説明

AV機器

【課題】TVモジュールとBDレコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器において、記録メディアを用いた1回のバージョンアップ処理により、複数モジュールをバージョンアップする。
【解決手段】AV機器1は、TV放送信号を受信するTVモジュール10と、BDを着脱可能に装着するBDモジュール20とを備える。BDは、TVモジュール10のソフトウェアを更新するためのTV用更新データと、BDモジュール20のソフトウェアを更新するためのレコーダ用更新データとを記録する。BDモジュール20は、BDからTV用更新データとレコーダ用更新データとを読み出して、レコーダ用更新データに基づいて、BDモジュール20のソフトウェアを更新すると共に、TV用更新データをトランスポートストリーム形式でTVモジュール10に出力する。TVモジュール10は、このTV用更新データに基づいてソフトウェアを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AV機器に関し、より詳細には、テレビモジュールとBD(Blu-ray Disc)レコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のデジタル放送では、複数チャンネル分のTS(トランスポート・ストリーム)が多重化されたフルTSと呼ばれるものが送出されている。MPEG2TSでは188バイト固定長のパケット列で構成される。例えば、チューナ付きBDレコーダでTSをBDに記録する場合、この放送から送られてくるMPEG2TS(フルTS)から不要なパケットを除去して録画したいチャンネルの再生に必要なデータのみを抜き出したパーシャルTSを記録する。この際、不要なパケットを取り除くことで生じた間隔を詰めるようにしている。
【0003】
また、記録したMPEG2TSを正しく復号するためには、復号の際に隣接するパケット間の時間間隔を放送局で送ったものと同じに復元する必要がある。しかし、上記のように不要なパケットを取り去って単純に記録した場合、再生時に元のパケット間の間隔がわからなくなってしまう。
そこで、BDレコーダでは、パケット間の時間間隔を再現できるように、タイムスタンプを各パケットの先頭に付加して記録する。これにより、再生時にタイムスタンプを見て、各パケットをデコーダに送る送出タイミングを調整することで、正しく再生ができるようになる。
【0004】
また、このようなBDレコーダでは、DSM−CC(Digital Storage Media Command and Control)データカルーセル形式のTSを受信することで、必要なデータをダウンロードすることができる。このDSM−CCデータカルーセル伝送方式は、ISO/IEC 13818−6で定義されており、受信機に対してデータを繰り返し送信することで、受信機は放送時間中の任意時点で必要なダウンロードデータを取得することができる。データは、ブロックに分割されたモジュール単位で伝送される。
【0005】
また、ARIB STD−B24では、上記ISO/IEC 13818−6に定められたUser-to-Networkダウンロードプロトコルのうち、Download Data Block(DDB)メッセージとDownload Info Indication(DII)メッセージとを用いてデータを転送することが定められている。データ本体は、ブロックに分割された各モジュールとしてDDBメッセージによって伝送される。DIIメッセージは、DSM−CCメッセージヘッダ(dsmccMessageHeader)を持ち、この中で、当該メッセージがMPEG2DSM−CCメッセージであることを示す情報や、MPEG2DSM−CCメッセージの種類を示す情報などが設定される。例えば、データカルーセル伝送におけるDIIメッセージでは“0x03(U-Nダウンロードメッセージ)”に設定される。
【0006】
従来、CPUを搭載したデジタルAV機器には、製品としての形態で、ソフトウェアのバージョンアップが可能なものがある。例えば、デジタル放送対応のテレビ装置(TV)の場合には上記のように放送波のダウンロードによるバージョンアップや、BDプレーヤやDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどの再生機器の場合には記録メディアによるバージョンアップが行われている。
【0007】
デジタル放送対応TVの場合、ユーザへのソフトウェアのバージョンアップサービスとして放送波によるダウンロードを用いることは、例えば特許文献1に記載されているように一般的に行われている。
一方、緊急な対応でサービスマンがソフトウェアを書き換えるケースや、修理でソフトウェアをバージョンアップする際には、その場で対応可能となるメディアによるバージョンアップが必要となる。このメディアとしては、SDカードやUSBメモリが考えられる。
【0008】
ここで、ソフトウェアのバージョンアップが可能な機器を複数組み合わせた機器を設計するときに、設計の都合上、複数のモジュールを一つの筐体に組み込んだ機器となる場合がある。例えば、BDレコーダ内蔵TVなどが製品化されている。このような製品でソフトウェアのバージョンアップを行うとき、それぞれ元々の機器(TV,BDレコーダ)に対応したバージョンアップ方法で、それぞれのモジュールのバージョンアップを実行することになる。
【0009】
図7は、従来のテレビ装置及びBDプレーヤにおけるソフトウェアバージョンアップ方法を説明するためのブロック図である。図7(A)はテレビ装置の構成例を示し、図7(B)はBDプレーヤの構成例を示す。なお、このBDプレーヤはBDレコーダであっても同様である。
【0010】
図7(A)において、100はテレビ装置で、該テレビ装置100は、アンテナ101と、フロントエンド部102、CAデスクランブル部103、MPEG2DEMUX104、CPU105、不揮発性メモリ106、映像処理部107、表示部108、音声処理部109、及びスピーカ110を備える。
【0011】
テレビ装置100に記憶されているファームウェア等のソフトウェアをバージョンアップする場合には、放送衛星経由で、新バージョンのソフトウェアが重畳された搬送波(フルTS)が送信される。テレビ装置100は、不揮発性メモリ106に旧(現在使用中の)バージョンのソフトウェアを記憶しており、搬送波により新バージョンのソフトウェアを取得すると、CPU105がこの新バージョンのソフトウェアにより旧バージョンのソフトウェアを書き換えてバージョンアップ(更新)を行う。
【0012】
また、図7(B)において、200はBDプレーヤで、該BDプレーヤ200は、光ディスクドライブ201、再生制御部202、MPEG2DEMUX203、CPU204,不揮発性メモリ205、映像処理部206、及び音声処理部207を備える。
【0013】
BDプレーヤ200に記憶されているファームウェア等のソフトウェアをバージョンアップする場合には、技術担当者等が新バージョンのソフトウェアが記憶されたCD,DVD,BDなどの記録媒体をBDプレーヤ200に装着する。BDプレーヤ200は、不揮発性メモリ205に旧バージョンのソフトウェアを記憶しており、記録媒体から新バージョンのソフトウェアを取得すると、CPU204がこの新バージョンのソフトウェアにより旧バージョンのソフトウェアを書き換えてバージョンアップ(更新)を行う。
【特許文献1】特開2005−12766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、複数のモジュールを一つの筐体に組み込んだ機器とした場合に、前述の図7に示したように、それぞれ元々の機器(TV,BDプレーヤ)に対応したバージョンアップ方法で、それぞれのモジュールのバージョンアップを実行することになる。従って、1つの機器に対して2回のバージョンアップを行うことになるため、バージョンアップ作業に手間と時間がかかってしまい、ユーザやメーカに大きな負担となっていた。
【0015】
上記機器に対して、理想的には1回のバージョンアップで、2つのモジュールのバージョンアップを行うことが望ましい。しかしながら、このような機器ではシステム上の制約が多いため、上記のような新規のバージョンアップ機能を実装することはこれまで行われていなかった。
【0016】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、TVモジュールとBDレコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器において、記録メディアを用いた1回のバージョンアップ処理により、複数モジュールのソフトウェアをバージョンアップできるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、第1の技術手段は、テレビジョン放送信号を受信するテレビ部と、外部記録媒体を着脱可能に装着するレコーダ部とを備えたAV機器であって、前記外部記録媒体は、前記テレビ部のソフトウェアを更新するためのテレビ用更新データと、前記レコーダ部のソフトウェアを更新するためのレコーダ用更新データとを記録し、前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記テレビ用更新データと前記レコーダ用更新データとを読み出して、前記レコーダ用更新データに基づいて、前記レコーダ部のソフトウェアを更新すると共に、前記テレビ用更新データをトランスポートストリーム形式で前記テレビ部に出力し、前記テレビ部は、前記レコーダ部から出力された前記テレビ用更新データに基づいて、前記テレビ部のソフトウェアを更新することを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記テレビ用更新データは、パーシャルトランスポートストリームで構成され、前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記パーシャルトランスポートストリームを読み出して、該読み出したパーシャルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記テレビ用更新データは、バイナリデータで構成され、前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記バイナリデータを読み出しながらパーシャルトランスポートストリームに変換し、該変換したパーシャルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記レコーダ部は、前記バイナリデータにPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)を挿入することにより、前記パーシャルトランスポートストリームに変換することを特徴としたものである。
【0021】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれか1の技術手段において、前記レコーダ部は、前記パーシャルトランスポートストリームにNULLパケットを挿入することにより、フルトランスポートストリームに変換し、該変換したフルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴としたものである。
【0022】
第6の技術手段は、第1の技術手段において、前記テレビ用更新データは、フルトランスポートストリームで構成され、前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記フルトランスポートストリームを読み出してメモリに展開し、該メモリに展開したトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴としたものである。
【0023】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1の技術手段において、前記パーシャルトランスポートストリームあるいは前記フルトランスポートストリームは、DSM−CCデータカルーセル形式のトランスポートストリームであることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、TVモジュールとBDレコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器において、記録メディアを用いた1回のバージョンアップ処理により、複数モジュールのソフトウェアをバージョンアップすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のAV機器に係る好適な実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るAV機器の要部構成例を示すブロック図で、1はAV機器で、該AV機器1は、大きく分けて、表示部2,スピーカ3,テレビ部に相当するTVモジュール10,レコーダ部に相当するBDモジュール20で構成される。このBDモジュール20は、BDレコーダあるいはBDプレーヤのいずれであってもよいが、以下ではCD,DVD,BD等の光ディスクの記録・再生が可能なBDレコーダとして説明する。
【0027】
TVモジュール10は、外部よりデジタルTV放送の電波を受信して高周波TV信号に変換し、フロントエンド部102に出力するアンテナ11と、アンテナ11からの高周波TV信号を増幅し、希望局を選局し、搬送波により変調されている高周波TV信号を復調し、さらにMPEG-2TS(Transport Stream)への復号,デインターリーブ等の処理を施してデジタルのMPEG-TS(以下、単にTSという)を出力するフロントエンド部12と、暗号を解除する手段であり、地上波デジタル放送やBSデジタル放送の場合にはB−CASカードによる暗号解除を行うCA(Conditional Access:条件付きアクセス)デスクランブル部13とを備える。
【0028】
また、TVモジュール10は、TSを映像データ,音声データ,字幕データ等に分離するMPEG2DEMUX14と、TSの経路をアンテナ11あるいはBDモジュール20のいずれかに切り換えるためのスイッチ手段であるTS経路切り換えSW15と、TVモジュール10を制御するTVモジュールCPU16と、更新可能なファームウェア等のソフトウェアを記憶する不揮発性メモリ17と、TS形式の映像データを復号し、表示部2に表示出力可能なデータ形式に変換して表示部2に出力する映像処理部18と、TS形式の音声データを復号し、スピーカ3に音声出力可能なデータ形式に変換してスピーカ3に出力する音声処理部19とを備える。
【0029】
また、BDモジュール20は、本例ではBDレコーダであり、CD,DVD,BDなどの光ディスクの読み込み処理を行う光ディスクドライブ21と、光ディスクからのデータの読み込み(再生)処理を制御する再生制御部22と、光ディスクから読み込んだTSを映像データ,音声データ,字幕データ等に分離するMPEG2DEMUX23と、BDモジュール20を制御するBDモジュールCPU24と、更新可能なファームウェア等のソフトウェアを記憶する不揮発性メモリ25と、TS形式の映像データを復号し、表示部2に表示出力可能なデータ形式に変換して表示部2に出力する映像処理部26と、TS形式の音声データを復号し、スピーカ3に音声出力可能なデータ形式に変換してスピーカ3に出力する音声処理部27とを備える。
【0030】
本発明の主たる特徴部分は、TVモジュールとBDレコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器において、記録メディアを用いた1回のバージョンアップ処理により、複数モジュールのソフトウェアをバージョンアップできるようにすることである。このための構成として、CD,DVD,BDなどの光ディスクに、TVモジュール10のソフトウェアを更新するためのTV用更新データと、BDモジュール20のソフトウェアを更新するためのレコーダ用更新データとを予め記録しておく。BDモジュール20は、光ディスクからTV用更新データとレコーダ用更新データとを読み出して、レコーダ用更新データに基づいて、BDモジュール20のソフトウェアを更新すると共に、TV用更新データをトランスポートストリーム形式でTVモジュール10に出力する。TVモジュール10は、BDモジュール20から出力されたTV用更新データに基づいて、TVモジュール10のソフトウェアを更新する。
【0031】
図2は、本発明のAV機器によるソフトウェアバージョンアップ方法の一例を説明するためのフロー図である。まず、BDモジュール20に更新用BDが挿入されたか否かを判定する(ステップS1)。この更新用BDには、TV用更新データ(TV用バージョンアップソフトウェア)とレコーダ用更新データ(レコーダ用バージョンアップソフトウェア)とが予め記録されており、後述の図3〜図6に示すPC(パーソナルコンピュータ)や専用のBDレコーダなどにより作成される。更新用BDであるか否かを判定するための方法としては、例えばこの更新用BDを作成する際に更新用BDであることを示す識別情報を記録しておく。そして、挿入されたBDにこの識別情報が記録されていることを検出した場合に、更新用BDと判定することができる。
【0032】
BDモジュール20は、ステップS1において、BDモジュール20に更新用BDが挿入されたと判定した場合(YESの場合)、BDモジュール20のBDモジュールCPU24からTVモジュール10のTS経路切り換えSW15にTS経路を切り換えるためのコントロール信号を送出する(ステップS2)。TVモジュール10は、BDモジュール20からのコントロール信号を受けて、TS経路をチューナ側からBD側に切り換える。また、ステップS1において、BDモジュール20に更新用BDが挿入されないと判定した場合(NOの場合)、ステップS1で処理を繰り返す。
【0033】
次に、BDモジュール20は、TVモジュール10にSDTT(ソフトウェアダウンロードトリガーテーブル)を送出して、TVモジュール10にダウンロードの準備を指示する(ステップS3)。このSDTTを送出する方法としては、更新用BDにSDTTを予め記録しておく、あるいは、BDモジュールCPU24がTS生成時に同時にSDTTを生成するなどの方法が考えられる。
【0034】
BDモジュール20は、更新用BDからレコーダ用バージョンアップソフトウェアを読み出して、BDモジュール20の不揮発性メモリ25に記憶されている旧バージョンのソフトウェアを新バージョンのソフトウェアで書き換える。さらに、BDモジュール20は、更新用BDからTV用バージョンアップソフトウェアを読み出して、後述の図3〜図6の実施例に示すようなTS形式でTVモジュール10に出力する(ステップS4)。なお、TVモジュール10に出力されるTV用バージョンアップソフトウェアのデータ形式は、パーシャルTSあるいはフルTSであって、衛星経由でのダウンロードと同様のDSM−CCデータカルーセル形式のTSである。
【0035】
最後に、TVモジュール10は、BDモジュール20から出力されたTV用バージョンアップソフトウェアに基づいて、TVモジュール10の不揮発性メモリ17に記憶されている旧バージョンのソフトウェアを新バージョンのソフトウェアで書き換える(ステップS5)。
【0036】
このように本発明によれば、TVモジュールとBDレコーダモジュールなどの複数モジュールを組み合わせたAV機器において、記録メディアを用いた1回のバージョンアップ処理により、複数モジュールのソフトウェアをバージョンアップすることができる。
【0037】
また、TVモジュールとして、新規にソフトウェアのバージョンアップ機能を実装する必要がなく、通常の衛星経由でのダウンロードと同様の方法により、簡易な構成でコストをかけずにバージョンアップすることができる。
【0038】
また、TVモジュールのソフトウェアを記録メディアによりバージョンアップすることができるため、衛星経由でのバージョンアップのように搬送波の受信状態等に左右されることがない。
【0039】
(実施例1)
図3は、本発明の実施例1に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。図中、4はPC,5は更新用BDを示す。本例では、PC4で更新用BD5を作成するが、更新用BD5にTV用更新データとして188byte単位のフルTSをそのまま書き込む。なお、更新用BD5は、BD以外であってもよく、例えばCDやDVDなどであってもよい。BDモジュール20は、更新用BD5からフルTSを読み出してメモリに展開し、メモリに展開したTSをTVモジュール10に出力する。TVモジュール10では、フルTSに含まれるDIIメッセージとDDBメッセージとに基づいて、旧バージョンのソフトウェアを新バージョンのソフトウェアで書き換える。
【0040】
DDBメッセージとDIIメッセージは、前述したように、ARIB STD−B24(ISO/IEC 13818−6)で定められており、BDモジュール20からTVモジュール10に対して、これらのメッセージがデータカルーセル形式のTSで送信される。
【0041】
本例の場合、衛星経由のダウンロードによる方法と同じフルTSを利用するため、TVモジュール側ではTS経路切り換えSW15を追加するだけでよく、バージョンアップのための特別な対応を行う必要がなく、最も簡易な構成で実現することができる。
【0042】
(実施例2)
図4は、本発明の実施例2に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。図中、6は専用のBDレコーダを示す。本例では、専用のBDレコーダ6で更新用BD5を作成するが、BDレコーダ6は自身のチューナでダウンロードしたフルTSをパーシャルTSに変換して更新用BD5に書き込む。BDモジュール20は、更新用BD5からパーシャルTSを読み出して、読み出したパーシャルTSをTVモジュール10に出力する。TVモジュール10では、パーシャルTSに含まれるDIIメッセージとDDBメッセージとに基づいて、旧バージョンのソフトウェアを新バージョンのソフトウェアで書き換える。なお、専用のBDレコーダ6はPCであっても構わない。
【0043】
本例の場合、衛星経由のダウンロードによる方法とは異なるパーシャルTSを利用するため、TVモジュール側ではTS経路切り換えSW15を追加することに加え、TVモジュール10をパーシャルTSによるバージョンアップに対応させておく必要がある。
【0044】
(実施例3)
図5は、本発明の実施例3に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。本例では、PC4で更新用BD5を作成するが、PC4はTV(これはTVモジュール10以外のTVとする)でダウンロードしたフルTSをパーシャルTS(すなわち、192byte単位のタイムスタンプ付きTS)に変換して更新用BD5に書き込む。なお、更新用BD5は、BD以外であってもよく、例えばCDやDVDなどであってもよい。後の処理は実施例2と同様であるが、BDモジュール20は、更新用BD5からパーシャルTSを読み出して、読み出したパーシャルTSをTVモジュール10に出力する。TVモジュール10では、パーシャルTSに含まれるDIIメッセージとDDBメッセージとに基づいて、旧バージョンのソフトウェアを新バージョンのソフトウェアで書き換える。
【0045】
本例の場合も、実施例2と同様に、衛星経由のダウンロードによる方法とは異なるパーシャルTSを利用するため、TVモジュール側ではTS経路切り換えSW15を追加することに加え、TVモジュール10をパーシャルTSによるバージョンアップに対応させておく必要がある。
【0046】
(実施例4)
図6は、本発明の実施例4に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。本例では、PC4で更新用BD5を作成するが、更新用BD5にTV用更新データとしてDIIメッセージとDDBメッセージのバイナリデータを書き込む。なお、更新用BD5は、BD以外であってもよく、例えばCDやDVDなどであってもよい。BDモジュール20は、更新用BD5からバイナリデータを読み出しながらパーシャルTSに変換し、変換したパーシャルTSをTVモジュール10に出力する。例えば、BDモジュール20は、バイナリデータにPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)を挿入することにより、パーシャルTSに変換する。
【0047】
本例の場合も、実施例2,3と同様に、衛星経由のダウンロードによる方法とは異なるパーシャルTSを利用するため、TVモジュール側ではTS経路切り換えSW15を追加することに加え、TVモジュール10をパーシャルTSによるバージョンアップに対応させておく必要がある。
【0048】
上記の実施例2〜4においては、BDモジュール20からTVモジュール10に対して、パーシャルTS形式でTV用バージョンアップソフトウェアを送信しているが、この場合、TVモジュール10側ではパーシャルTSによるバージョンアップに対応させておく必要がある。
【0049】
一般的なTVでは、フルTSの選局には対応しているが、パーシャルTSの選局には対応していない。そこで、まず第1に、TVモジュール10に対して、パーシャルTSによる選局を行えるようにして、パーシャルTSを受信できるようにする。第2に、パーシャルTSを解析して、DDBメッセージとDDIメッセージを構築できるようにする。そして、第3に、放送波によるバージョンアップの場合は、SDTTの時間をトリガとしてバージョンアップを開始できるようにする。一方、本発明によるバージョンアップでは、BDモジュール20からTVモジュール10に擬似的なSDTT(図2)を送出し、これをトリガとして更新用BD5によるバージョンアップを行うようにする。なお、バージョンアップの開始指示は、図示しないリモコン装置等から行うことができる。
【0050】
ここで、TVモジュール10側をパーシャルTSに対応させることなく、パーシャルTSによるバージョンアップを行うための方法として、BDモジュール20が、パーシャルTSにNULLパケットを挿入することにより、パーシャルTSをフルTSに変換し、変換したフルTSをTVモジュール10に出力するようにしてもよい。
【0051】
このようにすることで、実施例1と同様に、衛星経由のダウンロードによる方法と同じフルTSを利用することができ、TVモジュール側ではTS経路切り換えSW15を追加するだけでよく、バージョンアップのための特別な対応を行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係るAV機器の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明のAV機器によるソフトウェアバージョンアップ方法の一例を説明するためのフロー図である。
【図3】本発明の実施例1に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施例3に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施例4に係るAV機器を含むシステム構成例を示す図である。
【図7】従来のテレビ装置及びBDプレーヤにおけるソフトウェアバージョンアップ方法を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1…AV機器、2…表示部、3…スピーカ、4…PC、5…更新用BD、6…専用BDレコーダ、10…TVモジュール、11…アンテナ、12…フロントエンド部、13…CAデスクランブル部、14,23…MPEG2DEMUX、15…TS経路切り換えSW、16…TVモジュールCPU、17,25…不揮発性メモリ、18,26…映像処理部、19,27…音声処理部、20…BDモジュール、21…光ディスクドライブ、22…再生制御部、24…BDモジュールCPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送信号を受信するテレビ部と、外部記録媒体を着脱可能に装着するレコーダ部とを備えたAV機器であって、
前記外部記録媒体は、前記テレビ部のソフトウェアを更新するためのテレビ用更新データと、前記レコーダ部のソフトウェアを更新するためのレコーダ用更新データとを記録し、
前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記テレビ用更新データと前記レコーダ用更新データとを読み出して、前記レコーダ用更新データに基づいて、前記レコーダ部のソフトウェアを更新すると共に、前記テレビ用更新データをトランスポートストリーム形式で前記テレビ部に出力し、
前記テレビ部は、前記レコーダ部から出力された前記テレビ用更新データに基づいて、前記テレビ部のソフトウェアを更新することを特徴とするAV機器。
【請求項2】
請求項1に記載のAV機器において、前記テレビ用更新データは、パーシャルトランスポートストリームで構成され、
前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記パーシャルトランスポートストリームを読み出して、該読み出したパーシャルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴とするAV機器。
【請求項3】
請求項1に記載のAV機器において、前記テレビ用更新データは、バイナリデータで構成され、
前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記バイナリデータを読み出しながらパーシャルトランスポートストリームに変換し、該変換したパーシャルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴とするAV機器。
【請求項4】
請求項3に記載のAV機器において、前記レコーダ部は、前記バイナリデータにPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)を挿入することにより、前記パーシャルトランスポートストリームに変換することを特徴とするAV機器。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のAV機器において、前記レコーダ部は、前記パーシャルトランスポートストリームにNULLパケットを挿入することにより、フルトランスポートストリームに変換し、該変換したフルトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴とするAV機器。
【請求項6】
請求項1に記載のAV機器において、前記テレビ用更新データは、フルトランスポートストリームで構成され、
前記レコーダ部は、前記外部記録媒体から前記フルトランスポートストリームを読み出してメモリに展開し、該メモリに展開したトランスポートストリームを前記テレビ部に出力することを特徴とするAV機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のAV機器において、前記パーシャルトランスポートストリームあるいは前記フルトランスポートストリームは、DSM−CCデータカルーセル形式のトランスポートストリームであることを特徴とするAV機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−41681(P2010−41681A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205741(P2008−205741)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】