説明

BSAS粉末

本発明は、合計100%の質量パーセントで、酸化物ベースで、次の組成、0≦BaO≦40.8%、0≦SrO≦31.8%、27.2%≦Al≦31.3%、32%≦SiO≦36.9%、他の化学種≦1%、を有する溶融グレインを、個数で少なくとも95%含み、BaOおよびSrO酸化物の少なくとも一方の含量が0.3%より大きく、前記グレインの大きさが5から150ミクロンの範囲にある粉末に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
炭化ケイ素(SiC)系のコンポジット材料、特に、SiC−SiCコンポジットは、ガスタービン、熱交換器、内燃機関などのような用途に特に有用である、高温での機械的性質を有する。
【背景技術】
【0002】
しかし、特に特許文献1に記載のように、炭化ケイ素系コンポジットは、水性環境において、すなわち、水および/または水蒸気の存在下で劣化する傾向を有する。これらのコンポジットを保護するために、通常、環境バリアコーティング(environmental barrier coating)が、特にアルミノケイ酸バリウム−ストロンチウム(barium−strontium aluminosilicate、BSAS)の一連の層の形で付けられる。有利にも、BSAS環境バリアコーティングは、コンポジットが酸化性水性環境において、特に水蒸気の存在下で、高温で、あまりに速く劣化することを防ぐ。
【0003】
環境バリアコーティング要素としてBSASを用いることは、例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、または非特許文献1もしくは非特許文献2に記載されている。
【0004】
環境バリアコーティングは、様々な技術を用いて、特に、プラズマ溶射(plasma spraying)、またはゾル−ゲル溶液もしくは泥漿(slip)から出発する含侵、次の熱処理によって、作製され得る。用いられる粉末は、BSASのベースとなる様々な酸化物またはこれらの酸化物の前駆体の混合物、あるいは、例えばこのような粉末混合物を焼結することによって生成する、粉末BSAS粒子であり得る。プラズマ溶射の間、出発材料は、細かい液滴の状態で基材上に溶射され、そこで、それらは非常に迅速に冷却されてラメラ組織(lamellar structure)を有する環境バリアコーティングを生成し、このコーティングは特許文献1に記載されているように、90体積%を超える部分がアモルファスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許6254935号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/238888号明細書
【特許文献3】米国特許6787195号明細書
【特許文献4】米国特許7226668号明細書
【特許文献5】仏国特許発明第1208577号明細書
【特許文献6】仏国特許発明第1208577号明細書の追加特許、仏国追加特許発明第75893号明細書
【特許文献7】仏国特許発明第1208577号明細書の追加特許、仏国追加特許発明第82310号明細書
【特許文献8】米国特許第6387456号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Residual stresses and their effects on the durability of environmental barrier coating for SiC ceramics」、Kang N. Lee等、J. Am. Ceram. Soc、88[12]3483〜3488頁(2005年)
【非特許文献2】「Upper temperature limit of environmental barrier coating based on Mullite and BSAS」、Kang N. Lee等、J. Am. Ceram. Soc、86[8]1299〜1306頁(2003年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
BSASに基づく一層効果的な環境バリアコーティング、およびこのような環境バリアコーティングの製造方法が依然として求められている。
【0008】
本発明の1つの目的はこの要求に応えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、個数で、少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%、より好ましくは少なくとも100%の溶融グレイン(fused grain)、好ましくはキャストグレイン(cast grain)を含む粉末によって達成され、前記グレインは、合計100%の重量パーセントで、酸化物ベースで、「本発明による組成」と称される次の化学組成:
・ 0≦BaO≦40.8%、好ましくは、4.6%≦BaO≦37.2%、好ましくは、25.9%≦BaO≦35.4%、好ましくは、29.8%≦BaO≦33.6%、より好ましくは、BaO:31.7%に実質的に等しい;
・ 0≦SrO≦31.8%、好ましくは、2.8%≦SrO≦28.2%、好ましくは、4.2%≦SrO≦11.7%、好ましくは、5.7%≦SrO≦8.6%、より好ましくは、実質的に7.1%に等しい;
・ 27.2%≦A1≦31.3%、好ましくは、27.5%≦A1≦30.8%、好ましくは、27.7%≦A1≦28.7%、好ましくは、27.9%≦A1≦28.3%、より好ましくは、A1:実質的28.1%に等しい;
・ 32%≦SiO≦36.9%、好ましくは、32.4%≦SiO≦36.3%、好ましくは、32.7%≦SiO≦33.8%、好ましくは、32.9%≦Si0≦33.3%、より好ましくは、SiO:実質的に33.1%に等しい;
・ 他の化学種:≦1%、好ましくは、≦0.7%、より好ましくは、≦0.5%;
を有し、
酸化物BaOおよびSrOの少なくとも一方の量、あるいはさらに、これらの酸化物のそれぞれの量は0.3%を超え、(本発明による組成を有する)前記グレインの大きさは5μmと150μmの間に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
出発材料を溶融させること(これは、この粉末の製造に必須である)により、従来技術で用いられる焼結粒子における酸化物の分布より均一である、グレインにおける様々な前記酸化物の分布に導かれる。それは、また、粉末のグレイン同士の間で様々な酸化物の分布がより均一であることも意味する。
【0011】
溶融によるこれらの効果は、溶融液体がその状態に何秒間か、好ましくは少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも1分間、保たれる時に、さらに向上する。
【0012】
この理論に拘束されようとは思わないが、本発明者等は、粉末および粉末グレインの高い均一性は、環境バリアコーティングの耐用年数を、特に水性環境において、増すと考える。
【0013】
前記均一性は、付着物の化学的一様性を向上させることができる。このため、それは、従来技術の粉末により得られるバリアを超える、熱膨張の均一性を生じる。これは、形成されるBSAS層におけるミクロクラックの数を減らし、このことが、攻撃的要素、特に水蒸気からの、基材に対するより良好な防護をもたらす。本発明の粉末から得られるバリアでの、この良好な化学的均一性は、また、有利にも、より信頼できる耐用年数モデルの構築を可能にし得る。
【0014】
好ましくは、本発明による組成を有するグレインは、本発明の粉末粒子の97重量%を超え、好ましくは99重量%を超え、より好ましくは99.9重量%を超える部分を占め、好ましくは100%を占める。
【0015】
本発明の粉末は、また、次の任意選択の特性の1つまたは複数を含み得る:
・ 粉末の中央値の大きさD50は、20μmを超え、また/または40μm未満である、約30μmの中央値の大きさが非常に適切である、
・ グレインの大きさは、5μmを超え、もしくはさらに10μmを超え、もしくはさらに45μmを超え、また/または、140μm未満、もしくは125μm未満、もしくは75μm未満であり得る、
・ 変形形態において、グレインの大きさは、10μmを超え、また/または、45μm未満であってよく、この場合、その中央値の大きさD50は、10μmから15μmの範囲にある、
・ グレインは、特にセルシアンおよびヘキサセルシアン相として、少なくとも部分的に結晶化している。特に、本発明の粉末は、セルシアンおよびヘキサセルシアン相が、合計で、グレインの10体積%を超え、もしくはさらに15体積%を超え、もしくはさらに20体積%を超える前記グレインを、個数で、90%を超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは99%を超えて含む、あるいは、前記グレインによって構成され得る、
・ グレインのモル組成は次の通りであり:
(BaO)1−x・(SrO)・Al・SiO (1)
式中、0≦x≦1、好ましくは、0.1≦x≦0.9、好ましくは、0.15≦x≦0.4、より好ましくは、0.2≦x≦0.3である、
・ 一実施形態において、粉末は、1重量%未満のムライト、好ましくは0.1重量%未満のムライトを含む、あるいはさらにムライトを全く含まない。
【0016】
本発明はまた、本発明の粉末の製造方法も提供し、この方法は次のステップ:
a)好ましくは少なくとも部分的に固体状で、好ましくは全てが固体状のBSAS前駆体を含む出発投入物を準備するステップ;
b)溶融液体浴(molten liquid bath)を生成するために、出発投入物を溶融させるステップ;
c)任意選択で溶融液体浴をキャストした後で、溶融液体を固化させるステップ;
d)任意選択で、特に粉砕による、粒度分布低下、および/または、粒度による選別、および/または、脱鉄分(de−ironing)、および/または、微粒化(atomization)、および/または、塊状化、次いで、熱処理による強固化のステップ;
を含み、
この方法のパラメータ、特に出発投入物、殊に、出発投入物のための前駆体の特質および量は、ステップc)またはステップd)の終了時に、本発明による粉末が得られるように、決められる。
【0017】
有利にも、前記方法は、焼結法より生産力のあるやり方で、BSASのグレインを製造するために用いることができる。グレインはまた、有利にも、高い化学的均一性を有する、すなわち、粉末の実質的に全てのグレインが、実質的に同じ化学組成を有する。
【0018】
この方法によって得られる粉末は、非常に純粋であり、特に、それは、ムライトを全く含まない。有利にも、この純度は、水蒸気中での腐食の速度を低下させることができる。
【0019】
ステップb)において、溶融は、特に、プラズマトーチ、プラズマ炉、誘導炉、または、好ましくは、アーク炉を用いて実施され得る。好ましくは、溶融状態保持時間は、10秒を超え、好ましくは1分を超える(これは、プラズマトーチの使用を除外する)。
【0020】
本発明はまた、本発明による粉末を含む出発混合物から得られる材料を、火炎溶射またはプラズマ溶射することによる、特に、ガスタービン、熱交換器もしくは内燃機関の壁面を保護するための、環境バリアコーティングの製造方法も提供する。
【0021】
出発混合物は、本発明によるグレインだけを含み得るが、変形形態において、他のグレイン、特にムライトのグレインが添加されてもよい。前記他のグレインは、特に、基材と、BSASの環境バリアコーティングとの間の熱膨張の釣り合いを図ることができる。
【0022】
最後に、本発明は、本発明の粉末から得られる環境バリアコーティングを備えるガスタービン、熱交換器および内燃機関を提供する。
【0023】
説明の残りの部分において一層詳細に理解され得るように、前記環境バリアコーティングは、有利にも、非常に高い化学的均一性を示し、特に耐久性がある。
【0024】
他の特徴および利点が、以下の説明および添付図により一層明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】比較例(参照番号「2」)の粉末、および本発明による粉末(参照番号「1」)で得られたX線回折図を示し、横軸は、対象とする角度範囲2θを示し、「B」の印の付いた回折ピークは、BSASの回折ピークであり、「M」の印の付いた回折ピークは、ムライトの回折ピークである。
【図2】本発明の粉末のマップを示す。マップの4つの写真は、バリウム、ストロンチウム、ケイ素およびアルミニウムの元素分布を示す。
【図3】従来技術の粉末のマップを示す。マップの4つの写真は、バリウム、ストロンチウム、ケイ素およびアルミニウムの元素分布を示す。
【0026】
定義
・ 10(D10)、50(D50)、および90(D90)パーセンタイルまたは「センタイル」は、粉末グレインの大きさの累積粒度分布曲線(グレインの大きさは、増加する順に区分される)で、それぞれ、10%、50%、および90%の個数パーゼンテージに相当するグレインの大きさである。例として、粉末のグレインの10体積%は、D10未満の大きさを有し、グレインの90体積%は、D10を超える大きさを有する。パーセンタイルは、レーザー粒度分布計を用いて生成される粒度分布を用いて求めることができる。D50は、グレインの集まりの「中央値の大きさ」、すなわち、その集まりのグレインを、等しい体積の第1および第2集団に分割する大きさに相当し、前記第1および第2集団は、それぞれ、中央値の大きさより大きい、またはより小さい大きさを有する粒子だけを含む。
【0027】
・ 用語「グレインの大きさ」は、その粒子の画像で測定されるその最大寸法を意味する。粉末の粒子の大きさの測定は、粉末が接着性のフェルト上に撒き散らされた後、その粉末の画像により行われる。
【0028】
・ 用語BSAS「前駆体」は、少なくともその1つの元素が、本発明のグレインのBSASに、その製造の間に、組み入れられ得る成分を意味する。前駆体の例は、従来技術において用いられる焼結されたBSAS粒子粉末、ならびにアルミナ、シリカ、BaO、BaCO、SrO、およびSrCOの粉末である。
【0029】
・ 用語「不純物」は、出発材料と共に必然的に導入される不可避的成分、または前記成分との反応によって生じる不可避的成分を意味する。不純物は必要な成分ではないが、単に許容されるだけである。本発明による組成を有するグレインで、100%にするのに必要なものを構成する「他の化学種」は、不純物を含み、好ましくは、不純物によって構成される。
【0030】
・ 用語「溶融生成物」は、冷却により、溶融液体浴の固化によって得られる生成物を意味する。
【0031】
・ 用語「キャスト生成物」は、溶融液体浴が準備され、次いで、例えば鋳型にキャストされて冷却されるという方法によって得られる生成物を意味する。溶融液体浴は、また、液体中にもキャストされ得る、または、溶融液体の流れを生成させるために用いられ得る。次いで、例えばガスによる、吹き込み(blowing)が、この流れを横切って行われて、液滴を生成し得る。
【0032】
・ 「溶融液体浴」は、その状態を保つために容器に入れられなければならない物質塊である。溶融液体の物質塊は、いくらかの固体粒子を含んでいるかもしれないが、それは、量において、前記物質塊に構造を付与するのに不十分である。
【0033】
・ 本発明のグレインの好ましいモル組成を与える式(1)において、0≦x≦1である。xがゼロである場合、本発明のグレインは、アルミノケイ酸ストロンチウム(SAS)によって構成される。xが1である場合、本発明のグレインは、アルミノケイ酸バリウム(BAS)によって構成される。明確であるように、本明細書では、用語「BSAS」は、本発明による組成を有するBSAS、SASまたはBAS生成物、特に、たとえ、x=0もしくはx=1である場合でも、式(1)に従う組成を有する生成物の全てを意味する。
【0034】
本発明による粉末を製造するために、特に下で記載される、方法ステップa)からd)を含む手順が取られ得る。
【0035】
ステップa)において、前駆体粉末が、実質的に均一な混合物を成すように混合される。
【0036】
好ましくは、前駆体は、酸化物、特に、BaO、SrO、SiOおよびAl、ならびに/または、例えば炭酸塩もしくは硝酸塩の形の、これらの酸化物の前駆体、ならびに/または、従来技術によるBSAS粉末を含み、好ましくは、これらによって構成される。
【0037】
本発明において、当業者は、溶融ステップb)の終わりに、本発明のグレインのそれに合致する組成を有する溶融液体の物質塊を得るように、出発投入物の組成を調節する。
【0038】
通常、グレインの化学分析結果は、少なくとも、それが、元素Ba、Sr、AlおよびSiに関する限り、出発投入物のそれと実質的に同じである。さらに、適切であれば、例えば、揮発性酸化物の存在を考慮するために、または溶融が還元性条件下で実施される時のSiOの損失を考慮するために、当業者は、それに応じて、出発組成物の組成をどのように適応させるかを知っている。
【0039】
好ましくは、BaO、SrO、SiO、Al、これらの酸化物の前駆体、および、焼結されたか、もしくはスプレー熱分解によって得られた従来技術によるBSAS粒子の粉末以外の如何なる成分も、出発投入物へ意図的には導入されず、存在する他の酸化物は不純物である。
【0040】
ステップb)において、出発投入物は、好ましくは、電気アーク炉において溶融される。電気溶融により、良好な収率で、大量の生成物が製造される。しかし、知られているどのようなタイプの炉(例えば、誘導炉、太陽炉もしくはプラズマ炉)も、それらが出発投入物を、好ましくは完全に、溶融できるのであれば、想定され得る。条件は、酸化性もしくは還元性であり得るが、好ましくは酸化性である。しかし、溶融が還元性雰囲気において実施される場合、次に、得られるBSAS粉末を再酸化するために、酸素含有雰囲気における熱処理を実施することが必要である。
【0041】
適切に酸化された粉末を得るためには、溶融を酸化性条件下で実施することが好ましい。
【0042】
好ましくは、酸化性条件下の溶融は、ショートアーク(short arc)を用いて実施される。
【0043】
ステップb)において、好ましくは、溶融は、還元を全く生じない電気アーク(これは、ショートもしくはロングであり得る)と、生成物の再酸化を図るための撹拌とが一緒になった作用によって実施される。
【0044】
特許文献5ならびにその追加特許、特許文献6および特許文献7(全て、参照によって組み込まれる)に記載のアーク溶融法を用いることができる。
【0045】
その方法は、溶融液体浴の上での酸化性雰囲気を保ちながら、またアークそれ自体の作用、または酸化性ガス(例えば、空気もしくは酸素)を浴にバブリングさせること、または酸素を放出する物質、例えば過酸化物を浴に添加することのいずれかによって、前記浴を撹拌しながら、アークが投入物と前記投入物から離れた少なくとも1つの電極との間を進む電気アーク炉を用いること、およびそのアークの長さを、その還元性作用が最低限にまで少なくなるように調節することからなる。
【0046】
溶融により生じる液体は、その化学的均一性を図るために、好ましくは10秒を超え、より好ましくは1分を超える最低限の時間は、溶融状態に好ましくは保たれる。10秒を超える溶融状態保持時間は、キャストする前に、特に均一な液体を生成し得る。対照的に、従来技術の環境バリアコーティングの製造の間のプラズマ溶射によって得られる液滴は、通常、焼結グレインの粉末もしくは粉末化BSAS酸化物前駆体の混合物を溶融することによって生成されるが、溶融後に実際上は直ちに冷却され、これは、化学的均一性を促進しない。
【0047】
ステップc)において、溶融液体浴は、好ましくは、キャストされる。それは、鋳型に、冷却液体、例えば水にキャストされ得る、または、それは、例えば吹き込みによって分散され得る。これらの方法の全ては、よく知られている。
【0048】
特に、溶融液体の細い流れが、表面張力のせいで、ほとんどが実質的球状の形を呈する小さい液滴へと分散され得る。この分散は、特に空気および/または水蒸気による、吹き込みによって、あるいは、当業者に知られている、溶融材料を微粒化する他の何らかの方法を用いることによって実現され得る。結果的に分散体が冷却されることにより、液滴の固化が生じる。溶融およびキャストBSASのグレインは、0.1mm[ミリメートル]から4mmの通常の大きさで得られる。
【0049】
変形形態において、溶融液体は、吹き込み無しに、水の中へキャストされてもよい。
【0050】
一実施形態において、冷却速度は、固化の間に、材料の少なくとも10体積%、またはさらに少なくとも20体積%を結晶化させるように調節される。こうして、あまりにも急な冷却は避けられなければならない、または、結晶化熱処理が行われなければならない。
【0051】
ステップd)において、ステップc)において得られる溶融およびキャスト生成物の大きさが、任意選択で調節される。この目的のために、溶融およびキャストブロックまたはグレインは粉砕され、次いで、粒度によって選別され得る。
【0052】
粒度による選別作業(これは、篩によって、もしくは空気を用いる分離によって実施され得る)の前に、粒子は、粉砕ステップの間にBSAS粉末に導入されたかもしれない磁性粒子を減らす、または除去するために、脱鉄処理を受け得る。
【0053】
ステップc)の後、または、適切であれば、ステップd)の後、粉末はまた、想定される用途にそれを完全に適合させるために、微粒化によって、あるいは、塊状化、次いで、熱処理による強固化によって、さらに状態を変化させられ得る。
【0054】
特に、溶射用途に関しては、グレインの大きさは、好ましくは、5μmを超え、またはさらに10μmを超え、またはさらに45μmを超え、また/あるいは、140μm未満、またはさらに125μm未満、またはさらに75μm未満である。好ましくは、大きさは、環境バリアコーティングの所望の厚さおよび多孔度の関数として選択され、特に、次のミクロン範囲:10〜63;5〜25;10〜45;45〜75;45〜125;であり得る。
【0055】
特に、泥漿をキャストすることを含む用途に関しては、グレインの大きさは、好ましくは、45μm未満であり、中央値直径は、好ましくは、10μmから15μmの範囲にある。
【0056】
本発明の粉末は、冷却が非常に速かった場合、アモルファスであり得る、または部分的に結晶化していることもある。アモルファスグレインとは対照的に、部分的に結晶化したグレインは透明ではない。特に、本発明の粉末は、セルシアンおよびヘキサセルシアン相が合計で10体積%を超え、またはさらに15体積%を超え、またはさらに20体積%を超える部分を占めるグレインを、個数で、90%を超え、さらには95%を超え、さらには99%を超える割合で含み得る、あるいはさらにこれらのグレインによって構成され得る。
【0057】
通常、セルシアンおよびヘキサセルシアン相の量は、外部標準と共に、リートフェルト法を用い、Briendleyの補正を用いて、粉末X線回折によって求められる。
【0058】
グレインにおける酸化物の分布の均一性の概算における標準偏差「σ」は、そのグレインにおいてランダムに選択された位置での「n」個の測定もしくは「点」によって、次のように評価できる。
【0059】
【数1】

【0060】
・ zは、グレインにおける点「i」の位置で局所的に測定された、対象とする酸化物の重量含量を表し、また
【0061】
【数2】

【0062】
・ 上の量は、グレインにおける対象とする酸化物の平均重量含量を表し、値zの算術平均によって得られる、すなわち、
【0063】
【数3】

【0064】
好ましくは、nは3を超え、より好ましくは5を超え、より一層好ましくは10を超える。
【0065】
相対標準偏差または「変動係数」は、σで示され、平均値に対するパーセンテージとして表され、次のように計算される。
【0066】
【数4】

【0067】
本発明の一実施形態において、80重量%を超え、またはさらには90重量%を超え、95重量%を超え、99重量%を超えるグレインが、さらには実質的に100%のグレインが、次の相対標準偏差σを有する:
・ SiO:σR SiO2は、4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ Al:σR Al2O3は、4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ BaO:σR BaOは、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ SrO:σR SrOは、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満である。
【0068】
本発明の一実施形態において、40重量%を超え、またはさらには60重量%を超え、80重量%を超え、95重量%を超え、99重量%を超えるグレインが、さらには実質的に100%のグレインが、次の相対標準偏差σを有する:
・ SiO:σR SiO2は、3%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ Al:σR Al2O3は、3%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ BaO:σR BaOは、10%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ SrO:σR SrOは、10%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満である。
【0069】
本発明の一実施形態において、20重量%を超え、またはさらには30重量%を超え、40重量%を超え、50重量%を超え、またはさらには60重量%を超えるグレインが次の相対標準偏差σを有する:
・ SiO:σR SiO2は、1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ Al:σR Al2O3は、1%未満、より好ましくは0.5%未満であり、また
・ BaO:σR BaOは、3%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ SrO:σR SrOは、3%未満、より好ましくは1%未満である。
【0070】
本発明の一実施形態において、10重量%を超え、またはさらには15重量%を超え、20重量%を超え、25重量%を超え、またはさらには30重量%を超えるグレインが次の相対標準偏差σを有する:
・ SiO:σR SiO2は、0.5%未満であり、また
・ Al:σR Al2O3は、0.5%未満であり、また
・ BaO:σR BaOは、1%未満であり、また
・ SrO:σR SrOは、1%未満である。
【0071】
粉末中の様々なグレインの間の酸化物の分布の均一性を定める標準偏差「σ’」は、粉末からランダムに選択されたグレインに実施される「n’」個の測定によって、次のように求めることができる。
【0072】
【数5】

【0073】
・ z’は、粉末中のグレイン「i」における酸化物の重量を表し、任意選択で、そのグレインでのいくつかの局所測定値の算術平均として計算され、また
【0074】
【数6】

【0075】
・ 上の量は、「n’」個の選択されたグレインにおける、対象とする酸化物の平均重量を表す。この量は、値z’を算術平均することによって得られる、すなわち、
【0076】
【数7】

【0077】
好ましくは、n’は5を超え、好ましくは10以上である。こうして、相対標準偏差は、次の式の通りである。
【0078】
【数8】

【0079】
好ましくは、本発明によれば、粉末の酸化物含量の相対標準偏差σ’は、本発明による組成を有するグレインだけを考慮すると、次の通りである:
・ SiO2:σ SiO2は、4%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ Al:σ Al2O3は、4%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ BaO:σ’R BaOは、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは1%未満であり、また
・ SrO:σ’R SrOは、15%未満、好ましくは10%未満、好ましくは6%未満、より好ましくは1%未満である。
【0080】
本発明による粉末は、特に、ガスタービン、熱交換器または内燃機関の壁面を保護するための環境バリアコーティングの、火炎溶射またはプラズマ溶射による作製に使用され得る。
【0081】
この目的のために、粉末は、通常、溶融され、次いで、細かい液滴の状態で、保護されるべき壁面上に溶射され、そこで、液滴は急速冷却によって固化する。
【0082】
一実施形態において、液滴は、例えば、ムライト、SiO、ムライト+アルミノケイ酸バリウム−ストロンチウム、ムライト+ケイ酸イットリウム、ムライト+アルミノケイ酸カルシウム、または金属シリコンの中間層の上に溶射される。この中間層それ自体は、例えばショットブラストによって好ましくは予備洗浄された、保護されるべき壁面に付着した結合層(例えば、金属シリコン)を介して、保護されるべき壁面に固定され得る。BSAS層を付着させる前に、中間層は、熱処理(例えば、約1250℃、約24時間)を受け得る。
【0083】
特定の用途において、溶射材料は、本発明による粉末と他の粉末、特にムライト粉末との混合物を溶融させることによって得られる。
【0084】
熱溶射は、870℃から1200℃の範囲の温度で実施され得る。
【0085】
環境バリアコーティングの厚さは、10μmを超え、または50μm、もしくは75μmを超え、また/あるいは、750μm未満、またはさらには125μm未満であり得る。
【0086】
環境バリアコーティングを作製する、知られているどのような方法も、特に、特許文献1または特許文献8(ここで参照によって組み込まれる)に記載の方法が想定され得る。
【0087】
以下の非限定的実施例は、本発明を例示するために記載される。
【0088】
これらの実施例では、次の出発材料を選んだ。記載されているパーセンテージは重量パーセントである。
・ ALCANによって販売されているアルミナ粉末Al(商用名AR75)、99重量%を超える純度、および90μmの中央値の大きさD50を有する、
・ SPCHによって販売されているBaCO粉末、EDTAによる99重量%を超える純度を有し、98%を超える部分が45μmの篩を通過する、
・ SPCHによって販売されているSrCO粉末、EDTAによる96重量%を超える純度を有し、99%を超える部分が45μmの篩を通過する、
・ SIFRACOによって販売されている沈降シリカサンド、0mmから1mmの粒度分布を有する。
【0089】
重量パーセントとして次の化学組成を有する50kg[キログラム]の出発投入物を、上の出発材料から準備した。
Al :25%
SiO :29.5%
BaCO :36.5%
SrCO :9%
【0090】
得られる出発投入物を、Heroultアーク溶融炉にキャストした。混合物の全てを完全に均一に溶融させるために、ショートアーク溶融を実施した。酸化性製造条件を用いた。開始時に、450ボルトを、次いで、定常状態において、325ボルトの電圧を加えた。加えられたエネルギーは、約1800kWh/T[キロワット時/1トンの出発材料]であった。キャストしている間に測定した溶融液体の温度は、1900℃から2100℃の範囲であった。
【0091】
次いで、溶融液体を、雰囲気温度の水にキャストした。得られる生成物は、暗色で透明でない数ミリメートルの小片状であった。
【0092】
次に、これらの小片を、ジョークラッシャー(jaw crusher)で、次いで、15barのロール設定圧力を有するロールミルで粉砕した。
【0093】
次に、100μmから250μmの範囲の大きさを有する粉末グレインと、100μm未満の大きさを有するものとを選別するために、篩にかけることによって、粒度による選別を実施した。100〜250μmのフラクションは、マグネシア部分安定化ジルコニア球を用いるジャーミル(jar mill)で、30分間粉砕した。100μm未満の大きさを有するグレインを選別するために篩にかけた。次に、100μm未満の大きさを有する2つの選別した粉末を、一緒にし、10μmから45μmの範囲の大きさを有する粉末グレインを選別するために、空気タービンによる選別ステップを実施した。
【0094】
比較例の粉末は、55.5μmのD90、31.2μmのD50、および16.7μmのD10を有する、従来技術による市販の焼結BSASグレイン粉末であった。
【0095】
特に結晶相を特定するための、化学分析およびX線回折図を、40μm未満の中央値の大きさD50にまで粉砕し、得られた粉末を代表する試料で実施した。
【0096】
X線蛍光分析およびマイクロプローブ化学分析を実施した。
【0097】
Table 1(表1)は、試験粉末の重量での組成、および特定された相を示す。
【0098】
【表1】

【0099】
Table 2(表2)は主な不純物を要約する。
【0100】
【表2】

【0101】
本発明の粉末では、実質的に100%のグレインが、SiO、A1、SrO、およびBaOを同時に含んでいた。比較例の粉末では、90%未満のグレインが、これらの4種の酸化物を同時に示した。このように、本発明の粉末の様々なグレインの間の化学的均一性は注目に値する。
【0102】
図1は、実質的に100%のグレインがBSASグレインであった本発明の試験粉末とは対照的に、比較例(回折図2)の粉末がムライトを含んでいたことを示す。
【0103】
図2の様々な写真から分かるように、本発明の試験粉末は、単一相になっており、特に均一であった。対照的に、図3に見られるように、従来技術の粉末は、非常に異なるモルフォロジーおよび組成を有する2つのタイプのグレインによって構成されていた。
【0104】
Table 3(表3)は、本発明の試験粉末のグレイン内の化学的均一性を示し、Table 4(表4)は、従来技術のBSAS粉末のグレインで実施された化学分析を要約する。
【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
最後に、Table 5(表5)は、本発明の粉末の様々なグレインの間の注目に値する化学的均一性を示す。
【0108】
対象とする各酸化物に対して、Table 3(表3)の本発明の試験粉末の10個のグレインの平均量「z’」は、
【0109】
【数9】

【0110】
を計算するために平均された、すなわち、
【0111】
【数10】

である。
【0112】
標準偏差σ’は、次のように求められた。
【0113】
【数11】

【0114】
例として、Alでは、平均値
【0115】
【数12】

【0116】
は、10個のグレインの各々の5つの測定点に対して得られた平均値の、10個のグレインに渡る平均値であった。
【0117】
【表5】

【0118】
Table 4(表4)の従来技術の10個のグレインで実施された化学分析についての同じ解析は、Table 6(表6)に示す結果を与えた。
【0119】
【表6】

【0120】
明瞭に分かるように、本発明の粉末のグレインは注目に値する化学的均一性を示す。粉末それ自身が、良好な均一性を有し、事実上全てのグレインが同じ化学組成を有する。これらの結果は、環境バリアコーティングを付けるための出発混合物に組み入れられた時の、本発明の粉末の良好な成果を説明する。
【0121】
明らかに、本発明は、例示のための非限定的実施例として説明され示された実施形態に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計100%の重量パーセントで、酸化物ベースで、次の化学組成:
・ 0≦BaO≦40.8%;
・ 0≦SrO≦31.8%;
・ 27.2%≦Al≦31.3%;
・ 32%≦SiO≦36.9%;
・ 他の化学種≦1%
を有する溶融グレインを、個数で少なくとも95%含み、酸化物BaOおよびSrOの少なくとも一方の量が0.3%を超え、前記グレインの大きさが5μmから150μmの間に含まれる粉末。
【請求項2】
前記グレインが、次の化学組成:
・ 4.6%≦BaO≦37.2%;および/または
・ 2.8%≦SrO≦28.2%;および/または
・ 27.5%≦Al≦30.8%;および/または
・ 32.4%≦SiO≦36.3%;および/または
・ 他の化学種≦0.7%
を有する、請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
前記グレインが、次の化学組成:
・ 25.9%≦BaO≦35.4%;および/または
・ 4.2%≦SrO≦11.7%;および/または
・ 27.7%≦Al≦28.7%;および/または
・ 32.7%≦SiO≦33.8%;および/または
・ 他の化学種≦0.5%
を有する、請求項2に記載の粉末。
【請求項4】
前記グレインが、次の化学組成:
・ 29.8%≦BaO≦33.6%;および/または
・ 5.7%≦SrO≦8.6%;および/または
・ 27.9%≦Al≦28.3%;および/または
・ 32.9%≦SiO≦33.3%
を有する、請求項3に記載の粉末。
【請求項5】
前記グレインが、次の化学組成:
・ BaO:31.7%;および/または
・ SrO:7.1%;および/または
・ Al:28.1%;および/または
・ SiO:33.1%
を有する、請求項4に記載の粉末。
【請求項6】
グレインの大きさが10μmを超える、請求項1から5のいずれかに記載の粉末。
【請求項7】
グレインの大きさが125μm未満である、請求項1から6のいずれかに記載の粉末。
【請求項8】
グレインの大きさが45μm未満である、請求項7に記載の粉末。
【請求項9】
40μm未満の、中央値の大きさD50を有する、請求項1から8のいずれかに記載の粉末。
【請求項10】
10μmから15μmの範囲の、中央値の大きさD50を有する、請求項9に記載の粉末。
【請求項11】
20μmを超える、中央値の大きさD50を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項12】
グレインが少なくとも部分的に結晶化している、請求項1から11のいずれかに記載の粉末。
【請求項13】
セルシアンおよびヘキサセルシアン相が、合計で、前記グレインの10体積%を超える部分を占める、請求項12に記載の粉末。
【請求項14】
セルシアンおよびヘキサセルシアン相が、合計で、前記グレインの20体積%を超える部分を占める、請求項13に記載の粉末。
【請求項15】
前記グレインが、個数で、前記粉末の粒子の99%を超える部分を占める、請求項1から14のいずれかに記載の粉末。
【請求項16】
80重量%を超える前記グレインが、
・ SiOに対する相対標準偏差σR SiO2が、4%未満であり、
・ Alに対する相対標準偏差σR Al2O3が、4%未満であり、
・ BaOに対する相対標準偏差σR BaOが、15%未満であり、
・ SrOに対する相対標準偏差σR SrOが、15%未満である
化学的均一性を有し、
酸化物に対する相対標準偏差σが、次の式:
【数1】

【数2】

( ・ nは、対象とするグレインにおいてランダムに選択された位置での測定数を表し、3を超え;
・ zは、そのグレインの「i」の位置において局所的に求められた、対象とする酸化物の重量含量を表し、また

【数3】

は、値zを算術平均することによって得られる、そのグレインにおける対象とする酸化物の平均重量含量を表す)
を用いて計算される、請求項1から15のいずれかに記載の粉末。
【請求項17】
・ SiOに対する相対標準偏差σR SiO2が、3%未満である、および/または
・ Alに対する相対標準偏差σR Al2O3が、3%未満である、および/または
・ BaOに対する相対標準偏差σR BaOが、10%未満である、および/または
・ SrOに対する相対標準偏差σR SrOが、10%未満である、
請求項16に記載の粉末。
【請求項18】
合計100%の重量パーセントで、次の化学組成:
・ 0≦BaO≦40.8%;
・ 0≦SrO≦31.8%;
・ 27.2%≦Al≦31.3%;
・ 32%≦SiO≦36.9%;
・ 他の化学種≦1%
を有し、酸化物BaOおよびSrOの少なくとも一方の含量が0.3%を超え、グレインの大きさが5μmから150μmの範囲にあるグレインだけを対象として、粉末における酸化物の量の相対標準偏差σ’が、次の通りであり:
・ SiOに対する相対標準偏差σ SiO2が、4%未満である、また
・ Alに対する相対標準偏差σ Al2O3が、4%未満である、また
・ BaOに対する相対標準偏差σ’R BaOが、15%未満である、また
・ SrOに対する相対標準偏差σ’R SrOが、15%未満である
酸化物に対する相対標準偏差σ’が、次の式:
【数4】

【数5】

( ・ n’は、対象とするグレインの個数を表し、5を超え;
・ z’は、粉末のグレイン「i」における酸化物の重量含量を表し、また

【数6】

は、選択されたn’個のグレインに渡る、対象とする酸化物の平均重量含量を表す)
を用いて計算される、請求項1から17のいずれかに記載の粉末。
【請求項19】
・ SiOに対する相対標準偏差σ SiO2が、1.5%未満である、および/または
・ Alに対する相対標準偏差σ Al2O3が、1.5%未満である、および/または
・ BaOに対する相対標準偏差σ’R BaOが、6%未満である、および/または
・ SrOに対する相対標準偏差σ’R SrOが、6%未満である、
請求項18に記載の粉末。
【請求項20】
次のステップ:
a)BSASの前駆体を含む出発投入物を準備するステップ;
b)溶融液体浴を生成するために、出発投入物を溶融させるステップ;
c)溶融液体を固化させるステップ;
d)任意選択で、粒度分布低下、および/または、粒度による選別、および/または、脱鉄分、および/または、微粒化、および/または、塊状化、次いで、熱処理による強固化のステップ
を含み、
ステップc)またはステップd)の終了時に、粉末が請求項1から19のいずれかに記載の粉末に合致するように、出発投入物が決められる、粉末の製造方法。
【請求項21】
ステップb)において、液体が、10秒を超える時間、溶融状態に保たれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップb)において、液体が、1分を超える時間、溶融状態に保たれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップc)において、溶融液体が、溶融液体の細い流れを生成するように流し出され、前記流れが液滴に分散される、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1から19のいずれか一項に記載の粉末を含む出発混合物から得られる物質を火炎溶射またはプラズマ溶射することによる、特にガスタービンの壁面を保護するための、環境バリアコーティングの生成方法。
【請求項25】
請求項1から19のいずれか一項に記載の粉末から出発して、または請求項20から24のいずれか一項に記載の方法を用いて得られる、環境バリアコーティングを備える、ガスタービン、熱交換器および内燃機関から選択されるデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−514872(P2011−514872A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546381(P2010−546381)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050228
【国際公開番号】WO2009/101368
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(506426269)サン−ゴベン・セントル・ドゥ・レシェルシェ・エ・デチュード・ユーロペアン (42)
【Fターム(参考)】