5―アミノレブリン酸の誘導体を用いる座瘡の治療方法
本発明は、座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤の使用を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座瘡の治療方法に関し、特に、座瘡(たとえば、尋常性座瘡)の治療方法における5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体の使用に関する。最も詳細には、本発明は、このような症状を治療するための5−ALAエステルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
座瘡は、世界中で最も一般的な皮膚疾患の1つである。座瘡は、とりわけ思春期によく見られるが、数年続くこともある。座瘡は、英国では16歳の男女の約83〜95%に影響を及ぼし、患者の約20%が臨床医の助けを求めている。座瘡は、場合によっては永久的な瘢痕化を引き起こし、かなりの精神的苦痛の原因となることが頻繁にある。
【0003】
症状の軽い状態では、座瘡は、軽度の発疹のある炎症を伴った表在性の疾患である。しかし、さらに炎症が進んだタイプの座瘡では、毛嚢脂腺濾胞またはその周辺に細菌が侵入し、その結果、膿疱、感染嚢胞等が形成される。これらの病変は、広範囲にわたり、永久的に醜い瘢痕を残すことが頻繁にある。
【0004】
毛嚢脂腺管の閉塞が主要な要因であると考えられているが、座瘡の明確な原因については完全には理解されていない。これは、皮脂の過剰生成、上皮細胞のターンオーバーの増加、および/または細菌(たとえば、プロピオニバクテリウムアクネス)の増殖によって引き起こされ得る。たとえば、過剰な皮脂の生成および表皮細胞のターンオーバーの増加は、皮膚孔の詰まりまたは遮断の原因となり、にきび(面皰)および稗粒腫が形成され得ると考えられる。これらの要因と組み合わさって、特定の細菌が存在すると、丘疹、膿疱、および嚢胞などの炎症性の病変が形成され得る。
【0005】
面皰、稗粒腫、丘疹、膿疱、および嚢胞は、一般に、「吹き出物(spots)」と呼ばれる。各タイプの吹き出物は、程度は異なるものの、すべての座瘡の患者に存在し、最も一般的には、ある範囲内の様々なタイプが見られる。吹き出物は、一般に、皮脂腺が最も大きく、最も有力で、かつ最も活発な、顔および背中、特に、顔の皮膚領域(たとえば、顎、鼻、および額の上)に発生する。
【0006】
座瘡の確立された治療方法は、新しい病変の形成を防止し、すでに存在している病変の治癒を促進するためのものである。従来の治療方法としては、たとえば、毛嚢脂腺濾胞の細菌固体数を減少させることを意図した抗体の全身および局所投与、ならびに抗菌性で弱い抗面皰作用を有する過酸化物(たとえば、過酸化ベンゾイル)の局所適用が挙げられる。レチノイドなどのビタミンA類似体は、抗面皰作用を有し、すでに使用もされており、局所座瘡治療組成物においてある程度の成功をおさめている。
【0007】
しかし、このような従来の治療方法を用いた場合に浮上する問題点がある。たとえば、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物は、大抵の場合、不安定であるため、貯蔵寿命が制限される。その効能もまた経時的に減少する傾向がある。プロプリオニバクテリウムアクネの抗体耐性も増加しつつあり、これにより効能は大幅に低減される。レチノイド薬物(たとえば、イソトレチノイン)は、効果的ではあるものの、不快で、時には深刻な副作用を引き起こすことが頻繁にあり、禁忌により、大抵の場合、その受け入れおよび使用が制限される。したがって、座瘡の代替治療方法の開発が求められている。
【0008】
座瘡の治療方法について近年提案されている1つの方法として、感光剤を用いた光力学的療法(PDT)が挙げられる。光力学的療法(PDT)は、乾癬などの特定の悪性でない病変だけでなく、皮膚または他の上皮器官もしくは粘膜の様々な異常または疾患、特に、癌または前癌病変の治療に用いられている比較的新しい技術である。PDTでは、感光剤を投与し、露光により感光剤を活性化して細胞毒性形態に変換し、その結果、細胞を破壊して疾病を治療する。5−アミノレブリン酸(5−ALA)およびその特定の誘導体(たとえば、5−ALAエステル)だけでなく、たとえば、様々なポルフィリン類、ソラレン類、クロリン類、フタロシアニン類などのいくつかの感光剤が公知であり、文献に記載されている。
【0009】
PDTは、癌および前癌期の治療に重点をおいているが、座瘡の治療におけるPDTの使用に関するいくつかの報告がある。しかし、このような方法は、限られた成功しかおさめていない。たとえば、Itoh、Y.ら(Brit.J.Dermatology,2001,144,575−579、非特許文献1)およびHongcharau,W.ら(J.Invest.Dermatology,2000,115,183−192、非特許文献2)は共に光増感剤として5−ALAを用いる座瘡のPDT治療に関する試みを記載している。これらの研究は共に、ALA−PDTが座瘡の治療に有効であり得るが、深刻な悪影響が治療に伴われると結論づけている。これらの悪影響には、照射中の不快感、火傷、かゆみ、および刺すような痛み、PDT直後の浮腫紅斑および表皮剥脱、ならびに治療後10日までの間の長期にわたる炎症および身体の刺激に対する過敏症が含まれる。多くのケースにおいて色素沈着も報告され、患者の皮膚が正常になるまでには1ヶ月ほどかかっていた。
【非特許文献1】Itoh、Y.ら、Brit.J.Dermatology,2001年,第144巻,p.575−579
【非特許文献2】Hongcharau,W.ら、J.Invest.Dermatology,2000年,第115巻,p.183−192
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
療法(たとえば、PDT)における5−ALAの使用に関連するさらなる問題点は、非常に不安定であり、過剰な分解反応を受ける傾向があることである。このような不安定さの結果、5−ALAは、通常、酸組成物(pH5未満で最も安定)として提供されるが、今度はこれにより、治療物質としての受け入れがさらに減少することになる。5−ALAはまた、生物学的利用能が比較的低く、このことは、大抵の場合高い投与量で用いられなければならないことを意味し、多くの5−ALA組成物の酸度に関連する問題を悪化させている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それ故、座瘡を治療および/または予防するための代替方法が依然として求められている。5−ALAと共にPDTを用いる座瘡の治療方法に関連して文献で強調されている様々な問題点にもかかわらず、我々は、驚いたことに、5−ALA(たとえば、5−ALAエステル、とりわけ、任意に置換されたベンジルALAエステル類)の誘導体が座瘡の光力学的な治療に効果的に用いられ得ることを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
したがって、1つの局面によると、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0013】
他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法であって、身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を投与(たとえば、局所適用)すること、および前記光増感剤を光活性化することを含む方法が提供される。
【0014】
特に、本発明では、座瘡の治療または予防方法であって、
(a)身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を投与(たとえば、局所適用)する工程、
(b)前記光増感剤が、所望の(疾患)部位において効果的な組織濃度を達成するために必要な期間だけ必要に応じて待つ工程、および
(c)前記所望の(たとえば、疾患)部位において前記光増感剤を光活性化する工程を含む方法が提供される。
【0015】
PDTにおける5−ALA(5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸、あるいは、5−アミノレブリン酸として公知)の誘導体の使用は科学および特許文献において周知である(たとえば、J.C.Kennedyら、J.Clin.Laser Med. Surg.(1996)14:289〜304,米国特許第5,079,262号,米国特許第5,211,938号,米国特許第5,234,940号,米国特許第5,422,093号,米国特許第6,034,267号,WO91/01727およびWO96/28412を参照、本明細書では、これらの内容を参考のために援用している)。このような5−ALAおよび医薬的に許容可能なその塩の誘導体はすべて本明細書に記載される方法に用いられるのに適している。
【0016】
本発明による有用な5−ALA誘導体は、インビボにおいて、プロトポルフィリンIX(PpIX)または他の任意の光増感剤(たとえば、PpIX誘導体)を形成することが可能な5−ALAの任意の誘導体であってもよい。通常、このような誘導体は、ヘムの生合成経路におけるPpIXまたはPpIX誘導体(たとえば、PpIXエステル)の前駆体であって、したがって、インビボにおける投与後に座瘡の部位においてPpIXの蓄積を誘導することが可能な前駆体である。PpIXまたはPpIX誘導体の適切な前駆体は、PpIXの生合成において中間体としてインビボで5−ALAを形成することが可能であるか、または中間体として5−ALAを形成せずにポルフィリンに(たとえば、酵素作用によって)変換され得る5−ALAプロドラッグを含む。5−ALAエステルは、本明細書に記載される方法に用いられる好ましい化合物に含まれる。
【0017】
5−アミノレブリン酸のエステルおよびそのN置換誘導体は、本発明で使用される好ましい光増感剤である。5−アミノ基が置換されていない化合物(すなわち、ALAエステル)が特に好ましい。このような化合物は、一般に公知であり、文献(たとえば、フォトキュア・エイエスエー(PhotocureASA)のWO96/28412およびWO02/10120を参照、本明細書ではこれらの内容を参考のために援用する)に記載されている。
【0018】
置換もしくは非置換(好ましくは、置換)アルカノールを有する5−アミノレブリン酸のエステル、すなわち、アルキルエステル、またはより好ましくは、置換アルキルエステルは、本発明で用いられる特に好ましい光増感剤である。このような化合物の例としては、一般式I:
R22N−CH2COCH2―CH2CO−OR1 (I)
(式Iにおいて、R1は、置換または非置換(好ましくは、置換)直鎖状、分岐状、または環状アルキル基(たとえば、置換直鎖状アルキル基)を表し、各R2は、独立して、水素原子、または任意に置換されたアルキル基(たとえば、R1基)を表す)の化合物、および医薬的に許容可能なその塩が挙げられる。
【0019】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、別に規定してなければ、任意の長鎖状もしくは短鎖状、環状、直鎖状、または分岐状脂肪族飽和または不飽和炭化水素基を含む。不飽和アルキル基は、一価不飽和または多価不飽和であり、アルケニル基およびアルキニル基を両方含む。別に規定してなければ、このような基は、40個までの原子を含み得る。しかし、30個まで、好ましくは10個まで、特に好ましくは8個まで、特別に好ましくは6個まで(たとえば、4個まで)の炭素原子を含むアルキル基が好ましい。
【0020】
置換アルキルR1およびR2基は、モノ置換またはポリ置換され得る。適切な置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、ニトロ、オキソ、フルオロ、−SR3、−NR32、および−PR32基から選択され、各アルキル基には、必要に応じて、1つまたはそれ以上の−O−、−NR3―、−S−、または−PR3−基が割り込まれていてもよく、R3は、水素原子またはC1-6アルキル基である。
【0021】
好ましい置換アルキルR1基には、1個またはそれ以上のオキソ基を有するもの、好ましくは、1、2、または3個(好ましくは、2または3個)のオキソ基で置換された直鎖状C4-12アルキル(たとえば、C8-10アルキル)基を有するものが含まれる。このような基の例としては、3,6−ジオキサ−1−オクチルおよび3,6,9−トリオキサ−1−デシル基が挙げられる。
【0022】
本発明で用いられるのに特に好ましいのは、少なくとも1つのR2が水素原子を表す式Iの化合物である。特別に好ましい化合物では、各R2は、水素原子を表す。
【0023】
R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)、またはより好ましくは、上記で定義した置換基(たとえば、フェニルなどのアリール基、またはメトキシなどのアルコキシ基)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す式Iの化合物も好ましい。
【0024】
本発明で用いられ得る非置換アルキル基には、分岐状および直鎖状炭化水素基が含まれる。R1が、1つまたはそれ以上のC1-6(たとえば、C1-2アルキル)基で分岐したC4-8、好ましくはC5-8直鎖状アルキル基である式Iの化合物が好ましい。適切な非置換分岐状アルキル基の代表的な例としては、2−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、および3,3−ジメチル−1−ブチル 4−メチルペンチルが特に好ましい。
【0025】
R1が、C1-10直鎖状アルキル基である式Iの化合物も好ましい。適切な非置換アルキル基の代表的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびオクチル(たとえば、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、およびn−オクチル)が挙げられる。ヘキシル、とりわけn−ヘキシルが、特に好ましい基である。メチルも特に好ましい。
【0026】
本発明で用いられるのに特に好ましいのは、R1が、アリール基で任意に置換されるC1-2アルキル基(好ましくは、C1アルキル基)を表す式Iの化合物である。
【0027】
本発明で用いられるのにさらに好ましいのは、R1が、アリール基(たとえば、フェニル)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す式Iの化合物である。式Iの化合物中に存在し得る好ましい置換アルキルR1基としては、C1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、特に好ましくは任意に置換されたアリール基で置換(好ましくは末端が置換)されたC1またはC2アルキル(たとえば、C1アルキル)が挙げられる。
【0028】
「アリール基」は、芳香族の基を意味する。好ましいアリール基には、20個までの炭素原子、さらに好ましくは12個までの炭素原子、たとえば、10または6個の炭素原子が含まれる。
【0029】
本発明の化合物中に存在し得るアリール基は、複素芳香環(たとえば、5〜7員環の複素芳香環)であってもよいが、好ましくは、非複素芳香環である。「非複素芳香環」は、炭素原子のみから由来する電子を含む芳香族系を有するアリール基を意味する。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチル、特に、フェニルが挙げられる。本発明で用いられるのに好ましい化合物には、1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアリール基が存在し得る。
【0030】
好ましい局面によると、本発明では、座瘡の予防もしくは治療に用いられる薬剤の製造において、R1が、アリール置換C1-4アルキル基(好ましくは、C1-2、たとえば、C1)を表し、好ましくは、該アリール基が20個までの炭素原子(たとえば、12個まで、特に6個の炭素原子)を含み、それ自体が任意に置換され、各R2が、上記で定義したものである(たとえば、各R2が水素である)式Iの化合物、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0031】
本発明の化合物中に存在し得るアリール基は、1個またはそれ以上(たとえば、1から5)、より好ましくは1個または2個の基(たとえば、1個の基)で任意に置換され得る。好ましくは、アリール基は、メタまたはパラ位、最も好ましくは、パラ位で置換される。適切な置換基には、ハロアルキル(たとえば、トリフルオロメチル)、アルコキシ(すなわち、Rが好ましくはC1-6アルキル基である−OR基)、ハロ(たとえば、ヨード、ブロモ、さらに特別には、クロロ、およびフルオロ)、ニトロ、およびC1-6アルキル(好ましくは、C1-4アルキル)が含まれ得る。好ましいC1-6アルキル基としては、メチル、イソプロピル、およびt−ブチル、特にメチルが挙げられる。特に好ましい置換基としては、クロロおよびニトロが挙げられる。さらに好ましくは、アリール基は置換されていない。
【0032】
本発明で用いられる好ましい化合物としては、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジクロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0033】
本発明で用いられるさらに好ましい化合物としては、メチルALAエステル、エチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられるのに特に好ましい化合物としては、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニルーメチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0035】
本明細書に記載される方法に用いられるのに特別に好ましい化合物としては、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、および4−メチルベンジルALAエステル、特に、ベンジルALAエステルが挙げられる。4−ニトロベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、およびベンジルALAエステルが特に好ましい。
【0036】
本発明で用いられる化合物は、(たとえば、フォトキュア・エイエスエーのWO02/10120に記載されているような)当該技術分野で利用可能な任意の従来の手法によって調製され得る。たとえば、5−ALAのエステルは、塩基の存在下で5−ALAを適切なるアルコールと反応させることによって調製され得る。あるいは、本発明で用いられる化合物は、(たとえば、フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから)市販されているものでもよい。
【0037】
本発明の方法により使用される化合物は、遊離アミン(たとえば、−NH2、−NHR2、もしくは−NR2R2)の形態、または好ましくは、生理学的に許容可能な塩の形態であり得る。このような塩は、好ましくは、生理学的に許容可能な有機酸または無機酸を有する酸付加塩である。適切な酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、臭化水素酸、燐酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体が挙げられる。特に好ましい塩は、フォトキュア・エイエスエーのWO2005/092838に記載されているスルホン酸またはスルホン酸誘導体を有する酸付加塩であり、本明細書では、この文献の全内容を参考のために援用する。塩形成のための手法は、当該技術分野で従来から用いられているものである。
【0038】
本発明の方法では、単一の光増感剤(すなわち、5−ALAの誘導体)を、座瘡を治療または予防する際に単独で用いてもよい。あるいは、2つまたはそれ以上、好ましくは2つの光増感剤の組み合わせを、光増感剤の少なくとも1つが5−ALAの誘導体または医薬的に許容可能なその塩である場合に用いてもよい。
【0039】
5−ALA(たとえば、5−ALAエステル)の誘導体を用いて調製され得るか、または本発明に従って共投与され得る他の光増感剤としては、
ヘマトポルフィリン誘導体(HpD);
フォトフリン(Photofrin)(登録商標)(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Quadra Logic Technologies Inc.)、バンクーバー、カナダ)などのヘマトポルフィリン類およびヘマトポルフィリンIX(HpIX);
フォトサンIII(シーホフ・ラボラトリアム・ゲーエムベーハー、シーホフ、ヴェッセルブレナークーグ(Seehof Laboratorium GmbH,Seehof,Wesselburenerkoog)、ドイツ);
テトラ(m−ヒドロキシフェニル)クロリン類(m−THPC)などのクロリン類およびそのバクテリオクロリン類(スコティア・ファルマソチカルズ・リミテッド、(Scotia Pharmaceuticals Ltd)、サリー、英国)、モノ−L−アスパルチルクロリンe6(NPe6)(ニッポン・ペトロケミカル・カンパニー(Nippon Petrochemical Co.)、カリフォルニア、米国)、クロリンe6(ポルフィリン・プロダクツ・インコーポレイテッド(Porphrin Products Inc.))、ベンゾポルフィリン類(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド、バンクーバー、カナダ)(たとえば、ベンゾポルフィリン誘導体一酸塩基環A、BPD−MA)、およびプルプリン類(PDT ファルマソチカルズ・インコーポレイテッド(Pharmaceuticals Inc.)、カリフォルニア、米国)(たとえば、錫−エチルエチオプルプリン,SnET2);
フタロシアニン類(たとえば、亜鉛−(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インク、バンクーバー、カナダ)、スルホン化され得るいくつかのアルミニウムまたはシリコンフタロシアニン類、特に、アルミニウムフタロシアニンジスルホネート(AlPcS2a)またはアルミニウムフタロシアニンテトラ−スルホネート(AlPcS4)などのスルホン化フタロシアニン類);
ポルフィセン類;
ハイポクレリン類(hypocrellins);
プロトポルフィリンIX(PpIX);
ヘマトポルフィリンジエーテル類;
ウロポルフィリン類;
コプロポルフィリン類;
ジューテロポルフィリン;
ポリヘマトポルフィリン(PHP)、および前駆体、およびその誘導体、ならびにテトラサイクリン(たとえば、トピサイクリン(Topicycline)(登録商標)、シャイアー(Shire))などの抗体が挙げられる。
【0040】
好ましくは、第2の光増感剤は、ヘマトポルフィリン(たとえば、フォトフリン(登録商標))、クロリン(特に、m−THPCもしくはクロリンe6)、またはスルホン化フタロシアニン(特に、アルミニウムフタロシアニンジスルホネートまたはアルミニウムフタロシアニンテトラスルホネート)である。
【0041】
したがって、他の局面によると、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤が使用される。
【0042】
さらに他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法で同時に、別個に、または連続して用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤が使用される。
【0043】
さらに他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法で同時に、別個に、または連続して用いられる、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤、および別個に第2の光増感剤を含むキットまたはパックが提供される。
【0044】
本明細書で用いられる座瘡の「予防」という用語は、座瘡の予防的治療を意味する。したがって、本明細書に記載される化合物は、治療時に必ずしも座瘡が形成されているわけではないが、座瘡ができやすい皮膚の領域を治療するために本発明に従って用いられ得る。好ましくは、本発明に従って用いられる化合物は、一旦定着した座瘡の治療、特に、炎症性座瘡の治療用である。
【0045】
本明細書で用いられる「座瘡」という用語は、毛嚢脂腺単位の炎症性および非炎症性疾患を含む。しかし、主として、本明細書に記載される方法は、毛嚢脂腺単位または濾胞に細菌が侵入した、より炎症性が高いタイプの座瘡を治療するために用いられる。上記のように、座瘡の明確な原因は分かっていないが、座瘡は、通常、皮脂(アンドロゲンに敏感な皮脂腺によって分泌される脂質)の生成の増加、プロピオニバクテリウム(たとえば、P.acnes、P.granulosum、およびP.avidum)などの細菌の増殖、上皮細胞のターンオーバーの増加、および/または炎症(たとえば、赤み、腫れ、および/または膿)の発現に関連している。本明細書に記載される化合物は、好ましくは、プロピオニバクテリウムアクネスに関連する座瘡の治療または予防(好ましくは治療)に用いられる。
【0046】
座瘡は、多数の異なる様式で現れ得る(添付の図1を参照)。座瘡の共通の特徴には、面皰(にきび)および稗粒腫が含まれる。これらは、孔が(たとえば、皮脂および/または死細胞で)詰まることによって引き起こされる。孔が開いたままでいると、面皰が生じる(図1(i)、これに対して、孔が閉じて腫れあがってくると、稗粒腫が形成される(図1(ii))。丘疹、膿疱、および嚢胞は、孔の壁が損傷し、細菌が孔に感染する場合に、生成されると考えられる。丘疹では、膿が皮膚の表面にかなり近接して存在し(図1(iii))、これに対して、膿疱では、膿は孔の内部深くに存在する(図1(iv)。嚢胞は、一般に、膿疱より大きくかつ深く、大量の膿を含む。本明細書に記載される化合物は、面皰,稗粒腫、丘疹、膿疱、および嚢胞の1つまたはそれ以上の治療または予防に用いられ得る。
【0047】
座瘡は、たとえば、面皰,稗粒腫、丘疹、膿疱、および/または嚢胞の性質、深刻さ、および/または場所によって異なる形態に分類される。本発明によって治療され得る代表的なタイプの座瘡としては、尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、丘疹性座瘡、および月経前座瘡、好ましくは、毛嚢脂腺器官の慢性炎症疾患である尋常性座瘡が挙げられる。座瘡は、背中、胸、上腕、および/または顔に発生し得、本明細書に記載される化合物は、身体のこれらの領域のいずれか、特に、顔を治療するために用いられ得る。
【0048】
特定の比較的軽い形態の座瘡(たとえば、面皰および/または稗粒腫)は、必ずしも「疾患」とは見なされず、その治療は、もっぱら美容上の理由から実施され得る。たとえば、座瘡が比較的頻繁に発生せず、および/または広がっていない(すなわち、ほとんど吹き出物がない)場合がこれに該当する。
【0049】
したがって、他の局面によると、本発明では、(たとえば、顔面の)座瘡の美容上の治療方法であって、上記で定義した5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を疾患部位に投与(例えば、局所適用)すること、および前記光増感剤を前記疾患部位で光活性化することを含む方法が提供される。
【0050】
本発明によって用いられる化合物は、当該技術分野で周知の技術により、1つまたはそれ以上の生理学的に許容可能な担体または賦形剤とともに、任意の従来の様式で調剤され得る。
【0051】
組成物は、疾患部位において、または疾患部位付近で全身に(たとえば、経口もしくは非経口で)、またはより好ましくは局部に(たとえば、注射によって、もしくはより好ましくは局所に)投与され得る。投与経路は、治療される座瘡の深刻さおよび性質、座瘡の場所、ならびに使用される光増感剤(または光増感剤の組み合わせ)に依存する。しかし、一般に、局部投与、さらに好ましくは、局所適用が好ましい。
【0052】
好ましい剤型としては、ゲル剤、クリーム、軟膏、スプレー剤、ローション剤、こう薬、スティック、石鹸、散剤、エアゾール、滴剤、液剤、および他の任意の従来技術の薬剤形態が挙げられる。ゲル剤、クリーム、および軟膏が一般的に好ましい。
【0053】
軟膏、ゲル、およびクリームは、たとえば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加した、水性もしくは油性の基剤を用いて調剤され得る。ローションは、水性または油性の基剤を用いて調剤され得、一般に、1つまたはそれ以上の乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含む。粉は、任意の適切な粉の基剤を利用して形成され得る。滴剤および溶液は、1つまたはそれ以上の分散剤、可熔化剤、または懸濁化剤を含む水性または非水性基剤を用いて調剤され得る。エアゾールスプレーは、従来のように、適切な噴射剤を用いて、加圧されたパックから首尾よく送達される。
【0054】
組成物はさらに、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、甘味剤、芳香添加剤、および/または吸着促進剤、たとえば、以下に記載される表面浸透剤等を含み得る。本発明の方法で用いられる組成物は、当該技術分野で周知の手法を用いることによって、患者に投与された後、活性成分が迅速、徐放的、または遅延的に放出されるように調剤され得る。可溶化剤および/または安定剤、たとえば、シクロデキストリン(CD)α、β、γ、ならびにHP−シクロデキストリンを用いてもよい。組成物は、たとえば、乳剤などの任意の適切な用量形態であってもよく、またはリポソーム、ニオソーム、微小球、ナノ粒子などに含まれていてもよい。その場合、本発明で用いられる化合物は、これらの形態に吸着、取り込み、または結合され得る。
【0055】
通常、座瘡のPDT治療用の組成物は、クリーム、または2成分系からなる(たとえば、2つの光増感剤を含む)キットなどのすぐ使用できる調剤形態である。
【0056】
最終調剤のpHは、好ましくは、2.5から7.4の範囲である。調剤がすぐ使用できる場合には、わずかに酸性のpH、たとえば、pH5〜7が好ましい。
【0057】
座瘡の治療用の最終調剤における、本明細書に記載の5−ALA化合物の濃度は、化合物の化学的性質、化学組成、投与様式、および治療される座瘡の性質を含むいくつかの要因によって異なる。しかし、一般には、0.01から30%(w/w)の間の濃度範囲が適切である。局部投与による座瘡の治療に最も好ましい濃度は、0.02から25%(w/w)、たとえば、5%(w/w)の範囲である。
【0058】
光増感剤を含む医薬調剤を投与した後、治療される部位は、露光され、所望の光増感効果が成し遂げられる。露光が行われる投与後の時間の長さは、組成物の性質、治療条件、および投与形態に依存する。一般に、光増感剤は、光活性化前に座瘡の部位で効果的な組織濃度に到達することが必要である。これには、一般に、0.5から24時間(たとえば、1から3時間)かかり得る。
【0059】
好ましい治療手順では、1つまたは複数の光増感剤は、疾患部位に適用され次いで(たとえば、約3時間後)照射される。必要に応じて、この手順は、たとえば、さらに3回まで、14日(たとえば、7〜14日)までの間隔で繰り返してもよい。この手順によって、座瘡が十分に減少しないか、または完全に治癒しない場合には、さらなる治療を数ヶ月後実施してもよい。
【0060】
たとえば、ランプまたはレーザによって身体の異なる領域を照射する方法は、当該技術分野で周知である(たとえば、Van den Bergh、Chemistry in Britain, 1986年5月、430〜439頁を参照)。照射は、一般に、40から200ジュール/cm2(たとえば、100ジュール/cm2)の線量レベルで与えられる。
【0061】
照射に用いられる光の波長は、より効きめのある光増感効果を達成するように選択され得る。最も効果的な光は、300〜800nm、通常は400〜700nmの波長の光である。
【0062】
したがって、本発明の他の局面によると、人間の座瘡を治療する方法であって、5−ALAの誘導体または上記で定義した組成物である光増感剤を疾患部位に投与すること、表面を光、好ましくは、300〜800nm(たとえば、400〜700nm)の波長範囲の光に露光することを含む方法が提供される。
【0063】
上記のように、本発明で用いられる化合物は、他の光増感剤、たとえば、5−ALAもしくは他の5−ALA誘導体、またはフォトフリン(登録商標)などのポルフィリン誘導体を用いて調剤および/または投与され得る。あるいは、本発明により用いられる化合物は、光増感効果を増加させ、それによって、座瘡の治療を促進させることが可能な他の活性成分を用いて調剤および/または投与され得る。たとえば、Ppの蓄積を増強させるために、キレート剤が含まれ、および/または共投与されることも有益であり得る。キレート剤による鉄のキレート化により、酵素フェロケラターゼの作用によりヘムを形成するためのPpへの鉄の取り込みを妨げ、これによりPpの蓄積が生じる。こうして、光増感効果が増強される。
【0064】
適切なキレート剤としては、アミノポリカルボン酸が挙げられ、金属の解毒または磁気共鳴画像造影剤における常磁性金属イオンのキレート化に関して文献中に記載されるあらゆるキレート剤が含まれる。特に、EDTA、CDTA(シクロヘキサンジアミン四酢酸)、DTPA及びDOTA、ならびにそれらの周知の誘導体/類似体を挙げることができる。EDTAおよびDTPAが特に好ましい、鉄のキレート化効果を達成するために、たとえば、EDTAなどのアミノポリカルボン酸キレート剤と共に、デスフェリオキサミンおよび他のシデロフォアを用いてもよい。
【0065】
キレート剤は、存在する場合には、0.05から20%、たとえば、0.1から10%(w/w)の濃度で首尾よく用いられ得る。
【0066】
浸透促進剤はまた、本発明で用いられる化合物の光増感効果を向上させる上で有益な効果をもたらし得る。したがって、表面浸透助剤、特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのジアルキルスルホキシドもまた、本発明において用いられる組成物に含まれ、および/または共投与され得る。表面浸透助剤は、薬剤文献に記載される皮膚浸透援助剤、たとえば、キレート剤(たとえば、EDTA)、界面活性剤(たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム)、非界面活性剤、胆汁酸塩(たとえば、デオキシコール酸ナトリウム)、および脂肪酸(たとえば、オレイン酸)のいずれであってもよい。適切な表面浸透助剤の例としては、イソプロパノール、HPE−101(久光(Hisamitsu)より入手可能)、DMSO、および他のジアルキルスルホキシド、特に、n−デシルメチル−スルホキシド(NDMS)、ジメチルスルファセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMFA)、ジメチルアセトアミド、グリコール類、様々なピロリドン誘導体(Woodfordら、J.Toxicol.Cut.& Ocular Toxicology、1986、5:167~177)、およびアゾン(Azone)(登録商標)(Stoughtonら、Drug Dpv.Ind.Pharm.1983、9:725~744)、またはその混合物が挙げられる。
【0067】
表面浸透剤は、0.2から50%(w/w)、たとえば、約10%(w/w)の濃度範囲で首尾よく提供され得る。
【0068】
他の局面によると、このように、本発明では、座瘡の治療または予防に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、少なくとも1つの表面浸透助剤、必要に応じて、1つまたはそれ以上のキレート剤とともに、5−ALAの誘導体(たとえば、5−ALAエステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0069】
本発明において用いられる化合物は、さらに、座瘡の治療または予防を向上させる他の非光増感剤と組み合わせて用いてもよい。このような作用物質には、1つまたはそれ以上の従来の座瘡治療剤が含まれる。このような作用物質の代表的な例としては、以下のものが挙げられる:
アシトレチン、イソトレチニオン(isotretinion)(たとえば、イソトレックス(Isotrex)(登録商標)、スタイフェル・アンド・ロアクタン(Steifel and Roaccutane)(登録商標)、ロッシュ(Roche))、トレチニオン(たとえば、レチン−A(Retin-A)(登録商標)、ヤンセン−シラグ(Janssen-Cilag))、およびタザロテンなどのレチノイド類、
過酸化ベンゾイル(たとえば、パンオキシル(PanOxyl)(登録商標)、スタイフェル)などの過酸化物、
テトラサイクリン(たとえば、トピサイクリン(登録商標)、シャイアー)、クリダマイシン(たとえば、ダラシンT(Dalacin T)(登録商標)、ファルマシア(Pharmacia))、エリスロマイシン(たとえば、スティーマイシン(Stiemycin)(登録商標)、スタイフェル)、ドキシサクリン、オキシテトラサクリン、ミノサクリン、トリメトプリム、およびメトロニダゾールなどの抗生物質、
コ−シプリンジオール(co-cyprindiol)(エチニルエストラジオールを有する酢酸シプロテロン)、たとえば、ジアネ(Dianette)(登録商標)、シェリング・ヘルス(Schering Health)等のホルモン類、
フォトキュア・エイエスエーのWO03/045893に記載されているような、アゼライン酸(たとえば、スキノレン(Skinoren)(登録商標)、シェリング・ヘルス)およびその誘導体、
アダパレン(たとえば、ディフェリン(Differin)(登録商標)、ガルダーマ(Galderma))、
ニコチンアミド(たとえば、ニカン(Nican)(登録商標)、ダーマル(Dermal))、および
サリチル酸(たとえば、アクニサール(Acnisal)(登録商標)、ダーマファーム(DermaPharm))。
【0070】
これらの座瘡治療剤は、調剤の一部として存在し得るが、通常、これらは、同時に、別個に、または連続して投与される別個の治療剤として用いられる。すべての補助剤の投与は、これらの薬剤を用いるための既知の方法に従って、経路、濃度、および調剤の観点から実施されなければならない。これらのさらなる作用物質は、その機能に応じて、PDTの前、PDT中、またはPDTの後に投与され得る。
【0071】
他の局面によると、このように、本発明では、座瘡を治療または予防する方法において用いられる製品またはキットであって、
(a)5−ALAの誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を含む第1の容器、および
(b)非光増感座瘡治療剤を含む第2の容器を備えた製品またはキットが提供される。
【0072】
本明細書に記載されるような第2の光増感剤、表面浸透剤、またはキレート剤などの、キットのさらなる成分も提供され得る。
【0073】
本発明の他の局面によると、このように、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤と共に、5−ALAの誘導体(たとえば、5−ALAエステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0074】
本発明のさらに他の局面によると、本発明では、座瘡を治療または予防する方法で同時に、別個に、または連続して用いられる薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤と共に、5−ALA(たとえば、5−ALAエステル)の誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0075】
治療される座瘡の性質、および本発明の方法において用いられるさらなる1つまたは複数の活性剤の性質に応じて、活性剤は、たとえば、単一組成物において5−ALA誘導体と共投与され得るか、または連続してもしくは別個に投与され得る。通常、表面浸透助剤が用いられる場合、本発明において用いられる化合物の投与前に別個の工程で投与される。表面浸透助剤が前処理で用いられるとき、表面浸透助剤は、たとえば、100%(w/w)までの高濃度で用いられ得る。このような前処理工程が用いられる場合、光増感剤は、前処理後数時間まで、たとえば、前処理後5〜60分の間隔で連続して投与され得る。
【0076】
以下の非限定的実施例により、添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
一般的な方法
細菌培養:
プロピオニバクテリウムアクネス(P.acnes)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC No.6919)から入手し、細菌を37℃の血液寒天プレート上で暗所において嫌気性増殖させた。
【0077】
参考文献:Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225~420、1980;Goodsell MEら、Curr.Microbiol.22:225~230、1991;Zierdt CHら、Int.J.Syst.Bacteriol.18:33~47、1968;Douglas HDおよびGunter SE、J.Bacteriol.52:15~23、1946;Johnson JLおよびCummins CS、J.Bacteriol.109:1047~1066、1972;Wang RFら、Appl.Environ.Microbiol.62:1242-1247、1996。
【0078】
プロピオニバクテリウム−グラヌローサム(P.granulosum)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC No.25564)から入手した。
【0079】
参考文献:Johnson JLら、J.Bacteriol.109(3);1047-1066、1972;Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225-420、1980。
【0080】
プロピオニバクテリウム−アビダム(P.avidum)は、ATCC(ATCC No.25577)から入手した。
【0081】
参考文献:Goodsell MEら、Curr.Microbiol.22(4):225-230、1991;Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225-420、1980。
ALAエステルと共にインキュベーション
PIPES緩衝液(約1mL)を各血液寒天ペトリプレートに添加し、無菌ガラス棒およびパスツールピペットを用いて、細菌溶液を20mlの試験管に移した。次に、分光光度計で測定した場合に光学密度(OD)が550nmで1.00±0.01となるまで懸濁液をPIPES緩衝液で希釈した。このODでは、細菌密度は、1ml当たり約5×108個である。
【0082】
細菌試料(1ml当たり約5×108個の細菌を含む100μlの懸濁液)を収集し、t=0対照として用いた。細菌懸濁液のアリコットを適切な容量の(100mMのALAエステルを含む)5−ALAエステルのストック溶液と混合し、適切な濃度を得て、37℃の暗所で4時間インキュベートした。照射を行わなかった場合には、次に、以下に記載されるように生存率を測定した。
照射
場合によっては、照射をALAエステルで処理した細菌懸濁液上で行った。正確な条件は、以下の実施例に記載する。照射後、生存率を以下に記載されるようにアッセイした。
生存率のアッセイ
(照射を用いて、または用いずに)ALAエステルで処理した後、処理された細菌試料を(未処理の対照と共に)収集し、さらにPIPES緩衝液で1ml当たり1×104個の細菌まで希釈した。次に、この懸濁液20mlのアリコットをバクトアガーペトリ皿(Futsaetherら、Can.J.Microbiol.,39(2):180-186 1993)に移し、37℃の暗所で3〜5日間インキュベートした。バクトアガーペトリプレート上で形成されたコロニーをコロニーカウンターで計測した。異なる濃度の5−ALAエステルと共にインキュベーションした後の細胞生存率は、対照試料(すなわち、t=0時間で収集された試料、および5−ALAエステルを用いずに4時間インキュベーションした後収集された試料)に対して示され、百分率生存率として示される:
生存率=「C処理/C対照」×100%
C=コロニーの数。
【実施例1】
【0083】
−暗所毒性
ALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesにおける光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、エステルの毒性を分析するための調査を行った。この調査は、迷光によって引き起こされるPDT効果を避けるため、暗所で行われた。インキュベーションおよび生存率を、上記の一般的な説明の部に記載したようにしてアッセイした。その結果を添付の図2に示す。
【0084】
メチルエステルは、20mMまでの濃度については実質的に非毒性であったのに対して、ALAヘキシルエステルは、非常に毒性が高かったことが図2から理解できる。ALAベンジルエステルは、即座に毒性を示した。
【実施例2】
【0085】
−キュアライトブロードバンド(Curelight Broadband)ランプを用いたPDT
上記の一般的な説明の部に記載したように、細菌懸濁液(P.acnes)を4mMのメチルエステル、4mMのベンジルエステル、および1mMのヘキシルエステル(このエステルは暗所毒性が高いため)で処理し、希釈し、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)で、キュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから入手可能、580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて照射した。照射中、2×20μlのアリコットを2分毎に合計10分間収集し、上記の一般的な説明の部に記載されるように生存率をアッセイした。照射後の相対的な生存率を、赤色光への露光を行わなかった対照試料に対して計算した。結果を図3に示す。
【0086】
ALAベンジルエステルは、殺菌効果が最も大きかったのに対して、ALAメチルエステルは、殺菌効果が最も小さかったことが図3から理解できる。4mMのALAベンジルエステルを用いると、100%殺菌するのに約10J/cm2の光線量で十分であった。ALAヘキシルエステルもまた非常に効果的であったが、このエステルは、暗所毒性が高いため、低濃度(1mM)で用いた。
【実施例3】
【0087】
−キュアライトLEDランプを用いたPDT(フォトキュア・エイエスエーによるアクチライト(Aktilite)(登録商標)の下で販売されている)
同一濃度(1mM)のALAヘキシルエステルとALAベンジルエステルとを比較し、また、他の光源をテストするため、狭帯域赤色光(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからアクチライト(登録商標)の下で市販されているキュアライトLED128ランプ)を使用する他の実験を行った。このランプは、128個の発光ダイオード(LED)からなり、634±3nmのピーク波長を有する。ランプの放射スペクトルは、18nmの半値全幅(FWHM)を有する。50mmの距離でのフルエンス率は、約50mW/cm2である(標的領域の最大フルエンス率変動は、±10%である)。
【0088】
ALAエステルと共にインキュベーション後、5.5cmのプラスチックペトリ皿(上記の一般的な説明の部を参照)中で10mlの細菌懸濁液に照射した。温度の影響を避けるため、ペトリ皿を周囲温度の大きな水槽中の支持体上に配置した。照射中、2×20μlのアリコットを2分毎に合計で10分間収集し、バクトアガーペトリ皿に移した。(37℃の暗所における)インキュベーションの3〜5日後に、上記の一般の説明の部に記載されるように生存率を決定し、非照射対照試料と比較して提供した。その結果を図4に示す。
【0089】
1mMのALAベンジルエステルは、1mMのALAヘキシルエステルよりも光力学的効果がはるかに良好であったことは図4から理解できる。実際、26分の照射(78J/cm2の光フルエンスに対応する)で、1mMのALAベンジルエステルと共にインキュベートされたすべての細菌が殺されたが、1mMのALAヘキシルエステルと共にインキュベートされた細菌は40%しか殺されなかった。
【実施例4】
【0090】
−細胞内ポルフィリンの形成
ALAエステルと共にインキュベーション後の細胞内ポルフィリン形成を調べるため、細菌(1mlあたり5×108個の細胞、10ml)を、ALAエステルを用いて37℃の暗所で4時間インキュベートした。ポルフィリンの形成を蛍光放射スペクトル(ポルフィリンは、特定ピークを示す)を調べることにより追跡した。その手段は以下のとおりである。
【0091】
内因的に保持されたポルフィリンの量を測定するために、8mlの5−ALAエステルでインキュベートされた細菌をプラスチックの試験管に添加し、冷蔵庫内で2〜3℃でインキュベートし、さらなる5−ALAエステル取り込みおよび/またはポルフィリン形成を停止した。次に、細胞を遠心分離(5000g、5分、2〜3℃)によってペレット化し、上澄み液を捨て、細胞を新しい緩衝液(8ml)中に懸濁し、十分に混合した。2mlの細菌懸濁液のアリコットを標準的な使い捨てプラスチックキュベットに移し、細胞懸濁液の蛍光放射スペクトルを、以下の設定を用いて、パーキンエルマー(Perkin Elmer) LS 50B蛍光分光計で決定した。
【0092】
励起波長λx: 405nm
放射波長λe: 550〜700nm
励起および放射スリット: 5nm
放射モノクロメーター速度: 300nm/分。
【0093】
測定されたかなり広い範囲の波長は、より低いまたはより高い波長で最も簡単に識別可能である、細菌からの自己蛍光を制御する必要性から引き起こされた。
【0094】
結果を図5に示す。この結果から、ALAヘキシルエステルが、おそらくは高い暗所毒性のために、P.acnesにおけるポルフィリン形成の誘導に最も効果が低いことは明らかである。ALAメチルエステルは、わずかに高いプロフィリンレベルを示したが、ALAベンジルエステルは、細菌のポルフィリン生合成のはるかに最も効果的な誘導物質であった。
【実施例5】
【0095】
―暗所毒性
「座瘡に関連する細菌」の他の2つの菌株における光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、P.granulosumおよびP.avidumにおけるALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルの毒性をアッセイするための調査を行った。この調査は、実施例1に記載されるように行われ、その結果を図6に示す。
【0096】
ALAヘキシルエステルがALAベンジルエステルよりもさらに著しく毒性が強く、4mMのヘキシルエステルを用いると、両菌株が100%殺されることが図6から明白である。P.granulosum菌株が、インキュベーション条件に特に耐えられなかったことも理解できる。
【実施例6】
【0097】
―キュアライトブロードバンドランプによるPDT
細菌懸濁液(P.granulosumおよびP.avidum)を、上記の一般的な説明の部に記載されるように、4mMのALAメチルエステル、4mMのベンジルエステル、および1mMのヘキシルエステル(このエステルは高い暗所毒性を示すため)で処理し、希釈し、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)でキュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから入手可能、580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて照射した。
【0098】
実施例2に記載される方法を用いて、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)でキュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェー−580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベーション後のP.granulosumおよびP.avidumにおけるPDT効果を観察した。結果を図7に示す。
【実施例7】
【0099】
―LEDランプによるPDT効果
ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステル(1mM)と共にインキュベーション後のP.granulosumおよびP.avidumにおけるPDT効果を、実施例3に記載されるように、キュアライトLED128ランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからアクチライト(登録商標)の下で市販されている)用いて観察した。実験は、実施例3に記載されるように行われ、その結果を図8に示す。
【実施例8】
【0100】
−ポルフィリン形成
P.granulosumおよびP.avidumにおいて実験を行い、以下のALAのエステル:ヘキシル5−アミノレブリネート、ベンジル5−アミノレブリネート、3,6−ジオキサ−1−オクチル5−アミノレブリネート、4−イソプロピルベンジル5−アミノレブリネート、および4−メチルベンジル5−アミノレブリネートを用いた。
【0101】
この実験に対しては1mMの濃度を選択した。なぜなら、ヘキシルエステルは4mMで高い暗所毒性を示したからである(実施例5を参照)。実験を実施例4に記載したように行い、内因的に保持されたポルフィリンの量、および外因性のポルフィリンの量を共に蛍光分光器で決定した。
【0102】
結果を図9に示す。ここでは、620nmでの蛍光が定量化に用いられた。ポルフィリン形成に対して2つの細菌株間で顕著な相違があったが、図から、ベンジルエステル、次いで、ヘキシルエステル、および3,6−ジオキサ−l−オクチルエステルがポルフィリン形成を誘導するのに最も大きな能力を有していたことが明らかである。
【実施例9】
【0103】
―暗所毒性
ベンジル−、4−クロロベンジル−、4−ニトロベンジル−、2−メチルベンジル−、4−メチルペンチル−、および2−メトキシエチル5−アミノレブリネートと共にインキュベーション後のP.acnesにおける光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、これらの化合物の毒性をアッセイするための調査を行った。この調査は、実施例1のように、迷光によって引き起こされるPDT効果を避けるために暗所で行われた。インキュベーションおよび生存率を上記の一般的な説明の部に記載されるようにアッセイし、結果を以下の表1に示す。
【0104】
表1.暗所毒性実験の結果の要約。以下に挙げられるALAエステルと共にインキュベーションは37℃の暗所で4時間行われた。細胞生存率を寒天プレート上のコロニー形成能力に基づき決定した。平均の標準誤差(SE)を用いた5−8独立実験に基づく平均正規化コロニー形成ユニット(CFU)を提示する。
【0105】
【表1】
【0106】
物質は、かなり異なる毒性を示した。4−ニトロベンジルおよび2−メトキシエチルALAエステルは、20mMまでの濃度でほとんど毒性を示さなかったのに対して、4−クロロベンジルおよび2−メチルベンジルALAエステルは、4mMでかなりの毒性を示した。0.4mMでテストした場合、低毒性は、すべての物質について見られたため、この濃度を次のPDT実験に対して選択した。
【実施例10】
【0107】
−LEDランプを用いたPDT効果
実施例9に挙げられている(0.4mMの濃度での)5−ALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesの光力学的な不活性化を、アクチライト(登録商標)128ランプによる照射後に調べた。ランプおよび実験の詳細は、実施例3に記載されており、その結果を図10に示す。
【0108】
4−クロロベンジルおよび4−ニトロベンジルALAエステルが最も効果的であったことは図10から理解できる。事実、0.4mMのこれらのエステルと共にインキュベーション後、実質的に100%殺菌するためには、わずか10分の照射が必要であった。この濃度では、ベンジルおよび2−メチルベンジルALAエステルは、良好な殺菌能力(10分の照射で、約50%の殺菌効果)を示した。4−メチルペンチルおよび2−メトキシエチルALAエステルを用いた場合、PDT効果はより弱かった。
【実施例11】
【0109】
−ゲル形成
ヒドロキエチルセルロース(HEC)(150mg、mw720,000)を水(10ml)に添加し、混合物を攪拌し、70℃まで加熱する。HECは溶解し、ゲルを形成する。混合物を50℃まで冷却し、5−ALAベンジルエステルHCl(300mg)およびベンジルアルコール(150mg)を攪拌しながらゲルに添加する。混合物を5分間攪拌し、10mlの管に充填する。
【0110】
ゲルは、3%の5−ALAベンジルエステルHClを含み、使用できる状態である。
【実施例12】
【0111】
−クリーム形成
5−ALAイソプロピルベンジルエステルHCl(500mg)を、すり鉢および乳棒を用いて、軟膏メルク(Ung.Merck)(10g)に混合する。得られたクリームをガラス瓶に充填する。
【0112】
クリームは、5%の5−ALAイソプロピルベンジルエステルHClを含み、使用できる状態である。
【実施例13】
【0113】
−メチルALAエステルの臨床上の使用
この臨床調査の目的は、中程度の炎症性顔面座瘡を治療するためのメチルALAエステルを局所適用した後の光力学療法(PDT)の効能および耐薬(tolerability)を調べることであった。
【0114】
中程度の座瘡から深刻な座瘡までを有する15〜28歳の患者30人に対して、盲検、見込み、無作為、プラセボ対照の複数の医療機関にまたがった調査を行った。各患者の顔の両側を160mg/gの塩酸メチルアミノレブリネート(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからメトヴィックス(Metvix)(登録商標)の下で市販されている)を含むクリームまたはプラセボクリームで無作為に治療し、接着性閉鎖包帯(テガダーム(Tegaderm)(登録商標)、3Mまたはオプサイト(Opsite)(登録商標)、スミス・アンド・ネフュー(Smith and Nephew))で蓋った。カニューレ(1〜2mm)を用いて結節性または嚢胞性病変を調製し、クレーム浸透を促進させた。3時間後、アクチライト(登録商標)CL128ランプ(フォトキュア・エイエスエー、平均波長635nm、光線量37Jcm-2)を用いて非干渉性の赤色光で照射する直前に、顔の両側からクリームを優しく拭い取った。次に、顔の反対側に対しても照射を繰り返した。照射を受けていない顔の側を、他の側が照射されている間蓋った。
【0115】
2週間後、2回目の治療を行った。各場合において、10cmの視覚アナログスケールを用いて、患者の痛みの強さを評価した。炎症性および非炎症性座瘡の病変をベースラインで(すなわち、治療開始前に)、ならびに最後のPDT治療から4および10週間後にカウントした。調査者は、6点評価スケールを用いて、ベースライン(7人の患者は、顔の少なくとも片側に深刻な座瘡を有していた)、および各調査訪問(study visit)での座瘡の全体的な深刻さ(表2を参照)を評価した。30人すべての患者を含むデータを治療目的別に分析した。
【0116】
表2.調査者による全体的な深刻さの評価
【0117】
【表2】
【0118】
調査の結果を図11に示す。各グループの結果は、すべての観察結果の中央値(ボックス)および50%(バー)で示される。これは、各グループについて、観察結果の25%がバーよりも下にあり、25%がバーよりも上にあることを意味している。
【0119】
12週目において、プラセボPDTと比較して、メトヴィックス(登録商標)PDTによる炎症性病変のカウント数の合計に統計的に著しく大きな減少があった(中央減少値54%[95%CI35%−64%]対20%[95%CI8%−50%]、p=0.0006)。痛みの強さは、医療機関によって異なり、繰り返し治療することにより低減されたが、メトヴィックス(登録商標)PDTは、プラセボPDTよりもより痛みに関連していた。地方の不利な事情は、この治療の様相と一致していた。メトヴィックス(登録商標)PDTは、中程度から深刻な顔の炎症性座瘡の治療には効果的であると結論づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、座瘡の異なるステージを示す図である。
【図2】図2は、ALAメチルエステル、ALAヘキシルエステル、およびALAベンジルエステルについての暗所毒性結果を示す図である。
【図3】図3は、ALAメチルエステル、ALAヘキシルエステル、およびALAベンジルエステルと共にインキュベートされたP.acnes細菌における光力学的効果を示す図である。
【図4】図4は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベートされた細菌における光力学的効果を示す図である。
【図5】図5は、様々な濃度のALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesにおけるポルフィリンの形成を示す図である。
【図6】図6は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルの暗所毒性を示す図である(未処理の対照(すなわち、インキュベーション緩衝液において4時間インキュベーションされなかったもの)に対する生存率が提供されている)。
【図7】図7は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベートされたP.granulosumおよびP.avidum細菌における光力学的効果を示す図である。
【図8】図8は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベーション後のキュアライトLEDランプ(フォトキュア・エイエスエーによるアクチライト128(登録商標)で販売されている)を用いたP.granulosumおよびP.avidumにおける光力学的効果を示す図である。
【図9】図9は、1mMのALAのベンジル(B)エステル、ヘキシル(H)エステル、3,6−ジオキサ−1−オクチル(3,6−D)エステル、4−メチルベンジル(M−B)エステル、および4−イソプロピルベンジル(I−B)エステルと共にインキュベーション後のP.avidumおよびP.granulosumにおけるポルフィリン形成を示す図である。
【図10】図10は、ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、および2−メトキシエチルALAエステルと共にインキュベートされたP.acnes細菌における光力学的効果を示す図である。
【図11】図11は、メトヴィックス(登録商標)およびPDT、またはプラセボクリームおよびPDTによる治療から6および12週後の炎症性病変の減少を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、座瘡の治療方法に関し、特に、座瘡(たとえば、尋常性座瘡)の治療方法における5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体の使用に関する。最も詳細には、本発明は、このような症状を治療するための5−ALAエステルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
座瘡は、世界中で最も一般的な皮膚疾患の1つである。座瘡は、とりわけ思春期によく見られるが、数年続くこともある。座瘡は、英国では16歳の男女の約83〜95%に影響を及ぼし、患者の約20%が臨床医の助けを求めている。座瘡は、場合によっては永久的な瘢痕化を引き起こし、かなりの精神的苦痛の原因となることが頻繁にある。
【0003】
症状の軽い状態では、座瘡は、軽度の発疹のある炎症を伴った表在性の疾患である。しかし、さらに炎症が進んだタイプの座瘡では、毛嚢脂腺濾胞またはその周辺に細菌が侵入し、その結果、膿疱、感染嚢胞等が形成される。これらの病変は、広範囲にわたり、永久的に醜い瘢痕を残すことが頻繁にある。
【0004】
毛嚢脂腺管の閉塞が主要な要因であると考えられているが、座瘡の明確な原因については完全には理解されていない。これは、皮脂の過剰生成、上皮細胞のターンオーバーの増加、および/または細菌(たとえば、プロピオニバクテリウムアクネス)の増殖によって引き起こされ得る。たとえば、過剰な皮脂の生成および表皮細胞のターンオーバーの増加は、皮膚孔の詰まりまたは遮断の原因となり、にきび(面皰)および稗粒腫が形成され得ると考えられる。これらの要因と組み合わさって、特定の細菌が存在すると、丘疹、膿疱、および嚢胞などの炎症性の病変が形成され得る。
【0005】
面皰、稗粒腫、丘疹、膿疱、および嚢胞は、一般に、「吹き出物(spots)」と呼ばれる。各タイプの吹き出物は、程度は異なるものの、すべての座瘡の患者に存在し、最も一般的には、ある範囲内の様々なタイプが見られる。吹き出物は、一般に、皮脂腺が最も大きく、最も有力で、かつ最も活発な、顔および背中、特に、顔の皮膚領域(たとえば、顎、鼻、および額の上)に発生する。
【0006】
座瘡の確立された治療方法は、新しい病変の形成を防止し、すでに存在している病変の治癒を促進するためのものである。従来の治療方法としては、たとえば、毛嚢脂腺濾胞の細菌固体数を減少させることを意図した抗体の全身および局所投与、ならびに抗菌性で弱い抗面皰作用を有する過酸化物(たとえば、過酸化ベンゾイル)の局所適用が挙げられる。レチノイドなどのビタミンA類似体は、抗面皰作用を有し、すでに使用もされており、局所座瘡治療組成物においてある程度の成功をおさめている。
【0007】
しかし、このような従来の治療方法を用いた場合に浮上する問題点がある。たとえば、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物は、大抵の場合、不安定であるため、貯蔵寿命が制限される。その効能もまた経時的に減少する傾向がある。プロプリオニバクテリウムアクネの抗体耐性も増加しつつあり、これにより効能は大幅に低減される。レチノイド薬物(たとえば、イソトレチノイン)は、効果的ではあるものの、不快で、時には深刻な副作用を引き起こすことが頻繁にあり、禁忌により、大抵の場合、その受け入れおよび使用が制限される。したがって、座瘡の代替治療方法の開発が求められている。
【0008】
座瘡の治療方法について近年提案されている1つの方法として、感光剤を用いた光力学的療法(PDT)が挙げられる。光力学的療法(PDT)は、乾癬などの特定の悪性でない病変だけでなく、皮膚または他の上皮器官もしくは粘膜の様々な異常または疾患、特に、癌または前癌病変の治療に用いられている比較的新しい技術である。PDTでは、感光剤を投与し、露光により感光剤を活性化して細胞毒性形態に変換し、その結果、細胞を破壊して疾病を治療する。5−アミノレブリン酸(5−ALA)およびその特定の誘導体(たとえば、5−ALAエステル)だけでなく、たとえば、様々なポルフィリン類、ソラレン類、クロリン類、フタロシアニン類などのいくつかの感光剤が公知であり、文献に記載されている。
【0009】
PDTは、癌および前癌期の治療に重点をおいているが、座瘡の治療におけるPDTの使用に関するいくつかの報告がある。しかし、このような方法は、限られた成功しかおさめていない。たとえば、Itoh、Y.ら(Brit.J.Dermatology,2001,144,575−579、非特許文献1)およびHongcharau,W.ら(J.Invest.Dermatology,2000,115,183−192、非特許文献2)は共に光増感剤として5−ALAを用いる座瘡のPDT治療に関する試みを記載している。これらの研究は共に、ALA−PDTが座瘡の治療に有効であり得るが、深刻な悪影響が治療に伴われると結論づけている。これらの悪影響には、照射中の不快感、火傷、かゆみ、および刺すような痛み、PDT直後の浮腫紅斑および表皮剥脱、ならびに治療後10日までの間の長期にわたる炎症および身体の刺激に対する過敏症が含まれる。多くのケースにおいて色素沈着も報告され、患者の皮膚が正常になるまでには1ヶ月ほどかかっていた。
【非特許文献1】Itoh、Y.ら、Brit.J.Dermatology,2001年,第144巻,p.575−579
【非特許文献2】Hongcharau,W.ら、J.Invest.Dermatology,2000年,第115巻,p.183−192
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
療法(たとえば、PDT)における5−ALAの使用に関連するさらなる問題点は、非常に不安定であり、過剰な分解反応を受ける傾向があることである。このような不安定さの結果、5−ALAは、通常、酸組成物(pH5未満で最も安定)として提供されるが、今度はこれにより、治療物質としての受け入れがさらに減少することになる。5−ALAはまた、生物学的利用能が比較的低く、このことは、大抵の場合高い投与量で用いられなければならないことを意味し、多くの5−ALA組成物の酸度に関連する問題を悪化させている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それ故、座瘡を治療および/または予防するための代替方法が依然として求められている。5−ALAと共にPDTを用いる座瘡の治療方法に関連して文献で強調されている様々な問題点にもかかわらず、我々は、驚いたことに、5−ALA(たとえば、5−ALAエステル、とりわけ、任意に置換されたベンジルALAエステル類)の誘導体が座瘡の光力学的な治療に効果的に用いられ得ることを発見した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
したがって、1つの局面によると、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0013】
他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法であって、身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を投与(たとえば、局所適用)すること、および前記光増感剤を光活性化することを含む方法が提供される。
【0014】
特に、本発明では、座瘡の治療または予防方法であって、
(a)身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を投与(たとえば、局所適用)する工程、
(b)前記光増感剤が、所望の(疾患)部位において効果的な組織濃度を達成するために必要な期間だけ必要に応じて待つ工程、および
(c)前記所望の(たとえば、疾患)部位において前記光増感剤を光活性化する工程を含む方法が提供される。
【0015】
PDTにおける5−ALA(5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸、あるいは、5−アミノレブリン酸として公知)の誘導体の使用は科学および特許文献において周知である(たとえば、J.C.Kennedyら、J.Clin.Laser Med. Surg.(1996)14:289〜304,米国特許第5,079,262号,米国特許第5,211,938号,米国特許第5,234,940号,米国特許第5,422,093号,米国特許第6,034,267号,WO91/01727およびWO96/28412を参照、本明細書では、これらの内容を参考のために援用している)。このような5−ALAおよび医薬的に許容可能なその塩の誘導体はすべて本明細書に記載される方法に用いられるのに適している。
【0016】
本発明による有用な5−ALA誘導体は、インビボにおいて、プロトポルフィリンIX(PpIX)または他の任意の光増感剤(たとえば、PpIX誘導体)を形成することが可能な5−ALAの任意の誘導体であってもよい。通常、このような誘導体は、ヘムの生合成経路におけるPpIXまたはPpIX誘導体(たとえば、PpIXエステル)の前駆体であって、したがって、インビボにおける投与後に座瘡の部位においてPpIXの蓄積を誘導することが可能な前駆体である。PpIXまたはPpIX誘導体の適切な前駆体は、PpIXの生合成において中間体としてインビボで5−ALAを形成することが可能であるか、または中間体として5−ALAを形成せずにポルフィリンに(たとえば、酵素作用によって)変換され得る5−ALAプロドラッグを含む。5−ALAエステルは、本明細書に記載される方法に用いられる好ましい化合物に含まれる。
【0017】
5−アミノレブリン酸のエステルおよびそのN置換誘導体は、本発明で使用される好ましい光増感剤である。5−アミノ基が置換されていない化合物(すなわち、ALAエステル)が特に好ましい。このような化合物は、一般に公知であり、文献(たとえば、フォトキュア・エイエスエー(PhotocureASA)のWO96/28412およびWO02/10120を参照、本明細書ではこれらの内容を参考のために援用する)に記載されている。
【0018】
置換もしくは非置換(好ましくは、置換)アルカノールを有する5−アミノレブリン酸のエステル、すなわち、アルキルエステル、またはより好ましくは、置換アルキルエステルは、本発明で用いられる特に好ましい光増感剤である。このような化合物の例としては、一般式I:
R22N−CH2COCH2―CH2CO−OR1 (I)
(式Iにおいて、R1は、置換または非置換(好ましくは、置換)直鎖状、分岐状、または環状アルキル基(たとえば、置換直鎖状アルキル基)を表し、各R2は、独立して、水素原子、または任意に置換されたアルキル基(たとえば、R1基)を表す)の化合物、および医薬的に許容可能なその塩が挙げられる。
【0019】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、別に規定してなければ、任意の長鎖状もしくは短鎖状、環状、直鎖状、または分岐状脂肪族飽和または不飽和炭化水素基を含む。不飽和アルキル基は、一価不飽和または多価不飽和であり、アルケニル基およびアルキニル基を両方含む。別に規定してなければ、このような基は、40個までの原子を含み得る。しかし、30個まで、好ましくは10個まで、特に好ましくは8個まで、特別に好ましくは6個まで(たとえば、4個まで)の炭素原子を含むアルキル基が好ましい。
【0020】
置換アルキルR1およびR2基は、モノ置換またはポリ置換され得る。適切な置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、ニトロ、オキソ、フルオロ、−SR3、−NR32、および−PR32基から選択され、各アルキル基には、必要に応じて、1つまたはそれ以上の−O−、−NR3―、−S−、または−PR3−基が割り込まれていてもよく、R3は、水素原子またはC1-6アルキル基である。
【0021】
好ましい置換アルキルR1基には、1個またはそれ以上のオキソ基を有するもの、好ましくは、1、2、または3個(好ましくは、2または3個)のオキソ基で置換された直鎖状C4-12アルキル(たとえば、C8-10アルキル)基を有するものが含まれる。このような基の例としては、3,6−ジオキサ−1−オクチルおよび3,6,9−トリオキサ−1−デシル基が挙げられる。
【0022】
本発明で用いられるのに特に好ましいのは、少なくとも1つのR2が水素原子を表す式Iの化合物である。特別に好ましい化合物では、各R2は、水素原子を表す。
【0023】
R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)、またはより好ましくは、上記で定義した置換基(たとえば、フェニルなどのアリール基、またはメトキシなどのアルコキシ基)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す式Iの化合物も好ましい。
【0024】
本発明で用いられ得る非置換アルキル基には、分岐状および直鎖状炭化水素基が含まれる。R1が、1つまたはそれ以上のC1-6(たとえば、C1-2アルキル)基で分岐したC4-8、好ましくはC5-8直鎖状アルキル基である式Iの化合物が好ましい。適切な非置換分岐状アルキル基の代表的な例としては、2−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、および3,3−ジメチル−1−ブチル 4−メチルペンチルが特に好ましい。
【0025】
R1が、C1-10直鎖状アルキル基である式Iの化合物も好ましい。適切な非置換アルキル基の代表的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびオクチル(たとえば、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、およびn−オクチル)が挙げられる。ヘキシル、とりわけn−ヘキシルが、特に好ましい基である。メチルも特に好ましい。
【0026】
本発明で用いられるのに特に好ましいのは、R1が、アリール基で任意に置換されるC1-2アルキル基(好ましくは、C1アルキル基)を表す式Iの化合物である。
【0027】
本発明で用いられるのにさらに好ましいのは、R1が、アリール基(たとえば、フェニル)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す式Iの化合物である。式Iの化合物中に存在し得る好ましい置換アルキルR1基としては、C1-6アルキル、好ましくはC1-4アルキル、特に好ましくは任意に置換されたアリール基で置換(好ましくは末端が置換)されたC1またはC2アルキル(たとえば、C1アルキル)が挙げられる。
【0028】
「アリール基」は、芳香族の基を意味する。好ましいアリール基には、20個までの炭素原子、さらに好ましくは12個までの炭素原子、たとえば、10または6個の炭素原子が含まれる。
【0029】
本発明の化合物中に存在し得るアリール基は、複素芳香環(たとえば、5〜7員環の複素芳香環)であってもよいが、好ましくは、非複素芳香環である。「非複素芳香環」は、炭素原子のみから由来する電子を含む芳香族系を有するアリール基を意味する。好ましいアリール基としては、フェニルおよびナフチル、特に、フェニルが挙げられる。本発明で用いられるのに好ましい化合物には、1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアリール基が存在し得る。
【0030】
好ましい局面によると、本発明では、座瘡の予防もしくは治療に用いられる薬剤の製造において、R1が、アリール置換C1-4アルキル基(好ましくは、C1-2、たとえば、C1)を表し、好ましくは、該アリール基が20個までの炭素原子(たとえば、12個まで、特に6個の炭素原子)を含み、それ自体が任意に置換され、各R2が、上記で定義したものである(たとえば、各R2が水素である)式Iの化合物、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0031】
本発明の化合物中に存在し得るアリール基は、1個またはそれ以上(たとえば、1から5)、より好ましくは1個または2個の基(たとえば、1個の基)で任意に置換され得る。好ましくは、アリール基は、メタまたはパラ位、最も好ましくは、パラ位で置換される。適切な置換基には、ハロアルキル(たとえば、トリフルオロメチル)、アルコキシ(すなわち、Rが好ましくはC1-6アルキル基である−OR基)、ハロ(たとえば、ヨード、ブロモ、さらに特別には、クロロ、およびフルオロ)、ニトロ、およびC1-6アルキル(好ましくは、C1-4アルキル)が含まれ得る。好ましいC1-6アルキル基としては、メチル、イソプロピル、およびt−ブチル、特にメチルが挙げられる。特に好ましい置換基としては、クロロおよびニトロが挙げられる。さらに好ましくは、アリール基は置換されていない。
【0032】
本発明で用いられる好ましい化合物としては、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジクロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0033】
本発明で用いられるさらに好ましい化合物としては、メチルALAエステル、エチルALAエステル、2−メトキシエチルALAエステル、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられるのに特に好ましい化合物としては、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−[トリフルオロメチル]ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニルーメチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートが挙げられる。
【0035】
本明細書に記載される方法に用いられるのに特別に好ましい化合物としては、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、および4−メチルベンジルALAエステル、特に、ベンジルALAエステルが挙げられる。4−ニトロベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、およびベンジルALAエステルが特に好ましい。
【0036】
本発明で用いられる化合物は、(たとえば、フォトキュア・エイエスエーのWO02/10120に記載されているような)当該技術分野で利用可能な任意の従来の手法によって調製され得る。たとえば、5−ALAのエステルは、塩基の存在下で5−ALAを適切なるアルコールと反応させることによって調製され得る。あるいは、本発明で用いられる化合物は、(たとえば、フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから)市販されているものでもよい。
【0037】
本発明の方法により使用される化合物は、遊離アミン(たとえば、−NH2、−NHR2、もしくは−NR2R2)の形態、または好ましくは、生理学的に許容可能な塩の形態であり得る。このような塩は、好ましくは、生理学的に許容可能な有機酸または無機酸を有する酸付加塩である。適切な酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、臭化水素酸、燐酸、硫酸、スルホン酸、およびスルホン酸誘導体が挙げられる。特に好ましい塩は、フォトキュア・エイエスエーのWO2005/092838に記載されているスルホン酸またはスルホン酸誘導体を有する酸付加塩であり、本明細書では、この文献の全内容を参考のために援用する。塩形成のための手法は、当該技術分野で従来から用いられているものである。
【0038】
本発明の方法では、単一の光増感剤(すなわち、5−ALAの誘導体)を、座瘡を治療または予防する際に単独で用いてもよい。あるいは、2つまたはそれ以上、好ましくは2つの光増感剤の組み合わせを、光増感剤の少なくとも1つが5−ALAの誘導体または医薬的に許容可能なその塩である場合に用いてもよい。
【0039】
5−ALA(たとえば、5−ALAエステル)の誘導体を用いて調製され得るか、または本発明に従って共投与され得る他の光増感剤としては、
ヘマトポルフィリン誘導体(HpD);
フォトフリン(Photofrin)(登録商標)(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Quadra Logic Technologies Inc.)、バンクーバー、カナダ)などのヘマトポルフィリン類およびヘマトポルフィリンIX(HpIX);
フォトサンIII(シーホフ・ラボラトリアム・ゲーエムベーハー、シーホフ、ヴェッセルブレナークーグ(Seehof Laboratorium GmbH,Seehof,Wesselburenerkoog)、ドイツ);
テトラ(m−ヒドロキシフェニル)クロリン類(m−THPC)などのクロリン類およびそのバクテリオクロリン類(スコティア・ファルマソチカルズ・リミテッド、(Scotia Pharmaceuticals Ltd)、サリー、英国)、モノ−L−アスパルチルクロリンe6(NPe6)(ニッポン・ペトロケミカル・カンパニー(Nippon Petrochemical Co.)、カリフォルニア、米国)、クロリンe6(ポルフィリン・プロダクツ・インコーポレイテッド(Porphrin Products Inc.))、ベンゾポルフィリン類(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド、バンクーバー、カナダ)(たとえば、ベンゾポルフィリン誘導体一酸塩基環A、BPD−MA)、およびプルプリン類(PDT ファルマソチカルズ・インコーポレイテッド(Pharmaceuticals Inc.)、カリフォルニア、米国)(たとえば、錫−エチルエチオプルプリン,SnET2);
フタロシアニン類(たとえば、亜鉛−(クアドラ・ロジック・テクノロジーズ・インク、バンクーバー、カナダ)、スルホン化され得るいくつかのアルミニウムまたはシリコンフタロシアニン類、特に、アルミニウムフタロシアニンジスルホネート(AlPcS2a)またはアルミニウムフタロシアニンテトラ−スルホネート(AlPcS4)などのスルホン化フタロシアニン類);
ポルフィセン類;
ハイポクレリン類(hypocrellins);
プロトポルフィリンIX(PpIX);
ヘマトポルフィリンジエーテル類;
ウロポルフィリン類;
コプロポルフィリン類;
ジューテロポルフィリン;
ポリヘマトポルフィリン(PHP)、および前駆体、およびその誘導体、ならびにテトラサイクリン(たとえば、トピサイクリン(Topicycline)(登録商標)、シャイアー(Shire))などの抗体が挙げられる。
【0040】
好ましくは、第2の光増感剤は、ヘマトポルフィリン(たとえば、フォトフリン(登録商標))、クロリン(特に、m−THPCもしくはクロリンe6)、またはスルホン化フタロシアニン(特に、アルミニウムフタロシアニンジスルホネートまたはアルミニウムフタロシアニンテトラスルホネート)である。
【0041】
したがって、他の局面によると、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤が使用される。
【0042】
さらに他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法で同時に、別個に、または連続して用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤が使用される。
【0043】
さらに他の局面によると、本発明では、座瘡の治療または予防方法で同時に、別個に、または連続して用いられる、上記で定義した5−ALAの誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である第1の光増感剤、および別個に第2の光増感剤を含むキットまたはパックが提供される。
【0044】
本明細書で用いられる座瘡の「予防」という用語は、座瘡の予防的治療を意味する。したがって、本明細書に記載される化合物は、治療時に必ずしも座瘡が形成されているわけではないが、座瘡ができやすい皮膚の領域を治療するために本発明に従って用いられ得る。好ましくは、本発明に従って用いられる化合物は、一旦定着した座瘡の治療、特に、炎症性座瘡の治療用である。
【0045】
本明細書で用いられる「座瘡」という用語は、毛嚢脂腺単位の炎症性および非炎症性疾患を含む。しかし、主として、本明細書に記載される方法は、毛嚢脂腺単位または濾胞に細菌が侵入した、より炎症性が高いタイプの座瘡を治療するために用いられる。上記のように、座瘡の明確な原因は分かっていないが、座瘡は、通常、皮脂(アンドロゲンに敏感な皮脂腺によって分泌される脂質)の生成の増加、プロピオニバクテリウム(たとえば、P.acnes、P.granulosum、およびP.avidum)などの細菌の増殖、上皮細胞のターンオーバーの増加、および/または炎症(たとえば、赤み、腫れ、および/または膿)の発現に関連している。本明細書に記載される化合物は、好ましくは、プロピオニバクテリウムアクネスに関連する座瘡の治療または予防(好ましくは治療)に用いられる。
【0046】
座瘡は、多数の異なる様式で現れ得る(添付の図1を参照)。座瘡の共通の特徴には、面皰(にきび)および稗粒腫が含まれる。これらは、孔が(たとえば、皮脂および/または死細胞で)詰まることによって引き起こされる。孔が開いたままでいると、面皰が生じる(図1(i)、これに対して、孔が閉じて腫れあがってくると、稗粒腫が形成される(図1(ii))。丘疹、膿疱、および嚢胞は、孔の壁が損傷し、細菌が孔に感染する場合に、生成されると考えられる。丘疹では、膿が皮膚の表面にかなり近接して存在し(図1(iii))、これに対して、膿疱では、膿は孔の内部深くに存在する(図1(iv)。嚢胞は、一般に、膿疱より大きくかつ深く、大量の膿を含む。本明細書に記載される化合物は、面皰,稗粒腫、丘疹、膿疱、および嚢胞の1つまたはそれ以上の治療または予防に用いられ得る。
【0047】
座瘡は、たとえば、面皰,稗粒腫、丘疹、膿疱、および/または嚢胞の性質、深刻さ、および/または場所によって異なる形態に分類される。本発明によって治療され得る代表的なタイプの座瘡としては、尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、丘疹性座瘡、および月経前座瘡、好ましくは、毛嚢脂腺器官の慢性炎症疾患である尋常性座瘡が挙げられる。座瘡は、背中、胸、上腕、および/または顔に発生し得、本明細書に記載される化合物は、身体のこれらの領域のいずれか、特に、顔を治療するために用いられ得る。
【0048】
特定の比較的軽い形態の座瘡(たとえば、面皰および/または稗粒腫)は、必ずしも「疾患」とは見なされず、その治療は、もっぱら美容上の理由から実施され得る。たとえば、座瘡が比較的頻繁に発生せず、および/または広がっていない(すなわち、ほとんど吹き出物がない)場合がこれに該当する。
【0049】
したがって、他の局面によると、本発明では、(たとえば、顔面の)座瘡の美容上の治療方法であって、上記で定義した5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を疾患部位に投与(例えば、局所適用)すること、および前記光増感剤を前記疾患部位で光活性化することを含む方法が提供される。
【0050】
本発明によって用いられる化合物は、当該技術分野で周知の技術により、1つまたはそれ以上の生理学的に許容可能な担体または賦形剤とともに、任意の従来の様式で調剤され得る。
【0051】
組成物は、疾患部位において、または疾患部位付近で全身に(たとえば、経口もしくは非経口で)、またはより好ましくは局部に(たとえば、注射によって、もしくはより好ましくは局所に)投与され得る。投与経路は、治療される座瘡の深刻さおよび性質、座瘡の場所、ならびに使用される光増感剤(または光増感剤の組み合わせ)に依存する。しかし、一般に、局部投与、さらに好ましくは、局所適用が好ましい。
【0052】
好ましい剤型としては、ゲル剤、クリーム、軟膏、スプレー剤、ローション剤、こう薬、スティック、石鹸、散剤、エアゾール、滴剤、液剤、および他の任意の従来技術の薬剤形態が挙げられる。ゲル剤、クリーム、および軟膏が一般的に好ましい。
【0053】
軟膏、ゲル、およびクリームは、たとえば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加した、水性もしくは油性の基剤を用いて調剤され得る。ローションは、水性または油性の基剤を用いて調剤され得、一般に、1つまたはそれ以上の乳化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含む。粉は、任意の適切な粉の基剤を利用して形成され得る。滴剤および溶液は、1つまたはそれ以上の分散剤、可熔化剤、または懸濁化剤を含む水性または非水性基剤を用いて調剤され得る。エアゾールスプレーは、従来のように、適切な噴射剤を用いて、加圧されたパックから首尾よく送達される。
【0054】
組成物はさらに、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、防腐剤、甘味剤、芳香添加剤、および/または吸着促進剤、たとえば、以下に記載される表面浸透剤等を含み得る。本発明の方法で用いられる組成物は、当該技術分野で周知の手法を用いることによって、患者に投与された後、活性成分が迅速、徐放的、または遅延的に放出されるように調剤され得る。可溶化剤および/または安定剤、たとえば、シクロデキストリン(CD)α、β、γ、ならびにHP−シクロデキストリンを用いてもよい。組成物は、たとえば、乳剤などの任意の適切な用量形態であってもよく、またはリポソーム、ニオソーム、微小球、ナノ粒子などに含まれていてもよい。その場合、本発明で用いられる化合物は、これらの形態に吸着、取り込み、または結合され得る。
【0055】
通常、座瘡のPDT治療用の組成物は、クリーム、または2成分系からなる(たとえば、2つの光増感剤を含む)キットなどのすぐ使用できる調剤形態である。
【0056】
最終調剤のpHは、好ましくは、2.5から7.4の範囲である。調剤がすぐ使用できる場合には、わずかに酸性のpH、たとえば、pH5〜7が好ましい。
【0057】
座瘡の治療用の最終調剤における、本明細書に記載の5−ALA化合物の濃度は、化合物の化学的性質、化学組成、投与様式、および治療される座瘡の性質を含むいくつかの要因によって異なる。しかし、一般には、0.01から30%(w/w)の間の濃度範囲が適切である。局部投与による座瘡の治療に最も好ましい濃度は、0.02から25%(w/w)、たとえば、5%(w/w)の範囲である。
【0058】
光増感剤を含む医薬調剤を投与した後、治療される部位は、露光され、所望の光増感効果が成し遂げられる。露光が行われる投与後の時間の長さは、組成物の性質、治療条件、および投与形態に依存する。一般に、光増感剤は、光活性化前に座瘡の部位で効果的な組織濃度に到達することが必要である。これには、一般に、0.5から24時間(たとえば、1から3時間)かかり得る。
【0059】
好ましい治療手順では、1つまたは複数の光増感剤は、疾患部位に適用され次いで(たとえば、約3時間後)照射される。必要に応じて、この手順は、たとえば、さらに3回まで、14日(たとえば、7〜14日)までの間隔で繰り返してもよい。この手順によって、座瘡が十分に減少しないか、または完全に治癒しない場合には、さらなる治療を数ヶ月後実施してもよい。
【0060】
たとえば、ランプまたはレーザによって身体の異なる領域を照射する方法は、当該技術分野で周知である(たとえば、Van den Bergh、Chemistry in Britain, 1986年5月、430〜439頁を参照)。照射は、一般に、40から200ジュール/cm2(たとえば、100ジュール/cm2)の線量レベルで与えられる。
【0061】
照射に用いられる光の波長は、より効きめのある光増感効果を達成するように選択され得る。最も効果的な光は、300〜800nm、通常は400〜700nmの波長の光である。
【0062】
したがって、本発明の他の局面によると、人間の座瘡を治療する方法であって、5−ALAの誘導体または上記で定義した組成物である光増感剤を疾患部位に投与すること、表面を光、好ましくは、300〜800nm(たとえば、400〜700nm)の波長範囲の光に露光することを含む方法が提供される。
【0063】
上記のように、本発明で用いられる化合物は、他の光増感剤、たとえば、5−ALAもしくは他の5−ALA誘導体、またはフォトフリン(登録商標)などのポルフィリン誘導体を用いて調剤および/または投与され得る。あるいは、本発明により用いられる化合物は、光増感効果を増加させ、それによって、座瘡の治療を促進させることが可能な他の活性成分を用いて調剤および/または投与され得る。たとえば、Ppの蓄積を増強させるために、キレート剤が含まれ、および/または共投与されることも有益であり得る。キレート剤による鉄のキレート化により、酵素フェロケラターゼの作用によりヘムを形成するためのPpへの鉄の取り込みを妨げ、これによりPpの蓄積が生じる。こうして、光増感効果が増強される。
【0064】
適切なキレート剤としては、アミノポリカルボン酸が挙げられ、金属の解毒または磁気共鳴画像造影剤における常磁性金属イオンのキレート化に関して文献中に記載されるあらゆるキレート剤が含まれる。特に、EDTA、CDTA(シクロヘキサンジアミン四酢酸)、DTPA及びDOTA、ならびにそれらの周知の誘導体/類似体を挙げることができる。EDTAおよびDTPAが特に好ましい、鉄のキレート化効果を達成するために、たとえば、EDTAなどのアミノポリカルボン酸キレート剤と共に、デスフェリオキサミンおよび他のシデロフォアを用いてもよい。
【0065】
キレート剤は、存在する場合には、0.05から20%、たとえば、0.1から10%(w/w)の濃度で首尾よく用いられ得る。
【0066】
浸透促進剤はまた、本発明で用いられる化合物の光増感効果を向上させる上で有益な効果をもたらし得る。したがって、表面浸透助剤、特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのジアルキルスルホキシドもまた、本発明において用いられる組成物に含まれ、および/または共投与され得る。表面浸透助剤は、薬剤文献に記載される皮膚浸透援助剤、たとえば、キレート剤(たとえば、EDTA)、界面活性剤(たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム)、非界面活性剤、胆汁酸塩(たとえば、デオキシコール酸ナトリウム)、および脂肪酸(たとえば、オレイン酸)のいずれであってもよい。適切な表面浸透助剤の例としては、イソプロパノール、HPE−101(久光(Hisamitsu)より入手可能)、DMSO、および他のジアルキルスルホキシド、特に、n−デシルメチル−スルホキシド(NDMS)、ジメチルスルファセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMFA)、ジメチルアセトアミド、グリコール類、様々なピロリドン誘導体(Woodfordら、J.Toxicol.Cut.& Ocular Toxicology、1986、5:167~177)、およびアゾン(Azone)(登録商標)(Stoughtonら、Drug Dpv.Ind.Pharm.1983、9:725~744)、またはその混合物が挙げられる。
【0067】
表面浸透剤は、0.2から50%(w/w)、たとえば、約10%(w/w)の濃度範囲で首尾よく提供され得る。
【0068】
他の局面によると、このように、本発明では、座瘡の治療または予防に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、少なくとも1つの表面浸透助剤、必要に応じて、1つまたはそれ以上のキレート剤とともに、5−ALAの誘導体(たとえば、5−ALAエステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0069】
本発明において用いられる化合物は、さらに、座瘡の治療または予防を向上させる他の非光増感剤と組み合わせて用いてもよい。このような作用物質には、1つまたはそれ以上の従来の座瘡治療剤が含まれる。このような作用物質の代表的な例としては、以下のものが挙げられる:
アシトレチン、イソトレチニオン(isotretinion)(たとえば、イソトレックス(Isotrex)(登録商標)、スタイフェル・アンド・ロアクタン(Steifel and Roaccutane)(登録商標)、ロッシュ(Roche))、トレチニオン(たとえば、レチン−A(Retin-A)(登録商標)、ヤンセン−シラグ(Janssen-Cilag))、およびタザロテンなどのレチノイド類、
過酸化ベンゾイル(たとえば、パンオキシル(PanOxyl)(登録商標)、スタイフェル)などの過酸化物、
テトラサイクリン(たとえば、トピサイクリン(登録商標)、シャイアー)、クリダマイシン(たとえば、ダラシンT(Dalacin T)(登録商標)、ファルマシア(Pharmacia))、エリスロマイシン(たとえば、スティーマイシン(Stiemycin)(登録商標)、スタイフェル)、ドキシサクリン、オキシテトラサクリン、ミノサクリン、トリメトプリム、およびメトロニダゾールなどの抗生物質、
コ−シプリンジオール(co-cyprindiol)(エチニルエストラジオールを有する酢酸シプロテロン)、たとえば、ジアネ(Dianette)(登録商標)、シェリング・ヘルス(Schering Health)等のホルモン類、
フォトキュア・エイエスエーのWO03/045893に記載されているような、アゼライン酸(たとえば、スキノレン(Skinoren)(登録商標)、シェリング・ヘルス)およびその誘導体、
アダパレン(たとえば、ディフェリン(Differin)(登録商標)、ガルダーマ(Galderma))、
ニコチンアミド(たとえば、ニカン(Nican)(登録商標)、ダーマル(Dermal))、および
サリチル酸(たとえば、アクニサール(Acnisal)(登録商標)、ダーマファーム(DermaPharm))。
【0070】
これらの座瘡治療剤は、調剤の一部として存在し得るが、通常、これらは、同時に、別個に、または連続して投与される別個の治療剤として用いられる。すべての補助剤の投与は、これらの薬剤を用いるための既知の方法に従って、経路、濃度、および調剤の観点から実施されなければならない。これらのさらなる作用物質は、その機能に応じて、PDTの前、PDT中、またはPDTの後に投与され得る。
【0071】
他の局面によると、このように、本発明では、座瘡を治療または予防する方法において用いられる製品またはキットであって、
(a)5−ALAの誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤を含む第1の容器、および
(b)非光増感座瘡治療剤を含む第2の容器を備えた製品またはキットが提供される。
【0072】
本明細書に記載されるような第2の光増感剤、表面浸透剤、またはキレート剤などの、キットのさらなる成分も提供され得る。
【0073】
本発明の他の局面によると、このように、本発明では、座瘡の予防または治療に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤と共に、5−ALAの誘導体(たとえば、5−ALAエステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0074】
本発明のさらに他の局面によると、本発明では、座瘡を治療または予防する方法で同時に、別個に、または連続して用いられる薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤と共に、5−ALA(たとえば、5−ALAエステル)の誘導体、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤が使用される。
【0075】
治療される座瘡の性質、および本発明の方法において用いられるさらなる1つまたは複数の活性剤の性質に応じて、活性剤は、たとえば、単一組成物において5−ALA誘導体と共投与され得るか、または連続してもしくは別個に投与され得る。通常、表面浸透助剤が用いられる場合、本発明において用いられる化合物の投与前に別個の工程で投与される。表面浸透助剤が前処理で用いられるとき、表面浸透助剤は、たとえば、100%(w/w)までの高濃度で用いられ得る。このような前処理工程が用いられる場合、光増感剤は、前処理後数時間まで、たとえば、前処理後5〜60分の間隔で連続して投与され得る。
【0076】
以下の非限定的実施例により、添付の図面を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
一般的な方法
細菌培養:
プロピオニバクテリウムアクネス(P.acnes)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC No.6919)から入手し、細菌を37℃の血液寒天プレート上で暗所において嫌気性増殖させた。
【0077】
参考文献:Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225~420、1980;Goodsell MEら、Curr.Microbiol.22:225~230、1991;Zierdt CHら、Int.J.Syst.Bacteriol.18:33~47、1968;Douglas HDおよびGunter SE、J.Bacteriol.52:15~23、1946;Johnson JLおよびCummins CS、J.Bacteriol.109:1047~1066、1972;Wang RFら、Appl.Environ.Microbiol.62:1242-1247、1996。
【0078】
プロピオニバクテリウム−グラヌローサム(P.granulosum)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC No.25564)から入手した。
【0079】
参考文献:Johnson JLら、J.Bacteriol.109(3);1047-1066、1972;Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225-420、1980。
【0080】
プロピオニバクテリウム−アビダム(P.avidum)は、ATCC(ATCC No.25577)から入手した。
【0081】
参考文献:Goodsell MEら、Curr.Microbiol.22(4):225-230、1991;Skerman VBら、Int.J.Syst.Bacteriol.30:225-420、1980。
ALAエステルと共にインキュベーション
PIPES緩衝液(約1mL)を各血液寒天ペトリプレートに添加し、無菌ガラス棒およびパスツールピペットを用いて、細菌溶液を20mlの試験管に移した。次に、分光光度計で測定した場合に光学密度(OD)が550nmで1.00±0.01となるまで懸濁液をPIPES緩衝液で希釈した。このODでは、細菌密度は、1ml当たり約5×108個である。
【0082】
細菌試料(1ml当たり約5×108個の細菌を含む100μlの懸濁液)を収集し、t=0対照として用いた。細菌懸濁液のアリコットを適切な容量の(100mMのALAエステルを含む)5−ALAエステルのストック溶液と混合し、適切な濃度を得て、37℃の暗所で4時間インキュベートした。照射を行わなかった場合には、次に、以下に記載されるように生存率を測定した。
照射
場合によっては、照射をALAエステルで処理した細菌懸濁液上で行った。正確な条件は、以下の実施例に記載する。照射後、生存率を以下に記載されるようにアッセイした。
生存率のアッセイ
(照射を用いて、または用いずに)ALAエステルで処理した後、処理された細菌試料を(未処理の対照と共に)収集し、さらにPIPES緩衝液で1ml当たり1×104個の細菌まで希釈した。次に、この懸濁液20mlのアリコットをバクトアガーペトリ皿(Futsaetherら、Can.J.Microbiol.,39(2):180-186 1993)に移し、37℃の暗所で3〜5日間インキュベートした。バクトアガーペトリプレート上で形成されたコロニーをコロニーカウンターで計測した。異なる濃度の5−ALAエステルと共にインキュベーションした後の細胞生存率は、対照試料(すなわち、t=0時間で収集された試料、および5−ALAエステルを用いずに4時間インキュベーションした後収集された試料)に対して示され、百分率生存率として示される:
生存率=「C処理/C対照」×100%
C=コロニーの数。
【実施例1】
【0083】
−暗所毒性
ALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesにおける光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、エステルの毒性を分析するための調査を行った。この調査は、迷光によって引き起こされるPDT効果を避けるため、暗所で行われた。インキュベーションおよび生存率を、上記の一般的な説明の部に記載したようにしてアッセイした。その結果を添付の図2に示す。
【0084】
メチルエステルは、20mMまでの濃度については実質的に非毒性であったのに対して、ALAヘキシルエステルは、非常に毒性が高かったことが図2から理解できる。ALAベンジルエステルは、即座に毒性を示した。
【実施例2】
【0085】
−キュアライトブロードバンド(Curelight Broadband)ランプを用いたPDT
上記の一般的な説明の部に記載したように、細菌懸濁液(P.acnes)を4mMのメチルエステル、4mMのベンジルエステル、および1mMのヘキシルエステル(このエステルは暗所毒性が高いため)で処理し、希釈し、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)で、キュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから入手可能、580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて照射した。照射中、2×20μlのアリコットを2分毎に合計10分間収集し、上記の一般的な説明の部に記載されるように生存率をアッセイした。照射後の相対的な生存率を、赤色光への露光を行わなかった対照試料に対して計算した。結果を図3に示す。
【0086】
ALAベンジルエステルは、殺菌効果が最も大きかったのに対して、ALAメチルエステルは、殺菌効果が最も小さかったことが図3から理解できる。4mMのALAベンジルエステルを用いると、100%殺菌するのに約10J/cm2の光線量で十分であった。ALAヘキシルエステルもまた非常に効果的であったが、このエステルは、暗所毒性が高いため、低濃度(1mM)で用いた。
【実施例3】
【0087】
−キュアライトLEDランプを用いたPDT(フォトキュア・エイエスエーによるアクチライト(Aktilite)(登録商標)の下で販売されている)
同一濃度(1mM)のALAヘキシルエステルとALAベンジルエステルとを比較し、また、他の光源をテストするため、狭帯域赤色光(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからアクチライト(登録商標)の下で市販されているキュアライトLED128ランプ)を使用する他の実験を行った。このランプは、128個の発光ダイオード(LED)からなり、634±3nmのピーク波長を有する。ランプの放射スペクトルは、18nmの半値全幅(FWHM)を有する。50mmの距離でのフルエンス率は、約50mW/cm2である(標的領域の最大フルエンス率変動は、±10%である)。
【0088】
ALAエステルと共にインキュベーション後、5.5cmのプラスチックペトリ皿(上記の一般的な説明の部を参照)中で10mlの細菌懸濁液に照射した。温度の影響を避けるため、ペトリ皿を周囲温度の大きな水槽中の支持体上に配置した。照射中、2×20μlのアリコットを2分毎に合計で10分間収集し、バクトアガーペトリ皿に移した。(37℃の暗所における)インキュベーションの3〜5日後に、上記の一般の説明の部に記載されるように生存率を決定し、非照射対照試料と比較して提供した。その結果を図4に示す。
【0089】
1mMのALAベンジルエステルは、1mMのALAヘキシルエステルよりも光力学的効果がはるかに良好であったことは図4から理解できる。実際、26分の照射(78J/cm2の光フルエンスに対応する)で、1mMのALAベンジルエステルと共にインキュベートされたすべての細菌が殺されたが、1mMのALAヘキシルエステルと共にインキュベートされた細菌は40%しか殺されなかった。
【実施例4】
【0090】
−細胞内ポルフィリンの形成
ALAエステルと共にインキュベーション後の細胞内ポルフィリン形成を調べるため、細菌(1mlあたり5×108個の細胞、10ml)を、ALAエステルを用いて37℃の暗所で4時間インキュベートした。ポルフィリンの形成を蛍光放射スペクトル(ポルフィリンは、特定ピークを示す)を調べることにより追跡した。その手段は以下のとおりである。
【0091】
内因的に保持されたポルフィリンの量を測定するために、8mlの5−ALAエステルでインキュベートされた細菌をプラスチックの試験管に添加し、冷蔵庫内で2〜3℃でインキュベートし、さらなる5−ALAエステル取り込みおよび/またはポルフィリン形成を停止した。次に、細胞を遠心分離(5000g、5分、2〜3℃)によってペレット化し、上澄み液を捨て、細胞を新しい緩衝液(8ml)中に懸濁し、十分に混合した。2mlの細菌懸濁液のアリコットを標準的な使い捨てプラスチックキュベットに移し、細胞懸濁液の蛍光放射スペクトルを、以下の設定を用いて、パーキンエルマー(Perkin Elmer) LS 50B蛍光分光計で決定した。
【0092】
励起波長λx: 405nm
放射波長λe: 550〜700nm
励起および放射スリット: 5nm
放射モノクロメーター速度: 300nm/分。
【0093】
測定されたかなり広い範囲の波長は、より低いまたはより高い波長で最も簡単に識別可能である、細菌からの自己蛍光を制御する必要性から引き起こされた。
【0094】
結果を図5に示す。この結果から、ALAヘキシルエステルが、おそらくは高い暗所毒性のために、P.acnesにおけるポルフィリン形成の誘導に最も効果が低いことは明らかである。ALAメチルエステルは、わずかに高いプロフィリンレベルを示したが、ALAベンジルエステルは、細菌のポルフィリン生合成のはるかに最も効果的な誘導物質であった。
【実施例5】
【0095】
―暗所毒性
「座瘡に関連する細菌」の他の2つの菌株における光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、P.granulosumおよびP.avidumにおけるALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルの毒性をアッセイするための調査を行った。この調査は、実施例1に記載されるように行われ、その結果を図6に示す。
【0096】
ALAヘキシルエステルがALAベンジルエステルよりもさらに著しく毒性が強く、4mMのヘキシルエステルを用いると、両菌株が100%殺されることが図6から明白である。P.granulosum菌株が、インキュベーション条件に特に耐えられなかったことも理解できる。
【実施例6】
【0097】
―キュアライトブロードバンドランプによるPDT
細菌懸濁液(P.granulosumおよびP.avidum)を、上記の一般的な説明の部に記載されるように、4mMのALAメチルエステル、4mMのベンジルエステル、および1mMのヘキシルエステル(このエステルは高い暗所毒性を示すため)で処理し、希釈し、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)でキュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーから入手可能、580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて照射した。
【0098】
実施例2に記載される方法を用いて、温度制御条件下(たとえば、周囲温度)でキュアライトブロードバンドランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェー−580〜740nmの赤色光、および≦840W/m2のフルエンス率)を用いて、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベーション後のP.granulosumおよびP.avidumにおけるPDT効果を観察した。結果を図7に示す。
【実施例7】
【0099】
―LEDランプによるPDT効果
ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステル(1mM)と共にインキュベーション後のP.granulosumおよびP.avidumにおけるPDT効果を、実施例3に記載されるように、キュアライトLED128ランプ(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからアクチライト(登録商標)の下で市販されている)用いて観察した。実験は、実施例3に記載されるように行われ、その結果を図8に示す。
【実施例8】
【0100】
−ポルフィリン形成
P.granulosumおよびP.avidumにおいて実験を行い、以下のALAのエステル:ヘキシル5−アミノレブリネート、ベンジル5−アミノレブリネート、3,6−ジオキサ−1−オクチル5−アミノレブリネート、4−イソプロピルベンジル5−アミノレブリネート、および4−メチルベンジル5−アミノレブリネートを用いた。
【0101】
この実験に対しては1mMの濃度を選択した。なぜなら、ヘキシルエステルは4mMで高い暗所毒性を示したからである(実施例5を参照)。実験を実施例4に記載したように行い、内因的に保持されたポルフィリンの量、および外因性のポルフィリンの量を共に蛍光分光器で決定した。
【0102】
結果を図9に示す。ここでは、620nmでの蛍光が定量化に用いられた。ポルフィリン形成に対して2つの細菌株間で顕著な相違があったが、図から、ベンジルエステル、次いで、ヘキシルエステル、および3,6−ジオキサ−l−オクチルエステルがポルフィリン形成を誘導するのに最も大きな能力を有していたことが明らかである。
【実施例9】
【0103】
―暗所毒性
ベンジル−、4−クロロベンジル−、4−ニトロベンジル−、2−メチルベンジル−、4−メチルペンチル−、および2−メトキシエチル5−アミノレブリネートと共にインキュベーション後のP.acnesにおける光力学的効果を調べるのに適切な条件を見出すため、これらの化合物の毒性をアッセイするための調査を行った。この調査は、実施例1のように、迷光によって引き起こされるPDT効果を避けるために暗所で行われた。インキュベーションおよび生存率を上記の一般的な説明の部に記載されるようにアッセイし、結果を以下の表1に示す。
【0104】
表1.暗所毒性実験の結果の要約。以下に挙げられるALAエステルと共にインキュベーションは37℃の暗所で4時間行われた。細胞生存率を寒天プレート上のコロニー形成能力に基づき決定した。平均の標準誤差(SE)を用いた5−8独立実験に基づく平均正規化コロニー形成ユニット(CFU)を提示する。
【0105】
【表1】
【0106】
物質は、かなり異なる毒性を示した。4−ニトロベンジルおよび2−メトキシエチルALAエステルは、20mMまでの濃度でほとんど毒性を示さなかったのに対して、4−クロロベンジルおよび2−メチルベンジルALAエステルは、4mMでかなりの毒性を示した。0.4mMでテストした場合、低毒性は、すべての物質について見られたため、この濃度を次のPDT実験に対して選択した。
【実施例10】
【0107】
−LEDランプを用いたPDT効果
実施例9に挙げられている(0.4mMの濃度での)5−ALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesの光力学的な不活性化を、アクチライト(登録商標)128ランプによる照射後に調べた。ランプおよび実験の詳細は、実施例3に記載されており、その結果を図10に示す。
【0108】
4−クロロベンジルおよび4−ニトロベンジルALAエステルが最も効果的であったことは図10から理解できる。事実、0.4mMのこれらのエステルと共にインキュベーション後、実質的に100%殺菌するためには、わずか10分の照射が必要であった。この濃度では、ベンジルおよび2−メチルベンジルALAエステルは、良好な殺菌能力(10分の照射で、約50%の殺菌効果)を示した。4−メチルペンチルおよび2−メトキシエチルALAエステルを用いた場合、PDT効果はより弱かった。
【実施例11】
【0109】
−ゲル形成
ヒドロキエチルセルロース(HEC)(150mg、mw720,000)を水(10ml)に添加し、混合物を攪拌し、70℃まで加熱する。HECは溶解し、ゲルを形成する。混合物を50℃まで冷却し、5−ALAベンジルエステルHCl(300mg)およびベンジルアルコール(150mg)を攪拌しながらゲルに添加する。混合物を5分間攪拌し、10mlの管に充填する。
【0110】
ゲルは、3%の5−ALAベンジルエステルHClを含み、使用できる状態である。
【実施例12】
【0111】
−クリーム形成
5−ALAイソプロピルベンジルエステルHCl(500mg)を、すり鉢および乳棒を用いて、軟膏メルク(Ung.Merck)(10g)に混合する。得られたクリームをガラス瓶に充填する。
【0112】
クリームは、5%の5−ALAイソプロピルベンジルエステルHClを含み、使用できる状態である。
【実施例13】
【0113】
−メチルALAエステルの臨床上の使用
この臨床調査の目的は、中程度の炎症性顔面座瘡を治療するためのメチルALAエステルを局所適用した後の光力学療法(PDT)の効能および耐薬(tolerability)を調べることであった。
【0114】
中程度の座瘡から深刻な座瘡までを有する15〜28歳の患者30人に対して、盲検、見込み、無作為、プラセボ対照の複数の医療機関にまたがった調査を行った。各患者の顔の両側を160mg/gの塩酸メチルアミノレブリネート(フォトキュア・エイエスエー、ノルウェーからメトヴィックス(Metvix)(登録商標)の下で市販されている)を含むクリームまたはプラセボクリームで無作為に治療し、接着性閉鎖包帯(テガダーム(Tegaderm)(登録商標)、3Mまたはオプサイト(Opsite)(登録商標)、スミス・アンド・ネフュー(Smith and Nephew))で蓋った。カニューレ(1〜2mm)を用いて結節性または嚢胞性病変を調製し、クレーム浸透を促進させた。3時間後、アクチライト(登録商標)CL128ランプ(フォトキュア・エイエスエー、平均波長635nm、光線量37Jcm-2)を用いて非干渉性の赤色光で照射する直前に、顔の両側からクリームを優しく拭い取った。次に、顔の反対側に対しても照射を繰り返した。照射を受けていない顔の側を、他の側が照射されている間蓋った。
【0115】
2週間後、2回目の治療を行った。各場合において、10cmの視覚アナログスケールを用いて、患者の痛みの強さを評価した。炎症性および非炎症性座瘡の病変をベースラインで(すなわち、治療開始前に)、ならびに最後のPDT治療から4および10週間後にカウントした。調査者は、6点評価スケールを用いて、ベースライン(7人の患者は、顔の少なくとも片側に深刻な座瘡を有していた)、および各調査訪問(study visit)での座瘡の全体的な深刻さ(表2を参照)を評価した。30人すべての患者を含むデータを治療目的別に分析した。
【0116】
表2.調査者による全体的な深刻さの評価
【0117】
【表2】
【0118】
調査の結果を図11に示す。各グループの結果は、すべての観察結果の中央値(ボックス)および50%(バー)で示される。これは、各グループについて、観察結果の25%がバーよりも下にあり、25%がバーよりも上にあることを意味している。
【0119】
12週目において、プラセボPDTと比較して、メトヴィックス(登録商標)PDTによる炎症性病変のカウント数の合計に統計的に著しく大きな減少があった(中央減少値54%[95%CI35%−64%]対20%[95%CI8%−50%]、p=0.0006)。痛みの強さは、医療機関によって異なり、繰り返し治療することにより低減されたが、メトヴィックス(登録商標)PDTは、プラセボPDTよりもより痛みに関連していた。地方の不利な事情は、この治療の様相と一致していた。メトヴィックス(登録商標)PDTは、中程度から深刻な顔の炎症性座瘡の治療には効果的であると結論づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、座瘡の異なるステージを示す図である。
【図2】図2は、ALAメチルエステル、ALAヘキシルエステル、およびALAベンジルエステルについての暗所毒性結果を示す図である。
【図3】図3は、ALAメチルエステル、ALAヘキシルエステル、およびALAベンジルエステルと共にインキュベートされたP.acnes細菌における光力学的効果を示す図である。
【図4】図4は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベートされた細菌における光力学的効果を示す図である。
【図5】図5は、様々な濃度のALAエステルと共にインキュベーション後のP.acnesにおけるポルフィリンの形成を示す図である。
【図6】図6は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルの暗所毒性を示す図である(未処理の対照(すなわち、インキュベーション緩衝液において4時間インキュベーションされなかったもの)に対する生存率が提供されている)。
【図7】図7は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベートされたP.granulosumおよびP.avidum細菌における光力学的効果を示す図である。
【図8】図8は、ALAヘキシルエステルおよびALAベンジルエステルと共にインキュベーション後のキュアライトLEDランプ(フォトキュア・エイエスエーによるアクチライト128(登録商標)で販売されている)を用いたP.granulosumおよびP.avidumにおける光力学的効果を示す図である。
【図9】図9は、1mMのALAのベンジル(B)エステル、ヘキシル(H)エステル、3,6−ジオキサ−1−オクチル(3,6−D)エステル、4−メチルベンジル(M−B)エステル、および4−イソプロピルベンジル(I−B)エステルと共にインキュベーション後のP.avidumおよびP.granulosumにおけるポルフィリン形成を示す図である。
【図10】図10は、ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、および2−メトキシエチルALAエステルと共にインキュベートされたP.acnes細菌における光力学的効果を示す図である。
【図11】図11は、メトヴィックス(登録商標)およびPDT、またはプラセボクリームおよびPDTによる治療から6および12週後の炎症性病変の減少を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤の使用。
【請求項2】
前記光増感剤が、プロトポルフィリンIX(PpIX)または他の任意の光増感剤(たとえば、PpIX誘導体)をインビボで形成することが可能な5−ALAの誘導体である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記光増感剤が、一般式I:
R22N−CH2COCH2−CH2CO−OR1 (I)
(R1は、置換または非置換(好ましくは、置換)直鎖状、分岐状、または環状アルキル基を表し、各R2は、独立して、水素原子、または任意に置換されたアルキル基(たとえば、R1基)を表す)の化合物、または医薬的に許容可能なその塩である請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記式Iにおいて、各R2が水素原子を表す請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)、またはアリール基で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
前記式Iにおいて、R1が、任意にアリール基で置換されたC1-2アルキル基(好ましくは、C1アルキル基)を表す請求項3または4に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が、メチルALAエステル、ベンジルALAエステル、または置換ベンジルALAエステルから選択される請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記式Iにおいて、R1が、アリール基(たとえば、フェニル)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1)を表す請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記式Iにおいて、R1が、アリールで置換されたC1-4アルキル基(好ましくは、C1-2アルキル、たとえば、C1アルキル)を表し、好ましくは、前記アリール基が、20個までの炭素原子(たとえば、12個までの炭素原子)を含み、それ自体が任意に置換され、各R2が、請求項3に定義されるものである(たとえば、各R2が水素である)請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記化合物が、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−「トリフルオロメチル」ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートから選択される請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記化合物が、ベンジルALAエステルまたは置換ベンジルALAエステル(たとえば、4−ニトロベンジルALAエステルまたは4−クロロベンジルALAエステル)から選択される請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)を表す請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステルから選択される請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記化合物が、メチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、および4−メチルペンチルALAエステル(好ましくは、メチルALAエステル)から選択される請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記座瘡が、プロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)、プロピオニバクテリウム−アビダム(Propionibacterium avidum)、またはプロピオニバクテリウム−グラヌローサム(Propionibacterium granulosum)に関連している請求項1から14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記座瘡が、尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、丘疹性座瘡、および月経前座瘡、好ましくは、尋常性座瘡から選択される請求項1から14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項18】
座瘡の治療または予防方法において同時に、別個に、もしくは連続して用いられる、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩、および別個に、第2の光増感剤を含むキットまたはパック。
【請求項19】
座瘡の治療または予防に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、少なくとも1つの表面浸透助剤、および必要に応じて、1つまたはそれ以上のキレート剤と共に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項20】
座瘡の予防または治療に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤とともに、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項21】
座瘡の治療または予防方法において用いられる製品またはキットであって、
(a)請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を含む第1の容器と、
(b)非光増感座瘡治療剤を含む第2の容器とを含む製品またはキット。
【請求項22】
(たとえば、顔面の)座瘡の美容上の治療方法であって、身体上の疾患部位に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与すること、および前記疾患部位において前記光増感剤を光活性化することを含む方法。
【請求項23】
座瘡の治療または予防方法であって、身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与すること、および前記光増感剤を光活性化することを含む方法。
【請求項24】
座瘡の治療または予防方法であって、
(a)身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与する工程、
(b)前記光増感剤が前記所望の部位において有効な組織濃度を達成するのに必要な期間だけ必要に応じて待つ工程、および
(c)前記所望の部位において前記光増感剤を光活性化する工程を含む方法。
【請求項1】
座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造における、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体(たとえば、エステル)、または医薬的に許容可能なその塩である光増感剤の使用。
【請求項2】
前記光増感剤が、プロトポルフィリンIX(PpIX)または他の任意の光増感剤(たとえば、PpIX誘導体)をインビボで形成することが可能な5−ALAの誘導体である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記光増感剤が、一般式I:
R22N−CH2COCH2−CH2CO−OR1 (I)
(R1は、置換または非置換(好ましくは、置換)直鎖状、分岐状、または環状アルキル基を表し、各R2は、独立して、水素原子、または任意に置換されたアルキル基(たとえば、R1基)を表す)の化合物、または医薬的に許容可能なその塩である請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記式Iにおいて、各R2が水素原子を表す請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)、またはアリール基で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1アルキル)を表す請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
前記式Iにおいて、R1が、任意にアリール基で置換されたC1-2アルキル基(好ましくは、C1アルキル基)を表す請求項3または4に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が、メチルALAエステル、ベンジルALAエステル、または置換ベンジルALAエステルから選択される請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記式Iにおいて、R1が、アリール基(たとえば、フェニル)で置換されたアルキル基(たとえば、C1-2アルキル、特に、C1)を表す請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記式Iにおいて、R1が、アリールで置換されたC1-4アルキル基(好ましくは、C1-2アルキル、たとえば、C1アルキル)を表し、好ましくは、前記アリール基が、20個までの炭素原子(たとえば、12個までの炭素原子)を含み、それ自体が任意に置換され、各R2が、請求項3に定義されるものである(たとえば、各R2が水素である)請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記化合物が、ベンジルALAエステル、4−イソプロピルベンジルALAエステル、4−メチルベンジルALAエステル、2−メチルベンジルALAエステル、3−メチルベンジルALAエステル、4−[t−ブチル]ベンジルALAエステル、4−「トリフルオロメチル」ベンジルALAエステル、4−メトキシベンジルALAエステル、3,4−[ジ−クロロ]ベンジルALAエステル、4−クロロベンジルALAエステル、4−フルオロベンジルALAエステル、2−フルオロベンジルALAエステル、3−フルオロベンジルALAエステル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルALAエステル、3−ニトロベンジルALAエステル、4−ニトロベンジルALAエステル、2−フェニルエチルALAエステル、4−フェニルブチルALAエステル、3−ピリジニル−メチルALAエステル、4−ジフェニル−メチルALAエステル、およびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]アミノレブリネートから選択される請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記化合物が、ベンジルALAエステルまたは置換ベンジルALAエステル(たとえば、4−ニトロベンジルALAエステルまたは4−クロロベンジルALAエステル)から選択される請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記式Iにおいて、R1が、非置換アルキル基(好ましくは、C1-8アルキル、たとえば、C1-6アルキル)を表す請求項3から5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記化合物が、メチルALAエステル、エチルALAエステル、プロピルALAエステル、ブチルALAエステル、ペンチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、オクチルALAエステル、2−メチルペンチルALAエステル、4−メチルペンチルALAエステル、1−エチルブチルALAエステル、3,3−ジメチル−1−ブチルALAエステルから選択される請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記化合物が、メチルALAエステル、ヘキシルALAエステル、および4−メチルペンチルALAエステル(好ましくは、メチルALAエステル)から選択される請求項10に記載の使用。
【請求項15】
前記座瘡が、プロピオニバクテリウムアクネス(Propionibacterium acnes)、プロピオニバクテリウム−アビダム(Propionibacterium avidum)、またはプロピオニバクテリウム−グラヌローサム(Propionibacterium granulosum)に関連している請求項1から14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記座瘡が、尋常性座瘡、酒さ性座瘡、集簇性座瘡、丘疹性座瘡、および月経前座瘡、好ましくは、尋常性座瘡から選択される請求項1から14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
座瘡の予防または治療に用いられる薬剤の製造において、第2の光増感剤と共に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項18】
座瘡の治療または予防方法において同時に、別個に、もしくは連続して用いられる、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩、および別個に、第2の光増感剤を含むキットまたはパック。
【請求項19】
座瘡の治療または予防に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、少なくとも1つの表面浸透助剤、および必要に応じて、1つまたはそれ以上のキレート剤と共に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項20】
座瘡の予防または治療に用いられる1つまたは複数の薬剤の製造において、非光増感座瘡治療剤とともに、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を用いること。
【請求項21】
座瘡の治療または予防方法において用いられる製品またはキットであって、
(a)請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を含む第1の容器と、
(b)非光増感座瘡治療剤を含む第2の容器とを含む製品またはキット。
【請求項22】
(たとえば、顔面の)座瘡の美容上の治療方法であって、身体上の疾患部位に、請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与すること、および前記疾患部位において前記光増感剤を光活性化することを含む方法。
【請求項23】
座瘡の治療または予防方法であって、身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与すること、および前記光増感剤を光活性化することを含む方法。
【請求項24】
座瘡の治療または予防方法であって、
(a)身体上の皮膚領域(たとえば、皮膚の疾患領域)に請求項1から14のいずれか1項に記載の光増感剤、または医薬的に許容可能なその塩を投与する工程、
(b)前記光増感剤が前記所望の部位において有効な組織濃度を達成するのに必要な期間だけ必要に応じて待つ工程、および
(c)前記所望の部位において前記光増感剤を光活性化する工程を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−519812(P2008−519812A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540703(P2007−540703)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004253
【国際公開番号】WO2006/051269
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501361529)フォトキュア エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004253
【国際公開番号】WO2006/051269
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501361529)フォトキュア エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】
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