説明

III族窒化物半導体発光素子の製造方法

【課題】生産効率に優れたIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】単結晶基板として30ppm以上の不純物を含有する単結晶基板を用意し、この単結晶基板の主面の上に接して、III族窒化物半導体からなる中間層をスパッタリング法により積層させ、次いで前記中間層を覆うように積層半導体層を形成する素子形成工程と、単結晶基板を複数のチップに分割するための切断予定ラインに沿って、単結晶基板の不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザを前記単結晶基板の内部に集光することにより、単結晶基板の内部に加工痕を設けるレーザ加工工程と、加工痕及び前記切断予定ラインに沿って単結晶基板を分割することにより、複数のチップとする分割工程と、を具備してなるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、電子デバイス等に、好適に用いられ、III族窒化物半導体を積層するIII族窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物半導体は、可視光から紫外光領域の範囲に相当するエネルギーの直接遷移型のバンドギャップを有し、発光効率に優れていることから、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の半導体発光素子として製品化され、各種用途で使用されている。また、電子デバイスに用いた場合でも、III族窒化物半導体は、従来のIII−V族化合物半導体を用いた場合に比べて優れた特性が得られるポテンシャルを有している。
【0003】
このようなIII族窒化物半導体は、一般的に、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウムおよびアンモニアを原料として、有機金属化学気相成長(MOCVD)法によって製造される他、分子線エピタキシー法(MBE法)等によって製造されている。MOCVD法は、キャリアガスに原料の蒸気を含ませて基板表面に運搬し、加熱された基板の表面で原料を分解させることにより、結晶を成長させる方法である。
【0004】
III族窒化物半導体を用いた一般的な発光素子の製造方法は、サファイア単結晶基板の上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層及びp型半導体層をこの順で積層し、次いでn電極及びp電極を設けた後、ダイシングラインに沿ってサファイア単結晶基板をマトリックス状に分割することにより、発光素子を切り出すことによって製造する。
このとき、サファイア単結晶基板を個々の発光素子に分割する方法として、半導体層が積層されたサファイア単結晶基板の基板内部に集光点を合わせてレーザ光を照射することにより加工痕を形成し、この加工痕に沿ってウェーハを切断する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0005】
ところで、発光素子の製造に用いるサファイア単結晶基板は、一般には無色透明の基板であるが、僅かな不純物の混入によって着色する性質がある。このような性質を利用して、白色光を効率良く発光可能な半導体発光素子が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−338468号公報
【特許文献2】特開2006−245062号公報
【特許文献3】特開2008−16591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、サファイア単結晶基板を用いて発光素子を製造する際に、特許文献1または2に記載の方法によって、サファイア単結晶基板内部に集光点を設け、この集光点に多光子吸収が起こり得るレーザ光を収束させて個々の発光素子に分割する手段が知られている。この手段においては、集光点のみ結晶が改質されて強度が低下し、この強度低下箇所を起点として基板が割れやすくなるが、個々の発光素子を切り出す際に、基板の割れる方向が不安定で発光素子の欠けや割れが発生する場合があり、収率低下の原因の1つになっていた。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、生産効率に優れたIII族窒化物半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 単結晶基板上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層及びp型半導体層を順次積層して積層半導体層を形成するIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記単結晶基板として、30ppm以上の不純物を含有する単結晶基板を用意し、この単結晶基板の第1の主面の上に接して、前記III族窒化物半導体からなる中間層をスパッタリング法により積層させ、次いで前記中間層を覆うように前記積層半導体層を形成する素子形成工程と、
前記単結晶基板を複数のチップに分割するための切断予定ラインに沿って、前記単結晶基板の不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザを前記単結晶基板の内部に集光することにより、前記単結晶基板の内部に加工痕を設けるレーザ加工工程と、
前記加工痕及び前記切断予定ラインに沿って前記単結晶基板を分割することにより、複数のチップとする分割工程と、
を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[2] 前記レーザの波長が、355nm以上1064nm以下の範囲であることを特徴とする[1]に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[3] 前記単結晶基板に備えられる前記第1の主面が、c面からなる平面と前記c面上に形成された複数の凸部とからなるものであることを特徴とする[1]または[2]に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[4] 前記レーザ加工工程において、前記単結晶基板における前記レーザー光の照射面から厚さ方向で2/3部迄の領域に、前記加工痕を設けることを特徴とする[1]〜[3]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[5] 前記レーザ加工工程において、前記単結晶基板に対して前記レーザをパルス照射することを特徴とする[1]〜[4]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[6] 前記単結晶基板がサファイア基板であることを特徴とする[1]〜[5]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[7] 前記単結晶基板の不純物が、Ti,Ir、Cr、Fe、Ni、Co、Zr、Siのうちの何れか1種または2種以上であることを特徴とする[1]〜[6]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
[8] 単結晶基板の第1の主面上に接するようにスパッタリング法で形成されたIII族窒化物半導体からなる中間層、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層及びp型半導体層が順次積層されてなる積層半導体層を有するIII族窒化物半導体発光素子であって、
前記単結晶基板が、350〜900nmの波長領域における光透過率が80%以上であるとともに30ppm以上の不純物を含有する単結晶基板であり、前記単結晶基板の端面に、不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザが集光されたことによって形成された加工痕が設けられていることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
[9] 前記単結晶基板の不純物の添加量が30ppm〜1000ppmの範囲であり、前記単結晶基板の厚みが100〜300μmの範囲であることを特徴とする[8]に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
[10] 前記単結晶基板に備えられる前記第1の主面が、c面からなる平面と前記c面上に形成された複数の凸部とからなるものであることを特徴とする[8]または[9]に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
[11] 前記単結晶基板に含有される不純物が、Ti、Ir、Cr、Fe、Ni、Co、Zr、Siのうちの何れか1種または2種以上であることを特徴とする[8]〜[10]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
[12] 前記単結晶基板の前記第1の主面から2/3部迄の領域に、前記加工痕が設けられていることを特徴とする[8]〜[11]の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、単結晶基板の不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザを単結晶基板の内部に集光するので、単結晶基板中におけるレーザの吸収が高まり、単結晶基板中に加工痕を形成しやすくなる。これにより、加工痕を確実に形成することができ、単結晶基板を個々の発光素子に分割する際に欠けや割れが発止する虞がなく、III族窒化物半導体発光素子の生産効率を高めることができる。
また、本発明のIII族窒化物半導体発光素子によれば、欠けや割れの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の一例を示す断面模式図である。
【図2】図2は、図1のIII族窒化物半導体発光素子を構成する単結晶基板の断面形状を示す部分断面図である。
【図3】図3は、図1のIII族窒化物半導体発光素子を構成する単結晶基板の斜視図である。
【図4】図4は、図1のIII族窒化物半導体発光素子の積層半導体層の断面構造を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、素子形成工程を示す工程図の一例である。
【図6】図6は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、保護膜の形成工程を示す工程図の一例である。
【図7】図7は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、半導体除去工程を示す工程図の一例である。
【図8】図8は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、保護膜の除去工程を示す工程図の一例である。
【図9】図9は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、仮固定シートを貼着工程を示す工程図の一例である。
【図10】図10は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、レーザ加工工程を示す工程図の一例である。
【図11】図11は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、レーザ加工工程の別の例を示す工程図の一例である。
【図12】図12は、本発明の実施形態であるIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図であって、分割工程を示す工程図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子(以下、発光素子1という)は、単結晶基板2(以下、基板2という)と、基板2上に積層された発光層15を含む積層半導体層30と、積層半導体層30の上面に積層された透光性電極17と、透光性電極17上に積層されたp型電極18と、n型電極19とを具備して構成されている。本実施形態の半導体発光素子1は、発光層15からの光を、p型電極18が形成された側から取り出すフェイスアップマウント型の発光素子である。
【0013】
図1及び図4に示すように、積層半導体層30は、複数の半導体層が積層されて構成されている。より具体的には、積層半導体層30は、基板側から、n型半導体層14、発光層15、p型半導体層16がこの順に積層されて構成されている。p型半導体層16及び発光層15は、その一部がエッチング等の手段によって除去されており、除去された部分からn型半導体層14の一部が露出されている。そして、このn型半導体層14の露出面14dにn型電極19が積層されている。
また、p型半導体層16の上面16aには、透光性電極17及びp型電極18が積層されている。
【0014】
本実施形態の発光素子1においては、p型電極18とn型電極19との間に電流を通じることで、発光層15から発光を発せられるようになっている。
【0015】
n型半導体層14、発光層15及びp型半導体層16は、化合物半導体を主体としてなることが好ましく、III族窒化物半導体を主体としてなることが好ましく、窒化ガリウム系を主体としてなることがより好ましい。
【0016】
以下、本実施形態の発光素子1を構成する基板2及び積層半導体層30について説明する。
(基板)
本実施形態の発光素子の基板2としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。また、スパッタリング法によりIII族窒化物半導体結晶を積層される基板であればよい。例えば、サファイア、SiC、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる単結晶基板を用いることができる。
また、上記単結晶基板の中でも、特に、c面を主面とするサファイア単結晶基板を用いることが好ましい。基板表面を公知の技術で凹凸加工して使用してもよい。また、サファイア基板のc面上に中間層12(バッファ層)を形成するとよい。
【0017】
また、図1〜3に示すように、基板2には、c面からなる平面21と、c面上に形成される複数の凸部22とからなる主面(第1の主面)20を有している。この主面20の上に中間層12(バッファ層)が形成され、更に凸部22を埋めるようにIII族窒化物半導体からなる積層半導体層30が形成されている。
【0018】
本実施形態の基板2には、図1〜図3に示すように複数の凸部22が形成され、凸部22の形成されていない部分は、c面((0001)面)からなる平面21とされている。
凸部22は、図2及び図3に示すように、c面とは非平行な表面22cによって区画されている。図2及び図3に示す凸部22は、基部22aの平面形状が略円形であり、上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状とされており、側面22bが外側に向かって湾曲したお椀状(半球状)の形状とされている。また、凸部22の平面配置は、図2及び図3に示すように、碁盤目状に等間隔に配置されている。
【0019】
また、図2及び図3に示す例の凸部22は、基部幅dが0.05〜5μm、高さhが0.05〜5μm、且つ、高さhが基部幅dの1/4以上であって、隣接する凸部22間の間隔dが基部幅dの0.5〜5倍とされている。ここで、凸部22の基部幅dとは、凸部22の底辺(基部22a)における最大幅の長さのことをいう。また、隣接する凸部22の間隔dとは、最も近接した凸部22の基部22aの縁の間の距離をいう。
【0020】
凸部22間の間隔dが基部幅dの0.5倍未満であると、n型半導体層14(積層半導体層30)を構成する下地層14aをエピタキシャル成長させる際に、c面からなる平面21上からの結晶成長が促進され難くなり、凸部22を下地層14aで完全に埋め込むことが難しくなるし、下地層14aの表面14fの平坦性が十分に得られない場合がある。また、凸部22間の間隔dが基部幅dの5倍を超えると、基板2を用いて発光素子1を形成した場合に、基板2と、基板2上に形成された積層半導体層30との界面での光の乱反射の機会が減少し、光の取り出し効率を十分に向上できなくなる可能性がある。
【0021】
また、基部幅dが0.05μm未満であると、基板2を用いて発光素子1を形成した場合に、光を乱反射させる効果が十分に得られない恐れがある。また、基部幅dが5μmを超えると、凸部22を埋めて下地層14aをエピタキシャル成長させることが困難になる。
更に、凸部22の高さhが0.05μm未満であると、基板2を用いて発光素子1を形成した場合に、光を乱反射させる効果が十分に得られない可能性がある。また、凸部22の高さhが5μmを超えると、凸部22を埋めて下地層14aをエピタキシャル成長することが困難になり、下地層14aの表面14aの平坦性が十分に得られない場合がある。
【0022】
更に、凸部22の高さhが基部幅dの1/4未満であると、基板2を用いて発光素子1を形成した場合における光を乱反射させる効果や、光の取り出し効率を向上させる効果が十分に得られない恐れがある。
【0023】
なお、凸部22の形状は、図2及び図3に示す例に限定されるものではなく、c面に非平行の表面からなるものであれば、いかなる形状であってもよい。例えば、基部の平面形状が略多角形であり、上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状とされており、側面12が外側に向かって湾曲している形状であってもよい。また、側面が上部に向かって徐々に外形が小さくなる斜面からなる略円錐状や略多角錐状とされていてもよい。また、側面の傾斜角度が2段階的変化する形状であってもよい。
また、凸部22の平面配置も、図2及び図3に示す例に限定されるものではなく、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。また、凸部22の平面配置は、四角形状であってもよいし、三角形状であってもよいし、ランダムであってもよい。
【0024】
また、本実施形態に係る単結晶基板2は、不純物が添加されることによって、吸収帯を有する。ここで、吸収帯とは、配位子吸収帯を例示でき、例えば、サファイア基板にCrを添加することで形成される。配位子吸収帯は、紫、緑〜黄緑の光を吸収する。また、別の吸収帯として電荷移動吸収帯を例示でき、例えば、サファイア基板にFe,Tiを添加することで形成される。電荷移動吸収帯は、緑色〜赤色の光を吸収する。また、半導体で一般的なエネルギー帯間遷移による吸収帯も利用できる。
【0025】
本実施形態に係る単結晶基板2は、好ましくは1000ppm以下の濃度で不純物を含有しているのが良い。不純物濃度が高い場合は、結晶基板の結晶性が低下し、エピタキシャル成長する半導体層の品質低下を招く可能性がある。また、不純物の濃度が1000ppmを超えると、単結晶基板2の発光層で発光した光に対する透過率が低下するおそれがあるので好ましくない。
本実施形態に係る単結晶基板2では、後述する基板上に接する中間層(バッファ層)の形成をスパッタリング法によって行うことにより、不純物含有により結晶性の低下した基板であっても、中間層(バッファ層)上に高品質なエピタキシャル成長する半導体層を容易に形成することができる。また、不純物濃度の低い従来の無色透明の基板に用いる高純度な基板原料(例えば、サファイア基板ならば不純物元素の合計重量濃度が1ppm以下の高純度アルミナ粉末)は極めて高価となる。一方、本実施形態に係る単結晶基板2は、好ましくは30ppm以上の濃度で不純物を含有していることが良い。不純物の濃度が30ppm未満の場合には、分割工程において単結晶基板2の吸収帯の吸収が不十分になるおそれがあるので好ましくない。
【0026】
不純物としては、Ti、Ir、Cr、Fe、Ni、Co、Zr、Siのうちの何れか1種または2種以上を例示できる。特に、Ti、Cr、Fe、Siのうちの何れか1種または2種以上が好ましい。
単結晶基板の製造方法は、不純物の添加、大口径化が容易なCZ法(チョクラルスキー法)が望ましい。
【0027】
(積層半導体層)
本明細書において、積層半導体層30とは、基板2上に形成される発光層15を含む、積層構造の半導体層を指す。具体的には積層半導体層30は、例えば、図1及び図4に示すように、III族窒化物半導体である場合、III族窒化物半導体からなる積層半導体であって、基板2上のn型半導体層14、発光層15及びp型半導体層16の各層がこの順で積層されてなるものが挙げられる。積層半導体層30は、さらにn型半導体層14の一部を構成する下地層14a及び中間層12を含めて呼んでもよい。積層半導体層30は、MOCVD法で形成してもよく、スパッタリング法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。
【0028】
(中間層(バッファ層))
バッファ層12は、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
バッファ層12は、上述のように、例えば、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。バッファ層12の厚みが0.01μm未満であると、バッファ層12により基板2と下地層14aとの格子定数の違い緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、バッファ層12の厚みが0.5μmを超えると、バッファ層12としての機能には変化が無いのにも関わらず、バッファ層12の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する虞がある。
【0029】
バッファ層12は、基板2と下地層14aとの格子定数の違いを緩和し、基板2の(0001)c面上にc軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、バッファ層12の上に単結晶の下地層14aを積層すると、より一層結晶性の良い下地層14aが積層できる。なお、本発明においては、スパッタリング法によってバッファ層形成工程を行なうことが好ましいが、行なわなくても良い。
【0030】
バッファ層12は、III族窒化物半導体からなる六方晶系の結晶構造を持つものであってもよい。また、バッファ層12をなすIII族窒化物半導体の結晶は、単結晶構造を有するものが好ましく用いられる。III族窒化物半導体の結晶は、成長条件を制御することにより、上方向だけでなく、面内方向にも成長して単結晶構造を形成する。このため、バッファ層12の成膜条件を制御することにより、単結晶構造のIII族窒化物半導体からなるバッファ層12を形成することができる。このような単結晶構造を有するバッファ層12を基板2上に成膜した場合、バッファ層12のバッファ機能が有効に作用するため、その上に成膜されたIII族窒化物半導体は良好な配向性及び結晶性を有する結晶膜となる。
【0031】
また、バッファ層12をなすIII族窒化物半導体の結晶は、成膜条件をコントロールすることにより、六角柱を基本とした集合組織からなる柱状結晶(多結晶)とすることも可能である。なお、ここでの集合組織からなる柱状結晶とは、隣接する結晶粒との間に結晶粒界を形成して隔てられており、それ自体は縦断面形状として柱状になっている結晶のことをいう。
【0032】
(下地層)
下地層14aとしては、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)が挙げられるが、AlGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層13を形成できるため好ましい。
下地層14aの膜厚は0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。さらに、下地層14aは、この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1−xN層が得られやすい。また、下地層14aの膜厚は10μm以下が好ましい。
【0033】
下地層14aの結晶性を良くするには、下地層14aに不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することが出来る。
【0034】
(n型半導体層)
n型半導体層14は、通常nコンタクト層14bとnクラッド層14cとから構成されるのが好ましい。nコンタクト層14bはnクラッド層14cを兼ねることも可能である。また、前述の下地層14aをn型半導体層14に含めてもよい。
【0035】
nコンタクト層14bは、n型電極を設けるための層である。nコンタクト層14bとしては、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。また、nコンタクト層14bにはn型不純物がドープされていることが好ましく、n型不純物を1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有すると、n型電極との良好なオーミック接触の維持の点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeが挙げられる。
【0036】
nコンタクト層14bの膜厚は、0.5〜5μmとされることが好ましく、1〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層14bの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
【0037】
nコンタクト層14bと発光層15との間には、nクラッド層14cを設けることが好ましい。nクラッド層14cは、発光層15へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めを行なう層である。nクラッド層14cはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。また、これらの構造のヘテロ接合や複数回積層した超格子構造としてもよい。nクラッド層14cをGaInNで形成する場合には、発光層15のGaInNのバンドギャップよりも大きくすることが望ましい。なお、本明細書中では、各元素の組成比を前述のように省略して、AlGaN、GaN、GaInNと記述する場合がある。
【0038】
nクラッド層14cの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは5〜500nmであり、より好ましくは5〜100nmである。nクラッド層14cのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cmが好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cmである。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および素子の動作電圧低減の点で好ましい。
【0039】
なお、nクラッド層14cを、超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第1層と、該n側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。また、nクラッド層104bは、n側第1層とn側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであってもよい。また、好ましくは、前記n側第1層又はn側第2層の何れかが、活性層(発光層15)に接する構成とすれば良い。
【0040】
(発光層)
n型半導体層14の上に積層される発光層15としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などの発光層15がある。図4に示すような、多重量子井戸構造の発光層15の場合は、Ga1−yInN(0<y<0.4)を井戸層15bとし、井戸層15bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlGa1−zN(0≦z<0.3)を障壁層15aとする。井戸層15bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、井戸層15bおよび障壁層15aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
【0041】
(p型半導体層)
p型半導体層16は、通常、pクラッド層16aおよびpコンタクト層16bから構成される。また、pコンタクト層16bがpクラッド層16aを兼ねることも可能である。
【0042】
pクラッド層16aは、発光層15へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入を行なう層である。pクラッド層16aとしては、発光層15のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層15へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlGa1−xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。pクラッド層16aが、このようなAlGaNからなると、発光層へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層16aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。pクラッド層16aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cmが好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cmである。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
【0043】
また、pクラッド層16aは、複数回積層した超格子構造としてもよい。pクラッド層16aを超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるp側第1層と、該p側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるp側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。また、p側第1層とp側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであっても良い。
【0044】
pコンタクト層16bは、正極を設けるための層である。pコンタクト層16bは、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)が好ましい。Al組成が上記範囲であると、良好な結晶性の維持およびpオーミック電極との良好なオーミック接触の点で好ましい。p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cmの濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cmの濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。pコンタクト層16bの膜厚は、特に限定されないが、10〜500nmが好ましく、より好ましくは50〜200nmである。pコンタクト層16bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
【0045】
(p型電極及びn型電極)
p型電極18は、透光性電極17上の一部に形成される電極であり、回路基板やリードフレーム等との電気接続のために設けられたボンディングパッドである。p型電極18の材料としては、Au、Al、Ni及びCu等を用いた各種構造が周知であり、これら周知の材料、構造のものを何ら制限無く用いることができる。
p型電極18の厚さは、100〜1000nmの範囲内であることが好ましい。また、ボンディングパッドの特性上、厚い方が、ボンダビリティーが高くなるため、p型電極18の厚さは300nm以上とすることがより好ましい。さらに、製造コストの観点から500nm以下とすることが好ましい。
【0046】
n型電極19は、n型半導体層14のnコンタクト層14bに接するように形成される。このため、n型電極19を設ける際は、p型半導体層16、発光層15及びn型半導体層14の一部を除去することにより、nコンタクト層14bの露出領域14dを形成し、この上にn型電極19を形成する。
n型電極19の材料としては、各種組成および構造の負極が周知であり、これら周知の負極を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
【0047】
p型半導体層16の上に積層される透光性電極17は、p型半導体層16との接触抵抗が小さいものが好ましい。また、発光層15からの光をp型電極18が形成された側に取り出すことから、透光性電極17は光透過性に優れたものが好ましい。また、p型半導体層16の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、透光性電極17は優れた導電性を有していることが好ましい。
【0048】
透光性電極17の構成材料としては、In、Zn、Al、Ga、Ti、Bi、Mg、W、Ce、Sn、Niのいずれか一種を含む導電性の酸化物、硫化亜鉛または硫化クロムのうちいずれか一種からなる群より選ばれる透光性の導電性材料が好ましい。また、導電性の酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))、AZO(酸化アルミニウム亜鉛(ZnO−Al))、GZO(酸化ガリウム亜鉛(ZnO−Ga))、フッ素ドープ酸化錫、酸化チタン等が好ましい。これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、透光性電極17を形成できる。
【0049】
次に、本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法について、図5〜図12を参照して説明する。
本実施形態のIII族窒化物半導体素子の製造方法は、基板2として、CZ法で製造され、不純物として好ましくは、30〜1000ppmを含有し、350〜900nmの可視域に吸収帯を有する単結晶基板を用意し、この単結晶基板2の主面(第1の主面)の上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層14、発光層15及びp型半導体層16を順次積層して積層半導体層30を形成するとともに、p型電極18及びn型電極19を形成する素子形成工程と、基板2のスクライブライン(切断予定ライン)28上の積層半導体層30の一部を除去して、基板2を露出させる半導体層除去工程と、スクライブライン28に沿って前記単結晶基板の不純物準位に対して多光子吸収による光励起を起こさせる波長を有するレーザを照射し、基板2の内部に設定した集光点に加工痕25を設けるレーザ加工工程と、加工痕25及びスクライブライン28に沿って基板2を分割して複数のチップ(発光素子1)とする分割工程とを具備して概略構成される。
【0050】
ここで、「単結晶基板の不純物準位に対して多光子吸収による光励起を起こさせる波長を有するレーザ」とは、言い換えると、吸収帯の波長を有するレーザーが最適であり、例えば、Crを不純物として含むサファイア基板の場合、青色、緑色(波長400nm付近、550nm付近)を選択すれば良い。Ti,Feを添加したサファイア基板の場合は、緑色、赤色(500〜700nm)の波長を選択すれば良い。
また、本発明の実施形態では、350〜900nmの波長領域において光励起が可能な基板を用意することにより、多光子吸収の可能な波長のレーザー照射による切断効果が格段と高められる。従って、本発明の実施形態で適用されるレーザー波長は、単結晶基板の不純物準位に対して光励起を起こさせる波長よりも長波長であってもよく、また短波長であってもよい。不純物準位に対して光励起(単光子吸収)する波長と同一なレーザー波長に限定されるものではない。
また、本発明の実施形態では、350〜900nmの波長領域において光励起が可能な基板に対して、吸収ピーク波長から半値幅の波長領域にレーザー波長を有するレーザーを採用してもよいし、吸収が起こりえる波長領域にレーザー波長を設定してもよい。この結果、不純物準位に基づく吸収過程において、多光子吸収の効果が格段と期待される。
このように、単結晶基板と不純物の組み合わせにより、好ましくは多光子吸収帯の範囲の波長を選択することができる。
従って、本発明においては、上記のレーザを使用することによる基板内の吸収と、短時間パルスによる高密度照射による多光子吸収による吸収の双方の効果による結晶基板の改質効果を期待できる。これにより、不純物を従来より高濃度に含有する(例えば、不純物元素の合計重量濃度で1ppmを超える場合)基板であっても、敬遠することなく用いることができる。
また、前記350〜900nmの可視域に吸収帯を有する単結晶基板は、厚み0.15mm程度で光透過率が80%以上であるものが好ましく使用できる。
以下、各工程について順次説明する。
【0051】
先ず、図5に示すように、素子形成工程では、基板2上にバッファ層12を積層し、更に基板2の凸部22を完全に覆うように下地層14aを形成する。次いで、下地層14aの上に、n型半導体層14を構成するnコンタクト層14b、nクラッド層14cを積層し、更に発光層15及びp型半導体層16を積層する。更に、p型半導体層16上に透光性電極17を積層し、フォトリソグラフィ及びエッチング技術によってnコンタクト層14bの露出面14dを設ける。更に、透光性電極17上にp型電極18を形成し、露出面14dにはn型電極19を設ける。
【0052】
次に、図6(a)及び図6(b)に示すように、積層半導体層30と、その上に形成された透光性電極17、p型電極18及びn型電極19の上に、レジスト等からなる保護膜13を形成する。具体的には、スピンコータ、スプレーコータ等の方法を用いて、一般的なレジスト材料等の樹脂材料からなる保護膜13を基板2の全面に成膜する。
【0053】
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、半導体層除去工程では、nコンタクト層14bの露出面14d上に設けられたスクライブライン28(図8及び図9を参照)に沿って、当該保護膜13に向けてレーザを照射することにより、保護膜13やその下の半導体膜(nコンタクト層14b、下地層12a)を除去し基板2を露出させる、または基板露出面の一部に分割溝を形成させる。
【0054】
具体的には、図7(a)に示すように、例えば、レーザL1を、半導体膜(nコンタクト層14b、下地層12a)上に設けられた保護膜13に照射し、レーザの照射位置を上述のスクライブライン28に沿って移動させる。このような半導体層除去工程を行なうことで、図7(b)に示すように、保護膜13、半導体膜(nコンタクト層14b、下地層12a)が、基板2上において格子状に除去された状態となる。
照射するレーザには、例えば、YAGレーザ(半導体レーザ励起Nd:YAGレーザ)を用いることができる。また、半導体層除去工程で用いるレーザとして、半導体ウェーハを各チップに分離可能に形成できるものであれば、どのようなタイプのレーザでも用いることが可能である。具体的にはCOレーザ、上述のようなYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、エキシマ・レーザおよびこれらのパルスレーザなどを用いることが可能である。
【0055】
なお、上記の例では、保護膜13を半導体膜が形成されたウエーハの表面に成膜してから、レーザによって半導体膜(nコンタクト層14b、下地層12a)とともに保護膜13を除去しているが、本発明はこの方法に限定されない。なお、スクライブライン28の幅は30μm以下とすることが好ましい。
【0056】
次に、図8に示すように、基板2上の保護膜13を除去する。
更に、基板2の下面(第2の主面)23を研削することによって基板2を薄く加工する。具体的には、例えば、合成ダイヤモンド等をベースとしたメタルボンド砥石又はビトリ砥石(ビトリファイド砥石)等を使用して、基板2の下面23側に機械的研削処理を施し、基板2全体の板厚を80〜200μm程度、好ましくは100〜150μmにする。次に、基板2の下面23に対して、多結晶ダイヤからなる粒度1〜12μの遊離砥粒によって研磨処理(ラッピング処理)を施し、下面23を鏡面とする。また、下面23に対し、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等の方法で研磨処理を施してもよい。
【0057】
次に、図9に示すように、樹脂からなる仮固定シート50を基板2に貼着する。具体的には、例えば、樹脂材料からなる仮固定シート50上に、鏡面とされた基板2の下面23を接着等の方法で貼着して基板2を仮固定する。
【0058】
次に、レーザ加工工程では、図10(a)及び図10(b)に示すように、基板2上のスクライブライン28に対してレーザL2を照射することにより、基板2の内部に加工痕25を形成する。図10(b)に示す例では、基板2のレーザ照射面である主面20から、基板2の厚さ方向で2/3部迄の領域の計2箇所に加工痕25を形成している。例えば、基板2の厚みが100μmの場合には、加工痕25の形成深さを67μm以内にすることが好ましい。これにより、後の分割工程において、単結晶基板2の分割が容易になる。
【0059】
具体的には、例えば、図示略のステルスレーザ加工機を用い、仮固定シート50に貼り付けられた基板2をステルスレーザ加工機の試料台に固定する。
次に、図10(a)に示すように、基板2上のスクライブライン28に対し、エキシマ励起のパルスレーザを照射しながらステルスレーザ加工機の試料台を移動させることで、スクライブライン28に沿ってレーザL2を照射する。このようにして、図10(b)に示すように、単結晶基板2の主面20側に、多数の加工痕25をスクライブライン28に沿って平面視格子状に連ねて形成する。この際、レーザL2の焦点を変化させることで、基板2の厚さ方向において複数箇所(図10(b)では2箇所)に加工痕25を設ける。これにより、後述の分割工程において、単結晶基板2を個々の発光素子単位に分割するのが容易になる。
【0060】
レーザ加工工程において使用するレーザは、サファイア等からなる単結晶基板2を加工できればよく、例えば、COレーザ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ等を用いることができる。レーザを用いることにより、基板2のスクライブライン28の位置に、効率良く加工痕25を形成することが可能となる。
【0061】
レーザL2は、単結晶基板2上のスクライブライン28に沿って走査する。レーザが照射されたスクライブライン28においては、基板2をなす材料が加熱されて揮散することにより、直線状の加工痕25が形成される。
【0062】
本実施形態において使用する基板2は、好ましくは30〜1000ppmの不純物を含有する単結晶基板が用いられる。また、本実施形態においては、単結晶基板中の不純物濃度として、さらに好ましくは50〜700ppm、より好ましくは100〜500ppmである単結晶基板が用いられる。このような単結晶基板の分離加工を確実にするには、適切な波長の選択と高い出力のレーザを使用することが好ましい。このようなレーザの波長としては、YAGレーザー、例えば、1064nmを例示できる。また、1064nmの第二高調波(532nm)や第三高調波(355nm)まで使用できる。
すなわち、355nm以上1064nm以下の範囲の波長を有するレーザを用いることができる。レーザの発光波長がこの波長であれば、基板2に対するレーザの吸収が容易になる。これにより、多光子吸収と吸収帯の効果で、基板2のスクライブライン28の部分を揮散あるいは強度的に弱い材質へと変換させることができ、効率良く、結晶の改質、加工痕25を形成することが可能となる。
本実施形態において使用される基板2の第1の主面には、サファイアc面からなる平面とc面上に形成された複数の凸部とが設けられていてもよい。
【0063】
また、照射形式としては、パルス照射のレーザを用いる。基板2のスクライブライン28に対してレーザを間欠的に照射することのよっても加工痕25を形成できる。レーザをパルス照射する場合のパルス周期は、10〜40Hzの範囲とすることが好ましい。レーザのパルス周期を上記範囲とすることで、基板2の内部に効果的にダメージを付与し、この部分を揮散あるいは強度的に弱い材質へと変換させることができ、周期的な加工痕を形成できる。
これにより、後述の分割工程において基板2を分割した際、基板2の分割面(図1に示す端面2a)に、周期的な加工痕25の少なくとも一部が残存する領域と、基板2を破断させた際に生じる亀裂痕が残存する領域とが形成される。これにより、分割面(端面2a)のほぼ全体を粗面にでき、発光素子1の出力を高めることができる。
【0064】
また、加工痕25は、基板2の厚さ方向において複数箇所(図10(b)に示す例では計2箇所)に設けることが、分割工程の作業性が一層容易になる点で、より好ましい。このようなレーザ加工工程では、単結晶基板におけるレーザの照射面から厚さ方向で2/3部迄の領域に、加工痕を設けること好ましい。
【0065】
また、図10に示す例では、基板2の主面20側のスクライブライン28にレーザを照射する例を説明しているが、本発明ではこれには限定されない。即ち、図11(a)、(b)に示す例のように、前述の積層半導体層側から照射する方法に加えて、基板2の下面(第2の主面)23側のみからレーザを照射して加工痕を形成することも可能である。この場合には、図11(a)に示すように、p型電極18に仮固定シート50を貼着してから、図11(a)に示すように、基板2の下面23側からレーザを照射することにより、図11(b)に示すように、下面23から基板2の厚さ方向で2/3部迄の領域に加工痕25を形成できる。
【0066】
また、本発明の製造方法では、予め、スクライブライン28の形成位置にある半導体膜(nコンタクト層14b、下地層12a)を上記半導体除去工程において除去している。これにより、加工痕を設けるためのレーザ照射によって積層半導体層30に所謂デブリや焼けが生じるおそれがなく、発光素子の特性を低下させる恐れがない。
【0067】
次に、分割工程では、図12(a)及び図12(b)に示すように、加工痕25に沿って基板2を切断し、複数のチップ(発光素子1)に分割する。
以上のようにして、本実施形態に係る発光素子1が得られる。
【0068】
以上説明したような本実施形態の発光素子の製造方法によれば、不純物を含有する基板2に対して、適切な波長のレーザを使用することで、基板2に対するレーザの吸収が容易になり、基板2を揮散あるいは強度的に弱い材質へと変換させることができ、効率良く加工痕25を形成できる。これにより、基板2を個々の発光素子1に分割する際に欠けや割れが発生する虞がなく、発光素子1の生産効率を高めることができる。
なお、吸収帯による改質層(加工痕)は、顕微鏡などで必ずしも観察はできないが、分離収率で効果を確認できる。
【0069】
また、本発明で、加工精度が向上し、スクライブラインの幅を最大で30μmに狭められる。これにより、1枚の単結晶基板から取れる発光素子1の個数が増加し、生産性を向上できる。
【0070】
本実施形態で得られるIII族窒化物半導体素子は、上述のような発光ダイオード(LED)やレーザデバイス(LD)等の発光素子に備えられる半導体層の他、レーザ素子や受光素子等の光電気変換素子、又は、HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)等の電子デバイスにも用いることができる。これらの半導体素子は、各種構造のものが多数知られており、本発明に係るIII族窒化物半導体の積層構造は、これら周知の素子構造を含めて何ら制限されない。
【0071】
また、本発明は、SiC基板を用いたInGaN系の半導体発光素子や、サファイア基板を貼り合わせた4元系(AlGaInP)半導体発光素子にも適用できる。
更に、単結晶基板2として凸部を有する単結晶基板2を例にして説明したが、第1の主面がc面からなる平面である単結晶基板を用いても良い。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の具体例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
(実施例1)
以下の手順によりサファイア単結晶基板を製造した。
直径100mm、深さ100mmのイリジウム製るつぼに、原料として酸化チタンをTi換算で100ppm、酸化鉄をFe換算で900ppm含有する酸化アルミニウム2600gを充填した。なお、本明細書ではppmは重量基準を指し、単にppmと記載する。このるつぼを高周波誘導加熱炉内に載置し、るつぼの外周にジルコニア製の円筒を配置して、るつぼ周辺を保温した。この状態で高周波誘導によりるつぼを加熱し、るつぼ内の原料を溶融させた。この際に、高周波誘導加熱炉内は窒素雰囲気とし、圧力は大気圧とした。
【0074】
次に、引き上げ棒の下部先端に固定された、サファイアc軸種結晶を原料融液に接触させて種付けを行った。このときの引き上げ棒の回転速度を30回転/分とした。種結晶を種付けした後、まず、単結晶インゴットの肩部を形成した。引上げ速度を1.5mm/時として、融液の温度を調整することにより結晶の直径を徐々に拡大して、最終的な直径が60mmになるように肩部を形成した。肩部形成の間、引き上げ棒の回転速度を30回転/分から15回転/分に徐々に低下させた。
【0075】
次に、単結晶インゴットの直胴部を形成した。このとき、引き上げ棒の回転速度を15回転/分、引上げ速度を1.0mm/時にそれぞれ設定した。上記の回転速度と引き上げ速度を保ったまま、直胴部の長さが80mmとなるまで引上げた。直胴部形成後、引き上げ棒の回転速度と引上げ速度を、それぞれ、15回転/分、1.0mm/時に保ったまま融液の温度を調整し、結晶の直径を徐々に小さくして尾部を形成した。その後、引き上げ速度を増加させて、尾部を融液から切り離し、単結晶インゴットを得た。
【0076】
以上のようにして得られた単結晶インゴットは、薄い青色(淡青色)に着色していた。次に、この単結晶インゴットからc面のサファイア単結晶基板を切り出し、大気下で1400℃でアニール処理を行ったところ、透明になった。このサファイア単結晶基板の不純物分析をGDMS(グロー放電質量分析)にて実施したところ、Ti濃度は10ppm、Fe濃度は、90ppmであった。
次に、単結晶インゴットから約1mm厚さのサファイア単結晶基板を切り出し、アニール処理後、鏡面加工した。このサファイア単結晶基板をGe(440)4結晶法X線回折により評価した。サファイア結晶の(0006)面回折のX線ロッキングカーブの半値幅は0.001度であり、良好な結晶性を有していることが確認できた。
【0077】
次に、上記サファイア単結晶基板を、表面ラップ処理及びポリッシュ処理で鏡面に加工し、厚さ約0.7mmの基板を作製した。次いで、発光素子の発光効率を向上させるためc面サファイア単結晶基板の表面に凹凸状の加工を特開2009−123717号公報に記載の方法に準じて行なった。
上記方法で製造したサファイア単結晶基板10を真空スパッター装置のチャンバー内に移して真空中で加熱し、その後、AlNからなるバッファ層12を40nm積層した。次に、バッファ層12の上に通常のMOCVD法によりn型半導体層14、発光層15、p型半導体層16をこの順序で形成した。n型半導体層14は、厚さ8μmのアンドープGaNからなる下地層と、厚さ2μmのSiドープn型GaNからなるコンタクト層と、厚さ250nmのn型In0.1Ga0.9Nからなるクラッド層により構成した。また、発光層15は、厚さ16nmのSiドープGaNからなる障壁層および厚さ2.5nmのIn0.2Ga0.8Nからなる井戸層を5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造として形成した。また、p型半導体層16は、厚さ10nmのMgドープp型Al0.07Ga0.93Nからなるクラッド層と、厚さ150nmのMgドープp型GaNからなるコンタクト層とを順に積層して形成した。
【0078】
また、p型半導体層16の上に、公知のフォトリソグラフィー技術及びリフトオフ技術により透光性電極17(透明電極とも言う)を形成した。透光性電極17は、厚さ200nmのIZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))から形成されている。この透光性電極20の一部領域上に、リフトオフ技術により正極ボンディングパッド電極18を形成した。正極ボンディングパッド電極18は、透光性電極17側から常法によりTi/Al/Auにより構成した。また、n型半導体層14の一部領域上に公知の反応性イオンエッチング法により負極19の形成領域を露出させ、n型半導体層14側から順にTi/Auからなる負極19を形成した。
【0079】
このようにして正極および負極を形成したウエハの基板裏面を研削・研磨することにより150μmまでサファイア単結晶基板10の板厚を薄くした。次いで基板裏面より532nmの波長を有するレーザ光を基板2の所定のスクライブライン28に沿って、基板内部に集光点を合わせて照射し、改質領域を形成した。そして、この改質領域を有する切断起点領域に沿ってウエーハを縦240μm、横400μmの矩形チップに切断した。このウエーハ1枚当りの切断工程(分割工程)における欠けや割れは発生しなかった。
続いてこれらのチップをプローブ針による通電で電流印加値20mAにおける順方向電圧の測定をしたところ3.2Vであった。
18パッケージに実装してテスターによって発光出力を計測したところ、所定の波長450nmの青色を発光し、印加電流20mAにおける発光出力は20.5mWを示した。またその発光面の発光分布は正極下の全面で発光しているのが確認できた。なお、150μmの厚みを有する前記サファイア単結晶基板10の光透過率(%)は、532nm(緑)のレーザー波長に対して85%であった。
【0080】
以上に述べた実施例1にかかる基板の特徴及びこれを使用した発光素子の評価結果を、表1に示した。
【0081】
(実施例2)
実施例1に記載のサファイア基板の不純物をTi、FeからCr(250ppm)に変えた以外は、実施例1と同様な操作をしてサファイア単結晶基板及びこれを使用した発光素子を評価したところ、表1に記載のとおりの結果が得られた。厚さ150μmのサファイア基板は、淡い赤色(微赤色)で、532nmにおける光透過率は、81%であった。特に、このウエーハ1枚当りの切断工程(分割工程)における欠けや割れ発生率(%)は、発生しなかった。
【0082】
(実施例3)
実施例1に記載のサファイア基板の不純物をTi(70ppm)に変えた以外は、実施例1と同様な操作をしてサファイア単結晶基板及びこれを使用した発光素子を評価したところ、表1に記載のとおりの結果が得られた。厚さ150μmのサファイア基板は、淡いピンク色(淡ピンク)で、532nmにおける光透過率は、86%であった。特に、このウエーハ1枚当りの切断工程(分割工程)における欠けや割れ発生率(%)は、発生しなかった。
【0083】
(比較例1)
不純物を添加しない(不純物は最大1ppm以下)であるc面サファイア基板(約0.7mm)を用意し、これに実施例1に記載の凹凸形状加工を施し(特開2009−123717号公報を参照)、次いで実施例1と同様な方法で発光素子を製造し評価した。その結果を、表1に示す。比較例1では、ウエーハ1枚当りの切断工程(分割工程)における欠けや割れ発生は、7%(発生率)と高くなった。厚さ150μmのサファイア結晶(無色透明)の光透過率は、532nmにおいて90%であった。
【0084】
(実施例4)
Crを高濃度添加(1300ppm)したc面サファイア基板(約0.7mm)を用意し、これに実施例1に記載の凹凸形状加工を施し(特開2009−123717号公報を参照)、次いで実施例1と同様な方法で発光素子を製造し評価した。その結果を、表1に示す。実施例4では、ウエーハ1枚当りの切断工程(分割工程)における欠けや割れ発生は、なかったが、発光出力は、12mWであった。厚さ150μmの結晶基板は、赤色で、532nmにおける光透過率は、60%以下であった。結晶性の低下と光吸収により、低出力であった。
【0085】
(参考例)
実施例1に記載のAlNからなるバッファ層12(スパッタ法)を公知なMOCVD法に変えた以外は、実施例1と同様な操作をしてサファイア単結晶基板及びこれを使用した発光素子を評価したところ、発光層を含む積層半導体層の結晶性の低下と基板の光吸収により、印加電流20mAにおける発光出力は17mW以下で低出力であった(表1には記載を省略する)。
【0086】
以上の検討から、本発明では、30〜1000ppmの不純物を含有する単結晶基板を用意し、この単結晶基板の片面に、III族窒化物半導体(例えば、GaN系半導体)をエピタキシャル成長させることができた(素子形成工程)。さらに、このような単結晶基板を複数のチップに分割するための切断予定ラインに沿って、前記単結晶基板の不純物に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザを前記単結晶基板の内部に集光することにより、効果的に単結晶基板の内部に加工痕を設けることができた(レーザ加工工程)。すなわち、本発明の実施例1乃至実施例4に記載のとおり、本発明の製造方法を用いれば、切断工程(分割工程)における欠けや割れは、比較例1のように発生することはなかった。しかも、本実施形態のフェイスアップマウント型発光素子では、30〜1000ppmの不純物を含有する単結晶基板を使用したにも係わらず、素子形成工程では高い発光出力を有する高品質な積層半導体層(n型半導体層、発光層及びp型半導体層等)を形成することができた。
【0087】
【表1】

【符号の説明】
【0088】
1…III族窒化物半導体発光素子(発光素子、チップ)、30…積層半導体層(III族窒化物半導体素子)、2…単結晶基板、2a…端面、20…主面(第1の主面)、21…平面、22…凸部、23…下面(第2の主面)、25…加工痕、28…スクライブライン(切断予定ライン)、14…n型半導体層、15…発光層、16…p型半導体層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶基板上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層及びp型半導体層を順次積層して積層半導体層を形成するIII族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記単結晶基板として、30ppm以上の不純物を含有する単結晶基板を用意し、この単結晶基板の第1の主面の上に接して、前記III族窒化物半導体からなる中間層をスパッタリング法により積層させ、次いで前記中間層を覆うように前記積層半導体層を形成する素子形成工程と、
前記単結晶基板を複数のチップに分割するための切断予定ラインに沿って、前記単結晶基板の不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザを前記単結晶基板の内部に集光することにより、前記単結晶基板の内部に加工痕を設けるレーザ加工工程と、
前記加工痕及び前記切断予定ラインに沿って前記単結晶基板を分割することにより、複数のチップとする分割工程と、
を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記レーザの波長が、355nm以上1064nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記単結晶基板に備えられる前記第1の主面が、c面からなる平面と前記c面上に形成された複数の凸部とからなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記レーザ加工工程において、前記単結晶基板における前記レーザの照射面から厚さ方向で2/3部迄の領域に、前記加工痕を設けることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記レーザ加工工程において、前記単結晶基板に対して前記レーザをパルス照射することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記単結晶基板がサファイア基板であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記単結晶基板の不純物が、Ti,Ir、Cr、Fe、Ni、Co、Zr、Siのうちの何れか1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
単結晶基板の第1の主面上に接するようにスパッタリング法で形成されたIII族窒化物半導体からなる中間層、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層及びp型半導体層が順次積層されてなる積層半導体層を有するIII族窒化物半導体発光素子であって、
前記単結晶基板が、30ppm以上の不純物を含有する単結晶基板であり、前記単結晶基板の端面に、不純物準位に対して光励起を起こさせる波長を有するレーザが集光されたことによって形成された加工痕が設けられていることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項9】
前記単結晶基板の不純物の添加量が30ppm〜1000ppmの範囲であり、前記単結晶基板の厚みが100〜300μmの範囲であることを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
前記単結晶基板に備えられる前記第1の主面が、c面からなる平面と前記c面上に形成された複数の凸部とからなるものであることを特徴とする請求項8または9に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項11】
前記単結晶基板に含有される不純物が、Ti、Ir、Cr、Fe、Ni、Co、Zr、Siのうちの何れか1種または2種以上であることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項12】
前記単結晶基板の前記第1の主面から2/3部迄の領域に、前記加工痕が設けられていることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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