説明

III−V族化合物半導体セルを有する高集光型地上ソーラーセル構成体

【課題】ソーラーセル当たり15ワット以上のピークDC電力を発生する地上発電用のIII−V化合物半導体多接合ソーラーセルを提供する。
【解決手段】太陽からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルが開示される。この集光型光起電性ソーラーセルは、500Xより大きい集光度を生成するための集光レンズと集光される光のビームの経路に配置されたソーラーセルとを具備し、このソーラーセルは、第1の光活性接合を含み、底部のソーラーサブセルを形成する、ゲルマニウム基板と、該基板の上に配置された砒化ガリウムの中間サブセルと、AM1.5スペクトル領域における吸収を最大化するバンドギャップ、7000オングストロームを超える厚さ、及び、330オーム/平方未満のシート抵抗を有し、20個の太陽より大きな集光レベルで動作するように構成された、該中間サブセルの上に配置された燐化インジウムガリウムの上部サブセルと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、日光を電気エネルギに変換するための集光型地上ソーラーパワーシステム用のソーラーセルのデザインに関し、より詳細には、集光レンズとIII-V族族化合物半導体を用いたソーラーセルとを含む構成体に関し、ソーラーセルにおける光学的な集光レベルを最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
地上ソーラーパワー用途として商業的に入手できるシリコンソーラーセルは、8%から15%の範囲の効率を有する。III-V族族化合物に基づいた化合物半導体ソーラーセルは、通常の動作条件において28%の効率を有する。さらに、III-V族族化合物半導体の光起電性(photovoltaic)セルにソーラーエネルギを集中させることにより、セルの効率が集光状態のもとで37%以上の効率にまで高められる、ということが周知となっている。
【0003】
地上ソーラーパワーシステムは、現在、低コストにより広範囲に入手できるという観点からシリコンソーラーセルを使用する。III-V族族化合物半導体ソーラーセルは、このようなデバイスを選択する際に電力対重量に関する効率の方がワット当たりのコストを考慮することよりも重要であるような衛星用途において広く利用されているが、このようなソーラーセルは、(エアマス0即ちAM0として知られている)地球の大気の上部におけるソーラースペクトルに対してデザインされており、(エアマス1.5即ちAM1.5として知られている)地表面に存在するソーラースペクトルのカバレージには適していない。また、AM0セルは、地上のソーラー追跡集光型光起電性システムにおいて使用するようには構成されていない。
【0004】
シリコン及びIII-V族化合物半導体の両ソーラーセルのデザインでは、1つの電気的コンタクトが、典型的にはソーラーセルの光吸収側即ち前側に配置され、第2のコンタクトがセルの後側に配置されている。光活性半導体が基板の光吸収側に配置され、この半導体は、光がセル内に吸収されるときに電子の流れを生成する1又はそれ以上のp-n接合を含む。この電子の流れを捕獲するためにセルの上面にグリッド線が延び、このグリッド線は、前側のコンタクト又はボンディングパッドに接続される。
【0005】
ソーラーセルのデザインを定める重要な観点は、ソーラーセルを構成する半導体材料層の物理的構造(組成、バンドギャップ及び層の厚み)である。ソーラーセルは、異なるバンドギャップを伴う材料を用いてできるだけ多くのソーラースペクトルを変換するために、垂直の多接合構造を形成するように製造されることが多い。本発明に係るデザインに有用な多接合構造の1つのタイプは、ゲルマニウムの底部セル、砒化ガリウム(GaAs)の中間セル、及び、燐化インジウムガリウム(InGaP)の上部セルにより構成される、三重接合のソーラーセル構造である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明がなされる前にあっては、地上用途に適した三重接合III-V族化合物半導体ソーラーセルに入射する集光レベルによる影響が考慮されておらず、また、セルの効率を最大にするための集光レベルが決定されていない。
【0007】
本発明は、ソーラーセル当たり15ワットを超えるピークDC電力を発生させる地上発電用途のために改良されたIII-V族化合物半導体多接合ソーラーセルを提供することを目的とする。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、集光型光起電性地上発電用途のための高電流を受け入れるようにIII-V族半導体ソーラーセルの前面にグリッド構造体を設けることである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、地上発電用途のために高集光AM1.5太陽放射に適した組成を有する比較的厚い前部又は上部サブセル半導体層を有するIII-V族半導体ソーラーセルを提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、ソーラーセルが最大効率で動作できるように集光光学系(optics)を備えた複数のソーラーセルアレイによって構成された地上ソーラーパワーシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的な用語を用いて要約すると、本発明は、太陽からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルを提供するものであり、この集光型光起電性ソーラーセルは、第1の光活性接合を含み、底部のソーラーサブセルを形成する、ゲルマニウム基板と、該基板の上に配置された砒化ガリウムの中間サブセルと、該中間サブセルの上に配置され、AM1.5スペクトル領域における吸収を最大化するためのバンドギャップを有し、さらに、7000オングストロームより大きい厚さ及び330オーム/平方未満のシート抵抗を有して20個の太陽より大きな集光レベルで動作するように構成された、燐化インジウムガリウムの上部サブセルであって、該上部サブセルの電流密度が35アンペア/平方センチメートルより大きい上部サブセルと、該上部サブセルの上に配置された表面グリッドであって、前記上部サブセルの表面積の約5%をカバーし、当該ソーラーセルにより生成される比較的高い電流を導通させるように構成された、グリッドパターンを有する表面グリッドと、を具備する。
【0012】
別の態様として、本発明は、太陽からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルを提供するものであり、この集光型光起電性ソーラーセルは、第1の光活性接合を含む底部サブセルと、該底部サブセルの上の配置され、第2の光活性接合を含む中間サブセルと、光活性接合、及び、500オーム/平方未満の上部層のシート抵抗によりAM1.5スペクトル領域における吸収を最大化し、20個の太陽より大きい集光レベルで動作するように構成されたバンドギャップを有する、前記中間サブセルの上に配置された上部サブセルと、を具備する。
【0013】
別の態様として、本発明は、態様からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルを提供するものであり、この集光型光起電性ソーラーセルは、第1の光活性接合を含むゲルマニウム基板と、該基板の上に配置された砒化ガリウムの中間サブセルと、該中間サブセルの上に配置された燐化インジウムガリウムの上部サブセルであって、AM1.5スペクトル領域における吸収を最大化するためのバンドギャップ、及び、該上部サブセルの表面における集光された日光に関連した増加された電流を搬送するために7000オングストロームより大きな厚さを有する上部サブセルと、を具備する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の付加的な目的、効果及び新規な特徴が、以下に示す詳細な説明を含む本出願による開示から、及び、本発明を実施することにより、当業者に明らかとなろう。以下、好ましい実施の形態を参照しつつ本発明を説明するが、本発明がこれに限定されるものではないということを理解されたい。本明細書に開示された技術に接した当業者であれば、本明細書により開示され特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲に含まれるような、他の分野における付加的な用途、変形及び実施の形態を認識できよう。
【0015】
以下、本発明の例示的な態様及び実施の形態を含む本発明の詳細を説明する。添付図面及び以下の説明において、同様の又は機能的に類似した構成要素を識別するために同様の参照符号が用いられ、この参照符号は、非常に簡略化した概略的な手法により例示的な実施の形態の主要な特徴を示すことを意図したものである。さらに、添付図面は、実際の実施の形態の必ずしもすべての特徴を示しているわけでもなく、図示された構成要素の相対的な寸法を示すものでもなく、さらに、正確な縮尺で描かれているものではない。
【0016】
三重接合III-V族化合物半導体ソーラーセルの典型的な半導体構造のデザインが、引用により本出願に組み入れられる米国特許第6,680,432号において、詳細に説明されている。かかるセルは、宇宙(AM0)の太陽放射に適したものとして説明されているので、本発明の1つの態様は、このようなセルのデザインを、本発明に係る地上(AM1.5)ソーラースペクトル放射を有する集光型光起電性用途のために、変更し又は適合させることである。
【0017】
図1の具体例に示すように、底部サブセル10が、p型のゲルマニウム(Ge)により形成された基板11、12を含み、底部が、サブセル10のベース層としても機能する。金属コンタクト層又はパッド14が、ベース層11の底部に形成され、多接合ソーラーセルに対する電気的コンタクトを設ける。さらに、底部セル10は、例えば、n型Geエミッタ領域12とn型核生成層13とを含む。核生成層13は、基板11、12上に配設され、エミッタ層12は、上位層からGe基板に対してドーパントを拡散することによりGe基板に形成され、これにより、p型ゲルマニウム基板の上部12をn型領域12に変更する。高濃度でドープされた(heavily doped)n型砒化ガリウム層14が、核生成層13上に配設され、エミッタ領域12に対する砒素ドーパントのソースとなる。
【0018】
成長基板及びベース層11は、好ましくはp型Ge成長基板及びベース層であるが、他の半導体材料を、成長基板及びベース層として又は成長基板のみとして、使用することもできる。このような基板は、例えば、GaAs、InP、GaSb、InAs、InSb、GaP、Si、SiGe、SiC、Al23、Mo、ステンレススチール、ソーダライムガラス、及びSiO2を、これらに限定することなく含む。
【0019】
高濃度でドープされた(heavily doped)p型砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)及び(GaAs)トンネル接合層14、15が、核生成層13上に配設され、トンネルダイオードを形成するとともに、底部サブセルと中間サブセル20との間に低抵抗経路を設けることができる。
【0020】
中間サブセル20は、高濃度でドープされた(highly doped)p型砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)背面フィールド(BSF)層16と、p型InGaAsベース層17と、高濃度でドープされた(highly doped)n型燐化インジウムガリウム(InGaP2)エミッタ層18と、高濃度でドープされた(highly doped)n型燐化インジウムアルミニウム窓層19と、を含む。
【0021】
窓層は、典型的にはエミッタと同一のドーピングタイプを有するが、エミッタより高いドーピング濃度を有する。さらに、窓層は、窓における少数キャリアによる光発生(photogeneration)及び注入を抑制することにより窓層に生じる再結合を低減するために、エミッタより高いバンドギャップを有することが望ましいことが多い。光起電性セルの窓、エミッタ、ベース及び/又はBSF層に対して、次のものを含む様々な半導体材料を使用できることに注意されたい。AlInP、AlAs、AlP、AlGaInP、AlGaAsP、AlGaInAs、AlGaInPAs、GaInP、GaInAs、GaInPAs、AlGaAs、AlInAs、AlInPAs、GaAsSb、AlAsSb、GaAlAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlN、GaN、InN、GaInN、AlGaInN、GaInNAs、AlGaInNAs、ZnSSe、CdSSe、及び、本発明の技術的思想に包含される他の材料。
【0022】
中間サブセル307のInGaAsベース層17は、例えば、約1.5%のインジウムを含むことができる。他の組成を使用することもできる。ベース層17は、底部サブセル10のトンネル接合層14、15の上にBSF層が堆積された後に、BSF層16の上に形成される。
【0023】
BSF層16は、中間サブセル20における再結合ロスを低減するために設けられる。BSF層16は、背面付近の高濃度でドープされた(highly doped)領域から少数キャリアを駆動して、再結合ロスの影響を最小にする。したがって、BSF層16は、ソーラーセルの背面における再結合ロスを減少し、これにより、ベース層/BSF層の界面における再結合を低減する。エミッタ層が堆積された後に、窓層19が中間サブセル20のエミッタ層18に堆積される。また、中間サブセル20における窓層19は、再結合ロスの低減を助長し、その下に横たわる接合のセル面の非活性化(passivation)を改善する。
【0024】
上部セル30の層を堆積する前に、高濃度でドープされた(highly doped)n型InAlP2及びp型InGaPトンネル接合層21、22が中間サブセル20上に各々堆積させることにより、トンネルダイオードを形成することができる。
【0025】
サブセル間に配設されるトンネルダイオード層は、50アンペア/平方センチメータを超える、トンネルダイオードを通る電流密度をサポートするための厚みを有する。動作中において、上部サブセルの電流密度は35アンペア/平方センチメータを超える。
【0026】
ここに示す例では、上部サブセル30は、高濃度でドープされた(highly doped)p型燐化インジウムガリウムアルミニウム(InGaAlP)BSF層23と、p型InGaP2ベース層24と、高濃度でドープされた(highly doped)n型InGaP2エミッタ層25と、強くドープされたn型InAlP2窓層26と、を含む。上部サブセル30のベース層24は、中間サブセル20のトンネル接合層21、22上にBSF層23が形成された後に、BSF層23上に堆積される。窓層26は、ベース層24上にエミッタ層25が形成された後に、上部サブセルのエミッタ層25上に堆積される。キャップ層27が、堆積させられ、部セル30の窓層26の上の別々のコンタクト領域にパターン化される。
【0027】
キャップ層27は、上部サブセル309から金属グリッド層40に対する電気的コンタクトとして機能する。上部サブセルのシート抵抗は、好ましくは、約250オーム/平方センチメータであり、いずれにせよ、330オーム/平方未満である。いくつかの実施の形態では、上部サブセルは、7000オングストロームを上回る厚みを有し、330オーム/平方未満のシート抵抗を有しており、20個分の太陽より高い集光レベルで動作するように構成される。動作中に、上部サブセルの電流密度は、35アンペア/平方センチメータを上回る。ドープされたキャップ層27は、例えば、GaAs又はInGaAs層のような半導体層である。また、キャップ層27のコンタクト領域間において窓層26の表面に反射防止コーティング28を設けることもできる。
【0028】
結果として得られるソーラーセルは、上部、中間及び底部のサブセルに対して、それぞれ、1.9eV、1.4eV及び0.7eVのバンドギャップを有する。ソーラーセルは、15ワットを超えるDC電力を発生させるように500Xを越えるファクタにより集中させた日光により照射されたときに、少なくとも3.0ボルトの開回路電圧(Voc)を有し、少なくとも0.13アンペア/ワットという短絡時の応答性を有し、少なくとも0.70の充填ファクタ(fill factor; FF)を有し、25°C、エアマス1.5(AM1.5)又は同様の地上スペクトルの条件下において、少なくとも35%の効率を有する。
【0029】
図2は、図1に示したソーラーセルの上面図であって、第1の実施の形態におけるグリッド線40を示す図である。特に、図1は、2つの典型的なグリッド線40を含む図2のA−A面を通る断面を示す。グリッド線40は、ソーラーセルの活性領域にわたり4つの同じ象限Q1、Q2、Q3及びQ4に配列される。この実施の形態では、セルは、四重の回転方向対称性であり、すなわち、セルは、90度回転することができ、回転後のセルにおけるグリッド線の各構成は、回転前のグリッド線の構成と同じである。
【0030】
図3は、図1のソーラーセルの上面図であって、第2の実施の形態におけるグリッド線を示す図である。特に、グリッド線は、セルの両側において2本のバスバー間に延びる。第1及び第2のいずれの実施の形態でも、厚み又は高さは4ミクロン以上であり、幅は5ミクロン未満であり、ピッチ(即ち、隣接する複数のグリッド線の中心間の距離)は、100ミクロンより大きく200ミクロンより小さい。
【0031】
グリッドパターンの総表面積は、上部サブセルの表面積の約2.0%から5.0%をカバーする。ある実施の形態では、グリッドパターンの総表面積は、上部サブセルの表面積の約5.0%をカバーする。グリッドパターン及び線の寸法は、ソーラーセルにより発生された比較的高い電流を搬送するように選択される。
【0032】
図4は、本発明に係る構造を有するソーラーセルの効率を、ソーラーセルの全表面積のパーセントとしてグリッド線の表面カバレージの関数として示すグラフである。グラフのピークは、表面積の2から5%の範囲にあり、したがって、本発明の1つの態様によれば、グリッド線の表面カバレージは、その範囲内で選択される(例えば、約5%)。
【0033】
図5は、本発明による構造を有するソーラーセルの効率を、ソーラーセルの表面に入射する光線強度の太陽の数として測定された光の集光度(concentration)の関数として示すグラフである。換言すれば、効率は、集光光学系(concentration optics)の倍率(power)の関数である。グラフのピークは、600Xから800Xの範囲にあり、したがって、本発明の1つの態様によれば、他のファクタに関わりなく、集光光学系の最適値をその範囲内で選択しなければならない。
【0034】
図5のグラフによる教示に伴う困難さは、ソーラーセルの表面における光の強度が増加するにつれて、セルの温度が上昇することである。温度上昇は、セルが通常の動作仕様(即ち周囲温度より40〜50°C上)で動作するために、セルを著しく冷却するか又はセルから放熱させることを必要とする。
【0035】
半導体構造体及びグリッドデザインの特定の実施の形態について本発明を説明したが、当業者であれば、多くの付加的な変更及び変形が明らかであろう。
【0036】
例えば、本発明は、1つ以上のホモ接合セル又はサブセル、即ちp型半導体とn型半導体との間にp-n接合が形成され、両半導体は同じ化学的組成及び同じバンドギャップを有し、ドーパントの種及びタイプだけが相違するようなセル又はサブセルを使用することができる。或いはまた、本発明は、1以上のヘテロ接合セル又はサブセル、すなわち、p型半導体とn型半導体との間にp-n接合が形成され、そのp-n接合を形成するp型及びn型の領域に異なるドーパント種及びタイプを使用するのに加えて、n型及びn型領域に半導体材料の異なる化学的組成を、及び/又はp型領域に異なるバンドギャップエネルギを有するセル又はサブセルを使用してもよい。したがって、本発明のこの態様は、あらゆる観点において、例示的なものと考えられるものであって限定的なものではない。本発明のこの態様の技術的範囲は、これに関連する添付した特許請求の範囲により示され、この特許請求の範囲の意義及びその均等物の範囲に属する全ての変更が、本発明に含められるべきものである。
【0037】
上述した構成要素の各々には、又は、2つ以上の構成要素を一緒にしたものには、上述したタイプとは異なる他の形式の地上ソーラーセルシステム及び構造体における有用な用途が考えられるであろう。
【0038】
本発明は、III-V族化合物半導体を使用するソーラーセル半導体構造体において実現されたものとして説明したが、本発明の技術的思想から逸脱することなく、種々の変形及び構造的な変更を行うことができるので、本発明は、本明細書において示した詳細に限定されるものではない。
【0039】
(1)本発明の第1の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、太陽からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルであって、500Xより大きい集光度を生成するための集光レンズと、集光される光のビームの経路に配置されたソーラーセルと、を具備し、前記ソーラーセルが、第1の光活性接合を含み、底部のソーラーサブセルを形成する、ゲルマニウム基板と、該基板の上に配置された砒化ガリウムの中間サブセルと、AM1.5スペクトル領域における吸収を最大化するバンドギャップ、7000オングストロームを超える厚さ、及び、330オーム/平方未満のシート抵抗を有し、20個の太陽より大きな集光レベルで動作するように構成された、該中間サブセルの上に配置された燐化インジウムガリウムの上部サブセルと、を含み、該上部サブセルの電流密度が35アンペア/平方センチメータより大きい、ことを特徴とする。
(2)本発明の第2の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第1の態様において、前記上部セルの上に配置され、該上部セルの表面積の約2.5%〜5%をカバーするグリッドパターンを有する、表面グリッド、をさらに具備する、ことを特徴とする。
(3)本発明の第3の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第2の態様において、前記グリッドパターンが5ミクロン以下の幅を有する複数の線を含む、ことを特徴とする。
(4)本発明の第4の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第2の態様において、前記グリッドパターンが、4ミクロンを超える厚さを有する複数の線、及び、100ミクロンを超える中心間ピッチを含む、ことを特徴とする。
(5)本発明の第5の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第2の態様において、前記グリッドパターンが、前記上部セルの表面をカバーする複数の平行なグリッド線により構成される、ことを特徴とする。
(6)本発明の第6の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第1の態様において、前記ソーラーセルが、少なくとも3.0Vの開回路電圧(Voc)と、少なくとも0.13アンペア/ワットという短絡時の応答性と、少なくとも0.70の充填ファクタと、を有し、エアマス1.5という日射量において35%を超える変換効率により10ワットを超えるDC電力を生成する、ことを特徴とする。
(7)本発明の第7の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第1の態様において、前記上部サブセル、前記中間サブセル及び底部サブセルのバンドギャップが、それぞれ、1.9eV、1.4eV及び0.7eVである、ことを特徴とする。
(8)本発明の第8の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第1の態様において、前記上部サブセルの半導体層の厚さが1ミクロン以上である、ことを特徴とする。
(9)本発明の第9の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第1の態様において、前記底部サブセルと前記中間サブセルとの間に配置された第1のトンネルダイオードと、前記中間サブセルと前記上部サブセルとの間に配置された第2のトンネルダイオードと、をさらに具備し、各トンネルダイオードが、50アンペア/平方センチメートルを超える電流密度をサポートすることができるものである、ことを特徴とする。
(10)本発明の第10の態様に係る集光型光起電性ソーラーセルは、第2の態様において、前記シート抵抗及び前記グリッドパターンの表面積が、前記充填ファクタを最大化するように選択される、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明により構成された地上ソーラーセルの拡大断面図である。
【図2】図1のソーラーセルの上面図であって第1実施の形態におけるグリッド線を示す図である。
【図3】図1のソーラーセルの上面図であって、第2実施の形態におけるグリッド線を示す図である。
【図4】本発明による構造を有するソーラーセルの効率を、グリッド線の表面カバレージの関数として示すグラフである。
【図5】本発明による構造を有するソーラーセルの効率を、セルの表面上のソーラー集光レベルの関数として示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽からエネルギを生成するための集光型光起電性ソーラーセルであって、
500Xより大きい集光度を生成するための集光レンズと、
集光される光のビームの経路に配置されたソーラーセルと、
を具備し、
前記ソーラーセルが、
第1の光活性接合を含み、底部のソーラーサブセルを形成する、ゲルマニウム基板と、
該基板の上に配置された砒化ガリウムの中間サブセルと、
AM1.5スペクトル領域における吸収を最大化するバンドギャップ、7000オングストロームを超える厚さ、及び、330オーム/平方未満のシート抵抗を有し、20個の太陽より大きな集光レベルで動作するように構成された、該中間サブセルの上に配置された燐化インジウムガリウムの上部サブセルと、
を含み、
該上部サブセルの電流密度が35アンペア/平方センチメータより大きい、
ことを特徴とする集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項2】
前記上部セルの上に配置され、該上部セルの表面積の約2.5%〜5%をカバーするグリッドパターンを有する、表面グリッド、をさらに具備する、請求項1に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項3】
前記グリッドパターンが5ミクロン以下の幅を有する複数の線を含む、請求項2に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項4】
前記グリッドパターンが、4ミクロンを超える厚さを有する複数の線、及び、100ミクロンを超える中心間ピッチを含む、請求項2に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項5】
前記グリッドパターンが、前記上部セルの表面をカバーする複数の平行なグリッド線により構成される、請求項2に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項6】
前記ソーラーセルが、
少なくとも3.0Vの開回路電圧(Voc)と、少なくとも0.13アンペア/ワットという短絡時の応答性と、少なくとも0.70の充填ファクタと、を有し、
エアマス1.5という日射量において35%を超える変換効率により10ワットを超えるDC電力を生成する、請求項1に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項7】
前記上部サブセル、前記中間サブセル及び底部サブセルのバンドギャップが、それぞれ、1.9eV、1.4eV及び0.7eVである、請求項1に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項8】
前記上部サブセルの半導体層の厚さが1ミクロン以上である、請求項1に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項9】
前記底部サブセルと前記中間サブセルとの間に配置された第1のトンネルダイオードと、前記中間サブセルと前記上部サブセルとの間に配置された第2のトンネルダイオードと、をさらに具備し、
各トンネルダイオードが、50アンペア/平方センチメートルを超える電流密度をサポートすることができるものである、請求項1に記載の集光型光起電性ソーラーセル。
【請求項10】
前記シート抵抗及び前記グリッドパターンの表面積が、前記充填ファクタを最大化するように選択される、請求項2に記載の集光型光起電性ソーラーセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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