説明

PDE9A阻害剤としての6−アリールアミノ−5−シアノ−4−ピリミジノン化合物

本発明は、式(I)の新規6−アリールアミノ−5−シアノ−4−ピリミジノン化合物、それらの製造方法、並びに、知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善に利用される医薬を製造するためのそれらの使用に関する。該化合物(I)は、PDE9阻害剤としての活性を示す。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規6−アリールアミノ−5−シアノ−4−ピリミジノン化合物、それらの製造方法、並びに、知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【0002】
ホスホジエステラーゼの阻害は、環状ヌクレオチド5'−3'環状アデノシン一リン酸(cAMP)および5'−3'環状グアノシン一リン酸(cGMP)のレベルを調整する。これらの環状ヌクレオチド(cAMPおよびcGMP)は、重要な第2メッセンジャーであり、それ故に細胞のシグナル伝達カスケードにおいて中心的な役割を果たす。それらの各々は、なかんずく、しかし排他的にではなく、タンパク質キナーゼを再活性化する。cAMPにより活性化されるタンパク質キナーゼは、タンパク質キナーゼA(PKA)と呼ばれ、cGMPにより活性化されるタンパク質キナーゼは、タンパク質キナーゼG(PKG)と呼ばれる。活性化されたPKAおよびPKGは、今度は数々の細胞のエフェクタータンパク質をリン酸化できる(例えば、イオンチャネル、Gタンパク質共役型受容体、構造タンパク質)。このようにして、第2メッセンジャーであるcAMPおよびcGMPは、多種多様な器官において多種多様な生理的過程を制御することが可能である。しかしながら、これらの環状ヌクレオチドはまた、エフェクター分子に直接作用することもできる。このように、例えば、cGMPがイオンチャネルに直接作用でき、かくして細胞内イオン濃度に影響を及ぼすことができると知られている(Wei et al., Prog. Neurobiol., 1998, 56: 37-64 に総説)。ホスホジエステラーゼ(PDE)類は、cAMPおよびcGMPの活性を、従って次いでこれらの生理過程を、制御するための制御メカニズムである。PDE類は、これらの環状一リン酸を不活性な一リン酸塩であるAMPおよびGMPに加水分解する。少なくとも21種のPDE遺伝子が今までに記載された(Exp. Opin. Investig. Drugs 2000, 9, 1354-3784)。これらの21種のPDE遺伝子は、それらの配列相同性に基づいて11個のPDEファミリーに分けられる(提唱されている命名法について、http://depts.washington.edu/pde/Nomenclature.html. を参照)。ファミリー内の個々のPDE遺伝子は、文字により区別される(例えば、PDE1AおよびPDE1B)。遺伝子内に異なるスプライシング変異体も生じる場合、これらは、文字の後にさらに番号を付けることにより示される(例えば、PDE1A1)。
【0003】
ヒトPDE9Aは、1998年にクローニングされ、配列決定された。他のPDE類とのアミノ酸同一性は34%(PDE8A)を超えず、28%(PDE5A)より低くはない。PDE9Aは、cGMPに高い親和性を有し、ミカエリス−メンテン定数(Km)170nMである。加えて、PDE9Aは、cGMPに選択的である(cAMPについてのKm=230μM)。PDE9Aは、cGMP結合ドメインを持たない。このことは、cGMPによるアロステリック酵素調節を示唆している。ウエスタンブロット分析において、PDE9Aがヒトで、なかんずく精巣、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、甲状腺および脾臓において発現されていることが示された。最大の発現は、脳、小腸、心臓および脾臓で見出された(Fisher et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (25): 15559-15564)。ヒトPDE9Aの遺伝子は、染色体21q22.3に位置し、21個のエクソンを含む。今日までに、4種のPDE9Aの選択的スプライシング変異体が同定された(Guipponi et al., Hum. Genet., 1998, 103: 386-392)。古典的なPDE阻害剤は、ヒトPDE9Aを阻害しない。従って、IBMX、ジピリダモール、SKF94120、ロリプラムおよびビンポセチンは、100μMまでの濃度でこの単離された酵素に対する阻害を示さない。ザプリナストについては、IC5035μMが立証された(Fisher et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (25): 15559-15564)。
【0004】
マウスPDE9Aは、1998年に、Soderling らによりクローニングされ、配列決定された(J. Biol. Chem., 1998, 273 (19): 15553-15558)。これは、ヒト型と同様に、cGMPに高い親和性を有し、Km70nMである。特に高い発現は、マウスの腎臓、脳、肺および心臓で見出された。マウスPDE9Aもまた、IBMXにより200μMより低い濃度では阻害されず;ザプリナストのIC50は29μMである(Soderling et al., J. Biol. Chem., 1998, 273 (19): 15553-15558)。PDE9Aは、ラットの脳のいくつかの領域で強く発現されることが見出された。これらには、嗅球、海馬、皮質、大脳基底核および前脳基底核が含まれる(Andreeva et al., J. Neurosci., 2001, 21 (22): 9068-9076)。海馬、皮質および前脳基底核は、特に、学習および記憶の過程において重要な役割を果たす。
【0005】
既述の通り、PDE9Aは、cGMPに対して特に高い親和性を有することにより際だっている。従って、PDE9Aは、PDE2A(Km=10μM;Martins et al., J. Biol. Chem., 1982, 257: 1973-1979)、PDE5A(Km=4μM;Francis et al., J. Biol. Chem., 1980, 255: 620-626)、PDE6A(Km=17μM;Gillespie and Beavo, J. Biol. Chem., 1988, 263 (17): 8133-8141)およびPDE11A(Km=0.52μM;Fawcett et al., Proc. Nat. Acad. Sci., 2000, 97 (7): 3702-3707)と対照的に、低い生理的濃度であっても活性である。PDE2A(Murashima et al., Biochemistry, 1990, 29: 5285-5292)と対照的に、PDE9Aの触媒活性は、cGMPにより増大しない。なぜなら、それはGAFドメイン(それを介してPDE活性がアロステリックに増大するcGMP結合ドメイン)を持たないからである(Beavo et al., Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12: 174-179)。PDE9A阻害剤は、従って、ベースラインのcGMP濃度の増大を導き得る。
【0006】
US5,256,668は、抗ウイルス剤として著名であり、呼吸器合胞体ウイルスの処置に用いることができるアミノピリミジン誘導体を開示している。
WO99/41253は、抗ウイルス効果を有し、特にヒトサイトメガロウイルス感染の処置に用いることができるピリミジン誘導体を記載している。
EP130735は、強心剤として著名なアミノピリミジン誘導体を開示している。
【0007】
本発明は、式
【化1】

式中、
Aは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、ハロゲン、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあり[ここで、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(式中、RおよびRは、相互に独立して水素またはC−C−アルキルであるか、または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員ないし8員の複素環である)の群から選択される1個またはそれ以上の基により置換されていることもある]、
Bは、フェニルまたはヘテロアリールであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、ハロゲン、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある[ここで、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(RおよびRは、上述の意味を有する)の群から選択される基により置換されていることもある]、
の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0008】
本発明の化合物は、それらの構造次第では、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)および互変体で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。立体異性的に純粋な成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知のやり方で単離できる。
【0009】
本発明のために好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容し得る塩である。
化合物(I)の生理的に許容し得る塩には、無機酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0010】
化合物(I)の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、デヒドロアビエチルアミン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびメチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩も含まれる。
【0011】
本発明のために、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成する化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。
【0012】
本発明のために、置換基は、断りのない限り以下の意味を有する:
−C−アルキル、C−C−アルキル、C−C−アルキルおよびC−C−アルキルは、1個ないし8個、好ましくは1個ないし6個、特に好ましくは1個ないし5個および1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基である。好ましい例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−ブチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルが含まれる。
【0013】
−C−アルコキシは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシ基である。好ましい例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシが含まれる。
【0014】
−C−アルコキシカルボニルは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニル基である。好ましい例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニルが含まれる。
【0015】
−C−アルキルアミノは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノ−またはジアルキルアミノ基である。好ましい例には、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ−tert−ブチルアミノ、ジ−n−ペンチルアミノ、ジ−n−ヘキシルアミノ、エチルメチルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、n−ブチルエチルアミノおよびn−ヘキシル−i−ペンチルアミノが含まれる。
【0016】
−C−アルキルアミノカルボニルは、カルボニル基を介して連結しているモノ−またはジアルキルアミノ基であり、ここで、アルキル基は、同一または異なっていてよく、直鎖または分枝鎖であり、各々1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を含む。好ましい例には、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、n−ヘキシルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ−n−プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジ−t−ブチルアミノカルボニル、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、イソプロピルメチルアミノカルボニル、n−ブチルエチルアミノカルボニルおよびn−ヘキシル−i−ペンチルアミノカルボニルが含まれる。ジアルキルアミノ基の場合、さらなる可能性は、2個のアルキル基が、それらが結合している窒素原子と一緒になって5員ないし8員の複素環を形成することである。
【0017】
−C−アルキルカルボニルは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルカルボニル基である。言及し得る例は、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、ペンチルカルボニルおよびヘキシルカルボニルである。アセチルおよびエチルカルボニルが特に好ましい。
【0018】
−C−アルキルスルホニルは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニル基である。好ましい例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニルおよびn−ヘキシルスルホニルが含まれる。
【0019】
−C−アルキルチオは、1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルチオ基である。好ましい例には、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオおよびn−ヘキシルチオが含まれる。
【0020】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。フッ素、塩素、臭素が好ましく、フッ素および塩素が特に好ましい。
【0021】
ヘテロアリールは、5個ないし6個の環原子およびS、Oおよび/またはNの系列から3個までのヘテロ原子を有する、芳香族性、単環式の基である。2個までのヘテロ原子を有する5員ないし6員のヘテロアリールが好ましい。ヘテロアリール基は、炭素または窒素原子を介して結合していてよい。好ましい例には、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニルおよびピリダジニルが含まれる。
【0022】
3員ないし8員のシクロアルキルは、3個ないし8個、好ましくは3個ないし6個、特に好ましくは5個ないし6個の炭素原子を還中に有する飽和および部分不飽和の非芳香族性シクロアルキル基である。好ましい例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルが含まれる。
【0023】
5員ないし8員の複素環は、5個ないし8個の環原子およびN、O、S、SO、SOの系列から3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子またはヘテロ基を有する、単環式または多環式の、複素環式の基である。単環式または二環式の複素環が好ましい。単環式複素環が特に好ましい。NおよびOは、ヘテロ原子として好ましい。複素環の基は、飽和または部分不飽和であってよい。飽和複素環の基が好ましい。5員ないし7員の複素環の基が特に好ましい。好ましい例には、オキセタン−3−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、ピペリジニル、チオピラニル、モルホリニル、ペルヒドロアゼピニルが含まれる。
【0024】
本発明の化合物中の基が、置換されていることもあるとき、断りの無い限り、3個までの同一または異なる置換基による置換が好ましい。
【0025】
本発明のさらなる実施態様は、式中、
Aが、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあり[ここで、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシは、ヒドロキシ、シアノ、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(式中、RおよびRは、相互に独立して水素またはC−C−アルキルであるか、または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員ないし6員の複素環である)の群から選択される基により置換されていることもある]、
Bが、フェニル、チエニルまたはピリジルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から各々相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある[ここで、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシは、ヒドロキシ、シアノ、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(RおよびRは、上述の意味を有する)の群から選択される基により置換されていることもある]、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0026】
本発明のさらなる実施態様は、式中、
Aが上述の意味を有し、そして、
Bがフェニルまたはピリジルであり、メチル、エチル、2−プロピル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、フッ素および塩素の群から各々相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあり、ここで、フェニルまたはピリジル上の基の1つは、アミノ官能基の結合点に対してオルト位に位置する、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0027】
本発明のさらなる実施態様は、式中、
AがC−C−シクロアルキルであり、
Bが上述の意味を有する、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0028】
本発明のさらなる実施態様は、式中、
Aが、2−メチルプロピル、2−ブチル、2−ペンチルまたは3−ペンチルであり、
Bが上述の意味を有する、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0029】
本発明のさらなる実施態様は、式中、
Aが、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルであり、
Bが、フェニル、チエニルまたはピリジルであり、C−C−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、フッ素および塩素の群から各々相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある、
式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物に関する。
【0030】
以下を特徴とする、本発明の式(I)の化合物の製造方法もさらに見出された。その方法では、式
【化2】

の化合物を、最初に式
N−B (III)
(式中、Bは上述の意味を有する)
の化合物を用いて、高温、不活性溶媒中、そうでなければ溶媒の非存在下で、式
【化3】

(式中、Bは上述の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、後者を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化4】

X=Cl、BrまたはI
(式中、Aは上述の意味を有する)
の化合物と反応させ、
得られる式(I)の化合物を、適するならば適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得る。
【0031】
式(II)の化合物は、文献から知られている(R. Gompper, W. Toepfl, Chem. Ber. 1962, 95, 2861-2870)。式(III)および(V)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法と同様に製造できる(例えば、H. Gielen, C. Alonso-Alija, M. Hendrix, U. Niewoehner, D. Schauss, Tetrahedron Lett. 2002, 43, 419-421 参照)。
【0032】
方法の段階(II)+(III)→(IV)に適する溶媒は、反応条件下で変化しない高沸点の不活性有機溶媒である。これらには、好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはスルホランが含まれる。溶媒なしで、融解状態で(in the melt)反応を実行することも同様に可能である。反応は、特に好ましくは、溶媒なしか、またはジメチルホルムアミド中で実行する。
【0033】
反応は、一般的に、+100℃ないし+200℃の温度範囲、好ましくは+125℃ないし+150℃の温度範囲で行う。反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば、0.5ないし5バール)で実行できる。一般的に、大気圧下で実行する。
【0034】
式(III)の化合物は、この場合、式(II)の化合物1モルをベースとして1ないし2モル、好ましくは1モル当量で用いる。
【0035】
方法の段階(IV)+(V)→(I)に適する溶媒は、反応条件下で変化しない通常の有機溶媒である。これらには、好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジオキサンまたはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類が含まれる。上述の溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルが特に好ましい。
【0036】
反応は、一般的に、+50℃ないし+150℃の温度範囲、好ましくは+70℃ないし+100℃の温度範囲で行う。反応は、大気圧、加圧または減圧下(例えば、0.5ないし5バール)で実行できる。一般的に、大気圧下で実行する。
【0037】
方法の段階(IV)+(V)→(I)に適する塩基は、好ましくは、炭酸リチウム、ナトリウム、カリウムもしくはセシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、または、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルモルホリンもしくはN−メチルピペリジンなどの有機アミン塩基である。炭酸カリウムが特に好ましい。
【0038】
この場合、塩基は、式(IV)の化合物1モルをベースとして、1.5ないし4モルの量、好ましくは1.5ないし2molの量で用いる。式(V)の化合物は、式(IV)の化合物1モルをベースとして、1ないし1.5molの量、好ましくは1.2molの量で用いる。
【0039】
本発明の方法は、例えば、次の式の図で例示説明できる:
【化5】

a)150℃、2時間;b)炭酸カリウム、DMF、90℃、16時間
【0040】
本発明の化合物は、予想し得なかった価値ある範囲の薬理的効果を示す。それらは、PDE9Aの阻害により特に卓越している。
【0041】
驚くべきことに、本発明の化合物は、知覚力、集中力、学習力または記憶力の改善用の医薬の製造に適することが判明した。
【0042】
本発明の化合物は、それらの薬理的特性のために、単独で、または知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の他の医薬と組み合わせて、用いることができる。
【0043】
本発明の化合物は、特に、軽度認知障害、加齢関連学習記憶障害、加齢関連記憶喪失、血管性痴呆、頭蓋大脳性外傷、卒中、卒中後に発生する痴呆(卒中後痴呆)、外傷後の痴呆、一般的集中障害、学習記憶に問題をもつ小児の集中障害、アルツハイマー病、レビー小体痴呆、ピック病を含む前頭葉変性を伴う痴呆、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基質変性を伴う痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト・ヤコブ病痴呆、HIV痴呆、痴呆を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病などの症状/疾患/症候群において生じるもののような認知障害後の、知覚力、集中力、学習力または記憶力の改善に特に適する。
【0044】
本発明の化合物のインビトロでの効果は、以下の生物学的アッセイで示すことができる:
PDE阻害
組換えPDE1C(GenBank/EMBL 受託番号: NM_005020, Loughney et al. J. Biol. Chem. 1996 271, 796-806)、PDE2A(GenBank/EMBL 受託番号: NM_002599, Rosman et al. Gene 1997 191, 89-95)、PDE3B(GenBank/EMBL 受託番号: NM_000922, Miki et al. Genomics 1996, 36, 476-485)、PDE4B(GenBank/EMBL 受託番号: NM_002600, Obernolte et al. Gene. 1993, 129, 239-247)、PDE5A(GenBank/EMBL 受託番号: NM_001083, Loughney et al. Gene 1998, 216, 139-147)、PDE7B(GenBank/EMBL 受託番号: NM_018945, Hetman et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2000, 97, 472-476)、PDE8A(GenBank/EMBL 受託番号: AF_056490, Fisher et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1998 246, 570-577)、PDE9A(Fisher et al., J. Biol. Chem, 1998, 273 (25): 15559-15564)、PDE10A(GenBank/EMBL 受託番号: NM_06661, Fujishige et al. J Biol Chem. 1999, 274, 18438-45)、PDE11A(GenBank/EMBL 受託番号: NM_016953, Fawcett et al. Proc. Natl. Acad. Sci. 2000, 97, 3702-3707)を、Sf9細胞にpFASTBACバキュロウイルス発現系(GibcoBRL)を利用して発現させた。
【0045】
試験物質を、それらのPDE9Aに対するインビトロでの効果を判定するために、100%DMSOに溶解し、連続希釈する。典型的には、200μMないし1.6μMの連続希釈物を調製する(アッセイ中の最終濃度:4μMないし0.032μMをもたらす)。希釈した物質溶液2μL分を、マイクロタイタープレートのウェルに導入する(Isoplate; Wallac Inc., Atlanta, GA)。次いで、上記のPDE9A調製物の希釈物50μlを添加する。PDE9A調製物の希釈は、70%より少ない基質が後のインキュベーションの間に変換されるように選択する(典型的な希釈:1:10000;希釈緩衝液:50mM Tris/HCl pH7.5、8.3mM MgCl、1.7mM EDTA、0.2%BSA)。基質である[8−H]グアノシン3',5'−環状リン酸(1μCi/μL;Amersham Pharmacia Biotech., Piscataway, NJ)を、アッセイ緩衝液(50mM Tris/HCl pH7.5、8.3mM MgCl、1.7mM EDTA)で、1:2000に、0.0005μCi/μLの濃度まで希釈する。最後に、希釈基質50μL(0.025μCi)の添加により酵素反応を開始させる。アッセイ混合物を室温で60分間インキュベートし、アッセイ緩衝液に溶解したPDE9A阻害剤(例えば、製造実施例1由来の阻害剤、最終濃度10μM)25μlの添加により反応を停止させる。その直後に、18mg/mLの Yttrium Scintillation Proximity Beads (Amersham Pharmacia Biotech., Piscataway, NJ)を含有する懸濁液25μLを添加する。マイクロタイタープレートをフィルムで密封し、室温で60分間静置する。次いで、プレートを1ウェル当たり30秒間、Microbeta scintillation counter (Wallac Inc., Atlanta, GA)で測定する。物質濃度対阻害率のグラフのプロットから、IC50値を決定する。
【0046】
本発明の化合物のPDE9A阻害効果の代表例を、IC50値をベースとして表1および2に列挙する:
表1:実施例3によるPDEイソ酵素の阻害
【表1】

【0047】
表2:本発明の化合物のPDE9A阻害効果
【表2】

【0048】
組換えPDE3B、PDE4B、PDE7B、PDE8A、PDE10AおよびPDE11Aに対する試験物質のインビトロでの効果は、以下の調節を加えて、PDE9Aについて上記したアッセイプロトコールに従って測定する:[5',8−H]アデノシン3',5'−環状リン酸(1μCi/μL;Amersham Pharmacia Biotech., Piscataway, NJ)を基質として使用する。反応を停止させるための阻害剤溶液の添加は不要である。代わりに、基質とPDEのインキュベーションに続いて、直ちに上述の通りのイットリウムシンチレーション近接(proximity)ビーズを添加し、かくして反応を停止させる。組換えPDE1C、PDE2AおよびPDE5Aの相応する効果を測定するために、プロトコールをさらに以下の通りに調節する:PDE1Cには、さらに10−7Mカルモジュリンおよび3mM CaClを反応混合物に添加する。このアッセイにおいて、PDE2Aを1μM cGMPの添加により刺激し、BSA濃度0.01%でアッセイする。PDE1CおよびPDE2Aに用いる基質は、[5',8−H]アデノシン3',5'−環状リン酸(1μCi/μL;Amersham Pharmacia Biotech., Piscataway, NJ)であり、PDE5Aには、[8−H]グアノシン3',5'−環状リン酸(1μCi/μL;Amersham Pharmacia Biotech., Piscataway, NJ)である。
【0049】
長期増強
長期増強は、学習および記憶の過程に対する細胞の相関現象と見なされる。以下の方法を使用して、PDE9阻害が長期増強に影響を与えるか否かを判定できる:
ラットの海馬を切断刃(包丁)に対して約70度の角度に置く。厚さ400μmの海馬切片を調製する。非常に柔らかい、入念に湿らせた刷毛(テンの毛)を使用して切片を刃から取り、95%O/5%COでガス供給した冷たい栄養溶液(124mM NaCl、4.9mM KCl、1.3mM MgSOx7HO、2.5mM無水CaCl2+、1.2mM KHPO、25.6mM NaHCO、10mMグルコース、pH7.4)の入ったガラス容器に移す。測定の間、温度制御チャンバー中、高さ1−3mmの液体レベルで切片を維持する。流速は2.5ml/分である。予備的なガス供給は、わずかな加圧下(約1atm)で、微小針(microneedle)を通して、前チャンバー(prechamber)中で行う。切片用チャンバーは、小循環(minicirculation)を維持できるようなやり方で前チャンバーに連結する。小循環は、微小針を通って流れ出す95%O/5%COにより押し進める。新たに調製した海馬切片を、切片用チャンバー中、33℃で、少なくとも1時間順応させる。
【0050】
刺激レベルは、局限(focal)興奮性シナプス後電位(fEPSP)が、最大興奮性シナプス後電位(EPSP)の30%であるように選択する。シャファー側枝の局所的刺激のために、ラッカー塗装したステンレススチールからなる単極刺激電極および定電流二相性刺激生成機(AM Systems 2100)を使用する(電圧:1−5V、一極性のパルス幅0.1ms、総パルス0.2ms)。通常栄養液を満たしたガラス電極(フィラメントを有するホウケイ酸ガラス、1−5MOhm、直径:1.5mm、先端の直径:3−20μm)を使用して、放線状層からの興奮性シナプス後電位(fEPSP)を記録する。電場電位を、切片用チャンバーの端に位置する塩素処理した銀照合電極に対して、DC電圧増幅器を使用して測定する。電場電位を、低域通過フィルター(low-pass filter)(5kHz)を通してフィルターがけする。fEPSPの勾配(fEPSP勾配)を、実験の統計学的分析のために測定する。実験の記録、分析および制御は、神経生理学部門(the Department of Neurophysiology)で開発されたソフトウェアプログラム(PWIN)を利用して行う。各時点での平均fEPSP勾配の形成および図表の構築は、適切なマクロによる自動データ記録を用い、EXCELソフトウエアを利用して行う。
【0051】
本発明の化合物の10μM溶液による海馬切片の灌流は、有意なLTPの増大を導く。
【0052】
本発明の化合物のインビボでの効果は、例えば以下のように示すことができる:
社会的認識試験
社会的認識試験は、学習力および記憶力の試験である。それは、ラットが同種の既知メンバーと未知メンバーとを区別する能力を測定する。従って、この試験は、本発明の化合物の学習力または記憶力の改善効果を調べるのに適している。
【0053】
群れで飼育した成体のラットを、試験開始30分前に、一匹ずつ試験ケージに入れる。試験開始4分前に、試験動物を観察箱に入れる。この適応時間の後、幼若動物を試験動物と共に入れ、成体動物が年少動物を調べる絶対的時間を2分間にわたり測定する(試行1)。明らかに年少動物に対して向けられた全行動、即ち、その間年長動物が年少動物から1cm以上離れずにした、肛門性器の調査、追跡および毛繕い、を測定する。その後幼若動物を取り出し、成体を本発明の化合物または媒体で処置し、その後それを自分のケージに戻す。24時間の保留時間の後に、試験を繰り返す(試行2)。試行1と比較して短縮された社会的相互作用時間は、成体ラットが年少動物を覚えていることを示す。
【0054】
成体動物は、試行1の前に定められた時間内に(例えば、1時間)、または試行1の直後に、媒体(10%エタノール、20% Solutol、70%生理塩水)、または、10%エタノール、20% Solutol、70%生理塩水に溶解した0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kgもしくは3.0mg/kgの本発明の化合物のいずれかの腹腔注射を受ける。媒体処置ラットは、試行1と比較して、試行2において社会的相互作用時間の減少を示さない。従って、それらは、年少動物と既に接触したことを忘れてしまっている。驚くべきことに、本発明の化合物で処置した後の二回目のランにおける社会的相互作用時間は、媒体で処置したものと比較して、有意に減少する。このことは、その物質で処置したラットが幼若動物を覚えており、従って本発明の化合物が学習力および記憶力の改善効果を発揮することを意味する。
【0055】
新規有効成分は、不活性、非毒性、医薬的に適する担体または溶媒の使用により、錠剤、被覆錠剤、丸剤、顆粒剤、エアゾル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤および液剤などの常套の製剤に既知のやり方で変換できる。これらの場合では、治療的に有効な化合物は、各場合で、混合物全体の約0.5ないし90重量%の濃度、即ち、上記の用量範囲を達成するのに十分な量で、存在すべきである。
【0056】
これらの製剤は、例えば、溶媒および/または担体で有効成分を希釈することにより、適するならば乳化剤および/または分散剤を使用して、製造でき、例えば、水を希釈剤として使用する場合、適するならば有機溶媒を補助溶媒として使用することが可能である。
【0057】
投与は、常套のやり方で、好ましくは、経口で、経皮で、または非経腸で、特に、経舌で、または静脈内で行う。しかしながら、例えばスプレーを利用して口または鼻を介する吸入により、または皮膚を介して局所的にも行うことができる。
【0058】
約0.001ないし10、経口投与で好ましくは約0.005ないし3mg/体重kgの量を投与するのが効果的な結果を達成するために有利であることが一般的に明らかになった。
【0059】
それでもやはり、特に体重または投与経路の性質、医薬に対する個体の反応、その製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、適するならば上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、前述の最少量未満で十分な場合もあれば、前述の上限を超えなければならない場合もあり得る。大量に投与する場合、それを1日かけて複数の単回用量に分割するのが望ましいことがある。
【0060】
断りのない限り、全ての言及される量は、重量パーセントである。液体/液体溶液について述べる溶媒比、希釈比および濃度は、各々体積をベースとする。「w/v」の記述は、「重量/体積」を意味する。従って、例えば、「10%w/v」は、溶液または懸濁液100mlが、物質10gを含有することを意味する。
【0061】
略号
【表3】

【0062】
HPLCおよびLC−MSの方法:
方法1
器具:HPLC Agilent series 1100 を有する Micromass Quattro LCZ;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE, 50 mm x 2.0 mm, 3 μm;溶離剤A:水1l+50%蟻酸1ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%蟻酸1ml;勾配:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→4.5分10%A;オーブン:55℃;流速:0.8ml/分;UV検出:208−400nm
【0063】
方法2
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%蟻酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%蟻酸0.5ml;勾配:0.0分90%A流速1ml/分→2.5分30%A流速2ml/分→3.0分5%A流速2ml/分→4.5分5%A流速2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0064】
方法3
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:HP 1100 series, UV DAD; カラム: Grom-Sil 120 ODS-4 HE 50 mm x 2 mm, 3.0 μm;溶離剤A:水+50%蟻酸500μl/l、溶離剤B:アセトニトリル+50%蟻酸500μl/l;勾配:0.0分0%B→2.9分70%B→3.1分90%→4.5分90%B;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm
【0065】
方法4
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 50 mm x 4.6 mm;溶離剤A:水+50%強度蟻酸500μl/l、溶離剤B:アセトニトリル+50%蟻酸500μl/l、勾配:0.0分10%B→3.0分95%B→4.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→3.0分3.0ml/分→4.0分3.0ml/分;UV検出:210nm
【0066】
方法5
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%蟻酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%蟻酸0.5ml;勾配:0.0分90%A流速1ml/分→2.5分30%A流速2ml/分→3.0分5%A流速2ml/分→4.5分5%A流速2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0067】
方法6
器具:HPLC Agilent series 1100 を有する Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%蟻酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%蟻酸0.5ml;勾配:0.0分90%A流速1ml/分→2.5分30%A流速2ml/分→3.0分5%A流速2ml/分→4.5分5%A流速2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm
【0068】
方法7
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:Waters Alliance 2790;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE 50 mm x 2 mm, 3.0 μm;溶離剤A:水+50%蟻酸500μl/l、溶離剤B:アセトニトリル+50%蟻酸500μl/l;勾配:0.0分5%B→2.0分40%B→4.5分90%B→5.5分90%B;オーブン:45℃;流速:0.0分0.75ml/分→4.5分0.75ml/分→5.5分1.25ml/分;UV検出:210nm
【0069】
方法8
器具:DAD 検出 を有する HP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm; 溶離剤A:HclO5ml/HO、溶離剤B:アセトニトリル;勾配:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B;流速:0.75ml/分;温度:30℃;UV検出210nm
【0070】
方法9
器具:HPLC Agilent series 1100 を有する Micromass Platform LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%蟻酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%蟻酸0.5ml;勾配:0.0分90%A流速1ml/分→2.5分30%A流速2ml/分→3.0分5%A流速2ml/分→4.5分5%A流速2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0071】
方法10
MS器具タイプ:Micromass ZQ;HPLC器具タイプ:Waters Alliance 2790;カラム:Grom-Sil 120 ODS-4 HE 50 mm x 2 mm, 3.0 μm;溶離剤A:水+50%蟻酸500μl/l、溶離剤B:アセトニトリル+50%蟻酸500μl/l;勾配:0.0分0%B→0.2分0%B→2.9分70%B→3.1分90%B→4.5分90%B;オーブン:45℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm
【0072】
出発化合物
実施例1A
2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩
【化6】

アルゴン雰囲気中、塩化アンモニウム58.2g(1.09mol)を、トルエン350mlに懸濁し、0℃に冷却する。トリメチルアルミニウムの2Mトルエン溶液544mlを滴下して添加し、次いで混合物をRTで2時間撹拌する。次いでエチルシクロペンチルアセテート34g(217mmol)を添加する。次いで混合物を80℃で終夜撹拌する。0℃に冷却後、メタノール400mlを滴下して添加し、次いで得られる固体を吸引濾過する。それを徹底的にメタノールで数回洗浄し、合わせた濾液を真空で濃縮する。残渣をジクロロメタン/メタノール10:1に懸濁し、不溶固体を再度除去する。次いで得られる濾液を濃縮し、所望の生成物23g(理論値の65%)を得る。
MS(ESIpos):m/z=127[M+H](遊離塩基)
【0073】
2−シクロヘキシルエタンアミジン塩酸塩および3−メチルペンタンアミジン塩酸塩は、実施例1Aと同様に、各々のエステルから、各々56%および61%の収率で製造する(H. Gielen, C. Alonso-Alija, M. Hendrix, U. Niewoehner, D. Schauss, Tetrahedron Lett., 2002, 43, 419-421 も参照)。
【0074】
実施例2A
メチル2−シアノ−3−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化7】

4−フルオロアニリン0.5g(4.5mmol)を、メチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート(R. Gompper, W. Toepfl, Chem. Ber. 1962, 95, 2861-2870)0.91g(4.5mmol)と徹底的に混合する。反応混合物を150℃で2時間加熱し、溶解物を得る。冷却後、淡色の(pale)固体を得、メタノールで数回洗浄する。所望の生成物0.68g(理論値の55.7%)を得る。
LC−MS(方法1):R=2.6分
MS(ESIpos):m/z=267[M+H]
【0075】
実施例3A
メチル2−シアノ−3−[(4−メチル−3−ピリジニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化8】

実施例2Aの製造と同様に、3−アミノ−4−メチルピリジン2.0g(18.49mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート3.76g(18.49mmol)から、表題化合物1.4g(理論値の29.6%)を固体として得る。
【0076】
実施例4A
メチル2−シアノ−3−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化9】

実施例2Aの製造と同様に、3−フルオロアニリン0.5g(4.5mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.91g(4.5mmol)から、表題化合物0.43g(理論値の36%)を固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.63分
MS(ESIpos):m/z=267[M+H]
【0077】
実施例5A
メチル2−シアノ−3−[(3−クロロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化10】

実施例2Aの製造と同様に、3−クロロアニリン0.5g(3.9mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.79g(3.9mmol)から、表題化合物0.53g(理論値の48%)を固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.78分
MS(ESIpos):m/z=283[M+H]
【0078】
実施例6A
メチル2−シアノ−3−[(3−メトキシフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化11】

実施例2Aの製造と同様に、3−メトキシアニリン0.5g(4.0mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.8g(4.0mmol)から、表題化合物0.47g(理論値の41%)を固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.63分
MS(ESIpos):m/z=279[M+H]
【0079】
実施例7A
メチル2−シアノ−3−[(3−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化12】

実施例2Aの製造と同様に、3−フルオロ−2−メチルアニリン0.2g(1.59mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.32g(1.59mmol)から、表題化合物0.15g(理論値の34%)を固体として得る。
LC−MS(方法6):R=2.5分
MS(ESIpos):m/z=281[M+H]
【0080】
実施例8A
メチル2−シアノ−3−[(2,5−ジメチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化13】

実施例2Aの製造と同様に、2,5−ジメチルアニリン0.54g(4.4mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.9g(4.4mmol)から、表題化合物0.9g(理論値の75%)を固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.91分
MS(ESIpos):m/z=277[M+H]
【0081】
実施例9A
メチル2−シアノ−3−[(2−メトキシフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化14】

実施例2Aの製造と同様に、2−メトキシアニリン0.6g(5.0mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート1.0g(5.0mmol)から、表題化合物0.9g(理論値の67%)を固体として得る。
LC−MS(方法7):R=3.01分
MS(ESIpos):m/z=279[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.28 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 3.84 (s, 3H), 7.00 (m, 1H), 7.17 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.41 (m, 1H).
【0082】
実施例10A
メチル2−シアノ−3−[(4−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化15】

実施例2Aの製造と同様に、2−メチル−4−フルオロアニリン0.62g(5.0mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート1.01g(5.0mmol)から、表題化合物0.7g(理論値の50%)を固体として得る。
LC−MS(方法4):R=2.28分
MS(ESIpos):m/z=281[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.22 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 7.11 (m, 1H), 7.23 (m, 1H), 7.33 (m, 1H), 7.34 (m, 1H).
【0083】
実施例11A
メチル2−シアノ−3−[(2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化16】

実施例2Aの製造と同様に、2−メチルアニリン1.6g(15.0mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート3.01g(15.0mmol)から、表題化合物2.5g(理論値の63%)を固体として得る。
LC−MS(方法7):R=3.08分
MS(ESIpos):m/z=263[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 2.27 (s, 3H), 2.23 (s, 3H), 3.70 (s, 3H), 7.28 (m, 4H).
【0084】
実施例12A
メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−[(2−プロピルフェニル)アミノ]−2−プロペノエート
【化17】

実施例2Aの製造と同様に、2−プロピルアニリン0.5g(3.7mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート0.7g(3.7mmol)から、表題化合物0.7g(理論値の61%)を固体として得る。
LC−MS(方法3):R=3.52分
MS(ESIpos):m/z=291[M+H]
【0085】
実施例13A
メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−(3−ピリジニルアミノ)−2−プロペノエート
【化18】

3−アミノピリジン1.39g(14.8mmol)を、THF50mlに溶解し、−20℃に冷却し、n−ブチルリチウムの2Mヘキサン溶液7.4mlを添加する。15分間撹拌した後、メチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート2.00g(9.84mmol)を添加する。混合物を撹拌しながら室温に温め、次いで氷水で加水分解する。生成物をジクロロメタンで抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を真空で除去し、分取HPLCにより残渣を精製する。所望の生成物0.44g(理論値の18.1%)を得る。
HPLC(方法8):R=3.06分
MS(ESIpos):m/z=250[M+H]、272[M+Na]
【0086】
実施例14A
(3S)−3−メチルペンタンニトリル
【化19】

(2S)−2−メチルブチルメタンスルホネート5g(29.78mmol)を、ナトリウムシアニド1.5g(44.66mmol)と共に、ジメチルホルムアミド15ml中80℃で終夜加熱する。室温に冷却し、続いて水150mlで希釈し、ジエチルエーテルで5回抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を真空中、室温で除去する。粗生成物2.3g(理論値の67%)を得、さらに精製せずに次の段階で用いる。
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 0.87 (t, 3H), 0.92 (d, 3H), 1.30 (m, 2H), 1.67 (m, 1H), 2.42 (dd, 2H).
【0087】
実施例15A
(3S)−3−メチルペンタンアミジン塩酸塩
【化20】

アルゴン雰囲気中、塩化アンモニウム1.1g(20.5mmol)をトルエン20mlに懸濁し、0℃に冷却する。トリメチルアルミニウムの2Mトルエン溶液10.29mlを滴下して添加し、次いで混合物をRTで2時間撹拌する。次いで(3S)−3−メチルペンタンニトリル1g(10.29mmol)を添加する。次いで混合物を80℃で終夜撹拌する。0℃に冷却後、メタノール40mlを滴下して添加し、次いで得られた固体を吸引濾過する。それを徹底的にメタノールで数回洗浄し、合わせた濾液を真空で濃縮する。残渣をジクロロメタン/メタノール10:1に懸濁し、不溶固体を再度除去する。次いで得られた濾液を濃縮し、所望の生成物1.01g(理論値の64%)を得る。
LC−MS(方法2):R=0.31分
MS(ESIpos):m/z=115[M+H](遊離塩基)
【0088】
実施例16A
メチル2−シアノ−3−[(5−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート
【化21】

実施例2Aの製造と同様に、5−フルオロ−2−メチルアニリン1.5g(11.98mmol)およびメチル3,3−ビス(メチルチオ)−2−シアノアクリレート2.4g(11.98mmol)から、表題化合物1.7g(理論値の52%)を固体として得る。
LC−MS(方法6):R=2.49分
MS(ESIpos):m/z=281[M+H]
【0089】
例示的実施態様:
実施例1
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(フルオロフェニル)アミノ]6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化22】

メチル2−シアノ−3−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.1g(0.37mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.07g(0.41mmol)および炭酸カリウム0.11g(0.82mmol)を、ジメチルホルムアミド1ml中、90℃で終夜加熱する。濾過後、濾液を濃塩酸で酸性化すると、生成物が沈殿する。水で数回洗浄し、高真空下で乾燥させ、生成物54mg(理論値の46%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.86分
MS(ESIpos):m/z=313[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.13 (m, 2H), 1.56 (m, 6H), 2.15 (m, 1H), 2.44 (d, 2H), 7.15 (dd, 2H), 7.41 (dd, 2H), 9.66 (s, 1H), 12.36 (s, 1H).
【0090】
実施例2
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(4−メチル−3−ピリジニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化23】

メチル2−シアノ−3−[(4−メチル−3−ピリジニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.2g(0.76mmol)を、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.13g(0.85mmol)および炭酸カリウム0.23g(1.67mmol)と共にDMF4mlに溶解し、90℃で3日間撹拌する。冷却後、生成物を分取HPLC(YMC Gel ODS-AQ S 5/15 μm;溶離剤A:水、溶離剤B:アセトニトリル;勾配:0分30%B、5分30%B、50分95%B)により精製する。生成物60mg(理論値の25%)を得る。
LC−MS(方法5):R=1.57分
MS(ESIpos):m/z=310[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.04 (m, 2H), 1.51 (m, 6H), 2.01 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.39 (d, 2H), 7.51 (d, 1H), 8.41 (d, 1H), 8.52 (s, 1H), 12.41 (s, 1H).
【0091】
実施例3
2−(シクロヘキシルメチル)−4−[(4−メチル−3−ピリジニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化24】

メチル2−シアノ−3−[(4−メチル−3−ピリジニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.4g(1.51mmol)を、2−シクロヘキシルエタンアミジン塩酸塩0.29g(1.67mmol)および炭酸カリウム0.46g(3.3mmol)と共にDMF5mlに溶解し、90℃で7日間加熱する。冷却および濾過の後、生成物を分取HPLC(YMC Gel ODS-AQ S 5/15 μm;溶離剤A;水、溶離剤B:アセトニトリル、勾配:0分30%B、5分30%B、50分95%B)により精製する。生成物433mg(理論値の88%)を得る。
LC−MS(方法5):R=1.47分
MS(ESIpos):m/z=324[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.88 (m, 2H), 1.09 (m, 3H), 1.56 (m, 6H), 2.28 (d, 2H), 2.32 (s, 3H), 7.68 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.61 (s, 1H); 9.79 (s, 1H).
【0092】
実施例4
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化25】

メチル2−シアノ−3−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.1g(0.37mmol)および2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.06g(0.41mmol)をDMF1mlに溶解し、炭酸カリウム0.11g(0.82mmol)と共に90℃で終夜加熱する。濾過後、溶媒を真空で除去し、残渣を分取HPLC(YMC Gel ODS-AQ S 5/15μm;溶離剤A:水、溶離剤B:アセトニトリル;勾配:0分30%B、5分30%B、50分95%B)により精製する。生成物70mg(理論値の59%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.9分
MS(ESIpos):m/z=313[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.16 (m, 2H), 1.53 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 2.21 (m, 1H), 2.46 (d, 2H), 6.88 (m, 1H), 7.31 (m, 2H), 7.44 (m, 1H).
【0093】
実施例5
4−[(3−クロロフェニル)アミノ]−2−(シクロペンチルメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化26】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(3−クロロフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.1g(0.35mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.06g(0.38mmol)および炭酸カリウム0.1g(0.79mmol)から、表題化合物45mg(理論値の39%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=3.06分
MS(ESIpos):m/z=329[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.14 (m, 2H), 1.55 (m, 4H), 1.71 (m, 2H), 2.19 (m, 1H), 2.46 (d, 2H), 7.19 (m, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.63 (m, 1H), 9.78 (br. S, 1H), 12.49 (br. S, 1H).
【0094】
実施例6
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(3−メトキシフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化27】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(3−メトキシフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.08g(0.28mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.05g(0.31mmol)および炭酸カリウム0.09g(0.63mmol)から、表題化合物40mg(理論値の42%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.84分
MS(ESIpos):m/z=325[M+H]
【0095】
実施例7
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(3−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化28】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(3−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.075g(0.27mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.047g(0.29mmol)および炭酸カリウム0.081g(0.59mmol)から、表題化合物31mg(理論値の35%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法6):R=2.37分
MS(ESIpos):m/z=327[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.08 (m, 2H), 1.43 (m, 4H), 1.55 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 2.04 (s, 3H), 2.39 (d, 2H), 7.05 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 9.60 (s, 1H), 12.30 (s, 1H).
【0096】
実施例8
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(2,5−ジメチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化29】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(2,5−ジメチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.1g(0.37mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.06g(0.39mmol)および炭酸カリウム0.1g(0.79mmol)から、表題化合物53mg(理論値の45%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法10):R=3.39分
MS(ESIpos):m/z=323[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.10 (m, 2H), 1.43 (m, 4H), 1.62 (m, 2H), 2.04 (m, 1H), 2.10 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.36 (d, 2H), 6.98 (m, 1H), 7.09 (m, 2H), 9.15 (br. s, 1H), 12.19 (br. s, 1H).
【0097】
実施例9
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(2−メトキシフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化30】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(2−メトキシフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.2g(0.71mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.13g(0.79mmol)および炭酸カリウム0.22g(1.58mmol)から、表題化合物62mg(理論値の26%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.92分
MS(ESIpos):m/z=325[M+H]
【0098】
実施例10
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(4−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化31】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(4−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.1g(0.36mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.06g(0.39mmol)および炭酸カリウム0.1g(0.78mmol)から、表題化合物54mg(理論値の46%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法3):R=2.98分
MS(ESIpos):m/z=327[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.09 (m, 2H), 1.53 (m, 6H), 2.10 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 2.28 (d, 2H), 6.98 (m, 1H), 7.08 (m, 1H), 7.29 (m, 1H).
【0099】
実施例11
2−(シクロペンチルメチル)−4−[(2−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化32】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート2.48g(9.45mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩1.69g(10.33mmol)および炭酸カリウム2.87g(20.79mmol)から、表題化合物1.25g(理論値の43%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=2.84分
MS(ESIpos):m/z=309[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.07 (m, 2H), 1.42 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.59 (m, 2H), 2.05 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 2.36 (d, 2H), 7.17 (m, 4H), 9.47 (s, 1H), 12.24 (s, 1H).
【0100】
実施例12
2−(シクロペンチルメチル)−6−オキソ−4−[(2−プロピルフェニル)アミノ]−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化33】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−[(2−プロピルフェニル)アミノ]−2−プロペノエート0.1g(0.34mmol)、2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.06g(0.37mmol)および炭酸カリウム0.1g(0.76mmol)から、表題化合物57mg(理論値の49%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法1):R=3.13分
MS(ESIpos):m/z=337[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.84 (t, 3H), 1.07 (m, 2H), 1.52 (m, 8H), 2.04 (m, 1H), 2.35 (d, 2H), 2.49 (m, 2H), 7.16 (m, 2H), 7.23 (m, 2H), 9.44 (s, 1H), 12.20 (s, 1H).
【0101】
実施例13
2−(シクロペンチルメチル)−6−オキソ−4−(3−ピリジニルアミノ)−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化34】

メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−(3−ピリジニルアミノ)−2−プロペノエート0.1g(0.40mmol)および2−シクロペンチルエタンアミジン塩酸塩0.065g(0.40mmol)およびトリエチルアミン0.16g(1.60mmol)をDMF0.5mlに溶解し、100℃で終夜撹拌する。冷却後、混合物を水10mlで希釈し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(移動相:ジクロロメタン/メタノール200:1、100:1、50:1)により精製する。生成物78mg(理論値の64%)を無色固体として得る。
HPLC(方法8):R=3.36分
MS(ESIpos):m/z=296[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 1.05-1.20 (m, 2H), 1.37-1.75 (m, 6H), 2.16 (m, 1H), 2.47 (d, 2H), 7.36 (m, 1H), 7.83 (m, 1H), 8.32 (m, 1H), 8.66 (m, 1H), 9.80 (s, 1H), 12.48 (s, 1H).
【0102】
実施例14
2−(2−メチルブチル)−4−[(2−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化35】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−[(2−メチルフェニル)アミノ]−2−プロペノエート0.12g(0.46mmol)、3−メチルペンタンアミジン塩酸塩0.07g(0.50mmol)および炭酸カリウム0.14g(1.0mmol)から、表題化合物105mg(理論値の77%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法2):R=2.06分
MS(ESIpos):m/z=297[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.80 (d, 6H), 1.09 (m, 1H), 1.24 (m, 1H), 1.74 (m, 1H), 2.14 (s, 3H), 2.32 (dd, 2H), 7.16 (m, 4H), 9.49 (s, 1H), 12.27 (s, 1H).
【0103】
実施例15
2−[(2S)−2−メチルブチル]−4−(2−メチルフェニル)アミノ]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化36】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−(メチルスルファニル)−3−[(2−メチルフェニル)アミノ]−2−プロペノエート0.2g(0.76mol)、(3S)−3−メチルペンタンアミジン塩酸塩0.17g(1.14mmol)および炭酸カリウム0.23g(1.66mmol)から、表題化合物183mg(理論値の80%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法5):R=2.28分
MS(ESIpos):m/z=297[M+H]
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 0.78 (d, 6H), 1.09 (m, 1H), 1.21 (m, 1H), 1.70 (m, 1H), 2.13 (s, 3H), 2.29 (dd, 2H), 7.16 (m, 4H), 9.49 (s, 1H), 12.25 (s, 1H).
【0104】
実施例16
4−[(5−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−[(2S)−2−メチルブチル]−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボニトリル
【化37】

実施例4の製造と同様に、メチル2−シアノ−3−[(5−フルオロ−2−メチルフェニル)アミノ]−3−(メチルスルファニル)−2−プロペノエート0.22g(0.78mmol)、(3S)−3−メチルペンタンアミジン塩酸塩0.17g(1.17mmol)および炭酸カリウム0.24g(1.73mmol)から、表題化合物182mg(理論値の73%)を無色固体として得る。
LC−MS(方法5):R=2.11分
MS(ESIpos):m/z=315[M+H]
1H-NMR (200 MHz, DMSO-d6): δ = 0.75 (d, 6H), 1.1 (m, 1H), 1.25 (m, 1H), 1.71 (m, 1H), 2.1 (s, 3H), 2.26 (dd, 2H), 7.03 (m, 2H), 7.28 (m, 1H), 9.51 (s, 1H), 12.36 (s, 1H).
【0105】
下表に挙げる実施例17−58は、実施例4の製造と同様に製造する:
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
【表6】

【0108】
【表7】

【0109】
【表8】

【0110】
【表9】

【0111】
【表10】

【0112】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

式中、
Aは、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、テトラヒドロフリルまたはテトラヒドロピラニルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、ハロゲン、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあり[ここで、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(式中、RおよびRは、相互に独立して水素またはC−C−アルキルであるか、または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員ないし8員の複素環である)の群から選択される1個またはそれ以上の基により置換されていることもある]、
Bは、フェニルまたはヘテロアリールであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、ハロゲン、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある[ここで、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(RおよびRは、上述の意味を有する)の群から選択される基により置換されていることもある]、
の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもあり[ここで、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシは、ヒドロキシ、シアノ、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(式中、RおよびRは、相互に独立して水素またはC−C−アルキルであるか、または、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5員ないし6員の複素環である)の群から選択される基により置換されていることもある]、
Bが、フェニル、チエニルまたはピリジルであり、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシ、C−C−アルキルアミノ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキルアミノカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルキルスルホニルおよびC−C−アルキルチオの群から各々相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある[ここで、C−C−アルキルおよびC−C−アルコキシは、ヒドロキシ、シアノ、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシカルボニルおよび式−NRの基(RおよびRは、上述の意味を有する)の群から選択される基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Aが、C−C−アルキルまたはC−C−シクロアルキルであり、
Bが、フェニル、チエニルまたはピリジルであり、C−C−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、フッ素および塩素の群から各々相互に独立して選択される3個までの基により置換されていることもある、
請求項1および請求項2に記載の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および/または塩の溶媒和物。
【請求項4】
式(I)の化合物の製造方法であって、式
【化2】

の化合物を、最初に式
N−B (III)
(式中、Bは請求項1ないし請求項3に記載の意味を有する)
の化合物を用いて、高温、不活性溶媒中、そうでなければ溶媒の非存在下で、式
【化3】

(式中、Bは請求項1ないし請求項3に記載の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、後者を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化4】

X=Cl、BrまたはI
(式中、Aは請求項1ないし請求項3に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、
得られる式(I)の化合物を、適するならば適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得る、
を特徴とする方法。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物、および、少なくとも1種の医薬的に許容し得る本質的に非毒性の担体または賦形剤を含む、医薬。
【請求項7】
知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害の予防および/または処置用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
障害がアルツハイマー病の結果である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の改善用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することによる、ヒトまたは動物における知覚力、集中力、学習力および/または記憶力の障害を制御する方法。
【請求項11】
障害がアルツハイマー病の結果である、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2007−506662(P2007−506662A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515952(P2006−515952)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006477
【国際公開番号】WO2004/113306
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(506417050)ベーリンガー・インゲルハイム・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim International GmbH
【Fターム(参考)】