説明

NT−4発現阻害剤および該阻害剤を有する育毛養毛剤

【課題】優れた効果を有する育毛養毛剤と、この育毛養毛剤の有効成分に適したNT−4発現阻害剤の提供。
【解決手段】本発明のNT−4発現阻害剤は、下記式


で示される構造のダフナン(Daphnane)骨格を有する化合物を有効成分として含み、本発明の育毛養毛剤は該化合物を有効成分として含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダフナン骨格を有する化合物を有効成分として含むNT−4発現阻害剤、および該阻害剤を有する育毛養毛剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Neurotrophin−4(本明細書では、NT−4と略記する場合もある)は、アポトーシス誘導を促進する蛋白質としても知られている。
【0003】
アポトーシス誘導蛋白質としてのNT−4は、最近の研究により動物の脱毛症に寄与していることが報告されている(非特許文献1)。脱毛症の発症原因、発症機序については多くの研究がなされており、いまだ不明な点が多いが、毛母細胞または/および周辺細胞におけるNT−4の発現によりアポトーシスが促進され、脱毛症が生じることが確認されている。
【0004】
本願発明者らは、本願に先立って、「アポトーシス誘導促進蛋白質の阻害物質を有効成分として含むことを特徴とする育毛養毛剤」を提案している(特許文献1)。前記阻害物質としては、椿皮、九節菖蒲、レンゲソウ、アサクー、エクロニアなどの植物抽出物を特定している。この育毛養毛剤は、優れた育毛養毛効果を有し、かつ長期に亘る使用に十分耐え得る安全性を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−232828号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】FASEB J.(1999),13(2):395−410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記育毛養毛剤の製品としての性能をさらに向上させるために、本発明者らが検討したところ、以下のような改良すべき点があることを知るに到った。
有効成分として用いる植物抽出物は、既知および未知の複数種の有機化合物から構成されていると推定される。それら構成成分の組成比および成分量が、各植物の産地や採集時期などの違いによって、変動することがある。そのため、植物の粗抽出物を有効成分として含有する育毛養毛剤では、その効果が採取時期や原料産地の違いによって、差が生じる場合がある。したがって、上記育毛養毛剤をより実用的なものとするためには、原料植物の種類やそれらの採取時期、産地の違いによって、育毛養毛効果に変動を生じないように改良することが望まれる。また、植物抽出物には、着色性と植物臭とがあり、製剤化する場合、有効成分としての植物抽出物の濃度の増加に伴って着色および植物臭の程度も上昇するため、植物抽出物の配合量を一定量以上に増加させることができず、NT−4発現阻害効果を高めることができない場合があった。
【0008】
上記NT−4発現阻害作用を有する植物抽出物から採取時期や原料産地の違いによって影響を受けない安定した作用を示す化合物もしくは化合物群を特定できれば、それらは上述の神経伝達機構の研究用試薬として使用可能となる。
【0009】
したがって、本発明の課題は、安定したNT−4発現阻害作用を有し、着色および植物臭の低いNT−4発現阻害剤、および該阻害剤を有する育毛養毛剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願発明者らが鋭意実験、検討を重ねたところ、以下のような知見を得るに至った。
本発明者らは、上述のように本願発明に先立って、特定の植物の抽出物にNT−4発現阻害作用があることを確認している。上記特定の植物抽出物を構成する化合物については不明な点が多いが、その含有が確認されている化合物も少なくない。そのような多種にわたる化合物を対象に後述する評価方法に基づいてNT−4発現阻害率(%)を測定したところ、アサクー抽出物に含まれることが確認されているフラトキシンに高いNT−4発現阻害作用があることを知るに至った。具体的には、アサクー有機溶媒(70体積%エタノール)抽出物のNT−4発現阻害率が12%程度(サンプル濃度1ppm)であるのに対して、フラトキシンのNT−4発現阻害率はサンプル濃度1ppmで89.6%、サンプル濃度0.1ppmで85.6%という高い値を示した。
【0011】
フラトキシンは化学式(1)で示される化合物である。フラトキシンの高いNT−4発現阻害率は、その化学構造に由来していることが強く推測された。
【0012】
【化1】

フラトキシンの化学構造的特徴は、下記構造で示されるダフナン骨格を有する点にある。
【0013】
【化2】

(式(2)中、1〜17の数字は炭素原子の位置番号を示す。)
そこで、ダフナン骨格を有する化合物(以下、ダフナン化合物と記す場合もある)として、市販品のあるチニアトキシン(Tinyatoxin)、チメレアトキシン(Tymeleatoxin)、レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate)、エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin)を入手し、それぞれについてNT−4発現阻害率を測定したところ、フラトキシンと同様の高いNT−4発現阻害率を示すことが確認された。さらに植物抽出物由来のダフナン化合物としてユアンフアシン(Yuanhuacine)、ユアンフアジン(Yuanhuadin)、ゲンカダフニン(Genkwadaphnin)、シンプレキシン(Simplexin)、グニジマクリン(Gnidimacrin)等についてもNT−4発現阻害率を測定したところ、同様に高いNT−4発現阻害率を示すことが確認された。
【0014】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記構成を採用したNT−4発現阻害剤および該阻害剤を有する育毛養毛剤を提供する。
【0015】
[1] 下記式(2):
【0016】
【化3】

(式(2)中、1〜17の数字は炭素原子の位置番号を示す。)
で示される構造のダフナン(Daphnane)骨格を有する化合物を有効成分として含むNT−4発現阻害剤。
【0017】
[2] 前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(3):
【0018】
【化4】

(式(3)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表されるレシニフェロノール(Resiniferonol)であることを特徴とする、上記[1]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0019】
[3] 前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(4):
【0020】
【化5】

(式(4)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかであり、前記式(2)に示した位置番号9の炭素原子(以下、9位の炭素原子と記す場合もある)に結合しているエーテル基の末端のRは、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基であり、Meはメチル基である。)
で表されるレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(Resiniferonol 9,13,14-orthoester)であることを特徴とする、上記[1]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0021】
[4] 前記一般式(4)で表されるレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(Resiniferonol 9,13,14-orthoester)が、レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate)およびチニアトキシン(Tinyatoxin)の少なくとも一つであることを特徴とする、上記[3]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0022】
[5] 前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(5):
【0023】
【化6】

(式(5)中、Rは水素、アシルオキシ基のいずれかであり、Rは水素、水酸基のいずれかであり、9位の炭素原子に結合しているエーテル基の末端のR10は鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表される6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)であることを特徴とする、上記[1]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0024】
[6] 前記一般式(5)で表される6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)が、フラトキシン(Huratoxin)、シンプレキシン(Simplexin)、ユアンフアシン(Yuanhuacine)、エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin)、ゲンカダフニン(Genkwadaphnin)、ユアンフアジン(Yuanhuadin)、チメレアトキシン(Thymeleatoxin)から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、上記[5]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0025】
[7] 前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(6):
【0026】
【化7】

(式(6)中、R11、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、R12はメチル基以外の有機基であり、R16は水素、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表される化合物であることを特徴とする、上記[1]に記載のNT−4発現阻害剤。
[8] 前記一般式(6)で表される化合物が、グニジマクリン(Gnidimacrin)であることを特徴とする、上記[7]に記載のNT−4発現阻害剤。
【0027】
[9] 上記[1]〜[8]のいずれか一つに記載のNT−4発現阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする育毛養毛剤。
【0028】
なお、本発明で言う「育毛養毛剤」とは、育毛および養毛を促進する作用を有し、ヘアートニック、ヘアークリームなどの具体的組成物に添加することにより、育毛養毛を促進する効果を付与した育毛養毛用組成物を調製するための薬剤を意味する。本発明の育毛養毛剤を含む育毛養毛用組成物を、哺乳類の主に頭皮に適用することにより、育毛養毛を促進する効果が得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、高いNT−4発現阻害効果を安定的に有する化合物であるダフナン化合物を有効成分として含み、NT−4の発現そのものを阻害する作用を発揮する。
【0030】
また、本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、上述のように高いNT−4発現阻害効果を安定的に有する化合物であるダフナン化合物を有効成分として含み、NT−4の発現そのものを阻害する作用を発揮するので、NT−4に起因するアポトーシスの誘導を防止することができる。したがって、本発明に係るNT−4発現阻害剤は、NT−4によるアポトーシスに起因して生体に生じる悪影響の予防、治療及び改善のために有用である。特に、毛包におけるNT−4によるアポトーシスの誘導を防止することにより、哺乳類に対する育毛養毛効果を発揮することができる。その他にアポトーシスが関与していると考えられているアルツハイマー病や脳梗塞の予防および治療薬として、本発明に係るNT−4発現阻害剤は有用であると考えられる。また、本発明にかかるNT−4発現阻害剤が発揮するNT−4発現阻害効果は、使用単位当たり、植物粗抽出物(水性有機溶媒抽出物)の約100倍にも達するほどに増強される。そのため、所定の育毛養毛効果を得るための使用量を大幅に低減することができる。さらに、有効成分であるダフナン化合物は着色および植物臭が大変少なく、効果に対する使用量が植物抽出物に比べて少量で済むので、植物粗抽出物が有する植物臭および色素を起因とする育毛養毛剤の着臭、着色を容易に防止できるという効果も得られる。
【0031】
ダフナン化合物は、現在のところ市販品もあるし、植物粗抽出物から分画精製して得る必要のあるものもある。これらのいずれのダフナン化合物も、本発明のNT−4発現阻害剤の有効成分として用いることができる。
【0032】
上述のように、本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、NT−4によるアポトーシスに起因して生体に生じる悪影響の予防、治療及び改善に有用であり、哺乳類の脱毛症、特に男性型脱毛症を改善すると共に、長期に亘る使用に十分耐え得る安全性を備えているので、使用感の良好な育毛養毛剤の有効成分として産業的価値を有し、医療組成物や毛髪化粧料などの育毛養毛用組成物として利用することができる。さらに、本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、育毛養毛剤としての利用の他に、アポトーシスに起因して生体に生じると推測されるアルツハイマー病や脳梗塞の予防および治療薬として有用であると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明のNT−4発現阻害剤の有効成分として用いるダフナン化合物は、先に示した化学式(2)に示した構造を骨格に有する化合物である。かかるダフナン化合物としては、下記化学式(7)に示すように前記位置番号11の炭素原子にメチル基が結合したものが多数を占めている。
【0034】
【化8】

(式(7)中、Meはメチル基を示し、1〜18の数字は炭素原子の位置番号を示す。)
【0035】
上記化学式(7)示すような位置番号11の炭素原子にメチル基が結合したダフナン化合物としては、下記一般式(3)〜(5)に示す化合物が挙げられ、位置番号11の炭素原子にメチル基以外の有機基が結合したダフナン化合物としては、下記一般式(6)で示した化合物が挙げられる。
これら一般式(3)〜(6)で示される化合物群から選ばれる少なくとも1種を本発明のNT−4発現阻害剤の有効成分として用いることができる。
【0036】
【化9】

(式(3)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
この化合物はレシニフェロノール(Resiniferonol)と命名されている。
【0037】
【化10】

(式(4)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかであり、前記式(2)に示した位置番号9の炭素原子に結合しているエーテル基の末端のRは、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基であり、Meはメチル基である。)
【0038】
前記一般式(4)で表されるダフナン化合物は、レシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(Resiniferonol 9,13,14-orthoester)と命名されており、具体例としては、例えば、レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate)およびチニアトキシン(Tinyatoxin)を挙げることができる。これらの一つをNT−4発現阻害剤の有効成分として用いてもよいし、これら二つを同時に用いてもよい。
【0039】
【化11】

(式(5)中、Rは水素、アシルオキシ基のいずれかであり、Rは水素、水酸基のいずれかであり、9位の炭素原子に結合しているエーテル基の末端のR10は鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
この化合物は、6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)と命名されている。
【0040】
前記一般式(5)で表される6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)の具体例としては、例えば、フラトキシン(Huratoxin)、シンプレキシン(Simplexin)、ユアンフアシン(Yuanhuacine)、エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin)、ゲンカダフニン(Genkwadaphnin)、ユアンフアジン(Yuanhuadin)、チメレアトキシン(Thymeleatoxin)が挙げられる。これらの一つをNT−4発現阻害剤の有効成分として用いてもよいし、二つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
【化12】

(式(6)中、R11、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、R12はメチル基以外の有機基であり、R16は水素、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
この化合物の具体例としてグニジマクリン(Gnidimacrin)が挙げられる。
【0042】
(育毛養毛剤)
本発明にかかる育毛養毛剤は、上記ダフナン化合物を有効成分として含むNT−4発現阻害剤を有効成分として有することを特徴とする。
上記有効成分であるダフナン化合物を植物粗抽出物を液体クロマトグラフィーを用いて分画精製することにより得る場合では、最終溶離溶媒が、エタノール、水/エタノール(含水エタノール)等の非毒性の溶媒である場合、溶出物を育毛養毛剤の有効成分としてそのまま用いても良く、あるいは上記抽出溶媒をさらに希釈液として用いて希釈してもよい。なお、ダフナン化合物の最終溶離溶媒として上記以外の溶媒を用いた場合は、溶媒を留去後、乾燥分を非毒性の溶媒で希釈して用いることが望ましい。
【0043】
本発明の育毛養毛剤を、ヘアートニック、ヘアクリームなどの具体的組成物に添加することにより、その具体的組成物に養毛育毛効果を付与した育毛養毛組成物を得ることができる。
【0044】
本発明の育毛養毛剤を具体的組成物に添加する場合、各組成物中における育毛養毛剤の配合量は、その製品形態、使用頻度により異なり一概に規定することはできないが、通常製剤全体に対してダフナン化合物換算で10−7〜1.0質量%(以下、%と略称する)、より好ましくは0.0001〜1.0%である。10−7%より少ないと十分な効果が期待できず、また1.0%を超えると効果が頭打ちになったり、製剤の安定性および使用感の面で不具合が発生したりする可能性があるためである。
【0045】
本発明の育毛養毛組成物は、さらに炭素鎖長が11、13、15、および17の奇数鎖脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を含むことが好ましい。前記脂肪酸を含むことにより、相乗的な育毛養毛効果を得ることができるためである。これら脂肪酸の濃度としては0.0005〜50%、特に0.25〜25%が好ましい。0.0005%より少ないと十分な効果が期待できず、また50%を超えると効果が頭打ちになったり、製剤の安定性の面で不具合が発生したりする可能性があるためである。
【0046】
本発明の育毛養毛用組成物は、更に、既存の育毛養毛成分を含有してもよい。既存の養育毛成分としては、PDG(ペンタデカン酸グリセリド)、特開平09−157136号公報記載のコレウスエキス、特開平10−45539号公報記載のゲンチアナエキス、マツカサエキス、ローヤルゼリーエキス、クマザサエキスなどの化学物質及びエキス類を挙げることができる。中でも、育毛養毛効果の点から、PDG、コレウスエキスが好ましい。
【0047】
前記既存の育毛養毛成分として例示した化学物質及びエキス類は、市販品あるいは公知の方法によって得られたものを使用することができる。特に、前記エキス類は植物成分の抽出により得ることができる。この場合、抽出に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類などが挙げられ、これらは一種を単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。抽出方法は、通常の植物エキスの抽出法などの方法に準じて行えばよく、必要により公知の方法で脱臭、脱色等の処理を施してから用いてもよい。また、市販の抽出物も用いることができる。
【0048】
また、本発明の育毛養毛剤には、使用目的に応じて、上記有効成分であるNT−4発現阻害剤以外の任意の成分を配合することができる。そのような成分としては、例えば、精製水、エタノール、非イオン性界面活性剤,糖質系界面活性剤およびその他の界面活性剤セルロース類、油脂類、エステル油、高分子樹脂、色剤、香料、紫外線吸収剤やビタミン類、ホルモン類、血管拡張剤、アミノ酸類、抗炎症剤、皮膚機能亢進剤、角質溶解剤等の薬効成分などを挙げることができる。
【0049】
前記セルロース類としては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
【0050】
前記界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノまたはイソステアレート、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(モノミリスチン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン)等が挙げられる。
【0051】
前記油脂類としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル(トリ−2エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン酸等)、サフラワー油、月見草油、ホホバ油等が挙げられる。
【0052】
前記エステル油としては、例えば、不飽和脂肪酸アルキルエステル(オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル等)、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0053】
前記アミノ酸類としては、例えば、メチオニン、セリン、グリシン、シスチン等が挙げられる。
【0054】
前記角質溶解剤としては、例えば、サリチル酸、レゾルシン等が挙げられる。
【0055】
前記高分子樹脂としては、例えば、両性、カチオン性、アニオン性及びノニオン性ポリマー等が挙げられる。
【0056】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、メトキシケイ皮酸オクチル(ネオヘリオパンAV)、オキシベンゾン、ウロカニン酸等が挙げられる。
【0057】
本発明の育毛養毛剤に、その他蛋白質を配合する場合は、任意の量で配合できる。
【0058】
本発明の育毛養毛剤の適用分野(具体的組成物)としては、各種の外用製剤類(動物用に使用する製剤も含む)全般が挙げられる。具体的には、カプセル状、粉末状、顆粒状、固形状、液状、ゲル状、軟膏状、或いは気泡性の(1)医薬品類、(2)医薬部外品類、(3)局所又は全身用の皮膚化粧品類、(4)頭皮・頭髪に適用する薬用及び/又は化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、トリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料など)が挙げられる。
【0059】
本発明の育毛養毛剤を有効成分として含む育毛養毛組成物としては、上述のように育毛養毛用毛髪化粧料及び育毛養毛用医薬品が挙げられるが、これら前記育毛養毛用毛髪化粧料及び育毛養毛用医薬品には、本発明の効果を損なわない範囲において、既知の薬効成分を必要に応じて適宜配合することができる。既知の薬効成分としては、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、保湿剤等を配合することができる。
【0060】
本発明の育毛養毛剤を有効成分として含む育毛養毛用毛髪化粧料及び育毛養毛用医薬品は、常法に従って均一溶液、ローション、ジェルなどの形態で外用により使用することができる。また、本発明の養育毛用毛髪化粧料は、エアゾールの形態をとることができ、その場合には、前記成分以外に、n−プロピルアルコールまたはイソプロピルアルコールなどの低級アルコール:ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の可燃性ガス:窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等の圧縮ガスを含有することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0062】
以下に示す実施例及び比較例においては、各例で得られたサンプルのNT−4発現阻害率を測定しているが、それらは以下の方法により測定したものである。
【0063】
(NT−4阻害率の測定方法)
まず、NT−4上流配列約2000bp(配列番号1)を、pGL3−basic (Promega社製)にサブクローニングを行う。得られたプラスミドを、内部標準としてのpRL−SV40(Promega社製)とともに、HeLa細胞に導入する。これを所定の培地中で1日培養後、その培地を、測定用の各サンプルの各1ppmと10−7M dihydrotestosterone(DHT)とを含む培地に交換する。
【0064】
コントロール群としてはDHTを含まない培地を用いる。また、DHT添加群を基準対照群として用いる。このDHT添加群としては、各サンプルを含まない代わりに0.1体積%エタノールと10−7M DHTとを含む培地を用いる。
【0065】
次に、上記各培地を24時間培養した後、各サンプル群、DHT添加群およびコントロール群に対して、デュアル−ルシフェラーゼ レポーター アッセイ システム(Dual-Luciferase Reporter Assay System:Promega社製)を用いてルシフェラーゼアッセイ(Luciferase assay)を行う。このルシフェラーゼアッセイは、10%チャコール処理済FBSを添加したDMEM(Dulbecco's modified Eagle's Medium、フェノールレッド不含)培地で行う。
【0066】
上記ルシフェラーゼアッセイにより各サンプルのルシフェラーゼ相対活性(Relative Luciferase Activity)が算出される。このルシフェラーゼ相対活性は、NT−4上流配列とpGL3-basicのサブクローニングにより得られたベクターにより発現するホタルルシフェラーゼの活性値を、内部標準として導入したpRL-SV40により発現するウミシイタケルシフェラーゼの活性値で除することにより求められる。このルシフェラーゼ相対活性(NT−4発現率)から下記の式を用いてNT−4発現阻害率(%)を算出する。

NT-4発現阻害率(%)=[1−(RLASamp−RLACont)/(RLADHT−RLACont)]×100
・・・・・・(1)

式(1)中、RLACont:コントロール群のNT-4発現率
RLADHT:DHT添加群のNT-4発現率
RLASamp:各サンプル添加群のNT-4発現率
【0067】
(ユアンフアシン(Yuanhuacine)およびユアンフアジン(Yuanhuadin)の調製)
文献情報(Bioorganic & Medicinal Chemistry, 13(3), p645-655, 2005)に従って、以下のようにしてユアンフアシン(Yuanhuacine)およびユアンフアジン(Yuanhuadin)を調製した。
【0068】
芫花(ゲンカ、Daphne genkwaの花蕾)を破砕し、20倍量のエタノール(濃度95%以上)を加え一昼夜撹拌後、減圧乾固して固形の抽出物を得た。次に、得られたゲンカのエタノール抽出物をクロロホルム/水で液液分画し、クロロホルム層を採取した。
【0069】
得られたクロロホルム層を、シリカゲルカラムを用いて極性分画した。溶離溶媒としては石油エーテルにアセトンを徐々に混合し、溶離してくるFr−a1からFr−a5までの画分を採取した。
【0070】
分画物Fr−a1(1番目の画分)について、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。溶離液として石油エーテル/アセトン(6/1)を用い、紫外線吸収(260nm)でモニターしながら、ユアンフアシン(Yuanhuacine)およびユアンフアジン(Yuanhuadin)を分取した。
【0071】
(ゲンカダフニン(Genkwadaphnin)の調製)
文献情報(Journal of Ethnopharmacology, 111, p496-503, 2007)に従って、以下のようにしてゲンカダフニン(Genkwadaphnin)を調製した。
芫花(ゲンカ、Daphne genkwaの花蕾)を破砕し、10倍量のメタノール(濃度95%以上)を加え一昼夜撹拌後、減圧乾固して固形の抽出物を得た。次に、得られたメタノール抽出物を水に懸濁し、n−ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチルを順に添加して抽出した。
【0072】
クロロホルム分画物を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを行った。溶離液としては、クロロホルムとメタノールの混合比を徐々に変化させ、溶離してくるFr−b1からFr−b10までの画分を採取した。
【0073】
3番目の画分(Fr−b3)を逆相HPLCクロマトグラフィー(「C18カラム」島津製作所社製)に供し、移動相としてメタノール/水(7/3)を用いた。溶出してくる画分を順にFr−b3−1からFr−b3−10まで(10画分)採取した。
【0074】
次に、3番目の画分(Fr−b3−3)をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、ヘキサン/酢酸エチル(15/1)にて溶離してくる画分を順に14画分採取した。
【0075】
11番目の画分(Fr−b3−3−11)を逆相HPLCクロマトグラフィー(「C18カラム」島津製作所社製)に供し、メタノール/水(3/1)にて溶出するゲンカダフニンを分取した。
【0076】
(フラトキシン(Huratoxin)、シンプレキシン(Simplexin)およびグニジマクリン(Gnidimacrin)の調製)
文献情報(東邦医学会雑誌, 38(6), p896-909, 1992)に従って、以下のように精製した。
瑞香狼毒(Stellera chamaejasme)の根部を破砕し、5倍量のメタノール(濃度95%以上)を加え8時間加熱抽出後、減圧乾固して固形の抽出物を得た。
【0077】
得られたエタノール抽出物に石油エーテルを加えて5時間抽出し、減圧乾固して固形の石油エーテル抽出物を得た。次に、得られた石油エーテル抽出物を、ヘキサン/酢酸エチル(4/1→2/1→1/1→1/4)を移動相としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、紫外線吸収(260nm)でモニターしながら、溶離してくる画分を順に4画分Fr−c1からFr−c4を採取した。
【0078】
4番目の画分(Fr−c4)を、メタノール/水(10/1)を移動相として、逆相HPLCクロマトグラフィー(「C18カラム」和光純薬社製)に供した。紫外線吸収(228nm)にてモニターしながら、溶離するフラトキシン、グニジマクリンとシンプレキシンを分取した。
【0079】
(その他のダフナン化合物(市販品))
チニアトキシン(Tinyatoxin)、チメレアトキシン(Tymeleatoxin)、レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate)、エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin)は、それぞれ市販品があるので、下記それぞれの製造会社から入手した。
【0080】
チニアトキシン(Tinyatoxin):MP Biomedicals社製、商品名「Tinyatoxin」
チメレアトキシン(Tymeleatoxin):SIGMA社製、商品名「Tymeleatoxin」
レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate):MP Biomedicals社製、商品名「Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate」
エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin):Herbstandard社製、商品名「Excoecariatoxin」
【0081】
上述のようにして準備した10種類のダフナン化合物を先に述べたNT−4発現阻害率測定法により測定した。その結果を下記(表1)に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
上記(表1)から明らかなように、ダフナン化合物のNT−4発現阻害率(サンプル濃度:1ppm)は43.6〜97.9%という非常に高い値を示している。
【0084】
(ダフナン化合物を有効成分とするNT−4発現阻害剤を有効成分として有する育毛養毛剤の育毛養毛効果の評価)
(育毛養毛効果の評価方法)
雄のC57BL/6マウス(7週齢)を用い、小川らの方法(フレグランスジャーナル,Vol.17,No.5,p20−29,1989.参照)を参考にして実験を行った。マウスの背部体毛を約2〜4cmの大きさに電気バリカン及び電気シェーバーにて除毛し、毛髪成長期を誘導した。除毛後、DHT30mgを皮下に投与した。翌日より1日1回100μLずつ週5回、30日間サンプル塗布を行い、除毛部分に対し毛再生が始まった部分の面積比の変化を求め、下記10段階評価にて、毛再生の早さの比較を行った。
【0085】
サンプルとしては、前記10種類のダフナン化合物のエタノール溶液を用いた。サンプル量はダフナン化合物換算で0.01質量%とした。また、比較例としてアサクーの70体積%エタノール抽出物を用い、コントロール群には、溶媒であるエタノールの50%水溶液を用いた。各群ともに1群6匹として実験に供した。除毛、皮下投与後から、下記発毛スコアが5点に至るまでに要した日数を(表2)に示す。
【0086】
(育毛養毛効果の評価基準)
除毛された部分の全体面積に対する毛再生が始まった部分の面積の割合(%)に下記点数を付して、点数(発毛スコア)の大きさによって、育毛養毛効果を評価した。
(点数):(毛再生面積率(%))
0点:0〜4%
1点:5〜14%
2点:15〜24%
3点:25〜34%
4点:35〜44%
5点:45〜54%
6点:55〜64%
7点:65〜74%
8点:75〜84%
9点:85〜94%
10点:95〜100%
【0087】
【表2】

【0088】
(表2)に見るように、ダフナン化合物を含む育毛養毛剤の育毛養毛効果がコントロール群に比べて格段に優れていることが分かる。また、ダフナン化合物の着色度および植物臭は極めて低い値であるので、その配合量の上限は効果の点を考慮して自由に設定することが可能である。
【0089】
上記育毛養毛効果の確認に供した育毛養毛剤としては、ダフナン化合物を溶剤に溶解させた単純な構成の溶液を用いた。以下に、かかる育毛養毛剤を実際の育毛養毛組成物に適用した処方例を示す。
【0090】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、高いNT−4発現阻害効果を安定的に有する化合物であるダフナン化合物を有効成分として含み、NT−4の発現そのものを阻害する作用を発揮する。
また、本発明にかかるNT−4発現阻害剤は、NT−4に起因するアポトーシスの誘導を防止することができるので、NT−4によるアポトーシスに起因して生体に生じる悪影響の予防、治療及び改善のために有用である。特に、毛包におけるNT−4によるアポトーシスの誘導を防止することにより、哺乳類に対する育毛養毛効果を発揮することができる。
また、本発明にかかる育毛養毛剤は、前記本発明にかかるNT−4発現阻害剤を有効成分として有しているので、哺乳類の脱毛症、特に男性型脱毛症を改善すると共に、長期に亘る使用に十分耐え得る安全性を備え、使用感の良好な育毛養毛剤である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2):
【化1】

(式(2)中、1〜17の数字は炭素原子の位置番号を示す。)
で示される構造のダフナン(Daphnane)骨格を有する化合物を有効成分として含むNT−4発現阻害剤。
【請求項2】
前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(3):
【化2】

(式(3)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表されるレシニフェロノール(Resiniferonol)であることを特徴とする請求項1に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項3】
前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(4):
【化3】

(式(4)中、R,R,Rはそれぞれ独立に水素、水酸基、アシル基、アシルオキシ基のいずれかであり、前記式(2)に示した位置番号9の炭素原子(以下、9位の炭素原子と記す場合もある)に結合しているエーテル基の末端のRは、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基であり、Meはメチル基である。)
で表されるレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(Resiniferonol 9,13,14-orthoester)であることを特徴とする請求項1に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項4】
前記一般式(4)で表されるレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(Resiniferonol 9,13,14-orthoester)が、レシニフェロノール9,13,14-オルトフェニルアセテート(Resiniferonol 9,13,14-orthophenylacetate)およびチニアトキシン(Tinyatoxin)の少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項5】
前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(5):
【化4】

(式(5)中、Rは水素、アシルオキシ基のいずれかであり、Rは水素、水酸基のいずれかであり、9位の炭素原子に結合しているエーテル基の末端のR10は鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状炭化水素基、環状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表される6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)であることを特徴とする請求項1に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項6】
前記一般式(5)で表される6,7-エポキシレシニフェロノール9,13,14-オルトエステル(6,7-Epoxyresiniferonol 9,13,14-orthoester)が、フラトキシン(Huratoxin)、シンプレキシン(Simplexin)、ユアンフアシン(Yuanhuacine)、エクスコエカリアトキシン(Excoecariatoxin)、ゲンカダフニン(Genkwadaphnin)、ユアンフアジン(Yuanhuadin)、チメレアトキシン(Thymeleatoxin)から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項5に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項7】
前記ダフナン骨格を有する化合物が、下記一般式(6):
【化5】

(式(6)中、R11、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素、水酸基、アシルオキシ基のいずれかであり、R12はメチル基以外の有機基であり、R16は水素、鎖状炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基のいずれかであり、Meはメチル基である。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項8】
前記一般式(6)で表される化合物が、グニジマクリン(Gnidimacrin)であることを特徴とする請求項7に記載のNT−4発現阻害剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載のNT−4発現阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする育毛養毛剤。

【公開番号】特開2010−241727(P2010−241727A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92384(P2009−92384)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】