ID特定システム
【課題】 1台のリーダーによって、複数のID発信手段から発信されるIDを受信するとともに、必要に応じて、個々のIDを特定することもできるID特定システムを提供することである。
【解決手段】 一定のエリアE1内にある読み取り可能なID発信手段2a,・・・から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダー1と、上記全てのID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのID信号の読み取りを阻止する信号遮断手段6と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段4と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段6によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段3とを備えた。
【解決手段】 一定のエリアE1内にある読み取り可能なID発信手段2a,・・・から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダー1と、上記全てのID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのID信号の読み取りを阻止する信号遮断手段6と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段4と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段6によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段3とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線で発信されるIDを特定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IDを発信するICタグやICカードから、専用のリーダーがIDを受信して、IDを特定することが行われている。
上記ICタグとリーダーとの通信エリアは、通常、数(cm)〜10(cm)と狭いので、IDを受信するためには、リーダーの通信エリア内には、1個ずつのICタグが位置するようにして個々のIDを読み取るようにしている。つまり、リーダーに個々のICタグを近づけるか、ICタグが移動できない装置などに取り付けられていた場合には、リーダーを各ICタグに近づけてIDを読み取るようにする。
【0003】
また、例えば、遊技場内に設置された遊技機に対する不正行為を防止するために、各制御基盤に組み込まれたICタグから、IDを受信して、その遊技機の正誤を確認するシステムがあるが、このようなシステムでは、特許文献1にあるように、個々のICタグに対応するリーダーを個別に設けて、それぞれの通信エリア内に設けられたICタグからIDを読み取らせるようにしていた。このような遊技場のシステムでは、制御基盤が取り替えられるなどの不正が行われた場合には、遊技機から発信されるべきIDが発信されないため、不正行為を発見できる。
【特許文献1】特開2000−288218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記遊技場の不正監視システムでは、個々の遊技機に対応するIDを読み取るために、複数のリーダーを必要とするため、設備コストが高くなってしまうという問題があった。
そこで、ICタグなどのID発信手段の通信エリアを大きくして、複数のIDを一つのリーダーで受信できるようにすることが考えられるが、その場合には、個々のIDを特定することはできない。
この発明の目的は、1台のリーダーによって、複数のID発信手段から発信されるIDを受信するとともに、必要に応じて、個々のIDを特定することもできるID特定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、一定のエリア内にある読み取り可能な全てのID発信手段から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダーと、上記ID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのIDの読み取りを阻止する信号遮断手段と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段とを備えた点に特徴を有する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、リーダーは、上記ID発信手段から発信されるID信号に対応するIDを所定時間ごとに読み取る機能を有し、上記処理手段は、リーダーが読み取った今回のIDの数とID記憶手段が記憶している前回読み取ったIDとを対比し、今回のIDの数が前回のIDの数より1少なかったとき、前回の読み取りタイミングと今回の読み取りタイミングとの間に、ID信号が遮断されたと判断し、前回読み取られたIDであって、今回読み取られなかったIDを、遮断されたID信号に対応するIDと特定する機能を有する点に特徴を有する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明を前提とし、特定のID発信手段のID信号を遮断する前の状態において、遮断予告信号を上記処理手段に対して入力する遮断予告入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断予告信号が入力されたときに、リーダーが読み取ったIDを遮断前のIDとしてID記憶手段へ記憶させる点に特徴を有する。
【0008】
第4の発明は、上記請求項1または3を前提とし、特定のID発信手段のID信号を遮断した後の状態において、遮断通知信号を上記処理手段に対して入力する遮断通知信号入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断通知信号が入力されたあとに、読み取ったIDを遮断後のIDとして、遮断前のIDと対比する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1〜第4の発明によれば、ひとつのリーダーで、複数のID信号を受信しながら、個々のIDを特定することもできるため、ID発信手段の数に応じて、多数のリーダーを設ける必要がない。リーダーの設置台数を少なくできるため、設備コストを低く抑えることができる。
【0010】
第2〜第4の発明によれば、処理手段が、IDを読み取るたびに、読み取った全てのIDの対比を行う処理を省略できるので、処理手段の負担を軽くできる。
第3、第4の発明によれば、さらに、処理手段の処理を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図5に、この発明の第1実施形態を示す。
まず、図1および図2を用いて、この発明のIDを特定する原理を簡単に説明する。
この発明のリーダーである読み取り部1には、処理部3を接続し、処理部3には記憶部4と表示部5を接続している。
上記読み取り部1の通信エリアE1は、数10(cm)〜数(m)であり、この通信エリアE1内に位置するID発信手段2a,2b,2c,2d,2eから発信されるIDを受信する機能を備えている。
上記ID発信手段とは、自身のIDを記憶し、それを無線発信する機能を備えたICタグや、装置などである。
【0012】
上記のように、通信エリアE1内に複数のID発信手段が位置している場合には、読み取り部1は、これらのID発信手段から発信される複数のIDを受信可能であるが、読み取っただけでは、どのIDがどのタグから発信されたものなのかを特定することができない。
そこで、この発明は、読み取り部1が全てのIDを読み取った後に、特定のID発信手段からのID信号だけを、読み取り部1に届かないようにする。例えば、特定のID発信手段をID発信手段2cとした場合、図2に示すように、ID発信手段2cをこの発明の信号遮断手段である遮断部材6で覆う。この遮断部材6とは、ID発信手段から発信されるID信号を、読み取り部1へ届かせないようにするものである。
【0013】
上記のように、特定のID発信手段2cのみを遮断部材6で覆うと、読み取り部1は、上記ID発信手段2cに対応するIDを読み取ることできなくなるが、その他のID発信手段から発信されるIDを読み取ることはできる。
従って、上記遮断部材6によって特定のID発信手段2cを覆う前後に読み取り部1が自身の通信エリアE1内のIDを読み取り、前後に読み取ったIDを対比すれば、遮断部材6で覆われた特定のID発信手段2cのIDを特定することができる。すなわち、遮断前に読み取った複数のIDのうち、遮断後に読み取られなくなったIDが、遮断部材で覆われた特定のID発信手段2cのIDであると特定できる。このようにして、遮断されたID発信手段のIDを特定する機能を、この発明の処理手段である上記処理部3が備えている。
【0014】
この第1実施形態は、上記原理を、スーパーマーケットなどのレジに適応した例である。
このスーパーで販売される商品には、それぞれIDを発信するICを組み込んだICラベル2a,2b,2c,2d,2eを貼付しておく(図3参照)。このICラベルが、この発明のID発信手段である。
一方、上記処理部3に接続した記憶部4は、図4に示すように、各IDに、品名や価格などの商品情報を対応付けた商品情報テーブルを記憶している。商品情報としては、上記価格などのほか生産者や産地の情報などどのような情報でもかまわない。
【0015】
また、処理部3は、読み取り部1にIDを読み取らせるタイミングを制御する機能と、読み取り部1が読み取ったIDを受信して、データ処理する機能とを備えているが、この処理部3の機能を詳細については、後で説明する。
以下に、買い物客が、かご7に入れてレジカウンターに載せた購入商品の中から、特定の商品のIDを特定して、対応する商品情報を表示させる手順を、図5に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、主に、上記処理部3の処理を示すものである。
なお、図3に示すように、レジカウンターには、読み取り部1と、遮断ボックス8を設けている。読み取り部1は、図1、図2で説明した読み取り部で、この読み取り部1の通信エリアE1内に、かご7と上記遮断ボックス8とが位置するようにしている。上記遮断ボックス8は、そこに、ID発信手段からのID信号を遮断する機能を備えた箱である。
【0016】
上記のようにレジカウンターにかご7を載せると、処理部3は、処理を開始する(ステップS1)。この処理の開始は、かご7がカウンターに載せられたことを感知して自動的に行われるようにすることもできるし、レジ担当者が、手動でスイッチを入れて開始さえるようにしてもよい。
ステップS2で時間計測を開始し、ステップS3で、読み取り部1を介して読み取りエリアE1から全IDを読み取る。このとき、読み取り部1は、かご7内の全ての商品に貼付されたICラベルからIDを読み取ることができる。例えば、各ICラベル2a,2b,2c,2d,2eから発信されるIDが、それぞれA,B,C,D,Eとすれば、図6の表のように、時刻t0では、IDとしてA,B,C,D,Eを受信する。そして、ステップS4では、これらの受信したIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0017】
その後、ステップS5で、先にIDを読み取ってから予め設定した所定時間Δtが経過したかどうかを判断して、時間Δtが経過した場合には、ステップS6へ進み今回のIDを読み取るが、時間Δt経過していない場合には、ステップS5を繰り返す。つまり、上記時間Δtごとに、IDを読み取るようにしている。上記時間Δtの長さは、特に限定されないが、ここでは、非常に短時間とし、実質的には、ほぼ連続的にIDを読み取っているものとする。
【0018】
ステップS6で今回のIDを受信したら、ステップS7に進み、記憶部4が記憶している前回のIDと、ステップS6で読み取ったIDとを対比する。ステップS8で、前回読み取ったIDと今回読み取ったIDとの間に差があるかどうかを判断する。差がなければ、ステップS12へ進み、今回読み取ったIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させて、ステップS5へ戻る。図6に示すように、時刻t0から時刻t1までのように、時間Δtごとに読み取ったID、A,B,C,D,Eが、変化なかった場合には、記憶部4が、そのまま、それを前回のIDとして記憶するようにする。ただし、新しく読み取ったIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させるのではなく、差がないことを判断した時点で、新しいIDを記憶しないようにしてもよい。
【0019】
一方、両者に差があった場合には、ステップS9へ進む。ここで、読み取ったIDに差があるということは、特定のIDが読み取られなかったことを意味する。例えば、買い物客が、自分がかご7に入れてきた商品のうち、ICラベル2cの商品の価格を確認したくなったとき、その商品を遮断ボックス8へ入れる。ICラベル2cが、遮断ボックス8に入ると、読み取り部1は、対応するID、すなわち、ID、Cを読み取ることができなくなる。従って、図6の時刻t2で、読み取ったIDは、A,B,D,Eとなる。
【0020】
ステップS9で、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDとして、例えば、ID、Cを特定し、ステップS10へ進む。
ステップ10では、特定したIDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出して、表示部5へ出力する。表示部5を、買い物客に向ければ、そこに、上記特定の商品の価格を提示させることができる。ここで、特定したIDに対応する商品情報を全て表示させるようにしてもよいが、必要なものを、レジ係が手元のボタンなどで選べるようにしてもよい。
【0021】
なお、このシステムでは、上記のようにして、レジでかごの中から、特定の商品を選んで遮断ボックス8へ入れることにより、その商品のIDを特定することができるため、それを利用して、その商品の商品情報を表示させることができる。ただし、特に、個々の商品情報やIDを特定する必要がない場合には、そのまま処理部3が、合計金額を算出して、レシートを発行することができる。例えば、合計ボタンなどが押されたら、処理部3は、その時点で読み取っている全IDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出す。そして、抽出した価格データを合計するともに、対応する品名、単価、合計金額を、図示しないプリンタへ出力する。
【0022】
図7に示す第2実施形態は、上記第1実施形態と同様の、レジでの態様であるが、処理部3の機能が異なる例である。ただし、システムの全体構成や、IDを特定する原理などは、第1実施形態と同じである。そこで、この第2実施形態の説明にも、図1〜図3および図6を用いる。
そして、図7は、処理部3の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに従って、レジで、特定の商品の商品情報を表示させる手順を説明する。
まず、図3に示すように、商品を入れたかご7をレジカウンターに載せ、図7のステップS101で、処理部3の処理が開始する。ステップS102で、時間計測を開始し、ステップS103で、読み取り部1を介してIDを読み取る。ステップS104で、IDを前回のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0023】
そして、ステップS105、ステップS106で、先にIDを読んでから時間Δtが経過したら、新たにIDを読み取る。この第2実施形態のステップS101〜ステップS106までの処理は、図5に示す第1実施形態のステップS1〜ステップS6と全く同じ処理である。
ステップS107では、前回読み取ったIDの数N1と、今回読み取ったIDの数N2との差が1かどうかを判断する。差が1の場合には、ステップS109へ進み、そうでない場合には、ステップS105へ戻る。
【0024】
もしも、いずれかの商品のIDを特定して、送品情報を抽出するために、その商品を遮断ボックス8へ入れた場合には、そのIDが読み取れなくなる。例えば、図6の表のように、時刻t1と時刻t2との間にICラベル2cが添付された商品を遮断ボックス8に入れると、時刻t1で読み取った前回のIDは、A,B,C,D,E、5個であり、時刻t2で読み取った今回のIDは、A,B,D,E、4個である。つまり、上記今回のIDの数N2が前回のIDの数N1よりも1だけ少なくなるはずである。
【0025】
そこで、いずれかの商品が遮断ボックス8に入れられたかどうかを、読み取ったIDの数の変化で判断し、遮断ボックスに入れられたと判断した場合、すなわち、ステップS108で、N1−N2=1の場合には、ステップS109へ進んで、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDを特定する。そして、ステップS110で、上記特定したIDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出し、表示部5へ出力する。これにより、特定の商品の、IDを特定し、価格などの情報を表示させることができる。
【0026】
この第2実施形態でも、特に、商品情報を抽出する必要がない場合には、第1実施形態と同様に、この処理を行わずに、処理部3が合計金額を算出することができる。
第2実施形態では、新たにIDを読み取った場合には、前回のIDと今回のIDとの数の差が1かどうかを判断し、その場合にのみ、IDそのものの対比を行うようにしている。第2実施形態では、第1実施形態のように、新たなIDを読み取るたびに前回のIDと対比する場合と比べて、処理部3の処理が単純になる。
【0027】
なお、図5に示す第1実施形態のステップS9,S10および、図7に示す第2実施形態のステップS109,S110の処理では、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDを特定した後、このIDに対応する商品情報を直ちに表示部5へ出力するようにしているが、ステップS9またはS109でのIDの特定後、所定の条件が満たされているときに限って、ステップS10または110へ進み、商品情報の出力を行う構成を採ってもよい。具体的には、遮断ボックス8による商品の遮蔽が一時的なものである場合(例えば、かご7の中から取り出されて遮断ボックス8に投入された商品が、取り出されてから所定時間が経過する前に、かご7の中に戻された場合)に限って、商品情報の出力を行う構成にすることもできる。
【0028】
図8〜図12に、この発明の第3実施形態を示す。
図8に示すのは、遊技機9を設置した遊技場に用いたこの発明のシステムである。図のように、一列に配置された各遊技機6の背面側にID発信手段であるICタグ2a,2b,2c,2d,2e,・・・を取り付けている。また、読み取り部1を、その通信エリアE2内に、上記ICタグ2a,2b,2c,2d,2eが入る位置に設置し、この読み取り部1には、処理部3を接続している。そして、処理部3には、記憶部4および表示部5を接続している。
【0029】
記憶部4は、図9のように、遊技機の台番号とIDとを対応付けた台番号テーブルを記憶している。
また、この第4実施形態で用いる遮断部材は、図10に示すように三層構造をした、遮断板6を用いる。すなわち、遮断板6は、金属層6aと、絶縁材層6bと、IC層6cとからなり、このIC層6cから、遮断板6のID、Xが、常時、発信されるようにしている。
そして、上記複数の遊技機6のうち特定したい遊技機6のICタグ部分を、上記遮断板6で覆うと、上記処理部3が、遮断板6で遮断されたIDを特定する機能を備えている。
その手順を、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、ステップS201で、上記読み取り部1および処理部3の動作を開始し、ステップS202で、時間計測を開始する。ステップS203で、読み取り部1を介してIDを読み取る。ステップS204で、読み取ったIDに、Xが含まれるかどうか判断し、Xが含まれる場合には、ステップS205へ進むが、含まれない場合には、ステップS213へ進む。例えば、図12に示すように、時刻t0で、読み取ったIDが、A,B,C,D,Eとする。ID、Xを読み取っていないので、ステップS213へ進み、時間Δtが経過したかどうかを判断し、時間Δtごとに、IDを読み取るようにしている(ステップS213→ステップS203)。
【0031】
もしも、上記遮断板6で、遊技機6のICタグ2bを覆おうとした場合、遮断板6が、上記通信エリアE2内に入った時点で、例えば、図12の時刻t1のように、読み取り部1がID、Xを読み取る。このような状態では、図11のステップS204から、ステップS205へ進み、このとき、すなわち時刻t1に読み取ったIDを、遮断前のIDとして記憶する。
【0032】
その後、ステップS206から、時間ΔtごとにIDを読み取り(ステップS206→ステップ207)、ステップS208で、新たに読み取ったIDの数N2と、ステップS205で記憶したIDの数N1とを対比し、N1−N2=1となるまでステップS206からステップS209を繰り返す。
ステップS209で、N1−N2=1となった場合には、ステップS210へ進む。上記遮断板6が、いずれかのICタグを覆ってID信号を遮断したと判断できるからである。図12に示す時刻t2のように、遮断前の時刻t1のときに、読み取られたID、Bが、読み取られなくなった状態である。
【0033】
ステップS210では、記憶部4が記憶している遮断前のIDと、現在読み取ったIDとを対比して、遮断前にふくまれて現在に含まれないIDを特定し、ステップS212へ進む。ステップS212では、上記特定したIDに対応する台番号を、記憶部4が記憶している台番号テーブルから抽出して表示部5へ出力する。
このように、遮断板6で遮断したIDを特定することができる。
【0034】
そして、この第3実施形態では、上記遮断板6から発信されるID、Xを、初めて受信したときに、これからいずれかのID信号が遮断されると判断し、その時点は遮断前とみなしている。つまり、この遮断板6から発信されるXのID信号が、この発明の遮断予告信号に対応し、遮断板6が、遮断予告信号入力手段に当たる。
ただし、遮断予告信号は、上記遮断板6のID信号に限らない。遮断部材を操作する担当者などが、手動で処理部3へ予告信号を入力するようにしてもよい。要するに、処理部3が、遮断前状態であることを認識して、遮断前のIDを読み取ることができればよい。
【0035】
図13〜図15に、第4実施形態を示す。
この第4実施形態では、実際に、遮断板6でICタグを覆って、ID信号を遮断した後に、そのことを処理部3へ知らせる遮断通知信号入力手段を備えた例である。
この第4実施形態でも、遮断部材として図10に示す第3実施形態の遮断板6と同様の遮断板6に、図13のようにスイッチ10を備えたものを用いている。このスイッチ10は、IC層6cのID発信機能をオン、オフするためのスイッチである。つまり、このスイッチ10をオンにしなければ、遮断板6を上記読み取り部1の通信エリア内に位置させても、遮断板6のID、Xが、上記読み取り部1に読み取られることはない。
その他は、上記第3実施形態と同様の構成をしている。
【0036】
次に、このシステムで、上記遮断板6で遮断したIDを特定し、対応する遊技台の台番号を特定する手順を図14のフローチャートに従って説明する。
ただし、特定のID発信手段であるICタグを遮断板6で覆った場合には、その時点で、上記遮断板6のスイッチ10をオンにするものとする。
ステップS3101、上記処理部3および読み取り部1を動作開始させ、ステップS302で、処理部3は時間計測を開始する。
ステップS303で、読み取り部1を介してIDを読み取って、ステップS304で、読み取ったIDを遮断前のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0037】
その後、ステップS305〜ステップS307まで、読み取ったIDにXが含まれるまでの間、時間ΔtごとにIDを読み取る(ステップS306)ことを繰り返す。
例えば、図12に示すように、時刻t0から時刻t1までの間、読み取られたIDが、A,B,C,D,Eであり、Xを含まなかった場合、記憶部4が、ID、A,B,C,D,Eを、遮断前のIDとして記憶している。
もしも、遮断板6によって遮断が行われた場合には、上記スイッチ10がオンにされるので、上記IC層6cから、ID、Xが発信される。そこで、処理部3は、読み取り部1を介して、上記ID、Xを受信する。
【0038】
ステップS307で、読み取ったIDの中に、Xが含まれていた場合には、処理部3は、ステップS308へ進み、記憶部4が記憶している遮断前のIDと、ステップS306で読み取った現在のIDとを対比し、ステップS309で、遮断前に含まれて現在のIDに含まれないIDを特定する。
読み取ったID中に、Xが含まれている場合とは、例えば、図12の時刻t2の状態であるが、このときのIDが遮断後のIDである。従って、ステップS308では、時刻t1のIDと時刻t2のIDとを対比する。時刻t1に含まれるID、Bが、時刻t2ではXに替わっているので、ステップS309で、遮断前に含まれて現在のIDに含まれないIDとしてBを特定する。
【0039】
遮断されたIDを特定したら、ステップS310へ進み、そのIDに対応する台番号を、記憶部4が記憶している台番号テーブルから抽出して、表示部5へ出力する。
以上のように、この第4実施形態でも、他の実施形態と同様に、遮断部材で遮断されたID信号を特定することができる。
なお、この第4実施形態では、遮断通知信号として、上記遮断板6から発信されるID信号を用いているが、遮断通知信号は、遮断されたことを処理部3へ通知するために入力されるものならば、どのようなものでもかまわない。
【0040】
また、処理部3に対し、遮断前を知らせるために、遮断予告信号入力手段と、遮断後を知らせるための、遮断通知信号入力手段とを組み合わせて、この発明のシステムを構成することもできる。ただし、その場合には、遮断予告信号と遮断通知信号とを、上記処理部3にとって、区別可能にしなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の第1実施形態の原理説明図である。
【図2】この発明の第1実施形態の原理説明図である。
【図3】この発明の第1実施形態の利用場面を示した図である。
【図4】第1実施形態の記憶部が記憶している商品情報テーブルの例である。
【図5】第1実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】第1実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【図7】第2実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】第3実施形態の利用場面を示した図である。
【図9】第3実施形態の記憶部が記憶している台番号テーブルの例である。
【図10】第3実施形態の遮断板6の断面図である。
【図11】第3実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図12】第3実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【図13】第4実施形態の遮断板の平面図である。
【図14】第4実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図15】第4実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【符号の説明】
【0042】
1 読み取り部
2a,2b,2c,・・・ ID発信手段、ICラベル、ICタグ
3 処理部
4 記憶部
6 遮断部材、遮断板
8 遮断ボックス
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線で発信されるIDを特定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IDを発信するICタグやICカードから、専用のリーダーがIDを受信して、IDを特定することが行われている。
上記ICタグとリーダーとの通信エリアは、通常、数(cm)〜10(cm)と狭いので、IDを受信するためには、リーダーの通信エリア内には、1個ずつのICタグが位置するようにして個々のIDを読み取るようにしている。つまり、リーダーに個々のICタグを近づけるか、ICタグが移動できない装置などに取り付けられていた場合には、リーダーを各ICタグに近づけてIDを読み取るようにする。
【0003】
また、例えば、遊技場内に設置された遊技機に対する不正行為を防止するために、各制御基盤に組み込まれたICタグから、IDを受信して、その遊技機の正誤を確認するシステムがあるが、このようなシステムでは、特許文献1にあるように、個々のICタグに対応するリーダーを個別に設けて、それぞれの通信エリア内に設けられたICタグからIDを読み取らせるようにしていた。このような遊技場のシステムでは、制御基盤が取り替えられるなどの不正が行われた場合には、遊技機から発信されるべきIDが発信されないため、不正行為を発見できる。
【特許文献1】特開2000−288218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記遊技場の不正監視システムでは、個々の遊技機に対応するIDを読み取るために、複数のリーダーを必要とするため、設備コストが高くなってしまうという問題があった。
そこで、ICタグなどのID発信手段の通信エリアを大きくして、複数のIDを一つのリーダーで受信できるようにすることが考えられるが、その場合には、個々のIDを特定することはできない。
この発明の目的は、1台のリーダーによって、複数のID発信手段から発信されるIDを受信するとともに、必要に応じて、個々のIDを特定することもできるID特定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、一定のエリア内にある読み取り可能な全てのID発信手段から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダーと、上記ID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのIDの読み取りを阻止する信号遮断手段と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段とを備えた点に特徴を有する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、リーダーは、上記ID発信手段から発信されるID信号に対応するIDを所定時間ごとに読み取る機能を有し、上記処理手段は、リーダーが読み取った今回のIDの数とID記憶手段が記憶している前回読み取ったIDとを対比し、今回のIDの数が前回のIDの数より1少なかったとき、前回の読み取りタイミングと今回の読み取りタイミングとの間に、ID信号が遮断されたと判断し、前回読み取られたIDであって、今回読み取られなかったIDを、遮断されたID信号に対応するIDと特定する機能を有する点に特徴を有する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明を前提とし、特定のID発信手段のID信号を遮断する前の状態において、遮断予告信号を上記処理手段に対して入力する遮断予告入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断予告信号が入力されたときに、リーダーが読み取ったIDを遮断前のIDとしてID記憶手段へ記憶させる点に特徴を有する。
【0008】
第4の発明は、上記請求項1または3を前提とし、特定のID発信手段のID信号を遮断した後の状態において、遮断通知信号を上記処理手段に対して入力する遮断通知信号入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断通知信号が入力されたあとに、読み取ったIDを遮断後のIDとして、遮断前のIDと対比する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1〜第4の発明によれば、ひとつのリーダーで、複数のID信号を受信しながら、個々のIDを特定することもできるため、ID発信手段の数に応じて、多数のリーダーを設ける必要がない。リーダーの設置台数を少なくできるため、設備コストを低く抑えることができる。
【0010】
第2〜第4の発明によれば、処理手段が、IDを読み取るたびに、読み取った全てのIDの対比を行う処理を省略できるので、処理手段の負担を軽くできる。
第3、第4の発明によれば、さらに、処理手段の処理を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図5に、この発明の第1実施形態を示す。
まず、図1および図2を用いて、この発明のIDを特定する原理を簡単に説明する。
この発明のリーダーである読み取り部1には、処理部3を接続し、処理部3には記憶部4と表示部5を接続している。
上記読み取り部1の通信エリアE1は、数10(cm)〜数(m)であり、この通信エリアE1内に位置するID発信手段2a,2b,2c,2d,2eから発信されるIDを受信する機能を備えている。
上記ID発信手段とは、自身のIDを記憶し、それを無線発信する機能を備えたICタグや、装置などである。
【0012】
上記のように、通信エリアE1内に複数のID発信手段が位置している場合には、読み取り部1は、これらのID発信手段から発信される複数のIDを受信可能であるが、読み取っただけでは、どのIDがどのタグから発信されたものなのかを特定することができない。
そこで、この発明は、読み取り部1が全てのIDを読み取った後に、特定のID発信手段からのID信号だけを、読み取り部1に届かないようにする。例えば、特定のID発信手段をID発信手段2cとした場合、図2に示すように、ID発信手段2cをこの発明の信号遮断手段である遮断部材6で覆う。この遮断部材6とは、ID発信手段から発信されるID信号を、読み取り部1へ届かせないようにするものである。
【0013】
上記のように、特定のID発信手段2cのみを遮断部材6で覆うと、読み取り部1は、上記ID発信手段2cに対応するIDを読み取ることできなくなるが、その他のID発信手段から発信されるIDを読み取ることはできる。
従って、上記遮断部材6によって特定のID発信手段2cを覆う前後に読み取り部1が自身の通信エリアE1内のIDを読み取り、前後に読み取ったIDを対比すれば、遮断部材6で覆われた特定のID発信手段2cのIDを特定することができる。すなわち、遮断前に読み取った複数のIDのうち、遮断後に読み取られなくなったIDが、遮断部材で覆われた特定のID発信手段2cのIDであると特定できる。このようにして、遮断されたID発信手段のIDを特定する機能を、この発明の処理手段である上記処理部3が備えている。
【0014】
この第1実施形態は、上記原理を、スーパーマーケットなどのレジに適応した例である。
このスーパーで販売される商品には、それぞれIDを発信するICを組み込んだICラベル2a,2b,2c,2d,2eを貼付しておく(図3参照)。このICラベルが、この発明のID発信手段である。
一方、上記処理部3に接続した記憶部4は、図4に示すように、各IDに、品名や価格などの商品情報を対応付けた商品情報テーブルを記憶している。商品情報としては、上記価格などのほか生産者や産地の情報などどのような情報でもかまわない。
【0015】
また、処理部3は、読み取り部1にIDを読み取らせるタイミングを制御する機能と、読み取り部1が読み取ったIDを受信して、データ処理する機能とを備えているが、この処理部3の機能を詳細については、後で説明する。
以下に、買い物客が、かご7に入れてレジカウンターに載せた購入商品の中から、特定の商品のIDを特定して、対応する商品情報を表示させる手順を、図5に示すフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、主に、上記処理部3の処理を示すものである。
なお、図3に示すように、レジカウンターには、読み取り部1と、遮断ボックス8を設けている。読み取り部1は、図1、図2で説明した読み取り部で、この読み取り部1の通信エリアE1内に、かご7と上記遮断ボックス8とが位置するようにしている。上記遮断ボックス8は、そこに、ID発信手段からのID信号を遮断する機能を備えた箱である。
【0016】
上記のようにレジカウンターにかご7を載せると、処理部3は、処理を開始する(ステップS1)。この処理の開始は、かご7がカウンターに載せられたことを感知して自動的に行われるようにすることもできるし、レジ担当者が、手動でスイッチを入れて開始さえるようにしてもよい。
ステップS2で時間計測を開始し、ステップS3で、読み取り部1を介して読み取りエリアE1から全IDを読み取る。このとき、読み取り部1は、かご7内の全ての商品に貼付されたICラベルからIDを読み取ることができる。例えば、各ICラベル2a,2b,2c,2d,2eから発信されるIDが、それぞれA,B,C,D,Eとすれば、図6の表のように、時刻t0では、IDとしてA,B,C,D,Eを受信する。そして、ステップS4では、これらの受信したIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0017】
その後、ステップS5で、先にIDを読み取ってから予め設定した所定時間Δtが経過したかどうかを判断して、時間Δtが経過した場合には、ステップS6へ進み今回のIDを読み取るが、時間Δt経過していない場合には、ステップS5を繰り返す。つまり、上記時間Δtごとに、IDを読み取るようにしている。上記時間Δtの長さは、特に限定されないが、ここでは、非常に短時間とし、実質的には、ほぼ連続的にIDを読み取っているものとする。
【0018】
ステップS6で今回のIDを受信したら、ステップS7に進み、記憶部4が記憶している前回のIDと、ステップS6で読み取ったIDとを対比する。ステップS8で、前回読み取ったIDと今回読み取ったIDとの間に差があるかどうかを判断する。差がなければ、ステップS12へ進み、今回読み取ったIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させて、ステップS5へ戻る。図6に示すように、時刻t0から時刻t1までのように、時間Δtごとに読み取ったID、A,B,C,D,Eが、変化なかった場合には、記憶部4が、そのまま、それを前回のIDとして記憶するようにする。ただし、新しく読み取ったIDを前回のIDとして記憶部4に記憶させるのではなく、差がないことを判断した時点で、新しいIDを記憶しないようにしてもよい。
【0019】
一方、両者に差があった場合には、ステップS9へ進む。ここで、読み取ったIDに差があるということは、特定のIDが読み取られなかったことを意味する。例えば、買い物客が、自分がかご7に入れてきた商品のうち、ICラベル2cの商品の価格を確認したくなったとき、その商品を遮断ボックス8へ入れる。ICラベル2cが、遮断ボックス8に入ると、読み取り部1は、対応するID、すなわち、ID、Cを読み取ることができなくなる。従って、図6の時刻t2で、読み取ったIDは、A,B,D,Eとなる。
【0020】
ステップS9で、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDとして、例えば、ID、Cを特定し、ステップS10へ進む。
ステップ10では、特定したIDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出して、表示部5へ出力する。表示部5を、買い物客に向ければ、そこに、上記特定の商品の価格を提示させることができる。ここで、特定したIDに対応する商品情報を全て表示させるようにしてもよいが、必要なものを、レジ係が手元のボタンなどで選べるようにしてもよい。
【0021】
なお、このシステムでは、上記のようにして、レジでかごの中から、特定の商品を選んで遮断ボックス8へ入れることにより、その商品のIDを特定することができるため、それを利用して、その商品の商品情報を表示させることができる。ただし、特に、個々の商品情報やIDを特定する必要がない場合には、そのまま処理部3が、合計金額を算出して、レシートを発行することができる。例えば、合計ボタンなどが押されたら、処理部3は、その時点で読み取っている全IDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出す。そして、抽出した価格データを合計するともに、対応する品名、単価、合計金額を、図示しないプリンタへ出力する。
【0022】
図7に示す第2実施形態は、上記第1実施形態と同様の、レジでの態様であるが、処理部3の機能が異なる例である。ただし、システムの全体構成や、IDを特定する原理などは、第1実施形態と同じである。そこで、この第2実施形態の説明にも、図1〜図3および図6を用いる。
そして、図7は、処理部3の処理手順を示したフローチャートである。このフローチャートに従って、レジで、特定の商品の商品情報を表示させる手順を説明する。
まず、図3に示すように、商品を入れたかご7をレジカウンターに載せ、図7のステップS101で、処理部3の処理が開始する。ステップS102で、時間計測を開始し、ステップS103で、読み取り部1を介してIDを読み取る。ステップS104で、IDを前回のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0023】
そして、ステップS105、ステップS106で、先にIDを読んでから時間Δtが経過したら、新たにIDを読み取る。この第2実施形態のステップS101〜ステップS106までの処理は、図5に示す第1実施形態のステップS1〜ステップS6と全く同じ処理である。
ステップS107では、前回読み取ったIDの数N1と、今回読み取ったIDの数N2との差が1かどうかを判断する。差が1の場合には、ステップS109へ進み、そうでない場合には、ステップS105へ戻る。
【0024】
もしも、いずれかの商品のIDを特定して、送品情報を抽出するために、その商品を遮断ボックス8へ入れた場合には、そのIDが読み取れなくなる。例えば、図6の表のように、時刻t1と時刻t2との間にICラベル2cが添付された商品を遮断ボックス8に入れると、時刻t1で読み取った前回のIDは、A,B,C,D,E、5個であり、時刻t2で読み取った今回のIDは、A,B,D,E、4個である。つまり、上記今回のIDの数N2が前回のIDの数N1よりも1だけ少なくなるはずである。
【0025】
そこで、いずれかの商品が遮断ボックス8に入れられたかどうかを、読み取ったIDの数の変化で判断し、遮断ボックスに入れられたと判断した場合、すなわち、ステップS108で、N1−N2=1の場合には、ステップS109へ進んで、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDを特定する。そして、ステップS110で、上記特定したIDに対応する商品情報を、記憶部4が記憶している商品情報テーブルから抽出し、表示部5へ出力する。これにより、特定の商品の、IDを特定し、価格などの情報を表示させることができる。
【0026】
この第2実施形態でも、特に、商品情報を抽出する必要がない場合には、第1実施形態と同様に、この処理を行わずに、処理部3が合計金額を算出することができる。
第2実施形態では、新たにIDを読み取った場合には、前回のIDと今回のIDとの数の差が1かどうかを判断し、その場合にのみ、IDそのものの対比を行うようにしている。第2実施形態では、第1実施形態のように、新たなIDを読み取るたびに前回のIDと対比する場合と比べて、処理部3の処理が単純になる。
【0027】
なお、図5に示す第1実施形態のステップS9,S10および、図7に示す第2実施形態のステップS109,S110の処理では、前回のIDに含まれて今回のIDに含まれないIDを特定した後、このIDに対応する商品情報を直ちに表示部5へ出力するようにしているが、ステップS9またはS109でのIDの特定後、所定の条件が満たされているときに限って、ステップS10または110へ進み、商品情報の出力を行う構成を採ってもよい。具体的には、遮断ボックス8による商品の遮蔽が一時的なものである場合(例えば、かご7の中から取り出されて遮断ボックス8に投入された商品が、取り出されてから所定時間が経過する前に、かご7の中に戻された場合)に限って、商品情報の出力を行う構成にすることもできる。
【0028】
図8〜図12に、この発明の第3実施形態を示す。
図8に示すのは、遊技機9を設置した遊技場に用いたこの発明のシステムである。図のように、一列に配置された各遊技機6の背面側にID発信手段であるICタグ2a,2b,2c,2d,2e,・・・を取り付けている。また、読み取り部1を、その通信エリアE2内に、上記ICタグ2a,2b,2c,2d,2eが入る位置に設置し、この読み取り部1には、処理部3を接続している。そして、処理部3には、記憶部4および表示部5を接続している。
【0029】
記憶部4は、図9のように、遊技機の台番号とIDとを対応付けた台番号テーブルを記憶している。
また、この第4実施形態で用いる遮断部材は、図10に示すように三層構造をした、遮断板6を用いる。すなわち、遮断板6は、金属層6aと、絶縁材層6bと、IC層6cとからなり、このIC層6cから、遮断板6のID、Xが、常時、発信されるようにしている。
そして、上記複数の遊技機6のうち特定したい遊技機6のICタグ部分を、上記遮断板6で覆うと、上記処理部3が、遮断板6で遮断されたIDを特定する機能を備えている。
その手順を、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0030】
まず、ステップS201で、上記読み取り部1および処理部3の動作を開始し、ステップS202で、時間計測を開始する。ステップS203で、読み取り部1を介してIDを読み取る。ステップS204で、読み取ったIDに、Xが含まれるかどうか判断し、Xが含まれる場合には、ステップS205へ進むが、含まれない場合には、ステップS213へ進む。例えば、図12に示すように、時刻t0で、読み取ったIDが、A,B,C,D,Eとする。ID、Xを読み取っていないので、ステップS213へ進み、時間Δtが経過したかどうかを判断し、時間Δtごとに、IDを読み取るようにしている(ステップS213→ステップS203)。
【0031】
もしも、上記遮断板6で、遊技機6のICタグ2bを覆おうとした場合、遮断板6が、上記通信エリアE2内に入った時点で、例えば、図12の時刻t1のように、読み取り部1がID、Xを読み取る。このような状態では、図11のステップS204から、ステップS205へ進み、このとき、すなわち時刻t1に読み取ったIDを、遮断前のIDとして記憶する。
【0032】
その後、ステップS206から、時間ΔtごとにIDを読み取り(ステップS206→ステップ207)、ステップS208で、新たに読み取ったIDの数N2と、ステップS205で記憶したIDの数N1とを対比し、N1−N2=1となるまでステップS206からステップS209を繰り返す。
ステップS209で、N1−N2=1となった場合には、ステップS210へ進む。上記遮断板6が、いずれかのICタグを覆ってID信号を遮断したと判断できるからである。図12に示す時刻t2のように、遮断前の時刻t1のときに、読み取られたID、Bが、読み取られなくなった状態である。
【0033】
ステップS210では、記憶部4が記憶している遮断前のIDと、現在読み取ったIDとを対比して、遮断前にふくまれて現在に含まれないIDを特定し、ステップS212へ進む。ステップS212では、上記特定したIDに対応する台番号を、記憶部4が記憶している台番号テーブルから抽出して表示部5へ出力する。
このように、遮断板6で遮断したIDを特定することができる。
【0034】
そして、この第3実施形態では、上記遮断板6から発信されるID、Xを、初めて受信したときに、これからいずれかのID信号が遮断されると判断し、その時点は遮断前とみなしている。つまり、この遮断板6から発信されるXのID信号が、この発明の遮断予告信号に対応し、遮断板6が、遮断予告信号入力手段に当たる。
ただし、遮断予告信号は、上記遮断板6のID信号に限らない。遮断部材を操作する担当者などが、手動で処理部3へ予告信号を入力するようにしてもよい。要するに、処理部3が、遮断前状態であることを認識して、遮断前のIDを読み取ることができればよい。
【0035】
図13〜図15に、第4実施形態を示す。
この第4実施形態では、実際に、遮断板6でICタグを覆って、ID信号を遮断した後に、そのことを処理部3へ知らせる遮断通知信号入力手段を備えた例である。
この第4実施形態でも、遮断部材として図10に示す第3実施形態の遮断板6と同様の遮断板6に、図13のようにスイッチ10を備えたものを用いている。このスイッチ10は、IC層6cのID発信機能をオン、オフするためのスイッチである。つまり、このスイッチ10をオンにしなければ、遮断板6を上記読み取り部1の通信エリア内に位置させても、遮断板6のID、Xが、上記読み取り部1に読み取られることはない。
その他は、上記第3実施形態と同様の構成をしている。
【0036】
次に、このシステムで、上記遮断板6で遮断したIDを特定し、対応する遊技台の台番号を特定する手順を図14のフローチャートに従って説明する。
ただし、特定のID発信手段であるICタグを遮断板6で覆った場合には、その時点で、上記遮断板6のスイッチ10をオンにするものとする。
ステップS3101、上記処理部3および読み取り部1を動作開始させ、ステップS302で、処理部3は時間計測を開始する。
ステップS303で、読み取り部1を介してIDを読み取って、ステップS304で、読み取ったIDを遮断前のIDとして記憶部4に記憶させる。
【0037】
その後、ステップS305〜ステップS307まで、読み取ったIDにXが含まれるまでの間、時間ΔtごとにIDを読み取る(ステップS306)ことを繰り返す。
例えば、図12に示すように、時刻t0から時刻t1までの間、読み取られたIDが、A,B,C,D,Eであり、Xを含まなかった場合、記憶部4が、ID、A,B,C,D,Eを、遮断前のIDとして記憶している。
もしも、遮断板6によって遮断が行われた場合には、上記スイッチ10がオンにされるので、上記IC層6cから、ID、Xが発信される。そこで、処理部3は、読み取り部1を介して、上記ID、Xを受信する。
【0038】
ステップS307で、読み取ったIDの中に、Xが含まれていた場合には、処理部3は、ステップS308へ進み、記憶部4が記憶している遮断前のIDと、ステップS306で読み取った現在のIDとを対比し、ステップS309で、遮断前に含まれて現在のIDに含まれないIDを特定する。
読み取ったID中に、Xが含まれている場合とは、例えば、図12の時刻t2の状態であるが、このときのIDが遮断後のIDである。従って、ステップS308では、時刻t1のIDと時刻t2のIDとを対比する。時刻t1に含まれるID、Bが、時刻t2ではXに替わっているので、ステップS309で、遮断前に含まれて現在のIDに含まれないIDとしてBを特定する。
【0039】
遮断されたIDを特定したら、ステップS310へ進み、そのIDに対応する台番号を、記憶部4が記憶している台番号テーブルから抽出して、表示部5へ出力する。
以上のように、この第4実施形態でも、他の実施形態と同様に、遮断部材で遮断されたID信号を特定することができる。
なお、この第4実施形態では、遮断通知信号として、上記遮断板6から発信されるID信号を用いているが、遮断通知信号は、遮断されたことを処理部3へ通知するために入力されるものならば、どのようなものでもかまわない。
【0040】
また、処理部3に対し、遮断前を知らせるために、遮断予告信号入力手段と、遮断後を知らせるための、遮断通知信号入力手段とを組み合わせて、この発明のシステムを構成することもできる。ただし、その場合には、遮断予告信号と遮断通知信号とを、上記処理部3にとって、区別可能にしなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の第1実施形態の原理説明図である。
【図2】この発明の第1実施形態の原理説明図である。
【図3】この発明の第1実施形態の利用場面を示した図である。
【図4】第1実施形態の記憶部が記憶している商品情報テーブルの例である。
【図5】第1実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】第1実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【図7】第2実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】第3実施形態の利用場面を示した図である。
【図9】第3実施形態の記憶部が記憶している台番号テーブルの例である。
【図10】第3実施形態の遮断板6の断面図である。
【図11】第3実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図12】第3実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【図13】第4実施形態の遮断板の平面図である。
【図14】第4実施形態の処理部の処理手順を示したフローチャートである。
【図15】第4実施形態において読み取られたIDの例を示した表である。
【符号の説明】
【0042】
1 読み取り部
2a,2b,2c,・・・ ID発信手段、ICラベル、ICタグ
3 処理部
4 記憶部
6 遮断部材、遮断板
8 遮断ボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定のエリア内にある読み取り可能な全てのID発信手段から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダーと、上記ID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのIDの読み取りを阻止する信号遮断手段と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段とを備えたID特定システム。
【請求項2】
リーダーは、上記ID発信手段から発信されるID信号に対応するIDを所定時間ごとに読み取る機能を有し、上記処理手段は、リーダーが読み取った今回のIDの数とID記憶手段が記憶している前回読み取ったIDとを対比し、今回のIDの数が前回のIDの数より1少なかったとき、前回の読み取りタイミングと今回の読み取りタイミングとの間に、ID信号が遮断されたと判断し、前回読み取られたIDであって、今回読み取られなかったIDを、遮断されたID信号に対応するIDと特定する機能を有する請求項1に記載のID特定システム。
【請求項3】
特定のID発信手段のID信号を遮断する前の状態において、遮断予告信号を上記処理手段に対して入力する遮断予告入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断予告信号が入力されたときに、リーダーが読み取ったIDを遮断前のIDとしてID記憶手段へ記憶させることを特徴とする請求項1に記載のID特定システム。
【請求項4】
特定のID発信手段のID信号を遮断した後の状態において、遮断通知信号を上記処理手段に対して入力する遮断通知信号入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断通知信号が入力されたあとに、読み取ったIDを遮断後のIDとして、遮断前のIDと対比することを特徴とする請求項1または3に記載のID特定システム。
【請求項1】
一定のエリア内にある読み取り可能な全てのID発信手段から発信される全てのID信号を受信してIDを読み取るリーダーと、上記ID発信手段のうち、特定のID発信手段から発信されるID信号を遮断し、リーダーによるこのIDの読み取りを阻止する信号遮断手段と、ID信号の遮断前にリーダーが読み取った全IDを記憶するID記憶手段と、ID記憶手段が記憶している遮断前のIDと、遮断後にリーダーが読み取ったIDとを対比して、上記信号遮断手段によって遮断されたID信号に対応するIDを特定する処理手段とを備えたID特定システム。
【請求項2】
リーダーは、上記ID発信手段から発信されるID信号に対応するIDを所定時間ごとに読み取る機能を有し、上記処理手段は、リーダーが読み取った今回のIDの数とID記憶手段が記憶している前回読み取ったIDとを対比し、今回のIDの数が前回のIDの数より1少なかったとき、前回の読み取りタイミングと今回の読み取りタイミングとの間に、ID信号が遮断されたと判断し、前回読み取られたIDであって、今回読み取られなかったIDを、遮断されたID信号に対応するIDと特定する機能を有する請求項1に記載のID特定システム。
【請求項3】
特定のID発信手段のID信号を遮断する前の状態において、遮断予告信号を上記処理手段に対して入力する遮断予告入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断予告信号が入力されたときに、リーダーが読み取ったIDを遮断前のIDとしてID記憶手段へ記憶させることを特徴とする請求項1に記載のID特定システム。
【請求項4】
特定のID発信手段のID信号を遮断した後の状態において、遮断通知信号を上記処理手段に対して入力する遮断通知信号入力手段を備え、上記処理手段は、上記遮断通知信号が入力されたあとに、読み取ったIDを遮断後のIDとして、遮断前のIDと対比することを特徴とする請求項1または3に記載のID特定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−227993(P2006−227993A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42238(P2005−42238)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【出願人】(504170816)株式会社ICブレインズ (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【出願人】(504170816)株式会社ICブレインズ (20)
【Fターム(参考)】
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