説明

CNS疾患の治療のためのピロリジンアセトアミド誘導体単体又は組み合わせ物

【課題】新規医薬組成物の提供。
【解決手段】特定の疾病の治療のための医薬の製造のための(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドの使用、及び(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドを含む、新規な医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極性障害、片頭痛、慢性痛及び/又は神経障害性疼痛の治療処置及び/又は予防処置のための医薬の製造のための(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドの使用、並びに(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド及びGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の式:
【0003】
【化1】

【0004】
で表される、(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドもまた公知であり、以下、レベチルアセタム(levetiracetam)[国際的非所有名称(International Nonproprietary Name)]とよぶ。
【0005】
中枢神経系に対する、低酸素症を呈したタイプ及び虚血性のタイプの攻撃の治療及び予防のための保護薬としてのレベチルアセタムの使用が、欧州特許EP−B−0162036号中に記載されている。この化合物はまた、てんかんの治療に使用され、それに対する治療の示すものは、右旋性のエナンチオマー、(R)−(+)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドは、活性を完全に欠いていることが証明されている(A.J.GOWERら、Eur.J.Pharmacol.,222,(1992),193〜203頁)。この後者の化合物もまた、欧州特許EP−B−0645139号中に、不安の治療について記載されている。
【0006】
上で引用した欧州特許EP−B−0162036号もまた、レベチルアセタムを製造する方法を記述するが、これは対応するラセミ化合物の分割によって得た出発反応物の合成を必要とする。英国特許GB2225322号は、天然アミノ酸を使用するレベチルアセタムの製造法を記述するが、このアミノ酸は既に出発材料として、所望の立体化学的配置を有している。
【0007】
今般、驚くべきことにレベチルアセタムが、治療に役立つ性質を有し、この性質がレベチルアセタムを、双極性障害(bipolar disorders)、躁病(mania)、片頭痛(migraine)、及び慢性(chronic)又は神経障害性の疼痛(neuropathic pain)の治療及び予防に、特に有用にすることが発見された。これらの活性は、右旋性のエナンチオマー、(R)−(+)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミドには認められない。
【0008】
本発明は、従って、双極性障害、躁病、片頭痛、及び慢性又は神経障害性の疼痛の治療のための医薬の製造のためのレベチルアセタムの使用に関する。
【0009】
本発明はまた、片頭痛、双極性障害、躁病、及び神経障害性疼痛の治療法に関し、その方法は、レベチルアセタムの治療に役立つ投与量を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む。
【0010】
本明細書中で使用するように、用語「治療(treatment)」は、病気を治す処置、及び予防処置を意味する。
【0011】
本明細書中で使用するように、用語「病気を治す(curative)」は、継続している繰り返し症状の出現を治療することにおける効能を意味する(例えば、双極性疾患における躁時期又は鬱時期のように)。
【0012】
用語「予防の(prophylactic)」は、躁/鬱、片頭痛、又は神経障害性疼痛の繰り返し症状の出現の防止を意味する。
【0013】
本明細書中で使用するように、用語「片頭痛(migraine)」は、強さ、頻度、及び持続時間が広く変化する頭痛の周期的に起こる攻撃によって特徴づけられた疾患を意味する。この頭痛は、一般に片側であり、さらにしばしば、食欲不振、吐き気、嘔吐、音恐怖症、及び/又は光恐怖症を伴う。いくつかの場合に、それらは、神経学的な及び気分の障害が先に来るか又はこれらを伴う。片頭痛は、4時間から72時間続くだろう。国際頭痛学会(The International Headache Society)(HIS, 1988)は、前兆(aura)を伴う片頭痛(古典的片頭痛)及び前兆を伴わない片頭痛(通常の片頭痛)を片頭痛の主要なタイプとして分類する。前兆を伴う片頭痛は、特徴的な視覚、感覚、言語、又は運動症状に続く頭痛段階からなる。そのような症状がないかぎり、その頭痛は前兆のない片頭痛と呼ばれる。
【0014】
1年の罹患率の数値は、主に年齢及び性別に依存する(Ferrari MD.“Migraine” The Lancet(1998);351:1043〜1051 - Sheffield RE.“Migraine prevalence:a literature review” Headache(1998);38:595〜601)。
【0015】
一般人口の10%(男性の6%及び女性の15%)が、進行中の片頭痛患者である。罹患率は、女性で35歳〜50歳のあたりで、そして男性で25歳〜35歳で頂点に達する。10〜19歳のグループ内で、年齢とともに罹患率における急激な増加があり、14〜16歳あたりに頂点を有する。思春期前は、男性及び女性の間の罹患率は同じである。成人の間では、女性の男性に対する割合は、約2.5:1である。前兆なしの片頭痛に対する1年罹患率の比率は、前兆のある片頭痛よりも1.5〜7倍高い。
【0016】
片頭痛の治療は、4つのタイプに分けることができ、すなわち:一般的処置、進行停止治療、痛みを軽減する処置、及び予防処置である(Silberstein SD. 「片頭痛の予防治療:概観(Preventive treatment of migraine: an overview)」Cephalagia(1997);第17巻67〜72頁 − Diamond S, Diamond ML. 「頭痛及び片頭痛の現代の診療及び管理(Contemporary diagnosis and management of headache and migrane)」(1998); 第1版、Handbooks in Health Care Co., Newton,ペンシルバニア、USA) − Diener HC, Kaube H, Limmroth V.「片頭痛の管理及び予防のための実践的ガイド(A practical guide to the management and prevention of migrane)」 Drugs(1998);第56巻(5):811〜824頁)。
【0017】
一般的処置は、通常の睡眠計画、通常の食事計画、食事に関する処置等であるだろう。進行停止治療として使用されうる多くの薬があるが、単純な鎮痛薬、例えばアセチルサリチル酸、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、麦角化合物(ergot compounds)、抗嘔吐薬から、最も最近開発されたセロトニン(5−HT)アゴニスト(トリプタン(triptan)化合物)にわたる。
【0018】
疼痛緩和処置は、NSAIDs、麻酔性鎮痛薬、又は解放治療(rescue therapy)を含むことができる。急性治療用として、片頭痛の予防に使用される多くの薬物治療がある。予防治療は、通常、数ヶ月又は数年の間、毎日与えられる。それは、1月あたり2回以上の片頭痛の発作を有する患者用と考えるべきである。ベータ−アドレナリン受容体遮断薬−主にプロプラノロール(propranolol)−は、片頭痛予防において、それらの効能が認められている。同等の効果あるものは、鎮痙薬のジバルプロエックスナトリウム(divalproex sodium)である。その他の化合物は、3環式抗うつ薬(アミトリプチリン(amitriptyline))、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピン(nifedipine)、フルナリジン(flunarizine)、べラパミル(verapamil)、NSAIDs(ケトプロフェン(ketoprofen)、ナプロキセン(naproxen))、リボフラビン(ビタミンB2)、及び5−HTアンタゴニストである。
【0019】
片頭痛の病因の従来の理論は、血管原性理論(vasogenic theory)及び神経原性理論(neurogenic theory)である。これらの理論のいずれも、片頭痛発作の間に観測される臨床現象のすべては説明しない。
【0020】
片頭痛の病体生理学上の最近の展望は、発作の開始における神経学的及び血管の事象を考慮に入れる。内因性神経生理学的事象は、脳幹内で三叉血管線維(trigeminovascular fibers)を活性化し、それに続いての強力な血管作用性神経ペプチドの血管周辺での放出を伴う。動物実験では、これらの神経ペプチドは、神経性の炎症反応を促進し、この反応は、血管拡張及び硬膜血漿の血管外遊出からなる。皮質性拡延性抑制(cortical spreading depression)(CSD)は、ゆっくり広がる、皮質ニューロンの抑制の波として記述され、それは前兆の臨床症状に関連づけられる。実験的なCDSは、脳幹中の三叉血管系(trigemino-vascular system)を活性化することができ、前兆及び頭痛の機構の間の可能性ある関連を提供する。5−HTが、片頭痛の神経及び血管の成分中で、神経伝達物質及び液性伝達物質として作用するいくつかの証拠がある。
【0021】
片頭痛患者は、5−HT代謝の全身的障害を有する。
【0022】
片頭痛になりやすい人は、神経の興奮性に対する低い閾値を有することが理論的に予想されており、それはたぶん抑制性の神経伝達物質であるガンマ−アミノ酪酸(GABA)の減少した活性に帰因する。GABAは通常、神経伝達物質セロトニン(5−HT)及びグルタメートの細胞への効果を減少するが、これらの両者は片頭痛発作に関係するように見える。
【0023】
ジバルプロエックスナトリウム(Divalproex sodium)は、安定な配位化合物であり、バルプロ酸ナトリウム(sodium valproate)とバルプロ酸(valproic acid)を1:1モルの関係で含む。不調なGABA代謝は、片頭痛患者で報告されており、さらに脳脊髄のGABAレベルの変化が、片頭痛の繰り返し現れる症状の出現の間に発見された。ジバルプロエックスナトリウムは、GABAの分解を減少することによって、ガンマアミノ酪酸(GABA)の脳レベルを上昇させると考えられる。GABA作動性(GABAergic)系の増加した活性は、多くの機構を通じて直接又は間接に、片頭痛の発生に影響するであろう。可能性のある間接的機構は、背縫線核(dorsal raphe nucleus)内で、セロトニンで活性化されるニューロンの焼き付き(firing)速度を減少することを含む。
【0024】
本明細書中で使用するように、用語「バルプロエート(valproate)」は、バルプロ酸(valproic acid)及びその誘導体、例えばバルプロミド(valpromide)、バルプロエートピボキシル(valproate pivoxil)、マグネシウムバルプロエート(magnesium valproate)、ジバルプロエックスナトリウム(divalproex sodium)、バルプロ酸ナトリウム(sodium valproate)、及びセミ−バルプロ酸ナトリウム(semi-sodium valproate)を含む。
【0025】
バルプロエートは、エンケファリンの内因性の脳レベルを上昇することが報告されており、エンケファリンは、無痛症における決定的役割を演じる。
【0026】
バルプロエートは、脳内の、興奮性のアミノ酸のレベルを減少させると仮定されており、それは、CSDで妨害される(Mathew MTら、「ジバルプロエックスでの片頭痛予防(Migraine prophylaxix with divalproex)」Arch.Neurol.(1955);第52巻:281〜286頁 − Welch KM、D’Andrea G、Tepley N、Barkley G、Ramadan NM、「中枢神経高興奮性状態としての片頭痛の概念(The concept of migraine as a state of central neuronal hyperexcitability)」Neurol.Clin.(1990); 第8巻:817〜828頁)。
【0027】
バルプロエートで報告されている最も一般的な副作用は、悪心、嘔吐、消化障害、無力症、傾眠、めまい感、ふるえ、体重増加、及び脱毛である。大部分の副作用は、投与量に関係があるため、患者及び医師は、最も少なくて可能性のある治療効果のある投与量を目指すべきである。
【0028】
バルプロエートは、特に若い子供で、肝不全の公知の危険を有する。肝機能試験が、一定の間隔で実施されることが必要とされる。バルプロエートは、催奇性効果、たとえば神経管欠損を発生させることが報告されている。
【0029】
それにもかかわらず、片頭痛発作の予防は、発作の抑制以上に好ましいが、それは、予防的治療が、患者に疾患からの一層大きな自由を与えるからである。これは、患者が非常に高い頻度の発作を有する、一層重大な症状において、特に真実である。すべての症状における究極の目的は、すべてのさらなる発作からの完全な自由であり、予防的治療を継続することを通じて達成される。現在まで、そのような目的は、バルプロエートで唯一達成されたが、上述した通りの副作用、及び逆の徴候(contra-indication)(例えば、その他の医薬との相互作用、及び先天性奇形)の重大な対価の上である。
【0030】
その他の代替物を開発し、かつ、治療に関する余裕(margin)を有する化合物を提供する真の必要があり、この治療に関する余裕(margin)は、この病気の治療及びさらに特に予防処置のために一層適切である。
【0031】
レベチルアセタムが、良好な治療に関する余裕を有して、片頭痛の治療に特に適していることを示すために、当業者に公知の方法で、臨床試験を行った。
【0032】
そのような活性は、レベチルアセタムが、GABA系への直接効果を欠いている事実のために、特に予期しないものである(H.Klitgarrdら、「発作及びてんかんの齧歯類動物モデルにおけるレベチルアセタムの独特の特徴についての証拠(Evidence for a unique profile of levetiracetam in rodent models of seizures and epilepsy)」European Journal of Pharmacology(1998);第353巻、191〜206頁)。GABA活性化の抑制の助長が提供されているが、広範囲にわたるインビトロ実験は、55の異なる結合部位に対する特異的なリガンドのいかなる顕著な交換も明らかにしておらず、この結合部位は異なる受容体システム、再利用部位、第二伝達物質システム、及びチャネルタンパク質(channel proteins)を含む(M.Noyerら、「新規な抗てんかん薬レベチルアセタム(ucb L059)はCNS膜中の特異的結合部位を介して作用するらしい」European Journal of Pharmacology(1995)、第286巻、137〜146頁)。さらに、レベチルアセタムは、ムシモール(muscimol)によって誘発された塩化物異常流出(chloride fluxes)を調節しない。最後に、GABAレベル、並びにGABAトランスアミナーゼ及びグルタミン酸デカルボキシラーゼの酵素活性への効果の欠如が、マウスの脳の神経化学研究から報告された(G.J.Sillsら、「マウス脳内での新規抗痙攣薬レベチルアセタムを用いた神経化学研究」;European Journal of Pharmacology;(1997)、第325巻、35〜40頁)。
【0033】
バルプロエートはその上、片頭痛の予防治療での効能を改善した唯一の抗てんかん薬であり、したがって、まだ知られていないが、異なる作用方式をもつ抗てんかん薬レベチルアセタムもまた、片頭痛の治療に対して特に適しているであろうことを予期するいかなる理由もなかった。
【0034】
全てのこれらの理由のため、レベチルアセタムでの治療又は予防処置には、発作の減少での有益な効果、並びに生活の質及び毎日の活動の改善を結合することが期待される。
【0035】
本明細書中で使用するように、用語「双極性障害(bipolar disorders)」は、以下に定義される。
【0036】
双極性障害は、精神障害の診断及び統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版による気分障害(Mood Disorder)に分類される(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-IV TM)、American Psychiatry Association、ワシントン、DC、1994)。双極性障害は、自発的に誘発され、繰り返される(すなわち、少なくとも2回)症状の出現によって一般的に特徴づけられ、この症状の出現において、患者の過剰敏感性、活動性、及び気分が著しく乱され、この障害はいくつかの場合には気分の高揚、並びに増加したエネルギー及び活動度(躁病又は軽躁病)からなり、さらに別の場合には、気分の低下、並びに減少したエネルギー及び活動度(うつ病)からなる。
【0037】
双極性障害は、DSM−IV(双極性I障害、双極性II障害、循環気質、及びその他に特徴づけられない双極性障害)の4つの主要なカテゴリーに分けられる。
【0038】
双極性I障害の本質的特徴は、1回以上の大きな鬱病症状の出現が1回以上の躁病症状の出現と交互に起こることで特徴づけられる臨床的推移である。
【0039】
双極性II障害の本質的特徴は、少なくとも1回の軽躁病状態の出現に伴われた1回以上の大きな鬱病症状の出現によって特徴づけられた臨床的推移である。いかなる完全な躁病又は混合された症状の出現も存在しない。
【0040】
循環気質は、躁病症状の出現に対する判断基準に合致しない軽躁病症状の多数の期間、及び大きな鬱病症状の出現に対する症状又は持続時間の判断基準に合致しない鬱病症状の期間によって特徴づけられる。
【0041】
その他に特徴づけられない双極性障害は、精神分裂病の診断、妄想性疾患、又は、その他に特徴づけられない精神病性疾患に加えて作られるかもしれない。もし、躁病症状及び鬱病症状の間に非常に急速な交代(数日にわたり)があり(例えば、幾日かの純粋な躁病症状に続く幾日かの純粋な鬱病症状)、これら症状が、躁病症状の出現又は鬱病症状の出現に対する最低限の持続時間の基準に合致しない場合、診断は、その他に特徴づけられない双極性障害である。
【0042】
「躁病症状の出現」により、明確な期間であって、その期間の間、異常かつ持続して高揚され、快活で、又は興奮しやすい気分があることが意味され、その気分は強要された会話及び精神運動の動揺の徴候を伴う。
【0043】
「軽躁病」により、あまり極端ではない躁病症状の出現が意味され、それは低い程度の重大さを伴う。
【0044】
「主要な鬱病症状の出現」により、少なくとも2週間の期間であって、その期間の間、憂鬱な気分、あるいはほとんど全ての活動で興味又は喜びの喪失のいずれかがあることが意味され、それは正常に機能しない精神集中及び精神活動の遅延を伴う。
【0045】
「混合された症状の出現」により、ほとんど毎日、躁病状態の出現及び主要な鬱病状態の出現の両者に対して、診断基準が合致する期間(少なくとも一週間継続する)が意味される。
【0046】
何十年も、双極性障害における躁病及び躁病の再発の治療は、リチウム塩(Li+)の使用に、本質的に基づいてきた。近年、双極性障害に対するLi+の長期使用によって与えられた不完全な防御及び耐性が、代替の治療が考慮されることに導いた。臨床研究は、双極性障害の急性段階の間、40%以下の患者がリチウム治療に満足に応答しないことを示す(Bustavo A.ら、躁鬱病の治療のための抗痙攣薬(Anticonvulsants for treatment for manic depression); Current Drug therapy、第56巻、第8号、1989)。
【0047】
リチウムの長期使用に関連した多くの安全性の問題が観察された。そこでは、慢性間質性腎炎、多尿症、潜伏性糖尿病又は腎性尿崩症が、2年より長期間にわたり治療を受けた患者の25%に発生する。さらに、リチウムの通常使用は、構語障害、ふるえ、運動失調、甲状腺機能低下(最初の2年内に30%の患者)、及びインポテンスを引き起こす。
【0048】
最も一般的な代替治療の1つは、抗痙攣薬、バルプロエートの使用であり、バルプロエートは、抗躁病活性を有することが示されており、さらに気分安定化活性を有することも可能である。しかしながら、得られた結果は、まだ満足のゆくものではなく、さらにそのうえバルプロエートは、多くの副作用を容易に引き起こす。バルプロエートの普通の副作用は胃腸管に関するもので、例えば、先の段落に記載したように、吐き気、嘔吐、食欲不振、及び下痢である。
【0049】
薬理学試験は、治療効果のある積極的な投与量で、健康な対照の齧歯類動物に与えた時、バルプロエートは著しい機能亢進を引き起こすことが実証された。患者へのバルプロエートの予防のための使用は、したがって、錠剤の各投与の後、所望の効果と反対の効果を引き起こし、さらに/あるいは、わずかな機能亢進を生じさせることができた。同様に、積極的治療の間、躁病状態は消えたけれども、バルプロエートは機能亢進効果を維持することができた。最後に、この研究は、患者への、リチウム又はバルプロエートの有効な投与量を適用することの困難さを実証した。すなわち、これら2つの化合物について、わずかな過剰投与量は、齧歯類動物の活動状態を対照のレベル以下に低くする傾向がある。
【0050】
リチウム又はバルプロエートのその他の代替物を開発するための真の必要があるが、それは、これらの多くの副作用を避けるため、及び治療に関する余裕(margin)のある化合物を提供するためであり、この余裕は、この病変の治療のために一層適切である。
【0051】
驚くべきことに、レベチルアセタムは、その抗躁病活性に加えて、躁病の徴候をもたない対照ラットに、非常にわずかな機能亢進をもたらすのみであることが発見された。レベチルアセタムは、したがって、躁病の治療のために特に適しているであろう。
【0052】
レベチルアセタムのさらなる予期せぬ利益は、対照の活動状態のレベルに対する正常化の提供であり、一方バルプロエート又はリチウムは、これをはるかに超える傾向がある。
【0053】
したがって、バルプロエート及びリチウムの場合は、これらの化合物の多すぎる投与は、患者の正常状態に関して低活動状態になる可能性があり、これは避けるべきである。
【0054】
レベチルアセタムは、したがって、医師に、一層容易に患者に対する投与量を適用することを可能にし、過剰投与による低活動状態の副作用を引き起こす恐れがないという一定の利益を有する。
【0055】
同様に、患者による乱用摂取の結果も最小にするだろう。
【0056】
最後に、使用された治療効果のある投与量内で、レベチルアセタムは、副作用を引き起こす可能性がある投与量から、相当離れているという利益も有し、一方、化合物、例えばバルプロエート又はカルバマゼピン(carbamazepine)は、安全性についての非常に減じられた余裕しか有しない(A.J.Gowerら、Eur.J.Pharmacol.,22,193〜203頁(1992) - W.Loescher及びD.Hoenack, Eur.J.Pharmacol.,232,147〜158頁(1993) - H.Klitgaard, A.Matagne, J.Gobert, E.Wuefert, Eur.J.Pharmacol.,353,191〜206頁(1998))。
【0057】
特性のこの予測できない範囲は、レベチルアセタムの使用が、双極性障害の治療のための医薬の製造に対して、特に利益があることを意味する。この化合物は、使用における安全性の余裕を有し、それはこの治療分野に対して達成されていなかった。
【0058】
本明細書中で使用されるように、用語「慢性疼痛(chronic pain)」は、急性の疼痛と異なる疾患の過程として徐々に認識されている。
【0059】
治療の通常時間を超えて持続する疼痛として従来定義されたが、疼痛はまた、その疼痛が、予測可能な将来に対して、生活の持続する部分であろうとしていることをその個人が理解する時点で、慢性と考えることができる。慢性疼痛症状の多くが、神経障害性の要素を含むように思われ、それは通常、急性の体性の疼痛よりも治療が困難である。主要な神経障害性疼痛症状の最良の例は、糖尿病性末梢神経障害、及びヘルペス後の神経痛である。主要な体性の慢性疼痛症状は、リウマチ様関節炎、又はその他のリウマチ性疾患をもつ患者により例示される。他方、疼痛に関連する背部傷害を含む、最も普通の慢性疼痛症状は、しばしば多器官系を含む。慢性疼痛の別の主な理由は、ガンであり、ガンは組織の境界を横断し、さらに多くの器官系に損害を与え又は圧迫する能力について知られている。したがって、多くの背部傷害及びガンの患者は、体性及び神経障害性機構の両者に関連した疼痛を有する(H.C.Hansen、MD 「抗痙攣薬での慢性疼痛の治療:新時代(Treatment of chromic Pain With Antiepileptic Drugs: A New Era)」South Medical Journal-Southern Medical Association(1999)92(7)648〜649頁)。
【0060】
本明細書中で使用されるように、用語「神経障害性疼痛(neuropathic pain)」は、神経中の病的変化によって起こされた疼痛であって、認識可能な刺激が存在しないときでも、その神経が有害な刺激の存在の信号を送り、偽の疼痛感覚に高める。言い換えれば、疼痛システムが作動され、それ自身止めることができないようである。
【0061】
それは、神経系における、末梢又は中枢(脊髄又は脳)神経の損傷又は機能障害に関連するかもしれない。神経障害性疼痛は、以下の状態の結果として現れうるが、それは例えば、神経傷害(例えば、手術、事故、切断)、四肢に影響する外傷(明白な神経傷害を伴うか又は伴わないもの)、神経系に影響する疾患、神経系に関連した梗塞、異常な神経機能、脊髄及び脊椎根の疼痛疾患である。
【0062】
「神経傷害(nerve injury)」により、たとえば、幻影疼痛(切断された四肢に関連した疼痛)、断端疼痛(切断部位の疼痛)、幻影肢(切断された四肢に関連した非疼痛感覚)、手術後の疼痛、視床疼痛症候群(thalamic pain syndrome)(中枢発作後の疼痛(central post-stroke pain))のような状態を意味する。「四肢に影響する外傷(trauma affecting the limb)」により、例えば、反射性症候性ジストロフィー(reflex symptomatic dystrophy)、カウザルギー(Causalgia)のような状態が意味される。「神経系に影響する病気(disease affecting the nervous system)」により、例えば、糖尿病性神経傷害(diabetic neuropathy)及びその他の神経傷害(neuropathies)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)(TN)、ヘルペス後の神経痛(postherpetic neuralgia)(PHN)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、AIDSに関連した神経傷害、ガンに関連した神経傷害(化学療法に対する二次神経傷害)のような状態を意味する(S.Troel、M.D.Jensen 「神経傷害性疼痛の機構(Mechanism of Neuropathic Pain)」Pain 1996-最新の概説(An updated review)、IASP Press SEATTLE(1996)、77〜86頁)。
【0063】
慢性及び/又は神経傷害性の疼痛は、治療が最も難しい疼痛症候群のままであり、新規な活性成分を開発する真の必要がある。
【0064】
ほとんど30年の間、慢性疼痛及び神経傷害性疼痛の薬物治療においては、きわめてわずかな進歩しかなされず、したがってこれは、抗うつ薬、非ステロイド抗炎症薬、局所麻酔剤、及び抗痙攣薬の使用に限定されたままである。
【0065】
多くの抗痙攣薬、例えばバルプロエート又はカルバマゼピンは、これらの疼痛状態の治療に活性を有するが、その他のもの、例えばペントバルビタールは効果がない(H.L.Fieldsら、Excitability Blockers, 93〜116頁 − H.C.Hansen, MD 「抗痙攣薬での慢性疼痛の治療:新時代(Treatment of chromic Pain With Antiepileptic Drugs: A New Era)」South Medical Journal-Southern Medical Association(1999)92(7)642〜649頁)。
【0066】
最前線の治療であるカルバマゼピンを使用するときは、多数の予防措置がとられる必要があるが、それは、治療に役立つ投与量及び副作用を伴う投与量の間の差が非常に小さいためである。さらに、これらの効果を伴う薬量学は、患者に依存して変化する。従って、治療される各個人への投与量を調節するとき、非常に用心深くなければならない。副作用は、鎮静、運動失調、めまい感、目のかすみ、並びに悪心及び嘔吐を含みうる。さらに、患者の約10%が、軽い白血球減少を示す(H.L.Fieldsら、Excitability Blockers、93〜116頁)。
【0067】
カルバマゼピンは、抗痙攣薬の範疇の分子であるが、これは慢性又は神経傷害性の疼痛における薬理学研究のための基準としての役目を果たし、人工的に惹起させた疼痛又は痛覚過敏を抑制することにおいて明確な活性を有する。しかしながら、薬理学研究は、投与量−活性曲線は、疼痛を対照の閾(control threshold)に反転させる(痛覚過敏の裏返し)だけでなく、それを過ぎて、さらに、治療されている患者に部分感度低下を生じさせる(正常な閾の変化)。したがって、治療で使用された投与量で、抗侵害受容効果が観測され、そして動物はその正常状態で感じるであろう疼痛をもはや感じない。そのような感度低下は、患者による、危険のない使用を考慮すると、特に不便でありうる。したがって、慢性又は神経傷害性の疼痛を減少させることを欲する患者が、多すぎる投与量のカルバマゼピンを摂取した場合、彼は部分感度低下にみまわれるだろう。それゆえ、患者の感受性の閾が通常より高くなることで、患者はいずれかの外部からの侵害、例えば熱、チェーフィング(食物保温器具(chafing))又は同様のものに対する感受性が非常に低くなり、したがって自分を傷つけ又は火傷する危険にさらすだろう。
【0068】
薬理学研究は、レベチルアセタムが慢性又は神経傷害性の疼痛の治療において、予期しないやり方でふるまうことを明らかにした。カルバマゼピンと対比して、この分子は、投与量/活性曲線を、対照の疼痛の閾(the control pain threshold)に正常化する(すなわち、糖尿病の誘発前の応答)。そのため、レベチルアセタムは、過剰投与量の事態において、危険に対する非常に高い安全性の余裕を有する。
【0069】
さらに、使用された、治療に役立つ投与量内で、レベチルアセタムは、その投与量で2次効果を誘発する可能性のある量からかなり遠ざけられる利点も有し、一方、化合物例えばカルバマゼピンは、非常に減じられた安全性の余裕しか有しない。
【0070】
特性のこの予期しなかった幅は、レベチルアセタムの使用が、慢性及び又は神経傷害性の疼痛疾患の治療のための医薬の製造のために、特に重要であることを意味する。
【0071】
本発明は、双極性傷害、片頭痛、及び慢性又は神経傷害性の疼痛の治療のために、レベチルアセタムの有効な量の投与を必要とする。本発明に従って必要とされる投与量は、双極性傷害、片頭痛、及び慢性又は神経傷害性の疼痛の軽減を許すために充分高いべきである。レベチルアセタムを含む医薬組成物は、例えば、経口又は非経口、例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下又はくも膜下腔内(interthecally)に投与されうる。
【0072】
さらに、本発明は、双極性傷害、躁病、片頭痛、及び慢性又は神経傷害性の疼痛のための医薬組成物に関し、この組成物はレベチルアセタム及び医薬として許容可能な担体を含む。
【0073】
経口投与に使用されうる医薬組成物は、固体又は液体であることができ、さらに、例えば、錠剤、丸薬、糖衣丸、ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、及びその他同様のものの形態であることができる。
【0074】
最後に、レベチルアセタムは、不活性希釈剤又は非毒性の医薬として許容可能な賦形剤、例えば具体例で、でんぷん又はラクトースと混合して使用されうる。場合によりこれらの医薬組成物はさらに、バインダー、例えば微晶質セルロース、トラガカントゴム、又はゼラチン、崩壊剤(disintegrant)、例えばアルギン酸、滑剤(lubricant)、例えばステアリン酸マグネシウム、潤滑剤(glidant)、例えばコロイダル二酸化ケイ素、甘味料、例えばスクロース又はサッカリン、又は着色剤又は香味料、例えばペパーミント又はサリチル酸メチルを含むことができる。これらはまた、調節された方法で活性成分を放出することができる組成物を含む。非経口投与に使用されうる医薬組成物は、この投与方法のために公知の医薬形態にあるものであり、かつ水性又は油性の溶液又は懸濁液の形態で、通常、アンプル、使い捨てのシリンジ、ガラス又はプラスチックの瓶又は輸注容器中に含まれる。
【0075】
活性成分に加えて、これらの溶液又は懸濁液はまた、場合により、滅菌した希釈剤、例えば注射用の水、生理的食塩水溶液、油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒、殺菌剤、例えばベンジルアルコール、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム、キレート剤、例えば、エチレンジアミン−テトラ酢酸、緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、及び浸透圧を調節するための薬剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロースを含むことができる。
【0076】
これらの医薬の形態は、ごく普通に製薬者に使用される方法を使って製造される。
【0077】
患者に投与された活性成分の1日あたりの投与量は、広範囲の濃度内に入ることができ、かつ、多くの因子、例えば患者の性別、年齢、体重、及び医療に関する状態、並びに投与の方法に依存する。それゆえ、経口投与のための組成物中の活性成分の量は、さらに組成物の質量について、少なくとも質量で0.5%であり、最大80%であることができる。
【0078】
健康なボランティアに対する臨床研究は、レベチルアセタムが1回の投与量(最大5,000mg)及び繰り返し投与量(1500mg/日、14日間)で良好に許容されることを示した。許容性の研究からの予備データは、最大4000mg/日の投与量のてんかん患者において、良好な許容性を示唆した。
【0079】
好ましい経口組成物に対して、投与量の単位は、50〜3000ミリグラム(mg)の範囲内のレベチルアセタムであり、さらに好ましくは250〜1500mgの範囲内である。
【0080】
非経口投与のための組成物中、存在するレベチルアセタムの量は、組成物の質量について、少なくとも質量で0.5%、さらに質量で最大33%であることができる。好ましい非経口投与組成物に対し、投与量単位は、レベチルアセタムの1mg〜400mgの範囲内である。
【0081】
1日あたりの投与量は、レベチルアセタムの投与量単位の広い範囲内に入ることができ、一般に5〜70mg/キログラム(kg)の範囲内である。しかしながら、特別な投与量が、医師の決定権で、個別の要求しだいで、特別な場合に適用されうることが理解されるべきである。
【0082】
レベチルアセタムは、単独で使用されることができ、又はこれらの病変における使用のための、少なくとも1つのその他の医薬として活性な成分と併合されることができる。レベチルアセタムと組み合わせた使用のために列挙されうる、これらの化合物の非制限的な例は、抗ウイルス薬(antivirals)、鎮痙薬(antispastics)(例えば、バクロフェン)、抗嘔吐薬(antiemetics)、抗躁病気分安定薬(antimanic mood stabilizing agents)、鎮痛薬(analgesics)(例えば、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモール)、麻酔鎮痛薬(narcotic analgesics)、局所麻酔薬(topical anesthetics)、オピオイド鎮痛薬(opioid analgesics)、リチウム塩、抗うつ薬(antidepressants)(例えば、ミアンセリン、フルオキセチン、トラゾドン)、3環式抗うつ薬(tricyclic antidepressants)(例えば、イミプラミン、デシプラミン)、抗痙攣薬(anticonvulsants)(例えば、バルプロエート(valproate)、カルバマゼピン、フェニトイン)、抗精神病薬(antipsychotics)(例えば、リスペリドン(risperidone)、ハロペリドール、睡眠薬(neuroleptics)、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、クロナゼパム)、フェノチアジン(例えばクロルプロマジン)、カルシウムチャネル遮断薬(calcium channel blockers)、アンフェタミン(amphetamine)、クロニジン、リドカイン、メキシレチン、カプサイシン、カフェイン、ケチアピン(quetiapine)、セロトニン拮抗薬、β−ブロッカー(β-blockers)、抗不整脈薬(antiarrhythmics)、トリプタン(triptans)、麦角誘導体(ergot derivatives)である。
【0083】
特に、レベチルアセタムはGABAA受容体が仲介する神経阻害を誘発する化合物の活性を強め、関連する副作用を悪化させることがないことが発見された。この予期しない薬理学特性の結果、これらの化合物での単剤治療のあいだ、著しく有害な効果による損失のもとで症状のコントロールを受けていた患者は、レベチルアセタムと組み合わせた少ない投与量での併合された投与によって、彼らの治療結果の著しい改善を得ることができる。
【0084】
したがって、本発明はまた、抗てんかん剤として公知のレベチルアセタムが、バルプロエート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、フェノバルビタール、及びこれらの医薬として許容可能な塩の、有効な強化薬(potentiating agent)であるという予期しない事実に関する。
【0085】
GABAA受容体が仲介する神経阻害を誘発する化合物の例として、以下の化合物がわかっている:ベンゾジアゼピン、バルビツレート、ステロイド、及び抗痙攣薬、例えば、バルプロエート、ビアガバツリン(viagabatrine)、チアガビン(tiagabine)、又はこれらの医薬として許容可能な塩である。
【0086】
1,4−ベンゾジアゼピン、例えばジアゼパム(diazepam)及びクロナゼパム(clonazepam)、並びに1,5−ベンゾジアゼピン、例えばクロバザム(clobazam)を含む。好ましい化合物はクロナゼパムである。
【0087】
バルビツレート(barbiturates)は、フェノバルビタール(Phenobarbital)及びペントバルビタール(pentobarbital)を含む。好ましい化合物は、フェノバルビタールである。
【0088】
好ましい、抗痙攣薬は、バルプロ酸(valproic acid)、バルプロミド(valpromide)、バルプロエート・ピボキシル(valproate pivoxil)、バルプロ酸ナトリウム塩(sodium valproate)、バルプロ酸部分ナトリウム塩(semi-sodium valproate)、ジバルプロックス(divalproex)、クロナゼパム(clonazepam)、フェノバルビタール(Phenobarbital)、ビガバトリン(vigabatrin)、チアガビン(tiagabine)を含む。
【0089】
好ましい化合物は、バルプロ酸、バルプロミド、バルプロエート・ピボキシル、ジバルプロックス、バルプロ酸ナトリウム塩、バルプロ酸部分ナトリウム塩、より好ましくはバルプロ酸ナトリウム塩(sodium valproate)である。てんかん治療のために、欧州の大人に対するバルプロエートの推奨初期投与量は、600mg/日であり、発作の制御が達成されるか、又は有害な影響がさらに増加することを妨げるまで、3日間隔で200mg増加する。通常の範囲は、1日当たり1〜2g(1日当たり、体重1kg当たり20〜30mg)であり、最大の1日当たり投与量は2.5gである。20kgより体重の多い子供に対する1日当たりの推奨投与量は、20〜30mg/kg/日である。20kg未満の体重の子供では、20mg/kg/日の投与量が推奨される;40mg/kg/日より多い投与量が必要とされる場合は、臨床化学及び血液学パラメーター(parameters)を監視すべきである。年輩の人に対しては、バルプロエートの必要投与量は、より低くなるべきであるが、それは薬物動態学的パラメーターの変化のせいである。多くの患者に対しては、治療に役立つ血漿バルプロエート濃度は、40〜100μg/mlの範囲である。活性成分(レベチルアセタム、及びGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物)の量は、本発明のこの局面に従い、この組成物が投与される哺乳動物、治療されるべき疾患、存在するその他の活性成分等に依存して変化するだろう。通常、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の量、並びに、与えられた組成物及び投与形態に対するレベチルアセタムの量は、慣用手段を使用して容易に決定することができる。
【0090】
したがって、本発明は、レベチルアセタム、及びGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0091】
本発明の医薬組成物は、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の有効な治療に役立つ量、及びレベチルアセタムの有効な治療に役立つ量を含み、好ましくは2〜15の比である。
【0092】
本発明による医薬組成物は、上述のように、経口又は非経口で投与されうる。
【0093】
バルプロエートの減少された投与量を含む組成物も、いくつかの興味を提供する。
【0094】
本発明の組成物は、てんかんの治療、発作の制御、うつ病の治療、双極性障害、慢性の又は神経障害性の疼痛、並びに、片頭痛、及びGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物で制御されるその他の病気の治療のために使用されうる。必要とされる1日当たりの有効投与量は、治療される状態、及び患者の個別の特徴に依存する。
【0095】
本発明の医薬組成物において、レベチルアセタムの量は、少なくともGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の活性を強化するために充分な量である。
【0096】
好ましい組成物は、少なくともGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の量を減らすために、少なくとも充分なレベチルアセタムの量を含み、一方で狙った治療に役立つ効果は維持するものである。
【0097】
別の好ましい組成物は、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する量の化合物であって、この化合物が単独で投与された場合には、治療に役立つ効果がない量と、さらに少なくとも所望する治療効果を得るために充分な量のレベチルアセタムを含む。
【0098】
以下の実施例4で言及するように、レベチルアセタムによる効能の強化とは、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する量の化合物の通常有効な量が、約3〜15の因数で約されることができ、一方で、所望する治療に役立つ効果を維持することを意味する。例えば、てんかんに対するバルプロエートの通常範囲は、1日当たり1〜2.5gであり、従って、治療に役立つ効果を得るためにレベチルアセタムの充分な量を与えられた時、バルプロエートの1日当たりの量を70mg〜180mg、さらに好ましくは70mg〜140mgに減らすことができる。
【0099】
レベチルアセタムの充分な量は、単独投与に対して通常有効な投与量よりも、2.5分の1より低くなることができる。
【0100】
それゆえ、本発明の医薬組成物は、発作を制御するための、良好な活性を有するが、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物、例えばバルプロエート単独の使用と比較して少ない有害な事態しか有しない。
【0101】
本発明はさらに、てんかん(epilepsy)、アルコール中毒(alcohol withdrawal)、ふるえ(tremor)、双極性障害(bipolar disorder)、躁病(mania)、潔癖症(obsessive compulsive disorder)、恐慌性障害(panic disorder)、不安(anxiety)及び不安障害(anxiety disorder)、うつ病(depression)、片頭痛(migraine)、頭痛(headache)、疼痛疾患(pain disorders)、虚血(ischemia)、頭部傷害(head trauma)の治療のための医薬組成物の使用に関する。
【0102】
本発明はさらに、てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、頭部傷害から選ばれる疾病における治療に適用するための医薬の製造のための、上記の治療に役立つ組成物の使用に関する。
【0103】
本発明はさらに、この医薬組成物を使用することにより、人間の患者の治療のための方法に関する。
【0104】
本発明はさらに、前記疾病を治癒するための医薬としての使用のための、医薬組成物に関する。
【0105】
本発明はさらに、前記疾病における治療に役立つ適用のための医薬の製造のための医薬組成物の使用に関する。
【0106】
本発明はさらに、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物の一定量であって、それが単独で投与された場合には、治療に役立つ効果がないであろう量を投与された患者の治療のための、レベチルアセタムを含む医薬組成物の使用に関する。
【0107】
本発明はさらに、前記疾病における治療に役立つ適用を意図した医薬の製造法であって、前記医薬組成物が使用されることを特徴とする方法に関する。
【0108】
本発明はさらに、前記医薬組成物の投与によって疾病を軽減するための、人の治療法に向けられている。
【0109】
本発明はさらに、疾病を軽減するための、人の治療法に関するものであり、この方法は、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の量を減らすために、少なくとも充分なレベチルアセタムの量を投与することによるものであり、その量は所望する治療効果を維持するために必要とされる量である。
【0110】
本発明はさらに、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物の一定量であって、それが単独で投与された場合には、治療に役立つ効果がないであろう量を投与された患者の治療法に関するものであり、この方法は、疾病の治療のため、そのような哺乳動物に、治療に有効な量のレベチルアセタムを投与することを含み、この疾病は、てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、頭部傷害から選ばれる疾病である。
【0111】
本発明はさらに、てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、頭部傷害から選ばれる疾病の治療法に関するものであって、この治療法は、そのような状態にかかった哺乳動物に、治療に役立つ量の組成物を投与することを含み、そのような状態を治療するために上述したように投与する。
【0112】
本発明はさらに、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物の非有効量を投与された患者の治療法に関するものであって、この治療法は、そのような哺乳動物に、治療に有効な量のレベチルアセタムを投与することを含む。
【0113】
「非有効量(non effective amount)」によって、活性成分の量であって、単独で投与された場合、治療に有効でない量が意味される。
【0114】
本発明はさらに、それに伴う望まない副作用を増加することなく、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の治療効果を選択的に強化する方法に関するものであり、この方法は、バルプロエートの一定量を、所望する治療効果を生み出すのに有効なレベチルアセタムの量と共に投与(co-administration)することを含み、この量は、単独で投与された場合、治療に役立つ効果がないであろう量である。
【0115】
「共に投与(co-administration)」により、同時に、分離して、又は順次の投与が意味される。
【0116】
レベチルアセタムは、薬理学的モデルにおいて、バルプロエート、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールを効果的に強化する能力を有することが示された。レベチルアセタムのこの強化能力は、バルプロエートの量、又はこの医薬として許容される塩が減少されることを許し、さらにそのため、バルプロエート治療に関連した不利な事態が減少される。したがって、バルプロエートでの単剤治療のあいだ、著しく有害な影響による損失のもとで、症状の改善を得ていた患者は、バルプロエート及びレベチルアセタムの少ない投与量での結合した投与によって、治療結果に著しい改善を得ることができる。クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールでの治療の場合も同様である。
【0117】
バルプロエートに対するレベチルアセタムの強化効果は、てんかんの2つの異なる動物モデルで評価した:一般化した、てんかんのモデルである、音に敏感なマウス(sound-sensitive mice)、及び二番目に一般化した部分複合発作(partial complex seizures)のモデルである、小脳扁桃キンドリング・ラット(amygdala-kindled rats)である。ローターロッド試験での行動の減少も測定した。レベチルアセタムは、バルプロエート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールで得られる発作からの保護を強化することが明らかであるのに、バルプロエート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールに関連した不利な影響はなかった。
【0118】
薬物活性を評価するために使用した躁病のモデルは、過剰反応(hyperreactivity)の動物モデルからなり、過剰反応は、デキサンフェタミン(dexamphetamine)及びクロルジアゼポキシドの混合物によって、齧歯類動物中に発生させた。このモデルは、単独又は結合して摂取されたレベチルアセタム及びバルプロエートの抗躁特性(antimanic properties)を評価し、さらにこの2つの薬の間の超相加的相互作用(super-additive interaction)の重要性を示すために使用した。
【0119】
結合治療の使用は、変化された応答、及び/又は不利な事態及び高い毒性と関連するかもしれないが、それは、薬の血漿及び脳レベルの変更、すなわち薬物動態学パラメーターの変更によるものである。薬物動態学研究は、バルプロエート、ジアゼパム、及びフェノバルビタールが、単独又はレベチルアセタムとの組み合わせにおいて、一定の脳/血漿比を示すことを明らかにした。これは、薬理学モデルにおいて、レベチルアセタムと併合した、バルプロエート、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールの間で観測された相乗効果が、薬物動態学的因子に帰因しないことを証明する。
【0120】
本発明の医薬組成物の投与は、疾病の頻度及び重大さにおいて改善された減少をもたらす。望まない副作用の発生率は、本発明の医薬組成物によって減少されることができるが、それは同様の治療効果を達成するために、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の高い投与量を使用することと比較して、である。片頭痛、双極性障害、慢性の又は神経障害性の疼痛の治療に対するレベチルアセタムの効能は、以下の薬理学試験(実施例1〜3)の結果によって説明される。GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物に対する、特に抗てんかん薬に対するレベチルアセタムの強化効果は、実施例4〜7の結果によって説明される。
【0121】
これらの実施例は、本発明を説明するものであり、いかなる意味でもその範囲を限定するものではない。
【0122】
実施例1:双極性障害の治療のための薬理学データ
Y迷路試験(Y maze test)
運動活動の増加は、躁病疾患のしばしば起こる症状であり、さらに結果として、実験動物における躁病モデルとして、しばしば使用される。多くの化合物、又は化合物の組み合わせ物が、機能亢進を引き起こしうる;しかしながら、機能亢進のすべての形態がリチウムによって反対方向に向けられることができるのではない。そのうえ、全ての活動試験が、再現可能な機能亢進を観測するために適しているのではない。
【0123】
齧歯類動物に誘発された機能亢進であって、対称「Y」迷路(symmetrical “Y” maze)において、デキサンフェタミン及びクロルジアゼポキシドの混合物(DEX−CDP)によって試験されたものが、多くの研究者によってリチウムの効果を研究するため(Cox.Xら、“Lithium attenuates “manic” activity in rats” Nature (1971)、第232巻、336〜338頁、Vale A.L.及びRatcliffe F.、“Effect of lithium administration on rat brain 5-hydroxyindole levels in a possible animal model of mania” Psychopharmacol. (1987)、第91巻、352〜355頁)、又は、さらに最近は抗てんかん薬「バルプロエート」の効果を研究するため(Cao B.J.及びPeng N.A.、“Magnesium valproate attenuates hyperactivity induced by dexamphetamine-chlordiazepoxide mixture in rodents” Eur. J. Pharmacol. (1993)、第237巻、177〜181頁)に使用されている。これら2つの化合物は、双極性障害、すなわち、急性躁病及びその管理に臨床で使用されており(Gelenberg A. J. 及び Hopkins H. S. “Report on efficacy of treatments for bipolar disorder” Psychopharmacol. Bull. (1993) 、第29巻、447〜456頁)、さらに「Y」迷路で試験された齧歯類動物において、DEX−CDPによって誘発された機能亢進を、著しく減少させた。したがって、このモデルは、躁病の研究のための可能な動物モデルと認められる。
【0124】
躁病の治療のための(S)−(−)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド((S)-(-)-α-ethyl-2-oxo-1-pyrrolidineacetamide)の効能は、それゆえ、上述したモデルを使用して、すなわち、DEX−CDPを使用して、機能亢進が誘発されたラットを使用して研究した。リチウム及びバルプロエートもさらに試験し、参照化合物(reference compounds)として使用した。
【0125】
使用した動物は、オスのスプラーグ−ダウレー・ラット(出所:OFA、IFFA CREDO、ベルギー)で210〜290gの重さのものだった。それらは、8つのグループにして、ステンレスのケージ(cages)に入れた。試験の前の日、ラットを、おがくずで覆われた床を有するマクロロン・ケージ(macrolon cages)に入れた(ケージ当たり4頭の動物:38x27x15センチメートル(cm))。このケージに1頭の動物を入れ、空気調節された部屋に保持し、0600時〜1800時まで照明をあてた。餌及び水は、限界まで(ad libitum)入手可能であった。
【0126】
使用した装置は、Y迷路(Y maze)(各アーム(arm)は40cmの長さ、かつ15cmの幅で、35cmの壁を有する)であり、灰色のプレキシガラス(Plexiglass)で構築され、弱い照明をした部屋に置き(床位置で5ルックス未満)、さらに、ラットの活動を測定するために使用した。この活動は、5分間でこの迷路のアームに入った回数を記録することによって評価した。ビデオカメラを、この装置の上1mの高さに配置し、さらに隣接した部屋に置いたモニターに接続し、この部屋で、アームに入った回数を評価者が計数した。
【0127】
ラットへの異なる化合物の注射は、以下の条件で行った。12.5mg/kgのクロルジアゼポキシド、1.18mg/kgのD−アンフェタミン硫酸塩(amphetamine sulfate)を食塩水溶液(0.9%)中に溶解し、試験前35分に皮下注射によって同時に投与したが、投与量は1ml/kgの体積である。17及び54mg/kgのレベチルアセタムを、食塩水溶液(0.9%)中に溶解し、さらに試験前30分に腹腔内注射した(表4)。50、100、及び200mg/kgのバルプロ酸ナトリウム(sodium valproate)を、食塩水(0.9%)中に溶解し、試験前15分に腹腔内注射した(表2)。2及び4ミリ当量(meq)のLi+/kgの塩化リチウムを食塩水(0.9%)に溶解し、試験前215分に腹腔内注射した(表1)。試験薬は、5ml/kgの体積で注射した。
【0128】
様々な薬の効果を、別々に研究した。各実験において、動物は、ランダムなやり方で、様々なグループに入れた(n=11又は13/グループ)。試験の間、各ラットは、装置の中心に置き、アームの中へ行った回数を、活動の指標として記録した。
【0129】
正確に統計的に分析されるべき結果のため、それらは第1及び第3分位点と共に中央値として表した。統計値の一般的な比較は、対照、及び化合物それ自体に対するクルスカル−ウォリス試験(Kruskal-Wallis test)を使用して行った。この試験はさらに、(DEX−CDP)混合物の効果、及び(DEX−CDP)混合物によって誘発される機能亢進に抗する化合物の効果を比較するために使用した。
【0130】
著しい差違の場合には、クルスカル−ウォリス試験のもとでのマルチプル・ポスト・ホック・コンパリゾン(multiple post hoc comparisons)を評価したが、これはシーゲル(Siegel)とカステラン(Castellan)によって提案された方法を使用した(Non parametric statistics、McGraw Hill、第2版(1989))。対照群、及びDEX−CPD混合物に対する群の間の比較は、マン−ホイットニー試験(Mann-Whitney test)を使用して実施した(Non parametric statistics、McGraw Hill、第2版(1989))。
【0131】
これらの薬理学研究の結果をまとめ、表1〜4に示した。
【0132】
DEX−CDP混合物の投与は、各実験において、比較可能かつ著しい機能亢進を誘発した。
【0133】
塩化リチウム(表I)は、機能亢進を著しく妨害するが、この機能亢進は、DEX−CDPにより、投与量に依存するやり方で誘発されたものである。それは、非機能亢進の対照ラットの活動以下まで、活動を減少させる。塩化リチウムそれ自体は、非機能亢進対照(non-hyperactive control)の活動に、わずかな、著しくはない減少を誘発した。
【0134】
【表1】

【0135】
バルプロ酸ナトリウム(表II)は、200mg/kgの投与量で、機能亢進を顕著に妨害する。リチウムを伴う場合は、バルプロ酸ナトリウムは、処置をしたラットに機能亢進を起こす傾向があった。最後に、バルプロ酸ナトリウムそれ自体は、非機能亢進対照(non-hyperactive control)に、強い投与量依存の機能亢進を誘発することが認められた。
【0136】
【表2】

【0137】
レベチルアセタム(表III)は、54mg/kgの投与量で、DEX−CDPによって誘発された機能亢進を著しく妨害した。レベチルアセタムそれ自体は、17mg/kgの投与量で、わずかな機能亢進を誘発するだけであった。
【0138】
最後に、実験データの解析は、機能亢進ラット(DEX−CDP)を最高投与量のレベチルアセタムで処置したとき、非機能亢進対照ラットの活動レベルへの、驚くべき正常化を示した。
【0139】
【表3】

【0140】
あわせてみると、これらの結果は、レベチルアセタムが、双極性障害の治療のための予期せぬ潜在能力を有していることを示唆する。
【0141】
実施例2:慢性の又は神経障害性の疼痛疾患のための薬理学データ
慢性の又は神経症障害性の疼痛(chronic or neuropathic pain)に関するレベチルアセタムの活性を研究するため、出願人は、ランダル試験(Randall test)に基づく一連の実験を行ったが、ランダル試験は、「炎症を起こした組織での無痛覚活動の測定法;Arch. Int. pharmacodyn., 1957, CXI, No.4、409〜419頁」である。この手順のおかげで、レベチルアセタムが痛覚過敏を治す能力を決定することができたが、痛覚過敏は、齧歯類動物において代謝起源の神経障害の問題の誘発に派生したものである。
【0142】
この研究は、ストレプトゾシンを注射することにより、糖尿病を人工的に誘発したラットで行った。それによって誘発された糖尿病性神経障害は、レベチルアセタムの使用によって引き起こされた、痛覚過敏の矯正が測定されるようにせしめる。
【0143】
これらの実験に使用した動物は、オスのスプラーグ−ダウレー・ラット(Sprague-Dawley rats)(シャルルリベル、フランス)で、250〜280グラム(g)の重さだったが、このラットは、受領後1週間に、糖尿病の誘発を受けた。オスのスプラーグ−ダウレー・ラット(200〜220g)に、蒸留水に溶解したストレプトゾシン(streptozocin)(75mg/kg、腹腔内)(ザノサー(Zanosar)(商標)、アップジョン、フランス)の1回の腹腔内注射を行った。高血糖は、誘発後1週間に確認したが、確認は、デキストロスティックス・リアクティブ・ストリップ(Dextrostix reactive strip)(エイムス(Ames))を使用し、比色計(エイムス・ディビジョン(Ames Division)、マイルス・ラボラトリー(Miles Laboratoires)、フランス)を使用して読みとり、血糖値を決定することによって行った。14ミリモル(mM)より多い動物は、糖尿病であると判断した。疼痛の閾値は、糖尿病の誘発後3週間に決定した。閾値に15%の減少がある動物のみを選択した。
【0144】
このモデルは、COURTEIXら、「ストレプトゾシンで誘発した糖尿病ラット。慢性疼痛のモデルについての行動による証拠(Streptozocin-induced diabetic rats. Behavioural evidence for a model of chronic pain)」 Pain (1993)、第53巻、81〜88頁)の中の記載に従って、使用した。この研究は、以下の化合物を使用して行った:
−レベチルアセタム:(ラボラトリーズUCB)、蒸留水に溶解した。
【0145】
−カルバマゼピン:(シグマ(Sigma))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースに溶解した。
【0146】
上で既に言及したように、以下で説明する試験は、動物における反応を刺激するため、後ろ脚への物理的な、侵害受容の刺激で行った。増加する圧力は、無痛メーター(analgesia meter)(ユーゴ・バシル(Ugo Basile)、タイプ7200)を使用し、鳴き声をたてるまで適用し、これを疼痛の閾値であると判断し、グラムで表した。
【0147】
実験手順と測定したパラメーターは、以下のように定義した。
【0148】
基礎の閾値の決定の後、その動物は、研究の処置(賦形剤、レベチルアセタム、17、54、95.2、及び120mg/kg、カルバマゼピン、10及び30mg/kg)を受けたが、この処置は、いかなる時間生物学的な影響も避けるため、均一ブロック法(equal block method)を使用して、腹腔内に投与した。異なる処置の効果は、それゆえ、同一時刻間(the same time period)に決定した。反応の閾値は、投与後、15、30、45、60、90、120、及び180分(min)に測定した。全ての実験は、1つの処置当たり、8頭の異なる動物で、目が見えないようにして行った。
【0149】
表A:実施した処置
【0150】
【表4】

【0151】
結果は、平均±平均の標準誤差(S.E.M)として表した。
【0152】
糖尿病によって誘発された痛覚過敏の50%を抑えることができる投与量を、「抗痛覚過敏有効投与量50」として計算した。
【0153】
統計上の比較は、変数の2元解析とそれに続くフィッシャーのPLSD多元比較試験を用いて実施し、時間の影響を解析した。
【0154】
「正常な動物」によって、出願人は、いかなる糖尿病も誘発されていない動物を意味する。
【0155】
出願人によって得られたデータの研究は、以下の事実を明らかにした。
【0156】
糖尿病の誘発は、物理的な痛覚過敏を伴うことは、使用した動物の全てにおいて、309.4±15.2gから152.8±8.0gへの発声閾値(vocalization thresholds)の著しい低下によって確認された。賦形剤の注射は、発声閾値を顕著には変えない(表B)。
【0157】
【表5】

【0158】
この試験(表B)において、レベチルアセタムの120mg/kgの投与量は、痛覚過敏の完全な修正を生じさせるが、これは、注射後最大15分において、さらに注射後60分まで持続する、発声閾値の統計的に有意な増加によって明らかにされた。3つの他の投与量で観察された閾値の増加もまた、95.2及び54mg/kgの投与量に対しては、注射後15分から45分まで、並びに17mg/kgの投与量に対しては30分まで有意であった。抗痛覚過敏有効投与量50は、35.1±1.8mg/kgであった。
【0159】
積極的な制御として使用されたカルバマゼピンは、使用した2つの投与量に対して、糖尿病性痛覚過敏の完全な逆転を引き起こした(表B)。それは、30mg/kgの投与量の注射の後15分から、抗痛覚過敏となり、効果は90分まで持続した。
【0160】
10mg/kgの投与量のみが、注射後30分めに痛覚過敏に逆転を引き起こし、効果は、60分の間維持された。
【0161】
これらのデータはさらに、30mg/kgのカルバマゼピンの積極的な投与量が、動物の閾値を正常な動物(すなわち、糖尿病の誘発前の応答)のレベルのはるかに上のレベルに変化させたことを立証しており、それは適応性のある疼痛感覚に対して有害でありうる。
【0162】
30mg/kgの投与量で、カルバマゼピンは、遅延効果(注射後30分)とともに、自発的な運動活動の低下(これは定量化していない)を誘発したことは、特筆しておくべきであろう。それにもかかわらず、このことは、この投与量で、カルバマゼピンが鎮静、運動不能、失読のような副作用を有するということを暗示しうる。
【0163】
あわせてみると、これらの結果は、レベチルアセタムが、慢性の又は神経障害の疼痛の治療及び/又は予防処置のための薬として、予期しなかった潜在能力を有していることを示唆する。
【0164】
実施例3:片頭痛の治療のための薬理学データ
片頭痛の治療のための、レベチルアセタムの経口錠剤の効能及び安全性を示すため、以下に記述された臨床研究を開始した。
【0165】
この治療に関する試験的な研究の主な目的は、片頭痛の防止のための、750mg b.i.d.のレベチルアセタムの効能及び安全性を評価することであり、この片頭痛は、前兆を伴うか又は伴わず、IHSによって定義されたものである(Headache Classification Committee of the International Headache Society(HIS) 「頭痛疾患、頭部神経痛、顔面疼痛のための分類及び診断基準(“Classification and diagnostic criteria for headache disorders, cranial neuralgias, and facial pain”)」; Cephalalgia (1988), No8(Suppl.7)、19〜28頁)。
【0166】
この18週の研究は、マルチセンター(multicenter)、ランダム化(randomized)、プラセボ・コントロール(placebo controlled)、パラレル・グループ・デザイン(parallel group design)を使用した。この研究は、4週間のシングル−ブラインド・プラセボ・ベースライン期間(single-blind placebo Baseline period)、12週間のダブル・ブラインド評価期間(double-blind Evaluation Period)、さらに処置後期間(Post-Treatment Period)からなり、処置後期間は、最後の研究のための診療(visit)は、研究薬の最後の投与後2週間に行った。研究診療は、4週間後ごと、+/−1週間の期間に行った。この研究は、被験者をランダム化するが、被験者は、ベースライン期間に4週間あたり3〜8回の片頭痛を感じた者であり、それは前兆の有無にかかわらず、IHSによって定義されたように、である。各ランダム化された被験者は、ランダム化前の1年より長い間に、片頭痛症状を経験していなければならず、さらに、被験者の病歴に、少なくとも3ヶ月の証拠書類で証明された、片頭痛の診療歴(medical history)を有しなければならない。この研究は、約8つのセンターにおいて、80人の被験者を登録した。
【0167】
レベチルアセタムは、長期の研究期間にわたり研究され(約4ヶ月)、投薬の予防(防止)効果、及び/又は進行防止(症状を抑える)効果を評価した。この研究で登録された被験者は、IHSによって提示された診断基準に合致する慢性片頭痛患者である。治療の予防効果を評価するための主要な効能のパラメーターは、片頭痛症状の頻度の増加を測定することによって評価したが、評価は、3ヶ月の評価期間(レベチルアセタム又はプラセボのいずれか)を4週間のベースライン(3〜8発作/月を経験する被験者)と比較した。追加の効能の最終目的は、応答速度(片頭痛発作に50%以上の減少があった、各グループ内の被験者数)、片頭痛がなかった日数、及び、被験者の日々の活動及び生活の質への片頭痛発作の影響(MIDASスケール及び「片頭痛特有の生活の質についての質問(Migrane Specific Quality of Life Questionnaire)」)を含む。
【0168】
実施例4:ローターロッド試験において音で誘発される間代性痙攣(clonic convulsions) の防止についてのレベチルアセタム及びバルプロエートの相互作用、及びその試験に伴う不利な影響の評価
この研究の目的は、音に敏感なマウス(sound sensitive mice)におけるバルプロエートの抗痙攣潜在能力へのレベチルアセタムの影響を評価することであり、このマウスは反射性発作(reflex seizures)の遺伝的動物モデルである。一般化されたてんかんのこのモデルにおいては、発作は、電気的又は化学的刺激なしに誘起されることができ、かつ、発作のタイプは、少なくとも部分的に、ヒトに発生する発作と、それらの臨床現象において類似する(Loescher W.及び Schmidt D.、Epilepsy Res. (1988)、2、145〜181;Buchhalter J.R.、Epilepsia (1993)、34、S31〜S41)。
【0169】
オスの遺伝的に音に敏感なマウス(15〜29g;N=10)であって、ラボラトリー・オブ・アコースティック・フィジオロジー(the Laboratory of Acoustic Physiology)(パリ)のレーマン博士によって最初に選別されたDBA系統に由来するものであり、かつ1978年以来、UCBファルマ・セクター(UCB Pharma Sector)の農学ユニットで飼育されたものを、一方で音に起因する発作の誘発に、さらに他方でロータロッド試験を受けさせた。実験計画は、賦形剤を与えられた1グループ、5.5mg/kgの投与量でレベチルアセタムのみを与えられた別のグループ、さらに、異なる投与量のバルプロエートを、単独又はレベチルアセタムと組み合わせて投与されたその他のグループからなる。レベチルアセタム単独をさらに試験した。レベチルアセタム及びバルプロエートは、10ml/kg(体重)の投与量で、音に起因する発作、又はロータロッド実験の測定の前60及び30分のそれぞれに、腹腔内投与した。レベチルアセタム及びバルプロ酸ナトリウムは両者とも、0.9%食塩溶液中に溶解し、それぞれをpH6.4及び6.2の溶液にした。
【0170】
音に起因する発作の試験のため、音を弱くした部屋(sound-attenuated chamber)内で、ケージ当たり1頭のマウスで、ケージ(cages)に入れた。30秒の慣化(habituation)の期間後、音刺激(90dB、10〜20kHz)を拡声器から30秒にわたり送り出した。この間隔のあいだに、マウスを観察し、発作行動の3つの様相の存在、すなわち激しい疾走、間代性及び緊張性の痙攣、を記録した。間代性痙攣から防護されたマウスの割合を計算し、かつ抗痙攣薬活性に対する到達点(end point)として使用した。
【0171】
ロータロッド試験に対しては、マウスを回転ロッド上に置き、少なくとも60秒の間、このロッド上に留まることができなかった動物を、正常に機能しない行動を有すると判断した。
【0172】
計算及び統計解析のために使用した方法を、以下に記載した:
薬物処理への応答は、各個別の投与量において、誘発される痙攣に抗して防護された、又はローターロッド行動の悪化を示した動物の割合として表した。独立した実験において、同一化合物の類似の投与量を試験したときは、それらの結果(割合の均質性のためのカイ二乗試験(Chi-Square test))は、有意性のない場合に併合した(P>0.05)。個別の化合物の投与量−応答曲線は、LOGIT-LOG DOSE linear weighted regressionの形にフィッティングした。フィッティングの良好さについてのカイ二乗試験は、フィッティング手段の妥当性の評価のため使用した。
【0173】
バルプロエートと関連したレベチルアセタムの投与量が、それ自身によっては不活性と判断したときに、上記のとおり、通常のLOGIT-LOG DOSE回帰をフィッティングした。レベチルアセタムの投与量が、それ自身によって活性であることが証明された場合、混合物に対する測定した割合は、レベチルアセタムに帰因する効果を差し引くことによって補正したが、以下の主にアボットの方法(Abbott’s method)(Roberts M.及びBoyce C.B.C.、Methods in Microbiology (1972)、Norris J.R.及びRibbons D.W.編、Academic Press、第7A巻、153〜189頁)及びバーソロミューの方法(Bartholomew’s method)(Fleiss J.L.、Statistical methods for rates and proportions. 第2版(1981)、Wiley J. and Sons)によった。
【0174】
相互作用の2つの理論的モデルを、バルプロエート及びレベチルアセタムの結合効果を評価するために使用した:相加的モデル(additive model)及び独立モデル(independent model)である。その薬の相対的潜在能力に比例した量での、別のものによる薬の投与量の一部の置換が、同じ効果を維持するとき、効果は相加的であると定義されるだろう(Plummer J.L. 及び Short T.G.、J. Pharmacol. Mtethods (1990)、23、297〜309)。独立モデルは、2つの薬に対する、異なる方式の作用に基づいている(Chou T.C. 及び Talalay P.、Adv. Enz. Regul. (1984)、22、27〜55)。これらのモデルにおいては、投与量−応答曲線の傾き(HILL類似係数(the HILL-like coefficients))が異なるときに、困難が生じる。しかしながら、中央値効果原理(median-effect principle)を適用することによって、これがこのモデルの理論的基礎を形成しているのであるが、p=0.5(50%保護)の制限された条件において、傾きの値は無視できることが示されうる。理論的モデルの誘導式は、以下である。
【0175】
【化2】

【0176】
式中、Vm50及びLm50は、50%保護をもたらすべき混合物中の、それぞれバルプロエート及びレベチルアセタムの投与量であり;V50及びL50は、単独で試験したときの、それぞれバルプロエート及びレベチルアセタムのED50値である。これらの式から、保護の50%をもたらすために、レベチルアセタムの一定投与量に関連づけられる予想値と判断されたバルプロエートの投与量を以下のように計算することができる:
【0177】
【化3】

【0178】
これらの計算した投与量(予想される)は、さらにバルプロエートの実測した投与量と比較することができ、この実測した投与量は一定投与量のレベチルアセタムとの結合で、50%保護(実測されたVm50)に相当する効果を生み出す量である。超相加的効果(supra-additive effect)の場合、(予想されるVm50)/(実測されたVm50)の比は、1より大きく、さらに、レベチルアセタムの存在下で、50%保護を生み出すために必要とされるバルプロエートの投与量の減少の尺度と判断されうる。
【0179】
別のアプローチ、「非平行投与量−応答曲線法(non-parallel response curves method)」(Plummer J.L. 及び Short T.G.、J. Pharmacol. Methods (1990)、23、297〜309)も使用されるが、これはp=0.5で定義された特定の条件について観測及び予測された応答の比較に制限せず、結合されるべき2つの化合物の独立した投与量−応答曲線の異なる傾きを考慮に入れる。したがって、予想される応答は、バルプロエート及びレベチルアセタムのそれぞれの試験した混合物について計算され、実測された応答と比較されるが、比較は、それにより、相互作用のタイプ(相加的−超相加的−拮抗)の判断が、効果及び投与量の多くのレベルに対して提案される。試験された投与量の組み合わせの数が、充分多い場合は、結果の有意性を評価するために、おおざっぱな統計試験を使用するが、この試験は、観測された応答及び予想された応答の間に、一定方向の発散を示している混合物の割合に基づいたものである(帰無仮説のように、観測された結果及び予想された結果の間の、ランダムな正及び負の差を考慮にいれた2方向バイノミナル試験(Two-sided Binominal Test))。
【0180】
音に起因する発作の試験の結果は以下である:
直線化されたロジット−ログ投与量(LOGIT-LOG DOSE)回帰から見積もったパラメーターを表xx1に示した。
【0181】
【表6】

【0182】
レベチルアセタム単独の結果に対して調整された、投与量−応答関係から、レベチルアセタムの5.5mgの投与量が、それ自体で著しい活性を有すると推定された:この投与量で20%の動物が防護された。この割合は、混合物で防護された動物の実測された割合を修正することについて考慮されており、上で説明した通りである。バルプロエートの投与量であって、5.5mg/kgのレベチルアセタムと結合して、動物の50%において、音に起因して誘発された間代性痙攣に対する防護を生み出しうる量は、結果として得られた、調整した曲線から見積もった:実測されたVm50=3.9mg/kg。
【0183】
相互作用の相加的及び独立理論モデルから得られた結果を、表xx2に示したが、超相加的相互作用として解釈することができる。音に起因して誘発された間代性痙攣に抗して50%の動物を防護するために必要とされるバルプロエートの9〜14分の1への減少が、レベチルアセタムの存在下で得られた。この結果は、超相加的相互作用として解釈されうる。
【0184】
【表7】

【0185】
ローターロッド試験における行動の悪化は、以下の通りである:
直線化されたロジット−ログ投与量(LOGIT-LOG DOSE)回帰から見積もったパラメーターを表xx3に示した。
【0186】
【表8】

【0187】
レベチルアセタム単独の結果に対して調整された、投与量−応答関係から、レベチルアセタムの5.5mg/kgの投与量が、それ自体でわずかな活性を有することが推定された:動物の4%が、ローターロッド行動の悪化を示した。この割合は、ロジット−ログ投与量の形態中で、レベチルアセタムに結びつけられたバルプロエート投与量に関する曲線のフィッティングのために考慮に入れた。この調節された曲線から、5.5mg/kgのレベチルアセタムと結合して、動物の50%にローターロッド行動の悪化を生じさせうるバルプロエートの投与量を見積もった:実測されたVm50=127.5mg/kg。
【0188】
予想されたVm50値は、相加的及び独立理論モデルに従って計算し、バルプロエートの対応する実測された投与量と比較した(表xx4)。動物の50%にローターロッド行動の悪化を生み出すために必要とされるバルプロエート投与量のわずかな減少が、レベチルアセタムの存在下に得られ、結果はいくらかの超相加的相互作用を示唆できる。
【0189】
【表9】

【0190】
結果は以下の通りである:
この研究は、音に敏感なマウスにおいて、音に起因して誘発された間代性痙攣に抗して、バルプロエート及びレベチルアセタムの結合した投与によってもたらされた防護における、予期しない、超相加的相互作用を明らかにする。少ない超相加的相互作用は、ローターロッド試験での行動の悪化を排除することはできないが、以下の表(表xx5)中の「予想されたVm50/実測されたVm50」比によって示されるように、この相互作用は、いっそう区別されて、明確に現れる。
【0191】
【表10】

【0192】
音に敏感なマウスの中でバルプロエートの治療に関する割合は低いが、それは、音で誘発された間代性痙攣(ED50=122mg/kg)に抗して防護し、かつ、ローターロッド行動(TD50=178mg/kg)を悪化させる投与量が最小限しか離れていないためである。しかしながら、間代性痙攣に抗する防護効果における超相加的相互作用、及びローターロッド試験で実測された少ない相互作用は、結合した投与の後の着実な発作の防護を可能にし、バルプロエートのの投与量、及びそれによってローターロッド試験で起こる悪化が、顕著に減少されうるという利点がある(表xx6)。
【0193】
【表11】

【0194】
類似の実験を行ったが、それは、レベチルアセタム、並びに、その他のGABA作動性(GABAergic)薬、すなわち、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールの間の相互作用を評価するためである。
【0195】
レベチルアセタムは、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールによって、マウス中にもたらされた抗痙攣活性を強化した。音に起因して誘発された間代性痙攣に抗して、50%の動物を防護するために必要とされる投与量は、5.5mg/kgのレベチルアセタムをクロナゼパム(4.5〜7.0の因子で減少させられた)、クロルジアゼポキシド(3.7〜5.8の因子で減少させられた)、及びフェノバルビタール(3.5〜5.5の因子で減少させられた)と結合するときに著しく減少させられる。この超相加的相互作用は、反作用効果の潜在能力における類似した増加とは関連しない。バルプロエートに対するように、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、及びフェノバルビタールによって誘発されたローターロッド行動の悪化は、5.5mg/kgのレベチルアセタムの投与量と結合した処置によって影響されない。
【0196】
実施例5:小脳扁桃キンドリング・ラット(amygdala-kindled rats)での続発性全身運動痙攣(secondary generalized motor seizure)におけるレベチルアセタム及びバルプロエートの間の相互作用、並びにローターロッド試験に伴う有害な影響の評価
この研究の目的は、小脳扁桃キンドリング・ラットでの続発性全身運動痙攣を防止することにおける、バルプロエート及びレベチルアセタム間の薬物動態学的相互作用を評価することであり、このラットは、人間における2次的な全身化を伴う複雑な部分的痙攣を反映することが繰り返し述べられてきたモデルである(Loescher W. ら、Exp. Neurol. (1986)、93、211〜226; McHamara J.O.、Ann. of Neurol. (1984)、16(Suppl.)、S72〜S76)。
【0197】
このモデルにおいて、ラット中の小脳扁桃の局限性電気的キンドリング(focal electrical kindling of amygdale)は、小脳扁桃において、電気的痙攣活動(放電後)の発展、及び行動上の発作を誘発し、顔面クローヌス(facial clonus)、頭部落下(head nodding)、前肢クローヌス(forelimb clonus)、立ち上がりつつある及び完全に燃え上がった発作であって、全身化された間代性発作に随伴された立ち上がり及び下降を伴う発作を通じて全身的に発展する(Racine R.J.、Electroencephalogr. Clin. Neurophysiol. (1972)、32、281〜294)。
【0198】
キンドリング(kindling)は、レッシャー(Loescher)によって記述された方法に従って、オスのスプラーグ・ダウレー・ラット(200〜250g)で誘発した(Loescher W.ら、Exp.Neurol. (1986)、93、211〜226)。
【0199】
レベチルアセタム及びバルプロエートは、5ml/kg(体重)の投与量で、キンドリングの誘発又はローターロッド行動の測定の前、それぞれ60及び30分に、腹腔内投与した。レベチルアセタム(17、54、及び108mg/kg)及びバルプロ酸ナトリウム(50、100、150、200、及び300mg/kg)は、両者とも0.9%NaClに溶解し、それぞれpH5.9及び6.3の溶液を与えた。対照のラットは、適当な賦形剤の同一投与体積を受けた。
【0200】
キンドリング実験のために、全てのキンドリング化された動物(kindled animals)(n=8)を、キンドリングの誘発のために使用したものと同じ刺激パラメーターで、1回刺激したが、それは食塩水の腹腔内投与後60及び30分である。2日後、薬を試験した。刺激の行動への影響は、ラシーン(Racine)の得点表に従って成績をつけた(Racine R.J.、Electroencephalogr. Clin. Neurophyiol. (1972)、32、281〜294)。続発性全身運動痙攣に抗して防護されたラットの割合(3、4、又は5いずれかの得点)を、各グループについて計算し、かつ、抗痙攣薬活性に対する到達点として使用した。
【0201】
小脳扁桃キンドリング・ラット(n=8)はさらに、ローターロッドで試験した。動物は、試験前、60及び30分それぞれに、レベチルアセタム及びバルプロエートの腹腔内投与で前処理した。3分間と、続く1分間の試みの後、ローターロッド上に残ることができなかった動物だけを、悪化した行動を有すると判断した。結果は、実施例1に記載したように解析した。
【0202】
続発性全身運動痙攣に抗する防護は、以下の通りである:
直線化されたロジット−ログ投与量回帰から見積もったパラメーターは、表xx7に示した:
【0203】
【表12】

【0204】
レベチルアセタム単独の結果に対して調整した投与量−応答関係から、これらの各投与量は、それ自身著しい活性を有することが推測される。レベチルアセタムのこれら3つの投与量によって防護された動物の、計算した割合は、それぞれ、7、18、及び28.5%である。これらの割合は、混合物によって防護された動物の実測された割合を修正するために、考慮に入れたが、これは先に説明した通りである。調整した曲線から、17、54、又は108mg/kgのレベチルアセタムの存在下で、動物の50%において、続発性全身運動痙攣に抗する防護を与えることができるバルプロエートの投与量を、それぞれ見積もった(表xx8)。
【0205】
【表13】

【0206】
レベチルアセタムの一定投与量と結合させたときに、動物の50%において、続発性全身運動痙攣に抗した防護を与えるバルプロエートの投与量は、相加的及び独立理論モデルに従って計算した。これらの計算の結果(予測されるVm50)を表xx9に示し、結果は、レベチルアセタムと結合したときに、50%の防護を与えることが認められたバルプロエートの、対応する投与量と比較した(実測されたVm50)。動物の50%を防護するために必要とされるバルプロエートの投与量の3〜5分の1への減少が、レベチルアセタム存在下に得ることができ、結果は、超相加的相互作用として解釈できる。
【0207】
【表14】

【0208】
ローターロッド試験での行動の悪化は、以下の通りである:
直線ロジット−ログ投与量回帰から、バルプロエートの見積もられたパラメーターは、表xx10に示した。試験したレベチルアセタムの3つの投与量の全て(108、170、及び540mg/kg)が、この試験において小脳扁桃キンドリング・ラットの行動を悪化せず、バルプロエート(108及び170mg/kg)と結合して使用したレベチルアセタムの投与量は、それゆえ不活性と判断された。
【0209】
【表15】

【0210】
独立ロジット−ログ・バルプロエート投与量回帰は、以下のレベチルアセタムの2つの一定投与量存在下で得られた結果にフィッティングした:108及び170mg/kg。これらのフィッティングから見積もられたパラメーターを表xx11に報告する。
【0211】
【表16】

【0212】
バルプロエートをレベチルアセタムと結合したとき、投与量−応答曲線に、わずかな左側への移動が見られた。しかしながら、超相加的効果を誘発する薬に予想されうるような、レベチルアセタムの着実に投与量に関連したいかなる効果も存在しなかった。これらの投与量−応答曲線から見積もられた、バルプロエートに対するVm50値の比較は、この観察を立証する(バルプロエートと結合されたレベチルアセタムの0、108、及び170mg/kgの投与量に対して、205、161、及び174mg/kg)。
【0213】
結論は以下の通りである:
この研究は、小脳扁桃キンドリング・ラットにおける続発性全身運動痙攣の発現に抗して、バルプロエート及びレベチルアセタムを結合して投与することによってもたらされる保護における超相加的相互作用を明らかにする。それに反し、ローターロッド試験での行動によって定量化される不利な影響に関しては、いかなる有意な相互作用も観測されなかった。ローターロッド試験での行動における不利な影響は、予想されるべきことだったが、なぜなら、使用したレベチルアセタムの投与量は、それ自身この試験において不活性だったからである。
【0214】
小脳扁桃キンドリング・ラットにおけるバルプロエートの治療に役立つ割合は、続発性全身運動痙攣(ED50=197mg/kg)、及びローターロッド試験における悪化(TD50=205mg/kg)に抗した保護をもたらすものとほとんど同じ投与量に制限される。しかしながら、続発性全身運動痙攣に抗する超相加的相互作用、及びローターロッド試験における有意な相互作用の欠如は、バルプロエート及びレベチルアセタムを結合した投与の後の着実な発作の制御を可能にし、それは、ローターロッド試験において悪化をもたらすバルプロエートの投与量を、著しく減少することができる(表xx12)。
【0215】
【表17】

【0216】
一方、単独又はバルプロエートとの結合におけるレベチルアセタムの活性曲線の比較は、たとえレベチルアセタムの多投与量が採用されたとしても、この2つの薬の組み合わせ物の使用が常に興味あるという結論に導く。レベチルアセタムの投与量効果曲線の傾きは、非常に小さいが、それは100%の動物が誘発される痙攣に抗して防護されうることを意味するが、但し、非常に多い投与量のレベチルアセタムによってではある。バルプロエートの少量の添加は、100%の動物を、いっそう受け入れ可能な投与量のレベチルアセタムによって防護せしめる。
【0217】
実施例6:ラットにおいて、デキサンフェタミン(dexamphetamine)−クロルジアゼポキシドの混合物によって誘発された、機能亢進の弱化
本実験の目的は、デキサンフェタミン−クロルジアゼポキシド(DEX−CDP)の混合物によってラットに誘発された機能亢進(hyperactivity)に対し、単独又はバルプロエートと結合して投与されたレベチルアセタムの効果を研究することであり、この効果は、躁病のモデルとして認められた試験であるY−形状の迷路装置中で評価された。増加した運動活動は、躁病疾患の普通の症状であり、従って、実験動物における躁病のモデルとして、しばしば使用される。双極性障害及び躁病の予防及び治療においてFDAによって認可された医薬であるリチウム、及び双極性障害に関連した躁病の繰り返し症状の出現に適用されるバルプロエートは、躁病のこのモデルにおいて活性を示した(Vale A.L. 及び Ratcliffe F.、Psychopharmacol. (1987)、91、352〜355; Cao B.J. 及び Peng N.A.、Eur. J. Pharmacol. (1993)、237、177〜181)。
【0218】
体重が210〜290g(グループ当たり、n=13又は15)のオスのスプラーグ・ダウレー・ラットに機能亢進を誘発したが、ベールによって記述されたように、デキサンフェタミン−クロルジアゼポキシドの混合物によって行った(Vale A.L. 及び Ratcliffe F.、Psychopharmacol. (1987)、91、352〜355)。クロルジアゼポキシド12.5mg/kg、及びD−アンフェタミン硫酸塩1.18g/kgを、食塩水溶液(0.9%)に溶解し、さらに試験前35分に皮下に、1mg/kgの体積で、ともに投与した。レベチルアセタム17mg/kgは、食塩水溶液(0.9%)に溶解し、さらに試験前30分に腹腔内注射した。バルプロ酸ナトリウム150mg/kgは、食塩水溶液(0.9%)に溶解し、さらに試験前15分に腹腔内注射した。試験薬は、5ml/kgの体積で注射した。
【0219】
各ラットは、灰色のプレキシガラスで構築したY−迷路(各アーム40cmの長さ、かつ35cmの壁を有する15cmの幅)の中心に置いた。このアーム中への訪問回数を、活動の指標として5分間にわたり記録した。
【0220】
結果を、第1及び第3四分位数とともに中央値として表した。全体の統計比較は、一方でこの化合物自体の影響に対して、他方で混合物が誘発した機能亢進に抗する化合物の効果に対して、クルスカル−ウォリス試験を使用して行った。有意な結果の場合は、クルスカル−ウォリス試験の下でのポスト・ホック・マルチプル・コンパリゾン(post hoc multiple comparisons)を、ジーゲル及びカステランによって提案された方法に従って計算した(Siegel S.及びCastellan N.J.、Non parametric statistics (1989)、Mac Graw Hill、第2版)。対照グループ及びDEX−CDP混合物グループの間の比較は、マン−ホイットニー試験(Mann-Whithney test)を使用して行った。
【0221】
DEX−CDPで誘発された機能亢進に抗する、レベチルアセタム及びバルプロエートの間の可能な相互作用は、レベチルアセタムの不活性な投与量(17mg/kg)及びバルプロ酸ナトリウム(150mg/kg)を結合することによって評価した(表xax1)。レベチルアセタム17mg/kg及びバルプロエート150mg/kgの間の組み合わせ物は、DEX−CDP混合物によって誘発された機能亢進に抗する重要な効果を生みだした。この組み合わせ物の効果は、統計的に有意であり(p<0.05)、一方で、単独で与えられたレベチルアセタム17mg/kg及びバルプロエート150mg/kgの効果は、上記混合物のみを投与された動物のグループで観測された効果と異ならなかった。
【0222】
【表18】

【0223】
実施例7:血漿及び脳レベル − マウスの、音に起因した発作を防止することにおけるレベチルアセタム及びバルプロエートの間の相互作用
この薬理学研究の目的は、レベチルアセタム及びバルプロエートの間の可能な相互作用を調査することであった。
【0224】
オスの、遺伝的に音に敏感なマウス(17〜30g;N=10)であって、ラボラトリー・オブ・アコースティック・フィジオロジー(the Laboratory of Acoustic Physiology)(パリ)のレーマン博士によって最初に選別されたDBA系統に由来するものであり、かつ1978年以来、UCBファルマ・セクター(UCB Pharma Sector)の農学ユニットで飼育されたものを、一方で音に起因する発作の誘発を受けさせた。レベチルアセタム(5.4mg/kg)及びバルプロ酸ナトリウム(166.2mg/kg)を、経口投与したが、投与は単独又は組み合わせで行い、音に起因する発作の誘発前60分に行った。音に起因する発作の試験のため、音を弱くした部屋内で、ケージ当たり1頭のマウスで、ケージに入れた。30秒の慣化(habituation)の期間後、音刺激(90dB、10〜20kHz)を拡声器から30秒にわたり送り出した。この間隔のあいだに、マウスを観察し、発作行動の3つの様相の存在、すなわち激しい疾走、間代性及び緊張性の痙攣、を記録した。
【0225】
全ての動物で、発作試験(投与後1時間)の後、直ちに、軽度の二酸化炭素麻酔下の心臓穿刺によって、血液サンプルをヘパリン処置したミクロチューブに集めた。このサンプルを12000r.p.m.で5分間遠心し、さらに分離した血漿をポリプロピレンのミクロチューブに移し、さらに −20℃で冷凍貯蔵した。同時に全脳を取り出し、液体窒素中で凍結し、さらに −20℃で貯蔵した。これらのサンプルの半分を、レベチルアセタム濃度の決定のために使用し、他の半分は、バルプロエート濃度の決定のために使用した。レベチルアセタムは質量検出(mass detection)を伴う有効なガスクロマトグラフィー評価によって、血漿及び脳のサンプルを測定した。バルプロ酸ナトリウムを用い、蛍光分極イムノアッセイ(fluorescence polarization immunoassays)を使用した。
【0226】
【表19】

【0227】
平均値+標準偏差を、バルプロエート及びレベチルアセタムの血漿及び脳の濃度に対し、さらに脳/血漿の比に対して計算した。統計解析は、統計ソフトウェア、スタットグラフィックス(STATGRAPHICS)(5.1バージョン)を使用して行った。対照グループ(レベチルアセタム又はバルプロ酸ナトリウム単独)及び試験グループの間の統計的な差は、スチューデントt−試験(student’s t-test)を使用して評価した。分布の正規性及び等分散性は、パラメトリック法を使用する前に検査した。それが適用可能でない場合、マン−ホイットニー・U−テスト(Mann-Whithney U-test)を使用した。
【0228】
副研究におけるレベチルアセタムの血漿濃度は、約4.3μg/mlであった。バルプロエートを単独又は組み合わせて投与されたときで、濃度は異ならなかった。脳の濃度は、血漿濃度の約50%だった。レベチルアセタムの脳/血漿比は、バルプロエートと結合して与えたときでも、変化しておらず、これは、レベチルアセタムの分布の特徴(脳への進入)がバルプロエート存在下で変化されないことを示した。
【0229】
血漿濃度の33%の減少(統計的に有意)が、レベチルアセタムと結合して投与されたバルプロエートについて得られた(表xx14)。しかしながら、バルプロエートの脳/血漿比は変化なかった。これは、バルプロエートの進入は、レベチルアセタムとともに投与することによって変化しないことを意味する。
【0230】
【表20】

【0231】
レベチルアセタム及びその他のGABAA作動性薬の間の、可能な薬物動態学相互作用を評価するために、類似の実験を実施したが、GABAA作動性薬とはすなわち、ジアゼパム、及びフェノバルビタールである。
【0232】
レベチルアセタムの血漿濃度は、単独又はフェノバルビタールと結合して与えたときでも、異ならない。ジアゼパムと結合して投与されたレベチルアセタムに対して、血漿濃度において22%の増加が得られた。しかしながら、フェノバルビタール及びバルプロエートについては、ジアゼパムと結合して与えられたとき、レベチルアセタムの脳/血漿比は変化しない。これは、これらの化合物の存在下でも、レベチルアセタムの分布の特徴は変化しないことを示す。そのうえ、ジアゼパム、及びフェノバルビタールの血漿濃度、及び脳/血漿比は、単独又はレベチルアセタムと結合して投与されたときでも変化しないが、これはこれらの化合物の分布の特徴が、レベチルアセタムの存在下で変化しないことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双極性障害、躁病、片頭痛、及び慢性の又は神経障害性の疼痛の治療のための医薬の製造のためのレベチルアセタムの使用。
【請求項2】
双極性障害、躁病、片頭痛、及び慢性の又は神経障害性の疼痛の治療のための医薬組成物であって、医薬として有効な量のレベチルアセタム、及び医薬として許容可能な担体を含む前記組成物。
【請求項3】
レベチルアセタム、及びGABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する少なくとも1つの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項4】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する前記化合物が、ベンゾジアゼピン、1,4ベンゾジアゼピン、1,5ベンゾジアゼピン、バルビツレート、ステロイド、バルプロエート、ビガバトリン、チアガビン、又はそれらの医薬として許容可能な塩から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
好ましい前記化合物が、バルプロ酸、バルプロエート、バルプロミド、バルプロエートピボキシル、バルプロ酸ナトリウム、セミ−バルプロ酸ナトリウム、ジバルプロエックス、クロナゼパム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロバザム、フェノバルビタール、ペントバルビタール、ビガバトリン、チアガビン、又はそれらの医薬として許容可能な塩から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
それが単独で投与された場合には治療に有効ではない量の、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物、及び、所望する治療効果を得るために少なくとも充分な量のレベチルアセタムを含むことを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
通常有効な治療に役立つ投与量について3〜15の因数で約された量の、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の一定量、及び有効な治療に役立つ量のレベチルアセタムを、2〜15の比で含むことを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、及び頭部傷害の中から選ばれる疾病の治療のための、請求項6〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、頭部傷害から選ばれる疾病における治療に役立つ適用のための医薬の製造のための、請求項3〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する、少なくとも1つの化合物の量であって、それが単独で投与された場合は治療に関して有効でない量を投与される患者の治療のための、レベチルアセタムを含む医薬組成物の使用。
【請求項12】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の量が、通常有効な治療に役立つ投与量について3〜15の因数で約される量であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記患者が、てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、及び頭部傷害から選ばれる疾病を患っていることを特徴とする、請求項11又は12に記載の使用。
【請求項14】
前記患者が、70mg〜180mg、さらに好ましくは70mg〜140mgの量のバルプロエートを投与されることを特徴とする、請求項11又は13に記載の使用。
【請求項15】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する、少なくとも1つの化合物の量であって、それが単独で投与された場合は治療に関して有効でない量を投与される患者の治療法であって、そのような哺乳動物に、てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、及び頭部傷害から選ばれる疾病の治療のために、治療に役立つ量のレベチルアセタムを投与することを含む前記方法。
【請求項16】
てんかん、アルコール中毒、ふるえ、双極性障害、躁病、潔癖症、恐慌性障害、不安及び不安障害、うつ病、片頭痛、頭痛、疼痛疾患、虚血、頭部傷害から選ばれる疾病の治療法であって、そのような状態にかかった哺乳動物に、そのような状態を治療するため、請求項3〜8のいずれか1項に記載した組成物の治療に有効な量を投与することを含む前記方法。
【請求項17】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の、治療に有効な量が、通常有効な治療に関する投与量について約3〜5の因数で約される量である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
随伴する、所望しない副作用なしに、GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する化合物の治療効果を選択的に強化する方法であって、単独で投与された場合、治療に役立つ効果がないバルプロエートの一定量を、所望する治療に役立つ効果を生み出すために有効なレベチルアセタムの一定量とともに投与することを含む前記方法。
【請求項19】
GABAA受容体によって仲介される神経阻害を誘発する、少なくとも1つの化合物の有効でない量を投与される患者の治療法であって、そのような哺乳動物に、治療に関して有効な量のレベチルアセタムを投与することを含む前記方法。
【請求項20】
レベチルアセタムの量が、単独投与のための通常有効な投与量より、最大でも2.5分の1より少ない、請求項3〜8のいずれか1項に記載の組成物、請求項9〜14のいずれか1項に記載の使用、又は請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2008−56697(P2008−56697A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295865(P2007−295865)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【分割の表示】特願2001−541511(P2001−541511)の分割
【原出願日】平成12年11月27日(2000.11.27)
【出願人】(598109246)ユセベ,ソシエテ アノニム (4)
【Fターム(参考)】