説明

AKT(プロテインキナーゼB)阻害剤

本発明は、Akt活性の阻害剤である式(I)の化合物


を提供する。該化合物は、感受性のある新生物疾患およびウィルス感染症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式(I)の化合物、その組成物、および必要な患者に式(I)の化合物の有効量を投与することを含むプロテインキナーゼB(Akt)の阻害方法を提供する。加えて、本発明は式(I)の化合物およびその合成中間体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは、成長因子、成長ホルモン、および正常および病的状態における細胞の成長、生存および代謝にかかわるその他の細胞制御分子につながる情報伝達経路に含まれている。そのようなプロテインキナーゼ中でも、プロテインキナーゼB(Aktとしても知られる)は広範な型の細胞の増殖および生存を促進してアポトーシス(プログラム化された細胞死)から細胞を保護する際に重要な役割を担っているである〔Khwaja, Nature 33-34(1990)〕。セカンド・メッセンジャーで規制されるセリン/トレオニンプロテインキナーゼの三種のAkt/PKBファミリーが同定されていて、Akt1/PKBα、
と呼ばれている。細胞の増殖および生存にかかわる多数のタンパクが細胞内のAktの基質といわれている。そのような基質の二つの例がグリコーゲン合成キナーゼ-3(GSK3)およびフォークヘッド転写因子(FKs)である(Brazilm、Hemmings, Trends in Biochemical Sciences 26, 675-664参照)。
【0003】
多数のプロテインキナーゼおよびホスファターゼがAktの活性を制御している。例えば、Aktの活性化はホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3-K)により媒介され、これがセカンド・メッセンジャーであるホスホリピドの、Aktのプレクストリン相同性結合領域への結合を開始する。この結合がAktを原形質膜に固定させ、リン酸化と酵素の活性化を生じさせる。触媒サブユニットのPI3-K、p110αの増幅、またはPI3-Kサブユニットのp85α中の突然変異が種々の型のヒト癌におけるAkt活性化を導く〔Vivanco and Sawyers, Nature Reviews in Cancer (2002) 2: 489-501〕。腫瘍抑制因子、PTENはPI3-KによるAkt活性化の重大な抑制因子である〔Myers et al. Proc. Nat. Acad. Sci. 95, USA (1998) 13513-13518〕。Pten遺伝子における不活性化突然変異は多くのヒト腫瘍および腫瘍細胞株において高頻度に見出され、これには前立腺癌、乳癌、卵巣癌、グリア芽腫、メラノーマおよびその他の癌種が含まれる。PTENタンパクの不活性化は腫瘍細胞内のリン酸化Aktのレベル上昇とAkt活性の増大をもたらす〔Li, et al., Science (1997),275,1943-1947;Guldberg, et al., Cancer Research (1997),57,3660-3663;Risinger, et al., Cancer Research (1997),57,4736-4738;Vivanco and Sawyers, Nature Reviews in Cancer (2002),2,489-501〕。PTEN中の欠陥によるAktの過剰活性化、Akt2およびAkt3の直接の増幅および/または過剰発現がヒト新生物中、例えば、卵巣、すい臓、前立腺および乳癌細胞中に見出されている〔Cheung et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA(1992), 89,9267-9271;Cheung et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA (1996), 93,3636-3641;Nakatani et al., J. Biol. Chem. (1999), 274,21528-21532).〕。
【0004】
生殖細胞のAkt1ノックアウトにより部分的な胚性致死をもたらすことが示され、細胞の増殖および生存におけるAktの決定的な役割がさらに強調されている。生存している同腹子は発育不全や、organismalアポトーシス、早期死亡の増加を示す〔Cho et al., J. Biol. Chem. (2001) 276, 38349-38520;Chen et al., Genes Dev. (2001) 15, 2203-2208〕。薬物によるAktの不活性化は培養ヒト卵巣癌細胞においてアポトーシスを誘導すること(Yuan et al., Oncogene 19, 2324-2340, 2000)、およびマウスにおけるヒト卵巣癌異種移植片の成長を減少させること(Hu et al., Clin. Cancer Res. 6, 880-886, 2000)が示された。
【0005】
また最近の研究によれば、多くのウィルスのライフサイクルにおけるPI3-K/AKT経路の果たす役割が示された。PI3-K/AKT経路を直接活性化してそのウィルス増殖に好都合な環境を作り出すウィルスタンパクのあることが示された。これにはヒト免疫不全ウィルス(HIV)、B型肝炎ウィルスのタンパクX、およびC型肝炎ウィルスのNS5Aが含まれる〔Borgatti et al., Eur. J. Immunol.(1997), 27,2805-2811; Lee et al., J. Biol. Chem.(2001),276, 16969-16977; He et al., J. Virol.(2002),76, 9207-9217〕。PI3-K/AKT経路はまたヒトサイトメガロウィルス(HCMV)における複製サイクルの開始と終了にも必要である。実際、薬物でこの経路を不活性化するとHCMV産生および宿主細胞の生存が未完に終わる(Johnson et al., J. Virol.(2001), 75,6022-6032)。
【0006】
細胞生存の制御上極めて重要な役割の故に、Aktは種々の疾患、特に癌およびウィルス感染、の効果的治療のための治療標的を提供する。しかしながら、その治療のためには強力で選択的なAktの阻害剤が必要である。そこで、本発明は一類のAkt新規阻害剤、これら化合物を含む組成物およびこれら化合物を使用する方法を提供する。
【発明の開示】
【0007】
発明の短い要約
本発明は式(I)の化合物、
【化1】

【0008】
〔式中、R1は水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシ;
2は、水素、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであって、該C1−C4アルキルはカルボキシ、トリフルオロ、ベンジル、アセタミド、C1−C4アルコキシカルボニル、または置換C1−C4アルコキシカルボニル(ここで置換はC1−C4アルキルまたは−NR910であり、R9およびR10はそれぞれ独立して水素またはC1−C4アルキル)で任意に置換され;
3は水素、またはC1−C4アルキル;
4は水素、ハロ、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシ;
5は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、またはニトロであって、R4およびR5はまた、それらが結合した炭素原子と一緒になりベンゾ縮合環を形成し;
6は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C3−C6シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェネチル、ベンジル、ベンゾイル、イソキサゾリル、フリル、チエニル、およびメチルスルホニルよりなる群から選択され、該C1−C4アルキルはN−モルホリノ、ピペリジン、ピロリジンまたはNR910で置換されてもよく、該チエニルはハロまたはC1−C4アルキルで置換されてもよく、該フェニル、ベンゾイル、若しくはベンジルはハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、CF3、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、メチルスルホニルアミノ、スルホンアミド、およびC(O)R11よりなる群から独立して選択される1個から2個の置換基で置換されてもよく、R11はN−モルホリノ、ヒドロキシ、またはNR910よりなる群から選択され;
Xは-O-、-S(O)p-、または-NR8-;
nは2または3;
pは0、1、または2;
7は水素、メチル、エチニル、フェニル、チエニル、またはピラゾールであり、該フェニル、チエニル、およびピラゾールはヒドロキシ、ハロ、またはアミノで置換されてもよく;
8は水素、C1−C4アルキル、ベンジル、またはtert-ブチルエステルを表す。〕
またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は式(II)の化合物
【化2】

【0010】
〔式中、R1は水素またはヒドロキシ;
2は、水素、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり、該C1−C4アルキルはカルボキシ、C1−C4アルコキシカルボニル、または−NR910で任意に置換され、R9およびR10はそれぞれ独立して水素またはC1−C4アルキルであり;
3は水素またはC1−C4アルキル;
4は水素、ハロ、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシ、;
5は、水素、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、またはニトロであって、R4およびR5はまた、それらが結合した炭素原子と一緒になりベンゾ縮合環を形成し;
6は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C3−C6シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェネチル、ベンジル、ベンゾイル、イソキサゾリル、フリル、およびチエニルよりなる群から選択され、該フェニル、若しくはベンジルはハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシよりなる群から独立して選択される1個から2個の置換基で任意に置換されてもよく;
Xは-O-、-S(O)p-、または-NR8-;
nは2または3;
pは0、1、または2;
7は水素、またはフェニル;
8は水素、またはC1−C4アルキルを表す。〕
またはその薬学的に許容される塩である。
【0011】
式(I)の化合物はAkt阻害剤である。これら化合物はAkt活性化効果を阻害するので、Akt活性に関連する病気の治療に有用である。即ち、式(I)の化合物は抗ウィルス、および抗新生物剤である。
【0012】
本化合物は中枢神経系の腫瘍、例えば、多形性膠芽腫、星状細胞腫、希突起膠腫、上衣および脈絡叢の腫瘍、松果体部腫瘍、神経腫瘍、髄芽細胞腫、神経鞘腫、髄膜腫、髄膜肉腫、眼の新生物、基底細胞癌、扁平上皮癌、黒色腫、横紋筋肉腫、網膜芽腫、内分泌腺の新生物、下垂体新生物、甲状腺の新生物、副腎皮質の新生物、神経内分泌系の新生物、
胃腸膵管内分泌系の新生物、生殖腺の新生物;頭頸部の新生物;頭頸部癌、口腔・咽頭・喉頭および歯原性の腫瘍、胸部新生物;大細胞肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胸部新生物、悪性中皮種、thymomas、胸部の一次胚細胞腫瘍;消化器官の新生物;食道の新生物、胃の新生物、肝臓の新生物、胆嚢の新生物、膵臓外分泌腺の新生物、小腸の新生物、veriform appendixおよび腹膜、大腸および直腸結腸のadneocarcinoma、肛門の新生物;尿生殖路の新生物;腎細胞癌、腎盂尿管の新生物、膀胱の新生物、尿道の新生物、前立腺の新生物、陰茎の新生物、睾丸の新生物;女性生殖器の新生物;外陰部および膣の新生物、頸部の新生物、子宮体部の腺癌、卵巣癌、婦人科の肉腫;胸部新生物;皮膚の新生物;基底細胞癌、扁平上皮癌、皮膚線維肉腫、メルケル細胞腫;悪性黒色腫;骨および軟組織の新生物;骨原性肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、未分化神経外胚葉性腫瘍、血管肉腫;細網内皮系の新生物;骨髄異形成症候群、急性骨髄白血病、慢性骨髄白血病、急性リンパ性白血病、HTLV-1およびT-細胞白血病/リンパ腫、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫、肥満細胞白血病;および小人新生物;急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、神経芽細胞腫、骨腫瘍、横紋筋肉腫、リンパ腫、腎腫瘍の治療に有効と考えられる。
こうして、一つの態様において本発明は敏感な新生物を治療する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。すなわち、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の用途を提供する。
【0013】
別の態様において、本発明はAkt活性を阻害する薬剤の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。こうして、本発明は上記の方法で敏感な新生物を治療するための薬剤の製造において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明の化合物は特に、PTENに欠陥を示す新生物、PI3-キナーゼ活性の制御が利かない新生物、またはAkt活性の上昇を示す新生物の治療に有用である。具体的には、式(I)の化合物は神経芽細胞腫、黒色腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌、肺癌、および消化器、腎臓、子宮内膜、若しくは甲状腺の癌の治療に有用である。
【0014】
特に本発明化合物は固形癌の治療に有用と考えられる。こうして、本発明化合物は前立腺癌、卵巣癌、および乳癌の治療に有用である。
ひとつの好ましい態様では、本発明は前立腺癌を治療する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。
【0015】
別の好ましい態様では、本発明は卵巣癌を治療する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。
別の好ましい態様では、本発明は乳癌を治療する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。
別の好ましい態様では、本発明はAkt活性を阻害する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。
【0016】
別の好ましい態様では、本発明はウィルス感染を治療する方法を提供し、その方法は必要な患者に式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む。かくして、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の、抗ウィルス剤としての用途を提供する。
更なる態様では、有効成分として式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤若しくは賦形剤とを組み合わせた薬学的組成物を提供する。
更なる態様では、式(I)の化合物、およびその製造中間体をつくる方法に関する。
発明の詳細な説明
【0017】
調製例および実施例において使用される述語および略号は特に示さない限り通常の意味を表す。例えば、「℃」は摂氏;「N」はノルマルまたは規定度;「mol」はモル;「h」は時間;「eq」は当量;「g」はグラム;「L」はリットル;「M」はモルまたはモル濃度;「ブライン」は塩化ナトリウムの飽和水溶液;「MS」は質量スペクトル分析;「NMR」は核磁気共鳴スペクトル分析;「TLC」は薄層クロマトグラフィー;「ACN」はアセトニトリル;「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミド;「DMSO」はジメチルスルホキシド;「Et2O」はジエチルエーテル;「EtOAc」は酢酸エチル;「MeOH」はメタノール;「EtOH」はエタノール;「iPrOH」はイソプロパノール;「TEA」はトリエチルアミン;「TFA」はトリフルオロ酢酸;「THF」はテトラヒドロフラン;「DIBAL-H」は水素化ジイソブチルアルミニウムをいう。
【0018】
以下に使用するように、「C1−C4アルキル」の語は、一価の直鎖または分枝鎖を有する、炭素数1から4の飽和脂肪族鎖をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルが含まれるが限定はされない。「C1−C3アルキル」や「C1−C2アルキル」の語も「C1−C4アルキル」の定義の中に包含される。
【0019】
「C2−C4アルケニル」の語は、一価の直鎖または分枝鎖を有する、炭素数2から4の炭化水素鎖で少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有するものをいう。C2−C4アルケニルの例としては、エテニル(ビニル)、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル(イソプロペニル)、プロペン-3-イル(アリル)、2-メチル-プロペン-3-イル、2-ブテン-4-イル、2-メチル-プロペン-1-イルおよび1-ブテン-1-イルが含まれるが限定はされない。
【0020】
「C1−C4アルコキシ」の語は、上記で定義したC1−C4アルキル基であって酸素原子を介して親化合物に結合するものをいう。典型的なC1−C4アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、等が含まれる。「C1−C3アルコキシ」や「C1−C2アルコキシ」の語も「C1−C4アルコキシ」の定義の中に包含される。
【0021】
「C1−C4アルコキシカルボニル」は上記で定義した直鎖または分枝鎖を有する、C1−C4アルコキシ鎖であってアルコキシの酸素原子を介してカルボニル部分に結合したものを表す。典型的なC1−C4アルコキシカルボニル基には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等が含まれる。C1−C4アルコキシカルボニルはカルボニルの炭素上においてC1−C4アルキルで置換されてもよいと解すべきである。
【0022】
「C3−C6シクロアルキル」は飽和で炭素数が3から6の炭化水素環を表す。典型的なC3−C6シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。
【0023】
「ハロ」、「ハロゲン」および「ハライド」は塩素、フッ素、臭素またはヨウ素を表す。好ましいハロゲンとしては、塩素およびフッ素が含まれる。
以下に使用するように、「ベンゾ縮合環」はR4およびR5がそれらが結合しているフェニル環に対しオルト縮合した環を形成している二環性構造をいう。R4およびR5がベンゾ縮合環を形成する場合R6はその二環上の置換が許される任意の位置に置換してもよいと解される。本発明における好ましいベンゾ縮合環には、ナフタレン、ベンゾフランおよびベンゾジオキソールが含まれる。
【0024】
「Pg」の語は、アルコール、カルボキシル、またはアミノ保護基をいう。典型的な保護基としては、テトラヒドロピラニル(THP)、シラン〔例えば、トリメチルシラン(TMS)、tert-ブチルジメチルしラン(TBDMS)、tert-ブチルジフェニルシラン(TBDPS)等〕、メトキシメチル(MOM)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル、ホルミル、アセチル(Ac)、tert-ブトキシカルボニル(t-BOC)が含まれる。典型的なカルボキシル保護基としては、メチル、エチル、tert-ブチルが含まれる。保護基の選択と使用は当業者によく知られ認識されている。例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis, Theodora Greene (Wiley-Interscience); Protecting Groups, Philip J. Kocienski, Thieme Medical Publishers, inc: New York 1994, chapters 2,4,6.を参照。
【0025】
本発明は式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を含む。本発明化合物は十分に塩基性を有する官能基を含むので多くの無機酸および有機酸と反応して薬学的に許容される塩を形成し得る。
ここで使用される「薬学的に許容される塩」の語は、上記式(I)の化合物の塩をいう。その塩が全体として薬学的に許容される限り、そして対イオンが塩全体としての望ましくない性質に寄与をしない限り、本発明の任意の塩の一部を形成する特有の対イオンは通常決定的な性質を持たないと解すべきである。
【0026】
ここに記載される式(I)の化合物および中間体は広範な無機酸および有機酸と薬学的に許容される酸付加塩を形成し、これには薬化学でしばしば用いられる生理学的に許容される塩が含まれる。そのような塩もまた本発明の一部である。薬学的に許容される酸付加塩は薬学的に許容される酸より形成され、当業者にはよく知られている。そのような塩としては、Journal of Pharmaceutical Science, 66, 2-19 (1977)に記載された薬学的に許容される塩が含まれ、これも当業者にはよく知られている。また、The Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection, and Use. P. H. Stahl and C. G. Wermuth (ED.s), Verlag, Zurich (Switzerland)2002を参照。
【0027】
そのような塩を形成するため用いられる無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸、メタリン酸、ピロリン酸等が含まれる。有機酸、例えば、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、ヒドロキシアルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、に由来する塩もまた使用される。そのような薬学的に許容される酸としては、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、臭化水素酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボン酸塩、ヘキシン-1,4-ジカルボン酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、プロピオレート、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酒石酸塩等が含まれる。式(I) の化合物の好ましい塩としては、塩酸塩、シュウ酸塩が含まれる。
【0028】
ここで使用される「患者」の語は、Akt活性に関連した一つ以上の疾患に苦しむ哺乳類をいう。最も好ましい患者はヒトであることが理解されるだろう。本発明が具体的には哺乳類のAkt/PKB阻害に関することも理解すべきである。
目下その病気に苦しんでいる患者を式(I) の化合物の有効量でもって治療することにより、当業者はAkt活性に関連する病気に影響を与えることができると認識される。こうして、「治療」および「治療する」の語は、ここで記述する病気の進行を減速させ、中断させ、阻み、制御しまたは停止させるすべての過程をいうが、すべての症候を総合的に除去することを必ずしも示さない。
【0029】
ここで使用されるように、式(I) の化合物の「有効量」は、ここで記述する病気の治療に有効な量をいう。
薬学的に活性な化合物の任意の群においてそうであるように、最終用途の適用においてある種の群が好ましい。
【0030】
本発明の好ましい態様は以下のとおりである:
1は水素またはヒドロキシ;
2は、水素、C1−C4アルキル、または置換C1−C4アルキルであり、ここで置換基はNR910で、特にR9とR10がメチル;
3は水素;
nは2;
XはOまたはN;
5はハロ、ニトロ、ヒドロキシ、C1−C4アルキル、またはCF3
6はハロ、C1−C4アルキル、ニトロ、CF3、ベンゾイル、オルト-フェニルまたはオルト-ベンジルであり、そのフェニルまたはベンジルは任意で、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ニトロ、およびスルホンアミドからなる群より独立して選択される1個から2個の置換基で置換されてもよく;
7はフェニルまたはヒドロキシフェニルであり、
およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0031】
本発明のさらに好ましい態様は以下のとおりである;
1は水素またはヒドロキシ;
2は水素またはC1−C4アルキル;
3は水素;
nは2;
XはO;
7は3-ヒドロキシフェニルまたは4-ヒドロキシフェニルであって、
およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0032】
当業者はこれら好ましい態様を組み合わせ、または以下の実施例を参照して追加的な好ましい態様が選択され得ることを理解するであろう。
本発明化合物は種々の方法で調製することができ、いくつかは以下のスキームおよび実施例で説明される。化合物をどのように調製するかに関して、スキームおよび実施例は決していずれの方法についてもこれに限定されると解してはならない
【0033】
当業者は式(I)の化合物においてある種の置換基の導入が不斉を創り出すことを理解するであろう。本発明はラセミ体およびジアステレオマーを含んで、すべての立体異性体、エナンチオマー、およびエナンチオマー混合物を考慮する。不斉中心を含む化合物は単一のエナンチオマーであることが好ましい。以下のスキームの独立した工程を多様に変化させて式(I)の化合物を与えることが当業者には認識されるだろう。式(I)の化合物を製造するため必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物および置換基部分の相対的な安定性に依存する。
【0034】
【化3】

【0035】
スキーム1、工程aに示したとおり、二段階の反応を用いてR2およびR3が水素である式(I)の化合物が得られる。無水CH3OH中で式(4)の化合物と4Åのモレキュラーシーブを撹拌して式(10)の化合物を加え、16時間撹拌して溶液中でイミンを形成する。そのイミンを単離することなく、水素化ホウ素ナトリウムにより目的のアミンへと還元する。式(I)の生成物は当業者によく知られた方法、例えば、沈殿化、濾過、抽出、留去、粉砕、クロマトグラフィー、再結晶等の手法により単離することができる。
或いは、工程bに示すとおり、式(2)の化合物を式(5)の化合物と縮合して式(I)の化合物を得る。当業者は式(5)の化合物が次の公知文献の方法で調製できることを理解するであろう。Pharmazie, (1980) 35(2): 80-84を参照。市販のフェノールからブロモ酢酸メチルによるO-アルキル化、DIBAL-H還元、メシレート形成、エタノールアミン置換、および塩化チオニルの反応により式(5)の化合物を得る。
【0036】
【化4】

【0037】
スキーム2の工程cに示すとおり、CH2CH2のような溶媒中で、適切なアルキルアミンに対して式(1)のイソキノリン化合物を滴下すると式(2)の化合物が得られる。生成物は当業者によく知られた上記の手法により単離・精製される。
工程dに示すとおり、式(1)のイソキノリン化合物から式(4)の化合物を直接得ることもできる。CH2CH2、THF、1,4-ジオキサン、または好ましくはCHCl3のような溶媒中でエチレンジアミンを溶解して撹拌し、式(1)のイソキノリンスルホニルクロリドを少しずつ加える。当業者によく知られた方法で混合物を濾過し、乾燥し、クロマトグラフに付して式(4)の化合物を得る。
【0038】
或いは、窒素ガス下無水CH2CH2中で、TEA、ピリジン、またはN,N-ジイソプロピルエチルアミンと(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステルを溶解し、式(1)の化合物を加えてもよい。次いで、該混合物を周辺温度で約4時間撹拌し、当業者によく知られた方法で混合物を濾過し、乾燥し、クロマトグラフに付して式(3)の化合物を得る。
工程fに示すとおり、式(3)の化合物は当業者によく知られた方法で脱保護される。
【0039】
【化5】

【0040】
スキーム3に示すとおり、式(10)の化合物は種々の経路により調製できる。以下に各経路について簡単に説明する。
工程gにおいては、アセトニトリルまたは好ましくはDMFのような中でブロモ酢酸メチルと式(6)の化合物を溶解し炭酸カリウムを加える。次いで、標準的な方法、例えば、酢酸エチル/水、またはキシレン等で混合物から抽出を行う。よく知られた方法で生成物を乾燥し、濾過し、濃縮し、クロマトグラフに付す。
【0041】
当業者は、R6が例えば、ブロモのような適切な脱離基の場合、スズキ縮合法により当該置換基を他のR6置換基、例えばフェニル、イソキサゾリル、フリル、またはチエニルに変換できることを認識するだろう。
工程hにおいては、窒素ガス下で式(7)の化合物を、好ましくはCH2CH2に溶解し-78℃に冷却して、DIBAL-Hを滴下する。溶液を撹拌し、メタノールとジエチルエーテルを加える。冷却槽を除去して少しずつHCl溶液を加える。有機層を分液して乾燥し濾過して濃縮し、式(10)の化合物およびそのメチルヘミアセタールを得る。
【0042】
或いは、工程iに示すように、窒素ガス下で式(8)の化合物を無水CH2CH2に溶解し、好ましくは-78℃に冷却してDIBAL-Hを滴下する。その後、溶液を0℃で1-2時間撹拌する。MeOHを滴下して反応を停止させ、続いてジエチルエーテル、次いでHClを少量ずつ加える。当業者によく知られた手法に従い、有機層を分液し、乾燥し、濾過して濃縮する。
また、式(6)の化合物を式(9)のジエトキシ化合物を経由して式(10)の化合物へと変換することもできる。簡単には、工程jに示すように、DMFのような溶媒に式(6)の化合物とブロモアセトアルデヒドジエチルアセタールを溶解し、炭酸カリウムを加える。混合物を窒素ガス下85℃で約72時間撹拌する。混合物を周辺温度にまで冷却して、水とEtOAcを加える。当業者によく知られた手法に従い、式(9)の化合物を分離して乾燥し濾過して濃縮する。
【0043】
工程kに示すように、式(9)の化合物をジエチルエーテルに溶解し、撹拌してHClを加える。溶液を激しく撹拌しながら反応を進行させるためにジエチルエーテルを追加する。工程kの反応により式(10)の化合物とそのジエチルヘミアセタールを得る。
当業者に知られるように、適切な出発物質を使用することにより、R6がアミンまたはアミドの化合物もまた同様にして調製される。
【0044】
調製
調製例1
イソキノリン-5-スルホニルクロリド・塩酸塩
窒素ガス下周辺温度にて塩化チオニル(150mL、2.06mole)中にイソキノリン-5-スルホンン酸(28.3g、135mmol)を懸濁し、撹拌しながら無水DMF(1.5mL)を加える。得られた混合物を2.5時間加熱還流する。周辺温度にまで冷却した後、混合物を減圧下で濃縮し黄色がかった粉末を得る。この粉末を乾燥CH2CH2(200mL)中で懸濁し、超音波処理してから濾過し、減圧下40℃で乾燥して題記化合物29.2g(111mmol、収率82%)を得る。
1H-NMR(TFA-d1): δ 8.48(t, J = 7.9Hz, 1H), 9.13-9.14(m, 2H), 9.29 (d, J = 7.9Hz, 1H), 9.57(d, J = 7.0Hz, 1H), 10.26(s, 1H).
【0045】
調製例2
イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド
エチレンジアミン(45.0mL、673mmol)をCHCl3(400mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度にて撹拌しながらイソキノリン-5-スルホニルクロリド・塩酸塩(5.57g、21.1mmol)の粉末を少しずつ加える。得られた混合物を1時間撹拌する。濾過し減圧下で濃縮してから、粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィー(CH2CH2中5-10%CH3OHのグラディエント、その後、CH2CH2中0-16% 2M NH3/CH3OHのグラディエント)で精製して題記化合物4.71g(18.7mmol、収率89%)を得る。
ESIMS: m/z 252 (M+H)+.
【0046】
調製例3
(2-ブロモフェノキシ)酢酸メチルエステル
2-ブロモフェノール(3.20g、18.5mmol)とブロモ酢酸メチル(3.11g、20.3mmol)を無水DMF(20 mL)に溶解し、撹拌しながら炭酸カリウム(3.84g、27.8mmol)の粉末を加える。得られた混合物を窒素ガス下周辺温度で16時間撹拌する。水(140mL)およびEtOAc(120mL)を加えて、二層を激しく3分間撹拌する。有機層を分液して、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフ(ヘキサン中2-8% EtOAcのグラディエント)に付し題記化合物4.39g(17.9mmol、収率97%)を得る。
EIMS: m/z 244 (M+, 79Br), 246 (M+, 81Br).
【0047】
適切な出発物質を用い調製例3と同様にして以下の化合物を製造し単離できる。
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
調製例65
4-(2,2-ジエトキシエトキシ)ベンゾニトリル
無水DMF(20mL)中に4-シアノフェノール(2.00g、16.8mmol)とブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(4.53mL、30.3mmol)を溶解し、撹拌しながら炭酸カリウムの粉末(5.18g、37.7mmol)を加える。得られた混合物を窒素ガス下85℃で3日間撹拌する。反応混合物を周辺温度にまで冷却してから、水(100mL)およびEtOAc(100mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。オイルをシリカゲルのカラムクロマトグラフ(ヘキサン中5-20%EtOAcのグラディエント)に付し題記化合物2.80g(11.9mmol、収率71%)を得る。
1H-NMR(CDCl3): δ1.24(t, J = 7.1Hz, 6H), 3.60-3.68(m, 2H), 3.73-3.81(m, 2H), 4.04(d, J = 5.2Hz, 2H), 4.83(t, J = 5.2Hz, 1H), 6.97(br d, J = 9.2Hz, 2H), 7.58(br d, J = 9.2Hz, 2H); 元素分析 C13H17NO3 : 計算値: C, 66.36; H, 7.28; N, 5.95; 実測値: C, 66.41; H, 7.34; N, 6.01.
【0052】
調製例66
(4-クロロ-2-プロピルフェノキシ)酢酸メチルエステル
(2-アリル-4-クロロフェノキシ)酢酸メチルエステル(587mg、2.44mmol)をEtOAc(10mL)に溶解し窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら5% スルフィド化Pt/C(250mg)を加える。混合物を水素ガスで1分間フラッシュしてから水素風船下で1時間はげしく撹拌する。濾過して濃縮し題記化合物584mg(収率100%)をオイルとして得る。
EIMS: m/z 242(M+, 35Cl), 244(M+, 37Cl). 元素分析 C12H15ClO3 : 計算値: C, 59.39; H, 6.23; 実測値: C, 59.01; H, 6.14.
【0053】
調製例67
(5-クロロビフェニル-2-イルオキシ)酢酸メチルエステル
1,4-ジオキサン(50mL)に(2-ブロモ-4-クロロフェニル)酢酸メチルエステル(5.03g, 18.0 mmol)、フェニルボロン酸(2.24g、18.4mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.04g、0.900mmol)を溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、Na2CO3水溶液(2M、18.5mL)を加える。得られた混合物を95℃で24時間加熱する。周辺温度で5N HCl(18.5mL)を加え、続いてEtOAc(70mL)とNaCl飽和水溶液(50mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。シリカゲルのカラムクロマトグラフ(最初はCH2CH2、続いて0.5% HOAc/1% MeOH/98.5% CH2CH2)に付し題記化合物1.30g(4.70mmol、収率26%)および対応する酸2.41gを得る。この酸をMeOH(5mL)/CH2CH2(20mL)に溶解し(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2Mヘキサン溶液、8.8mL)で処理する。1時間撹拌後混合物を濃縮しシリカゲルのクロマトグラフ(CH2CH2:ヘキサン=1:1)に付して2.68gの題記化合物(9.68mmol, 総収率80%)をオイルとして得た。
1H-NMR(CDCl3): δ 3.77(s, 3H), 4.58(s, 2H), 6.80(d, J = 8.8Hz, 1H), 7.21-7.26(m, 1H), 7.33-7.37(m, 2H), 7.42(br t, J = 7.4Hz, 2H), 7.56(d, J = 6.9Hz, 2H).
【0054】
調製例67と同様の方法により下記の化合物を製造し単離できる。
【表5】

【0055】
調製例75
4-ブロモ-1-(2,2-ジメトキシエトキシ)-2-メチルベンゼン
無水DMF(20mL)中に4-ブロモ-2-メチルフェノール(3.03g、16.2mmol)とブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール(3.56g、21.1mmol)を溶解し、炭酸カリウムの粉末(3.36 g, 24.3 mmol)を加える。得られた混合物を窒素ガス下85℃で24時間撹拌する。混合物を周辺温度にまで冷却し、水(100 mL)とEtOAc(100mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。オイルをシリカゲルのカラムクロマトグラフ(ヘキサン中5-20%EtOAcのグラディエント)に付し題記化合物1.78g(6.47mmol、収率40%)を得る。
EIMS: m/z 274 (M+, 79Br), 276 (M+, 81Br). 元素分析 C11H15BrO3 : 計算値: C, 48.02; H, 5.50; 実測値: C, 48.32; H, 5.53.
【0056】
調製例76
(5-ニトロビフェニル-2-イルオキシ)酢酸メチルエステル
1,4-ジオキサン(10mL)に(2-ブロモ-4-ニトロフェニル)酢酸メチルエステル(1.06g、3.70mmol)、フェニルボロン酸(450mg、3.72mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(210mg、0.185mmol)を溶解し、アルゴンガス下周辺温度で撹拌しながら、Na2CO3水溶液(2M、3.79mL)を加える。得られた混合物を95℃で24時間加熱する。周辺温度で5N HCl(3.8mL)を加え、続いてEtOAc(50mL)とNaCl飽和水溶液(15mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をMeOH(5mL)/CH2CH2(20mL)に溶解し、(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2M ヘキサン溶液、2.8mL)を滴下する。1時間撹拌後、混合物を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフ(ヘキサン中50-75% CH2CH2のグラディエント)で精製して題記化合物760mg(2.64mmol、収率71%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 288 (M+H)+.
【0057】
調製例76と同様の方法により下記の化合物を製造し単離できる。
【表6】

【0058】
調製例82
[2-(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル
クロロ硫酸(230mL)を撹拌しながら7-ブロモ-イソキノリン(22.7g、109mmol)を加え、得られた混合物を窒素ガス下150℃で22時間加熱する。溶液を周辺温度に戻して、-10℃の冷却槽で冷却した氷(2Kg)中に極めてゆっくりと注ぐ。冷却中に、粉末のNa2CO3(約200g)と5N NaOHを加えて混合液のpHを約10に調節する。混合物を塩化メチレン(1L x 2)で抽出する。有機層をあわせてNa2SO4上で乾燥し濾過して減圧下で濃縮し16.3g(粗収率49%)の7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルクロリドを褐色の固体として得る。
【0059】
7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルクロリド(16.3g、35.5mmol)にCH2CH2(200mL)を加えてスラリーとする。(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(6mL、37.9mmol)とピリジン(2.79mL、34.5mmol)をCH2CH2(100mL)に溶解して窒素ガス下0℃に冷却し、上記スラリーを加える。得られた混合物を周辺温度で終夜撹拌する。混合物にCH2CH2 100mLを追加して、NaHCO3飽和水溶液(150mL)で洗浄し乾燥して濾過し濃縮する。暗色のオイルをカラムクロマトグラフ(Biotage 75 short;10-20% CH3CN/CH2CH2 + 0.2% NEt3で溶出)で精製して題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 430[(M+H)+, 79Br], 432[(M+H)+, 81Br].
【0060】
調製例83
[2-(7-フェニルイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル
1,4-ジオキサン(36mL)に[2-(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]- カルバミン酸tert-ブチルエステル(3.03g、7.04mmol)、フェニルボロン酸(0.876g、7.18mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.407g、0.352mmol)を溶解し、アルゴンガス下周辺温度で撹拌しながら、Na2CO3水溶液(2M、7.22mL)を加える。得られた混合物を95℃で24時間加熱する。周辺温度で混合物にEtOAc(200mL)/CH2CH2(50mL)およびNaCl半飽和水溶液(200mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮する。シリカゲルクロマトグラフ(CH2CH2中、0-3% CH3OHのグラディエント)により題記化合物2.83g(6.62mmol、収率94%)を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 428(M+H)+.
【0061】
調製例84
7-フェニルイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・二塩酸塩
[2-(7-フェニルイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(2.50g、5.85mmol)をCH2CH2(40mL)/CH3OH(6mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で4N HCl/1,4-ジオキサン(22mL)を加える。得られた白色の懸濁液を4時間撹拌する。濾過して減圧下に50℃で乾燥し、2.34g(5.85mmol、収率100%)の題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 328(M+H)+.
【0062】
調製例85
[2-(1-クロロイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル
1-クロロイソキノリン(9.92g、60.6mmol)を0℃に冷却し、窒素ガス下に撹拌しながらクロロスルホン酸(40mL)をゆっくりと加える。得られた混合物を155℃で24時間加熱する。それから周辺温度に戻して、氷(200g)中に極めてゆっくりと注ぐ。冷たい間に、混合物を塩化メチレン(300mL)で抽出する。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過して減圧下に濃縮し1-クロロイソキノリン-5-スルホニルクロリド13.6g(51.9mmol、収率86%)を白色の粉末として得る。
1H-NMR(CDCl3): δ 7.87(t, J = 7.5Hz, 1H), 8.52(d, J = 6.2Hz, 1H), 8.59(d, J = 6.2Hz, 1H), 8.62(d, J = 7.5Hz, 1H), 8.82(d, J = 7.5Hz, 1H).
【0063】
無水CH2CH2(200mL)中に(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(7.33g、45.8mmol)とNEt3(10.7mL、76.4mmol)を溶解し、窒素ガス下0℃に冷却して1-クロロイソキノリン-5-スルホニルクロリド(10.0g、38.2mmol)の粉末を少しずつ加える。得られた混合物を周辺温度で4時間撹拌する。混合物を濃縮してシリカゲルのクロマトグラフで精製し、題記化合物13.8g(35.8mmol、収率94%)を泡状で得る。
ESIMS: m/z 386[(M+H)+, 35Cl], 388[(M+H)+, 37Cl]. 元素分析C16H20ClN3O4S: 計算値: C, 49.80; H, 5.22; N, 10.89; 実測値: C, 49.70; H, 5.22; N, 10.72.
【0064】
調製例86
1-クロロイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩酸塩
[2-(1-クロロイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(6.74g、17.5mmol)を無水CH2CH2(100mL)に溶解し、窒素ガス下0℃に冷却して塩化水素ガスの細い気流を10分間バブルさせる。得られた白色懸濁液を周辺温度で1時間撹拌する。濾過して減圧下に50℃で乾燥し、題記化合物5.61g(17.4mmol、収率100%)を得る。
ESIMS: m/z 286[(M+H)+, 35Cl], 288[(M+H)+, 37Cl]. 元素分析C11H13Cl2N3O2S0.3H2O: 計算値: C, 40.33; H, 4.18; N, 12.83; 実測値: C, 40.34; H, 3.80; N, 12.43.
【0065】
調製例87
1-クロロイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド
1-クロロイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩酸塩(1.51g、4.69mmol)を周辺温度下でTHF(20mL)/CH3OH(20mL)に懸濁し、5N NaOH溶液(0.937 mL)をゆっくりと加えて、透明な溶液とする。減圧下で濃縮し、褐色の固体をEtOAc/CH3OH中に懸濁し数分間超音波を照射する。混合物を濾過して濃縮し題記化合物1.21g(4.23mmol、収率90%)を褐色の粉末として得る。
ESIMS: m/z 286[(M+H)+, 35Cl], 288[(M+H)+, 37Cl]
【0066】
調製例88
イソキノリン-5-スルホン酸tert-ブチルアミド
tert-ブチルアミン(2.00mL、18.9mmol)をCH2CH2(10mL)に溶解し窒素ガス下0℃に冷却してイソキノリン-5-スルホニルクロリド・塩酸塩(1.00g、3.79mmol)の粉末を少しずる加える。得られた混合物を周辺温度で1時間撹拌する。混合物に酢酸エチル(50mL)を加えてNaHCO3飽和水溶液(20mL)で洗浄する。有機層をMgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(CH2CH2中、0-2% CH3OHのグラディエント)で精製して題記化合物857mg(3.24mmol、収率86%)を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 265(M+H)+. 元素分析 C13H16N2O2S: 計算値: C, 59.07; H, 6.10; N, 10.60; 実測値: C, 59.21; H, 6.01; N, 10.67.
【0067】
調製例89
2-ベンジル-1-(3-ブロモプロポキシ)-4-クロロベンゼン
2-ベンジル-4-クロロフェノール(2.19g、10.0mmol)と1,3-ジブロモプロパン(3.05mL、30.0mmol)を無水DMF(20mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら粉末のK2CO3(2.07g、15.0mmol)を加える。混合物を80℃で1時間加熱する。周辺温度に戻してEtOAc(100mL)および水(150mL)を加える。有機層を分液してMgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン中、0-2% EtOAcのグラディエント)で精製して題記化合物2.45g(7.21mmol、収率72%)を白色固体として得た。
EIMS: m/z 338(M+, 35Cl, 79Br), 340(M+, 37Cl, 79Brまたは35Cl, 81Br), 342(M+, 37Cl, 81Br).
【0068】
調製例90
2-ベンジル-1-(3-ブロモプロポキシ)ベンゼン
調製例89に記載の方法と同様にして2-ベンジルフェノールを1,3-ジブロモプロパンでO-アルキル化し、題記化合物をオイルとして得た。
EIMS: m/z 304(M+, 79Br), 306(M+, 81Br).
【0069】
調製例91
[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]-アミン
2-ベンジル-1-(3-ブロモプロポキシ)-4-クロロベンゼン(2.40g、7.07mmol)とジイソプロピルエチルアミン(1.85mL、10.6mmol)を無水1,4-ジオキサン(10mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、1,1-ジ(p-アニシル)メチルアミン(2.06g、8.48mmol)を加える。混合物を95℃で24時間加熱する。周辺温度に戻して、EtOAc(100mL)およびNaHCO3半飽和水溶液(60mL)を加える。有機層を分液してMgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン中、5-12% EtOAcのグラディエント)で精製して題記化合物3.08g(6.13mmol、収率87%)を得る。
ESIMS: m/z 502[(M+H)+, 35Cl], 504[(M+H)+, 37Cl].
【0070】
調製例92
[3-(2-ベンジルフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミン
調製例91に記載の方法と同様にして、1,1-ジ(p-アニシル)メチルアミンを2-ベンジル-1-(3-ブロモプロポキシ)ベンゼンでN-アルキル化して、題記化合物をオイルとして得た。
ESIMS: m/z 468(M+H)+. 元素分析 C31H33NO3: 計算値: C, 79.63; H, 7.11; N, 3.00; 実測値: C, 79.49; H, 7.17; N, 2.96.
【0071】
調製例93
{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]-アミノ}アセトニトリル
[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]-アミン(2.76g、5.50mmol)とジイソプロピルエチルアミン(1.44mL、8.25mmol)を無水1,4-ジオキサン(20mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながらブロモアセトニトリル(0.575mL、8.25mmol)を加える。混合物を90℃で4時間加熱する。周辺温度に戻して、EtOAc(100mL)およびNaHCO3半飽和水溶液(100mL)を加える。有機層を分液してMgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン中、5-16% EtOAcのグラディエント)で精製して題記化合物2.88g(5.32mmol、収率97%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 541[(M+H)+, 35Cl], 543[(M+H)+, 37Cl]. 元素分析 C33H33ClN2O3: 計算値: C, 73.25; H, 6.15; N, 5.18; 実測値: C, 73.05; H, 6.28; N, 5.02.
【0072】
調製例94
{[3-(2-ベンジルフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}アセトニトリル
調製例93に記載の方法と同様にして[3-(2-ベンジルフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミンをブロモアセトニトリルでN-アルキル化して、題記化合物をオイルとして得た。
FABMS: m/z 506(M)+, 507(M+H)+.
【0073】
調製例95
N1-[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-N1-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]エタン-1,2-ジアミン
{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}アセトニトリル(2.48g、4.58mmol)を無水THF(30mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、LiAlH4(6.88mL、1N THF溶液)を滴下する。得られた混合物を周辺温度で20時間撹拌する。混合物を0℃に冷却してから、CH3OH(5mL)を滴下し、続いてEt2O (30mL)とロッシェル塩の飽和水溶液(80mL)を加える。窒素ガス下周辺温度で二層混合物を1時間激しく撹拌する。Et2O 60mLを追加してから有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(CH2CH2中、0-4% 2N NH3/CH3OHのグラディエント)で精製して題記化合物1.92g(3.52mmol、収率77%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 545[(M+H)+, 35Cl], 547[(M+H)+, 37Cl].
【0074】
調製例96
N1-[3-(2-ベンジルフェノキシ)プロピル]-N1-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]エタン-1,2-ジアミン
調製例95に記載の方法と同様にして、{[3-(2-ベンジルフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}アセトニトリルをLiAlH4還元し題記化合物(収率85%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 511(M+H)+.
【0075】
調製例97
2-ベンジル-4-クロロフェニルアミン
(2-アミノ-5-クロロフェニル)フェニルメタノン(2.00g、8.63mmol)を無水CH2CH2(20mL)に溶解し、窒素ガス下-78℃に冷却して撹拌しながら、水素化ジイソブチルアルミニウム (10.8mL、1.0Mトルエン溶液)を滴下する。得られた溶液を-78℃で1時間、周辺温度で1時間撹拌する。酢酸エチル(100mL)とロッシェル塩飽和水溶液(100mL)を加えて、二層混合物を1時間激しく撹拌する。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮しシリカゲルカラムクロマト(ヘキサン中、10-50% EtOAcのグラディエント)で精製して目的のアルコール1.85g(7.92mmol、収率92%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 232[(M-H)-, 35Cl], 234[(M-H)-, 37Cl]. 元素分析 C13H12ClNO: 計算値: C, 66.81; H, 5.18; N, 5.99; 実測値: C, 66.89; H, 5.26; N, 6.01.
【0076】
上記のアルコール(1.80g、7.70mmol)をCH2CH2(20mL)に溶解し、トリエチルシラン (2.46mL、15.4mmol)およびTFA(5.93mL、77.0mmol)を続いて加える。得られた混合物を周辺温度で6時間撹拌する。EtOAc(100mL)で希釈し、NaCO3飽和水溶液(50mL x 2)で洗浄し、MgSO4上で乾燥して濾過し濃縮する。シリカゲルカラムクロマト(ヘキサン中、10-50% EtOAcのグラディエント)で精製し、題記化合物1.52g(6.98mmol、収率91%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 218[(M+H)+, 35Cl], 220[(M+H)+, 37Cl].
【0077】
調製例98
N-(2-ベンジル-4-クロロフェニル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド
2-ベンジル-4-クロロフェニルアミン(1.00g、4.59mmol)を無水1,2-ジクロロエタン (5mL)に溶解し窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、無水トリフルオロ酢酸(0.713mL、5.05mmol)を滴下する。得られた混合物を5分間撹拌する。ジクロロメタン(20mL)と水(10mL)を加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して濃縮し題記化合物1.31g(4.18mmol、粗収率91%)を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 312[(M-H)-, 35Cl], 314[(M-H)-, 37Cl].
【0078】
調製例99
[(2-ベンジル-4-クロロフェニル)-(2,2,2-トリフルオロアセチル)アミノ]酢酸メチルエステル
N-(2-ベンジル-4-クロロフェニル)-2,2,2-トリフルオロアセタミド(1.25g、3.98mmol)とブロモ酢酸メチル(1.34g、8.76mmol)を無水DMF(5mL)に溶解し、炭酸カリウムの粉末(1.10g、7.97mmol)を加える。得られた混合物を窒素ガス下周辺温度で2時間撹拌する。EtOAc(60mL)で希釈し、水洗(25mLx3)してMgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフ(ヘキサン中、0-15% EtOAcのグラディエント)で精製し題記化合物1.37g(3.55mmol、収率89%)をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 386[(M+H)+, 35Cl], 388[(M+H)+, 37Cl].
【0079】
調製例100
[2-(2-ブロモエトキシ)-5-クロロフェニル]フェニルメタノン
(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメタノン(0.93g、4.0mmol)、1,2-ジブロモエタン(3.5mL、40mmol)および炭酸カリウム(0.83g、6.0mmol)にアセトニトリル(10mL)を加え、該混合物を窒素ガス下で週末(約60時間)加熱還流する。室温に戻してから、固体の臭化カリウムを濾過しアセトニトリル約70mLで洗浄する。濾液を留去して残渣をクロマトグラフ(SiO2、ヘキサン中5-12% 酢酸エチル)で精製し題記化合物1.18g(87%)を無色生成物として得る。
APCI-MS: m/z 339[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 341[(M+H)+, 37Cl, 79Br], 343[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
1H-NMR(300MHz; CDCl3): δ 7.78(2H, d, 8.1Hz); 7.58(1H, br t, 7.5Hz); 7.38-7.50(4H, m); 6.92(1H, d, 8.6Hz); 4.18(2H, t; 6.5Hz); 3.26(2H, t, 6.5Hz).
【0080】
調製例101
1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩酸塩
[2-(1-クロロイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(10.8g、28.0mmol)と5N HCl(140mL)を90℃で3時間加熱撹拌する。45分後には透明な溶液となり、その15分後には白色の懸濁液となる。混合物を周辺温度にまで冷却し、濾過して50℃で減圧乾燥し、題記化合物7.34g(収率86%)を白色の粉末として得る。
【0081】
調製例102
1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩化ナトリウム
1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩酸塩(1.81g、5.96mmol)をCH3OH(10mL)中に懸濁し窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、1N NaOH水溶液 (5.96mL)をゆっくりと加える。得られた混合物を30分間撹拌する。その後減圧下50℃で濃縮し、題記化合物1.87g(収率96%)を白色の粉末として得る。
【0082】
調製例103
1-クロロイソキノリン-5-スルホン酸(2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミド
N1-[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-N1-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]エタン-1,2-ジアミン(258mg、0.473mmol)とNEt3(0.198mL、1.42mmol)を無水CH2CH2 (5mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、粉末の1-クロロイソキノリン-5-スルホニルクロリド(124mg、0.473mmol)を加える。得られた混合物を1時間撹拌する。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(CH2CH2中、0-4% EtOAcのグラディエント)で精製し、題記化合物285mg(0.370mmol、収率78%)を泡状で得る。
ESIMS: m/z 768[(M-H)-, 35Cl, 35Cl], 770[(M-H)-, 35Cl, 37Cl], 772[(M-H)-, 37Cl, 37Cl]. 元素分析 C42H41Cl2N3O5S: 計算値: C, 65.45; H, 5.36; N, 5.45; 実測値: C, 65.43; H, 5.27; N, 5.42.
【0083】
調製例103と同様にして、以下の化合物を調製し、単離できる。
【表7】

【0084】
調製例107
[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル
{2-[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド(67.5mg、0.146mmol)を無水CH2CH2(1mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながらジtert-ブチルジカーボネート(57.4mg、0.263mmol)を加える。得られた溶液を1時間撹拌する。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフ(CH2CH2中、0-10% CH3OHのグラディエント)で精製し題記化合物82mg(0.15mmol、収率100%)をガム状として得る。
ESIMS: m/z 562(M+H)+. 元素分析 C31H35N3O5S: 計算値: C, 66.29; H, 6.28; N, 7.48; 実測値: C, 65.96; H, 6.23; N, 7.37.
【0085】
調製例108
[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-{2-[(イソキノリン-5-スルホニル)メチルアミノ]エチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル
[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]- カルバミン酸tert-ブチルエステル(82.0mg、0.146mmol)とCH3I(18.2μL、0.292mmol)を無水DMF(1mL)中に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、粉末のK2CO3(50.4mg、0.365mmol)を加える。得られた溶液を2時間撹拌する。混合物をEtOAc(10mL)で希釈して、水洗(5mLx3)し、MgSO4上で乾燥し、濾過して濃縮する。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフ(CH2CH2中、0-5% CH3OHのグラディエント)で精製し、題記化合物65mg(0.11mmol、収率77%)をガム状で得る。
ESIMS: m/z 576(M+H)+.
【0086】
調製例108の記載と同様の方法により、以下の化合物を調製し、単離できる。
【表8】

【0087】
調製例111
[2-(2-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)エチル]-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル] カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化6】

【0088】
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド(1.36g、2.90mmol)を無水塩化メチレン(10mL)に溶解し、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.760g、3.48mmol)を加える。混合物を周辺温度で16時間撹拌する。濃縮してシリカ上でMPLC分離(演歌メチレン中、0-3%メタノールのグラディエント)を行い、題記化合物1.19g(収率72%)を得る。
ESIMS: m/z 568[(M+H)+, 79Br], 570[(M+H)+, 81Br].
【0089】
調製例112
【化7】

【0090】
7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・二塩化ナトリウムの調製
【化8】

【0091】
[2-(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル] カルバミン酸tert-ブチルエステル(3.76g)を塩化メチレン(200mL)/メタノール(50mL)中に溶解し、周辺温度で撹拌しながら2分間無水塩化水素ガスの細い気流をバブルさせる。懸濁液をガラス製ストッパーで蓋をして15分間撹拌する。濃縮した後、固体をメタノール(250mL)に溶解し、5N NaOH溶液(3.5mL)を加える。溶液を濃縮して、題記化合物3.87g(収率99%)をわずかに黄色がかった固体として得る。
ESIMS: m/z 330[(M+H)+, 79Br], 332[(M+H)+, 81Br].
【0092】
7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミドの調製
【化9】

【0093】
実施例1と同様の方法により、7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・二塩化ナトリウムを出発物質として、題記化合物を黄色のガラス状固体として得る。
ESIMS: m/z 483[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 485[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 487[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0094】
[2-(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]-[2-(4-クロロフェノキシ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化10】

【0095】
7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド(0.590g、1.22mmol)を無水塩化メチレン(10mL)に溶解し撹拌しながら、ジ-tert-ブチルジカーボネート(0.398g、1.83mmol)を加える。混合物を周辺温度で16時間撹拌する。濃縮してシリカ上でMPLC分離(塩化メチレン中、0-3%メタノールのグラディエント)を行い、題記化合物0.669g(収率94%)を白色の泡状物質として得る。
ESIMS: m/z 584[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 586[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 588[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0096】
調製例113
{2-[(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニル)メチルアミノ]エチル}-[2-(4-クロロフェノキシ)エチル] カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化11】

【0097】
[2-(7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]-[2-(4-クロロフェノキシ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(147mg、0.252mmol)と炭酸カリウム(87mg, 0.63mmol)を無水DMF(2mL)中で撹拌し、ヨードメチル(0.031mL、0.50mmol)を加える。混合物を20分間撹拌する。通常の後処理とMPLC分離を行い、題記化合物をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 598[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 600[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 602[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0098】
調製例114
【化12】

【0099】
7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸(2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミドの調製
【化13】

【0100】
調製例103と同様の方法により、7-ブロモイソキノリン-5-スルホニルクロリドとN1-[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-N1-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]エタン-1,2-ジアミンとを反応させて題記化合物を泡状で得る。
ESIMS: m/z 814[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 816[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 818[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0101】
7-(3-ヒドロキシフェニル)イソキノリン-5-スルホン酸(2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミドの調製
【化14】

【0102】
実施例140の製造と同様の方法で、7-ブロモイソキノリン-5-スルホン酸(2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミドを出発物質として題記化合物をオイルとして得る。
ESIMS: m/z 828[(M+H)+, 35Cl], 830[(M+H)+, 37Cl].
【0103】
調製例115
【化15】

【0104】
[2-(2-ブロモ-4-クロロフェノキシ)エチル]-[2-(1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル] カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化16】

【0105】
1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド(0.457g、0.912mmol)を無水塩化メチレン(10mL)/メタノール(10mL)に溶解し撹拌しながら、ジtert-ブチルジカーボネート(0.199g、0.958mmol)を加える。混合物を周辺温度で4時間撹拌する。濃縮しシリカのMPLC分離(塩化メチレン中、0-10%メタノールのグラディエント)で精製し題記化合物0.500g(収率91%)を得る。
ESIMS: m/z 600[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 602[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 604[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0106】
[2-(5-クロロ-4'-フルオロビフェニル-2-イルオキシ)エチル]-[2-(1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルの調製
【化17】

【0107】
実施例136の調製と同様の方法で、[2-(2-ブロモ-4-クロロフェノキシ)エチル]-[2-(1-ヒドロキシイソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル] カルバミン酸tert-ブチルエステルを出発物質として題記化合物を泡状で得る。
ESIMS: m/z 616[(M+H)+, 35Cl], 618[(M+H)+, 37Cl].
【0108】
調製例116
【化18】

【0109】
1-ブロモ-4-(2,2-ジエトキシエトキシメチル)ベンゼンの調製
【化19】

【0110】
4-ブロモベンジルアルコール(2.05g、11.0mmol)を乾燥DMF(7mL)に溶解し周辺温度で撹拌しながら、ビス(トリメチルシリル)アミドナトリウム(12.1mL、1N THF溶液)を加える。5分間撹拌してから、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(1.99mL、13.2mmol)を加える。得られた混合物を周辺温度で20時間撹拌する。酢酸エチル(60mL)と水(60mL)を加える。有機層を分液し半飽和食塩水で洗浄し、乾燥して濾過し、濃縮する。シリカ上でMPLC分離(ヘキサン中、0-8%酢酸エチルのグラディエント)を行い、題記化合物1.86g(収率56%)を無色のオイルとして得る。
【0111】
(4-ブロモベンジルオキシ)アセトアルデヒドの調製
【化20】

【0112】
1-ブロモ-4-(2,2-ジエトキシエトキシメチル)ベンゼン(1.86g、6.13mmol)をジエチルエーテル(20mL)に溶解し周辺温度で撹拌しながら、5N HCl(20mL)を加える。得られたニ層混合物を窒素ガス下で16時間激しく撹拌する。ジエチルエーテル(30mL)と飽和食塩水(20mL)を混合物に加える。有機層を分液し、半飽和食塩水で洗浄し、乾燥して濾過し濃縮して、約50mLの溶液とする(35mg/mL)。
1H-NMR(CDCl3): δ 9.72(s, 1H), 7.49(d, J = 7.49Hz, 2H), 7.24(d, J = 7.9Hz, 2H), 4.57(s, 2H), 4.11(s, 2H).
【0113】
調製例117
【化21】

【0114】
(4-ブロモフェニルアミノ)酢酸メチルエステルの調製
【化22】

【0115】
4-ブロモアニリン(2.00g、11.6mmol)とブロモ酢酸メチル(1.78g、11.6mmol)を乾燥DMF(20mL)に溶解し周辺温度で撹拌しながら炭酸カリウム(2.41g、17.4mmol)を加える。混合物を100℃で1時間加熱する。周辺温度に戻して、酢酸エチル(60mL)と水(60mL)を加える。有機層を分液して半飽和食塩水で洗浄し乾燥し濾過して濃縮する。シリカ上のMPLC分離(ヘキサン中、0-15%酢酸エチルのグラディエント)を行い、題記化合物0.94g(収率33%)を得る。
1H-NMR(DMSO-d6): δ 3.62(s, 3H), 3.87(d, J = 6.4Hz, 2H), 6.22(t, J = 6.4Hz, 1H), 6.49(d, J = 8.8Hz, 2H), 7.19(d, J = 8.8Hz, 2H).
【0116】
[(4-ブロモフェニル)-tert-ブトキシカルボニルアミノ]酢酸メチルエステルの調製
【化23】

【0117】
(4-ブロモフェニルアミノ)酢酸メチルエステル(1.02g、4.18mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(0.510g、4.18mmol)を乾燥1,4-ジオキサン(10mL)に溶解し撹拌しながら、ジtert-ブチルジカーボネート(3g)を加える。混合物を100℃で1.5時間加熱する。濃縮してシリカ上のMPLC分離(ヘキサン中、0-15%酢酸エチルのグラディエント)を行い、題記化合物1.21g(収率84%)を得る。
1H-NMR(CDCl3): δ 1.42(s, 9H), 3.76(s, 3H), 4.26(s, 2H), 7.17(br d, J = 8.4Hz, 2H), 7.44(d, J = 8.4Hz, 2H).
【0118】
調製例118
アミドの合成
一般法
【化24】

【0119】
工程A.
置換(2-ヒドロキシフェニル)モルホリン-4-イルメタノン(2)の合成
対応するサリチル酸1a、1b(36.2mmol)およびモルホリン(4.73mL、54.3mmol)をDMF(70mL)に溶解し、EDCI(10.42g、54.3mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物 (HOBt)(7.33g、54.3mmol)およびトリエチルアミン(7.62mL、54.3mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン下室温で2日間撹拌し、1N HCl(50mL)を加えて反応を停止させた。混合物をEtOAc(2 x 100mL)で抽出しNaHCO3飽和水溶液で洗浄しMgSO4上で乾燥した。溶媒を留去し、さらに精製することなく粗生成物2a、2bを次の工程に供した(収率45-70%)。
【0120】
工程B.
[2-(2-ブロモエトキシ)フェニル]モルホリン-4-イルメタノン(3)の合成
対応するフェノール2a、2b(7.25mmol)と1,2-ジブロモエタン(1.88mL、21.7mmol)を無水DMF(20mL)に溶解しアルゴン下室温で撹拌しながら粉末のK2CO3(2.0g、14.5mmol)を加えた。混合物を80℃で終夜撹拌し室温に冷却してから水を加えて反応を停止させEtOAc(2 x 50mL)で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物3a、3bをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに付し、CH2CH2/アセトン=96/4で溶出した(収率25-45%)。
【0121】
工程C.
縮合反応
【化25】

【0122】
対応するブロモ体3a、3b(0.66mmol)とジイソプロピルエチルアミン(345μL、1.98mmol)を無水1,4-ジオキサン(2mL)とMeOH(1mL)に溶解しアルゴン下室温で撹拌しながら、対応するイソキノリン誘導体4a、4b(0.66mmol)を加えた。混合物を95℃で終夜加熱した。室温にまで冷却してからEtOAc(10mL)およびNaHCO3半飽和水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。有機層を分液しMgSO4上で乾燥して濃縮した。粗生成物5a、5b、5c、5dをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーに付し、CH2CH2/CH3OH=96/4で溶出した(収率20-55%)。
(5dは4M HCl/ジオキサンで処理して対応する二塩酸塩に変換した。その他のモルホリンアミドはすべて遊離塩基とした)
【0123】
調製例119
アミンの合成
一般的方法
【化26】

【0124】
工程D.
置換(2-ヒドロキシベンジル)モルホリン(7)の合成
パラホルムアルデヒド(3.24g、108mmol)とモルホリン(9.40mL、108mmol)をエタノール(40mL)に溶解し、室温で30分間撹拌した。その後対応するフェノール6a、6b(106mmol)をエタノール20mLに溶解して加え、混合物を終夜撹拌した。冷却して溶媒を留去し、粗生成物7a、7bをシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ヘキサン/EtOAc=9:1で溶出した(収率40-65%)。
【0125】
工程E.
置換4-[2-(2-ブロモエトキシ)ベンジル]モルホリン(8)の合成
対応するフェノール(12.9mmol)とヨウ化テトラブチルアンモニウム(478mg、1.29mmol)をTHF(25mL)に溶解し室温下でNaH(オイル中60%、0.77g、19.4mmol)をゆっくりと加えた。混合物を30分間撹拌し、1,2-ジブロモエタン(3.36mL、38.8mmol)を加えた。混合物をアルゴン下室温で終夜撹拌した。水(50mL)を加えて、EtOAc(2 x 50mL)で抽出し、有機層をMgSO4上で乾燥して濃縮した。粗生成物8a、8bをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出;ヘキサン/EtOAc=6:1(収率16-25%)。
【0126】
工程F.
縮合反応
【化27】

【0127】
対応するブロモ誘導体8a、8b(0.70mmol)と対応するイソキノリン誘導体4a, 4b, 4c (0.70 mmol)を無水1,4-ジオキサン(2mL)とMeOH(1mL)に溶解し、撹拌しながらトリエチルアミン(295μL、2.1mmol)をアルゴン下室温で加えた。混合物を95℃で終夜撹拌した。室温にまで冷却してからEtOAc(10mL)とNaHCO3半飽和水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。有機層を分液しMgSO4上で乾燥して濃縮した。粗生成物9a、9b、9c、9d、9eをシリカゲルのフラッシュカラムで精製した。溶出:CH2CH2/CH3OH=96/4(収率20-55%)。
9a、b、d、eを室温で30分間4M HClで処理して、対応する塩酸塩10a、b、d、eを得た。溶媒を留去して、塩をEt2Oで数回洗って乾燥した。10cは、9cをTHFに溶解し6N塩酸を加えることにより得た。混合物を65℃で終夜加熱し、濃縮しEt2Oで数回洗浄して乾燥した。
【実施例】
【0128】
実施例1
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化28】

【0129】
(2-ブロモフェノキシ)酢酸メチルエステル(1.70g、6.94mmol)を無水CH2CH2(15mL)に溶解し、窒素ガス下-78℃に冷却して撹拌しながら、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H、1.0Mトルエン溶液、8.32mL)を滴下する。得られた溶液を-78℃で1時間撹拌する。メタノール(2mL)を混合物に滴下し、続いてEt2O(25mL)を加える。冷却槽を除去し、冷混合物に2.5N HCl溶液(33 mL)を少しずつ加える。得られたニ層溶液を周辺温度で1時間激しく撹拌する。エチルエーテル(50mL)とNaCl飽和水溶液(30mL)を混合物に加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して周辺温度で濃縮し、(2-ブロモフェノキシ)アセトアルデヒドとそのメチルヘミアセタールとの約50:50混合物1.50gをオイルとして得る。該オイルをEt2Oで希釈して貯蔵用の溶液(80mg/mL)を得、続く反応に使用する。
1H-NMR(CDCl3)((2-ブロモフェノキシ)アセトアルデヒド): δ 3.52(s, 2H), 9.90(s, 1H); (メチルヘミアセタール): δ 3.48(s, 1H), 4.05 および 4.10(br AB, J = 9.6Hz, 2H), 4.62(s, 3H), 4.91(br s, 1H).
【0130】
4Å モレキュラーシーブ(600mg)およびイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(228mg、0.907mmol)を無水CH3OH(5mL)と混合し窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、上記の貯蔵溶液(約1.9mmol)5.3mLを加える。得られた混合物を16時間撹拌してから、0℃に冷却し水素化ホウ素ナトリウム(75mg、2.0mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間撹拌し、周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過をして減圧下で濃縮し粗生成物をシリカのクロマトグラフ(EtOAc中、5-25% CH3OHのグラディエント)で精製して遊離アミン生成物341mg(0.757mmol、収率83%)を得る。遊離アミン(338mg、0.751mmol)をEtOAc(15mL)に溶解し、窒素ガス下で撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(2.25mL)を加える。得られた白い懸濁液を15分間撹拌し、濾過して減圧下60℃で乾燥して題記化合物375mg(0.717mmol、収率95%)を吸湿性の白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 450[(M+H)+, 79Br], 452[(M+H)+, 81Br].
【0131】
実施例1の記載と同様の方法により適切な出発物質から下記の化合物を二塩酸塩として合成・単離が可能である。
【化29】

【0132】
【表9】

【0133】
実施例17
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二シュウ酸
【化30】

【0134】
実施例1に記載の方法に従って、(2-クロロフェノキシ)酢酸メチルエステルをDIBAL-Hで還元し、続いてイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(175mg、0.696mmol)の還元的アミノ化により遊離アミン生成物183mg(0.451mmol、収率65%)をオイルとして得る。遊離アミンをEtOAc(10mL)に溶解し、窒素ガス下で撹拌しながらシュウ酸・二水和物(114mg、0.902mmol)を含むEtOAc溶液(10mL)を加える。白い懸濁液を15分間撹拌し、濾過して減圧下60℃で乾燥し題記化合物220mg(0.375mmol、収率83%)を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 406[(M+H)+, 35Cl], 408[(M+H)+, 37Cl]. 元素分析 C19H20ClN3O3S1.8C2H2O4: 計算値: C, 47.79; H, 4.19; N, 7.40; 実測値: C, 47.70; H, 4.03; N, 7.45.
【0135】
実施例17と同様の方法を用いて、適切な出発物質より以下の化合物を二シュウ酸塩として製造できる。
【化31】

【0136】
【表10】

【0137】
実施例31
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-(フェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化32】

【0138】
フェノキシアセトニトリル(2.22g、16.7mmol)を無水CH2CH2(18mL)に溶解し、窒素ガス下-78℃に冷却して撹拌しながら、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H、1.0Mトルエン溶液、20.0mL)を滴下する。得られた溶液を0℃で1時間撹拌する。メタノール(2mL)を滴下して過剰のDIBAL-Hを不活性化し、続いてEt2O(40mL)および2N HCl(60mL)を冷却した混合物に少量ずつ加える。得られたニ層溶液を周辺温度で1時間激しく撹拌する。エチルエーテル(30mL)およびNaCl飽和水溶液(30mL)を混合物に加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥して濾過し周辺温度で濃縮してフェノキシアセトアルデヒド2.27gを粗生成物オイルとして得る。該オイルをEt2Oで希釈して貯蔵用の溶液(60mg/mL)とし、続く反応に使用する。
1H-NMR(CDCl3): δ 4.57(s, 2H), 9.87(s, 1H).
【0139】
4Åモレキュラーシーブ(600mg)とイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド (244mg、0.971mmol)に無水CH3OH(5mL)を混合し撹拌しながら上記の貯蔵溶液6.06mL(約1.1mmol)を加え、得られた混合物を周辺温度で16時間撹拌する。反応液を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(81mg、2.1mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間、次いで周辺温度で1時間撹拌する。濾過して減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカのクロマトグラフィー(EtOAc中、5-30% CH3OHのグラディエント)で精製して遊離アミン生成物156mg(0.420mmol、収率43%)をオイルとして得る。該遊離アミン(154mg、0.415mmol)をEtOAc(15mL)に溶解し、窒素ガス下撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(1.24mL)を加える。白色の懸濁液を15分間撹拌し、濾過して減圧下60℃で乾燥し題記化合物177mg(0.398mmol、収率96%)を吸湿性の白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 372(M+H)+.
【0140】
実施例32
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化33】

【0141】
実施例31に記載された同様の方法に従い、(4-クロロフェノキシ)アセトニトリルをDIBAL-H還元し、続いてイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドで還元的アミノ化を行って遊離アミン生成物をオイルとして得る。当該遊離アミンを題記化合物の二塩酸塩に変換して吸湿性の白色粉末とする。
ESIMS: m/z 406[(M+H)+, 35Cl], 408[(M+H)+, 37Cl].
【0142】
実施例33
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-シアノフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化34】

【0143】
4-(2,2-ジエトキシエトキシ)ベンゾニトリル(2.00g、8.50mmol)をEt2O(25mL)に溶解し、5N HCl溶液(25mL)を加える。二層溶液を窒素ガス下周辺温度で24時間激しく撹拌する。さらに、Et2O(50mL)を追加して有機層を分液し、飽和のNaHCO3(0.5mL)を含む水溶液(30mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥して濾過して周辺温度で濃縮し(4-シアノフェノキシ)アセトアルデヒド1.36gを粗生成物オイルとして得る。当該オイルをEt2Oで希釈して貯蔵用の溶液(25mg/mL)とし、続く反応に使用する。
1H-NMR(CDCl3): δ 4.66(s, 2H), 9.85(s, 1H).
【0144】
4Åモレキュラーシーブ(600mg)、イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(245mg、0.975mmol)と無水メタノールCH3OH(8mL)を混合し、撹拌しながら上記の貯蔵溶液16.8mL(約1.2mmol)を加えて、得られた混合物を周辺温度で16時間撹拌する。該混合物を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(81mg、2.1mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間撹拌し周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過して減圧下で濃縮し粗生成物をシリカのクロマトグラフィー(EtOAc中、5-30% CH3OHのグラディエント)で精製し遊離アミン精製物328mg(0.827mmol、収率85%)をオイルとして得る。遊離のアミン(290mg、0.731mmol)をCH2CH2(25mL)に溶解し、窒素ガス下で撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(2.19mL)を加える。白色の懸濁液を15分間撹拌し濾過して、減圧下60℃で乾燥し題記化合物300mg(0.639mmol、収率87%)を吸湿性の白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 397(M+H)+.
【0145】
実施例34
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2,4-ジクロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化35】

(2,4-ジクロロフェノキシ)酢酸メチルエステル(1.73g、7.36mmol)を無水CH2CH2(15mL)に溶解し、窒素ガス下で-78℃に冷却し撹拌しながら、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液、8.83mL)を滴下する。得られた溶液を-78℃で1時間撹拌する。メタノール(2mL)を滴下し、続いてEt2O(25mL)を加える。冷却槽を取り除き冷混合物に5N HCl溶液(18mL)を少量ずつ加える。得られたニ層溶液を周辺温度で1時間激しく撹拌する。エチルエーテル(30mL)とNaCl飽和水溶液(10mL)を混合物に加える。有機層を分液し、MgSO4上で乾燥し濾過して周辺温度で濃縮して(2,4-ジクロロフェノキシ)アセトアルデヒドとそのメチルヘミアセタール50:50混合物1.62gをオイルとして得る。オイルをCH2CH2で希釈して貯蔵用の溶液(65mg/mL)とし、続く反応に用いる。
1H-NMR(CDCl3) ((2,4-ジクロロフェノキシ)アセトアルデヒド): δ 3.52(s, 2H), 9.88(s, 1H); (メチルヘミアセタール): δ 3.48(s, 1H), 4.05-4.15(m, 2H), 4.61(s, 3H), 4.90(br s, 1H).
【0146】
4Åモレキュラーシーブ(300mg)、イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(152mg、0.605mmol)および無水CH3OH(4mL)を混合し、上記の貯蔵溶液5.3mL(約0.67mmol)を加えて16時間撹拌する。混合物を0℃に冷却して、水素化ホウ素ナトリウム(50mg、1.3 mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間撹拌し、さらに周辺温度で1時間撹拌する。濾過して減圧下で濃縮し粗生成物をシリカのクロマトグラフィー(EtOAc中、5-25% CH3OHのグラディエント)で精製して遊離のアミン生成物234mg(0.531mmol、収率88%)をオイルとして得る。遊離アミン(231mg、0.525mmol)をEtOAc(15mL)に溶解し、窒素下で撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(1.57mL)を滴下する。白色懸濁液を15分間撹拌し、濾過して減圧下60℃で乾燥して題記化合物244mg(0.475mmol、収率91%)を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 440[(M+H)+, 35Cl, 35Cl], 442[(M+H)+, 35Cl, 37Cl], 444[(M+H)+, 37Cl, 37Cl].
【0147】
実施例34と同様の方法により、適切な出発物質を用いて以下の化合物を二塩酸塩として調製できる。
【化36】

【0148】
【表11】

【0149】
実施例48
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモ-2-イソキサゾール-5-イルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化37】

【0150】
実施例34の記載と同様の方法により、(4-ブロモ-2-イソキサゾール-5-イルフェノキシ酢酸メチルエステル)のDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミンの題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 517[(M+H)+, 79Br], 519[(M+H)+, 81Br].
【0151】
実施例17の記載と同様の方法により、適切な出発物質から下記の化合物を二シュウ酸塩として調製できる。
【化38】

【0152】
【表12】

【0153】
【表13】

【0154】
実施例34の記載と同様の方法により、適切な出発物質から下記の化合物を二シュウ酸塩として調製できる。
【化39】

【0155】
【表14】

【0156】
実施例34の記載と同様の方法により、適切な出発物質から下記の化合物を二塩酸塩として調製できる。
【化40】

【0157】
【表15】

【0158】
実施例75
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(ベンゾフラン-5-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化41】

【0159】
実施例34の記載と同様の方法により、(ベンゾフラン-5-イルオキシ)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物をガムとして得る。遊離アミンを二塩酸塩に変換し、題記化合物を白色の粉末として得る。
EIMS: m/z 412(M+H)+.
【0160】
実施例76
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化42】

【0161】
実施例34の記載と同様の方法により、(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルオキシ)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元、および続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物をガムとして得る。遊離のアミンを二塩酸塩に変換して題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 416(M+H)+.
【0162】
実施例77
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロナフタレン-1-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二シュウ酸塩
【化43】

【0163】
実施例34の記載と同様の方法により、(4-クロロナフタレン-1-イルオキシ)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元、および続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物をガムとして得る。遊離のアミンを二シュウ酸塩に変換して題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 456[(M+H)+, 35Cl], 458[(M+H)+, 37Cl].
【0164】
実施例78
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモ-2-メチルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化44】

【0165】
4-ブロモ-1-(2,2-ジメチルエトキシ)-2-メチルベンゼン(1.40g、5.09mmol)をEt2O (25mL)に溶解し、5N HCl溶液(15mL)を加える。二層溶液を窒素下周辺温度で2日間激しく撹拌する。Et2O(50mL)とNaCl飽和水溶液(25mL)を混合物に加える。有機層を分液し、NaHCO3飽和水溶液(0.5mL)を含むNaCl半飽和水溶液(30mL)で洗浄して、MgSO4を加えて乾燥し、濾過して周辺温度で濃縮し(4-ブロモ-2-メチルフェノキシ)アセトアルデヒド1.36gを粗オイルとして得る。該オイルをEt2Oで希釈し貯蔵溶液(67mg/mL)として、続く反応に使用する。
【0166】
4Åモレキュラーシーブ(600 mg)、イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(247mg、0.983mmol)およびCH3OH(8mL)を混合し、上記の貯蔵溶液7.4mL(約1.1mmol)を加えて周辺温度で16時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(82mg、2.2mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間、周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過して減圧下に濃縮し、ガム状生成物をシリカのクロマトグラフィー(EtOAc中、5-30% CH3OHのグラディエント)で精製して、遊離アミン生成物326mg(0.702mmol、収率71%)をオイルとして得る。遊離アミン(324mg、0.698mmol)をCH2CH2(25mL)に溶解し、窒素下で撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(2.09mL)を滴下する。白色の懸濁液を15分間撹拌し、濾過して減圧下60℃で乾燥し題記化合物345mg(0.642mmol、収率92%)を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 464[(M+H)+, 79Br], 466[(M+H)+, 81Br]. 元素分析 C20H24BrCl2N3O3S 1.4H2O: 計算値: C, 42.70; H, 4.80; N, 7.47; 実測値: C, 42.42; H, 4.44; N, 7.36.
【0167】
実施例79
7-フェニル-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]-エチル}アミド・二塩酸塩
【化45】

【0168】
7-フェニル-イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・二塩酸塩(152mg、0.380mmol)、4Åモレキュラーシーブ(300 mg)およびNEt3(0.212mL、1.52mmol)と無水CH3OH(4mL)を混合し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら(4-クロロフェノキシ)酢酸アセトアルデヒド貯蔵溶液1.96mL(約0.46mmol)を加える。混合物を16時間撹拌してから、0℃に冷却し水素化ホウ素ナトリウム(43.1mg、1.14mmol)の粉末を加える。混合物を0℃で1時間、周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過して減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカのカラムクロマトグラフ(EtOAc中、5-25% CH3OHのグラディエント)で精製して遊離アミン生成物104mg(0.216mmol、収率57%)をガムとして得る。遊離のアミン(102mg、0.212mmol)をEtOAc(15mL)に溶解し、窒素ガス下で撹拌しながら1N HCl/Et2O溶液(0.635mL)を滴下する。白色の懸濁液を15分間撹拌し、濾過し、減圧下60℃で乾燥して題記化合物112mg(0.202mmol、収率95%)を白色の粉末として得る。
ESIMS: m/z 482[(M+H)+, 35Cl], 484[(M+H)+, 37Cl].
【0169】
実施例79と同様の方法により、適切な出発物質から以下の化合物を二塩酸塩として得ることができる。
【化46】

【0170】
【表16】

【0171】
実施例79と同様の方法により、適切な出発物質から以下の化合物を二シュウ酸塩として得ることができる。
【化47】

【0172】
【表17】

【0173】
実施例96
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-トリフルオロメチルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・塩酸塩
【化48】

【0174】
1-クロロ-イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩酸塩(200mg、0.621mmol)、4Åモレキュラーシーブ(400mg)、NEt3(0.19mL、1.4mmol)およびCH3OH(5mL)を混合し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら(2-トリフルオロメチルフェノキシ)アセトアルデヒド貯蔵溶液(約0.69mmol)4.2mLを加える。混合物を16時間撹拌してから、0℃に冷却し水素化ホウ素ナトリウム(53mg、1.4mmol)を加える。混合物を0℃で1時間、周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過して減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカのカラムクロマトグラフ(CH2CH2中、0-5% CH3OHのグラディエント)で精製して1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-トリフルオロメチルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド92mg(0.19mmol、収率31%)を得る。
ESIMS: m/z 474[(M+H)+, 35Cl], 476[(M+H)+, 37Cl].
【0175】
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-トリフルオロメチルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド(70mg、0.15mmol)をTHF(1mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら5N HCl溶液0.6mLを加える。混合物を65℃で16時間加熱してから周辺温度で濃縮する。粗生成物を少量のMeOH/CH2CH2に溶解し、Et2Oを加えて白色の懸濁液を形成させる。濾過して減圧下で乾燥し、題記化合物24mg(0.49mmol、収率33%)を白色の固体として得る。
ESIMS: m/z 456(M+H)+.
【0176】
実施例96の記載と同様の方法で、適切な出発物質から下記の化合物を二塩酸塩として得ることができる。
【化49】

【0177】
【表18】

【0178】
実施例111
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(5,2'-ジクロロビフェニル-2-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・塩酸塩
【化50】

【0179】
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド・塩化ナトリウム(438mg、1.34mmol)、4Åモレキュラーシーブ(400mg)および無水CH3OH(8mL)を混合し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら(5,2'-ジクロロビフェニル-2-イルオキシ)アセトアルデヒドの貯蔵溶液6.0mL(1.88mmol)を加える。混合物を16時間撹拌してから、0℃に冷却し水素化ホウ素ナトリウム(112mg、2.95mmol)の粉末を加えて0℃で1時間、周辺温度でさらに1時間撹拌する。濾過して減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカのクロマトグラフ(EtOAc中、5-15% CH3OHのグラディエント)で精製し、目的物をガムとして得る。EtOAc (15 mL)に溶解し濾過して濃縮し遊離のアミン493mg(0.926mmol、収率69%)を白色固体として得る。遊離のアミンをEtOAc(30mL)に溶解し、続いて1N HCl/Et2O(8mL)を滴下して白色の懸濁液を得る。濾過して減圧下50℃で乾燥し題記化合物470mg(0.826mmol、収率89%)を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 532[(M+H)+, 35Cl, 35Cl], 534[(M+H)+, 35Cl, 37Cl], 536[(M+H)+, 37Cl, 37Cl].
【0180】
実施例112
イソキノリン-5-スルホン酸(2-{[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]メチルアミノ}エチル)-tert-ブチルアミド・二シュウ酸塩
【化51】

【0181】
イソキノリン-5-スルホン酸tert-ブチルアミド(100mg、0.378mmol)と[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-(2-クロロエチル)-メチルアミン・塩酸塩(129mg、0.378mmol)を乾燥DMF(1mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら粉末のCs2CO3(368mg、1.13mmol)を加える。混合物を90℃で2時間加熱する。周辺温度でEtOAc(10mL)を加えて水洗(5mLx3)する。有機層をMgSO4上で乾燥し濾過して濃縮する。粗生成物をシリカのクロマトグラフ(CH2CH2中、0-50% EtOAcのグラディエント)で精製し、生成物140mg(0.263mmol、収率70%)をガムとして得る。生成物の一部(36.8mg、0.0692mmol)をEtOAc(2.5mL)に溶解し、シュウ酸(17.5mg、0.138mmol)を含むEtOAc溶液2.5mLを加える。溶液を濃縮して題記化合物49.0mgを白色固体として得る。
ESIMS: m/z 532(M+H)+.
【0182】
実施例113
イソキノリン-5-スルホン酸(2-{[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]メチルアミノ}エチル)アミド・二シュウ酸塩
【化52】

【0183】
イソキノリン-5-スルホン酸(2-{[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]メチルアミノ}エチル)-tert-ブチルアミド・二シュウ酸塩(99.1mg、0.186mmol)の遊離アミンを含むトリフルオロ酢酸(2mL)溶液を撹拌しながら、トリエチルシラン(0.149mL、0.932mmol)を加える。得られた溶液を窒素ガス下65℃で24時間加熱する。濃縮して、シリカのクロマトグラフ(CH2CH2中、0-50% EtOAcのグラディエント、続いてCH2CH2中、10% 4.2N NMe3/EtOHで溶出)で精製し、生成物52.1mg(0.110mmol、収率59%)をガムとして得る。続いて、二シュウ酸塩に変換して題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 476(M+H)+.
【0184】
実施例114
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}メチルアミド・二塩酸塩
【化53】

【0185】
[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-{2-[(イソキノリン-5-スルホニル)メチルアミノ]エチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル(65.0mg、0.113mmol)を無水CH2CH2(1mL)に溶解し窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、4N HCl/1,4-ジオキサン溶液(3mL)を加える。溶液を2時間撹拌してから濃縮し生成物をCH3OH/EtOAcで処理して白色の懸濁液とする。濾過して減圧下で乾燥し題記化合物52.5mg(0.0957mmol、収率85%)を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 476(M+H)+.
【0186】
実施例115
[{2-[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}-(イソキノリン-5-スルホニル)アミノ]酢酸・二塩酸塩
【化54】

【0187】
実施例114の記載と同様の方法により、[(2-{[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-tert-ブトキシカルボニルアミノ}エチル)-(イソキノリン-5-スルホニル)アミノ]酢酸tert-ブチルエステル(65.0mg、0.0962mmol)を酸で脱保護して題記化合物42.5mg(収率75%)を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 520(M+H)+.
【0188】
実施例116
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}-(2-ジメチルアミノエチル)アミド・三塩酸塩
【化55】

【0189】
実施例114の記載と同様の方法により、[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチル]-{2-[(2-ジメチルアミノエチル)-( イソキノリン-5-スルホニル)アミノ]エチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル(71.3mg、0.113mmol)を酸で脱保護して、題記化合物71.5mg(収率99%)を褐色泡状で得る。
ESIMS: m/z 533(M+H)+.
【0190】
実施例117
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピルアミノ]エチル}アミド・塩酸塩
【化56】

【0191】
1-クロロ-イソキノリン-5-スルホン酸(2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミド(252mg、0.327mmol)とトリエチルシラン(0.104mL、0.654mmol)を無水CH2CH2(5mL)に溶解し、窒素ガス下周辺温度で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸(0.252mL、3.27mmol)を滴下する。混合物を30分間撹拌してから濃縮して粗生成物をTFA塩として得る。
粗生成物を1,4-ジオキサン(8mL)に溶解し5N HCl(5mL)を加えて窒素ガス下70℃で4時間撹拌する。減圧下で濃縮し続いてシリカのクロマトグラフ(CH2CH2中、0-10% 2M NH3/CH3OHのグラディエント)で精製し1-OH体をガムとして得る。これをEtOAc(12mL)に溶解し1N HCl/Et2O(0.7mL)を滴下して白色の懸濁液を得る。濾過して減圧下60℃で乾燥し題記化合物147mg(0.279mmol、収率90%)を泡状で得る。
ESIMS: m/z 526[(M+H)+, 35Cl], 528[(M+H)+, 37Cl].
【0192】
実施例117と同様の方法で、適切な出発物質から以下の化合物を塩酸塩または二シュウ酸塩として得ることができる。
【化57】

【0193】
【表19】

【0194】
実施例121
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモフェニルスルファニル)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化58】

【0195】
実施例1に記載の方法を用い、(4-ブロモフェニルスルファニル)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物をガム(収率39%)として得る。遊離のアミンを塩酸塩に変換し題記化合物(収率89%)を吸湿性の白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 466[(M+H)+, 79Br], 468[(M+H)+, 81Br]. 元素分析 C19H22BrCl2N3O2S1.4H2O: 計算値: C, 40.42; H, 4.43; N, 7.44; 実測値: C, 40.20; H, 4.22; N, 7.36.
【0196】
実施例122
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモベンゼンスルホニル)エチルアミノ]エチル}アミド
【化59】

【0197】
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモフェニルスルファニル)エチルアミノ]エチル}アミド(73.0mg、0.157mmol)、オキソロン(289mg、0.470mmol)をCH3OH (5mL)/H2O(1.3mL)に溶解し周辺温度で30分間撹拌して懸濁液を形成する。濾過して白色の固体をH2O(10mL)中で超音波照射し濾過して題記化合物を褐色の固体として得る。
ESIMS: m/z 498[(M+H)+, 79Br], 500[(M+H)+, 81Br].
【0198】
実施例123
イソキノリン-5-スルホン酸(2-{2-[(4-クロロフェニル)メチルアミノ]エチルアミノ}エチル)アミド・二シュウ酸塩
【化60】

【0199】
実施例1の記載と同様の方法に従い、[(4-クロロフェニル)メチルアミノ]酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元(ロシェル塩水溶液の後処理)と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物(収率60%)をガム状で得る。遊離のアミンをシュウ酸塩へと変換し題記の化合物を白色粉末として得る(収率99%)。
ESIMS: m/z 419[(M+H)+, 35Cl], 421[(M+H)+, 37Cl].
【0200】
実施例124
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ベンジル-4-クロロフェニルアミノ)エチルアミノ]エチル}アミド・二シュウ酸塩
【化61】

【0201】
実施例1の記載と同様の方法に従い、[(2-ベンジル-4-クロロフェニル)-(2,2,2-トリフルオロアセチル)アミノ]酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元(ロシェル塩水溶液の後処理)と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物(収率3%)を黄色がかったガム状で得る。遊離のアミンをシュウ酸塩へと変換し題記の化合物を黄色がかった粉末として得る(収率99%)。
ESIMS: m/z 495[(M+H)+, 35Cl], 497[(M+H)+, 37Cl].
【0202】
実施例125
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ベンゾイル-4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化62】

【0203】
イソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミド(20mg、0.080mmol)、[2-(2-ブロモエトキシ)-5-クロロフェノキシ]フェニルメタノン(29mg、0.085mmol)および炭酸カリウム (18mg、0.13mmol)と無水DMF(0.12mL)を混合して周辺温度で14時間撹拌する。10% MeOH/CHCl3で希釈して混合物を水10mL中に注ぎ、10% MeOH/CHCl3で3回抽出する。抽出物をNa2SO4上で乾燥し濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフで精製して遊離アミン生成物27mg(66%)を得る。
APCI-MS: m/z 510[(M+H)+, 35Cl], 512[(M+H)+, 37Cl]. APCI-MS: [M-H]-: m/z 508, 510. 1H-NMR(300MHz; CDCl3): δ9.34(1H, s); 8.63(1H, d, 6.2Hz); 8.42(2H, t, 7.0 Hz); 8.20(1H, d, 8.1Hz); 7.73(2H, d, 7.8Hz); 7.67-7.75(3H, m); 7.36-7.51(5H,m); 6.85(1H, d, 8.6Hz); 3.80(2H, t, 4.6Hz); 2.82(2H, t, 5.5Hz); 2.40(2H, t, 4.6Hz); 2.35(2H, t, 5.5Hz).
【0204】
該化合物20mgを酢酸エチルに溶解し、2M HCl/Et2O 0.5mLを加える。30分間撹拌し固体を濾過して集め2%メタノール/クロロホルムで洗浄し減圧下で乾燥して題記化合物の塩酸塩17mgを白色固体として得る。
1H-NMR(300MHz; d4-MeOH): δ 9.89(1H, br s); 9.04(1H. br d, 6.2Hz); 8.73-8.80(3H, m); 8.13(1H, t, 8.1Hz); 7.79(2H, d, 7.3Hz); 7.66(1H, br t, 7.4Hz); 7.60(1H, dd, 8.9 and 2.5Hz); 7.51(2H, t, 7.3Hz); 7.38(1H, d, 2.6Hz); 7.28(1H, d, 8.9Hz); 4.39(2H, t, 4.7Hz); 3.32(2H, t, 5.4Hz); 3.13(4H, br s).
【0205】
実施例126
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-フルオロフェニルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化63】

【0206】
実施例1の記載と同様の方法により、(2-ブロモ-4-フルオロフェニルオキシ)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により題記化合物の遊離アミン生成物を白色の泡状として得る。
ESIMS: m/z 468[(M+H)+, 79Br], 470[(M+H)+, 81Br].
【0207】
実施例127
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-メチルフェニルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化64】

【0208】
実施例1の記載と同様の方法により、(2-ブロモ-4-メチルフェノキシ)酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により題記化合物の遊離アミン生成物を透明なガムとして得る。
ESIMS: m/z 464[(M+H)+, 79Br], 466[(M+H)+, 81Br].
【0209】
実施例128
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロ-2-(3-トリフルオロメチルベンジル)フェニルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化65】

【0210】
実施例1の記載と同様の方法により、[4-クロロ-2-(3-トリフルオロメチルベンジル)フェニルオキシ]酢酸メチルエステルのDIBAL-H還元と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により題記化合物の遊離アミン生成物を透明なガムとして得る。
ESIMS: m/z 564[(M+H)+, 35Cl], 566[(M+H)+, 37Cl].
【0211】
実施例129
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-(3-トリフルオロフェニル)フェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二シュウ酸塩
【化66】

【0212】
実施例17の記載と同様の方法により、題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 516(M+H)+.
実施例17の記載と同様の方法により、適切な出発物質から以下の化合物を二シュウ酸塩として調製できる。
【化67】

【0213】
【表20】

【0214】
実施例140
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(5,2'-ジフルオロビフェニル-2-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化68】

【0215】
[2-(2-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)エチル]-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.101g、0.179mmol)、2-フルオロフェニルボロン酸(26mg、0.19mmol)、およびPd(dppb)2Cl2(43mg、0.072mmol)とDMF(3mL)/MeOH(0.8mL)を混合し、炭酸ナトリウム水溶液(0.18mL、2.0M)を加える。得られた混合物をアルゴン下80℃で16時間加熱する。周辺温度で酢酸エチル(10mL)と飽和食塩水(3 mL)を加えて、有機層を分液し、乾燥し、濾過して濃縮する。シリカ上MPLC(演歌メチレン中、0-1%メタノールのグラディエント)で分離して、題記のBoc保護の題記化合物90mg(収率86%)を得る。該前駆体を塩化メチレン(10mL)に溶解し、乾燥HClガスを小さな気泡で1分間バブルさせる。容器をガラス製ストッパーで蓋をして1時間撹拌し懸濁液とする。濾過して乾燥し、題記化合物70mg(収率86%)を固体として得る。
ESIMS: m/z 484(M+H)+.
【0216】
実施例140の調製法と同様の方法により、イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-クロロフェニルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミドから出発して以下の化合物を二または三塩酸塩として調製できる。
【化69】

【0217】
【表21】

【0218】
実施例34と同様の方法で、適切な出発物質から以下の化合物を二塩酸塩として調製できる。
【化70】

【0219】
【表22】

【0220】
実施例158
7-フェニル-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロ-2-(4-メトキシフェニル)フェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化71】

【0221】
実施例79と同様の方法で、題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 588[(M+H)+, 35Cl], 590[(M+H)+, 37Cl].
【0222】
実施例159
7-(3-ヒドロキシフェニル)-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化72】

【0223】
実施例140と同様の方法で、[2-(7-ブロモ-イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]-[2-(4-クロロフェノキシ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルから出発して題記化合物を黄色の粉末として得る。
ESIMS: m/z 498[(M+H)+, 35Cl], 500[(M+H)+, 37Cl].
【0224】
実施例160
7-(3-ヒドロキシフェニル)-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}メチルアミド・二塩酸塩
【化73】

【0225】
実施例140と同様の方法で、{2-[(7-ブロモ-イソキノリン-5-スルホニル)メチルアミノ]エチル}-[2-(4-クロロフェノキシ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルを出発物質として、題記化合物を黄色の固体として得る。
ESIMS: m/z 512[(M+H)+, 35Cl], 514[(M+H)+, 37Cl].
【0226】
実施例161
7-(3-ヒドロキシフェニル)-イソキノリン-5-スルホン酸(2-ジメチルアミノエチル)-{2-[2-(4-ニトロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・三塩酸塩
【化74】

【0227】
実施例160の調製と同様の方法で題記化合物を黄色固体として得た。
ESIMS: m/z 580(M+H)+.
【0228】
実施例162
7-(3-ヒドロキシフェニル)-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化75】

【0229】
実施例117と同様の方法で、7-(3-ヒドロキシフェニル)-イソキノリン-5-スルホン酸 (2-{[3-(2-ベンジル-4-クロロフェノキシ)プロピル]-[ビス(4-メトキシフェニル)メチル]アミノ}エチル)アミドを出発物質として、題記化合物を黄色泡状で得る。
ESIMS: m/z 602[(M+H)+, 35Cl], 604[(M+H)+, 37Cl].
【0230】
実施例96の記載と同様の方法で適切な出発物質を使用し下記の化合物を塩酸塩として調製することができる。
【化76】

【0231】
【表23】

【0232】
実施例111の記載と同様の方法で適切な出発物質を使用し下記の化合物を塩酸塩として調製することができる。
【化77】

【0233】
【表24】

【0234】
実施例184
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(2-ブロモ-4-クロロフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化78】

【0235】
実施例111の記載と同様の方法で題記化合物を固体として得る。
ESIMS: m/z 500[(M+H)+, 35Cl, 79Br], 502[(M+H)+, 37Cl, 79Br or 35Cl, 81Br], 504[(M+H)+, 37Cl, 81Br].
【0236】
実施例185
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(5-クロロ-4'-フルオロビフェニル-2-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化79】

【0237】
実施例140の調製と同様の方法で、[2-(5-クロロ-4'-フルオロビフェニル-2-イルオキシ)-ethyl]-[2-(1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチル]カルバミン酸tert-ブチルエステルを出発物質として題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 516[(M+H)+, 35Cl], 518[(M+H)+, 37Cl].
【0238】
実施例185の調製と同様の方法で、適切な出発物質から以下の化合物を塩酸塩として調製できる。
【化80】

【0239】
【表25】

【0240】
実施例188
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-クロロ-2-フェノキシフェノキシ)エチルアミノ]エチル}アミド
【化81】

【0241】
実施例111と同様の方法で題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 514[(M+H)+, 35Cl], 516[(M+H)+, 37Cl].
【0242】
実施例189
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(3'-クロロ-5-ニトロビフェニル-2-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・塩酸塩
【化82】

【0243】
実施例96と同様の方法で、題記化合物を白色粉末として得る。
ESIMS: m/z 543[(M+H)+, 35Cl], 545[(M+H)+, 37Cl].
【0244】
実施例190
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸(2-{2-[4-クロロ-2-(3-トリフルオロメチルベンジル)フェノキシ]エチルアミノ}エチル)アミド
【化83】

実施例111と同様の方法で、題記化合物を白色泡状として得る。
ESIMS: m/z 580[(M+H)+, 35Cl], 582[(M+H)+, 37Cl].
【0245】
実施例191
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモベンジルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化84】

【0246】
実施例34(調製例116参照)と同様の方法で、(4-ブロモベンジルオキシ)アセトアルデヒドとイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により題記化合物を白色固体として得る。
ESIMS: m/z 464[(M+H)+, 79Br], 466[(M+H)+, 81Br].
【0247】
実施例114の記載と同様の方法により、適切な出発物質から以下の化合物を塩酸塩として調製できる。
【化85】

【0248】
【表26】

【0249】
実施例198
2-[{2-[2-(2-ベンジルフェノキシ)エチルアミノ]エチル}-(イソキノリン-5-スルホニル)アミノ]アセタミド・二シュウ酸塩
【化86】

【0250】
実施例114と同様の方法により、遊離アミン生成物をガムとして得、続いてこれを黄色固体の二シュウ酸塩として得る。
ESIMS: m/z 519(M+H)+.
【0251】
実施例199
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニルスルファニル)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化87】

【0252】
実施例121と同様の方法により、題記化合物を褐色固体として得る。
ESIMS: m/z 456(M+H)+.
【0253】
実施例200
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモフェニルスルファニル)エチルアミノ]エチル}アミド・塩酸塩
【化88】

【0254】
実施例96と同様の方法により、題記化合物を褐色固体として得る。
ESIMS: m/z 482[(M+H)+, 79Br], 484[(M+H)+, 81Br].
実施例123の記載と同様の方法で、適切な出発物質から以下の化合物をシュウ酸塩として調製できる。
【化89】

【0255】
【表27】

【0256】
実施例203
(4-ブロモフェニル)-{2-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチルアミノ]エチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル
【化90】

【0257】
実施例1に記載の方法と同様にして、[(4-ブロモフェニル)-tert-ブトキシカルボニルアミノ]酢酸メチルエステのDIBAL-H還元(ロッシェル塩水溶液による後処理)と、続くイソキノリン-5-スルホン酸(2-アミノエチル)アミドとの還元的アミノ化により遊離アミン生成物を固体として得る(収率71%)。
ESIMS: m/z 549[(M+H)+, 79Br], 551[(M+H)+, 81Br].
【0258】
実施例204
イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(4-ブロモフェニルアミノ)エチルアミノ]エチル}アミド・三塩酸塩
【化91】

【0259】
(4-ブロモフェニル)-{2-[2-(イソキノリン-5-スルホニルアミノ)エチルアミノ]エチルカルバミン酸tert-ブチルエステル}(138mg、0.251mmol)を塩化メチレン(3mL)に溶解し1N HCl/ジエチルエーテル溶液(3mL)を加える。混合物を4時間撹拌して懸濁液を得る。濃縮して、塩化メチレン(3mL)を固体に加える。懸濁液を超音波処理して濾過し、題記化合物124mg(収率89%)を固体として得る。
ESIMS: m/z 449[(M+H)+, 79Br], 451[(M+H)+, 81Br].
【0260】
実施例205
イソキノリン-5-スルホン酸(2-{2-[ベンジル(4-ブロモフェニル)アミノ]エチルアミノ}エチル)アミド・二シュウ酸塩
【化92】

【0261】
実施例123と同様の方法で、題記化合物を黄色がかった固体として得る。
ESIMS: m/z 539[(M+H)+, 79Br], 541[(M+H)+, 81Br].
【0262】
実施例206
1-ヒドロキシ-イソキノリン-5-スルホン酸(2-{2-[メチル-(4-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]エチルアミノ}エチル)アミド・二塩酸塩
【化93】

【0263】
実施例96と同様の方法で、題記化合物を黄色がかった固体として得る。
ESIMS: m/z 469(M+H)+.
調製例118に示された方法により以下の化合物を調製した。
【化94】

【0264】
【表28】

【0265】
調製例119に示された方法により以下の化合物を調製した。
【化95】

【0266】
【表29】

【0267】
実施例216
1-クロロ-イソキノリン-5-スルホン酸{2-[2-(5-クロロ-3'-メチルスルホニルアミノ-ビフェニル-2-イルオキシ)エチルアミノ]エチル}アミド・二塩酸塩
【化96】

【0268】
1-クロロ-5-(エチレンジアミンスルホンアミド)-イソキノリン・塩酸塩(107mg、0.3mmol)をCH2CH2/MeOH(15ml、5:1)に溶解した。トリエチルアミン(87mg、0.8mmol)、続いてN-[5'-クロロ-2'-(2-オキソエトキシ)ビフェニル-3-イル]メタンスルホンアミド(122mg、0.36mmol)を室温で加えた。混合物を終夜撹拌した。得られたイミンを水素化ホウ素ナトリウム(50mg、1.3mmol)で還元した。2時間後、反応液を減圧下で濃縮し、残渣を水および酢酸エチルで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をあわせて飽和食塩水で洗浄し濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで目的の化合物(55mg、収率30%)を得た。
ESIMS: m/z 609[(M+H)+, 35Cl], 611[(M+H)+, 37Cl].
【0269】
実施例217
7-フェニル-イソキノリン-5-スルホン酸-{2-[2-(4-メチルスルホニル-フェノキシ)エチルアミノプロピル}アミド
【化97】

【0270】
アミン・塩酸塩(200mg、0.5mmol)、クロリド(167.35mg、0.5mmol)とDMF(3.0mL)/Et3N(0.2mL)の混合物を48時間撹拌しながら60℃で加熱した。CH3OHで希釈して前洗浄したSCXカラムを通し、そのカラムをCH3OH/CH2CH2(1:1)、次いでNH3(2.0M CH3OH溶液)で洗浄して濃縮した。残渣をHPLCで精製して白色固体27.4mgを得た。
1H-NMR(DMSO-d6, 400MHz) δ: 2.56(2H, t, J = 5.15Hz), 2.71(2H, t, J = 5.71Hz), 2.98(2H, t, J = 6.15Hz), 3.17(3H, s), 3.93(2H, t, J = 5.71Hz), 7.07 (2H, d, J = 8.79Hz), 7.51(1H, t, J = 7.47Hz), 7.60(2H, t, J = 7.47Hz), 7.83(2H, d, J = 9.67Hz), 7.90(2H, d, J = 8.79Hz), 8.49(1H, d, J= 6.15Hz), 8.62(1H, d, J = 1.76Hz), 8.71(1H, d, J = 5.71Hz), 8.76(1H, d, J = 0.88Hz), 9.55(1H, d, J = 0.88Hz).
IS-MS, m/e 526.65(m+1)
【0271】
本発明化合物は単独で、または薬学的組成物の形態で投与できる。該組成物は薬学的に許容される担体もしくは賦形剤との組み合わせであり、それらの比率や性質は選択された化合物の化学的性質や溶解性、投与経路、および標準的な薬学上の慣例により決定される。本発明化合物はそれ自体有効であるが、安定性、結晶化の利便性、溶解度の向上その他の目的でその薬学的に許容される塩の形態で製剤化し投与してもよい。
【0272】
かくして、本発明は式(I)の化合物および薬学的に許容される希釈剤を含んでなる医薬組成物を提供する。式(I)の化合物は種々の経路で投与され得る。ここに記載する疾患で苦しむ患者の治療を有効とするためには、生体がその有効量を利用できるようにする任意の形態若しくは方法により式(I)の化合物を投与することが可能で、それには経口および非経口投与が含まれる。例えば、式(I)の化合物は経口、吸入、または皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経鼻、直腸内、点眼、局所、舌下、口腔内、その他の投与が可能である。ここで記載する疾患の治療には一般的に経口投与が好ましい。しかし、経口投与は決して唯一の好ましい経路ではない。例えば、便宜上または経口投与に関連する潜在的な問題を避けるためには、静脈内投与が好ましいかもしれない。式(I)の化合物を静脈経路で投与する場合は急速静注または低速の注入が好ましい。
【0273】
製剤技術の当業者であれば選択された化合物の特性、治療する疾患とその状態およびその段階、さらには関連する状況に応じ、適切な形態および方法を直ちに選択することができる〔Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版, Mack Publishing Co. (1990)〕。
医薬組成物は当該業界でよく知られた方法により調製される。担体および賦形剤は固体、半固体、または液体の物質で有効成分の基剤または媒体として働く。適切な担体または賦形剤は当業者によく知られている。医薬組成物は、経口、吸入、非経口、または局所投与に適合させることができ、錠剤、カプセル、エアロゾル、吸入剤、座剤、溶液、懸濁液、等の形態で患者に投与できる。治療上の経口投与の目的では、該化合物は賦形剤と組み合わせて錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハース、チューインガム等の形態で用いられる。これら製剤では本発明化合物を有効成分として少なくとも4%含有するが、個々の形態に応じて変化し都合によってその単位の4%重量から約70%重量の間である。組成物中における本発明化合物の量は適切な用量が得られるような範囲である。本発明に従う好ましい組成物と製剤は当業者により定められる。
【0274】
錠剤、ピル、カプセル、トローチ等はまた、以下の補助剤を一つ以上含んでもよい;ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロースび、微結晶性セルロース、ガムトラガント、ゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウム、スターチ、ラクトースのような賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチ等の崩壊剤;タルク、水素化野菜オイル、ステアリン酸マグネシウムまたはステロテクス(Sterotex)のような滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;シュクロース、アスパルテーム、サッカリンのような甘味料;およびペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香料のような着香料を加えてもよい。用量単位形態がカプセルの場合上述した型の物質の他ポリエチレングリコールや脂肪酸のような液状担体を加えてもよい。その他の用量単位形態の場合、用量単位の物理的形態を変更するためその他種々の物質、例えばコーティング剤、を加えてもよい。こうして、錠剤やピルを砂糖、セラック、その他のコーティング剤で被膜化してもよい。シロップは本化合物に加えて、甘味料としてのシュクロース、ある種の保存剤、染料、着色剤、および着香料を含んでもよい。これら種々の組成物を調製するために使用される物質は薬学的な意味で純粋であり用いられる範囲では無毒である必要がある。
【0275】
式(I)の化合物はAkt1阻害剤である。式(I)の化合物の阻害活性は以下の方法で示される。
Akt1リン酸化試験
この記述する試験はヒト活性Akt1および他のAktアイソフォームによるクロスタイドのリン酸化を測定する。クロスタイドはAkt基質のGSK3bおよびフォークヘッド転写因子(FKs)に由来する共通配列を含む。33Pラベル化クロスタイド基質はホスホセルロース膜濾過プレートで捕捉される。
【0276】
酵素および基質
Sf9昆虫細胞から精製された活性なヒト組み換えAkt1(全長)はUpstate Biotechnology, Inc.(Cat. #14-276, 405μg/ml)から得る。クロスタイド基質、NH2-GRPRTSSFAEG-COOH (M.W.1164)は、Multiple Peptide System(Cat. # L59/GR145-153)より購入する。
標準試験液
溶液(A):20% DMSO(ジメチルスルホキシド)または化合物/20% DMSO; 溶液(B): 試験緩衝混合液:31.25μMクロスタイド、37.5mM MgCl2、87.5mM HEPES、pH 7.3、50μM ATP 33P-ATP、0.05μCi/μl; 溶液(C):Akt キナーゼ混合液: 31.25mM HEPES、pH 7.3; 1mM DTT、25 nM UBI Akt1.
【0277】
ホスホセルロースフィルター結合試験の方法
最初に溶液(A)10μlを溶液(B) 20μlと混合する。溶液(C)20μlを加えて酵素反応を開始する。50-μl反応混合液の最終濃度または含量:4% DMSOまたは種々の化合物濃度/4% DMSO;12.5μMクロスタイド; 15mM MgCl2; 35mM HEPES, pH7.3; 20μM ATP;1μCi-33P-ATP;0.4mM DTT; 10nM UBI Akt1。反応は96ウェルマイクロチタープレート上で行う。
室温で30分後、10% H3PO4 80μlを加えて反応を停止させる。各ウェルから100μlのアリコートをホスホセルロースフィルタープレート(Millipore MultiScreen, Catalog #MAPHN0B50)へ移す。30分後、反応混合物をMillipore マニホルドで濾過し0.5% H3PO4で3回洗浄する。フィルターを減圧下で乾燥し、プレートをPackard担体上に装着する。100μl/ウェルのMicroscint 20を加えてPackard Top Countで内容物をカウントする。実施例に記載された化合物から選択した式(I)の代表的化合物を上記方法で試験して、IC50が≦2μMであることが示された。
【0278】
PKAリン酸化試験
この手順はPKA基質であるクロスタイドの活性プロテインキナーゼA(PKA)によるリン酸化を測定する試験を記述する。33P-標識クロスタイドをホスホセルロース膜フィルタープレートで捕捉する。
酵素と基質
ウシ心臓から精製した活性なPKA触媒的サブユニットはSigma (Cat. # P2645)より購入する。クロスタイド基質、NH2-GRPRTSSFAEG-COOH (M.W. 1164)、はMultiple Peptide Systems (Cat. #L59/GR145-153)から得る。
【0279】
標準試験溶液
溶液(A): 20% DMSOまたは化合物/20% DMSO; 溶液(B): 試験緩衝混合液: 500μM クロスタイド, 25mM MgCl2, 150mM HEPES, pH 7.3; 50μM ATP, γ-33P-ATP, 0.025μCi/μl; 溶液(C): PKAキナーゼ混合液: 25mM トリス, pH 8; 0.01% トリトンX-100; 0.1mM EGTA, 2.5% グリセロール; 0.125mM DTT および 0.05U/μlPKA。
【0280】
ホスホセルロースフィルター結合試験の手順
最初に溶液A 10μlを溶液B 20μlと混合する。溶液C 20μlを加えて反応を停止する。
50-μl反応混合液の最終濃度または含量:4% DMSOまたは種々の化合物濃度;200μMクロスタイド; 10mM MgCl2; 60mM HEPES, pH7.3; 20μM ATP;0.5μCiγ-33P-ATP;10 mM Tris, pH 8; 0.004% トリトン X-100; 0.04mM EGTA; 1% グリセロール; 0.05mM DT および 1 unit PKA。反応は96ウェルマイクロチタープレート上で行う。
室温で30分後、10% H3PO4 80μlを加えて反応を停止させる。各ウェルから100μlのアリコートをホスホセルロースフィルタープレート(Millipore MultiScreen, Catalog #MAPHN0B50)へ移す。30分後、反応混合物をMillipore マニホルドで濾過し0.5% H3PO4で3回洗浄する。フィルターを減圧下で乾燥し、プレートをPackard担体上に装着する。100μl/ウェルのMicroscint 20を加えてPackard Top Countで内容物をカウントする。
【0281】
細胞に基づく標的阻害試験
Aktの基質として、フォークヘッド転写因子ファミリー(FKs)は三つの構成物、FKHRL1、FKHRおよびAFX、を含む。これらは、同一配列を高い比率で共有し、アポトーシス促進性遺伝子の転写に含まれる。いずれもAktによるリン酸化を受ける部位が三つあり、FKHRL1ではT32/S253/S315、FKHRではT24/S256/S318、およびAFXではT28/S193/S258である。リン酸化を受けると、FKsは核から細胞質へ移行し、機能を果たさなくなる。
以下の実験手順はFKリン酸化阻害の程度を測定することにより、細胞内におけるAkt阻害剤の挙動メカニズムの正当性を確認するようにデザインされている。理想的には、Akt阻害剤はホスホAkt、Akt全体またはFK全体に殆ど影響せず、FKリン酸化の程度を用量依存的に阻害するはずである。
Akt1の活性にはT308およびS473残基のリン酸化が必要である。ホスホ-S473の状況はホスホ-Aktの程度のモニターに使用される。FKタンパクの転写因子としての完全な不活性化には三つの部位、T32、S253およびS315のリン酸化が必要である。ホスホ-T32の状況は細胞内におけるホスホ-FKの程度をモニターするのに用いられる。
【0282】
細胞内における免疫ブロットに基づく標的阻害試験の手順
細胞株:
(a)PTEN活性喪失の結果ホスホ-Aktの上昇したガン細胞株;以下のものを含むが限定はされない:乳癌:MDA-MB-468、MDA-MB-436、HCT1937およびBT549(PTEN-/-);前立腺がん:PC3, LNCaP およびその誘導体、LN T1.16, LN T2.9 (PTEN-/-); グリア芽腫: U87MG、DBTRG005MG (PTEN-/-)。
(b)PTEN活性低下の結果、ホスホ-Aktの上昇したがん細胞株;以下のものを含むが限定はされない;卵巣癌: A2780(PTEN+/-)。
(c)PI3-キナーゼ活性の制御を失ったがん細胞株;以下のものを含むが限定はされない;卵巣癌;OVCAR3, SKOV3。
Akt阻害剤の活性のメカニズム検証には、MDA-MB-468とU87MGが日常的に用いられる。精選されたAkt阻害剤の組み合わせを用いる研究ではA2780、LNCaPおよびPC3もまた使用され、MDA-MB-468と同様に応答することが示された。上記の(a)、(b)および/または(c)の特徴を有する細胞株もまた使用できる。
【0283】
抗体
一次抗体としては、Akt全体に対する抗Akt抗体(Cell Signaling, cat. # 9272);抗ホスホ-S473 Akt抗体(Cell Signaling, Cat. # 92711);抗FKHRL1抗体(Upstate Biotechnology, Cat. # 06-951);抗ホスホ-T32 FKHRL1抗体(Upstate Biotechnology, cat. #06-952)が含まれる。二次抗体としては、ヤギ抗ウサギIgG (H+L)-HRPコンジュゲート(BioRad, Cat. # 170-6515)が用いられる。
【0284】
実験手順
(A)Akt1阻害剤による細胞の処置と細胞溶解物の調製
急激に成長する株から得られる標的細胞(例えば、MDA-MB-468, U87MG, American Type Culture Collection, ATCC)を10mL培地中10cmプレートあたり2x106播種して37℃でインキュベートする。処置する日に終夜の培地を新鮮な培地で置き換える。試験化合物の連続希釈は100% DMSO中で行う。DMSOの最終濃度が0.5%を超えないように培養株に加える希釈の量は50μl以下にする。偽処理の対照には等量のDMSOを加え、同様に調製した陽性対照もまた系に加える。30分後に培地を除去する。氷冷PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄し、細胞をRIPA緩衝液(50mM トリス pH 7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、1% NP-40、0.25% デオキシコール酸ナトリウム、1mM NaF、1mM Na2VO4、およびRoche Protease Inhibitor Cocktail tablet,(Cat. # 1836170)100μlで溶解する。
【0285】
特有の分画を除いた後、細胞質抽出物のタンパク質濃度をミクロタイター形式でBSAを標準としてPierce BCA試験を用いて決定する。タンパク質濃度を調整してから、細胞溶解物のアリコートを4Xゲル試料緩衝液(3:1)と混合して-80℃の冷凍庫で保存する(4Xゲル試料緩衝液は、0.25M トリス-HCl、pH 6.8; 40% グリセロール; 8% ドデシル硫酸ナトリウム、0.02% ブロモフェノールブルー;および1.0M 2-メルカプトエタノールを含む)。
【0286】
(B)電気泳動およびイムノブロッティングの手順
100℃で短時間加熱して後、ゲル試料緩衝液中の細胞溶解物の等量を8-16%のグラディエントゲル上に負荷する。標準的な手法により電気泳動を実施する。ゲル上で分離されたタンパクを20%メタノールを含むように調整されたInvitrogen Transfer Buffer (Invitrogen, Cat. #LC3675)を用いて0.2μニトロセルロース膜へ移す。ブロットをTBS/Tween 20中の5%脱脂カーネーションミルクでブロックしTBS/Tween 20中の5%ミルクで希釈した一次抗体で終夜4℃で探索する。TBS/Tweenで洗浄した後、TBS/Tween 20中の5%ミルクで希釈した二次抗体を加えて室温で60分間インキュベートする。ブロットをTBS/Tweenおよび水で洗浄し、販売会社提供の手順に従ってPierce Super Signal West Durra Extended Duration化学発光基質(Pierce, Cat. # 34075)中に浸す。短時間(10-120秒)、X線フィルムを当該ブロットに晒す。関心のあるタンパク帯の強度をFlour-S-MultiImagerおよびquantity One ソフトウェアー(BioRad)を用いてスキャンする。
In Vitro抗増殖試験
【0287】
下記の試験は、標的に関連する培養したヒトガン細胞株の生存および増殖に及ぼすAkt1阻害剤の影響を定量的に測定する。この試験は生存細胞の標識としてalamarBlue(商標)染料を用いる。選択されたモデル細胞株は腫瘍サプレッサー、Ptenの異常によってホスホAktの活性が上昇している。
(a)PTEN活性喪失の結果ホスホ-Aktの上昇したガン細胞株;以下のものを含むが限定はされない:乳癌:MDA-MB-468、MDA-MB-436、HCT1937およびBT549(PTEN-/-);前立腺がん:PC3, LNCaP およびその誘導体、LN T1.16, LN T2.9 (PTEN-/-); グリア芽腫: U87MG、DBTRG005MG (PTEN-/-)。
(b)PTEN活性低下の結果、ホスホ-Aktの上昇したガン細胞株;以下のものを含むが限定はされない;卵巣癌: A2780(PTEN+/-)。
(c)PI3-キナーゼ活性の制御を失ったガン細胞株;以下のものを含むが限定はされない;卵巣癌;OVCAR3, SKOV3。
Akt阻害剤の活性の抗増殖作用の研究には、MDA-MB-468とU87MGが日常的に用いられる。両細胞株を用いた研究結果は通常よく一致する。精選されたAkt阻害剤の組み合わせを用いる研究ではA2780、LNCaPおよびPC3もまた使用され、MDA-MB-468と同様に応答することが示された。上記の(a)、(b)および/または(c)の特徴を有するガン細胞株もまた使用できる。
【0288】
alamarBlue細胞増殖試験の手順
急激に成長する株から得られる標的細胞(例えば、MDA-MB-468, U87MG)を、ウェルあたり5-10,000細胞/100μlを96ウェル細胞培養プレート上に播種してCO2インキュベーターを用いて37℃でインキュベートする。処置の日に細胞に対して連続希釈した試験化合物100μlを加え、DMSOの最終濃度が0.5%を超えないようにする。各濃度について三重に試験する。対照として、DMSOのみを含む試料と陽性対照を同様に調製してインキュベートする。細胞をCO2インキュベーターを用いて37℃で72時間インキュベートする。生存細胞を定量的に測定するため、ウェルあたりalamarBlue(商標;Trek Diagnostic Systems, Inc., cat. # 00-100)20μlを細胞に加え、インキュベーションを4-5時間続ける(生存細胞に対する他の標識を使用することもまた可能)。SpectraFluor Plus (TeCan Instruments)を使用して、波長595nmで励起した場合の蛍光を測定する。
【0289】
In Vivo 腫瘍成長阻害試験
腫瘍モデル;
下記の任意のものから由来する異種移植片が使用可能である;
(a)PTEN活性の喪失の結果、ホスホAktが上昇したガン細胞株。限定はされないが、以下の細胞が使用できる。乳ガン:MDA-MB-468、MDA-MB-436、HCT1937、およびBT549(PTEN-/-);前立腺癌:PC3、LNCaP、およびその誘導体のLN T1.16、LN T2.9 (PTEN-/-);グリア芽腫:U87MG、DBTRG005MG (PTEN-/-)。
(b)PTEN活性が低下した結果、ホスホAktが上昇したガン細胞株。限定はされないが、以下の細胞が使用できる。卵巣癌:A2780 (PTEN+/-)。および
(c)PI3活性が制御不可となったガン細胞株。限定はされないが、以下の細胞が使用できる。卵巣癌:OVCAR3、SKOV3。
in vivoの腫瘍成長阻害研究用には、U87MG由来の異種移植片が日常的に用いられる。加えて、上記(a)、(b)および/または(c)の特徴を有する任意のin vivo腫瘍モデルを使用することもできる。
【0290】
in vivo腫瘍成長阻害研究のための実験手順
第一日目において、nu/nuマウスの両脇腹皮下に約5-10x106のガン細胞を移植する(もしも適切ならば腹腔内に)。処置は第2日目より開始する。阻害剤と基剤は腹腔内注射または静脈内注入により投与する。使用した腫瘍細胞株について、腫瘍重量とサイズを2日毎にモニターし、基剤対照群の腫瘍が600−1000mm2となるまで継続するが、通常腫瘍細胞を移植後4-5週かかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)の化合物
【化1】

〔式中、R1は水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシ;
2は、水素、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであって、該C1−C4アルキルはカルボキシ、トリフルオロ、ベンジル、アセタミド、C1−C4アルコキシカルボニル、または置換C1−C4アルコキシカルボニル(ここで置換はC1−C4アルキルまたは−NR910であり、R9およびR10はそれぞれ独立して水素またはC1−C4アルキル)で任意に置換され;
3は水素、またはC1−C4アルキル;
4は水素、ハロ、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシ;
5は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、またはニトロであって、R4およびR5はまた、それらが結合した炭素原子と一緒になりベンゾ縮合環を形成し;
6は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C3−C6シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェネチル、ベンジル、ベンゾイル、イソキサゾリル、フリル、チエニル、およびメチルスルホニルよりなる群から選択され、該C1−C4アルキルはN−モルホリノ、ピペリジン、ピロリジンまたはNR910で置換されてもよく、該チエニルはハロまたはC1−C4アルキルで置換されてもよく、該フェニル、ベンゾイル、若しくはベンジルはハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、CF3、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、メチルスルホニルアミノ、スルホンアミド、およびC(O)R11よりなる群から独立して選択される1個から2個の置換基で置換されてもよく、R11はN−モルホリノ、ヒドロキシ、またはNR910よりなる群から選択され;
Xは-O-、-S(O)p-、または-NR8-;
nは2または3;
pは0、1、または2;
7は水素、メチル、エチニル、フェニル、チエニル、またはピラゾールであり、該フェニル、チエニル、およびピラゾールはヒドロキシ、ハロ、またはアミノで置換されてもよく;
8は水素、C1−C4アルキル、ベンジル、またはtert-ブチルエステルを表す。〕
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
下式(II)の化合物
【化2】

〔式中、R1は水素またはヒドロキシ;
2は、水素、C1−C4アルキル、またはC2−C4アルケニルであり、該C1−C4アルキルはカルボキシ、C1−C4アルコキシカルボニル、または−NR910で任意に置換され、R9およびR10はそれぞれ独立して水素またはC1−C4アルキルであり;
3は水素またはC1−C4アルキル;
4は水素、ハロ、C1−C4アルキル、またはC1−C4アルコキシ、;
5は、水素、ハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、またはニトロであって、R4およびR5はまた、それらが結合した炭素原子と一緒になりベンゾ縮合環を形成し;
6は水素、ハロ、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、C3−C6シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、フェネチル、ベンジル、ベンゾイル、イソキサゾリル、フリル、およびチエニルよりなる群から選択され、該フェニル、若しくはベンジルはハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシよりなる群から独立して選択される1個から2個の置換基で任意に置換されてもよく;
Xは-O-、-S(O)p-、または-NR8-;
nは2または3;
pは0、1、または2;
7は水素、またはフェニル;
8は水素、またはC1−C4アルキルを表す。〕
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
3が水素である請求項1または2の化合物。
【請求項4】
nが2である、請求項1−3のいずれかの化合物。
【請求項5】
6がハロ、C1−C4アルキル、ニトロ、CF3、ベンゾイル、オルト−フェニル、またはオルト−ベンジルであり、該フェニルまたはベンジルはハロ、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ニトロおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択される1個または2個の置換基で任意に置換されていてもよい、請求項1−4のいずれかの化合物。
【請求項6】
XがOである、請求項1−5のいずれかの化合物。
【請求項7】
2が水素またはC1−C4アルキルである、請求項1−6のいずれかの化合物。
【請求項8】
1が水素またはヒドロキシである、請求項1−7のいずれかの化合物。
【請求項9】
1が水素である、請求項1−7のいずれかの化合物。
【請求項10】
7がフェニルまたはヒドロキシフェニルである、請求項1−9のいずれかの化合物。
【請求項11】
7が3-ヒドロキシフェニルまたは4-ヒドロキシフェニルである、請求項1−9のいずれかの化合物。
【請求項12】
請求項1の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を組み合わせてなる、医薬組成物。
【請求項13】
必要とする患者に対し請求項1の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含んでなる、感受性のある新生物疾患の治療方法。
【請求項14】
必要とする患者に対し請求項1の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含んでなる、ウィルス感染症の治療方法。
【請求項15】
治療に使用するための、請求項1の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
感受性のある新生物疾患治療のための薬剤の製造における、請求項1の化合物の使用。
【請求項17】
ウィルス感染症の治療のための薬剤の製造における、請求項1の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−521382(P2006−521382A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508921(P2006−508921)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/006093
【国際公開番号】WO2004/094386
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】