説明

EGRガス冷却システム

【課題】低水温冷却水回路の冷却水の流れ方を制御して、エンジン始動後に冷却水の温度のすみやかな上昇を可能にする。
【解決手段】エンジン3と、エンジン3の冷却水を放熱させるメインラジエータ7と、冷却水によってEGRガスを冷却する一次EGRクーラ1との間で冷却水を循環させるメイン冷却水回路6を有し、エンジン3と、メインラジエータ7と一体または別体に設けられて冷却水を放熱させるサブラジエータ10と、冷却水によってEGRガスを冷却する二次EGRクーラ2との間で冷却水を循環させる低水温冷却水回路9を有するEGRガス冷却システムであって、低水温冷却水回路9に、この低水温冷却水回路9から分岐してサブラジエータ10を迂回し、二次EGRクーラ2の上流側で合流するバイパス流路12を設け、低水温冷却水回路9のサブラジエータ10側およびバイパス流路12の冷却水の流れを制御する流路制御弁13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載される各熱交換器を循環する冷却水の循環系統とその制御に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の排気ガスによる大気汚染の対策として、ディーゼルエンジン搭載車両では、排気ガスをエンジンに還流させるEGRシステムが広く採用されている。
しかし、エンジンの高負荷状態では排気ガスの温度が上昇し、そのままエンジンの吸気系に還流させると、燃焼温度が上昇して排気ガス中の窒素酸化物濃度が逆に増大してしまう。そこで、熱交換器(EGRクーラ)を設け、排気ガスを冷却水によって冷却してからエンジンに還流させることが一般的であった。
【0003】
EGRクーラに用いられる冷却水は、エンジンの冷却水を兼ねている。
メイン冷却水回路は、ラジエータで走行風に放熱した冷却水がエンジンに戻され、エンジンを冷却する前に一部を導出してEGRクーラに流入させ、EGRクーラでEGRガスを冷却した後、ラジエータからエンジンに流れ込む冷却水に合流し、一部が再度EGRクーラに流されるとともに残部がエンジンを冷却してラジエータへと循環する流路を形成する。
【0004】
運転条件にもよるが、エンジン運転時において、一般に、ラジエータで放熱後の冷却水の温度は概ね80℃を超えている。そのため、この冷却水によってEGRクーラで冷却される排気ガスは、この冷却水の水温以下になることはない。
【0005】
近年では、排気ガスに対する規制強化のため、EGRクーラの大容量化とエンジンの燃焼温度の低下が求められている。
このうち、EGRクーラの大容量化については、EGRクーラの大型化や、EGRクーラの使用本数を複数に増やすことで対応していた。
【0006】
エンジンの燃焼温度を低下させるためには、エンジンに還流する排気ガス(EGRガス)の温度を低下させる必要がある。
従来技術には、エンジンの燃焼温度の低下を目的に過給空気温度を低下させるため、インタークーラに供給する冷却水をより冷やすサブラジエータを新たに設置し、このサブラジエータとインタークーラとエンジンとを循環する低水温冷却水回路を、メインの冷却水回路とは別に設けた過給空気冷却システムがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許公開公報2008066697号公報
【0008】
これをEGRガス冷却システムに応用すると、たとえば図2に示すように、EGRクーラ1,2を2本設置し、2本目のEGRクーラ(二次EGRクーラ2)を上記の低水温冷却水回路9中に配置することで、二次EGRクーラ2ではより低水温の冷却水によってEGRガスを冷却することができるようになる。
このEGRガス冷却システムでは、サブラジエータ10にて放熱し、二次EGRクーラ2を通過した冷却水は、メイン冷却水回路6と合流してエンジン3に戻される。
【0009】
エンジン3の運転においては、始動後に暖機運転を行いすみやかに装置の温度を上昇させ、冷却水も適切な水温まで上昇させることが好ましい。
このため、メイン冷却水回路6は、水温が低いときにはサーモスタット8によって閉鎖され、メインラジエータ7へ冷却水を流さないようになっている。
【0010】
しかし、低水温冷却水回路9には常時冷却水が循環しており、暖機を行いたいときであっても、冷却水がエンジン3から熱を受け取り、サブラジエータ10で放熱してしまうため、エンジン3の暖機を妨げてしまっていた。
特に、気温が低くエンジンの負荷も低い運転条件下においては、冷却水の水温上昇が遅くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、低水温冷却水回路を設けてEGRクーラに流れる冷却水の低温化を実現するとともに、低水温冷却水回路の冷却水の流れ方を制御して、エンジン始動後に冷却水の温度のすみやかな上昇を可能にしたEGRガス冷却システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において、上記課題が解決される手段は以下の通りである。
第1の発明は、エンジンと、エンジンの冷却水を放熱させるメインラジエータと、上記冷却水によってEGRガスを冷却する一次EGRクーラとの間で上記冷却水を循環させるメイン冷却水回路を有し、上記エンジンと、上記メインラジエータと一体または別体に設けられて上記冷却水を放熱させるサブラジエータと、上記冷却水によって上記EGRガスを冷却する二次EGRクーラとの間で上記冷却水を循環させる低水温冷却水回路を有するEGRガス冷却システムであって、上記低水温冷却水回路に、この低水温冷却水回路から分岐して上記サブラジエータを迂回し、上記二次EGRクーラの上流側で合流するバイパス流路を設け、上記低水温冷却水回路の上記サブラジエータ側および上記バイパス流路の冷却水の流れを制御する流路制御弁を設けたことを特徴とする。
【0013】
第2の発明は、上記流路制御弁は、上記エンジンにおける上記冷却水の温度が所定の温度未満であるときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、上記エンジンにおける冷却水の温度が所定の温度以上であるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことを特徴とする。
【0014】
第3の発明は、上記流路制御弁は、上記EGRガスが上記二次EGRクーラに流されないときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、上記EGRガスが上記二次EGRクーラへ流されるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、上記低水温冷却水回路に、この低水温冷却水回路から分岐して上記サブラジエータを迂回し、上記二次EGRクーラの上流側で合流するバイパス流路を設け、上記低水温冷却水回路の上記サブラジエータ側および上記バイパス流路の冷却水の流れを制御する流路制御弁を設けたことにより、エンジン始動直後には流路制御弁により冷却水をバイパス流路に流して、すみやかにエンジンを暖機することができる。エンジンの暖機完了後またはEGRガスの冷却が必要になったときには、流路制御弁により冷却水をサブラジエータ側に流して、冷却水の温度を低下させ、二次EGRクーラでEGRガスを冷却することができ、エンジンの昇温時間の短縮とEGRガスの冷却性能とを両立することができる。
【0016】
第2の発明によれば、上記流路制御弁が、上記エンジンにおける上記冷却水の温度が所定の温度未満であるときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、上記エンジンにおける冷却水の温度が所定の温度以上であるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことにより、冷却水の温度が低いときには流路制御弁により冷却水をバイパス流路に流して、すみやかにエンジンを暖機することができる。冷却水の温度が高いときには、流路制御弁によって冷却水をサブラジエータに流して、冷却水の温度を低下させ、二次EGRクーラでEGRガスを冷却することができ、エンジンの昇温時間の短縮とEGRガスの冷却性能とを両立することができる。
また、二次EGRクーラには常時冷却水が流され、停滞することがないので、EGRガスにより二次EGRクーラ内の冷却水が局所的に沸騰して二次EGRクーラを破損するおそれを低下させることができる。
【0017】
第3の発明によれば、上記流路制御弁が、上記EGRガスが上記二次EGRクーラに流されないときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、上記EGRガスが上記二次EGRクーラへ流されるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことにより、EGRガスを冷却する必要がないときには流路制御弁によって冷却水をバイパス流路に流し、すみやかにエンジンを暖機することができる。EGRガスが二次EGRクーラへの循環を開始したときには、流路制御弁によって冷却水をサブラジエータに流して、冷却水の温度を低下させ、二次EGRクーラでEGRガスを冷却することができ、また、冷却水の沸騰による二次EGRクーラの破損を防止することができる。
よって、特に、冷却水の温度が低いときにもEGRガスの循環を開始する車両であっても、EGRガスの冷却および二次EGRクーラの破損防止を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るEGRガス冷却システムを示す説明図である。
【図2】従来のEGRガス冷却システムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一実施形態に係るEGRガス冷却システムについて説明する。
このEGRガス冷却システムは、中型、大型クラスのディーゼルエンジンを用いたトラックや建機などであって、排気ガスの排出規制に適合するために大量の排気ガスの還流(EGR)を行う車両に使用される。
【0020】
大量のEGRガスを冷却するため、この車両は、図1のように、一次EGRクーラ1と二次EGRクーラ2とからなる2本のEGRクーラを有している。EGRガスは、エンジン3の排気系から配管を通り、一次EGRクーラ1、二次EGRクーラ2の順に流されて冷却された後、エンジン3の吸気系へと還流する(EGRガスの配管14)。
EGRガスの配管14にはEGRバルブ等の流量制御弁(図示せず)が設けられ、制御用コンピュータ(図示せず)により、エンジン負荷や冷却水温度が所定の条件と合致したときに、この流量制御弁等を開放して、EGRガスが直列に配置された一次EGRクーラ1および二次EGRクーラ2へ循環を開始するようになっている。
【0021】
また、この車両では、ターボチャージャ4によって吸入空気を圧縮した過給空気を、インタークーラ5で走行風によって冷却し、エンジンの吸気系に供給している(過給空気経路15)。エンジン3の排気系から排出される排気ガスの一部はEGRガスとしてエンジンに還流するが、残部は、ターボチャージャ4によって吸入空気を圧縮し、エンジン3の吸気系に過給空気を供給するエネルギーに流用される。
【0022】
一次EGRクーラ1は、メイン冷却水回路6中に配置されている。
メイン冷却水回路6は、メインラジエータ7で走行風に放熱した冷却水がエンジン3に戻され、エンジン3を冷却する前に一部を導出して一次EGRクーラ1に流入させ、一次EGRクーラ1でEGRガスを冷却した後、メインラジエータ7からエンジン3に流れ込む冷却水に合流し、一部が再度一次EGRクーラ1に流されるとともに残部がエンジン3を冷却してメインラジエータ7へと循環する流路を形成する。
【0023】
エンジン3からメインラジエータ7へ冷却水を導出する流出口付近には、サーモスタット8によるメイン流量制御装置を設けている。このサーモスタット8は、エンジン3における冷却水の温度が所定の温度未満のときにはメインラジエータ7への配管を閉鎖し、所定の温度以上になるとメインラジエータ7への配管を開放するようになっている。
サーモスタット8は、温度によって膨張、収縮するワックスを内部に封入しており、エンジン3の冷却水の温度の昇降によりワックスが反応し、メインラジエータ7への配管を開閉することができるようになっている。
【0024】
これにより、エンジン始動直後でエンジン3の温度が低い状態では、サーモスタット8がエンジン3からメインラジエータ7への配管を閉鎖するため、エンジン3の暖機を妨げることがない。このとき、冷却水はメインラジエータ7を通らずに図1中の破線矢印のように流れ、エンジン3と一次EGRクーラ1との間の流路を循環し、一次EGRクーラ1ではEGRガスを冷却する。また、暖機運転によりエンジン3の冷却水が所定温度まで暖められると、サーモスタット8が開き、冷却水がメインラジエータ7へ流れて、走行風へ放熱するようになっている。
【0025】
二次EGRクーラ2は、低水温冷却水回路9中に配置されている。
低水温冷却水回路9は、メインラジエータ7で走行風に放熱した冷却水がエンジン3に戻されてエンジン3を冷却する前に、冷却水の一部を導出し、サブラジエータ10で走行風に放熱して冷却水の温度を低下させ、二次EGRクーラ2でEGRガスを冷却した後、一次EGRクーラ1からエンジン3に戻されるメイン冷却水回路6に合流して循環する流路を形成する。
冷却水は、ウォータポンプ11によってメイン冷却水回路6および低水温冷却水回路9を循環させられる。
【0026】
このように二次EGRクーラ2および低水温冷却水回路9を設けたことにより、二次EGRクーラ2では、一次EGRクーラ1において冷却されたEGRガスを、サブラジエータ10でより低温となった冷却水によって冷却することができ、EGRガス冷却システムの冷却性能を向上させることができる。
なお、サブラジエータ10は、図1のようにメインラジエータ7と別体に設けたものでもよいし、メインラジエータ7と一体に設けて内部で区分けしたものであってもよい。
【0027】
このEGRガス冷却システムには、サブラジエータ10の上流側で低水温冷却水回路9から分岐し、サブラジエータ10を迂回して、二次EGRクーラ2の上流側で低水温冷却水回路9に合流するバイパス流路12を設けている。
また、低水温冷却水回路9とバイパス流路12との分岐部あるいは合流部付近に電磁弁13からなる流路制御弁を設け、冷却水をサブラジエータ10側とバイパス流路12とのいずれか一方から選択して流すことができるようになっている。また、他の例として、バイパス流路12の途中に電磁弁13等の流路制御弁を設け、冷却水をサブラジエータ10側とバイパス流路12との一方に流量を多く振り分けて流すことも可能である。
【0028】
この電磁弁13は、車載の制御用コンピュータ(図示せず)からの信号によって、冷却水の流れを切り換える。
電磁弁13の制御方法の例として、本実施形態では、エンジン3における冷却水の温度を温度センサー(図示せず)で検知し、冷却水の温度が所定の温度未満であるときには冷却水をバイパス流路12に流し、冷却水の温度が所定の温度以上であるときには冷却水をサブラジエータ10に流すように設定している。
【0029】
これにより、エンジン始動直後でエンジン3の温度が低いときには、電磁弁13がサブラジエータ10への配管を閉鎖して、冷却水がバイパス流路12を流れる。そのため、エンジン3が暖められ冷却水が所定温度に達するまでは、冷却水がサブラジエータ10で放熱して暖機を妨げることがなく、昇温時間を短縮することができる。
また、このときにも二次EGRクーラ2には冷却水が循環し続けている。二次EGRクーラ2にEGRガスが流れている状態で二次EGRクーラ2の冷却水が停滞していると、冷却水が加熱されて沸騰し、二次EGRクーラ2を破損するおそれがあるが、本実施形態では、二次EGRクーラ2に常時冷却水を流しているため、EGRガス冷却システム全体の冷却水が沸点に達するまで、沸騰することがない。
【0030】
他方、エンジン3の冷却水の温度が所定温度以上になると、電磁弁13がバイパス流路12を閉鎖し、冷却水をサブラジエータ10に流して放熱させるとともに、二次EGRクーラ2によりEGRガスを一層冷却することができる。
【0031】
登坂などでエンジン3に高負荷がかかったあとに、急激な負荷の低下とメインラジエータ7への走行風減少とが生じると、冷却水の温度が急に上昇するが、本実施形態では、このような場合でも電磁弁13によって冷却水をサブラジエータ10へ流すことができて、放熱により冷却水の温度を下げることができる。
【0032】
電磁弁13の制御方法の他の例として、EGRガスの配管14のEGRガス流量を流量センサー(図示せず)で検知し、EGRガスの還流を停止しているときには冷却水をバイパス流路12に流し、EGRガスを配管14に流しているときには冷却水をサブラジエータ10に流すように設定してもよい。
また、EGRガスの流量が所定の値未満のときには冷却水をバイパス流路12に流し、EGRガスの流量が所定の値以上のときには冷却水をサブラジエータ10に流すように設定してもよい。
【0033】
これにより、EGRガスが流されるまでは冷却水をバイパス流路12に流し、冷却水がサブラジエータ10で放熱して不要にエンジン3を冷却してしまうことを防止して、エンジン3をすみやかに暖機することができる。
他方、EGRガスが二次EGRクーラ2へ流されると、電磁弁13によって冷却水がサブラジエータ10に流され、二次EGRクーラ2でEGRガスを冷却する。このため、EGRガスが二次EGRクーラ2に流れている際に冷却水が二次EGRクーラ2で停滞することがなく、EGRガスによって二次EGRクーラ2内の冷却水が加熱され、沸騰して二次EGRクーラ2を破損するおそれがない。
【0034】
さらに、電磁弁13の制御方法の他の例として、冷却水の温度と、EGRガス流れとの両方に基づいて、流路の切り換えを行ってもよい。
すなわち、エンジン3における冷却水の温度が所定温度(T1)未満であるときには、電磁弁13によって冷却水がバイパス流路12に流される。
そして、冷却水が加熱されてT1に達した場合で、かつ、EGRガスが二次EGRクーラ2に流されるときには、電磁弁13によって冷却水がサブラジエータ10側に流される。冷却水がT1以上であっても、EGRガスが二次EGRクーラ2に流されていないときには、冷却水はバイパス流路12に流される。
また、冷却水がT1よりも高い所定温度(T2)に達したときには、EGRガスが二次EGRクーラ2に流されていなくても、電磁弁によって冷却水がサブラジエータ10側に流されるようにする。
【0035】
これにより、特にエンジンの暖機が必要なときには冷却水をバイパス流路12に流して、エンジン3をすみやかに暖機することができる。他方、冷却水の温度がT1以上でEGRガスを二次EGRクーラ2に流しているときや、冷却水の温度がT2以上で十分に高いときなど、冷却水に放熱させて低温にする必要性が高いときには、冷却水をサブラジエータ10に流して放熱させることができる。
【0036】
また、電磁弁13の制御方法の他の例として、エンジン3から排出されるEGRガスの温度を温度センサー(図示せず)で検知し、EGRガスの温度が所定の温度未満であるときには冷却水をバイパス流路12に流し、EGRガスの温度が所定の温度以上であるときには冷却水をサブラジエータ10に流すように設定してもよい。このとき、冷却水の一部をバイパス流路に流し、残部をサブラジエータに流し、流量の振り分けによって冷却水の温度を調整するようにしてもよい。
これにより、EGRガスの温度が低く二次EGRクーラ2での冷却を必要としないときに、冷却水をバイパス流路12に流すことができ、EGRガスを過度に冷却することにより二次EGRクーラ2で排気凝縮水が発生することを防止することができる。
【0037】
また、冷却水の流路制御弁として、電磁弁13の代わりに、アクチュエータ式バルブを使用してもよい。
このアクチュエータ式バルブの制御方法は、電磁弁13の制御方法と同様である。
その他の流路制御弁として、電子制御されるモータによって開度を調整することのできる電子制御バルブを設けてもよい。
この電子制御式バルブの制御方法も、電磁弁13の制御方法と同様である。
【0038】
また、冷却水の流路制御弁として、サーモスタットを使用してもよい。
このサーモスタットは、分岐部における冷却水の温度が所定温度未満のときは冷却水をバイパス流路12に流し、冷却水の温度が所定温度以上になるとサーモスタットのワックスが反応して冷却水をサブラジエータ10に流すようにする。
これにより、比較的安価なサーモスタットによって、エンジン3の昇温時間の短縮とEGRガス冷却システムの冷却性能とを容易に両立させることができる。
【0039】
また、バイパス流路12は、図1のように、二次EGRクーラ2の上流側の低水温冷却水回路9の配管に合流させてもよいが、二次EGRクーラ2に直接接続することにより低水温冷却水回路9に合流させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 一次EGRクーラ
2 二次EGRクーラ
3 エンジン
4 ターボチャージャ
5 インタークーラ
6 メイン冷却水回路
7 メインラジエータ
8 サーモスタット
9 低水温冷却水回路
10 サブラジエータ
11 ウォータポンプ
12 バイパス流路
13 電磁弁
14 EGRガスの配管
15 過給気経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、エンジンの冷却水を放熱させるメインラジエータと、上記冷却水によってEGRガスを冷却する一次EGRクーラとの間で上記冷却水を循環させるメイン冷却水回路を有し、
上記エンジンと、上記メインラジエータと一体または別体に設けられて上記冷却水を放熱させるサブラジエータと、上記冷却水によって上記EGRガスを冷却する二次EGRクーラとの間で上記冷却水を循環させる低水温冷却水回路を有するEGRガス冷却システムであって、
上記低水温冷却水回路に、この低水温冷却水回路から分岐して上記サブラジエータを迂回し、上記二次EGRクーラの上流側で合流するバイパス流路を設け、
上記低水温冷却水回路の上記サブラジエータ側および上記バイパス流路の冷却水の流れを制御する流路制御弁を設けたことを特徴とするEGRガス冷却システム。
【請求項2】
上記流路制御弁は、上記エンジンにおける上記冷却水の温度が所定の温度未満であるときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、
上記エンジンにおける冷却水の温度が所定の温度以上であるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことを特徴とする請求項1記載のEGRガス冷却システム。
【請求項3】
上記流路制御弁は、上記EGRガスが上記二次EGRクーラに流されないときに上記冷却水を上記バイパス流路に流し、
上記EGRガスが上記二次EGRクーラへ流されるときに上記冷却水を上記サブラジエータに流すことを特徴とする請求項1記載のEGRガス冷却システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−64340(P2013−64340A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202534(P2011−202534)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【出願人】(000220217)東京ラヂエーター製造株式会社 (71)
【Fターム(参考)】