説明

AKT活性の阻害剤

本発明は、Akt活性を阻害する化合物を提供する。特に、開示された化合物は、1種又は2種のAktアイソフォームを選択的に阻害する。本発明はまた、かかる阻害化合物を含んでなる組成物、及び癌の治療を必要とする患者に対し当該化合物を投与することによりAkt活性を阻害する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、セリン/スレオニンキナーゼ、Akt(PKBとしても知られる;以後「Akt」と称する)の1種以上のアイソフォームの活性の阻害剤である化合物に関する。本発明はまた、かかる化合物を含んでなる医薬組成物、及び癌の治療において当該化合物を使用する方法に関する。
【0002】
アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生、及び神経変性性疾患、心臓血管疾患、及び癌のような、種々の疾患の病理発生において、本質的な役割を果たしている。最近の研究は、プログラムされた細胞死の調節又は実行に関与している種々のプロ−及び抗アポトーシス遺伝子産物の同定をもたらしている。Bcl2又はBcl−xといった抗アポトーシス遺伝子の発現は、種々の刺激によって誘導されるアポトーシス性細胞死を阻害する。一方、Bax又はBadのようなプロ−アポトーシス遺伝子の発現は、プログラムされた細胞死をもたらす(アダムズ(Adams)ら著、「サイエンス(Science)」、1998年、第281巻、p.1322−1326)。プログラムされた細胞死の実行は、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、カスパーゼ−8及びカスパーゼ9などを含めた、カスパーゼ−1関連タンパク質分解酵素により仲介される(ソーンベリ(Thornberry)ら著、「サイエンス」、1998年、第281巻、p.1312−1316)。
【0003】
ホスファチジルイノシトール3’−OHキナーゼ(PI3K)/Akt経路は、細胞生存/細胞死の調節に重要であるように見える(クーリック(Kulik)ら著、「モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biol.)」、1997年、第17巻、p.1595−1606;フランケ(Franke)ら著、「セル(Cell)」、1997年、第88巻、p.435−437;カウフマン−ツェイ(Kauffmann−Zeh)ら著、「ネイチャー(Nature)」、1997年、第385巻、p.544−548;ヘミングズ(Hemmings)著、「サイエンス」、1997年、第275巻、p.628−630;ドゥデック(Dudeck)ら著、「サイエンス」、1997年、第275巻、p.661−665)。血小板由来成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)及びインスリン様成長因子−1(IGF−1)のような生存因子は、PI3Kの活性を誘導することにより、種々の条件下に細胞生存を促進する(クーリックら、1997年、ヘミングズ、1997年)。活性化されたPI3Kは、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)−三リン酸(PtdIns(3,4,5)−P3)の産生をもたらし、それが次に、プレクストリン相同(PH)−ドメインを含有するセリン/スレオニンキナーゼAktに結合し、その活性化を促進する(フランケら著、「セル(Cell)」、1995年、第81巻、p.727−736;ヘミングズ著、「サイエンス」、1997年、第277巻、p.534;ダウンワード(Downward)著、「カレント・オピニオン・イン・セル・バイオロジー(Curr.Opin.Cell Biol.)」、1998年、第10巻、p.262−267;アレッシ(Alessi)ら著、「ディ・エンボ・ジャーナル(EMBO J.)」、1996年、第15巻、p.6541−6551)。PI3Kの特異的阻害剤又は、優性ネガティブAkt変異体は、これらの成長因子又はサイトカインの生存促進活性を廃止する。PI3Kの阻害剤(LY294002又はウォルトマンニン)が、上流キナーゼによるAktの活性化を阻止したことが先に開示されている。加えて、構成性に活性のあるPI3K又はAkt突然変異体の誘導は、通常は細胞がアポトーシス性細胞死を受ける条件下に、細胞生存を促進する(クーリックら、1997年、ドゥデックら、1997年)。
【0004】
第2メッセンジャーに制御されるセリン/スレオニンタンパク質キナーゼのAktサブファミリーの3つのメンバーが同定されており、各々、Akt1/PKBα、Akt2/PKBβ、及びAkt3/PKBγ、と命名された(以降「Akt1」、「Akt2」及び「Akt3」と称する)。アイソフォームは、特に触媒ドメインをコードしている領域において相同である。Aktは、PI3Kシグナリングに応答して起こるリン酸化事象によって活性化される。PI3Kは、膜のイノシトールリン脂質をリン酸化して、第2メッセンジャーであるホスファチジル−イノシトール3,4,5−三リン酸、及びホスファチジルイノシトール3,4−二リン酸を生成し、それがAktのPHドメインへ結合することが示されている。Akt活性化の現在のモデルは、3’−リン酸化されたホスホイノシチドによる、膜への酵素の動員を提案しており、そこで上流キナーゼによるAktの調節部位のリン酸化が起こるとされる(ヘミングズ(B.A.Hemmings)著、「サイエンス」、1997年、第275巻、p.628−630;ヘミングズ著、「サイエンス」、1997年、第276巻、p.534;ダウンワード(J.Downward)著、「サイエンス」、1998年、第279巻、p.673−674)。
【0005】
Akt1のリン酸化は2つの調節部位、触媒ドメイン活性化ループ中のThr308、及びカルボキシ末端付近のSer473上で起こる(アレッシ(D.R.Arlessi)ら著、「ディ・エンボ・ジャーナル」、1996年、第15巻、p.6541−6551、及びマイヤー(R.Meier)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1997年、第272巻、p.30491−30497)。同等の調節リン酸化部位が、Akt2及びAkt3に存在する。活性化ループ部位でAktをリン酸化する上流キナーゼは、クローン化されており、3’−ホスホイノシチド依存タンパク質キナーゼ1(PDK1)と命名されている。PDK1は、Aktばかりでなく、p70リボソームS6キナーゼ、p90RSK、血清及びグルココルチコイド−調節キナーゼ(SGK)、及びタンパク質キナーゼCもリン酸化する。Aktの調節部位をカルボキシ末端付近でリン酸化する上流キナーゼは、まだ同定されていないが、最近の報告は、インテグリン関連キナーゼ(ILK−1)、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ、又は自己リン酸化のための役割を暗示している。
【0006】
ヒト腫瘍におけるAktレベルの分析は、Akt2が、有意な数の卵巣癌(チェン(J.Q.Cheng)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.)」、1992年、第89巻、p.9267−9271)及び膵臓癌(チェン(J.Q.Cheng)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1996年、第93巻、p.3636−3641)において過剰発現されていることを示した。同様に、Akt3は、乳癌及び前立腺癌の細胞系において、過剰発現されることが見出された(ナカタニ(Nakatani)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1999年、第274巻、p.21528−21532)。
【0007】
腫瘍抑制因子PTEN、PtdIns(3,4,5)−P3の3’ホスフェートを特異的に除去する、タンパク質及び脂質ホスファターゼは、PI3K/Akt経路の負のレギュレーターである(リー(Li)ら著、「サイエンス」、1997年、第275巻、p.1943−1947、スタンボリック(Stambolic)ら著、「セル」、1998年、第95巻、p.29−39、サン(Sun)ら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1999年、第96巻、p.6199−6204)。PTENの生殖細胞突然変異は、カウデン病のようなヒト癌の症候群の原因である(リャウ(Liaw)ら著、「ネイチャー・ジェネティクス」、1997年、第16巻、p.64−67)。PTENは、高比率のヒト腫瘍において欠失されており、機能性のPTENのない腫瘍細胞系は、高レベルの活性化されたAktを示す(リーら、上記、グルバーグ(Guldberg)ら著、「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、1997年、第57巻、p.3660−3663、ライジンガー(Risinger)ら著、「キャンサー・リサーチ」1997年、第57巻、p.4736−4738)。
【0008】
これらの観察は、PI3K/Akt経路が、腫瘍形成における細胞生存又はアポトーシスの調節に関し、重要な役割を果たしていることを証明している。
【0009】
Aktの活性化及び活性の阻害は、LY294002及びウォルトマンニンなどの阻害剤を用いてPI3Kを阻害することにより達成可能である。しかしながら、PI3K阻害は、単に3つのAktアイソザイム全てではなく、チロシンキナーゼのTecファミリーのような、PdtIns(3,4,5)−P3に依存している他のPHドメイン含有性のシグナリング分子にも影響を及ぼす可能性を有している。さらに、Aktは、PI3Kとは無関係の増殖シグナルによって活性化され得ることが開示されている。
【0010】
或いは、Akt活性は、上流キナーゼPDK1の活性を阻止することにより阻害可能とすることができる。PDK1に特異的な阻害剤は開示されていない。再度、PDK1の阻害は、結果として、異型のPKCアイソフォーム、SGK、及びS6キナーゼといった、その活性がPDK1に依存している多くのタンパク質キナーゼの阻害を生じることとなる(ウィリアムズ(Williams)ら著、「カレント・バイオロジー(Curr.Biol.)」、2000年、第10巻、p.439−448)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、Aktの阻害剤である新規な化合物を提供することである。
【0012】
本発明の目的はまた、Aktの阻害剤である新規な化合物を含んでなる医薬組成物を提供することである。
【0013】
本発明の目的はまた、Akt活性のかかる阻害剤を投与することを含んでなる、癌を治療するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、Akt活性を阻害する化合物を提供する。特に、開示された化合物は、1種又は2種のAktアイソフォームを選択的に阻害する。本発明はまた、かかる阻害化合物を含んでなる組成物、及び癌の治療を必要とする患者に対し当該化合物を投与することによりAkt活性を阻害する方法も提供する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明の化合物は、セリン/スレオニンキナーゼ、Aktの活性の阻害において有用である。本発明の第1の態様においては、Akt活性の阻害剤は、式A:
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
aは、0又は1であり;bは、0又は1であり;mは、0、1又は2であり;nは、0、1、2、3又は4であり;pは、0、1、2、3、4又は5であり;tは、2、3、4、5又は6であり;
u、v、w及びxは、独立して:CH及びNから選ばれ;
y及びzは、独立して:CH及びNから選ばれ、ただし、y及びzの少なくとも1つはNであり;
環Kは:(C−C)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びへテロシクリルから選ばれ;
は、独立して:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)へテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)へテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して:H、(C−C)アルキル及び(C−C)パーフルオロアルキルから選ばれるか、又は、R及びRは、結合して−(CH−を形成し、ここで炭素原子の1つは、O、S(O)、−N(R)C(O)−、及び−N(COR)−から選ばれる基によって置換えられてもよく;
は:NR7’8’であり;
は:(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cパーフルオロアルキル、O(C=O)NR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
6aは:(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)−R、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−へテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、及び(C−C)アルキレン−COHから選ばれ、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びへテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選ばれる3までの置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して:H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oへテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO、及び(C=O)NRから選ばれ、当該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく、或いは、R及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、各環3〜7員の、単環又は二環のヘテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選ばれる1又は2の付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を形成し、当該単環又は二環のヘテロ環は、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
7’及びR8’は、結合して各環3〜7員の、二環又は三環のヘテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選ばれる1以上の付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を形成し、当該二環又は三環のヘテロ環は、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
は、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり;そして
は、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキル、又はS(O)である]によって例示されるか、
又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体である。
【0018】
本発明の第2の態様においては、Akt活性の阻害剤は、式B:
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、
全ての他の置換基及び変数は、第1の態様に定義された通りである]によって例示されるか、
又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体である。
【0021】
第3の態様においては、本発明の阻害剤は、式C:
【0022】
【化3】

【0023】
[式中、
全ての他の置換基及び変数は、第2の態様に定義された通りである]によって例示されるか、
又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体である。
【0024】
第4の態様においては、本発明の阻害剤は、式D:
【0025】
【化4】

【0026】
[式中、
全ての他の置換基及び変数は、第3の態様に定義された通りである]によって例示されるか、
又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体である。
【0027】
本発明の具体的な化合物は:
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−5);
3−フェニル−2−(4−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−6);
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキシレート(1−7);
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−カルボキシレート(1−8);
2−{4−[(6−アミノ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−9);
3−フェニル−2−[4−(1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−10);
3−フェニル−2−(4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−11);
3−フェニル−2−[4−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−12);及び
2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−13);
又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体を包含する。
【0028】
本発明の化合物の実例は、以下の化合物のTFA塩:
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−5);
3−フェニル−2−(4−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−6);
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキシレート(1−7);
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−カルボキシレート(1−8);
2−{4−[(6−アミノ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−9);
3−フェニル−2−[4−(1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−10);
3−フェニル−2−(4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−11);
3−フェニル−2−[4−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−12);及び
2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−13);
又は、それらの立体異性体を包含する。
【0029】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面(エリエル(E.L.Eliel)及びウィレン(S.H.Wilen)著、「ステレオケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Stereochemistry of Carbon Compounds)(炭素化合物の立体化学)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク、1994年、p.1119−1190に記述されたような)を有してよく、ラセミ化合物、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じており、全ての可能な異性体及びそれらの混合物は、光学異性体を含め、そのような立体異性体の全てが本発明に含まれる。
【0030】
さらに、本願に開示された化合物は、互変異性体として存在してよく、たとえ一方の互変異性構造のみが描かれていても、双方の互変異性型が本発明の範囲に含まれることが意図されている。例えば、以下の化合物Aに対する任意のクレームは、互変異性構造Bを包含することが理解され、逆もまた同様であり、それらの混合物も同様である。ベンズイミダゾロニル部分の2つの互変異性型もまた、本発明の範囲内にある。
【0031】
【化5】

【0032】
テトラゾールは、1H/2H互変異性体の混合物として存在する。テトラゾール部分の互変異性型もまた、本発明の範囲内である。
【0033】
【化6】

【0034】
任意の変数(例えば、R、R、R6aなど)が任意の置換基において1回以上生じる場合、個々の出現ごとのその定義は、他の全ての出現とは無関係である。また、置換基及び変数の組合せは、かかる組合せが安定な化合物を生じる結果となる場合にのみ許容される。置換基から環系内へ引かれた線は、示された結合が任意の置換可能な環原子へ結合されてよいことを表している。環系が二環又は三環である場合、結合は、環系の任意の環上の、任意の適当な原子へ結合されることが意図されている。
【0035】
本発明の化合物上の、置換基又は置換パターンは、化学的に安定でありかつ、当業者により、容易に入手可能な材料から、当該技術分野における技術上既知の方法並びに以下に示された方法により、容易に合成され得る化合物を提供するべく選択可能であることが理解される。もし置換基が、それ自体1以上の置換基で置換されている場合には、結果として安定な構造を生じる限り、これらの多数の置換基は同じ炭素又は異なる炭素上にあってよいことが理解される。用語「1以上の置換基で置換されてもよく」は、用語「少なくとも1つの置換基で置換されてもよく」と同等であると解釈されるべきであり、かかる場合、好ましい態様はゼロから4個までの置換基をもち、より好ましい態様はゼロから3個までの置換基をもつであろう。
【0036】
本願において用いられるように、「アルキル」は、指定された数の炭素原子を有している、分枝鎖及び直鎖双方の、飽和脂肪族炭化水素基を包含することが意図される。例えば、「(C−C10)アルキル」におけるC−C10は、直鎖又は分枝した配列にある、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を包含するべく定義される。例えば、「(C−C10)アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルなどを包含する。
【0037】
用語「シクロアルキル」は、指定された数の炭素原子を有している、単環飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどを包含する。
【0038】
「アルコキシ」は、酸素ブリッジを介して結合された、示された数の炭素原子を有している、環状又は非環状のいずれかのアルキル基を表す。それゆえ「アルコキシ」は、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0039】
もし炭素原子の数が指定されていない場合には、用語「アルケニル」は、2〜10個の炭素原子、及び少なくとも1つの炭素一炭素二重結合を含有している、直鎖、分枝鎖、又は環状の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族性炭素−炭素二重結合が存在してよい。したがって、「(C−C10)アルケニル」は、2から10個までの炭素原子を有しているアルケニル基を意味する。アルケニル基は、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル、及びシクロヘキセニルを包含する。アルケニル基の直鎖、分枝鎖、又は環状部分が二重結合を含有してよく、置換アルケニル基が示されている場合には置換されてもよい。
【0040】
用語「アルキニル」は、2から10個までの炭素原子、及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有している、直鎖、分枝鎖、又は環状の炭化水素基を指す。3個までの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。したがって、「(C−C10)アルキニル」は、2から10個までの炭素原子を有しているアルキニル基を意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、及び3−メチルブチニルなどを包含する。アルキニル基の直鎖、分枝鎖、又は環状部分が三重結合を含有してよく、置換アルキニル基が示されている場合には置換されてもよい。
【0041】
いくつかの例では、置換基は(C−C)アルキレン−アリールのように、ゼロを含む炭素の範囲で定義されてもよい。もしアリールがフェニルであると解釈されるなら、この定義は、フェニル自体、並びに−CHPh、−CHCHPh、及びCH(CH)CHCH(CH)Phなどを包含するであろう。
【0042】
本願において用いられるように、「アリール」は、各環7個までの原子からなる、任意の安定な単環又は二環式の炭素環であって、少なくとも1つの環が芳香族である炭素環を意味するべく意図されている。かかるアリール基の実例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロ−ナフチル、インダニル、及びビフェニルを包含する。アリール置換基が二環式であり、かつ1つの環が非芳族である場合には、結合は芳香環を介することが理解される。
【0043】
本願において使用される、用語「ヘテロアリール」は、各環7個までの原子からなる、安定な単環又は二環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香族でありかつ、O、N及びSからなる群より選ばれる1から4個までのヘテロ原子を含有する環を表す。本発明の範囲内のヘテロアリール基は、これに制限されないが:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンを包含する。以下のヘテロ環の定義と同様に、「ヘテロアリール」はまた、任意の含窒素へテロアリールのN−オキシド誘導体を包含することも意図されている。ヘテロアリール置換基が二環式であり、かつ1つの環が非芳香族であるか、又はヘテロ原子を含有しない場合には、結合は各々、芳香環を介するか、又はヘテロ原子を含有する環を介することが理解される。置換基Qに関するかかるヘテロアリール基は、これに制限されないが:2−ベンズイミダゾリル、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル及び4−イソキノリニルを包含する。
【0044】
本願において使用される、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、O、N及びSからなる群より選ばれる1から4個までのヘテロ原子を含有する、3〜10員の芳香族又は非芳香族へテロ環を包含することが意図されており、また二環基を包含する。「ヘテロシクリル」はそれゆえ、上述のヘテロアリール、並びにそれらのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる実例は、以下に制限されないが:ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそれらのN−オキシドを包含する。ヘテロ環置換基の結合は、炭素原子か、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0045】
当業者に理解されるように、本願において使用される、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ(Ch)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)及びヨード(I)を包含することが意図されている。
【0046】
1つの態様においては、式:
【0047】
【化7】

【0048】
によって説明される部分は、以下の構造を含んでおり、それらは、単に例を引いて説明するためであって、制限することを意味しておらず;さらに、二環構造中に含有される任意の適当な炭素及び/又は窒素は、R
【0049】
【化8】

【0050】
から選ばれる、1以上の置換基で置換されてもよい。
【0051】
もう1つの態様においては、式:
【0052】
【化9】

【0053】
によって説明される部分は:
【0054】
【化10】

【0055】
[式中、二環構造中の任意の適当な炭素及び/又は窒素は、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよい]から選ばれる。
【0056】
もう1つの態様においては、式:
【0057】
【化11】

【0058】
によって説明される部分は:
【0059】
【化12】

【0060】
[式中、二環構造中の任意の適当な炭素及び/又は窒素は、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよい]から選ばれる。
【0061】
もう1つの態様においては、環Kは、ヘテロシクリルから選ばれる。
【0062】
もう1つの態様においては、環Kは:
【0063】
【化13】

【0064】
から選ばれる。
【0065】
もう1つの態様においては、環Kは、フェニルである。
【0066】
1つの態様においては、nは、0、1、2又は3である。
【0067】
さらなる態様においては、nは、0、1又は2である。
【0068】
もう1つの態様においては、nは、1である。
【0069】
1つの態様においては、pは、0、1、2又は3である。
【0070】
さらなる態様においては、pは、0、1又は2である。
【0071】
もう1つの態様においては、pは、1である。
【0072】
1つの態様においては、y及びzは、Nである。
【0073】
もう1つの態様においては、yは、Nであり、また、zは、Cである。
【0074】
もう1つの態様においては、yは、Cであり、また、zは、Nである。
【0075】
1つの態様においては、Rは:
【0076】
【化14】

【0077】
から選ばれ、それらは、R6aから選ばれる1〜3個の置換基で置換されてもよい。
【0078】
1つの態様においては、Rは:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)(C−C)アルキル、オキソ、及びN(Rで置換されてもよい。
【0079】
もう1つの態様においては、Rは:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、COH、ハロ、OH、CN、(C−C)アルコキシ、O(C=O)(C−C)アルキル、及びN(Rから選ばれる。
【0080】
もう1つの態様においては、nは、1であり、またRは、オキソである。
【0081】
1つの態様においては、Rは:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)(C−C)アルキル、オキソ、及びN(Rで置換されてもよい。
【0082】
もう1つの態様においては、Rは:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、COH、ハロ、OH、CN、(C−C)アルコキシ、O(C=O)(C−C)アルキル、(C−C10)アルケニル、及びN(Rから選ばれ、当該アルケニルは、オキソで置換されてもよい。
【0083】
1つの態様においては、R及びRは、H及び(C−C)アルキルから選ばれる。
【0084】
もう1つの態様においては、R及びRは、Hである。
【0085】
1つの態様においては、RがR6aで置換されている場合、当該R6aは:OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)(C−C)アルキル、(C=O)(C−C)アルキル、オキソ、CF及びN(Rから選ばれる。
【0086】
1つの態様においては、Rは、独立して、H及び(C−C)アルキルから選ばれる。
【0087】
本発明に含まれるのは、式Aの遊離型の化合物、並びに、薬学的に許容され得るそれらの塩及び立体異性体である。本願において説明された、単離された具体的な化合物のいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩類である。用語「遊離型」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容され得る塩は、本願に記述された具体的な化合物について例示される単離された塩ばかりでなく、式Aの遊離型の化合物の全ての典型的な薬学的に許容され得る塩も包含する。記述された遊離型の具体的な塩化合物は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離されてよい。例えば、遊離型は、希NaOH水溶液、炭酸カリウム、アンモニア及び炭酸水素ナトリウムといった、適当な希塩基水溶液を用いて塩を処理することにより、再生されてよい。遊離型は、極性溶媒中での溶解度のような、いくつかの物理的特性において、それらの個々の塩型とある程度異なってもよいが、本発明の目的のためには、酸性及び塩基性塩は、他の点では個々の遊離型と薬学的に同等である。
【0088】
本化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩基性又は酸性成分を含有する本発明の化合物から、通常の化学的方法により合成可能である。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は遊離塩基を、理論量又は過剰の、所望の塩を形成させる無機又は有機酸と、適当な溶媒又は種々の溶媒の組合せの中で反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適当な無機又は有機塩基との反応により形成される。
【0089】
本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩は、塩基性の本化合物を、無機又は有機酸と反応させることにより形成されるような、本発明の化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、及び硝酸のような無機酸から誘導されるもの;並びに、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及びトリフルオロ酢酸(TFA)などといった有機酸から調製される塩を包含する。
【0090】
本発明の化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容され得る塩」は、無機塩基及び有機塩基を含めた、薬学的に許容され得る非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛などの塩を包含する。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム塩である。薬学的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級及び第三級アミンの塩;天然産置換アミンを含めた置換アミンの塩;環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどの塩を包含する。
【0091】
上述の薬学的に許容され得る塩、及び他の典型的な薬学的に許容され得る塩の調製は、バーグ(Berg)ら、「ファーマシューティカル・ソルツ(Pharmaceutical Salts)、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(J.Pharm.Sci.)」、1977年、第66巻、p.1−19により、より完全に記述されている。
【0092】
生理的条件下では、化合物中の、カルボキシル基のような脱プロトン化された酸性成分はアニオン性であってよく、この電子電荷が次に、第四級窒素原子のような、プロトン化又はアルキル化された塩基性成分のカチオン性電荷に対し、内部で均衡が取られてもよいことから、本発明の化合物が、潜在的に内部塩又は両性イオンであることもまた注目されよう。
【0093】
(有用性)
本発明の化合物は、Aktの活性の阻害剤であり、したがって癌、特に、Aktの活性及びAktの下流の細胞標的における異常に伴う癌の治療において有用である。かかる癌は、これに制限されないが、卵巣癌、膵臓癌、乳癌及び前立腺癌、並びに、腫瘍抑制因子PTENが突然変異されている癌(神経膠芽腫)を包含する(チェンら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1992年、第89巻、p.9267−9271;チェンら著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1996年、第93巻、p.3636−3641;ベラコーサ(Bellacosa)ら著、「インタナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(Int.J.Cancer)」、1995年、第64巻、p.280−285;ナカタニら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1999年、第274巻、p.21528−21532;グラフ(Graff)著、「エキスパート・オピニオン・オン・セラピューティック・ターゲッツ(Expert.Opin.Ther.Targets)」、2002年、第6巻、第1号、p.103−113;及びヤマダ(Yamada)及びアラキ(Araki)著、「ジャーナル・オブ・セル・サイエンス(J.Cell Science)」、2001年、第114巻、p.2375−2382;ミッシェル(Mischel)及びクロフェシー(Cloughesy)著、「ブレイン・パソロジー(Brain Pathol.)」、2003年、第13巻、第1号、p.52−61))。
【0094】
本願に提供された化合物、組成物及び方法は、特に癌の治療のために有用であると考えられる。本発明の化合物、組成物及び方法により治療されてよい癌は、これに制限されないが:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)腺癌、気管支腺癌、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛上皮腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細胞細胞肉腫)、多発性骨髄種、悪性巨細胞腫軟骨腫、(osteochronfroma)(骨軟骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫、及び巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘種、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液学:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球生白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、色素性異形成毋斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維種、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫を包含する。したがって、本願に提供される、用語「癌性細胞」は、前記に定義された症状の任意の1つによって苦しめられた細胞を包含する。
【0095】
本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌は、これに制限されないが:乳房、前立腺、結腸、肺、脳、精巣、胃、膵臓、皮膚、小腸、大腸、咽頭、頭頸部、口腔、骨、肝臓、膀胱、腎臓、甲状腺及び血液を包含する。
【0096】
Aktシグナリングは、血管新生における多くの重要な段階を調節する。シオジマ(Shiojima)及びウォルシュ(Walsh)著、「サーキュレーション・リサーチ(Circ.Res.)」、2002年、第90巻、p.1243−1250。癌の治療における血管新生阻害剤の有用性は、文献において公知であり、例えば、ラク(J.Rak)ら著、「キャンサー・リサーチ(Cancer Research)」、1995年、第55巻、p.4575−4580、及びドレッジ(Dredge)ら著、「エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Opin.Biol.Ther.)」、2002年、第2巻、第8号、p.953−966参照。癌における血管新生の役割は、数多くのタイプの癌及び組織において示されている:乳癌(ガスパリーニ(G.Gasparini)及びハリス(A.L.Harris)著、「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(J.Clin.Oncol.)」、1995年、第13巻、p.765−782;トイ(M.Toi)ら著、「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・キャンサー・リサーチ(Japan.J.Cancer Res.)」、1994年、第85巻、p.1045−1049);膀胱癌(ディッキンソン(A.J.Dickinson)ら著、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ユロロジー(Br.J.Urol.)」、1994年、第74巻、p.762−766);結腸癌(エリス(L.M.Ellis)ら著、「サージェリー(Surgery)」、1996年、第120巻、第5号、p.871−878);及び口腔腫瘍(ウィリアムズ(J.K.Williams)ら著、「アメリカン・ジャーナル・オブ・サージェリー(Am.J.Surg.)」、1994年、第168巻、p.373−380)。他の癌は、末期腫瘍、ヘアリーセル白血病、黒色腫、進行性頭頸部、転移性腎細胞、非ホジキン白血病、転移性乳癌、乳腺癌、進行性黒色腫、膵臓癌、胃癌、神経膠芽腫、肺癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎細胞癌、種々の充実性腫瘍、多発性骨髄腫、転移性前立腺癌、悪性神経膠腫、腎臓癌、リンパ腫、治療抵抗性転移性疾患、治療抵抗性多発性骨髄腫、子宮頸癌、カポジ肉腫、再発性未分化神経膠腫、及び転移性結腸癌を包含する(ドレッジら著、「エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー」、2002年、第2巻、第8号、p.953−966)。したがって、本出願において開示されたAkt阻害剤はまた、これらの血管新生関連性の癌の治療においても有用である。
【0097】
血管新生を受けた腫瘍は、増大された転移能を示す。実際、血管新生は腫瘍の増殖及び転移に必須である。(カニンガム(S.P.Cunningham)ら著、「キャンサー・リサーチ」、2001年、第61巻、p.3206−3211)。本出願において開示されたAkt阻害剤はそれゆえ、腫瘍細胞転移を防止又は低減するためにも有用である。
【0098】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、血管新生が関係している疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に対し、治療上有効な量の本発明の化合物を投与することを含んでなる方法である。眼の血管新生性疾患は、結果として生じる組織損傷の多くを、眼内の血管の異所性の浸潤に帰すことができる症状の一例である(2000年6月2日公開のWO00/30651参照)。望ましくない浸潤は、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞症などから結果として生じる虚血性網膜症によるか、又は、加齢黄斑変性症において観察される脈絡膜血管新生のような変性性疾患により、トリガーされる可能性がある。本発明の化合物の投与による血管増殖の阻害は、それゆえ、血管の浸潤を予防し、かつ、網膜血管新生症、糖尿病性網膜症、及び加齢黄斑変性症などの眼性疾患といった、血管新生が関係している疾患を予防又は治療するであろう。
【0099】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、これに制限されないが:眼性疾患(網膜血管新生症、糖尿病性網膜症及び加齢黄斑変性症のような)、アテローム性動脈硬化症、関節炎、乾癬、肥満及びアルツハイマー病を含めた、血管新生が関係している非悪性疾患を治療又は予防する方法である(ドレッジら著、「エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー」、2002年、第2巻、第8号、p.953−966)。もう1つの態様においては、血管新生が関係している疾患を治療又は予防する方法は:眼性疾患(網膜血管新生症、糖尿病性網膜症及び加齢黄斑変性症のような)、アテローム性動脈硬化症路、関節炎及び乾癬を包含する。
【0100】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、再狭窄、炎症、自己免疫疾患及びアレルギー/喘息のような、過増殖性障害を治療する方法である。
【0101】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、ステントを被覆するための本発明の化合物の用途であり、それゆえ、再狭窄の治療及び/又は予防のための被覆ステント上における、本発明の化合物の用途である(WO03/032809)。
【0102】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、変形性関節症の治療及び/又は予防のための、本化合物の用途である(WO03/035048)。
【0103】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、インスリン過剰症を治療する方法である。
【0104】
本発明の化合物はまた、上述の疾患、特に癌の治療において有用な医薬品の調製においても有用である。
【0105】
本発明の1つの態様においては、本化合物は、その阻害効果がPHドメインに依存している選択的阻害剤である。この態様においては、当該化合物は、PHドメインを欠くトランケートされたAktタンパク質に対し、インビトロの阻害活性に減少を示すか、又は何らインビトロの阻害活性を示さない。
【0106】
さらなる態様においては、本化合物は、Akt1の選択的阻害剤、Akt2の選択的阻害剤、及びAkt1及びAkt2双方の選択的阻害剤からなる群より選ばれる。
【0107】
もう1つの態様においては、本化合物は、Akt1の選択的阻害剤、Akt2の選択的阻害剤、Akt3の選択的阻害剤、及び3種のAktアイソフォームの内の2種の選択的阻害剤からなる群より選ばれる。
【0108】
もう1つの態様においては、本化合物は、3種のAktアイソフォームの全ての選択的阻害剤であるが、PHドメイン、ヒンジ領域、又はPHドメイン及びヒンジ領域の双方を欠失するべく修飾されている、1種、2種、又は全てのAktアイソフォームの阻害剤ではない。
【0109】
本発明はさらに、Akt活性を阻害する方法であって、医薬的に有効な量の本化合物を、それを必要とする哺乳類へ投与することを含んでなる方法に関する。
【0110】
本発明の化合物は、ヒトを含めた哺乳類に対し、単独で、又は、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は希釈剤と組合せて、標準的な製薬工程による医薬組成物において投与されてよい。当該組成物は、経口に、又は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経直腸、局所経路を含めて非経口的に投与可能である。
【0111】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形状、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、又は、シロップ又はエリキシルであってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための、当該技術分野における技術上既知の任意の方法により製造されてよく、かかる組成物は、医薬的にエレガントで美味な製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選ばれる1以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例えば:不活性な希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造粒及び崩壊剤(例えば微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸);結合剤(例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、又はアラビアゴム);及び潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルク)でよい。錠剤は、被覆されていないか、又は既知の技術により被覆されて、薬剤の不快な味覚をマスクするか、又は、胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより、長期間にわたる持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースのような、水溶性の風味料か、又はエチルセルロース、セルロースアセテートブチレートのようなタイムディレイ物質が用いられてもよい。
【0112】
経口使用のための製剤はまた、硬ゼラチンカプセルとして、活性成分が、不活性な固形希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリン)と混合されるか、或いは、軟ゼラチンカプセルとして、活性成分が、ポリエチレングリコールのような水溶性の担体か、又は油性媒体(例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、又はオリーブ油)と混合されて提供されてもよい。
【0113】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は:懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴム)であり;分散剤又は湿潤剤は、天然産ホスファチド(例えば、レシチン)か、又はアルキレンオキシドの、脂肪酸との縮合産物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドの、長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物(例えばヘプタデカエチレン−オキシセタノール)、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又はエチレンオキシドの、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)でよい。水性懸濁液はまた、1以上の保存剤、例えばエチル、又はn−プロピル p-ヒドロキシベンゾエート、1以上の着色剤、1以上の着香料、及びスクロース、サッカリン、又はアスパルテームといった、1以上の甘味剤を含有してもよい。
【0114】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油)か、又は鉱物油(例えば流動パラフィン)中に懸濁することにより製剤されてよい。油性懸濁液は、増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコール)を含有してもよい。前記の甘味剤及び着香剤が、美味な経口製剤を提供するべく添加されてよい。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール、又はα−トコフェロールのような酸化防止剤の添加により、保存されてもよい。
【0115】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1以上の保存剤との混合物において提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、既に前文に記述されたものによって例示されている。付加的な賦形剤、例えば、甘味、着香、及び着色剤もまた存在してもよい。これらの化合物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存されてよい。
【0116】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形状であってもよい。油性相は、植物油(例えばオリーブ油又はラッカセイ油)か、又は鉱物油(例えば流動パラフィン)か、或いはそれらの混合物でよい。適当な乳化剤は、天然産のホスファチド(例えば大豆レシチン)、及び脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、及び前記部分エステルの、エチレンオキシドとの縮合産物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)でよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0117】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロース)を用いて製剤されてよい。かかる製剤はまた、粘滑薬、保存剤、着香剤、着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0118】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水溶液の形状でもよい。許容される担体及び溶媒の中でも、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液が使用されてよい。
【0119】
無菌の注射可能な製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでもよい。例えば、活性成分はまず、大豆油及びレシチンの混合物中に溶解されてよい。油性溶液は次に、水及びグリセロール混合物中に投入され、マイクロエマルジョンを形成するべく加工される。
【0120】
注射可能な溶液又はマイクロエマルジョンは、局所のボーラス注射により、患者の血流中へ導入されてよい。別法として、溶液又はマイクロエマルジョンを、本化合物の一定の循環濃度を維持する方法で投与することが有利であろう。かかる一定濃度を維持するためには、持続的な静脈内送達装置が利用されてもよい。かかる装置の実例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUSTMモデル5400静脈内ポンプである。
【0121】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与のための、無菌の注射可能な水性又は油脂性懸濁液の形状でもよい。この懸濁液は、既知の方法により、前述の適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤を用いて製剤されてよい。無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として、便利に使用される、この目的のためには、合成モノ−又はジグリセリドを含め、任意の無刺激不揮発性油が使用されてよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能な製剤において用途がある。
【0122】
式Aの化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形状で投与されてもよい。これらの化合物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であってそれゆえ直腸内では溶解して薬物を放出する、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより製剤可能である。かかる物質は、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0123】
局所使用には、式Aの化合物を含有する、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液などが用いられる(この適用のためには、局所適用は、マウスウォッシュ及びうがい剤を包含するものとする)。
【0124】
本発明に関する化合物は、適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所的使用によるか、又は経皮経路により、当業者に周知の経皮パッチの形状のものを用いて投与可能である。経皮送達系の形状において投与されるためには、用量投与はもちろん、薬剤投与レジメンを通して間欠的よりもむしろ連続的となるであろう。本発明の化合物はまた、カカオバター、グリセロゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルといった基剤を用いた坐剤として送達されてもよい。
【0125】
本発明の組成物がヒトの患者へ投与される場合、日用量は通常、処方する医師によって決定され、用量は一般的に、個々の患者の年齢、体重、及び応答、並びに患者の病状の厳しさによって変わるであろう。
【0126】
1つの態様においては、適当な量のAkt阻害剤が、癌の治療を受けている哺乳類へ投与される。投与は、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約60mg/kg体重の間か、又は1日当たり約0.5mg/kg体重〜約40mg/kg体重の間の阻害剤の量で行なわれる。本組成物を含んでなるもう1つの治療用量は、約0.01mgから約1000mgまでのAkt阻害剤を包含する。もう1つの態様においては、用量は、約1mgから約1000mgまでのAkt阻害剤を含んでなる。
【0127】
本化合物はまた、既知の治療薬及び抗癌剤との併用においても有用である。例えば、本化合物は、既知の抗癌剤との併用において有用である。本開示化合物の、他の抗癌剤又は化学療法剤との併用は、本発明の範囲内である。かかる薬剤の実例は、デビータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)共編、「キャンサー・プリンシプルズ・アンド・プラクティス・オブ・オンコロジー(Cancer Principles and Practice of Oncology)(癌の原理及び腫瘍学の実際)」、第6版、リピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス出版(Lippincott Williams&Wilkins Publishers)、2001年2月15日、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関与する癌の特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。そのような抗癌剤は、以下を含む:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管新生阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本化合物は、放射線療法と同時投与された場合、特に有用である。
【0128】
「エストロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、エストロゲンの、受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレータの実例は、これに制限されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646を包含する。
【0129】
「アンドロゲン受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、アンドロゲンの、受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレータの実例は、これに制限されないが、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及びアビラテロンアセテートを包含する。
【0130】
「レチノイド受容体モジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、レチノイドの、受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレータの実例は、これに制限されないが、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、trans−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドを包含する。
【0131】
「細胞毒性/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能化を直接妨害することによって細胞死を引き起こすか又は細胞増殖を阻害するか、又は、細胞分裂を阻害又は妨害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、成長因子及びサイトカインシグナルトランスダクション経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤、ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、及びオーロラキナーゼ阻害剤を包含する。
【0132】
細胞毒性/細胞増殖抑制剤の実例は、これに制限されないが、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファン、トシレート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、cis−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(trans,trans,trans)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロライド、ジアリジジニル(diarizidinyl)スペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)、Raf(ラフ)キナーゼ阻害剤(Bay43−9006のような)、及びmTOR阻害剤(ワイス社のCCI−779のような)を包含する。
【0133】
低酸素活性化化合物の1つの実例は、ティラパザミンである。
【0134】
プロテオソーム阻害剤の実例は、これに制限されないが、ラクタシスチン及びMLN−341(ベルケード(Velcade))を包含する。
【0135】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の実例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及びBMS188797を包含する。1つの態様においては、エポチロンは、微小管阻害剤/微小管安定化剤に包含されない。
【0136】
トポイソメラーゼラーゼ阻害剤のいくつかの実例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−シャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及びジメスナである。
【0137】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシン、KSPの阻害剤の実例は、PCT
公開WO01/30768、WO01/98278、WO03/049527、WO03/049679、WO03/050064、WO03/050122、WO03/049678、及びWO03/039460に記述されている。1つの態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、これに制限されないが、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0138】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の実例は、これに制限されないが、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、及びスクリプタイドを包含する。他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤に関するさらなる参照は、以下の文書に見出されてよい;ミラー(Miller,T.A.)ら著、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.)」、2003年、第46巻、第24号、p.5097−5116。
【0139】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、これに制限されないが、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。「オーロラキナーゼ阻害剤」の1つの実例は、VX−680である。
【0140】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド(例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001);及び代謝拮抗物質(例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスフェート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキシラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、及びトラスツヅマブ)を包含する。
【0141】
モノクローナル抗体標的治療薬の実例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合された、細胞毒性薬剤又は放射性同位元素を有する治療薬を包含する。実例は、ベクサール(Bexxar)を包含する。
【0142】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用されてもよいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の実例は、これに制限されないが、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、アトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)、及びセリバスタチン(リバスタチン及びバイコール(BAYCHOL)(登録商標)としても知られる;米国特許第5,177,080号参照)を包含する。本方法において使用されてよいこれらの、及び付加的なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパニ(M.Yalpani)著、「コレステロール・ロワリング・ドラッグズ(Cholesterol Lowering Drugs)(コレステロール低下薬)」、ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry&Industry)、1996年2月5日、p.85−89の87頁に;及び米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記述されている。本願において使用される用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての薬学的に許容され得るラクトン、及びオープンアシド型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を形成する)、並びに塩及びエステル型の、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物を包含し、それゆえかかる塩、エステル、オープンアシド、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0143】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指し、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRabGGPTアーゼとも呼ばれる)を包含する。
【0144】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の実例は、以下の刊行物及び特許に見出すことができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開第0 618 221号、欧州特許公開第0 675 112号、欧州特許公開第0 604 181号、欧州特許公開第0 696 593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの実例については、「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European J.of Cancer)」、1999年、第35巻、第9号、p.1394−1401参照。
【0145】
「血管新生阻害剤」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生阻害剤の実例は、これに制限されないが、チロシンキナーゼ阻害剤(チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤のような);上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤;MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー;インターフェロン−α;インターロイキン−12;ペントサン多硫酸塩;アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)並びにセレコキシブ及びロフェコキシブのようなシクロオキシゲナーゼ2阻害剤を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイティッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、1992年、第89巻、p.7384;「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インチチュート(JNCI)」、1982年、第69巻、p.475;「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー(Arch.Opthalmol.)」、1990年、第108巻、p.573;ディ・アナトミカル・レコード(Anat.Rec.))、1994年、第238巻、p.68;「フェブス・レターズ(FEBS Letters)」、1995年、第372巻、p.83;「クリニカル・オルソペディックス(Clin.Orthop.)」、1995年、第313巻、p.76;「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(J.Mol.Endocrinol.)」、1996年、第16巻、p.107;「ザ・ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Jpn.J.Pharmacol.)」、1997年、第75巻、p.105;「キャンサー・リサーチ」、1997年、第57巻、p.1625;「セル」、1998年、第93巻、p.705;「インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディスン(Intl.J.Mol.Med.)」、1998年、第2巻、p.715;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1999年、第274巻、p.9116)、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(フェルナンデス(Fernandez)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディスン(J.Lab.Clin.Med.)」、1985年、第105巻、p.141−145参照)、及びVEGFの抗体(「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」、1999年10月、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら著、「ネイチャー」、1993年、第362巻、p.841−844;WO00/44777;及びWO00/61186参照)を包含する。
【0146】
血管新生を調整又は阻害し、かつ本発明の化合物と組合せて使用されてもよい他の治療薬は、凝固及び線溶系を調整又は阻害する薬剤を包含する(「クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディスン(Clin.Chem.La.Med.)」、2000年、第38巻、p.679−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調整又は阻害するかかる薬剤の実例は、これに制限されないが、ヘパリン(「トロンボーシス・アンド・ヘモスタシス(Thromb.Haemost.)」、1998年、第80巻、p.10−23)、低分子ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても知られる)(「トロンボーシス・リサーチ(Thrombosis Res.)」、2001年、第101巻、p.329−354)を包含する。TAFIa阻害剤は、WO03/13526に記載されている。
【0147】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを変換するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し増感する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、Chk1及びChk2キナーゼの阻害剤、及びcdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に例示される。
【0148】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、細胞表面受容体の下流の、シグナルトランスダクションカスケードを阻害する化合物を指す。かかる薬剤は、セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(WO02/083064、WO02/083139、WO02/083140、WO02/083138、WO03/086279、WO03/086394、WO03/086403、WO03/086404、及びWO04/041162に記述されたAktの阻害剤を包含するが、これに制限されない)、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、mTORの阻害剤(例えば、WyethCCI−779)、及びPI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)を包含する。
【0149】
前述のように、NSAIDとの併用は、強力なCOX−2阻害剤であるNSAIDの使用に向けられている。本明細書の目的のためには、NSAIDは、もしそれが、COX−2の阻害について、細胞又はミクロソームのアッセイにより、1μM以下のIC50を有していれば効能がある。
【0150】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤であるNSAIDとの併用も包含する。本明細書の目的のためには、選択的なCOX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームのアッセイにより評価される、COX−1のIC50を上回る、COX−2のIC50の比率として測定され、少なくとも100倍の、COX−1を超えてCOX−2を阻害する特異性をもつものとして定義される。かかる化合物は、これに制限されないが、米国特許第5,474,995号、米国特許第5,861,419号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,409,944号、米国特許第5,436,265号、米国特許第5,536,752号、米国特許第5,550,142号、米国特許第5,604,260号、5,698,584号、米国特許第5,710,140号、WO94/15932、米国特許第5,344,991号、米国特許第5,134,142号、米国特許第5,380.738号、米国特許第5,393,790号、米国特許第5,466,823号、米国特許第5,633,272号、米国特許第5,932,598号(これらは全て参照することにより本明細書の一部となす)において開示されたものを包含する。
【0151】
本治療法において特に有用なCOX−2の阻害剤は:3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び
5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は薬学的に許容され得るそれらの塩である。
【0152】
COX−2の特異的阻害剤として記述されており、それゆえ本発明において有用である化合物は、これに制限されないが、以下の:パレコキシブ、ベクストラ(BEXTRA)(登録商標)、及びセレブレックス(CELEBREX)(登録商標)か、又は薬学的に許容され得るそれらの塩を包含する。
【0153】
血管新生阻害剤の他の実例は、これに制限されないが、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化されたマンノペンタオースホスフェート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0154】
前記において使用されたように、「インテグリン阻害剤」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物;及び毛細血管内皮細胞上に発現された、特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は打消す化合物を指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。当該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0155】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの特別の実例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0156】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物の、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、いくつかの悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現、及び血管新生におけるその関与は、文献に報告されている(「ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファーマコロジー(J.Cardiovasc.Pharmacol.)」、1998年、第31巻、p.909−913;「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」、1999年、第274巻、p.9116−9121;「インベスティゲイティブ・オフサルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Invest.Ophthalmol Vis.Sci.)」、2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストは、インビトロにおいて、VEGFに対する血管新生応答を阻害することが開示された;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、腎臓の血管新生の発生を阻害する(「アーカイブズ・オブ・オフサルモロジー」、2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの実例は、これに制限されないが、チアゾリジンジオン(DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾンのような)、フェノフィブレート、ゲンフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸 WO01/60807、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸 WO02/026729を包含する。
【0157】
本発明のもう1つの態様は、本願に開示された化合物の、癌の治療のための遺伝子療法との併用における用途である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら(「アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(Am.J.Hum,Genet.)」、1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「キャンサー・メディスン(Cancer Medicine)(癌医療)」、第5版、BCデッカー(Decker)、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法は、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達するべく使用可能である。かかる遺伝子の実例は、これに制限されないが、組換えウイルス介在性の遺伝子導入により送達される、p53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス介在性送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)、ジーン・セラピー(Gene Therapy)」、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)」、2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0158】
本発明の化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に高レベルのトランスポータ−タンパク質の発現に関与しているMDRの阻害剤と併用して投与されてもよい。かかるMDR阻害剤は、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、PSC833(バルスポダール)といった、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤を包含する。
【0159】
本発明の化合物は、本発明の化合物を単独又は放射線療法と併用して使用した結果として生じるかもしれない、急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療するべく、抗嘔吐薬と一緒に用いられてもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明の化合物は、他の抗嘔吐薬、特にニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト(例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン);GABAB受容体アゴニスト(例えばバコルフェン);コルチコステロイド(例えばデカドロン(Decadron)(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの);抗ドーパミン作動薬(例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノール)、と一緒に使用されてもよい。もう1つの態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選ばれる抗嘔吐薬との併用療法が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防のために開示されている。
【0160】
本発明の化合物との併用において役立つニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08114、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689に完全に記述されている。かかる化合物の調製は、上述の特許及び刊行物に完全に記述されており、それらは参照することにより本明細書の一部となす。
【0161】
1つの態様においては、本発明の化合物と併用した使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは:2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン又は薬学的に許容され得るその塩から選ばれる。それらは米国特許第5,719,147号に記述されている。
【0162】
本発明の化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる貧血症治療薬は、例えば、持続性の赤血球形成受容体活性化剤(エポエチンアルファのような)である。
【0163】
本発明の化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる好中球減少症治療薬は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの実例は、フィルグラスチムを包含する。
【0164】
本発明の化合物はまた、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシンのような、免疫強化薬とともに投与されてもよい。
【0165】
本発明の化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含めた癌の治療又は予防のために有用であってもよい。ビホスホネートの実例は、これに制限されないが:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート(piridronate)、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、薬学的に許容され得るそれらの塩、誘導体、水和物、及び混合物を包含する。
【0166】
したがって本発明の範囲は、本願にクレームされた化合物の:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、から選ばれる第2の化合物との併用における用途を包含する。
【0167】
用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、本発明の化合物に関し、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系へ投入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが1以上の他の活性成分(例えば、細胞毒性薬など)と組合せて提供される場合、「投与」及びその変形は、各々、当該化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤との、同時の及び連続した投入を包含するものと理解される。
【0168】
本願において用いられるように、用語「組成物」は、指定された量の指定された成分を含んでなる製品、並びに指定された量の指定された成分の組合せから直接又は間接的に結果として得られる任意の製品を包含するべく意図されている。
【0169】
本願において用いられる、用語「治療上有効な量」は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって探し求められる、組織、系、動物、又はヒトにおいて生物学的又は医学的応答を誘起する、活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0170】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」は、癌の症状に苦しむ哺乳類へ投与することを指し、また癌性細胞を殺すことにより癌性症状を緩和する作用を指すが、また結果として、癌の増殖及び/又は転移の阻害を生じる作用も指す。
【0171】
1つの態様においては、第2の化合物として使用されるべき血管新生阻害剤は:チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来成長因子の阻害剤、血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体、から選ばれる。1つの態様においては、エストロゲン受容体モジュレータは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0172】
また本発明の範囲内に含まれるのは、癌を治療する方法であって、治療上有効な量の式Aの化合物を、放射線療法と併用して、及び/又は:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、から選ばれる第2の化合物と組合せて投与することを含んでなる方法である。
【0173】
本発明のさらにもう1つの態様は、癌を治療する方法であって、治療上有効な量の式Aの化合物を、パクリタキセル又はトラツズマブと組合せて投与することを含んでなる方法である。
【0174】
本発明はさらに、癌を治療又は予防する方法であって、治療上有効な量の式Aの化合物を、COX−2阻害剤と組合せて投与することを含んでなる方法を包含する。
【0175】
本発明は又、癌の治療又は予防のために有用である医薬組成物であって、治療上有効な量の式Aの化合物と:エストロゲン受容体モジュレータ、アンドロゲン受容体モジュレータ、レチノイド受容体モジュレータ、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、から選ばれる第2の化合物とを含んでなる組成物も包含する。
【0176】
定義された全ての特許、刊行物、及び係属中の特許出願は、参照することにより本明細書の一部となす。
【0177】
化学の記載及び以下の実施例において使用される略号は:AEBSF(p−アミノエチルベンゼンスルホニルフルオリド);BSA(ウシ血清アルブミン);BuLi(n−ブチルリチウム);CDCl(クロロホルム−d);CuI(ヨウ化銅);CuSO(硫酸銅);DCE(ジクロロエタン);DCM(ジクロロメタン);DEAD(ジエチルアゾジカルボキシレート);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMSO(ジメチルスルホキサイド);DTT(ジチオスレイトール);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);EGTA(エチレングリコール四酢酸);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);HOAc(酢酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);HRMS(高分解能マススペクトル);LCMS(液体クロマトグラフ質量分析計);LHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド);LRMS(低分解能マススペクトル);MeOH(メタノール);MP−B(CN)H(マクロポーラス・シアノボロヒドリド);NaHCO(炭酸水素ナトリウム);NaSO(硫酸ナトリウム);Na(OAc)BH(ナトリムトリアセトキシボロヒドリド);NHOAc(酢酸アンモニウム);NBS(N−ブロモスクシンアミド);NMR(核磁気共鳴);PBS(リン酸緩衝食塩水);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);Pd(dppf)([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム);Pd(Ph(パラジウム(0)テトラキス−トリフェニルホスフィン);POCl(オキシ塩化リン);PS−DIEA(ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン);PS−PPh(ポリスチレン−トリフェニルホスフィン);TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド);THF(テトラヒドロフラン);TFA(トリフルオロ酢酸);及びTMSCH(トリメチルシリルジアゾメタン)である。
【0178】
本発明の化合物は、文献において公知の、又は実験法において例示されている他の標準的な操作に加えて、以下の反応スキームに示された反応を用いて製造され得る。以下の実例となる反応スキームは、それゆえ、リストされた化合物によって、或いは、例証を目的として用いられた任意の特定の置換基によって制限されるものではない。反応スキームに示された置換基の番号付けは、クレームにおいて使用されたものと必ずしも相関せず、しばしば、明確さのため、上記の式Aの定義下に多数の置換基が可能である化合物に対し、単一の置換基が結合して示されている。
【0179】
本発明の化合物を生成するべく使用されてよい反応は、文献において公知であろうか、又は実験法において例示される、エステル加水分解、保護基の切断などといった、他の標準的な操作に加えて、反応スキームI〜VIIIに示された反応により調製される。
【0180】
これらの反応は、本発明の化合物を与えるべく直線的な一続きにおいて用いられてもよく、或いは、フラグメントを合成するべく用いられ、続いて、反応スキームに記述されたアルキル化によってそれらが接合されてもよい。
【0181】
(反応スキームの概要)
以下の反応スキーム、反応スキームI〜VIIは、本化合物の二環部分を製造するために有用な細部を与える。アリール基は、反応スキームVIIIにしたがって、ヘテロ環基で置換されてもよい。
【0182】
必要な中間体は、いくつかの場合には市販されており、或いは文献の方法にしたがって製造可能である。反応スキームIに例示されるように、適宜置換されたフェニルアセチリドは、ヨウ化銅と反応されてよく、対応する銅アセチリドI−1を形成する(例えば、ソノガシラ(Sonogashira,K.);トダ(Toda,Y.);ハギハラ(Hagihara,N.)著、「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)」、1975年、p.4467)。中間体Iは、次に、適宜置換された求電子成分と反応してよく、非対称に置換されたI−2を与える。NBSとの反応と、それに続く加水分解は、I−3を与える(例えば、ユシボフ(Yusybov,M.S.);フィリモノフ(Filimonov,V.D.)著、「シンセシス(Synthesis)」、1991年、第2巻、p.131参照)。多様な、置換及び無置換のアリール及びヘテロアリールもまた市場で入手し得る。
【0183】
反応スキームIIは、適宜置換されたII−1で出発する、化合物の製造を例示している。この中間体は、適宜置換されたアミンと反応させることが可能であって中間体II−2を与え、それは適当なアリール又はヘテロアリールジアミンと反応させることが可能であって本化合物の位置異性混合物を与え、通常これはクロマトグラフィーで分離される。
【0184】
反応スキームIIIは、「y」がCHであり、かつ「z」がNである化合物の合成を例示している。
【0185】
反応スキームIVは、適宜置換された4−アミノ−3−ニトロベンゾニトリルIV−Iで出発する、化合物の製造を例示している。この中間体は、次に、マイクロ波による[3+2]付加環化反応を受けることが可能であり、テトラゾールIV−IIを与える。ヨウ化メチルのような求電子試薬を用いた、酸性テトラゾールのアルキル化は、アルキル化されたテトラゾールの2−メチル(IV−III)/1−メチル(IV−IV)混合物を与え、それらはカラムクロマトグラフィーにより分離される。IV−IIIのRa−Ni水素化は、ジアミンIV−Vを与える。さらなる合成は、上記の反応スキームに記述された通りである。
【0186】
反応スキームVは、化合物の合成を例示している。適宜置換されたアリール又はヘテロアリールアミノアルデヒドと、適宜置換されたケトンとの、フリードランダー縮合環化は、式V−1の中間体を与える。カルボン酸官能基の、アルデヒド官能基への転換は、中間体V−2を与え、かつ当業者に周知の方法により達成される。適宜置換されたアミンによる還元的アルキル化は、式V−3の化合物を与える。
【0187】
反応スキームVIは、中間体V−2の別法の合成を例示している。
【0188】
反応スキームVIIは、文献(ルノー(Renault,O.);ダルマグネ(Dallemagne,P.);及びラウル(Rault,S.)著、「オーガニック・プレパレイションズ・アンド・プロシージャーズ・インターナショナル(Org.Prep.Proced. Int.)」、1999年、第31巻、p.324)にしたがって製造されるケトンVII−1で出発する、化合物の合成を例示している。VII−1の、N,N−ジメチルホルムアミド ジメチルアセタールとの縮合は、ケト−エナミンVII−2を与え、それは、2−シアノアセトアミドにより環化されて、ピリドンVII−3を与える。VII−3の、オキシ塩化リンによる処理は、クロロピリジンVII−4を生成する。ラジカル臭素化、及びそれに続く、適宜置換されたアミンによる置換は、アミンVII−5を生成する。その後のクロロニコチノニトリルVII−5の、種々のビスヌクレオフィルによる置換反応は、環化された構造物VII−6を与える。
【0189】
【化15】

【0190】
【化16】

【0191】
【化17】

【0192】
【化18】

【0193】
【化19】

【0194】
【化20】

【0195】
【化21】

【0196】
文献において公知であろうか、又は実験法において例示される、エステル加水分解、保護基の切断などといった、他の標準的な操作に加えて、本発明の化合物を生成するべく使用される反応は、反応スキームVIIIに示されている。
【0197】
(反応スキームのさらなる概要)
反応スキームVIIIは、1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン化合物の製造を例示している。N−Boc保護された2−クロロ−4−アミノ−ニコチンアルデヒドの、ナトリウムメトキシドのようなアルコキシドの存在下での、(置換フェニル)ベンジルケトン(VIII−1)との最初の縮合において、5位においてアルコキシド基で置換された1,6−ナフチリジン(VIII−2)が直接的に得られる。酸で触媒される加水分解は、1,6−ナフチリジンを、必要な1,6−ナフチリジン−5(6H)−オンアルデヒド官能性(VIII−3)へ容易に転換し、この物質は、多様な顔ぶれのアリール又はヘテロアリール縮合ピペリジンにより、還元的アミノ化を受けることが可能であり、1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン化合物(VIII−4)を与える。
【0198】
【化22】

【実施例】
【0199】
提供された実施例及びスキームは、本発明のさらなる理解を助けるべく意図されている。用いられた特定の材料、種類、及び条件は、本発明のさらなる例証となるべく意図されたものであって、それらの妥当な範囲を制限するものではない。
【0200】
【化23】

【0201】
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−5)
tert−ブチル (2−クロロ−3−ホルミルピリジン−4−イル)カルバメート(1−1)
CHCl(500mL)中の4−アミノ−2−クロロピリジン(30.0g、243mmol)に対し、トリエチルアミン(38mL)、ジ−tert−ブチル−ジカルボネート(58.0g)、及びDMAP(10.0g)が添加された。反応混合物は一晩撹拌され、真空中で濃縮され、シリカゲル上で1:1のヘキサン/EtOAcを用いてクロマトグラフ分析された。結果として得られた固体は、CHCl/EtOAc(1:1)を用いて粉砕され、N−Boc−4−アミノ−2−クロロピリジンを与えた。
H NMR:(500MHz,CDCl)δ 8.19(d,1H),7.53(d,1H),7.25(br s,1H),7.20(dd,1H),5.80(s,1H),1.52(s,9H)。
【0202】
−78℃のTHF(200mL)中の、N−Boc−4−アミノ−2−クロロピリジン(14.4g、63mmol)に対し、tert−ブチルリチウムの1.7M溶液(100mL)が、10分間にわたり滴下添加され、溶液は2時間撹拌された。次にDMF(15mL)が添加され、反応は周囲温度に達するよう3時間以上そのまま行われた。反応は、飽和NHClで慎重にクエンチされ、EtOAcで抽出され、有機層はHO及び食塩水で洗浄され、MgSO上で脱水され、濾過され、真空中で濃縮され、シリカゲルクロマトグラフィー(10〜25%EtOAc/ヘキサン)により精製されて、tert−ブチル (2−クロロ−3−ホルミルピリジン−4−イル)カルバメートを、白色の固体として与えた。
H NMR:(500MHz,CDCl)δ 10.98(br s,1H),10.49(s,1H),8.35(d,1H),8.28(d,1H),1.52(s,9H)。
【0203】
1−[4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]−2−フェニルエタノン(1−2)
トルエン(450mL)中のp−シアノベンズアルデヒド(50.15g、382mmol)に対し、エチレングリコール(64mL)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(800mg)が添加された。反応は、ディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを用いて完全に還流加熱された(〜7mLのHOを収集)。反応は室温に冷却され、真空中で濃縮され、残渣はEtOAc中に溶解された。有機層は飽和NaHCO、水、及び食塩水で洗浄され、MgSO上で脱水され、濾過され、真空中で濃縮されて、保護されたアルデヒドを、粘着性の黄色の油として与え、それは静置して固化された。
H NMR:(500MHz,CDCl)δ 7.67−7.64(m,2H),5.59−7.57(m,2H),5.83(s,1H),4.10−4.02(m,4H)。
【0204】
0℃のTHF(200mL)中のその保護されたアルデヒド(46.0g、263mmol)に対し、THF中のベンジルマグネシウムクロリドの2.0M溶液200mLが添加された。反応は、0℃で1時間撹拌され、室温まで一晩温められた。飽和塩化アンモニウムで慎重にクエンチした後、反応混合物は氷水へ注入され、EtOAcで抽出され、MgSO上で脱水され、濾過され、真空中で濃縮され、ヘキサン/EtOAc(2:1)を用いて、シリカゲルプラグを通してクロマトグラフ分析され、濃縮されて、1−[4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]−2−フェニルエタノンを、黄褐色の固体として与えた。
H NMR:(500MHz,MeOD)δ 8.05(d,2H),7.58(d,2H),7.33−7.21(m,5H),5.80(s,1H),4.34(s,2H),4.11−3.99(m,4H)。
【0205】
2−[4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]−5−メトキシ−3−フェニル−1,6−ナフチリジン(1−3)
MeOH(800mL)中の、tert−ブチル (2−クロロ−3−ホルミルピリジン−4−イル)カルバメート(25.6g、100mmol)及び1−[4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]−2−フェニルエタノン(26.8g、100mmol)に対し、MeOH中の30%NaOMe溶液57mLが添加された。混合物は還流下に一晩加熱され、室温に冷却され、濾過された。固体は冷MeOH及びジエチルエーテルで洗浄され、5−メトキシ−1,6−ナフチリジンアセタールを白色の固体として与えた。
H NMR:(500MHz,CDCl)δ 8.53(s,1H),8.23(d,1H),7.55(d,1H),7.48(d,2H),7.39(d,2H),7.30−7.22(m,5H),5.81(s,1H),4.16(s,3H),4.11−4.00(m,4H)。
【0206】
4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンズアルデヒド(1−4)
ジオキサン(66mL)中の、2−[4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]−5−メトキシ−3−フェニル−1,6−ナフチリジン(25g、66mmol)に対し、4M HCl(66mL)が添加された。反応混合物は一晩撹拌され、飽和NaHCO(900mL)へ慎重に注入され、濾過されて、4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンズアルデヒドを、白色の固体として与えた。
H NMR:(500MHz,CDCl)δ 11.58(br s,1H),10.00(s,1H),8.74(s,1H),7.80(d,2H),7.61(d,2H),7.43(d,1H),7.33−7.21(m,6H),6.93(d,1H)。
【0207】
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−5)
DMF(0.5mL)中の、4,5,6,7−テトラヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−3−オール(46mg)及び4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンズアルデヒド(130mg)に対し、トリエチルアミン(64μL)が添加され、この溶液は15分間撹拌され、次いで酢酸(117μL)が添加され、溶液は3時間撹拌された。次いで、DMF(0.5mL)中のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(48mg)が添加された。反応混合物は一晩撹拌され、トリフルオロ酢酸(100μL)が添加され、HPLCにより精製されて、2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン=トリフルオロアセテート(塩)を、黄色の固体として与えた。
H−NMR(500MHz,CDOD)δ 8.65(s,1H),7.51(m,3H),7.45(d,2H,J=8.2Hz),7.23(m,3H),7.20(m,2H),6.88(d,2H,J=7.7Hz),4.24(m,2H),3.97(m,2H),3.29(m,2H),2.66(m,2H).MS m/z(M+H)451。
【0208】
【化24】

【0209】
化合物1−4は、スキーム1に示されたものと同一の方法で製造された。
【0210】
2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−13)
DMF(0.5mL)中の、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6,7−ジオールヒドロブロミド(46mg)及び4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンズアルデヒド(130mg)に対し、トリエチルアミン(64μL)が添加され、この溶液は15分間撹拌され、次いで酢酸(117μL)が添加され、溶液は3時間撹拌された。次に、DMF(0.5mL)中のナトリムトリアセトキシボロヒドリド(48mg)が添加された。反応混合物は一晩撹拌され、トリフルオロ酢酸(100μL)が添加され、HPLCにより精製されて、2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン(1−13)を、黄色の固体として与えた。
H−NMR(500MHz,d DMSO)δ 11.63(s,1H),10.14(bs,1H),9.06(s,1H),8.41(s,1H),7.51(m,5H),7.35(m,3H),7.26(m,2H),6.70(d,2H,J=7.3Hz),6.58(s,1H),6.51(s,1H),4.42(m,2H),4.10(m,2H),3.20(m,2H),2.90(m,2H)MS m/z(M+H)476。
【0211】
表1の以下の化合物は、スキーム1に示されてものと類似の方法で製造された:
【0212】
【表1】

(実施例1)
【0213】
(ヒトAktアイソフォーム及び△PH−Akt1のクローニング)
pS2neoベクター(2001年4月3日、ATCC PTA−3253としてATCCに寄託された)は、以下のように調製された:pRmHA3ベクター(「ヌクレイック・アシズ・リサーチ(Nucl.Acid Res)」、1988年、第16巻、p.1043−1061に記述されたように調製された)は、BglIIにより切断され、2734bpのフラグメントが単離された。pUChsneoベクター(「ディ・エンボ・ジャーナル」、1985年、第4巻、p.167−171に記述されたように調製された)もまたBglIIにより切断され、4029bpのバンドが単離された。これら2つの単離されたフラグメントが一緒にライゲートされ、pS2neo−1と呼ばれるベクターを生成した。このプラスミドは、メタロチオニンプロモータとアルコールデヒドロゲナーゼポリA付加部位との間に、ポリリンカーを含有する。それはまた、熱ショックプロモーターにより駆動されるneo耐性遺伝子も有する。pS2neo−1ベクターは、Psp5II及びBsiWIにより切断された。2つの相補的なオリゴヌクレオチドが合成され、次いでアニールされた(CTGCGGCCGC(配列番号1)及びGTACGCGGCCGCAG(配列番号2))。切断されたpS2neo−1及びアニールされたオリゴヌクレオチドは、一緒にライゲートされ、第2のベクター、pS2neoを生成した。S2細胞へのトランスフェクションに先立ち、直鎖化を助けるべく、NotI部位がこの転換に加えられた。
【0214】
ヒトAkt1遺伝子は、PCRにより、ヒト脾臓cDNA(クロンテック(Clontech))から、5’プライマー:
5’CGCGAATTCAGATCTACCATGAGCGACGTGGCTATTGTG 3’(配列番号3)、及び3’プライマー:
5’CGCTCTAGAGGATCCTCAGGCCGTGCTGCTGGC3’(配列番号4)を用いて増幅された。5’プライマーは、EcoRI及びBglII部位を包含していた。3’プライマーは、クローニング目的のための、XbaI及びBamHIを包含していた。結果として得られたPCR産物は、EcoRI/XbaIフラグメントとしてpGEM3Z(プロメガ(Promega))へサブクローニングされた。発現/精製目的のためには、ミドルTタグが、完全長Akt1遺伝子の5’末端へ、PCRプライマー:5’GTACGATGCTGAACGATATCTTCG 3’(配列番号5)を用いて付加された。結果として得られたPCR産物は、5’KpnI部位及び3’BamHI部位を包含しており、それらは、当該フラグメントを、ビオチンタグを含有する昆虫細胞発現ベクター、pS2neoを用いてインフレームにサブクローニングするべく使用された。
【0215】
プレクストリン相同ドメイン(PH)を欠失した(△aa 4−129、Akt1ヒンジ領域の一部の欠失を包含する)Akt1のバージョンの発現のためには、PCR欠失突然変異誘発が、pS2neoベクター中の完全長のAkt1遺伝子を鋳型として用いて行なわれた。PCRは、2段階で、多重インターナルプライマー:
(5’GAATACATGCCGATGGAAAGCGACGGGGCTGAAGAGATGGAGGTG3’(配列番号6)、
及び5’CCCCTCCATCTCTTCAGCCCCGTCGCTTTCCATCGGCATGTATTC 3’(配列番号7)
であって、当該欠失と、KpnI部位及び5’末端のミドルTタグを包含する5’及び3’フランキングプライマーとを包含するプライマーを用いて行なわれた。最終PCR産物は、KpnI及びSmaIで消化され、クローンの5’末端を、欠失されたバージョンで効果的に置換えられた、KpnI/SmaI切断されたpS2neo完全長Akt1ベクターへライゲートされた。
【0216】
ヒトAkt3遺伝子は、成人脳cDNA(クロンテック)のPCRにより、アミノ末端オリゴプライマー:
5’ GAATTCAGATCTACCATGAGCGATGTTACCATTGTG 3’(配列番号8);及びカルボキシル末端オリゴプライマー:
5’ TCTAGATCTTATTCTCGTCCACTTGCAGAG 3’(配列番号9)を用いて増幅された。
これらのプライマーは、クローニング目的のための、5’EcoRI/BblII部位、及び3’XbaI/BglII部位を包含していた。結果として得られたPCR産物は、pGEM4Z(プロメガ)のEcoRI及びXbaI部位へクローニングされた。発現/精製目的のためには、ミドルTタグが、完全長Akt3クローンの5’末端へ、PCRプライマー:
5’GGTACCATGGAATACATGCCGATGGAAAGCGATGTTACCATTGTGAAG 3’(配列番号10)を用いて付加された。結果として得られたPCR産物は、5’KpnI部位を包含しており、それはビオチンタグを含有する昆虫細胞発現ベクター、pS2neoによるインフレームクローニングを可能にした。
【0217】
ヒトAkt2遺伝子は、PCRにより、ヒト胸腺cDNA(クロンテック)から、アミノ末端オリゴプライマー:
5’ AAGCTTAGATCTACCATGAATGAGGTGTCTGTC 3’(配列番号11);及びカルボキシ末端オリゴプライマー:
5’GAATTCGGATCCTCACTCGCGGATGCTGGC 3’(配列番号12)を用いて増幅された。これらのプライマーは、クローニング目的のため、5’HindIII/BglII部位、及び3’EcoRI/BamHI部位を包含していた。結果として得られたPCR産物は、pGem3Z(プロメガ)のHindIII/EcoRI部位へサブクローニングされた。発現/精製目的のためには、ミドルTタグが、完全長Akt2クローンの5’末端へ、PCRプライマー:
5’GGTACCATGGAATACATGCCGATGGAAAATGAGGTGTCTGTCATCAAAG 3’(配列番号13)を用いて付加された。結果として得られたPCR産物は、上述のようにpS2neoベクターへサブクローニングされた。
(実施例2)
【0218】
(ヒトAktアイソフォーム及び△PH−Akt1の発現)
pS2neo発現ベクター中のクローニングされたAkt1、Akt2、Akt3、及び△PH−Akt1遺伝子を含有するDNAは、精製され、リン酸カルシウム法により、ショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞(ATCC)をトランスフェクトするべく使用された。抗生物質(G418、500μg/ml)耐性細胞のプールが選択された。細胞は、1.0L体積(〜7.0×10/ml)まで拡張され、ビオチン及びCuSOが、各々最終濃度50μM及び50mMまで添加された。細胞は27℃で72時間増殖され、遠心分離により収穫された。細胞ペーストは、要時まで−70℃で凍結された。
(実施例3)
【0219】
(ヒトAktアイソフォーム及び△PH−Akt1の精製)
実施例2に記述された、1リットルのS2細胞からの細胞ペーストは、緩衝液A(50mM トリスpH7.4、1mM EDTA、1mM EGTA、0.2mM AEBSF、10μg/mlベンズアミジン、各々5μg/mlのロイペプチン、アプロチニン、及びペプスタチン、10%グリセロール、及び1mM DTT)中の、1%CHAPS 50mlを用いて超音波処理された。可溶性分画は、9mg/mlの抗ミドルTモノクローナル抗体を負荷された、プロテインGセファロース・ファストフロー(ファルマシア(Pharmacia))カラム上で精製され、25%グリセロールを含有する緩衝液A中の、75μMのEYMPME(配列番号14)ペプチドにより溶出された。Akt/PKB含有分画は、プールされ、タンパク質純度はSDS−PAGEにより評価された。精製されたタンパク質は、標準的なブラッドフォード(Bradford)プロトコールを用いて定量された。精製されたタンパク質は、液体窒素上で急速凍結され、−70℃に貯蔵された。
【0220】
S2細胞から精製された、Akt及びAktプレクストリン相同ドメイン欠失物は、活性化を必用とする。Akt及びAktプレクストリン相同ドメイン欠失物は、10nM PDK1(アップステート・バイオテクノロジー・インク(Upstate Biotechnology,Inc.))、脂質ベシクル(10μM ホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスホスフェート(メトレヤ・インク(Metreya Inc.))、100μM ホスファチジルコリン及び100μg ホスファチジルセリン(アバンチ・ポーラー・リピズ・インク(Avanti Polar lipids,Inc.))、及び活性化緩衝液(50mM トリスpH7.4、1.0mM DTT、0.1mM EGTA、1.0μM マイクロシスチン(Microcystin)−LR、0.1mM ATP、10mM MgCl、333μg/ml BSA、及び0.1mM EDTA)を含有する反応において活性化された(アレッシ(Alessi)ら著、「カレント・バイオロジー(Current Biology)」、第7巻、p.261−269)。反応は、22℃で4時間インキュベートされた。アリコートは、液体窒素上で瞬間凍結された。
(実施例4)
【0221】
(Aktキナーゼアッセイ)
活性化されたAktアイソフォーム及びプレクストリン相同ドメイン欠失構築物は、GSK−誘導ビオチニル化ペプチド基質を利用してアッセイされた。ペプチドリン酸化の程度は、時間分解蛍光(HTRF)により、ランタニドキレート(Lance)を結合されたホスホペプチド特異モノクローナル抗体を、ペプチド上のビオチン部分へ結合するストレプトアビジン結合アロフィコシアニン(SA−APC)蛍光体とともに用いて、測定された。Lance及びAPCが近接している場合(すなわち、同じホスホペプチド分子へ結合)、非発光性のエネルギー転移がLanceからAPCへ起こり、それに続いて、APCからの665nmの光が発光される。
【0222】
アッセイに必用な材料:
A. 活性化されたAktアイソザイム又はプレクストリン相同ドメイン欠失構築物
B. Aktペプチド基質:GSK3α(S21)ペプチド#3928ビオチン−GGRARTSSFAEPG(配列番号15)、マクロモレキュラー・リソーシズ(Macromolecular Resources)。
C. Lance標識された抗ホスホGSK3αモノクローナル抗体(セル・シグナリング・テクノロジー(Cell Signaling Technology)、クローン#27)。
D. SA−APC(プロザイム(Prozyme)カタログ番号PJ25Sロット#896067)。
E. Microfluor(マイクロフルオール)(登録商標)B U底マイクロタイタープレート(ダイネックス・テクノロジーズ(Dynex Technologies)、カタログ番号7205)。
F. Discovery(ディスカバリー)(登録商標)HTRFマイクロプレート・アナライザ(Microplate Analyzer)、パッカード・インスルメント・カンパニー(Packard Instrument Comany)。
G. 100×プロテアーゼ・インヒビター・カクテル(Protease Inhibitor Cocktail)(PIC):1mg/mlベンズアミジン、0.5mg/ml ペプスタチン、0.5mg/ml ロイペプチン、0.5mg/ml アプロチニン。
H. 10×アッセイ緩衝液:500mM HEPES、pH7.5、1%PEG、mM EDTA、1mM EGTA、1%BSA、20mM ( )−グリセロールホスフェート。
I. クエンチ緩衝液:50mM HEPES pH7.3、16.6mM EDTA、0.1%BSA、0.1%トリトンX−100、0.17nM Lance標識モノクローナル抗体 クローン#27、0.0067mg/ml SA−APC。
J. ATP/MgClワーキング溶液:1×アッセイ緩衝液、1mM DTT、1× PIC、125mM KCl、5%グリセロール、25mM MgCl、375TM ATP。
K. 酵素ワーキング溶液:1×アッセイ緩衝液、1mM DTT、1× PIC、5%グリセロール、活性Akt。最終酵素濃度は、アッセイが直線的応答の範囲内にあるように選択された。
L. ペプチドワーキング溶液:1×アッセイ緩衝液、1mM DTT、1× PIC、5%グリセロール、2TM GSK3ビオチニル化ペプチド#3928。
【0223】
反応は、16 TLのATP/MgClワーキング溶液を、適当な96穴マイクロタイタープレートのウェルに添加することにより組立てられる。阻害剤又はビヒクル(1.0Tl)が添加され、続いて10Tlのペプチドワーキング溶液が添加される。反応は、13Tlの酵素ワーキング溶液の添加及び混合により開始される。反応は50分間にわたり進行され、次いで、60TlのHTRFクエンチ緩衝液の添加により停止される。停止された反応物は、室温で少なくとも30分間インキュベートされ、次いでDiscovery装置で読取られた。
【0224】
(ストレプトアビジン・フラッシュプレートアッセイのための方法):
(段階1):
100%DMSO中の試験化合物の1μlの溶液は、20μlの、2×の基質溶液(20μM GSK3ペプチド、300μM ATP、20mM MgCl、20μCi/ml[γ33P]ATP、1×アッセイ緩衝液、5%グリセロール、1mM DTT、1×PIC、0.1%BSA、及び100mM KCl)へ添加された。リン酸化反応は、19μlの2×酵素溶液(6.4nM活性Akt/PKB、1×アッセイ緩衝液、5%グリセロール、1mM DTT、1×PIC、及び0.1%BSA)を添加することにより開始された。反応物は次に、室温で45分間インキュベートされた。
【0225】
(段階2):
反応は、170μlの125mM EDTAの添加により停止された。200μlの停止された反応物は、ストレプトアビジン・フラッシュプレート・プラス(Steptavidin Flashplate(登録商標)PLUS)(NENライフサイエンス(Life Science)、カタログ番号SMP1103)へ移された。プレートは≧10分間にわたり、プレートシェイカー上で、室温でインキュベートされた。各ウェルの内容物は吸引され、ウェルは、ウェル当たり200μlのTBS緩衝液で2回すすがれた。ウェルは次に、ウェル当たり200μlのTBS緩衝液で5分間にわたり3回洗浄され、洗浄の間、プレートはプラットフォームシェイカー上で、室温でインキュベートされた。
【0226】
プレートは、シーリングテープでカバーされ、パッカード・トップカウント(Packerd TopCount)を用いて、フラッシュプレート中の[33P]をカウントするために好適なセッティングでカウントされた。
【0227】
(ストレプトアビジン・フィルタープレートアッセイのための方法):
(段階1):
上記のストレプトアビジン・フラッシュプレートアッセイの、段階1に記述されたような酵素反応が行なわれた。
【0228】
(段階2):
反応は、20μlの、7.5M 塩酸グアニジンの添加により停止された。50μlの停止された反応物は、ストレプトアビジンフィルタープレート(SAM2TM・ビオチン・キャプチャー・プレート(Biotin Capture Plate)、プロメガ、カタログ番号V7542)へ移され、反応物は、真空の摘要に先立ち、当該フィルター上で1〜2分間インキュベートされた。
【0229】
プレートは次に、真空マニホールドを用いて、以下のように洗浄された:1)4×200μl/ウェルの2M NaCl;2)6×200μl/ウェルの、1%HPOを含有する2M NaCl;3)2×200μl/ウェルの蒸留水;及び4)2×100μl/ウェルの95%エタノール。膜は次に、シンチラントの添加に先立ち、完全に空気乾燥された。
【0230】
プレートの底部は、白色のバッキングテープで密封され、30μl/ウェルのMicroscint20(パッカード・インスツルメンツ、カタログ番号6013621)が添加された。プレートの上部は、透明なシーリングテープで密封され、プレートは次に、パッカード・トップカウントを用いて、液体シンチラントによる[33P]に好適なセッティングでカウントされた。
【0231】
(ホスホセルロース・フィルタープレートアッセイのための方法):
(段階1):
酵素反応は、ストレプトアビジン・フラッシュプレートアッセイ(上記)の段階1に記述されたように、基質として、ビオチン−GGRARTSSFAEPGの代わりにKKGGRARTSSFAEPG(配列番号16)を利用して行なわれた。
【0232】
(段階2):
反応は、20μlの0.75%HPOの添加により停止された。50μlの停止された反応物は、フィルタープレート(ユニフィルター(UNIFILTERTM)、ワットマン(Whatman)P81ストロング・カチオン・エクスチェンジャー(Strong Cation Exchanger、ホワイト・ポリスチレン(White Polystyren)96穴プレート、ポリフィルトロニクス(Polyfiltronics)カタログ番号7700−3312)へ移され、真空の適用に先立ち、反応物はフィルター上で1〜2分間インキュベートされた。
【0233】
プレートは次に、真空マニホールドを用いて、以下のように洗浄された:1)9×200μl/ウェルの0.75%HPO;2)2×200μl/ウェルの蒸留水。プレートの底部は、白色のバッキングテープで密封され、30μl/ウェルのMicroscint20が添加された。プレートの上部は、透明なシーリングテープで密封され、プレートはパッカード・トップカウントを用いて、[33P]及び液体シンチラントのために好適なセッティングでカウントされた。
【0234】
(PKAアッセイ):
各々の、個別のPKAアッセイは、以下の成分からなる:
A. 5×PKAアッセイ緩衝液(200mM トリスpH7.5、100mM MgCl、5mM ( )−メルカプトエタノール、0.5mM EDTA)
B. 50μMの、水で稀釈されたケムプチド(Kemptide)(シグマ)のストック
C. 1.0μlの33P−ATP[10mCi/ml]を、200Tlの、50μMの未標識ATPのストック中へ稀釈することにより調製された33P−ATP
D. 10μlの、0.5mg/mlBSA中に稀釈された70nMのPKA触媒サブユニット(UBIカタログ番号14−114)のストック
E. PKA/ケムプチドワーキング溶液:同体積の5×PKAアッセイ緩衝液、ケムプチド溶液、及びPKA触媒サブユニット。
【0235】
反応は、96ディープウェルアッセイプレート内で組立てられる。阻害剤又はビヒクル(10Tl)は、10Tlの33P−ATP溶液へ添加される。反応は、30TlのPKA/ケムプチドワーキング溶液の、各ウェルへの添加により開始される。反応物は混合され、室温で20分間インキュベートされた。反応は次に、50Tlの100mM EDTA、及び100mMのピロリン酸ナトリウムの添加及び混合により停止された。
【0236】
酵素反応産物(リン酸化されたケムプチド)は、p81ホスホセルロース96穴フィルタープレート(ミリポア)上に収集された。プレートを調製するべく、p81フィルタープレートの各ウェルは、75mMのリン酸で満たされた。ウェルは、プレートの底に真空を適用することにより、フィルターを通して空にされた。リン酸(75mM、170μl)が各ウェルへ添加された。停止された各PKA反応物からの30μlのアリコートは、リン酸を含有しているフィルタープレート上の、対応するウェルへ添加された。真空の適用後、ペプチドはフィルター上にトラップされ、フィルターは75mMリン酸で5回洗浄された。最後の洗浄の後、フィルターは空気乾燥された。シンチレーション溶液(30μl)が、各ウェルへ添加され、フィルターはトップカウント(パッカード)上でカウントされた。
【0237】
(PKCアッセイ):
各PKCアッセイは、以下の成分からなる:
A. 10×PKC共活性化緩衝液:2.5mM EGTA、4mM CaCl
B. 5×PKC活性化緩衝液:1.6mg/mlホスファチジルセリン、0.16mg/mlジアシルグリセロール、100mMトリスpH7.5、50mM MgCl、5mM( )−メルカプトエタノール
C. 1.0μlの33P−ATP[10mCi/ml]を、100μlの、100μMの未標識ATPのストック中へ稀釈することにより調製された33P−ATP
D. 水中に稀釈された、ミエリン塩基性タンパク質(350μg/ml、UBI)
E. 0.5mg/ml BSA中に稀釈された70nMのPKC(50ng/ml、UBIカタログ#14−115)
F. PKC/ミエリン塩基性タンパク質ワーキング溶液:各々5体積のPKC共活性化緩衝液及びミエリン塩基性タンパク質を、各々10体積のPKC活性化緩衝液及びPKCと混合することにより調製された。
【0238】
アッセイは、96ディープウェルアッセイプレート内で組立てられた。阻害剤又はビヒクル(10Tl)は、5.0μlの33P−ATPへ添加された。反応は、PKC/ミエリン塩基性タンパク質ワーキング溶液の添加及び混合により開始された。反応物は、30℃で20分間インキュベートされた。反応は次に、50Tlの100mM EDTA、及び100mMのピロリン酸ナトリウムの添加及び混合により停止された。リン酸化されたミエリン塩基性タンパク質は、96穴フィルタープレート中のPVDF膜上に収集され、シンチレーションカウンティングにより定量化された。
【0239】
上記のスキーム1及び表1に記述された本発明の化合物は、上述のアッセイにおいて試験され、Akt1、Akt2、及びAkt3の1以上に対し、≦50μMのIC50を有することが見出された。
(実施例5)
【0240】
(Akt/PKBの阻害を測定するための細胞ベースのアッセイ)
細胞(例えば、活性化されたAkt/PKBをもつ、LnCaP又はPTEN(−/−)腫瘍細胞)は、100mMディッシュ中に播種された。細胞が約70〜80%コンフルエントの時、細胞は5mlの新鮮な培地が再度与えられ、試験化合物が溶液に添加された。対照は、未処理の細胞、ビヒクル処理細胞、及び各々20μM又は200nMの、LY294002(シグマ)又はウォルツマニン(シグマ)のいずれかで処理された細胞を包含していた。細胞は2、4、又は6時間インキュベートされ、培地が除去された。細胞はPBSで洗浄され、かき取られ、遠心管へ移された。それらはペレット化され、PBSで再度洗浄された。最後に細胞ペレットは、溶解緩衝液(20mMトリスpH8、140mM NaCl、2mM EDTA、1%トリトン、1mMピロリン酸ナトリウム、10mM( )−グリセロールホスフェート、10mM NaF、0.5mm NaVO、1μMマイクロシスチン、及び1×プロテアーゼ・インヒビター・カクテル)中に再懸濁され、氷上に15分間置かれ、細胞を溶解するべく穏やかにボルテックスされた。溶解産物は、ベックマン(Beckman)卓上型超遠心分離機において、100,000×gで、4℃において20分間遠心された。上清タンパク質は、標準的なブラッドフォードプロトコール(バイオラッド(BioRad))により定量され、要時まで−70℃に貯蔵された。
【0241】
タンパク質は、透明な溶解産物から、以下のように免疫沈降(IP)された:Akt1/PKBI用には、溶解産物は、NETN(100mM NaCl、20mM トリスpH8.0、1mM EDTA、0.5%NP−40)中の、サンタ・クルーズ(Santa Cruz)sc−7126(D−17)と混合され、プロテインA/Gアガロース(サンタ・クルーズsc−2003)が添加された。Akt2/PKB( )用には、溶解産物は、NETN中で抗Akt2アガロース(アップステート・バイオケミストリー(Upstate Biocheistry)#16−174)と混合され、Akt3/PKBK用には、溶解産物は、NETN中で抗Akt3アガロース(アップステート・バイオテクノロジー#16−175)と混合された。IPは、4℃で一晩インキュベートされ、洗浄され、SDS−PAGEにより分離された。
【0242】
ウェスタンブロットが使用され、特異抗体(セル・シグナリング・テクノロジー(Cell Signaling Technology)):抗全Akt(カタログ番号9272)、抗ホスホAktセリン473(カタログ番号9271)、及び抗ホスホAktスレオニン308(カタログ番号9275)を用いて、全Akt、pThr308Akt1、pSer473Akt1、Akt2及びAkt3上の対応するリン酸化部位、及びAktの下流の標的を分析した。PBS+0.5%脱脂粉乳(NFDM)中に稀釈された適当な一次抗体と、4℃で一晩インキュベートした後、ブロットは洗浄され、PBS+0.5%NFDM中の、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)でタグされた二次抗体と、室温で1時間インキュベートされた。タンパク質は、ECL試薬(アマシャム/ファルマシア・バイオテック(Amersham/Pharmacia Biotech)RPN2134)で検出された。
(実施例6)
【0243】
(ヘレグリン刺激Akt活性化)
MCF7細胞(PTEN(+/+)である、ヒト乳癌系統)は、100mMプレート当たり1×10細胞で播種された。細胞が70〜80%コンフルエントの時、それらに5mlの無血清培地が再度与えられ、一晩インキュベートされた。翌朝、化合物が添加され、細胞は1〜2時間インキュベートされ、その後にヘルグリンが(Aktの活性化を誘導するため)30分間にわたって与えられ、細胞は上記のように分析された。
(実施例7)
【0244】
(腫瘍増殖の阻害)
癌細胞の増殖の阻害についてのインビボの効率は、当該技術分野における技術上公知のいくつかのプロトコールによって確認され得る。
【0245】
PI3K経路の調節低下を示すヒト腫瘍細胞系(LnCaP、PC3、C33a、OVCAR−3、又はMDA−MB−468など)は、0日目に、6〜10週齢の雌のヌードマウス(ハーラン(Harlan))の左腹側部皮下に注射される。マウスは、無差別に、ビヒクル、化合物、又は併用処理群に割当てられる。毎日の皮下投与は、1日目に始まり、実験期間中継続される。別法として、阻害剤試験化合物は、連続的な輸液ポンプにより投与されてもよい。化合物、化合物の併用、及びビヒクルは、全体積0.2mlにて送達される。全てのビヒクル処理動物が直径0.5〜1.0cmの病巣を示した時、典型的には細胞が注射された4〜5.5週間後、腫瘍は切除され、秤量される。各細胞系について、各処理群における腫瘍の平均重量が計算される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A:
【化1】

[式中、
aは、0又は1であり;bは、0又は1であり;mは、0、1又は2であり;nは、0、1、2、3又は4であり;pは、0、1、2、3、4又は5であり;tは、2、3、4、5又は6であり;
u、v、w及びxは、独立して:CH及びNから選ばれ;
y及びzは、独立して:CH及びNから選ばれ、ただし、y及びzの少なくとも1つはNであり;
環Kは:(C−C)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びへテロシクリルから選ばれ;
は、独立して:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)へテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して:オキソ、(C=O)(C−C10)アルキル、(C=O)−アリール、(C=O)(C−C10)アルケニル、(C=O)(C−C10)アルキニル、COH、ハロ、OH、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)(C−C)シクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)へテロシクリルから選ばれ、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びへテロシクリルは、Rから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して:H、(C−C)アルキル及び(C−C)パーフルオロアルキルから選ばれるか、又は、R及びRは、結合して−(CH−を形成し、ここで炭素原子の1つは、O、S(O)、−N(R)C(O)−、及び−N(COR)−から選ばれる基によって置換えられてもよく;
は:NR7’8’であり;
は:(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cパーフルオロアルキル、O(C=O)NR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、当該アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
6aは:(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)パーフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−へテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H、及び(C−C)アルキレン−COHから選ばれ、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びへテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選ばれる3までの置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して:H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oへテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO、及び(C=O)NRから選ばれ、当該アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく、或いは、R及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、各環3〜7員の、単環又は二環のヘテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選ばれる1又は2の付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を形成し、当該単環又は二環のヘテロ環は、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
7’及びR8’は、結合して各環3〜7員の、二環又は三環のヘテロ環(窒素に加えて、N、O及びSから選ばれる1以上の付加的なヘテロ原子を含有してもよい)を形成し、当該二環又は三環のヘテロ環は、R6aから選ばれる1以上の置換基で置換されてもよく;
は、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、又はヘテロシクリルであり;そして
は、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)(C−C)アルキル、又はS(O)である]で表される化合物、又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体。
【請求項2】
式B:
【化2】

[式中、
全ての他の置換基及び変数は、請求項1に定義された通りである]で表される請求項1記載の化合物、又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体。
【請求項3】
式C:
【化3】

[式中、
全ての他の置換基及び変数は、請求項2に定義された通りである]で表される請求項2記載の化合物、又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体。
【請求項4】
式D:
【化4】

[式中、
全ての他の置換基及び変数は、請求項3に定義された通りである]で表される請求項3記載の化合物、又は、薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体。
【請求項5】
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−(4−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキシレート;
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−カルボキシレート;
2−{4−[(6−アミノ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−[4−(1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−(4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−[4−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;及び
2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オンから選ばれる請求項1記載の化合物;又は薬学的に許容され得るそれらの塩若しくは立体異性体。
【請求項6】
2−{4−[(3−ヒドロキシ−4,7−ジヒドロイソキサゾロ[5,4−c]ピリジン−6(5H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−(4−{[7−(トリフルオロメチル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−カルボキシレート;
メチル 2−[4−(5−オキソ−3−フェニル−5,6−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−2−イル)ベンジル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−カルボキシレート;
2−{4−[(6−アミノ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−[4−(1,4,6,7−テトラヒドロ−5H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−(4−{[3−(トリフルオロメチル)−7,8−ジヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(5H)−イル]メチル}フェニル)−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;
3−フェニル−2−[4−(1,3,4,9−テトラヒドロ−2H−b−カルボリン−2−イルメチル)フェニル]−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン;及び
2−{4−[(6,7−ジヒドロキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)メチル]フェニル}−3−フェニル−1,6−ナフチリジン−5(6H)−オン:
から選ばれる請求項1記載の化合物のTFA塩;
又はそれらの立体異性体。
【請求項7】
医薬上の担体と、それに分散された、治療上有効な量の請求項1記載の化合物とを含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
そのような処置を必要とする哺乳類における癌の治療又は予防において有用な、医薬品の調製のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容され得る担体とを組合せることにより得られる、医薬組成物。

【公表番号】特表2008−535915(P2008−535915A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506570(P2008−506570)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/013280
【国際公開番号】WO2006/110638
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】