説明

D1369D光ファイバのための放射線硬化性二次被覆

光ファイバのための新規な放射線硬化性二次被覆が記述され特許請求されているが、ここで、前記組成物が二次被覆オリゴマーブレンド物を含み、そのブレンド物を、第一の希釈剤モノマー;第二の希釈剤モノマー;場合によっては、第三の希釈剤モノマー;抗酸化剤;第一の光重合開始剤;第二の光重合開始剤;および場合によってはスリップ添加剤もしくはスリップ添加剤のブレンド物と混合し;前記二次被覆オリゴマーブレンド物が、α)オメガオリゴマー;およびβ)ウプシロンオリゴマー;を含み、前記オメガオリゴマーが、α1)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート;α2)イソシアネート;α3)ポリエーテルポリオール;およびα4)トリプロピレングリコール;との、α5)重合防止剤;およびα6)触媒;の存在下による反応により合成されて、オメガオリゴマーが生成し;前記触媒が、ジブチルスズジラウレート金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、オルガノビスマス触媒たとえば、ビスマスネオデカノエート;亜鉛ネオデカノエート;ジルコニウムネオデカノエート;亜鉛2−エチルヘキサノエート;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、1,2−ジメチルイミダゾールおよびジアザビシクロオクタン;トリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、ジルコニウムブトキシドおよびチタンブトキシド;ならびにイオン性液状ホスホニウム塩;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリドからなる群から選択され、そしてここで、前記ウプシロンオリゴマーがエポキシジアクリレートである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、以下の出願に対する優先権を主張するものである:同時係属中の米国仮特許出願第60/874,723号明細書、「D ラディエーション・キュラブル・セカンダリー・コーティング・フォア・オプティカル・ファイバ(D Radiation Curable Secondary Coating For Optical Fiber)」(出願日2006年12月14日)(この特許を参照により本明細書に援用する)。
【0002】
[技術分野]
本発明は、光ファイバのための二次被覆として使用するための放射線硬化性被覆、前記被覆を用いて被覆された光ファイバ、ならびに被覆された光ファイバを調製するための方法に関する。
【0003】
[背景技術]
光ファイバは、典型的には、2層以上の放射線硬化性被覆を用いて被覆される。それらの被覆は、典型的には、光ファイバに対して液状の形態で適用され、次いで放射線に暴露させて硬化させる。被覆を硬化させるために使用可能な放射線のタイプは、そのような被覆の1種または複数の放射線硬化性成分の重合を開始させることが可能なものとするべきである。そのような被覆を硬化させるのに好適な放射線は周知であって、紫外光線(以後「UV」)および電子ビーム(「EB」)が含まれる。被覆された光ファイバを調製するのに使用される被覆を硬化させるための好ましい放射線のタイプはUVである。
【0004】
光ファイバに直接接触する被覆は一次被覆と呼ばれ、その一次被覆を覆う被覆は二次被覆と呼ばれる。光ファイバを、放射線硬化性被覆をする当業者には、一次被覆が、二次被覆よりも軟らかであるのが有利であることは公知である。この配列をとることにより有利となるのは、マイクロベンドに対する抵抗性が向上することである。
【0005】
マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位と数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバにおける、シャープではあるが微視的な曲がりである。マイクロベンドは、熱応力および/または機械的な横力によってもたらされる。マイクロベンドが存在すると、その被覆された光ファイバの信号伝送性能が減衰される。減衰とは、光ファイバによって伝送される信号が低下することであって、望ましいものではない。
【0006】
相対的に軟らかな内側一次被覆によって、被覆された光ファイバの信号伝送性能の減衰をもたらすために望ましくないマイクロベンドに対する抵抗性が与えられる。マイクロベンドは、数マイクロメートルの局所的な軸方向変位と数ミリメートルの空間波長を含む光ファイバにおける、シャープではあるが微視的な曲がりである。マイクロベンドは、熱応力および/または機械的な横力によってもたらされる。被覆によって、光ファイバをマイクロベンドから保護する横力に対する保護が得られるが、被覆直径が小さくなるほど、得られる保護の大きさも小さくなる。被覆とマイクロベンドをもたらす横応力からの保護との間の関係は、たとえば以下の文献において論じられている:D.グロージェ(D.Gloge)「オプティカル−ファイバ・パッケージング・アンド・イッツ・インフルエンス・オン・ファイバ・ストレイトネス・アンド・ロス(Optical−fiber packaging and its influence on fiber straightness and loss)」、ベル・システム・テクニカル・ジャーナル(Bell System Technical Journal)、第54巻、2、245(1975);W.B.ガードナー(W.B.Gardner)、「マイクロベンディング・ロス・イン・オプティカル・ファイバズ(Microbending Loss in Optical Fibers)」、ベル・システム・テクニカル・ジャーナル(Bell System Technical Journal)、第54巻、No.2、p.457(1975);T.ヤブタ(T.Yabuta)、「ストラクチュラル・アナリシス・オブ・ジャケッテッド・オプティカル・ファイバズ・アンダー・ラテラル・プレッシャー(Structural Analysis of Jacketed Optial Fibers Under Lateral Pressure)、ジャーナル・オブ・ライトウェーブ・テクノロジー(J.Lightwave Tech.)、第LT−1巻、No.4、p.529(1983);L.L.ブライラー(L.L.Blyler)、「ポリマー・コーティングズ・フォア・オプティカル・ファイバズ(Polymer Coatings for Optical Fibers)」、ケムテック(Chemtech)、p.682(1987);J.バルダウフ(J.Baldauf)、「リレーションシップ・オブ・メカニカル・キャラクタリスティックス・オブ・デュアル・コーテッド・シングル・モード・オプティカル・ファイバーズ・アンド・マイクロベンディング・ロス(Relationship of Mechanical Characteristics of Dual Coated Single Mode Optial Fibers and Microbending Loss)」、IEICE・トランスアクションズ・オン・コミュニケーション、第E76−B巻、No.4、352(1993);K.コバヤシ(K.Kobayashi)「スダディ・オブ・マイクロベンディング・ロス・イン・シン・コーテッド・ファイバズ・アンド・ファイバ・リボンズ(Study of Microbending Loss in Thin Coated Fibers and Fiber Ribbons)」、IWCS、386(1993)。より硬い外側一次被覆、すなわち二次被覆は、その被覆されたファイバをリボン化および/またはケーブル化するときに加わるような、取扱い時の力に対する抵抗性を与える。
【0007】
光ファイバ二次被覆組成物には一般に、硬化させるより前には、液状エチレン性不飽和希釈剤の中に溶解させるか分散させた1種または複数のオリゴマーからなるエチレン性不飽和化合物と光重合開始剤との混合物が含まれる。典型的には、そのコーティング組成物を液体の形状で光ファイバに適用してから、化学線照射に暴露して硬化させる。
【0008】
これらの組成物の多くにおいては、反応性の末端とポリマー骨格とを有するウレタンオリゴマーが使用されている。さらに、それらの組成物には一般的に、反応性希釈剤、その組成物にUV硬化性を与える光重合開始剤およびその他適切な添加剤が含まれる。
【0009】
国際特許公開第2205/026228A1号パンフレット(公開日、2004年9月17日)「キュラブル・リキッド・レジン・コンポジション(Curable Liquid Resin Composition)」(発明者、スギモト(Sugimoto)、カモ(Kamo)、シゲモト(Shigemoto)、コミヤ(Komiya)およびスティーマン(Steeman))には、下記のものを含む硬化性の液状樹脂組成物の記載と特許請求がある:(A)ポリオール由来の構造と、800g/mol以上かつ6000g/mol未満の数平均分子量とを有するウレタン(メタ)アクリレートおよび、(B)ポリオール由来の構造と、6000g/mol以上かつ20,000g/mol未満の数平均分子量とを有するウレタン(メタ)アクリレートを含むが、ここで、成分(A)と成分(B)の合計量が硬化性液状樹脂組成物の20〜95重量%であり、そして成分(B)の含量が、成分(A)と成分(B)との合計の0.1〜30重量%である。
【0010】
ウレタンオリゴマーのためのポリマー骨格として使用するために、多くの物質が提案されてきた。たとえば、ポリオールたとえば、炭化水素ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールが、ウレタンオリゴマーの中で使用されてきた。商業的に入手しやすいこと、酸化に対して安定であること、および主鎖を調節することによって被覆の特性の融通がつきやすいことなどのために、ポリエステルポリオールは特に魅力がある。ウレタンアクリレートオリゴマーにおける主鎖ポリマーとしてポリエステルポリオールを使用することは、たとえば、米国特許第5,146,531号明細書、米国特許第6,023,547号明細書、米国特許第6,584,263号明細書、米国特許第6,707,977号明細書、米国特許第6,775,451号明細書、米国特許第6,862,392号明細書、さらには欧州特許出願公開第539 030A号明細書に記載がある。
【0011】
ウレタン前駆体のコスト、用途および取扱性を考慮して、コーティング組成物においてウレタン非含有オリゴマーが使用されるようになってきた。たとえば、ウレタン非含有ポリエステルアクリレートオリゴマーが、ガラス光ファイバのための放射線硬化性コーティング組成物に使用されてきた。特開昭57−092552号公報(日東電工(Nitto Electric))には、ポリエステルジ(メタ)アクリレートを含むガラス光ファイバ被覆物質が開示されているが、ここでそのポリエステル主鎖は300以上の平均分子量を有している。独国特許出願公開第04 12 68 60A1号明細書(バイエル(Bayer))には、ポリエステルアクリレートオリゴマー、反応性希釈剤としての2−(N−ブチル−カルバミル)エチルアクリレート、および光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンからなる、3−ファイバ・リボン(three−fiber ribbon)のためのマトリックス材料が開示されている。特願平10−243227(特開2000/072821号公報)には、2個の二酸または無水物でエンドキャップされヒドロキシエチルアクリレートで末端化されたポリエーテルジオールからなる、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む液状硬化性樹脂組成物が開示されている。米国特許第6,714,712B2号明細書には、ポリ酸残基またはその酸無水物、場合によっては反応性希釈剤、および場合によっては光重合開始剤を含む、ポリエステルおよび/またはアルキド(メタ)アクリレートオリゴマーを含む放射線硬化性コーティング組成物が開示されている。さらに、マーク・D・ソウチェック(Mark D.Soucek)およびアーロン・H・ジョンソン(Aaron H.Johnson)は、加水分解抵抗性を与えるためにヘキサヒドロフタル酸を使用することを開示している:「ニュー・イントラモレキュラー・エフェクト・オブザーブド・フォア・ポリエステルス:アン・アノメリック・エフェクト(New Intramolecular Effect Observed for Polyesters:An Anomeric Effect)」、JCT・リサーチ(JCT Research)第1巻、No.2、p.111(2004年4月)。
【0012】
ウレタン非含有オリゴマーを含むコーティング組成物を開発するために、従来技術において努力が払われてきたにもかかわらず、低コストでありながらも、改良された硬化性、硬化速度の向上、使用における融通性など、必要とされる各種多様な要求を満たし、しかも、採用された各種の被覆で所望の物理的特性が達成されるような二次被覆が依然として求められ
【0013】
現在、多くの二次被覆が入手可能ではあるが、既存の被覆に対して、改良された製造および/または性能を与える新規な二次被覆が得られれば望ましい。
【0014】
[発明の概要]
本明細書において特許請求される発明の第一の態様は、放射線硬化性二次被覆組成物であるが、
前記組成物は、
A)以下のものと共に混合される二次被覆オリゴマーブレンド物
B)第一の希釈剤モノマー;
C)第二の希釈剤モノマー;
D)場合によっては、第三の希釈剤モノマー;
E)抗酸化剤;
F)第一の光重合開始剤;
G)第二の光重合開始剤;および
H)場合によっては、スリップ添加剤、もしくはスリップ添加剤のブレンド物;
を含み、
ここで前記二次被覆オリゴマーブレンド物が、
α)オメガオリゴマー;および
β)ウプシロンオリゴマー;
を含み、
ここで前記オメガオリゴマーが、
α1)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート;
α2)ジイソシアネート;
α3)ポリエーテルポリオール;および
α4)トリプロピレングリコール;
との、
α5)重合防止剤;および
α6)触媒;
の存在下による反応により合成されて
オメガオリゴマーが生成し;
ここで、前記触媒が、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート;金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば:たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカノエート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカノエート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカノエート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、CAS280−57−9;およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム;からなる群から選択され、そして
前記ウプシロンオリゴマーがエポキシジアクリレートである。
【0015】
特許請求の範囲に記載の本発明の第二の態様は、光ファイバを被覆するための方法であって、
a)ガラス線引タワーを運転してガラス光ファイバを製造する工程;および
b)市販の放射線硬化性一次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
c)場合によっては、前記放射線硬化性一次被覆組成物を放射線に接触させてその被覆を硬化させる工程;
d)請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆させる工程;
e)前記放射線硬化性二次被覆組成物を放射線に接触させてその被覆を硬化させる工程;
を含む方法である。
【0016】
本明細書において特許請求される発明の第三の態様は、前記ガラス線引タワーが、約750メートル/分〜約2100メートル/分の間の線速度で運転される点にある。
【0017】
特許請求の範囲に記載の本発明の第四の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、ここでその第一の層は、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0018】
特許請求の範囲に記載の本発明の第五の態様は、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、ここでその第一の層は、その光ファイバの外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、そしてその第二の層は、その一次被覆の外側表面と接触状態にある特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0019】
[発明の詳細な説明]
本特許出願の全体を通して、以下の略称は、次に示される意味を有する。
略称 : 意味
BHT : 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フィッツ・ケム(Fitz Chem)から入手可能
CAS : ケミカル・アブストラクト(Chemical Abstract)登録番号を表す
CN−120Z : エポキシジアクリレート、サートマー(Sartomer)から入手可能
DABCO : 1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、エア・プロダクト(Air Product)から入手可能
DBTDL : ジブチルスズジラウレート、OMG・アメリカズ(OMG Americas)から入手可能
HEA : ヒドロキシエチルアクリレート、BASFから入手可能
HHPA : ヘキサヒドロ無水フタル酸、ミリケン・ケミカル(Milliken Chemical)から入手可能
イルガキュア(Irgacure)184 : 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・ガイギー(Ciba Geigy)製
イルガノックス(Irganox)1035 : チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、チバ・ガイギーから入手可能
SR−506 : イソボルニルアクリレート、SR−506としてサートマーから入手可能
フォトマー(Photomer)4066 : エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、コグニス(Cognis)から入手可能
プルラコール(Pluracol)1010 : ポリプロピレングリコール(MW=1000)、BASFから入手可能
SR−306HP : トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、サートマーから入手可能
SR−349 : エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、サートマーから入手可能
TDI : トルエンジイソシアネート2,4−および2,6−異性体の80/20ブレンド物、BASFから入手可能
IPDI : イソホロンジイソシアネート、バイエル(Bayer)から入手可能
TPO : 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、カイテック(Chitech)から入手可能
【0020】
本明細書において特許請求される発明の第一の態様は、放射線硬化性二次被覆組成物であるが、
前記組成物は、
A)以下のものと共に混合される二次被覆オリゴマーブレンド物
B)第一の希釈剤モノマー;
C)第二の希釈剤モノマー;
D)場合によっては、第三の希釈剤モノマー;
E)抗酸化剤;
F)第一の光重合開始剤;
G)第二の光重合開始剤;および
H)場合によっては、スリップ添加剤、もしくはスリップ添加剤のブレンド物;
を含み、
ここで前記二次被覆オリゴマーブレンド物が、
α)オメガオリゴマー;および
β)ウプシロンオリゴマー;
を含み、
ここで前記オメガオリゴマーが、
α1)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート;
α2)イソシアネート;
α3)ポリエーテルポリオール;および
α4)トリプロピレングリコール;
との、
α5)重合防止剤;および
α6)触媒;
の存在下による反応により合成されて
オメガオリゴマーが生成し;
ここで、前記触媒が:ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート;金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカネート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカネート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカネート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS280−57−9(強酸);およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム;からなる群から選択され、
ここで、前記ウプシロンオリゴマーがエポキシジアクリレートである。
【0021】
オメガオリゴマーは、重合防止剤および触媒の存在下に、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート、イソシアネート、ポリエーテルポリオール、およびトリプロピレングリコールを反応させることにより調製される。
【0022】
オメガオリゴマーを調製するために使用されるヒドロキシル含有(メタ)アクリレートは、好適であればいかなるタイプのものでもよいが、望ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートたとえばヒドロキシエチルアクリレート(HEA)であるか、またはポリプロピレングリコールモノアクリレート(PPA6)、トリプロピレングリコールモノアクリレート(TPGMA)、カプロラクトンアクリレート、およびペンタエリスリトールトリアクリレート(たとえば、SR−444)からなる群から選択されるアクリレートである。HEAが好ましい。オメガオリゴマーを調製する場合には、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートを、その反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして約2重量%〜約20重量%、好ましくは約5〜約7重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0023】
イソシアネートは、たとえば、芳香族脂肪族など、好適であればいかなるタイプのものでもよいが、望ましくはジイソシアネートである。好適なジイソシアネートは当業者には公知であり、たとえば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびトルエンジイソシアネート(TDI)などが挙げられる。ジイソシアネートがTDIであれば好ましい。
【0024】
オメガオリゴマーを調製する場合には、イソシアネートを、その反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして約2重量%〜約20重量%、好ましくは約7〜約9重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0025】
ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される。ポリエーテルポリオールは、約300g/mol〜約5,000g/molの数平均分子量を有するポリプロピレングリコールが好ましく、約1000の数平均分子量を有するポリプロピレングリコール(たとえば、プルラコールP1010ポリプロピレングリコール、BASFから入手可能)がより好ましい。オメガオリゴマーを調製する場合には、ポリエーテルポリオールを、その反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして約2重量%〜約36重量%、好ましくは約15〜約18重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0026】
トリプロピレングリコール(TPG)は、たとえばダウ・ケミカル(Dow Chemical)から市販されている。オメガオリゴマーを調製する際には、トリプロピレングリコールを反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは約0.3〜約0.6重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0027】
オメガオリゴマーの調製は、反応の間にアクリレートが重合するのを防止するのに使用される重合防止剤の存在下に実施する。各種の重合防止剤が当業者には公知であり、オリゴマーを調製する際に使用できるが、そのようなものを非限的に挙げれば以下のものがある:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノンおよびそれらの誘導体たとえば、メチルエーテルヒドロキノンおよび2,5−ジブチルヒドロキノン;3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;メチル−ジ−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなど。好ましい重合防止剤はBHTである。オメガオリゴマーを調製する際には、重合防止剤をその反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして、約0.001重量%〜約1.0重量%、好ましくは約0.01〜約0.03重量%の範囲の量で使用してもよい。
【0028】
オメガオリゴマーの調製は、ウレタン化触媒の存在下に実施する。
【0029】
好適な触媒は当業者には周知であり、以下のものからなる群から選択されるものでよい:ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート(DBTDL);金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば:たとえば、オルガノビスマス触媒たとえばビスマスネオデカノエート、CAS34364−26−6;亜鉛ネオデカノエート、CAS27253−29−8;ジルコニウムネオデカノエート、CAS39049−04−2;および亜鉛2−エチルヘキサノエート、CAS136−53−8;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、CAS27176−87−0;およびメタンスルホン酸、CAS75−75−2;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、たとえば、1,2−ジメチルイミダゾール、CAS1739−84−0;およびジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、CAS280−57−9(強塩基);およびトリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、たとえばジルコニウムブトキシド,(テトラブチルジルコネート)CAS1071−76−7;およびチタンブトキシド(テトラブチルチタネート)CAS5593−70−4;ならびにイオン性液状ホスホニウム、イミダゾリウム、およびピリジニウム塩、非限定的に挙げれば、たとえば、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.374683−44−0;1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、CAS No.284049−75−8;およびN−ブチル−4−メチルピリジニウムクロリド、CAS No.125652−55−3;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム、サイホシル(Cyphosil)101として入手可能なもの。
【0030】
触媒は、好ましくはアミノ触媒であるが、触媒がDABCOであればより好ましい。
【0031】
触媒は遊離状態、可溶性状態および均質状態のいずれでも使用してよいし、あるいは不活性薬剤たとえばシリカゲルもしくはジビニル架橋強度架橋樹脂につなぎとめて、不均質な状態で使用し、オリゴマー合成が完了したところで濾過してもよい。オメガオリゴマーを調製する際に、触媒をそのオリゴマー反応混合物に、被覆組成物の全重量を基準にして、各種適切な量、望ましくは約0.001重量%〜約1重量%、好ましくは約0.06〜約0.1重量%の範囲の量で使用してもよい。
【0032】
[ウプシロンオリゴマー]
ウプシロンオリゴマーは、エポキシジアクリレートである。ウプシロンオリゴマーが、ビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレートオリゴマー、たとえばCN120またはCN120Zオリゴマー(サートマーから販売)であるのが好ましい。ウプシロンオリゴマーがCN120Zであれば、より好ましい。
【0033】
ウプシロンオリゴマーは、被覆組成物の中に、被覆組成物の全重量を基準にして、約1重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約25重量%の範囲の量で存在させるのがよい。
【0034】
[放射線硬化性二次被覆組成物]
本発明のオメガオリゴマーとウプシロンオリゴマーとをブレンドして二次被覆オリゴマーブレンド物を形成させ、次いでそれを、第一、第二および第三の希釈剤モノマーと混合し、さらに抗酸化剤、第一の光重合開始剤、第二の光重合開始剤および場合によってはスリップ添加剤のブレンド物を加えて、本発明の放射線硬化性二次被覆組成物を形成させる。本発明の放射線硬化性二次被覆組成物を調製する場合には、典型的には、オメガオリゴマーをまず合成し、次いで、ウプシロンオリゴマーを添加して、二次被覆オリゴマーブレンド物を形成させる。
【0035】
第一、第二および第三の希釈剤モノマーは、化学線照射に暴露させたときに重合することが可能な少なくとも1個の官能基を有する低粘度モノマーである。この官能基は、放射線硬化性のオメガオリゴマーにおいて使用されるものと同じ性質のものであってよい。希釈剤モノマーの中に存在する官能基が、オメガオリゴマーの中に存在している放射線硬化性官能基と共重合することが可能であるのが好ましい。その放射線硬化性官能基が、硬化の際に、表面処理された光ファイバの表面上に生成するフリーラジカルと反応することが可能なフリーラジカルを生成するのがより好ましい。
【0036】
たとえば、希釈剤モノマーは、アクリレートまたはビニルエーテル官能基と、C〜C20アルキルまたはポリエーテル残基を有する、単独のモノマーまたは複数のモノマーの混合物とすることができる。そのような希釈剤モノマーの具体例としてはたとえば以下のようなものが挙げられる:ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、ラウリルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、イソデシルアクリレート(たとえば、SR395、サートマーから入手可能)、イソオクチルアクリレート、N−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、トリプロピレングリコールモノアクリレート(TPGMA)、アクリルアミド、およびアルコキシル化誘導体、たとえば、エトキシル化ラウリルアクリレート、エトキシル化イソデシルアクリレートなど。
【0037】
使用することが可能なまた別のタイプの希釈剤モノマーは、芳香族基を有する化合物である。芳香族基を有する希釈剤モノマーの具体例としては、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールフェニルエーテルアクリレート、および上述のモノマーのアルキル置換フェニル誘導体たとえば、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルアクリレートなどが挙げられる。好適な希釈剤モノマーは、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(たとえば、フォトマー4066、コグニスから入手可能;SR504D、サートマーから入手可能)である。
【0038】
その希釈剤モノマーには、重合可能な2個以上の官能基を有する希釈剤を含んでいてもよい。そのような希釈剤の具体例としては以下のものが挙げられる:C〜C18炭化水素ジオールジアクリレート、C〜C18炭化水素ジビニルエーテル、C〜C18炭化水素トリアクリレート、およびそれらのポリエーテル類似物、たとえば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA、たとえば、SR306;SR306HP(サートマーから入手可能))、およびトリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリアクリレート(たとえば、SR−368(サートマーから入手可能))。
【0039】
第一の希釈剤モノマーは、アクリレートまたはビニルエーテル官能基と、C〜C20アルキルまたはポリエーテル残基を有するモノマーが好ましく、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(たとえば、フォトマー4066)であればより好ましい。第二の希釈剤モノマーは、好ましくは芳香族基を有する化合物、より好ましくはエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(SR−349)である。第三の希釈剤モノマーは、好ましくは、重合することが可能な2個以上の官能基を有するモノマー、より好ましくはトリプロピレングリコールジアクリレート(SR−306HP)である。
【0040】
希釈剤モノマーは被覆組成物に、被覆組成物の全重量を基準にして、約5重量%〜約75重量%、好ましくは約35〜約45重量%の範囲の量で添加してもよい。第一、第二および第三の希釈剤モノマーを存在させる場合、被覆組成物の重量を基準にして、第一の希釈剤モノマーの量が約2重量%〜約30重量%、好ましくは約4重量%〜約7重量%、第二の希釈剤の量が約2重量%〜約50重量%、好ましくは約15重量%〜約25重量%、そして第三の希釈剤の量が約2重量%〜約50重量%、好ましくは約13重量%〜約19重量%である。
【0041】
抗酸化剤は立体障害フェノール系化合物としては、たとえば以下のものが挙げられる:2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジターシャリーブチル−4−n−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジターシャリーブチルフェノール、ならびに市販されている化合物のたとえば、チオジエチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシル)ヒドロシンナメート、オクタデシル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、1,6−ヘキサメチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、およびテトラキス(メチレン(3,5−ジターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン(これらはすべてイルガノックス1035、1076、259および1010として、チバ・ガイギーから入手可能である)。本明細書で有用な、立体障害フェノール系化合物のその他の例としては、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよび4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジターシャリーブチルフェノール)(エチル・コーポレーション(Ethyl Corporation)からそれぞれエチル(Ethyl)330および702として入手可能)が挙げられる。好適な抗酸化剤は、チオジエチレンビス(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシル)ヒドロシンナメート(たとえば、イルガノックス1035)である。抗酸化剤は、被覆組成物に、約0.001重量%〜約1重量%、好ましくは約0.3重量%〜約0.7重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0042】
第一の光重合開始剤は、α−ヒドロキシケト−タイプの光重合開始剤たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(たとえば、イルガキュア184、チバ・ガイギーから入手可能;チバキュア(Chivacure)184、サイテック・ケミカルズ(Chitec Chemicals)から入手可能)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(たとえば、ダロキュア(Darocur)1173、チバ・ガイギーから入手可能)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(たとえば、イルガキュア907、チバ・ガイギーから入手可能)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、ジメトキシ−フェニルアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、および4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンである。第一の光重合開始剤が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(たとえば、イルガキュア184)であるのが好ましい。
【0043】
第二の光重合開始剤は、ホスフィンオキシドのタイプの光重合開始剤、たとえば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシドのタイプ(TPO;たとえば、ルシリン(Lucirin)TPO、BASFから入手可能;ダロキュアTPO、チバ・ガイギーから入手可能)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド(たとえば、イルガキュア819、チバ・ガイギーから入手可能)、またはビスアシルホスフィンオキシドのタイプ(BAPO)光重合開始剤である。第二の光重合開始剤がTPOであるのが好ましい。
【0044】
第一の光重合開始剤は、被覆組成物に、約0.1重量%〜約7重量%、好ましくは約1.75重量%〜約3.75重量%の範囲の量で添加してもよい。第二の光重合開始剤は、被覆組成物に、約0.1重量%〜約7重量%、好ましくは約0.5重量%〜約1重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0045】
スリップ添加剤は、市場で入手可能である。好適なスリップ添加剤のブレンド物は、ダウ・コーニング(Dow Corning)により販売のDC−57シロキサン(これは、ジメチルメチル(プロピル−(ポリ(EO))アセテート)シロキサン(CAS登録番号70914−12−4)である)と、ダウ・コーニングにより販売のDC−190シロキサンブレンド物(これは、約40.0〜約70.0重量%のジメチルメチル−(プロピル(ポリ(EO)(PO))アセテート)シロキサン(CAS登録番号68037−64−9)、約30.0〜約60.0重量%のポリ(エチレンオキシドプロピレンオキシド)モノアリルエーテルアセテート(CAS登録番号56090−69−8)、および約9.0重量%未満のポリエーテルポリオールアセテート(CAS登録番号39362−51−1)の混合物である)と、のブレンド物である。スリップ添加剤は、被覆組成物に、約0.1重量%〜約1重量%、好ましくは約0.35重量%〜約0.75重量%の範囲の量で添加してもよい。
【0046】
放射線硬化性二次被覆組成物の一つの実施態様を以下に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
放射線硬化性二次被覆組成物のまた別な実施態様を以下に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
本明細書において特許請求される発明のこの二次被覆を、D二次被覆と呼ぶこととする。
【0051】
市販の一次被覆を見出したら、光ファイバの表面上に直接それを適用してよい。放射線硬化性一次被覆は、光ファイバのために市販されている放射線硬化性一次被覆であれば何であってもよい。そのような市販されている放射線硬化性一次被覆は、DSM・デソテック・インコーポレーテッド(DSM Desotech Inc.)その他(たとえば、ヘキシオン、ルバンティックス(Luvantix)およびファイケム(PhiChem)などであるが、これらに限定される訳ではない)から入手可能である。
【0052】
線引は、ウェットオンドライ・モードまたはウェットオンウェット・モードのいずれかを用いて実施する。ウェットオンドライ・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで放射線を照射してその液状の一次被覆を硬化させて線材上の固体層とすることを意味している。一次被覆を硬化させた後に、二次被覆を適用し、次いで同様にして硬化させる。ウェットオンウェット・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで二次被覆をウェットで適用し、次いで一次被覆と二次被覆の両方を硬化させる。
【0053】
硬化をもたらすのに適用する好適な放射線は、紫外線である。
【0054】
二次被覆が着色せずにクリアであるならば、インキ被覆層をその上に適用してもよい。二次被覆が着色しているならば、インキ被覆層は、典型的には二次被覆の上には適用しない。インキ被覆が適用されるか否かに関わらず、複数の被覆されたファイバを隣り合わせてリボンアセンブリーの中に並べ、それに対して放射線硬化性マトリックス被覆を適用して、複数のファイバをそのリボンアセンブリーの中で所定の位置に固定するのが、一般的な方法である。
【0055】
二次被覆を硬化させた後で、典型的には、「インキ被覆」層を適用し、次いでその被覆されインキ付着された光ファイバを、他の被覆されインキ付着された光ファイバと「リボンアセンブリー」の中で、隣り合わせに並べ、放射線硬化性マトリックス被覆を使用して、それらの光ファイバをリボンアセンブリーの中の所望の位置に固定する。
【0056】
[二次被覆の性質]
本発明によるコーティング組成物から製造された二次被覆は、光ファイバを被覆するために適した、たとえば弾性率、靱性および伸びのような性質を有しているのが望ましい。二次被覆は、典型的には、約12J/mより大の靱性と、約1500MPa未満の割線弾性率と、約50℃よりも高いTとを有している。好ましくは、二次被覆が、約14J/mより大の靱性と、約200MPa〜約1200MPaの割線弾性率と、約60℃よりも高いTとを有する。より好ましくは、二次被覆が、約16J/mより大の靱性と、約400MPa〜約1000MPaの割線弾性率と、約70℃よりも高いTとを有する。
【0057】
二次被覆が、約30%〜約80%の伸びを有しているのが好ましい。
【0058】
さらに、好ましくは、85℃、相対湿度85%で60日間のエージングさせたときに、二次被覆が約20%以下の平衡弾性率変化を示す。弾性率は、公知のように、応力の関数としての歪みの変化率である。これは、グラフ的には、応力−歪み図の直線部分の勾配として表される。弾性率は、サンプルの応力−歪み曲線を得るのに適した各種の装置を使用して求めることができる。この分析に好適な装置としては、インストロン・インコーポレーテッド(Instron,Inc.)によって製造された、たとえばインストロン(Instron)5564が挙げられる。
【0059】
本発明によるコーティング組成物の弾性率を求める場合には、放射線硬化性組成物のサンプルを、プレート上で延伸させて薄膜を作るか、あるいは円筒状の型を用いてロッドを形成させる。次いでそのサンプルを、照射線に暴露させて硬化させる。一つ(または、平均値が望ましい場合には複数の)膜サンプルを、その硬化させた膜から切り出す。その(一つまたは複数の)サンプルには、顕著な欠陥たとえば、孔、ぎざぎざの縁、実質的な厚みの不均一などがあってはならない。ついで、サンプルの両端を装置に取り付ける。試験の際には、サンプルの第一の末端は固定し、装置が第二の末端を、第一の末端から遠ざかる方向へ、クロスヘッド速度と呼ばれる速度で移動させる。クロスヘッド速度は、最初は1インチ/分に設定すればよいが、特定のサンプルでは、その速度が不適当である(たとえば、高弾性率の膜が、受容可能な応力−歪み曲線が得られるより前に破断してしまうような)ことがわかったら、変更してもよい。設定が完了したら、試験を開始して、応力−歪み曲線、弾性率その他のデータを得る。靱性はいくつかの方法で測定することができるということに注目するのが重要である。一つの方法には靱性の引張弾性率が含まれるが、これは、破断点までの間にその材料がエネルギーを吸収する能力をベースとするものであって、応力−歪み曲線より下の部分の面積を測定することによって求められる。靱性を測定するためのまた別な方法は、引き裂き強さをベースとする破壊靱性であって、それでは、所定の、ある長さの極めてシャープなクラックを使用して開始することを必要とし、亀裂生長に対するその材料の抵抗性から得られる臨界応力拡大係数を使用する。
【0060】
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明するが、それらが本発明の範囲を限定すると考えてはならないことは言うまでもない。
【0061】
[実施例]
[引張強さ、伸びおよび弾性率の試験方法]
光ファイバのための放射線硬化性二次被覆の硬化させたサンプルの引張物性(引張強さ、破断時伸びパーセント、および弾性率)は、引張強さ、破断時伸びパーセント、および割線またはセグメント弾性率の値を出せる適切なパソコンとインストロンソフトウェアを備えた、万能試験機、インストロンモデル4201を使用して、膜について試験する。フュージョン(Fusion)UV処理機を使用して、材料の75−μm膜を硬化させることによって、試験のためのサンプルを調製する。フュージョンUV処理機の設定値は以下のとおりである:
ランプ : D
強度 : 120W/cm
強度メーター : IL390
線量 : 1.0J/cm
雰囲気 : 窒素
湿度50%におけるコンディショニング時間 : 16〜24時間
【0062】
サンプルは、窒素雰囲気中1.0J/cmで硬化させる。幅0.5インチ、長さ5インチの試験片を、その膜から切り出す。それぞれの試験片の正確な厚みを、マイクロメーターを用いて測定する。比較的に軟らかい被覆(たとえば、弾性率が約10MPa未満のもの)の場合には、被覆をドローダウンし、ガラスプレートの上で硬化させ、そのガラスプレートからメスを用いて個々の試験片を切り出す。インストロンで2ポンドのロードセルを用い、弾性率は、応力−歪みプロットの2.5%伸びのところで最小二乗法を用いて計算する。硬化させた膜は、23±1℃、相対湿度50±5%で、16〜24時間コンディショニングさせてから、試験にかける。
【0063】
比較的に硬い被覆の場合には、その被覆をマイラー(Mylar)フィルムの上でドローダウンし、トゥイング・アルバート(Thwing Albert)0.5インチ精密サンプルカッターを用いて試験片を切り出す。インストロンでは20ポンドのロードセルを使用し、2.5%伸びのところでその点の割線から弾性率を計算する。硬化させた膜は、23±1℃、相対湿度50±5%で、16時間〜24時間コンディショニングさせてから、試験にかける。試験片の試験をする場合、そのゲート長さが2インチであり、クロスヘッド速度が1.00インチ/分である。すべての試験は、23±1℃の温度および50±5%の相対湿度で実施する。すべての測定値は、少なくとも6個の試験片の平均値から求める。
【0064】
[DMA試験方法]
それらの試験サンプルについて、レオメトリック・サイエンティフィック・インコーポレーテッド(Rheometric Scientific Inc.)製のRSA−II装置を用いて、動的機械分析(DMA)を実施する。独立膜試験片(典型的には、長さ約36mm、幅12mm、厚み0.075mm)を、装置のグリップに取り付けて、温度をまず80℃とし、その温度で約5分間維持する。80℃における後者の保持時間(soak period)の間に、サンプルを元の長さから約2.5%延伸させる。この時間の間にさらに、そのサンプルの素性、その寸法、および具体的な試験方法についての情報を、接続したパソコンにインストールしてあるソフトウェア(RSI・オーケストレーター(RSI Orchestrator))に入力する。
【0065】
すべての試験は1.0ラジアンの周波数で実施し、その動的温度ステップ法では2℃のステップ、5〜10秒間の保持時間、約0.001(ΔL/L)の初期歪み(ここで、L=ギャップ間距離であり、RSA−II装置のような装置の場合、L=22.4ミリメートルである)とし、自動張力および自動歪みのオプションを機能させる。自動張力は、試験の間ずっとサンプルが張力条件下に保持されるように設定し、自動歪みは、サンプルがガラス転移を通り過ぎて、軟らかくなったときに歪みの増大を許すように設定する。5分間の保持時間が経過した後、サンプルオーブンの中の温度を20℃ステップで下げて、出発温度典型的には−80℃または−60℃に到達させる。試験を開始する前に、試験の最終温度をソフトウェアに入力しておいて、サンプルのデータが、ガラス領域から、転移領域を通過して、ゴム領域の中にまで広がるようにする。
【0066】
試験をスタートさせ、完了するまで進行させる。試験が終了した後に、引張貯蔵弾性率=E’、引張損失弾性率=E”、およびtanδのすべて温度に対してのグラフが、コンピューターのスクリーン上に現れる。それぞれの曲線のデータポイントを、ソフトウェア中のプログラムを使用して平滑化させる。このプロットで、ガラス転移を表す3つの点を同定する:
1)E’=1000MPaとなる温度;
2)E’=100MPaとなる温度;
3)tanδ曲線におけるピーク温度。
【0067】
tanδ曲線に二つ以上のピークが含まれている場合には、それぞれの温度を測定する。そのグラフから得られるもう一つの数値が、ゴム領域におけるE’の最小値である。この値は、平衡弾性率Eとして報告される。
【0068】
[水感受性試験方法]
組成物の層を硬化させて、UV硬化させた被覆のテストストリップ(1.5インチ×1.5インチ×0.6ミル)を得る。そのテストストリップを秤量し、脱イオン水を入れたバイアルの中に入れ、次いでそれを23℃で3週間保存する。たとえば、30分間、1時間、2時間、3時間、6時間、1日間、2日間、3日間、7日間、14日間、および21日間のように、一定の間隔を置いて、テストストリップをバイアルから取り出し、紙タオルを用いて穏やかにたたいて乾燥させ、再秤量する。水吸収パーセントを、100(浸漬後重量−浸漬前重量)/(浸漬前重量)として報告する。ピーク水吸収は、3週間の浸漬期間の間に到達した最高の水吸収値である。3週間の期間が終了したら、そのテストストリップを60℃のオーブン中で1時間乾燥させ、デシケータ中で15分間冷却し、再秤量する。水抽出可能物パーセントを、100(浸漬前重量−乾燥後重量)/(浸漬前重量)として報告する。水感受性を、|ピーク水吸収|+|水抽出可能物|として報告する。3本のテストストリップについて試験して、試験の精度を改良する。
【0069】
[屈折率試験方法]
硬化させた組成物の屈折率は、ベッケ線(Becke Line)法で求めるが、この方法では、硬化させた組成物の細かく切断したストリップの屈折率を、既知の屈折特性を有する浸液と一致させることが必要である。その試験は、589nmの波長を有する光を用い、顕微鏡下23℃で実施する。
【0070】
[粘度試験方法]
粘度は、フィジカ・MC10・ビスコメーター(Physica MC10 Viscometer)を使用して測定する。試験サンプルをチェックして、もしも過剰の量の気泡が存在しているようならば、それらの気泡のほとんどを除去するための工程を採用する。この段階では全部の気泡を除去することは必ずしも必要ではないが、それは、サンプルを取り付ける操作でも幾分かの気泡が生じるからである。装置を従来のZ3システムに設定し、それを使用する。サンプルを使い捨てのアルミニウムカップの中に、シリンジを用いて、17cm秤り込む。カップの中のサンプルをチェックして、過剰の量の気泡が含まれているようならば、それを直接的な手段たとえば遠心分離を用いるか、あるいは充分な時間をかけて、液体本体から気泡を逃げ出すようにして、気泡を除去する。液体の表面上の気泡は問題とはならない。測定用カップ中の液体の中にボブを穏やかに下げていき、そのカップとボブを装置に取り付ける。5分間待って、サンプルの温度が循環液の温度と平衡に達するようにする。次いで、所望の剪断速度が得られるように、回転速度を所望の値に設定する。所望の値の剪断速度は、予想されるサンプルの粘度範囲から、当業者ならば容易に求めることができる。剪断速度は典型的には、50sec−1または100sec−1である。計器盤が粘度の値を示すが、その粘度の値が15秒間ほとんど変化しない(相対変動2%未満)場合には、その測定を完了させる。そうでない場合には、温度がまだ平衡値に達していないか、あるいはその物質が剪断によって変化を受けている可能性がある。後者の場合には、サンプルの粘度的性質を規定するために、剪断速度を変化させてさらに試験をする必要がある。結果は、3個の試験サンプルの平均粘度値として報告する。結果は、センチポアズ(cps)またはミリパスカル・秒(mPa・s)のいずれで報告してもよい(これらは、等価である)。
【0071】
[実施例1]
本発明の放射線硬化性二次被覆組成物から調製したD二次被覆を、調製し、評価する。
【0072】
硬化させたD二次被覆の引張物性は、米国特許第6,862,392号明細書に記載されている方法に従って、ロッドについて試験する(この特許を参照により本明細書に援用する)。
【0073】
エラストマー性のクリアなシリコーンゴムチューブに被覆組成物を充填し、その組成物を窒素パージ下にDランプから1ジュールのUV照射に暴露させることによって、ロッドを調製する。
【0074】
そのチューブを180度回転させることができれば、アルミニウムフォイルの上でチューブを硬化させる必要はない。そのチューブが180度の回転ができないのであれば、アルミニウムフォイルの上でチューブを硬化させる。
【0075】
チューブからロッドを回収するには、ロッドの末端からチューブを穏やかに引出し、そのチューブの中空になった部分をカミソリの刃で切断する。次いでピンセットを使用してロッドの端をつかみ、チューブをロッドからゆっくりと抜き出す。
【0076】
D二次被覆についての引張強さ、伸び、引張弾性率、靱性、Emax、および粘度を、上述の米国特許第6,862,392号明細書に記載の試験方法に従って試験する。その試験結果を以下に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
[線引タワーシミュレーター]
光ファイバ被覆開発の初期の頃には、新規に開発された一次および二次被覆はすべて、最初にそれらの硬化膜の物性についての試験を行ってから、ファイバ線引タワーでの評価にかけていた。線引を要求された被覆全部の中から、線引タワーで試験されたのは多くともそれらの30%であったと推測されるが、その理由は、コストがかかることと、スケジュール調整が困難であったためである。被覆が最初に配合されたときからガラスファイバに適用されるまでの時間は、典型的には約6ヶ月であり、そのために製品開発サイクルが大いに遅れることとなった。
【0079】
光ファイバのための放射線硬化させた被覆の技術においては、一次被覆または二次被覆のいずれかをガラスファイバに適用したときに、その性質が、同一の被覆の硬化膜のフラットな膜特性とは異なっていることが多いのは、よく知られていることである。ファイバ上の被覆とフラットな膜の被覆とでは、サンプルサイズ、形状、暴露UV強度、UV全受光量、加工速度、基材の温度、硬化温度、および場合によっては窒素不活性条件の面で異なっていることがその理由であろうと考えられる。
【0080】
より信頼性の高い被覆開発のルートとより速やかな展開時間とを可能とするための、ファイバを製造する際に類似の硬化条件を与える装置が開発されてきた。このタイプの代替の塗布および硬化装置では、容易に使用できること、メンテナンスの手間がかからないこと、および再現性のある性能が得られることが必要とされた。その装置の名前が、「線引タワーシミュレーター」であり、以後においては「DTS]と略す。線引タワーシミュレーターは、自家用に設計したものであって、実際のガラスファイバ線引タワー要素を詳しく検討した上で製作されている。すべての寸法(ランプの位置、被覆ステージの間の距離、被覆ステージの間のギャップ、UVランプなど)は、ガラスファイバ線引タワーの再現となっている。このことは、ファイバ線引産業において使用されている加工条件を模倣するのに役立っている。
【0081】
一つの公知のDTSには、5個のフュージョンF600ランプ(2個は、上側被覆ステージ用、3個は下側用)が備えられている。それぞれのステージの第二のランプが、15〜135度の間の任意の角度で回転することが可能となっていて、硬化プロフィールをより詳しく検討することが可能となっている。
【0082】
公知のDTSで使用されている「コア」は、130.0±1.0μmのステンレス鋼線材である。各種のサプライヤーからの、各種の設計のファイバ線引アプリケーターが、評価に利用できる。この構成によって、工業的な生産現場に実在しているのと類似の条件で、光ファイバ被覆に適用することが可能となる。
【0083】
線引タワーシミュレーターはすでに、光ファイバ上の放射線硬化性被覆の解析を拡張するために使用されている。2003年には、被覆の強さ、硬化度、および各種環境下におけるファイバの性能を表すのに利用することができる、一次被覆のインサイチュ弾性率を測定するための方法が、P.A.M.スティーマン(P.A.M.Steeman)、J.J.M.スロット(J.J.M.Slot)、H.G.H.ファン・メリック(H.G.H.van Melick)、A.A.F.v.d.ベン(A.A.F.v.d.Ven)、H.カオ(H.Cao)およびR.ジョンソン(R.Johnson)によって、ザ・プロシーディングズ・オブ・ザ・52nd・IWCS(Proceedings of the 52nd IWCS)、p.246(2003)に報告されている。2004年には、スティーマン(Steeman)らが、より早い線引速度での被覆の加工性を予測するために、レオロジー的高剪断プロファイルをいかに使用することができるかについて報告している(P.A.M.スティーマン(P.A.M.Steeman)、W.ゾエテリエフ(W.Zoetelief)、H.カオ(H.Cao)、およびM.ブルタース(M.Bulters)、ザ・プロシーディングズ・オブ・ザ・53rd・IWCS(Proceedings of the 53rd IWCS)、p.532(2004))。線引タワーシミュレーターを使用して、光ファイバ上の一次および二次被覆の性質をさらに検討することができる。
【0084】
それらの試験方法は、線材上の二次被覆または光ファイバ上の被覆に対して有用である。
【0085】
[%RAU二次試験方法]
光ファイバ上の外側被覆の硬化度は、ダイヤモンドATRアクセサリーを使用したFTIRによって求める。FTIR装置パラメータは次の通りである:コアッデッドスキャン100、解像度4cm−1、DTGS検出器、スペクトル範囲4000〜650cm−1、信号対ノイズ比を改良する目的でデフォルトのミラー速度を約25%抑制。ファイバ上の被覆に相当する未硬化の液状被覆のスペクトルと、ファイバ上の外側被覆のスペクトルの、2種のスペクトルが必要である。液状の被覆のスペクトルは、被覆を用いてダイヤモンド表面を完全に覆った後で得られる。その液状物は、可能であるならば、ファイバを被覆するために用いたのと同一のバッチとするべきであるが、最低限の条件としても、同一の配合物でなければならない。スペクトルの最終的なフォーマットは、吸光度とするべきである。
【0086】
ファイバをダイヤモンドの上に載せ、そのファイバに充分な圧力を加えて、定量分析に適したスペクトルが得られるようにする。スペクトル強度を最大とするためには、ファイバを、ダイヤモンドの中心部分に、赤外光線の方向と平行になるように置くべきである。単一のファイバでは充分な強度が得られないような場合には、2〜3本のファイバを相互に平行に、できるだけ接近させて、ダイヤモンドの上に載せてもよい。スペクトルの最終的なフォーマットは、吸光度とするべきである。
【0087】
液状物および硬化させた被覆のいずれの場合においても、アクリレートの二重結合ピーク(810cm−1)と参照ピーク(750〜780cm−1領域)の両方のピーク面積を測定する。ピーク面積はベースライン法を用いて測定するが、それには、ピークの両側の吸収極小に対して接線となるようにベースラインを選ぶ。次いで、ピークより下でベースラインより上の面積を求める。液状物と硬化させたサンプルではその積分限界が同一ではないが、(特に参照ピークでは)似たようなものである。
【0088】
液状物と硬化させたサンプルの両方について、アクリレートのピーク面積の参照ピーク面積に対する比を求める。反応したアクリレート不飽和パーセント(%RAU)として表される硬化度は、次式に従って計算する:
【数1】


[式中、Rは、液状サンプルの面積比であり、Rは硬化させた外側被覆の面積比である]
【0089】
[二次被覆のインサイチュ弾性率試験方法]
二重被覆された(ソフトな一次被覆およびハードな二次被覆)ガラスファイバまたは金属線材ファイバ上の二次被覆のインサイチュ弾性率をこの試験方法によって測定する。サンプルを調製するためには、ファイバから完全な被覆チューブとして長さ約2cmの被覆層を被覆されたファイバの一端から剥離させるために、まず被覆されたファイバの一端を剥離用工具と共に液体Nの中に少なくとも10秒間浸漬させ、次いで、その被覆層がまだ硬いうちに素早く被覆チューブを剥離させる。DMA(動的機械分析)装置:レオメトリックス・ソリッズ・アナライザー(RSA−II)を用いて二次被覆の弾性率を測定する。二重被覆されたファイバでは、二次被覆の方が一次被覆よりもはるかに高い弾性率を有しているので、被覆チューブで得られた動的引張試験結果における一次被覆からの寄与は無視することが可能である。RSA−IIでは、二つのグリップの間の距離の調節に限界があるので、その被覆チューブサンプルは、二つのグリップの間の距離よりも短くてもよい。ねじによって開口端に折り曲げて固定された金属プレートで作られた単純なサンプル支持具を使用して、被覆チューブサンプルを下端からしっかりと保持する。その固定物を下側グリップの中央までスライドさせ、グリップを固定する。ピンセットを使用して、その被覆チューブを上側グリップを通して直立位置にまでまっすぐにする。上側グリップを閉じて固定する。プリテンションが約10gになるまで、歪みオフセットを調節する。
【0090】
試験は室温(約23℃)で実施する。DMAの動的引張試験モード下においては、その試験周波数を1.0ラジアン/秒に設定し、歪みは5E−4である。形状のタイプは円筒を選択する。サンプル長さは、金属固定物の上端と下側グリップのとの間の被覆チューブの長さであって、本願発明者らの試験においては11mmである。次式に従って、その直径(D)は0.16mmと入力する:
【数2】


[式中、RとRはそれぞれ、二次被覆と一次被覆の外半径である]標準的なファイバの形状としては、R=122.5μm、R=92.5μmを用いて計算する。動的時間スイープを行わせ、引張貯蔵弾性率Eについて5点のデータポイントを記録させる。報告しているEは、全部のデータポイントの平均値である。次いで、このようにして測定された弾性率Eに実際のファイバ形状で使用される補正係数をかけて補正する。その補正係数は、
【数3】


である。ガラスファイバの場合、RおよびRの値を含む実際のファイバ形状は、PK2400ファイバ・ジオメトリー・システム(Fiber Geometry System)により測定する。線材のファイバの場合には、RおよびRは顕微鏡下で測定する。報告しているEは、三つの試験サンプルの平均値である。
【0091】
[一次および二次被覆のインサイチュT測定の試験方法]
二重被覆されたガラスファイバ上、または金属線材ファイバ上の一次および二次被覆のガラス転移温度(T)は、この方法により測定する。それらのガラス転移温度は、「チューブTg」と呼ばれる。
【0092】
サンプルを調製するためには、ファイバから完全な被覆チューブとして長さ約2cmの被覆層を被覆されたファイバの一端から剥離させるために、まず被覆されたファイバの一端を剥離用工具と共に液体Nの中に少なくとも10秒間浸漬させ、次いで、その被覆層がまだ硬いうちに素早く被覆チューブを剥離させる。
【0093】
DMA(動的機械分析)装置:レオメトリックス・ソリッズ・アナライザー(RSA−II)を使用。RSA−IIの場合、RSAIIの二つのグリップの間のギャップは最大で1mmまで拡張することができる。そのギャップは、歪みオフセットを調節することによって、まず最小レベルに調節する。ねじによって開口端に折り曲げて固定された金属プレートで作られた単純なサンプル支持具を使用して、被覆チューブサンプルを下端からしっかりと保持する。その固定物を下側グリップの中央までスライドさせ、グリップを固定する。ピンセットを使用して、その被覆チューブを、上側グリップを通して直立位置にまでまっすぐにする。上側グリップを閉じて固定する。オーブンを閉じ、温度調節媒体としての液体窒素を用いて、二次被覆のためのTよりも高い値かまたは100℃にオーブン温度を設定する。オーブン温度がその温度に到達したら、歪みオフセットを調節して、プリテンションが0g〜0.3gになるようにする。
【0094】
DMAの動的温度ステップ試験では、試験周波数を1.0ラジアン/秒に設定し、歪みが5E−3であり、温度の増分が2℃であり、保持時間(soak time)が10秒である。形状のタイプは円筒を選択する。形状の設定は、二次インサイチュ弾性率試験で使用したものと同じであった。サンプル長さは、金属固定物の上端と下側グリップのとの間の被覆チューブの長さであって、本願発明者らの試験においては11mmである。次式に従って、その直径(D)は0.16mmと入力する:
【数4】


[式中、RとRはそれぞれ、二次被覆と一次被覆の外半径である]標準的なファイバの形状としては、R=122.5μm、R=92.5μmを用いて計算する。
【0095】
動的温度ステップは、出発温度(今回の試験では100℃)から一次被覆のTまたは−80℃より低い温度までの間で実施する。実験の後で、tanδ曲線からのピークを、一次被覆のT(低い方の温度に相当)および二次被覆のT(高い方の温度に相当)として報告する。注意すべきは、測定されたガラス転移温度、特に一次ガラス転移温度は、ファイバ上の被覆層のガラス転移温度の相対的な値と考えるべきであるということであるが、その理由は、被覆チューブの複雑な構造からのtanδのシフトがあるからである。
【0096】
[線引タワーシミュレーター実施例]
市販されている放射線硬化性一次被覆および本発明の特許請求の範囲に記載の二次被覆の各種の実施態様を、線引タワーシミュレーターを用いて線材に適用する。線材は、5種類の速度、750メートル/分、1200メートル/分、1500メートル/分、1800メートル/分、および2100メートル/分で走らせる。
【0097】
線引は、ウェットオンドライ・モードまたはウェットオンウェット・モードのいずれかを用いて実施する。ウェットオンドライ・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いでその液状の一次被覆を硬化させて線材上の固体層とすることを意味している。一次被覆を硬化させた後に、二次被覆を適用し、次いで同様にして硬化させる。ウェットオンウェット・モードとは、液状の一次被覆をウェットで適用し、次いで二次被覆をウェットで適用し、次いで一次被覆と二次被覆の両方を硬化させる。
【0098】
市販されている放射線硬化性一次被覆および本発明の特許請求の範囲に記載の二次被覆の組成物を用いて、複数の実験を行う。線材の上で硬化させた二次被覆について、初期%RAU、初期インサイチュ弾性率、および初期チューブTgについての試験をする。次いで被覆された線材を、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせる。次いで、線材の上で硬化させた二次被覆について、%RAU、インサイチュ弾性率、およびチューブTgについての試験をする。
線引タワーシミュレーターの設定条件:
・ツァイデル(Zeidl)ダイを使用する。1度用にはS99、2度用にはS105。
・750、1000、1200、1500、1800、および2100m/分の速度とする。
・ウェットオンドライプロセスでは5個のランプを使用、ウェットオンウェットプロセスでは3個のランプを使用する。
(2)1度被覆では、600W/inのDフュージョンUVランプを100%で使用する。
(3)2度被覆では、600W/inのDフュージョンUVランプを100%で使用する。
・2回の被覆のための温度は30℃である。ダイもまた30℃に設定する。
・二酸化炭素レベルは、それぞれのダイで7リットル/分である。
・窒素レベルは、それぞれのランプで20リットル/分である。
・1度被覆のための圧力は、25m/分で1バールであるが、1000m/分では3バールまで上げる。
・2度被覆のための圧力は、25m/分で1バールであるが、1000m/分では4バールまで上げる。
【0099】
線材の上で硬化された放射線硬化性二次被覆は、以下の性質を有していることが判った。
【0100】
【表4】

【0101】
したがって、第一および第二の層を用いて被覆された線材を記述し特許請求することが可能であるが、ここでその第一の層が、その線材の外側表面と接触状態にある硬化された放射線硬化性一次被覆であり、その第二の層が、その一次被覆の外側表面と接触状態にある、特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その線材の上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0102】
この配合物を使用すると、第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバを記述し特許請求することが可能であるが、ここで、その第一の層が、その光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性一次被覆であり、その第二の層が、その一次被覆の外側表面と接触状態にある、特許請求の範囲に記載の本発明の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
ここで、その光ファイバの上の硬化された二次被覆は、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃。
【0103】
先に説明したように、放射線硬化性一次被覆は、光ファイバのための市販されている放射線硬化性一次被覆であれば何であってもよい。そのような市販されている放射線硬化性一次被覆は、DSM・デソテック・インコーポレーテッドその他(たとえば、ヘキシオン、ルバンティックスおよびファイケムなどであるが、これらに限定される訳ではない)から入手可能である。
【0104】
本明細書に引用された、公刊物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、それぞれの文献が個別にかつ具体的に参照することにより本明細書に組み入れられ、その内容全てに言及されているのと同じ程度に、参照により本明細書に援用されたものとする。
【0105】
本発明を記述する文脈においては(特に添付の特許請求の範囲の文脈においては)、不定冠詞の「a」および「an」ならびに定冠詞の「the]ならびに類似の指示語は、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、単数と複数の両方を包含するものと受け取るべきである。「comprising」、「having」、「including」、および「containing」という用語は、特に断らない限り、オープンエンド用語(すなわち、「含むが、それらに限定される訳ではない」ことを意味する)と受け取るべきである。本明細書において数値の範囲を示す場合には、本明細書において特に断らない限り、その範囲内に入るそれぞれ個別の数値を引用することの単に簡便法として使用しているものであって、それぞれの個別の数値が、本明細書において独立して引用されたかのごとくに組み入れられているものとする。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、各種適切な順序で実施することが可能である。本明細書で提供されたいずれかおよび全部の例、または例示語(たとえば、「たとえば」)の使用は、本発明をより明瞭に説明することを単に意図したものであり、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの文言も、本発明の実施に対して不可欠である、特許請求されていない要素を示しているものと受け取ってはならない。
【0106】
本発明の好ましい実施態様を本明細書に記載したが、それらは、本発明を実施するための、本発明者らが知りうる最良の形態を含んでいる。これまでの記述を読めば、それらの好ましい実施態様の変更は当業者にとっては明らかであろう。本発明者らは、そのような変更例を当業者が適切に採用することを期待し、また本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたのとは別な方法で本発明を実施できると考えている。したがって、本発明には、適用法によって許されることとして、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題のすべての変更と等価物が含まれている。さらには、すべての可能な変更において、本明細書において特に断らない限り、あるいは文脈において明白に矛盾することがない限り、詳述の構成要素のいかなる組合せ物も本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化性二次被覆組成物であって、前記組成物が、
A)以下のものと共に混合される二次被覆オリゴマーブレンド物
B)第一の希釈剤モノマー;
C)第二の希釈剤モノマー;
D)場合によっては、第三の希釈剤モノマー;
E)抗酸化剤;
F)第一の光重合開始剤;
G)第二の光重合開始剤;および
H)場合によっては、スリップ添加剤、もしくはスリップ添加剤のブレンド物;
を含み、
前記二次被覆オリゴマーブレンド物が、
α)オメガオリゴマー;および
β)ウプシロンオリゴマー;
を含み、
前記オメガオリゴマーが、
α1)ヒドロキシル含有(メタ)アクリレート;
α2)イソシアネート;
α3)ポリエーテルポリオール;および
α4)トリプロピレングリコール;
との、
α5)重合防止剤;および
α6)触媒;
の存在下による反応により合成されて
オメガオリゴマーが生成し;
前記触媒が、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、2−メチルトリエチレンアミン、ジブチルスズジラウレート;金属カルボキシレート、非限定的に挙げれば、オルガノビスマス触媒たとえば、ビスマスネオデカノエート;亜鉛ネオデカノエート;ジルコニウムネオデカノエート;亜鉛2−エチルヘキサノエート;スルホン酸、非限定的に挙げれば、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸;アミノまたは有機塩基触媒、非限定的に挙げれば、1,2−ジメチルイミダゾールおよびジアザビシクロオクタン;トリフェニルホスフィン;ジルコニウムおよびチタンのアルコキシド、非限定的に挙げれば、ジルコニウムブトキシドおよびチタンブトキシド;ならびにイオン性液状ホスホニウム塩;およびテトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウムクロリドからなる群から選択され、
ここで、前記ウプシロンオリゴマーがエポキシジアクリレートである、
放射線硬化性二次被覆組成物。
【請求項2】
光ファイバを被覆するための方法であって、
a)ガラス線引タワーを運転してガラス光ファイバを製造する工程;および
b)市販の放射線硬化性一次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
c)場合によっては、前記放射線硬化性一次被覆組成物を放射線に接触させて前記被覆を硬化させる工程;
d)請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆組成物を用いて前記ガラス光ファイバを被覆する工程;
e)前記放射線硬化性二次被覆組成物を放射線に接触させて前記被覆を硬化させる工程;
を含む、方法。
【請求項3】
前記ガラス線引タワーを、約750メートル/分〜約2100メートル/分の間の線速度で運転する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第一および第二の層を用いて被覆された線材であって、
前記第一の層が、前記線材の外側表面と接触状態にある、硬化された放射線硬化性の市販の一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある、請求項1に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記線材の上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:前記線材の上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質を有する:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃、
線材。
【請求項5】
第一および第二の層を用いて被覆された光ファイバであって、
前記第一の層が、前記光ファイバの外側表面と接触状態にある、硬化された市販の放射線硬化性一次被覆であり、前記第二の層が、前記一次被覆の外側表面と接触状態にある請求項1に記載の硬化された放射線硬化性二次被覆であり、
前記光ファイバの上の前記硬化された二次被覆が、最初の硬化後と、85℃、相対湿度85%で1ヶ月間エージングさせた後には以下の性質:
A)%RAU:約80%〜約98%;
B)インサイチュ弾性率:約0.60GPa〜約1.90GPaの間;および
C)チューブTg:約50℃〜約80℃
を有する、光ファイバ。
【請求項6】
前記第三の希釈剤が存在している、請求項1に記載の放射線硬化性二次被覆。

【公表番号】特表2010−509448(P2010−509448A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536352(P2009−536352)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/025426
【国際公開番号】WO2008/133668
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】