説明

N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの新規結晶多形体

【課題】医薬として有用なN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの安定した品質の結晶およびその製造方法を提供する。
【解決手段】粉末X線回折パターンおよび/または示差走査熱量分析サーモグラムで特定され、優れた熱安定性などの性質を有する、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの新規結晶多形体、その製造方法およびそれを含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(I)で表されるN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドは、末梢型ベンゾジアゼピン受容体に対して選択的かつ顕著な親和性を示すと共に、優れた抗不安作用を示すので、不安関連疾患、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、多発性硬化症などの免疫性神経疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用な化合物であることが後記特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0003】
【化1】

【0004】
特許文献1の実施例146および特許文献2の製造例146には、式(I)の化合物がエタノールから再結晶され、その結晶の融点が163−164℃であったことが記載されている。しかし、他の溶媒での式(I)の化合物の再結晶や、式(I)の化合物の結晶多形に関する記載は全くない。
【0005】
また、特許文献1および特許文献2には、試薬としてヨウ化メチルと約60%水素化ナトリウム(油性)を用いる式(I)の化合物の製造方法が記載されている。ヨウ化メチルは低沸点かつ有害性が強く、また、水素化ナトリウムは反応過程で水素を発生するため、それらの使用は工業的製造面から満足できるものではない。しかし、これらの文献には、他の式(I)の化合物の製造方法は全く開示されていないし、アルキル化剤と塩基の組み合わせ以外の製造方法の示唆もない。製造方法や再結晶溶媒を変更すると、新規の結晶多形が出現する可能性がある。そして、その可能性の予見は通常不可能である。
【0006】
一方、ICH(The International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use:日米EU医薬品規制調和国際会議)ガイドラインのトピックQ6A「新医薬品の規格及び試験方法の設定について(Specifications: Test Procedures and Acceptance Criteria for New Drug Substances and New Drug Products: Chemical Substances)」(非特許文献1)では、原薬の結晶多形について、「新原薬の中には、物理的性質の異なる2つ以上の結晶形で存在するものがある。結晶多形には、溶媒和物あるいは水和物(擬多形とも呼ばれる)や無晶形も含まれる。こうした固体状態の違いが、新製剤の品質や機能に影響を及ぼすことがある。そうした違いが、製剤機能、バイオアベイラビリティあるいは安定性に影響を及ぼすような場合には、新原薬の規格に適切な存在形を規定すべきである。」と述べている。そして、新医薬品の開発では、原薬の結晶多形の存在の有無を確認し、結晶多形が存在する場合は各結晶形の溶解度や安定性、融点に相違がないか調べ、相違がある場合は製剤の安全性や機能性、有効性が結晶形の影響を受けるか否かを調べるべきとしている。
【0007】
このガイドラインを原薬製造の観点から見ると、原薬に結晶多形が存在する場合は、原薬の結晶形を単一にするか、あるいは複数の結晶形の原薬中の存在比を一定にコントロールすることが求められていると理解される。しかし、原薬の結晶多形が存在することを見つけることは必ずしも容易ではなく、通常は試行錯誤が必要である。また、結晶多形の存在が確認された場合、通常、単一の結晶からなる原薬、あるいは複数の結晶形の存在比が一定にコントロールされた原薬を製造することは容易に達成されることではなく、鋭意検討を必要とする。
【0008】
【特許文献1】国際公報第99/28320号パンフレット
【特許文献2】特開2001−48882号公報
【非特許文献1】ICHガイドライン、トピックQ6A「新医薬品の規格及び試験方法の設定について」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの安定した品質の結晶を工業的に製造可能な方法で提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは、前記特許文献1および特許文献2の記載に準じて式(I)の化合物を繰り返し製造したところ、得られた結晶の粉末X線回折パターンが製造ロットごとにそれぞれ異なること、すなわち、式(I)の化合物の結晶多形が存在する可能性があることに気づいた。したがって、式(I)の化合物を医薬品の原薬として製造するためには、上記のガイドラインの観点からも、式(I)の化合物の結晶形を単一にするなどして、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの安定した品質の結晶を提供することが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明者らは、式(I)の化合物の結晶多形について鋭意検討を行った結果、特許文献1および特許文献2の記載に準じて製造した式(I)の化合物が2種類の結晶(以下、これらの2種類の結晶を、「α型結晶」および「γ型結晶」と称す。)の混合物であることを見出した。また、「α型結晶」および「γ型結晶」の示差走査熱量サーモグラムなどから、室温で単離不可能な「β型結晶」と室温で単離可能な「δ型結晶」が存在することをさらに見出した。これらに加えて、本発明者らは、前記特許文献1および特許文献2に記載の製造方法とは全く異なる新規な製造方法で式(I)の化合物を製造し、これを新規な組み合わせとなる再結晶溶媒(含水エタノール)で再結晶して新規で安定な「ε型結晶」を最初に製造し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶、具体的には以下の結晶を提供するものである。
【0013】
ピーク角度2θ(エネルギー:10KeV)で表して、ほぼ、3.97°、6.21°、7.00°、7.34°、7.74°、7.95°、8.11°、9.25°、9.41°、9.47°、9.54°、9.76°、9.95°、10.48°、10.62°、10.77°、11.51°、11.88°、11.94°、12.21°、12.44°、12.64°、12.77°、13.20°、13.48°、14.07°、14.15°、14.20°、14.29°および14.32°のピークを有する粉末X線回折パターンを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【0014】
図9に例示される粉末X線回折パターンを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【0015】
10℃/minの昇温速度で、ほぼ159℃にピークを有する示差走査熱量サーモグラムを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【0016】
また、本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法を提供する。具体的には以下の製造方法を提供する。
【0017】
N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの含水エタノール溶液から該化合物を結晶化させる工程を含む製造方法。
【0018】
前記のε型結晶の製造方法において、含水エタノールが50〜80%含水エタノールであるε型結晶の製造方法は好ましい。
【0019】
前記のε型結晶の製造方法において、結晶化工程がN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの含水エタノール溶液にN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶を加えて該化合物を結晶化させる工程である製造方法はさらに好ましい。
【0020】
本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのエタノール溶液にN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶を加えて該化合物を結晶化させる工程を含む製造方法も提供する。
【0021】
加えて、本発明は、上述のε型結晶と同定されたN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶からなる医薬を提供する。
【0023】
また、本発明は、前述のε型結晶からなるN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬からなる医薬を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを反応させる工程を含む製造方法を提供する。
【0025】
前記のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造方法において、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを反応させる工程がN−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを不活性溶媒中で反応させる工程は好ましい。
【0026】
前記のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造方法において、不活性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである製造方法はさらに好ましい。
【0027】
また、本発明は、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、前記([0024]〜[0025])の製造方法で製造したN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドを含水エタノールに溶解する工程、および該含水エタノール溶液からN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドを結晶化させる工程を含む製造方法を提供する。
【0028】
本明細書における「α型結晶」、「γ型結晶」、「δ型結晶」および「ε型結晶」とは、通常の粉末X線回折、示差走査熱量分析等で示される物理化学的性質によって、それぞれ他の結晶および他の結晶との混合物とは区別される結晶を意味する。言い換えれば、本明細書における「α型結晶」、「γ型結晶」、「δ型結晶」および「ε型結晶」は、高純度の結晶を意味しており、具体的にはそれぞれ他の結晶が検出されない結晶であることを意味する(他の結晶の通常の検出限界は5%未満)。
【0029】
「原薬」とは、ICHガイドラインのトピックQ7A「原薬GMPのガイドラインについて」の記載に準じ、医薬品有効成分(API)とも称される、「医薬品の生産に使用することを目的とする物質で、医薬品の製造に使用された時に医薬品の有効成分となるもの」を意味する。本明細書における「ε型結晶と同定されたN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬」は、実質的に他の結晶を含まないε型結晶であると同定されたN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬を意味し、より具体的には、ε型結晶の含有率が95%以上のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬を意味する。原薬の結晶の確認は、通常、粉末X線回折および/または示差走査熱量分析が用いられる。これらの原薬の定義には、医薬品の製造で通常用いられる方法で適宜粉砕された原薬も含まれる。
【0030】
「医薬」とは、一般的には医薬品有効成分である原薬を含む製剤であり、具体的に本明細書では、上記のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬(結晶)を、投与剤型に合わせて製剤用担体と混合して調製された製剤を意味する。具体的な投与剤型および製剤用担体については後述する。したがって、「原薬(結晶)からなる医薬」とは、上記原薬(結晶)を含み、適宜製剤用担体を混合して調製された製剤を意味する。この製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有していてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、工業的に生産可能な方法で製造でき、加えて粉砕時においてほとんど固着しない性質を有する、高純度で安定した品質のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶(以下、「本発明の結晶」と称することもある)を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
「α型結晶」、「β型結晶」、「γ型結晶」、「δ型結晶」および本発明の結晶は、本明細書に記載の物理化学的性質によって特定される。しかし、後記の参考例や実施例において、例えば、同一の結晶形の粉末X線回折を異なるX線の波長で測定すると観測されるピーク角度が異なることからも明らかなように、これらの物理化学的性質を示すデータは、測定方法や測定器具によって多少変わるものであるから、本明細書に記載の結晶形を特定する物理化学的性質は厳密に解されるべきではない。
【0033】
α型結晶の製法:
式(I)の化合物のα型結晶は、式(I)の化合物を含むC3−5アルコール(例えば、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール)溶液から該化合物を常法に従って結晶化させることによって製造される。具体例を参考例2に示す。また、式(I)の化合物のα型結晶は、式(I)の化合物をエタノールに加熱溶解して調製した溶液を5℃以下、好ましくは−21〜5℃、さらに好ましくは0〜5℃で冷却することからなる該化合物の結晶化によっても製造される。加熱溶解は、通常、エタノール溶液が還流する温度で行われる。冷却はγ型結晶を析出させないために急速で行われる。具体例を参考例3に示す。
【0034】
γ型結晶の製法:
式(I)の化合物のγ型結晶は、式(I)の化合物を含むメタノール、C1−5アルキルアセタート(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル)、C3−6ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)またはジメチルスルホキシド溶液から該化合物を結晶化させることによって製造される。この結晶化は常法に従って行うことができ、具体的な製造例を参考例6に示す。γ型結晶の製造に用いる溶媒は、前記溶媒の中ではC3−6ケトンが好ましく、具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられ、これらの中では、メチルイソブチルケトンが特に好ましい。式(I)の化合物1gの結晶化に用いる溶媒量は、7〜14mlが好ましく、8〜9mlがさらに好ましい。この場合において、式(I)の化合物は加熱して溶媒に溶解する。このときの加熱温度は特に限定されないが、通常は、溶媒の還流温度である。
【0035】
δ型結晶の製法:
式(I)の化合物のδ型結晶は、溶媒の非存在下または存在下、式(I)の化合物の結晶(α型結晶とγ型結晶の混合物またはいずれか一方の結晶;これらの結晶は非晶質との混合物であってもよい。)を通常は130℃以上162℃未満の温度、好ましくは140℃以上161℃以下、さらに好ましくは150℃以上160℃以下の温度で加熱することによって製造される。具体的な製造例を参考例7に示す。
【0036】
ε型結晶の製法:
式(I)の化合物のε型結晶は、式(I)の化合物を含む含水エタノール溶液から該化合物を結晶化させることによって製造される。この結晶化は常法に従って行うことができる。通常、式(I)の化合物1gの結晶化に用いる溶媒量は、7〜16mlが好ましく、12〜14mlがさらに好ましい。この場合において、式(I)の化合物は加熱して溶媒に溶解する。このときの加熱温度は特に限定されないが、通常は、溶媒が還流するまで加熱する。具体的な製造例を実施例3に示す。
【0037】
含水エタノールは水とエタノールの混合物を意味し、好ましい含水エタノールは、通常、50〜80%含水エタノールであり、更に好ましいものは55〜75%含水エタノールであり、更に一層好ましいものは60〜70%含水エタノールである。この明細書において、例えば、65%含水エタノールとは35容量部の水と65容量部のエタノールの混合物を意味する。また、エタノールは原薬製造に通常使用される純度であって市販されているエタノールを意味する。
【0038】
上記式(I)の化合物の含水エタノール溶液を冷却するとε型結晶が析出する。結晶化のときに、式(I)の化合物の結晶を種晶として加えてもよく、ここにおいて結晶の種はε型結晶が好ましい。この溶液の冷却速度は、特に限定されないが、好ましくは0.25〜2.5℃/minである。溶液中に析出した結晶を濾取し、常法に従って乾燥(好ましくは120℃以下で乾燥)すれば、目的の結晶が製造される。
【0039】
後記の参考例2〜7、参考例3、平衡吸湿性試験等から明らかなとおり、ε型結晶はそれ自体安定な結晶であり、さらに、δ型結晶が高温で直接加熱する方法で製造されるのに対し、通常行われる再結晶法で容易に製造できる。したがって、ε型結晶はN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬として好ましい。また、ε型結晶は、γ型結晶とは異なってジェットミルによる粉砕においてほとんど固着せず、粉砕工程を経た原薬の製造が容易な結晶である。
【0040】
α型結晶、γ型結晶およびδ型結晶は、特許文献1に記載の方法に準じて製造した式(I)の化合物を用いて単一溶媒からの再結晶を検討して得られた結晶である。一方、ε型結晶は、式(I)の化合物の工業的製法検討を行った結果得られた結晶であり、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(以下、「DMFDMA」と称することもある。)とを反応させることからなる新規な製造方法で製造した式(I)の化合物を含水エタノールから再結晶して初めて製造された結晶である。但し、新規な結晶(α型結晶、γ型結晶、δ型結晶およびε型結晶)が一度得られると、それらの結晶の製造方法が原料として用いる化合物(式(I)の化合物)の製造方法に依存しなくなることは当業者によく知られていることである。以下に式(I)の化合物の新規製法について説明する。
【0041】
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとDMFDMAとの反応は、無溶媒下または適当な不活性溶媒中で常圧または加圧下に行うことができる。不活性溶媒とはDMFDMAなどの溶質と反応しない溶媒を意味し、使用する溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、2,2−ジメトキシプロパン、1,1−ジエトキシプロパン、ジグライム、1,4−ジオキサン、アニソール、メタノール、トルエン、キシレン、酢酸メチルが挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられるが、通常は単独の溶媒を用い、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドを単独の溶媒として用いる。通常、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド1gに対して1〜6ml、好ましくは1〜2mlの溶媒を用いる。
【0042】
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとDMFDMAとの反応は、適当な不活性溶媒中で行うのが好ましく、さらには、常圧下で行うことが好ましい。DMFDMAの使用量は、通常、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド1モルに対してDMFDMAを1モル〜3モル用い、好ましくは1.1〜2.5モル用いる。
【0043】
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドと過剰量のDMFDMAを無溶媒下で反応させることも可能である。この場合、過剰量のDMFDMAを回収して用いることが好ましい。通常、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド1gに対してDMFDMAを5〜10ml用いる。
【0044】
常圧下での反応温度は室温から反応溶液の還流温度の間から選択できる。加圧下での反応温度は、室温から300℃までの範囲の温度から選択できる。通常の反応温度は40℃〜200℃であり、好ましくは60℃〜155℃、さらに好ましくは100℃〜120℃である。
【0045】
反応時間は、反応温度や溶媒の種類などの反応条件に影響されるため特に限定はされないが、通常、5分〜24時間、好ましくは1時間〜3時間程度である。
【0046】
単離精製方法としては、例えば、濃縮、濾取、晶析、洗浄、再結晶、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーやこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。
【0047】
上記N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドはWO99/28320および特開2001−48882号公報に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造することができる。DMFDMAは市販されているものをそのまま使用できる。
【0048】
本発明の結晶は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に優れた抗不安作用を示すので、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害など)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、多発性硬化症などの免疫性神経疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用である。このことは前記特許文献1に記載の式(I)の化合物の薬理試験結果(末梢型ベンゾジアゼピン受容体に対するIC50=0.85nM、中枢型ベンゾジアゼピン受容体に対するIC50>1000nM、抗不安作用の最小有効量=0.003mg/kg)から説明される。
【0049】
本発明の結晶の投与経路としては、経口投与あるいは非経口投与のいずれでもよい。投与量は、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、通常0.01〜50mg/kg/日、好ましくは0.03〜5mg/kg/日である。
【0050】
本発明の結晶は通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明の結晶と反応しない物質が用いられる。
【0051】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、貼付剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製され、例えば、WO99/28320に記載の製剤例をそのまま具体例として挙げることができる。これらの製剤は、本発明の結晶を0.01%以上、好ましくは0.1〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有していてもよい。
【実施例】
【0052】
以下、参考例および実施例を挙げて本発明の新規な結晶およびその製造方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例に記載のデータは、通常、同じ実験を繰り返しても数値が多少変わるものであるから、厳密に解されるべきではない。参考例および実施例で得られた結晶は以下の方法で同定した。
【0053】
(1)高輝度放射光施設SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いたα型結晶、β型結晶、γ型結晶およびδ型結晶の粉末X線回折:BL24XU Hutch Bに設置された小型回折計を用い、エネルギー10KeV、ステップ0.006°(2θ)、0.5mmφ石英キャピラリー、測定時間1.0sec/step、入射スリット0.4×1.0mm、受光スリット(1)0.1mm(垂直)、受光スリット(2)0.3mm(垂直)、受光スリット間距離630mmで透過法により測定した。
【0054】
(2)高輝度放射光施設SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いたε型結晶の粉末X線回折:BL24XU Hutch Bに設置された小型回折計を用い、エネルギー10KeV、ステップ0.006°(2θ)、1. 0mmφ石英キャピラリー、測定時間2.0sec/step、入射スリット0.4×1.0mm、受光スリット(1)0.2mm(垂直)、受光スリット(2)0.3mm(垂直)、受光スリット間距離850mmで透過法により測定した。
【0055】
(3)理学社製RINT2000 Ultima+を用いた粉末X線回折:Cu Kα1,2線、スキャン速度2°/minで集中法により測定した。
【0056】
(4)島津製作所製XRD-6100を用いた粉末X線回折:Cu Kα1,2線、ステップ0.0200°(2θ)、計測時間1.2sec/step、スリットDS0.50度、スリットSS0.50度、スリットSS0.15mmで測定した。
【0057】
(5)昇温粉末X線回折:理学社製RINT2000 Ultima+を用い、水平試料板にヤナコ社製融点測定器MP型のヒートシンクを密着させ、昇温しながら、Cu Kα1,2線、スキャン速度10°/minで集中法により測定した。
【0058】
(6)α型、γ型およびδ型結晶の示差走査熱量分析:パーキンエルマー社製Pyrislを用い、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気下20mL/minで測定した。温度校正は、水(0℃)、インジウム(156.6℃)、亜鉛(419.5℃)を用い、熱量校正にはインジウム(28.45J/g)を用いた。2〜5mgの式(I)の化合物の結晶をアルミニウムパンにいれ、アルミニウムカバーでクリンプした後、測定に供した。
(7)ε型結晶の示差走査熱量分析:温度校正した理学社製Thermo Plus2を用い、昇温速度10℃/minで測定した。
【0059】
(8)熱重量分析:パーキンエルマー社製TGA7を用い、昇温速度5℃/min、窒素雰囲気下、サンプル流量50mL/min、バランス流量20mL/minで測定した。温度校正は、アルメル(alumel)(154.2℃)、ニッケル(355.3℃)を用いた。2〜5mgの式(I)の化合物の結晶をプラチナパンにいれ、測定に供した。
【0060】
(9)ホットステージ顕微鏡:オリンパス光学社製実体顕微鏡SZH型の光軸と、ヤナコ社製融点測定器MP型のヒートシンク中央の光軸を合わせ、ヒートシンク下方向からオリンパス光学社製LGPS光源を用いて偏光を照射し、昇温速度約5℃/minで昇温しながら結晶の変化、偏光の消失等を観察した。
【0061】
参考例1 N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド[式(I)の化合物]の製造:
本参考例はWO99/28320の実施例146に記載の化合物[式(I)の化合物]の製法(WO99/28320の実施例106の製法に準じる製法)に準じて行った。但し、本参考例では60%水素化ナトリウムに替えて炭酸カリウムを用いた。
具体的には、WO99/28320に記載の製法に準じて製造したN−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド(WO99/28320の実施例91の化合物)7.75gと炭酸カリウム4.15gをジメチルホルムアミド100mlに懸濁させ、これにヨウ化メチル4.26gを加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物4.46gを得た。融点は165〜166℃(未補正)だった。
同様の製法で式(I)の化合物の製造を数回繰り返したが、得られた結晶についてRINT2000 Ultima+で粉末X線回折を測定し、それぞれのパターンを比較するとピークの現れ方に差異が見られた。
【0062】
参考例2 α型結晶の製造:
参考例1の式(I)の化合物1gを100mLナスフラスコに入れ、これに2−プロパノール(イソプロパノール)40mLを加えて栓をした後、水浴(100℃)上で振騰して参考例1の化合物を溶解した。この溶液を室温で一昼夜放置した後、析出した結晶を濾取し、室温で減圧下1時間乾燥してα型結晶を得た。α型結晶のSPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたパターン(10KeV)および示差走査熱量サーモグラムを図1および図2に示す。
【0063】
SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたα型結晶の粉末X線回折のピーク角度(10KeV)とその相対強度(図1のピーク角度とその相対強度)を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
昇温粉末X線回折を用いたα型結晶の測定では、125℃からβ型特有の回折ピークが現われ始め、140℃でα型からβ型への完全な転移が観測され、165℃でδ型への転移に伴うピークが観測された。
【0066】
α型結晶の示差走査熱量サーモグラム(図2)は、120℃でβ型への転移に伴う吸熱ピーク、161℃で転移体(β型結晶)の融解およびδ型への転移に伴う吸発熱ピーク、167℃に転移体(δ型結晶)の融解に伴う吸熱ピークを示した。
【0067】
α型結晶について熱重量分析を行った結果、重量変化は観測されなかった。
【0068】
ホットステージ顕微鏡でα型結晶を観察すると、昇温過程と降温過程のいずれにおいてもα型−β型間の転移は融解を伴わず固体状態で転移した。β型からδ型への転移では結晶の融解を伴っていた。
【0069】
参考例3 α型結晶の製造:
参考例1の化合物25mgを15mLガラススピッツに入れ、これにエタノール1mLを加えて栓をした後、水浴(100℃)上で振騰して参考例1の化合物を溶解した。この溶液を5℃に設定した恒温槽に入れ、析出した結晶を濾取し、室温で減圧下1時間乾燥してα型結晶を得た。この結晶の結晶形は粉末X線回折(RINT2000 Ultima+)で確認した。
【0070】
参考例4 エタノール再結晶から得られた結晶:
参考例3の恒温槽の温度を20℃または50〜30℃(50℃から30℃まで−5℃/hで冷却)に設定して式(I)の化合物の結晶を得た。これらの結晶について理学社製RINT2000 Ultima+を用いて粉末X線回折を測定すると、いずれの結晶もα型結晶とγ型結晶の混合物だった。
【0071】
参考例5 β型結晶:
α型結晶の昇温粉末X線回折を測定した結果、α型結晶は140℃でβ型に転移し、続いて冷却すると120℃でα型に転移した。
【0072】
SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたβ型結晶の粉末X線回折のピーク角度(10KeV)とその相対強度(図7のピーク角度とその相対強度)を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
昇温粉末X線回折の測定において、α型結晶は140℃に加熱されるとβ型固有の回折ピークを示してβ型結晶に転移し、β型結晶は冷却すると120℃でα型結晶と同じ回折パターンを示して、α型結晶に再転移した。
【0075】
α型を140℃まで加熱、冷却、再加熱した時の示差走査熱量サーモグラムは120℃でそれぞれ吸熱(昇温)、発熱(降温)、吸熱(再昇温)パターンを示した。それらの熱量は同じであったことから、α型とβ型の転移は可逆的であった。
【0076】
参考例6 γ型結晶の製造:
参考例1の化合物1gを50mLナスフラスコに入れ、これにメチルイソブチルケトン8mLを加えて栓をした後、水浴(100℃)上で振騰して参考例1の化合物を溶解した。この溶液を室温で一昼夜放置した後、析出した結晶を濾取し、室温で減圧下1時間乾燥してγ型結晶を得た。γ型結晶のSPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られた粉末X線回折パターン(10KeV)および示差走査熱量サーモグラムをそれぞれ図3および図4に示す。
【0077】
SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたγ型結晶の粉末X線回折のピーク角度(10KeV)とその相対強度(図3のピーク角度とその相対強度)を表3に示す。
【0078】
【表3】

【0079】
γ型結晶は、昇温粉末X線回折の測定において、170℃からδ型に由来する回折ピークが認められるようになり、174℃で完全にδ型結晶に転移した。γ型結晶がδ型結晶に転移するまでの間、α型結晶やβ型結晶への転移は観測されなかった。
【0080】
γ型結晶の示差走査熱量サーモグラム(図4)は、162℃に融解による吸熱ピークを示した。示差走査熱量分析の昇温速度を5℃/minにすると、167℃に転移体(δ型結晶)の融解に伴う吸熱ピークが観測された。
【0081】
γ型結晶について熱重量分析を行った結果、重量変化は観測されなかった。
【0082】
参考例7 δ型結晶の製造:
参考例1の化合物を密栓ガラス容器に入れ、150℃のオーブンで24時間加熱し、δ型結晶を得た。δ型結晶のSPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたパターン(10KeV)および示差走査熱量サーモグラムをそれぞれ図5および図6に示す。
【0083】
SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたδ型結晶の粉末X線回折のピーク角度(10KeV)とその相対強度(図5のピーク角度とその相対強度)を表4に示す。
【0084】
【表4】

【0085】
δ型結晶は、昇温粉末X線回折の測定において、178℃で融解するまで結晶の変化はなかった。
【0086】
δ型結晶の示差走査熱量サーモグラム(図6)では、167℃に融解による吸熱ピークが認められた。
【0087】
δ型結晶について熱重量分析を行った結果、重量変化は観測されなかった。
【0088】
実施例1 N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造:
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド300g、DMFDMA111gおよびN,N−ジメチルホルムアミド300mlの混合物を110℃で3時間加熱攪拌した。反応混合物にイソプロパノール3lを加え、室温で2時間ついで氷冷下で1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、イソプロパノール600mlで2回洗浄する。結晶を80℃で16時間送風乾燥して目的物294.7gを得た。この結晶の化学純度をHPLCで測定した結果は99.862%だった。
【0089】
実施例2 N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造:
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミド2.5gおよびDMFDMA13mlの混合物を100℃で30分間攪拌した。反応混合物に水38ml加えた後、析出物を濾取、水洗し、目的物2.0gを得た。
実施例1および実施例2で得られた化合物は、元素分析値、マススペクトル、NMRスペクトルにより、WO99/28320の実施例146の化合物と同一の化学構造であることを確認した。
【0090】
実施例3 ε型結晶の製造:
実施例1に記載の製法で製造された式(I)の化合物13.0g、エタノール72.8mlおよび水18.2mlの混合物を78−80℃で26分間加熱攪拌した後、濾過した。容器をエタノール28.6mlおよび水36.4mlの混合溶媒で洗浄し、洗浄液を続いて濾過した。あわせた濾液に液温が70℃のときにγ型結晶2mgを添加し、加温しながら63−70℃で3時間攪拌した。攪拌しながら50分かけて66℃から10℃まで冷却した後、10−4℃で1時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、65%含水エタノール15mlで2回洗浄した。結晶を60℃で16時間送風乾燥して目的物12.7gを得た。この結晶の化学純度をHPLCで測定した結果は99.989%だった。
融点162−165℃(未補正)。
元素分析: C2323として
理論値 C 68.81 H 5.77 N 17.44
測定値 C 68.79 H 5.79 N 17.47。
ε型結晶のXRD-6100を用いて得られたパターン(Cu Kα1,2線)を図8に示す。
【0091】
XRD-6100を用いて得られたε型結晶の粉末X線回折のピーク角度(Cu Kα1,2線)(図8のピーク角度)は、ピーク角度2θで表して、8.98°、9.26°、9.45°、11.34°、11.63°、12.02°、12.22°、13.00°、14.65°、14.99°、17.30°、17.90°、18.06°、18.80°、19.04°、19.39°、19.84°、20.04°、23.66°、24.70°、24.86°、25.11°、25.73°、26.40°および26.58°だった。
【0092】
実施例4 ε型結晶の製造:
実施例1に記載の製法で製造された式(I)の化合物300gにエタノール3.9lを加え加熱攪拌溶解後、溶液を濾過した。容器をエタノール300mlで洗浄後、洗浄液を濾過し溶液に合わせた。溶解液を還流温度まで加熱し、結晶が溶解するまで攪拌した。溶解液を冷却し、70℃で未粉砕のε型結晶1.5gを添加し65−70℃で1時間攪拌した。内温30℃以下になるまで冷却し(冷却速度:0.25〜1℃/min)、さらに30℃以下で1時間攪拌した。析出結晶を濾取し、エタノール300mlで2回掛け洗いした。結晶を60℃で16時間乾燥し、目的物283.4gを得た。この結晶の化学純度をHPLCで測定した結果は100.0%、電位差滴定で測定した結果は99.8%だった。
元素分析: C2323として
理論値 C 68.81 H 5.77 N 17.44
測定値 C 68.70 H 5.76 N 17.31。
【0093】
ε型結晶のSPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られた粉末X線回折パターン(10KeV)を図9に示す。
【0094】
SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたε型結晶の粉末X線回折のピーク角度(10KeV)とその相対強度(図9のピーク角度とその相対強度)を表5に示す。
【0095】
【表5】

【0096】
ε型結晶の示差走査熱量サーモグラム(図10)では、159℃に融解による吸熱ピークが認められた。
【0097】
ε型結晶について熱重量分析を行った結果、重量変化は観測されなかった。
【0098】
実施例5
実施例1に記載の製法で製造された式(I)の化合物5gに65%含水エタノール149mlを加え加熱攪拌溶解後、溶液を濾過した。濾液を還流温度まで加熱し、結晶が溶解するまで攪拌した。溶解液を冷却し、60℃で未粉砕のε型結晶25mgを添加し60℃で2時間攪拌した。内温10℃になるまで冷却し(冷却速度:0.25℃/min)、さらに10℃以下で1時間攪拌した。析出結晶を濾取し、乾燥した。この結晶が含有率95%以上のε型結晶であることを粉末X線回折(XRD-6100、他の結晶の検出限界:<5%)で確認した。
参考例8
実施例1に記載の製法で製造された式(I)の化合物5gにエタノール127mlを加え加熱攪拌溶解後、溶液を濾過した。濾液を還流温度まで加熱し、結晶が溶解するまで攪拌した。溶解液を冷却し、60℃で未粉砕のγ型結晶25mgを添加し60℃で2時間攪拌した。内温10℃になるまで冷却し(冷却速度:0.25℃/min)、さらに10℃以下で1時間攪拌した。析出結晶を濾取し、乾燥した。この結晶がγ型結晶であることを粉末X線回折(XRD-6100)で確認した。
【0099】
参考例9
ε型結晶25mg、α型結晶25mgおよびエタノール1.0mlの混合物を50℃で24時間攪拌した後、濾過した。濾取した結晶を乾燥した。この結晶の粉末X線回折(XRD-6100)を測定すると、α型結晶のピークはほとんど観測されず、ε型結晶のピークが観測された。すなわち、α型結晶がほとんどε型結晶に変化していたことが確認された。
【0100】
参考例10
ε型結晶25mg、γ型結晶25mgおよびエタノール1.0mlの混合物を50℃で24時間攪拌した後、濾過した。濾取した結晶を乾燥した。この結晶の粉末X線回折パターン(XRD-6100)は、ε型結晶とγ型結晶の等量混合物の粉末X線回折パターン(XRD-6100)と比較すると、γ型結晶に特有のピークが相対的に減弱していた。すなわち、γ型結晶の一部がε型結晶に変化していたことが確認された。
【0101】
参考例11
ε型結晶25mg、δ型結晶25mgおよびエタノール1.0mlの混合物を50℃で24時間攪拌した後、濾過した。濾取した結晶を乾燥した。この結晶の粉末X線回折パターン(XRD-6100)は、ε型結晶とδ型結晶の等量混合物の粉末X線回折パターン(XRD-6100)と比較すると、δ型結晶に特有のピークが相対的に減弱していた。すなわち、δ型結晶の一部がε型結晶に変化していたことが確認された。
【0102】
平衡吸湿性試験
無機飽和塩で調湿したデシケーター(25℃,15〜93%RH;RHは相対湿度を意味する)にα型、γ型、δ型の各結晶約100mgを入れ、1ヶ月間経時的に重量変化を測定した結果、いずれの結晶も0.1%以上の重量変化は観測されなかった。
無機飽和塩で調湿したデシケーター(25℃,23〜98%RH;RHは相対湿度を意味する)にε型結晶約1 g を入れ、2週間経時的に重量変化を測定した結果,吸湿性を示さなかった。
【0103】
固体安定性試験
α型、γ型、δ型の各結晶約1mgを精密に10mLアンプルまたはバイアルに量り込み、それぞれを40℃、70℃、80℃、100℃、40℃(75%RH)、25℃(52%RH)、25℃(75%RH)および25℃(93%RH)の各条件下に保存した。45日後の残存量をHPLCを用いて定量した。各測定時点における標準品は、同様に秤量して別途4℃で保存したα型、γ型、δ型の各結晶を用いた。いずれの結晶も、いずれの条件下において、HPLCクロマトグラム上に類縁物質ピークの増加は認められず、残存量はほぼ100%(99.8-100.1%)と安定であった。
ε型結晶を40℃/75%RH及び25℃/60%RHで6ヶ月間保存した。性状、確認試験、類縁物質、乾燥減量、含量及び結晶形を測定した結果、いずれも安定であった。
【0104】
溶解度
α型、γ型、δ型の各結晶の適量と蒸留水をミクロテストチューブにいれ、タイテック社製ミクロインキュベータM-36を用いて、37℃、2000r/minで約5時間振騰し飽和させた。振騰後、フィルター(アドバンテックDISMIC-13HP:0.2μm)で濾過し、水溶液中濃度をHPLCで定量した。α型、γ型、δ型の各結晶の溶解度はそれぞれ1.7μg/mL、1.8μg/mL、1.7μg/mLだった。
【0105】
溶解試験
α型、γ型、δ型の各結晶1mgにトウモロコシデンプン4mgを加え、メノウ乳鉢でよく混合して試料を調製した。日本薬局方溶出試験器を用い、第二液(pH6.8)、900mL、37℃、パドル100回転/minで溶解させた。経時的にフィルター(アドバンテックDISMIC-13HP:0.2μm)で濾過し、溶解液をとり、HPLCを用いて溶解液中濃度を定量した。α型、γ型、δ型の各結晶のそれぞれの溶解曲線にはほとんど差が認められず、α型、γ型、δ型の各結晶の溶解性はほぼ同等だった。
α型、γ型、δ型の各結晶約120mgをIR用KBr錠剤成形器を用いて圧縮成形(2000kg/cm、10秒)し、直径13mmの円盤試料を調製した。円盤試料を円盤固定ホルダー(有効面積:0.7085cm)に固定し、水900mL、37℃、100rpmで溶解させた。経時的に溶解液をとり、HPLCを用いて溶解液中濃度を定量した。α型、γ型、δ型の各結晶の溶解速度はそれぞれ0.018mg/hr/cm、0.016mg/hr/cm、0.015mg/hr/cmであった。
ε型、γ型の各結晶の適量とメタノールを共栓付三角フラスコに入れ、25℃,40℃,55℃で3時間振とうさせ、飽和させた。懸濁液をメンブランフィルター(Millex-LH, 0.45μm)で濾過し、メタノール溶液中濃度をHPLCで定量した。ε型、γ型の各結晶のメタノールに対する溶解度はそれぞれ25℃で6.05mg/mL、7.10mg/mL、40℃で12.80mg/mL、14.71mg/mL、55℃で30.22mg/mL、33.70mg/mLだった。
ε型、γ型の各結晶の適量と精製水を共栓付三角フラスコに入れ、25℃、40℃、55℃で3時間振とうさせ、飽和させた。懸濁液をメンブランフィルター(Millex-LH, 0.45μm)で濾過し、水溶液中濃度をHPLCで定量した。ε型、γ型の各結晶の溶解度はそれぞれ25℃で1.54μg/mL、1.75μg/mL、40℃で2.86μg/mL、3.39μg/mL、55℃で6.23μg/mL、7.25μg/mLだった。
ε型、γ型の各結晶の適量と精製水を二重ビーカーに入れ、25℃で撹拌させ、飽和させた。懸濁液をメンブランフィルター(Millex-HV, 0.45μm)で濾過し、水溶液中濃度をHPLCで定量した。ε型、γ型の各結晶の溶解度はそれぞれ1.5μg/mL、1.9μg/mLだった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の結晶は、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害など)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、多発性硬化症などの免疫性神経疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬の製造に用いる安定した品質の原薬となり得る。殊に、ε型結晶は、α型結晶よりも安定であり、δ型結晶とは異なって工業的に生産可能な方法で製造でき、加えて粉砕時においてほとんど固着しないので、医薬製造のための原薬として有用な結晶である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたα型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図2】α型結晶の示差走査熱量サーモグラムである。
【図3】SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたγ型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図4】γ型結晶の示差走査熱量サーモグラムである。
【図5】SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたδ型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図6】δ型結晶の示差走査熱量サーモグラムである。
【図7】SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られたβ型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図8】XRD-6100を用いて得られた本発明のε型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図9】SPring-8 BL24XU Hutch Bを用いて得られた本発明のε型結晶の粉末X線回折パターンである。
【図10】本発明のε型結晶の示差走査熱量サーモグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク角度2θ(エネルギー:10KeV)で表して、ほぼ、3.97°、6.21°、7.00°、7.34°、7.74°、7.95°、8.11°、9.25°、9.41°、9.47°、9.54°、9.76°、9.95°、10.48°、10.62°、10.77°、11.51°、11.88°、11.94°、12.21°、12.44°、12.64°、12.77°、13.20°、13.48°、14.07°、14.15°、14.20°、14.29°および14.32°のピークを有する粉末X線回折パターンを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【請求項2】
図9に例示される粉末X線回折パターンを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【請求項3】
10℃/minの昇温速度で、ほぼ159℃にピークを有する示差走査熱量サーモグラムを示すN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶。
【請求項4】
N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの含水エタノール溶液から該化合物を結晶化させる工程を含む製造方法。
【請求項5】
含水エタノールが50〜80%含水エタノールである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
結晶化工程がN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの含水エタノール溶液にN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶を加えて該化合物を結晶化させる工程である請求項4または請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのエタノール溶液にN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶を加えて該化合物を結晶化させる工程を含む製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のε型結晶と同定されたN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの原薬。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶からなる医薬。
【請求項10】
請求項8の原薬からなる医薬。
【請求項11】
N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドの製造方法であって、N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを反応させる工程を含む製造方法。
【請求項12】
N−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを反応させる工程がN−ベンジル−N−エチル−2−(8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドとN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールとを不活性溶媒中で反応させる工程である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
不活性溶媒がN,N−ジメチルホルムアミドである請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
N−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドのε型結晶の製造方法であって、請求項11〜13のいずれか一項に記載の製造方法で製造したN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドを含水エタノールに溶解する工程、および該含水エタノール溶液からN−ベンジル−N−エチル−2−(7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7,8−ジヒドロ−9H−プリン−9−イル)アセトアミドを結晶化させる工程を含む製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−31093(P2008−31093A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206420(P2006−206420)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】