説明

CPUリセットによる故障移信出力制御回路基板

【課題】設置環境ノイズなどの影響によって頻繁に発生するCPUリセットによる故障移信出力の回数を制御する。
【解決手段】故障移信出力制御回路基板1は、監視制御装置10のCPU基板20のCPUリセットパルス入力の立ち上がりによって駆動するトランジスタDTA1と、トランジスタDTA1の増幅電流を所定時間で充放電するコンデンサC1および抵抗R2と、前記コンデンサの両端電圧が規定の基準電圧を越えるか否かを判定するコンパレータを有するIC3と、コンパレータ出力により駆動するリレーRL1を備え、所定回数のCPUリセット入力があると前記監視装置の外部へ故障移信出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御装置が他設備へ移報する際の故障出力制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウォッチドッグタイマにより、マイコンが正常に動作しているか否かをチェックし、異常動作を検出した場合には、CPUに割り込みをかける(CPUリセットを行う)回路を備えた監視制御装置がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−65731号公報
【0004】
ところで、異なるシステムの監視制御装置間においては、伝送形態などが異なるため、上位装置として設定された監視制御装置に対して、下位装置として設定された他方の監視制御装置が移信出力を行う構成を採る場合がある。例えば、火災受信装置が、防犯監視装置に対して火災移信出力や故障移信出力等を行う場合である。
【0005】
ここで、上記火災受信装置にはウォッチドッグタイマが設けられており、火災受信装置および火災受信装置のCPUの仕様に適したウオッチドッグタイマの機能によってCPUが監視されている。すなわち、CPUが暴走などの機能不全に陥った場合、ウォッチドッグタイマによってCPUはリセットされ、火災受信装置は、リレー駆動などによりCPUリセット出力信号を防犯監視装置に故障移信出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、火災受信装置の設置環境によってはノイズなどの影響によりCPUリセットが発生して頻繁に故障移信出力する場合がある。この場合、CPUリセットは瞬間的なものであり、故障移信出力しても瞬時復旧するので、移信入力側の他の監視制御装置(防犯監視装置)においてはノイズと判断するが、ノイズの度毎に故障移信出力の原因を確認しなければならず、煩雑かつ面倒であった。
【0007】
また、このような監視制御システム上における故障要因とは認められないCPUリセットによる故障移信出力を解決する方法として、火災受信装置の故障移信出力制御に関するプログラムを書き換えるなどのソフトウェア変更による対策が考えられるが、既設の監視制御装置であってソフトウェア変更が不可能なものにおいてはプログラムの書き換えが出来ないという問題がある。また、ソフトウェアの変更が可能な場合であっても、デバッグ作業やシステム再稼働時の検証作業などに多くの時間を費やさなければならず、面倒かつ高コストであるという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、監視制御装置の故障移信出力制御を安価かつ簡単に行うことが可能な回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、監視制御装置のCPU基板から出力されるCPUリセットパルス入力の立ち上がり又は立ち下がりを検出して故障移信出力を行う故障移信出力制御回路基板であって、前記CPUリセットパルス入力によって駆動して電流を出力する電流出力回路部と、該電流出力回路部の出力電流を所定時間内に充電する充電回路部と、前記充電回路部の充電電圧が所定の基準電圧を越えるとHIGHの電圧を出力する比較回路部と、該比較回路部からの出力を受けて故障移信出力する移信出力回路部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の故障移信出力回路基板を監視制御装置に設けることにより、ソフトウェアの変更を行わずに確実な故障移信出力を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のCPUリセットによる故障移信出力制御回路基板を示す回路図である。
【図2】故障移信出力制御回路の回路素子の各動作状態を表す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
図1は、監視制御装置10の構成図であり、CPU基板20とCPUリセットによる故障移信出力制御回路基板1(以下、「故障出力対策基板1」という)の回路図である。また、図2は後述する故障対策基板1の回路素子の各動作状態を示す波形図である。
【0013】
まず、監視制御装置10(火災受信装置10)のシステム構成について説明する。
監視制御装置10(火災受信装置10)には、図示しない火災感知器が回線を介して接続されており、火災感知器から火災感知信号を受信すると、監視制御装置10(火災受信装置10)は、火災警報制御およびその他の火災警報に必要な制御を行う。
【0014】
また、監視制御装置10(火災受信装置10)は、他設備である防犯監視装置(図示せず)に移報回線を介して接続されており、火災警報時または監視制御装置10(火災受信装置10)がCPU暴走などにより故障した際に、防犯監視装置(他設備の監視制御装置)に対して火災移信出力または故障移信出力を行う。
【0015】
次に監視制御装置10(火災受信装置10)の内部の構成・動作について説明する。
監視制御装置10(火災受信装置10)は、CPU基板20を備えており、前述した火災警報などの各種制御処理を行う。
【0016】
CPU基板20は、CPU40と、ウォッチドッグタイマ50(以下、WDT50とする)を備えており、WDT50がCPU40の正常・異常の監視を行っている。CPU40が暴走や異常動作などの故障状態になるとWDT50はこれを検出し、故障状態のCPU40に対して割り込み信号を送出してCPU40をリセットする。
【0017】
また、CPU40のpinの一つは、本発明の故障出力対策基板1に設けられた端子部2の入力端子と配線を介して電気的に接続されている(以下、pinという)。そして、CPU40の正常時にHIGHの信号を、また異常時にはLOWの信号を当該入力端子に対して出力する。以下、このpinから故障出力対策基板1に対してHIGHからLOWの信号の立ち下がりの信号入力をCPUリセット入力という。
【0018】
次に、故障対策基板1の回路素子の動作状態を主に図2(b)を用いて説明する。
なお、図2(a)は、監視制御装置10(火災受信装置10)の電源投入時のCPUリセット入力および充電コンデンサC1、C2の充電電圧および故障移信出力(トランジスタDTC−1のベース電圧)の波形図であり、図2(c)は、CPUが故障状態から正常状態に復旧する場合の各波形図である。
【0019】
CPU40の暴走などの故障をWDT50が検出すると、CPU割り込みによってCPU40はリセットされ、CPU40のpinから故障出力対策基板1の入力端子(端子部2)にCPUリセット入力がある(図1および図2(b))。
【0020】
CPUリセット入力により、故障出力対策基板1のトランジスタDTA1(本発明の電流出力回路部)がONし(駆動して増幅電流を出力し)、R2およびC1からなる積分回路に充電される(本発明の充電回路部)。
図2(b)のように、CPUリセット入力はパルス幅100msのパルスであり、WDT50の設定により3秒ごとに入力する。また、積分回路のR2およびC1の定数は、最初のCPUリセット入力から合計4回のCPUリセット入力(CPUリセットパルス入力)がなされた場合であって、かつ、約11.6秒間でC1が充電される(飽和状態になる)ように設定されている。
【0021】
C1が充電されるとコンパレータCMP1(本発明の比較回路部)の基準電圧を超えて、IC3に内蔵されたCMP1が出力(ON)し、CMP1の出力により、続けてDTA2、CMP2、DTA3およびDTC1(本発明の移信出力回路部)が出力(ON)する(図1および図2)。
【0022】
DTC1が出力(ON)することにより(図2(b)のDTC1−B)、リレーRL1が駆動し、接点RL’1を閉じる(本発明の移信出力回路部)。
【0023】
したがって、本発明の故障出力対策基板1を監視制御装置10に設けることにより、瞬間的なノイズ等により発生するCPUリセット入力を除外し、連続してCPUリセット入力があった場合のみ外部の防犯監視装置へ故障移信出力を行う構成としたため、確実なCPUの故障検出を行うことができる。
【0024】
また、本発明は、既設の監視制御装置やソフトウェア変更が容易ではないシステムの監視制御装置にCPU故障出力の不具合が生じた場合に本発明の故障出力対策基板1を設置することによっても効果が顕著である。
【0025】
なお、本実施例においては、CPUリセットパルスの立ち下がりを検出する回路構としたが、CPUリセットパルスの立ち上がりを検出する回路構成としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 故障移信出力制御回路基板(故障出力対策基板)
2 端子
3 IC3
10 監視制御装置
20 CPU基板
40 IC2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視制御装置のCPU基板から出力されるCPUリセットパルス入力の立ち上がり又は立ち下がりを検出して故障移信出力を行う故障移信出力制御回路基板であって、
前記CPUリセットパルス入力によって駆動して電流を出力する電流出力回路部と、該電流出力回路部の出力電流を所定時間内に充電する充電回路部と、前記充電回路部の充電電圧が所定の基準電圧を越えるとHIGHの電圧を出力する比較回路部と、該比較回路部からの出力を受けて故障移信出力する移信出力回路部とを備えたことを特徴とする故障移信出力制御回路基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−231490(P2010−231490A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78215(P2009−78215)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000111074)ニッタン株式会社 (93)
【Fターム(参考)】