説明

NADPHオキシダーゼインヒビターとしてのピラゾリンジオン誘導体

本発明は、式(I)のピラゾリンジオン誘導体、その製剤組成物、及び、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)に関連する障害又は病態の治療及び/又は予防のための、それらの使用に関する。
【化35】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のピラゾリンジオン誘導体及びその製剤組成物に関し、並びに、循環器病、呼吸器障害、代謝を乱す障害、皮膚及び/又は骨の疾患、神経変性疾患、腎臓病、生殖器障害、炎症性障害、及び癌の治療及び/又は予防に用いられる薬剤調製のための、その誘導体及び製剤組成物の使用に関する。具体的には、本発明は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)の活性又は機能を変調するための、特に、抑制するための製剤処方の調製に有用なピラゾリンジオン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
NADPHオキシダーゼ(NOX)は、生体膜を横断して電子を転移するタンパクである。一般に、電子受容体は酸素であり、電子転移反応の産物はスーパーオキシドである。従って、NOX酵素の生物学的機能は、酸素から活性酸素種(ROS)を生成することである。活性酸素種(ROS)は、酸素ラジカル(スーパーオキシド陰イオン[]、ヒドロキシル[HO]、ペルオキシル[ROO]、アルコキシル[RO]、及びヒドロペルオキシル[HOO])、及び、酸化剤であるか、及び/又は簡単にラジカルに変換されるいくつかの非ラジカルを含む、酸素由来小型分子である。窒素含有酸化剤、例えば、一酸化窒素なども活性窒素種(RNS)と呼ばれる。ROSの生成は、一般に、スーパーオキシドの産生から始まる一連のカスケード反応である。スーパーオキシドは、自発的に特に低pHにおいて、又は、スーパーオキシドジスムターゼによる触媒下急速に、不鈞化して過酸化水素になる。ROS生成カスケード反応における他の要素としては、スーパーオキシドと一酸化窒素との反応によるペルオキシ亜硝酸の形成、ペルオキシダーゼ触媒による、過酸化水素からの次亜塩素酸の生成、及び、ヒドロキシルラジカルの生成につながる鉄触媒Fenton反応を含む。
【0003】
ROSは、他の、小型の無機分子の外、DNA、タンパク、脂質、炭水化物、及び核酸を含む多数の分子と活発に相互作用を持つ。この初期反応は、第2のラジカルを生成する場合があり、そのため潜在的な損傷が増幅される。ROSは、細胞損傷及び病原体の殺作用に関与するだけでなく、ほぼ全ての細胞及び組織において、多数の可逆的調節過程にも関わる。一方、ROSは基本的生理過程の調節において重要であるにも拘わらず、ROS産生は、標的分子の機能を不可逆的に破壊又は変更する可能性がある。従って、ROSを、生体組織損傷における主要原因因子、所謂「酸化ストレス」と見なす傾向が次第に強まっている。
【0004】
炎症時、NADPHオキシダーゼは、炎症条件下の血管細胞におけるROS産生のもっとも重要な発生源の一つとなる(非特許文献1)。
【0005】
肺の組織は、内部的に代謝反応によって(例えば、招集された炎症細胞のミトコンドリア呼吸又は活性化によって)生成される酸化剤、又は、外部的に空気中の酸化剤(例えば、煙草の煙又は空気中汚染物)に不断に曝される。更に、肺は、他の組織と比べ高い酸素分圧に不断に暴露され、相当に大きな表面積及び血液補給を有し、且つ、特に、ROS介在性損傷に対して敏感である(非特許文献2)。NADPHオキシダーゼ依存性ROS産生は、肺の血管内皮細胞及び平滑筋細胞について記載されている。刺激に対する反応として生じるNADPHオキシダーゼの活性化は、肺高血圧症及び肺血管収縮の亢進などの呼吸器障害の発症に関与すると考えられている(非特許文献3及び4)。更に、肺線維症は、肺の炎症及び過度のROS産生によって特徴づけられる。
【0006】
骨の代謝転換(例えば、骨の再吸収)において決定的役割を担うマクロファージ様細胞である破骨細胞は、NADPHオキシダーゼ依存性機構を通じてROSを産生する(非特許文献5)。
【0007】
糖尿病は、ヒト及び動物において酸化ストレスを増すことが知られており(例えば、グルコースの自動酸化によるROS発生の増加)、この酸化ストレスの増大は、糖尿病合併症の発症に重要な役割を果たすと言われている。糖尿病ラットの網膜中心における、局所的ペルオキシドの増大及び内皮細胞の機能不全は、網膜内皮細胞におけるNADPHオキシダーゼ活性の領域と一致することが明らかにされている(非特許文献6)。更に、ミトコンドリア及び/又は炎症部位における酸化ストレス(ROS)のコントロールは、糖尿病治療のための有益な対処法であり得ることが示されている(非特許文献7)。
【0008】
ROSは更に、アテローム硬化症、細胞増殖、高血圧症、及び、再灌流障害性心臓疾患全体の発現に強く関与する(非特許文献8)。例えば、動脈壁におけるスーパーオキシド産生は、アテローム硬化症の全リスク因子によって強化されるばかりか、ROSは、多くの「プロアテローム性」体外性細胞反応を誘発する。血管細胞におけるROS形成の重要な結果は、一酸化窒素(NO)の消費である。NOは、血管病の発症を抑えるので、NOの消失は、循環器病の発生において重要である。バルーン損傷後において、血管壁のNADPHオキシダーゼ活性の増加が報告されている(非特許文献9)。
【0009】
酸化ストレス又はフリーラジカル傷害は更に、神経変性疾患における主要原因因子であると考えられている。そのような傷害として、ミトコンドリア異常、神経の脱髄疾患、アポトーシス、神経細胞死、及び、進行性神経変性障害をもたらす可能性のある認知機能低下を挙げることが可能である(非特許文献10及び11)。
【0010】
更に、精液によるROSの発生が、多数の動物種において実証され、それが、精子内のNADPHオキシダーゼによるものであることが明らかにされた(非特許文献12)。過度のROS発生は、雄性不妊を含む精子病態、更には、いくつかの陰茎障害及び前立腺癌にも関与することが示唆されている。
【0011】
NADPHオキシダーゼは、膜結合シトクロムb558ドメイン、及び、三つの細胞原形質タンパクサブユニット−−p47phox、p67phox、及び小型のGTPアーゼ、Racから構成される、複数サブユニット酵素である。NOX酵素については、NOX1、NOX2、NOX3、NOX4、NOX5、DUOX1、及びDUOX2を含む7個の異性形が特定されている(非特許文献13、14)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Thabut et al., 2002, J. Biol. Chem., 277:22814−22821
【非特許文献2】Brigham, 1986, Chest, 89(6): 859−863
【非特許文献3】Djordjevic et al., 2005, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 25, 519−525
【非特許文献4】Liua et al., 2004, Am. J. Physiol. Lung, Cell. Mol. Physiol., 287: L111−118
【非特許文献5】Yang et al., 2002, J. Cell. Chem. 84, 645−654
【非特許文献6】Ellis et al., 2000, Free Rad. Biol. Med., 28:91−101
【非特許文献7】Pillarisetti et al., 2004, Expert Opin. Ther. Targets, 8(5):401−408
【非特許文献8】Cai et al., 2003, Trends Pharmacol. Sci., 24:471−478
【非特許文献9】Shi et al., 2001, Throm. Vasc. Biol., 2001, 21, 739−745
【非特許文献10】Nunomura et al., 2001, J. Neuropathol. Exp. Neurol., 60:759−767
【非特許文献11】Girouard, 2006, J. Appl. Physiol. 100:328−335
【非特許文献12】Vernet et al., Biol. Reprod., 2001, 65:1102−1113
【非特許文献13】Leto et al., 2006, Antioxid Redox Signal, 8(9−10):1549−61
【非特許文献14】Cheng et al., 2001, Gene, 16;269(1−2):131−40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、NADPH由来のROSは、多数の疾患、特に、循環器病又は障害、呼吸器障害又は疾患、代謝を乱す疾患又は障害、骨の障害、神経変性疾患、腎臓病、生殖器障害、炎症疾患、生殖器障害又は疾患、痛み、及び、消化器系の癌及び疾患又は障害の発生に寄与する。従って、ROS信号伝達カスケード、特に、NADPHオキシダーゼ(NOX)を標的とする新規活性製剤を開発することができたならば、それはきわめて望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連障害、例えば、循環器病、呼吸器障害、代謝を乱す障害、皮膚及び/又は骨の疾患、神経変性疾患、腎臓病、生殖器障害、炎症性障害、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の疾患又は障害、新脈管形成、及び、新脈管形成依存性病態の治療及び/又は予防に有用な新規分子をその主題とする。特に、本発明は、細胞におけるROS産生の抑制又は低減に有用な新規分子に関する。
【0015】
本発明の第1態様は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りである]並びに、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体を提供する。
【0016】
本発明の第2態様は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りである]並びに、薬物として使用される、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体に関する。
【0017】
本発明の第3態様は、本発明による少なくとも一つのピラゾリンジオン誘導体を含む製剤組成物、並びに、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体、及びその薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤に関する。
【0018】
本発明の第4態様は、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓障害、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の疾患又は障害、新脈管形成、及び、新脈管形成依存性の、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態の治療又は予防に有用な製剤組成物調製のための、本発明によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体の使用に認められる。
【0019】
本発明の第5態様は、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓障害、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の疾患又は障害、新脈管形成、及び、新脈管形成依存性の、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態に罹患する患者を治療する方法に関する。この方法は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りである]並びに、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体を投与することを含む。
【0020】
本発明の第6態様は、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓障害、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の疾患又は障害、新脈管形成、及び、新脈管形成依存性の、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態を治療するための、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りである]並びに、薬物として使用される、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体に関する。
【0021】
本発明の第7態様は、本発明による式(II)に従う、ピラゾリンジオン誘導体中間産物に関する。
【0022】
本発明の第8態様は、本発明による式(II)の中間産物を調製するためのプロセスに関する。
【0023】
本発明の第9態様は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りであり、RはHである]を調製するためのプロセスに関する。
【0024】
本発明の第10態様は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは下記に定義する通りである]を調製するためのプロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明から明らかとなろう。
下記のパラグラフは、本発明による化合物を構成する各種化学成分の定義を提供するものであるが、別に明白に設定される定義によって更に広い定義が提示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通じて等しく適用されることが意図される。
「アルキル」という用語は、単独で、又は他の用語と組み合わせて使用される場合、直鎖又は分枝鎖のC−C20アルキルであって、1から20個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指すアルキルを含む。本用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、テトラヒドロゲラニル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、及びn−エイコサニルなどの基によって例示される。これらの基は、好ましくはC−Cアルキル、より好ましくはC−Cアルキル、特に好ましくはC−Cアルキルを含み、それらは、同様に、それぞれ、1から9個の炭素原子を有する一価のアルキル基、1から6個の炭素原子を有する一価のアルキル基、及び、1から4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指す。これらの基は、特に、C−Cアルキルを含む。
【0026】
「アルケニル」という用語は、単独で、又は他の用語と組み合わせて使用される場合、直鎖又は分枝鎖のC−C20アルケニルを含む。それは、実現可能な任意の位置において実現可能な任意の数の二重結合を有していてもよく、二重結合の形態は、(E)又は(Z)形態であってもよい。本用語は、ビニール、アリール、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、ゲラニル、1−デセニル、1−テトラデセニル、1−オクタデセニル、9−オクタデセニル、1−エイコセニル、及び3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデセニルなどの基によって例示される。これらの基は、好ましくはC−Cアルケニル、より好ましくはC−Cアルケニルを含む。中でも特に好ましいのは、ビニール又はエテニル(−CH=CH)、n−2−プロペニル(アリール、−CHCH=CH)、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、及び3−メチル−2−ブテニルなどである。
「アルキニル」という用語は、単独で、又は他の用語と組み合わせて使用される場合、直鎖又は分枝鎖のC−C20アルキニルを含む。それは、実現可能な任意の位置において実現可能な任意の数の三重結合を有していてもよい。本用語は、2−20の炭素数、及び必要に応じて二重結合を有してもよいアルキニル基、例えば、エチニル(−CoCH)、1−プロピニル、2−プロピニル(プロパルジル、−CHCoCH)、2−ブチニル、2−ペンテン−4−イルニルなどの基によって例示される。これらの基は、特に、C−Cアルキニル、より好ましくはC−Cアルキニルなどを含む。
それらの基は、好ましくはC−Cアルキニルを含み、2から6個の炭素原子を有し、少なくとも1から2個の、アルキニル不飽和部位を有する基を指す。
「ヘテロアルキル」という用語は、C−C12 -アルキル、好ましくはC−C-アルキルにを意味し、ここで、少なくとも一つの炭素が、O、N、又はSから選ばれるヘテロ原子によって置換されるており、2−メトキシエチルなどを含む。
【0027】
「アリール」という用語は、不飽和芳香族炭素環基であって、単環(例えば、フェニル)、又は、多数の縮合環(例えば、インデニル、ナフチル)を有する、6から14個の炭素原子から成る基を指す。アリールとしては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどが挙げられる。
「C−Cアルキルアリール」という用語は、C−Cアルキル置換基を有するアリール基を意味し、メチルフェニル、エチルフェニルなどを含む。
「アリールC−Cアルキル」という用語は、アリール置換基を有するC−C基を意味し、3−フェニルプロパニル、ベンジルなどを含む。
「ヘテロアリール」という用語は、単環のヘテロ芳香族基、又は、2環又は3環の融合環ヘテロ芳香族基を指す。ヘテロ芳香族基の特定例としては、必要に応じて置換されるピリジル、ピロリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジア−ゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3−ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、ベンジミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサ−ゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4−b]ピリジル、ピリド[3,2−b]ピリジル、ピリド[4,3−b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、又はベンゾキノリルが挙げられる。
「C−Cアルキルヘテロアリール」という用語は、C−Cアルキル置換基を有するヘテロアリール基を意味し、メチルフリルなどの基を含む。
「ヘテロアリールC−Cアルキル」という用語は、ヘテロアリール置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、フリルメチルなどの基を含む。
「C−Cアルケニルアリール」という用語は、C−Cアルケニル置換基を有するアリール基を意味し、フェニルビニールなどを含む。
【0028】
「アリールC−Cアルケニル」という用語は、アリール置換基を有するC−Cアルケニル基を意味し、フェニルビニールなどを含む。
「C−Cアルケニルヘテロアリール」という用語は、C−Cアルケニル置換基を有するヘテロアリール基を意味し、ビニールピリジニルなどを含む。
「ヘテロアリールC−Cアルケニル」という用語は、ヘテロアリール置換基を有するC−Cアルケニル基を意味し、ピリジニルビニールなどを含む。
「C−C−シクロアルキル」という用語は、飽和炭素環基であって、単環(例えば、シクロヘキシル)、又は、多数の縮合環(例えば、ノルボルニル)を有する、3から8個の炭素原子から成る基を指す。C−C−シクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどが挙げられる。
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、上述の定義によるC−Cシクロアルキル基において、最大3個の炭素原子が、O、S、NR、[Rは水素又はメチルと定義される]から成る群から選ばれるヘテロ原子によって置換される基を指す。ヘテロシクロアルキルとしては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルフォリニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
「C−CアルキルC−C−シクロアルキル」という用語は、C−Cアルキル置換基を有するC−C−シクロアルキル基を意味し、メチルシクロペンチルなどを含む。
「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」という用語は、C−C−シクロアルキル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、3−シクロペンチルプロピルなどを含む。
「C−Cアルキルヘテロシクロアルキル」という用語は、C−Cアルキル置換基を有するヘテロシクロアルキル基を意味し、4−メチルピリジニルなどを含む。
「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、(1−メチルピペリジン−4−イル)メチルなどを含む。
「カルボキシ」という用語は、基−C(O)OHを指す。
「カルボキシC−Cアルキル」という用語は、カルボキシ置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−カルボキシエチルなどを含む。
【0029】
「アシル」という用語は、基−C(O)Rにおいて、Rが、H、「アルキル」、好ましくは「C−Cアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」を含む基を意味し、アセチルなどを含む。
「アシルC−Cアルキル」という用語は、アシル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−アセチルエチルなどを含む。
「アシルアリール」という用語は、アシル置換基を有するアリール基を意味し、2−アセチルフェニルなどを含む。
「アシルオキシ」という用語は、基−OC(O)Rにおいて、Rが、H、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−C アルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」を含む基を意味し、アセチルオキシなどを含む。
「アシルオキシC−Cアルキル」という用語は、アシルオキシ置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(エチルカルボニルオキシ)エチルなどを含む。
「アルコキシ」という用語は、基−O−Rにおいて、Rが、「C−Cアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、又は「ヘテロアリールC−Cアルキル」を含む基を指す。好ましいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどが挙げられる。
【0030】
「アルコキシC−Cアルキル」という用語は、アルコキシ置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、メトキシエチルなどを含む。
「アルコキシカルボニル」という用語は、−C(O)ORにおいて、Rが、「C−Cアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、又は「ヘテロアルキル」を含む基を指す。
「アルコキシカルボニルC−Cアルキル」という用語は、アルコキシカルボニル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(ベンジルオキシカルボニル)エチルなどを含む。
「アミノカルボニル」という用語は、基−C(O)NRR’において、R及びR’が、それぞれ独立に、H、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、「アリールC−Cアルキル」、又は「ヘテロアリールC−Cアルキル」である基を意味し、N−フェニルカルボニルなどを含む。
「アミノカルボニルC−Cアルキル」という用語は、アミノカルボニル置換基を有するアルキル基を意味し、2−(ジメチルアミノカルボニル)エチル、N−エチルアセトアジル、N,N−ジエチル−アセトアジルなどを含む。
「アシルアミノ」という用語は、−NRC(O)R’において、R及びR’が、それぞれ独立に、H、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」である基を意味し、アセチルアミノなどを含む。
【0031】
「アシルアミノC−Cアルキル」という用語は、アシルアミノ置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(プロピオニルアミノ)エチルなどを含む。
「ウレイド」という用語は、基−NRC(O)NR’R’’において、R、R’、及びR’’が、それぞれ独立に、H、「C−Cアルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「C−Cアリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」であり、且つ、R’及びR’’が、必要に応じて、それらが結合する窒素原子と一緒になって3−8員のヘテロシクロアルキル環を形成することが可能な基を指す。
「ウレイドC−Cアルキル」という用語は、ウレイド置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(N’−メチルウレイド)エチルなどを含む。
「カルバメート」という用語は、基−NRC(O)OR’において、R及びR’が、それぞれ独立に、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C−Cアルキルアリール」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」であり、且つ、Rが、必要に応じて、水素であることも可能な基を指す。
【0032】
「アミノ」という用語は、基−NRR’において、R及びR’が、それぞれ独立に、「C−Cアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C−Cアルキルアリール」、「C−Cアルキルヘテロアリール」、「シクロアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキル」であり、且つ、R及びR’が、必要に応じて、それらが結合する窒素原子と一緒になって3−8員のヘテロシクロアルキル環を形成することが可能な基を指す。
「アミノアルキル」という用語は、アミノ置換基を有するアルキル基を意味し、2−(1−ピロリジニル)エチルなどを含む。
「アンモニウム」という用語は、正電荷の基-NRR’R’’において、R、R’、及びR’’が、それぞれ独立に、「C−Cアルキル」、「C−Cアルキルアリール」、「C−Cアルキルヘテロアリール」、「シクロアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキル」であり、且つ、R及びR’が、必要に応じて、それらが結合する窒素原子と一緒になって3−8員のヘテロシクロアルキル環を形成することが可能な基を指す。
「アンモニウムアルキル」という用語は、アンモニウム置換基を有するアルキル基を意味し、1−エチルピロリジニウムなどを含む。
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子を指す。
「スルホニルオキシ」という用語は、基−OSO−Rにおいて、Rが、「C−Cアルキル」、ハロゲン例えば-OSO−CF基によって置換される「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「アルキニル」、「C−Cシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルアルキル」から選ばれる基を指す。
「スルホニルオキシC−Cアルキル」という用語は、スルホニルオキシ置換基を有するアルキル基を意味し、2−(メチルスルホニルオキシ)エチルなどを含む。
【0033】
「スルホニル」という用語は、基「−SO−R」において、Rが、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C−Cアルキル」、ハロゲンによって置換される「C−Cアルキル」例えば−SO−CF基、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」から選ばれる基を指す。
「スルホニルC−Cアルキル」という用語は、スルホニル置換基を有するアルキル基を意味し、2−(メチルスルホニル)エチルなどを含む。
「スルフィニル」という用語は、基「−S(O)−R」において、Rが、「アルキル」、ハロゲンによって置換される「アルキル」例えば−SO−CF基、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」から選ばれる基を指す。
「スルフィニルアルキル」という用語は、スルフィニル置換基を有するアルキル基を意味し、2−(メチルスルフィニル)エチルなどを含む。
「スルファニル」という用語は、基−S−Rにおいて、Rが、H、「C−Cアルキル」、ハロゲンによって置換される「C−Cアルキル」例えば-S−CF基、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「アルキニルヘテロアリール」、「シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」から選ばれる基を指す。好ましいスルファニル基としては、メチルフルファニル、エチルスルファニルなどが挙げられる。
【0034】
「スルファニルC−Cアルキル」という用語は、スルファニル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(メチルスルファニル)エチルなどを含む。
「スルホニルアミノ」という用語は、基−RNSO−R’において、R及びR’が、それぞれ独立に、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールC−Cアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」から選ばれる基を指す。
「スルホニルアミノC−Cアルキル」という用語は、スルホニルアミノ置換基を有するアルキル基を意味し、2−(エチルスルホニルアミノ)エチルなどを含む。
「アミノスルホニル」という用語は、基−SO−NRR’において、R及びR’が、それぞれ独立に、H、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールC−Cアルキル」、「ヘテロアリールC−Cアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールC−Cアルケニル」、「アリールC−Cアルキニル」、「ヘテロアリールC−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキルC−Cアルキル」、又は「ヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」であり、且つ、R及びR’が、必要に応じて、それらが結合する窒素原子と一緒になって3−8員のヘテロシクロアルキル環を形成することが可能な基を指す。アミノスルホニル基としては、シクロヘキシルアミノスルホニル、ピペリジニルスルホニルなどが挙げられる。
「アミノスルホニルC−Cアルキル」という用語は、アミノスルホニル置換基を有するC−Cアルキル基を意味し、2−(シクロヘキシルアミノスルホニル)エチルなどを含む。
【0035】
個別置換基によって別様に限定されない限り、上記全ての置換基は、全部必要に応じて置換された置換基だと理解されるべきである。
個別置換基によって別様に限定されない限り、「置換された」という用語は、「C−Cアルキル」、「C−Cアルケニル」、「C−Cアルキニル」、「C−C−シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「C−Cアルキルアリール」、「C−Cアルキルヘテロアリール」、「C−Cアルキルシクロアルキル」、「C−Cアルキルヘテロシクロアルキル」、「アミノ」、「アミノスルホニル」、「アンモニウム」、「アシルアミノ」、「アミノカルボニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「スルフィニル」、「スルホニル」、「アルコキシ」、「アルコキシカルボニル」、「カルバメート」、「スルファニル」、「ハロゲン」、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどから選ばれる1から5個の置換基によって置換されている基を指す。
「薬学的に許容可能な塩又は複合体」という用語は、式(I)の、下記に特定される化合物の塩又は複合体を指す。このような塩の例としては、ただしこれらに限定されないが、式(I)の化合物を、有機又は無機の塩基、例えば、金属陽イオン、即ち、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、又はリチウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、又はマグネシウムから成る群から選ばれる金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩と、若しくは、有機物の、第1、第2、又は第3アルキルアミンと反応させることによって形成される塩基添加塩が挙げられる。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、N−Me−D−グルカミン、N,N’−ビス(フェニルメチル)−1,2−エタンジアミン、トロメタミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジンなどから得られるアミン塩は、本発明の範囲内に納まるものと考えられる。
更に考慮の対象とされるものは、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)によって形成される酸添加塩の外、有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマール酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パーム酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルフォン酸、ナフタレンジスルフォン酸、及びポリ−ガラクツロン酸などの酸によって形成される塩がある。
【0036】
「薬学的に活性な誘導体」とは、レシピエントに投与された場合、直接または間接に、本明細書に開示される活性を提供することが可能な任意の化合物を指す。「間接的」という用語はまた、内因性酵素又は代謝を介して薬剤の活性形に変換することが可能なプロドラグを包含する。このプロドラグは、本発明による化合物で、化学的又は代謝的に分解が可能な基を有するNADPHオキシダーゼに対し抑制活性を示す物質の誘導体であり、生体内で、生理的条件下に加溶媒分解によって薬学的に活性な化合物に変換が可能な化合物である。本発明は更に、本発明による化合物の互変異性体を包含する。
「循環器障害又は疾患」という用語は、アテローム硬化症、特に、血管内皮の機能不全と関連する疾患又は障害、例えば、ただしこれらに限定されないが、高血圧、I又はII型糖尿病の循環器合併症、血管内膜過形成、冠状動脈性心疾患、脳動脈、冠状動脈又は動脈性血管痙攣、血管内皮の機能不全、鬱血性心不全を含む心不全、末梢動脈疾患、再狭窄、ステントによる傷害、発作、虚血性発作、血管系合併症、例えば、臓器移植後に見られる合併症など、心筋梗塞、高血圧、アテローム硬化プラーク、血小板凝集、狭心症、動脈瘤、動脈切開、虚血性心疾患、心臓肥大、肺塞栓、深部静脈血栓症を含む血栓事象、臓器移植において見られる、血流又は酸素輸送の回復によって、虚血後に引き起こされる傷害、開心術、血管形成術、出血性ショック、心臓、脳、肝臓、腎臓、網膜、及び腸を含む虚血性臓器の血管形成術などの疾患又は障害を含む。
【0037】
「呼吸器障害又は疾患」という用語は、気管支喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、成人呼吸器症候群、嚢胞性線維症、肺のウィルス感染(インフルエンザ)、肺高血圧、特発性肺線維症、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む。
「アレルギー障害」という用語は、花粉症及び喘息を含む。
「傷害」という用語は、ポリ傷害を含む。
「代謝を乱す疾患又は障害」という用語は、肥満症、メタボリック症候群、及びII型糖尿病を含む。
「皮膚病」又は「障害」という用語は、乾癬、湿疹、皮膚炎、外傷治癒及び肉芽形成を含む。
「骨の障害」という用語は、骨粗鬆症、オステオポラシス(osteoporasis)、骨硬化症、歯周炎、及び上皮小体亢進症を含む。
「神経変性疾患又は障害」という用語は、中枢神経系(CNS)、特に神経細胞レベルにおける変性又は変化、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、癲癇、及び筋ジストロフィーによって特徴づけられる疾患又は状態を含む。本用語は更に、神経炎症及び脱髄状態又は疾患、例えば、白質脳症及び白質ジストロフィーを含む。
「脱髄」という用語は、軸索の周囲のミエリンの変性を含むCNSの状態又は疾患を指す。本発明の背景において、脱髄疾患という用語は、細胞の脱髄を誘発する過程を含む病態、例えば、多発性硬化症、進行性多巣性白質脳症(PML)、ミエロパシー、CNS内自動反応性白血球を含む、任意の神経炎症病態、先天性代謝障害、異常な髄鞘形成を有するニューロパシー、薬剤誘発性脱髄、放射線誘発性脱髄、遺伝性脱髄病態、プリオン誘発性脱髄病態、脳炎誘発性脱髄又は脊髄損傷などを含むことが意図される。好ましくは、該病態は多発性硬化症である。
「腎臓疾患又は障害」という用語は、糖尿病腎症、腎不全、糸球体腎炎、アミノグリコシド及び白金化合物の腎毒性、及び過敏性膀胱を含む。ある特定実施態様では、本発明によるこの用語は、慢性腎疾患又は障害を含む。
「生殖器障害又は疾患」という用語は、勃起不能、受精能障害、前立腺肥大、及び良性前立腺肥大を含む。
【0038】
「眼球及び/又は水晶体を冒す疾患又は障害」という用語は、白内障、例えば、糖尿病白内障、白内障手術後の水晶体白濁の再発、糖尿病及びその他の形の網膜症などを含む。
「内耳を冒す病態」という用語は、老人性難聴、耳鳴、メニエル病及びその他のバランス困難、卵形嚢結石症、前庭片頭痛、並びに、雑音誘発性失聴及び薬剤誘発性失聴(聴器毒性)を含む。
「炎症性障害又は疾患」という用語は、炎症性腸疾患、敗血症、敗血症ショック、成人呼吸促進症候群、膵臓炎、外傷によるショック、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、関節リューマチ、慢性関節リューマチ、動脈硬化、脳内出血、脳梗塞、心不全、心筋梗塞、乾癬、嚢胞性線維症、卒中、急性気管支炎、慢性気管支炎、急性細気管支炎、慢性細気管支炎、骨関節炎、痛風、脊髄炎、強直性脊椎炎、ロイター症候群、乾癬性関節炎、強直性関節炎、若年性関節炎又は若年性強直性脊椎炎、反応性関節炎、感染性関節炎又は感染後関節炎、淋菌性関節炎、梅毒性関節炎、ライム病、「血管炎症候群」によって誘発される関節炎、結節性多発動脈炎、アナフィラキシー血管炎、Leugenec肉芽腫症、リューマチ性多筋痛、関節細胞リューマチ、カルシウム結晶沈着関節炎、偽痛風、非関節炎リューマチ、滑液嚢炎、腱滑膜炎、上踝炎症(テニス肘)、手根管症候群、反復使用による障害(タイピング)、混合型関節炎、神経症関節症、出血性関節炎、血管性紫斑病、肥大性骨関節症、多中心性細網組織球症、特定疾患によって誘発される関節炎、血液色素沈着、鎌状細胞病及びその他のヘモグロビン異常、高脂血症、低ガンマグロブリン血症、上皮小体亢進症、巨人症、家系性地中海熱、ベーチェット病、自己免疫疾患全身性エリテマトーズス、多発性硬化症、及び、単独クローン病、又は多発性軟骨炎再発時と同様の複数クローン病、慢性炎症性腸疾患(IBD)、又は、哺乳動物において、NADPHオキシダーゼを抑制するのに十分な量として式(I)によって表される化合物の治療的有効量を投与することを必要とする関連疾患を意味する。
【0039】
「肝臓疾患又は障害」という用語は、肝線維症、アルコール誘発線維症、脂肪症、及び非アルコール性脂肪肝炎を含む。
「関節炎」という用語は、急性リューマチ性関節炎、慢性リューマチ性関節炎、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、乳び関節炎、腸疾患に基づく関節炎、フィラリア性関節炎、淋菌性関節炎、痛風関節炎、血友病関節炎、肥厚性関節炎、若年性慢性関節炎、ライム関節炎、新生仔馬の関節炎、結節性関節炎、アルカプトン尿性関節炎、乾癬性関節炎又は化膿性関節炎、若しくは、哺乳動物において、NADPHオキシダーゼを抑制するのに十分な量として式(I)によって表される化合物の治療的有効量を投与することを必要とする関連疾患を意味する。
「痛み」という用語は、炎症疼痛に関連する痛覚過敏を含む。
「癌」という用語は、上皮癌(例えば、線維肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、血管内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、骨膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、膀胱癌、または上皮癌)、又は、哺乳動物において、NADPHオキシダーゼを抑制するのに十分な量として式(I)によって表される化合物の治療的有効量を投与することを必要とする関連疾患を意味する。
「消化器系の疾患又は障害」という用語は、胃粘膜障害、虚血性腸疾患管理、腸炎/結腸炎、癌化学療法、又は好中球減少症を含む。
「血管形成」という用語は、発芽性血管形成、陥入性血管形成、脈管形成、動脈形成、及びリンパ管形成を含む。血管形成とは、既存の毛細血管又は毛細血管後・細静脈からの新規血管の形成であり、癌、関節炎及び炎症などの病的状態において起こる。秩序だった組織から構成される、様々な組織又は器官、例えば、血管が、血管形成刺激に応じてその内部に侵入することが可能な皮膚、筋肉、結合組織、関節、骨、及び同様組織などは、病的状態において血管形成を助長する場合がある。本明細書で用いる場合、「血管形成依存性状態」という用語は、血管形成又は脈管形成プロセスが、病的状態を助長又は増強する状態を意味することが意図される。脈管形成は、内皮細胞前駆体である血管芽細胞から生じる新規血管の形成から始まる。二つのプロセスは、新規血管の形成をもたらすが、血管形成依存性病態という用語の意味の中に含まれる。同様に、本明細書において使用される「血管形成」という用語も、血管の新規形成、例えば、脈管形成から生じるものの外、既存の血管、毛細管、及び細静脈の分枝及び発芽から生じるものを含むことが意図される。
【0040】
「血管形成抑制」という用語は、新規脈管形成の程度、量、又は速度の減少に効果的な手段を意味する。組織における内皮細胞の増殖又は移動の程度、量、又は速度の減少をもたらすことは、血管形成抑制の特異的例である。血管形成の抑制活動は、いずれの癌に対してもその治療に有用である。なぜなら、それは、腫瘍の増殖プロセスを標的とするからであり、腫瘍組織の新規脈管形成が起こらないと、腫瘍組織は、必要な栄養素を取得することがなく、増殖が緩慢となり、新たな増殖を止め、後退し、最終的には壊死し、その腫瘍の死をもたらす。更に、血管形成の抑制活動は、いずれの癌に対してもその治療に有用である。なぜなら、それは、転移の形成に対して特に有効だからである。なぜなら、転移の形成も、一次腫瘍の脈管形成を必要とするからであり、それによって、転移癌細胞は、一次腫瘍を抜け出すことが可能となり、二次部位におけるその定着は、該転移の増殖を支える新規脈管形成を必要とするからである。
本明細書で用いる「治療」及び「治療する」などの用語は、一般に、所望の薬理学的、生理学的効果を獲得することを意味する。効果は、病気、その症状又は病態の予防又は部分的予防という点で予防的であってもよいし、若しくは、病気、病態、症状、又は、その病気が原因で起こる不快作用の部分的又は完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書で用いる「治療」という用語は、哺乳動物、特にヒトの疾患の治療であるならばいずれの治療も包含し、下記:(a)ある疾患に罹りやすい素因を有するが、まだそれに罹っているとは診断されていない対象者において該疾患の発生を阻止すること;(b)疾患を抑制すること、即ち、その進行を止めること;又は疾患を緩和すること、即ち、該疾患及び/又はその症状又は病態の後退を誘発すること、を含む。
本明細書で用いる「対象」という用語はほ乳類を指す。例えば、本発明が考慮の対象とするほ乳類は、ヒト、霊長類、家畜動物、例えば、牛、羊、豚、馬などを含む。
本発明の主旨において用いられる「インヒビター」という用語は、NADPHオキシダーゼの活性を部分的又は完全に抑制するか、及び/又は、活性酸素種(ROS)の発生を抑制又は低下させる分子と定義される。
【0041】
本発明による化合物
一実施態様では、本発明は、式(I):
【0042】
【化1】

【0043】
によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、その、薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体を提供する。式中、Rは、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール、例えば、必要に応じて置換されるフェニル(例えば、2−クロロフェニル、2−メトキシフェニル);必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cシクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ、Rは、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアシルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキルから選ばれ;
【0044】
は、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル、必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、H;ハロゲン、ニトロ、必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアミノ;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキルから選ばれ;R10は、H及び必要に応じて置換されるC−Cアルキルから選ばれ;
【0045】
11は、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;
【0046】
12は、H;−Z−NR1314;−CHR1718;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル、例えば、必要に応じて置換されるカルボン酸塩(例えば、tert−ブチルカルボキシレート);必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル、例えば、必要に応じて置換されるフェニルC−Cアルキル、例えば、必要に応じて置換されるフェニルメチル(例えば、ベンジル、2−クロロベンジル、3−メチルベンジル、3−クロロベンジル、4−クロロベンジル、2−メトキシベンジル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル、例えば、ピリジンC−Cアルキル(例えば、必要に応じて置換されるピリジンメチル、例えば、ピリジン−2−イルメチル、ピリジン−3−イルメチル)、又は必要に応じて置換されるフラニルC−Cアルキル(例えば、必要に応じて置換されるフランメチル、例えば、フラン−3−イルメチル)、又は、必要に応じて置換されるピラゾリルC−Cアルキル(例えば、必要に応じて置換されるピラゾリルメチル、例えば、1−メチル−1H−ピラゾル3−イル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;
【0047】
13、R14、R17、及びR18は、それぞれ独立に、H;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル;及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;Xは、O、NR12、S、S=O、及びS(O)から選ばれ;Zは、C(O);C(S);及びSOから選ばれ、nは、0及び1から選ばれる整数である。
【0048】
組成物
本発明は、患者、好ましくは哺乳動物患者、もっとも好ましくはヒト患者、即ち、医学的障害、特に、NADPHオキシダーゼによって仲介される障害、例えば、循環器障害、呼吸器障害又は疾患、代謝障害又は疾患、代謝を冒す疾患又は障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症障害、神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患又は障害、内耳を冒す病態、肝臓疾患、痛み、癌、血管形成依存性病態及び/又は消化器系の疾患又は障害を患う患者を治療するための組成物としての製剤又は治療剤及び方法を提供する。
【0049】
本発明の製剤組成物は、一つ以上のピラゾリンジオン誘導体を、本明細書に記載されるいずれかの形において含むことが可能である。本発明の組成物は更に、一つ以上の薬学的に許容可能な添加成分(単数又は複数)、例えば、アラム、安定剤、抗微生物剤、バッファー、着色剤、芳香剤、アジュバントなどを含んでもよい。
【0050】
本発明の化合物は、従来用いられるアジュバント、担体、希釈剤、又は賦形剤と共に、製剤組成物及びその単位剤形の形状に成形されてもよく、そのような形状において、錠剤又は充填カプセルなどの固体として、又は、溶液、懸濁液、乳剤、エリキシルなどの液体として、又は、同液体によって充たされるカプセルとして、全て経口服用剤として、若しくは、非経口(皮下を含む)服用のための滅菌注射液の形状に成形されてもよい。そのような製剤組成物及びその単位剤形は、成分同士を従来の比率で、活性化合物又は要素の添加付きで、又は添加無しで含んでもよく、この単位剤形は、活性成分を、意図される毎日の用量範囲と一致する、適切な有効量であるならば、いずれの量として含んでもよい。本発明による組成部は、好ましくは、注入可能である。本発明の組成物は更に、液体処方であって、例えば、ただしこれらに限定されないが、水性又は油性懸濁液、溶液、乳液、シロップ、及びエリキシルを含む液体処方であってもよい。経口服用に好適な液体形状は、バッファー、懸濁及び分散剤、着色剤、芳香剤などを含む、適切な水性又は非水性ベヒクルを含んでもよい。組成物は更に、使用前に、水又は他の適切なベヒクルと共に再構築される、乾燥産物として処方されてもよい。このような液体調製品は、添加物、例えば、ただしこれらに限定されないが、懸濁剤、乳化剤、非水性ベヒクル、及び防腐剤を含む添加剤を含んでもよい。懸濁剤としては、ただしこれらに限定されないが、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/砂糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、及び水素添加食用脂肪が挙げられる。乳化剤としては、ただしこれらに限定されないが、レシチン、ソルビタンモノオレエート、及びアカシアが挙げられる。非水性ベヒクルとしては、ただしこれらに限定されないが、食用油、アーモンド油、分留ココナツ油、油状エステル、プロピレングリコール、及びエチルアルコールが挙げられる。防腐剤としては、ただしこれらに限定されないが、メチル又はプロピルp−ヒドロシキベンゾエート、及びソルビン酸が挙げられる。更に別の材料並びに加工技術などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(「レミントンの製薬科学」)、21st Edition, 2005, University of the Sciences in Philadelphia, Lippincott Williams & Wilkinsに記載される。なお、この文書を引用により本明細書に含める。
【0051】
本発明の固体組成物は、通例に従って処方される錠剤又はローゼンジの形状を取ってもよい。例えば、経口服用のための錠剤及びカプセルは、通例の賦形剤、例えば、ただしこれらに限定されないが、結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、及び湿潤剤などの賦形剤を含んでもよい。結合剤としては、ただしこれらに限定されないが、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、澱粉及びポリビニールピロリドンから成る粘滑剤が挙げられる。充填剤としては、ただしこれらに限定されないが、ラクトース、糖、微細結晶セルロース、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、及びソルビトールが挙げられる。潤滑剤としては、ただしこれらに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、及びシリカが挙げられる。崩壊剤としては、ただしこれらに限定されないが、トマト澱粉、及び澱粉グリコール酸ナトリウムが挙げられる。湿潤剤としては、ただしこれらに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。錠剤は、当該技術分野で周知の方法に従ってコートされる。
【0052】
注入可能組成物は、典型的には、注入可能な滅菌生理的食塩水又はリン酸バッファー生理的食塩水、又は、その他の、当該技術分野で公知の注入可能担体を原材料とする。
【0053】
本発明の組成物は更に、例えば、ただしこれらに限定されないが、ココアバター又はグリセリドを含む坐剤基剤を含んでもよい坐剤として処方することが可能である。本発明の組成物は更に、吸入用として、例えば、ただしこれらに限定されないが、溶液、懸濁液、又は乳液を含む形状として、即ち、乾燥粉末、又は、ジクロロジフルオロメタン又はトリクロロフルオロメタンなどの推進剤使用のエロゾルの形で投与されてもよい吸入用として処方されてもよい。本発明の組成物は更に、水性又は非水性ベヒクルを含む経皮処方、例えば、ただしこれらに限定されないが、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、硬膏剤、パッチ、又は膜を含む処方として処方されてもよい。
【0054】
本発明の組成物は更に、非経口投与用として、例えば、ただしこれらに限定されないが、注入又は連続輸液による投与用として処方されてもよい。注入用処方は、油性又は水性ベヒクルにおける懸濁液、溶液、又は乳液の形状を取ってもよく、処方剤、例えば、ただしこれらに限定されないが、懸濁剤、安定剤、及び分散剤を含む処方剤を含んでもよい。組成物は更に、適切なベヒクル、例えば、ただしこれらに限定されないが、滅菌、発熱物質非含有水によって再構築される粉末形状として提供されてもよい。
【0055】
本発明の組成物は更に、埋め込み又は筋肉内注入によって投与されるデポ剤として処方されてもよい。本組成物は、適切なポリマー材料又は疎水性材料(例えば、許容可能な油状物における乳液として)、イオン交換樹脂、又は、難溶性誘導体(例えば、難溶性塩として)と共に処方されてもよい。
【0056】
本発明の組成物は更に、リポソーム製剤として処方されてもよい。このリポソーム製剤は、対象細胞又は爪角質層に浸透し、細胞膜と融合し、リポソーム内容物の細胞内輸送を実現することが可能である。他に適切な処方として、ニオソームを用いることも可能である。ニオソームとは、リポソーム同様の脂質ベジクルであり、その膜は、大部分が非イオン性脂質から成り、それらの脂質の内、いくつかの形状のものは、化合物を角質層を横切って輸送するのに効果的である。本発明の化合物は更に、持続的放出形態として投与することが可能であり、若しくは、持続放出薬剤送達システムから投与することも可能である。代表的持続放出原料に関する説明は、更に、レミントンの製薬科学中の、本発明に含められた材料の中に見出すことが可能である。
【0057】
投与方式
本発明の組成物は、任意の方法で、例えば、ただしこれらに限定されないが、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入、頬内又は鼻腔内投与、又はそれらの組み合わせなどの方法によって投与されてもよい。非経口投与としては、ただしこれらに限定されないが、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、硬膜下腔内、及び関節内投与が挙げられる。本発明の組成物は更に、該成分の徐放を可能にするばかりでなく、緩徐な調節的経静脈輸液を可能にするインプラントの形で投与してもよい。好ましい実施態様では、本発明によるピラゾリンジオン誘導体は、静脈内又は皮下に投与される。
【0058】
本発明は更に、下記の実例によって更に具体的に説明される。なお、これらの例は、いかなる点でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0059】
個体に対し単一用量又は複数用量として投与される投薬は、様々な因子、例えば、薬剤動態特性、患者の状態及び特徴(性別、年齢、体重、健康、大きさ)、症状の程度、同時治療、治療頻度、及び所望の効果などに応じて変動する。
【0060】
組み合わせ
本発明の一実施態様によれば、本発明の化合物、及びその製剤処方は、単独で、又は、癌治療に有用な共作用剤と組み合わせて投与することが可能であり、組み合わせは、例えば、固体腫瘍に対向する従来型化学療法に使用される物質、又は、設計された細胞死を誘発することによって作用する、他のいずれかの分子、例えば、プレDNA分子建設ブロックの合成を阻止する薬剤カテゴリーから選ばれる共作用剤、例えば、メトトレキセート(Abitrexate(登録商標))、フルオロウラシル(Adrucil(登録商標))、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、及びメルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、例えば、細胞核においてDNAを直接傷害する薬剤カテゴリーから選ばれる共作用剤、例えば、シスプラチン(Platinol(登録商標))、及び、抗生物質―ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標))、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標))、及びエトポシド(VePesid(登録商標))、例えば、有糸分裂紡錘体の合成又は分解を実行する薬剤カテゴリーから選ばれる共作用剤、例えば、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びパシタキセル(Taxol(登録商標))と共に行われる。
【0061】
本発明の別の実施態様によれば、本発明の化合物及びその製剤処方は、細胞表面タンパクを標的とする仲介物、例えば、サイトカイン受容体鎖の遺伝子転移産物、及び、受容体標的細胞毒素投与と組み合わせて投与することが可能である。
【0062】
本発明の別の実施態様によれば、本発明の化合物及びその製剤処方は、放射線治療と組み合わせて投与することが可能である。
【0063】
本発明は、本発明による化合物の投与又はその製剤処方の投与において、本発明による化合物又はその製剤処方が、治療有効量として、癌の治療において有用な他の治療処方又は共作用剤(例えば、複数薬剤処方)の前に、と同時に、若しくは、それに次いで投与される投与を包含する。上記共作用剤と同時に投与される、本発明による化合物又はその製剤処方は、同じか又は異なる単数又は複数の組成として、同じか又は異なる単数又は複数の投与ルートを通じて投与することが可能である。
【0064】
別の特定実施態様では、本発明の化合物及び方法は、癌の治療における使用において、本発明による化合物の投与が、典型的には、化学療法、ホルモン療法、又は放射線療法の際、又はその後に実行される使用が考慮の対象となる。
【0065】
別の特定実施態様では、本発明の化合物及び方法は、癌の治療における使用において、本発明による化合物の投与が、典型的には、複数回の化学療法、ホルモン療法、又は放射線療法後に実行され、その際、腫瘍組織に対し血液及び栄養補給を実現して血管形成の回復を誘発することによって毒性攻撃に対する反応を誘導する使用が考慮の対象となる。
【0066】
別の実施態様では、本発明による化合物の投与は、固体腫瘍が切除された部位において転移に対する予防として術後に実行される。
【0067】
患者
ある実施態様では、本発明による患者は、循環器障害又は疾患を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、呼吸器障害又は疾患を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、代謝を乱す疾患又は障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、皮膚障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、骨障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、神経炎症性障害及び/又は神経変性障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、腎臓病を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、生殖器障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患又は障害、及び/又は内耳を冒す病態を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、炎症性障害又は疾患を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、肝臓疾患を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、炎症性痛みなどの痛みに悩む患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、癌を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、血管形成又は血管形成依存性病態を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、アレルギー障害を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、外傷を患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショックを患う患者である。
別の実施態様では、本発明による患者は、消化器系の疾患又は障害を患う患者である。
【0068】
本発明による使用
別の実施態様では、本発明は、式(I)によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、薬剤として使用される、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体を提供する。
【0069】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、Rが、必要に応じて置換されるアリール及び必要に応じて置換されるヘテロアリールから選ばれ;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0070】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、RがHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0071】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、RがHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0072】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R がHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0073】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R及びRがHであり;R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0074】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R、R、R、R、R及びRがHであり;R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0075】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R10がHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0076】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R11がHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0077】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R12がHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0078】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R12が、必要に応じて置換されるアリール C−C、及び必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキルから選ばれ;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0079】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R12が、必要に応じて置換されるアルコキシカルボニルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0080】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、XがOであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11 及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0081】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、XがNR12であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0082】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、nが0であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、及びXが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0083】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、nが1であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、及びXが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0084】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11がHであり;R、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0085】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明によるピラゾリンジオン誘導体であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR17がHであり;R12が-CHR1718であり;XがNR12であり;R、R18及びnが、詳細な説明に定義される通りである誘導体を提供する。
【0086】
別の実施態様では、本発明は、式(I)[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りである]によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、その薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体の使用であって、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の障害、血管形成、及び、血管形成依存性病態、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態の治療又は予防に有用な製剤組成物を調製するための使用を提供する。
【0087】
別の実施態様では、本発明は、式(I)[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りである]によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、その薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に活性なその誘導体であって、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の障害、血管形成、及び、血管形成依存性病態、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態の治療又は予防に有用なピラゾリンジオン誘導体、並びに、その薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に活性なその誘導体を提供する。
【0088】
本発明の化合物は、特に、下記の群:
2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−ベンジル−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a] [1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(2−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(3−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(3−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4] ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
tert−ブチル 2−(2−クロロフェニル)−1,5−ジオキソ−2,3,5,8,9,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(7H)−カルボキシレート;
10−(4−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a] [1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(2−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
【0089】
2−(2−クロロフェニル)−10−(4−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(フラン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
9−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a] ピラジン−1,5−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[2,1−c][1,4]オキサジン−1,5 (10H)−ジオン;
2−(2−メトキシフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(3−メトキシベンジル)−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−[(1−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)メチル]−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;及び
2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン
から選ばれるものを含む。
【0090】
別の実施態様では、本発明は、式(II):
【0091】
【化2】

【0092】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りであり;R15は、必要に応じて置換されるC−Cアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はブチルである]の中間産物を提供する。
【0093】
更に別の実施態様では、本発明は、本発明による式(II)の中間産物であって、下記:
メチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−クロロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート; 及び メチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−メトキシフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート、
から成る群から選ばれる中間産物を提供する。
【0094】
別の実施態様では、本発明は、式(II)による中間産物の調製プロセスであって、式(V)の化合物を式(IV)のアミンと反応させる工程:
【0095】
【化3】

【0096】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りである]を含むプロセスを提供する。
【0097】
別の実施態様では、本発明は、式(I)による化合物の調製プロセスであって、塩基の存在下に式(II)の化合物を環化する工程:
【0098】
【化4】

【0099】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りであり;R はHである]を含むプロセスを提供する。
【0100】
別の実施態様では、本発明は、式(I)による化合物の調製プロセスであって、式(Ia)の化合物を、塩基の存在下にアルキル化剤又はカップリング剤と反応させる工程:
【0101】
【化5】

【0102】
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnは、詳細な説明に定義される通りであり;R は、説明に記載される通りであるがH以外である]を含むプロセスを提供する。
【0103】
別の実施態様では、本発明は、患者を治療する方法であって、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の障害、血管形成、及び、血管形成依存性病態、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ(NADPHオキシダーゼ)関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態を患う患者を治療する方法を提供する。本法は、式(I)による化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【0104】
別の実施態様では、本発明は、血管形成の抑制を必要とする患者において血管形成を抑制する方法であって、式(I)の化合物の血管形成抑制用量を、血管形成の抑制を必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0105】
別の実施態様では、本発明は、本発明に従って、腫瘍の血管形成を抑制することによって腫瘍の新規脈管形成を抑制する方法を提供する。同様に、本発明は、この血管形成抑制法を実行することによって腫瘍増殖を抑制する方法を提供する。
【0106】
ある特定実施態様では、本発明の化合物及び方法は、腫瘍、固体腫瘍、転移巣、癌、メラノーマ、皮膚癌、乳癌、血管腫又は血管線維腫、及び同様の癌を患う患者の腫瘍組織の治療における使用が考えられ、抑制される血管形成は、腫瘍組織の新規脈管形成が見られる腫瘍組織血管形成である。本発明の化合物及び方法によって治療が可能な典型的固体腫瘍組織としては、ただしこれらに限定されないが、皮膚、メラノーマ、肺、膵臓、乳房、結腸、咽頭、卵巣、前立腺、結腸直腸、頭部、頚部、睾丸、リンパ系、骨髄、骨、肉腫、腎臓、汗腺などの組織の腫瘍が挙げられる。治療される癌の更に別の例としては、グリア芽細胞腫がある。
【0107】
別の特定実施態様では、本発明の化合物及び方法は、炎症組織の治療における使用が考えられ、抑制される血管形成は、炎症組織の血管形成で、炎症組織の新規脈管形成の見られる血管形成である。この場合、本発明による化合物及び方法は、慢性関節リューマチ患者などに見られる関節炎組織、免疫性又は非免疫性炎症組織、乾癬組織などにおける血管形成の抑制を考慮の対象とする。
【0108】
ある実施態様では、本発明は、組織における血管形成の抑制を考慮の対象とする。組織における血管形成の程度、従って、本発明の方法によって達成される抑制の程度は、本明細書に記載されるものなど、様々な方法によって評価することが可能である。
【0109】
別の実施態様では、本発明は、式(I)による、少なくとも一つのピラゾリンジオン誘導体、及び、その薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含む製剤組成物を提供する。
【0110】
本発明の化合物は、プログラムACD/名称(製品バージョン10.01)において使用されるIUPAC標準に従って命名された。
【0111】
本発明による化合物は、式(I)による化合物、その互変異性体、その幾何異性体、その光学的に活性な形体、例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーなど、及びそのラセミ形体、並びに、薬学的に許容可能な、その塩を含む。本発明において例示される誘導体は、下記の一般的方法及び手順を用い、簡単に入手可能な開始材料から調製することが可能である。典型的又は好ましい実験条件(即ち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が提示されている場合でも、他の実験条件も、別様に言明されない限り、使用が可能であることが了解されよう。最適反応条件は、使用される特定反応因子又は溶媒と共に変動してよく、そのような条件は、当業者によって通例の最適化手順を用いることによって決定することが可能である。
【0112】
本明細書に引用される参考文献は、引用することによってその全体が本明細書に含まれる。本発明の範囲は、本発明の個別態様それぞれの例示であることが意図される本明細書に記載される特定実施態様によって制限されてはならない。実際、本明細書に図示し記載するものの外に、本発明の様々な修正が、前述の説明及び付属の図面から当業者には明白となろう。そのような修正は、添付の特許請求項の範囲内に納まることが意図される。
(実施例)
【0113】
本発明が説明されたところで、下記の実施例を、具体的説明の観点からで、限定のためではなく、提示する。
【0114】
本発明の化合物の合成
式(I)による新規誘導体は、下記の一般的方法及び手順を用い、簡単に入手可能な開始材料から調製することが可能である。典型的又は好ましい実験条件(即ち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が提示されている場合でも、他の実験条件も、別様に言明されない限り、使用が可能であることが了解される。最適反応条件は、使用される特定反応因子又は溶媒と共に変動してよく、そのような条件は、当業者によって通例の最適化手順を用いることによって決定することが可能である。
【0115】
式(I)の化合物を取得するための一般的合成法は、下記のスキーム1に図示される。式(I)によるピラゾロピリジン誘導体[式中、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X 及びnは上に定義した通りである]は、特注又は市販の、式(VIII)による置換されたヒドラジン誘導体、式(IX)によるアセトンジカルボキシレート誘導体、式(IV)による一次アミン誘導体、及び、式(VI)によるトリアルキルオルトエーテル誘導体から、下記のスキーム1に略述した合成経路に従って4から5段階の化学工程において調製することが可能である。より特異的方法では、式(VIII)によるヒドラジン誘導体[式中R は上に定義した通り−−は、式(IX)によるアセトンジカルボキシレート誘導体[式中R 及びR15 は下記に定義する通り−−と、ベンゼン、トルエン、又は他の非反応性溶媒などの適切な溶媒中で、化合物の内在的反応に依存する時間に亘って、中性・還流条件下に反応させて、式(VII)による、対応する4−置換2−ヒドロシキルピラゾル誘導体を提供する。
【0116】
【化6】

【0117】
式(VII)による中間化合物は更に、式(VI)によるトリアルキルオルトエステル[式中R、R及びR16は上に定義した通りである]と、酢酸の存在下、還流条件下に反応させて式(V)の中間産物の形成を可能とする。式(V)の中間産物は更に、式(IV)による一次アミン誘導体[式中R、R、R、R、R10、R11、X、及びnは上に定義した通りである]によって、アセトニトリルなどの溶媒中でゼロ度から室温の温度において処理されると、式(III)の中間化合物を提供する。式(III)の中間化合物は、通常単離されず、そのままで自発的に同じ反応条件下で、又は場合によって加熱を要することもあるが、式(II)による中間産物[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R15、X及びnは上に定義した通りである]を提供する。
【0118】
式(Ia)、即ち、式(I)[式中RはHである]のピラゾロ誘導体は、スキーム1に示すように、式(II)の中間化合物の環化の後、好ましくはプロトン性溶媒中で、メタノール酸ナトリウム、イソプロパノール酸ナトリウムなどの塩基の存在下に、当業者に周知の標準的還流条件下に単離される。この反応は、上述のスキーム1に示すように、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又は他の非反応性溶媒などの溶媒中で、室温(ただし、通常は、通例の加熱法又はマイクロウェーブ法を要する)で、式(II)による化合物の内在的反応性に依存する時間に亘って、当業者に周知の標準条件を用いて実行してもよい。
【0119】
次の工程において、式(Ia)のピラゾロピリジン誘導体は、アルキルクロリド、ブロミド、イオダイド、又はメシレートなどの、RWのアルキル化剤[式中、R及びWは上に定義した通りである]によって、適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルフォルムアミド又はテトラヒドロフラン中の塩基として、例えば、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、又は炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下に、従来の加熱法によって、又は、マイクロウェーブ技術を用いて処理された。それとは別に、式(Ia)のピラゾロピリジン誘導体は、無水物、塩化アシル、又はカルボン酸[式中、Rは上に定義した通りである]によって、適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルフォルムアミド又はテトラヒドロフランにおいて、例えば、トリエチルアミンなどの適切な塩基の存在下に、従来の加熱法によって、又は、マイクロウェーブ技術を用いて処理された。これらの処理プロセス後、式(Ib)によるピラゾロピリジン誘導体は、スキームに示すような、当業者には周知の標準的技術によって単離される。
【0120】
【化7】

【0121】
もう一つの後続工程では、式(Ia又はIb)のピラゾロピリジン誘導体は、m−クロロ過安息香酸又は酸素などの酸化剤によって、メソ−テトラフェニルポルフィンの存在下で、従来の加熱法によって、又は光化学技術を用いて処理された。この反応は、テトラヒドロフラン又はジクロロメタン、又は他の非活性溶媒などの溶媒において、室温で、式(Ia又はIb)による化合物の内在的反応性に依存する時間に亘って実行されてもよい。このプロセスの後、式(Ic又はId)によるピラゾロピリジン誘導体は、上のスキーム2に示すように、当業者に周知の標準的技術によって単離される。
【0122】
式(IV’)による一次アミン誘導体[式中、XはNCHR1718であり、置換基R、R、R、R、R10、R11、R17、R18、及びnは上に定義した通りである]は、式(XI)又は(X)の中間産物から1又は2段階の化学工程を経て、特注又は市販の、式(X)による置換されたアミン誘導体から、式(XII)によるアルデヒド又はケトン誘導体から、下記のスキーム3に略述した合成経路に従って調製することが可能である。
【0123】
【化8】

【0124】
より特異的方法では、式(X)による置換されたアミン誘導体[式中、R、R、R、R、R10、R11及びnは上に定義した通りである]は、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下、式(XII)によるアルデヒド又はケトン誘導体[式中、R17、R18は上に定義した通りである]と、ジクロロエタン、ジクロロメタン及びメタノール、又は他の非活性溶媒などの適切な溶媒において、式(XII)による化合物の内在的反応性に依存する時間に亘って反応させられて、式(XI)又は式(IV’)、即ち式(IV)による対応アミン誘導体[式中、XはNCHR1718.である]を提供する。式(XI)による中間化合物は更に、スキーム3に示すように当業者に周知の標準的技術を用い、ジオキサンなどの適切な溶媒中で塩酸によって処理されると、式(IV’)による一次アミン誘導体[式中、R、R、R、R、R10、R11、R17、R18及びnは上に定義した通りである]が得られる。
【0125】
下記の略語は、それぞれ、以下の定義に基づく
A (オングストローム), AcO (無水酢酸), eq. (当量), min (分), h (時), g (グラム), MHz (メガヘルツ), mL (ミリリットル), mm (ミリメートル), mmol (ミリモル), mM (ミリモル), ng (ナノグラム), nm (ナノメートル), rt (室温), α−SMA (アルファ平滑筋アクチン), BLM (ブレオマイシン), BSA (牛血清アルブミン), DCE (ジクロロエタン), DCF (2,7−ジクロロジヒドロフルオロセイン), DCM (ジクロロメタン), DEPC (ジエチルピロカルボネート), DIPEA (ジ−イソプロピルエチラミン), DMSO (ジメチルスルフォキシド), DMF (N,N−ジメチルフォルムアミド), DAPI (4,6 ジアミジノ−2−フェニルインドール), DPI (ジフェニル−イオジニウム), cHex (シクロヘキサン), EDTA (エチレンジアミン4酢酸), EGF (上皮増殖因子), EtOAc (酢酸エチル), FC (シリカゲル上フラッシュクロマトグラフィー), GAPDH (グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ), HBSS (ハンクス緩衝塩類溶液), HPLC (高速液体クロマトグラフィー), HDCF−DA (2′,7′−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート), MEM (2−メトキシエトキシメチル), MS (質量分析), MOPS (3−(N−モルフォリノ)プロパンスルフォン酸), NaBH4 (水素化ホウ素ナトリウム), NADPH (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドジフォスフェート還元形), NBT (ニトロブルーテトラゾリウム), NMR (核磁気共鳴), PBS (リン酸緩衝生理的食塩水), PetEther (石油エーテル), ROS (活性酸素種), RIPA (ラジオイムノ沈降バッファー), SDS (ドデシル硫酸ナトリウム), SOD (スーパーオキシドジスムターゼ), SPA (シンチレーション近接アッセイ), tBuOK (カリウムtert−ブトキシド),TEA (トリエチルアミン), TFA (トリフルオロ酢酸), TGF−β (腫瘍増殖因子ベータ), THF (テトラヒドロフラン), TLC (薄層クロマトグラフィー), TRIS (トリスヒドロキシメチルアミノメタン), UV (紫外線)。
【0126】
もしも上記一組の一般的合成法が、式(I)による化合物、及び/又は式(I)の化合物の合成のために必要な中間産物を得るのに適用不能である場合には、当業者に公知の適切な調製法を用いなければならない。一般に、式(I)の個別化合物については、そのいずれの合成経路も、各分子の特定置換基、及び、必要中間産物の速やかな利用可能性に依存するが、これらの要因もまた当業者には了知される。全ての保護及び脱保護法に関しては、Philip J. Kocienski, in “Protecting Groups(保護基)”, Georg Thieme Verlag Stuttgart, 2005、及びTheodora W. Greene and Peter G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)”, Wiley Interscience, 4th Edition 2006を参照されたい。
【0127】
本発明の化合物は、溶媒分子と関連づけて、適切な溶媒の蒸発による結晶化によって単離することが可能である。塩基性中心を含む式(I)の化合物の薬学的に許容可能な酸添加塩は、従来法によって調製することが可能である。例えば、遊離塩基の溶液は、適切な酸によって、純粋状態(ニート)又は適切な溶液状態において処理し、得られた塩は、ろ過、又は、反応溶媒の減圧蒸留によって単離してもよい。薬学的に許容可能な塩基添加塩も、同様にして、式(I)の化合物の溶液を適切な塩基によって処理することによって取得することが可能である。いずれのタイプの塩も、形成し、又は、イオン交換樹脂技術を用いることによって相互交換することが可能である。
【0128】
下記では、本発明が、いくつかの実施例に基づいて具体的に説明され、これらを、本発明の範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0129】
後述の実施例に提示されるHPLC、NMR、及びMSのデータは、下記のようにして得られる:HPLC:カラムは、Waters Symmetry C8 50 x 4.6 mm、条件:MeCN/HO、5から100% (8分), max plot 230−400 nm;質量分析スペクトラム:PE−SCIEX API 150 EX (APCI及びESI), LC/MSスペクトラム: Waters ZMD (ES); H−NMR: Bruker DPX−300MHz。
【0130】
予備的HPLC精製は、カラムPrep Nova−Pak(登録商標)HR C186 μm 60A, 40x30 mm (最大 100 mg)、又は、XTerra(登録商標) Prep MS C8, 10 μm, 50x300 mm (最大1g)を装備した、HPLC Waters Prep LC 4000 Systemによって実行される。全ての精製は、MeCN/HO 0.09% TFAの勾配;254 nm 及び220 nmにおけるUV検出;流量 20 mL/分(最大50 mg)によって行われる。TLC分析は、Merck Precoated 60 F254 プレートにおいて行われる。フラッシュクロマトグラフィーによる精製は、溶出液としてシクロヘキサン/EtOAc 又はDCM/MeOH混合液を用いSiO 支持体上で行う。
【0131】
実施例1:2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン(1)の形成 (化合物Ia、スキーム1)
【0132】
【化9】

【0133】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び、ピリジン−2−カルバルデヒドを開始材料として、標記の化合物(1)を、黄色固体として32%収率(97%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 422.9.
【0134】
実施例2:10−ベンジル−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン(2)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0135】
【化10】

【0136】
実施例3に略述される一般法に従って、2−メトキシフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び、ベンズルデヒドを開始材料として、標記の化合物(2)を、黄色固体として32%収率(94%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 417.7.
【0137】
実施例3:10−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン(3)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0138】
【化11】

【0139】
a) メチル[1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート (式(VII)の化合物、スキーム1)
【0140】
【化12】

【0141】
無水トルエン(50 ml)に分散させた2−クロロフェニルヒドラジン(1.82 g, 10.16 mmol、1当量)の懸濁液に対し、ジイソプロピルエチルアミン(2.1 ml, 12.19 mmol、1.2当量)、及びジメチル3−オキソペンタンジオエート(1.77 g, 10.16 mmol、1当量)を続けて加えた。得られた混合物を、Dean−Stark装置を用いて130−140°Cで加熱した(若干の含水トルエンを留去させた)。2時間後、ヒドラジン中間産物が明瞭に形成された。次に、更に別のジイソプロピルエチルアミン(2.1 ml, 12.19 mmol、1.2当量)を加え、得られた混合物を、Dean−Stark装置を用いて140°Cで加熱した。残留ヒドラジンの大部分は、この未精製混合物をトルエンで洗浄することによって除去することが可能である。得られた褐色油状物は、SiO.においてフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。純粋なメチル[1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート1.65 gを黄色固体として取得した。収率61%。MS(ESI): 267.8; MS(ESI): 265.6.
【0142】
b) メチル[4−(クロロアセチル)−1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート(式(V)の化合物、スキーム1)
【0143】
【化13】

【0144】
上で得られたメチル[4−(クロロアセチル)−1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート(式(IV)の化合物、0.60 g)を、窒素下に、アセトニトリル(5 mL)及び氷酢酸(14 mg、0.1当量)及び2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン(1.5 g)中に懸濁し、70°Cで45−60分加熱した。得られた赤色溶液を減圧濃縮し赤色シロップを得、これを、シクロヘキサンで洗浄し、次いで減圧乾燥した。相対的不安定性のために、メチル[4−(クロロアセチル)−1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテートのそれ以上の精製は実行しなかった(0.77 g、定量的収量)。MS(ESI): 344.3; MS(ESI): 342.2.
【0145】
c) メチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−クロロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル]アセテート (式(II)の化合物、スキーム1)
【0146】
【化14】

【0147】
3 mLのアセトニトリルに溶解した、上で得られたメチル[4−(クロロアセチル)−1−(2−クロロフェニル)−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾル3−イル]アセテートの溶液(式(V)の化合物、1.88 mmol、1当量)に、摂氏ゼロ度において、N−ベンジルプロパン−1,3−ジアミン(0.277 mg、0.9当量)をゆっくりと加えた。この反応混合物を0°Cで0.5時間攪拌した。得られた溶液を、酢酸エチル/0.1%トリエチルアミンを用いシリカプラグによって精製した。溶媒は減圧留去して赤色固体を単離させた。このものは、純粋なメチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−クロロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル]アセテート(0.530 g)であることが判明した。収率71%。MS(ESI): 454.0.
【0148】
d) 10−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (式(Ia)の化合物、スキーム1)
窒素下、ナトリウム(0.055 g, 2.4 mmol、2当量)をMeOH(3 ml)に溶解することによって得られる、MeONaのイソプロパノイン酸液を、メチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−クロロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル−3−イル]アセテート(式(II)の化合物(530 mg, 1.2 mmol、1当量)で処理した。この反応混合物を室温で0.5時間攪拌し、水(8 mL)で希釈し、1M HCl液を加えることによってpH6に中和した。沈殿物をろ過採取し、減圧乾燥した。この粗製物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製したところ、129 mgの純粋産物10−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオンが得られた。収率26%。HNMR (500MHz, DMSO−d6): 1.62−1.68 (m, 2H); 2.83 (t, 2H, J=7.5Hz); 3.62−3.66 (m, 2H); 4.40−4.76 (m, 2H); 5.73 (s, 1H); 7.21−7.32 (m, 5H); 7.44−7.50 (m, 2H); 7.55−7.60 (m, 1H); 7.61−7.67 (m, 1H); 10.75−10.68 (bs, 1H). MS(ESI): 421.9.
【0149】
実施例4:10−(2−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (4)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0150】
【化15】

【0151】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び、2−クロロベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(4)を、黄色固体として28%収率(98%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 456.3;
【0152】
実施例5:2−(2−クロロフェニル)−10−(3−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (5)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0153】
【化16】

【0154】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び、3−メトキシベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(5)を、黄色固体として35%収率(95%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 451.9.
【0155】
実施例6:10−(3−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (6)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0156】
【化17】

【0157】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び、3−クロロベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(6)を、黄色固体として32%収率(98%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 456.4;
【0158】
実施例7:2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (7)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0159】
【化18】

【0160】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、及び3−プロパン−1,3−ジアミンを開始材料として、標記の化合物(7)を、黄色固体として24%収率(98%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 331.9.
【0161】
実施例8:tert−ブチル 2−(2−クロロフェニル)−1,5−ジオキソ−2,3,5,8,9,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(7H)−カルボキシレート (8)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0162】
【化19】

【0163】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及びジ−tert−ブチルカーボネートを開始材料として、標記の化合物(8)を、黄色固体として36%収率(97%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 431.9.
【0164】
実施例9:10−(4−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (9)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0165】
【化20】

【0166】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び4−クロロベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(9)を、黄色固体として30%収率(98%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 456.4.
【0167】
実施例10:2−(2−クロロフェニル)−10−(2−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (10)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0168】
【化21】

【0169】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び2−メトキシベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(10)を、黄色固体として33%収率(94%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 451.9.
【0170】
実施例11:2−(2−クロロフェニル)−10−(4−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヘドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (11)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0171】
【化22】

【0172】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び4−メトキシベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(11)を、黄色固体として32%収率(96%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 451.9.
【0173】
実施例12:2−(2−クロロフェニル)−10−(フラン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (12)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0174】
【化23】

【0175】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及びフラン−3−カルバルデヒドを開始材料として、標記の化合物(12)を、黄色固体として32%収率(95%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 411.9.
【0176】
実施例13:9−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a]ピラジン−1,5−ジオン (13)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0177】
【化24】

【0178】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、及びN−ベンジルエタン−1,2−ジアミンを開始材料として、標記の化合物(13)を、黄色固体として18%収率(90%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 408.0.
【0179】
実施例14:2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[2,1−c][1,4]オキサジン−1,5(10H)−ジオン(14)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0180】
【化25】

【0181】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、及び2−アミノエタノールを開始材料として、標記の化合物(14)を、黄色固体として35%収率(91%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 318.8.
【0182】
実施例15:2−(2−メトキシフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (15)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0183】
【化26】

【0184】
実施例3に略述される一般法に従って、2−メトキシフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及びピリジン−2−カルバルデヒドを開始材料として、標記の化合物(15)を、黄色固体として30%収率(94%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 418.6.
【0185】
実施例16:10−(3−メトキシベンジル)−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン(16)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0186】
【化27】

【0187】
実施例3に略述される一般法に従って、2−メトキシフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び3−メトキシベンズアルデヒドを開始材料として、標記の化合物(16)を、黄色固体として33%収率(97%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 447.6;.
【0188】
実施例17:2−(2−クロロフェニル)−10−[(1−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)メチル]−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (17)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0189】
【化28】

【0190】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及び1−メチル−1H−ピラゾル−3−カルバルデヒドを開始材料として、標記の化合物(17)を、黄色固体として29%収率(93%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 425.9.
【0191】
実施例18:2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン (18)の形成(化合物Ia、スキーム1)
【0192】
【化29】

【0193】
実施例3に略述される一般法に従って、2−クロロフェニルヒドラジン、ジメチル3−オキソペンタンジオエート、2−クロロ−1,1,1−トリエトキシエタン、3−プロパン−1,3−ジアミン、及びピリジン−3−カルバルデヒドを開始材料として、標記の化合物(18)を、黄色固体として30%収率(98%純度、HPLCによる)で単離した。MS(ESI): 422.9.
【0194】
実施例19:種々の細胞培養体における活性酸素種レベルの測定
本発明による化合物の活性は、細胞酸素由来の活性酸素種(ROS)の形成に対する抑制又は減少におけるその活性について試験することが可能である。本化合物の活性は、下記の細胞培養体において、種々の技術、例えば、ニトロブルーテトラゾリウム、Amplex Red、ケミルミネセンス(Luminol)、及び、2’,7’−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(HDCF−DA)を下記に詳述するプロトコールに従って用いて試験される。
【0195】
ヒト・ミクログリア細胞系統
ヒトのミクログリア細胞系統(MHC3、ヒト・ミクログリアクローン3)(Janabi et al., 1995, Neurosci. Lett. 195:105)を、50 U/mlのペニシリンGナトリウム、50 μg/mlの硫酸ストレプトマイシン添加の10% FBSを含むMEM(イーグルの最少必須培地)において培養し、37°Cで24時間インキュベートした。IFN−γ(ヒトのIFN−γ、Roche、11 040 596 001)を、培養液に、最終濃度が10 ng/ml 24時となるように加え、次いで、O形成を検出した。
【0196】
ヒト臍静脈の内皮細胞(HUVEC)
HUVECを、ハイドロコーチゾン(1 μg/mL、CalbioChem)、牛脳抽出物(12 μg/mL)、ゲンタマイシン(50 μg/mL, CalbioChem)、アンフォテリシンB(50 ng/mL, CalbioChem)、EGF(10 ng/mL)、及び10% FCSを添加した内皮基礎培地において第4継代まで培養した。第5継代を開始する時、細胞は、別様に指示しない限り、EGF無添加下、より低い濃度(2%)のFCSによって培養した。全ての実験は、第5継代細胞について行った。細胞は、コントロールとしてOxLDL(酸化低密度リポタンパク)又はそのバッファーと共にインキュベートし、次いで、O形成を検出した。
【0197】
HL−60細胞
ヒトの急性骨髄性白血病細胞系統HL−60を、10%熱不活性化牛血清、2 mMグルタミン、100 U/mLペニシリン(Sigma)、及び100 μgのストレプトマイシン(Sigma)を添加したRPMI 1640(Invitrogen)において37°Cで、5% COの加湿雰囲気下に培養した。HL60の、好中球表現形への分化は、培養液にMeSO (最終濃度1.25% v/v、6日間)を加えることによって誘発した。
【0198】
1.ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)
細胞内及び細胞外スーパーオキシドは、定量的ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)試験を用い比色技術によって測定した。スーパーオキシド陰イオンの存在下における、NBTから青色の微粒子沈殿であるフォルマザンへの変換はSOD抑制が可能であるが、これは、Flustar Optima分光光度計(BMG labtech)を用いて測定した。適切な刺激と共にインキュベートした後、細胞は、トリプシン処理(1X Trypsin−EDTA)し、遠心によって収集し、PBSによって洗浄して培養液を取り去った。5 X 10 細胞を48ウェルプレートに撒き、本発明による化合物の存在下又は不在下に、800 U/mL SODの添加又は添加無しで、0.5 mg/mL NBTを含むハンクスの平衡塩類溶液中でインキュベートした。コントロールとして、DPIを、10 μMの最終濃度において含めた。2.5時間後、細胞を固定し、メタノールで洗浄し、非還元NBTを除去した。次に、還元フォルマザンを、230 μlの2M水酸化カリウム、及び280 μlのジメチルスルフォキシドに溶解した。吸収は630 nmにおいて測定した。計算のために、630 nmにおける吸収は、各個別ウェルについて正規化した。各時点において、各補正値から、4個のブランク値の平均を差し引いた。NOX活性は、コントロール細胞の活性の%として表した。DPI−処理細胞の残留活性は通常<10%であった。
【0199】
2.Amplex Red
細胞外過酸化水素は、Amplex Ultrared(Molecular Probes)を用いて測定した。細胞は、トリプシン処理(1X Trypsin−EDTA)し、遠心によって収集し、1%グルコースを添加したHBSSによって再懸濁した。細胞は、黒色96ウェルプレートに、本発明による化合物の存在下又は不在下に、200 μlの試験バッファー(0.005 U/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(Roche)、及び50 μM Amplex Redを含むHBSS 1%グルコース)に対し50,000細胞の密度で撒いた。コントロールとして、DPIを、10 μMの最終濃度において含めた。プレートは、Optima Fluorescentプレートリーダーに納め、37°Cで20分維持した。蛍光は、励起波長及び発光波長を、それぞれ、544 nm及び590 nmとして15分測定した。NOX活性は、コントロール細胞の活性の%として表した。DPI−処理細胞の残留活性は通常<10%であった。
【0200】
下記の表1は、上述のように、DMSO差別化HL60細胞を用いAmplex Redによって測定したNOX活性の抑制パーセントを要約したものである。
【0201】
【表1】

【0202】
下記の表2は、上述のように、DMSO差別化HL60細胞を用いAmplex Redによって測定したNOX活性のIC50を要約したものである。
【0203】
【表2】

【0204】
3.ケミルミネセンス(Luminol)
ROSは、ケミルミネセンスプローブのルミノールを用いて測定した。細胞は、Amplex Red剤を10 μg/mLのルミノール(Sigma 09235)で置き換えたことを除き、Amplex Redの場合と同様に培養した。発光は、FluoStar Optima蛍光プレートリーダーの蛍光機能を用い37°Cで60分連続記録した。各時点において、各補正値から、4個のブランク値の平均を差し引いた。NOX活性は、コントロール細胞の活性の%として表した。DPI−処理細胞の残留活性は通常<10%であった。
【0205】
4. 2′,7′−ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(HDCF−DA)
HUVECは、カバースリップに撒き、0.5% BSAにおいて一晩休止させ、次いで、TGF−βによって刺激した。細胞に対し、暗黒下、本発明による化合物の存在下又は不在下に、フェノールレッド非含有培養液において5 μM CM−H2DCFDAを10分間負荷した。次に、細胞を、固定後、DAPIによって核を染色した後免疫蛍光顕微鏡検査によって可視化するか、又は、共焦点顕微鏡検査によって生きた状態で調べた。DCF蛍光は、488 nmの励起波長及び515から540 nmの発光波長において可視化した。指示染料の光酸化を避けるために、画像は、全てのサンプルについて同じパラメータによる単一高速スキャンによって収集した。計算のために、540 nmにおける吸収は、各個別ウェルの540 nmにおける吸収について正規化した。各時点において、各補正値から、4個のブランク値の平均を差し引いた。NOX活性は、コントロール細胞の活性の%として表した。DPI−処理細胞の残留活性は通常<10%であった。
【0206】
実施例20:自発的高血圧ラット(SHR)における血圧測定
本発明の化合物の、高血圧症治療能力を試験するために、下記のアッセイを実行する。
収縮期血圧が170 mmHgを上回る、11週齢のSHRを用いる。本発明による化合物は、ラットに対し、約3、10、30、及び100 mg/kgの用量で10:00から12:00において経口的に投与される。1日間の動的分析を実行するために、平均血圧、収縮及び拡張血圧、及び心拍数を、本発明による化合物の第1投与後、2、4、6、8、及び24時間後に監視する。その後、血圧を、二日置きに2週間、午前中及び24時間時点、及び化合物の半減期において監視する。
【0207】
最後の注射後、24時間時点が監視される。動物は、化合物の消失を監視するために、更にもう1週間治療無しでコントロールとして扱われる。動物は、2週間1日1回、胃管栄養用の特別注入針によって5 ml/kgで処置される。動物は、使用前、2週間馴化され、更に1週間訓練される。血圧は、覚醒ラットにおいて、尾部血管カフプレチスモグラフィー(Codas 6, Kent)によって測定する。動物は、数日間の訓練後群に分けられるが、SBPの変動性は≦40 mmHg、即ち、+/− 20 mmHgであった。基礎測定は、少なくとも実験の二日前に行った。実験の開始前、均一な群を構築するために、動物はランダム化した。
【0208】
実施例21:マウスにおけるブレオマイシン誘発性肺傷害
本発明による化合物の、呼吸器障害又は疾患の予防又は治療能力を試験するために、下記のアッセイを実行する。
特発性肺線維症などの呼吸器障害又は疾患に見られるものに相当する肺病巣を惹起するために、致死量未満のブレオマイシン(BLM)単一用量(1匹のマウス当たり、40 μlの0.9% NaClに溶解した0.0125UI)を動物の気管内に投与する。コントロール動物も同じプロトコールに従って処置したが、ただし、BLMの代わりに同じ容量の気管内生理的食塩水を投与した。気管内注入は、ケタミン(80 mg/体重kg、i.p.)及びキシラジン(20 mg/体重kg、i.p.)の麻酔下に行う。気管内BLM又は生理的食塩水投与の5週後、致死量のペントバルビタールナトリウムの注入後に腹大動脈を瀉血することよって動物を殺した。肺は、重量測定し、後述するように、生化学検査用(群当たりn=10肺)及び組織学検査用(群当たりn=5肺)に別々に処理した。動物は、4群にランダムに分類した:コントロール−生理的食塩水(n=8)及びコントロール+BLM(n=15);化合物用量1+BLM(n=15)及び化合物用量2+BLM(N=15)。治療ベヒクル又は化合物は5週間投与する。
【0209】
マウスは、予防モデルでは0日から始めて5週間、治療モデルでは10日目から始めて5週まで、本発明による化合物、又は、生理的食塩水/コントロールを毎日経口投与することによって処置する。酸可溶性コラーゲンの肺全体における沈着をSircolアッセイによって分析する。
【0210】
予防モデル
大筋で上述のプロコールに従った。0日目、動物に対し、肺病巣を惹起するために、0.0125 UIのブレオマイシン(20 μl)を気管内に注入した。予防処置群には、本発明の化合物をやはり0日目から始めて1日1回5週間経口投与した。動物は、4群にランダムに分類した:コントロール−生理的食塩水(n=11);コントロール+BLM(n=12);本発明の化合物3の40 mg/kg経口投与+BLM(n=12);及びPirfenidone(AQCHEM, ref P1002)(肺、腎臓、及び肝臓を含む多発性線維症病態に対する活性が知られる抗線維症剤)の100 mg/kg経口投与+BLM(n=12)、である。BLM又は生理的食塩水の気管内投与後35日目、動物を殺し、肺を、SIRCOLアッセイ(TebuBio, ref S1000)によるコラーゲン沈着及び肺炎症の定量化のために、上述のように処理した。40 mg/kgの用量における化合物3は、ブレオマイシンコントロールに比べ、コラーゲン沈着を46%抑制することが可能であり、その程度は100 mg/kgのPirfenidone(45%)のものに匹敵する。
【0211】
治療モデル
大筋で上述のプロコールに従った。0日目、動物に対し、肺病巣を惹起するために、0.0125 UIのブレオマイシン(40 μl)を気管内に注入した。治療処置群には、本発明の化合物を10日目乃至35日目から始めて1日1回3.5週間経口投与した。動物は、6群にランダムに分類した:コントロール−生理的食塩水(n=8);コントロール+BLM(n=13)が2群;本発明の化合物3の40 mg/kg経口投与+BLM(n=13);本発明の化合物3の10 mg/kg経口投与+BLM(n=13);及びPirfenidone(AQCHEM, ref P1002)の100 mg/kg経口投与+BLM(n=13)、である。一方のブレオマイシンコントロール群は10日目で停止し、動物を殺し、コラーゲンレベルを測定した。他の群については、BLM又は生理的食塩水の気管内投与後35日目、動物を殺し、肺を、上述のようにSIRCOLアッセイによるコラーゲン沈着及び肺炎症の定量化のために、上述のように処理した。40 mg/kg及び10 mg/kgの用量における化合物3は、ブレオマイシンコントロールに比べ、それぞれ、コラーゲン沈着を52%及び64%抑制することが可能であり、その程度は、100 mg/kgのPirfenidone(12%)よりもはるかに高い。
従って、これらの結果は、肺線維症などの呼吸器障害又は疾患に対する、本発明の化合物の予防及び治療作用を強力に支持する。
【0212】
実施例22:癌の動物モデル
本発明による化合物の癌治療能力、特に、腫瘍成長及び/又は血管形成の抑制能力を試験するために、下記のアッセイを実行する。
【0213】
インビボ血管形成アッセイ
7から10週齢のC57BL6/J雌性マウスに、500 ng/mlの血管形成因子(b−FGF又はVEGF)を添加したMatrigel growth factor reduced、400 μlを皮下に注入した。移植1週後、MicroCT(Skyscan)を用いてマウスをスキャンした。血管密度を可視化するために、マウスの後眼窩にトレーサー(400 μlのヨード化リポソーム)を注入した。次に、スキャン画像をReconプログラムによって再構成し、プラグの灰色密度を、プラグの全スライドについてカウントした。本発明の化合物は、適切な用量1及び2において、経口ルートを通じて1日1回10日間経口投与される。結果は、灰色密度として表され、これは、血管密度と相関される。更に、Matrigelプラグを凍結し、血管を可視化するためにCD31について染色する。
【0214】
腫瘍成長アッセイ
5 .10 ルイスの肺上皮癌細胞(LLCI)を、マウスの背部の皮下に注入する。マウスを、本発明による化合物40 mg/kgを毎日経口投与することによって処置する。コントロール腫瘍が約1 cm長に達した時点で、マウスを屠殺し、腫瘍を回収し、重量測定し、凍結する。治療アッセイでは、マウスにLLCI細胞を注入し、腫瘍が約0.5 cmに達してから、マウスを治療し、腫瘍サイズを毎日評価する。屠殺後、腫瘍を凍結し、腫瘍薄片を抗CD31抗体によって染色し、ROSレベルを分析する。
【0215】
実施例23:ヒトの肺線維芽細胞(IMR−90)に対する作用
本発明による化合物の、呼吸器障害又は疾患の予防又は治療能力を試験するために、下記のアッセイを実行する。
【0216】
α−SMAタンパクの発現
本発明の化合物の活性は、ヒトの肺線維芽細胞から筋線維芽細胞へ移行する、TGFβ誘発性分化に対する、該化合物の作用を、IMR−90細胞におけるα−SMAタンパクを定量することによって調べる。
IMR−90細胞(ATCC(LGC)、ref ATCC−CCL−186)は、10%の牛胎児血清(FCS)を添加したイーグルの最少必須培地(EMEM)において、5% CO添加空気37°Cで培養した。75−80%集密度に達した細胞は、トリプシン−EDTA混合物を用いて継代させた。細胞は、6ウェルプレートに、ウェル当たり200,000細胞の密度で撒き、10% FCSを添加したEMEMにおいて24時間培養した。次に、細胞は、培養液をFCS無添加EMEMで置換することによって飢餓に曝した。24時間後、細胞を本発明による化合物(0.1、1、及び10 μM)によって処置した。1時間後、細胞は、TGFβ(2.5 ng/ml)に48時間暴露した。化合物及びTGFβ保存液はEMEMで調製した。培養液中のDMSO濃度は、最終的に1%であった。コントロールはベヒクル(DMSO)で処置した。収集の当日、細胞は、氷冷PBSで洗浄し、プロテアーゼインヒビター(Complete, Roche)を添加したPBS 1.1 mlにおいて細胞スクレーパーによって剥がしてバラバラにした。細胞は、10,000 x gにおいて4°Cで10分遠心した。細胞ペレットは、プロテアーゼインヒビター(Complete, Mini Protease Inhibitor Cocktail Tablets, Roche ref 11836153001、プロテアーゼインヒビターのリストは、供給者に請求することによって入手が可能)を添加した、RIPA分解バッファー(Sigma)(150 mM NaCl, 1.0% IGEPAL(R) CA−630, 0.5%デオシキコール酸ナトリウム、 0.1% SDS, 50 mM Tris, pH 8.0)65 μlにおいてホモジェナイズし、短時間超音波処理した。分解産物は凍結し、分析するまで−80°Cにおいて保存した。溶液中のタンパクは、Bradfordアッセイ(Sigma, ref B6919)によって測定し、RIPAバッファー及び負荷バッファー(Tris−base 0.31 M, グリセロール10%, SDS 2%, β−メルカプトエタノール5%、ブロモフェノールブルー0.002%)の混合液中で、最終濃度が0.25 μg/μlとなるように希釈した。サンプルは、95°Cで5分間加熱し、タンパクは、定圧(200 V、60分)下、NuPage 12% Bis−Trisゲル、及び、MOPS走行バッファー(50 mM MOPS, 50 mM Tris, 3.5 mMドデシル硫酸ナトリウム、0.8 mM EDTA)を用いて分離した。タンパクは、定圧下(35 V)、Transferバッファー(Invitrogen)を用い、湿潤条件下に、再水和ニトロセルロース膜に75分間移送させた。膜は、PBS−Tween(0.05% Tween)に溶解した5%脂肪非含有乾燥ミルクによってブロックした。ブロック後、膜は、3%乾燥ミルク及びPBS−Tで希釈した一次抗体(抗−α−SMA)と共に一晩インキュベートした。抗−α−SMA抗体(RnDsystem, MAB1420)は1:3000に希釈した。次に、膜は、PBSで濯ぎ、各レーンにおけるタンパクの等しい負荷を実証するために、3%乾燥ミルク及びPBS−Tにおいて1/3,000に希釈したGAPDH一次抗体(SantaCruz, sc47724)と共に1時間インキュベートした。次に、膜は、PBS−Tで洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウスIgG(1:4,000)によって探査した。3回目の洗浄を実行し、ブロットを、ケミルミネセンス(ECL;Amersham Biosciences, バッキンガムシャイア、英国)によって現像した。オートラジオグラムは、画像スキャナーによってスキャンし、パブリックドメインNIH ImageJ プログラム(
1333521889218_1
; Vittal, 2007, JPET; 321:35−44)使用の画像分析によって処理した。データは、任意のデンシトメトリ単位で取得し、これを、同じブロットにおいて可視化されたコントロールサンプルのスキャンによって得られたデンシトメトリレベルのパーセントに変換した。α−SMAの強度は、GAPDHの強度に対して相関させた。データは、平均±SEMとして表し、2群間の統計比較は、スチューデントのt−検定によって行った。
【0217】
HSP−47タンパクの発現
本発明の化合物の活性は、ヒトの肺線維芽細胞から筋線維芽細胞へ移行する、TGFβ誘発性分化に対する、該化合物の作用を、IMR−90細胞におけるHSP−47タンパクの発現を定量することによって調べる。
IMR−90細胞は、上に示したように、培養され、撒かれ、絶食され、且つ、本発明による化合物によって処置された。
収集の当日、細胞を上に示したように処理した。ブロック後、膜を前述のように一晩インキュベートした。抗Hsp47抗体(Abcam, ab13510)を1:3000に希釈した。次に、膜は前述のように濯いだ。オートラジオグラムは、前述のように分析した。Hsp47の強度は、GAPDHの強度に対して相関させた。
【0218】
化合物3は、ヒトの筋線維芽細胞分化(α−SMA)及び細胞外基質沈着(HSP47)から成るバイオマーカーを、0.1−20 μMの濃度範囲(それぞれ、21から51%及び89から77%)において抑制することができた。従って、これらの結果は、肺線維症などの線維症機序に与る障害又は疾患に対する、本発明の化合物3の効果を強力に支持する。
【0219】
Col3a mRNAレベル
本発明の化合物の活性は、ヒトの肺線維芽細胞から筋線維芽細胞へ移行する、TGFβ誘発性分化に対する、該化合物の作用を、IMR−90細胞におけるCol3a mRNAレベルを定量することによって調べる。
IMR−90細胞は上に示したように培養した。培養液は3日置きに変えた。75−80%集密度に達した細胞は、トリプシン−EDTA混合物を用いて継代させた。自発性分化を防ぐために、継代数が8以下のIMR−90細胞のみを用いた。
RNA単離のために、細胞は、6ウェルプレートに、ウェル当たり200,000細胞の密度で撒き、完全EMEM培養液において24時間育成した。その後の日々、細胞は、培養液からFBSを除去することによって成長停止させた。細胞は、本発明による化合物に、0.1及び20 μMの最終濃度において1時間暴露し、次いで、TGFβによって処理した。化合物及びTGFβ保存液は前述のように調製した。DMSO濃度及びコントロールは前述の通りであった。
全体RNAは、RNeasy Mini(Qiagen, ref 74104)キットを用いメーカーの指示に従って単離した。簡単に言うと、細胞分解物は、RNeasy Miniキットによって提供されるRLT分解バッファーの存在下20−ゲージ針を用いてホモジェナイズし、QIAshredder(Qiagen, ref 79654)カラムに移送してホモジェニゼーションを完了した。次に、この分解産物にエタノールを加え、RNeasy膜に対するRNAの選択的結合を促進する状態を創出した。次に、サンプルをRNeasyスピンカラムに印加した。全体RNAは膜に結合する。残留するゲノムDNAは、このRNAサンプルを室温で15分、30単位のDNアーゼ(Qiagen, ref 79254)とインキュベートすることによって除去した。汚染物は、RNeasy Miniキットによって提供される洗浄バッファーを用いる洗浄工程によって効率的に洗い流される。PrimerScript (Takara, ref DRR027sp)逆転写酵素をメーカーのプロトコールに従って用い、5000 ngの全体RNAについて、cDNAに対する逆転写を行った。COL3aの発現は定量的リアルタイムPCRによって分析した。増幅は、2X SYBR Green I Master Mix (Applied Biosystems, ref 4309155)バッファー、各特異的プライマー0.3 mM、cDNA鋳型(500 ngの全体RNA)、及びHO(滅菌PCR級)を含む、10 μlの最終反応容量において実行した。
【0220】
プライマーは、Primer Express(登録商標)2.0 Software (Applied Biosystems)に基づいて設計され、Invitrogenによって合成された。ヒトのCOL3aのPCRプライマーは下記であった:
− Col3a 順行プライマー:5’TTA AAG GAA AGA CAC TCC GAT CAG AGA TGA
− 3’− Col3a逆行プライマー:5’AAT GTT TCC GGA GTA GGG GAG TCT TTT T 3’
PCR反応は、ABI prism(登録商標)7900 Ht検出システム(Applied Biosystems)で行った。増幅プログラムは、最初の変性工程95°C、10分及び変性95°C、15秒で45サイクル、アニーリング60°C、1分、及び伸長72°C、1分を含んでいた。温度転移速度は20°C/秒であった。蛍光は各サイクルの終了時に測定した。増幅後、PCRの特異性を定めるために融解曲線を取得した。この分析は、各条件のRNAサンプルについて3重に行った。
COL3aについて得られた転写レベルは、geNormソフトウェア(Vandesompele et al., 2002, Genome Biol., Jun 18; 3(7))を用い、伸長因子−1複合体(EEF1A)、ベータグルクロニダーゼ(GUSB)、及びベータミクロチューブリンの転写レベルに対して正規化した。
データは、コントロールサンプルから得られた転写レベルに比べ、倍増加に改変された。データは、平均±SEMとして表し、2群間の統計比較は、スチューデントのt−検定によって行った。
【0221】
PLOD2 mRNAレベル
本発明の化合物の活性は、ヒトの肺線維芽細胞から筋線維芽細胞へ移行する、TGFβ誘発性分化に対する、該化合物の作用を、IMR−90細胞におけるPLOD2 mRNAレベルを定量することによって調べる。
IMR−90細胞は上に示したように培養した。培養液は3日置きに変えた。75−80%集密度に達した細胞は、トリプシン−EDTA混合物を用いて継代させた。自発性分化を防ぐために、継代数が8以下のIMR−90細胞のみを用いた。
RNAの単離及びcDNAへの逆転写に関しては、前述のものと同じプロトコールに従った。PLOD2の発現は、COL3aの場合と同様に分析した。
ヒトのPLOD2のPCRプライマーは下記であった。:
− PLOD2 順行プライマー:5’TGG CTA CTT CTC GCT CTG CT 3’
− PLOD2 逆行プライマー:5’TTC CTG TTG TGC CAA AAT AAT AGT G 3’
データは上に設定した通りに分析した。
【0222】
化合物3は、コラーゲン沈着(Coll3a)及びコラーゲン線維架橋結合酵素(PLOD2)から成るバイオマーカーを、0.1−20μMの濃度範囲(それぞれ、0から57%及び1から36%)において抑制することができた。化合物3は、肺線維芽細胞において、Col3a及びPLOD2 mRNAレベルのTGFβ誘発性増加を抑制した。これらのデータは、化合物3が、線維芽細胞から筋線維芽細胞へのTGFβ誘発性分化、及びそれに続くコラーゲンの過剰生産を抑制することが可能であることを示す。
【0223】
従って、これらの結果は、本発明の化合物の、肺線維症などの呼吸器障害又は疾患に対する治療作用を強力に支持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化30】

によるピラゾリンジオン誘導体、並びに、その、薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体、式中、Rは、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cシクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ、Rは、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアシルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキルから選ばれ;Rは、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;R、R、R、R、R 及びRは、それぞれ独立に、H;ハロゲン、ニトロ、必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアミノ;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキルから選ばれ;R10は、H及び必要に応じて置換されるC−Cアルキルから選ばれ;R11 は、H;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;R12 は、H;−Z−NR1314;−CHR1718;必要に応じて置換されるアルコキシカルボニル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアルコキシ;必要に応じて置換されるアルコキシC−Cアルキル;必要に応じて置換されるアミノアルキル;必要に応じて置換されるアシル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル、及び必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;R13、R14、R17、及びR18は、それぞれ独立に、H;必要に応じて置換されるC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルキニル;必要に応じて置換されるアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるヘテロアリール;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルアリール;必要に応じて置換されるアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−Cアルケニルヘテロアリール;必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルケニル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキル;必要に応じて置換されるC−CアルキルC−C−シクロアルキル;必要に応じて置換されるC−C−シクロアルキルC−Cアルキル;必要に応じて置換されるC−Cアルキルヘテロシクロアルキル;及び、必要に応じて置換されるヘテロシクロアルキルC−Cアルキルから選ばれ;Xは、O、NR12、S、S=O、及びS(O)から選ばれ;Zは、C(O);C(S);及びSOから選ばれ;nは、0及び1から選ばれる整数である。
【請求項2】
請求項1による誘導体であって、Rが、必要に応じて置換されるアリール及び必要に応じて置換されるヘテロアリールから選ばれ;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、該先行請求項において定義される通りである、誘導体。
【請求項3】
請求項1又は2による誘導体であって、X がNR12であり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項による誘導体であって、XがNHであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項5】
請求項1又は2による誘導体であって、XがOであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項による誘導体であって、R12が、必要に応じて置換されるアリールC−C、及び必要に応じて置換されるヘテロアリールC−Cアルキルから選ばれ;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、X及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項による誘導体であって、R12が、必要に応じて置換されるアルコキシカルボニルであり;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、R14、X及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項による誘導体であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11がHであり;R、R12、R13、R14、R17、R18、X 及びnが、該先行請求項のいずれか1項に定義される通りである、誘導体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項による誘導体であって、下記の群:
2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−ベンジル−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a] [1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(2−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(3−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(3−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4] ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
tert−ブチル 2−(2−クロロフェニル)−1,5−ジオキソ−2,3,5,8,9,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−10(7H)−カルボキシレート;
10−(4−クロロベンジル)−2−(2−クロロフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a] [1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(2−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(4−メトキシベンジル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−(フラン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4] ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
9−ベンジル−2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8,9,10−ヘキサヒドロピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a] ピラジン−1,5−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−2,3,7,8−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[2,1−c][1,4]オキサジン−1,5 (10H)−ジオン;
2−(2−メトキシフェニル)−10−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
10−(3−メトキシベンジル)−2−(2−メトキシフェニル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;
2−(2−クロロフェニル)−10−[(1−メチル−1H−ピラゾル−3−イル)メチル]−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ[4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン;及び
2−(2−クロロフェニル)−10−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3,8,9,10,11−ヘキサヒドロ−1H−ピラゾロ [4’,3’:3,4]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−1,5(7H)−ジオン
から選ばれる、誘導体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項による少なくとも一つの誘導体、及び、その、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含む製剤組成物。
【請求項11】
薬剤として使用するための、請求項1から9のいずれか1項による誘導体。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項によるピラゾリンジオン誘導体であって、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の障害、血管形成、血管形成依存性病態、及び他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)オキシダーゼ関連性疾患及び/又は障害から選ばれる疾患又は病態を治療するための、誘導体。
【請求項13】
式(II)の中間産物であって:
【化31】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnは、前記請求項のいずれか1項に定義される通りであり;R15 は、必要に応じて置換されるC−C アルキルである、中間産物。
【請求項14】
請求項13による中間産物であって:
メチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−クロロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル3−イル]アセテート;及びメチル[(4Z)−4−(4−ベンジル−1,4−ジアゼパン−2−イリデン)−1−(2−メトキシフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾル3−イル]アセテートから成る群から選ばれる中間産物。
【請求項15】
式(II)による中間産物を調製するプロセスであって、式(V)の化合物を式(IV)のアミンと反応させる工程であって:
【化32】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnが、前記請求項のいずれか1項に定義される通りである工程、を含むプロセス。
【請求項16】
式(I)による化合物を調製するプロセスであって、塩基の存在下に式(II)の化合物を環化する工程であって:
【化33】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R17、R18、X及びnが、前記請求項のいずれか1項に定義される通りであり;RがHである工程、を含むプロセス。
【請求項17】
式(I)による化合物を調製するプロセスであって、式(Ia)の化合物を、塩基の存在下にアルキル化剤又はカップリング剤と反応させる工程であって:
【化34】

式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、前記請求項のいずれか1項に定義される通りであり;Rが、前記請求項のいずれか1項に定義される通りであるが、H以外である工程、を含むプロセス。
【請求項18】
患者を治療する方法であって、循環器障害、呼吸器障害、代謝障害、皮膚障害、骨障害、神経炎症及び/又は神経変性障害、腎臓病、生殖器障害、眼球及び/又は水晶体を冒す疾患及び/又は内耳を冒す病態、炎症性障害、肝臓疾患、痛み、癌、アレルギー障害、外傷、敗血症、出血性及びアナフィラキシーショック、消化器系の障害、血管形成、及び、血管形成依存性病態、及び/又は、その他の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸オキシダーゼ関連性疾患及び障害から選ばれる疾患又は病態を患う患者を治療する方法において、請求項1から9のいずれか1項による化合物、並びに、その、薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体を、該治療を必要とする患者に対して投与することを含み、前記式において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X 及びnが、前記請求項のいずれか1項に定義される通りであることを特徴とする、前記方法。
【請求項19】
血管形成の抑制を必要とする患者において血管形成を抑制する方法であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物、並びに、その、薬学的に許容可能な塩及び薬学的に活性な誘導体の血管形成抑制用量を、血管形成の抑制を必要とする患者に投与することを含み、前記式において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R17、R18、X及びnが、該請求項のいずれか1項に定義される通りであることを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2013−505930(P2013−505930A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530402(P2012−530402)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054329
【国際公開番号】WO2011/036651
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(509257525)
【Fターム(参考)】