説明

HMG−CoA還元酵素阻害薬を合成する方法

スタチンの新規な合成は、スタチンの複素環コアと必要な立体化学配置をすでに有しているラクトン化側鎖とのWittig反応を用いる。ジアステレオ異性体のいずれの分離も、合成の過程の初期に実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタチンとしても知られているHMG−CoA還元酵素阻害薬、特にロスバスタチンを調製する方法に関する。具体的には、本発明は、すべてのスタチンの調製に使用することができる共通の中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
その代表例が、ロスバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ベルバスタチンもしくはこれらの類似体またはプラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチンもしくはこれらの類似体から選択することができるスタチンの生物学的活性のための必要条件は、それぞれ、芳香族コアに結合したヘプタン酸またはヘプタン酸部分(遊離酸、塩またはラクトン)からなるこれらの構造、特に、これらの立体化学配置、これらの代表例ロスバスタチンアニオンの以下の式
【0003】
【化48】

に示される、特に、キラル原子における配置であると考えられる。
【0004】
スタチンへの合成のアプローチは、例えば、US4625039およびWO05/047276から知られている。
【発明の開示】
【0005】
本発明において、キラリティの1つの中心が、容易に入手可能な出発化合物にすでに存在しており、一方、他の中心が合成の過程の初期に導入される、スタチンの新規な合成法を提案する。したがって、本発明者らは、所望の立体化学配置を有する部分IX
【0006】
【化49】

[式中、Rは保護基である。]
を、スタチンの骨格の適当なホスホニウム塩またはホスファイトと反応させる、極めて制御された方法を開発してきた。この部分を(S)前駆体から立体選択的な方法で合成することが重要であった。これは、新規な中間体VII
【0007】
【化50】

[式中、Rは、(場合により置換されている)アルキルである。]
を介する反応によって達成される。
【0008】
それゆえ、唯一のエナンチオマー分離ステップは、化合物
【0009】
【化51】

[式中、X’’は、ハロまたはアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルである。]
を分離する時に行われ、これは合成の過程の初期である。さらに、本発明者らは、これらの前駆体化合物の合成を、所望の(4R,6S)−ジアステレオ異性体が高収量で得られる方法に方向付けてきた。
【0010】
一般的な合成経路を以下のスキーム1に示し、シリル保護を用い、およびロスバスタチンCaの合成について例示した特定の例をスキーム2に示す。
【0011】
【化52】

【0012】
【化53】

本発明者らの発明によれば、本発明者らは化合物IX
【0013】
【化54】

[式中、Rは保護基である。]
をWittigカップリングの条件下で、以下の式
【0014】
【化55】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、
、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
Xはアニオン、好ましくはハロゲンまたはRCOOアニオン、より好ましくはクロロ、ブロモまたはトリフルオロアセテートであり、
Hetは、スタチンの複素環骨格を形成するように選択され、好ましくは
【0015】
【化56】


から選択される。]
の複素環誘導体と反応させ、
保護基の除去、場合による、ラクトンの加水分解、および遊離酸またはこの塩への変換を含み、加水分解(必要な場合)の前に二重結合への水素原子の導入を含んでもよい後処理をすると直ちに、ロスバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、アトルバスタチンおよびこれらの類似体またはこの塩が形成される。
【0016】
中間体化合物IXは、どのスタチンを調製するかにかかわらず同じである。この化合物は、2つの互変異性体の形態
【0017】
【化57】

で存在することができ、このうち後者は、Wittig反応を受けず、したがって収率を低下させ、および/または副生成物を増加させることは特異なことである。非極性溶媒中では、平衡において、アルデヒドに対応するIXの1つの形態のみ観察することができる。この形態(複数)は、様々な溶媒系において、13C NMRを用いてオレフィンシグナルに対する150〜110ppmの間のスペクトルを注意深く試験することによって観察することができる。さらに、固体IXをトルエン、クロロホルムまたはジクロロメタンまたはヘキサン、好ましくはトルエン中でコンディショニングした後は(最大1週間まで溶解させておく)ケト形のみが存在し、したがって、これもWittig反応に対して好ましく、有利な溶媒である。
【0018】
さらに、化合物IXは、この水和物
【0019】
【化58】

に水和する傾向があり、これもWittig反応に適していない。本発明者らは、Wittig反応の収率を向上させるために、アルデヒド−水和物の平衡を研究してきた。この反応を研究して、本発明者らは、トルエンは、平衡によりアルデヒドとして化合物のおよそ半分および水和物として半分が形成されるTHFに比較して、収率が有意に向上する溶媒であり、したがって、Wittig反応に対する溶媒として一般的に使用されるTHFは、適していないことを見出し、本発明者らは、(クロロホルム、ジクロロメタン)などの塩素化溶媒、ヘキサン、好ましくはトルエン中において、この平衡は、アルデヒドの方に移動することを見出している。
【0020】
本発明は、中間体IXをIVaから調製する単純な方法を提供し、IVaもまた、市販されている(S)−エチル−3−ヒドロキシ−4−クロロブチレートから5ステップのみで調製される。特に、所望の立体異性体の全体的収率23〜31%を有する(この収率は、知られている方法よりかなり高い)、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)。
【0021】
本発明者らの発明の方法に使用される中間体化合物IXは、化合物VIa(4R,6S)−4−(保護されたヒドロキシ)−6−(ハロメチル)−テトラヒドロピラン−2−オンまたはこの誘導体(X’’=アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル)から、式VIIの化合物(エステル、例えば、ピバロエート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテートおよびこの誘導体、フェニルアセテートおよびこの誘導体、ジフェニルアセテート、3−フェニルプロピオネート、ペンテノエート、4−オキソペンタノエート、ペンテノエート、好ましくはアセテート)を介して、式VIIIの化合物に変換し、式IXの化合物に酸化することによって調製される。
【0022】
が場合により置換されているアルキルの場合、化合物VIIへの変換が必要である。なぜなら、ハロ誘導体のヒドロキシル誘導体への直接変換を試みると、分解生成物しか得られないか、またはラクトン環の開環が引き起こされるからである。
【0023】
必要な立体化学配置は、中間体化合物VIの合成の最後のステップで達成され、化合物VIは、ハロゲン求電子剤源として分子状ハロゲン、例えば、ヨウ素、臭素または塩素を用いて、化合物Vのハロゲンにより媒介される環化によって調製される。あるいは、ハロゲン源もこの反応に適用することができる。最も一般的に使用されるものは、KI、KI、Ca(OCl)などの、アルカリまたはアルカリ土類のハロゲン化物またはオキソハライド、元素状ヨウ素および酢酸ヨードニウム(I−OAc)、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、ビスピリジンヨードニウムテトラフルオロボレート(PyIBF)などのハロゲン(I)試薬より高反応性を有する、一塩化ヨウ素(I−Cl)、一臭化ヨウ素(I−Br)などのハロゲン間化合物である。ジアセトキシヨードベンゼン、ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン、ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨードベンゼン(Koser’s試薬)などの超原子価ハロゲン求電子剤も、ハロ環化反応に適用することができる。しかし、VをラクトンVIaとVIbの(R,S)と(R,R)−ジアステレオ異性体の混合物に変換するためには、分子状ヨウ素が好ましくは使用される。好都合なことには、この反応は、(R,S)−ジアステレオ異性体が、(R,R)−ジアステレオ異性体の過剰で形成され、所望により、(R,S)−ジアステレオ異性体を混合物から分離して光学的に純粋な化合物VIaを得るように実施される。X’’をさらに置換して、X’’がそれによって適した置換基、好ましくは、ハロ、シアノ、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニル、最も好ましくはヨードにすることができる。
【0024】
化合物Vは、式IIIの化合物から、好ましくは、オルトホスファイト誘導体およびハロゲン化銅(I)の存在下で、適当なグリニャール試薬(ビニルマグネシウムハライド)
【0025】
【化59】

[式中、X’はハロゲン、好ましくはクロライドである。]
との反応によって、式IVの化合物を得て、式Vの化合物に加水分解して調製することができる。
【0026】
全体の合成の適した出発化合物は、アルキル3(S)−ヒドロキシ−4−クロロブチレートI[ここで、Rは好ましくは、(好ましくは、アルキルまたはアリールによって場合により置換されている)C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルである。]であり、あるいは、出発化合物は、Iの誘導体[ここで、例えば−COORは、式−CONRのアミド(RおよびRは、独立に、H、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル、アリールであることができ、またはNと一緒になって複素環を形成することができる。)であることもできる。]であってもよい。本明細書において、置換されているとは、置換されている部分が、アシル、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、ニトロ、アミノ、アルコキシから好ましくは選択される1つ以上の置換基を有していることを意味する。別段の指示がなければ、本明細書におけるアルキルおよびアリールは、12個までの炭素原子を有し、好ましくは、1、2、3、4、5、6もしくは7個の炭素原子を有するアルキル、および1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい、3つまでの縮合された芳香環、より好ましくは、さらに置換されていてもよいフェニルを有するアリールを好ましくは意味する。
【0027】
【化60】

【0028】
しかし、任意のハロ誘導体または類似化合物を使用することができる。ヨード誘導体を使用すること、または前記化合物を式IIのこのヨード誘導体[ここで、XはIであり、Rは上記で定義された通りである。]に変換することが好ましい。
【0029】
次のステップにおいて、式IIの化合物のOH基は、任意の保護剤によって保護されて、式IIIの化合物[ここで、Rは、適した保護基、好ましくはシリル、より好ましくはC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリルであり、アルキルは、同じか異なっていてもよく、好ましくは、アリールはフェニルであり、アルキルは1〜4個のC原子を有する。]を得る。
【0030】
上記の方法は、(薬剤組成物中に含めることができる)ロスバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、アトルバスタチンまたはこれらの類似体から選択されるスタチンを提供する。これらのスタチンは、立体異性体の分離がより後の段階で達成される代替方法において製造されたものに比べて有利である。立体異性体を除去することは難しいことが知られているが、化合物VIaとVIbの初期の分離に従った精製方法は、望ましくない立体異性体の部分を除去する機会をなお提供する。したがって、前記組成物を投与される患者は、望ましくない立体異性体のより低い負荷を実現し、副作用レベルが軽減される。
【0031】
本発明の一実施形態では、一般式VIa[ここで、Rはtert−ブチルジメチルシリルである。]に対応する化合物(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)が調製され、スタチンのための適した前駆体に変換される。例えば、(6a)を、一般式IX[ここで、Rはtert−ブチルジメチルシリルである。]に対応する(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)に変換することができ、(9)は、適当な複素環系、特定の実施形態ではピリミジン系とさらに結合することができ、保護基の除去およびラクトン環の開環および塩への変換をするとすぐに、特定の実施形態では、ロスバスタチンが形成される。
【0032】
(6a)を調製する1つ方法は、J.Chem.Soc.、Perkin Trans.1、1991、133〜140から知られており、メチル2−シアノアセテートから出発する。クロロ類似体(X’’がClである式VIaの化合物)は、酵素的に作製することができる。J.Antibiot.2002、55、147〜154に記載されたように、3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエート(4)は、Tetrahedron Lett.(43)2002、4381〜4384に従って、(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)に変換することができる。
【0033】
第1の合成ステップにおいて、(S)−エチル3−ヒドロキシル−4−ヨードブチレート(2)は、エチル3(S)−ヒドロキシ−クロロブチレート(1)からNaIとの反応によって調製される。適した溶媒は、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMA)、ヘキサメチルホスホルトリアミド(HMPTA)から選択されるアミド;N−メチルピロリドン(NMP);N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU);N,N,N’,N’−テトラメチル尿素(TMU);ジメチルスルホキシド(DMSO);アセトニトリル;低級アルコール;ケトン、好ましくはアセトンから選択される。この反応は、58℃〜90℃の間の温度で、好ましくは60℃で実施することができ、半日からより多い日数まで、好ましくは41時間(90℃で)から120時間(60℃で)の期間で実施される。
【0034】
第2のステップにおいて保護基が導入され、すなわち、(S)−エチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ヨードブチレート(3)が、エチル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレートおよびtert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(TBSCl)から調製される。後者のモル量は、ブチレート1モル当たり1.5モル未満であることができる。この反応は、好都合なことには、アミド(DMF、DMA、HMPTA、NMP、DMPU、TMU)、DMSO、ニトリル(アセトニトリル)、塩素化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族炭化水素(トルエン)などの溶媒中の、好ましくはDMF中のアミン、イミダゾールおよびピリジンから選択される塩基、好ましくはイミダゾールの存在下で実施される。この反応は、0℃〜10℃の間の温度で、好ましくは0℃で実施することができ、好ましくはNaIの存在下で実施される。この反応は、1時間から最大1日まで、好ましくは12〜17時間の期間で実施される。
【0035】
第3のステップにおいて、エチル3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエート(4)が、ビニルマグネシウハライドおよび(S)−エチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ヨードブチレートから、アミド(DMF、DMA、HMPTA、NMP、DMPU、TMU)またはDMSOなどの溶媒、好ましくはN,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)中で、好ましくは、ハロゲン化銅、好ましくはCuIおよび式
【0036】
【化61】

[式中、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、同じかもしくは異なるC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または場合により置換されていてもよいアリールであり、好ましくはC−Cアルキル、フェニル、ベンジル、最も好ましくはP(OEt)である。]
のオルトホスファイト誘導体の存在下で調製される。この反応は、−45℃〜−25℃の間の、好ましくは−40℃の温度で実施することができる。この反応は、ビニルマグネシウムクロライド、ブロマイドまたはアイオダイドと共に、好ましくはビニルマグネシウムクロライドと共に実施することができる。この反応は、最大1日まで、好ましくは3時間〜5時間中で実施され、その後、−10℃〜0℃でNHCl飽和水溶液を加えることによってクエンチする。この粗生成物を水非混和性の溶媒で抽出し、有機溶液をHSO、HCl、HPO等の希釈した酸で洗浄する。
【0037】
これらの3つのステップのそれぞれにおいて、生成物は、好都合なことには、EtO(ジエチルエーテル)、i−PrO(ジイソプロピルエーテル)、t−BuMeO(tert−ブチルメチルエーテル)などのエーテルまたはペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのアルカンまたは塩化メチレンなどの塩素化炭化水素のような水非混和性の溶媒、好ましくはt−BuMeOで抽出することによって単離される。生成物は、適した温度(すなわち、第1のステップに対して70〜90℃、第2のステップに対して70〜95℃、および第3のステップに対して55〜80℃および0.100〜0.500ミリバールで減圧蒸留によって精製することができる。
【0038】
第4のステップにおいて、今までにまだ単離されていない化合物(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)が、MeOHなどの溶媒中で、エチル3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエートのアルカリによる加水分解によって調製される。この反応は、0℃〜80℃の間の温度、好ましくは40℃で実施される。この反応は、アルコール、THF、アミド溶媒またはこれらの溶媒と水との混合物、好ましくはアルコール中で実施される。この反応は、およそ数分間または数時間で、好ましくは0.5時間〜3時間で実施される。このエステルの加水分解は、塩基としてNaOH、KOH、LiOH、CsOH、Ca(OH)またはBa(OH)で、好ましくはKOHで行うことができる。加水分解に続いて、HCl、HSO、HPO等の希釈された酸で、好ましくはHClでpH2に酸性化する。上記の通りのエーテルおよびアルカン、好ましくはt−BuMeOによる再抽出が可能な単離方法である。
【0039】
第5のステップにおいて、(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)が、ヨウ素によって、淡黄色の固体として、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オンと(4R,6R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6aおよび6b)の混合物に変換される。この固体をn−ペンタンから好ましくは数回再結晶させて、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(d.e.99.3%)(6a)を無色針状体として収率43%で得る。この単純なステップが、必要なキラリティを分子中に導入する。この反応は、−10℃〜10℃の間の温度、好ましくは0℃で実施することができる。上記の通りのエーテルおよびアルカンによる、好ましくはt−BuMeOによる再抽出を使用することができる。この光学的に純粋な化合物(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オンは工業規模のHPLCによって単離することができる。
【0040】
ジアステレオ異性体(特定の実施形態において、割当量6a:6b=4:1で出発して)は、移動相としてヘキサンおよびt−BuMeOの異なる組成物を用いて、順相シリカカラム(PHENOMENEX 4.6×150mm、dp=5μm)により室温で分離することができる。
【0041】
光学的に純粋な化合物とは、HPLCで測定して、96%を超え、好ましくは99%を超え、より好ましくは99.7%を超えるジアステレオ異性体過剰率(d.e.)を意味する(d.e.99%は、比率99.5%/0.5%を意味する。)。
【0042】
この光学的に純粋な化合物(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オンはまた、代わりに、保護されていない(4R,6S)−6−(クロロメチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オンから得ることができる(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(クロロメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(VIa、X’’=Cl)から調製される。(4R,6S)−6−(クロロメチル)−4−ヒドロキシ−テトラヒドロピラン−2−オンは、Proc.Natl.Acad.Sci.米国 2004、101、5788〜5793に記載された通りに、デオキシリボース−5−リン酸アルドラーゼ(DERA)によって触媒されるワンポットタンデムアルドール反応、続いて化学酸化ステップを行うことによって酵素的に調製することができる。Rが例示されたtert−ブチルジメチルシリルと異なる保護基の場合、類似の手順を適用することができる。
【0043】
第6の反応ステップにおいて、((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルアセテート(7)が、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オンから調製される。この反応は、0℃〜130℃の間の温度で、好ましくは120℃で実施することができる。この反応は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)もしくはヘキサメチルホスホルトリアミド(HMPA)から選択されるアミド溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)または酢酸(AcOH)中で、好ましくはAcOH中で実施することができる。この反応は、最大1日で、好ましくは1時間〜17時間中で実施される。アシル化(ヨウ素の置換)は、求核試薬として、NaOAc、KOAc、LiOAc、CsOAc、AgOAc、CuOAc、Ca(OAc)、Mg(OAc)またはRNOAcからなる群から選択されるアシル化試薬で、好ましくはLiOAcまたはAgOAcで実施することができる。抽出による粗生成物の単離は、上記のように、AcOEt、エーテルおよびアルカンで、好ましくはt−BuMeOで実施することができる。
【0044】
第7の反応ステップにおいて、((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルアセテート(7)は、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(8)に脱アシル化される。反応は、アルカリ水酸化物により進行することができるが、最も選択的な試薬が好ましい。脱アシル化はまた、酵素:ブタの膵臓リパーゼ、リパーゼMY、リパーゼPS、リパーゼAl、カンジダリパーゼおよびAlcalase、またはグアニジンおよびグアニジン/硝酸グアニジニウム、HBF×EtO/MeOHおよびBF×EtO/MeCN、DBU/MeOH、ヒドラジン/MeOHおよびヒドラジン水和物/THF、シアニド/MeOH、I/MeOHからなる群から選択される試薬、または[t−BuSnOH(Cl)]などのジアルキルクロロスタンニルヒドロキシド二量体のようなスズ触媒により実施することができる。ジアルキルクロロスタンニルヒドロキシド二量体が好ましく、[t−BuSnOH(Cl)]が最も好ましい。[t−BuSnOH(Cl)]を用いた反応は、0℃〜40℃の間の温度で、好ましくは25℃で実施することができる。この反応は、MeOH、EtOH、i−PrOHなどのアルコール中で、またはこれらのアルコールとTHF、EtO、i−PrO、t−BuMeOなどのエーテルとの混合物中で実施することができる。脱アセチル化反応に対して、5〜15モル%のスズ触媒を使用することができる。この反応は、最大1日まで、好ましくは4〜17時間中で実施される。この生成物の単離は、結晶化によって実施することができる。このためには、上記のように、アルカンまたはエーテル、好ましくはヘキサンを使用することができる。
【0045】
第8の反応ステップにおいて、(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)が、(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(8)から、適当な酸化、例えば、ジメチルスルホキシドにより媒介される酸化(Swern酸化:DMSO−(COCl)の組合せ、Pfitzner−Moffatt法:DMSO−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の組合せ、Parikh−Doering法:DMSO−SO×Pyの組合せ)、N−オキソアンモニウムにより媒介される酸化(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシル(TEMPO)−酸化剤の組合せ)、有機超原子価ヨウ素化合物による酸化、例えば、Dess−Martinペルヨージナン(DMP)またはo−ヨードキシ安息香酸(IBXまたはSIBX)、クロム(VI)酸化剤による酸化、例えば、Collins試薬(CrO×Py)、重クロム酸ピリジニウム(PDC)(PDC−活性化モレキュラーシーブ4Åの組合せ)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、マンガン誘導体による酸化、例えば、MnOおよびBaMnO、またはテトラ−n−プロピルアンモニウムペルルテネート:PrRuO(TPAP)によって形成される。この反応は、0〜40℃の間の温度で(Dess−MartinペルヨージナンおよびPDC−活性化モレキュラーシーブ4Åの組合せ)および−80℃〜−40℃で(Swern)実施することができる。この反応は、CHCl、CHCl、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(BMIMBF)のようなイオン性液体(IL)またはDMSO中で実施することができる。この反応は、1〜24時間で実施される。この粗生成物の抽出による単離は、上記のようにAcOEt、エーテルまたはアルカンで、好ましくはPhMe、MTBEまたはAcOEtで実施することができる。
【0046】
が本明細書で使用されたt−ブチルジメチルシリルと異なり、およびRが本明細書で使用されたEtと異なる、本発明の範囲内の方法にも、類似の反応条件を適用することができる。したがって、本明細書に記載の反応の反応時間は修正してもよく、一般に、反応条件、特に温度、使用される溶媒および任意の触媒の存在により決まる。
【0047】
一般式IXの形成された化合物は、スタチンを合成するために使用することができる。その後の反応ステップは、どの最終化合物が合成されるかに応じて異なる。
【0048】
式IXの化合物のWittig結合は、好ましくは、金属アミドまたはシラザン、最も好ましくは、ナトリウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、ブチルリチウムまたはグリニャール試薬から選択される強塩基の存在下で、−80℃から40℃の間の温度で、有機溶媒または有機溶媒の混合物中、好ましくは、トルエン、または他の有機溶媒とトルエンの混合物またはテトラヒドロフラン中で実施され、方法は、(場合により)反応混合物を濃縮するステップ、水の存在下で反応混合物を酸性化し、生成物を水非混和性の有機溶媒中に抽出するステップ、(場合により)生成物の有機溶媒溶液を水、アルカリ塩またはアンモニウム塩の水溶液、および/または無機酸の水溶液で洗浄するステップ;(場合により)生成物の有機溶媒溶液を水/極性の非プロトン性溶媒で洗浄するステップ;(場合により)乾燥剤で溶液を乾燥させるステップ;好ましくは蒸発によって、溶液を濃縮して、残留物を得るステップ;およびシリカによるカラムクロマトグラフィーで残留物を精製すステップを含む、反応混合物の処理をさらに含んでもよい。
【0049】
ロスバスタチンに関連す特定の実施形態において、次の反応ステップで、(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)をWittigカップリングの条件下で(塩基の存在下で)、((4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)メチル)トリフェニルホスホニウムハライドもしくは任意の他の((4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)メチル)ホスホニウム塩、または二者択一的にジ−i−プロピル({4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−5−ピリミジニル}メチルホスホネートもしくは任意の他の({4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−[メチル(メチルスルホニル)アミノ]−5−ピリミジニル}メチルホスホネートエステルと反応させて、N−(5−((E)−2−((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(10)を得る。塩基として、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、カリウムヘキサメチルジシラザン(KHMDS)、ナトリウムヘキサメチルジシラザン(NaHMDS)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、水素化ナトリウム、ブチルリチウムまたはグリニャール試薬、好ましくはナトリウムヘキサメチルジシラザンを使用することができ、この反応は、THF、EtO、i−PrO、t−BuMeOから選択されるエーテル;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンから選択されるアルカン:トルエンまたはこれらの混合物中で実施することができる。好ましい溶媒は、無水のトルエンおよびテトラヒドロフランである。この反応は、−80℃〜40℃の間の温度で、好ましくは0〜30℃で実施することができる。この反応は、1〜12時間で実施される。抽出による粗生成物の単離は、上記のようにAcOEt、エーテルまたはアルカンで、好ましくはt−BuMeOで実施することができる。
【0050】
このシリル保護基を除去し、ラクトンを開環して、ロスバスタチンの遊離酸またはこの塩、場合によりアミンを生成することができ、これはヘミカルシウム塩に変換することができる。
【0051】
この脱保護は、0℃〜80℃の間の温度で、好ましくは25または60℃で、適当な溶媒、好ましくはアルコール、THF、アセトニトリル、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、CHClから選択される溶媒中で、より好ましくはアルコールおよびTHF中で実施することができる。通例の脱保護試薬は、例えば、フッ化アンモニウム、FeCl、TMSCl/HF・2HO、クロロギ酸クロロエチル(CEC)、PhPCHCOMeBrを使用することができる。ラクトンの開環は、好ましくは、THF/HOの4:1〜2:1混合物、加えて純粋なTHF中で、20℃〜60℃の間の温度でNaOH、KOH、アンモニアまたはアミンなどの適したアルカリと共に行われる。この加水分解は、30分間(60℃で)〜2時間(20℃で)で実施される。その後、減圧下で溶媒の蒸発を10℃〜50℃の間の温度で実施することができ、およびカルシウム塩への変換を、好ましくはCa(OAc)×HO(これは、一度にまたは5〜60分間で滴下して加えてもよい。)を添加することによって、0℃〜40℃の間の温度で実施することができる。Ca(OAc)×HOの添加後、懸濁液を0℃〜40℃の間の温度で30分〜2時間撹拌することができる。
【0052】
他のスタチンを生成するために、(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)をWittigカップリングの類似の条件下で、適当な試薬と反応させ、続いて必要な場合は、水素化が行われる。
【0053】
アトルバスタチンなどの窒素を含むスタチンは、X’’がシアノである式VIaの化合物を用いて、アミンに変換し、および適当な誘導体で環化して、これを後処理すると窒素を含む前記スタチンに変換することができる中間体を得ることによって、類似の方法で調製することができる。このようにして、(6a)をシアン化物の存在下で、2−((2R、4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)アセトニトリルに変換することができ、続いてシアノ基を還元し、次にアミノ基を適当な前駆体と環化縮合して、窒素を含むスタチン、好ましくはアトルバスタチン誘導体が得ることができる。
【0054】
本発明の態様の要約は以下の通りである。
【0055】
本発明者らの発明の第1の主要な態様は、式VIa
【0056】
【化62】

[式中、X’’は、ハロ、好ましくはヨードであり、Rは、保護基、好ましくは、シリルまたはベンジルであり、[より好ましくは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリルから選択され、ここでアルキルは、同じであるか異なっていてもよい。]]
の化合物を調製する方法であり、
式I
【0057】
【化63】

[式中、Rは、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、代わりに、−COORは、式−CONRのアミド(ここで、RおよびRは、独立に、H、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル、アリールであり、またはNと一緒になって複素環を形成することができる。)を形成してもよい。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−クロロブチレートをヨウ化物と(場合により)反応させて、式II
【0058】
【化64】

[式中、Rは上記の通りである。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレートを得るステップ、
式IIの化合物を保護して、式III
【0059】
【化65】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
の保護された誘導体を得るステップ、
式IIIの化合物をハロゲン化銅(I)および式
【0060】
【化66】

[式中、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、同じか異なるC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または場合により置換されているアリールである。]
を有するホスファイト誘導体の存在下で、ビニルマグネシウムハライド[好ましくは、ビニルマグネシウムクロライド]と反応させて、式IV
【0061】
【化67】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
のアルケンを得るステップ、
式IVの化合物を加水分解して、[好ましくは、アルカリにより、続いて酸性化する。]
式V
【0062】
【化68】

の化合物を得るステップ、
式Vの化合物[ここで、Rは上記の通りである。]をNaHCOの存在下で、ハロゲン源[ヨウ素、臭素、塩素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のハロゲン化物もしくはオキソハライド、ハロゲン間化合物、ハロアセテート、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、ビスピリジンヨードニウムテトラフルオロボレートおよび超原子価ハロゲン求電子剤からなる群から好ましくは選択される。]
と反応させるステップ、
先のステップで得られたジアステレオ異性体の混合物を(場合により)分離するステップを含む。
【0063】
一態様において、式VIaの化合物は、HPLCで測定して、99%d.e.を超える光学的純度で単離される。
【0064】
本発明の他の態様は、上記請求項に記載の方法のいずれかにおける、t−BuMeO、i−PrO、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、AcOEt、塩化メチレン、クロロホルムおよびこれらの混合物(複数可)からなる群から選択される溶媒の使用、および上記請求項に記載の方法のいずれかにおいて、得られた化合物の精製工程における減圧蒸留の使用である。
【0065】
上記の化合物VIへの方法に加えて、本発明者らの発明の第2の主要な態様は、式IX
【0066】
【化69】

[式中、Rは、上記で定義された通りである。]
の化合物を、式VIa
【0067】
【化70】

[式中、X’’は、ハロゲン、アルキルスルホニル、またはアリールスルホニルであり、ここで、これらのスルホニル誘導体は、ハロ化合物から従来の方法によって調製することができる。]
の化合物から調製することをさらに含む。
【0068】
より具体的には、丁度今説明した方法において、式IXの化合物は、
【0069】
【化71】

[式中、Rは上記で定義された通りである。]
g)式VIa
【0070】
【化72】

[式中、X’’は、ハロ、アルキルスルホニル、またはアリールスルホニルである。]
の化合物を式VII
【0071】
【化73】

[式中、Rは、(ハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで場合により置換されている)C−Cアルキルである。]
の化合物に変換するステップ、
h)式VIIの化合物を式VIII
【0072】
【化74】

の化合物に変換するステップ、
i)式VIIIの化合物を酸化によって、式IX
【0073】
【化75】

の化合物に変換するステップ
から選択される1つ以上のステップを含む方法によって調製される。
【0074】
個々のステップの特定の態様は、g)は、NaOAc、LiOAc、KOAc、CsOAc、AgOAc、CuOAc、Mg(OAc)、Ca(OAc)、RNOAcからなる群から選択されるアシル化試薬により実施される。h)は、ジブチルスズオキサイドまたは[t−BuSnOH(Cl)]から選択される有機スズ化合物による脱アシル化によって、またはブタの膵臓のリパーゼ、リパーゼMY、リパーゼPS、リパーゼAl、カンジダリパーゼおよびAlcalaseからなる群から選択される酵素との、または、グアニジンおよびグアニジン/硝酸グアニジニウム、HBF×EtO/MeOHおよびBF×EtO/MeCN、DBU/MeOH、ヒドラジン/MeOHおよびヒドラジン水和物/THF、シアン化物/MeOH、I/MeOHからなる群から選択される試薬との反応によって実施される。i)は、ジメチルスルホキシドにより媒介される酸化(Swern酸化:DMSO−(COCl)の組合せ、Pfitzner−Moffatt法:DMSO−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の組合せ、Parikh−Doering法:DMSO−SO×Pyの組合せ)、N−オキソアンモニウムにより媒介される酸化(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシル(TEMPO)−酸化剤の組合せ、Dess−Martinペルヨージナン(DMP)およびo−ヨードキシ安息香酸(IBXまたはSIBX)から選択される有機超原子価ヨウ素化合物による酸化、Collins試薬(CrO×Py)、重クロム酸ピリジニウム(PDC)(PDC−活性化モレキュラーシーブ4Åの組合せ)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)から選択されるクロム(VI)酸化剤による酸化、MnOおよびBaMnOから選択されるマンガン誘導体による酸化またはテトラ−n−プロピルアンモニウムペルルテネート:PrRuO(TPAP)による酸化から選択される酸化反応によって実施される。
【0075】
本発明のさらに他の態様は、式
【0076】
【化76】

の化合物またはこの塩、アミド、もしくはラクトン
[式中、Hetは
【0077】
【化77】

からなる群から選択される。]
を製造する方法であり、
式VIa
【0078】
【化78】

[式中、RおよびX’’は、上記で定義された通りである。]
の中間体を、上記の本発明の第1の主要な態様である方法によって調製すること、
式IX
【0079】
【化79】

[式中、Rは、上記で定義された通りである。]
の中間体を式VIaの中間体から、上記の本発明の第2の主要な態様である方法によって調製すること、および
式IXの中間体を式
【0080】
【化80】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、
、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は、アニオン[好ましくは、ハロゲン化物またはアルカノエート]であり、
Hetは、上記で定義された通りである。]
の化合物と反応させることを含み、
式X
【0081】
【化81】

[式中、RおよびHetは、上記で定義された通りである。]
の化合物が、式XI
【0082】
【化82】

[式中、RおよびHetは、上記で定義された通りである。]の化合物または、この塩、アミド、もしくはラクトンに変換される、1つ以上のそれに続くステップを場合により含む。
【0083】
好ましくは、Hetは、式
【0084】
【化83】

を有するロスバスタチンの複素環骨格である。
【0085】
本発明の他の特定の態様は、ロスバスタチンを製造する方法であり、
式I
【0086】
【化84】

[式中、Rは、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキルであり、または代わりに、−COORは、式−CONRのアミド(ここで、RおよびRは、独立に、H、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル、アリールであることができ、またはNと一緒になって複素環を形成することができる。)を形成してもよい。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−クロロブチレートをヨウ化物と(場合により)反応させて、式II
【0087】
【化85】

[式中、Rは上記の通りである。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレートを得るステップ、
式IIの化合物を(場合により)保護して、式III
【0088】
【化86】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
の保護された誘導体を得るステップ、
式IIIの化合物をハロゲン化銅(I)および式
【0089】
【化87】

[式中、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、同じか異なるC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または場合により置換されていてもよいアリールである。]
を有するホスファイト誘導体の存在下で、ビニルマグネシウムハライドと反応させて、式IV
【0090】
【化88】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
のアルケンを得るステップ、
式IVの化合物を加水分解して、式V
【0091】
【化89】

の化合物を得るステップ、
式Vの化合物[ここで、Rは上記の通りである。]をNaHCOの存在下で、ハロゲン源と反応させて、式VIの化合物を得るステップ、
先のステップにおいて得られたジアステレオ異性体の混合物を(場合により)分離して、式VIa
【0092】
【化90】

[式中、X’’はハロであり、Rは上記の通りである。]
の化合物を得るステップ、
式VIaの化合物を式VII
【0093】
【化91】

[式中、Rは上記の通りであり、Rは、(場合によりハロまたはアルコキシまたはアリールオキシで置換されている)C−Cアルキルから選択される。]
の化合物に変換するステップ、
式VIIの化合物を式VIII
【0094】
【化92】

[式中、Rは上記の通りである。]
の化合物に変換するステップ、
式VIIIの化合物を酸化によって、式IX
【0095】
【化93】

[式中、Rは上記の通りである。]
の化合物に変換するステップ、
前記式IXの化合物を式
【0096】
【化94】

[式中、R、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
はアニオン、(好ましくは、ハロゲン化物またはアルカノエートである。)]
の化合物と反応させるステップ、
保護基Rを除去し、場合により精製し、得られた化合物をカルシウム塩に変換するステップと
を含むことを特徴とする。
【0097】
本発明の態様はまた、中間体XI
【0098】
【化95】

のスタチンの合成のための使用であり、
式VIa
【0099】
【化96】

[式中、X’’は、ハロ、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであり、Rは保護基である。]
の中間体から調製されていることを特徴とし、およびまた、式
【0100】
【化97】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(ここで、アルキルは、同じか異なっていてもよく、Rは、場合によりハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで置換されているC−Cアルキルである。)である。]
の中間体のスタチンの合成のための使用である。
【0101】

【0102】
【化98】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(ここで、アルキルおよびアリールは、同じか異なっていてもよく、Rは、場合によりハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで置換されているC−Cアルキルである。)である。]
の新規な化合物、加えてスタチン、好ましくはロスバスタチンの合成における中間体としてのこれらの使用も、本発明の態様であり、好ましくは、Rは、CH、C(CH、CHCl、CHCl、CCl、CF、CHOCH、CHOCPh、CHOPh、CHPh、CHPh、CHCHPh、CH=CHCHCHおよびCHCH(C=O)CH、より好ましくは、Rはt−ブチルジメチルシリルであり、RはCHである。
【0103】
本発明の態様はまた、式
【0104】
【化99】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(ここで、アルキルおよびアリールは、同じか異なっていてもよく、好ましくは、Rはt−ブチルジメチルシリルである。)である。]
の化合物[および、スタチン、好ましくはロスバスタチンの合成のためのこの使用]である。
【0105】

【0106】
【化100】

の化合物を式
【0107】
【化101】

の化合物に変換する方法も、これに関連しており、
クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサンまたはトルエン、好ましくはトルエンに、好ましくは24時間を超え、より好ましくは150時間を超えて溶解することを特徴とする。
【0108】
本発明のより特定の態様は、式X
【0109】
【化102】

の化合物を製造するための方法であり、
式IX
【0110】
【化103】

の化合物を式
【0111】
【化104】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、
、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は保護基であり、
Xはアニオンであり、Hetは、スタチンの複素環骨格を形成するように選択される。]
の化合物と反応させる、Wittig反応を含み、
この反応が、クロロホルムもしくはジクロロメタン、またはヘキサンからなる群、好ましくはトルエンから選択される溶媒中で実施されることを特徴とする。
【0112】
好ましくは、Hetは、
【0113】
【化105】

からなる群から選択される。
【0114】
本発明の他の特定の態様は、ロスバスタチンを製造するための方法であり、
式IX
【0115】
【化106】

の化合物を、式
【0116】
【化107】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、
、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は保護基であり、
Xはアニオンであり、Hetは、スタチンの複素環骨格を形成するように選択される。]
の化合物と反応させる、Wittig反応を含み、
この反応が、トルエン中で実施されることを特徴とする。
【0117】
上記のWittig反応は、式IXの化合物が、反応の少なくとも6時間前にトルエン中に溶解され、および/またはWittig反応が、強塩基の存在下で−80℃および40℃、好ましくは0℃〜40℃、より好ましくは10℃〜35℃の間の温度で実施されることを特に特徴とする。好ましくは、強塩基は、金属アミドもしくはシラザン、金属水素化物、リチウムアルキルもしくはリチウムアリールの群から、より好ましくは、リチウムヘキサメチルジシラザン、ナトリウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、ブチルリチウムまたはグリニャール試薬から選択される。
【0118】
本発明の一態様において、上記の方法は、以下の一連のステップ:
反応混合物を(場合により)濃縮するステップ、
水の存在下で反応混合物を酸性化し、水非混和性の有機溶媒中に生成物を抽出するステップ、
生成物の有機溶媒溶液を水、アルカリ塩もしくはアンモニウム塩の水溶液、および/または無機酸の水溶液で(場合により)洗浄するステップ、
生成物の有機溶媒溶液を水/極性非プロトン性溶媒混合物で(場合により)洗浄するステップ、
乾燥剤で溶液を(場合により)乾燥させるステップ、
溶液を、好ましくは蒸発によって濃縮して、残留物を得て、残留物を精製するステップと
を含むこの反応混合物の処理をさらに含む。
【0119】
本発明特定の態様は、本明細書に記載の方法で製造されることを特徴とする、ロスバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、アトルバスタチンまたはこれらの類似体を含む群から選択されるスタチン、および薬剤として許容される担体および中間体VIa
【0120】
【化108】

[式中、X’’はハロであり、Rは保護基である。]
を用いる方法で製造された、ロスバスタチンカルシウム、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウムから選択されるスタチンを含む薬剤組成物である。
【実施例】
【0121】
本発明の種々の実施形態を以下の実施例で提示する。
実施例1:エチル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレート(2)
【0122】
【化109】

【0123】
エチル3(S)−ヒドロキシ−クロロブチレート(1)(639.0g、3.84モル)の無水アセトン(7.7L)溶液に、無水NaI(2300g、15.34モル)を添加する。この混合物をアルゴン雰囲気下で58〜60℃で120時間激しく撹拌する。減圧下で40〜60℃でアセトンを蒸留して除く。残留物を水(5.75L)で希釈し、続いて飽和Na溶液(1.53L)およびt−BuMeO(2.3L)を添加する。この混合物を周囲温度で30分間激しく撹拌する。次いで、有機層を分離し、水相をt−BuMeO(2×1.15L)で抽出する。合わせた有機層を水(800mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。減圧下(20ミリバール)で40℃で溶媒を蒸発させて、黄色の油としてエチル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレート(2)949.9g(96%)を得る(GC純度85.9%)。粗生成物の減圧蒸留(73〜89℃、0.180〜0.330ミリバールで)によって98〜99%のGC純度を有する生成物を得ることができる。H NMR(300MHz,CDCl):δ 4.17(q,J=7.2Hz,2H)、3.99(m,1H)、3.34(dd,J=10.3および5.2Hz,1H)、3.28(dd,J=10.3および5.7Hz,1H)、3.21(br s,1H)、2.67(dd,J=16.5および4.3Hz,1H)、2.58(dd,J=16.5および7.9Hz,1H)、1.27(t,J=7.2Hz,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl):δ 171.7、67.4、61.0、40.7、14.1、12.0。
【0124】
実施例2:エチル3(S)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ヨードブチレート(3)
【0125】
【化110】

【0126】
イミダゾール(252.3g、7.36モル)の無水DMF(7.6L)溶液に、アルゴン雰囲気下で周囲温度でエチル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレート(2)(949.6g、3.68モル、GC純度85.9%)および無水NaI(1106g、7.36モル)を添加する。この懸濁液を0℃に冷却し、tert−ブチル(クロロ)ジメチルシラン(838g、5.56モル)を分けて添加する。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌し、続いて0℃〜周囲温度で15.5時間撹拌する。次いで、混合物を0℃に冷却し、HO(4.2L)を加える。撹拌2時間後、HO(6.2L)の追加の量および飽和Na溶液(0.5L)を加える。この生成物をt−BuMeOで抽出する。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。減圧下(20ミリバール)で60℃でエーテルを完全に除去して、黄色の油性残留物を得る。この残留物を減圧蒸留によって(80〜89℃、0.150〜0.310ミリバールで)さらに精製して、淡黄色の油としてエチル3(S)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ヨードブチレート(3)1193.5g(97%)を得る(GC純度96.1%)。H NMR(300MHz,CDCl):δ 4.13(qd,J=7.2および2.1Hz,2H)、4.01(m,1H)、3.28(dd,J=10.2および4.2Hz,1H)、3.24(dd,J=10.2および6.0Hz,1H)、2.66(dd,J=15.3および4.8Hz,1H)、2.51(dd,J=15.3および7.2Hz,1H)、1.26(t,J=7.2Hz,3H)、0.87(s,9H)、0.10(s,3H)、0.05(s,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl):δ 170.8、68.3、60.5、42.5、25.6、17.9、14.1、12.9、−4.6、−5.0。
【0127】
実施例3:エチル3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエート(4)
【0128】
【化111】

【0129】
無水THF(875mL)中のCuI(83.64g、437.0ミリモル)懸濁液に、アルゴン雰囲気下で、−44〜−31℃で激しい撹拌下でビニルマグネシウムクロライド(THF中1.9M、460.0mL、874.0ミリモル)を15分間で添加する。得られた暗色のスラリーを15分間撹拌し、DMPU(112g、874.0ミリモル)を−42℃で一度に添加し、続いてP(OEt)(160.1mL、874.0ミリモル)を−40℃で滴下添加する(5分間)。得られた混合物を30分間撹拌し、(S)−エチル3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−ヨードブチレート(3)(162.7g、437.0ミリモル)のTHF(220mL)溶液を−40〜−36℃で15分間で添加する。−40〜−35℃で1時間撹拌を継続した後、この混合物を3.5時間の期間にわたり11℃に温めておく。この反応を−2℃でクエンチし(飽和NHCl、1.0L)、10℃で30分間撹拌する。生成物をi−PrOまたはt−BuMeOで抽出する。減圧下で溶媒を部分的に蒸発させて、黄色溶液を得て、0.1M HSO、水で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。減圧下で(15ミリバール)80℃でエーテルを完全に除去して、黄色の油性残留物を得る。この残留物を減圧蒸留によって(64〜72℃、0.10〜0.44ミリバールで)さらに精製して、無色の油としてエチル3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエート(4)80.8g(67.8%)を得る(GC純度96%)。H NMR(300MHz,CDCl):δ 5.81(ddt,J=17.8,9.6および7.2Hz,1H)、5.11〜5.03(m,2H)、4.21(五重線,J=6.8Hz,1H)、4.12(qt,J=7.1および1.5Hz,2H)、2.43(d,J=7.1Hz,1H)、2.43(d,J=5.4Hz,1H)、2.31〜2.25(m,2H)、1.26(t,J=7.2Hz,3H)、0.87(s,9H)、0.07(s,3H)、0.04(s,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl):δ 171.7、134.1、117.6、68.9、60.2、42.1、42.1、25.7、17.9、14.1、−4.6、−5.0。
【0130】
実施例4:(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)
【0131】
【化112】

【0132】
エチル3(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセノエート(4)(80.60g、295.8ミリモル)のMeOH(500mL)溶液に、40%KOH溶液(150mL)を添加する。この混合物を40℃で2時間撹拌する。混合物を周囲温度に冷却した後、減圧下(20ミリバール)で42℃でMeOHを除去する。得られた褐色固体を、HO(700mL)に溶解する。この溶液をt−BuMeO(1×340mL+3×215mL)で洗浄し、次いで、4N HCl(222mL)でpH=2に酸性化する。水から分離された黄色の油をt−BuMeO(6×110mL)中に抽出する。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。減圧下で(15ミリバール)40℃でエーテルを完全に除去して、橙赤色の油性残留物(68.2g、94.3%)を得る。この残留物を、溶媒としてt−BuMeOを用いてシリカの薄いパッドを通して2回ろ過して、黄色の油として(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)(67.1g、93%)を得る(GC純度97.3%)。H NMR(300MHz,CDCl):δ 11.03(br s,1H)、5.80(ddt,J=17.8,9.5および7.2Hz,1H)、5.13〜5.11(m,1H)、5.08〜5.06(m,1H)、4.20(五重線,J=6.5Hz,1H)、2.54(dd,J=15.1および5.1Hz,1H)、2.46(dd,J=15.1および7.1Hz,1H)、2.33〜2.28(m,2H)、0.88(s,9H)、0.09(s,3H)、0.07(s,3H)。13C NMR(75MHz,CDCl):δ 178.1、133.8、118.1、68.8、42.0、41.8、25.7、17.9、−4.5、−5.0。
【0133】
実施例5:(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)
【0134】
【化113】

【0135】
(R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−ヘキセン酸(5)(68.00g、278.2ミリモル)の無水MeCN(950mL)溶液に、無水NaHCO(708.3g、8.347モル)を周囲温度で添加する。撹拌されている懸濁液を0℃に冷却する。次いで、ヨウ素(212.9g、834.7ミリモル)を激しく撹拌されている懸濁液に一度に添加する。この反応混合物を0℃で4時間撹拌し、続いてt−BuMeOまたはi−PrO(410mL)および飽和Na溶液(820mL)を添加する。有機層を分離し、水相をt−BuMeOまたはi−PrO(5×200mL)でさらに抽出する。合わせた有機層を乾燥させる(MgSO)。減圧下で(20ミリバール)40℃で溶媒を実質的に除去すると、橙色の油性残留物が生じる。残留物をt−BuMeOまたはi−PrO(200mL)に溶解し、この溶液を飽和Na溶液(2×100mL)および水(2×100mL)でさらに洗浄する。この有機層を乾燥させる(MgSO)。減圧下で(20ミリバール)50℃で溶媒を完全にを除去すると、黄色の油性残留物(99.96g、97%)が生じ、10℃未満の温度で固化して、淡黄色固体として(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)と(4R,6R)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6b)の77:23混合物が生じる。そのままの混合物を移動相(ヘキサンおよびt−BuMeO)に溶解し、順相シリカカラム(PHENOMENEX 4.6×150mm、dp=5μm)を用いて、イソクラティック条件で溶離して、HPLCに室温で連続的に注入する。分取操作からの活性分画(すべてのピーク)を回収し、同じシステムによる分析は、(6a)の97面積%および(6b)の0.15%を、多少の他の不純物の存在と共に示す。
【0136】
クロマトグラフの精製の代わりに、この固体をn−ペンタンから7回再結晶させて、無色針状体として(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)43.6g(42.6%)(d.e.99.3%、HPLC)を得る。M.p.=64℃(DSCピーク)。H NMR(300MHz,CDCl)δ:4.60(ddt,1H,J=11.3,5.0,3.2Hz,6−Hax)、4.35(br 五重線,1H,J=3.5Hz,4−Heq)、3.40(d,2H,J=5.0Hz,CHI)、2.59(d,2H,J=3.5Hz,3−CH)、2.10(dddd,1H,J=13.9,3.9,3.2,1.7Hz,5−Heq)、1.76(ddd,1H,J=13.7,11.3,2.1Hz,5−Hax)、0.89(s,9H,SiC(CH)、0.09、(s,6H,Si(CH)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ:169.0、73.9、63.1、38.7、36.2、25.5、17.7、8.6、−5.1、−5.1。
【0137】
実施例6:((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルアセテート(7)
【0138】
【化114】

【0139】
(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヨードメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(6a)(40.00g、108.0ミリモル)のAcOH(660mL)溶液に、AgOAc(20.03g、118.8ミリモル)を添加する。次いで、生じた混合物を125℃で6時間加熱する。この反応混合物を珪藻土フィルター媒体(Celite(登録商標))を通してろ過する。得られたろ液を蒸発させて、残留物を得る。残留物にEtOAc(500mL)および水(600mL)を加える。有機層を分離し、水層をEtOAc(5×150mL)で再び洗浄する。合わせた有機層を水(4×300mL)、ブライン(5×300mL)で洗浄し、無水MgSOにより乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色の油として((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルアセテート(7)30.28g(92.6%)を得る(HPLC純度98%)。H NMR(300MHz,CDCl):δ 4.93(m,1H)、4.37(m,1H)、4.30(dd,J=12Hz,J=3Hz,1H)、4.21(dd,J=12Hz,J=5Hz,1H)、2.62(d,J=4Hz,2H)、2.11(s,3H)、1.84〜1.80(m,2H)、0.89(s,9H)、0.09、0.09(2s,6H)。13C NMR(75MHz,CDCl):δ 170.4、169.1、73.3、65.5、63.0、38.9、32.2、20.5、17.7、−5.1、−5.2。
【0140】
実施例7:(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(8)
【0141】
【化115】

【0142】
((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチルアセテート(7)(8.36g、27.64ミリモル)および[t−BuSnOH(Cl)](1.577g、2.764ミリモル)をMeOH/THF混合物(280mL)に溶解する。この反応混合物を23〜25℃で27時間撹拌する。減圧下で溶媒を除去した後、残った残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(t−BuMeO/ヘキサン混合物で溶離して)によって精製して、白色固体として粗生成物を得る(5.59g、78%)。n−ヘキサンから再結晶化して、白色針状体として(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロ−ピラン−2−オン(8)(3.90g、54%)を得る。M.p.=102℃(DSCピーク)H NMR(300MHz,CDCl)δ:4.80(m,1H)、4.38(m,1H)、3.91(dd,J=12Hz,J=3Hz,1H)、3.66(dd,J=12Hz,J=5Hz,1H)、2.60(d,J=4Hz,2H)、2.31(bs,1H)、1.97〜1.75(m,2H)、0.88(s,9H)、0.09、0.08(2s,6H)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ:170.1、76.8、64.7、63.4、39.2、31.9、25.6、17.9、−4.9、−5.0。
【0143】
実施例8:(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)
【0144】
【化116】

【0145】
(4R,6S)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(ヒドロキシメチル)−テトラヒドロピラン−2−オン(8)(150mg、0.58ミリモル)とDess−Martinペルヨージナン(380mg、0.86ミリモル)のCHCl(15mL)中の混合物を周囲温度で3時間撹拌する。この混合物をt−BuMeO(20mL)で希釈し、飽和Na溶液、飽和NaHCO溶液で洗浄し、乾燥させて(MgSO)濃縮して、粗製(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)130mg(87%)を得て、さらに精製することなく次のステップに使用する。H NMR(300MHz,CDCl)δ:9.82(s,1H)、5.09(dd,J=11Hz,J=4Hz,1H)、4.38(m,1H)、2.67(d,J=4Hz,2H)、2.18〜2.10(m,1H)、1.91〜1.81(m,1H)、0.89(s,9H)、0.09、(s,6H)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ:199.4、168.0、79.2、62.9、39.6、31.4、25.6、17.9、−4.9。(9)の水和形は次のNMRスペクトルを有する:H NMR(300MHz,THF−d)δ:5.27(d,J=6Hz,1H,OH)、5.19(d,J=6Hz,1H,OH)、4.90〜4.85(m,1H)、4.44〜4.38(m,2H)、2.58(dd,J=17Hz,J=4Hz,1H)、2.44〜2.36(m,1H)、1.92〜1.87(m,2H)、0.91(s,9H)、0.10、(s,6H)。13C NMR(75MHz,THF−d)δ:168.7、91.7、79.0、65.1、40.3、31.0、26.2、18.7、−4.8、−4.8。
【0146】
実施例9:N−(5−((E)−2−((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(10)
実施例a)
【0147】
【化117】

【0148】
冷却した(−30℃)撹拌されている、無水テトラヒドロフラン(10mL)中の((4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)メチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド(376mg、0.55ミリモル)の懸濁液に、THF中のリチウムヘキサメチルジシラザン(1.33Mを0.42mL、0.55ミリモル)を添加する。反応混合物を30分間撹拌し、−78℃に冷却し、(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)(130mg、0.50ミリモル)のテトラヒドロフラン5mL溶液で処理する。60分後、この溶液を周囲温度まで温め、10分間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液で処理する。この水相をt−BuMeO(2×10mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させて濃縮する。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(t−BuMeO/ヘキサン混合物で溶離して)によって精製して、白色アモルファス固体としてN−(5−((E)−2−((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(10)190mg(65%)を得る。
【0149】
実施例b)
【0150】
【化118】

【0151】
室温で撹拌されている、無水トルエン(4mL)中の((4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチル−スルホンアミド)ピリミジン−5−イル)メチル)トリブチルホスホニウム2,2,2−トリフルオロ−アセテート(260mg、0.4ミリモル)の懸濁液に、トルエン中のナトリウムヘキサメチルジシラザン(0.6Mを0.67mL、0.4ミリモル)を分けて10分間で添加する。反応混合物を60分間撹拌し、(2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルバルデヒド(9)(105mg、0.40ミリモル)の無水トルエン13mLの溶液で室温で処理する。室温での撹拌の24時間後、この溶液を飽和塩化アンモニウム溶液または水で処理する。水相をt−BuMeO(2×10mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させて濃縮する。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(t−BuMeO/ヘキサン混合物で溶離して)によって精製して、白色アモルファス固体としてN−(5−((E)−2−((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホンアミド(10)104mg(45%)を得る。
H NMR(300MHz,CDCl)δ:7.62(dd,J=9Hz,J=5Hz,2H)、7.09(t,J=9Hz,2H)、6.69(dd,J=16Hz,J=1Hz,1H)、5.49(dd,J=16Hz,J=6Hz,1H)、5.22〜5.16(m,1H)、4.29〜4.27(m,1H)、3.56(s,3H)、3.50(s,3H)、3.32(七重線,1H)、2.61〜2.59(m,2H)、1.80〜1.73(m,1H)、1.64〜1.54(m,1H)、1.26(d,J=7Hz,6H)、0.87(s,9H)、0.07、0.06(2s,6H)。13C NMR(75MHz,CDCl)δ:174.9、169.5、163.5、163.2(d,JC−F=250Hz)、157.4、134.7、134.1(d,JC−F=3Hz)、132.0(d,JC−F=8Hz)、125.3、120.5、115.0(d,JC−F=22Hz)、75.3、63.2、42.3、39.2、36.2、33.0、32.1、25.5、21.5、17.8、−5.0、−5.0。
【0152】
実施例10:(3R、5S,E)−7−(4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチルメチルスルホンアミド)ピリミジン−5−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタ−6−エン酸(11)のカルシウム塩
【0153】
【化119】

【0154】
撹拌されている、N−(5−((E)−2−((2S,4R)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−オキソ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ビニル)−4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピルピリミジン−2−イル)−N−メチルメタンスルホン−アミド(10)(190mg、0.33ミリモル)の無水テトラヒドロフラン3mL溶液に、フッ化アンモニウム(73mg、1.97ミリモル)/AcOH(2mL)のTHF溶液を添加する。反応混合物を60℃に温め、5時間撹拌し、塩化アンモニウム水溶液3mLで処理し、t−BuMeOで数回抽出する。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させて濃縮する。この残留物をTHF/HOの4:1混合物3mLに溶解する。この透明な溶液を30℃に温め、8.0M NaOH(0.044mL、0.35ミリモル)を分けて添加する。反応混合物を30℃で2時間撹拌して、透明な黄色溶液を得る。次いで、減圧下で(20ミリバール)40℃でTHFを完全に除去する。残留する水溶液をHOで1.5mLまで希釈し、AcOEt(2×1mL)で洗浄する。有機層から分離した後、水相を減圧下で(20ミリバール)40℃で蒸留して、溶解しているAcOEtを完全に除去する。残ったナトリウムロスバスタチネートの透明溶液(1.3mL)をHOで1.5mLまで希釈し、40℃に温める。ナトリウムロスバスタチンの激しく撹拌されている溶液に、Ca(OAc)×HO(44mg、HO 0.3mL中0.25ミリモル)を40℃で5分間にわたり滴下して、ロスバスタチンカルシウムを沈殿させる。添加の完了後、この懸濁液を40℃で30分間さらに撹拌する。白色沈殿をろ過して分ける。次いで、湿った白色固体をHO(1mL)に懸濁させ、20℃で1時間激しく撹拌する。溶解されていない沈殿をろ過によって回収し、HO(1mL)で洗浄し、真空中で40℃で乾燥させて、白色粉末としてロスバスタチンカルシウム塩(11)143mg(87%)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式VIa
【化1】

[式中、X’’はハロであり、およびRは保護基である。]
の化合物を調製する方法であって、
a)(場合により)式I
【化2】

[式中、Rは、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、あるいは、−COORは、式−CONRのアミド(RおよびRは、独立に、H、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル、アリールであり、またはNと一緒になって複素環を形成することができる。)を形成してもよい。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−クロロブチレートをヨウ化物と反応させて、式II
【化3】

[式中、Rは上記の通りである。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレートを得るステップ、
b)式IIの化合物を保護して、式III
【化4】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
の保護された誘導体を得るステップ、
c)式IIIの化合物をハロゲン化銅(I)および式
【化5】

[式中、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、同じであるか異なり、場合により置換されているC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、またはアリールである。]
のホスファイト誘導体の存在下で、ビニルマグネシウムハライドと反応させて、RおよびRは、上記の通りである、式IVのアルケン
【化6】

を得るステップ、
d)式IVの化合物を加水分解して、式V
【化7】

の化合物を得るステップ、
e)Rは上記の通りである、式Vの化合物をNaHCOの存在下で、ハロゲン源と反応させるステップ、ならびに
f)(場合により)先のステップで得られたジアステレオ異性体の混合物を分離するステップ
を含む方法。
【請求項2】
X’’がIである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン源が、ヨウ素、臭素、塩素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のハロゲン化物もしくはオキソハライド、ハロゲン間化合物、ハロアセテート、N−ヨードスクシンイミド(NIS)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、ビスピリジンヨードニウムテトラフルオロボレートおよび超原子価ハロゲン求電子剤からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ビニルマグネシウムハライドが、ビニルマグネシウムクロライドである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
式IVの化合物の加水分解が、アルカリにより実施され、続いて酸性化される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式VIaの化合物が、HPLCで測定して、99%d.e.を超える光学的純度で単離される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
が、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル[アルキルは、同じであるか異なっていてもよい。]から選択される保護基である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7に記載の方法のいずれかにおける、t−BuMeO、i−PrO、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、AcOEt、塩化メチレン、クロロホルムおよびこれらの混合物(複数可)からなる群から選択される溶媒の使用。
【請求項9】
請求項1から7に記載の方法のいずれかで得られた化合物の精製工程における減圧蒸留の使用。
【請求項10】
式IX
【化8】

[式中、Rは、上記で定義された通りである。]
の化合物を、式VIa
【化9】

[式中、X’’は、ハロゲン、アルキルスルホニル、またはアリールスルホニルである。]
の化合物から調製することをさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
式IX
【化10】

[式中、Rは上記で定義された通りである。]
の化合物が、(場合により)式VIaの化合物[X’’は、アルキルスルホニルまたはアリールスルホニルである。]を、式VIaの化合物[X’’は、ハロである。]に変換するステップ、
g)式VIa
【化11】

[式中、X’’は、ハロ、アルキルスルホニル、またはアリールスルホニルである。]
の化合物を式VII
【化12】

[式中、Rは、(ハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで場合により置換されている)C−Cアルキルである。]
の化合物に変換するステップ、
h)式VIIの化合物を式VIII
【化13】

の化合物に変換するステップ、および
i)式VIIIの化合物を酸化によって、式IX
【化14】

の化合物に変換するステップ
から選択される1つ以上のステップを含む方法によって調製される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップg)が、NaOAc、LiOAc、KOAc、CsOAc、AgOAc、CuOAc、Mg(OAc)、Ca(OAc)、RNOAcからなる群から選択されるアシル化試薬により実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ステップh)が、ジブチルスズオキサイドまたは[t−BuSnOH(Cl)]から選択される有機スズ化合物による脱アシル化によって、またはブタの膵臓のリパーゼ、リパーゼMY、リパーゼPS、リパーゼAl、カンジダリパーゼおよびAlcalaseからなる群から選択される酵素との、または、グアニジンおよびグアニジン/硝酸グアニジニウム、HBF×EtO/MeOHおよびBF×EtO/MeCN、DBU/MeOH、ヒドラジン/MeOHおよびヒドラジン水和物/THF、シアン化物/MeOH、I/MeOHからなる群から選択される試薬との反応によって実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ステップi)が、ジメチルスルホキシドにより媒介される酸化(Swern酸化:DMSO−(COCl)の組合せ、Pfitzner−Moffatt法:DMSO−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の組合せ、Parikh−Doering法:DMSO−SO×Pyの組合せ)、N−オキソアンモニウムにより媒介される酸化(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシル(TEMPO)−酸化剤の組合せ)、Dess−Martinペルヨージナン(DMP)およびo−ヨードキシ安息香酸(IBXまたはSIBX)から選択される有機超原子価ヨウ素化合物による酸化、Collins試薬(CrO×Py)、重クロム酸ピリジニウム(PDC)(PDC−活性化モレキュラーシーブ4Åの組合せ)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)から選択されるクロム(VI)酸化剤による酸化、MnOおよびBaMnOから選択されるマンガン誘導体による酸化またはテトラ−n−プロピルアンモニウムペルルテネート:PrRuO(TPAP)による酸化から選択される酸化反応によって実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項15】

【化15】

の化合物またはこの塩、アミド、もしくはラクトン
[式中、Hetは
【化16】

からなる群から選択される。]
を製造する方法であって、
a)式VIa
【化17】

[式中、RおよびX’’は、上記で定義された通りである。]
の中間体を、請求項1から9のいずれかに記載の方法によって調製すること、
b)式IX
【化18】

[式中、Rは、上記で定義された通りである。]
の中間体を式VIaの中間体から、請求項10から14のいずれかに記載の方法によって調製すること、および
c)IXの中間体を式
【化19】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、および
、R、およびRは、同じか異なり、および場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は、アニオンであり、
およびHetは、上記で定義された通りである。]
の化合物と反応させること、および
d)式X
【化20】

[式中、RおよびHetは、上記で定義された通りである。]
の化合物が、式XI
【化21】

[式中、RおよびHetは、上記で定義された通りである。]
の化合物または、この塩、アミド、もしくはラクトンに変換される、1つ以上の後続ステップを場合により含む方法。
【請求項16】
Hetが、
【化22】

である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ロスバスタチンを製造する方法であって、
a)(場合により)式I
【化23】

[式中、Rは、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキルであり、あるいは、−COORは、式−CONRのアミド(RおよびRは、独立に、H、場合により置換されているC−CアルキルもしくはC−Cシクロアルキル、アリールであることができ、またはNと一緒になって複素環を形成することができる。)を形成してもよい。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−クロロブチレートをヨウ化物と反応させて、式II
【化24】

[式中、Rは上記の通りである。]
のアルキル3(S)−ヒドロキシ−4−ヨードブチレートを得るステップ、
b)(場合により)式IIの化合物を保護して、式III
【化25】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
の保護された誘導体を得るステップ、
c)式IIIの化合物をハロゲン化銅(I)および式
【化26】

[式中、R’、R’’、およびR’’’のそれぞれは、同じであるか異なり、場合により置換されていてもよいC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、またはアリールである。]
を有するホスファイト誘導体の存在下で、ビニルマグネシウムハライドと反応させて、式IV
【化27】

[式中、RおよびRは、上記の通りである。]
のアルケンを得るステップ、
d)式IVの化合物を加水分解して、式V
【化28】

の化合物を得るステップ、
e)式Vの化合物[Rは上記の通りである。]をNaHCOの存在下で、ハロゲン源と反応させて、式VIの化合物を得るステップ、
f)(場合により)先のステップにおいて得られたジアステレオ異性体の混合物を分離して、式VIa
【化29】

[式中、X’’はハロであり、およびRは上記の通りである。]
の化合物を得るステップ、
g)式VIaの化合物を式VII
【化30】

[式中、Rは上記の通りであり、およびRは、(場合によりハロまたはアルコキシまたはアリールオキシで置換されている)C−Cアルキルから選択される。]
の化合物に変換するステップ、
h)式VIIの化合物を式VIII
【化31】

[式中、Rは上記の通りである。]
の化合物に変換するステップ、
i)式VIIIの化合物を酸化によって、式IX
【化32】

[式中、Rは上記の通りである。]
の化合物に変換するステップ、
j)前記式IXの化合物を式
【化33】

[式中、R、R、およびRは、同じか異なり、および場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
はアニオンである。]
の化合物と反応させるステップ、ならびに
k)保護基Rを除去し、場合により精製し、および得られた化合物をカルシウム塩に変換するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項18】
アニオンXが、ハロゲン化物またはアルカノエートである、請求項15から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
中間体XI
【化34】

のスタチンの合成のための使用であって、
式VIa
【化35】

[式中、X’’は、ハロ、アリールスルホニルまたはアルキルスルホニルであり、およびRは保護基である。]
の中間体から調製されていることを特徴とする使用。
【請求項20】

【化36】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(アルキルは、同じか異なっていてもよい。)であり、およびRは、(場合によりハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで置換されている)C−Cアルキルである。]
の中間体のスタチンの合成のための使用。
【請求項21】

【化37】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(アルキルおよびアリールは、同じか異なっていてもよい。)であり、およびRは、(場合によりハロ、アルキル、アリール、アルキルオキシまたはアリールオキシで置換されている)C−Cアルキルである。]
の化合物。
【請求項22】
が、CH、C(CH、CHCl、CHCl、CCl、CF、CHOCH、CHOCPh、CHOPh、CHPh、CHPh、CHCHPh、CH=CHCHCHおよびCHCH(C=O)CH)からなる群から選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
がt−ブチルジメチルシリルであり、およびRがCHである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】

【化38】

[式中、Rは、場合により置換されているC−Cトリアルキルシリル、C−Cジアルキルアリールシリル、C−Cアルキルジアリールシリル(アルキルおよびアリールは、同じか異なっていてもよい。)である。]
の化合物。
【請求項25】
がt−ブチルジメチルシリルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサンまたはトルエン、好ましくはトルエンに溶解することを特徴とする、

【化39】

[式中、Rは保護基、好ましくはシリル保護基である。]
の化合物のいずれかを式
【化40】

の化合物に変換する方法。
【請求項27】
式X
【化41】

の化合物を製造するための方法であって、
式IX
【化42】

の化合物を式
【化43】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、および
、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は保護基であり、
Xはアニオンであり、およびHetは、スタチンの複素環骨格を形成するように選択される。]
の化合物と反応させる、Wittig反応を含み、
前記反応が、トルエン、ヘキサン、クロロホルムまたはジクロロメタンからなる群から選択される溶媒中で実施されることを特徴とする方法。
【請求項28】
溶媒がトルエンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
Hetが、
【化44】

からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ロスバスタチンを製造するための方法であって、
式IX
【化45】

の化合物を、式
【化46】

[式中、Aは、結合またはOであることができ、
およびR、R、およびRは、同じか異なり、場合により置換されているC−CアルキルまたはC−CシクロアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cシクロアルケニルまたはアリールから選択され、
は保護基であり、
Xはアニオンであり、およびHetは、スタチンの複素環骨格を形成するように選択される。]
の化合物と反応させる、Wittig反応を含み、
前記反応が、トルエン中で実施されることを特徴とする、方法。
【請求項31】
式IXの化合物が、反応の少なくとも6時間前にトルエン中に溶解されることを特徴とする、請求項26から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
Wittig反応が、強塩基の存在下で−80℃および40℃の間の温度で実施されることを特徴とする、請求項27から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
強塩基が、金属アミドまたはシラザン、金属水素化物、リチウムアルキル、リチウムアリール、またはグリニャール試薬の群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
強塩基が、リチウムヘキサメチルジシラザン、ナトリウムヘキサメチルジシラザン、カリウムヘキサメチルジシラザン、リチウムジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、フェニルマグネシウムハライドのブチルリチウムから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
以下の一連のステップ:
a)(場合により)反応混合物を濃縮するステップ、
b)水の存在下で反応混合物を酸性化し、および水非混和性有機溶媒中に生成物を抽出するステップ、
c)(場合により)生成物の有機溶媒溶液を水、アルカリ塩もしくはアンモニウム塩の水溶液、および/または無機酸の水溶液で洗浄するステップ、
d)(場合により)生成物の有機溶媒溶液を水/極性非プロトン性溶媒混合物で洗浄するステップ、
e)(場合により)溶液を乾燥剤で乾燥させるステップ、
f)溶液を、好ましくは蒸発によって濃縮して、残留物を得るステップ、
g)残留物を精製するステップと
を含む反応混合物の処理をさらに含む、請求項1から34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
アニオンXが、ハロゲン化物または(場合により置換されている)アルカノエートである、請求項27から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
(場合により置換されている)アルカノエートが、トリフルオロアセテートである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
上記請求項1に記載の方法で製造されることを特徴とする、ロスバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ベルバスタチン、アトルバスタチンまたはこれらの類似体を含む群から選択されるスタチン。
【請求項39】
薬剤として許容される担体、および中間体VIa
【化47】

[式中、X’’はハロであり、およびRは保護基である。]
を用いる方法で製造された、ロスバスタチンカルシウム、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウムから選択されるスタチンを含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2009−510151(P2009−510151A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533929(P2008−533929)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009599
【国際公開番号】WO2007/039287
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】