説明

GPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システム

【課題】 タクシー運転手が効率的な営業を行うことができるようにするとともに、不特定多数のタクシー利用者が、自分の現在位置の最も近くで待機している空車タクシーを即座に把握して、迅速に乗車できるように支援するタクシーの配車システムを提供する。
【解決手段】 タクシー運転手が乗務の際に携行するGPS機能付携帯電話機から送信される現車情報と、GPS20により計測されたタクシー30の位置情報を、WEBサーバー11を含む電子掲示板12を有して成るシステム管理センター10において管理し、携帯電話機40を用いて配車の要望を送信してきたタクシー利用者に対して、その現在位置エリアにおける空車タクシー情報を前記システム管理センター10から提供されるとともに、タクシー利用者から空車タクシー30の運転手に直接配車依頼が行われるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー運転手(以下、単に運転手と略称する)が効率的な営業を行うことができ、且つタクシー利用者(以下、単に利用者と略称する)が迅速容易に配車を受けることができるように支援するGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタクシー配車システムとしては、不特定多数の利用者が所持する携帯電話などの携帯型端末から基地局に通知される情報を収集し、どの基地局の回りに携帯型端末が多く分布するかなどの端末の分布状態を取得し、その分布情報を利用してタクシーの配車を決定するようにした携帯型端末を用いたタクシー配車システムがある(特許文献1参照)。また利用者端末にて事前に利用者の配車についての条件を登録することにより、配車可能な車両情報と共に条件に適合した車両を利用者端末に表示し、利用満足度の高い車両の選択を支援する配車システムも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−249918号公報
【特許文献2】特開2010−44471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の携帯型端末を用いたタクシー配車システムは、個々の携帯型端末の所有者に対して、その移動情報を該タクシー配車システムに利用する了解を得るのかどうかは不明であるが、例えば移動情報の利用の了解を得て基地局装置で各個人情報を管理する構成にした場合に、特定の携帯型端末の所有者(または所有者から貸与された所持者)の行動が、基地局側の意思で日常的に捕捉される可能性があるので、個人情報の保護の観点から極めて重大な問題点がある。また特定の場所に多数の人や車両が集合した状態になると、交通渋滞や事故が起き易いという欠点があり、さらには携帯型端末の保持者全員がそのままタクシー利用者になるという必然性はないので、営業成績の向上に必ずしも寄与するものではないという欠点もある。
【0005】
また上記した特許文献2の配車システムは、タクシーを頻繁に利用する特定の顧客と特定のタクシー会社の間で実施するには好適なシステムであるが、タクシーをあまり利用しない不特定多数の一般利用者に対して広範囲に適用することができないので、タクシー会社にとっては、利用者の大幅な獲得に貢献するものではなく、設備投資費用に見合う収益効果を期待することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、運転手がGPS機能付携帯電話機を用いることにより、乗客を探して走り回ったり、駅や特定の地域等で配車の順番待ちをしたりせずに、効率的な営業を行うことができるようにするとともに、不特定多数の一般利用者が、自分の現在位置の最も近くで待機している空車タクシーを即座に把握して、迅速に乗車できるように支援するタクシーの配車システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべく、以下のような手段を講ずるものである。すなわち請求項1に記載の本発明は、利用情報登録済みの運転手がタクシー乗務の際に携行するGPS機能付携帯電話機と、利用者が使用する電子的情報伝達端末と、WEBサーバーを含む電子掲示板を有して成るシステム管理センターとにより構成されるタクシーの配車システムであって、該システム管理センターは、前記運転手から送信されるタクシーの現車情報とGPSにより計測されたタクシーの位置情報を管理するとともに、電子的情報伝達端末を用いて配車の要望を送信してきた利用者に対して、その現在位置エリアにおける空車タクシー情報を提供するようにしたことを特徴とするGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムである。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムにおいて、上記した現車情報が、空車または賃車のいずれかの情報であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムにおいて、上記した運転手の利用情報が、該当する運転手の氏名等の個人情報と、タクシーの位置情報公開の同意であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムにおいて、上記した利用者の電子的情報伝達端末が携帯電話機であって、空車タクシー情報を受信した利用者の携帯電話機と空車タクシー運転手の携帯電話機の接続が設定され、利用者から直接配車依頼が行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に成るGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムは、以下に説明するように、タクシーの運転手側と利用者側の双方に大きな効果を発揮するとともに、社会環境の改善にも多大な貢献をもたらすものである。
【0012】
まず運転手側においては、無目的に走り回って利用者を探すのではなく、待機場所の最も近くにいる利用者から直接電話を受けて配車する形態で、いわば待ちの態勢で営業することができるので、不自然な継続乗車姿勢から開放され、且つタクシーを効率的に運行して営業成績の向上を図ることができるという極めて有益な効果を奏するものである。また「賃車中」もしくは「空車中」の情報を自分の受注スタイルに合わせて更新することができるので、体調の管理や家庭事情等に配慮した働き方ができるという大きな長所がある。
【0013】
また利用者側においては、電子的情報伝達端末(主として携帯電話機)を用いて、自分が現在いる地域エリアを選択するのみの簡単な操作で、その周辺に待機している空車タクシーに直接的に電話連絡することができるので、空車タクシーを探し回ることなく、迅速且つ確実にタクシーを利用することができるという顕著な効果がある。さらには、必要に応じてその都度無料でシステムを利用することができるようになっているので、個人情報の漏洩に配慮する必要がなく、また例えば出張先や旅行先等のように、現住所から遠く離れた不案内な地域でも、現在位置の地名が判明していれば気軽にタクシーを利用することができるという特長もある。
【0014】
さらには、繁華街や駅前等のような空車タクシーが集中する特定エリアにおいて、長蛇の縦列停車で配車の順番待ちをする必要がないので、その地域の交通渋滞の緩和に寄与するとともに、燃料経費の節減やCOの排出削減を実現することが可能で、地球環境の保護という観点からも大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態例を示すシステム構成図である。
【図2】運転手の利用情報登録の手順を示すフローチャート図である。
【図3】本発明の実施形態の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に成るGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムの一実施形態を説明するが、まず図1を参照して本発明システムの概略を説明する。なおこのシステムを利用する運転手は、タクシー乗務の際にGPS機能付携帯電話機を携行することが必須の要件であり、また利用者は、携帯電話機やパソコン端末等の電子的情報伝達端末を使用するものである。この場合に、利用者がパソコン端末を用いるようにしても本発明の実施は可能であるが、ここではパソコン端末よりも利便性の高い携帯電話機を用いる場合について説明する。なお利用者側の携帯電話機は、必ずしもGPS機能が付与されていなくても差し支えない。
【0017】
本発明のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムの中核を成すのは、システム管理センター10である。該システム管理センター10は、WEBサーバー11を含む電子掲示板12を有して成るもので、タクシー30,31,・・・に乗務する利用情報登録済みの各運転手から送信されてくる現車情報と、GPS20を介して計測される各タクシーの位置情報に基づいて、データベースの更新が自動的に行われるようになっているが、この場合における現車情報とは、該当タクシーの現在の状況が「賃車」であるか「空車」であるかを示す情報である。
【0018】
また利用者は、各自が所持している携帯電話機40,41,・・・を用いて、インターネットNを介して前記電子掲示板12にアクセスし、現在位置のエリアを送信すると、その現在位置の最も近くにいる空車タクシーが検索され、その結果が送信されてくるので、該当する空車タクシーの運転者と通話し、配車を依頼するようにするものである。
【0019】
なお本発明のタクシー配車システムは、あらかじめ利用情報が登録された各運転手または各運転手が所属するタクシー会社等から、システム管理センター10に対して所定の利用料が支払われるが、一般の利用者は登録の必要がないので利用料は支払われない。したがって、極めて多数の人々にこのタクシー配車システムを認知してもらい、手軽に利用してもらう必要があるので、システム管理センター10は大規模な広報・宣伝活動を行うようにする。
【0020】
次に、本発明システムの具体的な実施態様を説明するが、このシステムに参加する運転手は、あらかじめ各自の利用情報を登録しなければならないので、図2を参照して、その手順をステップ毎に説明する。
【0021】
まず始めに、タクシー会社または各運転手は、例えば「タクシーバンクドットコム」等のタイトルが付された電子掲示板12の運転手用サイトを介して、タクシー配車システムの利用の申し込みを行うのであるが、この際に、利用の申し込みをタクシー会社が主体となって行う場合でも、利用情報の登録はそれぞれの運転手毎に行われるものとする(ステップ1、以下S1等と略して記載する)。
【0022】
また各運転手は、GPS機能付携帯電話機の用意をする必要があるので、該当する携帯電話機を未所有の者は店頭で購入するか、またはシステム管理センター10(あるいは所属するタクシー会社等)からの貸与を受ける(S2)。
【0023】
続いて各運転手は、前記した運転手用サイトを利用して各運転手に関する利用情報の登録を行うのであるが、この場合の登録内容は、該当する運転手の氏名、携帯電話番号、タクシーの車番、GPS20を介して計測されるタクシーの位置情報公開の同意などである(S3)。
【0024】
上記した利用情報の登録が完了すると、システム管理センター10から専用URLアドレスがメール送信されてくる(S4)ので、以後はその専用URLアドレスを用いて、本発明のタクシー配車システムが実施される。
【0025】
次に、タクシー30に乗務している運転手が、本発明のタクシー配車システムを利用して営業する手順および携帯電話機40を所持した利用者が、空車タクシー30に乗車するまでの手順を、図3に基づいて説明する。
【0026】
該運転手は、乗務の際に携行したGPS機能付携帯電話機から前記運転手用サイトへアクセスし(S11)、前記専用URLアドレスへログインする(S12)と、例えば「現在の状態を選んで下さい」というような字句が表示され、「賃車」「空車」のどちらかの選択を促されるので、「空車」を選択して現車情報の更新を行う(S13)。
【0027】
この現車情報の更新に伴い、システム管理センター10のWEBサーバー11においては、送信された該現車情報とGPS20を介して計測された空車タクシー30の位置情報に基づいて、データベースの更新が自動的に行われる(S14)。
【0028】
一方、携帯電話機40を所持して外出した利用者は、その携帯電話機40を用いて、例えば「どこでもタクシードットコム」等のタイトルが付された電子掲示板12の利用者用サイトへアクセスして配車の要望を送信する(S21)のであるが、その場合に、携帯電話機40の画面に表示された案内に従って現在位置のエリアを指定する(S22)。その現在位置の指定手順は、例えば都道府県別エリアの中から「大阪府」を選択し、次の大阪府のエリアの中から「吹田市」を選択し、吹田市のエリアの中から「山手町」を選択するというように、対象地域を順次狭めていき、最終エリアを決定して送信するようにする(S23)。
【0029】
すると、WEBサーバー11は、その利用者の現在位置エリアに待機している空車タクシーを検索するのであるが、複数の空車タクシーが確認された場合は、利用者の最も近くにいる空車タクシー30が検索されその情報が提供されるようになっており(S24)、また利用者がその該当タクシー30の運転手と直接通話できるように設定されている(S25)。この場合の通話手段としては、利用者の携帯画面に該当する空車タクシー30の携帯電話番号が表示されて、その表示番号を押下ることにより即時に通話可能とする方法や、利用者の携帯画面には電話番号が表示されず、例えば「該当タクシーに接続中」というような表示がなされ、運転手の携帯電話機と利用者の携帯電話機が自動的に接続される方法等の種々な手段が採用される。なお自宅や勤務先等のパソコン端末を用いて本発明システムを利用する場合は、パソコン画面上に該当するタクシーの携帯電話番号が表示され、その番号に別途の電話機から通話するものとする。
【0030】
利用者から配車依頼を受けた空車タクシー30の運転手が、利用者の指定する場所に車を移動させて配車が完了するが、この際に、運転手は現車情報を「賃車」に更新するものとする(S15)。また目的地で乗客が降車した後は、再び現車情報を「空車」に更新して新しい利用者を待つようにする(S16)。
【0031】
なお、タクシーの配車を希望する場所が空車タクシーの手薄なエリアである場合は、利用者の携帯電話機40に「空車まで30分」というような表示を行い、システム管理センター10において、30分以内の配車可能なタクシー会社等に受注情報を引き継ぐことも可能であり、また運転手が利用者用サイトへアクセスすれば、その空車タクシーの現在位置から比較的近距離にいる配車希望者の所在地が判明するので、配車希望者が多数いる地域にタクシーを移動させれば、受注効率を飛躍的に向上させることもできる。
【0032】
なおまた本発明システムの運用に際して、システム管理センター10では各タクシーの位置情報とデータベースの更新のみを管理し、利用者からの受注管理は各タクシー協会・組合・企業の諸系団体において管理することも可能である。
【0033】
本発明は以上のように構成されたGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システムであるので、利用者を捜す空車タクシーと空車タクシーを捜す利用者とを、GPSを介して効率的に引き合わすことが可能となっているのである。
【符号の説明】
【0034】
10 システム管理センター
11 WEBサーバー
12 電子掲示板
20 GPS
30,31,・・・ タクシー
40,41,・・・ タクシー利用者の携帯電話機
N インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用情報登録済みのタクシー運転手が乗務の際に携行するGPS機能付携帯電話機と、タクシー利用者が使用する電子的情報伝達端末と、WEBサーバーを含む電子掲示板を有して成るシステム管理センターとにより構成されるタクシーの配車システムであって、該システム管理センターは、前記運転手から送信されるタクシーの現車情報とGPSにより計測されたタクシーの位置情報を管理するとともに、電子的情報伝達端末を用いて配車の要望を送信してきたタクシー利用者に対して、その現在位置エリアにおける空車タクシー情報を提供するようにしたことを特徴とするGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システム。
【請求項2】
上記した現車情報が、空車または賃車のいずれかの情報であることを特徴とする請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システム。
【請求項3】
上記したタクシー運転手の利用情報が、該当する運転手の氏名等の個人情報と、タクシーの位置情報公開の同意であることを特徴とする請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システム。
【請求項4】
上記したタクシー利用者の電子的情報伝達端末が携帯電話機であって、空車タクシー情報を受信したタクシー利用者の携帯電話機と空車タクシー運転手の携帯電話機の接続が設定され、タクシー利用者から直接配車依頼が行われることを特徴とする請求項1に記載のGPS機能付携帯電話機を用いたタクシー配車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−248848(P2011−248848A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131450(P2010−131450)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(510160557)株式会社ライセンス (1)
【出願人】(510160568)
【Fターム(参考)】