説明

CAB分子、CEAを対象とするADEPT構築

伝統的な治療分子は、肝臓等の除去機構により循環から除去されるまで、患者の体内を自由に循環する。その様な非標的分子は広範囲の細胞、組織に無差別に薬理効果を及ぼし、重大な副作用を引き起こす。分子の毒性が強い場合問題は特に深刻である。
化合物が組織の特定の標的分子に優先的に結合する場合は、成功する治療の機会が増し、副作用の起きる度合いが減る。
優先的結合は抗体を目標とする酵素プロドラッグ治療(antibody-directed enzyme prodrug therapy (ADEPT))において用いられる。
ADEPT複合体は抗体/抗原結合を通して標的組織に局所化される。プロドラッグが続いて投与され身体を環流するが、副作用を殆ど起さない。プロドラッグは不活性の形であり、標的組織の近辺のみでADEPT抗体−酵素複合体により活性化されるからである。したがって、比較的低濃度の活性ドラッグが身体全体に存在するが、比較的高濃度の活性ドラッグが標的組織の近くで作り出され、望む部位での毒素の治療域を広げる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明はCAB分子、CEAを対象とするADEPT構築、及びそれらの治療での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な治療分子は、肝臓又は他の除去機構により循環から除去されるまで、患者の体内を自由に循環する。その様な非標的分子は広い範囲の細胞及び組織に無差別に薬理効果を及ぼしうる。無差別な標的化は患者に重大な副作用を引き起こし得る。分子の毒性が強い場合問題は特に深刻である(例えば、治療域、有効な投薬量と有害な又は致命的でさえある投薬量の差が小さい化学治療剤の場合)。
【0003】
近年、研究者は特定のグループの細胞、組織又は器官に特異的に影響与える化合物の開発を試みてきた。化合物の大半は、組織の特定の標的分子に優先的に結合することにより、特定の組織を標的とする。標的細胞、組織又は器官に優先的に影響を与えることにより、治療域は広がり、それにより更に成功する治療計画の機会が増大し、及び/又は副作用の起きる度合いを減少することが出来る。
【0004】
優先的結合は抗体を目標とする酵素プロドラッグ治療(antibody-directed enzyme prodrug therapy (ADEPT))において用いられる。例えば、Xu他, 2001, Clin Cancer Res. 7:3314-24.; Denny, 2001, Eur J Med Chem. 36:577-95を参照。ADEPTにおいて、抗体又は抗体断片は、不活性プロドラッグを活性のある細胞毒性剤に転換することのできる酵素にリンクされる。ADEPT複合体が患者に投与され、複合体は抗体/抗原結合を通して標的組織に局所化される。プロドラッグが続いて投与され、そしてプロドラッグは患者の身体を環流するが、副作用を殆ど又は全く起さない。なぜなら、プロドラッグは不活性の形であり、標的組織の近辺のみでADEPT抗体−酵素複合体により活性化されるからである。この様に、比較的低濃度の活性ドラッグが身体全体に存在するが、比較的高濃度の活性ドラッグが標的組織の近くで作り出され、望む部位での毒素の治療域を広げるのである。
【0005】
ADEPTでは、抗体又は構築体の抗体部分は抗原に結合し、局所化を果たそうとするため、適当な抗原を選定することは重要である(例えば、高い腫瘍/正常な発現能力を持つ抗原)。癌組織の細胞の表面にしばしば見られる特に関心を引く抗原は、癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen (CEA))である。CEAは最初Gold 及び Freedmanにより取り上げられた(J. Exp. Med., 121, 439-462, (1965))。CEAは腫瘍組織で高度に発現し、また幾つかの正常な器官、特に消化管で低濃度で発見される。
【0006】
腫瘍抗原に付着する多くの抗体は関連する抗原と交差反応する。関連抗原と交差反応するMAbの全身的な応用は、重い副作用の可能性のリスクを排除するために、避けなければならない。そのため、インビトロ及びインビボ診断及び治療のための抗原特異の単クローン抗体の開発には、関連する交差反応する抗原の数、質及び生体内分布についての豊富な知識が必要である。標的抗原及び関連する抗原に対するその特異性及び親和性に関し使用されるMAbの免疫化学的特性を注意深く把握することが、必要となる。
【0007】
ネズミのMAb T84.66 (ATCC アクセス番号BH 8747) IgGl, kはCEAに対する高い親和性定数を示し、CEA遺伝子ファミリーの他のメンバーに対しては交差反応性を示さない。ADEPT治療での重大な副作用の可能性を示すものとして、治療中に標的酵素に対し抗体ができることである。ヒト抗ネズミ抗体(human anti-mouse antibodies, (HAMA))の生成によりMAbの効果が減少し、患者に深刻な、且つ慢性的なアレルギー上の重大な問題を将来引起す可能性がある。Levy他. Ann. Rev. Med. 34:107-116 (1983); Houghton他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:1242-1246 (1985) 及びSears他、J. Biol. Resp. Modifiers 3:138-150 (1984)を参照。治療2週間後に、CEAを指向した抗体−酵素複合体の臨床試験中に抗体形成が観測され、そのためその後の治療が妨げられた(Napier, M. P., S. K. Sharma, C. J. Springer, K. D. Bagshawe, A. J. Green, J. Martin, S. M: Stribbling, N. Cυshen, D. O'Malley 及び R. H. Begent (2000) Clin Cancer Res 6, 765-72、抗体指向酵素プロドラッグ治療:結腸直腸癌種での効果及び行動メカニズム)。
【0008】
微生物タンパク質にとって免疫反応を導き出すリスクは高い。ADEPTにヒトの酵素を用いることが前臨床研究において探求された[Smith, G. K., S. Banks, T. A. Blumenkopf, M. Cory, J. Humphreys, R. M. Laethem, J. Miller, C. P. Moxham, R. Mullin, P. H. Ray, L. M. Walton 及び L. A. Wolfe, 3rd (1997) J Biol Chem 272, 15804-16。ヒトのカルボキシペプチダーゼA1のT268G変異体を用いる抗体を指向した酵素プロドラッグ治療、及び新しい、インビボで安定的なメトトレキサートのプロドラッグについて]。抗体形成のリスクは、微生物タンパク質に比べて、ヒトタンパク質では軽減することができるが、ヒトのタンパク質は、人間に投与した場合は免疫反応を引起しうる。ヒトのタンパク質に対し免疫反応を引き起す結果は、その様な治療は自己免疫疾患を引起すことがありうる治療であるため、非常に重大となる。免疫反応を引き起すリスクは、少なくとも二つの潜在的リスク−抗体部分及び酵素部分−を含むADEPT構築に取り大きいかも知れない。
【発明の開示】
【0009】
本発明はCAB分子、CEAに向けられたADEPT構築体、及びそれらの治療、特に本明細書に記載されたプロドラッグを用いた治療での使用に関する。本発明の分子は好ましくは非免疫化されており、免疫反応を引き起こさず、高いイールドで生産されうるものであるのが良い。第一の特徴として、CAB分子は抗体/酵素複合体を含み、抗体部分はCEAと結合する。好ましい実施の形態においては、酵素はβラクタマーゼを含む。
【0010】
好ましい実施の形態においては、CAB分子は修飾されていないアミノ酸配列を持つ。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は配列番号2に規定するアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を持ち、修飾は12,72、283、又は586の少なくとも一つの位置にあり、位置番号は図4に示す配列番号2によるものである。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は以下の両方の修飾を持つ:12及び72である。好ましい実施の形態においては、CAB分子は以下の全ての修飾を持つ:12、72、283及び586である。
【0011】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は次の修飾の少なくとも一つを持つ:A12S, R72G, K283A 又は S586Aであり、この位置番号は図4に記載の配列番号2によるものである。
【0012】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.11分子を含み、CAB1.11分子は次の修飾、A12S 及び R72Gを含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.11i分子を含み、CAB1.11i分子は次の修飾、A12S, R72G, K283A及びS586Aを含む。
【0013】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は、配列番号2を含むCAB1.10、配列番号7を含むCAB1.11、又は配列番号8を含むCAB1.11iを含む。
【0014】
第二の特徴として、本発明は本明細書に記載のCAB分子をコードする核酸に関する。第三の特徴は、本発明は治療を必要としている被験者の治療に関し、本明細書に記載の様に被験者にCAB分子及びCAB分子の基質であるプロドラッグを投与することを含む。第四の特徴は、本発明はCAB分子を含む薬剤組成に関する。
【発明の詳細な説明】
【0015】
特に断らない限り、本明細書で用いる技術、及び科学用語は、本発明の属する分野の当業者が通常理解すると同じ意味で用いられる。本明細書に記載の方法及び材料と類似、又は同一の方法及び材料を、本発明の実施又は試験で用いることができるが、好ましい方法及び材料について記載されている。本発明において、以下の用語は以下の意味で用いられる。
【0016】
「CAB」分子はBLAの様に、癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen (CEA))標的又は微小標的及び酵素に結合する標的剤を指す。CAB分子は非修飾又は修飾配列を持ち、非修飾配列は配列番号2に規定のアミノ酸配列を含む。配列番号2は図4に示すBLAを含むCAB分子を示す。本明細書に記載の位置番号は、図4に表す配列番号2に示すものである。
【0017】
「修飾された」(modified)配列は少なくとも一つの変異種を含む配列を指す。
【0018】
本明細書に記載の「非修飾」(unmodified)配列は、修飾されていない配列を指し、したがって、本明細書に記載の様に一つの変異種も持たない。本発明の非修飾配列の例は、これに限定されるものではないが、T84.66 (配列番号1), CAB 1.10 (配列番号2)及び BLA (配列番号11)を含む。非修飾配列は、本明細書に記載の様に、本発明の好ましい実施例を作り出すために修飾されることもある。
【0019】
「標的剤」(targeted agent)は、関心ある微小標的に選択的に結合する化学物質である。標的剤の例には、抗原、ペプチド及び抑制剤がある。所望の触媒活性を持ち、高度の親和性及び選択性を持って一以上の標的構造に結合することのできる標的酵素は興味の対象である。標的酵素は標的に結合している間、その活性の少なくとも殆どを維持する。
【0020】
「結合部」(binding moiety)は、微小標的に結合する標的剤(又はADEPT構築、例えば、CAB分子)の部分である。結合部は、連続しているか否かを問わず、CABの一以上の領域を含んでも良い。
【0021】
「活性部分」(active moiety)は、標的剤に機能性を与える標的剤(又はADEPT構築、例えば、CAB分子)の一部分である。活性部分は、連続しているか否かを問わず、CAB分子の一以上の領域を含んでも良い。特に、活性部分はベータ ラクタマーゼであっても良い。
【0022】
「タンパク質」(protein)は、本明細書においては「ペプチド」(peptide)及び「ポリペプチド」(polypeptide)と相互交換的に使用され、ペプチド結合により結合した二以上のアミノ酸残基を含む分子を指す。
【0023】
「細胞」(cell)、「細胞株」(cell line)及び「細胞培養」(cell culture)は相互交換的に使用され、これらの表示は全て子孫を含む。「形質転換細胞」(transformant),又は「形質転換された細胞」(transformed cell) は、移転の数を問わずその細胞に由来する一次形質転換細胞(primary transformed cell)及び培養を含む。意図的な又は意図しない変異により、全ての子孫が厳密にはDNA内訳が同一ではないこともある。もともと形質転換された細胞においてスクリーニングされたと同様の機能を持つ変異種子孫は、形質転換細胞の定義に含まれる。細胞は原核細胞又は真核細胞であっても良い。
【0024】
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」(oligonucleotide)は2以上のデオキシリボヌクレオチド(deoxyribonucleotides)、又はリボヌクレオチド(ribonucleotide)からなる分子と定義される。厳密なサイズは多くの要因に拠り、その要因は更にオリゴヌクレオチドの最終機能又は使用方法に拠る。オリゴヌクレオチドは、例えば、適当な配列のクローン及び制限、及び直接の化学合成による方法、例えば、Narang 他、1979, Meth. Enzymol. 68:90-99のリン酸トリエステル法(phosphotriester method)、Brown他、1979, Meth. Enzymol. 68:109-151のリン酸ジエステル法(phosphodiester method)、Beaucage他、1981, Tetrahedron Lett. 22:1859-1862のジエチルリン酸アミド法(diethylphosphoramidite method)及び米国特許4,458,066の固体支持法(solid support method)を含み適当な方法であればどの方法によっても良い。上記の文献は参照により本明細書に組み入れられる。合成法の研究はGoodchild, 1990, Bioconjugate Chemistry 1(3):165-187に記載されており、本記載は参照により本明細書に組み入れられる。
【0025】
本明細書で用いる「プライマ」(primer)は、プライマの伸長が開始される条件に置かれたときに、合成を開始する位置として活動することのできるオリゴヌクレオチドを指す。核酸鎖に相補的なプライマの伸長製品の合成は、適当な緩衝液中で適当な温度で、必須の4つの異なるヌクレオシド三リン酸塩(nucleoside triphosphate)及びDNAポリメラーゼの存在下で開始される。「緩衝剤」(buffer)は所望のpHに調整されたある緩衝剤(a buffer)、補因子(cofactor) (二価の金属イオンの様な)及び塩(適当なイオン力を提供するため)を含む。
【0026】
遺伝子配列の非コード鎖(non-coding strand)にハイブリッドするプライマ(同等には、非コード鎖のサブ配列である)は、本明細書で「上流」(upstream)又は「フォワード」(forward)プライマと呼ぶ。遺伝子配列のコード鎖にハイブリッドするプライマは、本明細書で「下流」(downstream)又は「逆」(reverse)プライマと呼ぶ。
【0027】
類似の側鎖を持つアミノ酸残基のファミリーは技術分野で定義されている。これらのファミリーは塩基側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、テレオニン、チロシン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン,ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン、グリシン)、ベータ枝分かれ側鎖(例えば、テレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸を含む。本明細書においては3文字又は1文字のアミノ酸略語が用いられる。同等な置換物は本請求の範囲に含まれることもある。
【0028】
本発明のペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は一以上の非古典型(non-classical)アミノ酸を含むこともありうる。非古典型アミノ酸は、これに限定されるものではないが以下を含む:通常のアミノ酸(common amino acid)のD−アイソマー(isomer)、αアミノ イソ酪酸(α-amino isobutyric acid)、4−アミノ酪酸(4-aminobutyric acid (4- Abu)), 2−アミノ酪酸(2-aminobutyric acid (2- Abu)), 6−アミノへキサン酸(6-amino hexanoic acid (Ahx)), 2−アミノ酪酸(2-amino isobutyric acid (2- Aib)), 3−アミノプロピオン酸(3-amino propionoic acid), オルニチン(ornithine), ノルロイシン(norleucine), ノルバリン(norvaline), ヒドロオキシプロリン(hydroxyproline), サルコシン(sarcosine), シトルリン (citrulline), システイン酸(cysteic acid), t-ブチルグリシン(t-butylglycine), t−ブチルアラニン(t-butylalanine), フェニルグリシン(phenylglycine), シクロヘキサアラニン(cyclohexylalanine), べータアラニン(β- alanine), フルオロアミノ酸(fluoro-amino acid)、及びベータメチルアミノ酸 (β-methyl amino acid), Cαメチルアミノ酸(Cα-methyl amino acid), Nα−メチルアミノ酸(Nα-methyl amino acid) の様なデザイナーアミノ酸 (designer amino acid)、及び一般的なアミノ酸アナログである。
【0029】
「Ab」又は「抗体」(antibody)はポリクローナル抗体及びモノクロナル抗体、(monoclonal antibody (MAb))、キメラ抗体(chimeric antibody)、ヒト化抗体(humanized antibody)、ヒト抗体(human antibody)、免疫グロブリン(immunoglobulin)、又は標的抗原に結合する抗体、又は抗体の機能的断片を指す。その様な機能的要素(funactional entity)の例には、完全抗体分子、Fv, 単鎖Fv, 相補性決定領域(complementarity determining regions (CDRs)), VL (軽鎖可変領域、light chain variable region), VH (重鎖可変領域、heavy chain variable region)の様な抗体断片、及びこれらの組合せ、又は標的抗原に結合が可能な免疫グロブリンペプチドの他の全て機能部分を含む。実施例1において、構築体は次の順序のものを含む:vL-(GGGGS)6-vH;しかし、実施例はこれに限定されるものではなく、vL及びvHの全ての順序のものは本発明の範囲内にあると考えられる。更に、本明細書に記載の様に、リンカーの長さは30アミノ酸の長さである必要はなく、異なる長さのリンカーも本発明の範囲にあると考える。
【0030】
「プロドラッグ」(prodrug)は一以上の酵素的触媒による、又は生理学的触媒によるステップを経て、ドラッグに比べて薬理学上の活性が増大している活性化合物に転換された化合物を指す。プロドラッグはプロパート(pro-part)又は不活性な小部分及びドラッグ又は活性なドラッグ、又は検出可能な小部分を含むこともある。任意選択的に、プロドラッグは又リンカーを含む。例えば、プロドラッグは活性のあるドラッグを放出するために酵素により開裂することもできる。代替的に、酵素はプロドラッグを検知可能な小部分を放出させるように改変することもできる。より具体的な例として、標的酵素によるプロドラッグの開裂によって、標的酵素に結合させるために活性のあるドラッグを標的の近辺に放出する。「プロパート」(pro-part)及び「不活性小部分」(inactive moiety)は、転換された後のプロドラッグの不活性部分を指す。例えば、プロドラッグが、ペプチドにより活性のあるドラッグにリンクされたPEG分子を含む場合、プロパートはペプチドリンカーの一部を持つ、又は持たないPEG小部分を言う。
【0031】
本明細書で用いる「CG-Mel」は、例えば、米国特許5,773,435で、Senter他により開示されたプロドラッグ グルタリル−セファロスポリン−メルファラン(glutaryl-cephalosporin-melphalan)を指す。本文献は参照によりその全ての図面を含め本明細書に組入れられる。「ドラッグ」(drug)及び「活性ドラッグ」(active drug) 及び「検知可能な小部分」(detectable moiety) はプロドラッグの活性を持つ小部分を指す。標的酵素によりプロドラッグが開裂された後に、活性ドラッグは標的腫瘍、細胞、伝染体又は他の病気の因子に治療効果を及ぼすべく作用する。検知可能な小部分は診断用ツールとして動作し、その様な検知可能な小部分は本発明の範囲にあると考えられる。活性ドラッグは、細胞を殺し、細胞の増殖を抑え、又は細胞を殺し又は細胞増殖を抑えることを容易にする他のドラッグと共同して作用することのできる化学物質であればどの様なものであっても良い(例えば、細胞をアポトーシスさせる様なドラッグ)。
【0032】
ここで用いる「Mel」はメルファラン(Melphalan)を指す。Melの構造はその技術分野で周知であり、米国特許5,773,435においても参照することができる。
【0033】
ここで用いる「投与間隔」(dosing interval)はタンパク質の投与と次のプロドラッグ投与との間の間隔を言う。例えば、実施例18に記載の通り、72時間及び96時の投与間隔が置かれている。
【0034】
ここで用いる「サイクル」(cycle)は、その一巡がどの回数のものであるかは問わず、ある一巡のタンパク質及びプロドラッグによる治療と次の一巡の間の間隔を指す。
【0035】
「%配列相同」(%sequence homology)は、「%相同」(%homology),「%配列同一」(%sequence identity) 及び「%同一」(% identity)と相互交換的に用いられ、配列アラインメントプログラムを用いてアラインする場合、2以上のペプチド配列の間のアミノ酸配列のレベルの同一度を言う。例えば、ここで用いる80%相同は、ある定義されたアルゴリズムにより決定される80%配列同一と同様の意味である。したがって、ある配列の相同物は、ある配列のある長さに亙り80%を超える配列の同一性を持つ。
【0036】
配列同一の典型的なレベルには、これに限定されるものではないが、ある配列に対し、60, 70, 80, 85, 90, 95, 98, 又は99%又はそれ以上の同一配列を持つものを含む。
【0037】
二つの配列間の同一を決定するために用いられる典型的なコンピュータプログラムは、これに限定されるものではないが、BLASTプログラム一式、例えば、BLASTN、BLASTX、及びTBLASTX、BLASTP及びTBLASTNを含み、これらは当業者に良く知られている。又Altschul 他、1990, J. MoI. Biol. 215: 403-10 及び Altschul他、1997, Nucleic Acids Res., 25:3389-3402を参照。あるアミノ酸配列をGenBank Protein Sequence及び他の公的データベースのアミノ酸配列と比較し評価する場合、配列調査は通常BLASTPプログラムを用いて実施される。GenBank Protein Sequence及び他の公的データベースのアミノ酸配列に対し、全てのリーディングフレームが翻訳された核酸配列を調査する場合は、BLASTXプログラムが好まれる。BLASTP及びBLASTXは共にオープン ギャップ ペナルティー11、及び延長(extended)ギャップ ペナルティー1.0、のディフォールトパラメータを用いて実施され、BLOSUM-62マトリクスを用いる。又Altschul, 他, 1997を参照。
【0038】
2以上の配列間の「%同一」を決定するために選択された配列の好ましいアラインメントは、例えば、Mac Vector6.5バージョンのCLUSTAL-Wプログラムを用いて、オープン ギャップ ペナルティー10.0、延長ギャップ ペナルティー0.1、BLOSUM 30類似マトリクス(similarity matrix)を含み、ディフォールトパラメータで作動させて実行される。
【0039】
本発明はCAB分子、CEAを対象とするADEPT構築、及びそれらの治療での使用、特に本明細書に記載のプロドラッグに依る治療に関する。本発明の分子は、好ましいことには非免疫性化されており、免疫反応を示さない。
【0040】
第一の特徴として、CAB分子は抗体/酵素複合体を含み、この抗体部分はCEAと結合する。好ましい実施の形態においては、酵素はべータ ラクタマーゼを含む。
【0041】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は非修飾アミノ酸配列を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は配列番号2に示すアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を含む。修飾は図4に示す配列番号2の位置番号に示す12, 72, 283 又は586の内の少なくとも一つの位置である。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は12及び72での双方の修飾を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は12, 72, 283 及び586の全てで修飾されている。
【0042】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は図4に示す配列番号2の位置番号で示すA12S, R72G, K283A 又はS586Aの少なくとも一つの修飾を持つ。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.11分子を含み、CAB1.11分子はA12S, 及びR72Gの修飾を含む。ある好ましい実施の形態においては、CAB分子はCAB1.11i分子を含み、CAB1.11i分子はA12S, R72G 、K283A 及びS586Aの修飾を含む。
【0043】
ある好ましい実施の形態においては、CAB分子は配列番号2を含むCAB1.10、配列番号7を含むCAB1.11、配列番号8を含むCAB1.11iを含む。
【0044】
他の実施の形態においては、CABは2002年6月12日に出願されたPCT出願US03/18200に記載されているMDTAである。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。本発明のCAB分子の幾つかは、非標的との結合に比べ標的上の微小標的に優先的に結合することが示されている。標的と非標的の間の結合の差は、例えば、pH、酸素圧、溶質又は検体の濃度(例えば、乳酸、糖又は他の有機、又は無機分子)、温度、光、又はイオン強度の違いの様な、どの様な違いによっても生じうる。本発明のCABが持つ優先的に結合する性質は、所望の諸条件の下で微小標的と結合させ、インビトロ、イクスビボ、インシツ、又はインビボ(例えば、被験者の標的組織)で標的を同定し、標的細胞又は組織を殺し、標的組織内、又はその近辺でプロドラッグを活性ドラッグに転換するために用いることもできる。又表面触媒、例えば、標的ラッカーゼ(laccase)として用いることができる。他の用途には、例えば、化合物の標的生成(例えば、グルコースからのH2O2)及び化合物の標的破壊(例えば、特定組織の代謝体、又はシグナル分子)を含む。
【0045】
ある実施の形態においては、CAB分子は、優先日2002年6月12日を持つPCT出願US03/18187に記載の様に、親和性成熟法を用いて選択され、作られ、又は修飾される。本文献はその全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0046】
他の実施の形態においては、CABは、2002年6月12日に出願された米国特許出願10/170,387に記載の様にループ移植法(loop-grafting)を用いて選択され、作られ、又は修飾される。本文献はその全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
他の実施の形態においては、CABは、2002年6月12日に出願された米国特許出願10/170,729に記載の様に、多機能ポリペプチドである。本文献はその全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
他の実施の形態においては、本発明のCAB分子は、例えば、米国特許4,975,278に開示されている様に、診断又は治療のために用いられる。その技術分野で良く知られているその方法のみならず本文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0049】
ある実施の形態においては、CAB分子は更に、活性小部分を含む。活性小部分は、活性を持つどの様な分子、又は分子の一部であっても良い。活性はどの様な活性であっても良い。活性小部分が持つことのできる活性の種類の例には、例えば、検知しうる活性、酵素活性、治療活性、診断活性、毒性活性、又は結合活性を含む。活性小部分はCABの個別小部分であり得る、例えば、結合小部分に融合し、又は結合している酵素である、又はCABの不可欠な一小部分であり得る、例えば、CABの微小標的との結合が微小標的、又は標的を活性化し、又は活性を抑制する、又はCABは以下に検討する、及び同時係属する米国特許出願10/022,073 及び10/022,097に記載されているタイプの標的酵素であり得る。両文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0050】
他の実施の形態においては、活性小部分は酵素活性を示し、例えば、酵素、又は酵素の活性断片又は誘導体であることもある。治療においてプロドラッグを活性化するのに用いることのできる酵素は特に興味を引く。異なる触媒作用様式を持つ酵素が、プロドラッグを活性化するために多く用いられた。例えば、Melton & Knoxの癌治療のための酵素−プロドラッグ戦略(1999)(Enzyme-prodrug strategies for cancer therapy (1999))及び Bagshawe 他の Curr Opin Immunol 11 :579 (1999)を参照。本発明のCABを生産するために用いることのできる酵素のタイプの例には、これに限定されるものではないが、プロテアーゼ(protease)、カルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidases)、 ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)、 アスパラギナーゼ(asparaginase)、 オキシダーゼ(oxidase)、ヒドラーゼ (hydrolase)、 リアーゼ(lyase), リパーゼ(lipase), セルラーゼ(cellulase)、 アミラーゼ(amylase), アルドラーゼ(aldolase), フォスフォターゼ(phosphatase)、キナーゼ(kinase)、トランスフェラーゼ (tranferase)、ポリメラーゼ(polymerase)、 ヌクレアーゼ(nuclease)、ヌクレオチダーゼ (nucleotidase)、ラッカーゼ(laccase)、レダクターゼ(reductase)等を含む。2001年9月12日に出願された同時係属の米国特許出願09/954,385を参照願いたい。本文献は参照によりその全てが本明細書に組み入れられる。この様に、本発明のCABは、例えば、プロテアーゼ(protease)、カルボキシペプチダーゼ(carboxypeptidases)、 ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)、 アスパラギナーゼ(asparaginase)、 オキシダーゼ(oxidase)、ヒドラーゼ (hydrolase)、 リアーゼ(lyase), リパーゼ(lipase), セルラーゼ(cellulase)、 アミラーゼ(amylase), アルドラーゼ(aldolase), フォスフォターゼ(phosphatase)、キナーゼ(kinase)、トランスフェラーゼ (tranferase)、ポリメラーゼ(polymerase)、 ヌクレアーゼ(nuclease)、ヌクレオチダーゼ (nucleotidase)、ラッカーゼ(laccase)、レダクターゼ(reductase)活性等を示すことがあり得る。使用できる酵素の例には、以下に検討するプロドラッグを活性化することのできる酵素、及び、例えば、グルコースの過酸化水素の様な、代謝体から毒性物質を作り出すことのできる酵素である。Christofidou-Solomidou 他, 2000, Am J Physiol Lung Cell MoI Physiol 278:L794を参照。
【0051】
ある実施の形態においては、本発明は更にベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase、“BLA”)を含むCABを提供する。他の実施の形態においては、BLAは同時係属の米国特許出願10/022,073 及び10/022,097に記載されている標的酵素である。
【0052】
本文献は参照によりその全てが本明細書に組み入れられる。
【0053】
BLA酵素は、グラム陰性及びグラム陽性細菌に広く存在する。BLA配列は良く知られている。BLA配列の代表的な例を図3に示す。BLA酵素はその特異性が種々あるが、それらはベータ−ラクタマーゼ(β-lactam)を加水分解し、置換されたベータアミノ酸を作り出す点で共通している。この様に、BLAはベータラクタム(β-lactam)を含む抗生物質に耐性を与える。BLA酵素は哺乳動物に備わっているものではないため、これらは抑制剤(inhibitor)、酵素基質、又は内因性酵素システム(プロテアーゼと異なり)による干渉は最小限に留まり、したがって、治療のための投与に特に適している。BLA酵素は、更に、そのサイズが小さいこと(E. cloacaeのBLAは39kDのモノマーであり、大腸菌(E. coli)のBLAは30kDのモノマーである)、そしてこれらはその基質に対して高い比活性度(specific activity)を持っており、37℃で最適な活性を持つため、本発明の治療法に適している。Melton他、Enzyme-Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)を参照。
【0054】
本発明のCAB分子を作るのに用いることのできるBLAの具体的な例は、これに限定されるものではないが、クラスA, B, C, 又はDベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)、ベータガラクトシダーゼ(β-galactosidase)(Benito他、FEMS Microbiol. Lett. 123:107 (1994)を参照)、フィブロネクチン(fibronectin)、 グルコース オキシダ−ゼ(glucose oxidase)、グルタチオーネ S−トランスフェラーゼ(glutathione S −transferase)、(Napolitano 他、Chem. Biol. 3:359 (1996) を参照)及び 組織プラスミノゲン(tissue plasminogen) 活性剤(Smith 他、J. Biol. Chem. 270:30486 (1995)を参照)を含む。ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)はその配列により4つのクラスに分けられる。Thomson 他、2000, Microbes and Infection 2:1225-35を参照。セリン ベータ−ラクタマーゼ(serine β-lactamase)は更に3つのクラスに分けられる:A (ペニシリナーゼ(penicillinases)), C(セファロスポリナーゼ (cephalosporinases) 及びD (オキサシルナーゼ(oxacillnases))である。クラスBベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)は亜鉛を含む、又は金属ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)である。BLAのどのクラスでも本発明のCABを生成するのに用いることができる。
【0055】
本発明のある実施の形態においては、BLAは米国特許出願10/022,097に記載のアッセイにおいて、ニトロセフィン(nitrocefin)に対して約0.01 U/pmolより大きい比活性度を示す。他の実施の形態においては、比活性度は約0.1 U/pmolより大きい。他の実施の形態においては、比活性度は約1 U/pmolより大きい。これらの比活性度は、BLAが微小標的に結合しているときのBLAの比活性度であるのが好ましい。
【0056】
ある実施の形態においては、CAB中のBLA酵素は配列番号11に規定するアミノ酸配列を持つ。他の実施の形態においては、CAB中のBLA酵素は、図4に示す配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は99%以上同一配列を持つ。
【0057】
ある好ましい実施の形態においては、CABはCAB1.11、又はCAB1.11iである。
【0058】
CAB、又は一以上の結合小部分により結合された標的は、分子がその基質又は組成物をCEAに結合させることの可能なものであればどの様なものでもあっても良い。ある実施の形態においては、標的は表面である。ある実施の形態においては、表面は生体表面である。他の実施の形態においては、生体表面は器官の表面である。他の実施の形態においては、生体表面は組織の表面である。他の実施の形態においては、生体表面は細胞の表面である。他の実施の形態においては、生体表面は病気の器官、組織又は細胞の表面である。他の実施の形態においては、生体表面は正常な又は健康な器官、組織又は細胞の表面である。他の実施の形態においては、生体表面は組織の間質腔(interstitial space)の巨大分子である。他の実施の形態においては、生体表面はウイルス又は病原体の表面である。他の実施の形態においては、表面は非生体表面である。他の実施の形態においては、非生体表面は医療機器の表面である。他の実施の形態においては、医療機器は治療用機器である。他の実施の形態においては、治療用機器は埋め込まれた治療用機器である。他の実施の形態においては、医療用機器は診断用機器である。他の実施の形態においては、診断用機器はウエル又はトレイである。
【0059】
細胞又は組織のソースには、ヒト、他の全ての動物、細菌、糸状菌、ビールス、及び植物を含む。組織は複雑な標的であり、単一細胞タイプ、細胞の集合タイプ、又は一般にある特定の種類の細胞の集合であるものを指す。組織は原型のままであるか、又は修飾されているかも知れない。ヒトの組織の一般的なクラスには、これに限定されるものではないが、上皮組織(epithelial tissue)、結合組織(connective tissue), 神経組織(nerve tissue) 及び筋肉組織 (muscle tissue)を含む。
【0060】
他の実施の形態においては、標的は、CEAを発現させ、又はCEAを自身に結合させ、又はCEAをその近くに置く癌に関連した標的である。癌に関連した標的は、本発明の組成物が被験者の癌の診断、発見又は治療又は、癌に関連した条件の一部として結合するどの様な標的であっても良い。例えば、癌性細胞、組織又は器官; 又は癌性細胞、組織又は器官に関連した分子、細胞、組織又は器官である(例えば、被験者、又は被験者から採った生体組織又は血管系の様な癌性組織と関連する健康な組織に投与した腫瘍に結合した診断、又は治療用分子)。
【0061】
第二の特徴として、本発明は本明細書に記載のCAB分子をコードする核酸に関する。核酸は例えば、DNA又はRNAであっても良い。本発明は又CAB分子の全て又は一部を含むポリペプチドをコードする核酸を含むプラスミドを提供する。プラスミドは、例えば、宿主細胞又は有機体又はインビトロでポリペプチドを発現させる発現プラスミドであっても良い。発現ベクターは、例えば、細菌細胞においてポリペプチドを発現させることもできる。細菌細胞は、例えば、大腸菌細胞であっても良い。
【0062】
遺伝子コードの冗長性より、通常多くのDNA配列はどの様なアミノ酸配列もコードし、その意味で同等である。以下に述べる様に、発現ベクターが挿入される宿主細胞の好ましいコドンの使用に基づき、発現ベクターで用いられる一つの、又は他の同等なDNA配列が選択されるのが望ましい。本発明は所望するDNAをコードする全てのDNA配列を含むことを意図している。
【0063】
動作可能な発現クローンは、発現ベクターにおいてコード配列を適当な制御配列と動作可能にリンクする様に置くことにより使用することができ、また構築される。ベクターは宿主細胞において自動的に複製し、宿主細胞の染色体に一体化する様にデザインすることができる。結果のクローンは適当な宿主を形質転換するのに用いられ、形質転換された宿主はコード配列の発現に適した条件下で培養される。ある場合にはCAB分子の回収及び精製は必要ないこともあるが、発現されたCABは、その後培養体、又は細胞から分離される。
【0064】
コード配列及び適当な制御配列を含む適当なクローンの構築には、技術分野で良く知られた標準的な結紮及び制限技術(restriction technique)を用いる。通常、分離されたプラスミド、DNA配列、又は合成されたオリゴヌクレオチドは望む形に開裂され、修飾され、又は結紮される。適当な制限部位は、もし通常の方法で得られない場合には、発現クローンの構築を促進するためにコード配列に末端に追加することもできる。
【0065】
部位特異のDNA開裂は、技術分野で一般的に了解され、市場で調達可能な制限酵素の製造者により具体的に示されている条件により、適当な制限酵素を用いて実施される。例えば、Amersham (Arlington Heights, IL), Roche Molecular Biochemicals (Indianapolis, IN), 及びNew England Biolabs (Beverly, MA)の製品カタログを参照。特定の酵素に最適な温度で約1又は2時間培養するのが普通である。各培養の後に、タンパク質がフェノール及びクロロフォルムを用いて抽出され取除かれる。この抽出に続いて、エーテルによる抽出、及びエタノールによる沈殿により水を含む破片からDNAの回収がなされる。もし望むならば、開裂断片のサイズ別の分離が標準の技術を用いてポリアクリルアミド ゲル又は寒天 ゲル電気泳動法により行われることもある。Maxam 他、1980, Methods in Enzymology 65:499-560を参照。
【0066】
結紮は,例えば、15-30 μlの容量中で以下の標準の条件及び温度で行うことができる:20 mM Tris-Cl, pH 7.5, 10 mM MgCl2, 10 mMDTT, 33 μg/ml BSA, 10-50 mM NaCl, 及び40 μM ATP 及び0.01-0.02 (Weiss)単位 T4 DNA リガーゼ、温度 0°C(相補単一鎖末端の断片の結紮のため)、又は1mM ATP 及び0.3-0.6 単位T4 DNA リガーゼ、温度14°C(「平滑末端」(blunt end)結紮のため)。
【0067】
相補末端の断片の分子間結紮は通常33-100 μg/mlの全DNA濃度(5-100 nM全末端濃度)で行われる。
【0068】
分子間平滑末端結紮(通常、任意的にリンカーの20−30倍の余分の分子を用いる)は1 μM全末端濃度で行う。
【0069】
プラスミド構築の正しい結紮は、技術分野で知られている適当な方法であればどの様なものを用いても確認することができる。例えば、プラスミド構築の正しい結紮は、まず、大腸菌株DG101 (ATCC 47043)又は大腸菌株DGl 16 (ATCC 53606)の様な適当な宿主を結紮混合物で形質転換することにより確認することができる。形質転換に成功した細胞は、その技術分野で理解されている様に、プラスミド構築の形態により、アンピシリン、テトラマイシン又は他の抗生物質耐性、又は敏感性により、又は他のマーカーを用いることにより選択される。形質転換細胞のプラスミドは、任意選択的にクロラムフェニコール増幅に続いてClewell 他、1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 62:1159,の方法により作られる。Clewell, 1972, J. Bacterid. 110:667を参照。
【0070】
代案としては、プラスミドDNAはBethesda Research Laboratories 出版のFocus 5 (2)、の11ページの「塩基―酸」抽出法を用いて作ることができ、非常に純粋なプラスミドDNAは、手順12から17のステップをDNAのCsCl/エチジウムブロマイド超遠心分離法で代替することにより得ることができる。
【0071】
他の代替案として、市場で入手可能なDNA分離キット、例えば、HISPEED(商標)、QIAFILTER(商標)及び QIAGEN(商標登録)プラスミドDNA分離キット(Qiagen, Valencia CA)は、販売者が提供する手順に従い使用することができる。分離されたDNAは、例えば、更にMessing他、1981, Nuc. Acids Res. 9:309, に於いて更に記載されているSanger 他、1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463のジデオキシ法により、又は Maxam 他、1980, Methods in Enzymology 65:499による方法による制限酵素分解により分析することができ、及び/又は配列決定することができる。
【0072】
制御配列、発現ベクター及び形質転換の方法は遺伝子を発現させるために用いられる宿主細胞のタイプによる。一般に原核生物、イースト、昆虫又は哺乳動物の細胞が宿主として用いられる。原核生物宿主は、通常組み換えタンパク質を生産するのに最も効率的かつ便利であり、したがってタンパク質の発現において好まれる。
【0073】
原核生物で組み換えタンパク質を発現させるのに最も使用されるのは大腸菌である。しかし、大腸菌以外の微生物株も、例えば、バチルス スブチリス (Bacillus subtilis)の様なバチルス(Bacillus)、種々のシュドモナス及びサルモネラ種、及び他の細菌株も使用することができる。その様な原核生物システムでは、宿主又は宿主と適合可能な種に由来する複製部位及び制御配列を含むプラスミドベクターが、通常使用される。
【0074】
殆どの細菌プロモータの制御下で構築体を発現させるために、Genetic Stock Center GCSC #6135の大腸菌から得られる大腸菌K12 株MM294を宿主として用いることができる。PLNRBS又は PL T7RBS制御配列を持つ発現ベクターとして、大腸菌株MC1000ラムダ溶原菌(lambda lysogen)、N7N53CI857 SusP80, ATCC 39531を用いても良い。1987年4月7日にATCC (ATCC 53606)により寄託された大腸菌DG116、1985年3月29日にATCC (ATCC 53075)により寄託された大腸菌KB2も又有効な宿主細胞である。M13ファージ組み換え体として、大腸菌K12 株DG98 (ATCC 39768)の様なファ−ジ感染を受ける大腸菌株が使用される。DG98株は1984年7月13日に寄託された。
【0075】
例えば、大腸菌は一般的にはBolivar他、1977, Gene 2:95に記載のpBR322の誘導体を用いて形質転換される。プラスミドpBR322はアンピシリン及びテトラサイクリン耐性の遺伝子を含む。これらの薬物耐性マーカーは所望のベクターを構築する場合保持され、又は破壊され得るものであり、そして所望の組み換え体の存在を検知するのを助ける。
【0076】
普通に用いられる原核生物制御配列、すなわち、転写開始のためのプロモータ、任意選択的に、リボソーム結合部位配列と共にオペレーターを持つが、ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)(ペニシリナーゼ)及びラクトース(lac)プロモータ システム(Chang 他, 1977, Nature 198:1056を参照)、トリプトファン(trp)プロモータ システム(Goeddel 他, 1980, Nuc. Acids Res. 8:4057を参照)、及びラムダ由来(lambda-derived)のPLプロモータ(Shimatake 他, 1981, Nature 292:128を参照)、及び遺伝子 Nリボソーム結合部位 (NRBS) を含む。持ち運び可能な制御システムカセットは1987年12月8日に発給された米国特許4,711,845に規定されている。このカセットはNRBSに動作可能にリンクされているPLプロモータを含み、NRBSは更に、NRBS配列の6つの塩基ペア3’内の開裂を許す少なくとも一つの制限部位を持つ第3のDNA配列の上流に位置する。又1986年10月8日に公開された欧州公開特許公報196,864のChang他によるフォスファターゼA (phoA)システムも有用である。しかしながら、原核生物と共存可能なプロモータ システムであれば本発明の配列ベクターを構築するために用いることができる。
【0077】
細菌に加え、イーストの様な真核微生物も組み換え宿主細胞として使用することができる。通常他の多くの株も用いられるが、サッカロミセス セレヴィシェ (Saccharomyces cerevisiae)、パン酵母の実験室株は最も頻繁に用いられる。二つのミクロン複製起点を使うベクターが普通であるが(Broach, 1983, Meth. Eixz. 101 :307を参照)酵母の発現に適している他のプラスミドベクターが知られている(例えば、Stinchcomb他, 1979, Nature 282:39; Tschempe 他, 1980, Gene 10:157; 及びClarke 他, 1983, Meth. Enz. 101:300を参照)。酵母ベクターの制御配列には、糖分解酵素の合成のためのプロモータを含む(Hess他, 1968, J. Adv. Enzyme Reg. 7:149; Holland 他, 1978, Biotechnology 17:4900; 及びHolland 他, 1981, J. Biol. Chem. 256:1385を参照)。技術分野で知られいるプロモータには、更に、3−フォスフォグリセラート キナーゼ(3- phosphoglycerate kinase)(Hitzeman他, 1980, J. Biol. Chem. 255:2073を参照) 及びグリセラルデヒド3-デヒドロゲナーゼ リン酸 (glyceraldehyde 3 -phosphate dehydrogenase), へキソキナーゼ(hexokinase), ピルビン酸デカルボキシラーゼ(pyruvate decarboxylase), ホスホフルクトキナーゼ(phosphofructokinase), グルコース−6−リン酸イソメラーゼ(glucose-6-phosphate isomerase), 3−フォスフォグリセラート ムターゼ (3- phosphoglycerate mutase), ピルビン酸キナーゼ(pyruvate kinase), トリオースリン酸 イソメラーゼ(triosephosphate isomerase), ホスホグルコース イソメラーゼ(phosphoglucose isomerase) 及び グルコキナーゼ(glucokinase)
の様な他の糖分解酵素のプロモータを含む。成長条件により転写が制御されるという更なる有利な点を持つ他のプロモータには、アルコール デヒドロゲナーゼ 2(alcohol dehydrogenase 2), イソシトクロムC (isocytochrome C), 酸性フォスファターゼ (acid phosphatase), 窒素の代謝に関連する分解酵素(degradative enzymes) 及びマルトース及びがラクトースの利用に主要因として働く酵素のプロモータ領域がある。
【0078】
ターミネータ配列は又コード配列の3’末端に置いて発現を増幅するため用いても良い。その様なターミネータは酵母由来の遺伝子のコード配列に続く3’非翻訳領域に見出される。酵母と共存可能なプロモータ、複製起点及び他の制御配列を含むベクターは、どの様なものでも酵母発現ベクターを構築するための使用に適している。
【0079】
コード配列は又、多細胞生物に由来する真核生物宿主細胞培養体中で発現させることもできる(例えば、Tissue Culture, Academic Press, Cruz and Patterson, editors (1973)を参照)。有用な宿主細胞株には、COS-7, COS-A2, CV-I、ネズミの骨髄腫(murine myeloma)N51 及び VERO、HeLa細胞の様なネズミの細胞(murine cell)及び 中国ハムスター卵巣(Chinese hamster ovary (CHO))細胞を含む。その様な細胞の発現ベクターは、通常、例えば、シミアン ウィルス40(Simian Virus 40) (SV 40)の通常使用される初期及び後期のプロモータの様な哺乳動物細胞と共存可能なプロモータ及び制御配列(FIers 他、1978, Nature 273:113を参照)、又はポリオーマ(polyoma), アデノウィルス 2(adenovirus 2), ウシのパピローマ ウイルス(bovine papilloma virus (BPV)) 又はトリ肉腫ウィルス (avian sarcoma virus)の様な他のウイルスプロモータ、又は免疫グロブリン プロモータ(immunoglobulin promoter)及び熱ショック プロモータ(heat shock promoter)に由来するプロモータを含む。
【0080】
エンハンサー領域は又発現を適正化するために重要である:これらは、通常プロモータ領域の上流に見られる配列である。複製起点は、もし必要なら、ビールスのソースから得ることもある。しかし、染色体と一体化することは真核生物におけるDNA複製では、通常のメカニズムである。
【0081】
植物細胞は又宿主細胞として用いることもでき、例えば、ノパリン シンターゼ(nopaline synthase) プロモータ及びポリアデニル化シグナル配列(Depicker他、1982, J. MoI. Appl. Gen. 1:561を参照)の様な植物細胞と共存可能な制御配列も用いることができる。バキュロ ウイルス (baculovirus)ベクターにより提供される制御システムを利用する昆虫の細胞を用いる発現システムについても記載されている。(Miller他、Genetic Engineering (1986), Setlow 他編纂、Plenum Publishing, Vol. 8, 277-97ページを参照)。昆虫の細胞をベースとする発現はスポドプテラ フルギペィダ(Spodoptera frugipeida)で完了させることができる。これらのシステムは又、組み換え酵素も生産することができる。
【0082】
使用される宿主細胞により、形質転換はその細胞に適した標準の技術を使って実施される。Cohen, 1972, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69:2110に記載されている様に塩化カルシウムを用いたカルシウム処理が、実質的な細胞壁バリアーを持つ原核生物又は他の細胞に使用される。アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(Shaw 他、1983, Gene 23 :315を参照)による感染が、ある植物細胞に対し用いられる。
【0083】
哺乳動物の細胞については、Graham他、1978, Virology 52:546のリン酸カルシウム沈殿法(calcium phosphate precipitation method)によるのが好ましい。酵母への形質転換はVan Solingen 他、1977, J. Bact. 130:946, 及びHsiao他、1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:3829の方法に従い実施される。
【0084】
例えば、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を修飾することなく宿主細胞のコドンの使用と、より適合する配列を提供するため、本発明のCABの全て又は一部を含むポリペプチドをコードするDNAの配列を修飾することが望ましいこともある。その様な最初の5−6のコドンを修飾することにより発現の効率を改善することもある。発現の効率を向上させるために修飾されているが、しかし同じアミノ酸配列をコードするDNA配列は同等と考えられ、本発明に含まれる。
【0085】
部位特異のプライマが誘導する変異法は種々のものが利用可能であり、技術分野で良く知られている。例えば、Sambrook 他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, 1989, 第2版15.51章「オリゴヌクレオチド介在の突然変異」(“Oligoaxicleotide- mediated mutagenesis”)を参照。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。ポリメラ−ゼ チェーン リアクション(PCR)は部位特異の突然変異を行うために用いることができる。技術分野で現在標準となっている他の技術においては、望む変異種をコードする合成オリゴヌクレオチドが、例えば、pBSM13+誘導体の様な単一鎖ベクターに含まれる相補的核酸配列の合成を指揮するプライマとして用いられる。pBSM13+誘導体は突然変異を起こさせるプライマの伸長製品((extension product)の構築のためのテンプレートとしての働きをする。突然変異させたDNAは宿主細菌に形質転換され、形質転換された細菌の培養体が平板培地され、同定される。修飾されたベクターの同定は、選択された形質転換細胞のDNAのニトロセルロースフィルター又は他の膜への移転を伴い、そして修飾された配列に厳格にマッチするハイブリッドは認めるが、元の変異していない鎖とのハイブリッド化は妨げる温度でキナーゼによる合成変異プライマとハイブリッドする「高揚」(lifts)を伴う。プローブ(probe)とハイブリッドするDNAを含む形質転換細胞は培養され(DNAの配列は通常配列分析により確認される)、修飾されたDNAの貯蔵庫としての役割をする。
【0086】
ポリペプチドが組み換え宿主細胞で発現されると、ポリペプチドの精製をするのが望ましい。種々の精製手順を用いることができる。他の実施の形態においては、CABをコードする核酸は、本明細書において開示されているいずれのアミノ酸をもコードする核酸に相補的である核酸に、極めて厳格な条件(highly stringent conditions)でハイブリッドする。極めて厳格な条件は、例えば、フィルターに拘束された(filter-bound)DNAに、0.5 M NaHPO4, 7%ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate (SDS))、1 mM EDTAにおいて65° Cでハイブリッドし、68° Cの0.1xSSC/0.1 % SDS中で洗浄しても良い (Ausubel 他編纂、1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., 及びJohn Wiley & Sons, Inc., New York, 2.10.3ページを参照)。 他の高度に厳格な条件については、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, 2.10.1-16 ページ及びMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Sambrook他編纂, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 9.47-57ページに記載がある。他の実施の形態においては、中程度の厳格な条件(moderately stringent conditions)が用いられる。中程度の厳格な条件は、例えば、42° Cの0.2xSSC/0.1 % SDS中で洗浄しても良い (Ausubel 他編纂、1989,同上)。他の中程度の厳格な条件は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Ausubel他編纂、Green Publishing Associates, Inc.,及びJohn Wiley & Sons, Inc., 1989, 2.10.1-16 ページ及びMolecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、 Sambrook他編纂、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989, 9.47-57ページに記載がある。
【0087】
本発明の第3の特徴は、治療を必要とする被験者に、CAB及びCABの基質であるプロドラッグを投与することを含む、被験者の治療方法を提供する。他の実施の形態においては、本発明、更にBLAを含むCAB、及びBLAにより活性ドラッグに変換されたプロドラッグを被験者に投与することにより、被験者を治療する方法を提供する。他の実施の形態においては、CABは特にCAB1.11又はCAB1.11iである。
【0088】
メルファラン誘導体は、本発明の実施の形態におけるプロドラッグとして特に適切である。酵素/プロドラッグ/活性ドラッグの組合せの例は、例えば、Senter 他、米国特許5,773,435に記載があり、本文献はその図面を含めて参照により本明細書に組み入れられる。この実施の形態における適当なプロドラッグの他の例は、例えば、以下に記載がある:Melton 他、Enzyme-Prodrug Strategies for Cancer Therapy, Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999), Bagshawe 他、Current Opinion in Immunology 11 :579-83 (1999) 及びKerr他、, Bioconjugate Chem. 9:255-59 (1998) WiI- man, "Prodrugs In Cancer Chemotherapy," Biochemical Society Transactions, 14, 375- 82ページ (615th Meeting, Belfast 1986)及びV. J. Stella他、"Prodrugs: A Chemical Approach To Targeted Drug Delivery," Directed Drug Delivery, R. Borchardt 他編纂、247-67ページ (Humana Press 1985)。
【0089】
ある実施の形態においては、プロドラッグはペプチドである。プロドラッグとしてのペプチドの例は、Trouet 他、Proc Natl Acad Sd USA 79:626 (1982), 及びUmemoto 他、Int J Cancer 43:611 (1989)に記載がある。これら及び他の報告によると、ペプチドは血液中で十分安定している。ペプチド由来のプロドラッグの他の有利な点は、そのアミノ酸配列が、半減期、組織での分布、及び低い毒性等の薬理学上の適当な特性を活性ドラッグに与えることが出来る様に選ぶことができることである。ペプチド由来のプロドラッグについての報告の殆んどが、例えば、リソソーム酵素によるプロドラッグの比較的非特異の活性化に基づくものである。
【0090】
プロドラッグは一以上のステップにより活性ドラッグに変換されることがありうる。例えば、プロドラッグはCABにより、活性ドラッグの前駆体に変換することができる。前駆体は、例えば、一以上の追加CABの触媒活性、被験者に投与された一以上の他の酵素に触媒活性、被験者に自然に備わっている、又は被験者の標的部位に存在する一以上の酵素(例えば、プロテアーゼ、フォスフォターゼ、キナーゼ、又はポリメラーゼ)の触媒活性により、被験者に投与されたドラッグにより、又は酵素触媒によるものでない化学プロセス(酸化、加水分解、異性化、エピマー化)により活性ドラッグに変換することができる。
【0091】
プロドラッグに関する研究の殆どは、現存のドラッグのプログラムに問題があると判った後になされたものである。特に抗癌ドラッグは通常非常に治療指数が低いことが特徴的であった。これらのドラッグを毒性の低減したプロドラッグに変換し、そしてこれらを病気の組織において選択的に活性化することによって、ドラッグの治療指数は著しく増大した。例えば、Melton 他、Enzyme-prodrug strategies for cancer therapy (1999), 及びNiculescu- Duvaz 他、Anticancer Drug Des 14:517 (1999)を参照。
【0092】
文献に拠れば、酵素の基質特異性をタンパク質の操作、又は直接の進化により変える多くの方法が記載されている。したがって、当業者であれば、天然の酵素においては貧弱な基質であると思われる均等構造をもつ酵素の特異性を進化させることができる。その結果、ドラッグはその様に適合させない場合にはプロドラッグ戦略に対応させることはできなかったが、新たにプロドラッグをデザインすることができる。
【0093】
本発明のプロドラッグは、これに限定されるものではないが、オーリスタチン(auristatin)、カンプトセシン (camptothecin)、リン酸塩含有プロドラッグ(phosphate-containing prodrug), チオリン酸含有プロドラッグ (thiophosphate-containing prodrug), 硫酸塩含有プロドラッグ(sulfate- containing prodrug), ペプチド含有プロドラッグ (peptide-containing prodrug), Dアミノ酸の修飾されたプロドラッグ(D-amino acid-modified prodrug)、グリコシド化されたプロドラッグ(glycosylated prodrug)、 βラクタム含有プロドラッグ(β-lactam-containing prodrug)、 任意的に置換されたフェノオキシアセトアミド含有プロドラッグ(substituted phenoxyacetamide-containing prodrug)又は任意的に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ (substituted phenylacetamide - containing prodrug)、5−フッ化シトシン (5-fluorocytosine) 及び他の5−フッ化ウリジンプロドラッグ (5-fluorouridine prodrug)を含み、これらは複合体の酵素により、より活性のある細胞毒性(cytotoxic)をもたないドラッグに変換することができる。
【0094】
本発明で使用されるプロドラッグの形に誘導することができる細胞毒性のドラッグの例には、これに限定されるものではないが、エトポシド (etoposide)、 テンポシド(temposide)、 アドリアマイシン(adriamycin)、ダウノマイシン(daunomycin), カルミノマイシン(carminomycin)、 アミノプテリン(aminopterin), ダクチノマイシン(dactinomycin)、マイトマイシン (mitomycin), cis―プラチン(cis-platinum) 及びcis-プラチン アナログ (cis-platinum analogue), ブレオマイシン(bleomycin), エスペラマイシン(esperamicin) (米国特許4,675,187を参照), 5−フッ化ウラシル(5-fluorouracil)、メルファラン (melphalan)、 他の関連するナイトロオジェン マスタード (nitrogen mustard)及びその誘導体 (米国特許4,975,278を参照)を含む。
【0095】
本発明のある実施の形態においては、CABはエピポドフィルーロトキシン グルコシド(epipodophyl-lotoxin glucoside) の4’−リン酸塩誘導体(4'-phosphate derivative)を活性のある抗癌ドラッグに変換するアルカリフォスファターゼ(AP)を含む。その様な誘導体はエトポシドー4’−リン酸(etoposide-4'−phosphate), エトポシドー4’−チオリン酸(etoposide- 4'- thiophosphate) 及び テニポシドー4’−リン酸(teniposide-4'−phosphate)を含む。本発明の他の実施の形態においては、これらのグルコシドのリン酸塩誘導体を含むこともあり、そこではリン酸塩小部分がグルコシドの他の水酸基に位置する。他の実施の形態においては、しかし、本発明のプロドラッグとして用いられるリン酸塩誘導体はエトポシドー4’−リン酸(etoposide-4' −phosphate),又はエトポシドー4’−チオリン酸(etoposide- 4'- thiophosphate)である。標的APは、プロドラッグからリン酸基を取除き、活性抗腫瘍剤を放出する。この実施の形態におけるマイトマイシンリン酸プロドラッグはマイトマイシン C (mitomycin C)、又は ポルフィロマイシン(porfiromycin)、又は薬理学的に受け入れられるこれらの塩のN7-C1-8 アルキル リン酸誘導体(N7-C1-8 alkyl phosphate derivative)であることもある。N7は親ドラッグのミトサン核の(mitosane nucleus)7の位置に付着した窒素原子を指す。他の実施の形態においては、用いられる誘導体は7-(2'-アミノエチルリン酸)マイトマイシン(7-(2'-aminoethylphosphate)mitomycin ("MOP"))である。代替的にまたMOP化合物は、9-メチルオキシ-7-[[(フォス−フォノオキシ)エチル] アミノ]ミトサン 二ナトリウム塩(9-metlioxy-7-[[(phos-phonooxy)ethyl]amino]mitosane disodium salt)と呼ばれることもある。本発明の他の実施形態においては、pf N7-アルキル マイトマイシン フォスフォロチオエート(pf N7-alkyl mitomycin phosphorothioate)をプロドラッグとして使用することもある。
【0096】
更に,本発明の他の実施の形態においては、CABは、新規なアドリアマイシン プロドラッグを活性を持つ抗腫瘍ドラッグ アドリアマイシンに変換するペニシリン アミダーゼ酵素を含む。他の実施の形態においては、ペニシリン アミダーゼはフェノオキシアセチル アミド(phenoxyacetyl amide)結合を加水分解するフサリウム オキスポルム(Fusarium oxysporum)から分離されたペニシリン Vアミダーゼ("PVA")である。使用されるプロドラッグはアミダーゼにより加水分解され、抗腫瘍能力を持つ剤、あるいはアドリアマイシンを放出するN-(p-ヒドロオキシフェノオキシアセチル)アドリアマイシン(N-(p-hydroxyphenoxyacetyl)adriamycin) ("APO")であっても良い。
【0097】
本発明は又例えば、アドリアマイシン プロドラッグ、N-(p-ヒドロオキシフェノオキシアセチル)アドリアマイシン(N-(p-hydroxyphenoxyacetyl)adriamycin)及び実質的に同様な方法により、誘導することのできる他の関連するアドリアマイシン プロドラッグを含む。
【0098】
例えば、プロドラッグ N―(フェノオキシアセチル)アドリアマイシンを用いることも本発明の範囲に含まれる。更に、本発明のアドリアマイシン プロドラッグは、例えば、本明細書に記載の水酸基以外の置換基をフェニル環に含むN―フェノオキシアセチル誘導体のみならず、フェニル環の異なる位置に置換基を持つアドリアマイシンの他のN-(ヒドロオキシフェノオキシアセチル)誘導体を含むと了解されるべきである。
【0099】
更に、本発明の実施の形態においては、他の同様に誘導化されたもののみならず、CABの一部として、ペニシリンG アミダーゼの様な他のアミダーゼの使用を含んでおり、そのため特定のアミダーゼがそのプロドラッグを加水分解して活性をもつ抗腫瘍性を持つ形に変えることができる。例えば、CABが更にペニシリンG アミダーゼを含む場合には、プロドラッグはフェニルアセチルアミド基を含むべきである(APOのフェノオキシアセチルアミドに対して)。その理由はペニシリンG アミダーゼはこのタイプのアミノ結合を加水分解するからである(例えば、A. L. Margolin 他、Biochim. Biophys Acta. 616, 283-89 ページ(1980)を参照)。
【0100】
この様に、本発明の他のプロドラッグはN-(p-ヒドロオキシフェニルアセチル)アドリアマイシン(N-(p-hydroxyphenlyacetyl)adriamycin)、N-(フェニルアセチル)アドリアマイシン(N-(phenylacetyl)adriamycin)、及び他の任意選択的にアドリアマイシンのN-(フェニルアセチル)が置換された誘導体を含む。
【0101】
本発明は又、親ドラッグのアミノ基をフェノキシ酢酸(phenoxyacetic acid), フェニル酢酸(phenylacetic acid)又は他の関連する酸のカルボキシル基で反応させることにより誘導されるどの様なプロドラッグをも含むことを了解しなければならない。この様に、本明細書に記載のアドリアマイシン プロドラッグと実質的に同様な方法により、誘導され、作用することのできるアドリアマイシン以外のアントラサイクリン(anthrax cycline)のプロドラッグは、本発明の範囲に属する。例えば、本発明に従い製造及び使用することのできる、他のプロドラッグには、ヒドロオキシフェノオキシアセチルアミド 誘導体(hydroxyphenoxyacetylamide derivative), ヒドロオキシフェニルアセチルアミド 誘導体(hydroxyphenylacetylamide derivative), フェノオキシアセチルアミド 誘導体(phenoxyacetylamide derivative)及びダウノマイシン (daunomycin) 及びカルミノマイシン(carminomycin)の様なアントラサイクリンのフェニルアセチルアミド 誘導体(phenylacetylamide derivatives of anthracycline)を含む。メルファラン、マイトマイシン、アミノプテリン、ブレオマイシン、及びダクチノマイシンの様な他のアミン含有ドラッグは又、本明細書に記載の様に修飾され、本発明のプロドラッグを生産することができる。
【0102】
本発明の他の実施の形態においては、シトシン デアミナーゼ酵素(enzyme cytosine deaminase ("CD"))のCAB形式を含む。デアミナーゼ酵素は抗腫瘍活性(Antineoplastic activity)を欠く化合物である5-フルオロシトシン(5-fluorocytosine) ("5-FC")を抗腫瘍性を持つドラッグである5-フルオロウラシル(5- fluorouracil) ("5-FU")へ変換することを触媒する。
【0103】
本発明の他の実施の形態における方法は、幾つかのプロドラッグと単一のCABを組合せた化学療法の方法を提供する。
【0104】
本実施の形態においては、全く同じCABに対する基質である多くのプロドラッグが用いられる。この様に特定のCABは多くのプロドラッグを細胞毒性を持つ形に変え、腫瘍部位で抗腫瘍活性を増すことになる。
【0105】
医薬用ペプチド、タンパク質または小分子の血液循環半減期(blood circulation half-lives)を伸ばすことがしばしば求められる。典型的な短い半減期―数分から数時間―では、治療効果を得る為に投与頻度のみならず、投与量を上げる必要があり、その量が非常に大きいため最初のピーク投与で副作用をもたらすことがある。
【0106】
その様な治療法では半減期を伸ばすことにより投与量がより少なく、投与頻度も少なく、そのためより安全性の高い投与をすることができ、又生産コストも少なくて済む。これまで研究者はタンパク質の半減期を、タンパク質をPEG(米国特許5,711,944を参照)とヒトの血清アルブミン(human blood serum albumin) (米国特許5,766,883を参照),又はFc 断片(Fc fragments)(WO 00/24782を参照)と共有結合により融合させることにより伸ばしてきた。更に、ドラッグのヒトの血清アルブミンに対する非特異的な標的化は、インビボで化学的に結合するドラッグを用い達成された(米国特許5,843,440を参照)。更に、癌用ドラッグの場合、高分子量ドラッグは、その浸透力、及び滞留度が増大しているため腫瘍に局所化させることが提案された。したがって、ドラッグの治療指数の向上は、ドラッグをタンパク質又は他の高分子量ポリマーに結合させることにより実現することができる。
【0107】
本発明の他の実施の形態においては、治療を必要とする被験者の治療方法を提供し、それには被験者にベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)活性を持つCAB及びプロドラッグを投与することを含む。
【0108】
ある実施の形態においては、治療を要する被験者は癌患者である。他の実施の形態においては、CABはCEA発現細胞、組織、腫瘍又は器官を標的とする。
【0109】
他の実施の形態においては、プロドラッグはCABにより活性ドラッグに変換される。他の実施の形態においては、活性ドラッグはアルキル化剤である。他の実施の形態においては、プロドラッグは抗癌ナイトロジェン マスタードプロドラッグである。他の実施の形態においては、活性ドラッグメルファランである。他の実施の形態においては、プロドラッグはC-Melである。他の実施の形態においては、プロドラッグはグルタリル-C-Mel(glutaryl-C-Mel) 又はグルタリル-C-Mel -L-Phe-NH2 (glutaryl-C-Mel-L-Phe-NH2)である (例えば、Senter 他、米国特許5,773,435を参照。本文献はその全ての図面を含み、参照により本明細書に組み入れられる)。及びKerr他、Bioconjugate Chem. 9:255-59 (1998)を参照願い度い。
【0110】
他の実施の形態においては、プロドラッグはビンカ セファロスポリン(vinca-cephalosporin)又はドキソルビシン セファロスポリン(doxorubicin cephalosporin)である。Bagshawe 他、Current Opinion in Immunology, 11:579-83 (1999)を参照。本発明で用いることのできる他のプロドラッグ/酵素の組合せには、これに限定されるものではないが、米国特許4,975,278 及びMelton 他、Enzyme- Prodrug Strategies for Cancer Therapy Kluwer Academic/Plenum Publishers, New York (1999)に記載されているものを含む。
【0111】
第4の特徴として、本発明はCAB分子を含む医薬組成物に関する。CAB、これらをコードする核酸、及びある実施の形態においては、本明細書に記載のプロドラッグは、投与に適した医薬組成物に組み入れることができる。その様な組成物は、一般的に活性化合物及び薬剤として受け入れられるキャリアーを含む。ここで用いる「薬剤として受け入れられるキャリアー」(pharmaceutically acceptable carrier)の用語は、薬剤の投与に適した溶媒、分散媒、被覆剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤(isotonic and absorption delaying agent)等を含む。その様な媒体及び剤を薬剤として活性のある物質として用いることは、その技術分野で良く知られている。
【0112】
従来の媒体又は剤が活性のある化合物に適さない場合を除き、それらを組成物中で使用することを考慮しても良い。また補助的活性化合物は、組成物に組み入れることが出来る。
【0113】
本発明は、関心のあるCAB、プロドラッグ又は核酸の発現又は活性を調整する薬剤組成物を生産するための方法を含む。その様な方法は、関心のある、活性を持つ化合物の発現又は活性を調整する剤で、薬剤として受け入れられるキャリアーを剤形することを含む。その様な組成物は更に別の活性剤を含んでいても良い。
【0114】
この様に、本発明は更に、関心のあるCAB、プロドラッグ又は核酸及び一以上の追加的活性のある化合物の発現、又は活性を調整する剤で薬剤として受け入れられるキャリアーを剤形することにより、薬剤組成物を作る方法を含む。
【0115】
本発明の薬剤組成物は、その意図する投与ルートに適合する様に剤形される。投与の経路の例には、
静脈(intravenous),皮内 (intradermal), 皮下(subcutaneous), 経口(oral) (例えば、吸入(inhalation)), 経皮(transdermal)、局所 (topical)、経粘膜(transmucosal)及び直腸投与(rectal administration)の様な非経口的(parenteral) 投与を含む。非経口的な、皮内の、又は皮下の用途に用いられる溶液又は懸濁液は、次の組成を含んでいても良い:注射用水の様な殺菌された希釈液、生理食塩溶液(saline solution)、不揮発性油(fixed oil)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、グリセリン(glycerine)、プロピレン グリコール(propylene glycol)又は他の合成溶媒;ベンジル アルコール(benzyl alcohol)、又は メチル パラベン(methyl paraben)の様な抗菌剤(antibacterial agent);アスコルビン酸(ascorbic acid)又は 亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite)の様な抗酸化剤(antioxidant);エチレンジアミンテトラ酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)
の様なキレート剤(chelating agent);酢酸塩(acetate), クエン酸塩(citrate)又はリン酸塩(phosphate)の様な緩衝剤、及び塩化ナトリウム(sodium chloride) 又は デキストロース(dextrose)の様な毒性の調整剤。
【0116】
pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムの様な酸又は塩基で調整することができる。非経口用の調合剤はアンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチックでできた複数回投与のための小瓶に封入しても良い。
【0117】
注射用に適した薬剤組成物は、殺菌水成溶液(水溶性の場合)又は分散液及び殺菌された、注射可能な溶液、又は分散液の即時調整のための殺菌された粉末を含む。静脈への投与に適したキャリアーには、通常の生理食塩水、注射用の水、5%デキストロース又はリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline (PBS))を含む。全ての場合に、組成物は殺菌され、そして注射器で容易に用いることができる程度に液状でなければならない。製造及び保存の状態において安定的であり、細菌及び糸状菌の様な微生物の汚染活動から保護されることが必要である。キャリアーは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレン グリコール、及び液体ポリエチレン グリコール等)及びこれらの適当な混合物を含む溶媒又は分散媒であっても良い。適切な流動性は分散液の場合には、必要とされる粒子サイズを保ち、又界面活性剤を用いることにより維持することができる。微生物体の活動の防止は、種々の抗細菌及び抗糸状菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール(thimero sal)等により実現が可能である。多くの場合、砂糖、及びマニトール、ソルビトールの様なポリアルコール、及び塩化ナトリウム等の様な等張剤(isotonic agent)を組成物に含むのが好ましい。
【0118】
殺菌された注射可能な溶液は、活性のある化合物を、上に述べた一つの成分又はそれらの組合せと共に必要な量を適当な溶媒に組み入れて作り、必要に応じて続いて濾過殺菌することもできる。通常、分散液は活性を持つ化合物を、基本の分散媒と上記の中から選んだ他の必要な成分を含む殺菌された賦形剤に組み込むことにより作られる。殺菌された注射液調合のための殺菌された粉末の場合は、好ましい調合方法は、活性を持つ成分の粉末、プラス事前にフィルター殺菌されたどの様な追加的な所望の成分をも作り出すフリーズドライ法である。
【0119】
経口用組成物は、通常、不活性希釈剤又は可食性キャリアーを含む。それらはゼラチンカプセルに封入し、又は錠剤の形に固めることができる。経口治療投与のために、活性を持つ化合物は添加剤に組み入れて、錠剤、トローチ又はカプセルの形で用いることができる。
【0120】
薬剤として使用可能な結合剤、及び/又は補助剤は組成物の一部として含んでも良い。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は以下の成分、又は同様な性質の組成物のいずれをも含むことができる: 微結晶性セルロース、トラガカント ガム又はゼラチンの様な結合剤; 澱粉又はラクトースの様な添加剤;アルギン酸、プリモーゲル(Primogel)、又はコーンスターチの様な崩壊剤; ステアリン酸マグネシウム、又はステロート(Sterote)の様な潤滑剤; コロイド状二酸化ケイ素(colloidal silicon dioxide)の様な流動促進剤(glidant); 蔗糖又はサッカリンの様な甘味料; ペパーミント、メチルサリチル酸、又はオレンジ香味料の様な香味料。
【0121】
吸入による投与では、化合物は加圧容器、又は例えば、二酸化炭素の様なガスの様な適当な高圧ガスを含む容器、又は噴霧器等からのエアロゾルスプレーの形で噴射投与される。
【0122】
全身投与は又経粘膜的、又は経皮的投与であっても良い。経粘膜的、又は経皮的投与では、浸透すべき障壁に対して適切な浸透剤が製剤時に用いられる。その様な浸透剤は技術分野で良く知られており、例えば、経粘膜的投与においては、清浄剤、胆汁塩、及びフシジン酸の誘導体を含む。経粘膜的投与は、鼻腔用スプレー又は座薬の使用により達成することができる。経皮的投与では、活性を持つ化合物は、通常技術分野で良く知れている軟膏、ゲル、クリームに製剤される。
【0123】
化合物は直腸での吸収のため、又座薬(例えば、ココアバター及び他のグリセリドの様な従来の座薬の主成分を用いる)、又は停留かん腸剤の形で準備することもできる。
【0124】
ある実施の形態においては、活性を持つ化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化した配送システムを含み、制御放出製剤の様な、化合物が身体から急速に排除されることを防止するためのキャリアーを用いて作られる。エチレン ビニル酢酸(ethylene vinyl acetate)、ポリ無水物、(polyanhydride), ポリグリコール酸(polyglycolic acid)、コラーゲン(collagen)、ポリオルトエステル(polyorthoester)及びポリ乳酸(polylactic acid)の様な生物分解性を持ち、生体適正のあるポリマーを使用することができる。その様な剤形を作る方法は技術分野の当業者には明らかである。これらの材料は又Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Incより市場で入手可能である。リボソーム懸濁液(ビールス抗原に対し単クローン抗体で感染細胞を標的とするリボソームを含み)は又薬剤として受け入れ可能なキャリアーとして用いることができる。これらは、例えば、米国特許4,522,811に記載の様に、当業者によく知られた方法により作ることができる。
【0125】
ある実施の形態においては、製剤の組成には、例えば、米国特許6,216,375 及び6,537,988に開示されたサルフォブチルエーテル-7-ベータ-シクロデキストリン(sulfobutylether-7-beta-cyclodextrin)及び2-ヒドロオキシプロピル-β-シクロデキストリン(2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin)を含み、これら文献は、その全ての図面を含み参照により本明細書に組み入れられる。
【0126】
投与の便宜及び投薬量を均一にするために単位投薬において、経口又は非経口組成物を定型化することは特に有益である。本明細書で用いられる単位投薬の形式は、治療を受ける被験者のための単位投与に適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬剤キャリアーと共に、望む治療効果を生み出すべく計算され、事前に決定された量の活性を持つ化合物を含む。本発明の単位投与の形式の詳細は、活性を持つ化合物の夫々の特徴、達成されるべき特定の治療効果、及び各個人の治療に必要な活性を持つ化合物の混合方法における固有の制限により規定され又それに直接に依存する。
【0127】
通常、被験者に与えられるべきCABの量は、例えば、投与の経路、CABの活性、CABが対象とする被験者の特定細胞、組織又は器官を特異的に標的とする程度、被験者から、非特異的に結合されたCABを排除するに要する時間、望む治療効果、被験者の体重、被験者の年齢、被験者の一般的健康状態、被験者の性別、被験者の食事、被験者のCABへの免疫反応、被験者に対し与え、実施されている他の薬物又は治療、疾病の重症度及び過去又は将来の予想される治療のコースを含み、多くの要因による。
【0128】
プロドラッグが投与される場合においては、治療効果のある投薬量の決定に影響を与える他の要因には、例えば、投与されるプロドラッグの量、プロドラッグの活性、及び対応する活性ドラッグ及び副作用、又はプロドラッグ及び活性ドラッグの毒性を含む。
【0129】
CABの質量/被験者の体重の比率の例として、例えば、約0.01から30 mg/kg体重、約0.01から25mg/kg体重、約0.1から20 mg/kg体重、約1から 10mg/kg体重、約2から 9mg/kg体重、約3から 8mg/kg体重、約4から 7mg/kg体重、約5から 6mg/kg体重を含む。ある具体的な例では、被験者は、約1週から10週の間に各週1回、好ましくは約2週から8週の間に週1回、好ましくは、約3週から7週の間に各週1回、好ましくは約4,5、又は6週の間に週1回、約0.1から20 mg/kg体重の間のCAB量で治療されるのが良い。
【0130】
又CABの効果的な投与量は、ある特定の治療のコースに亙り増加又は減少することができるのが良く、治療は望む結果が得られるまで、又は他の理由で治療が中止されるまで、修正を加え又は修正をすることなく、続けられるのが望ましい。投与量を変えることはあっても良く、又本明細書に記載の様に診断アッセイの結果より明らかになることもある。
【0131】
プロドラッグの投与適量は、通常の技術を持つ医師、獣医又は研究者の知識の範囲にある多くの要因に依存することを理解する必要がある。プロドラッグの投与量は、例えば、CABの効果的な投与量に影響を与える上記したと同様の要因により左右される。典型的な投与量は、被験者又はサンプル体重1キロに対しミリグラム、又はミクログラムのプロドラッグの量を含む(例えば、キログラム当たり約1ミクログラムから約500ミリグラム、又はキログラム当たり約100ミクログラムから約5ミリグラム、又はキログラム当たり約1ミクログラムから約50ミクログラム)。更にプロドラッグの投与適量は、望まれる治療効果を生むプロドラッグの効能の関係に依ることを理解する必要がある。これらのプロドラッグの一以上が動物(例えば、ヒト)に投与される場合、医者、獣医又は研究者は、例えば、当初は比較的低い投与量を処方し、その後適当な反応が得られるまで投与量を増やしても良い。
【0132】
好ましくは、CABが被験者に投与され、その後プロドラッグが与えられるのが良い。より好ましくは、CABの投与とプロドラッグの投与の間の間隔は、CABが標的と結合して標的部位に蓄積され、そして結合しなかったCABが被験者の身体の非標的部分から消失するに十分な時間であるのが良い。最も好ましくは、被験者の身体での標的結合CABの非結合CABとの比率は、プロドラッグが投与されるときに最高値、又はそれに近いのが良い。CABの投与後この点に到達するのに要する時間は「クリア時間」(clearing time)と呼ばれる。クリア時間は、実験システムにおいて、例えば、検知可能なCAB(例えば、放射線標識化、又は蛍光的に標識化されたCAB)を被験者に投与し、同時に標的部位及び非標的制御部位での酵素の量を決められた時間間隔で測定することにより決定し,又は、その概算値を算出することができる。あるプロドラッグ、特にその対応する相手方の活性ドラッグの毒性が高い場合には、被験者の身体において非結合のCABのレベルを確実にある閾値以下にすることはより重要となるであろう。これも、上記の様に実験的に決定することができる。
【0133】
ある実施の形態においては、プロドラッグの投与は全身的に行われる。他の実施の形態においては、プロドラッグの投与は標的に対し、又はその近辺に対して行われる。薬剤組成物は投与のための指示と共に、コンテナー、パック、取り出し容器又はキットに入れられる。
【0134】
実施例
実施例1:CAB1.10の構築(Construction of CAB1.10)
CAB1.10分子のscFv部分のアミノ酸配列はネズミの抗CEA単クローン抗体(MAb) T84.66配列に由来する(Neumaier 他、 (1990) Cancer Research 50:2128- 2134)。合成遺伝子のヌクレオチド配列は、大腸菌コドンの使用プラスvL-(GGGGS)6-vHの遺伝子配置を持つvL及びvHを連結する30-aaリンカーをベースにデザインされた。デザインされた遺伝子を含むA 968-bp DNA断片は、側面にNcoI 及び EcoRV制限部位を持つDNA2.0 (Menlo Park, CA)により合成され、pDriveCloningVectorにクローンされてplasmid pG00229となった。
【0135】
Plasmid pNA31.1は、プラスミドpG00229からscFv部分をクローンするのに使用された不活性BLA遺伝子を持つスタッファーベクター(stuffer vector)である。これは
緊急抗体の大部分及びBLAの小部分を含む461-bp領域を除去するために、PstI酵素により分解され、そして自己結紮されたプラスミドpME27.1(WIPO 公報 WO03105757A2を参照願いたい。本文献はその全ての図面を含み、参照により本明細書に組み入れられる)に由来する。
【0136】
NcoI 及び EcoRV酵素によりプラスミドpG00229 及びpNA31.1が分解されると、0.9-kb挿入断片及び 4.3-kbベクター断片はそれぞれゲル精製された。そして、結紮され、続いて大腸菌TOP10F'(Invitrogen, Carlsbad, CA)コンピテント細胞に形質転換され、Luria- Bertani媒体、及び5ppmクロラムフェニコール(cmp)及び0.1ppmセフォタキシム(cephotaxim (CTX))を含む寒天プレート上で選択された。
【0137】
数百のコロニーから、6つのクローンがそのサイズが適正であること、及びプラスミドDNAを分離しEcoRI 及びSad 酵素で分解することにより、scFv断片の配向がチェックされた。両酵素により、予想された制限パターンが、テストされた6つの全てのクローンについて観察された。これらの4つについて発現及び結合試験をした後プラスミドpHR03.1が、更に操作のために選定され、プラスミドを持つCAB1.10分子と名付けられた。
【0138】
実施例2:CAB1.10のコンビナトリアル コンセンサス 変異(Combinatorial Consensus Mutagenesis CCM)
CAB 1.10 タンパク質の発現向上のため、上記のコンビナトリアル コンセンサス 変異CCMアプローチ(弁護士入庫番号816Pを参照。本文献は、その全ての図面を含めて、参照によりその全てが本明細書に組み入れられる)が、プラスミドpHR03.1をテンプレートに用いてvL及びvHドメインのフレームワーク領域で35のアミノ酸残基を標的とすることにより実施された。これらの35の残基(vHの14の位置 及びvLの 21 の位置)が、通常のヒトの抗体の配列と比較して大きく異なっている(存在量10%未満)と判定された。上に記載のMulti-site Quikchange Mutagenesis (Stratagene, CA)手順の修飾版(弁護士入庫番号816Pを参照。本文献は、その全ての図面を含め、参照によりその全てが本明細書に組み入れられる)を用いて、組合せたプライマ濃度2 uM 及び0.4 uMを各々持つHR12及び HR14 CCMライブラリーが、表1に示す35のリン酸化されたプライマ(phosphorylated primer)を用いて構築された。変異及びDpnl分解の後に、PCR反応混合物25 ul中2.5 ulが大腸菌TOP10F'細胞に形質転換され、続いてLuria- Bertani媒体、及び5ppmクロラムフェニコール(cmp)及び0.1ppmセフォタキシム(cephotaxim (CTX))を含む寒天プレート上で選択された。HR12ライブラリーから100クローンが、HR14 ライブラリーから200クローンが、以下述べる様に、まず96ウエルミクロ滴定プレートで発現改良のためスクリーニングされ、 HR14.8クローンが選択された。このクローンの配列決定により、scFv断片のvL領域にA12S 及びR72G変異を起こしていることが判った。HR14.8クローンの全融合遺伝子の全配列を検討した結果、遺伝子の他の部分には追加の変異は見られなかった。このHR14.8クローンはCAB 1.11 分子とコードされ、名付けられた。
【0139】
表1.C AB 1.10タンパク質のコンビナトリアル コンセンサス 変異(CCM)に用いられたプライマ配列。プライマの名称は、軽鎖(L)又は重鎖(H)中の変更されるアミノ酸、その位置、及び予定の変異(上のケースに示す変異されたコドン)に対応する。そして、例えば、LDlQは、GIn (Q)に変更される軽鎖(L)の位置1のAsp (D)に対応する。番号は軽鎖又は重鎖に第一の残基から始まる。プライマは全てセンス鎖に合う様にデザインされた。LA12S 及びLR68Gプライマは、CAB 1.11 タンパク質のA12S及びR72G変異をそれぞれ含み、太字で示す。
【表1】

【0140】

【0141】
実施例3: HR14ライブラリーのスクリーニング(Screening of the HR14 Library)
pHR14ライブラリーがLuria- Bertani媒体、及び5mg/lクロラムフェニコール及び0.1mg/lセフォタキシム(cephotaxim (CTX))(CTX, Sigma)を含む寒天プレート上に平板培地された。各ライブラリーのコロニー及び親コロニーは100ul LB+5ppm cmp.を含む96ウエルプレートに移された。プレートは加湿された箱の中において30℃で、振動を加えながら48-72時間培養された。スクリーニングの日に100ulのB-Per試薬(PIERCE)が各ウエルに加えられ、室温で30分振動が加えられた。
【0142】
標的タンパク質CEA (Bio design International)は96ウエル ポリスチレン プレートで50mM NaHCO3中に100の5ug/ml CEAを加えることにより固定化し、そしてプレートは4℃で一夜培養した。その後プレートはPBST (PBS+0.1 %Tween 20)で洗浄され、そしてPBS中に1%カゼイン(Casein)を含む300ul/プレートにより、室温で2時間置いてブロックされた。スクリーニングの日にプレートはPBSTにより洗浄され、続いてPBSO (PBS+0.125% オクチルグルコピラノシド(Octylglucopyranoside))80ul/ウエルがまず加えられ、続いて各ウエルの発現プレートの培養細胞からB-Per希釈抽出された20 ulの培養液が加えられた。プレートはゆっくり振動させながら室温で1時間培養された。1時間後にプレートはPBSTで洗浄され、BLA基質(PBSO中にニトロセフィン)200ulが各ウエルに加えられ、結合したCAB分子が490nm波長でニトロセフィンの加水分解をモニターすることで測定された。
【0143】
第一次スクリーニングされた興味のある7つの変異体がLA+5ppm cmp寒天プレートに接種された。各変異体のコロニーは5ml のLA+5ppm cmp中で植菌された。試験管は25℃で70時間培養された。培養液はペレットにされ、B-Per試薬で再懸濁された。標的タンパク質CEAは96ウエル ポリスチレンプレートで、各ウエル100ulに対し5ug/mlで固定化され、プレートはその後1%カゼインでブロックされた。スクリーニングの日に、pH7.1のPBS緩衝液80ulが各ウエルにつき標的プレートに追加され、そして連続して倍数希釈されたB-Per抽出液20ulが各ウエルに対し標的プレートに加えられた。プレートは室温で1時間培養され、そしてPBSTで洗浄された。PBSO中に200ulのBLA基質ニトロセフィンを含む液が各ウエルに加えられ、結合したCAB分子が490nm波長でニトロセフィンの加水分解をモニターすることにより測定された。アッセイの結果は図6に示す。最良の変異体、HR14.8が更に再精製するために選ばれた。
【0144】
実施例4: BLAのエピトープ除去(Epitope removal of BLA)
免疫アッセイが、記載されている(米国特許出願09/060,872、出願日1998年4月15日)様にベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)の配列について実施された。ヒトの集団ベースのCD4+ T細胞ペプチド エピトープ決定基の同定(Journal of Immunological Methods, 281 :95-108)。共同体ドナー抹消血細胞サンプルが使用された。4つのCD4+ T細胞エピトープが同定された。各エピトープペプチド配列について、必須残基テスト(critical residue testing)が行われた。必須残基テストは、機能的及び構造的拘束による特定のアミノ酸修飾と、ペプチド配列のアラニンスキャンの両方を含むものであった。その増殖レベルを背景強度にまで減少させるペプチドエピトープが選択され、ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)酵素配列のDNA構築に組み入れられた。修飾された酵素タンパク質変異体が発現され、精製され、インビトロでヒトの抹消血細胞を用い細胞増殖を誘導する能力がテストされた。インビトロで細胞増殖を誘導する能力が最小である変異体(これにはK21 A及び S324A部位で変異種を除去するBLAエピトープを含む)が選定され、以下に述べるCAB1.11iに含められた。
【0145】
実施例5: CAB1.11iの構築(Construction of CAB1.11i)
pHR19.2プラスミドが、B Multi- site Quikchange Mutagenesis手順 (Stratagene, CA)により、BLAタンパク質でBLAエピトープ除去変異種K21 A及びS324Aを採用することにより、HR14.8 (CABl .11)テンプレートから構築された。
【0146】
それぞれ、K21 A 及びS324A変異種を採用するためにリン酸化されたプライマHR016F 及びHR017F
(HRO 16F :
5 ' -Phosp]GATTACCCCGCTGATGGCGGCCCAGTCTGTTCCAG-3';
HR017P:
5'- [Phosp]CTACTGGCGGGTTTGGCGCGTACGTGGCCTTTATTCCTG-3’)
を用いて、
多部位Quikchange変異(multi-site Quikchange mutagenesis (Stratagene, CA) )反応が行われ、続いてDpnl酵素分解がなされた。2.5 ul PCR製品の内の2.5 ulが大腸菌TOP10F’有能細胞に'形質転換され、続いてLA+Cm5+0.1 CTXプレートで形質転換細胞の選択がなされた。16クローンからのプラスミドDNAが分離され、配列決定され、両方の変異種が同じプラスミドに採用されていることが確認された。2つのクローン(pHR19.2 及びpHR19.15)のみが、同じプラスミドに両方の変異種を持つことが分かった。pHR19.2プラスミドの全融合遺伝子の全配列決定により、遺伝子の他の部分には追加の変異はないことが分かった。最後にpHR19.2プラスミドが、CAB1.11i分子をコードする分子として選定された。
【0147】
実施例6: CAB1.11iの発現(Expression of CAB1.11i)
大腸菌株EB 101.1がNLl06株のランダム分離(random isolate)株として得られた。NLl06株はADEPT構築体の生産を指示するプラスミドにより形質転換され、14リットル醗酵槽で培養された。醗酵槽から得た分離株はラクタマーゼ(lactamase)活性を作り出すために振動フラスコで試験され、一つの分離株NLl06EBが宿主として選ばれた。NLl06株は合成培地で連続して振動フラスコ培養し、より成長の早い株EB 101.1が分離された。pHR19.2プラスミドを持つEB 101.1株を含むグリセロールの瓶が、表2にその成分を示す、600mlのMDM+ 1%グルコース培養体を含むフラスコに植菌するために用いられた。フラスコは培養シェーカー中で、30℃及び150rpmで培養された。
【0148】
成長はフラスコをサンプルに採り、550Åの吸光度を測定することによりモニターされた。培養液が約Å550=1の目盛りに達したときに、フラスコの内容物は同じ媒体を含む種醗酵槽に移された。種醗酵槽内の培養液の細胞密度がÅ550=7‐8に達したときに、600mlが表2に示す生産媒体を含む生産醗酵槽に移された。生産醗酵槽はpHが制御されており、60%グルコース溶液が供給された。生産醗酵槽はCAB1.11の量が最大になるまで32−40時間運転された。典型的な生産の概要は図7に示す。ここでラクタマーゼ(lactamase)活性はmg/mlで測定したものである。
【表2】

【表3】

【0149】
実施例7: CAB1.11iの精製(Purification of CAB1.11i)
高い純度のCAB1.11iサンプルは、図8に概略を示すプロセスにより生成された。
【0150】
このプロセスは、各ステップでの最終製品が、pHの調整、緩衝液の交換又は塩の除去を必要せずに次のステップに投入することができるため、非常に効果的に行うことができる。
【0151】
ステップ1: B-PER細胞壁の破壊及び硫酸アンモニアの60%カット
冷凍大腸菌細胞ペースト1g当り、2.5ml B-PER試薬(リン酸緩衝液中、Pierce Biotechnology Inc.、製品#78266)を加える。又、Benzonase Nuclease (Novagen, 製品#70664-3)が、このステップでDNAを加水分解するために1:1000の希釈度で加えられる。混合物は室温で、強く60分間攪拌する。
【0152】
細胞片を4℃で20分、12,000rpmの遠心分離により取除く。ペレットは捨てる。
【0153】
25℃で60%飽和を達成するために上澄み1リットル当り390gの固体硫酸アンモニア(Sigma, 製品# A-2939)を加える。室温で40分間攪拌する。沈殿したタンパク質を、4℃で20分間、12,000rpmの遠心分離により回収する。ペレットをTEA緩衝液(20mM トリエタノールアミン(triethanolamine)/0.5M NACl, pH 7)に溶解する。粗タンパク質液は14,000rpmで遠心分離し、PBAカラムに通す前に0.22μmフィルターにより濾過すべきである。
【0154】
ステップ2: PBA親和性クロマトグラフィによるCAB1.11iタンパク質の捕獲(CAB1.11i Protein Capture via PBA Affinity Chromatograph)
30 ml のPBAカラム(寒天球に固定化したm-アミノフェニルボロン酸((m-Aminophenylboronic acid) Sigma製, 製品# A-8530))が150mlのホウ酸塩緩衝液(0.5M ホウ酸塩/0.5M NaCl, pH7)で「洗浄」され、そして粗タンパク質を通す前に150mlのTEA緩衝液により平衡化された。
【0155】
サンプルを入れた後にカラムは150ml TEA(5カラム容量)緩衝液で洗浄された。CABタンパク質は150mlホウ酸緩衝液で溶出させ、10ml小部分毎に回収される。溶出された小部分は、例えば、WO 0247717 A2に記載の様に、ニトロセフィン プレート アッセイを用いて、ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)がアッセイされる。
【0156】
ステップ3: 疎水性電荷誘導によるCAB分解製品の除去
(Removal of CAB Degradation Products via Hydrophobic Charge Induction)
PBAカラムから溶出した5ml クロマトグラフィのCABタンパク質をリン酸緩衝生理食塩水 (phosphate buffered saline (PBS))で平衡化した7ml MEP HyperCelカラム(Biosepra製)に直接入れた。サンプルを投入した後カラムを10カラム容量のPBSで洗浄した。CABタンパク質は、pH5.2の75mMクエン酸ナトリウムの10カラム容量の勾配溶離を用いて樹脂から溶出された。溶出された各部分は、上記に述べた様にニトロセフィン プレート アッセイを用いてベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)がアッセイされた。
【0157】
ステップ4: 純粋モノマーCAB1.11iを得るためのサイズ排除クロマトグラフィ
(Size Exclusion Chromatography for Obtaining Pure Monome CABl.11i)
濃縮された5mlのCABタンパク質が、PBSで平衡化されたSuperdex 75 準備等級カラム(Amersham Biosciences, 製品# 17-1070-01)に投入された。タンパク質は2ml/分の流量のPBSにより分離され、5ml小部分毎に分けて回収された。
【0158】
ステップ5: 解毒ゲルによる内毒素の除去
(Removal of Endotoxin via Detoxi-Gel)
1−4mlの濃縮CABタンパク質が、PBSで平衡化された10mlの解毒ゲル(固定化ポリミキシンーB(polymixin-B) Pierce, 製品# 20339)カラムに入れられた。サンプルは、PBSで溶出される前に2.5時間の間樹脂に結合するままに放置された。20個の1mlの小部分を回収する。
【0159】
ニトロセフィン プレート アッセイを用いて個々の部分のベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)、及びBioWhittaker QCL-1000 Chromogenic Endpoint LALアッセイを用いて内毒素をアッセイする。CABタンパク質mg当りの内毒素が計算された。インビボのネズミについての研究では、最大値は5単位/mgであり、PBMC免疫原性アッセイ(immunogenicity assay)は、0.2単位/mgである。図9は上記の手順で精製されたタンパク質のCAB1.11iタンパク質のSDS PAGE分析を示す。
【0160】
実施例8: CAB1.11iのPBMCアッセイ
(PBMC assay of CABl.lli)
CAB1.11iタンパク質の免疫原性の可能性をテストするために、タンパク質がPBMC増殖アッセイで試験された。共同体ドナーのPBMCサンプルがStanford University Blood Center (Palo Alto, CA)又はBloodSource (Sacramento)から購入された。各サンプルは通常のヒトの血液感染性病原体の有無について検査された。PBMCは、Lymphocyte Separation Media (Gibco)を用いて分画遠心分離法(differential centrifugation)により軟膜サンプルから分離された。PBMCは、熱により不活性にされた5%のヒトのAB血清を含むRPMI 1640中でml当り4 x 10Λ6に調整された。培養液は24ウエル プレート(Costar)で、各ウエルについて2ml播種された。精製タンパク質が最終濃度20 ug/mlで加えられ、バルク培養体は37℃、5%CO2で5日間培養された。4、5、6、及び7日目に培養液をテストした後に5日の日が選ばれた。しばしば4日目にピークに達する破傷風トキソイドの様なタンパク質に頑強な2次反応を示すことを除いては、最適の反応は、殆んどのタンパク質について5日目に見られた。5日目にバルク培養は再懸濁され、それぞれの培養について100 ulのアリコートが96ウエルプレートに複数回平板培地された。4回から12回の複製が各バルク培養に対して実施された。トリチウム化チミジン(tritiated thymidine)が各ウエル対し0.25 uCi加えられ、複製は6時間培養された。培養体はガラスフィルターマット(Wallac)に採られ、そしてサンプルはシンチレーションカウンタ(Wallac TriBeta)で計測された。各バルク培養のCPMが平均化された。タンパク質を加えていないコントーロル ウエルは各ドナーのバックグラウンドCPMを提供した。各テストの刺激指数がCPM実験数値をコントロールで割って算出された。SIが1.0は、バックグラウンドレベルを超える増殖が起きていないことを示す。全てが精製タンパク質であるサンプルが自家製で作られた。タンパク質は全て、市場で入手可能なキット(Piece)を用いて内毒素がテストされた。サンプルは全てタンパク質が1-2 mg/mlである様PBSで調整され、フィルター殺菌された。
【0161】
36の共同体ドナーサンプルが、CAB1.11iタンパク質により試験された。平均刺激指数は1.06 +/−0.25であった。この数値はバックグラウンド増殖(SI = 1.0)と異なるものではない。36のドナーのいずれも、プラスの反応として遮断数値(cut-off value)である1.99を超える増殖反応を示さなかった。これは非修飾ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)タンパク質について事前に収集されたデータに比べ対照的である。非修飾ベータ−ラクタマーゼのデータでは、平均刺激指数は2.35 +/−3.50であり、26共同体ドナーでの反応率は27%であった。CAB1.11iの増殖の結果はベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)の刺激指数の結果より低いものである(p = 0.03)。ベータ−ラクタマーゼ(β-lactamase)タンパク質に対する27%の反応に比べ、CAB1.11iタンパク質を与えられた場合は、いずれのドナーも刺激指数1.99以上を示さなかった。最後に、共同体ドナーにおいて免疫反応を起こすことが知られているタンパク質、スタフロキナーゼ(staphylokinase)のPBMCデータの平均刺激指数は、平均反応は率が70%で、3.68 +/−2.16であった。
【0162】
CAB1.11iのデータは、スタフロキナーゼのデータと非常に異なっている。これらの結果は、CAB1.11iタンパク質は、このヒトの細胞ベースで試験をした、インビトロ増殖アッセイでは、比較的免疫原性を持たないことを示唆すると解される。
【0163】
実施例9: CAB1.11iのCEAとの結合(Binding of CABl.lli to CEA)
精製CEA (Biodesign International)が96ウエルCostar High結合プレートに、pH 9.6で50mM NaHCO3緩衝液中に5ug/ml溶液で培養により固定化された。非特異的結合を防ぐためカゼインを使ったブロック ステップを実施した。精製されたCAB1.11i タンパク質が、特異活性を決定するためにニトロセフィン基質に対してBLA酵素活性が事前にテストされた。CAB1.11iは、pH 7.1の10 mM PBS緩衝液中で30,000 単位/ml濃度まで希釈された。連続倍数希釈液(2 fold serial dilution)が同じ緩衝液で準備され、100 ulアリコートがウエルに加えられた(8サンプル:3000, 1500, 750, 375, 187, 94, 47, 24 単位)。タンパク質は、大気温で1時間半プレートに結合するに任せた。ウエルはTween-20を含むPBS緩衝液で良く洗浄された。プレートに結合したCAB1.11iタンパク質の量は、ウエルに残っているBLAの量をモニターすることにより決定された。ニトロセフィン基質(0.1 mg/ml 溶液を各ウエルについて200ul)がウエルに加えられ、反応生成物が20分の培養時間(大気温度)に亙り490mn吸光度で測定し記録された。Vmaxが各タンパク質濃度について決定され、材料の見掛け上のKdを決定するために、追加されたタンパク質に対して結合したタンパク質をプロットすることにより結合カーブが描かれた。
【0164】
結合カーブを図10Aに示す。CAB1.11i濃度は事前に決定された換算率を使ってBLA活性を測定するこにより決定された。見かけ上のt1/2を決定するために、上記の手続きに従い結合したCAB1.11iタンパク質は、続いて大気温で、pH 7.1のPBS緩衝液でウエルを培養することにより洗浄された。規定の時間 (0, 40, 80, 120分) にウエルの緩衝液は除去され、ニトロセフィン基質溶液で置換され、BLA活性が上記の手順で決定された。結合したまま残っている酵素活性(時間ゼロに比較し)が算出され、結合BLA活性(残っている)%が、50%保持時間を決定するため、時間に対してプロットされた。
【0165】
結果を図10Bに示す。
【0166】
実施例10: CAB1.11i円2色法 (CAB1.11i Circular Dichroism)
円2色法(Circular-dichroism (CD))スペクトルが、Aviv製の5位置熱電気細胞保持器を持つAviv 215分光光度計(spectrophotometer)により集められた。緩衝液の条件は、リン酸緩衝生理食塩水によりpH7.4に調整され、タンパク質濃度は1 μM.であった。データは、0.1cm路長細胞(path length cell)、25℃で、1nmバンド幅で265から195nmまで1nm毎に集められた。データは5秒間各波長について集められ、3つの反復スペクトルが平均化された。CD信号が平均残基楕円率(mean residue ellipticity (MRE))に変換された。CAB1.11iのCDスペクトルは、アルファへリックス及びベータ鎖2次構造組成物両方を持つ折畳まれたタンパク質を示している。
【0167】
実施例11: ヒトの結腸直腸癌のマウス異種移植モデルにおけるCAB1.11iの薬物動態及び組織分布(Pharmacokinetics and Tissue Distribution of CABl.lli in Xenograft Mouse Model of Human Colorectal Cancer)
体重18-22gで、生後約6−8週間のNcr無胸腺ヌードマウス (Ncr athymic nude mice)に、約2百万の腫瘍由来のLS174Tヒト結腸直腸癌細胞が皮下移植された。腫瘍がおおよそ250mm3を超えたときに、12匹の動物が尾の血管からCAB1.11i(1 mg/kg)シングルIVボーラス投与され、3匹がコントロール組織を提供すべく非治療とされた。3匹の動物が麻酔され、0, 6, 12, 24 及び48時間時点で殺された。肝臓、腎臓及び腫瘍が各動物から取られ、液体窒素で瞬間凍結され、分析に付されるまで約-70℃で保存された。血液が心臓の孔を通してEDTAに集められた。血液のサンプルは血漿を分離するため遠心分離され、血漿は分析に付されるまで約-70℃で保存された。
【0168】
組織サンプルはPBS15 ug/mLのアプロチニン(aprotinin) (2 mL緩衝液:グラム組織)を含むPBS中で冷蔵状態で均質化された。均等質はB-PER (1:1) (Pierce製)と混合され、遠心分離された。組織上清中のCAB1.11i及び血漿サンプルの濃度はニトロセフィン アッセイを用いてBLA活性を測定することにより決定された。
【0169】
この実験の結果は、CAB1.11iは血漿、肝臓及び腎臓から急速に除去され、TLS174T腫瘍に局所化されていることを示していた(図12)。腫瘍における血液に対するCAB1.11iの高い濃度比率が維持され、達成された(図13)。
【0170】
実施例12: ヒトの結腸直腸癌のマウス異種移植モデルにおけるCAB1.11iの効果
(Efficacy of CABl.lli in a Xenograft Mouse Model of Human Colorectal Cancer)
体重18-22g、生後約6-8週のNcr 無胸腺マウス(Ncr athymic nude mice)に約2百万の腫瘍由来のLS174Tヒト結腸直腸癌細胞(TLS174T)が皮下移植された。LS174T細胞はATCCから入手し、TL174Tを生成するためにマウスで培養され、再分離された。腫瘍がおおよそ250mm3を超えたときに、各10匹のマウスには何も投与せず、又はCAB1.11i(1 又は0.25 mg/kg)を与え、続いてCAB投与24時間後に、例えば、米国特許5,773,435に示す様にGlutaryl-C-Mel, GCR-2141(150 mg/kg)を投与した。全てのドラッグは尾の血管からボーラス投与された。腫瘍は週2回測定された。
【0171】
この研究の結果、プロドラッグGCR-2141の150 mg/kg と組み合わせて、CAB1.11i は1 m/kg 及び0.25 mg/kgの投与量の両方で、ヒトの結腸直腸癌のマウスモデルにおいて活性を持つことが示された(図14を参照)。
【0172】
実施例13: Ropo2抗体の構築(Construction of a Ropo2 antibody)
BLAに特異な抗体、Ropo2は記載の様に構築された。BLAはPBS緩衝液(1 mg/ml)で懸濁され、等量のComplete Freund's Adjuvant 補助剤(全容量 0.6 ml)と混合されて乳化され、一次免疫を与えるため3,4箇所の皮下背面部位に注射された。続く免疫はウサギ一羽当り200ugの投与量のIncomplete Freund's Adjuvant補助剤を用いて実施された。回収のため動物は関節動脈から出血させた。血液は凝固するに任せ、血清が遠心分離により集められた。血清は−20℃で保存された。
【0173】
実施例14: 標的抗原及び結合特異性の分布評価のための腫瘍パネルIHC
(Tumor Panel IHCs to assess distribution of target antigen and binding specificity)
この研究で用いられた冷凍組織サンプルはArdais' BIGR(商標登録)Library (Ardais)から得た。Genencorはウサギの多クローン性BLA抗体、Ropo2のみならず、CAB調剤を提供した。IHC分析が用いられ、実対照薬として、サイトケラチン(cytokeratin)抗体(Dalco Cytomation)が用いられた。表4を参照のこと。
【表4】

【0174】
冷凍サンプルは−80℃までの間の温度で除去され、そして−20℃で2時間置かれた。細胞増殖抑制剤(cryostat)が−20℃にセットされ、切片サンプルが5μmの厚さに切られた。切片はPlus Slideに置かれ、切断の間ドライアイス上の顕微鏡スライドボックスに保存された。切片は室温で30分空気乾燥された。切片は室温でアセトン中に10分置かれた。切片は室温で洗浄緩衝液Wash Buffer (Dako Cytomation,Code# S3006, Lot# 044312) で2-3回 x 5分すすぎ洗いされた。
【0175】
IHCがDako自動着色器で実施された。抗体は抗体希釈液(Antibody Diluent)(Dako Cytomation, Code# S0809, Lot# 123113))で以下の濃度に希釈された: CAB抗体を0.2 μg/mlに、Ropo 2抗体を0.1 μg/mlとする。サンプルは室温で、約~200 μl までのPeroxidase Blockで5分培養された。抗体は洗浄緩衝液で2回x5分濯がれた。サンプルは約〜200 μlまでの Protein Block (Dako Cytomation, Code #X0909, Lot# 103183)で10分培養された。〜200 μl までのCAB抗体が室温で30分加えられた。サンプルはWash Bufferで 2回 x 5分洗浄された。約〜200 μl までのRopo 2抗体が加えられ、室温で30分培養がなされた。サンプルはWash Bufferで 2回 x 5分濯がれた。〜200 μl までのDetection System製の第二次抗体が加えられ、30分培養された。サンプルはWash Bufferで 2回 x 5分濯がれた。サンプルは〜200 μl Chromagen (D AB+ Detection System で提供(Envision+ System, HRP (DAB) Rabbit) - Dako Cytomation, Code# K4011, Lot# 11367))で5分培養された。サンプルは蒸留水で5分洗浄された。サンプルは青い核染色法を提供するHematoxylin (Richard Allen, Code# 7211, Lot# 35053)で30秒対比染色された。
【0176】
サンプルは5分濯がれた。サンプルは2度Bluing Reagent (Richard Allen, Code# 7301, Lot# 19540)に浸けられた。サンプルは蒸留水で5分濯がれた。サンプルは95%エタノールで2回x2分、100%エタノールで2回x2分脱水され、そしてキシレンで清浄された。サンプルは培養体(Medium (Richard Allen, Code# 4111, Lot# 18071))に置かれ、カバースリップが加えられた。
【0177】
このIHCの研究では、4つのCAB抗体、CAB 1.2i 15-mer リンカー, CAB 1.2i 30- mer リンカー, CAB 1.11 i 及びCab 1.14iは、5つの肺、3つの結腸、及び5つの膵臓の腫瘍サンプルからなる組織パネルに対して分析がされた。
【0178】
図15はこの研究の全体の結果を示す。第一欄は診断のケースの詳細を記す;第二欄は元の組織及び発見部位のを詳細を記す;第4欄は抗ヒトサイトケラチン(cytokeratin) AE1/AE3による染色を示し、第5欄から第8欄までは4つの抗体、15-mer リンカーを持つCAB 1.2i, 30- mer を持つリンカーCAB 1.2i, CAB 1.11 i 及びCAB 1.14iに対する染色を示す。
【0179】
4つの抗体は、試験された全ての腫瘍サンプルにおいて強い免疫染色(強度2-3+)を示し、その染色パターンは同一でないとしても非常に類似しているものであった。全てのサンプルは一つ、CI000005496-FF5、を除いて、存在する腫瘍細胞の75%を超えるものが染色を示した。最小の染色、淡(1-2+)染色(pale staining)は、これは時に冷凍組織切片に見られるが、線維芽細胞及び偶に炎症細胞を含む、間質細胞でも見られた。壊死細胞及び肺胞内マクロファージ(intra-alveolar macrophages)(肺組織のサンプルに見られる)では常に陽性の染色が見られた。
【0180】
サンプルに存在する正常な隣接組織では広範に陰性であり、陽性染色は正常な肺又は膵臓組織では見られなかった。肝臓に転移した直腸癌のケースであるサンプルCI0000008475の正常肝臓組織は、3つの抗体(15-mer リンカーを持つCAB 1.2i, CAB 1.11 i,及び 30- mer リンカーを持つCAB 1.2i)の類洞領域(sinusoidal region)に限定された淡染(pale staining)を示した。第4の抗体(CAB 1.14 i)は、正常な肝実質の90%を染める、より強いより拡散した範囲の染色を示した。
【0181】
4つの試験された抗体の染色の特徴を比較すると、最小限のばらつきしか見られない。試験された4つの抗体のうち、CAB1.14iはバックグラウンド染色が幾らか多い様に思われる。
【0182】
サイトケラチン抗体が、組織抗原が適正に維持されていることを確実にするために選定されたサンプルに用いられたが、上皮細胞に強い陽性染色を示した。「第一抗体のない」コントロールでは染色は見られなかった。
【0183】
実施例15: LS174T異種移植ヌードマウスにCAB1.11iに続いて種々の間隔で投与されたGC-MeIの薬物動態及び組織分布
(Pharmacokinetics and Tissue Distribution of GC-MeI administered at various intervals following CAB l.lli in LS174T xenograft bearing nude mice)
CAB1.11iの腫瘍貯留性特性を、GC-MeIの投与によるMelの形成をモニターすることにより評価した。投与溶液が、投与の日に投与される60分以内に準備された。
【0184】
重炭酸塩/蔗糖中のGC-Mel製剤の濃度は平均のネズミの体重、所望の投与容量、及び150 mg/kgの投与レベルをベースにした。
【0185】
GC-Melが量り採られ、この重量をベースにGC-Melの3つのカルボン酸部位の3等量全てを中和する重炭酸ナトリウムの適量が決定された。5%水成蔗糖に予め計算された重炭酸ナトリウムを加えて必要な量の賦形剤が準備された。賦形剤は予め4℃に冷却された。冷却された賦形剤はGC-Mel粉末に加えられ、そして混合物は攪拌され、迅速に溶解させるために超音波で分解された。
【0186】
体重18−22g、生後約6−8週の雌のNcr無胸腺ヌードマウス(n = 250)はTaconic (Germantown, NY)より入手した。動物に100 μlリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline)中の2x106 TLS174T細胞、ヒトの結腸直腸腫瘍ラインを脇腹に皮下移植した。腫瘍細胞移植の約1週間後から始めて、腫瘍は3から4日毎に測定された。腫瘍が約100−250mm3に達したときに、腫瘍サイズにより156匹の動物が選定され、7グループにランダムに分けられ、実験開始時にグループ間の平均腫瘍サイズに実質的な差がなかった。
【0187】
マウスは熱ランプ及び熱パッドにより温められ、レストレーナー(restrainer)に容れられ、そして試験用化合物が尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。
【0188】
血液サンプル収集のために、マウスはサンプル収集時に全てイソフルレン吸入により麻酔された。血液は心臓に穴を開けEDTAを含む試験管に集められ、冷蔵された。試験管は4000rpmで2分間遠心分離された。血漿の一部が事前にラベルを付したミクロファージ試験管に取られ、ドライアイス又は液体窒素で冷凍された。サンプル濃度が決定された。
【0189】
組織サンプルは、血液を取除くためリン酸緩衝生理食塩水中で1度濯がれた。サンプルは液体窒素又はドライアイスを用いて瞬間冷凍された。3つのサンプルが分析前に−70℃で保存された。
【0190】
TLS174Tは、親細胞株をインビボで培養することでLS174Tから得られる細胞株である。
【0191】
TLS174T細胞株はもともとATCC (Manassas, VA)から購入したものである。TLS174T細胞は、常時マイコプラズマ汚染に対しネガティブであることがテストされる(Myco Alert Mycoplasma Detection Kit, Cambrex)。TLS174T細胞はインビボ研究で、3から15代培養させて用いられ、移植のため集菌するときには対数成長期(log phase growth)にあった。細胞は、10%のウシ胎仔血清(fetal calf serum) (HyClone (Salt Lake City, Utah))、1%ピルビン酸ナトリウム(sodium pyruvate) (最終濃度= 1 mM) (Cellgro (Herndon, VA))、1%非必須アミノ酸(non-essential amino acids) (Cellgro (Herndon, VA))、1%Lグルタミン(L-glutamine) (最終濃度= 2 mM) (Cellgro (Herndon, VA))を含む87% Dulbecco's Modified Eagle's Medium (Cellgro (Herndon, VA)) / Hams F12 (Cellgro (Herndon, VA)) (1:1)中に入れられた。この研究に用いられる細胞の培養回数は5であった。CEAの発現のレベルがFACS分析により調べられた。
【0192】
移植のために、TLS174Tが4-5E4 細胞/cm2 (2-2.5E7 細胞/ 500cm2 (Nunc Triple Flask 又は 0.9-1.1E7 細胞/225 cm2)がプレートに平板培地された。これは1/12の分割に等しい。細胞は72時間で細胞密集度は約85−90%に達し、細胞回収率が凡そTF に対し1.3-1.5E8細胞又はT-225に対し5.9-6.8E7になると期待された。
【0193】
この研究デザインを表5に示す。グループ1(n = 3)の動物は非治療コントロールグループである。グループ2(n = 42)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。グループ3(n = 3)の動物は、Mel (150 mg/kg)を静脈注射された。グループ4(n =27)の動物は、CAB1.11i(1mg/kg)を静脈注射された。24時間後動物は、蔗糖/ NaHCO3の緩衝液中の150 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ5(n = 27)の動物はCAB1.11i (1 mg/kg)を静脈注射された。48時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3の緩衝液中150 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ6(n = 27)の動物はCAB1.11i (1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3の緩衝液中の150 mg/kg GC-Melを静脈注射された。
【0194】
グループ7(n = 27)の動物はCAB1.11i (1 mg/kg)を静脈注射された。96時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3の緩衝液中150 mg/kg GC-Melを静脈注射された。
【表5】

投与の時間、ポストCAB1.11i投与
収集されたポストGC-MeI投与
血漿のための血液サンプルはグループ1の動物から、時間ゼロに採取された。血液サンプルはグループ2の動物からCAB1.11i注射した後0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 3, 4, 6, 8, 24, 48, 72及び96時間に採取された。血漿のための血液サンプルはグループ3の動物から、0.033時間に採取された。血漿のための血液サンプルはグループ4−7の動物からGC-MeI注射後0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 3, 4及び 6時間に採取された。
【0195】
組織(腫瘍、腎臓、肝臓)サンプルは、グループ1の動物から、時間ゼロに採取された。組織(腫瘍、腎臓、肝臓)サンプルは、グループ2の動物からCAB1.11i注射した後0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 3, 4, 6, 8, 24, 48, 72及び96時間後に採取された。グループ3からは何れの組織サンプルも回収されなかった。組織(腫瘍、腎臓、肝臓)サンプルは、グループ4−7の動物から0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 3, 4及び 6時間に採取された。
【0196】
サンプルは液体窒素又はドライアイス及びメタノールを用いて瞬間冷凍された。組織サンプルは分析前に−70℃で保存された。
【0197】
結果を図16−18に示す。この結果より分かる様に、血漿Melは96時間でほぼバックグラウンド(付随、(concomitant))レベルに減少した。又、24時間の間隔での有効性の結果から分かる様に、その後の間隔についても、低下した血漿濃度でGC-Melは同様な抗腫瘍活性を示すことを示唆している。Melに対する露出が腫瘍部位で増加し、腫瘍に侵されていない部位では減少している(予期される副作用を最小に抑えるため)ことは重要である。このことはCAB1.11iは、CABが腫瘍に局所的に作用し、結合していないCABが除かれるために、プロドラッグ投与前に十分時間が与えられることが必要である。我々のデータからは、例えば、24時間等のある間隔が必須であるように思われる。したがって、投与間隔は非常に重要であり、決定的な要素であるともいえる。
【0198】
実施例16: CAB 1.2i 15-mer、 CAB 1.2i 30- mer, CAB 1.14i及びCAB 1.11 i及びそれに続く腫瘍に由来のTLS174T腫瘍を持つメスの無胸腺マウスへのGC-Melの投与による抗腫瘍活性
(Antitumor Activity of CAB 1.2i, 15-mer, CAB 1.2i 30-mer CAB 1.14i and Cab l.lli followed by administration of GC-Mel in the Tumor-Derived TLS174T tumor bearing female athymic mice)
投与液が投与日に、投与前60分以内に準備された。各製剤された投与液のアリコートが採られ、分析前に−70℃で保存された。CABはタンパク質濃度、及びBLA活性が分析された。GC-Mel 及びMelの化合物濃度が分析された。
【0199】
バルクGC-Melが計量され、1.0 M NaHCO3の3.0等量に溶解された。溶液は良く攪拌、混合され、上記の様に5%水成蔗糖液により30 mg/mLの最終濃度まで希釈された。動物は100 μLの製剤された液を投与された。
【0200】
バルクGC-Melが計量され、20% DMSOを含む酸性化されたPBS (pH 4.0) 中で溶解され、最終濃度2 mg/mLまで希釈された。動物は各100 μLの製剤された液を投与された。
【0201】
体重18−22g、生後約6−8週間のTaconic Labsから得た150匹のメスのNcr無胸腺マウスに、TLS174Tヒトの結腸直腸腫瘍が移植された。100匹の動物が腫瘍サイズ及び成長率をベースに投与のために選定された。研究デザインは表6に概観を示す。マウスは、TLS174T細胞を移植され(研究日 ゼロ)そして、腫瘍が約250 mm3以上になったときに、100匹の動物が、腫瘍サイズ及び成長率に基づき選定され、各グループ間で同じ様な平均腫瘍サイズとなる様に10グループに分別された。10のマウスにCAB 1.2i 15-mer、CAB 1.14i又はCAB 1.11i(1又は0.25 mg/kg)又はCAB 1.2i 30-mer (0.25 mg/ml)、続いてCAB投与後24時間後にGC-MeI (150 mg/kg)を投与した。各10匹のマウスに賦形剤、Mel (10 mg/kg) 又はGC-MeI (150 mg/kg)を投与した。
【表6】

【0202】
5匹の動物はPBSで1:10に希釈された20mM クエン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH 6.0を投与され、5匹の動物は酸性化されたPBS (pH 4.0)中に20% DMSOを含む液を投与される。
【0203】
2 CAB投与後24時間後に投与されたGC-Mel
150匹のメスのマウスにDMEM中に 2 x 107 細胞/mLを含む懸濁液によりTLS174Tを皮下注射により移植した。動物はイソフルレン吸入により麻酔し、細胞は100 μL細胞懸濁液(約 2 x 10 細胞/マウス)により皮下注射によって移植した。移植の日を研究日ゼロ(Study Day 0)とする。
【0204】
腫瘍移植の後、動物は日単位で観察し、死に掛けている又は苦しんでいる動物は安楽死させた。腫瘍は週に2回計り、体重は毎週測定した。
【0205】
腫瘍が250 mm3に達したとき、動物は各グループに分けられた。マウスは投与の日に体重が計られ、投与量は全ての動物の平均体重に基づくものであった。マウスは熱ランプ及び熱パッドで暖められ、レストレーナーに容れられた。尾は70%アルコールで洗浄され、薬剤が尾の血液から静脈ボーラスにより投与された。平均腫瘍容量が1500 mm3を超えた治療グループは安楽死させ、腫瘍が過度に大きく、及び/又は壊死状態の個々の動物は安楽死させた。治療グループのマウスが、もし6匹未満になった場合は、腫瘍の再成長に対する反応が完全な個々の動物をモニターする場合を除いては、安楽死させた。
【0206】
45日目に、残りのマウスはCO2ガス吸入により安楽死させ、検死を行った。異常な組織又は器官は組織病理のためフォルマリンで固定した。腫瘍は全ての動物から回収し組織病理のためフォルマリンで固定した。結果を図19に示す。CAB、続いてプロドラッグを投与することにより腫瘍容量が縮小していることが示された。しかし、同じグループで体重の減少が見られた。
【0207】
実施例17: 正常なマウスにIV又はIPを投与した後のwt BLA, GCR-8886 及びCAB1.2iの免疫原性
(Immunogenicity of wt BLA, GCR-8886 及びCAB1.2i after administration to normal mice)
CABl1.11i 及びCAB1.2iはPBSにより200 ug/mlに希釈された。i.p.グループ(グループ5)では、CAB1.11iはミョウバンとPBSの比で1:1に希釈され(結果の濃度=200 ug/ml), 10分間急速に攪拌された。混合物は最短で15分間2−8℃に置かれた。混合物はマウスに注射される前に1分間再攪拌された。溶液は投与の前に冷蔵保存された。
【0208】
wt BLAはPBSにより400 ug/mlに希釈された。i.p.グループ(グループ4)では、wtBLAはミョウバンとPBSの比が1:1の溶液で濃度=200 ug/mlまで希釈され,急速に10分間攪拌された。混合物は最小限15分間2−8℃で置かれた。混合物はマウスに注射される前に1分間再攪拌された。溶液は投与の前に冷蔵保存された。
【0209】
研究デザインは表7に概略を示す。メスのCB6F1/Jマウスが各グループで使われた。i.v.注射を受けるマウスは尾の血管を拡張させるために約3分熱ランプで暖められ、そしてi.v.注射のためにマウスレストレーナーに容れられた。1, 8 及び15日目に各株の3匹のマウスに、夫々CAB1.2i (20 ug), CAB1.11i (20 ug), 又はwt BLA (20 ug)1が静脈注射され、又はi.p.注射により、ミョウバンとwt BLA (20 ug)又はCABl .1 Ii (20ug)複合体が投与された。投薬の濃度及び容量は表8に概略を示す。投薬の濃度はマウス1匹当り100 uLを基本に製剤された。
【表7】

【表8】

【0210】
CAB1.2i又はCAB1.11iの注射の後に、動物は週2回観察され、死に掛けている又は苦しんでいるマウスは安楽死させた。8, 13 及び20日目にマウスはイソフルランにより麻酔し、血液が尾からの出血によりミクロテーナー血清管(microtainer serum tube)に集められた。20日目にマウスは安楽死させられ、脾臓及びリンパ節が集められた。
【0211】
細胞はT-細胞増殖アッセイのため回収された(例えば、米国特許6,835,550を参照願いたい。本文献はその全ての図面を含め参照により本明細書に組み入れられる)。結果を図20に示す。x軸は投与された複合体のタイプを、y軸は抗テスト製品(anti-test article)のIgGl 抗体をng/mlで測定した数値を示す。
【0212】
図から判読される様に、wt BLAを投与のIPが抗体反応が最大であることを示す。
【0213】
実施例18: LS174t異種移植NCRヌードマウスにおける投薬範囲効果の研究
(Dose-Ranging Efficacy Study in LS174t Xenograft Bearing NCR Nude Mice)
材料は上記の通りに準備された。
【0214】
体重18−22g、生後約6−8週の雌のNcr無胸腺ヌードマウス(n = 100)はTaconic (Germantown, NY)より入手した。動物(n = 100)は、研究日ゼロの日に、100 μlリン酸緩衝生理食塩水の5x106 LS174T細胞を脇腹に皮下注射し移植された。腫瘍細胞の移植約1週間後から始めて、腫瘍は3,4日ごとに測定された。腫瘍が約100 - 250 mm3に達したときに、93匹の動物が、腫瘍サイズにより選定され、ランダムに9グループに分けられ、実験の開始時においてはグループ間で平均腫瘍サイズには本質的な違いはなかった。
【0215】
マウスは熱ランプ及び熱パッドで暖められ、レストレーナーに置かれ、試験用化合物が尾の血管から静脈ボーラスにより投与された。血液サンプルを採るため、全てのマウスがサンプル収集時にイソフルラン吸入により麻酔された。血液は心臓に開けた孔を通してEDTAを含む試験管に集められ、冷蔵された。試験管は4000 RPMで2分間遠心分離された。血漿分画が除去されて事前にラベルを付したミクロファージ管に採られ、ドライアイス又は液体窒素で冷凍保存された。全ての血漿サンプルは分析の前に−70℃で保存された。
【0216】
LS174T細胞は、もともとATCC (Manassas, VA)から購入された。細胞はマイコプラズマに感染していないことを確かめるため常時テストされた(MycoAlert Mycoplasma Detection Kit, Cambrex)。LS174T細胞は、インビボ研究での使用のため2乃至15代培養され、移植のための集菌時に対数(log phase)成長期にあった。細胞は10%のウシの胎仔の血清(HyClone (Salt Lake City, Utah))、1%のピルビン酸ナトリウム(最終濃度=1mM) (Cellgro (Herndon, VA))、1%の非必須アミノ酸(Cellgro (Herndon, VA))、1%L-グルタミン(L-glutamine)(最終濃度=2 mM) (Cellgro (Herndon, VA))を含む87% Dulbecco's Modified Eagle's Medium (Cellgro (Herndon, VA)) / Hams F12 (Cellgro (Herndon, VA)) (1 :1)に容れられた。この研究に用いられた細胞の培養回数は2であった。CEAの発現がFACS分析により確かめられた。
【0217】
研究デザインは表9に概略を示す。グループ3(n = 10)の動物は治療を受けていないコントロールグループである。グループ1と2(n = 3)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間及び96時間後に、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の50 mg/kg GC-Melをそれぞれ静脈注射された。グループ3(n = 10) の動物は治療を受けていないコントロールグループである。グループ4(n = 10)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後、動物はGC-MeI- 蔗糖/NaHCO3緩衝液の賦形剤を静脈投与された。グループ5(n = 10)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の150 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ6(n = 10)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の300 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ7(n = 1 0)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の600 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ8(n = 10)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の900 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ9(n = 10)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。96時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の900 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ10(n = 10)の動物はCAB1.11i(5mg/kg)を静脈投与された。96時間後、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の900 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ11(n = 10)の動物はCAB1.11i(5mg/kg)を静脈投与された。
【表9】

【0218】
血液及び組織サンプルが、グループ1及び2の動物からLC/MS/MS に依る薬物動態分析を行うためのGC-Mel注射の0.25時間後に採られた。動物の腫瘍及び体重は定時的に測定された。結果を図21に示す。図はCAB1.11i/GC-Melの細胞毒性を示す。x軸は日にちを、y軸はmm3で計った平均腫瘍容量を示す。図から、コントロール及びCAB1.11iのみで治療した種を除いて、全ての株で腫瘍容量が縮小しているのが見られた。
【0219】
実施例19: TLS174T異種移植腫瘍を持つNCRヌードマウスにおけるCAB1.11i投与後72又は96時間後に投与されたGC-Melの投与範囲量による毒性プロフィール
(Dose-Ranging Toxicity Profile of GC-MeI Administered 72 OR 96 Hours o After CABl.lli in NCR Nude Mice Bearing TLS174T Xenograft Tumors)
材料は上に記載の様に準備された。
【0220】
重炭酸塩/蔗糖でのGC-Melの製剤の濃度は、ネズミの平均体重、望ましい投与量、及び投与レベル150 mg/kgに基づくものでであった。GC- Melが計量された。GC-Melの重量に基づき、GC-Melの3つのカルボン酸部位3当量を中和するための重炭酸ナトリウムの適量が決定された。事前に計算された重炭酸ナトリウム溶液を5%水成蔗糖に加えることにより必要な量の賦形剤が準備された。重炭酸溶液は中和剤として働き、上記のGC-Mel製剤中には残らないため、 5%蔗糖が使用された。賦形剤は事前に4℃に冷却された。冷却した賦形剤がGC-Mel粉末及び混合物に加えられ、攪拌され、そして必要なら迅速に溶解させるために超音波分解された。
【0221】
体重18-22 g、生後約6-8週のメスのNcr無胸腺マウス(n = 250)をTaconic (Germantown, NY)から調達した。動物(n = 150)は、研究日ゼロの日に100 μlのリン酸緩衝生理食塩水中の10x106 TLS174T細胞を脇腹皮下に移植された。腫瘍細胞移植約1週間後に腫瘍は3−4日毎に測定された。腫瘍が約100 - 250 mm3に達したときに、108匹の動物が、腫瘍サイズに基づき選定され、ランダムに22のグループに分けられた。実験開始時では各グループ間において平均腫瘍サイズの大きさに際立った違いはなかった。
【0222】
マウスは熱ランプ及び熱パッドで暖められ、レストレーナーに入れられ、そして試験用化合物が尾の血管からボーラス静脈注射により投与された。血液サンプルを採るため、全てのマウスはサンプル収集時にイソフルラン吸入により麻酔された。血液が心臓の孔からEDTAを含む試験管に集められ、冷蔵された。試験管は4000 RPMで2分間遠心分離された。血漿分画が事前にレベルを付したミクロフージ管に取出され、ドライアイス又は液体窒素で冷凍された。全ての血漿サンプルは分析前に−70℃で保存された。
【0223】
移植のため、TLS 174Tは4-5E4 細胞/cm2 (2-2.5E7 細胞/ 500cm2 (Nunc Triple Flask 又は0.9-1.1E7 細胞/225 cm2)の割合でプレートに平板培地された。これは1/12分割に相当する。細胞は、おおよそTFに対し1.3-1.5E8細胞、T-225に対し5.9-6.8E7細胞の細胞回収割合で、72時間で約85-90%の細胞密集度に達する。研究デザインは表10に概略を示す。
【0224】
グループ1(n = 5)の動物は治療を受けていないコントロールグループである。
【0225】
グループ2(n =5)の動物はPBS -CAB1.11i賦形剤を静脈注射され、それに続いて蔗糖/ NaHCO3緩衝液―GC-Mel賦形剤を注射された。グループ3の動物(n = 5)はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。グループ4(n = 3)、7及び13(n = 5)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後(グループ4及び7)、及び96時間後(グループ13)、動物は蔗糖/NaHCO3緩衝液中の150 mg/kg GC-Melを静脈投与された。グループ5(n = 5)の動物は CAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後、動物は蔗糖/NaHCO3緩衝液のGC-Mel賦形剤を静脈注射された。
【0226】
グループ6及び12 (n = 5) の動物ははCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後(グループ6)、及び96時間後(グループ12)、動物は蔗糖/NaHCO3緩衝液中の75mg/kg GC-Melを静脈投与された。グループ8及び14(n = 5)はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈投与された。72時間後(グループ8)、及び96時間後(グループ14)、動物は蔗糖/NaHCO3緩衝液中の300mg/kg GC-Melを静脈投与された。グループ9及び15 (n = 5)の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後(グループ9)及び96時間後(グループ15)、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の450 mg/kg GC-Melを静脈注射された。
【0227】
グループ10及び16 (n = 5) の動物はCAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後(グループ10)及び96時間後(グループ16)、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の600 mg/kg GC-Melを静脈注射された。
【0228】
グループ11及び17 (n = 5) の動物は CAB1.11i(1 mg/kg)を静脈注射された。72時間後(グループ11)、及び96時間後(グループ17)、動物は蔗糖/ NaHCO3緩衝液中の750 mg/kg GC-Melを静脈注射された。グループ18,19、20及び21(n = 5)の動物は、それぞれGC-Melのみを300 mg/mL, 450 mg/mL, 600mg/mL 及び750 mg/mL投与された。
【表10】

【0229】
結果を図22に示す。全ての投与グループにおいて平均体重ロスは20%未満であり、これは、これらの投与計画を用いることでは投与量を抑える毒性を達成することはできないことを示している。
【0230】
実施例20: Sprague-Dawleyラットのボーラス静脈投与に続くCAB1.11iの薬剤動態
(Pharmacokinetics of CABl.lli following intravenous bolus administration to Sprague-Dawley rats)
材料は上記の通りに準備された。
【0231】
オス及びメスのSprague-Dawleyラットが、付き添い獣医により決定されたカテーテル開通性及び許容される健康状態に基づき研究対象として割り当てられた。動物は、性別、グループ毎に各グループが4匹となる様3グループに分けられた。グループ1では、各動物はCAB1.11i(0.25 mg/mL)を、目標投与レベル0.25 mg/kg、投与容量1 mL/kgが大腿静脈排管にボーラス静脈注射された。グループ2では、各動物はCAB1.11i(0.25 mg/mL)を、目標投与レベル1 mg/kg、投与容量4 mL/kgが大腿静脈排管にボーラス静脈注射された。グループ3では、各動物はCAB1.11i(1.36 mg/mL)を、目標投与レベル5 mg/kg、投与容量3.68 ml/kgが大腿静脈排管にボーラス静脈注射された。
【0232】
各投与に続いて、大腿静脈カテーテルは0.5 mLの生理食塩水で洗われ、再投与を防ぐために結んで止められた。全ての薬剤は動物番号16(グループ2)、20(グループ3)及び24(グループ3)を除いては何事もなく投与された。投与溶液が足りないため、動物番号16及び20は薬剤の投与がされず、動物番号24は完全な容量の投与は受けなかった。
【0233】
投与及びサンプル収集の間、動物は臨床的に関連する異常がないか観察され、以下の症状が指摘された(表10):
【表11】

【0234】
血液サンプル(0.25 mL; EDTA 抗凝固剤)が、各投与の前、及び静脈投与に続く0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 4, 8, 12, 24, 48, 72 及び 96時間後に頸静脈排管より集められた。血液サンプルは冷蔵され、血液収集から15分以内に血漿を採るために1000xg (5°C)で遠心分離された。
【0235】
結果を図23に示す。この研究は二量体(dimer)により旨く行われなかったが、しかしPKは動物モデルにおける投与量に比例することを示している。図24は、二量体の容量が体内動態(disposition)に影響を与えることを示し、二量体の低いCAB1.11i(四角)は二量体の高いもの(円)より急速に排除されることを示す。
【0236】
実施例21: Sprague-Dawleyラットへのボーラス静脈投与後に続くCAB1.11iの薬剤動態
(Pharmacokinetics of CABl.lli following intravenous bolus administration to Sprague-Dawley rats)
0.0049 g Melが上に記した様に準備された。Melは4.91 mL (4.87 g)のDMSO賦形剤(20% DMSO, 80%の、0.15 M NaCl及び5 x 10-4 M HCl を含む水)と組み合わされた。調剤は倒置により混合され、合計8分間攪拌され、静脈投与のための1 mg/mLの目標濃度の透明無色の溶液が作られた。グループ1には投与は必要なかった。
【0237】
19匹のオスのSprague-Dawleyラットがカテーテルの開通性、及び担当の獣医により健康上支障がないとの判断を基に研究対象に割り当てられた。動物は各グループ3匹の計5グループと、4匹の1グループに分けられた。グループ1の動物は投薬されず、サンプル分析のために何も含まない血漿及び尿を採るため用いられた。
【0238】
グループ2の動物は、大腿静脈カテーテルにボーラス静脈注射により、Melを2 mg/kgの目標投与レベルで、2 mL/kg容量の投与を受けた。
【0239】
グループ3の動物は、大腿静脈カテーテルにボーラス静脈注射によりTAG-72 結合構築体を1mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0240】
グループ4の動物は、大腿静脈カテーテルにボーラス静脈注射によりMuc-1 結合構築体を1mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0241】
グループ5の動物は、大腿静脈カテーテルにボーラス静脈注射によりCAB1.11iを1mg/kgの目標投与レベルで、1.02mL/kg容量の投与を受けた。
【0242】
グループ6の動物は、大腿静脈カテーテルにボーラス静脈注射によりCAB1.11iを1mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0243】
投与に続いて、大腿静脈カテーテルは0.5 mLの生理食塩水で洗い流し、再投与を防ぐために結んで留めた。投与及びサンプル収集の間中、動物は臨床的に関係する異常がないか観察され、以下の症状が指摘された。
【表12】

【0244】
投与に続き、各動物は排尿収集のため、別のNalgeげっ歯類代謝ケージに移された。尿はグループ1の各動物から48時間の間コールドパックに集められた。排尿はグループ2−6の各動物から、投与に続く0−24時間及び24−48時間に集められ、ドライアイスで冷却された。グループ1から収集された尿はプールされ、2つのおおよそ等しいアリコートに分けられた。
【0245】
血液サンプルは各動物から頸部静脈カテーテルを通して、EDTA抗凝固剤を含む試験管に収集された。グループ1では、48時間の尿収集に続いて、各動物から得られる最大容量が収集された。グループ2−6では、血液サンプル(各0.3 mL、ただし最終時点では得られる最大容量)
が、各投与前、及び静脈投与に続く0.033, 0.083, 0.25, 0.5, 1, 2, 4, 8, 12, 24, 及び48時間に頸部静脈カテーテルを通して収集された。
【0246】
更にグループ3−6の動物から、ポスト投与72及び96時間に血液サンプルが収集された。担当専門家の手違いにより、終末部血液サンプルが動物番号8(グループ3)から、48時間ポスト投与時に収集された。その結果、72及び96時間ポスト投与血液サンプルはこの動物からは収集されなかった。血液収集から30分以内に血漿を分離するために、血液サンプルは遠心分離するまで約5℃で冷蔵された。グループ1の動物からの各血漿サンプルはほぼ等量のアリコートに分けられた。グループ2−6の動物から収集された各血液サンプルから一つの血漿アリコートが準備された。
【0247】
終末部血液の収集及び安楽死させた後に、骨髄(両大腿)、腎臓及び肝臓がグループ2の動物のみから収集された。組織の重量は記録されなかった。
【0248】
結果を図24に示す。
【0249】
実施例22: カイニクイザルの静脈投与に続くCAB1.11iの薬剤動態に対するCEAの投与効果
(The effect of CEA administration on the pharmacokinetics of CAB1.11i following intravenous administration to cynomolgus monkeys)
材料は上に述べた様に準備された。
【0250】
グループ1−3のCAB1.11i調剤アリコートがPBSで希釈され、各希釈されたサンプルの吸光度が分光光度計(spectrophotometer)を使って280nmで3度計測され,決定された。グループ5では、CEA原液(0.862 mg/mL, 325 uL)がPBS (325 uL)と組み合わされ、合計650 uL容量の0.431 mg/mL濃度の液が作られた。希釈されたCEA(0.508 mL, 0.431 mg/mL)は1 mg/mL濃度のCAB1.11i を8.75 mLを含む試験管に加えられた。CEAは、投与30分前にCAB1.11iに加えられ、室温に保たれた。グループ6では、2.54 mLのCEA 原液(0.862 mg/mL)が、1 mg/mL濃度のCAB1.11i を8.75 mL含む試験管に加えられた。CEAは、投与予定の30分前にCAB1.11iに加えられ、室温に保たれた。グループ3の動物への投与8日目に、事前に調剤された5 mg/mL CAB1.11iが追加に用いられた。投与調剤サンプル(各0.1 mL)は、この投与溶液から収集された。投与調剤サンプル及び残りの投与調剤は5±3℃で保存された。6匹のオス及び4匹のメスのカニクイザルが選ばれ、各グループ2匹の動物の6グループに分けられた。オス1匹及びメス1匹がグループ1, 2, 4 及び6に、2匹のオスがグループ5に割り当てられた。治療は始めての1匹のオス及びメスのカニクイザルがグループ3に割り当てられた。全ての動物は、血液の収集を容易にするため、常時静脈カテーテル及び皮下の血管へのアクセス口(vascular access port (VAP))を着けていた。動物は、事前の健康チェックに続き、職員の獣医により決められた受け入れられる健康基準に基づき研究対象に付された。事前の健康チェックは身体検査と共に、血液生化学検査と血液評価を含むものであった。動物は事前に霊長類用いす、ロープ/ポール及び首輪による拘束に慣らされていた。動物はそれぞれの檻に戻される前に、投与及び最初の2時間までの血液収集の間霊長類用いすに拘束されていた。投与の前又は後の食事制限は必要なかった。
【0251】
投与の前に、一時的な経皮カテーテルが各動物の伏在静脈又は頭部の静脈に着けられた。薬剤は全て経皮カテーテルから投与された。
【0252】
グループ1の動物は、準備されたCAB1.11iをボーラス静脈注射により0.25 mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0253】
グループ2の動物は、準備されたCAB1.11iをボーラス静脈注射により1 mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0254】
第1日目、及び第8日目に、グループ3の動物は、準備されたCAB1.11iをボーラス静脈注射により5 mg/kgの目標投与レベルで、1mL/kg容量の投与を受けた。
【0255】
グループ4の動物は、準備されたCEAをボーラス静脈注射により0.25mg/kgの目標投与レベルで、0.290 mL/kg容量の投与を受けた。
【0256】
グループ5の動物は、準備されたCAB1.11i/CEA混合物をボーラス静脈注射により1 mg/kgのCAB1.11i及び0.025mg/kg CEAの目標投与レベルで、1.058 mL/kg容量の投与を受けた。
【0257】
グループ6の動物は、準備されたCAB1.11i/CEA混合物をボーラス静脈注射により、1 mg/kgのCAB1.11i及び0.25mg/kg のCEAの目標投与レベルで、1.290 mL/kg容量の投与を受けた。
【0258】
各静脈投与に続いて直ぐに、投与カテーテルは取除かれる前に約3 mLの生理食塩水で洗い流された。各投与用の注射器の重量は、投与前及び後に投与された製剤の量を質量分析法により決定するために測定された。投与前の動物の体重を含めた薬剤投与に関するデータを表13に示す。
【表13】

【0259】
血液サンプル(5 mL 又は 1 mL; EDTA抗凝固剤)は、常備の静脈カテーテル及び皮下の血管へのアクセス口、又はもしカテーテルが使用できなくなった場合、大腿静脈の静脈穿刺(venipuncture)により収集された。血液サンプルは、処理する前に最大30分までの間冷蔵された。
【0260】
血液サンプルは、血漿を収集するために5℃、3500 RPMで10分遠心分離された。各血漿サンプルは略等量の2つのアリコートに分けられ、別々のポリプロピレン管に移され、そして−70±10℃で保存された。グループ3については、全ての5 mLの事前の調剤(pre-dose)サンプル(第1日目、第8日目及び第22日目事前調剤)の血漿は略等量の3つのアリコートに分けられ、別のポリプロピレン管に移され、そして−70±10℃で保存された。排出された尿が各動物から収集された。
【0261】
結果は図25及び26に示すが、CAB1.11i血清濃度の概要は、1週間を置いて、2投与量を与えた後同様であった。このことは極めて高いレベルの中和抗体が、この枠組みでは形成されていなかったことを示す。CAB1.11iを除去する相は、CEAの存在の有無に関わらず類似していた。
【0262】
当業者であれば以上の本発明の好ましい実施の形態より、開示された実施の形態にに種々の変更を加えることが可能と思われ、又その様な変更は本発明の範囲に属すると考える。
【0263】
本発明が固有に持つもののみならず、本発明の対象物、且つその目的及び利益を得つつ本発明を改変して実施することは当業者であれば容易に行うことができると考えられる。
【0264】
本明細書に記載された分子複合体、及び方法、手順、処理、分子、特定化合物は好ましい実施の形態の代表例を記したもので、それらの典型例を示したものにすぎず本発明の範囲を限定するものと解してはならない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示された本発明に種々の置換、及び修飾を加えることは、当業者であれば容易になしうることである。
【0265】
本明細書に記載した、全ての特許及び刊行物は、本発明の関係する技術分野の当業者の水準を示すものである。全ての特許及び刊行物は、各個々の刊行物が各個別に参照により本明細書に組み入れられると表示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0266】
本明細書に具体的に記載された本発明は、本明細書に具体的に明記されていない如何なる要素、限定が欠けている場合においても適切に実施することが可能であろう。
【0267】
使用された用語及び表現は記載のための用語として用いられたものであり、限定を意味するものでなく、その様な用語及び表現を用いることにより、それらの特徴を示すものと同等なもの、又はその部分を排除する意図はなく、本発明の権利範囲にあって種々の修飾が可能であることを認めなければならない。したがって、本発明は、好ましい実施の形態、又は任意選択的な特徴、修飾を持つ形態により具体的に開示されているが、当業者であれば、本明細書に開示された概念の種々の変形したものを実施することができる。これらの修飾、変形は、本発明の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲に属するものと考えられる。
【0268】
本発明は本明細書において一般的及び総称的に記載されている。総称的に開示された範囲に含まれるより狭い種、及び下位の属に含まれるものも本発明の一部である。これには、本明細書において除外された材料が具体的に明示されているか否かを問わず、その属から、ある主題事項を除くとする条件又は否定的な限定を持つ総称的な発明の記載のある場合をも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1A】本発明に開示された非修飾配列を示し、Shively他、及び本明細書に記載の発明に開示されているT84.66抗体のアミノ酸配列を示す(配列番号1);
【図1B】本発明に開示された非修飾配列を示し、T84.66由来の抗体のヌクレオチド配列を示す(配列番号3);
【図1C】本発明に開示された非修飾配列を示し、BLAのアミノ酸配列を示す(配列番号11);
【図1D】本発明に開示された非修飾配列を示し、BLAのヌクレオチド配列を示す(配列番号12);
【図1E】本発明に開示された非修飾配列を示し、BLAに融合されたT84.66であり、リンカーを含む 1.10構築のアミノ酸配列を示す(配列番号2);
【図1F】本発明に開示された非修飾配列を示し、1.10構築の核酸配列を示す(配列番号4)。下線は分子のscFv部分を示し、イタリック体はscFvのvl 及び vh 部分の間のリンカーを示す。
【図2A】本発明の修飾されたCAB1.11抗体部分を示し、修飾され、CAB1.11抗体部分を含むアミノ酸配列を示す(配列番号5);
【図2B】本発明の修飾されたCAB1.11抗体部分を示し、修飾され、CAB1.11抗体部分を含む核酸配列を示す(配列番号6)。
【図3】免疫性を除去されたBLA部分のアミノ酸配列を示す(配列番号13)。非修飾BLAの変異種(図1に示す)は太字で示す;番号はCAB1.11i構築と整合する様に同じ番号を使用している。
【図4A】CAB1.11分子のアミノ酸配列を示し(配列番号7)、実施例に記載の様に発現を向上させるために抗体部分が修飾されており、又BLA部分を含む;
【図4B】CAB1.11分子のヌクレオチド配列を示す(配列番号9);
【図4C】CAB1.11i分子のアミノ酸を示し(配列番号8)、実施例に示す免疫性が除去されたBLAを含む;
【図4D】CAB1.11i分子をコードするヌクレオチド配列を示す(配列番号10);
【図4E−1】CAB1.11及びCAB1.11i分子の配列を示し、プラスミドpHR 19.2をコードするヌクレオチド配列を示す。CAB1.11i分子を示す図において、分子のscFv部分には下線を付した。本明細書の実施例に記載された4つの変異種には下線を付した。本明細書に記載のリンカーはイタリック体で示す。変異種の2つは分子のscFv部分にあり、変異種の2つは分子のBLA部分にある。
【図4E−2】CAB1.11及びCAB1.11i分子の配列を示し、プラスミドpHR 19.2をコードするヌクレオチド配列を示す。CAB1.11i分子を示す図において、分子のscFv部分には下線を付した。本明細書の実施例に記載された4つの変異種には下線を付した。本明細書に記載のリンカーはイタリック体で示す。変異種の2つは分子のscFv部分にあり、変異種の2つは分子のBLA部分にある。
【図4E−3】CAB1.11及びCAB1.11i分子の配列を示し、プラスミドpHR 19.2をコードするヌクレオチド配列を示す。CAB1.11i分子を示す図において、分子のscFv部分には下線を付した。本明細書の実施例に記載された4つの変異種には下線を付した。本明細書に記載のリンカーはイタリック体で示す。変異種の2つは分子のscFv部分にあり、変異種の2つは分子のBLA部分にある。
【図5】pHR 19.2のプラスミド マップである。
【図6】CEAを標的とする変異体の結合を示す。x軸は本明細書に記載の変異体の種類の明細であり、y軸は特異結合の%を示す。
【図7】実施例6に示すEB101.1/pHR19.2を発酵させた結果を示すグラフである。x軸は時間単位で測ったEFTを、y軸はmg/Lで測ったラクタマーゼ(lactamase)活性を示す。
【図8】実施例7に記載のCAB1.11i分子の精製プロセスを示す。
【図9】CAB1.11iのSDS PAGE電気泳動を示す。1レーンは分子量標準を示し、3−5レーンは非関連タンパク質を示し、レーン6はCAB1.11iを示す。
【図10A】結合したCAB1.11iの結合曲線を示し、x軸はnM単位のCAB1.11iの結合量を示し、y軸は同じく、nM単位での追加されたCAB1.11iの量を示す。
【図10B】実施例9に記載のオフレートを示し、x軸は分で測った時間であり、y軸は結合した%BLA活性を示す。
【図11】実施例10に記載のCDを示す。
【図12】CAB1.11iの組織局在化を示すグラフである。x軸はCAB1.11i構築の投与後の時間を、時間(hour)単位で示す。y軸は異なる器官でのCAB構築の濃度を、右のチャートにカラーで示す様に、ug/g単位で示す。グラフはCAB1.11iが急速に血漿、肝臓及び腎臓から除去され、腫瘍に局所化されていることを示す。
【図13】CAB1.11iの腫瘍の血液に対する比率を示す。x軸は時間単位の、CAB1.11i構築体の投与後の時間を示す。y軸は血液に対する腫瘍のレベルを示す。血液に対する腫瘍の高い比率が達成され、維持された。
【図14】ヒトの結腸直腸癌の異種移植(xenograft)マウスモデルでの活性を示す。x軸は日数を示し、y軸は立方ミリメータで測った腫瘍容量を示す。例えば、実施例12を参照。
【図15−A】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−B】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−C】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−D】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−E】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−F】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−G】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−H】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−I】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図15−J】実施例14に記載のIHC染色の結果を示す。1欄はケース番号を示し;4欄はサンプルの病状を示す;5欄はサンプルの診断結果を示し;欄6は元の組織/発見部位を示し;7欄は実施例に記載のH&E染色の結果を示し;8欄はコントロール、ヒトのサイトケラチン(cytokeratin)に対する染色結果を示し;9−12欄は関連するCABに対する染色の結果を示し;13欄は抗体染色がない場合の結果を示す。
【図16A】血漿及び腫瘍CAB1.11i濃度−時間グラフ(ログー直線目盛り)を示す。x軸は、時間(hour)単位の時間を、y軸は濃度を示す。
【図16B−1】血漿GC-Mel及びメルファラン(melphalan)露出に関する投与間隔を示す。CG-Mel 及びMel、を各々示し、x軸は時間単位の経過時間を、y軸は濃度を示す。
【図16B−2】グラフは、それぞれCG-Mel 及びMelを示し、y軸はAUCを示し、横棒は表示の様に時間(hour)を示す。
【図17】CAB1.11i及びGC-Mel投与の間隔が増大すると、Melに露出される血漿及び腎臓の割合が減少することを示す。y軸はAUCを示し、x軸は時間(hour)単位の時間を示す。腎臓、血漿及び腫瘍のコードは右側の挿入枠に示す。
【図18】全身へのメルファラン露出は減少しているが、各時間枠において腫瘍の有効なメルファラン露出が達成されていることを示す。y軸はAUCを示し、x軸はサンプル、血漿又は腫瘍を表す。時間はグラフの左の挿入枠に示す。
【図19A】実施例16に表す平均腫瘍容量を示す。x軸は日数で測った時間を示し、y軸はmm3で測った腫瘍容量を示す。
【図19B】実施例16に表す平均体重を示す。x軸は日数で測った時間を示し、y軸は%体重の変化を示す。
【図20】可能性のある、又は潜在的な免疫原、特にCAB1.11i又はwt BLA投与IV又はCAB1.11i、wt BLA又はBLAi投与のIPの結果を示す。x軸は投与された分子又はテスト製品又はタンパク質示す。y軸はIgG抗体で測った反応を示す。
【図21】実施例18に記載の投与用量範囲の効果研究の結果を示す。図はCG-melの幾つかの投与レベルの効果を示す。x軸はポストCAB1.11i投与の日数を表し、y軸はmm3で測った腫瘍容量を示す。
【図22A】実施例19に記載のTLS 174T異種移植(xemograft)腫瘍を持つNCRヌードマウスにCAB1.11i後にCG-melを投与した用量範囲の分析結果、特に、平均%体重のロスを示す。各々72時間及び96時間の投与間隔での平均%体重ロスを示す。x軸は日数による時間を、y軸は平均%体重ロスを示す。挿入枠は投与薬剤に関する手引きを示す。
【図22B】実施例19に記載のTLS 174T異種移植(xemograft)腫瘍を持つNCRヌードマウスにCAB1.11i後にCG-melを投与した用量範囲の分析結果、特に、平均%体重のロスを示す。各々72時間及び96時間の投与間隔での平均%体重ロスを示す。x軸は日数による時間を、y軸は平均%体重ロスを示す。挿入枠は投与薬剤に関する手引きを示す。
【図23】実施例20に記載のネズミにおけるCAB1.11i血漿濃度―時間グラフを示す。上のグラフは雌ネズミ、下のグラフは雄ネズミを表す。x軸は時間単位による時間を、y軸はCAB1.11i濃度を示す。
【図24A】Sprague-Dawleyラットの静脈内ボーラス投与に続くCAB1.11iの薬物動態を示し、実施例21に記載するラットにおけるCAB1.11i濃度−時間グラフを表す。x軸は時間単位の時間を、y軸は濃度を示す。
【図24B】Sprague-Dawleyラットの静脈内ボーラス投与に続くCAB1.11iの薬物動態を示し、ラットにおける血漿濃度−時間グラフを表す。x軸は時間単位の時間を、y軸は濃度を示す。挿入枠は2つの代表的なCAB1.11iの記号(円及び四角形、15%二量体及びモノマー)をそれぞれ示す。
【図25】カニクイザルに2週間CAB1.11iを与えた後のCAB1.11i濃度―時間グラフを表す。x軸は時間単位の時間を、y軸はCAB1.11iの濃度を示す。挿入枠は凡例を示し、各々Fは雌を、Mは雄を表す。
【図26】実施例22に記載の様に、CEAを同時に投与し、又は投与しない場合のCAB1.11iを示す。x軸は時間単位の時間を、y軸はCAB1.11i濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非修飾アミノ酸配列を含むCAB分子であり、非修飾アミノ酸配列は配列番号2に規定する配列であるCAB分子。
【請求項2】
CAB分子であり、配列番号2に規定するアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を含み、修飾は12, 72, 283 又は586の位置での修飾の少なくとも一つを含み、前記位置番号は配列番号2に示すものである、CAB分子。
【請求項3】
CAB分子が12及び72の位置で修飾を含む請求項2に記載のCAB分子。
【請求項4】
CAB分子が12, 72, 283 及び586の位置で修飾を持つ請求項2に記載のCAB分子。
【請求項5】
CAB分子がA12S, R72G, K283A 又はS586Aの内の少なくとも一つの修飾を持つ請求項2に記載のCAB分子。
【請求項6】
CAB分子が、A12S及びR72Gの修飾を持つCAB1.11分子を含む請求項2に記載のCAB分子。
【請求項7】
CAB分子が、A12S, R.72G, K283A 及びS586Aの修飾を持つCAB1.11i分子を含む請求項2に記載のCAB分子。
【請求項8】
CAB分子をコードする核酸であり、前記CAB分子は非修飾アミノ酸配列を含み、前記非修飾アミノ酸配列は配列番号2に規定する配列である、前記核酸。
【請求項9】
CAB分子をコードする核酸であり、前記CAB分子は配列番号2に規定するアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を含み、前記修飾は12, 72, 283 又は586の位置の修飾の少なくとも一つを含み、前記の位置番号は配列番号2に示すものである、前記核酸。
【請求項10】
前記CAB分子が位置12及び72で修飾を持つ、請求項9に記載の核酸。
【請求項11】
前記CAB分子が位置12, 72, 283 及び 586で修飾を持つ、請求項9に記載の核酸。
【請求項12】
前記CAB分子がA12S, R72G, K283A 又はS586Aの少なくとも一つの修飾を持つ、請求項9に記載の核酸。
【請求項13】
前記CAB分子が、A12S及び R72Gの修飾を持つCAB1.11分子を含む、請求項9に記載の核酸。
【請求項14】
前記CAB分子が、A12S, R72G, K283A及びS586Aの修飾を持つCAB1.11i分子を含む、請求項9に記載の核酸。
【請求項15】
治療を必要とする被験者を治療する方法であって、被験者にCAB分子及びCAB分子の基質であるプロドラッグを投与することを含む、前記治療方法。
【請求項16】
前記被験者が哺乳動物である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記被験者がヒトである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記CAB分子が非修飾アミノ酸配列を含み、前記非修飾アミノ酸配列は配列番号2に規定する配列である請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記CAB分子が、配列番号2に規定するアミノ酸配列から修飾されたアミノ酸配列を含み、前記修飾は12, 72, 283 又は586の位置の少なくとも一つを含み、その位置番号は配列番号2に規定するものである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記CAB分子が、A12S,及び R72Gの修飾を持つCAB1.11分子を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記CAB分子が、A12S, R72G, K283A及びS586Aの修飾を持つCAB1.11i分子を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記CAB分子とプロドラッグが異なる時に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記CAB分子がプロドラッグより先に投与され、両者の投与の間の時間が投与間隔を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記投与間隔が約1日から約14日である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記投与間隔が約3日から約10日である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与間隔が約7日から約10日である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記投与間隔が約3日から約7日である請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記投与間隔が約3日である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記投与間隔が約4日である請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記投与間隔が約5日である請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記投与間隔が約6日である請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記投与間隔が約7日である請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記プロドラッグがメルファランベース(Melphalan-based)のプロドラッグである請求項15に記載の方法。
【請求項34】
前記メルファランベース(Melphalan-based)のプロドラッグがGC-Melである請求項33に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E−1】
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【図4E−2】
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【図4E−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15−A】
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【図15−B】
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【図15−C】
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【図15−D】
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【図15−E】
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【図15−F】
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【図15−G】
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【図15−H】
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【図15−I】
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【図15−J】
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【図16A】
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【図16B−1】
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【図16B−2】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2008−501313(P2008−501313A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508444(P2007−508444)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012270
【国際公開番号】WO2005/111078
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(500284580)ジェネンコー・インターナショナル・インク (67)
【Fターム(参考)】