説明

BGL7ベータ−グルコシダーゼをエンコードする核酸

本発明は、bgl7を意図した新規なβ-グルコシダーゼ核酸配列及び対応するBGL7アミノ酸配列を提供する。本発明は、また、BGL7をエンコードする核酸配列からなる発現ベクター及び宿主細胞、組換えBGL7タンパク質及びこれを生する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援
この研究の一部はU. S.エネルギー省の請負契約No. DE-AC 36-99GO010337下の国立リニュウアブルエネルギー研究所の下請契約No. ZCO-0-30017-01により資金援助された。それに応じて、米国政府はこの発明において一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ベータ-グルコシダーゼ活性を有するポリペプチドをエンコードする、単離されたbgl7核酸配列と関係する。本出願は、また、該核酸を含む、核酸構築物、ベクター及び宿主細胞だけでなく、組換えBGL7ポリペプチドを生産する方法とも関連する。
【0003】
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【背景技術】
【0004】
背景技術
セルロース及びヘミセルロースは光合成により、生産される最も豊富な植物資源である。これらは、高分子基質を単一の糖に加水分解する能力のある細胞外酵素を生産する、細菌、酵母及び真菌を含む数多くの微生物により、分解され、エネルギー源として用いられる(Aro et al., 2001)。非再生可能資源には限界があるので、主要な再生資源エネルギー源となるセルロースの可能性は、莫大である。生物学的プロセスを介したセルロースの有効利用は、食料、飼料及び燃料不足を克服するための1の手段である。
【0005】
セルラーゼはセルロース(ベータ-1,4-グルカン又はベータ D-グルコシド結合)を加水分解して、グルコース、セロビオース、セロオリゴ糖及び同種のものを生成する酵素である。セルラーゼは従来から大きく3つの型に分類されている。エンドグルカナーゼ (EC3.2.1.4)(「EG」)、エキソグルカナーゼ又はセロビオハイドラーゼ (EC3.2.1.91)(「CBH」) 及びベータ-グルコシダーゼ([ベータ]-D-グルコシドグルハイドラーゼ;EC3.2.1.21)(「BG」) (Knowles et al., 1988) である。エンドグルカナーゼは主に、セルロース繊維の非結晶部分に作用するのに対して、セロビオハイドラーゼは、結晶セルロースを分解することができる(Nevalainen and Penttila, 1995)。従って、結晶セルロースの効率的な可溶化には、セルラーゼシステム中のセロビオハイドラーゼの存在が必要である(Suurnakki, et al., 2000)。ベータ-グルコシダーゼは、セロビオース、セロオリゴ糖、および他のグルコシドからD-グルコース単位を遊離させる作用をする。(Freer, 1993)。
【0006】
セルラーゼは多数の細菌、酵母及び糸状菌により生産されることが知られている。ある種の糸状菌は、セルロースの結晶構造を分解することができる完全なセルラーゼ系を生産することができ、発酵によりセルラーゼを大量に迅速に生成する。多くの酵母菌、例えば、サッカロマイセスセレビシエ等はセルロースを分解することができないことから、糸状菌の役割は重要である。Aro et al.、 2001;Aubert et al.、1988;Wood et al.、1988、及びCoughlan et al.を参照のこと。
【0007】
CBH、EG及びBGの糸状菌セルラーゼ区分は、各々の分類内において、多様な構成成分を含む酵素に分類される。例えば、2のCBHs、すなわちCBH I及びCBH II、少なくとも5のEGs、すなわち、EG I、EG II、EG III、EG IV、EG V、及び少なくとも2のBGs 、すなわち、BG 1及びBG 2、に対する遺伝子を含むことで知られているトリコデルマレーシ等の様々な糸状菌源から多数のCBHs、EGs及びBGsが、単離されてきた。
【0008】
結晶セルロースをグルコースへ転換するために、結晶化セルロースの加水分解能力を失わずに単離されたGBH、EG及びBGの各区分からの組成物を含むシステムが必要とされる (Filho et al., 1996) 。異なる区分間のセルラーゼ成分は相互的に作用する。具体的には、EGタイプセルラーゼ及びCBHタイプセルラーゼはより効果的にセルラーゼを分解するために相互的に作用する。例えば、Wood, 1985を参照のこと。
【0009】
セルラーゼは当該技術分野において、布製品に対する洗剤成分の洗浄効果を高め、柔軟成分として綿布又は類似のものに対する風合い及び外観を改善するのに有用であることが知られている(Kumar et al., 1997)。
【0010】
改善された洗浄効果を有するセルラーゼ含有洗剤組成物(US Pat. No. 4,435,307; GB App. Nos. 2,095,275及び2,094,826)及び、布製品に対しての風合い及び外観を改善するための使用(US Pat. Nos. 5,648,263、5,691,178及び 5,776,757;GB App. No. 1,358,599;The Shizuoka Prefectural Hammamatsu Textile Industrial Research Institute Report, Vol. 24, pp. 54-61,1986)が開示されている。
【0011】
従って、菌類及びバクテリア由来のセルロースは注目されている。具体的には、トリコデルマ属(例えばトリコデルマロンギブラキアタムあるいは、トリコデルマレーシ)はセルラーゼの結晶構造を分解する完全なセルロースシステムを生産する。U.S. Pat. No. 5,475,101は、トリコデルマロンギブラキアタム由来EGIIIを意図したある有用な酵素の精製及び分子クローニングを開示する。
【0012】
セルラーゼ組成物はこれまで開示されてきているけれども、一般家庭用の洗剤、ストーンウォシュ用組成物又は洗濯用洗剤等に用いるための新しく改良されたセルラーゼ組成物の必要性がいまだ存在する。界面活性剤(例えば、直鎖アルキルスルホン酸)耐性、熱ストレス化における性能の向上、セルロース分解性能の向上又は減少、及び/又は、インビトロにおいて高レベルで発現をするセルラーゼについて特別な関心が集まるであろう。
【0013】
発明の概要
本発明はセルラーゼタンパク質の単離、ここでは、変異体BGL7及び変異体BGL7をエンコードする核酸に関係する。
【0014】
他の側面では、BGL7ポリペプチド又はタンパク質は、配列番号2番との比較において、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又はそれ以上の同一性を有する配列を有する。
【0015】
関連する側面において、本発明は、(i)好ましくは少なくとも20-100アミノ酸長の、より好ましくは、100-200アミノ酸長のBGL7の断片及び、(ii)BGL7を含んだ医薬品組成物を含む。各種態様において、前記断片は、BGL7のN末端ドメイン又はBGL7のC末端ドメインに相当する。
【0016】
関連する側面において、本発明は、bgl7エンコード配列を有する単離ポリヌクレオチド、完全長BGL7コード配列及び該ポリヌクレオチドからなる組成物含む。該ポリヌクレオチドはmRNA、DNA、cDNA、又はそれらのアンチセンスアナログである。
【0017】
bgl7ポリヌクレオチドは、中から高ストリンジェンシー条件下で配列番号1として示した相補的な核酸配列とハイブリダイズする単離された、ベータ-グルコシダーゼ活性のあるBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸分子からなる。
【0018】
このポリヌクレオチドは、配列番号1として表した核酸と、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%又はより高い配列同一性を有するBGL7タンパク質をエンコードする。特定の態様において、このポリヌクレオチドは実質的に配列番号1と同一な配列から成る。この発明はまた、好ましくは、少なくとも約15-30ヌクレオチドの長さのポリヌクレオチドの断片に関係する。
【0019】
本発明はさらに、選択された宿主内において、タンパク質を発現するのに効果的なエレメントと作動可能に結合している、BGL7エンコード核酸配列、あるいは、フラグメント、あるいは、これらのスプライス変異体を含んでいる組換え発現ベクターを提供する。関連する側面において、本発明はベクターを含む宿主細胞を含む。
【0020】
本発明はさらに、組換え技術を用いて、タンパク質の発現を効果的に促進する条件下で、BGL7をエンコードしている核酸配列を含む、真核又は原核宿主細胞の培養、及び宿主細胞又は細胞培養培地から、タンパク質を回収することを含む。
【0021】
他の側面において、本発明は、セルロースのエタノールへ転化に有用である酵素組成物を提供する。好ましい態様において、この酵素組成物は、BGL7を含む。この組成物は、エンドグルカナーゼ及び/又はセロビオハイドラーゼ等のセルラーゼ酵素を付加的に含む場合がある。この組成物はBGL7を多く含んでいる。
【0022】
さらに、他の態様においては、本発明は、BGL7と抗体免疫反応を特異的に示す抗体を含む。
【0023】
bgl7核酸及びBGL7タンパク質を検出する解析方法もまた、本発明の一部である。
【発明の実施の形態】
【0024】
発明の詳細な説明
1.定義
違った形で示さない限り、全ての技術分野的及び科学的用語は、本発明に関連する技術分野で通常用いられているのと同じ意味に用いる。本技術分野の定義及び用語については、Sambrook et al., 1989, 及び Ausubel FM et al., 1993に記載されている。本発明は記載した特定の方法、手順及び試薬に限定されないことは当然でありこれらは変更可能である。
【0025】
ここに引用されたすべての出版物は、本発明に関連して用いる組成物及び方法を説明し、明らかにするために、参照により本明細書に援用する。
【0026】
「ポリペプチド」という語は、ペプチド結合により結合している1本鎖アミノ酸残基から成る化合物をいう。「タンパク質」という語は、「ポリペプチド」と同義であり、又は2以上のポリペプチドの複合体を言う場合もある。
【0027】
「核酸分子」という語は、RNA、DNA及びcDNAを含む。遺伝子コードの退縮の結果、BGL7等の所定の核酸配列をエンコードする核酸配列の多くが生産されることは、よく知られている。本発明は、遺伝子コードの退縮により、BGL7をエンコードする可能性のある、全ての変異体の核酸配列に関係する。
【0028】
「異種の」核酸構成物または配列は、発現する細胞固有のものではない配列の一部を持っている。制御配列に対して用いる、「異種」は、制御配列であって、現在調節している同じ遺伝子発現を調節する目的において、自然界では機能してない、制御配列(すなわち、プロモーター又はエンハンサー)を言う。通常、異種核酸配列は、細胞又はゲノムの中に存在している内生のものではなく、感染、形質移入、形質転換、顕微注入、エレクトロポレーション及びこれと同種の方法を用いて、細胞に導入されたものである。「異種」核酸構築物とは、天然細胞内に見られる制御配列/DNAコード配列の組み合わせと、同じか、またはこれとは異なる、制御配列/DNAコード配列の組み合わせを含む。
【0029】
ここで用いるベクターという語は、異なる宿主細胞内間に転することを目的とした、核酸構築物を言う。「発現ベクター」という語は、異なる細胞内に異種DNA断片を取り込ませ、及び発現させることができるベクターを言う。多くの真核又は原核発現ベクターは市販されている。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0030】
従って、「発現カセット」又は「発現ベクター」は、標的細胞内で、特定の核酸の転写をさせる特定の核酸エレメントのシリーズと共に、組換え技術により、又は合成により生産された核酸構築物である。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、色素体DNA、ウイルス、又は核酸断片に取り込むことができる。通常、発現ベクターの組換型の表現カセット部分は、転写される核酸配列とプロモーターを含む。
【0031】
ここで用いる「プラスミド」という語は、クローニングベクターとして用いられる環状2本鎖(ds)DNA構築物を言い、多くの細菌及びいくつかの真核生物内において染色体外自己複製遺伝子要素を形成する。
【0032】
ここで用いる「選択マーカーをエンコードしている核酸配列」は、宿主細胞において発現できるヌクレオチド配列を言う。選択マーカーの発現により対応する選択試薬の存在下、または対応する選択された成長条件下において発現遺伝子を含む細胞は成長する。
【0033】
ここで用いる「プロモーター」の語は、下流遺伝子を直接転写することができる核酸配列を言う。プロモーターは通常、標的遺伝子を発現させる宿主細胞に適したものを使用する。他の転写調節核酸配列又は、翻訳調節核酸配列(制御配列ともいわれる)と共に、プロモーターは、与えられた遺伝子の発現に必須である。通常、転写調節核酸配列及び翻訳調節配列は、プロモーター配列、リボゾーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列及びエンハンサー又はアクティベーター配列を含むがこれらに限定されない。
【0034】
ここで定義される「キメラ遺伝子」又は「異種核酸構築物」は、調節領域を含む、異なる遺伝子部分からなる、非天然遺伝子(すなわち宿主細胞に導入されもの)を言う。宿主細胞の形質転換に関するキメラ遺伝子構築物は、通常、異種タンパク質コーディング配列と、又は、選択マーカーのキメラ遺伝子においては、形質転換された細胞に対する抗体耐性を付与する、タンパク質をエンコードしている選択マーカーと、作動可能に結合している転写調節領域(プロモーター)から成る。宿主細胞内の形質転換に関係する、本発明の典型的なキメラ遺伝子は、タンパク質コード配列及びターミネーター配列の構成要素となる転写調節領域、又はこれらを誘発する転写調節領域を含む。キメラ遺伝子構築物は、目的タンパク質の分泌が必要な場合には、シグナルペプチドをエンコードする第2のDNA配列も含む。
【0035】
核酸配列は、他の核酸配列と機能的な関係に置かれたときに、「作動可能に結合している」。例えば、分泌リーダーをコードしているDNAは、もしそれが、ポリペプチドの分泌に関与するタンパク質として発現するなら、ポリペプチドに関するDNAと作動可能に結合する。プロモーター又はエンハンサーは、もしそれが、配列の転写に影響するなら、コード配列と作動可能に結合する。又はリボゾーム結合部位は、それが、転写を促進するような位置にあるならば、コード配列と作動可能に結合している。一般に「作動可能に結合」とは結合するDNA配列が隣接し、分泌開始端部の場合、隣接しかつリーディングフレーム中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは隣接している必要はない。結合は、適宜の制限酵素認識部位で連結反応により達成される。そのような部位が存在しない場合、従来方法によりPCR用の合成オリゴヌクレオチド・アダプタ、リンカーまたはプライマーを用いる。
【0036】
ここで用いる、「遺伝子」の語はポリぺプチド鎖の生成に関するDNAの染色体断片を意味し、コード領域(例えば、5’非翻訳(5’UTR)またはリーダー配列及び3’非翻訳(3’UTR)またはトレーラー配列)の前後に続く領域、及び個々のコード断片(エクソン)間の介在配列(イントロン)は含んでも含まなくてもよい。
【0037】
通常、BGL7又はアナログをエンコードしている核酸分子又は、それらの相同体は、中〜高ストリンジェンシー条件で、配列番号1に記載の配列と、ハイブリダイズすることができる。しかしながら、BGL7エンコード核酸配列によりエンコードされるタンパク質は、天然タンパク質として、同じ又は実質的に同じアミノ酸配列を有する一方で、BGL7エンコード核酸配列は、実質的に異なったコード配列を包含したものにも、採用される場合がある。例えば、コーディング配列は、宿主により使用される具体的なコドンの頻度に応じて、特定の真核又は原核生物発現系内における、BGL7のより早い発現を促進するように修飾される。例えば、Te'o, et al.(2000)は、糸状菌における遺伝子発現の最適化について説明している。
【0038】
核酸配列は、2つの配列が中〜高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件下でお互いに特異的にハイブリダイズする場合、対照核酸配列に 「選択的にハイブリダイズ可能」であると考えられる。ハイブリダイゼーション条件は核酸結合複合体またはプローブの融点(Tm)に基づく。例えば、「最大ストリンジェンシー」は通常約Tm-5℃(プローブのTmより5℃低い)で起こり、「高ストリンジェンシー」はTmより約5〜10℃低く、「中間ストリンジェンシー」はプローブのTmより約10〜20℃低く、及び「低ストリンジェンシー」はTmより約20〜25℃低い。機能上、最大ストリンジェンシー条件はハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性またはほぼ厳密な同一性を有する配列を同定するために用いることができ、一方、中間または低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションはポリヌクレオチド配列相同体を同定または検出するために用いることができる。
【0039】
中〜高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は当業者に公知である(本明細書に援用するSambrook, et al., 1989, Chapters 9 and 11, 及び in Ausubel, F. M., et al., 1993を参照のこと)。高ストリンジェンシー条件の例としては、50%ホルムアミド、5X SSC、5X Denhardt’s溶液、0.5%SDS及び100μg/ml変性キャリアDNA中、約42℃でのハイブリダイゼーションを含み、続いて2X SSC及び0.5%SDS中、室温で2回洗浄し、0.1X SSC及び0.5%SDS中、42℃でさらに2回洗浄する。
【0040】
ここで用いる「組換え体」は、異種核酸配列の導入により修飾されたもの、又は、そのように修飾された細胞由来の細胞であり、細胞またはベクターに関するものを含む。従って、例えば組換え細胞は、人為的な介入により、所定の遺伝子を発現または発現させない条件下において、当該細胞の天然型(非組換え体)においては通常同一の形態で見ることのできない遺伝子を発現し、または当該細胞の天然遺伝子を異常発現する。
【0041】
ここで用いる「形質転換」、「安定な形質転換」又は「トランスジェニック」の語は、ゲノム内に統合された、または少なくとも2世代の間維持されたエピソームプラスミドとして非天然(異種)ポリヌクレオチド配列を有する細胞をいう。
【0042】
ここで用いる「発現」とは、ポリぺプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて生成されるプロセスをいう。当該プロセスは転写及び翻訳の両方を含む。
【0043】
細胞内に核酸配列を挿入することの文脈上用いられる「導入」という語は、「形質感染」又は、「形質転換」又は「形質移入」及び核酸配列が、細胞内のゲノムに取り込まれ(例えば、染色体、プラスミド、プラスミド、又はミトコンドリアDNA)、自律レプリコン内に転化され、又は一時的な発現(例えば、核酸導入されたRNA)の場所である、真核又は原核細胞内へ、取り込まれることを言う。
【0044】
「BGL7発現」は、bgl7遺伝子の転写又は翻訳を言い、RNA前駆体、mRNA、ポリペプチド、翻訳後調節ポリペプチド、及びそれらの誘導体を含み、さらにトリコデルマロンギブラキアタム(レーシ)、トリコデルマビリデ、トリコデルマコニンギ、ハイポクレアジェコリーナ、ハイポクレアシュワイニッチ等の、関連種由来のBGL7を有する生産物を言う。一例として、BGL7の発現に対するアッセイは、BGL7タンパク質に対するウエスタンブロット、BGL7 mRNAに対するノザンブロット解析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)解析及びChen et al. (1992) 及び Herr et al. (1978)に述べられている、グルコシダーゼ活性測定を含む。
【0045】
「選択的スプライシング」は、複数のイソ型ポリペプチドを単一遺伝子から生成する方法を言い、該スプライシングは該遺伝子の全部ではないが、いくつかをプロセッシングする間、非連続エキソンをつなげる工程を含む。従って、特定のエキソンはいくつかの選択エキソンの1つに接続され、メッセンジャーRNAを形成する。この選択的にスプライスされたmRNAは、いくつかの部分が共通で、いくつかの部分が異なる、ポリペプチド(スプライス変異体)を生産する。
【0046】
「シグナル配列」という語は、細胞外タンパク質の成熟形成の分泌を促進するタンパク質のN-末端部分のアミノ酸配列部分を言う。この細胞外タンパク質の成熟形成は、分泌過程の間に切除されるシグナル配列を欠いている。
【0047】
「宿主細胞」という語は、ベクターを含み、発現構築物の複製、及び/又は転写又は、転写及び翻訳(発現)をサポートする細胞である。本発明で用いられる宿主細胞は、大腸菌のような原核生物の細胞又は、酵母菌、植物、昆虫、両生類又は哺乳類のような真核細胞である。一般的には、宿主細胞は糸状菌である。
【0048】
「糸状菌」という語は、当該技術分野において糸状菌であると認められる任意の又は全ての糸状菌を意味する。好ましい細菌は、アルペルギウス、トリコデルマ、フサリウム、クリソスポリウム、ペニシリウム、フミコーラ、ニューロスポラ又は、 エメリセラ、ハイポクレア等の有性型を有する種、からなる群より選択される。
【0049】
セロビオサッカライドという語は、例えば、セロビオースのように、2-8グルコース単位を含み、β-1,4結合を有する少糖類を言う。
【0050】
「セルラーゼ」の語は、セルロースポリマーをより短いセロオリゴ糖オリゴマー、セロビオース、及び/又はグルコースに分解する能力を有する酵素の分類をいう。エキソグルカナーゼ、エキソセロビオハイドラーゼ、エンドグルカナーゼ、及びグルコシダーゼのようなセルラーゼの多くの例は、細菌、植物及びバクテリアを含むセルロース分解能を有する有機体から得られる。
【0051】
「セルロース結合領域」という語は、ここにおいて、セルラーゼ又はそれらの誘導体のセルロース結合活性が含まれるセルラーゼのアミノ酸配列の部位又は酵素の領域を言う。セルロース結合領域は、一般的にセルロースとセルロース、セルロース誘導体またはそれらのその他の多糖類同等物を非共有結合にすることにより機能する。セルロース結合領域は構造上異なる触媒中心領域により、セルロース繊維の加水分解を行ない又は促進し、通常、触媒中心と独立して機能する。他言すれば、セルロース結合部位は、触媒活性を有する構造成分とは区別されるセルロース酵素タンパク質の三次構造の構成要素である。
【0052】
ここにおいて、「界面活性剤」という語は、表面活性特性を有すると当該技術分野で認められている任意の化合物をいう。従って、例えば、界面活性剤は、一般的に洗剤中入っている陰イオン性、陽イオン性及び非イオン性の界面活性剤を含む。陰イオン性界面活性剤は直鎖又は分岐のアルキル・ベンゼン・スルホン酸塩;直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩;アルキル又はアルケニル硫酸塩;オレフィンスルフォン酸塩;及びアルカンスルフォン酸塩を含む。両性界面活性剤は、4級アンモニウム塩スルフォンサン塩、及びベタイン型両性界面活性剤を含む。そのような両性界面活性剤は同一分子内にプラス及びマイナスに帯電した部分を有している。非イオン性界面活性剤は高級脂肪酸アルカノールアミド又はそれらのアルキレン酸化物の付加物、脂肪酸グリセリンモノエステル及び同種のものだけでなく、ポリオキシアルキレンエーテルも同様に含まれる。
【0053】
ここで用いる「セルロース含有繊維」とは、天然セルロース物質及び人工セルロース物質(例えば、ジュート、麻、ラミー、レーヨン及びライオセル)を含む綿または非綿含有セルロース含有物から作成されるいかなる縫合又は非縫合織物、毛糸又は繊維をいう。
【0054】
ここで用いる「綿含有繊維」とは、綿織布、綿ニット、綿デニム、綿糸、原綿(綿花)及び同種のものを含んだ、純粋な綿又は、綿混合物から作られた織布又は不織布、糸又は繊維をいう。
【0055】
ここで用いる「ストーンウォシュ組成物」とは、セルロース含有織物のストーンウォシュに用いる製剤を言う。ストーンウォシュ組成物はセルロース含有布地を販売するに先立って加工するために用いられる、すなわち、製造過程において用いられる。対照的に、洗浄組成物は汚れた衣類の洗浄することを対象としており、工業的生産過程においては使用されない。
【0056】
ここで用いる「洗浄組成物」は、セルロースを含んだ汚れた布地の洗浄手段に用いることを意図された混合物である。本発明の文脈中、そのような組成物生物は、セルラーゼ及び界面活性剤に加えて、さらに加水分解酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、青味剤、蛍光染料、固化抑制剤、マスキング剤、セルラーゼ活性剤、抗酸化剤、及び可溶化剤を含む。
【0057】
ここで用いる「bgl7遺伝子の発現の減少又は排除」とは、bgl7遺伝子が遺伝子から削除されているために、組み換え宿主微生物によって発現できないこと、又は機能的なBGL7酵素が宿主微生物によって生み出されないように、bgl7遺伝子が修飾されていることのどちらかを意味する。
【0058】
ここで用いる「修飾bgl7」又は「修飾bgl7遺伝子」は、該遺伝子の核酸配列が除去、付加及び/又はコード反応を操作することにより変化したこと、又は発現タンパク質のアミノ酸配列が修飾されたことを意味する。
【0059】
ここで用いる、「精製する」という語は、一般に、細胞を含む遺伝子組み換えされた核酸またはタンパク質を生化学的に精製すること、及び/又はカラムクロマトグラフィーにかけることを意味する。
【0060】
ここで用いる「活性」又は「生物学的活性」とは、ある特定のタンパク質と関係のある生物学的活性を言い、ここでは、互換的に使用される。例えば、プロテアーゼと関係する酵素活性はタンパク質分解活性であり、実際に、活性を有するプロテアーゼはタンパク質分解活性を有している。このことは、所定のタンパク質の生物活性は、一般に当業者によってそのタンパク質に帰属すると考えられているどのような生物活性でも言う。
【0061】
ここで用いる「濃縮する」という語は、BGL7が入手できる、野生型又は自然発生する細菌性のセルラーゼ組成物に見られるBGL7濃度よりも相対的に高い濃度である。
【0062】
野生型細菌性セルラーゼ組成物は、天然に自生している細菌源によって生産されるものであり、1以上のBGL、CBH及びEG成分を含んでいる。そしてこれらの成分のそれぞれは所定の比率で細菌源によって生産される。従ってBGL7を高めた組成物は他のセルラーゼ組成物(すなわち、CBHs及びエンドグルカナーゼ)に対するBGL7の割合が高くなるように、変更された割合のBGL7を有する。本技術分野で既知の技術により、BGL7を増加させること、又は、他の成分を減少させること(又は排除させること)の、いずれかを行うことにより、BGL7の比を高めることができる。
【0063】
従って、天然セルラーゼシステムは、至適pHにおけるイオンクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、分子ふるい及び同種のものを含む、これら各種文献中に記載の分離技術により、純粋な成分に精製することができる。例えば、イオン交換クロマトグラフィー(通常、陰イオン交換クロマトグラフィー)において、pH勾配又は塩勾配又はpH及び塩の両者の勾配を用いた溶出により、セルラーゼ組成物を分離することは可能である。精製BGL7は、最終的にBGL7濃度の高い溶液となる酵素溶液に添加される。
【0064】
糸状菌のセルラーゼは1以上のBG成分を含んでいる。この異なる成分は、イオン交換クロマトグラフィー及び同種のものを介して分離することが可能な、遺伝的に異なった等電点を有している。単一BG成分又はBG成分の組み合わせのどちらか一方が、酵素溶液中に用いられる。
【0065】
酵素溶液中に用いる場合、BG組成物は、セルラーゼ組成物中に見られる任意のCBH及びエンドグルカナーゼにより生じたセロビオースによる阻害を抑制するのに十分な量が添加される。バイオマスの糖精製プロセスの間のセロビオースの量に応じて、所定量のBG組成物が添加される。当業者はこの量を速やかに決定することができる。しかしながら、酵素溶液中に用いる、セルラーゼ組成物中の、あるCBHタイプ又はエンドグルカナーゼタイプの成分に対するBGL7成分の重量パーセントは、好ましくは約1、好ましくは約5、好ましくは約10、好ましくは約15、又は好ましくは約20重量パーセントから、好ましくは約25、好ましくは約30、好ましくは約35、好ましくは約40、好ましくは45、又は好ましくは約50重量パーセントまでである。さらに、好ましい範囲は、約0.5から15重量パーセント、約0.5から20重量パーセント、約1から約10重量パーセント、約1から約15重量パーセント、約1から約20重量パーセント、約1から約25重量パーセント、約5から約20重量パーセント、約5から約25重量パーセント、約5から約30重量パーセント、約5から約35重量パーセント、約5から約40重量パーセント、約5から約45重量パーセント、約5から約50重量パーセント、約10から約20重量パーセント、約10から約25重量パーセント、約10から約30重量パーセント、約10から約35重量パーセント、約10から約40重量パーセント、約10から約45重量パーセント、約10から約50重量パーセント、約15から約20重量パーセント、約15から約25重量パーセント、約15から約30重量パーセント、約15から約35重量パーセント、約15から約30(40?)重量パーセント、約15から約45重量パーセント、約15から約50重量パーセントである。
【0066】
II.標的微生物
A.糸状菌
糸状菌は、真菌門亜門及び卵菌類を形成する全ての糸状菌を含む。糸状菌は、菌糸の伸長及び有酸素が必須である炭素異化による栄養成長に用いられるキチン、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複合多糖類から構成されている、細胞壁を有する栄養菌糸を有することが特徴である。
【0067】
本発明においては、糸状菌親細胞は、トリコデルマ属、例えば、トリコデルマロンギブラキアタム(レーシ)、トリコデルマビリデ、トリコデルマコニンギ、トリコデルマハルジアウム(Trichoderma harzianum);ペニシリウム属.;フミコーラインソランスを含むフミコーラ属;クリソスポリウムルクノウエンスを含むクリソスポリウム属;グリゴクラディウム属;アスペルギウス属;フザリウム属、ニューロスポラ属、ハイポクレア属及びエメリセラ属を含むがこれらに限定されない。ここで用いるように、「トリコデルマ」又は「トリコデルマ属」は、従来からトリコデルマとして分類されているか、又は、現時点でトリコデルマと分類されている任意の糸状菌系統を言う。
【0068】
ある好ましい実施態様では、この糸状菌親細胞は、アスペルギウスニガー、アスペルギウスアワモリ、アスペルギウスアキュレアタス又はアスペルギウスニドゥランス細胞である。
【0069】
他の好ましい実施態様では、この糸状菌親細胞は、トリコデルマレーシ細胞である。
【0070】
III.セルラーゼ
セルラーゼは、当該技術分野において、セルロース(ベータ-1,4グルカン又はベータD-グルコシド結合)を加水分解し、グルコース、セロビオース、セロビオオリゴサッカライド及び同種のものを生産する酵素として知られている。上記のように、セルラーゼは伝統的に3つの主クラスに分類される:エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)(「EG」)、エキソグルカナーゼ又はセロビオハイドラーゼ(EC3.2.1.91)(「CBH」)及びベータ-グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)(「BG」)(Knowles et al., TIBTECH 5,255-261, 1987;Schulen, 1988)である。
【0071】
ある特定の細菌は、エキソセロビオハイドラーゼ又はCBH型セルラーゼ及びベータ-グルコシダーゼ又はBG型セルラーゼを含む複合的なセルラーゼシステムを生産する(Schulein, 1988)。しかしながら、ときどきこれらのシステムは、CBH型セルラーゼを含むが、あるときにはこれらのシステムはCBHタイプセルラーゼを欠き、一般にほとんどまたは全くCBHタイプセルラーゼを含まない細菌性セルラーゼを含む場合がある。加えて、EG成分及びCBH成分は、セルロースをより効果的に分解するために相乗的に相互作用をすることが示されている。 例えば、Wood、(1985)を参照のこと。この異なった成分、すなわち、複合成分又は完全なセルラーゼシステムの中のさまざまなエンドグルカナーゼ及びエキソセロビオハイドラーゼは、等電点、分子量、グリコシル化度、基質特異性及び酵素活性パターンなどにおいて、一般的に異なる性質を有する。
【0072】
エンドグルカナーゼ型セルラーゼは、セルロースの結晶化度の低い部分の内部ベータ-1,4グルコシド結合を加水分解し、エキソセロビオハイドラーゼ型セルラーゼは、セルロースの還元又は非還元末端からセロビオースを加水分解する。それは、エンドグルカナーゼ成分の作用はエキソエロビオハイドラーゼ成分によると認められる新しい鎖端を作ることによるエキソセロビオハイドラーゼの作用を大いに促進することができるということになる。さらに、ベータ-グルコシダーゼタイプのセルラーゼは、セロビオースのような糖質残基を含むグルコシドだけでなく、メチル-β-Dグルコシド及びp-ニトロフェニルグルコシドのようなアルキル及び/又はアリールβ-D-グルコシダーゼの加水分解に触媒作用をすることが示されている。このことが、微生物のための唯一の生産物であるグルコースを生産させることになり、セロビオハイドラーゼ及びエンドグルカナーゼを抑制するセロビオースを減らすか又は排除することになる。
【0073】
従って、β-グルコシダーゼタイプセルラーゼはグルコースへの全体の反応の機動力となるのでセルラーゼ系の必須部分であると考えられる。トリコデルマレーシにおけるBGの発現の増加はセルロースからグルコースへの分解の向上を示す。ここに引用するEP0562003を参照されたい。さらに、β-グルコシダーゼは多数の異なる基質の加水分解を触媒でき、従って様々な用途において有用である。β-グルコシダーゼは最終的にワインの香りを高めるためにワイン製造時にブドウに加えてもよい。さらにその他の用途はβ-グルコシダーゼを香りを高めるために果物に用いてもよい。もしくは、β-グルコシダーゼは食品添加剤に直接用いてもよく、または風味及び香りを高めるためにワイン加工に用いてもよい。
【0074】
セルラーゼは、洗浄能力を高めるために、柔軟成分として、及び綿布製品の風合いを改善するために、洗剤組成物中に多くの使用例が見られる(Hemmpel,1991 ; Tyndall,1992 ; Kumar et al.,1997)。一方その作用機能は、本発明の一部ではないが、セルラーゼの柔軟性及び色の回復特性はセルラーゼ組成物中のアルカリ性エンドグルカナーゼ成分に起因するものである。実証例として、U.S. Patent Nos. 5,648,263、5,691,178、及び5,776,757がある。これらは、特定のアルカリ性エンドグルカナーゼ成分が豊富なセルラーゼ組成物を含んでいる洗剤成分は、アルカリ性エンドグルカナーゼ成分が豊富でないセルラーゼ組成物と比較すると、処理した衣類に対して色の回復及び柔軟性の改善を与えることができる。更に、そのようなアルカリ性エンドグルカナーゼ成分を洗剤成分へ用いることは、洗剤組成物のpH要件を調節していることを示している。(すなわち、U. S. Patent Nos. 5,648, 263,5, 691,178, 及び 5,776, 757に開示されているように、7.5から10のアルカリ性のpHにおいて最大活性を示すことによる)。
【0075】
セルラーゼ組成物は、綿を含む布製品を分解し、最終的にこの布製品の強度が低くなることが示唆され(U.S. Patent No. 4,822,516)、セルラーゼ組成物を市販の洗剤成分に使用することをためらう原因となっている。グルカナーゼ成分から成っているセルラーゼ組成物は、完全なセルラーゼシステムから成っている組成物に比べて綿を含んだ布に対して低い強度損失を示すことが示唆されている。
【0076】
セルラーゼは、セルラーゼバイオマスをエタノールに分解すること(ここにおいて、セルラーゼがセルラーゼをグルコースに分解し、酵母又は他の微生物がさらにグルコースをエタノールに発酵させる)において、機械パルプ(Pere et al., 1996)の処理、飼料添加物(WO 91/04673)としての使用のために、そして粒子湿式粉砕において有益であることが明らかにされている。
【0077】
セルラーゼは科学文献に多数記載されており、例えば、トリコデルマレーシに関するものは、Shoemaker,S.et al., Bio/Techlogy, 1:691-696, 1983、CBHIについて記載;Teeri,T.et al.,Gene(遺伝子)、51:43-52, 1987、CBHIIについて記載;Penttila,M.et al.、Gene,45:253-263, 1986、EGIについて記載;Saloheimo,M et al.,Gene,63:11-22,1988、EGIIについて記載;Okada,M. et al., Appl.Environ.Microbiol.,64:555-563, 1988,EGIIIについて記載;Saloheimo,M.et al.,Eur.J.Biochem.,249:584-591,1997、EGIVについて記載;Saloheimo,A.et al., Molecular Microbiology,13:219-228, 1994、EGVについて記載;Barnett,C.C.,et al.,Bio/Techlogy,9:562-567,1991, BGL1について記載、及びTakashima,S.et al., J.Biochem.,125:728-736, 1999、BGL2について記載;を含む。また、トリコデルマ種以外のセルラーゼも例えば、アスペルギルスアキュレアタスにより生成されるエンドグルカナーゼFI-CMCをコードするcDNA配列を開示するOoi et al., 1990;アスペルギルスアキュレアタス由来のβ-グルコシダーゼをエンコードするcDNAのクローニング及びシーケンシングを開示するKawagushi T et al., 1996;アスペルギルスカワチIFO4308由来のエンドグルカナーゼCMCアーゼ−1をエンコードするcDNA配列を開示するSakamoto et al., 1995;エルウィニアカロドボラ由来のエンドグルカナーゼを開示するSaarilahti et al., 1990;Rhodothermus marinu由来の熱安定性β-グルカナーゼをコードする、bglAのクローニング及びシーケンシングを開示するSpilliaert R et al., 1994及びグリコシルハイドロラーゼ属12熱安定性セルラーゼをコードするRhodothermus marinu遺伝子のクローニング、シーケンシング及び過剰発現を開示するHalldorsdottir S et al., 1998に記載されている。しかしながら、依然として熱応力条件下または界面活性剤の存在下での性能改善、比活性度の増加、変化した基質分裂パターン、及び/またはin vitroでの高レベル発現などの改善された特性を有する、新規なセルラーゼの同定及びキャラクタリゼーションの必要性が残っている。
【0078】
CBH型、EG型及びBG型セルラーゼを様々な量で含む新しい及び改善されたセルラーゼ組成物の開発は、 (1)洗浄能力の向上を示し、柔軟剤として機能し、及び/または綿繊維の手触りを改善させる洗剤組成物(例えば、「ストーンウォッシング」または「バイオポリッシング」)、(2)木材パルプまたはその他のバイオマスを糖に分解するための組成物(例えば、バイオ−エタノール生成)及び/または(3)飼料組成物への使用を対象としている。
【0079】
IV.新規配列の同定方法
オープン・リーディング・フレーム(ORF)をトリコデルマレーシゲノムまたはトリコデルマレーシ mRNA由来のcDNAライブラリーのクローンの全部または一部の配列に従って分析し、さらに配列分析ソフトウェアを用いて、(公開/非公開の)データベース中の公知の配列のホモロジーを決定することにより分析する。
【0080】
V.bgl7核酸及びBGLポリペプチド
A. bgl7核酸
本発明の核酸分子は、配列番号1で示したbgl7のcDNA配列、の天然コード配列及びその他の種におけるそれらの相同体、天然対立遺伝子多型及びスプライス変異体、核酸断片及び生物学的に活性な(機能的)それらの誘導体であり、例えば天然分子のアミノ酸配列変異体及び融合タンパク質をエンコードする配列を含む。該配列は集合的にここでは「BGL7エンコード核酸配列」という。
【0081】
重複のない核酸配列データベースの基本的なBLASTNサーチ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)は2002年10月18日に実施され、bgl7遺伝子配列を図1(配列番号1)に示し、有意整列を生産する配列は存在しなかった(すなわち、10-5より小さいのE値を有する)。
【0082】
本発明のbgl7核酸配列はゲノムDNA、cDNA、mRNA由来のDNAまたはRNA配列であってよく、または全体または一部を合成されたものでもよい。DNAは2本鎖でも一本鎖でもよく、一本鎖の場合、コード鎖または非コード(アンチセンス、相補)鎖であってもよい。核酸配列は例えば適当な供給源からゲノムDNAを単離することによる、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる標的配列の増幅オレフィンクローニングによるクローンでもよい。もしくは、核酸配列は完全にまたは部分的に合成でき、特に最適な発現のために宿主好適配列を提供することは望ましい。従って、ポリペプチドまたはタンパク質をエンコードする遺伝子部分である望ましい構造遺伝子の全部または一部は選択した宿主により好ましいコドンを用いて合成できる。
【0083】
遺伝子コードの固有の縮退により、実質的に同じまたは機能的に同等のアミノ酸配列をエンコードする天然型以外の核酸配列は、BGL7エンコード核酸をクローン及び/または発現するために用いることができる。従って、所定のBGL7エンコード核酸配列は、遺伝子コード縮退の結果として、同じアミノ酸配列を有するタンパク質をエンコードする多数のコード配列が生成され得ることが理解される。例えば、トリプレットCGTはアミノ酸アルギニンをエンコードする。アルギニンはまたはCGA、CGC、CGG、AGA及びAGGによってもエンコードされる。従って、コード領域のこのような置換は本発明によってカバーされる核酸配列変異体内に含まれる。あらゆるこれらの配列変異体はBGL7エンコード核酸配列の天然型のためにここに記載される同じ方法で利用できる。
【0084】
「変異体」 BGL7エンコード核酸配列は天然ポリペプチド配列から1以上のアミノ酸が変化した「変異体」 BGL7アミノ酸配列をエンコードでき、ポリペプチド配列のいずれかの末端から1以上のアミノ酸を除去することにより切断でき、この両方は本発明の範囲内に含まれる。同様に、BGL7の「修飾体」の語は天然BGL7タンパク質エンコード核酸配列または天然BGL7アミノ酸配列の誘導体または変異体を意味する。
【0085】
同様に、本発明を実施する際に使用するポリヌクレオチドは天然BGL7タンパク質及びそれらのスプライス変異体をエンコードする配列、天然タンパク質コード配列に相補的な配列及びBGL7エンコードポリヌクレオチドの新規断片を含む。BGL7エンコード核酸配列はゲノムDNA配列の場合、1以上のイントロン配列を含む。
【0086】
一般的な実施態様において、BGL7エンコードヌクレオチド配列は配列番号1でここに示すbgl7コード配列と少なくとも70%、好ましくは80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の配列同一性を有する。
【0087】
他の実施態様において、BGL7エンコードヌクレオチド配列は中から高ストリンジェンシー条件下でBGL7タンパク質をエンコードするヌクレオチド配列にハイブリダイズする。関連する実施態様において、BGL7エンコードヌクレオチド配列は配列番号1で示すヌクレオチド配列に中から高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。
【0088】
BGL7をエンコードするいくつかの核酸配列変異体は親配列に対して選択的にハイブリダイズしてもしなくてもよい。例として、コード配列が遺伝子コードの縮退に基づいて最適化される場合、BGL7タンパク質をエンコードする変異体コード配列が生成されるが、中から高ストリンジェンシー条件下で天然型BGL7エンコード核酸配列にハイブリダイズしない。これは、例えば、配列変異体が親ヌクレオチドによりエンコードされる各アミノ酸の異なるコドンを含む場合に起こる。
【0089】
さらに、ある場合において非天然コドン、例えばイノシンを処理するヌクレオチド配列またはその他の非天然ヌクレオチド類似体を生成することが有利であることは当業者によって当然理解されることである。特定の真核生物宿主に好ましいコドンは例えば、BGL7タンパク質発現の速度を高めるために、または天然配列から生成される転写産物よりも長い半減期など望ましい性質を有する組換えRNA転写産物を生成するために選択できる。従って、天然BGL7エンコードヌクレオチド配列は、クローン処理及び/または細胞によるBGL7タンパク質の発現を修飾する等の非限定的な種々の技術でコード配列を変化させるために設計することができる。
【0090】
特に好ましくは、天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの性質または活性を変化させないようなサイレントな核酸の置換、付加及び欠失である。
【0091】
オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、及びPCR突然変異誘発など当業界に公知の方法を用いて様々な変更が可能である。部位特異的突然変異誘発(Carter et al., 1986;Zoller et al., 1987)、カセット式変異誘発(Wells et al., 1985)、制限選択式変異誘発(Wells et al., 1986)又はその他の公知の技術がBGL7ポリペプチド−エンコード変異体DNAを生成するためにクローンDNAについて実施できる。
【0092】
しかしながら、ある場合において天然bgl7ポリヌクレオチドまたはBGL7ポリペプチドの性質または活性を有さないBGL7の変異体を発現することは有利である。そのような場合、天然BGL7エンコード核酸配列の変異体または修飾体は当業者が日常的に用いる技術を使用することにより生成してもよい。
【0093】
B.BGL7ポリペプタイド
好ましい実施態様において、本発明はBGL7ポリペプチドを提供し、図2(配列番号2)に示す配列を含んだ天然成熟型または完全長BGL7ポリペプチド配列を含む。本発明のBGL7ポリペプチドは成熟BGL7ポリペプチド、融合タンパク質の一部、または図2(配列番号2)に示すBGL7ポリペプチド配列の断片または変異体であってもよい。
【0094】
通常、本発明のBGL7ポリペプチドはその全体の長さにわたってBGL7アミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する。より好ましくはBGL7ポリペプチド配列は、ここに詳細を記載する配列プログラムを用いて、図2(配列番号2)のBGL7ポリペプチド配列に対して少なくとも80、85、90、95、98%またはそれ以上の配列同一性を有する領域を含む。
【0095】
通常、天然BGL7タンパク質の「修飾体」または「変異体」 BGL7タンパク質は少なくとも1のアミノ酸置換、付加、欠失または挿入を含む誘導体配列を有する。
【0096】
特定のアミノ酸置換はタンパク質の機能に影響を与えずにタンパク質配列中で行うことができることは当業界で公知である。通常、同類アミノ酸置換または類似アミノ酸の置換はタンパク質機能に影響を与えることなく許容されるものである。類似アミノ酸は大きさ及び/または電荷特性が類似のアミノ酸であり、例えばアスパラギン酸塩とグルタミン酸塩、及びイソロイシンとバリンの両方は類似アミノ酸のペアである。アミノ酸ペア間の類似性は多数の方法により当業界で評価されてきた。例えば、ここに引用するDayhoff et al.(1978)はアミノ酸類似性の指標として用いることができるアミノ酸置換の度数分布表を提供する。Dayhoffらの度数分布表は様々な進化的に異なる供給源から同じ機能を有するタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づく。
【0097】
図2(配列番号2)のBGL7ポリペプチド配列の断片及び変異体は本発明の一部である。断片は、上で述べたポリペプチドのアミノ酸配列と全部ではないが一部が全く同じアミノ酸配列を有する変異体ポリペプチドである。該断片は「自立構造」であり、または最も好ましくは単一連続領域として部分または領域を形成する断片のより大きいポリペプチド内に含まれる。好ましい断片は本発明のポリペプチド活性を媒介する断片である生物学的に活性な断片であり、類似活性または向上した活性または減少した活性を有するものを含む。また、動物、特にヒトにおいて抗原性または免疫原性である断片を含む。該側面において、本発明は(i)BGL7断片、好ましくは少なくとも約20〜100アミノ酸長、より好ましくは約100〜200アミノ酸長、及び(ii)BGL7を含有する医薬組成物を含む。種々の実施態様において、該断片はBGL7のN末端ドメインまたはBGL7のC末端ドメインに対応する。
【0098】
また、本発明のBGL7ポリペプチドは図2(配列番号2)のBGL7ポリペプチド配列から変化したポリペプチドを含む。これらの変異体は置換、挿入または欠失変異体である。該変異体は通常、天然型類似体と同質の生物学的活性を示すが、さらに下記に記載する修正された性質を有するものを選択することもできる。
【0099】
「置換」はそれぞれ異なるヌクレオチドまたはアミノ酸により1以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換が生じる。
【0100】
「挿入」または「付加」は天然型配列と比較して、それぞれ1以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の追加を生じるヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化である。
【0101】
「欠失」はそれぞれ1以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が欠ける、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化として定義される。
【0102】
アミノ酸置換は通常1個の残基である。挿入はたいてい約1〜20アミノ酸程度であるが、かなり大きな挿入も許容され得る。欠失は約1〜約20残基の範囲であるが、さらに大きい場合もある。
【0103】
置換、欠失、挿入またはそれらの組み合わせは目的とする誘導体を得るために使用できる。一般的に、これらの変化は分子変化を最小限にするために2、3のアミノ酸について行う。しかしながら、特定の状況においてはより大きな変化も許容され得る。
【0104】
アミノ酸置換は1のアミノ酸を類似構造及び/または化学的性質を有するその他のアミノ酸で置換することにより達成でき、例えばイソロイシンとバリンの置換、すなわち同類アミノ酸置換である。挿入または欠失は任意で1〜5アミノ酸の範囲である。
【0105】
置換は一般的に公知の「同類置換」により行う。「同類置換」はある種類のアミノ酸を同じ種類のアミノ酸で置換することをいい、種類は共通の物理化学アミノ酸側鎖特性及び天然に見られる相同タンパク質において高発生置換頻度により定義される(例えば標準Dayhoff度数(frequency)交換マトリックスまたはBLOSUMマトリックスにより決定される)。(Doolittle,R.F., 1986を参照。)
「非同類置換」はある種類のアミノ酸を別の種類のアミノ酸で置換することをいう。
【0106】
BGL7ポリペプチド変異体は一般的に天然型類似体と同質の生物学的活性を示すが、必要であればBGL7ポリペプチドの性質を修正するための変異体も選択される。例えば、グリコシル化部位及びより具体的には1以上のO結合またはN結合グリコシル化部位が変換または除去される。アミノ酸変化はBGL7ポリペプチドの翻訳後プロセスを変化し得ることを当業者であれば当然に理解するであろう。例えば、グリコシル化部位の数または位置の変化や膜アンカー特性または分泌特性またはその他の細胞局在の変化である。
【0107】
また、BGL7ポリペプチドの定義にその他の関連BGL7ポリペプチドも含む。従って、プローブまたは縮退ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列はその他の関連ポリペプチドを探すために用いることができる。有用なプローブまたはプライマー配列はBGL7ポリペプチド配列の全部または一部またはコード領域外側の配列のために設計することができる。当業界によく知られるように、好ましいPCRプライマーは約15〜約35ヌクレオチド長であり、好ましくは約20〜約30であり、必要であればイノシンを含んでもよい。PCR反応のための条件は当業者に公知である。
【0108】
BGL7ポリペプチドの共有結合修飾も本発明の範囲内である。例えば、本発明は成熟タンパク質であるBGL7ポリペプチドを提供し、さらに該成熟ポリペプチド内にアミノまたはカルボキシル末端アミノ酸を含む(例えば、タンパク質の成熟体が1より多くのポリペプチド鎖を有する場合)。このような配列は、例えば前駆体から成熟体へのタンパク質処理の役割果たし、タンパク質輸送、タンパク質半減期の短縮または延長、または分析または生成時にタンパク質の操作を促進することができる。
【0109】
また、修飾は活性部位の変換、pH最適条件、温度最適条件及び/又はBGL7酵素の基質親和性の変化を目的とする。
【0110】
図2は図1に示すヌクレオチド配列に基づく典型的なBGL7ポリペプチドの予想アミノ酸配列(配列番号2及び配列番号3)を示す。エンコードされるBGL7ポリペプチドの予想分子量は83kDaである。シグナルペプチド(Nielsen, H., EUBACH., Engelbrecht,J.,Brunak,S.,von Heijne,G.,Protein Engineering, 10:1-6, 1997)との類似性は、BGL7ポリペプチドが分泌されていることを示唆するBGL7成熟アミノ末端に現れている。
【0111】
重複のないタンパク質データベースの基本的なBLASTPサーチ(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST)は2002年10月18日に実施され、BGL7アミノ酸配列はGenBank登録番号U16259(キャンディアナモリスキアナ(Candiana molischiana)のベータ-グルコシダー前駆体)と51%の配列同一性を示し、GenBank登録番号U24701(セプトリアライコパージック(Septoria lycopersici)のベータ1,2-グルコシダーゼ)と41%の配列同一性を示し、GenBank登録番号U35463(ゲウマノマイセスグラミニス(Gaeumannomyces graminis)のアベキナーゼ)と41%の配列同一性を示し、GenBank登録番号U09580(ハイポクレアジェコリーナのベータ-D-グルコシダーゼグルコハイドラーゼ)と42%の配列同一性を示し、GenBank登録番号D64088(アスペルギウスアキュレイタスのベータ-D-グルコシダーゼ1前駆体)と44%の配列同一性を示す。これらの配列類似性はBGL7がグリコシルヒドロラーゼ属3の一種であることを示す(Henrissat,B.and Bairoch,A.(1993)Biochem.J.293:781-788)。
【0112】
C.抗BGL7抗体
本発明はさらに抗BGL7抗体を提供する。抗体はポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性またはヘテロ共役抗体であってよい。
【0113】
ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に公知である。免疫剤はBGL7ポリペプチドまたはそれらの融合タンパク質であってよい。免疫を与えた哺乳類中の免疫原性タンパク質に抗原を活用させること(結合させること)は有益である。免疫付与手順は標準的な手順または、既知の実験手法に基づき当業者により決定される。
【0114】
もしくは、抗BGL7抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は動物内で免疫された細胞によりまたは組換えDNA法を用いて生成することができる (例えば、Kohler et al., 1975;U.S. Patent. No.4,816,567号を参照。) 。
【0115】
本発明の抗BGL7抗体はさらにヒト化またはヒト抗体を含む。「ヒト化抗体」の語は非ヒト抗体由来の配列を部分的に含む、キメラ抗体、免疫グロブリン鎖またはそれらの断片である(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2またはその他の抗体の抗原結合部分配列)非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体のヒト化体をいう。非ヒト抗体をヒト化する方法は当業者に公知であり、さらなる詳細はJones et al., 1986;Riechmann et al., 1988;及びVerhoeyen et al., 1988にある。ヒト抗体の生成方法も公知である。例えば、Jakobovits,A,et al., 1995及びJakobovits,A., 1995を参照されたい。
【0116】
VI.組換えBGL7の発現
本発明の方法はBGL7を発現するための細胞の使用に依存し、特定のBGL7発現方法を必要とするものではない。
【0117】
本発明はBGL7エンコード核酸配列を含む発現ベクターを用いて変換、形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。温度、pH等の培養条件は変換、形質転換またはトランスフェクト前に親宿主細胞にすでに用いた条件とし、当業者に明らかである。
【0118】
1つの方法として、糸状菌細胞または酵母細胞はBGL7が細胞株内で発現するように、細胞株内で機能し、BGL7をエンコードするDNA断片に作動可能に連結するプロモーターまたは生物学的に活性なプロモーター断片または1以上の(例えば一連の)エンハンサーを有する発現ベクターを用いて形質転換する。
【0119】
A.核酸構築体/発現ベクター
BGL7をエンコードする天然または合成ポリヌクレオチド断片(「BGL7エンコード核酸配列」)は導入が可能で糸状菌または酵母細胞内で複製される異種核酸構築体またはベクター内に組み込むことができる。ここに開示するベクター及び方法はBGL7発現のための宿主細胞での使用に適している。導入される細胞内で複製可能であり、生存可能ないかなるベクターも使用できる。多くの適したベクター及びプロモーターが当業者に公知であり、市販されている。また、クローニング及び発現ベクターについても、Sambrook et al.,1989、Ausubel FM et al.,1989及びStrathern et al., 1981に記載されており、こららを明示的に引用するものとする。菌類に適した発現ベクターはvan den Hondel, C.A.M.J.J.et al.(1991)In:Bennett,J.W. and Lasure,L.L.(eds.)More Gene Manipulations in Fungi.Academic Press,pp.396-428に記載されている。適当なDNA配列は種々の方法によりプラスミドまたはベクター(ここで集合的に「ベクター等」とする)に挿入できる。一般に、DNA配列は標準的な方法により適当な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入する。このような方法及び関連するサブクローニング方法は当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0120】
BGL7のコード配列を含む組換え糸状菌はBGL7コード配列を含む異種核酸構築体を糸状菌の選択株細胞内に導入することにより生成できる。
【0121】
bgl7核酸配列、相同体、変異体またはそれらの断片の望ましい形態が得られると、それは種々の方法で修飾できる。配列が非コードフランキング領域を含む場合、該フランキング領域は切断、突然変異等され得る。従って、転移、塩基転換、欠失及び挿入が天然配列上で起こり得る。
【0122】
選択bgl7コード配列は公知の組換え技術により適当なベクターに挿入でき、BGL7発現が可能な糸状菌を形質転換するために用いることができる。遺伝子コードの固有縮退により、実質的に同じまたは機能的に同等なアミノ酸配列をエンコードするその他の核酸配列がBGL7をクローン及び発現するために使用できる。従って、コード領域内のそのような置換は本発明でカバーされる配列変異体の範囲に当然含まれる。あらゆるこれらの配列変異体はここに記載するように同様に親BGL7エンコード核酸配列に利用できる。
【0123】
本発明はまた、上述の1以上のBGL7エンコード核酸配列を含む組換え核酸構築体を含む。該構築体は同方向または逆方向に本発明の配列を挿入したプラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターを含む。
【0124】
異種核酸構築体はbgl7のコード配列または変異体、断片またはそれらのスプライス変異体を含み、これらは(i)単離されたもの;(ii)例えば融合タンパク質またはシグナルペプチドコード配列など追加のコード配列と組み合わせたものであって、bgl7コード配列が優性コード配列であるもの;(iii)イントロンや例えばプロモーターや終結要素などの制御要素またはなど非コード配列と組み合わせたもので、適当な宿主内でコード配列の発現に効果的なもの;及び/または(iv)bgl7コード配列が異種遺伝子となるベクターまたは宿主環境内のものである。
【0125】
本発明の1の側面において、異種核酸構築体を用いてBGL7エンコード核酸配列をin vitroで従来の好ましい糸状菌及び酵母菌株の細胞内に移送する。BGL7の長期間、高収率生成に関しては、安定した発現が好ましい。安定した形質転換体を生成するために効果的な方法を本発明の実施に使用するのがよい。
【0126】
適当なベクターは一般に選択マーカー・エンコード核酸配列、挿入部位、及びプロモーターや終止配列などの適当な制御要素を備える。該ベクターは調節配列を含んでもよく、例えばイントロンや制御要素(すなわちプロモーター及び終結要素)または5’及び/または3’非翻訳領域等の非コード配列であり、コード配列に作動可能に連結する、宿主内でコード配列の発現に効果的なものを(及び/または修飾可溶性タンパク質抗原コード配列が通常発現されないベクターまたは宿主細胞環境内において)含んでもよい。多数の適当なベクター及びプロモーターが当業界に公知であり、その多くは市販されており、及び/またはSambrook et al.、(上述)に記載されている。
【0127】
典型的なプロモーターは構造プロモーター及び誘導プロモーターの両方を含み、例としてはCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、RSVプロモーター、EF-1αプロモーター、tet-onまたはtet-offシステムのtet応答性要素(TRE)(ClonTech及びBASFに記載)を含むプロモーター、β-アクチン・プロモーター及び特定の金属塩の付加により促進されるメタロチオニンプロモーターなどがある。プロモーター配列は発現のために特定の糸状菌により認識されるDNA配列であり、BGL7をエンコードするDNA配列に作動可能に連結する。かかる結合は記載した発現ベクター内において、BGL7ポリペプチドをエンコードするDNA配列の開始コドンに関するプロモーターの位置合わせを含む。プロモーター配列はBGL7ポリペプチドの発現を仲介する転写及び翻訳制御配列を含む。例としてアスペルギルスニガー、アスペルギルスアワモリまたはアスペルギルスオリゼーグルコアミラーゼ、アルファ−アミラーゼまたはアルファ−グルコシダーゼエンコード遺伝子;アスペルギルスニダランスgpdAまたはtrpC遺伝子;ニューロスポラクラッサcbh1またはtrp1遺伝子;アスペルギルスニガーまたはリゾムコールミエヘイアスパルギン酸プロテイナーゼエンコード遺伝子;トリコデルマレーシ cbh1、cbh2、egl1、egl2またはその他のセルラーゼエンコード遺伝子由来のプロモーターを含む。
【0128】
適当な選択マーカーの選択は宿主細胞に依存し、種々の宿主に好ましいマーカーが当業界に公知である。一般的な選択マーカー遺伝子はアスペルギルスニダランスまたはトリコデルマレーシ由来argB、またはアスペルギルスニダランス由来amdS、ニューロスポラ・クラッサまたはトリコデルマレーシ由来pyr4、アスペルギルスニガーまたはアスペルギルスニダランス由来pyrGを含む。さらなる典型的な選択マーカーとして、限定されないが、trp-、pyr-、leu-等の変異株を形質転換するために用いる異種核酸構築体に含まれるtrpc、trp1、oliC31、niaDまたはleu2がある。
【0129】
このような選択マーカーは形質転換体に普通は糸状菌によって代謝されない代謝産物を活用する能力を与える。例えば、酵素アセトアミダーゼをエンコードするトリコデルマレーシ由来amdS遺伝子は形質転換細胞が窒素源としてアセトアミド上で成長できるようにする。選択マーカー(例えばpyrG)は最小培地上で成長するための栄養要求性変異株の能力を回復させ、または選択マーカー(例えばolic31)は形質転換体が阻害薬または抗生物質の存在下で成長できる能力を与える。
【0130】
選択マーカーコード配列は当業界で一般的に用いられる方法を用いて適当なプラスミドにクローンする。典型的なプラスミドはpUC18、pBR322及びpUC100を含む。
【0131】
本発明の実施は、特に示さない限り当業界の技術の範囲内である分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来技術を用いる。かかる技術は文献に十分説明されている。例えば、Sambrook et al., 1989;Freshney,1987;Ausubel,et al., 1993;及びColigan et al., 1991を参照されたい。ここに記載する全ての特許出願、論文及び出版物はここに明示的に引用するものとする。
【0132】
B.BGL7の高生産のための宿主細胞及び培養条件
(i)糸状菌
本発明は対応する非形質転換親菌と比較してBGL7を多く生成し、または発現するように効果的に修飾、選択及び培養された細胞を含む糸状菌を提供する。
【0133】
BGL7発現を高めるために処理及び/または修飾される親糸状菌種の例としては、トリコデルマ(例えばトリコデルマレーシ、トリコデルマロンギプラチアタム、トリコデルマビリディ、トリコデルマコニンギー);ペニシリウム属、フミコーラ属(フミコーラインソレンスなど);アスペルギルス属、クリソスポリウム属、フサリウム属、ヒポクレア属及びエメリセラ属を含むが、これらに限定されない。
【0134】
BGL7発現細胞は通常親菌株を培養する際に用いる条件下で培養する。一般的に細胞は、例えばPourquie,J.et al.,Biochemistry and Genetics of Cellulose Degradation,eds.Aubert,J.P.et al.,Academic Press,pp.71-86, 1988及びIlmen,M.et al.,Appl.Environ.Microbiol.63:1298-1306,1997に記載されるような、生理学的塩及び栄養素を含む標準培地で培養する。培養条件も標準的なものであり、例えばBGL7発現が所望のレベルを達成するまで28℃で振とう培養機または発酵槽内で培養する。
【0135】
所定の糸状菌のための好ましい培養条件は科学文献に記載され、及び/またはAmerican Type Culture Collection(米国菌培養収集所)(ATCC;http://www.atcc.org/)などの菌供給元から知ることができる。糸状菌系統を確立した後、細胞をBGL7発現を引き起こすことができる効果的な条件にさらす。
【0136】
BGL7コード配列が導入プロモーターの制御下にある場合には、誘発剤、例えば糖、金属塩または抗生物質を高レベルのBGL7発現を誘導するのに効果的な濃度で培地に加える。
【0137】
(ii)酵母菌
また、本発明はBGL7生成用の宿主細胞として酵母菌の使用を目的とする。加水分解酵素をエンコードするその他いくつかの遺伝子は酵母菌サッカロマイセスセレヴィシエの種々の株において発現される。これらは2つのエンドグルカナーゼ(Penttila et al.,1987)、2つのセロビオヒドロラーゼ(Penttila et al.,1988)及びトリコデルマレーシ由来の1つのβ-グルコシダーゼ(Cummings and Fowler,1996)、オーレオバシディウムプルランス由来キシラナーゼ(Li and Ljungdahl,1996)、小麦由来のα−アミラーゼ(Rothstein et al.,1987)等をエンコードする配列を含む。さらに、ブチリビブリオ・フィブリソルベンズ・エンド−[β]−1,4−グルカナーゼ(END1)ファネロキーテ・クリソスポリウム・セロビオヒドロラーゼ(CBH1)、ルミノコッカス・フラヴェファシエンス・セロデキストリナーゼ(CEL1)及びエンドマイセス・フィブリライザー・セロビアーセ(Bgl1)をエンコードするセルラーゼ遺伝子カセットはサッカロマイセス・セレヴィシエの研究所菌株でよく発現した(Van Rensburg et al.,1998)。
【0138】
C.宿主細胞へBGL7エンコード核酸配列の導入
本発明はさらに、外から供給されたBGL7エンコード核酸配列を含むように遺伝子操作された細胞及び細胞組成物を提供する。親細胞または細胞株はクローニングベクターまたは発現ベクターを用いて遺伝子操作(すなわち、変換、形質転換またはトランスフェクト)できる。ベクターは例えば、上述したプラスミド、ウイルス粒子、ファージ等の形態である。
【0139】
種々の方法がin vitroで細胞に発現ベクターを運ぶために用いることができる。適当なベクターは構築後、菌類や酵母菌の菌株を形質転換するために用いる。異種核酸配列を発現するために細胞に核酸を導入する一般的な方法は当業者に公知である。このような方法は、エレクトロポレーション;核へのマイクロインジェクションまたは単一細胞への直接マイクロインジェクション;無傷細胞を用いる細菌プロトプラスト(原形質)融合;ポリカチオンの使用、例えばポリブレンまたはポリオルニチン;リポソーム、リポフェクトアミンまたはリポフェクション媒介トランスフェクションを用いる膜融合;DNAコート・マイクロプロジェクタイル(microprojectiles)を用いる高速発射(high velocity bombardment);リン酸カルシウムDNA沈殿を用いる培養;DEAE-Dextran媒介トランスフェクション;修飾ウイルス性核酸を用いる感染などであるが、これらに限定されない。
【0140】
糸状菌(例えばトリコデルマレーシ)に異種核酸構築体(発現ベクター)を導入する好ましい方法は、粒子銃または遺伝子銃の使用、形質転換処理の前の糸状菌細胞壁の透過処理(例えば、高濃度アルカリ、例えば0.05M〜0.4M CaCl2または酢酸リチウムの使用により)、プロトプラスト融合またはアグロバクテリウム媒介形質転換などである。ポリエチレングリコール及びCaCl2を用いるプロトプラストまたはスフェロプラスト処理による糸状菌の形質転換の典型的な方法はCampbell,ELUTRIATION .I.et al.,Curr.Genet.16:53-56、1989及びPenttila,M.et al.Gene,63:11-22,1988に記載されている。
【0141】
さらに、BGL7エンコード核酸配列を含む異種核酸構築体はin vitroで転写でき、得られたRNAは公知の方法、例えば注入により宿主細胞に導入できる。
【0142】
bgl7のコード配列を含む異種核酸構築体の導入後、遺伝子組換え細胞はプロモーターを活性化、形質転換体を選択またはBGL7エンコード核酸配列の発現を増幅するために修飾した適当な従来の栄養培地で培養できる。温度、pH等の培養条件は発現のために選択した宿主細胞に従来使用されていた条件であり、当業者に明らかである。
【0143】
該異種核酸構築体が導入された細胞の子孫は一般的に異種核酸構築体にあるBGL7エンコード核酸配列を含むものと考えられる。
【0144】
本発明はさらに真菌セルラーゼ組成物を生成するために使用するトリコデルマレーシなどの糸状菌の新規で有用な形質転換体を含む。本発明は糸状菌、特にbgl7コード配列を含む真菌、bgl7コード配列の修飾体またはbgl7コード配列の欠失を含む真菌の形質転換体を含む。
【0145】
糸状菌の安定な形質転換体は一般に、より早いその成長速度及び固形培地上のでこぼこの輪郭ではなく滑らかな円形コロニーの形成により不安定な形質転換体と区別できる。従って、場合によっては、さらに安定性の試験を固形非選択培地上で形質転換を成長させ、この培養基から胞子を集菌し、選択培地上で続いて発芽、成長したこれらの胞子の割合を決定することにより行うことができる。
【0146】
VII.BGL7核酸コード配列及び/またはタンパク質発現の分析
BGL7エンコード核酸構築体を用いて形質転換した細胞株によるBGL7の発現を評価するために、分析はタンパク質レベル、RNAレベルで行うことができ、または特にグルコシダーゼ活性及び/または生成に対して機能的バイオアッセイを用いることにより行うことができる。
【0147】
ここに記載するbgl7核酸及びタンパク質配列の典型的な用途において、糸状菌(例えばトリコデルマレーシ)の遺伝子組換え株は増加したBGL7量を生成するために設計される。係る遺伝子組換え糸状菌は非常に増加したセルロース分解能を持つセルラーゼ生成物を生成するのに有用である。1つの方法として、bgl7のコード配列を適当な宿主(例えば、トリコデルマレーシなどの糸状菌)に導入することにより達成する。
【0148】
従って、本発明はBGL7をエンコードするDNA配列を含む発現ベクターを糸状菌またはその他の適当な宿主の細胞に導入することにより、BGL7を糸状菌またはその他の適当な宿主内で発現する方法を含む。
【0149】
他の側面において、本発明は糸状菌またはその他の適当な宿主内でBGL7発現を修飾する方法を含む。かかる修飾は発現の減少または除去、またはBGL7変異体の発現を含む。BGL7変異体は変化したアミノ酸配列または変化した核酸配列を有する。
【0150】
一般に、BGL7発現を分析するために用いる分析法はノーザンブロット法、ドットブロット法(DNAまたはRNA分析)、RT-PCR(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)または(核酸コード配列に基づき)適当に標識されたプローブを用いるin situハイブリダイゼーション、及び従来のサザンブロット法及びオートラジオグラフィーなどである。
【0151】
さらに、BGL7の生成及び/または発現は、例えばグルコシダーゼ活性、発現及び/または生成の分析によりサンプルを直接測定できる。そのような分析法については例えば、各々ここに明示的に引用するShoemaker,S.P. and Brown,R.D.Jr. (Biochim.Biophys.Acta,1978,523:133-146;Schulein(1988)及びU.S. Patent. No.5,246,853及び5,475,101に記載されている。単離可溶性及び不溶性基質を加水分解するBGL7の能力はSuurnakki et al.(2000)及びOrtega et al.(2001)に記載の分析法を用いて測定できる。セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼまたはβ-グルコシダーゼ活性を分析するのに有用な基質は結晶セルロース、ろ紙、リン酸膨張(swollen)セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セロオリゴ糖、メチルウンベリフェリル・ラクトシド、メチルウンベリフェリル・セロビオシド、オルトニトロフェニル・ラクトシド、パラニトロフェニル・ラクトシド、オルトニトロフェニル・セロビオシド、パラニトロフェニル・セロビオシド、オルトニトロフェニル・グルコシド、パラニトロフェニル・グルコシド、メチルウンベリフェリル・グルコシドなどである。最後の3の基質は、β-グルコシダーゼアッセイに有用である。β-グルコシダーゼアッセイは、当業者によく知られている。Cummings 及びFowler(1996)を参照のこと。
【0152】
さらに、タンパク質発現は細胞の免疫組織化学的着色、組織分泌または組織培養基のイムノアッセイ(免疫学的分析)、例えばウエスタンブロット法またはELISAなどの免疫学的方法により評価できる。かかるイムノアッセイはBGL7の定性的及び定量的評価に用いることができる。そのような方法の詳細は当業者に公知であり、該方法を実施するための多くの試薬が市販されている。
【0153】
BGL7の精製体は種々のイムノアッセイに使用する発現タンパク質に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体を生成するために使用できる。(例えば、Hu et al.,1991を参照されたい。)典型的な分析法はELISA、競合イムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロット法、間接免疫蛍光分析などである。一般に、市販の抗体及び/またはキットはグルコシダーゼタンパク質の発現レベルの定量イムノアッセイに用いることができる。
【0154】
VIII.組換えBGL7タンパク質の単離及び精製
一般に、細胞培養で生成したBGL7タンパク質は培地内に分泌され、例えば、不要成分を培養培地から除去することにより精製または単離する。しかし、場合によってはBGL7タンパク質は細胞溶解物から必然的に再生した細胞の形で生成する。その場合、BGL7タンパク質を細胞から精製し、当業者が通常用いる技術を用いて生成する。例として、アフィニティ・クロマトグラフィ(Tilbeurgh et al.,1984)、イオン交換クロマトグラフィ法(Goyal et al.,1991;Fliess et al.,1983;Bhikhabhai et al.,1984;Ellouz et al.,1987)、高分解能を有する物質を用いるイオン交換(Medve et al.,1988)、疎水性相互作用クロマトグラフィ(Tomaz and Queiroz,1999)及び2相分割(two-phase partitioning)(Brumbauer,et al.,1999)を含むがこれらに限定されない。
【0155】
一般的に、BGL7タンパク質は、例えば特定の結合剤(例えば抗体または受容体)への結合親和力、分子量範囲または等電点範囲等の特定の性質を有する単離タンパク質へと分画される。
【0156】
所定のBGL7タンパク質発現を達成すると、生成されたBGL7タンパク質は細胞または細胞培地から精製される。そのような精製に適した典型的な手順は、抗体アフィニティー・カラムクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ系クロマトグラフィまたはDEAEなどカチオン交換樹脂系クロマトグラフィ、等電点クロマトグラフィ、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、例えばSephadex G-75を用いるゲルろ過法を含む。タンパク質精製の種々の方法を用いることができ、該方法は当業界に公知であり、例えばDeutscher,1990;Scopes,1982に記載されている。選択する精製工程は例えば使用する生成プロセス及び生成する特定のタンパク質の性質により決まる。
【0157】
IX.bgl7及びBGL7の有用性
bgl7ヌクレオチド、BGL7タンパク質及びBGL7タンパク質活性を含む組成物は多種多様の用途において有用であることがわかる。そのいくつかを以下に説明する。
【0158】
種々の量のCBH型、EG型及びBG型セルロースを含む新規で改善されたセルラーゼ組成物は洗剤組成物に有用であり、柔軟剤として機能し、洗剤能力の向上を示し、及び/または綿繊維の手触りを改善する(例えば、「ストーンウォッシング」または「バイオポリッシング」)。また、木材パルプを糖に分解するための組成物(例えば、バイオ−エタノール生成)及び/または飼料組成物において有用である。各々の型のセルラーゼの単離及び同定により該組成物の特徴を制御することができる。
【0159】
好ましい方法において、本発明のセルラーゼは洗剤組成物または手触り及び外観を向上するための繊維処理において有用である。
【0160】
本発明のβ-グルコシダーゼは、各種の組成物に有用である。例えば、該β-グルコシダーゼは、最終製品のワインの芳香性を高めるために、ワインの製造工程に用いることができる。他の適用においては、該β-グルコシダーゼは果物の芳香性を高めるために用いることができる。もしくは、β-グルコシダーゼを多く含む単離発酵生成物は、香り又は風味を高めるために、食品添加物又はワイン製造工程に直接用いることができる。
【0161】
セルロース素材の加水分解速度はゲノムに挿入されたbgl7遺伝子の少なくとも1の付加的コピーを有する形質転換体を用いることにより増加するので、セルロースまたはヘテログリカンを含む生成物はより速い速度、より広い範囲で分解され得る。紙、綿、セルロース素材のおむつ等のセルロースから作られる製品はごみ廃棄場でより効率的に分解され得る。従って、該形質転換体からまたは形質転換体のみから得られる発酵生成物は、ごみ廃棄場に満杯になった様々なセルロース製品の液化による分解を助けるために組成物に使用できる。
【0162】
分離した糖化及び発酵はそれによってバイオマス中にセルロースが存在するプロセスである。例えばコーンストーバー(corn stover)はグルコースに変換され、続いて酵母菌はグルコースをエタノールに変換する。糖化及び発酵の同時発生はセルロースがバイオマスに存在することによって起こるプロセスである。例えばコーンストーバー(corn stover)はグルコースに変換され、同時に同じ反応器内で酵母菌がグルコースをエタノールに変換する。従って、他の好ましい方法において、本発明のグルコシダーゼ型セルラーゼはバイオマスをエタノールに分解するのに有用である。容易に利用できるセルロース源由来のエタノール生成物は安定で再生可能な燃料源を提供する。
【0163】
セルロースベースの供給原料は農業廃棄物、草及び木材及び都市ごみ(例えば、再生紙、伐採庭木(yard clipping)等)などその他の安価バイオマスを含む。エタノールはこれらセルロース誘導体供給原料のいずれかから発酵により生成できる。しかし、セルロースはエタノールへの変換の前にまず糖に変換されなければならない。
【0164】
本発明のβ-グルコシダーゼと一緒に様々な供給原料が使用でき、使用する原料の選択は変換が行われる地域によって変わる。例えば、アメリカ中西部においては麦わら、コーンストーバー(corn stover)及びバガスなどの農業廃棄物が主流であるのに対し、カリフォルニアでは稲わらが主流である。しかし、いかなる地域においても任意の入手可能なセルロース誘導体バイオマスが使用できることは当然のことである。
【0165】
増加した量のエンドグルカナーゼを含むセルラーゼ組成物はエタノール生成に有用である。この方法から得たエタノールはさらにオクタンエンハンサー(octane enhancer)としてまたはガソリンの代わりに直接燃料として使用でき、燃料源としてのエタノールは石油由来生成物よりも環境に優しいので都合がよい。エタノールの使用が大気環境を改善し、局所オゾンレベル及びスモッグを減少させる可能性があることは公知である。さらに、ガソリンの代替物としてエタノール用いることは非再生可能エネルギー及び石油供給が突然に変更された際の影響を和らげる戦略に重要である。
【0166】
エタノールは例えば木、葉状植物、都市ごみ及び農業及び林業残留物などのセルロース素材のバイオマスから糖化及び発酵により生成できる。しかしながら、このプロセスについての主要な問題の一つは、セロビオースをグルコースに添加する過程におけるβ-グルコシダーゼの欠如である。セロビオースはセロビオハイドラーゼ及びエンドグルカナーゼの抑制因子として作用し、完全セルラーゼ系において加水分解の速度を遅くすることが知られている。従って、増加したβ-グルコシダーゼ活性を用いるとセロビオースを素早くグルコースに変換し、エタノール生成を大きく増進させると考えられる。
【0167】
従って、本発明のβ-グルコシダーゼはセルロースから糖成分への加水分解においても使用できる。1の実施態様において、β-グルコシダーゼは発酵生物を加える前にバイオマスに加える。第2の実施態様において、β-グルコシダーゼは発酵生物と同時にバイオマスに加える。いずれの実施態様においてもその他のセルラーゼ成分を、任意で含んでもよい。
【0168】
他の実施態様において、セルロース素材の供給原料は前処理される。前処理は加熱及び希酸、濃酸または希アルカリ溶液のいずれかを加える。前処理溶液はヘミセルロース成分を少なくとも部分的に加水分解し、それから中和するのに十分な時間で加える。
【0169】
別の方法において、β-グルコシダーゼが不足または欠如しているセルラーゼ組成物は好ましい。本発明のβ-グルコシダーゼ遺伝子の欠失は洗剤に使用するためのセルラーゼ組成物を調製する際に特に有用である。従って、かかる組成物は、セロビオース又は他のセロオリゴ糖生成に有用である。トリコデルマレーシ菌株由来bgl7遺伝子の欠失は洗剤に用いるセルラーゼ組成物の調製及びセロビオースの単離に特に有用である。セルラーゼ酵素は酵素的に衣服を洗濯するために種々の洗剤組成物に使用されている。しかしながら、セルラーゼ酵素の使用は衣服のセルロース繊維の分解に影響することが知られている。分解効果を減少させる1つの可能性としてはβ-グルコシダーゼを含まない洗剤を製造することである。従って、このタンパク質の欠失はセルラーゼ系に効果的であり、その他の成分をセロビオースの蓄積により阻害する。本発明の修飾微生物は、CBH及びEG成分を残しbgl7遺伝子を欠失させることができるので該組成物を調製するために特に適しており、衣類繊維に対して分解効果のない組成物において洗浄及び柔軟効果が改善される。
【0170】
本発明の洗剤組成物はセルラーゼ組成物に加えて(β-グルコシダーゼ含量に関係なく、すなわちβ-グルコシダーゼを含まない、実質的にβ-グルコシダーゼを含まない、またはβ-グルコシダーゼを多く含むなど)、陰イオン性、非イオン性及び両性界面活性剤を含む界面活性剤、ヒドロラーゼ、構築剤、漂白剤、青味剤及び蛍光染料、固化阻害剤、溶解剤、陽イオン性界面活性剤等を用いてもよい。これら成分の全ては洗剤業界において公知である。上述のセルラーゼ組成物は希釈液、顆粒、乳液、ゲル、ペースト等の形態で洗剤組成物に加えることができる。かかる形態は当業者に公知である。固形洗剤組成物を用いる場合、セルラーゼ組成物は顆粒として処方するのが好ましい。好ましくは、顆粒はセルラーゼ保護剤を含むように処方する。より詳細な議論は、ここに引用するU.S. Patent. No.6,162,782、タイトル「CBH I型成分が欠如したセルラーゼ組成物を含有する洗剤組成物」を参照されたい。
【0171】
他の実施態様において、洗剤組成物は高レベルのベータ-グルコシダーゼまたは変異ベータ-グルコシダーゼも含む。この点は、洗剤組成物に使用して適切な効果を得たいその製品タイプに実際に依存する。
【0172】
好ましくは、セルラーゼ組成物は全洗剤組成物に対して約0.00005重量%〜約5重量%用いる。より好ましくは、セルラーゼ組成物は全洗剤組成物に対して約0.0002重量%〜約2重量%用いる。
【0173】
bgl7遺伝子の欠失は、セルラーゼシステムにおいて、そこから、精製することができる、セロビオースの蓄積を提供する。この点で、本発明は容易で、効果的な方法で微生物からセロビオースを単離する可能性を示す。
【0174】
Lehtio et al.,2001に記載されているように、セルロースに結合可能なbgl7核酸配列の一部は、セルロースフィルターまたはその他の繊維性担体上に細胞全体を固定化できる細菌性キメラ表面タンパクを生成するために使用できる。
【0175】
さらに、bgl7核酸配列は関連する核酸配列の同定及びキャラクタリゼーションに有用であることがわかった。関連遺伝子または遺伝子産物の機能を測定(予測または確認)するために有用な多数の技術としては、(A)DNA/RNA分析、例えば(1)過剰発現、異所発現及びその他の種での発現;(2)遺伝子ノックアウト(逆遺伝学、標的ノックアウト、ウイルス誘発性遺伝子サイレンシング(VIGS,Baulcombe,1999参照);(3)遺伝子、特にフランキング調節領域のメチル化状態の分析;及び(4)in situハイブリダイゼーション;(B)遺伝子産物分析、例えば(1)組換えタンパク質発現;(2)抗血清生成、(3)免疫学的局在決定;(4)触媒的またはその他の活性の生化学分析;(5)リン酸化反応状態;及び(6)酵母2ハイブリッド分析によるその他のタンパク質との相互作用;(C)経路分析法、例えば遺伝子または遺伝子産物をその過剰発現表現型に基づきまたは関連遺伝子に相同な配列により特定の生化学的またはシグナル経路内へプレーシング(placing)する;及び(D)特定の代謝またはシグナル経路における単離遺伝子及びその生産物の関与を測定または確認するために実施できる及び遺伝子機能測定を助けるその他の分析法などがあるが、これらに限定されない。
【0176】
エンドグルカナーゼ及びベータ−グルコシダーゼはセロオリゴ糖及びグルコースからトランスグリコシル化反応によりソホロースなどの二糖類生成をもたらす。ソホロースはセルラーゼ遺伝子発現の非常に強力な誘発剤として知られる(Ilmen,M.et al.,1997,Appl.Environ.Microbiol.63:1298-1306及びその中に記載の文献)。このように、EG及びBGLはセルラーゼ遺伝子発現を誘発するプロセスにおいて重要な役割を果たす。真菌株内の特定EGまたはBGLの過剰発現はその菌株により高い全体的なセルラーゼ生産力をもたらす。
【0177】
A.公知配列との同一性
関連BGL7エンコード核酸配列の機能は特定機能を有する公知の遺伝子との相同性により決定できる。例えば、同定した核酸分子のコード配列と公開されている核酸配列データベースとの比較は公知遺伝子との相同性によりまたは同定核酸配列の伸長(extension)により機能を確認するために用いる。
【0178】
ここで「相同性%」の語は「同一性%」の語と交換可能に用いられ、配列アラインメントプログラムを用いて配置した際の、BGL7をエンコードする核酸配列またはBGL7アミノ酸配列間の核酸またはアミノ酸配列の同一性レベルをいう。
【0179】
例えば、ここで用いる、相同性80%とは定義したアルゴリズムにより決定される配列同一性が80%であることと同じ意味であり、従って所定の配列の相同体は所定の配列長さと80%以上の配列同一性を有する。配列同一性の典型的なレベルは、限定されないが、所定の配列に対して80、85、90、95、98%またはそれ以上の配列同一性を含み、例えばここに記載するbgl7のコード配列である。
【0180】
2つの配列間の同一性を決定するために使用できる典型的なコンピュータープログラムは、限定されないが、一連のBLASTプログラム、例えばBLASTN、BLASTX、及びTBLASTX、BLASTP及びTBLASTNなどであり、インターネット上(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)で公に公開されている。また、Altschul et al.,1990及びAltschul et al.,1997を参照されたい。
【0181】
配列サーチは所定の核酸配列をGenBank DNA配列及びその他の公共データベースにおける核酸配列と比較して評価する場合、一般的にBLASTNプログラムを用いて行う。BLASTXプログラムはGenBankタンパク質配列及びその他の公共データベース中のアミノ酸配列に対して全リーディングフレーム内で翻訳されている核酸配列をサーチするのに好ましい。BLASTN及びBLASTXの両方は11.0のオープンギャップ・ペナルティの初期値パラメーターを及び1.0の延長ギャップペナルティ用いて操作し、BLOSUM-62マトリックスを利用する。(Altschul et al.,1997を参照。)
2つ以上の配列間の「%同一性」を決定するために選択された配列の好ましいアラインメントは例えば、MacVectorバージョン6.5のCLUSTAL-Wプログラムを用いて実行し、10.0のオープンギャップペナルティ、0.1の延長ギャップペナルティ及びBLOSUM30類似マトリックス等の初期値パラメーターを用いて操作する。
【0182】
典型的な方法として、bgl7をエンコードする核酸の配列伸長は上述のSambrook et al.に記載するような従来のプライマー伸長手順を用いて行い、bgl7前駆体を検出してcDNAに逆転写されてないmRNAの中間体を処理し、及び/または完全長タンパク質をエンコードするORFを同定する。
【0183】
他の側面において、本発明はプローブとして用いるbgl7核酸配列のヌクレオチド配列の全体または一部を含む。このようなプローブは関連有機体から相同性核酸配列を同定及びクローンするために使用できる。
【0184】
選択プローブのcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングはSambrook et al.,(1989)に記載されているような標準的な手段を用いて行うことができる。中ストリンジェンシー及び高ストリンジェンシーなどのハイブリダイゼーション条件は上述のSambrook et al.に記載されている。
【0185】
またプローブまたはその一部は、密接に関連するbgl7配列の同定用の配列プールを作るためのPCR技術に用いることができる。Bgl7配列をプローブとして用いる場合、BGL7エンコード配列の特定部分、例えば高度に保存されたコード配列部分を使用するのがよい。
【0186】
例えば、bgl7ヌクレオチド配列は遺伝子を単離するためcDNAライブラリー用ハイブリダイゼーション・プローブとして用いることができ、例えば他の菌類、細菌または植物種由来のBGL7の天然型変異体をエンコードする遺伝子、図1(配列番号1)に開示するbgl7ヌクレオチド配列と望ましいレベルの配列同一性を有する遺伝子である。典型的なプローブは約20〜約50塩基長である。
【0187】
B.2ハイブリッド分析
本発明により同定されるタンパク質は酵母2ハイブリッドシステムにおいて使用でき、推測シグナル経路タンパク質であるタンパク質と結合するタンパク質を「捕捉」する。酵母2ハイブリッドシステムはFields and Song,Nature 340:245-246(1989)に記載されている。つまり、2ハイブリッドシステムでは、DNA結合ドメイン-bgl7の融合体(例えば、GAL4-bgl7融合体)が構築され、酵母細菌内にトランスフェクトされる。全bgl7遺伝子またはbgl7遺伝子のサブ領域が使用できる。DNA活性ドメインに融合される潜在的な結合パートナーのライブラリーを含む第2の構築体はコトランスフェクトされる。BGL7タンパク質に結合する酵母共形質転換体含有(harboring)タンパク質は例えば使用するベクターに応じて、β-ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ生成(スクリーン)または必須栄養素が欠如したプレート上での残存(選別)により同定する。
【0188】
C.マイクロアレイ分析
さらに、発現プロファイリングまたは転写プロファイリングとしても知られるマイクロアレイ分析は所定のDNA配列の存在または発現、または様々な遺伝子の発現変化を同時に評価するために用いる。1の方法において、DNA配列の大きなセット(プローブ)、通常は発現した配列タグの大きなセット、cDNA、cDNA断片または配列特異オリゴヌクレオチドをスライド・ガラスまたはナイロン膜などの固形担体上に配置する。プローブへのハイブリダイゼーションのために標識した標的は制御及び導入組織からmRNAを単離することにより生成し、それから各mRNAプールを通常は蛍光染料などの明確なマーカーを用いて、直接またはcDNAやcRNA中間体を用いて標識する。マイクロアレイは複合プローブを用いてハイブリダイズし、アレイ上の各配置に関する関連ハイブリダイゼーション・シグナル強度は各マーカー染料について量ることができる。制御及び導入状態間の発現の違いは2つのマーカー染料からのシグナル比として測定できる(Baldwin,D et al.,1999を参照。)
bgl7を生じる供給有機体のマイクロアレイ分析が実施でき、bgl7過剰発現の結果として協調して調節されるその他の遺伝子を同定することにより遺伝子機能の理解を助ける。協調して調節される遺伝子の同定はbgl7遺伝子を特定経路に位置付けするのに役立つ。もしくは、そのような分析はマイクロアレイ分析を用いる同じ経路に関係するその他の遺伝子を同定するのに役立つ。
【0189】
ここに記載する全ての文献、特許及び特許出願はその全体をここに明示的に引用するものとする。
【0190】
本発明は特定の方法及び実施態様を参照することにより説明されているが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の修正及び変更が可能であることは当然理解されることである。
【実施例】
【0191】
実施例1
1の典型的な方法において、プローブとして用いるcDNA断片は、セルラーゼ生産を誘発することが明らかである条件下で成長させたトリコデルマレーシの菌糸体から全RNAを抽出し、そこからポリアデニル酸(polyA)断片を得ることにより単離する。PolyA RNAはcDNAプールを生成するために用い、該cDNAプールはそれからここで提供するbgl7核酸配列に基づく特異的プライマーを用いて増幅する。
【0192】
全RNAは、例えばここに明示的に引用するものとするTimberlake et al.,1981;Maniatis,et al.,1989;Ausubel,et al.,1993及びSambrook,et al.,1989に記載されている当業者に公知の方法を用いて菌糸体から単離する。単離された全RNA、ノーザンブロット法を行いセルラーゼ発現を確認し、セルラーゼ発現及び対応RNA単離のための最適誘発時間を選択する。
【0193】
3’末端にポリ(A)テイルを有する、メッセンジャーRNA(mRNA)は当業者に公知の方法を用いて全RNAから精製できる。
【0194】
トリコデルマーレーシ RNAは当業者に公知の方法を用いてRT-PCR用のテンプレートとして使用する(Loftus,J.et al.,Science,249:915-918,1990)。この手順の間、mRNAは第1のストランドcDNAを生成するために逆転写される。cDNAは続いて配列番号1または配列番号4に従って設計した特異的オリゴヌクレオチド・プライマーを用いるBGL7 cDNA配列のPCR増幅に関して、テンプレートとして働く。
【表1】



【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】図1は、トリコデルマレーシbgl7 cDNAの1本鎖構造の核酸配列(配列番号1)である。非コード配列は、太字及び下線で示す。
【図2】図2は、図1で提供される核酸配列に基づく、予測されるアミノ酸配列(配列番号2)及び1本鎖配列(配列番号3)を示す。1本鎖配列は、太字及び下線で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β-グルコシダーゼ活性を有する酵素をエンコードするヌクレオチド配列を含む、糸状菌源由来の単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
単離ポリヌクレオチドであって、
(a)図2(配列番号2)で表すアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(b)図2(配列番号2)で表すアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(c)図2で表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(d)図2で表すアミノ酸配列を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(e)配列番号2として表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(f)配列番号2として表すアミノ酸配列を有するBGL7ポリペプチドをエンコードする核酸配列または相補的な核酸配列;
(g)配列番号4として表す核酸配列またはその相補的配列;及び
(h)高ストリンジェンシーな条件下で配列番号4として表す配列にハイブリダイズする核酸配列またはその相補的または断片配列であり、前記単離ポリヌクレオチドがβ-グルコシダーゼの生物学的活性を有するポリペプチドをエンコードするもの;
から成る群より選択される、単離ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2の単離ポリヌクレオチドであって、10.0のオープンギャップペナルティ、0.1の延長ギャップペナルティ及びBLOSUM30類似マトリックスの初期値パラメーターを用いて操作するMacVectorバージョン6.5のCLUSTAL-Wプログラムを使用して同一性%を計算することを特徴とする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項2の単離ポリヌクレオチドであって、50%ホルムアミド、6X SSC、5X Denhardt’s溶液、0.5% SDS及び100μg/ml変性キャリアDNA中、約42℃でハイブリダイゼーションを行い、続いて室温で2X SSPE及び0.5% SDS中で2回洗浄し及び42℃で0.1X SSPE及び0.5%SDS中でさらに2回洗浄することを特徴とする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項2の単離ポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドがRNA分子であることを特徴とする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項6】
β-グルコシダーゼ活性を有する酵素をエンコードしている単離ポリヌクレオチドであって、該酵素がトリコデルマ源由来であることを特徴とする単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
請求項6の単離ポリヌクレオチドであって、該酵素がトリコデルマレーシ由来であることを特徴とする単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
発現構築体であって、
(i)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有する配列、または
(ii)図2に記載のヌクレオチド配列由来のプローブに中から高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズできる配列、または
(iii)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列に相補的な配列、のいずれかのポリヌクレオチド配列を含む、発現構築体。
【請求項9】
請求項8の発現構築体を含むベクター。
【請求項10】
請求項2の単離ポリヌクレオチドを含むベクターであって、該ベクターで形質転換した宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に結合するベクター。
【請求項11】
請求項9のベクターにより形質転換された宿主細胞。
【請求項12】
請求項10のベクターにより形質転換された宿主細胞。
【請求項13】
宿主細胞が原核細胞である、請求項12の宿主細胞。
【請求項14】
宿主細胞が真核細胞である、請求項12の宿主細胞。
【請求項15】
請求項2のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞。
【請求項16】
組換え宿主細胞が原核細胞である、請求項15の組換え宿主細胞。
【請求項17】
組換え宿主細胞が真核細胞である、請求項15の組換え宿主細胞。
【請求項18】
β-グルコシダーゼの生物学的活性を有する精製BGL7ポリペプチドであって、
(a)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(b)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(c)図2に表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(d)図2に表すアミノ酸配列;
(e)配列番号2として表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(f)配列番号2として表すアミノ酸配列;
(g)配列番号2として表すアミノ酸配列の精製された生物学的活性断片、からなる群より選択される配列を含む、精製BGL7ポリペプチド。
【請求項19】
β-グルコシダーゼ活性を有する酵素を生成する方法であって、(a)請求項2で定義するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いて宿主細胞を安定に形質転換する工程と、
(b)前記形質転換宿主細胞を該宿主細胞に適切な条件下で培養し、前記β-グルコシダーゼを生成する工程と、
(c)前記β-グルコシダーゼを回収する工程、から成る方法。
【請求項20】
宿主細胞が糸状菌または酵母菌細胞であることを特徴とする、請求項19の方法。
【請求項21】
請求項19の方法により調製されるβ-グルコシダーゼ活性を有する精製酵素。
【請求項22】
bgl7遺伝子を不活化させ、BGL7ポリペプチド生成を抑制する欠失または挿入またはその他の変異をbgl7遺伝子内に含む組換え宿主細胞。
【請求項23】
配列番号2として表す配列を有するBGL7ポリペプチドをエンコードするメッセンジャーRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、β-グルコシダーゼ生成宿主細胞にさらすと、前記宿主細胞によるβ-グルコシダーゼ生成を減少または抑制することを特徴とする、前記アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
宿主細胞が糸状菌である、請求項23のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
ポリペプチドを含む洗剤組成物であって、
(a)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(b)図2(配列番号2及び配列番号3)に表すアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(c)図2に表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(d)図2に表すアミノ酸配列;
(e)配列番号2として表すアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(f)配列番号2として表すアミノ酸配列;
(g)配列番号2として表すアミノ酸配列の精製された生物学的活性断片、からなる群より選択されるポリペプチドを含む、洗剤組成物。
【請求項26】
酵母生地の性質または焼成食品の性質を改善する方法であって、
(a)生地成分と10 ppmの請求項18のBGL7を混合する工程と、
(b)焼成食品を作るために前記生地混合物を焼く工程、を必ず含む方法。
【請求項27】
酵母生地又は酵母ロール生地又は酵母パン又は酵母ロール(パン)の性質を改善する方法であって、
(a)生地混合物を作るために、少なくとも10 ppmの請求項18のBGL7をパン生地又はロール(パン)生地と混合する工程と、
(b)生地混合物を成形又は平たく伸ばす工程と、
(c)生地混合物を補強加工する工程と、
(d)パン又はロール(パン)を作るために生地混合物を焼く工程、を必ず含む方法。
【請求項28】
アルペルギルス族の糸状菌内でβ-グルコシダーゼ活性を有する異種ポリペプチドを発現する方法であって、
(a)異種β-グルコシダーゼをエンコードするポリヌクレオチドに結合し、それによりキメラポリペプチドをエンコードする、シグナル配列をエンコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを有する宿主アスペルギルスを提供する工程と、
(b)前記キメラポリペプチドを生成する前記アスペルギルスに適切な条件下において、宿主アスペルギルスを培養し、前記キメラポリペプチドを生成する工程から成る方法。
【請求項29】
エタノールを生成する方法であって、
(a)バイオマス組成物をβ-グルコシダーゼを含む酵素組成物と接触させ、糖溶液を得る工程と、
(b)糖溶液に発酵微生物を加える工程と、
(c)エタノールを生成するのに十分な条件下で発酵生物を培養する工程とからなり、バイオマス組成物を任意で前処理することを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、工程(a)がさらに、少なくとも1のエンドグルカナーゼを添加する工程を含む方法。
【請求項31】
請求項29に記載の添加であって、工程(a)がさらに少なくとも1のセロビオハイドラーゼを追加する工程を含む方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、工程(a)がさらに、少なくとも1のセロビオヒドロラーゼを添加する工程を含む方法。
【請求項33】
前処理に希酸を用いる、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
エタノールを生成する方法であって、
(a)バイオマス組成物をβ-グルコシダーゼを含む酵素組成物及び発酵生物と接触させる工程と、
(b)エタノールを生成するのに十分な条件下で発酵生物を培養する工程、から成り、バイオマス組成物を任意で前処理することを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、工程(a)がさらに、少なくとも1のエンドグルカナーゼを添加する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、工程(a)がさらに、少なくとも1のセロビオヒドロラーゼを添加する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項35に記載の方法であって、工程(a)がさらに、少なくとも1のセロビオヒドロラーゼを添加する工程を含む方法。
【請求項38】
前処理に希酸を用いる、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−507000(P2006−507000A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555452(P2004−555452)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/036408
【国際公開番号】WO2004/048592
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505088721)ジェネンコー・インターナショナル・インク (7)
【Fターム(参考)】