説明

A1アデノシン受容体のアロステリックエンハンサー

【化1】


本発明は、式(I)(式中の、W、R、R及びRは、本明細書で定義されているような意味を有している)の化合物を提供する。式(I)の化合物は、Aアデノシン受容体のアロステリックエンハンサーであるので、Aアデノシン受容体が介在する疾患を治療するために用いることができる。従って、式(I)の化合物は、疼痛、特に、神経因性疼痛及び炎症性疼痛のような慢性疼痛、心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害、神経疾患若しくは損傷、睡眠障害、てんかん及び鬱病の治療に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−アミノチオフェン誘導体、それを含有する医薬組成物、並びに疼痛、特に神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん及び鬱病を包含するAアデノシン受容体が介在する疾患を、このような化合物を用いて治療する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従って、本発明は式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの塩を提供する。
【0003】
【化01】

【0004】
式中の、Wは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである。
【0005】
本発明の化合物は、Aアデノシン受容体のアロステリックエンハンサーである薬物を提供するので、Aアデノシン受容体が介在する疾患を治療するために用いることができる。従って、式(I)の化合物は、疼痛、特に神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん及び鬱病の治療に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物を記載するために用いられる各種用語の定義を以下に挙げてある。これらの定義は、これらが個々に又は大きな基の一部として特別に限定されている場合、例えば、ある特定の基の結合点がその基内の特定原子に限定されていて、結合の部位が特定原子の矢印によって定義されている場合以外は、その用語に、明細書全体にわたって用いられるものとして適用される。
【0007】
本明細書で用いられている用語「Aアデノシン受容体のアロステリックエンハンサー」は、アデノシンA受容体の機能を、G−タンパク質受容体複合体(receptor-G-protein complex)の高い親和性状態を安定化することによって、増強すると思われる化合物の種類を示す。この性質は、アデノシンA受容体に対するアゴニストの放射性リガンド結合の増加として測定することができる。アゴニスト結合を増加するエンハンサーは、アゴニストの受容体への結合を促進するか、或いは「受容体−リガンド」複合体の解離を抑制することによってこのように作用できるので、アゴニスト認識部位と異なる部位に結合しなければならない。この推定部位をアロステリック部位と呼んで、推定上この部位に結合してアゴニストの効果を増強する化合物を「アロステリックエンハンサー」と呼ぶ。
【0008】
用語「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、そしてより好ましくは1〜7個の炭素原子を有している炭化水素を示す。炭化水素鎖は、ヘキシル又はn−ブチル鎖のような直鎖、又は例えば、t−ブチル、2−メチル−ペンチル、3−プロピル−ヘプチルのような分枝鎖であってもよい。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル等を包含する。
【0009】
用語「置換アルキル」は、1個又はそれ以上、好ましくは1〜3個の以下の基で置換されている、上記のようなアルキル基を示す:ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオノ、スルホニル、スルファモイル、カルバモイル、シアノ、アリール、アリールオキシ、アルケニル、アルキニル、アラルコキシ、置換されていてもよいアミノ;イミダゾリル、フリル、チエニル、ピペリジニル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルを包含するヘテロシクリル等。
【0010】
用語「低級アルキル」は、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する上記のようなアルキル基を示す。
【0011】
用語「アルケニル」は、少なくとも2個の炭素原子を有し、更に結合部位に炭素−炭素二重結合を含有している上記のアルキル基の何れかを示す。2〜6個の炭素原子を有している基が好ましい。
【0012】
用語「アルキニル」は、少なくとも2個の炭素原子を有し、更に結合部位に炭素−炭素三重結合を含有している上記のアルキル基の何れかを示す。2〜6個の炭素原子を有している基が好ましい。
【0013】
用語「アルキレン」は、一重結合で結合している炭素原子が2〜5個の直鎖架橋、例えば、−(CH−を示し、ここでXは2〜5であり、1つ又はそれ以上のメチレン基をO、S、S(O)、又はS(O)で置き換えてもよく、そしてアルキレンは、置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、必要に応じて縮合したアリールを含んでいるアリール、ヘテロシクリル、オキソ、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル等よりなる群から選ばれる1個又はそれ以上の置換基で更に置換されていてもよい。
【0014】
用語「シクロアルキル」は、炭素原子3〜12個の単環式、二環式又は三環式の炭化水素基を示し、それらはそれぞれ1つ又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有していてもよい。
【0015】
用語「置換シクロアルキル」は、1つ又はそれ以上、好ましくは1〜3個の、アルキル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、スルホニル、ヘテロシクリル等のような、置換基で置換されている、上記のようなシクロアルキル基を示す。
【0016】
典型的な単環式炭化水素基は、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、4,4−ジメチルシクヘキサン−1−イル、シクロオクテニル等を包含する。
【0017】
典型的な二環式炭化水素基は、ボルニル、インジル、ヘキサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]へプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]へプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル等を包含する。
【0018】
典型的な三環式炭化水素基は、アダマンチル等を包含する。
【0019】
本明細書に挙げられている定義において、アルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニル基への言及が用語の一部としてなされる場合には、置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニル基も意図されている。
【0020】
用語「アルコキシ」は、アルキル−O−を示す。
【0021】
用語「シクロアルコキシ」は、シクロアルキル−O−を示す。
【0022】
用語「アルカノイル」は、アルキル−C(O)−を示す。
【0023】
用語「シクロアルカノイル」は、シクロアルキル−C(O)−を示す。
【0024】
用語「アルケノイル」は、アルケニル−C(O)−を示す。
【0025】
用語「アルキノイル」は、アルキニル−C(O)−を示す。
【0026】
用語「アルカノイルオキシ」は、アルキル−C(O)−を示す。
【0027】
用語「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」は、それぞれ、アルキル−NH−及び(アルキル)N−を示す。
【0028】
用語「アルカノイルアミノ」は、アルキル−C(O)−NH−を示す。
【0029】
用語「アルキルチオ」は、アルキル−S−を示す。
【0030】
用語「トリアルキルシリル」は、(アルキル)Si−を示す。
【0031】
用語「トリアルキルシリルオキシ」は、(アルキル)SiO−を示す。
【0032】
用語「アルキルチオノ」は、アルキル−S(O)−を示す。
【0033】
用語「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−を示す。
【0034】
用語「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−C(O)−を示す。
【0035】
用語「アルコキシカルボニルオキシ」は、アルキル−O−C(O)O−を示す。
【0036】
用語「カルバモイルは、HNC(O)−、アルキル−NHC(O)−、(アルキル)NC(O)−、アリール−NHC(O)−、アルキル(アリール)-NC(O)−、ヘテロアリール−NHC(O)−、アルキル(ヘテロアリール)−NC(O)−、アラルキル−NHC(O)−、アルキル(アラルキル)−NC(O)−等を示す。
【0037】
用語「スルファモイル」は、HNS(O)−、アルキル−NHS(O)−、(アルキル)NS(O)−、アリール−NHS(O)−、アルキル(アリール)-NS(O)−、(アリール)-NS(O)−、ヘテロアリール−NHS(O)−、アラルキル−NHS(O)−、ヘテロアラルキル−NHS(O)−等を示す。
【0038】
用語「スルホンアミド」は、アルキル−S(O)−NH−、アリール−S(O)−NH−、アラルキル−S(O)−NH−、ヘテロアリール−S(O)−NH−、ヘテロアラルキル−S(O)−NH−、アルキル−S(O)−N(アルキル)−、アリール−S(O)−N(アルキル)−、アラルキル−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアリール−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアラルキル−S(O)−N(アルキル)−などを示す。
【0039】
用語「スルホニル」は、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アラルキルスルホニル、ヘテロアラルキルスルホニル等を示す。
【0040】
用語「置換されていてもよいアミノ」は、アシル、スルホニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、ヘテロアラルコキシカルボニル、カルバモイル等のような、置換基によって置換されていてもよい、1級又は2級アミノ基を示す。
【0041】
用語「アリール」は、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル及びテトラヒドロナフチルのような、環の部位に6〜12個の炭素原子を有している、単環式又は二環式芳香族炭化水素基を示す。
【0042】
用語「置換アリール」は、それぞれの環の部位が、アルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、メチレンジオキシ、アシル、アルカノイルオキシ、アリールオキシ、置換されていてもよいアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルチオノ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクリル等のような、1〜4個の置換基で置換されている上記のようなアリール基を示す。
【0043】
用語「単環式アリール」は、上のアリールの項に記載されてるような、置換されていてもよいフェニルを示す。好ましくは、単環式アリールは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、又はトリフルオロメチルよりなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されている。
【0044】
本明細書に挙げられている定義において、用語の一部としてアリール基に言及されているときは、置換アリール基も意図されている。
【0045】
用語「アラルキル」は、ベンジルのような、アルキル基を介して直接結合しているアリール基を示す。
【0046】
用語「アラルカノイル」は、アラルキル−C(O)−を示す。
【0047】
用語「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−を示す。
【0048】
用語「アラルコキシ」は、アルコキシ基を介して直接結合するアリール基を示す。
【0049】
用語「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−を示す。
【0050】
用語「アリールチオ」は、アリール−S−を示す。
【0051】
用語「アロイル」は、アリール−C(O)−を示す。
【0052】
用語「アロイルオキシ」は、アリール−C(O)−O−を示す。
【0053】
用語「アロイルアミノ」は、アリール−C(O)−NH−を示す。
【0054】
用語「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−を示す。
【0055】
用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は、完全に飽和しているか或いは不飽和の芳香族又は非芳香族の環式基、例えば、4〜7員の単環式、7〜12員の二環式又は10〜15員の三環式系を示し、これらは少なくとも1つの炭素含有環に少なくとも1つのヘテロ原子を有している。複素環式基のそれぞれの環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含有でき、この窒素及び硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよい。複素環式基はヘテロ原子又は炭素原子で結合することができる。
【0056】
典型的な単環式複素環式基は、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジニル(ピリジル)、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ1,1−ジオキソチエニル、1,1,4−トリオキソ−1,2,5−チアジアゾリジン−2−イル等を包含する。
【0057】
典型的な二環式複素環式基は、インドリル、ジヒドロイドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニル又はフロ[2,3−b]ピリジニルのような)、ジヒドロイソインドリル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、ジヒドロキナゾリニル(3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニルのような)、フタラジニル等を包含する。
【0058】
典型的な三環式複素環式基は、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニル等を包含する。
【0059】
用語「置換ヘテロシクリル」は、
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシル(又は保護されたヒドロキシル);
(c)ハロ;
(d)オキソ、すなわち=O;
(e)置換されていてもよいアミノ;
(f)アルコキシ;
(g)シクロアルキル;
(h)カルボキシ;
(i)ヘテロシクロオキシ;
(j)非置換低級アルコキシカルボニルのような、アルコキシカルボニル;
(k)チオール;
(l)ニトロ;
(m)シアノ;
(n)スルファモイル:
(o)アルカノイルオキシ;
(p)アロイルオキシ;
(q)アリールチオ;
(r)アリールオキシ;
(s)アルキルチオ;
(t)ホルミル;
(u)カルバモイル;
(v)アラルキル;及び
(w)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、アシルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はハロで置換されていてもよいアリール:
よりなる群から選ばれる1,2,3個の置換基で置換されている上記の複素環式基のようなものを示す。
【0060】
用語「ヘテロシクロオキシ」は、酸素架橋を介して結合している複素環式基を示す。
【0061】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、上記のような非芳香族の複素環式基を示す。
【0062】
用語「ヘテロアリール」は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、低級アルキル、又は低級アルコキシで置換されていてもよい、芳香族複素環、例えば、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル等のような、単環式又は二環式アリールを示す。
【0063】
用語「ヘテロシクロアルカノイル」は、ヘテロシクロアルキル−C(O)−を示す。
【0064】
用語「ヘテロアリールスルホニル」は、ヘテロアリール−S(O)−を示す。
【0065】
用語「ヘテロアロイル」は、ヘテロアリール−C(O)−を示す。
【0066】
用語「ヘテロアロイルアミノ」は、ヘテロアリール−C(O)NH−を示す。
【0067】
用語「ヘテロアラルキル」は、アルキル基を介して結合するヘテロアリール基を示す。
【0068】
用語「ヘテロアラルカノイル」は、ヘテロアラルキル−C(O)−を示す。
【0069】
用語「ヘテロアラルカノイルアミノ」は、ヘテロアラルキル−C(O)NH−を示す。
【0070】
用語「アシル」は、アルカノイル、シクロアルカノイル、アルケノイル、アルキノイル、アロイル、ヘテロシクロアルカノイル、ヘテロアロイル、アラルカノイル、ヘテロアラルカノイル等を示す。
【0071】
用語「置換アシル」は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アラルキル、又はヘテロアラルキル基が、それぞれ本明細書の上に記載されているように置換されている、上記のアシル基のようなものを示す。
【0072】
用語「アシルアミノ」は、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、ヘテロアロイルアミノ、アラルカノイルアミノ、ヘテロアラルカノイルアミノ等を示す。
【0073】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を示す。
【0074】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、酸によって形成される塩、すなわち、鉱酸、有機カルボン酸、及び有機スルホン酸、例えばそれぞれ、塩酸、マレイン酸、及びメタンスルホン酸のような、酸付加塩を示す。
【0075】
同様に、本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、塩基によって形成される塩、すなわち、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム、更にアンモニウム塩、例えばアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びトリス(ヒドロキシメチル)−メチル−アンモニウム塩、及び酸性の基が構造の一部を構成しているならばアミノ酸による塩のような、カチオン性塩を示す。
【0076】
本明細書の上に記載されているように、本発明は、式(I)の2−アミノチオフェン誘導体、それらを含有している医薬組成物、当該化合物を製造する方法、及び疼痛、特に神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん;鬱病;及び多種の炎症性疾患を含む(しかしこれに限定されない)、Aアデノシン受容体が介在する疾患を、本発明の化合物又はそれらの医薬組成物の治療有効量を投与することによって、治療する方法を提供する。
【0077】
式(IA)を有する式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0078】
【化02】

【0079】
式中の、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。
、R、及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、又は置換アルコキシであるか、又は
及びRが互いに隣接している炭素原子に結合しているならば、結合するR及びRは、それらが結合している炭素原子とともに4〜7員の縮合環を形成するアルキレンである。
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである。
【0080】
式(IB)を有する式(I)の化合物が更に好ましい。
【0081】
【化03】

【0082】
式中の、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである。
、R、及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、又は置換アルコキシである。
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである。
【0083】
が、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、又は置換アリールである、A群と表される、式(IB)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0084】
が、単環式アリール、又は置換単環式アリールであるA群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0085】
及びRが、互いに独立して、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、又は置換シクロアルキルである、A群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩も好ましい。
【0086】
及びRが水素である、B群と表される、A群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩も好ましい。
【0087】
が、ハロゲン、シアノ、又はトリフルオロメチルであるB群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0088】
及びRが水素である、C群と表される、A群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩も好ましい。
【0089】
が、ハロゲン、シアノ、又はトリフルオロメチルである、C群中の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩が好ましい。
【0090】
本発明の化合物は、置換基の性質によって、1つ又はそれ以上の不斉中心を有することがある。結果として生じるジアステレオ異性体、光学異性体、すなわち、エナンチオマー及び幾何異性体、並びにそれらの混合物は、本発明に含まれる。
【0091】
本発明の特定の実施態様は:
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジアリルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(t−ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
【0092】
{2−アミノ−5−(4−t−ブチルフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(2−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジブチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジイソブチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(シクロヘキシル(プロピル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
【0093】
{4−[(アリル(シクロヘキシル)アミノ)メチル]−2−アミノ−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{4−[(2−メトキシ−2−オキソエチル)メチルアミノ)メチル]−2−アミノ−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジネオペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(1−アダマンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((3,4−ジクロロフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((4−メチルフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−イソプロポキシフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
【0094】
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メチルフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メトキシフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(メチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(エチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(4−フルオロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(4−クロロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
【0095】
{2−アミノ−4−[(メチル(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(チオフェン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{5−アミノ−5’−クロロ−3−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−2,2’−ビチオフェン−4−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
(E)−{2−アミノ−5−(3−シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
(E)−{2−アミノ−5−(3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;及び
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
又はこれらの薬学的に許容される塩である。
【0096】
式(I)の化合物は当該技術分野で公知の方法を用いて、或いはそれらの改良法、例えば以下のスキーム1〜6に概説されているような方法を用いて製造することができる。
【0097】
スキーム1に例示されているように、Rが水素で、W、R及びRが本明細書で先に定義されているような意味を有している式(I)の化合物、すなわち式(I’)の化合物は、式(II)の化合物(式中のWは本明細書の上で定義したような意味を有している)を、式(II’)の2,5−ジメチル−[1,4]ジチアン−2,5−ジオールと、低級アルコール、好ましくはエタノール(EtOH)又はイソプロパノールのような有機溶媒中、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、N−メチルモルホリン(NMM)又はモルホリンのような塩基の存在下で縮合して、式(III)の化合物(式中のWは本明細書の上で定義したような意味を有している)を得ることによって製造することができる。
【0098】
【化04】

【0099】
式(II)の化合物は公知であるか、又は新規であるある場合は、当該技術分野で周知の方法、或いはそれらの改良法、例えば米国特許第6,323,214号に記載されているような方法を用いて製造することができる。
【0100】
得られる式(III)の化合物を次いで、式(IV)の化合物に変換できる。ここで、Wは本明細書の上で定義したような意味を有していて、アミノ基は、当該技術分野で周知の反応条件下で、例えば、式(III)の化合物を酢酸のような酸の存在下、高温で、無水フタル酸で処理することによって、フタルイミド基として保護されている。
【0101】
得られる式(IV)の化合物を次いで、チオフェン環の5位をハロゲン化して式(V)の化合物を得ることができる。ここで、Wは本明細書の上で定義したような意味を有し、Halは塩素、臭素又はヨウ素を表し、当該技術分野で周知の方法を用いて、例えば、式(IV)の化合物を、過酸化ベンゾイルのような触媒、及び芳香族炭化水素、例えばベンゼンのような不活性有機溶媒の存在下で、N−ハロスクシンイミド、例えばN−ブロモスクシンイミド(NBS)のようなハロゲン化剤と処理して式(V)の化合物(式中の、Halは例えば臭素である)を得ることができる。
【0102】
得られる式(V)の化合物を、過酸化ベンゾイルのような触媒、及びハロゲン化炭化水素、例えば四塩化炭素又は1,2−ジクロロエタンのような有機溶媒の存在下で、N−ハロスクシンイミド、例えばNBSのようなハロゲン化剤と続いて反応させると、式(IV)の化合物(式中の、Wは本明細書の上で定義したような意味を有し、Hal及びHalは、それぞれ互いに独立して、塩素、臭素又はヨウ素を表す)が得られる。
【0103】
得られる式(VI)の化合物を次いで、TEA、DIEA、NMM、又は炭酸カリウム或いはセシウムのような塩基、及びジクロロメタン(DCM)、クロロホルム(CHCl)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)のような適切の溶媒の存在下で、式(VI’)のアミン(式中の、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)とカップリングすると、式(VII)の化合物(式中の、W、R、R及びHalは本明細書の上で定義したような意味を有している)が得られる。
【0104】
式(VI’)のアミンは公知であるか、又は新規である場合は、当該技術分野で周知の方法、或いはそれらの改良法を用いて製造することができる。
【0105】
得られる式(VII)の化合物を次いで、還元剤、例えば分子状水素の存在下、例えばパラジウム炭素のような触媒、及び酢酸エチル(EtOAc)、低級アルコール(例えば、EtoH、メタノール(MeOH))、テトラヒドロフラン(THF)又はDMFのような有機溶媒の存在下で、脱ハロゲン化すると、式(VIII)の化合物(式中の、W、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)が得られる、脱ハロゲン化を、外来性(extrinsic)塩基、例えばTEAの存在下に実施することが好ましい。
【0106】
最終的に、式(VIII)の化合物を、例えば、低級アルコール、例えばEtOHのような有機溶媒中で、ヒドラジン又はエチレンジアミンで処理することによって、フタルイミド保護基を除去して、式(I’)の化合物(式中の、W、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)に変換することができる。
【0107】
【化05】

【0108】
スキーム2に概説されているように、式(VII)の化合物(式中の、W、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)を、触媒、好ましくはパラジウム触媒、例えば、酢酸パラジウム(II)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);及び塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、フッ化セシウム、又は炭酸ナトリウム、カリウム、若しくはセシウムの存在下、適切な溶媒、例えば、アセトニトリル(ACN)、DMF、ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン又はトルエン、或いはこれらの混合溶媒中で、式(V’)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてR’及びR”は、水素又は低級アルキルであるか、或いは結合するR’及びR”はホウ素及び酸素原子と共に5〜6員の環を形成するアルキレンである)とカップリングさせて、式(IX)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールである)を得ることができる。R’及びR”が水素であり、そして上記のカップリング反応、すなわち、スズキ反応をトルエン又は1,4−ジオキサン中で、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体及びフッ化セシウムの存在下に、溶媒の沸点付近で実施することが好ましい。
【0109】
式(V’)の化合物は公知であるか、又は新規である場合は、当該技術分野で周知の方法、例えば、本明細書の実施例に記載されている方法、或いはそれらの改良法を用いて製造することができる。
【0110】
スキーム3に例示されているように、式(I)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、そしてW、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)は、元素状硫黄の存在下、及びTEA、DIEA、NMM、又はモルホリン、好ましくはモルホリンのような塩基の存在下に、低級アルコール、好ましくはEtOHのような有機溶媒中で、式(II)の化合物(式中の、Wは本明細書の上で定義したような意味を有している)を、式(X)のケトン(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである)と反応させて、式(III’)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、そしてWは本明細書の上で定義したような意味を有している)を得ることによって、製造することができる。
【0111】
【化06】

【0112】
式(X)の化合物は公知であるか、又は新規である場合は、当該技術分野で周知の方法、或いはそれらの改良法を用いて製造することができる。
【0113】
得られる化合物(III’)を次いで、酢酸のような酸の存在下、高温で、式(III’)の化合物を無水フタル酸で処理することによって、式(IV’)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、そしてWは本明細書の上で定義したような意味を有している)に変換することができる。
【0114】
次いで、得られる式(IV’)の化合物を当該技術分野で公知の方法を用いて、例えば、式(IV’)の化合物を、過酸化ベンゾイルのような触媒、及びACN、又はハロゲン化炭化水素、例えば、四塩化炭素、又は1,2−ジクロロエタンのような有機溶媒の存在下に、N−ハロスクシンイミド、例えば、NBSのようなハロゲン化剤と反応させることによって、チオフェン環の4位のメチル基をハロゲン化して、式(XI)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、Wは本明細書の上で定義したような意味を有し、そしてHalは塩素、臭素、又はヨウ素を表す)を得ることができる。式(IV’)の化合物のチオフェンの4位にあるメチル基のハロゲン化は、ACNを溶媒として使用する場合は、触媒の非存在下で実施できるということに注意しなければならない。
【0115】
得られる式(XI)の化合物を次いで、TEA、DIEA、NMM、又は炭酸カリウム又はセシウムのような塩基、及びDCM、CHCl、及びDMFのような適切な有機溶媒の存在下に、式(VI’)のアミン(式中の、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)とカップリングさせると、式(XI)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、そしてW、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)が得られる。
【0116】
最終的に、式(IX)の化合物を、本明細書に上記のように、フタルイミド保護基を除去して、式(I)の化合物(式中の、Rは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり、そしてW、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)に変換することができる。
【0117】
或いは、スキーム4で説明しているように、式(V)の化合物(式中の、Hal及びWは本明細書の上で定義したような意味を有している)を、触媒、好ましくは、パラジウム触媒、例えば、酢酸パラジウム(II)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);及び塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、フッ化セシウム、又は炭酸ナトリウム、カリウム、若しくはセシウムの存在下、適切な溶媒、例えば、ACN、DMF、ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン又はトルエン、或いはこれらの混合溶媒中で、式(V’)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてR’及びR”は、水素又は低級アルキルであるか、或いは結合するR’及びR”はホウ素及び酸素原子と共に5〜6員の環を形成するアルキレンである)とカップリングさせて、式(IV’)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてWは本明細書の上で定義したような意味を有している)を得ることができる。R’及びR”が水素であって、そして上記のカップリング反応、すなわち、スズキ反応をトルエン又は1,4−ジオキサン中で、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体、及びフッ化セシウムの存在下に、溶媒の沸点付近で実施することが好ましい。
【0118】
【化07】

【0119】
残りの工程を次いで、本明細書の上のスキーム3に記載されているように、実施して、式(I)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてW、R及びRは本明細書の上で定義したような意味を有している)が得られる。
【0120】
同様に、スキーム5で説明されているように、式(V)の化合物(式中の、Hal及びWは上で定義したような意味を有している)は、触媒、好ましくは、パラジウム触媒、例えば、酢酸パラジウム(II)、ジクロロパラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)、Pd(dba)(ジベンジリデンアセトン)又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下、及び任意にフッ化セシウム、フッ化カリウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化銅(I)又は塩化リチウムのような添加剤の存在下に、適切な溶媒、例えば、1,4−ジオキサン、DMF、THF、ACN又はヘキサメチルホスホロウストリアミド(HMPT)、或いはこれらの混合溶媒中で、式(V)の化合物を式(V”)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてRは低級アルキルを表す)と反応させることによって、式(IV’)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてWは本明細書の上で定義したような意味を有している)に変換することができる。式(V”)の化合物中のRがn-ブチルであって、そして上記のカップリング反応、すなわち、スティル(still)カップリングを1,4−ジオキサン中で、塩化リチウム及びジクロロパラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)の存在下に、溶媒の沸点付近で実施することが好ましい。
【0121】
【化08】

【0122】
式(V”)の化合物は公知であるか、又は新規である場合は、当該技術分野で周知の方法、例えば、本明細書の実施例に記載されている方法を用いて、或いはそれらの改良法を用いて製造することができる。
【0123】
更に別の手段では、式(IX)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてR、R及びWは本明細書の上で定義したような意味を有している)をスキーム6で説明されているようにして得ることができる。式(VI)の化合物(式中の、Hal、Hal及びWは、本明細書の上で定義したような意味を有している)を、水混和性有機触媒、好ましくはTHFの存在下に、水性重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、NaOH、又は水酸化カリウムのような、適切な水性塩基で処理することにより、加水分解して、式(XII)の化合物(式中のHal及びWは、上で定義したような意味を有している)を得ることができる。
【0124】
得られる式(XII)の化合物は次いで、式(V’)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてR’及びR”は、水素又は低級アルキルであるか、或いは結合するR’及びR”はホウ素及び酸素原子と共に5又は6員の環を形成するアルキレンである)とカップリングさせることにより、式(XIII)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてWは本明細書の上で定義されているような意味を有している)に変換することができる。式(XII)及び(V’)の化合物のカップリングは、触媒、好ましくは、パラジウム触媒、例えば、酢酸パラジウム(II)、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);及びNaOH、フッ化セシウム、又は炭酸ナトリウム、カリウム、若しくはセシウムのような塩基の存在下に、ACN、DMF、DME、1,4−ジオキサン、DCM、又はトルエン、或いはそれらの溶媒の混合物中で達成できる。
【0125】
【化09】

【0126】
次いで、得られた式(XIII)の化合物を、DME、DCM、1,4−ジオキサン、THF、又はCHClのような適切な溶媒;及びTEA、トリメチルアミン、NMM、ジエチルイソプロピルアミン、DIEA、トリイソプロピルアミン、又はN−メチルピペリジンのような塩基の存在下で、式(XIII’)の化合物(式中の、Lgは本明細書の下記のような意味を有している)で処理することにより、式(XIV)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、Lgは、p−トルエンスルホネート、メタンスルホネート、又はトリフルオロメタンスルホネート、好ましくはメタンスルホネートのような、脱離基を表し、そしてWは本明細書の上で定義されているような意味を有している)に変換することができる。
【0127】
得られる式(XIV)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてLg及びWは本明細書の上で定義されているような意味を有している)を、TEA、DIEA、NMM又は炭酸カリウム若しくはセシウムのような塩基;及びDCM、CHCl、又はDMFのような適切な溶媒の存在下で、式(VI’)のアミン(式中の、R及びRは本明細書の上で定義されているような意味を有している)と続いて反応させると、式(IX)の化合物(式中のR、R、R及びWは、本明細書の上で定義されているような意味を有している)が得られる。
【0128】
残りの脱保護工程を、本明細書の上のスキーム1〜3に記載されているように、実施すると、式(I)の化合物(式中の、Rは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、そしてR、R及びWは、本明細書の上で定義されているような意味を有している)が得られる。
【0129】
本明細書に上述されている処理工程は、不活性雰囲気下、好ましくは、窒素又はアルゴン雰囲気下で実施することができる。
【0130】
本明細書に記載されている方法で本発明の化合物に変換される出発化合物及び中間体において、アミノ、チオール、カルボキシル及びヒドロキシル基のような、存在する官能基を、製造有機化学でよく用いられる通常の保護基で保護してもよい。保護されたアミノ、チオール、カルボキシル及びヒドロキシル基は、分子骨格を壊さず、或いはその他の望ましくない副反応を起こさずに、穏和な条件下で、遊離のアミノ、チオール、カルボキシル及びヒドロキシル基に変換できるようなものである。
【0131】
保護基を導入する目的は、所望の化学変換を遂行するために用いられる条件において、反応成分との望ましくない反応から官能基を保護することである。特定の反応に対する、保護基の必要性及び選択は当業者に公知であって、保護される官能基(ヒドロキシル基、アミノ基、その他)、置換基がその一部である分子の構造及び安定性、及び反応条件の特性によって決まる。
【0132】
これらの条件に合致する周知の保護基及びそれらの導入及び除去は、例えば、McOmie, "Protective Groups in Organic Chemistry", Plenum Press, London, NY (1973); 及び Greene and Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", 4th edition, John Wiley and Sons, Inc., NY (2007) に記載されている。
【0133】
上記の反応は、希釈剤(好ましくは、試薬に対して不活性でそれらの溶媒のようなもの)、触媒、縮合剤又は前記の別の試薬、及び/又は不活性雰囲気のそれぞれの存在下又は非存在下で、低温、室温(RT)、又は高温で、好ましくは用いられる溶媒の沸点付近で、そして大気圧又は超大気圧で、標準的な方法に従って実施される。好ましい溶媒、触媒及び反応条件は添付した実施例に述べられている。
【0134】
本発明は、本反応の変異形の何れをも包含する。ここでは、何れかの段階で得られ得る中間産物を出発物質として用いて残りの工程を実施するか、或いは反応成分がそれらの塩の形態で用いられている。
【0135】
本発明の化合物及び中間体を、それ自体が一般に公知である方法に従って互いに変換することもできる。
【0136】
本発明は、何れかの新規な出発物質、中間体及びそれらを製造する方法にも関している。
【0137】
出発物質及び方法の選択によって、新規な化合物は、可能な異性体の1つ又はそれらの混合物の形態であってよい。例えば、実質的に純粋な幾何異性体(シス又はトランス)、ジアステレオマー、光学異性体、ラセミ体又はそれらの混合物として。前記の可能な異性体又はそれらの混合物は、本発明の範囲内である。
【0138】
得られる異性体の混合物は何れも、構成物質の物理化学的な相違に基づいて、純粋な幾何学又は光学異性体、ジアステレオマーに、例えば、分別結晶化及び/又はクロマトグラフィー、例えば、キラル吸着剤を用いる、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、分離することができる。
【0139】
最終的に、本発明の化合物は、遊離形態で、又はそれらの塩形態で、好ましくはそれらの薬学的に許容される塩形態の何れかで得られる。
【0140】
特に、塩基性基を含有している本発明の化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩に変換することができる。これらは、例えば、鉱酸、例えば、硫酸、リン酸若しくはハロゲン化水素酸のような無機酸で、又は(C−C)−アルカンカルボン酸、例えば非置換或いはハロゲンで置換されたもの、例えば酢酸;飽和或いは不飽和ジカルボン酸、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸又はフマル酸;ヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸又はクエン酸;アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、のような有機カルボン酸で、又は(C−C)−アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸;又は非置換或いは置換されている(例えばハロゲンで)アリールスルホン酸で形成される。塩酸、マレイン酸及びメタンスルホン酸で形成される塩が好ましい。従来の方法を用いて、有利には、エーテル溶媒又は低級アルコールのようなアルコール溶媒の存在下で、塩を形成することができる。後者(アルコール)の溶液から、エーテルを用いて、例えばジエチルエーテル又は石油エーテルを用いて、塩を沈殿させることができる。得られる塩を、適切な塩基、例えば水酸化ナトリウムで処理して、遊離化合物に変換することができる。これらの或いはその他の塩を、得られる化合物の精製に用いることもできる。
【0141】
遊離化合物とそれらの塩の形態にある化合物の密接な関係を考慮すると、このような状況下で、このことが可能或いは適切であるならば、化合物が示されているときはいつも対応する塩も意図されている。
【0142】
それらの塩を包含する化合物を、それらの水和物の形態で得ることも、又はそれらの結晶化のために用いるその他の溶媒和物を含むこともできる。
【0143】
本明細書に上記のように、本発明の化合物は、Aアデノシン受容体のアロステリックエンハンサーである。従って、本発明は、哺乳動物におけるAアデノシン受容体を調節する方法を提供し、この方法は、それを必要としている動物に、式(I)の化合物の治療有効量を投与することを含んでいる。
【0144】
更に、式(I)の化合物を、Aアデノシン受容体が介在する疾患の治療に用いることができる。従って、このような化合物を、疼痛、特に神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん;及び鬱病の処置するために治療的に用いられる。
【0145】
すなわち、本発明は、Aアデノシン受容体が介在する疾患を治療する方法を提供し、その方法は、それを必要としている哺乳動物に本発明の化合物の治療有効量を投与することを含んでいる。
【0146】
明細書を通して及び特許請求の範囲に用いられている用語「治療」は、関連する当業者に知られているような治療の全ての異なった形態又は態様を包含して、特に進展の予防、治癒、遅延及び緩和治療を包含する。
【0147】
本明細書で用いられる用語「治療有効量」は、研究者又は臨床医が求めている、組織、系又は動物(人を含む)の所望の生物学的或いは医学的応答を引き起こすであろう薬剤又は治療剤の量を示す。
【0148】
用語「哺乳動物」又は「患者」は、本明細書で互換的に用いられ、これらに限定されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、マウス及び実験動物を包含する。望ましい哺乳動物はヒトである。
【0149】
好ましくは、本発明の方法が、一般的に疼痛管理を含む疼痛の治療、及び特に慢性疼痛、とりわけ神経因性疼痛の治療及び管理を対象にしている。神経因性疼痛は、神経系に関連している病理的な損傷或いは疾患の幾つかのタイプを原因とする疼痛であると認識されている。各種の神経因性疼痛、例えば、糖尿病性神経障害及びヘルペス後神経痛を、本発明に従って治療することができる。本発明に従って治療できる神経因性疼痛を引き起こし得る更なる病的疾患は、三叉神経痛、HIVの感染及び/又は治療によるAIDS関連神経障害、癌治療に付随する疼痛、むち打ち症痛、幻肢痛、外傷性疼痛、複合性局所疼痛症候群、及び末梢血管疾患に起因する疼痛を包含する。更に、本発明の方法は、炎症性及び術後疼痛の管理及び治療に有用である。
【0150】
本発明の好ましい方法は、心臓の病気又は疾患、及び虚血によって引き起こされた損傷、例えば、心不整脈、狭心症、心筋梗塞、卒中など、の治療も包含する。そのような治療の典型的な対象は、例えば、心筋梗塞、卒中、脳又は脊髄損傷の患者、脳虚血が潜在的合併症である場合の心臓手術のような大きな手術を受ける患者等を包含する。
【0151】
同様に、本発明は、式(I)又はその薬学的に許容されるそれらの塩の治療有効量、及び第2医薬物質を併用投与、例えば同時又は連続で、することを含んでいる、上で定義したような、方法を提供し、当該第2医薬物質は、脂質低下剤、抗炎症剤、抗−高血圧薬又はオピオイド鎮痛薬、例えば下記のようなもの、である。
【0152】
本発明は更に、本発明化合物の治療有効量を単独で、或いは1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含有している医薬組成物を提供する。
【0153】
本発明の方法を実施するにあたり、本発明のアロステリックアデノシンA受容体エンハンサーは、ヒトを含む哺乳動物に、Aアデノシン受容体が介在する疾患を治療するために、多種の経路での投与、例えば、経口又は直腸内のような経腸、経皮、くも膜下及び非経口で、投与するのに適している医薬組成物に製剤化できる。このような疾患は、これに限定されないが、疼痛、特に神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん;及び鬱病を包含する。
【0154】
経口投与のために、アロステリックアデノシンA受容体エンハンサー、又はそれらの薬学的に許容される塩を含有している組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末剤、マイクロエマルジョン、単位用量パケットなどの形態を採ることができる。
【0155】
従って、本発明の化合物は、それらの治療有効量を、各種の経路、特に経腸又は非経口適用で投与するのに適している賦形剤又は担体と結合又は混合して含有している医薬組成物の製造に用いることができる。有効成分を、
a)希釈剤、例えば、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、グリシン及び/又は植物油;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム又はカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール;錠剤には更に
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、澱粉糊、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン;及び所望により
d)崩壊剤、例えば、澱粉、寒天、アルギニン酸或いはそのナトリウム塩、又は発泡性混合物;及び/又は
e)吸収剤、着色剤、香料及び甘味剤
と共に含有している、錠剤及び硬質又は軟質殻ゼラチンカプセルが好ましい。
【0156】
注射用組成物は水性等張溶液又は懸濁液が好ましく、坐薬は脂肪乳液又は懸濁液から有利に製造される。
【0157】
当該組成物は、滅菌されてもよく、そして/又は、保存剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整するための塩及び/又は緩衝剤のような添加剤を含有していてもよい。更に、これらはその他の治療的に価値がある物質を含んでいてもよい。当該組成物は、それぞれ従来の混合、顆粒化、又はコーティング方法に従って製造され、そして約0.1〜75%、好ましくは約1〜50%の有効成分を含有している。
【0158】
経皮投与に適している製剤は、本発明化合物の治療有効量を担体と共に含有している。好都合な担体は、宿主の皮膚通過を促進する吸着性の薬学的に許容される溶媒を包含する。特徴的に、経皮用のデバイスは、裏当て材、随意に担体と共に化合物を含有する貯蔵層、随意に、長期に渡って調節された所定の速度で化合物を宿主の皮膚を介して送達するための制御バリヤ、及びデバイスを皮膚に固定する手段を含有している、バンデージの形態をしている。
【0159】
約50〜70kgの哺乳動物用の単位用量は、約0.005mg〜2000mg、有利には、1〜1000mgの有効成分を含有している。活性化合物の治療有効量は、温血動物(哺乳動物)の種、体重、年齢及び個々の状態によって、投与の形態によって、そして含まれる化合物によって決まる。
【0160】
従って、本発明は、疼痛、特に、神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば心臓頻脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん;及び鬱病を包含するAアデノシン受容体が介在する疾患を治療するための、上記のような医薬組成物を提供する。
【0161】
医薬組成物は、上で定義したような本発明化合物の治療有効量を、単独で、或いはその他の治療薬の、例えば、それぞれ当該技術分野で報告されているような治療有効量と組み合わせて、の何れかで含有できる。このような治療薬は、
a)脂質低下剤、例えばHMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル コエンザイムA)還元酵素阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、FXR(ファルネソイドX受容体)及びLXR(肝臓X受容体)リガンド、コレスチラミン、フィブレート、ニコチン酸及びアスピリン;
b)抗炎症剤;
c)抗−高血圧薬、例えば、ループ利尿剤、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、Na−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤、NEP(中性エンドペプチターゼ)阻害剤、ACE/NEP阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、レニン阻害剤、β-アドレナリン受容体遮断薬、強心剤、カルシウムチャネル遮断薬、アルドステロン受容体拮抗薬、及びアルドステロン合成阻害剤;及び
d)オピオイド鎮痛薬:
を包含する。
【0162】
上記のように、本発明の化合物は、他の有効成分と同時に、その投与前に、又はその投与後の何れかに、同一投与経路で別々に又は異なった投与経路で、或いは同じ医薬製剤中で一緒にの何れかで、投与することができる。
【0163】
一般名又は商標名で知られている治療薬の構造は、例えば、標準的な概論「The Merck Index」の最新版、又はデータベース、例えば、Patent International(例えば、IMS World Publications)から取り出すことができる。当業者は誰でも十分に、これらの参考文献に基づき、有効薬剤を同定することができ、同様に製造して、インビトロ及びインビボの両方で、標準的な試験モデルでの、医薬的適応及び特性を試験することができる。
【0164】
従って本発明は、好ましくは脂質低下剤、抗炎症剤、抗−高血圧薬及びオピオイド鎮痛薬から選ばれる他の治療薬と組み合わせて、本発明化合物の治療有効量を含有している、医薬組成物を提供する。
【0165】
本発明は、別々に併用投与できる化合物の組み合わせを用いる治療に関する態様を有しているので、本発明は、キット形態中で別々の医薬組成物を組み合わせることにも関している。このキットは、2つの別個の医薬組成物:(1)式(I)の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩、加えて薬学的に許容される担体又は希釈剤を含有している組成物;及び(2)脂質低下剤、抗炎症剤、抗−高血圧薬、若しくはオピオイド鎮痛薬、又はそれらの薬学的に許容される塩、加えて薬学的に許容される担体又は希釈剤:を含有している。(1)及び(2)の量は、別々に併用投与したときに、有益な治療効果(複数も含む)が得られるような量である。キットは、分かれたボトル又は分かれたフォイル包装物のような、別々の組成物を含有するための容器を含んでいて、それぞれの区画は(1)又は(2)を含有する複数の剤形(例えば、錠剤)を含んでいる。あるいは、キットは、有効成分を含有する剤形を分けるのではなく、それぞれの区画が順に別個の剤形を含有するように全用量を含んでいる、別々の区画を含んでいてもよい。このタイプのキットの例は、個々のブリスターが2つの(又はそれ以上の)錠剤を含有していて、1つの(又はそれ以上の)錠剤が医薬組成物(1)を含有していて、第2の(又はそれ以上の)錠剤が医薬組成物(2)を含有しているような、ブリスターパックである。通常このキットは、個々の成分の投与に関する使用説明書を含有している。このキット形態は、個々の成分を好ましくは異なった剤形(例えば、経口と非経口)で投与するとき、異なった投与間隔で投与するとき、又は組み合わせる個々の成分の滴定を処方する医師が望むときに、特に有利である。従って、本発明の場合には、キットは:
(1)第1剤形中に、式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の治療有効量、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤;
(2)第2剤形中に、脂質低下剤、抗炎症剤、抗−高血圧薬若しくはオピオイド鎮痛薬、又はそれらの薬学的に許容される塩を、投与によって治療効果(複数も含む)が得られるような量で、及び薬学的に許容される担体又は希釈剤を含有している組成物;及び
(3)当該第1及び第2剤形を含有するための容器:
を含有している。
【0166】
本発明は更に、薬剤として用いるための上記のような医薬組成物に関する。
【0167】
本発明は更に、上記のような医薬組成物又は組み合わせを、疼痛、特に、神経因性疼痛のような慢性疼痛、及び炎症性疼痛;心不整脈、例えば、発作性上室頻脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中のような心臓疾患若しくは障害;神経疾患若しくは損傷;睡眠障害;てんかん;及び鬱病を包含するAアデノシン受容体が介在する疾患を治療するための薬剤を製造するために使用することに関する。
【0168】
従って、本発明は、薬剤として使用するための式(I)の化合物、Aアデノシン受容体が介在する疾患を治療するための薬剤を製造するための式(I)の化合物の使用、及び式(I)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体又は希釈剤と共に含有している、Aアデノシン受容体が介在する疾患において使用するための医薬組成物にも関している。
【0169】
最後に、本発明は、式(I)の化合物を、脂質低下剤、抗炎症剤、抗−高血圧薬又はオピオイド鎮痛薬の治療有効量と組み合わせて投与することを含有している、方法又は使用を提供する。
【0170】
最終的に、本発明は、本明細書に記載されているような医薬組成物の形態で式(I)の化合物を投与することを含有している方法又は使用を提供する。
【0171】
上記の特性は、有利には哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、又は単離した臓器、組織及びそれらの調製物を用いて、インビトロ及びインビボでの試験で立証できる。当該化合物を、インビトロで、溶液の形態、例えば、好ましくは水溶液で、そしてインビボでは、経腸、非経口、有利にはくも膜下又は静脈内の何れかで、例えば懸濁液又は水溶液として適用することができる。インビトロでの用量は、約10−2モル〜10−10モル濃度の範囲でよい。インビボでの治療有効量は、投与経路によって、約0.000001mg/kg〜約1000mg/kg、好ましくは約0.00001mg/kg〜約100mg/kg、より好ましくは約0.001mg/kg〜約10mg/kgの範囲でよい。
【0172】
本発明による化合物の活性は、当該技術分野に十分に記載されている方法、例えば本明細書の以下で述べられているような方法を用いて評価することができる。
【0173】
ヒト組み換えA、A2A及びAアデノシン受容体でトランスフェクトしたCHO細胞由来の膜調製物
hCHO−A、hCHO−A2A及びhCHO−A細胞クローンを粘着状に生育させて、10%のウシ胎仔血清、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、L−グルタミン(2mM)、ジェネティシン(geneticine)(G418:0.2mg/mL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地中で栄養混合物F12と共に、37℃で、5%CO/95%空気において、30分間保持する(Klotz et al. Naunyn-Schmied. Arch Pharm. 1988, 357, 1-9)。週に2回又は3回、細胞を1:5〜1:10の比で分割する。膜調製物を作成するために培養培地を除去する。細胞をPBSで洗浄して、T75フラスコから氷冷した低張緩衝液(5mMのトリスHCl、2mMのEDTA、pH7.4)へこすり落とす。細胞懸濁液をポリトロンでホモジナイズして、そのホモジネートを1,000xgで10分間回転させる。次いで、上澄液を100,000xgで30分間、遠心分離する。膜ペレットを、Aアデノシン受容体については50mMトリスHCl緩衝液(pH7.4)に、A2Aアデノシン受容体については50mMトリスHCl緩衝液(10mMのMgCl、pH7.4)に、Aアデノシン受容体については50mMトリスHCl緩衝液(10mMのMgCl、1mMのEDTApH7.4)に再懸濁して、3UI/mLのアデノシンデアミナーゼと共に37℃で30分間培養する。タンパク質濃度を、Bio−Rad方法(Bradford, 1976)に従い、ウシアルブミンを標準対照として測定する。
【0174】
アデノシン受容体結合実験
、A2A及びAアデノシン受容体との結合についての本発明化合物の効果を確認するために、hCHO−A、hCHO−A2A及びhCHO−A由来の膜を、実験化合物の非存在下及び存在下に、緩衝溶液中で培養する。試験薬剤をDMSOに溶解して、100倍濃縮したDMSO溶液からアッセイに加える。コントロール培養も1%DMSOを含有している。Micro−mate 196細胞採取器(Packard Instrument Company)を用い、Whatman GF/Bガラス繊維フィルターに通してアッセイ混合物をろ過して、結合放射活性及び遊離放射活性を分離した。フィルターに結合した放射活性を、Micro−Scint20を用いて、Top Count Microplate Scintillation Counter(有効性57%)上でカウントする。
【0175】
H]CCPAのhCHO−Aとの飽和結合
H]CCPA(0.05〜20nM)のCHO膜内で発現するヒトA受容体との飽和結合実験[試験化合物(10μM)の非存在下及び存在下に、50mMのトリス−HCL(pH7.4)中、25℃で、1時間]を3回実施する。非特異的結合を、R−PIA(1μM)の存在下での結合と定義する。
【0176】
H]CCPAのhCHO−Aとの競合結合
1nMの[H]CCPA、50mMのトリス−HCl(pH7.4)及び100μLの希釈した膜、及び1nM〜50μMの範囲で少なくとも6〜8の異なった濃度の試験化合物を含有する試験管中、最終容量250μLで、25℃で90分間行う競合実験を3回実施する(Baraldi et al. J. Med. Chem. 2003,46, 794-809)。非特異的結合を、R−PIA(1μM)の存在下での結合と定義する。1nMの[H]CCPAのhCHO−A膜との特異的結合を増大する異なった濃度の試験化合物の作用としてアロステリック増強を測定する。
【0177】
競合結合実験
1nMの[H]DPCPX(Borea et al. Life Sciences 1996, 59, 1373-1388)、2nMの[H]ZM241385(Borea et al. Biochem. Pharmacol. 1995, 49, 461-469)及び2nMの[H]MRE3008F20(Varani et al., Mol. Pharmacol. 2000, 57, 968-975)のhCHO−A、hCHO−A2A及びhCHO−Aとの競合実験を、膜(100μgのタンパク質/アッセイ)を、それぞれ25℃で90分間、4℃で60分間及び4℃で150分間培養して、実施する。競合実験を、50mMのトリス−HCl緩衝液(10mMのMgCl、Aについては1mMのEDTA、pH7.4)及び100μLの膜、及び少なくとも6〜8の異なった濃度の試験化合物を含有する試験管中、最終容量100μLで2回実施する。非特異的結合を、A、A及びAについて、それぞれ1μMのDPCPX、ZM241385及びMRE3008F20の存在での結合と定義する。それは総結合の約30%である。
【0178】
H]DPCPX(比活性、120Ci/ミリモル)及び[H]CCPA(比活性、55Ci/ミリモル)は NEN Research Products (Boston, MA)から入手でき;[H]ZM241385(比活性、17Ci/ミリモル)は Tocris Cookson (Bristol, UK)から入手でき;[H]MRE3008F20(比活性、67Ci/ミリモル)は Amersham International (Buckinghamshire, UK)から入手できる。
【0179】
CHO細胞のcAMP含量の測定(機能アッセイ)
アロステリック増強を、異なった濃度(0.01、0.1、1及び10μM)の試験化合物のhCHO−A細胞のcAMP含量を減少する能力として測定する。実験を開始するために、12ウェルのプレートから生育培地を除去して、細胞を温かいハンクス緩衝食塩水で1回洗浄する。次いで洗浄溶液を除去して、フォルスコリン(1μM)、ロリプラム(20μM)、N−シクロペンチルアデノシン(CPA、0.01nM)、アデノシンデアミナーゼ(2U/mL)及び試験化合物を含有する新鮮なハンクス溶液と置き換える。フォルスコリンはアデニルサイクラーゼの活性15を刺激するために、ロリプラムはcAMPホスホジエステラーゼを阻害するために、アデノシンデアミナーゼは内因性のアデノシンを分解するために、そしてCPAは活性化アデノシン受容体の数の微増を引き起こすために用いられる。試験化合物の存在下、36℃で6分間培養した後、培養溶液を除去して、塩酸(最終濃度50mM)を添加して薬物の作用を停止する。20個の酸性化した細胞抽出物中のcAMPの含量を、前記のようにして放射免疫測定によって測定する(Kollias-Baker et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1997, 281, 761-768)。hCHO−A細胞に対するアロステリックエンハンサーの効果の大きさが、継代数によって微妙に変化し、異なった細胞のアリコートの間でやや異なるので、試験化合物の作用及び参照化合物(PD81,723)の作用をそれぞれ25回の実験で評価する。cAMP含量に対するそれぞれの試験化合物の効果を、薬物非存在下におけるcAMP含量の値(コントロール、100%)のパーセントとして表す。
【0180】
慢性炎症性疼痛モデル
ザイモサンの足底内投与が引き起こす機械的痛覚過敏を、慢性炎症性疼痛のモデルとして用いることができる(Meller et al. Neuropharmacology, 33, 1471-1478,1994)。このモデルでは、通常、雄性SD(Sprague-Dawley)ラット又はウィスターラット(200〜250g)が、一方の後肢に3mg/100μLのザイモサンを足底内投与される。この後肢に著しい炎症が生じる。通常は、炎症発症の24時間後、機械的痛覚過敏が十分に確立されたと見なされたときに、効果を評価するために薬剤を投与する。
【0181】
慢性神経因性疼痛モデル
末梢神経損傷の幾つかの形態を含む、慢性神経因性疼痛の3つのモデルを用いることができる。セルツァー(Seltzer)モデル(Seltzer et al., Pain, 43, 205-218, 1990)では、SD又はウィスターラット(200〜250g)を麻酔して、片方の大腿(通常は左)の中央の上部を少し切開して坐骨神経を剥き出しにする。この神経から、後部二頭筋半腱様筋神経が総坐骨神経から分岐している点のすぐ遠位にある転子に近い部分の周囲にある結合組織を注意深く除去する。7−0絹縫合糸を、3/8カーブした、反転カットミニ針を用いて、この神経内に挿入し、神経の厚みの後部1/3〜1/2が結紮糸に包蔵されるようにきつく結紮する。筋肉及び皮膚を縫合糸とクリップで閉じて、傷に抗生物質の粉末を振りかける。疑似モデル動物では、坐骨神経を剥き出すが結紮せず、モデル動物と同様に傷を閉じる。
【0182】
慢性狭窄障害(Chronic Constriction Injury:CCI)モデル(Bennett, G.J. and Xie, Y. K. Pain, 33:87-107, 1988)では、ラットを麻酔して、片方の大腿(通常は左)の中央の上部を少し切開して坐骨神経を剥き出しにする。この神経から周囲の結合組織を除去して、4/0クロミックガット(chromic gut)の結紮糸4本で約1mm間隔で神経の周りを緩く結んで、結紮糸が僅かに神経の表面を狭窄するようにする。傷を前記のように縫合糸とクリップで閉じる。疑似モデル動物では、坐骨神経を剥き出すが結紮せず、モデル動物と同様に傷を閉じる。
【0183】
セルツァー及びCCIモデルと対照的に、チャン(Chung)モデルは脊髄神経の結紮を含んでいる(Kim, S.O. and Chung, J.M. Pain, 50:355-363, 1992)。このモデルでは、SD又はウィスターラット(200〜250g)を麻酔して、腹臥位に置いて、L4〜S2レベルで背骨の左を切開する。傍脊柱筋に沿った深い切開及びL4〜S2レベルでの脊髄突起からの筋肉の分離により、坐骨神経の部分が曝露され分岐して、L4、L5及びL6脊髄神経を形成することになる。L6脊髄横突起を小骨鉗子で注意深く除去して、これらの脊髄神経を可視可能にする。L5脊髄神経を単離して7−0絹縫合糸できつく結紮する。傷を一本の筋肉縫合糸(6−D絹)と1個又は2個の絹閉鎖クリップで閉じて、抗生物質粉末を振りかける。疑似モデル動物では、L5神経を前述同様に剥き出しにするが、結紮せず、前述と同様に傷を閉じる。
【0184】
行動インデックス
全ての慢性疼痛モデル(炎症性及び神経因性)において、両方の後肢に圧力刺激を増大して肢引っ込め閾値を、アナルゲシーメータ(Analgesy meter)を用いて測定して、機械的知覚過敏を算定する。両後肢の足底表面にフォンフライヘア(von Frey hair)を用いる非有害機械的刺激に対する引っ込め閾値を測定して、機械的異痛を算定する。それぞれの後肢の底面に適用した有毒熱刺激に対する引っ込め待ち時間を測定して熱知覚過敏を算定する。全てのモデルで、機械的知覚過敏、並びに異痛及び熱知覚過敏が、手術後1〜3日以内に発現して、少なくとも50日に渡って継続する。本明細書に記載されているアッセイのために、薬剤を手術の前及び後に投与して、手術後約14日間、知覚過敏の発現に対するこれらの効果を算定して、定着している知覚過敏を回復に向かわせるそれらの能力を確認する。
知覚過敏の回復パーセンテージを以下のように計算する。
【0185】
【数1】

【0186】
上記の疼痛モデルでは、全ての手術をエンフルラン/O吸入麻酔下で実施できる。すべてのケースで、処置後に傷を閉じて、動物を回復させることができる。用いる全ての疼痛モデルでは、数日後に、疑似操作動物以外の全ての動物で、接触、加圧又は熱刺激に対する後肢の疼痛閾値の低下及び増進した反射引っ込め反応が見られる、顕著な機械的及び熱知覚過敏、並びに異痛が発現する。手術後に、動物は、患側肢に特徴的な変化を示すこともある。多くの動物で、患側後肢の足指が一緒に持ち上がり、脚が片側にやや湾曲し、そしてあるラットでは足指が下に丸まる。結紮したラットの歩き方は変化するが、跛行はめったに見られない。いくらかのラットは患側後肢をケージの床から持ち上げて、掴むと後肢の異常に硬直した伸長を示すと見なされる。ラットは接触に対して非常に反応しやすく、声を出すこともある。ラットのそれ以外の総体的な健康及び状態は良い。
【0187】
本発明の一例では、実施例2、実施例16−9及び実施例30の化合物は、10μM濃度で試験すると、アゴニスト[H]CCPAのヒトCHO−A膜とのA特異的結合をそれぞれ、4.4倍、5.5倍及び4.2倍まで増加する。同様に、実施例2、実施例16−9及び実施例30の化合物は、10μM濃度で試験すると、アゴニスト[H]CCPAのBMAX値を、それぞれ、約3.5倍、6.3倍及び4.6倍に増大する。
【0188】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図していて、これを限定すると解釈してはならない。別に述べられていない限り、全ての蒸発は、減圧下、好ましくは、約10mmHg〜100mHgの間で実施される。最終生成物、中間体及び出発物質の構造は、標準的な分析方法、例えば、微量分析、融点(m.p.)及び分光学的特性、例えば、MS、IR及びNMRによって確認している。略号は当該技術分野で通常用いられているようなものである。
【実施例】
【0189】
実施例1
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0190】
【化10】

【0191】
A.(2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノン
水/氷浴(4℃)で冷却した、3−(4−クロロフェニル)−3−オキソ−プロピオニトリル(900mg、5ミリモル)及び2,5−ジメチル−[1,4]ジチアン−2,5−ジオール(450mg、2.5ミリモル)の無水EtOH(10mL)懸濁液に、TEA(5ミリモル、0.7mL)を加える。室温で10分間撹拌した後、混合物を2時間還流する。得られる赤褐色の溶液を冷却し、濃縮して、残渣をEtOAc(10mL)に溶解する。その後有機層を、1w/v%の水性HCl(5mL)、飽和NaHCO水溶液(5mL)、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、褐色の残渣が得られる。この残渣をエチルエーテル(15mL)に懸濁し、懸濁液を30分間撹拌して、ろ過する。ろ液を濃縮し、石油エーテルで懸濁して、得られる懸濁液を30分間撹拌してろ過する。ろ液を濃縮して、残渣を、EtOAc:石油エーテル(2:8)混合物を溶出液として用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、(2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノンが橙色の固体として得られる。
m.p.:148−150℃。
H NMR(CDCl):δ1.66(s,3H),5.85(s,1H),6.61(br s,2H),7.38(d,J=6.4Hz,2H),7.45(d,J=6.4Hz,2H)。
IR(KBr)cm−1:3345,1589,1435,1267。
【0192】
B.2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Aの化合物(755mg、3ミリモル)を酢酸(20mL)に溶解し、次いでこの溶液に無水フタル酸(3.6ミリモル、533mg)を加えて、混合物を15時間環流下に加熱する。溶媒を蒸留して残留物質をEtOAc(20mL)に溶解する。有機溶液を飽和NaHCO溶液(5mL)、水(5mL)、及び食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮する。残渣を石油エーテル(20mL)と1時間撹拌し、ろ過して固体を採取すると、2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが褐色の粉末として得られる。
H NMR(CDCl):δ2.24(s,3H),7.02(s,1H),7.22(d,J=7.2Hz,2H),7.62−8.00(m,6H)。
【0193】
C.2−[5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Bの化合物(20ミリモル、7.6g)のベンゼン(150mL)溶液に過酸化ベンゾイル(484mg、2ミリモル)を加えて、混合物を環流下に加熱する。環流条件で、NBS(20ミリモル、3.56g)と過酸化ベンゾイル(484mg、2ミリモル)の混合物を加えて、混合物を更に6時間還流する。減圧下で溶媒を除去して、残渣をEtOAc(330mL)に溶解する。その後、有機溶液をNaHCOの飽和溶液(200mL)、水(50mL)及び食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、褐色粉末が得られる。この粉末を石油エーテル(200mL)で懸濁し、混合物を30分間撹拌して、固体をろ過して採取すると、2−[5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが得られる。これをそれ自体で更に精製することなく次の工程で用いる。
m.p.:194−195℃。
H NMR(CDCl):δ2.09(s,3H),7.19(d,J=7.4Hz,2H),7.62−7.71(m,6H)。
IR(KBr)cm−1:1728,1664,1587,1368,717。
【0194】
D.2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチル−5−フェニルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
Romagnoli et al. (J. Med. Chem. 2006, 49(13), 3906-3915: General procedure D) によって記載されている方法に従って、標題Cの化合物から標題Dの化合物を製造する。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1.5:8.5で溶出)すると、2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチル−5−フェニルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが褐色の固体として得られる。
m.p.:223−225℃。
H NMR(CDCl):δ2.24(s,3H),7.24(d,J=8.4Hz,2H),7.74(m,5H),7.80(m, 6H)。
【0195】
E.2−[4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Aの化合物(458mg、1ミリモル)のCCl(10mL)懸濁液を還流して、NBS(180mg、1ミリモル)及び過酸化ベンゾイル(14mg、0.06ミリモル)を加えて、混合物を1時間還流する。この時間後に、N−ブロモスクシンイミド(180mg、1ミリモル)及び過酸化ベンゾイル(14mg、0.06ミリモル)の混合物を加えて、さらに1時間還流する。次いで黄色溶液を室温まで冷却し、冷却によって分離したスクシンイミドをろ過して除去して、ろ過ケーキをCCl(5mL)で洗浄する。ろ液を、5%NaHCO溶液(5mL)、水(5mL)、食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、黄色の固体が得られ、これを石油エーテル(10mL)に懸濁する。混合物を30分間撹拌して、固体をろ取すると、2−[4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが得られる。これをそれ自体更に精製せずに次の反応に用いる。
m.p.:160−161℃。
H NMR(CDCl):δ4.73(s,2H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.48(d,J=8.6Hz,2H),7.52(m,1H),7.68(m,8H)。
【0196】
F.2−{3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
標題Eの化合物(265mg、0.5ミリモル)の無水DMF(5mL)溶液を撹拌して、KCO(70mg、0.5ミリモル)を加える。混合物を氷/水浴で冷却し、次いでジイソプロピルアミン(4当量、2ミリモル)を加える。混合物を室温で2時間撹拌する。この時間後に、溶媒を減圧下で除去して、残渣をEtOAc(15mL)と水(5mL)の混合物に溶解する。有機層を食塩水(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥して、真空下で濃縮すると、褐色の残渣が得られる。これをカラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−3:7)で精製すると、2−{3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが白色の固体として得られる。
m.p.:168−170℃
H NMR(CDCl):δ0.57(d,J=6.6Hz,12H),2.62(m,2H),3.71(s,2H),7.22(d,J=8.6Hz,2H),7.47(m,2H),7.74(m,9H)。
【0197】
G.{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Fの化合物(0.5ミリモル)と100%ヒドラジン1水和物(1.2当量、0.6ミリモル、29μL)の無水EtOH(10mL)懸濁液を撹拌して、1時間還流する。この時間後、溶媒を蒸発させて、残渣をEtOAc(10mL)と水(5mL)の間で分配する。分離した有機層を食塩水(2mL)で洗浄し、乾燥して、真空下で濃縮すると、残渣が得られる。これをカラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−7:3)で精製すると、{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。
m.p.:185−187℃
H NMR(CDCl):δ0.53(d,J=6.6Hz,12H),2.39(m,2H),3.43(s,2H),5.33(br s,2H),7.39(d,J=8.2Hz,2H),7.80(d,J=8.2Hz,2H)。
【0198】
実施例2
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0199】
【化11】

【0200】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−2:8)で精製する。
黄色の固体。
m.p.:201−203℃。
H NMR(CDCl):δ0.88(m,8H),1.16(m,6H),1.51(m,6H),1.74(m,2H),3.51(s,2H),5.41(br s,2H),7.36(m,5H),7.41(d,J=8.6Hz,2H),7.78(d,J=8.6Hz,2H)。
【0201】
実施例3
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0202】
【化12】

【0203】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−7:3)で精製する。
黄色の固体。
m.p.:176−178℃。
H NMR(CDCl):δ0.54(d,J=7.2Hz,6H),2.02(d,J=7.2Hz,4H),3.24(s,2H),5.89(br s,2H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),7.41(d,J=8.8Hz,2H),7.55(m,4H)。
【0204】
実施例4
{2−アミノ−4−[(ジアリールアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0205】
【化13】

【0206】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1.5:8.5)で精製する。
黄色の固体。
m.p.:155−156℃。
H NMR(CDCl):δ2.42(d,J=6.0Hz,4H),3.21(s,2H),4.85(m,4H),5.22(m,2H),5.72(br s,2H),7.39(m,7H),7.70(d,J=8.4Hz,2H)。
【0207】
実施例5
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0208】
【化14】

【0209】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−3:7)で精製する。
黄色の油状物。
H NMR(CDCl):δ0.48(t,J=7.2Hz,6H),0.99(m,4H),1.73(t,J=7.2Hz,4H),3.21(s,2H),5.84(br s,2H),7.34(m,5H),7.43(d,J=7.8Hz,2H),7.67(d,J=7.6Hz,2H)。
【0210】
実施例6
{2−アミノ−4−[(t−ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0211】
【化15】

【0212】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−6:4)で精製する。
黄色の固体
m.p.:220−222℃。
H NMR(CDCl):δ0.54(s,9H),1.63(m,3H),3.34(s,2H),5.30(br s,2H),7.37(m,7H),7.75(d、J=8.4Hz,2H)。
【0213】
実施例7
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0214】
【化16】

【0215】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−4:6)で精製する。
黄色の固体
m.p.:86−88℃。
H NMR (CDCl):δ1.74(s,3H),3.23(m,2H),4.34(m,2H),5.78(br s,2H),7.19(m,2H),7.25(m,7H),7.47(m,5H)。
【0216】
実施例8
{2−アミノ−4−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0217】
【化17】

【0218】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc)で精製する。
黄色の油状物。
H NMR(CDCl):δ1.58(s,6H),2.96(s,2H),5.77(br s,2H),7.35(m,7H),7.61(d,J=8.4Hz,2H)。
【0219】
実施例9
{2−アミノ−4−[(ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0220】
【化18】

【0221】
実施例1の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−7:3)で精製する。
黄色の固体。
m.p.:84−88℃。
H NMR(CDCl):δ 0.78(t,J=7.2Hz,3H),0.89(m,4H),1.82(m,3H),2.03(t,J=7.2Hz,2H),3.75(s,2H),5.68(br s,2H),7.29(m,3H),7.39(m,2H),7.49(m,4H)。
【0222】
実施例10
{2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0223】
【化19】

【0224】
A.2−[3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
実施例1の標題Cの化合物(0.691g、1.5ミリモル)と4−シアノフェニル−ボロン酸(0.33g、2.25ミリモル)の1,4−ジオキサン(15mL、水2滴を含有)溶液を撹拌して、10分以上窒素気流下で脱気し、次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(123mg、0.15ミリモル)及びフッ化セシウム(0.57g、3.75ミリモル)で処理する。反応混合物を窒素雰囲気下45℃で30分間、次いで65℃で3時間加熱する。反応混合物を真空下で濃縮し、DCMに溶解して、シリカゲルのショートカラムに付す。EtOAcの5%DCM溶液で溶出すると、2−[3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドリン−1,3−ジオンが淡黄色の固体として得られる。この物質を更に精製せずに用いる。
【0225】
B.2−[4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Aの化合物を1,2−ジクロロエタン(10mL)に溶解し、NBS(0.32g、1.8ミリモル)で処理して、窒素雰囲気下撹拌しながら加熱還流する。75%の過酸化ベンゾイル(50mg、0.155ミリモル)を加えて、加熱還流を続ける。1.5時間後(TLCにより反応未完了)、追加のNBS(0.178g、1.0ミリモル)、次いで75%の過酸化ベンゾイル(26mg、0.08ミリモル)を加えて、更に1.5時間加熱還流を続ける。混合物を室温まで冷却して、シリカゲルのカラムに直接添加する。カラムをDCMで、次いでEtOAcの2%DCM溶液で溶出すると、2−[4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが淡黄色の固体として得られる。
m.p.:211−214℃。
MS:584.9(M+Na)。
H−NMR(CDCl):δ7.83(m,2H),7.79(m,2H),7.71−7.76(m,4H),7.69(d,2H,J=8.5Hz),7.21(d,2H,J=8.5Hz),4.68(s,2H)。
【0226】
C.2−{3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル}チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Bの化合物(281mg、0.50ミリモル)のACN及びTHF(6mL)の2:1混合物溶液/懸濁液を窒素雰囲気下で撹拌して、ジシクロヘキシルアミン(0.40mL、2ミリモル)で処理し、次いで60℃で2時間加熱する。混合物を濃縮して溶媒をDCM(25mL)で置き換える。NaOH水溶液(0.1N、6mL)を加えて、混合物を数分間撹拌し、次いで分離する。有機溶液を水(2×15mL)及び食塩水(15mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、ろ過する。ろ液を直接シリカゲルのカラムに付して、カラムをEtOAcの2%DCM溶液、次いでヘプタンとEtOAcの3:1混合物で溶出すると、2−{3−(4−クロロベンゾイル)−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル}チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが淡紫色の固体として得られる。この物質は更に精製せずに用いる。
【0227】
D.{2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Cの化合物をEtOH(3mL)に溶解し、氷浴上で冷却して、エチレンジアミン(120mg、2ミリモル)のEtOH(1mL)溶液を滴下して処理する。混合物を15分以上撹拌して室温まで温めて、室温で30分間保持し、1時間加熱還流し、次いで室温まで冷却して、DCM(20mL)で希釈する。有機溶液を水(10mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、真空下で濃縮する。残渣を最小量のDCMに溶解して、溶液をシリカゲルのカラムに付し、ヘプタンとEtOAcの3:1混合物で溶出すると、粗製の{2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。これをACNで粉砕して、真空下で乾燥すると、最終生成物が黄色の固体として得られる。
m.p.:196−200℃。
MS:532.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.76(d,2H,J=8.5Hz),7.66(d,2H,J=8.5Hz),7.47(d,2H,J=8.5Hz),7.44(d,2H,J=8.5Hz),5.48(br s,2H),3.53(s,2H),1.77(m,2H),1.40−1.55(m,6H),1.10−1.20(m, 4H),0.65−0.95(m,10H)。
【0228】
実施例11
{2−アミノ−5−(4−t−ブチルフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0229】
【化20】

【0230】
実施例10の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:180−184℃。
MS:563.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.78(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5 Hz),7.38(d,2H,J=8.5 Hz),7.28(d,2H,J=8.5Hz),5.35(br s,2H),3.51(s,2H),1.77(m,2H),1.40−1.54(m,6H),1.11−1.19(m,4H),0.67−0.97(m,10H)。
【0231】
実施例12
{2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0232】
【化21】

【0233】
実施例10の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:200−204℃。
MS:541.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.76(d,2H,J=8Hz),7.42(d,2H,J=8Hz),7.35(d,2H,J=8.5Hz),7.29(d,2H,J=8.5Hz),5.43(s,2H),3.48(s,2H),1.76(m,2H),1.40−1.55(m,6H),1.10−1.20(m,4H),0.65−0.95(m,10H)。
【0234】
実施例13
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(2−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0235】
【化22】

【0236】
実施例10の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:223−225℃。
MS:525.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.76(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.29−7.36(m,2H),7.09−7.19(m,2H),5.46(br s,2H),3.47(s,2H),1.77(m,2H),1.47−1.55(m,4H),1.39−1.47(m,2H),1.10−1.20(m,4H),0.67−0.98(m,10H)。
【0237】
実施例14
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0238】
【化23】

【0239】
実施例10の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:205−207℃。
MS:525.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.77(d,2H,J=8.5Hz),7.43(d,2H,J=8.5Hz),7.34(m,1H),7.14(m,1H),7.09(m,1H),7.01(m,1H),5.40(br s,2H),3.52(s,2H),1.77(m,2H),1.48−1.55(m,4H),1.40−1.48(m,2H),1.13−1.20(m,4H),0.68−0.98(m,10H)。
【0240】
実施例15
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0241】
【化24】

【0242】
実施例10の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:222−224℃。
MS:525.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.77(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.33(dd,2H,J=9.0,5.5Hz),7.07(t,2H,J=9.0Hz),5.37(br s,2H),3.47(s,2H),1.76(m,2H),1.47−1.55(m,4H),1.40−1.47(m,2H),1.11−1.19(m,4H),0.67−0.97(m,10H)。
【0243】
実施例16
実施例1及び10の記載と同様に以下の化合物を製造できる。
【0244】
【化25】

【0245】
【表1】

【0246】
実施例17
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0247】
【化26】

【0248】
A.2−{5−ブロモ−4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
実施例1の標題Cの化合物(9.16g、20ミリモル)及びNBS(3.92g、22ミリモル)の1,2−ジクロロエタン(100mL)溶液を撹拌して、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、次いで過酸化ジベンゾイル(75%、0.65g、2ミリモル)で処理し、1.5時間撹拌して、室温まで冷却する。ヘプタン(150mL)を加え、懸濁液を数分間撹拌して、ろ過する。ろ過ケーキをヘプタンとDCMの2:1混合物で洗浄し、合わせたろ液を直接シリカゲルカラム上に付して、ヘプタンとDCMの2:1混合物で溶出すると、2−{5−ブロモ−4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが黄色の固体として得られる。
m.p.:173−175℃。
H NMR(CDCl):δ4.65(s,2H),7.20(d,J=6.6Hz,2H),7.66(d,J=6.6Hz,2H),7.62−7.71(m,4H)。
IR(KBr)cm−1:1727,1658,1348,1330,1084。
【0249】
B.2−{5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
標題Aの化合物(7.12g、13.2ミリモル)をACNとTHFの2:1化合物(150mL)に溶解し、氷上で冷却して、ジシクロヘキシルアミン(9.3mL、46.5ミリモル)で滴下処理する。溶液を撹拌して60℃に4時間加熱すると、その間に固体が形成される。次いで、室温まで冷却して真空下に濃縮する。残渣をDCM(200mL)に溶解し、氷上で冷却し、0.25NのNaOH(60mL)で処理し、数分間撹拌して、分離する。有機溶液を水(2×100mL)、食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物をヘプタンで粉砕して真空下で乾燥すると、2−{5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが淡黄色の固体として得られる(冷蔵庫で保存)。
m.p.:173−5℃。
MS:641.0(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.79(m,2H),7.71(m,2H),7.67(d,2H,J=8.5Hz),7.24(d,2H,J=8.5 Hz),3.81(s,2H),2.10−2.20(m,2H),1.60−1.70(m,4H),1.49−1.57(m,2H),1.34−1.43(m,4H),1.00−1.15(m,10H)。
【0250】
C.{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
トルエン(7mL)中の、標題Bの化合物(0.45g、0.70ミリモル)と3,5−ジフルオロフェニルボロン酸(0.166g、1.05ミリモル)の混合物を撹拌して窒素気流下で、10分以上脱気し、次いで[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(57mg、0.07ミリモル)とフッ化セシウム(0.266g、1.75ミリモル)で処理し、55℃で45分、次いで75℃で20時間加熱する。室温まで冷却した後、反応混合物をDCM(20mL)で希釈して、セライト(登録商標)でろ過する。ろ液を真空下で濃縮して、ヒドラジン水和物(50mg、1.0ミリモル)を含有しているEtOH(10mL)に残渣を溶解し、3時間加熱還流し、冷却して、室温で更に3時間撹拌する。溶液を真空下で濃縮して、残渣を最小量のDCMに溶解し、次いでシリカゲルカラムに付す。ヘプタンとEtOAcの4:1混合物で溶出すると黄色の固体が得られる。これをACNで粉砕すると、{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。
m.p.:163−166℃。
MS:543.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.75(d,2H,J=8.5Hz),7.43(d,2H,J=8.5Hz),6.91(m,2H),6.76(m,1H),5.42(br s,2H),3.52(s,2H),1.79(m,2H),1.49−1.58(m,4H),1.42−1.49(m,2H),1.15−1.23(m,4H),0.70−1.00(m,10H)。
【0251】
実施例18
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メチルフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0252】
【化27】

【0253】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:191−194℃。
MS:521.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.78(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.24(d,2H,J=8Hz),7.17(d,2H,J=8Hz),5.39(br s,2H),3.50(s,2H),2.38(s,3H),1.74(m,2H),1.46−1.54(m,4H),1.39−1.46(m,2H),1.11−1.20(m,4H),0.65−0.97(m,10H)。
【0254】
実施例19
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メトキシフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0255】
【化28】

【0256】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:178−182℃。
MS:537.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.78(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.28(d,2H,J=8 Hz),6.91(d,2H,J=8Hz),5.38(br s,2H),3.84(s,3H),3.47(s,2H),1.75(m,2H),1.47−1.55(m,4H),1.40−1.47(m,2H),1.11−1.20(m,4H),0.66−0.98(m,10H)。
【0257】
実施例20
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0258】
【化29】

【0259】
A.(2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノン
3−(4−クロロフェニル)−3−オキソ−プロピオニトリル(900mg、5ミリモル)及び2,5−ジメチル−[1,4]ジチアン−2,5−ジオール(450mg、2.5ミリモル)の無水EtOH(10mL)懸濁液を水/氷浴(4℃)中で冷却して、TEA(5ミリモル、0.7mL)を加える。室温で10分間撹拌した後、混合物を2時間還流する。得られる赤褐色の溶液を冷却し、濃縮して、残渣をEtOAc(10mL)に溶解する。その後、有機層を1w/v%の水性HCl(5mL)、NaHCOの飽和溶液(5mL)、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、褐色の残渣が得られる。残渣をエチルエーテル(15mL)に懸濁し、懸濁液を30分間撹拌して、ろ過する。ろ液を濃縮し、石油エーテルで懸濁して、得られる懸濁液を30分間撹拌して、ろ過する。ろ液を濃縮して、残渣を、EtOAC:石油エーテル−2:8混合物を溶出液として用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、(2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノンが橙色の固体として得られる。
m.p.:148−150℃。
H NMR(CDCl):δ1.66(s,3H),5.85(s,1H),6.61(br s,2H),7.38(d,J=6.4Hz,2H),7.45(d,J=6.4Hz,2H)。
IR(KBr)cm−1:3345,1589,1435,1267。
【0260】
B.2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Aの化合物(755mg、3ミリモル)を酢酸(20mL)に溶解し、次いでこの溶液に無水フタル酸(3.6ミリモル、533mg)を加えて、混合物を15時間還流下に加熱する。溶媒を蒸発して、残留物をEtOAc(20mL)に溶解する。有機溶液をNaHCOの飽和溶液(5mL)、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮する。残渣を石油エーテル(20mL)と1時間撹拌して、固体をろ取すると、2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが褐色の粉末として得られる。
H NMR(CDCl):δ2.24(s,3H),7.02(s,1H),7.22(d,J=7.2Hz,2H),7.62−8.00(m,6H)。
【0261】
C.2−[5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Bの化合物(20ミリモル、7.6g)のベンゼン(150mL)溶液に過酸化ベンゾイル(484mg、2ミリモル)を加えて、混合物を環流下に加熱する。環流条件で、NBS(20ミリモル、3.56g)及び過酸化ベンゾイル(484mg、2ミリモル)の混合物を加えて、混合物を更に6時間還流する。減圧下で溶媒を除去して、残渣をEtOAc(330mL)に溶解する。次いで、有機溶液をNaHCOの飽和溶液(200mL)、水(50mL)及び食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、褐色の粉末が得られる。この粉末を石油エーテル(200mL)と懸濁し、混合物を30分間撹拌して、固体をろ取すると、2−[5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが得られる。これはそれ自体さらに精製せずに次の工程で用いる。
m.p.:194−195℃。
H NMR(CDCl):δ2.09(s,3H),7.19(d,J=7.4Hz,2H),7.62−7.71(m,6H)。
IR(KBr)cm−1:1728,1664,1587,1368,717。
【0262】
D.2−[5−ブロモ−4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
標題Cの化合物(20ミリモル、9.2g)のCCl(150mL)懸濁液に過酸化ベンゾイル(242mg、1ミリモル)を加えて、混合物を環流下で加熱する。環流条件で、NBS(20ミリモル、3.56g)及び過酸化ベンゾイル(242mg、1ミリモル)の混合物を加えて、混合物を更に1時間還流する。この時間の後、反応が完了していなかったら、NBS(2ミリモル、356mg)と過酸化ベンゾイル(242mg、1ミリモル)の混合物を加えて、混合物を更に1時間環流する。得られる黄色の溶液を室温まで冷却して、沈殿したスクシンイミドをろ去して、CCl(25mL)で洗浄する。ろ液を5%のNaHCOの溶液(50mL)、水(50mL)及び食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、黄色の粉末が得られる。この粉末を石油エーテル(100mL)と懸濁し、混合物を30分間撹拌して、固体をろ取すると、2−[5−ブロモ−4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが黄色の固体として得られる。
m.p.:173−175℃。
H NMR(CDCl):δ4.65(s,2H),7.20(d,J=6.6Hz,2H),7.66(d,J=6.6Hz,2H),7.62−7.71(m,4H)。
IR(KBr)cm−1:1727,1658,1348,1330,1084。
【0263】
E.2−{5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
標題Dの化合物(900mg、1.6ミリモル)の無水DCM(5mL)溶液を撹拌して、TEA(1.1当量、1.76ミリモル、243mg)を加える。混合物を氷/水浴で冷却して、ジエチルアミン(3当量、5ミリモル、366mg)を加える。混合物を室温で2時間撹拌し、DCM(5mL)で希釈して、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄する。有機層を乾燥(NaSO)し、真空下濃縮して、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、2−{5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが得られる。
【0264】
F.2−{3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドリン(ール)−1,3−ジオン
TEA(0.3mL、2ミリモル、1当量)を含有している、標題Eの化合物(2ミリモル)のDMF(20mL)溶液を、120mgの10%Pd/Cによって、60psiで3時間水素化を行う。触媒をろ去し、ろ液を濃縮する。残渣をDCM(20mL)に溶解し、水(5mL)及び食塩水(5mL)で洗浄して、乾燥(NaSO)する。溶媒を減圧下で除去して、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、2−{3−(4−クロロ−ベンゾイル)−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが得られる。
【0265】
G.{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Fの化合物(0.5ミリモル)及び100%ヒドラジン1水和物(1.2当量、0.6ミリモル、29μL)の無水EtOH(10mL)懸濁液を撹拌して、3時間加熱還流する。この時間の後、得られる溶液を室温で更に1時間撹拌する。出発物質の完全溶解後に反応を終了する。溶媒を蒸発して、残渣をEtOAc(100mL)と水(5mL)の間で分配する。有機層を分離し、食塩水(2mL)で洗浄し、乾燥して、真空下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。
m.p.:78−80℃。
H NMR(CDCl):δ1.26(t,J=7.0Hz,6H),2.17(q,J=7.0Hz,4H),3.08(s,2H),5.99(br s,2H),6.25(s,1H),7.36(d,J=8.6Hz,2H),7.52(d,J=8.6Hz,2H)。
【0266】
実施例21
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0267】
【化30】

【0268】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−9.5:0.5)で精製すると、黄色の油状物が得られる。
H NMR(CDCl):δ0.69(t,J=7.0Hz,6H),1.19(m,4H),1.96(t,J=7.0Hz,4H),3.01(s,2H),6.07(br s,2H),6.19(s,1H),7.34(d,J=8.4Hz,2H),7.51(d,J=8.4Hz,2H)。
【0269】
実施例22
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0270】
【化31】

【0271】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1:1)で精製すると、褐色の油状物が得られる。
H NMR(CDCl):δ0.86(d,J=6.6Hz,12H),1.66(m,2H),3.66(s,2H),5.28(s,1H),6.25(br s,2H),7.38(d,J=8.4Hz,2H),7.52(d,J=8.4Hz,2H)。
【0272】
実施例23
{2−アミノ−4−[(メチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0273】
【化32】

【0274】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−2:8)で精製すると、黄色の固体が得られる。
m.p.:129−131℃。
H NMR(CDCl):δ2.82(s,3H),3.78(s,2H),5.95(s,1H),6.48(br s,2H),6.67(t,J=7.2Hz,1H),7.12(d,J=7.2Hz,2H),H),7.18(d,J=7.2Hz,2H),7.38(d,J=8.6Hz,2H),7.49(d,J=8.6Hz,2H)。
【0275】
実施例24
{2−アミノ−4−[(エチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0276】
【化33】

【0277】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1.5:8.5)で精製すると、黄色の固体が得られる。
m.p.:130−132℃。
H NMR(CDCl):δ1.02(t,J=7.2Hz,3H),3.26(q,J=7.2Hz,2H),3.73(s,2H),5.98(s,1H),6.48(m,4H),6.64(t,J=7.2Hz,1H),7.14(t,J=7.6Hz,2H),7.39(d,J=8.4Hz,2H),7.51(d,J=8.4Hz,2H)。
【0278】
実施例25
{2−アミノ−4−[(4−フルオロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0279】
【化34】

【0280】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−2:8)で精製すると、黄色の油状物が得られる。
H NMR(CDCl):δ2.74(s,3H),3.75(s,2H),5.97(s,1H),6.40(m,4H),6.84(t,J=8.4Hz,2H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),7.49(d,J=8.6Hz,2H)。
【0281】
実施例26
{2−アミノ−4−[(4−クロロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0282】
【化35】

【0283】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1.5:8.5)で精製すると、黄色の油状物が得られる。
H NMR(CDCl):δ2.79(s,3H),3.77(s,2H),5.91(s,1H),6.41(d,J=9.2Hz,2H),6.46(br s,2H),7.08(d,J=9.2Hz,2H),7.36(d,J=8.8Hz,2H),7.51(d,J=8.8Hz,2H)。
【0284】
実施例27
{2−アミノ−4−[(メチル(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法A
【0285】
【化36】

【0286】
実施例20の記載と同様に標題化合物を製造して、カラムクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−1.5:8.5)で精製すると、黄色の油状物が得られる。
H NMR(CDCl):δ2.88(s,3H),3.85(s,2H),5.87(s,1H),6.48(m,4H),7.42(m,4H),7.52(d,J=8.8Hz,2H)。
【0287】
実施例28
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−メチルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法C
【0288】
【化37】

【0289】
A.2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
(2−アミノ−4,5−ジメチルチオフェン−3−イル)(4−クロロフェニル)メタノン(532mg、2ミリモル;米国特許第6,323,214号に記載のようにして製造する)の酢酸(15mL)溶液に無水フタル酸(360mg、2.4ミリモル)を加えて、混合物を15時間加熱還流する。溶媒を真空下で除去して、残留物をEtOAc(20mL)に溶解する。有機溶液をNaHCOの飽和水溶液(5mL)、水(5mL)、次いで食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。粗生成物を石油エーテル(20mL)内で1時間撹拌し、次いで、ろ過すると、(2−[3−(4−クロロベンゾイル)−4,5−ジメチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが黄色の粉末として得られる。
H NMR(CDCl):δ2.10(s,3H),2.43(s,3H),7.24(d,J=8.4Hz,2H),7.64(d,J=8.4Hz,2H),7.78(m,4H)。
【0290】
B.2−[4−(ブロモメチル)−3−(4−クロロベンゾイル)−5−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
ACN(10mL)中の標題Aの化合物(2ミリモル、798mg)にNBS(2ミリモル、356mg)を加えて、混合物を2時間加熱還流する。この時間の後、NBSの追加分(2ミリモル、356mg)を加えて、還流を更に2時間続ける。次いで、減圧下で溶媒を除去し、残渣をDCM(15mL)に溶解し、水(5mL)、食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、濃縮すると、暗色の油状物が得られる。次いで、この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(溶出液としてEtOAc:石油エーテル−2:8)で精製すると、黄色の固体として化合物が得られる。この粉末を石油エーテル(10mL)中に懸濁し、混合物を30分間撹拌し、次いで、ろ過すると、2−[4−(ブロモメチル)−3−(4−クロロベンゾイル)−5−メチルチオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが得られる。
m.p.:173−175℃。
H NMR(CDCl):δ2.53(s,3H),4.65(s,2H),7.17(d,J=8.4Hz,2H),7.63(d,J=8.4Hz,2H),7.63(m,2H),7.73(m,2H)。
【0291】
C.2−{3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
標題Bの化合物(900mg、0.5ミリモル)の無水DMF(5mL)溶液を攪拌して、KCO(0.6ミリモル、83mg)を加える。混合物を氷/水浴で冷却し、次いでベンジル(メチル)アミン(3当量、1.5ミリモル、182mg)を加える。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで減圧下で溶媒を除去して、DCM(15mL)と水(5mL)の混合物を残渣に加える。有機層を食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、次いで真空下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、2−{3−(4−クロロベンゾイル)−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが得られる。
黄色の固体。
m.p.:197−199℃。
H NMR(CDCl):δ1.76(s,3H),2.47(s,3H),3.25(s,2H),3.40(s,2H),6.69(m,2H),7.14(m,3H),7.27(m,2H),7.72(m,4H)。
【0292】
D.{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−メチルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Cの化合物(0.5ミリモル)とヒドラジン1水和物(0.6ミリモル、29μL)の無水EtOH(10mL)懸濁液を撹拌して、3時間加熱還流する。得られる溶液を室温まで冷却して更に1時間撹拌する。出発物質の完全溶解後に反応を終了する。溶媒を蒸発させて、残渣をDCM(10mL)と水(5mL)の間で分配する。分離した有機層を食塩水(2mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、次いで真空下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−メチルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが得られる。
黄色の固体。
m.p.:114−116℃。
H NMR(CDCl):δ1.47(s,3H),2.23(s,3H),2.98(s,2H),3.00(s,2H),5.81(br s,2H),7.08(d,J=6.8Hz,1H),7.24(m,2H),7.33(d,J=6.8Hz,2H),7.55(d,J=6.8Hz,2H)。
【0293】
実施例29
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0294】
【化38】

【0295】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:132−135℃。
MS:497.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.74(d,2H,J=8.5Hz),7.50(m,1H),7.45(m,1H),7.41(d,2H,J=8.5Hz),6.47(m,1H),5.38(br s,2H),3.50(s,2H),1.78(m,2H),1.50−1.58(m,4H),1.40−1.50(m,2H),1.20−1.28(m,4H),0.73−0.98(m,10H)。
【0296】
実施例30
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(チオフェン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0297】
【化39】

【0298】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:197−199℃。
MS:513.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.75(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.30(m,1H),7.00−7.06(m,2H),5.42(br s,2H),3.62(s,2H),1.77(m,2H),1.49−1.57(m,4H),1.40−1.48(m,2H),1.19−1.28(m,4H),0.72−0.99(m,10H)。
【0299】
実施例31
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法B
【0300】
【化40】

【0301】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:158−160℃。
MS:497.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.73(d,2H,J=8.5Hz),7.42(m,1H),7.41(d,2H,J=8.5Hz),6.44(m,1H),6.35(m,1H),5.48(br s,2H),3.62(s,2H),1.79(m,2H),1.50−1.58(m,4H),1.40−1.48(m,2H),1.24−1.31(m,4H),0.75−1.00(m,10H)。
【0302】
実施例32
{5−アミノ−5’−クロロ−3−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]2,2’−ビチオフェン−4−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法D
【0303】
【化41】

【0304】
実施例17の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:195−197℃。
MS(M+1):547.1。
H NMR(CDCl):δ7.73(d,2H,J=8.5Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),6.85(d,1H,J=4Hz),6.78(d,1H,J=4Hz),5.42(br s,2H),3.58(s,2H),1.78(m,2H),1.51−1.59(m,4H),1.42−1.49(m,2H),1.21−1.29(m,4H),0.74−0.98(m,10H)。
【0305】
実施例33
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法E
【0306】
【化42】

【0307】
A.4−(2−メトキシエトキシ)−1−[(トリ−n−ブチル)スタンニルベンゼン
4−(メトキシエトキシ)−1−ブロモベンゼン(1.155g、5.0ミリモル)の無水THF(12mL)溶液を撹拌、冷却(−70℃)して、窒素雰囲気下で2.4Nのn−ブチルリチウムのヘキサン(2.3mL,5.5ミリモル)溶液で滴下処理し、−70℃で45分間撹拌する。反応器の温度を−65℃以下に保つように、トリ−n−ブチルスタンニルクロリドの溶液(1.82mL、6.7ミリモル)を滴下して、混合物を−70℃で2.5時間撹拌し、次いで室温まで温めて、水と飽和塩化アンモニウムの1:1混合物(10mL)で反応を停止する。混合物をEtOAc(50mL)で抽出して、有機溶液を分離し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留油状物をヘプタンに溶解し、シリカゲルカラムに付して、TEAの0.1%溶液(ヘプタンとEtOAcの9:1混合物中)で溶出すると、4−(2−メトキシエトキシ)−1−[(トリ−n−ブチル)スタンニルベンゼンが無色の油状物として得られる。
MS:465.2(M+Na)。
H NMR(CDCl):δ7.35(d,2H,J=8.5Hz),6.92(d,2H,J=8.5Hz),4.12(t,2H,J=5Hz),3.75(t,2H J=5Hz),3.45(s,3H),1.51(m,6H),1.32(m,6H),1.02(m,6H),0.88(t,9H,J=7.5Hz)。
【0308】
B.2−{4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
実施例1の標題Cの化合物(0.461g、1.0ミリモル)と標題Aの化合物(0.552g、1.25ミリモル)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液を撹拌して、窒素気流下で10分以上脱気し、次いでジクロロパラジウムビス(トリフェニルホスフィン)(70mg、0.1ミリモル)及び塩化リチウム(75mg、1.8ミリモル)で処理して、窒素雰囲気下100℃で1.5時間加熱し、次いで室温まで冷却する。反応混合物をDCM(40mL)で希釈し、数分間撹拌し、セライト(登録商標)でろ過し、ろ液を真空下で濃縮して、残渣をDCMに溶解し、シリカゲルのショートカラムに付して、DCM、次いでEtOAcの1%DCM溶液、次いでEtOAcの2%DCM溶液で連続して溶出すると、2−(3−(4−クロロベンゾイル)ー5−(4−メトキシエトキシ)フェニル)−4−メチルチオフェン−2−イル)イソインドール−1,3−ジオンが黄色の固体として得られる。これを更に特徴付けせずに用いる。この中間体を1,2−ジクロロエタン(7mL)に溶解し、NBS(0.267g、1.5ミリモル)で処理し、窒素雰囲気下撹拌しながら加熱還流する。75%の過酸化ベンゾイル(40mg、0.124ミリモル)を加えて、更に1.5時間加熱還流する。更にNBS(0.134g、0.75ミリモル)及び過酸化ベンゾイル(20mg、0.062ミリモル)を加えて、更に1時間環流下に撹拌を続ける。混合物を室温まで冷却し、シリカゲルのカラムに直接加えて、EtOAcの1%DCM溶液、次いでEtOAcの2%DCM溶液で連続して溶出すると、2−{4−ブロモメチル−3−(4−クロロベンゾイル)−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが淡黄色の固体として得られる。
m.p.:142−145℃。
MS:633.8(M+Na)。
H NMR(CDCl):δ7.78(m,2H),7.73(m,2H),7.70(d,2H,J=8.5Hz),7.52(d,2H,J=8.5Hz),7.19(d,2H,J=8.5Hz),7.06(d,2H,J=8.5Hz),4.72(s 2H),4.20(t,2H,J=5Hz),3.80(t,2H,J=5Hz),3.48(s,3H)。
【0309】
C.{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Bの化合物(305.5mg、0.50ミリモル)の、ACNとTHFの2:1混合物(6mL)溶液/懸濁液を窒素雰囲気下に撹拌して、ジクロロヘキシルアミン(0.40mL,2ミリモル)で処理して、2時間60℃で加熱する。混合物を濃縮して溶媒をDCM(25mL)で置き換える。水酸化ナトリウム水溶液(0.1N、6mL)を加え、混合物を数分間撹拌して、層を分離する。有機溶液を、水(2×15mL)及び食塩水(15mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残渣をEtOHと水の9:1混合物(3mL)に溶解し、氷浴で冷却して、エチレンジアミン(120mg、2ミリモル)のEtOH(1mL)溶液を滴下して処理する。混合物を撹拌し、15分かけて室温まで温め、室温に1時間保持し、DCM(20mL)で希釈する。溶液をシリカゲルのパッドに加え、EtOAcで溶出して、ろ液を真空下に濃縮する。残渣を最小量のDCMに溶解し、ろ液をシリカゲルカラムに付して、EtOACとヘプタンの4:1混合物で溶出すると、黄橙色の固体が得られる。これをACNから再結晶すると、{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄橙色の結晶として得られる。
m.p.:162−164℃。
MS:581.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ7.77(d,2H,J=8.5Hz),7.41(d,2H,J=8.5Hz),7.27(d,2H,J=8.5Hz),6.93(d,2H,J=8.5Hz),5.38(br s,2H),4.15(t,2H,J=5Hz),3.77(t,2H,J=5Hz),3.47(br s,5H),1.74(m,2H),1.47−1.54(m,4H),1.40−1.46(m,2H),1.11−1.20(m,4H),0.66−0.96(m,10H)。
【0310】
実施例34
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法E
【0311】
【化43】

【0312】
実施例35の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:192−194℃。
MS:508.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ8.59(m,1H),7.76(d,2H,J=8.5Hz),7.66(m,1H),7.51(d,1H,J=8Hz),7.42(d,2H,J=8.5Hz),7.13(m,1H),5.63(br s,2H),3.73(s,2H),1.84(m,2H),1.48−1.56(m,4H),1.39−1.47(m,2H),1.20−1.28(m,4H),0.74−0.98(m,10H)。
【0313】
実施例35
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法E
【0314】
【化44】

【0315】
実施例35の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:168−170℃。
MS:508.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ8.63(m,1H),8.55(m,1H),7.77(d,2H,J=8.5Hz),7.68(m,1H),7.44(d,2H,J=8.5Hz),7.32(m,1H),5.45(br s,2H),3.51(s,2H),1.78(m,2H),1.48−1.55(m,4H),1.40−1.47(m,2H),1.10−1.18(m,4H),0.66−0.98(m,10H)。
【0316】
実施例36
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法E
【0317】
【化45】

【0318】
実施例35の記載と同様に標題化合物を製造する。
m.p.:214−216℃。
MS:508.2(M+H)。
H NMR(CDCl):δ8.60(d,2H,J=6Hz),7.77(d,2H,J=8.5Hz),7.44(d,2H,J=8.5Hz),7.28(d,2H,J=6Hz),5.49(br s,2H),3.58(s,2H),1.77(m,2H),1.48−1.55(m,4H),1.41−1.47(m,2H),1.13−1.21(m,4H),0.68−0.98(m,10H)。
【0319】
実施例37
(E)−{2−アミノ−5−(3−シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法F
【0320】
【化46】

【0321】
A.2−(5−ブロモー3−(4−クロロベンゾイル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル)イソインドール−1,3−ジオン
実施例17の標題Aの化合物(8.09g、15ミリモル)のTHF(250mL)溶液を撹拌して、10%の重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で処理し、14時間還流し、次いで室温まで冷却して、層を分離する。有機層を真空下で濃縮して、残渣をトルエン(500mL)及び氷酢酸(5mL)に溶解し、次いで19時間還流する。追加の氷酢酸(5mL)で処理して、更に5時間還流する。混合物を真空下で濃縮し、残渣をDCMに溶解し、シリカゲルのパッドに付して、EtOAcとヘプタンの1:1混合物で溶出する。所望の化合物を含有している溶出液を濃縮した後、ACNに溶解し、粉末活性炭(3g)で処理し、数分間撹拌して温めて、セライト(登録商標)でろ過する。ろ液を真空下で濃縮して、残留物をEtOAc/ヘプタンから再結晶(2回)すると、2−(5−ブロモー3−(4−クロロベンゾイル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル)イソインドール−1,3−ジオンが非常に淡い黄色の固体として得られる。
m.p.:170−172℃。
MS:499.8(M+Na)。
H NMR(CDCl):δ7.71−7.78(m,4H),7.59(d,2H,J=8.5Hz),7.16(d,2H,J=8.5Hz),4.61(d,2H,J=6Hz)。
【0322】
B.(E)−2−[3−(4−クロロベンゾイル)−5−(シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
3−シクロヘキシル−1−プロピン(0.611g、5ミリモル)の無水THF(5mL)溶液を窒素雰囲気下に撹拌、冷却(3℃)して、1Nのカテコールボラン/THF(6mL、6ミリモル)で滴下処理し、混合物を2時間還流して、真空下で濃縮する。残渣を氷上で冷却して、1NのHCl(12mL)で反応を停止した後、DCM(30mL)を加えて、混合物を数分間撹拌して層を分離する。有機溶液を水(2×15mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、約10mL容量まで濃縮して、1,4−ジオキサン(10mL)で希釈する。残りのDCMを真空下で除去して、1,4−ジオキサン溶液を窒素雰囲気下の3つ口、50mLフラスコに移す。標題Aの化合物(477mg、1.0ミリモル)及び水2滴をフラスコに加えて、溶液を窒素気流下に10分間脱気する。混合物を[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(82mg、0.10ミリモル)及びフッ化セシウム(0.50g、3.3ミリモル)で処理し、攪拌しながら45℃に1時間、次いで70℃に1時間加熱して、最後に室温まで冷却する(LCMS分析で反応完了)。DCM(30mL)を加えて、混合物をセライト(登録商標)でろ過する(ケーキを追加のDCMで洗浄する)。ろ液を真空下で濃縮し、最小量のDCMに溶解し、シリカゲルカラムに付して、ヘプタンとEtOAcの3:1混合物で溶出し、所望生成物を含有している画分を濃縮した後に黄色の泡状物が得られる。この泡状物を、少量のEtOAcを含有している石油エーテルで粉砕すると、(E)−2−[3−(4−クロロベンゾイル)−5−(シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが淡黄色の固体として得られる。
m.p.:113−116℃。
MS:502.0(M−OH)。
H NMR(CDCl):δ7.73(m,4H),7.58(d,2H,J=8.5Hz),7.14(d,2H,J=8.5Hz),6.69(d,1H,J=16Hz),6.20(dt,1H,J=16Hz,7.5Hz),4.56(d,2H,J=7Hz),3.54(t,1H,J=7Hz),2.15(t,2H,J=7Hz),1.65−1.80(m,5H),1.36−1.46(m,1H),1.14−1.30(m,3H),0.90−1.02(m,2H)。
【0323】
C.(E)−{2−アミノ−5−(3−シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Bの化合物(328mg、0.63ミリモル)とTEA(0.175mL、1.2ミリモル)の無水DCM(5mL)溶液を撹拌、冷却(3℃)して、窒素雰囲気下で、無水DCM(0.5mL)中の塩化メタンスルホニル(103mg、0.90ミリモル)で処理して、3℃で1時間撹拌する。追加のTEA(0.175mL、1.2ミリモル)及び塩化メタンスルホニル(103mg、0.90ミリモル)を加えて、混合物を1時間撹拌し、室温まで温め、次いでDCM(15mL)で希釈する。溶液を水と飽和重炭酸ナトリウムの1:1混合物(10mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、真空下で濃縮して、残渣をACNとTHFの2:1混合物に溶解する。ジシクロヘキシルアミン(1.0mL、5ミリモル)を加えて、混合物を60℃に1.5時間加熱し、真空下で濃縮して、DCM(25mL)に溶解する。0.1Nの水酸化ナトリウム溶液(20mL)を加えて、混合物を数分間撹拌して、層を分離する。有機溶液を水(2×10mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残渣をEtOHと水の9:1混合物(5mL)に溶解し、氷浴中で冷却して、EtOHと水の9:1混合物(1mL)中のエチレンジアミン(0.20ml、3ミリモル)で処理する。混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いでDCM(25mL)で希釈し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、シリカゲルのパッドに添加する。これをEtOAcで溶出して、ろ液を真空下で濃縮する。残渣を最小量のDCM/ヘプタンに溶解して、溶液をシリカゲルカラムに付して、EtOACとヘプタンの1:4混合物で溶出すると、黄色の固体が得られる。ACNで粉砕すると、(E)−{2−アミノ−5−(3−シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。
m.p.:147−150℃。
MS:553.2(M+H)。
H NMR (CDCl):δ7.63(d,2H,J=8.5Hz),7.37 (d,2H,J=8.5Hz),6.63(d,1H,J=16Hz),5.69(dt,1H,J=16Hz,7.5Hz),5.60(br s,2H),3.42(s,2H),2.15(t,2H,J=7Hz),1.85−1.95(m,2H),1.66−1.76(m,4H),1.56−1.63(m,4H),1.45−1.52(m,2H)。
【0324】
実施例38
(E)−{2−アミノ−5−[3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル]−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン、方法F
【0325】
【化47】

【0326】
A.2−[5−ブロモ−3−4−クロロベンゾイル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオン
実施例17の標題Aの化合物(8.09g、15ミリモル)のTHF(250mL)溶液を撹拌し、10%の重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で処理して、14時間還流し、次いで冷却して層を分離する。有機層を真空下で濃縮し、残渣をトルエン(500mL)及び氷酢酸(5mL)に溶解し、19時間還流し、追加の氷酢酸(5mL)で処理して、更に5時間還流する。混合物を真空下で濃縮し、残渣をDCMに溶解し、シリカゲルのパッドに付して、EtOAcとヘプタンの1:1混合物で溶出する。濃縮したろ液をACNに溶解し、粉末活性炭(3g)で処理し、温め、数分間撹拌して、セライト(登録商標)でろ過する。ろ液を真空下で濃縮して、残留物をEtOAc/ヘプタンから再結晶(2回)すると、2−[5−ブロモ−3−(4−クロロベンゾイル)−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル]イソインドール−1,3−ジオンが非常に淡い黄色の固体として得られる。
m.p.:170−172℃。
MS:499.8(M+Na)。
H NMR(CDCl):δ7.71−7.78(m,4H),7.59(d,2H,J=8.5Hz),7.16(d,2H,J=8.5Hz),4.61(d,2H,J=6Hz)。
【0327】
B.3−(4−クロロフェニル)プロピン
4−クロロベンズアルデヒド(1.41g、10ミリモル)の無水THF(20mL)溶液を氷冷(3℃)、撹拌して、0.5Nの臭化エチニルマグネシウム(24mL、12ミリモル)で滴下処理し、混合物を3℃で30分間、室温で30分間撹拌して、再冷却(3℃)する。飽和アンモニウム水溶液(2.5mL)次いで水(10mL)を加えて、混合物を数分撹拌した後、分離する。水溶液をエーテル(20mL)で抽出して、合わせた有機溶液を水(25mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残渣を最小量のヘプタン/DCMに溶解し、シリカゲルカラムに付して、ヘプタンとEtOAcの3:1混合物で溶出すると、3−(4−クロロフェニル)プロピン−3−オールが得られ、これは更に特徴付けせずにそのまま用いる。中間体3−(4−クロロフェニル)プロピン−3−オールを窒素雰囲気下で、100mLフラスコ中の無水DCM(20mL)に溶解して、トリエチルシラン(3.2mL、20ミリモル)で処理する。混合物を撹拌、冷却(3℃)して、トリフルオロ酢酸(3mL、40ミリモル)で処理し、室温で2時間撹拌して、再冷却(3℃)する。トリフルオロ酢酸が中和するまで、重炭酸ナトリウム水溶液を注意深く加えて、層を分離する。水溶液をDCM(10mL)で抽出して、合わせた有機溶液を乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残渣をヘプタンに溶解し、シリカゲルカラムに付して、ヘプタンで溶出すると、3−(4−クロロフェニル)プロピンが無色の油状物として得られる。
H NMR(CDCl):δ7.29(m,4H),3.58(d,2H,J=3Hz),2.20(t,1H,J=3Hz)。
【0328】
C.(E)−2−{3−(4−クロロベンゾイル)−5−[3−(4−クロロフェニル)プロペ−1−ニル]−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオン
標題Bの化合物(0.377g、2.55ミリモル)の無水THF(3mL)溶液を窒素雰囲気下、撹拌、冷却(3℃)して、1Nのカテコールボラン/THF(3mL、3ミリモル)で滴下処理し、混合物を2時間還流して、真空下で濃縮する。残渣を氷の上で冷却して、1NのHCl(6mL)で反応を停止する。次いでDCM(20mL)を加え、混合物を数分間撹拌して、層を分離する。有機溶液を水(2×15mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、次いで5mL容量までゆっくり濃縮して、1,4−ジオキサン(10mL)で希釈する。残りのDCMを真空下でゆっくり除去して、溶液を窒素雰囲気下で、3つ口の50mLフラスコに移す。このフラスコに標題Aの化合物(596mg、1.25ミリモル)及び水2滴を加えて、溶液を窒素気流下で10分間脱気する。混合物を[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯化合物(102mg、0.125ミリモル)及びフッ化セシウム(0.60g、4ミリモル)で処理し、撹拌して45℃で45分間、65℃で10時間加熱した後、室温まで冷却する(LCMS分析で反応完了)。DCM(25mL)を加えて、混合物をセライト(登録商標)でろ過(DCMで洗浄)する。残渣を酢酸の3%トルエン溶液(10mL)に溶解して3時間還流し、次いで室温まで冷却して、イソプロパノール(3mL)、水(5mL)、及び飽和重炭酸ナトリウム(5mL)で処理する。層を分離して、水溶液をEtOAc(15mL)で抽出する。合わせた有機溶液を乾燥(MgSO)し、セライト(登録商標)でろ過して、ろ液を真空下で濃縮する。残渣を最小量のDCMに溶解し、シリカゲルカラムに付して、EtOAcの2%、次いで3%、次いで4%DCM溶液で連続して溶出すると、(E)−2−{3−(4−クロロベンゾイル)−5−[3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル]−4−(ヒドロキシメチル)チオフェン−2−イル}イソインドール−1,3−ジオンが淡黄色の泡状物質として得られる。
MS:530.0(M−OH)。
H NMR(CDCl):δ7.73(m,4H),7.57(d,2H,J=8.5Hz),7.30(d,2H,J=8.5Hz),7.15(m,4H),6.78(d,1H,J=16Hz),6.30(dt,1H,J=16Hz,7.5Hz),4.55(d,2H,J=7Hz),3.55 (m,3H)。
【0329】
D.(E)−{2−アミノ−5−[3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル]−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン
標題Cの化合物(180mg、0.328ミリモル)とTEA(0.07mL、0.5ミリモル)の無水DCM(3mL)溶液を、窒素雰囲気下に撹拌及び冷却(3℃)して、無水DCM(0.5mL)中の塩化メタンスルホニル(46mg、0.40ミリモル)で処理して、3℃で1時間撹拌する。更なるTEA(0.07mL、0.5ミリモル)及び塩化メタンスルホニル(46mg、0.40ミリモル)を加えて、混合物を30分間撹拌した後、室温まで温めてDCM(1mL)で希釈する。溶液を水(10mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)して、真空下である程度に濃縮する。ジシクロヘキシルアミン(0.4mL、2ミリモル)及びACN(4mL)を加えて、残りのDCMを除去する。THF(2mL)を加えて、混合物を60℃で2時間加熱し、真空下で濃縮して、混合物をDCM(25mL)に溶解する。0.1Nの水酸化ナトリウム(10mL)を加え、混合物を数分間撹拌して、層を分離する。有機溶液を水(2×10mL)、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、真空下で濃縮する。残渣をEtOHと水の9:1混合物(3mL)に溶解し、氷浴中で冷却して、エチレンジアミン(0.12mL、1.8ミリモル)のEtOHと水の9:1混合物(1mL)溶液で処理する。混合物を室温で2時間撹拌し、次いでDCM(20mL)で希釈し、乾燥(NaSO)し、ろ過して、シリカゲルのパッドに添加する。これをEtOAcで溶出して、真空下で濃縮する。残渣を最小量のDCMに溶解して、シリカゲルカラムに添加し、これをEtOAcの10%DCM溶液、次いでヘプタンとEtOAcの3:1混合物で溶出すると黄色の固体が得られる。これをACNで粉砕すると、(E)−{2−アミノ−5−[3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル]−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノンが黄色の固体として得られる。
m.p.:143−146℃。
MS:581.2(M+1)。
H NMR(CDCl):δ7.61(d,2H,J=8.5Hz),7.38(d,2H,J=8.5Hz),7.26(d,2H,J=8.5Hz),7.13(d,2H,J=8.5Hz),6.77(d,1H,J=16Hz),5.78(dt,1H,J=16Hz,7.5Hz),5.67(br s,2H),3.45(d,2H,J=7.5Hz),3.38(s,2H),1.94(m,2H),1.57−1.64(m,4H),1.45−1.53(m,2H),1.30−1.38(m,4H),0.80−1.06(m, 10H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化48】

(式中の、Wは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリルであり;
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである):
の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(IA):
【化49】

(式中の、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリルであり;
、R及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、又は置換アルコキシであるか;又は
及びRは結合して、それらが結合している炭素原子と共に4〜7員の縮合環を形成するアルキレンであり(但し、R及びRは互いに隣接する炭素原子に結合する場合に限る);
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである):
を有する請求項1に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(IB):
【化50】

(式中の、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリルであり;
、R及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、又は置換アルコキシであり;
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである):
を有する請求項2に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、又は置換アリールである、請求項3に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、単環式アリール、又は置換単環式アリールである、請求項4に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
及びRが、互いに独立して、アルキル、又は置換アルキルである、請求項4に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項7】
及びRが、水素である、請求項4に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、ハロゲン、シアノ、又はトリフルオロメチルである、請求項7に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
及びRが、水素である、請求項4に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項10】
が、ハロゲン、シアノ、又はトリフルオロメチルである、請求項9に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項11】
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジアリールアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(t−ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジメチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ブチル(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(4−シアノフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(4−t−ブチルフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(2−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジブチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジイソブチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(シクロヘキシル(プロピル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{4−[(アリル(シクロヘキシル)アミノ)メチル]−2−アミノ−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{4−[(2−メトキシ−2−オキソエチル)メチルアミノ)メチル]−2−アミノ−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジネオペンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(1−アダマンチルアミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((3,4−ジクロロフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[((4−メチルフェニル)(メチル)アミノ)メチル]−5−フェニルチオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−5−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−イソプロポキシフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(3,5−ジフルオロフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メチルフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(4−メトキシフェニル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジイソプロピルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(メチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(エチル(フェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(4−フルオロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(4−クロロフェニル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(メチル(4−トリフルオロメチルフェニル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ベンジル(メチル)アミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(チオフェン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(フラン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{5−アミノ−5’−クロロ−3−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−2,2’−ビチオフェン−4−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
(E)−{2−アミノ−5−(3−シクロヘキシルプロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
(E)−{2−アミノ−5−(3−(4−クロロフェニル)プロペン−1−イル)−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−2−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−3−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;及び
{2−アミノ−4−[(ジシクロヘキシルアミノ)メチル]−5−(ピリジン−4−イル)チオフェン−3−イル}(4−クロロフェニル)メタノン;
よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項12】
薬剤として用いるための、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物の治療有効量を、1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体と共に含有してなる、医薬組成物。
【請求項14】
疼痛、心臓疾患又は障害、神経疾患又は損傷、睡眠障害、てんかん及び鬱病を治療するための、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
疼痛が、神経因性疼痛である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
疼痛が、炎症性の疼痛である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
心臓疾患又は障害が、心不整脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中よりなる群から選ばれる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
アデノシン受容体が介在する疾患を治療する薬剤を製造するための、請求項13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
アデノシン受容体が介在する疾患を治療する薬剤を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項20】
アデノシン受容体が介在する疾患が、疼痛、心臓疾患又は障害、神経疾患又は損傷、睡眠障害、てんかん及び鬱病よりなる群から選ばれる、請求項18又は19に記載の使用。
【請求項21】
疼痛が、神経因性疼痛である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
疼痛が、炎症性の疼痛である、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
心臓疾患又は障害が、心不整脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中よりなる群から選ばれる、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
方法が、式(I):
【化51】

(式中の、Wは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり;
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである):
の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の治療有効量を、調節が必要な哺乳動物に投与することを含有してなる、哺乳動物においてAアデノシン受容体を調節する方法。
【請求項25】
方法が、式(I):
【化52】

(式中の、Wは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールであり;
及びRは、互いに独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである):
の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の治療有効量を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含有してなる、哺乳動物におけるAアデノシン受容体が介在する疾患の治療方法。
【請求項26】
アデノシン受容体が介在する疾患が、疼痛、心臓疾患又は障害、神経疾患又は損傷、睡眠障害、てんかん及び鬱病よりなる群から選ばれる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
疼痛が、神経因性疼痛である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
疼痛が、炎症性の疼痛である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
心臓疾患又は障害が、心不整脈、狭心症、心筋梗塞及び卒中よりなる群から選ばれる、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2011−519955(P2011−519955A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508710(P2011−508710)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/043320
【国際公開番号】WO2009/137782
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(504043015)キング・ファーマシューティカルズ・リサーチ・アンド・デベロプメント・インコーポレイティッド (17)
【Fターム(参考)】