説明

B細胞ワクチンのためのワクチン接種療法

本発明は、ワクチン接種および疾患の治療または予防の分野に関する。本発明は特に、ワクチン接種を受けた対象にハプテン特異的抗体反応を誘発することによる疾患の治療または予防に関する。本発明はさらに、対象にハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療の方法を提供するが、これはRNAバクテリオファージのウイルス様粒子およびそれに連結した少なくとも1つのハプテンを含む組成物の前記対象への投与で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワクチン接種および疾患の治療または予防の分野に関する。本発明は特に、ワクチン接種を受けた対象にハプテン特異的抗体反応を誘発することによる疾患の治療または予防に関する。本発明はさらに、対象にハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療の方法であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子およびそれに連結した少なくとも1つのハプテンを含む組成物の前記対象への投与を含む方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
乱用薬物の大部分が含まれるハプテンに対するワクチン接種の背後にある概念は、血液脳関門を通過せず、血液中の薬物と結合し、従って中枢神経系に入る薬物の量や割合を減少させる抗乱用薬物抗体である。薬物使用に関連する報酬が低減されることにより、中毒者はもはや薬物を使用しようという気にならなくなるはずである。
【0003】
ニコチンワクチンは、ヒトで試験されてきた。組み換え体ニコチン−緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソプロテインA複合体NicVAXが喫煙者で試験されたが、同試験ではNicVAX 50 μg、100 μg、200 μgのいずれかの量またはプラシーボが第0週、4週、8週および26週に4回注射された(Hatsukami DK et al、Clin Pharmacol Ther 2005、78:456-467)。NicVAXの1回の注射は、抗ニコチン抗体を誘発するためには十分ではなく、ニコチン特異的抗体は第2回の注射の後でのみ検出されている。ピーク抗ニコチン力価には、第3回の注射の2週間後である第10週のみで達した。
【0004】
禁煙におけるニコチンワクチンの効力は、二重盲検プラシーボ対照第II相禁煙研究で実証されてきた(Cornuz J et al, ASCO(2005年5月、フロリダ州オーランド)にて発表。http://www.asco.org/ac/1,1003,_12-002643-00_18-0034-00_19-0033424,00.aspで閲覧可。アクセス日:2005年11月25日)。中程度から重度の喫煙者合計340人の対象が募集され、毎月1回の間隔でミョウバンに調合したNicQb(RNAバクテリオファージのウイルス様粒子に連結したニコチン分子を表す)100 μgまたはプラシーボの5回にわたる接種を受けた。標的の禁煙日は、初回の接種後1カ月に設定された。第2月から第6月の間の継続的な禁煙は、NicQbで治療した対象の方がプラシーボで治療した対象よりもわずかに高かった(28%対21%)が、この差異は統計的な有意には至らなかった。ところが、喫煙者がその抗ニコチン抗体力価に従って満足したとき、確固としたワクチン接種の統計的に有意な効果が観察された。治療群に属する159人の喫煙者が、その力価に応じて3つのグループに分けられた。プラシーボが投与された対象では31%であったのに比較して、最も高い抗体反応のあった喫煙者の57%が継続的に禁煙し、この効果は非常に有意性がある(p=0.004)。対照的に、中度または低度の抗体レベルの対象では、有意な禁煙には至らなかった。継続的な高い禁煙率は最大1年持続し、プラシーボ群の21%に比較して、抗体力価の高い対象では42%が再発しなかった(Cytos:ニコチン中毒を治療するためのワクチンで、高い抗体レベルを達成した対象で12カ月の持続的禁煙を促進。プレスリリース:会社ウェブサイト、http://www.cytos.com/doc/Cytos_Press_E_051117.pdf。アクセス日:2005年11月25日)。これらのデータは、抗ニコチン抗体レベルが十分に高く、抗体がニコチンに十分な親和性を持つとき、ニコチンに対するワクチンがヒトの禁煙に有効でありうることをはっきりと実証したものである。
【0005】
このように、より高い有効性のある抗ニコチン抗体レベルを誘発する方法の必要性がある。これは通常は、ワクチン用量の増量か、アジュバントの追加により達成される。さらに、対象は通常、禁煙努力中の早期に再発する。最初の発生は通常、禁煙の開始後数日に発生し、またほとんどの対象が最初の8週間に再発する。従って、高い抗ニコチン抗体レベルをできる限り早く誘発することが望ましい。
【0006】
さらに、抗体は十分な親和性を持つものである必要がある。複数のハプテンについて、接種から1〜2週間後に、低い親和性(Kd = 1000〜10000 nM)を持つ抗体のみが誘発されたことが記載されている一方で、数カ月後に単離した抗体で、親和性の成熟が示され、よって高い親和性Kd = 10〜100 nMが示された(Foote and Eisen, PNAS, Vol. 97(20)pp. 10679-81, 1995)。
【発明の概要】
【0007】
当方は、驚くべきことにハプテンワクチン、具体的には乱用薬物に対する中毒の予防および治療用のワクチンのための新しいワクチン接種療法を見つけた。本発明の当療法により、投与間の時間間隔が28日前後の従来の技術の療法と比較して、接種した対象で高い抗体力価が達成可能となる。例えば、例セクションで説明した療法において、達成された最も高い抗体力価が、本発明の療法では従来の技術よりも2倍となった。その上、これらの発明療法は、従来の技術よりもずっと早い高い抗体反応への到達につながる。実施例セクションの療法では、ピークに到達する時間は、従来の技術での療法に比較して少なくとも半分に短縮されうることが示された。この促進的なワクチン接種療法にもかかわらず、驚くべきことに、本療法と従来の技術の療法のどちらの抗体親和性も同等に高いことが分かった。
【0008】
こうして本発明は、ヒトにハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療の方法であって、これは(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位を持つ少なくとも1つのハプテンを含む組成物であって、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物を、前記ヒトに投与することを含み、またヒトへの該組成物の前記投与は、該組成物をヒトに少なくとも第1回、第2回および第3回の投与を含み、ここで第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である方法を提供する。
【0009】
望ましい一態様において、本発明は、ヒトでの乱用薬物特異的抗体を誘発することによる、乱用薬物に対する中毒の予防または治療の方法であって、これは(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位からなる少なくとも1つの乱用薬物を含み、基本的にそれらから成り、あるいはそれらから成り、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物を、前記ヒトへの投与を含み、またここでヒトへの該組成物の前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回のヒトへの組成物の投与を含み、ここで、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である方法を提供する。好ましい一態様では、時間間隔は長くても14日である。さらに好ましい一態様では、時間間隔は14日または7日である。
【0010】
好ましい一態様で、本発明の方法は、全回の投与間の時間間隔が14日または7日である5回の投与を含むかまたはそれらから成る。好ましい一態様では、本発明の方法は、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は7日で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は14日である5回の投与を含むかまたはそれらから成る。
【0011】
好ましい一態様で、本発明の方法により投与される組成物は、さらにアジュバントを含むが、ここで前記アジュバントは、好ましくはアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウムである。
【0012】
さらなる一面で、本発明は、ヒトにハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療用薬剤の製造における、(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは、少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位を持つ少なくとも1つのハプテンを含み、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物の使用を提供するが、ここで前記組成物は、前記ヒトに投与され、またここで、前記組成物の前記ヒトへの前記投与が、少なくとも第1回、第2回および第3回投与の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である。
【0013】
なおさらなる一面において、本発明は、ヒトにハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療のための組成物であって、ここで前記組成物は、(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは、少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位を持つ少なくとも1つのハプテンを含み、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合し、ここで前記組成物は、前記ヒトに投与され、またここで前記組成物の前記ヒトへの投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である組成物を提供する。
【0014】
さらなる好ましい一態様で、本発明は、人において乱用薬物特異的抗体を誘発することによる乱用薬物に対する中毒の予防または治療用薬剤の製造における、(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは、少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位からなる少なくとも1つの乱用薬物を含み、前記(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物の使用であって、ここで前記組成物は、前記ヒトに投与され、またここで前記組成物の前記ヒトへの前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である使用を提供する。さらに好ましい一態様では、時間間隔は長くても14日で、またはさらに好ましくは、時間間隔は14日である。非常に好ましい一態様で、時間間隔は7日である。本発明のまた非常に好ましい一態様で、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための薬剤の製造への前記組成物の使用は、さらに第4回の投与を含むかまたはそれらから成る。さらに好ましくは、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は長くても14日で、またさらに好ましくは第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は14日で、および非常に好ましくは第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日である。本発明のまたさらに好ましい一態様で、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための薬剤の製造への前記組成物の使用は、さらに第5回の投与を含むかまたはそれらから成る。さらに好ましくは、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は、第3回と第4回の間の時間間隔は7日で、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0015】
なおさらなる好ましい一態様で、本発明は、ヒトに乱用薬物特異的抗体を誘発することによる乱用薬物への中毒の予防または治療のための組成物であって、ここで前記組成物は、(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、好ましくは、少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位からなる少なくとも1つの乱用薬物を含み、前記(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合的に連結し、ここで前記組成物は、ヒトに投与され、またここで該組成物のヒトへの前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の該組成物のヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である組成物を提供する。さらに好ましい一態様では、時間間隔は長くても14日で、またはさらに好ましくは、時間間隔は14日である。非常に好ましい一態様で、時間間隔は7日である。本発明のまた非常に好ましい一態様で、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための組成物は、さらに前記組成物の前記ヒトへの第4回投与を含むかまたはそれらから成る。さらに好ましくは、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は長くても14日で、またさらに好ましくは第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は14日で、および非常に好ましくは第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日である。本発明のまた非常に好ましい一態様で、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための組成物は、さらに第5回投与を含むかまたはそれから成る。さらに好ましくは、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、第3回と第4回の間の時間間隔は7日で、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0016】
また別のさらなる好ましい一態様で、本発明は、ヒトにニコチン特異的抗体を誘発することによるニコチンに対する中毒の予防または治療のための組成物であって、ここで前記組成物は、(a)RNAバクテリオファージQのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで少なくとも1つのニコチン分子が連結配列によりウイルス様粒子に共有結合し、ここで連結配列は、[A-CH2OCO(CH22CO-B]から成り、またここでAは、前記ニコチン分子を表し、BはRNAバクテリオファージQの前記ウイルス様粒子を表し、またここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置と共有結合しており、またここで前記組成物は、前記ヒトに投与され、またここで前記組成物の前記ヒトへの前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は7日である組成物を提供する。さらに好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のためのこの組成物は、さらに前記組成物の前記ヒトへの第4回投与を含み、ここで好ましくは、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日である。またより好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための組成物は、さらに第5回投与を含み、ここで好ましくは、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0017】
さらなる一面で、本発明は、ヒトにニコチン特異的抗体を誘発することによるニコチンに対する中毒の予防または治療のための組成物であって、ここで前記組成物は、(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで少なくとも1つのニコチン分子が連結配列によりウイルス様粒子に共有結合し、ここで連結配列は、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、またここでAは、前記ニコチン分子を表し、BはRNAバクテリオファージQβの前記ウイルス様粒子を表し、またここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置と共有結合しており、またここで前記組成物は、前記ヒトへの投与用に調合され、またここで前記組成物の前記ヒトへの前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は7日である組成物を提供する。さらに好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のためのこの組成物は、さらに前記組成物の前記ヒトへの第4回投与を含み、ここで好ましくは、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日である。またより好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための組成物は、さらに第5回投与を含み、ここで好ましくは、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0018】
さらなる一面で、本発明は、ヒトにニコチン特異的抗体を誘発することによるニコチンに対する中毒の予防または治療のための組成物であって、ここで前記組成物は、(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで少なくとも1つのニコチン分子が連結配列によりウイルス様粒子に共有結合し、ここで連結配列は、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、またここでAは、前記ニコチン分子を表し、BはRNAバクテリオファージQβの前記ウイルス様粒子を表し、またここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置と共有結合しており、またここで前記組成物は、前記ヒトへの投与用に適応もしくは特注され、またここで前記組成物の前記ヒトへの前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物の前記ヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は7日である組成物を提供する。さらに好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のためのこの組成物は、さらに前記組成物の前記ヒトへの第4回投与を含み、ここで好ましくは、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日である。またより好ましくは、乱用薬物に対する中毒の予防または治療のための組成物は、さらに第5回投与を含み、ここで好ましくは、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ワクチン接種療法1、2および3の比較:対象に、ミョウバンの存在下、毎週1回の間隔で5回(閉じたひし形、療法3)、2週間に1回の間隔で5回(開いた四角、療法2)または毎月1回の間隔で5回(十字、療法1)のいずれかで、100 μgのNicQbを接種した。ニコチン特異的IgG力価を、ELISAにより対象全員について決定し、3グループの幾何平均ELISA力価を示す。
【図2】A)ワクチン接種療法1および4の比較:対象に、ミョウバンの存在下、毎月1回の間隔で5回(十字、療法1)、または毎週1回の間隔での4回の注射の後28日後の1回の注射(療法4)のいずれかにより、100 μgのNicQbを接種した。B)ワクチン接種療法1および5の比較:対象に、ミョウバンの存在下、毎月1回の間隔で5回(十字、療法1)、または毎週1回の間隔での3回の注射後に毎月1回間隔で2回の注射(療法5)のいずれかにより、100 μgのNicQbを接種した。ニコチン特異的IgG力価を、ELISAにより対象全員について決定し、各グループの幾何平均ELISA力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
別途定義されていない限り、本書で使用した技術的および科学的な用語は、本発明の属する技術の当業者によって一般に理解されているものと同一の意味を持つ。
【0021】
アジュバント:本書で使用するとき「アジュバント」という用語は、免疫応答の非特異的な刺激物質、または本発明の組成物、ワクチン組成物または薬剤と組み合わせた時、さらに促進された、および/または持続性のある免疫応答を提供する(好ましくはサイトカイン生成)ような宿主内での貯蔵所の生成を可能にする物質を意味する。多様なアジュバントは、当技術で知られており、本発明で有用である。好ましいアジュバントは、完全もしくは不完全なフロイントアジュバント、アジュバントを含むアルミニウム、変性ムラミルジペプチド、リゾレシチンなどの表面活性物質、プルロン酸ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、スカシ貝ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanins)、ジニトロフェノール、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)コリネバクテリウム・パルヴム、toll様の受容体(TLR)のリガンド(これには限定されないものの、ペプチドグリカン、リポ多糖およびそれらの誘導体が含まれる)、ポリI:C、免疫賦活化オリゴヌクレオチド、イミダゾキノリン(レシキモドやイミキモドなど)、フラゲリン、モノホスホリル脂質免疫調節薬、AdjuVax 100a、QS-21、QS-18、GPI-0100、CRL1005、MF-59、OM-174、OM-197、OM-294、ビロソーム・アジュバント技術およびそれらの任意の混合物から成る群から選択される。本発明の目的のために非常に好ましいアジュバントは、アジュバントを含むアルミニウムで、好ましくはアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウム、好ましくはミネラルジェルを含むアルミニウム、最も好ましくはアルハイドロゲルである。非常に好ましい一態様で、前記アジュバントは、アルハイドロゲルである。アジュバントという用語には、上記に挙げた任意の物質の混合物も含まれる。本発明の粒子、好ましくはVLPは、一般にアジュバントとして記載してきた。ただし「アジュバント」という用語は、本出願の脈絡内で使用するとき、本発明の組成物で使用するRNAバクテリオファージのVLPではないアジュバントを意味する。いずれの場合にも、アジュバントという用語は、VLPに加えて使用されるアジュバントを意味する。
【0022】
結合部位、第一:本書で使用するとき、「第一の結合部位」という用語は、RNAバクテリオファージのVLPで自然発生、またはRNAバクテリオファージのVLPに人工的に追加され、および第二の結合部位と連結しうる要素を意味する。第一の結合部位には、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ペプチド、糖、ポリヌクレオチド、天然もしくは合成のポリマー、二次性代謝産物または化合物(ビオチン、フルオレセイン、レチノール、ジゴキシゲニン、金属イオン、フェニルメチルスルホニルフルオリド)、またはアミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、グアニジニル基、ヒスチジニル基、またはその組み合わせなどの化学反応性の高い基が考えられる。第一の結合部位である化学反応性の高い基の好ましい一態様は、リジンなどのアミノ酸のアミノ基である。第一の結合部位は、一般的にVLPの表面に、また好ましくは外部表面に位置する。複数の第一の結合部位が、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子の表面、好ましくは外部表面に、一般的に反復的な配置で存在する。
【0023】
結合部位、第二:本書で使用するとき、「第二の結合部位」という用語は、ハプテン、あるいは好ましくは乱用薬物の一部であるか、またはそれに関連する要素を意味し、RNAバクテリオファージのVLPの表面にある第一の結合部位と関連しうる。ハプテン、あるいは好ましくは乱用薬物の第二の結合部位は、任意の化学的部分、好ましくはアミン、アミド、カルボキシル、スルフヒドリル、ヒドロキシル、アルデヒド、アシルハロゲン化合物、ヒドラジン、ジアゾニウム、またはヒドラジド、または第一の結合部位との特異的な反応が可能なさらなる化学的部分を含む。少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位は、ハプテンあるいは好ましくは乱用薬物上に存在する。「ハプテン」または好ましくは「少なくとも1つの第二の結合部位を持つ乱用薬物」という用語は、従って少なくともハプテン、あるいは好ましくは「乱用薬物」、および第二の結合部位を含むハプテン、あるいは好ましくは「乱用薬物」の構成物を意味する。ただし、ハプテンあるいは好ましくは乱用薬物内で自然発生的ではない第二の結合部位については特に、これらのハプテンまたは乱用薬物は、第二の結合部位を持つハプテンまたは乱用薬物に関連したリンカー、あるいはより好ましくは、既に第二の結合部位を含むかまたはそれから成る。
【0024】
コートタンパク質:「コートタンパク質」および本出願内で置き換え可能で使用される「カプシドタンパク質」という用語は、ウイルスカプシドまたはRNAバクテリオファージのVLPに組み込みが可能なウイルスタンパク質、好ましくはRNAバクテリオファージのサブユニットを意味する。
【0025】
ハプテン:本書で使用するとき、「ハプテン」という用語は、それ自体では免疫応答を誘発することができないが、担体分子に一度結合すると免疫応答を誘発する低分子量の有機化合物を意味する。本発明の複合体、組成物および方法で使用する模範的なハプテンには、薬物、ホルモンおよび毒素が含まれるが、これらの特定のハプテンには限定されない。大部分の乱用薬物はハプテンである。
【0026】
連結:本書で使用するとき「連結した」という用語(あるいはその名詞形:連結)は、それによって少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位が結合する考えられるすべての方法、好ましくは化学的相互作用を意味する。化学的相互作用には、共有結合性および非共有結合性相互作用が含まれる。非共有結合性相互作用の一般的な例は、イオン相互作用、疎水的相互作用または水素結合があるが、ここで共有結合性相互作用は、一例として、エステル、エーテル、リン酸エステル、アミド、ペプチド、炭素-リン結合、チオエテルなどの炭素-硫黄結合、またはイミド結合などの共有結合によるものである。一定の望ましい態様において、第一の結合部位と第二の結合部位は、少なくとも1つの共有結合により連結している。ただし、本書で使用するとき「連結した」には、少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位の直接的な連結だけでなく、それとは別にかつ好ましいものとしては、少なくとも1つの第一の結合部位と少なくとも1つの第二の結合部位の中間分子を介した間接的な連結も含まれるが、ここでは一般的にかつ好ましくは、少なくとも1つの、好ましくは1つのヘテロ二官能価架橋剤の使用による。
【0027】
ニコチン:本発明で使用するとき、「ニコチン」という用語は、その鏡像異性的に純粋な(S)-または(R)-のいずれかの形態にあるかまたはその混合物であるニコチンを意味し、これは少なくとも1つの第二の結合部位を含むような方法で誘導体化でき、次に担体の第一の結合部位と直接的に、もしくは架橋剤を介した結合が可能である。好ましくは、ニコチンは、唯一の第二の結合部位を含むように、誘導体化される。
【0028】
RNAファージのウイルス様粒子:本書で使用するとき、「RNAファージのウイルス様粒子」という用語は、RNAファージのコートタンパク質、突然変異体またはその断片を含み、または好ましくは基本的にそれらから成り、あるいはそれらから成るウイルス様粒子を意味する。さらに、RNAファージの構造と類似したRNAファージのウイルス様粒子は、非複製的または非伝染性であり、また一般にかつ好ましくは非複製的および非伝染性である。一般にかつ好ましくは、「RNAファージのウイルス様粒子」という用語は、さらに、RNAファージの複製機構として符号化された遺伝子の少なくとも1つ、好ましくはすべての遺伝子が、また一般的にかつさらに好ましくは、タンパク質または宿主へのウイルスの結合または侵入の原因であるタンパク質を符号化する少なくとも遺伝子の1つ、好ましくはすべての遺伝子さえもが欠損したRNAファージのウイルス様粒子を意味すべきである。ただし、この定義には、上述の遺伝子が依然として存在するにもかかわらず、不活性であり、またそれ故に、RNAファージの非複製的および/または非伝染性のウイルス様粒子の原因ともなるRNAファージのウイルス様粒子が含まれるべきである。さらに、「RNAファージのウイルス様粒子」という用語は、それ故その最も広い定義で、そのゲノムが、ウイルス粒子が伝染および/または複製できないような物理的または化学的または遺伝子的な方法により不活性化されているRNAファージのウイルス粒子も含まれるべきである。RNAファージに由来する好ましいVLPは、正二十面体対称性を示し、180個のサブユニットから成る。本開示中で、「サブユニット」および「モノマー」という用語は、この脈略内で相互に交換でき、かつ同等に使用される。この用途において、「RNAファージ」という用語と「RNAバクテリオファージ」という用語は、置き換え可能なかたちで使用される。
【0029】
One、a、an:「one」、「a」、「an」という用語が(英語版の)本開示で使用されるとき、別途指示のない限り、これらは「少なくとも1つの」または「1つ以上」を意味する。
【0030】
ポリペプチドのアミノ酸配列相同性は、Bestfitプログラムなどの既知のコンピュータ プログラムを使用して従来的に決定できる。Bestfitまたはその他何らかの配列整列プログラムを使用して、好ましくはBestfitを使用して、特定の配列が、例えば、基準アミノ酸配列に95%同一であるかどうかを決定するとき、パラメーターは相同性の割合が基準アミノ酸配列の全長にわたり計算され、基準配列中のアミノ酸残基合計数のうち最高5%の相同性のギャップが許容されるように設定される。ポリペプチド間の相同性の割合を決定する上述のこの方法は、本発明で開示したすべてのタンパク質、ポリペプチドまたはその断片に適用できる。
【0031】
関連する技術の当業者であれば、本書で説明した方法や用途に対して適切なその他の変更や適応は、たやすく理解でき、また本発明またはその任意の態様の範囲を逸脱することなく変更・適応しうることが理解される。特に本出願で、「長くても14日」、「14日である」、「7日である」など日数で表現した時間間隔には、プラスマイナス2日、好ましくはプラスマイナス1日の派生があると理解される。例で実験的に決定された値を除き、本書で表現したその他の数値には、表示した値と表示した値の±10%の範囲の値が含まれるものとする。
【0032】
本発明の一面において本発明は、ヒトにハプテン特異的抗体を誘発することによる病気の予防または治療の方法であって、これは(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位を持つ少なくとも1つのハプテンを含み、基本的にそれらから成り、あるいはそれらから成る組成物であって、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物をヒトに投与することを含み、またヒトへの組成物の投与は、組成物のヒトへの少なくとも第1回、第2回および第3回の投与を含み、ここで第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である方法を提供する。
【0033】
本発明の一面において本発明は、ヒトでの乱用薬物特異的抗体を誘発することによる、乱用薬物に対する中毒の予防または治療の方法であって、これは(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つ、好ましくは唯一の第二の結合部位からなる少なくとも1つの乱用薬物を含み、基本的にそれらから成り、あるいはそれらから成る組成物であって、当該(a)と(b)が、少なくとも1つの第一の結合部位および少なくとも1つの第二の結合部位によって共有結合している組成物を、ヒトに投与することを含み、またここでヒトへの該組成物の前記投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回のヒトへの組成物の投与を含み、ここで、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である方法を提供する。好ましくは、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも3日で、好ましくは少なくとも4日で、より好ましくは少なくとも5日である。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも5日で、長くても18日である。
【0034】
好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても14日で、または長くても10日で、または好ましくは長くても7日である。さらに好ましくは、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも3日で、好ましくは少なくとも4日で、より好ましくは少なくとも5日である。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも5日で、長くても14日である。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも5日で、長くても10日である。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は少なくとも5日で、長くても7日である。
【0035】
好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は同じである。
【0036】
非常に好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は14日である。本発明のまた別の非常に好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は7日である。
【0037】
好ましい一態様で、本発明の方法は、さらにさらなる投与を含む。好ましい一態様で、本発明の方法は、さらなる一回の投与、あるいはさらに2回の投与または3回の投与を含むか、またそれらから成る。
【0038】
好ましい一態様で、本発明の方法は、さらに第4回投与を含むか、またはそれらから成る。好ましい一態様で、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔と同じである。好ましい一態様で、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、および第3回と第4回の間の時間間隔は同じである。別の好ましい一態様で、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔よりも長く、時間間隔 第2回投与と第3回投与の間の時間間隔よりも長い。好ましい一態様で、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔の2倍長く、時間間隔 第2回投与と第3回投与の間の時間間隔の2倍長い。好ましい一態様で、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は長くても14日で、好ましくは14日、または好ましくは7日である。
【0039】
好ましい一態様で、本発明の方法は、さらに第5回投与を含むか、またはそれらから成る。好ましい一態様で、第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔と同じである。別の好ましい一態様で、第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔よりも長く、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔よりも長い。好ましい一態様で、第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔の2倍長く、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔の2倍長い。好ましい一態様で、第3回投与と第4回投与の間の時間間隔、および第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は同じである。好ましい一態様で、第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は長くても14日で、好ましくは14日、または好ましくは7日である。
【0040】
好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は、どれも同じである。好ましい一態様で、時間間隔は長くても14日である。さらに好ましい一態様で、時間間隔は14日である。さらに好ましい別の一態様で、時間間隔は7日である。
【0041】
好ましい一態様で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は、第1回と第2回の間の時間間隔および第2回と第3回の間の時間間隔よりも長い。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は7日で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は14日である。好ましい一態様で、第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は14日で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は28日である。最初の3回の初期投与の後で、その後の投与の時間間隔を延長することの利点は、被験者内で長期にわたる高い抗体力価を得ることである。
【0042】
好ましい一態様で、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は7日で、第3回と第4回の間の時間間隔、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0043】
別の好ましい一態様で、第1回と第2回の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、第3回と第4回の間の時間間隔は7日で、第4回と第5回の間の時間間隔は少なくとも14日、好ましくは14日、より好ましくは21日、またさらにより好ましくは28日である。
【0044】
一般に、抗体の成熟、すなわち高い親和性の抗体から抗原に向けた進化にはいくらかの時間かかり、通常は数カ月と考えられてきた。ところが驚くべきことに、促進的な当ワクチン接種療法、すなわち第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回と第3回の間の時間間隔は長くても14日、好ましくは時間間隔が14日または7日を用いると、またはさらに好ましい療法、すなわち5回の投与間の時間間隔は長くても14日、好ましくは14日または7日を用いると、従来の技術よりも短い期間で高い抗体反応が達成されるだけでなく、さらにより重要なことに、獲得可能または獲得した抗体が、従来の技術に匹敵する500 nM未満の高いKd親和性を持つことが分かった。
【0045】
こうして、好ましい一態様で、本発明の方法は10週間以内で、好ましくは4週間以内で最も高い抗体反応の達成につながる。
【0046】
その上、好ましい一態様で、ハプテンに特異的、好ましくは乱用薬物に特異的、より好ましくは本発明で獲得可能または獲得されるニコチン分子に特異的な抗体は、Kdが500 nM未満、好ましくは150 nM未満、より好ましくは100 nM未満、より好ましくは50 nM未満、より好ましくは10 nM未満、より好ましくは1 nM未満の親和性を持つ。
【0047】
好ましい一態様で、RNAバクテリオファージは、a)バクテリオファージQβ、b)バクテリオファージR17、c)バクテリオファージfr、d)バクテリオファージGA、e)バクテリオファージSP、f)バクテリオファージMS2、g)バクテリオファージM11、h)バクテリオファージMX1、i)バクテリオファージNL95、k)バクテリオファージf2、l)バクテリオファージPP7およびm)バクテリオファージAP205から構成される群から選択される。
【0048】
好ましい一態様で、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージのコートタンパク質、組み換え体コートタンパク質、突然変異体またはその断片を含み、基本的にそれらから成り、またはそれらから成る。本書で使用するとき「コートタンパク質の断片」という用語は、野生型のコートタンパク質の長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%で、また好ましくはRNAバクテリオファージのVLPを形成する能力を保持したポリペプチドとして定義される。好ましくは、断片は少なくとも1つの内部的な欠失、少なくとも1つの切断または少なくとも1つのその組み合わせにより獲得される。「コートタンパク質の断片」という用語には、さらに上記に定義した「コートタンパク質の断片」と少なくとも80%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%のアミノ酸配列相同性を持ち、また好ましくはRNAバクテリオファージのウイルス様粒子への組み込みが可能なポリペプチドも含まれるものとする。
【0049】
本発明で相互に置き換えて使用される「突然変異コートタンパク質」という用語または「コートタンパク質の突然変異体」という用語は、コートタンパク質から由来するアミノ酸配列を持つポリペプチドを意味し、ここでアミノ酸配列は、コートタンパク質と少なくとも 80%、好ましくは少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%同一であり、また好ましくはRNAバクテリオファージのVLPに組み込まれる能力が保持されている。
【0050】
好ましい発明の一態様で、組成物は、RNAファージのコートタンパク質、突然変異体またはその断片を含み、ここでコートタンパク質は、(a)SEQ ID NO:1(Qβ CPを指す)、(b)SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:2の混合物(Qβ Alタンパク質を指す)、(c)SEQ ID NO:3、(d)SEQ ID NO:4、(e)SEQ ID NO:5、(f)SEQ ID NO:6、(g)SEQ ID NO:6とSEQ ID NO:7の混合物、(h)SEQ ID NO:8、(i)SEQ ID NO:9、(j)SEQ ID NO:10、(k)SEQ ID NO:11、(l)SEQ ID NO:12、(m)SEQ ID NO:13、および(n)SEQ ID NO:14から構成される群から選択されるアミノ酸配列を持つ。
【0051】
好ましい一態様で、RNAバクテリオファージはQβである。WO 02/056905の具体的な実施例18には、QβからのVLP粒子の調製について詳細な説明がある。
【0052】
その露出リジン残基がアルギニンで交換されるQβ突然変異コートタンパク質は、本発明で使用できる。望ましい一態様において、Qβ突然変異コートタンパク質は、a)Qβ-240(SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:1のLys13-Arg)、b)Qβ-243(SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:1のAsn10-Lys)、c)Qβ-250(SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:1のLys2-Arg)、d)Qβ-251(SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:1のLys16-Arg)、およびe)Qβ-259”(SEQ ID NO:19、Lys2-Arg、SEQ ID NO:1の Lys16-Arg)から構成される群から選択される。
好ましい一態様で、RNAバクテリオファージはAP205である。
【0053】
本発明の別の非常に好ましい一態様で、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージQβのコートタンパク質を含むRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子であり、ここで前記コートタンパク質は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を持つ。本発明のさらに非常に好ましい一態様で、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージQβのコートタンパク質から基本的に成り、またはそれらから成るRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子であり、ここで前記コートタンパク質は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を持つ。
【0054】
好ましい一態様で、第一の結合部位は、アミノ基、好ましくはリジン残基のアミノ基を含むか、または好ましくはそれ自体である。
【0055】
好ましい一態様で、乱用薬物は、(a)コデイン、(b)フェンタニル、(c)ヘロイン、(d)モルヒネ、(e)アンフェタミン、(f)コカイン、(g)メチレンジオキシメタンフェタミン、(h)メタンフェタミン、(i)メチルフェニデート、(j)ニコチン、(k)コチニン、(l)ノルニコチン、(m)PCP、(n)LSD、(o)メスカリン、(p)サイロシビン、(q)テトラヒドロカナビノール、(r)ジアゼパム、(s)デシプラミン、(t)イミプラミン、(u)ノルトリプチリン、および(v)薬物のアミトリプチリン クラスからなる群から選択される。
【0056】
好ましい一態様で、乱用薬物はニコチンである。共有結合したニコチン分子の全体は、同一の絶対配置で存在する、すなわち、すべてのニコチン分子が(R)-配置であるか、またはすべてのニコチン分子が自然発生的な(S)-配置であるか、あるいはその任意の混合物で存在するかのいずれかである。好ましくはニコチン分子は、(R)-配置と自然発生的な(S)-配置の両方のおよそ同量の混合物または同量の混合物が存在するように共有結合する。非常に好ましい一態様で、発明の製剤含むニコチン-VLP複合体は、ニコチン分子またはニコチン誘導体のラセミ混合物を使用して、一般にまた好ましくは、ニコチン分子またはRNAバクテリオファージのVLPの共役反応のために、それに対して共有結合した連結配列を持つニコチン分子を含むニコチン誘導体のラセミ混合物を使用して獲得可能または獲得される。
【0057】
好ましい一態様で、乱用薬物は、ノルニコチンおよびコチニンを含むニコチン代謝生成物である。ニコチン中毒の治療では、ノルニコチンおよびコチニンを含むニコチン代謝生成物をも標的にしうるが、どちらもニコチンよりも長い半減期を持ち、ニコチンと類似した薬理学的および神経薬理学的な効果を持ち、また中毒性があると考えられる。US6932971(具体的にはカラム42〜43)には、ニコチンまたはニコチン代謝生成物のタンパク質担体への異なる連結部位および連結手段について説明がある。
【0058】
好ましい一態様で、乱用薬物はコカインで、例えばスクシニル化ノルコカインである。US6932971(具体的にはカラム43〜45、第二段落まで)には、コカインおよび関連する薬物のタンパク質担体への異なる連結部位および連結手段について説明がある。
【0059】
好ましい一態様で、乱用薬物はヘロインである。
【0060】
ハプテン、好ましくは乱用薬物との自然発生的、またはそれから誘導可能な適切な第二の結合部位は、当業者には知られている。US 6932971(具体的にはカラム37〜カラム41)には、第二の結合部位の性質、位置、および生成について説明があり、またこれらの教示は、参照により本書に組み込む。ハプテン、好ましくは乱用薬物の化学的誘導体化は、前記ハプテン、または好ましくは前記乱用薬物をもたらし、ハプテン、または好ましくは乱用薬物に第二の結合部位で結びついたリンカーを含み、あるいはより好ましくは既に第二の結合部位を含むか、またはそれらから成る。
【0061】
本発明の非常に好ましい一態様で、組成物は(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで、少なくとも1つのニコチン分子が連結配列によりウイルス様粒子に共有結合し、ここで、連結配列は、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、またここでAは前記ニコチン分子を意味し、BはRNAバクテリオファージQβの前記ウイルス様粒子を意味し、またここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置に共有結合している。
【0062】
本発明の望ましい一態様において、組成物はさらにアジュバントを含み、ここで好ましくは、アジュバントを含むアルミニウム、好ましくはアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウム、好ましくはミネラルジェルを含むアルミニウム、最も好ましくはアルハイドロゲルである。本発明の望ましい一態様において、組成物は、1mg〜2mg、好ましくは1.2mg〜1.7mg、より好ましくは1.3mg〜1.5mg のアルミニウム塩、好ましくは水酸化アルミニウムを含む。
好ましい一態様で、各投与時に実質的に同一用量の前記組成物が投与される。
【0063】
好ましい一態様で、各投与時に少なくとも50 μg、好ましくは少なくとも100 μg、または好ましくは少なくとも200 μgまたは少なくとも300 μgの組成物の用量が投与される。投与される組成物の用量は、好ましくは500 μgを超えてはならず、好ましくは400 μgを超えてはならない。本発明の望ましい一態様において、各投与時に約100 μgの組成物がヒトに投与される。
【0064】
本発明の組成物は、当技術で知られている各種の方法で投与しうるが、通常は注射、注入、吸入、経口投与、またはその他の適切な物理的方法により投与される。組成物は別の方法として、筋肉内、静脈内、経粘膜的、経皮的または皮下に投与できる。非常に好ましい一態様で、組成物の投与は皮下投与である。投与する組成物の成分には、無菌水溶液(例えば、生理食塩水)または非水性溶液および懸濁液が含まれる。非水性溶剤の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。皮膚透過性を高め、また抗原吸収を促進するために、担体または密封包帯を使用することもできる。
【実施例1】
【0065】
実施例1
「NicQβ」 - 本書で使用するとき「NicQβ」という用語は、(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子、および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含む少なくとも1つのニコチン-VLP複合体を意味し、ここでニコチン分子はQβのVLPに連結配列により共有結合し、ここで前記連結配列は、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、またここでAは前記ニコチン分子を意味し、またここでBはQβのVLPを意味し、またここで連結配列は、ニコチン分子の3’位置に共有結合している。NicQβは、US 6’932’971の実施例1に記載されたとおり製造される。NicQβ薬剤原料を室温で解凍するか(療法1)、または凍結乾燥粉末から滅菌水で戻した後、水酸化アルミニウム[Al(OH)3]を含むアジュバントAlhydrogel(商標)(アルハイドロゲル)を加えた。
【0066】
投与準備の整った最終的なワクチン組成物を、NicQβのl00μgおよび水酸化アルミニウム1.3mgを含む「l00μg用量」と表示した。
【0067】
実施例2
療法1:被験者には、実施例1で説明したとおりに調製したものを5回投与した。投与間の時間間隔は28日であった。
療法2:投与間の時間間隔が14日であったことを除き、実質的に療法1と同じ。
療法3:投与間の時間間隔が7日であったことを除き、実質的に療法1と同じ。
【0068】
図1:毎週1回、2週間に1回および毎月1回のワクチン接種療法の比較:
抗ニコチン抗体力価を測定して、特定の投薬方式の免疫原性を評価するために、血液サンプルを図1で示した時点で採取した。ELISAによりRNAse-ニコチン複合体で被覆したウェルプレートを使用して、抗ニコチンIgG抗体力価を決定した。抗体力価の幾何平均値を図1に示した。ニコチンに対する抗体結合親和性を、平衡透析により決定した。
療法1では第20週で最高の抗体力価に達した一方、療法2および3ではそれぞれ第10週および第4週でピークに達した。
最高の抗体力価は、療法 1、2および3についてそれぞれ9000、20000、および23000であった。このように、療法3および療法2で達した最高の抗体力価は、療法1で達した値より約2倍高かった。
試験第8週で、3つのすべての療法で約50〜100 nMの同程度の親和性を持つニコチン特異的抗体が生じた。
【0069】
実施例3
療法4:被験者には、実施例1で説明したとおりに調製したものを5回投与した。最初の3回の投与の時間間隔は7日で、その後2回は28日の間隔とした。
療法5:被験者には、実施例1で説明したとおりに調製したものを5回投与した。最初の4回の投与の時間間隔は7日で、その後1回は28日の間隔とした。
【0070】
図2Aおよび2B:療法4および療法5および毎月1回のワクチン接種療法の比較:
抗ニコチン抗体力価を測定して、特定の投薬方式の免疫原性を評価するために、血液サンプルを図2で示した時点で採取した。ELISAによりRNAse-ニコチン複合体で被覆したウェルプレートを使用して、抗ニコチンIgG抗体力価を決定した。抗体力価の幾何平均値を図2に示した。ニコチンに対する抗体結合親和性を、平衡透析により決定した。
療法1では第20週で最高の抗体力価に達した一方、療法5では第4週でピークに達した。療法 4では、当初のピーク力価には第3週で達し、またニコチン特異的IgG反応は第6週および第10週の追加的な注射により増加した。
5回の注射の後の最高抗体力価は、療法1、4および5についてそれぞれ9000、21000、および16000であった。このように、療法4および療法5で達した最高の抗体力価は、療法1で達した値より約2倍高かった。
療法4および5は、早期かつ迅速な高い抗体力価の誘発に加え、これらの療法ではさらに高い抗体力価が第8週まで、あるいはさらには第12週まで維持されることが確実となるため、特に有利である。このことは、一般に最初の8〜12週以内に喫煙再発の高い危険性があることを考慮すると、特に有用である。
試験第8週で、5つのすべての療法で平衡解離値(Kd)が50〜100 nMの、同程度の親和性を持つニコチン特異的抗体が生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトに乱用薬物特異的抗体を誘発することで、乱用薬物に対する中毒を予防または治療するための組成物であって
(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子、
(b)少なくとも1つの第二の結合部位を持つ少なくとも1つの乱用薬物、
を含む組成物、
ここで前記(a)および(b)は、前記の少なくとも1つの第一の結合部位および前記の少なくとも1つの第二の結合部位と共有結合し、また、
ここで前記組成物は、ヒトに投与され、またここで前記組成物のヒトへの投与は、少なくとも第1回、第2回および第3回の前記組成物のヒトへの投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である。
【請求項2】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔が長くても14日である請求項1の組成物。
【請求項3】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔が7日である請求項1または請求項2の組成物。
【請求項4】
組成物のヒトへの投与がさらに第4回投与を含む、請求項1〜3のいずれか一つの組成物。
【請求項5】
組成物のヒトへの投与がさらに第5回投与を含む、請求項4の組成物。
【請求項6】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔が7日である請求項5の組成物。
【請求項7】
第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は第1回と第2回の間の時間間隔よりも長く、また第2回と第3回の間の時間間隔よりも長い請求項1〜6のいずれか一つの組成物。
【請求項8】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔および第2回と第3回の間の時間間隔は7日で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は28日である請求項7の組成物。
【請求項9】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔、および第3回投与と第4回投与の間の時間間隔が7日である請求項4の組成物。
【請求項10】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔、および第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日で、またここで第4回投与と第5回投与の間の時間間隔は28日である請求項5の組成物。
【請求項11】
乱用薬物がニコチンである、請求項1〜10のうちいずれか一つの組成物。
【請求項12】
疾患がニコチン中毒である、請求項1〜11のうちいずれか一つの組成物。
【請求項13】
組成物が(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで少なくとも1つのニコチン分子がウイルス様粒子と連結配列を介して共有結合している、請求項1〜12のうちいずれか一つの組成物。
【請求項14】
連結配列が、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、ここでAはニコチン分子を意味し、またここでBはRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子を意味し、およびここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置に共有結合している請求項13の組成物。
【請求項15】
ヒトに乱用薬物特異的抗体を誘発することにより、乱用薬物に対する中毒を予防または治療するのための方法であって、
(a)少なくとも1つの第一の結合部位を持つRNAバクテリオファージのウイルス様粒子および
(b)少なくとも1つの第二の結合部位を持つ少なくとも1つの乱用薬物
を含む組成物であって、
ここで前記(a)および(b)は、前記の少なくとも1つの第一の結合部位と前記の少なくとも1つの第二の結合部位により共有結合している組成物を、ヒトに投与することを含む方法、
ここでヒトへの前記組成物の投与は、ヒトへの前記組成物の少なくとも 第1回、第2回および第3回投与を含み、ここで前記第1回投与と前記第2回投与の間の時間間隔、および前記第2回投与と前記第3回投与の間の時間間隔は長くても18日である。
【請求項16】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は長くても14日である請求項15の方法。
【請求項17】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、および第2回投与と第3回投与の間の時間間隔は7日である請求項15または請求項16の方法。
【請求項18】
さらに第4回投与を含む請求項15〜17のいずれか一つの方法。
【請求項19】
さらに第5回投与を含む請求項18の方法。
【請求項20】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔が7日である請求項19の方法。
【請求項21】
第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔が第1回と第2回の間の時間間隔よりも長く、また第2回と第3回の間の時間間隔よりも長い請求項15〜20のいずれか一つの方法。
【請求項22】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回と第3回の間の時間間隔は7日で、第3回と第4回の間の時間間隔および第4回と第5回の間の時間間隔は28日である請求項21の方法。
【請求項23】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔、および第3回投与と第4回投与の間の時間間隔が7日である請求項18の組成物。
【請求項24】
第1回投与と第2回投与の間の時間間隔、第2回投与と第3回投与の間の時間間隔、および第3回投与と第4回投与の間の時間間隔は7日で、またここで第4回投与と第5回投与の間の時間間隔が28日である請求項19の組成物。
【請求項25】
乱用薬物がニコチンである請求項15〜24のうちいずれか一つの方法。
【請求項26】
疾患がニコチン中毒である請求項15〜25のうちいずれか一つの方法。
【請求項27】
組成物が(a)RNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子および(b)少なくとも1つのニコチン分子を含み、ここで少なくとも1つのニコチン分子がウイルス様粒子と連結配列を介して共有結合している請求項15〜26のうちいずれか一つの組成物。
【請求項28】
連結配列が、A-CH2OCO(CH22CO-Bから成り、ここでAはニコチン分子を意味し、またここでBはRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子を意味し、およびここで前記連結配列は、前記ニコチン分子の3’位置に共有結合している請求項27の組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−524901(P2010−524901A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503529(P2010−503529)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/054775
【国際公開番号】WO2008/129020
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501087515)サイトス・バイオテクノロジー・アクチェンゲゼルシャフト (3)
【氏名又は名称原語表記】CYTOS BIOTECHNOLOGY AG
【Fターム(参考)】