説明

C型肝炎感染を処置するための併用療法

本発明は、C型肝炎ウイルスに感染した患者に対して、式I(下に示す)の化合物を第二の活性剤と組み合わせて提供することによる、C型肝炎を処置する方法を提供する。また本明細書においては、式Iの化合物および第二の活性剤を含む医薬合剤も提供される。この医薬合剤は、単位剤形であっても、またはパッケージされた医薬組成物であってもよい。パッケージされた医薬合剤は、式Iの化合物と第二の活性剤とを、C型肝炎感染を処置するためにこの製剤を用いるための説明書とともに包装中に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルスに感染した患者に対して、式I(下に示す)の化合物を、少なくとも1つの追加の活性剤と組み合わせて提供することによって、C型肝炎を処置する方法を提供する。また本明細書では、式Iの化合物と少なくとも1つの追加の活性剤とを含む医薬合剤(pharmaceutical combination)も提供される。この医薬合剤は、単位剤形であっても、またはパッケージングされた医薬組成物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
世界の人口のうち3%がC型肝炎ウイルスに感染していると見積もられる。HCVに対して暴露されたもののうち、80%が慢性に感染し、少なくとも30%が肝硬変を発症し、1〜4%が肝細胞癌を発症する。C型肝炎ウイルス(HCV)は、米国における慢性の肝疾患の最も蔓延している原因の1つであって、急性ウイルス性肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、そして肝硬変、末期の肝疾患および肝癌の最大50%を占めると報告されている。慢性のHCV感染は、米国、オーストラリア、および欧州のほとんどにおける肝臓移植の最も一般的な原因である。C型肝炎は、米国で毎年、推定10,000〜12,000例の死者を生じる。急性期のHCV感染は通常、伴う症状は軽度であるが、いくつかの証拠によって、感染した人の約15%〜20%しかHCVをクリアできないことが示唆される。
【0003】
HCVはエンベロープのある、一本鎖のRNAウイルスであって、約9.6kbというプラス鎖のゲノムを含む。HCVはFlaviviridae(フラビウイルス)科のHepacivirus(ヘパシウイルス)属のメンバとして分類される。HCVの少なくとも4つの株、GT−1〜GT−4は特徴づけられている。
【0004】
HCVのライフサイクルは、宿主細胞への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリタンパク質のプロセッシング、およびレプリカーゼ複合体のアセンブリ;RNA複製、ならびにビリオンのアセンブリおよび放出を包含する。HCVのRNAゲノムの翻訳は、3000を超えるアミノ酸長のポリタンパク質を生じ、これは少なくとも2つの細胞および2つのウイルスプロテアーゼによってプロセシングされる。HCVポリタンパク質は以下の通りである。
【0005】
NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOH
【0006】
細胞シグナルペプチダーゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼは、非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)由来のポリタンパク質(C−E1−E2−p7)のN末端から3番目の切断を担うことが報告されている。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位での第一のcis切断を媒介する。次いでNS3−NS4Aプロテアーゼは、NS3−NS4A接合で第二のcis−切断を媒介する。次いでNS3−NS4A複合体は、3つの下流部位を切断して、残りの非構造タンパク質を分ける。ポリタンパク質の正確なプロセシングは、活性なHCVレプリカーゼ複合体を形成するために必須であることが主張されている。
【0007】
一旦、ポリタンパク質が切断されれば、少なくともNS3−NS5B非構造タンパク質を含むレプリカーゼ複合体がアセンブルされる。このレプリカーゼ複合体は、細胞質結合および膜結合である。レプリカーゼ複合体における主要な酵素活性としては、セリンプロテアーゼ活性およびNTPaseヘリカーゼ活性(NS3における)、ならびにNS5BのRNA−依存性RNAポリメラーゼ活性が挙げられる。RNA複製プロセスでは、ゲノムRNAの相補的なマイナス鎖コピーが生成される。マイナス鎖コピーはさらなるプラス鎖ゲノムRNAを合成するためのテンプレートとして用いられ、このゲノムRNAが、翻訳、複製、パッケージングまたはその任意の組み合わせに関与して、子孫のウイルスを産生し得る。機能的なレプリカーゼ複合体のアセンブリは、HCV複製機構の構成要素として記載されている。米国仮出願第60/669,872号「Pharmaceutical Compositions and Methods of Inhibiting HCV Replication」(2005年4月11日出願)は、レプリカーゼ複合体のアセンブリに関する開示について、その全体が参照として本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
C型肝炎感染の現行の治療は代表的には、リバビリンと組み合わせた、ペグ化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンの投与を包含する。持続性ウイルス学的著効(Sustained Virologic Response)(SVR)によって測定した現行の治療の成功は、患者が感染するHCVの株および治療レジメンの患者の順守に依存する。HCV株GT−1に感染した患者のうちわずか50%が持続性ウイルス学的著効を示す。直接作用する抗ウイルス剤、例えば、ACH−806、VX−950およびNM283(NM107のプロドラッグ)は、慢性HCV治療のために臨床開発中である。特定のHCV株についての治療のための有効な治療がないこと、およびHCVの高い変異率に起因して、相補的な作用機序を有する活性剤の組み合わせがウイルス耐性の出現を抑制するために必要であり得る。本発明は、この要件を満たし、かつ本明細書に記載されるさらなる利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの追加の活性剤とともに、C型肝炎ウイルスに感染した患者に対して提供するステップを包含する、C型肝炎を処置する方法を提供し、ここで式Iは、
【化1】


である。
【0010】
式Iにおいては、変数A、R、R、およびAは以下の定義を有する。
【0011】
は、必要に応じて置換される3−ピリジルであり、RおよびRは、独立して水素およびC−Cアルキルから選択され;かつAはフェニルであって、パラ位でC−CアルキルまたはC−Cアルコキシで置換され、かつ必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、およびフェニルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0012】
本発明はまた、式Iの化合物(上記に示される)、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの追加の活性剤を含む医薬合剤を提供する。式Iの化合物は、単一の剤形で提供されてもよいし、または別々の剤形として処方されて、別々の剤形として一緒に提供されてもよい。例えば、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤は、パッケージングされた医薬合剤として容器中に一緒に提供されてもよい。このようなパッケージングされた合剤は、C型肝炎感染を治療するためにこの合剤を用いるための説明書を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】HCVレプリコンのゲノム構造を示す図である。a)プロトタイプG418−選択性レプリコンI377/NS3−3’1、およびb)ルシフェラーゼレポータを発現し、かつ3つの適応変異(E1202G、T1280I、K1846T;矢印)を含む、バイシストロニックG418−選択性レプリコンI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ETである。
【図2】9日の処理後の残っているコロニーを示す図である。下記のとおりアッセイを行った。未処理および単剤で処理したプレートについてのコロニー数は、そのプレートを8つの等しい部分に分けて、他の部分(各々全部で4部分)についてカウントした後に推定した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<用語>
「1つの、ある、(「a」および「an」)」という用語は、量の限定を示すのではなく、むしろ言及された事項の少なくとも1つの存在を示す。「または、もしくは、あるいは(or)」という用語は、「および/または(and/or)」を意味する。「含む、包含する(comprising)」、「有する(having)」、「含める、包含する(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、限定しない用語(すなわち、「〜を含むがこれらに限定されない、限定はしないが〜を含む」を意味する)として解釈すべきである。数値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲に含まれるそれぞれの別々の値を個々に表す簡略な方法として機能する意図に過ぎず、各々の別々の値は、あたかもそれが本明細書に個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれる。すべての範囲の終点は、その範囲に含まれ、かつ独立して組み合わせ可能である。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によってはっきりと否定されていない限り、適切な順序で実施することができる。任意のもしくは全ての例、または例示的な言葉(例えば、「など、例えば(such as)」)の使用は、本発明を単によりよく説明することを意図したものであって、別段の断りのない限り、本発明の範囲についての限定を課すものではない。本明細書中の言葉は、本明細書に用いられる本発明の実施にとって必須である何らかの請求されていない要素を示すものと解釈すべきではない。別に定義されていない限り、本明細書で用いられる技術および科学の用語は、本発明が属する当業者により普通に理解されているものと同じ意味を有する。
【0015】
「活性剤(active agent)」とは、化合物(式Iの化合物を含む)、元素、あるいは患者に投与された場合、単独で、または別の化合物、元素もしくは混合物と組み合わせて、その患者に対する生理学的効果を直接または間接的に与える混合物を意味する。間接的な生理学的効果は、代謝物または他の間接的な機構を介して生じ得る。この活性剤が化合物であるならば、この化合物の塩、この遊離の化合物または塩の溶媒和化合物(水和物を含む)、結晶型、非結晶型、および任意の多形体が含まれる。化合物は、1つ以上の不斉元素、例えば、立体中心、立体軸など、例えば不斉炭素原子を含んでもよく、その結果、その化合物は、異なる立体異性体として存在し得る。これらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性体であってもよい。2個以上の不斉要素を有する化合物については、これらの化合物は、さらにジアステレオマの混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物については、すべての光学異性体の純粋な型およびその混合物が包含される。さらに、炭素−炭素間の二重結合を有する化合物が、Z型およびE型において生じ得、これはこの化合物の全ての異性体である。これらの状況では、単一のエナンチオマー(鏡像異性体)、すなわち光学活性型を、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成によって、またはラセミ化合物の分解によって得てもよい。ラセミ化合物の分解はまた、例えば、分離剤の存在下における結晶化、または、例えば、キラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィなどの従来の方法によっても達成することが可能である。全ての形態が、それを得るために用いられる方法にかかわらず、本明細書で考慮される。
【0016】
活性剤の全ての形態(例えば、溶媒和化合物、光学異性体、鏡像異性体型、多形体、遊離の化合物および塩)は単独で使用されても、または組み合わせて使用されてもよい。
【0017】
本明細書において用いる場合、「アルキル」とは、特定数の炭素原子、一般には1〜約12個の炭素原子を有する、分岐状および直鎖状の両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含する。本明細書において用いる場合、C−Cアルキルという用語は、1〜約6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。本明細書において、別の基と関連してC−Cアルキル、例えばアリールC−Cアルキルを用いる場合には、その指示された基、この場合にはアリールは、共有単結合によって直接結合されている(C)か、または特定数の炭素原子、この場合には1〜約4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合されているかのいずれかである。アルキルの例としては、限定はしないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルが挙げられる。
【0018】
「アルカノイル」とは、ケト(−(C=O)−)架橋によって結合された、上記で定義されたアルキル基を示している。アルカノイル基は、所定の数の炭素原子を有するが、ケト基の炭素も、その炭素原子の数に含まれている。例えば、Cアルカノイル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0019】
「モノ−および/またはジ−アルキルアミノ」という用語は、二級または三級のアルキルアミノ基を示すが、ここで、そのアルキル基は上で定義されてものであって、所定の数の炭素原子を有している。アルキルアミノ基の結合点は、窒素の上である。アルキル基は独立して選択される。モノ−およびジ−アルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメチル−プロピル−アミノが挙げられる。「モノ−および/またはジ−アルキルアミノアルキル」基は、特定数の炭素原子を有するアルキルリンカ、例えば、ジ−メチルアミノエチル基を通じて結合されたモノ−および/またはジ−アルキルアミノ基である。三級アミノ置換基は、N−R−N−R’型の命名法(これは、RおよびR’基が両方とも単一の窒素原子に結合されることを示している)によって示してもよい。
【0020】
本明細書において用いる場合、「ハロアルキル」は、特定数の炭素原子を有し、1個以上のハロゲン原子、一般には許容される最大の数のハロゲン原子までのハロゲン原子で置換された、分岐状および直鎖状の両方のアルキル基を示している。ハロアルキルの例としては、限定はしないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、およびペンタ−フルオロエチルが挙げられる。
【0021】
「ハロアルコキシ」とは、酸素架橋(アルコールラジカルの酸素)を介して結合された、上で定義されたハロアルキル基を指す。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0023】
「必要に応じて置換される、置換されてもよい(optionally substituted)」という句は、このような基が任意の利用可能な位置、代表的には1、2、3または4位のうちの1つ以上で、1つ以上の適切な基、例えば、本明細書に開示される基で置換されなくても、または置換されてもいずれでもよいということを示す。
【0024】
ある置換された位置に存在し得る適切な基としては、限定はしないが、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(例えば、C−Cアルカノイル基、例えば、アシルなど);カルボキサミド;アルキル基(1〜約8個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を含む);アルケニルおよびアルキニル基(1つ以上の不飽和結合および2〜約8個、または2〜約6個の炭素原子を有する基を含む);1つ以上の酸素結合および1〜約8個、または1〜約6個の炭素原子を有するアルコキシ基;アリールオキシ、例えば、フェノキシ;1つ以上のチオエーテル結合および1〜約8個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルチオ基;1つ以上のスルフィニル結合および1〜約8個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルスルフィニル基;1つ以上のスルホニル結合および1〜約8個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルスルホニル基;1つ以上のN原子および1〜約8個、または1〜約6個の炭素原子を有する基を含むアミノアルキル基;6つ以上の炭素および1つ以上の環を有するアリール、(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各々の環は置換または非置換のいずれかの芳香族);1〜3個の別個のまたは縮合環、および6〜約18個の環炭素原子を有するアリールアルキルであって、ベンジルが例示的なアリールアルキル基である;1〜3個の別個のまたは縮合した環および6〜約18個の環の炭素原子を有するアリールアルコキシであって、ベンジルオキシが、例示的なアリールアルコキシ基である;または飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環式基であって、1〜3個の別個のまたは縮合環を有し、1環あたり3〜約8個の員および1つ以上のN、OまたはS原子を有する基、例えば、クマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、およびピロリジニルが挙げられる。このような複素環式基は、例えば、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲンおよびアミノでさらに置換されてもよい。
【0025】
「患者」とは、医学的処置の必要なヒトまたは非ヒト動物である。医学的処置としては、既存の状態、例えば、疾患または障害の処置、予防(prophylacticまたはpreventative)処置、または診断の処置を挙げることができる。ある実施形態では、患者とはヒト患者である。
【0026】
式Iの化合物、および本明細書に考察される他の活性剤の「薬学的に許容される塩」としてはまた、このような活性剤の溶媒和化合物および水和物が挙げられる。活性剤は、非毒性の酸またはその塩基添加塩を作製することによって改変されてもよい。薬学的に許容される塩の例としては、アミン類などの塩基性残基の鉱酸または有機酸付加塩;酸性残基のアルカリ塩または有機付加塩など、ならびに前述の塩のうちの1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。その薬学的に許容される塩としては、式Iの化合物または少なくとも1つの追加の活性剤の非毒性の塩および四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、非毒性の酸塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来の塩が挙げられ;他の許容される無機塩としては、金属塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩など;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など、ならびに前述の塩の1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。薬学的に許容される有機塩としては、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(ただし、nは、0〜4である)などから調製された塩;有機アミン塩、例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など;およびアミノ酸塩、例えば、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、など;ならびに前述の塩の1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0027】
「提供する」とは、与えること、投与すること、販売すること、分配(配給)すること、移転すること(利益の有無にかかわらず)、製造すること、配合すること、または投薬(分配)することを意味する。
【0028】
「少なくとも1つの追加の活性剤とともに式Iの化合物を提供すること」とは、式Iの化合物および追加の活性剤(単数または複数)が同時に単一剤形で提供されるか、別々の剤形で同時に提供されるか、または式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤の両方が患者の血流内にある時間内である、ある長さの時間で隔てられた投与のために別々の剤形で提供されるかを意味する。式Iの化合物および追加の活性剤は、ある患者のために同じ医療従事者によって処方される必要はない。追加の活性剤(単数または複数)は処方箋を必要としない。式Iの化合物または少なくとも1つの活性剤の投与は、任意の適切な経路、例えば、経口の錠剤、経口のカプセル、経口の流体、吸入、注入、坐剤または局所接触を介して行われてもよい。
【0029】
「処置、治療(treatment)」とは本明細書において用いる場合、(a)疾患にかかる素因があり得るが、まだその疾患(例えば、原発性の疾患に関連するかまたはその疾患を生じ得る疾患(慢性HCV感染の状態を生じ得る肝線維症など)を含む)に罹患しているとは診断されていない患者での発症からその疾患または疾患の症状を防ぐ;(b)疾患を阻害する、すなわち、その発症を阻止すること;ならびに(c)疾患を救済する、すなわち、疾患の後退を生じること;に十分である式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤を提供するステップを包含する。「処置する、治療する、処理する(treating)」および「処置、治療、処理(treatment)」とはまた、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤の治療上有効な量を、C型肝炎感染を有するかまたは罹りやすい患者に対して提供することを意味する。本発明の医薬合剤の「治療上有効な量」とは、患者に投与された場合、症状の寛解のような治療上の利点をもたらすのに有効な量、例えば、C型肝炎感染の症状を低減するのに有効な量を意味する。例えば、C型肝炎ウイルスに感染した患者は、ASTおよびALTを含む特定の肝臓酵素の値の上昇を示し得る。正常なレベルのASTは、血清(血液の液体部分)1リットルあたり5〜40単位であり、ALTの正常な値は血清1リットルあたり7〜56単位である。従って治療上有効な量とは、上昇したASTおよびALTの値の有意な減少をもたらすのに十分な量、または正常な範囲までASTおよびALTの値を戻すのに十分な量である。治療上有効な量とはまた、患者の血液、血清または組織におけるウイルスまたはウイルス抗体の検出可能なレベルを有意に増大または有意に減少するのに十分な量である。治療有効性を決定する1方法は、Roch TaqManアッセイなどのウイルスRNAレベルを決定するための従来の方法によってHCVのRNA値を測定するステップを包含する。特定の好ましい実施形態では、治療は、HCVのRNA値を定量の限界(Roche TaqMan(登録商標)アッセイで測定した場合、30IU/mL)より下に、またはより好ましくは検出限界(10IU/mL、Roche TaqMan)より下に低下させる。
【0030】
ウイルスまたはウイルス抗体の検出可能レベルの有意な増大または減少は、スチューデントのT検定(ここでp<0.05)などの統計学的有意差の標準的パラメトリック検定で統計学的に有意である任意の検出可能な変化である。
【0031】
<医薬合剤(Pharmaceutical Combinations)>
本発明はまた、式Iの化合物(上記のとおり)、またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1つの追加の活性剤を含む医薬合剤を提供する。式Iの化合物は、単一の剤形で提供されてもよいし、または別々の剤形として処方されて、別々の剤形として一緒に提供されてもよい。例えば、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤は、パッケージングされた医薬合剤として容器中で一緒に提供されてもよい。このようなパッケージングされた合剤は、C型肝炎感染を治療するための合剤を用いるための説明書を備えてもよい。
【0032】
相乗的効果または相加的な効果のいずれかを提供する合剤は、HCVを処置するのに有用であって、本発明に包含される。特定の実施形態では、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤は、相乗作用効果を提供する。他の実施形態では、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤は相加的な効果をもたらす。相乗作用をもたらす組み合わせとは、(i)単剤療法と同じ投薬量で投与された場合、式Iの化合物の治療的または予防的な利点、および(ii)単剤療法と同じ投薬量で投与された場合、追加の活性剤の治療的または予防的利点、の相加的な組み合わせから予測または期待され得る治療転帰の漸増的な改善よりも大きい治療的または予防的な効果をもたらす組み合わせである。例えば、ChouおよびTalalayの方法によって計算した場合、相乗的な薬物効果についてアッセイで0.9以下の併用指数(combination index)(CI)を示す併用が、相乗作用的な併用とみなされる。
【0033】
少なくとも1つの追加の活性剤は、直接の抗ウイルス活性を有してもよいし、または処置有効性を改善するためにいくつかの他の機構を介して作用してもよい。例えば、VX−950を含むNS3/4A プロテアーゼ阻害剤類は、チトクロームp450酵素、特に3A4アイソザイムによって代謝される。抗ウイルス治療の有効性は、抗ウイルス薬を代謝するCYPアイソザイムを阻害し、これによってこの薬物に対する患者の暴露を改善することによって増大され得る。従って、チトクロームp450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、本発明の方法および医薬合剤における追加の活性剤として有用である。
【0034】
本明細書に記載される医薬合剤において有用な式Iの特定の化合物としては、以下の化合物、およびその薬学的に許容される塩、水和物、プロドラッグ、およびこれらの化合物の多形体が挙げられる。
1−(3−シクロプロピル−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
メチル2−オキソ−2−(5−((3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオウレイド)カルボニル)ピリジン−2−イルアミノ)アセテート、
メチル2−(5−((3−(4−(ヘプチルオキシ)フェニル)チオウレイド)カルボニル)ピリジン−2−イルアミノ)−2−オキソアセテート、
1−(2−(2−アミノ−2−オキソアセトアミド)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(2−メチルニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(3−メチル−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−ヒドロキシニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−ヒドロキシニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−ヒドロキシニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−ヒドロキシニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(5−ヒドロキシニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(5−ヒドロキシニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−アセトアミドニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
(5−((3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオウレイド)カルボニル)ピリジン−2−イル)メチルアセテート、
1−(6−(ヒドロキシメチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(4−(ヘプチルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチノイル)−3−(4−(オクチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(モルホリン−4−カルボニル)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(4−(ヘプチルオキシ)フェニル)−3−(6−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(4−(ヘプチルオキシ)フェニル)−3−(6−ヒドロキシニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(4−(ヘプチルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−モルホリノニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−シアノニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−シアノニコチノイル)−3−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(2−シアノニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(2−モルホリノエトキシ)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(2−モルホリノエトキシ)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(2−モルホリノエトキシ)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(2−モルホリノエトキシ)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルアミノ)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルアミノ)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルアミノ)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−(5−(フラン−3−イル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(5−(フラン−3−イル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(5−(フラン−3−イル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(3−シアノ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(5−ブロモニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(3−シアノ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(3−クロロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−シアノニコチノイル)チオ尿素、
1−(5−シアノニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
メチル5−((3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオウレイド)カルボニル)ニコチン酸塩、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(1−メチルピペラジン−4−カルボニル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(3−クロロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(1−メチルピペラジン−4−カルボニル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(6−(1−メチルピペラジン−4−カルボニル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−(3−クロロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−(6−(2−(ピロリジン−1−イル)エチル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(4−ペンチルフェニル)−3−(6−(2−(ピロリジン−1−イル)エチル)ニコチノイル)チオ尿素、
1−(2−(4−フルオロフェノキシ)ニコチノイル)−3−(4−ペンチルフェニル)チオ尿素、
1−ニコチノイル−3−(4−(オクチルオキシ)フェニル)チオ尿素、
1−ニコチノイル−3−(4−オクチルフェニル)チオ尿素、
1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(4−ヘキシルフェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(3−フルオロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素、
1−(4−ブトキシフェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(4−(ヘプチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、
1−(3−クロロ−4−(ペンチルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素、または、
1−(4−イソプロポキシ−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素
【0035】
本明細書に記載される医薬合剤で有用な式Iの化合物としてはまた、以下の化合物、ならびにそれらの化合物の薬学的に許容される塩、水和物、プロドラッグ、および多形体が挙げられる。
【化2】


(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)(ACH−806)
【化3】


(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素)
【化4】


(1−(5−ブロモニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)
【化5】


(1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)
【化6】


(1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)
【化7】


(1−(6−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)
【化8】


(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)チオ尿素)
【0036】
本明細書に提供される処置の方法および医薬合剤における追加の活性剤(単数または複数)は、カスパーゼ阻害剤、サイクロフィリン阻害剤、チトクロームP450モノオキシゲナーゼ阻害剤、グルココルチコイド、ヘマトポイエチン、融合阻害剤、侵入阻害剤、カプシド阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤(NS3)、ホメオパシ治療剤、免疫調節化合物(インターフェロンを含む)、免疫抑制剤、インターロイキン、インターフェロンエンハンサ、IRES阻害剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、ヌクレオシドアナログ、非ヌクレオシド阻害剤、P7タンパク質阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤(RNA−依存性RNAポリメラーゼNS5Bを含む)、プロテアーゼ阻害剤(HCVメタロプロテアーゼNS2−3の阻害剤およびNS3/4Aプロテアーゼ阻害剤を含む)、RNA干渉剤、治療用ワクチン、TNFアゴニスト、チューブリン阻害剤、NS5A阻害剤、NS4B阻害剤、キナーゼ阻害剤、トール(Toll)様レセプタアゴニストまたはスフィンゴシン−1−リン酸レセプタモジュレータであってもよい。
【0037】
特定の理論には拘束されないが、ACH−806および式Iの他の化合物は、HCV NS4Aでの影響を通じてHCV複製を阻害すると考えられる。ほとんどの実施形態では、追加の活性剤(単数または複数)がACH−806の作用機序とは別個の作用機序を有する。
【0038】
特定の実施形態では、追加の活性剤(または複数)は、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えば、プロテアーゼ阻害剤は、テラプレビル(telaprevir)(VX−950)であってもよく、ポリメラーゼ阻害剤はバロピシピタビン(valopicitabine)、またはNM107(バロピシピタビンが変換される活性剤)であってもよい。
【0039】
本明細書に記載される処置の方法は、少なくとも式Iの化合物および第二の活性剤を含み、ただし追加の活性剤もまた含んでもよい。特定の実施形態では、処置の方法は式Iの化合物およびインターフェロン、例えば、ペグ化インターフェロンまたはインターフェロンγを患者に提供するステップを包含する。インターフェロンは式Iの化合物とともに提供される唯一の化合物であってもよく、またはインターフェロンではない追加の活性剤とともに提供されてもよい。
【0040】
本発明の処置方法、ならびに式Iの化合物を含む医薬合剤であって、任意の以下の化合物および物質を、追加の活性剤として含む。
カスパーゼ阻害剤:IDN 6556(Idun Pharmaceuticals)
サイクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)チトクロームP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル(ritonavir)(WO 94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、ホスアンプレナビル(fosamprenavir)、サキナビル(saquinavir)、ロピナビル(lopinavir)、デラビルジン(delavirdine)、エリスロマイシン(erythromycin)、VX−944、およびVX−497。好ましいCYP阻害剤としては、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン(troleandomycin)、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが挙げられる。
グルココルチコイド:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン(triamcinolone)、パラメタゾン(paramethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)およびデキサメタゾン(dexamethasone)。
ヘマトポイエチン類:ヘマトポイエチン−1およびヘマトポイエチン−2。ヘマトポイエチンのスーパーファミリの他のメンバ、例えば、種々のコロニ刺激因子(例えば、(例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、Epo、およびSCF(幹細胞因子)。
ホメオパシ治療:オオアザミ(Milk Thistle)、シリマリン(silymarin)、チョウセンニンジン(ginseng)、グリチルリジン、甘草、ゴミシ(schisandra)、ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、およびセレニウム。
免疫調節性化合物:サリドマイド、IL−2、ヘマトポイエチン類、IMPDH阻害剤類、例えば、メリメポジブ(Merimepodib)(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、天然のインターフェロン(例えば、OMNIFERON(Viragen)およびSUMIFERON(住友)、天然のインターフェロンの混合物)、天然のインターフェロンα(ALFERON,Hemispherx Biopharma,Inc.)、リンパ芽球腫細胞由来のインターフェロンαnl(WELLFERON,Glaxo Wellcome)、経口αインターフェロン、Peg−インターフェロン、Peg−インターフェロンα2a(PEGASYS,Roche)、組み換えインターフェロンα2a(ROFERON,Roche)、吸入インターフェロンα2b(AERX,Aradigm)、Peg−インターフェロンα2b(ALBUFERON,Human Genome Sciences/Novartis,PEGINTRON,Schering)、組み換えインターフェロンα2b(INTRON A,Schering)、ペグ化インターフェロンα2b(PEG−INTRON,Schering,VIRAFERONPEG,Schering)、インターフェロンβ−1a(REBIF,Serono,Inc.およびPfizer)、コンセンサスインターフェロンα(INFERGEN,Valeant Pharmaceutical)、インターフェロンγ−1b(ACTIMMUNE,Intermune,Inc.)、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロン、およびそのアナログを含むインターフェロン、ならびに合成サイモシンα1(ZADAXIN,SciClone Pharmaceuticals Inc.)。
免疫抑制剤:シロリムス(sirolimus)(RAPAMUNE,Wyeth)
インターロイキン類:(IL−I、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α)および他の低分子量の因子(例えば、AcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモン類、およびミニサイトカイン(minicytokine)類)。
インターフェロンエンハンサ類:EMZ702(Transition Therapeutics)
IRES阻害剤:VGX−410C(VGX Pharma)
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体:XTL−6865(XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、Hepatitis C Immune Globin(ヒト)(CIVACIR,Nabi Biopharmceuticals)
ヌクレオシドアナログ類:Lamivudine(EPIVIR,3TC,GlaxoSmithKline)、MK−0608(Merck)、ザルシタビン(HIVID,Roche US Pharmaceuticals)、リバビリン(COPEGUS(Roche)、REBETOL(Schering)、VILONA(ICN Pharmaceuticals、およびVIRAZOLE(ICN Pharmaceuticals)を含む)、およびビラミジン(Valeant Pharmaceuticals)、リバビリンのアミジンプロドラッグ。ヌクレオシドアナログの組み合わせも使用されてもよい。
非ヌクレオシド阻害剤:デラビリジン(RESCRIPTOR,Pfizer)、およびHCV−796(Viropharm)。
P7タンパク質阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL,Endo Pharmaceuticals,Inc.)。
ポリメラーゼ阻害剤:NM283(バロピシタビン)(Idenix)およびNM107(Idenix)、PSI−6130(Roche/Pharmasset)。
プロテアーゼ阻害剤:BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、GW−433908(Amprenavirのプロドラッグ,Glaxo/Vertex)、インジナビル(CRIXIVAN,Merck)、ITMN−191(Intermune/Array Biopharma)、VX950(Vertex)および前述のプロテアーゼ阻害剤の1つ以上を含む組み合わせ。
RNA干渉薬:SERNA−034 RNAi(Sirna Therapeutics)
治療用ワクチン類:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnogenetics)、GI5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、Hepavaxx C(ViRex Medical)。
TNFアゴニスト類:アダリムマブ(HUMIRA,Abbott)、エンタナーセプト(entanercept)(ENBREL,AmgenおよびWyeth)、インフリキシマブ(infliximab)(REMICADE,Centocor,Inc.)
チューブリン阻害剤:コルヒチン
スフィンゴシン−1−リン酸レセプタモジュレータ類:FTY720(Novartis)
TLRアゴニスト類:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7アゴニスト(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)、およびCPG 7909(Coley)を含むTLR9アゴニスト類。
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0041】
C型肝炎投薬を受けている患者は代表的には、インターフェロンを別の活性剤と一緒に与えられる。従って、式Iの化合物が、追加の活性剤としてインターフェロン、例えば、ペグ化インターフェロンα2aと一緒に提供される処置の方法および医薬合剤が実施形態として包含される。同様に、リバビリンが追加の活性剤である方法および医薬合剤は、本明細書において実施形態として提供される。
【0042】
<医薬製剤>
式Iの化合物を含む、本明細書に記載の方法および医薬合剤に存在する活性剤は、そのまま(neat)投与することが可能であるが、医薬製剤としてこの活性剤を処方することが好ましいかもしれない。医薬製剤は、特定の投与方式および剤形に依存して、薬学的に許容される賦形剤、例えば、担体、溶媒、安定化剤、アジュバント、希釈剤、流動促進剤などとともに調製されてもよい。製剤は必要に応じて、賦形剤、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,第5版(2005)に示される賦形剤を含む。
【0043】
本明細書に記載される方法および医薬製剤で有用な活性剤は、単位剤形で、または処置の必要な患者への同時投与もしくは連続投与を意図する別個の剤形で処方されてもよい。連続投与される場合、その合剤は、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、または6回以上投与されてもよい。別の実施形態では、本発明の1つ以上の化合物および1つ以上の追加の活性成分を種々の経路によって投与することが可能である。
【0044】
本発明の医薬製剤は、治療上または予防上有効な量の式Iの化合物と、追加の活性剤とを、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む。本発明の合剤の治療上または予防上有効な量は、合剤のウイルス阻害性の量を含む。
【0045】
本発明の合剤は、処置されるべき条件に適切な任意の経路によって投与され得る。適切な経路としては、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、クモ膜下腔内、および硬膜外を含む)、経口、経鼻、局所(口腔内および舌下を含む)、直腸、膣などが挙げられる。好ましい投与経路は、例えば、レシピエントの状態および処置の期間に依存して変化し得ることが理解されるであろう。好ましい実施形態では、処置は、C型肝炎ウイルスに対する抗体を有する患者に経口または非経口的に与えられる。
【0046】
本発明の製剤は、例えば、非経口、または経口投与のためには、最も代表的には、固体、溶液、エマルジョンまたは懸濁液であるが、肺投与のための吸入可能な製剤は一般には流体または粉末であって、粉末製剤が一般に好ましい。本発明の医薬合剤はまた、投与前に生理学的に適合する溶媒で再構成される凍結乾燥固体として処方されてもよい。本発明の別の医薬製剤は、シロップ、エリキシル、クリーム、軟膏、錠剤などとして調製されてもよい。
【0047】
経口使用のための製剤としては、例えば、錠剤、トローチ、薬用キャンデ(lozenges)、舐剤、水性または油性の懸濁液、非水性の溶液、分散性の粉末または顆粒(微粉化粒子またはナノ粒子を含む)、エマルジョン、硬カプセルまたは軟カプセル、シロップまたはエリキシルが調製されてもよい。経口使用を意図する製剤は、医薬製剤の製造のために当該分野で公知の任意の方法に従って調製されてもよく、そしてこのような製剤は、口当たりのよい調製物を得るために、甘味料、香味料、着色料、および防腐剤を含む1つ以上の剤を含んでもよい。
【0048】
医薬製剤は賦形剤を含む。適切な賦形剤は、大型の緩徐に代謝される高分子、例えば、タンパク質類、多糖類、ポリ乳酸類、ポリグリコール酸類、ポリマ状アミノ酸類、アミノ酸コポリマ類、および不活性なウイルス粒子を含む担体分子であってもよい。その他の例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸などの酸化防止剤;EDTAなどのキレート剤;デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などの炭水化物;油、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体;湿潤剤または乳化剤;pH緩衝物質などが挙げられる。リポソームもまた薬学的に許容される賦形剤の定義内に含まれる。
【0049】
錠剤と組み合わせて用いるために特に適切な薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、セルロース類、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈剤;クロスカルメロースナトリウム、架橋ポビドン、トウモロコシデンプン、またはアルギン酸などの崩壊剤;ポビドン、デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの平滑剤が挙げられる。
【0050】
担体は、本明細書に記載される合剤中で高頻度に用いられる賦形剤の1分野である。単一の剤形を生成するために必要な担体物質は、当業者によって決定されて、宿主、処置されている状態の性質、特定の投与方式、医薬製剤、および毒性を含む考慮に依存して変化するであろう。活性剤は適切なおよび好都合な量の担体物質と処方され得、この量は総組成物の例えば、約5%〜約95%(重量:重量)に変化し得る。
【0051】
錠剤は、コーティングされなくてもよいし、または胃腸管における崩壊および吸収を遅らせ、それによってより長期にわたる徐放性の作用を得るために、マイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を単独でまたはワックスと一緒に使用してもよい。
【0052】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば、セルロース類、ラクトース、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が非水性または油性媒体、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピーナツ油(ラッカセイ油)、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして与えられてもよい。
【0053】
別の実施形態において、医薬製剤は、本発明の化合物を、懸濁液の製造に適した少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と混合して含む懸濁液として処方される。さらに別の実施形態において、医薬製剤は、適当な賦形剤の添加によって懸濁液を調製するのに適切な分散性粉末または顆粒として処方される。懸濁剤と組み合わせた使用に適切な賦形剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴムなどの懸濁化剤;天然に存在するリン脂質(例えばレシチン)、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)などの分散または湿潤剤;ならびにカルボマ、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの粘稠化剤が挙げられる。懸濁剤はまた、酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび/またはn−プロピルなどの1つ以上の保存料;1つ以上の着色剤;1つ以上の着香剤;および1つ以上の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンも含んでもよい。
【0054】
油性懸濁物は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油の中に、あるいは流動パラフィンなどの鉱物油の中に懸濁させることによって処方してもよい。経口懸濁物は、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含んでもよい。甘味剤および着香剤を必要に応じて、口当たりのよい経口剤を得るために、添加してもよい。例えばアスコルビン酸などの1つ以上の抗酸化物質を保存料として添加してもよい。
【0055】
本発明の医薬製剤はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。一態様では、エマルジョンの油相は、1つ以上の乳化剤(別にエマルジェント(emulgents)として知られている)のみを含み得る。好ましい態様においては、この油相は、少なくとも1つの乳化剤と、脂肪もしくは油との混合物、または脂肪および油の両方との混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性の乳化剤と共に含有される。油および脂肪の両方を含むこともまた好ましい。本発明の製剤での使用に適切なエマルジェントおよび乳化安定剤としては、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。本発明の一態様において、この油相は、オリーブ油もしくはラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれらの混合物を含む。適当な乳化剤としては、アカシアゴムおよびトラガカントゴムなどの天然に存在するゴム;ダイズレシチン、脂肪酸から誘導されるエステル類もしくは部分エステル類などの天然に存在するリン脂質;ソルビタンモノオレエートなどのヘキシトール無水物類;およびこれら部分エステル類とエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。エマルジョンは、また、甘味剤および着香剤を含んでもよい。シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤とともに処方されてもよい。一態様において、このような製剤はまた、鎮痛剤、防腐剤、着香剤、着色剤、またはこれら成分の任意の組合せを含んでもよい。エマルジョンまたは懸濁物は、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤とを用いて公知の技術に従って処方されてもよい。
【0056】
ある実施形態では、この医薬製剤は、無菌の注射用調製物の形態である。注射液は、例えば、注射、インフュージョンにより、またはボーラスとして投与され得る。注射用調製物としては、非限定的な例で、無菌の注射用水性エマルジョンおよび油性の懸濁物が挙げられる。この無菌の注射用調製物はまた、毒性のない非経口で受け入れられる希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁物、例えば1,2−プロパンジオール中の溶液であってもよい。この無菌の注射用調製物はまた、凍結乾燥した粉末として調製してもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中で使用できるのは、水、リンゲル液、および等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油を溶媒または懸濁媒体として使用してもよい。この目的については、合成モノ−またはジ−グリセリド類を含む任意の不揮発性無刺激油を使用してもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を同様に注射液の調製物中に用いてもよい。
【0057】
本明細書に記載される医薬合剤の活性剤は、経口投与のために、溶解性の低い化合物に適切な脂質ベースの製剤中で処方してもよい。脂質ベースの製剤は、このような化合物の経口バイオアベイラビリティ(bioavailability)を一般に高めることができる。ある実施形態では、本発明の医薬製剤は、本発明の化合物の治療上または予防上有効な量を、中鎖脂肪酸またはそのプロピレングリコールエステル類(例えば、カプリルおよびカプリン脂肪酸類などの食用の脂肪酸のプロピレングリコールエステル類)およびポリオキシ40水素化ヒマシ油などの薬学的に許容されるサーファクタントから選択される少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤と一緒に含む。シクロデキストリン類が水溶解性エンハンサとして添加されてもよい。シクロデキストリン類としては、α−、β−、およびγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、グルコシル、マルトシルおよびマルトトリオシル誘導体が挙げられる。特に好ましいシクロデキストリン溶解性エンハンサは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBC)であって、これを上記の任意の製剤に加えて、本発明の化合物の水溶解性の特徴をさらに改善してもよい。一実施形態では、この組成物は、0.1%から20%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、より好ましくは1%から15%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、さらにより好ましくは2.5%から10%のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。使用される溶解性エンハンサの量は、組成物中の本発明の化合物の量に依存するであろう。
【0058】
本発明の製剤は、例えば、密封したアンプルおよびバイアルを含む単位剤形または複数用量の容器に入れて提供されてもよく、無菌の液状担体、例えば注射用の生理食塩水を使用の直前に加えることしか必要としない凍結乾燥(freeze−dried)または凍結乾燥(lyophilized)状態で保存してもよい。一実施形態において、単位投与量製剤は、活性成分の1日用量もしくは1日サブ用量、またはその分割量を含有する。
【0059】
<パッケージングされた製剤>
本発明は、パッケージングされた医薬合剤を含む。このようなパッケージングされた合剤は、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤を一緒に容器中に含む。この容器はさらに、患者でC型肝炎感染を処置または予防するために合剤を用いるための説明書を備えてもよい。
【0060】
式Iの化合物および1つ以上の追加の活性剤は、単一の剤形で組み合わされてもよいし、または別個の剤形で存在してもよい。
【0061】
<処置の方法>
本発明は、C型肝炎感染のリスクのある患者またはC型肝炎ウイルスに感染した患者に対して有効量の式Iの1つ以上の化合物および少なくとも1つの追加の活性剤を投与することによって、C型肝炎を予防および処置する方法を包含する。
【0062】
本発明の方法によれば、活性剤の併用は、(1)一緒に処方されて投与されるか、または併用製剤中で同時に送達されるか、(2)別々の製剤として交互にまたは平行して送達されるか、あるいは(3)当該分野で公知の任意の他の併用治療レジメンによるか、であってもよい。交互の治療で送達される場合、本発明の方法は、活性成分を連続して、例えば、別々の溶液、エマルジョン、懸濁液、錠剤、丸剤もしくはカプセル中で、または別々のシリンジ中で異なる注射物によって、投与するかまたは送達することを包含し得る。一般には、交互の治療の間、各々の活性成分の有効投薬量は連続性に、すなわち、連続的に投与されるが、同時の治療では、2つ以上の活性成分の有効投薬量が一緒に投与される。間欠的併用療法の種々の結果もまた用いられてもよい。
【0063】
本明細書に開示される医薬合剤は、患者におけるC型肝炎を予防および処置するために有用である。本発明の医薬合剤の有効量は、(a)C型肝炎の素因があり得るがまだC型肝炎とは診断されていない患者においてC型肝炎もしくはC型肝炎の症状の発生を予防するか、またはC型肝炎感染に伴い得るかもしくは原発性のC型肝炎感染によって生じ得る疾患(例えば、慢性HCV感染の状況で生じ得る肝線維症)を予防するのに;(b)C型肝炎の進行を阻害するのに;および(c)C型肝炎感染の後退を生じるのに、十分な量であり得る。C型肝炎の進行を阻害するかまたは後退を生じるのに有効な医薬組成物の量は、C型肝炎の症状の悪化を停止するか、またはC型肝炎ウイルスに感染した患者によって経験される症状を軽減するのに有効な量を含む。あるいは、C型肝炎の進行または後退における中断は、その疾患についての任意のいくつかのマーカによって示され得る。例えば、C型肝炎ウイルスの負荷の増大の消失もしくは減少、または患者の血中の循環するHCV抗体の数の増大の消失もしくは減少は、C型肝炎感染の進行または後退における中断のマーカである。他のC型肝炎の疾患マーカとしては、アミノトランスフェラーゼ値、特に肝酵素ASTおよびALTの値が挙げられる。ASTの正常な値は、血清(血液の液体部分)1リットルあたり5〜40単位であって、ALTの正常値は血清1リットルあたり7〜56単位である。これらのレベルは代表的には、HCV感染患者で上昇するであろう。疾患の後退は通常は、ASTおよびALT値の正常範囲への復帰によって印される。
【0064】
本発明の医薬合剤の有効量によって影響され得るC型肝炎の症状としては、肝機能の低下、疲労、インフルエンザ様症状:熱、悪寒、筋肉痛、関節痛および頭痛、悪心、特定の食品嫌い、未解明の体重減少、抑うつを含む精神的疾患、腹部の圧痛および黄疸が挙げられる。
【0065】
「肝機能」とは、肝臓の正常な機能をいい、これには限定はしないが、血清タンパク質(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ類(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、yグルタミニルトランスペプチダーゼなど)などのタンパク質の合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、および胆汁酸の合成を含む合成機能;肝臓代謝機能(炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニアの代謝、ホルモン代謝および脂質代謝を含む);外因性薬物の解毒;ならびに血行動態の機能(内臓および門脈の血行動態を含む)が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載される合剤の有効量ではまた、患者に投与されたときの濃度で活性剤の十分な濃度が得られる。十分な濃度の活性剤とは、感染を防ぐかまたは感染と戦うために必要な患者の身体中のその薬剤の濃度である。このような量は、実験的に、例えば、その薬剤の血液濃度をアッセイすること、または理論的には、バイオアベイラビリティを計算することによって確定してもよい。インビトロにおいてウイルス感染を阻害するのに十分な活性剤の量は、ウイルスの感染性についての従来のアッセイ、例えば、レプリコンベースのアッセイ(文献中に記載されている)で決定され得る。
【0067】
本発明はまた、式Iの化合物および少なくとも1つの追加の活性剤を含む医薬合剤を予防的治療に用いるステップを包含する。予防的または予防性の処置の状況では、本発明の化合物の有効量は、C型肝炎感染に罹る患者のリスクを有意に軽減するのに十分な量である。
【0068】
処置の方法は、式Iの化合物の特定の投薬量および少なくとも1つの追加の活性剤を患者に提供するステップを包含する。1日あたり体重1kgあたり約0.1mg〜約140mgの各々の活性剤の投薬量は、上記で示した状態の治療に有用である(1日あたり患者1人あたり約0.5mg〜約7g)。単一剤形を得るために担体物質と組合され得る活性成分の量は、処置される患者および特定の投与方式に依存して変化する。単位剤形は一般に、各々の活性剤の約1mg〜約500mgを含む。特定の実施形態では、25mg〜500mgもしくは25mg〜200mgのACH−806、または式Iの他の化合物を、患者に毎日与え、少なくとも1つの追加の活性剤の有効量も与える。追加の活性剤がNM283(バロピシタビン)である場合、100mg〜1000mg/日、または200mg〜800mg/日、または200〜400mg/日のいずれかの活性剤を代表的には患者に与える。追加の活性剤がVX−950である場合、1000mg〜3750mg/日、または1200mg〜1800mg/日を患者に投与する。VX−950が追加の活性剤である治療レジメンでは、約350〜約450mgもしくは約700〜約800mgのVX−950が、1日あたり3回、1例の患者に投与されるか、または約350〜約450mgもしくは約700〜約800mgが12時間ごとに投与され、特に本発明に包含される。
【0069】
投薬の頻度はまた、用いられる化合物および処置される特定の疾患に依存して変化し得る。しかし、ほとんどの感染性の障害の処置については、1日に4回以下という投薬レジメンが好ましく、1日に1または2回の投薬レジメンが特に好ましい。
【0070】
しかし、任意の特定の患者の特定の投与レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全般的健康度、性別、食餌、投与の時間、投与経路、および排出速度、併用薬物、および治療を受けている特定の疾患の重篤度を含む種々の要因に依存することが理解されるであろう。
【実施例】
【0071】
<実施例1>
[化合物の調製]
【化9】


【化10】


【化11】


ACH−806、ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼ阻害剤NM−107、およびNS3セリンプロテアーゼ阻害剤VX−950の構造を上に示す。これらの化合物は、合成の有機化合物の分野で周知の方法を用いて調製され、かつH−NMR、HPLCおよびLC−MSによって詳細に特徴付けられる。全ての化合物をDMSOに溶解して、適切な培地中に特定の濃度で希釈し、その後に試験プレートにアッセイの時点で添加した。IFN−α−2b(INTRON A,Schering,Kenilworth,NJ)を購入して、適切な培地中に特定の濃度で希釈し、その後にアッセイの時点で試験プレートに添加した。
【0072】
<実施例2>
[細胞株]
Huh−9−13およびHuh−luc/neo細胞株を、Dr.RaIf Bartenschlagerから入手した。これらの細胞株は、図2に示されるようなレプリコンRNA分子(サブタイプ1b、Con−1)のトランスフェクションによって樹立した。この細胞株に、100IU/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.5mg/mlのG418(Gibco BRL,Carlsbad,California)を添加した、完全培地[ダルベッコの改変最小必須培地(DMEM)(Gibco BRL,Carlsbad,California)、10%のウシ胎仔血清(FBS)、および1×非必須アミノ酸(Gibco BRL,Carlsbad,California)]中で維持した。
【0073】
<実施例3>
[短期併用研究]
Huh−luc/neo細胞を、96ウェルプレート中に7000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞をプレートした1日後、その細胞を、ACH−806、IFN−α−2b、VX−950またはNM−107を、種々の濃度で、単独で、または組み合わせて用いて処理した。個々の化合物およびそれらの組み合わせについての用量応答曲線は全て、四連行った。各々の薬物の濃度は、EC50より上および下の同様の範囲に及び、その結果、等価な抗ウイルス活性が比較される。
【0074】
インキュベーションの72時間後、Huh−luc/neo細胞中のHCVレプリコンの複製の阻害を、製造業者の指示に従って、市販のルシフェラーゼアッセイを用いてルシフェラーゼ活性の測定によって定量した(Britelite Ultra−High Sensitive Luminescence Reporter Gene Assay System,Perkin Elmer,Wellesley,MA)。抗HCV活性は、未処理のコントロールに比較して、50%(EC50)または90%(EC90)までルシフェラーゼ活性(相対ルシフェラーゼ単位、RLU)の低下を生じる濃度として表した。
【0075】
化合物の毒性は、市販のCellTiter 96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega,Madison,WI)を用いて細胞生存度の測定によって評価した。細胞毒性は、未処理のコントロールと比較して、50%(CC50)までOD490値の低下を生じる濃度として表した。
【0076】
ChouおよびTalalay(Chou,T.C.およびP.Talalay,Quantitative analysis of dose−effect relationships:the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors(1984)Adv.Enzyme Regul.22:27〜55)の方法に基づくコンピュータプログラムである、CalcuSyn(Biosoft,Ferguson,MO)を用いて実験データを分析した。このモデルでは、各々の薬物または薬物の組み合わせについての用量効果曲線を、このプログラムを用いて半有効プロット(median−effect plots)に変換した。次いで併用の効果を単剤の効果と比較する。各々の実験の組み合わせについての併用の係数(combination index)(CI)は以下の式に基づいて計算する。
CI=[(D)1/(Dx)1]+[(D)2/(Dx)2]+[(D)1(D)2/(Dx)1(Dx)2]、
ここで(Dx)1および(Dx)2は、それぞれ、各々の薬物が単独で用いられる場合、×(倍)効果を有する薬物1および薬物2の用量であって、(D)1および(D)2は、併用して用いた場合に同じ×効果を有する薬物1および薬物2の用量である。慣例により0.9未満のCIは、相乗効果とみなされ、0.9以上または1.1以下のCIは相加的とみなされ、1.1を超えるCIは拮抗性とみなされる。
【0077】
相乗作用または拮抗作用の程度はまた、プリチャード(Prichard)およびシップマン(Shipman)(Prichard,M.Shipman,K.,A three−dimensional model to analyze drug−drug interactions,(1990)Antiviral Res.14:181〜206)によって開発された三次元分析方法で評価した。このモデルでは、理論的な相加的効果を、個々の化合物の用量応答曲線から、等式Z=X+Y(1−X)によって計算し、ここでXおよびYは、それぞれ薬物1単独、および薬物2単独で生じる阻害であって、Zは、薬物1および薬物2の組み合わせによって生じる効果に相当する。理論上の相加的面を、実際の実験の面から差引きし、これによって併用が相加的でしかない場合、0%阻害で水平面としてあらわれる面が得られる。この平面を上回る任意のピークは相乗作用を示すが、この平面を下回る任意の落ち込みは拮抗作用を示す。実験の用量応答表面の95%信頼区間を用いて、データを統計学的に評価する。このピークまたは落ち込みの大きさを計算して、生じた全体的な相乗作用または拮抗作用を定量する。Prichardらに基づいて、50μM%より大きい相乗作用の大きさを有意とみなしてもよく、同様に−50μM%未満の拮抗作用の大きさを有意とみなしてもよく、ここでX軸およびY軸の単位は、両方ともμMであって、Z軸の単位は阻害のパーセンテージである。
【0078】
(結果)
ACH−806と、IFN、VX−950およびNM−107との併用の結果は、標準的なアッセイを用いて最初に評価した。
【0079】
3日間処理したHuh−luc/neo細胞におけるレプリコン複製に対するIFN、VX−950およびNM−107のうちの1つと組み合わせたACH−806の阻害性効果を、レプリコンのコピーのレポータであるルシフェラーゼ活性によってモニタした。いずれの化合物処理によっても細胞傷害性は観察されなかった。これらの処理によるレプリコン複製に対する阻害性効果は、ChouおよびTalalayならびにPrichardおよびShipmanのモデルの両方で分析した。その結果を表1にまとめる。拮抗性の効果は観察されなかった。さらに、ACH−806とVX−950およびNM−107との相乗作用的な抗ウイルス活性が観察された。
【0080】
【表1】

【0081】
<実施例4>
[長期併用研究]
Huh−9−13細胞を、10cmのプレート中に、10細胞/プレートの密度で播種し、ACH−806またはNM−107を用いて約5×EC50値の濃度で、単独でまたは組み合わせて9日間処理した。この実験の他の繰り返しでは、処理時間は7〜10日にわたって変化した。細胞は、3日ごとに新しいプレートに同じ密度(10細胞/プレート)で、新鮮な化合物を用いて継代した。9日の処理の間、G418はなしとした。10日目に、細胞を再度、新しいプレートにそれぞれ10細胞/プレートの密度で継代し、G418のみを用いてさらに約3週間処理した。この間にコロニが形成された。2〜3週間の間、古い培地を新鮮な培地で週に2回置き換えた。コロニを10%ホルムアルデヒドで固定し、20%エタノールに含有される2%のクリスタルバイオレットで染色した。
【0082】
ACH−806とIFNまたはNM−107のいずれかとの長期併用の結果は、上記の治癒(curing)アッセイを用いて評価した。このアッセイでは、9日の処理後にレプリコンがまだ残っている細胞の数を、G418選択後に形成されたコロニの数に基づいて定量した。その結果を図2に示す。ACH−806をIFNまたはNM−107のいずれかと併用したところ、レプリコン含有細胞のほぼ99.99%が治癒した(4対数低下)が、各々はそれ自体では約90%であった(1対数低下)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの追加の活性剤とともにC型肝炎ウイルスに感染した患者に対して提供するステップを包含する、C型肝炎を処置する方法であって、ここで式Iは、
【化1】


であって、
ここでAは必要に応じて置換される3−ピリジルであり、
およびRは独立して水素およびC−Cアルキルから選択され、かつ
はフェニルであって、パラ位でC−CアルキルまたはC−Cアルコキシで置換され、かつ必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、およびフェニルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、式Iの化合物が、
(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素)、
(1−(5−ブロモニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、または、
(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)チオ尿素)、またはそれらのいずれかの塩である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、式Iの前記化合物が、(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)である、方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、カスパーゼ阻害剤、サイクロフィリン阻害剤、チトクロームP450モノオキシゲナーゼ阻害剤、グルココルチコイド、ヘマトポイエチン、融合阻害剤、侵入阻害剤、カプシド阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、ホメオパシ治療剤、免疫調節化合物、免疫抑制剤、インターロイキン類、インターフェロンエンハンサ、IRES阻害剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、ヌクレオシドアナログ、非ヌクレオシド阻害剤、P7タンパク質阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、RNA干渉剤、治療用ワクチン、TNFアゴニスト、チューブリン阻害剤、NS5A阻害剤、NS4B阻害剤、キナーゼ阻害剤、トール様レセプタアゴニスト、およびスフィンゴシン−1−リン酸レセプタモジュレータである、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である、方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法であって、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、VX−950またはバロピシタビンである、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、インターフェロンが前記患者にさらに提供される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、約25mg/日〜約2400mg/日の(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、および、約200mg/日〜400mg/日のバロピシピタビンまたは約1200mg/日〜約1800mg/日のVX−950のいずれかが患者に提供される、方法。
【請求項9】
式Iの化合物もしくは薬学的に許容される塩、またはその薬学的に許容される塩および少なくとも1つの活性剤を含む医薬合剤であって、ここで式Iは、
【化2】


であって、
ここでAは必要に応じて置換される3−ピリジルであり、
およびRは独立して水素およびC−Cアルキルから選択され、かつ
はフェニルであって、パラ位でC−CアルキルまたはC−Cアルコキシで置換され、かつ必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、モノ−およびジ−(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイル、C−Cハロアルキル、C−Cハロアルコキシ、およびフェニルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換される、医薬合剤。
【請求項10】
請求項9の医薬合剤であって、式Iの化合物が、
(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−ニコチノイルチオ尿素)、
(1−(5−ブロモニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−(ジメチルカルバモイル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−((ジメチルアミノ)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、
(1−(6−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)ニコチノイル)−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)、または、
(1−(4−(ヘキシルオキシ)フェニル)−3−(6−(モルホリノメチル)ニコチノイル)チオ尿素)、またはそれらのいずれかの塩である、医薬合剤。
【請求項11】
請求項9に記載の医薬合剤であって、式Iの前記化合物が(1−ニコチノイル−3−(4−(ペンチルオキシ)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)チオ尿素)またはその塩である、医薬合剤。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の医薬合剤であって、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、カスパーゼ阻害剤、サイクロフィリン阻害剤、チトクロームP450モノオキシゲナーゼ阻害剤、グルココルチコイド、ヘマトポイエチン、融合阻害剤、侵入阻害剤、カプシド阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、ホメオパシ治療剤、免疫調節化合物、免疫抑制剤、インターロイキン類、インターフェロンエンハンサ、IRES阻害剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体,ヌクレオシドアナログ、非ヌクレオシド阻害剤、P7タンパク質阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、RNA干渉剤、治療用ワクチン、TNFアゴニスト、チューブリン阻害剤、NS5A阻害剤、NS4B阻害剤、キナーゼ阻害剤、トール様レセプタアゴニスト、およびスフィンゴシン−1−リン酸レセプタモジュレータである、医薬合剤。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の医薬合剤であって、前記少なくとも1つの追加の活性剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である、医薬合剤。
【請求項14】
請求項13に記載の医薬合剤であって、前記追加の活性剤が、VX−950またはバロピシピタビンである、医薬合剤。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の医薬合剤であって、前記合剤が単位剤形である、医薬合剤。
【請求項16】
C型肝炎を処置する方法であって、(i)容器中で請求項9〜15のいずれか1項に記載の医薬合剤と、(ii)患者においてC型肝炎感染を処置するために前記合剤を用いるための説明書と、を提供するステップを包含する、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−513508(P2010−513508A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542887(P2009−542887)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/025907
【国際公開番号】WO2008/076443
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】