説明

IPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システム

【課題】本発明は、緊急連絡先等のグローバルAIPアドレスの相手先にに接続するIPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムに関する。
【解決手段】IP電話システム1は、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2が、IPネットワークIPNET上の最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号を対応させてRAM13に記憶し、電話装置Ph1、Ph2でRAM13に記憶されている相手先の電話番号が入力されると、当該電話番号に対応してRAM13に記憶されているグローバルIPアドレスに対して接続要求を行う。したがって、グローバルIPアドレスの相手先に対して直接接続することができ、利用性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムに関し、詳細には、緊急連絡先等のグローバルAIPアドレスの相手先にに接続可能なIPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、FTTH(Fiber To The Home)、ケーブルネットを使用するブロードバンドサービスが普及し、それに伴いIP(Internet Protocol)ネットワークを使用して、音声を流すIP(Internet Protocol)電話が普及しつつある(特許文献1等参照)。
【0003】
IP電話は、VoIP(Voice over IP )と呼ばれるIPネットワーク上で音声通話を実現する技術を使用しており、現在ではH.323と呼ばれる通信規約がITU−Tで標準勧告されている。また、IETF(Internet Engineering Task Force)によりSIP(Session Initiation Protocol)と呼ばれる別のプロトコルを規定している。
【0004】
IP電話は、公衆回線を使用する電話に比較して、通信費が安価であり、また、IP電話アダプタを使用することで、従来の公衆回線用の電話を使用することができる。
【0005】
IP電話アダプタは、VoIP機能を搭載し、IPネットワークを用いた音声通話を実現するとともに、公衆回線を使用した電話を切り換えて使用することができ、これらの切換は電話機から行うことができる。
【0006】
IP電話に相手からの電話が着信するためには、IP電話に電話番号がなければならないが、近年、総務省がIP電話専用番号をプロバイダ等に割り当てを開始した。IP電話専用番号は、050から始まる11桁の電話番号で、IP電話サービスを提供するプロバイダは、050に続く4桁の番号が事業者識別番号として割り当てられ、事業者識別番号に続く4桁の番号がユーザに割り当てられる。また、多くのユーザを持つプロバイダには複数の事業者識別番号が割り当てられる。
【0007】
ただし、現在のサービスでは、050番号を持つIP電話同士でも加入しているプロバイダ業者が異なると、IP電話で通話できない場合があり、プロバイダ間の協力関係が成立している場合は、プロバイダ業者が異なってもIP電話で通話できる。
【0008】
すなわち、IP電話には、プライベートIPアドレスが代わり当てられており、グローバルIPアドレスが割り当てられておらず、また、相手先IPアドレスとしてグローバルIPアドレスの登録されているIP電話が無い。
【0009】
このように、IP電話は、通信費が安価ではあるが、110番や119番等の緊急連絡先が一般電話回線に接続されているため、IP電話から直接緊急連絡先に接続することができない。
【0010】
そして、従来、IP電話を、IPネットワークに接続するとともに、IP電話受信/発信装置を介して一般電話回線に接続して、IP電話からの接続要求に緊急連絡先のIPアドレス含まれていると、IP電話受信/発信装置から一般電話回線を介して緊急連絡先に接続するインターネット電話システムおよびその緊急ライン接続方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2003−218987号公報
【特許文献2】特許第3139623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献2記載の従来技術にあっては、IP電話装置に、IPネットワークの他に一般電話回線を接続することで、IP電話装置から緊急連絡先に接続できるようにしているため、コストが高くつくだけでなく、一般回線の接続されていない場合には、緊急連絡先に接続することができず、緊急連絡をすることができないという問題があった。
【0013】
また、従来技術にあっては、IP電話は、IP電話事業者であるプロバイダの提供するプライベートネットワークに接続され、相手先IPアドレスとしてグローバルIPアドレスの登録されているIP電話が無かったため、グローバルIPアドレスを備えた相手先に直接接続要求することができないという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、グローバルIPアドレスを登録することで、当該グローバルIPアドレスの相手先、例えば、110番や119番等の最寄りの緊急連絡先に直接接続要求することができ、利用性の良好なIPアダプタ装置、このIPアダプタ装置を備えたIP電話装置及びIP電話システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明のIPアダプタ装置は、電話装置とIPネットワークとの間に接続されて当該電話装置との間で音声データを交換して、前記電話装置からの音声データをパケット化して前記IPネットワークに送信するとともに前記IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換して前記電話装置に渡すIP電話アダプタ装置であって、前記IPネットワーク上の相手先のグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号とを対応させて記憶手段に記憶し、前記電話装置で当該記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して当該記憶手段に記憶されている前記グローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことにより、上記目的を達成している。
【0016】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記記憶手段に記憶されている前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスは、最寄りの緊急連絡先の電話番号及びグローバルIPアドレスであってもよい。
【0017】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記IP電話アダプタ装置は、前記記憶手段に記憶される前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスが当該IP電話アダプタ装置の接続されている電話事業者装置から送信され、当該送信されてきた前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスを前記記憶手段に自動登録するものであってもよい。
【0018】
請求項4記載の発明のIP電話装置は、IPネットワークに接続されて音声データをパケット化して当該IPネットワークに送信するとともに当該IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換するIP電話アダプタ装置を内蔵するIP電話装置であって、前記IP電話アダプタ装置が、請求項1から請求項3のいずれかに記載のIP電話アダプタ装置であることにより、上記目的を達成している。
【0019】
請求項5記載の発明のIP電話システムは、IPネットワークに接続されて音声データをパケット化して当該IPネットワークに送信するとともに当該IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換するIP電話アダプタ装置を内蔵あるいは外付けで備える複数のIP電話装置が、当該各IP電話装置と前記IPネットワークとの接続処理を行う電話事業者装置に接続され、当該電話事業者装置が、当該接続されている前記IP電話装置同士の接続及び当該接続されている前記IP電話装置と前記IPネットワークに接続されている他の電話事業者装置を介して他のIP電話装置及び前記IPネットワークに直接接続されていてグローバルIPアドレスを有するIP電話装置との接続を行うIP電話システムであって、前記電話事業者装置に接続されている前記IP電話装置の前記IP電話アダプタ装置が、前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置のグローバルIPアドレスを当該IP電話装置のダイヤル番号と対応させて記憶手段に記憶し、当該グローバルIPアドレスを記憶する記憶手段を備えたIP電話アダプタの電話装置で、当該記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている前記グローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことにより、上記目的を達成している。
【0020】
この場合、例えば、請求項6に記載するように、前記IP電話システムは、前記記憶手段に記憶されている前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスが、最寄りの緊急連絡先の電話番号及びグローバルIPアドレスであってもよい。
【0021】
また、例えば、請求項7に記載するように、前記IP電話システムは、前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスが前記電話事業装置から当該電話事業装置に属する前記IP電話装置に送信され、当該IP電話装置の前記IPアダプタ装置が、当該送信されてきた前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスを前記記憶手段に自動登録するものであってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のIPアダプタ装置によれば、IPネットワーク上のグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号とを対応させて記憶手段に記憶し、電話装置で記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して当該記憶手段に記憶されているグローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことにより、グローバルIPアドレスの相手先、例えば、110番や119番等の緊急連絡先のうち最寄りの緊急連絡先に対して直接接続要求し、利用性を向上させることができる。
【0023】
また、本発明のIP電話装置によれば、IPネットワーク上のグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号とを対応させて記憶手段に記憶し、記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して当該記憶手段に記憶されているグローバルIPアドレスに対して接続要求を行うIPアダプタ装置を内蔵することにより、IP電話装置からグローバルIPアドレスの相手先、例えば、110番や119番等の緊急連絡先のうち最寄りの緊急連絡先に対して直接接続要求し、利用性を向上させることができる。
【0024】
さらに、本発明のIP電話システムによれば、電話事業者装置に接続されているIP電話装置のIP電話アダプタ装置の記憶手段に、IPネットワークに直接接続されているIP電話装置のグローバルIPアドレスを当該IP電話装置のダイヤル番号と対応させて記憶させ、当該記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して記憶手段に記憶されているグローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことにより、IP電話装置からグローバルIPアドレスの相手先、例えば、110番や119番等の緊急連絡先のうち最寄りの緊急連絡先に対して直接接続要求し、利用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1〜図3は、本発明のIPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明のIPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムの一実施例を適用したIP電話システム1のシステム構成図である。
【0027】
図1において、IP電話システム1は、IPネットワークIPNETに複数のIP電話事業者IPJ1、IPJ2が接続されているとともに、ゲートウェイGWを介して公衆電話網PSTNが接続されている。
【0028】
各IP電話事業者IPJ1、IPJ2には、それぞれ複数のIP電話IPPh1、IPPh2がFTTH、ケーブルネット等の専用線IPL1、IPL2を介して接続されており、各IP電話IPPh1、IPPh2は、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2と通常の電話装置Ph1、Ph2で構成されていたり、図示しないが、IP電話アダプタを内蔵したIP電話装置で構成されている。
【0029】
また、ゲートウェイGWを介してIPネットワークIPNETに接続されている公衆電話網PSTNには、複数の一般加入電話装置PPhが接続されている。
【0030】
そして、IPネットワークIPNET及び公衆電話網PSTNには、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSが接続されており、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSは、IP電話アダプタKIPADPと通常電話KPh及びゲートウェイKGWとIP電話装置KIPPhで構成されている。なお、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSとしては、上記構成に限るものではなく、例えば、IP電話装置KIPPhを備えることなく、ゲートウェイGWがIP電話アダプタKIPADPに接続されてもよい。
【0031】
上記IP電話アダプタIPADP1、2及びIP電話アダプタKIPADPは、一般的に、図2に示すように構成されており、電話インターフェース11、CPU(Central Processing Unit )12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14及び通信部15等を備えており、各部は、バスライン16で接続されている。
【0032】
電話インターフェース11には、通常のアナログの電話装置Ph1、Ph2、KPnが接続され、電話インターフェース11は、信号のA/D変換及びD/A変換を行って電話装置Ph1、Ph2、KPnとの間の信号の授受を行う。
【0033】
通信部15には、専用線IPL1、IPL2またはIPネットワークIPNETが接続され、通信部15は、専用線IPL1、IPL2またはIPネットワークIPNETを介した通信を行う。
【0034】
ROM14は、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2、KIPADPとして野基本プログラムと必要なデータが格納されているとともに、グローバルIPアドレスを有した相手先、例えば、110番、119番等の緊急連絡先のダイヤル番号が登録されている。
【0035】
RAM13は、CPU12のワークメモリとして利用されるとともに、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2のRAM13では、ROM14に登録されているグローバルIPアドレスを有した相手先として、例えば、110番、119番等の緊急連絡先のダイヤル番号が登録されているときには、当該緊急連絡先であって最寄りの緊急連絡先の最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスが登録される。
【0036】
このIP電話アダプタIPADP1、IPADP2のRAM13への最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスの登録は、IP電話IPPh1、IPPh2の所有者が当該グローバルIPアドレスを知っているときには、電話装置Ph1、Ph2を使用してグローバルIPアドレスの登録モードとして、当該最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスを入力することで、RAM13に登録してもよいが、本実施例のIP電話アダプタIPADP1、IPADP2では、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSからIP電話事業者IPJ1、IPJ2に対して自己のIP電話KIPPhSに割り当てられているグローバルIPアドレスを通知して、各IP電話事業者IPJ1、IPJ2が、当該IP電話事業者IPJ1、IPJ2に接続されているIP電話IPPh1、IPPh2に当該最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスを送信し、各IP電話IPPh1、IPPh2のIP電話アダプタIPADP1、IPADPのCPU12が送信されてきたグローバルIPアドレスをRAM13に自動登録する。なお、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSは、上記グローバルIPアドレスと公衆電話網PSTN上の電話番号とゲートウェイGWに送信し、ゲートウェイGWが当該グローバルIPアドレスと電話番号を登録して、IPアドレスと電話番号の変換に使用する。
【0037】
CPU12は、上記ROM14内のプログラムに基づいてIP電話アダプタIPADP1、IPADP2としての処理を実行するとともに、後述する最寄りの緊急連絡先IP電話処理を実行する。
【0038】
そして、上記IP電話事業者IPJ1、IPJ2は、各IP電話事業者IPJ1、IPJ2の専用線IPL1、IPL2に接続されたIP電話IPPh1、IPPh2とIPネットワークIPNETを介して接続された相手先との接続を行う。
【0039】
ゲートウェイGWは、音声のIPパケット化とIPパケットの音声化を行い、IPネットワークIPNETと公衆電話網PSTNの接続を可能とする。
【0040】
最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのゲートウェイKGWは、音声のIPパケット化とIPパケットの音声化を行い、IP電話KIPPhと公衆回線網PSTNの接続を可能とする。
【0041】
このようなIP電話システム1は、例えば、IP電話IPPh1からIP電話IPPh2に電話するときには、電話装置Ph1でIP電話IPPh2の電話番号が入力されると、相手先のIP電話IPPh2に繋がって通話を行う。
【0042】
このときの通話内容は、電話装置Ph1からアナログ音声としてIP電話アダプタIPADP1に送信されて、IP電話アダプタIPADP1が、電話装置Ph1からのアナログ音声信号をディジタル信号に変換(音声符号化)してIPパケットに詰め込み、専用回線IPL1を介してIP電話事業者IPJ1に送信する。
【0043】
IP電話事業者IPJ1は、IP電話アダプタIPADP1でアナログ信号から変換された音声パケットを、IPネットワークIPNET上をルータを経由して流して、相手先のIP電話IPPh2のIP電話事業者IPJ2に送り、IP電話事業者IPJ2が当該相手先のIP電話IPPh2に専用回線IPL2を介して音声パケットを送信する。
【0044】
相手先のIP電話IPPh2は、IP電話事業者IPJ2から送られてきた音声パケットを、IP電話アダプタIPADP2でアナログ音声に変換して電話装置Ph2に送り、電話装置Ph2で音声出力する。
【0045】
上記処理を、IP電話IPPh1とIP電話IPPh2との間で、IPネットワークIPNET及びIP電話事業者IPJ1、IPJ2を介して行うことで、IP電話通話が行われる。
【0046】
また、IP電話IPPh1からの電話の相手先が一般加入電話装置PPhであると、IP電話事業者IPJ1からIPネットワークIPNETに送られた音声パケットをゲートウェイGWがアナログ音声に変換し、公衆電話網PSTNを経由して相手先の一般加入電話PPhに送って、通常電話の会話が行われる。
【0047】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のIP電話システム1は、IP電話IPPh1、IPPh2から最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに直接電話することができる。
【0048】
すなわち、IP電話IPPh1、IPPh2から緊急連絡先に電話するときには、電話装置Ph1、Ph2から当該緊急連絡先の電話番号、例えば、110番や119番等をダイヤルするだけで、当該緊急連絡先電話番号に対応する最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに接続することができる。
【0049】
いま、IP電話IPPh1から最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに連絡するものとする。IP電話IPPh1は、電話装置Ph1で緊急連絡先の電話番号がダイヤルされると、電話装置Ph1からダイヤル番号のアナログ信号をIP電話アダプタIPADP1に出力し、IP電話アダプタIPADP1のCPU12が、電話装置Ph1からダイヤル番号が入力されると、当該ダイヤル番号が予めROM14に登録されている緊急連絡先のダイヤル番号と一致するかチェックする。CPU12は、電話装置Ph1で入力されたダイヤル番号がROM14に登録されている緊急連絡先のダイヤル番号と一致すると、当該緊急連絡先のダイヤル番号に対応して予めRAM13に登録されている当該緊急連絡先であって最寄りの緊急連絡先の緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスをRAM13から読み出してIP電話事業者IPJ1に対して当該グローバルIPアドレス宛の発信要求を行う。
【0050】
IP電話事業者IPJ1は、発信要求があると、IPネットワークIPNETを介して当該グローバルIPアドレス宛に発信して、IPネットワークIPNETに接続されている最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに接続する。最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSは、そのIP電話アダプタKIPADPが、自己宛のグローバルIPアドレスを受信すると、IP電話事業者IPJ1を介してIP電話IPPh1のIP電話アダプタIPADP1との間で接続を行って、上記IP電話IPPh2の場合と同様に、電話装置Ph1と通常電話KPhとの間での会話を可能とする。
【0051】
また、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSは、公衆回線網PSTNに接続された一般加入電話装置PPhから緊急連絡先の電話番号がダイヤルされると、公衆回線網PSTNを介してゲートウェイKGWが着信を行って、IP電話KIPPhに接続したり、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSがIP電話KIPPhではなく、ゲートウェイKGW及びIP電話アダプタKIPADPと通常電話KPhのみを備えているときには、IP電話アダプタKIPADPに接続する。
【0052】
そして、IP電話IPPh1、IPPh2のIP電話アダプタIPADP1、IPADP2のRAM13への最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスの登録は、IP電話事業者IPJ1、IPJ2からの送信を受けて自動的に登録することができる。
【0053】
すなわち、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSは、IP電話事業者IPJ1、IPJ2に対して自己のIP電話KIPPhSに割り当てられているグローバルIPアドレスを通知し、各IP電話事業者IPJ1、IPJ2が、当該IP電話事業者IPJ1、IPJ2に接続されているIP電話IPPh1、IPPh2に当該最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスを送信する。
【0054】
そして、各IP電話IPPh1、IPPh2のIP電話アダプタIPADP1、IPADPは、図3に示すように、IP電話事業者IPJ1、IPJ2から最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスが送信されてくると、通信部15が、当該グローバルIPアドレスを受け取り(ステップS101)、CPU12が、当該通信部15の受け取ったグローバルIPアドレスをROM14に登録されている当該最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに対応する緊急連絡先のダイヤル番号に対応させてRAM13に登録する(ステップS102)。
【0055】
なお、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2のRAM13への最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスの登録は、IP電話IPPh1、IPPh2の所有者が当該グローバルIPアドレスを知っているときには、上述のように、電話装置Ph1、Ph2を使用してグローバルIPアドレスの登録モードとして、当該最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスを手入力することで、RAM13に登録してもよい。
【0056】
その後、IP電話IPPh1、IPPh2は、上述のように、電話装置Ph1、Ph2で、緊急連絡先のダイヤル番号がダイヤルされると、当該緊急連絡先ダイヤル番号に対応させてRAM13に登録されているグローバルIPアドレスを持ちいてIP電話事業者IPJ1、IPJ2に接続要求を行うことで、上述のように、IP電話IPPh1、IPPh2から直接最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSに電話することができる(ステップS103)。
【0057】
このように、本実施例のIP電話システム1は、IP電話アダプタIPADP1、IPADP2が、IPネットワークIPNET上の相手先である最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSのグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号を対応させて記憶手段としてのRAM13に記憶し、電話装置Ph1、Ph2でRAM13に記憶されている相手先の電話番号が入力されると、当該電話番号に対応してRAM13に記憶されているグローバルIPアドレスに対して接続要求を行う。
【0058】
したがって、グローバルIPアドレスの相手先に対して直接接続することができ、利用性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施例のIP電話システム1は、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhSの電話番号及びグローバルIPアドレスをRAM13に登録している。
【0060】
したがって、110番や119番等の緊急連絡先のうち最寄りの緊急連絡先に対してIP電話IPPh1、IPPh2から直接接続することができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0061】
さらに、本実施例のIP電話システム1は、IP電話事業者IPJ1、IPJ2が、自己の管理するIP電話IPPh1、IPPh2に対して、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhS等の相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスを送信して、当該IP電話IPPh1、IPPh2のIP電話アダプタIPADP1、IPADP2が当該送信されてきた相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスをRAM13に自動登録する。
【0062】
したがって、最寄りの緊急連絡先IP電話KIPPhS等のグローバルIPアドレスの相手先の情報を簡単かつ確実に登録することができ、より一層利用性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、直接最寄りの緊急連絡先IP電話に接続することのできるIPアダプタ装置IPアダプタ装置を内蔵したIP電話装置及びこれらのIP電話装置やIPアダプタ装置を用いたIP電話システム一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明のIPアダプタ装置、IP電話装置及びIP電話システムの一実施例を適用したIP電話システムのシステム構成図。
【図2】図1のIP電話アダプタのブロック構成図。
【図3】図2のIP電話アダプタによる最寄りの緊急連絡先IP電話のグローバルIPアドレスの登録処理と最寄りの緊急連絡先IP電話への接続処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0065】
1 IP電話システム
IPNET IPネットワーク
IPJ1、IPJ2 IP電話事業者
IPPh1、IPPh2 IP電話
IPADP1、IPADP2 IP電話アダプタ
Ph1、Ph2 電話装置
IPL1、IPL2 専用線
GW ゲートウェイ
PSTN 公衆電話網
KIPPhS 最寄りの緊急連絡先IP電話
KIPADP IP電話アダプタ
KPh 通常電話
KGW ゲートウェイ
KIPPh IP電話装置
11 電話インターフェース
12 CPU
13 RAM
14 ROM
15 通信部
16 バスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話装置とIPネットワークとの間に接続されて当該電話装置との間で音声データを交換して、前記電話装置からの音声データをパケット化して前記IPネットワークに送信するとともに前記IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換して前記電話装置に渡すIP電話アダプタ装置であって、前記IPネットワーク上の相手先のグローバルIPアドレスと当該相手先の電話番号とを対応させて記憶手段に記憶し、前記電話装置で当該記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して当該記憶手段に記憶されている前記グローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことを特徴とするIP電話アダプタ装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶されている前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスは、最寄りの緊急連絡先の電話番号及びグローバルIPアドレスであることを特徴とする請求項1記載のIP電話アダプタ装置。
【請求項3】
前記IP電話アダプタ装置は、前記記憶手段に記憶される前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスが当該IP電話アダプタ装置の接続されている電話事業者装置から送信され、当該送信されてきた前記相手先の電話番号及びグローバルIPアドレスを前記記憶手段に自動登録することを特徴とする請求項1または請求項2記載のIP電話アダプタ装置。
【請求項4】
IPネットワークに接続されて音声データをパケット化して当該IPネットワークに送信するとともに当該IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換するIP電話アダプタ装置を内蔵するIP電話装置であって、前記IP電話アダプタ装置が、請求項1から請求項3のいずれかに記載のIP電話アダプタ装置であることを特徴とするIP電話装置。
【請求項5】
IPネットワークに接続されて音声データをパケット化して当該IPネットワークに送信するとともに当該IPネットワークからのパケットデータを音声データに変換するIP電話アダプタ装置を内蔵あるいは外付けで備える複数のIP電話装置が、当該各IP電話装置と前記IPネットワークとの接続処理を行う電話事業者装置に接続され、当該電話事業者装置が、当該接続されている前記IP電話装置同士の接続及び当該接続されている前記IP電話装置と前記IPネットワークに接続されている他の電話事業者装置を介して他のIP電話装置及び前記IPネットワークに直接接続されていてグローバルIPアドレスを有するIP電話装置との接続を行うIP電話システムであって、前記電話事業者装置に接続されている前記IP電話装置の前記IP電話アダプタ装置が、前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置のグローバルIPアドレスを当該IP電話装置のダイヤル番号と対応させて記憶手段に記憶し、当該グローバルIPアドレスを記憶する記憶手段を備えたIP電話アダプタの電話装置で、当該記憶手段に記憶されている電話番号が入力されると、当該電話番号に対応して前記記憶手段に記憶されている前記グローバルIPアドレスに対して接続要求を行うことを特徴とするIP電話システム。
【請求項6】
前記IP電話システムは、前記記憶手段に記憶されている前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスが、最寄りの緊急連絡先の電話番号及びグローバルIPアドレスであることを特徴とする請求項5記載のIP電話システム。
【請求項7】
前記IP電話システムは、前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスが前記電話事業装置から当該電話事業装置に属する前記IP電話装置に送信され、当該IP電話装置の前記IPアダプタ装置が、当該送信されてきた前記IPネットワークに直接接続されているIP電話装置の前記電話番号及び前記グローバルIPアドレスを前記記憶手段に自動登録することを特徴とする請求項5または請求項6記載のIP電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−157160(P2006−157160A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340817(P2004−340817)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】