説明

ACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法

【課題】データロガーを設置せずにACMセンサのみを設置した構造物の腐食量や腐食性を、簡易に評価可能な、ACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法を提供する。
【解決手段】 実構造物の表面部位に、出力電流の経時データが測定可能なように一定期間設置された基準ACMセンサの経時出力電流データに基づいて、電気量を求める工程(1)と、実構造物の表面部位にアノードとカソード間を導通させた状態で一定期間設置した被評価ACMセンサを、基準ACMセンサとともに恒温恒湿条件下に置き、それぞれの出力電流を測定する工程(2)と、前記基準ACMセンサの出力電流と前記被評価ACMセンサの出力電流との関係および、基準ACMセンサの電気量に基づいて、前記被評価ACMセンサの電気量を求める工程(3)と、工程(3)で求めた電気量と予め設定した電気量と腐食速度との関係に基づいて、実構造物の推定腐食速度を求める工程(4)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ACM(Atmospheric Corrosion Monitor)センサによる構造物の腐食速度推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ACMセンサは大気環境の腐食性を定量的に評価するツールである。その構成は、図11((A)はセンサ表面を示す平面図、(B)はその中央部の拡大断面図である)に模式的に示すように、ACMセンサ1は、鋼基板2の表面に絶縁ペースト3と導電ペースト4を積層したものであり、鋼基板2と導電ペースト4からそれぞれ導線2a,4aが引き出され、無抵抗電流計等の計測器5に接続される。鋼基板表面の露出部がセンサのアノード(陽極)となり、導電ペーストがカソード(陰極)となる。
【0003】
ACMセンサの測定原理は、次にように考えられている。すなわち、センサの置かれた環境が乾燥状態で表面になにも堆積していない時(初期)には、絶縁ペースト3によりアノード(鋼基板2)とカソード(導電ペースト4)が絶縁されているので、その間に電位は発生せず電流は計測されない。センサ表面の導電性ペースト(Ag)と鋼基板(Fe)を絶縁して配置した部分に、雨や露により水膜が形成されると、両金属間を水膜が連結するので、金属間の電位差によりガルバニック電流が生じる。このガルバニック電流は、鋼材料や亜鉛材料の腐食量に対して相関があることから、腐食速度を定量評価できるものである(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0004】
金属の腐食性に影響を与える因子としては、温度、湿度、降雨、大気中を飛来している海塩や腐食性ガス(SOx)などが挙げられるが、ACMセンサは、これら複雑な環境因子により電気化学的に発生する鋼の腐食電流を直接計測することができるので、ACMセンサの出力電流値を解析することにより、環境の腐食性を直接、かつ定量的に評価することができる。
【0005】
そのため現に、図12に使用例を示したように、ACMセンサ1を温湿度センサ7と共に鉄塔や橋梁などの鋼構造物の脚部や高所に設置し、時間ごとの出力電流を測定したものを電流を記録する装置(データロガー)6に記録し、記録されたデータに基づいて、大気環境における腐食性を測定する方法を実施している。ACMセンサは暴露により腐食して劣化するため、適切なデータを得るには定期的な交換が必要である。
【特許文献1】特開2001−201451号公報
【非特許文献1】材料と環境:43,550(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ACMセンサの電流を計測するためには、電流を記録する装置(データロガー)が必要であるが、データロガーは高額であるため複数地点の環境評価を同時に実施する場合の測定費用が高額となり、また、多数のACMセンサにデータロガーを接続すると配線の負担が大きいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、データロガーを設置した構造物の腐食性評価に基づいて、データロガーを設置せずにACMセンサのみを設置した構造物の腐食量や腐食性を簡易に評価可能な、ACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、データロガーに記録された基準ACMセンサの出力電流値と暴露時間に基づいて、ある地点における構造物の腐食性を評価すると共に、他の地点においては、データロガーを設置せずにACMセンサのみを実環境に暴露した後、これを撤去して一定の温度湿度条件下に暴露して出力電流値を測定し、この測定電流値から電気量を求めることにより、予め設定されている電気量と腐食速度の関係式を用いて腐食速度を推定することが可能となり、単数のデータロガーを設置するだけで、構造物の大気環境における腐食性を簡易に評価できるとの知見を得て、本発明に到達した。
【0009】
また、本発明は、撤去したACMセンサの測定電流値が異常値を示す場合には、センサ表面の付着イオンの種類や量によって評価対象をグループ分けすることにより、測定電流値と解析電流値との関係式に基づいて精度よく腐食速度を算出でき、単数のデータロガーを設置するだけで、構造物の大気環境における腐食性を簡易に評価できるとの知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1)実構造物の表面部位に、出力電流の経時データが測定可能なように一定期間設置された基準ACMセンサの経時出力電流データに基づいて、電気量を求める工程(1)と、
実構造物の表面部位にアノードとカソード間を導通させた状態で一定期間設置した被評価ACMセンサを、基準ACMセンサとともに恒温恒湿条件下に置き、それぞれの出力電流を測定する工程(2)と、
工程(2)における前記基準ACMセンサの出力電流と前記被評価ACMセンサの出力電流との関係および、基準ACMセンサの電気量に基づいて、前記被評価ACMセンサの電気量を求める工程(3)と、
工程(3)で求めた被評価ACMセンサの電気量と、予め設定した電気量と腐食速度との関係に基づいて、実構造物の推定腐食速度を求める工程(4)と
を有することを特徴とするACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、
2)前記被評価ACMセンサの表面の付着物を分析し解析電流値を求める工程(2−2)と、
該被評価ACMセンサの恒温恒湿条件下での測定出力電流値と前記解析電流値との相関関係から、被評価ACMセンサの測定出力電流値を補正する工程(2−3)と
を有することを特徴とする前記1)に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、
3)付着物の分析は、付着イオンの種類と量を分析することを特徴とする前記2)に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、
4)前記付着物の分析データに基づき、予め被評価ACMセンサを塩素イオン量が多いグループとそれ以外のグループとにグループ分けした後、各グループごとに解析電流値を求めることを特徴とする前記2)又は3)に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、
5)前記グループ分けは、工程(2)で測定された測定電流値に異常値が認められた場合に実行することを特徴とする前記4)に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、
6)前記構造物を構成する材料が、鋼、亜鉛、又はアルミニウムであることを特徴とする前記1)〜5)のいずれかに記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法、及び、
7)前記電気量が、積算電気量(C)又は日平均電気量(C/day)であることを特徴とする前記1)〜6)のいずれかに記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、データロガーを設置したACMセンサの出力電流値とその暴露時間に基づいて、電気量と腐食速度との関係を示す基準データを求めると共に、評価対象となる構造物から撤去したACMセンサの測定電流値から電気量を求め、その電気量と、予め設定した電気量と腐食速度との関係に基づいて、実構造物の推定腐食速度を求めるようにしたので、単一のデータロガーを設置するだけで、複数の構造物の腐食性を簡易に評価することが可能になる。
【0012】
また、海塩等によってACMセンサが破損した場合でも、付着物を分析した解析電流値を用いてACMセンサの測定電流値を補正することにより、センサが破損していない場合と同様に、腐食速度を推定することが可能になる。
【0013】
なお、本発明は、鉄塔、橋梁、配電機材、住宅等の錆が発生しやすい鋼、亜鉛、アルミ製の構造物のメンテナンスに特に有効な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法の好ましい実施形態を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る、ACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法の処理過程を示したフローチャートである。図3は、具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【0016】
まず、データロガーを接続した経時出力電流データを記録可能なACMセンサ(これを「基準ACMセンサ」という。)を、特定の構造物(本実施例ではA地点の構造物)に設置する(S(1))。これと並行して、データロガーを接続する代わりに、アノードとカソード間を接続し、腐食電流が通電可能であるACMセンサ(これを「被評価ACMセンサ」という。)を、複数地点(本実施例ではB地点乃至F地点)に設置する(S(4))。設置後は双方のACMセンサともに一定期間放置し、環境に暴露させる(S(2)、S(5))。
【0017】
工程(1)では、データロガーに記録された基準ACMセンサの出力電流データから、電気量と構造物の腐食速度(mm/year)との関係を示す基準データを求める(S(3))。この工程(1)においては、暴露日数(経過時間)に基づいて算出される電気量と、腐食量との関係を求めてグラフ化し、必要に応じて、平均温度(以下、温度という)、平均湿度(以下、湿度という)などの環境因子のデータを合わせて整理する。尚、電気量としては、日平均電気量Qday(C/day)、又は積算電気量Q(C)を用いる。
【0018】
図4は、Fe−Ag対型ACMセンサを用いた時の出力電流値から、日平均電気量(独立変数)Qdayと鋼の腐食速度(従属変数)CRについて、それぞれの対数を取って、線形モデルに変換して回帰分析を行った結果を示す図である。図4からわかるように、腐食電流から得られる電気量は、一定範囲において腐食速度のべき乗に比例する。尚、日平均電気量Qdayは、ACMセンサ出力電流値I(A)を任意の期間積算した値で表される積算電気量Q(C)(=I×時間(sec))の1日当りの積算電気量であり、日平均電気量Q/day(C/day)=積算電気量Q(C)/測定日数 によって求められる値である。
【0019】
工程(2)では、実環境に暴露した基準ACMセンサ及び被評価ACMセンサを撤去し、これらの撤去センサを恒温恒湿槽に暴露し、出力電流値を測定する(S(6))。湿度と出力電流値とは相関があり、湿度が高くなるほど出力電流値が増大する傾向があるため、ACMセンサを温度及び湿度を制御した一定条件下に暴露することにより、腐食性を適正に評価することができる。
【0020】
この工程(2)においては、一定間隔で湿度を上下させて、恒温恒湿槽における暴露時間(経過時間)と出力電流値との関係を求める。図5(a)乃至(f)はそれぞれ、A地点乃至F地点に2ヶ月間暴露した後撤去した、各ACMセンサの恒温恒湿槽における暴露時間(日数)と出力電流(μA)との関係を示した特性図である。
【0021】
図5の(a)は第1期、(b)は第2期、(c)は第3期、(d)は第4期、(e)は第5期、(f)は第6期における測定結果であり、各ACMセンサの暴露時間が同じで、暴露した時期が異なるものである。暴露した時期が冬期の場合(図5(e))は、適正な波形が得られている。一方、暴露した時期が夏期の場合(図5(b))は、適正な波形が得られなくなるが、センサの腐食(消耗)が激しく破損が原因と考えられる。
【0022】
工程(3)では、データロガーを設置したA地点におけるACMセンサの出力電流データと、適正な波形から求められる測定電流値との関係を示すデータを求める。具体的には、基準ACMセンサの出力電流値と、被評価ACMセンサの出力電流値の比から、被評価ACMセンサの日平均電気量を求める(S(12))。
【0023】
工程(4)では、求めた日平均電気量Q/day(C/day)と腐食速度(mm/year)との関係を示すデータを用いて、各地点の推定腐食速度を求める。これにより、各地点における腐食速度の相対評価を行うことができる。
【0024】
以上のように、本実施形態によれば、破損していないACMセンサの恒温恒湿槽における測定電流値を求めることにより、予め求めておいた基準データによる腐食速度のデータを用いて、腐食速度を推定することが可能となる。
【0025】
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態2に係るACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法の処理過程を示したフローチャートである。具体的な処理手順は図3に示されている。
【0026】
工程(1)では、実施形態1同様、データロガーに記録されたACMセンサの出力電流データから、電気量と構造物の腐食速度(mm/year)との関係を示す基準データを求める(図4参照)。
【0027】
工程(2)では、実環境に暴露したACMセンサを撤去し、撤去センサを恒温恒湿槽に暴露し、出力電流値を測定する。この工程においては、実施形態1同様、暴露時間(経過時間)と出力電流値との関係を求めてグラフ化する(図5参照)。
【0028】
一方、被評価ACMセンサの出力電流が適正な波形を示さない(例えば、湿度によって一意に出力電流が定まらない、湿度に対して出力電流が単調増加しない等)場合(S(7))には、ACMセンサ表面に付着したイオンの量から、多変量解析により電極間を移動した電気量の単位時間当たりの値(解析電流値)を求める。
【0029】
具体的には、まず、出力電流が適正な値を示すものについて、以下の式(1)で表される合計イオン量が最小となるa〜iの値を求める。
【0030】
【数1】

【0031】
ここで、[Cl]は、Clイオンの付着量(g/cm)である。同様に、[NO]、[NO]、[SO]、[Na]、[NH]、[K]、[Mg]、及び[Ca]は、各イオンの付着量(g/cm)である。
【0032】
a〜iが求められたら、これらを用いて以下の式(2)により、解析電流値を算出する。
【0033】
【数2】

【0034】
工程(2−2)では、出力電流値を測定したACMセンサについて、センサ表面の付着物を分析し、分析データを求める(S(8))。具体的には、センサ表面の付着物を純水で超音波洗浄した後、洗浄水中のイオンの種類と量を、イオンクロマトグラフィー等の分析装置を用いて測定する。測定されたセンサ表面に付着しているイオンの種類と量を、合わせて整理する。
【0035】
図6(a)乃至(f)は、A地点乃至F地点から撤去したACMセンサを、恒温恒湿槽に暴露した後、そのセンサ表面に付着しているイオンの種類と量(g/m)との関係を示した特性図である。(a)乃至(f)は、A地点乃至F地点にそれぞれ2ヶ月間暴露したACMセンサの出力電流を示すデータであるが、季節(測定時期)や環境(測定地点)によってイオン量が異なる特性を示すことがわかる。
【0036】
本実施形態は、適正な波形を示さない図5(a)乃至(d)についても、多変量解析によって解析電気量を求め、この解析電気量から推定腐食速度を求めることを可能にするものである。つまり、工程(2−2)において、撤去したセンサ表面に付着しているイオンの種類と量を測定してデータを収集し、その量の多少から支配因子を決定する。そして、決定した支配因子に基づき評価対象となる収集データをグループ分けして整理する(S(9))。
【0037】
具体的には、SOイオン量とClイオンの量の比、[SO]/[Cl]が5以下のものをClイオンが多いグループ(Cl支配型群)、それ以外のものをSO支配型群とする。
【0038】
図7は、全期間の測定電流値(独立変数)と付着物イオン量から求めた解析電流値(従属変数)との関係を示した図である。図7に示すように、グループ分けしない場合は、測定電流値と解析電流値との間に相関はみられない。
【0039】
次に、工程(2−3)では、グループ分けした各グループごとに、測定電流値と付着物イオン量から求めた解析電流値との関係を示すデータを求める。具体的には、測定電流値(独立変数)X、解析電流値(従属変数)Yについてそれぞれの数値を取って、プロットする(S(10))。その結果を図8(Cl支配型群)、図9(SO支配型群)に示す。図8及び図9からわかるように、測定電流値と解析電流値はよい相関関係を示している。
【0040】
次に、工程(3)では、破損したセンサの出力電流値を、解析電流値をもって推定する(S(11))。さらに、センサの解析電流値と暴露期間とから各地点における電気量を推定し(S(12))、推定した電気量から日平均電気量を算出する。
【0041】
そして、工程(4)では、工程(1)で求めた日平均電気量Q/day(C/day)と構造物の腐食速度(mm/year)との関係を示すデータを用いて、各地点の推定腐食速度を求める(S(13))。これにより、各地点における腐食速度の相対評価を行うことができる。
【0042】
図10は、上記の方法で求めた各地の出力電流解析値と鋼の推定腐食速度との関係を示した図である。図11から、B地点及びC地点は、A地点に比べて鋼の大気環境における腐食性が高く、一方D、E及びF地点は、A地点に比べて鋼の大気環境における腐食性が低いことがわかる。
【0043】
上記実施形態1〜2では、Fe−Ag対型ACMセンサを用いた実施例について説明したが、Al−Ag対型ACMセンサ、Zn−Ag対型ACMセンサを用いて同様の方法にて腐食性を評価することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態1に係るACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法の処理過程を示したフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態2に係るACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法の処理過程を示したフローチャートである。
【図3】本発明に係るACMセンサによる構造物の腐食速度の推定方法の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】日平均電気量と腐食速度との関係を示した特性図である。
【図5】暴露時期が異なるACMセンサの恒温恒湿槽における出力電流の値(測定電流値)を示した特性図である。
【図6】暴露時期が異なるACMセンサに付着したイオンの種類と量を示した特性図である。
【図7】全期間のACMセンサの恒温恒湿槽における出力電流の値(測定電流値)と解析電流値との関係を示した特性図である。
【図8】Clイオンが支配因子となるグループ(Cl支配型群)の測定電流値と解析電流値との関係を示した特性図である。
【図9】SOイオンが支配因子となるグループ(SO支配型群)の測定電流値と解析電流値との関係を示した特性図である。
【図10】A乃至F地点の出力電流解析値(解析電流値)と鋼の推定腐食速度との関係を示した図である。
【図11】ACMセンサの構成図である。
【図12】大気環境の評価方法の構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ACMセンサ
2 鋼基板
3 絶縁ペースト
4 導電ペースト
5 無抵抗電流計
6 データロガー
7 温湿度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実構造物の表面部位に、出力電流の経時データが測定可能なように一定期間設置された基準ACMセンサの経時出力電流データに基づいて、電気量を求める工程(1)と、
実構造物の表面部位にアノードとカソード間を導通させた状態で一定期間設置した被評価ACMセンサを、基準ACMセンサとともに恒温恒湿条件下に置き、それぞれの出力電流を測定する工程(2)と、
工程(2)における前記基準ACMセンサの出力電流と前記被評価ACMセンサの出力電流との関係および、基準ACMセンサの電気量に基づいて、前記被評価ACMセンサの電気量を求める工程(3)と、
工程(3)で求めた被評価ACMセンサの電気量と、予め設定した電気量と腐食速度との関係に基づいて、実構造物の推定腐食速度を求める工程(4)と
を有することを特徴とするACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項2】
前記被評価ACMセンサの表面の付着物を分析し解析電流値を求める工程(2−2)と、
該被評価ACMセンサの恒温恒湿条件下での測定出力電流値と前記解析電流値との相関関係から、被評価ACMセンサの測定出力電流値を補正する工程(2−3)と
を有することを特徴とする請求項1に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項3】
付着物の分析は、付着イオンの種類と量を分析することを特徴とする請求項2に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項4】
前記付着物の分析データに基づき、予め被評価ACMセンサを塩素イオン量が多いグループとそれ以外のグループとにグループ分けした後、各グループごとに解析電流値を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項5】
前記グループ分けは、工程(2)で測定された測定電流値に異常値が認められた場合に実行することを特徴とする請求項4に記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項6】
前記構造物を構成する材料が、鋼、亜鉛、又はアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。
【請求項7】
前記電気量が、積算電気量(C)又は日平均電気量(C/day)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のACMセンサによる構造物の腐食速度推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−157647(P2008−157647A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343780(P2006−343780)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(506424036)
【出願人】(503217613)
【Fターム(参考)】