説明

CDK阻害物質の塩

本発明は、cdk阻害物質の水溶性塩および遊離塩基の新規の結晶形態(単数および複数)に関する。そのような結晶塩は、例えば、フマル酸塩、L−リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、L−乳酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、三塩酸塩である。そのような新しい塩の形態の水和物および多形、これらの調製プロセス、これらの治療における有用およびこれらを含有する医薬組成物に対してもまた特許請求され、本明細書に記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、cdk阻害物質の新規の水溶性結晶塩、これらの調製方法、このような新しい形態の塩の水和物および多形、治療におけるこれらの有用性ならびにこれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞周期の進行は、一連のチェックポイント制御(さもなければ、制限点と呼ばれる。)によって支配され、この制御は、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)として知られている酵素群によって調節されることがよく知られている。同様にcdk自体は、例えばサイクリンへの結合などの多くの段階において調節される。
【0003】
種々のサイクリン/cdk複合体の調節された活性化および不活性化は、細胞周期の正常な進行のために必要である。重要なG1−S移行およびG2−M移行の両方が、種々のサイクリン/cdk活性の活性化によって制御される。G1期では、サイクリンD/cdk4およびサイクリンE/cdk2の両方が、S期の進行の開始を仲介すると考えられている。S期の進行には、サイクリンA/cdk2の活性が必要であり、一方、有糸分裂の開始には、サイクリンA/cdc2(cdkl)およびサイクリンB/cdc2の活性化が必要である。サイクリンおよびサイクリン依存性キナーゼへの一般参照に関しては、例えば、Exp.Opin.Invest.Drugs、1998年、第7巻(6)、865−887ページにおけるKevin R.Websterらを参照されたい。
【0004】
チェックポイント制御は腫瘍細胞においては不完全であり、これはcdk活性の調節不全に一部起因する。例えば、腫瘍細胞においてサイクリンEおよびcdkの変化した発現が観察されており、マウスにおけるcdk阻害物質p27KIPの遺伝子の欠失により癌の発生率が上昇することが示されている。
【0005】
増加する証拠は、cdkが細胞周期の進行における律速酵素であり、したがって、治療介入のための分子標的になるという考えを支持している。特に、cdk/サイクリンのキナーゼ活性の直接阻害は、腫瘍細胞の無秩序な増殖の制限に役立つはずである。
【0006】
いくつかのピラゾロキナゾリンは、サイクリン依存性キナーゼ酵素、特にcdk2の強力な阻害物質であることが実証された。これらの化合物の中の1つが、抗癌剤として現在開発中である。
【0007】
cdk阻害物質は、細胞周期のG2/M期からの細胞の通過を阻止すると理解されている。
【0008】
第1の態様において、本発明の目的は、以下の式:
【0009】
【化1】

を有する化合物125の塩を提供することである。
【0010】
本発明の記載において特に指定のない限り、化合物125は、8−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−1,4,4−トリメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−h]キナゾリン−3−カルボン酸メチルアミドである。これは、2004年12月2日に公開された国際特許出願のWO2004104007に記載されるように調製することができ、プロテインキナーゼ阻害活性を有しているので、抗腫瘍剤として治療に有用である。特に、化合物125の好ましい調製は、上記で言及した国際特許出願の実施例58に記載されているものである。
【0011】
2007年8月16日に公開された国際特許出願のWO2007090794には、そのような化合物の他の抗腫瘍剤との特定の相乗的な組合せが記載され、特許請求されている。
【0012】
化合物125は水溶性の低い化合物であり、水溶解度は、0.1mg/ml未満を示す。化合物125の溶解度は、5%のデキストロース溶液中では、0.1mg/ml未満、10%の水性ポリソルベート80中では約0.8mg/ml、50%の水性ポリエチレングリコール400中では約8mg/mlおよびその場でHClの塩として配合された場合、約10mg/ml以上である。
【0013】
さらに遊離塩基は、水分の最大吸収が25℃で相対湿度(RH)90%において約2%を示すので、僅かに吸湿性である。
【0014】
初期に得られた遊離塩基は、化合物の溶解度を高め、(上記で言及した国際特許出願の実施例59に記載されているような)初期の薬理学的および毒性学的評価のための水溶液として薬物を製剤化できる(デキストロースの5%溶液中での溶解度は約10mg/mlである。)ように、三塩酸塩へ変換された。
【0015】
初期の製剤化方法の問題は解決されたが、得られた三塩酸塩は吸湿性の非晶質固体であったので、経口剤形の開発には適さなかった。
【0016】
水分の吸収は、医薬品粉末には重大な懸案事項である。水分は、例えば、薬物、添加剤および製剤の物理的、化学的ならびに製造特性に著しい影響があることが分かった。また、これは、包装、貯蔵、取り扱いおよび保存期限に関連した決定を行う際の重要な因子でもあり、開発の成功には、吸湿特性の適切な理解が必要である。
【0017】
例えば、相対湿度が臨界値を超え、含水率が固体中で急速に増加する場合、無水物形態から水和物形態への変換が観察されることがある。これは、薬物自体の物理的特性および薬剤学的性質に影響があるだけではなく、生物薬剤学的展望に対しても影響がある。
【0018】
その上、水和物形態は、均質な無水物形態と比較して溶解度が低い傾向にあり、活性化合物自体の分解速度の特性および消化管経由の吸収プロフィールに対しても、潜在的に不利益な効果があることがよく知られている。同様に、湿気がある中で結晶形態から非晶質形態への変換が観察でき、物理的安定性に関して潜在的な不都合がある。非晶質の活性原薬が潮解性の場合、例えば、これが分解に達するまで比較的大量の水分を大気から吸収する可能性があり、一方、さらに熱力学的に活性化された非晶質構造はより化学分解しやすく、他の化学種と相互作用を起こしやすいので、この化学安定性も影響を受ける可能性がある。したがって、製剤および活性成分の両方の性能および効力が、著しく変化し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2004/104007号
【特許文献2】国際公開第2007/090794号
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Kevin R.Websterら、Exp.Opin.Invest.Drugs、1998年、第7巻(6)、865−887ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、より安全で効果的な経口投与を可能にするために、より低い吸湿性および良好で再現可能な生物薬剤学特性を備えた化合物125の水溶性塩が治療において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、改善された物理化学的特性を有する化合物125の新規の塩、ならびにこれらの塩の新規の結晶形態を提供することにより、上記に記載の技術的問題を解決した。実際に、新規の塩は、結晶性であり、吸湿性がより少なく、水溶性の高い速やかに溶解する固体であり、その他の全ての利点、特に治療上の利点を備えていることに加え、非晶質の遊離塩基および三塩酸塩の既知の形態によって提示される取り扱い、貯蔵および製剤化などの重要な利点を実質的にもたらす。
【0023】
驚くべきことであるが、化合物125の新しい塩の形態および遊離塩基の形態は、結晶性であることが見出されこれが証明された。結晶性粉末であるという特性は、これらの形態を医薬開発に特に適したものにしている。
【0024】
本発明は、また、以下に記載の添付図面を参照しても例示される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】x軸で2θ角(度)を記録し、他方、y軸で強度(CPS)が記録される、化合物125の遊離塩基およびこの結晶塩のX線回折図である。特に、スペクトルは、化合物125の遊離塩基の形態I(A)および以下の塩:三塩酸塩の形態I(B)、L−リンゴ酸塩の形態I(C)、グリコール酸塩の形態I(D)、マロン酸塩の形態I(E)で示される。
【図2】化合物125の遊離塩基の形態I(A)および以下の塩:マレイン酸塩の形態II(B)、コハク酸塩の形態I(C)、アジピン酸塩の形態I(D)のX線回折図である。
【図3】化合物125の遊離塩基の形態I(A)および以下の塩:二塩酸塩の形態I(B)、L−乳酸塩の形態I(C)、メシル酸塩の形態I(D)、リン酸塩の形態I(E)、フマル酸塩の半結晶形態I(F)のX線回折図である。
【図4】化合物125の遊離塩基の形態I(A)および以下の塩:三塩酸塩の形態I(B)、二塩酸塩の形態I(C)、塩酸塩の形態I(D)のX線回折図である。
【図5】遊離塩基と対イオンの間のモル比が0.5:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態I(A)、遊離塩基と対イオンの間のモル比が2:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態II(B)、遊離塩基と対イオンの間のモル比が2:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態I(C)および遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態III(D)のX線回折図である。
【図6】化合物125のグリコール酸塩の形態IのX線回折図である。
【図7】化合物125のマロン酸塩の形態IのX線回折図である。
【図8】化合物125の三塩酸塩の形態IのX線回折図である。
【図9】化合物125の二塩酸塩の形態IのX線回折図である。
【図10】化合物125の塩酸塩の形態IのX線回折図である。
【図11】遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態IのX線回折図である。
【図12】遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態IIのX線回折図である。
【図13】遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1である、化合物125のマレイン酸塩の形態IIIのX線回折図である。
【図14】化合物125の遊離塩基の形態IのX線回折図である。
【図15】pH6.8の緩衝溶液に溶解された化合物125の塩を析出させることによって得られた、化合物125の遊離塩基の形態IIのX線回折図である。
【図16】化合物125の遊離塩基の形態I(A)および以下の塩:マロン酸塩の形態I(B)、リン酸塩の形態I(C)、メシル酸塩の形態I(D)、フマル酸塩の半結晶形態I(E)、L−リンゴ酸塩の形態I(F)のDSCサーモグラムである。サーモグラムは、x軸に温度(℃)を記録し、他方y軸には熱流(mW)が記録される。
【図17】化合物125の遊離塩基の形態I(A)、および以下の塩:グリコール酸塩の形態I(B)、アジピン酸塩の形態I(C)、L−乳酸塩の形態I(D)、コハク酸塩の形態I(E)およびマレイン酸塩の形態II(F)のDSCサーモグラムである。
【図18】化合物125の三塩酸塩の形態I(A)、二塩酸塩の形態I(B)および塩酸塩の形態I(C)のDSCサーモグラムである。
【図19】実施例6に記載されたようにさらなる乾燥にかけた化合物125の、L−乳酸塩の形態I(A)、コハク酸塩の形態I(B)およびアジピン酸塩の形態I(C)のDSCサーモグラムである。
【図20】化合物125のマレイン酸塩の、典型的なDSCサーモグラムである。
【図21】化合物125のマレイン酸塩(A)のTGAサーモグラムおよび例えば実施例8に記載されたプロセスと同様な吸湿性試験(DVS)による平衡化に一例としてまわした、化合物125のマレイン酸塩のTGAサーモグラムである。TGAサーモグラムは、x軸に温度(℃)を記録し、一方、y軸にパーセント重量(%)を記録する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の態様において、本発明は、フマル酸塩、L−リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、メシル酸塩およびL−乳酸塩から選択される化合物125の新しい塩の形態、ならびにこれらの結晶形態に関する。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、塩酸塩、二塩酸塩および三塩酸塩から選択される、化合物125の新しい結晶形態に関する。
【0028】
これらの塩は結晶性であることが分かり、結晶性であることはこれらの形態を医薬開発に特に適したものにしている。
【0029】
化合物125のそのような塩は、適切な溶媒中に溶解した遊離塩基に、対イオンの溶媒溶液または水溶液の所望のモル濃度を添加することによる既知の類似方法によって、得ることができる。
【0030】
そのような溶媒は、好ましくは有機溶媒、特に無水の有機溶媒であり、好ましくはメタノール、エタノール、ジクロロメタンおよびこれらの混合物から選択される。必要であれば、無水非極性溶媒(例えばジエチルエーテル、n−ヘキサンまたはシクロヘキサン)の添加または無水非極性溶媒中で再処理することによる、得られた塩の析出または結晶化が好都合であり得る。
【0031】
本発明によると、塩の定義には、これらの水和物および多形もまた含まれる。
【0032】
本発明は、特に、化合物125のマレイン酸塩の新しい結晶形態および水和物に関する。
【0033】
本明細書で用いられる用語「水和物」とは、溶媒化によって形成される化合物を意味し、ここで、溶媒は水である。
【0034】
次に、さらなる態様では、本発明は、遊離塩基としての化合物125の安定な結晶形態に関する。
【0035】
本発明のさらなる目的は、活性成分としての上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態、ならびに薬学的に許容され得る添加剤および/または担体を含む、医薬組成物を提供することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、活性成分としての上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態を、医薬品としての使用、特にCDK阻害物質としての使用に提供することである。
【0037】
本発明のさらなる目的は、ヒトを含む哺乳動物に、上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態の治療有効量を投与することを含む、CDKの阻害を必要とする哺乳動物を治療するための方法を提供することである。
【0038】
加えて、本発明は、癌などの細胞増殖性障害、ウイルス感染、自己免疫疾患および神経変性障害を意味する、CDKの阻害により治療可能な病態に罹患している、ヒトを含む哺乳動物を治療するための方法において使用するための、上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態に関する。
【0039】
したがって、上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態は、単独使用または他の治療剤との併用において、CDKの阻害により治療可能な病態に罹患しているヒトを含む哺乳動物を治療するために有用であり、このような治療向けの医薬品の調製において有用である。
【0040】
したがって、本発明は、上記で定義した化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態を、CDKの阻害により治療可能な病態を治療する医薬品の製造のためにもまた提供する。
【0041】
用語「治療可能な病態」とは、本発明による治療が、病態の寛解を提供することまたは本発明の治療により治療を受けている哺乳動物の少なくとも状態および生活の質が改善されることを意味する。
【0042】
そのような病態の例は、とりわけ、癌腫の全ての種類、骨髄系またはリンパ系の造血器腫瘍、間葉原発性の腫瘍、中枢神経系および末梢神経系の腫瘍、メラノーマ、中皮腫、精上皮腫、奇形癌種、骨肉腫およびカポジ肉腫を含み得る様々な癌であるが、良性前立腺肥大、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化に伴う血管平滑細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎、術後狭窄および再狭窄、臓器移植拒否反応および宿主対移植片疾患などの細胞増殖性疾患でもまたある。
【0043】
化合物125の塩の有効量は、疾患、障害の重症度および治療される患者の状態に従って、変えることができる。したがって、医師は、いつもの通りにそれぞれの患者の至適用量を設定しなければならない。いずれにしても、投与量の有効範囲は、単回投与量または1日当たりの複数分割投与量としてのいずれかで、(遊離塩基として計算された)約20mg/日から約300mg/日とすることができ、好ましくは約50mg/日から約150mg/日とすることができる。
【0044】
上記で定義された化合物125の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態は、経口で容易に吸収されるので、経口投与が好ましい。
【0045】
言うまでもなく本発明の化合物は、例えば、非経口経路、局所経路、直腸経路および鼻経路などによる任意の投与経路によって投与され得る。
【0046】
したがって、第1の態様において本発明は、化合物125のフマル酸塩、L−リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、メシル酸塩およびL−乳酸塩に関する。
【0047】
本発明の好ましい塩は、化合物125のL−リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩およびL−乳酸塩である。
【0048】
化合物125のより好ましい塩は、マレイン酸塩、マロン酸塩およびグリコール酸塩である。
【0049】
上記に述べたように、本発明は、化合物125の塩の新しい結晶形態および水和物にもまた関する。
【0050】
別の態様では、本発明は、遊離塩基としての化合物125の新しい結晶形態に関する。
【0051】
さらなる態様として、化合物125のマレイン酸塩は、形態I、形態IIおよび形態IIIと命名した3つの異なる結晶形態の結晶性固体として得られることが分かった。
【0052】
形態Iは、水化した形態として特徴付けられ、室内条件(例えば、25℃/60%RH)において水1モルの可逆吸着を示し、温度および/または湿度の負荷条件(例えば、40℃/75%RHでの貯蔵)へ曝露させる作用によって形態IIIへの変換を受ける、化合物125のマレイン酸塩の高融点の結晶形態である。
【0053】
25℃および相対湿度(RH)90%における約3.0÷3.5%の合計吸収は、同一の温度でRHを約20%に低下させることにより元に戻すことができる。
【0054】
形態IIは、結晶格子内に不定比量の溶媒(例えば、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール)を保持する特性を示し、乾燥条件による作用または温度および湿度の負荷条件(例えば、40℃/75%RHでの貯蔵)へ曝露させる作用によって、形態Iまたは形態IIIへの変換を受ける、化合物125の高融点の結晶形態である。
【0055】
形態IIIは、水化した形態として特徴付けられ、室内条件(例えば、25℃/60%RH)において水約1モルの可逆収着を示す、化合物125のマレイン酸塩の高融点の結晶形態である。25℃および相対湿度(RH)90%における約3.0÷3.5%の吸収は、同一の温度でRHを約20%に低下させることにより元に戻すことができる。
【0056】
さらなる態様として、化合物125のマレイン酸塩は、モル比が0.5:1、1:1および2:1の結晶性固体として得られることが分かった。
【0057】
化合物125のグリコール酸塩および化合物125のマロン酸塩は、僅かに吸湿性であり、両方とも、25℃/90%RHにおいて約2.5%の可逆的な水分吸収を示す。
【0058】
化合物125の塩は、十分な溶解度を示し、特にマレイン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩の0.5%デキストロース溶液中の溶解度は、約10mg/ml以上である。
【0059】
水に対して高い溶解度を示すという利点に加えて、化合物125の塩、特にマレイン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩は、明確な酸/塩基比で再現性よく製造するのにもまた特に適している。
【0060】
この知見により、これらの塩は、経口剤形ならびに静脈内投与製剤向けの液剤での使用のために特に適したものになる。
【0061】
【表1】

【0062】
好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態Iは、図11に示したX線回折図を表す。
【0063】
図11に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)付近において有意なピーク強度を有する、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125のマレイン酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0064】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表7に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0065】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態IIは、図12に示したX線回折図を表す。
【0066】
図12に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125のマレイン酸塩の形態IIにもまた、高い優先度が付与される。
【0067】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表8に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0068】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態IIIは、図13に示したX線回折図を表す。
【0069】
図13に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125のマレイン酸塩の形態IIIもまた、高い優先度が付与される。
【0070】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表9に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0071】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオンの間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なグリコール酸塩の形態Iは、図6に示したX線回折図を表す。
【0072】
図6に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125のグリコール酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0073】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表2に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0074】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なマロン酸塩の形態Iは、図7に示したX線回折図を表す。
【0075】
図7に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する、遊離塩基と対イオン間のモル比が1:1にある化合物125の本質的に純粋なマロン酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0076】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表3に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0077】
別の好ましい実施形態では、化合物125の本質的に純粋な三塩酸塩の形態Iは、図8に示したX線回折図を表す。
【0078】
図8に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する化合物125の三塩酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0079】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、表4に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0080】
別の好ましい実施形態では、化合物125の本質的に純粋な二塩酸塩の形態Iは、図9に示したX線回折図を表す。
【0081】
図9に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する化合物125の二塩酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0082】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、下記の表5に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0083】
別の好ましい実施形態では、化合物125の本質的に純粋な塩酸塩の形態Iは、図10に示したX線回折図を表す。
【0084】
図10に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する化合物125の塩酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0085】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、下記の表6に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0086】
別の好ましい実施形態では、本質的に純粋な化合物125の遊離塩基の形態Iは、図14に示したX線回折図を表す。
【0087】
図14に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する化合物125の遊離塩基の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0088】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、以下の表10に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0089】
別の好ましい実施形態では、本質的に純粋な化合物125の遊離塩基の形態IIは、図15に示したX線回折図を表す。
【0090】
図15に示されたタイプのX線回折図を表し、表1に記載された2θ値(度)でピーク強度を有する化合物125の遊離塩基の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0091】
追加の物質(他の結晶形態、添加剤)を含まないサンプルでは、以下の表11に記載された2θ値(度)付近で回折ピークを観察できるはずである。
【0092】
さらなる態様として、化合物125のマレイン酸塩は、遊離塩基と対イオンの間のモル比が0.5:1にある結晶性固体として得られることが分かった。
【0093】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオンの間のモル比が0.5:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態Iは、図5においてAに符号化されたX線回折図を表す。
【0094】
さらなる態様として、化合物125のマレイン酸塩は、遊離塩基と対イオンの間のモル比が2:1にある結晶性固体として得られることが分かった。
【0095】
表5においてCに符号化されたX線回折図を表し、遊離塩基と対イオン間のモル比が2:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態Iにもまた、高い優先度が付与される。
【0096】
別の好ましい実施形態では、遊離塩基と対イオンの間のモル比が2:1にある化合物125の本質的に純粋なマレイン酸塩の形態IIは、図5においてBに符号化されたX線回折図を表す。
【0097】
本質的に純粋とは、本発明の結晶形態が少なくとも90%の純度であることを意味する。より好ましくは、本発明の結晶形態は少なくとも95%の純度であり、最も好ましくは、化合物125の酸付加塩または遊離塩基の結晶の内少なくとも99重量%が、本発明による結晶形態で存在している。
【0098】
固体状態の特徴に関するDSCによるさらなる態様として、PXRDによって結晶性物質として特徴付けられた化合物125のコハク酸塩、L−乳酸塩、アジピン酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、フマル酸塩およびL−リンゴ酸塩は、複雑なDSCプロフィールを示すことが分かった。このような塩は、脱溶媒和/脱水プロセスを含む熱転移を受け、DSCのピーク融解温度によって特徴付けられる、脱溶媒和された/脱水した形態の融解が引き続いて起こる。例えば分解が起こると熱転移がさらに続いて起こり得る。
【0099】
固体状態の特徴に関するDSCによるさらなる態様として、化合物125の三塩酸塩、二塩酸塩および塩酸塩もまた、複雑なDSCプロフィールを示すことが分かった。このような塩は、脱溶媒和/脱水プロセスを含む熱転移を受け、引き続く特性は、これらのDSCのピーク融解温度によって特徴付けられる、HClの分解および損失を伴う融解と関連があった。
【0100】
固体状態の特徴に関するDSCによるさらなる態様として、化合物125のマロン酸塩もまた、複雑なDSCプロフィールを示すことが分かった。この塩は、融解を含む熱転移を受け、対イオンの分解および気化が引き続いて起こり、おそらく遊離塩基の結晶化が続き、この融解が引き続いて起こる(これらの特徴は、DSCのピーク融解温度によって特徴付けられる。)。
【0101】
DSCの開始温度値および/またはピーク温度値は、機械によって、方法によってまたはサンプルによって僅かに変動し得ることがあるので、引用された値は、絶対的なものと解釈されるべきではないことを理解されたい。実際、観測された温度は、温度変化の速度ならびにサンプル調製法および使用される特定の機器に左右される。このような様々な条件を適用して得られた温度値は、約プラスまたはマイナス4℃だけ変動し得ることが推定され考慮に入れられる。結果は、表Iおよび実施例6にさらに記載されている。
【0102】
本発明のさらなる態様によると、医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に投与するために、当技術分野で既知の方法に従って当技術分野で既知の医薬品形態の任意のものに製剤化することができる。
【0103】
例えば、薬学的に許容し得る希釈剤または担体と会合した、本明細書で定義された化合物125を含む医薬組成物。本発明の組成物は、経口用途に適する(例えば、錠剤、ロゼンジ、硬カプセル剤または軟カプセル剤、水性または油性懸濁剤、乳剤、分散性粉剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤のような)形態、局所用途に適する(例えば、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性の液剤または懸濁剤としての)形態、吸入投与に適する(例えば、微粉化された粉剤または液体エアロゾル剤のような)形態、吹込投与に適する(例えば、微粉化された粉剤のような)形態または非経口投与に適する(例えば、静脈内、皮下、筋肉内投与のための無菌水性液剤もしくは無菌油性液剤または直腸投与のための坐薬のような形態にすることができる。
【0104】
本発明の組成物は、当技術分野で既知の、従来の医薬添加剤を使用する従来の手順により得ることができる。
【0105】
したがって、経口用途を目的とする組成物は、例えば、1つ以上の着色剤、甘味剤、香味剤および/または保存剤を含有し得る。
【0106】
錠剤の剤形に適する薬学的に許容され得る添加剤としては、例えば、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、炭酸ナトリウム、アルファ化デンプン、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムなどの充填剤;クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、クロスポビドンまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの造粒剤および崩壊剤;デンプン、微結晶セルロース、ポビドン、スクロースなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールまたはタルクなどの平滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;エチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどの保存剤、ならびにアスコルビン酸などの抗酸化剤が挙げられる。
【0107】
錠剤の剤形は、これらの崩壊および引き続く消化管内の活性成分の吸収を変更するために、またはこれらの安定性および/または外観を改善するために、コーティングされていないものまたはコーティングされたものとすることができ、いずれの場合でも、当技術分野でよく知られている従来のコーティング剤および手順を用いる。
【0108】
経口用途のための組成物は、活性成分が、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンである不活性な固体希釈剤と混合され、上記で言及した錠剤の剤形のための添加剤を含む硬ゼラチンカプセルの形態としてもよく、または活性成分が、水もしくはピーナッツ油、流動パラフィン、大豆油、ココナッツオイルなどの油、好ましくはオリーブ油と混合される軟ゼラチンカプセルまたは任意の他の許容され得るビヒクルと混合される軟ゼラチンカプセルとすることができる。また、経口用途のための組成物は、活性成分および例えば親水性担体、抗酸化剤として水溶性ビタミンE誘導体ならびに場合によって他の添加剤を含み、活性成分が安定で薬学的な固溶体または半固溶体として製剤化される、硬ゼラチンカプセルの形態としてもよい。水性懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなどの1つ以上の懸濁化剤;レシチンまたはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシエタノール)またはエチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの(ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどの)縮合生成物またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシエタノール)またはエチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの(ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどの)縮合生成物またはエチレンオキシドの、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)などの分散剤または湿潤剤と一緒に、微粉化形態の活性成分を一般に含有する。
【0109】
水性懸濁剤は、また、1つ以上の(エチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートなどの)保存剤、(アスコルビン酸などの)抗酸化剤、着色剤、香味剤および/または(スクロース、サッカリンまたはアスパルテームなどの)甘味剤を含有してもよい。油性の懸濁剤は、(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツオイルなどの)植物油または(流動パラフィンなどの)鉱油に活性成分を懸濁することで製剤化され得る。また、油性の懸濁剤は、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有してもよい。
【0110】
口当たりの良い経口剤を提供するために、上記に設定したものなどの甘味剤および香味剤を添加してもよい。
【0111】
これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存することができる。
【0112】
水の添加による水性懸濁剤または液剤の調製に適している、分散性のまたは凍結乾燥された粉末および顆粒は、一般に、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の保存剤と一緒に活性成分を含有する。
【0113】
適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上記で言及したものによって例証されている。
【0114】
甘味剤、香味剤および着色剤などのさらなる添加剤もまた存在してよい。
【0115】
本発明の医薬組成物は、また、水中油型乳剤の形態にしてもよい。
【0116】
油性相は、オリーブ油、ラッカセイ油などの植物油もしくは例えば流動パラフィンなどの鉱油またはこれらの任意の混合物としてもよい。
【0117】
適切な乳化剤は、例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴムなどの天然に存在するゴム、大豆、レシチン、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)などの天然に存在するホスファチド、ならびにポリエチレンソルビタンモノオレエートなどの前記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物とすることができる。
【0118】
乳剤は、また、甘味剤、香味剤および保存剤を含有してもよい。
【0119】
シロップ剤およびエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはスクロースなどの甘味剤と共に製剤化してもよく、また、粘滑剤、保存剤、香味剤および/または着色剤を含有してもよい。
【0120】
医薬組成物は、また、無菌注射用水性もしくは油性懸濁剤、液剤、乳剤の形態または上記で言及した適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤の1つ以上を使用し、既知の手順に従って製剤化され得る特定のシステムとしてもよい。
【0121】
無菌注射用製剤は、また、毒性を示さない非経口的に許容され得る希釈剤また溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁剤、例えばポリエチレングリコール中の溶液としてもよい。
【0122】
坐薬の剤形は、活性成分と、常温で固体であるが直腸温で液体であり、したがって直腸内で溶解し薬物を放出する刺激性の無い適切な添加剤を混和することにより調製され得る。
【0123】
適切な添加剤としては、例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0124】
クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤および水性もしくは油性の液剤または懸濁剤などの局所剤形は、一般に、当技術分野でよく知られている従来の手順を用いて、活性成分を従来の局所的に許容され得るビヒクルまたは希釈剤と共に製剤化することにより得ることができる。
【0125】
吹込投与のための組成物は、例えば、平均直径が30μmの粒子、好ましくは平均直径が5μm以下のずっと小さい粒子、より好ましくは平均直径がμmと1μmの間にある粒子を含有する微粉化された粉末の形態にすることができ、粉末自体は、活性成分を単独でまたはラクトースなどの生理学的に許容され得る1つ以上の担体で希釈された状態で含む。
【0126】
次に、吹込み用の粉末は、ターボ吸入器で使用するために例えば1から50mgの活性成分を含有してカプセルに都合よく保持される。吸入投与のための組成物は、活性成分を微粉化された固体または液滴を含有するエアロゾルとして投与するように準備された、従来の加圧エアロゾル剤の形態にすることができる。
【0127】
揮発性のフッ素化炭化水素または炭化水素などの従来のエアロゾル噴射剤を使用することができ、エアロゾル装置は、活性成分の定量を投与するために都合よく準備される。
【0128】
硬ゼラチンカプセルの形態にある経口用途の組成物の実施例は、実施例10に記載されている。
【0129】
(実施例)
【0130】
次の実施例は、本発明を例示している。
【0131】
温度は、摂氏温度(℃)で測定される。
【0132】
別段の指示がない限り、反応または実験は室温で行われる。
略語:
RT:室温
RH:相対湿度
PXRD:粉末X線回折
DSC:示差走査熱量測定
DVS:動的蒸気収着
TGA:熱重量分析
【実施例1】
【0133】
化合物125の塩形成実験
化合物125の一定分量(約500mg)を、メタノールとジクロロメタンの1:1混合物10mL中に、RTで溶解すると、約50mg/mLの名目濃度が得られた。
【0134】
次に、記載した化合物125の遊離塩基溶液0.7mLに対して1:1のモル量の対イオンをRTで添加して、いくつかの塩形成実験を実施した。
【0135】
マイナス30℃における冷却結晶化実験を、静止時間を約24−36hとって実施した。
【0136】
真空ろ過により得られた沈殿物を収集し、真空下において40℃で乾燥した。
【0137】
結晶化が起こらなかった場合、溶液を弱い窒素フロー下においてRTで蒸発させ濃縮し析出させた。
【0138】
粘着性の残渣から始めて、結晶性のサンプルまたは少なくとも粉末状のサンプルを単離するために、いくつかのケースではさらなる再結晶化ステップ(例えば、ジエチルエーテル中での化合物の研和)が必要であった。
【0139】
真空条件下において40℃で乾燥させた。
【0140】
化合物125および酸性対イオンの化学的同定は、(実施例9に記載した)H NMRで実施した。
【実施例2】
【0141】
化合物125のグリコール酸塩、マレイン酸塩およびマロン酸塩のグラムスケールの調製
遊離塩基を、グリコール酸塩およびマレイン酸塩を調製する場合は、無水エタノール中に還流で溶解し、一方マロン酸塩を同様に還流条件で調製するためには、メタノールを使用した。
【0142】
遊離塩基を完全に溶解した後で、1当量の酸性対イオンを添加した。
【0143】
反応容器中で還流操作を適切な時間続けた後で、加熱を中止して自然に冷却させRTにした。この段階でグリコール酸塩が析出し、一方マレイン酸塩およびマロン酸塩は、それぞれ0℃および−20℃までさらに冷却する必要があった。次に、析出した物質をろ過し、真空下において40℃で少なくとも24時間乾燥した。
【実施例3】
【0144】
化合物125のマレイン酸塩の大規模な調製
かなりの量の化合物125の遊離塩基を還流で加熱し、無水エタノール中で30分間撹拌して、出発物質(濃度約25g/L)を完全に溶解させた。
【0145】
その後、1当量のマレイン酸をエタノールに溶解し(濃度約315g/L)、遊離塩基溶液に添加した。
【0146】
完全な塩化に到達させるために還流を30分間行った後に、撹拌を穏やかにして加熱を中止した。
【0147】
混合物を、自然にRTに戻し、終夜析出させた。
【0148】
懸濁液を0℃で冷却した翌日、30分間この温度で撹拌し、次にガラス繊維フィルターでろ過した。
【0149】
次に、反応器を母液で洗浄し、得られた懸濁液を既存のパネルでろ過した。
【0150】
得られた物質を、次に50℃で48時間乾燥した。
【実施例4】
【0151】
化合物125の塩および遊離塩基の溶解度
化合物125の塩の溶解度測定は、他の条件を指定しない限り次の手順で行った。DMSO保存液を蒸発させて得られた化合物125の塩または遊離塩基の96ウェルプレート中の既知の量に、10mg/mLまたは20mg/mLの目標濃度を得るために、以下に報告した媒体を添加した。得られた調製物をRTで30分間撹拌し、ろ過してHPLCにより分析した。
【0152】
ここで結果を、以下に報告する。目標値(10mg/mLまたは20mg/mL)の達成は、表示「以上」で明記される。
【0153】
様々な水性媒体中の化合物125のグリコール酸塩の溶解度値を測定し、以下のとおりであることが分かった。すなわち、グルコース溶液5%中で6.2mg/mL;pH1.2の緩衝溶液(緩衝塩化物溶液)およびpH4.5の緩衝溶液(緩衝酢酸溶液)中では10.0mg/mL以上;pH6.8の緩衝溶液(緩衝リン酸塩溶液)では0.2mg/mLであった。
【0154】
グルコース溶液5%中の化合物125のマロン酸塩の溶解度値は、18.4mg/mLである。
【0155】
グルコース溶液5%中の化合物125の三塩酸塩の形態Iの溶解度値は、10mg/mL以上である。
【0156】
グルコース溶液5%中の化合物125の二塩酸塩の溶解度値は、20mg/mL以上である。
【0157】
様々な水性媒体中の化合物125のマレイン酸塩の形態IIIの溶解度値を測定し、以下のとおりであることが分かった。すなわち、グルコース溶液5%中では10.0mg/mL以上;pH4.5の緩衝溶液(緩衝酢酸溶液)中では約40.0mg/mL;pH6.8の緩衝溶液(緩衝リン酸塩溶液)中では約<0.1mg/mLであることが分かった。
【0158】
化合物125のマレイン酸塩の形態IIIの、緩衝溶液中での溶解度の測定を、40mgの化合物125に10mLの媒体を添加して行った。バイアルを37℃で機械的に振盪し、光から保護した。16時間後、サンプルを取り出し、溶解度を特異的HPLC法で分析した。
【0159】
様々な水性媒体中の化合物125の遊離塩基の溶解度値を測定し、以下のとおりであることが分かった。すなわち、グルコース溶液5%中では、溶液<0.1mg/mL;グルコース溶液5%中で50%のポリエチレングリコール400中では、7.2mg/mL;グルコース溶液5%中で10%のポリソルベート80中では、0.8mg/mL;その場で調製する塩酸塩として形成した場合、10mg/mLであった。
【実施例5】
【0160】
粉末X線回折(PXRD)による分析結果
Thermo/ARL XTRA装置を用い、2θが5°から34°の間で、CuKα源(45kV、40mA、1.8kW−Kα1放射線、波長λ=1.54060オングストローム)を室温で粉末サンプルに照射して実施した粉末X線回折で、化合物125の塩を特徴付けた。
【0161】
走査速度は、1.20°/分(1ステップごとの計数時間が1秒で1ステップ0.020°)である。
【0162】
X線回折図では、回折角度2θは水平軸(x軸)にプロットされ、線強度は垂直軸(y軸)にプロットされる。
【0163】
化合物125の塩および遊離塩基の結晶形態に関するX線粉末回折ピークを定義する段落において、表現「…表に報告された約2θ角度における…」の中で用いられる用語「約−における」は、ピークの正確な位置(すなわち、列挙された2θ角度値)が絶対的な値と解釈されるべきではないことを示すために使用されるが、この理由は、当業者によって理解されるように、ピークの正確な位置は、機械ごとにまたはサンプルごとに変動し得る、または利用される測定条件の僅かな変更の結果として変動し得るからである。
【0164】
化合物125の塩および遊離塩基の結晶形態は、図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15に示されたX線粉末回折パターンと「実質的に」同様なX線粉末回折パターンを提供し、表1、2、3、4、5、6、7、8、9、10および11に示された2θ角度値において、実質的に最も顕著なピークがあることが、上記の段落にもまた述べられている。この文脈での用語「実質的に」の使用は、X線粉末回折パターンの2θ角度値が、機械ごとに、サンプルごとに僅かに変動し得るまたは利用される測定条件の僅かな変更の結果として変動し得ることを示す意図がまたあることも理解されるべきであり、この場合もやはり図に示されているまたは表に引用されているピーク位置は、絶対的な値として解釈されるべきではない。
【0165】
この点において、X線粉末回折パターンには、(用いられる装置、サンプル調製または機械などの)測定条件により、1つ以上の測定エラーがあることが当業界には既知である。とりわけX線粉末回折パターンの強度は、測定条件およびサンプル調製により増減し得ることが一般に知られている。
【0166】
例えば、X線粉末回折の当業者は、ピークの相対強度は、例えば30ミクロンを超えるサイズの粒子および単一ではないアスペクト比により影響され、サンプルの分析に影響を及ぼし得ることを理解する。
【0167】
当業者は、また、反射位置は、サンプルが回折計に搭載される正確な高さおよび回折計のゼロ較正によって影響を受けることも理解する。
【0168】
サンプルの表面平面性もまた、小さい影響があり得る。
【0169】
そのような訳で、当業者は、本明細書で提示された回折パターンのデータは、絶対的なものと理解されるべきではないことを理解する(さらなる情報は、「Fundamentals of Powder Diffraction and Structural Characterization、PecharskyおよびZavalij、Kluwer Academic Publishers、2003年」を参照されたし。)。したがって、本発明に記載された化合物125の塩および遊離塩基の結晶形態は、図1に示したX線粉末回折パターンと同一のX線粉末回折パターンを提供する結晶に限定されないことを理解するべきであり、図1に示したX線粉末回折パターンと実質的に同じX線粉末回折パターンを提供する任意の結晶が、本発明の範囲に含まれることを理解するべきである。
【0170】
X線粉末回折の当業者は、X線粉末回折パターンの実質的な同一性を判定できる。
【0171】
一般に、X線粉末回折図の回折角度の測定エラーは、2θ=約0.5度以下(または、より適切には2θ=約0.2度以下)であり、図1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15のX線粉末回折パターンを検討する場合ならびに本文中および表1、2、3、4、5、6、7、8、9、10および11の中の両方で参照されたピーク位置を解釈する場合、測定エラーのこのような角度を考慮に入れるべきである。
【0172】
したがって、例えば、化合物125の塩および遊離塩基のX線粉末回折パターンでは、2θ=約22.8度(または、他に言及される角度の任意の1つ)において少なくとも1つの特定のピークがあると述べられる場合、これは、2θ=15.2度プラスもしくはマイナス0.5度または2θ=15.2度プラスもしくはマイナス0.2度として解釈することができる。
【0173】
図1から5では、実施例1で記載したような小規模で単離された化合物125の塩および遊離塩基のX線粉末回折図が報告されている。
【0174】
化合物125のグリコール酸塩(形態I)、マロン酸塩(形態I)、マレイン酸塩(形態I、形態IIおよび形態III)の主要なX線回折ピークが、実施例2、3および4に従って大規模で得られた化合物125の塩(グリコール酸塩、マロン酸塩およびマレイン酸塩)のX線粉末回折図の例を報告する、図7、8、9、10、11、12および13に報告されている。
【0175】
ここから、化合物125のグリコール酸塩(形態I)、マロン酸塩(形態I)、三塩酸塩(形態I)、二塩酸塩(形態I)、塩酸塩(形態I)、マレイン酸塩(形態I、形態IIおよび形態III)、化合物125の遊離塩基(形態Iおよび形態II)の主要なX線回折ピークの2θ角度を、次の表2、3、4、5、6、7、8、9、10および11にまとめる。
【0176】
【表2】

【0177】
【表3】

【0178】
【表4】

【0179】
【表5】

【0180】
【表6】

【0181】
【表7】

【0182】
【表8】

【0183】
【表9】

【0184】
【表10】

【0185】
【表11】

【実施例6】
【0186】
示差走査熱量測定(DSC)による分析結果
DSC分析を、Perkin−Elmer DSC−7装置で行った。DSC用アルミニウム製パンに、サンプル約2mgを充填した。分析温度範囲は、30℃から最大300℃の間とした。サンプルを、窒素フロー下で加熱速度10℃/分において分析した。
【0187】
図16、17、18には、実施例1に記載されたように小規模で単離された化合物125の塩および遊離塩基、ならびに異なる比で得られた塩酸塩のDSCサーモグラムが報告されている。
【0188】
図19には、実施例1に記載されたように小規模で単離し、その後真空下において65℃でさらに乾燥プロセスを行った化合物125のL−乳酸塩の形態I(A)、コハク酸塩の形態I(B)およびアジピン酸塩の形態I(C)のDSCサーモグラムが報告されている。(図17に報告されている。)元のDSCサーモグラムと比較すると、これらの水和物形態の特質が分かる。実際、L−乳酸塩およびアジピン酸塩のDSCプロフィールは、脱溶媒和および/または固相転移に関連した熱特性を含む、初期の熱挙動を維持していることが観測できる。他方、コハク酸塩のDSCプロフィールは乾燥によって著しく変化し、新たな熱転移が出現する。
【0189】
L−乳酸塩およびアジピン酸塩のDSC実験で操作した熱処理は、これらの塩の無水形態への変換を起こし、単一の溶融ピークを示すことが観測される。
【0190】
図20には、実施例1に従って得られた化合物125のマレイン酸塩の典型的なDSCサーモグラムが報告されており、形態IおよびIIIの両形態を特徴付けている。化合物125のマレイン酸塩に関して、溶融吸熱はおよそ183℃(ピーク温度)で観測され、ΔHfがおよそ65J/gを示した。脱水吸熱は、物質の水分吸収の平衡化に依存して、通常DSCサーモグラムの初期の部分に検出される。
【0191】
DSCの開始温度値および/またはピーク温度値は、機械によって、方法によってまたはサンプルによって僅かに変動し得ることがあるので、引用された値は、絶対的なものと解釈されるべきではないことを理解されたい。実際、観測された温度は、温度変化の速度、ならびにサンプル調製技法および使用される特定の機器に左右される。このような様々な条件を適用して得られた温度値は、約プラスまたはマイナス4℃だけ変動し得ることが推定され考慮に入れられる。
【実施例7】
【0192】
熱重量分析(TGA)による分析結果
TGA分析を、Perkin−Elmer TGA−7装置で行った。DSC用アルミニウム製パンに5÷10mgのサンプルを充填した。分析温度範囲は、30℃から最大値約200℃の間とした。サンプルを、(酸化作用および発熱作用を除くために)窒素フロー下で加熱速度2℃/分において分析した。
【0193】
図21には、実施例1に従って得られた化合物125のマレイン酸塩の典型的なTGAサーモグラムが記録されており、脱水した場合(A)および(例えば収着によるDVSの傾斜ラインの後で)平衡に達した場合(B)の、IおよびIIIの両形態の挙動を特徴付けている。60℃以内に検出された重量損失段階は、物質の水分吸収の平衡化に依存して、通常DSCサーモグラムの初期の部分に検出される脱水吸熱に関連付けることができる。
【実施例8】
【0194】
動的水蒸気収着測定(DVS)による分析結果
化合物125の塩および遊離塩基の水分吸収を、このような物質のサンプルをDVS1000(SMS)による吸湿性試験にまわして調べた。装置は、計量されたサンプルが、一定で制御された温度においてプログラムで変化させた相対湿度(RH)に曝露させる、「環境制御型微量てんびん」である。測定されたパラメーター(重量、時間およびRH))はExcelワークシートに記録され、これらにより試験を行ったRH範囲にわたる吸湿曲線が得られた。
【0195】
25℃の制御温度でRH0%とRH90パーセントの間の収着/脱着サイクルを実施することができる。RHの漸進的な変化は、10%および3%とすることができ、サンプル重量の平衡化においてソウトウェアで収着/脱着サイクルを作動させる。この条件は、重量変化のパーセントが一定の速度、例えば0.005%/分において規定することができる。実験結果を、DVS等温線レポートおよびDVS等温線プロットとして両方に記録する。収着によるDVSの傾斜ラインの間の化合物125のマレイン酸塩の水分吸収の例を、ここから次の表12にまとめる。
【0196】
【表12】

【実施例9】
【0197】
NMRによる同定分析
H NMR実験を、499.8MHzで作動する分光計Varian Inova 500によって、28℃の一定温度で実施した。各サンプルの少量を、0.75mLのDMSO−d6中に溶解し、引き続く分析のために5mmのNMR管に移した。当該分析により、分子および対イオンの両方の予測される化学構造を確認することが可能になる。
【実施例10】
【0198】
経口用途の剤形の組成パーセント
【0199】
【表13】

【0200】
当業者は、上記に記載のデータおよび実施形態から、本発明に記載の化合物125の新しい塩が、治療における新しい改善された有益なツールであることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フマル酸塩、L−リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、マロン酸塩、グリコール酸塩、リン酸塩、メシル酸塩およびL−乳酸塩から選択される、次の式:
【化1】

を有する化合物125の塩ならびにこれらの結晶形態。
【請求項2】
塩酸塩、二塩酸塩および三塩酸塩から選択される化合物125の塩の結晶形態。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物125の塩の水和物および多形。
【請求項4】
化合物125のマレイン酸塩の結晶形態および水和物。
【請求項5】
遊離塩基としての化合物125の安定な結晶形態。
【請求項6】
請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態を活性成分として含み、薬学的に許容され得る添加剤および/または担体を含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬品として使用するための、請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項8】
医薬品がCDK阻害物質として有用である請求項7に記載の使用のための、請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項9】
ヒトを含む哺乳動物に、請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態の治療有効量を投与することを含む、CDKの阻害を必要とする哺乳動物を治療するための方法。
【請求項10】
CDKの阻害により治療可能な病態に罹患している、ヒトを含む哺乳動物を治療する方法で使用するための、請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項11】
CDKの阻害によって治療可能な病態が、細胞増殖性障害、ウイルス感染、自己免疫疾患または神経変性障害であることを特徴とする、請求項10に記載の化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項12】
細胞増殖性疾患が癌であることを特徴とする、請求項11に記載の化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項13】
癌が、癌腫の全ての種類、骨髄系またはリンパ系の造血器腫瘍、間葉原発性の腫瘍、中枢神経系および末梢神経系の腫瘍、メラノーマ、中皮腫、精上皮腫、奇形癌種、骨肉腫およびカポジ肉腫を含むことを特徴とする、請求項12に記載の化合物125の任意の塩、化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または遊離塩基としての化合物125の結晶形態。
【請求項14】
CDKの阻害によって治療可能な病態を治療する医薬品の製造のための、請求項1または2に記載の化合物125の任意の塩、請求項4に記載の化合物125のマレイン酸塩の結晶形態もしくは水和物または請求項5に記載の遊離塩基としての化合物125の結晶形態の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−525345(P2012−525345A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507696(P2012−507696)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055463
【国際公開番号】WO2010/125004
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(307012403)ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ (55)
【Fターム(参考)】