説明

A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用した、気道のリモデリングおよび肺の炎症の予防および処置の方法

【課題】A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用して、気道のリモデリングを予防する方法の提供。
【解決手段】本発明は、喘息、COPD、肺線維症、気腫、およびその他の肺疾患の処置および予防における有用性を発見する。本発明は、この方法において使用される薬学的組成物にも関連している。遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングおよび/または肺の炎症にかかりやすい哺乳動物への治療学的に有効な量のA2B受容体アンタゴニストの投与による、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症の処置および予防のための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用して、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を予防する方法に関連している。本発明は、喘息、COPD、肺線維症、気腫、およびその他の肺疾患の処置および予防における有用性を発見する。本発明は、この方法において使用される薬学的組成物にも関連している。
【背景技術】
【0002】
(背景)
Asthma and Allergy Foundation of AmericaおよびNational Pharmaceutical Councilによると、現在おおよそ1,700万人のアメリカ人が喘息に苦しんでいる。これは、最も一般的な慢性の小児疾患で、20人に1人以上の子供、合計で約500万人の子供たちが冒されており、これは、AIDSおよび結核に加えて、死亡率が増加している唯一の慢性疾患である。毎年、5,000人以上のアメリカ人が喘息で死亡している。
【0003】
1998年の喘息にかかった年間費用は、113億ドルと概算された。直接費用が75億ドルを占め、非直接費用が38億ドルを占めた。入院が費用の1つの最も大きい部分を占め、約50万人の入院、救命救急病棟への訪問が160万人、および一般病院への訪問が1,000万人にのぼった。明らかに、この症状を処置する新たな方法の必要性が大いにある。
【0004】
非特許文献1によって討議されているように、喘息の発病における気道のリモデリングの影響は、この症状が全く可逆の疾患であると考えられていたことから、以前は知られていなかった。しかしながら、さらに最近の研究で、喘息の間に重度の気道のリモデリングが起こり、このリモデリングの程度は通常症状の重症度に比例することが明らかになっている。リモデリングは、典型的に、気道の壁の肥厚化、上皮線維症の発病、筋細胞の筋肉重量の増加、筋線維芽細胞増殖、および粘液化生として現れる。気道のリモデリングは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および肺線維症の進行の一般的な要因でもある。肺の炎症は、気道のリモデリングの発病の際の一般的要素でもあり、細気管支炎、肺胞炎、および/または脈管炎によって特徴を現され得る。
【0005】
気道のリモデリングと喘息との相互関係は、喘息研究の新たな道を与える。最近では、皮質ステロイドおよびロイコトリエン受容体アンタゴニストの、気道のリモデリングを予防または処置する能力が報告されている(非特許文献2を参照のこと)。皮質ステロイドの長期にわたる処置の負の副作用の恐れ、およびロイコトリエン受容体アンタゴニストの効能に関する不確実性を考慮に入れると、気道のリモデリングを抑制する他の方法の必要性が大いにある。
【0006】
アデノシンは、喘息およびCOPDにおいて役割を果たすと知られている(非特許文献3;非特許文献4;および非特許文献5を参照せよ)。アデノシンの関与を支持する臨床的な証拠としては:
1) アレルゲンを喘息患者内に負荷させることで、アデノシンの血漿濃度が上昇し、喘息およびCOPD患者の気管支肺胞洗浄液内のアデノシンのレベルが上昇する(非特許文献6)
2) アデノシン(AMPとして定められる)は、喘息の被験者内では気管支収縮を含むが、正常者内では含まず(非特許文献7)、それはマスト細胞から放出されるメディエイタ(例えば、ヒスタミン、トリプターゼ、LTC4およびPDG2)の濃度を上昇させる(非特許文献8)。アデノシン誘発気管支収縮は、マスト細胞の活性を抑制、またはマスト細胞から放出されるメディエイタに対するアンタゴニストとしての働きをするかどちらかの薬剤によって、減衰する。ゆえに、アデノシン誘発気管支縮小の可能なメカニズムは、おそらくマスト細胞の活性に直接起因する(非特許文献9および非特許文献10)。
【0007】
3) アデノシンは、好酸球増加症および炎症を誘発することも分かっている。AMP−負荷の全体的な効果および潜在的な臨床的有用性は、非特許文献11による最近の論評記事内に要約されているが挙げられる。
【0008】
アデノシンは、天然に存在するヌクレオシドで、A、A2A、A2B、およびAとして知られており、これら全てが重要な生理学的プロセスを調整するアデノシン受容体のファミリーと相互作用しあうことで、その生物学的効果を及ぼす。多種の受容体の中で、A2Bアデノシン受容体は、それらのマスト細胞の活性、血管拡張、および細胞増殖の調整との関連によって、喘息に最も大きく関わっていると考えられている(非特許文献12;非特許文献13を参照のこと)。特定的に、アデノシンA2B受容体アンタゴニストは、マスト細胞の活性に影響をおよぼすことが明らかになっており、ゆえに、急性の気道の過敏反応の抑制に結び付けられている。驚くべきことに、現在では、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストは、気道のリモデリングおよび肺の炎症の予防においても有用であることが分かっている。
【0009】
したがって、強力で完全にまたは部分的に選択的な化合物、A2Bアンタゴニスト、すなわちA2Bアデノシン受容体を阻害する化合物、を投与することで、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を予防する方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Elias et al.J.Clin.Inv.、(1999)、104(8):1001−1006
【非特許文献2】Hoshino Chin Rev Allergy Immuno.(2004)27(1):59−64
【非特許文献3】Spicuzza et al.TiPS.(2003) 24(8):409−4130
【非特許文献4】Mann et al、J Appl Physiol(1986) 61:1667−1676
【非特許文献5】Feoktistov et al、Trends Pharmacol Sci (1998)19:148−153
【非特許文献6】Driver et al、Am Rev Respir Dis (1993).148:91−97
【非特許文献7】Cushley et al、Br J Clin Pharmacol (1983)15:161−165
【非特許文献8】Crimi et al、Allergy (1997)52:48−54
【非特許文献9】Polosa et al,Thorax (2002)57:649−654
【非特許文献10】Polosa Eur Respir J(2002)20:488−496
【非特許文献11】Spicuzza and Polosa、Curr Opin Allergy Clin Immunol (2003)3:65−69
【非特許文献12】Adenosine A2B Receptors as Therapeutic Targets、Drug Dev Res 45:198
【非特許文献13】Feoktistov et al.、Trends Pharmacol Sci 19:148−153
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(本発明の概要)
本発明の一つの実施形態において、遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングおよび肺の炎症にかかりやすい哺乳動物へ治療学的に有効な量のA2B受容体アンタゴニストを投与することで、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を処置および予防する方法が提供される。
【0012】
別の実施形態において、遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングおよび肺の炎症にかかりやすい哺乳動物へ、治療学的に有効な量の式Iまたは式II:
【0013】
【化2】

の構造を有するA2B受容体アンタゴニストを投与することで、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を処置および予防する方法が提供され、
ここで:
およびRが独立して、水素、任意に置換されたアルキル、または−D−E基から選択
され、ここでDは共有結合またはアルキレンであり、Eは任意に置換されたアルコキシ
、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘ
テロアリール、任意に置換された複素環、任意に置換されたアルケニル、または任意に
置換されたアルキニルであり、但し、Dが共有結合の場合、Eはアルコキシであり得な
い;
が、水素、任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたシクロアルキルであり;
Xが、任意に置換されたアリーレンまたは任意に置換されたヘテロアリーレンであり;
Yが、共有結合またはアルキレンであり、ここで、1つの炭素原子が任意に、−O−、−
S−、または−NH−によって置き換えられ得、任意にヒドロキシ、アルコキシ、任意
に置換されたアミノ、または−CORによって置換され、ここで、Rはヒドロキシ、ア
ルコキシ、またはアミノであり;および
Zが、任意に置換された単環式アリールまたは任意に置換された単環式ヘテロアリールで
あり;または
Xが任意に置換されたヘテロアリーレン、Yが共有結合である場合、Zは水素である。
【0014】
本発明の別の実施形態において、治療的に有効な量のA2B受容体アンタゴニスト、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的処方物が提供される。この処方物は望ましくは経口投与用である。
【0015】
式IおよびIIの化合物の1つの望ましいグループは、RおよびRが独立して、水素、任意に置換された低級アルキル、または−D−E基であり、ここでDは共有結合またはアルキレンであり、Eは任意に置換されたフェニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、特にここではRが水素である。
【0016】
このグループ内で、化合物の第一の望ましいクラスは、RおよびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキル、望ましくはn−プロピルで、Xが任意に置換されたフェニレンであるクラスを含む。このクラス内で、化合物の望ましいサブクラスは、Yがアルキレンで、ここで炭素原子が酸素、望ましくは−O−CH−で置き換えられ、さらに特別にこの酸素がフェニレンとの結合点であるアルキレンであるサブクラスである。このサブクラス内で、Zが任意に置換されたオキサジアゾールで、特に任意に置換された[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル、特に任意に置換されたフェニルまたは任意に置換されたピリジルによって置換された[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルであることが望ましい。
【0017】
化合物の第二の望ましいクラスは、Xが任意に置換された1,4−ピラゾレンであるクラスを含む。このクラス内で、化合物の望ましいサブクラスは、Yが共有結合またはアルキレン、特に低級アルキレンで、Zが水素、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたピリジル、または任意に置換されたオキサジアゾールであるサブクラスである。このサブクラス内で、一つの望ましい実施形態は、Rが任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルで、Rが水素である化合物を含む。さらに望ましい実施形態は、Yが−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたフェニルである化合物、またはYが−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたオキサジアゾール、特に3,5−[1,2,4]−オキサジアゾールである化合物、またはYが−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたピリジルである化合物を含む。このサブクラス内で、RおよびRが独立して、任意にシクロアルキル、特にn−プロピルで置換された低級アルキルである化合物も望ましい。さらに望ましいのは、Yが共有結合、−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが水素、任意に置換されたフェニル、または任意に置換されたピリジルであり、特にYが共有結合でZが水素である化合物である。
【0018】
現在、本発明中で使用するのに望ましい化合物は:
1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−プロピル−8−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−ブチル−8−(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−プロピル−8−[1−(フェニルエチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−ブチル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−メチル−3−sec−ブチル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジメチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−メチル−1−プロピル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−プロピル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−エチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(2−メトキシフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]エチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(4−カルボキシフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
2−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル(1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル))ピラゾリル]−2−フェニル酢酸;
8−{4−[5−(2−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−{4−[5−(3−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−{4−[5−(4−フルオロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(シクロプロピルメチル)−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−n−ブチル−8−[1−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−[1−({5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]イソオキサゾール−3−イル}メチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}安息香酸;
1,3−ジプロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)フェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
6−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}ピリジン−2−カルボン酸;
3−エチル−1−プロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)イソオキサゾール−3−イル]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(シクロプロピルメチル)−3−エチル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;および
3−エチル−1−(2−メチルプロピル)−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン
を含むが、これらに限定しない。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングおよび/または肺の炎症にかかりやすい哺乳動物への治療学的に有効な量のA2B受容体アンタゴニストの投与による、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症の処置および予防のための方法。
(項目2)
前記方法が気道のリモデリングの処置および予防のためである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記方法が肺の炎症の処置および予防のためである、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記哺乳動物がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記投与が全身性である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記投与が経口である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記投与が静脈内である、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記投与が筋肉内である、項目5に記載の方法。
(項目9)
前記投与が腹腔内である、項目5に記載の方法。
(項目10)
前記A2B受容体アンタゴニストが吸入によって投与される、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記哺乳動物が、喘息、肺線維症、およびCOPDから選択される疾患状態にかかっている、項目1記載の方法。
(項目12)
前記疾患状)が喘息である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記疾患状態が肺線維症である、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記疾患状態がCOPDである、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記A2B受容体アンタゴニストが式Iまたは式II:
【化1】


の構造を有し、ここで、
およびRが独立して、水素、任意に置換されたアルキル、または−D−E基から選択され、ここでDは共有結合またはアルキレンであり、Eは任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、但し、Dが共有結合の場合、Eはアルコキシであり得ず;
が、水素、任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたシクロアルキルであり;
Xが、任意に置換されたアリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
Yが、共有結合またはアルキレンであり、ここで、1つの炭素原子が任意に、−O−、−S−、または−NH−によって置き換えられ得、任意にヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノ、または−CORによって置換され、ここで、Rはヒドロキシ、アルコキシ、またはアミノであり;
但し、該任意の置換がヒドロキシまたはアミノである場合、該置換はヘテロ原子に隣接する炭素原子には存在し得ず;
および、
Zが、水素、任意に置換された単環式アリールまたは任意に置換された単環式ヘテロアリ
ールであり;
但し、
(a) Zは、Yが共有結合であり、Xが任意に、炭素原子によりプリン環に結合した置換1,4−ピラゾレンである場合のみ、水素であり;および
(b) Xが任意に置換されたアリーレンである場合、Zは、任意に置換されたイミダゾール以外の任意に置換された単環式ヘテロアリールである、
項目1に記載の方法。
(項目16)
およびRが独立して、水素、任意に置換された低級アルキル、または−D−E基であり、ここでDは共有結合またはアルキレンであり、Eは任意に置換されたフェニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、および
が水素である、項目15に記載の方法。
(項目17)
Xが、任意に置換されたフェニレンであり;および
Yが、共有結合または低級アルキレンで、ここで1つの炭素原子は任意に−O−、−S−、または−NH−によって置き換えられ得る、項目16に記載の方法。
(項目18)
およびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルである、項目17に記載の方法。
(項目19)
およびRがn−プロピルであり、Yが−OCH−であり、Zが任意に置換されたオキサジアゾールである、項目18に記載の方法。
(項目20)
Zが、5−(2−メトキシフェニル)−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)であり、すなわち8−{4−[5−(2−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目19に記載の方法。
(項目21)
Zが、5−(3−メトキシフェニル)−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)であり、すなわち8−{4−[5−(3−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目19に記載の方法。
(項目22)
Zが、5−(4−フルオロフェニル)−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)であり、すなわち8−{4−[5−(4−フルオロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目19に記載の方法。
(項目23)
Xが、任意に置換されたピラゾレンであり、
Yが、共有結合、任意にヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノまたは−CORによって置換された低級アルキレンで、ここで、Rはヒドロキシ、アルコキシ、またはアミノであり;および
Zが、水素、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたオキサジアゾリル、任意に置換されたイソオキサゾリル、または任意に置換されたピリジルである、項目16に記載の方法。
(項目24)
Xが任意に置換された1,4−ピラゾレンである、項目23に記載の方法。
(項目25)
Zが任意に置換されたフェニルである、項目24に記載の方法。
(項目26)
が任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、Rが水素であり、Yが−CH−または−CH(CH)である、項目25に記載の方法。
(項目27)
がn−プロピルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH−であり、Zが3−トリフルオロメチルフェニルであり、すなわち1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目26に記載の方法。
(項目28)
がn−プロピルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH−であり、Zがフェニルであり、すなわち1−プロピル−8−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目26に記載の方法。
(項目29)
がn−ブチルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH−であり、Zが3−フルオロフェニルであり、すわなち1−ブチル−8−(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目26に記載の方法。
(項目30)
がn−プロピルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH(CH)−であり、Zがフェニルであり、すなわち1−プロピル−8−[1−(フェニルエチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目26に記載の方法。
(項目31)
およびRが独立して、メチル、エチル、n−プロピル、またはシクロプロピルメチルであり、Yが任意にヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノまたは−CORによって置換され得るメチレンまたはエチレンであり、ここで、Rはヒドロキシ、アルコキシ、またはアミノである、項目25に記載の方法。
(項目32)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが3−(1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)フェニルであり、すなわち、1,3−ジプロピル−8−{1−[(3−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)フェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目33)
がn−プロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが3−トリフルオロメチルフェニルであり、すなわち3−エチル−1−プロピル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目34)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH(CH)−であり、Zが3−トリフルオロメチルフェニルであり、すなわち1,3−ジプロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]エチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目35)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが4−カルボキシフェニルであり、すなわち1,3−ジプロピル−8−{1−[(4−カルボキシフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目36)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが3−カルボキシフェニルであり、すなわち3−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}安息香酸である、項目31に記載の方法。
(項目37)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH(COH)−であり、Zがフェニルであり、すなわち2−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル(1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル))ピラゾリル]−2−フェニル酢酸である、項目31に記載の方法。
(項目38)
Zが任意に置換されたオキサジアゾールである、項目24に記載の方法。
(項目39)
が任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、RがHであり、Yが−CH−または−CH(CH)−である、項目38に記載の方法。
(項目40)
がn−プロピルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH−であり、Zが5−(4−クロロフェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルであり、すなわち8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目41)
がn−ブチルであり、Xが1,4−ピラゾレンであり、Yが−CH−であり、Zが5−(4−クロロフェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルであり、すなわち8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−ブチル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目31に記載の方法。
(項目42)
およびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、Yが−CH−または−CH(CH)−である、項目38に記載の化合物。
(項目43)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが3−(4−クロロフェニル)[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルであり、すなわち8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目42に記載の方法。
(項目44)
がn−プロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが3−(4−クロロフェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イルであり、すなわち8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目42に記載の方法。
(項目45)
Zが水素である、項目24に記載の方法。
(項目46)
およびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、Yが−CH−、−CH(CH)−または共有結合である、項目44に記載の方法。
(項目47)
およびRがn−プロピルであり、Yが共有結合であり、Zが水素であり、すなわち1,3−ジプロピル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目46に記載の方法。
(項目48)
がsec−ブチルであり、Rがメチルであり、Yが共有結合であり、Zが水素であり、すなわち1−メチル−3−sec−ブチル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目46に記載の方法。
(項目49)
Zが任意に置換されたイソオキサゾリルである、項目24に記載の方法。
(項目50)
およびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、Yが−CH−、−CH(CH)−または共有結合である、項目49に記載の方法。
(項目51)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが5−(4−トリフルオロメチルフェニル)イソオキサゾール−3−イルであり、すなわち1,3−ジプロピル−8−[1−({5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]イソオキサゾール−3−イル}メチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目50に記載の方法。
(項目52)
がn−プロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが5−(4−クロロフェニル)−イソオキサゾール−3−イルであり、すなわち8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)イソオキサゾール−3−イル]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目50に記載の方法。
(項目53)
Zが任意に置換されたピリジルである、項目24に記載の方法。
(項目54)
およびRが独立して、任意にシクロアルキルで置換された低級アルキルであり、Yが−CH−、−CH(CH)−または共有結合である、項目52に記載の方法。
(項目55)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zがピリド−2−イルであり、すなわち1,3−ジプロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
(項目56)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが2−トリフルオロメチルピリド−3−イルであり、すなわち1,3−ジプロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
(項目57)
およびRがn−プロピルであり、Yが−CH−であり、Zが6−カルボキシ−ピリド−2−イルであり、すなわち6−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}ピリジン−2−カルボン酸である、項目54に記載の方法。
(項目58)
がn−プロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが2−ピリジルであり、すなわち3−エチル−1−プロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
(項目59)
がn−プロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが6−(トリフルオロメチル)−ピリド−3−イルであり、すなわち3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
(項目60)
がシクロプロピルメチルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが6−(トリフルオロメチル)−ピリド−3−イルであり、すなわち1−(シクロプロピルメチル)−3−エチル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
(項目61)
が2−メチルプロピルであり、Rがエチルであり、Yが−CH−であり、Zが6−(トリフルオロメチル)−ピリド−3−イルであり、すなわち3−エチル−1−(2−メチルプロピル)−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンである、項目54に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
(図面の概要)
【図1】図1は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニストによる処置に従うアデノシンデアミナーゼ(ADA)−/−マウスにおける、肺の組織病理の違いを表している。肺を採取し、H&E染色を使用して、組織的分析の処理を行った。(A)ADA+ビヒクル処置をしたマウスからの肺。(B)ADA−/−ビヒクル処置をしたマウスからの肺。(C)ADA−/−アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたマウスからの肺。(D)ADA+ビヒクル処置をしたマウスの肺中のより高倍率の部分。(E)ADA−/−ビヒクル処置をしたマウスの肺中のより高倍率の部分。(F)ADA−/−アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたマウスの肺のより高倍率の部分。矢印は、肺胞マクロファージを示す。A−Cにおけるスケールバー=100μm、D−Fにおけるスケールバー=10μm。細片はそれぞれの処置からの6つの異なるサンプルの見本である。
【図2A】図2は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト(A2B−A)の気道の細胞性への影響を示している。(A)マウスをPBSで洗浄し、細胞の総数を測定した。(BおよびC)細胞を顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いて、DiffQuickで染色し、1つのサンプルごとに少なくとも200個の細胞を数えることで、細胞の差を測定した。値は、総細胞数の平均値×10±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり、n=8;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、n=6〜8である。
【図2B】図2は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト(A2B−A)の気道の細胞性への影響を示している。(A)マウスをPBSで洗浄し、細胞の総数を測定した。(BおよびC)細胞を顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いて、DiffQuickで染色し、1つのサンプルごとに少なくとも200個の細胞を数えることで、細胞の差を測定した。値は、総細胞数の平均値×10±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり、n=8;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、n=6〜8である。
【図2C】図2は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト(A2B−A)の気道の細胞性への影響を示している。(A)マウスをPBSで洗浄し、細胞の総数を測定した。(BおよびC)細胞を顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いて、DiffQuickで染色し、1つのサンプルごとに少なくとも200個の細胞を数えることで、細胞の差を測定した。値は、総細胞数の平均値×10±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり、n=8;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、n=6〜8である。
【図3】図3は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニストで処置したADA−/−マウス内のBAL細胞性の結果を示す。BAL液をマウスの肺から採取し、細胞を顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いて、DiffQuickで染色した。(A)ADA+ビヒクル処置、(B)ADA+アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置、(C)ADA−/−ビヒクル処置、(D)ADA−/−アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置。写真は、それぞれの状態の6つの区別したサンプルの見本である。スケールバー=10μm。
【図4】図4は、実施例21で述べたように、定量RT−PCRを使用して全ての肺の抽出物中の多種の前駆炎症サイトカインの転写レベルを測定したことを説明する。(A)IL−6(B)Eotaxin1(C)TARC。結果は、pg転写平均値±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、ADAマウスに対してn=4であり、ADA−/−マウスに対してn=8であり、n=検出されない。
【図5】図5は、α−平滑筋アクチンの免疫染色法の結果を示している。肺の部分を抗血清で染色し、α−平滑筋アクチンに対して筋線維芽細胞(茶色)を視覚化した。(A)ADAビヒクル処置をしたマウスからの肺。(B)ADA−/−ビヒクル処置をしたマウスからの肺。(C)ADA−/−アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたマウスからの肺。細片は、それぞれの処置からの6つの異なるマウスの見本である。スケールバー=100μm。
【図6−1】図6は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたADA−/−マウスの肺中のコラーゲン沈着を表している。肺の部分をMassonのTrichromeで染色し、コラーゲン沈着(青色)を視覚化した。(A)ADAビヒクル処置をしたマウスからの肺。(B)ADAアデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたマウスからの肺。(C)ADA−/−ビヒクル処置をしたマウスからの肺。(D)ADA−/−アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたマウスからの肺。細片は、それぞれの処置からの6つの異なるマウスの見本である。スケールバー=100μm。
【図6−2】(E)α−1プロコラーゲンの転写レベルは、pg転写/μgRNA平均値±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、ADAに対してn=4、ADA−/−に対してn=8である。(F)可溶なコラーゲンタンパクレベルは、1mlBAL液あたりのコラーゲンの平均値μg±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、ADAに対してn=4、ADA−/−に対してn=8である。
【図7】図7は、線維症関連の遺伝子の発現を示している。分析のために、多種の線維症関連の転写に対して定量RT−PCRを使用して全ての肺からRNAを抽出した。結果は、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたADA−/−マウスからの肺が、ビヒクル処置をしたADA−/−マウスの肺で観測されたものと比べて、TGF−β1(A)、オステオポンチン(OPN)(B)、およびプラスミノゲン活性因子の阻害因子−1(Pai−1)(C)に対して低いレベルの転写を示すことを実証する。、スチューデントのt検定を使用したADA動物と比較してp<0.05の場合有意であり;#、スチューデントのt検定を使用したADA−/−ビヒクル処置をしたマウスと比較してp<0.05の場合有意であり、ADAに対してn=4、ADA−/−に対してn=8である。
【図8】図8は、肺胞の気道破壊に関連した遺伝子の上昇を示している。定量RT−PCRを使用して、全ての肺のRNA抽出物内のTIMP−1、MMP−9、およびMMP−12の転写レベルを測定した。(A)TIMP−1。(B)MMP−9。(C)MMP−12。データは、pg転写/μgRNA平均値±標準誤差として表す。、スチューデントのt検定を使用したADAマウスと比較してp<0.05の場合有意であり;#、スチューデントのt検定を使用したビヒクル処置をしたADA−/−マウスと比較してp<0.05の場合有意であり、ADAマウスに対してn=4、ADA−/−マウスに対してn=8である。
【図9】図9は、実施例21で述べたように、アデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたADA−/−マウス内の肺胞破壊を表している。肺を採取し、H&E染色を使用して、組織的分析の処理を行った。(A)ADA+ビヒクル処置をしたマウスからの肺、(B)ADA−/−ビヒクル処置をしたマウスからの肺、(C)アデノシンA2B受容体アンタゴニストで処置をしたADA−/−マウスからの肺。写真は全て同じ倍率(10×)で撮影され、それぞれの処置のグループに対する6つの異なる動物からの発見を表している。(D)肺胞の気道のサイズは、ImageProを使用して計算し、データは線維の長さの平均値±標準誤差として表し、n=6である。(D)において、は、結果がADA+マウスとは大きく違うことを示し、**は、結果がADA−/−ビヒクル処置をしたマウスとは大きく違うことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(本発明の詳細な説明)
(定義および一般パラメータ)
本明細書中で使用されているとおり、以下の言葉および語句は、それらが使用されている文脈中で別に明示されない限り、一般的に以下に説明するとおりの意味を有すると、意図されている。
【0021】
用語「アルキル」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有するモノラジカルの分枝または非分枝状の飽和炭化水素鎖を示す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどのような基によって例示される。
【0022】
用語「置換アルキル」は:
1) 1、2、3、4または5個の置換基、望ましくは1〜3個の置換基を有する上記で定義されたようなアルキル基で、この置換基はアルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1、2、または3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2であるか;
2) 1〜10個の原子によって妨害される上記で定義されたようなアルキル基で、この原子は酸素、硫黄、およびNR−から選択され、ここでRは水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環から独立して選択される。全ての置換基は任意にアルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)Rでさらに置換され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2であるか;
3) 上記で定義されたように1、2、3、4または5個の置換基を有し、および上記で定義されたように1〜10個の原子からも妨害される、上記で定義されたようなアルキル基:を示す。
【0023】
用語「低級アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するモノラジカルの分枝または非分枝状の飽和炭化水素鎖を示す。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシルなどのような基によって例示される。
【0024】
用語「置換低級アルキル」は、置換アルキルの定義のように、1〜5個の置換基、望ましくは1、2または3個の置換基を有する上記で定義されたような低級アルキル基で、または上記で定義したように、置換アルキルの定義のように1、2、3、4、または5個の原子から妨害される低級アルキル基か、上記で定義したように、上記で定義したような1、2、3、4、または5個の置換基を有し、上記で定義したような1、2、3、4、または5個の原子から妨害される低級アルキル基を示す。
【0025】
用語「アルキレン」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子、望ましくは1〜10個の炭素原子、さらに望ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝状の飽和炭化水素鎖のジラジカルを示す。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)のような基によって例示される。
【0026】
用語「低級アルキレン」は、望ましくは1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝状の飽和炭化水素鎖のジラジカルを示す。
【0027】
用語「低級アルキレン」は、望ましくは1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する、分枝または非分枝状の飽和炭化水素鎖のジラジカルを示す。
【0028】
用語「置換アルキレン」は:
(1) 1、2、3、4または5個の置換基を有する上記で定義されたようなアルキレン基で、この置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1、2、または3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2であるか;
(2) 1〜20個の原子によって妨害される上記で定義されたようなアルキレン基で、この原子は酸素、硫黄、およびNR−から独立して選択され、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環であるか、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミドおよびスルホニルから選択される基であるか;
(3) 上記で定義されたように1、2、3、4または5個の置換基を有し、および上記で定義されたように1〜20個の原子からも妨害される、上記で定義されたようなアルキレン基。置換アルキレンの例としては、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)などが挙げられる。
である。
【0029】
用語「アラルキル」はアルキレン基に共有結合したアリール基を示し、ここでアリールおよびアルキレンは本明細書中に定義する。「任意に置換されたアラルキル」は、任意に置換されたアルキレン基と共有結合した任意に置換されたアリール基を示す。このようなアラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどによって例示される。
【0030】
用語「アルコキシ」は、R−O−基を示し、ここでRは任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたシクロアルキルであるか、Rは−Y−Z基で、ここでYは任意に置換されたアルキレンでZは任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル;または任意に置換されたシクロアルケニルであり、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニルは本明細書中で定義するとおりである。望ましいアルコキシ基は、任意に置換されたアルキル−O−であり、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0031】
用語「アルキルチオ」は、R−S−基を示し、ここでRはアルコキシで定義したとおりである。
【0032】
用語「アルケニル」は、モノラジカルの分枝または非分枝状の不飽和の炭化水素基を示し、望ましくは2〜20個の炭素を有し、さらに望ましいのは2〜10個の炭素原子を有し、もっとさらに望ましいのは2〜6個の炭素原子を有し、1〜6個の二重結合、望ましくは1個(ビニル)の二重結合を有する。望ましいアルケニル基としては、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが挙げられる。アルケニルが窒素と結合している場合、この二重結合は窒素に対してアルファではあり得ない。
【0033】
用語「低級アルケニル」は、上記に定義したような2〜6個の炭素原子を有するアルケニルを示す。
【0034】
用語「置換アルケニル」は、1、2、3、4または5個の置換基、望ましくは1、2または3個の置換基を有する上記で定義したようなアルケニル基で、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1、2、または3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0035】
用語「アルキニル」は、不飽和の炭化水素のモノラジカルを示し、望ましくは2〜20個の炭素原子を有し、さらに望ましくは2〜10個の炭素原子、もっとさらに望ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの、望ましくは1〜6個のアセチレン不飽和の位置(三重結合)を有する。望ましいアルケニル基としては、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(またはプロパ−1−イン―3−イル、−CHC≡CH)などが挙げられる。アルキニルが窒素に結合している場合、この三重結合は窒素に対してアルファではあり得ない。
【0036】
用語「置換アルキニル」は、1、2、3、4または5個の置換基、望ましくは1、2または3個の置換基を有する上記で定義したようなアルキニル基で、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1、2、または3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0037】
用語「アミノカルボニル」は、−C(O)NRR基を示し、ここでそれぞれのRは独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環であるか、両方のR基が一緒になって複素環基(たとえば、モルホリノ)を形成する。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0038】
用語「アシルアミノ」は、−NRC(O)R基を示し、ここでそれぞれのRは独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環である。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0039】
用語「アシルオキシ」は、−O(O)C−アルキル基、−O(O)C−シクロアルキル基、−O(O)C−アリール基、−O(O)C−ヘテロアリール基、および−O(O)C−複素環基を示す。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意にアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)Rでさらに置換され得、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0040】
用語「アリール」は、6〜20個の炭素原子の芳香族炭素環基を示し、単環(例えばフェニル)または多環(例えば、ビフェニル)、または縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する。望ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0041】
用語「アリーレン」は、上記で定義したようなアリール基のジラジカルを示す。この用語は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,4’−ビフェニレンなどのような基によって例示される。
【0042】
アリールまたはアリーレン置換基を定義により別に強制されない限り、このようなアリール基またはアリーレン基は、1〜5個の置換基、望ましくは1〜3個の置換基によって任意に置換され得、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0043】
用語「アリールオキシ」は、アリール−O−基を示し、ここでこのアリール基は上記で定義されたとおりで、任意に置換されたアリール基を含み、これも上記で定義されているとおりである。用語「アリールチオ」は、R−S−基を示し、ここでRはアリールで定義したとおりである。
【0044】
用語「アミノ」は、−NH基を示す。
【0045】
用語「置換アミノ」は、−NRR基を示し、ここでそれぞれのRは独立して水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(例えば、ベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリール、および複素環からなる群から選択され、但し両方のR基は水素でも−Y−Z基でもなく、ここでYは任意に置換されたアルキレンでありZはアルケニル、シクロアルケニルまたはアルキニルである。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0046】
用語「カルボキシアルキル」は、−C(O)O−アルキル基または−C(O)O−シクロアルキル基を示し、ここでアルキルおよびシクロアルキルは本明細書中に定義されるとおりで、任意にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)Rでさらに置換され得、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0047】
用語「シクロアルキル」は、単環のリングまたは多縮合環を有する3〜20個の炭素原子の炭素環式基を示す。このようなシクロアルキル基は、例として、単環構造(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど)または多環構造(例えば、アダマンタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル、(2,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル))またはアリール基が縮合している炭素環式基(例えば、インデンなど)が挙げられる。
【0048】
用語「置換シクロアルキル」は、1、2、3、4または5個の置換基、望ましくは1、2または3個の置換基を有するシクロアルキル基で、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1、2または3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0049】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、ブロモ、クロロ、およびヨードを示す。
【0050】
用語「アシル」は、−C(O)Rを示し、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換された複素環、任意に置換されたアリール、および任意に置換されたヘテロアリールである。
【0051】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環内に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の炭素原子、および酸素、窒素および硫黄から選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する、芳香族環基から派生したラジカル(すなわち、完全に不飽和)を示す。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)または多縮合環(例えば、インドリジニル、ベンゾチアゾリル、またはベンゾチエニル)を有し得る。ヘテロアリールの例としては、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、[1,3,4]チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリンなど、および窒素含有ヘテロアリール化合物のN−酸化物およびN−アルコキシの誘導体(例えば、ピリジン−N酸化物の誘導体)が挙げられるが、これらに限定しない。
【0052】
用語「ヘテロアリーレン」は、上記で定義されたようなヘテロアリール基のジラジカルを示す。この用語は、2,5−イミダゾレン、3,5−[1,2,4]オキサジアゾレン、2,4−オキサゾレン、1,4−ピラゾレンなどの基によって例示される。例えば、1,4−ピラゾレンは:
【0053】
【化3】

で、ここでAは結合の位置を示す。
【0054】
ヘテロアリールまたはヘテロアリーレン置換基を定義により別に強制されない限り、このようなヘテロアリール基またはヘテロアリーレン基は、1〜5個の置換基、望ましくは1〜3個の置換基によって任意に置換され得、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0055】
用語「ヘテロアラルキル」は、アルキレン基と共有結合したヘテロアリール基を示し、ここでヘテロアリールとアルキレンは本明細書中で定義されたとおりである。「任意に置換されたヘテロアラルキル」は、任意に置換されたアルキレン基と共有結合した任意に置換されたヘテロアリール基を示す。このようなヘテロアラルキル基は、3−ピリジルメチル、キノリン−8−イルエチル、4−メトキシチアゾール−2−イルプロピルなどによって例示される。
【0056】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−基を示す。
【0057】
用語「複素環式」は、環内に1〜40個の炭素原子、および、窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、望ましくは1、2、3または4個のヘテロ原子を有する、単環または多縮合環を有したモノラジカルの飽和した、または部分的に不飽和の基を示す。複素環式基は、単環または多縮合環を有し得、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジノ、ジヒドロピリジノなどが挙げられる。
【0058】
複素環式置換基を定義により別に強制されない限り、このような複素環式基は、1、2、3、4または5個の置換基、望ましくは1、2または3個の置換基によって任意に置換され得、この置換基はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、複素環チオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、複素環、複素環オキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。定義により別に強制されない限り、全ての置換基は任意に1〜3個の置換基によって、さらに置換され得、この置換基はアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択され、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0059】
用語「チオール」は、−SH基を示す。
【0060】
用語「置換アルキルチオ」は、−S−置換アルキル基を示す。
【0061】
用語「ヘテロアリールチオ」は、−S−ヘテロアリール基を示し、ここでヘテロアリール基は上記で定義されたとおりで、上記でも定義された任意に置換されたヘテロアリール基を含む。
【0062】
用語「スルホキシド」は、−S(O)R基を示し、ここでRはアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。「置換スルホキシド」は、−S(O)R基を示し、ここでRは、本明細書中で定義されたような置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである。
【0063】
用語「スルホン」は、−S(O)R基を示し、ここでRはアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。「置換スルホン」は、−S(O)R基を示し、ここでRは、本明細書中で定義されたような置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである。
【0064】
用語「ケト」は、−C(O)−基を示す。
【0065】
用語「チオカルボニル」は、−C(S)−基を示す。
【0066】
用語「カルボキシ」は、−C(O)−OH基を示す。
【0067】
「任意」または「任意に」は、記述した事象または状況がその後起こっても起こらなくてもよいこと、およびこの記述がこの事象または状況が起こる場合、および起こらない場合を含むことを意味する。
【0068】
用語「式Iおよび式IIの化合物」は、開示どおりの本発明の化合物、およびこのような化合物の薬学的に受容可能な塩、薬学的に受容可能なエステル、プロドラッグ、水和物、および多形体を含むことを意図されている。さらに、本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得、ラセミ混合物または個々のエナンチオマーまたはジアステレオマーとして生成され得る。所定の式Iの化合物内に存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数によって決まる(nを不斉中心の数とすると2個の立体異性体の存在が可能である)。個々の立体異性体は、合成の適切な段階における中間体のラセミまたは非ラセミ混合物を分割することによって、または通常の方法による式Iの化合物の分割によって、得られ得る。個々の立体異性体(個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)および立体異性体のラセミおよび非ラセミ混合物は、本発明の範囲内に含まれており、特定の明示が別になければ、これらの全ては本明細書の構造によって表されることが意図される。
【0069】
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。
【0070】
「立体異性体」は、原子の空間配置のみ異なる異性体である。
【0071】
「エナンチオマー」は、互いに重ねられない鏡像である立体異性体のペアである。エナンチオマーのペアの1:1の混合物は「ラセミ」混合である。用語「(±)」は、適切なラセミ混合を示す際に使用される。
【0072】
「ジアステレオアイソマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、それらが互いに鏡像でない立体異性体である。
【0073】
絶対立体化学は、Cahn−Ingold−Prelog R−Sシステムによって明示される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、それぞれのキラル炭素での立体化学はRまたはSのどちらかで明示され得る。絶対位置の分かっていない分割された化合物は、ナトリウムD線の波長での平面偏光をどちらの方向に旋回させるかによって(右旋のまたは左旋の)、(+)または(−)に表される。
【0074】
「局部投与」は、創傷の表面および隣接する上皮への治療学的因子の投与として定義され得る。
【0075】
「非経口的投与」は、患者への注射をとおした治療学的因子の全身性投与である。
【0076】
用語「治療学的に有効な量」は、このような処置の必要な哺乳動物に投与した際に、以下に定義するような処置をもたらすのに充分な式Iの化合物の量を示す。治療学的に有効な量は、使用される治療学的因子の特定の活性、および患者の年齢、身体的状態、その他の疾患状況の存在、および栄養状態によって、変わり得る。さらに、患者が受け得る他の投薬が、投与する治療学的に有効な量の治療学的因子の決定に影響する。
【0077】
用語「処置」または「処置する」は、哺乳動物の疾患のあらゆる処置を意味し:
(i)疾患を予防、すなわち疾患の臨床的症状を発病させないこと;
(ii)疾患を阻害、すなわち臨床的症状の発病を抑止すること;および/または
(iii)疾患を軽減、すなわち臨床的症状を後退させること;
を包含する。
【0078】
「遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングおよび/または肺の炎症にかかりやすい」という言い回しは、環境の状態(例えば、タバコの煙およびその他の汚染にさらされた環境、仕事場、家または趣味の場でスプレーまたは化学物質にさらされた環境、ほこり、草、かび、雑草、木、および動物のフケのような一般的なアレルゲンにさらされた環境、およびアスベスト、シリカ、および金属のほこりのような刺激物質にさらされた環境が挙げられるが、これらに限定しない)に影響されやすい哺乳動物を示す。遺伝的な疾病素質の例は、家族歴、またはADAM33遺伝子、TLR4多型、IL−3多型、CD14 C−159T多型などにおける疑わしい突然変異を遺伝的分析することで明示され得る。遺伝的疾病素質をスクリーニングする生命情報科学的方法は、Tomita et al.(2004)BMC Bioinformatics. (1):120によって紹介されている。気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を引き起こすものとして知られている別の状態および疾患状態としては、狼瘡、強皮症、結核症、およびリウマチ様動脈炎が挙げられるが、これらに限定しない。
【0079】
多くのケースで、本発明の化合物は、アミノ基および/またはカルボキシル基またはそれらに類似した基の存在によって、酸および/または塩基の塩を形成し得る。用語「薬学的に受容可能な塩」は、式Iの化合物の生物学的効果および特性を保持する塩を示し、これらは生物学的にもまたそうでなくても望ましくないものではない。薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機および有機塩基から調製され得る。無機の塩基から誘導された塩は、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機の塩基から誘導された塩は、第一、第二および第三アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、二複素環式アミン、三複素環式アミン、アミン上の少なくとも2つの置換基が異なり、それらがアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式からなる群から選択されるジ−およびトリ−アミンの混合など)からの塩が挙げられるが、これらに限定しない。また、2つまたは3つの置換基がアミノ窒素と一緒になって複素環式またはヘテロアリール基を形成するアミンも含む。
【0080】
適切なアミンの特定的な例としては、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ−(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0081】
薬学的に受容可能な酸付加塩は、無機および有機酸から調製され得る。無機の酸から誘導された塩は、塩酸、臭化水素酸、スルホン酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機の酸から誘導された塩は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0082】
本明細書中で使用されているとおり、「薬学的に受容可能なキャリア」としては、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性および抗真菌性の因子、等張性および吸収性遅延の因子などが挙げられる。薬学的な活性物質のためのこのような媒体および因子の使用は、当該分野においては周知である。通常の媒体または因子が活性成分と共存できない限りを除いては、治療学的組成物中でのこれらの使用が意図される。補充的な活性成分もまた組成物中に混合され得る。
【0083】
(命名法)
本発明の化合物の命名および番号のつけ方は、典型的な式Iの化合物で説明され、ここでRがn−プロピル、Rがn−プロピル、Rが水素、Xがフェニレン、Yが−O−(CH)、およびZが5−(2−メトキシフェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルで、
【0084】
【化4】

これは:
8−{4−[5−(2−メトキシフェニル)−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルメトキシ]−フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンと命名される。
【0085】
(本発明の方法)
本発明は、気道のリモデリングによって生じるまたはもたらされる状態を有する哺乳動物へ治療学的に有効な量のA2Bアデノシン受容体アンタゴニストを投与することで、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を予防する方法に関連している。気道のリモデリングおよび肺の炎症は、喘息、肺線維症、およびCOPDの大きな要素であるから、本発明の方法は概して、喘息、肺線維症、および/またはCOPDのいずれかにかかっている患者へのA2Bアデノシン受容体アンタゴニストの投与を含む。
【0086】
2Bアデノシン受容体アンタゴニストは、経口処方物として全身的に投与されるが、吸入器をとおして肺の組織に直接投与もされ得る。この投与は、単一の服用としてでも、または複数の指定した間隔で所定された繰り返しの服用としてでもあり得る。適切な投薬レジメンは、処置されている患者および状態の重症度によって変わるということは当業者によって容易に理解される。
【0087】
(薬学的組成物)
アデノシンA2B受容体アンタゴニストとして選択された場合、式Iの化合物は通常、薬学的組成物の形態で投与される。ゆえに本発明は、活性成分として、1つ以上の式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩またはエステル、および1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤、キャリア(不活性の固体希釈剤および充填材を含む)、希釈剤(滅菌水溶液および多種の有機溶媒を含む)、可溶化剤、および補助薬を含む薬学的組成物を提供する。式Iの化合物は、それのみで、または別の治療学的薬剤との組み合わせで投与され得る。このような組成物は、薬学的分野では周知の方法で調製される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA 17th Ed.(1985)および「Modern Pharmaceutics」、Marcel Dekker,Inc.3rd Ed.(G.S.Banker&C.T.Rhodes,Eds.)を参照のこと)。
【0088】
(A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト)
本発明の方法において、どのA2Bアデノシン受容体アンタゴニストでも使用され得る。A2B受容体に拮抗する非常に多くの化合物が、特定の化合物がこのような活性を有するかを測定するための方法として当該分野において公知である。例えば、Feoktistov and Baggioni、((1997)Pharmacological Reviews 49:381−402)による論説が、8つのアデノシン受容体アゴニストおよび8つのアンタゴニストのアデノシン受容体の全ての4つのサブタイプに対する結合親和力を報告している。その中に引用されている参照は、使用された手順の詳細を提供する。(Robeva et al、(1996)J.Drug Dev.Res 39:243−252;Jacobson et al(1996)Drug Dev.Res. 39:289−300;Feoktistov and Baggioni(1903)Molecular Pharmacology 43:909−914)。化合物の受容体に対する結合親和力を測定する効果的な方法は、放射線同位元素標識したアゴニストまたはアンタゴニスト、およびこの化合物とこの受容体を含むことで知られている膜の部分との結合の相互作用を使用し;例えば、化合物がA2Bアンタゴニストかどうかを決定するためには、この膜の部分はA2Bアデノシン受容体を含む。化合物がA2Bアンタゴニストかどうかを決定する別の特に効果的な方法は、米国特許第5,854,081号内に報告されている。
【0089】
ゆえに、A2B受容体のサブタイプに対して選択的な化合物は、本発明の方法に望ましい。このような化合物の例としては3−n−プロピルキサンチン(エンプロフィリン)が挙げられるが、これに限定しない。適切な化合物は、米国特許第6,545,002号内でも開示されている。A2B受容体に加えて別の受容体に拮抗する化合物も本発明で使用するのに適切である。このような化合物のひとつの例は、1,3−ジプロピル−8−(p−アクリル)フェニルキサンチンである。
【0090】
1つの特に望ましいA2Bアデノシン受容体アンタゴニストのクラスは、同時係属中で譲受人に譲渡された米国特許第6,825,349号、および米国特許出願公開第20040176399号として公開されている同時係属中で譲受人に譲渡された米国特許出願番号10/719,102内に開示されているクラスである。この出願中に開示されている化合物は、上記の本発明の概要中で紹介されている式Iおよび式IIの構造を有し、参照内で記載されているように、または以下に詳説されているように合成され得る。
【0091】
(合成反応のパラメータ)
用語「溶媒」、「不活性有機溶媒」、または「不活性溶媒」は、それとともに記載される反応の状況下において不活性な溶媒を意味する[例えば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどを含む]。逆に特定されない限り、本発明の反応内で使用される溶媒は、不活性有機溶媒であり、この反応は不活性ガス、望ましくは窒素雰囲気下で行われる。
【0092】
用語「q.s.」は、明示された機能を果たすのに充分な量を加える事、例えば、溶液を所望する容量の状態にさせる(すなわち、100%)事を意味する。
【0093】
(式IおよびIIの化合物の合成)
が水素である式IまたはIIの化合物を調製する1つの望ましい方法を、反応スキームI:
【0094】
【化5】

に示す。
【0095】
(工程1−式(2)の調製)
式(2)の化合物は、還元の工程によって式(1)の化合物から調製される。従来の還元技術が使用され得、例えば水性アンモニア溶液中で亜ジチオン酸ナトリウムを使用し;望ましくは還元を水素および金属触媒とともに行う。反応を不活性溶媒(例えば、メタノール)中、触媒存在下(例えば、炭素担持10%パラジウム触媒)、水素雰囲気下、望ましくは圧力下(例えば、約30psi)で約2時間行う。反応が充分に完了したら、式(2)の生成物を従来の方法で分離し、式(2)の化合物を得る。
【0096】
(工程2−式(3)の調製)
その後、式(2)の化合物と式Z−Y−X−COHのカルボン酸とをカルボジイミド(例えば、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)の存在下で反応させる。反応をプロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどで、望ましくはメタノール)中、約20〜30℃の温度、望ましくは室温で、約12〜48時間、望ましくは約16時間行う。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、減圧下、溶媒を取り除き、生成物を洗浄することで)式(3)の生成物を分離する。あるいは、次の工程は、さらなる精製なしに行なわれ得る。
【0097】
(式(3)の化合物の代わりの調製)
代わりに、まず式Z−Y−X−COHのカルボン酸を、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニル、または臭化チオニルで、望ましくは塩化チオニル)と反応させることで式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変え、ここでLはクロロまたはブロモである。代わりに、塩化オキサリル、五酸化リン、またはオキシ塩化リンが使用され得る。反応を、望ましくは溶媒のない状態で、過剰なハロゲン化剤を使用しながら行い、例えば、約60〜80℃の温度、望ましくは約70℃で、約1〜8時間、望ましくは4時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、減圧下、過剰なハロゲン化剤を取り除くことで)式Z−Y−X−C(O)Lの生成物を分離する。
【0098】
その後、この生成物を、不活性溶媒(例えば、アセトニトリル)中で、第三級塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で式(2)の化合物とを反応させる。反応を、始めは約0℃の温度で、その後20〜30℃まで、望ましくは室温まで温めて、約12〜48時間、望ましくは約16時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、水で反応混合物を希釈し、生成物をろ過し、そして生成物を水、続いてエーテルで洗浄することで)式(3)の生成物を分離する。
【0099】
(工程3−式Iの調製)
その後、式(3)の化合物を、環化反応により式Iの化合物に変える。反応をプロトン性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどで、望ましくはメタノール)中、塩基(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドで、望ましくは水性水酸化ナトリウム)存在下で、約50〜80℃の温度、望ましくは80℃で、約1〜8時間、望ましくは約3時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、減圧下、溶媒を取り除き、水性酸で残渣を酸性化させ、生成物をろ過し、そして生成物を洗浄および乾燥することで)式Iの生成物を分離する。
【0100】
式(1)の化合物は、多種の方法で調製され得る。1つの望ましい方法を反応スキームII:
【0101】
【化6】

に示す。
【0102】
(工程1−式(5)の調製)
式(4)の化合物は市販されているか、または当該分野において周知の方法で調製され得るかのどちらかである。それをプロトン性溶媒(例えば、エタノール)中、強塩基(例えば、ナトリウムエトキシド)存在下で、シアノ酢酸エチルと反応させる。反応をだいたい還流温度で約4〜24時間行なう。反応が充分に完了したら、その後式(5)の化合物を従来どおり分離する。
【0103】
(工程2および3−式(7)の調製)
式(5)の化合物を、極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、N,N−ジメチルホルムアミドのジメチルアセタールと反応させる。反応を約40℃で、約1時間行なう。反応が充分に完了したら、このように生成した式(6)の化合物を、塩基(例えば、炭酸カリウム)存在下で、式RHalの化合物と反応させ、ここでHalはクロロ、ブロモまたはヨードである。反応を約80℃で、約4〜24時間行なう。反応が充分に完了したら、式(7)の生成物を従来どおり(例えば、減圧下での溶媒蒸発により)分離し、残渣は次の反応でこれ以上精製されることなしに使用される。
【0104】
(工程4−式(8)の調製)
式(7)の化合物を、極性溶媒中(例えば、メタノール中に懸濁)で、水性アンモニアと反応させる。反応を約室温で、約1〜3日間行なう。反応が充分に完了したら、式(8)の生成物を従来どおり(例えば、シリカゲルのカラムで、例えばジクロロメタン/メタノールの混合物で溶出するクロマトグラフィーによって)分離する。
【0105】
(工程5−式(1)の調製)
その後、式(8)の化合物を、水性の酸性溶媒、望ましくは酢酸と水(例えば、50%酢酸/水)中で、亜硝酸ナトリウムと混合する。反応を約50〜90℃の温度、望ましくは約70℃で、約1時間行なう。反応が充分に完了したら、式(1)の生成物を従来の方法で分離する。
【0106】
代わりに、この反応は水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミドおよび水)中で行なわれ得、強酸(例えば、塩酸)と反応させられ得る。
【0107】
反応スキームIIA:
【0108】
【化7】

に示すように、式(8)の化合物は、似たような方法を使用して、式(10)の化合物から調製され得る。
【0109】
(工程2および3−式(7)の調製)
式(10)の化合物を、極性溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、N,N−ジメチルホルムアミドのジメチルアセタールと反応させる。反応を約40℃で、約1時間行なう。反応が充分に完了したら、このように生成した式(6a)の化合物を、塩基(例えば、炭酸カリウム)存在下で、式RHalの化合物と反応させ、ここでHalはクロロ、ブロモまたはヨードである。反応を約80℃で、約4〜24時間行なう。反応が充分に完了したら、式(7)の生成物を従来どおり(例えば、減圧下での溶媒蒸発により)分離し、残渣は次の反応でこれ以上精製されることなしに使用される。
【0110】
(工程4−式(8)の調製)
式(7)の化合物を、極性溶媒中(例えば、メタノール中に懸濁)で、水性アンモニアと反応させる。反応を約室温で、約1〜3日間行なう。反応が充分に完了したら、式(8)の生成物を従来どおり(例えば、シリカゲルのカラムで、例えばジクロロメタン/メタノールの混合物で溶出するクロマトグラフィーによって)分離する。
【0111】
式(3)の化合物は多種の方法により調製され得る。1つの望ましい方法を反応スキームIII:
【0112】
【化8】

に示す。
【0113】
(工程1−式(10)の調製)
まず市販されている化合物の6−アミノウラシルを、例えば触媒(例えば硫酸アンモニウム)存在下で溶媒として過剰のヘキサメチルジシラザンとの反応によって、シリル化する。反応をだいたい還流温度で約1〜10時間行なう。反応が充分に完了したら、このように生成したシリル化された化合物を従来どおり分離し、式RHalの化合物と、望ましくは溶媒のない状態で反応させ、ここでHalはクロロ、ブロモまたはヨードである。反応を、だいたい還流温度で、約4〜48時間、望ましくは12〜16時間行なう。反応が充分に完了したら、式(10)の生成物を従来の方法で分離する。
【0114】
(工程2−式(11)の調製)
その後、式(10)の化合物を水性酸(例えば、水性酢酸)中に溶解し、亜硝酸ナトリウムと反応させる。反応を約20〜50℃の温度、望ましくは約30℃で、約30分以上行なう。反応が充分に完了したら、式(11)の生成物を従来の方法で(例えば、ろ過によって)分離する。
【0115】
(工程3−式(12)の調製)
その後、式(11)の化合物をジアミノ誘導体まで還元する。一般的に、式(11)の化合物を水性アンモニアに溶解し、その後還元剤(例えば、ヒドロ亜硫酸ナトリウム)を加える。反応を約70℃の温度で行なう。反応が充分に完了したら、式(12)の生成物を従来どおり(例えば、冷却した反応混合物のろ過によって)分離する。
【0116】
(工程4−式(13)の調製)
その後、式(12)の化合物と式Z−Y−X−COHのカルボン酸とを、カルボジイミド(例えば、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)存在下で反応させる。反応を約20〜30℃の温度で、約12〜48時間行なう。反応が充分に完了したら、式(13)の生成物を従来どおり(例えば、冷却した反応混合物のろ過によって)分離する。
【0117】
代わりに、式Z−Y−X−COHのカルボン酸を、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニルまたは臭化チオニル;代わりに、五酸化リンまたはオキシ塩化リンが使用され得る)と反応させることで式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変え、ここでLはクロロまたはブロモである。反応を、望ましくは溶媒のない状態で、過剰なハロゲン化剤を使用しながら行い、例えば、約60〜80℃の温度、望ましくは約70℃で、約1〜8時間、望ましくは4時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、減圧下、過剰なハロゲン化剤を取り除くことで)式Z−Y−X−C(O)Lの生成物を分離する。
【0118】
その後、式Z−Y−X−C(O)Lの生成物を、不活性溶媒(例えば、アセトニトリル)中で、第三級塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で式(12)の化合物とを反応させる。反応を、始めは約0℃の温度で、その後20〜30℃まで、望ましくは室温まで温めて、約12〜48時間、望ましくは約16時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、水で反応混合物を希釈し、生成物をろ過し、そして生成物を水、続いてエーテルで洗浄することで)式(13)の生成物を分離する。
【0119】
(工程5−式(3)の調製)
式(13)の化合物を、塩基(例えば、炭酸カリウム)存在下で、式RHalの化合物と反応させ、ここでHalはクロロ、ブロモまたはヨードである。反応を約室温で、約4〜24時間、望ましくは約16時間行なう。反応が充分に完了したら、式(3)の生成物を従来どおり(例えば、減圧下での溶媒蒸発により)分離し、残渣は従来どおり精製され得るか、残渣は次の反応でこれ以上精製されることなしに使用され得る。
【0120】
式(3)の化合物を調製する別の方法を反応スキームIVに示す。
【0121】
【化9】

(工程1−式(14)の調製)
その後、式(5)の化合物を、水性の酸性溶媒、望ましくは酢酸と水(例えば、50%酢酸/水)中で、亜硝酸ナトリウムと混合する。反応を約50〜90℃の温度、望ましくは約70℃で、約1時間行なう。反応が充分に完了したら、式(14)の生成物を従来の方法で分離する。
【0122】
代わりに、この反応は水性溶媒(例えば、ジメチルジメチルホルムアミドおよび水)中で行なわれ得、強酸(例えば、塩酸)と反応させられ得る。
【0123】
(工程3−式(15)の調製)
その後、式(14)の化合物をジアミノ誘導体まで還元する。一般的に、式(14)の化合物を水性アンモニアに溶解し、その後還元剤(例えば、ヒドロ亜硫酸ナトリウム)を加える。反応を約70℃の温度で行なう。反応が充分に完了したら、式(15)の生成物を従来どおり(例えば、冷却した反応混合物のろ過によって)分離する。
【0124】
(工程4−式(16)の調製)
その後、式(15)の化合物と式Z−Y−X−COHのカルボン酸とを、カルボジイミド(例えば、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)存在下で反応させる。反応を約20〜30℃の温度で、約12〜48時間、不活性溶媒(例えば、メタノール)中で行なう。反応が充分に完了したら、式(16)の生成物を従来どおり(例えば、冷却した反応混合物のろ過によって)分離する。
【0125】
代わりに、式Z−Y−X−COHのカルボン酸を、ハロゲン化剤(例えば、塩化チオニルまたは臭化チオニル;代わりに、五酸化リンまたはオキシ塩化リンが使用され得る)と反応させることで式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変え、ここでLはクロロまたはブロモである。反応を、望ましくは溶媒のない状態で、過剰なハロゲン化剤を使用しながら行い、例えば、約60〜80℃の温度、望ましくは約70℃で、約1〜8時間、望ましくは4時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、減圧下、過剰なハロゲン化剤を取り除くことで)式Z−Y−X−C(O)Lの生成物を分離する。
【0126】
その後、式Z−Y−X−C(O)Lの生成物と、不活性溶媒(例えば、アセトニトリル)中で、第三級塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で式(15)の化合物とを反応させる。反応を、始めは約0℃の温度で、その後20〜30℃まで、望ましくは約室温まで温めて、約12〜48時間、望ましくは約16時間行なう。反応が充分に完了したら、従来どおり(例えば、水で反応混合物を希釈し、生成物をろ過し、そして生成物を水、続いてエーテルで洗浄することで)式(16)の生成物を分離する。
【0127】
(工程5−式(3)の調製)
式(16)の化合物を、塩基(例えば、炭酸カリウム)存在下で、式RHalの化合物と反応させ、ここでHalはクロロ、ブロモまたはヨードである。反応を約80℃で、約4〜24時間、望ましくは約16時間行なう。反応が充分に完了したら、式(3)の生成物を従来どおり(例えば、減圧下での溶媒蒸発により)分離し、残渣は従来どおり精製され得るか、残渣は次の反応でこれ以上精製されることなしに使用され得る。
【0128】
Xがピラゾール−1,4−イルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルであるZ−Y−X−COHの化合物の合成の例を反応スキームVに示す。
【0129】
【化10】

ピラゾール−4−カルボン酸エチルと1−(ブロモメチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンとを、アセトン中で炭酸カリウム存在下で反応させる。生成物、1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸エチルを、その後メタノール中で水酸化カリウムで加水分解し、1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を得る。
【0130】
(有用性のテストおよび投与)
(一般的有用性)
本発明の方法および薬学的組成物は、気道のリモデリングおよび/または肺の炎症にかかりやすい哺乳動物の気道のリモデリングおよび/または肺の炎症の予防において有用である。疾病素質は、遺伝的異常、疾患の状態、および/または環境的条件が原因であり得、これらは気道のリモデリングおよび/または肺の炎症を誘発することが示されている。
【0131】
(テスト)
活性テストは、上記に参照する特許および特許出願および以下の実施例中に述べているように、および当業者には明白な方法にしたがい行なわれる。
【0132】
(投与)
式Iの化合物は、単一でも複数の服用でも、同じような有用性を有する薬剤の投与の受容された方法ならどれでも(例えば、参考として援用されている特許および出願特許に述べているように、頬、鼻腔内、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口的、筋肉内、皮下、経口的、または吸入剤として)投与され得る。
【0133】
経口的投与は、式Iの化合物の投与の望ましい経路である。投与は、カプセルまたは腸溶性錠剤などをとおしてされ得る。少なくとも1つの式Iの化合物を含む薬学的組成物を調製する際、通常、活性成分を賦形剤で希釈し、および/またはカプセル、小さい袋、紙、またはその他の入れ物の形態をとり得るようなキャリアで包まれる。賦形剤が希釈剤の働きをする場合、それは固体、半固体、または液体の物質であり得(上記のように)、それは活性成分のビヒクル、キャリアまたは媒体として働く。ゆえに、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、小さい袋、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エロゾール剤(固体としてまたは液体媒体中に)、軟膏剤(例えば、10%重量までの活性化合物を含む)、軟性および硬性のゼラチンカプセル、無菌性の注射可能な溶液、および無菌で包んだ粉末の形態をとり得る。
【0134】
適切な賦形剤のいくつかの例としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。処方物はさらに:潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油);湿潤剤;乳化および懸濁化剤;保存薬(例えば、安息香酸メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエート);甘味料;および香味料を含み得る。
【0135】
本発明の組成物は、当該分野において公知の使用方法によって患者に投与された後、活性成分の即時性、持効性または遅延性の放出を提供するために、処方され得る。経口投与のために調節された放出薬剤の送達系としては、浸透ポンプ系、および高分子被膜のレザバーまたは薬剤の高分子基質処方物を含む溶解系が挙げられる。調節された放出系の例は、米国特許第3,845,770号;同第4,326,525号;同第4,902514号;および同第5,616,345号中に挙げられている。本発明の方法中で使用される別の処方物は、経皮性の送達装置(「パッチ」)を使用する。調節された量で本発明の化合物が連続的にまたは非連続的に注入するように、このような経皮性パッチが使用され得る。薬学的因子の送達のための経皮性パッチの構造および使用は、当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号、および同第5,001,139号を参照せよ。このようなパッチは、薬学的因子の連続性、拍動性のために、または要求に応じた送達のために構成され得る。
【0136】
式Iの化合物のようなアデノシンA2B受容体アンタゴニストは、広い投薬範囲にわたって有効であり、一般的に薬学的に有効な量で投与される。典型的に、経口的投与では、それぞれの投薬単位は1mg〜2gのアデノシンA2B受容体アンタゴニストを、さらに一般的には1〜700mgを含み、非経口的投与では、1〜700mgのアデノシンA2B受容体アンタゴニストを、さらに一般的には約2〜200mgを含む。しかしながら、実際に投与されるアデノシンA2B受容体アンタゴニストの量は、関連した状況(処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、患者個人の年齢、体重、および反応、患者の症状の重症度などを含む)と照らしあわせて、医師によって決定されることは理解される。
【0137】
錠剤のような固体組成物を調製するためには、主な活性成分を薬学的賦形剤と混合し、本発明の化合物の均質な混合物を含む固体の予備処方物の組成物を形成する。これらの予備処方物の組成物を均質と言及する場合、それは活性成分が組成物全体に均等に分散され、その結果組成物が一様に有効な単位の投薬量の形態(例えば、錠剤、丸剤およびカプセル)に容易に細分され得ることを意味する。
【0138】
本発明の錠剤または丸剤は、持効作用の利点をもたらす投薬形態を提供するためか、または胃の酸性状態から保護するために、コーティングされ得るか、またはそうでなければ混合され得る。例えば、錠剤または丸剤は内部投薬および外部投薬の成分を含み、後者が前者を包む形態である。二つの成分は、胃内での崩壊を妨害し、そして中の成分をインタクトな状態で十二指腸を通過させるかまたは放出を遅延させる働きをする腸の層で分離され得る。このような腸の層またはコーティングのために多種の物質が使用され得、このような物質としては、多くの高分子酸および高分子酸とシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような物質との混合物が挙げられる。
【0139】
吸入剤または吸入物用の組成物としては、薬学的に受容可能な水性または有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁剤、および粉末が挙げられる。液体または固体の組成物は、上記に述べたような適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。望ましくは、局所的または全身的作用の目的で、組成物は口または鼻の呼吸経路をとおして投与される。望ましくは薬学的に受容可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスを使用することによって霧状にされ得る。霧状の溶液は、噴霧化装置またはフェイスマスクのテントに付属し得る噴霧化装置、または間欠的陽圧呼吸器によって、直接吸入され得る。溶液、懸濁剤、または粉末の組成物は、処方物を適切な方法で送達する装置によって、望ましくは口または鼻腔投与され得る。
【0140】
本発明の望ましい実施形態を実証するのに、以下の実施例が含まれる。以下に続く実施例において開示される技術は、本発明の実践において適切に機能するために発明者によって発見された技術を表し、ゆえに、この実践のための望ましい方法を構成するものであると考察され得ると、当業者は理解すべきである。しかしながら、本開示と照らし合わせて、開示され、そして本発明の意図および範囲から逸脱することなくなお同様または類似した結果を得る特定の実施形態において、多くの変更がなされ得ることを、当業者は理解すべきである。
【実施例】
【0141】
(実施例1)
(式(5)の化合物の調製)
(A. Rがエチルである式(5)の化合物の調製)
【0142】
【化11】

ナトリウムエトキシドの溶液を、ナトリウム(4.8g、226mmol)および乾燥エタノール(150ml)から調製した。この溶液に、アミノ−N−エチルアミド(10g、113mmol)およびシアノ酢酸エチル(12.8g、113mmol)を加えた。この反応混合物を還流で6時間攪拌し、冷却し、そして減圧下で反応混合物から溶媒を取り除いた。残渣を水(50ml)中に溶解し、塩酸でpHを7にまで調整した。混合物を0℃で一晩放置し、沈殿物をろ過し、水で洗浄し、そして空気乾燥して、式(5)の化合物、6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0143】
【化12】

(B. Rがメチルである式(5)の化合物の調製)
同様に、実施例1Aの方法にしたがって、しかしながらアミノ−N−エチルアミドをアミノ−N−メチルアミドに置き換えて、6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0144】
(C. Rを変えた式(5)の化合物の調製)
同様に、実施例1Aの方法にしたがって、しかしながらアミノ−N−エチルアミドを式(4)の別の化合物に置き換えて、式(5)の別の化合物を調製する。
【0145】
(実施例2)
(式(6)の化合物の調製)
(A. Rがエチルである式(6)の化合物の調製)
【0146】
【化13】

無水N,N−ジメチルアセトアミド(25ml)中6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(0.77g、5mmol)とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(2.7ml、20mmol)との懸濁液を40℃で90分間温めた。その後、溶媒を減圧下で取り除き、残渣をエタノールで粉砕し、ろ過し、そしてエタノールで洗浄して、式(6)の化合物、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0147】
【化14】

(B. Rがメチルである式(6)の化合物の調製)
同様に、実施例2Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンに置き換えて、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0148】
(C. Rを変えた式(6)の化合物の調製)
同様に、実施例2Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(5)の別の化合物に置き換えて、式(6)の別の化合物を調製する。
【0149】
(実施例3)
(式(7)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルである式(7)の化合物の調製)
【0150】
【化15】

ジメチルホルムアミド(25ml)中6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン溶液(1.5g、7.1mmol)、炭酸カリウム(1.5g、11mmol)、およびヨウ化n−プロピル(1.54g、11mmol)との混合物を80℃で5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、溶媒を蒸発させ、式(7)の生成物、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを次の反応でそのままで使用した。
【0151】
(B. RおよびRを変えた式(7)の化合物の調製)
同様に、実施例3Aの方法にしたがって、しかしながら6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(6)の別の化合物に置き換えて、以下の式(7)の化合物:
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を調製した。
【0152】
(C. RおよびRを変えた式(7)の化合物の調製)
同様に、実施例3Aの方法にしたがって、しかしながら6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(6)の別の化合物に置き換えて、式(7)の別の化合物を調製する。
【0153】
(実施例4)
(式(8)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルである式(8)の化合物の調製)
【0154】
【化16】

6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.1g)の溶液をメタノール(10ml)と28%水性アンモニア溶液(20ml)との混合物中に溶解し、72時間室温で攪拌した。その後、溶媒を減圧下で取り除き、残渣を、ジクロロメタン/メタノール(15/1)混合物で溶出するシリカゲルカラムのクロマトグラフィーによって精製し、式(8)の化合物、6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0155】
【化17】

(B. RおよびRを変えた式(8)の化合物の調製)
同様に、実施例4Aの方法にしたがって、しかしながら6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(7)の別の化合物に置き換えて、式(8)の別の化合物:
6−アミノ−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を調製した。
【0156】
(C. RおよびRを変えた式(8)の化合物の調製)
同様に、実施例4Aの方法にしたがって、しかしながら6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(7)の別の化合物に置き換えて、式(8)の別の化合物を調製する。
【0157】
(実施例5)
(式(1)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルである式(1)の化合物の調製)
【0158】
【化18】

50%酢酸/水(35ml)の混合物中の6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(1.4g、7.1mmol)の溶液に、亜硝酸ナトリウム(2g、28.4mmol)を10分間にわたって分けて加えた。混合物を70℃で1時間攪拌し、その後、減圧下で反応混合物を少ない容積まで濃縮した。固体をろ過し、水で洗浄して、式(1)の化合物、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
MS m/z227.05(M)、249.08(M+Na)
(B. RおよびRを変えた式(1)の化合物の調製)
同様に、実施例5Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(8)の別の化合物に置き換えて、以下の式(1)の化合物:
6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を調製した。
【0159】
(C. RおよびRを変えた式(1)の化合物の調製)
同様に、実施例5Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(8)の別の化合物に置き換えて、式(1)の別の化合物を調製する。
【0160】
(実施例6)
(式(2)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルである式(2)の化合物の調製)
【0161】
【化19】

メタノール(10ml)中6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(300mg)の溶液に、炭素担持10%パラジウム触媒(50mg)を加え、混合物を水素下30psiで2時間にわたって水素化した。混合物をセライトをとおしてろ過し、減圧下で溶媒をろ液から取り除き、式(2)の化合物、5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
MS m/z213.03(M)、235.06(M+Na)。
【0162】
(B. RおよびRを変えた式(2)の化合物の調製)
同様に、実施例6Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(1)の別の化合物に置き換えて、以下の式(2)の化合物:
5,6−ジアミノ−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
5,6−ジアミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
5,6−ジアミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
5,6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
5,6−ジアミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を調製した。
【0163】
(C. RおよびRを変えた式(2)の化合物の調製)
同様に、実施例6Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(1)の別の化合物に置き換えて、式(2)の別の化合物を調製する。
【0164】
(実施例7)
(式(3)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製)
【0165】
【化20】

メタノール(10ml)中5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(100mg、0.47mmol)と1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(0.151g、0.56mmol)との混合物に、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.135g、0.7mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。減圧下で溶媒を取り除き、残渣を、10%メタノール/塩化メチレンで溶出するBistagを使用して精製し、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0166】
【化21】

(B. R、R、X、Y、およびZを変えた式(3)の化合物の調製)
同様に、実施例7Aまたは7Bの方法にしたがって、しかしながら任意に5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(2)の別の化合物に置き換え、および任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの別の化合物に置き換えて、以下の式(3)の化合物:
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−エチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−プロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{(2−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;および
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド
を調製した。
【0167】
(C. RおよびRを変えた式(2)の化合物の調製)
同様に、実施例7Aの方法にしたがって、しかしながら任意に5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(2)の別の化合物に置き換え、および任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの別の化合物に置き換えて、式(3)の別の化合物を調製する。
【0168】
(実施例8)
(式Iの化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製)
【0169】
【化22】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(80mg、0.17mmol)、10%水性水酸化ナトリウム(5ml)およびメタノール(5ml)の混合物を100℃で2時間攪拌した。混合物を冷却し、減圧下でメタノールを取り除き、残渣を水で希釈し、塩酸で酸性化した。沈殿物をろ過し、水、続いてメタノールで洗浄し、式Iの化合物、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0170】
【化23】

(B. R、R、X、Y、およびZを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、実施例8Aの方法にしたがって、しかしながらN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(3)の別の化合物に置き換えて、以下の式Iの化合物:
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−[1−(フェニルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−({4−[1−(シクロプロピルメチル)−3−メチル−2,6−ジオキソ−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル]ピラゾリル}メチル)ベンゼンカルボニトリル;
8−[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−3−メチル−1−シクロプロピルメチル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−エチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−(2−メチルプロピル)−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−エチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;および
3−エチル−1−プロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン
を調製した。
【0171】
(C. R、R、X、Y、およびZを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、実施例8Aの方法にしたがって、しかしながらN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(3)の別の化合物に置き換えて、式Iの別の化合物を調製する。
【0172】
(実施例9)
(式(10)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルである式(10)の化合物の調製)
【0173】
【化24】

6−アミノウラシル(5.08g、40mmol)、ヘキサメチルジシラザン(50ml)、および硫酸アンモニウム(260mg、1.96mmol)の混合物を12時間還流した。冷却後、固体をろ過し、減圧下で溶媒をろ液から取り除き、トリメチルシリル化した6−アミノウラシルの誘導体を得た。
【0174】
生成物をトルエン(1.5ml)およびヨードプロパン(7.8ml、80mmol)中に溶解し、油浴中で120℃で2時間熱した。その後、反応混合物を0℃まで冷却し、飽和した水性の炭酸水素ナトリウムをゆっくり加えた。生じた沈殿物をろ過し、そして水、トルエン、エーテルの順で洗浄し、式(10)の化合物、6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得、これをそれ以上精製することなしに次の反応で使用した。
【0175】
【化25】

(B. Rを変えた式(10)の化合物の調製)
同様に、実施例9Aの方法にしたがって、しかしながらヨードプロパンを式RHalの別のハロゲン化アルキルに置き換えて、式(10)の別の化合物を調製し、それは:
6−アミノ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を含む。
【0176】
(実施例10)
(式(11)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルである式(11)の化合物の調製)
【0177】
【化26】

50%酢酸/水の混合物(160ml)中6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.6g)の溶液に、70℃で亜硝酸ナトリウム(4.5g)を15分間にわたって分けて加えた。混合物を70℃で45分間攪拌し、その後、減圧下で反応混合物を少ない容積まで濃縮した。固体をろ過し、水で洗浄して、式(11)の化合物、6−アミノ−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0178】
【化27】

(B. Rを変えた式(11)の化合物の調製)
同様に、実施例10Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(10)の別の化合物に置き換えて、式(11)の別の化合物を調製し、それは:
6−アミノ−5−ニトロソ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−5−ニトロソ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを含む。
【0179】
(実施例11)
(式(12)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルである式(12)の化合物の調製)
【0180】
【化28】

12.5%水性アンモニア中(135ml)6−アミノ−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.4g、27mmol)の溶液に、70℃で亜ジチオン酸ナトリウム(Na、9.45g、54mmol)を15分間にわたって分けて加え、混合物を20分間攪拌した。減圧下で溶液を濃縮し、5℃まで冷却し、沈殿物をろ過し、そして冷水で洗浄して、式(12)の化合物、5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0181】
【化29】

(B. Rを変えた式(12)の化合物の調製)
同様に、実施例11Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(11)の別の化合物に置き換えて、式(12)の別の化合物を調製し、それは:
5,6−ジアミノ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
5,6−ジアミノ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン
を含む。
【0182】
(実施例12)
(式(13)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(13)の化合物の調製)
【0183】
【化30】

メタノール(50ml)中5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.3g、126mmol)と1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(3.79g、14mmol)との混合物に、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(2.67g、14mmol)を加え、反応混合物を室温で3日間(それより少ない時間でも受容可能であるが)攪拌した。沈殿物をろ過し、水、メタノールの順で洗浄した。生成物を真空下で乾燥し、式(13)の化合物のN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0184】
【化31】

(B. Rがn−プロピルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(13)の化合物の代わりの調製)
塩化チオニル(1ml)中1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(1g、3.7mmol)の溶液を70℃で4時間熱した。余分な塩化チオニルを蒸留し、残渣を塩化メチレン/ヘキサンで処理した。減圧下で溶媒を取り除き、残渣をアセトニトリルに溶解した。この溶液を、アセトニトリル(20ml)中5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.3g、126mmol)とトリエチルアミン(1ml)の懸濁液に0℃で加え、16時間攪拌した。反応混合物を水(5ml)でクエンチングし、塩酸で酸性化し、30分攪拌し、そして沈殿物をろ過した。生成物をエーテルで洗浄し、式(13)の化合物、N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0185】
(C. R、X、Y、およびZを変えた式(13)の化合物の調製)
同様に、実施例12Aまたは12Bの方法にしたがって、しかしながら任意に6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(12)の別の化合物に置き換え、および任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの別の化合物に置き換えて、式(13)の別の化合物を調製し、それは:
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル}カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;および
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド
を含む。
【0186】
(実施例13)
(式(3)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製)
【0187】
【化32】

ジメチルホルムアミド(10ml)中のN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドの溶液(872mg、2mmol)、炭酸カリウム(552mg、4mmol)、およびヨウ化エチル(0.24ml、3mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をろ過し、減圧下で溶媒をろ液から蒸発させた。残渣を水とともに室温で2時間攪拌し、沈殿物をろ過し、水で洗浄し、その後メタノールに溶解した。その後、減圧下で溶媒を除去し、式(3)の化合物、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0188】
【化33】

(B. R、X、Y、およびZを変えた式(3)の化合物の調製)
同様に、実施例13Aの方法にしたがって、しかしながらN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(13)の別の化合物に置き換えて、式(3)の別の化合物を調製し、それは:
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−エチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−プロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{(2−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;および
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド
を含む。
【0189】
(実施例14)
(式Iの化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製)
【0190】
【化34】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(850mg、2.34mmol)、10%水性水酸化ナトリウム(10ml)、およびメタノール(10ml)の混合物を、100℃で18時間攪拌した。混合物を冷却し、減圧下でメタノールを除去し、そして残った混合物を塩酸でpH2まで酸性化した。沈殿物をろ過し、水/メタノールの混合物で洗浄し、式Iの化合物、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0191】
【化35】

(B. R、R、X、Y、およびZを変えた式Iの化合物の調製)
同様に、実施例14Aの方法にしたがって、しかしながらN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(13)の別の化合物に置き換えて、式Iの別の化合物を調製し、これは実施例8に記載したものを含む。
【0192】
(実施例15)
(式(14)の化合物の調製)
(A. Rがエチルである式(14)の化合物の調製)
【0193】
【化36】

50%酢酸/水(50ml)の混合物中6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.0g、32.3mmol)の溶液に、70℃で亜硝酸ナトリウム(4.45g、64.5mmol)を30分にわたって分けて加えた。混合物を70℃でさらに30分攪拌した。反応混合物を冷却し、沈殿物をろ過し、水、その後メタノールで洗浄して、式(14)の化合物、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0194】
【化37】

(B. Rを変えた式(14)の化合物の調製)
同様に、実施例15Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンに置き換えて、6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0195】
(C. Rを変えた式(14)の化合物の調製)
同様に、実施例15Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(5)の別の化合物に置き換えて、式(14)の別の化合物を調製する。
【0196】
(実施例16)
(式(15)の化合物の調製)
(A. Rがエチルである式(15)の化合物の調製)
【0197】
【化38】

14.5%水性アンモニア(50ml)中6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(3.9g、21.2mmol)の溶液に、50℃で亜ジチオン酸ナトリウム(Na、7.37g、42.4mmol)を15分間にわたって分けて加え、混合物を20分間攪拌した。減圧下で溶液を30mlの容積まで濃縮し、5℃まで冷却し、沈殿物をろ過し、そして冷水で洗浄して、式(15)の化合物、5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0198】
【化39】

(B. Rを変えた式(15)の化合物の調製)
同様に、実施例16Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンに置き換えて、5,6−ジアミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0199】
(C. Rを変えた式(15)の化合物の調製)
同様に、実施例16Aの方法にしたがって、しかしながら6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(14)の別の化合物に置き換えて、式(15)の別の化合物を調製する。
【0200】
(実施例17)
(式(16)の化合物の調製)
(A. Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(16)の化合物の調製)
【0201】
【化40】

メタノール(50ml)中5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2g、11.76mmol)と1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(3.5g、12.94mmol)との混合物に、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(2.47g、12.94mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。減圧下で溶媒を取り除き、残渣を水およびメタノールで洗浄した。生成物を真空下で乾燥して、式(16)の化合物、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0202】
【化41】

(B. R、X、Y、およびZを変えた式(16)の化合物の調製)
同様に、実施例17Aの方法にしたがって、しかしながら5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを5,6−ジアミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンに置き換えて、N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを調製した。
【0203】
(C. R、X、Y、およびZを変えた式(16)の化合物の調製)
同様に、実施例17Aの方法にしたがって、しかしながら5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(15)の別の化合物に置き換えて、式(16)の別の化合物を調製する。
【0204】
(実施例18)
(式(3)の化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製)
【0205】
【化42】

ジメチルホルムアミド(30ml)中のN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(1.5g、3.55mmol)の溶液、炭酸カリウム(980mg、7.1mmol)、およびヨウ化プロピル(724mg、4.26mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。水を加え、沈殿物をろ過して、式(3)の化合物、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得、これをそれ以上精製することなしに次の反応で使用した。
【0206】
【化43】

(B. R、R、X、Y、およびZを変えた式(3)の化合物の調製)
同様に、実施例18Aの方法にしたがって、しかしながらN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドをN−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))に置き換えて、N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを調製した。
【0207】
(C. R、R、X、Y、およびZを変えた式(3)の化合物の調製)
同様に、実施例18Aの方法にしたがって、しかしながら任意にN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(15)の別の化合物に置き換え、任意にヨウ化プロピルを式RHalの別の化合物に置き換えて、式(3)の別の化合物を調製する。
【0208】
(実施例19)
(式Iの化合物の調製)
(A. Rがn−プロピルで、Rがエチルで、Xが1,4−ピラゾリルで、Yがメチレンで、Zが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製)
【0209】
【化44】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(300mg、464mmol)、20%水性水酸化ナトリウム(5ml)、およびメタノール(10ml)の混合物を、80℃で3時間攪拌した。混合物を冷却し、減圧下でメタノールを除去し、そして残った混合物を塩酸でpH2まで酸性化した。沈殿物をろ過し、水およびメタノールで洗浄し、式Iの化合物、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0210】
【化45】

(実施例20)
(A2Bアンタゴニストの特性記述)
(A2Bアデノシン受容体に対する放射リガンド結合)
ヒトA2Bアデノシン受容体cDNAを、HEK−293細胞内に安定してトランスフェクトした(HEK−A2B細胞と呼ぶ)。HEK−A2B細胞の単層をPBSで一度洗浄し、10mMのHEPES(pH7.4)、10mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害薬を含む緩衝剤内に収集した。これらの細胞をポリトロン内でセッティング4で1分間ホモジネートし、29000gで15分間4℃で遠心分離機にかけた。細胞のペレットを、10mMのHEPES(pH7.4)、1mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害薬を含む緩衝剤で一度洗浄し、10%スクロースを付加した同じ緩衝剤中に再び懸濁した。冷凍したアリコートを−80℃で保存した。
【0211】
1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを補充したTE緩衝剤(50mMのTrisおよび1mMのEDTA)中に10nMのH−ZM241385(Tocris Cookson)と様々な濃度の検査化合物および50μgの膜タンパク質とを混合することで、競合アッセイを始めた。アッセイを90分間インキュベートし、Packard Harvesterを使用したろ過により停止させ、氷温のTM緩衝剤(10mMのTris、1mMのMgCl、pH7.4)で4回洗浄した。10μMのZM241385の存在下では、特定の結合は測定されなかった。化合物の親和力(すなわち、Ki値)を、GraphPadソフトウェアを使用して計算した。
【0212】
(別のアデノシン受容体に対する放射リガンド結合)
ヒトA、A2A、Aアデノシン受容体cDNAを、CHOまたはHEK−293細胞内のいずれかに安定してトランスフェクトした(CHO−A、HEK−A2A、CHO−Aと呼ぶ)。上記に述べたものと同じプロトコルを使用して、これらの細胞から膜を調製した。1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを補充したTE緩衝剤(CHO−AおよびHEK−A2Aの50mMのTrisおよび1mMのEDTA)またはTEM緩衝剤(CHO−Aに対しては50mMのTris、1mMのEDTAおよび10mMのMgCl)中に、0.5nMのH−CPX(CHO−Aに対して)、2nMのH−ZM214385(HEK−A2A)、または0.1nMの125I−AB−MECA(CHO−A)と、様々な濃度の検査化合物およびつりあった膜とを混合することで、競合アッセイを始めた。アッセイを90分間インキュベートし、Packard Harvesterを使用したろ過により停止させ、氷温のTM緩衝剤(10mMのTris、1mMのMgCl、pH7.4)で4回洗浄した。1μMのCPX(CHO−A)、1μMのZM241385(HEK−A2A)および1μMのIB−MECA(CHO−A)の存在下では、特定の結合は測定されなかった。化合物の親和力(すなわち、Ki値)を、GraphPadTMソフトウェアを使用して計算した。
【0213】
(cAMP測定)
トランスフェクトされた細胞の単層を、5mMのEDTAを含むPBS内に収集した。細胞をDMEMで1回洗浄し、1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを含むDMEM内に、細胞数100,000〜500,000個/mlの濃度で、再び懸濁した。100μlの細胞懸濁液を、多種のアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む懸濁液25μlと混合し、反応を37℃で15分間維持した。15分の最後で、125μlの0.2NのHClを加えて、反応を停止させた。細胞を10分間1000rpmで遠心分離機にかけた。100μlの上澄み液を取り除き、アセチル化した。Assay Designからの直接的なcAMPアッセイを使用して、上澄み液中のcAMPの濃度を測定した。A2AおよびA2Bアデノシン受容体はGsタンパクに結合し、ゆえに、A2Aアデノシン受容体(例えば、CGS21680)またはA2Bアデノシン受容体(例えば、NECA)に対するアゴニストはcAMP蓄積を増加させるが、これらの受容体に対するアンタゴニストはアゴニストによって誘発されるcAMP蓄積の増加を妨げる。AおよびAアデノシン受容体はGiタンパクに結合し、ゆえに、Aアデノシン受容体(例えば、CPA)またはAアデノシン受容体(例えば、IB−MECA)に対するアゴニストは、フォルスコリンによって誘発されるcAMP蓄積の増加を抑制する。AおよびA受容体に対するアンタゴニストは、cAMP蓄積の抑制を妨げる。
【0214】
(実施例21)
(A2Bアンタゴニストのマウスモデルの気道再構成における効果)
使用されるモデル方式は、アデノシン依存の肺損傷を有するアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠乏のマウスモデルである。このモデルにおいて、肺の炎症および気道のリモデリングの増加はアデノシンの上昇と関連している。これらのマウスで観測された多くの特徴は、重度の喘息、COPDおよび肺線維症を含む慢性肺疾患の様々な形態を有する患者で観測される特徴と似ている。アプローチは、A2BARアンタゴニスト3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを、ADA欠乏のマウスの肺の炎症および損傷へのA2BARの関与を調査する手段として使用してこれらのマウスを処置することであり、これはこの薬剤の慢性肺疾患の処置に対する有効性の見識を提供すべきである。
【0215】
1mg/kgの3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを、1日に2回マウスに腹腔内(ip)注射で処置した。特定のプロトコルは以下のとおりである:マウスの出生の際に、血中内のADAの酵素活性をスクリーニングすることで、ADA欠乏(ADA−/−)かADA含有(ADA+)マウスかを鑑定した。ADA−/−マウスは、出生後2日目から出生後21日目までADA酵素治療を受け続けた。この段階で3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを使用した処置またはビヒクル制御(とうもろこし油/エタノール/DMSO)を開始した。処置は朝(午前8〜9時)および夕方(午後5〜6時)のip注射から成った。処置を17日間毎日行い、実験を出生後38日目で終了した。処置群は、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンまたはビヒクルを受けるまたは何も受けないADA−/−またはADA+マウス含んだ。全てのマウスは同腹の子であり、ゆえに系統は一致した。雄および雌の両方がこれらの実験には含まれた。実験の終了時に、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンのレベルの薬物速度論的(PK)分析のために、血清を収集し、多種の肺の終点を検査した。
【0216】
これらの研究からの結果は、ADA−/−マウスの3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンによる処置は、肺の炎症および気道の破壊を大幅に低減する結果となったことを示す。おそらく、本研究からの最も劇的な観測結果は、処置プロトコルの最後における動物の総括的健康状態であった。ビヒクル処置されたまたは何も処置されなかったADA−/−マウスのいずれかは、速い呼吸および丸まった姿勢を含む重度の呼吸困難の目に見える徴候を示した。これらの特徴は3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンで処置したADA−/−マウスでは観測されなかった。
【0217】
(方法)
(マウス)
ADA欠乏のマウスは、Blackburn et al.(1998)J Biol
Chem 273:5093−5100およびYoung et al.(2004)J.Immunol. 173:1380−1389に記載されているように、生産され、遺伝子型的に分類された。零Ada対立遺伝子に対するホモ接合のマウスをADA欠乏(ADA−/−)と名づけ、一方で零Ada対立遺伝子に対するヘテロ接合のマウスをADAコントロールマウス(ADA)と名づけた。全てのマウスは129sv/C57BL/6Jのバックグラウンドの混合で、全ての表現型比較は同腹のマウス内で行なった。動物管理は、慣例的なおよびNIHのガイドラインにしたがった。マウスをマイクロアイソレーターの蓋を装備した換気性のおりに収容し、厳密な封じ込めプロトコルの下維持した。細菌性、寄生生物性、または真菌性の感染の形跡は見られず、12種の最も一般的なネズミのウィルスに関して、おり内の同腹のマウスの血清測定は陰性であった。
【0218】
(細胞の識別および組織学)
マウスをアベルチンで麻痺させ、肺を0.3mlPBSで4回洗浄し、0.95〜1mlのたまった洗浄液をとり戻した。細胞の総数は血球計算盤を使用して測定し、アリコートを顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いて、細胞の識別のためにDiff−Quick(Dade Nehring)で染色した。その後、肺をPBS中4%のパラホルムアルデヒドで25cm圧力で満たし、その後4℃で一晩固定させた。固定した肺のサンプルをPBSで洗浄し、脱水し、そしてパラフィン中に包埋した。切片(5μm)を顕微鏡用のスライド上に収集し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E;Shandon−Lipshaw)またはMassonのトリクローム(EM Science)で、製品の説明書にしたがって、染色した。
【0219】
(mRNAの分析)
マウスを麻痺させ、肺をすばやく取り除き、液体窒素内で冷凍した。TRIzol Reagent(Life Technologies Inc.、Grand Island、New York、USA)を使用して、冷凍肺の組織からRNAを分離した。その後、RNAのサンプルをDNase処理し、定量即時式RT−PCRにかけた。即時式RT−PCRのプライマー、プローブ、および方法は、以前にSun et al.(2005)J Clin Invest 115:35−43に記述された。反応を、Smart Cycler即時式サーマルサイクラーシステム(Cepheid、Sunnyvale、CA)上で行なった。Smart Cycler分析ソフトウェアを使用して、テンプレート希釈のPCR増幅より出た標準曲線との比較をとおして特定の転写レベルが測定された。
【0220】
(コラーゲンの定量化)
急冷凍した全ての肺にSircolコラーゲンアッセイ(Biocolor Ltd.、Belfast N. Ireland)を行なった。肺を20mgペプシンを含む5mlの0.5M酢酸中にホモジネートし、4℃で24時間振とうしながらインキュベートした。製品の説明書にしたがって、ホモジネートを4000rpmで回転させ、ペプシン可溶のコラーゲンに関して上澄み液をアッセイした。
【0221】
(α−SMAおよびTGF−β1の免疫組織化学)
ホルマリン固定のパラフィンに包埋した肺からの5μm切片に免疫組織化学法を行なった。切片をエタノールから水の段階をとおして再水和させ、内因性ペルオキシダーゼを3%過酸化水素でクエンチングし、抗原回復を行い(DAKO Corp.、Carpenteria、CA)、そしてBiotin Blocking System(DAKO
Corp.)で内因性アビジンおよびビオチンをブロックした。α−平滑筋アクチン(sma)染色のために、スライドをMouse on Mouse KitおよびABC
Elite Streptavidin Reagents(Vector Laboratories、Burlingame、CA)で処理して、1:500希釈のα−smaモノクローム抗体(Sigma、モノクローナルクローン1 A−4)とともに4℃で一晩インキュベートした。切片をDAB(Sigma)で現像し、Methyl Greenで対比染色した。
【0222】
(肺胞の気腔サイズの測定)
肺胞の気道のサイズを、圧迫注入された肺内で、H&E染色した肺切片の索の長さの平均を測定することで、測定した(Blackburn et al.(2000)J Exp Med 192:159−170)。見本の映像をデジタル化し、10.5−μm間隔の53本の黒線からなるグリッドを映像に重ねた。Image−Pro(登録商標)Plus(Media Cybernetics)映像分析ソフトウェアを使用して、肺の映像からこの線グリッドを控除し、生じた線を測定し、平均値を求め、肺胞の気道の索の長さの平均を得た。最終的な索の長さの平均は、それぞれの肺の検体のオーバーラップしない10枚の映像からの平均値を示す。全ての定量研究は、動物の遺伝子型との関連が分からない状態で行なわれた。
【0223】
(結果)
(組織学的分析)
肺の組織学的分析を図1に示す。ビヒクル処置をしたADA−/−マウスの肺は、大きな肺胞の気道の単純化(図1B)を示し、遠位気道中の活性マクロファージの蓄積を主に含む肺の炎症を増大させた(図1E)。しかしながら、気管支周囲/脈管周囲の炎症もまた明らかであった(図示されていない)。ADA+の、ビヒクル処置したマウス(図1AおよびD)または3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン処置をしたマウス、または何も処置しなかったマウス(図示されていない)では、肺胞の気道の単純化および肺の炎症は明らかではなかった。ADA−/−マウスのアデノシンA2B受容体アンタゴニストによる処置によって、肺胞の気道の単純化の大幅な低減(図1C)および肺の炎症の大幅な低減(図1F)をもたらす結果となった。これらの発見は、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用した処置は、ADA−/−マウスにおける肺の炎症および気道の破壊の発生を予防し得ることを示す。
【0224】
(気管支肺胞洗浄の分析)
気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、気道の細胞数および識別を測定した(図2)。結果は、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用した処置を受けたADA−/−マウスのBALから回復した総細胞数は、ビヒクル処置をしたADA−/−マウスのものに比べて大幅に減少していることを明らかにした(図2A)。BALからの細胞識別の分析は、A2Bアデノシン受容体アンタゴニストを使用した処置を受けたADA−/−マウス内のリンパ球、好中球、好酸球(図2C)、および肺胞マクロファージ(図2B)を含む検査した全ての細胞タイプの減少を明らかにした。
【0225】
2Bアデノシン受容体アンタゴニスト処置をしたおよびしなかったADA−/−マウスの肺内の肺胞マクロファージの検査は、肺胞マクロファージ活性化の程度に差があったことを示す(図1EとFを比較せよ)。これらの観測は、BALから回復した活性化マクロファージの数を数量化することで確認された(図2C)。さらに、肺胞マクロファージ活性化の低減は、顕微鏡用のスライド上に引き伸ばして置いたBAL細胞を直接検査することで識別され得る(図3)。これらのデータは、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト処置をしたADA−/−マウス内の気道の炎症を大幅に低減することを実証し、A2BARアンタゴニストは遺伝的におよび/または環境的に気道のリモデリングにかかりやすい動物の気道の炎症を予防し得ることを示す。
【0226】
(炎症性マーカへの影響)
アデノシンA2Bアンタゴニスト処置の、ADA−/−マウスの肺の炎症の程度を弱める能力は、てがかりとなるサイトカインおよびケモカインのレベルの検査を促した。ビヒクルまたはA2Bアデノシン受容体アンタゴニストで処置をしたADAおよびADA−/−マウスからの肺のRNA抽出物全てを分析した。IL−5、IL−4、TNFα、RANTESおよび多種の単球化学誘引蛋白(MCP)は、ビヒクル処置されたADA−/−マウスの肺内では上昇するが、A2Bアデノシン受容体アンタゴニスト処置においてはこれらのレベルは変わらないことが分かった。対照的に、IL−6、Eotaxin IおよびTARCは、ビヒクル処置されたADA−/−マウス内では上昇し、これらのレベルはA2Bアデノシン受容体アンタゴニスト処置されたADA−/−マウス内では極めて低かった。図4に示すように、これらの発見は、ADA−/−マウス内のA2BARアンタゴニストは、特定のしかし全てではない前駆炎症サイトカインおよびケモカインの発現を予防し得ることを実証する。
【0227】
(筋線維芽細胞蓄積への影響)
先の研究は、ADA−/−マウスはアデノシン上昇と関連して肺線維症を発症することを実証した。ADA−/−マウスの肺線維症に対するアデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置の影響を決定するために、α−平滑筋アクチン(α−sma)を染色することで肺の筋線維芽細胞の状態を検査した(図5)。ビヒクル処置したADA−/−マウスの遠位気道においてα−sma染色が顕著であった(図5B)一方で、ビヒクル処置したADAマウスの遠位気道ではα−sma陽性細胞は見られなかった(図5A)。アデノシンA2B受容体アンタゴニストで処置をしたADA−/−マウスの遠位気道では少数〜0個のα−sma陽性細胞がみられ(図5C)、これはA2BARアンタゴニスト作用がADA−/−マウスの肺内の筋線維芽細胞蓄積を予防し得ることを示唆する。
【0228】
(コラーゲン沈着への影響)
ADA−/−モデルにおける先の作業は、ADA−/−マウスはアデノシン上昇と関連して重度の肺線維症を発症することを実証した。ADA−/−マウスの線維症に対するA2Bアデノシン受容体アンタゴニスト処置の影響を決定するために、本発明者らはMasonのトリクローム染色を使用して、コラーゲン沈着の程度を検査した(図6)。コラーゲン沈着の検査は、ビヒクル処置したADA−/−マウスでは遠位気道のコラーゲン沈着が顕著であった(図6C)一方で、ビヒクルまたはアデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置をしたADAマウスの肺では少量〜0のコラーゲン沈着であった(図6AおよびB)ことを明らかにした。アデノシンA2B受容体アンタゴニスト3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを使用したADA−/−マウスの処置は、気道中のコラーゲン沈着を減少させる(図6D)結果となった。全ての肺α1−プロコラーゲンの転写レベル(図6E)、およびBAL液内のコラーゲンタンパクのレベル(図6F)を定量化することにより、コラーゲン生産を測定した。ビヒクルで処置したADA−/−マウスの肺内ではコラーゲン生産の大きな増加がみられ、これらの増加はCVT−6883処置によって大幅に予防された。これらの発見は、アデノシンA2B受容体アンタゴニストはADA−/−マウスの線維症の発症を予防し得ることを実証し、肺線維症の調節におけるA2BARシグナルを意味する。
【0229】
(前駆線維症のメディエイタの減少)
TGF−β1、オステオポンチン(OPN)およびプラスミノゲン活性因子の阻害因子−1(PAI−1)は、前駆線維症のメディエイタで、ADA−/−マウスの肺内で上昇することが分かっている(Chunn et al(2005)J Immunol 175:1937−1946)。これらの線維症の調節因子のレベルは、ビヒクルで処置したADA−/−マウスの肺内では上昇したが、一方でアデノシンA2B受容体アンタゴニスト処置はこれらの分子の発現を減少させた(図7)。これらの発見は、A2BARアンタゴニストは、ADA−/−マウスの肺の線維症の手がかりとなる調節因子の発現を妨げ得ることを示唆する。
【0230】
(プロテアーゼ/抗プロテアーゼのレベルの標準化)
メタロプロテアーゼ(MMPs)およびプロテアーゼの阻害因子のレベルの増加は、ADA−/−マウスを含む多くのモデルの遠位気道の拡張の特徴である(Sun et al.(2005)J Clin Invest 115:35−43、Hautamaki et al.(1997)Science 277:2002−2004、Lanone et al.(2002)J Clin Invest 110:463−474)。ビヒクルで処置したADA−/−マウスの肺内の抗プロテアーゼおよびプロテアーゼの検査は、TIMP−1、MMP−9、およびMMP−12の発現の増加を実証した(図8)。アデノシンA2B受容体アンタゴニストを使用したADA−/−マウスの処置は、肺胞の完全な形のこれら3つの全ての調節因子の発現の減少させる結果に到り、これはA2BARシグナルが、ADA−/−マウスの肺内でのアデノシン誘発性プロテアーゼおよび抗プロテアーゼの発現の調節に関与していることを示唆する。
【0231】
(肺胞破壊への影響)
ADA−/−マウスは、肺のアデノシンレベルの上昇によってもたらされる気腫の遠位気道の拡張の特性の特徴を発症する。ADA−/−マウスにみられる遠位気道の拡張に対する3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンの影響を検査するために、組織学的にそして遠位気道の索の長さの平均を決定することで、肺胞破壊を評価した(図9)。ADA+動物の気道は、組織学的に観測される際は充分に整って小さい状態であった(図9A)。ADA−/−気道は拡張しており(図9B)、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを使用したADA−/−マウスの処置はこの拡張を予防した(図9C)。遠位気道のサイズの定量化は、組織学的観察と一致した(図9D)。これらのデータは、3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}(4−ヒドロピラゾール−4−イル))−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを使用したADA−/−マウスの処置は、ADA−/−マウスに見られる肺胞の気道破壊を予防し得ることを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−56965(P2012−56965A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−277345(P2011−277345)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2007−536923(P2007−536923)の分割
【原出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】