説明

DVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機及び電気機器

【課題】DVDレコーダ内蔵TV受像機等の電気機器において、手動による標準時刻の入力や、通信回線を介した標準時刻の入力を行うことなく、正午に機器が使用中である場合や、1日の間に3分以上のシステムタイムの誤差が生じた場合でも、システムタイムの誤差を修正する。
【解決手段】各処理を完了しなければならない期限の時間L1〜L3から各処理に要する時間C1〜C3を差し引いた値である、各処理の適正基準時間値を算出し、各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込み処理に要する時間の合計値が大きくなったときに(S5でNO)、これらの合計値の差が、モニタに表示されるシステムタイムの画像に影響を与えるレベルの時間であるか否かを判定する(S8及びS9)。この判定の結果、影響を与えるレベルの時間である場合に(S9でYES)、RAMに記憶された現在のシステムタイムTを修正する(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダを内蔵したテレビジョン受像機、及び電気機器に係り、特にこれらの機器におけるシステムタイムを修正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のDVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機等のチューナを有する電気機器において、NHK教育テレビの正午の時報を受信して、機器のシステムタイムの3分以内の誤差を自動的に修正するジャストクロック機能を有するものがある。しかし、ジャストクロック機能は、正午に、機器が使用中である場合には、作動しない。また、ジャストクロック機能は、正午にしか作動しないので、ジャストクロック機能ではシステムタイムの誤差を直ぐに修正することができない。さらにまた、ジャストクロック機能は、システムタイムの誤差が3分以内である場合にのみ作動するので、1日の間に3分以上のシステムタイムの誤差が生じた場合には、この誤差を修正することができない。このシステムタイムの誤差は、該当の電気機器が録画機器である場合には、予約録画を行う際における番組の開始部分や終了部分の録画漏れにつながる。
【0003】
また、計算機システムの分野において、キーボードや通信回線を介して入力された標準時刻に基いてシステムタイムを修正するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらにまた、ファクシミリ装置等に用いる時計回路において、外部回線による時報サービスに基く時刻修正や、手動による時刻修正をなるべく少なくするために、時計の進み具合又は遅れ具合を予め予測しておいて、この予測値に基いて第3回目以降の時刻修正を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。けれども、これらの発明では、手動による標準時刻の入力か、通信回線を介した標準時刻の入力が必要になるという問題があった。
【特許文献1】特開平9−179651号公報
【特許文献2】特開平11−160468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、手動による標準時刻の入力や、通信回線を介した標準時刻の入力を行うことなく、正午に機器が使用中である場合でも、システムタイムの誤差を修正することができ、しかも、1日の間に3分以上のシステムタイムの誤差が生じた場合でも、システムタイムの誤差を修正することが可能な、DVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機等の電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、アンテナを介して受信したテレビジョン放送信号の中から、ユーザにより選択入力されたチャンネルの放送信号の選局・復調を行って、映像・音声信号を出力するチューナと、前記チューナから出力された映像・音声信号のDVD(Digital Versatile Disc)への録画と、DVDに録画された映像・音声信号の再生とを行うDVDレコーダ部と、装置本体に対して予約録画の開始・終了時刻の入力指示等の各種指示操作を行うための操作手段と、水晶発振子に接続されてクロック信号を生成するクロックジェネレータと、前記クロックジェネレータにより生成されたクロック信号をカウントすることにより現在のシステムタイムを算出する時間算出手段と、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムが、前記操作手段を用いてユーザにより入力された予約録画の開始時刻になったときに、前記DVDレコーダ部に対して、前記チューナから出力された映像・音声信号のDVDへの録画を開始するように指示し、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムが、前記操作手段を用いてユーザにより入力された予約録画の終了時刻になったときに、前記DVDレコーダ部に対して、前記録画を終了するように指示するタイマ手段と、前記時間算出手段により算出されたシステムタイムの画像や、前記チューナや前記DVDレコーダ部から出力された映像信号に基く画像を表示するためのモニタと、前記チューナや前記DVDレコーダ部から出力された音声信号を出力するスピーカと、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムの修正処理を行う時間修正手段とを備えた、DVDレコーダ内蔵のテレビジョン受像機において、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを前記モニタに出力する時間出力手段と、前記テレビジョン受像機内部の各回路間の通信処理や、画面表示処理等の、該テレビジョン受像機が行う各処理を完了しなければならない期限の時間(以下、リミット時間という)を算出するリミット時間算出手段と、前記各処理に要する時間(処理時間)を算出する処理時間算出手段と、前記各処理について前記リミット時間から前記処理時間を差し引いた値である、各処理の適正基準時間値を算出する適正基準時間値算出手段と、前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込み処理に要する時間(割込処理時間)の合計値が大きくなったときに、これらの合計値の差が、前記モニタに表示されるシステムタイムの画像に影響を与えるレベルの時間であるか否かを判定する判定手段とをさらに備え、前記判定手段による判定の結果、影響を与えるレベルの時間である場合に、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正するものである。
【0006】
請求項2の発明は、水晶発振子に接続されてクロック信号を生成するクロックジェネレータと、前記クロックジェネレータにより生成されたクロック信号をカウントすることにより現在のシステムタイムを算出する時間算出手段と、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムの修正処理を行う時間修正手段とを備えた、電気機器において、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムを記憶する記憶手段と、前記電気機器内部の各回路間の通信処理等の、該電気機器が行う各処理を完了しなければならない期限の時間(以下、リミット時間という)を算出するリミット時間算出手段と、前記各処理に要する時間(処理時間)を算出する処理時間算出手段と、前記各処理について前記リミット時間から前記処理時間を差し引いた値である、各処理の適正基準時間値を算出する適正基準時間値算出手段と、前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込み処理に要する時間(割込処理時間)の合計値が大きくなったときに、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正するものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電気機器において、前記時間算出手段により算出されたシステムタイムを表示するための表示手段と、前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込処理時間の合計値が大きくなったときに、これらの合計値の差が、前記表示手段に表示されるシステムタイムに影響を与えるレベルの時間であるか否かを判定する判定手段とをさらに備え、前記判定手段による判定の結果、影響を与えるレベルの時間である場合に限り、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、手動による標準時刻の入力や、通信回線を介した標準時刻の入力を行うことなく、正午に機器が使用中である場合でも、システムタイムの誤差を修正することができ、しかも、1日の間に3分以上のシステムタイムの誤差が生じた場合でも、システムタイムの誤差を修正することができる。これにより、モニタに正確なシステムタイムの画像を表示することができ、しかも、予約録画を行う際に番組の開始部分や終了部分の録画漏れを防ぐことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、手動による標準時刻の入力や、通信回線を介した標準時刻の入力を行うことなく、正午に機器が使用中である場合でも、システムタイムの誤差を修正することができ、しかも、1日の間に3分以上のシステムタイムの誤差が生じた場合でも、システムタイムの誤差を修正することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、上記請求項2の効果に加えて、表示手段に正確なシステムタイムの画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。本発明は、電気機器におけるシステムタイムを修正する技術に関するものである。以下の実施形態では、本発明をDVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機に適用した場合の例について説明する。なお、以下に記載した実施形態は、本発明を網羅するものではなく、本発明は、下記の形態だけに限定されない。
【0012】
図1は、第1の実施形態によるDVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機1(以下、DVDレコーダ内蔵TV受像機という)の外観を示す。図に示されるように、DVDレコーダ内蔵TV受像機1は、装置本体の右側部に、スロットインタイプのディスク挿入口3を有しており、このディスク挿入口3からDVD10がDVDレコーダ部2(図2参照)内に挿入されたときに、DVDモードに移行して、DVDレコーダ部2の電源をオンにする。
【0013】
図2は、上記DVDレコーダ内蔵TV受像機1の電気的ブロック構成を示す。DVDレコーダ内蔵TV受像機1は、アンテナ20を介して受信したテレビジョン放送信号の中から、ユーザにより選択入力されたチャンネルの放送信号の選局・復調を行って、映像・音声信号を出力するチューナ6と、チューナ6で取り出された映像と音声の中間周波信号を増幅する映像中間周波増幅回路7と、チューナ6から出力された映像・音声信号のDVD10への録画と、DVD10に録画された映像・音声信号の再生とを行うDVDレコーダ部2とを有している。また、DVDレコーダ内蔵TV受像機1は、装置全体の制御を行うマイコン4と信号制御回路5とを有している。信号制御回路5は、インプットセレクタの機能を持ち、上記の映像中間周波増幅回路7、DVDレコーダ部2、及び外部入力端子8から入力された映像・音声信号のうち、リモコン3(操作手段)を用いてユーザにより選択された特定の種類の映像・音声信号に基づく映像と音声とが、モニタ15とスピーカ17とに出力されるように、信号の経路を切り替える。また、DVD10への録画時には、信号制御回路5は、チューナ6から映像中間周波増幅回路7を介して出力された映像・音声信号が、DVDレコーダ部2に出力されるように、信号の経路を切り替える。
【0014】
さらにまた、DVDレコーダ内蔵TV受像機1は、信号制御回路5から送られた映像信号に基づいて原色信号を再生する色再生回路11と、この色再生回路11により再生された原色信号に文字情報等の映像信号を重畳させるオンスクリーンディスプレイ部14(以下、OSD部という)と、信号制御回路5から送られた音声信号を増幅して、スピーカ17に出力する音声回路12と、タイマ回路13(タイマ手段)とを有している。タイマ回路13は、現在のシステムタイムが、リモコン3を用いてユーザにより入力された予約録画の開始時刻になったときに、DVDレコーダ部2に対して、チューナ6から出力された映像・音声信号のDVD10への録画を開始するように指示し、現在のシステムタイムが、リモコン3を用いてユーザにより入力された予約録画の終了時刻になったときに、DVDレコーダ部2に対して、録画を終了するように指示する。また、OSD部14により重畳させられる映像信号には、システムタイムの画像の映像信号が含まれる。
【0015】
DVDレコーダ内蔵TV受像機1は、上記の各回路に加えて、OSD部14から送られた映像信号を出力するモニタ15(表示手段)と、音声回路12から送られた音声信号を出力するスピーカ17と、リモコン3から送信された赤外線信号を受信するリモコン信号受信部18と、装置の各部に電源を供給するための電源部19とを有している。
【0016】
上記のリモコン3は、各種のキーからなるキー部34と赤外線信号発信部31とを有している。キー部34には、電源キー33、数字入力用のキー35、カーソル移動キー36及び確定キー37に加えて、各種メニューを表示するためのメニューキー32が配設されている。ユーザは、キー部34上の各キーを用いることにより、装置本体に対して予約録画の開始・終了時刻の入力指示等の各種指示操作を行うことができる。
【0017】
図3は、上記DVDレコーダ部2の電気的ブロック構成を示す。DVDレコーダ部2は、主に、ディスクローダ21と、DVD10からの読取信号を処理するためのディジタル基板22と、ディスク挿入口3(図1参照)からDVD10が挿入されたことを検知するためのディスク検出センサ23とから構成されている。ディスク検出センサ23による検出信号は、装置全体を制御するマイコン4へ出力される。
【0018】
上記のディスクローダ21は、DVD10を回転駆動するためのスピンドルモータ25と、DVD10に対して光ビームを照射してデータの記録及び再生を行う光ピックアップ26と、光ピックアップ26を読出位置に対応させて移動させるためのフィードモータ24とから構成されている。また、ディジタル基板22は、主に、光ピックアップ26から送られた信号をビットストリームに変換するためのフロントエンドプロセッサとMPEG復調回路とシステム制御用マイクロプロセッサとを集積したシステムLSI27と、フィードモータ24、スピンドルモータ25、及び光ピックアップ26に対して駆動信号を出力するモータドライバ28とから構成されている。
【0019】
図4は、上記図2中のマイコン4の概略構成を示す。マイコン4は、主に、水晶発振子41と、水晶発振子41に接続されてクロック信号を生成するクロックジェネレータ42と、マイコン4の各種処理の制御や各種演算を行うCPU40(時間算出手段、リミット時間算出手段、処理時間算出手段)と、各種のデータを記憶するためのRAM46及び各種制御用プログラムを記憶するためのROM47からなるメモリ43(記憶手段)と、I/Oバス45を介して外部入出力機器とのデータの入出力を行う際のインタフェース用の回路であるI/O44とから構成されている。CPU40が行う処理には、クロックジェネレータ42により生成されたクロック信号をカウントすることにより現在のシステムタイムを算出する処理や、現在のシステムタイムの修正処理が含まれる。RAM46には、各種の作業用データ48や、CPU40により算出された現在のシステムタイム(図中のシステムタイムT49)が記憶される。ROM47には、RAM46に記憶されたシステムタイムT49を更新するためのプログラムである時間更新PG51、RAM46に記憶されたシステムタイムT49の管理と修正を行うためのプログラムである時間管理メインPG50、及び各種の制御用の処理プログラムである各種処理PG52が記憶されている。また、上記図2中のOSD部14と上記のCPU40と時間管理メインPG50とが、請求項における時間出力手段に相当する。また、上記の時間管理メインPG50とCPU40とが、請求項における判定手段、時間修正手段、及び適正基準時間値算出手段に相当する。
【0020】
次に、図5及び図6のフローチャートを参照して、上記DVDレコーダ内蔵TV受像機1における時間修正処理について説明する。なお、以下の説明において、処理1は、何回も呼び出されなければならない通信等の処理のルーチンであり、処理2は、処理1よりも時間のかかる視覚的な処理のルーチンである。また、表示処理(S11に相当する修理)に要する時間は、処理1や処理2に要する時間よりも長いものとする。
【0021】
マイコン4のCPU40は、クロックジェネレータ42により生成されたクロック信号に基いて、現在のシステムタイムを算出する。そして、1ms経過する毎に、図6の時間更新処理を行って、メモリ43に記憶されているシステムタイムT49を更新する(直前のシステムタイムT49に1msを加算する)。次に、マイコン4のCPU40は、図5に示される処理に移り、その時点のシステムタイムT49をチェックする。その結果、その時点のシステムタイムT49が40msの倍数になっているときには(S2でYES)、S5の処理に進んで、画面表示の処理(S11に相当する修理)を実行する。これに対して、その時点のシステムタイムT49が40msの倍数になっておらず、20msの倍数になっているときには(S2でNO、S3でYES)、処理2を実行した後に(S6)、S1の処理に戻る。また、その時点のシステムタイムT49が40msの倍数にも、20msの倍数にもなっていないが、10msの倍数になっているときには(S2でNO、S3でNO、S4でYES)、処理1を実行した後に(S7)、S1の処理に戻る。
【0022】
マイコン4のCPU40は、例えば、システムタイムT49が0時0分0,010秒(10ms)になると、処理1を実行し、システムタイムT49が0時0分0,020秒(20ms)になると、処理2を実行し、システムタイムT49が0時0分0,030秒(30ms)になると、処理1を実行し、システムタイムT49が0時0分0,040秒(40ms)になると、S5の処理に進んで、画面表示の処理を実行する。
【0023】
次に、図5中のS5以降の処理について説明する。まず、S5の計算式に使用される各作業用データについて説明する。M1、M2、及びM3は、それぞれ上記S7に示される処理1を行った回数を保持するための作業用データ項目、上記S6に示される処理2を行った回数を保持するための作業用データ項目、及び下記のシステムタイムを含む画面の表示処理(S11に相当する修理)を行った回数を保持するための作業用データ項目である。また、IM1、IM2、及びIM3は、割込み処理の種類が3種類であった場合に、それぞれの種類の割込み処理を行った回数を保持するための作業用データ項目である。また、L1、L2、及びL3は、それぞれ上記S7に示される処理1、上記S6に示される処理2、及び下記のS11に示される表示処理を完了しなければならない期限の時間(以下、リミット時間という)である。このリミット時間は、該当の処理の開始時間から次の処理を始めるべき時間までの間の時間をいう。
【0024】
マイコン4のCPU40は、上記の処理1、処理2及び表示処理自体に要する時間(処理時間)C1、C2及びC3と、上記の3種類の割込み処理に要する時間(割込処理時間)I1、I2及びI3とを予め求めておく。そして、上記の表示処理を実行する直前に、上記の処理1、処理2及び表示処理のリミット時間L1、L2、及びL3から、上記の処理1、処理2及び表示処理の処理時間C1、C2及びC3を差し引いた値である、処理1、処理2及び表示処理の適正基準時間値(L1−C1)、(L2−C2)、及び(L3−C3)を算出する。次に、マイコン4のCPU40は、上記の各処理の適正基準時間値(L1−C1)、(L2−C2)、及び(L3−C3)に、各処理を行った回数M1、M2、及びM3をそれぞれかけて、これらの積の値の合計値(請求項における適正基準時間値の合計値)、すなわち((L1−C1)M1+(L2−C2)M2+(L3−C3)M3)と、割込み処理に要した時間の合計値、すなわち(I1*IM1+I2*IM2+I3*IM3)とを比較する。
【0025】
マイコン4のCPU40は、上記の比較の結果、割込み処理に要した時間の合計値が、適正基準時間値の合計値よりも大きくなった場合には(S5でNO)、システムタイムT49に誤差が生じていると判断して、上記の2つの合計値の差(今回の誤差)、(I1*IM1+I2*IM2+I3*IM3)−((L1−C1)M1+(L2−C2)M2+(L3−C3)M3)に、今までの誤差のうちの未反映の誤差AMを加えた誤差ワークWAMの値が、モニタ15に表示されるシステムタイム(の画像)に影響を与えるレベルの値であるか否かを判定する(S8及びS9)。具体的には、例えば、システムタイムの表示単位が分単位であり、システムタイムの表示が1分毎に更新される場合には、誤差ワークWAMの値が、1分以上になると、システムタイムの画像に影響を与えるレベルの値であると判定する。この判定の結果、システムタイムの画像に影響を与えるレベルの値である場合には(S9でYES)、RAM46に記憶されたシステムタイムT49に、所定の値の追加時間ATを加算して修正し(RAM46内のシステムタイムT49を、直前のシステムタイムT49に追加時間ATを加算した時間に書き換え)、修正後のシステムタイムT49をモニタ15上に表示すると共に、誤差ワークWAMの値から追加時間ATを引いて、上記の未反映の誤差AMを求める(S10及びS11)。上記の追加時間ATの大きさは、システムタイムの表示単位との関係で、ユーザに奇異な印象を与えない程度の大きさの値(例えば、システムタイムの表示単位が分単位である場合には、30秒程度)に設定される。なお、上記のS10の処理において、各処理を行った回数M1、M2、M3、及び割込み処理を行った回数IM1、IM2、IM3を0クリアする。
【0026】
上記S5の比較の結果、割込み処理に要した時間の合計値が、適正基準時間値の合計値以下の場合には(S5でYES)、RAM46に記憶されたシステムタイムT49を修正せずに、そのままモニタ15上に表示する(S11)。
【0027】
上記のように、本実施形態によるDVDレコーダ内蔵TV受像機1によれば、手動による標準時刻の入力や、通信回線を介した標準時刻の入力を行うことなく、正午に機器が使用中である場合でも、システムタイムT49の誤差を修正することができ、しかも、1日の間に3分以上のシステムタイムT49の誤差が生じた場合でも、システムタイムT49の誤差を修正することができる。これにより、モニタ15に正確なシステムタイムT49の画像を表示することができ、しかも、予約録画を行う際に、正確なシステムタイムT49を参照することができるので、番組の開始部分や終了部分の録画漏れを防ぐことができる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態では、表示処理を実行する直前に、割込み処理に要した時間の合計値が、適正基準時間値の合計値よりも大きくなったか否かをチェックするようにしたが、このチェックのタイミングは、表示処理を実行する際に限られず、他の処理(上記の実施形態の場合で言えば、処理1又は処理2)を実行する際であってもよい。また、本発明の適用対象は、DVDレコーダ内蔵TV受像機に限られず、ビデオテープレコーダ内蔵テレビジョン受像機やビデオテープレコーダ等の他の種類の電気機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態によるDVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機の外観を示す正面図。
【図2】上記DVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機の電気的ブロック構成図。
【図3】図2中のDVDレコーダ部の電気的ブロック構成図。
【図4】図2中のマイコンの電気的ブロック構成図。
【図5】上記DVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機の時間管理処理のフローチャート。
【図6】上記DVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機の時間更新処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0030】
1 DVDレコーダ内蔵TV受像機
2 DVDレコーダ部
3 リモコン(操作手段)
6 チューナ
13 タイマ回路(タイマ手段)
14 OSD部(時間出力手段)
15 モニタ(表示手段)
17 スピーカ
40 CPU(時間算出手段、リミット時間算出手段、処理時間算出手段、時間出力手段、判定手段、時間修正手段、適正基準時間値算出手段)
42 クロックジェネレータ
43 メモリ(記憶手段)
50 時間管理メインPG(時間出力手段、判定手段、時間修正手段、適正基準時間値算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して受信したテレビジョン放送信号の中から、ユーザにより選択入力されたチャンネルの放送信号の選局・復調を行って、映像・音声信号を出力するチューナと、
前記チューナから出力された映像・音声信号のDVD(Digital Versatile Disc)への録画と、DVDに録画された映像・音声信号の再生とを行うDVDレコーダ部と、
装置本体に対して予約録画の開始・終了時刻の入力指示等の各種指示操作を行うための操作手段と、
水晶発振子に接続されてクロック信号を生成するクロックジェネレータと、
前記クロックジェネレータにより生成されたクロック信号をカウントすることにより現在のシステムタイムを算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムが、前記操作手段を用いてユーザにより入力された予約録画の開始時刻になったときに、前記DVDレコーダ部に対して、前記チューナから出力された映像・音声信号のDVDへの録画を開始するように指示し、前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムが、前記操作手段を用いてユーザにより入力された予約録画の終了時刻になったときに、前記DVDレコーダ部に対して、前記録画を終了するように指示するタイマ手段と、
前記時間算出手段により算出されたシステムタイムの画像や、前記チューナや前記DVDレコーダ部から出力された映像信号に基く画像を表示するためのモニタと、
前記チューナや前記DVDレコーダ部から出力された音声信号を出力するスピーカと、
前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムの修正処理を行う時間修正手段とを備えた、DVDレコーダ内蔵のテレビジョン受像機において、
前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを前記モニタに出力する時間出力手段と、
前記テレビジョン受像機内部の各回路間の通信処理や、画面表示処理等の、該テレビジョン受像機が行う各処理を完了しなければならない期限の時間(以下、リミット時間という)を算出するリミット時間算出手段と、
前記各処理に要する時間(処理時間)を算出する処理時間算出手段と、
前記各処理について前記リミット時間から前記処理時間を差し引いた値である、各処理の適正基準時間値を算出する適正基準時間値算出手段と、
前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込み処理に要する時間(割込処理時間)の合計値が大きくなったときに、これらの合計値の差が、前記モニタに表示されるシステムタイムの画像に影響を与えるレベルの時間であるか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記判定手段による判定の結果、影響を与えるレベルの時間である場合に、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正することを特徴とするDVDレコーダ内蔵テレビジョン受像機。
【請求項2】
水晶発振子に接続されてクロック信号を生成するクロックジェネレータと、
前記クロックジェネレータにより生成されたクロック信号をカウントすることにより現在のシステムタイムを算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムの修正処理を行う時間修正手段とを備えた、電気機器において、
前記時間算出手段により算出された現在のシステムタイムを記憶する記憶手段と、
前記電気機器内部の各回路間の通信処理等の、該電気機器が行う各処理を完了しなければならない期限の時間(以下、リミット時間という)を算出するリミット時間算出手段と、
前記各処理に要する時間(処理時間)を算出する処理時間算出手段と、
前記各処理について前記リミット時間から前記処理時間を差し引いた値である、各処理の適正基準時間値を算出する適正基準時間値算出手段と、
前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込み処理に要する時間(割込処理時間)の合計値が大きくなったときに、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正することを特徴とする電気機器。
【請求項3】
前記時間算出手段により算出されたシステムタイムを表示するための表示手段と、
前記各処理の適正基準時間値の合計値よりも割込処理時間の合計値が大きくなったときに、これらの合計値の差が、前記表示手段に表示されるシステムタイムに影響を与えるレベルの時間であるか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記判定手段による判定の結果、影響を与えるレベルの時間である場合に限り、前記時間修正手段は、前記記憶手段に記憶された現在のシステムタイムを修正することを特徴とする請求項2に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−43548(P2007−43548A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226721(P2005−226721)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】