説明

CXCR7の調節因子

式I:


を有する化合物、又はその医薬として許容される塩、水和物若しくはN参加物が提供され、CXCR7への結合、少なくとも部分的にはCXCR7活性に依存した疾患の治療に有用である。したがって、本発明は、更なる局面において、医薬として許容される賦形剤とともに、上記化合物の1以上を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年11月4日に出願された米国仮出願第61/111,251、及び2009年6月22日に出願された米国仮出願第61/219,341の利益を主張するものであり、それらの開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府支援による研究及び開発によってなされた発明の権利に対する陳述
利用なし。
【0003】
コンパクトディスクに提供された「配列表」、表、又はコンピュータプログラムリスト付属物への参照
下記に添付。
【背景技術】
【0004】
本発明は、SDF−1ケモカイン(CXCL12ケモカインとしても知られている)又はI−TAC(CXCL11としても知られている)のケモカイン受容体CXCR7への結合を阻害する新規化合物及び医薬組成物に関する。これらの化合物は、腫瘍細胞増殖、腫瘍形成、腫瘍血管新生、転移、炎症性疾患、例えば、限定されないが、関節炎、腎炎症性障害及び多発性硬化症、不適切な血管新生の状態の予防、例えば、限定されないが、創傷治癒、HIV感染の治療、並びに幹細胞分化及び動員障害の治療に有用である(また、同時係属のUSSN10/912,638及び11/050,345も参照されたい)。
【0005】
ケモカインは、細胞骨格再配列、内皮細胞への強固な付着、及び指向性遊走を誘導し、細胞の活性化及び増殖にも影響しうる、小さいサイトカイン様タンパク質のスーパーファミリーである。ケモカインは、特定の解剖学的部位への細胞の様々なサブセットの特定のホーミングを誘導するために、細胞表面タンパク質と協調的に作用する。
【0006】
多数のグループによる早期の研究努力から、転移及び腫瘍成長におけるケモカイン受容体CXCR4の役割が示されている。Muller,et al.,“Involvement of Chemokine Receptors in Breast Cancer Metastasis,”Nature,410:50−56(2001)は、乳癌細胞は、転移の過程において、白血球輸送を調節しているものなどのケモカイン仲介性メカニズムを用いることを示した。腫瘍細胞は別個の非ランダムパターンの機能的活性ケモカイン受容体を発現する。CXCR4を通じてのシグナル伝達はアクチン重合及び仮足形成を仲介し、走化性及び侵襲性反応を誘導する。加えて、乳癌転移の主要部位を代表する器官(リンパ節、骨髄、及び肺など)はCXCR4受容体リガンドの最も豊富な供給源である。
【0007】
免疫不全マウスを用いて、MullerらはCXCR4に結合することが知られている抗体でマウスを治療することにより、注入したヒト乳癌細胞の転移を低減することに成功した。彼らの知見は、乳癌転移は患者をCXCR4アンタゴニストで治療することにより低減しうることを示唆している。
【0008】
Bertolini,et al.,“CXCR4 Neutralization,a Novel Therapeutic Approach for Non−Hodgkin’s Lymphoma,”Cancer Research,62:3106−3112(2002)は、ヒトリンパ腫細胞を注入した免疫不全マウスを抗CXCR4抗体で治療し、腫瘍体積の縮小並びに生存延長を示した。彼らはその知見が、患者をCXCR4アンタゴニストで治療することにより腫瘍体積を縮小しうることを意味すると解釈した。
【0009】
より最近の試験は、もう一つのケモカイン受容体であるCXCR7も癌の治療における候補として可能性があることを示唆している。CXCR7は正常細胞よりも形質転換細胞において優先的に発現され、いくつかのヒト癌で発現が検出可能である。インビトロ試験から、CXCR7発現細胞の増殖はCXCR7のアンタゴニストによって阻害されうることが明らかにされている。マウスにおけるインビボ試験では、CXCR7アンタゴニストが腫瘍形成及び腫瘍成長を阻害しうることが示されている。
【0010】
CXCR7の潜在的重要性が、Bertoliniらによって明らかにされた腫瘍体積縮小の別の解釈によって示されている。この縮小は明らかに抗体仲介性クリアランスの結果であって、当初考えられていた抗CXCR4抗体の結果ではないと考えられる。抗体仲介性クリアランスにおいて、リンパ腫細胞の細胞表面上のタンパク質を認識するいかなる抗体も抗CXCR4抗体によるものと同じ効果を有していたと思われる。残念ながら、Bertoliniらの試験は、観察された腫瘍反応が抗体仲介性クリアランスによるものか、又はCXCR4との相互作用の結果であるかについては不確定である。
【0011】
しかし、Bertoliniらが用いたリンパ腫細胞はCXCR4及びCXCR7の両方を発現することが今や公知である。SDF−1はCXCR4の唯一のリガンドである。SDF−1及びI−TACはいずれもCXCR7に結合する。抗SDF−1抗体を用いて、CXCR7のアンタゴニストは腫瘍負荷減少及び生存率上昇を引き起こすことが明らかにされている。SDF−1はCXCR4の唯一のリガンドであるため、SDF−1の抗SDF−1抗体による中和はCXCR4の抗CXCR4抗体による中和と等価であると予想される。しかし、抗SDF−1抗体を用いての実験は腫瘍負荷の部分的縮小及び生存率上昇しか示さなかった。その結果、持続活性は第二のリガンドであるI−TACのCXCR7との相互作用によると思われるため、CXCR7が標的となる可能性がある。
【0012】
最近まで、腫瘍細胞増殖、腫瘍成長、及び転移におけるCXCR7の重要性は不明であった。今日、最近の証拠は、特定のCXCR7アンタゴニストが癌の成長及び拡散を防止する能力を示すことに向けられ、並びに発現パターンがCXCR7受容体の限られた組織分布を示している。
【0013】
さらに、最近になって、CXCR7は特定の遺伝的に多岐にわたるヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びサル免疫不全ウイルス(SIV)、特にHIV−2−ROD、X4−向性単離ウイルスの補助受容体として役立ちうることが判明した(Shimizu,N.et al.,J.Virol.,(2000)74:619−626;Balabanian,K.,et al.,J.Biol.Chem.,in press;原稿M508234200として2005年8月17日に発行)。
【0014】
さらに、SDF−1は造血前駆細胞及び幹細胞の動員において役割を有することが記載されており、特にCXCR4受容体を有する細胞の、骨髄を含む特定の造血組織への動員が記載されている(Hattori,K.,et al.,Blood,(2000)97:3354−3360;国際公開公報第2005/000333号、その開示は参照により本明細書に援用される)。最近の試験は、CXCR7受容体が幹細胞動員プロセスにおいても部分的に役割を果たしている可能性を示唆している。
【0015】
前述したことを考慮すると、CXCR7受容体に特異的に結合することができる化合物は、そのような相互作用から利益を受けうる疾患及び他の生物学的状態を治療するのに有用であることが明らかである。本発明は、そのような化合物並びに医薬組成物及び関連する治療法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、一局面では、式I:
【0017】
【化1】

【0018】
を有する化合物、又はその医薬として許容される塩、水和物又はN酸化物を提供する。種々の基(例えば、R、R、R、C、C、C及び下付き文字n)は、発明の詳細な説明において説明されている。
【0019】
本明細書において提供される化合物は、CXCR7への結合、及びCXCR7活性に少なくとも部分的に依存する疾患の治療に有用である。したがって、本発明は、更なる局面において、1以上の上記された化合物とともに、医薬として許容される賦形剤を含む組成物を提供する。
【0020】
更なる局面では、本発明は、本明細書においてさらに検討される種々の疾患を治療するための方法を提供し、このような治療を必要とする対象に、疾患を治療するのに十分な期間、上記製剤の治療的に有効な量の化合物を投与することを含む。
【0021】
さらなる別の局面では、本発明は、個体における疾患を診断するための方法を提供する。これらの方法において、本明細書に提供される化合物は、対象に標識された形態で投与され、その後、CXCR7の存否を決定するために画像診断される。関連した局面では、疾患を診断する方法は、本明細書に提供される標識された化合物と組織又は血液試料とを接触させ、試料中のCXCR7の存在、不存在、又はその量を決定することによって実施される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1B】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1C】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1D】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1E】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1F】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1G】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1H】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図1I】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2A】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2B】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2C】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2D】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2E】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2F】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2G】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2H】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2I】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2J】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2K】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2L】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2M】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2N】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2O】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2P】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2Q】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2R】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2S】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2T】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2U】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2V】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2W】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図2X】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3A】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3B】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3C】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3D】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3E】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3F】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3G】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【図3H】実施例に例示された方法、又は実施例中の方法に関連した方法によって製造された本発明の化合物の構造及び活性を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
I.略語と定義
「アルキル」なる用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、特に記載がないかぎり、指定の数の炭素原子(すなわち、C1−8は1から8個の炭素を意味する)を有する直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどが含まれる。簡潔のために、アルキルなる用語はハロアルキル基も含む。「アルケニル」なる用語は、一つ又は複数の二重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。同様に、「アルキニル」なる用語は、一つ又は複数の三重結合を有する不飽和アルキル基を意味する。そのような不飽和アルキル基の例には、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、並びに高級同族体及び異性体が含まれる。「シクロアルキル」なる用語は、示された数の環原子(例えば、C3−6シクロアルキル)を有し、完全飽和であるか、又は環頂点の間に1つだけ二重結合を有する炭化水素環を意味する。「シクロアルキル」は、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタンなどの二環式及び多環式炭化水素環を意味することにもなる。「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、N、O、及びSから選択される1から5個のヘテロ原子を含み、ここで窒素及び硫黄原子は任意で酸化されてもよく、窒素原子は任意で4級化されてもよい、シクロアルキル基を意味する。ヘテロシクロアルキルは単環式、二環式又は多環式環系であってもよい。ヘテロシクロアルキル基の非限定例には、ピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ブチロラクタム、バレロラクタム、イミダゾリジノン、ヒダントイン、ジオキソラン、フタルイミド、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリン−S−オキシド、チオモルホリン−S,S−オキシド、ピペラジン、ピラン、ピリドン、3−ピロリン、チオピラン、ピロン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、キヌクリジンなどが含まれる。ヘテロシクロアルキル基は分子の残部に環炭素又はヘテロ原子を通じて結合されうる。
【0024】
「アルキレン」なる用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、−CHCHCHCH−で例示される、アルカンから誘導される二価の基を意味する。典型的には、アルキル(又はアルキレン)基は1から24個の炭素原子を有し、本発明においては10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、一般には4個以下の炭素原子を有する、短鎖アルキル又はアルキレン基である。同様に、「アルケニレン」及び「アルキニレン」とは、それぞれ二重又は三重結合を有する「アルキレン」の不飽和型を意味する。
【0025】
本明細書において用いられる、本明細書に示す任意の化学構造中の一重、二重又は三重結合を横切る波線
【0026】
【化2】

【0027】
は、一重、二重又は三重結合の分子の残部への結合点を表す。
【0028】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)なる用語は、それらの通常の意味で用いられ、分子の残部にそれぞれ酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して結合しているアルキル基を意味する。加えて、ジアルキルアミノ基では、アルキル部分は同じでも異なっていてもよく、それぞれが結合している窒素原子と一緒になって3〜7員環を形成することもできる。したがって、−NRと表される基にはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、アゼチジニルなどが含まれることになる。
【0029】
「ハロ」又は「ハロゲン」なる用語は、それら自体で、又は別の置換基の一部として、特に記載がないかぎり、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことになる。例えば、「C1−4ハロアルキル」なる用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを含むことになる。
【0030】
「アリール」なる用語は、特に記載がない限り、単環式又は縮合若しくは共有結合している多環式環(3つの環まで)である、多不飽和、典型的には芳香族炭化水素基を意味する。「ヘテロアリール」なる用語は、N、O、及びSから選択される1から5個のヘテロ原子を含み、ここで窒素及び硫黄原子は任意で酸化されていてもよく、窒素原子は任意で4級化されていてもよい、アリール基(又は環)を意味する。ヘテロアリール基は分子の残部にヘテロ原子を通じて結合されうる。アリール基の非限定例には、フェニル、ナフチル及びビフェニルが含まれる一方で、ヘテロアリール基の非限定例には、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミンジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ベンゾトリアジニル、プリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソベンゾフリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾトリアジニル、チエノピリジニル、チエノピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、イミダゾピリジン、ベンゾチアキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、インダゾリル、プテリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピロリル、チアゾリル、フリル、チエニルなどが含まれる。前述のアリール及びヘテロアリール環系それぞれの置換基は下記の許容される置換基の群より選択される。
【0031】
「アリールアルキル」なる用語は、アリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことを意味する。同様に、「ヘテロアリール」なる用語は、ヘテロアリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ピリジルメチル、チアゾリルエチルなど)を含むことを意味する。
【0032】
前述の用語(例えば、「アルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、いくつかの態様において、示された基の置換及び無置換型の両方を含む。それぞれの型の基にとって好ましい置換基を以下に示す。
【0033】
アルキル基(アルキレン、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルと呼ばれることが多い基を含む)の置換基は下記から選択される様々な基でありうる:ゼロから(2m'+1)(m'は置換基における炭素原子の総数である)の範囲の数の−ハロゲン、−OR'、−NR'R''、−SR'、−SiR'R''R'''、−OC(O)R'、−C(O)R'、−COR'、−CONR'R''、−OC(O)NR'R''、−NR''C(O)R'、−NR'−C(O)NR''R'''、−NR''C(O)R'、−NH−C(NH)=NH、−NR'C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR'、−S(O)R'、−S(O)R'、−S(O)NR'R''、−NR'S(O)R''、−CN及び−NO。R'、R''及びR'''はそれぞれ独立に水素、無置換C1−8アルキル、無置換ヘテロアルキル、無置換アリール、1〜3個のハロゲンで置換されているアリール、無置換C1−8アルキル、C1−8アルコキシ若しくはC1−8チオアルコキシ基、又は無置換アリール−C1−4アルキル基を意味する。R'及びR''が同じ窒素原子に結合している場合、これらは窒素原子と一緒になって3−、4−、5−、6−、又は7員環を形成することもできる。例えば、−NR'R''には1−ピロリジニル及び4−モルホリニルが含まれることになる。
【0034】
同様に、アリール及びヘテロアリール基の置換基は多様で、一般には下記から選択される:ゼロから芳香環系の結合可能な原子価総数までの範囲の数の−ハロゲン、−OR'、−OC(O)R'、−NR'R''、−SR'、−R'、−CN、−NO、−COR'、−CONR'R''、−C(O)R'、−OC(O)NR'R''、−NR''C(O)R'、−NR''C(O)R'、−NR'−C(O)NR''R'''、−NH−C(NH)=NH、−NR'C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR'、−S(O)R'、−S(O)R'、−S(O)NR'R''、−NR'S(O)R''、−N、過フルオロ(C−C)アルコキシ、及び過フルオロ(C−C)アルキル;ここでR'、R''及びR'''は水素、C1−8アルキル、C3−6シクロアルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、無置換アリール及びヘテロアリール、(無置換アリール)−C1−4アルキル、並びに無置換アリールオキシ−C1−4アルキルから独立に選択される。他の適切な置換基には、炭素原子1〜4個のアルキレン連結鎖で環原子に結合されている前述のアリール置換基それぞれが含まれる。
【0035】
アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で任意で置き換えられてもよく、ここでT及びUは独立に−NH−、−O−、−CH−又は一重結合であり、qは0から2の整数である。又は、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは式−A−(CH−B−の置換基で任意で置き換えられてもよく、ここでA及びBは独立に−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR'−又は一重結合であり、rは1から3の整数である。そのように形成された新しい環の一重結合の1つは二重結合で任意で置き換えられてもよい。又は、アリール又はヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つは式−(CH−X−(CHの置換基で任意で置き換えられてもよく、ここでs及びtは独立に0から3の整数であり、Xは−O−、−NR'−、−S−、− S(O)−、−S(O)−、又は−S(O)NR'−である。−NR'−及び−S(O)NR'−の置換基R'は水素又は無置換C1−6アルキルから選択される。
【0036】
本明細書において用いられる「ヘテロ原子」なる用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)及びケイ素(Si)を含むことになる。
【0037】
本明細書において用いられる「前駆細胞」及び「幹細胞」なる用語は、相互互換的に使用される。「前駆細胞」及び「幹細胞」は、特定の刺激に反応して、分化した細胞系列を形成することができる細胞を意味し、例えば、限定されないが、造血細胞、間葉細胞、上皮細胞、又は骨髄細胞が挙げられる。前駆/幹細胞の存在は、例えば、CFU−GM(コロニー形成単位、顆粒球−マクロファージ);CFU−GEMM(コロニー形成単位、多分化能);BFU−E(バースト形成単位、赤芽球);HPP−CFC(コロニー形成細胞、高増殖能);又は公知のプロトコルを用いて培養中に得ることができる他の型の分化コロニーを含む様々な型のコロニー形成単位を形成する、試料中の細胞の能力によって評価することができる。造血前駆/幹細胞は、多くの場合、CD34陽性である。しかし、いくつかの幹細胞はこのマーカーを含まない。これらのCD34+細胞は、蛍光活性化細胞分類(FACS)を用いて評価することができ、このようにして、それらの存在は、この技術を用いて、試料中において評価され得る。あるいは、このような細胞は、c−kit受容体(CD117)の存在、系統特異的マーカー(例えば、マウスにおけるCD2、CD3、CD4、CD5、CD8、NK1.1、B220、TER−119、及びGr−1、並びにヒトにおけるCD3、CD14、CD16、CD19、CD20及びCD56)の不存在についてFACSによって評価され得る。
【0038】
「医薬として許容される塩」なる用語は、本明細書に記載の化合物上に見られる特定の置換基に応じて、相対的に非毒性の酸又は塩基と共に調製される活性化合物の塩を含むことになる。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の塩基と、ニート又は適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬として許容される無機塩基から誘導される塩の例には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。医薬として許容される有機塩基から誘導される塩の例には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの、置換アミン、環状アミン、天然アミンなどを含む、一級、二級及び三級アミンの塩が含まれる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、そのような化合物の中性型を十分な量の所望の酸と、ニート又は適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素(monohydrogencarbonic)、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、又は亜リン酸などの無機酸から誘導される塩、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの相対的に非毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,”Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19参照)。本発明の特定の具体的化合物は、塩基又は酸付加塩のいずれかに変換されることを可能にする、塩基性及び酸性官能基の両方を含む。
【0039】
化合物の中性型は、塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を通常の様式で単離することにより、再生してもよい。化合物の親型は様々な塩型と、極性溶媒中の溶解性などの特定の物理的性質が異なるが、それ以外は本発明の目的のために塩は化合物の親型と等価である。
【0040】
塩型に加えて、本発明は、プロドラッグ型の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を起こし、本発明の化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグはエクスビボ環境で化学的又は生化学的方法により本発明の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬を含む経皮パッチレザバー中に入れると、本発明の化合物にゆっくり変換することができる。
【0041】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和型並びに水和型を含む溶媒和型で存在しうる。一般に、溶媒和型は非溶媒和型と等価で、本発明の範囲内に含まれることが意図される。本発明の特定の化合物は多結晶又は無定形型で存在してもよい。一般に、すべての物理的な型は本発明によって企図される使用のために等価であり、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0042】
本発明の特定の化合物は不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を有する。すなわち、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体及び個々の異性体(例えば、別々の鏡像異性体)はすべて、本発明の範囲に含まれることが意図される。いくつかの態様では、本発明の化合物は、鏡像異性的に富んだ形態で存在し、ここで、特定の鏡像異性体に対して鏡像異性体の過剰な量は既知の方法によって計算される。また、鏡像異性的に富んだ形態の調製は当該技術分野において周知であり、例えば、クロマトグラフィー又はキラル塩形成を介してキラル分割を用いて達成され得る。なおさらに、本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子の一つ又は複数で非天然の比率の原子同位体を含んでいてもよい。したがって、いくつかの態様において、本発明の化合物は、同位体に富んだ形態で存在する。同位体の非天然の比率は、問題となっている100%の原子からなる量に対して、自然に見出された量からの範囲として定義されてもよい。例えば、化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)又は炭素−14(14C)などの放射性同位体、あるいはデゥートリウム(H)又は炭素−13(13C)などの非放射性同位体を取り込んでもよい。このような同位体変種は、この応用とともに他に記載されたものに対して追加の用途を与え得る。例えば、本発明の化合物の同位体変種は、例えば、限定されないが、診断及び/若しくは画像試薬、又は細胞毒性/放射性毒性治療約として追加の用途を見出すことができる。さらに、本発明の化合物の同位体変種は、治療中の増大された安全性、耐容性又は効率に寄与し得る改変された薬物動態的特徴及び薬力学的特徴を有することができる。本発明の化合物のすべての同位体変種は、放射性であるかないかに関わらず、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0043】
「CXCR7」は「RDC1」又は「CCXCKR2」とも呼ばれ、7回膜貫通ドメイン推定Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を意味する。CXCR7イヌ相同分子種は最初1991年に同定された。Libert et al.Science 244:569−572(1989)参照。イヌ配列はLibert et al,Nuc.Acids Res.18(7):1917(1990)に記載されている。マウス配列は、例えば、Heesen et al.,Immunogenetics 47:364−370(1998)に記載されている。ヒト配列は、例えば、Sreedharan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:4986−4990(1991)に記載されており、これは誤ってタンパク質を血管作用性小腸ペプチドの受容体と記載している。「CXCR7」は配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、又は配列番号10と実質的に類似であるか、又はその保存的に改変された変異体である配列を含む。
【0044】
II.概説
本発明の化合物はCXCR7受容体へのリガンドの結合を阻害することができ、癌、特に固形腫瘍癌及びリンパ腫を含む様々な疾患の治療において有用である。最近、CXCR7へのリガンド結合の阻害が動物モデルにおける関節リウマチの重症度を軽減することが明らかにされた。
【0045】
III.本発明の態様
A.化合物
本発明は、一局面において、式I:
【0046】
【化3】

【0047】
を有する化合物、又はその医薬として許容される円、水和物若しくはN酸化物を提供し、ここで、下付き文字nは、0〜2の整数であり;各Rは、存在する場合、C1−4アルキル、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から独立して選択され;R及びRは、各々、独立して、H、−R、−XR、−XNR、−XNHCONR、−XNHCOR、−X−O−CONR、−XNHSO、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択されるメンバーであるか、又は一緒になってオキソである。
【0048】
さらに、Cは、単環式又は縮合二環式アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択されるメンバーであり、ここで、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;該アリール及びヘテロアリールは、場合により、1〜3個のR置換基で置換される。
【0049】
は、ベンゼン、複素環式芳香族化合物、シクロアルカン、及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される単環式4員、5員、6員又は7員環であり、ここで、該複素環式芳香族化合物及びヘテロシクロアルカン環は、環メンバーとして、N、O及びSから選択さえる1〜3のヘテロ原子を有し;ここで、該単環式C環の各々は、場合により、1〜3個のR置換基で置換される。
【0050】
は、水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−4アルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるメンバーであり、ここで、該ヘテロシクロアルキル基又はその部分は、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、各Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換される。
【0051】
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択される。
【0052】
ここで、R、R、R及びRの各々において、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−8ハロアルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O及びSから選択される0〜2個の更なるヘテロ原子を有する4員、5員又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換され;ここで、R、R及びRの該ヘテロシクロアルキル部分は、場合により、オキソで置換され;場合により、2つのR置換基が隣接する原子上にある場合、一緒になって、環メンバーとして炭素原子及び酸素原子を有する縮合した5又は6員環を形成する。
【0053】
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O若しくはSから選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する5又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換される。
【0054】
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−X−COR、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され、ここで、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルから選択され;各Rは、独立して、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルからなる群から選択される。
【0055】
各Xは、C1−4アルキレン連結基又は式−(CHO(CH−を有する連結基であり、ここで、下付き文字m及びpは、0〜5の整数であり、m+pは0〜6であり、ここで、該アルキレン基又はメチレン基は、場合により、1又は2個のメチル基で置換される。あるグループの態様では、各Xは、独立して、−OCH−、−OCHCH−、−OCHCHCH−、−OC(CH−、−OCHC(CH−、−OCHCHC(CH−、−CH−、−C(CH−及び−CHCH−からなる群から選択される。別のグループの態様では、各Xは、−O−、−CH−、−OCH−、−OCHCH−、−C(CH−及び−CHCH−から選択される。
【0056】
多数の態様が本発明において提供される。
(A)あるグループの態様では、Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換されるフェニルである。別のグループの態様では、Cは、場合により1〜3個のR置換基で置換されるピリジルである。さらに別のグループの態様では、Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換されるナフチルである。なお別のグループの態様では、Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換されるキノリニル、ベンゾフラニル及びベンゾピラゾリルからなる群から選択される縮合二環式ヘテロアリールである。
【0057】
他に選択される態様は、(A)において示された態様のいずれかのうちにあるか、又は式Iと関連している。
(B)あるグループの態様では、Cは、場合により、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換される、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ピラゾール、及びオキサゾールからなる群から選択される単環式5員複素環式芳香族環である。他の態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、アゼチジン、ピロリジン、及びピペリジンからなる群から選択される。なお他の態様では、Cは、各々が場合により1〜3個の置換基で置換されるベンゼン及びピリジンからなる群から選択される。
【0058】
なお他に選択される態様は、(A)、(B)において示された態様のいずれかのうちにあるか、又は式Iと関連している。
(C)あるグループの態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるC1−8アルキル及びC3−8シクロアルキルからなる群から選択される。他の態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル及びフェニル−C1−4アルキルからなる群から選択される。なお他の態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換される、4〜6員のヘテロシクロアルキルである。
【0059】
本発明の1つの特定グループの態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル、ピリジル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基は1〜2個のR置換基で場合により置換される。
【0060】
別の特定グループの態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるオキサゾール、チアゾール及びピラゾールからなる群から選択され;並びに、Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるフェニルである。
【0061】
なお別の特定グループの態様では、Cは、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるピリジルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される。
【0062】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるキノリニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロプロピル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される。
【0063】
は、1〜3個のR置換基で場合により置換されるフェニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロプロピル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される。
【0064】
なお他に選択される態様は、(A)、(B)、(C)において示された態様のいずれかのうちにあるか、又は式Iと関連している、又は特定グループの態様のいずれかのうちである:
(a)下付き文字nは0である;
(b)nは1であり、Rはメチルであり;
(c)nは1であり、Rはメチルであり、R及びRの各々は水素であり;
(d)nは0であり、R及びRの各々は水素であり;
(e)nは0であり、Rは水素であり、Rはメチル、エチル、−COH及び−CHCOHからなる群から選択されれ;並びに
(f)Rは水素であり、Rは下記:
【0065】
【化4】

【0066】
からなる群から選択され;
ここで、破線は、該化合物の残部への結合点を指す。
【0067】
なお他に選択される態様は、(A)、(B)、(C)において示された態様のいずれかのうちにあるか、又は式Iと関連している、又は特定グループの態様及び選択された態様のいずれかのうちでありる:
(g)各Rは、存在する場合、メチル、エチル、イソプロピル、2−フルオロエチル、2−フルオロイソプロピル、2−ヒドロキシイソプロピル、メトキシ、クロロ、−COH、−CHCOH、オキサゾリル及びピリジルからなる群から選択され;
(h)各Rは、存在する場合、メチル、フルオロ、クロロ、−COH及び−CHCOHからなる群から選択され;
(I)各Rは、存在する場合、メチル、フルオロ、クロロ、−COH及び−CHCOHからなる群から選択される。
【0068】
また、本発明は、各(g)、(h)及び(i)からの選択が、式Iに対して提供された骨格と一緒にる態様、(A)、(B)、(C)について提供された態様、特定の群の態様、及び選択された態様(a)〜(f)に指向される。
【0069】
1つの選択された態様では、化合物は、下記:
【0070】
【化5】

【0071】
である。
【0072】
他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0073】
【化6】

【0074】
から選択される。
【0075】
なお他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0076】
【化7】

【0077】
から選択される。
【0078】
なお他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0079】
【化8】

【0080】
からなる群から選択される。
【0081】
他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0082】
【化9】

【0083】
から選択される。
【0084】
なお別の選択された態様では、化合物は、下記:
【0085】
【化10】

【0086】
である。
【0087】
なお他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0088】
【化11】

【0089】
から選択される。
【0090】
なお他の選択された態様では、化合物は、下記:
【0091】
【化12】

【0092】
から選択される。
【0093】
選択された態様の各々において、示された化合物は、医薬として許容される塩又は水和物の形態で存在してもよい。
【0094】
なおさらに、立体化学なしに示された化合物について、本発明はまた、各々の化合物のキラル形態、並びに示された化合物の鏡像異性的に富んだ形態に指向される。鏡像異性的に富んだ形態は、当該技術分野において実施されている周知の方法に従って、例えば、キラル塩形態を用いたキラル分割によって、キラルクロマトグラフィーを用いて調製することができる。いくつかの態様では、鏡像異性的に富んだ形態の鏡像体過剰率は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%以上である。なお他の態様では、70%、80%、90%、95%以上である鏡像異性的に富んだ形態が提供される。
【0095】
化合物の製造
本発明のある種の化合物は、後述されるように以下の方法論に従って調製することができる。また、化合物は、本書面の実施例部に概要される合成手段において示されるように調製することもできる。さらに、本発明の化合物の製造において有用なある種の中間体化合物の合成を以下に記載する。
【0096】
【化13】

【0097】
スキームIでは、置換されたブロモ又はヨードベンゼンは、遷移金属触媒を用いてBOCホモピペラジンとカップリングされる。次に、BOC保護基は、酸性条件下で除去される。所望の製造物は、得られたアミンから求核置換又は還元アルキル化反応を介して得ることができる。
【0098】
【化14】

【0099】
スキーム2では、置換アニリンをSkraup条件に共し、キノリン中間体を得て、次に、それは、遷移金属触媒を用いて、およそ誘導化されたホモピペラジンとカップリングされ得る。
【0100】
【化15】

【0101】
スキーム3では、およそ誘導化されたホモピペラジンは、SNAr機構を介して、置換ニトロベンゼンと反応させる。
【0102】
【化16】

【0103】
スキーム4は、アルデヒドは、チタン(IV)テトラメトキシドによって促進される修飾されたMannich手法下でホモピペラジン誘導体と反応させる。次に、得られた中間体を加水分解し、アミンにカップリングされて、所望の化合物を得る。
【0104】
【化17】

【0105】
スキーム5では、修飾されたStrecker反応を採用して、アルデヒドを対応するα−ヒドロキシメチルエステルに変換し、次に、メタンスルホン酸無水物で処理される。ホモピペラジン誘導との置換反応を行い、得られた中間体を加水分解し、アミンにカップリングされて、所望の化合物を得る。
【0106】
【化18】

【0107】
スキーム6では、アミン中間体を反応性水素化物で還元し、対応するアミン類似体を得る。
【0108】
【化19】

【0109】
スキーム7では、ヒドロキシル置換されたキノリン中間体を塩基性条件下でX’−L−COR(X’=脱離基、L=アルキレンリンカー、R=Me又はEt)と反応させる。BOC保護基を酸性条件下で除去後、ホモピペラジン誘導体の遊離塩基を還元的アルキル化反応に共する。得られたエステル中間体を加水分解し、アミンにカップリングされて、所望の化合物を得る。
【0110】
A.組成物
前述の化合物に加えて、ヒト及び動物におけるCXCR7活性を調節するための組成物は、典型的には薬学的担体又は希釈剤を含む。
【0111】
本明細書において用いられる「組成物」なる用語は、規定の量の規定の成分を含む生成物、並びに規定の量の規定の成分の組み合わせから、直接又は間接的に生じる任意の生成物を含むことが意図される。「医薬として許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分と適合性であり、その受容者に対して無害でなくてはならないことを意味する。
【0112】
本発明の化合物を投与するための医薬組成物は、単位用量剤形で都合よく提供してもよく、薬学及び薬物送達の技術分野において周知の任意の方法によって調製してもよい。すべての方法は活性成分を一つ又は複数の補助成分を構成する担体と混合する段階を含む。一般に、医薬組成物は活性成分を液体担体若しくは微粒子固体担体又は両方と均質かつ密接に混合し、次いで、必要があれば生成物を所望の製剤に成形することにより調製する。医薬組成物において、活性対象化合物が疾患の過程又は状態に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。
【0113】
活性成分を含む医薬組成物は、経口使用に適した剤形、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤及び米国特許出願第2002−0012680号に記載の自己乳化剤、硬又は軟カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、液剤、口腔パッチ、経口ゲル、チューイングガム、咀嚼錠、発泡散剤並びに発泡錠であってもよい。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物製造の技術分野において公知の任意の方法に従って調製してもよく、そのような組成物は薬学的にエレガントで美味な製剤を提供するために、甘味料、着香料、着色料、抗酸化剤及び保存剤からなる群より選択される一つ又は複数の物質を含んでいてもよい。錠剤は活性成分を、錠剤製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物で含む。これらの賦形剤は、例えば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えばPVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン又はアカシア、並びに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤はコーティングしていなくてもよく、又は胃腸管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それにより長期間の持続作用を提供するための公知の技術により、腸溶若しくはそれ以外でコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。錠剤は、制御放出用の浸透性治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;及び第4,265,874号に記載の技術によりコーティングしてもよい。
【0114】
経口使用用の製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されているゼラチン硬カプセルとして、又は活性成分が水若しくは油媒質、例えば落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されているゼラチン軟カプセルとして提供してもよい。加えて、乳剤を油などの水不混和性成分と共に調製し、モノ−ジグリセリド、PEGなどの界面活性剤で安定化することもできる。
【0115】
水性懸濁剤は活性材料を、水性懸濁剤製造に適した賦形剤との混合物で含む。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアカシアゴムであり;分散又は湿潤剤は天然ホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどのエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであってもよい。水性懸濁剤は、一つ又は複数の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル、又はn−プロピル、一つ又は複数の着色料、一つ又は複数の着香料、及びスクロース又はサッカリンなどの一つ又は複数の甘味料を含んでいてもよい。
【0116】
油性懸濁剤は活性成分を、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油、又は流動パラフィンなどの鉱油中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁剤は増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含んでいてもよい。前述したものなどの甘味料、及び着香料を加えて、美味な経口製剤を提供してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を加えることにより保存しうる。
【0117】
水の添加により水性懸濁剤を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は、活性成分を分散又は湿潤剤、懸濁化剤及び一つ又は複数の保存剤との混合物で提供する。適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤はすでに前述したものによって例示される。その他の賦形剤、例えば、甘味、着香及び着色料も含まれていてもよい。
【0118】
本発明の医薬組成物は水中油乳剤の形であってもよい。油相は植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、又は鉱油、例えば流動パラフィン、あるいはこれらの混合物でありうる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴム又はトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えばダイズ、レシチン、並びに脂肪酸及びヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、並びに該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってもよい。乳剤は甘味及び着香料も含んでいてもよい。
【0119】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと共に製剤してもよい。そのような製剤は粘滑剤、保存剤並びに着香及び着色料も含んでいてもよい。経口液剤は、例えばシクロデキストリン、PEG及び界面活性剤との組み合わせで調製することができる。
【0120】
医薬組成物は滅菌注射用水性又は油性懸濁剤の形であってもよい。この懸濁剤は、前述の適切な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用い、公知の技術に従って製剤してもよい。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用液剤又は懸濁剤、例えば、1,3−ブタンジオール中の液剤であってもよい。用いてもよい許容される媒体及び溶媒の中には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油を溶媒又は懸濁媒として通常用いる。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油を用いてもよい。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製において有用である。
【0121】
本発明の化合物は、薬物の直腸投与のために坐剤の形で投与してもよい。これらの組成物は薬物を、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって直腸内で融解して薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤と混合して調製することができる。そのような材料にはカカオ脂及びポリエチレングリコールが含まれる。加えて、化合物は液剤又は軟膏により眼内送達を介して投与することができる。さらに、本発明の化合物の経皮送達は、イオン導入パッチなどにより達成することができる。局所使用のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤又は懸濁剤などを用いる。本明細書において用いられる局所適用は、洗口剤及び含嗽剤の使用も含むことになる。
【0122】
本発明の化合物は、標的指向性薬物担体として適切なポリマーである担体に結合されていてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成する際に有用な生体分解性ポリマー類、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーである担体に結合されていてもよい。ポリマー及び半透性ポリマーマトリックスを、弁、ステント、管材料、人工器官などの成型品に形成してもよい。
【0123】
A.使用法
いかなる特定の理論にも縛られたくはないが、本発明の化合物及び組成物はSDF−1及び/又はI−TACのCXCR7受容体への結合を阻害することにより治療効果を提供すると考えられる。したがって、本発明の化合物及び組成物は、SDF−1及び/又はI−TACのCXCR7受容体への結合阻害が治療効果を提供する、哺乳動物における疾患又は障害の治療又は予防において用いることができる。
【0124】
一つの態様において、ケモカインSDF−1及び/又はI−TACのCXCR7受容体への結合を阻害する好ましい方法は、一つ又は複数の前述の化合物をCXCR7受容体を発現する細胞と、これらのケモカインのCXCR7受容体への結合を阻害するのに十分な期間接触させることを含む。
【0125】
一部の実施形態においては、本発明の化合物及び組成物は癌にかかっている対象に投与される。いくつかの場合においては、CXCR7調節物質は、癌、例えば、癌腫、神経膠腫、中皮腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病(急性リンパ性白血病を含む)、腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、グリア芽腫、白血病、リンパ腫、前立腺癌、及びバーキットリンパ腫、頭部癌及び咽頭癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆道癌、胆嚢癌、小腸癌、直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、尿道癌、睾丸癌、子宮頸癌、膣癌、子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎癌、膵臓内分泌線癌、カルチノイド癌、骨癌、皮膚癌、網膜芽腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(他の癌の場合には、CANCER:PRINCIPLES AND PRACTICE(DeVita,V.T.et al.eds 1997を参照))、さらに、アルツハイマー病及び多発性硬化症等の脳及びニューロンの機能不全、腎臓機能不全、関節リウマチ、心臓同種移植片拒絶、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、糸球体腎炎、接触性皮膚炎、炎症性腸疾患、大腸炎、乾癬、再かん流傷害、及び、本明細書に記載されている他の疾患及び疾病を治療するために投与される。ある態様では、対象は、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病又はAIDS関連原発性滲出液リンパ腫を患っていない。
【0126】
本発明はさらに、本発明の化合物及び組成物を投与することにより、それを必要とする任意の対象における血管形成の減少を含む。例えば、CXCR7を本発明の化合物に接触させることによるCXCR7活性の低減、それによる血管形成の低減は、腫瘍、特に固形癌の形成、増殖及び/又は転移を抑制するために有用である。調節されたCXCR7及び血管形成に関連する態様の説明は、例えば、米国特許出願第11/050,345号に記載されている。
【0127】
不要又は問題のある血管形成を含む他の疾患には、関節リウマチ、乾癬、眼の血管由来の疾病、例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障、後水晶体線維増殖症、ルベオーシス、オスラー−ウェバー症候群、心筋血管形成、血小板新血管形成、毛細血管拡張症、血友病関節、血管線維腫、腸の接着を含む、内皮細胞過剰又は異常な刺激の疾病、クローン病、乾癬、湿疹、及び強皮症等の皮膚病、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児の網膜症、年齢に関係する黄斑変性症、アテローム性動脈硬化症、強皮症、創傷肉芽形成及び肥厚性瘢痕、つまり、ケロイド、及び猫引っかき病及び潰瘍(ヘリコバクターピロリ)等の病理学的な帰結としての血管形成を有する疾病が含まれ、さらに、本発明の抗体で治療可能である。血管由来の抑制剤を、接着、特に観血療法又は腹腔鏡手術及び熱傷収縮後に生じる接着等の、腹腔内又は骨盤の接着を防ぐ又は抑制するために使用可能である。血管形成抑制剤を使用することで有利に取り扱われるべき他の条件は、移植後の瘢痕化の発生の予防を含む、肝硬変、急性呼吸促迫症候群後の肺線維症又は他の新生児肺線維症、一時的な人工装具の埋め込み、及び脳及び硬膜の間の手術後の接着を含む。子宮内膜症、ポリープ症、心臓肥大、及び、肥満症も、血管形成抑制によって治療してもよい。これらの疾患は、子宮筋腫、前立腺肥大、及びアミロイド症等の他のタイプの通常の組織のサイズの増大又は成長を含むことがある。本発明の化合物及び組成物は、本明細書中に記載される疾患又は疾病のいずれかのために予防学的に又は治療的に利用してもよい。
【0128】
本発明の化合物及び組成物によるCXCR7活性の低減は、さらに、疾患の宿主を有効に治療するために、新血管形成を防ぐために使用することができる。このため、例えば、血管形成の低下を、血管の疾患(例えば、血管腫及び動脈硬化プラーク内の毛細血管増殖)、筋肉疾病(例えば、心筋血管形成、心筋梗塞又は平滑筋内の血管形成)、関節(例えば、関節炎、血友病関節等)、及び血管形成に関わる他の疾患の治療の一部として使用可能である。血管形成の促進は、さらに、創傷、骨折、及び火傷、炎症性の疾病、虚血性心疾患、及び末梢血管疾病の治癒等のさらなる血管新生を必要とする疾病の様々な生理学的なプロセス及び治療の進展に役立つことができる。
【0129】
本発明の化合物及び組成物は、創傷治癒を向上させるためにも使用することができる。本発明を特定の作用メカニズムに制限することを意図することなく、CXCR7の拮抗作用によって、内因性リガンドを、代わりにより低い親和性の受容体に結合させることで、創傷治癒を向上させるということであり得る。例えば、SDF−1はCXCR7及びCXCR4の両方に結合するが、より低い親和性を有するCXCR4に結合する。同様に、I−TACは、I−TACがCXCR7に結合するよりも低い親和性でCXCR3に結合する。これらのリガンドのCXCR7への結合を防ぐことによって、CXCR7抑制因子は、リガンドを他の受容体に結合させることが可能であり、これによって、創傷治癒を向上し得る。このため、創傷治癒を向上させるためのCXCR7の拮抗作用は、アゴニストによってCXCR7活性を刺激することによって創傷治癒を向上させるのとは異なるメカニズムによって媒介され得る。
【0130】
新血管形成に関連する疾患及び症状の治療とは別に、血管形成抑制を、新血管形成に関連する通常の生理的状態の発生を調節又は防ぐために使用可能である。このため、例えば本発明の方法は、受胎調節として使用可能である。本発明によると、卵巣又は子宮内膜内のCXCR7活性の低減は、排卵、受精卵の着床、胎盤形成等に関連する新血管形成を減少させることができる。
【0131】
血管形成の抑制剤は、さらに他の治療的な用途がある。例えば、本発明の化合物及び組成物は、以下の目的に利用され得る。
(a)脂肪組織切除及び肥満症治療。例えば、Kolonin et al.,Nature Medicine 10(6):625−632(2004)を参照。
(b)子癇前症の治療。例えば、Levine et al.,N.Engl.J.Med.350(7):672−683(2004),Maynard,et al.,J.Clin.Invest.111(5):649−658(2003)を参照。
(c)心臓血管疾病の治療。例えば、March,et al.,Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.287:H458−H463(2004)、Rehman et al,Circulation 109:1292−1298(2004)を参照。
【0132】
癌の治療法
より具体的には、本発明は癌の治療法も提供する。癌の好ましい治療法は、一つ又は複数の前述の化合物(又はその塩)の治療的有効量を癌患者に癌を治療するのに十分な期間投与する段階を含む。
【0133】
治療のために、本発明の組成物は経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射又は注入、皮下注射又は埋め込み)、吸入噴霧、鼻、膣、直腸、舌下、又は局所の投与経路で投与してもよく、それぞれの投与経路に適した、通常の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤及び賦形剤を含む適切な用量単位製剤で、単独又は一緒に製剤してもよい。
【0134】
ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法に従って治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他の種のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、齧歯類又はマウスを含むが、それらに限定されるわけではない、哺乳動物を治療することができる。しかし、方法は、鳥類(例えば、ニワトリ)などの他の種においても実施することができる。
【0135】
本発明の組成物が癌を治療するのに有用であることを示す標準のインビボアッセイには、Bertolini,F.,et al.,Endostatin,an antiangiogenic drug,induces tumor stabilization after chemotherapy or anti−CD20 therapy in a NOD/SCID mouse model of human high−grade non−Hodgkin lymphoma.Blood,No.1,Vol.96,pp.282−87(1 July 2000);Pengnian,L.,Antiangiogenic gene therapy targeting the endothelium−specific receptor tyrosine kinase Tie2.roc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.95,pp.8829−34(July 1998);及びPulaski,B.Cooperativity of Staphylococcal aureus Enterotoxin B Superantigen,Major Histocompatibility Complex Class II,and CD80 for Immunotherapy of Advanced Spontaneous Metastases in a Clinically Relevant Postoperative Mouse Breast Cancer Model.Cancer Research,Vol.60,pp.2710−15(May 15,2000)が含まれる。
【0136】
ケモカイン受容体の調節を必要とする状態の治療又は予防において、適切な用量レベルは一般に1日に患者の体重1kgあたり約0.001から100mgとなり、これを1回又は複数回で投与することができる。好ましくは、用量レベルは1日に約0.01から約25mg/kg;より好ましくは1日に約0.05から約10mg/kgである。適切な用量レベルは1日に約0.01から25mg/kg、1日に約0.05から10mg/kg、又は1日に約0.1から約5mg/kgであってもよい。この範囲内で、用量は1日に0.005から0.05、0.05から0.5又は0.5から5.0mg/kgであってもよい。経口投与では、治療する患者の症状に応じた用量調節のために、組成物は好ましくは1.0から1000ミリグラムの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形で提供する。化合物は1日に1から4回、好ましくは1日に1又は2回の用法で投与してもよい。
【0137】
しかし、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベル及び投与頻度は変動することがあり、用いる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝上の安定性及び作用期間、対象の年齢、体重、遺伝的特徴、全身の健康、性別及び食事、並びに投与の様式及び時間、排出速度、薬物の併用や、治療を受けている対象の特定の状態の重症度を含む様々な因子に依存することが理解されると考えられる。
【0138】
本発明の化合物及び組成物は、癌及びCXCR7シグナル伝達に関連する疾患又は状態を予防及び治療するための関連する有用性を有する他の化合物及び組成物と併用することができる。そのような他の薬物は、そのために一般に用いられる経路及び量で、本発明の化合物又は組成物と同時又は逐次に投与してもよい。本発明の化合物又は組成物を一つ又は複数の他の薬物と同時に用いる場合、本発明の化合物又は組成物に加えて、そのような他の薬物を含む医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物又は組成物に加えて、一つ又は複数の他の活性成分又は治療薬も含むものが含まれる。本発明の化合物又は組成物と、別々又は同じ医薬組成物中のいずれで投与するにせよ、併用しうる他の治療薬の例には下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:シスプラチン、パクリタキセル、メトトレキセート、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、カルボプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、チオテパ、ロムスチン、セムスチン、5−フルオロウラシル及びシタラビン。本発明の化合物と第二の活性成分との重量比は変動することがあり、各成分の有効用量に依存することになる。一般に、それぞれの有効用量を用いると思われる。したがって、例えば、本発明の化合物を第二の抗癌剤と併用する場合、本発明の化合物と第二の薬剤との重量比は一般に約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分との併用も一般に、前述の範囲内となるが、それぞれの場合において、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0139】
炎症の治療法
さらに、本発明の化合物及び組成物は炎症の治療において有用であり、本発明の化合物による癌又は炎症の治療の前、後又は同時に治療を必要としうる治療上の有用性を有する他の化合物及び組成物と併用することができる。したがって、炎症性腸疾患、関節リウマチ、骨関節症、乾癬性関節炎、多関節関節炎、多発性硬化症、アレルギー疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎及び喘息、並びに前述の病状を含む、炎症又は自己免疫障害、状態及び疾患などの、興味対象の状態又は疾患を予防又は治療するための、併用法及び組成物も本発明の成分である。
【0140】
例えば、炎症若しくは自己免疫病、又は例えば関節炎に関連する骨損失の治療又は予防において、本発明の化合物及び組成物を、オピエートアゴニストなどの抗炎症又は鎮痛剤、5−リポキシゲナーゼの阻害剤などのリポキシゲナーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤などのシクロオキシゲナーゼ阻害剤、インターロイキン−1阻害剤などのインターロイキン阻害剤、NMDAアンタゴニスト、酸化窒素阻害剤若しくは酸化窒素の合成の阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、又はサイトカイン抑制抗炎症剤と共に、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、モルフィン、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド性鎮痛剤、スフェンタニル、スリンダク、テニダップなどの化合物と共に用いてもよい。同様に、本発明の化合物及び組成物を前述の鎮痛剤;カフェイン、H2アンタゴニスト(例えばラニチジン)、シメチコン、水酸化アルミニウム又はマグネシウムなどの相乗因子;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシネタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、又はレボデスオキシエフェドリンなどのうっ血除去薬;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、又はデキストロメトルファンなどの鎮咳薬;利尿薬;及び鎮静又は非鎮静抗ヒスタミン薬と共に投与してもよい。
【0141】
前述のとおり、本発明の化合物及び組成物を、本発明の化合物及び組成物が有用である疾患又は状態の治療、予防、抑制又は改善において用いられる他の薬物との併用で用いてもよい。そのような他の薬物は、そのために一般に用いられる経路及び量で、本発明の化合物又は組成物と同時又は逐次に投与してもよい。本発明の化合物又は組成物を一つ又は複数の他の薬物と同時に用いる場合、本発明の化合物又は組成物に加えて、そのような他の薬物を含む医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物又は組成物に加えて、一つ又は複数の他の活性成分又は治療薬も含むものが含まれる。本発明の化合物又は組成物と、別々又は同じ医薬組成物中のいずれで投与するにせよ、併用しうる他の治療薬の例には下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:(a)VLA−4アンタゴニスト、(b)ベクロメタゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、プレドニソン、プレニソロン、デキサメタゾン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、サルメテロール、サルメテロール、サルブタモール、フォルメテロールなどのコルチコステロイド;(c)シクロスポリン(シクロスポリンA、Sandimmune(登録商標)、Neoral(登録商標))、タクロリムス(FK−506、Prograf(登録商標))、ラパマイシン(シロリムス、Rapamune(登録商標))及び他のFK−506型免疫抑制剤、並びにミコフェノール酸、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標))などの免疫抑制剤;(d)ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミンピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジンなどの抗ヒスタミン剤(H1−ヒスタミンアンタゴニスト);(e)非ステロイド性抗喘息薬(例えば、テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール及びピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト及びSKB−106,203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY−1005);(f)プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン及びゾメピラク)、フェナム酸誘導体(例えば、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(例えば、ジフルニサル及びフルフェニサル)、オキシカム(例えば、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカン)、サリチラート(例えば、アセチルサリチル酸及びスルファサラジン)及びピラゾロン(例えば、アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン及びフェニルブタゾン)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);(g)セレコキシブ(Celebrex(登録商標))及びロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))などのシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬;(h)ホスホジエステラーゼIV型(PDE IV)の阻害薬;(i)オーラノフィン及び金チオグルコースなどの金化合物;(j)エタネルセプト(Enbrel(登録商標));(k)オルソクローン(OKT3)、ダクリズマブ(Zenapax(登録商標))、バシリキシマブ(Simulect(登録商標))及びインフリキシマブ(Remicade(登録商標))などの抗体療法薬;(l)ケモカイン受容体、特にCCR5、CXCR2、CXCR3、CCR2、CCR3、CCR4、CCR7、CXCR1及びCXCR6の他のアンタゴニスト;(m)ワセリン及びラノリンなどの潤滑剤及び皮膚軟化薬、(n)角質溶解薬(例えば、タザロテン)、(o)ビタミンD誘導体、例えば、カルシポトリエン又はカルシポトリオール(Dovonex(登録商標))、(p)PUVA、(q)アントラリン(Drithrocreme(登録商標))、(r)エトレチナート(Tegison(登録商標))及びイソトレチノイン並びに(s)インターフェロンβ−1β(Betaseron(登録商標))、インターフェロン(β−1α(Avonex(登録商標))、アザチオプリン(Imurek(登録商標)、Imuran(登録商標))、酢酸グラチラマー(Capoxsone(登録商標))、糖質コルチコイド(例えば、プレドニソロン)及びシクロホスファミドなどの多発性硬化症治療薬(t)メトトレキセートなどのDMARDS(u)5−アミノサリチル酸及びそのプロドラッグ;ヒドロキシクロロキン;D−ペニシラミン;アザチオプリン、6−メルカプトプリン及びメトトレキセートなどの代謝拮抗薬;ヒドロキシ尿素などのDNA合成阻害剤並びにコルヒチンなどの微小管崩壊剤。本発明の化合物と第二の活性成分との重量比は変動することがあり、各成分の有効用量に依存することになる。一般に、それぞれの有効用量を用いると思われる。したがって、例えば、本発明の化合物をNSAIDと併用する場合、本発明の化合物とNSAIDとの重量比は一般に約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分との併用も一般に、前述の範囲内となるが、それぞれの場合において、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0142】
前駆/幹細胞動員を誘導する方法
さらに、本発明の化合物及び組成物は、国際公開公報第05/000333号(あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載の方法及びプロトコルを用いての、前駆/幹細胞分化及び動員障害の治療のために有用でありうる。改善されるか、又はそれ以外の利益を受ける可能性がある典型的な状態には、再生不良性貧血、白血病、薬物誘導性貧血、及び化学療法又は放射線療法による造血不足などの造血障害が含まれる。さらに、本発明の化合物及び組成物は、免疫抑制治療中及びその後の移植の成功を増強する際、並びにより効率的な創傷治癒及び細菌感染治療を行う際に用いることができる。さらに、本発明の化合物及び組成物は、場合により、国際公開公報第05/000333号(あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載される方法及びプロトコルに従った本発明の化合物を用いて、前駆/幹細胞を動員させ、したがって、前駆/幹細胞動員が効率的であるか又は望まれる障害若しくは状態を治療又は改善するために有用であり得る。改善されるか、又はそれ以外の利益を受ける可能性がある状態には、例えば、再生不良性貧血、白血病、薬物誘導性貧血、及び化学療法又は放射線療法による造血不足などの造血障害が含まれる。さらに、本発明の化合物及び組成物は、免疫抑制治療中及びその後の移植の成功を増強する際、並びにより効率的な創傷治癒及び細菌感染治療を行う際に用いることができる。場合により、本発明の化合物の投与後、及び前駆/幹細胞動員後、動員された細胞を含む血液を回収し、場合により、動員された細胞を精製し、場合により、増殖させ、所望の場合、同一のヒト又は第2のヒト(例えば、合致したドナー)に再導入される。
【0143】
多数の異なるタイプの細胞を所望により動員することができる。ある態様では、造血前駆細胞(HSC)は、本発明の化合物又は組成物の投与後に動員され、場合により、回収され、他の血液成分から精製される。場合により、HSC動員は、1以上の顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、あるいはAMD3100(1,1−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン]オクトヒドロボロミド二水和物)又はその塩、ラセミ体、若しくは異性体と併用して、本発明の少なくとも1つの化合物の投与によって誘導される。
【0144】
ある態様では、内皮前駆細胞(EPC)は、本発明の化合物又は組成物の投与後に動員され、場合により、回収され、他の血液成分から精製される。場合により、EPC動員は、1以上の血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGFアゴニスト(限定されないが、VEGFアゴニスト抗体を含む)、あるいはAMD3100又はその塩、ラセミ体、若しくは異性体と併用して、本発明の少なくとも1つの化合物の投与によって誘導される。
【0145】
ある態様では、間葉幹細胞(MSC)又は間質前駆細胞(SPC)は、本発明の化合物又は組成物の投与後に動員され、場合により、回収され、他の血液成分から精製される。場合により、このような動員は、1以上のG−CDF、VEGF、VEGFアゴニスト(限定されないが、VEGFアゴニスト抗体を含む)、あるいはAMD3100又はその塩、ラセミ体、若しくは異性体と併用して、本発明の少なくとも1つの化合物の投与によって誘導される。
【0146】
前駆又は幹細胞を動員するために、適切な用量レベルは、一般に1日に患者の体重1kgあたり約0.001から100mgとなり、これを1回又は複数回で投与することができる。化合物は1回用量、静脈内若しくは経皮投与のような経時的用量、又は複数回用量で投与してもよい。本発明の化合物は、細胞培養物を調製するためのエクスビボ治療プロトコルで用いることもでき、これは次いで対象の血球を補充するために用いる。エクスビボ治療は末梢血若しくは骨髄から、又は合致したドナーの同種移植片から得た自己細胞で行うことができる。
【0147】
本発明の化合物は、前駆/幹細胞の活性化、増殖又は動員を誘導する他の化合物及び組成物を併用することができる。上記したものに加えて、これらには、限定されないが、Fms観覧チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3リガンド)、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン20(IL−20)、スチール因子(SF)及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CDF)が挙げられ、要求され得る治療的有用性、あるいは前駆/幹細胞の動員前、その後又はそれと同時に、要求され、又は治療からの利益を提供され得る。したがって、組み合わせ方法及び組成物はまた、対象とする状態又は疾患を予防又は治療するために本発明の要素である。
【0148】
CXCR7と関連した疾患及び障害を診断する方法
具体的には、本発明の化合物は、標識された形態(例えば、放射線標識された形態)で調製され、例えば、癌の診断に使用することができる。CXCR7に結合する本発明の標識された化合物(例えば、アンタゴニスト又はアゴニスト)は、哺乳動物対象中のCXCR7のレベルを決定するために使用され得る。一部の実施形態においては、CXCR7調節物質は癌にかかっている対象に投与される。いくつかの場合においては、標識された化合物は、癌、例えば、癌腫、神経膠腫、中皮腫、メラノーマ、リンパ腫、白血病、腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、グリア芽腫、白血病、リンパ腫、前立腺癌、及びバーキットリンパ腫、頭部癌及び咽頭癌、結腸癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝胆道癌、胆嚢癌、小腸癌、直腸癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、尿道癌、睾丸癌、子宮頸癌、膣癌、子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎癌、膵臓内分泌線癌、カルチノイド癌、骨癌、皮膚癌、網膜芽腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(他の癌の場合には、CANCER:PRINCIPLES AND PRACTICE(DeVita,V.T.et al.eds 1997を参照))の発症、さらに、アルツハイマー病及び多発性硬化症等の脳及びニューロンの機能不全、腎臓機能不全、関節リウマチ、心臓同種移植片拒絶、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、糸球体腎炎、接触性皮膚炎、炎症性腸疾患、大腸炎、乾癬、再かん流傷害、及び、本明細書に記載されている他の疾患及び疾病の発症を診断するために投与される。ある態様では、対象は、カポジ肉腫、多中心性キャッスルマン病又はAIDS関連原発性滲出液リンパ腫を患っていない。CXCR7は、多くの場合、癌細胞に発現するが、非癌細胞には発現しないので、癌を患っている危険性のある対象にCXCR7のアゴニストを投与することが典型的には望ましい。
【0149】
ある態様では、磁気共鳴映像法(「MRI」)、陽電子放出型断層撮影法(「PET」)、及び単光子放出コンピュータ断層撮影(「SPECT」)などの直接的な方法が生体中のCXCR7生体分布を評価するために利用可能である。これらの化合物の各々は、その化合物が適切な核特性を有する原子を含む場合に、生体内で適切に標識された化合物(一般にはCXCR7に結合する)の分布を検出することができる。MRIは常磁性核を検出する;PET及びSPECTは放射性核の崩壊に由来する粒子の放出を検出する。
【0150】
PETを伴う方法について、適切な陽電子放出核種を取り込むことが必要である。治療薬を標識するために適切である陽電子放出同位元素は相対的に少ない。炭素同位元素である11Cは、PET用に使用されているが、20.5分という短い半減期を有する。したがって、合成及び使用のための施設は、典型的には、前駆体の11Cの出発材料が生じる場合には、サイクロトロンに近い。別の有用な同位体である18Fは半減期が110分である。これは、精製のため、及びヒト又は動物対象への投与のために、放射線標識されたトレーサーに組み込むために十分な時間を与える。他の同位体は、さらに短い半減期を有する。13Nは半減期が10分であり、15Oは半減期がさらに短く2分である。しかしながら、両方の放出は11Cの放出よりエネルギー的であるが、PET研究はこれらの同位体を用いて実施されてきた(Clinical Positron Emission Tomography,Mosby Year Book,1992,K.F.Hubner,et al.,Chapter 2参照)。
【0151】
SPECT画像化は、γ放出である同位体トレーサーを採用する。有用な同位体の範囲はPETよりも大きいが、SPECTによる画像化は、低い3次元解像度を与える。しかしながら、ある場合には、SPECTは、化合物結合、局在及びクリアランス速度についての臨床的に重要な情報を得るために用いられる。SPECT画像化のための1つの有用な同位体は123Iであり、13.3時間の半減期を有するγ放出である。123Iで標識された化合物は、製造場所から約1000マイルまで出荷することができ、又は同位体自体は施設内合成のために輸送され得る。85%の同位体放出は、159KeV光子であり、現在使用中のSPECT計測器によって容易に測定される。他の水素同位体はPET又はSPECT画像化、又は従来のトレーサー標識に用いることができる。これらには、有用な半減期及び放出特性を有すものとして、75Br、76Br、77Br及び78Brが含まれる。
【0152】
上記を考慮して、本発明は、腫瘍、臓器、又は組織を画像化するための方法を提供し、この方法は、
(a)このような画像化を必要とする対象に、式Iの化合物の放射線標識された又は検出可能な形態を投与し;及び
(b)該化合物が該対象に濃縮された場所を決定するために該化合物を検出する
ことを含む。
【0153】
さらに、本発明は、CXCR7の増加レベルを検出するための方法を提供し、この方法は、
(a)CXCR7の増加レベルを有することが疑われる試料と、式Iの化合物の放射線標識された又は検出可能な形態とを接触させ;
(b)該試料中に存在CXCR7に結合した化合物のレベルを測定し、該試料中に存在するCXCR7のレベルを決定し;及び
(c)工程(b)で決定されたレベルと対照試料とを比較し、増加レベルのCXCR7が試料中に存在するかどうかを決定する
ことを含む。
【0154】
本明細書に記載された治療方法と同様に、標識された化合物の投与は、評価されるべき組織との最終的な接触に化合物を導入するために通常使用される経路のいずれかによってなされ、当業者に周知である。1を超える経路は特定の組成物を投与するために用いることができるが、特定の経路は、多くの場合、別の経路よりも即時的であり、効果的な寝台を提供することができる。
【実施例】
【0155】
IV.実施例
下記の実施例は請求される発明を例示するために示すものであり、これを限定するものではない。
【0156】
下記で用いる試薬及び溶媒はAldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wisconsin,USA)などの商業的供給元から得ることができる。H−NMRスペクトルはVarian Mercury 400MHz NMR分光器で記録した。重要なピークをTMSに相対的に示し、次の順で表示する:多重度(s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線)及びプロトン数。質量分析の結果は電荷に対する質量の比で示し、続いて各イオンの相対量を括弧内に示す。実施例において、最も一般的な原子同位体を含むM+H(又はM−H)イオンに対して一つのm/e値を報告する。すべての場合に同位体パターンは予想される式に対応する。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析はHewlett−Packard MSDエレクトロスプレー質量分析計で、試料送達のためにHP1100HPLCを用いて行った。通常、分析物をメタノールに0.1mg/mLで溶解し、1マイクロリットルを送達溶媒と共に質量分析計に注入し、100から1500ダルトンを走査した。すべての化合物を、送達溶媒として1%ギ酸を含むアセトニトリル/水を用い、ポジティブESIモードで分析することができた。以下に示す化合物は、送達系としてアセトニトリル/水中2mM NHOAcを用い、ネガティブESIモードでも分析することができた。
【0157】
実施例及び本発明の説明を通して、以下の略語を用いる:rt、室温;HPLC、高圧液体クロマトグラフィー;TFA、トリフルオロ酢酸;LC−MSD、液体クロマトグラフィー/質量選択検出器;LC−MS、液体クロマトグラフィー/質量分析計;Pddba、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム;THF、テトラヒドロフラン;DMF、ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルホルムアミド;DCM、ジクロロメタン;DMSO、ジメチルスルホキシド;TLC、薄層クロマトグラフィー;KHMDS、ヘキサメチルジシラザンカリウム;ES、エレクトロスプレー;sat.、飽和。
【0158】
本発明の範囲内の化合物は、当業者には公知の様々な反応を用いて、下記のとおりに合成することができる。当業者であれば、本発明の標的化合物を合成するために代替法を用いてもよく、本文書内に記載のアプローチは網羅的なものではなく、興味対象の化合物への広く適用可能で、実用的な経路を提供するものであることを理解すると考えられる。
【0159】
本特許において請求される特定の分子は異なる鏡像異性体及びジアステレオマー形態で存在することができ、これらの化合物のすべてのそのような変異体が請求される。
【0160】
本文書において主要な化合物を合成するために用いる実験法の詳細な説明により、それらを同定する物理的データ並びにそれらに関連する構造描写により記載される分子が得られる。
【0161】
当業者であれば、有機化学の標準的後処理法において、酸及び塩基がしばしば用いられることも理解すると思われる。本特許内で記載される実験法において、親化合物が必要な固有の酸性度又は塩基性度を有する場合、それらの塩が生成される場合もある。
【0162】
実施例1
1−(2,4−ジメトキシフェニル)−4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン
工程1:4−(2,4−ジメトキシフェニル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0163】
【化20】

【0164】
4mLのDME中の1−ブロモ−2,4−ジメトキシベンゼン(433mg、1.99mmol、1当量)、[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(400mg、1.99mmol、1当量)、t−BuOK(313.7mg、2.79mmol、1.4当量)及びアリルクロロ[1,3−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)(Nolan触媒、11.4mg、0.02mmol、0.01当量)の混合物を圧縮窒素ガスを用いて5分間脱気した。得られた混合物を60℃で一晩撹拌し、室温まで冷却した。EtOAc(約30mL)を添加し、混合物をセライトを通してろ過した。ろ過物を飽和NaHCO水溶液(20mL)及びブライン(20mL)で連続して洗浄し、次に硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、30〜100%のEtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、蒸発及び真空中で乾燥させ、表題化合物を黄色味を帯びた液体(300mg)を得た。
MS(ES)m/z 337.2(M+H)。
【0165】
工程2:1−(2,4−ジメトキシフェニル)−[1,4]ジアゼパンHCl塩
【0166】
【化21】

【0167】
300mgの4−(2,4−ジメトキシフェニル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルをジオキサン中の10mLの4N HClに溶解させた。混合物を室温にて2時間撹拌し、乾燥するまで蒸発させ、所望の生成物(270mg)を塩酸塩として得た。MS(ES)m/z 237.2(M+H)。
【0168】
工程3:1−(2,4−ジメトキシフェニル)−4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン
【0169】
【化22】

【0170】
1mLのDMF中の4−クロロメチル−2−フェニルチアゾール(80mg、0.38mmol、1当量)、1−(2,4−ジメトキシフェニル)−[1,4]ジアゼパンHCl塩(117mg、0.38mmol、1当量)及びCsCO(619mg、5当量)の混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物をEtOAc(約30mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(20mL)及びブライン(20mL)で連続して洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、30〜100%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、蒸発及び真空中で乾燥させ、表題化合物を淡褐色の固体(50mg)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.90 (d, 2H, J = 8.0 Hz ), 7.39 (m, 3H), 7.15 (s, 1H), 6.88 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 6.42 (s, 1H), 6.39 (d, 1H, J = 8.8 Hz ), 3.91 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.25 (m, 4H), 2.92 (m, 4H), 1.98 (m, 2H)。MS(ES)m/z 410.2(M+H)。
【0171】
実施例2
1−(3−メトキシピリジン−2−イル)−4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン
工程1.4−(3−メトキシピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0172】
【化23】

【0173】
2−ヨード−3−メトキシピリジン(350mg、1.49mmol)、BOC−ホモピペラジン(0.410mL、2.09mL)、2−ジクロロヘキシルホスフィノ−2’−N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(26mg、0.07mmol)、及びトリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(20mg、0.02mmol)にトルエン(1.5mL)を添加した。この懸濁液にナトリウムt−ブトキシド(201mg、2.09mmol)を添加し、混合物を15時間65℃に加熱した。混合物をセライトを通してろ過し、ろ過ケーキをEtOAcで洗浄した。得られた溶液をHO、次にブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶媒の除去後、残渣をシリカ上で精製し、表題化合物(335mg)をダーク油として得た。MS(ES)m/z 308(M+H)。
【0174】
工程2.1−(3−メトキシピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン二塩酸塩
【0175】
【化24】

【0176】
4−(3−メトキシピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(335mg、1.1mmol)に、MeOH(3mL)、次にジオキサン中の4M HCl(5mL、20mmol)を添加した。これを15時間撹拌し、濃縮して表題化合物を得た。MS(ES)m/z 208(M+H)。
【0177】
工程3.1−(3−メトキシピリジン−2−イル)−4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン
【0178】
【化25】

【0179】
4−(クロロメチル)−2−フェニル−1,3−チアゾール(52mg、0.25mmol)、1−(3−メトキシピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン二塩酸塩(70mg、0.25mmol)、及び炭酸セシウム(325mg、1.0mmol)を無水DMF(1.25mL)中に懸濁させた。混合物を室温にて18時間撹拌した。反応物をEtOAcで希釈し、HO(3×25mL)、次にブライン(25mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残渣をシリカ上で精製し(CHCl:MeOH+1%NHOH)、生成物をえた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.94 (m, 2H), 7.79 (dd, 1H, J = 1.6, 4.8 Hz), 7.40 (m, 3H), 7.15 (s, 1H), 6.96 (dd, 1H, J = 1.4, 8.2 Hz), 6.66 (dd, 1H, J = 4.8, 7.6 Hz), 3.93 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 3.71 (m, 4H), 2.98 (t, 2H, J = 5.0 Hz), 2.85 (t, 2H, J = 5.6 Hz), 2.04 (quin., 2H, J = 5.9 Hz)。MS(ES)m/z 381.1(M+H)。
【0180】
実施例3
6−エチル−8−[4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン
工程1:2−ブロモ−4−エチルフェニルアミン
【0181】
【化26】

【0182】
4−エチルフェニルアミン(1.00g、7.52mmol、1当量)をクロロホルム(40mL)に溶解し、氷浴に置いた。次に、NBS(1.34g、1当量)を小分けしてその溶液に添加した。混合物を室温に温め、2時間撹拌した。EtOAc(約200mL)を添加し、混合物をろ過した。ろ過物を飽和KCO水溶液(200mL)、飽和NaHCO水溶液(200mL)、及びブライン(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、5%〜20%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、表題化合物を薄茶色の油状物として得た(1g)。MS(ES)m/z 200.0(M+H)。
【0183】
工程2:8−ブロモ−6−エチルキノリン
【0184】
【化27】

【0185】
4.5mLのメタンスルホン酸中の2−ブロモ−4−エチルフェニルアミン(1.6g、8.0mmol)、プロパン−1,2,3−トリオール(1.84g、2.5当量)、FeSO4(0.067g、0.30当量)、3−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(1.13g、0.63当量)の混合物を135℃で3時間加熱し、次に、室温に冷却した。2NのNaOH水溶液(約40mL)を添加し、混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、5%〜20%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、表題化合物を黒色の固体として得た(1.3g)。MS(ES)m/z 235.9(M+H)。
【0186】
工程3:4−(6−エチルキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0187】
【化28】

【0188】
5.5mLのDME中の8−ブロモ−6−エチルキノリン(1.3g、5.51mmol、1.04当量)及び1−(tert−ブトキシカルボニル)ホモピペラジン(1.06g、1.0当量)の混合物を圧縮窒素ガスを用いて5分間脱気した。混合物にt−BuOK(0.83g、1.4当量)を添加した。さらに2分間の脱気後、アリルクロロ[1,3−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)(61mg、0.02当量)を添加し、得られた混合物を一晩60℃に加熱し、室温まで冷却した。EtOAc(約70mL)を添加し、混合物をセライトを通してろ過した。ろ過物を飽和NaHCO水溶液(70mL)及びブライン(70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、5%〜20%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、表題化合物(1.0g)を得た。MS(ES)m/z 356.2(M+H)。
【0189】
工程4:8−[1,4]−ジアゼパン−1−イル−6−エチルキノリン二塩酸塩
【0190】
【化29】

【0191】
1,4−ジオキサン(10mL)中の4−(6−エチルキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.0g、1.0当量)をMeOH(5mL)に容器し、1,4−ジオキサン(10mL)中の1.0MのHClを混合物に添加した。室温にて1時間撹拌後、混合物を乾燥するまで濃縮し、表題化合物(1.0g)を得た。MS(ES)m/z 256.1(M+H)。
【0192】
工程5:6−エチル−8−[4−(2−フェニルチアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン
【0193】
【化30】

【0194】
5mLのDMF中の8−[1,4]−ジアゼパン−1−イル−6−エチルキノリン二塩酸塩(0.32g、1mmol、1当量)、4−クロロメチル−2−フェニルチアゾール(0.21g、1当量)及びCsCO(1.63g、5当量)の混合物を60℃に3時間加熱し、次に、室温まで冷却した。EtOAc(約70mL)を添加し、混合物を飽和NaHCO水溶液(70mL)及びブライン(70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、5%〜40%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製した。シリカゲルクロマトグラフィーは、EtOAc中の5%〜10%を用いて繰り返し、表題化合物を淡褐色の固体として得た(0.22g)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ8.65 (dd, 1H, J = 1.8 and 4 Hz), 8.04 (dd. 1H, J = 1.5 and 8.4 Hz), 7.91 (m, 1 H), 7.90 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 7.41 (m, 3H), 7.36 (s, 1H), 7.31 (dd, 1H, J = 4 and 8 Hz), 7.11 (s, 1H), 6.98 (s, 1H), 3.89 (s, 2H), 3.69 (m, 2H), 3.57 (t, 2H, J = 5.87 Hz), 3.11 (m, 2H), 2.92 (t, 2H, J = 5.3 Hz ), 2.72 (q, 2H, J = 7.0 Hz), 2.10 (m, 2H), 1.28 (t, 3H, J = 7.0 Hz)。MS(ES)m/z 429.2(M+H)。
【0195】
実施例4
6−イソプロピル−8−{4−[1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−キノリン塩酸塩
【0196】
工程1:1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロパン−1−オール
【0197】
【化31】

【0198】
1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルバルデヒド(779mg、4.53mmol)を無水THF(9mL)中に溶解し、氷浴に冷却した。EtMgBr(EtO中3.0M、4.5mL)を滴下した。1.5時間後、反応混合物を周囲温度まで温めた。TLC(2:1のヘキサン:EtOAc)はアルデヒド出発物質の完全な消費を示した。反応混合物を水によりクエンチし、EtOAcを用いて抽出した(2×)。EtOAc層をブライン(1×)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:EtOAc)により精製し、表題化合物(631mg、69%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.85 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.65 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.42 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 7.2 Hz), 6.38 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 4.79 (dd, 1H, J = 12, 5.6 Hz), 2.38 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 1.98-1.81 (m, 2H), 1.01 (t, 3H, J = 7.2 Hz)。MS (ES) m/z 203.1 (M+H+)。
【0199】
工程2:1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロパン−1−オン
【0200】
【化32】

【0201】
1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロパン−1−オール(631mg、3.12mmol)をCHCl(16mL)中に溶解し、Dess−Martinペルヨージナン(1.6g、3.8mmol)を一度に添加した。40分後、TLC(2:1のヘキサン:EtOAc)は出発物質と生成物の混合物を示した。追加のDess−Martinペルヨージナン(800mg、1.88mmol)を添加し、混合物を周囲温度で撹拌した。30分後、TLCは生成物への更なる変換を示さなかった。反応混合物をCHClで希釈し、Na水溶液(1×)及びNaHCO水溶液(2×)で洗浄した。CHCl層をNaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(2:1のヘキサン:EtOAc)により精製し、表題化合物を無色の固体として得た(487mg、78%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.91 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.48 (t, 2H, J = 7.2 Hz), 7.35 (t, 1H, J = 7.6 Hz), 6.96 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 3.13 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 1.24 (t, 3H, J = 7.2 Hz)。MS (ES) m/z 201.0 (M+H+)。
【0202】
工程3:6−イソプロピル−8−{4−[1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロピル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−キノリン塩酸塩
【0203】
【化33】

【0204】
1−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)−プロパン−1−オン(97.4mg、0.486mmol)及び8−[1,4]ジアゼパン−1−イル−6−イソプロピルキノリン(131mg、0.486mmol)を合わせて、トルエン(2×2mL)から蒸発により乾燥させた。混合物を無水THF(1.8mL)中に溶解し、Ti(OPr)(0.29mL、0.97mmol)を添加した。混合物を周囲温度で18時間撹拌し、次に、約−20℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(74mg)を一度に添加した。次に、MeOH(1.0mL)を滴下した。反応混合物を周囲温度に4時間かけて温め、1MのNaOH(1mL)及びEtOAc(3mL)によりクエンチした。曇った懸濁液をセライトを通してろ過し、EtOAc層をブライン(1×)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl中の4%〜6%のMeOH)により精製した。精製した生成物をMeOH(約0.5mL)に溶解し、EtO中の1M HCl(0.5mL)を添加した。透明な溶液を濃縮し、高真空下で乾燥させ、表題化合物を黄色の固体として得た(27mg)。
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ10.20-9.85 (m, 1H), 8.83-8.65 (m, 1H), 8.61 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 8.30-8.15 (m, 1H), 7.84 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.52-7.46 (m, 3H), 7.33 (t, 1 H, J = 7.6 Hz), 7.32-7.22 (m, 1H), 6.89 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 4.68-4.59 (m, 1H), 4.15-3.49 (m, 5H), 3.26-3.00 (m, 4H), 2.37-2.28 (m, 4H), 1.26 (d, 6H, J = 6.8 Hz), 0.89-0.83 (m, 3H)。MS (ES) m/z 454.2 (M+H+)。
【0205】
実施例5
7−メトキシ−8−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン
工程1:N−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−N’−メチル−N−プロピルタン−1,2−ジアミン塩酸塩
【0206】
【化34】

【0207】
10mLのDMF中のBOC−ホモピペラジン(1.0g、5mmol、1当量)、2−ブロモ−1−メトキシ−3−ニトロベンゼン(1.16g、1当量)、炭酸セシウム(1.7g、1当量)の混合物を60℃に72時間かけて加熱した。室温に冷却後、酢酸エチル(100mL)及び水(50mL)を添加した。有機層をフラッシュカラムクロマトグラフィー(5〜40%酢酸エチル(ヘキサン中))に供し、4−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.50g、25%)を得て、次に、ジオキサン中の50mLの4N HClで2時間処理した。その後、混合物を乾燥するまで蒸発させ、次の工程に直接使用した。MS(ES)m/z 252.1(M+H)。
【0208】
工程2:1−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン
【0209】
【化35】

【0210】
4−(クロロメチル)−2−フェニル−1,3−チアゾール(300mg、1.5mmol、1当量)、N−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−N’−メチル−N−プロピルエタン−1,2−ジアミン塩酸塩(工程1からの全部、1当量)、及び炭酸ナトリウム(300mg、2当量)を5mLの無水DMFに懸濁させた。混合物を45℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸エチル(100mL)及び水(50mL)を添加した。有機層をフラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜5%のMeOH(酢酸エチル中))に供し、1−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン(250mg、40%)を得た。MS(ES)m/z 425.1(M+H)。
【0211】
工程3:3−メトキシ−2−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−フェニルアミン
【0212】
【化36】

【0213】
50mLの酢酸エチル中の1−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン(250mg)、5%Pd/C(20mg)の混合物を水素65psiにてParrシェーカーに16時間供した。5%を超えるPd/C(10mg)を添加し、反応をさらに16時間継続した。セライトを通してろ過し、次に、フラッシュカラムクロマトグラフィー(0〜10%MeOH(酢酸エチル中))により、3−メトキシ−2−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−フェニルアミン(210mg、90%)を得た。MS(ES)m/z 395.1(M+H)。
【0214】
工程4:7−メトキシ−8−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]キノリン
【0215】
【化37】

【0216】
2mLのメタンスルホン酸中の3−メトキシ−2−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−フェニルアミン(210mg、0.53mmol、1当量)、3−ニトロフェニルスルホン酸ナトリウム(78mg、0.65当量)、FeSO・7H2O(7.5mg、0.05当量 )及びグリセロール(122mg、2.5当量)の混合物を130℃にて2時間加熱した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、10NのNaOHにpHを約10に中和した。酢酸エチルを塩化し、セライトを通してろ過した。有機層を逆相クロマトグラフィーに供した。所望の生成物を含む合わせた画分を蒸発して、アセトニトリルを除去し、飽和した重炭酸ナトリウムで処理し、酢酸エチルを用いて抽出し、純水な表題化合物を得た(130mg、56%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.85 (dd, 1H, J = 4.1, 2 Hz), 8.05 (dd, 1H, J = 7.8, 2 Hz), 7.95 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.90 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.50 (d, 1H, 8.6 Hz), 7.42-7.35 (m, 3H), 7.30-7.20 (m, 3H), 7.20 (dd, 1H, J = 7.8, 4.1 Hz), 4.08 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.62-3.50 (m, 4H), 3.10-3.00 (m, 2H), 3.00-2.80 (m, 2H), 2.20-2.00 (m, 2H)。MS (ES) m/z 431.1 (M+H+)。
【0217】
実施例6
7−メチル−8−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]キノリン
【0218】
【化38】

【0219】
表題化合物は、実施例5の合成で使用されたのと同じ順番に従って調製した。最終化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(80〜100%酢酸エチル(ヘキサン中))により精製した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.85 (dd, 1H, J = 4, 2 Hz), 8.05 (dd, 1H, J = 8, 2 Hz), 7.96 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.95 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.49 (d, 1H, 8.4 Hz), 7.44-7.36 (m, 4H), 7.27 (dd, 1H, J = 8, 4 Hz), 7.24 (s, 1H), 4.02 (s, 2H), 3.80-3.20 (m, 4H), 3.15-3.05 (m, 2H), 3.00-2.90 (m, 2H), 2.60 (s, 3H), 2.20-2.00 (m, 2H)。MS (ES) m/z 415.1 (M+H+)。
【0220】
実施例7
7−クロロ−8−[4−(2−フェニルチアゾール−5−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン
【0221】
【化39】

【0222】
表題化合物を実施例5の合成で使用されたのと同じ順番に従って調製した。最終化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(40〜100%酢酸エチル(ヘキサン中))にょり精製した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.87 (dd, 1H, J = 4.2, 2 Hz), 8.10 (dd, 1H, J = 7.9, 2 Hz), 7.94 (m, 2H), 7.50-7.42 (m, 2H), 7.42-7.30 (m, 2H), 7.35 (dd, 1H, J = 7.9, 4.2 Hz), 7.35-7.30 (m, 1H), 7.22 (s, 1H), 4.03 (s, 2H), 3.70-3.50 (m, 4H), 3.20-2.90 (m, 4H), 2.15-2.00 (m, 2H)。 MS (ES) m/z 435.1 (M+H+)。
【0223】
実施例8
(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
工程1:2−モルホリノチアゾール−4−カルバルデヒド
【0224】
【化40】

【0225】
p−ジオキサン(5mL)中の2−ブロモチアゾル−4−カルバルデヒド(1.0g、5.21mmol)のスラリーに1分かけてモルホリン(1.36g、15.61mmol)を添加した。混合物を100℃に1時間加熱し(TLCによってモニターされる、EtOAc/ヘキサンの1:1)、室温に冷却する。EtOAc(20mL)を添加し、固体の残渣をろ過により取り出し、EtOAc(30mL)で洗浄した。合わせた有機相をブライン(30mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、20〜75%EtOAc(ヘキサン中)を用いて精製し、表題化合物を淡褐色の固体として得た(780mg、75%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.70 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 3.82 (t, 4H, J = 4.8 Hz), 3.56 (t, 4H, J = 4.8 Hz)。MS (ES) m/z 199.1 (M+ H+)。
【0226】
工程2:8−ブロモ−7−ヒドロキシキノリン
【0227】
【化41】

【0228】
AcOH(120mL)及びCHCl(240mL)中の7−ヒドロキシキノリン(59.0g、0.406mol)の撹拌された溶液に、内部温度を0〜5℃に保ちながら、AcOH(120ml)中の臭素(22.9ml、0.444mol)をゆっくり添加した。得られた懸濁液を2時間、0〜5℃で撹拌し、次に、EtOAc(100mL)で希釈し、ろ過した。固体をEtOAc(2×20mL)で洗浄し、真空中で乾燥っせ、8−ブロモ−7−ヒドロキシキノリン(65g、76%)を得た。
【0229】
工程3:8−ブロモ−7−メトキシキノリン
【0230】
【化42】

【0231】
アセトン(500mL)中の8−ブロモ−7−ヒドロキシキノリン(65g、0.29mol)、炭酸カリウム(120g、0.87mol)、及びヨウ化メチル(82g、0.58mol)の混合物を4時間加熱還流した。次に、混合物を室温に冷却し、ろ過した。ろ過物を濃縮し、酢酸エチル(1L)に溶解し、水(300mL×2)及び生理食塩水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣を酢酸エチルとヘキサン(1:1)中で再結晶させ、8−ブロモ−7−メトキシキノリン(40g)を得た。
【0232】
工程4:8−[1,4]ジアゼパン−1−イル−7−メトキシ−キノリン
【0233】
【化43】

【0234】
8−ブロモ−7−ヒドロキシキノリン(126g、0.488mol)、ホモピペラジン(210g、2.0mol)、(±)−BINAP(19.8g、31.8mmol)、及びナトリウムtert−ブトキシド(75.6g、0.786mol)の混合物を900mLのトルエン中に懸濁させ、窒素ガスを1時間パージした。このベンジリデンアセトンジパラジウム(0)(9.7g、10.6mmol)を添加した。混合物をさらに1時間パージし、窒素下で4時間、加熱還流し、室温まで冷却し、注意深く、水中の20%AcOHの1300mLで希釈し、100gのセライトを通してろ過した。セライトパッドを水中の20%AcOH(1L×2)及び酢酸エチル(1L×1)で洗浄した。水相を酢酸エチル(1L×4)で抽出し、pHを10〜11にNaOH(10N、500mL)で調整し、次に、CHClとiPrOHの混合物(80:20、1L×2及び0.5L×4)で抽出した。合わせた有機相を生理食塩水(400mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、蒸発させ、所望の生成物を得た(98g)。
【0235】
工程5:(±)−メチル3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパノエート
【0236】
【化44】

【0237】
磁気スターラーを備えた35mLのシンチレーションバイアルに2−モルホリノチアゾール−4−カルバルデヒド(200mg、1.01mmol)、8−([1,4]−ジアゼパン−1−イル)−7−メトキシキノリン(260mg、1.01mmol)、Ti(OMe)(230mg、1.33mmol)及び1,2−DCE(6mL)を充填した。懸濁液を50℃に20分間加熱した。tert−ブチル(1−メトキシビニルオキシ)−ジメチルシラン(230mg、1.22mmol)を添加し、混合物を50℃で2時間撹拌し、室温に冷却した。混合物をDCM(約30mL)中の20%MeOHで希釈し、セライトを通してろ過し、DCM中の10%MeOH(2×30mL)で洗浄した。合わせた有機相を飽和したNaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むDCM中の2〜15%MeOHを用いて精製し、表題化合物を薄黄色の泡状物として得た(380mg、74%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.83 (dd, 1H, J = 1.2 and 4 Hz), 8.01(dd, 1H, J = 2 and 8 Hz), 7.48 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.28 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.20 (dd, 1H, J = 4 and 8 Hz), 6.47 (s, 1H), 4.56 (m, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.80 (t, 4H, J = 4.8 Hz ), 3.69 (s, 3H), 3.51 (t, 4H, J = 5.2 Hz ), 3.43 (t, 4H, J = 4.8 Hz ), 3.08-2.82 (m, 5H), 2.32-1.90 (m, 3H)。MS (ES) m/z 512.2 (M+ H+)。
【0238】
工程6:(±)−メチル3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパン酸
【0239】
【化45】

【0240】
磁気スターラーを備えた35mLのシンチレーションバイアルに(±)−メチル3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパノエート(380mg、0.74mmol)、THF(5mL)、MeOH(5mL)及び1N NaOH溶液(2mL、2.00mmol)を充填した。得られた懸濁液を室温で一晩(18時間、LC−MS/TLCでモニターされる)撹拌した。2NのHCl(約1mL)を添加し、pHを7にし、混合物を0.5%NHOH水溶液を含むDCM中の15%MeOH(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相を濃縮し、真空中で乾燥させ、薄黄色の固体として表題化合物を得た(280mg、76%)。MS(ES)m/z 498.2(M+H)。
【0241】
工程7:(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0242】
【化46】

【0243】
(±)−メチル3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパン酸(90mg、0.19mmol)、及び2−(ピロリジン−1−イル)エタンアミン(33mg、0.29mmol)を無水DMF(6mL)中に懸濁させた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.20mL、1.15mml)を添加し、混合物を周囲温度で5分間撹拌し、HATU(100mg、0.26mmol)を添加した。周囲温度で1時間後、LC−MS及びTLCは完全な反応を示した(LC/MS[M+H]594.3)。水(5mL)を添加し、混合物をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層をブライン(3×30mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むDCM中の2〜5%MeOHを用いて精製し、薄黄色の固体として表題化合物を得た(60mg、53%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.00 (br s, 1H), 8.82 (dd, 1H, J = 1.6 and 4 Hz), 8.05(d, 1H, J = 8 Hz), 7.53 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.22 (dd, 1H, J = 4 and 8 Hz), 6.46 (s, 1H), 4.25 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.78 (t, 4H, J = 4.8 Hz ), 3.58 (m, 2H), 3.52 (t, 2H, J = 5.6 Hz ), 3.40 (t, 4H, J = 4.8 Hz ), 3.22 (m, 2H), 3.05-2.98 (m, 3H), 2.64 (br, 1H), 2.62 (t, 2 H, J = 6.4 Hz), 2.53 (br s, 4H), 2.45 (br s, 2H), 2.02 (m, 2H), 1.78 (br s, 4H)。MS (ES) m/z 594.3 (M+ H+)。
【0244】
実施例9
(±)−3−[1−(シクロペンタンカルボニル)ピペリジン−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
工程1:(±)−tert−ブチル−{3−メトキシ−1−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−オキソプロピル}ピペリジン−1−カルボキシレート
【0245】
【化47】

【0246】
磁気スターラーを備えた35mLのシンチレーションバイアルにN−Boc−4−ホルミルピペリジン(400mg、1.88mmol)、8−([1,4]−ジアゼパン−1−イル)−7−メトキシキノリン(500mg、1.94mmol)、Ti(OMe)(400mg、2.32mmol)及び1,2−DCE(10mL)を充填した。懸濁液を50℃に15分間加熱した。tert−ブチル(1−メトキシビニルオキシ)−ジメチルシラン(400mg、2.13mmol)を添加し、混合物を50℃にて2時間撹拌し、室温まで冷却した。混合物をDCM(約30mL)中の20%MeOHで希釈し、セライトを通してろ過し、DCM中の10%MeOH(2×30mL)で洗浄した。合わせた有機層を飽和したNaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むDCM中の2〜5%MeOHを用いて精製し、表題化合物を淡褐色の泡状物として得た(400mg、40%):
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.83 (dd, 1H, J = 1.2 and 4 Hz), 8.01 (dd, 1H, J = 2 and 8 Hz), 7.47 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.28 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.20 (dd, 1H, J = 4 and 8 Hz), 4.11 (br s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.51 (m, 4H), 2.95-2.78 (m, 5H), 2.70-2.58 (m, 3H), 2.37 (dd, 1H, J = 6 and 14.8 Hz), 2.15 (d, 1H, J = 13.2 Hz), 1.94 (m, 2H), 1.57 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.30-1.10 (m, 3H)。MS (ES) m/z 527.6 (M+ H+)。
【0247】
工程2:(±)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]プロパン酸
【0248】
【化48】

【0249】
磁気スターラーを備えた35mLのシンチレーションバイアルに(±)−tert−ブチル−{3−メトキシ−1−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−オキソプロピル}ピペリジン−1−カルボキシレート(400mg、0.76mmol)、THF(5mL)、MeOH(5mL)及び1N NaOH溶液(6mL、6.00mmol)を充填した。得られた懸濁液を40℃で一晩(18時間)撹拌した。2NのHCl(約3mL)を添加し、pHを7にし、混合物を0.5%NHOHを含むDCM中の10%MeOH(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、真空中で乾燥させ、表題化合物を薄黄色の泡状物として得た(350mg、90%)。MS(ES)m/z 513.5 M+H)。
【0250】
工程3:(±)−tert−ブチル4−{1−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−オキソ−3−[2−(ピロリジン−1−イル)エチルアミノ]プロピル}ピペリジン−1−カルボキシレート
【0251】
【化49】

【0252】
(±)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]プロパン酸(800mg、1.56mmol)、及び2−(ピロリジン−1−イル)エタンアミン(250mg、2.19mmol)を無水DMF(6mL)に添加した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.5mL、2.88mmol)を添加し、混合物を周囲温度で5分間各派し、HATU(761mg、2.00mmol)を添加した。周囲温度で1時間後、LC−MS及びTLCは完全な反応を示した(LC/MS[M+H]609.7)。水(5mL)を添加し、混合物をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層をブライン(3×30ml)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むDCM中の2〜5%MeOHを用いて精製し、表題化合物を薄黄色の油状物として得た(480mg、50%):1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.81 (dd, 1H, J = 1.6 and 4 Hz), 8.03 (dd, 2H, J = 1.6 and 8 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.22 (dd, 1H, J = 4 and 8 Hz), 4.12 (br s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.51 (m, 4H), 3.38 (m, 3H), 3.20-2.80 (m, 4H), 2.70-2.40 (m, 5H), 2.24 (m, 1H), 1.98 (br,1 H), 1.80-1.55 (m, 11H), 1.46 (s, 9H), 1.34-1.16 (m, 3H)。MS (ES) m/z 609.7 (M+ H+)。
【0253】
工程4:(±)−3−[1−(シクロペンタンカルボニル)ピペリジン−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0254】
【化50】

【0255】
(±)−tert−ブチル4−{1−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]エチルアミノ]プロピル}ピペリジン−1−カルボキシレート(300mg、0.49mmol)をDCM(5mL)に溶解した。ジオキサン(5mL、20.0mmol)の4N HClを添加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。LC−MS及びTLCは完全な反応を示した(LC/MS[M+H]509.6)。混合物を濃縮し、真空中で乾燥させ、中間体の塩酸塩を得た(300mg、定量的)。
【0256】
前工程で得られた化合物(85mg、約0.14mmol)をDCM(5mL)に懸濁させ、DIEA(0.5mL、2.88mmol)を添加した。周囲温度で10分間撹拌後、シクロペンタンカルボニルクロリド(30mg、0.23mmol)を添加した。周囲温度で1時間後、LC−MS及びTLCは反応の完了を示した(LC/MS[M+H]605.7)。1NのNaOH(3mL)を添加し、混合物をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層をブライン(3×30mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むDCM中の2〜5%MeOHを用いて精製し、表題化合物を薄黄色の油状物として得た(10mg、12%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.81 (dd, 1H, J = 1.6 and 4 Hz), 8.02 (dd, H, J = 1.6 and 8 Hz), 7.88 (br, 1H), 7.50 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J = 4 and 8.4 Hz), 4.65 (br s, 1H), 4.00 (m, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.54 (t, 4H, J = 5.2 Hz), 3.37 (m, 3H), 3.20-2.80 (m, 7H), 2.70-2.40 (m, 7H), 2.24 (m, 1H), 1.98 (br s,1 H), 1.80-1.50 (m, 15H), 1.34-1.16 (m, 3H)。MS (ES) m/z 605.7 (M+ H+)。
【0257】
実施例10
(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
工程1:4−ジメチルアミノ−2−オキソ−ブタ−3−エン酸エチルエステル
【0258】
【化51】

【0259】
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(153mg、1.29mol、1当量)及び2−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(152g、1.31mol、1.02当量)を混合し、室温で一晩撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、生成物(197g、89%収率)を暗褐色の油状物として得た。
【0260】
工程2:1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0261】
【化52】

【0262】
4−ジメチルアミノ−2−オキソ−ブタ−3−エン酸エチルエステル(195g、1.14mol)及びヒドラジン二塩酸塩(119.7g、1当量)をEtOH(1L)中に溶解し、室温で一晩撹拌した。次に、混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過した。固体を水で3回洗浄し、乾燥させた。ろ過物を密度の高い油状物にまで濃縮し、撹拌したEtOAC(200mL)とともにフラスコ中に滴下した。得られた固体をろ過し、少量のEtOAcでリンスした。ろ過された固体を合わせて、生成物を得た(62g、39%収率)。MS(ES)m/z 141.1(M+H)。
【0263】
工程3:1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0264】
【化53】

【0265】
THF(330mL)中の1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(23.1g、165mmol)に2−ヨードプロパン(33.0mL、330mmol)を添加し、次にNaOEt(エタノール中21%、65.0mL、174mmol)を添加した。その後、この溶液を16時間加熱還流した。次に、反応を室温まで冷却した。AcOH(10.5mL、183mmol)を添加し、反応物を5分間撹拌した。HO(400mL)を溶液に添加し、この混合物をEtOAc(3×150mL)を用いて抽出した。合わせた有機物を飽和したNaHCO水溶液、次にブラインで洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、H NMRにより98:2の位置異性体を含む生成物(28.70g、96%)を茶色の油状物として得た。
【0266】
工程4:(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−メタノール
【0267】
【化54】

【0268】
THF(678mL)中の1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(41.1g、226mmol)の溶液をN下で0℃まで冷却した。LiAlH(THF中1M、226mL、226mmol)を20分かえてこの溶液に滴下した。反応を1時間撹拌し、この時点でエステル出発物質はLCMSによって検出されなかった。HO(8.58mL)を反応物に滴下し、次に15%NaOH(8.58mL)を滴下し、その後HO(8.57mL)を添加した。次に、セライトを溶液に添加し、これを一晩撹拌した。その後、混合物をセライトを通してろ過し、ろ過ケーキを洗浄して、全ての生成物を取り出した(EtOAcで1回、次に90:10のCHCl:MeOHで2回、その後1:1のCHCl:MeOHで2回、さらにMeOHで1回)。次に、溶媒を濃縮して、固体と油状物の混合物を得た。油状物をEtOAcに溶解し、セライトを通してろ過し、次に濃縮した。得られた油状物は、約1:1の生成物とアルミニウム複合生成物の混合物であった。油状物をTHF(400mL)に溶解し、15%NaOH(300mL)を添加し、この溶液を3時間、激しく撹拌した。相を分離し、水溶液をEtOAc(6×200ml)、次に2:1のCHCl:iProOH(2×300mL)で抽出した。合わせた有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。得られた油状物をさらに精製せずに実施した。
【0269】
工程5:1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−カルバルデヒド
【0270】
【化55】

【0271】
上記反応からの(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−メタノールにCHCl(1.10L)を添加した。次に、Dess−Martinペルヨージナン(144g、339mmol)を分割して添加した。反応物を室温で撹拌した。1時間後、さらにDess−Martinペルヨージナン(16.0g、37.7mmol)を添加した。反応物を11時間撹拌し、その時点で出発物質はLCMSによってもはや検出できなかった。反応混合物をセライトを通してろ過した。次に、ろ過物を飽和したNaHCO水溶液(3×300mL)、続いてブライン(150mL)を用いて洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。次に、粗生成物をISCOに装填して乾燥させ、CHClを用いて抽出し、精製されあ生成物(18.8g、61%)を淡黄色の油状物として得た。
【0272】
工程6:(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−プロピオン酸メチルエステル
【0273】
【化56】

【0274】
1,2−ジクロロエタン(39mL)をホモピペラジン(2.00g、7.78mmol)及びアルデヒド(1.07g、7.78mmol)の混合物に添加した。この混合物を55℃に加熱し、均一になるまで撹拌した。新たに砕かれたTi(OMe)(1.61g、9.34mmol)を添加し、反応物を1時間55℃で撹拌した。次に、溶液を真空下で濃縮した。得られた茶色の油状物を1,2−ジクロロエタン(39mL)に溶解し、シリルケテンアセタール(2.04mL、9.34mmol)を添加した。反応物を55℃に加熱し、15時間撹拌した。次に、溶液をCHClで希釈し、飽和したNaHCO水溶液を添加し、続いて1NのNaOH水溶液を添加した。これを5分間撹拌し、次にセライトを通してろ過し、ろ過ケーキをCHClで洗浄した。ろ過物を分液ロートに移し、HOで洗浄した。有機物にAcOH(3.0mL)を添加し、生成物をHOで2回抽出した。合わせた水溶液をCHClで1回洗浄し、その後、EtN(7.0mL)を添加した。次に、生成物をCHClで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、生成物(1.688g、48%収率)を茶色の油状物として得た。
【0275】
工程7:(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]プロパン酸
【0276】
【化57】

【0277】
磁気スターラーを備えた35mLのシンチレーションバイアルに(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]プロパン酸(450mg、1.0mmol)、THF(5mL)、MeOH(5mL)及び1NのNaOH溶液(6ml、6.0mmol)を充填した。得られた懸濁液を40℃にて一晩(18時間)撹拌した。2NのHCl(約3mL)を添加してpHを7に合わせ、混合物を0.5%NHOHを含むCHCl中の10%MeOH(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、真空中で乾燥させ、表題化合物(360mg、82%)を淡黄色の泡状物として得た。MS(ES)m/z 438.4(M+H)。
【0278】
工程8:(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0279】
【化58】

【0280】
(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]プロパン酸(220mg、0.50mmol)及び2−(ピロリジン−1−イル)エタンアミン(114mg、1.0mmol)を無水DMF(6mL)に懸濁した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.2mL、1.2mmol)を添加し、混合物を周囲温度で5分間撹拌し、続いてHATU(300mg、0.79mmol)を添加した。周囲温度で1時間後、LC−MS及びTLCは反応の完了を示した(LC/MS[M+H]534.6)。水(5mL)を添加し、混合物をEtOAc(100mL)を抽出した。有機層をブライン(3×30mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、0.5%NHOHを含むCHCl中の2〜5%MeOHを用いて精製し、表題化合物(230mg、86%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.20 (br, 1H), 8.81 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 8.03 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J = 4.0 and 8.0 Hz), 6.16 (s, 1H), 4.52 (septet, 1H, J = 6.8 Hz ), 4.34 (br, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.58 (m, 2H), 3.52-3.40 (m, 4H), 3.20-2.80 (m, 4H), 2.63 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 2.54 (br s, 4H), 2.20 (br s, 2H), 2.02 (m, 2H), 1.78 (br s, 4H), 1.47 (d, 6H, J = 6.8 Hz)。MS (ES) m/z 534.6 (M+ H+)。
【0281】
実施例11
(+)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド及び(−)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0282】
【化59】

【0283】
工程1(分割):5mLのアセトン中の(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−プロパン酸メチルエステルの1:2塩及びジ−p−トルイル−L−酒石酸(1.0g)を60℃に加熱し、次に室温に冷却した。12時間後、混合物をろ過し、0.4gの固体を得て、それを8mLのDCMに再び溶解した。3.6mLのEtOAcを添加し、混合物を室温にて一晩放置し、ろ過して、0.3gの固体を得た。それを7.5mLのDCMに再び溶解した。1.5mLのEtOAcを添加後、混合物を室温にて一晩放置し、ろ過して、0.25gの固体を得た。キラルカラム(RegisCell、カタログ#784104)を用いたHPLC分析は>30:1の2つの鏡像体の比を示した。主要な異性体は、流速1mL/分で0.1%ジエチルアミンを含むヘキサン中の10%iPrOHを用いた場合によりゆっくりと抽出された。飽和したNaHCO水溶液で最終の塩を中和し、EtoAcで抽出し、濃縮により遊離塩基を得た。
【0284】
同様の手法は、(±)−3−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−プロピオン酸メチルエステル及びジ−p−トルオイル−D−酒石酸の1:1塩を用いて実施された。最初の分割サイクルは、溶媒としてDCM/トルエンの1:1.2混合物を用いた。主要な異性体は、流速1mL/分で0.1%ジエチルアミンを含むヘキサン中の10%iPrOHを用いた場合にRegisCellキラルカラム(カタログ#784104)上で迅速に溶出された。
【0285】
工程2:実施例1に記載された加水分解及びアミド形成手法に従って、工程1で得られた2つの遊離塩基から表題化合物を別々に得た。
【0286】
実施例12
(±)−3−(2−シクロプロピルチアゾール−4−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0287】
工程1:4−(クロロメチル)−2−シクロプロピルチアゾール
【0288】
【化60】

【0289】
MTBE(150mL)中のシクロプロパンカルボキサミド(10g、0.12mol)のスラリーにP(5g、12mmol)を充填した。混合物を100℃にて2時間加熱し(TLCでモニターされる、EtOAc/ヘキサンの1:1)、室温に冷却される。上清を捨て、濃縮して、中間体のチオアミド(6g、56%)を淡黄色の固体として得た。MS(ES)m/z 102.1(M+H))。これをアセトン(100mL)中に懸濁させ、1,3−ジクロロアセトン(7.0g、0.055mol)で充填した。混合物を8時間加熱還流し(TLCでモニターされる、EtOAc/ヘキサンの1:1)、室温に冷却し、濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の2〜10%EtOAcを用いて精製し、表題化合物(8.0g、79%)を薄茶色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.02 (s, 1H), 4.62 (s, 2H), 2.32 (m, 1H), 1.16 (m, 2H), 1.05 (m, 2H)。MS (ES) m/z 174.1 (M+ H+)。
【0290】
工程2:2−シクロプロピルチアゾール−4−カルバルデヒド
【0291】
【化61】

【0292】
DMSO(10mL)中の4−(クロロメチル)−2−シクロプロピルチアゾール(3.0g、17.2mmol)の溶液にMnO(1.5g、17.2mmol)を充填した。混合物を一晩100℃に加熱し、室温に冷却し、EtOAc(30mL)で希釈した。混合物をセライトを通してろ過し、EtOAc(3×30mL)で洗浄した。合わせた有機層をブライン(3×40mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の2〜5%EtOAcを用いて精製し、表題化合物(1.0g、38%)を薄茶色の油状物として得て、冷蔵室中で一晩放置して固化させた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.91 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 2.36 (m, 1H), 1.20 (m, 2H), 1.16 (m, 2H)。MS (ES) m/z 154.1 (M+ H+)。
【0293】
工程3:(±)−3−(2−シクロプロピルチアゾール−4−イル)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパンアミド
【0294】
【化62】

【0295】
表題化合物は、実施例8に記載の一般的な手法に従って、淡黄色の固体として生成された。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.81 (dd, 1H, J = 2.0 and 4.0 Hz), 8.02 (dd, 1H, J = 1.2 and 8.4 Hz), 7.50 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.27 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J = 4.0 and 8.0 Hz), 6.84 (s, 1H), 4.39 (br, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.56 (m, 2H), 3.51 (m, 2H), 3.42 (m, 2H), 3.20-3.00 (m, 3H), 2.88 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 2.62 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 2.54 (br s, 4H), 2.29 (m, 1H), 2.02 (m, 4H), 1.79 (br s, 4H), 1.13 (m, 2H), 1.04 (m, 2H)。MS (ES) m/z 549.5 (M+ H+)。
【0296】
実施例13
(±)−3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−3−[4−(7−メトキシ−キノリン−8−イル)−[1,4]−ジアザパン−1−イル]−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン
工程1:(±)−3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペラジン−1−イル)−チゾール−4−イル]−3−[4−(7−メトキシ−キノリン−8−イル)−[1,4]ジアザパン−1−イル]−プロピオン酸メチルエステル
【0297】
【化63】

【0298】
1,2−ジクロロエタン(1.02ml)を8−[1,4]ジアザパン−1−イル−7−メトキシキノリン(1.00g、3.88mmol)と2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−カルバルデヒド(824mg、3.88mmol)の混合物に添加した。反応物を55℃に加熱し、均一になるまで撹拌した。次に、新たに砕かれたTi(OMe)(1.00g、5.82mmol)を添加し、反応物を55℃で1時間撹拌した。その後、tert−ブチル−(1−メトキシ−ビニロキシ)−ジメチル−シラン(1.02mL、4.66mmol)を添加し、反応物を55℃で18時間撹拌した。次に、CHClを添加し、続いて飽和したNaHCO水溶液、次に1NのNaOH水溶液を添加した。その後、この混合物を5分撹拌し、セライトを通してろ過し、ろ過ケーキをCHClで洗浄した。次に、ろ過物をHOで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲル(99:1〜90:10のCHCl:(9:1のMeOH:NHOH))上で精製し、生成物を得た(660mg、38%収率)。
【0299】
工程2:(±)−3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−プロピオン酸
【0300】
【化64】

【0301】
工程1の生成物(660mg、1.26mmol)をTHF(4.20mL)に溶解し、1NのNaOH(2.52mL、2.52mmol)を添加し、次に、MeOH(2.10mL)を添加した。反応物を室温にて3時間撹拌し、次に濃縮した。生成物をCHCl及び水に取り出し、次にAcOHで酸性にし、pHを4にした。NHOHを添加してpHを9にし、次にこの水溶液をCHCl(3×50mL)で抽出した。合わせた有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、生成物を得て、さらに精製せずに使用した。
【0302】
工程3:(±)−3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イル]−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−プロパン−1−オン
【0303】
【化65】

【0304】
DMF(3.0mL)を工程2の生成物(309mg、0.60mmol)に添加し、N−メチルピペラジ(0.08mL、0.72mmol)、及びEtN(0.17mL、1.20mmol)を添加した。次に、HATU(274mg、0.72mmol)をこの混合物に添加し、反応物を2時間室温にて撹拌した。その後、溶液をCHClで希釈し、HO(4×50mL)、次にブラインで洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(99:1〜90:10のCHCl:(9:1のMeOH:NHOH))により精製し、MeCN/HOから凍結乾燥し、生成物(122mg、34%収率)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.84 (dd, 1H, J = 1.4, 4.2 Hz), 8.02 (dd, 1H, J = 2.0, 8.0 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.29 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.21 (dd, 1H, J = 4.2, 8.2 Hz), 6.44 (s, 1H), 4.35 (bs, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.95-3.76 (m, 2H), 3.67-3.45 (m, 7H), 3.24-2.78 (m, 8H), 2.42-2.33 (m, 2H), 2.28 (s, 3H), 2.32-2.10 (m, 5H), 2.02-1.92 (m, 4H), 1.68-1.58 (m, 2H)。MS (ES) m/z 594.5 (M+ H+)。
【0305】
実施例14
(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−プロパン
工程1:(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン
【0306】
【化66】

【0307】
DMF(3ml)中の(±)−メチル3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノチアゾール−4−イル)−N−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]プロパン酸(0.35g、0.70mmol)、ピロリジン(0.10g、1.40mmol)及びトリエチルアミン(0.25ml、1.75mmol)にHATU(0.29g、0.77mmol)を添加した。混合物を1時間室温にて撹拌した。次に、水でクエンチした。混合物をiPrOH/CHCl(1:2)/飽和したNaHCOで抽出した。有機層を分別し、無水NaSO上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、2〜6%MeOH/DCM中の0.2〜0.6%NHOHの勾配溶出を用いたクロマトグラフィーにより精製し、(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−プロパン−1−オン(0.355g、64%)を黄色の固体として得た。
【0308】
工程2:(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−イル−プロパン
【0309】
【化67】

【0310】
DIBAL−H(0.40ml、1M/トルエン)を室温にてTHF(1.5ml)中の(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−プロパン−1−オン(0.10g、0.18mmol)に添加した。混合物を室温にて1時間撹拌し、MeOHでクエンチした。次に、IPA/CHCl(1:2)/飽和したNaHCOで抽出した。有機層を分別し、無水NaSO上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮し、2〜10%MeOH/DCM中の0.2〜1%NHOHの勾配溶出を用いたクロマトグラフィーにより精製し、(±)−3−[4−(7−メトキシキノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−イル]−3−(2−モルホリノ−4−イル−チアゾール−4−イル)−1−ピロリジン−1−プロパン(9mg)を黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.84 (dd, 1H, J = 4.0, 1.6 Hz), 8.02 (dd, 1H, J = 8.0, 1.2 Hz), 7.50 (d, 1H, J = 8.8 Hz ), 7.28 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.20 (m, 1H), 6.39 (s, 1H), 3.94 (s, 3H), 3.80 (m, 5H), 3.4-3.55 (m, 8H), 2.8-3.1 (m, 4H), 2.4-2.6 (m, 6H), 1.9-2.2 (m, 8H); LC/MS (ES) [M+H] + m/z 537.5。
【0311】
実施例15
1−(2−{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノロン−7−イルオキシ}−アセチル)−アゼチジン−3−カルボン酸
工程1:6−メチル−7−メトキシキノリン
【0312】
【化68】

【0313】
最小量のジオキサンを用いて、3−メトキシ−4−メチルアニリン(5.00g、36.5mmol)は、145〜155℃の内部温度に加熱された100mLの丸底フラスコ中のナトリウムm−ニトロベンゼンスルホネート(6.62g、29.4mmol)、MsOH(20mL)、及びFeSO・7H2O(0.39g、1.4mmol)の混合物に添加された。次に、グリセロール(10.75g、116.8mmol)は、145〜155℃の内部温度を維持しながら追加ロートを介して滴下された。添加後、反応物を150℃の油浴中でLCMSが完了を示すまで撹拌した(4〜6時間)。室温まで冷却後、氷(20g)を添加し、次に、溶液は、40℃未満の内部温度を維持するような速度で10NのNaOH(MsOHと同じ当量に計算される)を用いて中和された。濃い懸濁が添加後に出現し、これをEtOAc(50mL×3)で抽出した。有機層をセライトパッドを介してろ過し、不溶性の黒色粒子を除去し、次に、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物を得た(5.0g、79%)。MS(ES)m/z 174.1(M+H)。
【0314】
工程2:8−ブロモ−7−メトキシ−6−メチルキノリン
【0315】
【化69】

【0316】
DMF(20ml)中の6−メチル−7−メトキシキノリン(3.0g、17.3mmol)の撹拌した溶液にNBS(3.4g、19mmol)を添加した。得られた懸濁液を3時間60℃にて撹拌し、LCMSによりモニターした。反応混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、ろ過した。有機層を飽和したNaHCO水溶液及びブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(2.9g、67%)を得た。MS(ES)m/z 251.6(M+H)。
【0317】
工程3:4−(7−ヒドロキシ−6−メチルキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0318】
【化70】

【0319】
工程2の生成物(1.66g、6.58mmol)と[1,4]−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(4g、20mmol)の混合物を電子レンジにより140℃で1時間加熱した。室温に冷却後、酢酸エチルで希釈し、飽和したNaHCO及びブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、その後、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(0.8g、35%)を得た。MS(ES)m/z 358(M+H)。
【0320】
工程4:(8−[1,4]ジアゼパン−1−イル−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−酢酸エチルエステル
【0321】
【化71】

【0322】
DMF(3ml)中の4−(7−ヒドロキシ−6−メチルキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.5g、1.4mmol)、Ca2CO3(1.4g、4.1mmol)及びブロモ酢酸エチル(0.235g、1.41mmol)の混合物を室温にて5時間撹拌した。LCMSが完了を示した後、反応物を水(10ml)で希釈し、EtOAc(20ml×3)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮し、ジオキサン中の4NのHClで処理し、蒸発させ、所望の生成物のHCl塩を得て、次に、CHCl(30mL)中の20%のiPrOHに溶解し、飽和したNaHCO水溶液で中和した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮し、遊離塩基(0.4g、80%)を得たMS(ES)m/z 344.2(M+H)。
【0323】
工程5:{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−酢酸エチルエステル
【0324】
【化72】

【0325】
DCE(5ml)中の(8−[1,4]ジアゼパン−1−イル−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(600mg、1.75mmol)、1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルバルデヒド(300.8mg、1.75)及びNaBH(OAc)(408mg、1.92mmol)の混合物を室温にて3時間撹拌した。次に、反応物をDCE(20ml)で希釈し、ろ過し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た(500mg、57%)。MS(ES)m/z 500.2(M+H)。
【0326】
工程6:{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−酢酸
【0327】
【化73】

【0328】
THF(3ml)中の{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアザパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ)−酢酸エチルエステル(500mg、1.0mmol)と2NのNaOH(1ml、2mmol)の混合物を室温にて3時間撹拌した。次に、溶液を1NのHClで中和し、混合溶媒(CHCl:iPrOHの80:20)で抽出し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、淡黄色の固体(300mg、64%)を得た。MS(ES)m/z 472.2(M+H)。
【0329】
工程7:1−(2−{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−アセチル)−アゼチジン−3−カルボン酸メチルエステル
【0330】
【化74】

【0331】
DMF(1ml)中の{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−酢酸(100mg、0.21mmol)、3−アゼチジンカルボン酸メチルエステルHCl塩(35.4mg、0.23mmol)、HATU(97mg、0.25mmol)及びDIEA(0.222ml)の混合物を室温にて2時間撹拌した。水性処理後、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色の固体(70mg、59%)を得た。MS(ES)m/z 569.3(M+H)。
【0332】
工程8:1−(2−{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−アセチル)−アゼチジン−3−カルボン酸
【0333】
【化75】

【0334】
1−(2−{6−メチル−8−[4−(1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン−7−イルオキシ}−アセチル)−アゼチジン−3−カルボン酸メチルエステル(70mg、0.12mmol)をTHF(1ml)中の2NのNaOH(0.15mL)で加水分解した。加水分解が完了した後、2NのHCl(約0.15mL)を添加してpHを7にし、この混合物をCHCl(3×10mL)中の20%iPrOHで抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣を逆相HPLCによって精製し、表題化合物(45mg、66%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ8.75 (d, 1H, J = 4.4 Hz), 8.42 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 8.14 (dd, 1H, J = 1.6 and 8.4 Hz), 7.78 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 7.48-7.42 (m, 3H), 7.35 (q, 1H, J = 4.4 Hz), 7.25 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 6.51 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 4.77 (s, 2H), 4.40 (t, 1H, J = 10.0 Hz), 4.31 (t, 1H, J = 6.4 Hz), 4.08 (t, 1H, J = 9.2 Hz), 3.97-3.93 (m, 1H), 3.82 (s, 2H), 3.48-3.38 (m, 5H), 2.88 (s, 4H), 2.38 (s, 3H), 1.92(m, 2H)。MS(ES)m/z 555.5(M+H)。
【0335】
実施例16
4−(8−{4−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イルメチル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−ブタン酸
工程1:4−[7−(3−メトキシカルボニル−プロポキシ)−6−メチルキノリン−8−イル]−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0336】
【化76】

【0337】
4−(7−ヒドロキシ−6−メチルキノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.3g、3.8mmol)及びメチル4−ブロモブチレート(680mg、3.8mmol)をDMF(7.5mL)に溶解した。この溶液にCsCO(3.7g、11.3mmol)を添加し、反応物を室温にて18時間撹拌した。反応物をCHClで希釈し、HO(4×50mL)、次にブラインで洗浄した。その後、有機物をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。
【0338】
工程2:4−(8−[1,4]ジアゼパン−1−イル−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−酪酸メチルエステル
【0339】
【化77】

【0340】
工程1の生成物をMeOH(18.8mL)に溶解し、HCl(ジオキサン中4M、18.8mL、75.2mmol)を添加した。反応物を室温にて2時間撹拌し、次に濃縮した。CHClを添加し、この溶液を飽和したNaHCO、次にブラインで洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、生成物(1.30g、96%収率)を油状物として得た。
【0341】
工程3:4−(8−{4−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イルメチル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−酪酸メチルエステル
【0342】
【化78】

【0343】
工程2の生成物(3.63mmol)を1,2−ジクロロエタン(7.26mL)に溶解し、次に2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−カルバルデヒド(771mg、3.63mmol)を添加した。この溶液を1時間撹拌し、その後、NaBH(OAc)(1.54g、7.26mmol)を添加した。溶液を2時間撹拌し、次にCHClで希釈した。溶液を飽和したNaHCO水溶液、次にブラインで洗浄した。有機物をMgSO上で乾燥し、ろ過し、濃縮して、粗生成物を得た。これをさらに精製せずに実施した。
【0344】
工程4:4−(8−{4−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−チアゾール−4−イルメチル]−[1,4]ジアゼパン−1−イル}−6−メチルキノリン−7−イルオキシ)−酪酸
【0345】
【化79】

【0346】
工程3の生成物(3.27mmol)をTHF(10.9mL)に溶解し、1NのNaOH水溶液(6.54mL、6.54mmol)を添加し、次いでMeOH(5.5mL)を添加した。この溶液を3時間撹拌し、次に濃縮した。その後、粗生成物を逆相カラム(MeCN:HO+0.1%TFA)上で精製し、合わせた生成物画分をNHOHを用いて塩基性にし、pHを9とし、次にCHCl(3×50mL)で抽出した。その後、合わせた有機物を濃縮した。残渣をMeCN/HOから凍結乾燥し、生成物を白色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ8.70 (dd, 1H, J = 1.4, 4.2 Hz), 7.96 (dd, 1H, J = 1.4, 8.2 Hz), 7.35 (s, 1H), 7.22 (dd, 1H, J = 4.4, 8.0 Hz), 6.71 (s, 1H), 4.12-4.05 (m, 4H), 4.05-3.82 (m, 4H), 3.80-3.72 (m, 4H), 3.62-3.56 (m, 2H), 3.49-3.40 (m, 4H), 3.22-3.15 (m, 2H), 2.58 (t, 2H, J = 7.0 Hz), 2.41 (s, 3H), 2.24-2.17 (m, 4H), 1.98-1.90 (m, 2H), 1.69-1.59 (m, 2H)。MS (ES) m/z 540.5 (M+ H+)。
【0347】
実施例17
6−イソプロピル−8−[4−(2−フェニル−チアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン;塩酸塩
工程1:8−ブロモ−6−キノリン
【0348】
【化80】

【0349】
4.5mLのメタンスルホン酸中の2−ブロモ−4−イソプロピル−フェニルアミン(1.72g、8.0mmol)、プロパン−1,2,3−トリオール(1.84g、2.5当量)、FeSO4(0.067g、0.30当量)、3−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(1.13g、0.63当量)の混合物を135℃で3時間加熱し、次に室温に冷却した。2NのNaOH水溶液(約40mL)を添加し、混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を飽和したNaHCO水溶液(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ、硫酸マグネシウム上乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の5%〜20%EtOAcを用いて精製し、表題化合物(1.3g、65%)を暗褐色の固体として得た。MS(ES)m/z 250.2(M+H)。
【0350】
工程2:4−(6−イソプロピル−キノリン−8−イル)−[1,4]−ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0351】
【化81】

【0352】
5.5mLのDME中の8−ブロモ−6−イソプロピル−キノリン(1.38g、5.51mmol、1.04当量)及び1−(tert−ブトキシカルボニル)ホモピペラジン(1.06g、1.0当量)を圧縮窒素ガスを用いて5分間脱気した。この混合物にt−BuOK(0.83g、1.4当量)を添加した。さらに2分間の脱気後、アリルクロロ[1,3−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン]パラジウム(II)(Nolan触媒、61mg、0.02当量)を添加し、得られた混合物を60℃に一晩加熱し、次に室温に冷却した。EtOAc(約70mL)を添加し、混合物をセライトを通してろ過した。ろ過物を飽和したNaHCO水溶液(70mL)及びブライン(70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の5%〜20%EtOAcを用いて精製し、表題化合物(1.3g、64%)を得た。MS(ES)m/z 370.2(M+H)。
【0353】
工程3:8−([1,4]−ジアゼパン−1−イル−6−イソプロピル−キノリン二塩酸塩
【0354】
【化82】

【0355】
4−(6−イソプロピル−キノリン−8−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.3g、1.0当量)をMeOH(5mL)に溶解し、1,4−ジオキサン(10mL)中の1.0M HClを混合物に添加した。室温にて1時間撹拌後、混合物を乾燥するまで濃縮し、表題化合物(1.2g、100%)を得た。MS(ES)m/z 270.1(M+H)。
【0356】
工程4:6−イソプロピル−8−[4−(2−フェニル−チアゾール−4−イルメチル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−キノリン
【0357】
【化83】

【0358】
5mLのDMF中の8−[1,4]−ジアゼパン−1−イル−6−イソプロピル−キノリン二塩酸塩(0.34g、1mmol、1当量)、4−クロロメチル−2−フェニル−チアゾール(0.21g、1当量)及びCsCO(1.63g、5当量)を60℃に3時間加熱し、次に室温に冷却した。EtOAc(約70mL)を添加し、混合物を飽和したNaHCO(70mL)及びブライン(70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、ヘキサン中の5%〜40%EtOAcを用いて精製した。EtOAc中の5%〜10%MeOHを用いてシリカゲルクロマトグラフィーを繰り返し、表題化合物(0.22g、50%)を淡褐色の固体として得た。
1H NMR (400 MHz, d6- CD3OD) δ8.66 (dd, 1H, J = 1.8 and 4 Hz), 8.07 (dd. 1H, J = 1.5 and 8.4 Hz), 7.91 (m, 1 H), 7.90 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 7.41 (m, 3H), 7.36 (s, 1H), 7.31 (dd, 1H, J = 4.0 and 8.0 Hz), 7.16 (d, 1H, J =1.6 Hz), 7.04 (d, 1H, J =1.6 Hz), 3.90 (s, 2H), 3.71 (m, 2H), 3.59 (t, 2H, J = 5.6 Hz), 3.11 (m, 2H), 2.92 (m, 3H), 2.10 (m, 2H), 1.31 (d, 6H, J = 7.2 Hz)。MS (ES) m/z 443.2 (M+ H+)。
【0359】
実施例18
下記の表中の化合物を上記されるように調製した。特性データを各々について示す。
【0360】
【表1−1】

【0361】
【表1−2】

【0362】
【表1−3】

【0363】
生物学的実施例1
前述の化合物がCXCR7へのケモカイン結合の有用な調節物質であることを示すために、複数の濃度の化合物をインビトロでスクリーニングして、CXCR7受容体からSDF−1を置換する能力を決定した。IC50値の決定、試薬及び細胞の項(下記参照)に詳述するとおり、125I−標識したSDF−1存在下でCXCR7受容体を発現する細胞と混合した。次いで、複数の濃度で化合物が標識ケモカインをCXCR7受容体部位から置換する能力を、スクリーニング法により決定した。
【0364】
有効な調節物質であると考えられる化合物は、5マイクロモル濃度(μM)未満であるが>500nMの濃度(+)、より好ましくは>100nMから≦500nMの濃度(++)で、少なくとも50%のSDF−1をCXCR7受容体から置換することができた。現在のところ、特に好ましい化合物は100nM以下の濃度(+++)で少なくとも50%のSDF−1をCXCR7受容体から置換することができた。これらの基準を満たす例示的化合物を下記の図1、2及び3に再掲する。化合物はすべて前述の実施例に記載のとおり、又は容易に入手可能な出発原料を代わりに用いての関連する方法により調製した。
【0365】
1.IC50値の決定
試薬と細胞
125I−標識SDF−1はPerkin−Elmer Life Sciences,Inc.(Boston、MA)から購入した。MCF−7(腺癌;乳腺)細胞株はAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)から入手するか、又は/並びに加湿インキュベーター内、5%CO/空気混合物、37℃で、10%ウシ胎仔血清(FBS)(HyClone Logan、UT)及びウシインスリン(0.01mg/mL)(Sigma、St.Louis、MO)を添加したDMEM(Mediatech、Herndon、VA)中で培養した。CXCR7を形質移入したMDA−MB−435Sを下記のとおりに生成した。MDA−MB−435Sヒト乳癌細胞株はATCCから購入し、DMEM/10%FBS培地中で培養した。CXCR7をコードする遺伝子の完全コーディング配列(a.k.a.CXCR7、hRDC1)をMCF−7細胞から、μMACs mRNA単離キット(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を用いて単離した。DNA混入物を、RNeasyカラム(Qiagen,Inc.、Valencia、CA)によるDNアーゼ消化により除去し、cDNAをGeneAmp RNA PCR Core Kit(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて生成した。cDNA試料のPCRをTaq PCR Master Mix kit(Qiagen、Inc.)及び5’及び3’Not I部位を有するhRDC1プライマー(hRDC1F 5’GAATGCGGCCGCTATGGATCTGCATCTCTTCGACT−3’、hRDC1R 5’−GAATGCGGCCGCTCATTTGGTGCTCTGCTCCAAG−3’)を用いて実施した。Not I消化PCR生成物をNot I消化pcDNA3.1(+)(Invitrogen、Carlsbad、CA)に連結し、確認した配向及び配列についてスクリーニングした。次いで、Maxiprep(Qiagen,Inc.)により細菌の終夜培養物からプラスミドDNAを単離した。プラスミドDNA(10μg)をMDA−MB−435s細胞に加え、細胞をGene Pulser(Biorad laboratories、Hercules、CA)により電気穿孔(0.22kV、960uF)した。電気穿孔の48時間後、細胞を選択培地(600μg/ml G418)に移した。
【0366】
結合分析
標的化合物を試験して、MCF−7及び/又はMDA−MB−435S細胞上のCXCR7部位に結合する能力を評価した。Dairaghi DJ,et al.,HHV8−encoded vMIP−I selectively engages chemokine receptor CCR5.Agonist and antagonist profiles of viral chemokines.,J.Biol.Chem.1999 Jul 30;274(31):21569−74及びGosling J,et al.,Cutting edge:identification of a novel chemokine receptor that binds dendritic cell− and T cell−active chemokines including ELC,SLC,and TECK.,J.Immunol.2000 Mar 15;164(6):2851−6に記載のろ過プロトコルを用いての効率最大化放射性リガンド結合を用いた。
【0367】
これらのアッセイにおいて、MCF−7及び/又はMDA−MB−435S細胞を標的化合物で調べ、これらの化合物が125I放射能標識SDF−1を置換する能力を、Dairaghi及びGoslingに記載のプロトコルを用いて評価した。標的化合物を示された濃度までプレートに加え、次いで細胞と共にインキュベートした後、放射能標識ケモカイン(125I SDF−1)を加えて、結合培地(25mM HEPES、140mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl及び0.2%ウシ血清アルブミン、pH7.1に調節)中、4℃で3時間反応させた。次いで、すべてのアッセイを4℃で3時間、緩やかに撹拌しながらインキュベートした。すべての結合アッセイでインキュベーション後、反応物をPEI処理したGF/Bガラスフィルター(Packard)上に細胞回収器(Packard)を用いて吸引し、二回洗浄(25mM HEPES、500mM NaCl、1mM CaCl、5mM MgCl、pH7.1に調節)した。シンチラント(MicroScint 10、Packard)をウェルに加え、フィルターをPackard Topcountシンチレーション計数器で計数した。データをPrism(GraphPad Prism version 3.0a for Macintosh(登録商標)、GraphPad Software、www.graphpad.com)を用いてプロットした。
【0368】
経内皮移動アッセイ:
本発明の化合物は、経内皮移動アッセイにおける細胞の移動を阻害するそれらの能力によってさらに評価され得る。このアッセイでは、ケモカイン供給源に向かう内皮細胞の層を介して移動する細胞の能力を分析する。このアッセイの一例において、100,000個のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC、Lonzaから利用可能)は、5μmのフィルター孔サイズを有するトランスウェル培養ディッシュ(Corning Costar)の上部チャンバーに置かれる。培地を添加し、5%CO2、37℃にて一晩、インキュベーター中にプレートを置く。HUVECが一晩フィルターに接着し、単層を形成した後、ケモカイン(例えば、SDF−1、最終濃度10nM)を含む培地を下部チャンバーに添加する。次に、500,000個のNC−37細胞(ATCCから利用可能)を試験化合物の存在下又は不存在下で上部チャンバーに添加し、プレートをインキュベーターに3時間から一晩戻す。種々の濃度を異なるウェルに添加し、用量応答を作製してもよい。このインキュベーションの終わりに、上部チャンバーを取り除き、下部チャンバー中の細胞を定量する。例えば、Cyquatn(登録商標)(Invitrogen,CA)などの蛍光色素で標識し、適切なプレートリーダー上で蛍光を定量することによって細胞を定量することができる。データを分析し、GraphPad Prism(GraphPad Software)を用いてプロットすることができる。化合物の有効性は、下部チャンバーへのこれらの細胞の移動を阻害する能力として測定される。
【0369】
インビトロ有効性
a)破壊性関節炎のウサギモデル
ウサギLPS研究は、本質的にはPodolinら(同節)に記載されるように実施することができ、雌性ニュージーランドウサギ(約2キログラム)は、両膝の関節内にLPS(10ng)で処理された。対象の化合物(例えば、1%メトセル中に調合される)又はビヒクル(1%メトセル)を5ml/kg用量容積で2回(関節内へのLPS注射2時間前と関節内へのLPS注射の4時間後)経口投薬する。LPS注射の16時間後、膝を洗浄し、細胞数をカウントする。この処置の有益な効果は、膝関節の炎症した滑液に補充された炎症細胞数の減少によって決定される。対象化合物による処置は、補充された炎症細胞の有意な減少をもたらす。
【0370】
b)コラーゲン誘導の関節炎のラットモデルにおける対象化合物の評価
17日の進行性II型コラーゲン関節炎研究を行い、関節炎誘導の臨床的くるぶし腫脹に対する対象化合物の効果を評価することができる。ラットコラーゲン関節炎は、多発性関節炎の実験モデルであり、多数の抗関節炎剤の臨床前試験に幅広く用いられている(Trentham,et al.,J.Exp.Med.146(3):857−868(1977),Bendele,et al.,Toxicologic Pathol. 27:134−142(1999),Bendele,et al.,Arthritis Rheum.42:498−506(1999)参照)。このモデルの顕著な特徴は、頑強な容易に測定可能な多発性関節炎の信頼できる発病と進行、パンヌス形成と軽度から中程度の骨吸収関連した顕著な軟骨破壊、及び骨膜骨である。
【0371】
雌性ルイスラット(約0.2キログラム)をイソフランで麻酔し、この17日研究の0日と6日に、尾の基部と背中の2箇所に2mg/mLウシII型コラーゲンを含むフロイント不完全アジュバントを注射する。有効用量で0日から17日まで皮下的に対象化合物を毎日投薬する。足関節径のキャリパー測定を行い、くるぶし腫脹の減少を有効性の測定として行う。
【0372】
(c)創傷治癒のマウスモデルにおける対象化合物の評価
創傷治癒研究では、ICR誘導の雄性マウス(24±2g)を用いる。試験期間中、動物を個別に個々のケージに入れる。ヘキソバルビタール(90mg/kg、IP)麻酔下、各動物の肩と背中領域の毛を剃る。鋭いパンチ(ID12mm)を適用し、肉性被層及び付着組織を含む皮膚を取り出す。試験化合物又はビヒクルは、各々、連続10日間、1日1回、皮膚損傷の直後に局所投与される。陽性対照、例えば、A2アデノシン受容体アゴニスト(CGS−21680;10μg/マウス)はまた、実験経過全体で毎日局所投与されてもよい。創傷領域を透明なプラスチックシートにトレースし、第1、3、5、7、9及び11日にイメージアナライザー(Life Science Resources Vista,Version 3.0)の使用により測定される。創傷の封鎖率(%)を計算し、創傷の半封鎖時間(CT50)を測定し、Graph−Pad Prism(Graph Pad Software)を用いた線形回帰によって分析される。対になっていないストゥーデントt検定は、各測定時間点で、処理された群とビヒクル群との間の比較について適用することができる。差異は、統計有意であると考えられ、P<0.05レベルである。
【0373】
(d)肺癌腫のマウスモデルにおける対象化合物の評価
動物の多数の腫瘍モデルは当該技術分野において知られ、対象化合物を評価するために使用可能である。例えば、肺癌腫の異種移植片研究では、A549腫瘍断片(30〜40mg)をヌードマウスの皮下空隙に移植する。腫瘍は、マウスがこの研究に登録され、処置が開始される時点で、大きさにして約150mg(100〜200mgの間)まで増殖される。対象化合物又はビヒクル対象でマウスを処理する。陽性対象としてメルファランを含むことができる(9mgk/投薬、ip投与、Q4Dx3)。2次元でキャリパーを用いて週に2回腫瘍を測定し、扁長楕円についての式(a×b/2)を用いて腫瘍塊に変換する。式中、aは長径であり、bは短径であり、単位密度と仮定する(1mm=1mg)。また、体重は、化合物投薬の任意の悪影響を評価するために週に2回測定されてもよい。腫瘍活性は、ビヒクル処理された対照群と比較して、処理群の腫瘍増殖における遅延によって評価される。
【0374】
検証
前述のスクリーニング法のいずれかによって対照であると初期に特定された化合物は、見掛けの活性をインビボで評価するためにさらに試験され得る。好ましくは、このような研究は適切な動物モデルを用いて行われる。このような方法の基本フォーマットは、ヒト用の疾患モデルとして利用する動物に対する初期スクリーニング中に特定されたリード化合物を投与し、次に、疾患(例えば、癌、心筋梗塞、創傷治癒、炎症性疾患又はCXCR7に関連した他の疾患)が実際に調節され、及び/又は疾患若しくは状態が改善されたかどうかを決定することを伴う。検証研究において利用された動物モデルは、一般に、任意の種の動物である。適切な動物の具体例には、限定されないが、霊長類、マウス、ラット及びゼブラフィッシュが挙げられる。
【0375】
配列表
配列番号1:CXCR7コード配列
【化84】

【0376】
配列番号2:CXCR7アミノ酸配列
【化85】

【0377】
配列番号3:CXCR7.2コード配列
【化86】

【0378】
配列番号4:CXCR7.2アミノ酸配列
【化87】

【0379】
配列番号5:CXCR7.3コード配列
【化88】

【0380】
配列番号6:CXCR7.3アミノ酸配列
【化89】

【0381】
配列番号7:CXCR7.4コード配列
【化90】

【0382】
配列番号8:CXCR7.4アミノ酸配列
【化91】

【0383】
配列番号9:CXCR7.5コード配列
【化92】

【0384】
配列番号10:CXCR7.5アミノ酸配列
【化93】

【0385】
当業者であれば、提供する説明、図、及び実施例から、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の様々な態様に改変及び変更を加えうることを認識する。
【0386】
本明細書において言及されるすべての特許、特許出願、刊行物及び提示は,その全体が参照により本明細書に援用される。本明細書において引用される任意の文献と本明細書の教示との間のいかなる矛盾も後者を支持して解決されることになる。同様に、当技術分野において認められている語句の定義と本明細書において示される語句の定義との間のいかなる矛盾も後者を支持して解決されることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
下付き文字nは、0〜2の整数であり;
各Rは、存在する場合、C1−4アルキル、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から独立して選択され;
及びRは、各々、独立して、H、−R、−XR、−XNR、−XNHCONR、−XNHCOR、−X−O−CONR、−XNHSO、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;又は一緒になってオキソであり;
は、単環式又は縮合二環式アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;該アリール及びヘテロアリールは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、ベンゼン、複素環式芳香族化合物、シクロアルカン、及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される単環式4員、5員、6員又は7員環であり、ここで、該複素環式芳香族化合物及びヘテロシクロアルカン環は、環メンバーとして、N、O及びSから選択さえる1〜3のヘテロ原子を有し;ここで、該単環式C環の各々は、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−4アルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該ヘテロシクロアルキル基又はその部分は、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、各Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;
ここで、R、R、R及びRの各々において、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−8ハロアルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O及びSから選択される0〜2個の更なるヘテロ原子を有する4員、5員又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換され;ここで、R、R及びRの該ヘテロシクロアルキル部分は、場合により、オキソで置換され;場合により、2つのR置換基が隣接する原子上にある場合、一緒になって、環メンバーとして炭素原子及び酸素原子を有する縮合した5又は6員環を形成し;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O若しくはSから選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する5又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−X−COR、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され、ここで、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルから選択され;各Rは、独立して、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルからなる群から選択され;
各Xは、C1−4アルキレン連結基又は式−(CHO(CH−を有する連結基であり、ここで、下付き文字m及びpは、0〜5の整数であり、m+pは0〜6であり、ここで、Xのメチレン部分のいずれかは、場合により、1又は2個のメチル基で置換される]
で表される化合物、又はその医薬として許容される塩、水和物、N酸化物、同位体が濃縮された若しくは鏡像異性的に濃縮された変形体。
【請求項2】
Xは、−OCH−、−OCHCH−、−OCHCHCH−、−OC(CH−、−OCHC(CH−、−OCHCHC(CH−、−CH−、−C(CH−及び−CHCH−からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
下付き文字nは、0〜2の整数であり;
各Rは、存在する場合、C1−4アルキル、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から独立して選択され;
及びRは、各々、独立して、H、−R、−XR、−XNR、−XNHCONR、−XNHCOR、−X−O−CONR、−XNHSO、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;又は一緒になってオキソであり;
は、単環式又は縮合二環式アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;該アリール及びヘテロアリールは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、ベンゼン、複素環式芳香族化合物、シクロアルカン、及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される4員、5員、6員又は7員環であり、ここで、該複素環式芳香族化合物及びヘテロシクロアルカン環は、環メンバーとして、N、O及びSから選択さえる1〜3のヘテロ原子を有し;ここで、該単環式C環の各々は、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−4アルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該ヘテロシクロアルキル基又はその部分は、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、各Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R、R、R及びRの各々において、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C3−7シクロアルキル、C1−8ハロアルキル、及び1〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O及びSから選択される0〜2個の更なるヘテロ原子を有する5員又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換され;ここで、R、R及びRの該ヘテロシクロアルキル部分は、場合により、オキソで置換され;場合により、2つのR置換基が隣接する原子上にある場合、一緒になって、環メンバーとして炭素原子及び酸素原子を有する縮合した4〜6員環を形成し;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルアルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O若しくはSから選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する5又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシアミド、カルボキシアルキルエステル、カルボン酸、ヘテロアリール、及び4〜6員のヘテロシクロアルキル基でさらに置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され、ここで、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルから選択され;各Rは、独立して、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルからなる群から選択され;
各Xは、独立して、−OCH−、−CH−、−C(CH−及び−CHCH−からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下付き文字nは、0〜2の整数であり;
各Rは、存在する場合、C1−4アルキル、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から独立して選択され;
及びRは、各々、独立して、H、C1−4アルキル、−CO、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;又は一緒になってオキソであり;
は、単環式又は縮合二環式アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;該アリール及びヘテロアリールは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、ベンゼン、複素環式芳香族化合物、シクロアルカン、及びヘテロシクロアルカンからなる群から選択される5員、6員又は7員環であり、ここで、該複素環式芳香族化合物及びヘテロシクロアルカン環は、環メンバーとして、N、O及びSから選択さえる1〜3のヘテロ原子を有し;ここで、該単環式C環の各々は、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
は、水素、C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリール−C1−4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−4アルキル、及び4〜6員のヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該ヘテロシクロアルキル基又はその部分は、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロアリール基は、環メンバーとして、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、各Cは、場合により、1〜3個のR置換基で置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R、R、R及びRの各々において、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、及びC1−8ハロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O及びSから選択される0〜2個の更なるヘテロ原子を有する5員又は6員環を形成し;Rにおいて、Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノ基でさらに置換され;場合により、2つのR置換基が隣接する原子上にある場合、一緒になって、環メンバーとして炭素原子及び酸素原子を有する縮合した5又は6員環を形成し;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され;ここで、R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル、及びC1−8ハロアルキルから選択され、又は同一の窒素原子に結合する場合、その窒素原子と一緒になって、環メンバーとして、N、O若しくはSから選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する5又は6員環を形成し;各Rは、独立して、C1−8アルキル、C1−8ハロアルキル、及びC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R、R及びRの脂肪族及び環状部分は、場合により、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、メチル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノ基でさらに置換され;
各Rは、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R、−CO、−COR、−NR、−OR、−X−CO、−CONR及び−X−CONRからなる群から選択され、ここで、各R及びRは、独立して、水素、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルから選択され;各Rは、独立して、C1−8アルキル及びC1−8ハロアルキルからなる群から選択され;
各Xは、独立して、CH及びCHCHからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
は、場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
は、場合により1〜3個のR置換基で置換されるピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
は、場合により1〜3個のR置換基で置換されるナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
は、場合により1〜3個のR置換基で置換されるキノリニル、ベンゾフラニル及びベンゾピラゾリルからなる群から選択される縮合二環式ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるチアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ピラゾール及びオキサゾールからなる群から選択される単環式の5員複素環式芳香族環である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、アゼチジン、ピロリジン及びピペリジンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、ピロリジン及びピペラジンからなる群から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるベンゼン及びピリジンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
は、各々が場合により1〜4個のR置換基で置換されるC1−8アルキル及びC3−8シクロアルキルからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル及びフェニル−C1−4アルキルからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
は、1〜3個のR置換基で場合により置換される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換される4〜6員のヘテロシクロアルキルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル、ピリジル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル、ピリジル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、チアゾール、ピラゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニ ル基は、場合により1〜2個のR置換基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるオキサゾール、チアゾール及びピラゾールからなる群から選択され;並びに、Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニル及びキノリニルからなる群から選択され;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるチアゾール及びピラゾールからなる群から選択され;並びに、Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるピリジルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるフェニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、チアゾール、ピラゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
は、各々が場合により1〜3個のR置換基で置換されるキノリニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロプロピル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
は、1〜3個のR置換基で場合により置換されるキノリニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、チアゾール、ピラゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
は、1〜3個のR置換基で場合により置換されるフェニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、ピペリジン、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロアルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロプロピル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
は、1〜3個のR置換基で場合により置換されるフェニルであり;Cは、各々が場合により1〜2個のR置換基で置換されるピロリジン、チアゾール、ピラゾール及びベンゼンからなる群から選択され;並びに、Cは、C3−8アルキル、シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニルからなる群から選択され、ここで、該シクロヘキシル、ピロリジニル、ピペリジニル及びフェニル基の各々は1〜2個のR置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
図1、2及び3の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
図1及び2の化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
図1、2及び3の化合物から選択され、同位体が濃縮された形態である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
nは0である、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
nは1であり、Rはメチルである、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
nは1であり、Rはメチルであり、R及びRの各々は水素である、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
nは0であり、R及びRの各々は水素である、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
nは0であり、Rは水素であり、Rはメチル、エチル、−XR、−XNR、−XCONR、−COH及び−CHCOHからなる群から選択される、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
は水素であり、Rは下記:
【化2】

からなる群から選択され、ここで、破線は化合物の残り部分への結合点を示す、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
各Rは、存在する場合、メチル、エチル、イソプロピル、2−フルオロエチル、2−フルオロイソプロピル、2−ヒドロキシイソプロピル、メトキシ、クロロ、−COH、−CHCOH、オキサゾリル及びピリジルからなる群から選択される、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
各Rは、存在する場合、メチル、フルオロ、クロロ、−COH及び−CHCOHからなる群から選択される、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
各Rは、存在する場合、メチル、フルオロ、クロロ、−COH及び−CHCOHからなる群から選択される、請求項1〜8及び17〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
下記の構造:
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物。
【請求項40】
下記:
【化4】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物。
【請求項41】
下記の構造:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物。
【請求項42】
下記:
【化6】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物。
【請求項43】
鏡像異性的に濃縮されている、請求項39〜42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
下記:
【化7】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物。
【請求項45】
下記:
【化8】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
下記:
【化9】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項47】
下記:
【化10】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物及び医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項49】
前記化合物は図1、2又は3の化合物である、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
哺乳動物における疾患又は障害を治療するための方法であって、該疾患又は障害を治療するのに十分な期間、治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を対象に投与することを含む方法。
【請求項51】
前記化合物は図1、2又は3の化合物である、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記疾患又は障害は、癌、炎症及び神経又は前駆/幹細胞障害からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ケモカインI−TAC又はSDF−1のCXCR7受容体への結合を阻害する方法であって、該ケモカインのCXCR7受容体への結合を阻害するのに十分な時間、CXCR7受容体を発現している細胞と請求項1に記載の化合物を接触させることを含む方法。
【請求項54】
前記化合物は図1、2又は3の化合物である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
腫瘍、臓器、又は組織を撮像するための方法であって、
(a)このような撮像を必要とする対象に、請求項1〜8、17〜26、39〜42、又は44〜47のいずれか1項に記載の化合物の放射線標識した又は検出可能な形態を投与し;並びに
(b)該化合物が該対象に濃縮されたことを決定するために該化合物を検出する
ことを含む方法。
【請求項56】
前記化合物が放射線標識されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
試料中の増加レベルのCXCR7を検出するための方法であって、
(a)増加レベルのCXCR7を有することが疑われる試料を、請求項1〜8、17〜26、39〜42、又は44〜47のいずれか1項に記載の化合物の放射線標識した又は検出可能な形態と接触させ、
(b)該試料に存在するCXCR7に結合した化合物レベルを決定し、該試料中のCXCR7の増加レベルを決定し;並びに
(c)工程(b)において決定されたレベルと対象試料とを比較し、増加レベルのCXCR7が該試料中に存在するかどうかを決定する
ことを含む方法。
【請求項58】
前記化合物が放射線標識されている、請求項57に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図2O】
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【図2P】
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【図2Q】
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【図2R】
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【図2S】
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【図2T】
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【図2U】
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【図2V】
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【図2W】
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【図2X】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【公表番号】特表2012−508175(P2012−508175A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534904(P2011−534904)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063298
【国際公開番号】WO2010/054006
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(507416218)ケモセントリックス,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】