で抽出し、混合性有機相を、窒素を用いて吹き飛ばした。得られたゴムをSPEカートリッジ(5 g)で、シクロヘキサン:酢酸エチル、9:1次いで3:2で溶出して精製し、tert-ブチル4-(5-{4-[4-(2-フルオロフェニル)フェノキシ]ブタノイルアミノ}-2-メチルフェニル)ピペリジンカルボキシレート(60.0 mg、定量的)を得た。ESMS m/e: 447.3(M-C5H8O2+H)+ ; 1H NMR(CDCl3) δ 7.47 (2H、m)、7.40 (1H、td、J=7.7、1.9 Hz)、7.34(1H、d、J=1.8 Hz)、7.28(1H、m)、7.24 (2H、m)、7.18(1H、td、J=7.7、1.2 Hz)、7.13(1H、ddd、J=10.8、8.1、1.2 Hz)、7.09 (1H、d、J=8.2 Hz)、6.97 (2H、m)、4.26 (2H、broad s)、4.11 (2H、t、J=6.0 Hz)、2.80 (3H、m)、2.59 (2H、t、J=7.1 Hz)、2.30 (3H、s)、2.24 (2H、m)、1.73 (2H、broad d)、J=12.3 Hz)、1.60 (2H、qd、J=12.3、3.8 Hz)、1.48 (9H、s)。アミドをジクロロメタン (1 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸 (1 mL)を加えた。得られた溶液を軌道上で1時間振盪し、次いで、窒素で吹き飛ばして油を残した。アミノSPEカートリッジ(2 g)上で、ジエチルエーテル、続いてエチルアセテート、次いで酢酸エチル中10% メタノールにより溶出して精製し、4-[4-(2-フルオロフェニル)フェノキシ]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミドを得た。これをメタノール (2 mL)に溶解し、塩酸(1 M、3 mL)を加え、得られた混合物を真空中で濃縮し、ジエチルエーテルで倍散し、4-[4-(2-フルオロフェニル)フェノキシ]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミドを得た。ESMS m/e: 447.2 (M+H)+; 1H NMR (DMSO-D6) δ 9.95 (s, 1 H)、8.92(br d、J= 10.9 Hz、1 H)、8.68 (br q、J = 10.9 Hz、1 H,)、7.58 (d、J = 2.0 Hz, 1H) 7.49(m, 3H)、7.37 (m, 1H)、7.28 (m, 3H)、7.07 (d、J = 8.6 Hz, 1H)、7.04 (m, 2H)、4.07 (t、J = 6.4 Hz、2H)、3.36 (4H、水のピーク下)、3.02 (m, 3H)、2.25 (s, 3H)、2.05 (五重項、2H)、1.81 (m, 4H)。
【0111】
以下の化合物は同様に調製した:
【化67】

【0112】
4-[4-(4-シアノフェニル)フェニル]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド:スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 438.0 (M + H)+。
【化68】

【0113】
4-[4-(2-シアノフェニル)フェニル]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESI-MS m/e : 438.0 (M+H)+。
【化69】

【0114】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-[4-(2-メチルフェニル)フェニル]ペンタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 441.3 (M+H)+。
【化70】

【0115】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-[4-(3-メチルフェニル)フェノキシ]ブタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 443.1 (M+H)+。
【化71】

【0116】
4-[4-(4-フルオロフェニル)フェノキシ]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド: スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 447.2 (M+H)+。
【化72】

【0117】
4-[4-(3-シアノフェニル)フェノキシ]-N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)ブタンアミド: スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 454.2 (M+H)+。
【化73】

【0118】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-[4-(2-メチルフェニル)フェノキシ]ブタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 443.2 (M+H)+。
【化74】

【0119】
N-(2-フルオロ-4-メチル-5-(4-ピペリジル)フェニル)-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド: スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 431.3 (M+H)+。
【化75】

【0120】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-(4-(2-ピリジル)フェニル)ブタンアミド: スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e : 414.2 (M+H)+。
【化76】

【0121】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-(4-(3-ピリジル)フェノキシ)ブタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 430.3 (M+H)+。
【化77】

【0122】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-(4-ピリジル)フェニル)ペンタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 428.3 (M+H)+。
【化78】

【0123】
N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-(4-(2-ピリジル)フェノキシ)ブタンアミド : スキーム11で概要を述べた方法に従って調製した。ESMS m/e: 430.1 (M+H)+。
【0124】
III. 経口組成物
本発明の化合物の経口組成物の具体的な態様として、本明細書に開示された化合物の一つの100 mgが、充分に微細に分割されたラクトースと共に処方されて、サイズ0の硬質ゲルカプセルを充填するための総量580〜590 mgを提供する。
【0125】
IV.クローン化されたラットMCH1受容体での化合物の薬理学的評価
本発明の化合物の薬理学的性質を、下記のプロトコールを用いてクローン化されたラットMCH1受容体で評価した。
【0126】
宿主細胞
広く多様な宿主細胞が、異種性に発現されたタンパク質の研究に用いられる。それらの細胞には、これらに限定されないが、分類された哺乳類株、例えばCos-7、CHO、LM(tk-)、HEK293及びピークラピッド(Peak rapid)293;昆虫細胞株、例えば、Sf9及びSf21;両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル(Xenopus oocytes);及びその他が含まれる。COS 7細胞は、150 mmプレート上で、(10% 子ウシ血清、4 mM グルタミン、100 ユニット/ml ペニシリン/100 Fg/ml ストレプトマイシンを含む、ダルベッコの改変されたイーグル培地)を補充されたDMEM中、37℃、5% CO2で増殖される。COS-7細胞のストックプレートはトリプシン処理され、3-4日毎に1:6分割される(split)。ヒト胚性腎臓293細胞は、150 mm プレート上で、(10% 子ウシ血清、4 mM グルタミン、100ユニット/ml ペニシリン/100 Fg/ml ストレプトマイシン)を補充されたDMEM中、37℃、5% CO2で増殖される。293細胞のストックプレートはトリプシン処理され、3-4日毎に1:6分割される(split)。
【0127】
ヒト胚性腎臓ピークラピッド(Peak rapid)293 (Peakr293)細胞は、150 mmプレート上で、(10%ウシ胎仔血清、10% L-グルタミン、50 Fg/ml ゲンタマイシン)を補充されたDMEM中、37℃、5% CO2で増殖される。ピークラピッド293細胞のストックプレートは、トリプシン処理され、3-4 日毎に1:12分割される。マウス線維芽細胞LM(tk-)細胞は、150 mmプレート上で、(10% 子ウシ血清、4 mM グルタミン、100 ユニット/ml ペニシリン/100 Fg/ml ストレプトマイシンを含む、ダルベッコの改変されたイーグル培地)を補充したDMEM中、37℃、5% CO2で増殖される。LM(tk-)細胞のストックプレートは、トリプシン処理され、3-4日毎に1:10分割される。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、150 mmプレート上で、(10% 子ウシ血清、4 mM L-グルタミン及び100 ユニット/ml ペニシリン/100 Fg/ml ストレプトマイシン)を補充されたハム(HAM)のF-12培地中、37 ℃、5% CO2で増殖した。CHO細胞のストックプレートは、トリプシン処理され、3-4日毎に1:8分割される。マウス胚性繊維芽細胞 NIH-3T3細胞は、150 mm プレート上で、(10% 子ウシ血清、4 mM グルタミン、100 ユニット/ml ペニシリン/100 Fg/ml ストレプトマイシン)を補充された、改変されたダルベッコイーグル培地(DMEM)中、37℃、5% CO2で増殖される。NIH-3T3細胞のストックプレートは、トリプシン処理され、3-4日毎に1:15分割される。Sf9及びSf21細胞は、150 mm 組織培養皿上の単層で、10% ウシ胎仔血清を補充したTMN-FH培地中、27℃、無CO2で増殖される。高度な5つの(High Five)昆虫細胞は、150 mm組織培養皿上で、L-グルタミンを補充されたEx-セル 400TM 培地中、27℃、無CO2で増殖される。ある場合には、接着性単層として増殖する細胞株は、細胞収率を上昇させるために、懸濁液培養に転換されることができ、また、日常的な受容体スクリーニングプロジェクトのための均一なアッセイ物質の大規模バッチを提供することができる。
【0128】
一過性の発現
調査されるタンパク質をコードするDNAは、哺乳類、昆虫、両生類等の種々の細胞株中で、これらに限定されないが、リン酸カルシウム-媒介、DEAE-デキストラン媒介、リポソーマル-媒介、ウイルス性-媒介、エレクトロポレーション-媒介及びマイクロインジェクション送達を含む幾つかの方法によって、一過性に発現されることができる。これらの方法のそれぞれは、DNA、細胞株、及び続いて用いられるアッセイの種類に依存して、類別された実験パラメーターの最適化が要求される。ピークラピッド293細胞に適用されるような、リン酸カルシウム方法のための典型的なプロトコールは以下のように開示される:接着細胞を、形質移入の約24時間前に収集し、150 mm組織培養皿中、3.5 x 106 細胞/皿の密度で播種し、一晩、37℃、5% CO2でインキュベートする。CaCl2及びDNA (250 mM CaCl2中、15 Fg DNA)の混合物250 Flを、5 ml プラスチックチューブに加え、2X HBS (280 mM NaCl、10 mM KCl、1.5 mM Na2HPO4、12 mM デキストロース、50 mM HEPES)500 FIを、穏やかに混合しながらゆっくり加える。この混合物を室温で20分間インキュベートし、DNA沈殿物を形成させる。このDNA沈殿混合物を、次に各プレートの培養培地に加え、37℃、5% CO2で5時間インキュベートする。インキュベーション後、培養培地5 ml (DMEM、10% FBS、10% L-glut及び50μg/ml ゲンタマイシン)を各プレートに加える。次いで、細胞を37℃、5% CO2で、24〜48時間インキュベートする。Cos-7細胞に適用されるような、DEAE-デキストラン方法のための典型的なプロトコールは、次のように記載される;形質転換に用いられる細胞は、形質転換の24時間前に分割し、形質転換のときに70〜80%集密であるフラスコを用意する。簡単に述べると、8 Fgの受容体DNAプラス8 Fgの必要な任意の追加DNA(例えば、Gαタンパク質発現ベクター、受容体構築物、抗生物質耐性マーカー、偽のベクターなど)を、9 mlの完全DMEMプラスDEAE-デキストラン混合物 (PBS 中10 mg/ml)に加える。T225フラスコに蒔かれたCos-7細胞(半-集密)をPBSで一回洗浄し、該DNA混合物を各フラスコに加える。細胞を30分間、37℃、5% CO2でインキュベートさせる。インキュベーションに続いて、80 FMクロロキンを含む36mlの完全DMEMを各フラスコに加え、さらに3時間インキュベートさせる。次いでこの培地を吸引し、10% DMSOを含む完全培地24 mlを正確に2分間、次いで吸引する。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、30 ml の完全DMEMを各フラスコに加える。次いで、細胞を一晩インキュベートさせる。翌日、該細胞をトリプシン処理によって収集し、実施されるアッセイの種類に依存して必要とされるように再播種する。
【0129】
CHO細胞に適用されるリポソーマル媒介形質移入の典型的なプロトコールを以下に記載する;形質移入に用いるための細胞は、形質移入の24時間前に分割し、形質移入の時に70〜80%の周密であるフラスコを用意する。種々の割合の受容体DNAプラス必要な任意の追加DNA(例えば、Gαタンパク質発現ベクター、レポーター構築物、抗生物質耐性マーカー、偽のベクターなど)を含む総計10FgのDNAを、各75 cm2フラスコの細胞の形質転換に用いる。リポソーマル媒介形質移入は、製造者の推奨(LipofectAMINE, GibcoBRL、Bethesda、MD)にしたがって実行される。形質移入された細胞は、形質移入24時間後に収集されて用いられるか、用いられるアッセイの要求に従って再播種される。Cos-7細胞に適用されるエレクトロポレーション法の典型的なプロトコールは、以下のように記載される;形質移入に用いられる細胞は、形質移入の24時間前に分割されて、形質移入の時に半集密であるフラスコを提供する。この細胞は、トリプシン処理によって収集され、それらの増殖培地中に再懸濁され、そしてカウントされる。4×106細胞を、DMEMの300 Fl中に懸濁し、エレクトロポレーションキュベットに入れる。8Fgの受容体DNAプラス8Fgの任意の必要な追加DNA(例えば、Gαタンパク質発現ベクター、レポーター構築物、抗生物質耐性マーカー、偽のベクターなど)を細胞懸濁液中に加え、キュベットをBioRad Gene Pulser中に設置し、電気パルスに供す(Gene Pulser 設定: 0.25 kV電位、950 FF電気容量)。パルスに続いて、800 Flの完全DMEMを各キュベットに加え、該懸濁液を滅菌チューブに移動する。完全培地を各チューブに加えて最終細胞濃度を1×105細胞/100 Flにする。次いで細胞を、実行するアッセイの種類に依存して必要とされるように播種する。
【0130】
異種性タンパク質のウイルス媒介発現の典型的なプロトコールは、昆虫Sf9細胞のバキュロウイルス感染について次のように記載される。ここで開示される受容体をコードするDNAのコーディング領域は、pBlueBaclll中に、制限酵素切断サイト中にサブクローンされ、或いは、ポリペプチドのコーディング領域に設計された配列5'〜3'中のサイトにサブクローンされる。バキュロウイルスの産生のために、0.5 FgのウイルスDNA (BaculoGold)及び3 FgのポリペプチドをコードするDNA構築物を、「Pharmingen(バキュロウイルス発現ベクター系:手順及び方法マニュア)」に概要が述べられているように、リン酸カルシウム共沈殿方法によって、2 x 106 Spodoptera frugiperda昆虫Sf9細胞中へ同時形質移入することができる。次いで、細胞を27℃で5日間インキュベートする。同時形質移入プレートの上清を遠心分離で集め、組換えウイルスプラークを精製した。ウイルスを含有する昆虫細胞のための手順、ウイルスのストックの調製のための手順、及びウイルスストックの力価のための手順は、ファーミンゲン(Pharmingen)のマニュアルに記載されたとおりである。同様の原理が、一般に、哺乳類細胞の、レトロウイルス、シムリキ・フォーレスト・ウイルス(Simliki forest virus)及びアデノウイルス、ヘルペスウイルス、及びバシニアウイルスなどのような二重鎖DNAウイルスによる発現に適用される。
【0131】
安定な発現
異種性DNAは宿主細胞中へ安定に取り込まれることができ、該細胞に外来タンパク質を永続的に発現させる。DNAを該細胞中に送達する方法は、上記の一過性発現について記載したものと同様であるが、しかし、標的宿主細胞に薬剤耐性を与える補助的な遺伝子の同時形質移入が必要である。薬剤耐性の増強は、異種性DNAの取込みを有している細胞を選択し維持するために利用することができる。耐性遺伝子の詰め合わせ(assortment)が入手可能であり、これらに限定されないが、ネオマイシン、カナマイシン、及びハイグロマイシンを含む。受容体調査のための異種性受容体タンパク質の安定な発現は、これに限定される必要はないが、CHO、HEK293、LM(tk-)等を含む哺乳類細胞で実行される。
【0132】
細胞膜調製
結合アッセイのために、形質移入した細胞のペレットを、氷冷バッファー(20 mMトリs.HCI、5 mM EDTA、pH 7.4)に懸濁し、超音波処理で7秒間ホモジナイズする。細胞可溶化液を、200 x gで5分間、4℃で遠心分離する。次いで上清を40,000 x gで20分、4℃で遠心分離する。得られたペレットを均質化バッファー中で一回洗浄し、結合バッファー(放射性リガンド結合の方法を参照)中に懸濁する。タンパク質濃度を、ウシ血清アルブミンを標準として用いるBradford (1976)の方法によって測定する。結合アッセイは通常は直ちに行うが、バッチ中で膜を調製し、将来使用するために液体窒素中で保存することは可能である。
【0133】
放射性リガンド結合アッセイ
ラットMCH1受容体のための放射性リガンドアッセイは、プラスミドpcDNA3.1-rMCH1-f (ATCC特許受託番号PTA-3505)を用いて行った。プラスミドpcDNA3.1-rMCH1-fは、それらの発現を可能にするためにラットMCH1受容体をコードするDNAに操作的に結合された、哺乳類細胞中でのDNAの発現のために必要な制御要素を含んでいる。プラスミドpcDNA3.1-rMCH1-fは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の下、2001年7月5日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(12301 Parklawn Drive、Rockville、Maryland 20852、U.S.A.)に寄託され、ATCC特許受託番号PTA-3505を与えられている。結合アッセイは、後記するように、プラスミドpEXJ.HR-TL231 (ATCC受け付け番号203197)を用いて実行することもできる。プラスミド pEXJ.HR-TL231は、ヒト MCH1 受容体をコードし、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の下、1998年9月17日に、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC) (12301 Parklawn Drive、Rockville、Maryland 20852、U.S.A.)に寄託され、ATCC受け付け番号203197を与えられている。ヒト胚性腎ピークラピッド(Peak rapid)293細胞(Peakr293細胞)は、リン酸カルシウム方法を用いて、MCH1受容体をコードするDNAで瞬間的に形質移入され、細胞膜は上記のように調製した。ラットMCH1受容体を形質移入されたPeakr293細胞からの膜での結合実験は、0.08 nM [3H] 化合物 A で、50 mM Tris pH 7.4、10 mM MgCl2、0.16 mM PMSF,1 mM 1,10 フェナントロリン(phenantroline)及び0.2% BSAから成るインキュベーションバッファーを用いて実行した。結合は、25℃で90分間行った。インキュベーションは、50 nM Tris pH 7.4 を洗浄バッファーとして用いて、5% PEIに予浸した、GF/Cガラス繊維フィルターによる急速な吸引濾過によって終結させた。全ての実験において、非特異的結合は、10 pMのトリチウムメチル (4S)-3-{[(3-{4-[3-(アセチルアミノ)フェニル]-1-ピペリジニル}プロピル)アミノ]カルボニル}-4-(3,4-ジフルオロフェニル)-6-(メトキシメチル)-2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ピリミジンカルボキシレートを用いて決定される。この放射性標識された化合物の合成は、WO 03/04027に開示されている。
【0134】
結合データ
上記確認されたアッセイは、本発明の化合物がMCH1受容体の潜在的阻害剤であることを同定するために用いた。開示された化合物のKi値は、0.1 nM〜1000 nMの範囲である。一つの態様において、MCH1受容体に対する化合物の結合親和性は、0.5 nM〜500 nMである。一つの態様において、MCH1受容体に対する化合物の結合親和性は、1.O nM〜100 nMである。他の態様において、MCH1受容体に対する化合物の結合親和性は、1.0 nM〜75 nMである。
【0135】
VI. インビボ方法
A.肥満症
次の二つ(2)の方法は、肥満症の治療のための、MCH1アンタゴニストの効力を予測するために用いられるプロトコールを記載する。
【0136】
1.体重に及ぼすMCH1アンタゴニストの影響(3日)
オスのロングエバンスラット(チャールズ・リバー)、体重180〜200グラムを、4つのグループに収容し、12時間の光/闇サイクル、食物及び水に自由に接近可能とする。試験化合物は、日に二回、腹腔内注射によって、闇サイクルの1時間前と光を点灯して2時間後に投与し、3日間投与する。全てのラットは毎朝の注射後に秤量する。全体的な結果は、日当たりに増加した体重(グラム)として表し(平均±SEM)、二方向(two-way)ANOVAによって分析する。各時点でのデータは、一方向(one-way)ANOVAによって分析し、続いてポストhocニューマン-ケウルス試験(post hoc Newman-Keuls test)によって分析する。このデータは、次いで、GraphPad Prism (v2.01) (GraphPad Software、Inc.、Sanジego、CA)を用いて分析する。
【0137】
2.加糖コンデンスミルクの消費に及ぼすMCH1アンタゴニストの影響
オスのC57BL/6マウス(チャールズ・リバー)、実験の開示時の体重17-19グラムを、4又は5のグループに収容し、12時間の光/闇サイクル、食物及び水に自由に接近可能とする。7日間、マウスを秤量し、個々のケージにおき、加糖コンデンスミルク(Nestle、水で1:3に希釈)を1時間、光サイクルに入って2〜4時間、喫飲可能とする。消費されたミルクの量は、ひとしきり飲む前後にミルクボトルを秤量して測定する。試験日、マウスは試験化合物(0.01 % 乳酸中、3、10又は30 mg/kg)、d-フェンフルラミン(0.01 % 乳酸中、10 mg/kg)の溶媒(0.01 % 乳酸)を、ミルクに露出する30分前に、腹腔内注射を受ける。試験日に消費されたミルクの量(mls ミルク/kg体重)は、2日前に各マウスで測定されたベースラインの消費と比較される。各時点でのデータは、一方向ANOVAによって分析する。
【0138】
B.うつ病
以下の方法は、うつ病の治療のための、MCH1アンタゴニストの効力を予測するために用いられるプロトコールを記載する。
【0139】
1.ラットにおける強制水泳試験(FST)
動物
オスのSDラット(Taconic Farms、NY)を全ての実験に用いる。ラットは、ケージ当たり5匹を収容し、12:12時間の光−闇サイクルで維持する。ラットは行動試験の4日前に毎日1分取り扱う。
【0140】
薬剤投与
動物は、5分間の試験期間の開始の60分前に、溶媒 (2.5% EtOH/2.5% Tween-80)、イミプラミン(ポジティブコントロール; 60 mg/kg)、又は試験化合物の、単回腹腔内投与を受けるよう割り当てられる。全ての注射は、26 3/8 規格の針を備える1ccのツベルクリンシリンジ (Becton-Dickinson、VWR Scientific、Bridgeport、NJ)を用いて与えられる。注射の容量は、1ml/kgであった。
【0141】
実験設計
この調査で用いる方法は、この方法における水深が31 cmである外は、先の開示(Porsolt、et al., 1978)と同じである。この試験のより深い深さは、ラットの足が円柱の底に触れて、ラットを助けることを防ぐ。水泳セッションは、23〜25℃の水を31cmの深さで備える、個々のプレキシガラスシリンダー(46 cm 高さ×20 cm直径)中にラットを置くことによって行われる。水泳試験は、いつも、900〜1700時間に行われ、初期の15分の順化試験に続く24時間後の5分試験からなる。薬剤処置は、5分試験期間の60分前に投与される。全ての水泳セッションに続いて、ラットをシリンダーから取り出し、ペーパータオルで乾燥して、加温したケージに15分間起き、それらのホームゲージに戻した。全ての試験セッションは、カラービデオカメラを用いてビデオを撮り、後のスコアリングのために記録する。
【0142】
行動上のスコアリング
ラットの行動を、処置条件を知らない一人の個人が、5分試験の間5秒間隔で評価する。得点した行動は:
1.不動−ラットは、闘争反応無しで水中に浮遊したままで、頭を水上に維持するのに必要な動きだけをする;
2.よじ登る−ラットは、水の内外で、前肢で活発に動き、通常、壁に向かう;
3.水泳−ラットは、頭を水上に維持するのに必要なものより、活発に水泳の動きをし、例えばシリンダーの周囲を動く;及び、
4.ダイビング−ラットの全身が水中に沈む。
【0143】
データ分析
強制水泳試験データ(不動、水泳、よじ登る、ダイビング)をランダム化、一方向ANOVA及びニューマン−ケウル試験を用いて行うポストhoc試験に供する。データを、GraphPad Prism (v2.01) (GraphPad Software,Inc.、Sanジego、CA)を用いて分析する。
【0144】
2.マウスにおける強制水泳試験(FST)
動物
DBA/2マウス(Taconic Farms、NY)を全ての実験に用いる。動物はケージ当たり5匹を収容し、12:12時間の光:闇サイクルの下で環境を制御する。動物は、実験の前に4日間毎日1分間扱う。この手順は、1.5インチ摂食チューブによる偽の胃管栄養法を含む。
【0145】
薬物投与
動物は、水泳試験の1時間前に、溶媒 (5% EtOH/5% Tween-80)、試験化合物、又はイミプラミン(60 mg/kg)の、経口胃管栄養法による単回投与を受けるようにランダムに割り当てられる。
【0146】
実験設計
マウスにおける強制水泳試験のための手順は、上記のラットのための記載と幾つか改変した他は同じである。この試験に用いるシリンダーは、1リットルビーカー(10.5cm直径×15 cm高さ)で、23〜25℃の水で800 ml(10cm 深さ)まで満たす。1300〜1700時間、各マウスにつきただ一度の5分間の水泳試験が行われる。薬物処理は、5分間の試験期間の30〜60分前に投与される。全ての水泳セッションに続いて、マウスをシリンダーから取り出し、ペーパータオルで乾燥し、加温ケージに15分間入れる。全ての試験セッションは、ソニーカラービデオカメラを用いてビデオを撮り、後のスコアリングのために記録する。
【0147】
行動上のスコアリング
試験の2〜5分間の間の行動を、TVモニターでプレイバックし、調査によってスコアを取る。総合時間を不動(動物は、沈まないように最小限の動きで浮かんでいた)及び可動(泳ぎ及び沈まないための必要以上に動く)を記録する。
【0148】
データ分析
強制水泳試験データ(不動、可動を示す時間;秒)をランダム化、一方向ANOVA、及びニューマン-ケウル試験を用いて行うポストhoc試験に供する。データは、GraphPad Prism (v2.01) (GraphPad Software、Inc.、San Diego、CA)を用いて分析する。
【0149】
C.不安
以下の方法は、不安の治療のためのMCH1アンタゴニストの効力を予測するのに用いられ得るプロトコールを記載する。
【0150】
社会的相互作用試験(SIT)
ラットは、動物ケア施設で5日間順応させられ、試験の5日前に単独に収容される。動物は、1日当たり5分間扱われる。設計及び社会的相互作用試験の手順は、「Kennett、et al. (1997)」に以前に開示されたように実行される。試験日、お互いに見慣れないラットの体重が対応するペア(±5%)に同じ処置を与え、それらのホームケージに戻す。動物は、ランダムに各グループ5対の5処置グループに分割し、以下の腹腔内処置の一つを与えられる:試験化合物(10、30又は100 mg/kg)、溶媒(1 ml/kg)又はクロルジアゼポキシド(5 mg/kg)。試験の1時間前に投与する。ラットは続いて、白いパースペックス試験ボックス又はアレナ(54 x 37 x 26 cm)中に15分置かれ、それらの床は24の等しい四角に分割されている。エアコンディショナーは、バックグラウンドノイズを発生するために用いられ、室温を約74°Fに維持する。全てのッセッションを、TDK (HG ultimate brand)又はソニーの30 分ビデオカセットのいずれかを備えた、JVC camcorder (model GR-SZ1、Elmwood Park、NJ)で録画する。全てのセッションは、1300〜1630時間の間に行う。活発な社会的相互作用、これはグルーミング、嗅ぐ動作、かみつき、ボクシング、レスリング、追従(following)、及びクローリング(crawling)オーバー又はアンダーとして定義されるが、ストップウォッチでスコアされる(Sportsline model no. 226、1/100 秒。discriminability)。立ち上がり(動物が完全にその体を後肢で立ち上げる)、グルーミング(リッキング、噛みつき、体の引っかき行動)、及び顔を洗うこと(即ち、手を顔の上で繰り返し動かす)のエピソードの数及び横切った四角の数をスコアする。受動的な社会的行動(動物が互いの横又は上に横たわる)は、スコアしない。全ての行動は、観察者(各ペアの処置について知らない)によって後で評価される。各試験の終了後、ボックスは湿らせたペーパータオルで徹底的に拭う。
【0151】
動物
オスのアルビノSDラット(Taconic Farms、NY)をペアで収容し、12時間の光闇サイクル(光の点灯は0700時間)、食物及び水に自由に接近可能とする。
【0152】
薬物投与
試験化合物を、100% DMSO又は5% 乳酸、v/v (Sigma Chemical Co. 、St. Louis、MO)のいずれかに溶解する。クロルジアゼポキシド(Sigma Chemical Co. 、St. Louis、MO) を二倍の蒸留水に溶解する。溶媒を、50% DMSO (v/v)又は100%ジメチルアセトアミド (DMA)から構成する。全ての薬物溶液を、注射の10 分前に作り、溶液は試験日の終了時に処分する。投与された薬物溶液の容量は、1 ml/kgである。
【0153】
データ分析
社会的相互作用データ(相互作用時間、立ち上がり、及び四角の横断)を、ランダム化、一方向ANOVA及び研究(Student)−ニューマン−ケウル試験を用いて行うポストhoc試験に供する。データを正規性の試験(test of normality)に供する(Shapiro- Wilk test)。データを、GBSTAT プログラム、バージョン6.5 (Dynamics Microsystems、Inc.、Silver Spring, MD、1997)を用いて分析する。
【0154】
D.泌尿器障害
排尿反射における化合物の影響を、先の開示(例えば、Maggi et al、1987; Morikawa et al、1992)、及び/又は連続的緩慢貫小胞感染(Continuous Slow Transvesicular Infusion)(CSTI)モデルに開示されているように、「膨満誘導律動性収縮」(DIRC)を用いて評価する。
【0155】
1.DIRCモデル
メスのSDラット、体重約300gを、皮下のウレタン(1.2g/kg)で麻酔する。気管をPE240チューブでカニューレ処置し、実験の間、明瞭な軌道を提供する。正中腹腔切開をし、左及び右の輸尿管を単離する。輸尿管は、末端で結紮し(膀胱からの液体の漏れを防ぐため)、PE10チュービングで近位にカニューレ処理する。切開を、4〜0シルク縫合を用いて閉じ、尿の排出のために外部に出されたPE10ラインを残す。膀胱は、輸尿管開口を超えて2.5cm挿入されたPE50チューブを用いて、経尿道経路を介してカニューレ処置される。このカニューレは、テープを用いて尾に固定し、圧力トランスデューサーに連結される。膀胱からの漏出を防ぐために、カニューレを、4-0シルクを開口する外部の尿道に固く結びつける。排尿反射を惹起するために、下腹部に圧力を適用することによって膀胱を最初に空にし、次いで、自発的な膀胱収縮が生じるまで(典型的には20〜40 mmHg、2〜3分毎に一回の収縮の速度)、100増大(最大=2ml)の通常の生理食塩水で満たす。一旦、定期的なリズムが確立されると、溶媒(生理食塩水)又は試験化合物を静脈内又は腹腔内に投与し、それらの膀胱活性への影響を探索する。5-HT1A アンタゴニスト WAY-100635をポジティブコントロールとしてしばしば与える。データは、薬物適用前(基礎)、又は溶媒又は試験物質の適用後の、収縮間隔(秒)として表す。
【0156】
2.連続的緩慢貫小胞(CSTI)ラットモデル
オスのSDラット、体重約300 gを調査に用いる。ラットをペントバルビタールナトリウム(50 mg/kg、腹腔内)で麻酔する。正中の腹部切開を通して、膀胱を露出し、ポリエチレンカニューレ(PE 50)を、膀胱のドーム上の小さいカットを通して膀胱中に挿入し、カニューレをパース線縫合(purse string suture)で固定する。カニューレの他端を、背部の頚部で皮下に外面化する。同様に、他のカニューレ (PE 50)を、頚部の皮下に外面化した自由な末端を有して、傍正中腹部切開を通して胃に導入する。外科的外傷はシルク4-0縫合で閉じ、動物を適切な術後ケアで回復させる。翌日、動物をラット拘束具(restrainer)に置く。膀胱-カニューレの開放末端を、圧力トランスデューサーに連結し、並びに三方向コックを介して注入ポンプに連結する。膀胱排尿サイクルを、正常生理食塩水を100μl/分の速度で連続的に注入することによって開始する。反復性排尿収縮を、パワーラボ・オンラインデータ取得ソフトウェアで記録する。基本的な排尿パターンを1時間記録した後、試験薬物又は溶媒を、胃内のカテーテルを介して胃中に直接投与し、排尿サイクルを5時間モニターする。それぞれの動物の排尿圧力及び頻度を、処置の前後で算出する(30分の間隔毎に)。膀胱容量は、100μl/分の一定の注入に基づいて、排尿頻度から算出する。試験薬物の影響は、基本の、薬物前の膀胱容量の割合として表す。WAY 100635は、比較のために、ポジティブコントロールとしてしばしば用いる。
【参考文献1−1】
【0157】

【参考文献1−2】
【0158】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式を有する化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化1】

式中、各 X は独立して、CR1又はNであり、但し、一つの X が N である場合、残りのX はCR1である;
式中、各 R1は独立して、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、直鎖又は分枝鎖のC1-C7アルキル、アルキルオキシ、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキル、又はC3-C6シクロアルキル-C1-C7アルキルである;
式中、各R2は独立して、-H、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2又は直鎖又は分枝鎖のC1-C7 アルキル、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキルである;
式中 n は、2から6までの整数である;
式中 B は、CH2、CHOH、O又はCOである;
式中 Y は、C又はNである;
式中 Z は、O、S、SO、SO2、CH2、CO、CHOH又は無しである;及び、
式中 A は、フェニル又はヘテロアリールであり、ここで該フェニル又はヘテロアリールは、3以下のR2で任意に置換される。
【請求項2】
前記n は2又は3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記各R1 は独立して、-H、-F、-Cl、直鎖又は分枝鎖のC1-C4アルキル又はアルコキシ、又はC3-C6シクロアルキル-C1-C4アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記各R2 は独立して、-H、-F、-Cl、又は直鎖又は分枝鎖のC1-C4アルキル、モノフルオロアルキル又はポリフルオロアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記一つのX はNである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記各X はCR1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたピリジニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたチエニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたフラニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたチアゾリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたイミダゾリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項12】
前記Aは、3以下のR2で任意に置換されたピラゾリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項13】
前記Aは、3以下のR2で任意に置換されたオキサゾリルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項14】
前記A は、3以下のR2で任意に置換されたトリアジニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項15】
前記Aは、3以下のR2で任意に置換されたフェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項16】
前記Z は、S、SO 又はSO2である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記Z は、CH2、CO又はCHOHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記Z は、O又は無しである、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記B はCH2である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記Z はOである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
請求項20に記載の化合物であって、該化合物が以下から成る群から選択される化合物:
5-(2-フェノキシフェニル)-N-(3-(4-ピペリジル)フェニル)ペンタンアミド;N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド;N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド;N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド;及びN-(2-フルオロ-4-メチル-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(2-フェノキシフェニル)ペンタンアミド
【化2】

【請求項22】
前記Z は無しである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
請求項22に記載の化合物であって、該化合物が下記から成る群から選択される化合物:N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;N-(2-フルオロ-4-メチル-5-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;及びN-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド
【化3】

【請求項24】
前記B がCOである、請求項18に記載の化合物。
【請求項25】
前記Z が無しである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
請求項25に記載の化合物であって、該化合物が、下記から成る群から選択される化合物:N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド;N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド;N-(4-フルオロ-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)-N-(3-(4-ピペリジル)フェニル)ペンタンアミド;N-(4-メチル-3-(4-ピペリジル)フェニル)-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;N-(2-フルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル-5-オキソ-5-(4-フェニルフェニル)ペンタンアミド;及びN-(2,4-ジフルオロ-5-(4-ピペリジル)フェニル)-4-オキソ-4-(4-フェニルフェニル)ブタンアミド
【化4】

【請求項27】
前記化合物が、鏡像異性的に純粋である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、ジアステレオ異性的に純粋である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物の治療的有効量及び薬学的に許容されるキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを混合することによって製造される薬学的組成物。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを混合することを含む、薬学的組成物の製造方法。
【請求項32】
うつ病、大鬱病、双極性障害、広場恐怖、特異的な恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害及び不安から成る群から選択される情動障害を患っている被検者を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項33】
尿失禁、切迫性尿失禁、頻尿(urinary frequency)、尿意切迫(urinary urgency)、夜尿症、及び遺尿症から成る群から選択される泌尿器障害を患っている被検者を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法。
【請求項34】
肥満症、過食症(bulimia)、神経性過食症(bulimia nervosa)及び神経性食欲不振症(anorexia nervosa)から成る群から選択される摂食障害を患っている被検者の治療方法であって、請求項1に記載の化合物の治療的有効量を前記被検者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2007−517906(P2007−517906A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549604(P2006−549604)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/001131
【国際公開番号】WO2005/069834
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(598066503)ハー・ルンドベック・アクティーゼルスカブ (6)
【Fターム(参考)】