説明

PCB実装処理装置及びPCB実装処理方法

【課題】
本発明はPCBの湾曲を低減することで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、PCB基板にACFを貼り付け処理し、表示基板に搭載された搭載部品に前記ACF付きPCB基板を本圧着処理し、前記PCB基板を前記処理位置に搬送するPCB実装処理装置又はPCB実装処理装置方法において、前記のACFを貼り付け処理、本圧着処理のうち少なくとも一方の処理をする前に、前記PCBの有する湾曲を低減することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶やプラズマなどのFPD(=Flat Panel Display)における周辺基板(PCB=Printed Circuit Board)を実装するPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法に関し、PCBの湾曲を低減し精度よく搭載可能なPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示基板モジュールの製作は、液晶、プラズマなどのFPDの表示基板に、複数の処理作業工程を順次行なうことで、該表示基板の周辺に、駆動IC、TAB(=Tape Automated Bonding)およびPCB基板などを実装することで行なわれる。
【0003】
それらの工程の中に、異方性導電フィルム(ACF、Anisotropic Conductive Film)をPCBに貼り付け、表示基板に搭載され本圧着されたTAB搭載基板にPCBを貼付け搭載しPCBを本圧着するPCB工程がある。このような工程によって、表示基板上の電極とTABやPCB等に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して電気的な接続がなされる。なお、このとき同時に、ACF基材樹脂の硬化により、基板と搭載基板またはPCB基板が機械的にも接着される。
【0004】
前記PCB工程において、図9に示すようにPCB基板に厚さ方向でなく幅方向に湾曲が発生すると、PCBの電極もわずかであるが湾曲する。そのため、その湾曲が適正範囲に収まっていないとACF貼付、本圧着による電極接続において隣接電極の間にズレが起こり、場合によっては短絡が発生する虞がある。特に最近では、コストダウンを目的とした部材の高密度実装要求に伴い接続部の密度が高くなり、その短絡の可能性が高くなってきている。
【0005】
従来は、特許文献1に開示されているようにPCBを接続した後、その後目視等により検査を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−242236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術では、PCB工程後の検査によって不良製品を除去していた。従って、歩留まりが悪く生産性が低下する課題があった。この課題は、表示基板の大型化に伴い顕著になってくる。
本発明は上記の課題を鑑みてなされたもので、その目的は、PCBの湾曲を低減することで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、PCB基板にACFを貼り付け処理し、表示基板に搭載された搭載部品に前記ACF付きPCB基板を本圧着処理し、前記PCB基板を前記処理位置に搬送するPCB実装処理装置又はPCB実装処理方法において、前記のACFの貼り付け処理、本圧着処理のうち少なくとも一方の処理をする前に、前記PCBの有する湾曲を低減することを第1の特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記PCB湾曲低減処理は、前記搬送において前記PCB基板を載置する湾曲低減ステージに設けられたPCB基板の側面部と接するストッパに前記PCB基板を押付けることを第2の特徴とする。
さらに、上記目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記押付処理は、前記PCB基板の格納部から前記PCB基板を取り出し前記湾曲低減ステージに載置する搬送装置の把持部で前記PCB基板を前記ストッパに押付けることを第3の特徴とする。
また、上記目的を達成するために、第3の特徴に加え、前記搬送処理は、前記PCB基板の格納部から前記PCB基板を取り出す搬送装置の把持部において、前記PCB基板をその両側面部の両側から把持し、少なくとも一方の側面部から前記PCB基板に押付力を付与し、その後、前記押付力を付与した状態で前記把持部から受取り載置して搬送する搬送ステージに載置することを第4の特徴とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するために、第2又は第4の特徴に加え、前記PCB湾曲低減処理は、前記湾曲低減ステージまたは前記搬送ステージで前記PCB基板の姿勢を保持することを第5の特徴とする。
【0011】
最後に、上記目的を達成するために、第5の特徴に加え、前記姿勢を保持する手段はクランプ手段または吸着手段であることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、PCBの湾曲を低減することで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態におけるPCB実装処理装置の概略構成とPCB搬送経路を示した図である。
【図2A】第1の実施形態におけるPCB湾曲低減部の構成とPCB湾曲低減部とACF貼付ヘッドとの位置関係を示した図である。
【図2B】PCB湾曲低減部の構成を図2Aに示す矢印Aの方向から見た側面図である。
【図2C】図2Bの円B内の拡大図である。
【図3A】第1の実施形態における湾曲低減動作フローを示した図で、搬送アームによってPCB基板把持アームが湾曲低減ステージの位置に降下してきた所を示す図である
【図3B】PCB基板をPCB基板把持部に載置し、PCB基板把持アームを矢印X方向に移動させストッパにPCB基板が突きあった状態を示す図である。
【図3C】さらにPCB基板把持アームを矢印X方向に移動させて、2箇所のスットパと押付板によってPCB基板の湾曲を低減させ、湾曲低減後、クランプでPCB基板を把持固定し、吸着ノズルによってエア吸着することによって湾曲低減状態を保持した図である。
【図4A】第1の実施形態におけるPCB湾曲低減部の左右の湾曲に適用した他の形態を示す図で、押付け機構としてクランプを用いた例である。
【図4B】第1の実施形態におけるPCB湾曲低減部の左右の湾曲に適用した他の形態を示す図で、押付け機構として押付固定版を用いた例である。
【図5】第1の実施形態のPCB実装処理装置における処理フローを示す図である。
【図6A】ACF搬送部に設けた第2の実施形態におけるPCB湾曲低減部の構成を示す図である。
【図6B】図6Aの矢印の方向から見た側面図である。
【図7】第3の実施形態であるPCB湾曲低減部の基本的な考え方を示す図である。
【図8】把持アームに挟み押え機構を設けた第3の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の課題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態を図1から図5を用いて説明する。
図1は、本実施形態におけるPCB実装処理装置1の概略構成とPCB搬送経路を示した図である。
【0015】
PCB実装処理作業装置1は、PCB基板5を格納しているトレイ20、トレイ20からPCB基板5を取り出し、後述する各部にPCB基板を搬送する搬送アーム部30、PCB基板を搬送アーム部から受け取り、ACF貼付装置50に搬送するACF搬送部40、ACF貼付装置50でACFを貼付けたACF付きPCB基板5を受け取る本圧着搬送部60、本圧着搬送部で搬送されたACF付きPCB基板5を本圧着する本圧着装置70及びこれ等全体を制御する制御装置80から構成される。
なお、太い矢印は搬送アーム部30によるPCB基板5の搬送経路を示し、細い矢印はACF搬送部40あるいは本圧着搬送部60によるPCB基板5の搬送経路を示す。
【0016】
搬送アーム部30は次の役目を果たす。第一はPCB基板5を把持する把持部である把持アーム31でトレイ20からPCB基板5を取り出し(図1矢印A)、ACF搬送部40に移動し(図1矢印B)、PCB基板5をACF搬送部40に渡すことである。第二はACF貼付装置50でPCB基板にACFを貼付けたACF付きPCB基板5をACF搬送部40から受け取り、本圧着搬送部60に移動し(図1矢印D)、本圧着搬送部60に渡すことである。第三は後述するように本実施形態の特徴であるACF搬送部40あるいは本圧着搬送部60でPCB基板の湾曲を低減することである。搬送アーム部30はこれらの役目を果たすために、X軸可動部32、Y軸可動部33及びZ軸・回転可動部34を有する。
【0017】
ACF搬送部40と本圧着搬送部60は、同一構成を有し、それぞれ基台47、67の上に搬送レール48、68が設けられ、その搬送レール上を湾曲低減ステージ41,61がX方向に移動し、後述するように搬送アーム部30と協力してPCB基板の湾曲を低減した後、PCB基板5をそれぞれのACF貼付け装置50、本圧着装置70の処理部に搬送する(図1の矢印C又はF)。ACF搬送部40と本圧着搬送部60の搬送方向は、逆方向なので搬送アーム部30のZ軸・回転可動部34で把持アーム31を180°回転させる(図1の矢印E)必要がある。
【0018】
ACF貼付装置50は2台のACF貼付ヘッド51a、51bを有しており、図1では1枚のPCB基板に対して分担してACF貼付処理を行なう。勿論、ACF搬送部40を並列に2台設けて、それぞれACF貼付ヘッド51とACF貼付ヘッド51とをペアにし独立に並列処理させることも可能である。
【0019】
本圧着装置70は、前段のTAB等の搭載部品4を搭載するTAB搭載工程から搬送されてきた表示基板Pの搭載部品にACF付きPCB基板5を加熱し圧着する。
【0020】
次に、本発明の特徴の一つであるPCB基板の湾曲を低減するPCB湾曲低減部10の第1の実施形態の構成と動作フローを示す。PCB基板の湾曲の低減は、最初ACF装置50によるACF貼付け前で行ない、ACF貼付け処理後一度湾曲低減を解放後、再び本圧着装置70による本圧着前に行なわれる。2箇所でのPCB湾曲低減部10の構成や動作フローは基本的には同じであるので、ACF貼付け前のケースについて説明する。
【0021】
図2Aは第1の実施形態におけるPCB湾曲低減部10の構成とPCB湾曲低減部10とACF貼付ヘッド51との位置関係を示した図である。図2BはPCB湾曲低減部10の構成を図2Aに示す矢印Aの方向から見た側面図である。図2Cは把持アームを降下させ、PCB基板を湾曲低減ステージに載置したとき図2Bの円B内に対応する拡大図である。
PCB湾曲低減部10は、ACF搬送部40の湾曲低減ステージ41、搬送アーム部30及び全体の制御装置80(図1参照)のうち湾曲低減動作を制御する湾曲制御部81から構成される。
【0022】
本実施形態の基本的な考え方は、把持アーム31が把持したPCB基板5を湾曲低減ステージ41に載置する際に、湾曲低減ステージの両端側に設けた図2Cに示すストッパ42dにPCB基板を押付けて湾曲を矯正、低減し、PCB基板の湾曲が低減した姿勢を保持した状態で湾曲低減ステージ41をACFヘッド51まで搬送するものである。
【0023】
湾曲低減時の湾曲低減ステージ41、把持アーム31及びACFヘッド51の位置関係は、PCB基板5のACF貼付位置が図2Aでは右側になるので、図面上で左から、湾曲低減ステージ41、把持アーム31、ACFヘッド51となる。従って、図1において、搬送アーム部30は、ACF貼付装置50に対して後ろ向きの姿勢でPCB基板をトレイ20から取り上げ、湾曲低減ステージ41をオーバーランして、図2Aの位置にくることになる。
【0024】
以下、PCB湾曲低減部10の構成を順次説明する。
湾曲低減ステージ41は、基台47に設けられた搬送レール48上を走行するステージ41a、PCB基板5をクランプする2台のクランプ42及び湾曲を補正後、PCB基板を吸着ノズル43aで固定する2台の吸着アーム43を有する。2台のクランプ42はPCBの長さに応じてY方向移動レール41b上に移動固定される。図2B、図2Cに示すように、それぞれのクランプ42は、Y方向移動レール41b上に固定する基部42a、ストッパ42bを有し、PCB基板を載置する下部クランプ42cと、C方向に旋回してその先端42eでPCB基板を固定する上部クランプ42dとからなる。
【0025】
一方、把持アーム31は、図2Aに示す搬送アーム部30のZ軸・回転可動部34(図1参照)の可動シャフト34a(図2B参照)に固定される接続部35、当該接続部に固定されPCB基板5の側面部5sを押し当てる押当板36、前記接続部から図面上で上下に伸びる2本連結棒37、2本連結棒37の両端側に設けられた2台の把持部38を有する。把持部38は、図2Bに示すように、PCB基板を把持する一対の爪38a、38bを有する。図2Cの拡大図に示すように、爪38aを爪38bに押し当て把持する。また、把持アーム31は図1に示す搬送アーム部30のX軸可動部32及びZ軸・回転可動部34によってX方向、Z方向(図2B参照)に移動する。
【0026】
図3はこのようなPCB湾曲低減部10の構成によって実施される湾曲低減動作フローを示したものである。図3Aは、搬送アーム部の把持アーム31が湾曲低減ステージ41の位置に降下してきた所を示す図である。図3BはPCB基板5をクランプ42に載置し、把持アーム31を矢印X方向に移動させストッパ42bにPCB基板5が突きあった状態を示す図である。図3CはさらにPCB基板把持アーム31を矢印X方向に移動させて、2箇所のストッパ42bと押付板36によってPCB基板の湾曲を低減させ、湾曲低減後、クランプ42を閉じPCB基板を把持固定し、吸着ノズル43aによってエア吸着することによって湾曲低減状態を保持した図である。
【0027】
その後、把持部38の爪を開放することで、PCB基板5を湾曲低減ステージ41に渡し、湾曲低減ステージ41はACF貼付ヘッド51に行き、アライメント実施後、ACF貼付処理を行なう。
【0028】
なお、このとき、把持アーム31はACF貼付処理が終了するまで待機し、終了後ACF貼付ヘッド近傍でACF付きPCB基板を受取り、本圧着搬送部60へ搬送することになる。従って、ACF搬送部40を並列に設けることで、把持アーム31がPCB基板5を湾曲低減ステージ41に渡し後、当該PCB基板のACF貼付処理が終了するまで待機する必要がなく、隣接したACF搬送部40で搬送されACF貼付処理されたPCB基板を受取りに行くことができ、処理効率を向上できる。
【0029】
また、ACF搬送部40を並列に設けなくても、ACF貼付装置のACF貼付ステージ自体に湾曲低減ステージ41と同様なストッパ、クランプを設け、湾曲低減ステージ41自体は把持アーム31からPCB基板を受け取り、把持アーム31に代わりにPCB基板を押付ける役目を果たす中継ステージとすることで、前記方法と同様に処理効率を上げることができる。即ち、把持アーム31は、ACF貼付ステージで貼付け処理中に中継ステージに次に処理すべきPCB基板を搬送する。そして、ACF貼付ステージで処理が終了したら、把持アーム31は処理済のPCB基板を本圧着搬送部60へ搬送し、中継ステージはACF貼付ステージに移動しACF貼付ステージでPCB湾曲低減処理し、元の位置に戻る。把持アーム31はその湾曲低減状態を保持し、ACF貼付け処理を行なう。ここれを、順次繰り返すことで搬送アームの無駄な待機時間が不要になる。
【0030】
さらに、搬送アームを複数設けることで、ACF貼付ステージに湾曲低減ステージと同様な機構を設け、直接搬送アームとACF貼付ステージでPCB湾曲低減動作を行ない、その後ACF貼付け動作を行ないことも可能である。
【0031】
上述したACF貼付前の本実施形態では、PCB基板が右に湾曲した例を示したが、左右どちらに湾曲しても対応できるようにする場合は、図4に示すように、PCB基板5を挟んで押付板36の反対側にもPCB基板5の側面部5sを押付ける機構、例えば、クランプ42(図4A)や単なる押付固定版(図4B)を設けることによって対応できる。図4Aの場合は、吸着ノズルの役目をクランプ42に代用させることも可能である。
【0032】
上述したACF貼付前の本実施形態によれば、PCB基板の湾曲を低減した状態で、信頼性の高いACF貼付処理を実施することで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することができる。
【0033】
図1に戻ってさらに説明する。ACF貼付前に実施したPCB基板の湾曲低減処理を、本圧着処理前にも行なう必要がある。なぜならば、ACF貼付処理後、湾曲低減ステージ41がPCB基板を離し、その離した基板を把持アーム31が把持するが、湾曲低減ステージ41がPCB基板を離した途端にPCB基板の湾曲が元に戻る可能性が高いからである。勿論、ACF貼付前の矯正で湾曲が無視できるほど小さくなれば本圧着処理前に実施する必要がない。
ACF搬送部40と本圧着搬送部60の搬送方向は逆であるが、本圧着処理前のPCB基板の湾曲低減処理は、基本的にはACF処理前のPCB基板の湾曲低減処理と同じであるのでここでは省略する。
【0034】
図5はPCBにおける上記フローを纏めたものである。まず、PCB基板5をトレイ20取り出す(Step1)。PCB基板5をACF搬送部40へ搬送する(Step2)。図3に示す湾曲低減処理を行なう(Step3)。湾曲低減処理後、PCB基板5を湾曲低減状態に保持し、ACF貼付けヘッドの位置51まで搬送する(Step4)。PCB基板5を湾曲低減状態に保持し、ACF貼付処理を行なう(Step5)。ACF貼付処理した後、ACF付きPCB基板5を本圧着搬送部60へ搬送する(Step6)。図3に示す湾曲低減処理を行なう(Step7)。処理後、PCB基板を湾曲低減状態に保持し、本圧着ヘッドの位置まで搬送する(Step8)。PCB基板を湾曲低減状態に保持し、本圧着処理を行なう(Step9)。全てのPCB基板処理が終了するまでStep1〜Step9の処理を繰返す(Step10)。
【0035】
以上説明した本実施形態では、2箇所のストッパ42bと押付板36によりPCB基板の湾曲を低減させているが、押付版36の代わりに把持アーム31の把持部38で押付けてもよい。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、ACF貼付処理前、本圧着処理前にPCB基板の湾曲を低減する処理を行なうことで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することができる。
【0037】
図6はPCB湾曲低減部10の第2の実施形態を示した図である。第1の実施形態では
把持アーム31でPCB基板を押付けたが、本実施形態では、把持アーム31の替わりに
ACF搬送部40または本圧着搬送部60に設けた押付けアーム16によってPCB基板5をスットパ42bに押付けてPCB基板の湾曲を低減するものである。図6AはACF搬送部40に設けた第2の実施形態におけるPCB湾曲低減部10の構成を示し、図6Bは図6Aの矢印のA方向から見た側面図である。
【0038】
PCB湾曲低減部10は、ACF搬送部40の湾曲低減ステージ41、押付けアーム16、押付けアームを旋回させる旋回部17、旋回部を前後移動させる旋回移動部18及び湾曲低減動作を制御する湾曲制御部81(図2A参照)から構成される。
また、押付けアーム16の先端には、図6Bの円B内に示すようにPCB基板を5を把持するための係合部を構成するラッパ状の爪14を設けている。
【0039】
把持アーム31で搬送されてきたPCB基板5をクランプ42、吸着アーム43に載置し、吸着アーム43によってPCB基板5を吸着し固定する。その後、押付けアーム16を略90度旋回(矢印C)させ、旋回移動部18で旋回部17をクランプ42の方向(矢印D)に移動させて、吸着アーム43で固定されているPCB基板に爪14に挿入する。爪14はラッパ状になっているので、PCB基板が多少撓みを有していても、爪の平坦部14aに導くことができ、吸着アーム43で固定されたPCB基板を確実に把握できる。ある程度挿入した後、吸着アーム43による吸着をやめ、旋回部17をさらにクランプ42の方向に移動させて、ストッパ42bと押付けアーム16によるPCB基板の湾曲を低減する。湾曲低減後再び、吸着アーム43、クランプ42よりPCB基板を固定する。一方、押付けアーム16はACF搬送部の移動に伴う湾曲低減ステージ41の障害にならないように破線に示す元の位置に戻る。この結果ACF貼付装置は湾曲を低減した状態でPCB基板にACFを貼り付けることができる。
【0040】
以上、説明したように、第2の実施形態によれば、ACF貼付処理前、本圧着処理前にPCB基板の湾曲を低減する処理を行なうことで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することができる。
【0041】
最後に、PCB湾曲低減部10の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態の基本的な考え方は、図7に示すような、PCB基板5をその側面部5sを2方向から11a,11bで挟みこみ、少なくとも一方からPCB基板を押し込む挟み押え機構11を把持アーム31またはACF搬送部40(本圧着搬送部60)の湾曲低減ステージ41に設けるものである。第3の実施形態において説明しない部分は、基本的には第1の実施形態と同じ構成または動作を行なう。
【0042】
図8は把持アーム31に挟み押え機構11を有するPCB湾曲低減部10の第3の実施形態の例を示した図である。図8(b)は挟み押え機構11の基本的な構成を示す。図8(a)は、図8(b)において矢印Bから見たときの挟み押え機構11を示す。図8(c)は、図8(b)において矢印Aから見たときの側面図を示す。挟み押え機構11は、第1の実施形態と同様に接続部35に固定されPCB基板5の側面部5sを押し当てる押当板36、当該接続部に設けられたシリンダ12、シリンダの先端に垂下した逆T字型の挟み押えアーム13、挟み押えアーム13の両端側に設けられたラッパ状の爪14を有する。そこで、押当板36と2つの爪14でPCB基板5を挟み込み、シリンダ12で押さえアーム13を把持アーム31の把持部38の方向に移動させてPCB基板5を押え込み、PCBの湾曲を低減するものである。以下動作フローを説明する。
【0043】
まず、把持アーム31によってトレイ20からPCB基板5を取り出すときに、把持部38でPCB基板を把持する。その後シリンダ12を縮め、上述したように挟み押えアーム13でPCB基板5の湾曲を低減する。このとき、挟み押えアーム13はPCB基板を把持部38とは反対側を爪14で把持する。爪14はラッパ状になっているので、PCB基板が多少撓みを有していても、爪の平坦部14aに導くことができ、PCB基板を確実に挟み押さえ込むことができる。把持アーム31は湾曲を低減した状態で、ACF搬送部40までPCB基板を搬送し、図6Bに示すクランプ42、吸着アーム43に載置し、ステージ41に固定する。なお、ステージ41は、図6Aの湾曲低減ステージと同じ構造を有し、単に湾曲低減動作に関与していないだけなので同じ符号を付している。
この結果ACF貼付装置は湾曲を低減した状態でPCB基板にACFを貼り付けることができる。
【0044】
以上、説明したように、第3の実施形態によれば、把持アーム31でPCB基板の湾曲を低減する処理を行なうことで、歩留まりを向上させた生産性の高いPCB実装処理装置及びPCB実装処理方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:PCB実装処理装置 5:PCB基板
10:PCB湾曲低減部 11:挟み押え機構
12:シリンダ 13:挟み押えアーム
14:(ラッパ状の)爪 16:押付けアーム
17:旋回部 18:旋回移動部
20:トレイ 30:搬送アーム部
31:把持アーム 32:X軸可動部
33:Y軸可動部 34:Z軸・回転可動部
35:接続部 36:押当板
38:把持部 40:ACF搬送部
41:ACF搬送部の湾曲低減ステージまたはステージ
42:クランプ 42b:ストッパ
43:吸着アーム 50:ACF貼付装置
51:ACF貼付ヘッド 60:本圧着搬送部
61:本圧着搬送部の湾曲低減ステージまたはステージ
70:本圧着装置 80:制御装置
81:湾曲制御部 P:基板(表示基板)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCB基板にACFを貼り付けるACF貼付装置と、表示基板に搭載された搭載部品に前記ACF付きPCB基板を本圧着する本圧着装置と、前記PCB基板を前記ACF貼付装置や前記本圧着装置に搬送する搬送装置を有するPCB実装処理装置において、
前記ACF貼付装置、前記本圧着装置のうち少なくとも一方の処理装置で処理を行なう前に、前記搬送装置は前記PCBの有する湾曲を低減するPCB湾曲低減手段を有することを特徴とするPCB実装処理装置。
【請求項2】
前記搬送装置は、前記処理手段の近傍まで前記PCB基板を搬送するPCB搬送手段と前記PCB搬送手段から前記PCB基板を受取り、前記処理装置に前記PCB基板を搬送する処理搬送手段とを有し、前記PCB湾曲低減手段は、前記処理搬送手段に設けられ前記PCB基板を載置搬送し、前記PCB基板の側面部と接するストッパを有する湾曲低減ステージと、前記湾曲低減ステージに載置された前記PCB基板を前記ストッパに押付ける押付手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のPCB実装処理装置。
【請求項3】
前記押付手段は前記PCB搬送手段の前記PCB基板を把持する把持部で前記PCB基板を前記ストッパに押付ける手段であることを特徴とする請求項2に記載のPCB実装処理装置。
【請求項4】
前記押付手段は、前記処理搬送手段の基台に設けられ前記ストッパとは反対側の前記PCB基板の側面部と係合する係合部と前記係合部を前記処理搬送手段の搬送方向に移動、旋回のうち少なくとも一方の可動部とを有することを特徴とする請求項2に記載のPCB実装処理装置。
【請求項5】
前記ストッパを前記湾曲低減ステージの両端側に設けたことを特徴とする請求項2に記載のPCB実装処理装置。
【請求項6】
前記ストッパを前記湾曲低減ステージの中央付近にさらに設けたことを特徴とする請求項5に記載のPCB実装処理装置。
【請求項7】
前記PCB湾曲低減手段は、前記搬送装置の前記PCB基板の把持部又は前記PCB基板を前記把持部から受取り載置して搬送する搬送ステージにおいて、前記PCB基板の両側部の両側から把持し、少なくとも一方から前記PCB基板に押付力を付与する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のPCB実装処理装置。
【請求項8】
前記搬送装置は前記PCB基板の格納部からPCB基板を取り出す第1の搬送手段と
前記第1の搬送手段から前記PCB基板を受取り前記処理装置に搬送する第2の搬送手段とを有し、前記把持部は前記第1の搬送手段の把持部であり、前記PCB基板に押付力を付与した状態で前記第2の搬送手段の搬送ステージに基板を載置することを特徴とする請求項7に記載のPCB実装処理装置。
【請求項9】
前記湾曲低減ステージまたは前記搬送ステージに前記PCB基板の姿勢を保持する姿勢保持手段を有することを特徴とする請求項2又は8に記載のPCB実装処理装置。
【請求項10】
前記姿勢保持手段はクランプ手段または吸着手段であることを特徴とする請求項9に記載のPCB実装処理装置。
【請求項11】
PCB基板を前記PCB基板にACFを貼り付け処理する位置に搬送する第1の搬送ステップと、前記PCB基板にACFを貼り付け処理するステップと、表示基板に搭載された搭載部品に前記PCB基板を本圧着処理する位置に搬送する第2の搬送ステップと、前記ACF付きPCB基板を本圧着処理するステップとを有するPCB実装処理方法において、
前記ACFを貼り付け処理するステップ、本圧着処理するステップのうち少なくとも一方の処理ステップで処理する前に、前記PCBの有する湾曲を低減するPCB湾曲低減ステップを有することを特徴とするPCB実装処理方法。
【請求項12】
前記PCB湾曲低減ステップは、前記第1の搬送ステップまたは前記第2の搬送ステップにおいて前記PCB基板を載置する湾曲低減ステージに設けられたPCB基板の側面部と接するストッパに前記PCB基板を押付ける押付ステップを有することを特徴とする請求項11に記載のPCB実装処理方法。
【請求項13】
前記押付ステップは、前記PCB基板の格納部から前記PCB基板を取り出し、前記湾曲低減ステージに載置する搬送装置の把持部で前記PCB基板を前記ストッパに押付けるステップであることを特徴とする請求項12に記載のPCB実装処理方法。
【請求項14】
前記第1の搬送ステップまたは前記第2の搬送ステップは、前記PCB基板の格納部から前記PCB基板を取り出す把持部において、前記PCB基板をその両側面部の両側から把持し、少なくとも一方の側面部から前記PCB基板に押付力を付与するステップと、その後、前記押付力を付与した状態のPCB基板を前記把持部から受取り搬送する搬送ステージに前記PCB基板を載置するステップを有することを特徴とする請求項11に記載のPCB実装処理方法。
【請求項15】
前記第1の搬送ステップまたは前記第2の搬送ステップは、前記PCB基板の格納部から前記PCB基板を取り出す把持部から受取り載置して搬送する搬送ステージにおいて、前記PCB基板をその両側面部の両側から把持し、少なくとも一方の側面部から前記PCB基板に押付力を付与するステップを有することを特徴とする請求項11に記載のPCB実装処理方法。
【請求項16】
前記PCB湾曲低減ステップは、前記湾曲低減ステージまたは前記搬送ステージに前記PCB基板の姿勢を保持する姿勢保持ステップを有することを特徴とする請求項12又は14あるいは15に記載のPCB実装処理方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−35118(P2011−35118A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179012(P2009−179012)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】