説明

LED発光素子用リードフレーム基板、LED発光素子装置、およびLED発光素子用リードフレーム

【課題】リードフレームと樹脂成形体の密着性を高める。
【解決手段】リードフレーム基板10は、凹部12を有した樹脂成形体11と、凹部12の底部に露出したパッド部13およびリード部14とを有し、パッド部13およびリード部14は、プレート状の導電性金属材料を所定形状にエッチングすることにより形成したリードフレーム50に設けた。リードフレーム50は、凹部12の底部開口12bよりも大きな寸法を有し、凹部12の底部開口12bの外周側において樹脂成形体11と接する領域Sに、高さ20〜30μmの凹凸51を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED発光素子用リードフレーム基板、LED発光素子装置、およびLED発光素子用リードフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
LED発光素子装置として、LED発光素子用リードフレーム基板(以下、単に「リードフレーム基板」と称する。)にLED発光素子を搭載したものがある(例えば特許文献1参照)。このようなリードフレーム基板は、樹脂成形体に凹部が形成され、この凹部の底部に、LED発光素子を搭載するパッド部と、LED発光素子と電気的に接続するためのリード部とが設けられている。
パッド部に搭載されたLED発光素子は、ワイヤー等によりリード部に電気的に接続されている。そして、凹部内に、透過性を有するとともに蛍光体を含有した樹脂(以下、これを封止樹脂と称する)を充填し、LED発光素子を封止するとともに、LED発光素子から発せられる光を外部に透過させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−172160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、パッド部およびリード部は、銅等の導電性材料で形成されており、異材料からなる樹脂成形体との密着性が悪いという問題がある。
特に、パッド部およびリード部がプレート状をなした導電性材料から一体的に形成されたLED発光素子用リードフレーム(以下、単に「リードフレーム」と称する。)である場合、その一面側に樹脂成形体が形成されるため、その問題は顕著である。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リードフレームと樹脂成形体の密着性を高めることのできるLED発光素子用リードフレーム基板、LED発光素子装置、およびLED発光素子用リードフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一の態様であるLED発光素子用リードフレーム基板は、第1の面に1以上の凹部を有した樹脂成形体と、凹部の底面に設けられ、少なくとも1つのLED発光素子を搭載するためのパッド部、およびLED発光素子と電気的に接続するためのリード部を有したリードフレームとを備え、リードフレームは、凹部の底部開口よりも大きく、かつ凹部の底部開口の外周側において樹脂成形体との界面に、凹凸が形成されていることを特徴とする。
リードフレームにおいて、凹部の底部開口の外周側において樹脂成形体との界面に、凹凸を形成することで、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めることができる。
このような凹凸は、ハーフエッチングにより形成するのが好ましい。これにより、凹凸を、20〜30μmの段差を有したものとすることができる。
【0007】
本発明の第二の態様であるLED発光素子装置は、本発明のリードフレーム基板と、凹部内に収容され、パッド部に搭載されたLED発光素子と、LED発光素子とリード部とを電気的に接続するワイヤーと、凹部内に充填され、透明性を有した封止樹脂とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第三の態様であるLED発光素子用リードフレームは、少なくとも1つのLED発光素子を搭載するためのパッド部と、LED発光素子と電気的に接続するためのリード部と、平面視においてパッド部およびリード部を囲むように形成され、樹脂成形体と接合される接合領域部と、を有し、接合領域部に、ハーフエッチングにより形成され、樹脂成形体との接合強度を高めるための凹凸が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リードフレームと樹脂成形体との密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るリードフレーム基板の全体構成を示す図である。
【図2】各凹部の断面図である。
【図3】金属材料のエッチング工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明によるLED発光素子用リードフレーム基板、LED発光素子装置、およびLED発光素子用リードフレームの一実施形態について説明する。
図1は、リードフレーム基板10の全体構成を示す図である。
図1に示すように、リードフレーム基板10は、後述するパッド部13およびリード部14が複数組形成されたリードフレーム50と、リードフレーム50に形成され、マトリックス状に配置された複数の凹部12を有する樹脂成形体11とを備えている。
リードフレーム基板10は、図2に示すように、各凹部12にLED発光素子20が実装されることで、複数のLED発光素子装置Aを製造することができる。
【0012】
樹脂成形体11は、白色等の顔料、1種以上の無機フィラー、バインダ等を含有した樹脂材料から形成されている。この樹脂材料は、例えば360nm近辺の波長における光透過率が90%以上とされている。
【0013】
凹部12は、例えば平面視円形で、凹部12の側面12aは、リードフレーム基板10において凹部12が開口している側の第1の面10b側から、その反対側の第2の面10cに向けてその開口面積が漸次縮小するテーパ状をなしている。
【0014】
凹部12の底部には、LED発光素子20を搭載するパッド部13と、LED発光素子20とワイヤー21やハンダ等を介して電気的に接続されるリード部14とが露出されている。これらパッド部13、リード部14を有するリードフレーム50は、例えば銅等をはじめとする導電性金属材料からなるプレート状の金属材料を所定形状にエッチングすることにより形成されている。各組のパッド13とリード部14とは、間に間隙部15を有して形成されており、樹脂成形体11を形成する樹脂材料がその間に介在することで電気的絶縁が図られている。
【0015】
リードフレーム50は、凹部12の底部開口12bよりも大きな寸法を有している。このリードフレーム50には、凹部12の底部開口12bの外周側において樹脂成形体11と接する領域(接合領域部)Sに、例えば段差20〜30μmの凹凸51が形成されている。
【0016】
そして、凹部12内には、パッド部13に搭載され、リード部14に電気的に接続されたLED発光素子20を封止する封止樹脂30が充填されている。この封止樹脂30は、LED発光素子20で発する光を透過するよう、蛍光体を含有し、透過性を有した樹脂材料で形成されている。
【0017】
このようなリードフレーム基板10においては、各凹部12内のLED発光素子20にリード部14を介して通電すると、LED発光素子20が発光する。その光は、封止樹脂30を透過して外部に向けて照射される。また、LED発光素子20から発せられた光の一部は凹部12の側面12aで反射し、封止樹脂30を透過して外部に向けて照射される。
【0018】
上記したようなリードフレーム基板10は、例えば以下のようにして形成される。(図3参照。)
まず、レジスト41aを塗布した金属材料41の表面にフォトリソグラフィ法により紫外線露光を行い、所定領域にレジストパターン42を形成する。(図3(a)〜(b))
このとき、金属材料41の両面に形成されるレジストパターン42は次のようなものである。すなわち、樹脂成形体11と接する面の接合領域部Sに形成されるレジストパターン42を、微小な孔部を有するパターンとしておく。レジスト41aに形成される微小な孔のパターンとしては、多数の細線状の孔部が並行しているもの、多数の細線状の孔部を格子状に組み合わせたもの、多数のドット状の孔部を有するもの、その他の適宜のパターンを用いることができる。金属材料41のパッド部13とリード部14が形成される領域では、微小な孔部のないレジストパターン42が形成され、間隙部15の部分はレジストが全くない領域となる。
リードフレーム10の第2の面10cとなる側の面においては、間隙部15の部分にレジストが全くなく、それ以外の部分(パッド部13とリード部14が形成される領域も含む)には、微小な孔部のないレジストパターン42が形成されている。
【0019】
次いで、エッチング法により、金属材料41においてレジストパターン42で覆われた以外の部分を除去することで、パッド部13、リード部14を複数組有したリードフレーム50を形成する。
本実施形態では、エッチング法としてハーフエッチング法を用いることで、リードフレーム50において、平面視においてパッド部13およびリード部14を囲む接合領域部Sに、段差20〜30μmの凹凸51を形成する。すなわち、接合領域部Sに形成された微小な孔部を有するレジストパターン42により、微小な孔部の部分はエッチングが行われて凹部が形成され、レジストに覆われた部分はエッチングされないので凸部として残ることになり、これによって凹凸51が形成されるのである(図3(c))。
エッチング終了後、金属材料41両面のレジストパターン42を除去する。
【0020】
次に、凹凸51を形成した金属材料41を金型に収容し、この金型に成形機から樹脂を充填することでトランスファー成形を行い、樹脂成形体11を形成する。形成された樹脂成形体11の凹部12の底部開口12bには、リードフレーム50のパッド部13、リード部14が露出している。
【0021】
この後、樹脂成形体11を所定の温度条件でベーク処理して樹脂を硬化させた後、ウェットブラスト法等により、パッド部13およびリード部14上に残存する樹脂成形体11のバリ取りを行うとリードフレーム基板10が完成する。
【0022】
しかる後は、図2に示したように、パッド部13上にLED発光素子20を搭載し、さらにワイヤー21を用いてワイヤーボンディング法によりLED発光素子20とリード部14とを電気的に接続する。
【0023】
この後、凹部12内に封止樹脂30を充填し、硬化させてから凹部12ごとに切り離すことにより、複数のLED発光素子装置Aが形成される。
【0024】
なお、上記においては、リードフレーム50のパッド部13およびリード部14に対し、樹脂成形体11を形成する前に銀等によるめっきを施しても良いし、樹脂成形体11の形成後にめっきを施しても良い。
【0025】
上述したような構成によれば、リードフレーム50において、樹脂成形体11と接する領域Sに凹凸51が形成されているので、リードフレーム基板10およびLED発光素子装置Aにおいてリードフレーム50と樹脂成形体11との密着性を高めることができる。これにより、樹脂成形体11とリードフレーム50との界面から、水分や不純物が進入するのを防止することができ、密着不良による不良品の発生を抑えることができる・。
【0026】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、本発明のリードフレームに形成される凹凸は、平面視において少なくともパッド部13およびリード部14を概ね囲むように形成されればよく、必ずしも隙間なく完全に囲んでいなくてもよい。
また、凹部の形状や数、パッド部やリード部の配置、材料等、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 LED発光素子用リードフレーム基板
10b 第1の面
10c 第2の面
11 樹脂成形体
12 凹部
12a 側面
12b 底部開口
13 パッド部
14 リード部
15 間隙部
20 LED発光素子
21 ワイヤー
30 封止樹脂
41 金属材料
41a レジスト
42 レジストパターン
50 LED発光素子用リードフレーム
51 凹凸
A LED発光素子装置
S 領域(接合領域部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に1以上の凹部を有した樹脂成形体と、
前記凹部の底面に設けられ、少なくとも1つのLED発光素子を搭載するためのパッド部、および前記LED発光素子と電気的に接続するためのリード部を有したリードフレームと、を備え、
前記リードフレームは、前記凹部の底部開口よりも大きく、かつ前記凹部の底部開口の外周側において前記樹脂成形体との界面に、凹凸が形成されていることを特徴とするLED発光素子用リードフレーム基板。
【請求項2】
前記凹凸は、ハーフエッチングにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED発光素子用リードフレーム基板。
【請求項3】
前記凹凸は、20〜30μmの段差を有していることを特徴とする請求項1に記載のLED発光素子用リードフレーム基板。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のLED発光素子用リードフレーム基板と、
前記凹部内に収容され、前記パッド部に搭載されたLED発光素子と、
前記LED発光素子と前記リード部とを電気的に接続するワイヤーと、
前記凹部内に充填され、透明性を有した封止樹脂と、
を備えることを特徴とするLED発光素子装置。
【請求項5】
少なくとも1つのLED発光素子を搭載するためのパッド部と、
前記LED発光素子と電気的に接続するためのリード部と、
平面視において前記パッド部および前記リード部を囲むように形成され、樹脂成形体と接合される接合領域部と、
を備え、
前記接合領域部に、ハーフエッチングにより形成され、前記樹脂成形体との接合強度を高めるための凹凸が形成されていることを特徴とするLED発光素子用リードフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−182357(P2012−182357A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45036(P2011−45036)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】