説明

PDE4インヒビターとしての3−ヒドロキシ−6−フェニルフェナントリジン

式Iで示され、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R6及びR7が明細書中に記載の意味を有する化合物は新規の効果的なPDE4インヒビターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は、医薬品組成物の製造のための医薬品工業で使用される新規の3−ヒドロキシ−6−フェニルフェナントリジンに関する。
【0002】
公知の背景技術
国際出願WO97/28131号(=USP6,191,138号)、WO97/35854号(=USP6,127,378号)、WO99/05113号(=USP6,121,279号)、WO99/05111号(=USP6,410,551号)、WO00/42018号、WO00/42020号、WO02/05616号及びWO02/06238号はPDE4インヒビターとしての6−フェニルフェナントリジンを記載している。
【0003】
発明の概要
ところで以下に十分に詳細に記載された新規の3−ヒドロキシ−6−フェニルフェナントリジンが今までに知られている6−フェニルフェナントリジンとは、予測されない極めて複雑な構造変化により異なり、そして意想外かつ特に有利な特性を有することが判明した。
【0004】
従って本発明は式I
【0005】
【化1】

[式中、
R1はヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであるか、又は
R1及びR2が一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基であり、
R3は水素又はC〜C−アルキルであり、
R31は水素又はC〜C−アルキルであり、
R4は水素、C〜C−アルキル、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素又はC〜C−アルキルであり、
R6水素、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、アミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、フェニル、フェニル−C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C−シクロアルキルメチルであり、
R7は水素、C〜C−アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又はC(O)OR61である]の化合物、及びそれらの塩、N−オキシド及び前記化合物のN−オキシドの塩に関する。
【0006】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル及び、有利にはエチル基及びメチル基である。
【0007】
〜C−アルキルは、直鎖状又は分枝鎖状の1〜7個の炭素原子を有するアルキル基を表す。挙げられる例は、ヘプチル、イソヘプチル(5−メチルヘキシル)、ヘキシル、イソヘキシル(4−メチルペンチル)、ネオヘキシル(3,3−ジメチルブチル)、ペンチル、イソペンチル(3−メチルブチル)、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル又はメチル基である。
【0008】
〜C−アルコキシは、酸素原子の他に直鎖状又は分枝鎖状の1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を有する基を表す。挙げられる例は、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ及び、有利にはエトキシ基及びメトキシ基である。
【0009】
〜C−シクロアルキルは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、そのうちシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシが有利である。
【0010】
〜C−シクロアルキルメトキシは、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ及びシクロヘプチルメトキシを表し、そのうちシクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ及びシクロペンチルメトキシが有利である。
【0011】
完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ペルフルオロエトキシ、1,2,2−トリフルオロエトキシ、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ及び、有利にはジフルオロメトキシ基が挙げられる。
【0012】
本願明細書中の“大部分が”とは、C〜C−アルコキシ基の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0013】
完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルキルとしては、例えば2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ペルフルオロエチル、1,2,2−トリフルオロエチル、特に1,1,2,2−テトラフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリフルオロメチル及び、有利にはジフルオロメチル基が挙げられる。
【0014】
本願明細書中の“大部分が”とは、C〜C−アルキル基の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0015】
〜C−アルキレンジオキシは、例えばメチレンジオキシ[−O−CH−O−]基及びエチレンジオキシ[−O−CH−CH−O−]基を表す。
【0016】
〜C−アルコキシ−C〜C−アルキルは、前記のC〜C−アルキル基の1つであって、それが前記のC〜C−アルコキシ基の1つによって置換されている基を表す。挙げられる例は、メトキシメチル、メトキシエチル及びイソプロポキシエチル基、特に2−メトキシエチル及び2−イソプロポキシエチル基である。
【0017】
〜C−アルキルカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC〜C−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、アセチル基である。
【0018】
〜C−アルキルカルボニルは、カルボニル基の他に前記のC〜C−アルキル基の1つを有する基を表す。挙げられる例は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル及びヘキサノイル基である。
【0019】
ヒドロキシ−C〜C−アルキルは、C〜C−アルキル基であって、それがヒドロキシル基によって置換されている基を表す。挙げられる例は、2−ヒドロキシエチル及び3−ヒドロキシプロピル基である。
【0020】
窒素原子の他に、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ基は前記のC〜C−アルキル基の1つ又は2つを含有する。ジ−C〜C−アルキルアミノが有利であり、かつ本願では特にジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はジイソプロピルアミノである。
【0021】
本発明の意味上の範囲内ではハロゲンは、臭素、塩素又はフッ素である。
【0022】
〜C−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを表し、そのうちシクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが有利である。
【0023】
〜C−シクロアルキルメチルは、前記のC〜C−シクロアルキル基の1つにより置換されているメチル基を表す。有利にはC〜C−シクロアルキルメチル基、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル及びシクロペンチルメチルが挙げられる。
【0024】
フェニル−C〜C−アルキルは、フェニル置換された前記のC〜C−アルキル基の1つを表す。挙げられる例は、フェネチル及びベンジル基である。
【0025】
〜C−アルキルカルボニルオキシは、前記C〜C−アルキル基の1つが結合されているカルボニルオキシ基である。挙げられる例は、アセトキシ基[CHC(O)−O−]である。
【0026】
〜C−アルキルカルボニルアミノは、前記のC〜C−アルキルカルボニル基の1つにより置換されているアミノ基を表す。挙げられる例は、アセトアミド基[CHC(O)−NH−]である。
【0027】
挙げられるR6及びR7によって置換されたフェニル基の例は、4−アセトアミドフェニル基、3−アセトアミドフェニル基、4−アセトキシフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−ブロモフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2−クロロ−4−ニトロフェニル基、4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−クロロ−5−ニトロフェニル基、4−クロロ−3−ニトロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、4−ジ−エチルアミノフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、2−クロロ−6−フルオロフェニル基、2−フルオロ−5−ニトロフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、3−ジメチルアミノフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、4−メチル−3−ニトロフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−エトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−ビフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、3−トリフルオロメトキシフェニル基、2−トリフルオロメトキシフェニル基、3−シクロペンチルオキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、3−シクロヘキシルオキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシフェニル基、4−シクロプロピルメトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−4−メトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−4−エトキシフェニル基、4−シクロプロピルメトキシ−3−メトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−5−メトキシフェニル基、ビス−3,4−シクロプロピルメトキシフェニル基、ビス−3,5−シクロプロピルメトキシフェニル基、3,4−ジシクロペンチルオキシフェニル基、3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル基、4−シクロペンチルオキシ−3−メトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−4−シクロペンチルオキシフェニル基、3−シクロペンチルオキシ−5−メトキシフェニル基、4−シクロプロピルメトキシ−3−シクロペンチルオキシフェニル基、3−シクロブチルオキシ−4−メトキシフェニル基、3−シクロプロピルメトキシ−4−アセチルアミノフェニル基、4−カルボキシフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−イソプロポキシカルボニルフェニル基、3−カルボキシフェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、3−エトキシカルボニルフェニル基、3−イソプロポキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニル−3−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メトキシカルボニルフェニル基、3−ブロモ−4−メトキシカルボニルフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシカルボニルフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシカルボニルフェニル基、2−ブロモ−4−メトキシカルボニルフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシカルボニルフェニル基、2−メトキシ−4−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニル−2−メチルカルボニルフェニル基、4−フルオロ−3−メトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシ−3−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシ−3−メトキシカルボニルフェニル基、4−イソプロポキシ−3−メトキシカルボニルフェニル基、3−メトキシカルボニル−4−メチルフェニル基、5−t−ブチル−3−メトキシカルボニルフェニル基、3−メトキシカルボニル−5−メチルフェニル基、3−ブロモ−5−メトキシカルボニルフェニル基、3−クロロ−5−メトキシカルボニルフェニル基、3−メトキシ−5−メトキシカルボニルフェニル基、3−アセトキシ−4−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニル−2−ニトロフェニル基、4−メトキシカルボニル−2−フェニルフェニル基、2−シアノ−4−メトキシカルボニルフェニル基、4−アセトキシ−3−メトキシカルボニルフェニル基、3−メトキシカルボニル−4−ニトロフェニル基、3−メトキシカルボニル−5−フェニルフェニル基、5−シアノ−3−メトキシカルボニルフェニル基又は5−メトキシカルボニル−3−ニトロフェニル基、4−メトキシ−3−プロポキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−ジフルオロメトキシフェニル基、3−ジフルオロメトキシフェニル基、3,4−ビス−ジフルオロメトキシフェニル基、4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基又は4−フェノキシフェニル基である。
【0028】
式Iの化合物の可能な塩(置換基に依存して)は全ての酸付加塩又は塩基との全ての塩である。薬学で慣用に使用される酸及び有機酸と塩基の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。適当な塩は、一方では、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水溶性及び水不溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0029】
他方で塩基との塩も適当である。挙げられる塩基との塩の例は、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム)又はカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、ここでもまた塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0030】
本発明による化合物の工業的規模での製造においてプロセス生成物として、例えば最初に得ることができる薬理学的に非認容性の塩は当業者に公知の方法によって薬理学的に認容性の塩に変換される。
【0031】
本発明による化合物及びその塩は、例えばこれらが結晶形で単離される場合に種々の溶剤量を有してよいことは当業者には知られている。従ってまた本発明は、式Iの化合物の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物、及びまた式Iの化合物の塩の全ての溶媒和物及び、特に全ての水和物を包含する。
【0032】
式Iの化合物の置換基R6及びR7は、6−フェニル環がフェナントリジン環系に結合される位置に対してオルト位、メタ位又はパラ位で結合されてよく、その際、メタ位又は、特にパラ位での結合が有利である。
【0033】
本発明の実施態様(実施態様a)は、式I
[式中、
R1はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素又はC〜C−アルキルであり、
R7は水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0034】
強調されるべき実施態様aの化合物は、式I
[式中、
R1はC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシエチル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素又はC〜C−アルキルであり、
R7は水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0035】
特に強調されるべき実施態様aの化合物は、式I
[式中、
R1はメトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R2はメトキシ、ジフルオロメトキシ又はエトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシアノ又はシクロプロピルメトキシであり、
R7は水素、メトキシ又はシクロプロピルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩である。
【0036】
より特に強調されるべき態様aの化合物は、式I
[式中、
R1はメトキシであり、
R2はメトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシアノ又はシクロプロピルメトキシであり、
R7は水素又はシクロプロピルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩である。
【0037】
本発明の更なる実施態様(実施態様b)は、式I
[式中、
R1はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、2−ヒドロキシエチル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C−シクロアルキルメチルであり、
R7は水素、C〜C−アルキル、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩である。
【0038】
強調されるべき実施態様bの化合物は、式I
[式中、
R1はC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシであり、
R7は水素、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩である。
【0039】
特に強調されるべき実施態様bの化合物は、式I
[式中、
R1はC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−シクロアルキルメトキシであり、
R7はC〜C−シクロアルキルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩である。
【0040】
実施態様bの有利な化合物は、式I
[式中、
R1はメトキシであり、
R2はメトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシクロプロピルメトキシであり、
R7はシクロプロピルメトキシである]の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩である。
【0041】
有利な式Iの化合物の例は以下の通りである:
(±)−酢酸(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル、
(±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル、
(±)−(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール、
(±)−(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール、
(±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(4−シアノフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル、及び
(±)−4−((3SR,4aRS,10bRS)−3−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−6−イル)−ベンゾニトリル、
並びにそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【0042】
本発明の化合物の特定の一態様は、例えば式Iで示され、式中、R1及びR2がC〜C−アルコキシである化合物である。
【0043】
本発明の化合物の特定の一態様は、例えば式Iで示され、式中、R1及びR2がC〜C−アルコキシであり、かつR3、R31及びR5が水素である化合物である。
【0044】
本発明の化合物の別の更に特定の一態様は、例えば式Iで示され、式中、R4が水素である化合物である。
【0045】
また本発明の化合物の別の更に特定の一態様は、例えば式Iで示され、式中、
R6がC〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素又はC〜C−アルキルであり、かつ
R7が水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである化合物である。
【0046】
本発明の依然更に特定の一態様は、例えば式Iで示され、式中、
R1がC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2がC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、かつ
R3、R31及びR5が水素である化合物であり、その際、本願において強調されるべき化合物は、例えば式Iで示され、式中、
R1がエトキシであり、かつ
R2がメトキシ又はジフルオロメトキシであるか、又はより特には
R1がメトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R2がメトキシ、ジフルオロメトキシ又はエトキシであるか、又はより特には
R1がジフルオロメトキシであり、かつ
R2がメトキシ又はエトキシであるか、又は
R1がメトキシであり、かつ
R2がエトキシ又はジフルオロメトキシであり、かつ
R3、R31及びR5が水素である化合物である。
【0047】
式Iの化合物は、少なくとも3位、4a位及び10b位にキラル中心を有し、かつ置換基R3、R31及びR5の意味によっては更なるキラル中心を1位、2位及び4位に有するキラル化合物である。
【0048】
【化2】

【0049】
従って本発明は純粋形並びに任意の混合比での全ての考えられる立体異性体を含む。
【0050】
式Iの有利な化合物は、4a位及び10b位の水素原子が互いにシス位にある。純粋なシス−ジアステレオマー、純粋なシス−エナンチオマー及びその任意の混合比での混合物及び、例えばラセミ体が本願では特に有利である。本文中で特に有利な化合物は、式Iで示され、4a位及び10b位に関して、式I
【0051】
【化3】

に示されるのと同じ立体配置を有する化合物である。
【0052】
例えば式Iの化合物において、R3、R31及びR5は水素の意味を有する場合には、カーン−インゴールド及びプレローグの規則に従う立体配置は4a位においてRであり、かつ10b位においてRである。
【0053】
式Iの更に有利な化合物は、3位、4a位及び10b位に関して、式I**、式I***及び式I****
【0054】
【化4】

に示されるのと同じ立体配置を有する化合物である。
【0055】
例えば式I**の化合物において、R3、R31及びR5は水素の意味を有する場合には、カーン−インゴールド及びプレローグの規則に従う立体配置は3位においてRであり、4a位においてRであり、かつ10b位においてRである。
【0056】
例えば式I***の化合物において、R3、R31及びR5は水素の意味を有する場合には、カーン−インゴールド及びプレローグの規則に従う立体配置は3位においてSであり、4a位においてSであり、かつ10b位においてSである。
【0057】
例えば式I****の化合物において、R3、R31及びR5は水素の意味を有する場合には、カーン−インゴールド及びプレローグの規則に従う立体配置は3位においてRであり、4a位においてSであり、かつ10b位においてSである。
【0058】
式Iのより有利な化合物は、3位、4a位及び10b位に関して、式I*****
【0059】
【化5】

に示されるのと同じ立体配置を有する化合物である。
【0060】
例えば式I*****の化合物において、R3、R31及びR5は水素の意味を有する場合には、カーン−インゴールド及びプレローグの規則に従う立体配置は3位においてSであり、4a位においてRであり、かつ10b位においてRである。
【0061】
前記のように式Iの化合物の全ての他の可能な立体異性体も本発明を構成する部分である。
【0062】
エナンチオマーは自体公知のように分割できる(例えば適当なジアステレオマー化合物の調製及び分割によって)。例えばエナンチオマー分割は、式VIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31及びR5が前記の意味を有するか、又は式XVIaで示されれ、R1、R2、R3、R31及びR5が前記の意味を有し、かつPGが適当な保護基、例えばアセチルを表す出発化合物の段階で実施してよい。更に適当な保護基は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis”、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons, Inc. 1999, 3rd Ed)又は“Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)”、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers, 2000)で述べられている。選択的にまた、エナンチオマー分割は、式XVIbで示され、R1、R2、R3、R31、R4及びR5が前記の意味を有する出発化合物の段階で実施してよい。
【0063】
【化6】

【0064】
エナンチオマーの分割は、例えば式VII、XVIa又はXVIbで示され光学活性カルボン酸を有するラセミ化合物の塩形成を実施し、引き続き塩の分割及び該塩からの所望の化合物の遊離を行うことによって実施してよい。この文脈で述べられた光学活性カルボン酸の例は、マンデル酸、酒石酸、O,O′−ジベンゾイル酒石酸、ショウノウ酸、キニン酸、グルタミン酸、リンゴ酸、ショウノウスルホン酸、3−ブロモショウノウスルホン酸、α−メトキシフェニル酢酸、α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸及び2−フェニルプロピオン酸のエナンチオマー形である。選択的に、式VII、XVIa又はXVIbのエナンチオマー的に純粋な出発化合物は、不斉合成によって製造できる。エナンチオマー的に純粋な出発化合物並びに式Iのエナンチオマー的に純粋な化合物は、キラル分割カラム上でのクロマトグラフィー分割によって、キラル補助試薬による誘導体化、引き続きのジアステレオマー分割及びキラル補助基の除去によって、又は適当な溶剤からの(分別)結晶化によって得ることもできる。
【0065】
本発明による化合物は、例えば以下の反応式に示されるように製造できる。
【0066】
以下の反応式1における第一の反応工程において、式VIIIで示され、R1、R2、R3、R31及びR5が前記の意味を有する化合物のニトロ基を還元して、式VIIの相応の化合物が得られる。還元反応は、当業者に自体公知の方法、例えばJ. Org. Chem. 1962, 27, 4426又は以下の実施例に記載される方法で実施される。殊に、還元は、例えば式VIIIの化合物と水素生成混合物、例えば有利には緩慢な酸性媒体、例えば酢酸中の金属亜鉛とを低級アルコール、例えばメタノール又はエタノール中で室温又は高められた温度で、又は有利には溶剤混合物の沸点温度で実施してよい。
【0067】
選択的に、還元は、ニトロ基の選択的還元によって、当業者に公知の方法で、例えば金属触媒、例えばパラジウム又は有利にはラネーニッケルの存在下に、適当な溶剤、有利には低級アルコール中で、例えばギ酸アンモニウム又は有利にはヒドラジン水和物を水素供与体として使用して実施してよい。
【0068】
反応式1:
【0069】
【化7】

【0070】
得られる式VIIの化合物を、例えば以下の実施例中に例として記載されるように、式VIで示され、式中、R6及びR7が前記の意味を有し、かつXが適当な離脱基、有利には塩素原子を表す化合物と反応させて、式Vで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物を得てもよい。
【0071】
選択的に、式Vで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物は、例えば式VIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31及びR5が前記の意味を有する化合物及び式VIで示され、式中、R6及びR7が前記の意味を有し、かつXがヒドロキシルを表す化合物から、当業者に公知のアミド結合架橋試薬と反応させることによって製造することもできる。
【0072】
当業者に公知のアミド結合架橋試薬の挙げられる例は、カルボジイミド(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド又は、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、アゾジカルボン酸誘導体(例えばジエチルアゾジカルボキシレート)、ウロニウム塩[例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート又はO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]及びN,N’−カルボニルジイミダゾールである。本発明の範囲において、有利なアミド結合架橋試薬はウロニウム塩及び、有利にはカルボジイミド、有利には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
【0073】
式VIで示され、式中、R6及びR7が前記の意味を有する化合物は公知であるか、又は公知のように製造できる。
【0074】
後続工程において、式Vで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物を式IVの相応の化合物にエポキシ反応によって変換し、該反応は以下の実施例に記載されるように又は当業者に公知の方法において実施でき、例えば適当なエポキシ法又は適当なエポキシ試薬、例えば過酸(例えばm−クロロペル安息香酸)又は有機もしくは無機のペルオキシド(例えばジメチルジオキシラン、過酸化水素又は過硫酸塩)を使用して実施できる。
【0075】
得られる式IVの化合物は自体公知の方法によって相応の式IIIの化合物に還元される。殊には、前記の還元反応は、例えば以下の実施例に例として記載されるように、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用して実施してよい。
【0076】
選択的に、前記の還元反応は、例えば水素化アルミニウムリチウム又は貴金属を含有する還元性混合物、例えば二酸化白金又はパラジウム及び適当な水素供与体を用いて実施してもよい。これらの前記の還元方法のいずれかを用いて、式IVで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物を、主として位置選択的にかつジアステレオ選択的に、式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつ1位のヒドロキシル基及び3位のアミド基がシクロヘキサン環によって定義される平面の同じ側に位置する化合物に変換できる。
【0077】
更に当業者には、有利にはヒドロキシル基及び水素原子が結合しているキラル炭素原子の絶対配置が逆であってよいことは知られている。従って式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物の1位の炭素原子の立体配置は場合により逆であってよい。式IIIの化合物の1位の立体配置の前記の逆転は、当業者に公知の方法で、例えば適当な離脱基により1位を誘導体化し、かつ引き続き適当な求核試薬によりSN機構による求核置換反応で該離脱基を交換することによって達成できる。選択的に、式IIIの化合物の1位の立体配置の逆転は、例えば以下の実施例に例として記載されるように、以下の反応式2に示される引き続き特定された2工程法に従って得ることもできる。より詳細には、反応式2に示される前記の方法の第一工程において、式IIIで示され、式中、R1、R2、R6及びR7が前記の意味を有し、かつR3、R31、R5が水素であり、かつ1位がR配置を有する例としての化合物は、式IXの相応の化合物に酸化反応によって変換される。前記の酸化は、同様にして、自体慣用の条件下に、例えばクロラニル、大気酸素、二酸化マンガン又は、有利には酸化クロムを酸化剤として用いて実施される。次いで第二工程において、得られた式IXの化合物を、有利には金属水素化物化合物又はより殊には金属水素化ホウ素物、例えば水素化ホウ素ナトリウムによるケト基の公知の還元反応によって、式III**で示され、式中、R1、R2、R6及びR7が前記の意味を有し、かつR3、R31、R5が水素であり、かつ1位がここでS配置を有し、1位の炭素原子の立体配置がここでは式IIIの前記の化合物に対して逆転されている化合物に変換される。
【0078】
反応式2:
【0079】
【化8】

【0080】
反応式1に示されるように、式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物を更に、合成経路A及び合成経路Bとして示される2種の異なる経路によって加工してよい。
【0081】
合成経路Aは引き続き特定の反応工程を包含する:合成経路Aの第一工程で、式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物の遊離のヒドロキシル基を適当な保護基、例えばアセチル又は“Protective Groups in Organic Synthesis”、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons, Inc. 1999, 3rd Ed.)又は“Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)”、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers, 2000)に記載される保護基の1つによって保護して、式IIaで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつPGが前記の適当な保護基を表す化合物が得られる。
【0082】
反応式1に示されるように、式Iaで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつPGが前記の適当な保護基である化合物は合成経路Aに従って相応の式IIaの化合物の環状縮合によって得られる。前記の環状縮合は、当業者に自体公知のように又は以下の実施例に例として記載されるように、Bischler-Napieralski(例えばJ.Chem.Soc., 1956, 4280-4282に記載されるように)に従って適当な縮合剤、例えばポリリン酸、五塩化リン、五酸化リン又はオキシ塩化リンの存在下に、適当な不活性溶剤、例えば塩素化炭化水素、例えばクロロホルム中で又は環状炭化水素、例えばトルエン又はキシレン中で、又は別の不活性溶剤、例えばイソプロピルアセテート又はアセトニトリル中で、又は更なる溶剤を使用せず、過剰の縮合剤を使用して、低減された温度で、又は室温で、又は高められた温度で、又は使用される溶剤又は縮合剤の沸点で実施される。
【0083】
式Iで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物は、式Iaで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつPGが前記の適当な保護基を表す化合物から、当業者に自体公知の反応によって又は、以下の実施例に記載される反応によって得られる。
【0084】
より詳細には、例えば式Iで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつR4が水素である化合物は、式Iaで示され、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつPGが前記の適当な保護基を表す化合物から、以下の実施例に記載されるように又は挙げられる当業者に公知の方法(“Protective Groups in Organic Synthesis”、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons, Inc. 1999, 3rd Ed.)又は“Protecting Goups(Thieme Foundations Organic Chemstry Series N Group)”、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers, 2000))で保護基を除去することによって得られる。
【0085】
場合により、式Iで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつR4が水素である前記の化合物は更に、有利には3位の遊離のヒドロキシル基において、当業者に公知の適当な反応によって誘導体化させ、式Iの他の化合物を得ることができる。
【0086】
前記の特定の合成経路Aの代わりに、式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物を、反応式1に示される合成経路Bに従って加工してもよい。
【0087】
合成経路Bの第一の反応工程において、式IIbで示され、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物は式IIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物から、基R4の導入によって得られる。導入反応は、自体慣用の方法で又は以下の実施例の例として記載されるように実施される。
【0088】
式Iで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R4、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物に導く合成経路Bの後続の反応工程は、例えば以下の実施例に例として記載されるように又は自体公知の方法に従って又は合成経路Aについて前記のものと同様に実施してよい。
【0089】
場合により、合成経路A又は合成経路Bのいずれかを介して得られる式Iの化合物をまた、当業者に公知の方法によって式Iの他の化合物に変換してもよい。
【0090】
より特には、例えば式Iで示され、
a)R6及び/又はR7がエステル基を表す化合物から、相応の酸を酸性又はアルカリ性の加水分解によって得ることができ、
b)R6がC〜C−アルキルカルボニルオキシ基である化合物から、相応のヒドロキシル基を酸性又はアルカリ性の加水分解によって得ることができ、
c)R6がニトロ基である化合物から、その一部について更に誘導体化されている相応のアミノ化合物をニトロ基の選択的還元によって得ることができ、
d)R4が水素である化合物から、相応のエステル化合物をエステル化反応によって得ることができ、
e)R4が水素である化合物から、相応のエーテル化合物をエーテル化反応によって得ることができ、
f)R4がアシル基である化合物から、相応のヒドロキシル化合物を脱エステル化反応によって得ることができ、
g)R4がアシル基であり、かつR6及び/又はR7がエステル基である化合物から、相応のR4が水素であり、かつR6及び/又はR7がカルボキシルである化合物をアルカリ性加水分解によって得ることができる。
【0091】
a)、b)、c)、d)、e)、f)及びg)に述べられる方法は、当業者に公知の方法と類似にか、又は以下の実施例に例として記載されるように適宜実施される。
【0092】
場合により式Iの化合物をその塩に変換できるか、又は場合により式Iの化合物の塩を遊離の化合物に変換することができる。
【0093】
更に式Iの化合物を、場合により、例えば過酸化水素を用いてメタノール中で又はm−クロロペルオキシ安息香酸を用いてジクロロメタン中でそのN−オキシドに変換することができる。当業者は、その専門知識に基づいて、N−オキシド化のために特に必要とされる反応条件に精通している。
【0094】
式VIIIで示され、式中、R1、R2、R3、R31及びR5が前記の意味を有する化合物は、公知であるか、又は、例えば反応式3に示されるように、式XIで示され、式中、R1及びR2が前記の意味を有する化合物と式Xで示され、式中、R3、R31及びR5が前記の意味を有する化合物とを反応させることによって得ることもできる。
【0095】
反応式3:
【0096】
【化9】

【0097】
付加環化反応は、この場合に当業者に自体公知の方法で、ディールス−アルダー反応に従って、例えばJ. Amer. Chem. Soc. 1957, 79, 6559又はJ. Org. Chem. 1952, 17, 581に記載されるように又は以下の実施例に記載されるように実施される。
【0098】
式VIIIで示され、そのフェニル環及びニトロ基が互いにトランス位にある化合物を、当業者に公知の方法で、相応のシス化合物に、例えばJ. Amer. Chem. Soc. 1957, 79, 6559又は以下の実施例に記載されるように変換することもできる。
【0099】
式X及びXIの化合物は公知であるか、又は公知の方法で製造できる。式XIの化合物は、例えば当業者に公知の方法で、式XIIの相応の化合物から、例えばJ. Chem. Soc. 1951, 2524又はJ. Org. Chem. 1944, 9, 170又は以下の実施例に記載されるように製造できる。
【0100】
式XIIで示され、式中、R1及びR2が前記の意味を有する化合物は、公知であるか、又は当業者に公知の方法で、例えばBer. Dtsch. Chem. Ges. 1925, 58, 203に記載のように製造することもできる。
【0101】
以下の反応式4は、式IIaで示され、式中、R1、R2、R3、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有し、かつPGが前記の適当な保護基を表す化合物及び式IIbで示され、式中、R1、R2、R3、R4、R31、R5、R6及びR7が前記の意味を有する化合物についての選択的な合成経路を示している。反応式3内の反応は、前記に規定されるのと同様又は類似のように又は当業者に公知のように実施してよい。
【0102】
反応式4:
【0103】
【化10】

【0104】
更に当業者には、多数の反応中心が出発化合物又は中間体化合物に存在する場合には、1つ以上の反応中心を反応が所望の反応中心だけで行われるように保護基で封鎖する必要があることもあることは知られている。
【0105】
多数の証明された保護基の使用のための詳細な記載は、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis”、T.Greene and P.Wuts著(John Wiley & Sons, Inc. 1999, 3rd Ed)又は“Protecting Groups(Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group)”、P.Kocienski著(Thieme Medical Publishers, 2000)で述べられている。
【0106】
本発明による物質の単離及び精製は、自体公知の方法で、例えば真空中で溶剤を留去し、そして得られた残留物を適当な溶剤から再結晶させるか、又は慣用の精製法の1つ、例えば適当な担体材料上でのカラムクロマトグラフィーを実施することによって行われる。
【0107】
塩は、遊離の化合物を所望の酸又は塩基を含有する適当な溶剤(例えばケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルム又は低分子量の脂肪族アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール)中に、又は所望の酸又は塩基がその後に添加される溶剤中に溶解させることによって得られる。塩は、付加塩のための非溶剤を用いる濾過、再沈殿、沈殿又は溶剤の蒸発によって得られる。得られた塩を、アルカリ性化又は酸性化によって遊離の化合物に変換してよく、該化合物はまた塩に変換してもよい。前記のように、薬理学的に非認容性の塩を薬理学的に認容性の塩に変換できる。
【0108】
当業者はその知識に基づいて、本発明の明細書中に示され記載されたこれらの合成経路に基づいて、式Iの化合物に関して他の可能な合成経路をどのように見いだすかを知っている。全てのこれらの他の可能な合成経路もまた本発明を構成する部分である。
【0109】
本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載される特性又は実施態様のみに制限されるものではない。当業者に明らかなように、記載される本発明に対する改変、類推、変更及び適合は本発明の開示(例えば明示、暗示又は本来の開示)に基づき本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなされてよい。
【0110】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、それを制限するものではない。同様に製造方法が明記されていない式Iの他の化合物は、同様に又は当業者に公知の方法で慣用の処理技術を用いて製造できる。
【0111】
この実施例において、m.p.は融点を表し、hは時間を表し、EFは実験式を表し、MWは分子量を表し、MSは質量スペクトルを表し、Mは分子イオンを表す。
【0112】
立体化学における通常の実施に従って、RS及びSRという記号はラセミ体の各キラル中心の特定の立体配置を示すために使用される。より詳細には、例えば表現“(3SR,4aRS,10bRS)”は立体配置(3S,4aR,10bR)を有する一方のエナンチオマーと立体配置(3R,4aS,10bS)を有する他方のエナンチオマーとを有するラセミ体を表す。
【0113】
この実施例に挙げられる化合物及びそれらの塩は本発明の有利な対象である。
【0114】
実施例
最終生成物
1. (±)−酢酸(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル
3.0gの五塩化リンを18.6mlのイソプロピルアセテート中に懸濁し、そして3.1gの(±)−酢酸(1RS,3RS,4RS)−4−{[1−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−メタノイル]−アミノ}−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキシルエステル(化合物A1)を少しずつ添加する。次いで、反応混合物を氷冷下に30mlのイソプロピルアセテート/トリエチルアミンの1/1の比の混合物に添加する。該混合物を20mlの水で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、相分離し、そして有機相を硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして濃縮させる。残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を溶出剤として用いてクロマトグラフィーを行う。適当な溶出フラクションの溶剤を除去した後に、2.3gの表題化合物がフォームとして得られる。
EF:C3137NO;MW:519.64
MS:520.3(MH
【0115】
2. (±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル
3.0gの五塩化リンを60mlのイソプロピルアセテート中に懸濁し、そして2.7gの(±)−酢酸(1SR,3RS,4RS)−3−{[1−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)メタノイル]−アミノ}−4−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキシルエステル(化合物A2)を少しずつ添加する。次いで、反応混合物を氷冷下に60mlのイソプロピルアセテート/トリエチルアミンの1/1の比の混合物に添加する。該混合物を水及び炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして濃縮させる。残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を溶出剤として用いてクロマトグラフィーによって精製する。適当な溶出フラクションの溶剤を除去した後に、1.75gの表題化合物が無色の油状物として得られる。
EF:C3137NO;MW:519.64
MS:520.3(MH
【0116】
3. (±)−(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール
1.25gの(±)−酢酸(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル(化合物1)を8.5mlのエタノール中に溶解させ、7mlの1Mの水酸化カリウム溶液で処理し、そして45℃で1時間撹拌する。該溶液を濃縮させ、残留物を酢酸エチル中に再溶解させ、そして水で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして濃縮させる。残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を溶出剤として用いてクロマトグラフィーを行う。770mgの表題化合物(融点137〜138℃)が得られる。
【0117】
4. (±)−(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール
1.65gの(±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル(化合物2)を60mlの無水エタノール中に溶解させ、エタノール中の15mlの1Mの水酸化カリウム溶液で処理し、そして室温で0.5時間撹拌する。該溶液を濃縮させ、残留物を酢酸エチル中に再溶解させ、水で抽出し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして濃縮させる。1.1gの表題化合物(融点172.5〜174℃)が得られる。
【0118】
5. (±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(4−シアノフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル
以下に記載の適当な出発化合物から出発して、表題化合物は、実施例2と同様の手順に従って得られる:
EF:C2424;MW:404.47
MS:405.2(MH
【0119】
6. (±)−4−((3SR,4aRS,10bRS)−3−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−6−イル)−ベンゾニトリル
(±)−(3SR,4aRS,10bRS)−6−(4−シアノフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル(化合物5)から出発して、表題化合物は、実施例4と同様にして得られる。
EF:C2222;MW:362.43
MS:363.3(MH
【0120】
出発化合物:
A1. (±)−酢酸(1RS,3RS,4RS)−3−{[1−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−メタノイル]−アミノ}−4−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキシルエステル
3.2gの(±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS,5RS)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンザミド(化合物D1)を70mlの無水酢酸中に溶解させ、そして該溶液を100℃で5時間加熱する。該溶液を濃縮させ、そして残留物をエタノール中で再結晶させる。3.15gの表題化合物(融点148〜151℃)が得られる。
【0121】
A2. (±)−酢酸(1SR,3RS,4RS)−3−{[1−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−メタノイル]−アミノ}−4−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキシルエステル
3.65gの(±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS,5SR)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンザミド(化合物B2)を50mlの無水酢酸中に溶解させ、そして該溶液を100℃で3時間加熱する。該溶液を濃縮させ、残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を用いてクロマトグラフィーを行う。1.8gの表題化合物(融点90〜95℃)が得られる。
【0122】
A3. (±)−酢酸(1SR,3RS,4RS)−3−{[1−(4−シアノフェニル)メタノイル]アミノ}−4−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキシルエステル
当業者に公知のように又は本願に記載される実施例と同様に製造できる適当な出発化合物から出発して、表題化合物が実施例A2と同様に得ることができる。
EF:C2426;MW:422.49
MS:423.0(MH
【0123】
B1. (±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS,5SR)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンザミド
7.2gの(±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−オキソ−シクロヘキシル]ベンザミド(化合物C1)を550mlの1,2−ジメトキシエタン及び34mlのメタノール中に溶解させ、そして600mgの水素化ホウ素ナトリウムで室温において少しずつ処理する。反応混合物を濃縮させ、残留物を酢酸エチル中に再溶解させ、そして水で抽出する。有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮させ、そして残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を用いてクロマトグラフィーを行う。6.35gの表題化合物が得られる。
【0124】
C1. (±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−オキソ−シクロヘキシル]ベンザミド
80mlのジクロロメタン中の8.0gの(±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS,5RS)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンザミド(化合物D1)の溶液を160mlのジクロロメタン及び16mlのピリジン中の10gの酸化クロム(III)の懸濁液に滴加する。室温で2時間にわたり撹拌した後に、反応混合物を6Nの水酸化ナトリウム溶液で、2Nの塩酸で、そして最後に水で抽出する。有機相を水で硫酸ナトリウムを使用して乾燥させ、そして濃縮させる。7.3gの表題化合物(融点150〜151.5℃)が得られる。
【0125】
D1. (±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(1RS,2RS,5RS)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−ヒドロキシシクロヘキシル]ベンザミド
16.5gの(±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(3RS,4RS)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプチ−3−イル]ベンザミド(化合物E1)を500mlのt−ブタノール中に溶解させ、5.0gの水素化ホウ素ナトリウムを添加し、そして反応混合物を沸騰するまで加熱する。70mlのメタノールを緩慢に添加した後に、反応混合物を冷却し、そして200mlの水及び150mlの酢酸エチルで処理する。有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮させ、そして残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチルの1/2の比の比の混合物を用いてクロマトグラフィーを行う。11.3gの表題化合物が得られる。
【0126】
E1. (±)−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[(3RS,4RS)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプチ−3−イル]ベンザミド
37.7gの(±)−シス−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[6−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキセ−3−エニル]ベンザミド(化合物F1)を470mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして27.4gのm−クロロペル安息香酸で処理する。室温で一晩撹拌した後に、反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液及び水で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして濃縮させる。残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの4/4/1の比の混合物を用いてクロマトグラフィーを行う。26.5gの表題化合物が得られる。
【0127】
F1. (±)−シス−3,4−ビス−シクロプロピルメトキシ−N−[6−(3,4−ジメトキシフェニル)シクロヘキセ−3−エニル]ベンザミド
20gの(±)−シス−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキセ−3−エニルアミン(化合物G1)を125mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして125mlのジクロロメタン中の24.1gの3,4−ビス−シクロプロピルメトキシベンゾイルクロリドの溶液で室温において処理する。1時間後に反応混合物を2Nの塩酸及び水で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして濃縮させる。38.3gの表題化合物(融点152〜153.5℃)が得られる。
【0128】
G1. (±)−シス−6−(3,4−ジメトキシフェニル)−シクロヘキセ−3−エニルアミン
40gの(±)−シス−1,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼン(化合物H1)を400mlのエタノール中に溶解させ、そして40gの亜鉛粉末を添加する。沸点温度にまで加熱した後に、65mlの氷酢酸を滴加する。次いで反応混合物を濾過し、そして濃縮させる。残留物を希塩酸中に再溶解させ、そしてトルエンで抽出する。水層を6Nの水酸化ナトリウム溶液を用いてアルカリ性化し、そしてトルエンで数回抽出する。アルカリ性抽出の合した有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして濃縮させる。残留物をシリカゲル上で石油エーテル/酢酸エチル/トリエチルアミンの6/3/1の比の混合物を用いてクロマトグラフィーを行う。11.5gの表題化合物が得られる。
【0129】
H1. (±)−シス−1,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼン
10.0gの(±)−トランス−1,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼン(化合物I1)及び20.0gの水酸化カリウムを150mlのエタノール及び35mlのジメチルホルムアミド中に溶解させる。60mlのエタノール中の17.5mlの濃硫酸の溶液を次いで、初期温度が4℃を超過しないように滴加する。1時間撹拌した後に、該混合物を1lの氷水に添加し、沈殿物を吸引濾過し、水で洗浄し、そして乾燥させ、粗生成物をエタノール中で再結晶させる。8.6gの表題化合物(融点82.5〜84℃)が得られる。
【0130】
I1. (±)−トランス−1,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロシクロヘキセ−4−エニル)ベンゼン
50.0gの3,4−ジメトキシ−ω−ニトロスチレン(化合物J1)及び1.0g(9.1ミリモル)のヒドロキノンを200mlの無水トルエン中に懸濁させ、そして−70℃で55.0g(1.02モル)の液状1,3−ブタジエンで処理する。該混合物を160℃で6日間オートクレーブ中で撹拌し、次いで冷却する。幾らかの溶剤を回転蒸発器上で除去し、そして得られた沈殿物を吸引濾過し、そしてエタノール中で再結晶させる。融点:113.5〜115.5℃
J1. 3,4−ジメトキシ−ω−ニトロスチレン
207.0gの3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、100.0gの酢酸アンモニウム及び125mlのニトロメタンを1.0lの氷酢酸中で3〜4時間にわたり沸騰するまで加熱する。氷浴中で冷却した後に、沈殿物を吸引濾過し、氷酢酸及び石油エーテルですすぎ、そして乾燥させる。融点:140〜141℃
収量:179.0g
【0131】
商業的利用性
本発明による化合物は、工業的利用を可能にする有用な薬理学的特性を有する。選択的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(特にタイプ4)として、これらは一方で気管支治療薬(拡張拡張を原因とするが、その呼吸数又は呼吸力の増大作用をも原因とする気道障害の治療のため)として、そしてその血管拡張作用のため勃起不全の解除のために適しているが、他方では、特に疾患、特に例えば気道(喘息予防)、皮膚、腸管、眼、CNS及び関節の炎症状態の治療のために適当であり、これらはメディエーター、例えばヒスタミン、PAF(血小板活性因子)、アラキドン酸代謝物、例えばロイコトリエン及びプロスタグランジン、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン、α−インターフェロン、β−インターフェロン及びγ−インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)又は酸素フリーラジカル及びプロテアーゼによって媒介される。本願明細書では、本発明による化合物は低い毒性、良好な腸内吸収(高い生物学的利用能)、広い治療範囲及び重篤な副作用の不在によって特徴付けられる。
【0132】
PDE阻害特性のため、本発明による化合物はヒト医学及び獣医学において、例えば以下の疾患の治療及び予防のために使用できる治療薬として使用できる:種々の原因(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、肺気腫、COPD)による急性および慢性の(特に炎症性およびアレルギー誘発性)気道障害、皮膚病(特に増殖性、炎症性およびアレルギー性)、例えば乾癬(尋常性)、中毒性湿疹およびアレルギー接触性湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、肛門性器領域の痒み症、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、ろ胞性および広範囲の膿皮症、内因性および外因性座瘡、酒土性座瘡および他の増殖性、炎症性およびアレルギー性の皮膚疾患、TNFおよびロイコトリエンの過剰放出に基づく障害、例えば関節性の障害(リウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症および他の関節の症状)、免疫系の障害(AIDS、多発性硬化症)、移植片対宿主反応、移植拒否反応、ショック症状(敗血症性ショック、エンドトキシンショック、グラム陰性菌性敗血症、トキシックショック症候群およびARDS(成人呼吸窮迫症候群))、ならびに胃腸領域における全身性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)、上部気道(咽頭、鼻)領域および隣接領域(副鼻腔、目)でのアレルギー性および/または慢性の免疫不全性反応に基づく疾患、例えばアレルギー性鼻炎/アレルギー性副鼻腔炎、慢性鼻炎/慢性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎および鼻ポリープ、さらにはPDEインヒビターによって治療することができる心臓疾患、例えば心不全、またはPDEインヒビターの組織弛緩作用から治療することができる疾患、例えば、勃起機能不全または腎臓結石に関連する腎臓および尿管の疝痛。更に、本発明の化合物は、尿崩症および大脳の代謝抑制に関連する症状、たとえば大脳老化、老年性痴呆(アルツハイマー氏病)、パーキンソン氏病又は多発拘束性痴呆に関連する記憶障害の治療に有用であり、また中枢神経系の障害、たとえば、鬱病または動脈硬化性痴呆の治療に有用である。
【0133】
更に本発明は前記の疾患の1つ以上に罹患するヒトを含む哺乳動物の治療のための方法に関する。本方法は、治療学的に有効な、かつ薬理学的に有効かつ認容性の量の本発明による1種以上の化合物を病気の哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0134】
更に本発明は疾患、特に前記の疾患の治療及び/又は予防における使用のための本発明による化合物に関する。
【0135】
また本発明は、前記の疾患の治療及び/又は予防のために使用される医薬品組成物の製造のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0136】
また本発明は、ホスホジエステラーゼによって媒介される疾患、特にPDE4に媒介される疾患、例えば本願明細書に記載されるか、又は当業者に周知の疾患を治療するための医薬品組成物の製造のための本発明による化合物の使用に関する。
【0137】
更に本発明は、前記の疾患の治療及び/又は予防のための、1種以上の本発明による化合物を含有する医薬品組成物に関する。
【0138】
更に、本発明は、包装材料及びその包装材料中に包含される医薬品からなる製品であって、該医薬品はタイプ4の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE4)の作用に拮抗するため、PDE4に媒介される疾患の症状の改善のために治療学的に有効であり、かつ該包装材料は、該医薬品がPDE4に媒介される疾患の予防又は治療のために有用である旨を示すラベル又は添付文書を含み、かつ前記の医薬品が本発明による式Iの少なくとも1種の化合物を含有する製品に関する。包装材料、ラベル及び添付文書は、その他の点で、関連の利用性を有する医薬品のための標準的な包装材料、ラベル及び添付文書として一般に考慮されるものに対応又は類似するものである。
【0139】
該医薬品組成物は、自体公知の方法及び当業者に公知の方法によって製造される。
【0140】
医薬品組成物としては、本発明による化合物(=有効化合物)はそれ自体で、又は有利には適当な医薬品助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、坐剤、パッチ剤(例えばTTS)、乳剤、懸濁剤、ゲル剤又は液剤の形で使用され、その際、有効化合物の含有率は有利には0.1〜95%であり、かつ助剤及び/又は賦形剤の適当な選択によって、有効化合物に厳密に適合された、及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合された医薬品投与形(例えば遅延放出形又は腸溶形)を達成できる。
【0141】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した助剤又は賦形剤に精通している。溶剤、ゲル形成剤、軟膏基材及び他の有効化合物の他に、賦形剤、例えば酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、溶解剤、着色剤、錯化剤又は侵透促進剤を使用してよい。
【0142】
本発明による医薬品組成物の投与は、この分野で利用できる一般に許容されたいずれの投与様式においても実施できる。
【0143】
適当な投与様式の概略的な例は、静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経腸及び直腸内での送達である。経口送達が有利である。
【0144】
呼吸管の疾患の治療のために、本発明による化合物を、有利には吸入によってエーロゾルの形で投与する;固体、液体又は混合組成のエーロゾル粒子は有利には0.5〜10μm、有利には2〜6μmの直径を有する。
【0145】
エーロゾルの発生は、例えば圧力駆動のジェット噴霧器又は超音波噴霧器、有利には噴射剤駆動の計量供給エーロゾルによるか、又は吸入カプセルからの微粉化有効化合物の噴射剤不使用の投与によって実施できる。
【0146】
使用される吸入系に依存して、有効化合物の他に該投与形は付加的に所望の賦形剤、例えば噴射剤(例えば計量供給エーロゾルの場合にFrigen)、界面活性剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、フレーバー又は増量剤(例えば粉末吸入器の場合にラクトース)又は、適宜更なる有効化合物を含有する。
【0147】
吸入の目的のために、多くの装置を利用でき、それを用いて最適な粒度を有するエーロゾルを発生させ、かつ患者にできる限り正しい吸入技術を使用して投与できる。アダプタ(スペーサ、エキスパンダ)及び洋ナシ型容器(例えばNebulator(R)、Volumatic(R))並びに計量供給エーロゾルのための、特に粉末吸入器の場合に吹き付け噴霧(puffer spray)を放出する自動装置(Autohaler(R))を使用する他に、種々の技術的解決策(例えばDiskhaler(R)、Rotadisk(R)、Turbohaler(R)又はEP0505321号に記載される吸入器)が利用でき、それを用いて有効化合物の最適な投与を達成できる。
【0148】
皮膚病の治療のためには、本発明による化合物を、特に局所適用のために適当な医薬品組成物の形で適用する。該医薬品組成物の製造のために、本発明による化合物(=有効化合物)を有利には適当な製薬学的賦形剤と混合し、更に加工して適当な医薬品製剤を得る。適当な医薬品製剤は、例えば粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー剤、オイル剤、軟膏剤、脂肪軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、ゲル剤又は液剤である。
【0149】
本発明による医薬品組成物は自体公知の方法によって製造される。
【0150】
有効化合物の投与は、PDEインヒビターについて慣用のオーダーで行われる。従って皮膚病の治療のための局所適用形(例えば軟膏)は有効化合物を、例えば0.1〜99%の濃度で含有する。吸入による投与のための用量は慣用に1日あたり0.01〜3mgである。全身治療(経口又は静脈内)の場合の慣用の用量は1日あたり0.003〜3mg/kgである。別の実施態様では、吸入による投与のための用量は1日あたり0.1〜3mgであり、かつ全身治療(経口又は静脈内)の場合の用量は1日あたり0.03〜3mg/kgである。
【0151】
生物学的調査
セカンドメッセンジャーのサイクリックAMP(cAMP)は炎症細胞及び免疫応答を担う細胞の阻害に関してよく知られている。PDE4補酵素は免疫疾患の開始及び伝播に関連する細胞において広範に発現され(H Tenor and C Schudt, in "Phosphodiestarase Inhibitors", 21-40, "The Handbook of Immunopharmacology", Academic Press, 1996)、かつその阻害は細胞内cAMP濃度の増大をもたらし、従って細胞活性の阻害をもたらす(JE Souness et al., Immunopharmacology 47: 127-162, 2000)。
【0152】
種々の動物モデルにおけるインビボでのPDE4インヒビターの抗炎症能力が記載されている(MM Teixeira, TiPS 18: 164-170, 1997)。細胞レベルでの(インビボ)PDE4阻害の調査のために、多くの種々の前炎症反応を測定できる。例は好中性(C Schudt et al., Arch Pharmacol 344: 682-690, 1991)又は好酸性(A Hatzelmann et al., Brit J Pharmacol 114: 821-831, 1995)の顆粒球のスーパーオキシド産生であり、これはルミノールで増強される化学発光として、又は単球、マクロファージ又は樹状細胞における腫瘍壊死因子αの合成として測定できる(Gantner et al., Brit J Pharmacol 121: 221-231, 1997, and Pulmonary Pharmacol Therap 12: 377-386.1999, 1999)。更にPDE4インヒビターの免疫調節能力はサイトカイン合成又は増殖のようなT細胞応答の阻害から明らかである(DM Essayan, Biochem Pharmacol 57: 965-973, 1999)。前記の前炎症メディエーターの分泌を阻害する物質はPDE4を阻害する物質である。従って本発明による化合物によるPDE4阻害は炎症プロセス抑制の主要な指標である。
【0153】
PDE4活性の阻害の測定方法
方法a:
PDE4活性をThompson他(Adv Cycl Nucl Res 10: 69-92, 1979)に記載のようにして幾つかの変更を加えて(Bauer and Schwabe, Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 311: 193-198, 1980)測定した。200μlの最終アッセイ容量(96ウェルのマイクロタイタープレート)で、アッセイ混合物は20mMのTris(pH7.4)、5mMのMgCl、0.5μMのcAMP、[H]cAMP(約30000cpm/アッセイ)、試験化合物及びSchudt他(Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 344: 682-690, 1991)によって記載されるように主にPDE4活性を有するヒト好中球由来のサイトゾルのアリコートを含有し、汚染された血小板に由来するPDE3活性を抑制するためにPDE3特異的インヒビターのモタピゾン(1μM)を含んでいた。化合物の連続希釈をDMSO中に作成し、そして更にアッセイ物において1:100(v/v)の希釈を行って、それ自体によりPDE4活性に僅かにのみ影響するDMSO濃度1%(v/v)で所望の最終濃度のインヒビターを得た。
【0154】
37℃で5分間プレインキュベートした後に、基質(cAMP)を添加することで反応を開始させ、そしてアッセイ物を37℃で更に15分間インキュベートする。50μlの0.2NのHClを添加して反応を停止させ、そしてアッセイ物を氷上に約10分間放置する。25μgの5′−ヌクレオチダーゼ(ガラガラヘビのヘビ毒)と一緒に37℃で10分間インキュベートした後に、アッセイ物をQAEセファデックスA−25(1mlの床容量)上にロードした。カラムを2mlの30mMのギ酸アンモニウム(pH6.0)で溶出させ、そして溶出物の放射活性を計数した。結果を全放射活性の5%未満であるブランク値(変性タンパク質の存在下に測定した)について補正した。加水分解された環状ヌクレオチドの量は元の基質濃度の30%を超過しなかった。本発明による化合物のPDE4活性の阻害についてのIC50値を濃度−阻害曲線から非線形回帰によって測定した。
【0155】
方法b:
PDE4B2(GB番号M97515)はM.Conti教授(スタンフォード大学、米国)の寄贈である。元のプラスミド(pCMV5)からプライマーRb9(5′−GCCAGCGTGCAAATAATGAAGG−3′)及びRb10(5′−AGAGGGGGATTATGTATCCAC−3′)を用いるPCRを介して増幅させ、そしてpCR−Bacベクター(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)中にクローニングした。
【0156】
組み換えバキュウロウイルスをSF9昆虫細胞で相同組み換えによって作成した。発現プラスミドを標準的プロトコール(ファーミンジェン、ハンブルク)を使用してBac−N−Blue(インビトロジェン、フローニンゲン、NL)又はBaculo−Gold DNA(ファーミンジェン、ハンブルク)と一緒に同時トランスフェクションさせた。野生型ウイルス不含の組み換えウイルス上清をプラークアッセイ法を用いて選択した。次いで、高力価のウイルス上清を3回増幅することによって製造した。PDEを、血清不含のSF900培地(ライフテクノロジーズ、ペイズリー、UK)中で1〜10のMOI(感染多重度)で2×10細胞/mlで感染させることによってSF21細胞中に発現させた。該細胞を28℃で48〜72時間培養し、次いでこれらの細胞を1000g及び4℃で5〜10分間かけてペレット化した。
【0157】
SF21昆虫細胞を約10細胞/mlの濃度で氷冷(4℃)均質化バッファー(20mMのTris、pH8.2、以下のものを含有する:140mMのNaCl、3.8mMのKCl、1mMのEGTA、1mMのMgCl、10mMのβ−メルカプトエタノール、2mMのベンズアミジン、0.4mMのPefablock、10μMのロイペプチン、10μMのペプスタチンA、5μMのトリプシンインヒビター)中で再懸濁させ、そして超音波により破砕させた。均質物を次いで1000×gで10分間遠心分離し、そして上清を引き続きの使用まで−80℃で貯蔵した(以下参照)。タンパク質含量をブラッドフォード法(BioRad、ミュンヘン)によってスタンダードとしてBSAを用いて測定した。
【0158】
PDE4B2活性を前記化合物によって、アマシャムバイオサイエンス(手順説明書“phosphodiesterase [H] cAMP SPA enzyme assay, code TRKQ 7090”を参照のこと)によって提供された改変されたSPA(シンチレーション近接アッセイ)試験において、96ウェルのマイクロタイタープレート(MTP)中で実施して阻害する。試験容量は100μlであり、これは20mMのTrisバッファー(pH7.4)、0.1mgのBSA(ウシ血清アルブミン)/ml、5mMのMg2+、0.5μMのcAMP(約50000cpmの[H]cAMPを含む)、1μMのそれぞれのDMSO中希釈物及び効率的な組み換えPDE(1000×g上清、上記参照)を含有し、10〜20%のcAMPが前記の試験条件下に変換されることを保証した。アッセイにおけるDMSOの最終濃度(1%v/v)は実質的に調査されるPDEの活性に影響を及ぼさない。37℃で5分間プレインキュベートした後に、基質(cAMP)を添加することによって反応を開始させ、そしてアッセイ物を更に15分間インキュベートし、次いでSPAビーズ(50μl)を添加することによって反応を停止させた。製造元の説明に従って、SPAビーズを事前に水中に再懸濁させるが、次いで水中で1:3(v/v)に希釈し、希釈された溶液も3mMのIBMXを含有し、それによりPDE活性の完全な停止を保証した。該ビーズが沈殿した後に(>30分)、MTPの分析を市販のルミネッセンス検出装置において行う。化合物のPDE活性の阻害についての相応のIC50値を濃度−作用曲線から非線形回帰によって測定する。
【0159】
本発明による化合物について測定された阻害値は以下の表Aからわかり、そこでは化合物の番号は実施例の番号に相当する。
【0160】
化合物3及び4の阻害値を方法aに従って測定した。
【0161】
表A
PDE4活性の阻害
【0162】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
R1はヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであるか、又は
R1及びR2が一緒になってC〜C−アルキレンジオキシ基であり、
R3は水素又はC〜C−アルキルであり、
R31は水素又はC〜C−アルキルであり、
R4は水素、C〜C−アルキル、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、ヒドロキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素又はC〜C−アルキルであり、
R6は水素、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、アミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、フェニル、フェニル−C〜C−アルキル、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C−シクロアルキルメチルであり、
R7は水素、C〜C−アルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ又はC(O)OR61である]の化合物、及びそれらの塩、N−オキシド及び前記化合物のN−オキシドの塩。
【請求項2】
式中、
R1はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル、2−ヒドロキシエチル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素、C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C−シクロアルキルメチルであり、
R7は水素、C〜C−アルキル、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである、請求項1記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項3】
式中、
R1はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ−C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素又はC〜C−アルキルであり、
R7は水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである請求項1記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項4】
式中、
R1はC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R2はC〜C−アルコキシ、又は完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシエチル又はC〜C−アルキルカルボニルであり、
R5は水素であり、
R6はC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ、C〜C−シクロアルキルメトキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、C〜C−アルキルカルボニルオキシ、モノ−又はジ−C〜C−アルキルアミノ、C〜C−アルキルカルボニルアミノ、フェノキシ又はC(O)OR61であり、その際、
R61は水素又はC〜C−アルキルであり、
R7は水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、完全に又は大部分がフッ素置換されたC〜C−アルコキシ又はC〜C−シクロアルキルメトキシである、請求項1又は3記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及びこれらの化合物のN−オキシドの塩。
【請求項5】
式中、
R1はメトキシ又はジフルオロメトキシであり、
R2はメトキシ、ジフルオロメトキシ又はエトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシアノ又はシクロプロピルメトキシであり、
R7は水素又はシクロプロピルメトキシである請求項1、3又は4記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項6】
式中、
R1はメトキシであり、
R2はメトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシアノ又はシクロプロピルメトキシであり、
R7は水素又はシクロプロピルメトキシである請求項1、3、4又は5記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩
【請求項7】
式中、
R1はメトキシであり、
R2はメトキシであり、
R3は水素であり、
R31は水素であり、
R4は水素又はアセチルであり、
R5は水素であり、
R6はシクロプロピルメトキシであり、
R7はシクロプロピルメトキシである請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項8】
以下の
(±)−酢酸(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル、
(±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル、
(±)−(3RS,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール、
(±)−(3SR,4aRS,10bRS)−6−(3,4−ビス−シクロプロピルメトキシフェニル)−8,9−ジメトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−オール、
(±)−酢酸(3SR,4aRS,10bRS)−6−(4−シアノフェニル)−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−3−イルエステル及び
(±)−4−((3SR,4aRS,10bRS)−3−ヒドロキシ−8,9−ジメトキシ−(1,2,3,4,4a,10b)−ヘキサヒドロフェナントリジン−6−イル)−ベンゾニトリル
からなる群から選択される、請求項1記載の化合物並びにそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項9】
4a位及び10b位の水素原子が互いにシス位にある、請求項1から7までのいずれか1項記載の式Iの化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項10】
4a位及び10b位に関して式I
【化2】

に示される立体配置を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の式Iの化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項11】
4a位及び10b位に関して式I、I***又はI****
【化3】

に示される立体配置を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の式Iの化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項12】
3位、4a位及び10b位に関して式I*****
【化4】

に示される立体配置を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の式Iの化合物及びそれらの塩、N−オキシド及び前記の化合物のN−オキシドの塩。
【請求項13】
疾患の治療における使用のための、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項14】
請求項1記載の1種以上の化合物と一緒に慣用の医薬品賦形剤及び/又はビヒクルを含有する医薬品組成物。
【請求項15】
呼吸器疾患及び/又は皮膚病の治療用の医薬品組成物を製造するための、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項16】
PDEに媒介される疾患の治療用の医薬品組成物を製造するための、請求項1記載の式Iの化合物の使用。
【請求項17】
患者における疾患の治療方法であって、該患者に治療学的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を投与することを特徴とする方法。
【請求項18】
患者における気道疾患の治療方法であって、該患者に治療学的有効量の請求項1記載の式Iの化合物を投与することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−508913(P2006−508913A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−532147(P2004−532147)
【出願日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009601
【国際公開番号】WO2004/019945
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【Fターム(参考)】