説明

ICカードの製造方法

【課題】外部接続端子基板の貫通孔から突出して配置する半田バンプを形成するためのクリーム半田の塗布量を安定化させる手段を提供することにより、外部接続端子基板とICチップとが良好に接続されて信頼性の高い、安価で量産性に優れたデュアルインターフェイス型ICカードの製造方法を提供すること。
【解決手段】半田バンプ6の形成方法が、貫通孔3を設けた絶縁性基板1の一方の面に外部接続端子2を形成した後に、前記外部接続端子を有しない面に開口した貫通孔の端部パターンにメタルマスク4の開口部41を位置合わせしてクリーム半田5を印刷後、溶融して形成することを特徴とするICカードの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードの製造方法、特に接触式および非接触式の2種類の通信インターフェースを有するデュアルインターフェース型ICカード用の外部接続端子基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家電製品、コンピュータ・モバイル製品の分野等においては、軽薄短小の流れの中で各種装置の更なる高機能、高密度化が進められており、カード製造業界においても同様の要請が高まっている。特に近年は、ICカードによるクレジット、電子マネー等の多機能決済等の高機能、多機能化が注目されている。
【0003】
ICカードの高機能化、多機能化の流れの一つとして、インターフェイスの複数化が挙げられる。ICカードの通信方式には、大別して接触式と非接触式との2種類があるが、この両方の方式の通信が可能なハイブリッドカードやデュアルインターフェイスカード(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)が知られている。
【0004】
このうち、デュアルインターフェイスカードは、コンビネーションカードとも称され、1個のICチップで接触式及び非接触式の両方の通信機能を満足するカードであり、接触式通信及び非接触式通信にそれぞれ専用のICチップを搭載したハイブリッドカードに比べてコスト面で有利である。また、接触用途、非接触用途でポイントサービス等の共通のサービス等を提供できるのはデュアルインターフェイスカードのみであり、この点においてもメリットを有する。
【0005】
特許文献1に記載のデュアルインターフェイス型ICカード(以下、「デュアルIFカード」と称する。)においては、ICチップが搭載された外部接続端子基板が、カード製造工程の終盤においてカード本体に接続される。
一般的に、ICカードにおける非接触通信特性の調整は、ICチップが接続されるアンテナシートに設けられた共振周波数調整用のコンデンサを形成するパターンの一部を切断し(トリミング加工)、アンテナシートの持つキャパシタ値を最適な値に調整することによって行われる。
しかしながら、最適値とするための調整は、ICチップがアンテナシートに実装されたインレットの状態、すなわち両者のリアクタンス値及びキャパシタ値が合成された状態で行う必要があるため、特許文献1に記載のデュアルIFカードでは、カード本体ごとアンテナシートに貫通孔を開けなければトリミング加工が行えない。したがって、非接触通信特性の個体差が極小になるように厳密に制御してカードを製造することは実際には困難である。
【0006】
これに対して、特許文献2に記載のデュアルIFカードでは、図6に示すように、アンテナシート100にICチップ101が実装されたインレット102がカード本体103に挟み込まれて埋設される。
したがって、インレット102をカード本体に埋設する前にトリミング加工を行うことができるので、例えば、非接触高速通信が実現できる代わりに非接触通信特性の許容範囲が厳しく規定される、いわゆるタイプC(Type C)規格であっても、当該規格に準拠したデュアルIFカードを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−227954号公報
【特許文献2】特開2004−13855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のデュアルIFカードでは、接触式通信を行うための外部接続端子基板として、両面に導体を配し、表裏面の導体間をビアホールやスルーホールで接続し、さらに裏面導体に金属製バンプを設けた特殊な両面基板を用いることから、高コストとなるという問題がある。
【0009】
また、図6に示すように、外部接続端子基板104は、接着剤105等によってカード本体103に接合されている。外部接続端子基板104の金属製バンプ106は、アンテナシート100上のアンテナパターン107と接触することによって電気的に接続されているので、接続の信頼性が充分とはいえない。
ここで、接続の信頼性を確保するために導電性ペーストや半田等をアンテナパターン107に塗布して加工しようとすると、接続部位が小さいために、その充填量の制御が難しい。当該充填量は多すぎても少なすぎても電気的接続に悪影響を及ぼすため、要求される通信特性を有するカードを安定して生産することが難しいという問題がある。
【0010】
信頼性を改善するために、以下の提案がなされた。すなわち、カード本体と、図7に示すインレット、すなわち、非接触通信を行うためのアンテナパターン111と、前記アンテナパターンに電気的に接続されたICチップ112とを有し、前記ICチップと電気的に接続された接続部113の少なくとも一部を露出させた接続パッドを配置して前記カード本体に埋設されたインレット110と、前記接続部113に電気的に接続され、図8に示すICカード用外部接続端子基板10と、を備えるデュアルインターフェイス型ICカードにおいて、
前記外部接続端子基板10が、貫通孔3を有する絶縁性基板1の一方の面に外部接続端子2を有し、他方の面に前記貫通孔3から突出して配置した半田バンプ6を有し、前記外部接続端子2と前記半田バンプ6とが前記貫通孔3内で接続されている外部接続端子基板10を用いることが提案された。
【0011】
しかし、前記外部接続端子基板10の前記貫通孔3から突出して配置する半田バンプ6の形成方法として、クリーム半田をシリンジ・ニードルを通して定量ディスペンスするという最も一般的な方法では、クリーム半田の塗布量が経時で変化するため、安定性に問題があった。前記塗布量が不安定であると、接続の信頼性を改善する構造を採用しても、結果的に充分な信頼性が得られなかった。
【0012】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、前記外部接続端子基板の前記貫通孔から突出して配置する半田バンプを形成するためのクリーム半田の塗布量を安定化させる方法を提供することにより、外部接続端子基板とICチップとが良好に接続されて信頼性の高い、安価で量産性に優れたデュアルインターフェイス型ICカードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
カード本体と、
非接触通信を行うためのアンテナパターンと、前記アンテナパターンに電気的に接続されたICチップとを有し、前記ICチップと電気的に接続された接続部の少なくとも一部を露出させて前記カード本体に埋設されたインレットと、
前記接続部に電気的に接続されたICカード用外部接続端子基板と、を備え、
前記外部接続端子基板が、貫通孔を有する絶縁性基板の一方の面に外部接続端子を有し、他方の面に前記貫通孔から突出して配置した半田バンプを有し、前記外部接続端子と前記半田バンプとが前記貫通孔内で接続されているICカードの製造方法において、
前記半田バンプの形成方法が、貫通孔を設けた絶縁性基板の一方の面に外部接続端子を形成した後に、前記外部接続端子を有しない面に開口した前記貫通孔の端部パターンにメタルマスクの開口部を位置合わせしてクリーム半田を印刷後、溶融して形成することを特徴とするICカードの製造方法である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記メタルマスクをエンボス加工して用いることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法である。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、前記外部接続端子基板が連続的にテープ状に供給され、請求項1または2に記載の半田バンプの形成方法で前記半田バンプを連続的に形成した後、円筒ドラムの曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の接線方向から前記半田バンプの高さの検査を行うことを特徴とするICカードの製造方法である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、前記外部接続端子基板が連続的にテープ状に供給され、請求項1または2に記載の半田バンプの形成方法で前記半田バンプを連続的に形成した後、円筒ドラムの曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の法線方向から前記半田バンプの外観形状の検査を行うことを特徴とするICカードの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のICカードの製造方法によれば、外部接続端子基板の貫通孔から突出して配置する半田バンプを形成するためのクリーム半田の塗布量を安定化させる方法により、外部接続端子基板とICチップとが良好に接続されて信頼性の高い、安価で量産性に優れたデュアルインターフェイス型ICカードを製造することができる。
【0018】
また、請求項3または請求項4によれば、半田バンプの形成状態を製造工程の中で早期に確認して品質保証を行うことができるので、さらに信頼性の高い、安価で量産性に優れたデュアルインターフェイス型ICカードを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプの形成方法を工程順に説明するための模式断面図である。
【図2】本発明のICカードの製造方法の内、メタルマスクによる半田バンプの印刷工程を説明するための模式断面図である。
【図3】本発明のICカードの製造方法の内、メタルマスクによる半田バンプの印刷工程を説明するための模式平面図である。
【図4】本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプの高さを検査する方法の説明図であって、(a)は検査手段の模式断面図、(b)は高さ測定箇所を示すカメラ画像の模式拡大図である。
【図5】本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプの外観形状を検査する方法の説明図であって、(a)は検査手段の模式断面図、(b)は外観形状検査箇所を示すカメラ画像の模式拡大図である。
【図6】従来のデュアルIFカードを示す断面図である。
【図7】本発明に用いられるインレットの構造を示す説明図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図8】本発明に用いられる外部接続端子基板の構造を示す断面説明図である。
【図9】本発明のICカードの製造方法の内、カード本体とインレットとの構成を説明するための模式構成図である。
【図10】本発明のICカードの製造方法の内、インレットを組み込んだカード本体に外部接続端子基板を設置できるように加工した状態を示す模式断面図である。
【図11】本発明のICカードの製造方法の内、カード本体に外部接続端子基板を設置した状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ICカードの製造方法の内、特に図7に示す構造のインレット110と、図8に示す構造の外部接続端子基板10とをカード本体と一体化したデュアルIFカードの製造方法であって、前記外部接続端子基板10の半田バンプの形成と検査の方法に関わるものである。以下、本発明を実施するための形態について、図面に従って説明する。
【0021】
図1は、本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプの形成方法を工程順に説明するための模式断面図である。(a)は、半田バンプ形成前の外部接続端子基板を示す。絶縁性基板1に、直径0.5mmから1.0mm程度の複数の貫通孔3を設け、絶縁性基板1の片側に、前記貫通孔3の一端を塞ぐ位置のものを含めて複数の外部接続端子2を設ける。
【0022】
前記絶縁性基板1としては、後述の熱工程を考慮して、耐熱性の高いガラスエポキシ等を好適に採用することができる。また、前記外部接続端子2としては、銅箔パターン21が用いられる。銅箔パターン21には、接触抵抗を低減し、信頼性を向上させる目的で、0.1〜0.3μm厚の金めっき層を0.5〜3μm厚のニッケルめっき層を介して設けることが一般に行われ、これらのめっき層22が前記銅箔パターン21と一体となって、前記外部接続端子2を構成している。
【0023】
図1(b)は、メタルマスク4の開口部41を、前記絶縁性基板1の前記外部接続端子2を有しない面の前記貫通孔3の端部パターンに位置合わせする工程を示す。メタルマスク4は、通常、フォトエッチング法またはレーザー法で50〜1000μm厚のステンレス(例えばSUS304材)やCu系合金を加工するが、電鋳法によりNi系合金を使用することもできる。開口部41の大きさは、前記貫通孔3の端部パターンの大きさを基準にして開口率を定義すると、後述の印刷工程条件にも依存するが、直径0.8mmの貫通孔に対して、開口率100%の設計でメタルマスクを作製することができる。また、後述の印刷工程における適性を向上するために、メタルマスクのエンボス加工が有効であり、エンボス量を考慮したメタルマスクの厚さを200μmとすることが妥当であった。
【0024】
準備した前記メタルマスク4を前記貫通孔3の端部パターンに位置合わせする工程は、必要精度に応じて各種の手段を採用できる。前記絶縁性基板1と前記メタルマスク4との外形合わせのみによる方法が最も簡単であるが、図の上方から直接、目視または拡大鏡により貫通孔の端部パターンを確認して行うこともできる。さらに、位置合わせに好都合な認識マークをメタルマスクの有効領域の外に別途形成しておいて、前記絶縁性基板1上に形成した対応する認識マークと機械的に合わせ込むこともできる。認識マークを用いて光学的なアライメントを手動または自動で行うことにより、高精度の位置合わせも可能である。
【0025】
図1(c)は、メタルマスク4の開口部41を通してクリーム半田5を印刷する工程を示す。前記絶縁性基板1の貫通孔3の内部にペースト状のクリーム半田5を詰め込み、前記外部接続端子2に到達し充分に接触するまで充填する。本実施形態においては、Sn−3.5Ag(固相温度約220℃)の半田合金をクリーム半田5として使用することができる。
【0026】
図1(d)は、前記印刷後のクリーム半田5を溶融し半田バンプ6を形成する工程を示す。(c)における印刷後、メタルマスク4を取り外した後に、工程中の外部接続端子基板10の全体をリフロー炉に通すことにより、前記クリーム半田5を溶融して半田バンプ6を形成することができ、本実施形態では、絶縁性基板1の貫通孔3から約150μmの高さの球面状に突出して複数配置された半田バンプ6が得られる。
【0027】
前述のクリーム半田を印刷する工程を、図2および図3により、さらに詳細に説明する。図2は、本発明のICカードの製造方法の内、メタルマスクによる半田バンプの印刷工程を説明するための模式断面図である。また、図3は、本発明のICカードの製造方法の内、メタルマスクによる半田バンプの印刷工程を説明するための模式平面図である。
【0028】
図1で説明した外部接続端子2を裏面に貼り合わせた絶縁性基板1が、被印刷体としてテープ状に連続供給される例について説明する。被印刷体としての搬送基板11が、右向きのブロック矢印で示す搬送方向に、印刷ステージ71上に送り込まれる。ここで、2つの搬送ロール72の回転機構が基板の搬送を助ける。一方、上下方向のブロック矢印で表示されるメタルマスクの上下機構(図示せず)によって、前記搬送基板11と位置合わせされたメタルマスク4が上方から降下し、搬送基板11の指定位置に印刷する。スキージ73のメタルマスク面に沿ってメタルマスク面を押し付ける掃引動作により、印刷中のクリーム半田51を拡げると共にメタルマスクの開口部41から貫通孔3へ詰め込むことにより印刷することができる。図3の両方向矢印がスキージ73の移動方向を示す。1ピッチ分の印刷が終了すると、メタルマスクが一旦上昇するとともに、搬送基板11が1ピッチ分進み、以下、上記の動作を繰り返して、間歇的な連続印刷ができる。
【0029】
ここで、前記メタルマスク4の中で、複数の開口部41を含む印刷有効領域を、印刷ペーストが裏面に通過しない周辺の領域と区別して段階を設けるように、エンボス加工を施すことが印刷工程上有利である。エンボス加工部42は、エンボス量43を有して、印刷有効領域のみを低い面に保ち、印刷直後の半田バンプ61がメタルマスク4の周辺の領域と干渉することを防ぐ。例えば、エンボス量43をメタルマスク厚と同じ大きさで上限となる200μmとすることにより、メタルマスク厚の200μm未満の印刷高さを有する印刷直後の半田バンプ61とメタルマスクとの干渉を回避できる。
【0030】
スキージ73として、メタルやウレタン等の材質が使用できるが、ステンレス製の鏡面仕上げ品にテフロン(登録商標)コーティングしたスキージは、適正な弾力性によりクリーム半田のペーストに下向きの詰め込み力を付加すると共に、平坦な印刷面を与えるので、好適に使用することができる。
【0031】
クリーム半田の印刷が終わった外部接続端子基板10を、連続的に搬送し、リフロー炉で加熱することによって、前記クリーム半田5を溶融して半田バンプ6を形成する。リフロー炉は、一定の搬送速度で半田の溶融形成処理に最適な温度プロファイルを与えるようなヒーター配列仕様が製造工程上望ましく、本実施形態においては、Sn−3.5Ag(固相温度約220℃)の半田合金をクリーム半田として使用するため、220℃から330℃の間で5つの加熱ゾーンを形成した。以上の工程により、最終高さ150±40μmの半田バンプ6が得られる。
【0032】
図4は、本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプ6の高さを検査する方法の説明図であって、(a)は検査手段の模式断面図、(b)は高さ測定箇所を示すカメラ画像の模式拡大図である。連続的にテープ状に供給される外部接続端子基板12が、上述のように半田バンプ62を連続的に形成した後、円筒ドラム74の曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の接線方向から測定用のカメラ81により、
前記半田バンプ62の高さの検査を行う。カメラ画像の模式拡大図に示すように、半田バンプ62の高さは外部接続端子基板12の半田バンプ側の表面からの高さhとして、一般的な計測機器を用いて計測される。前記カメラ81は特定のものに限定されることは無く、
レーザ高さ変位計を使用して、安価にかつ精度良く検出することもできる。
【0033】
図5は、本発明のICカードの製造方法の内、半田バンプの外観形状を検査する方法の説明図であって、(a)は検査手段の模式断面図、(b)は外観形状検査箇所を示すカメラ画像の模式拡大図である。連続的にテープ状に供給される外部接続端子基板12が、上述のように半田バンプ62を連続的に形成した後、円筒ドラム74の曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の法線方向から観察用のカメラ82により、前記半田バンプ62の外観形状の検査を行う。カメラ画像の模式拡大図に示すように、半田バンプ62の平面的な外観形状を拡大して観察することができる。上記外観形状の検査は、図4に示す半田バンプ62の高さ検査と同一箇所で同時に行うことにより、一体的に容易に検査できるものである。但し、照明環境(図示せず)等の都合により、分離して検査を行う場合は、この限りではない。
【0034】
半田バンプの高さと外観形状との2種類の検査の結果による良/不良の評価は、カメラ画像を観察して目視で判断することも可能であるが、画像処理機能を連結して自動判定しても良い。また、上記2種類の検査結果を総合判定することにより、製造工程にフィードバックするための新たな処理判断を付け加えることも可能である。上記の検査は、製造工程中の品質保証を同時に進めるものであり、信頼性の高い、安価で量産性に優れた部材を提供する上で有効である。
【0035】
以上述べた方法により、外部接続端子基板の安定した製造が可能となる。次に、前記外部接続端子基板を採用することにより、デュアルインターフェース型ICカードを製造する方法について説明する。
【0036】
図9は、本発明のICカードの製造方法の内、カード本体とインレットとの構成を説明するための模式構成図である。図7に示したインレット110を、図7(a)のA−A線(一点鎖線)における断面とその上下両側から挟む構造のカード本体103の断面で表す。基材シート119の厚さは15〜200μm程度とし、材料としては、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の各種樹脂を好適に採用することができる。
【0037】
非接触式通信用のコイル状のアンテナパターン111と、ICチップ112の外部との接続部113と、共振周波数調整用のコンデンサパターン115とは、前記基材シート119上の20〜50μmの厚さの導体膜からフォトエッチング等の手段により、パターン形成される。また、ICチップ112は、下面に設けられた図示しないバンプが、異方性導電フィルム(ACF)を介するフリップチップ実装によって、接続部113およびアンテナパターン111と電気的に接続される。必要に応じて封止用樹脂や金属板を用いて実装後のICチップ112を保護してもよい。
【0038】
図10は、本発明のICカードの製造方法の内、インレットを組み込んだカード本体に外部接続端子基板を設置できるように加工した状態を示す模式断面図である。前記インレット110は、図7(a)のB−B線(一点鎖線)における断面とその上下両側から挟む構造のカード本体103の断面で表す。図7(a)に点線で示した外部接続端子基板の設置位置114に対応するカード本体の位置は、図10の断面図における第一の凹部121および第二の凹部122のように2段階にザグリ加工される。第二の凹部122により窓明け露出された部分にインレット110の接続部113に繋がる接続パッド116が設置される。
【0039】
また、図11は、本発明のICカードの製造方法の内、カード本体に外部接続端子基板124を設置した状態を拡大して示す模式断面図である。前記ザグリ加工された凹部121および122に嵌め込む状態に、外部接続端子基板124を設置する。予め、クリーム半田などの導電ペースト117を、露出接続部である接続パッド116上に塗布する。ここで塗布する導電ペースト117は、外部接続端子基板124に上述の方法で設けた半田バンプ6の先端部と接続パッド116との間の第二の凹部122内の隙間を埋める目的を達成するためであるので、極めて少量、例えば塗布点一点当たり1〜2mgで足りる。さらに、使用するクリーム半田としては、半田バンプ6の作製に用いた材料より低融点のものが望ましい。例えば、Sn−57Bi−1Ag(固相温度約140℃)や、Sn−8Zn−3Bi(固相温度約190℃)等が適している。半田バンプ6を形成するクリーム半田5より導電ペースト117として用いるクリーム半田の融点を低くすると、外部接続端子基板124の接合時に半田バンプ6が溶融して接続パッド116側に流れ落ちる可能性がなくなるので、好ましい。また、低温での接合ができるので、少ない熱量で確実な接続を実施するとともに、加熱によるカード本体へのダメージも少なく、反りや変形の少ない、外観形状も優れるデュアルインターフェイス型ICカードを製造することができる。
【0040】
外部接続端子基板124をカード本体103の凹部121および122に嵌め込み装着して接合する場合、凹部に配したホットメルトシート118を介して、熱圧着することができる。ホットメルトシート118としては、ポリエステル系やニトリルゴム系の材料が利用できる。嵌め込み装着時に、第二の凹部122が外部接続端子基板124上の半田バンプ6を誘導する効果があるので、位置合わせは容易である。熱圧着には、プレス温度180〜240℃、プレス時間1.5〜4秒程度の条件範囲から、使用するクリーム半田材料に応じて選択する。なお、本実施例では導電性材料としてクリーム半田を使用したが、銀等の導電性金属を含む熱硬化性の導電性ペーストを使用しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1・・・絶縁性基板
2・・・外部接続端子
3・・・貫通孔(絶縁性基板)
4・・・メタルマスク
5・・・クリーム半田
6・・・半田バンプ
10・・・外部接続端子基板
11・・・搬送基板
12・・・外部接続端子基板(テープ状)
21・・・銅箔
22・・・めっき層
41・・・開口部(メタルマスク)
42・・・エンボス加工部
43・・・エンボス量
51・・・クリーム半田(印刷中)
61・・・半田バンプ(印刷直後)
62・・・半田バンプ
71・・・印刷ステージ
72・・・搬送ロール
73・・・スキージ
74・・・円筒ドラム
81、82・・・カメラ
100・・・アンテナシート
101、112・・・ICチップ
102・・・インレット
103・・・カード本体
104・・・外部接続端子基板
105・・・接着剤
106・・・バンプ
107、111・・・アンテナパターン
110・・・インレット
113・・・接続部
114・・・外部接続端子基板の設置位置
115・・・コンデンサパターン(共振周波数調整用)
116・・・接続パッド(露出接続部)
117・・・導電ペースト
118・・・ホットメルトシート
119・・・基材シート
121・・・第一の凹部
122・・・第二の凹部
124・・・外部接続端子基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード本体と、
非接触通信を行うためのアンテナパターンと、前記アンテナパターンに電気的に接続されたICチップとを有し、前記ICチップと電気的に接続された接続部の少なくとも一部を露出させて前記カード本体に埋設されたインレットと、
前記接続部に電気的に接続されたICカード用外部接続端子基板と、を備え、
前記外部接続端子基板が、貫通孔を有する絶縁性基板の一方の面に外部接続端子を有し、他方の面に前記貫通孔から突出して配置した半田バンプを有し、前記外部接続端子と前記半田バンプとが前記貫通孔内で接続されているICカードの製造方法において、
前記半田バンプの形成方法が、貫通孔を設けた絶縁性基板の一方の面に外部接続端子を形成した後に、前記外部接続端子を有しない面に開口した前記貫通孔の端部パターンにメタルマスクの開口部を位置合わせしてクリーム半田を印刷後、溶融して形成することを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項2】
前記メタルマスクをエンボス加工して用いることを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。
【請求項3】
前記外部接続端子基板が連続的にテープ状に供給され、請求項1または2に記載の半田バンプの形成方法で前記半田バンプを連続的に形成した後、円筒ドラムの曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の接線方向から前記半田バンプの高さの検査を行うことを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項4】
前記外部接続端子基板が連続的にテープ状に供給され、請求項1または2に記載の半田バンプの形成方法で前記半田バンプを連続的に形成した後、円筒ドラムの曲面に前記半田バンプ側を外向きに巻き付けて、前記円筒ドラムの曲面の法線方向から前記半田バンプの外観形状の検査を行うことを特徴とするICカードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−81650(P2011−81650A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234142(P2009−234142)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】