ANG2の発現を阻害するための手段
本発明は、アンチセンス鎖とセンス鎖とを含むsiRNAであって、前記アンチセンス鎖の全部または一部がアンチセンス二重鎖領域を含み、前記センス鎖の全部または一部がセンス二重鎖領域を含み、前記アンチセンス二重鎖領域が前記センス二重鎖領域と少なくとも部分的に相補的であり、前記siRNAが前記アンチセンス二重鎖領域と前記センス二重鎖領域とからなる二重鎖領域を含み、a)前記アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、68、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、または104のヌクレオチド配列を含むか、またはb)前記アンチセンス鎖が、全部もしくは一部が配列番号1もしくは70の一部と相補的であるアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ANG2の発現を阻害するのに適した二本鎖核酸と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼTie2は、血管の発達に必要であり、2つのリガンドであるアンジオポエチン(ANG1およびANG2)は、十分に特徴付けされている(FiedlerおよびAugustin、2006)。ANG1は、血管周囲細胞によって発現され、Tie2の活性化因子である。ANG1はまた、発達時における血管の安定化および成熟にも必要である。しかし、ANG2は、培養内皮細胞上におけるTie2を活性化しない(ある程度の例外もある)。ANG2は、血管のリモデリングが活発な内皮細胞内において選択的に発現することが示唆されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当技術分野では、炎症性疾患を治療するか、または炎症を軽減するためのsiRNAの使用を含め、in vitroおよびin vivoにおけるANG2の発現をサイレンシングまたはノックダウンする手段が継続的に必要とされている。本発明は、組成物、ANG2を指向するsiRNAを使用する方法、およびこれを作製する方法を発見することによって、これらの満たされていない必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、発現したANG2のRNA転写物(本明細書では、場合によって、「標的核酸」と称する)を指向する短鎖干渉RNA(siRNA)を含む組成物に関する。これらのsiRNA分子は、ANG2遺伝子産物の発現を低減することが望ましい各種の疾患および障害を治療するのに用いることができる。
【0005】
以下の図面から、さらなる特徴、実施形態、および利点について理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】Tie2/Ang(1、2)シグナル伝達経路に関するシグナルの影響度を示す影響力の均衡図である。
【図2】in vitroにおけるスクリーニングのためにデザインされた19マーのAng2−AtuRNAi分子の配列を示す図である。太字のヌクレオチドは、2’位においてO−メチル基により修飾されている。
【図3】マウスB16V細胞およびMS1細胞における、強力なAng2−siRNA分子(19マーのAtuRNAi分子)を得るためのスクリーニングを示す図である。試験された19マーのsiRNA−Ang2は、図2で同定した通りである。本明細書で開示される任意のsiRNA分子の特異性についての呼称は、次の通り、「h」はヒト、「m」はマウス、「r」はラット、「hm」はヒトおよびマウス、「hr」はヒトおよびラット、「mr」はマウスおよびラット、ならびに「hmr」はヒト、マウス、およびラットである。
【図4】ex vivoにおける、PLYにより誘導される血管透過性の測定、ならびにIPML(単離灌流マウス肺)モデルの使用についての実験概略を示す図である。
【図5】IPML(ex vivo)アッセイおよび肺炎感染(in vivo)アッセイにより示されるsiRNAAng2リポプレックスの処置後における血管透過性の低減を示す図である。これらのアッセイでは、図2で同定した7番のsiRNA分子を用いた。
【図6】肺炎球菌(S.pneumoniae)を感染させた肺を用いたin vivoの透過性アッセイにおける、siRNAAng2リポプレックス処置の効果を示す図である(A)。対応する処置群に由来する肺におけるAng2のmRNAおよびTie2のmRNAに対するノックダウンを示す図である(B)。表示のsiRNA濃度でsiRNAAng2リポプレックスおよびsiRNALucリポプレックスをトランスフェクトしたHUVECにおける、RNAiを介するAng2−mRNA発現の抑制を示す図である(C)。これらのアッセイでは、図2で同定した7番のsiRNA分子を用いた。
【図7】B16Vにおいて、Ang2 siRNAを、19マーから23マーへと伸長させたことを示す図である。9番のsiRNA(図11)の活性を、7番のsiRNA(図11)の活性と比較する。試験により、図11で同定される9番のsiRNA分子が、Ang2 mRNA発現を抑制するのに強力なsiRNA分子であることが確立される。
【図8】19マーまたは23マーのsiRNAAng2リポプレックスにより静脈内処置されたマウスに由来する肺における血管透過性の低減を示す図である。パネルAおよびBにおいてそれぞれ、7番のsiRNA分子(図2)および9番のsiRNA分子(図11)が比較される。
【図9】トランスフェクション実験において、9番のAtuRNAi分子(図11)を、公表されているsiRNA(Bhandariら、2006)およびこれらの誘導体と比較して調べたことを示す図である。
【図10】B16Vにおいて、Ang2−siRNAのRNAiの有効性を比較したことを示す図である。異なる濃度のsiRNAにおける2つの実験である。凡例:1は、9番のsiRNA(図11)。2は、Alnylam社製のTT突出を有する21マーのAng2−Bhandari(Nat Med.2006年11月;12(11):1286〜93による配列)。3は、平滑末端の23マー(3’末端からの伸長)としての「Bhandari配列」であるAng2−Bhandari 3。4は、5’末端から伸長させた23マーのAtuRNAi「Bhandari配列」であるAng2−Bhandari Atu23。
【図11】スクリーニングのための代替的な23マーのAng2 AtuRNAi分子を示す図である。9つの異なるsiRNA分子を示す。太字のヌクレオチドは、O−メチル基により2’位が修飾されている。
【図12】B16Vにおいて、Ang2に対するさらなる23マー(図11に示す)のスクリーニングと、それらの有効性の試験を示す図である。
【図13−14】B16Vおよび組織培養物中において、図11の各種のAng2 siRNA分子を特徴付けしたことを示す図である。
【図15】HUVECにおいて、ANG2リードsiRNAである19マー、ならびに対応する23マーの有効性を試験したこと示す図である。
【図16−18】ヒトANG2に対する強力な分子をスクリーニングするためにデザインされた代替的な23マーのAng2 AtuRNAi分子について示す図である。16個の異なるsiRNA分子を示す。HUVECにおいてトランスフェクション実験を行うことにより、ANG2遺伝子の発現を阻害する効力が明らかとなった。
【図19】マウスにおいて、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)を感染させたときの、アンジオポエチン−Tie2系(ANG1、ANG2、Tie2)の遺伝子発現に対する差次的制御について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、ヒトANG2をコードするmRNA配列である。この配列は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとするGenBank受託番号NM_001147.2において示されるcDNA配列から転換されたものである。
【0008】
配列番号2〜69および73〜104は、例示的なセンスsiRNA配列およびアンチセンスsiRNA配列である。
【0009】
配列番号70は、マウスANG2をコードするmRNA配列である。この配列は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとするGenBank受託番号NM_007426.3において示されるcDNA配列から転換されたものである。
【0010】
配列番号71および72は、ヒトANG2の変異体のmRNA配列である。これらの配列は、それぞれ、GenBank受託番号NM_001118887.1およびNM_001118888.1において示されるcDNA配列から転換されたものである。これらのGenBank受託番号の各々は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0011】
(詳細な説明)
本発明は、発現したANG2のRNA転写物(本明細書では、場合によって、「標的核酸」と称する)を指向する短鎖干渉RNA(siRNA)を含む組成物に関する。本発明のsiRNAは、二本鎖領域または二重鎖領域を含む核酸分子である。本発明はさらに、ANG2の発現レベルを低減するsiRNA組成物を用いる方法にも関する。遺伝子発現に言及するときに本明細書で用いられる「サイレンシング」または「ノックダウン」という用語は、遺伝子発現の低減を意味する。本発明はさらに、siRNAを作製する方法にも関する。
【0012】
一態様では、標的核酸が、哺乳動物ANG2遺伝子から発現したRNAである。一実施形態では、標的核酸が、マウスANG2から発現したRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2から発現したRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2 mRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2 hnRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、配列番号1、70、71、または72の配列を含むmRNAである。
【0013】
本発明のsiRNAは、ANG2の発現を阻害するのに適する。したがって、本発明によるsiRNAは、哺乳動物細胞におけるANG2 mRNAの低減を結果としてもたらすRNA干渉反応を誘発するのに適する。本発明によるsiRNAはさらに、遺伝子発現をmRNAレベルで減少させることにより、ANG2タンパク質の発現を減少させるのにも適する。
【0014】
siRNAのデザイン:本発明のsiRNAは、核酸の二本の鎖、すなわち第1のアンチセンス鎖および第2のセンス鎖を含む。核酸は通常、リボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドからなるが、核酸は、本明細書で説明されるデオキシヌクレオチド(DNA)を含む場合がある。siRNAはさらに、アンチセンス鎖の全部または一部と、センス鎖の全部または一部とにより形成される二本鎖核酸部分または二重鎖領域も含む。センス鎖と共に二重鎖領域を形成するアンチセンス鎖の部分を、アンチセンス鎖二重鎖領域、または単に、アンチセンス二重鎖領域とし、アンチセンス鎖と共に二重鎖領域を形成するセンス鎖の部分を、センス鎖二重鎖領域、または単に、センス二重鎖領域とする。二重鎖領域は、アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される最初の塩基対で始まり、アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される最後の塩基対で終わるもの(最初の塩基対と最後の塩基対を含む)として定義される。siRNAの二重鎖領域の両側の部分は隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域の両側におけるアンチセンス鎖部分は、アンチセンス隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域に対して5’側にあるアンチセンス鎖部分は、5’側のアンチセンス隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域に対して5’側にあるアンチセンス鎖部分は、3’側のアンチセンス隣接領域である。センス二重鎖領域の両側におけるセンス鎖部分は、センス隣接領域である。センス二重鎖領域に対して5’側にあるセンス鎖部分は、5’側のセンス隣接領域である。センス二重鎖領域に対して5’側にあるセンス鎖部分は、3’側のセンス隣接領域である。
【0015】
相補性:一態様では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とが、相互に完全に相補的であり、少なくとも部分的に相補的である。このような相補性は、ワトソン−クリックによる塩基対合(すなわち、A:UおよびG:Cの塩基対合)に基づく。siRNAの長さに応じて、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との塩基間相補性の点で完全なマッチが必ずしも必要とされることはないが、アンチセンス鎖とセンス鎖とは、生理学的条件下でハイブリダイズ可能でなければならない。
【0016】
一実施形態では、アンチセンス鎖とセンス鎖との相補性が完全である(いずれの鎖にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0017】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全である(いずれの鎖の二重鎖領域にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0018】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全ではない。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択され、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とを含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択されるsiRNAが、ANG2の発現を、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との同一性が完全な二重鎖領域を有する比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。本明細書で用いられる「比較siRNA」という用語とは、特定の差違を除き、それが比較されるsiRNAと同一であり、同一の条件下で調べられるsiRNAである。
【0019】
siRNAを用いるRNAiは、アンチセンス鎖の全部または一部と、標的核酸の一部との間における二重鎖領域の形成を伴う。アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される最初の塩基対で始まり、アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される最後の塩基対で終わる領域(最初の塩基対と最後の塩基対を含む)として定義される、アンチセンス鎖と共に二重鎖領域を形成する標的核酸の部分を、標的核酸配列、または単に、標的配列とする。アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される二重鎖領域は、アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される二重鎖領域と同じでありうるが、そうである必要はない。すなわち、センス鎖は、標的配列と異なる配列を有しうるが、アンチセンス鎖は、センス鎖および標的配列のいずれとも二重鎖構造を形成することが可能でなければならない。
【0020】
一実施形態では、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である(いずれの核酸にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0021】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域(センス鎖と共に二重鎖領域を形成するアンチセンス鎖の部分)と標的配列との相補性が完全である(いずれの核酸にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0022】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列との相補性が完全ではない。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択され、アンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択されるsiRNAが、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との同一性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0023】
別の実施形態では、本発明のsiRNAが二重鎖領域を含み、アンチセンス二重鎖領域が、センス二重鎖領域内のヌクレオチドと塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有し、前記siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。塩基対合の欠如は、塩基間において相補性が欠如する(すなわち、ワトソン−クリックによる塩基対合が見られない)ためであるか、またはバルジが創出されるように、アンチセンス二重鎖領域もしくはセンス二重鎖領域において対応するヌクレオチドが存在しないためである。一実施形態では、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、前記センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドと塩基対合する比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0024】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、センス鎖と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からなる群から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス鎖もしくはセンス鎖において対応するヌクレオチドが存在しないためである。対応するヌクレオチドの欠如は、アンチセンス鎖またはセンス鎖において、一本鎖の突出またはバルジ(二重鎖領域の場合)を結果としてもたらす。一実施形態では、センス鎖と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、センス鎖のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。一実施形態では、標的配列とミスマッチする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記センス鎖のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。別の実施形態では、ミスマッチヌクレオチドのすべてが二重鎖領域の外にある。
【0025】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、または5から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス二重鎖領域またはセンス二重鎖領域においてバルジが創出されるように、アンチセンス二重鎖領域もしくはセンス二重鎖領域において対応するヌクレオチドが存在しないためである。一実施形態では、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、前記センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0026】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、標的配列と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス鎖もしくは標的配列において対応するヌクレオチドが存在しないためである。対応するヌクレオチドの欠如は、アンチセンス鎖または標的配列において、バルジを結果としてもたらす。一実施形態では、標的配列と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記標的配列のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。一実施形態では、標的配列とミスマッチする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記標的配列のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0027】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域および標的配列両方との相補性が、アンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域または標的配列とが、生理学的条件(生理学的緩衝液中において37℃)下で互いにハイブリダイズするような相補性であり、siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。一実施形態では、生理学的条件下においてセンス二重鎖領域および標的配列にハイブリダイズするアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0028】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下でアンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とがハイブリダイズするような相補性であり、ANG2の発現を低減するのに適する。400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下で互いにハイブリダイズするアンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0029】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス鎖と標的配列との相補性が、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下でアンチセンス鎖と標的配列とがハイブリダイズするような相補性であり、siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下で標的配列にハイブリダイズするアンチセンス鎖を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0030】
長さ:より短いRNAi分子が一般には好ましいが、数十または数百の塩基対を含む長い核酸分子を用いるRNA干渉が観察されている。
【0031】
一実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24塩基対からなる群から選択される。一実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24連続塩基対からなる群から選択される。別の実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35塩基対からなる群から選択される。別の実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35連続塩基対からなる群から選択される。
【0032】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0033】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択される。一実施形態では、センス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0034】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から独立して選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から独立して選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しい。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0035】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含む。
【0036】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含む。
【0037】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0038】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0039】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0040】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0041】
一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0042】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0043】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0044】
特定の実施形態は、アンチセンス鎖およびセンス鎖の組合せ(配列番号により同定される)、すなわち、2および3、4および5、6および7、8および9、10および11、12および13、14および15、16および17、18および19、20および21、22および23、24および25、26および27、28および29、30および31、32および33、34および35、36および37、38および39、40および41、42および43、44および45、46および47、48および49、50および51、52および53、54および55、56および57、58および59、60および61、62および63、64および65、66および67、ならびに68および69を提供する。
【0045】
末端(突出末端および平滑末端):本発明のsiRNAは、突出を含む場合もあり、平滑末端である場合もある。本明細書で用いられる「突出」は、当技術分野において通常かつ常套的な意味、すなわち、二本鎖核酸における相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸長する核酸の一本鎖部分という意味を有する。「平滑末端」という用語は、末端のヌクレオチド(複数可)が塩基対合しているかどうかに関わらず、同じ位置で終結する二本鎖核酸を包含する。一実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端のヌクレオチドが塩基対合する。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端のヌクレオチドが塩基対合しない。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端の2つのヌクレオチドが塩基対合する。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端の2つのヌクレオチドが塩基対合しない。
【0046】
一実施形態では、siRNAが、一方の末端において突出を有し、他方の末端において平滑末端を有する。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において平滑末端である。一実施形態では、siRNAが、一方の末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端を有する末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端を有する末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において平滑末端である。
【0047】
別の実施形態では、siRNAが、3’末端または5’末端において突出を含む。一実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端の両方において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖の5’末端および3’末端の両方において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有し、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有し、センス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有し、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有し、センス鎖において5’突出を有する。
【0048】
一実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、センス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、センス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0049】
修飾:別の態様は、siRNAの修飾に関する。本発明によるsiRNAは、リボ核酸または修飾リボ核酸である。本発明のsiRNAの化学修飾は、天然RNA分子に固有の、in vitroおよびin vivoにおける安定性およびバイオアベイラビリティーが含まれるがこれらに限定されない潜在的な限界を克服するのに強力なツールを提供する。化学修飾siRNAはまた、ヒトにおけるインターフェロン活性を活性化する可能性も最小化しうる。化学修飾はさらに、標的細胞への、siRNAの機能的な送達も増強しうる。本発明の修飾siRNAは、アンチセンス鎖またはセンス鎖の一方または両方に対する、1個以上の化学修飾リボヌクレオチドを含みうる。リボヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸部分の化学修飾を含みうる。
【0050】
塩基部分に対する修飾:二次的な態様は、塩基部分に対する修飾に関する。本発明のsiRNAの1個以上のヌクレオチドは、修飾塩基を含みうる。「修飾塩基」とは、1’位におけるアデニン、グアニン、シトシン、またはウラシル以外のヌクレオチド塩基を意味する。
【0051】
一態様では、siRNAが、修飾塩基を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。一実施形態では、修飾塩基が、アンチセンス鎖上にある。別の実施形態では、修飾塩基が、センス鎖上にある。別の実施形態では、修飾塩基が、二重鎖領域にある。別の実施形態では、修飾塩基が、二重鎖領域の外、すなわち一本鎖領域にある。別の実施形態では、修飾塩基が、アンチセンス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、修飾塩基が、センス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。
【0052】
一実施形態では、siRNAが、1つの修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約2〜4個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約4〜6個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約6〜8個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約8〜10個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約10〜12個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約12〜14個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約14〜16個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約16〜18個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約18〜20個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約20〜22個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約22〜24個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約24〜26の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約26〜28個の修飾塩基を有する。各場合において、前記修飾塩基を含むsiRNAは、同じではあるが前記修飾塩基を有さないsiRNAと比較して、その活性の少なくとも50%を保持する。
【0053】
一実施形態では、修飾塩基がプリンである。別の実施形態では、修飾塩基がピリミジンである。別の実施形態では、プリンのうちの少なくとも半分が修飾されている。別の実施形態では、ピリミジンのうちの少なくとも半分が修飾されている。別の実施形態では、プリンのすべてが修飾されている。別の実施形態では、ピリミジンのすべてが修飾されている。
【0054】
別の実施形態では、siRNAが、修飾塩基を含むヌクレオチドを含み、塩基が、2−アミノアデノシン、2,6−ジアミノプリン、イノシン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)、6−アザピリミジン、6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピン、ケウオシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ−D−ガラクトシルケウオシン、1−メチルアデノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、3−メチルシチジン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メチルカルボニルメチルウリジン、5−メチルオキシウリジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、ベータ−D−マンノシルケウオシン、ウリジン−5−オキシ酢酸、および2−チオシチジンからなる群から選択される。
【0055】
別の態様では、本発明のsiRNAが、脱塩基ヌクレオチドを含む。本明細書で用いられる「脱塩基」という用語は、1’位において、塩基を欠くか、または塩基の代わりに他の化学基を有する部分、例えば、3’、3’連結または5’、5’連結された脱塩基デオキシリボース誘導体を指す。本明細書で用いられる、修飾塩基を有するヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオチドを包含しない。一態様では、siRNAが、少なくとも1つの脱塩基ヌクレオチドを含む。一態様では、脱塩基ヌクレオチドが、アンチセンス鎖上にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、センス鎖上にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、二重鎖領域にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、脱塩基ヌクレオチドが、アンチセンス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、脱塩基ヌクレオチドが、センス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、siRNAが、1、2、3、4、5、および6からなる群から選択される数の脱塩基ヌクレオチドを有する。
【0056】
糖部分に対する修飾:別の二次的な態様は、糖部分に対する修飾に関する。本発明のsiRNAの1個以上のヌクレオチドは、修飾リボース部分を含みうる。
【0057】
2’−OHが置換される2’位における修飾には、アルキル、置換アルキル、アルカリル−、アラルキル−、−F、−Cl、−Br、−CN、−CF3、−OCF3、−OCN、−O−アルキル、−S−アルキル、HS−アルキル−O、−O−アルケニル、−S−アルケニル、−N−アルケニル、−SO−アルキル、−アルキル−OSH、−アルキル−OH、−O−アルキル−OH、−O−アルキル−SH、−S−アルキル−OH、−S−アルキル−SH、−アルキル−S−アルキル、−アルキル−O−アルキル、−ONO2、−NO2、−N3、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ−、アミノアルキル−、アミノアルコキシ、アミノ酸、アミノアシル−、−ONH2、−O−アミノアルキル、−O−アミノ酸、−O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル−、ヘテロシクロアルカリル−、アミノアルキルアミノ−、ポリアルキルアミノ−、置換シリル−、メトキシエチル−(MOE)、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される非限定的な例が含まれる。2’ヒドロキシルが、例えば、メチレン架橋を介して、同じリボース糖の4’炭素に連結される「ロックされた」核酸(LNA)も、本発明の2’修飾としてさらに含まれる。好ましい置換基は、2’−メトキシエチル、2’−OCH3、2’−O−アリル、2’−C−アリル、および2’−フルオロである。
【0058】
一実施形態では、siRNAが、1〜5個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、5〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、15〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、20〜25個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、25〜30個の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0059】
一実施形態では、アンチセンス鎖が、1〜2個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約2〜4個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約4〜6個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約6〜8個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約8〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約10〜12個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約12〜14個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約14〜16個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約16〜18個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約18〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約22〜24個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約24〜26個の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0060】
一実施形態では、センス鎖が、1〜2個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約2〜4個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約4〜6個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約6〜8個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約8〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約10〜12個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約12〜14個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約14〜16個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約16〜18個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約18〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約22〜24個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約24〜26の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0061】
一実施形態では、siRNAが、1〜5個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、5〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、15〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、20〜25個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、25〜30個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0062】
一実施形態では、アンチセンス鎖が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0063】
一実施形態では、センス鎖が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0064】
一実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、1〜5個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、5〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、15〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、20〜25個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、25〜30個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0065】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0066】
一実施形態では、センス二重鎖領域が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0067】
一実施形態では、siRNAが、19ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、19ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、および19において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、および18において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、20ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、20ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、および19において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、21ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、21ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、22ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、22ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、および22において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、および23において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、および22において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。
【0068】
別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド3、5、7、9、11、13、15、および17において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド4、6、8、10、12、14、および16において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド5、7、9、11、13、および15において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド6、8、10、12、および14において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から 3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、9、11、および13において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、10、および12において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から 5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、9、および11において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、10、および12において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、および9において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、および10において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド9、および11において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、および10において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’に3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。
【0069】
さらなる実施形態では、siRNAが、以下のヌクレオチド配列を含み、該配列が、大文字で示されたヌクレオチド上において2’−OCH3修飾を含む。
【0070】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−デオキシヌクレオチドを含む。
【0071】
別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−デオキシヌクレオチドを含む。
【0072】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−フルオロヌクレオチドを含む。
【0073】
別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−フルオロヌクレオチドを含む。
【0074】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0075】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0076】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0077】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0078】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0079】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0080】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0081】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0082】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0083】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0084】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0085】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0086】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0087】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0088】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0089】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0090】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0091】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0092】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0093】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0094】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0095】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0096】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0097】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0098】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0099】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0100】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0101】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0102】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0103】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0104】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0105】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0106】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0107】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0108】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0109】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0110】
パターン:一態様では、アンチセンス二重鎖領域が、本明細書で「修飾群」と称する複数の修飾ヌクレオチド群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、本明細書で「隣接群」と称する第2のヌクレオチド群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内における各修飾群が同一である、すなわち、各修飾群が、同一の形で修飾された同等数のヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0111】
別の態様では、センス二重鎖領域が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス二重鎖領域内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、センス二重鎖領域内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0112】
別の態様では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の各々が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、同じ修飾群および同じ隣接群を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾2’位を含む。
【0113】
一態様では、アンチセンス鎖が、本明細書で「修飾群」と称する複数の修飾ヌクレオチド群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、本明細書で「隣接群」と称する第2のヌクレオチド群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖内における各修飾群が同一である、すなわち、各修飾群が、同一の形で修飾された同等数のヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0114】
別の態様では、センス鎖が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス鎖内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、センス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0115】
別の態様では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の各々が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている、1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、同じ修飾群および同じ隣接群を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾2’位を含む。
【0116】
別の態様では、修飾群および隣接群が、アンチセンス鎖上において、規則的なパターンを形成する。別の態様では、修飾群および隣接群が、センス鎖上において、規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方において、規則的なパターンを形成する。別の実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス二重鎖領域上において、規則的なパターンを形成する。別の態様では、修飾群および隣接群が、センス二重鎖領域上において、規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の両方において、規則的なパターンを形成する。
【0117】
別の態様では、パターンが、空間パターンまたは位置パターンである。空間パターンまたは位置パターンとは、ヌクレオチド(複数可)が、二本鎖部分のヌクレオチド配列内におけるそれらの位置に応じて修飾されていることを意味する。したがって、修飾されるヌクレオチドが、ピリミジンまたはプリンのいずれであるかは問題とならない。むしろ、修飾ヌクレオチドの位置は、(a)核酸鎖上においてそれが番号付けされた位置(該鎖の5’末端のヌクレオチドを1位として、5’末端から3’末端へとヌクレオチドを番号付けする(アンチセンス鎖およびセンス鎖のいずれも、それら各々の5’末端のヌクレオチドから番号付けする))、または(b)隣接群に対する修飾群の位置に依存する。したがって、この実施形態によれば、修飾パターンは、修飾される配列に関わらず常に同じである。
【0118】
別の実施形態では、アンチセンス鎖上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、センス鎖上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のアンチセンス鎖上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のセンス鎖上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の一方または両方における修飾群の数および隣接群の数が同じである。
【0119】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、センス二重鎖領域上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のアンチセンス二重鎖領域上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のセンス二重鎖領域上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の一方または両方における修飾群の数および隣接群の数が同じである。
【0120】
一実施形態では、鎖上または二重鎖領域上における修飾群の数および隣接群の数が同じである。別の実施形態では、鎖上または二重鎖領域上における修飾群の数および隣接群の数が同じであり、その数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。
【0121】
別の実施形態では、修飾群内におけるヌクレオチド数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、隣接群内におけるヌクレオチド数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。
【0122】
一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群が同一である。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の両方における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群および各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖上およびセンス二重鎖上の両方における各修飾群および各隣接群が同一である。
【0123】
一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群、各修飾群の位置、各隣接群、および各隣接群の位置が同一である。一実施形態では、アンチセンス二重鎖上およびセンス二重鎖上の両方における各修飾群、各修飾群の位置、各隣接群、および各隣接群の位置が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における修飾群が、センス鎖上における修飾群と相補的である(アンチセンス鎖およびセンス鎖上における修飾群が、互いに全体にわたり完全に整列される)。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における各修飾群が、センス鎖上における各修飾群と塩基対合するように、修飾群においてミスマッチが見られない。別の実施形態では、センス鎖上における各修飾群が、アンチセンス鎖上における修飾群に対して、1、2、3、4、または5ヌクレオチドシフトしている。例えば、センス鎖上における各修飾群が、1ヌクレオチドシフトし、アンチセンス鎖上における修飾群が、1位で始まったとした場合、センス鎖上における修飾群は、2位で始まるであろう。別の実施形態では、アンチセンス鎖の修飾群がセンス鎖の修飾群と重複しない、すなわち、アンチセンス鎖上における修飾群のヌクレオチドが、センス鎖上における修飾群のヌクレオチドと塩基対合しない。
【0124】
一実施形態では、核酸鎖の末端におけるデオキシリボヌクレオチドが、修飾群の位置を決定する場合に考慮されない、すなわち、位置の番号付けが、第1のリボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドで始まる。別の実施形態では、核酸鎖の末端における脱塩基ヌクレオチドが、修飾群の位置を決定する場合に考慮されない。
【0125】
一態様では、修飾群が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接群が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、修飾群が、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接群が、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の10位におけるヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、センス鎖の10位におけるヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、修飾群が、センス鎖の10位におけるヌクレオチドを含む。
【0126】
一実施形態では、2’位における修飾が、アミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシ、およびC1〜C3のアルキルを含む群から選択される。別の実施形態では、修飾が、2’−O−メチル修飾である。
【0127】
別の実施形態では、各修飾群が1つのヌクレオチドからなり、各隣接群が1つのヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖上における各修飾群が、センス鎖上における隣接群により整列される。
【0128】
別の態様では、各修飾群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなり、各隣接群が、1つのヌクレオチドからなる。一実施形態では、各隣接群が、1つの非修飾ヌクレオチドからなる。一実施形態では、各隣接群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなる。別の実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなり、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各隣接群が1つのヌクレオチドからなり、1つの鎖上における修飾群が、他の鎖上における別の修飾群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがなく、1つの鎖上における隣接群が、他の鎖上における隣接群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがない。別の実施形態では、任意選択的な突出を除外すれば、各鎖上における各修飾群が、他の鎖上における隣接群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがない。一実施形態では、隣接群が非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における1位のヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域の最も5’側のヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾されている。
【0129】
位置修飾のスキームについては、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする国際特許出願第WO2004/015107号において説明されている。
【0130】
リン酸骨格に対する修飾:別の二次的な態様は、リン酸骨格に対する修飾に関する。本発明のsiRNAのヌクレオチドの全部または一部は、非修飾核酸において見出される通り、ホスホジエステル結合を介して連結されうる。しかし、本発明のsiRNAは、修飾ホスホジエステル結合を含みうる。アンチセンス鎖またはセンス鎖のホスホジエステル結合を修飾して、窒素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を独立して包含させることができる。一実施形態では、リボヌクレオチドを、隣接するリボヌクレオチドに連結するホスホエステル基を、修飾基により置換する。一実施形態では、ホスホエステル基を置換する修飾基が、ホスホロチオエート基、メチルホスホネート基、またはホスホルアミデート基からなる群から選択される。
【0131】
一実施形態では、アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス鎖のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。
【0132】
5’末端および3’末端における修飾:別の二次的な態様は、5’修飾および3’修飾に関する。本発明のsiRNAは、センス鎖上およびアンチセンス鎖上の一方または両方の5’末端または3’末端における1個以上の修飾ヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、非環式リボヌクレオチド、またはデオキシリボヌクレオチドを含む核酸分子を包含しうる。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の5’末端および3’末端のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドならびにセンス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。
【0133】
別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖両方の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されており、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、遊離ヒドロキシル基(5’−OH)を有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されており、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。
【0134】
5’末端および3’末端のヌクレオチドに対する修飾は、これらの末端ヌクレオチドにおける5’位および3’位に限定されない。末端ヌクレオチドに対する修飾の例には、とりわけ、例えば、参照することによりそれらの全体が本明細書の一部をなすものとするPCT特許出願WO99/54459、欧州特許EP0586520B1、またはEP0618925B1において説明される、ビオチン、反転(inverted)(デオキシ)脱塩基、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C1〜C10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、またはN−アルキル;O−アルケニル、S−アルケニル、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2、N3;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ、または置換シリルが含まれるがこれらに限定されない。本明細書で用いられる「アルキル」とは、C1〜C12アルキルを意味し、「低級アルキル」とは、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを含めたC1〜C6アルキルを意味する。
【0135】
別の態様では、アンチセンス鎖の5’末端、センス鎖の5’末端、アンチセンス鎖の3’末端、またはセンス鎖の3’末端が、共有結合を介してプロドラッグ部分に連結される。一実施形態では、該部分が、エンドソーム内において切断される。別の実施形態では、該部分が、細胞質内において切断される。
【0136】
異なる種類の末端修飾(複数可)を有する、本発明のsiRNAの各種の可能な非限定的実施形態を、以下の表に示す。
【0137】
【表1】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の3’末端の1つのヌクレオチド、または3’末端の2つのヌクレオチドが、2’−デオキシヌクレオチドである。別の実施形態では、該2’−デオキシヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンである。別の実施形態では、該2’−デオキシヌクレオチドが、2’−デオキシチミジンである。
【0138】
shRNAおよび連結siRNA:別の態様は、shRNAおよび連結siRNAに関する。二本鎖構造が、2つの個別の鎖、すなわち、アンチセンス鎖およびセンス鎖により形成されることは、本発明の範囲内にある。しかし、また、アンチセンス鎖およびセンス鎖を、互いに対して共有結合させることも、本発明の範囲内にある。このような連結は、アンチセンス鎖およびセンス鎖をそれぞれ形成する任意のヌクレオチド間において生じうる。このような連結は、共有結合により形成される場合もあり、非共有結合により形成される場合もある。共有結合は、メチレンブルーおよび二官能性基を含む群から好ましくは選択される化合物により、両方の鎖を、それぞれ、1回以上にわたり、1以上の位置において連結することにより形成することができる。このような二官能性基は、ビス(2−クロロエチル)アミン、N−アセチル−N’−(p−グリオキシル−ベンゾイル)シスタミン、4−チオウラシル、およびソラーレンを含む群から選択されることが好ましい。
【0139】
一態様では、アンチセンス鎖およびセンス鎖が、ループ構造により連結される。別の実施形態では、ループ構造が、非核酸ポリマーを含む。別の実施形態では、非核酸ポリマーが、ポリエチレングリコールである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端が、センス鎖の3’末端へと連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端が、センス鎖の5’末端へと連結される。
【0140】
別の態様では、ループが、核酸からなる。本明細書で用いられるロックされた核酸(LNA)(ElayadiおよびCorey(2001)、Curr Opin Investig Drugs.2(4):558〜61)およびペプチド核酸(PNA)(Faseb J.(2000)、14:1041〜1060に掲載)は、核酸としてみなされ、これらもまた、ループ形成ポリマーとして用いることができる。一実施形態では、核酸が、リボ核酸である。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端が、センス鎖の3’末端に連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端が、センス鎖の5’末端に連結される。ループは、最小で4ヌクレオチドまたは4ヌクレオチド類似体の長さからなる。一実施形態では、ループが、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15から選択される長さのヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体からなる。一実施形態では、ループの長さが、ループ構造または類似の構造を介してバックフォールディングが生じる形で2本の鎖を結合させるのに十分である。リボ核酸構築物は、適切なベクター系へと組み込むことができる。ベクターは、RNAiを発現させるためのプロモーターを含むことが好ましい。好ましくは、各プロモーターが、pol IIIであり、より好ましくは、該プロモーターが、Goodら(1997)、Gene Ther、4、45〜54において説明されるU6プロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーターである。
【0141】
別の実施形態では、本発明による核酸が、ヌクレオチド間におけるホスホロチオエート結合を含む。一実施形態では、ヌクレオチド間におけるホスホロチオエート結合が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の3’末端または5’末端から5ヌクレオチドの範囲内にある。アンチセンス鎖は、ヌクレオチド間における約1〜約5個のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0142】
実施形態の組合せ:
一実施形態では、センス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。一実施形態では、センス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。
【0143】
一実施形態では、siRNA分子が、両方の末端において平滑末端であり、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0144】
一実施形態では、siRNA分子が、一方の末端において平滑末端であり、siRNA分子の二本鎖部分が、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0145】
一実施形態では、siRNA分子が、両方の末端において突出を有し、siRNA分子の二本鎖部分が、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0146】
一実施形態では、siRNA分子が突出を含み、前記突出が、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、siRNA分子が突出を含み、前記突出が、2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0147】
一実施形態では、siRNA分子が、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の3’末端において突出を有し、前記突出が、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、siRNA分子が、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の3’末端において突出を有し、前記突出が、2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0148】
突出を形成するヌクレオチド(複数可)は、デオキシリボヌクレオチド(複数可)、リボヌクレオチド(複数可)、またはこれらの組合せでありうる。一実施形態では、アンチセンス鎖および/またはセンス鎖が、3’末端において、TTジヌクレオチドを含む。
【0149】
作製の方法:本発明の核酸は、in vitro(例えば、ランオフ転写)またはin vivoにおける核酸の化学合成または発現を含め、当技術分野におけるルーチンの方法を用いて作製することができる。一実施形態では、siRNAが、固相化学合成を用いて作製される。別の実施形態では、核酸が、発現ベクターを用いて作製される。一実施形態では、発現ベクターにより、標的細胞内において、本発明の核酸が作製される。したがって、このようなベクターを、薬剤の製造に用いることができる。本明細書で説明される核酸分子を合成する方法は、当業者に知られている。このような方法は、とりわけ、Caruthersら、1992、Methods in Enzymology 211、3〜19、Thompsonら、国際PCT公開WO99/54459、Wincottら、1995、Nucleic Acids Res.23、2677〜2684、Wincottら、1997、Methods Mol.Bio.、74、59、Brennanら、1998、Biotechnol Bioeng.、61、33〜45、およびBrennan、米国特許第6,001,311号(各々が、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)において説明されている。
【0150】
驚くべきことに、以下のANG2の配列を標的とするsiRNAは、ANG2の発現を低減することに関し、驚くべき程度に高い活性を示す。肺炎球菌に感染すると(肺炎に罹患すると)、ANG2の発現が上方制御されることが示された。同時に、受容体を活性化するリガンドであるANG1(ANG2の対応物)およびTIE2の発現が驚くべき程度に下方制御されたことは、刺激を受けたときに、遺伝子発現のパターンが協調されることを示唆する。現在のところ、誘導下ならびに非誘導下における空間的な発現パターン、特に、細胞レベル(肺胞および気管支における上皮細胞レベルまたは内皮細胞レベル)における分布は明確ではない。
【0151】
強力なsiRNA分子についての初期のスクリーニングは、8つの被験分子のうち2つ(配列番号14および16)が、ANG2をサイレンシングする有効性において同様に高度であることを示した。アンチセンス鎖である配列番号14および16の3’末端、ならびにセンス鎖(配列番号15および17)の5’末端の対応する相補的配列上における、4つの付加ヌクレオチドを介する伸長により、トランスフェクション実験後にANG2をサイレンシングする有効性において差違を示す23マーの分子(配列番号48および50(アンチセンス鎖)ならびに配列番号49および51(センス鎖))がもたらされたことは驚くべきことである。さらに驚くべきことに、マウスANG2 mRNA内のセンス鎖に対しては100%の相同性を反映するが、ヒト相同mRNAに対しては100%の相同性を反映しない(1つのミスマッチ)新規に生成された23マーの配列(9番のsiRNA)が、ヒトに由来する内皮細胞株(HUVECおよびHMVEC−L)におけるANG2発現をやはりサイレンシングすることが可能であった。これに対し、ヒトANG2に対して完全な相同性を示す配列(7番のsiRNA)が、サイレンシングの有効性を示さなかったことは、予測外である(図14)。
【0152】
血管のバリア機能(血管透過性)の制御は、肺炎の進行、またはより一般的に、急性肺傷害(ALI)、ならびに血管漏出により維持される他の炎症性疾患症候群に対して、目覚ましい影響を及ぼす。これに対し、他の科学的報告は、肺上皮細胞におけるANG2の上方制御が、急性肺傷害の発症/進行に寄与すること(Bhandariら、2006)、または、誘導されたANG2に対しては、推測されるアンタゴニスト活性ではなく、自己分泌性の、保護的/アゴニスト作用が存在すること(Dalyら、2006)を示唆している。これに照らして考えると、本発明者らが、リポソームにより製剤化したsiRNA(AtuPLEX、Santelら、2006)を静脈内投与する結果として、肺組織において、最も可能性が高い場合としては肺血管内皮細胞において、ANG2の発現がある程度まで下方制御され、血管のバリア機能が改善されることを見出したことは、予測外である。これは、非製剤化siRNAを吸入することにより、低酸素症により誘導される急性肺傷害の進行が阻害された報告とは大きく異なる。原則としては、本発明に従って、ANG2をコードするmRNAの任意の部分を用いて、それぞれ、このようなsiRNA分子およびRNAi分子をデザインすることができるが、本発明者らは、驚くべきことに、以下の表に示されるヌクレオチド位置で始まる配列が、ANG2 mRNAの発現を低減するのに適するsiRNA分子をもたらすことを見出した。
【0153】
【表2】
【0154】
送達/製剤:
siRNAは、in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、細胞と直接的に接触させるか(「裸の(naked)」siRNA)、または細胞を標的化するか、もしくは細胞内へと送達することを容易にする1種以上の作用物質と組み合わせることを含め、当業者に知られる各種の方法により、細胞へと送達することができる。このような作用物質および方法には、リポプレックス、リポソーム、イオントフォレーシス、ハイドロゲル、シクロデキストリン、ナノカプセル、マイクロスフェアおよびナノスフェア、ならびにタンパク質性ベクター(例えば、Bioconjugate Chem.(1999)、10:1068〜1074およびWO00/53722)が含まれる。核酸/媒体の組合せは、in vivoにおいて、直接的な注射によって局所到達することもでき、注入ポンプを用いることにより局所送達することもできる。本発明のsiRNAは、in vivoにおいて、静脈内、皮下、筋肉内、もしくは皮内の注射、または吸入を含め、各種の手段により送達することができる。本発明の分子は、薬剤として用いることができる。薬剤は、対象における疾患状態の発生を防止、調節するか、またはこれを治療する(症状をある程度まで緩和し、好ましくは、すべての症状を緩和する)ことが好ましい。
【0155】
また、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾リポソーム、または長時間循環型リポソームもしくはステルスリポソーム)を含む組成物の使用も提供される。これらの製剤は、その凝集および融合を防止することにより、リポソーム溶液またはリポプレックス溶液の安定性を増大させる方法をもたらす。製剤にはまた、in vivoにおいて、単核食作用細胞系(MPSまたはRES)によるオプソニン作用および除去に抵抗する利益も付加されており、それにより、血液循環時間を長くすること、およびカプセル製剤に対する組織暴露を増強することが可能である。このようなリポソームは、おそらく、新血管形成された標的組織内における溢出および捕捉により、腫瘍内に選択的に蓄積されることが示されている(Lasicら、Science 1995、267、1275〜1276;Okuら、1995、Biochim.Biophys.Acta、1238、86〜90)。長時間循環型リポソームは、特に、MPS組織内において蓄積することが知られる、従来の陽イオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態特性および薬力学特性を増強する(Liuら、J.Biol.Chem.1995、42、24864〜24780;Choiら、国際PCT公開第WO96/10391号;Ansellら、国際PCT公開第WO96/10390号;Hollandら、国際PCT公開第WO96/10392号)。長時間循環型リポソームはまた、ヌクレアーゼによる分解からもsiRNAを保護する。
【0156】
本発明のsiRNAは、医薬組成物として調合することができる。医薬組成物は、単独の、または他の薬剤と組み合わせた医薬として、または診断剤として用いることができる。例えば、本発明の1つ以上のsiRNAを、担体、希釈剤などの送達媒体(例えば、リポソーム)および賦形剤と組み合わせることができる。防腐剤および安定化剤など、他の薬剤もまた添加することができる。核酸分子を送達する方法は当技術分野で知られており、例えば、Akhtarら、1992、Trends Cell Bio.、2、139;Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics、Akhtar編、1995、Maurerら、1999、Mol.Memb.Biol.、16、129〜140;HoflandおよびHuang、1999、Handb.Exp.Pharmacol.、137、165〜192;ならびにLeeら、2000、ACS Symp.Ser.、752、184〜192、米国特許第6,395,713号およびPCT WO94/02595号(これらの各々が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる)において説明されている。本発明のsiRNAはまた、他の治療化合物と組み合わせて投与することもでき、その投与は個別の場合もあり、同時、例えば、組合せ単位用量としての場合もある。一実施形態では、本発明が、安定化剤、防腐剤、希釈剤、緩衝剤など、生理学的/薬学的に許容される賦形剤中に、本発明による1つ以上のsiRNAを含む医薬組成物を包含する。
【0157】
本発明の医薬および医薬組成物の用量レベルは、ルーチンな実験によって当業者により決定されうる。一実施形態では、単位用量が、約0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kgのsiRNAを含有する。一実施形態では、siRNAの用量が、約10mg/体重kg〜約25mg/体重kgである。一実施形態では、siRNAの用量が、約1mg/体重kg〜約10mg/体重kgである。一実施形態では、siRNAの用量が、約0.05mg/体重kg〜約5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約1mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約0.5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.5mg/体重kg〜約1mg/体重kgである。
【0158】
一態様では、医薬組成物が、注射用の滅菌水性懸濁液または滅菌水溶液である。一態様では、医薬組成物が、乾燥凍結形態である。一実施形態では、医薬組成物が、本発明のsiRNAを含む乾燥凍結リポプレックスを含む。別の実施形態では、医薬組成物が、本発明のsiRNAを含むリポプレックスの水性懸濁液を含む。
【0159】
本発明の医薬組成物および医薬は、開示される治療法において、対象(哺乳動物)に投与することができる。一実施形態では、哺乳動物が、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットからなる群から選択される。一実施形態では、哺乳動物がヒトである。別の実施形態では、哺乳動物が非ヒト哺乳動物である。
【0160】
一実施形態では、本発明は、本発明によるsiRNAを含むリポプレックスに関する。このようなリポプレックスは、siRNAおよびリポソームからなる。in vitroまたはin vivoにおいて、このようなリポプレックスを用いて、本発明のsiRNAを標的細胞へと送達することができる。
【0161】
一態様では、リポプレックスが、約40〜55mV、好ましくは、約45〜50mVのゼータポテンシャルを有する。本発明によるリポプレックスのサイズは、例えば、製造元の推奨に従い、Beckman Coulter社製のN5型ミクロン未満粒子サイズ解析器を用いることなどによる、動的光散乱(QELS)により決定される通り、約80〜200nm、約100〜140nm、または約110nm〜130nmである。
【0162】
一実施形態では、リポプレックスを形成する部分としてのリポソームは、
a)約50モル%のβ−アルギニル−2,3−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、好ましくは、β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリドと、
b)約48〜49モル%の1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)と、
c)約1〜2モル%の1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−ポリエチレングリコール、好ましくは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩と
からなる正に帯電したリポソームである。
【0163】
リポプレックス、およびリポソームを形成する脂質組成物は、担体中にあることが好ましいが、リポプレックスはまた、乾燥凍結形態でも存在しうる。担体中に含有される脂質組成物は通常、分散液を形成する。担体は、本明細書でもさらに特徴付けられる通り、水性媒体または水溶液であることがより好ましい。脂質組成物は、典型的には担体中においてリポソームを形成し、このようなリポソームは内部にも担体を含有することが好ましい。
【0164】
担体中に含有される脂質組成物、および担体は、それぞれ、約50〜600ミリオスモル/kg、好ましくは約250〜350ミリオスモル/kg、ならびにより好ましくは約280〜320ミリオスモル/kgの浸透圧を有することが好ましい。
【0165】
リポソームは、第1の脂質成分と、任意選択的に、好ましくは該第1の脂質成分と組み合わせた第1のヘルパー脂質とによって形成されることが好ましく、約20〜200nm、好ましくは約30〜100nm、より好ましくは約40〜80nmの粒子サイズを示すことが好ましい。粒子のサイズは、特定の統計学的分布に従うことが注目される。
【0166】
本発明による脂質組成物についての、さらなる任意選択的な特徴は、担体のpHが、好ましくは約4.0〜6.0であることである。しかし、4.5〜8.0、好ましくは約5.5〜7.5、より好ましくは約6.0〜7.0など、他のpH範囲もまた、本発明の範囲内にある。
【0167】
これらの特定の特徴を認識するために、各種の測定を行うことができる。例えば、浸透圧を調整するには、糖または糖の組合せが特に有用である。これまでのところ、本発明の脂質組成物は、以下の糖、すなわちスクロース、トレハロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、マルトース、ラクツロース、イヌリン、およびラフィノースのうちの1種以上を含むことが可能であり、スクロース、トレハロース、イヌリン、およびラフィノースが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、多くの場合、糖を添加することにより調整される浸透圧は、約300ミリオスモル/kgであり、これは、270mMのスクロース溶液または280mMのグルコース溶液に対応する。担体は、このような脂質組成物が投与される体液と等張性であることが好ましい。本明細書で用いられる、多くの場合、糖を添加することにより浸透圧が調整されるという表現は、浸透圧の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%が、前記糖または前記糖の組合せによりもたらされることを意味する。
【0168】
本発明の脂質組成物のpHを調整する場合、調整は、緩衝液物質を用いることによりなされ、緩衝液物質自体は当業者に基本的に知られている。陽イオン性脂質、より具体的には、陽イオン性頭部基のアンモニウム基の塩基性性質を補完するのに適する塩基性物質を用いることが好ましい。塩基性アミノ酸および弱塩基などの塩基性物質を添加する場合は、それぞれ、上記の浸透圧を考慮に入れる。このような脂質組成物、ならびにこのような脂質組成物により形成されるリポソームの粒子サイズは、製造元の推奨に従い、Beckman Coulter社製のN5型サブミクロン粒子サイズ分析器を用いることなどによる、動的光散乱により決定することが好ましい。
【0169】
脂質組成物が、1以上の核酸(複数可)を含有する場合、このような脂質組成物は通常、リポプレックス(リポソーム−核酸複合体)を形成する。好ましくは、等張性の270mMスクロースまたは280mMグルコース中のリポプレックス内におけるより好ましい全脂質内容物の濃度は、約0.01〜100mg/ml、好ましくは0.01〜40mg/ml、より好ましくは0.01〜25mg/mlである。十分量のストックを調製するには、この濃度を、典型的には2〜3倍増大させうることを認めるものとする。これに基づき、浸透圧が上記で特定した範囲内にあるようにすることが典型的である希釈液を調製することもまた、本発明の範囲内にある。より好ましくは、希釈液は、機能に関して同一であり、より具体的に述べると、脂質組成物と組み合わせて用いられる担体と浸透圧が同様である担体、またはその中に脂質組成物が含有される担体中において調製される。核酸、好ましくは、siRNAなどであるがこれに限定されない機能的核酸もまた含む本発明の脂質組成物の実施形態では、脂質組成物中における機能的核酸、好ましくはsiRNAの濃度が、約0.2〜0.4mg/ml、好ましくは0.28mg/mlであり、全脂質濃度が、約1.5〜2.7mg/ml、好ましくは2.17mg/mlである。核酸画分と脂質画分とのこの質量比はまた、これにより認識される電荷比との関連でも特に好ましいことを認めるものとする。本発明の脂質組成物の任意のさらなる濃縮液または希釈液との関連では、この特定の実施形態で認識される質量比および電荷比がそれぞれ、このような濃縮液または希釈液に関わらず維持されることが好ましい。
【0170】
例えば、医薬組成物において用いられるこのような濃縮液は、適量の媒体、好ましくは生理学的に許容される緩衝液、もしくは本明細書で説明される任意の担体中において脂質を分散させることにより得ることもでき、適切な手段により濃縮することもできる。このような適切な手段は、例えば、十字流限外濾過を含めた限外濾過法である。フィルター膜は、分子量カットオフ(MWCO)が1,000〜300,000Daであるか、または5nm〜1μmの小孔径を示しうる。約10,000〜100,000Da MWCOの小孔径が好ましい。本発明による脂質組成物、より具体的には、リポプレックスが、乾燥凍結形態で存在しうることもまた、当業者により認められる。このような乾燥凍結形態は、リポプレックスの保管寿命を延長するのに適することが典型的である。とりわけ、適切な浸透圧をもたらすのに添加される糖は、それらと関連して、凍結保護剤として用いられる。これと関連して、浸透圧、pH、ならびにリポプレックス濃度について前述した特徴は、担体中における脂質組成物の溶解形態、懸濁形態、または分散形態を指し、このような担体は、原則として、本明細書で説明される任意の担体であり、水または生理学的に許容される緩衝液、好ましくは等張性緩衝液または等張性溶液などの水性担体であることが典型的である。
【0171】
疾患:本発明の一態様は、ANG2の発現を低減し、ヒト疾患およびヒトの病理学的状態を治療するのに有用なsiRNA分子を提供する。siRNA分子を他の治療剤と組み合わせて用いて、所与の治療法の治療効果を増強することができる。別の態様では、本発明が、細胞内において、望ましくないかまたは異常なレベルのANG2活性を特徴とする疾患および状態を治療するのに有用な試薬および方法を提供する。
【0172】
本発明の別の態様は、皮膚の過剰増殖性状態(例えば、乾癬および/または接触性皮膚炎)、または他の過剰増殖性疾患を治療するための材料および方法を用いている。本発明の別の態様は、各種の網膜症、子宮内膜症、子宮筋腫、ならびに子宮内膜における微小血管増殖など、機能不全性血管増殖と関連する他のこのような状態の治療を包含し、本明細書で開示されるsiRNA分子を対象に投与することを含む。本発明のさらに別の態様は、炎症(例えば、関節炎、関節リウマチなど)を治療する方法であって、本明細書で開示されるsiRNA分子を含む組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0173】
本明細書で開示される、治療されうるヒト疾患およびヒトの病理学的状態の非限定的な例には、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸促窮迫症候群(ARDS)、アテローム性動脈硬化、遺伝性出血性毛細血管拡張症、海綿状血管腫、血管新生誘導性肥満、移植後動脈症、乾癬、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、および歯周病、腹水、子宮内膜症、月経過多、関節炎、肺高血圧、肺炎、子癇前症、肺線維症、肺気腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、膵炎、敗血症、血栓症、虚血性心疾患、炎症、多発性硬化症、脳卒中、および黄斑変性が含まれる。
【実施例1】
【0174】
[材料と方法]
(細胞株)
マウスB16V黒色腫細胞およびマウス内皮MS−1細胞を、ATCC/LGC Promochem社から得て、製造元の推奨に従い培養した。EBM2+ SingleQuots増殖用補充物質を含有するEGM−2 BulletKit培地中において、HUVEC(Lonza社製)を培養した。
【0175】
(培養細胞のトランスフェクションおよびmRNAレベルの定量)
既に説明した通り(Santelら、2006)、表示の細胞数およびsiRNA濃度で、マウスB16V黒色腫細胞およびマウス内皮MS−1細胞に、リポプレックス化させたsiRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細胞を溶解させ、全RNAを調製した(Invitek社製、Invisorb Spin Cell RNA単離キット)。その後、全RNAを、定量的リアルタイムRT−PCR法(ABI社製、TaqMan)を用いるmRNA定量アッセイに用いた。表示されるmRNAの標準化レベルは、標的遺伝子および基準遺伝子の両方についての発現レベルを示す2−(ΔΔCt)法により決定した。
【0176】
(siRNAを含有するリポプレックスの全身送達)
4日間連続で、200μl溶液を、尾静脈に静脈内ボーラス注射することにより、siRNAリポプレックスを、C57/Bl6マウスに全身投与した。既に説明した通り(Santelら、2006)、リポプレックス溶液は、21.7mg/kgの全脂質(AtuFECT01、DPhyPE、DSPE−PEG)と共に複合体化させた、2.8mg/kgの最終用量でsiRNAを含有した。
【0177】
(マウスの肺炎球菌肺炎における肺微小血管漏出)
動物に対するすべての手順は、現地の規制当局による承認を受けた。既に説明した通り(Schmeckら、2004;Opitzら、2004)、C57/Bl6マウスに、5×106コロニー形成単位の肺炎球菌(NCTC 7978)を経鼻感染させた。ヒト血清アルブミン(HSA)を静脈内適用し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行った後で、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)(テキサス州、モンゴメリー、Bethyl社製)(Matute−Belloら、2001)により、BALおよび血清中におけるHSA濃度を測定し、HSAのBAL/血清比を計算した。
【0178】
(単離灌流マウス肺(IPML))
既に説明した通りに、BALB/cマウスの肺を調製した。略述すると、麻酔をかけたマウスを気管切開および換気した。胸骨切開し、左心房および肺動脈にカニューレ挿入し、37℃のクレブス−ヘンゼルライトの滅菌ヒドロキシエチルアミロペクチン緩衝液(ドイツ、Serag社製、1mL/分)により肺を灌流し、陰圧(−4.5〜−9.0cm H2O)により換気した。圧力トランスデューサーにより肺動脈圧(Ppa)および肺静脈圧を持続的にモニタリングし、デジタルデータ化した。Graph−Pad−4ソフトウェア(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ)により、Ppa曲線下面積(AUC)を計算した。説明される通り(Patonら、1993)に組換えPLY(ニューモリシン)を調製し、肺動脈内へと注入するか、またはマイクロスプレー装置(ペンシルベニア州、フィラデルフィア、Penn−Century社製)を用いて気管内エアゾール投与した。肺胞毛細血管の透過性を測定するため、PLYを適用する前に、灌流物にHSAを混合した(0.04%)。PLY接種の30分後、BALを実施し、BAL上清中においてHSA濃度を測定した。in vivoにおけるデータを、平均+/−SEMとして表した。一元分散分析の後、ステューデント・ニューマン・クールズ検定により、差違を解析した。
【実施例2】
【0179】
[ANG−2特異的なsiRNA分子]
アンジオポエチン2(Ang−2)をコードするmRNAを指向するsiRNA分子(AtuRNAi、表1および2を参照されたい)、ならびにルシフェラーゼを指向し、本明細書で説明される実験および実施例と関連して用いられた各種のsiRNA分子は、BioSpring社(ドイツ、フランクフルトアムマイン)により合成されたものであり、これらを、本発明の二本鎖核酸分子を形成する第1の鎖および第2の鎖両方の配列に関して、表1に示す。
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【0184】
「A」は、本明細書で第1の鎖とも称するアンチセンス鎖を表し、「B」は、本明細書で第2の鎖とも称するセンス鎖を表す。これに反する指示が明示的になされるのでない限り、本出願で示される任意の配列は、5’→3’方向で示されることに注意されたい。
【0185】
特定の実施形態では、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチド(または各奇数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)アンチセンス鎖(上記の表中に示される)を修飾することができ、1個以上の偶数番号を付したヌクレオチドは、非修飾のままとする(例えば、各非修飾ヌクレオチドの2’位にOH基が存在し、例えば、各非修飾ヌクレオチドは修飾されない)。1個以上の偶数番号を付したヌクレオチド(または各偶数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)センス鎖を修飾することができ、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチドは、非修飾のままとすることができる(例えば、各非修飾ヌクレオチドの2’位にOH基が存在し、例えば、各奇数番号を付したヌクレオチドは修飾されない)。
【0186】
代替的な実施形態は、1個以上の偶数番号を付したヌクレオチド(または各偶数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)修飾されたアンチセンス鎖(上記で示した)を提供し、センス鎖は、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチド(または各奇数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)修飾される。これらの代替的な実施形態では、1個以上の非修飾ヌクレオチドが、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方において存在する(例えば、これらの代替的な実施形態の各々では、非修飾ヌクレオチドが、2’位においてOH基を有する)。特定の実施形態では、各奇数番号を付したヌクレオチドが、アンチセンス鎖において非修飾であり、本段落で論じた代替的な実施形態では、各偶数番号を付したヌクレオチドが、センス鎖において非修飾である。
【実施例3】
【0187】
[Ang2特異的なsiRNA分子のリポプレックス製剤]
本明細書ではまた、Ang2特異的なsiRNA分子を含有するリポプレックス製剤を、siRNAリポプレックスまたはsiRNAAng2リポプレックスとも称する。脂質膜を、300mMのRNaseを含まない滅菌スクロース溶液中に、4.34mg/mlの全脂質濃度まで再水和することにより、50/49/1のモル比で、特許で保護された陽イオン性脂質であるAtuFECT01(β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、Silence Therapeutics AG社製)、中性リン脂質である1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)(アラバマ州、アラバスター、Avanti Polar Lipids社製)、およびPEG化脂質であるN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(DSPE−PEG)(ドイツ、ルートヴィッヒシャーフェン、Lipoid GmbH社製)を混合した。IPMLおよび肺炎球菌感染についての実験の場合、このような製剤は、21.7mg/kgの全脂質と共に複合体化させた、2.8mg/kgのsiRNAであり、これを、4日間連続で静脈内ボーラスにより注射した。in vitro試験の場合は、1μg/mlでAtuFECT01−DPhyPEを混合することにより、リポプレックスを作製した。
【実施例4】
【0188】
[siRNAAng2リポプレックスの特徴付け]
実施例3に従ってリポプレックスとして製剤化された実施例2のAng2特異的siRNA分子を、それらが、B16V細胞、MS−1細胞、およびHUVEC細胞のそれぞれにおいてAng2 mRMA発現を阻害する能力について調べた。このような目的で、48時間にわたり、20nMの最終濃度で、表1A、Bで列挙するsiRNAAng2リポプレックス、または対照を、培養細胞にトランスフェクトした。細胞を回収し、対応する全RNAを、TaqManリアルタイムPCR解析にかけた。さらなる詳細は、実施例1から理解することができる。対照としては、鎖LUC−BおよびLUC−Aからなる、ルシフェラーゼ特異的なsiRNA分子を含有するリポプレックスを用いた。ローディング対照としては、PTENを用いた。TaqMan解析の結果を、図3、6、7、10、12、13に示す。
【0189】
図3から理解されうる通り、配列番号4および5、配列番号14および15、配列番号16および17、配列番号18および19、ならびに配列番号22および23により形成される任意のsiRNA分子を含有するリポプレックスが、B16V細胞およびMS−1細胞の両方において、Ang−2の発現を阻害するのに特に有効であったのに対し、配列番号6および7、配列番号8および9、ならびに配列番号10および11により形成される任意のsiRNA分子を含有するAng−2特異的リポプレックスは、被験細胞株のうちの1つにおいて、活性でないか、またはある程度活性であるに過ぎなかった(図3)。
【0190】
配列番号14および15、または配列番号16および17により形成されたsiRNAは、いずれの細胞株においても極めて強力であった。アンチセンス鎖の3’末端において、これらのsiRNA構築物を伸長させることにより、23マーの有効なsiRNA分子(配列番号48および49、ならびに配列番号50および51により形成される)がもたらされた。このアッセイにおいて、およびヒト細胞株で調べた場合(図14)のいずれにおいても、((64番および65番のsiRNAとは対照的に)アンチセンス鎖の配列が、ヒトANG2 mRNAと完全に相補性ではないものの)配列番号48および49により形成されるsiRNAが、最も強力であることが分かった(図7)。他のsiRNA配列も、既に公表されているsiRNA配列と比較した(図9、Ang2−Bhandari_A+Bは3’−TT突出を有する19マーの配列、Bhandariら、2006)。3’末端および5’末端それぞれにおいて4つの相補的な塩基を付加することによって、ANG2 mRNAに相補的な19マーの配列を伸長することにより、デオキシ−TT突出を包含する19マーのdsRNAと、その2つの23マーの平滑末端変異体として、公表配列を合成した(図9)。結果として得られる2つの23マーの平滑末端変異体(Ang2−Bhandari_A+B、およびAng2−Bhandari_Atu23_A+B、図9)を、前述の通りに2’−O−メチル修飾により化学的に安定化させ、合成し、配列番号48および49を介して形成されるsiRNA分子によるトランスフェクション実験において並行して調べた。TaqMan−PCRを介するmRNAレベルの決定により明らかとなる通り、配列番号48および49により形成されるsiRNA分子は、公表配列(19マーのTTを有する「Bhandari」)、またはその誘導体(平滑末端、修飾、伸長させた23マー、図9)より、なおより強力ではないにせよ、同等に強力であった(図10)。マウスAng2を標的とする、新規にデザインされたさらに8つの23マー(ANGT2分子、図11)により、in vitroにおける別のスクリーニングを実施したところ、9番のANG2 siRNA分子を含めた他の23マーのsiRNAと比較して、より強力な別のsiRNAがもたらされたことは驚くべきことである(図11および12を参照されたい)。対照比較による力価決定実験では、より良好な効力を示すことが強調された(図12)。この実施例からは、Ang−2 mRNAの異なる領域を標的とする異なるsiRNA分子が、標的mRNAをノックダウンすることに関して異なる活性を示すことが理解されうる。
【実施例5】
【0191】
[PLY感染または肺炎球菌感染により刺激された肺における、静脈内siRNAAng2リポプレックスによる肺血管バリア機能の改善]
肺の微小血管透過性の増大は、ALI(急性肺傷害)またはそのより重篤な形態であるARDS(急性呼吸窮迫症候群)の発症および進行における主要な事象である(Aird、2003;Ware 2006、ManiatisおよびOrfanos、2008)。マウスを、4日間連続で、19マーのsiRNAAng2リポプレックスにより静脈内処置(尾静脈への低圧ボーラス注射)した。対照として、siRNALucリポプレックスおよび関連のないsiRNA標的2リポプレックスを並行して適用した。その後、単離ニューモリシン(PLY)により刺激した肺(ex vivoにおける単離灌流マウス肺系、図4〜5)において、肺血管透過性を測定した。対照試料と異なり、PLYは、HSAの微小血管透過性を劇的に増大させた。しかし、siRNALucリポプレックスまたはsiRNA標的2リポプレックスにより処置した対照動物とは異なり、siRNAAng2で処置した動物に由来する肺における平均血管透過性が著明に低かったことは、PLYによる侵襲から血管系が防御されたことを示唆する(図5)。肺炎球菌(Pneumococcus)属の肺感染(=病原性肺炎球菌の吸入後における、肺炎)によりマウスを接種し、Ang2 siRNAリポプレックスにより処置した後においても、in vivoにおいて同様の結果が得られた(図5、6)。ここでも、対照群に由来する動物とは異なり、Ang2リポプレックス処置により、血管漏出に対する防御がなされた。肺炎球菌感染したときに、siRNAAng2リポプレックスによる静脈内処置が、関連のないsiRNALucリポプレックス/siRNA標的2リポプレックス対照と比較して、血管透過性に対する防御効果を及ぼすさらなる実験においても、この知見は裏付けられた(図6A)。RNAiを介してAng2発現の下方制御を誘発するのにリポプレックスが果たす機能性は、in vivoにおける実験を実施する前に、細胞培養物中において確認された(図6B)。加えて、siRNAAng2リポプレックスで処置したマウスに由来する肺においてバリア機能が改善されること、対応する試料中においてAng2 mRNAの発現が標的特異的にノックダウンされることも観察された(図6C)。7番のsiRNA分子(図2を参照されたい)の3’側伸長変異体、すなわち、9番のsiRNA分子(図11を参照されたい)も、上記で説明したex vivoにおける別のIPML実験において、同じ防御効果を示した(図8)。
【実施例6】
【0192】
[19マーのsiRNAおよびそれらの対応する3’側伸長23マー変異体の特徴付け]
19マーの初期リードsiRNA分子である7番および8番のsiRNA(また、図2を参照されたい)、ならびにそれらの対応する3’側伸長23マー変異体を、HUVECにおけるトランスフェクション実験による力価決定によりさらに特徴付けた。図15に示す通り、(上記で説明した通り)いずれの19マー分子(マウスmRNAおよびヒトmRNAの両方に対して完全にマッチする)も、非処置試料と比較して、明確に用量依存的なサイレンシング活性を示すのに対し、対応する23マー(図15に示す)は、培養ヒト細胞において、効力の明確な差違を示した。ヒトAng−2 mRNAに対して1つのミスマッチを保有する9番の23マーのsiRNAは、23マーのsiRNAより強力であった。
【実施例7】
【0193】
[ヒトAng−2のmRNAを標的とする23マーのsiRNA分子の特徴付け]
ヒトAng−2のmRNA配列を標的とする16個の23マーsiRNA分子の別のセット(11〜26番のAtuRNAi分子)をデザインおよび合成した(図16、配列番号73〜104)。26番のsiRNA分子は、9番のマウスsiRNA分子(配列番号68、69)のヒト変異体であり、マウスsiRNA変異体に対して1つのミスマッチを保有する。表示の条件(図17)でヒト内皮細胞(HUVEC)にトランスフェクトすることにより、これらのsiRNAを、RNAiの有効性について調べ、qRT−PCRによりAng2 mRNAレベルを評価した。新規のヒトリードsiRNAを同定し(13、19、21、23、24、25番、図18)、さらなるトランスフェクション実験においてさらに特徴付けし、既に同定したヒトおよびマウスのsiRNAリード分子(4番は配列番号8、9)、マウス特異的なsiRNA(5番は陰性対照)のほか、7番の19マー初期リードsiRNAの変異体、ならびにそのマウスおよびヒトの23マー変異体と比較した。結論として述べると、ヒトsiRNAをスクリーニングしたところ、トランスフェクション実験において、新規の23マーのsiRNA分子が、mRNAを抑制するのに同様の有効性を示すことが明らかとなった。
【実施例8】
【0194】
[肺炎球菌による感染後のマウスにおいて肺炎が発達するときの、Tie2−Ang系構成要素の発現レベル]
図19Aに示す通り、肺炎球菌による感染後のマウスにおいて肺炎が発達するときの、Tie2−Ang系構成要素の発現レベルの変化を観察した。この実験では、吸入により細菌を施し、48時間にわたり、肺炎の進行についてモニタリングした。表示される各時点の後、感染マウスおよび非感染マウスに由来する動物n=6匹のコホートを屠殺し、肺組織を分析した。対応する試料中におけるTie2、Ang1、Ang2、およびPTENのmRNAレベルを決定するため、TaqMan PCRにより、各試料に由来する全RNAを単離および解析した。各群の平均値を経時的にプロットしたところ、感染マウスにおいては、Ang1およびTie2のmRNAレベルが、非感染マウスと比較して経時的に低下することが示された。Ang2のmRNAレベルが、非感染対照と比較して経時的に上昇したことは、驚くべきことである。
【0195】
それに対して抗体が得られるTie−2タンパク質レベルは、表示のマウスに由来するタンパク質抽出物についてのウェスタンブロットにより示される通り、経時的に低下した(図19B)。
【0196】
参考文献
【表7】
【0197】
本明細書、特許請求の範囲、配列表、および/または図面において開示される本発明の特徴は、個別に、かつ、それらの任意の組合せにおいて、その各種の形態における本発明を実現するための材料でありうる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ANG2の発現を阻害するのに適した二本鎖核酸と、その使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼTie2は、血管の発達に必要であり、2つのリガンドであるアンジオポエチン(ANG1およびANG2)は、十分に特徴付けされている(FiedlerおよびAugustin、2006)。ANG1は、血管周囲細胞によって発現され、Tie2の活性化因子である。ANG1はまた、発達時における血管の安定化および成熟にも必要である。しかし、ANG2は、培養内皮細胞上におけるTie2を活性化しない(ある程度の例外もある)。ANG2は、血管のリモデリングが活発な内皮細胞内において選択的に発現することが示唆されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当技術分野では、炎症性疾患を治療するか、または炎症を軽減するためのsiRNAの使用を含め、in vitroおよびin vivoにおけるANG2の発現をサイレンシングまたはノックダウンする手段が継続的に必要とされている。本発明は、組成物、ANG2を指向するsiRNAを使用する方法、およびこれを作製する方法を発見することによって、これらの満たされていない必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、発現したANG2のRNA転写物(本明細書では、場合によって、「標的核酸」と称する)を指向する短鎖干渉RNA(siRNA)を含む組成物に関する。これらのsiRNA分子は、ANG2遺伝子産物の発現を低減することが望ましい各種の疾患および障害を治療するのに用いることができる。
【0005】
以下の図面から、さらなる特徴、実施形態、および利点について理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】Tie2/Ang(1、2)シグナル伝達経路に関するシグナルの影響度を示す影響力の均衡図である。
【図2】in vitroにおけるスクリーニングのためにデザインされた19マーのAng2−AtuRNAi分子の配列を示す図である。太字のヌクレオチドは、2’位においてO−メチル基により修飾されている。
【図3】マウスB16V細胞およびMS1細胞における、強力なAng2−siRNA分子(19マーのAtuRNAi分子)を得るためのスクリーニングを示す図である。試験された19マーのsiRNA−Ang2は、図2で同定した通りである。本明細書で開示される任意のsiRNA分子の特異性についての呼称は、次の通り、「h」はヒト、「m」はマウス、「r」はラット、「hm」はヒトおよびマウス、「hr」はヒトおよびラット、「mr」はマウスおよびラット、ならびに「hmr」はヒト、マウス、およびラットである。
【図4】ex vivoにおける、PLYにより誘導される血管透過性の測定、ならびにIPML(単離灌流マウス肺)モデルの使用についての実験概略を示す図である。
【図5】IPML(ex vivo)アッセイおよび肺炎感染(in vivo)アッセイにより示されるsiRNAAng2リポプレックスの処置後における血管透過性の低減を示す図である。これらのアッセイでは、図2で同定した7番のsiRNA分子を用いた。
【図6】肺炎球菌(S.pneumoniae)を感染させた肺を用いたin vivoの透過性アッセイにおける、siRNAAng2リポプレックス処置の効果を示す図である(A)。対応する処置群に由来する肺におけるAng2のmRNAおよびTie2のmRNAに対するノックダウンを示す図である(B)。表示のsiRNA濃度でsiRNAAng2リポプレックスおよびsiRNALucリポプレックスをトランスフェクトしたHUVECにおける、RNAiを介するAng2−mRNA発現の抑制を示す図である(C)。これらのアッセイでは、図2で同定した7番のsiRNA分子を用いた。
【図7】B16Vにおいて、Ang2 siRNAを、19マーから23マーへと伸長させたことを示す図である。9番のsiRNA(図11)の活性を、7番のsiRNA(図11)の活性と比較する。試験により、図11で同定される9番のsiRNA分子が、Ang2 mRNA発現を抑制するのに強力なsiRNA分子であることが確立される。
【図8】19マーまたは23マーのsiRNAAng2リポプレックスにより静脈内処置されたマウスに由来する肺における血管透過性の低減を示す図である。パネルAおよびBにおいてそれぞれ、7番のsiRNA分子(図2)および9番のsiRNA分子(図11)が比較される。
【図9】トランスフェクション実験において、9番のAtuRNAi分子(図11)を、公表されているsiRNA(Bhandariら、2006)およびこれらの誘導体と比較して調べたことを示す図である。
【図10】B16Vにおいて、Ang2−siRNAのRNAiの有効性を比較したことを示す図である。異なる濃度のsiRNAにおける2つの実験である。凡例:1は、9番のsiRNA(図11)。2は、Alnylam社製のTT突出を有する21マーのAng2−Bhandari(Nat Med.2006年11月;12(11):1286〜93による配列)。3は、平滑末端の23マー(3’末端からの伸長)としての「Bhandari配列」であるAng2−Bhandari 3。4は、5’末端から伸長させた23マーのAtuRNAi「Bhandari配列」であるAng2−Bhandari Atu23。
【図11】スクリーニングのための代替的な23マーのAng2 AtuRNAi分子を示す図である。9つの異なるsiRNA分子を示す。太字のヌクレオチドは、O−メチル基により2’位が修飾されている。
【図12】B16Vにおいて、Ang2に対するさらなる23マー(図11に示す)のスクリーニングと、それらの有効性の試験を示す図である。
【図13−14】B16Vおよび組織培養物中において、図11の各種のAng2 siRNA分子を特徴付けしたことを示す図である。
【図15】HUVECにおいて、ANG2リードsiRNAである19マー、ならびに対応する23マーの有効性を試験したこと示す図である。
【図16−18】ヒトANG2に対する強力な分子をスクリーニングするためにデザインされた代替的な23マーのAng2 AtuRNAi分子について示す図である。16個の異なるsiRNA分子を示す。HUVECにおいてトランスフェクション実験を行うことにより、ANG2遺伝子の発現を阻害する効力が明らかとなった。
【図19】マウスにおいて、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)を感染させたときの、アンジオポエチン−Tie2系(ANG1、ANG2、Tie2)の遺伝子発現に対する差次的制御について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、ヒトANG2をコードするmRNA配列である。この配列は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとするGenBank受託番号NM_001147.2において示されるcDNA配列から転換されたものである。
【0008】
配列番号2〜69および73〜104は、例示的なセンスsiRNA配列およびアンチセンスsiRNA配列である。
【0009】
配列番号70は、マウスANG2をコードするmRNA配列である。この配列は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとするGenBank受託番号NM_007426.3において示されるcDNA配列から転換されたものである。
【0010】
配列番号71および72は、ヒトANG2の変異体のmRNA配列である。これらの配列は、それぞれ、GenBank受託番号NM_001118887.1およびNM_001118888.1において示されるcDNA配列から転換されたものである。これらのGenBank受託番号の各々は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0011】
(詳細な説明)
本発明は、発現したANG2のRNA転写物(本明細書では、場合によって、「標的核酸」と称する)を指向する短鎖干渉RNA(siRNA)を含む組成物に関する。本発明のsiRNAは、二本鎖領域または二重鎖領域を含む核酸分子である。本発明はさらに、ANG2の発現レベルを低減するsiRNA組成物を用いる方法にも関する。遺伝子発現に言及するときに本明細書で用いられる「サイレンシング」または「ノックダウン」という用語は、遺伝子発現の低減を意味する。本発明はさらに、siRNAを作製する方法にも関する。
【0012】
一態様では、標的核酸が、哺乳動物ANG2遺伝子から発現したRNAである。一実施形態では、標的核酸が、マウスANG2から発現したRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2から発現したRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2 mRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、ヒトANG2 hnRNAである。別の実施形態では、標的核酸が、配列番号1、70、71、または72の配列を含むmRNAである。
【0013】
本発明のsiRNAは、ANG2の発現を阻害するのに適する。したがって、本発明によるsiRNAは、哺乳動物細胞におけるANG2 mRNAの低減を結果としてもたらすRNA干渉反応を誘発するのに適する。本発明によるsiRNAはさらに、遺伝子発現をmRNAレベルで減少させることにより、ANG2タンパク質の発現を減少させるのにも適する。
【0014】
siRNAのデザイン:本発明のsiRNAは、核酸の二本の鎖、すなわち第1のアンチセンス鎖および第2のセンス鎖を含む。核酸は通常、リボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドからなるが、核酸は、本明細書で説明されるデオキシヌクレオチド(DNA)を含む場合がある。siRNAはさらに、アンチセンス鎖の全部または一部と、センス鎖の全部または一部とにより形成される二本鎖核酸部分または二重鎖領域も含む。センス鎖と共に二重鎖領域を形成するアンチセンス鎖の部分を、アンチセンス鎖二重鎖領域、または単に、アンチセンス二重鎖領域とし、アンチセンス鎖と共に二重鎖領域を形成するセンス鎖の部分を、センス鎖二重鎖領域、または単に、センス二重鎖領域とする。二重鎖領域は、アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される最初の塩基対で始まり、アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される最後の塩基対で終わるもの(最初の塩基対と最後の塩基対を含む)として定義される。siRNAの二重鎖領域の両側の部分は隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域の両側におけるアンチセンス鎖部分は、アンチセンス隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域に対して5’側にあるアンチセンス鎖部分は、5’側のアンチセンス隣接領域である。アンチセンス二重鎖領域に対して5’側にあるアンチセンス鎖部分は、3’側のアンチセンス隣接領域である。センス二重鎖領域の両側におけるセンス鎖部分は、センス隣接領域である。センス二重鎖領域に対して5’側にあるセンス鎖部分は、5’側のセンス隣接領域である。センス二重鎖領域に対して5’側にあるセンス鎖部分は、3’側のセンス隣接領域である。
【0015】
相補性:一態様では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とが、相互に完全に相補的であり、少なくとも部分的に相補的である。このような相補性は、ワトソン−クリックによる塩基対合(すなわち、A:UおよびG:Cの塩基対合)に基づく。siRNAの長さに応じて、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との塩基間相補性の点で完全なマッチが必ずしも必要とされることはないが、アンチセンス鎖とセンス鎖とは、生理学的条件下でハイブリダイズ可能でなければならない。
【0016】
一実施形態では、アンチセンス鎖とセンス鎖との相補性が完全である(いずれの鎖にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0017】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全である(いずれの鎖の二重鎖領域にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0018】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全ではない。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択され、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とを含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択されるsiRNAが、ANG2の発現を、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との同一性が完全な二重鎖領域を有する比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。本明細書で用いられる「比較siRNA」という用語とは、特定の差違を除き、それが比較されるsiRNAと同一であり、同一の条件下で調べられるsiRNAである。
【0019】
siRNAを用いるRNAiは、アンチセンス鎖の全部または一部と、標的核酸の一部との間における二重鎖領域の形成を伴う。アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される最初の塩基対で始まり、アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される最後の塩基対で終わる領域(最初の塩基対と最後の塩基対を含む)として定義される、アンチセンス鎖と共に二重鎖領域を形成する標的核酸の部分を、標的核酸配列、または単に、標的配列とする。アンチセンス鎖とセンス鎖との間で形成される二重鎖領域は、アンチセンス鎖と標的配列との間で形成される二重鎖領域と同じでありうるが、そうである必要はない。すなわち、センス鎖は、標的配列と異なる配列を有しうるが、アンチセンス鎖は、センス鎖および標的配列のいずれとも二重鎖構造を形成することが可能でなければならない。
【0020】
一実施形態では、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である(いずれの核酸にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0021】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域(センス鎖と共に二重鎖領域を形成するアンチセンス鎖の部分)と標的配列との相補性が完全である(いずれの核酸にもヌクレオチドのミスマッチ、または付加/欠失ヌクレオチドがみられない)。
【0022】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列との相補性が完全ではない。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択され、アンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域と標的配列の相補的配列との同一性が、少なくとも75%、80%、85%、90%、および95%からなる群から選択されるsiRNAが、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との同一性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0023】
別の実施形態では、本発明のsiRNAが二重鎖領域を含み、アンチセンス二重鎖領域が、センス二重鎖領域内のヌクレオチドと塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有し、前記siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。塩基対合の欠如は、塩基間において相補性が欠如する(すなわち、ワトソン−クリックによる塩基対合が見られない)ためであるか、またはバルジが創出されるように、アンチセンス二重鎖領域もしくはセンス二重鎖領域において対応するヌクレオチドが存在しないためである。一実施形態では、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、前記センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドと塩基対合する比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0024】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、センス鎖と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10からなる群から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス鎖もしくはセンス鎖において対応するヌクレオチドが存在しないためである。対応するヌクレオチドの欠如は、アンチセンス鎖またはセンス鎖において、一本鎖の突出またはバルジ(二重鎖領域の場合)を結果としてもたらす。一実施形態では、センス鎖と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、センス鎖のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。一実施形態では、標的配列とミスマッチする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記センス鎖のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。別の実施形態では、ミスマッチヌクレオチドのすべてが二重鎖領域の外にある。
【0025】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、または5から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス二重鎖領域またはセンス二重鎖領域においてバルジが創出されるように、アンチセンス二重鎖領域もしくはセンス二重鎖領域において対応するヌクレオチドが存在しないためである。一実施形態では、センス二重鎖領域と塩基対合しない、1、2、3、4、および5からなる群から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、前記センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0026】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、標的配列と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有し、前記アンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。相補性の欠如は、塩基間において相補性が欠如するためであるか、またはアンチセンス鎖もしくは標的配列において対応するヌクレオチドが存在しないためである。対応するヌクレオチドの欠如は、アンチセンス鎖または標的配列において、バルジを結果としてもたらす。一実施形態では、標的配列と塩基対合しない、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記標的配列のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。一実施形態では、標的配列とミスマッチする、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数のヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAが、ANG2の発現を、前記アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが前記標的配列のすべてのヌクレオチドと相補的である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0027】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域および標的配列両方との相補性が、アンチセンス二重鎖領域と、センス二重鎖領域または標的配列とが、生理学的条件(生理学的緩衝液中において37℃)下で互いにハイブリダイズするような相補性であり、siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。一実施形態では、生理学的条件下においてセンス二重鎖領域および標的配列にハイブリダイズするアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0028】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下でアンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域とがハイブリダイズするような相補性であり、ANG2の発現を低減するのに適する。400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下で互いにハイブリダイズするアンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス二重鎖領域とセンス二重鎖領域との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0029】
別の実施形態では、siRNAのアンチセンス鎖と標的配列との相補性が、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下でアンチセンス鎖と標的配列とがハイブリダイズするような相補性であり、siRNAが、ANG2の発現を低減するのに適する。400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、70℃の条件下で標的配列にハイブリダイズするアンチセンス鎖を含むsiRNAは、ANG2の発現を、アンチセンス鎖と標的配列との相補性が完全である比較siRNAの、少なくとも25%、50%、または75%低減しうる。
【0030】
長さ:より短いRNAi分子が一般には好ましいが、数十または数百の塩基対を含む長い核酸分子を用いるRNA干渉が観察されている。
【0031】
一実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24塩基対からなる群から選択される。一実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24連続塩基対からなる群から選択される。別の実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35塩基対からなる群から選択される。別の実施形態では、siRNA二重鎖領域の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35連続塩基対からなる群から選択される。
【0032】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0033】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択される。一実施形態では、センス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0034】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から独立して選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から独立して選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しい。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択される。
【0035】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含む。
【0036】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さが、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含む。
【0037】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0038】
一実施形態では、センス鎖の長さが、約16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0039】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0040】
一実施形態では、アンチセンス鎖の長さおよびセンス鎖の長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0041】
一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0042】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、約16〜35、16〜30、17〜35、17〜30、17〜25、17〜24、18〜29、18〜25、18〜24、18〜23、19〜25、19〜24、19〜23、20〜25、20〜24、21〜25、および21〜24ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0043】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の長さが等しく、該長さが、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35ヌクレオチドからなる群から選択され、アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、または68のヌクレオチド配列を含み、センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、または69のヌクレオチド配列を含む。
【0044】
特定の実施形態は、アンチセンス鎖およびセンス鎖の組合せ(配列番号により同定される)、すなわち、2および3、4および5、6および7、8および9、10および11、12および13、14および15、16および17、18および19、20および21、22および23、24および25、26および27、28および29、30および31、32および33、34および35、36および37、38および39、40および41、42および43、44および45、46および47、48および49、50および51、52および53、54および55、56および57、58および59、60および61、62および63、64および65、66および67、ならびに68および69を提供する。
【0045】
末端(突出末端および平滑末端):本発明のsiRNAは、突出を含む場合もあり、平滑末端である場合もある。本明細書で用いられる「突出」は、当技術分野において通常かつ常套的な意味、すなわち、二本鎖核酸における相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸長する核酸の一本鎖部分という意味を有する。「平滑末端」という用語は、末端のヌクレオチド(複数可)が塩基対合しているかどうかに関わらず、同じ位置で終結する二本鎖核酸を包含する。一実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端のヌクレオチドが塩基対合する。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端のヌクレオチドが塩基対合しない。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端の2つのヌクレオチドが塩基対合する。別の実施形態では、平滑末端におけるアンチセンス鎖およびセンス鎖の末端の2つのヌクレオチドが塩基対合しない。
【0046】
一実施形態では、siRNAが、一方の末端において突出を有し、他方の末端において平滑末端を有する。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において平滑末端である。一実施形態では、siRNAが、一方の末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の5’末端およびセンス鎖の3’末端を有する末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の5’末端を有する末端において平滑末端である。別の実施形態では、siRNAが、両方の末端において平滑末端である。
【0047】
別の実施形態では、siRNAが、3’末端または5’末端において突出を含む。一実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端の両方において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、センス鎖の5’末端および3’末端の両方において突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有し、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有し、センス鎖において5’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において3’突出を有し、センス鎖において3’突出を有する。別の実施形態では、siRNAが、アンチセンス鎖において5’突出を有し、センス鎖において5’突出を有する。
【0048】
一実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、センス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。一実施形態では、センス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0049】
修飾:別の態様は、siRNAの修飾に関する。本発明によるsiRNAは、リボ核酸または修飾リボ核酸である。本発明のsiRNAの化学修飾は、天然RNA分子に固有の、in vitroおよびin vivoにおける安定性およびバイオアベイラビリティーが含まれるがこれらに限定されない潜在的な限界を克服するのに強力なツールを提供する。化学修飾siRNAはまた、ヒトにおけるインターフェロン活性を活性化する可能性も最小化しうる。化学修飾はさらに、標的細胞への、siRNAの機能的な送達も増強しうる。本発明の修飾siRNAは、アンチセンス鎖またはセンス鎖の一方または両方に対する、1個以上の化学修飾リボヌクレオチドを含みうる。リボヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、またはリン酸部分の化学修飾を含みうる。
【0050】
塩基部分に対する修飾:二次的な態様は、塩基部分に対する修飾に関する。本発明のsiRNAの1個以上のヌクレオチドは、修飾塩基を含みうる。「修飾塩基」とは、1’位におけるアデニン、グアニン、シトシン、またはウラシル以外のヌクレオチド塩基を意味する。
【0051】
一態様では、siRNAが、修飾塩基を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。一実施形態では、修飾塩基が、アンチセンス鎖上にある。別の実施形態では、修飾塩基が、センス鎖上にある。別の実施形態では、修飾塩基が、二重鎖領域にある。別の実施形態では、修飾塩基が、二重鎖領域の外、すなわち一本鎖領域にある。別の実施形態では、修飾塩基が、アンチセンス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、修飾塩基が、センス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾塩基を有するヌクレオチドである。
【0052】
一実施形態では、siRNAが、1つの修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約2〜4個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約4〜6個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約6〜8個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約8〜10個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約10〜12個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約12〜14個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約14〜16個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約16〜18個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約18〜20個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約20〜22個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約22〜24個の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約24〜26の修飾塩基を有する。別の実施形態では、siRNAが、約26〜28個の修飾塩基を有する。各場合において、前記修飾塩基を含むsiRNAは、同じではあるが前記修飾塩基を有さないsiRNAと比較して、その活性の少なくとも50%を保持する。
【0053】
一実施形態では、修飾塩基がプリンである。別の実施形態では、修飾塩基がピリミジンである。別の実施形態では、プリンのうちの少なくとも半分が修飾されている。別の実施形態では、ピリミジンのうちの少なくとも半分が修飾されている。別の実施形態では、プリンのすべてが修飾されている。別の実施形態では、ピリミジンのすべてが修飾されている。
【0054】
別の実施形態では、siRNAが、修飾塩基を含むヌクレオチドを含み、塩基が、2−アミノアデノシン、2,6−ジアミノプリン、イノシン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)、6−アザピリミジン、6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピン、ケウオシン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ−D−ガラクトシルケウオシン、1−メチルアデノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、3−メチルシチジン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メチルカルボニルメチルウリジン、5−メチルオキシウリジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、ベータ−D−マンノシルケウオシン、ウリジン−5−オキシ酢酸、および2−チオシチジンからなる群から選択される。
【0055】
別の態様では、本発明のsiRNAが、脱塩基ヌクレオチドを含む。本明細書で用いられる「脱塩基」という用語は、1’位において、塩基を欠くか、または塩基の代わりに他の化学基を有する部分、例えば、3’、3’連結または5’、5’連結された脱塩基デオキシリボース誘導体を指す。本明細書で用いられる、修飾塩基を有するヌクレオチドは、脱塩基ヌクレオチドを包含しない。一態様では、siRNAが、少なくとも1つの脱塩基ヌクレオチドを含む。一態様では、脱塩基ヌクレオチドが、アンチセンス鎖上にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、センス鎖上にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、二重鎖領域にある。別の態様では、脱塩基ヌクレオチドが、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、脱塩基ヌクレオチドが、アンチセンス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、脱塩基ヌクレオチドが、センス鎖上にあり、二重鎖領域の外にある。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、脱塩基ヌクレオチドである。別の実施形態では、siRNAが、1、2、3、4、5、および6からなる群から選択される数の脱塩基ヌクレオチドを有する。
【0056】
糖部分に対する修飾:別の二次的な態様は、糖部分に対する修飾に関する。本発明のsiRNAの1個以上のヌクレオチドは、修飾リボース部分を含みうる。
【0057】
2’−OHが置換される2’位における修飾には、アルキル、置換アルキル、アルカリル−、アラルキル−、−F、−Cl、−Br、−CN、−CF3、−OCF3、−OCN、−O−アルキル、−S−アルキル、HS−アルキル−O、−O−アルケニル、−S−アルケニル、−N−アルケニル、−SO−アルキル、−アルキル−OSH、−アルキル−OH、−O−アルキル−OH、−O−アルキル−SH、−S−アルキル−OH、−S−アルキル−SH、−アルキル−S−アルキル、−アルキル−O−アルキル、−ONO2、−NO2、−N3、−NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ−、アミノアルキル−、アミノアルコキシ、アミノ酸、アミノアシル−、−ONH2、−O−アミノアルキル、−O−アミノ酸、−O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル−、ヘテロシクロアルカリル−、アミノアルキルアミノ−、ポリアルキルアミノ−、置換シリル−、メトキシエチル−(MOE)、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択される非限定的な例が含まれる。2’ヒドロキシルが、例えば、メチレン架橋を介して、同じリボース糖の4’炭素に連結される「ロックされた」核酸(LNA)も、本発明の2’修飾としてさらに含まれる。好ましい置換基は、2’−メトキシエチル、2’−OCH3、2’−O−アリル、2’−C−アリル、および2’−フルオロである。
【0058】
一実施形態では、siRNAが、1〜5個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、5〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、15〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、20〜25個の2’修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、25〜30個の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0059】
一実施形態では、アンチセンス鎖が、1〜2個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約2〜4個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約4〜6個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約6〜8個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約8〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約10〜12個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約12〜14個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約14〜16個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約16〜18個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約18〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約22〜24個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約24〜26個の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0060】
一実施形態では、センス鎖が、1〜2個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約2〜4個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約4〜6個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約6〜8個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約8〜10個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約10〜12個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約12〜14個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約14〜16個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約16〜18個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約18〜20個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約22〜24個の2’修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約24〜26の2’修飾ヌクレオチドを含む。
【0061】
一実施形態では、siRNAが、1〜5個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、5〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、15〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、20〜25個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAが、25〜30個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0062】
一実施形態では、アンチセンス鎖が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス鎖が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0063】
一実施形態では、センス鎖が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、センス鎖が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0064】
一実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、1〜5個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、5〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、15〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、20〜25個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、siRNAの二重鎖領域が、25〜30個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0065】
一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0066】
一実施形態では、センス二重鎖領域が、1〜2個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約2〜4個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約4〜6個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約6〜8個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約8〜10個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約10〜12個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約12〜14個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約14〜16個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約16〜18個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約18〜20個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約22〜24個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、約24〜26個の2’−OCH3修飾ヌクレオチドを含む。
【0067】
一実施形態では、siRNAが、19ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、19ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、および19において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、および18において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、20ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、20ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、および19において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、21ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、21ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、22ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、22ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、および22において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、および23において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、および22において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。
【0068】
別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド3、5、7、9、11、13、15、および17において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド4、6、8、10、12、14、および16において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド5、7、9、11、13、および15において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド6、8、10、12、および14において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から 3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、9、11、および13において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、10、および12において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から 5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、9、および11において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、10、および12において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド7、および9において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、および10において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’から3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。別の実施形態では、siRNAが、18〜23ヌクレオチドの長さのアンチセンス鎖と、18〜23ヌクレオチドの長さのセンス鎖とを含み、前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド9、および11において2’−OCH3修飾を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド8、および10において2’−OCH3修飾を含み、前記アンチセンス鎖が5’に3’に番号付けされ、前記センス鎖が3’から5’に番号付けされる。
【0069】
さらなる実施形態では、siRNAが、以下のヌクレオチド配列を含み、該配列が、大文字で示されたヌクレオチド上において2’−OCH3修飾を含む。
【0070】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−デオキシヌクレオチドを含む。
【0071】
別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−デオキシヌクレオチドを含む。
【0072】
別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−フルオロヌクレオチドを含む。
【0073】
別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個の2’−フルオロヌクレオチドを含む。
【0074】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0075】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0076】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0077】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0078】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0079】
別の実施形態では、アンチセンス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0080】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0081】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0082】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0083】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0084】
別の実施形態では、センス鎖内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0085】
別の実施形態では、センス鎖内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0086】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0087】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0088】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0089】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0090】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0091】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0092】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0093】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0094】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0095】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0096】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0097】
別の実施形態では、センス二重鎖領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0098】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0099】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0100】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0101】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0102】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0103】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0104】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。
【0105】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。
【0106】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンヌクレオチドである。
【0107】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。
【0108】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のピリミジンヌクレオチドが、2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
【0109】
別の実施形態では、センス二重鎖隣接領域内のプリンヌクレオチドが、2’−フルオロプリンヌクレオチドである。
【0110】
パターン:一態様では、アンチセンス二重鎖領域が、本明細書で「修飾群」と称する複数の修飾ヌクレオチド群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、本明細書で「隣接群」と称する第2のヌクレオチド群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内における各修飾群が同一である、すなわち、各修飾群が、同一の形で修飾された同等数のヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0111】
別の態様では、センス二重鎖領域が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス二重鎖領域内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、センス二重鎖領域内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0112】
別の態様では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の各々が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域内における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、同じ修飾群および同じ隣接群を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域における前記修飾群の複数のヌクレオチドの各々が、修飾2’位を含む。
【0113】
一態様では、アンチセンス鎖が、本明細書で「修飾群」と称する複数の修飾ヌクレオチド群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、本明細書で「隣接群」と称する第2のヌクレオチド群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖内における各修飾群が同一である、すなわち、各修飾群が、同一の形で修飾された同等数のヌクレオチドからなる。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0114】
別の態様では、センス鎖が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、センス鎖内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、各隣接群が同一である。別の実施形態では、センス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドが、修飾塩基を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、前記修飾群のヌクレオチドが、修飾2’位を含む。
【0115】
別の態様では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の各々が、複数の修飾群を含み、各修飾群が、同一の形で修飾された1個以上の修飾ヌクレオチドからなり、各修飾群が、片側または両側において、隣接群により挟まれ、前記各隣接群が、非修飾であるかまたは前記修飾群のヌクレオチドとは異なる形で修飾されている、1個以上のヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各隣接群が、同等数のヌクレオチドを有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、同じ修飾群および同じ隣接群を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾塩基を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾リン酸骨格を含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖内における前記修飾群のヌクレオチドの各々が、修飾2’位を含む。
【0116】
別の態様では、修飾群および隣接群が、アンチセンス鎖上において、規則的なパターンを形成する。別の態様では、修飾群および隣接群が、センス鎖上において、規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方において、規則的なパターンを形成する。別の実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス二重鎖領域上において、規則的なパターンを形成する。別の態様では、修飾群および隣接群が、センス二重鎖領域上において、規則的なパターンを形成する。一実施形態では、修飾群および隣接群が、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の両方において、規則的なパターンを形成する。
【0117】
別の態様では、パターンが、空間パターンまたは位置パターンである。空間パターンまたは位置パターンとは、ヌクレオチド(複数可)が、二本鎖部分のヌクレオチド配列内におけるそれらの位置に応じて修飾されていることを意味する。したがって、修飾されるヌクレオチドが、ピリミジンまたはプリンのいずれであるかは問題とならない。むしろ、修飾ヌクレオチドの位置は、(a)核酸鎖上においてそれが番号付けされた位置(該鎖の5’末端のヌクレオチドを1位として、5’末端から3’末端へとヌクレオチドを番号付けする(アンチセンス鎖およびセンス鎖のいずれも、それら各々の5’末端のヌクレオチドから番号付けする))、または(b)隣接群に対する修飾群の位置に依存する。したがって、この実施形態によれば、修飾パターンは、修飾される配列に関わらず常に同じである。
【0118】
別の実施形態では、アンチセンス鎖上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、センス鎖上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のアンチセンス鎖上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のセンス鎖上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の一方または両方における修飾群の数および隣接群の数が同じである。
【0119】
別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、センス二重鎖領域上における修飾群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のアンチセンス二重鎖領域上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、核酸のセンス二重鎖領域上における隣接群の数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の一方または両方における修飾群の数および隣接群の数が同じである。
【0120】
一実施形態では、鎖上または二重鎖領域上における修飾群の数および隣接群の数が同じである。別の実施形態では、鎖上または二重鎖領域上における修飾群の数および隣接群の数が同じであり、その数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。
【0121】
別の実施形態では、修飾群内におけるヌクレオチド数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。別の実施形態では、隣接群内におけるヌクレオチド数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14から選択される。
【0122】
一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群が同一である。一実施形態では、アンチセンス二重鎖領域上およびセンス二重鎖領域上の両方における各修飾群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群および各隣接群が同一である。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖上およびセンス二重鎖上の両方における各修飾群および各隣接群が同一である。
【0123】
一実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群、各修飾群の位置、各隣接群、および各隣接群の位置が同一である。一実施形態では、アンチセンス二重鎖上およびセンス二重鎖上の両方における各修飾群、各修飾群の位置、各隣接群、および各隣接群の位置が同一である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における修飾群が、センス鎖上における修飾群と相補的である(アンチセンス鎖およびセンス鎖上における修飾群が、互いに全体にわたり完全に整列される)。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における各修飾群が、センス鎖上における各修飾群と塩基対合するように、修飾群においてミスマッチが見られない。別の実施形態では、センス鎖上における各修飾群が、アンチセンス鎖上における修飾群に対して、1、2、3、4、または5ヌクレオチドシフトしている。例えば、センス鎖上における各修飾群が、1ヌクレオチドシフトし、アンチセンス鎖上における修飾群が、1位で始まったとした場合、センス鎖上における修飾群は、2位で始まるであろう。別の実施形態では、アンチセンス鎖の修飾群がセンス鎖の修飾群と重複しない、すなわち、アンチセンス鎖上における修飾群のヌクレオチドが、センス鎖上における修飾群のヌクレオチドと塩基対合しない。
【0124】
一実施形態では、核酸鎖の末端におけるデオキシリボヌクレオチドが、修飾群の位置を決定する場合に考慮されない、すなわち、位置の番号付けが、第1のリボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドで始まる。別の実施形態では、核酸鎖の末端における脱塩基ヌクレオチドが、修飾群の位置を決定する場合に考慮されない。
【0125】
一態様では、修飾群が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接群が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の5’末端のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、修飾群が、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、隣接群が、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域およびセンス二重鎖領域の一方または両方の最も5’側のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の10位におけるヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、センス鎖の10位におけるヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、修飾群が、センス鎖の10位におけるヌクレオチドを含む。
【0126】
一実施形態では、2’位における修飾が、アミノ、フルオロ、メトキシ、アルコキシ、およびC1〜C3のアルキルを含む群から選択される。別の実施形態では、修飾が、2’−O−メチル修飾である。
【0127】
別の実施形態では、各修飾群が1つのヌクレオチドからなり、各隣接群が1つのヌクレオチドからなる。一実施形態では、アンチセンス鎖上における各修飾群が、センス鎖上における隣接群により整列される。
【0128】
別の態様では、各修飾群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなり、各隣接群が、1つのヌクレオチドからなる。一実施形態では、各隣接群が、1つの非修飾ヌクレオチドからなる。一実施形態では、各隣接群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなる。別の実施形態では、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各修飾群が、1つの2’−O−メチル修飾ヌクレオチドからなり、アンチセンス鎖上およびセンス鎖上の両方における各隣接群が1つのヌクレオチドからなり、1つの鎖上における修飾群が、他の鎖上における別の修飾群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがなく、1つの鎖上における隣接群が、他の鎖上における隣接群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがない。別の実施形態では、任意選択的な突出を除外すれば、各鎖上における各修飾群が、他の鎖上における隣接群により整列されることがないか、またはこれにより整列されることがなく、かつ、これと共に塩基対合することがない。一実施形態では、隣接群が非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖上における1位のヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域の最も5’側のヌクレオチドが、2’−O−メチル修飾されている。
【0129】
位置修飾のスキームについては、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする国際特許出願第WO2004/015107号において説明されている。
【0130】
リン酸骨格に対する修飾:別の二次的な態様は、リン酸骨格に対する修飾に関する。本発明のsiRNAのヌクレオチドの全部または一部は、非修飾核酸において見出される通り、ホスホジエステル結合を介して連結されうる。しかし、本発明のsiRNAは、修飾ホスホジエステル結合を含みうる。アンチセンス鎖またはセンス鎖のホスホジエステル結合を修飾して、窒素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を独立して包含させることができる。一実施形態では、リボヌクレオチドを、隣接するリボヌクレオチドに連結するホスホエステル基を、修飾基により置換する。一実施形態では、ホスホエステル基を置換する修飾基が、ホスホロチオエート基、メチルホスホネート基、またはホスホルアミデート基からなる群から選択される。
【0131】
一実施形態では、アンチセンス鎖のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス鎖のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、センス二重鎖領域のすべてのヌクレオチドが、ホスホジエステル結合を介して連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、アンチセンス二重鎖領域が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、センス鎖が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。別の実施形態では、センス二重鎖領域が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10から選択される数の修飾ホスホエステル基を含む。
【0132】
5’末端および3’末端における修飾:別の二次的な態様は、5’修飾および3’修飾に関する。本発明のsiRNAは、センス鎖上およびアンチセンス鎖上の一方または両方の5’末端または3’末端における1個以上の修飾ヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、非環式リボヌクレオチド、またはデオキシリボヌクレオチドを含む核酸分子を包含しうる。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方の5’末端および3’末端のヌクレオチドが、非修飾である。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の3’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドおよびセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端のヌクレオチドならびにセンス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端および3’末端両方のヌクレオチドが、修飾されている。
【0133】
別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖両方の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されている。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されており、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、遊離ヒドロキシル基(5’−OH)を有する。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドが、リン酸化されており、センス鎖の5’末端のヌクレオチドが、修飾されている。
【0134】
5’末端および3’末端のヌクレオチドに対する修飾は、これらの末端ヌクレオチドにおける5’位および3’位に限定されない。末端ヌクレオチドに対する修飾の例には、とりわけ、例えば、参照することによりそれらの全体が本明細書の一部をなすものとするPCT特許出願WO99/54459、欧州特許EP0586520B1、またはEP0618925B1において説明される、ビオチン、反転(inverted)(デオキシ)脱塩基、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、CN、CF、メトキシ、イミダゾール、カルボキシレート、チオエート、C1〜C10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、またはN−アルキル;O−アルケニル、S−アルケニル、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2、N3;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ、または置換シリルが含まれるがこれらに限定されない。本明細書で用いられる「アルキル」とは、C1〜C12アルキルを意味し、「低級アルキル」とは、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを含めたC1〜C6アルキルを意味する。
【0135】
別の態様では、アンチセンス鎖の5’末端、センス鎖の5’末端、アンチセンス鎖の3’末端、またはセンス鎖の3’末端が、共有結合を介してプロドラッグ部分に連結される。一実施形態では、該部分が、エンドソーム内において切断される。別の実施形態では、該部分が、細胞質内において切断される。
【0136】
異なる種類の末端修飾(複数可)を有する、本発明のsiRNAの各種の可能な非限定的実施形態を、以下の表に示す。
【0137】
【表1】
別の実施形態では、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の3’末端の1つのヌクレオチド、または3’末端の2つのヌクレオチドが、2’−デオキシヌクレオチドである。別の実施形態では、該2’−デオキシヌクレオチドが、2’−デオキシピリミジンである。別の実施形態では、該2’−デオキシヌクレオチドが、2’−デオキシチミジンである。
【0138】
shRNAおよび連結siRNA:別の態様は、shRNAおよび連結siRNAに関する。二本鎖構造が、2つの個別の鎖、すなわち、アンチセンス鎖およびセンス鎖により形成されることは、本発明の範囲内にある。しかし、また、アンチセンス鎖およびセンス鎖を、互いに対して共有結合させることも、本発明の範囲内にある。このような連結は、アンチセンス鎖およびセンス鎖をそれぞれ形成する任意のヌクレオチド間において生じうる。このような連結は、共有結合により形成される場合もあり、非共有結合により形成される場合もある。共有結合は、メチレンブルーおよび二官能性基を含む群から好ましくは選択される化合物により、両方の鎖を、それぞれ、1回以上にわたり、1以上の位置において連結することにより形成することができる。このような二官能性基は、ビス(2−クロロエチル)アミン、N−アセチル−N’−(p−グリオキシル−ベンゾイル)シスタミン、4−チオウラシル、およびソラーレンを含む群から選択されることが好ましい。
【0139】
一態様では、アンチセンス鎖およびセンス鎖が、ループ構造により連結される。別の実施形態では、ループ構造が、非核酸ポリマーを含む。別の実施形態では、非核酸ポリマーが、ポリエチレングリコールである。別の実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端が、センス鎖の3’末端へと連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端が、センス鎖の5’末端へと連結される。
【0140】
別の態様では、ループが、核酸からなる。本明細書で用いられるロックされた核酸(LNA)(ElayadiおよびCorey(2001)、Curr Opin Investig Drugs.2(4):558〜61)およびペプチド核酸(PNA)(Faseb J.(2000)、14:1041〜1060に掲載)は、核酸としてみなされ、これらもまた、ループ形成ポリマーとして用いることができる。一実施形態では、核酸が、リボ核酸である。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端が、センス鎖の3’末端に連結される。別の実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端が、センス鎖の5’末端に連結される。ループは、最小で4ヌクレオチドまたは4ヌクレオチド類似体の長さからなる。一実施形態では、ループが、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15から選択される長さのヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体からなる。一実施形態では、ループの長さが、ループ構造または類似の構造を介してバックフォールディングが生じる形で2本の鎖を結合させるのに十分である。リボ核酸構築物は、適切なベクター系へと組み込むことができる。ベクターは、RNAiを発現させるためのプロモーターを含むことが好ましい。好ましくは、各プロモーターが、pol IIIであり、より好ましくは、該プロモーターが、Goodら(1997)、Gene Ther、4、45〜54において説明されるU6プロモーター、H1プロモーター、7SKプロモーターである。
【0141】
別の実施形態では、本発明による核酸が、ヌクレオチド間におけるホスホロチオエート結合を含む。一実施形態では、ヌクレオチド間におけるホスホロチオエート結合が、アンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方の3’末端または5’末端から5ヌクレオチドの範囲内にある。アンチセンス鎖は、ヌクレオチド間における約1〜約5個のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0142】
実施形態の組合せ:
一実施形態では、センス鎖の3’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。一実施形態では、アンチセンス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。一実施形態では、センス鎖の5’末端における突出が、1、2、3、4、および5ヌクレオチドの長さからなる群から選択される。
【0143】
一実施形態では、siRNA分子が、両方の末端において平滑末端であり、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0144】
一実施形態では、siRNA分子が、一方の末端において平滑末端であり、siRNA分子の二本鎖部分が、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0145】
一実施形態では、siRNA分子が、両方の末端において突出を有し、siRNA分子の二本鎖部分が、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29個の連続ヌクレオチドからなる群から選択される長さである。
【0146】
一実施形態では、siRNA分子が突出を含み、前記突出が、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、siRNA分子が突出を含み、前記突出が、2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0147】
一実施形態では、siRNA分子が、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の3’末端において突出を有し、前記突出が、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。一実施形態では、siRNA分子が、アンチセンス鎖の3’末端およびセンス鎖の3’末端において突出を有し、前記突出が、2つのデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0148】
突出を形成するヌクレオチド(複数可)は、デオキシリボヌクレオチド(複数可)、リボヌクレオチド(複数可)、またはこれらの組合せでありうる。一実施形態では、アンチセンス鎖および/またはセンス鎖が、3’末端において、TTジヌクレオチドを含む。
【0149】
作製の方法:本発明の核酸は、in vitro(例えば、ランオフ転写)またはin vivoにおける核酸の化学合成または発現を含め、当技術分野におけるルーチンの方法を用いて作製することができる。一実施形態では、siRNAが、固相化学合成を用いて作製される。別の実施形態では、核酸が、発現ベクターを用いて作製される。一実施形態では、発現ベクターにより、標的細胞内において、本発明の核酸が作製される。したがって、このようなベクターを、薬剤の製造に用いることができる。本明細書で説明される核酸分子を合成する方法は、当業者に知られている。このような方法は、とりわけ、Caruthersら、1992、Methods in Enzymology 211、3〜19、Thompsonら、国際PCT公開WO99/54459、Wincottら、1995、Nucleic Acids Res.23、2677〜2684、Wincottら、1997、Methods Mol.Bio.、74、59、Brennanら、1998、Biotechnol Bioeng.、61、33〜45、およびBrennan、米国特許第6,001,311号(各々が、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)において説明されている。
【0150】
驚くべきことに、以下のANG2の配列を標的とするsiRNAは、ANG2の発現を低減することに関し、驚くべき程度に高い活性を示す。肺炎球菌に感染すると(肺炎に罹患すると)、ANG2の発現が上方制御されることが示された。同時に、受容体を活性化するリガンドであるANG1(ANG2の対応物)およびTIE2の発現が驚くべき程度に下方制御されたことは、刺激を受けたときに、遺伝子発現のパターンが協調されることを示唆する。現在のところ、誘導下ならびに非誘導下における空間的な発現パターン、特に、細胞レベル(肺胞および気管支における上皮細胞レベルまたは内皮細胞レベル)における分布は明確ではない。
【0151】
強力なsiRNA分子についての初期のスクリーニングは、8つの被験分子のうち2つ(配列番号14および16)が、ANG2をサイレンシングする有効性において同様に高度であることを示した。アンチセンス鎖である配列番号14および16の3’末端、ならびにセンス鎖(配列番号15および17)の5’末端の対応する相補的配列上における、4つの付加ヌクレオチドを介する伸長により、トランスフェクション実験後にANG2をサイレンシングする有効性において差違を示す23マーの分子(配列番号48および50(アンチセンス鎖)ならびに配列番号49および51(センス鎖))がもたらされたことは驚くべきことである。さらに驚くべきことに、マウスANG2 mRNA内のセンス鎖に対しては100%の相同性を反映するが、ヒト相同mRNAに対しては100%の相同性を反映しない(1つのミスマッチ)新規に生成された23マーの配列(9番のsiRNA)が、ヒトに由来する内皮細胞株(HUVECおよびHMVEC−L)におけるANG2発現をやはりサイレンシングすることが可能であった。これに対し、ヒトANG2に対して完全な相同性を示す配列(7番のsiRNA)が、サイレンシングの有効性を示さなかったことは、予測外である(図14)。
【0152】
血管のバリア機能(血管透過性)の制御は、肺炎の進行、またはより一般的に、急性肺傷害(ALI)、ならびに血管漏出により維持される他の炎症性疾患症候群に対して、目覚ましい影響を及ぼす。これに対し、他の科学的報告は、肺上皮細胞におけるANG2の上方制御が、急性肺傷害の発症/進行に寄与すること(Bhandariら、2006)、または、誘導されたANG2に対しては、推測されるアンタゴニスト活性ではなく、自己分泌性の、保護的/アゴニスト作用が存在すること(Dalyら、2006)を示唆している。これに照らして考えると、本発明者らが、リポソームにより製剤化したsiRNA(AtuPLEX、Santelら、2006)を静脈内投与する結果として、肺組織において、最も可能性が高い場合としては肺血管内皮細胞において、ANG2の発現がある程度まで下方制御され、血管のバリア機能が改善されることを見出したことは、予測外である。これは、非製剤化siRNAを吸入することにより、低酸素症により誘導される急性肺傷害の進行が阻害された報告とは大きく異なる。原則としては、本発明に従って、ANG2をコードするmRNAの任意の部分を用いて、それぞれ、このようなsiRNA分子およびRNAi分子をデザインすることができるが、本発明者らは、驚くべきことに、以下の表に示されるヌクレオチド位置で始まる配列が、ANG2 mRNAの発現を低減するのに適するsiRNA分子をもたらすことを見出した。
【0153】
【表2】
【0154】
送達/製剤:
siRNAは、in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、細胞と直接的に接触させるか(「裸の(naked)」siRNA)、または細胞を標的化するか、もしくは細胞内へと送達することを容易にする1種以上の作用物質と組み合わせることを含め、当業者に知られる各種の方法により、細胞へと送達することができる。このような作用物質および方法には、リポプレックス、リポソーム、イオントフォレーシス、ハイドロゲル、シクロデキストリン、ナノカプセル、マイクロスフェアおよびナノスフェア、ならびにタンパク質性ベクター(例えば、Bioconjugate Chem.(1999)、10:1068〜1074およびWO00/53722)が含まれる。核酸/媒体の組合せは、in vivoにおいて、直接的な注射によって局所到達することもでき、注入ポンプを用いることにより局所送達することもできる。本発明のsiRNAは、in vivoにおいて、静脈内、皮下、筋肉内、もしくは皮内の注射、または吸入を含め、各種の手段により送達することができる。本発明の分子は、薬剤として用いることができる。薬剤は、対象における疾患状態の発生を防止、調節するか、またはこれを治療する(症状をある程度まで緩和し、好ましくは、すべての症状を緩和する)ことが好ましい。
【0155】
また、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾リポソーム、または長時間循環型リポソームもしくはステルスリポソーム)を含む組成物の使用も提供される。これらの製剤は、その凝集および融合を防止することにより、リポソーム溶液またはリポプレックス溶液の安定性を増大させる方法をもたらす。製剤にはまた、in vivoにおいて、単核食作用細胞系(MPSまたはRES)によるオプソニン作用および除去に抵抗する利益も付加されており、それにより、血液循環時間を長くすること、およびカプセル製剤に対する組織暴露を増強することが可能である。このようなリポソームは、おそらく、新血管形成された標的組織内における溢出および捕捉により、腫瘍内に選択的に蓄積されることが示されている(Lasicら、Science 1995、267、1275〜1276;Okuら、1995、Biochim.Biophys.Acta、1238、86〜90)。長時間循環型リポソームは、特に、MPS組織内において蓄積することが知られる、従来の陽イオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態特性および薬力学特性を増強する(Liuら、J.Biol.Chem.1995、42、24864〜24780;Choiら、国際PCT公開第WO96/10391号;Ansellら、国際PCT公開第WO96/10390号;Hollandら、国際PCT公開第WO96/10392号)。長時間循環型リポソームはまた、ヌクレアーゼによる分解からもsiRNAを保護する。
【0156】
本発明のsiRNAは、医薬組成物として調合することができる。医薬組成物は、単独の、または他の薬剤と組み合わせた医薬として、または診断剤として用いることができる。例えば、本発明の1つ以上のsiRNAを、担体、希釈剤などの送達媒体(例えば、リポソーム)および賦形剤と組み合わせることができる。防腐剤および安定化剤など、他の薬剤もまた添加することができる。核酸分子を送達する方法は当技術分野で知られており、例えば、Akhtarら、1992、Trends Cell Bio.、2、139;Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics、Akhtar編、1995、Maurerら、1999、Mol.Memb.Biol.、16、129〜140;HoflandおよびHuang、1999、Handb.Exp.Pharmacol.、137、165〜192;ならびにLeeら、2000、ACS Symp.Ser.、752、184〜192、米国特許第6,395,713号およびPCT WO94/02595号(これらの各々が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる)において説明されている。本発明のsiRNAはまた、他の治療化合物と組み合わせて投与することもでき、その投与は個別の場合もあり、同時、例えば、組合せ単位用量としての場合もある。一実施形態では、本発明が、安定化剤、防腐剤、希釈剤、緩衝剤など、生理学的/薬学的に許容される賦形剤中に、本発明による1つ以上のsiRNAを含む医薬組成物を包含する。
【0157】
本発明の医薬および医薬組成物の用量レベルは、ルーチンな実験によって当業者により決定されうる。一実施形態では、単位用量が、約0.01mg/体重kg〜約100mg/体重kgのsiRNAを含有する。一実施形態では、siRNAの用量が、約10mg/体重kg〜約25mg/体重kgである。一実施形態では、siRNAの用量が、約1mg/体重kg〜約10mg/体重kgである。一実施形態では、siRNAの用量が、約0.05mg/体重kg〜約5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約1mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.1mg/体重kg〜約0.5mg/体重kgである。別の実施形態では、siRNAの用量が、約0.5mg/体重kg〜約1mg/体重kgである。
【0158】
一態様では、医薬組成物が、注射用の滅菌水性懸濁液または滅菌水溶液である。一態様では、医薬組成物が、乾燥凍結形態である。一実施形態では、医薬組成物が、本発明のsiRNAを含む乾燥凍結リポプレックスを含む。別の実施形態では、医薬組成物が、本発明のsiRNAを含むリポプレックスの水性懸濁液を含む。
【0159】
本発明の医薬組成物および医薬は、開示される治療法において、対象(哺乳動物)に投与することができる。一実施形態では、哺乳動物が、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットからなる群から選択される。一実施形態では、哺乳動物がヒトである。別の実施形態では、哺乳動物が非ヒト哺乳動物である。
【0160】
一実施形態では、本発明は、本発明によるsiRNAを含むリポプレックスに関する。このようなリポプレックスは、siRNAおよびリポソームからなる。in vitroまたはin vivoにおいて、このようなリポプレックスを用いて、本発明のsiRNAを標的細胞へと送達することができる。
【0161】
一態様では、リポプレックスが、約40〜55mV、好ましくは、約45〜50mVのゼータポテンシャルを有する。本発明によるリポプレックスのサイズは、例えば、製造元の推奨に従い、Beckman Coulter社製のN5型ミクロン未満粒子サイズ解析器を用いることなどによる、動的光散乱(QELS)により決定される通り、約80〜200nm、約100〜140nm、または約110nm〜130nmである。
【0162】
一実施形態では、リポプレックスを形成する部分としてのリポソームは、
a)約50モル%のβ−アルギニル−2,3−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、好ましくは、β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリドと、
b)約48〜49モル%の1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)と、
c)約1〜2モル%の1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−ポリエチレングリコール、好ましくは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩と
からなる正に帯電したリポソームである。
【0163】
リポプレックス、およびリポソームを形成する脂質組成物は、担体中にあることが好ましいが、リポプレックスはまた、乾燥凍結形態でも存在しうる。担体中に含有される脂質組成物は通常、分散液を形成する。担体は、本明細書でもさらに特徴付けられる通り、水性媒体または水溶液であることがより好ましい。脂質組成物は、典型的には担体中においてリポソームを形成し、このようなリポソームは内部にも担体を含有することが好ましい。
【0164】
担体中に含有される脂質組成物、および担体は、それぞれ、約50〜600ミリオスモル/kg、好ましくは約250〜350ミリオスモル/kg、ならびにより好ましくは約280〜320ミリオスモル/kgの浸透圧を有することが好ましい。
【0165】
リポソームは、第1の脂質成分と、任意選択的に、好ましくは該第1の脂質成分と組み合わせた第1のヘルパー脂質とによって形成されることが好ましく、約20〜200nm、好ましくは約30〜100nm、より好ましくは約40〜80nmの粒子サイズを示すことが好ましい。粒子のサイズは、特定の統計学的分布に従うことが注目される。
【0166】
本発明による脂質組成物についての、さらなる任意選択的な特徴は、担体のpHが、好ましくは約4.0〜6.0であることである。しかし、4.5〜8.0、好ましくは約5.5〜7.5、より好ましくは約6.0〜7.0など、他のpH範囲もまた、本発明の範囲内にある。
【0167】
これらの特定の特徴を認識するために、各種の測定を行うことができる。例えば、浸透圧を調整するには、糖または糖の組合せが特に有用である。これまでのところ、本発明の脂質組成物は、以下の糖、すなわちスクロース、トレハロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、マルトース、ラクツロース、イヌリン、およびラフィノースのうちの1種以上を含むことが可能であり、スクロース、トレハロース、イヌリン、およびラフィノースが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、多くの場合、糖を添加することにより調整される浸透圧は、約300ミリオスモル/kgであり、これは、270mMのスクロース溶液または280mMのグルコース溶液に対応する。担体は、このような脂質組成物が投与される体液と等張性であることが好ましい。本明細書で用いられる、多くの場合、糖を添加することにより浸透圧が調整されるという表現は、浸透圧の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%が、前記糖または前記糖の組合せによりもたらされることを意味する。
【0168】
本発明の脂質組成物のpHを調整する場合、調整は、緩衝液物質を用いることによりなされ、緩衝液物質自体は当業者に基本的に知られている。陽イオン性脂質、より具体的には、陽イオン性頭部基のアンモニウム基の塩基性性質を補完するのに適する塩基性物質を用いることが好ましい。塩基性アミノ酸および弱塩基などの塩基性物質を添加する場合は、それぞれ、上記の浸透圧を考慮に入れる。このような脂質組成物、ならびにこのような脂質組成物により形成されるリポソームの粒子サイズは、製造元の推奨に従い、Beckman Coulter社製のN5型サブミクロン粒子サイズ分析器を用いることなどによる、動的光散乱により決定することが好ましい。
【0169】
脂質組成物が、1以上の核酸(複数可)を含有する場合、このような脂質組成物は通常、リポプレックス(リポソーム−核酸複合体)を形成する。好ましくは、等張性の270mMスクロースまたは280mMグルコース中のリポプレックス内におけるより好ましい全脂質内容物の濃度は、約0.01〜100mg/ml、好ましくは0.01〜40mg/ml、より好ましくは0.01〜25mg/mlである。十分量のストックを調製するには、この濃度を、典型的には2〜3倍増大させうることを認めるものとする。これに基づき、浸透圧が上記で特定した範囲内にあるようにすることが典型的である希釈液を調製することもまた、本発明の範囲内にある。より好ましくは、希釈液は、機能に関して同一であり、より具体的に述べると、脂質組成物と組み合わせて用いられる担体と浸透圧が同様である担体、またはその中に脂質組成物が含有される担体中において調製される。核酸、好ましくは、siRNAなどであるがこれに限定されない機能的核酸もまた含む本発明の脂質組成物の実施形態では、脂質組成物中における機能的核酸、好ましくはsiRNAの濃度が、約0.2〜0.4mg/ml、好ましくは0.28mg/mlであり、全脂質濃度が、約1.5〜2.7mg/ml、好ましくは2.17mg/mlである。核酸画分と脂質画分とのこの質量比はまた、これにより認識される電荷比との関連でも特に好ましいことを認めるものとする。本発明の脂質組成物の任意のさらなる濃縮液または希釈液との関連では、この特定の実施形態で認識される質量比および電荷比がそれぞれ、このような濃縮液または希釈液に関わらず維持されることが好ましい。
【0170】
例えば、医薬組成物において用いられるこのような濃縮液は、適量の媒体、好ましくは生理学的に許容される緩衝液、もしくは本明細書で説明される任意の担体中において脂質を分散させることにより得ることもでき、適切な手段により濃縮することもできる。このような適切な手段は、例えば、十字流限外濾過を含めた限外濾過法である。フィルター膜は、分子量カットオフ(MWCO)が1,000〜300,000Daであるか、または5nm〜1μmの小孔径を示しうる。約10,000〜100,000Da MWCOの小孔径が好ましい。本発明による脂質組成物、より具体的には、リポプレックスが、乾燥凍結形態で存在しうることもまた、当業者により認められる。このような乾燥凍結形態は、リポプレックスの保管寿命を延長するのに適することが典型的である。とりわけ、適切な浸透圧をもたらすのに添加される糖は、それらと関連して、凍結保護剤として用いられる。これと関連して、浸透圧、pH、ならびにリポプレックス濃度について前述した特徴は、担体中における脂質組成物の溶解形態、懸濁形態、または分散形態を指し、このような担体は、原則として、本明細書で説明される任意の担体であり、水または生理学的に許容される緩衝液、好ましくは等張性緩衝液または等張性溶液などの水性担体であることが典型的である。
【0171】
疾患:本発明の一態様は、ANG2の発現を低減し、ヒト疾患およびヒトの病理学的状態を治療するのに有用なsiRNA分子を提供する。siRNA分子を他の治療剤と組み合わせて用いて、所与の治療法の治療効果を増強することができる。別の態様では、本発明が、細胞内において、望ましくないかまたは異常なレベルのANG2活性を特徴とする疾患および状態を治療するのに有用な試薬および方法を提供する。
【0172】
本発明の別の態様は、皮膚の過剰増殖性状態(例えば、乾癬および/または接触性皮膚炎)、または他の過剰増殖性疾患を治療するための材料および方法を用いている。本発明の別の態様は、各種の網膜症、子宮内膜症、子宮筋腫、ならびに子宮内膜における微小血管増殖など、機能不全性血管増殖と関連する他のこのような状態の治療を包含し、本明細書で開示されるsiRNA分子を対象に投与することを含む。本発明のさらに別の態様は、炎症(例えば、関節炎、関節リウマチなど)を治療する方法であって、本明細書で開示されるsiRNA分子を含む組成物を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0173】
本明細書で開示される、治療されうるヒト疾患およびヒトの病理学的状態の非限定的な例には、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸促窮迫症候群(ARDS)、アテローム性動脈硬化、遺伝性出血性毛細血管拡張症、海綿状血管腫、血管新生誘導性肥満、移植後動脈症、乾癬、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、および歯周病、腹水、子宮内膜症、月経過多、関節炎、肺高血圧、肺炎、子癇前症、肺線維症、肺気腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、膵炎、敗血症、血栓症、虚血性心疾患、炎症、多発性硬化症、脳卒中、および黄斑変性が含まれる。
【実施例1】
【0174】
[材料と方法]
(細胞株)
マウスB16V黒色腫細胞およびマウス内皮MS−1細胞を、ATCC/LGC Promochem社から得て、製造元の推奨に従い培養した。EBM2+ SingleQuots増殖用補充物質を含有するEGM−2 BulletKit培地中において、HUVEC(Lonza社製)を培養した。
【0175】
(培養細胞のトランスフェクションおよびmRNAレベルの定量)
既に説明した通り(Santelら、2006)、表示の細胞数およびsiRNA濃度で、マウスB16V黒色腫細胞およびマウス内皮MS−1細胞に、リポプレックス化させたsiRNAをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細胞を溶解させ、全RNAを調製した(Invitek社製、Invisorb Spin Cell RNA単離キット)。その後、全RNAを、定量的リアルタイムRT−PCR法(ABI社製、TaqMan)を用いるmRNA定量アッセイに用いた。表示されるmRNAの標準化レベルは、標的遺伝子および基準遺伝子の両方についての発現レベルを示す2−(ΔΔCt)法により決定した。
【0176】
(siRNAを含有するリポプレックスの全身送達)
4日間連続で、200μl溶液を、尾静脈に静脈内ボーラス注射することにより、siRNAリポプレックスを、C57/Bl6マウスに全身投与した。既に説明した通り(Santelら、2006)、リポプレックス溶液は、21.7mg/kgの全脂質(AtuFECT01、DPhyPE、DSPE−PEG)と共に複合体化させた、2.8mg/kgの最終用量でsiRNAを含有した。
【0177】
(マウスの肺炎球菌肺炎における肺微小血管漏出)
動物に対するすべての手順は、現地の規制当局による承認を受けた。既に説明した通り(Schmeckら、2004;Opitzら、2004)、C57/Bl6マウスに、5×106コロニー形成単位の肺炎球菌(NCTC 7978)を経鼻感染させた。ヒト血清アルブミン(HSA)を静脈内適用し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行った後で、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)(テキサス州、モンゴメリー、Bethyl社製)(Matute−Belloら、2001)により、BALおよび血清中におけるHSA濃度を測定し、HSAのBAL/血清比を計算した。
【0178】
(単離灌流マウス肺(IPML))
既に説明した通りに、BALB/cマウスの肺を調製した。略述すると、麻酔をかけたマウスを気管切開および換気した。胸骨切開し、左心房および肺動脈にカニューレ挿入し、37℃のクレブス−ヘンゼルライトの滅菌ヒドロキシエチルアミロペクチン緩衝液(ドイツ、Serag社製、1mL/分)により肺を灌流し、陰圧(−4.5〜−9.0cm H2O)により換気した。圧力トランスデューサーにより肺動脈圧(Ppa)および肺静脈圧を持続的にモニタリングし、デジタルデータ化した。Graph−Pad−4ソフトウェア(米国、カリフォルニア州、サンディエゴ)により、Ppa曲線下面積(AUC)を計算した。説明される通り(Patonら、1993)に組換えPLY(ニューモリシン)を調製し、肺動脈内へと注入するか、またはマイクロスプレー装置(ペンシルベニア州、フィラデルフィア、Penn−Century社製)を用いて気管内エアゾール投与した。肺胞毛細血管の透過性を測定するため、PLYを適用する前に、灌流物にHSAを混合した(0.04%)。PLY接種の30分後、BALを実施し、BAL上清中においてHSA濃度を測定した。in vivoにおけるデータを、平均+/−SEMとして表した。一元分散分析の後、ステューデント・ニューマン・クールズ検定により、差違を解析した。
【実施例2】
【0179】
[ANG−2特異的なsiRNA分子]
アンジオポエチン2(Ang−2)をコードするmRNAを指向するsiRNA分子(AtuRNAi、表1および2を参照されたい)、ならびにルシフェラーゼを指向し、本明細書で説明される実験および実施例と関連して用いられた各種のsiRNA分子は、BioSpring社(ドイツ、フランクフルトアムマイン)により合成されたものであり、これらを、本発明の二本鎖核酸分子を形成する第1の鎖および第2の鎖両方の配列に関して、表1に示す。
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】
【0184】
「A」は、本明細書で第1の鎖とも称するアンチセンス鎖を表し、「B」は、本明細書で第2の鎖とも称するセンス鎖を表す。これに反する指示が明示的になされるのでない限り、本出願で示される任意の配列は、5’→3’方向で示されることに注意されたい。
【0185】
特定の実施形態では、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチド(または各奇数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)アンチセンス鎖(上記の表中に示される)を修飾することができ、1個以上の偶数番号を付したヌクレオチドは、非修飾のままとする(例えば、各非修飾ヌクレオチドの2’位にOH基が存在し、例えば、各非修飾ヌクレオチドは修飾されない)。1個以上の偶数番号を付したヌクレオチド(または各偶数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)センス鎖を修飾することができ、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチドは、非修飾のままとすることができる(例えば、各非修飾ヌクレオチドの2’位にOH基が存在し、例えば、各奇数番号を付したヌクレオチドは修飾されない)。
【0186】
代替的な実施形態は、1個以上の偶数番号を付したヌクレオチド(または各偶数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)修飾されたアンチセンス鎖(上記で示した)を提供し、センス鎖は、1個以上の奇数番号を付したヌクレオチド(または各奇数番号を付したヌクレオチド)の2’位において(例えば、2’−O−メチル基により)修飾される。これらの代替的な実施形態では、1個以上の非修飾ヌクレオチドが、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方において存在する(例えば、これらの代替的な実施形態の各々では、非修飾ヌクレオチドが、2’位においてOH基を有する)。特定の実施形態では、各奇数番号を付したヌクレオチドが、アンチセンス鎖において非修飾であり、本段落で論じた代替的な実施形態では、各偶数番号を付したヌクレオチドが、センス鎖において非修飾である。
【実施例3】
【0187】
[Ang2特異的なsiRNA分子のリポプレックス製剤]
本明細書ではまた、Ang2特異的なsiRNA分子を含有するリポプレックス製剤を、siRNAリポプレックスまたはsiRNAAng2リポプレックスとも称する。脂質膜を、300mMのRNaseを含まない滅菌スクロース溶液中に、4.34mg/mlの全脂質濃度まで再水和することにより、50/49/1のモル比で、特許で保護された陽イオン性脂質であるAtuFECT01(β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、Silence Therapeutics AG社製)、中性リン脂質である1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)(アラバマ州、アラバスター、Avanti Polar Lipids社製)、およびPEG化脂質であるN−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(DSPE−PEG)(ドイツ、ルートヴィッヒシャーフェン、Lipoid GmbH社製)を混合した。IPMLおよび肺炎球菌感染についての実験の場合、このような製剤は、21.7mg/kgの全脂質と共に複合体化させた、2.8mg/kgのsiRNAであり、これを、4日間連続で静脈内ボーラスにより注射した。in vitro試験の場合は、1μg/mlでAtuFECT01−DPhyPEを混合することにより、リポプレックスを作製した。
【実施例4】
【0188】
[siRNAAng2リポプレックスの特徴付け]
実施例3に従ってリポプレックスとして製剤化された実施例2のAng2特異的siRNA分子を、それらが、B16V細胞、MS−1細胞、およびHUVEC細胞のそれぞれにおいてAng2 mRMA発現を阻害する能力について調べた。このような目的で、48時間にわたり、20nMの最終濃度で、表1A、Bで列挙するsiRNAAng2リポプレックス、または対照を、培養細胞にトランスフェクトした。細胞を回収し、対応する全RNAを、TaqManリアルタイムPCR解析にかけた。さらなる詳細は、実施例1から理解することができる。対照としては、鎖LUC−BおよびLUC−Aからなる、ルシフェラーゼ特異的なsiRNA分子を含有するリポプレックスを用いた。ローディング対照としては、PTENを用いた。TaqMan解析の結果を、図3、6、7、10、12、13に示す。
【0189】
図3から理解されうる通り、配列番号4および5、配列番号14および15、配列番号16および17、配列番号18および19、ならびに配列番号22および23により形成される任意のsiRNA分子を含有するリポプレックスが、B16V細胞およびMS−1細胞の両方において、Ang−2の発現を阻害するのに特に有効であったのに対し、配列番号6および7、配列番号8および9、ならびに配列番号10および11により形成される任意のsiRNA分子を含有するAng−2特異的リポプレックスは、被験細胞株のうちの1つにおいて、活性でないか、またはある程度活性であるに過ぎなかった(図3)。
【0190】
配列番号14および15、または配列番号16および17により形成されたsiRNAは、いずれの細胞株においても極めて強力であった。アンチセンス鎖の3’末端において、これらのsiRNA構築物を伸長させることにより、23マーの有効なsiRNA分子(配列番号48および49、ならびに配列番号50および51により形成される)がもたらされた。このアッセイにおいて、およびヒト細胞株で調べた場合(図14)のいずれにおいても、((64番および65番のsiRNAとは対照的に)アンチセンス鎖の配列が、ヒトANG2 mRNAと完全に相補性ではないものの)配列番号48および49により形成されるsiRNAが、最も強力であることが分かった(図7)。他のsiRNA配列も、既に公表されているsiRNA配列と比較した(図9、Ang2−Bhandari_A+Bは3’−TT突出を有する19マーの配列、Bhandariら、2006)。3’末端および5’末端それぞれにおいて4つの相補的な塩基を付加することによって、ANG2 mRNAに相補的な19マーの配列を伸長することにより、デオキシ−TT突出を包含する19マーのdsRNAと、その2つの23マーの平滑末端変異体として、公表配列を合成した(図9)。結果として得られる2つの23マーの平滑末端変異体(Ang2−Bhandari_A+B、およびAng2−Bhandari_Atu23_A+B、図9)を、前述の通りに2’−O−メチル修飾により化学的に安定化させ、合成し、配列番号48および49を介して形成されるsiRNA分子によるトランスフェクション実験において並行して調べた。TaqMan−PCRを介するmRNAレベルの決定により明らかとなる通り、配列番号48および49により形成されるsiRNA分子は、公表配列(19マーのTTを有する「Bhandari」)、またはその誘導体(平滑末端、修飾、伸長させた23マー、図9)より、なおより強力ではないにせよ、同等に強力であった(図10)。マウスAng2を標的とする、新規にデザインされたさらに8つの23マー(ANGT2分子、図11)により、in vitroにおける別のスクリーニングを実施したところ、9番のANG2 siRNA分子を含めた他の23マーのsiRNAと比較して、より強力な別のsiRNAがもたらされたことは驚くべきことである(図11および12を参照されたい)。対照比較による力価決定実験では、より良好な効力を示すことが強調された(図12)。この実施例からは、Ang−2 mRNAの異なる領域を標的とする異なるsiRNA分子が、標的mRNAをノックダウンすることに関して異なる活性を示すことが理解されうる。
【実施例5】
【0191】
[PLY感染または肺炎球菌感染により刺激された肺における、静脈内siRNAAng2リポプレックスによる肺血管バリア機能の改善]
肺の微小血管透過性の増大は、ALI(急性肺傷害)またはそのより重篤な形態であるARDS(急性呼吸窮迫症候群)の発症および進行における主要な事象である(Aird、2003;Ware 2006、ManiatisおよびOrfanos、2008)。マウスを、4日間連続で、19マーのsiRNAAng2リポプレックスにより静脈内処置(尾静脈への低圧ボーラス注射)した。対照として、siRNALucリポプレックスおよび関連のないsiRNA標的2リポプレックスを並行して適用した。その後、単離ニューモリシン(PLY)により刺激した肺(ex vivoにおける単離灌流マウス肺系、図4〜5)において、肺血管透過性を測定した。対照試料と異なり、PLYは、HSAの微小血管透過性を劇的に増大させた。しかし、siRNALucリポプレックスまたはsiRNA標的2リポプレックスにより処置した対照動物とは異なり、siRNAAng2で処置した動物に由来する肺における平均血管透過性が著明に低かったことは、PLYによる侵襲から血管系が防御されたことを示唆する(図5)。肺炎球菌(Pneumococcus)属の肺感染(=病原性肺炎球菌の吸入後における、肺炎)によりマウスを接種し、Ang2 siRNAリポプレックスにより処置した後においても、in vivoにおいて同様の結果が得られた(図5、6)。ここでも、対照群に由来する動物とは異なり、Ang2リポプレックス処置により、血管漏出に対する防御がなされた。肺炎球菌感染したときに、siRNAAng2リポプレックスによる静脈内処置が、関連のないsiRNALucリポプレックス/siRNA標的2リポプレックス対照と比較して、血管透過性に対する防御効果を及ぼすさらなる実験においても、この知見は裏付けられた(図6A)。RNAiを介してAng2発現の下方制御を誘発するのにリポプレックスが果たす機能性は、in vivoにおける実験を実施する前に、細胞培養物中において確認された(図6B)。加えて、siRNAAng2リポプレックスで処置したマウスに由来する肺においてバリア機能が改善されること、対応する試料中においてAng2 mRNAの発現が標的特異的にノックダウンされることも観察された(図6C)。7番のsiRNA分子(図2を参照されたい)の3’側伸長変異体、すなわち、9番のsiRNA分子(図11を参照されたい)も、上記で説明したex vivoにおける別のIPML実験において、同じ防御効果を示した(図8)。
【実施例6】
【0192】
[19マーのsiRNAおよびそれらの対応する3’側伸長23マー変異体の特徴付け]
19マーの初期リードsiRNA分子である7番および8番のsiRNA(また、図2を参照されたい)、ならびにそれらの対応する3’側伸長23マー変異体を、HUVECにおけるトランスフェクション実験による力価決定によりさらに特徴付けた。図15に示す通り、(上記で説明した通り)いずれの19マー分子(マウスmRNAおよびヒトmRNAの両方に対して完全にマッチする)も、非処置試料と比較して、明確に用量依存的なサイレンシング活性を示すのに対し、対応する23マー(図15に示す)は、培養ヒト細胞において、効力の明確な差違を示した。ヒトAng−2 mRNAに対して1つのミスマッチを保有する9番の23マーのsiRNAは、23マーのsiRNAより強力であった。
【実施例7】
【0193】
[ヒトAng−2のmRNAを標的とする23マーのsiRNA分子の特徴付け]
ヒトAng−2のmRNA配列を標的とする16個の23マーsiRNA分子の別のセット(11〜26番のAtuRNAi分子)をデザインおよび合成した(図16、配列番号73〜104)。26番のsiRNA分子は、9番のマウスsiRNA分子(配列番号68、69)のヒト変異体であり、マウスsiRNA変異体に対して1つのミスマッチを保有する。表示の条件(図17)でヒト内皮細胞(HUVEC)にトランスフェクトすることにより、これらのsiRNAを、RNAiの有効性について調べ、qRT−PCRによりAng2 mRNAレベルを評価した。新規のヒトリードsiRNAを同定し(13、19、21、23、24、25番、図18)、さらなるトランスフェクション実験においてさらに特徴付けし、既に同定したヒトおよびマウスのsiRNAリード分子(4番は配列番号8、9)、マウス特異的なsiRNA(5番は陰性対照)のほか、7番の19マー初期リードsiRNAの変異体、ならびにそのマウスおよびヒトの23マー変異体と比較した。結論として述べると、ヒトsiRNAをスクリーニングしたところ、トランスフェクション実験において、新規の23マーのsiRNA分子が、mRNAを抑制するのに同様の有効性を示すことが明らかとなった。
【実施例8】
【0194】
[肺炎球菌による感染後のマウスにおいて肺炎が発達するときの、Tie2−Ang系構成要素の発現レベル]
図19Aに示す通り、肺炎球菌による感染後のマウスにおいて肺炎が発達するときの、Tie2−Ang系構成要素の発現レベルの変化を観察した。この実験では、吸入により細菌を施し、48時間にわたり、肺炎の進行についてモニタリングした。表示される各時点の後、感染マウスおよび非感染マウスに由来する動物n=6匹のコホートを屠殺し、肺組織を分析した。対応する試料中におけるTie2、Ang1、Ang2、およびPTENのmRNAレベルを決定するため、TaqMan PCRにより、各試料に由来する全RNAを単離および解析した。各群の平均値を経時的にプロットしたところ、感染マウスにおいては、Ang1およびTie2のmRNAレベルが、非感染マウスと比較して経時的に低下することが示された。Ang2のmRNAレベルが、非感染対照と比較して経時的に上昇したことは、驚くべきことである。
【0195】
それに対して抗体が得られるTie−2タンパク質レベルは、表示のマウスに由来するタンパク質抽出物についてのウェスタンブロットにより示される通り、経時的に低下した(図19B)。
【0196】
参考文献
【表7】
【0197】
本明細書、特許請求の範囲、配列表、および/または図面において開示される本発明の特徴は、個別に、かつ、それらの任意の組合せにおいて、その各種の形態における本発明を実現するための材料でありうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチセンス鎖とセンス鎖とを含むsiRNAであって、前記アンチセンス鎖の全部または一部がアンチセンス二重鎖領域を含み、前記センス鎖の全部または一部がセンス二重鎖領域を含み、前記アンチセンス二重鎖領域が前記センス二重鎖領域と少なくとも部分的に相補的であり、前記siRNAが前記アンチセンス二重鎖領域と前記センス二重鎖領域とからなる二重鎖領域を含み、
a)前記アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、68、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、または104のヌクレオチド配列を含むか、または
b)前記アンチセンス鎖が、全部または一部が配列番号1または70の一部と相補的であるアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNA。
【請求項2】
前記センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、または103のヌクレオチド配列を含む請求項1に記載のsiRNA。
【請求項3】
前記アンチセンス鎖および前記センス鎖が、各々、19〜25ヌクレオチドの長さである請求項1に記載のsiRNA。
【請求項4】
前記二重鎖領域が、19〜25ヌクレオチドである請求項3に記載のsiRNA。
【請求項5】
前記二重鎖領域が、19〜25の連続ヌクレオチド塩基対からなる請求項4に記載のsiRNA。
【請求項6】
a)両方の末端が平滑末端であるか、
b)一方の末端において突出を有し、他方の末端において平滑末端を有するか、または
c)両方の末端において突出を有する
請求項1、2、3、4、または5に記載のsiRNA。
【請求項7】
前記センス鎖および/または前記アンチセンス鎖の1個以上の一つおきのヌクレオチドが修飾されている請求項1、2、3、4、または5に記載のsiRNA。
【請求項8】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖の両方の前記一つおきのヌクレオチドが、2’位においてO−メチル基により修飾されている請求項7に記載のsiRNA。
【請求項9】
奇数番号を付した前記ヌクレオチドのそれぞれが前記アンチセンス鎖にて修飾され、偶数番号を付した前記ヌクレオチドのそれぞれが前記センス鎖にて修飾されている請求項8に記載のsiRNA。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAと、リポソームとを含む、リポプレックス。
【請求項11】
前記リポソームが、
a)約50モル%のβ−アルギニル−2,3−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、好ましくは、β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリドと、
b)約48〜49モル%の1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)と、
c)約1〜2モル%の1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−ポリエチレングリコール、好ましくは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩と
からなる請求項10に記載のリポプレックス。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸を含むかまたはコードするベクター。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の核酸またはベクターを含む細胞であって、ヒト細胞である場合には、前記ヒト細胞が単離細胞であることを条件とする細胞。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAと、生理学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA分子を含む治療有効量の組成物を対象に投与するステップを含む炎症性疾患を治療する方法。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA分子を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含む、ヒトの疾患または病理学的状態を治療する方法。
【請求項17】
医薬を製造するための請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAの使用。
【請求項18】
ヒトの疾患または病理学的状態の治療のための医薬を製造するための請求項1から9のいずれかに記載のsiRNAの使用。
【請求項19】
前記ヒトの疾患または病理学的状態が、皮膚の過剰増殖性状態、または他の過剰増殖性疾患である請求項16または18に記載の方法または使用。
【請求項20】
前記ヒトの疾患または病理学的状態が、乾癬、接触皮膚炎、網膜症、子宮内膜症、子宮筋腫、機能不全性血管増殖、子宮内膜微小血管増殖、炎症、関節炎、関節リウマチ、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アテローム性動脈硬化、遺伝性出血性毛細血管拡張症、海綿状血管腫、血管新生誘導性肥満、移植後動脈症、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、および歯周病、腹水、月経過多、肺高血圧、肺炎、子癇前症、肺線維症、肺気腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、膵炎、敗血症、血栓症、虚血性心疾患、多発性硬化症、脳卒中、または黄斑変性、肝硬変、マラリア、全身性エリテマトーデスである、請求項16または18に記載の方法または使用。
【請求項21】
請求項15、16、および20のいずれかに記載の方法において使用するための、請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA、または請求項10および11のいずれかに記載のリポプレックス、または請求項14に記載の組成物。
【請求項1】
アンチセンス鎖とセンス鎖とを含むsiRNAであって、前記アンチセンス鎖の全部または一部がアンチセンス二重鎖領域を含み、前記センス鎖の全部または一部がセンス二重鎖領域を含み、前記アンチセンス二重鎖領域が前記センス二重鎖領域と少なくとも部分的に相補的であり、前記siRNAが前記アンチセンス二重鎖領域と前記センス二重鎖領域とからなる二重鎖領域を含み、
a)前記アンチセンス鎖が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、68、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、または104のヌクレオチド配列を含むか、または
b)前記アンチセンス鎖が、全部または一部が配列番号1または70の一部と相補的であるアンチセンス二重鎖領域を含むsiRNA。
【請求項2】
前記センス鎖が、配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、または103のヌクレオチド配列を含む請求項1に記載のsiRNA。
【請求項3】
前記アンチセンス鎖および前記センス鎖が、各々、19〜25ヌクレオチドの長さである請求項1に記載のsiRNA。
【請求項4】
前記二重鎖領域が、19〜25ヌクレオチドである請求項3に記載のsiRNA。
【請求項5】
前記二重鎖領域が、19〜25の連続ヌクレオチド塩基対からなる請求項4に記載のsiRNA。
【請求項6】
a)両方の末端が平滑末端であるか、
b)一方の末端において突出を有し、他方の末端において平滑末端を有するか、または
c)両方の末端において突出を有する
請求項1、2、3、4、または5に記載のsiRNA。
【請求項7】
前記センス鎖および/または前記アンチセンス鎖の1個以上の一つおきのヌクレオチドが修飾されている請求項1、2、3、4、または5に記載のsiRNA。
【請求項8】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖の両方の前記一つおきのヌクレオチドが、2’位においてO−メチル基により修飾されている請求項7に記載のsiRNA。
【請求項9】
奇数番号を付した前記ヌクレオチドのそれぞれが前記アンチセンス鎖にて修飾され、偶数番号を付した前記ヌクレオチドのそれぞれが前記センス鎖にて修飾されている請求項8に記載のsiRNA。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAと、リポソームとを含む、リポプレックス。
【請求項11】
前記リポソームが、
a)約50モル%のβ−アルギニル−2,3−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリド、好ましくは、β−(L−アルギニル)−2,3−L−ジアミノプロピオン酸−N−パルミチル−N−オレイル−アミドトリヒドロクロリドと、
b)約48〜49モル%の1,2−ジフィタノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPhyPE)と、
c)約1〜2モル%の1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−ポリエチレングリコール、好ましくは、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩と
からなる請求項10に記載のリポプレックス。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の核酸を含むかまたはコードするベクター。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の核酸またはベクターを含む細胞であって、ヒト細胞である場合には、前記ヒト細胞が単離細胞であることを条件とする細胞。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAと、生理学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA分子を含む治療有効量の組成物を対象に投与するステップを含む炎症性疾患を治療する方法。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA分子を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含む、ヒトの疾患または病理学的状態を治療する方法。
【請求項17】
医薬を製造するための請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNAの使用。
【請求項18】
ヒトの疾患または病理学的状態の治療のための医薬を製造するための請求項1から9のいずれかに記載のsiRNAの使用。
【請求項19】
前記ヒトの疾患または病理学的状態が、皮膚の過剰増殖性状態、または他の過剰増殖性疾患である請求項16または18に記載の方法または使用。
【請求項20】
前記ヒトの疾患または病理学的状態が、乾癬、接触皮膚炎、網膜症、子宮内膜症、子宮筋腫、機能不全性血管増殖、子宮内膜微小血管増殖、炎症、関節炎、関節リウマチ、急性肺傷害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アテローム性動脈硬化、遺伝性出血性毛細血管拡張症、海綿状血管腫、血管新生誘導性肥満、移植後動脈症、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、および歯周病、腹水、月経過多、肺高血圧、肺炎、子癇前症、肺線維症、肺気腫、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、膵炎、敗血症、血栓症、虚血性心疾患、多発性硬化症、脳卒中、または黄斑変性、肝硬変、マラリア、全身性エリテマトーデスである、請求項16または18に記載の方法または使用。
【請求項21】
請求項15、16、および20のいずれかに記載の方法において使用するための、請求項1〜9のいずれかに記載のsiRNA、または請求項10および11のいずれかに記載のリポプレックス、または請求項14に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【公表番号】特表2012−517815(P2012−517815A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550480(P2011−550480)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001036
【国際公開番号】WO2010/094491
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(505047256)サイレンス・セラピューティクス・アーゲー (13)
【氏名又は名称原語表記】SILENCE THERAPEUTICS AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001036
【国際公開番号】WO2010/094491
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(505047256)サイレンス・セラピューティクス・アーゲー (13)
【氏名又は名称原語表記】SILENCE THERAPEUTICS AG
【Fターム(参考)】
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