説明

ICカード、ICカード発行装置並びにICカード発行システム

【課題】安全性を改善し、尚且つ製造効率やトレーサビリティを高い次元で改善することが可能である。
【解決手段】ICカード1の発行時にICカード発行装置101を用いて、ICチップC1に個人情報を記録するとともに、個人情報がカード面に記録されるICカード1であり、発行前のICカード1のカード面に、ICチップC1に記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報23、24が記録されており、発行時の処理で券面IC固有情報23、24が消去可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性が要求される個人情報等を記憶する接触式および非接触式の電子カード、あるいはシステムに適用して好適なICカード、ICカード発行装置並びにICカード発行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
身分証明書カード(IDカード)やクレジットカードなどには、従来磁気記録方式によりデータを記録する磁気カードが広く利用されてきた。しかしながら、磁気カードはデータの書き換えが比較的容易にできるため、データの改ざん防止が十分でないこと、磁気のため外的な影響を受けやすく、データの保護が十分でないこと、さらに記録できる容量が少ないなどの問題点があった。そこで、近年ICチップを内蔵したICカードが普及し始めている。
【0003】
ICカードは、表面に設けられた電気接点やカード内部のアンテナを介して外部の機器とデータの読み書きをする。ICカードは磁気カードに比べて記憶容量が大きく、安全性も大きく向上している。特に、カード内部にICチップと外部との情報のやりとりをするためのアンテナを内蔵し、カード外部に電気接点を持たない非接触式ICカードは、電気接点をカード表面にもつ接触式ICカードに比べて安全性が優れ、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用されつつある。
【0004】
このようなICカードとして、例えば第1の支持体と第2の支持体が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを封入するものがある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−182019号公報(第1〜第6頁、図1〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1等に記載されるICカードは安全性が高いために耐久性が偽造変造の観点からも重要になっている。特に、ICカード内部にICチップと外部との情報のやりとりをするためのアンテナなどの電気部品が内蔵されているため、その耐久性を確保するためさまざまな試みが行われている。しかしながら、さまざまな用途に使用され普及しつつある中、さらに高い耐久性が必要とされてきた。ICカードという特性上、常に携帯しズボンのポケット等での繰返し曲げ、落下、コイン等の圧力に対して強い耐久性が要求される。これに対しICチップに強固な補強構造物を設ける等の改良が提案されている。
【0006】
しかしながら、一定の耐久性の向上は見られるが、さまざまな状況に対して十分な耐久性が得られてなく、ICチップが割れたり、ICカードが破損し引いては電気動作が不可能になりカード情報や個人情報を確認できない等問題が発生していた。
【0007】
また、故意に悪意ある第三者がICチップ内データを改竄したり、破壊した場合、ICカードやICチップが真正なものであったのかどうかの判定が難しくなったり、製造の過程に原因があって故障したものかどうか、の判定が難しかった。従来、表面にレーザー等でシリアル番号を可視で刻印しているものが用いられているが、カード表面デザインに制約がある場合には用いることができなかった。また、カード表面デザインに制約が少なく用いることができても、カード所有者にはまったく関係のない情報が記載されているものであるという問題もあった。
【0008】
また、カード製造の過程においても、ICチップ内の情報が読み取られなくなった場合、そのICカードの履歴の特定ができなくなり、原因追及や再作製を行うための調査に時間を要し再発行や製造収率、効率が低下する問題点があった。
【0009】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、安全性を改善し、尚且つ製造効率やトレーサビリティを高い次元で改善することが可能なICカード、ICカード発行装置及びICカード発行システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0011】
第1発明のICカードは、ICカードの発行時にICカード発行装置を用いて、ICチップに個人情報を記録するとともに、個人情報がカード面に記録されるICカードであり、発行前の前記ICカードのカード面に、前記ICチップに記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報が記録されており、発行時の処理で前記券面IC固有情報が消去可能であるようにしたことを特徴とする。前記消去可能な券面IC固有情報が、消去可能な可視の券面IC固有情報である場合、発行時の処理で前記券面IC固有情報を不可視に変更して消去可能である。
【0012】
前記消去可能な券面IC固有情報が熱溶融インキ記録である場合、サーマルヘッドを用いて逆転写により消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が凹凸状の記録像である場合、サーマルヘッドを用いた平滑化により消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が感熱発色記録である場合、サーマルヘッドを用いた発色もしくは消色により消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が赤外吸収性薄膜層記録である場合、レーザー記録ヘッドを用いたアブレーションにより消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が昇華熱転写記録である場合、サーマルヘッドを用いた色素逆転写により消去可能である。また、前記消去可能な可視の券面IC固有情報が熱溶融インキ記録である場合、熱溶融インキリボンがUV蛍光物質層もしくは赤外吸収層、黒インキ層、支持体の構成で、前記黒インキ層を転写して記録され、サーマルヘッドを用いた逆転写で前記黒インキ層のみ逆転写により不可視に変更して消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性薄膜層記録である場合、赤外吸収を持たない同色の印画を券面IC固有情報周辺に印字してカモフラージュして不可視に変更して消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性薄膜層上に設けられた赤外吸収性有色記録層である場合、レーザー記録ヘッドを用いたアブレーションにより一様に除去し、券面IC固有情報部のみ残存させ不可視に変更して消去可能である。また、前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性色素の昇華熱転写記録である場合、サーマルヘッドを用いて、赤外吸収性のない同色の印画を券面IC固有情報周辺に印字して不可視に変更して消去可能である。
【0013】
第2発明のICカード発行装置は、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカードのICチップに個人情報を記録するデータ記録手段と、前記ICカードのカード面に個人情報を記録するカード面記録手段と、前記ICカードのカード面に前記ICチップに記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報を消去する消去手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
第3発明のICカード発行システムは、ICカード発行装置を備え、このICカード発行装置は、カード所有者の個人情報が登録されているデータサーバから請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカードのカード面に記録するデータを受信して記録するとともに、ICチップに記録してICカードを発行するICカード発行システムであり、前記ICカード発行装置は、前記ICチップに記録されたIC内部固有情報と、前記ICカードのカード面に記録された消去可能な券面IC固有情報とを読み取り前記データサーバに送信し、前記データサーバは、前記IC内部固有情報と前記券面IC固有情報とを関連付けて登録し、かつ関連付けする固有情報を前記ICカード発行装置へ送信し、前記ICカード発行装置は、前記カード面に記録された券面IC固有情報を消去し、かつ前記関連付けした固有情報を前記カード面及び前記ICチップに記録して前記ICカードを発行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0016】
第1発明のICカードでは、発行前のICカードのカード面に、ICチップに記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報が記録されており、例え、ICカードに不都合があり、ICカードの機能が不全になったとしても、そのICカードに内蔵されているICチップの固有番号を知ることができ、故障の原因をトレースすることができる。また、消去可能なので、発行時に券面IC固有情報を消去してICカードを発行できるため、カード表面デザインの制約が少なくなり、カード所有者にはまったく関係のない情報を券面に記録する必要がなくなり、外観性を向上させることができる。
【0017】
第2発明のICカード発行装置では、ICカードのICチップに電気的な個人情報を記録し、またICカードのカード表面側には個人情報を記録し、さらにICカード券面に記録されていた券面IC固有情報を消去する。この発行時の処理で券面IC固有情報が消去されるので、カード表面デザインに制約が少なく、カード所有者にはまったく関係のない情報を券面に記録する必要がなくなり、外観性を向上させたICカードが発行できる。
【0018】
第3発明のICカード発行システムでは、カード面に記録された消去可能な券面IC固有情報を消去してICカードを発行するが、IC内部固有情報と券面IC固有情報とを関連付けしてデータベースに記録するため、発行後、ICチップが割れたり、ICカードが破損し引いては電気動作が不可能になっても券面の固有情報を読み取ることで、IC内部固有情報を確認でき、また故意に悪意ある第三者がICチップ内データを改質したり、破損した場合、ICカードやICチップが真正なものであったのかどうかの判定ができる。また製造の過程に原因があって故障したものかどうかなどの判定ができる。このように、発行時までは券面IC固有情報を記録していても、発行時の処理で券面IC固有情報を消去するので、カード表面デザインに制約が少なく、カード所有者にはまったく関係のない情報を券面に記載する必要がなくなり、外観性を向上させることができるだけでなく、発行前後のIC内部固有情報に関連した情報をカード券面に表示できるので、電気的な読み取りなしで、確認でき、トーレーサビリティに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明のICカード、ICカード発行装置及びICカード発行システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
【0020】
まず、第1発明のICカードについて説明する。図1はICカードの発行前と発行後の平面図、図2はICカードの層構成を示す図である。
【0021】
ICカード1は、身分証明書カードやクレジットカードなどに広く適用することができ、対向する2つの第1の支持体210と第2の支持体220との間に、接着層231、232を介在してICチップC1、アンテナC2を有するICモジュールCが配置されてなる。ICチップC1に隣接して補強構造物を設けてもよく、この場合ICカード1を常に携帯しズボンのボケット等での繰返し曲げ、落下、コイン等の圧力に対しても耐久性が向上する。一方の第1の支持体210には受像層233が設けられ、第2の支持体220には筆記層234が設けられている。
【0022】
発行前のICカード1には、図1(a)に示すように、カード面の表面に氏名、生年月日などの文字情報を記録する文字情報記録領域20、顔写真などの画像情報を記録する画像情報記録領域21、ID番号などの固有情報を記録する固有情報記録領域22が受像層233に設けられている。
【0023】
この発行前のICカード1には、ICカード発行装置を用いて、図1(b)に示すように、文字情報記録領域20に、氏名、生年月日などを文字情報により個人情報30を記録する。画像情報記録領域21に、顔写真などの画像情報により個人情報31を記録する。固有情報記録領域22に、ID番号などの固有情報32を記録する。この個人情報30、31及び固有情報32は、ICチップC1にもデータとして記録する。
【0024】
この固有情報32としては、ICカードを識別する識別番号、製造管理ロット番号、検査情報や暗号鍵等、また、個人識別情報(氏名、住所、従業員番号、顔画像など)、製造者、発行機番号等、個別に識別可能な情報であれば特に制限がない。また、固有情報32は、暗号化されていてもよく、安全性の観点からは公知の暗号、照合する方法を用いることが好ましく、暗号、照合する情報を含んでよい。
【0025】
この受像層233には、個人情報30、31及び固有情報32を保護する保護層235を設け、この保護層235を設けることで、摩耗や薬品などから、また、落下、コイン等の圧力に対して耐久性が向上する。
【0026】
この第1発明では、発行前のICカード1のカード面に、図1(a)に示すように、消去可能なICチップC1に記録したIC内部固有情報と関連付けられた券面IC固有情報23が記録されており、この券面IC固有情報23は、カード面に記録されればよく、表面の券面に限定されず、裏面、または側面などでもよい。
【0027】
このように、カード製造段階で券面IC固有情報23が記録されているが、カード発行段階で券面IC固有情報23を消去する。券面IC固有情報23を消去してICカード1を発行しても、IC内部固有情報と券面IC固有情報23とを関連付けする固有情報32を券面に記録し、かつICチップC1に記録していることで、ICチップC1が割れたり、ICカード1が破損し引いては電気動作が不可能になっても券面の固有情報32を読み取ることで、カード情報や個人情報を確認でき、また故意に悪意ある第三者がICチップ内データを改竄したり、破壊した場合、ICカード1やICチップC1が真正なものであったのかどうかの判定ができ、また製造の過程に原因があって故障したものかどうか、の判定ができる。さらに、発行時の処理で券面IC固有情報23を消去することで、カード表面デザインに制約がなく、カード所有者にはまったく関係のない情報が見えなくなり、外観性が向上する。
【0028】
次に、図3乃至図7に基づいて、消去可能な券面IC固有情報23を、ICカード発行装置に備えられる消去手段40により消去する実施の形態について説明する。
【0029】
図3の実施の形態は、消去可能な券面IC固有情報23が熱溶融インキ記録23aである(図3(a))。消去手段40がサーマルヘッド40aを用いた逆転写手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報23の熱溶融インキ記録23aを、サーマルヘッド40aを用いて逆転写により(図3(b))、消去する(図3(c))。
【0030】
図4の実施の形態は、消去可能な券面IC固有情報23が凹凸状の記録像23bである(図4(a))。消去手段40がサーマルヘッド40aを用いた平滑化手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報23の凹凸状の記録像23bを、サーマルヘッド40aを用いた平滑化により(図4(b))、消去する(図4(c))。
【0031】
図5の実施の形態は、消去可能な券面IC固有情報23が感熱発色記録23cである(図5(a))。消去手段40がサーマルヘッド40aを用いた発色もしくは消色手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報23の感熱発色記録23cを、サーマルヘッド40aを用いた発色もしくは消色により(図5(b))、消去する(図5(c))。
【0032】
図6の実施の形態は、消去可能な券面IC固有情報23が赤外吸収性薄膜層記録23dである(図6(a))。消去手段40がレーザー記録ヘッド40bを用いたアブレーション消去手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報23の赤外吸収性薄膜層記録23dを、レーザー記録ヘッド40bを用いたアブレーションにより(図6(b))、消去する(図6(c))。
【0033】
図7の実施の形態は、消去可能な券面IC固有情報23が昇華熱転写記録23eである(図7(a))。消去手段40がサーマルヘッド40aを用いた色素逆転写消去手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報23の昇華熱転写記録23eを、サーマルヘッド40aを用いた色素逆転写により(図7(b))、消去する(図7(c))。
【0034】
この消去可能な券面IC固有情報23が、消去可能な可視の券面IC固有情報でもよく、消去可能な可視の券面IC固有情報である場合、発行時の処理で券面IC固有情報を不可視に変更して消去可能である。
【0035】
次に、図8乃至図11に基づいて、消去可能な可視の券面IC固有情報を、ICカード発行装置に備えられる消去手段により不可視の券面IC固有情報に変えて消去する実施の形態について説明する。
【0036】
図8の実施の形態は、消去可能な可視の券面IC固有情報24が熱溶融インキ記録24aである(図8(a))。熱溶融インキリボンがUV蛍光物質層もしくは赤外吸収層、黒インキ層、支持体の構成であり、熱溶融インキリボンのUV蛍光物質層もしくは赤外吸収層24a1、黒インキ層24a2を転写して熱溶融インキ記録24aが設けられる。消去手段41がサーマルヘッド41aを用いた逆転写手段であり、受像層233に記録された券面IC固有情報24の熱溶融インキ記録24aを、サーマルヘッド41aを用いて逆転写により(図8(b))、黒インキ層24a2のみ消去して不可視の券面IC固有情報24に変えて消去する(図8(c))。
【0037】
図9の実施の形態は、消去可能な可視の券面IC固有情報24が赤外吸収性薄膜層記録24bである(図9(a))。消去手段41がサーマルヘッド41aであり、サーマルヘッド41aを用い、受像層233に記録された券面IC固有情報24の赤外吸収性薄膜層記録24bを、赤外吸収を持たない同色の印画24b1を券面IC固有情報24の周辺に印字し(図9(b))、不可視の券面IC固有情報24に変えて消去する(図9(c))。
【0038】
図10の実施の形態は、消去可能な可視の券面IC固有情報24が赤外吸収性薄膜層24c1上に設けられた赤外吸収性有色記録層記録24c2である(図10(a))。消去手段41がレーザー記録ヘッド41bであり、レーザー記録ヘッド41bを用いたアブレーションにより一様に赤外吸収性有色記録層記録24c2を除去し(図10(b))、券面IC固有情報部のみ残存させて不可視の券面IC固有情報24に変えて消去する(図10(c))。
【0039】
図11の実施の形態は、消去可能な可視の券面IC固有情報24が赤外吸収性色素の昇華熱転写記録24dである(図11(a))。消去手段41がサーマルヘッド41aであり、サーマルヘッド41aを用いて、赤外吸収性のない同色の印画24d1を券面IC固有情報周辺に印字し(図11(b))、不可視の券面IC固有情報24に変えて消去する(図11(c))。
【0040】
次に、図14に基づいて、第2及び第3発明のICカード発行装置を備えるICカード発行システムの実施の形態について説明する。
【0041】
この実施の形態のICカード発行システム100は、ICカード発行装置101を備えている。ICカード発行装置101はデータサーバ102とデータを送信、受信可能になっており、データ記録手段110、カード面記録手段111、消去手段40、41、券面IC固有情報読取手段120、IC内部固有情報読取手段121、制御装置130を有する。
【0042】
このICカード発行装置101は、カード所有者の個人情報が登録されているデータサーバ102から図1(a)に示すようなICカード1のカード面に記録するデータを受信して記録するとともに、ICチップC1に記録して図1(b)に示すようなICカード1を発行する。
【0043】
ICカード発行装置101は、データ記録手段110、カード面記録手段111、消去手段40、41、券面IC固有情報読取手段120、IC内部固有情報読取手段121、制御装置130を有する。
【0044】
データ記録手段110は、ICカード1のICチップC1に個人情報を記録する。データ記録手段110は、例えば、リーダライタにより構成され、ICチップC1に個人情報をデータ記録する。
【0045】
カード面記録手段111は、ICカード1のカード面に個人情報30、31を記録する。カード面記録手段111は、例えば、熱溶融転写、昇華熱転写などの熱転写を用い、個人情報30、31を記録する。
【0046】
カード面記録手段111は、ICカード1のカード面に個人情報30、31を記録すると共に、固有情報32を記録する。
【0047】
消去手段40、41は、ICカード1のカード面にICチップC1に記録したIC内部固有情報と関連付けする消去可能な券面IC固有情報23、24を消去する。この消去手段40は、例えば、図3乃至図7に示すように構成され、消去手段41は、例えば、図8乃至図11に示すように構成される。
【0048】
券面IC固有情報読取手段120は、例えば、非接触リーダライタ、赤外線カメラCCDなどの撮像手段などで構成され、券面IC固有情報23、24を読み取る。
【0049】
IC内部固有情報読取手段121は、例えば、リーダライタにより構成され、ICチップC1に、IC内部固有情報としてICチップC1の製造番号や製造ロット、検査情報、製造者などの情報を読み取る。IC内部固有情報は暗号化されていてもいなくても良いが、暗号化されていることが安全性上好ましい。
【0050】
制御装置130は、例えばマイクロコンピュータにより構成され、データサーバ102とデータを送信、受信を行うと共に、データ記録手段110、カード面記録手段111、消去手段40、券面IC固有情報読取手段120、IC内部固有情報読取手段121の制御を行う。
【0051】
データサーバ102には、データベース102aを備え、データベース102aにはカード所有者の個人情報などが登録されている。
【0052】
制御装置130は、読み取ったICチップC1に記録されたIC内部固有情報と、ICカード1のカード面に記録された消去可能な券面IC固有情報23、24とをデータサーバ102に送信する。データサーバ102は、IC内部固有情報と券面IC固有情報23、24とを関連付けて登録し、かつ関連付けする固有情報32のID番号をICカード発行装置101へ送信する。
【0053】
ICカード発行装置101は、カード面に記録された消去可能な券面IC固有情報23、24を消去し、かつ関連付けした固有情報32のID番号をカード面及びICチップC1に記録してICカード1を発行する。
【0054】
このように、このICカード発行システム100は、カード所有者の個人情報が登録されているデータサーバ102からICカード1のカード面に記録するデータをICカード発行装置101へ送信して記録するとともに、ICチップICに記録してICカード1を発行する。この実施の形態を図13乃至図16に示す。
【0055】
図13の実施の形態は、ICカード1のカード面に記録された消去可能な券面IC固有情報23、24を読み取り(ステップa1)、ICチップC1に記録されたIC内部固有情報を読み取り(ステップa2)、読み取ったIC内部固有情報と消去可能な券面IC固有情報23、24とをICカード発行装置101からデータサーバ102に送信する。データサーバ102は、IC内部固有情報と券面IC固有情報23、24とを関連付けてデータベース102aに登録し、かつ関連付けする固有情報32のID番号をICカード発行装置101へ送信する。
【0056】
ICカード発行装置101は、カード面に記録された消去可能な券面IC固有情報23、24を消去し(ステップa3)、かつ関連付けした固有情報32のID番号をカード面の券面に記録し(ステップa4)、ICチップC1にデータ記録し(ステップa5)、ICカード1を発行する。
【0057】
図14の実施の形態は、図13の実施の形態と同様であるが、関連付けした固有情報32のID番号をカード面の券面に記録し(ステップb4)、個人情報30、31及び固有情報32を保護する保護層235を設け(ステップb5)、ICチップC1にデータ記録し(ステップb6)、ICカード1を発行する。
【0058】
図15の実施の形態は、図13の実施の形態と同様であるが、IC内部固有情報を読み取り(ステップc1)、消去可能な券面IC固有情報23、24を読み取り(ステップc2)、消去可能な券面IC固有情報23、24を消去し(ステップc3)、かつ関連付けした固有情報32のID番号をICチップC1にデータ記録し(ステップc4)、カード面の券面に記録し(ステップc5)、ICカード1を発行する。
【0059】
図16の実施の形態は、図15の実施の形態と同様であるが、IC内部固有情報を読み取り(ステップd1)、消去可能な券面IC固有情報23、24を読み取り(ステップd2)、関連付けした固有情報32のID番号をカード面の券面に記録し(ステップd3)、ICチップC1にデータ記録し(ステップd4)、データ記録を確認し(ステップd5)、消去可能な券面IC固有情報23、24を消去し(ステップd6)、個人情報30、31及び固有情報32を保護する保護層235を設け(ステップd7)、ICカード1を発行する。
【0060】
このように、データサーバ102に、IC内部固有情報と券面IC固有情報23、24とを関連付けしたID番号などの固有情報32、またIC内部固有情報と券面IC固有情報23、24とを関連付けしたID番号などの固有情報32を登録して保存することで、ICチップC1の情報が改竄、破壌された場合等でも、カード面の固有情報32を読出して照合することで、ICカード1の偽変造を判定することができ、安全性を改善することが可能である。
【0061】
ICチップC1のデータが改竄、故意に破壊または、カード表面記載事項の改竄、偽造が行われても、真正証明ができるとともに、製造上の検査等で容易にデータサーバ102より固有情報、個人情報、製造情報等を取得でき再発行や製造収率向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性が要求される個人情報等を記憶する接触式および非接触式の電子カード、あるいはシステムに適用して好適なICカード、ICカード発行装置並びにICカード発行システムに適用でき、安全性を改善し、尚且つ製造効率やトレーサビリティを高い次元で改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ICカードの発行前と発行後の平面図である。
【図2】ICカードの層構成を示す図である。
【図3】消去可能な券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる消去手段により消去する実施の形態について説明する図である。
【図4】消去可能な券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる消去手段により消去する実施の形態について説明する図である。
【図5】消去可能な券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる消去手段により消去する実施の形態について説明する図である。
【図6】消去可能な券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる消去手段により消去する実施の形態について説明する図である。
【図7】消去可能な券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる消去手段により消去する実施の形態について説明する図である。
【図8】可視の券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる変更手段により不可視の券面IC固有情報に変える実施の形態について説明する図である。
【図9】可視の券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる変更手段により不可視の券面IC固有情報に変える実施の形態について説明する図である。
【図10】可視の券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる変更手段により不可視の券面IC固有情報に変える実施の形態について説明する図である。
【図11】可視の券面IC固有情報をICカード発行装置に備えられる変更手段により不可視の券面IC固有情報に変える実施の形態について説明する図である。
【図12】ICカード発行装置を備えるICカード発行システムの実施の形態について説明する概略図である。
【図13】ICカード発行システムのフローチャートである。
【図14】ICカード発行システムのフローチャートである。
【図15】ICカード発行システムのフローチャートである。
【図16】ICカード発行システムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 ICカード
20 文字情報記録領域
21 画像情報記録領域
22 固有情報記録領域
23、24 券面IC固有情報
30、31 個人情報
32 固有情報
40、41 消去手段
100 ICカード発行システム
101 ICカード発行装置
102 データサーバ
110 データ記録手段
111 カード面記録手段
120 券面IC固有情報読取手段
121 IC内部固有情報読取手段
130 制御装置
210 第1の支持体
220 第2の支持体
231、232 接着層
233 受像層
235 保護層
C1 ICチップ
C2 アンテナ
C ICモジュール























【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードの発行時にICカード発行装置を用いて、ICチップに個人情報を記録するとともに、個人情報がカード面に記録されるICカードであり、
発行前の前記ICカードのカード面に、
前記ICチップに記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報が記録されており、発行時の処理で前記券面IC固有情報が消去可能であるようにしたことを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記消去可能な券面IC固有情報が、消去可能な可視の券面IC固有情報であり、発行時の処理で前記券面IC固有情報を不可視に変更して消去可能であることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記消去可能な券面IC固有情報が熱溶融インキ記録であり、サーマルヘッドを用いて逆転写により消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項4】
前記消去可能な券面IC固有情報が凹凸状の記録像であり、サーマルヘッドを用いた平滑化により消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項5】
前記消去可能な券面IC固有情報が感熱発色記録であり、サーマルヘッドを用いた発色もしくは消色により消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項6】
前記消去可能な券面IC固有情報が赤外吸収性薄膜層記録であり、レーザー記録ヘッドを用いたアブレーションにより消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項7】
前記消去可能な券面IC固有情報が昇華熱転写記録であり、サーマルヘッドを用いた色素逆転写により消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項8】
前記消去可能な可視の券面IC固有情報が熱溶融インキ記録であり、熱溶融インキリボンがUV蛍光物質層もしくは赤外吸収層、黒インキ層、支持体の構成で、前記黒インキ層を転写して記録され、サーマルヘッドを用いた逆転写で前記黒インキ層のみ逆転写により不可視に変更して消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項9】
前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性薄膜層記録であり、赤外吸収を持たない同色の印画を券面IC固有情報周辺に印字してカモフラージュして不可視に変更して消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項10】
前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性薄膜層上に設けられた赤外吸収性有色記録層であり、レーザー記録ヘッドを用いたアブレーションにより一様に除去し、券面IC固有情報部のみ残存させ不可視に変更して消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項11】
前記消去可能な券面IC固有情報が可視の赤外吸収性色素の昇華熱転写記録であり、サーマルヘッドを用いて、赤外吸収性のない同色の印画を券面IC固有情報周辺に印字して不可視に変更して消去可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカード。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカードのICチップに個人情報を記録するデータ記録手段と、
前記ICカードのカード面に個人情報を記録するカード面記録手段と、
前記ICカードのカード面に前記ICチップに記録したIC内部固有情報と関連付けられた消去可能な券面IC固有情報を消去する消去手段と、
を有することを特徴とするICカード発行装置。
【請求項13】
ICカード発行装置を備え、このICカード発行装置は、カード所有者の個人情報が登録されているデータサーバから請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカードのカード面に記録するデータを受信して記録するとともに、ICチップに記録してICカードを発行するICカード発行システムであり、
前記ICカード発行装置は、
前記ICチップに記録されたIC内部固有情報と、
前記ICカードのカード面に記録された消去可能な券面IC固有情報とを読み取り前記データサーバに送信し、
前記データサーバは、
前記IC内部固有情報と前記券面IC固有情報とを関連付けて登録し、かつ関連付けする固有情報を前記ICカード発行装置へ送信し、
前記ICカード発行装置は、前記カード面に記録された券面IC固有情報を消去し、かつ前記関連付けした固有情報を前記カード面及び前記ICチップに記録して前記ICカードを発行することを特徴とするICカード発行システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−102404(P2007−102404A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289839(P2005−289839)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(303000419)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】