LED発光素子及び照明装置
【課題】製造工数や製造コストを低減可能なLED発光素子を提供する。
【解決手段】駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板とを備えたLED発光素子であって、配線基板には、LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されている。
【解決手段】駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板とを備えたLED発光素子であって、配線基板には、LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電流の供給により発光するLEDチップを用いたLED発光素子及びLED発光素子を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップを用いたLED発光素子は、さまざまな照明装置や表示装置などの光源として従来より広く用いられている。また、赤色LED発光素子、緑色LED発光素子及び青色LED発光素子のように、発光色の異なるLEDチップを採用した複数のLED発光素子を組み合わせ、各LED発光素子に供給される駆動電流を調整することにより、各LED発光素子から発せられた光を合成することによって所望の白色光を得るようにした発光装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、LEDチップが発する光を蛍光体によって波長変換してから放射するようにしたLED発光素子が開発され、このようなLED発光素子を組み合わせた発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2の発光装置では、青色LEDチップを用いて青色光を発する青色LED発光素子と、青色LEDチップが発した青色光により励起されて緑色光を発する緑色蛍光体を青色LEDチップに組み合わせた緑色LED発光素子と、青色LEDチップが発した青色光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体を青色LEDチップに組み合わせた赤色LED発光素子とが用いられている。そして、これらの青色LED発光素子、緑色LED発光素子及び赤色LED発光素子がそれぞれ発する光の合成によって優れた演色性を確保すると共に、各発光ユニットの光出力を調整することにより発光装置の発光色を多彩に変化させることができるようになっている。
【0004】
また、このように青色LED発光素子、緑色LED発光素子及び赤色LED発光素子がそれぞれ発する光の合成によって白色光を得る発光装置に代え、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を混合して形成された波長変換部材でLED発光素子が発する光を波長変換することにより、所望の白色光を得るようにした発光装置が特許文献3に開示されている。この発光装置では、近紫外光を発する近紫外LEDチップと、この近紫外LEDチップが発する近紫外光を所望の白色光に波長変換するように赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が組み合わされた波長変換部材とを組み合わせて発光モジュールが形成される。
【0005】
この発光モジュールでは、配線基板上に円錐台状のリフレクタが設けられ、このリフレクタ内が仕切り部材によって2つの領域に分割されている。そして、2つの領域のそれぞれに対し、複数のLEDチップが配置されると共に波長変換部材が設けられる。2つの領域の波長変換部材は、それぞれ波長変換特性が異なり、一方の波長変換領域から放射される白色光の色温度と、他方の波長変換領域から放射される白色光の色温度とが相違するようになっている。また、配線基板には、各LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成され、この配線パターンに外部接続用のランドが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−4839号公報
【特許文献2】特開2007−122950号公報
【特許文献3】国際公開第2009/063915号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにして構成された発光モジュールを照明装置などに用いる場合、発光モジュールをリフロー方式のハンダ付けなどによりベース基板に装着し、このベース基板を照明装置のケーシングや放熱板など、照明装置側の部材に取付固定するようにしている。このため、発光モジュールをベース基板に装着する工程と、ベース基板を照明器具などに取付固定する工程との2つの工程が必要となる。また、照明器具などを構成する上で必要となる部材も、発光モジュールを構成するための配線基板と、発光モジュールを装着するためのベース基板との2つの部材が必要となる。LED発光素子を用いた照明器具などの製造コストや部品コストを低減するための1つの方策として、このようなLED発光素子の組み付けに関わる製造工数や部材数の低減が求められている。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造工数や部品コストを低減可能なLED発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のLED発光素子は、駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、前記LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、前記LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板とを備えたLED発光素子であって、前記配線基板には、前記LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成されたLED発光素子によれば、配線基板に形成された挿入部に貫通部材を挿入し、この貫通部材を用いることにより、LED発光素子が、このLED発光素子を保持するための部材である相手側部材に固定される。
【0011】
このようなLED発光素子において、前記貫通部材は、前記LED発光素子を前記相手側部材に対して機械的に締結する貫通型機械的締結部材であってもよい。
【0012】
また、LED発光素子は、前記配線基板に形成された前記凹部に収容され、前記LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する波長変換部材を更に備えていてもよい。この場合、凹部内に収容されたLEDチップが発した光の少なくとも一部は、この凹部内に収容された波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が波長変換部材から放射される。
【0013】
このようなLED発光素子において、前記配線基板の材質はセラミックであってもよい。
【0014】
このようなLED発光素子において、前記配線パターンは、前記配線基板の表面側のみに形成されていてもよい。
【0015】
また、LED発光素子は、前記配線基板の前記表面側に、外部接続用ランドを更に備えていてもよい。
【0016】
このようなLED発光素子において、前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板を貫通する貫通孔であってもよい。
【0017】
或いは、前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板の縁部に形成された切り欠きであってもよい。
【0018】
LED発光素子の具体的構成として、前記配線基板に形成された前記凹部は、第1凹部と第2凹部とに区分され、前記LEDチップは、前記第1凹部内に実装される少なくとも1個の第1LEDチップと、前記第2凹部内に実装される少なくとも1個の第2LEDチップとからなるようにしてもよい。
【0019】
より具体的な構成として、LED発光素子は、前記第1凹部に収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、前記第2凹部に収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材とを更に備えていてもよい。
【0020】
LED発光素子がこのように構成される場合、第1凹部内に収容された第1LEDチップが発した光の少なくとも一部は、この第1凹部内に収容された第1波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第1波長変換部材から放射される。一方、第2凹部内に収容された第2LEDチップが発した光の少なくとも一部は、この第2凹部内に収容された第2波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第2波長変換部材から放射される。そして、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とが合成されてLED発光素子から放射される。
【0021】
更に具体的には、このようなLED発光素子において、前記第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射するようにしてもよい。
【0022】
この場合、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とを合成することにより、第1色温度と異なる第2色温度との間の色温度の白色光が得られる。また、第1LEDチップのみを発光させれば第1色温度の白色光が得られ、第2LEDチップのみを発光させれば第2色温度の白色光が得られる。
【0023】
配線基板に第1凹部と第2凹部とを設ける場合、前記配線基板における前記第1凹部の開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部の開口形状とは実質的に同一であるのが好ましい。
【0024】
また、LED発光素子の具体的構成として、前記配線基板に形成された前記凹部は、複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分され、前記第1凹部と前記第2凹部とが交互に配列されており、前記LEDチップは、前記第1凹部のそれぞれに実装される第1LEDチップと、前記第2凹部のそれぞれに実装される第2LEDチップとからなるようにしてもよい。
【0025】
より具体的な構成として、LED発光素子は、前記第1凹部のそれぞれに収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、前記第2凹部のそれぞれに収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材とを更に備えていてもよい。
【0026】
LED発光素子がこのように構成される場合、複数の第1凹部内のそれぞれに収容された第1LEDチップが発した光の少なくとも一部は、それぞれの第1凹部内に収容された第1波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第1波長変換部材から放射される。一方、複数の第2凹部内のそれぞれに収容された第2LEDチップが発した光の少なくとも一部は、それぞれの第2凹部内に収容された第2波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第2波長変換部材から放射される。そして、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とが合成されてLED発光素子から放射される。
【0027】
更に具体的には、このようなLED発光素子において、前記第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射するようにしてもよい。
【0028】
この場合、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とを合成することにより、第1色温度と異なる第2色温度との間の色温度の白色光が得られる。また、第1LEDチップのみを発光させれば第1色温度の白色光が得られ、第2LEDチップのみを発光させれば第2色温度の白色光が得られる。
【0029】
配線基板に複数の第1凹部と複数の第2凹部とを設ける場合も、前記配線基板における前記第1凹部のそれぞれの開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部のそれぞれの開口形状とは実質的に同一であるのが好ましい。
【0030】
また、LED発光素子の配線基板は、前記配線基板を貫通すると共に、前記配線基板に形成された前記配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有していてもよい。この場合、外部との配線が金属端子部材を介して行われる。
【0031】
具体的には、前記金属端子部材が、前記配線基板において前記凹部が形成された面から突出するように設けられていてもよいし、前記凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように設けられていてもよい。或いは、前記金属端子部材が、前記配線基板において前記凹部が形成された面及びその反対側の面からそれぞれ突出するように設けられていてもよい。
【0032】
上述したようなLED発光素子は、照明装置に用いることが可能である。この場合、LED発光素子は、前記挿入部を介して前記貫通部材により照明装置に固定される。
【0033】
上述した照明装置において、LED発光素子が固定される相手側部材は、前記LEDチップが発した熱を雰囲気中に放出するための放熱部材、または前記放熱部材に前記LEDチップが発した熱を伝える伝熱部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のLED発光素子によれば、配線基板に形成されている挿入部に挿入した貫通部材を用い、LED発光素子を相手側部材に直接固定することができる。従って、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板のほかにLED発光素子を取り付けるためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0035】
また、配線基板に設けられた凹部内にLEDチップを収容するようにしており、LEDチップを収容するために従来のリフレクタなどのような部材を別途準備する必要がなくなるので、この点でも製造工数や部品コストを低減することが可能となる。更に、例えばLEDチップに波長変換部材や光学レンズなどを組み合わせて用いる場合、凹部内にLEDチップを収容することで、波長変換部材や光学レンズなどの設置が容易となる。
【0036】
上述したように、本発明のLED発光素子は、部品コスト等が低減され、且つ高い熱伝導性も有しているため、単一光源として大型化を容易に図ることができる。
【0037】
更に、配線パターンが配線基板の内部には形成されず、配線基板の表面側のみに形成されている場合には、LEDチップから放射される光が配線基板内部で吸収されることがなくなり、LED発光素子の輝度の向上を図ることができる。
【0038】
また、LED発光素子を相手側部材に対して強固且つ機械的に締結する貫通型機械的締結部材を貫通部材として用いる場合、LED発光素子が相手側部材から容易に外れなくなる。すなわち、外部からLED発光素子に不要な力が加わった場合においても、LED発光素子が相手側部材から容易に外れることが無くなる。
【0039】
更に、貫通型機械的締結部材は、配線基板を相手側部材に強固に締結固定することができるため、接着剤等の固着部材が不要となる。したがって、熱伝導性が低い固着部材を用いることが不要となり、LED発光素子自体の熱伝導性の低下が抑制される。また、配線基板を相手側部材に強固に締結固定することができるため、配線基板がたわまず、配線基板と相手側放熱部材・伝熱部材との熱コンタクトが良くなる。これらにより、LEDチップが発した熱を、相手側部材を通じて、効率よく外部に放熱することができる。
【0040】
また、凹部を第1凹部と第2凹部とに区分し、第1凹部内に第1LEDチップを実装すると共に、第2凹部内に第2LEDチップを実装するようにした場合、例えば第1LEDチップと第2LEDチップとを異なる発光特性としたり、第1LEDチップと第2LEDチップとで異なる波長変換特性の波長変換部材を組み合わせたりすることが可能となる。
【0041】
特に、凹部を複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分し、第1凹部と第2凹部とを交互に配列すれば、このように第1LEDチップと第2LEDチップとを異なる発光特性としたり、第1LEDチップと第2LEDチップとで異なる波長変換特性の波長変換部材を組み合わせたりした場合に、2種類のLEDチップ、或いは2種類の波長変換部材からそれぞれ放射される光の合成を良好に行うことが可能となる。
【0042】
より具体的には、第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材を第1凹部に収容すると共に、第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材を第2凹部に収容した場合、第1波長変換部材及び第2波長変換部材からそれぞれ放射された光を合成した光を得ることができる。
【0043】
この際、上述したように、凹部を複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分し、第1凹部と第2凹部とを交互に配列すれば、このように第1波長変換部材及び第2波長変換部材からそれぞれ放射された光を合成する場合に、合成をより一層良好に行うことが可能となる。
【0044】
特に、第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、第2波長変換部材が第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射する場合は、第1色温度から第2色温度までの間の色温度の白色光をLED発光素子から放射させることが可能となる。
【0045】
また、配線基板に第1凹部と第2凹部とを設ける場合に、配線基板における第1凹部の開口形状と、配線基板における第2凹部の開口形状とを実質的に同一とすれば、上述のようにして2つの光を合成して放射する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことが可能となる。
【0046】
LEDチップが発する熱によってLED発光素子の温度が過度に上昇すると、LED発光素子の発光特性の悪化や、LEDチップをはじめとする構成部材に劣化などが生じるおそれがある。そこで、LEDチップが発する熱を適切に外部の雰囲気中に放出する必要があり、そのための放熱部材が用いられる場合がある。このような場合、上述したLED発光素子においては、挿入部に挿入した貫通部材により容易にLED発光素子を放熱部材自体或いは放熱部材に熱を伝える伝熱部材に固定することができる。特に、この放熱部材の使用は、複数のLEDチップを用いて発熱量が増大するような場合に有効である。
【0047】
LED発光素子の配線基板が、配線基板を貫通すると共に、配線基板に形成された配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有する場合、この金属端子部材を介して外部との配線を行うことができるので、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。
【0048】
この金属端子部材が、配線基板において凹部が形成された面から突出するように設けられている場合、LED発光素子を相手側部材に固定した後に、外部との配線を容易にLED発光素子に接続することができる。また、LED発光素子にレンズなどの光学デバイスを組み合わせる場合に、金属端子部材をスペーサとして代用することが可能となる。
【0049】
一方、配線基板において凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように金属端子部材を設けた場合、例えば相手側部材にこの金属端子部材を受容するコネクタなどを設ければ、相手側部材へのLED発光素子の装着と、電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。
【0050】
本発明のLED発光素子を照明装置に用いた場合には、照明装置において上述したようなLED発光素子の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED発光素子の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のLED発光素子の平面図である。
【図3】図2中におけるIII−III線に沿うLED発光素子の断面図である。
【図4】図3に示すLED発光素子の断面の要部拡大図である。
【図5】図1のLED発光素子の電気回路構成を示す回路図である。
【図6】LED発光素子を相手側部材に取り付けた状態の一例を、図2中のVI−VI線に沿う断面で示す図である。
【図7】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図8】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図9】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図10】LED発光素子の配線基板の変形例を示す平面図である。
【図11】LED発光素子の第1変形例を示す平面図である。
【図12】LED発光素子の第2変形例を示す平面図である。
【図13】LED発光素子の第3変形例を示す平面図である。
【図14】LED発光素子の第4変形例を示す平面図である。
【図15】図14中におけるXV−XV線に沿うLED発光素子の断面図である。
【図16】図14のLED発光素子の電気回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、以下の説明に用いる図面は、いずれも本発明によるLED発光装置などを模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、以下の説明で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
【0053】
<LED発光素子の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るLED発光素子1の全体構成を示す斜視図である。また、図2はLED発光素子1の平面図であり、図3は図2中のIII−III線に沿うLED発光素子1の断面図である。図1〜図3に示すように、本実施例においてLED発光素子1は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックからなる配線基板2を備えている。この配線基板2は、一辺が15〜20mmの正方形状に形成され、1〜3mmの厚さを有する。配線基板2には、第1の面(表面)2aに開口する第1凹部3及び第2凹部4の2つの凹部が形成されている。すなわち、配線基板2の表面側に第1凹部3及び第2凹部4の2つの凹部が形成されている。これら第1凹部3及び第2凹部4は、配線基板2の第1の面2aにおける開口面積及び形状が実質的に同一となるように形成され、配線基板2の一部である仕切り壁2bを間にして並設されている。
【0054】
図1及び図2に示すように、第1凹部3の底面には、4個の第1LEDチップ5が仕切り壁2bに沿って1列に配列されており、第2凹部4の底面には、4個の第2LEDチップ6が仕切り壁2bに沿って1列に配列されている。また、図1及び図2に示すように、配線基板2の第1の面2aのみに、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に駆動電流を供給するため、それぞれ銅箔など導電性が良好な金属からなる第1配線パターン7、第2配線パターン8、第3配線パターン9及び第4配線パターン10が形成されている。このように、各配線パターンが配線基板2の内部には形成されず、配線基板2の表面側のみに形成されることにより、各LEDチップから放射される光が配線基板2の内部で吸収されることがなくなり、LED発光素子1の輝度の向上を図ることが可能になる。
【0055】
なお、本実施形態における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の数は一例であって、必要に応じて増減可能であり、それぞれを1個ずつとすることも可能であり、また両者で数を異ならせることも可能である。また、配線基板2の材質についても、アルミナ系セラミックに限定されるものではなく、様々な材質を適用可能であって、例えば、セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いてもよい。或いは、配線基板2の第1の面2aにおける光の反射性を良くしてLED発光素子1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。更に、銅製基板やアルミ製基板などのような金属製基板を用いて放熱性を向上させることも可能である。但し、この場合には、電気的絶縁を間に介して配線基板に配線パターンを形成する必要がある。更に、各配線パターンは配線基板2の表面側以外(例えば、配線基板2の内部、側面、裏面等)に形成されてもよい。このような場合には、各LEDチップから放射される光が各配線パターンによって吸収されないように、各配線パターンの形状及び形成箇所を設計することが好ましい。
【0056】
第1配線パターン7及び第2配線パターン8には、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド7a及び8aが設けられている。すなわち、外部接続ランド7a及び8aは、配線基板2の第1の面2aに設けられている。一方、第1配線パターン7及び第2配線パターン8の他端側は、図1及び図2に示すように、第1凹部3を間に挟み第1凹部3に沿って延設されている。また、第3配線パターン9及び第4配線パターン10も、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド9a及び10aが設けられている。すなわち、外部接続ランド9a及び10aは、配線基板2の第1の面2aに設けられている。一方、第3配線パターン9及び第4配線パターン10の他端側は、図1及び図2に示すように、第2凹部4を間に挟み第2凹部4に沿って延設されている。
【0057】
図4は、図3に示すLED発光素子1の断面における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6周辺の要部拡大図である。図4に示すように、第1LEDチップ5は、第1凹部3の底面に接着剤13を介して接着されると共に、上面に有する2つの電極のそれぞれが、ワイヤボンディングにより、対応する配線パターンに接続されている。具体的には、第1LEDチップ5のp電極が金属ワイヤ14によって第1配線パターン7に接続され、n電極が金属ワイヤ15によって第2配線パターン8に接続されている。図4では、1つの第1LEDチップ5の接続状態を示しているが、4個の第1LEDチップ5はいずれも同様にして第1配線パターン7と第2配線パターン8とに接続されている。従って、4個の第1LEDチップ5は、第1配線パターン7と第2配線パターン8との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0058】
図4に示すように、第2凹部4の底面に配列されている4個の第2LEDチップ6も、第1LEDチップ5と同様に接着剤16を介して第2凹部4の底面に接着されると共に、ワイヤボンディングにより対応する配線パターンに接続されている。具体的には、第2LEDチップ6のn電極が金属ワイヤ17によって第3配線パターン9に接続され、p電極が金属ワイヤ18によって第4配線パターン10に接続されている。従って、4個の第2LEDチップ6は、第3配線パターン8と第4配線パターン10との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0059】
なお、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の実装及び接続は、これに限定されるものではなく、これらLEDチップの種類や構造などに応じて適切な方法を選択することが可能である。例えば、フリップチップ実装を採用し、各LEDチップ下面の2つの電極を、第1凹部3や第2凹部4の底面に形成した配線パターンに接合するようにしてもよい。或いは、各LEDチップ下面の1つの電極を、第1凹部3や第2凹部4の底面に形成した配線パターンに接合すると共に、各LEDチップ上面の1つの電極を、配線基板2の第1の面2aに形成した配線パターンにワイヤボンディングにより接続するようにしてもよい。
【0060】
図3及び図4に示すように、第1凹部3内には、第1LEDチップ5が発した光の一部または全部を波長変換する第1蛍光部材(第1波長変換部材)11が第1LEDチップ5を覆うように充填されている。この第1蛍光部材11は、第1LEDチップ5が発した光によって励起され、第1LEDチップ5が発した光とは異なる波長の光を放射する第1蛍光体19と、この第1蛍光体19を分散保持する充填材20とからなる。一方、第2凹部4内には、第2LEDチップ6が発した光の一部または全部を波長変換する第2蛍光部材(第2波長変換部材)12が第2LEDチップ6を覆うように充填されている。この第2蛍光部材12は、第2LEDチップ6が発した光によって励起され、第2LEDチップ6が発した光とは異なる波長の光を放射する第2蛍光体21と、この第2蛍光体21を分散保持する充填材22とからなる。次に、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6、並びに第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12の具体的構成について詳述する。
【0061】
<LEDチップ>
本実施形態において用いる第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、いずれも405nmのピーク波長を有した近紫外光を発するLEDチップである。具体的には、このようなLEDチップとして、InGaN半導体が発光層に用いられて近紫外領域の光を発するGaN系LEDチップなどが好ましい。なお、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、様々なLEDチップを用いることができる。近紫外光を発するLEDチップ以外のLEDチップとして具体的には、青色光を発するLEDチップを用いてもよい。従って、本実施形態において第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光のピーク波長は、360nm〜460nm、好ましくは400nm〜450nmの波長範囲内にあるものが好適である。
【0062】
<蛍光部材>
本実施形態において、第1蛍光部材11が有する第1蛍光体19と、第2蛍光部材12が有する第2蛍光体21とは、互いに異なる波長変換特性を有している。このような異なる波長変換特性の組み合わせは種々可能である。本実施形態では、第1蛍光体19及び第2蛍光体21として、いずれも赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の3種類の蛍光体を混合して用いている。
【0063】
4個の第1LEDチップ5が発する近紫外光は、第1蛍光部材11内に第1蛍光体19として分散保持されている赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体によってそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に波長変換され、これら赤色光、緑色光及び青色光を合成して得られる白色光が第1蛍光部材11から放射されるようになっている。また、第2LEDチップ6が発する近紫外光は、第2蛍光部材12内に第2蛍光体21として分散保持されている赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体によってそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に波長変換され、これら赤色光、緑色光及び青色光の合成により得られる白色光が第2蛍光部材12から放射されるようになっている。ここで、第1蛍光体19と第2蛍光体21とでは、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の蛍光体の混合比率を変えており、第1蛍光部材11から放射される白色光の第1色温度T1と、第2蛍光部材12から放射される白色光の第2色温度T2とが異なるようにしている。
【0064】
なお、第1蛍光体19及び第2蛍光体21は、上述のような赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を混合したものに限定されるものではない。例えば、青色蛍光体と黄色蛍光体とを混合し、第1蛍光体19及び第2蛍光体21を形成してもよい。この場合、第1LEDチップ5が発する近紫外光は、第1蛍光部材11内に第1蛍光体19として分散保持されている青色蛍光体及び黄色蛍光体によって青色光及び黄色光に波長変換され、これら青色光及び黄色光の合成により得られる白色光が第1蛍光部材11から放射される。第2蛍光部材12においても、同様にして、第2LEDチップ6が発する近紫外光を第2蛍光体21が波長変換することにより、白色光が第2蛍光部材12から放射される。この場合も、第1蛍光体19と第2蛍光体21とで、青色蛍光体及び黄色蛍光体の混合比率を変えることにより、第1蛍光部材11から放射される白色光の第1色温度T1と、第2蛍光部材12から放射される白色光の第2色温度T2とを異ならせることができる。
【0065】
また、このような青色蛍光体及び黄色蛍光体を混合せずに、青色蛍光体を第1蛍光体19として用いると共に、黄色蛍光体を第2蛍光体21として用いてもよい。この場合、第1LEDチップ5が発する近紫外光が、第1蛍光体19により青色光に波長変換されると共に、第2LEDチップ6が発する近紫外光が、第2蛍光体21により黄色光に波長変換される。従って、これら青色光と黄色光とを合成することにより様々な色温度の白色光を得ることができる。
【0066】
このような青色蛍光体と黄色蛍光体との組み合わせに代えて、赤色蛍光体と青緑色(シアン色)蛍光体との組み合わせを、同様の方法で用いることも可能である。即ち、赤色蛍光体と青緑色蛍光体とを混合し、その混合比率を変えて第1蛍光体19及び第2蛍光体21として用いてもよいし、赤色蛍光体を第1蛍光体19として用いると共に、青緑色蛍光体を第2蛍光体21として用いてもよい。このように、第1蛍光体19及び第2蛍光体21には様々な種類の蛍光体を採用することが可能である。なお、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12からそれぞれ放射された光を合成して得られる光も白色光に限定されるものではなく、LED発光素子1に求められる放射光の色温度、色度、輝度、或いは彩度などに応じ、第1蛍光体19及び第2蛍光体21の種類を適宜選択すればよい。上述した各種蛍光体及び充填材の具体例は以下の通りである。
【0067】
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上で、通常は780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、赤色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体などのβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O)3:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、K2SiF6:Mnがより好ましい。
【0068】
(橙色蛍光体)
赤色蛍光体のうち、発光ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上で、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ceなどがある。
【0069】
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上で、通常は550nm未満、好ましくは542nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、緑色蛍光体として例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、CaSc2O4:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Si,Al)6(O,N)8:Eu(β−サイアロン)、(Ba,Sr)3Si6O12:N2:Eu、SrGa2S4:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Mnが好ましい。
【0070】
(青色蛍光体)
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、青色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi2O8:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi2O8:Euがより好ましく、Sr10(PO4)6Cl2:Eu、BaMgAl10O17:Euが特に好ましい。
【0071】
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、Y3Al5O12:Ce、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si2N2O2:Eu、α−サイアロン、La3Si6N11:Ceが好ましい。
【0072】
(青緑色蛍光体)
青緑色蛍光体としては、(Ba,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+(ピーク波長483nm)などのハロ燐酸塩系蛍光体、2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+(ピーク波長480nm)などの燐酸塩系蛍光体、Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu2+(ピーク波長490nm)などのケイ酸塩系蛍光体、BaAl8O13:Eu2+(ピーク波長480nm)、BaMg2Al16O27:Eu2+,Mn2+(ピーク波長450nm,515nm)、SrMgAl10O17:Eu2+(ピーク波長480nm程度)、Sr4Al14O25:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などのアルミン酸塩系蛍光体、BaSi2N2O2:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などの酸窒化物系蛍光体などがある。なお、単一種類の青緑色蛍光体に代えて、複数種類の青緑色蛍光体を混合して用いてもよいし、青色蛍光体と緑色蛍光体とを適宜混合して放射光が青緑色となるようにしてもよい。
【0073】
(充填材)
第1蛍光体19を分散保持する充填材20及び第2蛍光体21を分散保持する充填材22には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが用いられるが、第1LEDチップ5や第2LEDチップ6から発せられる近紫外光に対して十分な透明性と耐久性とを有した材料を用いるのが好ましい。具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレンやスチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、エチルセルロースやセルロースアセテートやセルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などがあげられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマーもしくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合してなる溶液またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料やガラスを用いることができる。
【0074】
<LED発光素子の電気回路構成>
第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が上述したようにして配線基板2の配線パターン7〜10に接続されることにより、本実施形態におけるLED発光素子1は、図5に示すような電気回路構成を有する。即ち、4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド7a及び8aの間に、アノードを外部接続ランド7a側として、互いに並列に接続されている。一方、4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド9a及び10aの間に、アノードを外部接続ランド9a側として、互いに並列に接続されている。従って、本実施形態のLED発光素子1では、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とが電気的に分離され、独立して駆動電流を供給できるようになっている。
【0075】
このような電気回路構成により、外部接続ランド7a及び8aを介し、第1LEDチップ5に順方向電流が流れるように駆動電流を供給すれば、第1LEDチップ5が近紫外光を発する。前述したように、この近紫外光の一部または全部は、第1蛍光部材11内に分散保持されている第1蛍光体19によって波長変換され、第1蛍光部材11から第1色温度T1の白色光が放射される。一方、外部接続ランド9a及び10aを介し、第2LEDチップ6に順方向電流が流れるように駆動電流を供給すれば、第2LEDチップ6が近紫外光を発する。この近紫外光の一部または全部は、前述したように、第2蛍光部材12内に分散保持されている第2蛍光体21によって波長変換され、第2蛍光部材12から第2色温度T2の白色光が放射される。
【0076】
このような電気回路構成において駆動電流を制御することにより、第1LEDチップ5のみ発光させ、第2LEDチップ6を発光させないようにすれば、第1蛍光部材11によって放射された第1色温度T1の白色光がLED発光素子1から放射される。一方、第2LEDチップ6のみ発光させ、第1LEDチップ5を発光させないようにすれば、第2蛍光部材12によって放射された第2色温度T2の白色光がLED発光素子1から放射される。また、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6をそれぞれ発光させれば、第1蛍光部材11から放射された白色光と、第2蛍光部材12から放射された白色光とが合成されて得られた白色光がLED発光素子1から放射される。従って、第1LEDチップ5に供給される駆動電流と、第2LEDチップ6に供給される駆動電流とを調整することにより、第1色温度T1から第2色温度T2までの間の色温度の白色光をLED発光素子1から放射させることができる。
【0077】
<照明装置への適用>
このように、本実施形態のLED発光素子1は、第1色温度T1から第2色温度T2までの間で色温度を変更可能な白色光を放射させることができるので、照明装置の光源として好適である。そこで、このような場合にLED発光素子1を照明装置に固定するため、配線基板2には2つの貫通孔(挿入部)23及び24が設けられている。
【0078】
図6は、照明装置へのLED発光素子1の取付例を、図2中のVI−VI線に沿う断面で示す図である。図6中の符号25は、LED発光素子1を取り付ける際にこのLED発光素子1を保持する部材となる相手側部材であって、照明装置の一部を構成する部材である。具体的には、LED発光素子1の第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発した熱を雰囲気中に放出するために照明装置に設けられた放熱部材、或いはこのような放熱部材に熱を伝えるヒートパイプなどの伝熱部材が相手側部材25となる。
【0079】
なお、相手側部材25はこれら放熱部材或いは伝熱部材に限定されるものではなく、LED発光素子1や照明装置の特性や仕様に応じて様々なものを相手側部材25として選択可能である。例えば、放熱部材或いは伝熱部材が不要な場合には、照明装置のケーシングなどにLED発光素子1を取り付けてもよいし、照明装置側の配線用基板にLED発光素子1を取り付けてもよい。また、相手側部材25は照明器具の一部材に限定されるものではなく、LED発光素子1を光源として用いる器具や装置などを構成する部材であれば、同様に取り付けが可能である。
【0080】
図6に示すように、配線基板2の貫通孔23には、ワッシャ26を介在させ、貫通部材の一例であるネジ27が挿入される。また、貫通孔24には、ワッシャ28を介在させ、貫通部材の一例であるネジ29が挿入される。これらネジ27及びネジ29は、相手側部材25に形成されている取付孔30及び取付孔31にそれぞれ螺合し、ネジ27及びネジ29を締め付けることにより、LED発光素子1が相手側部材25に取り付けられ固定される。このような固定により、例えば相手側部材25が放熱部材或いは伝熱部材である場合には、LED発光素子1から相手側部材25に良好に熱を伝達することが可能となり、LED発光素子1の作動を良好に維持することが可能となる。本実施形態のように複数のLEDチップを用いるような場合、発熱量が大きくなる可能性があるので、特に有効である。
【0081】
また、配線基板2に形成された貫通孔23及び24に挿入したネジを用い、LED発光素子1を相手側部材25に直接固定することができるので、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板2のほかに相手側部材25に固定するためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0082】
更に、貫通部材であるネジ27及びネジ29によって配線基板2を相手側部材25に直接固定することができるため、接着剤等の固着部材が不要となる。したがって、熱伝導性が低い固着部材を用いることが不要となり、LED発光素子1自体の熱伝導性の低下が抑制され、各LEDチップが発した熱を効率よく外部に放熱することができる。
【0083】
そして、本実施例においては、貫通部材としてネジ27及びネジ29を用いているため、ネジ27及びネジ29によって配線基板2の内部を締め付けることがきる。このため、LED発光素子1を相手側部材25に取り付ける際に、配線基板2が撓むことがなくなり、各LEDチップから発する熱をLED発光素子1の外部に効率よく放熱することが可能になる。
【0084】
このような効果を持つ本実施例のLED発光素子1は、部品コスト等が低減され、且つ高い熱伝導性も有しているため、単一光源として大型化を容易に図ることができる。
【0085】
また、貫通部材であるネジ27及びネジ29は、LED発光素子1を相手側部材25に対して強固且つ機械的に締結する貫通型機械的締結部材である。このような貫通型機械的締結部材であるネジ27及びネジ29を用いてLED発光素子1を相手側部材25に固定することにより、LED発光素子1が相手側部材25から容易に外れなくなる。すなわち、外部からLED発光素子1に不要な力が加わった場合において、LED発光素子1が相手側部材25から容易に外れることを防止し、更にはLED発光素子1を相手側部材25に取り付けた状態でその向きの変更を容易に行うことができる。
【0086】
本実施形態のLED発光素子1では、上述した効果に加え、配線基板2に設けられた第1凹部3及び第2凹部4内に、それぞれ第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6を収容するようにしており、これらLEDチップを収容するために従来のリフレクタなどのような部材を別途準備する必要がなくなるので、この点でも製造工数や部品コストを低減することが可能となる。特に本実施形態では、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に組み合わせて第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12を用いているが、第1凹部3及び第2凹部4内に第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6を収容したことで、これら第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12の設置が容易となる。
【0087】
また、本実施形態では、配線基板2における第1凹部3の開口形状と、配線基板2における第2凹部4の開口形状とを実質的に同一としているので、上述のようにして第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される2つの光を合成する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことができる。この結果、LED発光素子1を照明装置などの光源として用いた場合に、質の高い照明光を得ることができる。
【0088】
なお、本実施例においては、貫通部材として貫通型機械的締結部材であるネジ27及びネジ29を用いたが、貫通部材は貫通型機械的締結部材に限定されることなく、ねじ切りの無い釘のようなピン状の部材であってもよい。また、貫通部材は金属等の導電性部材に限定されることなく、熱伝導性が高く且つ硬い部材であれば、半導体又は非導電性部材等の他の部材から構成されてもよい。更に、貫通型機械的締結部材はネジに限定されることなく、例えば、ボルトとナット、リベット締結部材、くさび締結部材等の部材であってもよい。
【0089】
<電気回路構成の変形例>
本実施形態では、図5に示すように、互いに並列に接続した第1LEDチップ5の電気回路と、互いに並列に接続した第2LEDチップ6の電気回路とを完全に分離してLED発光素子1の電気回路を構成したが、LED発光素子1の電気回路構成は、これに限定されるものではない。必要に応じ、配線基板2に形成する配線パターンを変更することにより、様々な電気回路を構成することが可能である。
【0090】
例えば、図7に示すように、第1LEDチップ5のカソード側と第2LEDチップ6のアノード側とを、共通の外部接続用ランド32に接続するようにしてもよい。この場合、4個の第1LEDチップ5が、外部接続ランド33と外部接続ランド32との間に互いに並列に接続され、4個の第2LEDチップ6が、外部接続ランド32と外部接続ランド34との間に互いに並列に接続される。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とで、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0091】
上述した実施形態及び図7の変形例では、4個の第1LEDチップ5を互いに並列に接続すると共に、4個の第2LEDチップ6を互いに並列に接続した。これに代えて、4個の第1LEDチップ5を直列に接続すると共に、4個の第2LEDチップ6を直列に接続するようにしてもよい。図8及び図9は、このような電気回路構成の例を示している。図8の例では、外部接続ランド35と外部接続ランド36との間に、外部接続ランド35をアノード側の端子として、4個の第1LEDチップ5が直列に接続されている。また、外部接続ランド37と外部接続ランド38との間に、外部接続ランド37をアノード側の端子として、4個の第2LEDチップ6が直列に接続されている。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5の電気回路と第2LEDチップ6の電気回路とは完全に分離され、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0092】
一方、図9の例では、外部接続ランド39を共通に用い、外部接続ランド40と外部接続ランド39との間に、外部接続ランド40をアノード側の端子として、4個の第1LEDチップ5が直列に接続されている。また、外部接続ランド39と外部接続ランド41との間には、外部接続ランド39をアノード側の端子として、4個の第2LEDチップ6が直列に接続されている。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とで、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0093】
なお、図7〜図9の例では、いずれも4個の第1LEDチップ5と4個の第2LEDチップ6とを用いたが、上述の実施形態と同様に、これらLEDチップの数は4個ずつに限定されるものではなく、必要に応じて増減することが可能である。また、LED発光素子1において構成可能な電気回路も、上述の実施形態及び図7〜図9の例に限定されるものではなく、必要に応じて様々な電気回路を構成することが可能である。
【0094】
<配線基板の変形例>
上述の実施形態では、配線基板2に2つの貫通孔23及び24を形成し、これら貫通孔23及び24に挿入したネジ27及び29により、照明器具などを構成する相手側部材25にLED発光素子1を取り付けるようにした。これらの貫通孔23及び24に代え、図10に示すように、配線基板2’の縁部に2つの切り欠き(挿入部)23’及び24’を形成するようにしてもよい。この場合も上述した実施形態と同様に、切り欠き23’及び24’にそれぞれ挿入したネジ27及び29により、相手側部材25にLED発光素子1を取り付けることができる。なお、図10では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用い、配線パターンを省略している。また、配線基板2’は、上述した実施形態における配線基板2に対し、貫通孔23及び24に代えて切り欠き23’及び24’を用いる点以外は、同様に構成されている。
【0095】
上述した実施形態における貫通孔の数、及び本変形例における切り欠きの数は、2個に限定されるものではなく、1個のみとしてもよいし、必要に応じて更に数を増やしてもよい。また、貫通孔や切り欠きの形状も上述した実施形態や本変形例で採用した形状に限定されるものではなく、ネジを挿入可能な形状であればよい。更に、貫通孔や切り欠きの位置も、配線パターンや第1凹部3及び第2凹部4の位置、相手側部材25などに応じて適宜変更することが可能である。
【0096】
<LED発光素子の第1変形例>
上述した実施形態では、配線基板2に形成されている配線パターン7〜10に、ぞれぞれ外部接続ランド7a〜10aを形成し、外部との接続を行うようにした。このような接続方法に代えて、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに、配線基板2を貫通する金属製のピン部材(金属端子部材)を設け、このピン部材を介して外部との接続を行うようにしてもよい。図11は、このようなピン部材を採用したLED発光素子の第1変形例を、上述した実施形態の場合の図2におけるXI−XI線に沿う断面で示すものである。なお、図11では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0097】
図11に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aに、配線基板2を貫通する貫通部材であるピン部材42がそれぞれ設けられている。また、図11には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42は、その一端に円形平板状のフランジ部42aが形成されると共に、他端側にはテーパ状に形成されたテーパ部42bが設けられている。なお、フランジ部42aの形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42bの形状も、図11に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0098】
図11に示すように、ピン部材42は、それぞれ第1の面2a側から、外部接続ランド7a及び10aの位置で配線基板2に形成された嵌合孔に圧入され、フランジ部42aをそれぞれ対応する外部接続ランド7a及び10aに当接させた状態で、配線基板2に固定されている。従って、ピン部材42のテーパ部42b側は、それぞれ配線基板2の第2の面2cから突出した状態となる。このとき、外部接続ランド7aに対応して設けられたピン部材42のフランジ部42aは外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに対応して設けられたピン部材42のフランジ部42aは外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。
【0099】
このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42aにおいては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材42も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0100】
このように4つのピン部材42を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合には、LED発光素子が取り付けられる相手側部材25に、これら4つのピン部材42を受容するコネクタなどの受容部材を設けることにより、外部からLED発光素子への配線の接続を容易に行うことが可能となり、相手側部材25へのLED発光素子の装着と電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。なお、4つのピン部材42のうちの、それぞれ互いに隣り合う2つのピン部材42の間隔を、一般的な配線基板の設計に適用される標準的寸法である2.54mmの倍数とすれば、相手側部材25の受容部材との良好な整合性を確保することができる。
【0101】
また、4つのピン部材42のそれぞれに外部からの配線を直接接続する場合も含め、4つのピン部材42を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けることにより、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。更に、各ピン部材42のフランジ部42aが当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第2の面2cからのピン部材42の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0102】
なお、ピン部材42が相手側部材25のコネクタに差し込まれることにより、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材25を締結しないものの、配線基板2と相手側部材25とを簡易的に固定することが可能になる。すなわち、ピン部材42は、貫通部材としての役割も担う。但し、ピン部材42は、配線基板と相手側部材とを強固且つ機械的に締結しないため、貫通型機械的締結部材には該当しない。
【0103】
なお、本変形例において、外部接続ランド7a〜10aに設ける4つのピン部材42のいずれか1つの長さを他の3つの長さと異ならせてもよい。このようにすることで、LED発光素子の装着方向を容易に認識することができる。
【0104】
<LED発光素子の第2変形例>
上述した第1変形例では、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けられるピン部材42が、配線基板2の第2の面2cから突出するようにしたが、配線基板2の第1の面2aから突出するようにしてもよい。図12は、このようなピン部材42’を採用したLED発光素子の第2変形例を、上述した第1変形例の場合と同様の断面で示している。なお、図12では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0105】
図12に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aには、配線基板2を貫通するピン部材42’が設けられている。また、図12には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42’がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42’は、その中間部分に円形平板状のフランジ部42a’が形成され、上述した第1変形例のピン部材42と同様に、配線基板2の第1の面2a側から、フランジ部42a’が対応する外部接続ランドに当接するまで、当該外部接続ランドの嵌合孔に圧入されている。そして、配線基板2の第1の面2aから突出するピン部材42’の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42b’が設けられている。
【0106】
このとき、外部接続ランド7aに設けられるピン部材42’のフランジ部42a’は、外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに設けられるピン部材42’のフランジ部42a’は、外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42a’においては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材42’も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0107】
なお、フランジ部42a’の形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42b’の形状も、図12に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0108】
このようにして、4つのピン部材42’を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合、外部からLED発光素子への配線の接続はそれぞれのピン部材42’を介して容易に行うことができる。従って、この場合も、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べて、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。また、各ピン部材42’のフランジ部42a’が当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第1の面2aからのピン部材42’の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0109】
なお、4つのピン部材42’の各テーパ部42b’に対して配線を接続するだけでなく、各テーパ部42b’を種々の相手側部材(例えば、光学レンズ等)に対して差し込むことにより、4つのピン部材42’を貫通部材として用いてもよい。このような場合には、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材を締結しないものの、配線基板2と当該相手側部材とを簡易的に固定することが可能になる。
【0110】
なお、本変形例においても、外部接続ランド7a〜10aに設ける4つのピン部材42a’のいずれか1つの長さを、他の3つの長さと異ならせてもよい。このようにすることで、LED発光素子の装着方向を容易に認識することができる。
【0111】
<LED発光素子の第3変形例>
上述した第1及び第2変形例では、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けられるピン部材が、配線基板2の第1の面2a及び第2の面2cのいずれか一方のみから突出するようにしたが、これら第1の面2a及び第2の面2cの両方から突出するようにしてもよい。図13は、このようなピン部材42”を採用したLED発光素子の第3変形例を、上述した第1変形例の場合と同様の断面で示すものである。なお、図13では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0112】
図13に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aには、配線基板2を貫通するピン部材42”が設けられている。また、図13には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42”がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42”は、その中間部分に円形平板状のフランジ部42a”が形成され、上述した第1変形例のピン部材42と同様に、配線基板2の第1の面2a側から、フランジ部42a”が対応する外部接続ランドに当接するまで、当該外部接続ランドの嵌合孔に圧入されている。そして、配線基板2の第1の面2aから突出するピン部材42”の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42b”が設けられ、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材42”の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42c”が設けられている。
【0113】
このとき、外部接続ランド7aに設けられたピン部材42”のフランジ部42a”は、外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに設けられたピン部材42”のフランジ部42a”は、外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42a”においては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0114】
なお、フランジ部42a”の形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42b”及び42c”の形状も、図13に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0115】
このようにして、4つのピン部材42”を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合、上述した第1変形例と同様に、LED発光素子が取り付けられる相手側部材25に、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材42”をそれぞれ受容するコネクタなどの受容部材を設けることにより、外部からLED発光素子への配線の接続を容易に行うことが可能となり、相手側部材25へのLED発光素子の装着と電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。この場合も、4つのピン部材42”のうちの、それぞれ互いに隣り合う2つのピン部材42”の間隔を、一般的な配線基板の設計に適用される標準的寸法である2.54mmの倍数とすれば、相手側部材25の受容部材との良好な整合性を確保することができる。また、ピン部材42”が相手側部材25のコネクタに差し込まれることにより、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材25を締結しないものの、配線基板2と相手側部材25とを簡易的に固定することが可能になる。従って、ピン部材42”は貫通部材としての役割も担う。
【0116】
また、上述した第2変形例と同様に、配線基板2の第2の面2aから突出するピン部材42”に、外部からLED発光素子への配線を直接接続することもできる。更に、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材に、外部からLED発光素子への配線を直接接続することも可能である。いずれの場合も、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。更に、各ピン部材42”のフランジ部42a”が当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第1の面2a及び第2の面2cからのピン部材42”の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0117】
本変形例の場合、上述したように、配線基板2の第2の面2cから突出する各ピン部材42”に対して外部からの配線を接続できるので、配線基板2の第1の面2aから突出する各ピン部材42”の部位については、別の目的に使用することも可能である。例えば、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される白色光の合成をより良好に行ったり、LED発光素子から放射される白色光を良好に配光したりするための光学レンズ43を支持する支持部材として、これらピン部材42”を用いることができる。すなわち、これらピン部材42”は、光学レンズ43と配線基板2とを固定する貫通部材として機能する。
【0118】
即ち、図13に一点鎖線で示すように、光学レンズ43は配線基板2の第1の面2aと平行な入射面を有しており、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射された白色光が入射されるようになっている。配線基板2の第1の面2aに対向している光学レンズ43の入射面には、配線基板2に装着されている各ピン部材42”のテーパ部が嵌合する凹部が形成されており、光学レンズ43を配線基板2に対して容易に位置決めできるようになっている。
【0119】
このようにして、外部配線ランド7a〜10aに装着された4つのピン部材42”を利用して光学レンズ43を支持し固定することにより、光学レンズ43を支持し固定するための部材を別途準備する必要がなくなり、LED発光素子の部品点数や製造工数を低減することが可能となる。また、光学レンズ43を用いることにより、LED発光素子の配光性や光の合成を、より良好なものとすることができる。
【0120】
更に、本変形例においても、前述の実施形態同様に第1凹部3内に第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11が収容されると共に、第2凹部4内に第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12が収容されているので、このような光学レンズ43を設ける場合に、これら第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11、並びに第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12と干渉することなく、適切な位置に容易に光学レンズ43を配置することができる。
【0121】
なお、本変形例では光学レンズ43をLED発光素子に組み合わせて用いる場合を例に説明したが、光学レンズ43以外に、LED発光素子から放射される光を拡散させるための拡散部材や、光の放射方向を規制或いは偏向するための部材などの様々な光学デバイスを用いる際にも同様に各ピン部材42”を利用することができる。
【0122】
<LED発光素子の第4変形例>
前述した実施形態では、配線基板2に第1凹部3と第2凹部4とを1つずつ形成し、第1凹部3内に第1LEDチップ5を収容すると共に、第2凹部4内に第2LEDチップ6を収容した。しかしながら、これら凹部の数は1つずつに限定されるものではなく、様々に変更可能である。従って、例えば単一の凹部を形成し、この凹部内にLEDチップを収容し、蛍光部材と組み合わせることも可能である。ここでは、第1LEDチップ5を収容する第1凹部、及び第2LEDチップ6を収容する第2凹部をそれぞれ2つずつ設けた場合を、第4変形例として以下に説明する。なお、前述の実施形態と同様の部材については同じ符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0123】
図14は本変形例のLED発光素子101の平面図であり、図15は図14中におけるXV−XV線に沿うLED発光素子101の断面図である。本変形例においても、LED発光素子101は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックからなる配線基板102を備えている。配線基板102には、第1の面102aに開口する2つの第1凹部103及び105が形成されると共に、同じく第1の面102aに開口する2つの第2凹部104及び106が形成されている。図14に示すように、これら第1凹部103及び105並びに第2凹部104及び106は、配線基板102の第1の面2aにおける開口面積及び形状がいずれも実質的に同一となるように形成され、第1凹部103及び105と第2凹部104及び106とが交互に並設されている。
【0124】
図14に示すように、第1凹部103の底面及び第1凹部105の底面には、それぞれ4個の第1LEDチップ5が1列に配列されている。また、第2凹部104の底面及び第2凹部106の底面には、それぞれ4個の第2LEDチップ6が1列に配列されている。また、図14に示すように、配線基板102の第1の面102aには、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に駆動電流を供給するため、それぞれ銅箔など導電性が良好な金属からなる第1配線パターン107、第2配線パターン108、第3配線パターン109、第4配線パターン110、第5配線パターン111及び第6配線パターン112が形成されている。
【0125】
なお、本実施形態における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の数は一例であって、必要に応じて増減可能であり、それぞれを1個ずつとすることも可能であり、また両者で数を異ならせることも可能である。また、第1凹部103と第1凹部105とで、収容する第1LEDチップ5の数を変えることも可能である。同様に、第2凹部104と第2凹部106とで、収容する第2LEDチップ6の数を変えることも可能である。
【0126】
配線基板102の材質についても、アルミナ系セラミックに限定されるものではなく、様々な材質を適用可能であって、例えば、セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いてもよい。また、配線基板102の第1の面102aにおける光の反射性を良くしてLED発光素子101の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。更に、銅製基板やアルミ製基板などのような金属製基板を用いて放熱性を向上させることも可能である。但し、この場合には、電気的絶縁を間に介して配線基板に配線パターンを形成する必要がある。
【0127】
図14に示すように、第1配線パターン107及び第2配線パターン108には、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド107a及び108aが設けられている。一方、第1配線パターン107及び第2配線パターン108の他端側は、図14に示すように、第1凹部103に沿い互いに第1凹部103を挟むようにして延設されている。また、第3配線パターン109及び第4配線パターン110も、図14に示すように、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド109a及び110aが設けられている。一方、第3配線パターン109及び第4配線パターン110の他端側は、図14に示すように、第2凹部104と第1凹部105との間に延設されている。更に、第5配線パターン111及び第6配線パターン112も、図14に示すように、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド111a及び112aが設けられている。一方、第5配線パターン111及び第6配線パターン112の他端側は、図14に示すように、第2凹部106に沿い互いに第1凹部106を挟むようにして延設されている。
【0128】
第1凹部103及び105における第1LEDチップ5の装着、並びに第2凹部104及び106における第2LEDチップ6の装着は、前述した実施形態と同様にして行われる。そして、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第1配線パターン107に接続されると共に、n電極が第2配線パターン108に接続されている。従って、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、第1配線パターン107と第2配線パターン108との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0129】
また、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第4配線パターン110に接続されると共に、n電極が第5配線パターン111に接続されている。従って、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、第4配線パターン110と第5配線パターン111との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0130】
一方、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第2配線パターン108に接続されると共に、n電極が第3配線パターン109に接続されている。従って、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、第2配線パターン108と第3配線パターン109との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0131】
また、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第5配線パターン111に接続されると共に、n電極が第6配線パターン112に接続されている。従って、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、第5配線パターン111と第6配線パターン112との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0132】
なお、本変形例においても、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の実装及び接続は、これに限定されるものではなく、前述の実施形態と同じく、これらLEDチップの種類や構造などに応じて適切な方法を選択することが可能である。
【0133】
図15に示すように、第1凹部103内及び第1凹部105内には、前述の実施形態で用いたものと同様に、第1LEDチップ5が発した近紫外光の一部または全部を波長変換して第1色温度T1の白色光を放射する第1蛍光部材11が第1LEDチップ5を覆うように充填されている。一方、第2凹部104内及び第2凹部106内には、前述の実施形態で用いたものと同様に、第2LEDチップ6が発した近紫外光の一部または全部を波長変換して第2色温度T2の白色光を放射する第2蛍光部材12が第2LEDチップ6を覆うように充填されている。
【0134】
第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が上述したようにして配線基板102の配線パターン107〜112に接続されることにより、本変形例におけるLED発光素子101は、図16に示すような電気回路構成を有する。即ち、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド107a及び108aの間に、アノードを外部接続ランド107a側として、互いに並列に接続されている。一方、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド108a及び109aの間に、アノードを外部接続ランド108a側として、互いに並列に接続されている。従って、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、外部接続ランド108aを共有してそれぞれ別個に駆動電流を供給できるようになっている。
【0135】
また、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド110a及び111aの間に、アノードを外部接続ランド110a側として、互いに並列に接続されている。一方、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド111a及び112aの間に、アノードを外部接続ランド111a側として、互いに並列に接続されている。従って、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、外部接続ランド111aを共有してそれぞれ別個に駆動電流を供給できるようになっている。
【0136】
更に、第1凹部103内に収容された第1LEDチップ5と第2凹部104内に収容された第2LEDチップ6との第1の組は、第1凹部105内に収容された第1LEDチップ5と第2凹部106内に収容された第2LEDチップ6との第2の組と電気的に分離された状態で駆動電流を供給できるようになっている。従って、第1の組と第2の組とを並列に接続して用いてもよいし、全く別個に駆動電流の供給を行うようにしてもよい。
【0137】
例えば、第1の組と第2の組とを並列に接続して用いる場合、即ち、外部接続ランド107aを外部接続ランド110aに、外部接続ランド108aを外部接続ランド111aに、そして外部接続ランド109aを外部接続ランド112aにそれぞれ接続し、8個の第1LEDチップ5に供給する駆動電流と、8個の第2LEDチップ6に供給する駆動電流とをそれぞれ調整するようにすれば、前述の実施形態と同様に、第1色温度T1から第2色温度T2までの間の色温度に調整可能な白色光をLED発光素子101から放射させることができる。
【0138】
特に本変形例では、第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11が収容される第1凹部103及び105と、第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12が収容される第2凹部104及び106とを交互に配列しているので、第1蛍光部材11から放射される第1色温度T1の白色光と、第2蛍光部材12から放射される第2色温度T2の白色光との合成をより良好に行うことができる。
【0139】
また、本変形例では、配線基板102における第1凹部103及び105並びに第2凹部104及び106の開口形状を実質的に同一としているので、上述のようにして第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される2つの光を合成する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことができる。
【0140】
なお、本変形例のように2つの第1凹部103及び105と2つの第2凹部104及び106とを用いる場合の電気回路構成も、図16の電気回路構成に限定されるものではなく、様々に変更することが可能である。また、2つの第1凹部103及び105に第1蛍光部材11と収容すると共に、2つの第2凹部104及び106に第2蛍光部材12を収容するようにしたが、これら4つの凹部に収容される蛍光部材を全て異なるようにすることも可能である。
【0141】
本変形例においても、配線基板102には、照明器具などの構成部材の1つである相手側部材にLED発光素子101を取り付けるため、4つの貫通孔(挿入部)113、114、115及び116が設けられている。前述した実施形態と同様に、照明器具を構成する部材、例えばLED発光素子101の第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発した熱を雰囲気中に放出するために照明装置などに設けられた放熱部材、或いはこのような放熱部材に熱を伝えるヒートパイプなどの伝熱部材が相手側部材となる。
【0142】
前述した実施形態と同じく、これら貫通孔113〜116に挿入した貫通部材(例えば、貫通型機械的締結部材であるネジ)を、相手側部材に螺合して締め付けることにより、LED発光素子101が相手側部材に取り付けられ固定される。なお、本変形例では、2つの第1凹部103及び105並びに2つの第2凹部104及び106を配線基板102に形成しているので、前述した実施形態の配線基板2に比べて大きな配線基板102を使用している。そこで、このように4つの貫通孔113〜116を設けることにより、確実にLED発光素子101を相手側部材に取り付けるようにしている。なお、相手側部材は照明器具の一部材に限定されるものではなく、LED発光素子101を光源として用いる器具や装置などを構成する部材であれば、同様に取り付けが可能である。また、LED発光素子101と相手側部材との固定は、貫通型機械的締結部材であるネジに限られることなく、例えば、ボルトとナット、リベット締結部材、くさび締結部材等の貫通型機械的締結部材を用いることで行われてもよい。
【0143】
本変形例においても、このような固定により、例えば相手側部材が放熱部材或いは伝熱部材である場合には、LED発光素子101から相手側部材に良好に熱を伝達することが可能となり、LED発光素子101の作動を良好に維持することが可能となる。本変形例では前述の実施形態より多くのLEDチップを用いているので、発熱量が大きくなる可能性があり、特に有効である。
【0144】
また、本変形例においても、配線基板102に形成された4つの貫通孔113〜116にそれぞれ挿入したネジを用い、LED発光素子101を相手側部材に直接固定することができるので、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板102のほかに相手側部材に固定するためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0145】
なお、本変形例においても、前述した図10の変形例のように、貫通孔113〜116に代えて、配線基板102の縁部に形成した切り欠きを採用してもよい。また、貫通孔の数も4個に限定されるものではなく、必要に応じて増減することが可能である。
【0146】
以上で本発明の一実施形態に係るLED発光素子についての説明を終えるが、本発明は上述した実施形態及び各変形例に限定されるものではない。例えば、前述した実施形態及び変形例において用いた配線基板の形状は、いずれも正方形としたが、正方形以外の形状を採用することも可能である。即ち、LED発光素子の特性やLED発光素子を用いる際の周囲の条件などに応じ、例えば長方形、円形、六角形、楕円形など様々な形状を採用することが可能である。
【0147】
また、前述した実施形態及び各変形例では、いずれも第1LEDチップ5と第1蛍光部材11とを組み合わせて用いると共に、第2LEDチップ6と第2蛍光部材12とを組み合わせて用いたが、これら蛍光部材を省略し、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光をLED発光素子から放射されるようにしてもよい。この場合、例えば青色光を発するLEDチップを第1LEDチップ5として用いると共に、黄色光を発するLEDチップを第2LEDチップ6として用いれば、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光を合成することにより、LED発光素子から白色光を放射することができる。また、これらの組み合わせに代えて、例えば赤色光を発するLEDチップを第1LEDチップ5として用い、青緑色光を発するLEDチップを第2LEDチップ6として用いても、それぞれの光の合成によりLED発光素子から白色光を放射することができる。
【0148】
更に、第1凹部及び第2凹部に加えて第3凹部を配線基板に設け、第1凹部には赤色光を発するLEDチップを収容し、第2凹部には緑色光を発するLEDチップを収容し、第3凹部には青色光を発するLEDチップを収容してもよい。この場合には、それぞれのLEDチップが発する赤色光、緑色光及び青色光を合成することにより、様々な色温度の白色光のほか、様々な色の放射光を得ることも可能である。
【0149】
一方、蛍光部材を組み合わせて用いる場合において、前述したように、近紫外光以外の光を発するLEDチップを第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6として用いてもよい。例えば、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6として青色光を発するLEDチップを用いることも可能である。この場合、青色光を波長変換して赤色光を放射する赤色蛍光体と、青色光を波長変換して緑色光を放射する緑色蛍光体とを混合し、第1蛍光体19及び第2蛍光体21として用いてもよい。
【0150】
このような組み合わせとすることにより、第1蛍光部材11では、第1LEDチップ5が発した青色光と、赤色蛍光体が放射する赤色光及び緑色蛍光体が放射する緑色光との合成により白色光を得ることができる。また、第2蛍光部材に12においても、第2LEDチップ6が発した青色光と、赤色蛍光体が放射する赤色光及び緑色蛍光体が放射する緑色光との合成により白色光を得ることができる。従って、第1蛍光部材11と第2蛍光部材12とで、赤色蛍光体と緑色蛍光体との混合比率を変えることにより、前述の実施形態と同様に、第1蛍光部材11と第2蛍光部材12とで異なる色温度の白色光を放射させることができる。
【0151】
前述の実施形態及び変形例では、いずれも配線基板における第1凹部の開口形状と第2凹部の開口形状を実質的に同一とすることにより、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12からそれぞれ放射される光の合成を良好に行うようにしたが、光の良好な合成がさほど重要でないような場合には、配線基板における第1凹部の開口形状と第2凹部の開口形状を異なるものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0152】
1,101 LED発光素子
2,2’,102 配線基板
3,103,105 第1凹部
4,104,106 第2凹部
5 第1LEDチップ
6 第2LEDチップ
11 第1蛍光部材(第1波長変換部材)
12 第2蛍光部材(第2波長変換部材)
23,24,113,114,115,116 貫通孔(挿入部)
23’,24’ 切り欠き(挿入部)
27,29 ネジ(貫通部材、貫通型機械的締結部材)
42,42’,42” ピン部材(金属端子部材、貫通部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電流の供給により発光するLEDチップを用いたLED発光素子及びLED発光素子を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDチップを用いたLED発光素子は、さまざまな照明装置や表示装置などの光源として従来より広く用いられている。また、赤色LED発光素子、緑色LED発光素子及び青色LED発光素子のように、発光色の異なるLEDチップを採用した複数のLED発光素子を組み合わせ、各LED発光素子に供給される駆動電流を調整することにより、各LED発光素子から発せられた光を合成することによって所望の白色光を得るようにした発光装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
また、LEDチップが発する光を蛍光体によって波長変換してから放射するようにしたLED発光素子が開発され、このようなLED発光素子を組み合わせた発光装置が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2の発光装置では、青色LEDチップを用いて青色光を発する青色LED発光素子と、青色LEDチップが発した青色光により励起されて緑色光を発する緑色蛍光体を青色LEDチップに組み合わせた緑色LED発光素子と、青色LEDチップが発した青色光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体を青色LEDチップに組み合わせた赤色LED発光素子とが用いられている。そして、これらの青色LED発光素子、緑色LED発光素子及び赤色LED発光素子がそれぞれ発する光の合成によって優れた演色性を確保すると共に、各発光ユニットの光出力を調整することにより発光装置の発光色を多彩に変化させることができるようになっている。
【0004】
また、このように青色LED発光素子、緑色LED発光素子及び赤色LED発光素子がそれぞれ発する光の合成によって白色光を得る発光装置に代え、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を混合して形成された波長変換部材でLED発光素子が発する光を波長変換することにより、所望の白色光を得るようにした発光装置が特許文献3に開示されている。この発光装置では、近紫外光を発する近紫外LEDチップと、この近紫外LEDチップが発する近紫外光を所望の白色光に波長変換するように赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体が組み合わされた波長変換部材とを組み合わせて発光モジュールが形成される。
【0005】
この発光モジュールでは、配線基板上に円錐台状のリフレクタが設けられ、このリフレクタ内が仕切り部材によって2つの領域に分割されている。そして、2つの領域のそれぞれに対し、複数のLEDチップが配置されると共に波長変換部材が設けられる。2つの領域の波長変換部材は、それぞれ波長変換特性が異なり、一方の波長変換領域から放射される白色光の色温度と、他方の波長変換領域から放射される白色光の色温度とが相違するようになっている。また、配線基板には、各LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成され、この配線パターンに外部接続用のランドが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−4839号公報
【特許文献2】特開2007−122950号公報
【特許文献3】国際公開第2009/063915号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにして構成された発光モジュールを照明装置などに用いる場合、発光モジュールをリフロー方式のハンダ付けなどによりベース基板に装着し、このベース基板を照明装置のケーシングや放熱板など、照明装置側の部材に取付固定するようにしている。このため、発光モジュールをベース基板に装着する工程と、ベース基板を照明器具などに取付固定する工程との2つの工程が必要となる。また、照明器具などを構成する上で必要となる部材も、発光モジュールを構成するための配線基板と、発光モジュールを装着するためのベース基板との2つの部材が必要となる。LED発光素子を用いた照明器具などの製造コストや部品コストを低減するための1つの方策として、このようなLED発光素子の組み付けに関わる製造工数や部材数の低減が求められている。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造工数や部品コストを低減可能なLED発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のLED発光素子は、駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、前記LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、前記LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板とを備えたLED発光素子であって、前記配線基板には、前記LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成されたLED発光素子によれば、配線基板に形成された挿入部に貫通部材を挿入し、この貫通部材を用いることにより、LED発光素子が、このLED発光素子を保持するための部材である相手側部材に固定される。
【0011】
このようなLED発光素子において、前記貫通部材は、前記LED発光素子を前記相手側部材に対して機械的に締結する貫通型機械的締結部材であってもよい。
【0012】
また、LED発光素子は、前記配線基板に形成された前記凹部に収容され、前記LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する波長変換部材を更に備えていてもよい。この場合、凹部内に収容されたLEDチップが発した光の少なくとも一部は、この凹部内に収容された波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が波長変換部材から放射される。
【0013】
このようなLED発光素子において、前記配線基板の材質はセラミックであってもよい。
【0014】
このようなLED発光素子において、前記配線パターンは、前記配線基板の表面側のみに形成されていてもよい。
【0015】
また、LED発光素子は、前記配線基板の前記表面側に、外部接続用ランドを更に備えていてもよい。
【0016】
このようなLED発光素子において、前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板を貫通する貫通孔であってもよい。
【0017】
或いは、前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板の縁部に形成された切り欠きであってもよい。
【0018】
LED発光素子の具体的構成として、前記配線基板に形成された前記凹部は、第1凹部と第2凹部とに区分され、前記LEDチップは、前記第1凹部内に実装される少なくとも1個の第1LEDチップと、前記第2凹部内に実装される少なくとも1個の第2LEDチップとからなるようにしてもよい。
【0019】
より具体的な構成として、LED発光素子は、前記第1凹部に収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、前記第2凹部に収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材とを更に備えていてもよい。
【0020】
LED発光素子がこのように構成される場合、第1凹部内に収容された第1LEDチップが発した光の少なくとも一部は、この第1凹部内に収容された第1波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第1波長変換部材から放射される。一方、第2凹部内に収容された第2LEDチップが発した光の少なくとも一部は、この第2凹部内に収容された第2波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第2波長変換部材から放射される。そして、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とが合成されてLED発光素子から放射される。
【0021】
更に具体的には、このようなLED発光素子において、前記第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射するようにしてもよい。
【0022】
この場合、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とを合成することにより、第1色温度と異なる第2色温度との間の色温度の白色光が得られる。また、第1LEDチップのみを発光させれば第1色温度の白色光が得られ、第2LEDチップのみを発光させれば第2色温度の白色光が得られる。
【0023】
配線基板に第1凹部と第2凹部とを設ける場合、前記配線基板における前記第1凹部の開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部の開口形状とは実質的に同一であるのが好ましい。
【0024】
また、LED発光素子の具体的構成として、前記配線基板に形成された前記凹部は、複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分され、前記第1凹部と前記第2凹部とが交互に配列されており、前記LEDチップは、前記第1凹部のそれぞれに実装される第1LEDチップと、前記第2凹部のそれぞれに実装される第2LEDチップとからなるようにしてもよい。
【0025】
より具体的な構成として、LED発光素子は、前記第1凹部のそれぞれに収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、前記第2凹部のそれぞれに収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材とを更に備えていてもよい。
【0026】
LED発光素子がこのように構成される場合、複数の第1凹部内のそれぞれに収容された第1LEDチップが発した光の少なくとも一部は、それぞれの第1凹部内に収容された第1波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第1波長変換部材から放射される。一方、複数の第2凹部内のそれぞれに収容された第2LEDチップが発した光の少なくとも一部は、それぞれの第2凹部内に収容された第2波長変換部材によって波長変換され、波長変換された光が第2波長変換部材から放射される。そして、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とが合成されてLED発光素子から放射される。
【0027】
更に具体的には、このようなLED発光素子において、前記第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射するようにしてもよい。
【0028】
この場合、第1波長変換部材から放射された光と第2波長変換部材から放射された光とを合成することにより、第1色温度と異なる第2色温度との間の色温度の白色光が得られる。また、第1LEDチップのみを発光させれば第1色温度の白色光が得られ、第2LEDチップのみを発光させれば第2色温度の白色光が得られる。
【0029】
配線基板に複数の第1凹部と複数の第2凹部とを設ける場合も、前記配線基板における前記第1凹部のそれぞれの開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部のそれぞれの開口形状とは実質的に同一であるのが好ましい。
【0030】
また、LED発光素子の配線基板は、前記配線基板を貫通すると共に、前記配線基板に形成された前記配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有していてもよい。この場合、外部との配線が金属端子部材を介して行われる。
【0031】
具体的には、前記金属端子部材が、前記配線基板において前記凹部が形成された面から突出するように設けられていてもよいし、前記凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように設けられていてもよい。或いは、前記金属端子部材が、前記配線基板において前記凹部が形成された面及びその反対側の面からそれぞれ突出するように設けられていてもよい。
【0032】
上述したようなLED発光素子は、照明装置に用いることが可能である。この場合、LED発光素子は、前記挿入部を介して前記貫通部材により照明装置に固定される。
【0033】
上述した照明装置において、LED発光素子が固定される相手側部材は、前記LEDチップが発した熱を雰囲気中に放出するための放熱部材、または前記放熱部材に前記LEDチップが発した熱を伝える伝熱部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のLED発光素子によれば、配線基板に形成されている挿入部に挿入した貫通部材を用い、LED発光素子を相手側部材に直接固定することができる。従って、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板のほかにLED発光素子を取り付けるためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0035】
また、配線基板に設けられた凹部内にLEDチップを収容するようにしており、LEDチップを収容するために従来のリフレクタなどのような部材を別途準備する必要がなくなるので、この点でも製造工数や部品コストを低減することが可能となる。更に、例えばLEDチップに波長変換部材や光学レンズなどを組み合わせて用いる場合、凹部内にLEDチップを収容することで、波長変換部材や光学レンズなどの設置が容易となる。
【0036】
上述したように、本発明のLED発光素子は、部品コスト等が低減され、且つ高い熱伝導性も有しているため、単一光源として大型化を容易に図ることができる。
【0037】
更に、配線パターンが配線基板の内部には形成されず、配線基板の表面側のみに形成されている場合には、LEDチップから放射される光が配線基板内部で吸収されることがなくなり、LED発光素子の輝度の向上を図ることができる。
【0038】
また、LED発光素子を相手側部材に対して強固且つ機械的に締結する貫通型機械的締結部材を貫通部材として用いる場合、LED発光素子が相手側部材から容易に外れなくなる。すなわち、外部からLED発光素子に不要な力が加わった場合においても、LED発光素子が相手側部材から容易に外れることが無くなる。
【0039】
更に、貫通型機械的締結部材は、配線基板を相手側部材に強固に締結固定することができるため、接着剤等の固着部材が不要となる。したがって、熱伝導性が低い固着部材を用いることが不要となり、LED発光素子自体の熱伝導性の低下が抑制される。また、配線基板を相手側部材に強固に締結固定することができるため、配線基板がたわまず、配線基板と相手側放熱部材・伝熱部材との熱コンタクトが良くなる。これらにより、LEDチップが発した熱を、相手側部材を通じて、効率よく外部に放熱することができる。
【0040】
また、凹部を第1凹部と第2凹部とに区分し、第1凹部内に第1LEDチップを実装すると共に、第2凹部内に第2LEDチップを実装するようにした場合、例えば第1LEDチップと第2LEDチップとを異なる発光特性としたり、第1LEDチップと第2LEDチップとで異なる波長変換特性の波長変換部材を組み合わせたりすることが可能となる。
【0041】
特に、凹部を複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分し、第1凹部と第2凹部とを交互に配列すれば、このように第1LEDチップと第2LEDチップとを異なる発光特性としたり、第1LEDチップと第2LEDチップとで異なる波長変換特性の波長変換部材を組み合わせたりした場合に、2種類のLEDチップ、或いは2種類の波長変換部材からそれぞれ放射される光の合成を良好に行うことが可能となる。
【0042】
より具体的には、第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材を第1凹部に収容すると共に、第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材を第2凹部に収容した場合、第1波長変換部材及び第2波長変換部材からそれぞれ放射された光を合成した光を得ることができる。
【0043】
この際、上述したように、凹部を複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分し、第1凹部と第2凹部とを交互に配列すれば、このように第1波長変換部材及び第2波長変換部材からそれぞれ放射された光を合成する場合に、合成をより一層良好に行うことが可能となる。
【0044】
特に、第1波長変換部材が第1色温度の白色光を放射し、第2波長変換部材が第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射する場合は、第1色温度から第2色温度までの間の色温度の白色光をLED発光素子から放射させることが可能となる。
【0045】
また、配線基板に第1凹部と第2凹部とを設ける場合に、配線基板における第1凹部の開口形状と、配線基板における第2凹部の開口形状とを実質的に同一とすれば、上述のようにして2つの光を合成して放射する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことが可能となる。
【0046】
LEDチップが発する熱によってLED発光素子の温度が過度に上昇すると、LED発光素子の発光特性の悪化や、LEDチップをはじめとする構成部材に劣化などが生じるおそれがある。そこで、LEDチップが発する熱を適切に外部の雰囲気中に放出する必要があり、そのための放熱部材が用いられる場合がある。このような場合、上述したLED発光素子においては、挿入部に挿入した貫通部材により容易にLED発光素子を放熱部材自体或いは放熱部材に熱を伝える伝熱部材に固定することができる。特に、この放熱部材の使用は、複数のLEDチップを用いて発熱量が増大するような場合に有効である。
【0047】
LED発光素子の配線基板が、配線基板を貫通すると共に、配線基板に形成された配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有する場合、この金属端子部材を介して外部との配線を行うことができるので、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。
【0048】
この金属端子部材が、配線基板において凹部が形成された面から突出するように設けられている場合、LED発光素子を相手側部材に固定した後に、外部との配線を容易にLED発光素子に接続することができる。また、LED発光素子にレンズなどの光学デバイスを組み合わせる場合に、金属端子部材をスペーサとして代用することが可能となる。
【0049】
一方、配線基板において凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように金属端子部材を設けた場合、例えば相手側部材にこの金属端子部材を受容するコネクタなどを設ければ、相手側部材へのLED発光素子の装着と、電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。
【0050】
本発明のLED発光素子を照明装置に用いた場合には、照明装置において上述したようなLED発光素子の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るLED発光素子の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1のLED発光素子の平面図である。
【図3】図2中におけるIII−III線に沿うLED発光素子の断面図である。
【図4】図3に示すLED発光素子の断面の要部拡大図である。
【図5】図1のLED発光素子の電気回路構成を示す回路図である。
【図6】LED発光素子を相手側部材に取り付けた状態の一例を、図2中のVI−VI線に沿う断面で示す図である。
【図7】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図8】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図9】LED発光素子の電気回路構成の変形例を示す回路図である。
【図10】LED発光素子の配線基板の変形例を示す平面図である。
【図11】LED発光素子の第1変形例を示す平面図である。
【図12】LED発光素子の第2変形例を示す平面図である。
【図13】LED発光素子の第3変形例を示す平面図である。
【図14】LED発光素子の第4変形例を示す平面図である。
【図15】図14中におけるXV−XV線に沿うLED発光素子の断面図である。
【図16】図14のLED発光素子の電気回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、以下の説明に用いる図面は、いずれも本発明によるLED発光装置などを模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。更に、以下の説明で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
【0053】
<LED発光素子の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るLED発光素子1の全体構成を示す斜視図である。また、図2はLED発光素子1の平面図であり、図3は図2中のIII−III線に沿うLED発光素子1の断面図である。図1〜図3に示すように、本実施例においてLED発光素子1は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックからなる配線基板2を備えている。この配線基板2は、一辺が15〜20mmの正方形状に形成され、1〜3mmの厚さを有する。配線基板2には、第1の面(表面)2aに開口する第1凹部3及び第2凹部4の2つの凹部が形成されている。すなわち、配線基板2の表面側に第1凹部3及び第2凹部4の2つの凹部が形成されている。これら第1凹部3及び第2凹部4は、配線基板2の第1の面2aにおける開口面積及び形状が実質的に同一となるように形成され、配線基板2の一部である仕切り壁2bを間にして並設されている。
【0054】
図1及び図2に示すように、第1凹部3の底面には、4個の第1LEDチップ5が仕切り壁2bに沿って1列に配列されており、第2凹部4の底面には、4個の第2LEDチップ6が仕切り壁2bに沿って1列に配列されている。また、図1及び図2に示すように、配線基板2の第1の面2aのみに、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に駆動電流を供給するため、それぞれ銅箔など導電性が良好な金属からなる第1配線パターン7、第2配線パターン8、第3配線パターン9及び第4配線パターン10が形成されている。このように、各配線パターンが配線基板2の内部には形成されず、配線基板2の表面側のみに形成されることにより、各LEDチップから放射される光が配線基板2の内部で吸収されることがなくなり、LED発光素子1の輝度の向上を図ることが可能になる。
【0055】
なお、本実施形態における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の数は一例であって、必要に応じて増減可能であり、それぞれを1個ずつとすることも可能であり、また両者で数を異ならせることも可能である。また、配線基板2の材質についても、アルミナ系セラミックに限定されるものではなく、様々な材質を適用可能であって、例えば、セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いてもよい。或いは、配線基板2の第1の面2aにおける光の反射性を良くしてLED発光素子1の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。更に、銅製基板やアルミ製基板などのような金属製基板を用いて放熱性を向上させることも可能である。但し、この場合には、電気的絶縁を間に介して配線基板に配線パターンを形成する必要がある。更に、各配線パターンは配線基板2の表面側以外(例えば、配線基板2の内部、側面、裏面等)に形成されてもよい。このような場合には、各LEDチップから放射される光が各配線パターンによって吸収されないように、各配線パターンの形状及び形成箇所を設計することが好ましい。
【0056】
第1配線パターン7及び第2配線パターン8には、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド7a及び8aが設けられている。すなわち、外部接続ランド7a及び8aは、配線基板2の第1の面2aに設けられている。一方、第1配線パターン7及び第2配線パターン8の他端側は、図1及び図2に示すように、第1凹部3を間に挟み第1凹部3に沿って延設されている。また、第3配線パターン9及び第4配線パターン10も、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド9a及び10aが設けられている。すなわち、外部接続ランド9a及び10aは、配線基板2の第1の面2aに設けられている。一方、第3配線パターン9及び第4配線パターン10の他端側は、図1及び図2に示すように、第2凹部4を間に挟み第2凹部4に沿って延設されている。
【0057】
図4は、図3に示すLED発光素子1の断面における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6周辺の要部拡大図である。図4に示すように、第1LEDチップ5は、第1凹部3の底面に接着剤13を介して接着されると共に、上面に有する2つの電極のそれぞれが、ワイヤボンディングにより、対応する配線パターンに接続されている。具体的には、第1LEDチップ5のp電極が金属ワイヤ14によって第1配線パターン7に接続され、n電極が金属ワイヤ15によって第2配線パターン8に接続されている。図4では、1つの第1LEDチップ5の接続状態を示しているが、4個の第1LEDチップ5はいずれも同様にして第1配線パターン7と第2配線パターン8とに接続されている。従って、4個の第1LEDチップ5は、第1配線パターン7と第2配線パターン8との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0058】
図4に示すように、第2凹部4の底面に配列されている4個の第2LEDチップ6も、第1LEDチップ5と同様に接着剤16を介して第2凹部4の底面に接着されると共に、ワイヤボンディングにより対応する配線パターンに接続されている。具体的には、第2LEDチップ6のn電極が金属ワイヤ17によって第3配線パターン9に接続され、p電極が金属ワイヤ18によって第4配線パターン10に接続されている。従って、4個の第2LEDチップ6は、第3配線パターン8と第4配線パターン10との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0059】
なお、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の実装及び接続は、これに限定されるものではなく、これらLEDチップの種類や構造などに応じて適切な方法を選択することが可能である。例えば、フリップチップ実装を採用し、各LEDチップ下面の2つの電極を、第1凹部3や第2凹部4の底面に形成した配線パターンに接合するようにしてもよい。或いは、各LEDチップ下面の1つの電極を、第1凹部3や第2凹部4の底面に形成した配線パターンに接合すると共に、各LEDチップ上面の1つの電極を、配線基板2の第1の面2aに形成した配線パターンにワイヤボンディングにより接続するようにしてもよい。
【0060】
図3及び図4に示すように、第1凹部3内には、第1LEDチップ5が発した光の一部または全部を波長変換する第1蛍光部材(第1波長変換部材)11が第1LEDチップ5を覆うように充填されている。この第1蛍光部材11は、第1LEDチップ5が発した光によって励起され、第1LEDチップ5が発した光とは異なる波長の光を放射する第1蛍光体19と、この第1蛍光体19を分散保持する充填材20とからなる。一方、第2凹部4内には、第2LEDチップ6が発した光の一部または全部を波長変換する第2蛍光部材(第2波長変換部材)12が第2LEDチップ6を覆うように充填されている。この第2蛍光部材12は、第2LEDチップ6が発した光によって励起され、第2LEDチップ6が発した光とは異なる波長の光を放射する第2蛍光体21と、この第2蛍光体21を分散保持する充填材22とからなる。次に、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6、並びに第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12の具体的構成について詳述する。
【0061】
<LEDチップ>
本実施形態において用いる第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、いずれも405nmのピーク波長を有した近紫外光を発するLEDチップである。具体的には、このようなLEDチップとして、InGaN半導体が発光層に用いられて近紫外領域の光を発するGaN系LEDチップなどが好ましい。なお、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の種類や発光波長特性はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、様々なLEDチップを用いることができる。近紫外光を発するLEDチップ以外のLEDチップとして具体的には、青色光を発するLEDチップを用いてもよい。従って、本実施形態において第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光のピーク波長は、360nm〜460nm、好ましくは400nm〜450nmの波長範囲内にあるものが好適である。
【0062】
<蛍光部材>
本実施形態において、第1蛍光部材11が有する第1蛍光体19と、第2蛍光部材12が有する第2蛍光体21とは、互いに異なる波長変換特性を有している。このような異なる波長変換特性の組み合わせは種々可能である。本実施形態では、第1蛍光体19及び第2蛍光体21として、いずれも赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の3種類の蛍光体を混合して用いている。
【0063】
4個の第1LEDチップ5が発する近紫外光は、第1蛍光部材11内に第1蛍光体19として分散保持されている赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体によってそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に波長変換され、これら赤色光、緑色光及び青色光を合成して得られる白色光が第1蛍光部材11から放射されるようになっている。また、第2LEDチップ6が発する近紫外光は、第2蛍光部材12内に第2蛍光体21として分散保持されている赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体によってそれぞれ赤色光、緑色光及び青色光に波長変換され、これら赤色光、緑色光及び青色光の合成により得られる白色光が第2蛍光部材12から放射されるようになっている。ここで、第1蛍光体19と第2蛍光体21とでは、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体の蛍光体の混合比率を変えており、第1蛍光部材11から放射される白色光の第1色温度T1と、第2蛍光部材12から放射される白色光の第2色温度T2とが異なるようにしている。
【0064】
なお、第1蛍光体19及び第2蛍光体21は、上述のような赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を混合したものに限定されるものではない。例えば、青色蛍光体と黄色蛍光体とを混合し、第1蛍光体19及び第2蛍光体21を形成してもよい。この場合、第1LEDチップ5が発する近紫外光は、第1蛍光部材11内に第1蛍光体19として分散保持されている青色蛍光体及び黄色蛍光体によって青色光及び黄色光に波長変換され、これら青色光及び黄色光の合成により得られる白色光が第1蛍光部材11から放射される。第2蛍光部材12においても、同様にして、第2LEDチップ6が発する近紫外光を第2蛍光体21が波長変換することにより、白色光が第2蛍光部材12から放射される。この場合も、第1蛍光体19と第2蛍光体21とで、青色蛍光体及び黄色蛍光体の混合比率を変えることにより、第1蛍光部材11から放射される白色光の第1色温度T1と、第2蛍光部材12から放射される白色光の第2色温度T2とを異ならせることができる。
【0065】
また、このような青色蛍光体及び黄色蛍光体を混合せずに、青色蛍光体を第1蛍光体19として用いると共に、黄色蛍光体を第2蛍光体21として用いてもよい。この場合、第1LEDチップ5が発する近紫外光が、第1蛍光体19により青色光に波長変換されると共に、第2LEDチップ6が発する近紫外光が、第2蛍光体21により黄色光に波長変換される。従って、これら青色光と黄色光とを合成することにより様々な色温度の白色光を得ることができる。
【0066】
このような青色蛍光体と黄色蛍光体との組み合わせに代えて、赤色蛍光体と青緑色(シアン色)蛍光体との組み合わせを、同様の方法で用いることも可能である。即ち、赤色蛍光体と青緑色蛍光体とを混合し、その混合比率を変えて第1蛍光体19及び第2蛍光体21として用いてもよいし、赤色蛍光体を第1蛍光体19として用いると共に、青緑色蛍光体を第2蛍光体21として用いてもよい。このように、第1蛍光体19及び第2蛍光体21には様々な種類の蛍光体を採用することが可能である。なお、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12からそれぞれ放射された光を合成して得られる光も白色光に限定されるものではなく、LED発光素子1に求められる放射光の色温度、色度、輝度、或いは彩度などに応じ、第1蛍光体19及び第2蛍光体21の種類を適宜選択すればよい。上述した各種蛍光体及び充填材の具体例は以下の通りである。
【0067】
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上で、通常は780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、赤色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体などのβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O)3:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、K2SiF6:Mnがより好ましい。
【0068】
(橙色蛍光体)
赤色蛍光体のうち、発光ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上で、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ceなどがある。
【0069】
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは515nm以上で、通常は550nm未満、好ましくは542nm以下、より好ましくは535nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、緑色蛍光体として例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、CaSc2O4:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Si,Al)6(O,N)8:Eu(β−サイアロン)、(Ba,Sr)3Si6O12:N2:Eu、SrGa2S4:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Mnが好ましい。
【0070】
(青色蛍光体)
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、青色蛍光体として例えば、(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi2O8:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi2O8:Euがより好ましく、Sr10(PO4)6Cl2:Eu、BaMgAl10O17:Euが特に好ましい。
【0071】
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあるものが好適である。中でも、黄色蛍光体として例えば、Y3Al5O12:Ce、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si2N2O2:Eu、α−サイアロン、La3Si6N11:Ceが好ましい。
【0072】
(青緑色蛍光体)
青緑色蛍光体としては、(Ba,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+(ピーク波長483nm)などのハロ燐酸塩系蛍光体、2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu2+(ピーク波長480nm)などの燐酸塩系蛍光体、Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu2+(ピーク波長490nm)などのケイ酸塩系蛍光体、BaAl8O13:Eu2+(ピーク波長480nm)、BaMg2Al16O27:Eu2+,Mn2+(ピーク波長450nm,515nm)、SrMgAl10O17:Eu2+(ピーク波長480nm程度)、Sr4Al14O25:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などのアルミン酸塩系蛍光体、BaSi2N2O2:Eu2+(ピーク波長480nm程度)などの酸窒化物系蛍光体などがある。なお、単一種類の青緑色蛍光体に代えて、複数種類の青緑色蛍光体を混合して用いてもよいし、青色蛍光体と緑色蛍光体とを適宜混合して放射光が青緑色となるようにしてもよい。
【0073】
(充填材)
第1蛍光体19を分散保持する充填材20及び第2蛍光体21を分散保持する充填材22には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが用いられるが、第1LEDチップ5や第2LEDチップ6から発せられる近紫外光に対して十分な透明性と耐久性とを有した材料を用いるのが好ましい。具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレンやスチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール、エチルセルロースやセルロースアセテートやセルロースアセテートブチレートなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などがあげられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマーもしくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合してなる溶液またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料やガラスを用いることができる。
【0074】
<LED発光素子の電気回路構成>
第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が上述したようにして配線基板2の配線パターン7〜10に接続されることにより、本実施形態におけるLED発光素子1は、図5に示すような電気回路構成を有する。即ち、4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド7a及び8aの間に、アノードを外部接続ランド7a側として、互いに並列に接続されている。一方、4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド9a及び10aの間に、アノードを外部接続ランド9a側として、互いに並列に接続されている。従って、本実施形態のLED発光素子1では、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とが電気的に分離され、独立して駆動電流を供給できるようになっている。
【0075】
このような電気回路構成により、外部接続ランド7a及び8aを介し、第1LEDチップ5に順方向電流が流れるように駆動電流を供給すれば、第1LEDチップ5が近紫外光を発する。前述したように、この近紫外光の一部または全部は、第1蛍光部材11内に分散保持されている第1蛍光体19によって波長変換され、第1蛍光部材11から第1色温度T1の白色光が放射される。一方、外部接続ランド9a及び10aを介し、第2LEDチップ6に順方向電流が流れるように駆動電流を供給すれば、第2LEDチップ6が近紫外光を発する。この近紫外光の一部または全部は、前述したように、第2蛍光部材12内に分散保持されている第2蛍光体21によって波長変換され、第2蛍光部材12から第2色温度T2の白色光が放射される。
【0076】
このような電気回路構成において駆動電流を制御することにより、第1LEDチップ5のみ発光させ、第2LEDチップ6を発光させないようにすれば、第1蛍光部材11によって放射された第1色温度T1の白色光がLED発光素子1から放射される。一方、第2LEDチップ6のみ発光させ、第1LEDチップ5を発光させないようにすれば、第2蛍光部材12によって放射された第2色温度T2の白色光がLED発光素子1から放射される。また、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6をそれぞれ発光させれば、第1蛍光部材11から放射された白色光と、第2蛍光部材12から放射された白色光とが合成されて得られた白色光がLED発光素子1から放射される。従って、第1LEDチップ5に供給される駆動電流と、第2LEDチップ6に供給される駆動電流とを調整することにより、第1色温度T1から第2色温度T2までの間の色温度の白色光をLED発光素子1から放射させることができる。
【0077】
<照明装置への適用>
このように、本実施形態のLED発光素子1は、第1色温度T1から第2色温度T2までの間で色温度を変更可能な白色光を放射させることができるので、照明装置の光源として好適である。そこで、このような場合にLED発光素子1を照明装置に固定するため、配線基板2には2つの貫通孔(挿入部)23及び24が設けられている。
【0078】
図6は、照明装置へのLED発光素子1の取付例を、図2中のVI−VI線に沿う断面で示す図である。図6中の符号25は、LED発光素子1を取り付ける際にこのLED発光素子1を保持する部材となる相手側部材であって、照明装置の一部を構成する部材である。具体的には、LED発光素子1の第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発した熱を雰囲気中に放出するために照明装置に設けられた放熱部材、或いはこのような放熱部材に熱を伝えるヒートパイプなどの伝熱部材が相手側部材25となる。
【0079】
なお、相手側部材25はこれら放熱部材或いは伝熱部材に限定されるものではなく、LED発光素子1や照明装置の特性や仕様に応じて様々なものを相手側部材25として選択可能である。例えば、放熱部材或いは伝熱部材が不要な場合には、照明装置のケーシングなどにLED発光素子1を取り付けてもよいし、照明装置側の配線用基板にLED発光素子1を取り付けてもよい。また、相手側部材25は照明器具の一部材に限定されるものではなく、LED発光素子1を光源として用いる器具や装置などを構成する部材であれば、同様に取り付けが可能である。
【0080】
図6に示すように、配線基板2の貫通孔23には、ワッシャ26を介在させ、貫通部材の一例であるネジ27が挿入される。また、貫通孔24には、ワッシャ28を介在させ、貫通部材の一例であるネジ29が挿入される。これらネジ27及びネジ29は、相手側部材25に形成されている取付孔30及び取付孔31にそれぞれ螺合し、ネジ27及びネジ29を締め付けることにより、LED発光素子1が相手側部材25に取り付けられ固定される。このような固定により、例えば相手側部材25が放熱部材或いは伝熱部材である場合には、LED発光素子1から相手側部材25に良好に熱を伝達することが可能となり、LED発光素子1の作動を良好に維持することが可能となる。本実施形態のように複数のLEDチップを用いるような場合、発熱量が大きくなる可能性があるので、特に有効である。
【0081】
また、配線基板2に形成された貫通孔23及び24に挿入したネジを用い、LED発光素子1を相手側部材25に直接固定することができるので、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板2のほかに相手側部材25に固定するためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0082】
更に、貫通部材であるネジ27及びネジ29によって配線基板2を相手側部材25に直接固定することができるため、接着剤等の固着部材が不要となる。したがって、熱伝導性が低い固着部材を用いることが不要となり、LED発光素子1自体の熱伝導性の低下が抑制され、各LEDチップが発した熱を効率よく外部に放熱することができる。
【0083】
そして、本実施例においては、貫通部材としてネジ27及びネジ29を用いているため、ネジ27及びネジ29によって配線基板2の内部を締め付けることがきる。このため、LED発光素子1を相手側部材25に取り付ける際に、配線基板2が撓むことがなくなり、各LEDチップから発する熱をLED発光素子1の外部に効率よく放熱することが可能になる。
【0084】
このような効果を持つ本実施例のLED発光素子1は、部品コスト等が低減され、且つ高い熱伝導性も有しているため、単一光源として大型化を容易に図ることができる。
【0085】
また、貫通部材であるネジ27及びネジ29は、LED発光素子1を相手側部材25に対して強固且つ機械的に締結する貫通型機械的締結部材である。このような貫通型機械的締結部材であるネジ27及びネジ29を用いてLED発光素子1を相手側部材25に固定することにより、LED発光素子1が相手側部材25から容易に外れなくなる。すなわち、外部からLED発光素子1に不要な力が加わった場合において、LED発光素子1が相手側部材25から容易に外れることを防止し、更にはLED発光素子1を相手側部材25に取り付けた状態でその向きの変更を容易に行うことができる。
【0086】
本実施形態のLED発光素子1では、上述した効果に加え、配線基板2に設けられた第1凹部3及び第2凹部4内に、それぞれ第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6を収容するようにしており、これらLEDチップを収容するために従来のリフレクタなどのような部材を別途準備する必要がなくなるので、この点でも製造工数や部品コストを低減することが可能となる。特に本実施形態では、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に組み合わせて第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12を用いているが、第1凹部3及び第2凹部4内に第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6を収容したことで、これら第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12の設置が容易となる。
【0087】
また、本実施形態では、配線基板2における第1凹部3の開口形状と、配線基板2における第2凹部4の開口形状とを実質的に同一としているので、上述のようにして第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される2つの光を合成する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことができる。この結果、LED発光素子1を照明装置などの光源として用いた場合に、質の高い照明光を得ることができる。
【0088】
なお、本実施例においては、貫通部材として貫通型機械的締結部材であるネジ27及びネジ29を用いたが、貫通部材は貫通型機械的締結部材に限定されることなく、ねじ切りの無い釘のようなピン状の部材であってもよい。また、貫通部材は金属等の導電性部材に限定されることなく、熱伝導性が高く且つ硬い部材であれば、半導体又は非導電性部材等の他の部材から構成されてもよい。更に、貫通型機械的締結部材はネジに限定されることなく、例えば、ボルトとナット、リベット締結部材、くさび締結部材等の部材であってもよい。
【0089】
<電気回路構成の変形例>
本実施形態では、図5に示すように、互いに並列に接続した第1LEDチップ5の電気回路と、互いに並列に接続した第2LEDチップ6の電気回路とを完全に分離してLED発光素子1の電気回路を構成したが、LED発光素子1の電気回路構成は、これに限定されるものではない。必要に応じ、配線基板2に形成する配線パターンを変更することにより、様々な電気回路を構成することが可能である。
【0090】
例えば、図7に示すように、第1LEDチップ5のカソード側と第2LEDチップ6のアノード側とを、共通の外部接続用ランド32に接続するようにしてもよい。この場合、4個の第1LEDチップ5が、外部接続ランド33と外部接続ランド32との間に互いに並列に接続され、4個の第2LEDチップ6が、外部接続ランド32と外部接続ランド34との間に互いに並列に接続される。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とで、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0091】
上述した実施形態及び図7の変形例では、4個の第1LEDチップ5を互いに並列に接続すると共に、4個の第2LEDチップ6を互いに並列に接続した。これに代えて、4個の第1LEDチップ5を直列に接続すると共に、4個の第2LEDチップ6を直列に接続するようにしてもよい。図8及び図9は、このような電気回路構成の例を示している。図8の例では、外部接続ランド35と外部接続ランド36との間に、外部接続ランド35をアノード側の端子として、4個の第1LEDチップ5が直列に接続されている。また、外部接続ランド37と外部接続ランド38との間に、外部接続ランド37をアノード側の端子として、4個の第2LEDチップ6が直列に接続されている。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5の電気回路と第2LEDチップ6の電気回路とは完全に分離され、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0092】
一方、図9の例では、外部接続ランド39を共通に用い、外部接続ランド40と外部接続ランド39との間に、外部接続ランド40をアノード側の端子として、4個の第1LEDチップ5が直列に接続されている。また、外部接続ランド39と外部接続ランド41との間には、外部接続ランド39をアノード側の端子として、4個の第2LEDチップ6が直列に接続されている。このような電気回路構成においても、第1LEDチップ5と第2LEDチップ6とで、それぞれ個別に駆動電流の調整が可能である。
【0093】
なお、図7〜図9の例では、いずれも4個の第1LEDチップ5と4個の第2LEDチップ6とを用いたが、上述の実施形態と同様に、これらLEDチップの数は4個ずつに限定されるものではなく、必要に応じて増減することが可能である。また、LED発光素子1において構成可能な電気回路も、上述の実施形態及び図7〜図9の例に限定されるものではなく、必要に応じて様々な電気回路を構成することが可能である。
【0094】
<配線基板の変形例>
上述の実施形態では、配線基板2に2つの貫通孔23及び24を形成し、これら貫通孔23及び24に挿入したネジ27及び29により、照明器具などを構成する相手側部材25にLED発光素子1を取り付けるようにした。これらの貫通孔23及び24に代え、図10に示すように、配線基板2’の縁部に2つの切り欠き(挿入部)23’及び24’を形成するようにしてもよい。この場合も上述した実施形態と同様に、切り欠き23’及び24’にそれぞれ挿入したネジ27及び29により、相手側部材25にLED発光素子1を取り付けることができる。なお、図10では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用い、配線パターンを省略している。また、配線基板2’は、上述した実施形態における配線基板2に対し、貫通孔23及び24に代えて切り欠き23’及び24’を用いる点以外は、同様に構成されている。
【0095】
上述した実施形態における貫通孔の数、及び本変形例における切り欠きの数は、2個に限定されるものではなく、1個のみとしてもよいし、必要に応じて更に数を増やしてもよい。また、貫通孔や切り欠きの形状も上述した実施形態や本変形例で採用した形状に限定されるものではなく、ネジを挿入可能な形状であればよい。更に、貫通孔や切り欠きの位置も、配線パターンや第1凹部3及び第2凹部4の位置、相手側部材25などに応じて適宜変更することが可能である。
【0096】
<LED発光素子の第1変形例>
上述した実施形態では、配線基板2に形成されている配線パターン7〜10に、ぞれぞれ外部接続ランド7a〜10aを形成し、外部との接続を行うようにした。このような接続方法に代えて、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに、配線基板2を貫通する金属製のピン部材(金属端子部材)を設け、このピン部材を介して外部との接続を行うようにしてもよい。図11は、このようなピン部材を採用したLED発光素子の第1変形例を、上述した実施形態の場合の図2におけるXI−XI線に沿う断面で示すものである。なお、図11では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0097】
図11に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aに、配線基板2を貫通する貫通部材であるピン部材42がそれぞれ設けられている。また、図11には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42は、その一端に円形平板状のフランジ部42aが形成されると共に、他端側にはテーパ状に形成されたテーパ部42bが設けられている。なお、フランジ部42aの形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42bの形状も、図11に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0098】
図11に示すように、ピン部材42は、それぞれ第1の面2a側から、外部接続ランド7a及び10aの位置で配線基板2に形成された嵌合孔に圧入され、フランジ部42aをそれぞれ対応する外部接続ランド7a及び10aに当接させた状態で、配線基板2に固定されている。従って、ピン部材42のテーパ部42b側は、それぞれ配線基板2の第2の面2cから突出した状態となる。このとき、外部接続ランド7aに対応して設けられたピン部材42のフランジ部42aは外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに対応して設けられたピン部材42のフランジ部42aは外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。
【0099】
このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42aにおいては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材42も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0100】
このように4つのピン部材42を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合には、LED発光素子が取り付けられる相手側部材25に、これら4つのピン部材42を受容するコネクタなどの受容部材を設けることにより、外部からLED発光素子への配線の接続を容易に行うことが可能となり、相手側部材25へのLED発光素子の装着と電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。なお、4つのピン部材42のうちの、それぞれ互いに隣り合う2つのピン部材42の間隔を、一般的な配線基板の設計に適用される標準的寸法である2.54mmの倍数とすれば、相手側部材25の受容部材との良好な整合性を確保することができる。
【0101】
また、4つのピン部材42のそれぞれに外部からの配線を直接接続する場合も含め、4つのピン部材42を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けることにより、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。更に、各ピン部材42のフランジ部42aが当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第2の面2cからのピン部材42の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0102】
なお、ピン部材42が相手側部材25のコネクタに差し込まれることにより、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材25を締結しないものの、配線基板2と相手側部材25とを簡易的に固定することが可能になる。すなわち、ピン部材42は、貫通部材としての役割も担う。但し、ピン部材42は、配線基板と相手側部材とを強固且つ機械的に締結しないため、貫通型機械的締結部材には該当しない。
【0103】
なお、本変形例において、外部接続ランド7a〜10aに設ける4つのピン部材42のいずれか1つの長さを他の3つの長さと異ならせてもよい。このようにすることで、LED発光素子の装着方向を容易に認識することができる。
【0104】
<LED発光素子の第2変形例>
上述した第1変形例では、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けられるピン部材42が、配線基板2の第2の面2cから突出するようにしたが、配線基板2の第1の面2aから突出するようにしてもよい。図12は、このようなピン部材42’を採用したLED発光素子の第2変形例を、上述した第1変形例の場合と同様の断面で示している。なお、図12では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0105】
図12に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aには、配線基板2を貫通するピン部材42’が設けられている。また、図12には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42’がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42’は、その中間部分に円形平板状のフランジ部42a’が形成され、上述した第1変形例のピン部材42と同様に、配線基板2の第1の面2a側から、フランジ部42a’が対応する外部接続ランドに当接するまで、当該外部接続ランドの嵌合孔に圧入されている。そして、配線基板2の第1の面2aから突出するピン部材42’の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42b’が設けられている。
【0106】
このとき、外部接続ランド7aに設けられるピン部材42’のフランジ部42a’は、外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに設けられるピン部材42’のフランジ部42a’は、外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42a’においては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材42’も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0107】
なお、フランジ部42a’の形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42b’の形状も、図12に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0108】
このようにして、4つのピン部材42’を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合、外部からLED発光素子への配線の接続はそれぞれのピン部材42’を介して容易に行うことができる。従って、この場合も、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べて、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。また、各ピン部材42’のフランジ部42a’が当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第1の面2aからのピン部材42’の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0109】
なお、4つのピン部材42’の各テーパ部42b’に対して配線を接続するだけでなく、各テーパ部42b’を種々の相手側部材(例えば、光学レンズ等)に対して差し込むことにより、4つのピン部材42’を貫通部材として用いてもよい。このような場合には、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材を締結しないものの、配線基板2と当該相手側部材とを簡易的に固定することが可能になる。
【0110】
なお、本変形例においても、外部接続ランド7a〜10aに設ける4つのピン部材42a’のいずれか1つの長さを、他の3つの長さと異ならせてもよい。このようにすることで、LED発光素子の装着方向を容易に認識することができる。
【0111】
<LED発光素子の第3変形例>
上述した第1及び第2変形例では、外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けられるピン部材が、配線基板2の第1の面2a及び第2の面2cのいずれか一方のみから突出するようにしたが、これら第1の面2a及び第2の面2cの両方から突出するようにしてもよい。図13は、このようなピン部材42”を採用したLED発光素子の第3変形例を、上述した第1変形例の場合と同様の断面で示すものである。なお、図13では、上述した実施形態と同様の部材については同じ符号を用いている。
【0112】
図13に示すように、外部接続ランド7a及び外部接続ランド10aには、配線基板2を貫通するピン部材42”が設けられている。また、図13には示していないが、外部配線ランド8a及び9aにも、同様のピン部材42”がそれぞれ設けられている。具体的には、ピン部材42”は、その中間部分に円形平板状のフランジ部42a”が形成され、上述した第1変形例のピン部材42と同様に、配線基板2の第1の面2a側から、フランジ部42a”が対応する外部接続ランドに当接するまで、当該外部接続ランドの嵌合孔に圧入されている。そして、配線基板2の第1の面2aから突出するピン部材42”の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42b”が設けられ、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材42”の端部には、テーパ状に形成されたテーパ部42c”が設けられている。
【0113】
このとき、外部接続ランド7aに設けられたピン部材42”のフランジ部42a”は、外部接続ランド7aに電気的に接続された状態となり、外部接続ランド10aに設けられたピン部材42”のフランジ部42a”は、外部接続ランド10aに電気的に接続された状態となる。このような電気的接続をより確実なものとするため、それぞれのフランジ部42a”においては、対応する外部接続ランド7a及び10aへのハンダ付け、かしめ、溶着、溶接、或いは圧着などを適用するのが好ましい。外部配線ランド8a及び9aに同様にして設けられるピン部材も、外部接続ランド7a及び10aの場合と同様に、それぞれ外部配線ランド8a及び9aと電気的に接続されている。
【0114】
なお、フランジ部42a”の形状は、円形状に限定されるものではなく、例えば四角形や六角形など多角形であってもよいし楕円形であってもよい。また、テーパ部42b”及び42c”の形状も、図13に示すような形状に限定されるものではなく、様々な形状を採用可能である。
【0115】
このようにして、4つのピン部材42”を外部接続ランド7a〜10aのそれぞれに設けた場合、上述した第1変形例と同様に、LED発光素子が取り付けられる相手側部材25に、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材42”をそれぞれ受容するコネクタなどの受容部材を設けることにより、外部からLED発光素子への配線の接続を容易に行うことが可能となり、相手側部材25へのLED発光素子の装着と電気的接続との両方を同時に行うことが可能となる。この場合も、4つのピン部材42”のうちの、それぞれ互いに隣り合う2つのピン部材42”の間隔を、一般的な配線基板の設計に適用される標準的寸法である2.54mmの倍数とすれば、相手側部材25の受容部材との良好な整合性を確保することができる。また、ピン部材42”が相手側部材25のコネクタに差し込まれることにより、強固且つ機械的に配線基板2と相手側部材25を締結しないものの、配線基板2と相手側部材25とを簡易的に固定することが可能になる。従って、ピン部材42”は貫通部材としての役割も担う。
【0116】
また、上述した第2変形例と同様に、配線基板2の第2の面2aから突出するピン部材42”に、外部からLED発光素子への配線を直接接続することもできる。更に、配線基板2の第2の面2cから突出するピン部材に、外部からLED発光素子への配線を直接接続することも可能である。いずれの場合も、外部との配線を配線パターンに直接接続する場合に比べ、配線パターンの強度を高める必要がなくなり、経年変化による配線パターンの劣化や剥離などの問題を防止することができる。更に、各ピン部材42”のフランジ部42a”が当接するまで配線基板2の嵌合孔に圧入するので、配線基板2の第1の面2a及び第2の面2cからのピン部材42”の突出量のバラツキを良好に抑制することができる。
【0117】
本変形例の場合、上述したように、配線基板2の第2の面2cから突出する各ピン部材42”に対して外部からの配線を接続できるので、配線基板2の第1の面2aから突出する各ピン部材42”の部位については、別の目的に使用することも可能である。例えば、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される白色光の合成をより良好に行ったり、LED発光素子から放射される白色光を良好に配光したりするための光学レンズ43を支持する支持部材として、これらピン部材42”を用いることができる。すなわち、これらピン部材42”は、光学レンズ43と配線基板2とを固定する貫通部材として機能する。
【0118】
即ち、図13に一点鎖線で示すように、光学レンズ43は配線基板2の第1の面2aと平行な入射面を有しており、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射された白色光が入射されるようになっている。配線基板2の第1の面2aに対向している光学レンズ43の入射面には、配線基板2に装着されている各ピン部材42”のテーパ部が嵌合する凹部が形成されており、光学レンズ43を配線基板2に対して容易に位置決めできるようになっている。
【0119】
このようにして、外部配線ランド7a〜10aに装着された4つのピン部材42”を利用して光学レンズ43を支持し固定することにより、光学レンズ43を支持し固定するための部材を別途準備する必要がなくなり、LED発光素子の部品点数や製造工数を低減することが可能となる。また、光学レンズ43を用いることにより、LED発光素子の配光性や光の合成を、より良好なものとすることができる。
【0120】
更に、本変形例においても、前述の実施形態同様に第1凹部3内に第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11が収容されると共に、第2凹部4内に第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12が収容されているので、このような光学レンズ43を設ける場合に、これら第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11、並びに第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12と干渉することなく、適切な位置に容易に光学レンズ43を配置することができる。
【0121】
なお、本変形例では光学レンズ43をLED発光素子に組み合わせて用いる場合を例に説明したが、光学レンズ43以外に、LED発光素子から放射される光を拡散させるための拡散部材や、光の放射方向を規制或いは偏向するための部材などの様々な光学デバイスを用いる際にも同様に各ピン部材42”を利用することができる。
【0122】
<LED発光素子の第4変形例>
前述した実施形態では、配線基板2に第1凹部3と第2凹部4とを1つずつ形成し、第1凹部3内に第1LEDチップ5を収容すると共に、第2凹部4内に第2LEDチップ6を収容した。しかしながら、これら凹部の数は1つずつに限定されるものではなく、様々に変更可能である。従って、例えば単一の凹部を形成し、この凹部内にLEDチップを収容し、蛍光部材と組み合わせることも可能である。ここでは、第1LEDチップ5を収容する第1凹部、及び第2LEDチップ6を収容する第2凹部をそれぞれ2つずつ設けた場合を、第4変形例として以下に説明する。なお、前述の実施形態と同様の部材については同じ符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0123】
図14は本変形例のLED発光素子101の平面図であり、図15は図14中におけるXV−XV線に沿うLED発光素子101の断面図である。本変形例においても、LED発光素子101は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有したアルミナ系セラミックからなる配線基板102を備えている。配線基板102には、第1の面102aに開口する2つの第1凹部103及び105が形成されると共に、同じく第1の面102aに開口する2つの第2凹部104及び106が形成されている。図14に示すように、これら第1凹部103及び105並びに第2凹部104及び106は、配線基板102の第1の面2aにおける開口面積及び形状がいずれも実質的に同一となるように形成され、第1凹部103及び105と第2凹部104及び106とが交互に並設されている。
【0124】
図14に示すように、第1凹部103の底面及び第1凹部105の底面には、それぞれ4個の第1LEDチップ5が1列に配列されている。また、第2凹部104の底面及び第2凹部106の底面には、それぞれ4個の第2LEDチップ6が1列に配列されている。また、図14に示すように、配線基板102の第1の面102aには、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6に駆動電流を供給するため、それぞれ銅箔など導電性が良好な金属からなる第1配線パターン107、第2配線パターン108、第3配線パターン109、第4配線パターン110、第5配線パターン111及び第6配線パターン112が形成されている。
【0125】
なお、本実施形態における第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の数は一例であって、必要に応じて増減可能であり、それぞれを1個ずつとすることも可能であり、また両者で数を異ならせることも可能である。また、第1凹部103と第1凹部105とで、収容する第1LEDチップ5の数を変えることも可能である。同様に、第2凹部104と第2凹部106とで、収容する第2LEDチップ6の数を変えることも可能である。
【0126】
配線基板102の材質についても、アルミナ系セラミックに限定されるものではなく、様々な材質を適用可能であって、例えば、セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などから選択された材料を用いてもよい。また、配線基板102の第1の面102aにおける光の反射性を良くしてLED発光素子101の発光効率を向上させる上では、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色顔料を含むシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。更に、銅製基板やアルミ製基板などのような金属製基板を用いて放熱性を向上させることも可能である。但し、この場合には、電気的絶縁を間に介して配線基板に配線パターンを形成する必要がある。
【0127】
図14に示すように、第1配線パターン107及び第2配線パターン108には、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド107a及び108aが設けられている。一方、第1配線パターン107及び第2配線パターン108の他端側は、図14に示すように、第1凹部103に沿い互いに第1凹部103を挟むようにして延設されている。また、第3配線パターン109及び第4配線パターン110も、図14に示すように、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド109a及び110aが設けられている。一方、第3配線パターン109及び第4配線パターン110の他端側は、図14に示すように、第2凹部104と第1凹部105との間に延設されている。更に、第5配線パターン111及び第6配線パターン112も、図14に示すように、それぞれ一端に外部からの配線を接続するための外部接続ランド111a及び112aが設けられている。一方、第5配線パターン111及び第6配線パターン112の他端側は、図14に示すように、第2凹部106に沿い互いに第1凹部106を挟むようにして延設されている。
【0128】
第1凹部103及び105における第1LEDチップ5の装着、並びに第2凹部104及び106における第2LEDチップ6の装着は、前述した実施形態と同様にして行われる。そして、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第1配線パターン107に接続されると共に、n電極が第2配線パターン108に接続されている。従って、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、第1配線パターン107と第2配線パターン108との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0129】
また、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第4配線パターン110に接続されると共に、n電極が第5配線パターン111に接続されている。従って、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、第4配線パターン110と第5配線パターン111との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0130】
一方、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第2配線パターン108に接続されると共に、n電極が第3配線パターン109に接続されている。従って、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、第2配線パターン108と第3配線パターン109との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0131】
また、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、前述の実施形態と同様のワイヤボンディングにより、それぞれp電極が第5配線パターン111に接続されると共に、n電極が第6配線パターン112に接続されている。従って、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、第5配線パターン111と第6配線パターン112との間に、互いに極性を同じくして並列に接続されている。
【0132】
なお、本変形例においても、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6の実装及び接続は、これに限定されるものではなく、前述の実施形態と同じく、これらLEDチップの種類や構造などに応じて適切な方法を選択することが可能である。
【0133】
図15に示すように、第1凹部103内及び第1凹部105内には、前述の実施形態で用いたものと同様に、第1LEDチップ5が発した近紫外光の一部または全部を波長変換して第1色温度T1の白色光を放射する第1蛍光部材11が第1LEDチップ5を覆うように充填されている。一方、第2凹部104内及び第2凹部106内には、前述の実施形態で用いたものと同様に、第2LEDチップ6が発した近紫外光の一部または全部を波長変換して第2色温度T2の白色光を放射する第2蛍光部材12が第2LEDチップ6を覆うように充填されている。
【0134】
第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が上述したようにして配線基板102の配線パターン107〜112に接続されることにより、本変形例におけるLED発光素子101は、図16に示すような電気回路構成を有する。即ち、第1凹部103内に収容された4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド107a及び108aの間に、アノードを外部接続ランド107a側として、互いに並列に接続されている。一方、第2凹部104内に収容された4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド108a及び109aの間に、アノードを外部接続ランド108a側として、互いに並列に接続されている。従って、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、外部接続ランド108aを共有してそれぞれ別個に駆動電流を供給できるようになっている。
【0135】
また、第1凹部105内に収容された4個の第1LEDチップ5は、外部接続ランド110a及び111aの間に、アノードを外部接続ランド110a側として、互いに並列に接続されている。一方、第2凹部106内に収容された4個の第2LEDチップ6は、外部接続ランド111a及び112aの間に、アノードを外部接続ランド111a側として、互いに並列に接続されている。従って、これら第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6は、外部接続ランド111aを共有してそれぞれ別個に駆動電流を供給できるようになっている。
【0136】
更に、第1凹部103内に収容された第1LEDチップ5と第2凹部104内に収容された第2LEDチップ6との第1の組は、第1凹部105内に収容された第1LEDチップ5と第2凹部106内に収容された第2LEDチップ6との第2の組と電気的に分離された状態で駆動電流を供給できるようになっている。従って、第1の組と第2の組とを並列に接続して用いてもよいし、全く別個に駆動電流の供給を行うようにしてもよい。
【0137】
例えば、第1の組と第2の組とを並列に接続して用いる場合、即ち、外部接続ランド107aを外部接続ランド110aに、外部接続ランド108aを外部接続ランド111aに、そして外部接続ランド109aを外部接続ランド112aにそれぞれ接続し、8個の第1LEDチップ5に供給する駆動電流と、8個の第2LEDチップ6に供給する駆動電流とをそれぞれ調整するようにすれば、前述の実施形態と同様に、第1色温度T1から第2色温度T2までの間の色温度に調整可能な白色光をLED発光素子101から放射させることができる。
【0138】
特に本変形例では、第1LEDチップ5及び第1蛍光部材11が収容される第1凹部103及び105と、第2LEDチップ6及び第2蛍光部材12が収容される第2凹部104及び106とを交互に配列しているので、第1蛍光部材11から放射される第1色温度T1の白色光と、第2蛍光部材12から放射される第2色温度T2の白色光との合成をより良好に行うことができる。
【0139】
また、本変形例では、配線基板102における第1凹部103及び105並びに第2凹部104及び106の開口形状を実質的に同一としているので、上述のようにして第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12のそれぞれから放射される2つの光を合成する際の形状的なずれを抑制して、合成を良好に行うことができる。
【0140】
なお、本変形例のように2つの第1凹部103及び105と2つの第2凹部104及び106とを用いる場合の電気回路構成も、図16の電気回路構成に限定されるものではなく、様々に変更することが可能である。また、2つの第1凹部103及び105に第1蛍光部材11と収容すると共に、2つの第2凹部104及び106に第2蛍光部材12を収容するようにしたが、これら4つの凹部に収容される蛍光部材を全て異なるようにすることも可能である。
【0141】
本変形例においても、配線基板102には、照明器具などの構成部材の1つである相手側部材にLED発光素子101を取り付けるため、4つの貫通孔(挿入部)113、114、115及び116が設けられている。前述した実施形態と同様に、照明器具を構成する部材、例えばLED発光素子101の第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発した熱を雰囲気中に放出するために照明装置などに設けられた放熱部材、或いはこのような放熱部材に熱を伝えるヒートパイプなどの伝熱部材が相手側部材となる。
【0142】
前述した実施形態と同じく、これら貫通孔113〜116に挿入した貫通部材(例えば、貫通型機械的締結部材であるネジ)を、相手側部材に螺合して締め付けることにより、LED発光素子101が相手側部材に取り付けられ固定される。なお、本変形例では、2つの第1凹部103及び105並びに2つの第2凹部104及び106を配線基板102に形成しているので、前述した実施形態の配線基板2に比べて大きな配線基板102を使用している。そこで、このように4つの貫通孔113〜116を設けることにより、確実にLED発光素子101を相手側部材に取り付けるようにしている。なお、相手側部材は照明器具の一部材に限定されるものではなく、LED発光素子101を光源として用いる器具や装置などを構成する部材であれば、同様に取り付けが可能である。また、LED発光素子101と相手側部材との固定は、貫通型機械的締結部材であるネジに限られることなく、例えば、ボルトとナット、リベット締結部材、くさび締結部材等の貫通型機械的締結部材を用いることで行われてもよい。
【0143】
本変形例においても、このような固定により、例えば相手側部材が放熱部材或いは伝熱部材である場合には、LED発光素子101から相手側部材に良好に熱を伝達することが可能となり、LED発光素子101の作動を良好に維持することが可能となる。本変形例では前述の実施形態より多くのLEDチップを用いているので、発熱量が大きくなる可能性があり、特に有効である。
【0144】
また、本変形例においても、配線基板102に形成された4つの貫通孔113〜116にそれぞれ挿入したネジを用い、LED発光素子101を相手側部材に直接固定することができるので、従来のように発光モジュールをベース基板に実装した後に、このベース基板を相手側部材に固定するといった2段階の工程を単一の工程として、製造工数を低減することが可能となる。これに加えて、配線基板102のほかに相手側部材に固定するためのベース基板を設ける必要がなくなり、部品点数を減らして部品コストを低減することができる。
【0145】
なお、本変形例においても、前述した図10の変形例のように、貫通孔113〜116に代えて、配線基板102の縁部に形成した切り欠きを採用してもよい。また、貫通孔の数も4個に限定されるものではなく、必要に応じて増減することが可能である。
【0146】
以上で本発明の一実施形態に係るLED発光素子についての説明を終えるが、本発明は上述した実施形態及び各変形例に限定されるものではない。例えば、前述した実施形態及び変形例において用いた配線基板の形状は、いずれも正方形としたが、正方形以外の形状を採用することも可能である。即ち、LED発光素子の特性やLED発光素子を用いる際の周囲の条件などに応じ、例えば長方形、円形、六角形、楕円形など様々な形状を採用することが可能である。
【0147】
また、前述した実施形態及び各変形例では、いずれも第1LEDチップ5と第1蛍光部材11とを組み合わせて用いると共に、第2LEDチップ6と第2蛍光部材12とを組み合わせて用いたが、これら蛍光部材を省略し、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光をLED発光素子から放射されるようにしてもよい。この場合、例えば青色光を発するLEDチップを第1LEDチップ5として用いると共に、黄色光を発するLEDチップを第2LEDチップ6として用いれば、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6が発する光を合成することにより、LED発光素子から白色光を放射することができる。また、これらの組み合わせに代えて、例えば赤色光を発するLEDチップを第1LEDチップ5として用い、青緑色光を発するLEDチップを第2LEDチップ6として用いても、それぞれの光の合成によりLED発光素子から白色光を放射することができる。
【0148】
更に、第1凹部及び第2凹部に加えて第3凹部を配線基板に設け、第1凹部には赤色光を発するLEDチップを収容し、第2凹部には緑色光を発するLEDチップを収容し、第3凹部には青色光を発するLEDチップを収容してもよい。この場合には、それぞれのLEDチップが発する赤色光、緑色光及び青色光を合成することにより、様々な色温度の白色光のほか、様々な色の放射光を得ることも可能である。
【0149】
一方、蛍光部材を組み合わせて用いる場合において、前述したように、近紫外光以外の光を発するLEDチップを第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6として用いてもよい。例えば、第1LEDチップ5及び第2LEDチップ6として青色光を発するLEDチップを用いることも可能である。この場合、青色光を波長変換して赤色光を放射する赤色蛍光体と、青色光を波長変換して緑色光を放射する緑色蛍光体とを混合し、第1蛍光体19及び第2蛍光体21として用いてもよい。
【0150】
このような組み合わせとすることにより、第1蛍光部材11では、第1LEDチップ5が発した青色光と、赤色蛍光体が放射する赤色光及び緑色蛍光体が放射する緑色光との合成により白色光を得ることができる。また、第2蛍光部材に12においても、第2LEDチップ6が発した青色光と、赤色蛍光体が放射する赤色光及び緑色蛍光体が放射する緑色光との合成により白色光を得ることができる。従って、第1蛍光部材11と第2蛍光部材12とで、赤色蛍光体と緑色蛍光体との混合比率を変えることにより、前述の実施形態と同様に、第1蛍光部材11と第2蛍光部材12とで異なる色温度の白色光を放射させることができる。
【0151】
前述の実施形態及び変形例では、いずれも配線基板における第1凹部の開口形状と第2凹部の開口形状を実質的に同一とすることにより、第1蛍光部材11及び第2蛍光部材12からそれぞれ放射される光の合成を良好に行うようにしたが、光の良好な合成がさほど重要でないような場合には、配線基板における第1凹部の開口形状と第2凹部の開口形状を異なるものとすることも可能である。
【符号の説明】
【0152】
1,101 LED発光素子
2,2’,102 配線基板
3,103,105 第1凹部
4,104,106 第2凹部
5 第1LEDチップ
6 第2LEDチップ
11 第1蛍光部材(第1波長変換部材)
12 第2蛍光部材(第2波長変換部材)
23,24,113,114,115,116 貫通孔(挿入部)
23’,24’ 切り欠き(挿入部)
27,29 ネジ(貫通部材、貫通型機械的締結部材)
42,42’,42” ピン部材(金属端子部材、貫通部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、
前記LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、前記LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板と、を備えたLED発光素子であって、
前記配線基板には、前記LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されていることを特徴とするLED発光素子。
【請求項2】
前記貫通部材は、前記LED発光素子を前記相手側部材に対して機械的に締結する貫通型機械的締結部材であることを特徴とする請求項1に記載のLED発光素子。
【請求項3】
前記配線基板に形成された前記凹部に収容され、前記LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する波長変換部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項4】
前記配線基板の材質がセラミックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項5】
前記配線パターンは、前記配線基板の表面側のみに形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項6】
前記配線基板の前記表面側に、外部接続用ランドを更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項7】
前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項8】
前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板の縁部に形成された切り欠きであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項9】
前記配線基板に形成された前記凹部は、第1凹部と第2凹部とに区分され、
前記LEDチップは、前記第1凹部内に実装される少なくとも1個の第1LEDチップと、前記第2凹部内に実装される少なくとも1個の第2LEDチップとからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項10】
前記第1凹部に収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、
前記第2凹部に収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材と
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のLED発光素子。
【請求項11】
前記第1波長変換部材は第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射することを特徴とする請求項10に記載のLED発光素子。
【請求項12】
前記配線基板における前記第1凹部の開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部の開口形状とは実質的に同一であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項13】
前記配線基板に形成された前記凹部は、複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分され、前記第1凹部と前記第2凹部とが交互に配列されており、
前記LEDチップは、前記第1凹部のそれぞれに実装される第1LEDチップと、前記第2凹部のそれぞれに実装される第2LEDチップとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項14】
前記第1凹部のそれぞれに収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、
前記第2凹部のそれぞれに収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材と
を更に備えることを特徴とする請求項13に記載のLED発光素子。
【請求項15】
前記第1波長変換部材は第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射することを特徴とする請求項14に記載のLED発光素子。
【請求項16】
前記配線基板における前記第1凹部のそれぞれの開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部のそれぞれの開口形状とは実質的に同一であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項17】
前記配線基板は、前記配線基板を貫通すると共に、前記配線基板に形成された前記配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項18】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項19】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項20】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面及びその反対側の面からそれぞれ突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載のLED発光素子が、前記挿入部を介して前記貫通部材により固定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項22】
前記相手側部材は、前記LEDチップが発した熱を雰囲気中に放出するための放熱部材、または前記放熱部材に前記LEDチップが発した熱を伝えるための伝熱部材であることを特徴とする請求項21に記載の照明装置。
【請求項1】
駆動電流の供給により発光する少なくとも1個のLEDチップと、
前記LEDチップが収容され実装される凹部を表面側に有し、前記LEDチップに駆動電流を供給するための配線パターンが形成された配線基板と、を備えたLED発光素子であって、
前記配線基板には、前記LED発光素子を相手側部材に固定する際に貫通部材を挿入するための挿入部が形成されていることを特徴とするLED発光素子。
【請求項2】
前記貫通部材は、前記LED発光素子を前記相手側部材に対して機械的に締結する貫通型機械的締結部材であることを特徴とする請求項1に記載のLED発光素子。
【請求項3】
前記配線基板に形成された前記凹部に収容され、前記LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する波長変換部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項4】
前記配線基板の材質がセラミックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項5】
前記配線パターンは、前記配線基板の表面側のみに形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項6】
前記配線基板の前記表面側に、外部接続用ランドを更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項7】
前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項8】
前記配線基板に形成された前記挿入部は、前記配線基板の縁部に形成された切り欠きであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項9】
前記配線基板に形成された前記凹部は、第1凹部と第2凹部とに区分され、
前記LEDチップは、前記第1凹部内に実装される少なくとも1個の第1LEDチップと、前記第2凹部内に実装される少なくとも1個の第2LEDチップとからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項10】
前記第1凹部に収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、
前記第2凹部に収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材と
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載のLED発光素子。
【請求項11】
前記第1波長変換部材は第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射することを特徴とする請求項10に記載のLED発光素子。
【請求項12】
前記配線基板における前記第1凹部の開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部の開口形状とは実質的に同一であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項13】
前記配線基板に形成された前記凹部は、複数の第1凹部と複数の第2凹部とに区分され、前記第1凹部と前記第2凹部とが交互に配列されており、
前記LEDチップは、前記第1凹部のそれぞれに実装される第1LEDチップと、前記第2凹部のそれぞれに実装される第2LEDチップとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項14】
前記第1凹部のそれぞれに収容され、前記第1LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第1波長変換部材と、
前記第2凹部のそれぞれに収容され、前記第2LEDチップが発した光の少なくとも一部を波長変換して放射する第2波長変換部材と
を更に備えることを特徴とする請求項13に記載のLED発光素子。
【請求項15】
前記第1波長変換部材は第1色温度の白色光を放射し、前記第2波長変換部材は、前記第1色温度とは異なる第2色温度の白色光を放射することを特徴とする請求項14に記載のLED発光素子。
【請求項16】
前記配線基板における前記第1凹部のそれぞれの開口形状と、前記配線基板における前記第2凹部のそれぞれの開口形状とは実質的に同一であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のLED発光素子。
【請求項17】
前記配線基板は、前記配線基板を貫通すると共に、前記配線基板に形成された前記配線パターンと電気的に接続された金属端子部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光素子。
【請求項18】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項19】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面とは反対側の面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項20】
前記金属端子部材は、前記配線基板において前記凹部が形成された面及びその反対側の面からそれぞれ突出するように設けられていることを特徴とする請求項17に記載のLED発光素子。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載のLED発光素子が、前記挿入部を介して前記貫通部材により固定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項22】
前記相手側部材は、前記LEDチップが発した熱を雰囲気中に放出するための放熱部材、または前記放熱部材に前記LEDチップが発した熱を伝えるための伝熱部材であることを特徴とする請求項21に記載の照明装置。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図14】
【図15】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−64937(P2012−64937A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179028(P2011−179028)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】
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