説明

C型肝炎ウイルス阻害剤

一般式(I):


(I)
を有するC型肝炎ウイルス阻害剤が開示される。該化合物を含む組成物、および該化合物を使用してHCVを阻害する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年5月15日に出願された米国仮出願第61/053,477号の利益を主張する。
【0002】
本開示は一般に、抗ウイルス性化合物を対象とし、さらに具体的にはC型肝炎ウイルス(HCV)によりコードされる(本明細書において「セリンプロテアーゼ」とも称される)NS3プロテアーゼの機能を阻害する化合物、このような化合物を含む組成物、およびNS3プロテアーゼの機能を阻害する方法を対象とする。
【0003】
HCVは、主要なヒト病原体であり、世界中で1億7千万人が感染していると推定され、これはヒト免疫不全ウイルス1型の感染数の概ね5倍である。これらのHCV感染者のかなりの割合が肝硬変および肝細胞癌を含めた重篤な進行性肝疾患を発症させる。
【0004】
現在、最も有効なHCV治療は、α−インターフェロンおよびリバビリンの組合せを用い、これは患者の40%において持続的効果をもたらしている。ペグ化α−インターフェロンは、単独療法としては未修飾α−インターフェロンより優れていることを、最近の臨床結果は示している。しかし、ペグ化α−インターフェロンおよびリバビリンの組合せを伴う試験的な治療計画をもってしても、患者の大部分は、ウイルス量が持続的に減少することがない。したがって、HCV感染症の治療のための有効な療法を開発する明確であり、まだ満たされていない必要性が存在する。
【0005】
HCVは、プラス鎖RNAウイルスである。5’非翻訳領域における推定されるアミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVは、フラビウイルス科ファミリーの独立した属として分類されてきた。フラビウイルス科ファミリーの全てのメンバーは、単一の中断されていないオープンリーディングフレームの翻訳を介して全て公知のウイルス特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0006】
HCVゲノムに亘ってヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内にかなりの多様性が見い出される。6つの主要な遺伝子型が特性決定され、50を超える亜型が説明されてきた。HCVの主要な遺伝子型は世界的にその分布が異なっており、病原および治療における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にも関わらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捕らえにくい。
【0007】
一本鎖HCV RNAゲノムは、約9500ヌクレオチドの長さであり、約3000個のアミノ酸の単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼによって複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生成する。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2種のウイルスプロテアーゼによってもたらされる。最初のものは、NS2−NS3接合部を切断し;第2のものは、NS3のN末端領域内に含有されるセリンプロテアーゼであり、NS3の下流、すなわち、NS3−NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A−NS4B、NS4B−NS5A、NS5A−NS5B部位においてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。NS4Aタンパク質は、複数の機能を果たしていると思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスレプリカーゼ成分の膜局在性をおそらく補助している。NS3タンパク質のNS4Aとの複合体形成は、効率的なポリタンパク質の進行、部位の全てにおけるタンパク分解切断の増強に本質的である。NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5Bは、HCVの複製に関与するRNA依存性RNAポリメラーゼである。
【0008】
本開示は、例えば、NS4Aプロテアーゼと組み合わせて、NS3プロテアーゼの機能を阻害することができるペプチド化合物を提供する。さらに、本開示は、患者への併用療法の投与について記載し、それによって、HCV NS3プロテアーゼを阻害するのに効果的な本開示による化合物は、抗HCV作用を有する1種または2種のさらなる化合物と共に投与することができる。
【0009】
第1の態様において、本開示は、式(I):
【化1】

(I)
[式中、
mは、1、2、または3であり;
1は、ヒドロキシおよび−NHSO26から選択され;その中で、R6は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、および−NRabから選択され、該アルキル、該シクロアルキル、および該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、アリールカルボニル、シアノ、シクロアルケニル、(シクロアルキル)アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、および(NRef)カルボニルから選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよく;
2は、水素、アルケニル、アルキル、およびシクロアルキルから選択され、その中で、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは、ハロで適宜置換されていてもよく;
3は、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アリールアルキル、カルボキシアルキル、シアノアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、(ヘテロサイクリル)アルキル、ヒドロキシアルキル、(NRcd)アルキル、および(NRef)カルボニルアルキルから選択され;
4は、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5は、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、および(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該アリール;該アリールアルキル、該アリールアルキルカルボニル、および該アリールカルボニルのアリール部分;該ヘテロサイクリル;並びに該ヘテロサイクリルアルキルおよび該ヘテロサイクリルアルキルカルボニルのヘテロサイクリル部分は、各々、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5がヘテロサイクリルである場合、該ヘテロサイクリルは、
【化2】

以外であり;
7は各々独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロサイクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ,−NRcd、(NRcd)アルキル、(NRcd)アルコキシ、(NRef)カルボニル、および(NRef)スルホニルから選択され;あるいは
2つの隣接R7基は、それらに結合する炭素原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な4〜7員環を形成し、その中で、該環は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの基で適宜置換されていてもよく;
aおよびRbは独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいは、RaおよびRbは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員単環式ヘテロ環を形成し;
cおよびRdは独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、およびハロアルキルから選択され;
eおよびRfは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロサイクリルから選択され;その中で、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロサイクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で適宜置換されていてもよく;並びに
gおよびRhは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0010】
第1の態様の第1の実施形態において、本開示は、R1が−NHSO26である、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0011】
第1の態様の第2の実施形態において、本開示は、
mが、1または2であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、および−NRabから選択され、該アルキル、該シクロアルキル、および該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、アリールカルボニル、シアノ、シクロアルケニル、(シクロアルキル)アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、および(NRef)カルボニルから選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよく;
2が、アルケニル、アルキル、およびシクロアルキルから選択され、その中で、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは、ハロで適宜置換されていてもよく;
3が、アルケニルおよびアルキルから選択され;
4が、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5が、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、および(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該アリール;該アリールアルキル、該アリールアルキルカルボニル、および該アリールカルボニルのアリール部分;該ヘテロサイクリル;並びに該ヘテロサイクリルアルキルおよび該ヘテロサイクリルアルキルカルボニルのヘテロサイクリル部分は、各々、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5がヘテロサイクリルである場合、該ヘテロサイクリルは、
【化3】

以外であり;
7が各々独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロサイクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ,−NRcd、(NRcd)アルキル、(NRcd)アルコキシ、(NRef)カルボニル、および(NRef)スルホニルから選択され;あるいは
2つの隣接R7基が、それらに結合する炭素原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な4〜7員環を形成し、その中で、該環は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの基で適宜置換されていてもよく;
aおよびRbが独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいは、RaおよびRbが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員単環式ヘテロ環を形成し;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、およびハロアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロサイクリルから選択され;その中で、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロサイクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で適宜置換されていてもよく;並びに
gおよびRhが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0012】
第1の態様の第3の実施形態において、本開示は、
mが、1または2であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は無置換シクロアルキルであり;
2が、アルケニル、アルキル、およびシクロアルキルから選択され、その中で、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは、ハロで適宜置換されていてもよく;
3が、アルケニルおよびアルキルから選択され;
4が、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5が、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、および(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該アリール;該アリールアルキル、該アリールアルキルカルボニル、および該アリールカルボニルのアリール部分;該ヘテロサイクリル;並びに該ヘテロサイクリルアルキルおよび該ヘテロサイクリルアルキルカルボニルのヘテロサイクリル部分は、各々、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5がヘテロサイクリルである場合、該ヘテロサイクリルは、
【化4】

以外であり;
7が各々独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロサイクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ,−NRcd、(NRcd)アルキル、(NRcd)アルコキシ、(NRef)カルボニル、および(NRef)スルホニルから選択され;あるいは
2つの隣接R7基が、それらに結合する炭素原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な4〜7員環を形成し、その中で、該環は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの基で適宜置換されていてもよく;
aおよびRbが独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいは、RaおよびRbが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員単環式ヘテロ環を形成し;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、およびハロアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロサイクリルから選択され;その中で、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロサイクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で適宜置換されていてもよく;並びに
gおよびRhが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0013】
第1の態様の第4の実施形態において、本開示は、
mが1であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は無置換シクロアルキルであり;
2がアルケニルであり;
3がアルキルであり;
4が、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5が、ヘテロサイクリルおよび(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該ヘテロサイクリルは、1〜6個のR6基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5は、
【化5】

以外であり;
6が各々独立して、アルコキシ、アリール、およびヘテロサイクリルから選択され;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、およびアリールアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;並びに
gおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、フェニル環に縮合した単環式ヘテロ環を形成して、二環式構造を形成し;その中で、該二環式構造は、ハロ基で置換されている、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0014】
第1の態様の第5の実施形態において、本開示は、
mが1であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は無置換シクロアルキルであり;
2がアルケニルであり;
3がアルキルであり;
4が、1つの窒素原子を含む6員不飽和環であり、その中で、該環は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位でなければならず;
5が、ヘテロサイクリルおよび(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該ヘテロサイクリルは、1〜6個のR6基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5は、
【化6】

以外であり;
6が各々独立して、アルコキシ、アリール、およびヘテロサイクリルから選択され;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、およびアリールアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;並びに
gおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、フェニル環に縮合した単環式ヘテロ環を形成して、二環式構造を形成し;その中で、該二環式構造は、ハロ基で置換されている、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0015】
第1の態様の第6の実施形態において、本開示は、
mが1であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は無置換シクロアルキルであり;
2がアルケニルであり;
3がアルキルであり;
4が、1つの窒素原子および1つの硫黄原子を含む5員不飽和環であり、その中で、該環は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよく;
5が、ヘテロサイクリルおよび(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該ヘテロサイクリルは、1〜6個のR6基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5は、
【化7】

以外であり;
6が各々独立して、アルコキシ、アリール、およびヘテロサイクリルから選択され;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、およびアリールアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;並びに
gおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、フェニル環に縮合した単環式ヘテロ環を形成して、二環式構造を形成し;その中で、該二環式構造は、ハロ基で置換されている、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0016】
第2の態様において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。第2の態様の第1の実施形態において、該組成物は、抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物をさらに含む。第2の態様の第2の実施形態において、少なくとも1つの該別の化合物は、インターフェロンまたはリバビリンである。第2の態様の第3の実施形態において、該インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球様インターフェロンτから選択される。
【0017】
第2の態様の第4の実施形態において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される担体、並びに抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物を含む組成物を提供し;その中で、少なくとも1つの該別の化合物は、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を亢進する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン 5'−一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される。
【0018】
第2の態様の第5の実施形態において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される担体、並びに抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物を含む組成物を提供し;その中で、少なくとも1つの該別の化合物は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害して、HCV感染症の治療に有効である。
【0019】
第3の態様において、本開示は、治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHCV感染症の治療方法を提供する。第3の態様の第1の実施形態において、該方法は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の、前、後、または同時に、抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物をさらに投与することを特徴とする。第3の態様の第2の実施形態において、少なくとも1つの該別の化合物は、インターフェロンまたはリバビリンである。第3の態様の第4の実施形態において、該インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球様インターフェロンτから選択される。
【0020】
第3の態様の第5の実施形態において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の、前、後、または同時に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHCV感染症の治療方法を提供し、その中で、少なくとも1つの該別の化合物は、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を亢進する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン 5'−一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される。
【0021】
第3の態様の第6の実施形態において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の、前、後、または同時に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHCV感染症の治療方法を提供し、その中で、少なくとも1つの該別の化合物は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害して、HCV感染症の治療に有効である。
【0022】
第4の態様において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、抗HCV活性を有する、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの別の化合物、並びに医薬的に許容される担体を含む組成物を提供する。第4の態様の第1の実施形態において、該組成物は、抗HCV活性を有する3つまたは4つの別の化合物を含む。第4の態様の第2の実施形態において、該組成物は、抗HCV活性を有する1つまたは2つの別の化合物を含む。
【0023】
第5の態様において、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の、前、後、または同時に、治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに、抗HCV活性を有する、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの別の化合物を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHCV感染症の治療方法を提供する。第1の態様の第1の実施形態において、該方法は、抗HCV活性を有する3つまたは4つの別の化合物を投与することを特徴とする。第1の態様の第2の実施形態において、該方法は、抗HCV活性を有する1つまたは2つの別の化合物を投与することを特徴とする。
【0024】
本開示の他の態様には、本明細書に開示した実施形態の適当な組合せが含まれうる。
また他の態様および実施形態は、本明細書において提供する説明において見い出すことができる。
本明細書における本開示の説明は、化学結合の法則および原理と適合させて解釈するべきである。場合によっては、任意の所与の場所に置換基を配置するために水素原子を取り除くことが必要な場合がある。
【0025】
本開示に包含される化合物は、医薬品として使用するために適切に安定的なものであることを理解すべきである。
分子における特定の位置でのいずれの置換基または可変記号(variable)の定義も、該分子における他の位置での定義から独立していることが意図される。
本明細書に引用される全ての特許、特許出願、および文献参照は、その全体が本明細書に引用される。不整合がある場合は、定義を含めた本開示を優先する。
【0026】
本明細書で用いられる以下の用語は、指示された意味を有する:
本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」には、特に断りがなければ、複数表示(plural reference)が含まれる。
特に断りがなければ、本開示のすべてのアリール、シクロアルキル、およびヘテロサイクリル基は、その各々の定義に記載したように置換されうる。例えば、アリールアルキル基のアリール部分は、用語「アリール」の定義に記載したように置換されうる。
【0027】
いくつかの例において、いずれの特定の基における炭素原子の数は、該基の列挙の前に表示される。例えば、用語「C6アルキル」は、6つの炭素原子を含むアルキル基を示す。これらの記号表示が存在する場合、これらは本明細書に含まれるすべての他の定義に取って代わる。
本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」には、特に断りがなければ、複数表示が含まれる。
【0028】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する2個から6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基を意味する。
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子部分に結合しているアルキル基を意味する。
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のアルコキシ基で置換されているアルキル基を意味する。
【0029】
「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子部分に結合しているアルコキシ基を意味する。
本明細書で用いられる用語「アルコキシカルボニルアルキル」とは、1つ、2つ、または3つのアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基をいう。
本明細書で用いられる用語「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素から誘導される基をいう。
【0030】
本明細書で用いられる用語「アルキルカルボニル」とは、カルボニル基を通して親分子部分に結合したアルキル基をいう。
本明細書で用いられる用語「アルキルスルファニル」とは、硫黄原子を通して親分子部分に結合したアルキル基をいう。
【0031】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、フェニル基、または環の1つもしくは両方がフェニル基である二環式縮合環構造を意味する。二環式縮合環構造は、4〜6員の芳香族または非芳香族炭素環に縮合されたフェニル基からなる。本開示のアリール基は、基中の任意の置換可能な炭素原子を介して親分子の部分に結合することができる。アリール基の代表例には、それだけに限らないが、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられる。本開示のアリール基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、−NRcd、(NRcd)カルボニル、およびオキソから独立して選択される、1個、2個、3個、4個、または5個の置換基で適宜置換されていてもよい。
【0032】
「アリールアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のアリール基で置換されているアルキル基を意味する。
「アリールアルキルカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアリールアルキル基を意味する。
「アリールカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアリール基を意味する。
【0033】
「カルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、−C(O)−を意味する。
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、−CO2Hを意味する。
「カルボキシアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1つ、2つ、または3つのカルボキシ基で置換されたアルキル基を意味する。
「シアノ」という用語は、本明細書で使用する場合、−CNを意味する。
【0034】
「シアノアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のシアノ基で置換されているアルキル基を意味する。
「シクロアルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、3〜14個の炭素原子と0個のヘテロ原子とを有する非芳香族で部分不飽和の単環式、二環式、または三環式環系を意味する。シクロアルケニル基の代表例には、それだけに限らないが、シクロヘキセニル、オクタヒドロナフタレニル、およびノルボルニレニルが挙げられる。
【0035】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、3〜10個の炭素原子と0個のヘテロ原子とを有する飽和単環式または二環式炭化水素環構造を意味する。シクロアルキル基の代表例には、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、およびシクロペンチルが挙げられる。
「(シクロアルキル)アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のシクロアルキル基で置換されているアルキル基を意味する。
【0036】
「シクロアルキルオキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用する場合、F、Cl、Br、およびIを意味する。
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているハロアルキル基を意味する。
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、3個、または4個のハロゲン原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0037】
「ヘテロサイクリル」という用語は、本明細書で使用する場合、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個、2個、もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員、6員、または7員環を意味する。5員環は、0から2個の二重結合を有し、6員および7員環は、0から3個の二重結合を有する。「ヘテロサイクリル」という用語にはまた、ヘテロサイクリル環が4〜6員の芳香族もしくは非芳香族炭素環に縮合している二環式基、または他の単環式ヘテロサイクリル基が含まれる。本開示のヘテロサイクリル基は、基中の炭素原子または窒素原子を介して親分子の部分に結合している場合がある。ヘテロサイクリル基の例には、それだけに限らないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、およびチオモルホリニルが挙げられる。本開示のヘテロサイクリル基は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、−NRcd、(NRcd)カルボニル、およびオキソから独立して選択される、1個、2個、3個、4個、または5個の置換基で適宜置換されていてもよい。
【0038】
用語「ヘテロサイクリルアルキル」とは、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のヘテロサイクリル基で置換されているアルキル基をいう。
用語「ヘテロサイクリルアルキルカルボニル」とは、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子部分に結合したヘテロサイクリルアルキル基をいう。
【0039】
用語「ヘテロサイクリルカルボニル」とは、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子部分に結合したヘテロサイクリル基をいう。
本明細書で用いられる用語「ヒドロキシ」とは、−OHをいう。
本明細書で用いられる用語「ヒドロキシアルキル」とは、1つ、2つ、または3つのヒドロキシ基で置換されたアルキル基をいう。
本明細書で用いられる用語「ニトロ」とは、−NO2をいう。
【0040】
本明細書で用いられる用語「−NRab」とは、窒素原子を通して親分子部分に結合した2つの基であるRaおよびRbをいう。RaおよびRbは独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいはRaおよびRbは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、5または6員単環式ヘテロ環を形成する。
【0041】
本明細書で用いられる用語「−NRcd」とは、窒素原子を通して親分子部分に結合した2つの基であるRcおよびRdをいう。RcおよびRdは独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、およびアルキルカルボニルから選択される。
本明細書で用いられる用語「(NRcd)アルコキシ」とは、酸素原子を通して親分子部分に結合した(NRcd)アルキル基をいう。
本明細書で用いられる用語「(NRcd)アルキル」とは、1つ、2つ、または3つの−NRcd基で置換されたアルキル基をいう。
【0042】
本明細書で用いられる用語「(NRcd)カルボニル」とは、カルボニル基を通して親分子部分に結合した−NRcd基をいう。
本明細書で用いられる用語「−NRef」とは、窒素原子を通して親分子部分に結合した2つの基であるReおよびRfをいう。ReおよびRfは独立して、水素、アルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択される。
本明細書で用いられる用語「(NRef)カルボニル」とは、カルボニル基を通して親分子部分に結合した−NRef基をいう。
【0043】
本明細書で用いられる用語「(NRef)カルボニルアルキル」とは、アルキル基を通して親分子部分に結合した(NRef)カルボニル基をいう。
本明細書で用いられる用語「(NRef)スルホニル」とは、スルホニル基を通して親分子部分に結合した−NRef基をいう。
本明細書で用いられる用語「(NRgh)カルボニル」とは、カルボニル基を通して親分子部分に結合した−NRgh基をいう。
【0044】
本明細書で用いられる用語「−NRgh」とは、窒素原子を通して親分子部分に結合した2つの基であるRgおよびRhをいう。RgおよびRhは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい。
【0045】
本明細書で用いられる用語「オキソ」とは、=Oをいう。
「スルホニル」という用語は、本明細書で使用する場合、−SO2−を意味する。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用する場合、血液中の加水分解によって親化合物にインビボで急速に変換される化合物を表す。本開示のプロドラッグには、親分子上のヒドロキシ基のエステル、親分子上のカルボキシ基のエステル、および親分子上のアミンのアミドが挙げられる。
【0046】
本開示の化合物は、医薬的に許容される塩として存在することができる。「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用する場合、妥当な医学的判断の範囲内において、妥当な便益/リスク比に見合った過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに患者の組織と接触して使用するのに適切であり、それらの使用目的のために効果的である、水溶性もしくは油溶性もしくは分散性の本開示の化合物の塩または双性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終単離および精製の間に、または別々に適切な塩基官能基を適切な酸と反応させることによって調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩;ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。医薬的に許容される付加塩を形成するために用いることができる酸の例には、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸など)、ならびに有機酸(シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸など)が挙げられる。
【0047】
塩基付加塩は、酸性基を、適切な塩基(金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩など)と、あるいはアンモニアまたは有機第一級、第二級、もしくは第三級アミンと反応させることによって、化合物の最終単離および精製の間に調製することができる。医薬的に許容される塩のカチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびに無毒性の四級アミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミンなど)が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
【0048】
本明細書で使用する場合、「抗HCV作用」という用語は、化合物がHCVウイルスの治療に効果的であることを意味する。
「本開示の化合物」という用語、および同等の表現は、式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、および塩を包含することを意味する。同様に、中間体への言及は、文脈上許容される場合、それらの塩を包含することを意味する。
「患者」という用語は、ヒトおよび他の哺乳動物の両方を含む。
【0049】
「医薬組成物」という用語は、投与方法および剤形の種類によって、少なくとも1種のさらなる医薬担体、すなわち、希釈剤、保存料、充填剤、流動性調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、香料剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および予製剤などの補助剤、賦形剤またはビヒクルと組み合わせた本開示の化合物を含む組成物を意味する。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1999)において一覧表示された成分を使用することができる。
【0050】
「医薬的に許容される」という言回しは本明細書において、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、または妥当な危険性/受益性割合に比例した他の問題もしくは合併症を伴わずに、患者の組織と接触する使用に適した、正しい医療判断の範囲内である化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味するために用いられる。
【0051】
「治療有効量」という用語は、有意義な患者利益、例えば、ウイルス量の持続的減少を示すのに十分なそれぞれの活性物質の総量を意味する。単独で投与される個々の活性成分に適用する場合、この用語はその成分単独を意味する。組合せに適用する場合は、この用語は、組合せであれ、連続的であれ、または同時投与であれ、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を意味する。
【0052】
「治療」および「治療する」という用語は、(i)疾患、障害および/または状態にかかりやすい場合があるが、まだその診断を受けていない患者において、疾患、障害または状態が起こることを防止し;(ii)疾患、障害または状態を阻害、すなわち、その進行を止め;ならびに/あるいは(iii)疾患、障害または状態を軽減、すなわち、疾患、障害および/または状態の退行をもたらすことを意味する。
【0053】
本開示の化合物の命名に使用する場合、記号P1’、P1、P2*、P3およびP4は、本明細書で使用する場合、天然ペプチド切断基質の結合に対する、結合しているプロテアーゼ阻害剤のアミノ酸残基の相対的位置を表示する。天然基質において、切断はP1とP1’との間で起こり、ここでノンプライム位置は、ペプチド天然切断部位のC末端から始まってN末端に向けて伸びているアミノ酸を表し;一方、プライム位置は、指定切断部位のN末端から始まり、C末端に向かって伸びる。例えば、P1’は、切断部位のC末端の右側末端から離れた第1の位置(すなわち、N末端第1位置)を示し;一方、P1はC末端切断部位の左側から番号付けを始め、P2はC末端からの第2の位置などである)。(Berger A. & Schechter I., Transactions of the Royal Society London series (1970), B257, 249-264を参照されたい]。
【0054】
下図は、本開示の化合物についての記号表示を示す。
【化8】

【0055】
不斉中心は、本開示の化合物において存在する。例えば、化合物は、式
【化9】

のP1シクロプロピル要素を含むことができ、式中、C1およびC2はそれぞれ、シクロプロピル環の1位および2位における不斉炭素原子を表す。
【化10】

【0056】
本開示は、HCVプロテアーゼを阻害する能力を有する全ての立体化学的形態、またはその混合物を包含することを理解すべきである。
本開示の特定の化合物はまた、分離可能である場合がある異なる安定的な高次構造形態で存在することができる。非対称の単結合の周りの束縛回転に起因するねじれによる不斉は、例えば立体障害または環ひずみによって、異なる配座異性体の分離を可能にすることができる。本開示には、これらの化合物のそれぞれの配座異性体およびこれらの混合物が挙げられる。
【0057】
本開示の特定の化合物は、双性イオン形態で存在する場合があり、本開示には、これらの化合物のそれぞれの双性イオン形態およびこれらの混合物が含まれる。
【0058】
治療に使用するために、治療有効量の式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容される塩を、原化学物質(raw chemical)として投与することが可能である場合、活性成分を医薬組成物として提示することが可能である。したがって、本開示は、治療有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩と、1種もしくは複数の医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物をさらに提供する。式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩は、上記の通りである。担体(複数可)、希釈剤(複数可)、または賦形剤(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で許容できるものでなければならない。本開示の他の態様によって、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を、1種もしくは複数の医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合する工程を含む、医薬製剤を調製するための方法もまた提供する。
【0059】
医薬製剤は、単位用量当たり所定の量の活性成分を含有する単位用量形態で存在することができる。1日当たり約0.01〜約250ミリグラム/キログラム(「mg/kg」)体重、好ましくは1日当たり約0.05〜約100mg/kg体重の本開示の化合物の投与量レベルが、HCV媒介疾患の予防および治療のための単独療法において典型的である。典型的には、本開示の医薬組成物は、1日当たり約1〜約5回、あるいは持続注入として投与される。このような投与は、長期治療または救急治療として使用することができる。単一の剤形を得るため担体物質と合わせることのできる活性成分の量は、治療される状態、状態の重篤度、投与回数、投与経路、用いる化合物の排せつ率、治療期間、ならびに患者の年齢、性別、体重、および状態によって変化する。好ましい単位製剤は、本明細書において上記のように、活性成分の1日用量もしくは部分用量、またはその適切な画分を含有する製剤である。一般に治療は、実質的に化合物の適量未満の少量の投与量で開始する。その後、この条件の下で最適な効果が得られるまで少しずつ投与量を増加させる。一般に化合物は、有害または害毒を及ぼす副作用をもたらさずに抗ウイルス的に効果的な結果を生じさせるであろう濃度レベルで投与することが最も望ましい。
【0060】
本開示の組成物が、本開示の化合物と、1種または複数のさらなる治療剤または予防薬との組合せを含む場合、化合物およびさらなる薬剤の両方は通常、単独療法において通常投与される投与量の約10〜150%、さらに好ましくは約10〜80%の投与量レベルで存在する。
【0061】
医薬製剤は、任意の適切な経路による投与、例えば、経口(口腔または舌下を含めた)、直腸、経鼻、局所(口腔、舌下、または経皮を含めた)、経腟、あるいは非経口(皮下、皮内、筋内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、静脈内、または皮内注射もしくは注入を含めた)経路による投与に適合することができる。このような製剤は、薬学の技術分野において公知の任意の方法によって、例えば活性成分を担体(複数可)または賦形剤(複数可)と結合することによって調製することができる。
【0062】
経口投与に適合された医薬製剤は、カプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液剤または懸濁剤;食用の泡またはホイップ;あるいは水中油型液体乳剤または油中水型乳剤などの個別単位として提示することができる。
【0063】
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態における経口投与のために、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口で無毒性の医薬的に許容される不活性担体と合わせることができる。散剤は、化合物を適切な微細なサイズに微粉砕し、食用炭水化物(例えば、デンプンまたはマンニトールなど)などの同様に微粉砕した医薬担体と混合することによって調製される。香味剤、保存剤、分散剤、および着色剤もまた存在することができる。
【0064】
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を調製し、ゼラチンの形成被覆に充填することによって作製される。コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体ポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤を、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。カプセル剤を摂取する場合に薬物の有効性を向上させるために、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤をまた加えることができる。
【0065】
さらに、所望であるかまたは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤もまた、混合物中に組み込むことができる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースまたはβラクトースなど)、コーン甘味料、天然および合成のガム(アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの剤形において使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤には、これらだけに限らないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を加え、錠剤に圧入することによって製剤される。粉末混合物は、適切に粉砕した化合物を、上記のような希釈剤または基剤と、および所望により、結合剤(カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなど)、溶解遅延剤(パラフィンなど)、再吸収促進剤(第四級塩など)および/または吸収剤(ベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウムなど)と混合することによって調製される。粉末混合物は、結合剤(シロップ、デンプン糊、アラビアゴム粘液、またはセルロース系材料もしくは高分子材料の溶液など)で湿らせ、強制的にスクリーンを通過させるによって顆粒化することができる。顆粒化に代わるものとして、粉末混合物を錠剤成形機にかけることができ、その結果は、顆粒剤へと割れる不完全に形成されたスラグとなる。顆粒剤は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することによって潤滑にされ、錠剤成形型に粘着することを防止することができる。次いで、潤滑混合物を錠剤に圧縮する。本開示の化合物はまた、易流動性の不活性担体と合わせ、顆粒化またはスラッギング工程を経ることなく直接錠剤に圧縮することができる。セラックのシーリングコートからなる透明または不透明な保護コーティング、糖または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングを提供することができる。これらのコーティングに染料を加えて、異なる単位用量を識別することができる。
【0066】
溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤などの経口流体は、一定量が所定の量の化合物を含有するように、投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、化合物を適切に香味付けした水溶液に溶解することによって調製することができ、一方エリキシル剤は、無毒性ビヒクルの使用によって調製される。可溶化剤および乳化剤(エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、保存剤、香味添加剤(ハッカ油または天然甘味料など)、またはサッカリンもしくは他の人工甘味料などもまた加えることができる。
【0067】
適切な場合には、経口投与のための投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。製剤はまた、例えば、粒子材料をポリマー、ワックス、または同種のものでコーティングするか、それらに包埋することによって、放出を延長または維持するように調製することができる。
【0068】
式(I)の化合物、およびその医薬的に許容される塩はまた、小さな単膜小胞、大きな単膜小胞、および多重膜小胞などのリポソームデリバリーシステムの形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
【0069】
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩はまた、化合物分子が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達することができる。化合物はまた、標的可能な薬物担体として可溶性ポリマーに結合することができる。このようなポリマーには、パリトイル残基(palitoyl residue)で置換されているポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリシンを含むことができる。さらに、化合物は、薬物の制御放出を実現するのに有用な生分解性ポリマーの類(例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマー)に結合することができる。
【0070】
経皮的投与に適合された医薬製剤は、レシピエントの表皮と長時間密着し続けることを目的とする個別のパッチとして提示することができる。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)において概ね記載されているようにイオン泳動によってパッチから送達することができる。
【0071】
局所投与に適合された医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤、または油剤として製剤することができる。
【0072】
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のために、製剤は、好ましくは局所軟膏剤またはクリーム剤として施用される。軟膏剤中に配合される場合、活性成分は、パラフィン軟膏基剤または水混和性軟膏基剤と共に用いることができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤中に配合することができる。
【0073】
眼への局所投与に適合された医薬製剤には、活性成分が適切な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁している点眼薬が挙げられる。
口内の局所投与に適合された医薬製剤には、ロゼンジ、香錠、および口内洗浄剤が挙げられる。
直腸投与に適合された医薬製剤は、坐薬としてまたは浣腸として提示することができる。
【0074】
担体が固形物である経鼻投与に適合された医薬製剤には、鼻から吸い込む方法、すなわち、鼻の近くに保持した粉末容器から鼻腔を通した急速な吸入によって投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末が挙げられる。鼻用スプレーまたは点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な製剤には、活性成分の水溶液または油溶液が挙げられる。
【0075】
吸入による投与に適合された医薬製剤には、様々なタイプの定量加圧式エアロゾル、ネブライザー、または注入器によって生成することができる、微粒子の塵または霧が挙げられる。
膣投与に適合された医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤として提示することができる。
【0076】
非経口投与に適合された医薬製剤には、抗酸化剤、バッファー、制菌剤、ならびに製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含む場合がある水性および非水性の無菌懸濁剤を含有してもよい、水性および非水性の滅菌注射液が挙げられる。製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアル中に存在してもよく、注射のため使用直前に、無菌の液体担体、例えば水の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)した状態で保存してもよい。無菌散剤、顆粒剤、および錠剤から即時調合注射液および懸濁剤を調製することができる。
【0077】
特に上述した成分に加えて、製剤には、問題の製剤のタイプを考慮して当技術分野で常用の他の薬剤を含むことができ、例えば経口投与に適した薬剤には、香味剤が含まれる場合があることを理解すべきである。
【0078】
下記の表1では、本開示の化合物と共に投与することができる化合物のいくつかの実例を一覧表示する。本開示の化合物は、一緒にもしくは別々に、または化合物を組成物に合わせることによって、併用療法において他の抗HCV作用化合物と共に投与することができる。
表1
【表1】















【0079】
本開示の化合物はまた、実験用試薬として使用することができる。化合物は、HCV疾患の機構の知識をさらに向上させるための、ウイルス複製アッセイの設計、動物アッセイ系の確認および構造生物学研究のための研究道具の提供において有益な場合がある。さらに、本開示の化合物は、例えば拮抗阻害によって、他の抗ウイルス性化合物の結合部位の確立または決定において有用である。
【0080】
本開示の化合物はまた、物質のウイルス汚染を処理または予防し、したがって実験室、またはこのような物質(例えば、血液、組織、手術器具および手術着、実験器具および実験着、ならびに採血もしくは輸血の装置および材料)と接触する医療関係者もしくは患者のウイルス感染の危険性を減少させるために使用することができる。
本開示は、合成過程によって、あるいは人体もしくは動物体(インビボ)内で生じる過程またはインビトロで生じる過程を含めた代謝過程によって調製される場合、式(I)を有する化合物を包含することを意図する。
【0081】
本願で用いられる略語、例えば、特に以下の実例となる反応式および実施例に用いられるものは、当業者によく知られている。用いられるいくつかの略語は以下の通りである:
OAc:アセテート;
t−Bu:tert−ブチル;
TBMDSCl:tert−ブチルジメチルシリルクロリド;
1,2−DME:1,2−ジメトキシエタン;
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド;
n−BuLiまたはn−buLi:n−ブチルリチウム;
THF:テトラヒドロフラン;
Et3N:トリエチルアミン;
TBMEまたはMTBE:tert−ブチルメチルエーテル;
rtまたはRT:室温または保持時間(文脈によって決まる);
BocまたはBOC:tert−ブトキシカルボニル;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
EtOH:エタノール;
MeCN:アセトニトリル;
TFA:トリフルオロ酢酸;
h:時間;
d:日;
EtOAc:酢酸エチル;
CDI:1,1'−カルボニルジイミダゾール;
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;
DCM:ジクロロメタン;
Et2O:ジエチルエーテル;
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムホスフェート;
NMM:N−メチルモルホリン;
DCE:1,2−ジクロロエタン;および
DIEAまたはDIPEA:ジイソプロピルエチルアミン。
【0082】
本開示の化合物の合成に有用な出発物質は当業者には公知であり、容易に製造することができ、または市販されている。
【0083】
以下に記載する下記の方法は、例示の目的のために提供するものであり、特許請求の範囲を制限することを意図しない。従来の保護基を使用して官能基を保護し、次いで保護基を除去して本開示の化合物を提供するようにこのような化合物を調製することが必要である場合があることが理解されるであろう。本開示による保護基の使用に関する詳細は、当業者には公知である。
【0084】
式(I)の化合物の構築において、上記に概説され、以下に詳細が記載される一般的な方法の一つを用いて、P1`末端は分子の中に組み込まれる。いくつかの例において、P1`成分、すなわちシクロアルキルまたはアルキルスルホンアミドは、市販品として入手可能であり、あるいは対応するアルキルまたはシクロアルキルスルホニルクロリドから、該スルホニルクロリドをアンモニアで処理することによって製造されうる。あるいは、これらのスルホンアミド類は、以下に概説する一般的な方法を用いて合成されうる。市販品として入手可能な3−クロロプロピルスルホニルクロリド(1)は、例えばtert−ブチルアミンで処理することによって、適当に保護したスルホンアミドに変換される。得られたスルホンアミド(2)は次いで、低温でTHFのような溶媒中、ブチルリチウムのような塩基の2当量で処理することによって、対応するシクロアルキルスルホンアミドに変換される。生じたシクロアルキルスルホンアミドは、酸で処理することによって脱保護されて、目的の保護されていないシクロアルキルスルホンアミドを与えうる。
【化11】

【0085】
置換シクロアルキルスルホンアミド類はまた、上記の手順を変更したものを用いて、式(I)の化合物に組み入れられうる。例えば、以下に示した中間体2を2当量の塩基、例えばブチルリチウムで処理してもよく、生じた反応混合物を求電子試薬、例えばヨウ化メチルで処理して、置換シクロアルキルスルホンアミド(3)を得てもよい。この中間体(3)をN末端で保護し、生じた化合物(4)を式(I)の化合物の製造における中間体として利用してもよい。
【化12】

【0086】
式(I)の化合物を製造するのに用いられるP1`中間体は、いくつかの場合において、スルファミド誘導体から誘導される。かかる場合において、該スルファミド中間体は、いくつかの合成経路によって、例えば、以下に概説される経路によって入手可能である。
【化13】

【0087】
THFのような溶媒中、−20℃のような低温で維持しながら、水(例えば、1当量)をクロロスルホニルイソシアネート1(例えば、1当量)に加えることによって、スルファモイルクロリド(2)をインサイチューで製造してもよい。生じた溶液を次いで0℃に加温する。この溶液に、塩基、例えば無水トリエチルアミン(例えば、1当量)を加え、続いてアミン(例えば、1当量)を加える。反応混合物を次いで室温に加温し、濾過し、該濾液を濃縮して、目的のスルファミド類(3)を得る。
【0088】
該スルファミド類は、いくつかの方法によって、例えば、以下に示される反応式に規定される合成経路に従うことによって、式(I)の化合物に組み入れられる。カルボン酸P1成分(1)をCDIのような活性化剤で処理する。セパレートフラスコ(separate flask)において、強塩基を上記のスルファミド溶液に加え、生じた反応混合物を数時間撹拌し、その後、この反応混合物を該活性化カルボン酸を入れたフラスコに加えて、アシルスルファミド誘導体(2)を得る。中間体様化合物2は、本明細書に記載した式(I)の化合物に変換されうる。
【化14】

【0089】
式(I)の化合物を生成する際に利用されるP1成分は、いくつかの場合、市販品として入手可能であるが、そうでなければ本明細書に記載される方法を用いて合成され、続いて本明細書に記載される方法を用いて式(I)の化合物に変換される。置換P1シクロプロピルアミノ酸は、以下の反応式に概説する一般的な方法に従って合成されうる。
【0090】
市販品として入手可能、または容易に合成されたイミン(1)を、塩基の存在下、1,4−ジハロブテン(2)で処理することによって、イミン(3)が提供される。次いで化合物3の酸加水分解によって、主要生成物として、カルボキシル基に対してシン(syn)のアリル置換基を有する化合物4が提供される。化合物4のアミン部分はBoc基を用いて保護されて、完全に保護されたアミノ酸5を与えうる。この中間体はラセミ体であり、化合物5のエステル部分がプロテアーゼによって開裂されて対応するカルボン酸を得る酵素的方法により、分割されうる。いずれの特定の理論にも拘束されず、エナンチオマーの一つがその鏡像体よりも著しく大きな速度でその反応を受け、中間体であるラセミ体の速度論的分割をもたらすという点で、この反応が選択的であると信じられている。本明細書で列挙された例において、式(I)の化合物に組み込むためのより好ましい立体異性体は、(1R,2S)立体化学を提供する化合物5aである。酵素の存在下、このエナンチオマーはエステル開裂を受けず、そのためこのエナンチオマー5aは反応混合物から回収される。しかしながら、(1S,2R)立体化学を提供する、より好ましくないエナンチオマー5bは、エステル開裂、すなわち、加水分解を受けて、遊離の酸6を提供する。この反応が完了すると、エステル5aは、慣用の方法、例えば水抽出法またはクロマトグラフィーによって、酸生成物6から分離されうる。
【化15】

【0091】
社内(in-house)で製造したコアのジペプチドアミンと、市販品として入手可能なN−アリールアミノ酸断片との伝統的なペプチドカップリングによって、いくつかのアミノアリール生成物を合成した。N−アリールアミノ酸断片が市販品として入手可能でなかった場合、それを合成した。これらのN−アリールアミノ酸断片への合成経路には、これらに限らないが、以下が含まれる:
(1)十分に求電子的な芳香族またはヘテロ芳香族種の、アミノ酸エステルによる求核芳香族置換、続いて該生成物の脱エステル化:
【化16】

(2)ハロゲン化アリールの結合またはハロゲン化ヘテロアリールの結合へのホスフィンリガンド媒介Pd(0)挿入を伴うブッフバルト・ハートウィッグ型反応、続いてアミノ酸tert−ブチルエステルによる置換、続いて該生成物の脱エステル化(Shen, Q.; Shekhar, S; Stambuli, J. P.; Hartwig, J. F. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 1371-1375.):
【化17】

(3)CuI媒介工程によって、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化ヘテロアリールと遊離アミノ酸を反応させて、該アリールアミノ酸を直接得ることによるウルマン様縮合(Ma, D.; Zhang, Y.; Yao, J.; Wu, S.; Tao, F. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 12459-12467.):
【化18】

(4)遊離アミノ酸のジアニオンの、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化ヘテロアリール(典型的にはフッ化物)への求核付加(Saitton, S.; Kihlberg, J.; Luthman, K. Tetrahedron 2004, 60, 6113-6120に類似):
【化19】

【0092】
いくつかの場合において、P3小領域の末端で遊離アミノ基を有する十分に構築された(assembled)コアのトリペプチドを用いた、該アリール環の直接的な求核芳香族置換によって、アミノアリール最終生成物の入手が達成されうる:
【化20】

【0093】
これらの反応は、該芳香環が、事実上、比較的穏和な条件下(すなわち、最小限の加熱が必要)で置換を生じさせるのに十分求電子的である場合に限られる。
【0094】
ラセミ体の(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの製造:
【化21】

段階1:
グリシンエチルエステル塩酸塩(304g、2.16モル)をtert−ブチルメチルエーテル(1.6L)に懸濁した。ベンズアルデヒド(231g、2.16モル)および無水硫酸ナトリウム(155g、1.09モル)を加え、氷水浴を用いて混合液を0℃に冷却した。トリエチルアミン(455mL、3.26モル)を30分かけて滴下して加え、混合液を室温で48時間撹拌した。次いで反応を、氷冷水(1L)を加えることによってクエンチし、有機層を分離した。水相をtert−ブチルメチルエーテル(0.5L)で抽出し、有機相を合わせて、飽和NaHCO3水(1L)および食塩水(1L)の混合液で洗浄した。有機物をMgSO4で乾燥し、減圧濃縮して、濃黄色油として、N−ベンジルイミン生成物(392.4g)を得て、それを次の段階に直接用いた。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 4.24 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 4.41 (d, J = 1.1 Hz, 2H), 7.39-7.47 (m, 3H), 7.78-7.81 (m, 2H), 8.31 (s, 1H).
【0095】
段階2:
リチウム tert−ブトキシド(84.1g、1.05mol)の乾燥トルエン懸濁溶液(1.2L)に、グリシンエチルエステルのN−ベンジルイミン(N-benzyl imine of glycine ethyl ester)(100g、0.526mol)およびtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン(107g、0.500mol)の乾燥トルエン混合溶液(0.6L)を60分かけて滴下して加えた。添加の完了後、水(1L)およびtert−ブチルメチルエーテル(TBME、1L)を加えることによって深赤色の混合液をクエンチした。水相を分離し、TBME(1L)で2回抽出した。有機相を合わせて、HCl(1.0M、1L)を加え、混合液を室温で2時間撹拌した。有機相を分離し、水(0.8L)で抽出した。次いで水相を合わせて、塩(700g)で飽和させ、TBME(1L)を加え、混合液を0℃に冷却した。次いでNaOH(10.0M)を滴下して加えることによって、撹拌混合液をpH=14まで塩基性にし、有機層を分離し、水相をTBME(2×500mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSO4で乾燥し、濾過し、1Lの容積に濃縮した。遊離アミンのこの溶液に、Boc2Oまたは二炭酸ジ−tert−ブチル(131g、0.600mol)を加え、混合液を室温で4日間撹拌した。追加の二炭酸ジ−tert−ブチル(50g、0.23mol)を反応に加え、混合液を3時間還流し、次いで終夜室温に冷却した。反応混合物をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、粗物質(80g)を得た。この残渣をフラッシュクロマトグラフィ(2.5kgのSiO2、1%〜2% MeOH/CH2Cl2で溶離)で精製して、黄色油として、ラセミ体のN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(57g、53%)を得て、それを冷蔵庫に静置すると凝固した:
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.43-1.49 (m, 1H), 1.76-1.82 (br m, 1H), 2.14 (q, J = 8.6 Hz, 1H), 4.18 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 5.12 (dd J = 10.3, 1.7 Hz, 1H), 5.25 (br s, 1H), 5.29 (dd, J = 17.6, 1.7 Hz, 1H), 5.77 (ddd, J = 17.6, 10.3, 8.9 Hz, 1H); MS m/z 254.16 (M-1).
【0096】
N−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの分割
【化22】

分割A
39℃に保持し、300rpmで撹拌し、12Lのジャケット付き反応器内に収容したリン酸ナトリウムバッファーの水溶液(0.1M、4.25リットル(「L」)、pH8)に、511グラムのAcalase2.4L(約425mL)(Novozymes North America Inc.)を加えた。混合物の温度が39℃に到達したときに、水中の50%NaOHを加えることによってpHを8.0に調節した。次いで、ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(85g)のDMSO(850mL)溶液を、40分に亘って加えた。次いで、反応温度を40℃に24.5時間保持し、その間に混合物のpHを、水中の50%NaOHを使用して1.5時間および19.5時間時点で8.0に調節した。24.5時間後、エステルのエナンチオ過剰率を97.2%であると決定し、反応物を室温(26℃)に冷却し、一晩撹拌し(16時間)、その後エステルのエナンチオ過剰率は100%であると決定した。次いで、反応混合物のpHを、50%NaOHで8.5に調節し、このように得られた混合物を、MTBE(2×2L)で抽出した。次いで、合わせたMTBE抽出物を5%NaHCO3(3×100mL)、水(3×100mL)で洗浄し、減圧蒸発させて、鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを淡黄色の固形物(42.55g;純度:97%@210nm、酸は含有せず;100%鏡像体過剰率(「ee」))として得た。
【0097】
次いで、抽出工程からの水層を、50%H2SO4でpH2まで酸性化し、MTBE(2×2L)で抽出した。MTBE抽出物を水(3×100mL)で洗浄し、蒸発させて、酸を淡黄色固形物(42.74g;純度:99%@210nm、エステルを含有せず)として得た。
【表2】

【表3】

【0098】
分割B
24ウェルプレート(容量:10mL/ウェル)のウェル中の100mM Heps・Naバッファー(pH=8.5)(0.5mL)に、0.1mLのSavinase16.0L(バチルス・クラウシイからのプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)およびラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)のDMSO(0.1mL)溶液を加えた。プレートを密封し、250rpmで40℃にてインキュベートした。18時間後、エステルのエナンチオ過剰率は、下記のように44.3%であると決定した。0.1mLの反応混合物を取り出し、1mLエタノールとよく混合し;遠心分離後、10マイクロリットル(「μl」)の上清をキラルHPLCで分析した。残りの反応混合物に、0.1mLのDMSOを加え、プレートをさらに3日間250rpmで40℃にてインキュベートし、その後4mLのエタノールをウェルに加えた。遠心分離後、10μlの上清をキラルHPLCで分析し、エステルのエナンチオ過剰率を100%であると決定した。
【0099】
分割C
24ウェルプレート(容量:10mL/ウェル)のウェル中の100mM Heps・Naバッファー(pH=8.5)0.5mLに、0.1mlのEsperase8.0L(バチルス・ハロデュランスからのプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)およびラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)のDMSO(0.1mL)溶液を加えた。プレートを密封し、250rpmで40℃にてインキュベートした。18時間後、エステルのエナンチオ過剰率は、下記のように39.6%であると決定した。0.1mLの反応混合物を取り出し、1mLのエタノールとよく混合し;遠心分離後、10μlの上清を、キラルHPLCで分析した。残りの反応混合物に、0.1mLのDMSOを加え、プレートをさらに3日間250rpmで40℃にてインキュベートし、その後4mLのエタノールをウェルに加えた。遠心分離後、10μlの上清をキラルHPLCで分析し、エステルのエナンチオ過剰率は100%であると決定した。
【0100】
試料分析を下記の方法によって行った。
1)試料の調製:約0.5mLの反応混合物を、10容量のEtOHとよく混合した。遠心分離後、10μlの上清をHPLCカラムに注入した。
2)変換の決定:
カラム:YMC ODS A、4.6×50mm、S−5μm
溶媒:A=1mM HClの水溶液;B=MeCN
グラジエント:1分間、30%B;0.5分間、30%〜45%B;1.5分間、45%B;0.5分間、45%〜30%B
流量:2mL/分
UV検出:210nm
保持時間:酸、1.2分;エステル、2.8分
3)エステルについてのエナンチオ過剰率の決定:
カラム:CHIRACEL OD−RH、4.6×150mm、S−5μm
移動相:MeCN/50mM HClの水溶液(67/33)
流量:0.75mL/分
UV検出:210nm
保持時間:
酸としての(1S,2R)異性体:5.2分;
ラセミ体:18.5分および20.0分;
エステルとしての(1R,2S)異性体:18.5分。
【0101】
シクロプロピルスルホンアミドの製造:
【化23】

【化24】

段階1:
tert−ブチルアミン(3.0mol、315mL)をTHF(2.5L)に溶解した。溶液を−20℃に冷却した。3−クロロプロパンスルホニルクロリド(1.5mol、182mL)をゆっくりと加えた。反応混合液を室温に加温し、24時間撹拌した。混合液を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をCH2Cl2(2.0L)に溶解した。生じた溶液を、1.0M HCl(1.0L)、水(1.0L)、食塩水(1.0L)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮して、わずかに黄色の固形物を得て、それをヘキサンから結晶化して、白色固形物として、生成物(316.0g、99%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 1.38 (s, 9 H), 2.30-2.27 (m, 2 H), 3.22 (t, J = 7.35 Hz, 2 H), 3.68 (t, J = 6.2 Hz, 2 H), 4.35 (b, 1 H).
【0102】
段階2:
N−tert−ブチル−(3−クロロ)プロピルスルホンアミド(2.14g、10.0mmol)のTHF溶液(100mL)に、−78℃で、n−BuLi(2.5M ヘキサン溶液、8.0mL、20.0mmol)を加えた。反応混合液を1時間かけて室温に加温した。揮発物を減圧留去した。残渣をEtOAcと水(各200mL)の間で分液した。分離した有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから再結晶して、白色固形物として、目的の生成物(1.0g、56%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ 0.98-1.00 (m, 2 H), 1.18-1.19 (m, 2 H), 1.39 (s, 9 H), 2.48-2.51 (m, 1 H), 4.19 (b, 1 H).
【0103】
段階3:
シクロプロパンスルホン酸tert−ブチルアミド(110g、0.62mmol)のTFA溶液(500mL)を室温で16時間撹拌した。揮発物を減圧留去した。残渣をEtOAc/ヘキサン(60mL/240mL)から再結晶して、白色固形物として、目的の生成物(68.5g、91%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 0.84-0.88 (m, 2 H), 0.95-0.98 (m, 2 H), 2.41-2.58 (m, 1 H), 6.56 (b, 2 H).
【0104】
P1P1'の製造:
【化25】

段階1:
1(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(3.28g、13.2mmol)のTHF(7mL)およびメタノール(7mL)溶液に、LiOH(1.27g、53.0mmol)の水懸濁溶液(14mL)を加えた。混合液を室温で終夜撹拌した。混合液に、NaOH(1.0M、15mL)、水(20mL)およびEtOAc(20mL)を加えた。混合液を振とうし、相を分離し、有機相をNaOH(20mL、0.5M)で再び抽出した。水相を合わせて、pH=4までHCl(1.0M)で酸性化し、EtOAc(3×40mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)して、白色固形物として、標題の化合物(2.62g、87%)を得た。
1H NMR: (DMSO-d6) δ1.22-1.26 (m, 1H), 1.37 (s, 9H), 1.50-1.52 (m, 1H), 2.05 (q, J = 9 Hz, 1H), 5.04 (d, J = 10 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 17 Hz, 1H), 5.64-5.71 (m, 1H), 7.18, 7.53 (s, NH (回転異性体), 12.4 (br s, 1H)); LC-MS MS m/z 228 (M+ +H).
【0105】
段階2:
段階1の生成物(2.62g、11.5mmol)およびCDI(2.43g、15.0mmol)のTHF溶液(40mL)を窒素下で50分間加熱還流した。溶液を室温に冷却し、シクロプロピルスルホンアミド(1.82g、15.0mmol)のTHF溶液(10mL)にカニューレで移した。生じた溶液に、DBU(2.40mL、16.1mmol)を加え、20時間撹拌し続けた。混合液をpH=1までHCl(1.0M)でクエンチし、THFを減圧蒸発させた。懸濁液をEtOAc(2×50mL)で抽出し、有機抽出物を合わせて、乾燥(Na2SO4)した。ヘキサン−EtOAc(1:1)からの再結晶による精製によって、白色固形物として、標題の化合物(2.4g)を得た。母液をバイオタージ40Sカラム(9% アセトンのDCM溶液で溶離)で精製して、第2バッチの標題の化合物(1.1g)を得た。両方のバッチを合わせた(全収率92%)。
1H NMR: (DMSO-d6) δ 0.96-1.10 (m, 4H), 1.22 (dd, J = 5.5, 9.5 Hz, 1H), 1.39 (s, 9H), 1.70 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 2.19-2.24 (m, 1H), 2.90 (m, 1H), 5.08 (d, J = 10 Hz, 1H), 5.23 (d, J = 17 Hz, 1H), 5.45 (m, 1H), 6.85, 7.22 (s, NH (回転異性体)); LC-MS, MS m/z 331 (M+ +H).
【0106】
段階3:
段階2の生成物(3.5g、10.6mmol)のDCM(35mL)およびTFA(32mL)溶液を室温で1.5時間撹拌した。揮発物を減圧留去し、残渣を1.0M HClのジエチルエーテル溶液(20mL)に懸濁させ、減圧濃縮した。この手順を1回繰り返した。生じた混合物をペンタンでトリチュレートし、濾過して、吸湿性のオフホワイトの固形物として、標題の化合物(2.60g、92%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.01-1.15 (m, 4H), 1.69-1.73 (m, 1H), 1.99-2.02 (m, 1H), 2.38 (q, J = 9 Hz, 1H), 2.92-2.97 (m, 1H), 5.20 (d, J = 11 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 17 Hz, 1H), 5.52-5.59 (m, 1H), 9.17 (br s, 3H); LC-MS, MS m/z 231 (M+ +H).
【0107】
実施例1:化合物1Aおよび1Bの製造
【化26】

【化27】

段階1.
6−フェニル−4−(チオフェン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン(1.07mg、4.23mmol)(S. Wang et al., Synthesis 4, 487-490, 2003に従って製造)のオキシ塩化リン溶液(15mL)を3日間還流するまで加熱した。過剰のオキシ塩化リンを減圧留去し、残渣を氷水でトリチュレートした。トリチュレートしたもの(triturant)をNaOH水で塩基性にし、生成物をDCM中に抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し、セライトを通して濾過し、蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製して、白色固形生成物(624mg、収率54%)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 7.16 (dd, J=5.13, 3.7 Hz, 1H), 7.44-7.52 (m, 5H), 7.55 (dd, J=3.7, 1.1 Hz, 1H), 7.79 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.02 (dd, J=8.1, 1.5 Hz, 2H); LC-MS , MS m/z 272 (M++H).
【0108】
【化28】

【化29】

【化30】

段階2.
BOC−Hyp−OH(254mg、1.1mmol)のDMSO溶液(5mL)に、カリウム tert−ブトキシド(295mg、2.5mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後、実施例1,段階1からのクロロピリジン生成物を加え、生じた混合液を室温で終夜撹拌した。反応混合液をEtOAcとクエン酸水の間で分液した。有機相をH2Oおよび食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、減圧蒸発させた。粗混合物のLC/MSによって、生成物:クロロピリジン出発物質の2.5:1 混合物が示された。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、90:10 DCM:MeOH)で精製して、固形生成物(270mg、収率58%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 1.45 (s, 9H), 2.37-2.42 (m, 1H), 2.63 (q, J=13.9 Hz, 1H), 3.79 (d, J=11.9 Hz, 1H), 3.88 (d, J=12.2 Hz, 1H), 4.41-4.46 (m, 1H), 5.70 (br s, 1H), 6.92 (br s, 1H), 7.15 (d, J=3.4 Hz, 1H), 7.40 (t, J=6.1 Hz, 1H), 7.45 (q, J=6.7 Hz, 2H), 7.51 (d, J=4.0Hz, 1H), 7.65 (br s, 2H), 8.05 (d, J=7.0 Hz, 2H); LC-MS , MS m/z 467 (M++H).
【0109】
段階3.
実施例1,段階2からの生成物(260mg、0.56mmol)を、N−メチルモルホリン(284mg、2.79mmol), シクロプロパンスルホン酸(1−(R)−アミノ−2−(S)−ビニル−シクロプロパンカルボニル)−アミド HCl塩(202mg、0.61mmol)およびHATU(276mg、0.73mmol)のDCM溶液(5mL)と混合した。室温で2時間撹拌した後、反応混合液をクエン酸水に注ぎ、生成物をEtOAcで抽出した。有機層を重炭酸水、および食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、減圧蒸発させた。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、1.5% MeOHのDCM溶液)で精製して、白色固形生成物(250mg、収率66%)を得た。
NMR (CD3OD) δ 1.07 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.18 (dd, J=9.5, 4.3 Hz, 1H), 1.23-1.29 (m, 1H), 1.43 (q, J=6.1 Hz, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.88 (q, J=5.5 Hz, 1H), 2.25 (q, J=8.5 Hz, 1H), 2.30 (dd, J=9.5, 4.6 Hz, 1H), 2.51 (dd, J=13.5 Hz, 1H), 2.93-2.97 (m, 1H), 3.77 (d, J=11.9 Hz, 1H), 3.89 (dd, J=11.6, 4.1Hz, 1H), 4.32 (t, J=8.3 Hz, 1H), 5.12 (d, J=10.4 Hz, 1H), 5.31 (d, J=17.1 Hz, 1H), 5.76 (br s, 1H), 6.93 (s, 1H), 7.16 (t, J=4.3 Hz, 1H), 7.41 (t, J=6.9 Hz, 1H), 7.46 (t, J=7.5 Hz, 2H), 7.54 (d, J=4.9 Hz, 1H), 7.68 (br s, 2H), 8.06 (d, J=7.6 Hz, 2H); LC-MS , MS m/z 678 (M++H).
【0110】
段階4.
実施例1,段階3の生成物(0.707g、1.04mmol)の1:1 DCM:DCE溶液(20mL)に、TFA(10mL)を加えた。室温で0.5時間撹拌した後、反応液を減圧濃縮した。生じた残渣をDCE(20mL)に再溶解し、再濃縮した。生じた茶色粘性油を次いでDCM(3mL)に溶解し、速く撹拌した1N HClのEt2O溶液(100mL)に滴下して加えた。生じた沈澱であるオフホワイトの固形物(0.666g、収率98%)を減圧濾過によって得て、Et2Oで洗浄した。
LC-MS, MS m/z 579 (M++H).
【0111】
段階5.
実施例1,段階4の生成物(240.0mg、0.368mmol)、DIEA(0.277g、2.14mmol)および(+/−)−2−(4,6−ジメチルピリジン−2−イルアミノ)−3−メチルブタン酸(0.135g、0.610mmol、Specsから購入、カタログ番号AP−836/41220382)のDCM混合溶液(4mL)に、HATU(210.1mg、0.552mmol)を加えた。反応液を室温で8時間撹拌した。反応をさらに完了へと進めるために、追加のHATU(070.0mg、0.184mmol)、(+/−)−2−(4,6−ジメチルピリジン−2−イルアミノ)−3−メチルブタン酸(0.141.0mg、0.0.184mmol)を加え、生じた混合液をさらに8時間撹拌した。混合液を減圧濃縮し、EtOAc(50mL)に溶解し、1.0M HCl水(2×5mL)で洗浄した。HCl洗浄液を合わせて、EtOAc(50mL)で逆抽出した。有機物を合わせて、10% NaHCO3水(50mL)および食塩水で洗浄し、次いでMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。逆相プレパラティブHPLC(Sunfire 分取HPLCカラム、溶媒A=0.1% TFAを含むH2O、溶媒B=0.1% TFAを含むMeOH、30分 グラジエント:15%Aで開始し、100%Bまで)で精製して、LCMSによる同一のm/zを有する2つの生成物を得た。各生成物についてのHPLC画分を合わせて、濃縮し、HCl(1N)およびMeOHで処理し、次いで再濃縮し、減圧乾燥して、モノHCl塩生成物を得た。逆相プレパラティブHPLCによって溶離する第1の異性体を化合物1A(91.0mg、28.9%)と標識し、溶離する第2の異性体を化合物1B(16.9mg、5.4%)と標識した。
【0112】
化合物1A:1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.01 (d, J=6.7 Hz, 3 H), 1.09 (d, J=6.7 Hz, 3 H), 1.11 - 1.17 (m, 2 H), 1.20 - 1.32 (m, 2 H), 1.44 - 1.49 (m, 1 H), 1.94 (dd, J=8.2, 5.5 Hz, 1 H), 2.18 - 2.24 (m, 3 H), 2.25 - 2.35 (m, 2 H), 2.34 - 2.38 (m, 3 H), 2.39 - 2.49 (m, 2 H), 2.63 (dd, J=13.4, 7.0 Hz, 1 H), 2.94 - 3.03 (m, 1 H), 4.15 - 4.28 (m, 2 H), 4.52 (d, J=7.6 Hz, 1 H), 4.58 - 4.65 (m, 1 H), 5.17 (d, J=10.4 Hz, 1 H), 5.36 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.73 - 5.86 (m, 1 H), 6.00 (s, 1 H), 6.59 (s, 1 H), 6.75 (s, 1 H), 6.90 - 6.93 (m, 1 H), 7.17 - 7.23 (m, 1 H), 7.44 - 7.55 (m, 3 H), 7.56 - 7.62 (m, 1 H), 7.70 - 7.80 (m, 2 H), 8.15 (d, J=7.3 Hz, 2 H)LC-MS , MS m/z 783 (M++H).
化合物1B:1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.96 (d, J=6.4 Hz, 6 H), 1.00 - 1.14 (m, 4 H), 1.30 - 1.38 (m, 1 H), 1.39 - 1.45 (m, 1 H), 1.93 (dd, J=8.1, 5.3 Hz, 1 H), 2.03 - 2.15 (m, 1 H), 2.32 (q, J=8.7 Hz, 1 H), 2.40 - 2.42 (m, 3 H), 2.43 - 2.48 (m, 3 H), 2.58 - 2.67 (m, 1 H), 2.82 - 2.92 (m, 2 H), 4.19 - 4.28 (m, 1 H), 4.62 (dd, J=16.6, 7.2 Hz, 2 H), 5.17 (d, J=11.9 Hz, 1 H), 5.35 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.73 - 5.83 (m, 1 H), 6.01 (s, 1 H), 6.69 (s, 1 H), 6.83 (s, 1 H), 6.96 (s, 1 H), 7.18 - 7.25 (m, 1 H), 7.43 - 7.55 (m, 3 H), 7.57 - 7.63 (m, 1 H), 7.72 - 7.77 (m, 1 H), 7.80 (s, 1 H), 8.15 (d, J=7.3 Hz, 2 H), 9.53 (s, 1 H); LC-MS , MS m/z 783 (M++H).
【0113】
実施例2:化合物2の製造.
【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

段階1.
実施例1,段階3の生成物と同じ手順で、実施例1,段階2の生成物の代わりにBOC−Hyp−OHから開始して、実施例2,段階1の生成物を製造した。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.09 (d, J=7.63 Hz, 2 H) 1.16 - 1.22 (m, 1 H) 1.25 - 1.32 (m, 1 H) 1.42 (dd, J=9.46, 5.49 Hz, 1 H) 1.47 (s, 1.7 H) 1.50 (s, 7.3 H) 1.88 (dd, J=8.09, 5.34 Hz, 1 H) 1.94 - 2.03 (m, 1 H) 2.13 (dd, J=12.97, 6.87 Hz, 1 H) 2.26 (q, J=8.85 Hz, 1 H) 2.97 (ddd, J=12.51, 8.09, 4.73 Hz, 1 H) 3.47 (d, J=11.60 Hz, 1 H) 3.56 - 3.62 (m, 1 H) 4.25 (dd, J=9.61, 6.87 Hz, 1 H) 4.42 (s, 1 H) 5.15 (d, J=10.38 Hz, 1 H) 5.34 (d, J=17.09 Hz, 1 H) 5.74 - 5.85 (m, 1 H); LCMS, MS m/z = 442 (M-H)-.
【0114】
段階2.
実施例2,段階1からの生成物(1.0g、2.25mmol)のDCM溶液(20mL)に、1,1'−カルボニルジイミダゾール(439mg、2.71mmol)を加えた。室温で3時間撹拌した後、4−フルオロイソインドリン(L. M. Blatt et al. PCT Int. Appl. (2005), 244 pp, WO 2005037214に見られる手順に従って製造)(617mg、4.50mmol)を加え、生じた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合液をEtOAc(100mL)で希釈し、HCl水(2×10mL、1N)で洗浄した。水層をEtOAc(2×50ml)で抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、暗褐色粘性油に濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、97:3および95:5 DCM:MeOH)で精製して、灰色泡状固形物(1.3g、収率95%)を得た。
1H NMR (500 MHz, クロロホルム-D) δ ppm 1.29 - 1.37 (m, 2 H) 1.38 - 1.45 (m, 2 H) 1.47 (s, 9 H) 1.95 - 2.00 (m, 1 H) 2.07 - 2.14 (m, 1 H) 2.28 - 2.35 (m, 1 H) 2.37 - 2.46 (m, 1 H) 2.90 - 2.97 (m, 1 H) 3.65 (d, J=12.80 Hz, 1 H) 3.72 (d, J=12.50 Hz, 1 H) 4.26 (t, J=7.02 Hz, 1 H) 4.68 (d, J=9.46 Hz, 2 H) 4.77 (d, J=9.16 Hz, 2 H) 5.15 (d, J=10.38 Hz, 1 H) 5.29 (d, J=17.10 Hz, 1 H) 5.33 (s, 1 H) 5.73 - 5.84 (m, 1 H) 6.97 (t, J=8.70 Hz, 1 H) 7.01 (d, J=7.63 Hz, 1 H) 7.28 (dd, J=8.09, 2.90 Hz, 1 H) 10.00 (s, 1 H); LC-MS , MS m/z 629 (M++Na).
【0115】
段階3.
実施例1,段階4の生成物の製造に記載したものと同じ手順で、実施例2,段階2の生成物から、収率94%で、実施例2,段階3の生成物を製造した。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.05 - 1.11 (m, 1 H) 1.11 - 1.17 (m, 1 H) 1.18 - 1.23 (m, 1 H) 1.27 - 1.34 (m, 1 H) 1.40 (dd, J=9.61, 5.65 Hz, 1 H) 1.98 (dd, J=7.93, 5.80 Hz, 1 H) 2.27 - 2.33 (m, 1 H) 2.36 (q, J=8.80 Hz, 1 H) 2.75 (dd, J=14.34, 7.32 Hz, 1 H) 2.96 - 3.03 (m, 1 H) 3.65 - 3.75 (m, 2 H) 4.61 - 4.67 (m, 1 H) 4.78 (s, 2 H) 5.19 (d, J=10.38 Hz, 1 H) 5.36 (d, J=17.09 Hz, 1 H) 5.48 (s, 1 H) 5.64 - 5.73 (m, 1 H) 7.06 (t, J=8.70 Hz, 1 H) 7.17 (dd, J=16.17, 7.63 Hz, 1 H) 7.37 (q, J=7.63 Hz, 1 H); LC-MS , MS m/z 507 (M++H).
【0116】
段階4.
実施例1,段階5の生成物の製造に記載したものと同じ手順で、実施例2,段階3の生成物から、収率24.9%(化合物2A)および収率8.4%(化合物2B)で、実施例2,段階4の生成物を製造した。
【0117】
化合物2A:1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.03 (d, J=4.9 Hz, 3 H), 1.11 (d, J=5.5 Hz, 3 H), 1.13 - 1.20 (m, 2 H), 1.24 - 1.30 (m, 2 H), 1.45 (dd, J=9.5, 5.2 Hz, 1 H), 1.93 (dd, J=8.1, 5.3 Hz, 1 H), 2.23 - 2.32 (m, 2 H), 2.35 (s, 3 H), 2.48 (s, 3 H), 2.49 - 2.55 (m, 1 H), 2.94 - 3.03 (m, 1 H), 4.03 - 4.10 (m, 1 H), 4.20 (d, J=12.2 Hz, 1 H), 4.54 (t, J=7.6 Hz, 1 H), 4.62 (d, J=6.4 Hz, 1 H), 4.67 (s, 1 H), 4.71 - 4.78 (m, 4 H), 5.17 (d, J=10.1 Hz, 1 H), 5.35 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.50 (d, J=3.7 Hz, 1 H), 5.75 - 5.86 (m, 1 H), 6.67 (s, 1 H), 6.86 (s, 1 H), 7.18 (d, J=7.6 Hz, 2 H), 7.32 - 7.41 (m, 1 H); LC-MS , MS m/z 711 (M++H).
化合物2B:1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.03 - 1.13 (m, 8 H), 1.26 - 1.32 (m, 1 H), 1.38 - 1.42 (m, 1 H), 1.91 (dd, J=8.1, 5.3 Hz, 1 H), 2.20 - 2.36 (m, 4 H), 2.44 (s, 3 H), 2.49 (s, 3 H), 2.83 - 2.90 (m, 2 H), 2.91 - 2.99 (m, 1 H), 3.14 - 3.25 (m, 1 H), 4.11 - 4.18 (m, 2 H), 4.50 - 4.56 (m, 1 H), 4.65 - 4.69 (m, 1 H), 4.71 (s, 1 H), 4.77 (d, J=5.8 Hz, 4 H), 5.16 (d, J=11.6 Hz, 1 H), 5.35 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.50 (s, 1 H), 5.70 - 5.81 (m, 1 H), 6.72 (s, 1 H), 6.85 (s, 1 H), 7.05 (d, J=9.2 Hz, 1 H), 7.14 (d, J=7.3 Hz, 1 H), 7.19 (d, J=7.9 Hz, 1 H), 7.33 - 7.41 (m, 1 H); LC-MS , MS m/z 711 (M++H).
【0118】
実施例3:化合物3の製造.
【化35】

【化36】

段階1:
m−アニシジン(300g、2.44mol)およびベンゾイル酢酸エチル(234.2g、1.22mol)のトルエン溶液(2.0L)に、HCl(4.0N ジオキサン溶液、12.2mL、48.8mmol)を加えた。ディーン・スターク装置(約56mLの水溶液を集めた)を用いて、生じた溶液を6.5時間還流した。混合液を室温に冷却し、HCl水(10%、3×500mL)、NaOH水(1.0N、2×200mL)、水(3×200mL)で複数回分液し、有機層を乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、油性残渣(329.5g)を得た。ディーン・スターク装置(約85mLの液体を集めた)を用いて、粗生成物を油浴(280℃)中で80分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、固形残渣をCH2Cl2(400mL)でトリチュレートし、生じた懸濁液を濾過し、濾過ケーキをさらなるCH2Cl2(2×150mL)で洗浄した。生じた固形物を減圧乾燥(50℃;1トル;1日)して、薄茶色固形物として、分析的に純粋な生成物(全部で60.7g、20%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 3.86 (s, 3H), 6.26 (s, 1H), 6.94 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.55-7.62 (m, 3H), 7.80-7.84 (m, 2H), 8.00 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 11.54 (s, 1H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 55.38, 99.69, 107.07, 113.18, 119.22, 126.52, 127.17, 128.97, 130.34, 134.17, 142.27, 149.53, 161.92, 176.48. LC-MS (MS m/z 252 (M++1).
【0119】
段階2:
段階1の生成物(21.7g、86.4mmol)をPOCl3(240mL)に懸濁した。懸濁液を2時間還流した。POCl3を減圧留去した後、残渣を酢酸エチル(1L)と冷たいNaOH水(1.0N 200mL NaOHおよび20mL 10.0N NaOHから生成)の間で分液し、15分間撹拌した。有機層を水(2×200mL)、食塩水(200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮して、薄茶色固形物として、目的の生成物(21.0g、90%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 3.97 (s, 3H), 7.36 (dd, J = 9.2, 2.6 Hz, 1H), 7.49-7.59 (m, 4H), 8.08 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.26-8.30 (m, 2H); 13C NMR (DMSO-d6) δ 55.72, 108.00, 116.51, 119.52, 120.48, 124.74, 127.26, 128.81, 130.00, 137.58, 141.98, 150.20, 156.65, 161.30. LC-MS ( MS m/z 270 (M++1).
【0120】
【化37】

段階1:
1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(9.39g、36.8mmol)の(1R,2S)および(1S,2R)のラセミ混合物を、4N HCl/ジオキサン(90mL、360mmol)に溶解し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、定量的収率で、目的の生成物(7g、100%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 1.32 (t, J = 7.1, 3H), 1.72 (dd, J = 10.2, 6.6 Hz, 1H), 1.81 (dd, J = 8.3, 6.6 Hz, 1H), 2.38 (q, J = 8.3 Hz, 1H), 4.26-4.34 (m, 2H), 5.24 (dd, 10.3, 1.3 Hz, 1H) 5.40 (d, J = 17.2, 1H), 5.69-5.81 (m, 1H).
【0121】
【化38】

段階1:
Boc−4R−ヒドロキシプロリン(16.44g、71.1mmol)のDMSO懸濁溶液(250mL)に、t−BuOK(19.93g、177.6mmol)を0℃で加えた。生成した混合液を1.5時間撹拌し、次いで反応式1,段階2の生成物(21.02g、77.9mmol)を3回に分けて1時間かけて加えた。反応液を1日中撹拌し、冷水(1.5L)に注ぎ、ジエチルエーテル(4×200mL)で洗浄した。水溶液をpH 4.6に酸性化し、濾過して、白色固形物を得て、減圧乾燥して、生成物(32.5g、98%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.32, 1.35 (2つのs (回転異性体) 9H), 2.30-2.42 (m, 1H), 2.62-2.73 (m, 1H), 3.76 (m, 2H), 3.91 (s, 3H), 4.33-4.40 (m, 1H), 5.55 (m, 1H), 7.15 (dd, J = 9.2, 2.6 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.42-7.56 (m, 4H), 7.94-7.99 (m, 1H), 8.25, 8.28 (2s, 2H), 12.53 (brs, 1H); LC-MS , MS m/z 465 (M++1).
【0122】
段階2A:
段階1の生成物(11.0g、23.7mmol)、反応式2,段階1の生成物(5.40g、28.2mmol)、およびNMM(20.8mL;18.9mmol)の50% CH2Cl2/THF溶液(500mL)に、カップリング試薬のブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(Pybrop)(16.0g、34.3mmol)を3回に分けて0℃で10分間加えた。溶液を室温で1日中撹拌し、次いでpH 4.0緩衝液(4×50mL)で洗浄した。有機層を飽和NaHCO3水(100mL)で洗浄し、水洗液(aqueous wash)を酢酸エチル(150mL)で抽出し、有機層をpH 4.0緩衝液(50mL)および飽和NaHCO3水(50mL)で逆洗浄した。有機溶液を乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、50% 酢酸エチル/ヘキサンで溶離)で精製して、全部で7.5gの目的の生成物の(1R,2S)および(1S,2R)P1異性体の1:1 混合物(全部で50%)を得たか、あるいは、15%〜60% 酢酸エチルのヘキサン溶液のグラジエントでゆっくり溶離して、高いRfで溶離した(1R,2S)P1異性体(3.54g、25%)、および低いRfで溶離した(1S,2R)P1異性体(3.54g、25%)を得た。
【0123】
(1R,2S)P1異性体についてのデータ:
1H NMR (CDCl3) δ 1.21 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.43 (s, 9H), 1.47-1.57 (m, 1H), 1.88 (m, 1H), 2.05-2.19 (m, 1H), 2.39 (m, 1H), 2.88 (m, 1H), 3.71-3.98 (m, 2H), 3.93 (s, 3H), 4.04-4.24 (m, 2H), 4.55 (m, 1H), 5.13 (d, J = 10 Hz, 1H), 5.22-5.40 (m, 1H), 5.29 (d, J = 17 Hz, 1H), 5.69-5.81 (m, 1H), 7.02 (brs, 1H), 7.09 (dd, J = 9, 2 Hz, 1H), 7.41-7.52 (m, 4H), 7.95 (d, J = 9 Hz, 1H), 8.03, 8.05 (2s, 2H); 13C NMR (CDCl3) δ: 14.22; 22.83, 28.25, 33.14, 33.58, 39.92, 51.84, 55.47, 58.32, 61.30, 75.86, 81.27, 98.14, 107.42, 115.00, 117.84, 118.27, 122.63, 123.03, 127.50, 128.72, 129.26, 133.39, 140.06, 151.23, 159.16, 160.34, 161.35, 169.78, 171.68. LC-MS ( MS m/z 602 (M++1).
【0124】
(1S,2R)P1異性体についてのデータ:
1H NMR δ 1.25 (t, J = 7 Hz, 3H), 1.44 (s, 9H), 1.46-1.52 (m, 1H), 1.84 (m, 1H), 2.12-2.21 (m, 1H), 2.39 (m, 1H), 2.94 (m, 1H), 3.82 (m, 2H), 3.97 (s, 3H), 4.05-4.17 (m, 2H), 4.58 (m, 1H), 5.15 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 17 Hz, 1H), 5.30-5.43 (m, 1H), 5.72-5.85 (m, 1H), 7.05 (s, 1H), 7.13 (dd, J = 9, 2 Hz, 1H), 7.46-7.60 (m, 4H), 7.98 (d, J = 9, 1H), 8.06-8.10 (m, 2H). LC-MS MS m/z 602 (M++1).
【0125】
段階2B:
反応式2,段階1の生成物(7.5g、39.1mmol)を、ジイソプロピルエチルアミン(32.5mL、186mmol)のジクロロメタン溶液(150mL)と混合した。生じた混合物に、HOBT水和物(6.85g、44.7mmol)および段階1からの生成物(17.3g、37.3mmol)を加え、続いてHBTU(16.96g、44.7mmol)を加えた。すぐにわずかな発熱が生じ、混合液を室温で終夜撹拌した。混合液を次いで減圧濃縮し、酢酸エチル(600mL)に再溶解した。溶液を、水(2×200mL)、次いで10% 炭酸水素ナトリウム水(2×200mL)、次いで水(150mL)、最終に食塩水(150mL)で洗浄した。有機物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液をベージュ色のガラス状固形物に減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、66% ヘキサン/酢酸エチルで溶離)によって複数のバッチ(各7g)で精製を行って、最初に溶離した異性体として、(1R,2S)P1異性体(全部で9.86g、収率44.0%)を得て、続いて2番目に溶離した異性体として、(1S,2R)P1異性体(全部で10.43g、収率46.5%)を得た。合計1.97gの混合した画分を回収して、2つのジアステレオマーへの全変換99.3%を得た。
【0126】
(1R,2S)P1異性体についてのデータ:
1H NMR (メタノール-d4) δ 1.23 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.4 (s, 4H), 1.45 (s, 6H), 1.73 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 0.4H), 1.79 (dd, J = 7.8, 2.4 Hz, 0.6H), 2.21 (q, J = 8.2 Hz, 1H), 2.44-2.49 (m, 1H), 2.66-2.72 (m, 0.4H), 2.73-2.78 (m, 0.6H), 3.93-3.95 (m, 2H), 3.96 (s, 3H), 4.10-4.17 (m, 2H), 4.44 (q, J = 7.8 Hz, 1H), 5.13 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 5.31 (d, J = 17.7Hz, 0.4H), 5.32 (d, J = 17.4 Hz, 0.6H), 5.49 (bs, 1H), 5.66-5.82 (m, 1H), 7.16 (dd, J = 9.2, 2.5 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.42 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.48-7.55 (m, 3H), 8.02-8.05 (m, 3H); LC-MS (MS m/z 602 (M++1).
【0127】
(1S,2R)P1異性体についてのデータ:
1H NMR (メタノール-d4) δ 1.23 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.40 (s, 3.5H), 1.43 (s, 6.5H), 1.8 (dd, J = 7.2, 5.3 Hz, 0.4H), 1.87 (dd, J = 7.8, 5.7 Hz, 0.6H), 2.16 (q, J = 8.9 Hz, 0.6H), 2.23 (q, J = 8.85 Hz, 0.4H), 2.42-2.50 (m, 1H), 2.67-2.82 (m, 1H), 3.87-3.95 (m, 2H), 3.96 (s, 3H), 4.07-4.19 (m, 3H), 4.41-4.47 (m, 1H), 5.09-5.13 (m, 1H), 5.30 (dd, J = 17.09, 0.92 Hz, 1H), 5.48 (s, 1H), 5.70-5.77 (m, 1H), 7.15 (dd, J = 9.16, 2.44 Hz, 1H), 7.25 (s, 1H), 7.41 (d, J = 2.14 Hz, 1H), 7.48-7.55 (m, 3H), 8.02-8.05 (m, 3H); LC-MS ( MS m/z 602 (M++1).
【0128】
【化39】

段階1:
反応式3,段階2の(1R,2S)P1異性体(9.86g、16.4mmol)を、1N NaOH(50mL、50mmol)のTHF(150mL)およびメタノール(80mL)混合溶液で12時間処理した。水相のみが残存するまで、混合液を減圧濃縮した。水(100mL)を加え、pH 3に達するまでHCl(1N)をゆっくりと加えた。混合液を次いで酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮して、白色粉末として、目的の生成物(9.2g、収率98%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 1.41 (s, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.77 (dd, J = 7.9, 5.5 Hz, 1H), 2.16-2.21 (m, 1H), 2.44-2.51 (m, 1H), 2.74-2.79 (m, 1H), 3.93-3.96 (m, 2H), 3.98 (s, 3H), 4.44 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 5.11 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.30 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.52 (s, 1H), 5.79-5.86 (m, 1H), 7.22 (dd, J = 9.16, 2.14 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.43 (d, J = 2.14 Hz, 1H), 7.54-7.60 (m, 3H), 8.04 (dd, J = 7.8, 1.4 Hz, 2H), 8.08 (d, J = 9.1 Hz, 1H); LC-MS (MS m/z 574 (M++1).
【0129】
段階2:
段階1の生成物(7.54g、13.14mmol)をCDI(3.19g、19.7mmol)およびDMAP(2.41g、19.7mmol)の無水THF溶液と混合し、生じた混合物を45分間還流するまで加熱した。わずかに不透明な混合液を室温に冷却し、それにシクロプロピルスルホンアミド(1.91g、15.8g)を加えた。DBU(5.9mL、39.4mmol)を加えると、混合液は透明になった。茶色溶液を終夜撹拌した。混合液を次いで油に減圧濃縮し、酢酸エチル(500mL)に再溶解した。溶液をpH 4緩衝液(3×200mL)で洗浄し、緩衝洗浄液を合わせて、酢酸エチル(200mL)で逆抽出した。有機物を合わせて、食塩水(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧濃縮して、ベージュ色の固形物を得た。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO2、25% ヘキサン/酢酸エチルで溶離)で精製して、目的の生成物(5.85g、収率66%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 1.03-1.09 (m, 2H), 1.15-1.28 (m, 2H), 1.40-1.44 (m, 2H), 1.46 (s, 9H), 1.87 (dd, J = 8.1, 5.6 Hz, 1H), 2.21-2.27 (m, 1H), 2.36-2.42 (m, 1H), 2.65 (dd, J = 13.7, 6.7 Hz, 1H), 2.93-2.97 (m, 1H), 3.90-3.96 (m, 2H), 4.00 (s, 3H), 4.40 (dd, J = 9.5, 7.0 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 5.31 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 5.64 (s, 1H), 5.73-5.80 (m, 1H), 7.30 (dd, J = 9.2, 2.1 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.61-7.63 (m, 3H), 8.04-8.05 (m, 2H), 8.15 (d, J = 9.5 Hz, 1H); LC-MS (MS m/z 677 (M++1).
【0130】
段階3A:
段階2の生成物(5.78g、8.54mmol)を、4.0M HClの1,4−ジオキサン溶液(50mL、200mmol)で終夜処理した。反応混合物を減圧濃縮し、数日間50℃で真空オーブン中に置いた。ベージュ色の粉末として、目的の生成物(5.85g、定量的)を得た。
1H NMR (メタノール-d4) δ 1.03-1.18 (m, 3H), 1.26-1.30 (m, 1H), 1.36-1.40 (m, 2H), 1.95 (dd, J = 8.2, 5.8 Hz, 1H), 2.37 (q, J = 8.9 Hz, 1H), 2.51-2.57 (m, 1H), 2.94-2.98 (m, 1H), 3.09 (dd, J = 14.6, 7.3 Hz, 1H), 3.98 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 3.99 (s, 1H), 4.08 (s, 3H), 4.80 (dd, J = 10.7, 7.6 Hz, 1H), 5.15 (dd, J = 10.2, 1.4 Hz, 1H), 5.32 (dd, J = 17.1, 1.2 Hz, 1H), 5.61-5.69 (m, 1H), 5.99 (t, J = 3.7 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 9.3, 2.3 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.72-7.79 (m, 3H), 8.09 (dd, J = 7.0, 1.5 Hz, 2H), 8.53 (d, J = 9.2 Hz, 1H); LC-MS (MS m/z 577 (M++1).
【0131】
段階3B:
(2S,4R)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル、段階2の生成物(3.0g、4.43mmol)の1:1 DCM(25mL)/DCE(25.00mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(25mL、324mmol)を加えた。25℃で0.5時間撹拌した後、生じた茶色反応混合物を茶色粘性油に濃縮し、それをDCE(50mL)に再溶解し、再濃縮した。残渣をDCM(10mL)に溶解し、1N HClのEt2O溶液(50mL、50.0mmol)を滴下して加えた。生じた薄茶色沈澱を濾過し、1N HClのEt2O溶液(40mL)で洗浄し、1時間50℃の真空オーブン中で乾燥して、薄茶色固形物として、(2S,4R)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシアミド,2HCl塩(2.8g、4.31mmol、収率97%)を得た。1H−NMRによって、生成物には約0.75当量のテトラメチル尿素副生成物(一重線としての2.83ppmでのシグナル)が含まれることが示されたが、この物質をさらに精製することなく次の段階に用いた。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.0 - 1.2 (m, 3H), 1.2 - 1.3 (m, 1H), 1.4 (dd, J = 9.5, 5.5 Hz, 2H), 1.9 (dd, J = 7.9, 5.8 Hz, 2H), 2.4 (q, J = 8.7 Hz, 1H), 2.5 - 2.6 (m, 1H), 2.9 - 2.9 (m, 1H), 3.1 (dd, J = 14.6, 7.3 Hz, 1H), 4.0 - 4.0 (m, 2H), 4.1 (s, 3H), 4.8 - 4.9 (m, 1H), 5.1 (dd, J = 10.4, 1.5 Hz, 1H), 5.3 (dd, J = 17.2, 1.4 Hz, 1H), 5.6 - 5.7 (m, 1H), 6.0 (s, 1H), 7.5 (dd, J = 9.3, 2.3 Hz, 1H), 7.6 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.7 (s, 1H), 7.7 - 7.8 (m, 3H), 8.1 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 8.6 (d, J = 9.2 Hz, 1H). LC-MS, MS m/z 577.2 (M+ +H).
【0132】
段階4A:
段階3Aからの生成物(0.671mmol)のDCM溶液(10mL)に、DIEA(542μL、3.36mmol)、HATU(354mg、1.01mmol)、HOAt(127mg、1.01mmol)、およびBoc−L−Tle−OH(173mg、0.805mmol)を加えた。室温で16時間撹拌した後、溶媒を濃縮し、生じた茶色粘性油をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、95% MeOHのDCM溶液で溶離)で精製して、淡黄色泡(527mg、収率99%)を得た。
LC-MS (MS m/z 790 (M++1)).
【0133】
段階4B:
(2S,4R)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシアミド,2HCl塩である段階3Bの生成物(1.2g、1.847mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.126mL、6.47mmol)およびBoc−L−Tle−OH(0.513g、2.217mmol)のDCM溶液(15mL)に、HATU(1.054g、2.77mmol)を加えた。生じた薄茶色反応混合物を室温で13時間撹拌し、反応混合物を濃縮し、EtOAc(50mL)に再溶解し、HCl水(1N、25mL)で洗浄した。酸性の水層をEtOAc(50mL)で抽出した。有機層を合わせて、10% Na2CO3水(20mL)、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。生じた粘性茶色油をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、95:5 DCM:MeOHで溶離)で精製して、薄茶色泡として、(S)−1−((2S,4R)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルを得て、それは次の段階に用いるのに十分な純度であった。しかしながら、NMRによる評価のための分析サンプルについて、以下のような溶媒系および条件を用いて、この生成物(85mg)を逆相HPLCでさらに精製した:溶媒A=H2O、溶媒B=MeOH、両方とも0.1% TFAを含む;50%B〜100%Bを20分、100%Bで4分保持。HPLC画分を合わせて、NaOH水(1N)で中和し、大部分の水が残存するまで濃縮した。生じた白色クリーム状混合物をEtOAc(2×25mL)で抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮し、減圧乾燥して、分析的に純粋な白色粉末生成物を得た。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 0.9 - 1.0 (m, 2H), 1.0 (s, 9H), 1.1 - 1.2 (m, 1H), 1.2 - 1.2 (m, 3H), 1.3 (s, 9H), 1.4 - 1.4 (m, 1H), 1.9 (dd, J = 7.9, 5.5 Hz, 1H), 2.2 (q, J = 8.7 Hz, 1H), 2.3 - 2.3 (m, 1H), 2.6 (dd, J = 13.9, 6.9 Hz, 1H), 2.9 - 3.0 (m, 1H), 3.9 (s, 3H), 4.0 - 4.1 (m, 1H), 4.2 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 4.5 - 4.5 (m, 2H), 5.1 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 5.3 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.5 (s, 1H), 5.7 - 5.8 (m, 1H), 6.6 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 7.1 (dd, J = 9.0, 1.7 Hz, 1H), 7.2 (s, 1H), 7.4 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.5 - 7.5 (m, 3H), 8.0 (t, J = 7.3 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, MeOD) δ ppm 5.6, 5.8, 17.6, 22.6, 26.1, 27.6, 31.2, 34.7, 35.0, 35.2, 41.7, 42.8, 54.4, 55.1, 59.5, 59.9, 77.2, 79.5, 99.2, 106.4, 115.5, 117.6, 117.9, 118.4, 123.3, 128.0, 128.8, 129.7, 133.3, 140.1, 151.0, 151.1, 157.1, 160.2, 161.0, 162.3, 169.8, 172.5, 174.0. LC-MS, MS m/z 790.30 (M+ +H).
【0134】
段階5A:
段階4Aからの生成物(950mg、1.20mmol)のDCM溶液(75mL)をTFA(25mL)でゆっくりと処理して、激しいバブリングからのCO2ガスを調節した。室温で1.5時間撹拌した後、溶媒を濃縮して、薄茶色スラリーを得て、Et2Oを加えて、沈澱を行った。薄茶色生成物(1.10g、収率99%)ビスTFA塩を減圧濾過によって得て、さらに精製することなく用いた。
LC-MS (MS m/z 690 (M++1)).
【0135】
段階5B:
(S)−1−((2S,4R)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−イル)−3,3−ジメチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルである段階4Bの生成物(1.00g、1.266mmol)の1:1 DCM(5mL)およびDCE(5.00mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(5mL、64.9mmol)を加えた。25℃で15分間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。生じた粘性茶色油をDCM(3mL)に再溶解し、それを勢いよく撹拌した1N HCl(50mL)のEt2O溶液に滴下して加えた。生じた薄茶色沈澱を濾過し、Et2O(25mL)で洗浄し、50℃の真空オーブン中で2時間乾燥して、薄茶色固形物として、(2S,4R)−1−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシアミド,2HCl塩(0.907g、1.189mmol、収率94%)を得て、それは次の段階に使用するのに十分純粋であった。しかしながら、NMRによる評価のための分析サンプルについて、以下のような溶媒系および条件を用いて、生成物(80mg)を逆相HPLCでさらに精製した:溶媒A=H2O、溶媒B=MeOH、両方とも0.1% TFAを含む;50%B〜100%Bを20分、100%Bで4分保持。HPLC画分を合わせて、HCl水(1N、3mL)で処理し、乾燥するまで濃縮し、減圧乾燥して、白色粉末として、ビスHCl塩生成物を得た。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.0 - 1.1 (m, 4H), 1.2 (s, 9H), 1.2 - 1.3 (m, 2H), 1.4 (s, 1H), 1.9 (s, 1H), 2.3 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 2.4 (s, 1H), 2.8 - 2.9 (m, 1H), 2.9 - 3.0 (m, 1H), 4.1 (s, 3H), 4.2 (s, 2H), 4.6 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 4.8 (s, 1H), 5.1 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 5.3 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.6 - 5.7 (m, 1H), 5.9 (s, 1H), 7.5 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.6 - 7.7 (m, 2H), 7.7 - 7.8 (m, 3H), 8.1 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 8.5 (d, J = 8.5 Hz, 1H). 13C NMR (MeOD) δ ppm 5.0 (s), 5.8, 5.8, 22.4, 25.9, 31.3, 34.6, 34.9, 35.0, 41.8, 42.8, 54.7, 56.1, 59.5, 60.5, 80.4, 99.8, 101.5, 115.1, 117.9, 120.9, 125.8, 129.2, 129.8, 132.3, 132.9, 133.1, 142.7, 157.2, 165.6, 166.8, 168.2, 169.4, 173.2. LC-MS, MS m/z 690.2 (M+ +H).
【0136】
段階6A:
段階5Aの生成物(0.132g、0.143mmol)のDCM溶液(2mL)に、ポリビニルピリジン(PVP)(0.046g、0.429mmol)およびFmoc−イソチオシアネート(0.042g、0.150mmol)を加えた。生じた茶色溶液を室温で撹拌した。16時間後、溶媒を除去し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、95:5 DCM:MeOHで溶離)で精製して、薄茶色固形生成物(0.126mg、収率91%)を得た。
【0137】
段階6B:
(2S,4R)−1−((S)−2−アミノ−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシアミド,2HClである段階5Bの生成物(0.500g、0.656mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.343mL、1.967mmol)のDCM溶液(8mL)に、Fmoc−イソチオシアネート(0.240g、0.852mmol)を加えた。生じた茶色反応混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(50mL)に溶解し、HCl水(0.1N、10mL)で洗浄した。水層をEtOAc(25mL)で抽出した。有機層を合わせて、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、黄色固形粗生成物に濃縮し、それをフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO2、95:5 DCM:MeOHで溶離)で精製して、明黄色固形物として、(2S,4R)−1−((S)−2−(3−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)チオウレイド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキシアミド(615.4mg、0.634mmol、収率97%)を得て、それは次の段階に使用するのに十分純粋であった。しかしながら、以下のような溶媒系および条件を用いて、生成物(45mg)を逆相HPLCでさらに精製した:溶媒A=H2O、溶媒B=MeOH、両方とも0.1% TFAを含む;50%B〜100%Bを20分、100%Bで4分保持。注:DMF(2分の1mL)およびMeOH(1mL)を用いて、HPLCサンプルを溶解して、HPLCカラムにおけるサンプルの沈澱を防いだ。HPLC画分を合わせて、大部分の水が残存するまで濃縮した後、NaOH水(1N)を加えて、白色クリーム状混合物を中和し、それを次いでEtOAc(2×25mL)で抽出した。有機層を合わせて、MgSO4で乾燥し、濃縮して、白色粉末として、分析的に純粋なサンプルを得て、それをLC/MSおよびNMR分析に用いた。
1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.0 - 1.0 (m, 2H), 1.1 (s, 9H), 1.2 - 1.2 (m, 2H), 1.2 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 1.3 (s, 1H), 1.4 (dd, J = 9.3, 5.3 Hz, 1H), 1.9 (dd, J = 8.1, 5.6 Hz, 1H), 2.0 (s, 1H), 2.2 (q, J = 8.7 Hz, 1H), 2.4 - 2.4 (m, 1H), 2.7 (dd, J = 14.2, 6.9 Hz, 1H), 2.9 - 2.9 (m, 1H), 4.0 (s, 3H), 4.1 - 4.1 (m, 1H), 4.2 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 4.4 - 4.5 (m, 2H), 4.6 (dd, J = 10.7, 7.0 Hz, 1H), 4.8 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.0 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 5.1 (dd, J = 10.4, 1.2 Hz, 1H), 5.3 (dd, J = 17.2, 1.1 Hz, 1H), 5.6 - 5.7 (m, 1H), 5.8 (s, 1H), 7.3 - 7.3 (m, 3H), 7.4 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.4 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.5 (s, 1H), 7.6 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.6 - 7.7 (m, 3H), 7.8 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.0 (dd, J = 7.6, 1.8 Hz, 2H), 8.2 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 10.3 (d, J = 7.3 Hz, 1H). 13C NMR (MeOD) δ ppm 5.6, 5.6, 13.5, 22.0, 26.3, 31.2, 34.7, 34.8, 35.4, 42.0, 42.8, 47.0, 54.2, 55.8, 60.0, 60.5, 64.3, 64.4, 68.1, 79.8, 100.9, 101.3, 115.3, 117.7, 120.0, 120.2, 125.1, 125.2, 127.3, 128.0, 128.7, 129.6, 132.1, 133.2, 141.6, 143.6, 143.8, 144.7, 154.1, 157.9, 164.8, 165.5, 169.4, 170.6, 172.0, 174.1, 180.8, 180.9, 188.0. LC-MS, MS m/z 971.18 (M+ +H).
【0138】
段階7:
段階6の生成物(0.342mg、0.352mmol)のDMF溶液(4mL)に、ピペリジン(0.805mL)を加えた。生じた茶色溶液の混合液を室温で終夜撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒および過剰のピペリジンを減圧留去して、目的の生成物および等量の1−((9H−フルオレン−9−イル)メチル)ピペリジン副生成物も得た。生じた粗生成物の混合物を、さらに精製することなく次の段階に用いた。
LC-MS, MS m/z 749 (M++H).
上記からの残渣(77.3mg、0.076mmol)のDMF溶液(2mL)に、2−ブロモ−2−ブタノノン(butanonone)(23.0mg、0.152mmol)を加えた。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を濃縮し、生成物をカラムクロマトグラフィで精製して、化合物3を得た。
LC-MS, MS m/z 801.31 (M++ H).
【0139】
実施例4:化合物4の製造.
【化40】

化合物3の生成物の製造に記載したものと同じ手順であるが、2−ブロモ−2−ブタノノンブタノノンの代わりに1−ブロモピナコロンを用いて、化合物4を製造した。
LC-MS, MS m/z 829.38 (M++ H).
【0140】
実施例5:化合物5の製造.
【化41】

化合物3の製造に記載したものと同じ手順であるが、2−ブロモ−2−ブタノノンの代わりに1−ブロモ−1,1,1−トリフルオロプロパノンを用いて、化合物5を製造した。
LC-MS, MS m/z 841.28 (M++ H).
【0141】
生物学的研究
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体酵素アッセイおよび細胞ベースのHCVレプリコンアッセイを本開示において用い、下記のように調製し、実施し、確認した。
【0142】
組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生
BMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体を、下記で説明するように産生した。これらの精製した組換えタンパク質を、均一系アッセイ(下記を参照されたい)において使用するために産生し、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本開示の化合物がいかに有効であるかを示した。
【0143】
HCV感染患者からの血清を、サンフランシスコ病院のT.Wright医師から得た。HCVゲノム(BMS株)の設計された完全長cDNA(相補デオキシリボ核酸)鋳型を、血清RNA(リボ核酸)の逆転写−PCR(RT−PCR)によって得たDNAフラグメントから、他の遺伝子型1a株の間の相同性に基づいて選択したプライマーを使用して作製した。全ゲノム配列の決定から、Simmondsらの分類によって、HCV分離株に対して遺伝子型1aを割り当てた(P Simmonds, KA Rose, S Graham, SW Chan, F McOmish, BC Dow, EA Follett, PL Yap and H Marsden, J. Clin. Microbiol., 31(6):1493-1503 (1993)を参照されたい)。非構造領域NS2−5Bのアミノ酸配列は、HCV遺伝子型1a(H77)に>97%同一であり、遺伝子型1b(J4L6S)に87%同一であることが示された。感染性クローンH77(1a遺伝子型)およびJ4L6S(1b遺伝子型)は、R.Purcell(NIH)から得たが、配列はGenbankにおいて公開されている(AAB67036、Yanagi,M., Purcell,R.H., Emerson,S.U. and Bukh,J. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94(16):8738-8743 (1997); AF054247を参照されたい、Yanagi,M., St Claire,M., Shapiro,M., Emerson,S.U., Purcell,R.H. and Bukh,J, Virology 244 (1), 161-172. (1998)を参照されたい)。
【0144】
H77およびJ4L6S株を組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生のために使用した。これらの株について組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体(アミノ酸1027〜1711)をコードするDNAを、P.Gallinariらによって記載されているように操作した(Gallinari P, Paolini C, Brennan D, Nardi C, Steinkuhler C, De Francesco R. Biochemistry. 38(17):5620-32, (1999)を参照されたい)。手短に言えば、3個のリシンの可溶化尾部を、NS4Aコード領域の3’末端に添加した。NS4A−NS4B切断部位のP1位中のシステイン(アミノ酸1711)をグリシンに変更し、リシンタグのタンパク質分解的切断を防止した。さらに、システインからセリンへの変異をアミノ酸位置1454でPCRによって導入し、NS3ヘリカーゼドメインにおける自己分解による切断を防止した。P.Gallinariらによって記載されたプロトコルに修正を加えて、変異DNAフラグメントをpET21b細菌発現ベクター(Novagen)中でクローン化し、NS3/4A複合体を大腸菌株BL21(DE3)(Invitrogen)中で発現させた(Gallinari P, Brennan D, Nardi C, Brunetti M, Tomei L, Steinkuhler C, De Francesco R., J Virol. 72(8):6758-69 (1998)を参照されたい)。手短に言えば、NS3/4Aプロテアーゼ複合体発現を、0.5ミリモル(mM)のイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって20℃で22時間(h)誘導した。典型的な発酵(1リットル(L))によって、約10グラム(g)の湿細胞ペーストを得た。25mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)(pH7.5)、20%グリセロール、500mMの塩化ナトリウム(NaCl)、0.5%Triton X−100、1マイクログラム/ミリリットル(「μg/mL」)のリゾチーム、5mMの塩化マグネシウム(MgCl2)、1μg/mlのDnaseI、5mMのβ−メルカプトエタノール(βME)、プロテアーゼ阻害剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)非含有)(Roche)からなる溶解バッファー(10mL/g)中で細胞を再懸濁させ、ホモジナイズし、4℃で20分(分)間インキュベートした。ホモジネートを超音波処理し、4℃にて235000gで1時間(h)超遠心分離することによって清澄にした。イミダゾールを15mMの最終濃度まで上清に加え、pHを8.0に調節した。粗タンパク質抽出物を、バッファーB(25mMのHEPES(pH8.0)、20%グリセロール、500mMのNaCl、0.5%Triton X−100、15mMのイミダゾール、5mMのβME)で予め平衡化させたニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)カラムに添加した。試料を1mL/分の流量で添加した。カラムを15カラム容量のバッファーC(0.2%Triton X−100以外はバッファーBと同一)で洗浄した。タンパク質を5カラム容量のバッファーD(200mMのイミダゾール以外はバッファーCと同一)で溶出した。
【0145】
NS3/4Aプロテアーゼ複合体含有画分をプールし、バッファーD(25mMのHEPES(pH7.5)、20%グリセロール、300mMのNaCl、0.2%Triton X−100、10mMβME)で予め平衡化した脱塩カラムSuperdex−S200に添加した。試料を1mL/分の流量で添加した。NS3/4Aプロテアーゼ複合体含有画分をプールし、約0.5mg/mlまで濃縮した。BMS、H77およびJ4L6S株由来のNS3/4Aプロテアーゼ複合体の純度は、SDS−PAGEおよび質量分析法によって90%超であると判断した。酵素は、アッセイバッファーにおいて使用する前に、−80℃で貯蔵し、氷上で解凍し、希釈した。
【0146】
HCV NS3/4Aタンパク質分解活性をモニターするためのFRETペプチドアッセイ
このインビトロアッセイの目的は、本開示の化合物による上記のようなBMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体の阻害を測定することであった。このアッセイは、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本開示の化合物がいかに有効であるかを示した。
【0147】
HCV NS3/4Aプロテアーゼ活性をモニターするために、NS3/4Aペプチド基質を使用した。基質は、Anal. Biochem. 240(2):60-67 (1996)においてTalianiらによって記載されたRET S1であった(共鳴エネルギー移動デプシペプチド基質;AnaSpec、Inc.カタログ#22991)(FRETペプチド)。このペプチドの配列は、切断部位においてアミド結合ではなくエステル結合が存在すること以外は、HCV NS3プロテアーゼについてのNS4A/NS4B天然切断部位に大まかに基づいている。ペプチドはまた、ペプチドの一端近くに蛍光供与体EDANSを、および他端の近くに容体DABCYLを含有する。ペプチドの蛍光は、供与体と受容体との間の分子間の共鳴エネルギー移動(RET)によってクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを切断するにつれ、生成物がRET消光から放出され、供与体の蛍光が明らかになる。
【0148】
ペプチド基質を、本開示の化合物の非存在下、または存在下で、3種の組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の1種と共にインキュベートした。Cytofluor Series4000を使用して蛍光性反応生成物の形成をリアルタイムでモニターすることによって化合物の阻害作用を決定した。
【0149】
試薬は下記の通りであった。HEPESおよびグリセロール(Ultrapure)は、GIBCO−BRLから入手した。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、Sigmaから入手した。β−メルカプトエタノールはBio Radから入手した。
【0150】
アッセイバッファー:50mMのHEPES(pH7.5);0.15MのNaCl;0.1%Triton;15%グリセロール;10mMのβME。基質:2μMの最終濃度(−20℃で貯蔵したDMSO中の2mMのストック溶液から)。HCV NS3/4Aプロテアーゼ1a(1b)型、2〜3nMの最終濃度(25mMのHEPES(pH7.5)、20%グリセロール、300mMのNaCl、0.2%Triton−X100、10mMβME中の5μMのストック溶液から)。アッセイ限界に近づいた作用強度を有する化合物については、アッセイバッファーに50μg/mlのウシ血清アルブミン(Sigma)を加え、プロテアーゼの最終濃度を300pMに下げることによって、アッセイをより感応性にした。
【0151】
アッセイを、Falconの96−ウェルのポリスチレンブラックプレート中で行った。各ウェルは、アッセイバッファー中のNS3/4Aプロテアーゼ複合体25μl、10%DMSO/アッセイバッファー中の本開示の化合物50μl、およびアッセイバッファー中の基質25μlを含有した。対照(化合物を含有せず)もまた、同一のアッセイプレート上で調製した。基質の添加によって酵素反応が開始する前に、酵素複合体を化合物または対照溶液と1分間混合した。アッセイプレートをCytofluor Series4000(Perspective Biosystems)を使用して直ちに読み取った。25℃にて340nmでの発光および490nmでの励起を読み取るように装置を設定した。反応は一般に約15分間続いた。
【0152】
下記の式で阻害率を計算した。
100−[(δFinh/δFcon)×100]
式中、δFは曲線の線形範囲に亘る蛍光の変化である。非線形曲線の当てはめを阻害−濃度データに適用し、式y=A+((B−A)/(1+((C/x)^D)))を使用してExcel XLfitソフトウェアの使用によって50%有効濃度(IC50)を計算した。
【0153】
試験したすべての化合物は、135nM以下のIC50で、NS3/4Aプロテアーゼ複合体の活性を阻害することが分かった。さらに、本開示の化合物は、一つより多くのタイプのNS3/4A複合体に対して試験され、該化合物は、1a株と比較して、1b株に対してより強い効力を一様に示すが、類似する阻害特性を有することが分かった。
【0154】
特異性アッセイ
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害における本開示の化合物のインビトロ選択性を示すために、他のセリンまたはシステインプロテアーゼと比較した、特異性アッセイを行った。
【0155】
本開示の化合物の、種々のセリンプロテアーゼに対する特異性を決定した。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)、ブタ膵エラスターゼ(PPE)およびヒト膵臓キモトリプシンおよび1種のシステインプロテアーゼであるヒト肝臓カテプシンB。全ての場合において、セリンプロテアーゼアッセイをある程度修正して、従前(PCT特許出願第WO00/09543号)に記載されているように、それぞれの酵素に特異的な蛍光分析のアミノ−メチル−クマリン(AMC)基質を使用した96ウェルプレートフォーマットプロトコルを使用した。全ての酵素はSigma、EMDbiosciencesから購入し、一方基質はBachem、SigmaおよびEMDbiosciencesから購入した。
【0156】
化合物濃度は、それらの作用強度によって100〜0.4μMで変化した。10分間プレインキュベートした酵素−阻害剤に室温で基質を加え、cytofluorで測定して15%変換まで加水分解することによって、酵素アッセイをそれぞれ開始した。
【0157】
各アッセイについての最終条件は下記の通りであった。
50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris−HCl)(pH8)、0、5Mの硫酸ナトリウム(Na2SO4)、50mMのNaCl、0.1mMのEDTA、3%DMSO、0.01%Tween−20、5μMのLLVY−AMCおよび1nMのキモトリプシン。
50mMのTris−HCl、pH8.0、50mMのNaCl、0.1mMのEDTA、3%DMSO、0.02%Tween−20、5μMのsucc−AAPV−AMCおよび20nMのHNEまたは8nMのPPE。
100mMのNaOAC(酢酸ナトリウム)(pH5.5)、3%DMSO、1mMのTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、5nMのカテプシンB(酵素ストックは使用前に20mMのTCEPを含有するバッファー中で活性化させた)、およびH2Oで希釈した2μMのZ−FR−AMC。
【0158】
阻害率は、式を使用して計算した。
[1−((UVinh−UVblank)/(UVctl−UVblank))]×100
非線形曲線の当てはめを阻害−濃度データに適用し、Excel XLfitソフトウェアを使用して50%有効濃度(IC50)を計算した。
【0159】
HCVレプリコンの産生
HCVレプリコン全細胞系を、Lohmann V, Korner F, Koch J, Herian U, Theilmann L, Bartenschlager R., Science 285(5424):110-3 (1999)によって記載されているように確立した。この系によって、本発明者らは、HCV RNA複製に対する本発明者らのHCVプロテアーゼ化合物の効果を評価することができた。手短に言えば、Lohmannの論文に記載されているHCV株1b配列(登録番号:AJ238799)を使用して、HCV cDNAをOperon Technologies、Inc.(Alameda、CA)によって合成し、次いで完全長レプリコンをプラスミドpGem9zf(+)(Promega、Madison、WI)中で標準的な分子生物学技術を使用して構築した。レプリコンは、(i)キャプシドタンパク質の最初の12個のアミノ酸に融合したHCV5’UTR、(ii)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(ネオ)、(iii)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRES、および(iv)HCV NS3からNS5B遺伝子およびHCV3’UTRからなる。メーカーの説明書に従ってT7MegaScript転写キット(Ambion、Austin、TX)を使用して、プラスミドDNAをScaIで直線化し、RNA転写物をインビトロで合成した。cDNAのインビトロ転写物を、ヒト肝臓癌細胞系HUH−7にトランスフェクトした。HCVレプリコンを恒常的に発現している細胞についての選択を、選択マーカーであるネオマイシン(G418)の存在下で行った。このように得られた細胞系を、プラス鎖およびマイナス鎖RNA生成、ならびにタンパク質生成について経時で性質決定した。
【0160】
HCVレプリコンFRETアッセイ
HCVレプリコンFRETアッセイを、HCVウイルス複製に対する本開示において記載されている化合物の阻害作用をモニターするために開発した。HCVレプリコンを恒常的に発現しているHUH−7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Sigma)および1mg/mlのG418(Gibco−BRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco−BRL)中で増殖させた。細胞を、前夜に96−ウェル組織培養無菌プレート中に(1.5×104細胞/ウェル)で播種した。化合物および化合物を含有しない対照を、希釈プレート中で4%FCS、1:100ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco−BRL)、1:100L−グルタミンおよび5%DMSOを含有するDMEM中で調製した(アッセイにおいて0.5%のDMSO最終濃度)。化合物/DMSO混合物を細胞に添加し、37℃で4日間インキュベートした。4日後、CC50読取りのためにアラマーブルー(Trek Diagnotstic Systems)を使用して最初に細胞毒性について細胞を評価した。細胞をインキュベートしている培地に10分の1容量のアラマーブルーを加えることによって、化合物の毒性(CC50)を決定した。4h後、Cytofluor Series4000(Perspective Biosystems)を使用して、各ウェルからの蛍光シグナルを、530nmでの励起波長および580nmでの発光波長で読み取った。次いで、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で完全にすすいだ(3度、150μl)。HCVプロテアーゼ基質、蒸溜水で1倍に希釈した5×細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega #E153A)、150mMの最終濃度まで加えたNaCl、100%DMSO中の2mMのストックから10μMの最終濃度まで希釈したFRETペプチド基質(上記の酵素アッセイについて説明した通り)を含有する25μlの溶解アッセイ試薬で細胞を溶解した。次いで、プレートを、340nm励起/490nm発光、21サイクルの自動モード、運動モードでのプレート読取りに設定してあるCytofluor4000装置中に置いた。IC50決定について記載したように、EC50決定を行った。
【0161】
HCVレプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイ
二次的アッセイとして、レプリコンFRETアッセイからのEC50決定を、レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて確認した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって最初に記載された(Krieger N, Lohmann V, and Bartenschlager R, J. Virol. 75(10):4614-4624 (2001))。本発明者らのFRETアッセイについて記載したレプリコンコンストラクトを、Renillaルシフェラーゼ遺伝子のヒト化形態およびルシフェラーゼ遺伝子の3’末端に直接融合しているリンカー配列をコードするcDNAを挿入することによって改変した。この挿入物は、ネオマイシンマーカー遺伝子の直接上流のコア中に位置するAsc1制限部位を使用して、レプリコンコンストラクトに導入された。1179位での適応的変異(セリンからイソロイシン)もまた導入した(Blight KJ, Kolykhalov, AA, Rice, CM, Science 290(5498):1972-1974)。このHCVレプリコンコンストラクトを恒常的に発現している安定的な細胞系を上記のように産生した。ルシフェラーゼレポーターアッセイを、下記のように修正してHCVレプリコンFRETアッセイのために説明したように設定した。37℃/5%CO2のインキュベーター中で4日間後、Promega Dual−Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用して、Renillaルシフェラーゼ活性について細胞を分析した。培地(100μl)を、細胞を含有する各ウェルから除去した。残りの50μlの培地に、50μlのDual−Gloルシフェラーゼ試薬を加え、プレートを室温で10min〜2h揺動させた。次いで、Dual−Glo Stop & Glo試薬(50μl)を各ウェルに加え、プレートを室温でさらに10min〜2h再び揺動させた。発光プログラムを使用してPackard TopCount NXT上でプレートを読み取った。
阻害率を下記の式を使用して計算した。
%対照= 実験ウェル(+化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
DMSO対照ウェル(−化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
XLfitを使用して値をグラフ化し、分析し、EC50値を得た。
【0162】
本開示の代表的な化合物を、HCV酵素アッセイ、HCVレプリコン細胞アッセイおよび/またはいくつかの概説された特異性アッセイで評価した。例えば、化合物2Aは、該酵素アッセイにおいて、NS3/4A BMS株に対して8.9ナノモーラー(nM)のIC50を有することが分かった。公表されたH77(1.4nMのIC50)およびJ4L6S(1.2nMのIC50)株を用いて、類似する効力値を得た。レプリコンFRETアッセイにおけるEC50値は69nMであった。
【0163】
特異性アッセイにおいて、同化合物は、以下の活性を有することが分かった:HLE 4.6μM;PPE>100μM;キモトリプシン=2.1μM;カテプシンB>100μM。これらの結果から、このファミリーの化合物がNS3プロテアーゼに対して非常に特異的であり、これらのメンバーの多くはHCVレプリコン複製を阻害することが示される。
【0164】
本開示の化合物を試験し、以下のように活性を有することが分かった:
IC50活性範囲(NS3/4A BMS株):Aは>0.2μM;Bは0.02〜0.2μM;Cは4〜20nM。
EC50活性範囲(試験化合物について):Aは>1μM;Bは0.1〜1μM;Cは14〜100nM。
表2
【表4】

【0165】
本開示が前述の実施例に限定されず、その本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されうることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、実施例があらゆる点で例示的なものであり、限定するものではないと考えられ、前述の実施例に対してではなくむしろ添付の特許請求の範囲に対して参照がなされ、特許請求の範囲と同等の意味および範囲に含まれる全ての変更が、それゆえにその中に含まれるものと意図されるのが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
mは、1、2、または3であり;
1は、ヒドロキシおよび−NHSO26から選択され;その中で、R6は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、および−NRabから選択され、該アルキル、該シクロアルキル、および該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、アリールカルボニル、シアノ、シクロアルケニル、(シクロアルキル)アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、および(NRef)カルボニルから選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよく;
2は、水素、アルケニル、アルキル、およびシクロアルキルから選択され、その中で、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは、ハロで適宜置換されていてもよく;
3は、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アリールアルキル、カルボキシアルキル、シアノアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキル、(ヘテロサイクリル)アルキル、ヒドロキシアルキル、(NRcd)アルキル、および(NRef)カルボニルアルキルから選択され;
4は、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5は、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、および(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該アリール;該アリールアルキル、該アリールアルキルカルボニル、および該アリールカルボニルのアリール部分;該ヘテロサイクリル;並びに該ヘテロサイクリルアルキルおよび該ヘテロサイクリルアルキルカルボニルのヘテロサイクリル部分は、各々、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5がヘテロサイクリルである場合、該ヘテロサイクリルは、
【化2】

以外であり;
7は各々独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロサイクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ,−NRcd、(NRcd)アルキル、(NRcd)アルコキシ、(NRef)カルボニル、および(NRef)スルホニルから選択され;あるいは
2つの隣接R7基は、それらに結合する炭素原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な4〜7員環を形成し、その中で、該環は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの基で適宜置換されていてもよく;
aおよびRbは独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいは、RaおよびRbは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員単環式ヘテロ環を形成し;
cおよびRdは独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、およびハロアルキルから選択され;
eおよびRfは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロサイクリルから選択され;その中で、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロサイクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で適宜置換されていてもよく;並びに
gおよびRhは独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhは、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
1が−NHSO26である、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
mが、1または2であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、および−NRabから選択され、該アルキル、該シクロアルキル、および該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、アリールカルボニル、シアノ、シクロアルケニル、(シクロアルキル)アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、および(NRef)カルボニルから選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよく;
2が、アルケニル、アルキル、およびシクロアルキルから選択され、その中で、該アルケニル、該アルキル、および該シクロアルキルは、ハロで適宜置換されていてもよく;
3が、アルケニルおよびアルキルから選択され;
4が、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルファニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5が、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルアルキル、ヘテロサイクリルアルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、および(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該アリール;該アリールアルキル、該アリールアルキルカルボニル、および該アリールカルボニルのアリール部分;該ヘテロサイクリル;並びに該ヘテロサイクリルアルキルおよび該ヘテロサイクリルアルキルカルボニルのヘテロサイクリル部分は、各々、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5がヘテロサイクリルである場合、該ヘテロサイクリルは、
【化3】

以外であり;
7が各々独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、カルボキシ、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロサイクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ニトロ,−NRcd、(NRcd)アルキル、(NRcd)アルコキシ、(NRef)カルボニル、および(NRef)スルホニルから選択され;あるいは
2つの隣接R7基が、それらに結合する炭素原子と一緒になって、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1つまたは2つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な4〜7員環を形成し、その中で、該環は、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの基で適宜置換されていてもよく;
aおよびRbが独立して、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルアルキルから選択されるか;あるいは、RaおよびRbが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員単環式ヘテロ環を形成し;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アリールアルキル、およびハロアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロサイクリルから選択され;その中で、該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロサイクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1つまたは2つの置換基で適宜置換されていてもよく;並びに
gおよびRhが独立して、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロサイクリル、およびヘテロサイクリルから選択されるか;あるいは、RgおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、単環式ヘテロ環を形成し、その中で、該単環式ヘテロ環は、フェニル環に適宜縮合して、二環式構造を形成してもよく;該単環式ヘテロ環および該二環式構造は、アルコキシ、アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、およびハロアルキルから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
6が無置換シクロアルキルである、請求項3の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
mが1であり;
1が−NHSO26であり;その中で、R6は無置換シクロアルキルであり;
2がアルケニルであり;
3がアルキルであり;
4が、フェニル、並びに、窒素、酸素、および硫黄から選択される、1つ、2つ、3つ、または4つのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい部分的にまたは完全に不飽和な5または6員環から選択され;その中で、該環の各々は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、R4が置換された6員環である場合、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならず;
5が、ヘテロサイクリルおよび(NRgh)カルボニルから選択され、その中で、該ヘテロサイクリルは、1〜6個のR7基で適宜置換されていてもよいが;但し、R5は、
【化4】

以外であり;
7が各々独立して、アルコキシ、アリール、およびヘテロサイクリルから選択され;
cおよびRdが独立して、水素、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、およびアリールアルキルから選択され;
eおよびRfが独立して、水素、アルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;並びに
gおよびRhが、それらに結合する窒素原子と一緒になって、フェニル環に縮合した単環式ヘテロ環を形成して、二環式構造を形成し;その中で、該二環式構造は、ハロ基で置換されている、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
4が、1つの窒素原子を含む6員不飽和環であり、その中で、該環は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよいが;但し、該環上のフルオロ以外のすべての置換基は、親分子部分への該環の結合点に対してメタおよび/またはパラ位になければならない、請求項5の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
4が、1つの窒素原子および1つの硫黄原子を含む5員不飽和環であり、その中で、該環は、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、−NRcd、(NRef)カルボニル、(NRef)スルホニル、およびオキソから独立して選択される、1つ、2つ、または3つの置換基で適宜置換されていてもよい、請求項5の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
【化5−1】

【化5−2】

から選択される化合物。
【請求項9】
請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む組成物。
【請求項10】
抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物をさらに含む、請求項9の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの該別の化合物が、インターフェロンまたはリバビリンである、請求項10の組成物。
【請求項12】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球様インターフェロンτから選択される、請求項11の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの該別の化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を亢進する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン 5'−一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される、請求項10の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの該別の化合物が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害して、HCV感染症の治療に有効である、請求項10の組成物。
【請求項15】
治療有効量の請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩を患者に投与することを特徴とする、患者におけるHCV感染症の治療方法。
【請求項16】
請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩の、前、後、または同時に、抗HCV活性を有する少なくとも1つの別の化合物をさらに投与することを特徴とする、請求項15の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの該別の化合物がインターフェロンまたはリバビリンである、請求項16の方法。
【請求項18】
該インターフェロンが、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球様インターフェロンτから選択される、請求項17の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの該別の化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を亢進する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン 5'−一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される、請求項16の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの該別の化合物が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリー、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害して、HCV感染症の治療に有効である、請求項16の方法。

【公表番号】特表2011−521911(P2011−521911A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509693(P2011−509693)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/043920
【国際公開番号】WO2009/140475
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】