説明

4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる繊維およびその用途

【課題】
平均繊維径が2μm以下である4−メチル−1−ペンテン重合体からなる繊維並びに、該繊維からなる多孔シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータを提供すること。
【解決手段】
メルトフローレート(MFR)が100〜500g/10分および、分子量分布(Mw/Mn)が2〜10である、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いて溶融紡糸を行うことで、平均繊維径が2μm以下の繊維を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる平均繊維径が2μm以下である繊維並びに、該繊維からなる多孔質シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる繊維は、その誘電特性、耐熱性、耐薬品性、撥水性および成形性を生かして、ガス透過フィルム用多孔質シート等の各種の分離膜、電池用、電解コンデンサーキャパシター、ポリマー電池用のセパレータ用途に広く使用されている。
【0003】
従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体を使用した溶融紡糸では、極細の繊維を得るには、溶融樹脂温度、紡糸エア量等の紡糸条件幅が極めて狭く、十分な細さの極細繊維を安定して生産性することが困難であり、また繊維径が安定した良好な品質の繊維が得られない問題がある。
【0004】
特許文献1には、分岐α−オレフィン重合体として4−メチル−1−ペンテンを使用した繊維質多孔質シートからなる繊維径2.5μmのバッテリーセパレータ、また特許文献2にはポリメチルペンテンのメルトブロー不織布からなる繊維径3.9μmの耐熱性セパレータが開示されている。しかしながら使用されている繊維の繊維径が十分な細さを有していないことから、セパレータ特性の改善、即ち、繊維質多孔性シートの最大孔径が大きくなり電解質またはイオンのセパレータ性能が不十分となること等、さらなる改善が求められている。
【0005】
また特許文献3にはメルトインデックスが100〜800g/分であるポリメチルペンテン樹脂を用いたポリメチルペンテン極細繊維ウエブが開示されているが、得られる繊維径は2.9μmであり、十分満足できる繊維が得られていない。
【特許文献1】特開2003−142064号公報
【特許文献2】特開2002−124238号公報
【特許文献3】特開平4−327258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる平均繊維径が2μm以下である繊維並びに、該繊維からなる多孔質シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を用いることで、平均繊維径が2μm以下の繊維を得ることができ、該繊維を多孔質シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータ用途に好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
【0008】
[1]4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる、平均繊維径が2μm以下の繊維の提供。
[2]4−メチル−1−ペンテン系重合体が、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位90〜100質量%および4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンに由来する構成単位0〜10質量%を含む、前記[1]に記載の繊維の提供。
[3]炭素原子数2〜20のオレフィンが、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンから選ばれる少なくとも1種である、前記[2]に記載の繊維の提供。
[4]4−メチル−1−ペンテン系重合体が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であり、平均繊維径が0.5〜2μmである、前記[1]に記載の繊維の提供。
[5]4−メチル−1−ペンテン系重合体のメルトフローレート(MFR)が100〜500g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が2〜10である、前記[1]〜[4]に記載の繊維の提供。
[6]4−メチル−1−ペンテン系重合体の結晶化温度(Tc)が200〜225℃である、前記[1]〜[5]に記載の繊維の提供。
[7]前記[1]〜[6]に記載の繊維を成形して得られる多孔質シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータを提供することである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維は、誘電特性、耐熱性、耐薬品性、撥水性に優れ、特に極めて細い繊維を得ることができることから、柔軟性、バッテリーセパレータ用途に使用する場合はセパレータ特性に優れる。さらに、繊維をメルトブローン成形する際に、溶融樹脂温度、紡糸エア量、紡糸エア温度等の制御条件の幅を広くすることができ、工業的価値が極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる繊維並びに、該繊維を用いた多孔質シート、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータについて詳細に説明する。
【0011】
[4−メチル−1−ペンテン系重合体]
本発明で用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体は、耐熱性、機械的特性を考慮すると、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を90〜100質量%、好ましくは95〜100質量%、さらに好ましくは97〜100質量%、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンに由来する構成単位を0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、さらに好ましくは0〜3質量%からなる4−メチル−1−ペンテンの単独重合体または4−メチル−1−ペンテンと4−メチル−1−ペンテン以外のオレフィンとの共重合体である。また共重合体としてはランダム共重合体であることが好ましい。
【0012】
さらに耐熱性が高く、平均繊維径が極めて細い繊維を得るためには、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であることが好ましい。
また、共重合成分となりうる炭素原子数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどを例示することができ、特に好ましくは1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン及び1−エイコセンである。
上記共重合体においてこれらのオレフィンが1種のみならず2種以上共重合されたものであってもよい。
【0013】
上記のような4−メチル−1−ペンテン系重合体は、立体特異性触媒を使用して製造することが可能であり、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、メタロセン触媒などが挙げられ、例えば国際公開特許WO01/53369、国際公開特許WO01/27124、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載の触媒の存在下に、前記4−メチル−1−ペンテン単独または4−メチル−1−ペンテンと4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンとを、重合または共重合することにより得ることができる。
【0014】
また、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、従来公知の酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等の各種配合剤を添加して用いてもよく、種々公知の方法、例えばV-ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダーで混合する方法、あるいは前記ブレンダーで混合した後、単軸押し出し機、複軸押し出し機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混錬して造粒あるいは紛砕して用いてもよい。
【0015】
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体としては、十分な機械的強度を有し、平均繊維径2μm以下の繊維を得るためには、ASTM D1238に準拠して、温度260℃、荷重5kgで測定したメルトフローレート(MFR)が100〜500g/10分、さらに200〜500g/10分の範囲であることが好ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体のMFRの制御は、該重合体の重合に際して重合反応系に水素を供給することで、得られる重合体のMFR値を高くすることができる。また、重合反応により得られた4−メチル−1−ペンテン系重合体を、溶融混練等することで、さらに過酸化物を添加して溶融混練等することでMFR値を高くすることができ、これらの方法を適宜組み合わせてMFR値を制御することができる。
【0016】
また分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters社製、alliance2000型)を用いて、カラムに東ソー社(GMHタイプ)、移動層にo−ジクロルベンゼンを使用して、ポリスチレンスタンダードによって較正して得られる分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn)から求めることができ、最適な分子量分布(Mw/Mn)は2〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜5である。
【0017】
4−メチル−1−ペンテン系重合体のMw/Mnは、使用する重合触媒の種類、重合条件等により制御可能であり、特にメタロセン触媒を使用することでMw/Mnが狭い重合体を得ることができる。
【0018】
MFRおよびMw/Mnが上記範囲内であると、紡糸に際して4−メチル−1−ペンテン系重合体の溶融粘度を下げるために過度の加熱を必要とすることが無く、該重合体の熱分解による紡糸ノズルの閉塞、糸切れ、焼け焦げなどの異物の発生による生産性の低下を改善することができ、また紡糸に際しての操作条件幅を広く設定することができる。
さらに溶融粘度の変動を抑えることができることから、繊維径が均一な繊維を得ることができる。
【0019】
また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、空気中、300℃まで加熱後、5分間ホールドし、20℃/分の降温速度で測定した結晶化温度(Tc)は200〜225℃、好ましくは210〜225℃であり、このような温度範囲であると、繊維をメルトブローン成形した際に、繊維切れが少ないく加工性に優れることから好ましい。
また、示差走査熱量計(DSC)を用いて、空気中、20℃/分の昇温速度の条件で測定した融点(Tm)は210〜245℃、好ましくは230〜245℃である。
このような繊維は、ガス透過フィルム用多孔質シートおよびバッテリーセパレータ等に好適に使用することができる。
【0020】
[本発明の繊維]
本発明の繊維は、上記の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維であり、平均繊維径は2μm以下、好ましくは0.5〜2μm、さらに好ましくは1〜2μmの繊維である。平均繊維径とは、光学顕微鏡(50倍)により任意の5ヶ所の外径を観測して得られた値を平均化した値である。
本発明の繊維は上記の4−メチル−1−ペンテン系重合体を溶融紡糸することで得ることができ、スパンボンド法、メルトブローン法等の公知の方法で成形して得ることができる。例えばメルトブローン法では目的とする繊維径にもよるが、上記の4−メチル−1−ペンテン系重合体を、押出機を用いて、樹脂の押出温度250〜380℃で該押出機に装着されたノズル孔を有するメルトブロー紡糸金型(ノズル孔径0.1〜1mm)から溶融している重合体を吐出し、該樹脂をメルトブロー紡糸金型に隣接して設置された紡糸エア出口から、高温、高速のエア(紡糸エア量10〜100Nm/kg)を噴射せしめて、吐出された溶融した重合体を繊維化することで得ることができる。
【0021】
[多孔質シート]
多孔質シートとは、4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる繊維が交絡して有孔シートを形成しているものである。
多孔質シートは、例えばメルトブローン成形によって得られる不織布を、その厚みと空隙を減ずるように押圧加工することによって得ることができる。
【0022】
本発明の多孔質シートは、誘電特性、耐熱性、耐薬品性、撥水性に優れ、特に極めて細い繊維を得ることができることから、柔軟性、セパレータ特性に優れ、バッテリーセパレータ、ガス透過フィルムに好適に使用することができる。
【0023】
[ガス透過フィルム]
ガス透過フィルムとは、上記本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維からなる多孔質シートを、ガス透過フィルム用途に使用するものであり、4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維からなる多孔質シートと他のフィルムとを積層して用いられる。具体的には青果物用の鮮度保持フィルム、酸素吸収剤や吸湿剤の包装フィルム、使い捨ておむつ、住宅用の透湿性防水材などに好適に使用することができる。
【0024】
[バッテリーセパレータ]
バッテリーセパレータとは、上記本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維からなる多孔質シートを、バッテリーセパレータとして使用するものである。
バッテリーセパレータである多孔質シートの厚みは、5〜100μm、好ましくは7〜80μm、目付けは5〜50g/m、好ましくは10〜20g/m、空隙率は10〜70%、好ましくは40〜70%、最大孔径は30μm以下、好ましくは15μm以下、平均孔径は3〜20μm、さらに5〜10μmの範囲にあることが好ましい。
また、シート厚み(μm)/目付け(g/m)比が1.0〜5.0、さらに1.5〜3.0程度の範囲にあることが好ましい。
【0025】
上記のような特性を有する多孔質シートは、4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる平均繊維径が0.5〜2μm、好ましくは1〜2.0μmであるメルトブローン不織布を、その厚みと空隙を減ずるように押圧加工することによって得ることができる。すなわち繊維径があまり大きすぎると、押圧加工後の多孔シートの最大孔径が大きくなりすぎ、セパレータ性能を損なう恐れがあるため、0.5〜2μm程度の細い繊維が適している。
【0026】
本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる繊維からなる多孔質シートをバッテリーセパレータとして使用することにより、膜厚を薄くでき、また電池組立て時や使用時に必要とされる機械的強度を有している。さらに充分な電気絶縁性を有しており、リチウムイオン電池のバッテリーセパレータとして使用したときには、電解液に対して化学的に安定であると共に、電気化学的にも安定である。また電解液を保持した状態で電解質やイオンの透過性がよく、電気抵抗が低い。さらに短絡電流が流れて発生する熱により温度上昇しても、変形に対する抵抗力が強く、形状保持性に優れているので安全性が高い。したがって、リチウムイオン電池のバッテリーセパレータとして好適である。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、各物性値は以下の方法にて評価した。
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D1238に準じ、荷重5.0kg、温度260℃で測定した。
【0028】
[分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(Waters社製、alliance2000型)を用いて、カラムに東ソー社(GMHタイプ)、移動層にo−ジクロルベンゼンを使用して、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)を求め、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0029】
[結晶化温度(Tc)、融点(Tm)]
示差走査熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製、PYRIS-I型)を用い、試料5mgを空気雰囲気下300℃で5分加熱させた後、20℃/分の降温速度で結晶化させ、発熱曲線を求め、そのピーク温度で結晶化温度(Tc)を示した。さらに室温まで冷却後、20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温させたときの試料の吸熱曲線を求め、ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0030】
[平均繊維径]
メルトブローン法で成形して得られた繊維を光学顕微鏡(50倍)により任意の5ヶ所の外径を観察し、平均化して平均繊維径を算出した。
【0031】
[実施例1]
4−メチル−1−ペンテン単独重合体(融点(Tm);245℃、メルトフローレート(MFR);250g/10分、分子量分布(Mw/Mn);4、結晶化温度(Tc);220℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kg(樹脂1kgを紡糸するのに使用するエア量)で紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は1.6μmであった。また、該繊維をウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは10g/mであった。
【0032】
[実施例2]
4−メチル−1−ペンテン/デセン−1共重合体(デセン−1含量;3質量%、融点(Tm);232℃、メルトフローレート(MFR);320g/10分、分子量分布(Mw/Mn);5、結晶化温度(Tc);212℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kgで紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は2μmであった。また該繊維をウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは13g/mであった。
【0033】
[実施例3]
4−メチル−1−ペンテン/デセン−1共重合体(デセン−1含量;1質量%、融点(Tm);238℃、メルトフローレート(MFR);410g/10分、分子量分布(Mw/Mn);5、結晶化温度(Tc);215℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kgで紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は1.8μmであった。また該繊維をウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは12g/mであった。
【0034】
[比較例1]
4−メチル−1−ペンテン/デセン−1共重合体(デセン−1含量;3質量%、融点(Tm);231℃、メルトフローレート(MFR);10g/10分、分子量分布(Mw/Mn);3、結晶化温度(Tc);212℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kgで紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は2.5μmであった。また該繊維をウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは20g/mであった。
【0035】
[比較例2]
4−メチル−1−ペンテン/ヘキセン−1共重合体(ヘキセン−1含量;5質量%、融点(Tm);225℃、メルトフローレート(MFR);30g/10分、分子量分布(Mw/Mn);3、結晶化温度(Tc);205℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kgで紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は3μmであった。また該繊維を、ウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは15g/mであった。
【0036】
[比較例3]
4−メチル−1−ペンテン/ヘキセン−1共重合体(ヘキセン−1含量;5質量%、融点(Tm);225℃、メルトフローレート(MFR);330g/10分、分子量分布(Mw/Mn);14、結晶化温度(Tc);206℃)をメルトブローン法により、樹脂温度340℃、紡糸エア量60Nm/kgで紡糸したところ、得られた繊維の平均繊維径は2.5μmであった。また該繊維を、ウェブフォーマーにて捕集することで、不織布を得た。得られた不織布の目付けは18g/mであった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の特定の4−メチル−1−ペンテン重合体を成形等して得られる、平均繊維径が2μm以下である繊維は、ガス透過フィルム用多孔質シート等の各種の分離膜、電池用、電解コンデンサーキャパシター、ポリマー電池用のセパレータ用途に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−メチル−1−ペンテン系重合体を成形して得られる、平均繊維径が2μm以下の繊維。
【請求項2】
4−メチル−1−ペンテン系重合体が、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位90〜100質量%および4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンに由来する構成単位0〜10質量%を含む、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
炭素原子数2〜20のオレフィンが、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンから選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の繊維。
【請求項4】
4−メチル−1−ペンテン系重合体が、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であり、平均繊維径が0.5〜2μmである、請求項1に記載の繊維。
【請求項5】
4−メチル−1−ペンテン系重合体のメルトフローレート(MFR)が100〜500g/10分、分子量分布(Mw/Mn)が2〜10である、請求項1〜4に記載の繊維。
【請求項6】
4−メチル−1−ペンテン系重合体の結晶化温度(Tc)が200〜225℃である、請求項1〜請求項5に記載の繊維。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の繊維を成形して得られる多孔質シート。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の繊維を成形して得られるガス透過フィルム用多孔質シート。
【請求項9】
請求項1〜6に記載の繊維を成形して得られるバッテリーセパレータ。


【公開番号】特開2007−211378(P2007−211378A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33559(P2006−33559)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】