説明

IL−1ファミリーバリアント

本発明は、IL−1Rrp2要求性タンパク質に関連する組成物及び方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年9月8日に出願された米国仮特許出願第60/843,311号(参照により、本明細書に組み込まれる。)の利益を主張する。
【0002】
本願は、IL−1Rrp2を通じてシグナルを伝達するIL−1ファミリーメンバーのバリアントに関連する核酸、ポリペプチド、組成物、アッセイ及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
IL−1ファミリーには、その主要な機能が免疫及び炎症性応答を媒介することである幾つかのサイトカインが含まれる。最も初期に発見されたメンバーは、IL−1α、IL−1β、IL−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)及びIL−18(以前には、IGIFとして知られ、時折、IL−1γとして知られていた。)であった。これらのIL−1ファミリーメンバーに対して相同性を有するさらなるタンパク質の発見に続いて、IL−1αがIL−1F1、IL−1βがIL−1F2、IL−1raがIL−1F3及びIL−18がIL−1F4と称される命名システムが採用された。アミノ酸配列の類似性、遺伝子構造の同一性及び予想される又は既知の三次元構造に基づいて、7つのさらなるサイトカインがIL−1ファミリーメンバーとして分類されている(Sims,J.E.et al.,Trends Immunol 22:537,2001;Dunn,E.,et al.,Trends Immunol 22:533,2001;Dunn,E.F.,et al.,Biochemistry 42:10938,2003;Schmitz et al.Immunity 23:479−490,2005)。
【0004】
IL−1α、IL−1β及びIL−1ra(それぞれ、IL−1F1から3)は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである受容体、すなわち80kDaのI型受容体(IL−1RI)及び68kDaのII型受容体(IL−1RII)並びにIL−1RIIの可溶性タンパク分解断片(sIL−1RII)に結合する。I型IL−1受容体(IL−1R)へのIL−1(α又はβ)の結合は、IL−1R相同体であるIL−1Rアクセサリータンパク質(IL−1RAcP又はAcP)(これは、リガンドを直接結合しないが、シグナル伝達のために必要とされる(Sims et al.Trends Immunol 22;537,2001)。)の動員をもたらすが、IL−1raの結合は動員をもたらさない。IL−18によるシグナル伝達は極めて似ているが、IL−18は異なる受容体複合体を使用する(Born,T.L.,et al.,J Biol Chem 273:29445,1998)。IL−1F5、F6、F8及びF9はIL−1R関連タンパク質2(IL−1Rrp2)を使用し、F6、F8及びF9はこの受容体経路を刺激し、IL−1F5はこの受容体経路を拮抗する(Debets,R.,et al.,J Immunol 167:1440,2001;Towne et al.2004 J Biol Chem 279(14):13677)。
【0005】
IL−1ファミリーの幾つかのメンバー(IL−1α、IL−1β、IL−18、IL−1F7及びIL−33)は、IL−1β及びIL−18の場合にはカスパーゼ−1によって、IL−33、IL−1α及びIL−1F7に関しては未同定のプロテアーゼによって、タンパク分解的に切断された前駆体分子として合成される。IL−1raは、シグナルペプチダーゼによってN末端から短いペプチドを切断することによって活性化される。しかしながら、存在するとしても、残りのファミリーメンバーにどのようなプロセッシングが起こるかについては殆ど知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Sims,J.E.他、Trends Immunol 22、2001年、p.537
【非特許文献2】Dunn,E.他、Trends Immunol 22、2001年、p.533
【非特許文献3】Dunn,E.F.他、Biochemistry 42、2003年、p.10938
【非特許文献4】Schmitz他、Immunity 23、2005年、p.479−490
【非特許文献5】Born,T.L.他、J Biol Chem 273、1998年、p.29445
【非特許文献6】Debets,R.,他、J Immunol 167、2001年、p.1440
【0007】
(図面の簡単な説明)
図1は、野生型IL−1F5、F6、F8及びF9のN末端部分の並置を与える。F5、F6、F8及びF9のそれぞれには、(Met又はIle)−Xaa−Asp配列が存在し、Met/Ile及びAsp残基の下線によって印が付されている。全てのIL−1ファミリーメンバーの中には、同様の「脂肪族アミノ酸−X−アスパラギン酸又は他の極性アミノ酸」モチーフが存在し、これはIL−1ファミリー配列を併置するために使用することができる。コンセンサスモチーフは、@XDによって示され、ここで、@はMet又はIleなどの脂肪族アミノ酸であり得、Xは何れかの1つのアミノ酸であり、DはAspである。図1において、天然のN末端(開始メチオニンを有する。)がモチーフの脂肪族アミノ酸@の上流に異なる距離で並ぶように、配列は、Met/Ile−Xaa−Aspモチーフ(それぞれ、F5中ではMet11、F6中ではIle15、F8中ではIle14及びF9中ではIle27)を用いて整列されている。
【0008】
図2は、IL−1F5、IL−1F6、IL−1F8及びIL−1F9の完全長野生型アミノ酸配列である。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を拮抗する単離されたIL−1F5ポリペプチドを提供し、前記IL−1F5ポリペプチドは図1中に図示されているコンセンサス@XDと合致する配列Met−Lys−Aspを含有し、前記ポリペプチドは上記メチオニンのN末端側に9つのアミノ酸を含む。一実施形態において、IL−1F5ポリペプチドは、ヒトIL−1F5ポリペプチドである。一実施形態において、本発明のIL−1F5ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニンを有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F5ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニンを有し、並びに1位のN末端アミノ酸にバリン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F5ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニン及びそのアミノ酸配列の2位にロイシンを有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、本発明のIL−1F5ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニン並びに位置のN末端アミノ酸にバリン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸並びに2位にロイシンを有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
特定の実施形態において、本発明のIL−1F5ポリペプチドは、配列番号1に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有し、本発明のIL−1F5ポリペプチドのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニンを含む。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するIL−1F5ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を拮抗する。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を有するIL−1F5ポリペプチドのシグナル伝達/活性化の拮抗のレベルを約5倍、10倍、100倍、1,000倍上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を拮抗する。シグナル伝達/活性化の拮抗のレベルは、実施例2Aに記載されている方法に従って測定される。
【0011】
特定の実施形態において、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドは、1位のN末端アミノ酸に対するそのアミノ酸配列の10位にメチオニンを有し、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
【化1】

【0013】
別の実施形態において、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドをコードする核酸配列が提供される。本発明の別の態様において、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドをコードする核酸配列の発現を誘導する組換えベクターが提供される。特定の実施形態において、本発明のベクターは、以下からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0014】
【化2】

【0015】
別の態様において、本発明のIL−1F5ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞が提供される。別の態様において、発現を促進する条件下で、本発明のIL−1F5ポリペプチドの発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F5ポリペプチドを単離することを含む、本発明の単離されたIL−1F5ポリペプチドを製造する方法が提供される。
【0016】
IL−1F5ポリペプチドを特異的に結合し、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達のIL−1F5拮抗を抑制する抗体又はその断片が提供される。特定の実施形態において、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むIL−1F5ポリペプチドを結合する抗体が提供される。幾つかの実施形態において、本発明のIL−1F5抗体は、モノクローナル抗体、特にキメラ抗体、ヒト化抗体又は完全なヒト抗体である。本発明は、本発明のIL−1F5抗体と及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物を提供する。患者の免疫系を刺激するのに十分な量で、本発明の抗IL−1F5抗体を免疫抑制された対象に投与することを含む、免疫抑制された対象の免疫系を刺激する方法が提供される。
【0017】
別の態様において、本発明のIL−1F5ポリペプチドと及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物が提供される。別の実施形態において、本発明は、対象中の炎症性又は自己免疫性症状の少なくとも1つの症候を低減するのに十分な本発明のIL−1F5ポリペプチドの量を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される対象中の炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法を提供する。一実施形態において、治療されるべき症状は、IL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である。特定の実施形態において、治療されるべき症状は、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される。上記方法の特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0018】
一態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F6ポリペプチドを提供し、前記IL−1F6ポリペプチドは図1に記載されているコンセンサス@XDに合致する配列Ile−Gln−Aspを含有し、及び前記ポリペプチドは上記イソロイシンのN末端側に9つのアミノ酸を含む。一実施形態において、IL−1F6ポリペプチドは、ヒトIL−1F6ポリペプチドである。一実施形態において、本発明のIL−1F6ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F6ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びにリジン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を1位のN末端アミノ酸に有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F6ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びにそのアミノ酸配列の2位にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、本発明のIL−1F6ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに位のN末端アミノ酸にリジン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を有し、並びに2位にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
特定の実施形態において、単離されたIL−1F6ポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%若しくは少なくとも98%の同一性を有し、又は12位のアミノ酸にグルタミンではなくアルギニンが存在すること、及び10位(10位は、本発明のIL−1F6アミノ酸配列の1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンが存在することを除き、配列番号2と同一である。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F6ポリペプチドは、配列番号2のN末端アミノ酸配列を有するIL−1F6ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F6ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を有するIL−1F6ポリペプチドのシグナル伝達/活性化の刺激のレベルを約5倍、10倍、100倍、200倍、1,000倍、2,000倍、10,000倍、50,000倍上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。シグナル伝達/活性化の刺激のレベルは、実施例2Bに記載されている方法に従って測定される。
【0020】
別の態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F6ポリペプチドを提供し、前記IL−1F6ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0021】
【化3】


【0022】
別の実施形態において、本発明の単離されたIL−1F6ポリペプチドをコードする核酸配列が提供される。本発明の別の態様において、本発明の単離されたIL−1F6ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターが提供される。特定の実施形態において、本発明のベクターは、以下からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0023】
【化4】


【0024】
別の態様において、本発明のIL−1F6ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞が提供される。別の態様において、発現を促進する条件下で、本発明のIL−1F6ポリペプチドの発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F6ポリペプチドを単離することを含む、本発明の単離されたIL−1F6ポリペプチドを製造する方法が提供される。
【0025】
別の態様において、本発明のIL−1F6ポリペプチドと及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物が提供される。対象の免疫系を刺激するのに十分な量で、本発明のIL−1F6ポリペプチドを免疫抑制された対象に投与することを含む、免疫抑制された対象の免疫系を刺激する方法が提供される。
【0026】
IL−1F6(IL−1F6は、完全長IL−1F6又は完全長IL−1F6の末端切断物であり得る。)を特異的に結合し、そのタンパク分解性切断、特に、完全長IL−1F6の活性と比べてより活性が高い形態へのタンパク分解性切断を抑制する抗体が提供される。本発明のIL−1F6ポリペプチドを結合し、IL−1FRrp2を通じたシグナル伝達/活性化を抑制する抗体も提供される。幾つかの実施形態において、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号65、配列番号66、配列番号67及び配列番号68からなる群から選択されるIL−1F6ポリペプチドを結合する抗体が提供される。幾つかの実施形態において、本発明のIL−1F6抗体は、モノクローナル抗体、特にキメラ抗体、ヒト化抗体又は完全なヒト抗体である。本発明は、本発明のIL−1F6抗体と及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物を提供する。
【0027】
本発明は、炎症性又は自己免疫性症状の、IL−1Rrp2によって媒介される少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、本発明のIL−1F6抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法も提供する。一実施形態において、治療されるべき症状は、IL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である。特定の実施形態において、治療されるべき症状は、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される。特定の実施形態において、上記方法において治療されるべき対象はヒトである。
【0028】
一態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F8ポリペプチドを提供し、前記IL−1F8ポリペプチドは図1に記載されているコンセンサス@XDに合致する配列Ile−Arg−Aspを含有し、及び前記ポリペプチドは上記イソロイシンのN末端側に9つのアミノ酸を含む。一実施形態において、IL−1F8ポリペプチドは、ヒトIL−1F8ポリペプチドである。一実施形態において、本発明のIL−1F8ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F8ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びにアルギニン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を1位のN末端アミノ酸に有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F8ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、及びそのアミノ酸配列の2位にグルタミン酸を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、本発明のIL−1F8ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに位のN末端アミノ酸にアルギニン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を有し、並びに2位にグルタミン酸を有するアミノ酸配列を含む。
【0029】
特定の実施形態において、単離されたIL−1F8ポリペプチドは、配列番号3に対して、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%の同一性を有し、10位(10位は、本発明のIL−1F8アミノ酸配列のアミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを含む。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F8ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を有するIL−1F8ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F8ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列を有するIL−1F8ポリペプチドのシグナル伝達/活性化の刺激のレベルを約5倍、10倍、100倍、200倍、1,000倍、3,000倍、5,000倍、10,000倍、50,000倍上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。シグナル伝達/活性化の刺激のレベルは、実施例2Bに記載されている方法に従って測定される。
【0030】
別の態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F8ポリペプチドを提供し、前記IL−1F8ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0031】
【化5】

【0032】
別の実施形態において、本発明の単離されたIL−1F8ポリペプチドをコードする核酸配列が提供される。本発明の別の態様において、本発明の単離されたIL−1F8ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターが提供される。特定の実施形態において、本発明のベクターは、以下からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0033】
【化6】


【0034】
別の態様において、本発明のIL−1F8ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞が提供される。別の態様において、発現を促進する条件下で、本発明のIL−1F8ポリペプチドの発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F8ポリペプチドを単離することを含む、本発明の単離されたIL−1F8ポリペプチドを製造する方法が提供される。
【0035】
別の態様において、本発明のIL−1F8ポリペプチドと及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物が提供される。対象の免疫系を刺激するのに十分な量で、本発明のIL−1F8ポリペプチドを免疫抑制された対象に投与することを含む、免疫抑制された対象の免疫系を刺激する方法が提供される。上記方法の特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0036】
IL−1F8(IL−1F8は、完全長IL−1F8又は完全長IL−1F8の末端切断物であり得る。)を特異的に結合し、そのタンパク分解性切断、特に、完全長IL−1F8の活性と比べてより活性が高い形態へのタンパク分解性切断を抑制する抗体が提供される。本発明のIL−1F8ポリペプチドを結合し、IL−1FRrp2を通じたシグナル伝達/活性化を抑制する抗体も提供される。幾つかの実施形態において、配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17からなる群から選択されるIL−1F8ポリペプチドを結合する抗体が提供される。幾つかの実施形態において、本発明のIL−1F8抗体は、モノクローナル抗体、特にキメラ抗体、ヒト化抗体又は完全なヒト抗体である。本発明は、本発明のIL−1F8抗体と及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物を提供する。
【0037】
本発明は、炎症性又は自己免疫性症状の、IL−1Rrp2によって媒介される少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、本発明のIL−1F8抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法も提供する。一実施形態において、治療されるべき症状は、IL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である。特定の実施形態において、治療されるべき症状は、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される。
【0038】
一態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F9ポリペプチドを提供し、前記IL−1F9ポリペプチドは図1に記載されているコンセンサス配列@XDを含み、前記IL−1F9ポリペプチドはコンセンサス@XDに合致する配列Ile−Asn−Aspを含有し、及び前記ポリペプチドは上記イソロイシンのN末端側に9つのアミノ酸を含む。一実施形態において、IL−1F9ポリペプチドはヒトIL−1F9ポリペプチドである。一実施形態において、本発明のIL−1F9ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F9ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びにセリン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を1位のN末端アミノ酸に有するアミノ酸配列を含む。一実施形態において、本発明のIL−1F9ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、及びそのアミノ酸配列の2位にメチオニンを有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態において、本発明のIL−1F9ポリペプチドは、アミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに位のN末端アミノ酸にセリン及びメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を有し、並びに2位にグルタミン酸を有するアミノ酸配列を含む。
【0039】
特定の実施形態において、単離されたIL−1F9ポリペプチドは、配列番号4に対して、少なくとも85%又は少なくとも89%の同一性を有し、及び10位(10位は、本発明のIL−1F9アミノ酸配列の1位に位置するN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを含む。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F9ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有するIL−1F9ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。幾つかの実施形態において、本発明の単離されたIL−1F9ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有するIL−1F9ポリペプチドのシグナル伝達/活性化の刺激のレベルを約5倍、10倍、50倍、100倍、600倍、1,000倍、3,000倍、5,000倍、10,000倍又は50,000倍上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する。シグナル伝達/活性化の刺激のレベルは、実施例2Bに記載されている方法に従って測定される。
【0040】
別の態様において、本発明は、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F9ポリペプチドを提供し、前記IL−1F9ポリペプチドは、そのアミノ酸配列の10位(10位は、1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有し、並びに以下からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
【0041】
【化7】

【0042】
別の実施形態において、本発明の単離されたIL−1F9ポリペプチドをコードする核酸配列が提供される。本発明の別の態様において、本発明の単離されたIL−1F9ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターが提供される。特定の実施形態において、ベクターは、以下からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0043】
【化8】

【0044】
別の態様において、本発明のIL−1F9ポリペプチドをコードする核酸の発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞が提供される。別の態様において、発現を促進する条件下で、本発明のIL−1F9ポリペプチドの発現を誘導する組換えベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F9ポリペプチドを単離することを含む、本発明の単離されたIL−1F9ポリペプチドを製造する方法が提供される。
【0045】
別の態様において、本発明のIL−1F9ポリペプチドと及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物が提供される。対象の免疫系を刺激するのに十分な量で、本発明のIL−1F9ポリペプチドを免疫抑制された対象に投与することを含む、免疫抑制された対象の免疫系を刺激する方法が提供される。
【0046】
IL−1F9(IL−1F9は、完全長IL−1F9又は完全長IL−1F9の末端切断物であり得る。)を特異的に結合し、そのタンパク分解性切断、特に、完全長IL−1F9の活性と比べてより活性が高い形態へのタンパク分解性切断を抑制する抗体が提供される。本発明のIL−1F9ポリペプチドを結合し、IL−1FRrp2を通じたシグナル伝達/活性化を抑制する抗体も提供される。幾つかの実施形態において、配列番号18、配列番号19、配列番号20及び配列番号21からなる群から選択されるIL−1F9ポリペプチドを結合する抗体が提供される。幾つかの実施形態において、本発明のIL−1F9抗体は、モノクローナル抗体、特にキメラ抗体、ヒト化抗体又は完全なヒト抗体である。本発明は、本発明のIL−1F9抗体と及び生理学的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体とを含む組成物、特に医薬組成物を提供する。
【0047】
本発明は、炎症性又は自己免疫性症状のIL−1Rrp2によって媒介される少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、本発明のIL−1F9抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法も提供する。一実施形態において、治療されるべき症状は、IL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である。特定の実施形態において、治療されるべき症状は、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される。上記方法の特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0048】
別の態様において、本発明は、Il−1ファミリーメンバーのタンパク分解性切断を促進する条件下で、前記IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼの源を前記IL−1ファミリーメンバーと接触させること、及び前記IL−1ファミリーメンバーがタンパク分解性に切断されたかどうかを測定することを含む、IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼを同定する方法を提供する。さらに、本発明は、IL−1ファミリーメンバーのタンパク分解性切断を促進する条件下で、潜在的な阻害剤である分子の存在下及び不存在下で、前記IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼを前記IL−1ファミリーメンバーと接触させること、及び前記IL−1ファミリーメンバーがタンパク分解性に切断されたかどうかを測定することを含み、前記分子の存在下において、IL−1ファミリーメンバーが切断されず、又はより低い程度で切断されれば前記分子が阻害剤である、IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼの阻害剤を同定する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、野生型IL−1F5、F6、F8及びF9のN末端部分の並置を与える。F5、F6、F8及びF9のそれぞれには、(Met又はIle)−Xaa−Asp配列が存在し、Met/Ile及びAsp残基の下線によって印が付されている。全てのIL−1ファミリーメンバーの中には、同様の「脂肪族アミノ酸−X−アスパラギン酸又は他の極性アミノ酸」モチーフが存在し、これはIL−1ファミリー配列を併置するために使用することができる。コンセンサスモチーフは、@XDによって示され、ここで、@はMet又はIleなどの脂肪族アミノ酸であり得、Xは何れかの1つのアミノ酸であり、DはAspである。図1において、天然のN末端(開始メチオニンを有する。)がモチーフの脂肪族アミノ酸@の上流に異なる距離で並ぶように、配列は、Met/Ile−Xaa−Aspモチーフ(それぞれ、F5中ではMet11、F6中ではIle15、F8中ではIle14及びF9中ではIle27)を用いて整列されている。
【図2】図2は、IL−1F5、IL−1F6、IL−1F8及びIL−1F9の完全長野生型アミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、シグナル伝達のためにIL−1Rrp2を必要とし、又はシグナル伝達のためにIL−1Rrp2を必要とするIL−1ファミリーメンバーと競合することによってシグナル伝達を阻害するIL−1ファミリーのメンバー(以下、「IL−1Rrp2要求性ポリペプチド」という。例えば、IL−1F5、F6、F8及びF9)に関連する組成物、キット及び方法を提供する。このようなIL−1ファミリーメンバーをコードする核酸並びにその誘導体及び断片も提供される。本発明は、これらのIL−1ファミリーメンバーに結合する抗原結合タンパク質をさらに提供する。例えば、提供される方法には、このようなIL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼを同定及び/又は単離する方法、IL−1Rrp2要求性IL−1ファミリーメンバーとプロテアーゼの間の相互作用を調節する分子を作製し、同定し、又は単離する方法、IL−1Rrp2と相互作用する他のIL−1ファミリーメンバーを同定する方法並びにIL−1F5、F6、F8及び/又はF9と相互作用する他のIL−1Rファミリーメンバーを同定する方法が含まれる。
【0051】
本発明は、ポリペプチドのアミノ末端部分の立体構造の結果として、生物活性の高いレベルを再現可能に有するIL−1Rrp2要求性ポリペプチドも提供する。図1に示されているように、シグナル伝達のためにIl−1Rrp2を必要とすることが知られたIL−1ファミリーメンバーの各々(IL−1F5、F6、F8及びF9)の中には(Met又はIle)−Xaa−Asp配列が存在し、Met/Ile及びAsp残基の下線によって印が付されている。Met/Ileの上流にN末端の9つの残基を有するIL−1Rrp2要求性ポリペプチドは高度な活性を示すのに対して、さらに上流に伸長するIL−1Rrp2要求性ポリペプチドは活性が乏しい。Met/Ileの上流の8又は7残基にN末端を有するIL−1Rrp2要求性ポリペプチドは、活性が乏しく又は非活性である。さらに、IL−1Rrp2要求性ポリペプチドのN末端に存在する正確なアミノ酸は重要ではないようである。幾つかのポリペプチドが調製され、そのうちの幾つかは、N末端Metを当初有し、このN末端Metは、幾つかのポリペプチドに関しては、細胞内メチオニルアミノペプチダーゼによって切除され、他のポリペプチド(Metに対してC末端に嵩が大きな残基を有するもの)に関しては、アミノペプチダーゼはメチオニンを除去することができず、他のポリペプチドは、以下の実施例1に記載されているように、N末端Metなしに調製された。
【0052】
本明細書に記載されているポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、標準的な一文字又は三文字略号を用いて記されている。別段の記載がなければ、各ポリペプチド配列は、アミノ末端を左に有し、カルボキシ末端を右に有する。各一本鎖核酸配列及び各二本鎖核酸配列の上側の鎖は、左に5’末端を有し、右に3’末端を有する。具体的なポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、基準配列とどのように異なるかを説明することによって記載することも可能である。
【0053】
本明細書に別段の定義がなければ、本発明に関連して使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求されなければ、単数形の用語は複数を含むものとし、複数形の用語は単数を含むものとする。本明細書に記載されている細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質及び核酸化学及びハイブリッド形成に関連して使用される命名法及びこれらの技術は、一般に周知のものであり、本分野において一般的に使用されている。一般に、本発明の方法及び技術は、別段の記載がなければ、本分野において周知の慣用方法に従い、並びに本明細書を通じて引用及び論述されている様々な一般的参考文献及びより具体的な参考文献中に記載されているように、実施される。例えば、「Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))」及び「Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)」及び「Harlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)」)(参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、本分野で一般的に遂行されているように、又は本明細書に記載されているように、実施される。本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学及び医薬品化学及び薬化学に関して使用される用語、並びに本明細書に記載されている分析化学、合成有機化学及び医薬品化学及び薬化学の実験室操作及び技術は周知のものであり、本分野で一般的に使用されているものである。化学合成、化学分析、薬学的な調製、調合及び送達並びに患者の治療に対しては、標準的な技術を使用し得る。
【0054】
以下の用語は、別段の記載がなければ、以下の意味を有するものと理解しなければならない。
【0055】
「単離された分子」(分子は、例えば、ポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体である。)という用語は、その由来起源又は由来源のために、(1)その固有の状態において当該分子とともに存在する天然に随伴される成分を伴わない分子、(2)同じ種に由来する他の分子を実質的に含まない分子、(3)異なる種から得られた細胞によって発現される分子、又は(4)天然には存在しない分子である。従って、化学的に合成された分子、又は当該分子が本来起源とする細胞とは異なる細胞系の中で合成された分子は、その本来付随している成分から「単離」されている。本分野で周知の精製技術を使用して、単離によって、分子を本来付随している成分が実質的に存在しないようにすることもできる。分子の純度又は均一性は、本分野において周知の多数の手段によってアッセイされ得る。例えば、ポリペプチド試料の純度は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用し、本分野で周知の技術を用いてポリペプチドを可視化するためにゲルを染色してアッセイされ得る。ある種の目的のために、HPLC又は本分野で周知の他の精製手段を使用することによって、より高い分解能が提供され得る。
【0056】
「IL−1Rrp2阻害剤」及び「IL−1Rrp2アンタゴニスト」という用語は、互換的に使用される。それぞれが、IL−1Rrp2の少なくとも1つの機能を検出可能に阻害する分子である。逆に、「IL−1Rrp2アゴニスト」は、IL−1Rrp2の少なくとも1つの機能を検出可能に増加させる分子である。IL−1Rrp2阻害剤によって引き起こされた阻害は、アッセイを用いて検出可能である限り、完全である必要はない。IL−1Rrp2の機能のあらゆるアッセイを使用することが可能であり、その例は、本明細書中に提供されている。IL−1Rrp2阻害剤によって阻害され得る又はIL−1Rrp2アゴニストによって引き起こされ得る若しくは増加され得るIL−1Rrp2の機能の例には、NFκBシグナル伝達経路の活性化、MAPキナーゼ(Erk、JNK、p38)及びそのシグナル伝達経路の活性化、サイトカインの誘導、ケモカインの誘導、好中球の動員、皮膚の厚さの増強(例えば、乾癬性の皮膚内に見出されるものと類似する表皮肥厚及び/又は角質増殖の誘導)、下流のシグナル伝達などが含まれる。IL−1Rrp2阻害剤及びIL−1Rrp2アゴニストの種類の例には、ある種のIL−1ファミリーメンバー(例えば、IL−1F6、F8及びF9(これらは、IL−1Rrp2アゴニストである。)並びにIL1−F5(これは、IL−1Rrp2アンタゴニストである。)などのIL−1Rrp2要求性ポリペプチド、抗体、抗体断片及び抗体誘導体(例えば、IL−1Rrp2アゴニストを結合し、そのタンパク分解性切断を抑制する抗体)が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は各々、ペプチド結合によって互いに結合された2つ又はそれ以上のアミノ酸残基を含む分子を表す。これらの用語は、例えば、固有状態のタンパク質及び人工のタンパク質、タンパク質断片及びタンパク質配列のポリペプチド類縁体(変異タンパク質、バリアント及び融合タンパク質など)並びに翻訳後修飾された又はその他共有的に若しくは非共有的に修飾されたタンパク質を包含する。ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、単量体又は多量体であり得る。
【0058】
本明細書で使用される「ポリペプチド断片」という用語は、対応する完全長タンパク質と比べて、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端の欠失を有するポリペプチドを表す。例えば、断片は、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、50、70、80、90、100、150又は200アミノ酸長であり得る。例えば、断片は、最大1,000、750、500、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11又は10アミノ酸長でもあり得る。断片は、その末端の一方又は両方に、1つ又はそれ以上の付加的アミノ酸、例えば、天然に存在する異なるタンパク質(例えば、Fc又はロイシンジッパードメイン)又は人工のアミノ酸配列(例えば、人工のリンカー配列又はタグタンパク質)から得られるアミノ酸の配列をさらに含むことができる。
【0059】
本発明のポリペプチドには、例えば、(1)タンパク分解に対する感受性を低下させるために、(2)酸化に対する感受性を低下させるために、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させるために、(4)結合親和性を変化させるために及び(4)他の物理化学的又は機能的特性を付与又は修飾するために、あらゆる様式で及びあらゆる理由のために修飾されたポリペプチドが含まれる。類縁体には、ポリペプチドの変異タンパク質が含まれる。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列中に(例えば、分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチドの部分中に)作製し得る。「保存的アミノ酸置換」は、親配列の構造的特徴を大幅に変化させないアミノ酸置換である(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じるヘリックスを破壊する傾向を示すべきなく、又は親配列を特徴付ける若しくはその機能のために必要とされる二次構造の他の種類を崩壊させるべきでない。)。本分野で認められたポリペプチド二次構造及び三次構造の例は、「Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));及びThornton et al.,Nature 354:105(1991)」に記載されており、これらは各々、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0060】
本発明は、IL−IL−1Rrp2要求性ポリペプチドの非ペプチド類縁体も提供する。非ペプチド類縁体は、一般に、テンプレートペプチドの特性と類似の特性を有する薬物として、製薬産業で使用される。非ペプチド化合物のこれらの種類は、「ペプチド模倣体」と名づけられている。例えば、「Fauchere,J.Adv.Drug Res.15:29(1986);Veber and Freidinger TINS p.392(1985);and Evans et al.J.Med.Chem.30:1229(1987)」(参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。治療に有用なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣体は、均等な治療効果又は予防効果を生じさせるために使用し得る。一般に、ペプチド模倣体は、ヒト抗体などの模範ポリペプチド(すなわち、所望の生化学的特性又は薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似するが、本分野で周知の方法によって、−−CHNH−−、−−CHS−−、−−CH−CH−−、−−CH=CH−(シス及びトランス)、−−COCH−−、−−CH(OH)CH−−及び−−CHSO−−から選択される結合によって場合により置換された一又はそれ以上のペプチド結合を有する。コンセンサス配列の1つ又はそれ以上のアミノ酸を同種のDアミノ酸で体系的に置換すること(例えば、L−リジンに代えてD−リジン)は、より安定なペプチドを作製するためにも使用し得る。さらに、コンセンサス配列又は実質的に同一なコンセンサス配列変異を含む拘束されたペプチドは、本分野で公知の方法によって(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992)、参照により、本明細書に組み込まれる。)、例えば、ペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって作製され得る。
【0061】
ポリペプチド(例えば、抗体)の「バリアント」は、別のポリペプチド配列に比べて、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列中に挿入され、アミノ酸配列から欠失され、及び/又はアミノ酸配列中に置換されたアミノ酸配列を含む。本発明のバリアントには、融合タンパク質が含まれる。
【0062】
ポリペプチドの「誘導体」とは、化学的に修飾された、例えば、別の化学部分(例えば、ポリエチレングリコール又はアルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)への連結、リン酸化及びグリコシル化を介して修飾されたポリペプチド(例えば、抗体)である。別段の記載がなければ、「抗体」という用語は、2つの完全長の重鎖及び2つの完全長の軽鎖を含む抗体の他に、その誘導体、バリアント、断片及び変異タンパク質を含み、その例は以下に記載されている。
【0063】
「抗原結合タンパク質」とは、抗原に結合する部分を含み、抗原結合部分が抗原への抗原結合タンパク質の結合を促進する立体構造を取ることができるようにする足場又はフレームワーク部分を場合によって含むタンパク質である。抗原結合タンパク質の例には、抗体、抗体断片(例えば、抗体の抗原結合部分)、抗体誘導体及び抗体類縁体が含まれる。抗原結合タンパク質は、例えば、1つ又はそれ以上の移植された相補性決定領域(CDR)又はCDR誘導体を有する別のタンパク質の足場又は人工的足場を含み得る。このような足場には、例えば抗原結合タンパク質の三次元構造を安定化させるために導入された変異を含む抗体由来の足場、及び、例えば生体適合性ポリマーを含む完全な合成足場が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
例えば、「Korndorfer et al.,2003,Proteins:Structure,Function,and Bioinformatics,Volume 53,Issue 1:121−129」、「Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654」を参照されたい。さらに、ペプチド抗体模倣物(「PAM」)を使用することができ、足場としてフィブロネクチン成分を用いた抗体模倣物を基礎とする足場も使用することができる。
【0065】
抗原結合タンパク質は、例えば、天然に存在する免疫グロブリンの構造を有することができる。「免疫グロブリン」は、四量体分子である。天然に存在する免疫グロブリンにおいて、各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識に必要とされる、約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主として、エフェクター機能のために必要とされる定常領域を規定する。ヒトの軽鎖は、κ及びλ軽鎖として分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α又はεとして分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEとして、抗体のイソタイプを規定する。軽鎖及び重鎖内において、可変及び定常領域は、約12又はそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はさらに約10アミノ酸の「D」領域も含む。一般に、「Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(あらゆる目的のために、その全体が、参照により組み込まれる。)を参照されたい。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、完全な状態の免疫グロブリンが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
【0066】
免疫グロブリン鎖は、3つの超可変領域によって連結された、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)(相補性決定領域又はCDRとも称される。)の同じ一般的構造を呈する。N末端からC末端へと、軽鎖及び重鎖は何れも、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat他の「Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91−3242,1991」の定義に従う。
【0067】
抗体は、変動する抗原特異性を有する免疫グロブリンを含有する血清又は血漿などの源から得ることができる。このような抗体がアフィニティー精製に供されれば、特定の抗原特異性に関して、このような抗体を濃縮することが可能である。抗体のこのような濃縮された調製物は、しばしば、特定の抗原に対して特異的な結合活性を有する約10%未満の抗体からなる。抗原特異的抗体のパーセントは、複数の精製工程を使用することによって増加させることができる。抗原を用いたアフィニティー精製によって濃縮された抗体は、しばしば、「単一特異的」と称される。
【0068】
「抗体」とは、別段の記載がなければ、原型状態の免疫グロブリンを表し、又は原型状態の抗体と特異的結合に関して競合するその抗原結合部分を表す。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、又は原型状態の抗体の酵素的若しくは化学的切断によって産生され得る。抗原結合部分には、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体(dAb)及びCDR断片、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びポリペプチドへの特異的な抗原結合を付与するのに十分である免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが含まれる。
【0069】
ある抗体の相補性決定領域(CDR)及びフレームワーク領域(FR)は、Kabat他の「Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,US Dept of Health and Human Services,PHS,NIH,NIH Publication no.91−3242,1991」によって記載される系を用いて同定され得る。分子を抗原結合タンパク質にするために、共有的に又は非共有的に分子中に1つ又はそれ以上のCDRを取り込ませ得る。抗原結合タンパク質は、より大きなポリペプチド鎖の一部としてCDRを取り込み得、別のポリペプチド鎖にCDRを共有結合させ得、又は非共有的にCDRを取り込み得る。CDRは、抗原結合タンパク質が目的とするある抗原に特異的に結合できるようにする。
【0070】
抗原結合タンパク質は、1つ又はそれ以上の結合部位を有し得る。2以上の結合部位が存在する場合には、結合部位は互いに同一であり得、又は異なり得る。例えば、天然に存在するヒト免疫グロブリンは、2つの同一の結合部位を典型的に有するのに対して、「二重特異的」又は「二機能性」抗体は2つの異なる結語部位を有する。
【0071】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する1つ又はそれ以上の可変領域及び定常領域を有する全ての抗体を含む。一実施形態において、可変及び定常ドメインの全てがヒト免疫グロブリン配列に由来する(完全なヒト抗体)である。ヒト重鎖及び/又は軽鎖をコードする遺伝子から得られた抗体を発現するように遺伝的に修飾されたマウスの、目的の抗原での免疫化によるなど、これらの抗体は、以下にその例が記載されている様々な方法で調製され得る。
【0072】
「ヒト化抗体」は、ヒト対象に投与された場合に、非ヒト種の抗体と比べて、ヒト化抗体が免疫応答を誘導する可能性がより少なくなるように、及び/又はより軽い免疫応答を誘導するように、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加だけ、非ヒト種由来の抗体の配列と異なる配列を有する。一実施形態において、ヒト化抗体を作製するために、非ヒト種抗体の重鎖及び/又は軽鎖のフレームワーク及び定常ドメイン中のある種のアミノ酸が変異を受ける。別の実施形態において、ヒト抗体由来の定常ドメインが非ヒト種の可変ドメインに融合される。別の実施形態において、ヒト対象に投与された場合に、非ヒト抗体の生じ得る免疫原性を低下させるために、非ヒト抗体の1つ又はそれ以上のCDR配列中の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基が変化を受け、変化を受けたアミノ酸残基は、抗原へのヒト化抗体の結合が抗原への非ヒト抗体の結合より著しく劣らないように、その抗原への抗体の免疫特異的結合にとって重要でなく、又は作製されたアミノ酸配列への変化は保存的変化である。ヒト化抗体の作製方法の例は、米国特許第6,054,297号、同第5,886,152号及び同第5,877,293号に見出され得る。
【0073】
「キメラ抗体」という用語は、ある抗体由来の1つ又はそれ以上の領域と及び1つ又はそれ以上の別の抗体由来の1つ又はそれ以上の領域とを含有する抗体を表す。キメラ抗体の1つの例において、重鎖及び/又は軽鎖の一部は、特定の種から得られる抗体と同一であり、特定の種から得られる抗体に対して相同的であり、若しくは特定の種から得られる抗体に由来し、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属するのに対して、鎖の残りは、別の種から得られる抗体と同一であり、別の種から得られる抗体に対して相同的であり、若しくは別の種から得られる抗体に由来し、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する。所望の生物活性(すなわち、IL−1ファミリーメンバーを特異的に結合する能力)を示すこのような抗体の断片も含まれる。例えば、米国特許第4,816,567号及び「Morrison,1985,Science229:1202−07」を参照されたい。
【0074】
「中和抗体」又は「阻害抗体」とは、抗IL−1ファミリーメンバー抗体の過剰が、本明細書の実施例中に記載されているようなアッセイを用いて活性化の量を少なくとも約20%低下させるときに、IL−1ファミリーメンバーのタンパク分解性の活性化を阻害する抗体である。様々な実施形態において、抗体は、IL−1ファミリーメンバーのタンパク分解性活性化の量の量を、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%及び99.9%低下させる。
【0075】
抗体の断片又は類縁体は、本明細書の教示に従って、及び本分野で周知の技術を用いて、当業者によって、容易に調製することができる。断片又は類縁体の好ましいアミノ及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に生じる。構造的及び機能的ドメインは、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列のデータを、公共の配列データベース又は独自の配列データベースと比較することによって同定することが可能である。公知の構造及び/又は機能の他のタンパク質中に生じる配列モチーフ又は予測されるタンパク質立体構造ドメインを同定するために、コンピュータ化された比較法を使用することが可能である。公知の三次元構造に折り畳まれるタンパク質配列を同定するための方法は公知である。例えば、「Bowie et al,1991,Science 253:164」を参照のこと。
【0076】
「CDR移植された抗体」とは、ある種又はイソタイプの抗体に由来する1つ又はそれ以上のCDRと及び同一又は別異の種又はイソタイプの別の抗体のフレームワークとを含む抗体である。
【0077】
「多重特異的抗体」は、1つ又はそれ以上の抗原上の2以上のエピトープを認識する抗体である。抗体のこの種類のサブクラスは、同じ又は異なる抗原上の2つの異なるエピトープを認識する「二重特異的抗体」である。
【0078】
抗原結合タンパク質が1nM又はそれ以下の解離定数で抗原に結合すれば、抗原結合タンパク質は、抗原(例えば、ヒトIL−1ファミリーメンバー)に「特異的に結合する」。
【0079】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」又は「抗原結合部位」は、抗原と相互作用し、抗原に対する抗原結合タンパク質の特異性及び親和性に寄与するアミノ酸残基(又は他の部分)を含有する抗原結合タンパク質の一部である。その抗原に特異的に結合する抗体に関しては、これは、そのCDRドメインの少なくとも1つの少なくとも一部を含む。
【0080】
「エピトープ」は、抗原結合タンパク質によって(例えば、抗体によって)結合される分子の一部である。エピトープは、分子の不連続な部分(例えば、ポリペプチドでは、ポリペプチドの一次構造中では連続していないが、ポリペプチドの三次構造及び四次構造に関して、抗原結合タンパク質によって互いに結合できるほど十分近いアミノ酸残基)を含むことができる。
【0081】
2つのポリヌクレオチド又は2つのポリペプチド配列の「パーセント同一性」は、その初期設定パラメータを用いて、GAPコンピュータプログラム(GCG Wisconsin Package,version 10.3(Accelrys,San Diego,CA)の一部)を使用して配列を比較することによって決定される。
【0082】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書を通じて互換的に使用され、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチド類縁体を用いて作製されたDNA又はRNAの類縁体(例えば、ペプチド核酸及び天然に存在しないヌクレオチド類縁体)及びこれらのハイブリッドを含む。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得る。一実施形態において、本発明の核酸分子は、本発明の抗体、又はその断片、誘導体、変異タンパク質若しくはバリアントをコードする連続した翻訳領域を含む。
【0083】
隙間の導入なしに、及び何れの配列の5’又は3’末端にも対形成していないヌクレオチドが存在することなく、1つのポリヌクレオチド中の全てのヌクレオチドが、他のポリヌクレオチド中のその相補的ヌクレオチドと反対であるように、反平行配置で、2つの一本鎖ポリヌクレオチドの配列を併置することができれば、2つの一本鎖ポリヌクレオチドは、互いの「相補物」である。中程度に厳格な条件下で、2つのポリヌクレオチドが互いにハイブリッドを形成することができれば、ポリヌクレオチドは別のポリヌクレオチドに対して「相補的」である。従って、ポリヌクレオチドは、その相補物でなくても、別のポリヌクレオチドに対して相補的であることができる。
【0084】
「ベクター」は、ベクターに連結された別の核酸を細胞中に導入するために使用することができる核酸である。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは、その中にさらなる核酸セグメントを連結することができる直鎖又は環状二本鎖DNA分子を表す。ベクターの別の種類はウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)であり、ウイルスベクターにおいて、追加のDNAセグメントはウイルスゲノム中に導入することができる。ある種のベクターは、当該ベクターがその中に導入された宿主細胞中で自律的複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点を含む細菌性ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入時に、宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、これにより、宿主ゲノムとともに複製される。「発現ベクター」は、選択されるポリヌクレオチドの発現を誘導することができるベクターの種類である。
【0085】
制御配列がヌクレオチド配列の発現に影響を与えれば(例えば、発現のレベル、タイミング又は位置)、ヌクレオチド配列は、制御配列に「作用可能に連結」されている。「制御配列」とは、当該制御配列に作用可能に連結されている核酸配列の発現に(例えば、発現のレベル、タイミング又は場所)影響を与える核酸である。制御配列は、例えば、制御される核酸に対して、直接その影響を及ぼすことができ、又は1つ若しくはそれ以上の他の分子(例えば、制御配列及び/又は前記核酸に結合するポリペプチド)の作用を通じてその影響を及ぼすことができる。制御配列の例には、プロモーター、エンハンサー及び他の発現調節要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。制御配列のさらなる例は、例えば、「Goeddel,1990,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA」及び「Baron et al,1995,Nucleic Acids Res.23:3605−06」に記載されている。
【0086】
「宿主細胞」は、核酸(例えば、本発明の核酸)を発現するために使用することができる細胞である。宿主細胞は、原核生物、例えば、イー・コリ(E.coli)であり得、又は真核生物、例えば、単細胞の真核生物(例えば、酵母又は他の真菌)、植物細胞(例えば、タバコ又はトマト植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞又は昆虫細胞)若しくはハイブリドーマであり得る。宿主細胞の例には、サル腎細胞のCOS−7株(ATCCCRL1651)(Gluzman et al,1981,Cell 23:175参照)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCCCCL163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はVeggieCHOなどのそれらの誘導物及び無血清培地中で増殖する関連する細胞株(Rasmussen et al,1998,Cytotechnology28:31参照)又はDHFRを欠損するCHO株DX−B11(Urlaub et al,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:4216−20参照)、HeLa細胞、BHK(ATCCCRL10)細胞株株、アフリカミドリザル腎細胞株CV1由来のCV1/EBNA細胞株(ATCCCCL70)(McMahan et al,1991,EMBOJ.10:2821参照)、293、293EBNA又はMSR293などのヒト胎児腎細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常な二倍体細胞、一次組織、一次外植片のインビトロ培養から得られた細胞株、HL−60、U937、HaK又はJurkat細胞が含まれる。典型的には、宿主細胞はポリペプチドをコードする核酸で形質転換又は形質移入され得る培養された細胞であり、ポリペプチドをコードする核酸は、ついで、宿主細胞中で発現され得る。「組換え宿主細胞」という用語は、発現されるべき核酸で形質転換又は形質移入された宿主細胞を表すために使用することができる。宿主細胞は、核酸を含むが、制御配列が核酸と作用可能に連結された状態になるように、制御配列が宿主細胞中に導入されなければ、所望のレベルで核酸を発現しない細胞でもあり得る。宿主細胞という用語は、このような単語は、当該細胞を表すのみならず、このような細胞の子孫又は潜在的な子孫も表すことが理解される。例えば、突然変異又は環境的な影響のために、後続の世代中にある種の修飾が生じ得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でないことがあり得るが、本明細書において使用される本用語の範囲になお含まれる。
【0087】
IL−1Rrp2要求性IL−1ファミリーメンバー
一態様において、本発明は、シグナル伝達のためにIL−1Rrp2を必要とするタンパク質(例えば、IL−1ファミリーメンバー、その誘導体、変異タンパク質及びバリアント)、例えば、ヒトIL−1F5、F6、F8及びF9を提供する。本発明に係るIL−1ファミリーメンバーには、IL−1Rrp2の生物活性を阻害するタンパク質及びIL−1Rrp2の生物活性を刺激するタンパク質が含まれる。このような生物活性の例には、ERK、p38MAPK、JNK及びIKKを含む複数のキナーゼ経路の活性化が含まれる。皮膚において、IL−1Rrp2シグナル伝達は、乾癬性の皮膚に類似する表皮肥厚性、角質増殖性の表皮をもたらすことができ、肺において、IL−1Rrp2シグナル伝達は、好中球の動員を引き起こす。
【0088】
異なるIL−1ファミリーメンバーは、シグナル伝達のために、IL−1Rrp2の異なるドメインを使用し得、又は異なる作用機序によって作用し得る。例には、IL−1Rrp2を介してシグナル伝達を引き起こすタンパク質及びシグナル伝達を阻害するタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。作用の部位は、例えば、細胞内(例えば、細胞内シグナル伝達カスケードの妨害による)又は細胞外であり得る。拮抗性タンパク質は、本発明における用途を見出すために、IL−1Rrp2活性を完全に阻害する必要はなく、むしろ、IL−1Rrp2の特定の活性を低下させる拮抗性タンパク質を使用することも想定される。特定の疾病を治療する上での拮抗性タンパク質の具体的な作用機序についての本明細書における論述は例示的なものに過ぎず、本明細書に提示されている方法は、それによって限定されるものではない。
【0089】
本発明の範囲に属するIL−1ファミリーメンバーの他の誘導体には、IL−1Rrp2要求性タンパク質のN末端又はC末端に融合された異種のポリペプチドを含む組換え融合タンパク質の発現によるなど、タンパク質又はその断片の、他のタンパク質又はポリペプチドとの共有的又は凝集的連結物が含まれる。例えば、連結されたペプチドは、異種のシグナル(又はリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母α因子リーダー又はエピトープタグなどのペプチドであり得る。IL−1Rrp2要求性タンパク質含有融合タンパク質は、IL−1Rrp2要求性ポリペプチドの精製又は同定を促進するために付加されたペプチド(例えば、ポリーHis)を含むことができる。IL−1Rrp2要求性ポリペプチドは、「Hopp et al.,Bio/Technology6:1204,1988」及び米国特許第5,011,912号に記載されているFLAG(R)ペプチド(DYKDDDDK;配列番号5)にも連結することができる。FLAGペプチドは高度に抗原性であり、特異的なモノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されたエピトープを提供し、発現された組換えタンパク質の迅速なアッセイ及び容易な精製を可能にする。FLAGペプチドがあるポリペプチドに融合されている融合タンパク質を調製するのに有用な試薬は市販されている(Sigma,St.Louis,MO)。
【0090】
さらなる有用なタグタンパク質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Chalfie et al.,Science 263:802,1994)、モノクローナル抗体に対する認識部位を含有するN末端ペプチド、特異的なエンドペプチダーゼ及び部位特異的タンパク質キナーゼ(PKA;Blanar and Rutter,Science 256:1014,1992)、birA(Airman et al.,Science 274:94,1996)及びグルタチオンS転移酵素(GST:Smith and Johnson,Gene 67:31,1988)が含まれる。
【0091】
1つ又はそれ以上のIL−1Rrp2要求性タンパク質を含有するオリゴマーは、アゴニスト又はアンタゴニストとして使用され得る。オリゴマーは、共有結合された又は非共有的に結合された二量体、三量体又はより高次のオリゴマーの形態であり得る。2つ又はそれ以上のIL−1Rrp2要求性タンパク質を含むオリゴマーを使用することが想定され、一つの例はホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体などが含まれる。
【0092】
一実施形態は、IL−1Rrp2要求性タンパク質に融合されたペプチド部分間の共有又は非共有相互作用を介して連結された複数のIL−1Rrp2要求性タンパク質を含むオリゴマーに関する。このようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)又はオリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであり得る。ロイシンジッパー及び抗体に由来するある種のポリペプチドは、以下でさらに詳しく記載されているように、付着されたIL−1Rrp2要求性タンパク質のオリゴマー化を促進することができるペプチドに属する。
【0093】
特定の実施形態において、オリゴマーは、2から4つのIL−1Rrp2要求性タンパク質を含む。オリゴマーのIL−1Rrp2要求性タンパク質は、上記の形態の何れかなどの何れの形態でもあり得、例えば、バリアント又は断片であり得る。好ましくは、オリゴマーは、活性(すなわち、IL−1Rrp2刺激又は拮抗活性)を有するIL−1Rrp2要求性タンパク質を含む。
【0094】
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを用いて調製される。Fcドメインなど、抗体に由来するポリペプチドの様々な部分に融合されたある種の異種のポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、「Ashkenazi et al.,1991,PNAS USA 88:10535」、「Byrn et al,1990,Nature 344:677」及び「Hollenbaugh et al,1992“Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins,” in Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pages10.19.1−10.19.11」によって記載されている。
【0095】
本発明の一実施形態は、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド又はその断片を抗体のFc領域に融合することによって作製された2つの融合タンパク質を含む二量体に関する。例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合物を適切な発現ベクター中に挿入し、組換え発現ベクターで形質転換された宿主細胞中で遺伝子融合物を発現させ、発現された融合タンパク質が酷似する抗体分子(その上で、鎖間ジスルフィド結合がFc部分間に形成されて、二量体を生成する。)を組み立てることができるようにすることによって、二量体を作製することができる。
【0096】
本明細書で使用される「Fcポリペプチド」という用語には、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの固有形態又は変異タンパク質形態が含まれる。二量体化を促進するヒンジ領域を含有するこのようなポリペプチドの末端切断された形態も含まれる。Fc部分(及びそこから形成されるオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインA又はプロテインGカラムに比べて、アフィニティークロマトグラフィーによる容易な精製という利点を与える。
【0097】
PCT出願WO93/10151(参照により、本明細書に組み込まれる。)中に記載されている一つの適切なFcポリペプチドは、N末端のヒンジ領域からヒトIgG1抗体のFc領域の固有状態のC末端へと伸長する一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号及び「Baum et al.,1994,EMBOJ.13:3992−4001」に記載されているFc変異タンパク質である。アミノ酸19がLeuからAlaへ変化されていること、アミノ酸20がLeuからGluへ変化されていること、及びアミノ酸22がGlyからAlaへ変化されていることを除き、この変異タンパク質のアミノ酸配列はWO93/10151号に挙げられている固有のFc配列のアミノ酸配列と同一である。変異タンパク質は、Fc受容体に対して低下した親和性を示す。
【0098】
別の実施形態において、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド又はその断片は、抗体重鎖及び/又は軽鎖の可変部分に対して置換され得る。
【0099】
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)とともに又はペプチドリンカー(スペーサーペプチド)なしに、複数のIL−1Rrp2要求性タンパク質を含む融合タンパク質である。適切なペプチドリンカーとしては、米国特許第4,751,180号及び同第4,935,233号に記載されているものがある。
【0100】
オリゴマーのIL−1Rrp2要求性タンパク質を調製するための別の方法は、ロイシンジッパーの使用を含む。ロイシンジッパードメインは、ロイシンジッパードメインがその中に見出されるタンパク質のオリゴマー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは幾つかのDNA結合タンパク質中に最初に同定され(Landschulz et al,1988,Science 240:1759)、それ以来、様々な異なるタンパク質中に見出されてきた。公知のロイシンジッパーとしては、天然に存在するペプチド及び二量体化又は三量体化するその誘導体である。可溶性オリゴマータンパク質を作製するのに適したロイシンジッパードメインの例は、PCT出願WO94/10308号に記載されており、肺サーファクタントタンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーが「Hoppe et al,1994,FEBS Letters 344:191」(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。ロイシンジッパーに融合された異種タンパク質の安定な三量体化を可能とする修飾されたロイシンジッパーの使用は、「Fanslow et al,1994,Semin.Immunol.6:267−78」に記載されている。一つのアプローチにおいて、ロイシンジッパーペプチドに融合されたIL−1Rrp2要求性タンパク質、断片又は誘導体を含む組換え融合タンパク質は適切な宿主細胞中で発現され、形成する可溶性オリゴマーIL−1Rrp2要求性ポリペプチド断片又は誘導体が培養上清から回収される。
【0101】
抗原結合タンパク質
本発明は、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド(例えば、IL−1Rrp2アゴニスト又はアンタゴニスト)を結合する抗原結合タンパク質も提供する。抗原結合タンパク質及びそれらを作製する方法の多くの種類が本分野において公知である。一態様において、本発明は、IL−1Rrp2要求性ポリペプチドのタンパク分解性活性化を妨害する抗原結合タンパク質を提供する。このような抗原結合タンパク質は、IL−1F6、F8若しくはF9(又はF5)又はその断片、バリアント若しくは誘導体などのIL−1ファミリーメンバーに対して作製し、IL−1Rrp2要求性タンパク質のタンパク分解性活性化を妨害する能力に関して、慣用のアッセイにおいてスクリーニングすることができる。
【0102】
別の態様において、本発明は、種選択性を示す抗原結合タンパク質及び、以下の特徴の1つ又はそれ以上を有する抗原結合タンパク質を含む。ヒト及びマウスIL−1Rrp2要求性タンパク質の両方に結合する、ヒトIL−1Rrp2要求性タンパク質のタンパク分解性活性化を阻害する、マウスIL−1Rrp2要求性タンパク質のタンパク分解性活性化を阻害する、IL−1Rrp2要求性タンパク質のタンパク分解性切断部位に又はその近くに結合する、細胞表面に発現されたIL−1Rrp2の相対的に低い下方制御を引き起こす。
【0103】
抗原結合タンパク質の断片も含まれる。本発明の抗原結合タンパク質の抗原結合断片は、慣用の技術によって作製され得る。このような断片の例には、Fab及びF(ab’)断片が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子工学技術によって作製された抗体断片及び誘導体も想定される。
【0104】
さらなる実施形態には、キメラ抗体、例えば、非ヒト(例えば、マウス)モノクローナル抗体のヒト化された様式が含まれる。このようなヒト化抗体は公知の技術によって調製され、ヒトに抗体を投与したときに、低下した免疫原性という利点を与え得る。
【0105】
ヒト以外の動物(例えば、1つ又はそれ以上の内在性免疫グロブリン遺伝子が不活化され、ヒト免疫グロブリンで置換されているマウス)中で調製されたヒト抗体又は部分的ヒト抗体も含まれる。この動物中で作製された抗体は、動物中に導入されたヒト遺伝子材料によってコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を取り込む。
【0106】
別の態様において、本発明は、IL−1Rrp2要求性タンパク質に結合するモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は、本分野で公知の何れかの技術を用いて、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取された脾細胞を不死化することによって作製され得る。脾細胞は、本分野で公知のあらゆる技術を用いて、例えば、ハイブリドーマを作製するために脾細胞を骨髄腫細胞と融合することによって不死化することができる。
【0107】
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されたモノクローナル抗体は、本分野において公知の何れかの技術を用いて精製することができる。ハイブリドーマ又はmAbは、IL−1Rrp2によって誘導された活性を遮断する能力など、特定の特性を有するmAbを同定するためにさらにスクリーニングされ得る。このようなスクリーニングの例は、以下の実施例に提供されている。
【0108】
「Schier et al.,1996,J.Mol.Biol.263:551」によって記載されているように、例えば、増加した親和性を有する抗体、c−erbB−2に対して増加した親和性を有する抗体を単離するために、抗体結合部位の中心の相補性決定領域(CDR)の分子進化も使用されてきた。従って、このような技術は、IL−1Rrp2要求性タンパク質に対する抗体を調製する上で有用である。
【0109】
抗原結合タンパク質は、多数の慣用技術の何れかによって調製され得る。例えば、抗原結合タンパク質は、天然にそれらを発現する細胞から精製され得(例えば、抗体は、抗体を産生するハイブリドーマから精製することができる。)、又は本分野で公知の何れかの技術を用いて、組換え発現系において産生され得る。例えば、「Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,New York(1980)」及び「Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,(1988)」を参照されたい。
【0110】
一態様において、本発明は、本発明の抗IL−1Rrp2要求性ポリペプチド抗体の抗原結合断片を提供する。このような断片は、抗体由来の配列から専らなることができ、又はさらなる配列を含むことができる。抗原結合断片の例には、Fab、F(ab’)、一本鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びドメイン抗体が含まれる。他の例は、「Lunde et al,2002,Biochem.Soc.Trans.30:500−06」に提供されている。
【0111】
別の態様において、本発明は、ヒトIL−1F6、F8又はF9又はIL−1F5のプロテアーゼ切断部位に又はその付近に結合する抗原結合タンパク質を提供する。プロテアーゼ切断部位に結合する抗原結合タンパク質は、本分野において公知のあらゆる方法を用いて作製することができる。例えば、このような抗原結合タンパク質は、完全長のIL−1Rrp2要求性タンパク質又はプロテアーゼ切断部位(その例は、本明細書に挙げられている。)を含む又はプロテアーゼ切断部位からなるより小さなその断片を用いて単離することができる。このように単離された抗原結合タンパク質は、本分野において公知のあらゆる方法(その例は、本明細書に挙げられている。)を用いて、それらの結合特異性を決定するためにスクリーニングすることができる。IL−1Rrp2アンタゴニストとして機能するこのような抗原結合タンパク質は、炎症性症状など(但し、これに限定されない。)のあらゆるIL−1Rrp2誘導性症状を治療する際に使用され得る。
【0112】
さらに、本発明は、多重特異的抗原結合タンパク質、例えば二重特異的抗原結合タンパク質、例えば、IL−1Rrp2要求性タンパク質の2つの異なるエピトープ又は、2つの異なる抗原結合部位若しくは領域を介して、あるIL−1Rrp2要求性ポリペプチドのエピトープ及び別のIL−1Rrp2要求性タンパク質のエピトープに結合する抗原結合タンパク質を提供する。二重特異的抗体を調製する多数の方法が、本分野において公知である。
【0113】
ヒト抗体、部分的ヒト抗体又はヒト化抗体は多くの用途、特に、ヒト対象への抗体の投与を含む用途に適しているが、抗原結合タンパク質の他の種類もある種の用途に適している。例えば、本発明の非ヒト抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ又は非ヒト霊長類(サル(例えば、カニクイザル又はアカゲザル)又は類人猿(例えば、チンパンジー)などのあらゆる抗体産生動物から得ることができる。本発明の非ヒト抗体は、例えば、インビトロで及び細胞培養をベースとした用途において使用することができ、又は本発明の抗体に対する免疫応答が起こらず、重要でなく、本発明の抗体に対する免疫応答を予防することが可能であり、本発明の抗体に対する免疫応答が関心事ではなく又は望まれる他のあらゆる用途において使用することができる。
【0114】
ペプチボディ
本発明の方法を実施する上で有用な化合物のさらなるクラスは、ペプチボディと時折称される化合物である。このような化合物は、増加したインビボ半減期及び低下した免疫原性特性を有する生物学的に活性なペプチドである。これは、米国特許第6,660,843号(その開示は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されているように、ビヒクルとペプチドの融合によって達成される。要約すれば、目的のタンパク質の活性を調節する少なくとも1つのペプチドを選択し(例えば、本事例では、IL−1Rrp2アゴニストのタンパク分解性切断を阻害するペプチドにおけるように、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド(例えば、IL−1F6、F8、F9又はIL−1F5)の活性を拮抗するペプチドを選択して)、選択されたペプチドの融合タンパク質を調製し、ビヒクルを多量体化して薬理学的に活性な化合物が調製される。
【0115】
1つのこのようなビヒクルは、Fcドメインである。上記のようにスクリーニングされたペプチドは、ファージディスプレイライブラリー中で発現される。ビヒクル及びペプチドは、米国特許第6,660,843号にさらに記載されているように、ペプチド又はビヒクルのN末端又はC末端を通じて連結され得る。上記化合物の誘導体も、本発明によって包含される。
【0116】
本発明の方法において有用な拮抗性分子は、標準的な合成法、組換えDNA技術又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他のあらゆる方法によって調製され得る。非ペプチド部分を包含する本発明の化合物は、適用可能であれば標準的なペプチド化学反応の他に、標準的な有機化学反応によって合成され得る。
【0117】
ペプチボディは、抗体に関して実質的に記載されているように、誘導体及びその別の形態を調製するために使用され得る。
【0118】
核酸
一態様において、本発明は、単離された核酸分子を提供する。例えば、核酸は、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド、例えば、IL−1F5、F6、F8又はF9の全部又は一部、本発明の抗体の一方若しくは両方の鎖又はこれらの断片、誘導体、変異タンパク質又はバリアントをコードするポリヌクレオチド、ハイブリッド形成プローブとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、PCRプライマー又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、分析し、変異し又は増幅するための配列決定プライマー、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸及び先述されているものの相補的配列を含む。核酸は、任意の長さであり得る。例えば、核酸は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000ヌクレオチド長若しくはそれ以上であり得、及び/又は1つ若しくはそれ以上のさらなる配列、例えば制御配列を含むことができ、及び/又はより大きな核酸、例えばベクターの一部であり得る。核酸は一本鎖又は二本鎖であり得、RNA及び/又はDNAヌクレオチド及びその人工的バリアント(例えば、ペプチド核酸)を含むことができる。
【0119】
核酸中への変異によって変化を導入することができ、これにより、核酸がコードするポリペプチド(例えば、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド)のアミノ酸配列の変化をもたらすことができる。変異は、本分野において公知の何れかの方法を用いて導入することができる。一実施形態において、1つ又はそれ以上の特定のアミノ酸残基は、例えば、部位特異的突然変異誘発プロトコールを用いて変化される。別の実施形態において、1つ又はそれ以上の無作為に選択された残基は、例えば、無作為な突然変異誘発プロトコールを用いて変化される。しかしながら、変異ポリペプチドは、所望の特性(例えば、IL−1Rrp2に結合する、又はIL−1F5、F6、F8若しくはF9などのIL−1ファミリーメンバーのタンパク分解性活性化を遮断する。)に関して発現及びスクリーニングされ得る。
【0120】
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチド又はその一部をコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターの例には、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム哺乳動物ベクター及び発現ベクター、例えば組換え発現ベクターが含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中の核酸の発現に適した形態で、本発明の核酸を含むことができる。組換え発現ベクターには、発現のために使用されるべき宿主細胞に基づいて選択された、発現されるべき核酸配列へ作用可能に連結された1つ又はそれ以上の制御配列が含まれる。制御配列には、宿主細胞の多くの種類においてヌクレオチド配列の恒常的発現を誘導する制御配列(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーター及びサイトメガロウイルスプロモーター)、ある種の宿主細胞中でのみヌクレオチド配列の発現を誘導する制御配列(例えば、組織特異的制御配列、「Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287,Maniatis et al,1987,Science 236:1237」(参照により、その全体が本明細書中に組み込まれる。)及び特定の治療又は症状に応答するヌクレオチド配列の誘導性発現を誘導する制御配列(例えば、哺乳動物細胞中のメタロチオニンプロモーター並びに原核生物及び真核細胞系の両系中のtet応答性及び/又はストレプトマイシン応答性プロモーター(下記参照))が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることが、当業者によって理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞中に導入され、これにより、本明細書に記載されている核酸によってコードされるタンパク質又はペプチド(融合タンパク質又はペプチドを含む。)を産生することができる。
【0122】
別の態様において、本発明は、本発明の組換え発現ベクターがその中に導入されている宿主細胞を提供する。宿主細胞は、何れの原核細胞(例えばイー・コリ)又は真核細胞(例えば、酵母、昆虫又は哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞))でもあり得る。ベクターDNAは、慣用の形質転換又は形質移入技術を介して、原核生物細胞又は真核生物細胞中に導入することができる。哺乳動物細胞の安定な形質移入のために、使用される発現ベクター及び形質移入技術に応じて、細胞の少数のみが外来DNAを細胞のゲノム中に組み込み得ることが知られている。これらの組み込み体を同定及び選択するために、一般に、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が、目的の遺伝子とともに宿主細胞中に導入される。好ましい選択可能なマーカーには、G418、ハイグロマイシン及びメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与するマーカーが含まれる。導入された核酸で安定に形質移入された細胞は、とりわけ、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子が取り込まれた細胞は生存するが、他の細胞は死滅する。)。
【0123】
組換えタンパク質又はポリペプチドの発現
本発明の組換えポリペプチド(すなわち、組換えIL−1Rrp2ポリペプチド、組換え抗原結合タンパク質、ペプチボディなど)を作製するために、本分野において公知のあらゆる発現系を使用することができる。一般に、宿主細胞は、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。使用され得る宿主細胞としては、原核生物、酵母又はより高等な真核生物の細胞がある。原核生物には、グラム陰性又はグラム陽性生物、例えばイー・コリ又は桿菌が含まれる。高等な真核生物細胞には、昆虫細胞及び哺乳動物起源の確立された細胞株が含まれる。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7系統(ATCCCRL1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCCCCL163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCCCRL10)細胞株及び「McMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821」によって記載されているようなアフリカミドリザル腎細胞株CVI(ATCCCCL70)から得られたCVI/EBNA細胞株が含まれる。細菌、真菌、酵母及び哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニング及び発現ベクターが、Pouwels他(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985)によって記載されている。
【0124】
形質転換された細胞は、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養することが可能であり、ポリペプチドは、慣用のタンパク質精製操作によって回収され得る。一つのこのような精製操作には、例えば抗原結合タンパク質の場合、抗原(例えば、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド又はその一部)の全部又は一部が結合されたマトリックス上でのアフィニティークロマトグラフィーの使用が含まれ、又はIL−1Rrp2要求性タンパク質の場合、IL−1Rrp2の全部若しくは一部を有し又はマトリックスに結合されたIL−1Rrp2要求性タンパク質を結合する抗原結合タンパク質を有するマトリックス上でのアフィニティークロマトグラフィーの使用が含まれる。本発明において使用が想定されるポリペプチド又はタンパク質には、きょう雑する内在性物質を実質的に含まない、実質的に均一な組換え哺乳動物IL−1Rrp2要求性ポリペプチド及び/又はこれに対する抗体が含まれる。
【0125】
タンパク質は、多数の公知の技術の何れかによって、調製され、所望の特性に関してスクリーニングされ得る。技術の幾つかは、目的のIL−1Rrp2要求性ポリペプチド(例えば、IL−1F6、F8又はF(又はIL−1F5)のポリペプチド鎖(又はその一部)をコードする核酸を単離し、組換えDNA技術を通じて核酸を操作することを含む。IL−1Rrp2要求性ポリペプチドを結合する抗原結合タンパク質をコードする核酸は、同様に操作することができる。核酸は、興味が持たれる別の核酸に融合され得、又は、例えば1つ若しくはそれ以上の残基を付加し、欠失させ若しくは置換するために(例えば、突然変異導入又は他の慣用技術によって)改変され得る。
【0126】
プロテアーゼの単離とアッセイ
本明細書に記載されているIL−1Rrp2要求性タンパク質は、その生物活性形態を与えるために、IL−1Rrp2要求性タンパク質を切断する一つ又は複数のプロテアーゼを同定し及び/又は単離する上でも有用である。有用な方法は、例えば、A.Barret、N.Rawlings及びJ.Woessnerによって編集された「Handbook Of Proteolytic Enzymes,Second Edition(Academic Press,2004)」に記載されている。一般に、プロテアーゼを同定するための方法は、(a)生物学的に活性な物質を生成する能力に関して、公知のプロテアーゼを検査すること、(b)生物学的に活性な物質を生成する能力に関して、細胞上清、膜又は可溶化液をスクリーニングすること及び(c)プロテアーゼを精製するためのアフィニティー試薬として完全長の(切断されていない)IL−1Rrp2要求性タンパク質を使用することを含み得る。
【0127】
例えば、効果が存在する場合、IL−1Rrp2要求性ポリペプチドの生物活性(例えば、本明細書に記載されているようなアゴニスト又はアンタゴニストとしての活性)に対して、プロテアーゼがどのような効果を有するかを決定することより、プロテアーゼ活性を促進する条件下でIL−1Rrp2要求性タンパク質と公知のプロテアーゼを接触させることによって、IL−1Rrp2要求性タンパク質を生物活性形態へ切断する能力に関して公知のプロテアーゼを検査することができる。細胞内に、可溶性ポリペプチドとして又は細胞表面に会合したタンパク質として、IL−1Rrp2要求性タンパク質を切断するプロテアーゼを発現する細胞は、同様にして同定することができる。パニング又は細胞選別技術(これらの多くは、本分野において公知である。)を使用することによってプロテアーゼ発現に対して濃縮された細胞集団を選択するために、IL−1Rrp2要求性タンパク質を使用することがさらに可能であり得る。プロテアーゼの細胞源が同定されている場合には、プロテアーゼを単離する試みで、IL−1Rrp2要求性タンパク質を使用することができる。
【0128】
具体的なスクリーニング法が本分野において公知であり、短時間内に、多数の検査化合物を活性に関して検査できるように、一体化されたロボットシステム及び化学化合物/天然産物の集合物ともに、高処理スクリーニング中に広く取り込まれている。これらの方法には、蛍光共鳴エネルギー転移、蛍光偏光、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移、シンチレーション近接アッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、蛍光消光された酵素基質、色素産生性基質及び電気化学発光などの均一アッセイフォーマットが含まれる。
【0129】
一つのこのようなアッセイは、エネルギーを供与する長寿命のキレート標識と短寿命の有機アクセプタという2つの蛍光標識間での蛍光共鳴エネルギー転移(FRET;例えば、HTRF(R),Packard Instrument Company,Meriden,CT;LANCETM,PerkinElmer LifeSciences,Wallac Oy.,Turku,Finland)を基礎としている。IL−1Rrp2ポリペプチドとこれを切断するプロテアーゼ間の分子的相互作用を介して2つの標識が近接すると、エネルギー転移が生じる。
【0130】
適応症
一態様において、本発明は、対象を治療する方法を提供する。例えば、この方法は、対象に対して一般に健康的な効果を有することができる。例えば、この方法は、対象の予想寿命を増加させることができる。あるいは、例えば、この方法は、疾病、疾患、症状又は病気(「症状」という。)を治療し、予防し、緩和し又は軽減する(「治療する」という。)ことができる。本発明に従って治療されるべき症状としては、IL−1Rrp2及び/又はそのアゴニスト若しくはアンタゴニスト(例えば、前者に関してはIL−1F6、F8及び/又はF9、後者に関してはIL−1F5)の不適切な発現又は活性によって特徴付けられる症状である。このような幾つかの症状において、受容体又はそのアゴニストの発現又は活性レベルは高すぎる。他の事例において、そのアンタゴニストの発現又は活性レベルは低すぎる。治療は、本明細書に記載されているようなIL−1Rrp2アンタゴニストを投与することを含む。
【0131】
この範疇に属する症状は、しばしば、ヒトの乾癬性皮膚内に見られるものに共通する特徴を有する炎症性の皮膚表現型を呈する。このような特徴には、表皮肥厚、角質増殖、真皮内浸潤、ケラチン6の増加した発現、ケラチン14の増加した発現、真皮中のICAM−1の増加した発現、基底角化細胞及び血管、真皮中でのマクロファージマーカーBM8の増加した発現及び表皮中での減少した発現並びに表皮中でのT細胞マーカーCD3の減少した発現が含まれる。
【0132】
本発明のIL−1Rrp2アンタゴニストによって治療可能な又は予防可能な具体的な医学的症状及び疾病には、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎又はCADを含む。)、アレルギー性接触性皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹及び貨幣状湿疹など(但し、これらに限定されない。)炎症性皮膚疾患を伴うものが含まれる。
【0133】
さらに、正常な気道上皮はIL−1ファミリーメンバーF5、F6、F8及びF9並びに受容体IL−1Rrp2の相対的に高い発現を有し、F8又はF9の鼻内点滴注入は肺内への好中球の流入をもたらす。従って、IL−1Rrp2アンタゴニストは、気道の炎症性症状、例えば喘息及びアレルギー性鼻炎を適応症とし得る。IL−1F9及びIL−1Rrp2は食道内において高度に発現されており、このサイトカイン/受容体対間での相互作用は胃食道逆流性疾患(GERD)において役割を果たし得、従って、胃食道逆流性疾患(GERD)は、IL−1Rrp2アンタゴニストによって軽減され得る。
【0134】
IL−1F8及びIL−1Rrp2は、滑膜の線維芽細胞及び軟骨細胞中においても発現されており、これらの細胞内で、IL−1及びTNFによって、より高いレベルへ誘導される。さらに、これらの細胞は、IL−6、IL−8及び一酸化窒素を合成することによって、外来性IL−1F8に応答する。従って、本発明のIL−1Rrp2アンタゴニストは、誘導されたポリペプチドによって媒介される関節炎症状(すなわち、関節リウマチ、乾癬性関節炎、TNF及び/又はIL−1が役割を果たす他の関節炎症状並びに骨関節炎及び一酸化窒素が役割を果たす関連症状)において用途を有し得る。
【0135】
本明細書に記載されている方法は、他のサイトカイン、サイトカイン阻害剤及び試薬(本明細書において、免疫調節物質とも称される。)と組み合わされた本発明のIL−1Rrp2アンタゴニストを用いて処置することができる。例えば、可溶性IL−18受容体を含むIL−18アンタゴニスト、IL−18に対する抗体又はIL−18受容体、IL−18結合タンパク質;ENBREL(R)を含むTNF阻害剤;II型IL−1Rの可溶性形態、II型IL−1R、IL−1に対する抗体、I型IL−1Rに対する抗体を含むIL−1阻害剤;及び/又は開示されている医学的症状及び疾病を治療する上で有効である他の活性因子。
【0136】
本発明の組成物及び/又は方法は、寿命を増加させるために、生殖の異常及び様々なIL−1Rrp2関連疾患を治療するために、例えば、美容的処置において、獣医学的治療において使用することもできる。さらに、ある種のこのような症状において、IL−1Rrp2アゴニストの発現又は活性レベルは低すぎ、治療は、IL−1F6、F8及び/又はF9などのIL−1Rrp2アゴニストを投与することを含む。このような治療も本発明に包含される。
【0137】
治療方法及びIL−1Rrp2アンタゴニストの投与
本明細書において提供されるある種の方法は、対象にIL−1Rrp2アンタゴニストを投与し、これにより、特定の症状において役割を果たすIL−1ファミリーメンバー誘導性生物学的反応を低減させることを含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、例えば対象への投与を介して又は生体外操作において、内在性IL−1Rrp2発現細胞をIL−1Rrp2アンタゴニストと接触させることを含む。
【0138】
「治療」という用語は、少なくとも1つの症候若しくは疾患の他の側面の緩和若しくは予防又は疾病の重度の低減などを包含する。実用可能な治療剤となるために、IL−1Rrp2アンタゴニストは、完全な治癒を施す必要はなく、又は疾病の全ての症候若しくは徴候を根絶する必要はない。関連する分野において認められているように、治療剤として使用される薬物は所定の病状の重度を低減し得るが、有用な治療剤として認められるために、疾病の全ての徴候を消失させる必要はない。同様に、予防的に施される治療は、実用可能な予防剤となるために、症状の発症を予防する上で完全に効果的である必要はない。(例えば、疾病の症候の数若しくは重度を低下させることによって、又は別の治療の有効性を増加させることによって、又は別の有益な効果を生成することによって)疾病の影響を単に低減すること又は疾病が対象中で発生し又は悪化する確率を低減することが十分である。本発明の一実施形態は、特定の疾患の重度を反映する指標のベースラインを上回る持続的な改善を誘導するのに十分な量及び時間で、IL−1Rrp2アンタゴニストを患者に投与することを含む方法に関する。
【0139】
関連分野において理解されているように、本発明の分子を含む医薬組成物は、適応症に対して適切な様式で患者に投与される。医薬組成物は、非経口、局所又は吸入によるなど(但し、これらに限定されない。)、あらゆる適切な技術によって投与され得る。注射される場合、医薬組成物は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病変内、腹腔内又は皮下経路を介して、ボーラス注射若しくは連続注入によって投与され得る。経皮送達及びインプラントからの持続的放出のように、例えば疾病又は傷害の部位への局所投与が想定される。吸入による送達には、例えば、経鼻又は経口吸入、噴霧器の使用、エアロゾル形態でのアンタゴニストの吸入などが含まれる。他の代替手段には、点眼;丸薬、シロップ、薬用キャンディー又はチューインガムなどの経口調製物並びにローション、ゲル、スプレー及び軟膏などの局所調製物が含まれる。
【0140】
生体外操作で、それらにIL−1Rrp2アンタゴニストを使用することも想定される。例えば、プロテアーゼなどの酵素を結合するIL−1Rrp2要求性ポリペプチドと、患者の血液又は他の体液を生体外で接触させ得る。IL−1Rrp2要求性ポリペプチドは、適切な不溶性マトリックス又は固体支持体材料へ結合され得る。
【0141】
IL−1Rrp2アンタゴニストは、生理的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤などの1つ又はそれ以上の追加成分を含む組成物の形態で有利に投与される。場合によって、組成物は、1つ又はそれ以上の生理的に活性な因子、例えば、第二の炎症又は免疫阻害物質、抗血管新生物質、鎮痛物質などをさらに含み、これらの非網羅的な例が本明細書に提供されている。様々な特定の実施形態において、組成物は、IL−1Rrp2アンタゴニストの他に、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つの生理的に活性な因子を含む。
【0142】
一実施形態において、医薬組成物は、緩衝液、アスコルビン酸などの抗酸化剤、低分子量ポリペプチド(10アミノ酸より少ないアミノ酸を有するものなど)、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロース又はデキストリンなどの炭水化物、EDTAなどのキレート剤、グルタチオン、安定化剤及び賦形剤からなる群から選択される1つ又はそれ以上の物質とともに、本発明のIL−1Rrp2アンタゴニストを含む。中性の緩衝化された生理的食塩水又は同種の血清アルブミンと混合された生理的食塩水は、適切な希釈剤の例である。適切な業界標準に準拠して、ベンジルアルコールなどの防腐剤も添加し得る。組成物は、希釈剤としての適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を用いて、凍結乾燥物として調合され得る。適切な成分は、使用される投薬量及び濃度で、服用者に対して無毒である。医薬製剤中で使用し得る成分のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.(1980) and 20th Ed.(2000),Mack Publishing Company,Easton,PA」に挙げられている。
【0143】
医療従事者による使用のためのキットは、本発明のIL−1Rrp2阻害物質及び本明細書中に論述されている症状の何れかを治療する上で使用するためのラベル又は他の指示書を含む。一実施形態において、キットは、上に開示されている組成物の形態であり得及び1つ又はそれ以上の容器中に存在し得る1つ又はそれ以上のIL−1Rrp2アンタゴニストの無菌調製物を含む。
【0144】
投薬量及び投与の頻度は、投与の経路、使用される具体的なIL−1Rrp2アンタゴニスト、治療されるべき疾病の性質及び重度、症状が急性又は慢性であるか、並びに対象の大きさ及び一般的な状態などの要因に応じて変動し得る。適切な投薬量は、関連する分野において公知の手順によって、例えば、用量漸増研究を伴い得る臨床試験において決定することができる。
【0145】
本発明のIL−1Rrp2阻害物質は、例えば、一回又は一回より多く、例えば、ある期間にわたって一定の間隔で投与され得る。特定の実施形態において、IL−1Rrp2アンタゴニストは、少なくとも一ヶ月又はそれ以上の期間、例えば一ヶ月、二ヶ月若しくは三ヶ月にわたって、又は無期限に投与される。慢性的な症状の治療に関しては、長期の治療が一般に最も効果的である。しかしながら、急性症状の治療に関しては、より短い期間の投与、例えば1週から6週が十分であり得る。一般に、選択された一又は複数の指標に関して、患者がベースラインを上回る改善の医学的に妥当な程度を呈するまで、IL−1Rrp2アンタゴニストが投与される。
【0146】
本発明の特定の実施形態は、1日当り対象のkg体重当りタンパク質約1ng(「1ng/kg/日」)から約10mg/kg/日、より好ましくは、約50ng/kg/日から約5mg/kg/日、最も好ましくは約5μg/kg/日から約2mg/kg/日の投薬量で、IL−1Rrp2アンタゴニストを対象に投与することを含む。さらなる実施形態において、IL−1Rrp2アンタゴニストは、IL−1Rrp2によって媒介される疾病、症状又は疾患、例えば、本明細書中に開示されている医学的疾患を治療するために、週に1回、週に2回又は週に3回又はそれ以上、成体に投与される。所望であれば、成体への投薬当りのIL−1Rrp2アンタゴニストの有効量は1から20mg/mの範囲であり得、好ましくは約5から12mg/mである。あるいは、一律用量が投与され得る。量は、5から100mg/投薬の範囲であり得る。一律用量に対する一つの範囲は、約20から30mg/投薬である。本発明の一実施形態において、25mg/投薬の一律用量が注射によって反復投与される。注射以外の投与経路が使用される場合には、標準的な医学慣行に従って、用量を適宜調整する。治療計画の一例は、少なくとも3週の期間にわたって、週に1回から3回、IL−1Rrp2アンタゴニストの約20から30mgの用量を注射することを含むが、改善の所望される程度を誘導するために、より長い期間にわたる治療が必要な場合があり得る。小児対象(4から17歳)に関しては、1つの典型的な適切な治療計画は、週に2回又は3回投与されるIL−1Rrp2アンタゴニストの25mgの最大用量まで、0.4mg/kgを皮下注射することを含む。
【0147】
本明細書に提供されている方法の特定の実施形態は、週に1回又は2回、IL−1Rrp2アンタゴニストの0.5mgから10mg、好ましくは3から5mgを皮下注射することを含む。別の実施形態は、週に一回、IL−1Rrp2アンタゴニストの3mg又はそれ以上を(例えば、噴霧器によって)経肺投与することに向けられる。
【0148】
本明細書に提供される治療計画の例は、IL−1Rrp2シグナル伝達が役割を果たしている症状を治療するために、1.5から3mgの用量で、週に一回、IL−1Rrp2アンタゴニストを皮下注射することを含む。このような症状の例は本明細書中に挙げられており、例えば、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎又はCADを含む。)、アレルギー性接触性皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹及び貨幣状湿疹などの(但し、これらに限定されない。)皮膚の炎症性症状が含まれる。IL−1Rrp2アンタゴニストの毎週投与は、所望の結果が達成されるまで、例えば、対象の症候が鎮まるまで継続される。治療は必要に応じて再開され得、あるいは、維持投薬を投与し得る。
【0149】
本明細書中に提供される治療計画の他の例は、対象のkg体重当り本発明のIL−1Rrp2阻害剤の1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、15又は20mgの用量(mg/kg)の皮下又は静脈内投与を含む。投薬は、対象に1回、又はある間隔で二回以上、例えば、1日1回、週に3回、週に2回、週に1回、月に3回、月に2回、月に1回、2ヶ月おきに1回、3カ月おきに1回、6ヶ月おきに1回若しくは年に1回対象に投与することができる。治療の期間並びに治療の用量及び/又は頻度に対するあらゆる変化は、対象の具体的な要求を満たすために治療の間に改変し、又は変更することができる。
【0150】
別の実施形態において、治療されている疾患の重度を反映する少なくとも1つの指標の改善、好ましくは持続的な改善を誘導するのに十分な量及び時間で、IL−1Rrp2アンタゴニストが対象に投与される。治療の量及び時間が十分であるかどうかを決定するために、対象の病気、疾病又は症状の程度を反映する様々な指標が評価され得る。このような指標には、例えば、疾病重度、問題の疾患の症候又は徴候の臨床的に認知された指標が含まれる。一実施形態において、2週から4週隔てられた少なくとも2つの時点で対象が改善を示せば、改善は持続的であると考えられる。改善の程度は一般に医師によって決定され、医師は、徴候、症候、生検又は他の試験結果に基づいてこの決定を下すことができ、所定の疾病に対して開発された生活の質の調査表など、対象に対して課される質問表も使用し得る。
【0151】
IL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8及び/又はIL−1F9の上昇したレベル及び/又はこれらの活性化及び/又はIL−1F5の減少したレベル及び/又は活性化は、例えば、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎又はCADを含む。)、アレルギー性接触性皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹及び貨幣状湿疹など(但し、これらに限定されない。)の皮膚の炎症性症状を含む多数の疾患と関連している。他のこのような症状には、気道、食道及び関節の炎症性症状が含まれる。
【0152】
上昇したIL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8及び/又はIL−1F9の活性化(又は減少したIL−1F5活性化)を有する個体を同定し、これにより、IL−1Rrp2アンタゴニストでの治療が最も有益であり得る対象を同定するために、所定の疾患を有する対象をスクリーニングし得る。従って、本明細書に提供されている治療方法は、対象のIL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8及び/又はIL−1F9(又はIL−1F5)活性化レベルを測定する第一の工程を場合によって含む。IL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8及び/又はIL−1F9活性化が正常より上に上昇している対象及び/又はそのIL−1F5活性が正常を下回っている対象に、IL−1Rrp2アンタゴニストを投与し得る。
【0153】
IL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8、IL−1F9及び/又はIL−1F5活性の変化が存在すれば、これらの活性の変化を検出するために、IL−1Rrp2アンタゴニストでの治療前、治療の間及び/又は治療後に、IL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8、IL−1F9及び/又はIL−1F5活性の対象のレベルをモニターし得る。幾つかの疾患に関しては、上昇したIL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8及び/又はIL−1F9活性又は減少したIL−1F5活性の発生は、疾病の段階又は疾病の特定の形態などの要因に従って変動し得る。公知の技術は、例えば、対象の血清、血液又は組織試料中のIL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8、IL−1F9及び/又はIL−1F5活性を測定するために使用され得る。IL−1Rrp2、IL−1F6、IL−1F8、IL−1F9及び/又はIL−1F5活性は、あらゆる適切な技術を用いて測定され得る。
【0154】
本発明の方法及び組成物の特定の実施形態は、IL−1Rrp2アンタゴニスト及び1つ又はそれ以上のさらなるIL−1Rrp2アンタゴニスト、例えば、2つ若しくはそれ以上の本発明のIL−1Rrp2要求性タンパク質、2つ若しくはそれ以上の本発明の抗原結合タンパク質又はIL−1Rrp2要求性タンパク質と抗原結合タンパク質の組み合わせの使用を含む。さらなる実施形態において、IL−1Rrp2アンタゴニストは、単独で又は患者が罹患している症状を治療するのに有用な他の因子と組み合わせて投与される。このような因子の例には、タンパク質性及び非タンパク質性薬物の両方が含まれる。複数の治療薬が同時投与される場合には、関連分野で認められているように、投薬量は然るべく調整され得る。「同時投与」及び組み合わせ療法は、同時投与に限定されるものではなく、IL−1Rrp2アンタゴニストが、少なくとも1つの他の治療剤を患者に投与することを含む治療の間に、少なくとも1回投与される治療計画も含まれる。
【0155】
IL−1Rrp2アンタゴニストとともに同時投与され得る他の因子の例は、他のIL−1Rrp2要求性タンパク質若しくは抗原結合タンパク質又は治療されるべき具体的な症状に従って選択される治療用ポリペプチドである。あるいは、上に論述されている特定の症状の1つを治療する上で有用である非タンパク質性薬物は、IL−1Rrp2アンタゴニストとともに同時投与され得る。
【0156】
組み合わせ療法
別の態様において、本発明は、IL−1Rrp2アンタゴニスト及び1つ又はそれ以上の他の治療を用いて対象を治療する方法を提供する。一実施形態において、このような組み合わせ療法は、例えば、腫瘍中の複数の部位又は分子標的を攻撃することによって相乗効果又は相加的効果を達成する。本発明と組み合わせて使用することができる組み合わせ療法の種類には、単一の疾病関連経路中の複数の結節点、標的細胞中の複数の経路及び標的組織内の複数の細胞種を(適宜)阻害し、又は活性化することが含まれる。
【0157】
別の実施形態において、組み合わせ治療法には、本明細書に記載されているアゴニスト又はアンタゴニストの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上を対象に投与することを含む。別の実施形態において、本方法は、IL−1Rrp2によって媒介されるシグナル伝達を(直接又は間接的に)共同して阻害又は活性化する2つ又はそれ以上の治療を対象に施すことを含む。このような方法の例には、2つ又はそれ以上のIL−1Rrp2要求性タンパク質及び/又は抗原結合タンパク質の組み合わせ、IL−1Rrp2要求性ポリペプチド若しくは抗原結合タンパク質と抗炎症特性を有する1つ若しくはそれ以上の他の治療部分(例えば、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド及び/又は免疫調節物質)との組み合わせ又はIL−1Rrp2要求性ポリペプチド若しくは抗原結合タンパク質と1つ若しくはそれ以上の他の治療(例えば、手術、超音波又は炎症を低減するのに有効な治療)との組み合わせを使用することが含まれる。さらに、1つ又はそれ以上のIL−1Rrp2アンタゴニストは1つ若しくはそれ以上の分子又は他の治療と組み合わせて使用することが可能であり、他の分子及び/又は治療はIL−1Rrp2に直接結合せず、又は影響を与えないが、この組み合わせは治療されている症状を治療又は予防するのに有効である。一実施形態において、前記分子及び/又は治療の1つ又はそれ以上は、治療の間に他の分子又は治療の1つ又はそれ以上によって引き起こされた症状(例えば、悪心、疲労、脱毛症、悪液質、不眠など)を治療又は予防する。分子及び/又は他の治療の組み合わせが使用される全ての事例で、各分子及び/又は治療は、任意の順序で、有効である任意の時間の長さにわたって、例えば、同時に、連続的に又は交互に投与することができる。一実施形態において、治療の方法は、治療の第二の期間を開始する前に、1つ分子での治療又は他の治療の第一の期間を完了することを含む。治療の第一の期間の最後と治療の第二の期間の最初との間の時間の長さは、治療の全期間を有効なものとする時間のあらゆる長さ、例えば、秒、分、時間、日、週、月又は年とすることができる。
【0158】
別の実施形態において、前記方法は、本明細書に記載されているIL−1Rrp2アンタゴニストの1つ又はそれ以上と及び1つ又はそれ以上の他の治療(例えば、治療的又は対症療法的治療)を投与することを含む。方法が2以上の治療を対象に施すことを含む場合には、投与の順序、タイミング、数、濃度及び容量は、医学的な要求及び治療の限界によってのみ限定されること、すなわち、2つの治療は、例えば、同時に、連続的に、交互に、又は他の何れもの治療計画に従って対象に投与できることを理解すべきである。
【0159】
本明細書は、本明細書中に引用されている参考文献の教示に照らして最も完全に理解され、引用されている参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。以下の実施例(実際に行われたもの及び予測的なものの両方)は、本発明の具体的な実施形態又は特徴を例示する目的のために提供され、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0160】
(実施例1)
(実施例1A)
IL−1F6バリアントの調製
この実施例は、IL−1F6の様々なN末端バリアントの調製を記載する。様々なN末端欠失バリアントが、下表1に示されている。
【0161】
【表1】

注:IL1−F6ポリペプチドは、2つのイソタイプとして存在する。1つのイソタイプはアミノ酸12(配列番号22として表1に示されている野生型IL−1F6の1位のMを基準とする。)にQを含み、別のイソタイプは12位にRをコードする。両イソタイプのバリアントは、本発明の組成物及び方法によって提供される。
【0162】
FLAG−ポリHisC末端タグを含むN末端バリアントは、直後に記載されているとおりに調製した。huIL−1F6をコードするcDNAクローン(AF201831)をテンプレートとして使用するPCRを介して、N末端バリアントを増幅した。適切な翻訳の開始のために、各バリアントの所望の開始アミノ酸の直前に、N末端メチオニンが配置された。精製/検出のために、FLAG(R)(Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri)及びポリHisタグをC末端に付加した。それぞれ、5’及び3’末端に、NdeI及びXhoI部位を付加した。得られたアンプリコンをNdeI及びXhoIで消化し、イー・コリ発現ベクターpAMG21(ATCC#98113)中にサブクローニングした。得られた構築物をイー・コリDH10B中に導入し、[N−(3−オキソ−ヘキサノイル)ホモセリンラクトン]の添加によって発現を誘導した。次いで、製造業者のプロトコールに従い、Ni−NTAカラム(Qiagen,Germantown,MarylandCat#30600)を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、発現されたポリペプチドを細菌の可溶化液(可溶性画分)から精製し、実質的に実施例2に記載されているとおりに、レポーターアッセイにおいて活性に関して検査した。結果は、下表5に示されている。
【0163】
huIL−1F6K6バリアントをコードするテンプレートcDNAクローンをPCR増幅することによって、N末端バリアントHuIL−1F6K6を調製した。PCRにおいて使用したプライマーによって、製造業者のプロトコールに従い、In−FusionTMPCRクローニングシステム(Clontech,Mountain View,CA,cat#631774)を用いて、pET−SUMOベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA,cat K300−01)中にPCR産物を配置することが可能となった。この操作によって、ベクター中のIL−1F6バリアントの所望の開始アミノ酸に対して5’側にpH−SUMOタグが配置され、5’末端からHuIL−1F6K6をコードする核酸配列の先頭を示す太字の下線付きヌクレオチド方向へpHSUMOタグが走行している以下の核酸配列が得られた。
【0164】
【化9】


【0165】
得られた構築物をイー・コリDH10B中に導入した。発現は、製造業者のプロトコールに従って、OvernightExpressTMAutoinductionSystem(Novagen,Darmstadt,Germany,cat#71300−3)を用いて実施した。イー・コリ細胞を遠心し、凍結した。
【0166】
RocheComplete無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル中に作製されたTBS中に、凍結されたイー・コリ細胞のペレットを融解した。融解後、ベンゾナーゼを添加した。Microfluidicsの微少流体装置11OL装置(MFICCorporation,Newton,MA)を通過させることによって、細胞を溶解し、得られた可溶化液を遠心によって清澄化した。上清を滅菌ろ過し、Tris、NaCl、イミダゾールpH7.4中に平衡化された5mLのHisTrap(GEBiosciences,Piscataway,NJ)Ni−セファロースカラム上に搭載した。TBS中のイミダゾールで、カラムを洗浄した。イミダゾール線形勾配を用いて、タンパク質を溶出した。溶出された画分をプールし、MWCOSlide−A−Lyzers(PierceBiotechnology,Inc.,Rockland,IL)を用いて、PBS中に透析した。IL−1F6バリアントからHis−SUMO融合対を切断するために、LifeSensorsSUMOProtease−1を使用した。MWCOSlide−A−Lyzersを用いて、EDTAを含有するTBS、pH7.4中に、切断反応産物を透析した。次いで、透析されたプールをHisTrapNi−Sepharoseカラム上に戻して通過させ、遊離された純粋なIL−1F6バリアントを含有する流出画分を保持し、以下の実施例2Bに記載されているように、活性に関して検査した。結果は、下表7に示されている。
【0167】
(実施例1B)
IL−1F8バリアントの調製
huIL−1F8をコードするcDNAクローン(AF201833)をテンプレートとして用いて、上記実施例1A中に記載されているIL−F6FLAG−ポリHisタグバリアントと実質的に同様の様式で、FLAG−ポリHisタグを含むIL−1F8のバリアントを調製した。同様に、huIL−1F8をコードするcDNAクローン(AF201833)をテンプレートとして使用して、(FLAG−ポリHisタグを欠如する)HuIL−1F8R5を調製し、上記実施例1Aに記載されているHuIL−1F6K6と実質的に同様に精製した。様々なN末端欠失バリアントが、下表2に示されている。
【0168】
【表2】

【0169】
IL−1F8バリアントのアミノ酸配列
FLAG−ポリHis構築物をイー・コリ中に発現させ、製造業者のプロトコールに従い、Ni−NTAカラム(QiagenCat#30600)を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、発現されたポリペプチドを細菌の可溶化液(可溶性画分)から精製した。N末端の配列決定によって、1つの構築物(HuIL−1F8A7/FpH)に関して、N末端のMet(表2中では、括弧内に表記されている。)が除去されていることが示された。実質的に実施例2に記載されているとおりに、レポーターアッセイにおいて、精製されたポリペプチドを活性に関して検査した。結果は、下表5に示されている。
【0170】
HuIL−1F8R5をコードするpH−SUMO構築物をイー・コリDH10B中に導入した。発現は、製造業者のプロトコールに従って、OvernightExpressTMAutoinductionSystem(Novagen,Darmstadt,Germany,cat#71300−3)を用いて実施した。イー・コリ細胞を遠心し、凍結した。RocheComplete無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル中に作製されたTBS中に、凍結されたイー・コリの細胞ペレットを融解した。融解後、ベンゾナーゼを添加した。Microfluidicsの微少流体装置11OL装置(MFICCorporation,Newton,MA)を通過させることによって、細胞を溶解し、得られた可溶化液を遠心によって清澄化した。上清を滅菌ろ過し、Tris、NaCl、イミダゾールpH7.4中に平衡化された5mLのHisTrap(GEBiosciences,Piscataway,NJ)Ni−セファロースカラム上に搭載した。TBS中のイミダゾールで、カラムを洗浄した。イミダゾール線形勾配を用いて、タンパク質を溶出した。溶出された画分をプールし、MWCOSlide−A−Lyzers(PierceBiotechnology,Inc.,Rockland,IL)を用いて、PBS中に透析した。IL−1F6バリアントからHis−SUMO融合対を切断するために、LifeSensorsSUMOProtease−1を使用した。MWCOSlide−A−Lyzersを用いて、EDTAを含有するTBS、pH7.4中に、切断反応産物を透析した。次いで、透析されたプールをHisTrapNi−Sepharoseカラム上に再び通過させ、遊離された純粋なIL−1F6バリアントを含有する流出画分を保持し、以下の実施例2Bに記載されているように、活性に関して検査した。結果は、下表7に示されている。
【0171】
(実施例1C)
IL−1F9バリアントの調製
huIL−1F9をコードするcDNAクローン(AF200492)をテンプレートとして用いて、実質的に上記実施例1Aに記載されているのと同様に、C末端FLAG−ポリHisタグを含むIL−1F9のバリアントを調製した。huIL−1F9をコードするcDNAクローン(AF200492)をテンプレートとして使用して、(C末端FLAG−ポリHisタグを欠如する)HuIL−1F9S18を調製し、製造業者の指示書に従って、部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene,LaJolla,CA,cat#200523)を用いて、余分なチミン塩基対を除去したことを除き、上記実施例1Aに記載されているHuIL−1F6K6と実質的に同様にして精製した。制限酵素NdeI及びHindIIIを用いて、得られたクローンを切断し、pET−SUMOベクター(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に戻してサブクローニングした。様々なN末端欠失バリアントが、下表3に示されている。
【0172】
【表3】

【0173】
構築物をイー・コリ中で発現させ、先述のとおり、発現されたポリペプチドを細菌の可溶化液(可溶性画分)から精製した。HuIL−1F8に対する観察と同様に、N末端の配列決定によって、1つの構築物HuIL−1F9C20/FpHに関して、N末端のMetがポリペプチドから除去されていることが示された。実質的に実施例2に記載されているとおりに、レポーターアッセイにおいて、精製されたポリペプチドも活性に関して検査した。結果は、下表5に示されている。
【0174】
HuIL−1F9S18をコードするpH−SUMO構築物をイー・コリDH10B中に導入した。発現は、製造業者のプロトコールに従って、OvernightExpressTMAutoinductionSystem(Novagen,Darmstadt,Germany,cat#71300−3)を用いて実施した。イー・コリ細胞を遠心し、凍結した。RocheComplete無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル中に作製されたTBS中に、凍結されたイー・コリの細胞ペレットを融解した。融解後、ベンゾナーゼを添加した。Microfluidicsの微少流体装置11OL装置(MFICCorporation,Newton,MA)を通過させることによって、細胞を溶解し、得られた可溶化液を遠心によって清澄化した。上清を滅菌ろ過し、Tris、NaCl、イミダゾールpH7.4中に平衡化された5mLのHisTrap(GEBiosciences,Piscataway,NJ)Ni−セファロースカラム上に搭載した。TBS中のイミダゾールで、カラムを洗浄した。イミダゾール線形勾配を用いて、タンパク質を溶出した。溶出された画分をプールし、MWCOSlide−A−Lyzers(PierceBiotechnology,Inc.,Rockland,IL)を用いて、PBS中に透析した。IL−1F6バリアントからHis−SUMO融合対を切断するために、LifeSensorsSUMOProtease−1を使用した。MWCOSlide−A−Lyzersを用いて、EDTAを含有するTBS、pH7.4中に、切断反応産物を透析した。次いで、透析されたプールをHisTrapNi−Sepharoseカラム上に再び通過させ、遊離された純粋なIL−1F6バリアントを含有する流出画分を保持し、以下の実施例2Bに記載されているように、活性に関して検査した。結果は、下表7に示されている。
【0175】
(実施例1D)
IL−1F5バリアントの調製
huIL−1F5をコードするcDNAクローン(AF201830)をテンプレートとして用いて、実質的に上記実施例1Aに記載されているのと同様に、C末端FLAG−ポリHisタグを含むIL−1F5のバリアントを調製した。huIL−1F5をコードするcDNAクローン(AF201830)をテンプレートとして使用して、HuIL−1F5V2を調製し、実施例1Aに記載されているHuIL−1F6K6と実質的に同様にして精製した。様々なN末端欠失バリアントが、下表4に示されている。
【0176】
【表4】

【0177】
グルタチオン−S−転移酵素(以下、「GST」という。)融合物として、HuIL−1F5M1/FpHをイー・コリ中で発現した。第Xa因子での消化によって、GSTドメインを切除した。Hu−IL−1F5V2/FpHをCOS−1細胞中で発現させた。残りの構築物は、上記のように発現させた。完全長の形態もイー・コリ中で発現させ、HuIL−1F5V2FpHと同じN末端配列を有することが見出された。この形態をHuIL−1F5WT/FpHと称した。ポリペプチドを精製し、実質的に実施例2に記載されているとおりに、レポーターアッセイにおいて、IL−1F8によって、IL−1Rrp2の活性化を阻害するそれらの能力に関して検査した。このアッセイでは、5000、500又は50ng/mLで、IL−1Rrp2形質移入されたJurkat細胞にIL−1F5の精製された各バリアントを添加し、細胞を15分間事前温置した。その時点で、150ng/mLの濃度で、IL−1F8(タグなし、完全長−イー・コリ中で発現;HuIL−1F8WT/FpH)を添加した。次いで、37℃で5時間、F8/F5混合物とともに細胞を温置した。以前に報告されたとおりに、ルシフェラーゼ活性に関して、細胞可溶化液をアッセイした(Towne et al.2004 J Biol Chem 279(14):13677))。検査したF5:F8の比は、33.3:1、3.3:1及び0.33:1であった。結果は、下表5に示されている。
【0178】
HuIL−1FV2をコードするpH−SUMO構築物をイー・コリDH10B中に導入した。発現は、製造業者のプロトコールに従って、OvernightExpressTMAutoinductionSystem(Novagen,Darmstadt,Germany,cat#71300−3)を用いて実施した。イー・コリ細胞を遠心し、凍結した。RocheComplete無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル中に作製されたTBS中に、凍結されたイー・コリの細胞ペレットを融解した。融解後、ベンゾナーゼを添加した。Microfluidicsの微少流体装置110L装置(MFICCorporation,Newton,MA)を通過させることによって、細胞を溶解し、得られた可溶化液を遠心によって清澄化した。上清を滅菌ろ過し、Tris、NaCl、イミダゾールpH7.4中に平衡化された5mLのHisTrap(GEBiosciences,Piscataway,NJ)Ni−セファロースカラム上に搭載した。TBS中のイミダゾールで、カラムを洗浄した。イミダゾール線形勾配を用いて、タンパク質を溶出した。溶出された画分をプールし、MWCOSlide−A−Lyzers(PierceBiotechnology,Inc.,Rockland,IL)を用いて、PBS中に透析した。IL−1F6バリアントからHis−SUMO融合対を切断するために、LifeSensorsSUMOProtease−1を使用した。MWCOSlide−A−Lyzersを用いて、EDTAを含有するTBS、pH7.4中に、切断反応産物を透析した。次いで、透析されたプールをHisTrapNi−Sepharoseカラム上に再び通過させ、遊離された純粋なIL−1F6バリアントを含有する流出画分を保持し、以下の実施例2Bに記載されているように、活性に関して検査した。結果は、下表7に示されている。
【0179】
(実施例2)
(実施例2A)
IL−1Fバリアントのルシフェラーゼアッセイ
この実施例は、「Towne et al.,J Biol Chem.279(14):13677(2004)」(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。)に実質的に記載されているとおりに、IL−1ファミリーメンバーバリアントの活性を評価するために使用されるレポーターアッセイを記載する。簡潔に述べれば、製造業者のプロトコールのとおりに、FuGENE6(Roche Diagnostics,Basel,Switzerland)を介して、JurkatE6.1細胞(7×10)を一過性に形質移入する(すなわち、1:3のDNA/FuGENE6比で、レポータープラスミド200ng及びIL−1Rrp2をコードするベクタープラスミド又は空のベクタープラスミド400ngで細胞を形質移入する。)。形質移入から17時間後に、表記サイトカイン又はサイトカインのバリアントで、細胞を5時間刺激する。細胞を溶解し、レポーター溶解緩衝液(Promega)及びLuciferase Assay Reagent(Promega)を用いてルシフェラーゼ活性を評価する。本明細書に報告されている結果は、二つ組みの試料を表している。
【0180】
【表5】


生物活性は、関連する完全長ポリペプチド(FL)の活性との比較で表されている。
【0181】
**は、コンセンサス配列@XDのメチオニン又はイソロイシンに対するバリアントN末端アミノ酸の位置を示している。脂肪族残基(met又はile)は、枠内に囲むことによって示されている。
【0182】
関連する完全長IL−1ファミリーメンバーに対して増強された活性を有する全てのバリアントは、@XDコンセンサス配列の脂肪族アミノ酸に対して−9位から始まるN末端配列を有することが、これらの結果の分析によって示された(上記表5の配列中において、脂肪族アミノ酸は図1のコンセンサス配列中の「@」として示されており、枠で囲まれている。)。構築物の幾つかに関しては、EC50値の計算をするために利用できる十分なデータ点が存在したが、残りの構築物に関しては、データはこのような計算には不十分であった。関連する構築物及びそれらのEC50は、下表6に示されている。
【0183】
【表6】

【0184】
これらの結果は、IL−1Rrp2を介してシグナルを伝達する刺激性及び拮抗性のIL−1ファミリーメンバーの両方の生物活性にとって、N末端の長さが重要であることを示した。
【0185】
(実施例2B)
IL−1FバリアントのIL−8ELISAアッセイ
誘導性プロモーターが停止されたヒトIL−1Rrp2を発現する安定な細胞株を、JurkatT−RExTM細胞(Invitrogen)中で作製した。T−RExTM細胞株は、テトラサイクリンレプレッサータンパク質を安定に発現し、従って、ドキシサイクリンによる、目的の遺伝子(IL−1Rrp2)の誘導性発現が可能となる。
【0186】
IL−1Fリガンドの活性を評価するために、IL−1Rrp2を発現するJurkatT−RExTM細胞を、使用の24時間前に、ドキシサイクリンを用いて誘導した。96ウェル丸底組織培養プレート中に、200,000細胞/ウェルで細胞を播種した。IL−1Fリガンド(完全長(WT)タグなし、完全長(WT)タグあり、末端切断タグあり、又はSUMOによって生成された末端切断されたタグなしタンパク質)を、以下のように、ウェルに添加した。完全長のIL−1F6、F8及びF9は、1:5の希釈で、8点の希釈系列を用いて、50μg/mLで添加し、末端切断されたリガンドは、8点に対して、1:5希釈で、2μg/mLで開始した。37℃、5%COで24時間、リガンドともに細胞を温置した。温置後、細胞を遠心沈殿させ、製造業者の指示書に従い、QuantiGlo(HumanIL−8ELISAKit(R&DSystems)を用いて分析するために、上清を集めた。下表7に示されているように、検査されたポリペプチド及びバリアントに対する結果が得られる。
【0187】
【表7】


【0188】
これらの結果は、IL−1Rrp2を介してシグナルを伝達する刺激性及び拮抗性のIL−1ファミリーメンバーの両方の生物活性にとって、N末端の長さが重要であること、並びに特定のN末端アミノ酸が重要でないことを示した。さらに、これらの結果は、C末端タグを含まないポリペプチドはC末端タグを含む対応するポリペプチドより活性が高いことを示している。
【0189】
(実施例3)
モノクローナル抗体の調製
慣用の技術、例えば、米国特許第5,599,905号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている技術によって、モノクローナル抗体を作製する際の免疫原として、IL−1ファミリーメンバーポリペプチドを使用し得る。例えば、完全長のタンパク質、その断片、その融合タンパク質(Fc融合物など)、細胞表面上に組換えタンパク質を発現する細胞など、様々な形態のポリペプチドを免疫原として使用し得ることが認知されている。有用なペプチドの例には、図1に示されているものが含まれる。
【0190】
このような操作の例を要約するために、連結を促進するための付加的なC末端システイン残基を場合によって有するIL−1Rrp2要求性IL−1ファミリーメンバーのN末端ペプチドが、マレイミド活性化されたキーホールリンペットヘモシアニン(KLH;例えば、PierceBiotechnology Inc.,Rockford,ILから入手することができる。)に連結されて、免疫原を得る。第一の免疫化のために、免疫原100μg(ペプチド50μgを含有する。)を、1:1の容量比で、完全フロイントアジュバント(CFA)中に乳化し、各マウスに対して、200μLの最終容量で皮下注射する。
【0191】
抗原特異的応答を増加させるために、2週から4週の間隔で(但し、より長い間隔を使用し得る。)、追加の免疫原で、免疫化された動物に、さらに3から4回、強化免疫を施す。例えば、一次免疫化から約4週後に、200μLの最終容量の不完全フロイントアジュバントと混合された免疫原50μg(ペプチド25μgを含有する。)の第二の注射を、各マウス内に皮下注射する。第二の注射から約10から30日後に、皮下及び/又は腹腔内経路によって、第三の注射(Ribiアジュバントなどのアジュバントと混合されたペプチド10μgを含有する免疫原20μg)を与え得る。所望であれば、第三の注射から約14から約28日後に、皮下及び/又は腹腔内経路によって、第四の注射(不完全フロイントアジュバントと混合されたペプチド10μgを含有する免疫原20μg)を与え得る。腹腔内注射によって、PBS中にペプチド25μgを含有する免疫原50μgを用いて、通常、融合から約5日前に、最終の注射が与えられる。
【0192】
抗体力価を評価するためのペプチドELISA(酵素結合免疫吸着検定法)又は別の適切なアッセイによる検査のために、後眼窩の出血又は尾の先端の切除によって、血清試料を定期的に採取し得る。融合の時点で、動物を屠殺し、脾細胞を採集し、マウス骨髄腫細胞株SP2/O(ATCCCRL1581)に融合する。脾細胞−骨髄腫ハイブリッド細胞の増殖を促進するために、HAT選択培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン)中の複数のマイクロタイタープレート中に、得られたハイブリドーマ細胞株を播種する。
【0193】
適切なIL−1ファミリーメンバーのN末端部分との反応性に関して、このようにして作製されたハイブリドーマクローンをスクリーニングする。ハイブリドーマ上清の初期スクリーニングはペプチドELISA、完全細胞ELISA及び/又は高情報量スクリーニングに適した細胞をベースとしたアッセイ(「Fiscella,et al.,Nature Biotechnology 21:302−307(2003)」によって実質的に記載されているような、蛍光性微容積アッセイ技術又はFMAT)を使用し得る。抗体のより多くの量を与えるために、このスクリーニング法において陽性であるハイブリドーマをさらに培養することができ、次いで、抗体は以下に記載されているように精製され、細胞をベースとしたさらなるアッセイ(例えば、レポーターアッセイ又はIL−1ファミリーメンバーの生物活性に対する別のアッセイ)によってスクリーニングすることができる。
【0194】
モノクローナル抗体の安定な産生を確保するために、選択されたハイブリドーマは、さらにクローニングし、検査することができる。ハイブリドーマはインビトロで培養することが可能であり、又は適切な宿主哺乳動物中の腹水液として継代することができる。得られたモノクローナル抗体は、硫安沈殿に続く、ゲル排除クロマトグラフィー及び/又は例えばProteinGに対する抗体の結合を基礎とするアフィニティークロマトグラフィーによって精製され得る。
【0195】
(実施例4)
スクリーニングのためのハイブリドーマ抗体の精製
ハイブリドーマ上清液体の約35mLの試料を得るための時間及び条件下で、ハイブリドーマ細胞を培養する。4X−ProteinA結合緩衝液(1.6Mクエン酸、100mMtris、pH9.15)12mL及びMabSelectTMMedia(GE Healthcare,Piscataway,NJ)の67%スラリー約300μLを、各試料に添加する。得られたスラリーを、4℃で一晩、穏やかに回転させる。
【0196】
一晩の温置後、樹脂及びこれに結合されたモノクローナル抗体を沈降させるために、例えば、4℃で5分間、ブレーキなしに、G3.8遠心機ローター(BeckmanCoulter,Fullerton,CA)中にて、2,000RPMで、試料を遠心する。上清液約300μLを除く全てを取り除き、濃縮されたスラリーを形成するために樹脂を再懸濁する。
【0197】
濃縮されたスラリーを微量遠心管に移し、総容量を約1mLとするために、十分な1X−ProteinA結合緩衝液(400mMクエン酸、25mMtris、pH8.9)を加える。スラリーを再懸濁した後、約14,000gで5秒間遠心する。得られたペレットから上清液を取り除き、ペレットを同様にして(すなわち、1X−ProteinA結合緩衝液約1mL中で再懸濁し、遠心し、上清を除去し、新鮮な緩衝液中に再懸濁することによって)計3回洗浄する。
【0198】
3回の洗浄後に、400μLの溶出緩衝液(200mMギ酸)中にペレットを再懸濁し、室温で10分間攪拌した後、14,000gで5秒間遠心する。上清を溶出液として注意深く除去し、計3回の溶出サイクルに対して、上述の様式と同様の様式で、ペレットを再度溶出する。3回の溶出サイクルから得られた溶出液を合わせ、室温で5分間、14,000gで遠心し、新しいチューブに移す。2Mtris塩基(235mM)を添加し、素早く混合することによって、7.8から8.2になるようにpHを調整する。室温で5分間、14,000gで試料を再度遠心し、pHシフト可溶性と表記する。(700μLの水に試料20μLを添加することによって希釈された)各試料のスペクトル走査を250から350nmまで実行し、適切な抗体標準を用いて4から20%の還元性SDS−PAGEゲル上に各抗体含有試料0.5μgを搭載することによって、タンパク質濃度を確認する。
【0199】
本明細書中に引用された各参考文献は、参考文献が教示する全てに関して、及びあらゆる目的のために、参照により、その全体が組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にメチオニンを有するアミノ酸配列を含む、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を拮抗する単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項2】
1位のN末端アミノ酸がバリンである、請求項1の単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項3】
1位のN末端アミノ酸がメチオニンである、請求項1の単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項4】
1位のN末端アミノ酸を基準として2位のアミノ酸がロイシンである、請求項1の単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項5】
単離されたIL−1F5ポリペプチドが、配列番号1からなるIL−1F5ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を拮抗する、請求項1の単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項6】
配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1の単離されたIL−1F5ポリペプチド。
【請求項7】
請求項1のIL−1F5ポリペプチドをコードする核酸配列。
【請求項8】
請求項7の核酸の発現を誘導する組換えベクター。
【請求項9】
請求項8のベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞。
【請求項10】
発現を促進する条件下で、請求項9の宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F5ポリペプチドを単離することを含む、IL−1F5ポリペプチドを作製する方法。
【請求項11】
請求項1のポリペプチド及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項12】
対象中の炎症性又は自己免疫性症状の少なくとも1つの症候を低減するのに十分な量で請求項1のIL−1F5ポリペプチドを対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される、対象中の炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法。
【請求項13】
治療されるべき症状がIL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である、請求項12の方法。
【請求項14】
治療されるべき症状が、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される、請求項12の方法。
【請求項15】
対象がヒトである、請求項12の方法。
【請求項16】
アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項17】
1位のN末端アミノ酸がリジンである、請求項16の単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項18】
1位のN末端アミノ酸がメチオニンである、請求項16の単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項19】
アミノ酸配列1位のN末端アミノ酸を基準として2位のアミノ酸がイソロイシンである、請求項16の単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項20】
単離されたIL−1F6ポリペプチドが、配列番号2からなるIL−1F6ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する、請求項16の単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項21】
配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号65、配列番号66、配列番号67及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項16の単離されたIL−1F6ポリペプチド。
【請求項22】
請求項16のIL−1F6をコードする核酸配列。
【請求項23】
請求項22の核酸の発現を誘導する組換えベクター。
【請求項24】
請求項23のベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞。
【請求項25】
発現を促進する条件下で、請求項24の宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F6ポリペプチドを単離することを含む、IL−1F6ポリペプチドを作製する方法。
【請求項26】
請求項16のポリペプチド及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項27】
患者の免疫系を刺激するのに十分な量で、請求項16に記載のIL−1F6ポリペプチドを免疫抑制された患者に投与することを含む、免疫抑制された患者の免疫系を刺激する方法。
【請求項28】
IL−1F6ポリペプチドを特異的に結合し、そのタンパク分解性切断を抑制する抗体。
【請求項29】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項28の抗体。
【請求項30】
請求項28の抗体及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項31】
炎症性又は自己免疫性症状の少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、請求項29のIL−1F6抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法。
【請求項32】
治療されるべき症状がIL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である、請求項31の方法。
【請求項33】
治療されるべき症状が、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される、請求項31の方法。
【請求項34】
対象がヒトである、請求項31の方法。
【請求項35】
アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項36】
1位のN末端アミノ酸がアルギニンである、請求項35の単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項37】
1位のN末端アミノ酸がメチオニンである、請求項35の単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項38】
2位(2位は1位のN末端アミノ酸を基準とする。)のアミノ酸がグルタミン酸である、請求項35の単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項39】
配列番号3からなるIL−1F8ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する、請求項35の単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項40】
配列番号14、配列番号15、配列番号16及び配列番号17からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項35の単離されたIL−1F8ポリペプチド。
【請求項41】
請求項35に記載のIL−1F8ポリペプチドをコードする核酸配列。
【請求項42】
請求項41の核酸の発現を誘導する組換えベクター。
【請求項43】
請求項42のベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞。
【請求項44】
発現を促進する条件下で、請求項43の宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F8ポリペプチドを単離することを含む、IL−1F8ポリペプチドを作製する方法。
【請求項45】
請求項35のポリペプチド及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項46】
患者の免疫系を刺激するのに十分な量で、請求項35に記載のIL−1F8ポリペプチドを免疫抑制された患者に投与することを含む、免疫抑制された患者の免疫系を刺激する方法。
【請求項47】
IL−1F8ポリペプチドを特異的に結合し、そのタンパク分解性切断を抑制する抗体。
【請求項48】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項47の抗体。
【請求項49】
請求項47の抗体及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項50】
少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、請求項47のIL−1F8抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法。
【請求項51】
治療されるべき症状がIL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である、請求項50の方法。
【請求項52】
治療されるべき症状が、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される、請求項50の方法。
【請求項53】
アミノ酸配列の10位(10位は、アミノ酸配列の1位のN末端アミノ酸を基準とする。)にイソロイシンを有するアミノ酸配列を含む、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項54】
1位のN末端アミノ酸がセリンである、請求項53の単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項55】
1位のN末端アミノ酸がメチオニンである、請求項53の単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項56】
1位のN末端アミノ酸を基準として2位のアミノ酸がメチオニンである、請求項53の単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項57】
単離されたIL−1F9ポリペプチドが、配列番号4からなるアミノ酸配列を有するIL−1F9ポリペプチドを上回って、IL−1Rrp2を通じたシグナル伝達/活性化を刺激する、請求項53の単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項58】
配列番号18、配列番号19、配列番号20及び配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項53の単離されたIL−1F9ポリペプチド。
【請求項59】
請求項53のIL−1F9ポリペプチドをコードする核酸配列。
【請求項60】
請求項59に記載の核酸の発現を誘導する組換えベクター。
【請求項61】
請求項60のベクターで形質移入された又は形質導入された宿主細胞。
【請求項62】
発現を促進する条件下で、請求項52の宿主細胞を培養すること、及び発現されたIL−1F9ポリペプチドを単離することを含む、IL−1F9ポリペプチドを作製する方法。
【請求項63】
請求項53のポリペプチド及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項64】
患者の免疫系を刺激するのに十分な量で、請求項53に記載のIL−1F9ポリペプチドを免疫抑制された患者に投与することを含む、免疫抑制された患者の免疫系を刺激する方法。
【請求項65】
IL−1F9ポリペプチドを特異的に結合し、及びそのタンパク分解性切断を抑制する抗体。
【請求項66】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項65の抗体。
【請求項67】
請求項65の抗体及び生理的に許容される希釈剤、賦形剤又は担体を含む組成物。
【請求項68】
炎症性又は自己免疫性症状の少なくとも1つの症候を軽減するのに十分な量で、請求項65のIL−1F9抗体を対象に投与することを含む、IL−1Rrp2によって媒介される炎症性又は自己免疫性症状を治療する方法。
【請求項69】
治療されるべき症状がIL−1Rrp2によって媒介される皮膚、肺又は気道の炎症性症状である、請求項68の方法。
【請求項70】
治療されるべき症状が、乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(慢性アトピー性皮膚炎を含む。)、アレルギー性接触皮膚炎、慢性単純性苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、貨幣状湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、関節リウマチ、乾癬性関節炎及び骨関節炎を含む関節炎症状からなる群から選択される、請求項68の方法。
【請求項71】
対象がヒトである、請求項68の方法。
【請求項72】
Il−1ファミリーメンバーのタンパク分解性切断を促進する条件下で、前記IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼの源を前記IL−1ファミリーメンバーと接触させること、及び前記IL−1ファミリーメンバーがタンパク分解性に切断されたかどうかを測定することを含む、IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼを同定する方法。
【請求項73】
IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼの阻害剤を同定する方法であり、前記IL−1ファミリーメンバーのタンパク分解性切断を促進する条件下で、潜在的な阻害剤である分子の存在下及び不存在下で、前記IL−1ファミリーメンバーを切断するプロテアーゼを前記IL−1ファミリーメンバーと接触させること、及び前記IL−1ファミリーメンバーがタンパク分解性に切断されたかどうかを測定することを含み、前記分子の存在下において、前記IL−1ファミリーメンバーが切断されず、又はより低い程度で切断されれば前記分子が阻害剤である、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−502225(P2010−502225A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527457(P2009−527457)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/019713
【国際公開番号】WO2008/033333
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】