説明

N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体の製造方法

【課題】化学原料や医農薬中間体として有用な、高純度の化合物(1)の製造方法を提供すること。
【解決手段】化合物(1)のベンジルエステルで、アセチレン結合を含む前駆体にAr−ハロゲン化合物を反応させた後、水素化分解することにより化合物(1)を得る。


[式中、Arは芳香族環の残基、R、Rは水素原子又はAr環における任意の炭素原子に結合する置換基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学原料や医農薬中間体として有用なN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体の製造方法に関し、詳しくはN−保護−2−アミノペンタン酸の5位に芳香族性の置換基が導入された化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、N−保護−2−アミノペンタン酸の5位に芳香族性の置換基が導入された化合物の製造方法としては、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンメチルエステルに、2−クロロ−5−ニトロピリジンを作用させて、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸メチルエステルを得た後、該エステルをPd/Cの存在下にギ酸アンモニウムにより還元して2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸メチルエステルを得、該還元反応生成物をアルカリ金属水酸化物の一種である水酸化リチウムにより加水分解して、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸を得る方法等が知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】Bioorg.Med.Chem.,12,1713(2004)
【0004】
上述した2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸はその水溶性が高く、最終工程でアルカリ金属水酸化物等を用いた加水分解を行うと無機塩との分離が困難であった。例えば、水酸化リチウムを用いて上記のメチルエステルを加水分解後、塩酸を加えて中和し、中和後の液から水を蒸発させると、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸が得られる。しかしながら、この方法で得た2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸は塩化リチウムとの混合物である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、下式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体を高純度で製造する方法を提供することにある。
本発明の第二の目的は、下式(4)で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類を提供することにある。
本発明の第三の目的は、下式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の(A工程)〜(C工程)を含む方法を採用すると、下式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体を高純度で製造し得ることを見出した。また、本発明者は下式(4)で示されるN−保護プロパルギルグリシンエステルを見出した。さらに、本発明者は下式(6)で示されるアルキニル化合物を見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体の製造方法であって、下記の(A工程)〜(C工程)を含む方法を提供するものである。
【0008】

【0009】
[式中、Arはベンゼン環の残基、ナフタレン環の残基、ピリジン環の残基、ピラジン環の残基、ピリミジン環の残基、ピリダジン環の残基、ピロール環の残基、イミダゾール環の残基、インドール環の残基、イソインドール環の残基、キノリン環の残基、イソキノリン環の残基、フラン環の残基又はチオフェン環の残基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子であるか、又はAr環における任意の炭素原子に結合する置換基を表す。該置換基は、シアノ基、保護基を有していてもよいアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基からなる群より選ばれる。]
【0010】
(A工程)
下式(2)

で示されるN−保護プロパルギルグリシンと、下式(3)

[式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。Xはハロゲン原子又は水酸基を表わす。]
で示されるベンジル誘導体を反応させて、下式(4)

(式中、R、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類を得る工程、
(B工程)
A工程で得られた上式(4)で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類と、下式(5)

[式中、Arは上記と同じ意味を表わす。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子を表すか、又はAr環の残基における任意の炭素原子に結合する置換基を表す。該置換基はニトロ基、ニトロソ基、アジド基、ヒドロキシアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる。Yはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表わす。]
で示される芳香族性化合物を、パラジウム触媒の存在下に反応させて、下式(6)

[式中、Ar、R、R、R及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表わす。]
で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物を得る工程、
(C工程)
B工程で得られた上式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物を、金属触媒の存在下に水素添加による還元反応を行い、上式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体を得る工程。
また、本発明は、上式(4)で示されるN−保護プロパルギルグリシンエステル類及び上式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エステル基の脱保護時にアルカリ金属水酸化物等の除去困難な無機試剤を使用しないので、無機塩等の混入がなく純度の高いN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)が得られる。
また、本発明によれば、上式(4)で示されるN−保護プロパルギルグリシンエステル類が提供され、このエステル類は容易に上式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物へ導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(A工程)で用いられる式(2)で示されるN−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン[以下、N−保護プロパルギルグリシン(2)と略記することもある]は、例えば、Helev.Chim.Acta,62(5),1387(1979)、J.Org.Chem.,64(25),9297(1999)等に記載の方法に従って合成することができるが、該方法以外の製法で調製されたものでもよく、また、市販されている試薬を使用してもよい。さらに、上記のN−保護プロパルギルグリシン(2)は、ラセミ体であってもよく、光学活性体であってもよい。
【0013】
式(3)で示されるベンジル誘導体[以下、ベンジル誘導体(3)と略記することもある]におけるR及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。
及びRで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子等が挙げられる。同じくアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基又はtert−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。R及びRで表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基又はtert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
式(3)におけるXは、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)又はヒドロキシ基を表わす。
【0014】
上記ベンジル誘導体(3)としては例えば、塩化ベンジル、塩化p−メトキシベンジル、塩化3,4−ジメトキシベンジル、塩化o−ニトロベンジル、塩化p−ニトロベンジル、塩化p−クロロベンジル、塩化p−ブロモベンジル、塩化2,6−ジクロロベンジル、塩化2,6−ジメチルベンジル、塩化2,4,6−トリメチルベンジル、臭化ベンジル、臭化p−メトキシベンジル、臭化3,4−ジメトキシベンジル、臭化o−ニトロベンジル、臭化p−ニトロベンジル、臭化p−クロロベンジル、臭化p−ブロモベンジル、臭化2,6−ジクロロベンジル、臭化2,6−ジメチルベンジル、臭化2,4,6−トリメチルベンジル、ヨウ化ベンジル、ヨウ化p−メトキシベンジル、ヨウ化3,4−ジメトキシベンジル、ヨウ化o−ニトロベンジル、ヨウ化p−ニトロベンジル、ヨウ化p−クロロベンジル、ヨウ化p−ブロモベンジル、ヨウ化2,6−ジクロロベンジル、ヨウ化2,6−ジメチルベンジル、ヨウ化2,4,6−トリメチルベンジル、ベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、3,4−ジメトキシベンジルアルコール、o−ニトロベンジルアルコール、p−ニトロベンジルアルコール、p−クロロベンジルアルコール、p−ブロモベンジルアルコール、2,6−ジクロロベンジルアルコール、2,6−ジメチルベンジルアルコール又は2,4,6−トリメチルベンジルアルコール等が挙げられる。
前記ベンジル誘導体(3)の使用量は、N−保護プロパルギルグリシン(2)に対して、通常は0.5〜10モル倍の範囲であり、好ましくは1〜5モル倍の範囲である。
【0015】
ベンジル誘導体(3)におけるXがハロゲン原子であるハロゲン化ベンジル誘導体を用いる場合に、A工程におけるエステル化は、N−保護プロパルギルグリシン(2)とベンジル誘導体(3)を有機溶媒及び塩基の存在下に反応させることにより行われる。
【0016】
上記の有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン又はジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキエタン又は1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒等が挙げられる。これら溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒の使用量は特に限定されないが、N−保護プロパルギルグリシン(2)に対して、通常は1〜100重量倍の範囲、好ましくは2〜20重量倍の範囲である。
【0017】
上述した塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコラート、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン又はピリジン等の有機塩基等が挙げられる。塩基の使用量は、N−保護プロパルギルグリシン(2)に対して通常0.5〜10モル倍、好ましくは1〜5モル倍である。
上記の反応温度は、通常は0〜150℃の範囲であり、好ましくは10〜100℃の範囲である。反応時間は、通常は1〜100時間の範囲である。
【0018】
上記のA工程{N−保護プロパルギルグリシン(2)のエステル化反応}は、ベンジル誘導体(3)におけるXがヒドロキシ基であるベンジルアルコール誘導体を用いる場合は、塩化水素、臭化水素、硫酸やリン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、カンファー−10−スルホン酸等の有機酸、アンバーライト、アンバーリスト等の酸性イオン交換樹脂等の酸触媒を用いる脱水縮合方法で行ってもよい。また、ジシクロヘキシルカルボジイミドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノピロリル)−カルボジイミド等のカルボジイミド類を用いる脱水縮合方法で行ってもよい。さらに、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソプロピル等のクロロ炭酸アルキル等を用いて、酸無水物を経由する方法で行ってもよい。そして、塩素、塩化チオニル、五塩化リン、N−クロロコハク酸イミドや四塩化炭素等を用いて、塩化ベンジル誘導体を経由する方法で行ってもよい。さらに、臭素、N−ブロモコハク酸イミドや四臭化炭素等を用いる臭化ベンジル誘導体を経由する方法で行ってもよい。また、塩化メタンスルホニルや塩化−p−トルエンスルホニル等を用いるスルホニル誘導体を経由する方法で行ってもよい。
【0019】
A工程における反応終了後、不溶物が存在する場合は、濾過等の操作で除去してもよい。また、必要に応じて、反応溶媒の留去や、水と分液可能な有機溶媒の添加を行った後、水を加えて洗浄操作を行ってもよい。水洗操作は複数回行ってもよい。
水と分液可能な有機溶媒としては例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
【0020】
このようにして、式(4)で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類(以下、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)と略記することもある)が得られる。A工程で得られたN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)は、そのままB工程に使用してもよく、さらに溶媒等の濃縮を行って単離してもよい。また、カラムクロマトグラフィーや再結晶等により精製してもよい。
【0021】
上記のN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)におけるR及びRは、上記ベンジル誘導体(3)におけるR及びRと同じ意味を表わす。
N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンp−メトキシベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン3,4−ジメトキシベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンo−ニトロベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンp−ニトロベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンp−クロロベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンp−ブロモベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン2,6−ジクロロベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン2,6−ジメチルベンジルエステル、N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン2,4,6−トリメチルベンジルエステル等、及び、これらの化合物の光学活性体。
【0022】
本発明のB工程における式(5)で示される芳香族性化合物[以下、芳香族性化合物(5)と略記することもある]におけるArは、ベンゼン環の残基、ナフタレン環の残基、ピリジン環の残基、ピラジン環の残基、ピリミジン環の残基、ピリダジン環の残基、ピロール環の残基、イミダゾール環の残基、インドール環の残基、イソインドール環の残基、キノリン環の残基、イソキノリン環の残基、フラン環の残基又はチオフェン環の残基を表わす。
及びRは、それぞれ独立に水素原子であるか、又は上記Ar環の残基における任意の炭素原子に結合する置換基である。該置換基は、それぞれ独立して、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、ヒドロキシアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基又はハロゲン原子を表わす。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。保護基を有していてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−p−メトキシベンジルアミノ基、N−アセチルアミノ基、N−ベンゾイルアミノ基、N−tert−ブトキシカルボニルアミノ基、N−ベンジルオキシカルボニルアミノ基、N−フタルイミド基等が挙げられる。保護基を有していてもよいカルボキシ基としては、例えば、ヒドロキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、トリメチルシリルオキシカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Yはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表わす。
Yで表されるハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基としては、例えばメタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールスルホニル基としては、例えばベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。
【0023】
芳香族性化合物(5)としては、例えば、ブロモベンゼン、1−ブロモ−2−ニトロベンゼン、1−ブロモ−4−ニトロベンゼン、1−ブロモ−2−メチル−4−ニトロベンゼン、1−ブロモ−3−フルオロ−4−ニトロベンゼン、5−ブロモ−2−ニトロ安息香酸エチル、2−ブロモアニリン、4−ブロモアニリン、4−ブロモ−3−メチルアニリン、4−ブロモ−2−フルオロアニリン、5−ブロモ−2−アミノ安息香酸エチル、N−メチル−4−ブロモアニリン、N−メチル−4−ブロモ−3−メチルアニリン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、3−ブロモベンゾニトリル、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、2−ブロモ−6−メトキシナフタレン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン、2−ブロモ−3−メチルピリジン、3−ブロモ−4−メチルピリジン、5−ブロモ―2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、5−メチルアミノ−2−ブロモピリジン、2−メチルアミノ−5−ブロモピリジン、2−ブロモ−5−ニトロピリジン、2−ブロモ−6−ニトロピリジン、2−ブロモ−3−メチル−5−ニトロピリジン、2−ブロモ−3−メトキシ−5−ニトロピリジン、2−ブロモ−3−クロロ−6−ニトロピリジン、5−ブロモ−2−ニトロピリジン、3−ブロモ−5−ニトロピリジン、3−ブロモ−2−メチル−6−ニトロピリジン、5−ブロモ−4−エチル−2−ニトロピリジン、5−ブロモ−4−メトキシ−2−ニトロピリジン、5−ブロモ−4−クロロ−2−ニトロピリジン、4−ブロモ−2−ニトロピリジン、5−アミノ−2−ブロモピリジン、6−アミノ−2−ブロモピリジン、5−アミノ−2−ブロモ−3−メチルピリジン、5−アミノ−2−ブロモ−3−メトキシピリジン、6−アミノ−2−ブロモ−3−クロロピリジン、2−アミノ−5−ブロモピリジン、5−アミノ−3−ブロモピリジン、6−アミノ−3−ブロモ−2−メチルピリジン、2−アミノ−5−ブロモ−4−エチルピリジン、2−アミノ−5−ブロモ−4−メトキシピリジン、2−アミノ−5−ブロモ−4−クロロピリジン、2−アミノ−4−ブロモピリジン、2−ブロモピラジン、2−ブロモ−5−ニトロピラジン、5−アミノ−2−ブロモピラジン、2−ブロモピリミジン、5−ブロモピリミジン、5−ブロモ−2−ニトロピリミジン、2−アミノ−5−ブロモピリミジン、3−ブロモピリダジン、3−ブロモ−6−ニトロピリダジン、3−アミノ−6−ブロモピリダジン、2−ブロモ−1H−ピロール、3−ブロモ−1H−ピロール、2−ブロモ−1H−イミダゾール、4−ブロモ−1H−イミダゾール、4−ブロモ−5−メチル−1H−イミダゾール、4−ブロモ−5−クロロ−1H−イミダゾール、4−ブロモ−2,5−ジクロロ−1H−イミダゾール、4−ブロモ−1−tert−ブトキシカルボニル−1H−イミダゾール、2−ブロモ−1H−インドール、3−ブロモ−1H−インドール、4−ブロモ−1H−インドール、5−ブロモ−1−tert−ブトキシカルボニル−1H−インドール、1−ブロモ−2H−イソインドール、2−ブロモキノリン、3−ブロモキノリン、1−ブロモイソキノリン、3−ブロモイソキノリン、2−ブロモフラン、3−ブロモフラン、2−ブロモチオフェン及び3−ブロモチオフェン等が挙げられる。また、これら例示化合物における「ブロモ」を、ヨード、クロロ、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル又はp−トルエンスルホニル等に置き換えた化合物が例示される。
芳香族性化合物(5)の使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は0.5〜10モル倍の範囲、好ましくは0.7〜1モル倍の範囲である。
【0024】
B工程における反応は、通常は、A工程で得られたラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)と芳香族性化合物(5)を、有機溶媒、塩基、パラジウム触媒及び助触媒としての銅の存在下に混合することにより行われる。必要に応じて、アルキルホスフィン又はアリールホスフィン等の還元剤を添加してもよい。
【0025】
B工程で使用されるパラジウム触媒としては、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化ビスアセトニトリルパラジウム(II)、塩化ビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)、塩化ビストリブチルホスフィンパラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)等の二価パラジウム触媒、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)等の0価パラジウム触媒、パラジウム/C等が挙げられる。
パラジウム触媒の使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して通常は0.01〜20モル%の範囲であり、好ましくは0.1〜5モル%の範囲である。
【0026】
助触媒としての銅は、例えば、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅が用いられる。
助触媒としての銅の使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は0.01〜20モル%の範囲、好ましくは0.1〜5モル%の範囲である。
【0027】
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンやn−プロピルアミン等の有機塩基、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は0.5〜20モル倍の範囲であり、好ましくは0.7〜5モル倍の範囲である。
【0028】
必要に応じて添加してもよいアルキルホスフィン又はアリールホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィントリス(o−トリル)ホスフィン、1、1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が挙げられる。
アルキルホスフィン又はアリールホスフィンの使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は0.01〜20モル%の範囲、好ましくは0.1〜5モル%の範囲である。
【0029】
B工程における反応溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、n−プロピルアミン等の有機アミン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を混合して用いてもよい。
反応溶媒の使用量は、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は1〜100重量倍の範囲であり、好ましくは2〜20重量倍の範囲である。
【0030】
これら反応に用いられる原料や反応試剤等の混合順序は、例えば、全ての原料や反応試剤等を一括して混合してもよいし、N−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)及び芳香族性化合物(5)の混合物中に塩基と銅触媒を滴下し、次いでパラジウム触媒を加えてもよい。反応制御の容易性の観点からは、塩基以外の原料や反応試剤を混合した溶液に塩基を滴下していく方法が好ましい。
【0031】
上記反応における温度は、通常は−20〜150℃の範囲であり、好ましくは10〜100℃の範囲である。反応時間は、通常は1〜100時間の範囲である。
【0032】
反応終了後、不溶物が在る場合は、濾過等で除去してもよい。
また、必要に応じて反応溶媒の留去、水と分液可能な有機溶媒の添加を行った後、水を加えて洗浄操作を行ってもよい。水洗浄操作は繰り返し行ってもよい。さらに、余剰の塩基成分を除去するために酸性水で洗浄を行ってもよい。そして、銅等の金属成分を除去する目的で、金属と錯体を形成することが可能な試剤の水溶液を用いて洗浄してもよい。
水と分液可能な有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロブタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒や、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。
水と分液可能な有機溶媒の使用量は、ラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は1〜100重量倍の範囲であり、好ましくは2〜20重量倍の範囲である。
余剰の塩基成分を除去するために行われる酸性水洗浄に使用される酸としては、例えば、塩化水素、硫酸やリン酸等の無機酸、該無機酸と金属との酸性塩、酢酸、クエン酸やメタンスルホン酸等の有機酸、及び該有機酸と金属との酸性塩等が挙げられる。
これらの酸の使用量は、特に限定されるものではないが、ラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は1〜20重量倍の範囲であり、好ましくは1.5〜10重量倍の範囲である。
銅等の金属成分を除去する目的で使用される金属と錯体を形成することが可能な試剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、メチルグリシン二酢酸等のアミノカルボン酸系キレート剤等の水溶液が挙げられる。
これらの試剤の使用量は、ラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類(4)に対して、通常は0.01〜100モル%の範囲であり、好ましくは0.1〜20モル%の範囲である。
【0033】
かくして、式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物(以下、アルキニル化合物(6)と略記することもある)が得られる。このアルキニル化合物(6)は、そのままC工程に使用してもよいし、さらに溶媒等の濃縮を行って単離してもよい。さらにはカラムクロマトグラフィーや再結晶等により精製してもよい。
再結晶の方法は特に制限されるものではなく一般的な手法を用いて行えばよい。例えばアルキニル化合物(6)を良溶媒に溶解させ、飽和濃度付近から必要により、アルキニル化合物(6)の種晶を接種して冷却により結晶を析出させればよい。必要に応じて貧溶媒を加えてもよく、また濃縮等により溶媒を留去して結晶の析出率を増やすこともできる。
得られた結晶は乾燥させることなくC工程に用いてもよいし、必要に応じて乾燥してもよい。
良溶媒としてはアルキニル化合物(6)を溶解するものであればよく、特に限定されない。また、反応時に用いた溶媒をそのまま使用することもできる。
【0034】
アルキニル化合物(6)におけるR及びRは、上記ベンジル誘導体(3)におけるR及びRと同じ意味を表わし、R、R及びArは上記芳香族性化合物(5)におけるR、R及びArと同じ意味を表わす。
ラセミ又は光学活性なアルキニル化合物(6)としては、例えば、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−フェニル−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−ニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチル−4−ニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−エトキシカルボニル−4−ニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−2−メチルフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−2−フルオロニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−3−エトキシカルボニルニトロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−メチルアミノフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチル−4−メチルアミノフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−クロロフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−シアノフェニル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ナフタレン−1−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ナフタレン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−メトキシナフタレン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−メチルピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−メチルアミノピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチルアミノピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−メチル−5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−メトキシ−5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−クロロ−6−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ニトロピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチル−6−ニトロピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−エチル−2−ニトロピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−メトキシ−2−ニトロピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−クロロ−2−ニトロピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ニトロピリジン−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−3−メトキシピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノ−3−クロロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノ−2−メチルピリジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−エチルピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−メトキシピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−クロロピリジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリジン−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピラジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロ−ピラジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−ピラジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリミジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリミジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ニトロピリミジン−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリミジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリダジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−ニトロピリダジン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−アミノピリダジン−6−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−ピロール−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−ピロール−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−イミダゾール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−クロロ−1H−イミダゾール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2,5−ジクロロ−1H−イミダゾール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1−tert−ブトキシカルボニル−1H−イミダゾール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−4−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1−tert−ブトキシカルボニル−1H−インドール−5−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2H−イソインドール−1−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(キノリン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(キノリン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソキノリン−1−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソキノリン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(フラン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(フラン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(チオフェン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(チオフェン−3−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル等、およびこれら例示化合物のベンジルエステルがp−メトキシベンジルエステル、3,4−ジメトキシベンジルエステル、o−ニトロベンジルエステル、p−ニトロベンジルエステル、p−クロロベンジルエステル、p−ブロモベンジルエステル、2,6−ジクロロベンジルエステル、2,6−ジメチルベンジルエステル、2,4,6−トリメチルベンジルエステル等に変換された化合物等、及びこれらの光学活性体が例示される。
【0035】
C工程は、B工程で得られたラセミ又は光学活性なアルキニル化合物(6)を金属触媒の存在下に水素等を用いて還元反応を行い、上式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体[以下、N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)と略記することもある]を得る工程である。
【0036】
C工程で使用される金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭酸カルシウム、パラジウムアルミナ等のパラジウム触媒、白金炭素、酸化白金等の白金触媒等が挙げられる。
金属触媒の使用量は、ラセミ又は光学活性なアルキニル化合物(6)に対して、金属換算で、通常は0.001〜10重量%の範囲、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
【0037】
還元反応は、通常は溶媒の存在下に行われる。還元反応溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、酢酸、水等が挙げられる。好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を混合して用いてもよい。還元反応溶媒の使用量は、特に制限されないが、アルキニル化合物(6)に対して、通常は1〜100重量倍の範囲、好ましくは2〜20重量倍の範囲である。
【0038】
還元反応における水素源としては、水素ガス、ギ酸又はギ酸アンモニウム等が挙げられる。
水素ガスを使用する場合の圧力は、通常は0〜10MPaの範囲である。また、反応は水素ガス雰囲気で行ってもよいし、窒素等の不活性ガスと水素ガス混合物の雰囲気で行ってもよい。
【0039】
還元反応の温度は、通常は−10〜150℃の範囲、好ましくは0〜100℃の範囲である。反応時間は特に制限されるものではないが、通常は1〜100時間の範囲である。
【0040】
反応終了後、窒素等の不活性ガスで反応系内を置換後、濾過等により触媒を除去し、得られた濾液から溶媒を留去することにより、N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)を得ることができる。これは、さらにカラムクロマトグラフィーや再結晶により精製されてもよい。
【0041】
再結晶の方法としては例えば、良溶媒に溶解させ、飽和濃度付近から、必要に応じて、N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)の種晶を加えた後、冷却して結晶を析出させることができる。結晶を析出させる際には、必要に応じて貧溶媒を加えてもよく、また、適宜濃縮することにより溶媒を留去して、結晶の析出量を増やしてもよい。上記の良溶媒としては、N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)を溶解するものであればよく、例えば還元反応で用いた溶媒と同種の溶媒を用いてもよい。
【0042】
式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体において、Arは式(5)で示される芳香族性化合物におけるArと同じ意味を表わす。また、式(1)におけるR及びRは、水素原子であるか、又は芳香環含有化合物の残基(Ar)における任意の炭素原子に結合する置換基である。R及びRにおける水素原子以外の基としては、それぞれ独立に、シアノ基、保護基を有していてもよいアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を表わす。
保護基を有していてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−p−メトキシベンジルアミノ基、N−アセチルアミノ基、N−ベンゾイルアミノ基、N−tert−ブトキシカルボニルアミノ基、N−ベンジルオキシカルボニルアミノ基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基やtert−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基やtert−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。保護基を有していてもよいカルボキシ基としては、例えば、ヒドロキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基やトリメチルシリルオキシカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子や臭素原子等が挙げられる。
【0043】
N−保護−2−アミノペンタン酸誘導体(1)としては、例えば、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−フェニルペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−2−メチルフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−2−フルオロニトロフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−アミノ−3−エトキシカルボニルニトロフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−メチルアミノフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチル−4−メチルアミノフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−クロロフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−シアノフェニル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ナフタレン−1−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ナフタレン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−メトキシナフタレン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリジン−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−メチルピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−メチルピリジン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−メチルアミノピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−メチルアミノピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−3−メチルピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−3−メトキシピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノ−3−クロロピリジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノピリジン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(6−アミノ−2−メチルピリジン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−エチルピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−メトキシピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノ−4−クロロピリジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリジン−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピラジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−アミノ−ピラジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリミジン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリミジン−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2−アミノピリミジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(ピリダジン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(3−アミノピリダジン−6−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−ピロール−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−ピロール−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−イミダゾール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−クロロ−1H−イミダゾール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2,5−ジクロロ−1H−イミダゾール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1−tert−ブトキシカルボニル−1H−イミダゾール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1H−インドール−4−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(1−tert−ブトキシカルボニル−1H−インドール−5−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(2H−イソインドール−1−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(キノリン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(キノリン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソキノリン−1−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(イソキノリン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(フラン−2−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(フラン−3−イル)ペンタン酸、2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(チオフェン−2−イル)ペンタン酸や2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(チオフェン−3−イル)ペンタン酸等が挙げられる。さらに、上述した化合物の光学活性体も例示される。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0045】
実施例1
窒素雰囲気下、(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシン20.0g(93.4mmol)及び炭酸カリウム14.3g(103.2mmol)をアセトン90gと混合した。次いで、反応混合物を40℃に昇温後、同温度で臭化ベンジル17.7g(103.2mmol)を滴下した。滴下終了後、さらに同温度で9時間反応させた。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却した。次に、反応混合物をトルエン120gで希釈後、100ml及び60mlの順で2回水洗した。分液後、得られた有機層を減圧下に濃縮して、(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル54.2g(178.5mmol)を含むトルエン溶液89g(収率99.8%)を得た。
上記の(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステルのトルエン溶液は、そのまま次の反応に用いた。また、上記の(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステルのトルエン溶液の一部をカラムクロマトグラフィーで精製して、無色油状の(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステルを得た。得られたエステルのH−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR δ (CDCl3、270Hz)
1.45(9H,s),2.01(1H,t,J=2.6Hz),2.76(2H,m),4.52(1H,m),5.18(1H,d,J=12.2Hz),5.24(1H,d,J=12.2Hz),5.37(1H,d,J=8.2Hz)、7.36(5H,m)
【0046】
実施例2
窒素雰囲気下、(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル54.2g(178.5mmol)を含むトルエン溶液273g、2−ブロモ−5−ニトロピリジン30.2g(148.7mmol)、トリフェニルホスフィン0.156g(0.59mmol)、ヨウ化銅(I)0.113g(0.59mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.418g(0.59mmol)及びトリエチルアミン45.2g(446mmol)を混合し、25℃で4時間反応させた。得られた反応混合物を、水(120g)、0.05Mエチレンジアミンテトラアセテート溶液(pH8.0、120g×3回)及び水(120g)の順に洗浄した。分液後に得られた有機層を減圧濃縮して、粗生成物を得た(反応収率99%)。該粗生成物を、イソプロパノールを溶媒として用いて再結晶した。(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステルの49.6gを得た(収率81%)。
H−NMR δ (CDCl3、270Hz)
1.45(9H,s),3.07(2H,d,J=4.9Hz),4.65(1H,m),5.20(1H,d,J=12.2Hz),5.28(1H,d,J=12.2Hz),5.46(1H,d,J=7.9Hz),7.30−7.40(6H,m),8.38(1H,dd,J=2.6,8.6Hz),9.36(1H,d,J=2.6Hz)
融点87.1℃
【0047】
実施例3
窒素雰囲気下、(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−((5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル7.3g(16.5mmol)および5%パラジウム(50%含水)炭素0.28gをメタノール35gと混合した。その後、該混合物を0.1MPaの水素気圧下で、15℃で8時間撹拌した。その後、35℃まで加熱し、同温度、同水素圧下で10時間撹拌した。反応終了後、得られた反応混合物を濾過した。得られた濾液を減圧濃縮し、粗生成物(反応収率99%)を得た。この粗生成物をメタノールとメチル−tert−ブチルケトンの混合溶液から再結晶して、(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−5−(5−アミノピリジン−2−イル)ペンタン酸5.2gを得た(収率96%)。
H−NMR δ (重ジメチルスルホキサイド−d6、300Hz)
1.37(9H,m),1.61(4H,m),2.50(2H,m),3.87(1H,m),6.85(2H,m),7.07(1H,d,J=8.0Hz),7.83(1H,d,J=1.5Hz)
融点159℃
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により得られる一般式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体は、化学原料や医農薬中間体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体の製造方法であって、下記の(A工程)〜(C工程)を含む方法。

[式中、Arはベンゼン環の残基、ナフタレン環の残基、ピリジン環の残基、ピラジン環の残基、ピリミジン環の残基、ピリダジン環の残基、ピロール環の残基、イミダゾール環の残基、インドール環の残基、イソインドール環の残基、キノリン環の残基、イソキノリン環の残基、フラン環の残基又はチオフェン環の残基を表わす。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子であるか、又はArで示される各環の残基における任意の炭素原子に結合する置換基を表す。該置換基は、シアノ基、保護基を有していてもよいアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基からなる群より選ばれる。]
(A工程)
下式(2)

で示されるN−保護プロパルギルグリシンと、下式(3)

[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシ基を表わし、Xはハロゲン原子又はヒドロキシ基を表わす。]
で示されるベンジル誘導体を反応させて、下式(4)

[式中、R及びRは上記と同じ意味を表わす。]
で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類を得る工程、
(B工程)
A工程で得られた上式(4)で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類と、下式(5)

[式中、Arは上記と同じ意味を表わし、R及びRは、それぞれ独立に水素原子であるか、又は上記の各Ar環の残基における任意の炭素原子に結合する置換基である。該置換基は、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、ヒドロキシアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、保護基を有していてもよいアミノ基、保護基を有していてもよいカルボキシ基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる。Yはハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を表わす。]
で示される芳香族性化合物を、パラジウム触媒の存在下に反応させて、下式(6)

[式中、Ar、R、R、R及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表わす。]
で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物を得る工程、
(C工程)
B工程で得られた式(6)で示されるアルキニル化合物を金属触媒の存在下に水素添加による還元反応を行い、式(1)で示されるN−保護−2−アミノペンタン酸誘導体を得る工程。
【請求項2】
式(1)〜(6)におけるArがピリジン環の残基であり、Rがアミノ基であり、Rがニトロ基であり、R及びRがそれぞれ水素原子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(1)における下記部分構造(a1)

(a1)
が、5−アミノピリジン−2−イル基であり、式(5)及び(6)における下記部分構造(a2)

(a2)
が、5−ニトロピリジン−2−イル基である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
及びRが、水素原子である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
Yが、ハロゲン原子である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Xが、ハロゲン原子である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
下式(4)で示されるラセミ又は光学活性なN−保護プロパルギルグリシンエステル類。

[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基又はアルコキシ基を表わす。]
【請求項8】
N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル。
【請求項9】
光学活性な(S)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル。
【請求項10】
光学活性な(R)−N−tert−ブトキシカルボニルプロパルギルグリシンベンジルエステル。
【請求項11】
下式(6)で示されるラセミ又は光学活性なアルキニル化合物。

[式中、Ar、R、R、R及びRは、それぞれ請求項1記載と同じ意味を表わす。]
【請求項12】
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル。
【請求項13】
光学活性な(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル。
【請求項14】
光学活性な(2R)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(5−ニトロピリジン−2−イル)−4−ペンチン酸ベンジルエステル。

【公開番号】特開2007−119399(P2007−119399A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314039(P2005−314039)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】