説明

CVケーブルの終端接続部形成方法

【課題】CVケーブルの終端接続部形成において、ゴムストレスコーン自体の収縮力でケーブル絶縁体との界面に圧力を加える簡易型(コストダウン)構造のゴムストレスコーンをケーブルと絶縁体に挿入するに人力では不可能である。
【解決手段】CVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体周上へ挿入する際に、ケーブル絶縁体先端部を導体口出し部に続いて第1のペンシリング部と円柱形部と第2のペンシリング部に形成して前記ゴムストレスコーンを挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCVケーブルの終端接続部でゴムストレスコーンの自己収縮でケーブルとの界面に圧力を加える簡易型構造のものに適用される終端接続部形成方法に関し、特にゴムストレスコーンの挿入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の154kV CVケーブルの気中終端接続部を図8に示す。
【0003】
エポキシ座102にゴムストレスコーン101をスプリング103で圧縮し、外部絶縁に磁器製碍管106を使用する方式である。図8において、CVケーブル絶縁体1にはゴムストレスコーン101が挿着され、エポキシ座102に対してこのゴムストレスコーン101を圧縮装置103により圧縮することで、ケーブル絶縁体1の外周面に密着させている。なお、碍管106内には絶縁コンパウンド107が充填されている。
【0004】
なお、従来の技術として、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−219625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、ゴムストレスコーンとケーブル絶縁体の径差が1〜3mmであり、人の手でも十分にゴムストレスコーンをケーブル絶縁体に挿入・装着可能であった。本願は対象の簡易型(コストダウン)構造では、ゴムストレスコーンを圧縮装置により圧縮するのではなく、ゴムストレスコーン自体の収縮力でケーブル絶縁体との界面に圧力を加えるものであるので、ゴムストレスコーンとケーブル絶縁体との径差が大きい(ゴムストレスコーン内径を1.2〜1.5倍に拡径する)。そのために、人力では挿入不可能である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、新規にこのゴムストレスコーンを挿入する方法に係るCVケーブルの終端接続部形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題点を解消するため、本発明では以下の工法をとる。
【0009】
CVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体周上へ挿入する際に、ケーブル絶縁体先端部を導体口出し部に続いて第1のペンシリング部と円柱形部と第2のペンシリング部に形成して前記ゴムストレスコーンを挿入することを特徴とする。
【0010】
また、CVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンのケーブル端からケーブル絶縁体周上への挿入・装着において、前記ゴムストレスコーン先端に、前記ケーブル絶縁体の外径より大きな内径をもつ環状円板を当接させ、一方、ケーブルシース側にケーブルを拘持するクリートを設け、この環状円板とクリート間に少なくとも2ヶ所でロープ又はチェーンを張架し、このロープ又はチェーンを引き込むことによってゴムストレスコーンを挿入・装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のCVケーブルの終端接続部形成方法によれば、ゴムストレスコーンとケーブル絶縁体との径差が大きい簡易型(コストダウン)構造であつても、ゴムストレスコーンの挿入が可能である。従って、もたらす経済的効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体上への挿入方法の一つの実施例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体上への挿入方法の他の実施例を示す説明図である。
【図3】本発明に係るゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体上への挿入方法のまた他の実施例を示す説明図である。
【図4】上記各実施例において使用される環状円板の正面図である。
【図5】本発明に係るゴムストレスコーンをチェーンブロックによって挿入している様子を示す説明図である。
【図6】本発明に係るゴムストレスコーンをチェーンブロックにより挿入する他の例の様子を示す説明図である。
【図7】本発明に係るCVケーブル気中終端接続部の半裁断面図である
【図8】従来のCVケーブル気中終端接続部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係るCVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体周上へ挿入する方法の一つの実施例を示す。図1において、ケーブル端のケーブル絶縁体1を口出し導体2を露出する。続いてケーブル絶縁体1をペンシリングされた形状3にする。露出された導体2にはMCナイロン製のガイド模擬ケーブル10が取付けられる。このガイド模擬ケーブル10の先頭からゴムストレスコーン11を挿入するものである。実施例では、ケーブル絶縁体1の外径83mm,ゴムストレスコーン11の内径64mm,ガイド模擬ケーブル10の外径65mmである。
【0014】
ゴムストレスコーン(以下、ゴムストコーンと略記)11の挿入は、ゴムストコーン先頭に、ケーブル絶縁体1の外径より大きな内径をもつAL製環状円板12(図4に示す)を当接させる。この場合ゴムシート13を介在させることが好ましい。また、環状円板12には塩ビパイプ14が取付けられ、ゴムストコーン11を防護している。一方、ケーブルコアを拘持するクリート15を設け、環状円板12に取付けられたSUS板16とクリート15のフランジ17との間にチェーン18を張架して、このチェーン18をチェーンブロック19により引き込むものである。
【0015】
図2は他の実施例を示すもので、ケーブル絶縁体1の先端部が導体2に対して垂直に、絶縁体を切り落した導体口出しのみとし、ガイド模擬ケーブル20は後端に次第に径を大きくしたテーパを持つものである。ゴムストコーン11の挿入方法は前述の方法と同じである。
【0016】
図3は、また他の実施例を示すもので、ケーブル絶縁体1の先端部を、口出しされた導体2に続いて第1のペンシリング部31と円柱形部32と第2のペンシリング部33にするものである。なお、円柱形部32の外径とゴムストコーン11の内径との径差は従来型のゴムストコーンの場合と同じ3mm程度が好ましい。ゴムストコーン11の挿入方法は前述の方法と同じであり、これら挿入方法の様子を図5に示す。
【0017】
図6は、ゴムストコーンの挿入方法の他の方法を示すもので、ゴムストコーンに直接ナイロンスリングをかけ、このナイロンスリングをチェーンブロックにより引き込むものである。
【0018】
上述の例では、引き込む機構としてチェーンブロックを挙げたが、油圧シリンダーでもよい。また、ケーブルを拘持するクリートの場所として、ケーブル外部半導電層上,ケーブルシース上でもよい。
【0019】
なお、チェーンブロックを用いた挿入作業は、少なくとも、ゴムストコーン全長がケーブル絶縁体周上に乗るまでの範囲であり、ケーブル外部半導電層までは、ケーブル絶縁体上に塗布するシリコーン油がリッチな状態なら人力だけでも挿入可能である。
【0020】
このようにしてゴムストコーンを挿入した終端接続部の一例を図7に示す。図7において、4はケーブル外部半導電層であり、5は鉛管である。この鉛管5は碍管7内に充填された絶縁油8をシールするとともにゴムストコーン11を固定するものである。なお、符号6は導体引出棒,9は収縮チューブである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、CVケーブルの終端接続部に利用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 ケーブル絶縁体
2 導体
3 ペンシリング部
4 外部半導電層
5 鉛管
6 導体引出棒
7 碍管
8 絶縁油
9 収縮チューブ
10,20 ガイド模擬ケーブル
11 ゴムストレスコーン
12 環状円板
13 ゴムシート
14 塩ビパイプ
15 クリート 18 チェーン
19 チェーンブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンをケーブル端からケーブル絶縁体周上へ挿入する際に、ケーブル絶縁体先端部を導体口出し部に続いて第1のペンシリング部と円柱形部と第2のペンシリング部に形成して前記ゴムストレスコーンを挿入することを特徴とするCVケーブルの終端接続部形成方法。
【請求項2】
CVケーブルの終端接続時、ゴムストレスコーンのケーブル端からケーブル絶縁体周上への挿入・装着において、
前記ゴムストレスコーン先端に、前記ケーブル絶縁体の外径より大きな内径をもつ環状円板を当接させ、一方、ケーブル絶縁体側にケーブルを拘持するクリートを設け、この環状円板とクリート間に少なくとも2ヶ所でロープ又はチェーンを張架し、このロープ又はチェーンを引き込むことによってゴムストレスコーンを挿入・装着することを特徴とする請求項1記載のCVケーブルの終端接続部形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−225659(P2009−225659A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130271(P2009−130271)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【分割の表示】特願2001−286713(P2001−286713)の分割
【原出願日】平成13年9月20日(2001.9.20)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】