説明

ICカード

【課題】本発明によれば耐久性及び信頼性の高いICカードを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明におけるICカードは、第1の凹部を有するカード基材、及び前記第1の凹部に格納されるICモジュールから構成されるICカードであって、前記ICモジュールは、ICチップと、前記ICチップと電気的に接続される外部端子と、前記ICチップ及び前記外部端子を支持するICモジュール基板と、前記ICチップ及び前記外部端子を封止し、前記ICモジュール基板の外側に達する位置まで延設するモールド部と、を有し、前記モールド部の一部と前記第1の凹部とが係合することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のICカードは、基板とICカード本体の接着部との間に、接着剤を供給するための間隙を形成し、或いは、基板とICカード本体の接着部との接着面積を拡大することにより基板及びICカード本体間の接着力を強化し、ICカード本体からの基板の剥がれを防止することで、ICカードの耐久性及び信頼性の向上を図っていることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−32088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のICカードは、基板及びICカード本体間は接着剤により接着されているため、ICカード本体に外力が加わった場合に、接着剤の劣化によりICカード本体から基板が剥離し、耐久性及び信頼性に欠けるという課題が有った。
【0005】
そこで、本発明は耐久性及び信頼性の高いICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載のICカードは、第1の凹部を有するカード基材、及び前記第1の凹部に格納されるICモジュールから構成されるICカードであって、前記ICモジュールは、ICチップと、前記ICチップと電気的に接続される外部端子と、前記ICチップ及び前記外部端子を支持するICモジュール基板と、前記ICチップ及び前記外部端子を封止し、前記ICモジュール基板の外側に達する位置まで延設するモールド部と、を有し、前記モールド部の一部と前記第1の凹部とが係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば耐久性及び信頼性の高いICカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係るICカード10の外観を示す図。
【図2】本発明の実施の形態1に係るICカード10の断面を示す図。
【図3】本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の断面を示す図。
【図4】本発明の実施の形態1に係るICカード10の製造工程を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施の形態1に係るCOTの外観を示す図。
【図6】本発明の実施の形態1に係るICカード10の製造工程のSt14において樹脂モールド部26を形成する際の金型及びICモジュール部31を示す図。
【図7】本発明の実施の形態1に係るICカード10の製造工程のSt16においてICモジュール14を製造する際のICモジュール部31を示す図。
【図8】本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の構成を示す上面、及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るICカード10の外観を示す図である。図2は、本発明の実施の形態1に係るICカード10の断面を示す図である。図3は、本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の断面を示す図である。
【0011】
図1乃至図3を参照して本発明の実施の形態1に係るICモジュール14、及びICカード10の構成について説明する。
【0012】
図1及び図2に示すようにICカード10は、カード基材11と、接触式のインタフェースを有するICチップ13を備えたICモジュール14とから構成される。
【0013】
ICモジュール14は、カード基材11が有する凸型の凹部15(第1の凹部)に格納されている。ICモジュール14は、長方形状のICモジュール基板21、コンタクトパターン22(外部端子)、ICモジュール基板21に載置されたICチップ13を備えており、断面が凸状である。
【0014】
カード基材11が有する凹部15は、図2に示すように第2の凹部、及び第3の凹部から構成される。
【0015】
ICチップ13は、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、コンデンサなどの素子が組み込まれた集積回路で有り、ICモジュール基板21の裏面21bに設けられたダイボンディングパッド24上にダイボンディングにより固定されている。
【0016】
また、ICチップ13は、種々のデータが記憶される不揮発性メモリを有しており、コンタクトパターン22により図示しない外部のICリーダライタと接触通信することにより処理コマンド及び処理用のデータの送受信を行う。
【0017】
コンタクトパターン22は、ICモジュール基板21の表面21a側に設けられおり、導電性を有する金属などにより外部機器と接触可能に形成され、ICモジュール基板21を貫通して形成されたスルーホールを経由して、ボンディングワイヤ25によりICチップ13のピンと電気的に接続されている。
【0018】
なお、ICチップ13、及びボンディングワイヤ25を含む部分の周囲が、ICモジュール基板21の外側位置に達するまで絶縁性樹脂により延設されて封止され、樹脂モールド部26(モールド部)を形成している。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の製造工程を示すフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態1に係るCOT:Chip On Tape(以下、COTとする。)の一部を示す図である。図5に示すようにCOTは、絶縁性のガラスエポキシ素材などにより湾曲させることができる程度の厚さで細長いテープ状に形成されている。また、COTには、長手方向に複数のICモジュール部31が2列に並んで形成され、このICモジュール部31を打ち抜くことによりICモジュール14が製造される。なお、各ICモジュール部31にはテープ穴30が設けられている。
【0020】
以下、図4を参照して本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の製造工程を説明する。
【0021】
ICモジュール基板21の表面21aに形成された金属膜をパターンニングし、コンタクトパターン22を形成する(St11)。
【0022】
St11においてコンタクトパターン22を形成した後、ICモジュール基板21の裏面21bにICチップ13を実装する(St12)。
【0023】
St12においてICチップ13を実装した後、ICチップ13の内部回路から伸び出している複数のピンをコンタクトパターン22の複数のエリアにそれぞれボンディングワイヤ25によりワイヤボンディングする(St13)。
【0024】
St13においてワイヤボンディングした後、ICチップ13が実装されているICモジュール基板21の裏面21bに対してICチップ13及びワイヤボンディングを施した箇所を覆うように絶縁性の樹脂を金型を用いてテープ穴30を塞ぎつつ充填し、樹脂モールド部26を形成する(St14)。
【0025】
図6は、本発明の実施の形態1に係るICカード10の製造工程のSt14において樹脂モールド部26を形成する際の金型及びICモジュール部31を示す図である。
【0026】
St14において樹脂モールド部26を形成した後、図示しないICリーダライタを用いてICモジュール基板21上のICチップ13と通信によりデータの授受を行う(St15)。
【0027】
ここで、例えば、ICリーダライタは、データをICチップ13に送信することによりICチップ13のメモリに所望のデータを書き込む。或いは、ICリーダライタは、ICチップ13にコマンドを送信し、ICチップ13からコマンドに対するレスポンスを受信することにより、製品の特定、ICチップ13が正常に動作しているか否かなどの検査を行う。
【0028】
St15においてデータの授受を行った後、St11乃至St15において構成されたCOTから図7の太線で示す外縁に沿ってICモジュール部31をCOTから打ち抜き分離することによりICモジュール14を製造する(St16)。
【0029】
図8に本発明の実施の形態1に係るICモジュール14の構成を示す上面、及び断面図である。
【0030】
St16において製造されたICモジュール14をICカードサイズに構成された金型内(図示しない)の所定の位置に固定し、その周囲でICカードサイズに構成された金型内に熱により溶解されたASB樹脂などの基材樹脂を充填し冷却固定することによりICモジュール14の周囲にカード基材11を生成し、ICカード10を製造する(St17)。
【0031】
以上のように構成されたICカード10は、ICモジュール14の樹脂モールド部26がICモジュール基板21の外側に達する位置まで延設されて形成されているため、ICカード10に外力が加わった際に、延設されて形成された樹脂モールド部26がICカード基材11と係合するため、ICカード10の外力に対する耐久性及び信頼性が向上する。
【0032】
なお、本発明は上記の実施の形態に限られるものではなく、その趣旨を変えない範囲での変更は可能であって、樹脂モールド部26、及びカード基材11の材料などは任意である。
【符号の説明】
【0033】
10 ICカード
11 カード基材
12 カード本体
13 ICチップ
14 ICモジュール
15 凹部
21 ICモジュール基板
21a 表面
21b 裏面
22 コンタクトパターン
24 ダイボンディングパッド
25 ボンディングワイヤ
26 樹脂モールド部
30 テープ穴
31 ICモジュール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の凹部を有するカード基材、及び前記第1の凹部に格納されるICモジュールから構成されるICカードであって、
前記ICモジュールは、
ICチップと、
前記ICチップと電気的に接続される外部端子と、
前記ICチップ及び前記外部端子を支持するICモジュール基板と、
前記ICチップ及び前記外部端子を封止し、前記ICモジュール基板の外側に達する位置まで延設するモールド部と、
を有し、
前記モールド部の一部と前記第1の凹部とが係合することを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記第1の凹部は、
前記第1の凹部の一方の内側壁に設けた第2の凹部と、
前記第1の凹部の内側壁の相対する他方の内側壁に設けた第3の凹部と、
を更に有し、
前記モールド部の一部と前記第2の凹部、及び第3の凹部とが係合することを特徴とする請求項1記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−138362(P2011−138362A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298504(P2009−298504)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】