説明

N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドならびにその酒石酸塩および各種の結晶形の合成

本明細書に開示されているのは、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを合成するための方法である。本明細書においてさらに開示されるのは、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)−フェニルメチル)カルバミドの半酒石酸塩およびその塩を得るための方法である。さらに開示されているのは、各種の多形および溶媒和化合物を含めて、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドおよびその半酒石酸塩の各種の結晶形である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、米国特許出願第11/235,558号(出願日、2005年9月26日、これは2004年9月27日出願の米国仮特許出願第60/614,014号の利益を主張するものである)の一部継続出願である。本出願はさらに、米国仮特許出願第60/800,864号(2006年5月15日出願)および第60/854,665号(2006年10月26日出願)の利益も主張するものである。それらの出願のすべては、全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、医薬および化学の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)−フェニルメチル)カルバミド、その酒石酸塩、および多形、ならびにその合成および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第01/66521号パンフレットには、N−アザシクロアルキル−N−アラルキルカルバミドおよびカルボン酸アミドの記載があるが、これらは、5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体を含め、モノアミン受容体の活性を阻害するのに有効な化合物の新規なクラスを構成するものである。国際公開第01/66521号パンフレットは、全体が参照により本明細書に援用される。そのような化合物を使用することが可能な疾病状態の例としては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):神経精神的疾病たとえば、精神分裂病および関連する特発性精神病、うつ病、不安、睡眠障害、摂食障害、情動障害たとえば大うつ病、双極性異常症、精神病的特徴を伴う、うつ病、およびトゥレット症候群。その他の有益な治療としては以下のものが挙げられる:薬剤誘発性精神病、ならびにパーキンソン病、さらには神経変性障害たとえばアルツハイマー病もしくはハンチントン病に続発する精神病の副作用、高血圧症、偏頭痛、血管攣縮、虚血、ならびに各種の血栓性症状たとえば心筋梗塞、血栓性もしくは虚血性発作、特発性および血栓性の血小板減少性紫斑病、ならびに末梢血管疾患の初期治療および二次予防。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において開示される一つの実施態様には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cを調製するための方法が含まれるが、それには、有機溶媒を脱気するステップ、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を溶媒中に懸濁させるステップ、および実質的に酸素フリーの環境中でその懸濁液を撹拌するステップ、が含まれる。一つの実施態様においては、その有機溶媒がメチルエチルケトンである。一つの実施態様においては、その有機溶媒がテトラヒドロフランまたはアセトンである。一つの実施態様においては、その撹拌を不活性ガス下で実施する。一つの実施態様においては、その不活性ガスが窒素またはアルゴンである。一つの実施態様においては、溶媒の中にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を懸濁させることには、溶媒の中にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Aを懸濁させることを含む。
【0005】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、その粒径が5〜200μmであるN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形が含まれる。一つの実施態様においては、その結晶形の中の粒子の約90%が、約55μm以下の粒径を有する。一つの実施態様においては、その結晶形の中の粒子の約50%が、約30μm以下の粒径を有する。一つの実施態様においては、その結晶形の中の粒子の約10%が、約10μm以下の粒径を有する。一つの実施態様においては、その結晶形がフォームCである。
【0006】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、その粒径が5〜200μmであるN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形を得るための方法が含まれるが、それには、固形のN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を微粉砕することが含まれる。
【0007】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−フェニルメチル)カルバミドを合成するための方法が含まれるが、それに含まれるのは以下のステップである:ヨウ化カリウムおよび炭酸カリウムの存在下に、4−ヒドロキシベンズアルデヒドを臭化イソブチルと反応させて、4−イソブトキシベンズアルデヒドを製造するステップ、その4−イソブトキシベンズアルデヒドを約1.5当量のNHOHと反応させて、4−イソブトキシベンズオキシムを製造するステップ、その4−イソブトキシベンズオキシムを、ラネー−Niおよび約13〜約16当量のNHの存在下に、Hと反応させて、(4−イソブトキシフェニル)メタナミノアセテートを製造するステップ、その(4−イソブトキシフェニル)メタナミノアセテートを約30%NaOHと反応させ、トルエンを用いて抽出して、(4−イソブトキシフェニル)メタナミンを製造するステップ、その(4−イソブトキシフェニル)メタナミンをトルエンの存在下でHClおよびCOClと反応させて、1−イソブトキシ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼンを製造するステップ、ならびにその1−イソブトキシ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼンをN−(4−フルオロベンジル)−1−メチルピペリジン−4−アミンと反応させて、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを製造するステップ。一つの実施態様においては、その方法の反応生成物には、約0.2重量%未満の不純物1を含む:
【化1】

一つの実施態様においては、その反応生成物には、約0.1重量%未満の不純物2を含む:
【化2】

一つの実施態様においては、その反応生成物には、不純物2を実質的に含まない。
【0008】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、N−(4−フルオロベンジル)−1−メチルピペリジン−4−アミンを合成するための方法が含まれるが、それには、Hおよびカーボンに担持されたパラジウムの存在下にN−メチルピペリドンを4−フルオロベンジルアミンと反応させることが含まれる。
【0009】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を合成するための方法が含まれるが、それには、エタノールの存在下にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを酒石酸と反応させることが含まれる。
【0010】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cと約0.2重量%未満の不純物1とを含む、固形の反応生成物が含まれる。
【化3】

【0011】
本明細書において開示されるまた別な実施態様には、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cと約0.1重量%未満の不純物2とを含む、固形の反応生成物が含まれる。
【化4】

一つの実施態様においては、その反応生成物には、不純物2を実質的に含まない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】式Iの遊離塩基化合物の結晶形YのX線粉末回折パターンである。
【0013】
【図2】式IVの化合物の結晶形AのX線粉末回折パターンである。
【0014】
【図3】式IVの化合物の結晶形BのX線粉末回折パターンである。
【0015】
【図4】式IVの化合物の結晶形CのX線粉末回折パターンである。
【0016】
【図5】式IVの化合物の結晶形DのX線粉末回折パターンである。
【0017】
【図6】式IVの化合物の結晶形EのX線粉末回折パターンである。
【0018】
【図7】式IVの化合物の結晶形FのX線粉末回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一つの有用なN−アザシクロアルキル−N−アラルキルカルバミドは、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドである:
【化5】

【0020】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの合成
一つの実施態様は、式(I)の化合物を合成するための方法であって、それに含まれるのは、式II((4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミン)の化合物を、
【化6】

式IIIの化合物、(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート)と反応させることである。
【化7】

【0021】
一つの実施態様においては、4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネートの1当量あたり、約0.9〜約1.1当量の(4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミンを使用する。いくつかの実施態様においては、得られた式Iの化合物をその反応混合物から単離する。一つの実施態様においては、その反応の後で塩形成性の酸を添加する。そうして形成された塩は、溶媒除去、沈殿、または溶媒除去と沈殿との両方を用いて単離し、次いで、2相系において、水性アルカリ条件下で式Iの化合物を有機溶媒中へ溶解させることによって移行させ、その有機溶液から式Iの化合物を分離してもよい。一つの好ましい実施態様においては、その反応において、4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート1当量あたり、1.0当量の(4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミンを使用する。その反応は、触媒としてのルイス酸、たとえば金属塩、より好ましくは金属アルコキシレートの存在下に実施してもよい。いくつかの例としては以下のものが挙げられる:MgCl、FeCl、FeCl、FeBr、Fe(SO、NiCl、BCl、AlCl、BBr、TiCl、TiBr、ZrCl、BCl、Al(O−C〜C−アルキル)、およびTi(O−C〜C−アルキル)。触媒の量は、式IIの化合物を基準にして、約0.0001〜約5重量パーセント、好ましくは約0.01〜約3重量パーセントとしてもよい。
【0022】
その反応は不活性な有機溶媒の存在下で実施するのが好ましいが、そのような溶媒としては以下のものが挙げられる:エーテル(たとえば、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランまたはジオキサン)、脂肪族カルボン酸またはアルコールのエステル(たとえば、酢酸のC〜Cアルキルエステル)、ラクトン(たとえば、バレロラクトン)、ハロゲン化炭化水素(たとえば、ジ−またはトリクロロメタン、テトラクロロエタン)、または脂肪族C〜Cケトン(たとえば、アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、またはメチルi−もしくはt−ブチルケトン)。
【0023】
その反応温度は、好ましくは約−30℃〜約60℃の範囲、より好ましくは約5℃〜約30℃の範囲である。反応時間は、式IIまたは式IIIの化合物の消費量をモニターすることによって調節してもよいが、それには、オンラインのプロセス分析計によるか、あるいはオフラインでサンプルを採取して分析するかのいずれかを行う。
【0024】
式Iの化合物の単離は、各種適切な方法で実施してもよいが、たとえば、反応残渣を、減圧下、低温たとえば最高約100℃まで、好ましくは最高約80℃までで蒸発させることにより溶媒を除去する。さらに、溶媒を部分的に除去して濃度を高め、不純物を濾過し、さらに濃縮するかまたは非溶媒たとえば脂肪族炭化水素(たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、または水)を添加するかのいずれかで固形物の式Iの化合物を沈殿させ、その固形物を濾過し、乾燥させることによって、単離を起こさせてもよい。単離された式Iの化合物を、公知の方法たとえば蒸留またはクロマトグラフ法によって精製してもよい。
【0025】
単離をするより前に、形成された副反応生成物のような不純物を除去しておくことが、高純度の式Iの化合物を製造するには都合が良いということが見出された。さらに、カルバミドの塩を形成させると、その塩は結晶化合物として沈殿させ、溶媒から再結晶させることで不純物を除去することが可能であるので、精製を効率よく改良することが可能であることも見出された。次いでその塩を水中に溶解させ、塩基を添加し、有機溶媒を用いてカルバミドを抽出することによって、式Iの遊離のカルバミドを取り出す。水および塩化ナトリウム水溶液を用いてその有機溶液を洗浄してから、場合によっては減圧下で蒸留によりその溶媒を除去してもよい。この方法で、不純物は、沈殿によるか、または次いで2相系を使用して水中への溶解させることによって除去できる可能性がある。濾過または遠心分離によって簡単に単離するために、塩を沈殿させることを望むならば、有機溶媒を部分的に除去し、新鮮な溶媒を添加することを実施してもよい。塩に対する溶解度が低い、適切な溶媒は、非プロトン性有機溶媒、たとえば炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、カルボン酸エステルおよびラクトン、アセトニトリル、ならびに少なくとも3個の炭素原子を有するアルコールである。
【0026】
塩形成性の酸は、たとえば鉱酸(HCl、HBr、HI、HSO)、モノ−またはジ−カルボン酸(ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸)またはスルホン酸(メチルスルホン酸)などの無機酸または有機酸から選択してもよい。それらの酸は、水溶液として、固形状または結晶状の沈殿物を形成させるのに十分な量で添加してもよい。その量は、式Iの化合物に対して約0.5〜約2当量の範囲としてよいが、その酸の官能性と、完全かつ迅速に塩を形成させるための望ましい過剰量とに主として依存する。
【0027】
それらの塩は、水、ならびに塩基を添加したときに放出される式Iの化合物を溶解させるために添加する式Iの化合物のための水とは非混和性の有機溶媒の中に溶解させてよい。適切な塩基としては、アルカリ土類金属水酸化物、たとえばLiOH、NaOHまたはKOHなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。一つの実施態様においては、その水相のpHは約8.5よりも高い。その反応は、数分〜1時間で終了してもよい。その反応は、5〜30分後に停止させるのが好ましい。次いで、有機相を分離し、場合によっては、水および塩水を用いて洗浄し、および/または濾過する。溶媒を除去して乾燥させるか、または非溶媒を用いて沈殿させ、濾過し、固形の残分を乾燥させることによって、所望の反応生成物を得ることができる。式Iの化合物が、高純度かつ高収率で得られる。
【0028】
上述の反応のための出発物質は、公知およびそれに類似の方法で得ることができる。具体的には、式IIの化合物は、たとえば次のスキームに従って、金属水素化物の存在下にN−メチルピペリジン−4−オンを4−フルオロベンジルアミンと反応させることによって得ることができる。
【化8】

【0029】
式IIIの化合物は、4−ヒドロキシベンズアルデヒドをハロゲン化イソブチル(たとえば、臭化イソブチル)と反応させて、4−イソブトキシベンズアルデヒドを形成させることにより調製でき、それは、ヒドロキシルアミンを用いてアルドキシムの形に転化させることができる:
【化9】

このオキシムをパラジウム触媒を用いて接触水素化させて、対応する4−イソブトキシベンジルアミンとすることができ、それから、ホスゲンと反応させることによって式IIIのイソシアネートを得ることができる。
【0030】
一つの実施態様においては、スキームIに従って式Iの化合物を合成する。スキームIの方法は、特に工業的な大規模合成の場合には、従来からの式(I)の化合物の合成法よりも、いくつかの意外な利点を与えるということが見出された。たとえば、ステップ1において炭素に担持されたパラジウム触媒の存在下にHを使用することによって、生成するイミンの量が減少し、仕上げ工程が単純化されること、および使用するNHOHの量を多くすることによって、いくらかでも残存している4−フルオロベンジルアミン出発物質の量が減少することが見出された。ステップ2においてDMFとKIを使用することによって、反応時間を短くすることが可能となるために、反応生成物の分解が減少することもまた見出された。ステップ3において、使用するNHOHの量を(たとえば、約1.5当量に)増やすことによって、反応生成物の純度と収率を上げることができるということもさらに見出された。ステップ4において、ラネー−Ni触媒および大過剰のNH(たとえば、13〜16当量)を使用することによって、収率を向上させ、アルデヒドの生成を抑制することが可能となることも見出された。さらに、ステップ5においてトルエンを用いて抽出することによって、共沸蒸留により塩基の乾燥が改良されるということも見出された。それらに加えて、ステップ6においてHClとトルエン溶媒を使用することで、対称尿素の生成が抑制された。最後に、ステップ7においてイソシアネートのトルエン溶液を使用し、より高い温度(たとえば、38〜42℃)とすることで、未反応のフルオルアミンを減少させ、収率が上がることも見出された。
【化10】

【0031】
式Iの化合物を合成するためのいくつかの方法においては、所望の反応生成物に同伴して望ましくない不純物を生成する可能性がある。一つの実施態様においては、その望ましくない不純物が、以下の構造を有する不純物1である:
【化11】

また別な実施態様においては、その望ましくない不純物が、以下の構造を有する不純物2である:
【化12】

【0032】
意外な事には、スキームIの方法は、特に結晶形C(後に説明)を得るプロセスの一部として使用した場合、不純物1および2の量が少ない反応生成物を製造するために使用することが可能であることが発見された。したがって、いくつかの実施態様では、約1%、0.5%、0.3%、0.25%、0.2%、0.18%、もしくは0.17重量%未満の不純物1を含むか、または実質的に不純物1を含まない式Iの化合物を含む固形の反応生成物が得られる。いくつかの実施態様では、約0.5%、0.3%、0.1%、もしくは0.05重量%未満の不純物2を含むか、または実質的に不純物2を含まない式Iの化合物を含む固形の反応生成物が得られる。
【0033】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの結晶形(フォームY)
式Iの化合物は、実質的に非晶質の固形物として得ることができるが、それには、少量の結晶形が混じっていてもよい。意外な事には、塩の形、たとえば半酒石酸塩から、ある種の条件下で塩基を放出させたときに、純粋な結晶形が得られるということが見出された。この結晶化は、塩を再結晶化させるか、または塩基そのものを再結晶化させることによって、塩基を精製するために使用することさえ可能である。
【0034】
したがって、一つの実施態様においては、約124℃(ピーク温度)の特性融点(示差走査熱量分析(DSC)で測定、加熱速度10℃/分)を示す、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの一つの結晶形が得られるが、これは以後においてはフォームYと呼ぶ。フォームYの溶融エンタルピーは約99J/gである。
【0035】
フォームYのX線粉末回折パターンを図1に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:13.0(vs)、10.9(vs)、6.8(vw)、6.5(s)、6.2(w)、5.2(w)、4.7(m)、4.5(w)、4.3(s)、4.22(vs)、4.00(m)、3.53(vw)、3.40(vw)、3.28(w)、3.24(w)、3.19(w)、3.08(w)、2.91(w)、および2.72(w)。カッコの中の略称は本明細書においては以下のことを表している:(vs)=極めて高強度、(s)=高強度、(m)=中強度、(w)=低強度、(vw)=極めて低強度。各種の実施態様において、式Iの化合物の固形物の形態の中に、フォームYは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0036】
フォームYは、式Iの化合物の熱力学的に極めて安定な形態である。粉末X線回折およびDSCがフォームYの結晶特性を表しており、元素組成分析が式Iの化合物に適合する。式Iの結晶形Yは、白色の紛状物として得られる。
【0037】
式Iの化合物は各種の有機溶媒中に可溶性であるが、水中への溶解度が低いことを示す。それとは対照的に、式Iの化合物の塩は水中に易溶性である。これらの性質を利用して、式Iの化合物のフォームYを調製することができる。たとえば、フォームYを形成させる一つのプロセスには次のステップが含まれる:
a)式Iの塩の形、好ましくは半酒石酸塩を撹拌下水中に溶解させるステップ;
b)生成する式Iの化合物を溶解させるための非プロトン性有機溶媒を十分な量で添加するステップ;
c)塩基を添加することによって、その塩の水溶液のpHを少なくとも8.5の値に調節するステップ;
d)場合によっては、有機溶媒を用いてその水相を抽出して、すべての有機相を集めるステップ;
e)溶媒の一部を除去し、残った有機溶液を15℃未満にまで冷却するステップ;
f)(場合によっては撹拌しながら)この温度に保持するステップ;および
g)沈殿物を濾過し、固形残分を洗浄し、それを乾燥させるステップ。
その母液を再濃縮し、冷却して、収率を上げることも可能である。塩形成性の酸は、無機酸または有機酸から選択してもよいが、そのようなものとしてはたとえば以下のものが挙げられる:鉱酸(たとえば、HCl、HBr、HI、HSO、HPO)、モノ−もしくはジ−カルボン酸(たとえば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸)、スルホン酸(たとえば、メチルスルホン酸)、クエン酸、グルクロン酸、リンゴ酸、パモ酸、またはエタン−1,2−ジスルホン酸。
【0038】
好適な溶媒は、炭化水素たとえばトルエン、ハロゲン化炭化水素たとえば、ジ−もしくはトリクロロメタン、テトラクロロエタン、脂肪族カルボン酸およびアルコールのエステル(酢酸のC〜Cアルキルエステル)(酢酸エチル)、ラクトン(バレロラクトン)、エーテル(ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、t−ブチル−メチル−エーテル、ジブチルエーテル、ジメチルエーテル)、脂肪族C〜Cケトン(メチルプロピルケトン、ジエチルケトンまたはメチルi−もしくはt−ブチルケトン)。ステップc)におけるpH値は、少なくとも9.5に調節するのが有利となるであろう。好適な塩基としては、水性のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物たとえば、LiOH、NaOH、KOHまたはCa(OH)などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0039】
溶媒の一部を除去することは主として、有機溶液を濃縮して、それが約5〜約30重量パーセントの式Iの化合物を含むようにするのに役立つ。冷却温度は、好ましくは約−10〜約10℃、最も好ましくは約0℃〜約10℃の範囲である。(場合によっては撹拌しながら)この温度で保持する時間は、約30分間〜約12時間とするのが好ましい。残存している溶媒の除去は、真空下、不活性ガス流通下、またはその両方の条件下で慣用される方法で実施してもよい。
【0040】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の生成
式Iの化合物の水中への溶解度は低い。したがって、いくつかの実施態様においては、水溶性であり、そのため向上されたバイオアベイラビリティ、および医薬品組成物を調製および製剤するための改良された加工性を有する、化合物のフォームが提供される。N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの半酒石酸塩が特に好適であることが見出された。したがって、一つの実施態様では、式IVで表されるN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩が提供される。
【化13】

【0041】
式IVの化合物は、塩形成性の酸として酒石酸を使用することによって、上述のようにして式Iの化合物を合成するためのプロセスの統合された一部として調製してもよい。別な方法として、単離した式Iの化合物を酒石酸と反応させることによって、酒石酸塩を生成させてもよい。
【0042】
一つの実施態様においては、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩を以下の方法に従って形成させる:
a)約0.9〜約1.1当量の(4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミン(式II)を、
【化14】

1当量の4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート(式III)と反応させ、
【化15】

b)酒石酸を添加し、そして
c)得られた懸濁液から式Iの化合物の半酒石酸塩を単離する。
半酒石酸塩はさらに、冷却による沈殿、溶媒除去、非溶媒の添加、またはこれらの方法の組合せによって得てもよい。一つの実施態様においては、半酒石酸塩に対する溶解度が低い、たとえば酢酸イソプロピル、ケトン(たとえばアセトンもしくは2−ブタノン)、および/またはテトラヒドロフランのような、1種または複数の溶媒をステップb)で添加する。ステップb)の温度は、約15〜約30℃であるのが好ましい。半酒石酸塩が沈殿して、懸濁液が形成されるが、それを3日までの時間撹拌した後、好ましくは周囲条件で濾過して、その反応混合物から固形物を分離する。その固形物の残分を、洗浄し、次いで(所望により真空下で)50℃までの温度で乾燥させる。
【0043】
式IVの半酒石酸塩が、高収率かつ高純度で得られる。母液を使用して、慣用される方法で、式IVの半酒石酸塩をさらに単離することもできる。その半酒石酸塩は、式Iの遊離塩基に転化させ、塩基の溶液を単離し、次いでそれを使用して酒石酸を添加することによって半酒石酸塩を再沈殿させることによってさらに精製してもよい。
【0044】
いくつかの実施態様においては、式Iの化合物の半酒石酸塩を酒石酸との反応によって得るが、ここで両方の反応剤はエタノールに溶解されている。意外な事には、エタノールから酒石酸塩を沈殿させることによって、不純物を効率的に除去することが可能であることが発見された。
【0045】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の結晶形(フォームA〜C)
意外な事には、式IVの化合物がいくつかの結晶形で得られることが見出された。上述の方法によって製造された、一つのそのような結晶固形物の形態を、以後においては結晶形Aと呼ぶこととする。結晶形Aは一般的には、幾分かの水分を含んでいるが、このことは、FT赤外分光法と組み合わせた熱重量分析法で加熱するか、またはカールフィッシャー滴定法によて証明される。その水分含量の範囲は、約2〜3重量パーセントの量であってよいが、これは一般的には半水和物に相当する。しかしながら、その水は弱く結合されているだけであるが、その理由は、重量損失が周囲温度よりも少し高いところで始まり、約150℃で完了するからである。その水は、乾燥窒素を用いて長時間(約20時間まで)処理することによっても容易に除去することが可能であるが、フォームAは水が存在しない状態であってもなお存在することができる。DSCが示すところでは、脱水されたフォームAの融点が約133〜135℃(ピーク温度)であり、その溶融エンタルピーが約70J/gである。フォームAは、湿分、特に75%を超える相対湿度に暴露させたときに、かなりの水分を取り込むことを示す。相対湿度が50%以下に下がると、水が抜け出す。この挙動は、潮解性のある固形物では典型的なものである。結晶形Aとしての式IVの化合物は、メタノール、水、または水と混合した有機溶媒の中に易溶性である。式IVの化合物は、他の有機溶媒では、低い溶解度を示す。上述のプロセスにより製造した場合、結晶形Aには少量の結晶形C(後に説明)が含まれる可能性がある。
【0046】
フォームAのX線粉末回折パターンを図2に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:18.6(s)、16.7(vs)、10.2(s)、8.2(m)、7.7(w)、7.4(w)、6.5(w)、6.2(m)、6.1(vs)、5.86(w)、5.14(m)、5.03(m)、4.78(m)、4.69(m)、4.63(s)、4.49(s)、4.44(vs)、4.35(m)、4.10(m)、3.96(s)、および3.66(m)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームAは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0047】
結晶形Aは、エタノール(場合によっては、イソプロパノールと混合したもの)から結晶化させることによって、調節した方法で調製することができる。したがって、一つの実施態様は、結晶形Aを調製するためのプロセスであって、それに含まれるのは:
a)式IVの化合物を、エタノール中、またはエタノールとイソプロパノールとの混合物中に、昇温下で溶解させるステップ;
b)その溶液を、20℃未満の温度にまで徐々に冷却するステップ;および
c)沈殿した固形物を濾過分離し、それを乾燥させるステップ。
【0048】
いくつかの実施態様においては、そのエタノールとイソプロパノールとの混合物には、約15まで、より好ましくは10容量パーセントまでのイソプロパノールを含んでいてもよい。エタノールが、好ましい溶媒である。脱水させたエタノール(場合によっては、脱水イソプロパノールとの混合物)を使用することも好ましい。いくつかの実施態様においては、昇温とは、約55〜約90℃、好ましくは約55〜約65℃である。その混合物は、式IVの化合物が完全に溶解するまで、昇温状態で撹拌する。「徐々に冷却」ということは、冷却速度が、約0.1〜約3℃/分、好ましくは約0.2〜約2℃/分、特には約0.2〜約1℃/分である。結晶化は約50℃より低い温度で始まったが、そのような温度で約1時間撹拌すると、粘稠なペースト状物を形成させることができることが観察された。より高い温度に再加熱し、次いで再度冷却すると、一般的には、懸濁液が得られるが、それは、約40〜約50℃で撹拌したことが可能であり、さらに約20℃未満、好ましくは約5〜約15℃の温度に冷却したときである。撹拌した後の冷却速度は、約0.1〜約3℃/分、好ましくは約0.3〜約1℃/分であってよい。次いで、得られた結晶固形物を濾過除去し、約25〜約40℃未満、好ましくは約30℃の温度で、そのフィルターケーキの中を通して乾燥空気を吸引することによって乾燥させる。予備乾燥させた固形物をある程度の時間、周囲温度または昇温下に維持することにより、乾燥を完了させてもよい。
【0049】
式IVの化合物は、溶媒たとえば水の中に溶解させ、その溶液を凍結乾燥させることによって、完全に非晶質の形態に転換させることができる。次いでその非晶質の形態を使用して、他の多形または擬似多形の形態を作り出すことができる。
【0050】
一つの実施態様においては、式IVの化合物のまた別な結晶形を、相平衡プロセスを使用し、溶媒として酢酸エチル、アセトン、メチル−エチルケトン、またはアセトニトリルを使用して、再現可能な方法で調製する。その結晶固形物を、以後においては結晶形Bと呼ぶこととする。結晶形Bは、幾分かの水分を含んでいてもよく、このことは、FT赤外分光法と組み合わせた熱重量分析法で加熱するか、またはカールフィッシャー滴定法によって証明される。その水分含量は、約3.4重量パーセントまでの量の範囲である。この量は一般的に、周囲条件下で安定な一水和物を示している(理論含量は3.5%であろう)。しかしながら、水は弱く結合されているだけであるが、その理由は、重量損失が周囲温度で約20%未満の低い相対湿度のところで観察され、さらに、フォームBが無水の状態であっても存在しうるからである。その脱水されたフォームBの融点は約135℃であり、溶融エンタルピーは約71J/gである。フォームBは、高い湿度、特に80%を超える相対湿度に暴露されると、かなりの量の水の取り込みを示す。しかしながら、その吸湿性はフォームAで観察される程には強くなく、約90%のような高い相対湿度でも潮解は認められない。
【0051】
フォームBのX線粉末回折パターンを図3に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:7.4(vs)、10.2(s)、8.8(w)、6.4(w)、5.91(vs)、5.46(w)、4.99(m)、4.90(m)、4.62(m)、4.50(vs)、4.37(vs)、4.20(w)、3.87(vs)、3.73(w)、3.58(m)、3.42(w)、および2.90(w)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームBは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0052】
結晶形Bは、各種のプロセスによって調節された方法で調製することができる。一つの実施態様においては、それは、極性溶媒たとえば水または塩化メチレン中の溶液から、非溶媒たとえばメチルエチルケトン、ヘプタン、トルエン、アセトニトリルまたは酢酸エチルを用いて、0〜40℃の温度で沈殿させ、次いで実質的に室温で相平衡させる。また別な方法は、他の結晶形たとえば、結晶形AまたはCまたはそれらの混合物の、溶媒たとえばアセトニトリル、酢酸エチル、エタノール/メチルエチルケトン、エタノール/アセトン、水で飽和させた酢酸エチル、約1容量パーセントの水を含むアセトニトリルまたは酢酸エチルの中の、室温〜約40℃の温度、場合によっては温度をサイクルさせての、懸濁液の平衡化である。0〜約45℃の温度、場合によっては温度サイクルをかけての、式Iの化合物の非晶質物質との懸濁液の平衡化は、フォームBを調製するためのさらなる方法である。好適な溶媒は、ヘプタン、酢酸エチル、アセトニトリル、メチルエチルケトン、水で飽和させた酢酸エチルもしくはtert−ブチルメチルエーテル、または1容量パーセントの水を含む酢酸エチル/エタノールである。
【0053】
半酒石酸塩製造からの結晶形Aは他の多形の形態をある程度含むことが可能であることが観察され、さらなる検討から、この多形は水和物でもないし、溶媒和化合物でもないということが判った。その結晶固形物を、以後においては結晶形Cと呼ぶこととする。結晶形Cは、結晶形AまたはBの懸濁平衡化によって調製することができるが、好ましくはフォームCのシード結晶を添加する。結晶形Cは、フォームAまたはBよりも、熱力学的にも化学的にもより安定である。結晶形Cは、フォームAよりも吸水性が低く、約95%の相対湿度での吸水率がわずかに約1%であり、潮解性または吸湿性はまったく観察されない。湿分に暴露させても、結晶形が変化することはない。結晶形Cは、75%相対湿度では開放容器中では安定であり、約60℃までは水を吸収することもない。熱重量分析法の結果では、150℃未満での重量損失は約0.9%であるが、これは吸収水に帰属させることができる。加熱速度20℃のDSCを用いた検討では、吸熱信号を177℃で示し、その溶融エンタルピーは約129J/gである。その信号は、溶融(ピーク)温度に帰属させられるが、それに対して、その物質の最初の分解は170℃より高いところで観察される。結晶形Cの水中溶解度は極めて高い。結晶形Cは、医薬品の生産および製剤における有効化合物として極めて適している。
【0054】
フォームCのX線粉末回折パターンを図4に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:12.0(w)、10.7(vs)、7.4(vw)、6.9(vw)、6.6(vw)、6.2(w)、5.86(m)、5.53(w)、5.28(m)、5.16(m)、4.84(vs)、4.70(m)、4.57(s)、4.38(m)、4.09(w)、3.94(w)、3.77(s);3.71(m),3.49(w)、3.46(w)、3.25(w)、3.08(w)、および2.93(w)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームCは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0055】
一つの実施態様においては、薬剤的に活性な化合物を工業的に製造するための、大規模で純結晶形Cを調製するためのプロセスが提供される。加熱し、次いで冷却した溶液からの結晶化では、フォームCを容易には得られないということが見出された。結晶形AまたはBが極性で非プロトン性の溶媒の存在下に懸濁液の中で平衡状態となっていて、そしてフォームCのシード結晶を添加すると、フォームCを調整された方法で生産することが可能であるということもさらに見出された。シード結晶を使用することに代えて、式IVの化合物を調製した後に、いくらかの結晶形Cを含む出発物質を使用してもよい。その懸濁液中の固形物は、約1〜約250、約5〜約200、または約2〜約100μmの範囲の粒径を有する結晶を含んでいてもよく、それによって、濾過除去し、洗浄し、中程度の条件下(たとえば真空下60℃)で乾燥させることが可能となる。得られる粒径は、生産規模、使用した溶媒もしくは溶媒混合物、冷却速度、添加したシード結晶の数などに依存する可能性がある。
【0056】
いくつかの実施態様においては、フォームCを、一定の粒径分布ができるような方法によって得る。いくつかの実施態様においては、その粒径分布を、フォームCの粒子の約90%が、約30、35、40、45、50、55、または60μmまたはそれ以下の粒径を有するようにする。いくつかの実施態様においては、その粒径分布を、フォームCの粒子の約50%が、約15、18、20、25、30、35、または40μmまたはそれ以下の粒径を有するようにする。いくつかの実施態様においては、その粒径分布を、フォームCの粒子の約10%が、約3、5、8、10、15、または25μmまたはそれ以下の粒径を有するようにする。いくつかの実施態様においては、結晶形Cの粒径が、約1、3、5、8または10μmから、約60、100、150、200、250、または300μmまでの範囲である。
【0057】
いくつかの実施態様においては、最終的な結晶性反応生成物の所望の粒径および粒径分布を微粉砕によって得る。一つの実施態様においては、微粉砕によって得られた粒径分布が、上述のものと同じである。
【0058】
結晶形Cを調製するための一つの方法には、式IVの固形の化合物の非プロトン性溶媒中の懸濁液を昇温下で形成させるステップと、その懸濁液を撹拌するステップと、場合によっては、フォームCの結晶シードを添加するステップとが含まれ、純フォームCに実質的に完全に転化させるまで続ける。
【0059】
そのプロセスの温度は、20〜100℃、好ましくは40〜80℃としてもよい。フォームCに転化させるのに好適な溶媒は、脂肪族もしくは環状エーテル、カルボン酸エステル、ラクトン、アルカン、および脂肪族C〜Cケトンからなる群から選択してもよい。フォームCの結晶を用いたシード添加は、固形物の形態が部分的に溶解し、飽和溶液が形成されてその中に固形物の形態が懸濁されているときに実施するのが好ましい。シード添加は、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜65℃の温度範囲で実施する。懸濁液の撹拌時間は、30分間〜数日、最も好ましくは30分間〜6時間としてもよい。その懸濁液を徐々に冷却してから、濾過または遠心分離で固形物を単離するが、その冷却速度は0.1〜1℃/分としてもよい。冷却は、室温近くまたはそれ以下の最終温度まで実施してもよい。
【0060】
一つの実施態様は、式IVのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cを調製するためのプロセスであって、それに含まれるのは以下のステップである:
a)非晶質の形態または結晶形A、B、D、E、もしくはF、もしくはそれらの混合物を、30〜70℃の温度の極性かつ非プロトン性の溶媒中で撹拌しながら、懸濁させるステップ;
b)30〜70℃の温度で撹拌を続け、その出発物質中に結晶形Cが存在しない場合には、結晶形Cの結晶シードを添加する、ステップ;
c)30〜70℃の温度で撹拌を続け、結晶形Cの生成を完了させるステップ;
d)プロセス終端温度にまで冷却するステップ;
e)その懸濁液から結晶固形物を単離するステップ;および
f)場合によっては、その結晶固形物を洗浄してから、乾燥させるステップ。
【0061】
一つの実施態様においては、酸素フリーの環境でフォームCへの転化を実施する。一つの実施態様においては、その酸素フリーの環境を、非プロトン性の溶媒をまず脱気することにより作り、次いで不活性ガスの雰囲気下で転化を実施する。いくつかの実施態様においては、その不活性ガスが窒素またはアルゴンであるが、当業者であれば、酸素の不存在下で転化反応を実施するその他の方法を考案することができるであろう。
【0062】
出発物質として結晶形Aを使用してもよいが、そのプロセスを、フォームB、D、E、およびFまたは非晶質の形態を用いて実施することもできる。出発物質は、使用する前に乾燥させておくのが有利である。一般的には、真空下40℃で乾燥させれば、フォームCの形成にとっては好ましくない、望ましくない残存溶媒(たとえば、アルコール、水、またはそれらの混合物)を除去するには十分である。フォームCを結晶化させるために好適な溶媒は、エーテル、カルボン酸エステル、ラクトンおよび脂肪族ケトンを含む群から選択してもよい。いくつかの具体例および好適な溶媒は、ジエチルエーテル、プロピルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、t−ブチルメチルケトン、アセトン、およびメチルエチルケトンである。最も好ましい溶媒はケトンであり、特に好ましいのは、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランである。出発物質として使用する場合、懸濁液中の結晶形AまたはBの量はそれほど厳密なものではなく、適用する温度でその懸濁液が撹拌可能であるようにその量を選択する。ステップa)における温度が室温であるのが好ましい。
【0063】
ステップb)およびc)の温度は、10〜60℃の範囲としてもよい。高い温度と低い温度の間で温度サイクルさせるのも有利である。添加する結晶シードの量は、結晶形Aおよび/またはBの量に対して、0.01〜10、好ましくは0.1〜5重量パーセントとしてもよい。結晶形の転換を促進させるためには、結晶シードの添加が一般的には好ましい。
【0064】
ステップc)の際の撹拌は、数時間〜数日、たとえば、0.5時間〜3日間、好ましくは2時間〜約2日間続けてもよい。転換/転化時間は、反応規模、温度、使用溶媒、撹拌強度、および懸濁液に添加された結晶シードの量に実質的に依存する。転化時間は、オンラインのプロセス分析計によるか、あるいはオフラインでサンプルを採取して分析するかのいずれかによって、消失するフォームと生成するフォームCとの比率をモニタリングすることによって調節してもよい。
【0065】
結晶固形物の単離は、遠心分離または濾過によって実施することができる。その反応生成物を、たとえば溶媒を用いて洗浄し、次いで乾燥不活性ガス上で乾燥させてもよいが、その不活性ガスは、場合によっては真空下か、または溶媒を除去するのに十分な時間真空を適用して、フィルターケーキの中を通過させて移動させることができる。さらなる乾燥は、真空下および/または約80℃までの中程度の温度の下で実施することができる。濾過および乾燥の面ではフォームCが優れた性質を示し、残存溶媒を実質的に含まない、すなわち1000ppm未満、好ましくは200ppm未満であるような固形物質が得られることは注目に値する。
【0066】
意外な事には、選択された溶媒中の式IVの化合物の溶液から、昇温下に結晶形Cをシード添加して結晶化させることによっても、結晶形Cを調製することができるということが見出された。したがって、一つの実施態様においては、結晶形Cを調製する一つの方法が提供され、それに含まれるのは、以下のステップである:
a)非晶質の形態または結晶形A、B、D、EもしくはF、もしくはそれらの混合物を、0〜70℃の温度の適切な溶媒中で撹拌しながら、溶解させるステップ;
b)撹拌を続けながら、昇温条件下、好ましくは約50〜70℃、最も好ましくは55〜65℃で、その溶液に結晶形Cの結晶シードを添加するステップ;
c)式IVの化合物を結晶形Cに転化させるに十分な時間、同じ温度で懸濁液が形成されるように撹拌を続けるステップ;
d)得られた懸濁液を、5〜15℃/時間の冷却速度で、−20℃〜室温、好ましくは0〜25℃に冷却するステップ;
e)その懸濁液から結晶固形物を単離するステップ;および
f)場合によっては、その結晶固形物を洗浄してから、乾燥させるステップ。
【0067】
ステップa)における式IVの化合物の量を選択して濃厚溶液が得られるようにする。到達することが可能な濃度は、使用した溶媒または溶媒混合物、および出発物質の溶解度に依存する。溶媒としてはテトラヒドロフラン、およびテトラヒドロフランを含む混合物が好ましいが、その理由は、典型的には、還流温度で約200mg/mLのフォームAを溶解させることができるからである。しかしながら、出発物質を溶解させるのに適切であれば、いかなる溶媒を使用してもよい。非限定的な例としては、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン、およびアセトニトリルが挙げられる。ステップa)における温度は、40〜70℃が好ましい。ステップb)において添加する結晶シードの量は、溶解させた式IVの化合物の量に対して、0.1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%としてもよい。ステップc)における撹拌時間は、反応の規模に依存するが、約20分間〜約24時間、より好ましくは25分間〜12時間、最も好ましくは30分間〜6時間の範囲としてもよい。ステップd)における冷却速度は、8〜12℃/時間とするのが好ましい。冷却の後、その冷却温度範囲で、撹拌を24時間、好ましくは18時間、より好ましくは14時間まで続ける。
【0068】
結晶形Cは、高い多形純度で得ることができる。上述のプロセスを用いて得られる物質には、たとえば、結晶形Cに対して20重量パーセントまで、または10重量パーセントまでの量の残存出発物質を含んでいる可能性がある。それらの混合物もまた、医薬製剤には極めて適している。
【0069】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の溶媒和化合物(フォームD〜F)
いくつかの実施態様においては、式IVの化合物は、ある種の溶媒と共に各種の溶媒和化合物を形成することができる。それらの擬似多形の形態は、医薬製剤において、または他の多形の形態を製造するためにおいて使用してもよい。いくつかの実施態様においては、これらの溶媒和化合物は、溶媒和された形(すなわち、それぞれの溶媒を顕著な量で含む)としてか、または対応する溶媒和されていない形(すなわち、溶媒を含まない形)としてのいずれかで存在しうるが、ここでその結晶構造は実質的に保持されている。
【0070】
そのような溶媒和化合物の一つは、イソプロパノール中における、式IVの化合物の結晶形Aまたは非晶質の形態の懸濁平衡化によって生成する。窒素下で約30分間かけて乾燥させた後では、生成した溶媒和化合物には、約6.0〜6.6重量パーセントのイソプロパノールが含まれる。半イソパノレート(hemi−isopropanolate)についての理論値は、イソプロパノール含量が5.6%であるので、半溶媒和化合物が生成しているとの結論が得られる。イソプロパノールとの半溶媒和化合物は、開放容器中で53%の相対湿度に暴露させたときでも安定である。このフォームを、本明細書においては結晶形Dと呼ぶこととする。
【0071】
フォームDのX線粉末回折パターンを図5に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:17.2(s)、16.0(m)、10.7(vw)、9.8(w)、6.6(m)、6.1(s)、6.00(m)、5.73(w)、5.33(w)、5.17(m)、4.91(m)、4.64(s)、4.54(vs)、4.37(vs)、4.10(m)、3.91(m)、3.84(m)、3.67、(w)、3.55(m)、3.42(m)、3.32(w)、3.13(w)、および3.06(m)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームDは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0072】
式IVの化合物の非晶質の形態を周囲温度でTBME中で相平衡させると、t−ブチルメチルエーテル(TBME)溶媒和化合物を形成させることができることも、さらに見出された。10℃の加熱速度での熱重量分析によって測定すると、TBME含量は式IVの化合物に対して約5重量%である。このフォームを、本明細書においては結晶形Eと呼ぶこととする。
【0073】
フォームEのX線粉末回折パターンを図6に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:17.3(vs)、16.2(m)、10.6(m)、9.8(m)、8.1(w)、7.5(w)、6.6(m)、6.0(vs)、5.28(m)、5.09(s)、4.90(m)、4.72(vs)、4.51(m)、4.39(s)、4.26(s)、4.04(m)、3.86(w)、3,70(w)、3.54(m)、3.48(m)、3.02(w)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームEは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0074】
テトラヒドロフラン(THF)中溶液から式IVの化合物を結晶化させると、非化学量論的なTHF溶媒和化合物が生成し、それは、10℃の加熱速度での熱重量分析によって測定すると、式IVの化合物に対して0〜約3%のTHFを含んでいることもまた見出された。溶媒の放出は周囲温度より高いところで始まり、130℃近くで完了する。このフォームを、本明細書においては結晶形Fと呼ぶこととする。
【0075】
フォームFのX線粉末回折パターンを図7に示す。具体的には、そのX線粉末回折パターンは、d値(Å)で表して下記の特性ピークを示す:19.0(w)、16.0(m)、13.0(m)、7.8(w)、6.4(m)、6.2(m)、5.74(w)、5.29(w)、5.04(m)、4.83(m)、4.62(m)、4.50(m)、4.34(m)、4.24(vs)、4.05(m)、3.89(m)、3.76(m)、3.58(w)、および3.27(m)。各種の実施態様において、式IVの化合物の固形物の形態の中に、フォームFは少なくとも約50%、70%、80%、90%、95%、または98%の量で存在し、残りは、他の結晶形(水和物および溶媒和化合物を含む)および/または非晶質の形態である。
【0076】
安定性および医薬製剤
先にも述べたように、式IVの化合物は、モノアミン受容体、好ましくは5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体の活性を阻害するための医薬製剤における有効化合物またはプロドラッグとして特に適している。式IVの化合物は、水系の中へは極めて良好な溶解度を有していて、その遊離塩基が生理的なpH範囲で放出されて、高いバイオアベイラビリティを与える。式IVの化合物はさらに、高い貯蔵安定性も有している。
【0077】
見出された結晶形の中でも結晶形Cが最も安定な結晶形であることが見出された。さらに、結晶形AおよびBが、周囲温度では安定であり、フォームCが存在していても安定であり、そして結晶形Cと共存することが可能であることも見出された。結晶形A、B、および特にCは、たとえ湿潤成分が存在していても、各種のタイプおよび広い範囲の製剤に適している。これら新規の結晶形A、B、および特にCは、利便性の良い結晶サイズおよびモルホロジーが理由の良好な取扱性、各種のタイプの製剤の製造条件下での極めて良好な安定性、貯蔵安定性、高溶解度、および高バイオアベイラビリティなど、生産のためのいくつものメリットを与える。結晶形D、EおよびFもまた、医薬製剤に使用することができる。
【0078】
フォームCは化学的に極めて安定であり、錠剤またはその他各種の薬学的に許容される剤型の中に容易に配合することができる。高い熱安定性を有しているにもかかわらず、その水への溶解性が約50〜100mg/mLよりも高いために、好ましい溶解性質を依然として示す。フォームA、B、D、E、およびFは、200mg/mLよりも高い、水への高溶解性を示す。すべてのフォームの溶解度は、水性環境におけるpHに依存するであろう。
【0079】
フォームAおよびBは、環境の水の分圧下(すなわち、相対湿度が20%〜75%の間)では十分な安定性を示す。さらに、フォームAおよびBは、たとえば水を用いるか、溶媒−水混合物を用いた造粒などの、水性環境における医薬品加工処理には極めて適している。
【0080】
したがって、いくつかの実施態様には、式IVの化合物と薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤とを含む医薬品組成物が含まれる。いくつかの実施態様においては、式IVの化合物が、結晶形A、BおよびCの群から選択される。
【0081】
必要とされる式IVの化合物の量は、製剤のタイプ、および投与時間の間に必要とされる用量に実質的に依存する。経口製剤中での量は、0.1〜500mg、好ましくは0.5〜300mg、より好ましくは1〜100mgとしてよい。経口製剤は、固形製剤たとえばカプセル剤、錠剤、丸剤およびトローチ錠、または液体製剤たとえば水性懸濁液、エリキシル剤およびシロップ剤などであってよい。固形製剤および液体製剤には、液状または固形の食品の中に式IVの化合物を組み入れることも含まれる。液体には、非経口適用、たとえば注入液または注射液のための式IVの化合物の溶液も含まれる。
【0082】
上述の結晶形は、散剤(たとえば、超微粉砕粒子)、顆粒剤、懸濁液または溶液として直接使用してもよいし、あるいは、それらを他の薬学的に許容される成分と共に組み合わせてもよく、複数の成分を混合し、場合によってはそれらを細かく分割し、次いでたとえば硬質もしくは軟質ゼラチンから作られたカプセルに充填するか、圧縮して錠剤、丸剤またはトローチ錠とするか、それらをキャリアの中に懸濁または溶解させて懸濁液、エリキシル剤およびシロップ剤とする。圧縮して丸剤を形成させた後にコーティングを施してもよい。
【0083】
各種のタイプの製剤のための薬学的に許容される成分は公知であって、例を挙げれば、結合剤たとえば天然または合成ポリマー、賦形剤、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤および着香剤、コーティング物質、保存剤、色素、粘稠化剤、アジュバント、抗菌剤、抗酸化剤、ならびに各種の製剤タイプのためのキャリアなどがある。
【0084】
結合剤の例としては以下のものが挙げられる:トラガカントゴム、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、および生分解性ポリマーたとえば、ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコールおよび/または脂肪族ヒドロキシルカルボン酸のホモもしくはコポリエステル;ジカルボン酸、アルキレンジアミン、および/または脂肪族アミノカルボン酸のホモもしくはコポリアミド;それらに対応するポリエステル−ポリアミド−コポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ならびにポリカーボネート。生分解性ポリマーは、直鎖状であっても、分岐状であっても、あるいは架橋されていてもよい。具体例としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、およびポリ−d,l−ラクチド/グリコリドが挙げられる。ポリマーのその他の例としては以下のものが挙げられる:水溶性ポリマーたとえば、ポリオキサアルキレン(たとえば、ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレンおよびそれらの混合ポリマー)、ポリ−アクリルアミドおよびヒドロキシルアルキル化ポリアクリルアミド、ポリマレイン酸およびそのエステルまたはアミド、ポリアクリル酸およびそのエステルまたはアミド、ポリビニルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル、ポリ−ビニルイミダゾール、ポリ−ビニルピロリドン、ならびにキトサンのような天然ポリマー。
【0085】
賦形剤の例としては、リン酸塩たとえばリン酸二カルシウムが挙げられる。
【0086】
滑沢剤の例としては、天然または合成油、脂肪、ワックス、または脂肪酸塩たとえばステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0087】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、または中性であってよい。界面活性剤の例としては以下のものが挙げられる:レシチン、リン脂質、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシルおよび硫酸オクタデシル、オレイン酸Naもしくはカプリン酸Na、1−アシルアミノエタン−2−スルホン酸たとえば、1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、および1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、ならびにタウロコール酸およびタウロデオキシコール酸、胆汁酸およびそれらの塩たとえばコール酸、デオキシコール酸およびグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウムまたはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油およびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタインおよびラウリルベタイン、脂肪族アルコール、コレステロール、グリセロールモノ−またはジ−ステアレート、グリセロールモノ−またはジ−オレエートおよびグリセロールモノ−またはジ−パルミテート、ならびにポリオキシエチレンステアレート。
【0088】
甘味剤の例としては以下のものが挙げられる:スクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテーム。
【0089】
着香剤の例としては以下のものが挙げられる:ペパーミント、ウインターグリーンオイル、またはチェリーもしくはオレンジフレーバーのような果実フレーバー。
【0090】
コーティング物質の例としては以下のものが挙げられる:ゼラチン、ワックス、セラック、糖、または生分解性ポリマー。
【0091】
保存剤の例としては以下のものが挙げられる:メチルパラベンもしくはプロピルパラベン、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノール、およびチメロサール。
【0092】
アジュバントの例としては、芳香剤が挙げられる。
【0093】
粘稠化剤の例としては以下のものが挙げられる:合成ポリマー、脂肪酸ならびに脂肪酸塩およびエステルならびに脂肪族アルコール。
【0094】
抗酸化剤の例としては以下のものが挙げられる:ビタミン類たとえば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDもしくはビタミンE、植物抽出物、または魚油。
【0095】
液体キャリアの例としては以下のものが挙げられる:水、アルコールたとえばエタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびオイル類。固体キャリアの例としては以下のものが挙げられる:タルク、クレー、ミクロクリスタリンセルロース、シリカ、アルミナなど。
【0096】
本発明による医薬製剤には、等張剤たとえば糖類、緩衝剤または塩化ナトリウムが含まれていてもよい。
【0097】
本発明による式IVの化合物はさらに、発泡錠または散剤として製剤してもよく、それらは水性環境中で崩壊して、飲料液を与える。
【0098】
シロップ剤またはエリキシル剤には、式IVの化合物、甘味剤としてのスクロースもしくはフルクトース、メチルパラベンのような保存剤、色素、および着香剤が含まれていてもよい。
【0099】
本発明による式IVの化合物から徐放性配合を製剤して、消化管中の体液と接触して有効成分を徐放させ、血漿中の有効成分を実質的に一定で有効な水準にするようにしてもよい。この目的のために、式IVの化合物を、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー、またはその両者の混合物と、場合によっては適切な界面活性剤のポリマーマトリックス中に包埋させてもよい。この文脈においては、「包埋」という用語は、ポリマーのマトリックスの中にミクロ粒子を組み入れることを意味する。さらに、放出制御性製剤は、公知の懸濁液または乳化液コーティング技術によって、懸濁されたミクロ粒子または乳化されたミクロ液滴をカプセル化させることによっても得られる。
【0100】
本発明の式IVの化合物は、動物に対する治療有効薬剤と組み合わせて投与するのも有用である。そのような併用療法は、製剤の中にさらに分散または溶解させることが可能は、少なくとも1種のさらなる治療剤を使用して実施することができる。本発明の式IVの化合物およびその製剤はそれぞれ、併用療法のために、与えられた症状を治療するのに有効な他の治療剤と組み合わせて投与することもできる。
【0101】
本明細書に記載された結晶形および医薬品組成物は、精神病、情動障害、痴呆、神経因性疼痛および高血圧症などの神経精神的疾病を効果的に治療するのに特に適している。
【0102】
一つの実施態様は、ホストに対して式Iの化合物を投与する方法であって、それには、ホストに対して式IVの化合物、たとえば結晶形A、BおよびCの有効量を投与することが含まれる。さらなる実施態様は、モノアミン受容体、好ましくは5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体の活性を阻害するのに有用な医薬品の生産のための式IVの化合物の使用である。
【0103】
一つの実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、以下のものからなる群から選択される神経精神的疾病を含めた、神経精神的疾病を治療するための方法である:精神病、精神分裂病、分裂感情障害、躁病、精神病性うつ病、情動障害、痴呆、不安、睡眠障害、摂食障害、双極性異常症、高血圧症、偏頭痛、血管攣縮、および虚血に続発する精神病、運動性チック、振戦、精神運動遅滞、動作緩慢、および神経因性疼痛。
【0104】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、以下のものを含む神経変性疾患を治療するための方法である:パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮症、トゥレット症候群、フリードライヒ失調症、マシャド・ジョセフ病、レビー小体痴呆、ジストニー、進行性核上性麻痺、および前頭側頭骨性痴呆。
【0105】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、ドーパミン作用薬治療(dopaminergic therapy)に伴うジスキネジアを治療するための方法である。
【0106】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、ドーパミン作用薬治療に伴うジストニー、筋クローヌス、または振戦を治療するための方法である。
【0107】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、心筋梗塞、血栓性または虚血性発作、特発性および血栓性血小板減少性紫斑病、末梢血管疾患、ならびにレイノー病をふくむ、血栓性病状を治療するための方法である。
【0108】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、アルコール耽溺症、オピオイド耽溺症、およびニコチン耽溺症を含む、耽溺症を治療するための方法である。
【0109】
また別な実施態様は、式IVの化合物を投与することによる、性欲減退または射精困難を治療するための方法である。
【実施例】
【0110】
実験手順
粉末X線回折(PXRD):PXRDは、Philips 1710粉末X線回折計で、CuKα線を使用して測定した。d間隔は、1.54060Åの波長を使用して、2θ値から計算した。一般的には、2θ値は、±0.1〜0.2度の誤差範囲内であった。したがって、d間隔値についての実験誤差は、ピーク位置に依存する。
【0111】
示差走査熱量分析(DSC):Perkin Elmer DSC7、金製サンプルパン中、フォームAの特性解析では窒素シール、フォームBの特性解析では約50%の相対湿度。加熱速度は、10K/分。融点はすべて、DSC測定の、開始温度ではなく、ピーク温度から求めた。
【0112】
FT−ラマン分光法:Bruker RFS100.Nd:YAG 1064nm励起、レーザー出力100mW、Ge検出器、64スキャン、範囲25〜3500cm−1、解像度2cm−1
【0113】
TG−FTIR:熱重量測定は、Netzsch Thermo−Microbalance TG209を使用し、Bruker FTIR Spectrometer Vector 22と接続して実施した。(ピンホール付きサンプルパン、窒素雰囲気、加熱速度10K/分)。
【0114】
HPLC:HPLC測定は、HP LC1090M、Column Symmetry C18、3.0〜150mm、を用いて実施した。
【0115】
実施例1:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの調製
a)次式化合物の調製法
【化16】

ホウ水素化トリアセトキシ(6.5kg)を、メタノール(30L)中N−メチルピペリド−4−オン(3.17kg)および4−フルオロベンジルアミン(3.50kg)の溶液に、温度を27℃未満に維持しながら、1.5時間かけて添加した。その反応混合物を、22℃で15時間撹拌した。残存アミンをゲルクロマトグラフィーにより調べた(4−フルオロベンジルアミン:<5%)。水(13.6kg)中30%水酸化ナトリウム(12.1kg)の溶液を、温度を20℃未満に維持しながら、75分間かけて添加した。メタノールを蒸留除去して、残分体積を26リットルとした。酢酸エチル(26L)を添加し、その溶液を15分間撹拌し、相を15分かけてデカントし、下側の水層を廃棄した。その有機相から酢酸エチルを、減圧下、73〜127℃で蒸留した。この段階で、その残分を、この方法に従って調製した第二の粗製物バッチと混合した。反応生成物を合わせたものを、次いで139〜140℃/20mbarで蒸留すると、11.2kgの反応生成物が得られた(>82%)。
【0116】
b)次式化合物の調製法
【化17】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4.0kg)およびエタノール(20L)を、エタノール(15L)中臭化イソブチル(9.0kg)の溶液に添加した。炭酸カリウム(13.6kg)を添加し、その懸濁液を5日間、還流させた(74〜78℃)。残存の4−ヒドロキシベンズアルデヒドは、HPLCによって調べた(<10%)。その懸濁液を冷却して20℃として、次のステップで使用した。
【0117】
c)次式化合物の調製法
【化18】

ヒドロキシルアミン(水中50%、8.7kg)を、前のステップb)からの反応生成物(174L、176kg)およびエタノール(54L)に添加した。その懸濁液を3時間環流させた(77℃)。未反応残分はHPLCにより調べた(<5%)。その懸濁液を冷却して30℃とし、濾過し、エタノール(54L)を用いてそのフィルターを洗浄した。減圧下30℃で蒸留することによってその溶液を濃縮して、残分体積を67リットルとした。その溶液を冷却して25℃とし、水(110L)を添加した。減圧下30℃で蒸留することによってその懸濁液を濃縮して、残分体積を102リットルとした。石油エーテル(60〜90溜分、96L)を添加し、その混合物を加熱環流させた(70℃)。その溶液を冷却して40℃とし、シード添加することによって結晶化を開始させた。その懸濁液を冷却して5℃とし、4時間撹拌した。反応生成物を遠心分離にかけ、そのケーキを、石油エーテル(60〜90溜分、32L)を用いて洗浄した。そのウェットケーキを約40℃で乾燥させると、16kgの反応生成物が得られた(63%)。
【0118】
d)次式化合物の調製法
【化19】

前のステップc)からの反応生成物(15.7kg)をエタノール(123L)に溶解させた。酢酸(8.2kg)およびパラジウム/チャコール(5%ウェット)(1.1kg)を添加した。22℃、1.5barで4時間かけて、オキシムの水素化を行った。オキシムの消費量はHPLCによって調べた。触媒を濾過し、減圧下36℃で溶媒を蒸留して、最終体積31Lとした。酢酸エチル(63L)を添加し、その混合物を環流温度(75℃)に加熱して溶解させた。その溶液を冷却して45℃とし、シード添加することによって結晶化を開始させた。その懸濁液を冷却して6〜10℃とし、2.5時間撹拌した。その反応生成物を遠心分離にかけ、そのケーキを酢酸エチルで2回(2×0.8L)洗浄した。そのウェットケーキを温度約40℃で乾燥させると、8kgが得られた(41%)。
【0119】
e)次式化合物の調製法
【化20】

水酸化ナトリウム水溶液(30%、5.0kg)を、ヘプタン(41L)中の前のステップd)からの反応生成物(7.9kg)の懸濁液に添加した。その溶液を加熱して47℃とし、15分撹拌してから、15分かけてデカントした。pHを調べ(pH>12)、その水相を分離した。減圧下47〜65℃で蒸留して、溶媒を除去した。ヘプタン(15L)を添加してから、減圧下58〜65℃で蒸留して除去した。ヘプタン(7L)を添加し、その溶液を濾過し、ヘプタン(7L)を用いてフィルターを洗浄した。減圧下28〜60℃で蒸留して、溶媒を除去した。テトラヒドロフラン(THF、107L)およびトリエチルアミン(TEA、6.8kg)を添加し、温度を22℃一定とした。別の反応器の中で、予め−3℃に冷却しておいたテトラヒドロフラン(88L)の中にホスゲン(5.0kg)を導入した。そのホスゲンの溶液に、温度を−3℃に維持しながら、THFとTEAの溶液を3時間50分かけて加えたが、テトラヒドロフラン(22L)を用いて、その反応器を洗浄した。その混合物を、20℃で45分間、次いで環流温度(65℃)で90分間撹拌した。減圧下25〜30℃で溶媒を蒸留して、残分体積149Lとした。ホスゲンが存在しないように調節した。この段階では、ホスゲンがまだ存在していたので、懸濁液の中に窒素をバブリングさせて脱ガスを行わせた。この操作の後では、溶液上でのホスゲンのレベルは、0.075ppm未満であった。懸濁液を濾過し、テトラヒドロフラン(30L)を用いて洗浄した。減圧下20〜25℃で溶媒を蒸留して、残分体積40Lとした。テトラヒドロフラン(51L)を添加し、減圧下20〜25℃で溶媒を蒸留して、残分体積40Lとした。テトラヒドロフラン(11L)を添加することによって最終的な体積が約52リットルになるよう調節した。その溶液を分析して、次のステップで使用した。
【0120】
f)式Iの表題化合物の調製法
【化21】

前のステップe)からの反応生成物(51L)を、テトラヒドロフラン(132L)中のステップa)からの反応生成物(7.3kg)の溶液に、17℃で1時間かけて添加した。テトラヒドロフラン(12L)を用いてラインを洗浄し、その混合物を15時間撹拌した。残存している第一ステップからの反応生成物をHPLCによって調べた。減圧下20〜38℃で蒸留して溶媒を除去して、残分体積を165Lとした。チャコール(Norit SX1−G、0.7kg)を添加し、その混合物を15分間撹拌し、濾過した。テトラヒドロフラン(7L)を用いてラインを洗浄し、減圧下20〜25℃で蒸留して溶媒を除去して、残分体積30Lとした。酢酸イソプロピル(96L)を添加して式Iの表題化合物の溶液を得たが、それには少量の不純物(主として、前の反応からの反応副生物)が含まれていた。サンプルから溶媒を除去すると、実質的に非晶質の固形物が得られた。
【0121】
半酒石酸塩を直接調製するため、およびそれと同時に半酒石酸塩を適切な溶媒から結晶化させることによって遊離塩基の精製をするために、粗生成物を含む溶液を使用した。
【0122】
実施例2:式Iの化合物の純粋な結晶形Yの調製法
後述の実施例10に従って調製した酒石酸塩15.78gを130mLの水の中に溶解させた。500mLのTBMEを添加し、2NのNaOH溶液を添加することにより、pHを9.8に調節した。白色の固形物が沈殿した後に、500mLのTBMEを用いてその水相を5回抽出した。体積約400mLが残るまでに、その有機相を濃縮した。その溶液を6℃で貯蔵した。沈殿物を濾過し、TBMEを用いて洗浄し、最終的に真空中で5時間かけて乾燥させた。収量:8.24gの白色の紛状物。その母液を1/4になるまで濃縮して、6℃で保存した。その沈殿物を濾過し、真空中で18時間かけて乾燥させた。収量:1.6gの白色の紛状物。
【0123】
PXRDによって、結晶サンプルであることが判った。粉末X線回折パターンを図1に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表1に示す。ラマン分光法からも結晶サンプルであることが示された。酒石酸に起因するラマンピークは認められなかった。TG−FTIRから、60℃〜150℃の間で約0.4%の質量損失が認められたが、これは、TBMEが脱離したのが原因と考えられる。約190℃を超えると、サンプルの分解が始まった。DSC(−50℃から210℃まで、10℃/分)からは、124℃に融解による吸熱があることが判った。
【表1】

【0124】
表2に列記した11種の溶媒について、その遊離塩基のおよその溶解度を室温で測定した。
【表2】

【0125】
実施例3:実施例1(f)において得られた溶液からの式IVの半酒石酸塩の調製法
a)粗生成物の塩形成
実施例1(f)によって得られた酢酸イソプロピル(96L)中の式Iの化合物の溶液に、23℃で、予め調製しておいた、水(1.7L)およびテトラヒドロフラン(23L)中酒石酸(1.7kg)の溶液を添加した。得られた懸濁液を、22℃で2.5日間撹拌した。酒石酸塩の粗生成物を遠心分離にかけ、そのケーキを、酢酸イソプロピルを用いて4回(4×23L)洗浄した。合計して107kgの母液は保存しておいて、後ほど酒石酸塩を得るために使用した。ウェットケーキを約40℃で乾燥させると、8.3kg(50%)反応生成物が得られた。
【0126】
b)精製
前のステップa)の酒石酸塩の粗生成物(8.1kg)を、22℃で脱イオン水(41L)に溶解させた。酢酸イソプロピル(40L)、30%水酸化ナトリウム水溶液(4.3kg)および塩化ナトリウム(2kg)を添加した。pHを調べ(>12)、その溶液を15分間撹拌した。15分かけてその溶液をデカントさせ、水相を分離した。酢酸イソプロピル(12L)を用いてその水相の再抽出を行った。合わせた有機相に脱イオン水(20L)および塩化ナトリウム(2.0kg)を添加し、その溶液を15分間撹拌し、15分かけてデカントさせ、その水相を廃棄した。チャコール(0.4kg)を添加し、その混合物を20分間撹拌し、濾過した。酢酸イソプロピル(12L)を用いてラインを洗浄し、減圧下20〜25℃で溶媒を除去した。ヘプタン(49L)を添加し、その懸濁液を40℃で15分間撹拌した。次いで、減圧下38〜41℃での蒸留で8Lの溶媒を除去した。そのスラリーを冷却して20℃とし、1時間撹拌した。反応生成物を遠心分離にかけ、そのケーキを、ヘプタン(5L)を用いて洗浄した。式I(5.5kg)のウェットな化合物を、45℃でエタノール(28L)の中に溶解させた。エタノール(11L)中の酒石酸(0.72kg)の溶液を45℃で添加し、エタノール(9L)を用いてラインを洗浄した。その溶液を冷却して43℃とし、式Iの化合物の酒石酸塩を用いてシード添加してから、そのスラリーを30分かけて冷却して35℃とし、この温度で1時間撹拌し、−5℃にまで冷却した。この温度で14時間置いた後、反応生成物を遠心分離にかけ、エタノールを用いて2回(2×6L)洗浄した。合計して42kgの母液は保存しておいて、後ほど酒石酸塩を得るために使用した。そのウェットケーキを約45℃で76時間かけて乾燥させると、4kgが得られた。
【0127】
c)母液からのさらなる単離
以下のようにして、保存しておいた母液からさらなる反応生成物を得た。ステップa)からの粗製酒石酸塩の母液(107kg)およびステップb)からの式I酒石酸塩の母液(42kg)の溶液から、減圧下24〜26℃で蒸留することにより、溶媒を除去して残分体積27Lとした。脱イオン水(25L)を添加し、減圧下24〜26℃で蒸留することにより、残分体積32Lになるまでその混合物を濃縮した。酢酸イソプロピル(30L)および30%水酸化ナトリウム水溶液(2.7kg)を添加した。pHを調べ(>12)、その溶液を15分間撹拌した。15分かけてその溶液をデカントさせ、水相を分離した。酢酸イソプロピル(6L)を用いてその水相の再抽出を行った。合わせた有機相に脱イオン水(9L)および塩化ナトリウム(0.9kg)を添加し、その溶液を15分間撹拌し、15分かけてデカントさせ、その水相を廃棄した。チャコール(0.3kg)を添加し、その混合物を20分間撹拌し、濾過した。酢酸イソプロピル(8L)を用いてラインを洗浄してから、減圧下20〜25℃で蒸留して溶媒を除去して残分体積12Lとしたが、乾固はさせなかった。30℃でヘプタン(25L)を添加し、そのスラリーを冷却して20℃とし、1.5時間撹拌した。反応生成物を遠心分離にかけ、そのケーキを、ヘプタン(2×5L)を用いて洗浄した。そのウェットケーキ(4.3kg)を、45℃でエタノール(23L)中に溶解させた。エタノール(7.5L)中の酒石酸(0.58kg)の溶液を45℃で添加し、エタノール(6L)を用いてラインを洗浄した。その溶液を20分間撹拌し(反応生成物の結晶化)、そのスラリーを30分かけて35℃にまで冷却し、この温度で1時間撹拌してから、冷却して−5℃とした。この温度で14時間置いた後、反応生成物を遠心分離にかけ、エタノールを用いて2回(2×4L)洗浄した。そのウェットケーキを約45℃で80時間乾燥させると、3.3kgの反応生成物が得られた。
【0128】
両方の反応生成物のPXRDから、結晶サンプルであることが判明したが、ベースラインが高いことから、非晶質部分と、恐らくは少量の結晶形Cが存在していることが判る。PXRDから、その固形物の反応生成物には実質的に、式IVのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の結晶形Aを含んでいることが判る。熱重量分析法(TG−FTIR、水および少量の溶媒に帰属する2.2%の損失)において加熱すると明らかになるように、結晶形Aには幾分かの水が含まれている。この量は、結晶形Aが半水和物(水含量の理論値:1.8%)であることを示している。しかしながら、その水は弱く結合されているだけであったが、その理由は、重量損失が周囲温度よりも少し高いところで始まり、約150℃で完了したからである。さらにその水は、乾燥窒素を用いて長時間(最高約20時間まで)処理すると、容易に除去することができる。脱水されたフォームAの融点は約133〜135℃で、溶融エンタルピーは約70J/gであった(ピーク温度、DSCにより測定)。フォームAは、75%を超える相対湿度の湿分に暴露させたときに、かなりの水分を取り込むことを示す。相対湿度が50%以下に下がると、水が抜け出した。この挙動は、潮解性のある固形物では典型的なものであった。
【0129】
各種の溶媒中の飽和溶液を調製し、溶媒除去した後に溶解されていた物質の重量分析を行うことにより、およその溶解度を測定した。それらの結果を表3に示す。
【表3】

【0130】
実施例4:式Iの粗製遊離塩基からの、式IVの半酒石酸塩の調製法
実施例1(f)からの粗生成物(5.5kg)を、45℃でエタノール(28L)の中に溶解させた。エタノール中の(+)−L−酒石酸(0.72kg)の溶液を45℃で添加し、9Lのエタノールを用いてラインを洗浄した。その溶液を冷却して43℃とし、式IVの半酒石酸塩を用いてシード添加した。次いでそのスラリーを、30分間かけて冷却して35℃とし、この温度で1時間撹拌し、撹拌しながら冷却して−5℃とした。この温度で14時間撹拌した後、反応生成物を遠心分離にかけ、エタノールを用いて2回(2×6L)洗浄した。そのウェットケーキを45℃で76時間かけて乾燥させると、4.0kgの反応生成物が得られた(83%、酒石酸基準)。その反応生成物のPXRDから、多形Aが生成していることが判った。
【0131】
実施例5:式Iの粗製遊離塩基からの、式IVの半酒石酸塩の調製法
実施例1(f)による粗生成物(4.3kg)を45℃でエタノール(23L)の中に溶解させた。エタノール中の(+)−L−酒石酸(0.58kg)の溶液を45℃で添加し、6Lのエタノールを用いてラインを洗浄した。その溶液を20分間撹拌し(固形沈殿物が生成)、そのスラリーを30分かけて35℃にまで冷却した。そのスラリーをこの温度で1時間撹拌してから、冷却して−5℃とした。この温度で14時間撹拌した後、反応生成物を遠心分離にかけ、エタノールを用いて2回(2×4L)洗浄した。そのウェットケーキを45℃で80時間かけて乾燥させると、3.3kgの反応生成物が得られた(85%、酒石酸基準)。その反応生成物のPXRDから、多形Aが生成していることが判った。
【0132】
実施例6:水溶液の凍結乾燥による、式IVの化合物の非晶質の形態の調製方法
2.02gの式Iの粗製遊離塩基を、23±2℃の8.0mLの水(Fluka no.95306)の中に室温で溶解させた。0.22μmのミリポア濾過ユニットを通して得られた溶液を濾過し、濾過した溶液を100mLの丸底ガラスフラスコの中に移し替えた。−78℃でドライアイス(固形CO)のベッドの中でその透明な溶液を凍結させ、次いで、その凍結した溶液が入っているガラスフラスコを凍結乾燥機に接続した。凍結乾燥機型番:CHRIST、BETA2−8LD−2。初期圧力が約0.10mbar、コールドトラップ温度が−82℃、最終圧力が0.007mbarであった。約15時間後には凍結乾燥が完了したので、フラスコを取り外した。得られた白色の固形物である粉末を、示差走査熱量分析および粉末X線回折により特性解析した。得られた反応生成物についてのPXRDは、完全に非晶質の状態であることを示しており、同様にしてDSC測定でも、ガラス転移温度が約54℃、ΔCが約0.5J/g/℃の完全に非晶質の化合物であることが判った。
【0133】
実施例7:再結晶化による、結晶純フォームAの調製法
実施例5からの反応生成物142.5gを、無水エタノール(750mL)の中に懸濁させた。その白色の懸濁液を撹拌しながら加熱して、30分かけて70℃とした。60℃を超えると、その溶液は透明な淡黄色となった。その溶液を徐々に冷却させると、約48℃で反応生成物の結晶化が始まった。48℃から15℃まで、4時間かけて冷却していった。その懸濁液を15℃で1.5時間撹拌した。その後では、粘稠な懸濁液が形成された。真空下でその沈殿物を濾過し、70mLの無水エタノールを用いて2回洗浄し、次いで真空中40℃で乾燥させた。乾燥重量は135.2gであった(収率95%)。
【0134】
この反応生成物を、撹拌しながら850mLの無水エタノールの中に再び懸濁させ、30分かけて75℃にまで加熱した。完全に溶解したが、その溶液は58〜60℃では実質的に無色であった。その溶液を75℃で濾過し、50mLの無水エタノールを用いてラインを洗浄し、次いでその溶液を撹拌しながら放冷した。48℃で結晶化が始まった。反応生成物を約42〜44℃で結晶化させると、大量の沈殿物が生成した。その懸濁液を一夜放冷して、室温とした。20〜22℃でその懸濁液を濾過し、50mLの無水エタノールを用いて2回洗浄した。その白色で固形の反応生成物を真空下42℃で48時間かけて乾燥させた。乾燥重量は123.6gであった(収率92%)。
【0135】
X線粉末回折パターンを図2に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表4に示す。
【表4】

【0136】
実施例8:再結晶化による、結晶純フォームAの調製法
実施例5で得られた式IVの化合物105.0gを、撹拌下65℃で560mLの無水エタノール中に溶解させてから、撹拌下1℃/分の冷却速度で48℃まで冷却した。この温度では、数分後には結晶化が始まり、1時間以内に懸濁液が粘稠なペースト状物となった。その懸濁液を再度60℃にまで加熱し、次いで1℃/分の速度で冷却して48℃とした。得られた懸濁液を撹拌し、3℃/時間の冷却速度で15℃まで冷却した。結晶沈殿物を濾過により分離し、5℃に冷却した50mLの無水エタノールを用いてそのビンを洗浄した。次いでその結晶残分を空気中30℃で18時間そして室温で40時間かけて乾燥させると、98.1gの結晶反応生成物が得られた。PXRDからは、その反応生成物が多形Aであることが判った。TG−FTIRは約2.5%の重量損失を示すが、これは、水および少量のエタノールに帰属されるものであった。
【0137】
実施例9:再結晶化による、結晶純フォームAの調製法
実施例3(b)で得られた式IVの化合物21.0gを、撹拌下65℃で112mLの無水エタノール中に溶解させてから、撹拌下1℃/分の冷却速度で48℃まで冷却した。この温度では、数分後には結晶化が始まり、1時間以内に懸濁液が粘稠なペースト状物となった。その懸濁液を再度60℃にまで加熱し、次いで1℃/分の速度で冷却して48℃とした。得られた懸濁液を撹拌し、3℃/時間の冷却速度で15℃まで冷却した。結晶沈殿物を濾過により分離し、5℃に冷却した10mLの無水イソプロパノールを用いてそのビンを洗浄した。その結晶残分を、まず窒素下25℃で18時間、その後真空下室温で20時間かけて乾燥させると、19.9gの結晶反応生成物が得られた。PXRDは、その反応生成物がフォームDと類似の多形Aであることを示し、TG−FTIRは、約7.7%の重量損失を示したが、それはイソプロパノールおよび水に帰属される。その反応生成物を再び、空気中30℃で20時間かけて乾燥させると、約5%のイソプロパノールおよび水の重量損失した反応生成物が得られた。
【0138】
実施例10:再結晶化による、結晶純フォームAの調製法
実施例3(b)で得られた式IVの化合物150.0gを、撹拌下65℃で112mLの無水エタノール中に溶解させてから、撹拌下1℃/分の冷却速度で48℃まで冷却した。この温度では、数分後には結晶化が始まり、1時間以内に懸濁液が粘稠なペースト状物となった。その懸濁液を再度60℃にまで加熱し、次いで1℃/分の速度で冷却して48℃とした。得られた懸濁液を撹拌し、3℃/時間の冷却速度で15℃まで冷却した。結晶沈殿物を濾過により分離し、5℃に冷却した10mLの無水エタノールを用いてそのビンを洗浄した。その結晶残分をまず、真空下40℃で50時間かけて乾燥させると146gの結晶の反応生成物が得られたが、それはPXRDからは、純粋な多形Aであった。
【0139】
実施例11:懸濁平衡化による結晶純フォームAの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgを、溶媒中に懸濁させ、18から40℃までの間でサイクルさせて温度を変化させながら、4日間撹拌した。以下の溶媒、すなわちエタノール、イソプロパノール、ヘプタン、メチルエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、エタノールおよびTBME、エタノール/ヘプタン、水飽和TBMEを使用した場合には、PXRDまたはラマン分光法により、その反応生成物が結晶形Aであると同定された。
【0140】
実施例12:非晶質の形態から懸濁平衡化による結晶純フォームAの調製法
実施例6からの非晶質化合物64mgを1.0mLのテトラヒドロフラン中に懸濁させ、5℃で18時間撹拌した。固形物を濾過し、窒素下室温で2時間乾燥させた。PXRDまたはラマン分光法により、結晶形Aが同定された。
【0141】
実施例13:非晶質の形態から懸濁平衡化による結晶純フォームAの調製法
実施例6からの非晶質化合物20mgを、500μLのエタノール/アセトン(1:1)の中に懸濁させてから、室温から40℃の間でサイクルさせながら3日間撹拌した。ラマン分光法により、結晶形Aが同定された。
【0142】
実施例14:非晶質の形態から懸濁平衡化による結晶純フォームAの調製法
実施例6からの非晶質化合物20mgを、500μLのテトラヒドロフランの中に懸濁させてから、室温から40℃の間でサイクルさせながら3日間撹拌した。ラマン分光法により、結晶形Aが同定された。
【0143】
実施例15:エタノール中懸濁液による結晶形Aの調製法
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩(3.04kg)をエタノール(18.2L)の中でスラリー化させた。そのスラリーを75℃に加熱して、溶解させた。その溶液をカートリッジフィルターで濾過し、エタノール(0.9L)を用いてそのフィルターを洗い流した。その溶液を1時間かけて55℃まで冷却し、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩(0.02kg)の結晶形Aを用いてシード添加した。その懸濁液を3時間で−10℃にまで冷却して、この温度で2時間撹拌した。その反応生成物を遠心分離にかけ、冷エタノール(2×1.5L)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットケーキを25〜30℃で5日間乾燥させると、2.8kgの反応生成物が得られた(収率=92.4%)。
【0144】
懸濁液の温度を(たとえば、約10℃以下まで、約0℃以下まで、あるいは本実施例のように約−10℃以下まで)下げると、生産スケールの反応生成物の収率が改良されることが発見された。約20℃の温度を使用した従来の方法では、収率がより低かった(約87%)。
【0145】
実施例16:難溶媒(anti−solvent)のメチルエチルケトンを用いた沈殿による結晶形Bの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物約160mgを含む600μLの水溶液を、5℃で10mLのメチルエチルケトン(MEK)に添加した。その懸濁液を3日間撹拌した。5mLのMEKを追加し、撹拌を5時間続けた。固形物を濾過除去し、空気中室温で12時間かけて乾燥させた。XPRDまたはラマン分光法により、結晶形Bが同定された。TG−FTIRは約2.5%の重量損失を示したが、それは水に帰属される。X線粉末回折パターンを図3に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表5に示す。
【表5】

【0146】
実施例17:難溶媒のヘプタンを用いた沈殿による結晶形Bの調製法
塩化メチレン中に実施例3(b)による式IVの化合物135mgを含む2.0mLの溶液を、室温で3.0mLのヘプタンに添加した。生成した懸濁液を24時間撹拌してから、濾過除去し、空気中室温で8時間かけて乾燥させた。PXRDまたはラマン分光法により、結晶形Bが同定された。DSC測定から、融点が約131℃で、融解エンタルピーが約63J/gであることが判った。
【0147】
実施例18:難溶媒のトルエンを用いた沈殿による結晶形Bの調製法
塩化メチレン中に実施例3(b)からの式IVの化合物135mgを含む2.0mLの溶液を、室温で3.0mLのトルエンに添加した。生成した懸濁液を24時間撹拌してから、濾過除去し、空気中室温で14時間かけて乾燥させた。PXRDまたはラマン分光法により、結晶形Bが同定された。DSC測定から、融点が約129℃で、融解エンタルピーが約71J/gであることが判った。
【0148】
実施例19:難溶媒のアセトニトリルを用いた沈殿による結晶形Bの調製法
塩化メチレン中に実施例3(b)からの式IVの化合物135mgを含む2.0mLの溶液を、室温で3.0mLのアセトニトリルに添加した。生成した懸濁液を24時間撹拌してから、濾過除去し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0149】
実施例20:難溶媒の酢酸エチルを用いた沈殿による結晶形Bの調製法
メタノール中に実施例3(b)による式IVの化合物210mgを含む1.5mLの溶液を、室温で10mLの酢酸エチルに添加した。室温で約50%の酢酸エチル/メタノール溶媒混合物を蒸発させるまでは、反応生成物は沈殿しなかった。得られた懸濁液を15℃で18時間撹拌してから、濾過除去し、空気中室温で12時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0150】
実施例21:アセトニトリル中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgをアセトニトリル中に懸濁させ、18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら4日間撹拌し、次いで濾過除去し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0151】
実施例22:酢酸エチル中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgを6mLの酢酸エチル中に懸濁させ、18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら4日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0152】
実施例23:エタノール/MEK中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgを5mLのエタノール/MEK(1:1)中に懸濁させ、18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら4日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0153】
実施例24:水飽和酢酸エチル中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質20mgを、500μLの水飽和酢酸エチルの中に懸濁させ、室温から40℃までの間で温度をサイクルさせながら3日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で8時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0154】
実施例25:1%の水を含むアセトニトリル中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質20mgを、1%の水を含むアセトニトリル500μLの中に懸濁させ、室温から40℃までの間で温度をサイクルさせながら3日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で16時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0155】
実施例26:酢酸エチル/水中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質1.0gを、10mLの酢酸エチルおよび100μLの水の中に懸濁させ、室温で100時間撹拌してから、濾過除去し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。750mgの結晶形Bが得られたことが、ラマン分光法および粉末X線回折により同定された。
【0156】
実施例27:エタノール/MEK中の多形Aを用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例3(b)からの式Iの化合物20mgを7mLのエタノール/MEK(1:1)中に懸濁させ、18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら4日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で18時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0157】
実施例28:ヘプタン中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質60mgを1.0mLのヘプタンの中に懸濁させ、40℃で18時間撹拌した。その固形物を濾過し、空気中40℃で1時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0158】
実施例29:酢酸エチル中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質62mgを1.0mLの酢酸エチルの中に懸濁させ、40℃で18時間撹拌した。その固形物を濾過除去し、空気中40℃で1時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0159】
実施例30:アセトニトリル中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質62mgを1.0mLのアセトニトリルの中に懸濁させ、5℃で18時間撹拌した。その固形物を濾過除去し、窒素中22℃で2時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0160】
実施例31:MEK中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質149mgを3.0mLのMEKの中に懸濁させ、室温で16時間撹拌した。その固形物を濾過除去し、窒素中22℃で30分間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0161】
実施例32:水飽和酢酸エチル中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質20mgを、500μLの水飽和酢酸エチルの中に懸濁させ、室温から40℃までの間で温度をサイクルさせながら3日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で6時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0162】
実施例33:水含有溶媒混合物中の非晶質の形態を用いた懸濁平衡化による結晶形Bの調製法
実施例6からの物質70mgを、1%の水を含む酢酸エチル/エタノールの2.0mLの中に懸濁させ、5℃から室温までの間で温度をサイクルさせながら1日間撹拌した。次いで、10℃で撹拌を5日間続けた。固形物を濾過除去し、空気中室温で15分かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Bが同定された。
【0163】
実施例34:アセトン中の多形Aの懸濁平衡化による結晶形Cの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgを、1mLのアセトンの中に懸濁させ、フォームCのシード結晶2mgを添加し、その懸濁液を18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら4日間撹拌し、次いで濾過し、空気中室温で1時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Cが同定された。
【0164】
実施例35:テトラヒドロフラン(THF)中の多形Aの懸濁平衡化による結晶形Cの調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物20mgを、500μLのTHFの中に懸濁させ、フォームCのシード結晶2mgを添加し、その懸濁液を18から40℃までの間で温度をサイクルさせながら3日間撹拌し、濾過除去し、空気中室温で3時間かけて乾燥させた。ラマン分光法により、結晶形Cが同定された。
【0165】
実施例36:テトラヒドロフラン(THF)中の多形Aの懸濁平衡化による結晶形Cの調製法
実施例3(b)からの式Iの化合物255mgを5.0mLのTHFの中に懸濁させ、シード結晶として25mgのフォームCを添加し、その懸濁液を温度40℃で40時間撹拌し、濾過し、窒素下室温で15分かけて乾燥させた。PXRDおよびラマン分光法により、結晶形Cが同定された。
【0166】
実施例37:テトラヒドロフラン(THF)中の多形Aの懸濁平衡化による結晶形Cの調製法
実施例3(b)からの式Iの化合物1.0gを、6.0mLのTHFの中に懸濁させ、シード結晶として50mgのフォームCを添加し、得られた懸濁液を室温で50時間撹拌し、濾過し、乾燥空気下室温で45分かけて乾燥させた。PXRDおよびラマン分光法により、結晶形Cが同定された。TG−FTIRは、150℃までに0.9%未満の重量損失があることが判ったが、これは水に帰属されるものである。動的注入吸収(Dynamic pour absorption)実験からは、多形Cは水を吸収せず、水和物を形成し、吸湿性を示すことが判る。DSC実験から、融点がほぼ177℃で、溶融エンタルピーが約129J/gであることが判った。
【0167】
X線粉末回折パターンを図4に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表6に示す。
【表6】

【0168】
実施例38:多形Cのシード添加物質の調製法
実施例3(b)からの式IVの化合物25gを100mLのTHF中に懸濁させ、その懸濁液を30℃で3日間撹拌した。固形物を濾過除去し、減圧下40℃で2時間かけて乾燥させた。23.3gの収量で純粋な多形Cが得られた(PXRDおよびラマン分光法によって確認)。この物質を、その後の実験においてシード結晶として使用した。
【0169】
実施例39:多形Cの調製法
実施例9からの結晶性物質6.0gを30mLのMEKの中に懸濁させ、50℃で撹拌した。2時間後に実施例38からの結晶シード100mgを添加し、室温で80時間撹拌を続けた。結晶固形物を濾過除去し、45℃で18時間かけて乾燥させた。少量の多形Aを含む多形Cが4.7gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRでは、170℃未満では重量損失は認められなかった。
【0170】
実施例40:多形Cの調製法
実施例9の結晶性物質6.0gを30mLのTHFの中に懸濁させ、50℃で撹拌した。2時間後に実施例38からの結晶シード100mgを添加し、室温で80時間撹拌を続けた。結晶固形物を濾過除去し、45℃で18時間かけて乾燥させた。少量の多形Aを含む多形Cが4.7gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRでは、170℃までで約0.5%の重量損失が認められたが、これはTHFに帰属された。
【0171】
実施例41:多形Cの調製法
実施例8の結晶性物質6.0gを40mLのTHFの中に懸濁させ、50℃で撹拌した。2時間後に実施例38からの結晶シード150mgを添加し、40℃で104時間撹拌を続けた。30時間後に、実施例37からの結晶シードの2回目の200mgを添加した。結晶固形物を濾過除去し、45℃で18時間かけて乾燥させた。少量の多形Aを含む多形Cが5.0gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRでは、170℃までで約0.5〜0.8%の重量損失が認められたが、これはTHFに帰属された。
【0172】
実施例42:多形Cの調製法
実施例8の結晶性物質6.0gを40mLのMEKの中に懸濁させ、50℃で撹拌した。2時間後に実施例38からの結晶シード150mgを添加し、40℃で104時間撹拌を続けた。30時間後に、実施例37からの結晶シードの2回目の200mgを添加した。結晶固形物を濾過除去し、45℃で18時間かけて乾燥させた。少量の多形Aを含む多形Cが5.4gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRでは、170℃未満では重量損失は認められなかった。
【0173】
実施例43:純粋な多形Cの調製法
実施例8の結晶性物質7.0gを50mLのアセトンの中に懸濁させ、50℃で撹拌した。2時間後に、実施例38からの結晶シード200mgを添加した。粘稠なペースト状物が生成したので、10mLのアセトンを追加した。50℃で29時間撹拌を続けた。次いで、その懸濁液を冷却して10℃とし、この温度で14時間撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、空気中45℃で4.5時間かけて乾燥させると、6.3gの純粋な多形Cが生成した(PXRDにより確認)。
【0174】
実施例44:純粋な多形Cの調製法
実施例8の結晶性物質7.0gを50mLのMEKの中に懸濁させ、60℃で撹拌した。2時間後に実施例38からの結晶シード200mgを添加し、60℃で29時間撹拌を続けた。次いで、その懸濁液を冷却して10℃とし、この温度で14時間撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、空気中45℃で4.5時間かけて乾燥させた。純粋な多形Cが6.0gの収量で得られた(PXRDにより確認)。
【0175】
実施例45:純粋な多形Cの調製法
実施例10の結晶物質50.0gを310mLのMEKの中に懸濁させ、50℃で撹拌した(600rpm)。2時間後に、実施例38からの結晶シード1.5g(10mLのMEK中の懸濁液)を添加した。50℃で52時間撹拌を続けた。次いで、その懸濁液を冷却して15℃とし、この温度で2時間撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、真空下50℃で16時間かけて乾燥させた。純粋な多形Cが44.2gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRからは、170℃まででは重量損失は認められなかった(無溶媒反応生成物)。
【0176】
実施例46:純粋な多形Cの調製法
実施例10の結晶物質50.0gを360mLのMEKの中に懸濁させ、50℃で撹拌した(600rpm)。2時間後に、実施例38からの結晶シード1.5g(10mLのMEK中の懸濁液)を添加した。50℃で35.5時間撹拌を続けた。次いで、その懸濁液を冷却して15℃とし、この温度で2時間撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、真空下50℃で16時間かけて乾燥させた。純粋な多形Cが41.5gの収量で得られた(PXRDにより確認)。TG−FTIRからは、170℃まででは重量損失は認められなかった(無溶媒反応生成物)。
【0177】
実施例47:THF中溶液からの純粋な多形Cの調製法
実施例10の結晶物質7.0gを35mLのTHFの中に懸濁させ、加熱して65℃とした。結晶形Aが完全に溶解したので、その溶液を冷却して60℃とした。次いで、実施例38からの結晶シード0.35g(1.0mLのTHF中懸濁液)を添加し、60℃で約30分間撹拌を続けた。その後で、その懸濁液を0.15℃/分の冷却速度で冷却して10℃とし、この温度で2時間撹拌を続けた。結晶固形物を濾過除去し、真空下50℃で16時間かけて乾燥させた。4.5gの収量で純粋な多形Cが得られた(PXRDおよびラマン分光法によって確認)。
【0178】
実施例48:溶液からのフォームCの直接調製法
実施例10の結晶物質2.0gを室温で10mLのTHF中に懸濁させた。その懸濁液を加熱して65℃にすると、透明な溶液となった。この溶液を冷却して60℃とし、実施例38からのフォームCのシード結晶100mgをその溶液に添加した。この温度で、この懸濁液は徐々により濃厚となり、60℃で1時間この懸濁液を撹拌した後、その懸濁液を10℃/時間の速度で冷却して10℃とした。5時間後に10℃に到達したので、撹拌を一夜、約14時間継続してから、得られた固形物を濾過除去し、真空下50℃で約2時間かけて乾燥させると、純粋な結晶形Cが得られた。
【0179】
実施例49:多形Cについての安定性試験
a)熱処理
実施例3(b)(多形A)、25(多形B)、および36(多形C)の化合物を密閉アンプル中に入れ、100℃に1週間暴露させた。多形AおよびBは潮解性のある塊状物を形成したが、それに対して多形Cは実質的に変化せず、結晶性の自由流動性粉末のままに留まった。HPLCによって反応生成物の分析を行い、純度を求めて、分解に関する化学的安定性を表した。多形Aが25.9%、多形Bが28.3%、多形Cが99.7%の純度を示し、多形Cが高い安定性を示した。
【0180】
実施例50:湿分への暴露
実施例3(b)(多形A)、25(多形B)、および36(多形C)の化合物を開放容器に入れて、60℃、75%相対湿度に1週間および2週間暴露させた。多形Aにおいては、2.8%の水分含量が検出され、HPLC純度は80%であった。多形Bは多形Cへと転換され、1.9%の水分含量が検出され、HPLC純度は94.6%であった。多形Cは無変化にとどまり、HPLC純度は99.7%であった。
【0181】
実施例51:出発物質として多形Aを使用した結晶形Eの調製法
実施例3(b)による式IVの化合物160mgを含む水溶液600μLを、5℃で、10mLのイソプロパノールに添加した。結晶固形物が沈殿したが、その懸濁液を5℃で5時間撹拌した。その結晶固形物を濾過除去し、窒素下室温で1時間かけて乾燥させた。収量164mgで結晶形Dが得られた(PXRDおよびラマン分光法で確認)。TG−FTIRでは、170℃までに約8%の重量損失を示したが、それはイソプロパノールおよび水に帰属された。
【0182】
実施例52:出発物質として非晶質の形態からのEを使用した結晶の調製法
実施例6からの物質200mgを16.0mLのイソプロパノールの中に懸濁させた。その懸濁液を、40℃で18時間、20℃で14時間撹拌した。その結晶固形物を濾過除去し、窒素下室温で1時間かけて乾燥させた。収量178mgで結晶形Dが得られた(PXRDおよびラマン分光法で確認)。TG−FTIRでは、170℃までに約6.6%の重量損失を示したが、それはイソプロパノールに帰属された。そのイソプロパノールの量は、イソプロパノールの半溶媒和化合物の存在を示唆している(イソプロパノールの理論含量は5.6%;溶媒は乾燥で除去するのは困難)。
【0183】
X線粉末回折パターンを図5に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表7に示す。
【表7】

【0184】
実施例53:出発物質として非晶質の形態を使用したEからの結晶の調製法
実施例6からの物質70mgを1.0mLのt−ブチルメチルエーテル(TBME)の中に懸濁させた。その懸濁液を18時間40℃で撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、空気中40℃で1時間かけて乾燥させた。収量58mgで結晶形Eが得られた(PXRDおよびラマン分光法で確認)。
【0185】
実施例54:出発物質として非晶質の形態からの結晶の調製法
実施例6からの物質150mgを4.0mLのTBMEの中に懸濁させた。その懸濁液を室温で26時間撹拌した。結晶固形物を濾過除去し、空気中室温で5分かけて乾燥させた。収量121mgで結晶形Eが得られた(PXRDおよびラマン分光法で確認)。TG−FTIR(10℃/分)では、周囲温度より上で始まり150℃未満で終了する重量損失が約5.1%であることが示されるが、これはTBMEに帰属される。そのTBMEの量は、TBME−溶媒和化合物の存在を示唆している。
【0186】
X線粉末回折パターンを図6に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表8に示す。
【表8】

【0187】
実施例55:出発物質として非晶質の形態から結晶形Fの調製法
実施例6からの物質250mgを、65℃で撹拌しながら5.5mLのテトラヒドロフラン(THF)の中に溶解させた。その溶液を冷却して20℃とすると、粘稠なペースト状物が生成した。3mLのTHFを加え、40℃で1時間撹拌を続けた。次いでその懸濁液を冷却して20℃とし、撹拌を3時間続けた。結晶固形物を濾過除去し、空気中室温で30分かけて乾燥させた。収量214mgで結晶形Fが得られた(PXRDおよびラマン分光法で確認)。TG−FTIR(10℃/分)では、周囲温度より上で始まり130℃未満で終了する重量損失が約3.0%であることが示されるが、これはTHFに帰属される。そのTHFの量は、非化学量論的なTHF−溶媒和化合物の存在を示唆している(モノTHF−溶媒和化合物の理論含量は、12.5%THFである)。
【0188】
X線粉末回折パターンを図7に示し、特性ピーク(2シータ)とそれに対応するd間隔値(Å)とを表8に示す。
【表9】

【0189】
実施例56:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の調製
a)次式化合物の調製法
【化22】

N−メチル−4−ピペリドン(SM、16.0kg)および4−フルオロベンジルアミン(17.7kg、1.00当量)をT=15〜19℃でメタノール(110.2kg、8.70v/wSM)の中に溶解させ、次いで5%パラジウム/C(0.59kg、3.68%w/wSM)を窒素下に添加した。そのバルクを加熱してT=23〜27℃まで上げ、同じ温度、P=約5barで水素化を行い、水素の吸収が停止するまで続けた(約11時間)。残存しているSMをGCにより調べ(イミン<5%)、次いでバルクを清澄化し(1575+GF92濾紙)、メタノール(5.1kg、0.40v/wSM)を用いてラインを洗浄した。減圧下(P=265〜60mbar、T=35〜40℃)に溶媒を蒸留し、オイル状の残分を真空下、T=135〜140℃、P=8〜0.5mbarで分留により精製すると、22.15kg(70%)の反応生成物が得られた。
【0190】
b)次式化合物の調製法
【化23】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド(SM、60.0kg)をT=15〜25℃でジメチルホルムアミド(142.5kg、2.50v/wSM)の中に溶解させ、次いで固形の炭酸カリウム(137.2kg、2.02当量)およびヨウ化カリウム(8.1kg、0.10当量)をT<30℃で滴下により添加し、その懸濁液を加熱してT=78〜82℃に上げた。コンデンサーの温度を15℃一定とし、その懸濁液に臭化イソブチル(134.8kg、2.00当量)を、T=78〜82℃で4〜5時間かけて添加した。添加が終わってから、その混合物をT=78〜82℃で約3時間撹拌し、HPLCにより残存SMを調べた(SM<5%)。その懸濁液を冷却してT=20〜30℃とし、100%エタノール(213.1kg、4.50v/wSM)を用いて希釈し、T=20〜30℃で15分間撹拌し、最後に遠心分離にかけて過剰の炭酸塩と臭化カリウムを除去した。100%エタノール(82.4kg、1.74v/wSM)を用いてラインとケーキを洗浄し、次いで濾液に水中50%ヒドロキシルアミン(48.8kg、1.5当量)を室温で添加してから、バルクを加熱してT=73〜77℃にまで上げ、この温度で2時間撹拌した。IPCのためのサンプルを採取し(Aca−11−アルデヒド<5%)、次いでバルクを減圧下(270〜150mbar、45〜55℃)に濃縮して約6Volとし、水(404.5kg、6.74v/wSM)を使用してT=45〜55℃で残分をクエンチさせ、残っているエタノールを真空下(270〜150mbar、45〜55℃、残存Vol=約10.4)に蒸留した。ベンゼン60−90(236.9kg、5.64v/wSM)を用いてバルクを希釈し、環流温度(T=約60℃)に加熱して、完全に溶解させた(約15分間、目視検査)。その溶液を冷却して8〜12℃にまで下げ(結晶化はT=約17℃で起きるが、必要があれば約12℃でシードを加える)、次いで0〜5℃に下げた。T=0〜5℃で2時間撹拌してから、バルクを遠心分離にかけ、ベンゼン60−90(59.4kg、1.41v/wSM)を2回に分けて用いてケーキを洗浄し、次いで減圧下T=40℃で乾燥させると、86.7kg(91.3%)の反応生成物が得られた。
【0191】
c)次式化合物の調製法
【化24】

ステップbからの反応生成物(SM、40.0kg)を、T=20〜25℃で100%エタノール(229.5kg、7.26v/wSM)の中に溶解させてから、無水のラネー−ニッケル(5.8kg、14.6%w/wSM)(触媒は100%エタノールを用いてKF<300ppmとなるまで洗浄)を窒素下に添加し、その懸濁液を冷却してT=−8℃〜−12℃にまで下げた。導管(cannula)を通してアンモニアガスを(45,8kg、13当量)約8時間かけて真空下に添加し、次いで懸濁液を加熱してT=48〜50℃まで上げた(内圧が約2.5barまで上昇した)。そのバルクを、T=48〜50℃、P=4barで水素化して、水素の吸収が止まるまで続け(約9時間)、残存SMをHPLCによって調べた(SM<0.5%)。その懸濁液を冷却してT=10〜15℃とし、過剰のアンモニアを抜き出し、バルクを清澄化させ(1575+GF92濾紙+フィルター上セルトロキセ(celtroxe)層)、100%エタノール(63.4kg、2.00v/wSM)を用いてラインを洗浄した。減圧下(P=870〜13mbar、T=42〜50℃)で溶媒を蒸留し、100%エタノール(50.7kg、1.60v/wSM)および酢酸エチル(150.1kg、4.17v/wSM)を用いてオイル状の緑色の残分を希釈し、最後に冷却してT=20〜25℃とした。100%酢酸(19.9kg、1.60当量)を徐々に添加したが、その添加の間温度を上がるにまかせた(+約14℃)、次いでそのバルクを環流温度(T=約70℃)にまで加熱して、完全に溶解させた。その溶液を冷却して40〜42℃にまで下げ、シード添加し、次いでその懸濁液を結晶化温度(T=約41℃)で30分間撹拌し、冷却してT=0〜5℃とし、この温度で5時間撹拌した。そのバルクを遠心分離にかけ、冷酢酸エチル(2×9.4kg、2×0.26v/wSM)を用いてそのケーキを洗浄し、最後に真空下T=50℃で乾燥させると、アミノ酢酸塩の形のもの33.6kg(67.9%)が得られた。
【0192】
上水(42.2kg、1.60Vol)中アミノ酢酸塩形(26.4kg)の溶液を、30%水酸化ナトリウム(35.4kg、約2.41当量)を用いてpH=14(T=10〜25℃)になるまで塩基性化させ、T=43〜47℃でトルエン(91.4kg、4.00Vol)の中に反応生成物を抽出した。そのバルクをT=43〜47℃でデカントさせ、必要があれば追加の30%NaOHを用いてpHを14に修正してから、相分離を行わせた。上水(35.1kg、1.33Vol)を用いてその有機相を洗浄してから、真空下(P=170〜20mbar、表示値)T=48〜50℃で乾固するまで濃縮すると、反応生成物がオイル状の残分として得られた。
【0193】
d)次式化合物の調製法
【化25】

ステップcからの反応生成物を脱水トルエン(68.5kg、KF<300ppm、3.00Vol)の中に溶解させ、その溶液をスクラバー付きのホスゲン容器の中に移し替え、脱水トルエン(10.3kg、0.45Vol)を用いてラインを洗浄した。そのトルエン溶液を冷却してT=0〜5℃とし、塩化水素(ガス、4.0kg、1.00当量)を、導管を用いて徐々に約3時間かけて導入した(Tmax=10℃)。添加が終わってから、そのバルクを加熱して97〜103℃にまで上げ、導管を用いてホスゲン(16.6kg、1.5当量)を徐々に導入した(約3時間)。添加が終わってから、その混合物をT=97〜103℃でさらに30分間撹拌し、反応をIPC(TLC、出発物質<1%)により調べ、バルクを冷却してT=80〜85℃にまで下げた。その溶液を、同じ温度で真空下(P=500mbar、表示値)に濃縮して約2.1Volとし、バルクに残存のホスゲンが存在しないことを確認してから、粗製イソシアネート溶液を冷却してT=20〜25℃とし、ドラムの中に抜き出し、分析した。
【0194】
e)式IVの表題化合物の調製法
ステップdからの反応生成物(約30%トルエン溶液、1当量)をT=38〜42℃で約40分間かけて、ステップaからの反応生成物(SM、21.8kg)のTHF(189.5kg、9.80v/wSM)中の溶液に添加した。添加が終わってから、THF(9.7kg、0.50v/wSM)を用いてラインを洗浄し、バルクをT=38〜42℃で透明な溶液が得られるまで撹拌し(約3時間)、サンプルを採取してIPC(TLC、Aca−11−フルオルアミン<1%)で尿素が完全に生成していることを調べた。減圧下(P=170〜70mbar、T=22〜25℃)で溶媒を蒸留し、固形の残分をT=40〜45℃で100%エタノール(132.5kg、7.69v/wSM)中に溶解させた。予め調製しておいてL−(+)−酒石酸(8.1kg、1.10当量)の100%エタノール(96.0kg、5.57v/wSM)中溶液をT=40〜45℃で添加し、100%エタノール(3.3kg、0.19v/wSM)を用いてラインを洗浄した。その溶液を冷却して35〜38℃にまで下げ、シード添加し、その懸濁液を結晶化温度(T=約37℃)で30分間撹拌し、約2時間かけてT=0〜5℃にまで冷却し、最後にこの温度でさらに2時間撹拌した。そのバルクを遠心分離にかけ、冷100%エタノール(2×18.9kg、2×0.65v/wSM)を用いてケーキを洗浄し、LODを基準にして粗生成物の乾燥重量を計算した(約46%)。
【0195】
粗製の酒石酸塩反応生成物(36.7kg、SM、測定したLOD基準で計算した乾燥重量)を環流温度(T=約75℃)で100%エタノール(205.4kg、7.08v/wSM、ウェット反応生成物に含まれるアルコールも含む)の中に溶解させてから、還流温度で完全(absolute)0.3μカートリッジを通過させてその溶液を濾過し、熱100%エタノール(5.9kg、0.21v/wSM)を用いてラインを洗い流した。その溶液を冷却して48〜50℃にまで下げ、シード添加し、その懸濁液を結晶化温度(T=約49℃)で30分間撹拌し、約2時間かけてT=20〜22℃にまで冷却し、最後にこの温度でさらに2時間撹拌した。そのバルクを遠心分離にかけ、予め濾過した冷100%エタノール(2×18.9kg、2×0.65v/wSM)を用いてそのケーキを洗浄し、反応生成物を、真空下T=45℃で少なくとも60時間かけて乾燥させた。
【0196】
予め濾過し脱気しておいたメチルエチルケトン(149.3kg、7.00Vol)中の式IVの化合物(SM、26.5kg)の懸濁液を加熱してT=58〜63℃とし、窒素雰囲気下この温度で8時間撹拌した。撹拌2時間ごとに、IPC(粉末X線、DSC、IR)のためのサンプルを採取した。その混合物を約4.5時間かけて冷却してT=12〜17℃にまで下げ、この温度で約2時間撹拌してから、反応生成物を遠心分離にかけ、予め濾過し脱気しておいた冷(15℃)メチルエチルケトン(2×10.7kg、2×0.50Vol)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットな反応生成物を真空中T=45℃で約15時間かけて乾燥させ、窒素下で抜き出して包装すると、25.2kg(51.1%)の表題の式IVの化合物のフォームCが得られた。
【0197】
実施例57:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの大規模調製
a)次式化合物の調製法
【化26】

反応ステップを3バッチで実施したが、それぞれは後述のような同一の規模で生産し、得られた反応生成物を合わせて、次のステップにおけるさらなる使用に供した。
【0198】
N−メチルピペリドン(33.0kg)および4−フルオロベンジルアミン(35.4kg)を15〜19℃でメタノール(220.1kg)中に溶解させ(発熱性溶解)、5%パラジウム/チャコール(1.2kg)のメタノール(16.8kg)中懸濁液を窒素下に添加し、メタノール(5.6kg)を用いてラインを洗い流した。そのバルクを加熱して23〜27℃とし、同じ温度、約5barで水素化をさせ、水素の吸収が停止するまで続けた(約12時間)。残存している出発物質をGCにより調べ、薄いCeltroxパッドと2×G92濾紙を備えたLensフィルター上でそのバルクの清澄化を行った。メタノール(9.8kg)を用いてラインを洗い流した。減圧下(265〜60mbar;35〜40℃)に溶媒を蒸留し、オイル状の残分を、真空下約135〜140℃、8〜0.5mbarで分留することにより精製した。3つのバッチの不純物の溜分を合わせて、再蒸留にかけた。
【0199】
合計収量(3バッチ分と再蒸留溜分の合計):147.4kg(78.1%)。
【0200】
b)次式化合物の調製法
【化27】

この反応ステップは2バッチで実施した。4−ヒドロキシベンズアルデヒド(141kg)を15〜25℃でジメチルホルムアミド(335kg)中に溶解させてから、固形の炭酸カリウム(323kg)およびヨウ化カリウム(19kg)を<30℃で少量ずつ添加し、その懸濁液を加熱して78〜82℃まで上げた。コンデンサーの温度を−10℃一定とし、懸濁液に臭化イソブチル(317kg)を78〜82℃で4時間50分かけて添加した。添加が終わってからも、その混合物を78〜82℃で2時間撹拌し、残存している出発物質をHPLCにより調べた。その懸濁液を冷却して20〜30℃とし、100%エタノール(501kg、イソプロパノールを用いて変性したもの)を用いて希釈し、20〜30℃で15分間撹拌し、(3回に分けて)遠心分離にかけて過剰の炭酸塩と臭化カリウムとを除去した。100%エタノール(2×32kg/回)を用いてラインおよびケーキを洗浄した。その溶液をそのまま、次のステップで使用する。
【0201】
c)次式化合物の調製法
【化28】

ステップbで得られたアルデヒドの溶液に、水中50%ヒドロキシルアミン(115kg)を室温で約0.5時間かけて添加し(この添加はわずかに発熱性である)、エタノール(8kg)を用いてラインを洗浄し、次いでバルクを加熱して73〜77℃まで上げ、この温度で2時間撹拌した。そのバルクを減圧下(250〜120mbar、45〜55℃)に約850Lになるまで濃縮し、45〜55℃で水(951kg)を用いて残分をクエンチさせ、残っているエタノールを真空下で蒸留した(270〜150mbar、45〜55℃、残分体積=1466L)。石油エーテル60−90(557kg)を用いてそのバルクを希釈し、環流温度(約60℃)で加熱して完全に溶解させた(約20分間、目視検査)。その溶液を冷却して約5.5時間かけて8〜12℃まで下げた(結晶化はT=約27℃で起きる)。10℃で0.5時間撹拌してから、その混合物を冷却して0〜5℃とし、この温度で2時間撹拌した。そのバルクを(3回に分けて)遠心分離にかけ、石油エーテル(2×23kg/回)を用いてそのケーキを洗浄してから、減圧下40℃で乾燥させると、粗製のオキシム(212kg)が得られた。
【0202】
再結晶化:
その粗生成物(212kg)を15〜25℃でヘキサン(642kg)の中に溶解させ、その懸濁液を加熱して約62℃にまで上げた。ヘキサン(26kg)中チャコール(6kg)を添加して、その懸濁液を0.5時間撹拌した。濾過をしてから(フィルターは33kgのヘキサンを用いて洗浄)、溶液を冷却して結晶化温度(約55℃)とし、この温度で混合物を1時間撹拌した。その懸濁液を冷却して10〜15℃とした。その温度で約2時間撹拌してから、そのバルクを(3回に分けて)遠心分離にかけ、冷ヘキサン(2×13kg/回)を用いてケーキを洗浄してから、減圧下40℃で乾燥させた。
【0203】
オキシムの収量:196kg(2ステップ通算、87.9%)。
【0204】
d)次式化合物の調製法
【化29】

ステップcからのオキシム(198kg)をエタノール(1148kg、イソプロパノールを用いて変性したもの)の中に溶解させた。エタノール(692kg)を用いてラネーニッケル触媒(29kg)を洗浄して、カールフィッシャーによる水分含量が300ppmになるようにし、次いで、その脱水したラネー−ニッケルを窒素下にオキシム溶液に添加し、エタノール(62kg)を用いてラインを洗浄し、懸濁液を冷却して−10℃にまで下げた。真空下約6時間かけてアンモニアガス(229kg)を添加した(この添加は発熱性である)。次いで、その懸濁液を加熱して49℃とした。内圧が約3barにまで上がった。そのバルクを49℃、4barで水素化し、水素の吸収が停止するまで続け(約9時間)、反応の終了はHPLCによって調べた。その懸濁液を冷却して13℃とし、過剰のアンモニアを除去し、Celtrox(4kg)上で濾過してバルクを清澄化させた。エタノール(317kg)を用いてラインを洗浄した。減圧下(150〜10mbar、40〜50℃)に溶媒を蒸留し、残分を約40℃でトルエン(780kg)中に溶解させた。その溶液を新しい反応器(57kgトルエンを用いて予め洗浄した反応器)に移し替え、冷却して22℃とした。22℃で酢酸(60kg)を徐々に添加し(発熱反応)、そのバルクを加熱して20分間の間に約95℃として、完全に溶解させた。その溶液を急速に冷却して80℃とし、アミノ酢酸塩反応生成物(50g)を用いてシード添加した。その懸濁液を結晶化温度で30分間撹拌し、冷却して10℃とし、この温度で約1時間撹拌した。そのバルクを(3回に分けて)遠心分離にかけ、冷トルエン(2×48L/回)を用いてケーキを洗浄し、最終的に真空下(9〜16mbar)約50℃で28時間かけて乾燥させた。
【0205】
収量:207kg(83.6%)。
【0206】
e)次式化合物の調製法
【化30】

ステップdからのアミノ酢酸塩(269kg)の水(431kg)中溶液を、20〜25℃で30%水酸化ナトリウム溶液(305kg)を用いて塩基性化させて、pH14とした。次いで、アミノ塩基反応生成物を、トルエン(933kg)を用い、43〜47℃で15分間撹拌することで抽出した。そのバルクを43〜47℃で15分間デカントさせたが、必要に応じて30%NaOHを追加してpHが>12となるよう調節し、次いで層分離させた。水(359kg)を用いてその有機層を洗浄してから、真空下(200〜20mbar)45〜50℃で濃縮すると、そのアミノ塩基がオイル状の残分として得られた。
【0207】
f)次式化合物の調製法
【化31】

ステップeからのアミノ塩基を48℃でトルエン(825kg)中に溶解させ、その溶液の水分含量を調べた(KF<300ppm)。そのトルエン溶液を冷却して1〜5℃とし、塩化水素(ガス、45.1kg)を、導管を通して約3時間かけて徐々に導入した(Tmax=10℃、このガス導入は強い発熱性である)。添加が終わってから、そのバルクを加熱して97〜103℃にまで上げ、導管を通してホスゲン(166kg)を徐々に導入した(約4時間)。添加が終わってから、そのバルクを冷却して80〜84℃にまで下げ、TLCによって反応を調べた。100℃で追加のホスゲン(16kg)を導入すると、それによってバルクが透明な溶液に変わった。その混合物を100℃で1時間さらに撹拌してから、バルクを冷却して80〜84℃とした。同じ温度でその溶液を真空下(250〜50mbar)で濃縮して、770Lにした。そのバルクに残存のホスゲンが存在しないことを調べ、そのトルエン中の粗製イソシアネート溶液を冷却して20〜25℃とし、0.3ミクロンのカートリッジフィルターを通して濾過した。
【0208】
収量:イソシアネートのトルエン溶液:687kg(GCによれば、反応生成物34.7%a/a)、234.4kg反応生成物(100%、ステップeおよびf通算)。
【0209】
g)表題化合物の調製法
【化32】

ステップfからのイソシアネートのトルエン中溶液(301kg、約34%)を40℃で30分間かけて、ステップaからのフルオルアミン(109kg)のテトラヒドロフラン(948kg)中溶液に添加し、テトラヒドロフラン(48kg)を用いてラインを洗浄した。その混合物を約3時間撹拌して、完全に溶解させた。TLCによって残存しているフルオルアミンを調べ、追加量のイソシアネート溶液(6kg、トルエン中約34%)を添加し、その混合物を40℃で1時間撹拌してから、再度TLCで調べた。減圧下(300〜20mbar)、Tjacket=50℃で蒸留して、溶媒を除去した。その残分に25℃でエタノール(663kg)を添加し、その混合物を加熱して2.5時間かけて40〜45℃とし、この温度で約2時間撹拌して、完全に溶解させた。
【0210】
実施例58:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの酒石酸塩の大規模調製法
43℃の予め調製しておいた酒石酸(41kg)のエタノール(480kg)中溶液を、43℃で40分間かけて、実施例57(g)において製造したエタノール溶液に添加し、16kgのエタノールを用いてラインを洗浄した。その溶液を冷却して37℃とし、ACP−103フォームC(0.5kg)を用いてシード添加し、その反応生成物を約34℃で結晶化させた。その懸濁液をこの温度で30分間撹拌してから、2.5時間かけて冷却して2℃とし、この温度で2.5時間以上撹拌した。その反応生成物を(2回に分けて)遠心分離にかけ、エタノール(3×15kg/回)を用いてそのケーキを洗浄した。得られた粗生成物を、真空下(50〜5mbar)45℃で約49時間20分間かけて乾燥させ、3mmの篩にかけ、さらに5時間真空下で乾燥させた。
【0211】
粗製物収量:214kg(86.0%)。
【0212】
実施例59:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの酒石酸塩の結晶形Aの大規模調製法
実施例58からの粗製酒石酸塩(212kg)をエタノール(948kg)中、73〜75℃(環流温度)で約1時間加熱して、溶解させた。0.3μmのカートリッジフィルターを通してその熱混合物を濾過し、エタノール(30kg)を用いてラインを洗浄し、そのバルクを約0.5時間環流温度に加熱した。その溶液を冷却して約1時間かけて49℃とし、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩(0.4kg)を用いてシード添加し、その反応生成物を48℃で結晶化させた。その懸濁液をこの温度で30分間撹拌した。次いで懸濁液を約8時間かけて冷却して−10℃とし、この温度でさらに8時間撹拌した。その反応生成物を(2回に分けて)遠心分離にかけ、冷エタノール(3×21kg/回)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットな反応生成物を、真空下(50〜5mbar)45℃で40.5時間かけて乾燥させた。得られた反応生成物を、後述の手順に従って再加工した。収量:189kg(89.2%)。
【0213】
再加工:
ステップ#1:尿素を固形物として単離するための酒石酸塩の遊離塩基化
水(378kg)、トルエン(983kg)および酒石酸塩(189kg)の懸濁液に、NaOH30%(50kg)を約15分間かけて添加した。その混合物を加熱し、38℃で45分間撹拌し、追加のNaOH30%(6kg)を添加して、pHを12〜14とした。その混合物を38℃で30分間撹拌して完全に溶解させ、pHを調べた。次いで、反応混合物を38℃で放置して、層分離を起こさせ、水層を廃棄した。38℃で水(378kg)を用いてその有機層を洗浄し、真空下(200〜80mbar)45〜50℃でトルエンを蒸留して、約380Lにした。その蒸留残分に48℃でヘプタン(776kg)を添加し、尿素を結晶化させた。その懸濁液を50℃で30分間撹拌してから、約3時間かけて1℃まで冷却し、この温度で1時間撹拌した。その反応生成物を(2回に分けて)遠心分離にかけ、冷ヘプタン(2×27kg/回)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットな反応生成物(尿素)を真空下(40〜1mbar)50℃で約12時間かけて乾燥させ、2mmの篩にかけた。収量:147kg(91.5%)。
【0214】
ステップ#2:酒石酸の添加による酒石酸塩の再形成
エタノール(535kg)中の尿素(147kg)を40〜45℃で撹拌して完全に溶解させ、その溶液を0.3μmカートリッジで濾過し、エタノール(59kg)を用いてラインを洗浄した。酒石酸(26.3kg)のエタノール(223kg)中溶液を、0.3μmカートリッジを通して40分間かけて、40〜45℃でそのエタノール(594kg)中の尿素(147kg、ステップ#1からのもの)の溶液に添加し、エタノール(19kg)を用いてラインと反応器を洗浄した。反応生成物はその導入の間に結晶化した。その懸濁液を43℃で30分間撹拌してから、約6時間かけて−5℃まで冷却し、この温度で2時間撹拌した。その反応生成物を(3回に分けて)遠心分離にかけ、冷エタノール(2×19kg/回)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットな反応生成物を、真空下(40〜7mbar)45℃で約34時間かけて乾燥させ、3mmの篩にかけ、さらに6時間乾燥を続けると(20〜7mbar、45℃)、乾燥した結晶形Aが得られた。収量:167kg(96.8%)。
【0215】
実施例60:N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの酒石酸塩の結晶形Cの大規模調製法
予め濾過し脱気したメチルエチルケトン(942kg)中の実施例59からの結晶形A(167kg)の懸濁液を加熱して60℃とし、この温度で約2時間撹拌した。その懸濁液に、メチルエチルケトン(41kg、濾過、脱気したもの)中の結晶形C(5.6kg)の懸濁液を用いてシード添加し、60℃でさらに12時間撹拌した。サンプルを採取して、フォームCへ完全に転化しているかどうかを調べた。その混合物を4.5時間かけて冷却して15℃まで下げ、この温度で2時間撹拌してから、その反応生成物を(2回にわけて)遠心分離にかけ、冷メチルエチルケトン(2×34kg/回)を用いてそのケーキを洗浄した。そのウェットな反応生成物を45℃で1時間、次いで真空下(500mbarから最大値まで5時間)45℃で約18.5時間かけて乾燥させ、その反応生成物を3mmの篩にかけ、包装した。酸素フリーの環境を使用することによって、反応生成物の酸化を防止した。収量:160kg(95.8%)。
【0216】
その反応生成物で、不純物1および2についての試験を行った。不純物2はまったく検出されず、不純物1は0.2%未満しか検出できないことが見出された。
【0217】
実施例61:結晶形Cの安定性
結晶形Cの第一バッチを25℃、60%RH(相対湿度)に12ヶ月間暴露させ、第二バッチを40℃、75%RHに6ヶ月間暴露させた。試験した条件すべてにおいて、多形純度には何の変化も観察されず、フォームCが検出された唯一の多形であった。それらのバッチは、外観、全薬物定量(Total Drug Assay)、関連物質、湿分、および不純物Dの存在について試験した。原薬の外観は、色の均質性、異物および外見について目視により評価した。全薬物定量は、226nmUV検出のHPLCシステムで求めた。Waters XTerraRP18の5μm(4.6×250mm)カラムを30℃で使用した。移動相は、アセトニトリル:5mM酢酸アンモニウム、pH10.0(46:54v/v)であった。注入容積は20μLであった。操作時間は、流速1.0mL/分で30分間であった。関連物質は、226nmUV検出のグラジエント逆相HPLCを使用して分析した。Waters Symmetry C18の3.5μm(150×4.6mm)カラムを35℃で使用した。移動相Aは、0.1%のTFAを含む水であり、移動相Bは0.1%のTFAを含むアセトニトリルであった。注入容積は20μLであった。操作時間は、流速1.0mL/分で35分間であった。関連物質は、ピーク面積パーセントから定量した。湿分は、737 Karl Fischer Coulometric titratorを用いて測定した。その試験装置は、Hydranal−Coulomat AGおよびHydranal standard−0.1%水検査溶液−Coulomat AGを用いて操作した。表10および11に1ヶ月間隔で測定した結果を示す。これらの結果をもとにすれば、フォームCは、25℃、60%RHで貯蔵した場合、少なくとも2年は安定であろうと予想される。
【表10】

【表11】

【0218】
実施例62:粒径分布
実施例56からの反応生成物について、粒径分布の試験を行った。それらの結果から、粒子の約90%が35μm以下の直径を有し、粒子の約50%が18μm以下の直径を有し、粒子の約10%が5μm以下の直径を有することが判った。
【0219】
実施例60からの反応生成物についても、粒径分布の試験を行った。それらの結果から、粒子の約90%が55μm以下の直径を有し、粒子の約50%が30μm以下の直径を有し、粒子の約10%が9μm以下の直径を有することが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cを調製する方法であって、前記方法が、
有機溶媒を脱気するステップ;
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を溶媒中に懸濁させるステップ;および
実質的に酸素フリーの環境において前記懸濁液を撹拌するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記有機溶媒がメチルエチルケトンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機溶媒がテトラヒドロフランまたはアセトンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記撹拌が不活性ガスの下で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性ガスが窒素またはアルゴンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒の中にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を懸濁させることが、前記溶媒の中にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Aを懸濁させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形であって、その粒径が5〜200μmである、結晶形。
【請求項8】
前記結晶形の内の粒子の約90%が約55μm以下の粒径を有する、請求項7に記載の結晶形。
【請求項9】
前記結晶形の内の粒子の約50%が約30μm以下の粒径を有する、請求項7に記載の結晶形。
【請求項10】
前記結晶形の内の粒子の約10%が約10μm以下の粒径を有する、請求項9に記載の結晶形。
【請求項11】
前記結晶形がフォームCである、請求項7に記載の結晶形。
【請求項12】
固形のN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を微粉砕することを含む、請求項7の結晶形を得る方法。
【請求項13】
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを合成する方法であって、
ヨウ化カリウムおよび炭酸カリウムの存在下に、4−ヒドロキシベンズアルデヒドを臭化イソブチルと反応させて、4−イソブトキシベンズアルデヒドを製造するステップ;
前記4−イソブトキシベンズアルデヒドを約1.5当量のNHOHと反応させて、4−イソブトキシベンズオキシムを製造するステップ;
前記4−イソブトキシベンズオキシムを、ラネー−Niおよび約13〜約16当量のNHの存在下に、Hと反応させて、(4−イソブトキシフェニル)メタナミノアセテートを製造するステップ;
前記(4−イソブトキシフェニル)メタナミノアセテートを約30%NaOHと反応させ、トルエンを用いて抽出して、(4−イソブトキシフェニル)メタナミンを製造するステップ;
前記(4−イソブトキシフェニル)メタナミンをトルエンの存在下でHClおよびCOClと反応させて、1−イソブトキシ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼンを製造するステップ;ならびに
前記1−イソブトキシ−4−(イソシアナトメチル)ベンゼンをN−(4−フルオロベンジル)−1−メチルピペリジン−4−アミンと反応させて、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを製造するステップ、
を含む方法。
【請求項14】
前記方法の反応生成物が、約0.2重量%未満の不純物1を含む、請求項13に記載の方法。
【化1】

【請求項15】
前記方法の反応生成物が、約0.1重量%未満の不純物2を含む、請求項13に記載の方法。
【化2】

【請求項16】
前記方法の反応生成物が、実質的に不純物2を含まない、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
およびカーボンに担持されたパラジウムの存在下にN−メチルピペリドンを4−フルオロベンジルアミンと反応させることを含む、N−(4−フルオロベンジル)−1−メチルピペリジン−4−アミンを合成する方法。
【請求項18】
エタノールの存在下にN−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドを酒石酸と反応させることを含む、N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩を合成する方法。
【請求項19】
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cおよび約0.2重量%未満の不純物1を含む、固形の反応生成物。
【化3】

【請求項20】
N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N−(4−フルオロフェニルメチル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド酒石酸塩の結晶形Cおよび約0.1重量%未満の不純物2を含む、固形の反応生成物。
【化4】

【請求項21】
実質的に不純物2を含まない、請求項20に記載の固形の反応生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−527371(P2010−527371A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508552(P2010−508552)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/063555
【国際公開番号】WO2008/144326
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(508338751)アカドイア プハルマセウチカルス インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】