説明

B型肝炎ウイルス活性を持ったヌクレオシド

【課題】ヒトまたは他の宿主動物でのB型肝炎ウイルス感染の処置のため、B型肝炎ウイルスに対して活性のある化合物および医薬組成物の提供。
【解決手段】下記一般式で表されるβ−L−2’−アジド−2’,3’−ジデオキシリボース−5−フルオロシトシン。


(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、三リン酸または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシルまたはアルキルである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する分野は、B型肝炎ウイルス(“HBV”とも称される)の治療のための、効果的な量の一つまたはそれ以上のβ−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’―ジデオキシ−5−フルオロシトシンを必要とする宿主へ投与することを含む方法である。
【背景技術】
【0002】
HBVはヒトの癌の原因のうち、たばこのみに次いで二番目を占める。HBVが癌を引き起こす機構は不明だが、腫瘍発生を直接引き起こしうるかまたは感染に関係した慢性炎症、硬変、および細胞新生を通して間接的に腫瘍を引き起こすと仮定されている。
【0003】
B型肝炎ウイルスは世界中で流行のレベルに達している。宿主が感染に気づかない2から6ヶ月の潜伏期間の後に、HBV感染は急性肝炎と肝障害を引き起こす可能性があり、腹痛、黄疸、特定の酵素の血中濃度の上昇を引き起こす。HBVはまた、劇症肝炎の急速な進展、そしてしばしば肝臓の大部分が破壊される致命的な状態を引き起こす。患者は典型的には急性ウイルス性肝炎からは回復する。しかしながらある患者では長期の、または不明確な期間にわたってウイルス性抗原が高濃度に血中に存続し、慢性感染を引き起こす。慢性感染は慢性持続性肝炎を引き起こしうる。慢性持続性HBVに感染した患者は発展途上国において最も一般的である。1991年の半ばまでに、アジアだけで慢性HBV保因者は約二億二千五百万人であり、全世界ではほぼ三億人の保因者がいる。慢性持続性肝炎は疲労、肝硬変、または原発性肝癌である肝細胞癌を引き起こしうる。西洋の先進国では、HBV感染の高危険群には、HBV保因者またはその血液サンプルに接触した者が含まれる。HBVの流行様式は実際に後天性免疫不全症候群のそれに非常に類似しており、なぜHBV感染がAIDSまたはHIV関連感染患者の間で一般的であるかを説明している。しかしながら、HBVはHIVよりも伝染性がある。
【0004】
遺伝子工学的に得られたタンパク質であるα−インターフェロンによる毎日投与は有望性を見せてきた。ヒト血清由来のワクチンもまた患者にHBVに対する免疫をするために開発された。ワクチンは遺伝子工学的に生産されてきた。ワクチンが有効であるとわかったが、慢性保因者からのヒト血清の供給が限られていることと、精製過程が長く高価であるために、ワクチンの生産には困難がある。さらに、異なる血清から調製されたそれぞれのワクチンのバッチは安全性を確かめるためにチンパンジーで試験されなければならない。加えて、このワクチンは既にウイルスに感染した患者には助けとならない。
【0005】
いくつかの抗HBV活性を持った合成ヌクレオシドが同定されている。Liottaらに付与された米国特許第5,539,116号で請求された3TCとして知られるBCH−189(2’、3’−ジデオキシ−3’−チアシチジン)の(−)−エナンチオマーは、B型肝炎治療の治験が現在行なわれている。BioChem Pharma, Inc.によって提出された欧州特許第EPA O 494 119 A1号も参照のこと。
【0006】
Liottaらに付与された米国特許第5,814,639号および第5,914,331号に請求されているβ−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(「FTC」)はHBVに対する活性を示す。Furmanら,「シス−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−シトシンの(−)および(+)エナンチオマーの抗B型肝炎活性、細胞傷害性および同化促進活性(The Anti−Hepatitis B Virus Activities, Cytotoxicities, and Anabolic Profiles of the (−) and (+) Enantiomers of cis−5−Fluoro−1−[2−(Hydroxymethyl)1,3−oxathiolane−5−yl]−Cytosine)」Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 1992年12月、ページ 2686−2692 およびChengら, Jounal of Biological Chemistry, Volume 267(20), 13938−13942(1992)参照も参照のこと。
【0007】
米国特許第5,565,438号、第5,567,688号および第5,587,362号(Chuら)には2’フルオロ−5−メチル−β−L−アラビノフラノリルウリジン(L−FMAU)のB型肝炎およびエプステインバーウイルスの治療に対する使用が開示されている。
【0008】
ペニシクロビル(2−アミノ−1,9−ジヒドロ−9−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシエチル)ブチル]−6H−プリン−6−オン;PCV)はB型肝炎に対する活性を示している。米国特許第5,075,445号および第5,684,153号を参照のこと。
【0009】
アデフォビル(9−[2−(ホスフォノメトキシ)エチル]アデニン、またはPMEAまたは[2−(6−アミノ−9H−プリン−9−イル)エトキシ]メチルスルホン酸とも称されるもの)もまた、B型肝炎に対する活性を示している。たとえば米国特許第5,641,763号または第5,142,051号を参照のこと。
【0010】
Yale大学およびGeorgia Reseach Goundation, Inc.大学は第WO 92/18517号において、B型肝炎ウイルスの治療のためのL−FDDC(5−フルオロ−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジン)の使用を開示している。
【0011】
アデノシンアラビノシド、サイモシン、アシクロビル、ホスフォノフォルメート、ジドブジン、(+)―シアニダノール、キナクリン、および2’―フルオロアラビノシル−5−ヨードウラシルを含むそのほかの薬物がHBVの治療のために探索されている。
【0012】
Emory大学に付与された米国特許第5,444,063号および第5,684,010号は、B型肝炎の治療のための立体異性的に純粋なβ−D−1,3−ジオキシランプリンヌクレオシドの使用を開示している。
【0013】
Emory大学、UAB Research Foundation、およびCentre National de la Recherche Scientifiqueによって提出されたWO 96/40164はHIV感染の治療のための数々のβ−L−2’,3’−dideoxynucleosidesを発表している。
【0014】
Emory大学、UAB Research Foundation、そしてCentre National de la Recherche Scientifiqueによって提出された第WO 95/07287号もまたHIV感染の治療のための2’又は3’デオキシおよぴ2’,3’−ジデオキシ−β−L−ペントフラノシルヌクレオシドを開示している。
【0015】
Genencor International,Inc.,およびLipitek,Inc.によって提出された第WO96/13512号は、抗癌剤および殺ウイルス剤としてのL−リボフラノシルヌクレオシドの調製を開示している。
【0016】
第WO95/32984号は免疫抑制剤としてヌクレオシド一リン酸の脂質エステルを開示している。
【0017】
第DE4224737号は、シトシンヌクレオシドとその薬理学的使用を開示している。
【0018】
Biochem.Pharmacol.48(7)、ページ1477−81,1994でTsaiらは抗HIV薬剤2’−β−D−F−2’,3’−ジデオキシヌクレオシド類似体の、ミトコンドリアDNAの細胞含量および乳酸産出における効果を開示している。
【0019】
Galvez,J.Chem.Inf.Comput.Sci.(1994),35(5),1198−203は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンの分子評価を開示している。
【0020】
Mahmoudian,Pharm.Research 8(1),43−6(1991)は、β−D−3’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシチジンのようなHIV薬剤の定量的構造−活性相関解析を開示している。
【0021】
米国特許第5,703,058号は、HIVおよびHBV感染の処置のための(5−カルボキシミドまたは5−フルオロ)−(2’,3’−不飽和または3’−改変)ピリミジンヌクレオシドを開示している。
【0022】
LinらはJ.Med.Chem.31(2),336−340(1988)にてβ−D−ヌクレオシドのさまざまな3’−アジド類似体の合成および抗ウイルス活性を開示している。
【0023】
プリンおよびピリミジンヌクレオシドのウイルス疾病、特にHBVとHIVに対する活性原理の重要な過程は、細胞質およびウイルス性キナーゼによる一、二、または三リン酸化誘導体が得られるその代謝活性化である。多くのヌクレオシドの生物学的活性種は三リン酸化体であり、DNAポリメラーゼや逆転写酵素の阻害や鎖の末端化を引き起こす。今日までにHBVおよびHIVの治療のために開発されたヌクレオシド誘導体は、ヌクレオシドはその抗ウイルス効果を現す前に細胞においてリン酸化されなくてはならないという事実にもかかわらず、三リン酸体が典型的には細胞に到達する前に脱リン酸化されたり、または細胞にほとんど吸収されないために、非リン酸化体で宿主に投与するよう提供されている。ヌクレオチドは一般的に細胞膜を非常に非効率的に透過し、in vitroでは一般的にあまり有効ではない。ヌクレオシドを修飾してその吸収性とヌクチオシドの効能を増強しようとする試みはR.Jones and N.Bishofberger Antiviral Research,27(1995)1−17で記述されている。
【0024】
B型肝炎ウイルスが全世界で流行のレベルに達していることと、それが重大でしばしば悲劇的な作用を感染患者にもたらすことを考慮して、宿主への毒性の少ない新規の効果的なウイルス感染患者の治療のための薬物を提供する強い要求が依然としてある。
【0025】
このように、HBVに感染したヒトまたは他の宿主の治療のための化合物、構成物および方法を提供することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】米国特許第5539116号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0494119号明細書
【特許文献3】米国特許第5814639号明細書
【特許文献4】米国特許第5914331号明細書
【特許文献5】米国特許第5565438号明細書
【特許文献6】米国特許第5567688号明細書
【特許文献7】米国特許第5587362号明細書
【特許文献8】米国特許第5075445号明細書
【特許文献9】米国特許第5684153号明細書
【特許文献10】米国特許第5641763号明細書
【特許文献11】米国特許第5142051号明細書
【特許文献12】国際公開第92/18517号
【特許文献13】米国特許第5444063号明細書
【特許文献14】米国特許第5684010号明細書
【特許文献15】国際公開第96/40164号
【特許文献16】国際公開第95/07287号
【特許文献17】国際公開第96/13512号
【特許文献18】国際公開第95/32984号
【特許文献19】独国特許出願公開第4224737号明細書
【特許文献20】米国特許第5703058号明細書
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】The Anti−Hepatitis B Virus Activities, Cytotoxicities, and Anabolic Profiles of the (−) and (+) Enantiomers of cis−5−Fluoro−1−[2−(Hydroxymethyl)1,3−oxathiolane−5−yl]−Cytosine Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 1992年12月、ページ 2686−2692
【非特許文献2】Chengら, Jounal of Biological Chemistry, Volume 267(20), 13938−13942(1992)
【非特許文献3】Tsaiら Biochem.Pharmacol.48(7)、ページ1477−81,1994
【非特許文献4】Galvez,J.Chem.Inf.Comput.Sci.(1994),35(5),1198−203
【非特許文献5】Mahmoudian,Pharm.Research 8(1),43−6(1991)
【非特許文献6】Linら J.Med.Chem.31(2),336−340(1988)
【非特許文献7】R.Jones and N.Bishofberger Antiviral Research,27(1995)1−17
【発明の概要】
【0028】
ヒトおよび他の宿主動物でのHBV感染の治療のための方法は、任意に医薬的に許容可能な担体中で、単独または他の抗HIV剤との組み合わせまたは交互のいずれかで、β−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンヌクレオチド、または安定化リン酸を含む医薬的に許容可能なその塩、エステルまたはプロドラッグの効果的なHIV処理量を宿主に投与することを含んで開示する。好ましい実施様態において、2’または3’−アジド基はリボシル配座である。好ましい実施形態においては、ヌクレオシドは指示されたエナンチオマーおよび対応するβ−D−エナンチオマーが本質的に存在しないように提供される。
【0029】
一つの実施様態において、活性化合物は、式
【0030】
【化1】

の、β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグであり、式中、RはH、アシル、一リン酸、二リン酸または三リン酸、または(安定したヌクレオチドプロドラッグを形成するために)安定リン酸誘導体であり、R’はH、アシルまたはアルキルである。
【0031】
一つの実施様態において、活性化合物は、式
【0032】
【化2】

の、β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグであり、式中、RはH、アシル、一リン酸、二リン酸または三リン酸、または(安定したヌクレオチドプロドラッグを形成するために)安定リン酸誘導体であり、R’はH、アシルまたはアルキルである。
【0033】
開示されたヌクレオシド、またはその医薬的に許容可能なプロドラッグ、エステルまたは塩およびこれらの化合物を含んだ医薬的に許容可能な処方はHBV感染、および抗HBV抗体陽性およびHBV陽性状態、HBVによって起こる慢性肝炎、硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性持続性肝炎、疲労のような他の関連状態の予防と治療に有用である。これらの化合物または処方はまた、抗HBV抗体またはHBV抗原陽性の個人、またはHBVに曝露された個人での臨床的疾患の予防または進行の遅延のために予防的に用いることができる。
【0034】
一つの実施形態においては、本発明は特に開示されたL−(2’または3’)−A−5−FddCヌクレオシドのHBV治療量のプロドラッグの投与を含むHBVに感染したヒトへの治療法を含む。本明細書で使用するとき、プロドラッグ、in vivoでの投与において、前記ヌクレオシドに変換されるか、それ自身で活性を持つ特に開示されたヌクレオシドの医薬的に許容可能な誘導体を指す。非限定的な例は、以下にさらに詳述する5’−一リン酸、二リン酸、または三リン酸誘導体、他のリン酸、または安定化ヌクレオチドプロドラッグのような5’およびN−シトシンのアシル化またはアルキル化誘導体である。
【0035】
本発明の一つの実施形態においては、一つまたはそれ以上の活性化合物は、効果的な抗HBV治療を提供するために、一つまたはそれ以上の他の抗HBV剤との交互または組み合わせて投与される。置換または併用治療に用いることのできる抗HBV剤の例には、シス−2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(「FTC」、第WO92/14743号を参照のこと)、シス−2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(3TC)の(−)エナンチオマー、米国特許第5,444,063号および第5,684,010号に記述されたようなβ−D−1,3−ジオキシランプリンヌクレオシド、カルボビル、インターフェロンペニシクロビルおよびファミクロビルが含まれるが、限定はされない。
【0036】
患者に治療を提供する任意の置換の方法も利用できる。交互パターンの非限定的な例は1〜6週の効果的な量の単剤投与の後に1〜6週の効果的な量の第二の抗HBV剤の投与が含まれる。交互スケジュールは無処置の期間を含むことができる。組合せ療法は一般に二つまたはそれ以上の抗HBV剤の効果的な比率での同時投与を含む。
【0037】
HBVがしばしば抗HIV抗体またはHIV抗原陽性、またはHIVに曝露された患者に見られることを考慮して、本明細書中で開示された活性抗HBV化合物またはその誘導体またはプロドラッグは適切な環境下において抗HIV抗体と併用または交互に投与することができる。
【0038】
1つの実施様態において、HIVの治療のための第二の抗ウイルス剤は、逆転写酵素阻害剤(「RTI」)でありえ、合成ヌクレオシド(「NRTI」)または非ヌクレオシド化合物(「NNRTI」)のどちらかであり得る。他の実施様態において、HIVの場合、第二(または第三)の抗ウイルス剤はプロテアーゼ阻害剤であり得る。他の実施様態において、第二(第三)の化合物はピロリン酸類似体または融合結合阻害剤であり得る。多くの抗ウイルス化合物に関してin vitroおよびin vivoで収集した耐性データを編集したリストが、Shinaziら,薬物耐性に関連したレトロウイルス遺伝子での変異(Mutations in retroviral genes associated with drug resistance)、International Antiviral News,Volume 1(4),International Medical Press 1996で見ることができる。
【0039】
本明細書に開示されたHIV治療に対する化合物と組合せで、または交互に使用できる抗ウイルス剤の好ましい例には、2−ヒドロキシメチル−5−(5−フルオロシトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(FTC)、2−ヒドロキシメチル−5−(シトシン−1−イル)−1,3−オキサチオラン(3TC)の(−)−エナンチオマー、カルボビル、アシクロビル、インターフェロン、L−FMAU、およびβ−D−ジオキソールアニル−グアニン(DXG)、β−D−ジオキソールアニル−2,6−ジアミノプリン(DAPD)、β−D−ジオキソールアニル−6−クロロプリン(ACP)のようなβ−D−ジオキソランヌクレオシド、L−FっDC(5’−フルオロ−3’−チア−2’,3’−ジデオキシシチジン)、3’−フルオロ−修飾β−2’−デオキシリボヌクレオシド5’−三リン酸のL−エナンチオマー、ファミシクロビル、ペンシクロビル、ビス−Pom PMEA(アデフォビル、ジピボキシル)、ラブカビル、ガンシクロビルおよびリババリンが含まれる。
【0040】
活性抗HBV剤は抗生物質、他の抗ウイルス化合物、抗真菌剤、または他の二次感染の治療のために投与される薬物と組み合わせて投与しうる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】3’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的な反応図式の図解である。
【図2】2’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的な反応図式の図解である。
【図3A】β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−3’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【図3B】β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−3’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【図4A】β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【図4B】β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン(L−2’−A−5−FddC)の調製の1つの工程の図解である。
【0042】
(発明の詳細な記述)
本明細書で使用するとき、用語「実質的に〜の非存在下で(substantially in the absence of)」または「実質的に〜なしの(substantially free of)」は、少なくともおよそ95%、好ましくはおよそ97%、98%、99%または100%のそのヌクレオシドの単一エナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を表す。
【0043】
本明細書で使用するとき用語アルキルは、特に明記しない限り、C〜C10の飽和直鎖、分岐鎖または環状、第一級、第二級、または第三級炭化水素を示し、とりわけメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、へキシル、イソへキシル、シクロへキシル、シクロへキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルを含む。アルキル基は任意に、1つまたはそれ以上の、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルフォン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、またはホスホン酸塩からなる群より選択した部分で置換してよく、保護されず、または必要なように、たとえばGreeneら「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons,Second Edition,1991で説かれているように当業者に対して公知のように保護してよい。本明細書で使用するとき用語低アルキルは、特に言及しない限り、C〜Cエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチルまたはt−ブチル基を表す。
【0044】
本明細書で使用するとき、用語アシルは、とりわけC(O)アルキル、C(O)アリール、アセチル、プロピニル、ブチリル、ペンタノイル、3−メチルブチリル、コハク酸水素、3−クロロ安息香酸、ベンゾイル、アセチル、ピバロイル、メシラート、プロピオニル、バレリル、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸またはアミノ酸部分の残基を含むが、限定はしない。
【0045】
本明細書で使用するとき、用語アリールは、特に明記しない限り、フェニル、ビフェニルまたはナフチルを意味し、とりわけフェニルを意味する。アリール基は任意に、1つまたはそれ以上の、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルフォン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、またはホスホン酸塩からなる群より選択した部分で置換してよく、保護されず、または必要なように、たとえばGreeneら「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、John Wiley and Sons,Second Edition,1991で説かれているように当業者に対して公知のように保護してよい。
【0046】
本明細書で使用するとき、用語アミノ酸には、天然または非天然のアミノ酸が含まれ、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパラトイル、グルタオイル、リシニル、アルギニイルおよびヒスチジニルが含まれるが、限定はされない。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語プロドラックは、in vivoでの投与においてヌクレオシドに変換されるか、またはそれ自身で活性を持つとりわけ開示されたヌクレオシドの医薬的に許容可能な誘導体を表す。非限定的な例は、活性化合物の5’およびNアシル化またはアルキル化誘導体、および5’−一リン酸、二リン酸、または三リン酸誘導体または安定化リン酸プロドラッグ、または以下でさらに詳細に記述したような5’−エーテル脂質である。たとえば、ヌクレオシドは、脱リン酸化から化合物を保護する処方において、一リン酸、二リン酸または三リン酸として提供される。処方には、リポソーム、リポスフェア、ミクロスフェアまたはナノスフェアが含まれる(後ろ3つは感染した細胞を標的とすることができる)。
【0048】
本明細書で開示されたように、本発明は、任意に医薬的に許容可能な担体中の、以上で同定した化合物、または医薬的に許容可能な誘導体、またはその医薬的に許容可能な塩の1つまたはそれ以上の効果的にHBVを処置する量を投与することを含む、ヒトまたは他の宿主動物でのHBV感染または同様の様式で置き換えた他のウイルスの処置のための方法および化合物である。本発明の化合物は、抗HBV活性を持つか、または抗HBV活性を示す化合物または化合物群へ代謝されるかどちらかである。
【0049】
活性ヌクレオシドの構造および調製
立体化学
ヌクレオシドの糖(以下一般的に糖部分と記す)の1’および4’炭素はキラルであるので、その非水素置換物(それぞれCHORおよびピリミジンまたはプリン残基)は、糖環系に関してシス(同じ側)またはトランス(反対側)のどちらかであり得る。したがって、4つの光学的アイソマーを、(C1’とC4’原子の間の「第一」酸素が後ろにあるように水平面で糖部分を方向付けした場合)以下の配座によって表すことができる。「β」または「シス」(両方の群が「上」であり、通常存在するヌクレオシドの配座、すなわちD配座に相当する)、「β」またはシス(両方の群が「下」であり、通常はとらない配座、すなわちL配座)、「α」または「トランス」(C2置換が「上」でC5置換が「下」である)およびトランス(C2置換が「下」で、C5置換が「上」)。
【0050】
本発明の活性ヌクレオシドは、アジド基がリボシル配座である、β−L−配座である。
【0051】
プロドラッグ処方
本明細書で開示したヌクレオシドは、レシピエントへの投与に際し、直接的にまたは間接的に親活性化合物を提供できる、またはそれ自身活性を示す任意の誘導体として投与できる。1つの実施様態において、5’−OH基の水素は、C〜C20アルキル、そのエステル基の非カルボニル部位が直鎖、分岐鎖、または環状C〜C20アルキル、フェニル、またはベンジルから選択されるアシル、天然に存在するかまたは非天然のアミノ酸、5’−エーテル脂質または5’−リン酸エーテル脂質、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル、任意にハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシで置換されたフェニルを含むアリール、コハク酸のようなジカルボキシル酸、アルキルまたはメタンスルフォニルを含むアルキルスルフォニルのようなスルホン酸エステル、または一、二または三リン酸エステルによって置換される。
【0052】
プリンまたはピリミジン塩基上の1つまたは両方の水素は、C〜C20アルキル、そのエステル基の非カルボニル部位が直鎖、分岐鎖、または環状C〜C20アルキル、フェニル、またはベンジルから選択されるアシル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル、任意にハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシで置換されたフェニルを含むアリールによって置換されうる。
【0053】
活性ヌクレオシドはまた、以下の参考文献にて開示されたように5’−エーテル脂質として提供されうる。Kucera,L.S.,N.Iyer,E.Leake,A.Raben,Modest E.J.,D.L.W.,and C.Piantadosi.1990 感染性HIV−1産物を阻害し、防御ウイルス構造を誘導する新規膜相互作用エーテル脂質類似体(Novel membrane−interactive ether lipid analogs that inhibit infections HIV−1 production and induce defective virus formation.)AIDS Res Hum Retroviruses.6:491−501、Piantadosi,C.,J.Marasco C.J.,S.L.morris−Natschke,K.L.Meyer,F.Gumus,J.R.Surles,K.S.Ishaq,L.S.Kucera,N.lyer,C.A.Wallen,S.Piantadosi,and E.J.Modest.1991−抗HIV活性に対する新規エーテル脂質ヌクレオシド共役物の合成および評価(Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV activity.)J Med Chem.34:1408−1414、Hostetler,K.Y.,D.D.Richman,D.A.Carson,L.M.Stuhmiller,G.M.T.van Wijk,and H.van den Bosch.1992 3’−デオキシチミジン二リン酸ジミリストイルグリセロール、3’−デオキシチミジンの脂質プロドラッグによるCEMおよびHT4−6Cでのヒト免疫不全ウイルス1型複製の阻害の顕著な抑制(Greatly enhanced inhibition of human immunodeficiency virus type 1 replication in CEM and HT4−6C cells by 3’−deoxythymidine diphosphate dimyristoylglycerol,a lipid prodrug of 3’−deoxytymidine.)Antimicrob Agents Chemother,36:2025−2029、Hostetler,K.Y.,L.M.Stuhmiller,H.B.Lenting,H.van den Bosch,and D.D.Richman.1990 アジドチミジンおよび他の抗ウイルスヌクレオシドのリン脂質類似体の合成および抗レトロウイルス活性(Synthesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothymidine and other antiviral nucleosides.)J.Biol.Chem.265:6112−7。
【0054】
安定化ヌクレオチド
本明細書に記述した任意のヌクレオシドを、活性、バイオアベイラビリティー、安定性を増加させるか、もしくはヌクレオシドの特性を変化させるためにヌクレオチドプロドラッグまたはリン脂質プロドラッグとして投与できる。多くのヌクレオチドプロドラッグリガンドが公知である。一般的に、ヌクレオシドの一、二、または三リン酸のアルキル化、アシル化または他の脂質親和性改変はヌクレオチドの安定性を増加させる可能性がある。リン酸部分上の1つまたはそれ以上の水素を置換することができる置換基の例はアルキル、アリール、ステロイド、糖、1,2−ジアシルグリセロールおよびアルコールを含む炭化水素である。多くはR.Jones and N.Bishofberger,Antiviral Research,27(1995)1−17に記述されている。これらの任意のものは、望ましい効果を達成するために、開示したヌクレオシドとの組合せで使用できる。ヌクレオチドプロドラッグの非限定的な例は以下の参考文献に記述されている。
【0055】
Ho,D.H.W.(1973)ヒトおよびマウスの組織での1b−D−アラビノヅラノシルシトシンのキナーゼおよびデアミナーゼの分布(Destribution of Kinase and deaminase of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine in tissues of man and mouse.)Cancer Res.33,2816−2820、Holy,A.(1993)イソ極性リン酸改変ヌクレオチド類似体(Isopolar phosphorous−modified nucleotide anaogues.)In:De Cercq(Ed.),Advances in Antiviral Drug Design,Vol.I,JAI Press,pp.179−231、Hong,C.I.,Nechaev,A.,and West,C.R.(1979a)コルチゾールおよびコルチゾンの1b−D−アラビノフラノシルシトシン共役物の合成および抗腫瘍活性(Synthesis and antitumor activity of 1b−D−arabinofuranosylcytosine conjugates of cortisol and cortisone.)Biochem.Biophys.Rs.Commun.88,1223−1229、Hong,C.I.,Nechaev,A.,Kirisits,A.J.Buchheit,D.J.and West,C.R.(1980)強力な抗腫瘍剤としてのヌクレオシド共役物。3.コルチコステロイドおよび選択脂質親和性アルコールの1−(b−D−アラビノフラノシル)シトシン共役物の合成および抗腫瘍活性(Nucleoside conjugates as potential antitumor agents.3.Synthesis and antitumor activity of 1−(b−D−arabinofuranosyl)cytosine conjugates of corticosteroids and selected lipophilic alcohols.)J.Med.Chem.28,171−177、Hostetler,K.Y.,Stuhmiller,L.M.,Lenting,H.B.M.van den Bosch,H.and Richman,D.D.(1990)アジドチミジンおよび他の抗ウイルスヌクレオシドのリン脂質類似体の合成および抗レトロウイルス活性(Sythesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothmidine and other antiviral nucleosides.)J.Biol.Chem.265,6112−6117、Hostetler,K.Y.,Carson,D.A.and Richman,D.D.(1991)ホスファチジルアジドチミジン:CEM細胞での抗レトロウイルス活性の機構(Phosphatidylazidothymidine:mechanism of antiretroviral action in CEM cells.)J.Biol.Chem.266,11714−11717、Hostetler,K.Y.,Korba,B.Sridhar,C.,Gardener,M.(1994a)B型肝炎感染細胞でのホスファチジル−ジデオキシシチジンの抗ウイルス活性およびマウスでの肝取り込みの増加(Antiviral activity of phophatidyl−dideoxycytdine in hepatitis B−infected cells and enhanced hapatic uptake in mice.)Antiviral Res.24,59−67、Hostetler,K.Y.,Richman,D.D.,Sridhar,C.N.Felgner,P.L,Felgner,J.,Ricci,J.,Gardener,M.F.Selleseth,D.W.and Ellis,M.N.(1994b)ホスファチジルアジドチミジンおよびホスファチジル−ddC:マウスリンパ組織での取り込みおよびヒト免疫不全ウイルス感染細胞およびラッシャー白血病ウイルス感染マウスでのウイルス活性の査定(Phosphatidylazidothymidine and phosphatdyl−ddC:Assessment of uptake in mouse lymphoid tissues and antiviral activities in human immunodeficiency virus−infected cells and in rauscher leukemia virus−infected mice.)Antimicrobial Agents Chemother.38,2792−2797、Hunston,R.N.,Jones,A.A.McGuigan,C.,Walker,R.T.,Balzarini,J.,and De Clercq,E.(1984)2’−デオキシ−5−フルオロウリジン由来の環状リン酸トリエステルの合成および生物学的特性(Synthesis and biological properties of some cyclic phosphotriesters derived from 2’−deoxy−5−fluorouridine.)J.Med.Chem.27,440−444、Ji.Y.H.,Moog,C.,Schmitt,G.,Bischoff,P.and Luu,B.(1990)、強力な抗腫瘍剤としての7b−ヒドロキシコレステロールの、およびピリジンヌクレオシドの一リン酸ジエステル:抗腫瘍活性の合成および予備評価(Monophophoric acid diesters of 7b−hydroxycholesterol and of pyrimidine nucleosides as potential antitumor agents:synthsis and preliminary evaluation of antitumor activity.)J.Med.Chem.33,2264−2270、Jones,A.S.,McGuigan,C.,Walker,R.T.,Balzarini,J.and DeClercq,E.(1984)ヌクレオシド環状ホスホルアミドの合成、特性および生物学的活性(Synthesis,properties,and biologcal activity of some nucleoside cyclic phosporamidates.)J.Chem.Soc.Perkin Trans.I,1471−1474、Juodka,B.A.and Smart,J.(1974)ジトリボヌクレオシドa(P→N)アミノ酸誘導体の合成(Synthesis of ditribonucleoside a(P→N) amino acid derivatives.)Coll.Czech.Chem.Comm.39,363−968、Kataoka,S.,Imai,J.,Yamaji,N.,Kato,M.,Saito,M.,Kawada,T.and Imai,S.(1989)アルキル化cAMP誘導体;選択的合成および生物学的活性(Alkylated cAMP derivatives;selective synthesis and biological activities.)Nucleic Acids Res.Sym.Ser.,21,1−2、Kataoka,S.,Uchida,R.and Yamaji,N.(1991)アデノシン3’,5’環状リン酸(cAMP)ベンジルおよびメチルトリエステルの便利な合成(A convenient synthesis of adenosine 3’,5’ cyclic phosphate(cAMP) benzyl and methyl triesters.)Heterocycles 32,1351−1356、Kinchington,D.,Harvey,J.J.,O’Connor,T.J.,Jones,B.C.N.M.,Devine,K.G.,Taylor−Robinson,D.,Jeffries,D.J.and McGuigan,C(1992)in vitroにおけるHIVおよびULVに対するジドブジンホスホルアミド酸およびホスホロジアミド酸酸誘導体の抗ウイルス効果の比較(Comparison of antiviral effects of zidovudine phosphoramidate and phosphorodiamidate derivatives against HIV and ULV in vitro.)Antiviral Chem.Chemother.3,107−112、Kodama,K.,Morozumi、M.,Saitoh,K.I.,Kuninaka,H.,Yoshino,H.and Saneyoshi,M.(1989)1−b−D−アラビノフラノシルシトシン−5’−ステアリルリン酸の抗腫瘍活性および薬理学;1−b−D−アラビノフラノシルシトシンの経口活性誘導体(Antitumor activity and pharmacology of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine−5’−stearylphosphate;an orally active derivative of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine.)Jpn.J.Cancer Res.80,679−685、Korty,M.and Engels,J.(1979)ギニーブタ心室心筋におけるアデノシン−およびグアノシン−3’,5’−リンおよび酸ベンジルエステルの効果(The effects of adenosine− and guanosine 3’,5’−phosphoric and acid benzyl esters on guinea−pig ventricular myocardium.)Naunyn−Schmiedeberg’s Arch.Pharmacol.310,103−111、Kumar,A.,Goe,P.L.,Jones,A.S.Walker,R.T.Balzarini,J.and De Clercq,E.(1990)環状ホスホルアミド酸ヌクレオシド誘導体の合成および生物学的評価(Synthesis and biological evaluation of some cyclic phosphoramidate nucleoside derivatives.)J.Med.Chem.33,2368−2375、LeBec,C.,and Huynh−Dinh,T.(1991)抗癌プロドラッグとしての5−フルオロウリジンおよびアラビノシチジンの脂質親和性リン酸トリエステル誘導体の合成(Synthesis of lipophilic phosphate triester derivatives of 5−fluorouridine and arabinocytidine as anticancer prodrugs.)Tetrahedron Lett.32,6553−6556、Lichtenstein,J.,Barner,H.D.and Cohen,S.S.(1960)大腸菌による外来より供給したヌクレオチドの代謝(The metabolism of exogenously supplied nucleotides by Escherichia coli.)J.Biol.Chem.235,457−465、Lucthy,J.,Von Daeniken,A.,Friederich,J.Manthey,B.,Zweifel,J.,Schlatter,C.and Benn,M.H.(1981)3つ通常存在するシアノエピチオア
ルカンの合成と毒性特性(Synthesis and toxicological properties of three naturally occurring cyanoepithioalkanes.)Mitt.Geg.Lebensmitelunters.Hyg.72,131−133(Chem.Abstr.95,127093)、McGuigan,C.Tollerfield,S.M.and Riley,P.A.(1989)抗ウイルス薬剤Araのリン酸トリエステル誘導体の合成および生物学的評価(Synthesis and biological evaluation of some phosphate triester derivatives of the anti−viral drug Ara.)Nucleic Acids Res.17,6065−6075、McGuigan,C.,Devine,K.G.,O’Connor,T.J.,Galpin,S.A.,Jeffries,D.J.and Kinchington,D.(1990a)抗HIV化合物としての3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)の新規ホスホルアミド誘導体の合成および評価(Synthesis and evaluation of some novel phosphoramidate derivatives of 3’−azido−3’−deoxythymidine(AZT) as anti−HIV compounds.)Antiviral Chem.Chemother.1,107−113、McGuigan,C.,O’Connor,T.J.,Nicholls,S.R.Nickson、C.and Kinchington,D.(1990b)AZTおよびddCydの新規置換リン酸ジアルキル誘導体の合成および抗HIV活性(Synthesis and anti−HIV activity of some novel substtuted dialkyl phosphate derivatives of AZT and ddCyd.)Antiviral Chem.Chemother.1,355−360、McGuigan,C.,Nicholls,S.R.,O’Connor,T.J.and Kinchington,D.(1990c)潜在的な抗AIDS薬物としての3’−改変ヌクレオシドの新規リン酸ジアルキル誘導体の合成(Synthesis of some novel dialkyl phosphate derivative of 3’−modified nucleosides as potential anti−AIDS drugs.)Antiviral Chem.Chemother.1,25−33、McGuigan,C.,Devine,K.G.,O’Connor,T.J.,and Kinchington,D.(1991)3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)のハロアルキルホスホルアミド誘導体の合成および抗HIV活性;トリクロロエチルメトキシアラニル化合物の強力な活性(Synthesis and anti−HIV activity of some haloalkyl phosphoramidate derivatives of 3’−azido−3’−deoxythymidine(AZT);potent activity of the trichloroethyl methoxyalaninyl compound.)Antiviral Res.15,255−263、McGuigan,C.,Pathirana,R.N.,Mahmood,N.,Devine,K.G.and Hay,A.J.(1992)AZTのアリールリン酸誘導体はAZTの活性に抵抗性の細胞株での抗HIV−1に対する活性を残している(Aryl phosphate derivatives of AZT retain activity against HIV−1 in cell lines which are resistant to the action of AZT.)Antiviral Res.17,311−321、McGuigan,C.,Pathirana,R.N.,Choi,S.M.,Kinchigton,D.and O’Conner,T.J.(1993a)HIVの阻害剤としてのAZTのホスホルアミド誘導体;カルボキシル末端での研究(Phosphoramidate derivatives of AZT as inhibitors of HIV;studies on the carboxyl terminus.)Antiviral Chem.Chemother.4,97−101、McGuigan,C.,Pathirana、R.N.,Balzarini,J.and De Clercq,E.(1993b)AZTのリン酸アリール誘導体による生物活性AZTヌクレオチドの細胞内送達(Intercellular delivery of bioactive AZT nucleotdes by aryl phosphate derivatives of AZT.)J.Med.Chem.36,1048−1052。
【0056】
抗HIV剤AZTのリン酸水素アルキル誘導体は親ヌクレオシド類似体よりも毒性が少ない可能性がある。Antiviral Chem.Chemother.5,271−277、Meyer,R.B.,Jr.,Shuman,D.A.and Robins,R.K.(1973)プリンヌクレオシド3’,5’−環状ホスホルアミドの合成(Synthesis of purine nucleoside 3’,5’−cyclic phsphoramidates.)Tetrahedron Lett.269−272、Nagyvary,J.Gohil,R.N.,Kirchner,C.R.and Stevens,J.D.(1973)環状AMPの中性エステルでの研究(Studies on neutral esters of cyclic AMP),Biochem.Biophys.Res.Commun.55,1072−1077、Namane,A.Gouyett,C.,Fillion,M.P.,Fillion,G.and Huynh−Dinh,T.(1992)グリコシルホスホトリエステルプロドラッグを用いたAZTの脳送達の改善(Improved brain delivery of AZT using a glycosyl phsphotriester prodrug.)J.Med.Chem.35,3039−3044、Nergeot,J.Nerbonne,J.M.Engels,J.and Leser,H.A.(1983)Natl.Acad.Sci.U.S.A.80,2395−2399、Nelson,K.A.,Bentude,W.G.,Stser,W.N.and Hutchinson,J.P.(1987)ヌクレオシド環状3’、5’−一リン酸のリン酸環にするチェアー−ツイスト平衡の問題。チミジンフェニル環状3’,5’−一リン酸のジアステレオマーのHNMRおよびx線結晶学研究(The question of chair−twist equilibria for the phosphate rings of nucleoside cyclic 3’,5’−monophosphates.HNMR and x−ray crystallographic study of the diasteromers of thymidine phenyl cyclic 3’,5’−monophosphate.)J.Am.Chem.Soc.109,4058−4064、Nerbonne,J.M.,Richard,S.,Nargeot,J.and Lester,H.A.(1984)新規光学活性可能環状ヌクレオチドは、環状AMPおよび環状GMP濃度の細胞内急増を引き起こす(New photoactivatable cyclic nucleotides produce intracellular jumps in cyclic AMP and cyclic GMP concentratios.)Nature 301,74−76、Neumann,J.M.Herve,M.,Debouzy,J.C.,Guerra,F.I.,Gouyette,C.,Dupraz,B.and Huynh−Dinh,T.(1989)チミジンのグリコシルリン脂質のNMRによる合成および経膜的輸送研究(Synthesis and transmembrane transport studies by NMR of a glycosyl phospholipid of thymidine.)J.Am.Chem.Soc.111,4270−4277、Ohno,R.,Tatsumi,N.,Hirano,M.,Imai,K.Mizoguchi,H.,Nakamura,T.,Kosaka,M.,Takatuski,K.Yamaya,T.,Toyama,K.,Yoshida,T.,Masaoka,T.,Hashimoto,S.,Ohshima,T.,Kimura,I.,Yamada,K.and Kimura,J.(1991)1−b−D−ラビノフラノシルシトシン−5’−ステアリルリン酸の経口投与による脊髄形成異常症候群の治療(Treatment of myelodysplastic syndromes with orally administered 1−b−D−rabinofuranosylcytosine−5’−stearylphosphate.)Oncology 48,451−455、Palomino,E.,Kessle,D.and Horwitz,J.P.(1989)2’,3’−ジデオキシヌクレオシドの脳への維持送達のためのジヒドロピリジン担体系(A dihydropyridine carrier system for sustained delivery of 2’,3’−dideoxynucleosides to the brain.)J.Med.Chem.32,62−625、Perkins,R.M.,Barney,S.,Wittrock,R.,Clark,P.H.,Levin,R.Lambert,D.M.,Peteway,S.R.,Serafinowska,H.T.,Bailey,S.M.,Jackson,S.,Harnden,M.R.Ashton,R.,Sutton,D.,Harvey,J.J.and Brown,A.G.(1993)マウスでのラッシャーネズミ白血病ウイルスに対するBRL47923およびその経口プロドラッグ、SB203657Aの活性(Activity of BRL47923 and its oral prodrug,SB203657A against a rauscher murine leukemia virus infection in mice.)Antiviral Res.20(Suppl.I).84、Piantadosi,C.,Marasco,C.J.,Jr.,Morris−Natschke,S.L.,Meyer,K.L.,Gumus,F.,Surles,J.R.,Ishaq,K.S.,Kucera,L.S.Iyer,N.,Wallen,C.A.,Piantadosi,S.and Modest,E.J.(1991)抗HIV−1活性に関する新規エーテル脂質ヌクレシド共役物の合成および評価(Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV−1 activity.)J.Med.Chem.34,1408−1414、Pompon,A.,Lefebvre,I.,Imbach,J.L.,Kahn,S.and Farquhar,D.(1994)細胞抽出内および細胞培養培地内でのアジドチミジン−5’−一リン酸のモノ−およびビス(ピバロイルオキシメチル)エステルの分解経路;オンラインISRP−クリーニングHPLC技術の適用(Decomposition pathways of the mono− and bis(pivaloyloxymethyl)esters of azidothymidine−5’−monophosphate in cell extract and in tissue culture medium;an application of the on−line ISRP−cleaning’HPLC technique.)Antiviral Chem.Chemother.5,91−98、Postemark,T.(1974)環状AMPおよび環状GMP(Cyclic AMP and cyclic GMP.)Annu.Rev.Pharmacol.14,23−33、Prisbe,E.J.,Martin,J.C.M.,McGee,D.P.C.,Barker,M.F.,Smee,D.F.Duke,A.E.,Matthews,T.R.and Verheyden,J.P.J.(1986)9−[(1,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシ)メチル]グアニンのリン酸塩およびリン酸塩誘導体の合成と抗ヘルペスウイルス活性(Synthesis and antiherpes virus activity of phosphate and phosphonate derivatives of 9−[(1,3−dihydroxy−2−propoxy)methyl]guanine.)J.Med.Chem.29,671−675、Pucch,F.,Gosselin,G.,Lefebvre,I.,Pompon,A.,Aubertin,A.M.Dirn,A.and Imbach,J.L.(1993)リダクターゼ仲介活性化工程を介したヌクレオシド一リン酸の細胞内送達(Intracellular delivery of nucleoside monophosphate through a reductase−mediated activation process.)Antiviral Res.22,155−174、Pugaeva,V.P.,Klochkeva,S.I.,Mashibits,F.D.and Eizengart,R.S.(1969)工業大気におけるエチレンスルフィドに関する毒性学的査定および健康標準格付け(Toxicological assessment and health standard ratings for ethylene sulfide in the industrial atmosphere.)Gig.Trf.Prof.Zabol.13,47−48(Chem.Abstr.72,212)、Robins,R.K.(1984)レトロウイルスおよび腫瘍の阻害剤としてのヌクレオチド類似体の潜在能力(The potenotial of nucleotide analogs as inhibitors of retroviruses and tumors.)Pharm.Res.11−18、Rosowsky,A.,Kim.S.H.,Ross and J.Wick,M.M.(1982)潜在的プロドラッグとしての1−b−D−アラビノフラノシルシトシンおよびそのN−アシルおよび2,2’−アンヒドロ−3’0−アシル誘導体の脂質親和性5’−(アルキルリン酸)エステル(Lipophilic 5’−(alkylphosphate)esters of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine and its N−acyl and 2,2’−anhydro−3’0−acyl derivatives as potential prodrug.)J.Med.Chem.25,171−178、Ross,W.(1961)グルコース前処理に引き続く塩基性側鎖を持つ芳香族窒素マスタードに対する歩行者集団の感受性の増加(Increased sensitivity of the walker turnout towards aromatic nitrogen mustards carrying basic side chains following glucose pretreatment.)Biochem.Pharm.8,235−240、Ryu,E.K.,Ross,R.J.Matsushita,T.,MacCoss,M.,Hong,C.I.and West,C.R.(1982)リン脂質−ヌクレオシド共役物。3.1−b−D−アラビノフラノシルシトシン 5’−二リン酸[−],2−ジアシルグリセロールの合成と予備生物学的評価(Phospholipid−nucleoside conjugates.3.Synthesis and preliminary biological evaluation of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine 5’−diphosphate[−],2−diacylglycerols.)J.M
ed.Chem.25,1322−1329、Saffhill,R.and Hume,W.J.(1986)異なる供給源からの血清による5−ヨードデオキシウリジンおよび5−ブロモデオキシウリジンの分解およびDNA内への組み込みのためのこれらの化合物の使用に関するその重要性(The degradation of 5−iododeoxyuridine and 5−bromodeoxyuridine by serum from different sources and its consequences for the use of these compounds for incorporation into DNA.)Chem.Biol.Interact.57,347−355、Saneyoshi,M.,Morozumi,M.,Kodama,K.,Machida,J.,Kuninaka,A.and Yshino,H.(1980)合成ヌクレオシドおよびヌクレオチド。XVI.1−b−D−アラビノフラノシルシトシン 5’−アルキルまたはアリールリン酸の系列の合成および生物学的評価(Synthetic nucleosides and nucleotides.XVI.Sythesis and biological evaluations of a series of 1−b−D−arabinofuranosylcytosine 5’−alkyl or arylphosphates.)Chem.Pharm.Bull.28,2915−2923、Sastry,J.K.,Nehete,P.N.,Khan,S.,Nowak,B.J.,Plunkett,W.,Arlinghaus,R.B.and Farquhar,D.(1992)膜透過性ジデオキシウリジン5’−一リン酸類似体はヒト免疫不全ウイルス感染を阻害する(Membrane−permeable dideoxyuridine 5’−monophosphate analogue inhibits human immunodeficiency virus infection.)Mol.Pharmacol.41,441−445、Shaw,J.P.,Jones,R.J.Arimilli,M.N.,Louie,M.S.,Lee,W.A.and Cundy,K.C.(1994)オススプラグ−ダウレイラットでのPMEAプロドラッグからのPMEAの経口バイオアベイラビリティ(Oral bioavailability of PMEA from PMEA prodrugs in male Sprague−Dawley rats.)9th Annual AAPS Meeting.San Diego,CA(要約)、Shuto,S.,Ueda,S.,Imamura,S.,Fukukawa,K.,Matsuda,A.and Ueda,T.(1987)酵素的二相反応による5’−ホスファチジルヌクレオシドの容易な一段階合成(A facile one−step synthesis of 5’−phosphatidylnucleosides by an enzymatic two−phase reaction.)Tetrahedron Lett.28,199−202、Shuto,S.,Itoh,H.,Ueda,S.,Imamura,S.,Kukukawa,K.,Tsujino,M.,Matsuda,A.and Ueda,T.(1988)5’−(3−sn−ホスファチジル)ヌクレオシドの容易な酵素的合成およびその抗白血病活性(A facile enzymatic synthesis of 5’−(3−sn−phosphaticyl)nucleosides and their antileukemic actvities.)Chem.Pharm.Bull.36,209−217。好適なリン酸プロドラッグ基はS−アシル−2−チオエチル基、または「SATE」として表すものである。
【0057】
活性化合物の調製
宿主臓器でのHBV感染を処置するための開示した方法で使用したヌクレオシドは公知の方法にしたがって調製してよい。3’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的工程を図1に示す。2’−置換β−L−ジデオキシヌクレオシドの立体特異的合成の一般的工程を図2に示す。β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの詳細な合成は図3で提供する。β−L−(2’−アジド)−2’、3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの詳細な合成を図4および以下の実施例2で提供する。
【0058】
(実施例)
実施例1 β−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン
融点をGallenka融点MFB−595−010M器具上でオープンキャピラリーチューブ内で測定し、逆修正する。UV吸収スペクトルをUvikon931(KONTRON)スペクトロメーター上でエタノール中記録した。H−NMRスペクトルを室温にて、Bruker AC250または400スペクトロメーターでDMSO−d6内で行った。化学シフトをppmで与え、DMSO−d5を対照として2.49ppmに設定した。重水素交換、デカップリング実験または2D−COSYをプロトンアサイメントを確かめるために行った。シグナル多重度をs(シングレット)、d(ダブレット)、dd(ダブレットのダブレット)、t(トリプレット)、q(クアドルプレット)、br(ブロード)、m(マルチプレット)で表した。すべてのJ値はHzである。FAB質量スペクトルをJEOL DX 300質量スペクトロメーターで陽イオン(FAB>0)または陰イオン(FAB<0)モードにて記録した。マトリックスは3−ニトロベンジルアルコール(NBA)またはグリセロールおよびチオグリセロール(GT)の混合物(50:50、v/v)であった。特異的旋回をPerkin−Elmer241分光偏光計(パス長1cm)で測定し、10−1degcm2g−1の単位で与えた。元素分析を「Service de Microanalyses du CNRS,Division de Vemaison」(France)によって行った。元素または画分の記号によって示した解析は理論値の±0.4%内であった。薄層クロマトグラフィーをシリカゲル60F254(Merck,Art.5554)の前コートしたアルミニウムシート上で行い、産物の視覚化をUV吸光度によって行い、続いて10%エタノール硫酸で焦がし、熱した。カラムクロマトグラフィーを大気圧で、シリカゲル60(Merck,Art.9385)で行った。
【0059】
1−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル(2)
5−フルオロウラシル(5.0g、38.4mmol)の懸濁液を、還流下18時間、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、260mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで処理した。室温への冷却後、混合液を減圧下蒸発させ、無色油として得た残さを無水1,2−ジクロロエタン(260mL)で希釈した。得られた溶液に無水1,2−ジクロロエタン(130mL)中の1,2−ジ−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−L−キシロフラノース1(11.3g、25.6mmol)[参考文献:Gosselin,G.,Bergogne,M.−C.、Imbach,J.−L.,「5つの天然に存在している核酸塩基のβ−L−キシロフラノシルヌクレオシドの合成および抗ウイルス性評価(Synthesis and Antiviral Evaluation of β−L−Xylofuranosyl Nucleosides of the Five Naturally Occurring Nucleic Acid Bases)」、Journal of Heterocyclic Chemistry,1993,30(Oct.−Nov.)、1229−1233]を加え、次いでトリエチルシリルトリフルオロメタンスルホン酸(TMSTf、9.3mL、51.15mmol)を添加した。この溶液をアルゴン大気下で室温にて6時間攪拌し、次いでクロロホルム(1L)で希釈し、同量の飽和水和炭酸水素ナトリウム溶液、および最後に水(2×800mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させた。得られた未精製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(0−4%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として2を得た(11.0g、84%収率)。融点=96−98℃、UV(エタノール):λmax=228nm(ε=25900)266nm(ε=9000)、λmin=250nm(ε=7200)。
【0060】
【化3】

【0061】
1−(3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル 3
【0062】
【化4】

【0063】
ヒドラジン水和物(2.80mL、57.4mmol)を、酢酸(35mL)およびピリジン(150mL)中の1−(2−O−アセチル−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フルオロウラシル2(9.80g、19.1mmol)の溶液に加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。アセトン(50mL)を加え、混合液を2時間攪拌した。反応混合液を少量まで濃縮し、酢酸エチル(200mL)および水(200mL)間で分配した。層を分離し、有機相を飽和水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×200mL)、最後に水(2×200mL)で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(0−5%)の段階的勾配]によって精製し、純粋な3を得(7.82g、87%)、塩化メチレンから結晶化した。融点=93−97℃、UV(エタノール):λmax=227nm(ε=22800)267nm(ε=8200)、λmin=249nm(ε=5900)。
【0064】
【化5】

【0065】
1−(2−デオキシ−3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 5
【0066】
【化6】

【0067】
無水アセトニトリル(650mL)中の1−(3,5−ジ−O−ベンゾイル−β−L−キシロフラノシル)−5−フロロウラシル 3(15.4g、32.7mmol)の溶液に、O−フェニルクロロチオノギ酸(6.80mL、49.1mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、12.0g、98.2mmol)を加えた。得られた溶液を1時間、アルゴン下室温で攪拌し、次いで減圧下で蒸発させた。残さを塩化メチレン(350mL)に溶解し、有機溶液を連続して水(2×250mL)、氷冷0.5N塩化水素酸(250mL)および水(2×250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下蒸発させた。粗精製物質4を数回無水ジオキサンと共に共蒸発し、この溶媒(265mL)中に溶解した。得られた溶液をアルゴン下にトリス(トリメチルシリル)シランヒドリド(12.1mL、39.3mmol)およびα,α’−アゾイソブチロニトリル(AIBN、1.74g、10.8mmol)を加えた。反応混合液を加熱し、100℃で2.5時間アルゴン下攪拌し、次いで室温まで冷却し、減圧下蒸発させた。この残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、純粋な5を得(13.0g、87%)、ジエチルエーテル/メタノール混合液から結晶化した。融点=182−184℃、UV(エタノール):λmax=229nm(ε=25800)269nm(ε=9300)、λmin=251nm(ε=6500)。
【0068】
【化7】

【0069】
1−(2−デオキシ−3,5−ジ−o−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−4−チオ−5−フルオロウラシル 6
【0070】
【化8】

【0071】
ローソン(Lawsson)試薬(3.1g、7.70mmol)をアルゴン下で無水1,2−ジクロロエタン(200mL)中の5(5.0g、11.0mmol)の溶液に加え、この反応液を還流下で一晩攪拌した。次いでこの溶媒を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、黄色泡として4−チオ中間体6を得た(80%収率)。融点=178−179℃、UV(エタノール):λmax=230nm(ε=24900)、273nm(ε=6900)、333nm(ε=19200)、λmin=258nm(ε=5900)、289nm(ε=5300)。
【0072】
【化9】

【0073】
1−(2−デオキシ−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 7
【0074】
【化10】

【0075】
(すでに−10℃で飽和し、しっかりと停止した)メタノールアンモニア(60mL)中のこの4−チオ中間体6(1.0g、2.13mmol)の溶液を3時間、ステンレス−鉄噴射容器内で100℃にて熱し、次いで0℃まで冷却した。この溶液を減圧下乾燥するまで蒸発させ、残さを何回かエタノールと共に共蒸発させた。未精製物質を水に溶解し、得られた溶液を4回塩化メチレンで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(3−20%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、酢酸エチル/メタノール混合液から結晶化し、0.44gの7を得た。融点=199−201℃、UV(エタノール):λmax=226nm(ε=7700)、281nm(ε=8500)、λmin=262nm(ε=6300)。
【0076】
【化11】

【0077】
1−(2−デオキシ−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 8
【0078】
【化12】

【0079】
乾燥ピリジン(35mL)中の7(1.69g、6.89mmol)の溶液に、アルゴン大気下でt−ブチルジメチルシリルクロライド(1.35g、8.96mmol)を滴下して加え、この混合液を室温にて5時間攪拌した。次いで、この混合液を飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×150mL)で抽出した。抽出物をまとめ、水(2×200mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(2−10%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な8を得た(2.94g、87%)。融点=177−179℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε9900)、282nm(ε10000)、λmin226nm(ε8200)、263nm(ε7600)。
【0080】
【化13】

【0081】
1−(2−デオキシ−3−O−メシル−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 9
【0082】
【化14】

【0083】
乾燥ピリジン(30mL)中の8(0.70g、1.96mmol)の懸濁液をアルゴン大気下で攪拌し、0℃まで冷却した。塩化メタンスルフォニル(MsCl、0.46mL、5.88mmol)を滴下して加え、この反応混合液を0℃にて5時間攪拌した。次いでこの混合液を氷/水(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。抽出物をまとめ、5%水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)、水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:トルエン中メタノール(8−12%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な9を得た(0.56g、65%)。融点83−84℃、UV(エタノール):λmax242nm(ε8500)、282nm(ε8800)、λmin225nm(ε6400)、264nm(ε6300)。
【0084】
【化15】

【0085】
1−(2,3−ジデオキシ−3−アジド−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 10
【0086】
【化16】

【0087】
無水ジメチルホルムアミド(12mL)中の9(520mg、1.19mmol)の溶液に10%メタノールでしめらせたリチウムアジド(300mg、5.31mmol)を加えた。この反応混合液を2.5時間100℃で攪拌し、次いで室温まで冷却し、氷/水(200mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。抽出物を集め飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)、水(5×100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4%)]によって精製し、ジエチルエーテル/メタノール混合液より結晶化して、純粋な10を得た(327mg、72%)。融点146−147℃、UV(エタノール):λmax243nm(ε8700)、283nm(ε8400)、λmin226nm(ε7200)、264nm(ε6700)。
【0088】
【化17】

【0089】
1−(2,3−ジデオキシ−3−アジド−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 11 (3’−N−β−L−5−FddC)
【0090】
【化18】

【0091】
1Mのテトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムトリフルオリド(TBAF/THF、1.53mL、1.53mmol)を、無水THF(4mL)中の10(295mg、0.67mmol)の溶液に加えた。得られた混合液を室温で1.5時間攪拌し、減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4−8%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、エタノールより結晶化して、純粋な11を得た(199mg、96%)。融点188−189℃(液体:D−エナンチオマーに対して融点164−166℃)、UV(エタノール):λmax243nm(ε8700)、283nm(ε8100)、λmin226nm(ε7100)、264nm(ε6500)。
【0092】
【化19】

【0093】
【表1】

【0094】
実施例2 β−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシンの調製
使用した一般的な手順および器具は、3’アイソマー(3’−N−β−L−FddC)の合成の実験的プロトコール部分での実施例1で記述した。
【0095】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 13
【0096】
【化20】

【0097】
5−フルオロウラシル(5.15g、39.6mmol)の懸濁液をヘキサメチルジシラザン(HMDS、257mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで、還流下18時間処理した。室温まで冷却した後、この混合液を減圧下で蒸発し、無色油として得られた残さを無水1,2−ジクロロエタン(290mL)で希釈した。得られた溶液に無水1,2−ジクロロエタン(120mL)中の1,2−ジ−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−L−エリスロ−ペントフラノース 12(8.5g、26.4mmol)[参考文献:Mathe,C.,Ph.D.Dissertation,Universite de Montpellier II−Sciences et Techniques du Languedoc,Montepellier(France),1994年9月13日、Gosselin,G.,Mathe,C.,Bergogne,M.−C.,Aubertin,A.M.,Kim,A.,Sommadossi,J.P.,Schinazi,R.F.,Imbach,J.L.,「2’−および/または3’−デオキシ−β−L−ペントフラノシルヌクレオシド誘導体:立体特異的合成および抗ウイルス活性(2’−and/or 3’−deoxy−β−L−pentofuranosyl nucleoside derivatives:stereospecific synthesis and antiviral activities)」Nucleosides & Nucleotides,1994,14(3−5),611−617]を加え、続いてトリメチルシリルトリフルオロメタン硫酸(TMSTf、9.6mL、52.8mmol)を添加した。この溶液をアルゴン大気下、室温で5時間攪拌し、次いでクロロホルム(200mL)で希釈し、同用量の飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液、最後に水(2×300mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで減圧下で蒸発させた。得られた未精製物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中メタノール(0−6%)の段階的勾配]によって精製し、トルエンから結晶化して純粋な13を得た(8.59g、83%)。融点=65−68℃、UV(エタノール):λmax228nm(ε11200)、268nm(ε14000)、λmin242nm(ε7800)。
【0098】
【化21】

【0099】
1−(3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 14
【0100】
【化22】

【0101】
テトラヒドロフラン(THF、175mL)中の13(5.90g、15.0mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(2.84g、52.6mmol)を加えた。得られた懸濁液を5時間室温で攪拌し、次いでDowex 50 W X 2(H型)を添加して中和した。この樹脂を濾過し、温メタノールで洗浄し、濾液をまとめ、乾燥するまで蒸発させた。残さのシリカゲル[溶出:メチレンクロリド中メタノール(0−8%)の段階的勾配]上のカラムクロマトグラフィーにより、メチレンクロリド/メタノールから結晶化して14(4.11g、78%)を得た。融点154−156℃、UV(エタノール):λmax226nm(ε23000)、268nm(ε16000)、λmin246nm(ε8900)。
【0102】
【化23】

【0103】
1−(3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 15
【0104】
【化24】

【0105】
ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC、3.53g、17.1mmol)およびジクロロ酢酸(0.235mL、2.56mmol)を、無水ベンゼン(50mL)、DMSO(35mL)およびピリジン(0.46mL)中の14(2.00g、5.71mmol)の溶液に加えた。得られた溶液をアルゴン下で4時間、室温で攪拌し、酢酸エチル(300mL)で希釈した。メタノール(4.6mL)中に溶解したシュウ酸(1.54g、17.1mmol)を加え、反応混合液を室温で1時間攪拌し、次いで濾過して沈殿したジシクロへキシルウレア(DCU)を取り除いた。濾液を食塩水(3×300mL)、飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×300mL)、最後に水(3×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さを何回か無水エタノールと共に共蒸発させ、無水エタノール(31mL)および無水ベンゼン(15mL)の混合液に溶解した。次いで得られた溶液を0℃まで冷却し、ホウ化水素ナトリウム(NaBH、0.32g、8.56mmol)を加えた。反応混合液をアルゴン下で1時間、室温にて攪拌し、濾過した酢酸エチル(300mL)で希釈した。濾液を飽和した水和塩化ナトリウム溶液(3×300mL)、および水(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(0−6%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として純粋な15を得た(1.10g、55%)。融点171−172℃、UV(エタノール):λmax228nm(ε14700)、270nm(ε9100)、λmin248nm(ε5000)。
【0106】
【化25】

【0107】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロウラシル 16
【0108】
【化26】

【0109】
無水酢酸(0.88mL、9.28mmol)をアルゴン下、乾燥ピリジン(50mL)中の15(2.50g、7.14mmol)の溶液に加え、得られた混合液を室温で22時間攪拌した。次いでエタノールを加え、溶媒を減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中のメタノール(0−2%)の段階的勾配]によって精製し、白色泡として純粋な16を得た(2.69g、96%)。融点=68−70℃(泡)、UV(エタノール):λmax=329nm(ε=15000)、267nm(ε=8800)、λmin=248nm(ε=5600)。
【0110】
【化27】

【0111】
1−(2−O−アセチル−3−デオキシ−5−O−ベンゾイル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−4−チオ−5−フルオロウラシル 17
【0112】
【化28】

【0113】
ローソン試薬(1.9g、4.69mmol)をアルゴン下、無水1,2−ジクロロエタン(165mL)中の16(2.63g、6.70mmol)の溶液に加え、反応混合液を還流下で一晩攪拌した。次いで溶媒を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:メチレンクロリド中のメタノール(0−3%)の段階的勾配]によって精製し、黄色泡として4−チオ誘導体17を得た(2.65g、96%収率)。融点=78−79℃(泡)、UV(エタノール):λmax=230nm(ε=15900)、334nm(ε=15600)、λmin=288nm(ε=3200)。
【0114】
【化29】

【0115】
1−(3−デオキシ−β−L−スレオ−ペントフラノシル−5−フルオロシトシン 18
【0116】
【化30】

【0117】
(先に−10℃で飽和し、完全に停止した)メタノールアンモニア(44mL)中の4−チオ誘導体17(0.86g、2.19mmol)の溶液を3時間、ステンレス−鉄噴射容器内で100℃にて熱し、次いで0℃まで冷却した。この溶液を減圧下乾燥するまで蒸発させ、残さを何回かエタノールと共に共蒸発させた。未精製物質を水に溶解し、得られた溶液を4回塩化メチレンで洗浄した。水層を減圧下で蒸発させ、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中メタノール(3−12%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、酢酸エチル/メタノール混合液から結晶化し、0.46gの18を得た(86%収率)。融点=137−138℃、UV(エタノール):λmax=240nm(ε=8300)、284nm(ε=8100)、λmin=226nm(ε=7300)、263nm(ε=5500)。
【0118】
【化31】

【0119】
1−(3−デオキシ−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 19
【0120】
【化32】

【0121】
乾燥ピリジン(30mL)中の18(1.38g、5.63mmol)の溶液に、アルゴン大気下でt−ブチルジメチルシリルクロライド(1.10g、7.32mmol)を滴下して加え、この混合液を室温にて10時間攪拌した。次いで、この混合液を飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×150mL)で抽出した。抽出物をまとめ、水(2×200mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:塩化メチレン中メタノール(2−10%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な19を得た(1.74g、86%収率)。融点202−204℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε7800)、284nm(ε7800)、λmin226nm(ε6600)、263nm(ε5400)。
【0122】
【化33】

【0123】
1−(3−デオキシ−2−O−メシル−5−O−t−ブチル−ジメチルシリル−β−L−スレオ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 20
【0124】
【化34】

【0125】
乾燥ピリジン(80mL)中の19(1.70g、4.73mmol)の懸濁液をアルゴン大気下で攪拌し、0℃まで冷却した。塩化メタンスルフォニル(MsCl、1.21mL、15.6mmol)を滴下し加え、この反応混合液を0℃にて5時間攪拌した。次いでこの混合液を氷/水(300mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×300mL)で抽出した。抽出物をまとめ、5%水和炭酸水素ナトリウム溶液(300mL)、水(2×300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:トルエン中メタノール(8−12%)の段階的勾配]によって精製し、白色固体として純粋な20を得た(1.41g、68%収率)。融点75−76℃、UV(エタノール):λmax243nm(ε8100)、282nm(ε7300)、λmin225nm(ε6000)、265nm(ε6000)。
【0126】
【化35】

【0127】
1−(2,3−ジデオキシ−2−アジド−5−O−t−ブチルジメチルシリル−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 21
【0128】
【化36】

【0129】
無水ジメチルホルムアミド(12mL)中の20(442mg、1.01mmol)の溶液に10%メタノールでしめらせたリチウムアジド(265mg、4.87mmol)を加えた。この反応混合液を2.5時間100℃で攪拌し、次いで室温まで冷却し、氷/水(200mL)上に注ぎ、クロロホルム(3×100mL)で抽出した。抽出物を集め、飽和した水和炭酸水素ナトリウム溶液(2×100mL)、水(5×100mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4%)]によって精製し、白色固体として、純粋な21を得た(291mg、75%収率)。融点147−148℃、UV(エタノール):λmax242nm(ε7700)、283nm(ε7400)、λmin226nm(ε6600)、264nm(ε5800)。
【0130】
【化37】

【0131】
1−(2,3−ジデオキシ−2−アジド−β−L−エリスロ−ペントフラノシル)−5−フルオロシトシン 22 (2’−N−β−L−5−FddC)
【0132】
【化38】

【0133】
1Mのテトラヒドロフラン中のテトラブチルアンモニウムトリフルオリド(TBAF/THF、1.90mL、1.90mmol)を、無水THF(8mL)中の21(480mg、1.25mmol)の溶液に加えた。得られた混合液を室温で1.5時間攪拌し、減圧下蒸発させた。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出:クロロホルム中のメタノール(4−8%)の段階的勾配]によって精製した。最後に、適切な画分を減圧下で蒸発させ、メタノールで希釈し、ユニットMillex HV−4(0.45μm、Millipore)を通して濾過し、エタノールより結晶化して、純粋な22を得た(304mg、90%収率)。融点219−221℃、UV(エタノール):λmax241nm(ε7700)、284nm(ε7300)、λmin225nm(ε6500)、263nm(ε5400)。
【0134】
【化39】

【0135】
【表2】

【0136】
抗HBV活性
β−L−(2’または3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物の、宿主内でのHBVの複製を阻害する能力は、以下のものを含む任意の公知の方法にしたがって評価できる。
【0137】
抗ウイルス性評価を細胞の2回の選別継代、継代毎2回の培養で行った(計4培養)。すべてのプレートでのすべてのウェルに同じ濃度で同じ時にまいた。
【0138】
細胞内および細胞外HBV DNA両方の濃度での内在する変動のために、未処理細胞でのこれらのHBV DNA形態に対する平均濃度より、ただ3.0倍(HBVビリオンDNAに関して)または2.5倍(HBV DNA複製中間体に関して)以上の低下のみが一般的に統計学的に有意[P<0.05]であると認識される(Korba and Gerin,Antiviral Res.19:55−70,1992)。(これらの実験における細胞ベースごとで一定を保っている)それぞれの細胞DNA調製品での統合したHBV DNAの濃度を細胞内HBV DNA形態の濃度を計算するのに使用し、これによってブロットハイブリッド形成アッセイで内在する技術的な変動を排除する。
【0139】
未処理細胞での細胞外HBVビリオンDNAに対する典型値は50〜150pg/ml培養培地(平均およそ76pg/ml)の範囲である。未処理細胞での細胞内HBV DNA複製中間体は50〜100pg/ug細胞DNA(平均およそ74pg/ug細胞DNA)の範囲である。一般的に、抗ウイルス性化合物での処理による細胞内HBV DNAの濃度の低下はあまり明白ではなく、HBVビリオンDNAの濃度での低下よりもゆっくり起こる。
【0140】
参考のために、これらの実験について行ったハイブリッド形成解析での様式は、結果として細胞あたり2−3ゲノムコピーに対して1.0pg細胞内HBV DNA/ug細胞DNAと同等および3×10ウイルス粒子/mlに対して1.0pgの細胞外HBV DNA/ml培養培地である。
【0141】
任意の観察された抗ウイルス効果が細胞生存力における一般的な効果であったかどうかを査定するために毒性解析を行った。これは、ニュートラルレッド色素の取り込みによって査定でき、HSV(単純疱疹ウイルス)およびHIVを含むさまざまなウイルス−宿主系での細胞の生存力に関するアッセイに標準的に広く使用される。
【0142】
試験化合物は、(乾燥氷上で凍らした)DMSO中の保存溶液の形態で使用した。それぞれ個々のアリコートを1回の凍結−解凍サイクルとするように、試験試料の日々のアリコートを、作製して−20℃で凍結した。日々の試験アリコートを解凍し、室温で培養培地内に懸濁させ、すぐに細胞培養液に加えた。結果は表1で提供する。
【0143】
【表3】

【0144】
表1:ラミブジンおよびL−5−FddCと比較した、β−L−2’−および3’−アジド−5−FddCの抗HBV活性および細胞傷害性
実施例3 化合物の毒性
活性化合物の、2.2.15細胞培養(肝炎ビリオンを形質転換したHepG2細胞)でのビリオンの増殖を阻害する能力を評価した。表1で例示したように、100mMの濃度でのどの試験化合物に対しても、なんの有意な毒性(未処理細胞で観察された色素取り込みレベルの50%低下以上)も観察されなかった。
【0145】
毒性解析を96ウェル平底組織培養プレートで行った。毒性解析のための細胞を培養し、抗ウイルス評価で使用したのと同様のスケジュールで試験化合物で処理した。それぞれの化合物を4濃度で、それぞれ3重培養で行った。ニュートラルレッド色素の取り込みを、毒性の相対的レベルを決定するのに使用した。定量的解析のために取り入れられた色素の510nM(A510)での吸収を使用した。値は、試験化合物と同様の96−ウェルプレートで維持した未処理細胞の9つの別の培地での平均A510値の割合(±標準偏差)として表した。プレート40上の9つの対照培養での色素取り込みの割合は100±3であった。150−190μMのβ−D−ddCで、(未処理培地で観察されたレベルに対して)2倍の色素取り込みの減少がこれらのアッセイで典型的に観察される(Korba and Gerin,Antiviral Res.19:55−70,1992)。
【0146】
実施例4
ヒト骨髄クローンジェニックアッセイにより評価した抗HBVβ‐L‐デオキシシチジン類似体の細胞成長における影響
ヒト骨髄クローンジェニックアッセイにより評価した抗HBVβ‐L‐デオキシシチジン類似体の細胞成長における影響を表2に示す。
【0147】
【表4】

【0148】
薬剤化合物の調製
本明細書で開示した化合物およびその薬剤的に許容できる塩、プロドラッグ、誘導体はHBV感染および、抗HBV抗体陽性、およびHBV陽性状態、HBVに引き起こされる慢性の肝臓炎症、硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性持続性肝炎、疲労のようなその他の関連した状態の予防および治療に効果的である。これらの化合物または処方はまた、抗HBV抗体またはHBV抗原に陽性である個人、またはHBVにさらされている個腎中の臨床的疾患の進行を妨げるか遅らせるために予防的に用いることができる。
【0149】
任意のこれらの状態を患っているヒトも、任意に薬剤的に許容可能な担体または希釈剤中で、本明細書で記述したHBV処置に効果的な活性化合物または薬剤的に許容可能なそれらの誘導体または塩をそれだけでまたは混合物で患者に投与することによって治療できる。活性物質は適切な経路であれば、例えば経口的に、非経口的に、静脈注射で、皮内的に皮下的に、局所的に、液体または固体の形態で投与することができる。
【0150】
活性化合物は、処置した患者に重い毒性効果を引き起こさず治療的に効果的な量を患者に送達するのに十分量で医薬的に許容可能な担体または希釈剤を含む。
【0151】
上述の状態のすべてに対する活性化合物の好ましい投与量は一日あたり体重の約1から60mg/kg、好ましくは1から20mg/kg、さらに一般的には一日あたり0.1から約100mg/レシピエントのキログラム体重の範囲である。薬剤的に許容可能な誘導体の効果的な投与量の範囲は送達すべき親ヌクレオシドの重量に基づいて計算することができる。誘導体がそれ自身で活性を示せば、有効量は上記のように誘導体の重量を用いて、または当業者に公知の他の方法で見積もることができる。1つの実施様態においては、活性化合物はプロダクトインサートまたはHIV適応症に対する3’−アジド−3’−デオキシチミジン(AZT)、2’,3’−ジデオキシイノシン(DDI)、2’,3’−ジオキシシチジン、または2’,3’−デオキシ−2’,3’−ジデヒドロチミジン(D4T)のPhysician’s Desk Referenceに記載されているように投与する。
【0152】
化合物は、投薬形態単位あたり7から3000mg、好ましくは70から1400mgの活性成分を限定しないが含む任意の好適な投薬形態ユニットで都合よく投与される。通常50〜1000mgの経口投与が都合が良い。
【0153】
典型的には、活性成分は、約0.2〜70μM、好ましくは約1.0〜10μMの活性化合物のピーク血漿濃度を達成するように投与すべきである。このことは、たとえば任意に食塩水中で活性成分の0.1〜5%の静脈内注射によって成し遂げられてよく、または活性成分のボーラスで投与されてよい。
【0154】
本明細書で使用するとき、用語医薬的に許容可能な塩または複合体は、親化合物の望ましい生物学的活性を残し、可能ならば、望ましくない毒性効果が最小であるL−(2’または3’)−A−5−FddCの塩または複合体を表す。そのような塩の非限定的な例は、(a)無機塩(たとえば塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)と形成した酸添加塩、および酢酸、シュウ酸、酒石酸、スクシニル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイル酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸のような有機酸と形成した塩、(b)ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどのようなカチオンと、またはN,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、アンモニウムまたはエチレンジアミンから形成した有機カチオンと形成した塩基添加塩、または(c)タンニン酸亜鉛などの(a)および(b)の混合物である。
【0155】
活性化合物の、とりわけNまたはNおよび5’−O位での改変が、バイオアベイラビリティおよび活性種の代謝速度に影響を与えることができ、したがって、活性種の送達における制御を提供することができる。
【0156】
薬物組成物内の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、不活性化および排出速度および当業者に公知の他の因子に依存する可能性がある。用量値はまた軽減すべき状態のひどさによって変化する可能性があることが気づかれるべきである。さらに、特定の対象に対して、特定の用量管理を、個々の必要性および投与するかまたは組成物の投与を管理している人物の職業的な判断に従ってそのうち調整されるべきであること、および本明細書で列記した濃度範囲は例であるのみであり、請求した組成物の範囲または実践を限定する意図はないことも理解されるべきである。活性成分は一度に投与してよく、またはさまざまな時間間隔で投与するようにいくらかの小用量に分割してもよい。
【0157】
活性化合物の好ましい投与方法は経口である。経口組成物は一般的に不活性希釈剤または可食担体を含む。これらはゼラチンカプセルに包むか、錠剤中に圧縮されてよい。経口治療投与の目的のために、活性成分は賦形剤を組み込んでよく、錠剤、トローチまたはカプセルの形態で使用できる。薬理学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント物質が組成物の部分として含まれてよい。
【0158】
錠剤、丸薬、カプセル、トローチおよび類似のものには任意の以下の成分または同様の特性の化合物が含まれてよい。微晶性セルロース、ゴムトラガカントまたはゼラチンのような結合剤、デンプンまたはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはトウモロコシデンプンのような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムまたはステローテス(Sterots)のような潤滑剤、コロイドシリコンジオキシドのような潤滑剤、スクロースまたはサッカリンのような甘味料、またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ甘味料のような甘味剤。用量ユニット形態がカプセルの場合、上記の型の物質に加えて、脂肪油のような液体担体を含んでよい。さらに用量ユニット形態は、たとえば糖、セラック、または他の腸溶性薬剤のコーティングなどの用量ユニットの物質形態を改変するさまざまな他の物質を含んでよい。
【0159】
活性化合物またはそれらの薬剤的に許容可能な塩または誘導体は、エリクシル、懸濁液、シロップ、水、チューイングガムなどの成分として投与することができる。シロップは活性化合物に加え、甘味剤としてのスクロースおよび特定の保存料、色素および着色料、甘味剤を含んでよい。
【0160】
活性化合物、またはそれらの薬剤的に許容可能な誘導体または塩はまた、抗体、抗真菌剤、抗炎症剤、または抗HBV剤、サイトメガロウイルス剤、抗HIVウイルス剤を含むその他の抗ウイルス剤などの、その望ましい機能を損なうことのない他の活性物質、または望ましい活性を補足する物質と混合することもできる。
【0161】
非経口、皮内、皮下または局所投与で使用する溶液または懸濁液には、以下の化合物を含んでよい。注射のための水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グレセリン、ポリエチレングリコール、または他の合成溶媒のような無菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸のようなキレート剤、酢酸、クエン酸またはリン酸のような緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張性の調整のための薬剤。親調製品はガラスまたはプラスチックでできたアンプル、使い捨てシリンジまたは多重用量バイアルに封入してよい。
【0162】
静脈内で投与する場合、好ましい担体は生理学的食塩水またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)である。好ましい実施様態において、活性化合物は、埋め込みおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出処方のような、体による素早い除去に対して化合物を保護する可能性のある担体で調整する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリラセティック酸のような生物分解可能、生物適応性ポリマーを使用してよい。そのような処方の調製のための方法は当業者に対して明らかであろう。物質はまた、Alza Corporationより商業的に入手できる。
【0163】
(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染させた細胞を標的としたリポソームを含む)リポソーム懸濁液はまた医薬的に許容可能な担体として好ましい。これらは、たとえば米国特許第4,522,811号に記述されたような当業者に公知の方法にしたがって調製してよい。たとえばリポソーム処方は、次いで蒸発させる無機溶媒中の(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリンおよびコレステロールのような)好ましい脂質に溶解し、容器の表面上で望ましい脂質の薄いフィルムの後ろに残るように調製してよい。次いで活性化合物またはその一リン酸、二リン酸、および/または三リン酸誘導体を容器内に導入する。次いでこの容器を、容器の側面より液体物質をとり、脂質凝集を分散させるように手で攪拌し、これによってリポソーム懸濁液を形成する。
【0164】
本発明はその好ましい実施様態に関して記述してきた。本発明の変形、改変が本発明の以上の詳細な記述から当業者に明らかであろう。これらの変形および改変のすべてが本発明の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための方法であって、式
【化1】

式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)の有効量のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを投与することを含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための方法。
【請求項2】
RがHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rがアシルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rが一リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Rが二リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Rが三リン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための方法であって、式
【化2】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)有効量のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを投与することを含む、宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための方法。
【請求項9】
RがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Rがアシルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
Rが一リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
Rが二リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
Rが三リン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】

【化3】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグ。
【請求項16】
RがHである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Rがアシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Rが一リン酸である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
Rが二リン酸である、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
Rが三リン酸である、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項15に記載の化合物。
【請求項22】

【化4】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグ。
【請求項23】
RがHである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
Rがアシルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
Rが一リン酸である、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
Rが二リン酸である、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
Rが三リン酸である、請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項22に記載の化合物。
【請求項29】
宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための医薬組成物であって、医薬的に許容可能な担体との組合せでの、式
【化5】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)の有効量のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項30】
RがHである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
Rがアシルである、請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
Rが一リン酸である、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
Rが二リン酸である、請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
Rが三リン酸である、請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項29に記載の組成物。
【請求項36】
宿主のB型肝炎ウイルス感染を処置するための医薬組成物であって、医薬的に許容可能な担体との組合せでの、式
【化6】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)の有効量のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項37】
RがHである、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
Rがアシルである、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
Rが一リン酸である、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
Rが二リン酸である、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
Rが三リン酸である、請求項36に記載の組成物。
【請求項42】
Rが安定化リン酸誘導体である、請求項36に記載の組成物。
【請求項43】
ヒトまたは他の宿主動物でのB型肝炎ウイルス感染の処置のための、式
【化7】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項44】
ヒトまたは他の宿主動物でのB型肝炎ウイルス感染の処置のための薬剤を合成するための、式
【化8】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項45】
ヒトまたは他の宿主動物でのB型肝炎ウイルス感染の処置のための薬剤を合成するための、式
【化9】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(2’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項46】
ヒトまたは他の宿主動物でのB型肝炎ウイルス感染の処置のための薬剤を製造するための、式
【化10】

(式中、RがH、アシル、一リン酸、二リン酸、または三リン酸、または(安定化ヌクレオチドプロドラッグを形成するための)安定化リン酸誘導体であり、R’がH、アシル、アルキルである)のβ−L−(3’−アジド)−2’,3’−ジデオキシ−5−フルオロシトシン化合物またはその医薬的に許容可能なエステル、塩またはプロドラッグの使用。
【請求項47】
RがHで、R’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項48】
RがアシルでR’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項49】
Rが一リン酸で、R’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項50】
Rが二リン酸で、R’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項51】
Rが三リン酸で、R’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項52】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がHである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項53】
RがHで、R’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項54】
RがアシルでR’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項55】
Rが一リン酸で、R’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項56】
Rが二リン酸で、R’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項57】
Rが三リン酸で、R’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項58】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアルキルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項59】
RがHで、R’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項60】
RがアシルでR’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項61】
Rが一リン酸で、R’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項62】
Rが二リン酸で、R’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項63】
Rが三リン酸で、R’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項64】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアシルである、請求項1〜8に記載の方法。
【請求項65】
RがHで、R’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項66】
RがアシルでR’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項67】
Rが一リン酸で、R’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項68】
Rが二リン酸で、R’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項69】
Rが三リン酸で、R’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項70】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がHである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項71】
RがHで、R’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項72】
RがアシルでR’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項74】
Rが一リン酸で、R’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項75】
Rが二リン酸で、R’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項76】
Rが三リン酸で、R’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項77】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアルキルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項78】
RがHで、R’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項79】
RがアシルでR’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項80】
Rが一リン酸で、R’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項81】
Rが二リン酸で、R’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項82】
Rが三リン酸で、R’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項83】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアシルである、請求項15〜22に記載の化合物。
【請求項84】
RがHで、R’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項85】
RがアシルでR’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項86】
Rが一リン酸で、R’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項87】
Rが二リン酸で、R’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項88】
Rが三リン酸で、R’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項89】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がHである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項90】
RがHで、R’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項91】
RがアシルでR’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項92】
Rが一リン酸で、R’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項93】
Rが二リン酸で、R’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項94】
Rが三リン酸で、R’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項95】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアルキルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項96】
RがHで、R’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項97】
RがアシルでR’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項98】
Rが一リン酸で、R’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項99】
Rが二リン酸で、R’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項100】
Rが三リン酸で、R’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。
【請求項101】
Rが安定化リン酸誘導体で、R’がアシルである、請求項29〜36に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−246469(P2011−246469A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−138647(P2011−138647)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2000−579613(P2000−579613)の分割
【原出願日】平成11年11月5日(1999.11.5)
【出願人】(309007575)サントル・ナシオナル・ドウ・ラ・ルシエルシユ・シアンテイフイク(セー・エヌ・エール・エス) (11)
【出願人】(501181341)
【出願人】(501178433)エモリー・ユニバーシテイ (18)
【Fターム(参考)】