説明

IP電話通信装置、IP電話通信中継装置およびIP電話通信方法

【課題】SIPサーバの処理負荷を低減するSIP通信を行うIP電話通信装置を提供する。
【解決手段】SIPサーバに通信先の電話番号を含む通信要求を送信し、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置と通信を行うIP電話通信装置が、電話番号と、SIPサーバから送信される電話番号に対応するIPアドレスとを自身の記憶部に記憶させ、入力される電話番号に対応するIPアドレスが自身の記憶部に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合、電話番号に対応するIPアドレスを記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して通信先IP電話通信装置と通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワーク上でSIPに基づくIP電話通信を行うIP電話通信装置およびIP電話通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IP(Internet Protocol)ネットワーク上でSIP(Session Initiation Protocol)に基づいたIP電話通信が行われている。このようなIP電話通信では、まず、発呼側の電話端末がユーザに入力された電話番号を通信先とする通信要求をSIPサーバ(SIPプロキシ)に送信する。SIPサーバには電話番号とIPアドレスとが対応付けられたアドレス情報が予め記憶されており、発呼側の電話端末から受信する通信先の電話番号に応じたIPアドレスを読み出すアドレス解決処理を行った後、読み出したIPアドレスを通信先とする通信要求を通信先の電話端末に送信する。
特許文献1には、発呼端末に電話番号とIPアドレスとを予め記憶させておくことにより、SIPサーバと通信を行うことによるアドレス解決処理を行わずにIP電話通信を行う技術が提案されている。
特許文献2には、IP通信装置が呼接続を行った際に呼接続に用いた電話番号に対応するIPアドレスとMACアドレスとを紐付けたアドレス情報を記憶しておき、着信先のIPアドレス等が変更した場合にも対応できるように、呼接続を完了する前に着信側のIPアドレスとMACアドレスとが記憶されたアドレス情報と一致するかどうかを確認するアドレス照合を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特開2003−158553号公報
【特許文献2】特開2008−141585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のようにSIPサーバによりアドレス解決を行う方法では、SIPサーバが多数の電話端末のアドレス解決を行う場合にはアドレス解決の処理負荷が多大になるとともに、IP電話通信においてSIPサーバによるアドレス解決やSIP通信中継などの制御処理が接続遅延(以降、当該制御処理に伴う遅延を指して制御遅延とする)の原因になると考えられる。ここで、特許文献1に記載の技術では、予め記憶されていない電話番号を宛先とする通信要求のアドレス解決を行うことはできない。特許文献2の記載の技術では、L(レイヤ)2のMACアドレスを交換しないIP層の転送を実行するルータをはさんで通信を行う場合は、ルータをはさんだネットワーク同士はL2のブロードキャストドメインが異なり、MACアドレスはIP通信装置間で交換されない。よって、MACアドレスによるアドレス照合は機能しなくなり、所望の通信相手かを判断できなくなるという問題が生じる。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、IP電話通信におけるSIPサーバによる処理負荷を低減して制御遅延を防ぎ、かつ通信先のIPアドレスが変更された場合などにも正確に通信接続を完了させるIP電話通信装置、IP電話通信中継装置およびIP電話通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、IP電話通信による通信先である通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した通信要求を、電話番号に対応するIPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとネットワークを介して接続されたIP電話通信装置であって、電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部と、SIPサーバに通信先の電話番号を含む通信要求を送信し、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置と通信を行う第1のSIP通信制御部と、電話番号と、第1のSIP通信制御部がSIPサーバから受信する電話番号に対応するIPアドレスとを記憶部に記憶させるアドレス登録部と、通信先の電話番号が入力される入力部と、入力部に入力される電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、判定部が、電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されていると判定した場合、電話番号に対応するIPアドレスを記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して通信先IP電話通信装置と通信を行う第2のSIP通信制御部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上述の記憶部には、アドレス登録部によって電話番号とIPアドレスとが記憶された日時が記憶され、判定部は、入力部に入力される電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶された日時と現在日時とを比較して予め定められた期間が経過しているか否かを判定し、第1のSIP通信制御部は、判定部が予め定められた期間を経過していると判定した場合、SIPサーバに通信要求を送信することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述の判定部は、第2のSIP通信制御部が通信先IP電話通信装置に送信した通信要求に対する応答が通信エラーを示すものであるか否かを判定し、第1のSIP通信制御部は、応答が通信エラーを示すものであると判定した場合、SIPサーバに通信要求を送信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述の記憶部には、電源の供給が途絶えても記憶された電話番号とIPアドレスとが保持される不揮発性メモリが適用されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、入力される通信先IP電話通信装置の電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を送信するIP電話通信装置と、通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した通信要求を、電話番号に対応するIPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとに接続されたIP電話通信中継装置であって、電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部と、SIPサーバに、IP電話通信装置から受信する通信先の電話番号を含む通信要求を送信し、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置と通信を行う第1のSIP通信制御部と、電話番号と、SIPサーバから送信される電話番号に対応するIPアドレスとを記憶部に記憶させるアドレス登録部と、IP電話通信装置から受信する通信要求の通信先の電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、判定部が、電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されていると判定した場合、電話番号に対応するIPアドレスを記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して通信先IP電話通信装置と通信を行う第2のSIP通信制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、IP電話通信による通信先である通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した通信要求を、電話番号に対応するIPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとネットワークを介して接続され、電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部を備えたIP電話通信装置によるIP電話通信方法であって、第1のSIP通信制御部が、SIPサーバに通信先の電話番号を含む通信要求を送信し、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置と通信を行うステップと、アドレス登録部が、電話番号と、第1のSIP通信制御部がSIPサーバから受信する電話番号に対応するIPアドレスとを記憶部に記憶させるステップと、入力部に通信先の電話番号が入力されるステップと、判定部が、入力部に入力される電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されているか否かを判定するステップと、第2のSIP通信制御部が、判定部によって電話番号に対応するIPアドレスが記憶部に記憶されていると判定された場合、電話番号に対応するIPアドレスを記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して通信先IP電話通信装置と通信を行うステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、SIPサーバに通信先の電話番号を含む通信要求を送信し、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置と通信を行うIP電話通信装置が、電話番号と、SIPサーバを介して通信先IP電話通信装置から送信される電話番号に対応するIPアドレスとを自身の記憶部に記憶させ、入力される電話番号に対応するIPアドレスが自身の記憶部に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合、電話番号に対応するIPアドレスを記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して通信先IP電話通信装置と通信を行うようにしたので、SIPサーバを介して行う通信に基づいて取得したIPアドレスを自身の記憶部に記憶させ、自身の記憶部に対応するIPアドレスが記憶された電話番号を通信先とする通信要求は通信先IP電話通信端末のIPアドレスを通信先として通信を行うことが可能となり、SIPサーバを介さずに通信を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態によるIP電話通信システム1の構成を示すブロック図である。IP電話通信システム1は、発呼側の電話端末110が含まれるネットワークである加入者網100と、着呼側の電話端末210が含まれるネットワークである加入者網200と、加入者網100と加入者網200とを接続する通信キャリアのIPネットワークであるキャリアIP網300とを備えている。
【0013】
加入者網100は、電話端末110と、SIP−UA(User Agent)120と、回線終端装置140とを備えている。電話端末110は、電話番号の入力ボタンや受話器等を備える電話機である。SIP−UA120は、SIPに基づくIP電話通信の制御を行うIP電話装置であり、具体的にはTA(Terminal Adapter)などが適用できる。また、SIP−UA120には、予め定められた自身の電話番号とIPアドレスとが記憶されている。ここでは、SIP−UA120の電話番号は「0611111111」であり、IPアドレスは「10.1.1.1」であることとする。
【0014】
図2は、SIP−UA120の詳細な構成を示すブロック図である。SIP−UA120は、A/D信号変換装置121と、アドレス情報記憶部122と、通信制御部123と、通信モジュール130とを備えている。
A/D信号変換装置121は、電話端末110から送信されるアナログ信号をデジタル信号に変換して通信制御部123に出力し、また通信制御部123から出力されるデジタル信号をアナログ信号に変換して電話端末110に出力する。
【0015】
アドレス情報記憶部122には、電話番号とIPアドレスとが対応付けられた情報が含まれるアドレス情報が記憶される。また、アドレス情報記憶部122には、電源の供給が途絶えても記憶されたアドレス情報が保持される揮発性メモリが適用される。このようにすれば、停電等でSIP−UA120への電源が途絶えた場合でも、アドレス情報を保持することが可能となる。これにより、停電直後などにSIPサーバ320への一時的なアドレス解決の問い合わせが増加することを抑制することができる。図3は、アドレス情報記憶部122に記憶されるアドレス情報のデータ例を示す図である。アドレス情報は、項番と、通信先電話番号と、通信先IPアドレスと、登録日時と、発信回数と、最終通話日時とが対応付けられた情報を含む。
【0016】
項番は、アドレス情報記憶部122に記憶されたアドレス情報を識別する番号である。通信先電話番号は、電話番号を表す数字列である。通信先IPアドレスは、通話先電話番号に対応するIPアドレスである。登録日時は、アドレス情報記憶部122に対応する通信先電話番号が記憶された日時である。発信回数は、対応する通信先電話番号を通信要求先とした通信要求をSIP−UA120が発信した回数である。最終通話日時は、対応する通信先電話番号への通話を通信制御部123が行った最終の通話日時である。
【0017】
通信制御部123は、判定部124と、SIP通信制御部125と、アドレス登録部128と、電話通信部129とを備えており、SIP通信に基づくIP電話通信を行う。
判定部124は、A/D信号変換装置121が電話端末110から通信要求先の電話番号が含まれる通信要求を受信すると、通信要求先の電話番号に応じたIPアドレスがアドレス情報記憶部122に記憶されているか否かを判定する。また、判定部124は、通信要求先の電話番号に対応するアドレス情報の登録日時と現在日時とを比較し、登録日時と現在日時との差が予め定められた期間を超えているか否かを判定する。ここで、予め定められた期間とは、例えば、一ヶ月である。
【0018】
第1のSIP通信制御部126は、判定部124によって、通信要求先の電話番号がアドレス情報記憶部122に記憶されていないと判定された場合、または記憶されているが登録日時から定められた期間が経過していると判定された場合に、SIPサーバ320を宛先とする通信要求を送信し、SIPサーバ320を介したSIP通信を行って他の通信装置との通信接続を確立する。
【0019】
第2のSIP通信制御部127は、判定部124によって、通信要求先の電話番号がアドレス情報記憶部122に記憶されており、登録日時から定められた期間が経過していないと判定された場合には、その電話番号に対応するIPアドレスをアドレス情報記憶部122から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先とする通信要求をキャリアIP網300に送信する。このように、第2のSIP通信制御部127は、通信先の通信装置と直接にSIP通信を行って通信接続を確立する。
【0020】
電話通信部129は、第1のSIP通信制御部126または第2のSIP通信制御部127によって通信先の通信装置との通信接続が確立されると、通信先の通信装置との通話を開始する。電話通信部129は、例えば、RTP(Real-time Transport Protocol)メディアセッションによる音声の送受信を行う。
アドレス登録部128は、第1のSIP通信制御部125がSIPサーバ320を介してSIP通信を行った場合に、第1のSIP通信制御部125がSIPサーバ320を介して通信先のSIP−UA220から受信した電話番号とIPアドレスとの組み合わせをアドレス情報記憶部122に記憶させる。本実施形態では、アドレス登録部128は、SIPサーバ320を介して通信先のSIP−UA220から受信した通信接続の完了を示すSIPメッセージ(200 OK)中のContactアトリビュートから、通信先の電話番号とIPアドレスとの組み合わせを読み出し、アドレス情報記憶部122に記憶させる。なお、アドレス登録部128がアドレス情報記憶部122に記憶させるIPアドレスは、通信先のSIP−UA220から受信したSIPメッセージに含まれる情報に基づくIPアドレスであれば良く、例えば、SIPサーバ320を介して通信先のSIP−UA220から受信するSIPメッセージ(Ringing)などのContactアトリビュートから、通信先の電話番号とIPアドレスとの組み合わせを読み出すようにしても良い。
通信モジュール130は、回線終端装置140を介して他の通信装置との情報通信を行う。
【0021】
図1に戻り、回線終端装置140は、回線を介してキャリアIP網300と加入者網100とを接続する装置である。
キャリアIP網300は、加入者エッジルータ310と、SIPサーバ320と、加入者エッジルータ330とを備えている。
加入者エッジルータ310は、回線終端装置140とSIPサーバ320とを接続するルータである。
【0022】
SIPサーバ320は、受信するSIPメッセージの転送、SIPメッセージへの応答などの通信制御を行う。また、SIPサーバ320には、接続された加入者網に備えられるSIP−UAの電話番号とIPアドレスとが対応付けられたアドレス解決情報が予め記憶されており、アドレス解決処理を行う。
加入者エッジルータ330は、SIPサーバ320と回線終端装置240とを接続するルータである。
【0023】
加入者網200は、加入者網100と同様に、電話端末210と、SIP−UA220と、回線終端装置240とを備えている。加入者網200が備える各コンピュータ装置の機能は、加入者網100が備える各装置と同様である。また、SIP−UA220には、予め定められた自身の電話番号とIPアドレスとが記憶されている。ここでは、SIP−UA220の電話番号は「0622222222」であり、IPアドレスは「10.2.2.2」であることとする。
【0024】
次に、図4を参照して、本発明によるIP電話通信システム1がSIPに基づくIP電話通信を行う動作例を説明する。ここでは、図1におけるSIP−UA120が、SIPサーバ320を介してSIP−UA220とIP電話通信を行う例について説明する。
まず、電話端末110が、ユーザから入力される電話番号を受付けると、SIP−UA120に通信要求を送信する(ステップS1)。ここで、電話端末110に入力された通信要求先の電話番号は、SIP−UA220の電話番号である「0622222222」とする。アドレス登録部128は、SIP−UA120のA/D信号変換装置121が受信した通信要求の通信先を示す電話番号を通信先電話番号とするアドレス情報を、アドレス情報記憶部122に記憶させる(ステップS2)。この時点では、アドレス情報記憶部122に記憶されるアドレス情報の電話番号「0622222222」に対応する通信先IPアドレスの項目はnull状態(何も入力されていない状態)となる。
【0025】
判定部124は、ステップS1で送信された通信要求先の電話番号に対応するIPアドレスが、アドレス情報記憶部122に記憶されているか否かを判定する(ステップS3)。ここで、判定部124が、ステップS1で送信された通信要求先の電話番号に対応するIPアドレスが含まれるアドレス情報がアドレス情報記憶部122に記憶されていないと判定した場合(ステップS3:不一致)、第1のSIP通信制御部126が、通信モジュール130を介してSIPサーバ320にSIPに基づく通信要求を行う(ステップS4)。
【0026】
ここで、図5を参照して、SIP−UA120によるSIP通信のシーケンス例を説明する。
SIP−UA120の通信制御部123は、SIP−UA220の電話番号である「0622222222」を通信要求先の電話番号とする通信要求のSIPメッセージ(INVITE)を、SIPサーバ320に送信する(ステップS30)。この時点では、SIP−UA120のアドレス登録部128には、「0622222222」を通信先電話番号とするアドレス情報が記憶されているが、対応する通信先IPアドレスはnullとなっている。
【0027】
SIPサーバ320は、SIP−UA120から送信される通信要求のSIPメッセージ(INVITE)を受信すると、自身に予め記憶されたアドレス解決テーブルから、通信先電話番号「0622222222」に対応するIPアドレス「10.2.2.2」を読み出し、アドレス解決を行う。そして、SIPサーバ320は、SIP−UA120を通信要求元とし、SIP−UA220を通信要求先とする通信要求のSIPメッセージ(INVITE)を、SIP−UA220に送信する(ステップS31)。また、ここで、SIPサーバ320は、SIP−UA120に、通信要求が受信され処理されている旨のSIPの暫定レスポンス(100 Trying)を送信する(ステップS32)。
【0028】
SIP−UA220は、SIPサーバ320から送信されるSIPメッセージ(INVITE)を受信すると、SIPメッセージ(100Trying)をSIPサーバ320に送信する(ステップS33)。SIP−UA220は、通信要求に基づいて電話端末210の呼び出しを開始すると、呼び出し中であることを示すSIPメッセージ(180 Ringing)をSIPサーバ320に送信する(ステップS34)。SIPサーバ320は、SIP−UA220から送信されたSIPメッセージ(180 Ringing)を、SIP−UA120に転送する(ステップS35)。
【0029】
SIP−UA220のユーザによって、例えば電話端末210の受話器がとられオフフックされると、SIP−UA220は、SIPメッセージ(200 OK)を、SIPサーバ320に送信する(ステップS36)。SIPサーバ320は、SIP−UA220から受信したSIPメッセージ(200 OK)を、SIP−UA120に転送する(ステップS37)。ここで、SIP−UA120のアドレス登録部128は、ステップS37で受信したSIPメッセージ(200 OK)のヘッダに含まれるSIP−UA220のIPアドレス(10.2.2.2)を読み出し、アドレス情報記憶部122に記憶させる。
【0030】
SIP−UA120は、SIPサーバ320から転送されたSIPメッセージ(200 OK)を受信すると、SIPサーバ320にSIPメッセージ(ACK)を送信し(ステップS38)、SIPサーバ320は、SIP−UA120から受信したSIPメッセージ(ACK)をSIP−UA220に転送する(ステップS39)。ここで、SIP−UA220のアドレス情報記憶部には、ステップS39で受信したSIPメッセージ(ACK)のヘッダに含まれるSIP−UA120の電話番号(0611111111)とIPアドレス(10.1.1.1)とが記憶される。そして、SIP−UA120とSIP−UA220とは、RTPメディアセッションによるIP電話通信を開始する(ステップS40)。
【0031】
図4に戻り、ステップS4で第1のSIP通信制御部126がSIPに基づく通信処理を開始すると、アドレス登録部128は、アドレス情報記憶部122の記憶容量にアドレス情報を記憶させる空きがあるか否かを判定する(ステップS5)。ここで、アドレス登録部128が、アドレス情報記憶部122に空きがないと判定すると(ステップS5:NO)、アドレス情報記憶部122に記憶されているアドレス情報のうち、登録日時が古い定められた件数のアドレス情報のうち、発信回数が少ないアドレス情報をアドレス情報記憶部122から検索して読み出す(ステップS6)。そして、アドレス登録部128は、読み出したアドレス情報をアドレス情報記憶部122から削除する(ステップS7)。このように、アドレス情報記憶部122に記憶されるアドレス情報は大量のデータになる場合があるため、記憶容量にアドレス情報を追加する空きがなくなった場合には、古いアドレス情報を削除して新たに利用された電話番号を含むアドレス情報を記憶させる。これにより、アドレス情報記憶部122に記憶された利用頻度の低いアドレス情報は削除しつつ、利用頻度が高いと想われるアドレス情報を記憶させておくことができる。ここで、削除する対象の選別条件は、任意に変更して良い。
【0032】
ステップS7の終了後、またはステップS5でアドレス登録部128がアドレス情報記憶部122の記憶容量にアドレス情報を記憶させる空きがあると判定した場合、SIP−UA120がSIP−UA220から受信するSIPメッセージ(200 OK)から、SIP−UA220の電話番号とIPアドレスとを読み出し(ステップS8)、アドレス情報記憶部122に記憶させる(ステップS9)。ここで、アドレス登録部128は、SIPメッセージのヘッダ部にあるContactアトリビュートから、着呼側のSIP−UA220の電話番号とIPアドレスとを読み出すことができる。図6は、SIPメッセージ(INVITE)のデータ例であり、(a)の箇所がContactアトリビュートである。ここで、Contactアトリビュートのデータ形式は、「Contact:<sip:電話番号@IPアドレス>」の形式であることとする。そして、SIPサーバ320を介したSIP通信によりSIP−UA120とSIP−UA220との通信が確立すると、電話通信部129が、RTPメディアセッションによるIP電話通信を開始する(ステップS20)。
【0033】
一方、ステップS3で、判定部124が、ステップS1で送信された通信要求先の電話番号に一致し、対応するIPアドレスが記憶されたアドレス情報がアドレス情報記憶部122に記憶されていると判定した場合(ステップS3:一致)、判定部124は、一致したアドレス情報を読み出す。判定部124は、読み出したアドレス情報に含まれる登録日時と現在日時とを比較し、登録日時から現在までの経過時間を算出し(ステップS10)、経過時間が予め定められた期間を超えているか否かを判定する(ステップS11)。
【0034】
判定部124が、経過時間が予め定められた期間を超えていると判定すると(ステップS11:超過)、アドレス登録部128は、経過時間が予め定められた期間を超えていると判定されたアドレス情報をアドレス情報記憶部122から削除する(ステップS12)。そして、ステップS4に進み、第1のSIP通信制御部126がSIPサーバ320を介した通信要求を行う。
【0035】
一方、ステップS11で、判定部124が、経過時間が予め定められた期間を超えていないと判定すると(ステップS11:未超過)、第2のSIP通信制御部127は通信要求先の電話番号に対応するIPアドレス(10.2.2.2)を読み出す。第2のSIP通信制御部127は、読み出したIPアドレスを宛先として通信要求を送信し、IP通信を行うことが可能か否かを判定する(ステップS13)。第2のSIP通信制御部127が、IPアドレス(10.2.2.2)を宛先とした通信要求に対する応答がなく、IP通信ができないと判定すると(ステップS13:不可)、接続要求をタイムアウトし(ステップS14)、ステップS4に進む。
【0036】
一方、S13で、第2のSIP通信制御部127が、送信した通信要求の応答を受信し、IP通信を行うことが可能であると判定すると(ステップS13:可)、SIP−UA120は、SIP−UA220に通信要求を送信し、SIPに基づく通信処理を行う(ステップS15)。ここでは、SIP−UA120の第2のSIP通信制御部127が、SIP−UA220を宛先とする通信要求のSIPメッセージ(INVITE)を送信し、SIP−UA220からの応答であるSIPメッセージを受信する(ステップS16)。
【0037】
SIP−UA120がSIP−UA220から受信した応答のSIPメッセージが、SIP−UA220が正常に通信要求を受信したことを示すSIPメッセージ(100 Trying)である場合(ステップS16:100 Trying)のシーケンス例を、図7に示す。第2のSIP通信制御部127は、通信先の電話番号に対応するIPアドレス(10.2.2.2)をアドレス情報記憶部122から読み出すと(ステップS50)、読み出したSIP−UA220のIPアドレスを通信先とする通信要求のSIPメッセージ(INVITE)をSIP−UA220に送信する(ステップS51)。
【0038】
SIP−UA220は、SIP−UA120に、通信要求を受信したことを示すSIPメッセージ(100 Trying)を送信する(ステップS52)。また、SIP−UA220は、電話端末210の呼び出しを開始すると、SIPメッセージ(180 Ringing)をSIPサーバ320に送信する(ステップS53)。SIP−UA220のユーザが、例えば電話端末210の受話器をとると、SIP−UA220は、SIPメッセージ(200 OK)を、SIP−UA120に送信する(ステップS54)。SIP−UA120は、SIPメッセージ(200 OK)を受信すると、SIP−UA220にSIPメッセージ(ACK)を送信する(ステップS55)。そして、SIP−UA120とSIP−UA220とは、RTPメディアセッションによるIP電話通信を開始する(ステップS56)。
【0039】
図4に戻り、通信制御部123がSIPサーバ320から送信される応答のSIPメッセージ(200 OK)を受信すると、アドレス登録部128が、アドレス情報記憶部122に記憶された発信回数をカウントアップする(ステップS17)。そして、通信制御部123が、SIP通信に基づくSIP−UA220との通信接続を確立すると、電話通信部129が、RTPメディアセッションによるIP電話通信を開始する(ステップS20)。
【0040】
一方、ステップS16で、SIP−UA120がSIP−UA220から受信したSIPメッセージが、SIP−UA220が正常に通信要求を受信しなかったことを示すSIPメッセージ(4xx Client error)である場合(ステップS16:4xx Client)のシーケンス例を、図8に示す。SIP−UA120から送信した通信要求のSIPメッセージ(INVITE)(ステップS60)に対し、SIP−UA220からエラーを示すSIPメッセージ(4xx Client error)を受信した場合には(ステップS61)、SIP−UA120は、SIP通信をキャンセルすることを示すSIPメッセージ(SIP CANCEL)を、SIP−UA220に送信する(ステップS62)。
【0041】
図4に戻り、第2のSIP通信制御部127は、SIP−UA220にSIP通信をキャンセルすることを示すSIPメッセージ(SIP CANCEL)を送信し、セッションを明示的に開放する(ステップS18)。アドレス登録部128が応答しないIPアドレスを含むアドレス情報をアドレス情報記憶部122から削除すると(ステップS19)、ステップS4に進む。
【0042】
このように、本実施形態によれば、SIP−UA120の第1のSIP通信制御部126によってSIPサーバ320を介してIP電話通信が行われた場合、通信先の電話番号がアドレス情報記憶部122に記憶され、以降のSIP通信はアドレス情報記憶部122に記憶されたIPアドレスに基づいて、SIPサーバ320を介さずにSIP−UA120とSIP−UA220との間で直接行うことが可能となる。これにより、SIP−UA120から送信されるアドレス解決要求を含むSIP通信を抑制し、SIPサーバ320の処理負荷を軽減するとともに、制御遅延を防ぐことが可能となる。また、SIPサーバ320が故障してアドレス解決を行えない場合にも、アドレス情報記憶部122に記憶されたIPアドレスを宛先とする通信を行うことができ、可用性が向上する。また、このようにSIPサーバ320の処理負荷を下げることで、設備量を抑制して通話に伴う設備費を低減し、通話料を削減してユーザメリットを高めることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、アドレス情報記憶部122に記憶されたアドレス情報が、その登録日時から一定期間が経過していた場合にはそのアドレス情報を削除し、新たにSIPサーバ320を介したSIP通信を行って取得するIPアドレスを、アドレス情報記憶部122に記憶させるようにしたので、アドレス情報記憶部122に記憶されたアドレス情報を一定期間毎に新たな情報に書き換えることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、SIP−UA120からSIP−UA220に直接SIP通信を行い通信エラーとなった場合にはそのアドレス情報を削除し、新たにSIPサーバ320を介したSIP通信を行って取得するIPアドレスを、アドレス情報記憶部122に記憶させるようにしたので、ネットワーク網内のNAT(Network Address Translation)、NAPT(Network Address Port Translation)機能などによるIPアドレスやポート番号の書き換えや、中継装置の移転や廃止などが行われている場合にも、SIPサーバ320を介して最新のIPアドレスを取得して通信を行い、かつアドレス情報記憶部122に記憶された情報を最新の情報に書き換えることが可能となる。
【0045】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、電話端末110と回線終端装置140とを接続するTA等のSIP−UA120に、アドレス情報記憶部122と通信制御部123との機能が備えられることとしたが、これらの機能は、回線終端装置140や加入者エッジルータ310等が備えるようにしても良い。第2の実施形態では、回線終端装置140が本機能を備えることとした場合のIP電話通信システムについて説明する。図9は、本発明の第2の実施形態による回線終端装置140の構成を示すブロック図である。回線終端装置140は、SIP−UA120と接続される通信モジュール141と、加入者エッジルータ310に接続される通信モジュール150と、アドレス情報記憶部142と、通信制御部143とを備えている。アドレス情報記憶部142と通信制御部143とは、第1の実施形態におけるSIP−UA120が備えるアドレス情報記憶部122、通信制御部123と同様の機能を有する。
【0046】
図10は、第2の実施形態によるIP電話通信システム1の動作例を示す図である。まず、電話端末110が、ユーザから入力される電話番号を受付けると(ステップS101)、SIP−UA120が、SIPサーバ320を宛先とする通信要求を送信する(ステップS102)。回線終端装置140は、SIP−UA120からSIPサーバ320に送信される通信要求を取得し(ステップS103)、アドレス登録部148が、アドレス情報記憶部142に通信要求に含まれる通信先の電話番号を記憶させる(ステップS104)。以下、回線終端装置140によるステップS105〜ステップS110の処理は、第1の実施形態におけるSIP−UA120によるステップS3〜ステップS9までの処理と同様である。図11は、SIP−UA120が、回線終端装置140とSIPサーバ320とを介して行うSIP通信のシーケンスを示す図である。
【0047】
図10におけるステップS111〜ステップS113の処理は、第1の実施形態におけるステップS10〜ステップS12の処理と同様であるが、ステップS112で、判定部124が、経過時間が予め定められた期間を超えていないと判定すると(ステップS112:未超過)、通信制御部123は、SIP−UA220のIPアドレスを通信先とする通信要求をSIP−UA120にリダイレクトする(ステップS114)。SIP−UA120は、リダイレクトされた通信要求を、SIP−UA220に送信する(ステップS115)。図12は、回線終端装置140が通信要求のリダイレクトを行う場合のシーケンス例を示す図である。以下、図10におけるステップS116以降の処理は、第1の実施形態におけるステップS16以降の処理と同様である。
【0048】
ここで、このように回線終端装置140がリダイレクトしてSIP−UA120とSIP−UA220とがP2PでSIP通信を行う場合、SIPヘッダのfromメッセージが端末側で書き換えられる等によりアドレス詐称が行われる可能性が考えられる。この対策として、例えば、TA等のSIP−UAに設定される電話番号、IPアドレスなどの設定情報は、キャリアIP網からの制御情報によらなければ書き換えられないように構成する。あるいは、対策として、SIP−UAに記憶された設定情報はユーザが書き換えられるが、キャリアIP網側に登録しないとIP電話通信システムに参加できないようにし、INVITEを送信するSIP−UAの正当性をキャリアIP網側で確認できるように構成する。
【0049】
<第3の実施形態>
IP電話通信システム1のネットワークに複数のキャリアIP網が存在し、複数のキャリアIP網をまたいだIP電話通信を行う場合、キャリアIP網と他のキャリアIP網との間に接続されることの多いSBC(Session Border Controller)に、第2の実施形態において説明した回線終端装置140が備えるアドレス情報記憶部142と通信制御部143との各機能部を備えるようにしても良い。図13は、A通信事業者網1300と、B通信事業者網1400とが、それぞれ備えるSBC1350と、SBC1450とにより接続される例を示す図である。
【0050】
SBCとは、異なるIP電話網間の境界に設置される装置である。SBCは、一般的に、IP電話網のアドレス体系や管理条件などが一致していないIP電話網間の接続において、これらの網間差分の吸収と隠蔽等を行い、相手側の網を意識しないIP電話網の運用を可能とするものである。SBCの具体的な機能としては、アドレス変換機能(NAT(NAPT)機能、ALG(Application level Gateway)機能)、ファイヤーウォール機能が挙げられる。NAT(NAPT)機能は、IPレイヤのIPアドレスおよびポート番号の変換を行う機能である。ここで、SIPプロキシのIPアドレスおよびポート番号は静的に事前にNATテーブルに格納され、その他の端末のIPアドレスおよびポート番号は動的に変更される。ALG機能は、IPレイヤの上位のアプリケーションレイヤにおいて、IPパケットのペイロードに記載されるIPアドレスおよびポート番号の変換を行う。SIPでは、IPパケットのペイロード(ヘッダ以降のメッセージ本文)中のSIPメッセージのContactアトリビュート等に記載されるIPアドレスおよびポート番号を変換する。
【0051】
また、番号ポータビリティ等を考慮すると、他網ユーザが自網に戻ってきた場合にも、実装によってはアドレス情報記憶部142に記憶されたアドレス情報に基づくSIP通信はSBC経由となり、SBCの負荷が懸念される。このため、第1の実施形態および第2の実施形態で示したように、記憶されたアドレス情報毎に登録日時を記録し、一定時間が超過した場合にはアドレス情報を削除するように構成する。
【0052】
図13に示すように、SIP−UA1120が、電話端末1210を宛先とするINVITEパケットをSIPプロキシ1320に送信する(ステップS160)。SIPプロキシ1320は、自プロキシで管理しない電話番号を宛先とするINVITEパケットを受信した場合は、番号管理DBに電話番号に対応するIPアドレスを問い合わせる(ステップS162、ステップS161)。
【0053】
SIPプロキシ1320は、ステップS161で読み出したIPアドレスを宛先とするINVITEパケットを、SBC1450に送信する(ステップS163)。この際、SBC1350は、送信されるIPパケットのNAT変換を行う(ステップS164)。また、SBC1350は、IPパケットの発側のIPペイロードに記載されたIPアドレスおよびポート番号を変換し、ALGテーブルに記憶させる(ステップS165)。
【0054】
SBC1450は、SBC1350を経由して送信されるINVITEパケットをNAT変換し(ステップS166)、SIPプロキシ1420に転送する。SIPプロキシ1420は、受信したINVITEパケットの宛先のSIP−UA1220に、INVITEパケットを送信する(ステップS168)。SIP−UA1220は、受信したINVITEパケットの応答を送信する(ステップS169)。なお、SIP−UA1220から送信される応答パケットは、SBC1450によるNAT処理とALG処理とが行われる(ステップS170)。
【0055】
セッション確立後は、SIP−UA1120は、B通信事業者網1400でALG変換されたContantアトリビュート宛にRTPパケットを送信する(送信先:10.56.1.2:5666)(ステップS171)。SBC1450は、SIP−UA1120から送信されるRTPパケットを受信すると、自身のALGテーブルで管理されているSIP−UA1220のIPアドレスおよびポート番号を参照し、送信先のIPアドレスおよびポート番号としてSIP−UA1220にRTPパケットを送信する(ステップS172)。SIP−UA1220がSIP−UA1120に送信するRTPパケットも同様に、A通信事業者網1300でALG変換されたContantアトリビュート宛にRTPパケットを送信し、RTP通信を行う。
【0056】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりIP電話通信を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0057】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態によるIP電話通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるSIP−UA120の端末構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるアドレス情報記憶部に記憶されるアドレス情報のデータ例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるIP電話通信システムの動作例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるIP電話通信システムのSIP通信を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるSIPヘッダの例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるIP電話通信システムのSIP通信を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるIP電話通信システムのSIP通信を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第2の実施形態による回線終端装置の端末構成を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態によるIP電話通信システムの動作例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態によるIP電話通信システムのSIP通信を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の第2の実施形態によるIP電話通信システムのSIP通信を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第2の実施形態による機能をSBCに適用する例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 IP電話通信システム
100 加入者網
110 電話端末
120 SIP−UA
121 A/D信号変換装置
122 アドレス情報記憶部
123 通信制御部
124 判定部
125 SIP通信制御部
126 第1のSIP通信制御部
127 第2のSIP通信制御部
128 アドレス登録部
129 電話通信部
130 通信モジュール
140 回線終端装置
141 通信モジュール
142 アドレス情報記憶部
143 通信制御部
144 判定部
145 SIP通信制御部
146 第1のSIP通信制御部
147 第2のSIP通信制御部
148 アドレス登録部
150 通信モジュール
200 加入者網
210 電話端末
220 SIP−UA
240 回線終端装置
300 キャリアIP網
310 加入者エッジルータ
320 SIPサーバ
330 加入者エッジルータ
1100 加入者網
1110 電話端末
1120 SIP−UA
1200 加入者網
1210 電話端末
1220 SIP−UA
1300 A通信事業者網
1320 SIPプロキシ
1350 SBC
1420 SIPプロキシ
1400 B通信事業者網
1450 SBC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP電話通信による通信先である通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、前記電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した前記通信要求を、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとネットワークを介して接続されたIP電話通信装置であって、
前記電話番号と前記IPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部と、
前記SIPサーバに通信先の電話番号を含む前記通信要求を送信し、前記SIPサーバを介して前記通信先IP電話通信装置と通信を行う第1のSIP通信制御部と、
前記電話番号と、前記第1のSIP通信制御部が前記SIPサーバから受信する前記電話番号に対応する前記IPアドレスとを前記記憶部に記憶させるアドレス登録部と、
通信先の電話番号が入力される入力部と、
前記入力部に入力される前記電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されていると判定した場合、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを前記記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して前記通信先IP電話通信装置と通信を行う第2のSIP通信制御部と、
を備えることを特徴とするIP電話通信装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記アドレス登録部によって前記電話番号と前記IPアドレスとが記憶された日時が記憶され、
前記判定部は、前記入力部に入力される前記電話番号に対応する前記IPアドレスが前記記憶部に記憶された前記日時と現在日時とを比較して予め定められた期間が経過しているか否かを判定し、
前記第1のSIP通信制御部は、前記判定部が前記予め定められた期間を経過していると判定した場合、前記SIPサーバに前記通信要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載のIP電話通信装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第2のSIP通信制御部が前記通信先IP電話通信装置に送信した前記通信要求に対する応答が通信エラーを示すものであるか否かを判定し、
前記第1のSIP通信制御部は、前記応答が通信エラーを示すものであると判定した場合、前記SIPサーバに前記通信要求を送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIP電話通信装置。
【請求項4】
前記記憶部には、電源の供給が途絶えても記憶された前記電話番号と前記IPアドレスとが保持される不揮発性メモリが適用される
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のIP電話通信装置。
【請求項5】
入力される通信先IP電話通信装置の電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を送信するIP電話通信装置と、前記通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、前記電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した前記通信要求を、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとに接続されたIP電話通信中継装置であって、
前記電話番号と前記IPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部と、
前記SIPサーバに、IP電話通信装置から受信する前記通信先の電話番号を含む前記通信要求を送信し、前記SIPサーバを介して前記通信先IP電話通信装置と通信を行う第1のSIP通信制御部と、
前記電話番号と、前記SIPサーバから送信される前記電話番号に対応する前記IPアドレスとを前記記憶部に記憶させるアドレス登録部と、
IP電話通信装置から受信する前記通信要求の前記通信先の電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されていると判定した場合、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを前記記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して前記通信先IP電話通信装置と通信を行う第2のSIP通信制御部と、
を備えることを特徴とするIP電話通信中継装置。
【請求項6】
IP電話通信による通信先である通信先IP電話通信装置の電話番号とIPアドレスとが対応付けられて記憶され、前記電話番号を通信先とするSIPに基づく通信要求を受信し、受信した前記通信要求を、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを通信先として送信しSIP通信を中継するSIPサーバとネットワークを介して接続され、前記電話番号と前記IPアドレスとが対応付けられて記憶される記憶部を備えたIP電話通信装置によるIP電話通信方法であって、
第1のSIP通信制御部が、前記SIPサーバに通信先の電話番号を含む前記通信要求を送信し、前記SIPサーバを介して前記通信先IP電話通信装置と通信を行うステップと、
アドレス登録部が、前記電話番号と、前記第1のSIP通信制御部が前記SIPサーバから受信する前記電話番号に対応する前記IPアドレスとを前記記憶部に記憶させるステップと、
入力部に通信先の電話番号が入力されるステップと、
判定部が、前記入力部に入力される前記電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定するステップと、
第2のSIP通信制御部が、前記判定部によって前記電話番号に対応するIPアドレスが前記記憶部に記憶されていると判定された場合、前記電話番号に対応する前記IPアドレスを前記記憶部から読み出し、読み出したIPアドレスを通信先として通信要求を送信して前記通信先IP電話通信装置と通信を行うステップと、
を備えることを特徴とするIP電話通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−147690(P2010−147690A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321339(P2008−321339)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】