説明

5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む医薬組成物

本発明は5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む医薬組成物およびこのような組成物の調製方法に関する。第2態様において、本発明は、このような組成物を調製するのに好ましいペレット積層法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は即時放出に適する5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドを含む医薬組成物およびこのような組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドは、様々な血栓塞栓性疾患の予防および/または治療について研究される、血液凝固第Xa因子の低分子量、経口投与可能な阻害剤であり(WO01/47919を参照)、INNリバロキサバンとして、または商品名Xarelto(登録商標)で公知である。5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドは以下の化学構造を有する。
【0003】
【化1】

【0004】
以下、式Iによる化合物を「化合物I」と呼ぶ。これに関して、「化合物I」または「式Iによる化合物」という用語が、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)−フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド並びにこの溶媒和物および水和物に加えて、これらの医薬的に許容される塩、好ましくは、WO01/47919に概述される手順に従って得られるものを指すことが指摘される。この形態はWO2007/039132において結晶形態Iとして記載されている。
【0005】
当分野においては、化合物Iの幾つかの配合物が公知である。例えば、改変された放出特性を有する配合物がWO2006/072367に記載される。
【0006】
化合物Iは水中で限られた溶解度のみを有し、これが医薬組成物からのAPIの溶解および経口バイオアベイラビリティに関する問題を生じる。
【0007】
化合物Iのバイオアベイラビリティを改善するため、幾つかの概念が提示されている。WO2005/060940は、化合物を親水性化(hydrophilize)してバイオアベイラビリティを改善するため、湿式下流化技術を可溶化剤の使用と組み合わせて用いることを教示する。
【0008】
WO2007/039122は、化合物Iの非晶質または半安定性結晶変態をAPIとして用いることを含む即時放出形態を開示する。これらの変態の使用は、化合物Iを結晶変態Iの状態で用いるWO2005/060940に記載される配合物と比較して、溶解度および経口バイオアベイラビリティを著しく高める。
【0009】
安定な結晶変態化合物Iを用いる、湿式造粒アプローチによる上記親水性化の使用は、WO2007/039122における教示による非晶質状態の使用と比較して、十分なバイオアベイラビリティをもたらさない。非晶質状態にある化合物Iの使用は、半結晶状態に切り替わる非晶質形態の傾向による安定性の問題によって妨げられる。従って、湿式造粒技術はエネルギーおよび時間がかかり、コストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第01/47919号
【特許文献2】国際公開第2007/039132号
【特許文献3】国際公開第2006/072367号
【特許文献4】国際公開第2005/060940号
【特許文献5】国際公開第2007/039122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、上述の問題に直面することのない、化合物Iまたはこれらの医薬的に許容される塩を含む医薬組成物の製造方法を提供することである。特には、溶解度、溶解プロフィール、安定性、流動性およびバイオアベイラビリティのような特性が改善されている医薬組成物が提供されるべきである。特には、長期間の保存の後でさえも優れた溶解プロフィールを有する即時放出医薬リバロキサバン組成物を提供することが本発明の目的であった。
【0012】
さらに、WO2005/060940に開示される医薬組成物の含量均一性はさらに最適化可能であることが見出されている。特にリバロキサバンの場合には、薬物動態における個体間の変動が著しく、30%から40%の範囲である(Product Monograph Xarelto(登録商標),2008を参照)ため、優れた含量均一性が望ましい。従って、優れた溶解プロフィールおよび優れた高含量均一性を有するのに適する、リバロキサバンを含む医薬組成物を提供することが本発明のさらなる目的であった。
【0013】
安定性の理由からあらゆる崩壊剤の使用が低減、または回避さえされている、即時放出経口投薬形態が提供されるべきである。
【0014】
さらに、WO2005/060940に記載される方法は、操作上の健康および安全に関して、特には、呼吸性粉塵の生成に関して依然として最適化可能であることが見出されている。従って、呼吸性粉塵の生成が低減、好ましくは、完全に回避される、リバロキサバン配合物を調製するための方法を提供することが本発明の目的であった。
【0015】
化合物I、可溶化剤および賦形剤としての擬似乳化剤(pseudo−emulsifier)を含む医薬配合物を提供することによって上記問題を克服できることがいまや見出されている。
【0016】
この問題は、化合物Iまたはこの溶媒和物および水和物の医薬配合物を製造するための特定の方法によってさらに克服される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明の一主題は、
(a)活性成分としての式Iによる化合物
【0018】
【化2】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、
(b)可溶化剤並びに
(c)賦形剤としての擬似乳化剤、
を含む医薬組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の医薬組成物において、活性成分としての化合物I(成分(a))は好ましくは結晶形態で存在し、WO2005/060940に記載される結晶変態Iが特に好ましい。好ましくは、活性成分は遊離塩基の形態で存在する。
【0020】
好ましい実施形態において、活性成分(a)は微粒化形態で用いられる。これは、本発明の医薬組成物の活性成分(a)(=化合物I)が0.1から100μm、より好ましくは0.3から50μm、さらにより好ましくは1から20μm、最も好ましくは2から10μmの体積平均粒子サイズ(D50)を有することを意味する。
【0021】
本願の中で、体積平均粒子サイズ(D50)は、Malvern Instrumentsによって製造されるMastersizer 2000装置(湿式測定、2000rpm、超音波を60秒間、フラウンホーファー法によるデータ解釈)を用いる光散乱法によって決定される。
【0022】
医薬組成物は1種類以上の可溶化剤(b)をさらに含む。一般には、「可溶化剤」という用語は、活性医薬成分の溶解度および溶解を改善するあらゆる有機賦形剤を意味する。好ましくは、可溶化剤は、可溶化剤の代わりにリン酸水素カルシウムを含む同じ医薬組成物と比較して、医薬組成物の溶解時間を装置2(パドル)を用いるUSP31−NF26放出法に従って5%、より好ましくは20%短縮することができる。
【0023】
可溶化剤は、例えば、公知の無機または有機賦形剤の群から選択される。このような賦形剤には、好ましくは、ポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物および界面活性剤が含まれる。
【0024】
好ましくは、可溶化剤は、25℃の温度で10mg/lを上回り、より好ましくは20mg/lを上回り、さらにより好ましくは50mg/lを上回る水溶性を有する水溶性化合物である。可溶化剤の溶解度は、例えば、25℃の温度で1,000mg/lまで、または300mg/mlまでであり得る。水溶性はDangerous Substances Directive(67/548/EEC),Annex V,Chapter A6のカラム溶出法に従って決定する。
【0025】
好ましい実施形態において、可溶化剤は、好ましくは上述の水溶性を有する、親水性ポリマーである。一般には、「親水性ポリマー」という用語は極性基を含むポリマーを包含する。極性基の例はヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルボニル、エーテル、エステルおよびスルホネートである。ヒドロキシ基が特に好ましい。
【0026】
親水性ポリマーは、通常、1,000から250,000g/mol、好ましくは2,000から100,000g/mol、特には4,000から50,000または4,000から70,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。さらに、純水中で親水性ポリマーの2%w/w溶液は25℃で1から8mPasまたは2から8mPasの粘度を有する。粘度は欧州薬局方(以下、Ph.Eur.と呼ぶ)、第6版、第2.2.10章に従って決定する。
【0027】
さらに、可溶化剤として用いられる親水性ポリマーは、好ましくは、25℃から150℃、より好ましくは、40℃から100℃のガラス転移温度(T)または融点を有する。ガラス転移温度Tは、親水性ポリマーが冷却時に脆くなり、加熱時に柔らかくなる温度である。これは、Tを上回ると、親水性ポリマーが柔らかくなり、破砕なしに可塑性変形が可能であることを意味する。ガラス転移温度または融点は、Mettler−Toledo(登録商標)DSC1を用いて、毎分10℃の加熱速度および毎分15℃の冷却速度を適用して決定する。この決定法は、本質的には、Ph.Eur.6.1、第2.2.34節に基づく。Tの決定のため、ポリマーは2回加熱される(即ち、加熱、冷却、加熱)。
【0028】
より好ましくは、セルロースの誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、好ましくはこれらのナトリウムまたはカルシウム塩、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、好ましくは10,000から60,000g/molの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドン、好ましくは40,000から70,000g/molの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドンのコポリマー、好ましくは、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニル単位を含むコポリマー(例えば、Povidon VA 64;BASF)、ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、ポリエチレングリコール、イソマルト、ソルビトールまたはマンニトールのような糖アルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコブロックポリマー(ポロキサマー、Pluronic(登録商標))、メタクリレートの誘導体、ポリビニルアルコール、グリセロールの誘導体、ポリエチレングリコールの誘導体、デキストリンの誘導体並びに脂肪酸の誘導体、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを可溶化剤として用いられる。
【0029】
特には、セルロース誘導体(特には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC))、糖アルコール(特には、イソマルト)、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドンのコポリマー、特には、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニル単位を含むコポリマーが可溶化剤として用いられる。
【0030】
上述の種類の親水性ポリマーが上で説明される機能的要件(分子量、粘度、T、融点、非半透性)を満たすことが特に好ましい。
【0031】
本発明の医薬組成物においては、少なくとも1種類の上記可溶化剤が存在する。その代わりに、2種類以上の可溶化剤の組み合わせを用いることもできる。
【0032】
医薬組成物は1種類以上の擬似乳化剤(c)をさらに含む。一般には、「擬似乳化剤」という用語は、活性成分の溶解度を改善するため、医薬組成物の崩壊後に微粒化活性成分(API)の凝集を回避するあらゆる有機賦形剤を意味する。
【0033】
擬似乳化剤は、好ましくは、天然産物、より好ましくは、天然ゴムから選択される。天然ゴムは、15%未満の濃度でさえ溶液中で粘度増加を生じ得る、天然起源の多糖である。一般には、5wt.%(「重量パーセント」の略語)の、好ましくは天然ゴムの擬似乳化剤の水溶液への添加が、少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、特には少なくとも5%の前記溶液の粘度増加を生じる。粘度は欧州薬局方(以下、Ph.Eur.と呼ぶ)、第6版、第2.2.10章に従って決定する。
【0034】
適切な天然ゴムの例は
好ましくは海草から得られる、寒天(E406)
好ましくは海草から得られる、アルギン酸(E400)
好ましくはオートムギまたはオオムギヌカから得られる、ベータ−グルカン
好ましくは海草から得られる、カラギーナン(E407)
好ましくはサポジラ(chicle tree)から得られる、チクルガム
好ましくはフタバガキ科樹木(Dipterocarpaceae trees)の樹液から得られる、ダンマルガム
好ましくは細菌発酵によって生成される、ジェランガム(E418)
好ましくはコンニャク植物から得られる、グルコマンナン(E425)
好ましくはアカシア樹の樹液から得られる、アラビアガム(E414)
好ましくはアノゲイサス樹(Anogeissus trees)の樹液から得られる、ガティガム
好ましくはアストラガルス・シュラブス(Astragalus shrubs)の樹液から得られる、トラガカントガム(E413)
好ましくはステルキュリア(sterculia)樹の樹液から得られる、カラヤガム(E416)
好ましくはキャロブ(carob)樹の種子から得られる、ローカストビーンガム(E410)
好ましくはコショウボク(mastic)樹から得られる、マスティックガム
好ましくはプランタゴ(Plantago)植物から得られる、サイリウム・シード・ハスクス(Psyllium seed husks)
好ましくは海草から得られる、アルギン酸ナトリウム(E401)
好ましくはスプルース(spruce)樹から得られる、スプルースガム
好ましくはタラノキから得られる、タラガム(E417)
である。
【0035】
さらに、擬似乳化剤はリン脂質、好ましくは、レシチンから選択することができる。さらに、擬似乳化剤はタンパク質、好ましくは、カゼインのようなリンタンパク質を含むことができる。
【0036】
好ましい実施形態において、擬似乳化剤はアラビアガム、寒天および/またはレシチン、特には、アラビアガムを含む。しかしながら、コーンスターチ、クロスカルメロース、微結晶セルロースおよびKlucel(登録商標)HXFは、本願の意味では、好ましくは擬似乳化剤とみなされることはない。さらに、擬似乳化剤は、好ましくは、キサンタンガムではない。
【0037】
本発明の医薬組成物においては、少なくとも1種類の上記擬似乳化剤が存在する。その代わりに、2種類以上の擬似乳化剤の組み合わせを用いることもできる。
【0038】
可溶化剤および擬似乳化剤の好ましい組み合わせは以下のものである:
ポリビニルピロリドン/アラビアガム、
ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム/アラビアガム、
ポリビニルピロリドンのコポリマー/アラビアガム、
ポリビニルピロリドンのコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム/アラビアガム、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)/アラビアガム、
ポリビニルピロリドンのコポリマーおよびHPMC/アラビアガム、
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/アラビアガム、
ポリビニルピロリドン/寒天、
ポリビニルピロリドンのコポリマー/寒天、
ポリビニルピロリドンのコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム/寒天、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)/寒天、
ポリビニルピロリドンのコポリマーおよびHPMC/寒天、
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/寒天、
ポリビニルピロリドン/レシチン、
ポリビニルピロリドンのコポリマー/レシチン、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)/レシチン、
ポリビニルピロリドンのコポリマーおよびHPMC/レシチン、
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/レシチン、
イソマルト/アラビアガム、
イソマルト/寒天、
イソマルト/レシチン、および/または
イソマルト/カラギーナン。
【0039】
一般には、本発明の医薬組成物において、活性成分(a)は、組成物の総重量を基準にして、1から99wt.%、好ましくは4から60wt.%、より好ましくは5から40wt.%、特に好ましくは6から20wt.%の量で存在し得る。
【0040】
一般には、本発明の医薬組成物において、可溶化剤(b)は、組成物の総重量を基準にして、0.1から80wt.%、好ましくは0.5から60wt.%または1から60wt.%、より好ましくは5から30wt.%の量で存在し得る。
【0041】
一般には、本発明の医薬組成物において、擬似乳化剤(c)は、組成物の総重量を基準にして、0.01から15wt.%、好ましくは0.1から10wt.%、より好ましくは0.2から5wt.%または0.5から5wt.%、特には0.5から2.5wt.%または0.8から2.5wt.%の量で存在し得る。組成物中のより多量の擬似乳化剤は不完全な薬物放出を生じ得ることが見出されている。従って、本発明の医薬組成物は15wt.%を上回る擬似乳化剤を含まず、より好ましくは10wt.%以下、特には5%以下であることが好ましい。特には、本発明の医薬組成物は15wt.%を上回る天然ゴムを含まず、より好ましくは10wt.%以下、特には5%以下であることが好ましい。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は、
(a)結晶形態にある式Iによる化合物、
(b)可溶化剤としてのセルロースもしくはこれらの誘導体またはポリビニルピロリドンもしくはこれらのコポリマー、および
(c)擬似乳化剤としての天然ゴム、
を含む。
【0043】
配合物の溶解の間、可溶化剤および擬似乳化剤の組み合わせは、通常、溶解中の粒子の凝集を減少させ、可溶化剤の効果を高めることを目的とする。擬似乳化剤の作用機構は、通常、主として、粘度の増加に頼っている。しかしながら、擬似乳化剤は乳化特性も有する。
【0044】
本発明の医薬組成物は特定の方法によって調製することができる。
【0045】
第1実施形態においては、本発明の医薬組成物を乾燥造粒法によって調製することができる。
【0046】
従って、本発明のさらなる主題は、医薬組成物の製造方法であって、
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)混合物を乾燥圧縮して圧縮体(comprimate)を得る段階、並びに
(iii)圧縮体を造粒する段階
を含む方法である。
【0047】
段階(i)においては、式Iによる化合物(=化合物I)を賦形剤と混合する。混合プロセスは通常のミキサー、例えば、Turbula T 10B(Bachofen AG、スイス)のような自由落下ミキサー(free fall mixer)において行うことができる。
【0048】
好ましくは、賦形剤には可溶化剤および擬似乳化剤が含まれる。一般には、本発明の医薬組成物の可溶化剤(b)および擬似乳化剤(c)に関して上でなされたすべての注釈が本発明の方法にも適用されることに留意されたい。
【0049】
本発明の方法においては、(可溶化剤および擬似乳化剤に加えて)1種類以上の医薬的に許容される賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、固着防止剤および崩壊剤を用いることができる。上述の医薬的に許容される賦形剤に関して、本願では「Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie,Kosmetik und angrenzende Gebiete」,H.P.Fiedler編,第4版,Edito Cantor,Aulendorfおよびそれ以前の版、並びに「Handbook of Pharmaceutical Excipients」,第3版,Arthur H.Kibbe編,American Pharmaceutical Association,Washington,USA,and Pharmaceutical Press,Londonを参照する。これに関しては、医薬賦形剤の性質により、一般に特定の化合物が成分(b)および(c)または上述の追加賦形剤の2以上の要件を満たすことを排除できないことに留意されたい。しかしながら、一義的な区別を可能にするため、本願においては、同一の医薬化合物は成分(b)もしくは(c)または追加賦形剤のうちの1つとしてのみ機能し得ることが好ましい。例えば、マンニトールが可溶化剤(b)として機能する場合、これは擬似乳化剤(c)または充填剤もしくは結合剤としてさらに機能することはできない。さらに、本願においては、リバロキサバンは成分(a)としてのみ機能し、成分(b)または(c)のうちの1つとしては機能しない。
【0050】
充填剤の好ましい例はラクトースまたはリン酸水素カルシウムのような可溶性および不溶性賦形剤である。充填剤は,例えば、組成物の総重量の0から80wt.%、好ましくは、10から60wt.%の量で存在する。
【0051】
結合剤は、例えば、デンプンであり得る。好ましくは、結合剤は組成物の総重量の0から25wt.%、より好ましくは、2から10wt.%の量で存在する。
【0052】
潤滑剤は、好ましくは、ステアリン酸塩または脂肪酸、より好ましくは、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムである。潤滑剤は、適切には、組成物の総重量の0から2wt.%、好ましくは、約0.5から1.5wt.%の量で存在する。
【0053】
好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)またはカルボキシメチルグリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標))、重炭酸ナトリウムである。崩壊剤は、適切には、組成物の総重量の0から20wt.%、より好ましくは、約1から15wt.%の量で存在する。
【0054】
流動促進剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(登録商標))であり得る。好ましくは、流動促進剤は組成物の総重量の0から8wt.%、より好ましくは、0.1から3wt.%の量で存在する。
【0055】
固着防止剤は、例えば、滑石であり、組成物の総重量の0から5%.wtの量、より好ましくは、0.5から3wt.%の量で存在し得る。
【0056】
一般には、本発明の方法において可溶化剤(b)または擬似乳化剤(c)が用いられる場合、他のすべての賦形剤(例えば、充填剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、流動促進剤および固着防止剤)は可溶化剤または擬似乳化剤であるとして上で指定される化合物は含まれないものとして定義される。
【0057】
第2段階(ii)においては、圧縮体を受け取るため、混合した配合物を乾燥圧縮段階に供する。乾燥圧縮は、一般には、本質的な量の溶媒が存在しない状態で行う。好ましい実施形態において、乾燥圧縮段階はローラー圧縮によって行う。その代わりに、例えば、スラッギングを用いることもできる。ローラー圧縮が適用される場合、この圧縮力は、通常2から50kN/cm、好ましくは5から45kN/cm、より好ましくは8から28kN/cmの範囲である。
【0058】
ローラー圧縮機の間隙幅は、通常0.8から5mm、好ましくは1から4mm、より好ましくは1.5から3.2mm、特には1.8から3.0mmである。
【0059】
好ましくは、ローラー圧縮機は冷却装置を備える。通常、圧縮された医薬組成物に50℃を上回る温度を施すべきではない。
【0060】
本発明の方法(の第1実施形態)の第3段階(iii)においては、(段階(ii)において受け取られる)圧縮体を造粒する。
【0061】
好ましくは、造粒段階は高架ふるい装置(elevated sieving equipment)、例えば、Comil(登録商標)U5(Quadro Engineering、USA)によって行う。
【0062】
さらに、本発明の方法においては、いわゆる多段圧縮を行うことができる。この場合、段階(iii)から生じる粒子を圧縮段階(ii)に再循環させる。場合により、各々のサイクル中にさらなる賦形剤を添加することができる。好ましくは2から5、より好ましくは3から4サイクルを行う。
【0063】
好ましい実施形態において、造粒条件は、得られる顆粒化医薬組成物が10から1000μm、より好ましくは20から800μm、さらにより好ましくは50から700μm、最も好ましくは100から650μmの体積平均粒子サイズ(D50)を含むように選択される。体積平均粒子サイズ(D50)は、Malvern Instrumentsによって製造されるMastersizer 2000装置を用いて、光散乱法によって決定する。
【0064】
第1実施形態の方法によって製造される顆粒化医薬組成物のかさ密度は、一般には0.2から0.85g/ml、好ましくは0.25から0.85g/ml、より好ましくは0.3から0.8g/mlまたは0.40から0.80g/mlの範囲である。
【0065】
第1実施形態の方法によって製造される本発明の顆粒化医薬組成物は、好ましくは1.01から1.6または1.05から1.6、好ましくは1.06から1.4、より好ましくは1.08から1.3または1.08から1.25の範囲のハウスナー比を有する。ハウスナー比はタップ密度のかさ密度に対する比である。
【0066】
第2実施形態においては、ペレット積層法によって本発明の医薬組成物を調製することができる。
【0067】
従って、本発明のさらなる主題は、医薬組成物の製造方法であって、
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物を含む溶液または懸濁液を準備する段階、および
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む方法である。
【0068】
この第2実施形態において、本発明は、ペレット積層法を用いて化合物Iを含む医薬組成物を製造するための方法を提供する。ここでは、化合物Iを1種類以上の医薬的に許容される賦形剤の溶液または分散液中に分散させる。この溶液または懸濁液を、水溶性または不溶性材料から製造される、不活性コア上に噴霧する。
【0069】
段階(i)においては、ペレットコアを準備する。好ましくは、ペレットコアはいわゆる中性ペレットコアであり、これはこれが活性成分を含まないことを意味する。ペレットコアは適切な材料、例えば、セルロース、スクロース、デンプンもしくはマンニトールまたはこれらの組み合わせで製造することができる。
【0070】
より好ましくは、ペレットコアに用いられる可溶化剤は、セルロースの誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー(Povidon VA 64;BASF)、ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、ポリエチレングリコール、イソマルト、ソルビトールまたはマンニトールのような糖アルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコブロックポリマー(ポロキサマー)から選択される。
【0071】
適切なペレットコアは商品名Cellets(登録商標)で商業的に入手可能であり、好ましくは、微結晶セルロースを含む。特に好ましい実施形態においては、Suglets(登録商標)として商業的に入手可能であるペレットコアが用いられる。これらの好ましいペレットコアはコーンスターチおよびスクロースの混合物を含む。混合物は、通常、1から20wt.%のコーンスターチおよび80から99wt.%のスクロース、特には、約8wt.%のコーンスターチおよび92%のスクロースを含む。
【0072】
段階(ii)においては、式Iによる化合物(=化合物I)を溶媒に溶解または懸濁させる。溶媒は水、医薬的に許容される有機溶媒またはこれらの混合液であり得る。好ましくは、溶媒は水またはアルコールである。最も好ましくは、溶媒は水である。
【0073】
化合物Iの溶液または分散液はさらなる賦形剤を含むことができる。これは可溶化剤および/または擬似乳化剤を好ましく含む。一般には、本発明の医薬組成物の可溶化剤(b)および擬似乳化剤(c)に関して上でなされるすべての注釈が本発明の方法にも適用されることに留意されたい。加えて、溶液または分散液は固着防止剤および潤滑剤を含むことができる。本発明の方法の第1実施形態に対して上で示される説明が参照される。
【0074】
第3段階(iii)においては、エマルジョンまたは懸濁液を、好ましくは、流動床乾燥機、例えば、Glatt GPCG 3(Glatt GmbH、ドイツ)またはInnojet(登録商標) Ventilus 1(Innojet Herbert Huettlin、ドイツ)によってペレットコア上に噴霧する。
【0075】
好ましい実施形態において、噴霧条件は、得られる粒状医薬組成物が10から1000μm、より好ましくは20から800μm、さらにより好ましくは100から750μm、最も好ましくは250から650μmの体積平均粒子サイズ(D50)を含むように選択される。体積平均粒子サイズ(D50)は、Malvern Instrumentsに製造されるMastersizer 2000装置を用いる、光散乱法によって決定する。
【0076】
第2実施形態の方法によって製造される粒状医薬組成物のかさ密度は、一般には0.2から0.85g/ml、好ましくは0.25から0.85g/ml、より好ましくは0.4から0.85g/mlの範囲である。
【0077】
第2実施形態の方法によって製造される本発明の粒状医薬組成物は1.05から1.6、好ましくは1.08から1.4、より好ましくは1.10から1.3の範囲のハウスナー比を好ましく有する。
【0078】
第3実施形態においては、本発明の医薬組成物を溶融造粒またはメルトコーティング法によって調製することができ、この方法において、化合物Iは、好ましくは、少なくとも1種類の可溶化剤、擬似乳化剤および、場合により、医薬的に許容される担体またはマトリックスと共に溶融(融合)法によって分散させ、即ち、化合物Iを賦形剤の溶融塊と共に造粒する。冷却後、得られた塊を好ましくは造粒し、即ち、例えば、破砕し、摩砕し、およびふるい掛けする。その代わりに、溶融塊を型に直接投入し、錠剤を得ることもできる。
【0079】
従って、本発明のさらなる主題は、医薬組成物の製造方法であって、
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)混合物を溶融する段階、
(iii)溶融した混合物を冷却および造粒する段階、
を含む方法である。
【0080】
段階(i)においては、式Iによる化合物(=化合物I)を賦形剤と混合する。好ましくは、賦形剤は可溶化剤および擬似乳化剤を含む。一般には、本発明の医薬組成物の可溶化剤(b)および擬似乳化剤(c)に関して上でなされるすべての注釈が本発明の方法にも適用されることに留意されたい。
【0081】
場合により、以下のポリマー性物質を用いる担体またはマトリックスを用いることもできる:セルロースの誘導体、糖アルコール、有機酸の誘導体、脂肪酸の誘導体、ワックス、グリセロールの半合成誘導体。
【0082】
溶融造粒には、例えば、押出し法または高剪断法を用いることができる。溶融条件は、好ましくは、活性成分が結晶形態Iのままであるように選択される。
【0083】
第4実施形態においては、化合物Iを適切なポリマーと共に有機溶媒に溶解する共沈法によって本発明の医薬組成物を調製することができる。貧溶媒を添加することにより、化合物I−ポリマー複合体が沈殿する。
【0084】
従って、本発明のさらなる主題は、医薬組成物の製造方法であって、
(i)式Iによる化合物およびポリマー賦形剤を溶媒に溶解する段階、
(ii)式Iによる化合物およびポリマー賦形剤を含む複合体を、貧溶媒を添加することによって沈殿させる段階、並びに
(iii)沈殿した複合体を造粒する段階、並びに、場合により、
(iv)擬似乳化剤(a)を添加する段階、
を含む方法である。
【0085】
段階(i)においては、式Iによる化合物(=化合物I)をポリマー賦形剤と混合する。好ましくは、ポリマー賦形剤は可溶化剤を含む。一般には、本発明の医薬組成物の可溶化剤(b)および擬似乳化剤(c)に関して上でなされるすべての注釈が本発明の方法にも適用されることに留意されたい。
【0086】
溶媒は医薬的に許容される有機溶媒またはこれらの混合液であり得る。好ましくは、溶媒はアルコールまたは有機酸である。最も好ましくは、溶媒は酢酸またはエタノールである。
【0087】
第2段階(ii)においては、式Iによる化合物およびポリマー賦形剤を含む複合体を、貧溶媒を添加することによって沈殿させる。貧溶媒は水または医薬的に許容される有機溶媒またはこれらの混合液であり得る。好ましくは、貧溶媒は水である。必要であれば、沈殿を誘導するため、pHシフトを用いることもできる。
【0088】
得られた複合体は第3段階において、好ましくはあらゆるふるい機、例えば、Comil(登録商標)U5により、造粒する(これは、例えば、破砕、摩砕およびふるい掛けを意味する。)。
【0089】
好ましい実施形態において、造粒条件は、得られる顆粒化医薬組成物が10から500μm、より好ましくは20から400μm、さらにより好ましくは50から300μm、最も好ましくは50から200μmの体積平均粒子サイズ(D50)を含むように選択される。体積平均粒子サイズ(D50)は、Malvern Instrumentsによって製造されるMastersizer 2000装置を用いる、光散乱法によって決定する。
【0090】
第4実施形態の方法によって製造される顆粒化医薬組成物のかさ密度は、一般には、0.2から0.85g/ml、好ましくは、0.25から0.85g/ml、より好ましくは、0.3から0.75g/mlの範囲である。
【0091】
第4実施形態の方法によって製造される本発明の顆粒化医薬組成物は1.05から1.6、好ましくは1.08から1.4、より好ましくは1.10から1.3の範囲のハウスナー比を好ましく有する。
【0092】
上述のように、4つの方法が本発明の医薬組成物の調製に適する。前記方法は顆粒形態の医薬組成物を導く。従って、本発明のさらなる主題は本発明の方法のいずれかによって得ることができる顆粒(=粒子)である。これらの顆粒はいわゆる「一次医薬組成物」とみなすことができる。
【0093】
「顆粒」および「顆粒形態」という用語に関して、本願の中ではこれらの用語が(一次)医薬組成物のあらゆる粒状形態を指すことに留意されたい。好ましくは、顆粒は上述の平均径を有する。要するに、「顆粒」および「顆粒形態」という用語は当分野において時折「ペレット」と呼ばれる粒子にも及ぶ。
【0094】
本発明の顆粒(即ち、一次医薬組成物)は適切な固体経口投薬形態の調製に用いることができる。要するに、一次医薬組成物をさらに加工して「最終医薬組成物」、即ち、最終投薬形態を得ることができる。好ましくは、顆粒は、場合により他の賦形剤と配合した後、圧縮して錠剤とし、またはカプセルもしくはサシェに充填することができる。特に好ましい投薬形態は錠剤の形態である。
【0095】
本発明の投薬形態(好ましくは、錠剤)は1から60mg、より好ましくは10から50mg、例えば、10mg、20mg、25mgまたは50mgの投薬量の活性医薬成分を含むことができる。従って、柔軟な投薬を保証する個々の寛容性および安全性に従って投与量を容易に変更することができる。
【0096】
従って、本発明のさらなる主題は、錠剤の製造方法であって、
(i)場合により、本発明の顆粒をさらなる賦形剤と混合する段階、および
(ii)本発明の顆粒または段階(i)の混合物を圧縮して錠剤を得る段階、
を含む方法である。
【0097】
段階(i)においては、顆粒(一次医薬組成物)をさらなる賦形剤と混合することができる。
【0098】
錠剤(即ち、最終医薬組成物)を製造するためのこの方法において、1種類以上の医薬的に許容される賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、固着防止剤および崩壊剤を用いることができる。通常、これらのさらなる賦形剤は、顆粒の調製(即ち、一次医薬組成物の調製)において既に用いられている賦形剤に加えて添加する。
【0099】
充填剤の好ましい例はラクトースまたはリン酸水素カルシウムのような可溶性およ不溶性賦形剤である。上述のように、充填剤は、例えば、最終医薬組成物の総重量の0から80wt.%、好ましくは、10から60wt.%の量で存在する。
【0100】
結合剤は、例えば、デンプンであり得る。好ましくは、結合剤は最終医薬組成物の総重量の0から25wt.%、より好ましくは、2から10wt.%の量で存在する。
【0101】
潤滑剤は、好ましくは、ステアリン酸塩または脂肪酸、より好ましくは、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムである。潤滑剤は、適切には、最終医薬組成物の総重量の0から2wt.%、好ましくは、約0.5から1.5wt.%の量で存在する。
【0102】
好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)またはカルボキシメチルグリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標))、重炭酸ナトリウムである。崩壊剤は、適切には、最終医薬組成物の総重量の0から20wt.%、より好ましくは、約1から15wt.%の量で存在する。
【0103】
流動促進剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(登録商標))であり得る。好ましくは、流動促進剤は最終医薬組成物の総重量の0から8wt.%、より好ましくは、0.1から3wt.%の量で存在する。
【0104】
固着防止剤は、例えば、滑石であり、最終医薬組成物の総重量の0から5%.wtの量で、より好ましくは、0.5から3wt.%の量で存在し得る。
【0105】
一般には、圧縮段階において用いられる上述のさらなる賦形剤の量は顆粒を製造するための方法において(即ち、一次医薬組成物を製造するための方法において)既に用いられている賦形剤の量に依存する。例えば、最終医薬組成物が30%の結合剤を含まなければならない場合、20%の結合剤を圧密段階に先立って添加し、および10%の結合剤を圧縮段階に先立って添加し、または、例えばその代わりに、25%の結合剤を圧密段階に先立って添加し、および5%の結合剤を圧縮段階に先立って添加することが可能である。
【0106】
圧縮段階(ii)は、好ましくは、ロータリープレス、例えば、Fette 102i(Fette GmbH、ドイツ)またはRiva(登録商標)piccola(Riva、アルゼンチン)で行う。
【0107】
代替実施形態においては、本発明の医薬組成物を含む錠剤を直接圧縮法によって調製することができる。
【0108】
従って、本発明のさらなる主題は、本発明の医薬を含む錠剤の製造方法であって、
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)前記混合物を直接圧縮する段階、
を含む方法である。
【0109】
直接圧縮において用いられる賦形剤は上述の通りに定義され、好ましくは、可溶化剤(b)および擬似乳化剤(c)も含む。
【0110】
直接圧縮は、好ましくは、ロータリープレス、例えばFette 102i(Fette GmbH、ドイツ)またはRiva(登録商標)piccola(Riva、アルゼンチン)で行う。
【0111】
ロータリープレスが適用される場合、主圧縮力は、通常1から50kN、好ましくは2から40kN、より好ましくは2.5から35kNの範囲である。
【0112】
最後に、本発明の主題は上述の方法のいずれかによって得ることができる錠剤である。
【0113】
本発明の錠剤は経口用途のフィルムコート錠または崩壊錠であり得る。
【0114】
フィルムコーティング剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメタクリレートであり、組成物の総重量を基準にして1から10wt.%の量、より好ましくは、2から8wt.%の量で存在し得る。
【0115】
別の論点において、本発明は、血栓栓塞性疾患、例えば、梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む。)、血管形成もしくは大動脈−冠状動脈バイパス後の再閉塞および再狭窄、脳卒中、一過性虚血イベント、末梢動脈閉塞、肺塞栓症または深部静脈血栓症の予防および/または治療への本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0116】
医薬組成物および単一投薬形態の医薬組成物の総重量が参照される場合、総重量は、適用できるのであればあらゆるコーティングまたはカプセルシェルの重量を除く、単一投薬形態の重量である。
【0117】
本発明の医薬組成物および錠剤は「即時放出」を示す配合物である。本特許出願の範囲内では、即時放出配合物は75%以上のQ値を有し、好ましくは80%から100%のQ値を有し、より好ましくは90%から100%のQ値を有する。Q値はUSP 32−NF 27方法II(パドル、<711>章)に記載されるように決定する。錠剤の場合、この値は非コート錠を参照する。
【0118】
さらに、本発明の医薬組成物および錠剤には、好ましくは、改変された放出特性を付与する化合物は含まれない。より好ましくは、本発明の医薬組成物および錠剤には耐食性ポリマーおよび細孔形成性物質を含む改変放出系は含まれない。
【0119】
上記説明は本発明の第1態様を説明する。加えて、本発明の第2態様においては、上述のペレット積層法により、たとえ擬似乳化剤(c)が存在しないとしても、優れた特性(例えば、望ましい溶解プロフィールおよび優れた含量均一性)を有する医薬リバロキサバン組成物を得ることができることが予期せずに見出された。
【0120】
従って、本発明のさらなる主題は、
(a)活性成分としての式Iによる化合物、
【0121】
【化3】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、並びに
(b)可溶化剤、
を含む医薬組成物であって、
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物(a)および可溶化剤(b)を含む溶液または懸濁液を準備する段階、並びに
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む方法によって得ることができる医薬組成物である。
【0122】
一般には、本発明の第2態様において、第1態様について上に示されるものと同じ考察が化合物I(a)に適用される。
【0123】
一般には、本発明の第2態様において、第1態様について上に示されるものと同じ考察が可溶化剤(b)に適用される。
【0124】
好ましくは、本発明の第2態様において、可溶化剤は、25℃の温度で10mg/lを上回り、より好ましくは20mg/lを上回り、さらにより好ましくは50mg/lを上回る水溶性を有する、水溶性化合物である。可溶化剤の溶解度は、例えば、25℃の温度で1,000mg/lまで、または300mg/mlであり得る、水溶性はDangerous Substances Directive(67/548/EEC),Annex V,Chapter A6のカラム溶出法に従って決定する。
【0125】
好ましい実施形態において、可溶化剤は、好ましくは上述の水溶性およびフィルム形成(film−building)特性を有する、親水性ポリマーである。一般には、「親水性ポリマー」という用語は極性基を含むポリマーを包含する。極性基の例はヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、カルボニル、エーテル、エステルおよびスルホネートである。ヒドロキシ基が特に好ましい。
【0126】
親水性ポリマーは、通常、1,000から250,000g/mol、好ましくは2,000から100,000g/mol、特には4,000から70,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。さらに、純水中の親水性ポリマーの2%w/w溶液は、好ましくは、25℃で1.0から8.0、好ましくは、1.2から5.0mPasの粘度を有する。粘度は欧州薬局方(以下、Ph.Eur.と呼ぶ)、第6版、第2.2.10章に従って決定する。
【0127】
さらに、可溶化剤として用いられる親水性ポリマーは、好ましくは、25℃から150℃、より好ましくは、40℃から100℃のガラス転移温度(T)または融点を有する(Tの定義は上に示される。)。
【0128】
適切な可溶化剤の好ましい例は、セルロースの誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、好ましくは、これらのナトリウムまたはカルシウム塩、好ましくは10,000から60,000g/molの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー、好ましくは、40,000から70,000g/molの重量平均分子量を好ましく有する、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニル単位を含むコポリマー(例えば、Povidon VA 64;BASF)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、イソマルト、ソルビトールまたはマンニトールのような糖アルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドコブロックポリマー(ポロキサマー、Pluronic(登録商標))である。親水性ポリマー(=可溶化剤b)として特に好ましいものは、15.000から35.000g/molの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドンである。
【0129】
さらなる好ましい実施形態において、可溶化剤(b)は2つの成分
(b1)上述の親水性ポリマー;および
(b2)界面活性剤、
を含み、(b1)対(b2)の重量比は、通常、50:1から1:1、好ましくは、20:1から2:1の範囲である。
【0130】
一般には、界面活性剤は液体の表面張力を低下させる薬剤である。界面活性剤は、通常、両親媒性である有機化合物であり、即ち、これらは疎水性基および親水性基の両者を含む。
【0131】
好ましくは、アニオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを成分(b2)として用いる。
【0132】
従って、好ましい実施形態において、可溶化剤は、特には15.000から35.000g/molの重量平均分子量を有する、ポリビニルピロリドンおよび界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムを含むか、またはこれらからなる。
【0133】
一般には、本発明の第2態様の医薬組成物においては、可溶化剤(b)は、組成物の総重量を基準にして、0.1から60wt.%、好ましくは0.2から20wt.%または0.3から10wt.%、より好ましくは0.5から5wt.%の量で存在し得る。
【0134】
本発明の第2態様において、医薬組成物は、通常、擬似乳化剤を含まず、「擬似乳化剤」という用語は上述の本発明の第1態様におけるように定義される。従って、本発明の第2態様において、医薬組成物は、通常、天然ゴムを含まない。
【0135】
本発明の第2態様の医薬組成物はペレット積層法によって調製する。
【0136】
従って、本発明のさらなる主題は、
(a)活性成分としての式Iによる化合物
【0137】
【化4】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、並びに
(b)可溶化剤、
を含む医薬組成物の製造方法であって、
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物(a)および可溶化剤(b)を含む溶液または懸濁液を準備する段階、並びに
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む方法である。
【0138】
段階(i)においては、ペレットコアを準備する。好ましくは、ペレットコアはいわゆる中性ペレットコアであり、要するに、活性成分を含まない。ペレットコアは適切な材料、例えば、セルロースまたは誘導体、特には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スクロース、デンプンもしくはマンニトールまたはこれらの組み合わせで製造することができる。
【0139】
適切なペレットコアは商品名Cellets(登録商標)で商業的に入手可能であり、好ましくは、微結晶セルロースを含む。特に好ましい実施形態においては、Suglets(登録商標)として商業的に入手可能なペレットコアが用いられる。好ましいペレットコアはコーンスターチおよびスクロースの混合物を含む。この混合物は、通常、1から20wt.%のコーンスターチおよび80から99wt.%のスクロース、特には、約8wt.%のコーンスターチおよび92%のスクロースを含む。
【0140】
通常、ペレットコアは200から600μm、好ましくは250を上回って500μmまで、より好ましくは255から360μm、特には260から340μmの体積平均粒子サイズ(D50)を有する。粒子サイズは上述のように決定する。
【0141】
本発明において用いられる化合物間の明瞭な区別を可能にするため、ペレットコアは、好ましくは、可溶剤(b)とはみなさない。
【0142】
段階(ii)においては、式Iによる化合物(=化合物I=リバロキサバン)を溶媒に溶解または懸濁させ、好ましくは、懸濁させる。溶媒は水、医薬的に許容される有機溶媒またはこれらの混合液であり得る。好ましくは、溶媒は水またはアルコールである。最も好ましくは、溶媒は水である。
【0143】
通常、化合物I(a)は溶媒中に1から30、好ましくは5から20wt.%、より好ましくは10から15wt.%の量で存在する。通常、可溶化剤(b)は溶媒中に0.1から20、好ましくは0.5から10wt.%、より好ましくは2から8wt.%の量で存在する。
【0144】
加えて、溶液または分散液は以下に記載される固着防止剤および潤滑剤を含むことができる。しかしながら、溶液または懸濁液は溶媒、化合物I(a)および1種類以上の可溶化剤(b)および、場合により、固着防止剤からなることが好ましい。
【0145】
第3段階(iii)においては、好ましくは流動床乾燥機または流動床造粒機、例えば、Glatt(登録商標)GPCG3(Glatt GmbH、ドイツ)またはInnojet(登録商標)Ventilus 1(Innojet Herbert Huettlin、ドイツ)において、エマルジョンまたは懸濁液をペレットコア上に噴霧(および、次に、乾燥)する。
【0146】
通常、これらの装置において、ペレットコアを気体、好ましくは、空気の流れの中で流動化し、段階(ii)において調製した溶液または懸濁液を、好ましくはノズルから、ペレットコアの床上に噴霧する。通常、望ましい厚みのコーティングを生成するのに十分な溶液または懸濁液を噴霧する。次に、通常、噴霧を停止する。好ましくは、流動化気体流中でコートされたペレットが乾燥するまで、流動化気体を継続する。従って、段階(iii)は「噴霧・乾燥」段階と見なすことができる。
【0147】
従って、化合物I(a)および可溶化剤(b)を含む溶液または懸濁液を噴霧および乾燥させた後、ペレットコア上にコーティングが形成される。コーティングは、通常、0.1から50μm、好ましくは5.0から40μm、より好ましくは15から35μm、特には20から30μmの厚みを有する。コーティングの厚みは顕微鏡的に決定する。
【0148】
従って、本発明の第2態様のさらなる主題は、
(i)100から600μm、好ましくは200から500μm、より好ましくは250から355μmの直径を有するペレットコア;並びに
(ii)化合物I(=リバロキサバン(a))および可溶化剤(b)を含むコーティング、
を含むコートされたペレットであって、コーティングが0.1から50μm、好ましくは5.0から40μm、より好ましくは15から35μm、特には20から30μmの厚みを有するコートされたペレットである。
【0149】
ペレットコアの直径は顕微鏡的に決定し、この最長寸法によって定義される。
【0150】
一般には、本発明の第2態様においては、ペレットコアは活性剤を含まず、即ち、リバロキサバンを含まない。
【0151】
第2態様の方法によって製造される粒状医薬組成物(または上述のコートされたペレット)のかさ密度は、一般には0.2から0.95g/ml、好ましくは0.40から0.82g/ml、より好ましくは0.45から0.80g/mlの範囲である。
【0152】
第2態様の方法によって製造される本発明の粒状医薬組成物(または上述のコートされたペレット)は、1.05から1.6、好ましくは1.08から1.3、より好ましくは1.10から1.25の範囲のハウスナー比を好ましく有する。
【0153】
本発明の第2態様の方法から生じるコートされたペレットは「一次医薬組成物」と見なされる。前記一次医薬組成物は適切な固体経口投薬形態の調製に用いることができる。
【0154】
要するに、一次医薬組成物をさらに加工して「最終医薬組成物」を得ることができ、即ち、最終投薬形態、特には、経口投薬形態を得ることができる。好ましくは、コートされたペレットは、場合により他の賦形剤と配合した後、圧縮して錠剤とすることができ、またはカプセルもしくはサシェに充填することができる。特に好ましい投薬形態は錠剤の形態である。
【0155】
本発明の第2態様の投薬形態(好ましくは、錠剤)は1から60mg、より好ましくは、10から50mg、例えば、10mg、20mg、25mgまたは50mgの投薬量の活性医薬成分を含むことができる。
【0156】
従って、本発明の第2態様のさらなる主題は、経口投薬形態の製造方法であって、
(i)場合により、本発明の第2態様のコートされたペレットを1種類以上のさらなる賦形剤と混合する段階、および
(ii)コートされたペレットまたは段階(i)からの混合物を、カプセルもしくはサシェに充填することにより、または、その代わりに、圧縮して錠剤とすることにより、経口投薬形態に移す段階、
を含む方法である。
【0157】
好ましくは、経口投薬形態は錠剤である。従って、本発明の第2態様のさらなる主題は、錠剤の製造方法であって、
(i)本発明の第2態様のコートされたペレットを1種類以上のさらなる賦形剤と混合する段階、および
(ii)段階(i)の混合物を圧縮して錠剤を得る段階
を含む方法である。
【0158】
段階(i)においては、コートされたペレットをさらなる賦形剤と混合する。
【0159】
経口投薬形態(即ち、最終医薬組成物)、好ましくは、錠剤の製造方法においては、1種類以上の医薬的に許容される賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、固着防止剤および崩壊剤を用いることができる。
【0160】
充填剤(または、当分野においては、希釈剤とも呼ぶ)は、通常、取り扱いに適するサイズの投薬形態を形成するために添加する。充填剤の好ましい例はラクトースまたはリン酸水素カルシウムである。充填剤は、通常、投薬形態、即ち、最終医薬組成物の総重量を基準にして、0から60wt.%、好ましくは1から40wt.%、より好ましくは2から30wt.%、さらにより好ましくは2から25wt.%の量で存在する。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0161】
結合剤は、経口投薬形態、好ましくは、錠剤を必要とされる機械的強度で形成できることを保証するように添加することができる。結合剤は、例えば、デンプンまたは微結晶セルロースであり得る。通常、結合剤は、最終医薬組成物の総重量を基準にして、0から35wt.%、好ましくは1から30wt.%、より好ましくは2から25wt.%、さらにより好ましくは3から20wt.%の量で存在する。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0162】
潤滑剤の機能は固体とダイ壁との低い摩擦で錠剤形成および排出が生じるのを保証することである。潤滑剤は、好ましくは、ステアリン酸塩または脂肪酸、より好ましくは、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、例えば、ステアリン酸マグネシウムである。潤滑剤は、適切には、最終医薬組成物の総重量の0から2wt.%、好ましくは、約0.1から1.0wt.%の量で存在する。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0163】
崩壊剤は、液体、好ましくは、水と接触するとき、より小さい断片に崩壊する投薬形態の能力、好ましくは、錠剤の能力を強化する化合物である。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)またはカルボキシメチルグリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab(登録商標))または重炭酸ナトリウムである。崩壊剤は、適切には、最終医薬組成物の総重量の0から20wt.%、より好ましくは、約1から15wt.%の量で存在する。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0164】
流動促進剤は(一次または最終)医薬組成物の流動性を改善することができる化合物である。流動促進剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素(例えば、Aerosil(登録商標))であり得る。好ましくは、流動促進剤は最終医薬組成物の総重量の0から5wt.%、より好ましくは、0.1から2wt.%の量で存在する。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0165】
固着防止剤は医薬組成物の粒子とパンチ面との接着を低減することができ、従って、パンチに貼り付く粒子を防止することができる化合物である。固着防止剤は、例えば、滑石であり、最終医薬組成物の総重量の0から5wt.%、より好ましくは0.01から1wt.%、さらにより好ましくは0.02から0.5wt.%の量で存在し得る。錠剤の場合、これらの値は非コート錠を参照する。
【0166】
圧縮段階(ii)は、好ましくは、ロータリープレス、例えば、Fette(登録商標)102i(Fette GmbH、ドイツ)またはRiva(登録商標)piccola(Riva、アルゼンチン)で行う。ロータリープレスが適用される場合、主圧縮力は、通常1から50kN、好ましくは2から40kN、より好ましくは5から25kNの範囲である。
【0167】
従って、本発明の第2態様の主題は上述の方法のいずれかによって得ることができる投薬形態、特には、錠剤である。
【0168】
本発明の第2態様の経口投薬形態は、好ましくは、
40から100wt.%、より好ましくは60から95wt.%、さらにより好ましくは70から90wt.%のコートされたペレット、
0から40wt.%、より好ましくは2から30wt.%の充填剤、
0から35wt.%、より好ましくは2から20wt.%の結合剤、
0から5wt.%、より好ましくは0.1から2wt.%の流動促進剤、
0から3wt.%、より好ましくは0.01から0.5wt.%の固着防止剤、
0から2wt.%、より好ましくは約0.1から1.0wt.%の潤滑剤、
0から20wt.%、好ましくは約1から10wt.%の崩壊剤、
を通常含むか、またはこれらからなり、すべての数字が経口投薬形態の総重量に基づく、錠剤の形態にある。錠剤の場合、これら値は非コート錠を参照する。
【0169】
その代わりに、好ましくは上述の方法によって得られる、上述のコートされたペレットを適切な容器、例えば、カプセル、サシェ、スティックパック等に充填することができる。コートされたペレットはさらなる添加物の添加なしに容器に充填することができる。好ましくは、コートされたペレットを固着防止剤と配合し、次に容器に充填する。従って、本発明の第2態様の経口投薬形態は、カプセルまたはサシェまたはスティックパックのような適切な容器に充填するとき、通常、99から100wt.%、より好ましくは、99.5から99.99wt.%のコートされたペレットおよび0から1wt.%、より好ましくは、0.01から0.05wt.%の固着防止剤を含む。
【0170】
本発明の第2態様の投薬形態、好ましくは、錠剤は、通常85から115%、好ましくは95から105%、より好ましくは96から104%、さらにより好ましくは97から103%、特に好ましくは98から102%、最も好ましくは99%から101%の含量均一性を有する。含量均一性は欧州薬局方(Ph.Eur)、第4版、2002、第2.9.6節に従って決定する。
【0171】
本発明の錠剤の第2態様の錠剤は経口用途のフィルムコート錠または崩壊錠であり得る。フィルムコーティング剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメタクリレートであり、組成物の総重量を基準にして、1から10wt.%の量、より好ましくは、2から8wt.%の量で存在し得る。好ましくは、改変された放出特性を付与しないフィルムが用いられる。
【0172】
本発明の第2態様の医薬組成物、経口投薬形態(好ましくは、錠剤)は「即時放出」を示す配合物である。本特許出願の範囲のうちで、即時放出配合物は75%以上のQ値、好ましくは80%から100%のQ値、より好ましくは90%から100%のQ値を有する。Q値はUSP 32−NF 27方法II(パドル、<711>章)に記載される通りに決定する。錠剤の場合、この値は非コート錠を参照する。
【0173】
本発明の第2態様の医薬組成物、経口投薬形態(好ましくは、錠剤)は、好ましくは、改変された放出特性を付与する化合物を含まない。より好ましくは、本発明の第2態様の医薬組成物、経口投薬形態(好ましくは、錠剤)は、耐食性ポリマーおよび細孔形成性物質を含む改変放出系を含まない。
【0174】
まとめとして、本発明の第2態様の必須項目を以下に説明する。
【0175】
項目1:
(a)活性成分としての式Iによる化合物
【0176】
【化5】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、並びに
(b)可溶化剤、
を含む医薬組成物の製造方法であって、
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物(a)および可溶化剤(b)を含む溶液または懸濁液を準備する段階、並びに
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む方法。
【0177】
項目2:
可溶化剤が親水性ポリマーを含む項目1による方法。
【0178】
項目3:
可溶化剤が、
(b1)親水性ポリマー;および
(b2)界面活性剤、
を含み、重量比(b1)対(b2)が、好ましくは、50:1から1:1の範囲、より好ましくは、20:1から2:1である、項目2による方法。
【0179】
項目4:
(b1)がポビドンであり、(b2)がアニオン性界面活性剤、好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムである、項目3による方法。
【0180】
項目5:
擬似乳化剤が存在しない状態で方法を行う、項目1から4のいずれか1つによる方法。
【0181】
項目6:
ペレットコアが200から600μm、好ましくは250を上回って500μmまで、より好ましくは255から360μm、特には260から340μmの体積平均粒子サイズ(D50)を有する、項目1から5のいずれか1つによる方法。
【0182】
項目7:
段階(iii)において、化合物I(a)および可溶化剤(b)を含むコーティングをペレット錠に形成する、項目1から6のいずれか1つによる方法。
【0183】
項目8:
コーティングが0.01から20μm、好ましくは0.1から10μm、より好ましくは1.0から5.0μm、特には2.0から4.0μmの厚みを有する、項目7による方法。
【0184】
項目9:
項目1から8のいずれか1つによる方法によって得ることができる医薬組成物。
【0185】
項目10:
(i)100から600μm、好ましくは200から500μm、より好ましくは250から355μmの直径を有するペレットコア;および
(ii)化合物I(=リバロキサバン(a))および可溶化剤(b)を含むコーティング、
を含むコートされたペレット。
【0186】
項目11:
コーティング(ii)が0.1から50μm、好ましくは5.0から40μm、より好ましくは15から35μm、特には20から30μmの厚みを有する、項目10によるコートされたペレット。
【0187】
項目12:
ペレットコアが化合物Iを含まず、好ましくは、セルロースもしくはこれらの誘導体またはコーンスターチおよびスクロースの混合物からなる、項目10または11によるコートされたペレット。
【0188】
項目13:
項目8による医薬組成物、または項目10から12のいずれか1つによるコートされたペレット、および、場合により、充填剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、固着防止剤および崩壊剤から好ましく選択される、さらなる賦形剤を含む経口投薬形態。
【0189】
項目14:
40から100wt.%、より好ましくは60から95wt.%、さらにより好ましくは70から90wt.%の項目10から12のいずれかによるコートされたペレット、
0から40wt.%、より好ましくは2から30wt.%の充填剤、
0から35wt.%、より好ましくは2から20wt.%の結合剤、
0から5wt.%、より好ましくは0.1から2wt.%の流動促進剤、
0から3wt.%、より好ましくは0.01から0.5wt.%の固着防止剤、
0から2wt.%、好ましくは約0.1から1.0wt.%の潤滑剤、
0から20wt.%、好ましくは約1から10wt.%の崩壊剤、
を含み、すべての数字は経口投薬形態の総重量に基づくものである、項目13による、好ましくは錠剤の形態にある、経口投薬形態。
【0190】
項目15:
項目13による経口投薬形態の製造方法であって、
(i)項目8による医薬組成物、または項目10から12のいずれか1つによるコートされたペレットを1種類以上のさらなる賦形剤と混合する段階、および
(ii)段階(i)の混合物を圧縮して錠剤を得る段階、
を含む方法。
【0191】
ここで、本発明を以下の例において説明するが、これらの例は限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の第1態様を実施例1から6によって説明し、これに対して実施例7は本発明の第2態様を説明する。
【0192】
実施例
【実施例1】
【0193】
乾燥・圧縮
【0194】
【表1】

【0195】
微粒化化合物Iをアラビアガム、Povidon VA 64、ラウリル硫酸ナトリウム、Explotab(登録商標)、30mgリン酸水素カルシウム、0.4mgステアリン酸マグネシウムおよび0.2mg Aerosil(登録商標)とタンブルブレンダー、例えば、Turbula TC10B内で30分間配合した。この予備配合物を10から30kNで圧縮した後、1.5mm未満の規定粒子サイズに向けて破砕した。圧縮された材料をリン酸水素カルシウムの残りの部分およびコロイド状二酸化ケイ素とタンブルブレンダー内で25分間混合した。次に、ステアリン酸マグネシウムを添加した。最終配合物を3分間混合し、ロータリープレスで圧縮した。これらの錠剤は1%未満の脆弱性および50から90Nの硬度を有する。これらの錠剤をヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび滑石の懸濁液を用いてペンコーターでコートした。
【実施例2】
【0196】
直接圧縮
【0197】
【表2】

【0198】
リバロキサバン、Povidon VA 64、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスポビドンおよびケイ化(silificied)微結晶セルロースを自由落下ブレンダーTurbula(登録商標)TB10内で10分間配合した。ステアリン酸マグネシウムを別とした残りの賦形剤を添加し、25分間配合した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに3分間配合した。最終配合物をロータリープレスriva piccoloで圧縮した。
【実施例3】
【0199】
ペレット積層
【0200】
【表3】

【0201】
化合物Iを活性およびアラビアガムと共にPovidonおよびSDSの水溶液に懸濁させた。プラセボペレットを流動床乾燥機内で38℃に予備加熱した。次に、これらのペレットを、以下のパラメータを用いて懸濁液でコートした:
導入口温度:40から80℃
生成物温度:35から40℃
噴霧ノズル:1から2mm
噴霧圧:1から2bar。
【0202】
高温で焼成した後、ペレットをタンブルブレンダー内でMCC、ラクトースおよびAerosilと25分間配合した。その後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、配合物をさらに3分間混合した。
【0203】
最終配合物を圧縮して錠剤とし、これらの錠剤は、場合により、コートすることができる(実施例1における上記配合物を参照)。
【実施例4】
【0204】
ペレット積層
【0205】
【表4】

【0206】
ペレットをInnojet Ventilus 1内で予備加熱した後、リバロキサバンを含有する懸濁液によって積層した。懸濁液は、タルクおよびリバロキサバンを懸濁させた、水中のPovidon、アラビアガムおよびラウリル硫酸ナトリウムの溶液によって作製した。乾燥させたペレットを自由落下ミキサーTurbula(登録商標)TB10内でMCC、ラクトースおよびAerosil(登録商標)と25分間配合した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに3分間配合した。最終配合物をロータリープレスRiva piccoloで圧縮した。
【0207】
実施例4による組成物のインビトロ溶解プロフィールをUSP−パドル、900ml酢酸バッファ、pH4.5および0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、75rpmによって決定した。これらの結果を表5に示す:
【0208】
【表5】

【0209】
表5に示される溶解プロフィールは優れた特性を示す。特には、標準偏差が予期せぬほど低く、これは優れた含量均一性を示す。比較として、WO2005/060940による組成物の標準偏差を決定したとき、標準偏差の著しく高い値(約20%)が見出された。
【実施例5】
【0210】
溶融押出し
【0211】
【表6】

【0212】
化合物IをPovidon VA 64およびSDSと配合した。この配合物を押出し(70から160℃)、冷却後にふるい掛けすることで、0.8から1.5mmの規定粒子サイズ分布が生じた。
【0213】
ふるい掛けした押出物をタンブルブレンダー内で寒天と10分間予備配合した後、ラクトース、クロスポビドンおよびAerosilを添加し、この混合物をさらに25分間配合した。
【0214】
ステアリン酸マグネシウムを添加し、3分間で混合を完了した。
【0215】
最終配合物をロータリープレスで圧縮して錠剤とした:錠剤の仕様は上記を参照のこと。
【実施例6】
【0216】
共沈
【0217】
【表7】

【0218】
化合物IをヒドロキシプロピルセルロースおよびSDSと共に9:1の比の酢酸およびエタノールの混合液に溶解した。撹拌の下で、貧溶媒としての水を添加した。沈殿を高温で乾燥させた。この共沈殿物を寒天と予備配合し、最後に残りの賦形剤と混合した。最終配合物を圧縮して錠剤とした。
【実施例7】
【0219】
ペレット積層
【0220】
【表8】

【0221】
ペレットをInnojet(登録商標)Ventilus 1内で予備加熱した後、リバロキサバンを含有する懸濁液によって積層した。この懸濁液は、活性基およびリバロキサバンを懸濁させた、水中のポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムの溶液によって作製した。乾燥させたペレットを自由落下ミキサーTurbula(登録商標)TB10内でMCC、ラクトースおよびAerosil(登録商標)と25分間配合した。ステアリン酸マグネシウムを添加し、さらに3分間配合した。この最終配合物をロータリープレスRiva(登録商標)piccoloで圧縮した。
【0222】
実施例7による組成物のインビトロ溶解プロフィールをUSP−パドル、900ml酢酸バッファ、pH4.5および0.5%ラウリル硫酸ナトリウム、75rpmに従って決定した。これら結果を表9に示す:
【0223】
【表9】

【0224】
表9に示される溶解プロフィールは優れた特性を示す。特には、標準偏差が予期せぬほどに低く、これは優れた含量均一性を示す。比較として、WO2005/060940による組成物の標準偏差を決定したとき、標準偏差の著しく高い値(約20%)が見出された。
【実施例8】
【0225】
ペレット積層
【0226】
【表10】

【0227】
表10に示される化合物を含む錠剤を実施例7に記載されるように調製した。
【実施例9】
【0228】
ペレット積層
【0229】
【表11】

【0230】
表10に示される化合物を含む錠剤を実施例4に記載されるように調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)活性成分としての式Iによる化合物
【化1】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、
(b)可溶化剤、並びに
(c)賦形剤としての擬似乳化剤、
を含む医薬組成物。
【請求項2】
(a)結晶形態にある式Iによる化合物、
(b)可溶化剤としてのセルロースもしくはこれらの誘導体またはポリビニルピロリドンもしくはこれらのコポリマー、および
(c)擬似乳化剤としての天然ゴム、
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
擬似乳化剤が、組成物の総重量を基準にして、0.1から10wt.%の量で存在する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)混合物を乾燥・圧縮して圧縮体を得る段階、並びに
(iii)圧縮体を造粒する段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項5】
乾燥・圧縮段階をローラー圧縮によって行う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物を含む溶液または懸濁液を準備する段階、および
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項7】
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)混合物を溶解する段階、
(iii)溶融した混合物を冷却および造粒する段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項8】
(i)式Iによる化合物およびポリマー賦形剤を溶媒に溶解する段階、
(ii)式Iによる化合物およびポリマー賦形剤を含む複合体を、貧溶媒を添加することによって沈殿させる段階、並びに
(iii)沈殿した複合体を造粒する段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか一項に記載される方法によって得ることができる顆粒。
【請求項10】
10から200μmまたは250から650μmの体積平均粒子サイズを有する、請求項9に記載の顆粒。
【請求項11】
(i)場合により、請求項9または10に記載の顆粒をさらなる賦形剤と混合する段階、
(ii)請求項9もしくは10に記載の顆粒または段階(i)の混合物を圧縮して錠剤を得る段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む錠剤の製造方法。
【請求項12】
(i)式Iによる化合物および賦形剤を混合する段階、
(ii)混合物を直接圧縮する段階、
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む錠剤の製造方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載される方法によって得ることができる錠剤。
【請求項14】
経口用途のフィルムコート錠または崩壊錠である、請求項13に記載の錠剤。
【請求項15】
(a)活性成分としての式Iによる化合物
【化2】

この溶媒和物、水和物および/または医薬的に許容される塩、並びに
(b)可溶化剤、
を含む医薬組成物であって、
(i)ペレットコアを準備する段階、
(ii)式Iによる化合物(a)および可溶化剤(b)を含む溶液または懸濁液を準備する段階、並びに
(iii)溶液または懸濁液をペレットコア上に噴霧する段階、
を含む方法によって得ることができる医薬組成物。

【公表番号】特表2011−527297(P2011−527297A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517022(P2011−517022)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004911
【国際公開番号】WO2010/003641
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511007370)ラーツイオフアルム・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】