説明

C5a受容体アンタゴニスト

本発明は、次の構造式を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストに関する。


式中、
X1は、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−SO−、R5−N(R6)−、R5−N(R6)−CS−、R5−N(R6)−C(NH)−、R5−CS−、R5−P(O)OH−、R5−B(OH)−、R5−CH=N−O−CH−CO−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、F、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、および置換アリールオキシアルキルを含む群から選択され、
X2は、フェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3およびX4は、それぞれ独立にスペーサーであり、このスペーサーは、好ましくはアミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸誘導体を含む群から選択され、
X5は、シクロヘキシルアラニンまたはホモロイシン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X6は、トリプトファン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X7は、ノルロイシンまたはフェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3とX7の間には化学結合が形成されており、
式(I)中の実線−は、化学結合を表し、この化学結合はそれぞれ独立に、共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくはこの結合は化学結合であり、更に好ましくはこの化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合であり、この化合物は、特に、自己免疫疾患治療用の医薬の製造に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C5a受容体アンタゴニストおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
適応免疫系に加えて、感染症を防御するための別の−発生上の非常に古い−系が存在する。この系は、補体系と呼ばれ、30種を超える可溶性かつ膜結合型のタンパク質からなる。補体系を適応免疫系なしで、または一緒に活性化すると、例えば病原菌が除去され得る。補体系の制御されていない活性化または不十分な調節は、敗血性ショック、再灌流障害、リウマチ性関節炎、移植片拒絶、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、および糸球体腎炎のようないくつかの炎症性疾患に関係がある。補体系と疾患の関係に関する多数の概要が公開されている(例えば、Kirschfink、1997 Immunopharmacology 38: 51〜62;Markides、1998 Pharmacological Reviews 50: 59〜87、Walport、2001 The New England Journal of Medicine 344: 1140〜1144、Walport、2001 The New England Journal of Medicine 344: 1058〜66)。
【0003】
補体系の活性化は、3種の異なる経路を介して起こる。これらは、古典経路、代替経路、およびマンノース結合レクチン(MBL)経路と呼ばれる。すべての経路は、逐次処理を介して進行し、したがってプロテアーゼのプロフォームが活性化される。各活性化済みプロテアーゼが開裂すると、その結果次のプロフォームが活性化することができるので、最初の反応は増幅される。これは、凝固のカスケードと類似している。補体系に関する概要は、Sim及びLaichによってもたらされる(2000 Biochemical Society Transactions 28: 545〜550)。
【0004】
補体活性化で作製される最も重要なタンパク質のいくつかは、C3a、C3b、C5a、およびC5bである。これらのタンパク質をもっと詳細に論じる。
【0005】
C3bは、補体カスケードの中心プロテアーゼの不可欠な部分、すなわちC5コンバターゼである。C3bは、補体活性化の古典経路と代替経路の両方からのC5コンバターゼの一部である。MLB経路は、古典経路のコンバターゼによっても進行する。C5コンバターゼは、補体カスケードの進行に関与し、C5の開裂を触媒する。さらに、C3bは、例えば細菌の表面に共有結合で結合され、それによってこれらの細菌はマクロファージによる食作用をもっと受けることになる。類似の過程が、免疫複合体クリアランスに関して説明されている。
【0006】
C3aは、C3の開裂時にC3bと共に生成されるより小さなフラグメントである。C3aは、比較的弱いケモカインであり、アナフィラトキシンに属する。
【0007】
C5bは、C5の開裂で形成される。この開裂産物は、細胞膜損害複合体(MAC)形成の開始点である。MACは、細菌と内因性細胞の両方の形質膜を穿孔する孔を形成する。穿孔された細胞は、孔の形成により溶解され得る。
【0008】
C5aは、血漿タンパク質C5のα鎖の74番目のアミノ酸N末端開裂産物であり、C5コンバターゼの活性によって放出される。C5aは、C5a受容体C5aR1またはCD88と呼ばれるそれの受容体と高い親和性をもって結合され、いくつかの炎症誘発性効果を誘発する。これは、最も強力なケモカインのうちの1種であり、C3aと類似してアナフィラトキシンに属する。C5aRは、多くの細胞上に見ることができる。この受容体は、特に、好中球、マクロファージ、平滑筋細胞、および内皮細胞上に見られる。
【0009】
C5aの放出は、多くの疾患に直接または間接的に関与すると考えられる。これらの例は、敗血症(Huber-Langら、2001 Faseb Journal 15: 568〜570)、多発性硬化症(Mullerladnerら、1996 Journal of Neurological Science 144: 135〜141)、再灌流障害(Rileyら、2000 Journal of Thoriacic and Cardiovascular Surgery 120: 350〜358)、乾癬(Berghら、1993 Archives of Dermatological Research 285: 131〜134)、リウマチ性関節炎(Woodruffら、2002 Arthritis and Rheumattism 46: 2476〜85)、および一般的な免疫複合体関連疾患(Hellerら、1999 Journal of Immunology 163: 985〜994)である。C5a関連性疾患に関する概要は、Kohl(2001 Molecular Immunology 38: 51〜62)に見られる。
【0010】
C5aが炎症性疾患の症状の多くに関与することは明白であるが、今日まで受容体とそのリガンドとの間の相互作用を直接、目的とする薬剤は承認されていなかった。C5aRは、特に興味深い対象である。受容体を欠くマウスは異常な表現型を示さないという知見があるので特に興味深い対象である(Hopkenら、1996 Nature 383: 86〜89)。これは、受容体が完全に不活性化された場合でも、病原体に対する有用な防御機能(MAC形成物)および免疫複合体クリアランスを備えた補体カスケードが、依然として妨げられずに進行することができることを意味している。
【0011】
本明細書においてC5aRアンタゴニストとも呼ばれる特異的なC5a受容体アンタゴニストの発現は、過去のプログラムの一部であった。とりわけ、小分子が模索された。こうした分子の例は、L−156602(Merck)、RPR120033(Rhone-Poulenc)、W−54011(Mitsubishi Pharma)、およびNGD2000−1(Neurogen)である。1mol当たりの分子量が<500gである現在公知の阻害剤すべては、以下の欠点の少なくとも1つ、すなわち、低特異的なアゴニスト特性、かなり低い親和性、難溶解性、不十分な代謝安定性、またはP450酵素の阻害を有する。
【0012】
C5aR阻害剤の発現のための別の手法は、組換えタンパク質の使用に基づく。こうしたタンパク質系アンタゴニストの例は、CGS32359(Ciba-Geigy、Pellasら、1998 Journal of Immunology 160: 5616〜5621)、ΔpIII−A8(Hellerら、1999 Journal of Immunology 163: 985〜994)、および組換えまたは非組換え起源のものでもよい抗体(Huber-Langら、2001 Faseb Journal 15: 568〜570)である。これらのC5aRアンタゴニストは、タンパク質であり、したがって製造に費用がかかる。これらは比較的高親和性および特異性を有するが、明白な免疫原性の欠点を有する。さらに、これらのタンパク質は、例えば注射など費用のかかる方法によってのみ有効に投与され得る。
【0013】
C5aのC末端配列情報は、ペプチド性C5aRアンタゴニストの発現に使用された。C5aRの治療上使用可能なアンタゴニストとしてのペプチドは、製造コストがより低下し、免疫原性が減少し、血漿安定性が向上したので、タンパク質治療を越えて有利である。さらに、これらは、現在公知のほとんどの小分子よりも特異的である。多くのペプチド性アンタゴニストが、文献に記載されている。ほぼすべてのC5aRアンタゴニストの共通の特徴は、C5aのC末端におけるそれらの起源である。これらのペプチド性C5aRアンタゴニストまたは部分アゴニストの例は、以下の特許および特許出願、すなわち、米国特許第4,692,511号、米国特許第5,663,148号、国際公開公報第90/09162号、国際公開公報第92/11858号、国際公開公報第92/12168号、国際公開公報第92/21361号、国際公開公報第94/07518号、国際公開公報第94/07815号、国際公開公報第95/25957号、国際公開公報第96/06629号、国際公開公報第99/00406号、および国際公開公報第99/13899号、国際公開公報第03/033528号に見られる。De Martinoら(1995 Journal of Biological Chemistry 270: 15966〜15969)では、ペプチド性C5aRアンタゴニストにおけるC末端アルギニンの重要性についての構造的説明が、初めて試みられた。C末端アルギニンが、記載されるペプチドの親和性および活性に非常に重要であることが15967頁に示されている。正に帯電したグアニジニウム基と負に帯電したカルボキシ基のどちらもアルギニンの特性を向上させる親和性に重要であることが指摘されている。両方の残基の影響はさらに、グアニジニウム基は受容体との接触によるエネルギー放出に関与するが遊離カルボキシ基は受容体のArg−206に対する干渉を無効にすることで特徴付けられた(15966頁)。
【0014】
今までに記載されたC5aR結合ペプチドのほぼすべては、C末端に正に帯電したアミノ酸アルギニンを有する。これらのペプチド配列は、科学文献(Finchら、1999 Journal of Medicinical Chemistry 42: 1965〜1974;Wongら、1999 IDrugs 2: 686〜693;Psczkowskiら、1999 Pharmacology 128: 1461〜1466)と上記に列挙した特許出願および特許のどちらにも公開されている。
【0015】
国際公開公報第90/09162号では、38種のペプチド性阻害剤が、それらのIC50値と共に示されている(実施例2、13、23、31、91、106、111、117、131、150、165、182、188、202、213、220、229、245、247、249、279、282、295、296、305、316、338、348、377、402、404、409、421、424、432、445、455、460)。これらのペプチドのうち、37種のペプチドは、C末端アルギニンを有しており、1種のペプチドだけが、異なるC末端アミノ酸(チロシン、実施例305)を有する。国際公開公報第90/09162号の実施例305のアミノ酸配列は、Ac−Phe−Lys−Ala−Cha−Ala−Leu−ala−Tyr−OHであり、この結合に関して0.17μMのIC50値が示された。これは、親和性がC末端Argを有するその他の記載されたペプチドに比べて10分の1よりも低い(例えば、Ac−Phe−Lys−Ala−Cha−Ala−Leu−N−メチル(D)ala−Arg−OH(実施例296)および(N−エチル)Phe−Lys−Ala−Cha−Ala−Leu−N−メチル(D)ala−Arg−OH(実施例402)では、IC50値がそれぞれ0.012μMおよび0.011μMである)。本出願において使用される機能アッセイでは、チロシン含有化合物は、IC50値が1.3μMを示している。こうした機能アッセイは、一般に、結合アッセイよりもインビボ活性において予測的である。したがって、C末端アミノ酸としてチロシンを使用しても、医薬的に使用可能なC5aRアンタゴニストの開発に使用することができるペプチドが生じなかったことが明らかとなる。これはまた、多分、著者がさらにチロシン含有ペプチドと共にそれらの活性に関する値を記載していない理由でもある。
【0016】
国際公開公報第92/12168号では、別の20種のペプチドが、それらのIC50値(C5aRに結合)と共に記載されている。これらのペプチドのうちの19種は、D体でもL体でもよい末端アルギニンを有する。1種のペプチドは、疎水的相互作用によって相互作用することができるC末端フェニルブタノイル残基を有する。このペプチド(実施例170)は、配列(N−メチル)Phe−Lys−Pro−cha−Phe−フェニルブタノイルを有しており、IC50値が薬剤としての使用に十分とは思われない2.6μMしかないことが述べられている。直接比較可能な構造が開示されていないので、本出願のC末端アルギニルとフェニルブタノイルとの間の直接比較は不可能である。国際公開公報第92/12168号の実施例105の((N−メチル)Phe−Lys−Pro−cha−ψ{CH−N(CHCH)}−Arg−OH)は、実施例170との比較に最も適した化合物である。この六量体に関するIC50値は、0.36μMである。これはまた、Argの置換が、この実施例では活性減少をもたらしたことも意味している。
【0017】
IC50値が示されている国際公開公報第94/07518号の22個の実施例では、ペプチドすべてが、C末端アルギニンを有する。
【0018】
国際公開公報第90/09162号、国際公開公報第92/12168号、および国際公開公報第94/07518号に示されたIC50値は、これらの実施例を実施しても、C5a過剰発現細胞を作製することができなかったので、多形核好中球(PMN膜)から単離された膜による測定から導出されている。これらの測定からの結果は、細胞全体への化合物の親和性を反映してはいない。これらの化合物は、細胞全体の受容体に対する親和性が低下している(Kawaiら、1991 Journal of Medicinal Chemistry 34: 2068〜71;Rollinsら、1988 Journal of Biological Chemistry 263: 520〜526)。しかし、これは、受容体へのアンタゴニストの結合ではなく生物活性を測定することにもっと意味がある。しばしば、こうした機能アッセイは、Gタンパク質共役型受容体に使用される。
【0019】
IC50値が公知である国際公開公報第95/25957号および国際公開公報第96/06629号に示された実施例は、C末端アルギニンを含有するペプチドであって、例外はない。これはまた、Wongら(Wongら、1998 Journal of Medicinal Chemistry 41: 3417〜3425)およびFinchら(Finchら、1999 Journal of Medicinal Chemistry 42: 1965〜1974)の論文にも当てはまる。これらの論文の6および31では、それぞれについて、直鎖および環式の6または7量体のペプチドが記載されている。
【0020】
国際公開公報第99/00406号では、いくつかの環式および直鎖ペプチド性阻害剤が記載されている。これらの共通の特徴は、C末端アルギニンである。国際公開公報第99/00406号に概説されるファルマコフォアのモデルは、アルギニンによって実現され得る必要な正電荷を直接指している(国際公開公報第99/00406号、12頁、13行目以降)。
【0021】
C末端アルギニンはまた、天然のC5aにおける活性に非常に重要である。アゴニスト性能は、このアルギニンがカルボキシペプチダーゼ(C5a−desArg)によって開裂されたとき、使用したアッセイ系に応じて10分の1〜1000分の1に低減される(GerardおよびGerard、1994 Annual Reviews in Immunology 12: 775〜808)。
【0022】
国際公開公報第03/033528号では、分子Ac−Phe[Orn−Pro−cha−Trp−Arg](化合物1)の様々なアミノ酸の単一置換が報告されている。C5aRへの親和性の低下およびアンタゴニスト性能の低下を、ホモアルギニン(化合物44)、シトルリン(化合物45)、リシン(化合物47)、またはカナバニン(化合物47)によるArgの置換に関して説明している。親和性の尺度として報告されたIC50値は、それぞれ1.36μM(44)、6μM(45)、および24μM(47)である。カナバニンに関するIC50値は報告されていない。これは、これらのアルギニン置換のためにC5a受容体への親和性が著しく低下したことを指している(1のIC50は0.45μMである)。帯電したアルギニン置換(ホモアルギニンおよびリシン)の効果は別として、特に、帯電したアルギニン(0.45μM)を帯電していないシトルリン(6μM)で交換した際の結合強度の大きな低下は顕著である。アンタゴニスト活性は、さらにより低下する(Arg:0.028μM、Cit:0.690μM)。したがって、グアニジニウム基(Arg)およびウレア基(Cit)が生物学的等価体であり、同等の間隔を必要とするということから正電荷の有意性が強調される。これはまた、側鎖自体のサイズが活性を予測する上で基準として十分ではないことを反映している。国際公開公報第03/033528号は、シトルリン(45)へのアルギニン(1)の置換によって、著しいとされるアンタゴニスト特性を有する化合物がもたらされることを記載している(44頁、28行目以降)。しかし、著しいものに対するカットオフ率を任意に選択すると、24分の1という顕著な活性の低下があるので、ペプチド性C5aRアンタゴニストではC末端アルギニンが重要であるという従来公知にアンダーラインが付される。ところで、シトルリン含有ペプチド45は、生理的条件下で正の実効電荷を有さない唯一のペプチドであり、国際公開公報第03/033528号には、そのための結合およびアンタゴニスト活性に関する値が報告されている。
【0023】
MorikisおよびLambris(2002 Biochemical Society Transactions 30: 1026〜1036)の総説では、C5a受容体へのアゴニストおよびアンタゴニストの親和性に関するアルギニンの重要性が強調されている。
【0024】
先行技術の教示から、顕著な阻害活性(IC50<200nM)を有するペプチド性およびペプチド模倣性C5aリガンドに関してC末端局在性正電荷が必要とされることは明白である。この電荷は、通常アルギニンによって実現される。
【0025】
本出願の根底にある課題は、C5aRアンタゴニストの提供である。本発明の根底にある別の課題は、C5a受容体が原因的に、間接的にまたは症状的に関与する疾患の治療に使用することができる薬剤の提供である。
【0026】
本発明の第1の態様では、この問題は、次の構造式を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される。
【化20】


式中、X1は、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−SO−、R5−N(R6)−、R5−N(R6)−CS−、R5−N(R6)−C(NH)−、R5−CS−、R5−P(O)OH−、R5−B(OH)−、R5−CH=N−O−CH−CO−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、F、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、および置換アリールオキシアルキルを含む群から選択され、
X2は、フェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3およびX4は、それぞれ独立にスペーサーであり、このスペーサーは、好ましくはアミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸誘導体を含む群から選択され、
X5は、シクロヘキシルアラニンまたはホモロイシン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X6は、トリプトファン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X7は、ノルロイシンまたはフェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3とX7の間には化学結合が形成されており、
式(I)中の実線−は、化学結合を表し、この化学結合はそれぞれ独立に、共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくはこの結合は化学結合であり、更に好ましくはこの化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合である。
【0027】
一実施形態では、X3およびX7はそれぞれ、アミノ酸、アミノ酸類似体、またはアミノ酸誘導体であり、X3とX7の間の化学結合の形成には、X3およびX7の少なくとも一方の部分が参加しており、X3およびX7の部分はそれぞれ独立に、アミノ酸のC末端、N末端、およびそれぞれの側鎖を含む群から選択される。
【0028】
一実施形態では、X1は、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−C(NH)−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、および置換アリールを含む群から選択され、
X2およびX6はそれぞれ独立に、芳香族アミノ酸、これの誘導体または類似体であり、
X5およびX7はそれぞれ独立に、疎水性アミノ酸、これの誘導体または類似体である。
【0029】
一実施形態では、X2、X5、X6、およびX7はそれぞれ独立に、次の構造式を有する。
【化21】


式中、Xは、C(R4)またはNであり、
R1は場合によっては存在しており、R1が存在する場合、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)、および>Oを含む群から選択される基であり、ここでR1BおよびR1Dはそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択され、
R2は場合によっては存在しており、R2が存在する場合、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>S=O、>C=NH、>C=N−CN、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHF、および>CFを含む群から選択される基であり、
R4は、H、F、CH、CF、アルキル、および置換アルキルを含む群から選択される基であり、
分子X1およびX3、X4およびX6、X5およびX7、ならびにX6およびX3の部分への構造式(III)の結合は、好ましくはR1およびR2を介して起こり、
X2およびX6に対しそれぞれに独立して、R3は、芳香族基を含む基であり、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択される基であり、
X5およびX7対しそれぞれに独立して、R3は、脂肪族基または芳香族基を含む基であり、好ましくはアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択される基である。
【0030】
好ましい実施形態では、環の形成には、R3およびR4が参加している。
【0031】
一実施形態では、X2およびX6に対しそれぞれに独立に、R3は、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、1,1−ジフェニルメチル、置換1,1−ジフェニルメチル、ナフチルメチル、置換ナフチルメチル、チエニルメチル、置換チエニルメチル、ベンゾチエニルメチル、置換ベンゾチエニルメチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択される。
【0032】
一実施形態では、X5およびX7に対しそれぞれに独立に、R3は、C3〜C5アルキル、置換C3〜C5アルキル、C5〜C7シクロアルキル、置換C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルキルメチル、置換C5〜C7シクロアルキルメチル、シクロアルキルエチル、置換シクロアルキルエチル、ベンジル、置換ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、チエニルメチル、プロペニル、プロピニル、メチルチオエチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択される。
【0033】
一実施形態では、X1は、H、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾイル、フルオロメチルカルボニル、ジフルオロメチルカルボニル、フェニル、オキシカルボニル、メチル−オキシカルボニル、フェニル−アミノカルボニル、メチル−アミノカルボニル、フェニル−スルホニル、2,6−ジオキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−カルボニル、およびメチル−スルホニルを含む群から選択される。
【0034】
一実施形態においてX2は、フェニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロローフェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
あるいはX2およびX1は互いに結合してPhCHCHCO−あるいはPhCH−であり;
X6は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
X5は、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;ならびに
X7は、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体である。
【0035】
一実施形態においてX1および/あるいはX4は、水に対する溶解性を向上する一以上の基を含み、この水溶性を向上する基は、ヒドロキシ、ケト、カルボキシアミド、エーテル、尿素、カルバメート、アミノ、置換アミノ、グアニジノ、ピリジルおよびカルボキシル基を含む群から選択される基である。
【0036】
本発明の第二の態様において、課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される:
【化22】


式中X1−X3およびX5−X7は第一の態様に従って定義され、
X4は環状あるいは非環状のアミノ酸であり、環状アミノ酸は、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−1−炭酸、オクタヒドロインドール−2−炭酸、1−アザビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−炭酸、4−フェニル−ピロリジン−2−炭酸、シス−HypおよびトランスHypを含む群から選択され、非環状アミノ酸は、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、Arg、Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)、Hyp(CONH−CHCH(OH)−CHOH)およびそれらの誘導体およびそれらの類似体を含む群から選択され;ならびに
式(1)における実線−は、化学結合を示し、その化学結合は、共有結合、イオン結合、配位結合を含む群からそれぞれ独立して選択され、好ましくは、該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される。
【0037】
第二の態様における一実施形態において、X4で表されるアミノ酸は、好ましくは、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−1−炭酸、オクタヒドロインドール−2−炭酸、1−アザビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−炭酸、4−フェニル−ピロロジン−2−炭酸、Hyp、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)およびArgを含む群から選択される。
【0038】
第二の態様における一実施形態において、X2は、フェニルアラニン、2−フロローフェニルアラニン、3−フロローフェニルアラニン、4−フロローフェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
あるいはX2およびX1は互いに結合してPhCHCHCO−あるいはPhCH−であり;
X6は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
X5は、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;ならびに
X7は、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体である。
【0039】
本発明の第三の態様において、課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される:
【化23】


式中X1−X2およびX4−X7は本発明の第一および/あるいは第二の態様に従って定義され、X3は次の構造を有し
【化24】


式中、XはC(R4)あるいはNであり、
R1は場合によっては存在しても良く、もし存在するならば、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)および>Oを含む群から選択される基であって、R1BおよびR1Dは、それぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよび置換シクロアルキルアルキル基を含む群から選択され;
R2は場合によっては存在し、存在する場合は、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHFおよび>CFを含む群から選択される基であり;
R4は基であって、H、F、CF、アルキルおよび置換アルキル基を含む群から選択される基であり;
構造(IV)の部分X2およびX4部への結合は、好ましくはR1およびR2を介してなされ;
R3は基であり、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、置換複素環アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび置換ヘテロアリールアルキル基を含む群から選択され;
Yは場合によって存在し、存在する場合はYは、−N(YB)−、−O−、−S−、
−S−S−、−CO−、−C=N−O−、−CO−N(YB)−および
【化25】


を含む群から選択される基であって、YB、YB1およびYB2は、それぞれ独立して,H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよび置換シクロアルキルアルキル基を含む群から選択される。
【0040】
第三の態様における実施形態において、R3は基であって、メチル、エチル、プロピル、ブチル基および
【化26】


を含む群から選択され;
Yは場合によっては存在し、Yが存在する場合にはYは基であって、−N(YB)−、−O−、−S−、−S−S−を含む群から選択され、YBは好ましくは先の実施形態におけると同様に定義される。
【0041】
第三の態様における実施形態において、X2はフェニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
あるいはX2およびX1は互いに結合してPhCHCHCO−あるいはPhCH−であり;
X6は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
X5は、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;ならびに
X7は、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体である。
【0042】
本発明の第一ないし第三のいずれかの態様の実施形態において、X3は、アルファ−アミノグリシン、アルファ−ベータ−ジアミノプロピオン酸(Dap)、アルファ−ガンマ−ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン、リジン、ホモリジン、Phe(4−NH2)、2−アミノ−3−(4ピペリジニル)プロピオン酸および2−アミノ−3−(3−ピペリジニル)プロピオン酸を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり、該アミノ酸は側鎖において修飾されている。
【0043】
本発明の第四の態様において、課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト、好ましくは本発明の第一ないし第三のいずれかの態様に記載されたアンタゴニストによって解決される。
【化27】


式中
Aは、H、NH2、NHアルキル、Nアルキル2、NHアシルおよびOHを含む群から選択され、
Bは、CH2(アリール)、CH(アリール)2、CH2(ヘテロアリール)、置換CH2(アリール)、アリール、置換アリールおよびヘテロアリールを含む群から選択され、
C1およびC2は、それぞれ独立して、アルキルおよび置換アルキルを含む群から選択され、場合によってはC1とC2の間に結合が形成可能であり。
Dは、アルキル、シクロアルキル、CH2(シクロアルキル)、CH2CH2(シクロアルキル)、CH2Ph(2−Me)およびCH2−S−アルキルを含む群から選択され、
Eは、CH2(アリール)、置換CH2(アリール)およびCH2(ヘテロアリール)を含む群から選択され、
Fは、アルキル、CH2−S−アルキル、CH2CH2−S−Me、CH2CH=CH2、CH−CCH、シクロヘキシル、CH2シクロヘキシル、CH2Ph、CH2ナフチルおよびCH2チエニルを含む群から選択され、
Z1は、n=1,2,3,4である(CH2)nNH、(CH2)30、(CH2)2O、(CH2)4、(CH2)3、(CH2)CH2(4−ピペリジニル)を含む群から選択され、ならびに
Z3は場合によっては存在し、存在する場合に、Z3はCOおよびCH2を含む群から選択される。
【0044】
式(V)に表された、本発明化合物の実施形態の各部分は、本発明化合物の以下に示す式(I)の部分に結合することができる:
X1−X2は
【化28】


であり、X3は
【化29】


であり、X4は
【化30】


であり、X5は
【化31】


であり、X6は
【化32】


であり、X7は
【化33】


である。
第四の態様の実施形態において、Aは、H、NH2、NHEt、NHAcおよびOHを含む群から選択され、
Bは、CH2Ph、CH2Ph(4−F)、CH(Ph)2、CH2チエニル、CH2ナフチル、フェニル、Ph(4−F)およびチエニルを含む群から選択され、
C1は、Hおよびメチルを含む群から選択され、C2は、メチルおよびCH2OHを含む群から選択され、もしC1とC2が、結合により結合している場合は、該構造は、−CH2)2−、−(CH2)3−、−(CH2)4−および−CH2CH(OH)CH2−を含む群から選択され、
【0045】
Dは、CH2CH2iPr、CH2iPr、シクロヘキシル、CH2シクロヘキシル、CH2CH2シクロヘキシル、CH2Ph(2−Me)、CH2−S−tBuおよびCH2−S−iPrからなる群から選択され、
Eは、CH2Ph、CH2Ph(2−Cl)、CH2Ph(3−Cl)、CH2Ph(4−Cl)、CH2Ph(2−F)、CH2Ph(3−F)、CH2Ph(4−F)、CH2インドリル、CH2チエニル、CH2ベンゾチエニルおよびCH2ナフチルを含む群から選択され、
Fは(CH2)3CH3、(CH2)2CH3、(CH2)2−iPr、CH2−iPr、iPr、CH2−S−Et、CH2CH2−S−Me、CH2CH=CH2、CH2−CCHおよびシクロヘキシルを含む群から選択され、
Z1は、n=1、2、3、4である(CH2)nNH、(CH2)3O、CH2Ph(4−NH)およびCH2(4−ピペリジニル)を含む群から選択され、ならびに
Z3は場合によっては存在し、Z3が存在する場合は、Z3はCOおよびCH2を含む群から選択される。
【0046】
本発明の第五の態様において、課題は次の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される。
【化34】


式中d1、d2、d3およびd4は、該化合物の少なくとも一つのエネルギー的に接近可能な配座におけるA、B、CおよびDの距離でを構成し、次の値
d1=5.1±1.0Å
d2=11.5±1.0Å
d3=10.0±1.5Å
d1=6.9±1.5Å
を有する。
AおよびCは、それぞれ独立して、疎水性の基であって、該疎水性基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールを含む群から選択され;
BおよびDは、それぞれ独立して、芳香族あるいは芳香族複素環基であり、該芳香族基は好ましくはアリールであり、該芳香族複素環基はヘテロアリールである。
【0047】
第五の態様の実施形態において、AおよびCはそれぞれ独立して、C3−C6アルキル、C5−C7−シクロアルキル、メチルチオエチル、メチルチオ−tert−ブチル、フェニル、ナフチル、チエニル、プロペニル、プロピオニル、ヒドロキシフェニル、インドリルおよびイミダゾリルを含む群から選択され;
Bは、フェニル、置換フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、ヒドロキシフェニル、インドリルおよびイミダゾリルを含む群から選択され;ならびに
Dはフェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、フラニル、ヒドロキシフェニル、インドリルおよびイミダゾリルを含む群から選択される。
【0048】
本発明の第六の態様において、課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される。
【化35】


式中、A、B、CおよびDは、アミノ酸、アミノ酸類似体あるいは、アミノ酸誘導体におけるC−アルファ原子を構成し、
d1、d2、d3およびd4は、該化合物の少なくとも一つのエネルギー的に接近可能な配座におけるA、B、CおよびDの距離であり、次の値:
d1=3.9±0.5Å
d2=3.9±0.5Å
d3=9.0±1.5Å
d1=9.0±1.5Å;
を有し、
アルファ原子がAおよびCで構成されている該アミノ酸は、それぞれ独立して、アルキルー、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールあるいはメチルチオ−tert−ブチル基を組み込んだ、疎水性のアミノ酸側鎖を有し;
アルファ原子がBおよびDで構成されている該アミノ酸は、それぞれ独立して、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールあるいはヘテロアリールアルキル基を含む、芳香族あるいは複素芳香族アミノ酸側鎖を有する。
【0049】
第六の態様の実施形態において、アルファ原子がAより構成されるアミノ酸は、C3−C6−アルキル、メチルチオエチル、プロペニル、プロピニル、R5、メチルR5
およびエチルR5を含む群より選択され、ここでR5はC5−C7−シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、イミダゾリル、ナフチルおよびチエニルを含む群から選択される基であり;
アルファ原子がBで構成されている該アミノ酸は、R5、メチル−R5およびエチル−R5を含む群より選択され、R5はフェニル、置換フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、ヒドロキシフェニル、インドリルおよびイミダゾリルを含む群より選択され;
アルファ原子がCで構成されている該アミノ酸は、C3−C6−アルキル、R5、メチルR5およびエチルR5を含む群より選択され、ここでR5はC5−C7−シクロアルキル、フェニル、1−メチル−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニルおよびS−tBuを含む群より選択される基であり;ならびに
アルファ原子がDで構成されている該アミノ酸は、R5、メチル−R5およびエチル−R5を含む群より選択され、R5はフェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、フラニル、ヒドロキシフェニル、インドリルおよびイミダゾリルを含む群より選択される。
【0050】
第七の態様の実施形態において、課題は次の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される。
【化36】


式中
X1は、1〜300の質量を有する基であって、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−SO−、R5−N(R6)−、R5−N(R6)−CS−、R5−N(R6)−C(NH)−、R5−CS−、R5−P(O)OH−、R5−B(OH)−、R5−CH=N−O−CH−CO−を含む群より選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、F、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキルおよび置換アリールオキシアルキルを含む群より選択され、
X2は、フェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3およびX4は、それぞれ独立して、スペーサーであって、好ましくは、アミノ酸、アミノ酸類似体およびアミノ酸誘導体を含む群より選択され、
X5は、シクロヘキシルアラニン単位あるいはホモロイシン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X6は、トリプトファン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X7は、ノルロイシン単位あるいはフェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X8は、場合によっては構造IIに存在し、もし存在する場合には、H、NH、OH、NH−OH、NH−Oアルキル、アミノ、置換アミノ、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドラジノ、置換ヒドラジノ、アミノオキシ、置換アミノオキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、アミノ酸、アミノ酸誘導体、およびアミノ酸類似体を含む群より選択され;
式(II)における、実線−は、化学結合を示し、化学結合は個々独立して、共有結合、イオン結合および配位結合を含む群より選択され、好ましくは、結合は化学結合であり、より好ましくは、化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合およびアミノトリアジン結合を含む群より選択される。
【0051】
第七の態様の実施形態において、X1は1−300の質量を有する基であって、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−C(NH)−を含む群より選択され、ここでR5およびR6は、好ましくは、それぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリールを含む群より選択され;
X2およびX6はそれぞれ独立して、芳香族アミノ酸、その誘導体またはその類似体であり;
X5およびX7はそれぞれ独立して、疎水性アミノ酸、その誘導体またなその類似体である。
【0052】
第六の態様の実施形態において、X2、X5、X6およびX7はそれぞれ独立して、次のような構造を有する:
【化37】


式中
XはC(R4)またはNであり、
R1は、場合によっては存在し、もしR1が存在する場合は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)および>Oを含む群より選択される基であり、R1BおよびR1Dは、それぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよび置換シクロアルキルアルキルを含む群より選択され;
R2は、場合によっては存在し、もしR2が存在する場合は、>C=O、>C=S、>SO、>S=O、>C=NH、>C=N−CN、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHFおよび>CFを含む群より選択される基であり;
R4は基であって、H、F、CH、CF、アルキルおよび置換アルキルを含む群より選択され;ならびに
(III)の構造の、X1とX3、X4とX6、X5とX7、およびX6とX8部分への結合は、好ましくはR1およびR2を介して起こり;
X2およびX6に対しそれぞれ独立して、R3は、芳香族基を含み、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキルおよび置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群より選択され;ならびに
X5およびX7に対しそれぞれ独立して、R3は、脂肪族あるいは芳香族基を含み、好ましくは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキルおよび置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群より選択される。
【0053】
第七の態様の実施形態において、R3およびR4が加わって、環が形成される。
【0054】
第七の態様の実施形態において、X2およびX6に対しそれぞれ独立して、R3は、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、1,1−ジフェニルメチル、置換1,1−ジフェニルメチル、ナフチルメチル、置換ナフチルメチル、チエニルメチル、置換チエニルメチル、ベンゾチエニルメチル、置換ベンゾチエニルメチル、イミダゾリルメチルおよび置換イミダゾリルメチル、インドリルメチルおよび置換インドリルメチルを含む群より選択される。
【0055】
第七の態様の実施形態において、X5およびX7に対しそれぞれ独立してR3は、C3−C5−アルキル、置換C3−C5−アルキル,C5−C7−シクロアルキル、置換C5−C7−シクロアルキル、C5−C7−シクロアルキルメチル、置換C5−C7−シクロアルキルメチル、シクロアルキルエチル、置換シクロアルキルエチル、ベンジル、置換ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、チエニルメチル、プロペニル、プロピニル、メチルチオエチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、置換インドリルメチルを含む群より選択される。
【0056】
前記の態様のいずれかの実施形態において、より特定すれば、本発明の第七の態様の実施形態において、X8は、H、OR1、およびNR1R2を含む群より選択され、ここでR1およびR2はそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアリールアルキルを含む群より選択される。
【0057】
. 第七の態様の実施形態において、X1は、H、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾイル、フロロメチルカルボニル、ジフロロメチルカルボニル、フェニル、オキシカルボニル、メチル−オキシカルボニル、フェニル−アミノカルボニル、メチル−アミノカルボニル、フェニル−スルフォニル、2,6−ジオキソ−ヘキサヒドローピリミジン−4−カルボニルおよびメチル−スルフォニルを含む群より選択される。
【0058】
第七の態様の実施形態において、X1および/もしくはX4は、水溶性を向上する一以上の基を含み、該水溶性を向上する基は、ヒドロキシ、ケト、カルボキシアミド、エーテル、尿素、カルバメート、アミノ、置換アミノ、グアニジノ、ピリジルおよびカルボキシルを含む群より選択される。
【0059】
本発明の第八の態様において、課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される:
【化38】


式中X1−X3およびX5−X8は本発明の第七の態様に従って定義され、
X4は環状あるいは非環状のアミノ酸であり、環状アミノ酸は、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、1−アザ−ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−カルボン酸、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、シス−Hypおよびトランス−Hypを含む群から選択され、非環状アミノ酸は、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、Arg、Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)、Hyp(CONH−CHCH(OH)−CHOH)およびそれらの誘導体およびそれらの類似体を含む群から選択され;ならびに
式(1)における実線−は、化学結合を示し、その化学結合は、共有結合、イオン結合、配位結合を含む群からそれぞれ独立して選択され、好ましくは該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される。
【0060】
本発明の第八の態様における実施形態において、X4で表されるアミノ酸は、好ましくはプロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、1−アザビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−カルボン酸、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、Hyp、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)およびArgを含む群より選択される。
【0061】
本発明の第九の態様において課題は、以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される:
【化39】


式中X1−X2およびX4−X−8は、本発明の第七および第八の態様に従って定義され、
X3は以下の構造を有する:
【化40】


式中
XはC(R4)あるいはNであり、
R1は場合によっては存在し、もし存在する場合は、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)および>Oを含む群から選択される基であって、R1BおよびR1Dは、それぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよび置換シクロアルキルアルキル基を含む群から選択され;R2は場合によっては存在し、もし存在する場合は、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHFおよび>CFを含む群から選択される基であり;
R4は基であって、H、F、CF、アルキルおよび置換アルキル基を含む群から選択される基であり;
構造(IV)の部分X2およびX4への結合は、好ましくはR1およびR2を介してなされ;
R3は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アシル、置換アシル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキルおよび置換アリールオキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、置換スルフヒドリルアルキル、ヒドロキシアルキル、置換ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、置換カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル、置換カルボキシアミドアルキル、カルボキシヒドラジノアルキル、ウレイドアルキル、アミノアルキル、置換アミノアルキル、グアニジノアルキルおよび置換グアニジノアルキルを含む群より選択される基であり;
Yは場合によっては存在し、存在する場合は、Yは、H、−N(YB1)−CO−YB2、−N(YB1)−CO−N(YB2)(YB3)、−N(YB1)−C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)、−N(YB1)(YB2)、−N(YB1)−SO−YB2、O−YB1、S−YB1、−CO−YB1、−CO−N(YB1)(YB2)および−C=N−O−YB1を含む群より選択され、ここでYB1、YB2、YB3およびYB4はそれぞれ独立してH、CN、NO2、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよび置換シクロアルキルアルキルを含む群より選択される。
【0062】
第九の態様の実施形態において、R3は
−(CH−Y (VII)
あるいは
−(CH−C−Y (VIII)
の構造を有する基であって、
式中
mは1、2、3あるいは4であり;
YはN(R3b)(R3c)あるいは−N(YB1)−C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)であって、ここでR3b、R3c、YB1、YB2、YB3およびYB4はそれぞれ独立して、H、CNおよびアルキルを含む群より選択される。
【0063】
第九の態様の実施形態において、環が化合物の二つの部分の間で形成され、該化合物の該部分はそれぞれ独立して、YB1、YB2、YB3およびYB4を含む群より選択される。
【0064】
第九の態様の実施形態において、該環はYB2およびYB3の参加によって形成される。
【0065】
第九の態様の実施形態において、Yは
−NH
あるいは
【化41】


である。
本発明の第七から第九の態様のいずれかの実施形態において、X2はフェニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
あるいはX2およびX1は互いに結合してPhCHCHCO−あるいはPhCH−であり;
X6は、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−カルボン酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フロロ−フェニルアラニン、3−フロロ−フェニルアラニン、4−フロロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;
X5は、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、2−メチル−D−フェニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり;ならびに
X7は、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニンおよびそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体である。
【0066】
本発明のいかなる態様の実施形態において、および好ましくは本発明の第七から第九の態様の実施形態において、X3は、アルファ−アミノグリシン、アルファ−ベータ−ジアミノプロピオン酸(Dap)、アルファ−ガンマ−ジアミノブタン酸(Dab)、オルニチン、リシン、ホモリシン、Phe(4−NH2)、2−アミノ−3−(4ピペリジニル)プロピオン酸および2−アミノ−3−(3−ピペリジニル)プロピオン酸を含む群から選択されるアミノ酸の誘導体であり、該アミノ酸は側鎖において修飾されている。
【0067】
本発明の第十の態様において、課題は以下の構造を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニストによって解決される:
【化42】


式中
AはH、NH、NHアルキル、Nアルキル、NHアシル、置換NHアシル、およびOHを含む群より選択され、
Bは、CH(アリール)、CH(アリール)、CH(ヘテロアリール)および置換CH(アリール)を含む群より選択され、
C1およびC2はそれぞれ独立して、アルキルおよび置換アルキルを含む群より選択され、場合によってはC1とC2の間に結合が形成可能であり、
Dは、アルキル、シクロアルキル、CH(シクロアルキル)、CHCH(シクロアルキル)、CHPh(2−Me)およびCH−S−アルキルを含む群より選択され、
Eは、CH(アリール)、置換CH(アリール)およびCH(ヘテロアリール)、含む群より選択され、
Fは、アルキル、CH−S−アルキル、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCH、シクロヘキシル、CHシクロヘキシル、CHPh、CHナフチルおよびCHチエニルを含む群より選択され、ならびに
Z2は、−R3−Y−であり、ここでR3は、H,アルキルおよびアリールアルキルを含む群より選択され、Yは、場合によっては存在し、もしYが存在する場合は、YはH、N(YB1)(YB2)、N(YB1)C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)、
【化43】


を含む群より選択され、ここでYB1、YB2、YB3およびYB4は、それぞれ独立して、H、CNおよびアルキルを含む群より選択され、場合によっては、YB1、YB2、YB3 およびYB4の少なくとも二つの参加により環が形成され、ならびに
GはH、OR1およびNR1R2を含む群より選択され、ここでR1およびR2は、それぞれ独立して、H,アルキル、アリール、シクロアルキルおよびアリールアルキルを含む群より選択される。
【0068】
第十の態様の実施形態において、AはH、NH、NHEt、NHAcおよびOHを含む群より選択され、
BはCHPh、CHPh(4−F)、CH(Ph)、CHチエニルおよびCHナフチルを含む群より選択され、
C1はHおよびメチルを含む群より選択され、C2はメチルおよびCHOHを含む群より選択され、あるいはもしC1およびC2が、結合により連結している場合には、それに由来する構造は、−(CH−、−(CH−、−(CH−および−CHCH(OH)CH−を含む群より選択され、
【0069】
Dは、CHCHiPr、CHiPr、シクロヘキシル、CHシクロヘキシル、CHCHシクロヘキシル、CHPh(2−Me)、CH−S−tBuおよびCH−S−iPrを含む群より選択され、
Eは、CHPh、CHPh(2−Cl)、CHPh(3−Cl)、CHPh(4−Cl)、CHPh(2−F)、CHPh(3−F)、CHPh(4−F)、CHインドリル、CHチエニル、CHベンゾチエニルおよびCHナフチルを含む群より選択され、
Fは、(CHCH3、(CHCH、(CH−iPr、CH−iPr、iPr、CH−S−Et、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCHおよびシクロヘキシルを含む群より選択され、
Z2は、−R3−Y−であり、ここでR3は、CH、(CH、(CH、(CHおよびCH−Cを含む群より選択され、ならびにYはNH、NHEt、N(Et)、NH-C(NH)-NHおよび
【化44】


を含む群より選択され、
Gは、NH、NHMe、OHおよびHを含む群より選択される。
【0070】
本発明のこの態様において、式(VI)に示す分子の部分は、式(II)による分子の部分と、以下の様に関連することができる:
X1−X2が
【化45】


であり、X3が
【化46】


であり、X4が
【化47】


であり、X5が
【化48】


であり、X6が
【化49】


であり、X7が
【化50】


であり、X8がGである。
【0071】
本発明の第一から第十の態様の、いずれかの実施形態において、該化合物は以下の化合物の一つである:
【0072】
【表2】





















【0073】
本発明の第十一の態様において、課題は、本発明のいずれかの態様による化合物の少なくとも一つおよび医薬的に受容可能な担体を含む医薬組成物によって解決される。
【0074】
本発明の第十二の態様において、課題は、本発明のいずれかの態様による化合物の少なくとも一つを医薬の製造のために使用することにより解決する。
【0075】
第十二の態様の実施形態において、該医薬は、補体系の活性化に関連する病状および/または補体系の阻害により症状が軽減される病状の予防および/または治療に使用され、あるいは有用である。
【0076】
第十二の態様の実施形態において、該医薬は、単独でまたは他の治療剤との併用でC5aの受容体を阻害することにより症状が軽減される病状の予防および/または治療に使用され、あるいは有用である。
【0077】
第十二の態様の実施形態において、治療される病状および/あるいは症状は、自己免疫疾患、急性炎症性疾患、外傷、局所炎症、ショックおよび火傷を含む群より選択される。
【0078】
第十二の態様の実施形態において、該病状は、サルコイドーシス、敗血症性ショック、出血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全(MOF)、喘息、心筋炎、皮膚筋炎、炎症性腸疾患(IBD)、天疱瘡、糸球体腎炎、急性呼吸不全、卒中、心筋梗塞、再潅流障害、神経認知機能障害、火傷、眼の炎症性疾患、全身性疾患の局所徴候、血管の炎症性疾患および中枢神経系の急性傷害を含む群より選択される。
【0079】
第十二の態様の好ましい実施形態において、該眼の炎症性疾患は、ぶどう膜炎、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼の類天疱瘡、角結膜炎、スティーブンス・ジョンソン症候群およびグレーブス眼症を含む群より選択される。
【0080】
第十二の態様の別の好ましい実施形態において、該病状は、全身性疾患の局所徴候であって、該全身性疾患は、リューマチ性関節炎、SLE、I型糖尿病、およびII型糖尿病を含む群より選択される。
【0081】
第十二の態様のより好ましい実施形態において、徴候は、眼、脳、血管、心臓、肺、腎臓、肝臓、胃腸管、脾臓、皮膚、骨格系、リンパ系および血液における徴候を含む群より選択される。
【0082】
第十二の態様の実施形態において、該自己免疫疾患は、円形脱毛症、寒冷凝集素免疫溶血性貧血、温式自己抗体性免疫溶血性貧血、悪性貧血(ビールマー病、アジソン貧血)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、側頭動脈炎、アテローム性動脈硬化、自己免疫性副腎炎(アジソン病)、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ−ストラウス(Churg-Strauss)症候群、コーガン(Cogan's)症候群、潰瘍性大腸炎、CREST症候群、I型糖尿病、ヘルペス状皮膚炎、皮膚筋炎、線維筋痛症、慢性自己免疫性胃炎、グッドパスチャー(Goodpasture)症候群(抗−GBM抗体関連糸球体腎炎)、ギラン−バレ(Guillain-Barre)症候群(GBS;多発神経根筋障害)、橋本甲状腺炎、自己免疫性肝炎、特発性肺線維症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ウエールホフ(Werlhof)病)、自己免疫性不妊症、自己免疫性内耳障害(AIED)、若年性リューマチ性関節炎、自己免疫性心筋症、ランバート−イートン(Lambert-Eaton)症候群、硬化性苔癬、ループスエリテマトーデス、ライム関節炎、膠原病、グレーブス病、ベーチェット病、クローン病、リューマチ性脊椎炎、メニエール病、ライター病、多発性硬化症(MS、脳脊髄炎)、重症筋無力症、交感神経眼炎(sympathic ophtalmy)、瘢痕性類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性自己免疫(PGA)症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス(ベスニール−ベック−シャウマン(Besnier-Boeck-Schaumann)病)、シェーグレン(Sjoergen)症候群、強皮症、スプルー、スティックマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安(Takayasu)動脈炎、一過性グルテン不耐性、自己免疫性ぶどう膜炎、血管炎および白斑症を含む群より選択される。
【0083】
第十二の態様の好ましい実施形態において、該血管の炎症性疾患は、血管炎、血管漏洩および粥状硬化症を含む群より選択される。
【0084】
第十二の態様のより好ましい実施形態において、該血管炎は、原発性および二次性血管炎を含む群より選択される。
【0085】
第十二の態様の実施形態において、該原発性血管炎は、ウェグナー(Wegener)病、チャーグ−ストラウス(ChurgStrauss)症候群および微視的多発性血管炎を含む群より選択される。
【0086】
第十二の態様の実施形態において、該二次性血管炎は、薬剤使用によって誘発された血管炎および他の疾患により誘発された血管炎を含む群より選択される。
【0087】
第十二の態様の実施形態において、該疾患は、AIDS,B型肝炎、C型肝炎およびサイトメガロウイル感染を含む群より選択される。
【0088】
第十二の態様の実施形態において、適応性および先天性免疫系に影響を与えるために該薬剤が使用され、あるいはそのような目的のために有用である。
【0089】
第十二の態様の実施形態において、該影響は、好ましくは免疫系の強化である。
【0090】
第十二の態様の実施形態において、該薬剤は、外科的処置の予防および/あるいは支援のためのものである。
【0091】
第十二の態様の好ましい実施形態において、該薬剤は、外科的処置の予防、支援および/あるいは術後治療に用いられあるいは有用であり、ここで該外科的処置は、CABG、PACT、PTA、MidCAB、OPCAB、血栓溶解、臓器移植および血管結紮を含む群より選択される。
【0092】
第十二の態様の実施形態において、該薬剤は血栓溶解治療のために用いられあるいは有用である。
【0093】
第十二の態様の実施形態において、該薬剤は、治療、好ましくは透析治療の前、中および/あるいは後の設定に用いられあるいは有用である。
【0094】
第十二の態様の実施形態において、該薬剤は、移植された臓器あるいは移植される臓器の臓器損傷の予防のために用いられあるいは有用である。
【0095】
第十二の態様の実施形態において、該薬剤は、移植拒絶反応の予防あるいは治療のために用いられあるいは有用である。
【0096】
更なる態様において、本発明は、患者の治療のための方法に関し、ここで該方法は、本発明の一または数個の化合物の投与を含む。該治療は狭い意味での治療であっても良いが、しかし予防的治療をもまた含んでも良い。該方法の実施形態において、該方法は、CPB(心肺バイパス)患者であって、本発明の阻害剤の予防的投与により神経認知機能不全から防護する必要がある患者の治療である。
【0097】
治療される患者は、好ましは哺乳動物であり、より好ましくは農業用家畜、狩猟動物、ペットであり、最も好ましくはヒトである。好ましい実施形態において、患者はそのような治療を必要とする患者である。更に好ましい実施形態においては、患者は上記疾患の一つに罹病しており、その疾患を治療をするために本発明化合物が使用されて良い。
【0098】
本発明は、正電荷を含有する従来技術の拮抗ペプチドが有している固有の薬理的不利を克服するようなC5a受容体アンタゴニストを、最初に提供するものである。
【0099】
該発明は、従来技術の技術的な教示とは反対に、生理的な条件下で、特にpH7.4において正の実効荷電を持たないおよび/あるいはそのC−末端アミノ酸が生理的条件下で正荷電を有しない、C5a受容体アンタゴニストも得ることが出来ると言う意外な知見に立脚している。
【0100】
本発明者等の理解に拠れば、ペプチドにおける正電荷は、薬理学的な観点から見れば非常に不利益である可能性がある。正電荷は例えばヒスタミンの遊離をもたらし、膜透過性の低下を引き起こす(実施例15を参照)。それ故、正の実効電荷を有しないペプチドアンタゴニスト(以下において化合物とも呼ぶ)を開発することが特に望まれる。
【0101】
加えて、C末端の正電荷を避けることは、更なる良い効果をもたらす可能性がある。例えば、受容体の特異性あるいは、薬物動態、血漿タンパクの結合あるいは変異原性のような重要なインビボパラメータが、良い影響を受ける可能性がある。
【0102】
本発明で開示された化合物は、機能アッセイ系のIC50値を最初のアッセイとして試験された。好ましくは、全ての化合物、ペプチド、およびぺプチド模倣物は、実施例1に記載の機能アッセイ系においてIC50値が200nM未満であるので、本発明の意味における著明な阻害活性を有すると見なされる。
【0103】
特に、本発明化合物は、C5a受容体のアンタゴニストである。更に好ましくは、それらはペプチドあるいはペプチド模倣物である。更に、本発明は、本発明においてC5a受容体として用いる化合物は、荷電のないC−末端アミノ酸、アミノ酸誘導体あるいはアミノ酸類似体を持つという意外な知見に立脚している。
【0104】
本発明の、特に好ましい化合物およびアンタゴニストは次のような環状化合物である。
【0105】
【表3】







【0106】
しかしながら、本発明に関連して、直鎖状の、それ故可撓性のペプチドは、構造的に固定した環状ペプチドと同程度に強力な阻害剤となることが可能であるという事も、意外に見出された。この理由は、C−末端の荷電アルギニンが、疎水性のアミノ酸、アミノ酸誘導体あるいはアミノ酸類似体に置換されたからと推測される。本発明のそのような直鎖ペプチド阻害剤の例は特に以下の表に示された化合物である。
【0107】
【表4】













【0108】
従来技術、例えばFinch 等. 1999 Journal of Medicinical Chemistry 42: 1965〜1974、Wong 等. 1999 IDrugs 2: 686〜693, US 4,692,511, US 5,663,148, WO 90/09162, WO 92/11858, WO 92/12168, WO 92/21361, WO 94/07518, WO 94/07815, WO 95/25957, WO 96/06629, WO 99/00406, and WO 99/13899で公知の直鎖ペプチドは、WO 99/00406に記載された環状ペプチド(例えば.Ac−Phe−[Lys−Pro−cha−Trp−arg], Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−arg],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg],Ac−Phe−[Lys−Pro−cha−Trp−Arg])と比較してC5aのアンタゴニストとして一般的に有意に悪い。WO 99/00406に記載されているアンタゴニスト作用の面で最も活性の高い直鎖ペプチドは、配列がMe−Phe−Lys−Pro−cha−Trp−argでIC50値が0.085μM(ヒトPMNによる細胞性ミエロパーオキシダーゼ遊離アッセイ法によって測定)である。これと対照的にそれに相当する環状ペプチド、Ac−Phe−[Lys−Pro−cha−Trp−arg](同じく WO 99/00406)のIC50値は0.012μMである。環状ペプチドの構造的な柔軟性が減少すると、IC50値が減少、つまり向上することがWO 99/00406に述べられている。この事は、Ac−Phe−[Lys−Pro−cha−Trp−arg]およびAc−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg]のような環状(つまり最も可撓性の低い)阻害剤の開発に反映されている。
【0109】
かくして、本発明者たちは、本発明の少なくとも一つの態様に関して、従来技術の理解から意図的に離れ、C5aRアンタゴニストとして使用出来る新しいクラスの化合物を提供する。
【0110】
本発明は、生理的なpH値(pH7.4)下で正の実効電荷を有しないおよび/あるいはC末端に正電荷を有しない、IC50値が<200nMである、ペプチドおよびぺプチド模倣物C5aRアンタゴニストを最初に挙げる。IC50値は、機能アッセイ法(Koehl 1997 The Anaphylatoxins. In: Dodds, A.W., Sim, R.B. (Eds.) Complement: A Practical Approach. Oxford, pp. 135〜163)を用いて決定される。本発明化合物は、それゆえ、C5aRアンタゴニストとして特に生理的条件下で使用できる。
【0111】
本発明化合物は、脂肪族、芳香族あるいは複素芳香族基による適切な疎水性置換基によって、C5aR結合ペプチドのC末端アルギニンを置き換える事が出来るという知見に立脚している。
【0112】
本発明化合物、特にぺプチドとペプチド模倣物の他の特徴は、少なくとも1430nMの濃度まで、細胞アッセイにおけるアゴニスト活性が存在しないことである。例として、実施例12には、C5aRアゴニスト活性を決定する方法を用いて、本発明の選択されたペプチドについての測定結果が示されている。明瞭に、本発明化合物は、使用した最高濃度にいたるまでいかなるアゴニスト活性をも示さない。本発明の範囲で、本発明の次の化合物は、純粋なアンタゴニストである、本発明によるペプチドの例である:HOCH(CHOH)−C=N−O−CH−CO−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle]、Ph−CH−CH−CO−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle]、Ac−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Phe],H−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Phe],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Phe],Ac−Lys−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],H−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],H−Phe−[Orn−Ser−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Eaf],Ac−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH,Ac−Ebw−Orn−Pro−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Phe−Orn−cha−cha−Bta−Phe−NH,Ac−Phe−Arg−Pro−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Phe−Orn−Pip−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Phe−Orn−Aze−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Phe−Trp−Pro−cha−Trp−Phe−NH,Ac−Thi−Orn−Pip−cha−Bta−Phe−NH,Ac−Phe−Orn−Pro−hle−Bta−Phe−NH,Ac−Phe−Arg(CH−CH)−Pro−cha−Bta−Phe−NH
【0113】
化合物Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg]のC5aR拮抗の詳細な分析およびファルマコフォアモデルの開発のために、アミノ酸Phe、TrpおよびArgをL−アラニンに、ProをNMe−アラニンに、またchaをD−アラニンにそれぞれ置換(単独置換)した。その結果得られたペプチドをそれらのC5aRアンタゴニスト活性に関する機能アッセイによって分析した(実施例11)。この検討により、Trp、chaおよびPheのアミノ酸側鎖をメチル基により置換すると、結果的には活性が著しく消失するのが明らかとなった(IC50値>30μM)。これと対照的にアンタゴニストAc−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg]の活性は、ProがNMeAlaによって置換された分子の活性に匹敵する(25nMと比較してIC50値=20nM)。ArgのAlaへの置換もまた活性における有意な喪失をもたらした(IC50=20nMからIC50=5.6μM)が、これはTrpおよびPheへの置換よりも喪失の程度は低かった。
【0114】
ペプチドAc−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg]および類似した化合物における更なる置換は、意外なことには、注目に値する活性を有するそれぞれ多くのペプチドおよびペプチド類似物をもたらした(実施例11)。特に次のペプチドは注目すべき活性を示した:Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Phe],Ac−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Phe],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Paf],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Ecr],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Ppa],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Met],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nva],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Hle],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Eaf],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Ebd],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Eag],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Pmf],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−2Ni],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Thi],H−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Lys−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−[Orn−Ser−cha−Trp−Phe],HOCH(CHOH)−C=N−O−CH−CO−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−[Orn−Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)−cha−Trp−Phe],Ac−Phe−[Orn−Hyp(CONHCHCOH(OH)CHOH)−cha−Trp−Phe],フェニルプロピオニル−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle],Ac−Phe−Orn−Pro−hle−Bta−Phe−NH,Ac−Phe−Arg(CH−CH)−Pro−cha−Bta−Phe−NH
【0115】
ペプチドの経口吸収は、サイズ、電荷および疎水性のような種々の因子によって影響される。それにもかかわらず、ペプチドの経口利用能は先験的には予想することは出来ない。一般的に、ペプチドの経口利用能は低いと見なされている(Burton 等 1996 Journal of Pharmaceutical Sciences 85: 1337〜1340)。経口吸収の推定のためのモデルは、腸上皮細胞(例えばCaCo2あるいはTC−7)の単層を通過するAB透過性の測定である(実施例15、Lennernaes 1997 Journal of Pharmacy and Pharmacology 49: 627〜38)。C5aRアンタゴニストとして用いることが出来る本発明化合物は、C末端のアルギニンを疎水性基に置換しているのでAB透過性は有意に増加する。例えば、Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg]は電荷を有するアンタゴニストであり、透過度が0.52x10−6cm/sと悪いのに比較して、アンタゴニストAc−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Phe]は、透過度が14.3x10−6cm/sであり、驚くほど高い。その高い透過度は、数字的に経口利用能の良い化合物に近い範囲内にある。例えば経口利用能の良い化合物としてプロパノロールが挙げられ、これのAB透過はLennernaesの試験で31.1x10−6cm/sである。
【0116】
ある実施形態において、本発明化合物のX1および/あるいはX4に水への溶解度を増加させ、好ましくは向上する基を導入しており、これも本発明の範囲に属する。水への溶解度を向上するのに特に有用なのは、水と強い相互作用をして強く溶媒和される基の導入である。しばしば用いられる基としては、ヒドロキシ、ケト、カルボキシアミド、エーテル、尿素、カルバメート、アミノ、置換アミノ、グアニジノ、ピリジル、カルボキシルが挙げられる。この開示された基は、X1および/あるいはX4の全ての位置に導入可能なのは明らかであり、水溶性増強基を一個でも数個でも導入することが可能である。数種の基の導入の例としては、炭水化物残基およびエチレングリコールの付加が挙げられる。
【0117】
それゆえ、本発明には、本発明ペプチドおよびペプチド模倣物のC5aRアンタゴニストであって、特に溶解度を増加するためにさらなる変更を加えたC5aRアンタゴニストが含まれる。その変性方法は当業者には公知であり、例えば上述した溶解度増加基の導入が挙げられる。この方法は効率的であり、以下の実施例で示されるように、それぞれ活性の高いアンタゴニストが得られる。
【0118】
実施例13によれば、化合物1はHEPESバッファー水溶液(pH7.4)において溶解度が8%である。これと対照的に、化合物40はHEPESバッファーにおける溶解度は94%である。化合物2は化合物1に比較して更にOH基を一つ有しており、溶解度が13%である。化合物4に示すように更に複合的な親水性基を加えることにより、溶解度は22%(化合物28)から84%(化合物4)に増加する。化合物4は電荷を有していないがこれが当てはまる。従って、本発明ペプチドおよびペプチド模倣物は、疎水性にもかかわらず、確実に可溶性の形態に変換することができる。
【0119】
数個の用語、特に明細書で詳細に説明している用語を以下に説明し、それらの意味を本発明の実施形態で用いる。これらの用語は時には定義として言われるが、種々の用語の意味は必ずしもそれらの定義に限定されない。
【0120】
「含む」という語は、各構造要素は含まれるが、構造はその要素に限定されないことを好ましい実施形態では意味する。
【0121】
「置換される」という語は、好ましい実施形態において、基あるいは化合物の一または複数の水素原子が異なる原子、原子の群、分子あるいは分子の群によって置き換えられることを意味する。これに関連して、そのような原子、原子群、分子および分子群は置換基と呼ばれる。どのような置換でもその前提条件は、通常の原子価を超えないこと、また置換によって安定化合物になることである。二つの水素原子が置換されると、カルボニル基(C=O)が生成する。カルボニル基は芳香族部分には存在しないのが望ましい。
【0122】
置換基または置換体は、好ましくは、ヒドロキシル、アルコキシル、メルカプト、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アリールアルキル、アリールアルコキシ、ヘテロアリール、アリールオキシ、ハロゲン、トリフロロメチル、ジフロロメチル、シアノ、ニトロ、アジド、アミノ、アミノアルキル、カルボキシアミド、−C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、トリアルキルシリル、スルフォニル、スルフォンアミドおよびスルフリルを含む群より個々にあるいは組み合わせて選択される。各置換基それ自体も更に、一あるいは幾つかの置換基によって置換されることが出来る。これは特に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールおよびアリールオキシに適用される。更に加えて、ここに記述したいずれの定義も、置換基にも適用してよい。
【0123】
「アルキル」という用語は、本発明の実施形態においては、1から10の炭素原子を含む飽和脂肪族基、あるいは2から12の炭素を含み少なくとも一個の二重および/あるいは三重結合を含む単あるいは多不飽和脂肪族基を言う。「アルキル」という用語は分岐および分岐していないアルキル基の両者を含む。1から8までの炭素原子を含む、分岐していないアルキル基が好ましい。1から6までの炭素原子を含む分岐していないアルキル基および3から6までの炭素原子を含む分岐アルキル基が、特に好ましい。「アルキル」という用語には、合体化されて接頭辞「alk」あるいは「alkyl」を持つ組合せ語からなる類似体が全て含まれると理解されるべきである。
【0124】
例えば「アルコキシ」あるいは「アルキルチオ」という用語は、酸素あるいは硫黄原子が結合したアルキル基を言う。「アルカノイル」はカルボニル基(C=O)によって結合したあるいはカルボニル基に結合したアルキル基を言う。
【0125】
本発明の実施形態における「シクロアルキル」と言う用語は、上記のように定義したアルキル基の環状誘導体を指し、場合によっては不飽和および/あるいは置換基を有していても良い。飽和シクロアルキル基が好ましく、特に3から8の炭素原子を有したものが良い。特に好ましいのは、3から6の炭素原子を有するシクロアルキル基である。
【0126】
本発明の実施形態における「アリール」と言う用語は、6から14の炭素原子を有する芳香族基を意味し、「置換基を有するアリール」は一または複数の置換基を有するアリール基を言う。
【0127】
上に定義した、「アルキル」、「シクロアルキル」および「アリール」のそれぞれは、ハロゲン化された誘導体のそれぞれを含み、ハロゲン化された誘導体は一または複数のハロゲン原子を含んでよい。ハロゲン化された誘導体は、次に規定するいずれかのハロゲン基を含む。
【0128】
用語「ハロ」は、本発明の好ましい実施形態においてはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選択されるハロゲン基を表す。好ましいハロ基はフルオロ、クロロおよびブロモである。
【0129】
用語「ヘテロアリル」は、本発明の実施形態においては安定した5から8員環の、好ましくは5もしくは6員環単環式または8から11員環二環式芳香族複素環基を表し、ここで各複素環は炭素原子、および窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子の両方から構成されてよい。複素環は、安定した構造を形成する環の任意の原子によって結合してもよい。本発明では、好ましいヘテロアリール基は、例えばフラニル(furanyl)、チエニル(thienyl)、ピロリル(pyrrolyl)、オキサゾリル(oxazolyl)、チアゾリル(thiazolyl)、イミダゾリル(imidazolyl)、ピラゾリル(pyrazolyl)、イソキサゾリル(isoxazolyl)、オキサジアゾリル(oxadiazolyl)、トリアゾリル(triazolyl)、テトラゾリル(tetrazolyl)、チアジアゾリル(thiadiazolyl)、ピリジニル(pyridinyl)、ピリダジニル(pyridazinyl)、ピリミジニル(pyrimidinyl)、ピラジニル(pyrazinyl)、インドリジニル(indolizinyl)、インドリル(indolyl)、イソインドリル(isoindolyl)、ベンゾフラニル(benzofuranyl)、ベンゾチエニル(benzothienyl)、インダゾリル(indazolyl)、ベンズイミダゾリル(benzimidazolyl)、ベンズチアゾリル(benzthiazolyl)、ベンズオキサゾリル(benzoxazolyl)、プリニル(purinyl)、キノリジニル(quinolizinyl)、キノリニル(quinolinyl)、イソキノリニル(isoquinolinyl)、シンノリニル(cinnolinyl)、フタラジニル(phthalazinyl)、キナゾリニル(quinazolinyl)、キノキサリニル(quinoxalinyl)、ナフチリジニル(naphthridinyl)、プテリジニル(pteridinyl)、カルバゾリル(carbazolyl)、アクリジニル(acridinyl)、フェナジニル(phenazinyl)、フェノチアジニル(phenothiazinyl)、およびフェノキサジニル(phenoxazinyl)である。
【0130】
用語「ヘテロシクリル」は、本発明の態様においては安定した5から8員環の、好ましくは5もしくは6員環単環式または8から11員環二環式複素環基を表し、これらは飽和でも不飽和でもよいが芳香族であってはならない。各複素環は炭素原子、および窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子の両方から構成される。複素環は、安定した構造を形成する環の任意の原子によって結合してもよい。本発明では、好ましい複素環基は、例えばピロリニル(pyrrolinyl)、ピロリジニル(pyrrolidinyl)、ピラゾリニル(pyrazolinyl)、ピラゾリジニル(pyrazolidinyl)、ピペリジニル(piperidinyl)、モルフォリニル(morpholinyl)、チオモルフォリニル(thiomorpholinyl)、ピラニル(pyranyl)、チオピラニル(thiopyranyl)、ピペラジニル(piperazinyl)、インドリニル(indolinyl)、アゼチジニル(azetidinyl)、テトラヒドロピラニル(tetrahydropyranyl)、テトラヒドロチオピラニル(tetrahydrothiopyranyl)、テトラヒドロフラニル(tetrahydrofuranyl)、ヘキサヒドロピリミジニル(hexahydropyrimidinyl)、ヘキサヒドロピリダジニル(hexahydropyridazinyl)、2,5−ジオキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−イル(2,5-dioxo-hexahydro-pyrimidin-4-yl)、2,6−ジオキソ−ピペリジン−4−イル(2,6-dioxo-piperidin-4-yl)、2−オキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−イル(2-oxo-hexahydro-pyrimidin-4-yl)、2,6−ジオキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−イル(2,6-dioxo-hexahydro-pyrimidin-4-yl)、3,6−ジオキソ−ピペラジン−2−イル(3,6-dioxo-piperazin-2-yl)、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミン(1,4,5,6-tetrahydropyrimidin-2-ylamine)、ジヒドロ−オキサゾリル(dihydro-oxazolyl)、1,2−チアジナニル−1,1−ジオキシド(1,2-thiazinanyl-1,1-dioxide)、1,2,6−チアジアジナニル−1,1−ジオキシド(1,2,6-thiadiazinanyl-1,1-dioxide)、イソチアゾリジニル−1,1−ジオキシド(isothiazolidinyl-1,1-dioxide)およびイミダゾリジニル−2,4−ジオン(imidazolidinyl-2,4-dione)を含む。
【0131】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロアリール」および「アリール」を他の表現および用語と共に用いると、上記定義はさらに応用できる。例えば、「アロイル」は、カルボニル基に結合したフェニルあるいはナフチル基を表す。
【0132】
各アリールあるいはヘテロアリール化合物は部分的にあるいは完全に水素化した誘導体をも含む。例えば、キノリニルはデカヒドロキノリニル(decahydroquinolinyl)を含んでもよく、テトラヒドロキノリニルナフチル(tetrahydroquinolinyl naphthyl)はテトラヒドロナフチルなどの水素化誘導体をも含んでよい。
【0133】
本発明中、用語「窒素」あるいは「N」および「硫黄」あるいは「S」は、ニトロンやN−酸化物のような窒素の、またはスルホキシド、スルホンのような硫黄のあらゆる酸化誘導体、およびHCl塩もしくはTFA塩のようなあらゆる塩基性窒素の四級化形態を含む。
【0134】
基はあらゆるモノ−、ジ−、トリ−およびテトラ−基であり得る。このため、様々な用語の意味は、わずかに変化し得る。例えば、「プロピル」として記載されるジ−基は必然的に「プロピレン」(例えば−(CH−)を意味する。
【0135】
例えば「1から5」といった範囲の制限を特定するあらゆる表現は、1から5すなわち1、2、3、4および5の任意の整数を意味する。言い換えると二つの整数によって定義されるあらゆる範囲は、前述した定義の制限を定義する二つの整数と、該範囲に含まれる任意の整数の両方を含む。
【0136】
本発明は、記述した化合物の原子のすべての同位体をも含む。同位体は同じ原子番号を持つが異なる質量数を有する原子である。例えば、トリチウムおよびジュウテリウムは水素の同位体である。炭素同位体の例示として、11C、13Cおよび14Cがある。
【0137】
用語「エネルギー的に存在可能な配座異性体」は化合物の配座異性体であって、エネルギーが最も低い配座から約20kcal/mol上までの枠内(window)に入る配座異性体全てを意味する。これに関して、分子モデリングソフトウェア、例えば、Monte Carloすなわち、MacroModel(登録商標)v 7.0, Schrodinger社、ポートランド、オレゴン、USA (http://www.schrodinger.com)等で実行されているMM2、MM3あるいはMMFF力の場を使用する系統的な配座探索が利用できる。
【0138】
アミノ酸は当業者に既知であり、分子中にアミノ基およびカルボキシ基の両方を含むという事実によって定義されている。アミノ酸は天然でも非天然でも存在しうる。α−、β−およびω−アミノ酸を例にとると、α−アミノ酸が好ましく、α−L−アミノ酸がより好ましく用いられる。アミノ酸がより詳細に(例えば「トリプトファン」のように)特定されていない場合には、L−およびD−体の両方を意味する。
【0139】
天然アミノ酸は、グリシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、システイン、メチオニン、アルギニン、リシン、プロリン、セリン、トレオニンおよびヒスチジンから成る群から選択されるL−アミノ酸である。
【0140】
非天然アミノ酸は非タンパク質構成アミノ酸であり、それにはD−アミノ酸、N−アルキル−アミノ酸、ホモアミノ酸、α,α−二置換アミノ酸およびデヒドロアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
アミノ酸誘導体は、Nおよび/またはC−末端を一部変更することによってアミノ酸から得られる化合物である。非限定的例としては、塩、エステル、アシルヒドラジド、ヒドロキサム酸またはアミドへのカルボキシ基の変換、およびアミド、尿素、チオ尿素、チオアミド、スルホンアミド、リン酸アミド、ホウ酸アミドまたはアルキルアミンへのアミノ基の変換がある。Cおよび/またはN末端におけるアミノ酸の一部変更によって得られる化合物の一部あるいは部分は、アミノ酸単位をも表し得る。さらに、アミノ酸は側鎖においても誘導体化される。もし誘導体化アミノ酸が、一回もしくは数回誘導体化された側鎖のアミノ酸であれば、この種の誘導体化は本明細書において通常特別に提示される。好ましい側鎖の誘導体化は、側鎖が官能基を有する特定の場所でなされる。好ましい官能基は、例えばアミノ基、カルボキシル基、チオール基またはアルコール基である。
【0142】
アミノ酸類似体は、アミノおよび/またはカルボキシ基を、それらを模倣し得る他の基で置換することによってアミノ酸から得られる化合物である。非限定的例として、チオアミド、尿素、チオ尿素、アシルヒドラジド、エステル、アルキルアミン、スルホンアミド、リン酸アミド、ケトン、アルコール、ホウ酸アミド、ベンゾジアゼピンおよび他の芳香族または非芳香族複素環の取り込みがある(M. A. Estiarte, D. H. Rich in Burgers Medicinal Chemistry, 6th edition, volume 1, part 4, John Wiley&Sons, New York, 2002年を参照)。
【0143】
芳香族アミノ酸はアリールあるいはヘテロアリール基を含むアミノ酸である。非限定的例として、フェニルアラニン(phenylalanine)、2−フルオロ−フェニルアラニン(2-fluoro-phenylalanine)、3−フルオロ−フェニルアラニン(3-fluoro-phenylalanine)、4−フルオロ−フェニルアラニン(4-fluoro-phenylalanine)、2−クロロ−フェニルアラニン(2-chloro-phenylalanine)、3−クロロ−フェニルアラニン(3-chloro-phenylalanine)、4−クロロ−フェニルアラニン(4-chloro-phenylalanine)、チロシン(tyrosine)、ヒスチジン(histidine)、トリプトファン(tryptophane)、ホモ−フェニルアラニン(homo-phenylalanine)、ホモ−チロシン(homo-tyrosine)、ホモ−ヒスチジン(homo-histidine)、ホモ−トリプトファン(homo-tryptophane)、1−ナフチルアラニン(1-naphthylalanine)、2−ナフチルアラニン(2-naphthylalanine)、2−チエニルアラニン(2-thienylalanine)、3−チエニルアラニン(3-thienylalanine)、ベンゾチエニルアラニン(benzothienylalanine)、フリールアラニン(furylalanine)、チアゾリルアラニン(thiazolylalanine)、ピリジルアラニン(pyridylalanine)、テトラヒドロイソキノリン−2−カルボン酸(tetrahydroisochinoline-2-carboxylic acid)、2−アミノインダン−2−カルボン酸(2-aminoindane-2-carboxylic acid)、ビフェニルアラニン(biphenylalanine)、3,3−ジフェニルアラニン(3,3-diphenylalanine)および対応するD−およびβ−アミノ酸がある。
【0144】
疎水性アミノ酸は、疎水性アルキル−、シクロアルキル−、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール基を含むアミノ酸である。非限定的例として、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、システイン、システイン(iPr)、システイン(tBu)、メチオニン、プロリン、トリプトファン、ノルロイシン、ノルバリン、ホモロイシン、シクロヘキシルアラニン、シクロペンチルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、アリルグリシン、プロパギルグリシン(propargylglycine),2−メチル−フェニルアラニン、3−メチル−フェニルアラニン、4−メチル−フェニルアラニン、ホモシクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、n−シクロヘキシルグリシン、オクタヒドロインドール(octahydroindol)−2−カルボン酸および対応するD−およびβ−アミノ酸がある。
【0145】
アミノ酸単位における生物学的結合特性は、生物学的分子との相互作用の過程においてアミノ酸毎に示されるものである。生物学的分子は、特に生物学的機能を発揮する分子である。このような生物学的分子の非限定的例としては、タンパク質またはペプチドベースの受容体がある。
【0146】
アミノ酸の生物学的結合特性を模倣あるいは擬制する基、単位または部分とは、受容体あるいは相互作用パートナー、好ましくは生物学的受容体あるいは生物学的相互作用パートナーと確立する相互作用が該アミノ酸自体がするのと同一あるいは類似である基と定義される。このような基の選択にあたっては、生物学的受容体と最も好ましい相互作用をする個々のアミノ酸をヒントにして最も汎用な基を考慮するのが好ましい。例えば、アミノ酸のカルボニル基の酸素原子は水素結合の受容体として機能でき、一方でNHプロトンは水素結合の供与体として相互作用を確立し得る。また、アミノ酸はその側鎖を介して受容体と相互作用し得る。フェニルアラニンおよびトリプトファンは、メチレン側鎖あるいは芳香族基を介した疎水性相互作用、および芳香族基を介したπ−π−相互作用の両方を確立し得る。さらに、トリプトファンのインドール基はそのNH基を介して水素結合供与体として働き得る。原則的にシクロヘキシルアラニンおよびノルロイシンは、そのアルキルおよび/またはシクロアルキル側鎖を介して生物学的受容体と疎水性相互作用を確立し得る。アミノ酸の全側鎖のみならず、その一部分も重要な相互作用を確立し得る。
【0147】
アミノ酸の生物学的結合特性を模倣もしくは擬制するまたは発揮する予定の基、単位あるいは部分が、個々のアミノ酸の上記相互作用の少なくとも1つを確立できるのなら、この基あるいは単位はその生物学的結合特性を模倣し得る。
【0148】
基の定義に関連して本明細書で使用されている用語「およびその個々の誘導体」は、個々の化合物、化合物群、分子の一部あるいは部分、ラジカル、または各基ごとに示される化学基の誘導体が全て誘導体として存在することができるという事実を述べている。
【0149】
本明細書で使用されている用語「それぞれ独立して」は、挙示している2つ以上の置換基がそれぞれのパラグラフに記載されているように設計されることができるという事実を述べている。「それぞれ独立して」という表現は、不必要な反復を避けるだけで、前述の置換基のいずれかが記述の配列を示し得ることを開示するものであり、それによって各置換基の配列は個々に作られあるいは個別に存在するのであって、1以上の他の置換基の選択には影響されない。
【0150】
本発明に記載の化合物毎に、特に一般構造毎に記述された置換基は、対応する置換基を有するすべての一般化学式にも適用可能であることは、逆の指摘がない限り、一般的に本発明の範囲内にある。
【0151】
好ましい実施形態において、本明細書で使用されるスペーサーはおよそ1〜300の分子量を有する有機基であり、個々のケースで逆の指摘がない限り、スペーサーによって異なる化学基の間に共有結合が可能になる。例示として、以下のような単純な基、
【化51】


あるいは以下のような複雑な単位がある。
【化52】


式中Rは、各置換に対し、それぞれ独立しておよそ1〜300の分子量を有する残基である。好ましくは、RはH、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル(cycloalkylalkyl)、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル(heterocyclyl)、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール(heteroaryl)、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アシル(acyl)、置換アシル、アルコキシアルキル(alkoxyalkyl)、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル(aryloxyalkyl)、置換アリールオキシアルキル、スルフヒドリルアルキル(sulfhydrylalkyl)、置換スルフヒドリルアルキル、ヒドロキシアルキル、置換ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル(carboxyalkyl)、置換カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル(carboxamidoalkyl)、置換カルボキシアミドアルキル、カルボキシヒドラジノアルキル(carboxyhydrazinoalkyl)、ウレイドアルキル(ureidoalkyl)、アミノアルキル(aminoalkyl)、置換アミノアルキル、グアニジノアルキル(guanidinoalkyl)および置換グアニジノアルキルから成る群から選択される基である。
【0152】
スペーサーは以下から成る群から選択されることが好ましい。
【化53】


式中、Rは好ましくはH、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキルから成る群から選択される基である。
【0153】
正の実効電荷を有するペプチドはヒスタミンを放出する(Jasani ら、1979年、Biochemical Journal 181: 623〜632)。特に、このような化合物を皮下投与および/または皮下デポとしての移植は不可能である。薬物を経口投与した場合、薬物の吸収は特に重要である。荷電した分子の吸収は通常、他の条件が同一であれば非荷電分子の吸収に劣る(Veberら、2002年、Journal of Medicinal Chemistry 45: 2615〜2623)。本発明に記載の化合物には実効電荷が無いため、経口薬として使用するのにも適している。
【0154】
本発明に記載の化合物は薬剤の製造に使用することができ、特には免疫炎症性および/またはさらに急性炎症性疾患および/または局所炎症の予防および/または治療のための薬剤の製造に使用することができる。特に、以下の疾患:自己免疫疾患、急性炎症性疾患、外傷性障害、局所炎症、敗血性ショックおよび出血性ショックは免疫炎症性疾患の群に属す。好ましい実施形態において、これらの疾患は、敗血性ショック、ぜんそく、腸の炎症性疾患(IBD:炎症性腸疾患)、天疱瘡、糸球体腎炎、急性呼吸不全、脳卒中、心筋梗塞、再かん流損傷、神経認知機能障害、やけど、ブドウ膜炎等の目の炎症性疾患、加齢に伴う黄斑変性、糖尿病性網膜症、リウマチ性関節炎等の全身性疾患の局所症状、SLE、眼、脳、血管系、心臓、肺、腎臓、肝臓、胃腸管、脾臓、皮膚あるいは他の臓器系における糖尿病合併症、血管炎等の血管構造炎症性疾患、動脈硬化症および中枢神経系急性損傷から成る群から選択される。これらの疾患および/または臨床的性質はすべて主に免疫炎症性および炎症性の疾患群に由来し、従ってこれらの疾患の炎症性応答は原因であるかまたは第二反応のどちらかであると推定される。
【0155】
本発明化合物で治療され得る他の疾患は自己免疫疾患、外傷性障害、ショックおよび熱傷である。
【0156】
C5a受容体は先天性免疫系の細胞のみならず例えばT−細胞にも存在するので、本発明化合物は自己免疫疾患の治療にも適している。さらに、抗原提示細胞(APCs)はC5a受容体を有しそれによって刺激を受けると改変されたサイトカインのセットを放出することが判った。この結果、例えばT細胞はTh1またはTh2細胞に多様に分化する。リンパ球およびAPCのC5aを阻害するこの新しい態様により、リンパ球が介在する免疫応答を支配することが可能になる。このようなアプローチにより、他の方法での治療が困難である広範な自己免疫疾患の治療が可能になる。自己免疫疾患の群には例えば以下の疾患:円形脱毛症、寒冷凝集素免疫性溶血性貧血、温式抗体免疫性溶血性貧血、悪性貧血(ビールメル病、アジソン貧血)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、側頭動脈炎、アテローム硬化症、自己免疫性副腎炎アジソン病、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ・ストラウス症候群、コーガン症候群、潰瘍性大腸炎、CREST症候群、I型真性糖尿病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、線維症、慢性自己免疫性胃炎、グッドパスチャー症候群(抗GBM抗体関連糸球体腎炎)、ギラン・バレー症候群(GBS;多発神経根筋障害)、橋本甲状腺炎、自己免疫肝炎、特発性肺線維症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ウェルホーフ病)、自己免疫性不妊性、自己免疫性内耳障害(AIED)、若年性関節リウマチ、自己免疫性心筋症、ランバート・イートン症候群、硬化性苔癬、ループスエリテマトーデス、ライム関節炎、膠原病、グレーブス病、ベーチェット病、クローン病、リウマチ様脊椎炎、メニエール病、ライター病、多発性硬化症(MS、脳脊髄炎)、重症筋無力症、交感性眼炎、瘢痕化類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性自己免疫(PGA)症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス(ベニエー・ベック・シャウマン病)、シェーグレン症候群、強皮症、スプルー、スティフマン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、一過性グルテン不耐性、自己免疫性ブドウ膜炎、脈管炎および白斑が含まれる。
【0157】
血管炎は、本発明化合物で治療または予防できる種々の疾患の一群である。血管炎は、自己免疫性疾患の特別な形態として見られる。さらに詳しくは、血管炎は、血管の種々の炎症性疾患である。原発性および二次性の血管炎は血管炎の下位グループに属する。原発性血管炎は患者における自己抗体により誘発される。本発明化合物で治療できる血管炎の一形態は、細胞質抗好中球抗体(ANCA)により誘発される血管炎である。この群は例えば、ウェゲナー病、チャーグ・ストラウス症候群および微視的多発性血管炎から成る。二次性の血管炎は例えば薬物誘導性血管炎およびエイズ(AIDS),B型もしくはC型の肝炎、またはサイトメガロウイルス感染のような疾患を通じて誘発される脈管炎である。
【0158】
原発性疾患形成の過程では、好酸球を伴う白血球破砕性血管炎(leukoplastic vasculitis)および/または組織浸潤が起こり得る(チャーグ・ストラウス症候群)。該疾患は、例えば免疫複合体の沈着および補体系の活性化を特徴とする。好中球に対する自己抗体がそれらをさらに活性化し、反応性酸素が生産され放出される。これは例えば内皮細胞の損傷をももたらす。好中球および他の白血球はC5a受容体を担持しており、C5aの結合により活性化し得る。C5aは補体活性化の間に放出される強力な炎症誘発作動物質である。
【0159】
治療を施さない場合ウェゲナー病は致命的である。ほとんどの患者は急性肺または腎不全で死亡する。その現在の治療には、シクロホスファミド、糖質コルチコイド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリンまたはレフルノミドのような薬物を使用する非特異な免疫抑制がある。これらの療法は、感染の増加や白血球数の減少といった多数の副作用を伴う。従ってこの適応症にもっと的を絞った療法が必要であり、それは本発明化合物を使用した治療によって得られる。
【0160】
種々の疾患が特定の用語または一般的用語の下に要約されることは当業者であれば容易に理解する。これらの要約は限定的ではなく、疾患毎に独自に説明することができ、本発明化合物により治療または予防することができる。括弧内の用語は特定の疾患の同義語あるいはその特別な形態であることは当業者は理解する。
【0161】
本発明は、少なくとも1つの本発明化合物を含む製剤、特に医薬的製剤にも関する。医薬的に活性な化合物を他の医薬的に受容可能な成分と組み合わせて、有効性の向上、例えば輸送、製品寿命、経時的放出挙動等の向上を確実にすることは頻繁に行われる。このような適切な多種の製剤は当業者に周知である。このような製剤の成分は、とりわけ、不活性希釈剤、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、でんぷん、アルギン酸塩、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウムおよび滑石粉である。ある種の成分を添加して医薬的に活性な化合物の放出を遅らせることが可能である。個別の例示としては、モノステアリン酸グリセロールおよびジステアリン酸グリセロールがある。経口適用には、特に硬質ゼラチンカプセルが使用され、その場合に医薬的に活性な成分は炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される。ソフトゼラチンカプセルには、医薬的に活性な成分が、例えば油(落花生油、流動パラフィン、オリーブ油)と混合される。水溶液による適用には、医薬的に活性な成分を、特に以下の成分:カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、レシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸との高分子体、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートと混合することができる。保存目的で種々の添加物を使用してもよい。個別の例示としては、エチルまたはn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾエートがある。
【0162】
特定の投与経路を可能にするにはある種の製剤を使用する。本発明化合物の投与経路の例示としては、経口、皮下、静脈内、局所、筋肉内、直腸および吸入投与がある。本発明化合物は医薬的に受容可能な塩として存在し得る。
【0163】
本発明を以下の図および実施例を参照してさらに説明するが、これらによって更に本発明の優位性、特徴および態様を把握することができる。
【実施例】
【0164】
実施例1:材料と方法
材料と方法ならびに一般的方法は、さらに以下の実施例によって明確になる。
溶媒:
溶媒は、精製をせずに特別品質を使用した。
【0165】
アセトニトリル(Gradient grade, J.T. Baker社)、ジクロロメタン(合成用、Merck Eurolab社)、ジエチルエーテル(合成用、Merck Eurolab社)、N,N−ジエチルホルムアミド(LAB, Merck Eurolab社)、ジオキサン(合成用、Aldrich社)、メタノール(合成用、Merck Eurolab社)
【0166】
水:脱塩したMilli-Q Plus(Millipore社)
【0167】
試薬:
使用の試薬はAdvanced ChemTech社(バンベルク、ドイツ)、Sigma-Aldrich-Fluka社 (Deisenhofen、ドイツ)、Bachem社(ハイデルベルク、ドイツ)、J.T. Baker社(Phillipsburg、USA)、Lancaster社(Muehlheim/マイン、ドイツ)、Merck Eurolab社(ダルムシュタット、ドイツ)、Neosystem社(ストラスバーグ、フランス)、Novabiochem社(バートゾーデン、ドイツ、2003年〜、Merck Biosciences社、ダルムシュタット、ドイツ)およびAcros社(Geel、Belgium、販売業者:Fisher Scientific GmbH社、シュウェルテ、ドイツ)、Peptech社(ケンブリッジ、MA、USA)、Synthetech社(アルバニー、OR, USA)、Pharmacore社(ハイポイント、NC、USA)、Anaspec社(サンノゼ、CA、USA)から購入し、追加の精製をせずに特別品質で使用した。
【0168】
N末端の修飾のための市販の非天然アミノ酸あるいはカルボン酸を標準的プロトコールに従って調製した。例えば、Fmoc−cis−Hyp−OHはFmoc OSu[Paquetら 1982年、Canadian Journal of Chemistry 60: 976〜980A]を有するh−cis−Hyp−OHの反応によって調製した。Fmoc−Phe(4−STrt−アミジノ)−OHは文献[Pearsonら 1996年、Journal of Medicinal Chemistry 39:1372〜1382]に記載の方法に従って合成した。側鎖改変システイン誘導体は、ハロゲン化アルキルを有するFmocシステイン−OHのアルキル化によって調製した。
【0169】
別異の記述をしない限り、濃度は容量パーセントで表される。
【0170】
RP−HPLC−MS解析:
分析クロマトグラフィーには、Hewlett Packard 1100−ステム(脱気剤:G1322A、クォータナリポンプ:G1311A、自動サンプル交換装置:G1313A、カラムヒーター:G 1316A、各種UV検出器:G1314A)ならびにESI−MS(Finnigan LCQイオントラップ質量分析計)を使用した。システムは「ナビゲーター ver. 1,1 sp1」ソフトウェア(Finnigan社)で制御した。ヘリウムは、イオントラップにおいて衝撃ガスとして使用した。クロマトグラフ分離には、30℃、流速0.3ml/minで、クロマトグラム全体にわたって直線勾配(5〜95%のBの直線勾配を25分間。A:0.05%TFAの水溶液、およびB:0.05%TFAのCHCN溶液)で、プレカラム(メルク社)を有するRP−18−カラム(Vydac 218 TP5215、2.1×150mm、5μm、C18、300A)を使用した。UV検出はλ=220nmで行った。保持時間(R)は10進法(例えば1.9分=1分54秒)で示し、質量分析計での検出を参照している。注入とUV検出(HPLC)間の不感時間は1.65分であり、UV検出と質量検出間では0.21分であった。質量分析計の精度は約±0.2amuであった。
【0171】
HPLC/MSによる分析は、95:5〜5:95の直線勾配で9.5分間(A:0.05%TFAの水溶液、およびB:0.05%TFAのアセトニトリル溶液)、5μlを注入して行われ、Phenomenex社(Typ Luna C−18、3μm、50×2.00mm、流量0.3ml、室温のHPLC)から購入したRPカラム、質量分析計(ThermoFinnigan Advantageおよび/またはLCQ Classic(両者ともイオントラップ用)、ESIイオン化、イオントラップにおいて衝撃ガスとして働くヘリウムが用いられた。Excalibur vers.1.3および/または1.2はソフトウェアとして使用した。保持時間(R)は10進法(例えば1.9分=1分54秒)で示している。
【0172】
分取用HPLC
分取用HPLCでの分離は、以下の、勾配溶媒:0.05%TFAの水溶液および、B:0.05%TFAのCHCN溶液を含むVydac R18−RPカラムを用いて行われた。
【0173】
【表5】

【0174】
表2:タンパク質構成アミノ酸用の3文字コードを使用した。
【表6】

【0175】
表3:非タンパク質構成アミノ酸用の3文字コードが使用されているが、最初の文字はアルファC原子の立体化学を示す。最初の文字が大文字ならL体を表し、最初の文字が小文字なら対応するアミノ酸のD体を表す。
【表7】







【0176】
化合物の活性は以下の基準に基づいて分類した:
【表8】

【0177】
一般的手順(AAV)1:直鎖ペプチドの合成
直鎖ペプチドはバッチモードにおけるFmoc−Buストラテジーによって合成した。合成はポリプロピレンのシリンジ中で手動、あるいは自動合成器(Multisyntech社のSyro、ウィッテンあるいはZinsser社のSophas、フランクフルト)のいずれかによって行われた。
【0178】
C末端カルボン酸を担持するペプチドの調製には、C末端アミノ酸をトリチルクロリド(tritylchloride)樹脂(約200mgの樹脂;反応基約1.5mmol/gを負荷し;CHCl中の0.8eq.のFmoc−アミノ酸および3.0eq.のDIPEAを2時間カップリングさせ;先頭のアミノ酸約0.2〜0.4mmol/gを負荷した)あるいはワング(Wang)樹脂(200〜500mgの樹脂;反応基約0.6mmol/gを負荷し;DMF中の4eq.のFmoc−アミノ酸、4eq.のDICおよび3eq.のNMIを3時間カップリングさせ;先頭のアミノ酸約0.2〜0.6mmol/gを負荷した)のいずれかに結合させた。
【0179】
C末端カルボン酸アミドを担持するペプチドの調製には、先頭のアミノ酸を、Fmoc−Rinkアミド樹脂のFmoc脱保護(約200mg樹脂;DMF中で20%ピペリジンでFmoc脱保護を20分間行った)およびそれに続くFmoc−アミノ酸(5eq.のFmocアミノ酸との反応;反応はDMF中で、5eq.のHBTUおよび15eq.のDIPEAで30〜60分間、一回あるいは数回反復させた)のカップリングを通じて、樹脂に結合させた。
【0180】
先頭のアミノ酸のカップリングの後、ペプチドは、工程の反復連続を通じて合成され、工程は必要に応じて、Fmoc脱保護や対応するFmoc−アミノ酸あるいはカルボン酸のカップリングから構成された。Fmoc脱保護には、DMF中で樹脂を20%ピペリジンと20分間反応させた。アミノ酸のカップリングは、DMF中で5eq.のアミノ酸、5eq.のHBTUおよび15eq.のDIPEAと30〜60分間、一回以上反復反応させて行われた。N末端アセチル基の導入には、樹脂に結合したN末端を含まないペプチドを10%無水酢酸および20%DIPEAの溶液と共にDMF中で20分間インキュベートした。
【0181】
樹脂からペプチドを切断しおよび側鎖保護基を切断するために、95%のTFA、2.5%の水、2.5%のTIPSの混合液あるいは類似溶液を加えた。最後に、TFAをロータリーエバポレーターで蒸発させ、またはペプチドを0℃でメチル−ブチル−エーテルを加えて沈殿させ、遠心分離もしくは残留溶液のデカンテーションにより単離した。上記の結果として形成されたTFA塩を対応するHCl塩に変換するために、ペプチドを2NのHClおよびMeCN中に溶解し、凍結乾燥させた。
【0182】
C末端カルボン酸アミドを有するペプチドをHPLCで直接精製した。粗産物としてC末端カルボン酸アミドを担持するペプチドを、以下のAAV2に従って環化した。
【0183】
一般的手順(AAV)2:C末端カルボン酸を担持するペプチドの環化
環化には、AAV1に従って合成した約80mgの直鎖ペプチドを、5mlのDMFおよび5mlのCHClに可溶化した。続いて、N−エチルモルホリンを加え、その後1eq.のHOBtと共に10eq.のDICを加えてpHを約8に調製した。室温で2〜16時間攪拌した後、溶媒を蒸発させ、粗産物をHPLCで精製した。
【0184】
一般的手順(AAV)3:遊離のN末端を有する樹脂結合ペプチドの還元的アルキル化
AAV1に従って合成した、遊離のN末端を有する直鎖ペプチドをインキュベートし、その後、10eq.の対応アルデヒドを含む5%酢酸および5%のトリメチルオルソホルミエートを含むTHFを用いて樹脂から切断した。約4時間の後、得られたイミンを5eq.のシアノボロ水素化ナトリウム加え終夜還元した。
【0185】
AAV1に従って合成したペプチドを樹脂から切断した後、粗産物をAAV2に従って環化した。第二級N末端アミンを介する環化により不要な副産物が頻繁に発生する。この副産物はHPLCで容易に除去し得る。
【0186】
実施例2:Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Phe] (1)の合成
AAV1に従った直鎖ペプチドの合成、AAV2に従った環化およびそれに続くHPLCによる精製の後、50.9mgの目的産物Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Phe]を白色固体として得た。
MS(ESI):m/z=888.3[(M+H)
【0187】
実施例3:Ac−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Phe] (2)の合成
直鎖ペプチドAc−Phe−Orn−Hyp−cha−Trp−Phe−OHをAAV1に従って得、AAV2に従って環化した。アミンの求核性がアルコールと比較して高いため、遊離Hyp−OH基とC末端カルボン酸とのカップリングによって目的の環化産物の外に副産物が発生することは無かった。HPLCで目的の粗産物を精製して、26.9mgの目的の白色固体Ac−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Phe](2)が得られた。
【0188】
MS(ESI):m/z=903.5[(M+H)
【0189】
実施例4:Ph−CH−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle] (56)の合成
樹脂結合ペプチドH−Orn−Pro−cha−Trp−Nle−トリチル−樹脂をAAV1に従って得、続いて還元的アルキル化状態でベンズアルデヒドを加えてインキュベートした。AAV2に従って環化し、続いてHPLCで精製することによって、0.9mgの目的産物56を白色の固体状で得た。
【0190】
MS(ESI):m/z=753.4[(M+H)
【0191】
実施例5:HOCH(CHOH)−C=N−O−CH−CO−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle](3)の合成
直鎖ペプチドH−Aoa−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−Nle−OHをAAV1に従って得た。これを24mlのMeCN/酢酸ナトリウム(1:1)緩衝液(0.2M,pH=4)に溶解し、58mg(10eq.)のD−グルコースを加えてインキュベートした。5日間の攪拌の後、2.4mlのアセトンを加えて未変換アミノオキシ酢酸−ペプチドを抑え、5分後、溶媒を留去した。得られた粗産物をHPLCで精製し、続いてAAV2に従って環化した。HPLCで粗産物を精製することによって1.9mgの目的の白色固体3を得た。
【0192】
MS(ESI):m/z=1046.5[(M+H)
【0193】
実施例6:2−アセトアミド−1−メチル−グルクロニル−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle] (4)の合成
AAV1に従って得られた樹脂結合ペプチドH−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−Nle−トリチル−樹脂を、39.8mg(2.0eq.)の2−アセトアミド−1−メチル−グルクロン酸(Schaemannら、2003年、European Journal of Organic Chemistry: 351-358)、60.8mg(2.0eq.)のHATUおよび105.7μl(10eq.)の2,4,6−コリジンを含む1.6mlのDMFと共にインキュベートした。1.5時間の攪拌の後、樹脂をDMF(5×)、MeOH(5×)およびCHCl(3×)で洗浄し、95%のTFA、2.5%の水および2.5%のTIPSを用いてペプチドを樹脂から切断した。AAV2に従って環化し、HPLCで精製することによって、29.0mgの目的生産物4を白色の固体状で得た。
【0194】
MS(ESI):m/z=1043.0[(M+H)
【0195】
実施例7:Ac−Phe−[Orn−Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)−cha−Trp−Nle](5)の合成
直鎖ペプチドAc−Phe−Orn−Hyp−cha−Trp−Nle−OHをAAV1に従って得、AAV2に従って環化し、得られた環状ペプチドAc−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Nle]をHPLCで精製した。35.4μl(40eq.)の2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)酢酸を40℃で15分間、50.3μl(120eq.)の塩化チオニルと共にインキュベートした。溶媒を留去した後、78.8ml(80eq.)のDIPEA、1mlのCHClおよび5.0mgの化合物Ac−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Nle]を加えた。3日間室温で攪拌を継続し、その後HPLCで精製を行い、1.6mgの目的白色固体5を得た。
【0196】
MS(ESI):m/z=1029.6[(M+H)
【0197】
実施例8:Ac−Phe−[Orn−Hyp(CONH−CHCH(OH)−CHOH)−cha−Trp−Nle](6)の合成
直鎖ペプチドAc−Phe−Orn−Hyp−cha−Trp−Nle−OHをAAV1に従って合成し、AAV2に従って環化し、得られた環状ペプチドAc−Phe−[Orn−Hyp−cha−Trp−Nle]をHPLCで精製した。続いて5.0mgのペプチドを、26.1mgの4−イソシアナトメチル−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソランおよび1.88μl(2.0eq.)のDIPEAを含む0.3mlのMeCNを加えてインキュベートした。3日間40℃で攪拌した後、溶媒を留去し、得られた粗産物をHPLCで精製した。0.22mgの目的白色固体6を得た。
【0198】
MS(ESI):m/z=986.5[(M+H)
【0199】
実施例9:Ac−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Arg(CHCH)] (7)の合成
直鎖ペプチドAc−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−Orn−OHをAAV1に従って合成し、AAV2に従って環化し、得られた環状ペプチドAc−Phe−[Orn−Pro−cha−Trp−Orn]をHPLCで精製した。続いて2.6mgのペプチドを22.6mg(30eq.)の2−(メチルメルカプト)−2−イミダゾリン−ヨウ化水素酸塩および29.7μl(60eq.)のDIPEAを含む260μlのMeOHを加えてインキュベートした。50℃で2日間攪拌した後、溶媒を留去し、得られた粗産物をHPLCで精製した。0.86mgの目的白色固体7を得た。
【0200】
MS(ESI):m/z=922.8[(M+H)
【0201】
実施例10:Ph−CH−CH−CO−[Orn−Pro−cha−Trp−Nle] (41)の合成
N末端カルボン酸として、3−フェニルプロピオン酸を担持するペプチドPh−CH−CH−CO−Orn−Pro−cha−Trp−Nle−OHをAAV1に従って合成した。直鎖ペプチドをAAV2に従って環化し粗産物をHPLCで精製した。3.13mgの目的白色固体41を得た。
【0202】
MS(ESI):m/z=796.5[(M+H)
【0203】
実施例11:酵素放出測定におけるIC50値の測定
測定の手順は、Koehl (The Anaphylatoxins、Koehl著、1997年、Dodds, A.W.、Sim, R.B.編、Complement:A Practical Approach. Oxford, pp. 135〜163)によって記述された。ヒトC5aR(CD88)を発現するラット好塩基球性白血病細胞(RBL)を10%のウシ胎仔血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2mMのグルタミン(培地のすべての成分はBiochrome社(ベルリン)から購入)を含むDMEM中で培養し、37℃、10%COにて集密状態にした。以下の仕様は、表面積が75cmのフラスコでの単細胞培養を参照している。培地を細胞からデカンテーションした。細胞を10mlのPBS(Dulbecco's PBS,Biochrome社)で洗浄し、次いで3mlのCell Dissociation Solution(CDS、Sigma社)を重層した。細胞を1分間室温でインキュベートした。次いでCDSを除去し、細胞をさらに10〜15分間37℃でインキュベートして溶解した。本測定においては、試験される化合物を含む20μlの溶液を使用した。この溶液は2.8%以上のDMSOを含まないことが好ましい。希釈過程では、1/3または1/2段階で、化合物を希釈した。20μlの化合物溶液に75μlのRBL−細胞を添加し、以下のように処理した。溶解後、細胞を分離させ37℃で10mlのHAG−CM(20mMのHEPES:125mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのCaCl2、1mMのMgCl2、0.5mMのグルコース、0.25%のBSA、HEPES調製:2.3g/lのHEPES−塩+2.66g/lのHEPES酸)中で加温した。細胞を計数し遠心分離(200xg、10分間)した。あらかじめ熱したHAG−CM(すなわちカルシウムおよびマグネシウムを含むHepes緩衝液NaCl−グルコース溶液)中に細胞ペレットを再懸濁し、細胞密度を2×10細胞個/mlに調節した。細胞を37℃で5分間インキュベートした。細胞懸濁液1mlにつき27μlのサイトカラシンB溶液を加えた(DMSO中に100μg/ml、Sigma社)。細胞はさらに3分間37℃でインキュベートした。75μlの細胞懸濁液を20μlの化合物溶液に添加し、体積が1ウェルにつき95μlになるようにした。細胞を37℃で10分間インキュベートした後、1ウェルにつき10μlのhrC5a(HAG−CM中に10.5nM、Sigma社)を添加した。さらに5分間37℃で細胞をインキュベートした。その後、mtpを氷上に移動し、4℃で3分間、1200xgで遠心分離した。75μlの上清を、100μlの基質溶液(42.5mMのNa−アセテート液pH4.5中に2.7mg/ml p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド(Sigma社)を含む)に添加した。mtpをさらに37℃で60分間インキュベートした。75μlの0.4Mグリシン(pH10.4)を各ウェルに添加した。mtpをリーダー中に移し、405nmでの吸光を測定した。IC50値を式;y=((A−D)/(1+(x/C)))+Dに従って得た。
【0204】
IC50値の測定結果を表4に示す。
【0205】
表4:選択された本発明化合物のアンタゴニスト活性のデータ
【表9】

























【0206】
実施例12:酵素放出測定におけるEC50値の測定
EC50値の測定は、30μlの試験化合物が実施例11で記述された75μlの細胞懸濁液と混合する必要がある場合を除いては、実施例11における手順に従って行われた。プレインキュベートおよび酵素放出の刺激に対するC5aの添加は必要ではない。化合物の試験結果は表5に示す。
【0207】
表5:選択された本発明化合物のアゴニスト活性のデータ
【表10】

【0208】
実施例13:選択されたC5aR−アンタゴニストの溶解度測定
化合物の溶解度を、以下の手順で測定した。:10mM原液を20μl含むDMSOを、緩衝液系の選択用溶液980μlに希釈した。振とう器で24時間室温でインキュベートし、11,000rpmで遠心分離した後、上清を除去し、上清のUV吸収を測定し、60%MeOHに溶解した溶解度算出のための参照用コントロール試料の吸収と対比した。次いで、緩衝液系の選択用溶液およびコントロール系において類似の溶解度を表した化合物を試験してそれらの最大溶解度を求めた。このために該化合物を溶媒系の選択用溶液に10mg/mlで懸濁した。溶解されていない部分を24時間後に遠心分離で除去した。上清のUV吸収を測定し、60%MeOH中の該化合物の標準液と比較した。本発明化合物のうち、数種の溶解度を表6に示す。
【0209】
表6:選択された数種のペプチドの溶解度
【表11】

【0210】
実施例14:アンタゴニストに基づくファルマコフォアモデルの開発
化合物40のアルギニンをアラニン(39)で交換することにより、ペプチドの阻害活性に対するこの位置の側鎖の重要性が概説される。正電荷を持つアミノ酸リシン(22)でアルギニンを置換すると、IC50値は驚くほどに増加する(20nMから8700nM)。すなわち、正電荷だけではアンタゴニスト作用に効果をもたらさないということである。C末端位置(14)に4−アミノフェニルアラニン(Paf)を導入すると、IC50値は30nMになる。興味深いことに、Pafのアミノ基を、Lysのアミノ基と比較してみるとCα−原子への距離が類似している。化合物40にアルギニンを極めて疎水性の非荷電フェニルアラニンと交換すると、化合物1が生成し、驚くべきことにこれは化合物40と類似のIC50値(23nM)を示す。従って、C5aRとの重要な相互作用をするものは、ArgまたはPafの正電荷の側鎖ではなく、Paf、PheあるいはArgの脂肪族側鎖の疎水部分であることが明らかである。アルギニンを他の疎水性部分で置換しても40と比べて活性が著しく損失することはない。この種の置換の例示は、化合物1、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38に示されている。
【0211】
40の他のアミノ酸をAla、N−Me−AlaあるいはD−Alaで交換した結果、以下のアミノ酸:Phe、cha、Trpの側鎖がアンタゴニスト活性に重要であることが判明した。
【0212】
これらペプチドと付加ペプチドとの構造活性相関に基づいて、ファーマコフォアモデルを開発した。活性に重要な残基(2つの疎水基および2つの芳香族基)のための距離を以下の方法で提案する。
【0213】
化合物28の分子力学シミュレーション(持続時間2nsおよび延長時間2fs)に基づいてファーマコフォアモデルを開発した。周期的な枠構造下で、AMBER94力場(AMBER94-force field)および水模型(TIP3)を使用してシミュレーションを行った。軌道(1000個の構造体)の最後のナノ秒からの写真を静的に解析したところ、質量中心ファルマコフォア基間の距離が得られた(以下を参照)。
【0214】
分子力学シミュレーションの開始構造は、7つの環状ペプチドを用いる集団動力学演算を基礎にした。それらのペプチドは、互いに比較した場合、高度に活性的(更に低いナノモル範囲でのIC50)であり、構造的に制限する特性を持っていた。
【0215】
実施例15:TC−7に基づく測定系におけるAB−透過性の測定
スクリーニング化合物を、100%DMSO中の10mM原液からHBSS−MES(5mM、pH6.5)中の50μM溶液に希釈する。14C−マンニトール(約4μM)を該試料に添加する。溶液を遠心分離し、上清をTC−7細胞培養液(15継代、24ウェルのトランスウェルプレート中で)の頂上側に添加しDMSOの最終濃度が1%になるようにする。HBSS−HEPES(5mM、pH7.4)は底面横側に添加する。細胞を37℃で120分間インキュベートした。TC−7細胞層の保全性をマンニトールで試験し、透過性(Papp)は、<2.5・10−6cm/sであることが分かった。透過性Papp[cm/s]は式(V×CR120)/(Δt×A×(CD,mid−CR,mid))から求められ、ただし、Vは受容チャンバーの容積であり、CR120は120分後の受容チャンバー中の被験物質濃度であり、Δtはインキュベーション時間であり、AはTC−7細胞層の面積であり、CD,midは供与チャンバー中の被験物質の中間点濃度であり、CR,midは受容チャンバー中の被験物質濃度である。
【0216】
【表12】

【0217】
実施例16:Ac−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−Phe−NH (51)の合成
AAV1に従ってペプチドを調製した。逆相HPLCで精製し、10.0mgの51を白色固体で得た。
【0218】
MS(ESI):m/z=904.5[(M+H)
【0219】
実施例17:Ac−Phe−Orn−Aze−cha−Bta−Phe−NH (52)の合成
AAV1に従ってペプチドを調製した。逆相HPLCで精製し、10.5mgの52を白色固体で得た。
【0220】
MS(ESI):m/z=907.5[(M+H)
【0221】
実施例18:Ac−Phe−Orn−Pro−cha−Trp−NH−CH−CH−Ph (72)の合成
200mgのブロモ−(4−メトキシフェニル)メチルポリスチレン樹脂を、50%のフェニルエチルアミンのTHF溶液(v/v)5mlと共に室温で18時間インキュベートした。樹脂を洗浄し(DMF;3×5.0ml、MeOH;3×5.0ml、DCM;3×5.0ml)、ペプチドをAAV1に従って調製した。逆相HPLCで精製し、4.1mgの72を白色固体で得た。
【0222】
MS(ESI):m/z=861.8[(M+H)
【0223】
実施例19:Ac−Phe−Orn−Aze−cha−Bta−Phe−NH−Me (95)の合成
4.5gの4−(4−フォルミル−3−メトキシ−フェニル)−ブチル−アシッド−ポリスチレン樹脂を15分間THF中で膨張させた。樹脂をろ過し、3.04g(10eq.)の塩酸メチルアミン、2.7mlの酢酸、2.7mlのオルトギ酸トリメチルおよび90mlのTHFの混合液を添加し、静かに攪拌した。1時間後、2.83g(10eq.)のシアノボロ水素化ナトリウムを含む45mlのDMFを添加した。混合液を一晩攪拌し、樹脂をろ過し、DMF(5×)、MeOH(5×)およびCHCl(5×)で洗浄した。アミノ酸のカップリングは、968mg(5eq.)のFmoc−Phe−OH、950mg(5eq.)のHATUおよび3.75mlのDIPEAを含む10mlのDMFを使用し2時間行った。樹脂をろ過し、DMF(5×)、MeOH(5×)およびCHCl(5×)で洗浄した。得られた樹脂200mgをさらに使用した。ペプチドはAAV1に従って調製した。逆相HPLCで精製し、10.0mgの95を白色固体で得た。
【0224】
MS(ESI):m/z=921.6[(M+H)
【0225】
実施例20:CH−SO−Phe−Orn−Aze−cha−Bta−Phe−NH (96)の合成
AAV1に従ってペプチドを調製した。CH−SO−ClをN末端「アミノ酸」として使用した。逆相HPLCで精製し、5.5mgの96を白色固体で得た。
【0226】
MS(ESI):m/z=943.9[(M+H)
【0227】
実施例21:HN−CO−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH (128)の合成
樹脂結合ペプチドH−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−Rink−アミド樹脂をAAV1に従って調製した。ジフェニルメチルイソシアネート(5eq.)およびDIPEA(10eq.)を含むDMFをN末端アミノ基と2時間反応させた。95%のTFA、2.5%の水および2.5%のTIPSで樹脂から切断し、続いて逆相HPLCで精製し、0.92mgの128を白色固体で得た。
【0228】
MS(ESI):m/z=922.8[(M+H)
【0229】
実施例22:(−CO−CH−NH−CO−)−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH (130)の合成
樹脂結合ペプチドH−Gly−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−Rink−アミド樹脂をAAV1に従って合成した。該ペプチドを炭酸ジサクシニミジル(3eq.)およびDIPEA(3eq.)を含むDMFと共に3時間インキュベートした。その後さらに3eq.のDIPEAを添加し、室温で5時間反応を継続した。95%のTFA、2.5%の水および2.5%のTIPSで樹脂から切断し、続いて逆相HPLCで精製し、3.8mgの130を白色固体で得た。
【0230】
MS(ESI):m/z=962.9[(M+H)
【0231】
実施例23:(−CO−CH−CH−CO−)−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH (133)の合成
樹脂結合ペプチドH−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−Rink−アミド樹脂をAAV1に従って合成した。その後、無水コハク酸(5eq.)およびDIPEA(10eq.)を含むDMFをN末端アミノ基と共に2時間インキュベートした。樹脂をろ過し、DMF(5×)、MeOH(5×)およびCHCl(5×)で洗浄した。最後に、樹脂をHBTU(5eq.)およびDIPEA(10eq.)を含むDMFと共に1日インキュベートした。95%のTFA、2.5%の水および2.5%のTIPSで樹脂から切断し、続いて逆相HPLCで精製し、0.47mgの133を白色固体で得た。
【0232】
MS(ESI):m/z=961.9[(M+H)
【0233】
実施例24:FHC−CO−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH (142)の合成
ペプチドをAAV1に従って調製した。ただしフルオロ酢酸をN末端アミノ酸として使用した。逆相HPLCで精製し、0.9mgの142を白色固体で得た。
【0234】
MS(ESI):m/z=939.8[(M+H)
【0235】
実施例25:Ac−Phe−Orn(Et)−Pro−cha−Trp−Phe−NH (143)の合成
ペプチドをAAV1に従って調製した。逆相HPLCで精製し、10.0mgの51を白色固体で得た。5.0mgのペプチドをTHFに溶解し、1mlのアセトアルデヒドを添加した。100mgの(ポリスチレン−メチル)トリメチル−シアノボロ水素化アンモニウム(3mmol/g)を添加した後、懸濁液を室温で12時間攪拌した。樹脂をろ過し、混合液を乾燥するまで蒸発させた。逆相HPLCで精製し、1.2mgの143を得た。
【0236】
MS(ESI):m/z=960.9[(M+H)
【0237】
実施例26:Ac−Phe−N(Bu)−CH−CO−Pro−cha−Trp−Phe−NH (144)の合成
樹脂結合ペプチドH−Pro−cha−Trp−Phe−Rink−アミド樹脂をAAV1に従って行った。遊離アミノ基を、0.4Mの無水ブロモ酢酸のDCM溶液4mlと共にインキュベートした(15分間、2×)。樹脂を洗浄(DMF;3×5.0ml、MeOH;3×5.0ml、DCM;3×5.0ml)し、次いでn−ブチルアミンの5M溶液4ml中で30分間、2回インキュベートした。樹脂洗浄(DMF;3×5.0ml、MeOH;3×5.0ml、DCM;3×5.0ml)後、残留ペプチドをAAV1に従って合成した。
【0238】
実施例27:Ac−Phe−Arg(CHCH)−Pro−cha−Bta−Phe−NH (150)の合成
AAV1に従ってペプチドを合成し、700mgのAc−Phe−Orn−Pro−cha−Bta−Phe−NH (62)を粗生成物として得た。15mgの62(0.016mmol)を、39.7mg(10eq.)の2−メチルチオ−2−イミダゾリン−ヒドロイオジンおよび55.4μl(20eq.)のDIPEAを含む1mlのMeCNと共に40℃で24時間インキュベートした。溶媒を真空下で除去し、生成物をHPLCで精製した。1mlの0.1N HClおよび0.5mlのMeCNで凍結乾燥し、0.7mgの150を白色固体で得た。
【0239】
MS(ESI):m/z=960.9[(M+H)
【0240】
実施例28: 免疫複合体媒介腹膜炎モデルにおける化合物149の有効性
免疫複合体が媒介する腹膜炎は、血管炎、腎炎、関節炎および農夫病などの免疫複合体関連疾患の病態に似ている。関連する動物モデルは、Hellerら(1999年、Journal of Immunology 163: 985〜994)によって記述されており、抗原の静脈内投与および抗体の腹腔内投与後に形成される免疫複合体の炎症誘発効果を利用している。
【0241】
BALB/cマウス(6〜8週齢)を、化合物149(200μlビヒクル中、1mg/体重kg)を静脈内投与し15分間治療し、その後、逆受身アルツス反応を開始した。アルツス反応はOVA(20mg/kgを含む200μlのPBSを静脈内投与)およびポリクローナル抗OVA抗体(ウサギ抗体;800μg/マウス腹腔)を投与し誘発した。6時間後、2mlのPBS−0.1%BSAで腹腔を洗浄した。回収したPE細胞をDIFF−Quickで染色した。少なくとも20視野(100倍率)を解析し、好中球の有無を調べた。
【0242】
図1は、149での治療が、炎症誘発細胞の腹膜内への流入を抑制したことを示している。
【0243】
実施例29:C5a誘発好中球減少症モデルにおける化合物149の有効性
C5a誘発好中球減少症は衝撃誘発疾患(例えば敗血性ショック)のモデルであり、C5aは組織的に(好中球減少症、血圧降下)重要な役割を担っている。循環系で好中球が減少する理由は、C5a刺激によって好中球が血管壁に結合してしまうことにある。これら好中球漸増のプロセスは、再かん流損傷のような他の多くの疾患において重要な役割を担っている。このようなモデルはShortら(1999年、British Journal of Pharmacology 125: 551〜554)によっても記述された。
【0244】
雌ウィスター系ラットの腹腔内にケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(12mg/kg)を投与した。カテーテルを頸静脈に導入し、動物を以下の手順に供した。:
1. ラットに、ビヒクルまたは化合物149のような本発明化合物を静脈内投与した。血液試料を化合物投与の1分前に採取した。
【0245】
2. 化合物投与の10分後に、ラットに2μg/kgのhrC5aを静脈投与した(2μg/kg、1分以上)。
【0246】
血液試料をC5a投与の直前直後に採取した。
【0247】
3. 頸静脈から採取した、リチウム−ヘパリンのバイアル中の血液試料(約0.2ml)を使用して血球百分率を求めた。
【0248】
白血球細胞数:
白血球細胞数を血液学的細胞計数器で測定した。
【0249】
分化細胞カウント:
血液塗抹標本をヘパリン化血液試料から調製した。各試料を脱水しメタノールで染色した。固定後、試料をMay Gruenwald染色で5分間染色した。続いて蒸留水で洗浄した。その後、Giemsa染色を2分間行い、試料を再度洗浄した。
【0250】
分化細胞カウントを、100個の細胞中の、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球および単球の合計として測定した。その後、全白血球細胞に対する好中球のパーセンテージを算出した。
【0251】
結果は図2に示され、化合物149の投与が顕著にC5a誘発好中球減少症を抑制することが明らかである。従って、この炎症モデルにおいて目的の抗炎症効果が実現されている。
【0252】
実施例30:種々のC末端アミノ酸でのペプチド活性の比較
実施例11に記載の測定系を使用し、化合物10および40の活性を測定した:
【0253】
【表13】

【0254】
荷電アルギニン(活性クラス C;≦20nM)を非荷電シトルリン(活性クラス F;>200nM)で置換すると、活性が低下するのに留意されたい。
【0255】
Argのグアニジン基およびCitの尿素基は生物学的な均等基であり空間充填特性が類似している。この事実は正電荷がいかに重要であるかを指摘しており、国際特許出願 WO 03/033528にすでに記載されている。さらにこれの実施例は、残基のサイズのみが活性を予測するのに適当な基準ではないことを示している。
【0256】
別の側面として、シトルリンは生理学的条件下では非荷電ではあるが顕著に極性であり、だからといって荷電グアニジンほど極性ではないという事実がある。このことは、以下に示す種々のアミノ酸のlogP値を算出すると、明らかになる。:
【化54】


logP値は、n−オクタノールと水との間での化合物の分配係数を反映している。化合物は極性が強い程logP値が低くなる。上記のlogP値はすべてChemdraw(Cambridge Soft社、ケンブリッジ、UK)のプログラムで算出した。
【0257】
極性グアニジン基を中程度極性の尿素基で置換すると活性が大きく損失するために、当業者は、この位置に更に非極性の基を使用すると残留活性はほとんど期待できないとしている。
【0258】
上記明細書、請求項あるいは図面に開示される本発明の特徴は、個別にまたは組合わせにより、種々の実施形態における本発明の実施に不可欠なものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0259】
【図1】図1は、免疫複合体が媒介する腹膜炎に関連する好中球の流入を多形核細胞/フィールドの平均数として表示するヒストグラムであり、化合物149の投与時とビヒクル単独の投与時とが対比されている。
【図2】図2は、C5aで誘発されるラットの好中球減少症を好中球の経時的パーセンテージで表示するヒストグラムであり、化合物149の投与時とビヒクル単独の投与時とが示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式:
【化1】


(式中、X1は、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−SO−、R5−N(R6)−、R5−N(R6)−CS−、R5−N(R6)−C(NH)−、R5−CS−、R5−P(O)OH−、R5−B(OH)−、R5−CH=N−O−CH−CO−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、F、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、および置換アリールオキシアルキルを含む群から選択され、
X2は、フェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3およびX4は、それぞれ独立にスペーサーであり、該スペーサーは、好ましくはアミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸誘導体を含む群から選択され、
X5は、シクロヘキシルアラニンまたはホモロイシン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X6は、トリプトファン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X7は、ノルロイシンまたはフェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3とX7の間には化学結合が形成されており、
式(I)中の実線−は、化学結合を表し、該化学結合はそれぞれ独立に、共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくは該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合である)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項2】
X3およびX7がそれぞれ、アミノ酸、アミノ酸類似体、またはアミノ酸誘導体であり、ただしX3とX7の間の化学結合の形成には、X3およびX7の少なくとも一つの部分が参加しており、X3およびX7の部分はそれぞれ独立に、アミノ酸のC末端、N末端、およびそれぞれの側鎖を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X1が、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−C(NH)−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、および置換アリールを含む群から選択され、
X2およびX6がそれぞれ独立に、芳香族アミノ酸、その誘導体または類似体であり、
X5およびX7がそれぞれ独立に、疎水性アミノ酸、その誘導体または類似体である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
X2、X5、X6、およびX7がそれぞれ独立して次の構造式:
【化2】


(式中、Xは、C(R4)またはNであり、
R1は場合によっては存在しており、R1が存在する場合、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)、および>Oを含む群から選択される基であり、ここでR1BおよびR1Dはそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択され、
R2は場合によっては存在しており、R2が存在する場合、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>S=O、>C=NH、>C=N−CN、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHF、および>CFを含む群から選択される基であり、
R4は、H、F、CH、CF、アルキル、および置換アルキルを含む群から選択される基であり、
分子X1およびX3、X4およびX6、X5およびX7、ならびにX6およびX3の部分への構造式(III)の結合は、好ましくはR1およびR2を介して行われ、
X2およびX6に対しそれぞれ独立に、R3は、芳香族基を含む基であり、かつアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択され、
X5およびX7に対しそれぞれ独立に、R3は、脂肪族基または芳香族基を含む基であり、かつ好ましくはアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択される)
を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
環の形成に、R3およびR4が参加していることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
X2およびX6に対しそれぞれ独立に、R3が、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、1,1−ジフェニルメチル、置換1,1−ジフェニルメチル、ナフチルメチル、置換ナフチルメチル、チエニルメチル、置換チエニルメチル、ベンゾチエニルメチル、置換ベンゾチエニルメチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の化合物。
【請求項7】
X5およびXに対しそれぞれ独立に、R3が、C3〜C5アルキル、置換C3〜C5アルキル、C5〜C7シクロアルキル、置換C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルキルメチル、置換C5〜C7シクロアルキルメチル、シクロアルキルエチル、置換シクロアルキルエチル、ベンジル、置換ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、チエニルメチル、プロペニル、プロピニル、メチルチオエチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
X1が、H、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾイル、フルオロメチルカルボニル、ジフルオロメチルカルボニル、フェニル、オキシカルボニル、メチル−オキシカルボニル、フェニル−アミノカルボニル、メチル−アミノカルボニル、フェニル−スルホニル、2,6−ジオキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−カルボニル、およびメチル−スルホニルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
X2が、フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、あるいは
X2とX1は、一緒になってPhCHCHCO−またはPhCH−であり、
X6が、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X5が、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X7が、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
X1および/またはX4が水溶性を向上させる1以上の基を含み、ただし該水溶性向上基はヒドロキシ、ケト、カルボキシアミド、エーテル、尿素、カルバメート、アミノ、置換アミノ、グアニジノ、ピリジル、およびカルボキシルを含む群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
次の構造式:
【化3】


(式中、X1〜X3およびX5〜X7は、請求項1〜10のいずれか1項におけると同様に定義され、
X4は、環式または非環式アミノ酸であり、ただし該環式アミノ酸は、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−1−炭酸、オクタヒドロインドール−2−炭酸、1−アザ−ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−炭酸、4−フェニル−ピロリジン−2−炭酸、cis−Hyp、およびtrans−Hypを含む群から選択され、該非環式アミノ酸は、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、Arg、Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)、Hyp(CONH−CHCH(OH)−CHOH)、およびこれらそれぞれの誘導体、ならびにこれらそれぞれの類似体を含む群から選択され、
式(I)中の実線−は、化学結合を表し、該化学結合はそれぞれ独立に、共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくは該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合である)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項12】
X4で表されるアミノ酸が、好ましくは、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−1−炭酸、オクタヒドロインドール−2−炭酸、1−アザ−ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−炭酸、4−フェニル−ピロリジン−2−炭酸、Hyp、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、およびArgを含む群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
X2が、フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、あるいは
X2とX1が一緒になって、PhCHCHCO−またはPhCH−であり、
X6が、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X5が、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X7が、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体である、請求項11〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
次の構造式:
【化4】


[式中、X1〜X2およびX4〜X7は、請求項1〜13のいずれか1項におけると同様に定義され、
X3は、次の構造式を有し、
【化5】


{式中、Xは、C(R4)またはNであり、
R1は場合によっては存在しており、R1が存在する場合、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)、および>Oを含む群から選択される基であり、ここでR1BおよびR1Dはそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択され;
R2は場合によっては存在しており、R2が存在する場合、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHF、および>CFを含む群から選択される基であり;
R4は、H、F、CF、アルキル、および置換アルキルを含む群から選択される基であり;
部分X2およびX4への構造式(IV)の結合は、好ましくはR1およびR2を介して行われ;
R3は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、および置換ヘテロアリールアルキルを含む群から選択される基であり;
Yは場合によっては存在しており、Yが存在する場合、Yは、−N(YB)−、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−C=N−O−、CO−N(YB)−、および
【化6】


(式中、YB、YB1、およびYB2はそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択される)
を含む群から選択される基である}]
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項15】
R3が、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、および
【化7】


を含む群から選択される基であり、
Yは場合によっては存在しており、Yが存在する場合、Yは、−N(YB)−、−O−、−S−、および−S−S−を含む群から選択される基であり、YBは、好ましくは請求項14でのように定義されることを特徴とする、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
X2が、フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり;あるいは
X2とX1が一緒になって、PhCHCHCO−またはPhCH−であり;
X6が、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−炭酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロフェニルアラニン、3−クロロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X5が、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−炭酸、2−メチル−D−フェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X7が、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体である、請求項14〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
X3が、α−アミノグリシン、α−β−ジアミノプロピオン酸(Dap)、α−γ−ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン、リシン、ホモリシン、Phe(4−NH)、2−アミノ−3−(4−ピペリジニル)プロピオン酸、および2−アミノ−3−(3−ピペリジニル)プロピオン酸を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、該アミノ酸が、側鎖で修飾されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
次の構造式:
【化8】


(式中、Aは、H、NH、NHアルキル、Nアルキル、NHアシル、およびOHを含む群から選択され、
Bは、CH(アリール)、CH(アリール)、CH(ヘテロアリール)、置換CH(アリール)、アリール、置換アリール、およびヘテロアリールを含む群から選択され、
C1およびC2はそれぞれ独立に、アルキルおよび置換アルキルを含む群から選択され、ただし場合によってはC1とC2の間に結合が形成可能であり、
Dは、アルキル、シクロアルキル、CH(シクロアルキル)、CHCH(シクロアルキル)、CHPh(2−Me)、およびCH−S−アルキルを含む群から選択され、
Eは、CH(アリール)、置換CH(アリール)、およびCH(ヘテロアリール)を含む群から選択され、
Fは、アルキル、CH−S−アルキル、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCH、シクロへキシル、CHシクロへキシル、CHPh、CHナフチル、およびCHチエニルを含む群から選択され、
Z1は、n=1、2、3、4である(CH)nNH、(CHO、(CHO、(CH、(CH、CHPh(4−NH)、およびCH(4−ピペリジニル)を含む群から選択され、
Z3は場合によっては存在しており、Z3が存在する場合、Z3は、COおよびCHを含む群から選択される)
を有し、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト、好ましくは請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
Aが、H、NH、NHEt、NHAc、およびOHを含む群から選択され、
Bが、CHPh、CHPh(4−F)、CH(Ph)、CHチエニル、CHナフチル、フェニル、Ph(4−F)、およびチエニルを含む群から選択され、
C1が、Hおよびメチルを含む群から選択され、C2が、メチルおよびCHOHを含む群から選択され、またはC1とC2が結合によって連結されている場合、得られる構造が、−(CH−、−(CH−、−(CH−、および−CHCH(OH)CH−を含む群から選択され、
Dが、CHCHiPr、CHiPr、シクロへキシル、CHシクロへキシル、CHCHシクロへキシル、CHPh(2−Me)、CH−S−tBu、およびCH−S−iPrを含む群から選択され、
Eが、CHPh、CHPh(2−Cl)、CHPh(3−Cl)、CHPh(4−Cl)、CHPh(2−F)、CHPh(3−F)、CHPh(4−F)、CHインドリル、CHチエニル、CHベンゾチエニル、およびCHナフチルを含む群から選択され、
Fが、(CHCH、(CHCH、(CH−iPr、CH−iPr、iPr、CH−S−Et、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCH、およびシクロへキシルを含む群から選択され、
Z1が、n=1、2、3、4である(CH)nNH、(CHO、CHPh(4−NH)、およびCH(4−ピペリジニル)を含む群から選択され、
Z3が場合によっては存在しており、Z3が存在する場合、Z3は、COおよびCHを含む群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
次の構造式:
【化9】


(式中、d1、d2、d3、およびd4は、該化合物の少なくとも1種のエネルギー的に接近可能な配座でA、B、C、およびDの距離を構成し、次の値:
d1=5.1±1.0Å
d2=11.5±1.0Å
d3=10.0±1.5Å
d4=6.9±1.5Å
を有し、
AおよびCはそれぞれ独立に、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールを含む群から選択される疎水性基であり;
BおよびDはそれぞれ独立に、芳香族基または複素環式芳香族基であり、該芳香族基は好ましくはアリールであり、該複素環式芳香族基は好ましくはヘテロアリールである)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項21】
AおよびCがそれぞれ独立に、C3〜C6アルキル、C5〜C7シクロアルキル、メチルチオエチル、メチルチオ−tert−ブチル、インドリル、フェニル、ナフチル、チエニル、プロペニル、プロピニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、およびイミダゾリルを含む基から選択され;
Bが、フェニル、置換フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、およびイミダゾリルを含む群から選択され;
Dが、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、フラニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、およびイミダゾリルを含む群から選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
次の構造式:
【化10】


(式中、A、B、C、およびDは、アミノ酸、アミノ酸類似体、またはアミノ酸誘導体の炭素α原子を構成し、
d1、d2、d3、およびd4は、該化合物の少なくとも1種のエネルギー的に接近可能な配座でA、B、C、およびDの距離を構成し、次の値:
d1=3.9±0.5Å
d2=3.9±0.5Å
d3=9.0±1.5Å
d4=9.0±1.5Å;
を有し、
ただし、α原子がAおよびCで構成されている該アミノ酸はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基、またはメチルチオ−tert−ブチル基を組み込んだ疎水性アミノ酸側鎖を有し;
α原子がBおよびDで構成されている該アミノ酸はそれぞれ独立に、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、またはヘテロアリールアルキル基を含む芳香族または複素環式芳香族アミノ酸側鎖を有する)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項23】
α原子がAで構成されているアミノ酸が、C3〜C6アルキル、メチルチオエチル、プロペニル、プロピニル、R5、メチル−R5、およびエチル−R5を含む群から選択され、ただしR5は、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、イミダゾリル、ナフチル、およびチエニルを含む群から選択される基であり;
α原子がBで構成されているアミノ酸が、R5、メチル−R5、およびエチル−R5を含む群から選択され、ただしR5は、フェニル、置換フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾチエニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、およびイミダゾリルを含む群から選択される基であり;
α原子がCで構成されているアミノ酸が、C3〜C6アルキル、R5、メチル−R5、およびエチル−R5を含む群から選択され、ただしR5は、C5〜C7シクロアルキル、フェニル、1−メチル−フェニル、2−メチル−フェニル、3−メチル−フェニル、およびS−tBuを含む群から選択される基であり;
α原子がDで構成されているアミノ酸が、R5、メチル−R5、およびエチル−R5を含む群から選択され、ただしR5は、フェニル、ナフチル、チエニル、チアゾリル、フラニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、およびイミダゾリルを含む群から選択される基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
次の構造式:
【化11】


(式中、X1は、質量が約1〜300の基であり、ただしX1は、好ましくはR5−、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−SO−、R5−N(R6)−、R5−N(R6)−CS−、R5−N(R6)−C(NH)−、R5−CS−、R5−P(O)OH−、R5−B(OH)−、R5−CH=N−O−CH−CO−を含む群から選択され、ここでR5およびR6はそれぞれ独立に、H、F、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、および置換アリールオキシアルキルを含む群から選択され、
X2は、フェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X3およびX4は、それぞれ独立にスペーサーであり、該スペーサーは、好ましくはアミノ酸、アミノ酸類似体、およびアミノ酸誘導体を含む群から選択され、
X5は、シクロヘキシルアラニンまたはホモロイシン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X6は、トリプトファン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X7は、ノルロイシンまたはフェニルアラニン単位の生物学的結合特性を模倣する基であり、
X8は、場合によっては構造IIに存在する基であり、存在する場合、これは、H、NH、OH、NH−OH、NH−Oアルキル、アミノ、置換アミノ、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドラジノ、置換ヒドラジノ、アミノオキシ、置換アミノオキシ、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリール、置換アリール、アミノ酸、アミノ酸誘導体、およびアミノ酸類似体を含む群から選択され;
式(II)中の結合線−は、化学結合を表し、該化学結合はそれぞれ独立に、共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくは該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合である)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項25】
X1が、質量が約1〜300の基であり、ただし該基が、好ましくはR5、R5−CO−、R5−N(R6)−CO−、R5−O−CO−、R5−SO−、R5−N(R6)−C(NH)−を含む群から選択され、ここで好ましくはR5およびR6がそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、および置換アリールを含む群から選択され;
X2およびX6がそれぞれ独立に、芳香族アミノ酸、その誘導体または類似体であり;
X5およびX7がそれぞれ独立に、疎水性アミノ酸、その誘導体または類似体である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
X2、X5、X6、およびX7がそれぞれ独立に次の構造式:
【化12】


(式中、Xは、C(R4)またはNであり、
R1は場合によっては存在しており、R1が存在する場合、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)、および>Oを含む群から選択される基であり、ここでR1BおよびR1Dはそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択され;
R2は場合によっては存在しており、R2が存在する場合、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>S=O、>C=NH、>C=N−CN、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHF、および>CFを含む群から選択される基であり、
R4は、H、F、CH、CF、アルキル、および置換アルキルを含む群から選択される基であり;
部分X1およびX3、X4およびX6、X5およびX7、ならびにX6およびX8への構造式(III)の結合は、好ましくはR1およびR2を介して起こり;
X2およびX6に対しそれぞれに独立に、R3は、芳香族基を含む基であり、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択される基であり、
X5およびX7に対しそれぞれ独立に、R3は、脂肪族基または芳香族基を含む基であり、好ましくはアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アルキルオキシ−アルキル、置換アルキルオキシ−アルキル、アルキルオキシ−シクロアルキル、置換アルキルオキシ−シクロアルキル、アルキルオキシ−ヘテロシクリル、置換アルキルオキシ−ヘテロシクリル、アルキルオキシ−アリール、置換アルキルオキシ−アリール、アルキルオキシ−ヘテロアリール、置換アルキルオキシ−ヘテロアリール、アルキルチオ−アルキル、置換アルキルチオ−アルキル、アルキルチオ−シクロアルキル、および置換アルキルチオ−シクロアルキルを含む群から選択される基である)
を有する、請求項24〜25のいずれかに記載の化合物。
【請求項27】
環の形成に、R3およびR4が参加していることを特徴とする、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
X2およびX6に対しそれぞれ独立に、R3が、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、1,1−ジフェニルメチル、置換1,1−ジフェニルメチル、ナフチルメチル、置換ナフチルメチル、チエニルメチル、置換チエニルメチル、ベンゾチエニルメチル、置換ベンゾチエニルメチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項26または27に記載の化合物。
【請求項29】
X5およびX7に対しそれぞれ独立に、R3が、C3〜C5アルキル、置換C3〜C5アルキル、C5〜C7シクロアルキル、置換C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルキルメチル、置換C5〜C7シクロアルキルメチル、シクロアルキルエチル、置換シクロアルキルエチル、ベンジル、置換ベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、チエニルメチル、プロペニル、プロピニル、メチルチオエチル、イミダゾリルメチル、置換イミダゾリルメチル、インドリルメチル、および置換インドリルメチルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項24〜28のいずれか1項に記載の、特に請求項26〜28のいずれかに記載の化合物。
【請求項30】
X8が、H、OR1、およびNR1R2を含む群から選択され、ただしR1およびR2がそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアリールアルキルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜29のいずれか1項に記載の、特に請求項24〜29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
X1が、H、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ベンゾイル、フルオロメチルカルボニル、ジフルオロメチルカルボニル、フェニル、オキシカルボニル、メチル−オキシカルボニル、フェニル−アミノカルボニル、メチル−アミノカルボニル、フェニル−スルホニル、2,6−ジオキソ−ヘキサヒドロ−ピリミジン−4−カルボニル、およびメチル−スルホニルを含む群から選択されることを特徴とする、請求項24〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
X1および/またはX4が、水溶性を向上させる1以上の基を含み、ただし該水溶性向上基は、ヒドロキシ、ケト、カルボキシアミド、エーテル、尿素、カルバメート、アミノ、置換アミノ、グアニジノ、ピリジル、およびカルボキシルを含む群から選択される、請求項24〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
次の構造式:
【化13】


(式中、X1〜X3およびX5〜X8は、請求項24〜32のいずれか1項でのように定義され、
X4は、環式または非環式アミノ酸であり、ただし該環式アミノ酸は、プロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−炭酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、1−アザ−ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−カルボン酸、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、cis−Hyp、およびtrans−Hypを含む群から選択され、該非環式アミノ酸は、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、Arg、Hyp(COCHOCHCHOCHCHOCH)、Hyp(CONH−CHCH(OH)−CHOH)、およびこれらそれぞれの誘導体、ならびにこれらそれぞれの類似体を含む群から選択され;
式(I)中の結合線−は、化学結合を表し、該化学結合はそれぞれ独立に、好ましくは共有結合、イオン結合、および配位結合を含む群から選択され、ここで好ましくは該結合は化学結合であり、更に好ましくは該化学結合は、アミド結合、ジスルフィド結合、エーテル結合、チオエーテル結合、オキシム結合、およびアミノトリアジン結合を含む群から選択される結合である)
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項34】
X4で表されるアミノ酸が、好ましくはプロリン、ピペコリン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、1−アザ−ビシクロ−[3.3.0]−オクタン−2−カルボン酸、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、Hyp、Ser、Gln、Asn、Cys(OCHCHCONH)、およびArgを含む群から選択されることを特徴とする、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
次の構造式:
【化14】


{式中、X1〜X2およびX4〜X8は、請求項24〜34のいずれか1項でのように定義され、
X3は、次の構造式を有し、
【化15】


(式中、Xは、C(R4)またはNであり、
R1は場合によっては存在しており、R1が存在する場合、R1は、>N−R1B、>C(R1B)(R1D)、および>Oを含む群から選択される基であり、ここでR1BおよびR1Dはそれぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択され;
R2は場合によっては存在しており、R2が存在する場合、R2は、>C=O、>C=S、>SO、>PO(OH)、>B(OH)、>CH、>CHCO、>CHF、および>CFを含む群から選択される基であり、
R4は、H、F、CF、アルキル、および置換アルキルを含む群から選択される基であり;
部分X2およびX4への構造式(IV)の結合は、好ましくはR1およびR2を介して起こり;
R3は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、アシル、置換アシル、アルコキシアルキル、置換アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、スルフヒドリルアルキル、置換スルフヒドリルアルキル、ヒドロキシアルキル、置換ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、置換カルボキシアルキル、カルボキサミドアルキル、置換カルボキサミドアルキル、カルボキシヒドラジノアルキル、ウレイドアルキルアミノアルキル、置換アミノアルキル、グアニジノアルキル、および置換グアニジノアルキル基を含む群から選択される基であり;
Yは場合によっては存在しており、Yが存在する場合、Yは、H、−N(YB1)−CO−YB2、−N(YB1)−CO−N(YB2)(YB3)、−N(YB1)−C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)、−N(YB1)(YB2)、−N(YB1)−SO−YB2、O−YB1、S−YB1、−CO−YB1、−CO−N(YB1)(YB2)、および−C=N−O−YB1を含む群から選択される基であり、ただしYB1、YB2、YB3、およびYB4はそれぞれ独立に、H、CN、NO、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、および置換シクロアルキルアルキルを含む群から選択される)}
を有する化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項36】
R3が、構造式、
−(CH−Y (VII)
または
−(CH−C−Y (VIII)
(式中、mは、1、2、3、または4であり;
Yは、N(R3b)(R3c)またはN(YB1)−C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)であり、ただしR3b、R3c、YB1、YB2、YB3、およびYB4はそれぞれ独立に、H、CN、およびアルキルを含む群から選択される)を有する基であることを特徴とする、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
環が、化合物の2つの部分間で形成され、ただし該化合物の該部分がそれぞれ独立に、YB1、YB2、YB3、およびYB4を含む群から選択されることを特徴とする、請求項35または36に記載の化合物。
【請求項38】
該環の形成に、YB2およびYB3が参加していることを特徴とする、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
Yが、−NHまたは
【化16】


であることを特徴とする、請求項35〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
X2が、フェニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり;あるいは
X2とX1が一緒になって、PhCHCHCO−またはPhCH−となり;
X6が、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、ベンゾチエニルアラニン、2−アミノインダン−2−カルボン酸、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、2−フルオロ−フェニルアラニン、3−フルオロ−フェニルアラニン、4−フルオロ−フェニルアラニン、2−クロロ−フェニルアラニン、3−クロロ−フェニルアラニン、4−クロロ−フェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり;
X5が、D−シクロヘキシルアラニン、D−シクロヘキシルグリシン、D−ホモ−シクロヘキシルアラニン、D−ホモロイシン、D−システイン(tBu)、D−システイン(iPr)、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、2−メチル−D−フェニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体であり、
X7が、ノルバリン、ノルロイシン、ホモ−ロイシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、システイン、システイン(Me)、システイン(Et)、システイン(Pr)、メチオニン、アリルグリシン、プロパルギルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、1−ナフチルアラニン、2−チエニルアラニン、3−チエニルアラニン、およびこれらそれぞれの誘導体を含む群から選択されるアミノ酸誘導体である、請求項24〜39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
X3が、アミノ酸のアミノ酸誘導体であり、ただし該アミノ酸は、α−アミノ−グリシン、α−β−ジアミノプロピオン酸(Dap)、α−γ−ジアミノブタン酸(Dab)、オルニチン、リシン、ホモリシン、Phe(4−NH)、2−アミノ−3−(4−ピペリジニル)プロピオン酸、および2−アミノ−3−(3−ピペリジニル)プロピオン酸を含む群から選択され、該アミノ酸は、側鎖にて誘導体化されることを特徴とする、請求項1〜40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
次の構造式:
【化17】


{式中、Aは、H、NH、NHアルキル、Nアルキル、NHアシル、置換NHアシル、およびOHを含む群から選択され、
Bは、CH(アリール)、CH(アリール)、CH(ヘテロアリール)、および置換CH(アリール)を含む群から選択され、
C1およびC2はそれぞれ独立に、アルキルおよび置換アルキルを含む群から選択され、ただし場合によってはC1とC2の間に結合が形成され得、
Dは、アルキル、シクロアルキル、CH(シクロアルキル)、CHCH(シクロアルキル)、CHPh(2−Me)、およびCH−S−アルキルを含む群から選択され、
Eは、CH(アリール)、置換CH(アリール)、およびCH(ヘテロアリール)を含む群から選択され、
Fは、アルキル、CH−S−アルキル、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCH、シクロへキシル、CHシクロへキシル、CHPh、CHナフチル、およびCHチエニルを含む群から選択され、
Z2は、−R3−Y−であり、ただしR3は、H、アルキル、およびアリールアルキルを含む群から選択され、Yは場合によっては存在しており、Yが存在する場合、Yは、H、N(YB1)(YB2)、N(YB1)C(N−YB2)−N(YB3)(YB4)、
【化18】


(式中、YB1、YB2、YB3、およびYB4はそれぞれ独立に、H、CN、およびアルキルを含む群から選択され、場合によっては環の形成に、YB1、YB2、YB3、およびYB4のうちの少なくとも2個が参加している)を含む群から選択され、
Gは、H、OR1、およびNR1R2を含む群から選択され、R1およびR2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアリールアルキルを含む群から選択される}
を有する好ましくは請求項1〜41のいずれか1項に記載の化合物、好ましくはC5a受容体アンタゴニスト。
【請求項43】
Aが、H、NH、NHEt、NHAc、およびOHを含む群から選択され、
Bが、CHPh、CHPh(4−F)、CH(Ph)、CHチエニル、およびCHナフチルを含む群から選択され、
C1が、Hおよびメチルを含む群から選択され、C2が、メチルおよびCHOHを含む群から選択され、またはC1とC2が結合によって連結されている場合、得られる構造が、−(CH−、−(CH−、−(CH−、および−CHCH(OH)CH−を含む群から選択され、
Dが、CHCHiPr、CHiPr、シクロへキシル、CHシクロへキシル、CHCHシクロへキシル、CHPh(2−Me)、CH−S−tBu、およびCH−S−iPrを含む群から選択され、
Eが、CHPh、CHPh(2−Cl)、CHPh(3−Cl)、CHPh(4−Cl)、CHPh(2−F)、CHPh(3−F)、CHPh(4−F)、CHインドリル、CHチエニル、CHベンゾチエニル、およびCHナフチルを含む群から選択され、
Fが、(CHCH、(CHCH、(CH−iPr、CH−iPr、iPr、CH−S−Et、CHCH−S−Me、CHCH=CH、CH−CCH、およびシクロへキシルを含む群から選択され、
Z2が、−R3−Y−であり、ただしR3は、CH、(CH、(CH、(CH、およびCH−Cを含む群から選択され、Yは、NH、NHEt、N(Et)、NH−C(NH)−NH、および
【化19】


を含む群から選択され、
Gが、NH、NHMe、OH、およびHを含む群から選択されることを特徴とする、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
該化合物が、次の化合物のうちの1個である、請求項1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
【表1】





















【請求項45】
請求項1〜44のいずれか1項に記載の少なくとも1種の化合物および医薬的に受容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項46】
該医薬製造のための請求項1〜45のいずれか1項に記載の化合物のうちの少なくとも1種の使用。
【請求項47】
該医薬が、補体活性化に関連する病態および/または補体系の阻害によって症状が軽減される病態の予防および/または治療のために使用される、または役立つ、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
該医薬が、単独または他の治療と組み合わせてC5a受容体を阻害することによって症状が軽減される病態の予防および/または治療のために使用される、または役立つ、請求項46に記載の使用。
【請求項49】
治療すべき該病態および/または該症状が、自己免疫疾患、急性炎症性疾患、外傷、局所炎症、ショック、および火傷を含む群から選択される、請求項46、47、および48のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
該病態が、サルコイドーシス、敗血性ショック、出血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全(MOF)、喘息、血管炎、心筋炎、皮膚筋炎、炎症性腸疾患(IBD)、天疱瘡、糸球体腎炎、急性呼吸不全、卒中、心筋梗塞、再灌流障害、神経認知機能障害、火傷、眼の炎症性疾患、全身性疾患の局所徴候、血管の炎症性疾患、および中枢神経系の急性損傷を含む群から選択される、請求項46〜49のいずれか1項に記載の使用。
【請求項51】
該眼の炎症性疾患が、ぶどう膜炎、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼の類天疱瘡、角結膜炎、スティーブンス−ジョンソン症候群、およびグレーブス眼症を含む群から選択される、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
該病態が、全身性疾患の局所徴候であり、ただし該全身性疾患は、リウマチ性関節炎、SLE、I型糖尿病、およびII型糖尿病を含む群から選択される、請求項50に記載の使用。
【請求項53】
該徴候が、眼、脳、血管、心臓、肺、腎臓、肝臓、胃腸管、脾臓、皮膚、骨格系、リンパ管系、および血液においての徴候を含む群から選択される、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
該自己免疫疾患が、円形脱毛症、寒冷凝集素免疫血液性貧血、温式抗体免疫血液性貧血、悪性貧血(ビールマー病、アジソン貧血)、抗リン脂質抗体症候群(APS)、側頭動脈炎、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性副腎炎(アジソン病)、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ−ストラウス症候群、コーガン症候群、潰瘍性大腸炎、CREST症候群、I型真性糖尿病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、線維筋痛症、慢性自己免疫性胃炎、グッドパスチャー症候群(抗GBM抗体関連性糸球体腎炎)、ギラン−バレー症候群(GBS;多発神経根筋障害)、橋本甲状腺炎、自己免疫性肝炎、特発性肺線維症、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ウェルホーフ病)、自己免疫性不妊症、自己免疫性内耳障害(AIED)、若年性関節リウマチ、自己免疫性心筋症、ランバート−イートン症候群、硬化性苔癬、ループスエリテマトーデス、ライム関節炎、膠原病、グレーブス病、ベーチェット病、クローン病、リウマチ性脊椎炎、メニエール病、ライター病、多発性硬化症(MS、脳脊髄炎)、重症筋無力症、交感神経眼炎、瘢痕性類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺自己免疫性(PGA)症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス(ベニエー−ベック−シャウマン病)、シェーグレン症候群、強皮症、スプルー、スティッフマン症候群、全身性エリトマトーデス、高安動脈炎、一過性グルテン不耐症、自己免疫性ぶどう膜炎、血管炎、および白斑症を含む群から選択される、請求項49に記載の使用。
【請求項55】
該血管の炎症性疾患が、血管炎、血管漏出、およびアテローム性動脈硬化症を含む群から選択される、請求項50に記載の使用。
【請求項56】
該血管炎が、原発性および二次性血管炎を含む群から選択される、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
該原発性血管炎が、ウェゲナー病、チャーグストラウス症候群、および微視的多発性血管炎を含む群から選択される、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
該二次性血管炎が、薬物使用によって誘発される血管炎および他の疾患によって誘発される血管炎の群から選択される、請求項56に記載の使用。
【請求項59】
該疾患が、AIDS、B型肝炎、C型肝炎、およびサイトメガロウイルス感染症を含む群から選択される、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
該医薬が、適応性および先天性の免疫系に影響を及ぼすのに使用され、またはこうした目的に役立つ、請求項46に記載の使用。
【請求項61】
該影響が、免疫系の強化である、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
該医薬が、外科的処置の予防および/または支援のためである、請求項46に記載の使用。
【請求項63】
該外科的処置が、CABG、PACT、PTA、MidCAB、OPCAB、血栓溶解、臓器移植、および血管結禁を含む群から選択される、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
該医薬が、血栓溶解治療のために使用される、または役立つ、請求項46〜63のいずれか一項記載の使用。
【請求項65】
該医薬が、治療、好ましくは透析治療の前、中、および/または後の透析の設定に使用される、または役立つ、請求項46〜64のいずれか一項記載の使用。
【請求項66】
該医薬が、移植した臓器または移植される臓器の臓器損傷の予防のために使用される、または役立つ、請求項46〜65のいずれか一項記載の使用。
【請求項67】
該医薬が、移植片拒絶の予防または治療のために使用される、または役立つ、請求項46〜66のいずれか一項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−526915(P2008−526915A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550769(P2007−550769)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000365
【国際公開番号】WO2006/074964
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505100942)イエリニ・アクチェンゲゼルシャフト (10)
【氏名又は名称原語表記】JERINI AG
【Fターム(参考)】