説明

CRF受容体アンタゴニストおよびそれらに関連する方法

発作などの、温血動物におけるCRFの分泌過多を明示する障害の治療を含む、種々の障害の治療において有用性を有するCRF受容体アンタゴニストを開示する。本発明のCRF受容体アンタゴニストは、その立体異性体、プロドラッグおよび医薬上許容される塩を含む、以下の構造式(I)(式中、R1、R2、R3、Y、ArおよびHetは本明細書の記載と同意義である)を有する。CRF受容体アンタゴニストおよび医薬上許容される担体を含有する組成物、ならびにそれを用いる方法もまた開示されている。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許仮出願番号60/532,031(2003年12月12日出願)の優先権を主張するものであり、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、CRF受容体アンタゴニストに、そしてそれらを必要とする哺乳動物にかかるアンタゴニストを投与することによる障害の治療方法に関する。
【0003】
(従来技術)
最初の副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)はヒツジの視床下部から単離され、41−アミノ酸ペプチドと同定された(非特許文献1)。その後、ヒトとラットのCRFの配列が単離され、同一であるが、41−アミノ酸残基の7個においてヒツジCRFと異なると決定された(非特許文献2、非特許文献3)。
【0004】
CRFは、内分泌、神経および免疫系機能において大きな改変を引き起こすことが判明している。CRFは、副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)、β−エンドルフィン、および脳下垂体前葉からの他のプロオピオメラノコルチン(「POMC」)由来ペプチドの基礎放出およびストレス解放の主たる生理調節物質であると考えられている(非特許文献1)。簡単に言えば、CRFは、脳(非特許文献4)、脳下垂体(非特許文献5、非特許文献6)、副腎(非特許文献7)および脾臓(非特許文献8)の全体にわたって分散されていることが判明している原形質膜受容体と結合することにより、その生物作用を開始すると考えられている。CRF受容体はCRF刺激のcAMPの細胞内産生における増加を媒介するGTP結合蛋白(非特許文献9)と結びつけられる(非特許文献10)。CRFに対する受容体は、現在は、ラット(非特許文献11)、およびヒト脳(非特許文献12、非特許文献13)からクローン化される。この受容体は、7回膜貫通ドメインを含んでなる415アミノ酸蛋白である。ラットとヒトの配列の同一性の比較は、アミノ酸レベルで高度の相同性(97%)を示す。
【0005】
ACTHおよびPOMCの産生を刺激するその役割に加えて、CRFは、ストレスに対する多種の内分泌反応、自動反応および行動反応を調整すると考えられており、情動障害の病態生理に関連するかもしれない。さらに、CRFは、免疫系、中枢神経系、内分泌系および循環器系間の連絡における重要な中間物質であると考えられている(非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16)。概して、CRFは、重要な中枢神経系の神経伝達物質のひとつであると思われ、ストレスに対する身体の全応答を統合するにおいて、重要な役割を果たす。
【0006】
CRFの脳への直接投与は、ストレスの多い環境に曝露された動物で観察される反応と同一の行動反応、生理反応、および内分泌反応を引き起こす。例えば、CRFの脳室内注入は、行動活性化(非特許文献17)、脳波の持続性活性化(非特許文献18)、交感神経副腎髄質経路の刺激(非特許文献19)、心拍数および血圧の増加(非特許文献20)、酸素消費の増加(非特許文献21)、胃腸活動の変化(非特許文献22)、食物消費の抑制(非特許文献23)、性行動の修飾(非特許文献24)、および免疫機能の低下(非特許文献25)をもたらす。さらに、臨床データは、CRFが鬱病、不安症関連障害、および神経性食欲不振において、脳に過剰に分泌されうることを示唆する(非特許文献26)。従って、臨床データは、CRF受容体アンタゴニストがCRF分泌過多を明白に示す神経精神障害の治療に有用でありうる新規の抗鬱薬および/または抗不安薬であると示唆する。
【0007】
最初のCRF受容体アンタゴニスは、ペプチド(例えば、特許文献1(Rivierら)、非特許文献27を参照のこと)であった。これらのペプチドは、CRF受容体アンタゴニストがCRFに対する薬理学的反応を減弱しうることを確立したが、ペプチドCRF受容体アンタゴニストには、ペプチド治療に通常認められる欠点(安定性の欠如および限定された経口活性を含む)がある。いくつかの公開されている特許公報として、特許文献2、特許文献3、および特許文献4が挙げられ、それらの全てが、CRFアンタゴニストとしてピラゾロピリミジン化合物を開示する。公開公報の特許文献5は、チロシンキナーゼ阻害剤として特定のピラゾロピリミジン化合物を記載する。
【0008】
CRFの生理学的意義のため、CRF受容体との有意な結合活性を有し、かつCRF受容体に対する拮抗能を有する、生理学的に活性な低分子の開発は、今も望ましい目標である。かかるCRF受容体アンタゴニストは、一般に、内分泌、精神および神経の異常もしくは疾患(ストレス関連障害を含む)の治療に有用でありうる。
【0009】
CRF受容体アンタゴニストの投与を介してのCRF調整の達成に向って有意な前進がなされたが、当該分野において効果的な低分子CRF受容体アンタゴニストに対する要求がある。かかるCRF受容体アンタゴニストを含有する医薬組成物に対する要求、ならびに、例えば、ストレス関連障害を治療するためのそれらの使用に関する方法に対する要求もある。本発明は、これらの要求を満足させ、他の関連した利点を提供する。
【特許文献1】米国特許第4,605,642号明細書
【特許文献2】米国特許第6,313,124号明細書
【特許文献3】国際公開第01/23388号パンフレット
【特許文献4】国際公開第97/29109号パンフレット
【特許文献5】国際公開第98/54093号パンフレット
【非特許文献1】Valeら、Science 213:1394-1397, 1981
【非特許文献2】Rivierら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4851, 1983
【非特許文献3】Shibaharaら、EMBO J. 2:775, 1983
【非特許文献4】DeSouzaら、Science 224:1449-1451, 1984
【非特許文献5】DeSouzaら、Methods Enzymol. 124:560, 1986
【非特許文献6】Wynnら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 110:602-608, 1983
【非特許文献7】Udelsmanら、Nature 319:147-150, 1986
【非特許文献8】Webster, E.L.およびE.B. DeSouza, Endocrinology 122:609-617, 1988
【非特許文献9】Perrinら、Endocrinology 118:1171-1179, 1986
【非特許文献10】Bilezikjian, L.M.およびW.W. Vale, Endocrinology 113:657-662, 1983
【非特許文献11】Perrinら、Endo 133(6):3058-3061, 1993
【非特許文献12】Chenら、PNAS 90(19):8967-8971, 1993
【非特許文献13】Vitaら、FEBS 335(1):1-5, 1993
【非特許文献14】Croffordら、J. Clin. Invest. 90:2555-2564, 1992
【非特許文献15】Sapolskyら、Science 238:522-524, 1987
【非特許文献16】Tildersら、Regul. Peptides 5:77-84, 1982
【非特許文献17】Suttonら、Nature 297:331, 1982
【非特許文献18】Ehlersら、Brain Res. 278:332, 1983
【非特許文献19】Brownら、Endocrinology 110:928, 1982
【非特許文献20】Fisherら、Endocrinology 110:2222, 1982
【非特許文献21】Brownら、Life Sciences 30:207, 1982
【非特許文献22】Williamsら、Am. J. Physiol. 253:G582, 1987
【非特許文献23】Levineら、Neuropharmacology 22:337, 1983
【非特許文献24】Sirinathsinghjiら、Nature 305:232, 1983
【非特許文献25】Irwinら、Am. J. Physiol. 255:R744, 1988
【非特許文献26】DeSouza, Ann. Reports in Med. Chem. 25:215-223, 1990
【非特許文献27】Rivierら、Science 224:889, 1984
【0010】
(発明の開示)
概して、本発明は、CRF受容体アンタゴニスト、さらに具体的には以下の一般構造(I):
【化1】

(式中、R、R、R、Y、Ar、およびHetは、以下と同意義である)
を有するCRF受容体アンタゴニストおよびそれらの医薬上許容される塩、エステル、溶媒和化合物、立体異性体、およびプロドラックに関する。
【0011】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、広範囲の治療的適用にわたって有用であり、多様の障害もしくは疾患(ストレス関連障害を含む)を治療するのに使用されうる。かかる方法は、医薬的に有効な量の本発明のCRF受容体アンタゴニストを、好ましくは医薬組成物の形態で、それらを必要とする動物に投与することを包含する。従って、別の実施形態において、1種またはそれ以上の本発明のCRF受容体アンタゴニスト、および医薬上許容される担体および/または希釈剤を含有する医薬組成物が開示されている。
【0012】
これらのおよび他の本発明の態様は、以下の詳細な記載を参照して明らかになるだろう。この目的のため、特定の手順、化合物および/または組成物をさらに詳細に記載する、種々の文献が本明細書にて列挙されており、それらを出典明示により本明細書の一部とする。
【0013】
(発明の詳細な記載)
本発明は、一般に、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アンタゴニストに関する。
【0014】
第一の実施形態において、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、以下の構造式(I):
【化2】

【0015】
[式中:
「---」は任意の二重結合の第二の結合を表し;
は水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−NHまたはハロゲンであり;
はアルキル、置換アルキル、−C(O)NR8、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、置換ヘテロアリールアルコキシアルキル、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、ここで、該ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールは炭素−炭素結合を介してピリミジン環に連結されており;
は結合、水素またはアルキルであり;
Yは=(CR)−または−(C=O)−であり;
【0016】
は水素、アルキル、置換アルキル、チオアルキル、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Arはフェニル、1個もしくは2個のRで置換されているフェニル、ピリジルまたは1個もしくは2個のRで置換されているピリジルであり;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキルスルホニルまたはアルキルスルフィニルであり;
Hetは、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノまたはハロゲンであり;
【0017】
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環式アルキルまたは置換複素環式アルキルであるか、または
とRは、それらが結合する窒素と一緒になって、複素環式環または置換複素環式環を形成する]
を有する。
【0018】
本明細書において使用する、上記の語は、以下の意味を有する:
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐、非環状もしくは環状、不飽和もしくは飽和の炭化水素を意味し、「低級アルキル」なる語は、アルキルと同じ意味を有するが、1〜6個の炭素原子を含有する。代表的な飽和直鎖アルキルとして、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、飽和分岐アルキルとして、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル等が挙げられる。代表的な飽和環状アルキルとして、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、−CH−シクロプロピル、−CH−シクロブチル、−CH−シクロペンチル、−CH−シクロヘキシル等が挙げられ、不飽和環状アルキルとして、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニル等が挙げられる。環状アルキルは、「単素環式環」と呼ばれ、単素二環式環および単素多環式環(例、デカリンおよびアダマンチル等)を包含する。不飽和アルキルは、隣接した炭素原子間に少なくとも1個の二重結合もしくは三重結合を含有する(それぞれ「アルケニル」または「アルキニル」と称される)。代表的な直鎖および分岐のアルケニルとして、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル等が挙げられ、代表的な直鎖および分岐のアルキニルとして、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1ブチニル等が挙げられる。
【0019】
「アルキリデニル」は、同じ炭素原子から2個の水素原子が離脱した二価のアルキル(例、=CH、=CHCH、=CHCHCH、=C(CH)CHCH等)を表す。
「アリール」は、芳香族炭素環式基(例、フェニルもしくはナフチル)を意味する。
「アリールアルキル」は、アリールで置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、ベンジル(つまり、−CHフェニル)、−CH−(1−または2−ナフチル)、−(CHフェニル、−(CHフェニル、−CH(フェニル)等)を意味する。
「アリールオキシアルキル」は、酸素架橋を介してアルキルに結合したアリール(つまり、アリール−O−アルキル−)(例、−メチル−O−フェニル等)を意味する。
【0020】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有し、少なくとも1個の炭素原子を含有する、5〜10員の芳香族複素環式環(単環式および二環式系の両方を含む)を意味する。代表的なヘテロアリールとして、(これに限定されないが)フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられる。
【0021】
「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリールで置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、−CH−ピリジニル、−CH−ピリミジニル等)を意味する。
【0022】
「複素環」(本明細書において「複素環式環」ともいう)は、飽和、不飽和または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄(窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化されることもあり、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化されることもある)から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5〜7員の単環式、または7〜14員の多環式の複素環式環を意味し、上記の複素環のいずれかが、ベンゼン環だけでなく三環系(および三環より大きい環系)複素環式環に縮合される二環式環を含む。複素環は、任意のヘテロ原子もしくは炭素原子を介して結合されうる。複素環として、上記に定義されるヘテロアリールが挙げられる。従って、上記に列挙した芳香族ヘテロアリールの他に、複素環として、(これに限定されないが)モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロプリジニル、テトラヒドロピリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル等が挙げられる。
【0023】
「複素環式アルキル」は、複素環で置換された少なくとも1個のアルキル水素原子を有するアルキル(例、−CHモルホリニル等)を意味する。
本明細書において使用される「置換」なる語は、少なくとも1個の水素原子が置換基で置換されているところのいずれかの基(例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環または複素環式アルキル)をいう。ケト置換基(「−C(=O)−」)の場合、2個の水素原子が置換される。本発明の範囲内の「置換基」として、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、−NR、−NRC(=O)Rb、−NRC(=O)NR、−NRC(=O)OR−NRSO、−OR、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−OC(=O)NR、−SH、−SR、−SOR、−S(=O)、−OS(=O)、−S(=O)OR(ここで、RとRは、同一または異なって、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、複素環、置換複素環、複素環式アルキルまたは置換複素環式アルキルである)が挙げられる。
【0024】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
「ハロアルキル」は、ハロゲンで置換された少なくとも1個の水素原子を有するアルキル(例、トリフルオロメチル等)を意味する。ハロアルキルは、アルキルが1個もしくは複数個のハロゲン原子で置換された置換アルキルの特定の形態である。
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合したアルキル(つまり、−O−アルキル)(例、−O−メチル、−O−エチル等)を意味する。
【0025】
「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して結合したアルキル(つまり、−S−アルキル)(例、−S−メチル、−S−エチル等)を意味する。
「アルキルアミノ」および「ジアルキルアミノ」は、窒素架橋を介して結合した1個または2個のアルキル部分(つまり、−NHアルキルまたは−N(アルキル)(アルキル))(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)を意味する。
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されたアルキルを意味する。
【0026】
「モノ−もしくはジ(シクロアルキル)メチル」は、1個もしくは2個のシクロアルキル基で置換されたメチル基(例、シクロプロピルメチル、ジシクロプロピルメチル等)を表す。
「アルキルカルボニルアルキル」は、−C(=O)アルキル基で置換されたアルキルを表す。
「アルキルカルボニルオキシアルキル」は、−C(=O)Oアルキル基もしくは−OC(=O)アルキル基で置換されたアルキルを表す。
「アルコキシアルキル」は、−O−アルキル基で置換されたアルキルを表す。
「アルキルチオアルキル」は、−S−アルキル基で置換されたアルキルを表す。
【0027】
「モノ−またはジ(アルキル)アミノ」は、それぞれ1個のアルキルまたは2個のアルキルで置換されたアミノを表す。
「モノ−またはジ(アルキル)アミノアルキル」は、モノ−またはジ(アルキル)アミノで置換されたアルキルを表す。
「アルキルスルホニルまたはアルキルスルフィニル」は、それぞれ(−S(=O)−)または(−S(=O)−)官能基で置換されたアルキルを表す。
【0028】
本明細書において示される本発明の実施形態は、例としての目的であって、限定する目的ではない。本発明の第一実施形態において、Rは、結合であり、Yは、以下の構造(II)において、=(CR)−であり、さらなる一実施形態において、Yは、以下の構造(III)において−(C=O)−である。
【化3】

(II) (III)
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、Rがフェニルであり、Rが該フェニルの任意の置換基であり、Yが=(CR)−である、構造式(IV)を有する。
【化4】

(IV)
【0030】
本発明のさらなる実施形態(Yは、=(CR)−である)においては、式(V)のArが2個のR5で置換されているフェニルであるもの、および式(VI)のHetが1個のR6で置換されているピリジルであるものである。
【化5】

(V) (VI)
【0031】
本発明の化合物は、通常、遊離塩基として利用されうる。別法として、本発明の化合物は、酸付加塩の形態で使用されてもよい。本発明の遊離塩基性アミノ化合物の酸付加塩は、当技術分野で周知の方法で調製されてもよく、有機酸および無機酸から合成してもよい。適当な有機酸として、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適当な無機酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が挙げられる。従って、構造式(I)の「医薬上許容される塩」なる語は、あらゆる全ての許容しうる塩の形態を包含することを意図する。
【0032】
一般に、構造式(I)の化合物は、当業者に公知の有機合成方法、ならびに実施例に記載される典型的な方法に従って、合成されてもよい。本発明の化合物を調製するのに用いることのできる合成方法の一例が反応スキーム1−3に例示されている。
【0033】
反応スキーム1
【化6】

【0034】
4−アミノ安息香酸エステルaのアミノ官能基は、所望により、置換マロンアルデヒドで縮合させて、対応する4−ピラゾール−1−イル安息香酸エステルbを得てもよい。LAH、SOCl、およびNaCNと反応させて、ピラゾロフェニルアセトニトリル化合物cに変換した後、Na/カルボン酸エチルエステルおよびヒドラジンと反応させて、ビス−ピラゾールdを得る。適宜置換されたβ−ケトエステルと反応させて、ピラゾロピリミジンeを得、それをPOClと反応させて、クロリドfを得る。クロリドfを、適当な触媒またはプロモータの存在下、適当な有機金属試薬RMと反応させて、化合物gを得る。適当な有機金属試薬および適当な触媒/プロモータは:
1.(置換)アルキルグリニャール試薬 RMgX(Fe(acac)プロモータ);
2.アリール、ヘテロアリールまたはアルケニルボロン酸またはエステル(Pd(PhP)触媒);および
3.アリールまたはヘテロアリール亜鉛試薬(Pd(PhP)触媒)。
【0035】
組み込まれたR基は、当業者に周知の標準の方法(例えば酸化/還元、加水分解等)を用いて、さらに処理されまたは反応して、本発明のさらなる例を提供しうる。
【0036】
反応スキーム2
【化7】

【0037】
本発明のピラゾロピリミジン核に至る複数の合成経路が利用可能である。反応スキーム2において、所望により置換されていてもよいハロベンズアルデヒドhをトシルメチルイソシアニド(TosMIC)と反応させて、フェニルアセトニトリルiを形成させる。iとNaHおよびEtOAcとを反応させて、3−ヒドロキシブタ−2−エンニトリルjを得、それはヒドラジンHBrとの反応で閉環されて、3−アミノ2−フェニルピラゾールkを得る。β−ケトエステルを加えて、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−オールlを得る。反応経路にあるように酸素を置換し、末端臭素をHetで置換して本発明の化合物を得る。
【0038】
反応スキーム3
【化8】

【0039】
置換アセトニトリルmをケトンnと反応させ(ここで、R’は、良好な脱離基(例、アルコキシ、シアノ、またはハロであり、R”は、ヒドロキシまたはアルコキシなどの基である)、シアノケトンoを得、それをヒドラジンと反応させて、置換ピラゾールpを得る。pをβ−ケトエステルqと反応させて、ピラゾロピリミジンrを得る。POClと反応させて、クロリドsを得、クロリドをRで置換して、化合物tを得る。
【0040】
CRF受容体アンタゴニストとしての化合物の効果は、様々なアッセイ法により、決定されうる。本発明の適当なCRFアンタゴニストは、CRFのその受容体への特異的結合を阻害し、CRFと関連する活性を拮抗することができる。構造式(I)の化合物は、この目的のため一般に認められた1種もしくは数種のアッセイにより、CRFアンタゴニストとしての活性について評価されうる。上記アッセイとして、(これらに限定されないが)DeSouzaら(J. Neuroscience 7:88, 1987)およびBattagliaら(Synapse 1:572, 1987)により開示されたアッセイが挙げられる。上記の通り、適当なCRFアンタゴニストには、CRF受容体親和性を示す化合物が含まれる。CRF受容体親和性は、放射性標識したCRF(例えば、[125I]チロシン−CFR)のその受容体(例えば、ラット大脳皮質膜から調製される受容体)への結合を阻害する化合物の能力を測定する結合の研究により、決定されうる。DeSouzaら(上記、1987年)により記載される放射リガンド結合アッセイは、CRF受容体に対する化合物の親和性を決定するためのアッセイを提供する。かかる活性は、典型的には、受容体からの放射性標識したリガンドの50%を置換するのに必要な化合物の濃度としてのIC50から算出され、以下の式により、算出される「K」値として報告される。
【数1】

式中、Lは、放射リガンドであり、Kは、受容体に対する放射リガンドの親和力である(Cheng and Prusoff、Biochem. Pharmacol. 22:3099、1973)。
【0041】
CRF受容体結合を阻害することに加えて、化合物のCRF受容体アンタゴニスト活性は、CRFに関連する活性を拮抗する化合物の能力によって、確立されうる。例えば、CRFは、種々の生化学プロセス(アデニル酸シクラーゼ活性を含む)を誘導することが知られている。従って、化合物は、CRFにより誘導されるアデニル酸シクラーゼ活性を拮抗するそれらの能力により、例えばcAMP濃度の測定することにより、CRFアンタゴニストとして評価されうる。Battagliaら(前掲、1987)により記載されたCRFにより誘導されるアデニル酸シクラーゼ活性のアッセイは、CRF活性を拮抗する化合物の能力を決定するためのアッセイを提供する。従って、CRF受容体アンタゴニスト活性は、一般に、初期の結合アッセイ法(例、DeSouza(前掲、1987)により開示された)、次のcAMPスクリーニングプロトコル(例、Battaglia(上記、1987)により開示された)を含むアッセイ技法により、決定される。
【0042】
CRF受容体結合親和性に関して、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、10μM未満のKを有する。本発明の好ましい実施形態において、CRF受容体アンタゴニストは、1μM未満のKを、より好ましくは0.25μM(つまり、250nM)未満のKを有する。以下にさらに詳細に記載するK値は、実施例27に記載の方法により、検定されうる。
【0043】
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRF受容体部位で活性を示し、広範囲の障害もしくは疾患(内分泌、精神および神経の障害もしくは疾患を含む)の治療のための治療薬として使用されうる。さらに具体的には、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、CRFの分泌過多から生じる生理学的異常もしくは障害を治療するのに有用でありうる。CRFは、ストレスに対する内分泌反応、行動反応および自動反応を活性化し、調整する重要な神経伝達物質であると考えられているので、本発明のCRF受容体アンタゴニストは、神経精神障害の治療に使用されうる。本発明のCRF受容体アンタゴニストによって治療可能でありうる神経精神障害として、情動障害(例、鬱病);不安症関連障害(例、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃)、心臓血管系異常(例、不安定狭心症および反応性高血圧症));摂食障害(例、神経性食欲不振、過食症、および過敏性腸症候群)が挙げられる。CRFアンタゴニストは、脳卒中だけでなく様々な疾患状態に関連するストレス誘導性免疫の抑制に有用でありうる。本発明のCRFアンタゴニストの他の使用は、炎症性疾患(例、慢性関節リウマチ、ブドウ膜炎、喘息、炎症性腸疾患および胃腸の運動性疾患)、疼痛、クッシング病、点頭痙攣、癲癇ならびに他の幼児と成人の両方における発作、および種々の物質乱用と禁断症状(アルコール症を含む)の治療に有用でありうる。
【0044】
本発明の別の実施形態において、1種もしくは複数種のCRF受容体アンタゴニストを含有する医薬組成物が、開示される。投与の目的上、本発明の化合物は、医薬組成物として処方されうる。本発明の医薬組成物は、本発明のCRF受容体アンタゴニスト(つまり、構造(I)の化合物)と医薬上許容される担体および/または希釈剤を含んでなる。CRF受容体アンタゴニストは、特定の障害を治療するのに有効な量、つまり、患者にとって好ましくは許容できる毒性を有するCRF受容体アンタゴニスト活性を実現するのに十分な量で、医薬組成物中に存在する。本発明の医薬組成物は、投与の経路に応じて適用量当り0.1mg〜250mg、さらに好ましくは1mg〜60mgの量で、CRF受容体アンタゴニストを含有するのが好ましい。当業者は、適切な濃度および適用量を容易に決定することができる。
【0045】
医薬上許容される担体および/または希釈剤に関して、当業者は、精通している。液体溶液として処方される組成物に関して、許容される担体および/または希釈剤として、食塩水および無菌水が挙げられ、場合により、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬および他の一般的な添加剤を含有してもよい。上記組成物は、さらに、CRF受容体アンタゴニストの他に、希釈剤、拡散剤および界面活性剤、結合剤、および潤滑剤を含有する丸剤、カプセル、顆粒、または錠剤として処方されることが可能である。当業者は、適切な方法で、容認された実践(例、Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA 1990に開示された方法)に従って、CRF受容体アンタゴニストを処方しうる。
【0046】
加えて、プロドラックも、本発明の範囲内である。プロドラックは、上記のプロドラッグが患者に投与されると、インビボで構造式(I)の化合物を放出する任意の共有結合された担体である。プロドラックは、一般的に、所定の操作またはインビボのいずれかで、修飾が切断され、親化合物を生じるような方法で官能基を修飾することにより、調製される。
【0047】
立体異性体に関して、構造式(I)の化合物は、キラル中心を有してもよく、ラセミ化合物、ラセミ混合物としておよび個々の鏡像異性体もしくはジアステレオマーとして、存在してもよい。全ての上記の異性体の形態は、それらの混合物を含めて、本発明に含まれる。さらに、構造式(I)の化合物の結晶形のいくつかは、別の結晶形、無定形または多形体としての多形形態にて存在するものもあり、そのすべてが本発明に含まれる。さらに、構造式(I)の化合物は、さらに、水または他の有機溶媒と溶媒和化合物を形成することもある。このような溶媒和化合物は、同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、多様の障害もしくは疾患(内分泌障害もしくは疾患、精神障害もしくは疾患および神経障害もしくは疾患を含む)を治療する方法を提供する。上記の方法には、本発明の化合物を障害もしくは疾患を治療するのに十分な量、温血動物に投与することが含まれる。上記の方法には、本発明のCRF受容体アンタゴニストの好ましくは医薬組成物の形態での系統的投与が、含まれる。本明細書において使用される系統的投与には、経口および非経口の投与方法が含まれる。経口投与のための、適切なCRF受容体アンタゴニスの医薬組成物として、粉末、顆粒、丸剤、錠剤、およびカプセル、さらに液体、シロップ、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。これらの組成物には、香料、防腐剤、沈殿防止剤、増稠剤および乳化剤、ならびに他の医薬上許容される添加剤が、さらに含まれうる。非経口投与のための、本発明の化合物は、CRF受容体アンタゴニストの他に、緩衝剤、酸化防止剤、静菌薬、および上記溶液中で一般的に使用される他の添加剤を含有しうる水性注射液中で、調製されることができる。
【0049】
別の実施形態において、本発明は、放射性もしくは非放射性医薬品により、体内の特定の部位の可視化診断を可能にする。本発明の化合物の使用は、患者の生理学的評価、機能的評価、または生物的評価、或いは、疾患の検出および評価または病理学的検出および評価を提供しうる。放射性医薬品は、シンチグラフィー、陽電子放射断層撮影(PET)、コンピューター断層撮影(CT)、および単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)において利用される。上記の適用のため、放射性同位体として、ヨウ素(I)(123I(PET)、125I(SPECT)、および131Iを含む)、テクネチウム(Tc)(99Tc(PET)を含む)、リン(P)(31Pおよび32Pを含む)、クロム(Cr)(51Crを含む)、炭素(C)(11Cを含む)、フッ素(F)(18Fを含む)、タリウム(Tl)(201Tlを含む)およびそれらに類する陽電子ならびに電離放射線の放出源のような元素が包含される。非放射性医薬品は、磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光透視法、および超音波に利用される。上記の適用のため、同位体として、ガドリニウム(Gd)(153Gdを含む)、鉄(Fe)、バリウム(Ba)、マンガン(Mn)、およびタリウム(Tl)、のような元素が包含される。上記の物質は、さらに、混合物中の特定の標的部位の存在を同定するのに有用であり、また混合物中の分子を標識するのに有用である。
【0050】
上記の如く、本発明の化合物の投与は、非常に多様な障害もしくは疾患を治療するのに利用されうる。特に、本発明の化合物は、鬱病、不安障害、パニック障害、強迫性障害、異常攻撃、不安定狭心症、反応性高血圧症、神経性食欲不振、過食症、過敏性腸症候群、ストレス誘導性免疫の抑制、脳卒中、炎症、疼痛、クッシング病、点頭痙攣、癲癇、および物質乱用もしくは禁断症状の治療のために温血動物に投与されうる。
【0051】
以下の実施例は、限定するのではなく、例示の目的で提供される。
実施例
本発明のCRF受容体アンタゴニストは、実施例1ないし23に開示される方法により調製されうる。実施例24は受容体結合親和力の測定方法を提供し、実施例25は本発明の化合物をCRF刺激性アデニレートシクラーゼ活性についてスクリーニングするアッセイを開示する。
【0052】
分析用HPLC−MS方法1
プラットフォーム:アギレント(Agilent)1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)を装着;
HPLCカラム:YMC CDS AQ、S−5、5μ、2.0x50mmカートリッジ;
HPLC勾配:1.0mL/分、2.5分にて水中10%アセトニトリルから水中90%アセトニトリルまで、90%を1分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0053】
分析用HPLC−MS方法2
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)を装着;
HPLCカラム:Phenomenex Synergi-Max RP、2.0x50mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、13.5分にて水中5%アセトニトリルから水中95%アセトニトリルまで、95%を2分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0054】
分析用HPLC−MS方法3
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(電子噴射)を装着;
HPLCカラム:XTerra MS、C18、5μ、3.0x250mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、46分にて水中10%アセトニトリルから水中90%アセトニトリルまで、99%アセトニトリルにまで飛び越え、99%アセトニトリルを8.04分間維持する。アセトニトリルおよび水は共に0.025%TFAを有する。
【0055】
分析用HPLC−MS方法4
プラットフォーム:アギレント1100シリーズ:自動−試料供給装置、UV検出装置(220nMおよび254nM)、MS検出装置(APCI)およびBerger FCM 1200 COポンプモジュールを装着;
HPLCカラム:Berger Pyridine、PYR 60A、6μ、4.6x150mmカラム;
HPLC勾配:4.0mL/分、120バール;1.67分にて超臨界CO中10%メタノールから超臨界CO中60%メタノールまで、60%を1分間維持する。メタノールは1.5%水を有する。背圧を140バールに制御した。
【0056】
分取用HPLC−MS
プラットフォーム:島津 HPLC:ギルソン(Gilson)215自動−試料供給装置/画分収集装置、UV検出装置およびPE Sciez API150EX質量検出装置を装着;
HPLCカラム:BHK ODS−O/B、5μ、30x75mm;
HPLC勾配:35mL/分、7分にて水中10%アセトニトリルから100%アセトニトリルまで、100%アセトニトリルを3分間維持する。0.025%TFAを有する。
【0057】
略語:
AA:酢酸アセチル
LAH:水素化アルミニウムリチウム
DCM:ジクロロメタン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EAA:アセト酢酸エチル
LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量分光法
NaBH(OAc):トリアセトキシホウ水素化ナトリウム
Pd−C:炭素上パラジウム(10%)
TFA:トリフルオロ酢酸
トスミック:トシルメチルイソシアニド
acac:アセチルアセトネート
EDCI:N−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
THF:テトラヒドロフラン
TEA:トリエチルアミン
:保持時間
【0058】
実施例1
7−(2−メトキシ−フェニル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化9】

【0059】
工程1A:
4−アミノ−2−メトキシ安息香酸メチル(6.82g、37.7ミリモル)の6NHCl(水性)中冷却懸濁液に、亜硝酸ナトリウム(2.60g、37.7ミリモル)の溶液を滴下した。0℃にて20分間攪拌した後、塩化第一スズ・二水和物(24.7g、109.3ミリモル)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を0℃で1.5時間攪拌し、濾過した。集めた固体をEtOHに懸濁させ、それにマロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)(7.5mL、45.7ミリモル)を添加し、この反応混合物を一夜還流に供した。EtOHを蒸発させた後、該残渣をEtOAcと水の間に抽出し、有機相を乾燥させ、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルプラグ(25%EtOAc/ヘキサン)に通し、化合物1b(7.43g)を安息香酸メチルおよびエチルの混合物として得た。
【0060】
工程1b:
1b(10.6g)の乾燥ジエチルエーテル(200mL)中溶液に、LAH粉末(1.74g)を0℃でゆっくりと添加した。0℃で45分間攪拌した後、該反応混合物を氷水上にデカントし、水相をpH4.0にまで酸性化した。単離した後、該アルコール(8.8g)を、DCM中、塩化チオニル(10mL)と一緒に2.5時間攪拌し、氷水上にデカントし、DCMで抽出した。塩化ベンジル粗製物(8.26g)を、DMSO(100mL)中、NaCN(3.65g、74.4ミリモル)と一緒に80℃で45分間加熱した。DMSOを除去した後、30% EtOAc/ヘキサンでのカラムクロマトグラフィーに付して、化合物1c(5.98g)を得た。
【0061】
工程1C:
1c(5.98g、28.1ミリモル)のEtOAc(150mL)中溶液に、金属ナトリウム(1.0g、43.5ミリモル)を少しずつ加え、該混合物を一夜還流した。得られた懸濁液を氷水上にデカントし、pH4.0に酸性化した。有機相を乾燥させ、蒸発乾固させた。得られた化合物(9.5g)をヒドラジン・一臭化水素酸塩(15.3g、135.4ミリモル)と混合し、EtOH/HO(6:1)中に5時間還流させた。EtOHを蒸発させ、EtOAcで抽出して、有機相を乾燥させ、蒸発乾固させて化合物1d(7.5g)を得た。
【0062】
工程1D:
1d(7.5g、27.9ミリモル)の混合物をアセト酢酸エチル(5.0mL)と一緒にAcOH(100mL)中で3時間還流した。AcOHを蒸発させ、ジエチルエーテル中に沈殿させた後、濾過して化合物1e(10.4g)を得た。
【0063】
工程1E:
1e(2.1g、6.3ミリモル)のアセトニトリル中溶液に、POCl(2.2mL、24.1ミリモル)を添加し、この混合物を5時間還流し、氷水中にデカントし、EtOAcで抽出し、クロマトグラフィー精製に付して化合物1f(1.88g)を得た。
【0064】
工程1F:
化合物1f(1.0ミリモル)、2−メトキシフェニルボロン酸(1.2ミリモル)、KCO(2.0ミリモル)およびPd(PPh(0.05ミリモル)の混合物を1,4−ジオキサン/HO(2:1)中110℃で一夜加熱した。溶媒を蒸発させた後、混合物をCHCl/HOの間に抽出し、有機相を乾燥させ、蒸発乾固させた。カラムクロマトグラフィーに付した後、化合物1−1(402mg)を得た。アリールボロン酸試薬でのアリール官能基導入に応じて、以下の表に列挙される化合物を合成し、分取性LC−MSにより精製した:
【0065】
【化10】

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【0066】
実施例1A
中間体1fの別の合成方法
【化11】

【0067】
工程1A−A:
メカニカルスターラーを装着した三口フラスコに、250g(1.12モル)の2−メトキシ−4−アセチルアミノ安息香酸メチルエステルを、つづいて1Lのメタノールを充填した。攪拌を開始し、94mL(3.36ミリモル、3当量)の濃硫酸をゆっくりと加え、ゆるやかに還流させる。該混合物を24時間攪拌した。該混合物を真空下で濃縮し、粘性のあるスラリーを得た。該スラリーをブフナー漏斗を用いて濾過し、300mLの冷メタノールで洗浄した。濾過ケーキを集め、真空下、45℃で24時間乾燥させ、302gの1aをヘミ硫酸塩として収率96%にて得た。
【0068】
工程1A−B:
メカニカルスターラーおよびサーモカップルを装着した2Lの二口フラスコにて200g(716ミリモル)の4−アミノ−2−メトキシ安息香酸メチル1aを充填した。該固体を700mLの6N塩酸でスラリー状にし、氷浴にて冷却した。該混合物に、添加の間15℃未満の温度を維持しながら、54.3g(788ミリモル、1.1当量)の亜硝酸ナトリウム/水(100mL)を少しずつ加えた。該混合物をさらに1.5時間攪拌し、明黄色の均質な溶液を得た。該混合物に272g(1432ミリモル、2当量)の無水塩化第一スズを注意して添加した。その添加の間温度を10℃未満に保持した。該混合物を0℃で1時間攪拌し、ついで5℃で16時間貯蔵した。沈殿物をブフナー漏斗を介する濾過により集め、濾過ケーキを2時間風乾させた。その濾過ケーキを磁気攪拌棒を装着した2Lの丸底フラスコに移し、600mLのエタノールで希釈した。そのスラリーに142mL(859ミリモル、1.2当量)のマロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)を加え、該混合物を6時間還流した。エタノールを蒸発させた後、残渣を酢酸エチルで希釈し、水酸化ナトリウムで中和した。有機相を分離し、乾燥させ、真空下で濃縮した。粗生成物をヘキサン中25%酢酸エチルで溶出するシリカゲルプラグに通し、96gの化合物1bをメチルおよびエチルエステルの混合物として収率58%にて得た。
【0069】
工程1A−C:
500mLの乾燥THFを含有する1Lの丸底フラスコに、LAH(14.5g、380ミリモル、0.95当量)を添加し、その混合物を0℃に冷却した。この混合物に、1b(96g、400ミリモル、1.0当量)のTHf(300mL)中溶液を滴下した。添加の間、温度を15℃未満に維持した。添加終了後、混合物を1時間攪拌し、ついで反応混合物を注意して水(14.5mL)、10%水性水酸化ナトリウム(14.5mL)および水(43.5mL)でクエンチした。得られた混合物をセライトパッドを介して濾過し、濃縮して、1b.1をわずかに黄色の油状物(63.9g、75.7%)として得、それをさらに精製することなく使用した。
【0070】
工程1A−D:
塩化チオニル(95mL、1.30モル、3.1当量)を、緩やかな還流が維持されるように添加速度を保持しながら、1b.1(85.0g、0.42モル)のDCM(400mL)中溶液に1時間にわたって滴下した。沈殿物が形成されたが、添加終了時には再び溶解した。得られた暗色溶液を4時間還流した。冷却された反応混合物を500gの氷上に注ぎ、得られた混合物をDCM(2x700mL)で抽出した。合した有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して1b.2(76.5g)を褐色固体として得、それをさらに精製することなく使用した。
【0071】
工程1A−E:
1b.2(76g、340ミリモル、1.0当量)のDMf(100mL)中溶液を、シアン化ナトリウム(24.5g、500ミリモル、1.5当量)およびDMf(300mL)の100℃に加熱した混合物に20分間にわたって滴下した。該混合物を100℃で4時間加熱し、ついで冷却された混合物をセライトを介して濾過した。濾液を濃縮し、ついで残渣をDCM(300mL)に溶かし、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、 濾過し、濃縮して暗褐色固体残渣を得た。この残渣をエタノール(100mL)中でスラリー状にし、ついで該固体を濾過により集め、冷エタノールおよびエーテルで洗浄し、1c(48.0g)をオフホワイト固体として得た。母液を濃縮し、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、さらに15.4gの1cを白色固体として得た。合計の収量63.4g。
【0072】
工程1A−F:
1c(63.4g、0.30モル、1当量)の酢酸エチル(800mL)中溶液を金属ナトリウム(10.3g、0.45ミリモル、1.5当量)に少しずつ添加し、該混合物を16時間還流した。冷却された懸濁液を500gの氷上に注ぎ、pH5にまで酸性化し、ついで酢酸エチル(2x300mL)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して黄色油の粗製物(86.5g)にまで濃縮した。
【0073】
該黄色油の粗製物(86.5g)をエタノール(480mL)および水(80mL)に溶かし、ついでヒドラジン・一臭化水素酸塩(100g、0.88モル、3当量)を添加し、該混合物を85℃で16時間加熱した。溶媒を蒸発させ、ブライン(200mL)を加え、該混合物を酢酸エチル(2x300mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して1d(68g)を褐色泡沫粗製物として得、それをさらに精製することなく使用した。
【0074】
工程1A−G:
1d(68g、250ミリモル、1.0当量)、アセト酢酸エチル(100mL)、酢酸(150mL)およびエタノール(150mL)を24時間還流した。冷却された混合物を濃縮して固体残渣を得、それをフリットガラスフィルター上に堆積させ、エーテルで洗浄し、1e(52.0g、51.2%)をオフホワイト固体として得た。母液を濃縮し、ついで溶出液としてDCM中10%メタノールを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付した。こうして得られた固体生成物をエーテルで洗浄し、さらに17.0gの1eをオフホワイト固体(合計の収量69g)として得た。
【0075】
工程1A−H:
1e(41.2g、123ミリモル)のアセトニトリル(200mL)中懸濁液に、POCl(45.0mL、493ミリモル)を添加し、この混合物を16時間還流した。冷却された反応混合物を氷水上に注ぎ、得られた混合物をクロロホルムで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、1f(29.0g)を黄褐色固体として得た。
【0076】
実施例2
7−イソプロピル−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化12】

【0077】
工程2A:
化合物1f(1.41g、4.0ミリモル)およびFe(acac)(424mg、1.2ミリモル)のTHF/NMP(v/v=8:1)中溶液に、iPrMgCl(2.0M/THF、4.0mL)をゆっくりと室温にて添加した。反応混合物を1.5時間攪拌し、1N HCl(水性)でクエンチした。EtOAcで抽出した後、生成粗製物をカラムクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)で精製し、化合物2−1(628mg)を得た。
【0078】
ハロゲン化アルキルマグネシウムにおけるアルキルの官能性に応じて、以下の表に列挙される化合物が合成された:
【化13】

【表2−1】

【表2−2】

【0079】
実施例3
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボン酸エチルエステル
【化14】

【0080】
工程3A:
EtOH(20mL)に、化合物1d(1.0g、実施例1、工程1c)およびエチル−2,4−ジオキソバレラート(0.82g)を添加し、つづいて0.5mLの酢酸を添加した。該反応混合物を80℃で12時間加熱した。濃縮およびシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製を行い、化合物3−1(0.66g、46.1%収率)および反転付加化合物3−2(0.47g、32.2%収率)を得た。
【0081】
工程3B:
THF(1.5mL)に溶かした化合物3−1(30mg)をDIBAL(150μL、ヘキサン中2MDIBAL)に溶かした。該反応混合物を室温で2時間攪拌し、水(0.4mL)でクエンチした。
LC−MSを介する精製に付した後、化合物3−3(3.3mg)を得た。同様の操作に従って、化合物3−2を還元し、精製後に化合物3−4(2.6mg)を得た。
【0082】
工程3C:
THF(1.5mL)に、化合物3−1(30mg)を、つづいてCHMgBr(150μL、THF中2MCHMgBr)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、水でクエンチした。得られた物質をLC−MSで精製し、化合物3−5(3.8mg)を得た。この操作を化合物3−1とCHCHMgBrで行い、精製後に化合物3−6(4.1mg)を得た。同様の反応操作を出発試薬として化合物3−2および求核試薬としてCHMgBrを用いて行い、精製後に化合物3−7(4.0mg)を得た。
【0083】
工程3D:
THF(1.5mL)にアセトアミドオキシム(20mg)およびNaH(10mg)を室温にて30分間攪拌しながら添加した。化合物3−2(40mg)を加え、該混合物を密封管中90℃にて2時間加熱した。LC−MSを介する精製に付した後、化合物3−8を得た(5.5mg)。
【0084】
工程3E:
ジオキサン:水(9:1)中の化合物3−1(200mg)に、LiOH(30mg)を加えた。反応を攪拌しながら室温にて6時間続け、つづいてpH4(HCl、4N)にクエンチし、HO(20mL)とEtOAc(20mL)の間に抽出した。有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50:50 EtOAc/ヘキサン)で精製し、化合物3−9(180mg)を得た。実施例3に示される化合物を以下の表にする:
【0085】
【化15】

【表3】

【0086】
実施例4
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−トリフルオロメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化16】

【0087】
工程4A:
化合物1d(40mg、実施例1、工程1c)および1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン(過剰量)の混合物をAcOH中150℃にて15分間マイクロ波を用いて加熱し、LC−MSを介する精製に付した後 化合物4−1(29mg)を得た。トリフルオロジオンに応じて、以下の表の化合物を合成した:
【0088】
【化17】

【表4】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を用いた。
【0089】
実施例5
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−カルボン酸ジメチルアミド
【化18】

【0090】
工程5A:
化合物3−9(50mg、0.14ミリモル、1当量)のDCM(1mL)中溶液に、HOBT(57mg、0.42ミリモル、3当量)、TEa(0.12mL、0.84ミリモル、6当量)、ジメチルアミン塩酸塩(34mg、0.42ミリモル、3当量)およびEDCI(79mg、0.42ミリモル、3当量)を添加した。該混合物を室温で16時間攪拌し、ついで溶媒を蒸発させ、粗反応混合物を分取性HPLC/MSで精製し、化合物5−1(10mg)をTFA塩として得た。上記したアミド化工程に応じて、以下の表の化合物を合成した:
【0091】
【化19】

【表5】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を用いた。
【0092】
実施例6
シクロペンチル−{2−[3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−ベンジル}−アミン
【化20】

【0093】
工程6A:
1f(500mg、1.4ミリモル、1当量)のジオキサン/水(1:1、6mL)中溶液に、2−ホルミルフェニルボロン酸(255mg、1.7ミリモル、1.2当量)を、つづいて炭酸カリウム(390mg、2.8ミリモル、2.0当量)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(82mg、0.07ミリモル、0.05当量)を添加した。該混合物を密封管中100℃にて3時間加熱し、ついで該溶媒を真空下にて除去した。残渣を酢酸エチルに溶かし、水およびブラインで洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、該残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(1:1)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、6a(500mg、85%)を黄色固体として得た。
【0094】
工程6B:
トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(80mg、0.38ミリモル、2当量)を室温にて6a(80mg、0.19ミリモル、1当量)および酢酸(0.011mL、0.19ミリモル、1当量)のジクロロエタン(1mL)中溶液に滴下した。該混合物を室温にて16時間攪拌し、ついで該混合物を濃縮してメタノールに溶かし、分取性HPLC/MSで精製して6−1(36mg、38%収率)をTFA塩として得た。
上記の還元アミノ化工程に用いるアミンに応じて、以下の表に示される化合物が合成された:
【0095】
【化21】

【表6−1】

【表6−2】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を用いた。
【0096】
実施例7
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニル]−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化22】

【0097】
工程7A:
6a(345mg、0.82ミリモル)のTHF/メタノール(1:1、4mL)中室温での懸濁液に、ホウ水素化ナトリウム(62mg、1.6ミリモル、2当量)を注意して添加した。混合物を30分間攪拌し、ついで水を添加し、該混合物をDCMで抽出した。合した有機層を水およびブラインで洗浄し、ついで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して7−1(450mg、90%)を固体として得、それをさらに精製することなく使用した。
【0098】
工程7B:
塩化チオニル(0.17mL、2.3ミリモル、2.2当量)を7−1(450mg、1.05ミリモル、1当量)の室温でのDCM(5mL)中溶液に添加した。該混合物を室温にて30分間攪拌し、ついで水を添加し、該混合物をDCMで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して7−2(420mg、90%)を黄色固体として得た。
【0099】
工程7C:
水素化ナトリウム(11mg、鉱油中60%分散液、0.28ミリモル、4当量)を室温での2−メチルイミダゾール(17mg、0.21ミリモル、3当量)のDMf(2mL)中溶液に加えた。該混合物を10分間攪拌し、ついで7−2(30mg、0.07ミリモル、1当量)のDMf(0.2mL)中溶液を加え、該混合物を室温で17時間攪拌した。該混合物をメタノールで希釈し、ついで分取性HPLC/MSで直接精製し、7−X(6mg)をTFA塩として得た。
【0100】
工程7D:
水素化ナトリウム(3.3mg、0.067ミリモル、3当量)を室温での7−2(10mg、0.023ミリモル、1当量)のDMSO(3mL)中溶液に添加した。該混合物を室温で2時間攪拌し、ついで水を加え、該混合物をDCMで抽出した。合した有機層を水およびブラインで洗浄し、ついで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して7−3の粗製物(8mg、80%収率)を固体として得た。
【0101】
工程7E:
DIBAL−H(0.23mL、トルエン中1.5M溶液、0.35ミリモル、3当量)を−78℃での7−3(50mg、0.11ミリモル)のDCM(1mL)中溶液に添加した。該混合物を−78℃で20分間攪拌し、ついで室温にまで加温した。水を添加し、該混合物を10分間攪拌し、ついで水層をDCMの2つの付加的な部分で抽出した。合した有機抽出液を水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、セライトを介して濾過し、濃縮した。残渣を分取性HPLC/MSで精製し、7a(15mg)をTFA塩として得た。
【0102】
工程7F:
トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(15mg、0.069ミリモル、2当量)を、室温にて、7a(15mg、0.034ミリモル、1当量)および酢酸(0.002mL、0.034ミリモル、1当量)のDCM(1mL)中溶液に添加した。該混合物を室温で16時間攪拌し、ついで該混合物を濃縮し、メタノールに溶かし、分取性HPLC/MSで直接精製し、7−4(11mg、50%收率)をTFA塩として得た。
以下の表にて実施例7の化合物を列挙する。上記の還元アミノ化工程に利用するアミンを変えることで、該表に含まれる化合物7−5および7−6は工程7Eの方法で合成された:
【0103】
【化23】

【表7】

【0104】
実施例8
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−(3−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化24】

【0105】
工程8A:
2−ブロモ−3−メチルピリジン(4.85g、28.2ミリモル)の−70℃に冷却した乾燥THf(8.0mL)中溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液、17.6mL、28.2ミリモル)を滴下した。反応混合物を−70℃で30分間攪拌し、ついでZnCl(THF中0.5M溶液、66.0mL、34ミリモル)を5分間にわたって添加した。該混合物を1時間にわたって0℃にまで加温し、ついで該化合物1f(1.66g、4.70ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(326mg、0.28ミリモル)を添加した。該混合物を還流温度にて4時間加熱した。冷却された反応混合物を水でクエンチし、THFを蒸発させ、得られた水性混合物を酢酸エチルで抽出させた。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、残渣をヘキサン/酢酸エチル(1:3)を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、8−1の遊離塩基(1.6g、83%)を黄色固体として得た。8−1(1.6g、3.9ミリモル)の酢酸エチル/クロロホルム(7:1、100mL)中溶液に、塩化水素(4.0mL、エーテル中2.0M溶液、8.0ミリモル)を0℃にて添加した。その懸濁液をエーテルで希釈し、ついで該固体をフリットガラスフィルター上に集め、エーテルですすぎ、高真空下で乾燥させて、8−1のHCl塩(1.7g、98%)を得た。
【0106】
上記の工程8Aにて利用したハライドに応じて、以下の表に示される化合物が合成された:
【化25】

【表8−1】

【表8−2】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を利用した。
【0107】
実施例9
2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル試薬の合成
【化26】

【0108】
工程9A:
4−ブロモ−3−メチルアニリン(10.2g)を6N HCl(85mL)に懸濁させ、0℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(40mLのHO中に4g)の溶液を10分間にわたって添加した。該反応物を0℃で15分間攪拌し、つづいて塩化第一スズ・二水和物(25mLの12N HCl中に36g)を添加した。該反応物を0℃で2時間攪拌した。反応物を濾過し、濾過ケーキを冷HOで洗浄し、4−ブロモ−3−メチルフェニルヒドラジン塩酸塩(化合物9a、20g)を黄褐色固体として得た。
【0109】
工程9B:
工程9Aより得られた化合物(20g)を50mLのエタノールに懸濁させた。マロンジアルデヒドビス−ジメチルアセタール(11.0mL、67ミリモル)を加え、該反応物を85℃に2時間加熱した。反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、DCMで洗浄することで抽出させた。合した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させて濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶かし、該混合物をセライトパッドを介して濾過した。濾液を蒸発させ、その油状残渣をカラムクロマトグラフィー(1:1 酢酸エチル:ヘキサン)に付して精製し、1−(4−ブロモ−3−メチルフェニル)ピラゾール(化合物9b、9.6g、73%)をアンバー色油として得た。
【0110】
工程9C:
化合物9b(15mLのジオキサン中に2.0g)の溶液に、ビス(ピナコラト)ジボラン(2.4g)、酢酸カリウム(2.4g)および1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)(500mg)を添加した。反応物を85℃に12時間加熱した。該反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を褐色液体にまで濃縮し、それをカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル:ヘキサン)で精製し、2−メチル−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(化合物9c、1.8g、75%)を黄色油として得た;LC/MS:[M+H]=285.0。
【0111】
2−クロロ−4−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(9d)および2−メチル−3−(ピラゾール−1−イル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(9e)も上記した方法により調製した。
【0112】
実施例10
7−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−3−(4−メチル−6−ピラゾール−1−イル−ピリジン−3−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化27】

【0113】
工程10A:
3−アミノ−5−メチルピラゾール(20.0g、206ミリモル)、アセト酢酸エチル(32.0g、247ミリモル)、酢酸(6mL)およびジオキサン(150mL)の溶液を16時間還流した。白色固体が沈殿し、それを濾過により集めた。濾過ケーキをエーテルで洗浄し、10a(29.0g、86%)を白色固体として得た。
【0114】
工程10B:
化合物10a(5.0g、31ミリモル)の1,4−ジオキサン(30mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(8.50mL、62ミリモル)およびオキシ塩化リン(7.4mL、77ミリモル)を添加した。該反応物を、窒素下、100℃で2時間加熱した。反応混合物を氷浴中で冷却し、ついで水および炭酸水素ナトリウム水溶液(最終pH8)で連続して処理した。ジクロロメタンを加え、該混合物を水で3回洗浄した。合した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、暗褐色油にまで濃縮した。生成粗製物を溶出液としてヘキサン中30%酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、10b(3.8g、70%)を白色固体として得た。
【0115】
工程10C:
80mLのジオキサンおよび8mLの水の混合液に、化合物10b(3.3g、18ミリモル、1当量)、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(4.3g、26ミリモル、1.4当量)、炭酸カリウム(5.0g、36ミリモル、2当量)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.5g、1.3ミリモル、0.07当量)を添加した。該混合物を攪拌し、100℃で16時間加熱し、ついで冷却して水(75mL)を添加した。該混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。該残渣を4:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物10c(3.78g、76%)を白色固体として得た。
【0116】
工程10D:
臭素(1.77g、11ミリモル)を10c(3.0g、11ミリモル)のメタノール(30mL)中溶液に−10℃で添加した。10分後、該混合物を濾過し、形成された沈殿物を集めた。濾過ケーキを冷メタノールで洗浄し、ついで真空下で乾燥させ、10d(3.15g、83%)を黄色固体として得た。
【0117】
工程10E:
2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の代わりに化合物12−1を用い、上記した工程10Cの操作に従って化合物10d(460mg、1.3ミリモル)をスズキ(Suzuki)反応に付し、分取性HPLC/MSおよびシリカゲルクロマトグラフィー(4:1 ヘキサン/酢酸エチルの溶出液)により精製した後に化合物10−1(15mg、固体)を得た。
【0118】
最終のスズキ反応にて使用されるボロン酸エステルまたは酸に依存して、以下の表に列挙される化合物が合成され、分取性LC−MSにより精製された:
【化28】

【表9】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を利用した。
【0119】
実施例11
7−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−3−(3−メチル−5−ピラゾール−1−イル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化29】

【0120】
工程11A:
水素化ナトリウム(1.54g、油中60%分散液、38.5ミリモル、2当量)をシアノアセトンナトリウム塩(2.5g、23ミリモル、1.2当量)のDMf(40mL)中溶液に室温にて添加した。該混合物を15分間攪拌し、ついで2−フルオロ−3−メチル−5−ニトロピリジン(3.0g、19.2ミリモル、1.0当量)のDMf(10mL)中溶液を滴下した。反応混合物を室温で6時間攪拌した。該反応物を5gの氷、つづいて150mLの水および10mLの酢酸でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン中30%ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、11a(1.85g、44%收率)を橙色油として得た。
【0121】
工程11b:
11a(1.8g、8.2ミリモル、1.0当量)、ヒドラジン一臭化水素酸塩(1.0g、8.8ミリモル、1.1当量)、エタノール(30mL)および水(3mL)の混合物を還流温度で17時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチル(1/1)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して直接精製し、11b(1.8g、94%收率)を黄色泡沫体として得た。
【0122】
工程11c:
11b(1.8g、7.7ミリモル、1.0当量)、エタノール(15mL)、酢酸(15mL)およびアセト酢酸エチル(1.6g、12.4ミリモル、1.6当量)の混合物を密封管中105℃にて19時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフリットガラスフィルター上に堆積させ、エーテルですすぎ、11c(1.0g、43%收率)を黄色固体として得た。
【0123】
工程11D:
11c(800mg、2.7ミリモル、1.0当量)、オキシ塩化リン(900mg、5.9ミリモル、2.2当量)およびアセトニトリル(15mL)の混合物を3時間還流した。該反応物を氷上に注ぎ、ついで該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した酢酸エチル抽出液を水性炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して11d(640mg、76%)を黄色固体として得た。
【0124】
工程11E:
11d(640mg、2.0ミリモル、1当量)、2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(480mg、3.8ミリモル、1.4当量)、炭酸カリウム(555mg、4.0ミリモル、2.0当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(230mg、0.2ミリモル、0.1当量)のジオキサン(20mL)および水(2mL)中懸濁液を攪拌し、100℃で16時間加熱した。水(50mL)を添加し、該混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣をメタノールでトリチュレートし、11e(300mg、37%)を黄色固体として得た。
【0125】
工程11F:
10%Pd/C(100mg)を11e(300mg、0.74ミリモル、1.0当量)のエタノール(20mL)およびTHF(10mL)中窒素通気の溶液に添加した。該混合物を、パールシェーカー中、40psiの水素気体の下、室温で6時間振盪させた。該混合物を窒素でパージして濾過した。濾液を濃縮して11f(260mg、94%收率)を黄色油として得た。
【0126】
工程11G:
亜硝酸ナトリウム(60mg、0.87ミリモル、1.3当量)の水(10mL)中溶液を11f(260mg、0.69ミリモル、1.0当量)の4N塩酸(5mL)中氷冷溶液に滴下した。該混合物を0℃で1時間攪拌し、つづいて10mLのヨウ化カリウム半飽和水溶液を添加した。該混合物を室温で16時間攪拌し、ついで50mLの炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、該混合物を2x50mLの酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、残渣を溶出液として4:1 ヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、11g(170mg、51%收率)を黄色固体として得た。
【0127】
工程11H:
11g(170mg、0.35ミリモル、1.0当量)のジオキサン(6mL)中溶液に、炭酸カリウム(200mg、1.45ミリモル、4.1当量)、ピラゾール(60mg、0.89ミリモル、2.5当量)、ヨウ化銅(I)(60mg、0.32ミリモル、0.9当量)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン(36mg、0.32ミリモル、0.9当量)およびN,N'−ジメチルエチレンジアミン(28mg、0.32ミリモル、0.9当量)を添加した。該混合物を攪拌し、密封管中、100℃で19時間加熱した。反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濃縮し、分取性HPLC/MSに付して精製し、化合物11−1(70mg、37%收率)をTFA塩として得た;分子量:428.47;LC/MS:429[MH];t:5.390(分析用方法2)。
【0128】
実施例12
4−メチル−2−ピラゾール−1−イル−5−ピリジルボロン酸
【化30】

【0129】
工程12A:
2−クロロ−4−メチル−5−ニトロピリジン(5.0g、29ミリモル、1.0当量)を50mLのヒドラジン溶液(THF中1M溶液)に溶かし、該混合物を攪拌し、密封管中、80℃にて22時間加熱した。冷却された反応混合物を濾過し、得られた固体をエーテルで洗浄し、5.7gの緑がかった褐色固体を得た。
【0130】
この固体(5.7g、24ミリモル、1.0当量)、マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)(5.9g、31ミリモル、1.3当量)および酢酸(50mL)の混合物を攪拌し、密封管中、80℃にて5時間加熱した。溶媒を蒸発させ、ついで炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加え、該混合物を酢酸エチル(2x200mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣をエタノールから再結晶し、12a(2.6g、53%收率)を黄色固体として得た。
【0131】
工程12B:
12a(2.6g、13ミリモル)および10%Pd/C(200mg)の1:1 THF/メタノール(30mL)中混合物を、パール装置中、40psiの水素下、室温にて2時間振盪させた。該反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、濾液を明緑色油にまで濃縮した。該油状物を3N臭化水素酸(10mL)に再懸濁させ、0℃に冷却し、ついで亜硝酸ナトリウム(835mg、12ミリモル、1.1当量)の水(2mL)中溶液を滴下して処理した。該混合物を0℃で1時間攪拌し、ついで2mLのヨウ化カリウム半飽和溶液を加え、該混合物を室温で22時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、ついで該混合物を酢酸エチル(2x100mL)で抽出し、合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。該残渣を溶出液として4:1 ヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、12b(1.23g、 33%)を黄色固体として得た。
【0132】
工程12C:
n−ブチルリチウム(1.8mL、ペンタン中2.0M溶液、3.6ミリモル)を化合物12b(600mg、2.1ミリモル)およびトリイソプロピルボレート(900mg、4.8ミリモル)の−78℃でのTHF(5mL)中溶液に滴下した。該混合物を1時間にわたって室温にまで加温し、ついで該混合物を−78℃に冷却し、付加的なトリイソプロピルボレート(400mg、2.1ミリモル)で、つづいて付加的なn−ブチルリチウム(0.5mL、ペンタン中2.0M溶液、1.0ミリモル)で処理した。該混合物を再び1時間にわたって室温にまで加温し、ついで0.8mLの1N塩酸を添加し、該混合物を1時間攪拌した。その混合物を濾過し、該固体をメタノールおよび酢酸エチルですすぎ、ついで濾液を濃縮した。残渣を1:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、化合物12−1(220mg、52%收率)を赤色固体として得た。
【0133】
実施例13
7−(4−クロロ−フェノキシメチル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化31】

【0134】
工程13A:
化合物3−3(25mg、0.072ミリモル、1当量)のTHF(1.5mL)中溶液に、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(30mg、0.11ミリモル、1.5当量)、トリフェニルホスフィン(30mg、0.11ミリモル、1.5当量)および4−クロロフェノール(30mg、0.023ミリモル、3.3当量)を添加した。該混合物を室温で17時間攪拌し、ついで溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物13−1(8mg)を固体として得た。
【0135】
使用するフェノールに応じて、以下の表に示される化合物が合成され、それを分取性LC−MSで精製した:
【化32】

【表10】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を利用した。
【0136】
実施例14
6−{3−[3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−プロポキシ}−ニコチノニトリル
【化33】

【0137】
工程14A:
化合物1f(1.06g、3.0ミリモル)およびアセチルアセトン鉄(III)錯体(353mg、1.0ミリモル)の無水THF/NMP(10mL、7:1)中溶液に、塩化3−ブテニルマグネシウム(9.0mL、THF中0.5M溶液、4.5ミリモル)をゆっくりと添加した。該反応混合物を室温で1時間にわたって攪拌し、ついでさらなるアセチルアセトン鉄(III)錯体(1.0g、2.8ミリモル)およびグリニャール試薬(6.0mL、3.0ミリモル)を添加した。反応混合物を2時間攪拌し、ついで水を加えた。該混合物を酢酸エチルで抽出し、ついで合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、14a(538mg、48%收率)を得た。
【0138】
工程14B:
14a(380mg、1.02ミリモル)のTHF/水(10mL、4:1)中溶液に、四酸化オスミウム(26mg、0.10ミリモル)を、つづいて過ヨウ素酸ナトリウム(642mg、3.0ミリモル)を室温で添加した。該混合物を室温で一時間攪拌し、ついで酢酸エチルおよび水を添加した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させてアルデヒド粗製物を得、それをメタノール(20mL)に溶かした。ホウ水素化ナトリウム(152mg、4.0ミリモル)を少しずつ添加した。室温で20分間攪拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物14−1(230mg、60%收率)を得た。
【0139】
工程14C:
14−1(30mg、0.08ミリモル、1当量)、ヨウ化銅(I)(15mg、0.08ミリモル、1当量)、炭酸セシウム(52mg、0.16ミリモル、2当量)および1,10−フェナントロリン(14mg、0.08ミリモル、1当量)の混合物を、密封バイアル中、1mLのトルエンにて110℃で17時間加熱した。冷却された混合物をセライトを介して濾過し、ついで濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、14−2(5mg)を固体として得た。
【0140】
工程14Cの方法にて使用されるアリールハライドに応じて、以下の表に示される化合物を、化合物14−1に加えて、合成し、分取性LC−MSにより精製した。
【化34】

【表11−1】

【表11−2】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を利用した。
【0141】
実施例15
7−イミダゾール−1−イルメチル−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化35】

【0142】
工程15A:
塩化メタンスルホニル(100mg、0.86ミリモル、1.5当量)のDCM(0.5mL)中溶液を、化合物3−3(200mg、0.57ミリモル、1当量)の0℃でのDCM(5mL)中溶液に滴下した。該混合物を1時間にわたって室温にまで加温し、ついで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加え、該混合物を2x200mLのDCMで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して15a(180mg、49%收率)を黄色泡沫体として得た。
【0143】
工程15B:
炭酸カリウム(20mg、0.14ミリモル、2.6当量)およびイミダゾール(20mg、0.30ミリモル、5.5当量)を、15a(23mg、0.054ミリモル、1当量)のDMF(1mL)中溶液に添加した。該反応混合物を室温で16時間攪拌し、ついでメタノール(1mL)を加え、該反応混合物を分取性HPLC/MSで直接精製し、15−1(10mg)をTFA塩として得た。
【0144】
使用する求核ヘテロサイクルまたはアミンに応じて、以下の表に列挙される化合物が合成され、分取性LC−MSで精製した:
【化36】

【表12】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を利用した。
【0145】
実施例16
4−メチル−2−ピロール−1−イル−5−ピリジルボロン酸
【化37】

【0146】
工程16A:
2−アミノ−5−ブロモ−4−メチルピリジン(1g、5.4ミリモル)および2,5−ジヒドロキシテトラヒドロフラン(2.8g、27ミリモル)の酢酸(10mL)中溶液を、密封管中、90℃にて2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣をヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、16a(900mg、71%收率)を明黄色油として得た。
【0147】
工程16B:
n−ブチルリチウム(3.6mL、ペンタン中2.0M溶液、7.2ミリモル)を、化合物16a(860mg、3.6ミリモル)およびトリイソプロピルボレート(1.4g、7.3ミリモル)のTHF(6mL )中−78℃での溶液に滴下した。該混合物を1時間にわたって室温にまで加温し、ついで0.5mLの4N 塩酸を添加し、該混合物を10分間攪拌した。混合物を2x25mLのDCMで抽出し、ついで有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して16−1(250mg)を黄色油として得た。水層を濃縮し、ついで該固体残渣をエタノールで洗浄した。合したエタノールの濾液を濃縮し、付加的な16−1(500mg)を黄色油として得た。
【0148】
実施例17
7−エチル−2,5−ジメチル−3−{2−[2−(1−メチル−ピロリジン−2−イル)−エトキシ]−4−ピラゾール−1−イル−フェニル}−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化38】

【0149】
工程17A:
化合物2−6(350mg)のクロロホルム(5mL)中溶液に、BBr(DCM中1.0M、5mL)を添加した。該混合物を室温で一夜攪拌し、水でクエンチした。該混合物をクロロホルム(2x10mL)で抽出し、ついで合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物17−1(280mg)を油状物として得た。アリコート(10mg)を分取性HPLC/MSに付して精製し、精製された化合物17−1(2.9mg)を得た。
【0150】
工程17B:
化合物17−1(45mg、0.14ミリモル、1当量)、炭酸カリウム(56mg、0.41ミリモル、3当量)、ヨウ化ナトリウム(20mg、0.13ミリモル、1当量)、2−(2−クロロエチル)−1−メチルピロリジン塩酸塩(39mg、0.21ミリモル、1.5当量)、アセトン(1mL)および水(1mL)の混合物を、密封管中、マイクロ波反応器にて150℃で25分間加熱した。アセトンを蒸発させ、ついで残渣をメタノールで希釈し、濾過し、分取性HPLC/MS精製に直接付し、化合物17−2(14mg、20%)をTFA塩として得た;分子量:444.58;LC/MS:444[MH];t:6.010(分析用方法2)。
【0151】
実施例18
7−(3−メトキシ−propyl)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化39】

【0152】
工程18A:
14−1(30mg)の乾燥DMF中溶液に、NaH(10mg、60%分散液)を添加した。室温で10分間攪拌した後、ヨウ化メチル(0.015mL)を加えた。該混合物を1時間攪拌し、ついでメタノール(1mL)を添加し、該混合物を分取性HPLC/MS精製に直接的に付し、化合物18−1(12mg)をTFA塩として得た;分子量:391.47 LC/MS:391[MH];t:7.050(分析用方法2)。
【0153】
実施例19
2−[7−(2−メトキシメチル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−5−ピラゾール−1−イル−フェノール
【化40】

【0154】
工程19A:
実施例18の操作を出発物質として化合物7−1を用いて行った。
使用するアルキルハライドに応じて、以下の表に列挙する化合物を合成し、分取性LC−MSにより精製した。
【化41】

【表13】

*HPLC測定はすべて分析用方法2を用いた。
【0155】
実施例20
【化42】

【0156】
工程20A:
化合物1f(710mg、2.0ミリモル)、(2−エトキシカルボニル)フェニルボロン酸(470mg、2.4ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(116mg、0.1ミリモル)および炭酸カリウム(550mg、4.0ミリモル)の混合物を9:1 ジオキサン/水(10mL)中100℃で2.5時間加熱した。水酸化ナトリウム溶液(3N、10mL)を加え、該混合物を100℃で付加的に30分間攪拌した。冷却された混合物を濃縮し、ついで水を加え、そのpHを塩酸で2に調節した。該混合物をクロロホルムで抽出し、ついで合したクロロホルム抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して固体粗製物を得、それをクロロホルムから再結晶し、化合物20a(420mg、48%收率)を黄色固体として得た。
【0157】
工程20B:
化合物20a(420mg、0.96ミリモル)を10mLのクロロホルム中にて塩化チオニル(1.0mL、14ミリモル)と一緒に70℃にて2時間加熱した。揮発性物質を蒸発させて化合物20b(450mg)を暗色固体として得た。
【0158】
工程20C:
20b(32mg、0.07ミリモル)のクロロホルム(1mL)中溶液を室温でモルホリン(0.1mL、1ミリモル)と反応させた。該混合物を放置して30分間室温とし、ついで溶媒を蒸発させた。残渣をメタノールに溶かし、濾過し、分取性HPLC/MSに付して直接精製し、20−1(13mg、30%)をTFA塩として得た。使用するアミンに依存して、以下の表に列挙される化合物を合成し、分取性HPLC−MSで精製した:
【0159】
【化43】

【表14】

*HPLCはすべて分析用方法2を使用した。
【0160】
実施例21
7−(1−エチル−1H−ピロール−2−イル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化44】

【0161】
工程21A:
化合物1f(210mg、0.6ミリモル)、N−Boc−ピロール−2−ボロン酸(158mg、0.75ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40mg、0.035ミリモル)および炭酸カリウム(166mg、1.2ミリモル)の混合物を、密封管の9:1 ジオキサン/水(5mL)中、110℃にて3時間加熱した。冷却された混合物を濃縮し、ついで水を加え、該混合物をクロロホルムで抽出した。合したクロロホルム抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して固体粗製物を得、それを1:1 TFA/DCM(3mL)中で16時間攪拌させた。該混合物を酢酸エチルで希釈し、ついで水性アンモニアで処理した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、その残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、21a(110mg、48%收率)を黄色固体として得た。
【0162】
工程21b:
21a(110mg、0.28ミリモル)の乾燥DMF(2mL)中溶液に、水素化ナトリウム(20mg、鉱油中60%分散液、0.5ミリモル)を室温にて添加した。該混合物を5分間攪拌し、ついでヨウ化エチル(0.050mL、0.60ミリモル)を添加し、該混合物を室温で2時間攪拌した。水および酢酸エチルを添加し、ついで酢酸エチル層を水およびブラインで洗浄し、ついで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物21−1(84mg、73%收率)を黄色固体として得た;分子量:412.50 LC/MS:412[MH];t:7.630(分析用方法2)。
【0163】
実施例22
7−(3−エチル−3H−イミダゾール−4−イル)−3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化45】

【0164】
工程22A:
化合物1f(1.50g、4.25ミリモル)、2−フェニルエテニルボロン酸(692mg、4.68ミリモル)、炭酸カリウム(1.17g、8.50ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(250mg、0.22ミリモル)のジオキサン(9mL)および水(1mL)中混合物を105℃で16時間加熱した。該混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、該残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、22a(1.60g、89%收率)を黄色固体として得た。
【0165】
工程22B:
オゾン/酸素の混合物を−70℃にて8分間22a(1.60g、3.8ミリモル)の乾燥DCM/メタノール(2:1、20mL)中溶液に通気した。硫化ジメチル(1.5mL)を加え、該混合物を攪拌し、室温にて16時間にわたって加温した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、化合物22b(1.0g、76%收率)を黄色固体として得た。
【0166】
工程22C:
22b(35mg、0.10ミリモル)、エチルアミン(1.0mL、THF中2.0M溶液、2.0ミリモル)および硫酸マグネシウムの1,2−ジクロロエタン中混合物を室温で15時間攪拌した。該混合物を濾過し、ついで濾液を蒸発乾固させた。その残渣を1:1 エタノール/DME(2mL)に溶かし、ついでTOSMIC(38mg、0.19ミリモル)および炭酸カリウム(55mg、0.4ミリモル)を加え、該混合物を17時間還流させた。水を加え、該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、化合物22−1(5mg)を油状物として得た;分子量:413.48 LC/MS:413[MH];t:5.000(分析用方法2)。
【0167】
実施例23
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−(4−メチル−オキサゾール−5−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化46】

【0168】
22b(208mg、0.60ミリモル)、アルファ−メチル−TOSMIC(251mg、1.2ミリモル)および炭酸カリウム(248mg、1.8ミリモル)の混合物を5mLの1:1 DME/エタノール中80℃にて14時間加熱した。水を添加し、該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、23−1(60mg、23%)を油状物として得た;分子量:400.44 LC/MS:400[MH];t:5.250(分析用方法2)。
【0169】
実施例24
7−(4−フルオロ−ベンジル)−2,5−ジメチル−3−(4−メチル−6−ピロール−1−イル−ピリジン−3−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化47】

【0170】
工程24A:
塩化4−フルオロフェニル亜鉛(20mL、THF中0.5M溶液、10ミリモル)の溶液に、化合物10b(1.0g、5.5ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(300mg、0.26ミリモル)を添加した。反応混合物を密封管中90℃で3時間加熱した。冷却された反応混合物を4N塩酸(4mL)で処理し、ついで水を加え、該混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮した。該残渣をヘキサン中30%酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製し、24a(1.0g、71%收率)をオフホワイト固体として得た。
【0171】
工程24B:
化合物24a(1.0g、3.9ミリモル)を15mLのメタノールに溶かした。臭素(0.62g、3.9ミリモル)を該溶液に滴下し、白色沈殿物の形成をもたらした。該固体をフリットガラスフィルター上に集め、メタノールですすいだ。この化合物を4:1 ヘキサン/酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製し、第一に二臭素化生成物(110mg、7%收率)を得、つづいて24b(1.0g、77%收率)を白色固体として得た。
【0172】
工程24C:
化合物24b(800mg、2.4ミリモル)、化合物16−1(500mg、2.5ミリモル)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(280mg、0.24ミリモル)および炭酸カリウム(600mg、4.3ミリモル)の混合物を密封管にて9:1 ジオキサン/水(3.5mL)中95℃で3時間加熱した。炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を該冷却混合物に加え、ついでそれをDCMで2回抽出した。合したDCM抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して油状粗製物を得、それを分取性HPLC/MSで部分的に精製した。ついで、その部分的に精製した生成物を溶出液として4:1 ヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、化合物24−1(3mg)を黄色固体として得た;分子量:411.48 LC/MS:412[MH];t:9.160(分析用方法2)。
【0173】
実施例25
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化48】

【0174】
工程25A:
1−メチルイミダゾール(246mg、3.0ミリモル)の−70℃に冷却した乾燥THF(3mL)中溶液に、n−BuLi(ヘキサン中2.5M溶液、1.7mL、4.2ミリモル)を滴下した。反応混合物を−70℃で10分間攪拌し、ついでZnCl(THF中0.5M溶液、20mL、10ミリモル)を5分間にわたって加えた。該混合物を−70℃で1時間攪拌し、ついで0℃に加温した。化合物1f(106mg、0.30ミリモル)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(70mg、0.06ミリモル)を添加した。ついで、該混合物を加熱し、3時間還流させた。冷却された反応混合物を水でクエンチし、THFを蒸発させ、得られた水性混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して濃縮し、該残渣を溶出液として酢酸エチルを用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、25−1(15mg)を黄色固体として得た;HPLC保持時間 4.13分(方法2);分子量399.5;測定されたMS 399。
【0175】
実施例26
3−(2−メトキシ−4−ピラゾール−1−イル−フェニル)−2,5−ジメチル−7−(2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン
【化49】

【0176】
工程26A:
1−メチルピラゾール(820mg、10ミリモル)の−70℃に冷却した乾燥THF(20mL)中溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液、6.3mL、10ミリモル)を滴下した。反応混合物を−70℃で5分間攪拌し、ついでホウ酸トリイソプロピル(2.5mL、11ミリモル)を5分間にわたって添加した。該混合物を室温で1時間にわたって加温し、ついで6N塩酸(5mL)を添加した。該混合物を30分間攪拌し、ついで蒸発乾固させ、26aを固体として得、それをさらに精製することなく使用した。
【0177】
工程26B:
化合物1f(530mg、1.5ミリモル)および26a粗製物(全体量;約10ミリモル)を、実施例1の操作に従って、スズキ反応に供した。反応混合物を濃縮し、ついで水を加え、該混合物をクロロホルムで抽出した。合した有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、ついで残渣を溶出液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して精製した。該生成物をさらにアセトニトリルからの結晶化により精製し、化合物26−1(280mg)を黄色固体として得た;HPLC保持時間 6.42分(方法2);分子量 399.5;測定されたMS 399。
【0178】
実施例27
本発明の化合物は、一般に、Grigoriadisら(Mol. Pharmacol. 第50巻、679−686頁、1996)およびHoareら(Mol. Pharmacol 第63巻、751−765頁、2003)に記載されるような、標準的放射性リガンド結合アッセイによりCRF受容体との結合活性について評価されうる。放射性標識されたCRFリガンドを利用することにより該アッセイは使用され、本発明の化合物の結合活性をCRF受容体サブタイプで評価しうる。
【0179】
簡単に言えば、該結合アッセイは放射性標識されたCRFリガンドをCRF受容体から移動させることを含む。より詳しくは、該結合アッセイは、ヒトCRF受容体で安定的にトランスフェクトされた細胞から由来の1−10μgの細胞膜を用いて、96−ウェルのアッセイプレートで行われる。各ウェルは、目的とする化合物または対照となるリガンド(例えば、サウバジン(sauvagine)、ウロコチン(urocotin)IまたはCRF)を含有する約0.05mLのアッセイバッファー(例えば、ダルベッコ・リン酸緩衝セイライン、10mM 塩化マグネシウム、2mM EDTA)、0.05mLの[125I]チロシン−サウバジン(最終濃度約150pMまたはScatchard分析により測定した場合のおよそのK)、および0.1mLのCRF受容体を含有する細胞膜懸濁液を受ける。該混合物を22℃で2時間インキュベートし、つづいてガラスファイバーフィルターでの急速濾過により結合およびフリー放射性リガンドを分離させる。3回洗浄した後、フィルターを乾燥させ、放射性活性(125Iからのオージェ電子)をシンチレーションカウンターを用いて計数する。すべての放射性リガンド結合データは非線形最小二乗曲線適合プログラムプリズム(GraphPad Software Inc)またはXLfit(ID Business Solutions Ltd)を用いて分析されうる。
【0180】
実施例28
CRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性
本発明の化合物はまた、種々の機能試験により評価されてもよい。例えば、本発明の化合物はCRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性についてスクリーニングされうる。CRF刺激のアデニレートシクラーゼ活性を測定するためのアッセイは、全細胞調製に対するアッセイに適合するように修飾を加えて、一般に、Battagliaら(Synapse 1:572,1987)に記載されているように実施されてもよい。
【0181】
さらに詳しくは、標準的なアッセイ混合物は、0.1mLの最終容量にて、以下の:2mM L−グルタミン、20mM HRPES、および1mM IMBX/DMEMバッファーを含有してもよい。刺激実験において、特定の受容体サブタイプの薬理学的順位のプロフィールを確立するために、CRF受容体をトランスフェクトさせた全細胞を96−ウェルプレートに置き、種々の濃度のCRF関連の、および非関連のペプチドと一緒に37℃で30分間インキュベートする。インキュベーション後に、標準的な市販のキット、例えばApplied Biosystems製のcAMP−Screen(登録商標)を用いてサンプル中のcAMPを測定する。化合物の機能を評価するために、細胞と、cAMP産生の50%刺激を惹起する単一濃度のCRFまたは関連ペプチドを種々の濃度の競合化合物および上記したように測定されたcAMPと一緒に37℃で30分間インキュベートする。
【0182】
本発明の具体的な実施形態は説明のために本明細書中に記載されているが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の修飾がなされてもよい。したがって、本発明は添付した特許請求の範囲により限定される場合を除き、限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式:
【化1】

[式中:
「---」は任意の二重結合の第二の結合を表し;
は水素、アルキル、置換アルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、−NHまたはハロゲンであり;
はアルキル、置換アルキル、−C(O)NR8、アリール、置換アリール、アリールオキシアルキル、置換アリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、置換ヘテロアリールアルコキシアルキル、複素環式アルキル、置換複素環式アルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、ここで、該ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールは炭素−炭素結合を介してピリミジン環に連結されており;
は結合、水素またはアルキルであり;
Yは=(CR)−または−(C=O)−であり;
は水素、アルキル、置換アルキル、チオアルキル、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニルであり;
Arはフェニル、1個もしくは2個のRで置換されているフェニル、ピリジルまたは1個もしくは2個のRで置換されているピリジルであり;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキルスルホニルまたはアルキルスルフィニルであり;
Hetは、1個もしくは2個のRで置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、各々の場合において、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノまたはハロゲンであり;
およびRは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、アリールアルキル、置換アリールアルキル、複素環式アルキルまたは置換複素環式アルキルであるか、または
とRは、それらが結合する窒素と一緒になって、複素環式環または置換複素環式環を形成する]
で示される化合物あるいはその医薬上許容される塩、エステル、溶媒和物、立体異性体またはプロドラッグ。
【請求項2】
が水素、アルキル、置換アルキル、−NHまたはハロゲンであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、ここで該ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールが炭素−炭素結合を介してピリミジン環に結合されているところの、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
が結合であるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Yが=(CR)−であるところの、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が水素、アルキルまたは置換アルキルであるところの、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
が水素またはアルキルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Yが−(C=O)−であるところの、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Arが1個のRで置換されているフェニルであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
がアルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキルスルホニルまたはアルキルスルフィニルであるところの、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
Hetが1個のRで置換されているところの、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
がアルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シアノまたはハロゲンであるところの、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
が水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
が結合であり;
Yが=(CR)−であり;
が水素、アルキルまたは置換アルキルであり;
Arが1個のRで置換されているフェニルであり;
がアルキル、置換アルキル、アルコキシまたは置換アルコキシであり;および
Hetがヘテロアリールであるところの、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
が低級アルキルであり;
が低級アルキルであり;
がアルコキシであり;および
Hetがピラゾリルであるところの、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
がメチルであり;
がメチルであり;および
がメトキシであるところの、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
がアルキル、置換アリールアルキル、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、置換ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるところの、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
が置換アリールアルキル、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであるところの、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
が置換ベンジル、置換フェニル、置換ピラゾリル、ピリジニルまたは置換ピリジニルであるところの、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
が置換ピラゾリル、ピリジニルまたは置換ピリジニルであるところの、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
が置換ピリジニルであるところの、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
がメチル置換ピリジニルまたはメトキシ置換ピリジニルであるところの、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
式:
【化2】


で示されるところの、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物と、医薬上許容される担体または希釈体とを含む、医薬組成物。
【請求項24】
哺乳動物においてCRFの分泌過多を明示する障害の治療方法であって、該動物に有効量の請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項25】
障害が発作であるところの、請求項24記載の方法。
【請求項26】
障害が鬱病であるところの、請求項24記載の方法。
【請求項27】
障害が不安関連の障害であるところの、請求項24記載の方法。
【請求項28】
障害が強迫神経症であるところの、請求項24記載の方法。
【請求項29】
障害が過敏性腸症候群であるところの、請求項24記載の方法。
【請求項30】
障害が拒食症であるところの、請求項24記載の方法。

【公表番号】特表2007−515472(P2007−515472A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546391(P2006−546391)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004234
【国際公開番号】WO2005/063755
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(502078239)エスビー・ファルムコ・プエルト・リコ・インコーポレイテッド (22)
【氏名又は名称原語表記】SB Pharmco Puerto Rico Inc
【出願人】(500389793)ニューロクライン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】