説明

MCH−1に媒介される疾患における使用のための新規な置換されたジアザ−スピロ−ピリジノン誘導体

本発明は、一般式(I)
【化1】


の拮抗的メラニン凝集ホルモン(MCH)活性、特にMCH−1活性を有するアリールおよびヘテロアリール置換されたジアザ−スピロ−ピリジノン誘導体、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩に関し、ここで、変記号は請求項1において定義される。それはさらにそれらの製造、それらを含んでなる組成物および薬剤としてのそれらの使用に関する。本発明の化合物は、不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害;肥満症;糖尿病;性的障害ならびに神経学的障害の予防および/もしくは処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拮抗的メラニン凝集ホルモン(MCH)活性、特にMCH−1活性を有するアリールおよびヘテロアリール置換されたジアザ−スピロ−ピリジノン誘導体に関する。それはさらにそれらの製造、それらを含んでなる組成物および薬剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
メラニン凝集ホルモン(MCH)は、中枢神経系(CNS)の全体にわたって広く投射する視床下部ニューロンにより主に生産される環状19アミノ酸ポリペプチドである(非特許文献1)。MCHは、MCH−1およびMCH−2と呼ばれる2つのGタンパク質共役受容体(GPCR)を介してその効果を媒介する(非特許文献2に概説される)。げっ歯類ではMCH−1受容体のみが発現されるが、ヒトおよび霊長類はMCH−1およびMCH−2受容体の両方を発現する(非特許文献3)。MCHはげっ歯類において摂食行動を促進するので、最初は、MCH−1受容体は肥満症の処置のための有益な標的と考えられた(非特許文献4)。しかしながら、最近、MCH−1拮抗作用はげっ歯類において抗不安および抗鬱プロフィールをもたらすことが示された(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8)。従って、MCH受容体、特にMCH−1受容体は情動スペクトル障害の処置のための優れた標的であることは現在一般に認められている(非特許文献9)。
【0003】
MCH−1受容体mRNAおよびタンパク質は、全て感情およびストレスの調節に関与する、室傍核を包含する様々な視床下部核およびいくつかの辺縁系構造に分布している(非特許文献9)。さらに、濃い標識化が側坐核シェルにおいて検出される(非特許文献10)。室傍核への直接のMCHの注入は、血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を増加しそして睡眠構造を改変することが見出されている(非特許文献11)。MCHはまた、MCH−1受容体アンタゴニストによる遮断に感受性である効果、視床下部外植片からのコルチコトロピン放出因子(CRF)遊離も誘導する(非特許文献12)。従って、MCH−1受容体の刺激は、CRF遊離の増加によって視床下部・下垂体・副腎(HPA)軸の活性化を引き起こすように思われる。MCH−1受容体が豊富である側坐核シェルへのMCHの注入は、ラットにおける強制水泳試験において不動性を増加し、増加した抑鬱行動を示唆する(非特許文献13)。さらに、Borowsky et al.(非特許文献5)は、MCH−1アンタゴニスト、SNAP−7941がげっ歯類試験において抗鬱および抗不安様作用(affects)を示すことを報告し、鬱病および不安におけるMCH−1受容体の役割を裏付ける。
【0004】
現在、多数の企業がMCH−1アンタゴニストの開発を積極的に進めており、そして広範囲の構造タイプが多数の特許公開において、大部分は食物摂取およびエネルギー消費の調節に関して報告されている(非特許文献14)。報告されるMCH−アンタゴニストの大部分は、リンカーにより連結される、塩基性中心(basic centre)および2つの(複素)芳香族部分を含む。特許文献1(Banyu Pharmaceutical Co.,Ltd)は、MCH−1アンタゴニストとしての使用のためのピリジノン、ピリミジノンおよびピリダジノン誘導体を開示する。特許文献2、特許文献3および特許文献4(Glaxo Group Limited)、特許文献5(Boehringer Ingelheim Pharma GMBH & Co.KG)ならびに特許文献6(Neurocrine Biosciences Inc.)は、MCH−1アンタゴニストとしての使用のためのチエノ−ピリミド−4−オン−、ベンゾピリミド−4−
オン−およびフタルイミド−誘導体のような異なる二環式複素環を開示する。特許文献7および特許文献8(Eli Lilly and Company)ならびに特許文献9(Aventis Pharma Deutschland GmbH)は、MCH−1アンタゴニストとしての使用のためのオキサゾール−およびオキサジアゾール−誘導体のような異なる芳香族5員環複素環を報告する。特許文献10および特許文献11(Aventis Pharma Deutschland GMBH)は、MCH−1アンタゴニストとしてのジアリール置換された環式尿素誘導体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2005/085200明細書
【特許文献2】WO 2003/033480明細書
【特許文献3】WO 2003/033476明細書
【特許文献4】WO 2005/05042541明細書
【特許文献5】WO 2004/024702明細書
【特許文献6】WO 2005/103039明細書
【特許文献7】WO 2003/097047明細書
【特許文献8】WO 2005/040157明細書
【特許文献9】WO 2005/070925明細書
【特許文献10】WO 2004/011438明細書
【特許文献11】WO 2005/070898明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Comp.Neurol.(1992)319,218−245
【非特許文献2】Doggrell,2003
【非特許文献3】Genomics(2002),79、785−792
【非特許文献4】Nature(1996),380,243−247
【非特許文献5】Nat.Med.(2002)8,825−830
【非特許文献6】Neuropharmacology(2004),46,457−467
【非特許文献7】Neuropsychopharmacology(2006),31(1),112−120
【非特許文献8】Neuropsychopharmacology(2006),31(6),1135−1145
【非特許文献9】Eur.J.Neuroscience(2000)12,1194−1216
【非特許文献10】J.Comp.Neurol.(2001)435,26−40
【非特許文献11】Verret et al.2003,BMC Neurosci 4:19
【非特許文献12】J.Neuroendocrinol.(2003)15,268〜2729
【非特許文献13】Soc.Neurosci.Abstr.(2004)763.9
【非特許文献14】Expert Opin.Ther.Patents(2005)15(10)
【発明の概要】
【0007】
[発明の記述]
特にアンタゴニストとして、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体に対して、特にMCH−1受容体に対して結合親和性を有する化合物を提供することは、本発明の目的である。
【0008】
さらに、本発明の化合物はほとんどもしくは全くhERG−チャンネル相互作用を示さないことが見出され、これらの相互作用は望ましくないが、先行技術の化合物と広く関連している。従って、本発明の化合物はhERG−チャンネル相互作用のそれらの実質的な欠如およびQT延長のそれらの欠如に関して先行技術化合物よりも好ましい。
【0009】
この目的は、一般式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中:
Aは式(II)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、
k、l、m、nは各々相互に独立して、0、1、2、3もしくは4に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)は2、3、4もしくは5に等しく;ここで、−CH−部分の1つはOで置換されることができ;そしてここで、−CH−部分の各々はオキソで置換されることができる)
の基であり;
XはCもしくはNであり;
は水素、C1〜5アルキル、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルオキシカルボニルの群から選択され;
、Rは各々、相互に独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pは0、1、2もしくは3に等しい整数であり;
qは0、1、2もしくは3に等しい整数であり;
、Yは各々、相互に独立して、単結合、O、NR、S、SOおよびSOの群から選択され;ここで、Rは水素およびC1〜3アルキルの群から選択され;
は飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜6−炭化水素基であり、ここで、1個もしくはそれ以上の水素原子は場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される基で置換されていてもよく;
Bは、場合により水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、0、1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員環であり;そしてここで、rは0、1もしくは2に等し
い整数であり;または2個の置換基Rは基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができ;
アルキルは示される数の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基であり;ここで、該基は場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される1個もしくはそれ以上の基で1個もしくはそれ以上の炭素原子上で置換されていてもよく;
アリールは、各々場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、ナフチルもしくはフェニルであり;
ハロはフルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードである]
の新規な置換されたジアザ−スピロ−ピリジノン誘導体、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩により達成された。
【0014】
本願の枠組みにおいて、「本発明の化合物」では一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩が意味される。
【0015】
本発明は、また、製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤および有効成分として本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0016】
本発明は、また、本発明の化合物もしくは製薬学的組成物を該個体に投与する段階を含んでなる予防および/もしくは処置を必要とする個体におけるMCH受容体の拮抗作用に、特にMCH−1受容体の拮抗作用に反応する障害もしくは疾患を防ぎそして/もしくは処置する方法にも関する。1つの態様において、該障害もしくは疾患は不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害;肥満症;糖尿病;性的障害;ならびに神経学的障害を含んでなる群から選択される。
【0017】
本発明は、また、薬剤としてのそしてMCH受容体の拮抗作用に、特にMCH−1受容体の拮抗作用に反応する障害もしくは疾患の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための本発明の化合物の使用にも関する。
【0018】
特に、本発明は不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための本発明の化合物の使用に関する。また、該化合物は肥満症、糖尿病、性的障害および神経学的障害を処置するために用いることもできる。
【0019】
本発明の、特に式(I)の化合物は、また、特に効能および/もしくは作用の発現を改善するために、現在利用可能であるかもしくは開発中であるかまたは将来利用可能になる抗鬱薬、抗不安薬および/もしくは抗精神病薬と組み合わせて、上記の疾患における追加処置もしくは併用処置および/もしくは予防として、特に精神障害の予防および/もしくは処置のために適当であることもできる。これは、抗鬱薬、抗不安薬および/もしくは抗精神病薬が有効であることが示されるげっ歯類モデルにおいて評価される。例えば、化合物はストレス誘発性高体温の減衰について抗鬱薬、抗不安薬および/もしくは抗精神病薬と組み合わせて評価される。
【0020】
従って、本発明は、また、抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせた本発明の化合物の使用、本発明の化合物ならびに抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物を含んでなる製薬学的組成物、ならびにそのような製薬学的組成物の製造方法にも関する。
【0021】
本発明は、また、肥満症の予防および/もしくは処置のための脂質低下化合物の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせた本発明の化合物の使用、本発明の化合物および脂質低下化合物の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物を含んでなる製薬学的組成物、ならびにそのような製薬学的組成物の製造方法にも関する。
【0022】
[発明の詳細な記述]
1つの態様において、本発明は、k、l、m、nが各々相互に独立して、1、2もしくは3に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)が2、3もしくは4に等しい本発明の化合物に関する。
【0023】
1つの態様において、本発明は、Aが以下に示されるような基(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)、(a−5)、(a−6)、(a−7)、(a−8)、(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)、(b−7)、(b−8)、(b−9)、(b−10)、(c−1)、(c−2)、(c−3)、(c−4)、(c−5)、(c−6)、(c−7)、(c−8)、(d−1)、(d−2)、(d−3)、(d−4)、(d−5)、(d−6)、(e−1)、(e−2)、(e−3)、(e−4)、(e−5)、(e−6)、(f−1)、(f−2)、(f−3)および(f−4)の群から選択され、−CH−部分の1つがOで置換されることができ;そして−CH−部分の各々がオキソで置換されることができる本発明の化合物に関する。
【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
【化5】

【0027】
本願の枠組みにおいて、上記の基は右から左にもしくは左から右に式(I)に導入することができ、すなわち、基の各末端は式(I)における基Rもしくはアリール/ヘテロアリール基のいずれかに結合することができる。
【0028】
別の態様において、本発明は、Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)の群から選択される本発明の化合物に関する。
【0029】
別の態様において、式(II)の基における−CH−部分の1つが−O−で置換される場合、Aは以下に示されるような式(cc−2)の基である。
【0030】
【化6】

【0031】
別の態様において、式(II)の基における−CH−部分の1つがオキソで置換される場合、Aは以下に示されるような(aa−1)もしくは(bb−1)の基である。
【0032】
【化7】

【0033】
別の態様において、本発明は、Rが水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から、特に水素、C3〜5シクロアルキルおよびC1〜3アルキルの群から、特に水素、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルの群から選択される本発明の化合物に関する。
【0034】
別の態様において、本発明は、Xが炭素もしくは窒素である本発明の化合物に関する。
【0035】
別の態様において、本発明は、RおよびRの各々が、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択される本発明の化合物に関する。
【0036】
別の態様において、本発明は、pが0もしくは1である本発明の化合物に関する。
【0037】
別の態様において、本発明は、qが0である本発明の化合物に関する。
【0038】
別の態様において、本発明は、YおよびYが各々、相互に独立して、単結合およびOの群から選択される本発明の化合物に関する。
【0039】
別の態様において、本発明は、Yが−CH−、−CHCH−および−CH=CH−の群から選択される本発明の化合物に関する。
【0040】
別の態様において、本発明は、Bがフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルの群から;特にフェニル、ピリジニルおよびピリダジニルの群から選択され;特にBがフェニルである本発明の化合物に関する。
【0041】
別の態様において、本発明は、Bが1個のハロ置換基、特にフルオロもしくはハロで置換される本発明の化合物に関する。
【0042】
別の態様において、本発明は、部分B−Y−Y−Yが、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、下記のような基(a1−1)〜(d1−5)から選択され;そしてrが1もしくは2に等しい整数であり;または2個の置換基Rが基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができる本発明の化合物に関する。
【0043】
【化8】

【0044】
別の態様において、部分B−Y−Y−Yは、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−2)、(a1−3)および(a1−5)から選択され;そしてここで、rは1もしくは2に等しい整数であり;または2個の置換基Rは基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができる。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、以下の制約の1つもしくはそれ以上が組み合わせてもしくは単独で適用される本発明の化合物に関する:
−k、l、m、nは各々相互に独立して、1、2もしくは3に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)は2、3もしくは4に等しい;
−Aは基(a−1)、(a−2)、(a−3)、(a−4)、(a−5)、(a−6)、(a−7)、(a−8)、(a−9)、(a−10)、(a−11)、(b−1)、(b−2)、(b−3)、(b−4)、(b−5)、(b−6)、(b−7)、(b−8)、(b−9)、(b−10)、(c−1)、(c−2)、(c−3)、(c−4)、(c−5)、(c−6)、(c−7)、(c−8)、(d−1)、(d−2)、(d−3)、(d−4)、(d−5)、(d−6)、(e−1)、(e−2)、(e−3)、(e−4)、(e−5)、(e−6)、(f−1)、(f−2)、(f−3)および(f−4)の群から選択され、ここで、−CH−部分の1つはOで置換されることができ;そしてここ
で、−CH−部分の各々はオキソで置換されることができる;または
−Aは(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)の群から選択される;または
−Aは式(cc−2)の基である;または
−Aは(aa−1)もしくは(bb−1)の基である;
−Rは水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から、特に水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜3アルキルの群から、特に水素、メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルの群から選択される;
−Xは炭素である;
−RおよびRの各々は、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択される;
−pは0もしくは1である;
−qは0である;
−YおよびYは各々、相互に独立して、単結合およびOの群から選択される;
−Yは−CH−、−CHCH−および−CH=CH−の群から選択される;
−Bはフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルの群から;特にフェニル、ピリジニルおよびピリダジニルの群から選択され;特にBはフェニルである;
−Bは1個のハロ置換基、特にフルオロもしくはハロで置換される;
−B−Y−Y−Yは、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−1)〜(d1−5)から選択され;そしてここで、rは1もしくは2に等しい整数であり;または2個の置換基Rは基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができる;あるいは
−B−Y−Y−Yは、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−2)、(a1−3)および(a1−5)から選択され;そしてここで、rは1もしくは2に等しい整数であり;または2個の置換基Rは基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができる。
【0046】
別の態様において、本発明は、
Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)
【0047】
【化9】

【0048】
の群から選択され;
XがCもしくはNであり;
が水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から選択され;
、Rが各々、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
部分B−Y−Y−Yが、場合によりr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−2)、(a1−3)および(a1−5)
【0049】
【化10】

【0050】
から選択され;
がハロ置換基であり;そしてrが1もしくは2に等しい整数である
本発明の化合物に関する。
【0051】
別の態様において、本発明は、
Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)
【0052】
【化11】

【0053】
の群から選択され;
XがCもしくはNであり;
が水素、C3〜5シクロアルキルおよびC1〜3アルキルの群から選択され;
、Rが各々、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
、Yが各々、相互に独立して、単結合もしくはOの群から選択され;
が飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜6−炭化水素基であり;そして
Bが、場合により1個のハロ置換基Rで置換されていてもよい、フェニルである
本発明の化合物に関する。
【0054】
別の態様において、本発明は、
Aが(a−1)もしくは(b−1)
【0055】
【化12】

【0056】
の群から選択され;
XがCであり;
がメチルであり;
、Rが各々、相互に独立して、水素もしくはハロの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
が単結合であり;
がOであり;
がCHであり;そして
Bがフェニルである
本発明の化合物に関する。
【0057】
本願の枠組みにおいて、アルキルは示される数の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基であり、すなわち、C1〜3アルキルが示される場合、アルキル基は1〜3個の炭素原子を含有することができ;もしくはC1〜5アルキルが示される場合、アルキル基は1〜5個の炭素原子を含有することができる。各基は、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で1個もしくはそれ以上の炭素原子上で置換されていてもよい。好ましくは、アルキルはメチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルである。範囲内に包含されるさらなる基は、例えば、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0058】
本願の枠組みにおいて、基もしくは基の一部としてのC3〜6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルのような3〜6個の炭素原子を有する環式飽和炭化水素基を定義する。C3〜6シクロアルキルは、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される1個もしくはそれ以上の置換基で1個もしくはそれ以上の炭素原子上で置換されていてもよい。
【0059】
本願の枠組みにおいて、アリールは、各々場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、ナフチルもしくはフェニルである。
【0060】
本願の枠組みにおいて、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードの群から選択される置換基である。好ましくは、ハロはフルオロ、クロロもしくはブロモである。
【0061】
本願の枠組みにおいて、他に示されない限り、結合は共有結合、単結合、二重結合、三重結合、配位結合および水素結合を包含する任意の結合であることができる。
【0062】
製薬学的に許容しうる酸付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に
有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義される。該塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモン酸で処理することにより得ることができる。
【0063】
逆に、該酸付加塩形態は適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0064】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物は、また、適切な有機および無機塩基での処理により治療的に有効な無毒の金属もしくはアミン付加塩形態(塩基付加塩)に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン(hybramine)塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含んでなる。
【0065】
逆に、該塩形態は適切な酸での処理により遊離形態に転化することができる。
【0066】
本願の枠組みにおいて用いる場合に付加塩という用語はまた、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することのできる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物およびアルコラートである。
【0067】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシド、特に1個もしくはそれ以上の第三級窒素(例えばピペラジニルもしくはピペリジニル基の)がN−酸化されるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。そのようなN−オキシドは独創的な技量なしに当業者により容易に得られることができ、そしてこれらの化合物は摂取の際に人体において酸化により形成される代謝物であるので、それらは式(I)の化合物の明らかな代替物である。周知のように、酸化は通常は薬物代謝に関与する第一段階である(Textbook of Organic
Medicinal and Pharmaceutical Chemistry,1977,70−75頁)。また周知のように、化合物の代謝物形態はまた、ほとんど同じ効果で、化合物自体の代わりにヒトに投与することもできる。
【0068】
式(I)の化合物は、3価の窒素をそのN−オキシド形態に転化する当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することができる。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の化合物を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、ならびにそのような溶媒の混合物である。
【0069】
式(I)の化合物の第四級アンモニウム塩は、式(I)の化合物の塩基性窒素と例えば
場合により置換されていてもよいハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールもしくはハロゲン化アリールアルキル、特にヨウ化メチルおよびヨウ化ベンジルのような適切な四級化剤との間の反応により形成することができる該化合物を定義する。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸アルキル、メタンスルホン酸アルキルおよびp−トルエンスルホン酸アルキルのような、優れた脱離基を有する他の反応物質もまた用いることができる。第四級アンモニウム塩は、少なくとも1個の正に荷電した窒素を有する。製薬学的に許容しうる対イオンには、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロ酢酸および酢酸イオンが包含される。
【0070】
本発明は、また、本発明の化合物を生成せしめるようにインビボで分解される、本発明の、特に式(I)の薬理活性化合物の誘導体化合物(通常「プロドラッグ」と呼ばれる)も含んでなる。プロドラッグは、通常(しかし、常にとは限らない)、それらが分解される化合物より標的受容体で低い効能のものである。プロドラッグは、所望の化合物がその投与を困難にもしくは非効率的にする化学的もしくは物理的性質を有する場合に特に有用である。例えば、所望の化合物は不十分にしか可溶性でない可能性があり、それは粘膜上皮を越えて十分に輸送されない可能性があり、もしくはそれは不適切に短い血漿半減期を有する可能性がある。プロドラッグに関するさらなる説明は、Stella,V.J.et al.,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985,pp.112−176およびDrugs,1985,29,pp.455−473に見出されることができる。
【0071】
本発明の薬理活性化合物のプロドラッグ形態は、一般に、エステル化されるかもしくはアミド化される酸性基を有する式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩である。そのようなエステル化酸性基に含まれるのは式−COORの基であり、ここで、RはC1〜6アルキル、フェニル、ベンジルもしくは以下の基:
【0072】
【化13】

【0073】
の一つである。
【0074】
アミド化基には式−CONRの基が含まれ、ここで、RはH、C1〜6アルキル、フェニルもしくはベンジルであり、そしてRは−OH、H、C1〜6アルキル、フェニルもしくはベンジルである。アミノ基を有する本発明の化合物は、ケトンもしくはホルムアルデヒドのようなアルデヒドで誘導体化されてマンニッヒ塩基を形成することができる。この塩基は、水溶液において一次反応速度論で加水分解する。
【0075】
本願の枠組みにおいて、本発明の化合物は本質的にその全ての立体化学的異性体を含んでなるものとする。「立体化学的異性体」という用語は、本明細書において用いる場合、式(I)の化合物が有し得る全ての可能な立体化学的異性体を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。さらに特に、ステレオジェン中心はR−もしくはS−立体配置を有することができ;2価の環状(部分的)飽和基上の置換基は、シス−もしくはトランス−立体配置のいず
れかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でEもしくはZ−立体化学を有することができる。従って、式(I)の化合物の全ての立体化学的異性体は本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0076】
CAS命名法の慣例に従って、既知の絶対立体配置の2個のステレオジェン中心が分子に存在する場合、最も低い番号が付されたキラル中心、参照中心(reference center)にRもしくはS記述子が指定される(カーン−インゴールド−プレローグ順位則に基づく)。第二のステレオジェン中心の立体配置は相対的記述子[R,R]もしくは[R,S]を用いて示され、ここで、Rはいつも参照中心として特定され、そして[R,R]は同じキラリティーを有する中心を示し、そして[R,S]は異なるキラリティーの中心を示す。例えば、分子における最も低い番号が付されたキラル中心がS立体配置を有し、そして第二の中心がRである場合、立体記述子はS−[R,S]と特定される。「α」および「β」が用いられる場合:最も低い環番号を有する環系における不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、任意にいつも、環系により決定される平均平面の「α」位にある。参照原子上の最優先置換基の位置に対する環系における他の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置(式(I)の化合物における水素原子)は、それが環系により決定される平均平面の同じ側にある場合には「α」と、もしくはそれが環系により決定される平均平面の反対側にある場合には「β」と命名される。
【0077】
本願の枠組みにおいて、本発明の化合物は本質的にその化学元素の全ての同位体の組み合わせを含んでなるものとする。本願の枠組みにおいて、化学元素は、特に式(I)の化合物に関して記載される場合に、天然存在度でもしくは同位体濃縮形態におけるいずれかの、天然に存在するかもしくは合成的に製造される、この元素の全ての同位体および同位体混合物を含んでなる。特に、水素が記載される場合、それはH、H、Hおよびその混合物をさすと理解され;炭素が記載される場合、それは11C、12C、13C、14Cおよびその混合物をさすと理解され;窒素が記載される場合、それは13N、14N、15Nおよびその混合物をさすと理解され;酸素が記載される場合、それは14O、15O、16O、17O、18Oおよびその混合物をさすと理解され;そしてフッ素(fluor)が記載される場合、それは18F、19Fおよびその混合物をさすと理解される。
【0078】
従って、本発明の化合物は、また、1個もしくはそれ以上の非放射性原子がその放射性同位体の1つで置換されている、放射性標識化合物とも呼ばれる、放射性化合物を包含する、1種もしくはそれ以上の元素の1つもしくはそれ以上の同位体およびその混合物を有する化合物を本質的に含んでなる。「放射性標識化合物」という用語により、少なくとも1個の放射性原子を含有する式(I)の任意の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩が意味される。例えば、化合物は陽電子でもしくはガンマ線を放射する放射性同位体で標識することができる。放射性リガンド結合技術(膜受容体アッセイ)では、H原子もしくは125I原子は置換される最適な原子である。画像化では、最も一般的に使用される陽電子放出(PET)放射性同位体は11C、18F、15Oおよび13Nであり、これらは全て加速器生成され、そしてそれぞれ20、100、2および10分の半減期を有する。これらの放射性同位体の半減期は非常に短いので、それらの生成のために現場で加速器を有する施設でそれらを使用することが唯一実行可能であり、従って、それらの使用を限定する。これらのうち最も広く使用されるのは、18F、99mTc、201Tlおよび123Iである。これらの放射性同位体の取り扱い、それらの製造、単離および分子における導入は当業者に既知である。
【0079】
特に、放射性原子は水素、炭素、窒素、硫黄、酸素およびハロゲンの群から選択される。好ましくは、放射性原子は水素、炭素およびハロゲンの群から選択される。
【0080】
特に、放射性同位体はH、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される。好ましくは、放射性同位体はH、11Cおよび18Fの群から選択される。
【0081】
製造
本発明の化合物は、一連の工程により一般に製造することができ、その各々は当業者に既知である。特に、ピリジノン誘導体は、以下の製造方法の1つもしくはそれ以上に従って製造することができる。
【0082】
【化14】

【0083】
銅カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で180℃で15分、ピリジンもしくはNMOのようなアミンもしくはアミンN−オキシドの存在下で、DCEのような非プロトン性溶媒において、Cu(OAc)のような銅塩の存在下で行われる。パラジウムカップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的には通常加熱下で100℃で24時間、Pd(AcO)のようなパラジウム触媒の存在下でそして塩基としてtBuOKおよびBINAPのようなリガンドの存在下で、トルエンのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0084】
A−Rがアミドである場合、カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で175℃で20分、CuI、N,N−ジメチルエチレンジアミンおよび塩基としてKPOの存在下で、ジオキサンもしくはDMFのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0085】
アミノ基が保護基で保護される場合、脱保護反応は周知の合成方法により行われる。異なる誘導体へのアミノ基の転化は、当業者に周知である合成方法により行うことができる。
【0086】
また、ピリジノン誘導体はスキーム1Bに記述される方法に従って製造することができる。
【0087】
【化15】

【0088】
銅カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で175℃で20分、CuI、リガンドとしてN,N−ジメチルエチレンジアミンおよびKPOのような無機塩基の存在下で、ジオキサンもしくはDMFのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0089】
オルト置換されたフェニル誘導体は、スキーム2に従って製造することができる。
【0090】
【化16】

【0091】
Hal基はBrもしくはIのようなハロゲンである。XはOH、BrもしくはIであることができる。銅カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で175℃で20分、CuI、リガンドとしてN,N−ジメチルエチレンジアミンおよびKPOのような無機塩基の存在下で、ジオキサンもしくはDMFのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0092】
OH活性化は、反応の完了のために都合のよい温度で、DCMもしくはTHFのような非プロトン性溶媒において、無水トリフルオロメタンスルホン酸もしくは1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−メタンスルホンアミドの存在下で、トリフラートによって行うことができる。パラジウムカップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的には通常加熱下で100℃で24時間、P
d(AcO)のようなパラジウム触媒の存在下でそしてtBuOKもしくはCsCOのような塩基の存在下でそして場合によりBINAPもしくはキサントホスのようなリガンドが必要とされ、トルエンもしくはトリフルオロトルエンのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0093】
ベンジルオキシ以外の置換基を有する本発明の化合物は、スキーム3A、スキーム3Bに従って製造される。
【0094】
【化17】

【0095】
銅カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で180℃で15分、ピリジンもしくはNMOのようなアミンもしくはアミンN−オキシドの存在下で、DCEのような非プロトン性溶媒において、Cu(OAc)のような銅塩の存在下で行われる。
【0096】
ハロゲン化は、反応の完了に都合のよい温度、典型的にはマイクロ波照射下で150℃で、DCEのような非プロトン性溶媒において、オキシ臭化もしくはオキシ塩化リンの存在下で行われる。
【0097】
アルキル化は、反応の完了に都合のよい温度で、典型的にはマイクロ波照射下で120℃で10分間、DME、CHCNもしくはDMFのような非プロトン性溶媒において、NaHもしくは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のような有機もしくは無機塩基の存在下で行われる。パラジウムカップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的には通常加熱下で100℃で24時間、Pd(AcO)もしくはPd(PPhのようなパラジウム触媒の存在下でそしてtBuOKのような塩基もしくはNaCOのような無機水性塩基の存在下でそしてBINAPのようなリガンドが必
要とされる時もあり、トルエンもしくはジオキサンのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0098】
他の化合物はスキーム3Bに従って合成された。
【0099】
【化18】

【0100】
銅カップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的にはマイクロ波照射下で180℃で15分、ピリジンもしくはNMOのようなアミンもしくはアミンN−オキシドの存在下で、DCEのような非プロトン性溶媒において、Cu(OAc)のような銅塩の存在下で行われる。
【0101】
還元反応は、室温でそして反応の完了を保証する期間にわたって、典型的には室温で30分、MeOHのようなプロトン性溶媒においてそして水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下で行われる。
【0102】
ミツノブタイプ反応は、マイクロ波照射下で100℃で5分間のような、都合のよい温度でそして反応の完了を保証する期間にわたって、THFのような非プロトン性溶媒においてトリフェニルホスフィンのようなホスフィン、アゾジカルボン酸ジエチルのようなアゾジカルボン酸誘導体の存在下で行うことができる。
【0103】
パラジウムカップリング反応は、通常加熱によるかもしくはマイクロ波照射下のいずれかで、都合のよい温度で、反応の完了を保証する期間にわたって、典型的には通常加熱下で100℃で24時間、Pd(AcO)のようなパラジウム触媒の存在下でそして塩基としてtBuOKおよびBINAPのようなリガンドの存在下で、トルエンのような非プロトン性溶媒において行われる。
【0104】
薬理学
本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩は、驚くべきことに、特にアンタゴニストとして、MCH受容体に対して、特にMCH−1受容体に対して結合親和性を有することが示された。
【0105】
本発明の化合物は、それらの上記の効能を考慮して、MCH受容体の拮抗作用、特にM
CH−1受容体の拮抗作用が治療的に有用である疾患の予防および/もしくは処置に適当である。特に、本発明の化合物は:
−広場恐怖症;全般性不安;強迫;強迫神経症;パニック障害;対人恐怖症;および外傷後ストレスのようなストレスが包含されるがこれらに限定されるものではない不安;
−注意欠陥/多動性障害;
−自閉症;
−気分変調;
−食欲不振;過食症;および神経性大食症が包含されるがこれらに限定されるものではない摂食障害;
−衝動調節障害;
−脆弱性X症候群が包含されるがこれに限定されるものではない精神遅滞;
−激越;双極性情動障害、双極性障害(I)、双極性障害(II)、軽躁病および躁病のような双極性障害;大鬱病および自殺性鬱病のような鬱病;季節性気分障害;ならびに自殺が包含されるがこれらに限定されるものではない気分障害;
−不快気分が包含されるがこれに限定されるものではない月経前症候群;
−攻撃性;薬剤誘発性精神病;統合失調性感情障害;妄想、緊張病、緊張型統合失調症、解体型統合失調症、妄想型統合失調症、残遺型統合失調症および統合失調症様障害のような統合失調症;ならびに二次性睡眠異常のような睡眠異常が包含されるがこれらに限定されるものではない精神病;
−概日リズム障害;過眠;不眠;ナルコレプシーおよび睡眠時無呼吸が包含されるがこれらに限定されるものではない睡眠障害;
−吃音;ならびに
−暴力(violence)
が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害の処置および/もしくは予防に適当であることができる。
【0106】
さらに、本発明の化合物は性的障害、神経学的障害、そして最も特に肥満症および糖尿病を処置するために用いることができる。
【0107】
従って、本発明は薬剤としての使用のための一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩に関する。
【0108】
本発明は、また、MCH受容体の拮抗作用、特にMCH−1受容体の拮抗作用が治療的に有用である疾患の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための本発明の化合物の使用にも関する。
【0109】
本発明は、また、不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための本発明の化合物の使用にも関する。さらに、本発明の化合物は性的障害および神経学的障害、そして特に肥満症および糖尿病を処置するために用いることができる。
【0110】
併用処置
本発明の、特に式(I)の化合は、上記の疾患における追加処置および/もしくは予防として共投与することができる。
【0111】
特に、本発明の、特に式(I)の化合物は、特に効能および/もしくは作用の発現を改善するために、現在利用可能であるかもしくは開発中であるかまたは将来利用可能になる抗鬱薬、抗不安薬および/もしくは抗精神病薬と組み合わせて共投与することができる。本発明の化合物および1種もしくはそれ以上の他の薬剤は、鬱病および/もしくは不安の
予防および/もしくは処置用の同時、別個もしくは逐次使用のための併用製剤として存在できることが理解される。そのような併用製剤は、例えば、ツインパックの形態であることができる。本発明の化合物および1種もしくはそれ以上の他の薬剤は、同時にもしくは逐次的に、別個の製薬学的組成物として投与できることもまた理解される。
【0112】
従って、本発明は、抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物をさらに含んでなることを特徴とする本発明の製薬学的組成物に関する。
【0113】
抗鬱薬の適当な種類には、ノルエピネフリン再摂取阻害剤、選択的セロトニン再摂取阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン・ノルアドレナリン再摂取阻害剤(SNRI)、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗鬱薬(NaSSA)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニストおよび非定型抗鬱薬が包含される。
【0114】
ノルエピネフリン再摂取阻害剤の適当な例には、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、レボキセチンおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0115】
選択的セロトニン再摂取阻害剤の適当な例には、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0116】
モノアミンオキシダーゼ阻害剤の適当な例には、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリンおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0117】
モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤の適当な例には、モクロベミドおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0118】
セロトニン・ノルアドレナリン再摂取阻害剤の適当な例には、ベンラファキシンおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0119】
適当な非定型抗鬱薬には、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン、ヴィロキサジン、シブトラミンおよびその製薬学的に許容しうる塩が包含される。
【0120】
他の適当な抗鬱薬には、アジナゾラム、アラプロクレート、アミネプチン、アミトリプチリン/クロルジアゼポキシドの組み合わせ、アチパメゾール、アザミアンセリン、バジナプリン、ベフラリン、ビフェメラン、ビノダリン、ビペナモール、ブロファロミン、ブプロピオン、カロキサゾン、セリクラミン、シアノプラミン、シモキサトン、シタロプラム、クレメプロール、クロボキサミン、ダゼピニル、デアノール、デメキシプチリン、ジベンゼピン、ドチエピン、ドロキシドパ、エネフェキシン、エスタゾラム、エトペリドン、フェモキセチン、フェンガビン、フェゾラミン、フルオトラセン、イダゾキサン、インダルピン、インデロキサジン、イプリンドール、レボプロチリン、リトキセチン、ロフェプラミン、メジホキサミン、メタプラミン、メトラリンドール、ミアンセリン、ミルナシプラン、ミナプリン、ミルタザピン、モニレリン(monirelin)、ネブラセタム、ネフォパム、ニアラミド、ノミフェンシン、ノルフルオキセチン、オロチレリン、オキサフロザン、ピナゼパム、ピルリンドン、ピゾチリン、リタンセリン、ロリプラム、セルクロレミン、セチプチリン、シブトラミン、スルブチアミン、スルピリド、テニロキサジン、トザリノン、チモリベリン、チアネプチン、チフルカルビン、トフェナシン、トフィ
ソパム、トロキサトン、トモキセチン、ベラリプリド、ビクアリン、ジメリジンおよびゾメタピン(zometapine)ならびにその製薬学的に許容しうる塩、ならびにセイヨウオトギリソウハーブ、すなわちヒペリカム・ペルフォラタム(Hypericum perforatum)もしくはその抽出物が包含される。
【0121】
抗不安薬の適当な種類には、ベンゾジアゼピンおよび5−HT1A受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、ムスカリン性コリン作動性活性を有する化合物およびイオンチャンネルに作用する化合物が包含される。ベンゾジアゼピンに加えて、抗不安薬の他の適当な種類は、ゾルピデムのような非ベンゾジアゼピン系鎮静睡眠剤;クロバザム、ガバペンチン、ラモトリジン、ロレクレゾール、オキシカルバマゼピン、スチリペントールおよびビガバトリンのような気分安定剤;ならびにバルビツレートである。
【0122】
適当な抗精神病薬は、アセトフェナジン、特にマレイン酸塩;アレンテモール、特に臭化水素酸塩;アルペルチン;アザペロン;バテラピン、特にマレイン酸塩;ベンペリドール;ベンジンドピリン、特に塩酸塩;ブロホキシン;ブロムペリドール;ブタクラモール、特に塩酸塩;ブタペラジン;カルフェナジン、特にマレイン酸塩;カルボトロリン、特に塩酸塩;クロルプロマジン;クロルプロチキセン;シンペレン;シントリアミド;クロマクラン、特にリン酸塩;クロペンチキソール;クロピモジド;クロピパザン、特にメシル酸塩;クロロペロン、特に塩酸塩;クロチアピン;クロチキサミド、特にマレイン酸塩;クロザピン;シクロフェナジン、特に塩酸塩;ドロペリドール;エタゾレート、特に塩酸塩;フェニミド;フルシンドール;フルメザピン;フルフェナジン、特にデカン酸塩、エナント酸塩および/もしくは塩酸塩;フルスピペロン;フルスピリレン;フルトロリン;ゲボトロリン、特に塩酸塩;ハロペミド;ハロペリドール;イロペリドン;イミドリン、特に塩酸塩;レンペロン;ロキサピン;マザペルチン、特にコハク酸塩;メソリダジン;メチアピン;ミレンペロン;ミリペルチン;モリンドン、特に塩酸塩;ナラノール、特に塩酸塩;ネフルモジド、特に塩酸塩;オカペリドン;オランザピン;オキシペロミド;ペンフルリドール;ペンチアピン、特にマレイン酸塩;ペルフェナジン;ピモジド;ピノキセピン、特に塩酸塩;ピパンペロン;ピペラセタジン;ピポチアジン、特にパルミチン酸塩;ピキンドン、特に塩酸塩;プロクロルペラジン、特にエジシル酸塩;プロクロルペラジン、特にマレイン酸塩;プロマジン、特に塩酸塩;ケチアピン;レモキシプリド;リスペリドン;リムカゾール、特に塩酸塩;セペリドール、特に塩酸塩;セルチンドール;セトペロン;スピペロン;スルピリド;チオリダジン;チオチキセン;トラジン;チオペリドン、特に塩酸塩;チオスピロン、特に塩酸塩;トリフルオペラジン、特に塩酸塩;トリフルペリドール;トリフルプロマジン;ジプラシドン、特に塩酸塩;ならびにその混合物よりなる群から選択される。
【0123】
本発明の、特に式(I)の化合物は、また、他の脂質低下薬と併せて用いることもでき、従って、肥満症の処置のためのいわゆる併用脂質低下療法をもたらす。該追加の脂質低下薬は、例えば、背景技術において先に記載したような例えば胆汁酸捕捉剤(sequestrant)樹脂、フィブリン酸誘導体もしくはニコチン酸のような高脂血症の管理に通常用いられる既知の薬剤であることができる。適当な追加の脂質低下薬には、また、他のコレステロール生合成阻害剤およびコレステロール吸収阻害剤、特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびHMG−CoAシンターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、ACAT阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、CB−1アンタゴニスト、エゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤なども包含される。
【0124】
任意のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」という用語は、本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、酵素HMG−CoAレダクターゼに
より触媒されるようなメバロン酸へのヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aの生体内転化を阻害する化合物をさす。そのような「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、リバスタチンおよびアトルバスタチンである。
【0125】
任意のHMG−CoAシンターゼ阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。「HMG−CoAシンターゼ阻害剤」という用語は、本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、酵素HMG−CoAシンターゼにより触媒されるアセチル−補酵素Aおよびアセトアセチル−補酵素Aからのヒドロキシメチルグルタリル−補酵素Aの生合成を阻害する化合物をさす。
【0126】
任意のHMG−CoAレダクターゼ遺伝子発現阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。これらの薬剤は、DNAの転写を妨げるHMG−CoAレダクターゼ転写阻害剤もしくはHMG−CoAレダクターゼをコードするmRNAのタンパク質への翻訳を妨げる翻訳阻害剤であることができる。そのような阻害剤は、転写もしくは翻訳に直接影響を及ぼすことができるかまたはコレステロール生合成カスケードにおける1つもしくはそれ以上の酵素により上記の特性を有する化合物に生体内転化されることができるかまたは上記の活性を有する代謝物の蓄積をもたらすことができる。
【0127】
任意のCETP阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。「CETP阻害剤」は、本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、HDLからLDLおよびVLDLへの様々なコレステリルエステルおよびトリグリセリドのコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)媒介輸送を阻害する化合物をさす。
【0128】
任意のACAT阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。「ACAT阻害剤」という用語は、本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、酵素アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼによる食事性コレステロールの細胞内エステル化を阻害する化合物をさす。
【0129】
任意のスクアレン合成酵素阻害剤を本発明の併用療法態様における第二の化合物として用いることができる。「スクアレン合成酵素阻害剤」という用語は、本明細書において用いる場合、他に記載されない限り、酵素スクアレン合成酵素により触媒される、スクアレンを生成せしめるための2分子のファルネシルピロリン酸の縮合を阻害する化合物をさす。
【0130】
製薬学的組成物
本発明は、また、製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤および有効成分として治療的に有効な量の本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0131】
本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩、あるいはその任意の亜群もしくは組み合わせは、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。
【0132】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態の
、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体と密接に混合して合わせ、この担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的、経直腸的、経皮的、非経口注射によるかもしくは吸入による投与に適当な単位投与形態物が望ましい。例えば、経口投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口液状製剤の場合には例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;もしくは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口投与単位形態物に相当し、その場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、担体は、例えば溶解性を助けるために他の成分を含むことができるが、通常は少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するために役立つことができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0133】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物の上記の製薬学的組成物を調合することは特に都合がよい。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に分離した単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算される有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。本発明の化合物は強力な経口投与可能なドーパミンアンタゴニストであるので、経口投与のための該化合物を含んでなる製薬学的組成物は特に都合がよい。
【0134】
すでに述べたように、本発明は、また、本発明の化合物ならびに抗鬱薬、抗不安薬、抗精神病薬および脂質低下薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物を含んでなる製薬学的組成物に、ならびに薬剤の製造のためのそのような組成物の使用にも関する。
【0135】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるがその範囲を限定するものではない。
【0136】
実験の部
本願の全体にわたって、「THF」はテトラヒドロフランを意味し;「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し;「EtOAc」は酢酸エチルを意味し;「DCM」はジクロロメタンを意味し;「DME」は1,2−ジメトキシエタンを意味し;「DCE」は1,2−ジクロロエタンを意味し;「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し;「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し;「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンを意味し;「DIAD」はジアゾジカルボン酸ジイソプロピルを意味し;「TEMPO」は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル遊離基を意味し;「BINAP」は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルを意味し;「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し;「キサントホス」は4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンを意味し;「BOC」はtert−ブチルオキシカルボニルを意味し;「NMO」はN−メチルモルホリン−N−オキシドを意味
する。
【0137】
マイクロ波支援反応は、単一モード反応器:EmrysTM オプティマイザーマイクロ波反応器(Personal Chemistry A.B.、現在はBiotage)もしくはInitiatorTM Sixty(Biotage)において(両方の装置の記述は、www.biotage.comに見出されることができる)、そしてマルチモード反応器:MicroSYNTH Labstation(Milestone,Inc.)において(装置の記述は、www.milestonesci.comに見出されることができる)行われた。
【0138】
A.中間化合物の製造
A1.中間化合物I−1の製造
【0139】
【化19】

【0140】
DCE(20ml)中の4−ベンジルオキシ−2(1H)−ピリドン(1g、5.0mmol)の溶液に、4−ブロモフェニルボロン酸(2g、12.0mmol)、Cu(OAc)(1.82g、10.0mmol)、ピリジン(1.51ml、20.0mmol)および分子ふるい(4Å)(2g)を加えた。反応混合物をマイクロ波照射下で180℃で15分間加熱した。固体を濾過して分離した。濾液をNHOHの水溶液で処理した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を蒸発させた。得られる残留物をDCM100〜DCM/EtOAc 4:1においてカラムクロマトグラフィーにより精製して中間化合物I−1(230mg、13%)を生成せしめた。
A2.中間化合物I−2の製造
【0141】
【化20】

【0142】
ジオキサン/DMF(4/1;10ml)中の4−ベンジルオキシ−2(1H)−ピリドン(0.5g、0.0025mol)、4−ブロモ−2−メトキシフェノール(0.67g、0.0033mol)、CuI(0.48g、0.0025mol)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.53ml、0.0050mol)およびKPO(1.06g、0.0050mol)の混合物をマイクロ波オーブンにおいて180℃で15分間加熱した。次に、加熱をマイクロ波において再び15分間繰り返した。固体を濾過して分離し、そしてフィルターをDCMで洗浄した。NHOH溶液(32%)を濾液に加
えた。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残留物をDIPEで沈殿させ、中間化合物I−2(31%)を生成せしめた。
A3.中間化合物I−3の製造
【0143】
【化21】

【0144】
THF(20ml)中の中間化合物I−2(0.76g、0.0033mol)、1,1,1−トリフルオロ−N−フェニル−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−メタンスルホンアミド(1.18g、0.0033mol)およびKCO(1.38g、0.01mol)の混合物をマイクロ波において120℃で15分間加熱した。固体を濾過して分離し、そしてDCMで洗浄した。濾液を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/EtOAc 100/0、9/1および4/1)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:0.9gの中間化合物I−3(60%)。
【0145】
中間化合物I−3はまた、中間化合物I−2、EtNおよび溶媒としてDCMの混合物に0℃で無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.1eq)を加えることにより得ることもできる。この場合、混合物を室温で2時間攪拌して反応を完了させる。
A4.中間化合物I−4の製造
【0146】
【化22】

【0147】
1,2−DCE(7.5ml)中のI−1(534mg、0.0015mol)およびPOBr(1.72g、0.006mol)の混合物をマイクロ波において150℃で20分間攪拌した。次に、NaCO(水性飽和溶液)、DCMおよびMeOHを加えた。溶液の清澄混合物が得られるまで反応混合物を攪拌した。次に、有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc;9/1)。その後で、残留物をDIPEで処理し、0.375gの中間化合物I−4(76%)を固体として生成せしめた。
A5.中間化合物I−5の製造
【0148】
【化23】

【0149】
DME(1.5ml)中のNaH60%(55mg、0.00136mol)に、4−フルオロベンジルアルコール(0.149ml、0.00136mol)を0℃で滴下して加えた。反応混合物を室温で15分間攪拌した。次に、DME(1.5ml)中のI−4(225mg、0.00068mol)を加えた。反応混合物をマイクロ波において120℃で10分間攪拌した。その後で、NHCl(10%)およびDCMを加えた。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc 9/1および4/1)、0.193gの中間化合物I−5(76%)を生成せしめた。
A6.中間化合物I−6の製造
【0150】
【化24】

【0151】
DCM(2ml)中の2−ヒドロキシ−4−ピリジンカルボキサルデヒド(123mg、0.001mol)、4−ブロモ−フェニルボロン酸(400mg、0.002mol)、Cu(OAc)(18mg、0.0001mol)、ピリジン(162ml、0.002mol)、TEMPO(172mg、0.0011mol)および分子ふるいの混合物を室温で24時間攪拌した。次に、固体をセライトパッドを通して濾過し、そして濾液をNaCO(水性飽和溶液)で処理した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc;9/1)、0.180gの中間化合物I−6(65%)を生成せしめた。
A7.中間化合物I−7の製造
【0152】
【化25】

【0153】
メタノール(5ml)中の中間体I−6(180mg、0.00065mol)の混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(30mg、0.00078mol)を0℃で加えた。反応物を室温で30分間攪拌した。次に、NHCl(水性飽和溶液)を加えた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をDIPEで沈殿させ、0.170gの中間化合物I−7(93%)を生成せしめた。
A8.中間化合物I−8の製造
【0154】
【化26】

【0155】
THF(2ml)中の化合物I−7(170mg、0.00061mol)、フェノール(87mg、0.00092mol)、DIAD(181ml、0.00092mol)およびトリフェニルホスフィン(241mg、0.00092mol)の混合物をマイクロ波において100℃で10分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc 9/1)。次に、残留物をDIPEで処理し、0.151gの中間化合物I−8(70%)を生成せしめた。
A9.中間化合物I−9の製造
【0156】
【化27】

【0157】
脱酸素化ジオキサン(1ml)および水性飽和NaCO(1ml)中の化合物I−
4(150mg、0.00045mol)、トランス−2−フェニルビニルボロン酸(66mg,0.00045mol)およびPd(PPh(27mg、0.000023mol)の混合物をマイクロ波において150℃で10分間攪拌した。次に、DCMおよびHOを加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc;9/1および4/1)、0.040gの中間化合物I−9(25%)を生成せしめた。
A10.中間化合物I−10の製造
【0158】
【化28】

【0159】
アセトニトリル(1ml)中の2,5−ジブロモピリジン(474mg、0.0002mol)、2,7−ジアザスピロ[3,5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、500mg、0.00019mol)、DIPEA(2ml)の混合物をマイクロ波照射下で175℃で10分間加熱した。次に、DCMおよびNaCO(水性飽和溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして濾液を濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc 4:1)375mgの中間化合物I−10(52%)を生成せしめた。
A11.中間化合物I−11の製造
【0160】
【化29】

【0161】
ジオキサン/DMF 9:1(75ml)中の4−ベンジルオキシ−2(1H)−ピリドン(50mg、0.0025mol)、2−ブロモ−5−ヨードトルエン(1.13g、0.0038mol)、CuI(0.238g、0.0015mol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.266ml、0.0025mol)およびKPO(1.06g、0.005mol)の混合物をマイクロ波において180℃で15分間攪拌した。次に、DCMを加えた。固体をジカライトを通して濾過して分離し、そして濾液をNHOH32%で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM)。所望の生成物を集め、そして蒸発させた。得られる生成物をDIPEで沈殿させ、0.737
gの中間化合物I−11(80%)を生成せしめた。
【0162】
B.最終化合物の製造
B1.最終化合物1−5の製造
【0163】
【化30】

【0164】
雰囲気下でトルエン(3ml)中の中間化合物I−1(0.000561mol)の混合物に2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、0.00078mol)、Pd(OAc)(0.0000267mol)、BINAP(0.000042mol)そして最後にBuONa(0.00168mol)を加えた。混合物を封管において一晩還流させた。次に、HOを混合物に加え、そしてDCMで抽出した。有機層を濾過し、NaSO上で乾燥させ、そして濃縮した。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(10gカートリッジ;溶離剤:DCMおよびDCM/(CHOH/NH);10%〜30%)0.189gのBOC保護された化合物(67%)を得た。この化合物(0.00717mol)をTFA(14ml)およびDCM(28.8ml)に溶解した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を濃縮し、そして残留物を氷冷浴下でNaOH50%で中和した。有機相をDCMで抽出し、NaSO上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物をシリカゲル上でショートカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCM/CHOH;9.5/0.5およびDCM/(CHOH(NH);9.5/0.5〜9/1)、1.08gの化合物I−5(49%)を生成せしめた。
B2.最終化合物I−11の製造
【0165】
【化31】

【0166】
ジオキサン/DMF 9:1(75ml)中の中間化合物I−1(0.00084mol)、1−オキソ−2,7−ジアザ−スピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.24g、0.0010mol)、CuI(0.16g、0.00084mol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.0016mol)およびK
PO(0.35g、0.0016mol)の混合物をマイクロ波において175℃で20分間攪拌した。次に、DCMを加えた。固体をジカライトを通して濾過して分離し、そして濾液をNHCl(水性飽和溶液)で洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させて0.433gのBOC保護された化合物を得た。この粗生成物(0.000969mol)をTFA(2ml)およびDCM(4ml)に溶解した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。この期間の後に、反応物を氷冷浴条件下でNaCO(飽和水溶液)で中和した。有機相をDCMで抽出し、NaSO上で乾燥させ、そして蒸発させた。残留物をシリカゲル(5g)上でショートカラムクロマトグラフィーにより精製し、そしてエチルエーテルで洗浄し、0.270gの化合物1−11(67%)を生成せしめた。
B3.最終化合物2−1の製造
【0167】
【化32】

【0168】
トルエン(2.5ml)中の中間化合物I−11(185mg、0.0005mol)、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、171mg、0.00065mol)、Pd(OAc)(11mg、0.00005mol)、BINAP(23mg、0.0375mmol)およびBuONa(144mg、0.0015mol)の混合物をN雰囲気下で攪拌し、そして100℃で24時間加熱した。反応物をさらに24時間加熱しながら過剰のPd(OAc)およびBINAPを加えた。次に、DCMを加えた。固体をセライトを通して濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc;9/1およびDCM/アセトン 9/1および4/1)、0.175gのBOC保護された化合物を生成せしめた。この化合物をTFA(1ml)およびDCM(2ml)に溶解し、そして反応混合物を室温で2時間攪拌した。次に、NaCO(飽和水溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/MeOH 95/5およびDCM/(CHOH/NH);95/5)。残留物をエチルエーテルで処理し、0.089gの化合物2−1(62%)を生成せしめた。
B4.最終化合物2−2の製造
【0169】
【化33】

【0170】
トリフルオロトルエン(3.0ml)中の中間化合物I−3(228mg、0.0005mol)、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、171mg、0.00065mol)、Pd(OAc)(11mg、0.00005mol)、キサントホス(58mg、0.0001mol)およびCsCO(407mg,0.00125mol)の混合物をN雰囲気下で攪拌し、そして100℃で24時間加熱した。次に、DCMを加えた。固体をセライトを通して濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/EtOAc;9/1およびDCM/アセトン 9/1および4/1)、0.130gのBOC保護された化合物を生成せしめた。この化合物をTFA(1ml)およびDCM(2ml)に溶解し、そして反応混合物を室温で2時間攪拌した。次に、NaCO(飽和水溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/(MeOH)95/5およびDCM/(CHOH/NH);95/5)。残留物をエチルエーテルで処理し、0.0366gの化合物2−2(35%)を生成せしめた。
B5.最終化合物3−2の製造
【0171】
【化34】

【0172】
脱酸素化トルエン(4ml)中の中間化合物I−5(0.190g、0.00051mol)、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、0.177g、0.00066mol)、Pd(OAc)(58mg、0.000026mol)、BINAP(24mg、0.000038mol)およびBuONa(147mg,0.00153mol)の混合物を100℃で一晩加熱した。次に、DCMを加えた。固体を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/アセトン;9/1および4/1)、0.202gのBOC保護された化合物を生成せしめた。この化合物(0.202g、0.0003
9mol)をTFA(2ml)およびDCM(4ml)に溶解し、そして室温で2時間攪拌した。次に、NaCO(飽和水溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM(MeOH)95/5およびDCM/(CHOH/NH);9/1)。その後で残留物をDIPEで処理し、0.098gの化合物3−2(60%)を生成せしめた。
B6.最終化合物3−1の製造
【0173】
【化35】

【0174】
トルエン(1ml)中の中間化合物I−9(0.040g、0.00011mol)、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、0.037g、0.00014mol)、Pd(OAc)(12mg、0.0000055mol)、BINAP(5mg、0.0000083mol)およびBuONa(0.00033mol)の混合物をN雰囲気下で攪拌し、そして100℃で一晩加熱した。次に、DCMを加えた。固体をセライトを通して濾過して分離し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/アセトン 9/1)、0.050gのBOC保護されたアミン(91%)を生成せしめた。この生成物をTFA(0.5ml)およびDCM(1ml)の混合物に溶解し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。次に、NaCO(水性飽和溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM(CHOH)95/5およびDCM/(CHOH/NH);1/1)。残留物をDIPEで処理し、0.017gの化合物3−1(43%)を生成せしめた。
B7.最終化合物3−3の製造
【0175】
【化36】

【0176】
トルエン(5ml)中の中間化合物I−8(304mg、0.00085mol)、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(CAS:896464−16−7、289mg、0.0011mol)、Pd(OA
c)(10mg、0.000043mol)、BINAP(40mg、0.000064mol)およびBuONa(245mg、0.00255mol)の混合物を100℃で24時間加熱した。次に、DCMを加えた。固体をセライトパッドを通して濾過した。濾液を蒸発させ、MgSO上で乾燥させ、そして残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(溶離剤:DCMおよびDCM/アセトン;9/1)、0.430gのBOC保護されたアミンを生成せしめた。この化合物をTFA(2ml)およびDCM(4ml)に溶解し、そして混合物を室温で2時間振盪した。次に、NaCO(飽和水溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をエチルエーテルで処理し、0.278gの化合物3−3(81%)を生成せしめた。
B8.最終化合物4−1の製造
【0177】
【化37】

【0178】
ジオキサン:DMF 4:1(4ml)中の4−ベンジルオキシ−2(1H)−ピリドン(187mg、0.93mmol)、中間化合物I−10(375mg、0.93mmol)、ヨウ化銅(177mg、0.93mmol)、N,N−ジメチルエチレンジアミン(0.198ml、1.86mmol)、リン酸カリウム(395mg、1.86mmol)の混合物をマイクロ波照射下で180℃で15分間加熱した。次に、DCMを加えた。固体をセライトパッドを通して濾過して分離した。濾液をNHOH(30%)の溶液で処理した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を蒸発させて600mgのBOC保護された化合物を生成せしめた。この化合物をTFA(3ml)およびDCM(6ml)に溶解し、そして混合物を室温で1時間振盪した。次に、NaCO(飽和水溶液)を加えた。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/CHOH 98/5およびDCM/CHOH(NH)9/1)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残留物をエチルエーテルで処理し、0.238gの化合物4−1(64%)を生成せしめた。
B9.最終化合物1−9の製造
【0179】
【化38】

【0180】
MeOH(メタノール;6ml)および酢酸(0.2ml)中の化合物I−5(0.5g、1.25mmol)および1−エトキシ−1−[(トリメチルシリル)オキシ]−シクロプロパン(0.260ml、0.0013mol)の混合物を室温で30分間攪拌した。次に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.113g、0.0018mol)を加えた。反応混合物を80℃で24時間加熱した。次に、NaHCO(水性飽和溶液)およびNHOH(30%)を加えた。混合物をDCMで抽出した。分離した有機層を乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/MeOH 95/5およびDCM/(MeOH/NH)95/5)。所望の画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残留物をエチルエーテルで処理し、0.470gの化合物1−9(86%)を生成せしめた。B10.最終化合物2−4の製造
【0181】
【化39】

【0182】
チオフェン溶液(0.5ml;DIPE中4%)の存在下でPt/C5%(0.5g)を触媒として、メタノール(100ml)中の化合物2−3(2.1g、0.005mol)およびパラホルム(0.5g)の混合物に還元的メチル化を50℃で一晩行った。H(1当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化させた。収量:1.6gの化合物2−4(71%)。
B11.最終化合物1−15の製造
【0183】
【化40】

【0184】
中間化合物I−1(7.80g、0.022mol)、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル(6g、0.025mol)、Pd(OAc)(0.25g、0.0011mol)、BINAP(1.12g、0.0018mol)およびBuONa(2.4g、0.025mol)の混合物を100℃で油浴においてN雰囲気下で一晩攪拌した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、そしてジカライト上で濾過した。フィルターをトルエン(200ml)で洗浄した。濾液を蒸発させ、そして6gの粗残留物を生成せしめた。フィルターをまた熱いDCM(300ml)でも洗浄した。溶媒を蒸発させ、12gの白色の固体を生成せしめた。合わせた残留物をCHCNから結晶化させた。8.3gのBOC保護された化合物が得られた(73%)。このBOC保護された化合物(8.3g、0.016mol)を2−プロパノール(200ml)に懸濁した。次に、HCl/2−プロパノール(50ml;6N)を加え、そして溶液が得られた。この溶液を加熱し、そして沈殿物が生じた。混合物を3時間還流させ、その後でそれを氷浴上で冷却した。生成物を濾過して分離した。収量:8.0gの化合物1−15(99%;.2HCl.0.8HO)。
B12.最終化合物1−14の製造
【0185】
【化41】

【0186】
当業者に周知である方法により最終化合物1−15を遊離塩基(これは化合物1−13に対応する)に転化した。次に、チオフェン溶液(1.0ml;DIPE中4%)の存在下でPt/C5%(0.5g)を触媒として、メタノール(150ml)中の化合物1−13(1.5g、0.0036mol)およびパラホルム(1g)の混合物に還元的メチル化を50℃で一晩行った。H(1当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化させた。所望の化合物を濾過して分離した。収量:1.2gの化合物1−14(78%)。
【0187】
表1〜4は、上記の実施例の1つに従って製造される式(I)の化合物を記載する。
【0188】
【表1】

【0189】
【表2】

【0190】
【表3】

【0191】
【表4】

【0192】
【表5】

【0193】
分析部分
LCMS一般的方法A
HPLC測定は、脱気装置を有するポンプ(クォータナリもしくはバイナリ)、オートサンプラー、カラムオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAgilent TechnologiesからのHP1100を用いて行った。カラムからのフローは、MS分光計に分け
られた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて設定された。窒素をネブライザーガスとして用いた。供給源温度を140℃で保った。データ収集は、MassLynx−Openlynxソフトウェアで行った。
【0194】
LCMS一般的方法B
HPLC測定は、脱気装置を有するクォータナリポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン(他に示されない限り、40℃で設定する)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAlliance HT2790(Waters)システムを用いて行った。カラムからのフローは、MS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて設定された。質量スペクトルは、0.1秒の滞留時間を用いて1秒に100〜1000をスキャンすることにより得られた。キャピラリーニードル電圧は3kVであり、そして供給源温度を140℃で保った。窒素をネブライザーガスとして用いた。データ収集は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0195】
LCMS一般的方法C
LC測定は、バイナリポンプ、サンプルオーガナイザー、カラムヒーター(55℃で設定する)、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAcquity UPLC(Waters)システムを用いて行った。カラムからのフローは、MS分光計に分けられた。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源を用いて設定された。質量スペクトルは、0.02秒の滞留時間を用いて0.18秒に100〜1000をスキャンすることにより得られた。キャピラリーニードル電圧は3.5kVであり、そして供給源温度を140℃で保った。窒素をネブライザーガスとして用いた。データ収集は、Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムで行った。
【0196】
LCMS−方法1
一般的方法Aに加えて:逆相HPLCを40℃で1.5ml/分の流速でAdvanced Chromatography TechnologiesからのACE−C18カラム(3.0μm、4.6x30mm)上で実施した。使用した勾配条件は:6.5分中に80%A(0.5g/lの酢酸アンモニウム溶液)、10%B(アセトニトリル)、10%C(メタノール)から50%Bおよび50%Cまで、7分で100%Bまでであり、そして7.5分で9.0分まで初期条件に平衡化した。注入容量5μl。高分解能質量スペクトル(飛行時間、TOF)は、0.1秒の滞留時間を用いて0.5秒に100〜750をスキャンすることによりポジティブイオン化モードにおいてのみ得られた。キャピラリーニードル電圧はポジティブイオン化モードでは2.5kVであり、そしてコーン電圧は20Vであった。ロイシン−エンケファリンは、ロックマス較正に使用した標準物質であった。
【0197】
LCMS−方法2
一般的方法Bに加えて:逆相HPLCを1.6ml/分の流速でXterraMS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)上で実施した。3つの移動相(移動相A:95%25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて6.5分中に100%Aから1%A、49%Bおよび50%Cまで、1分中に1%Aおよび99%Bまでの勾配条件を行い、そしてこれらの条件を1分間保持し、そして100%Aで1.5分間再平衡化した。10μlの注入容量を用いた。コーン電圧はポジティブイオン化モードでは10V、そしてネガティブイオン化モードでは20Vであった。
【0198】
LCMS−方法3
一般的方法Bに加えて:カラムヒーターを60℃で設定した。逆相HPLCを1.6ml/分の流速でXterra MS C18カラム(3.5μm、4.6x100mm)上で実施した。3つの移動相(移動相A:95%25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を用いて6.5分中に100%Aから50%Bおよび50%Cまで、0.5分中に100%Bまでの勾配条件を行い、そしてこれらの条件を1分間保持し、そして100%Aで1.5分間再平衡化した。10μlの注入容量を用いた。コーン電圧はポジティブイオン化モードでは10V、そしてネガティブイオン化モードでは20Vであった。
【0199】
LCMS−方法4
一般的方法Cに加えて:逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)を0.8ml/分の流速で架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド(BEH)C18カラム(1.7μm、2.1x50mm;Waters Acquity)上で実施した。2つの移動相(移動相A:HO/メタノール95/5中0.1%のギ酸;移動相B:メタノール)を用いて1.3分中に95%Aおよび5%Bから5%Aおよび95%Bまでの勾配条件を行い、そして0.2分間保持した。0.5μlの注入容量を用いた。コーン電圧はポジティブイオン化モードでは10V、そしてネガティブイオン化モードでは20Vであった。
【0200】
融点
多数の化合物について、融点(m.p.)をDSC823e(Mettler−Toledo)で決定した。融点は、30℃/分の温度勾配で測定した。最大温度は400℃であった。値はピーク値である。
【0201】
多数の化合物について、融点(m.p.)をDSC822e(Mettler−Toledo)で決定した。融点は、10℃/分の温度勾配で測定した。最終温度は300℃で設定した。値はピーク値である。
【0202】
多数の化合物について、融点をMettler FP62装置上でオープンキャピラリーチューブにおいて決定した。融点は、10℃/分の温度勾配で測定した。最大温度は300℃であった。融点はデジタル表示から読み取った。
【0203】
値は、この分析方法と一般に関連する実験不確実性で得られた。
【0204】
【表6】

【0205】
C.薬理学的実施例
MCH−1受容体と式(I)の化合物との相互作用は、蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)フォーマットでインビトロ一過性カルシウム(Ca2+)動員アッセイにおいて評価した(Sullivan et al.1999,Methods Mol Biol 114:125−133)。一般に、天然のアゴニスト(MCH)をMCH−1受容体を発現する細胞とインキュベーションし、それは内部貯蔵からのCa2+の濃度依存的一過性動員を引き起こす。受容体と試験化合物との相互作用を競合実験において評価する。受容体を発現する細胞および最大下濃度のMCHを含有するインキュベーション混合物に様々な濃度の試験化合物を加える。試験化合物はそのアンタゴニスト効能およびその濃度に比例してMCH誘発性Ca2+動員を阻害する。
【0206】
実施例C.1:MCH−1に関する結合実験
細胞培養および膜調製.10%熱不活性化ウシ胎仔血清および400μg/mlのジェネティシンを補足した、GlutamaxTM(Invitrogen)を含むダルベッコ
改変イーグル培地(DMEM)およびハムF12倍地の1:1混合物においてヒトMCH−1受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を培養する。
【0207】
MCH−1受容体に関するCa2+動員実験.実験の24時間前に、MCH−1受容体を発現するCHO細胞を384ウェルブラックウォールクリアボトムマイクロタイタープレート(Costar)に20μl(ウェル当たり5,000細胞)において接種する。実験の日に、ウェル当たり20μlのカルシウムアッセイキット含有10mMプロベニシド(calcium assay kit containing 10mM probenicide)(Molecular Devices)を加える。細胞培養インキュベーターにおいて37℃および5%COで90分間細胞に負荷する。負荷後に、20μlの連続希釈の試験化合物を加え、そして細胞を暗所において室温で20分間さらにインキュベーションする。20分後に、20μlの最大下MCH濃度を加え、そして細胞内カルシウムの変化をFLIPR III装置(Molecular devices)において直接記録する。
【0208】
データ分析および結果.化合物の存在下でのアッセイからのデータは、試験化合物の不在下で測定される総Ca2+応答のパーセンテージとして計算した。試験化合物の濃度のlog値に対して総Ca2+応答のパーセントをプロットする阻害曲線を自動的に作製し、そして非線形回帰を用いてシグモイド阻害曲線を適合させた。試験化合物のpIC50値は、個々の曲線から得られた。
【0209】
式(I)の全ての化合物は、濃度に依存して10−6M〜10−9Mの間にわたる試験濃度で50%(pIC50)より多くの阻害をもたらした。
【0210】
式(I)の様々な態様の大部分にわたる、選択した数の化合物について、インビトロ研究の結果を表6に示す。
【0211】
【表7】

【0212】
実施例C.2:hERG減少の決定
hERGに媒介される膜K電流への本発明の化合物の潜在的効果をパッチクランプ技術の単極全細胞配置を用いて単一細胞レベルで調べた(Hamill,O.P.,Marty,A.,Neher,E.,Sakmann,B.& Sigworth,F.J.(1981)Improved patch−clamp techniques fo
r high−resolution current recording from
cells and cell−free membrane patches.Pflugers Archiv.391:85−100)。
【0213】
HERG(ヒトエーテル・ア・ゴー・ゴー(ether−a−go−go)関連遺伝子)は、心筋細胞における迅速に活性化する遅延整流性K電流(IKr)と同様の生物物理学的特性を有するカリウムチャンネルをコードする(Snyders,D.J.& Chaudhary,A.(1996).High affinity open channel block by dofetilide of HERG expressed in a human cell line.Molecular Pharmacology 49,949−955およびSmith,P.L.,Baukrowitz,T.& Yellen,G.(1996).The inward rectification mechanism of the HERG cardiac potassium channel.Nature 379,833−836)。このIKr電流は、心筋活動電位の再分極相に関与するK電流に寄与する。この電流を阻止することは活動電位持続時間を延長し、そしてQT延長症候群を引き起こし得る。QT延長の発生は、突然死をもたらす可能性がある心室性不整脈(Torsades de Pointes)のような心室性不整脈の発生を引き起こし得る。
【0214】
HERGテール電流への試験物質の効果を評価するためにPatchXpress 7000Aシステム(Axon Instruments)を利用する自動パッチクランプアッセイを用いた。
【0215】
細胞:HERGの安定なトランスフェクションを有するヒト胚腎臓細胞系(HEK293)を用いた(Mohammad,S.,Zhou,Z.,Gong,Q.& January,C.T.(1997).Blockage of the HERG human
cardiac K channel by the gastrointestinal prokinetic agent cisapride.American Journal of Physiology 273,H2534−H2538およびZhou,Z.,Gong,Q.,Ye,B.,Fan,Z.,Makielski,J.C.,Robertson,G.A.& January,C.T.(1998).Properties of HERG channels stably expressed in HEK 293 cells studied at physiological temperature.Biophysical Journal 74,230−241)。細胞を培養下で継続的に維持した。使用前に細胞懸濁液を調製し、そして実験の直前に、これらの細胞を1000rpmで1分間遠心分離し、上清をデカンテーションし、そして細胞を1.5mlのエッペンドルフチューブにおいて150μlの浴溶液に再懸濁した。
【0216】
溶液:浴溶液は、137mMのNaCl、4mMのKCl、10mMのグルコース、10mMのHEPES、1.8mMのCaClおよび1mMのMaClを含有した(NaOHでpH7.4)。ピペット溶液は、130mMのKCl、5mMのEGTA、10mMのHEPES、5mMのMgATPおよび1mMのMgClを含有した(KOHでpH7.2)。試験化合物をDMSOに溶解して10−2M〜3x10−1M(最終DMSO濃度:0.3、0.1もしくは0.03%)のストック溶液を得た。コントロール(=浴溶液+DMSO)および試験溶液(=浴溶液+DMSO+試験化合物)は、0.3%もしくは0.1%のDMSOを含有した。
【0217】
記録システム:PatchXpressシステムを浴およびピペット溶液で準備した(primed)。16ウェルシールチップ(Sealchip 16、Aviva Bio
sciences Corp.)をシステムに装着し、そして浴溶液懸濁液において細胞を調製する前に準備した。細胞を入れたエッペンドルフチューブを指定位置に置き、そしてシールチップの各記録チャンバー(ウェル)への細胞の粉砕および分散で方法を開始した。PatchXpressシステムは、通常の全細胞パッチクランプ法の一般原則に従った。
【0218】
測定:HERG電流は、−80mVの保持電位から開始して、+20mVへの4.8秒の脱分極後に−50mVで最大テール電流として決定した。各値は、4つの逐次電圧パルスからの平均電流を表す。阻止の程度を決定するために残留電流を賦形剤前処理と比較した。HERG電流への試験化合物の効果は、薬剤適用の5分後に測定した。HERG電流の5%より多い減少を認めることができる場合、試験物質はHERG電流を(部分的に)阻止すると考えられる。
【0219】
コントロール実験:時間を合わせた(time−matched)賦形剤コントロール実験を同一条件下で行った。ナノモル濃度でHERGに媒介される電流を阻害することが既知である対照化合物としてアステミゾールを用いた。
【0220】
【表8】

【0221】
D.組成物実施例
「有効成分」(a.i.)は、これらの実施例の全体にわたって使用する場合に式(I)の最終化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、そのN−オキシド形態、その第四級アンモニウム塩およびそのプロドラッグに関する。
【0222】
実施例D.1:経口ドロップ
500グラムのa.i.を60〜80℃で0.5lの2−ヒドロキシプロパン酸および1.5lのポリエチレングリコールに溶解する。30〜40℃に冷却した後に、35lのポリエチレングリコールを加え、そして混合物をよく攪拌する。次に、2.5lの精製水中1750グラムのサッカリンナトリウムの溶液を加え、そして攪拌しながら2.5lのココアフレーバーおよび50lの容量まで適量ポリエチレングリコールを加え、10mg/mlのa.i.を含んでなる経口ドロップ溶液を与える。得られる溶液を適当な容器に
詰める。
【0223】
実施例D.2:経口液剤
9グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび1グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを4lの沸騰精製水に溶解する。3lのこの溶液に最初に10グラムの2,3−ジヒドロキシブタン二酸、そしてその後に20グラムのa.i.を溶解する。後者の溶液を前者の溶液の残りの部分と合わせ、そして12lの1,2,3−プロパントリオールおよび3lのソルビトール70%溶液をそれに加える。40グラムのサッカリンナトリウムを0.5lの水に溶解し、そして2mlのラズベリーおよび2mlのグーズベリーエッセンスを加える。後者の溶液を前者と合わせ、水を20lの容量まで適量加え、茶さじ1杯分(5ml)当たり5mgの有効成分を含んでなる経口液剤を与える。得られる溶液を適当な容器に詰める。
【0224】
実施例D.3:フィルムコート錠
錠剤コアの製造
100グラムのa.i.、570グラムのラクトースおよび200グラムの澱粉の混合物をよく混合し、そしてその後に約200mlの水中5グラムのドデシル硫酸ナトリウムおよび10グラムのポリビニルピロリドンの溶液で湿らせる。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかける。次に、100グラムの微晶質セルロースおよび15グラムの水素化植物油を加える。全体をよく混合し、そして錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含有する10,000個の錠剤を与える。
【0225】
コーティング
75mlの変性エタノール中10グラムのメチルセルロースの溶液に150mlのDCM中5グラムのエチルセルロースの溶液を加える。次に、75mlのDCMおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加える。10グラムのポリエチレングリコールを融解し、そして75mlのDCMに溶解する。後者の溶液を前者に加え、そして次に2.5グラムのオクタデカン酸マグネシウム、5グラムのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃縮色懸濁液を加え、そして全体を均質化する。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置においてコーティングする。
【0226】
実施例D.4:注入可能な液剤
1.8グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび0.2グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを約0.5lの沸騰する注射用水に溶解する。約50℃に冷却した後に攪拌しながら4グラムの乳酸、0.05グラムのプロピレングリコールおよび4グラムのa.i.を加える。溶液を室温に冷却し、そして注射用水を1lまで適量補足し、4mg/mlのa.i.を含んでなる溶液を与える。溶液を濾過により滅菌し、そして滅菌容器に詰める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中:
Aは式(II)
【化2】

(式中、
k、l、m、nは各々相互に独立して、0、1、2、3もしくは4に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)は2、3、4もしくは5に等しく;ここで、−CH−部分の1つはOで置換されることができ;そしてここで、−CH−部分の各々はオキソで置換されることができる)
の基であり;
XはCもしくはNであり;
は水素、C1〜5アルキル、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルオキシカルボニルの群から選択され;
、Rは各々、相互に独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pは0、1、2もしくは3に等しい整数であり;
qは0、1、2もしくは3に等しい整数であり;
、Yは各々、相互に独立して、単結合、O、NR、S、SOおよびSOの群から選択され;ここで、Rは水素およびC1〜3アルキルの群から選択され;
は飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜6−炭化水素基であり、ここで、1個もしくはそれ以上の水素原子は場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される基で置換されていてもよく;
Bは、場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択されるr個の置換基Rで置換されていてもよい、0、1、2もしくは3個の窒素原子を含有する6員環であり;そしてここで、rは1もしくは2に等しい整数であり;または2個の置換基Rは基−CHCHCH−もしくは−OCHO−に組み合わされることができ;
アルキルは示される数の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基であり;ここで、該基は場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオおよびホルミルの群から選択される1個もしくはそれ以上の基で1個もしくはそれ以上の炭素原子上で置換されていてもよく;
アリールは、各々場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシ
ル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよい、ナフチルもしくはフェニルであり;
Hetはピロリジニル;イミダゾリジニル;ピラゾリジニル;ピペリジニル;ピペラジニル;ピロリル;ピロリニル;イミダゾリニル;ピラゾリニル;ピロリル;イミダゾリル;ピラゾリル;トリアゾリル;ピリジニル;ピリダジニル;ピリミジニル;ピラジニル;トリアジニル;アゼピル;ジアゼピル;モルホリニル;チオモルホリニル;フリル;チエニル;オキサゾリル;イソオキサゾリル;チアゾリル;チアジアゾリル;イソチアゾリル;ジオキソリル;ジチアニル;テトラヒドロフリル;テトラヒドロピラニル;およびオキサジアゾリルの群から選択される複素環式基であり;各Hetは場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、オキソ、カルボキシル、ニトロ、チオ、ホルミル、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から各々相互に独立して選択される1、2もしくは3個の置換基で置換されていてもよく;
ハロはフルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードである]
の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩。
【請求項2】
k、l、m、nが各々相互に独立して、1、2もしくは3に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)が2、3もしくは4に等しいことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)
【化3】

の群から選択されることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項4】
Aが式(cc−2)
【化4】

の基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Aが(aa−1)もしくは(bb−1)
【化5】

の基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
Xが炭素もしくは窒素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
およびRの各々が、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
pが0もしくは1であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
qが0であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
およびYが各々、相互に独立して、単結合およびOの群から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
が−CH−、−CHCH−および−CH=CH−の群から選択されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Bがフェニルであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
Bが1個のハロ置換基で置換されることを特徴とする請求項15に記載の化合物。
【請求項15】
部分B−Y−Y−Yが、場合によりr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−2)、(a1−3)および(a1−5)
【化6】

から選択されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
k、l、m、nが各々相互に独立して、1、2もしくは3に等しい整数であり、ただし、(k+l)および(m+n)が2、3もしくは4に等しく;ここで、−CH−部分の1つがOで置換されることができ;そしてここで、−CH−部分の各々がオキソで置換されることができ;
XがCもしくはNであり;
が水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から選択され;
、Rが各々、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
、Yが各々、相互に独立して、単結合もしくはOの群から選択され;
が飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜6−炭化水素基であり;そして
Bが、場合により1個のハロ置換基Rで置換されていてもよい、フェニルである
請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩。
【請求項17】
Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)
【化7】

の群から選択され;
XがCもしくはNであり;
が水素、C3〜6シクロアルキルおよびC1〜5アルキルの群から選択され;
、Rが各々、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
部分B−Y−Y−Yが、場合によりr個の置換基Rで置換されていてもよい、基(a1−2)、(a1−3)および(a1−5)
【化8】

から選択され;
がハロ置換基であり;そしてここで、rが1もしくは2に等しい整数である
請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩。
【請求項18】
Aが(a−1)、(b−1)、(b−3)、(b−5)および(c−2)
【化9】

の群から選択され;
XがCもしくはNであり;
が水素、C3〜5シクロアルキルおよびC1〜3アルキルの群から選択され;
、Rが各々、相互に独立して、水素、ハロ、C1〜3アルキルおよびC1〜3アルキルオキシの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
、Yが各々、相互に独立して、単結合もしくはOの群から選択され;
が飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状C1〜6−炭化水素基であり;そして
Bが、場合により1個のハロ置換基Rで置換されていてもよい、フェニルである
請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩。
【請求項19】
Aが(a−1)もしくは(b−1)
【化10】

の群から選択され;
XがCであり;
がメチルであり;
、Rが各々、相互に独立して、水素もしくはハロの群から選択され;
pが0もしくは1に等しい整数であり;
qが0に等しい整数であり;
が単結合であり;
がOであり;
がCHであり;そして
Bがフェニルである
請求項1に記載の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、そのN−オキシド形態またはその第四級アンモニウム塩。
【請求項20】
薬剤としての使用のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤および有効成分として請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項22】
経口投与するために適当な形態であることを特徴とする請求項21に記載の製薬学的組成物。
【請求項23】
抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物をさらに含んでなることを特徴とする請求項21〜22のいずれか1項に記載の製薬学的組成物。
【請求項24】
脂質低下化合物の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物をさらに含んでなることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の製薬学的組成物。
【請求項25】
製薬学的に許容しうる担体を請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量と緊密に混合することを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項26】
製薬学的に許容しうる担体を請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量ならびに抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と緊密に混合することを特徴とする請求項23に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項27】
製薬学的に許容しうる担体を請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量および脂質低下化合物の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と緊密に混合することを特徴とする請求項24に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項28】
MCH−受容体の拮抗作用、特にMCH−1受容体の拮抗作用が治療的に有用である疾患の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害;肥満症;糖尿病;性的障害ならびに神経学的障害の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための抗鬱薬、抗不安薬および抗精神病薬の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせた請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
肥満症の予防および/もしくは処置用の薬剤の製造のための脂質低下化合物の群から選択される1種もしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせた請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
MCH−受容体の拮抗作用、特にMCH−1受容体の拮抗作用が治療的に有用である疾患の予防および/もしくは処置における使用のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害;肥満症;糖尿病;性的障害ならびに神経学的障害の予防および/もしくは処置における使用のための請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物もしくは請求項21〜24のいずれか1項に記載の製薬学的組成物を予防および/もしくは処置を必要とする個体に投与する段階を含んでなる予防および/もしくは処置を必要とする個体におけるMCH受容体の拮抗作用、特にMCH−1受容体の拮抗作用に反応する障害もしくは疾患を防ぎそして/もしくは処置する方法。
【請求項35】
該障害もしくは疾患が不安、摂食障害、双極性障害および鬱病のような気分障害、統合失調症のような精神病、ならびに睡眠障害が包含されるがこれらに限定されるものではない精神障害;肥満症;糖尿病;性的障害ならびに神経学的障害を含んでなる群から選択される請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511666(P2010−511666A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539736(P2009−539736)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063310
【国際公開番号】WO2008/068265
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】